(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】マルチモーダルな医療画像の相関付け
(51)【国際特許分類】
G16H 30/00 20180101AFI20241008BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241008BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20241008BHJP
【FI】
G16H30/00
G06T7/00 630
G06V10/82
G06T7/00 350C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516923
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022036952
(87)【国際公開番号】W WO2023043527
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マリクシ,デンニブ
(72)【発明者】
【氏名】スズエ,エレン
(72)【発明者】
【氏名】シェフチェク,マテウシュ
(72)【発明者】
【氏名】ブスケット,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】シェフドテル,クリストフ
【テーマコード(参考)】
5L096
5L099
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA01
5L096CA02
5L096CA18
5L096CA22
5L096CA24
5L096DA01
5L096FA25
5L096FA69
5L096GA30
5L096HA11
5L096KA04
5L099AA26
(57)【要約】
いくつかの実施形態において、医療画像の表示を同期させるための方法、システム、ソフトウェア、および使用が提供される。第1の医療画像内の対象領域を特定する入力が受信される。第2の医療画像内の第2の対象領域が、第1の領域に基づいて決定される。第1の医療画像および第1の領域の第1の指示が、GUIの第1の表示域に表示される。第2の医療画像および第2の領域の第2の指示が、GUIの第2の表示域に表示される。第1の対象領域または第2の対象領域の一方の表示を調整するための表示調整入力が受信される。表示調整入力および対応情報に基づいて、第1の表示域における第1の対象領域の表示の調整および第2の表示域における第2の対象領域の表示の調整が実施される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
1つ以上のデータベースから、第1の医療画像にアクセスすることと、
前記1つ以上のデータベースから、第2の医療画像にアクセスすることと、
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、前記第1の医療画像内の第1の対象領域の選択に対応する選択入力を受信することと、
前記第1の対象領域に基づく前記第2の医療画像内の第2の対象領域であって、同じ組織に対応する、前記第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することと、
前記第1の対象領域を前記第2の対象領域に関連付ける対応情報を記憶することと、
前記GUIの第1の表示域に、前記第1の医療画像と、前記第1の医療画像内の前記第1の対象領域の第1の指示とを表示することと、
前記GUIの第2の表示域に、前記第2の医療画像と、前記第2の医療画像内の前記第2の対象領域の第2の指示とを表示することと、
前記第1の表示域または前記第2の表示域のうちの一方における前記第1の対象領域または前記第2の対象領域のうちの一方の表示を調整するために介して表示調整入力を受信することと、
前記表示調整入力および前記対応情報に基づいて、前記第1の表示域における前記第1の対象領域の表示の調整と、前記第2の表示域における前記第2の対象領域の表示の調整とを同期させることと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記第1の医療画像および前記第2の医療画像は、デジタル放射線画像またはデジタル病理画像の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の医療画像は、1つ以上の陽電子放出断層撮影(PET)画像を含み、
前記第2の医療画像は、標本スライドのデジタル病理画像を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル病理画像は、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色または免疫組織化学(IHC)染色のうちの1つに基づいて処理された前記標本スライドをキャプチャする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタル病理画像は、蛍光照明または明視野照明のうちの少なくとも1つに基づいて取得される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記選択入力は、前記第1の表示域内の複数の第1のランドマークの選択を含み、
前記方法は、
前記第1の表示域内の前記複数の第1のランドマークの位置および前記第1の表示域内の前記第1の医療画像の表示拡大縮小倍率に基づいて、前記第1の医療画像内の前記第1の対象領域の第1の位置情報を決定することと、
前記第1の位置情報を前記対応情報内に記憶することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の表示域内の複数の第2のランドマークの選択を受信することと、
前記第2の表示域内の前記複数の第2のランドマークの位置および前記第2の表示域内の前記第2の医療画像の表示拡大縮小倍率に基づいて、前記第2の医療画像内の前記第2の対象領域の第2の位置情報を決定することと、
前記第2の位置情報を前記対応情報内に記憶することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記GUIによって、前記第1の表示域内および前記第2の表示域内の対応する対象領域のランドマークを選択するための選択肢の選択を検出することをさらに含み、
前記第1の対象領域と前記第2の対象領域とが前記同じ組織に対応するとの判断は、前記選択肢の選択の前記検出に基づく、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の医療画像について第1の画像処理操作を実行して前記第1の対象領域を決定することと、
前記第2の医療画像について第2の画像処理操作を実行して前記第2の対象領域を決定することと、
前記選択入力を、前記第1の画像処理操作によって決定された前記第1の対象領域と、前記第2の画像処理操作によって決定された前記第2の対象領域とが、前記同じ組織に対応することの確認として受信することと、
前記確認に基づいて前記対応情報を記憶することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の画像処理操作は、前記第1の医療画像の画素によって表される放射性レベルをしきい値に対して比較することを含み、
前記第1の対象領域は、前記画素のうちの前記放射性レベルが前記しきい値を超えるサブセットに基づいて決定される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の画像処理操作は、がん細胞を表す1つ以上の染色パターンを検出することを含み、
前記第2の対象領域は、前記検出の結果に基づいて決定される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の画像処理操作は、畳み込みニューラルネットワークによって実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
学習システムを使用して、前記第1の対象領域と前記第2の対象領域とが前記同じ組織に対応するとの予測を生成することと、
前記GUIに前記予測を表示することと、
前記選択入力を前記予測の確認として受信することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記表示調整入力は、拡大入力、縮小入力、平行移動入力、または回転入力のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の表示域における前記第1の対象領域の前記表示の調整と、前記第2の表示域における前記第2の対象領域の前記表示の調整とを同期させることは、前記第1の対象領域および前記第2の対象領域が、前記第1の表示域および前記第2の表示域のそれぞれにおいて同じ拡大度で表示されるように実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の表示域における前記第1の対象領域の前記表示の調整と、前記第2の表示域における前記第2の対象領域の前記表示の調整とを同期させることは、前記第1の対象領域および第2の対象領域の同じ部分が、前記第1の表示域および前記第2の表示域のそれぞれに表示されるように実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の表示域における前記第1の対象領域の前記表示の調整と、前記第2の表示域における前記第2の対象領域の前記表示の調整とを同期させることは、前記第1の対象領域および第2の対象領域が、前記第1の表示域および前記第2の表示域のそれぞれにおいて同程度に回転するように実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記同じ組織に対応する前記第1の対象領域および前記第2の対象領域に基づいて分析出力を生成することをさらに含み、
前記分析出力は、がん診断の予測、以前の外科処置の検証、前記第1の対象領域および前記第2の対象領域にキャプチャされた前記同じ組織の分類、または治療に関する研究操作のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化されたコンピュータプログラム製品であって、
1つ以上のデータベースから、第1の医療画像にアクセスすることと、
前記1つ以上のデータベースから、第2の医療画像にアクセスすることと、
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、前記第1の医療画像内の第1の対象領域の選択に対応する選択入力を受信することと、
前記第1の対象領域に基づく前記第2の医療画像内の第2の対象領域であって、同じ組織に対応する、前記第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することと、
前記第1の対象領域を前記第2の対象領域に関連付ける対応情報を記憶することと、
前記GUIの第1の表示域に、前記第1の医療画像と、前記第1の医療画像内の前記第1の対象領域の第1の指示とを表示することと、
前記GUIの第2の表示域に、前記第2の医療画像と、前記第2の医療画像内の前記第2の対象領域の第2の指示とを表示することと、
前記第1の表示域または前記第2の表示域のうちの一方における前記第1の対象領域または前記第2の対象領域のうちの一方の表示を調整するために介して表示調整入力を受信することと、
前記表示調整入力および前記対応情報に基づいて、前記第1の表示域における前記第1の対象領域の表示の調整と、前記第2の表示域における前記第2の対象領域の表示の調整とを同期させることと
を含む動作の組を1つ以上のデータプロセッサに実行させるように構成された命令を含んでいる、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
1つ以上のデータプロセッサと、
命令を含んでいる非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、前記1つ以上のデータプロセッサ上で実行されたときに、
1つ以上のデータベースから、第1の医療画像にアクセスすることと、
前記1つ以上のデータベースから、第2の医療画像にアクセスすることと、
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、前記第1の医療画像内の第1の対象領域の選択に対応する選択入力を受信することと、
前記第1の対象領域に基づく前記第2の医療画像内の第2の対象領域であって、同じ組織に対応する、前記第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することと、
前記第1の対象領域を前記第2の対象領域に関連付ける対応情報を記憶することと、
前記GUIの第1の表示域に、前記第1の医療画像と、前記第1の医療画像内の前記第1の対象領域の第1の指示とを表示することと、
前記GUIの第2の表示域に、前記第2の医療画像と、前記第2の医療画像内の前記第2の対象領域の第2の指示とを表示することと、
前記第1の表示域または前記第2の表示域のうちの一方における前記第1の対象領域または前記第2の対象領域のうちの一方の表示を調整するために介して表示調整入力を受信することと、
前記表示調整入力および前記対応情報に基づいて、前記第1の表示域における前記第1の対象領域の表示の調整と、前記第2の表示域における前記第2の対象領域の表示の調整とを同期させることと
を含む動作の組を前記1つ以上のデータプロセッサに実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月16日に出願された米国特許出願第63/244,756号の利益および優先権を主張し、米国特許出願第63/244,756号は、あらゆる目的に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
医療画像は、一般に、臨床分析および/または介入のために撮影された画像を指す。マルチモーダルな医療画像を、さまざまな撮像/処理態様から得ることができる。例えば、陽電子放出断層撮影(PET)、X線写真、磁気共鳴画像化、超音波、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、などのさまざまな種類の放射線画像を撮影して、侵襲的な処置を実行することなく、被験者(例えば、患者)の内部構造を明らかにし、あるいは目的の特定の細胞(例えば、がん細胞)を検出することができる。別の例として、組織標本を被験者から取り出し、標本スライドにスライスすることができる。標本スライドをさらに処理(例えば、ヘマトキシリンおよびエオジン(H&E)染色、免疫組織化学(IHC)染色、蛍光タグ付け、など)し、かつ/または(例えば、蛍光照明、明視野(可視光)照明、などで)照明し、処理/照明されたスライドのデジタル病理画像を撮影して、標本中の細胞の組織学的情報を提供することができる。異なる種類の放射線技術を使用して撮影された放射線画像を、異なる種類の細胞/組織構造を明らかにするために異なる染色剤/技術で処理されたスライドから撮影された病理画像などと同様に、マルチモーダルな医療画像と見なすことができる。
【0003】
これらのマルチモーダルな医療画像が異なる態様の情報を提供することに鑑み、典型的には、これらの画像は、別々の専門家によって分析される2つの個別の医療データとして表示される。例えば、放射線画像が、放射線科医によって検討および分析されるべきである一方で、デジタル病理画像は、病理学者によって検討および分析されるべきである。現時点において、これらの画像へのアクセスを提供する医療情報システム(例えば、医療デジタル撮像通信(DICOM)システム)は、典型的には、例えば或る医療画像内のどの領域が別の医療画像内の別の領域に対応するかを識別するなど、異なる態様の2つの医療画像の間の対応をユーザが効率的に判断することを、可能にしていない。
【0004】
さらに、現時点の医療情報システムは、2つの医療画像の間の対応する領域を示す情報の格納およびアクセスのための容易かつ直感的なやり方も提供していない。マルチモーダルな医療画像が被験者の身体の異なる範囲をキャプチャする場合、これらの画像は、異なる解像度を有し、異なるスケールを表すことが多い。2つの画像の間の対応する領域を示す情報が存在しないならば、2つの画像の各々において移動して、対応する目的の領域の位置を特定してアクセスすることが、ユーザにとって困難になる。
【0005】
したがって、画像間の対応部分を決定することによってマルチモーダルな医療画像を自動的に相関させることができ、かつ/またはマルチモーダルな医療画像間の対応する領域を示す情報を容易にマークして記憶することをユーザにとって可能にするシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
簡単な説明
マルチモーダルな医療画像を相関付け、相関結果へのアクセスを提供するための技術が、本明細書に開示される。マルチモーダルな医療画像は、異なる撮像/処理の態様から得られた第1の医療画像および第2の医療画像を含む。いくつかの例においては、第1の医療画像がデジタル放射線画像を含むことができる一方で、第2の医療画像はデジタル病理画像を含むことができる。いくつかの例においては、第1の医療画像および第2の医療画像の両方が、異なる情報を明らかにするために異なる技術を使用して得られたデジタル放射線画像またはデジタル病理画像を含むことができる。
【0007】
いくつかの例において、本技術は、1つ以上のデータベースから第1の医療画像および第2の医療画像にアクセスすることと、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、ユーザから、第1の医療画像内の第1の対象領域の選択に対応する選択入力を受信することとを含む。本技術は、第1の対象領域に基づく第2の医療画像内の第2の対象領域であって、同じ組織に対応する、第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することをさらに含む。本技術は、第1の対象領域が第2の対象領域に関連するという情報に基づいて、第1の対象領域の第1の位置、第2の対象領域の第2の位置、および第1の対象領域と第2の対象領域との間の関連付けを示す対応情報を決定し、記憶することをさらに含む。本技術は、GUIに、第1の医療画像、第1の対象領域の第1の指示、第2の医療画像、および第2の対象領域を表示することをさらに含む。本技術は、GUI内の第1の対象領域または第2の対象領域のうちの一方の表示を調整するための表示調整入力を、GUIを介して受信することと、表示調整入力および対応情報に基づいて、GUI内の第1の対象領域の表示の調整と第2の対象領域の表示の調整との間の同期を行うこととをさらに含む。
【0008】
本開示のこれらの例および他の例が、以下で詳細に説明される。例えば、他の実施形態は、本明細書に記載される方法に関連するシステム、装置、およびコンピュータ可読媒体を対象とする。
【0009】
開示された技術の性質および利点のよりよい理解は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して得られることがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
詳細な説明を、添付の図面を参照して示す。
【0011】
【
図1A】マルチモーダルな医療画像の例を示している。
【
図1B】マルチモーダルな医療画像の例を示している。
【
図2A】本開示の特定の態様によるマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの一例を示している。
【
図2B】本開示の特定の態様によるマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの一例を示している。
【
図3A】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって生成された対応情報の例を示している。
【
図3B】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって生成された対応情報の例を示している。
【
図3C】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって生成された対応情報の例を示している。
【
図4A】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの内部構成要素の例を示している。
【
図4B】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの内部構成要素の例を示している。
【
図4C】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの内部構成要素の例を示している。
【
図5A】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bの例示的なマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによってサポートされる表示動作の例を示している。
【
図5B】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bの例示的なマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによってサポートされる表示動作の例を示している。
【
図5C】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bの例示的なマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによってサポートされる表示動作の例を示している。
【
図6】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの内部構成要素の例を示している。
【
図7A】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の例を示している。
【
図7B】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の例を示している。
【
図7C】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の例を示している。
【
図7D】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の例を示している。
【
図7E】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の例を示している。
【
図7F】本開示の特定の態様による
図2Aおよび
図2Bのマルチモーダルな医療画像の相関付けシステムによって提供されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の例を示している。
【
図8】本開示の特定の態様によるマルチモーダルな医療画像を表示する方法を示している。
【
図9】本明細書に開示の技術を実施するために利用され得る例示的なコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
マルチモーダルな医療画像を相関付けるための技術が、本明細書に開示される。マルチモーダルな医療画像は、がん診断などの被験者に関する特定の臨床分析を支援するために、異なる撮像/処理の態様から得られた被験者の第1の医療画像および第2の医療画像を含む。いくつかの例においては、第1の医療画像がデジタル放射線画像を含むことができる一方で、第2の医療画像はデジタル病理画像を含むことができる。いくつかの例においては、第1の医療画像および第2の医療画像の両方が、デジタル放射線画像またはデジタル病理画像を含むことができるが、それらは、異なる情報を明らかにするために異なる技術(例えば、異なる種類の染色、異なる種類の照明、など)を使用して取得される。
【0013】
いくつかの例において、技術を、態様間医療画像相関付けシステムによって実施することができる。システムは、データベース、ユーザ装置、などの1つ以上のデータ源からの第1の医療画像および第2の医療画像にアクセスすることができる。第1の医療画像が、被験者の体内の放射性レベルの分布を明らかにするPET画像などのデジタル放射線画像を含むことができる一方で、第2の医療画像は、被験者の組織のデジタル病理画像を含むことができる。いくつかの例において、PET画像に示される放射性レベルの分布が、被験者の体内に存在しうる腫瘍の位置を特定することができる一方で、デジタル病理画像は、疑わしい腫瘍細胞を明らかにするために染色(例えば、H&E染色、IHC染色、蛍光タグ付け、など)および/または照明(例えば、蛍光照明、明視野照明、など)された被験者から収集された試料(例えば、組織標本)の画像を含むことができる。データベースは、例えば、電子医療記録(EMR)システム、画像保存通信システム(PACS)、デジタルパソロジー(DP)システム、検査室情報システム(LIS)、および放射線科情報システム(RIS)を含み得る。
【0014】
態様間医療画像相関付けシステムは、GUIをさらに提供することができる。いくつかの例において、システムは、第1の医療画像内の第1の対象領域を選択するために、GUIを介して選択入力を受信することができる。具体的には、いくつかの例において、選択入力は、1つ以上の第1のランドマーク点としての第1の医療画像内の1つ以上の第1の画像位置の選択を含むことができる。第1の対象領域は、第1のランドマーク点を包含することができる。第1の対象領域は、第1のランドマーク点の数に基づくことができる三角形、長方形、自由形状、などの種々の幾何学的形状であり得る。例えば、第1の対象領域は、被験者の体内に注入された放射性標識グルコーストレーサを代謝する腫瘍の存在を示し得る放射性レベルを有するPET画像内の領域に対応することができる。いくつかの例において、選択入力は、ユーザによる第1の対象領域の直接選択を含むこともできる。いくつかの例において、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの画像処理アプリケーションは、PET画像に現れた放射性レベルをしきい値と比較することによって第1の医療画像を処理することができる。比較結果に基づいて、第1の画像内の1つ以上の候補の第1の対象領域を定めることができる。例えば、第1の画像内の1つ以上の候補の第1の対象領域を、しきい値よりも高い放射性レベルを有する領域に基づいて定めることができる。被験者の体内に複数の疑わしい腫瘍部位が存在する場合、複数の候補の第1の対象領域が特定され得る。選択入力をユーザから受信して、候補の第1の対象領域のうちの1つを、例えば、被験者の身体の特定の位置の腫瘍部位に対応する第1の対象領域として選択することができる。選択入力に基づいて、システムは、例えば、第1の対象領域の第1の位置(例えば、中心位置)、第1の対象領域の形状、第1の対象領域のサイズ、などを含む第1の対象領域のさまざまな情報を決定することができる。
【0015】
さらに、態様間医療画像相関付けシステムは、第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することができる。第2の対象領域を、例えば、第1の対象領域によって表される組織(例えば、腫瘍組織)を決定し、次いで、同じ組織(例えば、同じ腫瘍組織)に対応する第2の医療画像内の第2の対象領域を特定することに基づいて決定することができる。いくつかの例において、決定は、ユーザからの第2の選択入力の受信に基づくことができる。第2の選択入力は、第2の医療画像内の1つ以上の第2の画像位置を1つ以上の第2のランドマーク点として選択することを含んでよく、第2の対象領域は、第2のランドマーク点を包含することができる。いくつかの例において、情報をユーザからの入力に基づいて決定することも可能である。例えば、GUIは、第1の医療画像内および第2の医療画像内の一対の対応する対象領域のランドマーク点を入力するための対応する対象領域の入力選択肢を提供し得る。対応する対象領域の入力選択肢を介して第1および第2のランドマーク点を受信することにより、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の対象領域および第2の対象領域が同じ組織に対応することを示す情報を決定することができる。さらに、システムは、第2の医療画像内のランドマーク点に基づいて、例えば、第2の対象領域の第2の位置(例えば、中心位置)、第2の対象領域の形状、第2の対象領域のサイズ、などを含む第2の対象領域のさまざまな情報を決定することができる。
【0016】
いくつかの例においては、第2の対象領域を、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの機械学習モデルによって決定することもできる。機械学習モデルは、第2の医療画像の各画素について、その画素が組織に属する尤度を決定し、尤度がしきい値を超える場合に、画素が組織に属し、その画素が第2の対象領域に含まれると分類することができる。分類結果に基づいて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、次いで、組織の一部として分類された画素を含むように第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することができる。いくつかの例において、機械学習モデルは、複数の層を備える深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含むことができる。CNNは、第2の医療画像と組織の特徴を表す重み行列との間で畳み込み演算を実行して、画素が組織に属する尤度を計算し、第2の対象領域の一部である画素を決定することができる。次いで、システムは、第2の対象領域の一部であると決定された画素に基づいて、例えば、第2の対象領域の第2の位置(例えば、中心位置)、第2の対象領域の形状、第2の対象領域のサイズ、などを含む第2の対象領域のさまざまな情報を決定することができる。
【0017】
いくつかの例においては、第1の医療画像内の第1の対象領域および第2の医療画像内の第2の対象領域を決定した後に、態様間医療画像相関付けシステムは、第1の対象領域の1つ以上の第1の位置、第2の対象領域の1つ以上の第2の位置、および第1の対象領域と第2の対象領域との間の対応/関連付けを示す対応情報を記憶することができる。第1および第2の位置は、例えば、第1の対象領域および第2の対象領域の境界位置、中心位置、などを含むことができる。いくつかの例において、対応情報は、第1の対象領域の第1の位置および第2の対象領域の第2の位置をそれぞれ定めることができる第1のランドマークおよび第2のランドマークの画素位置を含むことができる。いくつかの例において、対応情報は、第1の対象領域および第2の対象領域の境界の位置、第1の医療画像および第2の医療画像のファイル名、対象領域に表される組織の種類、などの追加情報をさらに含み得る。いくつかの例において、対応情報は、第1の対象領域を第2の対象領域にマッピングするマッピングテーブルなどのデータ構造を含み得る。いくつかの例において、第1の医療画像は、3D PET画像の一部であってよく、マッピングテーブルは、第1の対象領域の三次元座標を含むことができる。マッピングテーブルは、両方の医療画像が2D画像である場合、第1の医療画像の電子ファイル名を第2の医療画像にマッピングすることもできる。第1の医療画像が異なる長手方向位置で取得された複数の2D PET画像を含む3D PET画像の一部である場合、マッピングテーブルは、複数の2D PET画像内の第1の対象領域を複数の第2の医療画像内の第2の対象領域にマッピングすることができる。このような構成は、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムが、第1の医療画像および第2の医療画像にアクセスした後に、マッピングテーブルおよび対象領域の情報にアクセスすることを可能にする。
【0018】
第1および第2の対象領域を決定した後に、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の医療画像、第1の対象領域の第1の指示、第2の医療画像、および第2の対象領域の第2の指示をGUIに表示することができる。具体的には、GUIは、第1の医療画像および第1の指示を表示するための第1の表示域と、第2の医療画像および第2の指示を表示するための第2の表示域とを含み得る。対象領域の指示は、対象領域を定めるランドマーク、対象領域を表す幾何学的形状、さまざまな形式の注釈など、さまざまな形式であり得る。
【0019】
第1の医療画像および第2の医療画像を表示する一方で、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の表示域または第2の表示域の一方における第1の対象領域または第2の対象領域の一方の表示を調整するために、GUIを介して表示調整入力を受信することができる。表示調整入力は、例えば、表示調整入力を受信する表示域における対象領域の表示を調整するための拡大/縮小入力、平行移動入力、回転入力、などを含むことができる。さらに、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、両方の表示域が同じ座標セットによって示される同じ領域を表示することができるように、両方の表示域における表示の調整を同期させることができる。マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、表示調整入力および対応情報に基づいて同期を実行することができる。同期の結果として、両方の表示域が第1および第2の医療画像内の同じ座標セットによって示される同じ領域を表示することができるように、拡大の程度、対象領域のうちの表示用に選択された部分、対象領域の視点、などの表示のさまざまな設定が両方の表示域に適用される。
【0020】
例えば、第1の表示域内の第1の対象領域を拡大するための拡大入力が第1の表示域において受信された場合、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、拡大入力に基づいて拡大の程度を計算し、拡大の程度によって第1の表示域内の第1の対象領域を拡大することができる。さらに、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、(対応情報に基づいて)第2の医療画像の第2の位置の第2の対象領域を特定し、第1の対象領域と第2の対象領域とが同じスケールで表示されるように、第2の表示域において第2の対象領域を同じ倍率で拡大することができる。
【0021】
別の例として、第1の対象領域の選択された部分に平行移動するための平行移動入力が第1の表示域において受信され、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の対象領域の選択された部分を表示することができる。さらに、第1の対象領域の第1の位置と第2の対象領域の第2の位置との間のマッピングに基づいて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第2の対象領域の対応する部分を決定し、第2の対象領域の対応する部分を第2の表示域に表示することができる。
【0022】
第1の対象領域および第2の対象領域のそれぞれの表示域における表示の同期に加えて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、がん細胞の特定などの臨床診断をサポートするために、病理学的特徴と放射線画像の特徴との組み合わせに基づく他の種類の表示および分析動作をサポートすることもできる。例えば、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の対象領域および第2の対象領域の両方を同じスケールで表示し、第2の対象領域上に第1の対象領域を重ね、あるいは第1の対象領域上に第2の対象領域を重ねるための第3の表示域を含むことができる。重ねられる対象領域を、半透明の形態で表示することができる。このような構成は、第1の対象領域と第2の対象領域との間の視覚的比較をサポートすることができる。例えば、第1の対象領域は、身体のうちの腫瘍の存在を示す可能性がある(放射性標識グルコーストレーサからの)高い放射性レベルを有する部分を表し得る。第2の対象領域は、実際の腫瘍細胞を示し得る。2つの対象領域の間の視覚的比較は、腫瘍の存在を確認し、かつ/または以前のがん手術によって健常組織以外のがん組織が除去されたことを確認することができる。いくつかの例において、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第2の対象領域を(例えば、染色パターンの分析に基づいて)分析して、腫瘍細胞を示す細胞構造を検出するための画像処理モジュールを含むことができる。第2の対象領域における腫瘍細胞の位置と第1の対象領域における高い放射性レベルとの間の比較も、腫瘍の存在を確認することができる。
【0023】
本開示の技術は、臨床分析を容易にするために、放射線画像と病理画像との間など、マルチモーダルな医療画像の間での対応する領域のアクセスおよび検出を容易にすることができる。具体的には、上述のように、マルチモーダルな医療画像が被験者の身体の異なる範囲をキャプチャする場合、これらの画像は、異なる解像度を有し、異なるスケールを表すことが多い。マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、マルチモーダルな医療画像の対象領域間のマッピングを行う対応情報の記憶を可能にし、対応情報をマルチモーダルな医療画像の電子ファイルにリンクさせるため、システムは、マルチモーダルな画像内の対象領域へのユーザのアクセスを容易にすることができる。さらに、2つの対応する対象領域の表示を同期させることによって、システムは、ユーザが異なる解像度/スケールを有する2つの医療画像において同時に2つの対応する対象領域を移動することを可能にする。加えて、システムのいくつかの例は、マルチモーダルな医療画像内の第1および第2の対象領域ならびに第1および第2の対象領域の間の対応関係の自動検出をサポートすることができ、これにより、画像が異なるスケール/解像度を有するにもかかわらず、医療画像内の対象領域の検出をさらに容易にすることができる。
【0024】
上述したように、マルチモーダルな画像の間で対象領域の間の相関付けを行うことを可能にすることによって、腫瘍細胞の確認、外科処置の確認、などの追加の臨床診断を実行することができる。結果として、医師によるマルチモーダルな医療画像間の分析および相関付けの効率を改善することができ、これは、被験者に提供されるケアの質も改善することができる。
【0025】
I.マルチモーダルな医療画像の例
図1Aおよび
図1Bが、マルチモーダルな医療画像、およびそれらを医師がどのように使用し得るのかについて、例を示している。
図1Aに示されるように、第1の医療画像102および第2の医療画像104を含む異なる態様の2つの医療画像を医師へと表示することができる。第1の医療画像102および第2の医療画像104を、異なる撮像/処理の態様から取得することができる。例えば、第1の医療画像102は、侵襲的処置を実行することなく、被験者の内部構造を明らかにし、あるいは対象の特定の細胞(例えば、がん細胞)を検出するために撮影されたデジタル放射線画像を含むことができる。
図1Aの例において、第1の医療画像102は、被験者が放射性標識グルコーストレーサの注入を受けた後の被験者の身体106のPETスキャンから得られたPET画像であってよい。第1の医療画像102は、被験者の身体106内の腫瘍の存在を示す可能性がある放射性標識グルコーストレーサからの放射性レベルが高い活性化領域108を含み得る。さらに、第2の医療画像104は、被験者の身体106から取り出された組織から調製された標本110のデジタル病理画像を含むことができる。標本を染色して、標本中の細胞の組織学的情報を提供することができる。例えば、
図1Aの例において、標本110は、染色によって明らかにして第2の医療画像104にキャプチャすることができる腫瘍細胞の領域112を含み得る。
【0026】
第1の医療画像102および第2の医療画像104は、それらの態様が異なるがゆえに、典型的には、医療情報システム120(例えば、医療デジタル撮像通信(DICOM)システム)によって異なるデータベースからもたらされ、異なる専門家によって分析されるように、異なるインターフェースにおける2つの別個の医療データとして表示される。例えば、第1の医療画像102を、デジタル放射線画像データベース130からもたらし、放射線科医への放射線画像インターフェース132に表示することができる一方で、第2の医療画像104を、デジタル病理画像データベース140からもたらし、病理学者への病理画像インターフェース142に表示することができる。データベースは、例えば、EMR(電子医療記録)システム、PACS(画像保存通信システム)、デジタルパソロジー(DP)システム、LIS(検査室情報システム)、RIS(放射線科情報システム)、などを含み得る。
【0027】
現時点において、医療情報システム120は、典型的には、ユーザが異なる態様の2つの医療画像の間の相関付けを効率的に行うことを可能にしていないが、そのような相関付けの作業は、臨床分析および/または臨床介入を容易にすることができる追加の情報を明らかにし得る。例えば、医療情報システム120は、典型的には、第1の医療画像102と第2の医療画像104との相関付けにおいてユーザを支援する情報を提供していない。例えば、医療情報システム120は、典型的には、活性化領域108と細胞の領域112とが同じ組織および同じ細胞セットに対応しているのかどうかなど、活性化領域108と細胞の領域112との間の関係を示すことがない。さらに、医療情報システム120は、典型的には、対応情報の格納およびアクセスのための容易かつ直感的なやり方を提供していない。
【0028】
上述したように、第1の医療画像102と第2の医療画像104との間の相関関係は、臨床診断および/または臨床介入を支援することができる追加情報を明らかにすることができる。相関関係を生成し、あるいは少なくとも対応情報の格納およびアクセスのための容易かつ直感的なやり方を提供することは、臨床診断および/または臨床介入を容易にすることができる。
図1Bが、第1の医療画像102と第2の医療画像104との相関によって支援することができる作業の例を示している。
図1Bに示されるように、がん診断150を、活性化領域108と細胞の領域112との相関付けに基づいて行うことができる。例えば、活性化領域108は、放射性標識グルコーストレーサを代謝する腫瘍の存在の可能性を示し得る。細胞の領域112と活性化領域108とが同じ組織および同じ細胞セットに対応する場合、そのような相関は、被験者のがん診断150、ならびに被験者におけるがん細胞/腫瘍の位置を確認することができる。
【0029】
別の例として、相関関係を、外科処置の検証152を支援するために使用することもできる。具体的には、第1の医療画像102が、腫瘍を含む組織を除去する手術に先立って被験者について撮影されてよい一方で、第2の医療画像104は、手術後に除去された組織について撮影されてよい。細胞の領域112と活性化領域108とが同じ組織および同じ細胞セットに対応する場合、手術によって健康な組織ではなく腫瘍が正しく除去されたと判断することができる。
【0030】
別の例として、相関関係を、分類作業154を支援するために使用することもできる。具体的には、同じ組織および同じ細胞セットに対応する細胞の領域112および活性化領域108、ならびに第1の医療画像102に身体106のどの部分が写っているかの知識に基づいて、第2の医療画像104に写っている標本110の出所を分類することができる。例えば、第1の医療画像102に身体106の前立腺が写っている場合、標本110を前立腺に属するものとして分類することができる。そのような情報は、結果として、第2の医療画像104についての分析を精緻化することができる。例えば、標本110が前立腺組織であると決定することによって、他の種類のがん(例えば、肺がん)よりもむしろ前立腺がんに関連する腫瘍に関連する特定のパターンを検出するように、第2の医療画像104を処理することができる。
【0031】
さらに別の例として、相関関係を、研究作業156を支援するために使用することもできる。相関を、創薬研究、特定の処置に対する被験者の応答を判断するための橋渡し研究、特定の処置が被験者においてどのように機能するか、などの研究作業を支援するために被験者のコホートの医療画像の間で行うことができる。
【0032】
II.マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの例
A.システムの概要
図2Aが、マルチモーダルな画像内の対象領域間の対応情報へのアクセスを提供することができる例示的なマルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200を示している。マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、それぞれデジタル放射線画像データベース130およびデジタル病理画像データベース140から第1の医療画像102および第2の医療画像104にアクセスすることができるソフトウェアシステムであってよい。マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、第1の医療画像102内の第1の対象領域(例えば、活性化領域108)と第2の医療画像104内の第2の対象領域(例えば、細胞の領域112)との間の相関を決定することができる。相関を、第1の医療画像102と第2の医療画像104との間の対応する対象領域を選択するためのユーザからの選択入力、および/または対応する対象領域を特定するための画像の相関分析の実行に基づいて決定することができる。マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、第1の医療画像102および第2の医療画像104内の対応する対象領域を示す対応情報206を生成し、対応情報206を相関データベース202に格納して、将来において第1の医療画像102および第2の医療画像104が再びアクセスされるときに対応情報への容易なアクセスを提供することができる。加えて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、相関の決定に関するユーザからの入力を受け付けることができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)204をさらに含む。GUI 204は、第1の医療画像102および第2の医療画像104を同時に表示するために、表示域204aおよび204bなどの複数の表示域も含むことができる。さらに、GUI 204は、表示域のうちの1つ(例えば、表示域204a)におけるユーザからの表示調整入力を検出し、それぞれの表示域における第1の医療画像102および第2の医療画像104の両方の表示の調整を同期させることで、第1の医療画像102と第2の医療画像104との間の対応する対象領域間の視覚的比較/相関を容易にすることができる。
【0033】
B.ランドマークに基づく相関
具体的には、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、相関モジュール210を含む。相関モジュール210は、第1の医療画像102内の第1の対象領域(例えば、活性化領域108)と第2の医療画像104内の第2の対象領域(例えば、細胞の領域112)との間の相関を決定することができる。相関を、第1の医療画像102と第2の医療画像104との間の対応する対象領域を選択するためのユーザからの選択入力、および/または対応する領域を特定するための画像の相関分析の実行に基づいて決定することができる。
【0034】
いくつかの例において、相関モジュール210は、ランドマークとして選択入力を受信するためのランドマークモジュール212を含む。ランドマークは、ユーザによって選択された特定の関心対象の特徴を示し、対象領域に包含される医療画像内の点であってよい。選択入力を、表示された医療画像上の表示域204aおよび204bを介して受信することができる。次いで、ランドマーク入力モジュール212は、医療画像内の選択されたランドマークの画像位置(例えば、画素座標)を決定することができる。いくつかの例において、ランドマーク入力モジュール212は、第1の医療画像102(表示域204aを介する)および第2の医療画像104(表示域204bを介する)の両方におけるランドマークの選択を受信するために、GUI 204を介して対応入力選択の選択肢214を提供することができる。選択の選択肢を介した第1の医療画像102および第2の医療画像104における選択されたランドマークは、互いに対応する(例えば、同じ組織および同じ細胞セットに対応する)2つの医療画像における選択されたランドマークを包含する対象領域を示すことができる。
【0035】
さらに、相関モジュール210は、第1の医療画像102および第2の医療画像104の各々における対象領域を決定するための領域モジュール216を含む。対象領域がGUI 204を介して入力されたランドマークに基づいて決定される場合、領域モジュール216は、ランドマークを包含するように対象領域を決定することができる。対象領域は、任意の所定の形状(例えば、三角形、長方形、長円形、など)であってよく、対象領域の境界は、ランドマークから所定の距離であってよい。いくつかの例において、対応領域モジュール216は、選択されたランドマークの数に基づいて対象領域の形状を調整することもできる。例えば、ランドマークの数が所定のしきい値数を超える場合、対応領域モジュール216は、多角形の対象領域を、ランドマークが多角形領域の頂点になるように決定することができる。
【0036】
相関モジュール210は、第1の医療画像102および第2の医療画像104における2つの対象領域が対応する対象領域(例えば、同じ組織および/または同じ細胞領域に対応する)であると判定する対応領域モジュール221をさらに含む。いくつかの例において、対応領域モジュール221は、ユーザの入力に基づいて2つの対象領域が互いに対応すると判定することができる。例えば、ランドマークが第1の医療画像102および第2の医療画像104における対応入力選択の選択肢214を介して選択された場合、対応領域モジュール216は、各々の医療画像における選択されたランドマークを互いに対応するように指定することができ、選択されたランドマークを包含する対象領域も、2つの医療画像間で互いに対応する。
【0037】
図2Bは、GUI 204によって表示されたランドマークおよび対象領域の例を示している。
図2Bに示されるように、表示域204aが、第1の医療画像102、GUI 204を介してユーザによって選択されたランドマーク218a、218b、および218c、ならびにランドマーク218a、218b、および218cを包含する第1の対象領域220を表示することができる。ランドマークをGUIに注釈として表示することができる。さらに、表示域204bが、第2の医療画像104、GUI 204を介してユーザによって選択されたランドマーク222a、222b、および222c、ならびにランドマーク222a、222b、および222cを包含する第2の対象領域224を表示することができる。ランドマークおよび対象領域の境界は、対象領域の指示として表示される。ランドマークが対応入力選択の選択肢214を介して選択される場合、対応領域モジュール216は、ランドマーク218aをランドマーク222aに対応すると指定し、ランドマーク218bをランドマーク222bに対応すると指定し、ランドマーク218cをランドマーク222cに対応すると指定し、第1の対象領域220を第2の対象領域224に対応すると指定することができる。
【0038】
ランドマークモジュール212は、GUI 204ならびに表示域204aおよび204bを介してランドマークの選択を受信し、例えば、表示された医療画像のスケールに対する表示域内の選択の位置に基づいて、ランドマークの画素位置を決定することができる。例えば、表示域204aは、表示域内の第1の医療画像102の表示拡大縮小倍率を決定することができる。次いで、表示域204a内の選択位置ならびにランドマーク218a~218cの位置を、表示拡大縮小倍率に基づいて第1の医療画像102内の画素位置に変換することができる。
【0039】
C.対応情報
第1の医療画像102と第2の医療画像104との間の対応するランドマークおよび対象領域を決定した後に、相関モジュール210は、ランドマークおよび対象領域の間の対応関係を示すデータを格納するための対応情報206を生成することができる。
図3Aが、対応情報206の一例を示している。
図3Aに示されるように、対応情報206は、第1の対象領域(例えば、
図3Aにおける第1の対象領域A)の第1の位置と第2の対象領域(例えば、
図3Aにおける第2の対象領域B)の第2の位置との間のマッピングを行うデータ構造302を含むことができる。データ構造302は、例えば、マッピングテーブルを含み得る。いくつかの例において、第1の位置および第2の位置は、第1の医療画像102内の(X0a,Y0a)、(X1a,Y1a)、および(X2a,Y2a)、第2の医療画像104内の(X0b,Y0b)、(X1b,Y1b)、および(X2b,Y2b)などの選択されたランドマークの実際の画素位置、ならびに第1の医療画像102および第2の医療画像104内の対象領域の境界位置を含むことができる。データ構造302は、対象領域Aにキャプチャされた器官の種類(例えば、肺、腎臓、前立腺、など)および対象領域Bにキャプチャされた組織の種類(例えば、肺細胞、前立腺細胞、腫瘍細胞、など)などの追加情報を含み得る。対応情報206は、第1の医療画像102および第2の医療画像104をそれぞれ含む第1および第2の画像ファイル304および306への参照(例えば、ファイル名、ポインタ、など)も含むことができる。このような構成は、領域の位置および対応関係を含む対象領域の情報を電子ファイルにリンクさせることができ、これにより、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、第1の医療画像102および第2の医療画像104の電子ファイルにアクセスすると、対応情報206にアクセスすることができる。
【0040】
いくつかの例において、第1の医療画像102は、異なる長手方向位置で得られた複数の2D PET画像を含む3D PET画像の一部であってよい。さらに、Z軸に沿った異なる長手方向位置で組織をスライスすることから、複数の第2の医療画像を生成することもできる。
図3Bが、組織塊310からの複数の医療画像の生成の例を示している。
図3Bに示されるように、走査方向Aに沿って3D PET走査動作を行うことができる。画像312および314を含むことができる複数の2D PET画像を、Z軸に沿った異なる長手方向位置Z0およびZ1において取得することができる。組織塊310は、画像312に取り込まれた第1の位置(X0、Y0、およびZ0)の第1の領域と、画像314に取り込まれた第2の位置(X1、Y1、およびZ1)の第2の領域とを含むことができる。さらに、画像312および314を、Z軸に沿った位置Z0およびZ1で組織塊310をスライスすることから得られる組織標本からデジタル病理画像として生成することもできる。
【0041】
第1の医療画像102が複数の2D PET画像を含む場合、データ構造302は、複数の2D PET画像における複数の第1の対象領域を、第2の医療画像104の複数のデジタル病理画像における複数の第2の対象領域にマッピングすることができる。
図3Cが、第1の医療画像102を複数の第2の医療画像104にマッピングするデータ構造302の一例を示している。
図3Cを参照すると、第1の画像ファイル304に関連する第1の医療画像102が、長手方向位置Z0でキャプチャされた第1の2D PET画像、長手方向位置Z1でキャプチャされた第2の2D PET画像、長手方向位置Z2でキャプチャされた第3の2D PET画像、などを含み得る。第1の2D PET画像は、第1の対象領域A0を含むことができ、第2の2D PET画像は、第1の対象領域A1を含むことができ、第3の2D PET画像は、第1の対象領域A2を含むことができる。さらに、各々が第2の対象領域B0、B1、およびB2をそれぞれ含む第2の医療画像104a、104b、および104cを含む複数の第2の医療画像が存在できる。データ構造302は、長手方向位置(例えば、Z0、Z1、またはZ2のうちの1つ)、その長手方向位置でキャプチャされた2D PET画像内の第1の対象領域(例えば、A0、A1、またはA2のうちの1つ)の位置、その長手方向位置で得られた組織スライドからの第2の医療画像(例えば、104a、104b、または104cのうちの1つ)およびその関連ファイル(例えば、306a、306b、または306cのうちの1つ)、ならびに第2の医療画像内の第2の対象領域(B0、B1、またはB2のうちの1つ)の位置の間のマッピングを提供することができる。このような構成により、ユーザが異なる長手方向位置を表すマルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200を介して異なる2D PETスキャン画像を移動するとき、システムは、対応する第2の画像ファイル306を取得し、ファイルに含まれる第2の医療画像104を表示することができる。さらに、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、データ構造302内の対象領域の位置の情報に基づいて、各々の医療画像内の対象領域の指示(例えば、ランドマーク、境界線、など)を表示することもできる。さらに、後述されるように、データ構造302内の3D位置情報は、3D回転などのさまざまな表示効果をサポートすることもできる。
【0042】
D.自動相関
いくつかの例においては、ユーザ入力の受信に加えて(あるいは、代えて)、相関モジュール210は、第1の医療画像102および第2の医療画像104から自動的に対応する対象領域を決定することもできる。具体的には、再び
図2Aを参照すると、領域モジュール216は、第1の医療画像102および第2の医療画像104に対して画像処理操作を実行し、画像処理操作の結果に基づいて各々の画像内の対象領域を決定するための画像処理モジュール230を含むことができる。
【0043】
例えば、第1の医療画像102がPET画像である場合、画像処理モジュール230は、PET画像の各画素に現れた放射性レベルをしきい値と比較することができ、領域モジュール216は、しきい値を超える放射性レベルを有する画素を第1の医療画像102内の第1の対象領域に含めることができる。加えて、第2の医療画像104が染色された標本スライドから撮影されたデジタル病理画像である場合、画像処理モジュール230は、特定の種類のがん細胞および/または細胞構造を示す特定の染色パターン、細胞/細胞構造の特定の層を明らかにする特定の蛍光タグ付け、などの対象の細胞を表す特徴を検出するための特徴抽出操作を実行することができる。領域モジュール216は、そのような染色パターンを示す画素を第2の医療画像104における第2の対象領域に含めることができる。
【0044】
第1および第2の対象領域を決定すると、領域モジュール216は、表示域204aおよび204bにおける表示のために第1および第2の対象領域を提供することができる。いくつかの例においては、第1および第2の対象領域を候補の対象領域として出力することができ、GUI 204は、第1および第2の対象領域が互いに対応するかどうかを確認するようにユーザに促すことができる。ユーザからの確認を受信すると、相関モジュール210は、第1および第2の対象領域の情報を、
図3Aおよび
図3Cに示される対応情報206の一部として記憶することができる。
【0045】
E.畳み込みニューラルネットワーク
いくつかの例において、画像処理モジュール230は、特徴抽出操作を実行するために、畳み込みニューラルネットワークなどの機械学習モデルを実装することができる。
図4Aおよび
図4Bが、画像処理モジュール230の一部であってよい畳み込みニューラルネットワーク(CNN)400の例を示している。
図4Aは、CNN400の簡略版を示している。
図4Aに示されるように、CNN400は、入力層402と、中間層404と、出力層406とを少なくとも備える。入力層402および中間層404が共に畳み込み演算を実行することができる一方で、出力層406は、画素のタイル(例えば、NxM次元の2次元配列)が候補予測出力の各々に分類される確率を計算することができる。
【0046】
具体的には、入力層402は、入力ノード402a、402b、402c、402d、402e、および402fなどの入力ノードのセットを含むことができる。入力層402の各々の入力ノードを、医療画像102などの医療画像から画素値(例えば、p0、p1、p2、p3、p4、p5、など)を受け取り、重み配列[W1]の重みに基づいて画素をスケーリングするように割り当てることができる。重み配列[W1]は、カーネルの一部であってよく、画素において検出されるべき画像特徴を定めることができる。
【0047】
さらに、中間層404は、中間ノード404a、404b、および404cを含む中間ノードのセットを含むことができる。各々の中間ノードは、画素のタイルを表すことができ、カーネルと重複する入力ノードのグループからスケーリングされた画素値を受け取ることができる。各々の中間ノードは、スケーリングされた画素値を合計して、畳み込み出力を生成することができる。例えば、中間ノード404aは、スケーリングされた画素値p0、p1、p2、およびp3に基づいて畳み込み出力c0を生成することができ、中間ノード404bは、スケーリングされた画素値p1、p2、p3、およびp4に基づいて畳み込み出力c1を生成することができ、中間ノード404cは、スケーリングされた画素値p2、p3、p4、およびp5に基づいて畳み込み出力c2を生成することができる。各々の中間ノードは、重み配列[W2]に定められた重みのセットを用いて畳み込み出力をスケーリングすることができる。重み配列[W2]は、タイルが候補予測出力のうちの1つに分類される確率に対する畳み込み出力の寄与を定めることができる。重み配列[W2]もカーネルの一部であってよい。
【0048】
出力層406は、406a、406b、などの1つ以上のノードを含む。各々のノードは、タイルに対応することができ、タイルが予測出力へと分類される確率を計算することができる。例えば、画素のタイルが腫瘍の一部であるかどうかを予測するためにCNN 400が使用される場合、ノード406a、406b、などの各々は、対応するタイルが腫瘍に分類される確率(例えば、pa、pb、など)を出力することができる。次いで、領域モジュール216は、しきい値を超える確率を有する画素のタイルを、第2の医療画像104の第2の対象領域に含めることができる。
【0049】
図4Bが、CNN420のさらなる詳細を示している。
図4Bに示されるように、CNN420は、以下の4つの主要な動作を含み得る:(1)畳み込み、(2)非線形活性化関数(例えば、ReLU)、(3)プーリングまたはサブサンプリング、および(4)分類。
【0050】
図4Bに示されるように、第2の医療画像104を、第1の重み配列セット(例えば、
図4Bにおける[Wstart])を使用して第1の畳み込みネットワーク426によって処理し得る。畳み込み演算の一部として、医療画像102の画素のブロックを第1の重み配列と乗算して、合計を生成することができる。次いで、各々の合計が非線形活性化関数(例えば、ReLU、ソフトマックス、など)によって処理されて、畳み込み出力が生成され、畳み込み出力は、出力行列430を形成することができる。第1の重み配列を、例えば、医療画像102から特定の基本特徴(例えば、エッジなど)を抽出するために使用することができ、出力行列430は、基本特徴マップとして基本特徴の分布を表すことができる。出力行列(または、特徴マップ)430をプーリング層432に渡してよく、出力行列430をプーリング層432によってサブサンプリングまたはダウンサンプリングして、行列434を生成してよい。
【0051】
行列434を、第2の重み配列(例えば、
図4Aにおける[W1]および[W2])を使用して、
図4Aの入力層402および中間層404を含むことができる第2の畳み込みネットワーク436によって処理し得る。第2の重みアレイを、例えば、がん細胞の染色パターンを識別するために使用することができる。畳み込み演算の一部として、行列434の画素のブロックを第2の重み配列と乗算し、合計を生成することができる。次いで、各々の合計が非線形活性化関数(例えば、ReLU、ソフトマックス、など)によって処理されて、畳み込み出力が生成され、畳み込み出力は、出力行列438を形成することができる。さらに、非線形活性化関数(例えば、ReLU)が、第1の畳み込み層と同様に、第2の畳み込みネットワーク436によって実行されてもよい。第2の畳み込みネットワーク436からの出力行列418(または、特徴マップ)は、器官の種類を表す特徴の分布を表し得る。出力行列438をプーリング層440に渡してよく、出力行列418をサブサンプリングまたはダウンサンプリングして、行列442を生成してよい。
【0052】
次いで、行列442を、多層パーセプトロン(MLP)を含むことができる全結合層446に通すことができる。全結合層446は、行列442に基づいて分類操作を実行することができる。分類出力は、例えば、
図4Aで説明したように、タイルががん細胞に分類される確率を含むことができる。全結合層446は、行列442を第3の重み配列([W2]と標記)で乗算して合計を生成することもでき、合計を活性化関数(例えば、ReLu、ソフトマックス、など)によって処理し、確率の分布を生成することもできる。確率の分布に基づいて、領域モジュール216は、第2の対象領域224を決定することができる。
【0053】
F.学習に基づく相関
特徴抽出および対象領域決定に加えて、相関モジュール210は、2つの対象領域が互いに対応するかどうかの決定を自動化することもできる。再び
図2Aを参照すると、相関モジュール210は、相関の決定を実行するために、対象領域の他の相関ペアから学習することができる相関学習モジュール225を含むことができる。
図4Cが、相関学習モジュール225の例示的な動作を示している。
図4Cに示されるように、相関モジュール210は、対応する対象領域のペアを含む訓練データ460によって訓練することができる機械学習モデル450(例えば、ニューラルネットワーク、決定木、など)を含むことができる。訓練データ460は、例えば、対応する対象領域の形状、サイズ、および画素位置などの幾何学的情報を含むことができる。次いで、訓練済みの機械学習モデル450を、相関モジュール210によって使用することができる。機械学習モデル450は、第1の対象領域の幾何学的情報462および第2の対象領域の幾何学的情報464を入力として受信し、第1の対象領域と第2の対象領域とが互いに対応するかどうかの相関予測出力466を生成することができる。
【0054】
G.表示モジュール
再び
図2Aを参照すると、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、表示域204aにおける第1の医療画像102の表示および表示域204bにおける第2の医療画像104の表示を制御するための表示モジュール250をさらに含む。具体的には、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、表示調整入力モジュール252、表示同期モジュール254、およびオーバーレイモジュール256を含む。
【0055】
表示調整入力モジュール252は、表示域204aが第1の医療画像102を表示し、表示域204bが第2の医療画像104を表示しているときに、表示調整入力を受け取ることができる。表示調整入力を、表示域204aまたは204bの一方を介して受け取り、入力を受け取る表示域内の第1の対象領域220または第2の対象領域224の一方の表示を調整することができる。表示調整入力は、例えば、拡大/縮小入力、平行移動入力、回転入力、などを含むことができる。表示同期モジュール254は、入力を受け取る表示域における対象領域の表示の調整を決定し、その表示域における対象領域の表示を調整することができる。加えて、調整の同期の一部として、表示同期モジュール254は、入力を受け取らない他の表示域における他の対象領域の表示も調整することができ、調整は、入力ならびに他の対象領域の幾何学的情報(例えば、画素位置、サイズ、形状、など)に基づいて行われる。同期の結果として、拡大の程度、対象領域のうちの表示用に選択された部分、対象領域の視点、などの表示のさまざまな設定が、両方の表示域に適用される。
【0056】
このような構成は、2つの対象領域間の視覚的な比較/相関を容易にすることができ、ひいては、医療画像に基づく臨床診断を容易にすることができる。例えば、第1の対象領域220が、身体のうちの腫瘍の存在を示す可能性がある(放射性標識グルコーストレーサからの)高い放射性レベルを有する部分を表し得る一方で、第2の対象領域224は、腫瘍細胞または正常細胞の染色パターンを表し得る。2つの対象領域の間の視覚的比較は、腫瘍の存在を確認し、かつ/または以前のがん手術によって健常組織以外のがん組織が除去されたことを確認することができる。
【0057】
図5Aが、同期した拡大動作の一例を示している。状態500において、表示域204aは、第1の医療画像102、ならびにランドマーク218a~cおよび第1の対象領域220を、第1の表示拡大縮小倍率で表示することができる。さらに、表示域204bが、第2の医療画像104、ならびにランドマーク222a~cおよび第2の対象領域224を、第2の表示拡大縮小倍率で表示することができる。第1の医療画像102および第2の医療画像104を、異なる表示拡大縮小倍率および異なる拡大度で表示することができる。したがって、第1の対象領域220および第2の対象領域224を、異なるサイズを有するとして表示することができる。
【0058】
表示域204aは、表示域204aの第1の対象領域220を拡大するための拡大入力を受け取ることができ、表示域204aおよび204bの両方が、状態510に遷移することができる。状態510において、拡大入力に基づいて、表示同期モジュール254は、拡大度を計算し、第1の対象領域220ならびに第1の対象領域220の周りの第1の医療画像102のいくつかの部分を、拡大度によって表示域204aにおいて拡大することができる。さらに、表示同期モジュール254は、第2の対象領域224および第2の医療画像104におけるその位置を(例えば、対応情報206に基づいて)特定し、表示域204bにおいて同じ拡大度で第2の対象領域224を拡大することができる。同じ拡大度ゆえに、第1の対象領域220および第2の対象領域224は同じスケールで表示され、同じサイズを有する。
【0059】
図5Bが、同期した平行移動動作の一例を示している。平行移動入力(例えば、左平行移動/右平行移動/上平行移動/下平行移動の入力)に基づいて、表示域204aおよび204bは、
図5Aの状態510から、表示域204aが第1の対象領域220の右側部分512ならびにランドマーク218cを表示する状態520に遷移することができる。さらに、状態520の一部として、表示域204bは、第2の対象領域224の右側部分522ならびにランドマーク222cを表示する。第1の対象領域220の右側部分512を、第2の対象領域224の右側部分522と同じスケールおよび拡大度で表示することができ、対象領域の同じ範囲/部分ならびに対応するランドマーク218cおよび222cが、両方の表示域に表示される。
【0060】
拡大動作および平行移動動作に加えて、表示同期モジュール254はまた、両方の表示域における対象領域の回転(2Dまたは3D)を同期させることもできる。例えば、表示同期モジュール254は、表示域204aにおいて或る角度だけ第1の対象領域220(および、第1の医療画像102)を回転させる入力を受信し得る。入力に基づいて、表示同期モジュール254は、表示域204bにおいて同じ角度だけ第2の対象領域224(および、第2の医療画像104)を回転させることができる。
【0061】
第1の対象領域220および第2の対象領域224のそれぞれの表示域における表示の同期に加えて、表示モジュール250は、他の種類の表示動作も実行することができる。例えば、表示モジュール250は、表示域(例えば、表示域204a、204b、または別の表示域)を制御して、その表示域に第1の医療画像102および第2の医療画像104の両方の表示を、第1の対象領域220および第2の対象領域224が同じスケールで、一方の対象領域が他方の対象領域に重ねられて表示されるように行うオーバーレイモジュール256を含む。
図5Cが、半透明形式にされた第1の対象領域220が第2の対象領域224に重ねられた例を示している。このような構成は、第1の対象領域220と第2の対象領域224との間の視覚的比較をさらに支援することができ、したがって、上述のように医療画像に基づく臨床診断を容易にすることができる。
【0062】
再び
図2Aを参照すると、医療画像の表示に加えて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200は、相関モジュール210の出力に基づいて追加の分析を実行するための分析モジュール260をさらに含み得る。
図6が、分析モジュール260の内部構成要素の例を示している。
図6に示されるとおり、分析モジュール260は、がん診断モジュール602、外科処置検証モジュール604、および組織分類モジュール606を含み得る。
【0063】
がん診断モジュール602は、第1の対象領域220と第2の対象領域224との間の相関に基づいて診断予測を出力することができる。例えば、PETスキャン画像内にあってよい第1の対象領域220を、腫瘍の存在を示すことができる(放射性標識グルコーストレーサからの)高い放射性レベルを有していることに基づいて特定し得る。第2の対象領域224は、がん細胞を含むと判定される染色パターンを含み得る。対応領域モジュール221が、これらの対象領域が互いに対応すると判定した場合、がん診断モジュール602は、被験者に関するがんの診断予測、ならびに被験者におけるがん細胞/腫瘍の位置を出力することができる。
【0064】
さらに、外科処置検証モジュール604は、第1の対象領域220と第2の対象領域224との間の相関に基づいて外科処置検証動作を実行することができる。具体的には、第1の医療画像102は、腫瘍を含む組織を除去する手術の前に被験者について撮影されてよく、腫瘍が第1の対象領域220で検出および捕捉される。さらに、第2の医療画像104が、手術後に除去された組織について撮影されてよく、疑わしいがん細胞が、第2の対象領域222で検出および捕捉される。対応領域モジュール221が、第1の対象領域220と第2の対象領域224とが互いに対応すると判定した場合、外科処置検証モジュール604は、手術が健常な組織ではなくて腫瘍を正しく除去する可能性が高いことを示す検証出力を生成することができる。
【0065】
さらに、組織分類モジュール606は、第1の対象領域220と第2の対象領域224との間の相関に基づいて組織分類動作を実行することができる。例えば、第1の対象領域220を含む第1の医療画像102は、組織/器官の種類、または被験者の身体のどの部分が医療画像に取り込まれたかを示すメタデータを含み得る。対応領域モジュール221が、第1の対象領域220と第2の対象領域224とが互いに対応すると判定した場合、組織分類モジュール606は、第1の医療画像102のメタデータに基づいて、第2の医療画像104に取り込まれた組織を分類することができる。第2の医療画像104も画像に取り込まれた組織を特定するメタデータを含む場合、組織分類モジュール606は、生じ得る不一致を検出するために、2つの医療画像間でメタデータを検証することもできる。分類は、第2の医療画像104の追加の処理を決定することもできる。例えば、上述したように、第2の医療画像104に取り込まれた組織が前立腺組織であると判定される場合、他の種類のがん(例えば、肺がん)よりもむしろ前立腺がんに関連する腫瘍に関連する特定のパターンを検出するように、第2の医療画像104を処理することができる。
【0066】
III.グラフィカルユーザインターフェースの例
図7A、
図7B、
図7C、
図7D、
図7E、および
図7Fが、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200によってサポートされるGUI 204およびその動作の例を示している。
図7Aに示されるように、GUI 204は、表示域204a、表示域204b、サイドパネル702、およびオプションメニュー704を含む。
図7Aに示される例において、表示域204aが第1の医療画像102を表示する一方で、表示域204bが第2の医療画像104を表示する。医療画像を異なるスケールで表示することができる。サイドパネル702は、被験者の情報、画像の出所、などの両方の画像のメタデータに含まれる情報の一部を表示することができる。オプションメニュー704は、一方の表示域において一方の画像を拡大するための拡大選択肢706と、両方の画像に対応するランドマークを追加するための選択肢708とを含む。選択肢708は、
図2Aのランドマークモジュール212によって提供される対応入力選択の選択肢214に対応する。
【0067】
図7Bが、選択肢708を介してユーザからランドマーク218a~218cの選択を受信した後のGUI 204の状態を示している。ランドマークを、表示域204aにおいてタッチスクリーンなどの任意の入力デバイスを使用して選択することができる。ランドマークモジュール212は、表示域204aが選択を受け取る位置、ならびに第1の医療画像102を表示する際に表示域204aによって適用される表示拡大縮小倍率に基づいて、第1の医療画像102内のランドマークの画素位置を決定することができる。選択を受け取った後に、領域モジュール216は、ランドマーク218a~218cの画素位置に基づいて第1の対象領域220を決定することができる。
【0068】
表示域204aの第1の医療画像102のランドマーク218a~218cの選択に続いて、GUI 204は、表示域204bの第2の医療画像104のランドマークの選択を受け取ることができる。第2の医療画像104のランドマークの選択を、第2の医療画像104が拡大されたときに行うことができる。例えば、
図7Cを参照すると、GUI 204は、第2の医療画像104を拡大するために拡大選択肢706が選択されたことを検出し得る。次いで、GUI 204は、画像が拡大された形態で表示されたときに、第2の医療画像104のランドマークの選択を受け取ることができる。拡大選択肢706を受信すると、GUI 204は、第2の医療画像104を表示域204bに表示することができる。GUI 204は、拡大すべき第2の医療画像104内の領域の選択を検出することもできる。
【0069】
図7Dにおいて、GUI 204は、拡大すべき第2の医療画像104内の領域710の選択を検出することができる。次いで、表示域204bは、第2の医療画像104の領域710を拡大したスケールにて(例えば、小さい表示拡大縮小倍率で)表示することができる。さらに、表示域204bは、ランドマーク222a~222cの選択を受け取ることができる。ランドマークモジュール212は、表示域204bが選択を受け取る位置、ならびに拡大されたスケールで第2の医療画像104を表示する際に表示域204bによって適用される表示拡大縮小倍率に基づいて、第2の医療画像104内のランドマークの画素位置を決定することができる。選択を受け取った後に、領域モジュール216は、ランドマーク222a~222cの画素位置に基づいて第2の対象領域224を決定することができる。
【0070】
図7Eおよび
図7Fは、3D PET画像およびデジタル病理画像における領域の相関をサポートする際のGUI 204のさらなる例を示している。
図7Eを参照すると、GUI 204は、表示域204aおよび204bに加えて、表示域204cおよび204dを提供することができる。表示域204a、204c、および204dは、3D PET画像の異なるビューを示すことができる。例えば、表示域204aは、被験者の身体の軸方向/横断ビューの医療画像712を示すことができ、表示域204cは、被験者の身体の冠状/正面ビューの医療画像714を示すことができ、表示域204dは、被験者の身体の矢状/縦方向ビューの医療画像716を示すことができる。他方で、表示域204bは、デジタル病理画像718を示すことができる。
【0071】
GUI 204は、表示域204a、204c、または204dのうちの1つで3D PET画像内の対象領域720を示すためのランドマーク718a~cの選択を受け取ってよい。ランドマークの選択を受け取ると、GUI 204は、ランドマーク718a~cおよび対象領域720の三次元座標を決定することができる。三次元座標を、ランドマークが選択された医療画像内の二次元画素座標、ならびに
図3Bで上述したように3D PET画像内の医療画像によって表される位置に基づいて決定することができる。例えば、ランドマークが被験者の身体の軸方向ビューの医療画像712から選択される場合、長手方向座標を、3D PET画像内の医療画像712によって表される長手方向位置に基づいて決定することができる。次いで、GUI 204は、三次元座標を他の表示域に示される他の医療画像内の画素座標に変換し、それらの医療画像内にランドマークおよび対象領域を示すことができる。さらに、GUI 204は、表示域204bに示されたデジタル病理画像718におけるランドマーク728a~728cおよび対象領域730の選択を検出し、3D PET画像およびデジタル病理画像718におけるランドマーク、およびそれらの対応関係を、相関データベース202に相関情報206の一部として格納することができる。
【0072】
いくつかの例において、相関情報206は、3D PET画像とデジタル病理画像との間の位置対応を示し得る。位置対応は、3D PET画像内の各2D PET画像の長手方向位置、およびデジタル病理画像に取り込まれた被験者の体内の組織スライドの長手方向位置に基づくことができる。相関情報に基づいて、GUI 204は、対応する2D PET画像およびデジタル病理画像のペアを取り出すことができる。例えば、
図7Fに示されるように、相関情報206に基づいて、GUI 204は、デジタル病理画像728が医療画像712に対応すると判定することができる。GUI 204は、医療画像712ならびに選択されたランドマーク718a~cおよび対象領域720を表示域204aに表示し、デジタル病理画像728を表示域204bに表示することができる。
【0073】
IV.方法
図8が、マルチモーダルな医療画像を表示する方法800を示している。方法800を、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200によって実行することができる。
【0074】
方法800は、システムが1つ以上のデータベースから第1の医療画像にアクセスするステップ802で開始する。さらに、ステップ804において、システムは、1つ以上のデータベースから第2の医療画像にアクセスする。
【0075】
具体的には、第1の医療画像が、被験者の体内の放射性レベルの分布を明らかにするPET画像などのデジタル放射線画像を含むことができる一方で、第2の医療画像は、被験者の組織のデジタル病理画像を含むことができる。いくつかの例において、PET画像に示される放射性レベルの分布が、被験者の体内に存在しうる腫瘍の位置を特定することができる一方で、デジタル病理画像は、疑わしい腫瘍細胞を明らかにするために染色(例えば、H&E染色、IHC染色、蛍光タグ付け、など)および/または照明(例えば、蛍光照明、明視野照明、など)された被験者から収集された試料(例えば、組織標本)の画像を含むことができる。いくつかの例においては、第1の医療画像および第2の医療画像の両方が、デジタル放射線画像またはデジタル病理画像を含むことができるが、それらは、異なる情報を明らかにするために異なる技術(例えば、異なる種類の染色、異なる種類の照明、など)を使用して取得される。1つ以上のデータベースは、デジタル放射線画像データベース130、デジタル病理画像データベース140、などを含んでよく、例えば、電子医療記録(EMR)システム、画像保存通信システム(PACS)、デジタルパソロジー(DP)システム、検査室情報システム(LIS)、および放射線科情報システム(RIS)の一部であることができる。
【0076】
ステップ806において、システムは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、第1の医療画像内の第1の対象領域の選択に対応する選択入力を受信する。
【0077】
具体的には、システムは、GUI 204などのGUIを提供し得る。選択入力の例は、
図7A~
図7Fに示される。選択入力は、1つ以上の第1のランドマーク点としての第1の医療画像内の1つ以上の第1の画像位置の選択を含むことができる。第1の対象領域は、第1のランドマーク点を包含することができる。第1の対象領域は、第1のランドマーク点の数に基づくことができる三角形、長方形、自由形状、などの種々の幾何学的形状であり得る。例えば、第1の対象領域は、被験者の体内に注入された放射性標識グルコーストレーサを代謝する腫瘍の存在を示し得る放射性レベルを有するPET画像内の領域に対応することができる。いくつかの例において、選択入力は、ユーザによる第1の対象領域の直接選択を含むこともできる。いくつかの例において、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの画像処理アプリケーションは、PET画像に現れた放射性レベルをしきい値と比較することによって第1の医療画像を処理することができる。比較結果に基づいて、第1の画像内の1つ以上の候補の第1の対象領域を定めることができる。例えば、第1の画像内の1つ以上の候補の第1の対象領域を、しきい値よりも高い放射性レベルを有する領域に基づいて定めることができる。被験者の体内に複数の疑わしい腫瘍部位が存在する場合、複数の候補の第1の対象領域が特定され得る。選択入力をユーザから受信して、候補の第1の対象領域のうちの1つを、例えば、被験者の身体の特定の位置の腫瘍部位に対応する第1の対象領域として選択することができる。選択入力に基づいて、システムは、例えば、第1の対象領域の第1の位置(例えば、中心位置)、第1の対象領域の形状、第1の対象領域のサイズ、などを含む第1の対象領域のさまざまな情報を決定することができる。
【0078】
ステップ808において、システムは、第1の対象領域に基づく第2の医療画像内の第2の対象領域であって、同じ組織に対応する、第2の医療画像内の第2の対象領域を決定する。
【0079】
具体的には、第2の対象領域を、例えば、第1の対象領域によって表される組織(例えば、腫瘍組織)を決定し、次いで、同じ組織(例えば、同じ腫瘍組織)に対応する第2の医療画像内の第2の対象領域を特定することに基づいて決定することができる。いくつかの例において、決定は、ユーザからの第2の選択入力の受信に基づくことができる。第2の選択入力は、第2の医療画像内の1つ以上の第2の画像位置を1つ以上の第2のランドマーク点として選択することを含んでよく、第2の対象領域は、第2のランドマーク点を包含することができる。いくつかの例において、情報をユーザからの入力に基づいて決定することも可能である。例えば、
図7A~
図7Fに示されるように、GUIは、第1の医療画像内および第2の医療画像内の一対の対応する対象領域のランドマーク点を入力するための対応する対象領域の入力選択肢を提供し得る。対応する対象領域の入力選択肢を介して第1および第2のランドマーク点を受信することにより、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の対象領域および第2の対象領域が同じ組織に対応することを示す情報を決定することができる。さらに、システムは、第2の医療画像内のランドマーク点に基づいて、例えば、第2の対象領域の第2の位置(例えば、中心位置)、第2の対象領域の形状、第2の対象領域のサイズ、などを含む第2の対象領域のさまざまな情報を決定することができる。
【0080】
いくつかの例においては、
図5A~
図5Cを参照すると、第2の対象領域を、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムの機械学習モデルによって決定することもできる。機械学習モデルは、第2の医療画像の各画素について、その画素が組織に属する尤度を決定し、尤度がしきい値を超える場合に、画素が組織に属し、その画素が第2の対象領域に含まれると分類することができる。分類結果に基づいて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、次いで、組織の一部として分類された画素を含むように第2の医療画像内の第2の対象領域を決定することができる。いくつかの例において、機械学習モデルは、複数の層を備える深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を含むことができる。CNNは、第2の医療画像と組織の特徴を表す重み行列との間で畳み込み演算を実行して、画素が組織に属する尤度を計算し、第2の対象領域の一部である画素を決定することができる。次いで、システムは、第2の対象領域の一部であると決定された画素に基づいて、例えば、第2の対象領域の第2の位置(例えば、中心位置)、第2の対象領域の形状、第2の対象領域のサイズ、などを含む第2の対象領域のさまざまな情報を決定することができる。
【0081】
ステップ810において、システムは、第1の対象領域を第2の対象領域に関連付ける対応情報を記憶する。
【0082】
対応情報の例が、
図3A~
図3Cに示されている。対応情報は、第1の対象領域の1つ以上の第1の位置、第2の対象領域の1つ以上の第2の位置、および第1の対象領域と第2の対象領域との間の対応関係を示すことができる。第1および第2の位置は、例えば、第1の対象領域および第2の対象領域の境界位置、中心位置、などを含むことができる。いくつかの例において、対応情報は、第1の対象領域の第1の位置および第2の対象領域の第2の位置をそれぞれ定めることができる第1のランドマークおよび第2のランドマークの画素位置を含むことができる。いくつかの例において、対応情報は、第1の対象領域および第2の対象領域の境界の位置、第1の医療画像および第2の医療画像のファイル名、対象領域に表される組織の種類、などの追加情報をさらに含み得る。いくつかの例において、対応情報は、第1の対象領域を第2の対象領域にマッピングするマッピングテーブルなどのデータ構造を含み得る。いくつかの例において、第1の医療画像は、3D PET画像の一部であってよく、マッピングテーブルは、第1の対象領域の三次元座標を含むことができる。マッピングテーブルは、両方の医療画像が2D画像である場合、第1の医療画像の電子ファイル名を第2の医療画像にマッピングすることもできる。第1の医療画像が異なる長手方向位置で取得された複数の2D PET画像を含む3D PET画像の一部である場合、マッピングテーブルは、複数の2D PET画像内の第1の対象領域を複数の第2の医療画像内の第2の対象領域にマッピングすることができる。このような構成は、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムが、第1の医療画像および第2の医療画像にアクセスした後に、マッピングテーブルおよび対象領域の情報にアクセスすることを可能にする。
【0083】
ステップ812において、システムは、GUIの第1の表示域に、前記第1の医療画像と、第1の医療画像内の第1の対象領域の第1の指示とを表示する。さらに、ステップ814において、システムは、GUIの第2の表示域に、第2の医療画像と、第2の医療画像内の第2の対象領域の第2の指示とを表示する。
図7A~
図7Fを参照すると、対象領域の指示は、対象領域を定めるランドマーク、対象領域を表す幾何学的形状、さまざまな形式の注釈など、さまざまな形式であり得る。
【0084】
ステップ816において、システムは、第1の表示域または第2の表示域のうちの一方における第1の対象領域または第2の対象領域のうちの一方の表示を調整するために介して表示調整入力を受信する。表示調整入力は、例えば、表示調整入力を受信する表示域における対象領域の表示を調整するための拡大/縮小入力、平行移動入力、回転入力、などを含むことができる。
【0085】
ステップ818において、システムは、表示調整入力および対応情報に基づいて、第1の表示域における第1の対象領域の表示の調整と、第2の表示域における第2の対象領域の表示の調整とを同期させる。
【0086】
マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、表示調整入力および対応情報に基づいて同期を実行することができる。同期の結果として、両方の表示域が第1および第2の医療画像内の同じ座標セットによって示される同じ領域を表示することができるように、拡大の程度、対象領域のうちの表示用に選択された部分、対象領域の視点、などの表示のさまざまな設定が両方の表示域に適用される。例えば、第1の表示域内の第1の対象領域を拡大するための拡大入力が第1の表示域において受信された場合、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、拡大入力に基づいて拡大の程度を計算し、拡大の程度によって第1の表示域内の第1の対象領域を拡大することができる。さらに、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、(対応情報に基づいて)第2の医療画像の第2の位置の第2の対象領域を特定し、第1の対象領域と第2の対象領域とが同じスケールで表示されるように、第2の表示域において第2の対象領域を同じ倍率で拡大することができる。別の例として、第1の対象領域の選択された部分に平行移動するための平行移動入力が第1の表示域において受信され、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第1の対象領域の選択された部分を表示することができる。さらに、第1の対象領域の第1の位置と第2の対象領域の第2の位置との間のマッピングに基づいて、マルチモーダルな医療画像の相関付けシステムは、第2の対象領域の対応する部分を決定し、第2の対象領域の対応する部分を第2の表示域に表示することができる。
【0087】
V.コンピュータシステム
本明細書で言及されるコンピュータシステムはいずれも、任意の適切な数のサブシステムを利用し得る。そのようなサブシステムの例が、コンピュータシステム10(1つ以上のローカル展開を容易にし得る1つ以上のクラウドコンピュータを含んでよい)において
図9に示されている。いくつかの実施形態において、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、サブシステムは、コンピュータ装置のコンポーネントであってよい。他の実施形態において、コンピュータシステムは、各々が内部コンポーネントを有するサブシステムである複数のコンピュータ装置を含むことができる。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話機、ならびに他のモバイルデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態においては、クラウドインフラストラクチャ(例えば、Amazon Web Services)やグラフィカル処理ユニット(GPU)などを、開示された技術を実装するために使用することができる。
【0088】
図10に示されるサブシステムは、システムバス75を介して相互接続される。プリンタ74、キーボード78、記憶装置79、ディスプレイアダプタ82に結合したモニタ76、などの追加のサブシステムが示されている。I/Oコントローラ71に結合する周辺機器および入力/出力(I/O)デバイスを、入力/出力(I/O)ポート77(例えば、USB、FireWire(登録商標))などの当技術分野で知られている任意のいくつかの手段によって、コンピュータシステムに接続することができる。例えば、I/Oポート77または外部インターフェース81(例えば、イーサネット、Wi-Fi、など)を、コンピュータシステム
図10をインターネットなどのワイドエリアネットワーク、マウス入力装置、またはスキャナに接続するために使用することができる。I/Oポート77は、周辺装置(例えば、コンピュータマウス)から入力(例えば、ランドマークの選択、表示調整入力、など)を受信し、入力をGUI 204に提供することができる。システムバス75を介した相互接続により、中央処理装置73は、各サブシステムと通信し、システムメモリ72または記憶装置79(例えば、ハードドライブなどの固定ディスク、または光学ディスク)からの複数の命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換を制御することができる。システムメモリ72および/または記憶装置79は、コンピュータ可読媒体を具現化し得る。別のサブシステムは、カメラ、デジタル病理画像用のデジタルスキャナ、放射線画像用の撮像スキャナ、などのデータ収集装置85である。本明細書において言及されたあらゆるデータを、或るコンポーネントから別のコンポーネントへと出力すること、およびユーザへと出力することが可能である。
【0089】
コンピュータシステムは、例えば外部インターフェース81または内部インターフェースによって互いに接続された複数の同じコンポーネントまたはサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを介して通信することができる。このような場合、或るコンピュータをクライアントと見なし、別のコンピュータをサーバと見なすことができ、各々が同じコンピュータシステムの一部であってよい。クライアントおよびサーバはそれぞれ、複数のシステム、サブシステム、またはコンポーネントを含むことができる。
【0090】
実施形態の態様は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用し、さらには/あるいは一般的にプログラム可能なプロセッサとともにコンピュータソフトウェアを使用して、モジュール方式または統合方式で、制御ロジックの形態で実装され得る。本明細書において使用されるとき、プロセッサは、シングルコアプロセッサ、同じ集積チップ上のマルチコアプロセッサ、あるいは単一の回路基板上またはネットワーク化された複数の処理ユニットを含む。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、ハードウェアおよびハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して本発明の実施形態を実施するための他のやり方および/または方法を知り、理解するであろう。
【0091】
図2A~
図9に記載されているようなマルチモーダルな医療画像の相関付けシステム200をその構成要素として含む本出願に記載されるソフトウェア構成要素または機能はいずれも、例えば、Java、C、C++、C#、Objective-C、Swift、あるいはPerlまたはPythonなどのスクリプト言語などの任意の適切なコンピュータ言語を使用し、例えば、従来技術またはオブジェクト指向技術を使用して、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装されてよい。ソフトウェアコードは、記憶および/または伝送のためにコンピュータ可読媒体上に一連の命令またはコマンドとして記憶されてよい。適切な非一時的コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードドライブまたはフロッピーディスクなどの磁気媒体、あるいはコンパクトディスク(CD)またはDVD(デジタル多用途ディスク)などの光学媒体、フラッシュメモリ、などを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、このような記憶デバイスまたは伝送デバイスの任意の組み合わせであってもよい。
【0092】
このようなプログラムは、インターネットを含むさまざまなプロトコルに準拠した有線、光、および/または無線ネットワークを介した伝送に合わせて構成されたキャリア信号を使用してエンコードされ、送信されてもよい。したがって、コンピュータ可読媒体を、そのようなプログラムでエンコードされたデータ信号を使用して生成し得る。プログラムコードでエンコードされたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスとともにパッケージ化されても、他のデバイスとは別個に(例えば、インターネットダウンロードを介して)提供されてもよい。このようなコンピュータ可読媒体はいずれも、単一のコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、またはコンピュータシステム全体)上、またはその内部に位置してもよく、システムまたはネットワーク内の異なるコンピュータ製品上、またはその内部に存在してもよい。コンピュータシステムは、本明細書で言及される結果のいずれかをユーザに提供するためのモニタ、プリンタ、または他の適切な表示装置を含み得る。
【0093】
本明細書に記載される方法はいずれも、ステップを実行するように構成され得る1つ以上のプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて全体的に、または部分的に実行されてよい。したがって、実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法のステップを実行するように構成され、おそらくはそれぞれのステップまたはそれぞれのステップ群を実行する異なる構成要素を備えているコンピュータシステムを対象とすることができる。番号付けされたステップとして提示されているが、本明細書の方法のステップは、同時にまたは異なる順序で実行され得る。加えて、これらのステップの一部は、他の方法からの他のステップの一部とともに使用されてもよい。また、ステップのすべてまたは一部は任意であってよい。さらに、いずれの方法のいずれのステップも、これらのステップを実行するためのモジュール、ユニット、回路、または他の手段を用いて実行され得る。
【0094】
特定の実施形態の具体的な詳細は、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切なやり方で組み合わせられてよい。しかしながら、本発明の他の実施形態は、各々の個々の態様、またはこれらの個々の態様の特定の組み合わせに関する特定の実施形態を対象とし得る。
【0095】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示されている。網羅的であることや、本発明を記載された厳密な形態に限定することは意図されておらず、上記の教示に照らして多数の修正および変形が可能である。
【0096】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」という記述は、そうでないことが具体的に示されない限り、「1つ以上の」を意味することが意図されている。「または(or)」の使用は、「包括的論理和(inclusive or)」を意味するものであり、そうでないことが具体的に示されない限り、「排他的論理和(exclusive or)」を意味することは意図されていない。「第1の」構成要素への言及は、第2の構成要素が提供されることを必ずしも必要としない。さらに、「第1の」または「第2の」構成要素への言及は、明示的に規定されない限り、言及された構成要素を特定の位置に限定しない。
【0097】
本明細書で言及されるすべての特許、特許出願、刊行物、および説明文は、あらゆる目的に関して、それらの全体が参照によって援用される。いずれも先行技術であると認めたものではない。
【国際調査報告】