(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ポリペプチド相互作用を決定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20241008BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20241008BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20241008BHJP
C07K 14/76 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/543 501A
G01N37/00 102
C07K14/76
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517487
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 US2022043987
(87)【国際公開番号】W WO2023049073
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520144244
【氏名又は名称】ノーティラス・サブシディアリー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カップ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョリー,ジェームス・ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】リンカ-,トッリ・エリーゼ
(72)【発明者】
【氏名】マック,レイモンド
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA70
4H045EA50
(57)【要約】
リガンド結合ポリペプチドのポリペプチド結合相互作用を同定及び/又は定量するための方法及びシステムが開示される。詳細な方法としては、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドを同定する方法、及びリガンド結合ポリペプチドの変化による結合挙動の変化を評価する方法が挙げられる。詳細なシステムには、単一分析物分析能でリガンド結合相互作用の検出を可能にするアレイベースのシステムが含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
a.複数の分析物結合部位を含む単一分析物アレイを提供することであって、前記複数の分析物結合部位の各分析物結合部位は、単一分析物分析能で光学的に分析可能であり、各分析物結合部位は、複数の結合リガンドのうちの唯一の結合リガンドを含む、ことと、
b.前記単一分析物アレイを複数のポリペプチドと接触させることであって、前記複数のポリペプチドがプロテオーム試料を含む、ことと、
c.前記複数のポリペプチドのポリペプチドを、前記複数の分析物結合部位の分析物結合部位において、前記唯一の結合リガンドに結合させることと、
d.前記複数の分析物結合部位の分析物結合部位における前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドの存在を検出することと、
e.前記複数の分析物結合部位の前記分析物結合部位において前記唯一の結合リガンドに結合した前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドの同一性を決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の結合リガンドの各結合リガンドが同じ結合リガンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各結合リガンドが小分子化合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記小分子化合物が代謝産物又は医薬化合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記結合リガンドがポリペプチドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリペプチドがグロブリン又はアルブミンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の結合リガンドが、2種類以上の結合リガンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記2種類以上の結合リガンドが2種以上のポリペプチド種を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記2種以上のポリペプチド種が第2のプロテオーム試料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記2種類以上の結合リガンドが、医薬化合物の2以上のエナンチオマー又はR基置換を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の分析物結合部位の各分析物結合部位における前記2以上の結合リガンドの結合リガンドの同一性を決定することを更に含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記プロテオーム試料が生物に由来する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プロテオーム試料が、前記プロテオーム試料が由来する生物のポリペプチド種の少なくとも10%を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の結合リガンドのうちの前記唯一の結合リガンドが、連結部分によって前記複数の分析物結合部位の分析物結合部位にカップリングされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記分析物結合部位で前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドを架橋することを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記分析物結合部位で前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドを架橋することが、前記ポリペプチドを前記唯一の結合リガンドに架橋することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のポリペプチドのうちの前記ポリペプチドを前記分析物結合部位で架橋することが、前記ポリペプチドを連結部分に架橋することを含み、前記連結部分が、前記唯一の結合リガンドを前記分析物結合部位にカップリングした、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドが検出可能な標識を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の分析物結合部位の前記分析物結合部位における前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドの存在を検出することが、前記検出可能な標識から検出可能なシグナルを検出することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の分析物結合部位の前記分析物結合部位において前記唯一の結合リガンドに結合した前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドの同一性を決定することが、前記ポリペプチドに対する親和性剤結合プロファイルを決定することを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
各分析物結合部位が、間隙領域内の分析物の堆積又はカップリングを制限又は防止する前記間隙領域によって囲まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記唯一の結合リガンドに結合した前記複数のポリペプチドの前記ポリペプチドの同一性を決定することが、ポリペプチド結合データを分析するために機械学習プロセスを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
方法であって、
a.第1のポリペプチドを第2のポリペプチドに架橋してポリペプチド複合体を形成することと、
b.前記第1のポリペプチドを固体支持体にカップリングすることと、
c.前記第1のポリペプチドを前記固体支持体にカップリングさせた後、前記第1のポリペプチドの同一性及び前記第2のポリペプチドの同一性を決定することと、
を含む、方法。
【請求項24】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドが、複数の単一分析物結合部位のうちの1つの単一分析物結合部位に共局在する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
第1のポリペプチドを前記固体支持体にカップリングさせることが、切断可能なリンカーによって第1のポリペプチドを前記固体支持体にカップリングさせることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第2のポリペプチドの同一性を決定することが、i)切断可能なリンカーを切断し、それにより、前記固体支持体から前記第1のポリペプチドを放出させることと、ii)前記切断可能なリンカーを切断した後、前記第2のポリペプチドの同一性を決定することと、を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
第1のポリペプチドを固体支持体にカップリングさせることが、第1のポリペプチドを第2のポリペプチドに架橋する前に行われる、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第1のポリペプチドを第2のポリペプチドにカップリングする前に、前記第1のポリペプチドの同一性を決定することを更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
第1のポリペプチドが、固体支持体の第1のアドレスにカップリングされ、第2のポリペプチドが、固体支持体の第2のアドレスにカップリングされ、前記第1のアドレス及び前記第2のアドレスが、単一分析物分析能で光学的に分析可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のポリペプチドが、検出可能な架橋剤によって前記第2のポリペプチドに架橋されている、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
i)第1のアドレスと第2のアドレスとの間の検出可能な架橋剤を検出することと、ii)前記第1のアドレスにおける第1のポリペプチドと前記第2のアドレスにおける第2のポリペプチドとの間のポリペプチド結合相互作用を同定することと、を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のポリペプチドの前記第2のポリペプチドへの架橋が、インビトロ環境又はインビボ環境で行われる、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
組成物であって、
a)分析物結合部位を含む固体支持体と、
b)前記固体支持体の前記分析物結合部位に結合した連結部分であって、前記連結部分は、第1のリンカー及び第2のリンカーを含み、前記第1のリンカーが切断可能部分を含み、前記第2のリンカーが非結合カップリング基を含む、連結部分と、
c)前記第1のリンカーに結合した第1のポリペプチドと、
d)第2のポリペプチドであって、前記第2のポリペプチドが、前記第1のポリペプチドに結合しており、前記第2のポリペプチドが、結合していない相補的カップリング基を含み、前記相補的カップリング基が、該カップリング基に結合するように構成されている、第2のポリペプチドと、
を含み、
前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドは、前記固体支持体と接触しない、
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月22日に出願された米国仮出願第63/247,160号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
リガンド結合ポリペプチドには、他のポリペプチド及び様々な小分子化合物を含む他の分子と結合相互作用を形成することができる多数の種のポリペプチドが含まれる。リガンド結合ポリペプチドは、ホルモン、炎症性ポリペプチド及び医薬化合物等の特定の結合リガンドと生物学的又は臨床的に関連する結合相互作用を形成することができる。リガンド結合ポリペプチドに対する翻訳前又は翻訳後の変化は、リガンド結合ポリペプチドの結合挙動に影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、方法であって、a)複数の分析物結合部位を含む単一分析物アレイを提供することであって、複数の分析物結合部位の各分析物結合部位は、単一分析物分析能で光学的に分析可能であり、各分析物結合部位は、複数の結合リガンドのうちの唯一の結合リガンドを含む、ことと、b)単一分析物アレイを複数のポリペプチドと接触させることであって、複数のポリペプチドがプロテオーム試料を含む、ことと、c)複数のポリペプチドのポリペプチドを、複数の分析物結合部位の分析物結合部位において、唯一の結合リガンドに結合させることと、d)複数の分析物結合部位の分析物結合部位における複数のポリペプチドのポリペプチドの存在を検出することと、e)複数の分析物結合部位の分析物結合部位において唯一の結合リガンドに結合した複数のポリペプチドのポリペプチドの同一性を決定することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0004】
別の態様では、方法であって、a)第1のポリペプチドを第2のポリペプチドに架橋してポリペプチド複合体を形成することと、b)第1のポリペプチドを固体支持体にカップリングすることと、c)第1のポリペプチドを固体支持体にカップリングさせた後、第1のポリペプチドの同一性及び第2のポリペプチドの同一性を決定することと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0005】
別の態様では、組成物であって、a)分析物結合部位を含む固体支持体と、b)固体支持体の分析物結合部位に結合した連結部分であって、連結部分は、第1のリンカー及び第2のリンカーを含み、第1のリンカーが切断可能部分を含み、第2のリンカーが非結合カップリング基を含む、連結部分と、c)第1のリンカーに結合した第1のポリペプチドと、d)第2のポリペプチドであって、第2のポリペプチドが、第1のポリペプチドに結合しており、第2のポリペプチドが、結合していない相補的カップリング基を含み、相補的カップリング基が、カップリング基に結合するように構成されている、第2のポリペプチドと、を含み、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、固体支持体と接触しない、組成物が本明細書で提供される。
【0006】
参照による組込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及び以下のような添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含む検出可能なプローブを利用して、単一分析物分析能でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含む検出可能なプローブを利用して、単一分析物分析能でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図1C】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含む検出可能なプローブを利用して、単一分析物分析能でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチド及び検出可能な標識を含む検出可能なプローブを示す図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチド及び検出可能な標識を含む検出可能なプローブを示す図である。
【
図2C】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチド及び検出可能な標識を含む検出可能なプローブを示す図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3C】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3D】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3E】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3F】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3G】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図3H】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定するための方法の工程を示す図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、様々な結合実体とのポリペプチド結合相互作用の有無にかかわらず、リガンド結合ポリペプチドのアレイの構成を示す図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、様々な結合実体とのポリペプチド結合相互作用の有無にかかわらず、リガンド結合ポリペプチドのアレイの構成を示す図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、様々な結合実体とのポリペプチド結合相互作用の有無にかかわらず、リガンド結合ポリペプチドのアレイの構成を示す図である。
【
図4D】いくつかの実施形態による、様々な結合実体とのポリペプチド結合相互作用の有無にかかわらず、リガンド結合ポリペプチドのアレイの構成を示す図である。
【
図4E】いくつかの実施形態による、様々な結合実体とのポリペプチド結合相互作用の有無にかかわらず、リガンド結合ポリペプチドのアレイの構成を示す図である。
【
図4F】いくつかの実施形態による、様々な結合実体とのポリペプチド結合相互作用の有無にかかわらず、リガンド結合ポリペプチドのアレイの構成を示す図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、遊離結合実体と接触している結合標的のアレイを示す図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、遊離結合実体と接触している結合標的のアレイを示す図である。
【
図5C】いくつかの実施形態による、遊離結合実体と接触している結合標的のアレイを示す図である。
【
図6A】いくつかの実施形態による、結合標的の異種混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図6B】いくつかの実施形態による、結合標的の異種混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図6C】いくつかの実施形態による、結合標的の異種混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図6D】いくつかの実施形態による、結合標的の異種混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図7A】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の構成及びその配列を示す図である。
【
図7B】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の構成及びその配列を示す図である。
【
図8A】いくつかの実施形態による、1又は複数の結合リガンドを含むポリペプチド複合体の構成を示す図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による、1又は複数の結合リガンドを含むポリペプチド複合体の構成を示す図である。
【
図9A】いくつかの実施形態による、結合リガンド又は競合結合リガンドを含有するポリペプチド複合体の構成を示す図である。
【
図9B】いくつかの実施形態による、結合リガンド又は競合結合リガンドを含有するポリペプチド複合体の構成を示す図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、単一分析物分析能でポリペプチド結合相互作用を同定するためのシステムを示す図である。
【
図11A】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11B】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11C】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11D】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11E】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11F】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11G】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11H】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図11I】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の解離を同定する方法の工程を示す図である。
【
図12A】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の結合リガンドを同定する方法を示す図である。
【
図12B】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の結合リガンドを同定する方法を示す図である。
【
図12C】いくつかの実施形態による、ポリペプチド複合体の結合リガンドを同定する方法を示す図である。
【
図13A】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドの結合部位の結合特異性を同定する方法の工程を示す図である。
【
図13B】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドの結合部位の結合特異性を同定する方法の工程を示す図である。
【
図13C】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドの結合部位の結合特異性を同定する方法の工程を示す図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、ヒト対象から抽出された試料から結合標的のアレイを形成する方法の工程を示す図である。
【
図15A】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15B】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15C】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15D】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15E】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15F】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15G】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15H】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15I】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図15J】いくつかの実施形態による、結合標的と標準又は対照結合標的との混合物を含むアレイ上でポリペプチド結合相互作用を同定する方法の工程を示す図である。
【
図16A】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16B】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16C】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16D】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16E】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16F】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16G】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図16H】いくつかの実施形態による、異なる条件下で競合結合アッセイを行う方法を示す図である。
【
図17A】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドの単一分析物アレイを使用してポリペプチド試料からポリペプチドの画分を分離する方法を示す図である。
【
図17B】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドの単一分析物アレイを使用してポリペプチド試料からポリペプチドの画分を分離する方法を示す図である。
【
図17C】いくつかの実施形態による、リガンド結合ポリペプチドの単一分析物アレイを使用してポリペプチド試料からポリペプチドの画分を分離する方法を示す図である。
【
図18A】いくつかの実施形態による、結合リガンドの単一分析物アレイを使用してポリペプチド試料からリガンド結合ポリペプチドの画分を分離する方法を示す図である。
【
図18B】いくつかの実施形態による、結合リガンドの単一分析物アレイを使用してポリペプチド試料からリガンド結合ポリペプチドの画分を分離する方法を示す図である。
【
図18C】いくつかの実施形態による、結合リガンドの単一分析物アレイを使用してポリペプチド試料からリガンド結合ポリペプチドの画分を分離する方法を示す図である。
【
図19A】いくつかの実施形態による、結合リガンドと結合相互作用を形成することができる複数の分析物の部分画分を同定する方法を示す図である。
【
図19B】いくつかの実施形態による、結合リガンドと結合相互作用を形成することができる複数の分析物の部分画分を同定する方法を示す図である。
【
図20A】いくつかの実施形態による、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の分析物結合相互作用を形成及び分析する方法を示す図である。
【
図20B】いくつかの実施形態による、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の分析物結合相互作用を形成及び分析する方法を示す図である。
【
図20C】いくつかの実施形態による、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の分析物結合相互作用を形成及び分析する方法を示す図である。
【
図20D】いくつかの実施形態による、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の分析物結合相互作用を形成及び分析する方法を示す図である。
【
図20E】いくつかの実施形態による、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の分析物結合相互作用を形成及び分析する方法を示す図である。
【
図20F】いくつかの実施形態による、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の分析物結合相互作用を形成及び分析する方法を示す図である。
【
図21】いくつかの実施形態による、単一分析物アレイの隣接するが別個の分析物結合部位に分析物複合体の分析物を堆積させる方法を示す図である。
【
図22】いくつかの実施形態による、架橋された分析物を含有する検出された部位を有するアレイの図である。
【
図23A】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23B】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23C】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23D】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23E】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23F】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23G】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図23H】いくつかの実施形態による、分析物結合相互作用によって単一のアレイアドレスに共局在する2以上の分析物を分析するための方法の工程を示す図である。
【
図24A】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるプロテオフォームを同定する方法を示す図である。
【
図24B】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるプロテオフォームを同定する方法を示す図である。
【
図24C】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるプロテオフォームを同定する方法を示す図である。
【
図24D】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるプロテオフォームを同定する方法を示す図である。
【
図25A】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるフォールディング立体配座を同定する方法を示す図である。
【
図25B】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるフォールディング立体配座を同定する方法を示す図である。
【
図25C】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるフォールディング立体配座を同定する方法を示す図である。
【
図25D】いくつかの実施形態による、ポリペプチドの異なるフォールディング立体配座を同定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
多くの生物学的システムにおいて、特定のタンパク質又は他のポリペプチドは、結合リガンドと結合相互作用を形成する。生物学的系内の結合相互作用の完全なネットワーク又はそのサブセットは、インタラクトームと称され得る。いくつかの場合、タンパク質又はポリペプチドは、第2のポリペプチドと結合相互作用(すなわち、タンパク質-タンパク質相互作用)を形成し得る。他の場合では、タンパク質又はポリペプチドは、ポリペプチド以外の生体分子(例えば、核酸、糖類又は多糖類、脂質、代謝産物、補因子又はコビタミン等)と結合相互作用を形成し得る。更に他の場合では、タンパク質又はポリペプチドは、生物学的活性を含む分子又は部分、例えば医薬化合物又は毒素と結合相互作用を形成し得る。タンパク質結合相互作用には、短期又は一過性相互作用(例えば、化学反応の酵素触媒)、中期相互作用(例えば、ホルモン等のシグナル伝達分子の結合)、又は構造複合体(例えば、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、微小管等)へのポリペプチドの結合等の長期相互作用が含まれ得る。
【0010】
ポリペプチド結合相互作用の特異性の差は、ポリペプチド及び関連する結合リガンドの両方の特定の構造に起因して生じ得る。例えば、2つの個体間の遺伝的差異に起因して生じるタンパク質多型は、第2の個体に対して第1の個体に投与される医薬化合物の有効性に影響を及ぼし得る。別の例では、単一個体内のタンパク質アイソフォーム間の構造的差異は、結合リガンドと各特異的タンパク質アイソフォームとの間の結合相互作用の相対強度に影響を及ぼし得る。多くの生物学的系の機能及び/又は活性は、ポリペプチド結合相互作用によって促進され得、逆に、生物学的系の機能不全は、ポリペプチド結合相互作用における機能不全と関連し得る。
【0011】
インタラクトームの一般的な例は、トランスポートーム、生物系内で他の種を輸送するタンパク質又は他のポリペプチドのネットワークである。そのような輸送タンパク質及びポリペプチドには、細胞内輸送タンパク質、膜貫通輸送タンパク質、及び細胞外輸送タンパク質が含まれ得る。輸送タンパク質及び/又はポリペプチドは、種及び/又は物理的条件に応じて、生物系内の多数の化学種に結合することができる。輸送タンパク質及び/又はポリペプチドは、天然の化学種及び外部に導入された化学種を含む生物系内の様々な化学種に結合し、輸送することができる。例えば、輸送タンパク質は、他のポリペプチド及びその構成要素(例えば、アミノ酸)、核酸及びその構成要素(例えば、ヌクレオチド)、脂質(例えば、脂肪酸、リン脂質、ステロイド)、糖類及び多糖類、単原子又は多原子イオン種、ビタミン、補因子、ホルモン、及び多数の代謝化合物等の天然化学種に結合し得る。同様に、輸送タンパク質は、食事成分(例えば、アルカロイド、グリコシド、ポリフェノール、及びテルペン等の植物由来化合物)、医薬化合物、外部導入ポリペプチド(例えば、毒液)、及び毒性化合物等の外部導入化学種に結合し得る。
【0012】
タンパク質及び/又はポリペプチド(例えば、輸送タンパク質、受容体タンパク質、免疫タンパク質、調節タンパク質等)の結合特異性は、大きく変動し得る。例えば、血清アルブミンは、イオン、脂質、医薬化合物、及びポリペプチドを含む多数の化学種に結合することができることが知られているが、免疫グロブリンは、典型的には、単一のタンパク質エピトープ等の限られた数の化学種に対する結合特異性を特徴とする。同様に、タンパク質及び/又はポリペプチドは、それぞれ化学種に結合することができる1つ又は複数の結合部位を有することができる。複数の結合部位を有するタンパク質及び/又はポリペプチドの各結合部位は、同じタンパク質又はポリペプチド内の他の結合部位に固有の特定の化学種又は化学種のサブセットに対する結合特異性を有し得る。例えば、血清アルブミンは、脂質及びポリペプチドのための別個のユニークな結合部位を有し得る。いくつかの場合、タンパク質又はポリペプチドは、アロステリック又は配列決定された結合を利用して、タンパク質又はポリペプチドへの化学種の結合を増強又は阻害することができる。
【0013】
したがって、タンパク質又はポリペプチド及びそれらとの結合相互作用を形成する化学種は、「インタラクトーム」を形成し得、インタラクトームが単離される生物系の状態及び機能に関する情報を提供するタンパク質又はポリペプチド及び関連する化学種の集合を形成することができる。例示的なインタラクトームは、「アルブミノーム」-アルブミン及び相互作用化学種の集合-及び「グロブリノーム」-グロブリン及び相互作用化学種の集合を含み得る。トランスポートーム等のインタラクトームは、血液等の循環体液中で顕著であり得るが、他の体液(例えば、脳脊髄液)及びヒトを含む生物の間隙領域内にも見られ得る。
【0014】
具体的な例では、アルブミノームは、その複雑な生物学及び診断用途の可能性のために、更なる研究の標的であり得る。アルブミンは、典型的にはリガンド結合部位を有する球状の水溶性タンパク質のファミリーを含む。特に興味深いのは、動物の血液に見られる一般的なタンパク質である血清アルブミンである。血管内の血清アルブミンの主な目的は、血管内への水の癌血流を生成し、それによって血管から出る水の静水圧流を打ち消すことである。更に、血清アルブミンは、一価及び二価カチオン、ステロイド、脂肪酸、ホルモン(例えば、インスリン)、及び他の循環ポリペプチドを含む多数のリガンドの輸送タンパク質としての役割を果たす。血清アルブミンは、医薬化合物及び炎症性代謝産物等の他の種の輸送タンパク質としても役立ち得る。その広範囲のリガンド結合特性の一部に起因して、血清アルブミンは、血液及び他の生物学的流体の化学を調節するのに重要な役割を有する。血清アルブミンは、血液中で最も一般的なタンパク質であり、多くの場合、血清の遊離タンパク質画分の少なくとも50重量%を含む。血液に加えて、血清アルブミンは、一般に、脳脊髄液等の他の体液中、並びに組織の間質腔内に見出され得る。血清アルブミン等のアルブミンは、複数のリガンド結合部位、例えば少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれを超えるリガンド結合部位を含むことができる。アルブミンは、複数の結合リガンドを同時に輸送することができる場合がある。アルブミンは、複数の種のリガンドに同時に結合することができるかもしれないが、複数のリガンド結合部位の各々は、特定の化学種又は化学種のファミリーに対する結合特異性を有し得る。例えば、血清アルブミンは、脂質の結合を促進するように構成された第1のリガンド結合部位(例えば、ステロイド、脂肪酸)及びポリペプチドの結合を促進するように構成された第2のリガンド結合部位(例えば、ホルモン)を有し得る。別の例では、アルブミンであるビタミンD結合タンパク質は、ビタミンD及び一連のビタミンD代謝産物、並びにいくつかの脂肪酸と結合することができる。
【0015】
血清アルブミン等のアルブミンは、体液の化学を調節する役割のために、特定の生物学的プロセス(例えば、抗炎症プロセス、免疫プロセス等)において重要な機構的役割を有し得る。更に、アルブミンは、低いコピー数バイオマーカーを含む臨床的に関連するバイオマーカーに結合し得る。例えば、ヒト血清アルブミンは、CDH5、CVAM1及びIGFBP3等の既知の癌バイオマーカーに結合し得る。アルブミンの特性の変化は、アルブミンの組成の変化に重要な役割を果たし得る。典型的には非グリコシル化タンパク質であるヒト血清アルブミン等の血清アルブミンは、グリコシル化アイソフォームの細胞外空間に排出され得る。同様に、分泌後の環境は、S-システイニル化、S-ニトロシル化、S-グアニル化、又は脱水アラニン変換等のアルブミンの更なる翻訳後修飾を誘導し得る。アルブミンの非典型的な翻訳後修飾(すなわち、野生型アルブミンに特徴的ではない翻訳後修飾)は、タイプ及び位置に応じて、アルブミンのリガンド結合特性を変化させ得る。例えば、血清アルブミンの翻訳後修飾は、特定の医薬化合物の修飾血清アルブミンへの結合に影響を及ぼし、それによって医薬化合物のバイオアベイラビリティ、半減期、及び/又は代謝を潜在的に変化させ得る。
【0016】
アルブミンと同様に、グロブリンは、血液等の循環液、並びに他の体液及び間質腔に一般的な遊離球状輸送タンパク質のファミリーを含む。構造に応じて、グロブリンは、最も一般的にはα-グロブリン、β-グロブリン、又はγ-グロブリンとして分類される。ガンマグロブリンには、動物免疫応答に対する抗原標的化において周知の役割を有する多重鎖免疫グロブリンが含まれる。しかし、他の多くのグロブリンは輸送タンパク質の特徴を有する。血清アルブミンとは対照的に、グロブリンの結合特異性は、特定の化学種又は化学種のファミリーに限定される等、アルブミンよりも狭くてもよい。例えば、性ホルモン結合タンパク質、典型的にはβ-グロブリンは、アンドロゲン及びエストロゲンに特異的に結合し、一方、トランスコルチン、典型的にはα-グロブリンは、コルチゾール、プロゲステロン及び他のコルチコステロイド等の他のステロイドホルモンに結合する。
【0017】
アルブミノーム又はグロブリノーム等のインタラクトームは、単一分析物分析能で行われるプロテオミクスアッセイによって同定及び/又は定量され得る実質的な情報を含み得る。例えば、単一分析物プロテオミクスアッセイは、輸送タンパク質との結合相互作用を形成する低コピー数ポリペプチドの同一性を決定するのに有用であり得る。そのような相互作用は、より一般的なアンサンブルベース又はバルクプロテオミクスアッセイの検出限界を下回る可能性がある。別の例では、単一分析物プロテオミクスアッセイは、輸送タンパク質と他のポリペプチドとの間の一過性又は弱い相互作用を同定するのに有用であり得る。この場合もやはり、そのような相互作用は、アンサンブルベース又はバルクのプロテオミクスアッセイの時間スケール内では同定できない可能性がある。
【0018】
本明細書で提供されるのは、アルブミノーム及び/又はグロブリノーム等のインタラクトームを同定及び/又は定量するのに有用であり得るプロテオーム系及び方法である。本明細書に記載のいくつかの方法及び組成物は、リガンド結合ポリペプチド(例えば、アルブミン又はグロブリン)又はその結合リガンド等の結合標的の単一分析物アレイを利用して、単一分析物分析能でのポリペプチド結合相互作用を同定する。本明細書に記載のいくつかの方法は、単一の分析物のアレイを、アレイ上の単一の分析物結合標的とポリペプチド結合相互作用を形成することができる複数の結合実体と接触させることを含む。続いて、ポリペプチド結合相互作用を単一分析物分析能で検出することができる。そのような方法は、低コピー数ポリペプチド(例えば、癌バイオマーカー等)を含む様々な結合リガンドに対するリガンド結合ポリペプチドの結合特異性を決定すること、並びに医薬化合物等の非ポリペプチド分子に対するリガンド結合ポリペプチドの相対的結合特異性を決定することに有用であり得る。
【0019】
本明細書で提供される更なる方法及び組成物は、解離性ポリペプチド結合相互作用を同定するのに有用であり得る。本明細書に記載のいくつかの方法は、ポリペプチド複合体の単一分析物アレイを利用して、結合競合体の存在下でのポリペプチド複合体の解離を研究することができる。本明細書に記載の方法は、ポリペプチド結合相互作用の静的(例えば、単回測定)又は動的(例えば、時系列)測定を含み得る。ポリペプチド結合相互作用に関する情報は、不均一系におけるポリペプチド結合相互作用の動態を理解するために利用され得る。例えば、方法を利用して、第2の医薬化合物のアルブミン関連結合に対する医薬化合物の起こり得る影響を同定することができる。
【0020】
更に、リガンド結合ポリペプチドの別個化(例えば、個別化)分析のための方法及び組成物が提供される。個々の対象から抽出されたリガンド結合ポリペプチドを含むアレイ又は検出可能なプローブを形成及び利用する方法が記載される。方法は、個体の基礎となるプロテオームに基づいてポリペプチド結合相互作用に関する個別化された情報を得るのに有用であり得る。例えば、アルブミンを個体から抽出して、個別化されたアルブミンアレイとの様々な医薬製剤の結合親和性を推定するために使用されるアルブミンアレイを形成することができる。
【0021】
定義
本明細書で使用される用語は、特に指定されない限り、関連技術における通常の意味をとると理解される。本明細書で使用されるいくつかの用語及びそれらの意味を以下に示す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって結合された2以上のアミノ酸を含む分子を指す。ポリペプチドは、タンパク質、オリゴペプチド又はペプチドとも称され得る。「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」及び「ペプチド」という用語は、アミノ酸配列の組成又は長さ、分子量、分子の起源等の異なる特徴を有する分子を指すために使用されていてもよいが、これらの用語は、全ての文脈においてそのような区別を本質的に含むことを意図しない。ポリペプチドは、天然に存在する分子又は合成分子であり得る。ポリペプチドは、1又は複数の非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、又は非アミノ酸リンカーを含み得る。ポリペプチドは、D-アミノ酸エナンチオマー、L-アミノ酸エナンチオマー又はその両方を含有し得る。ポリペプチドのアミノ酸は、天然に又は合成的に、例えば翻訳後修飾によって修飾され得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルブミン」という用語は、その構造、配列、及び/又は機能がアルブミンファミリーに属すると分類されるポリペプチドを指す。アルブミンは、生物の体液又は間質腔に由来する球状タンパク質であり得る。アルブミンは、1又は複数の結合リガンドに対して既知又は未知の結合特異性を有し得る。アルブミンは、既知又は未知の結合特異性を有する1又は複数の結合部位を有し得る。特定の場合には、アルブミンは、ヒト血清アルブミン又はウシ血清アルブミン等の血清アルブミンであり得る。本明細書で使用される場合、「グロブリン」という用語は、その構造、配列、又は機能がグロブリンファミリーに属すると分類されるポリペプチドを指す。グロブリンは、体液又は生物の間質腔に由来する球状タンパク質であり得る。グロブリンは、不溶化水及び/又は希薄塩溶液への溶解度を特徴とし得る。アルブミンは、1又は複数の結合リガンドに対して既知又は未知の結合特異性を有し得る。アルブミンは、既知又は未知の結合特異性を有する1又は複数の結合部位を有し得る。いくつかの場合、グロブリンは、免疫グロブリン(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM等)を含み得る。他の場合では、グロブリンは免疫グロブリンを含まなくてもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「リガンド結合ポリペプチド」という用語は、特異的結合部位でリガンドに結合するように構成されたポリペプチドを指す。リガンドは、一時的又は永続的に結合され得る。リガンド結合ポリペプチドは、2種以上のリガンドに結合し得る。リガンド結合ポリペプチドは、結合したリガンド(例えば、酵素的に、分子構造をリフォールディングすること等)を変化させ得る。リガンド結合ポリペプチドは、結合したリガンドを変化させる必要はない。リガンド結合ポリペプチドは、リガンドを第1の位置から第2の位置に送達するように構成された輸送ポリペプチドを含み得る。リガンド結合ポリペプチドは、リガンドに結合するように構成された1又は複数の結合部位を含み得る。リガンド結合ポリペプチドは親和性剤を含み得る。例示的なリガンド結合ポリペプチドとしては、アルブミン及びグロブリンが挙げられる。本明細書中で使用されるとき、用語「結合部位」とは、リガンド結合ポリペプチドに関して使用される場合、リガンドとの結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチドの構造の領域のことを指す。結合部位は、リガンドとの結合相互作用を形成する1又は複数のエピトープを含み得る。結合部位は、リガンドとの一時的な結合相互作用、例えば、静電相互作用又はリガンドとの一時的な共有結合、イオン結合、水素結合若しくは配位結合を形成し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「結合リガンド」という用語は、リガンド結合ポリペプチド等の受容体の結合部位と結合相互作用を形成する実体を指す。リガンドは、例えば、ポリペプチド及び非ポリペプチド化学種を含む様々な化学種のいずれかを含み得る。例示的なポリペプチド結合リガンドとしては、シグナル伝達ポリペプチド(例えば、ホルモン)、受容体ポリペプチド及び受容体ポリペプチド断片が挙げられ得る。非ポリペプチド化学種は、例えば、非ポリペプチド生体分子(例えば、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド、多糖類、糖類、脂質、ビタミン、補因子、代謝産物等)、その外部摂取物及び代謝産物(例えば、フラボノイド、レチノイド、ポリフェノール、アルカロイド、カンナビノイド等)、毒素(例えば、神経毒、内分泌破壊薬等)、医薬化合物、候補医薬化合物(例えば、エナンチオマー、試験化合物のR基置換等)、イオン化合物(例えば、単原子イオン、多原子イオン、有機イオン、無機イオン、金属イオン等)、並びにナノ粒子(例えば、有機ナノ粒子、無機ナノ粒子、半導体ナノ粒子、金属ナノ粒子、炭素ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、マイクロプラスチック等)及びその官能化バージョンを含む様々な化学種のいずれかを含むことができる。結合リガンドは、リガンド結合ポリペプチドの結合部位に結合相互作用を形成する1又は複数の部分を含み得る。例示的な結合リガンドには、アルブミン又はグロブリンに結合するリガンドが含まれる。本明細書中で使用されるとき、用語「候補結合リガンド」とは、そのリガンド結合ポリペプチドとの結合相互作用が疑われるか又は不明である実体のことを指す。候補結合リガンドは、1又は複数のリガンド結合ポリペプチドとの結合相互作用が特徴づけられる未知の分析物(例えば、対象から抽出されたランダムポリペプチド)であり得る。例えば、複数のポリペプチドを血液試料から誘導し、単一分析物アレイに沈着させて、リガンド結合ポリペプチド(例えば、アルブミン、グロブリン等)に対する複数のポリペプチドの各ポリペプチドの結合特性を個別に試験することができる。候補結合リガンドは、1又は複数のリガンド結合ポリペプチドとの結合相互作用が特徴づけられる分子又は他の実体(例えば、新しい医薬化合物)であり得る。例えば、一連の天然ポリペプチド変異体に対して新しい医薬化合物を特徴づけて、一連の天然ポリペプチド変異体の各天然ポリペプチド変異体との新しい医薬化合物の任意の結合相互作用を決定することができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド結合相互作用」という用語は、リガンド結合ポリペプチドとリガンド結合ポリペプチドの1又は複数の結合リガンドとの間の検出可能な会合を指す。ポリペプチド結合相互作用は、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの特異的及び非特異的結合を含み得る。ポリペプチド結合相互作用には、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間の共有結合相互作用又は非共有結合相互作用が含まれ得る。いくつかの場合、固定化された第1の結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)と溶液相の第2の結合実体との間でポリペプチド結合相互作用が起こり得る。他の場合では、ポリペプチド結合相互作用が、溶液相の第1の結合実体と溶液相の第2の結合実体との間で起こり得る。ポリペプチド結合相互作用は、例えば、ポリペプチド結合相互作用の形成に関与する遊離結合実体の拡散時間スケールを超えるか、又は検出系の時間スケールを超える時間量にわたって検出可能である、リガンド結合ポリペプチドと1又は複数の結合リガンドとの間の会合として特徴づけることができる。いくつかの場合、ポリペプチド結合相互作用は、リガンド結合ポリペプチドと、相互作用の複数の検出を可能にする時間量にわたって検出可能である1又は複数の結合リガンドとの間の会合として特徴づけられる場合がある。
【0027】
本明細書で使用される場合、「結合実体」という用語は、ポリペプチド結合相互作用の形成に関与する分子、部分粒子、又は他の化学種を指す。結合実体は、ポリペプチド複合体の成分を含み得る。結合実体は、ポリペプチド複合体を含み得る。結合実体は、結合実体がポリペプチド結合相互作用を形成する少なくとも1つの相補的結合実体を有し得る。結合実体は、リガンド結合ポリペプチド又は結合リガンドを含み得る。いくつかの場合、結合実体は、親和性剤(例えば、抗体又はその断片、アプタマー、ペプタマー等)を含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「結合標的」という用語は、単一分析物アレイに関して使用される場合、単一分析物アレイ上のアドレスにカップリングされた結合実体を指す。結合標的は、結合標的がポリペプチド結合相互作用を形成する少なくとも1つの相補的結合実体を有し得る。結合標的は、リガンド結合ポリペプチド又は結合リガンドを含み得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「遊離」という用語は、固定化されていない結合実体を指す。例えば、遊離実体は、アレイ(例えば、固体支持体)にカップリングされていないか、又はアレイにカップリングされている結合実体にカップリングされていない。遊離結合実体は、流体相にあってもよく、例えば、流体相中で自由に拡散可能であってもよい。遊離結合実体は、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド又はポリペプチド複合体を含み得る。本明細書で使用される場合、「カップリングされた」という用語は、結合実体に関して使用される場合、結合実体の、対象(例えば、固体支持体又はアレイアドレス)、アレイにカップリングされた結合実体、又は第2の結合実体への付着を指す。カップリングした結合実体は、流体媒体内に含まれ得る。カップリングされた結合実体は、共有結合又は非共有結合相互作用によって結合され得る。例示的なタイプのカップリングには、共有結合コンジュゲーション、配位結合、イオン結合、水素結合、静電相互作用、磁気相互作用、及び核酸ハイブリダイゼーションが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「保持構成要素」という用語は、2つの他の成分を互いに連結する親和性剤又は他の物質の部分を指す。保持構成要素は、2つの他の部分を互いに特定の距離内に維持することができる。例えば、2つの他の部分は、最大で1000nm、500nm、100nm、50nm、10nm、5nm、1nm又はそれ未満の距離に維持することができる。代替的又は追加的に、保持構成要素は、2つの他の部分を互いに特定の距離で分離することができる。例えば、2つの他の部分は、少なくとも1nm、5nm、10nm、50nm、100nm、500nm、1000nm以上の距離に維持することができる。保持構成要素は、例えば、核酸、構造化核酸粒子(SNAP)、核酸ナノボール、核酸オリガミ、タンパク質核酸、ポリペプチド、合成ポリマー、多糖類、有機粒子、無機粒子、ゲル、ヒドロゲル、コーティング粒子等を含むことができる。保持構成要素は、場合によりポリマー構造を有することができる。あるいは、保持構成要素は、ポリマー構造を有する必要はない。いくつかの実施形態では、保持構成要素は、それが付着している他の成分と同様の組成物を有する。例えば、ポリペプチド材料から構成される複数の結合成分をポリペプチド保持構成要素に結合させることができる。あるいは、保持構成要素は、それが付着している他の成分の組成とは実質的に異なる組成を有することができる。例えば、ポリペプチド材料から構成される複数の結合成分は、ポリペプチド以外の材料、例えば核酸材料、又は有機若しくは無機ナノ粒子(例えば、カーボンナノスフェア、二酸化ケイ素ナノスフェア等)から部分的又は全体的に構成される保持構成要素に結合され得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「構造化核酸粒子」(又は「SNAP」)という用語は、圧縮された三次元構造を有する任意の単鎖又は多重鎖ポリヌクレオチド分子を指す。圧縮された三次元構造は、SNAPと同じ配列長を有する核酸のランダムコイル又は他の非構造化状態に対するSNAPの流体力学的半径又はストークス半径に関して特徴づけされていてもよい。圧縮された三次元構造は、三次構造に関して特徴づけされていてもよい。例えば、SNAPは、ランダムコイル又は他の非構造化状態の同じ核酸分子と比較して、ポリヌクレオチド鎖の領域間の相互作用の数が増加し、領域間の距離が短く、鎖の屈曲の数が増加し、及び/又は鎖の屈曲がより急激になるように構成することができる。代替的又は追加的に、圧縮された三次元構造は、四次構造に関して特徴づけされていてもよい。例えば、SNAPは、ランダムコイル又は他の非構造化状態の同じ核酸分子と比較して、ポリヌクレオチド鎖間の相互作用の数が増加するか、又は鎖間の距離が短くなるように構成することができる。いくつかの構成では、SNAPの二次構造(すなわち、ポリヌクレオチド鎖の螺旋状のねじれ又は向き)は、ランダムコイル又は他の非構造化状態の同じ核酸分子よりも高密度であるように構成することができる。SNAPは、SNAPへの更なる分子の結合を可能にするように修飾されていてもよい。SNAPは、DNA、RNA、PNA、修飾若しくは非天然核酸、又はそれらの組合せを含み得る。SNAPは、ハイブリダイズしてSNAP構造を形成する複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。SNAP中の複数のオリゴヌクレオチドは、他の分子(例えば、親和性剤、検出可能な標識)にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド、又は他の分子(例えば、反応ハンドルによって)にコンジュゲートされるように構成されたオリゴヌクレオチドを含み得る。SNAPは、核酸オリガミ及び核酸ナノボール等の操作された又は合理的に設計された構造を含み得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「核酸オリガミ」という用語は、(1又は複数の)核酸の天然に存在する螺旋構造に加えて、操作された三次又は四次構造を含む核酸構築物を指す。核酸オリガミは、DNA、RNA、PNA、修飾若しくは非天然核酸、又はそれらの組合せを含み得る。核酸オリガミは、配列相補性を介してハイブリダイズして、オリガミ粒子の操作された構造を生成する複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。核酸オリガミは、一本鎖若しくは二本鎖核酸のセクション、又はそれらの組合せを含み得る。例示的な核酸オリガミ構造は、ナノチューブ、ナノワイヤ、ケージ、タイル、ナノスフェア、ブロック、及びそれらの組合せを含むことができる。核酸オリガミは、複数のより小さい核酸がハイブリダイズする比較的長い足場核酸が含まれていてもよく、それにより、操作された構造を生成する足場の折畳み及び屈曲を生成する。足場核酸は、環状又は直鎖状であり得る。足場核酸は、一本鎖であり得るが、より小さい核酸へのハイブリダイゼーションのためのものであり得る。より小さな核酸(「ステープル」と呼ばれることもある)は、足場の2つの領域にハイブリダイズすることができ、足場の2つの領域は、より小さな核酸にハイブリダイズしない介在領域によって分離されている。
【0032】
本明細書で使用される場合、「核酸ナノボール」という用語は、球状又は球状の核酸構造を指す。核酸ナノボールは、球状構造に配列する配列領域のコンカテマーを含み得る。核酸ナノボールは、ローリングサークル増幅産物を含み得る。核酸ナノボールは、DNA、RNA、PNA、修飾若しくは非天然核酸、又はそれらの組合せを含み得る。核酸ナノボールは、コンパクトな構造を有することができ、それによって構造化核酸粒子(SNAP)又はその一部を形成する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「検出可能なプローブ」という用語は、観察可能な特性を有するか、又は観察可能なシグナルを生成する親和性剤を指す。検出可能なプローブは、単一分析物分析能で検出可能であり得る。検出可能なプローブは、検出可能な部分(例えば、コンジュゲート化核酸バーコード、蛍光色素等)にカップリングされた親和性剤を含み得る。検出可能なプローブは、保持構成要素によって検出可能な標識にカップリングされた親和性剤を含み得る。検出可能なプローブは、複数の親和性試薬及び/又は複数の検出可能な標識を含み得る。本明細書で使用される場合、「検出可能な標識」という用語は、観察可能な特性を有するか、又は観察可能なシグナルを生成する部分を指す。観察可能な特性又はシグナルは、例えば、放射線の吸光度、発光又は蛍光発光、発光又は蛍光寿命、発光又は蛍光偏光等の光学シグナル;レイリー散乱及び/又はミー散乱;リガンド又は受容体に対する結合親和性;磁気特性;電気特性;電荷;質量;放射能等であり得る。標識成分は、別の分子又は物質にコンジュゲートされているか、又はコンジュゲートされ得る検出可能な化学的実体であり得る。標識成分にコンジュゲートされ得る例示的な分子には、親和性剤又は結合パートナーが含まれる。標識成分は、リアルタイムで検出されるシグナルを生成し得る(例えば、蛍光、発光、放射能)。標識成分は、オフラインで(例えば、核酸バーコード)又は時間分解方式で(例えば、時間分解蛍光)検出されるシグナルを生成することができる。標識成分は、特徴的な周波数、強度、極性、持続時間、波長、シーケンス、又はフィンガープリントを有するシグナルを生成することができる。例示的な標識としては、限定されないが、フルオロフォア、ルミノフォア、発色団、ナノ粒子(例えば、金、銀、カーボンナノチューブ)、重原子、放射性同位体、質量標識、電荷標識、スピン標識、受容体、リガンド、核酸バーコード、ポリペプチドバーコード、多糖バーコード等が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ポリペプチド又はポリペプチドの試料が抽出又は誘導される生物源又は減少源を指す。対象はヒトであり得る。対象は、家畜、非家畜、植物、真菌、細菌、原生動物、古細菌、又はウイルス等の非ヒト生物であり得る。対象は、非修飾ゲノムを有する生物であり得る。対象は、修飾されたゲノムを有する生物であり得る。対象は、1又は複数の天然ポリペプチドを産生し得る。対象は、変異を含む1又は複数のポリペプチドを産生し得る。対象は、ポリペプチド内に1又は複数の操作されたポリペプチド又は操作された変異を産生し得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「天然」という用語は、生物又はポリペプチドに関して使用される場合、操作されていない若しくは修飾されていないゲノム、又は操作されていない若しくは修飾されていないゲノムから生じるポリペプチドを有する生物を指す。天然ポリペプチドは、ポリペプチドが抽出される対象と同じ種に属する生物のコホート内でその同一性が異なり得る1又は複数のアミノ酸残基を有するポリペプチドを含み得る。「野生型ポリペプチド」は、ポリペプチドが抽出される対象と同じ種に属する生物のコホート内の主要な対立遺伝子頻度を有する遺伝子に起因して生じるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指すことができる。「変異」は、例えば、マイナー対立遺伝子頻度又は同様の尺度によって決定される、野生型ポリペプチドと比較したポリペプチドを構成するアミノ酸残基の同一性の逸脱を指し得る。同様に、「変異体」は、野生型ポリペプチドと比較して変異を含むポリペプチドを指し得る。本明細書で使用される場合、「操作された」という用語は、生物のゲノムの意図的な(例えば、ランダム又は有理)又は設計された修飾によって産生される生物又はポリペプチドを指し得る。操作されたポリペプチドは、ポリペプチドが天然に産生される生物のゲノムの修飾によって産生され得る。操作されたポリペプチドは、トランスジェニックポリペプチド産生によって産生され得る。「操作された変異」は、生物又は生物のゲノムの操作に起因して生じるポリペプチドの変異を指し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、複数のポリペプチドに関して使用される場合、「プロテオミクス」という用語は、複数のポリペプチドが由来する対象(例えば、動物、植物、真菌、細菌、ウイルス等の生物)又はその成分(例えば、組織、細胞小器官、流体、細胞外物質、排泄物等)を代表するポリペプチド種の多様性を有する複数のポリペプチドを指す。プロテオーム試料は、対象の全ポリペプチド種又はその成分の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.9%、又は99.9%超に相当する、対象のポリペプチド種又はその成分の多様性を含むことができる。代替的又は追加的に、プロテオーム試料は、対象の全ポリペプチド種又はその成分の約99.9%、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%以下、又は5%未満に相当する、対象のポリペプチド種又はその成分の多様性を含むことができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「種」という用語は、ポリペプチドに関して使用される場合、ポリペプチドの一次構造を指す。同一の一次構造を有する2つのポリペプチドは、同じポリペプチド種のメンバーである。異なる一次構造を有する2つのポリペプチドは、別個の種のメンバーであり得る。複数の種は、翻訳後プロセシング中のアイソフォーム(例えば、スプライスアイソフォーム、翻訳後修飾ポリペプチド、ポリペプチド切断等)の形成のために、単一の初期ポリペプチド構造の複数のコピーから生じ得る。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド複合体」という用語は、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの結合によって形成される構造を指す。ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド及びポリペプチドリガンドを含み得る。ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド及び非ポリペプチドリガンド(例えば、核酸、脂質、植物由来化合物、医薬化合物等)を含み得る。ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド又は結合リガンド内で立体構造変化を誘導し得る。ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド及び/又は結合リガンドの1又は複数のエピトープ又は部分の閉塞に起因して、配座的に異なっていてもよく、及び/又は同定可能であってもよい。ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド及び/又は結合リガンドの1又は複数のエピトープ又は部分の曝露に起因して、配座的に異なっていてもよく、及び/又は同定可能であってもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「間隙領域」という用語は、アレイに関して使用される場合、特定の分子が存在しないか、又は特定の分子を引きつけないか結合しないように構成されているアレイ内の位置を指す。間隙領域は、アレイの2以上のアドレスに隣接することができる。間隙領域は、領域内に検出可能なシグナルが存在しないか、又は領域内に異なるシグナルが存在することによって、単一分析物分析能で光学的に分析可能であり得る。間隙領域は、間隙領域内の分析物の堆積又はカップリングを制限又は防止する表面化学を含むことができる。間隙領域は、間隙領域内の分析物、検出可能なプローブ、及び結合リガンドを含む分子の非特異的結合を制限又は防止する不動態化表面化学を含むことができる。
【0040】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、第1の実体を第2の実体にカップリングするか、そうするように構成された別個の部分、分子又は粒子を指す。アレイに関して使用される場合、リンカーは、分析物を固体支持体の部位又はアドレスにカップリングする別個の部分、分子又は粒子を指すことができる。ポリペプチド複合体に関して使用される場合、リンカーは、リガンド結合ポリペプチドを結合リガンドにカップリングする別個の部分、分子又は粒子を指すことができる。リンカーは、二官能性、三官能性又は多官能性リンカーを含み得る。リンカーは、第1の実体と第2の実体との間に共有結合又は非共有結合カップリングを形成し得る。共有結合性リンカーは、実体(例えば、クリック反応基)上の相補的反応性官能基と化学的に反応するように構成された1又は複数の反応性官能基を含み得る。非共有結合性リンカーは、実体(例えば、ストレプトアビジン-ビオチンカップリング)上の相補的な非反応性官能基と非共有結合性相互作用を形成するように構成された1又は複数の非反応性官能基を含み得る。リンカーは、第1の実体と第2の実体との間に共有結合性及び非共有結合性の相互作用を形成し得る。例えば、核酸リンカーは、それぞれの実体に共有結合し、オリゴヌクレオチドの相補的塩基対カップリングによって非共有結合又は可逆的カップリングを形成するように構成された2つの相補的オリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの場合、リンカーは、構造化核酸粒子(SNAP)又はナノ粒子を含み得る。ナノ粒子リンカーは、ポリマーナノ粒子、核酸ナノ粒子、有機ナノ粒子、金属ナノ粒子、又は半導体ナノ粒子を含み得る。リンカーは、1又は複数の連結部分及び1又は複数の非連結部分を含み得る。リンカーは、検出可能なシグナルを提供するように構成された1又は複数の検出可能な標識を含み得る。本明細書で使用される場合、「連結部分」という用語は、カップリング相互作用を形成するリンカーの一部を指す。連結部分は、反応性官能基(例えば、エポキシド、アジド、カルボキシル、アミン等)等の反応性基を含み得る。連結部分は、相補的結合対(例えば、ストレプトアビジン-ビオチン、SpyCatcher-SpyTag、SnoopCatcher-SnoopTag、SdyCatcher-SdyTag等)の半分を含み得る。連結部分は、非共有結合相互作用(例えば、磁性ナノ粒子、荷電粒子等)を形成するように構成された粒子又は基を含み得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「結合特異性」という用語は、親和性試薬が結合パートナー、親和性標的又は標的部分と優先的に相互作用する傾向を指す。親和性試薬又はリガンド結合ポリペプチドは、任意の可能な結合パートナー、親和性標的又は標的部分に対する計算された、観察された、既知の、又は予測された結合特異性を有し得る。結合特異性は、試料中の少なくとも1つの他の分析物に対する、試料中の単一の結合パートナー、親和性標的又は標的部分の選択性を指し得る。更に、結合特異性は、試料中の少なくとも1つの他の分析物に対する、試料中の結合パートナー、親和性標的又は標的部分のサブセットの選択性を指し得る。結合特異性は、結合パートナー、親和性標的又は標的部分に対する閾値結合親和性、例えば、約1マイクロモル(μM)以下、500ナノモル(nM)以下、250nM以下、100nM以下、50nM以下、25nM以下、10nM以下、5nM以下、2.5nM以下、1nM以下、500ピコモル(pM)以下、250pM以下、100pM以下、50pM以下、25pM以下、10pM以下、5pM以下、2.5pM以下、1pM以下、又はそれ未満の解離定数を有する親和性剤又はリガンド結合ポリペプチドとして特徴づけることができる。結合特異性は、別の分子と比較して、結合パートナー、親和性標的又は標的部分に対してより強い結合親和性を有する親和性剤又はリガンド結合ポリペプチドを指し得る。例えば、リガンド結合ポリペプチドは、第1の結合リガンドとの100nMの解離定数及び第2の結合リガンドとの10nMの解離定数を有する場合、第2の結合リガンドに対する結合特異性を有し得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「結合親和性」又は「親和性」という用語は、親和性試薬と結合パートナー、親和性標的又は標的部分との間の結合の強度又は程度を指す。いくつかの場合、結合パートナー、親和性標的又は標的部分に対する親和性試薬の結合親和性は、消失するほど小さくても、実質的に0であってもよい。結合パートナー、親和性標的又は標的部分に対する親和性試薬の親和性試薬の結合親和性は、「高親和性」、「中親和性」又は「低親和性」として適格であり得る。結合パートナー、親和性標的又は標的部分に対する親和性試薬の結合親和性は、相互作用が約100nM未満の解離定数を有する場合は「高親和性」、相互作用が約100nM~1mMの解離定数を有する場合は「中親和性」、相互作用が約1mMを超える解離定数を有する場合は「低親和性」として定量化され得る。結合親和性は、平衡解離定数(KD)、平衡会合定数(KA)、会合速度定数(kon)、解離速度定数(koff)等の生化学の分野で公知の用語で記載することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるEnzyme Kinetics John Wiley and Sons,New York(1975)を参照されたい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、アレイ又は固体支持体がその中に配置されるか、その上に配置される媒体又は材料を指す。アレイ又は固体支持体は、基材に接合されてもよく、又は基材内に埋め込まれてもよい。アレイ又は固体支持体は、基材材料又は媒体から、例えばリソグラフィ等のプロセスによって製造することができる。基材は、例えば、ガラス、ポリマー、金属、金属酸化物、半導体、鉱物、樹脂、又はそれらの複合物を含む様々な材料のいずれかであってもよい。基材は、本明細書に記載の方法を可能にする又は増強する1又は複数の物理的特性を有することができる。基材は、単一分析物検出を可能にするか又は増強する1又は複数の物理的特性を有することができる。基材の例示的な物理的特性は、光学的特性(例えば、不透明度、反射率、屈折率、自家蛍光等)、電気的特性(例えば、抵抗、キャパシタンス、バンドギャップ等)、磁気的特性(例えば、強磁性、反磁性、常磁性等)、熱的特性(例えば、熱容量、熱伝導率、放射率等)、流体特性(例えば、疎水性、親水性、摩擦係数等)、及び機械的特性(例えば、引張強度、硬度、ヤング率等)を含み得る。
【0044】
本明細書に記載されるように、アレイに関して使用される「占有率」という用語は、分析物を含むアレイ上のアドレスの割合を指す。例えば、1000個の総アドレスを有し、そのうちの500個が分析種を含むアレイは、0.5の占有率を有する。本明細書で使用される場合、「ポリペプチド占有率」という用語は、ポリペプチドを含むアレイ上のアドレスの割合を指す。本明細書で使用される場合、「リガンド結合ポリペプチド占有率」という用語は、リガンド結合ポリペプチドを含むアレイ上のアドレスの割合を指す。本明細書で使用される場合、「結合リガンド占有率」という用語は、結合リガンドを含むアレイ上のアドレスの割合を指す。本明細書で使用される場合、「ポリペプチド複合体占有率」という用語は、ポリペプチド複合体を含むアレイ上のアドレスの割合を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「単一分析物」という用語は、個別に操作されるか、又は他の化学的実体と区別される化学的実体を指す。分析物は、例えば、ポリペプチド、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、プローブ又は本明細書に記載の他の分析物であり得る。単一の分析物は、体積、表面積、直径、電荷、電場、磁場、電子構造、電磁吸光度、電磁透過率、電磁放射、放射能、原子構造、分子構造、結晶構造、又はそれらの組合せ等の識別特性を有し得る。単一の分析物の識別特性は、任意の隣接する単一の分析物から個々の単一の分析物を検出するのに十分な空間分析能を有する検出方法によって検出可能な単一の分析物の特性であり得る。分析物は、単一の分子、分子の単一の複合体、単一の粒子、又は複数のコンジュゲートされた分子若しくは粒子を含む単一の化学的実体を含み得る。単一の分析物は、例えば、本明細書に記載のシステム又は方法において、他の分析物からの空間的又は時間的分離に基づいて区別することができる。更に、組成物、システム又は方法の文脈における「単一の分析物」への本明細書での言及は、文脈上又は明示的に反対に示されない限り、個々に操作又は区別される複数の単一の分析物への組成物、システム又は方法の適用を必ずしも排除しない。
【0046】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、本明細書では、列挙された要素だけでなく、任意の追加の要素を更に含むオープンエンドであることを意図している。
【0047】
本明細書で使用される場合、「各」という用語は、項目の集合に関して使用される場合、集合内の個々の項目を同定することを意図しているが、必ずしも集合内の全ての項目を指すとは限らない。明示的な開示又は文脈がそうでないことを明確に指示する場合、例外が発生する可能性がある。
【0048】
ポリペプチド結合系をアッセイする方法
本明細書では、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間の相互作用を同定及び/又は定量する方法が提供される。方法は、アレイの各光学的に分析可能なアドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を特徴づけるために、単一分析物分析能を有するアレイベースの技術を適用する。本明細書に記載の方法は、ポリペプチド結合相互作用が存在し得る任意のポリペプチド又はポリペプチド系に適用可能である。本明細書に記載の方法は、アルブミン及び/又はグロブリン等の遊離又は球状タンパク質のポリペプチド結合相互作用を同定するために特に興味深いものであり得るが、受容体タンパク質及びシャペロニン等の他のリガンド結合ポリペプチドに容易に拡張され得る。本明細書に記載の方法は、1)リガンド結合ポリペプチドと1又は複数の結合リガンドとの間の特異的及び非特異的結合相互作用を決定することと、2)リガンド結合ポリペプチドと1又は複数の結合リガンドとの間の結合相互作用の1又は複数の特徴(例えば、解離定数、解離速度定数)を決定することと、3)リガンド結合ポリペプチドが結合相互作用を形成し得る1又は複数の結合リガンドに対するリガンド結合ポリペプチドの変化の影響(又はその逆)を決定することと、4)変化したリガンド結合ポリペプチドと1又は複数の結合リガンド(又はその逆)との間の結合相互作用の特徴の変化を決定することと、5)対象(例えば、医療患者)から抽出されるリガンド結合ポリペプチド又は複数のリガンド結合ポリペプチドの1又は複数の結合相互作用及び/又はその特徴を決定することと、を含むいくつかの有利な用途を有し得る。
【0049】
いくつかの場合、方法は、生物系においてポリペプチド結合相互作用を形成し、次いで、単一分析物アッセイによって相互作用を同定することを含み得る。そのような方法は、a)生物系においてリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間にポリペプチド結合相互作用を形成する工程と(例えば、インビボ系、インビトロ系等)、b)ポリペプチド結合相互作用の発生に関する情報を捕捉する工程と(例えば、リガンド結合ポリペプチドを結合リガンドに架橋すること、リガンド結合ポリペプチド及び結合リガンドに復号可能なタグを付着させること等)、c)本明細書に記載の単一分析物法によってポリペプチド結合相互作用の発生に関する情報を同定し、それによってポリペプチド結合相互作用を検出する工程と、を含み得る。
【0050】
他の場合では、方法は、単一分析物アッセイ中にポリペプチド結合相互作用を形成することを含み得る。そのような方法は、a)本明細書に記載の単一分析物アレイ上で複数の部分(例えば、複数のリガンド結合ポリペプチド、複数の結合リガンド)を捕捉する工程と、b)複数の部分を含む単一分析物アレイを複数の候補結合パートナー(例えば、複数の候補結合リガンド、複数の候補リガンド結合ポリペプチド)と接触させる工程と、c)本明細書に記載の単一分析物法によって、複数の部分の各部分に対するポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を同定する工程と、を含む。
【0051】
本明細書に記載のいくつかの方法は、親和性剤結合プロファイルを利用して単一ポリペプチドを同定するポリペプチドアッセイ法によって例示される。そのような方法は、その非破壊的性質(すなわち、親和性剤結合プロファイルが得られた後、ポリペプチドは無傷のままである)のために有利であり得る。したがって、ポリペプチド同定情報は、非破壊プロテオミクスアッセイにおいてポリペプチド結合相互作用情報を得る前及び/又は後に得ることができる。しかし、本明細書に記載の他のプロテオーム法(例えば、バーコードに基づく親和性剤結合法、フルオロシーケンシング法、及びEdman型分解に基づく方法)を、本明細書に記載のポリペプチド相互作用法に適用してもよい。当業者は、破壊的プロテオーム法(例えば、Edman型分解ベースの方法)が、アッセイされた分析物からの質量(及び関連情報)の損失のために、方法工程の順序付けを必然的に制限することを容易に認識するであろう。例えば、配列決定されたポリペプチドからのアミノ酸の段階的除去のためにポリペプチドがフルオロ配列決定され、それにより配列決定されたポリペプチドのポリペプチド結合相互作用が変化する前に、ポリペプチド結合相互作用を同定する必要がある。
【0052】
一態様では、ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、リガンド結合ポリペプチドとポリペプチドの結合リガンドとを固体支持体の存在下で接触させることと、単一分析物分析能で固体支持体上のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することと、を含み、ポリペプチド結合相互作用が、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドへの結合を含む、方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、固体支持体の存在下でアルブミンとアルブミンの結合リガンドとを接触させることと、単一分析物分析能で固体支持体上のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することと、を含み、ポリペプチド結合相互作用がアルブミンの結合リガンドへのアルブミンの結合を含む、方法が本明細書で提供される。別の特定の実施形態では、ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、固体支持体の存在下でグロブリンとグロブリンの結合リガンドとを接触させることと、単一分析物分析能で固体支持体上のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することと、を含み、ポリペプチド結合相互作用が、グロブリンの候補結合リガンドへのグロブリンの結合を含む、方法が本明細書で提供される。当業者は、本明細書中に記載される方法が、アルブミン及びグロブリン以外のリガンド結合ポリペプチドに容易に拡張され得ることを容易に認識するであろう。
【0053】
リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間の結合相互作用を同定する、定量する、及び/又は特徴づける方法は、リガンド結合ポリペプチドを含む検出可能なプローブを結合リガンドのアレイと接触させることと、アレイ上の1又は複数のアドレスにおいて検出可能なプローブと結合リガンドとの間の結合相互作用の存在又は非存在を決定することと、を含み得る。いくつかの構成では、方法は、結合リガンドを含む検出可能なプローブを候補結合リガンドのアレイと接触させることを含み得る。これらの方法の特定の構成は、単一分析物のアレイを1又は複数の検出可能なプローブと接触させることによってアレイ上の1又は複数の単一分析物を同定することと、1又は複数の単一分析物と相互作用する1又は複数の検出可能なプローブの測定結果に基づいてアレイ上の1又は複数の単一分析物の同定を決定することと、を更に含み得る。これらの方法の他の特定の構成は、アレイを1又は複数の検出可能なプローブと接触させ、アレイ上の1又は複数のアドレスにおける結合相互作用の変化を決定することによって、結合相互作用の1又は複数の特徴(例えば、解離平衡定数、解離速度定数、会合速度定数等)を特徴づけることを更に含み得る。
【0054】
リガンド結合ポリペプチドを含む単一分析物のアレイベースの方法は、候補結合リガンドの大きなプールに対するリガンド結合ポリペプチドの結合特異性を特徴づけるために有用であり得る。アルブミン又はグロブリン等のリガンド結合ポリペプチドは、考えられる数千のポリペプチド及び非ポリペプチド種とポリペプチド結合相互作用を形成することができる。単一分析物アレイは、数十億のユニークな候補結合リガンドを想定して提供し、各ユニークな候補に対するポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を同定するためのプラットフォームを提供する。そのような方法は、低コピー数ポリペプチド間の相互作用を同定するのに特に有用であり得る。いくつかの場合では、単一分析物アレイに基づく方法を利用して、低コピー数バイオマーカー間の以前に未知のポリペプチド結合相互作用を同定することができる(例えば、癌バイオマーカー、糖尿病バイオマーカー等)。更に、単一分析物アレイに基づく方法を利用して、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドのバリアントとの間のポリペプチド結合相互作用の違いを同定することができる(例えば、ポリペプチドの変異型、医薬バリアント及び誘導体等)。更に、単一分析物アレイに基づく方法を利用して、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間に生じる弱い又は非特異的な相互作用を同定することができる。例えば、グロブリンは、典型的には限られた数の結合リガンドに対して結合特異性を有するが、グロブリンのバリアント(例えば、変異体、非定型翻訳後修飾等)は、グロブリンが利用可能な系の挙動に影響を及ぼす変化した結合特異性を有し得る。
【0055】
一態様では、ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、a)複数のポリペプチドを含むアレイを提供することであって、複数のポリペプチドの各ポリペプチドがアレイ上のアドレスに位置し、アレイの各アドレスがアレイ上の他のアドレスから光学的に分析可能である、ことと、b)アレイを複数の検出可能なプローブと接触させることであって、各検出可能なプローブがリガンド結合ポリペプチド及び検出可能な標識を含み、場合によりリガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含む、ことと、c)各アドレスで単一分析物分析能でポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することであって、ポリペプチド結合相互作用が、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブのポリペプチドの、アレイのポリペプチドへの結合を含む、ことと、を含む方法が本明細書で提供される。
【0056】
図1A~1Cは、ポリペプチド結合相互作用を検出する方法を示す。
図1Aに示すように、アレイが提供され、アレイは、固体支持体110と、単一分析物分析能で光学的に分析可能な複数のアドレス115とを含む。複数のアドレス115の各アドレスは、複数のポリペプチドのポリペプチド120にカップリングされている。固体支持体110を、場合により流体媒体内で、複数の検出可能なプローブと接触させる。複数の検出可能なプローブの各検出可能なプローブ130は、リガンド結合ポリペプチドと、検出可能なシグナルを生じ得る検出可能な標識135(例えば、フルオロフォア)とを含み得る。
図1Bに示されるように、複数の検出可能なプローブのうちの1又は複数の検出可能なプローブ130は、複数のポリペプチドのうちの1又は複数のポリペプチド120に結合し得る。
図1Cに示されるように、シグナル145は、検出可能な標識135によって、場合により励起源140(例えば、入射光)によって生成され得る。シグナル145の存在又は非存在は、固体支持体110上の複数のアドレス115の各アドレスで検出され得、それにより、検出可能なプローブ130のリガンド結合ポリペプチドと複数のポリペプチドのポリペプチド120との間のポリペプチド結合相互作用の複数のアドレス115の各アドレスでの存在又は非存在を示す。場合により、本明細書に記載の方法は、複数のアドレス115の各アドレスで各ポリペプチド120を同定することを更に含み得る。
【0057】
別の態様では、a)複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスがリガンド結合ポリペプチドを含み、アレイ上の各アドレスがアレイ上のアドレスから互いに分析可能であり、場合によりリガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含む、ことと、b)アレイを複数の結合実体(例えば、候補結合リガンド、複数のポリペプチド、複数の小分子、複数の非ポリペプチド生体分子、及び/又はそれらの組合せ)と接触させることと、c)単一分析物分析能で各アドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することであって、ポリペプチド結合相互作用が、複数の結合実体のうちの結合実体とリガンド結合ポリペプチドとの結合を含む、ことと、を含む方法が本明細書で提供される。
【0058】
上記方法の特定の実施形態では、アレイは、複数のリガンド結合ポリペプチドを含み得、複数のリガンド結合ポリペプチドはプロテオーム試料を含む。上記方法の別の特定の実施形態では、アレイを複数の結合実体と接触させることができ、複数の結合実体はプロテオーム試料を含む。いくつかの場合、複数のリガンド結合ポリペプチドを含むアレイを複数の結合実体と接触させることができ、複数のリガンド結合ポリペプチドは第1のプロテオーム試料を含み、複数の結合実体は第2のプロテオーム試料を含み、それにより、第1のプロテオーム試料のリガンド結合ポリペプチドと第2のプロテオーム試料の結合実体との間に結合相互作用が形成される。特定の場合において、第1のプロテオーム試料及び第2のプロテオーム試料はそれぞれ、同じ対象又は個体に由来し得る。別の特定の場合において、第1のプロテオーム試料は、第1の対象又は個体に由来し得、第2のプロテオーム試料は、第2の対象又は個体に由来し得る。例えば、アレイは、ヒト対象に由来する複数のポリペプチドを含み得、アレイをヒト対象の病原体(例えば、細菌、ウイルス、原生生物、真菌等)由来の複数のポリペプチドと接触させ得る。
【0059】
図20A~
図20Fは、第1のプロテオーム試料と第2のプロテオーム試料との間の結合相互作用を同定する方法を示す。
図20A~20Bは、ポリペプチドアレイの各ポリペプチドを同定する任意の方法を示す。
図20Aは、固体支持体2000及び複数の分析物結合部位を含むアレイを示し、各分析物結合部位は、第1のプロテオーム試料(それぞれ2011、2012、2013、2014、2015、2016)に由来する単一のポリペプチド分析物を含む。アレイを、第1のプロテオーム試料の1又は複数のポリペプチドに結合するように構成された複数の検出可能なプローブ2040と接触させる。
図20Bは、検出可能なプローブ2040が分析物2012及び2015に結合しており、それによってそれらの2つの分析物がカップリングされているアレイアドレスからの検出可能なシグナルの検出を可能にするアレイの構成を示す。場合により、
図20A~20Bの方法は、各分析物が同定され得るまで、異なる検出可能なプローブ2040の追加のサイクルで繰り返されてもよい。
図20Cは、第1のプロテオーム試料を含むアレイを、複数のポリペプチド(それぞれ2021、2022、2023、2024、2025)を含む第2のプロテオーム試料と接触させることを示す。
図20Dは、ポリペプチド2021がポリペプチド2012と結合相互作用を形成し、ポリペプチド2024がポリペプチド2014と結合相互作用を形成したアレイ構成を示す。場合により、ポリペプチドを架橋試薬と接触させて、ポリペプチド複合体を共有結合させてもよい。
図20Eは、架橋2030がポリペプチド2012と2021との間、及び2014と2024との間にそれぞれ形成されたアレイ構成を示す。アレイを、第1の又は第2のプロテオーム試料の1又は複数のポリペプチドに結合するように構成された複数の検出可能なプローブ2041と接触させる。
図20Fは、検出可能なプローブ2041がポリペプチド2021に結合し、それによってポリペプチド2012と同じアレイアドレスでの共局在化した分析物の検出を可能にするアレイ構成を示す。場合により、
図20E~20Fの方法は、第2のプロテオーム試料の各結合検体が同定され得るまで、異なる検出可能なプローブ2041の追加のサイクルで繰り返され得る。
【0060】
共局在化した結合相互作用を検出する方法、例えば、
図20A~20Fに示される方法は、アレイに結合した分析物とアレイ又は分析物をアレイにカップリングさせた連結部分との間の切断可能なリンカーの使用によって促進され得る。
図23A~
図23Hは、切断可能なリンカーを利用して、2つの分析物間の結合相互作用によって共局在化する2つの分析物を同定する方法を示す。
図23Aは、アレイアドレスに結合ポリペプチド分析物2330を含む固体支持体2300を示す。ポリペプチド分析物2330は、切断可能な基2322を有するリンカー2321を含む連結部分2320によって固体支持体にカップリングされる。連結部分2320はまた、カップリング基2325(例えば、共有結合性カップリング基、受容体-リガンド結合対のメンバー等)を含む第2の非占有リンカー2324を含む。場合により、アレイを、ポリペプチド分析物2330の同定を容易にするように構成された検出可能なプローブ2340と接触させる。
図23Bは、ポリペプチド分析物2330と結合した構成の検出可能なプローブ2340を示し、それによってアレイアドレスでポリペプチド分析物2330と共局在化したプローブ2340の検出を可能にする。場合により、
図23A~23Bの方法は、ポリペプチド分析物2330について同一性が決定されるまで繰り返してもよい。
図23Cは、アレイを、カップリング基2325に結合するように構成された相補的カップリング基2326で官能化された第2のポリペプチド分析物2331と接触させることを示す。
図20Dは、ポリペプチド分析物2330がポリペプチド分析物2331と結合相互作用を形成し、それによって両方の分析物を同じアレイアドレスに共局在化させるアレイ構成を示す。
図23Eは、カップリング基2325と相補的カップリング基2326との間にカップリング相互作用が生じ、それによってリンカー2324を介してポリペプチド分析物2331を連結部分に結合させる別のアレイ構成を示す。
図23Fは、切断可能な基2322を破壊することによる(例えば、酵素的、光分解的、化学的等)アレイアドレスからのポリペプチド分析物2330の分離を示す。
図23G及び
図23Hは、第1のポリペプチド分析物2330の放出後に第2のポリペプチド分析物を同定する方法を示す。
図23Gに示すように、アレイを、ポリペプチド分析物2331の同定を容易にするように構成された検出可能なプローブ2341と接触させる。
図23Hは、ポリペプチド分析物2331と結合した構成の検出可能なプローブ2341を示し、それによってアレイアドレスにおいてポリペプチド分析物2331と共局在化したプローブ2341の検出を可能にする。場合により、
図23G~23Hの方法は、ポリペプチド分析物2331について同一性が決定されるまで繰り返してもよい。
【0061】
図3A~3Hは、ポリペプチド結合相互作用を同定する方法を例示する。
図3Aに示すように、アレイが提供され、アレイは、固体支持体310と、単一分析物分析能で分析可能な複数のアドレス315とを含む。複数のアドレス315の各アドレスは、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの単一のリガンド結合ポリペプチド320を含む。アレイの固体支持体310を、各検出可能なプローブ330が検出可能な標識335を含む複数の検出可能なプローブと、場合により流体媒体内で、接触させる。複数の検出可能なプローブの各検出可能なプローブ330は、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチド320に対する結合特異性を含み得る。
図3Bに示されるように、1又は複数の検出可能なプローブ330は、リガンド結合ポリペプチド320によって結合され得る。固体支持体310上の複数のアドレス315の各アドレスにおける検出可能なプローブの存在又は非存在は、特定のアドレスにおける検出可能なプローブ上の検出可能な標識335によって生成されるシグナル345によって検出され得る。場合により、励起源340(例えば、光源)に応答してシグナルを生成することができる。場合により、リガンド結合ポリペプチド320に対する結合特異性を有する検出可能なプローブ330の結合の存在又は非存在の検出は、省略されてもよく、又は物理的測定における信頼性を高めるために繰り返されてもよい。場合により、1又は複数の検出可能なプローブ330は、リガンド結合ポリペプチド320とのポリペプチド結合相互作用から非結合であってもよい。
図3Cに示されるように、複数の結合実体(例えば、対象に由来するポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)を、場合により流体媒体内でアレイと接触させることができる。
図3Dに示されるように、1又は複数の結合実体350は、固体支持体310上の複数のアドレス315の特定のアドレスにおいて、リガンド結合ポリペプチド320とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。
図3E~3Fは、結合実体とのポリペプチド結合相互作用を形成していないアドレスを決定するための任意選択の工程を示す。
図3Eに示すように、第2の複数の検出可能なプローブは、場合により流体媒体内で、アレイと接触させることができる。
図3Fに示されるように、励起源340によって誘導されていてもよいシグナル345の存在は、検出可能なプローブ330とのポリペプチド結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチド320を有する各アドレスから検出され得る。同様に、シグナル345の非存在は、結合実体350とのポリペプチド結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチド320を有する各アドレスから検出され得る。
図3G~3Hは、複数のアドレス315の特定のアドレスにおいてリガンド結合ポリペプチド320とポリペプチド結合相互作用を形成する結合実体350を同定する任意の工程を示す。
図3Gは、場合によりリガンド結合ポリペプチド320に対する結合特異性の欠如を伴って、場合により流体媒体内で、複数の検出可能な親和性剤をアレイと接触させることを示す。
図3Hは、複数のアドレスのうちの1又は複数のアドレスにおける検出可能な親和性剤360と結合実体350とのカップリングを示す。検出可能な親和性剤360と結合実体350とのカップリングの存在又は非存在は、複数のアドレス315の各アドレスで検出可能な親和性剤360からの、励起源344によって誘導されていてもよいシグナル349の存在又は非存在を検出することによって検出され得る。場合により、方法は、場合により異なる結合特異性を有する検出可能な親和性剤を含む、更なる複数の検出可能な親和性剤を含む、
図3G~
図3Hの手順を繰り返すことを更に含んでもよい場合により、方法は、1又は複数の検出可能な親和性剤の検出された結合プロファイルに基づいて、複数のアドレス315の特定のアドレスにおいて結合実体350を同定することを更に含み得る。場合により、方法は、
図3Bに示される工程中にシグナル345の存在が検出されたアドレスのサブセットにおける結合実体350の同定を除外することを更に含み得る。
【0062】
いくつかの場合、本明細書に記載の方法は、異常な又は予想外のポリペプチド結合相互作用を同定及び/又は特徴づけることを含み得る。例えば、異常なポリペプチド結合相互作用が、アレイカップリングされたリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間で、リガンド結合ポリペプチド又は結合リガンドの非典型的な翻訳後修飾に起因して生じ得る。いくつかの場合では、方法は、a)単一分析物アレイのアドレスにおいて異常なポリペプチド結合相互作用の存在を検出する工程と、b)単一分析物アレイのアドレスにおいて異常なポリペプチド結合相互作用を形成する少なくとも1つの結合実体を特徴づける工程と、のうちの1又は複数を含み得る。いくつかの場合では、異常なポリペプチド結合相互作用を形成する少なくとも1つの結合実体を特徴づけることは、a)少なくとも1つの結合実体を複数の親和性剤と接触させる工程と、b)複数の親和性剤のうちの親和性剤の少なくとも1つの結合実体への結合の存在又は非存在を検出する工程と、c)複数の親和性剤の親和性剤の結合の検出された存在又は非存在に基づいて、少なくとも1つの結合実体を特徴づける工程と、1又は複数の工程を含み得る。
【0063】
図4A~4Fは、複数のリガンド結合ポリペプチドを含むアレイを利用してポリペプチド結合相互作用を同定する更なる実施形態を例示する。
図4A~4Bは、第1の複数のリガンド結合ポリペプチドと第2の複数のリガンド結合ポリペプチド(例えば、第1のリガンド結合ポリペプチドの変異体、リガンド結合ポリペプチドの修飾バージョン等)との間の結合を比較する方法を示す。
図4Aは、第1の複数のアドレス415及び第2の複数のアドレスを含む固体支持体410を含むアレイの第1の構成を示し、第1の及び第2の複数のアドレス415及び417の各アドレスは、単一分析物分析能で分析可能である。第1の複数のアドレス415の各アドレスは、複数の第1のリガンド結合ポリペプチドのうちの単一の第1のリガンド結合ポリペプチド420を含む。第2の複数のアドレス417の各アドレスは、複数の第2のリガンド結合ポリペプチドのうちの単一の第2のリガンド結合ポリペプチド422を含む。場合により、第1の複数のアドレス415は、第2の複数のアドレス417から流体的に分離されてもよい。複数の結合実体(例えば、対象に由来するポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)を、場合により流体媒体内で、第1の複数のアドレス415及び第2の複数のアドレス417と接触させることができる。
図4Bは、アレイの第2の構成を示す。複数の結合実体のうちの1又は複数の結合実体430は、第1の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1又は複数の第1のリガンド結合ポリペプチド420とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。同様に、複数の結合実体のうちの1又は複数の結合実体430は、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1又は複数の第2のリガンド結合ポリペプチド422とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。第1の構成及び第2の構成は、
図3A~3Hに示す方法等、本明細書に記載の方法によって区別することができる。
【0064】
図4C~4Dは、複数のリガンド結合ポリペプチドについてのポリペプチド結合相互作用の差異を、第1の複数の結合実体(例えば、ポリペプチド結合実体、非ポリペプチド結合実体等)及び第2の複数の結合実体(例えば、ポリペプチド結合実体の変異体、ポリペプチド結合実体の修飾バージョン、非ポリペプチド結合実体の化学的に置換されたバリアント等)と比較する方法を示す。
図4Cは、第1の複数のアドレス415及び第2の複数のアドレスを含む固体支持体410を含むアレイの第1の構成を示し、第1の及び第2の複数のアドレス415及び417の各アドレスは、単一分析物分析能で分析可能である。第1の及び第2の複数のアドレス415及び417の各アドレスは、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチド420を含む。場合により、第1の複数のアドレス415は、第2の複数のアドレス417から流体的に分離されてもよい。第1の複数の結合実体(例えば、対象に由来するポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)を、第1の複数のアドレス415と接触させてもよく、第2の複数の結合実体を、第2の複数のアドレス417と、場合により流体媒体内で接触させてもよく、第1の複数の結合実体は第2の複数の結合実体とは異なる。
図4Dは、アレイの第2の構成を示す。第1の複数の結合実体のうちの1又は複数の結合実体430は、第1の複数のアドレスにおいて、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド420とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。同様に、第2の複数の結合実体のうちの1又は複数の結合実体432は、第2の複数のアドレス417において、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド420とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。第1の構成及び第2の構成は、
図3A~3Hに示す方法等、本明細書に記載の方法によって区別することができる。
【0065】
図4E~4Fは、複数のリガンド結合ポリペプチドについてのポリペプチド結合相互作用の差異を、均一な複数の結合実体(例えば、ポリペプチド結合実体、非ポリペプチド結合実体等)及び不均一な複数の結合実体(例えば、ポリペプチド結合実体と非ポリペプチド結合実体との混合物)と比較する方法を示す。
図4Eは、第1の複数のアドレス415及び第2の複数のアドレスを含む固体支持体410を含むアレイの第1の構成を示し、第1の及び第2の複数のアドレス415及び417の各アドレスは、単一分析物分析能で分析可能である。第1の及び第2の複数のアドレス415及び417の各アドレスは、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチド420を含む。場合により、第1の複数のアドレス415は、第2の複数のアドレス417から流体的に分離されてもよい。第1の結合実体430(例えば、対象に由来するポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)を含む均一な複数の結合実体を、第1の複数のアドレス415と接触させてもよく、第1の結合実体430及び第2の結合実体434を含む不均一な複数の結合実体を、第2の複数のアドレス417と、場合により流体媒体内で接触させてもよい。
図4Fは、アレイの第2の構成を示す。均一な複数の結合実体のうちの1又は複数の結合実体430は、第1の複数のアドレス415において、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド420とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。同様に、異種の複数の結合実体のうちの1又は複数の第1の結合実体430及び1又は複数の第2の結合実体434は、第2の複数のアドレス417において、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド420とポリペプチド結合相互作用を形成し得る。第1の構成及び第2の構成は、
図3A~3Hに示す方法等、本明細書に記載の方法によって区別することができる。
【0066】
本明細書に記載の方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを形成及び/又は提供することを含み得る。いくつかの場合では、方法は、アレイ上のポリペプチドの少なくとも1つ、一部又は全部の同一性が未知である複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得る。いくつかの場合では、方法は、アレイ上のポリペプチドの少なくとも1つ、一部又は全部の同一性が既知である複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得る。いくつかの場合、方法は、1又は複数のアドレスで複数のポリペプチドのポリペプチドを同定することを更に含み得る。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドを含む。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドを含まない。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドに対する複数の候補結合リガンドを含む。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドの既知の及び/又は特徴づけられた結合リガンドを含む。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドの既知の及び/又は特徴づけられた結合リガンドのバリアントを含む。いくつかの場合、既知及び/又は特徴づけられたポリペプチド結合リガンドのバリアントは、天然及び/又は操作された変異を含み得る。いくつかの場合、既知及び/又は特徴づけられたポリペプチド結合リガンドのバリアントは、結合リガンドの化学修飾(例えば、メチル化、ユビキチン化、リン酸化等)を含み得る。いくつかの場合、既知及び/又は特徴づけられた非ポリペプチド結合リガンドのバリアントは、結合リガンドの化学修飾(例えば、メチル化、カルボキシル化、リン酸化等)を含み得る。いくつかの場合、既知及び/又は特徴づけられた非ポリペプチド結合リガンドのバリアントは、リガンド結合ポリペプチドに対する1又は複数の結合特徴に関して特徴づけられない場合がある。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドの既知の及び/又は特徴づけられた結合リガンド並びに既知の及び/又は特徴づけられた結合リガンドのバリアントを含む。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、対象に由来する及び/又は対象から抽出されたポリペプチド(例えば、ヒト、家畜、非家畜、植物、真菌、細菌、原生動物、ウイルス、古細菌)を含む。いくつかの場合、方法は、複数のポリペプチドを含むアレイを提供することを含み得、複数のポリペプチドは、対象に由来する又は対象から抽出された試料由来のポリペプチド(例えば、血液、脳脊髄液、滑液、尿、涙、粘液、組織試料等の試料)を含む。
【0067】
本明細書に記載の方法、組成物又はシステムは、一連の結合標的と接触する検出可能なプローブを利用し得る。検出可能なプローブは、1又は複数の特性に基づいて特定の方法のために選択されてもよく、この特性には、1)流体媒体への溶解度、2)流体媒体中での安定性、3)標的に対する結合親和性(例えば、結合解離定数、会合速度定数、解離速度定数等)、4)標的に対する結合アビディティー、5)検出可能なシグナルの強度又は大きさ、6)検出可能なシグナルの安定性及び/又は持続時間が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの構成において、検出可能なプローブは、結合実体(例えば、親和性試薬、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)に直接カップリングされた検出可能な標識を含み得る。検出可能な標識は、例えば、検出可能な標識と化学的実体との直接のコンジュゲーション(例えば、アミン反応性フルオロフォアとポリペプチドとの反応)又は検出可能な標識と結合実体とのリンカー(例えば、二官能性リンカー、核酸リンカー等)による付着によって、結合実体にカップリングされ得る。
【0068】
いくつかの構成では、検出可能なプローブは、a)保持構成要素、b)保持構成要素にカップリングされた1又は複数の結合実体(例えば、親和性試薬、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)、c)保持構成要素にカップリングされた1又は複数の検出可能な標識を含み得る。特定の構成では、検出可能なプローブは、a)保持構成要素、b)保持構成要素にカップリングされた2以上の結合実体(例えば、親和性試薬、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)、c)保持構成要素にカップリングされた1又は複数の検出可能な標識を含み得る。そのような構成は、2以上の結合実体と結合標的(例えば、結合リガンド、リガンド結合ポリペプチド)との間の潜在的な結合活性効果の増加のために特に有利であり得る。保持構成要素は、1)1又は複数の結合実体及び1又は複数の検出可能な標識のための複数のカップリング部位を提供することと、2)1又は複数の結合実体及び1又は複数の検出可能な標識の調整可能な間隔又は配向を提供することと、のうちの1又は複数に基づいて、検出可能なプローブのために選択され得る。いくつかの構成では、保持構成要素は、構造化核酸粒子(SNAP)又はナノ粒子を含み得る。SNAPは、核酸オリガミ又は核酸ナノボールを含み得る。ナノ粒子は、蛍光標識ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、デンドリマー、分岐ポリマー、又は量子ドットを含み得る。
【0069】
2A~2Cは、結合実体を含む検出可能なプローブの様々な構成を示す。
図2Aは、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、ポリペプチド結合リガンド等)を示す。210は、場合によりリンカー215(例えば、炭化水素鎖)を介して、1又は複数の検出可能な標識220(例えば、フルオロフォア)にカップリングされている。
図2Bは、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、ポリペプチド結合リガンド等)を示す。210は、一対の相補的オリゴヌクレオチドを含む核酸リンカー217によって、1又は複数の検出可能な標識220にカップリングされている。
図2Cは、1又は複数の結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、ポリペプチド結合リガンド等)210及び1又は複数の検出可能な標識220にカップリングした保持構成要素230(例えば、構造化核酸粒子、ナノ粒子)を含む検出可能なプローブを示す。当業者は、開示された検出可能なプローブ構成及びその変形が、ポリペプチド及び非ポリペプチド結合リガンドを含む任意の有用な結合実体を含む検出可能なプローブを産生するように適合され得ることを容易に認識するであろう。
【0070】
本明細書に記載のリガンド結合ポリペプチドの単一分析物アレイを利用する方法は、単一分子分析能で各アドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程を含み得る。アレイ上のアドレスにおけるポリペプチド結合相互作用は、例えば、1)リガンド結合ポリペプチドの結合部位の非存在を検出することと、2)例えば、未結合状態で埋もれているリガンド結合ポリペプチドエピトープの存在によって示されるような、結合リガンドの結合に関連するリガンド結合ポリペプチドにおける立体構造変化の存在を検出することと、及び/又は3)結合リガンドと会合しているがリガンド結合ポリペプチドとは会合していない化学構造(例えば、1又は複数の官能基、又はポリペプチドエピトープ)の存在を検出するとことと、を含む、いくつかの様式で決定され得る。いくつかの場合、ポリペプチド結合相互作用は、ポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在の証拠を独立して提供する2以上の測定によって決定され得る。例えば、リガンド結合ポリペプチドとポリペプチド結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用は、リガンド結合ポリペプチドの結合部位に結合する親和性剤の結合が検出されず、リガンド結合ポリペプチドに存在しないエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤の結合が検出されることによって証明され得る。
【0071】
リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用は、ポリペプチド複合体の形成及びその後の固体支持体上のポリペプチド複合体の単一分析物分析能での検出によって検出され得る。ポリペプチド複合体は、1又は複数の結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含み得る。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにポリペプチド複合体を含むアレイを形成する前に、ポリペプチド複合体を形成することができる。例えば、インスリンペプチドにカップリングされたアルブミンポリペプチドを含むポリペプチド複合体を血液試料から抽出し、次いで、ポリペプチド複合体を固体支持体上のアドレスに堆積させることができる。別の例では、対象から抽出されたリガンド結合ポリペプチドを、抽出後にそのリガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドと組み合わせてポリペプチド複合体を形成し得、次いで、そのポリペプチド複合体を固体支持体上のアドレスに沈着させ得る。他の場合では、ポリペプチド複合体は、単一分析物アレイ上に形成され得る。例えば、複数のリガンド結合ポリペプチドを含むアレイを1又は複数の結合リガンドと接触させて、アレイ上の1又は複数のアドレスに1又は複数のポリペプチド複合体を形成することができる。本明細書に記載の方法は、ポリペプチド複合体を安定化する工程を含み得る。いくつかの場合、ポリペプチド複合体の安定化は、リガンド結合ポリペプチドをリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドに架橋することを含み得る。架橋は、ジメチルスベリミデート、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、又はホルムアルデヒドの使用等の任意の適切な方法及び/又は試薬によって行われ得る。他の場合では、ポリペプチド複合体を安定化することは、ポリペプチド複合体を、適切な塩又は緩衝液等の安定化培地と接触させることを含み得る。
【0072】
図21は、ポリペプチド結合相互作用を検出するための方法を示す。最初に、ポリペプチド2110及び2111を含むポリペプチド複合体が形成される(例えば、インビボ、インビトロ等)。続いて、ポリペプチド複合体は、分子鎖2120と、分子鎖2120にカップリングした複数の検出可能な標識2125とを含む架橋剤によって架橋される。分子鎖2120は、ポリペプチド複合体を別々のポリペプチドに解離させるのに十分な長さである。架橋後、ポリペプチド2110及び2111はそれぞれ異なる連結部分2130に結合し、各連結部分2130はポリペプチドをアレイの分析物結合部位にカップリングするように構成される。ポリペプチドは、各ポリペプチドがアレイ上の別個の分析物結合部位に堆積され得るように解離される。続いて、連結部分2130を固体支持体2100上の分析物結合部位2101又は2102にカップリングすることによって、固体支持体2100を含むアレイ上にポリペプチドを堆積させる。ポリペプチド2110は、分析物結合部位2101に対応するアレイアドレスに局在し、ポリペプチド2111は、分析物結合部位2102に対応するアレイアドレスに局在する。分子鎖2120は、架橋ポリペプチド複合体からのポリペプチドを含むものとして分析物結合部位2101及び2102を同定する検出可能な標識2125からの検出可能なシグナルを提供する。
図22は、
図21の方法による、架橋ポリペプチドを含む関連する分析物結合部位を強調する検出可能なトレース2210を有する結合部位2201を含むアレイ2200の上面図を示す。
【0073】
ポリペプチド結合相互作用を検出するための単一分析物アレイベースの方法は、ポリペプチド複合体を特徴づけるために有用であり得る。本明細書で提供される方法は、アレイ上に直接インタクトなポリペプチド複合体を堆積させるか、又はアレイ上に結合実体を堆積させ、続いて以前に堆積した結合実体を含むポリペプチド複合体を形成することを可能にする。両方のアプローチは、有用な生物学的情報を提供し得る。アレイ上でのポリペプチド複合体形成は、リガンド結合ポリペプチドと候補結合リガンドとの間の潜在的ポリペプチド結合相互作用の迅速で広範な分析を可能にし得る。例えば、結合特異性が増強されたバリアントを見出すために、数百万又は数十億のポリペプチド又は非ポリペプチドバリアントに対してアルブミン又はグロブリンをスクリーニングすることができる。対照的に、沈着前複合体化は、どのポリペプチド結合相互作用が生体系で起こりやすいかを提供し得る。例えば、アルブミンは、アレイベースのシステム上でin situで特定の種に結合し得るが、アルブミンと特定の種との間の複合体化は、低い結合親和性又は他の結合リガンドとの競合効果のために、対象から収集された試料に関与し得ない。更に、単一分析物、アレイベースの方法は、ポリペプチド複合体を捕捉し、次いで、低コピー数の結合リガンドを含む結合リガンドを同定及び/又は定量するためのプラットフォームを提供する。例えば、アルブミンに結合する低コピー数バイオマーカー(例えば、疾患バイオマーカー)は、低コピー数相互作用がより高い頻度の結合相互作用のデータノイズで失われるので、従来の分析(例えば、質量分析)によって血液試料では検出不可能であり得る。本明細書で提供される方法は、低コピー数種とのポリペプチド結合相互作用を同定するための、並びにポリペプチド複合体の安定性を破壊する潜在的な競合的相互作用又は解離的相互作用を同定するための高感度、非破壊的及び/又は非破壊的アプローチを提供し得る。
【0074】
一態様では、a)複数のポリペプチド複合体を含むアレイを提供することであって、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体が結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含み、アレイが複数のアドレスを含み、複数のアドレスの各アドレスが単一分析物分析能で分析可能であり、各ポリペプチド複合体が複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、場合により、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含む、ことと、b)アレイを複数の検出可能なプローブと接触させることであって、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブがポリペプチド複合体に対する結合特異性を含む、ことと、c)複数のアドレスの各アドレスにおける複数のポリペプチド複合体のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することであって、複数のポリペプチド複合体のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することが、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブからのシグナルを検出することと、を含む方法が本明細書で提供される。ポリペプチド複合体に対する結合特異性を有する検出可能なプローブは、本明細書に記載の検出可能なプローブ及び/又は親和性剤を含み得る。例えば、ポリペプチド複合体を検出するための検出可能なプローブは、リガンド結合ポリペプチドの結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤を含み得る。そのような場合、検出可能なプローブ結合が存在しないことは、ポリペプチド複合体が存在する証拠であり得る。別の例では、ポリペプチド複合体を検出するための検出可能なプローブは、結合リガンドに関連するがリガンド結合ポリペプチドに関連しないエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤を含み得る。そのような場合、検出可能なプローブ結合の存在は、ポリペプチド複合体が存在する証拠であり得る。
【0075】
図12A~
図12Cは、複数のポリペプチド複合体を固体支持体上に直接堆積させることによって、ポリペプチド複合体の単一分析物アレイを形成する方法を示す。
図12Aは、複数のアドレス1215を含む固体支持体1210を含むアレイを示す。各アドレスは、場合により複数のアドレス1215の各アドレスにカップリングされたリンカー1220を介して、ポリペプチド複合体にカップリングされる。複数のポリペプチド複合体1240を、場合により流体媒体内で固体支持体1210と接触させ、各ポリペプチド複合体は、結合リガンド1230とのポリペプチド結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチド1240を含む。
図12Bに示すように、複数のアドレス1215の各アドレスは、場合によりリンカー1220を介して単一のポリペプチド複合体にカップリングしている。複数の検出可能な親和性剤を、場合により流体媒体内で固体支持体1210と接触させ、この場合、複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤1250は、リガンド結合ポリペプチド1240に対する結合特異性の欠如を含む。
図12Cに示されるように、1又は複数の検出可能な親和性剤1250は、1又は複数の結合リガンド1230にカップリングされている。複数のアドレス1215の各アドレスにおける検出可能な親和性剤1250の存在又は非存在は、各アドレスにおけるシグナル1265の存在又は非存在を検出することによって測定され得る。シグナル1265は、場合により、励起源1260(例えば、光源)によって誘導されていてもよい。場合により、方法は、アレイを検出可能な親和性剤と接触させ、各アドレスにおける結合の存在又は非存在を検出する更なるサイクルを更に含み得る。場合により、方法は、1又は複数の検出可能な親和性剤の測定された結合プロファイルに基づいて、複数のアドレス1215のうちの1又は複数のアドレスにおいて1又は複数の結合リガンド1230を同定することを更に含み得る。
【0076】
本明細書に記載の方法は、異種の複数のポリペプチドを固体支持体にカップリングする前にポリペプチド複合体を破壊する工程を含み得、ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド及びポリペプチド結合リガンドを含み、異種の複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチド及びポリペプチド結合リガンドを含む。例えば、ポリペプチド複合体を破壊して、本明細書に記載のいくつかの方法において結合リガンドを検出及び/又は同定する可能性を高めることが有利であり得る。別の例では、競合的結合法の間に形成された遊離ポリペプチド複合体は、第1のアレイから除去された液相に捕捉され得、次いで、複合体は、更なる分析のために遊離ポリペプチド複合体の各成分を第2のアレイにカップリングする前に破壊され得る。いくつかの場合、ポリペプチド複合体を破壊することは、ポリペプチド複合体を変性させることを含み得る。ポリペプチド複合体の変性は、ポリペプチド複合体を変性剤(例えば、尿素、塩化グアニジニウム、トリクロロ酢酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ジチオスレイトール等)を含む流体媒体と接触させること、又はポリペプチド複合体を加熱することによって起こり得る。他の場合では、ポリペプチド複合体の破壊は、a)ポリペプチド複合体を競合結合リガンドと接触させる工程であって、競合結合リガンドがリガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドである工程と、b)競合的結合リガンドをリガンド結合ポリペプチドにカップリングさせ、それにより、ポリペプチド結合リガンドを放出させる工程と、を含み得る。いくつかの場合、競合的結合リガンドは、非ポリペプチド分子を含み得る。
【0077】
本開示の方法は、競合的結合を検出及び/又は測定して、リガンド結合ポリペプチドのポリペプチド結合相互作用を特徴づけることができる。競合的結合方法は、第1の結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)と、2種以上の第2の結合実体(例えば、2つの異なるリガンド結合ポリペプチド、2つの異なる結合リガンド等)の第2の結合実体との間にポリペプチド結合相互作用を形成することを含み、第1の結合実体は、2種以上の第2の結合実体の各結合実体とポリペプチド結合相互作用を形成する機会を有することを特徴とし得る。競合的結合方法は、競合体の種類、結合競合の種類、及びアッセイ配列方法に従って変化し得る。表Iは、競合的結合法のバリエーション間の違いを示す。各競合結合法は、競合型(すなわち、ポリペプチド結合相互作用に関与するように競合する結合実体の異なる種)、結合競合型(すなわち、ポリペプチド結合相互作用の形成又は破壊)、及びアッセイ配列決定(すなわち、ポリペプチド結合相互作用に関与するためのアッセイに提供される結合競合体のタイミング)によって区別され得る。
【表1】
【0078】
図16A~16Hは、表Iに示されるような競合的結合方法のバリエーションを示す。
図16Aは、リガンド結合ポリペプチド競合体及び同時競合を用いた建設的競合的結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、カップリングした結合リガンド1630を含むアドレス1615を含み得る。固体支持体1610を、第1のリガンド結合ポリペプチド1620及び第2のリガンド結合ポリペプチド1622と同時に接触させることができる。単一分析物アレイをリガンド結合ポリペプチドと接触させた後、ポリペプチド結合相互作用、例えば、結合リガンド1630と第2のリガンド結合ポリペプチド1622との間の相互作用が検出され得る。
図16Bは、リガンド結合ポリペプチド競合体及び同時競合による破壊的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、各アドレスがカップリングした結合リガンド1630を含む2以上のアドレス1615を含み得る。第1のリガンド結合ポリペプチド1620は、アドレス1615において結合リガンド1630に結合し得、第2のリガンド結合ポリペプチド1622は、異なるアドレス1615において結合リガンド1630に結合し得る。固体支持体は、第2のリガンド結合ポリペプチド1622の解離を引き起こすが第1のリガンド結合ポリペプチド1620の解離を引き起こさない異なる環境条件Δ(例えば、温度変化、変更された流体組成等)にさらされてもよい。
図16Cは、リガンド結合ポリペプチド競合体及び逐次競合による建設的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、カップリングした結合リガンド1630を含むアドレス1615を含み得る。リガンド結合ポリペプチドを固体支持体1610に接触させ、結合リガンド1630と第1のリガンド結合ポリペプチド1620との間の第1のポリペプチド結合相互作用の形成を促進することができる。続いて、第2のリガンド結合ポリペプチド1622を固体支持体1610と接触させてもよく、これにより、第1のポリペプチド結合相互作用が破壊され、結合リガンド1630と第2のリガンド結合ポリペプチド1622との間に第2のポリペプチド結合相互作用が形成される可能性がある。
図16Dは、リガンド結合ポリペプチド競合体及び逐次競合を用いた破壊的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、各アドレスがカップリングした結合リガンド1630を含む2以上のアドレス1615を含み得る。固体支持体は、第2のリガンド結合ポリペプチド1622の解離を引き起こすが第1のリガンド結合ポリペプチド1620の解離を引き起こさない第1の異なる環境条件Δ
1(例えば、温度変化、変更された流体組成等)にさらされてもよい。続いて、固体支持体を、第1のリガンド結合ポリペプチド1620の解離を引き起こす第2の異なる環境条件Δ
2に曝露することができる。
【0079】
図16Eは、結合リガンド競合体及び同時競合を用いた建設的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、カップリングされたリガンド結合ポリペプチド1620を含有するアドレス1615を含み得る。固体支持体1610を、第1の結合リガンド1630及び第2の結合リガンド1632と同時に接触させてもよい。単一分析物アレイを結合リガンドと接触させた後、ポリペプチド結合相互作用、例えば、第2の結合リガンド1632とリガンド結合ポリペプチド1620との間の相互作用が検出され得る。
図16Fは、結合リガンド競合体及び同時競合による破壊的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、各アドレスがカップリングされたリガンド結合ポリペプチド1620を含有する2以上のアドレス1615を含み得る。第1の結合リガンド1630は、アドレス1615においてリガンド結合ポリペプチド1620に結合し得、第2の結合リガンド1632は、異なるアドレス1615においてリガンド結合ポリペプチド1620に結合し得る。固体支持体は、第2のリガンド結合ポリペプチド1632ではなく第1の結合リガンド1630の解離を引き起こす異なる環境条件Δ(例えば、温度変化、変更された流体組成等)にさらされてもよい。
図16Gは、結合リガンド競合体及び逐次競合を用いた建設的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、カップリングされたリガンド結合ポリペプチド1620を含有するアドレス1615を含み得る。第1の結合リガンド1630を固体支持体1610に接触させ、結合リガンド1630とリガンド結合ポリペプチド1620との間の第1のポリペプチド結合相互作用の形成を促進することができる。続いて、第2の結合リガンド1632を固体支持体1610と接触させることができ、第1のポリペプチド結合相互作用の破壊、及び第2の結合リガンド1632とリガンド結合ポリペプチド1620との間の第2のポリペプチド結合相互作用の形成を引き起こす可能性がある。
図16Hは、リガンド結合ポリペプチド競合体及び逐次競合を用いた破壊的競合結合アッセイを示す。固体支持体1610を含む単一分析物アレイは、各アドレスがカップリングされたリガンド結合ポリペプチド1620を含有する2以上のアドレス1615を含み得る。固体支持体は、第2の結合リガンド1632ではなく第1の結合リガンド1630の解離を引き起こす第1の異なる環境条件Δ
1(例えば、温度変化、変更された流体組成等)に曝露され得る。続いて、固体支持体を、第2の結合リガンド1632の解離を引き起こす第2の異なる環境条件Δ
2にさらすことができる。当業者は、上記の競合的結合方法が、3つ以上の結合競合体の存在を含む多数の様式で配置され得ることを容易に認識するであろう。
【0080】
図11A~11Iは、競合結合アッセイによってポリペプチド複合体の解離を検出する方法を例示する。
図11Aは、複数のアドレス1115を含む固体支持体1110を含むアレイを示す。複数のアドレス1115の各アドレスは、単一のリガンド結合ポリペプチド1120にカップリングされる。複数の検出可能なプローブを、場合により流体媒体内で固体支持体1110と接触させ、この場合、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブ1130は、リガンド結合ポリペプチド1120に対する結合特異性を含む。
図11Bは、複数のアドレス1115のうちの1又は複数のアドレスにおいてリガンド結合ポリペプチド1120にカップリングされた1又は複数の検出可能なプローブ1130を示す。検出可能なプローブ1130の存在又は非存在は、検出可能なプローブ1130によって生成されたシグナル1145を検出することによって、複数のアドレス1115の各アドレスで決定される。場合により、シグナル1145は、励起源1140(例えば、光源)によって誘導される。
図11Cは、場合により流体媒体内で、固体支持体1110と接触している複数の結合リガンドを示す。
図11Dは、結合リガンド1150とのポリペプチド結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチド1120を含むポリペプチド複合体を含有する1又は複数のアドレスを含むアレイを示す。複数の検出可能なプローブを、場合により流体媒体内で固体支持体1110と接触させ、この場合、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブ1130は、リガンド結合ポリペプチド1120に対する結合特異性を含む。1又は複数のアドレスにおける結合リガンド1150の存在により、1又は複数のアドレスにおける検出可能なプローブ1130の結合が阻害される。
図11Eは、複数のアドレス1115の各アドレスにおける検出可能なプローブ1130の存在又は非存在の検出を示す。任意の励起場1140が提供されるが、ポリペプチド複合体を含むアドレスからのシグナルは検出されない。
図11Fに示されるように、複数の遊離リガンド結合ポリペプチドを固体支持体1110と接触させる。
図11Gに示されるように、1又は複数の遊離ポリペプチド複合体は、1又は複数のアレイベースのポリペプチド複合体から結合リガンド1150を解離することによって形成され、各遊離ポリペプチド複合体は、結合リガンド1150とポリペプチド結合相互作用を形成する遊離リガンド結合ポリペプチド1122を含む。
図11Hに示されるように、複数の検出可能なプローブが、場合により流体媒体内で固体支持体1110と接触させられ、この場合、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブ1130は、リガンド結合ポリペプチド1120に対する結合特異性を含む。
図11Iは、複数のアドレス1115のうちの1又は複数のアドレスにおいてリガンド結合ポリペプチド1120にカップリングされた1又は複数の検出可能なプローブ1130を示す。検出可能なプローブ1130の存在又は非存在は、検出可能なプローブ1130によって生成されたシグナル1145を検出することによって、複数のアドレス1115の各アドレスで決定される。場合により、シグナル1145は、励起源1140(例えば、光源)によって誘導される。検出可能なプローブからのシグナル1145の存在又は非存在の交互パターンを利用して、単一分析物アレイ上でのポリペプチド複合体の形成及び解離を決定することができる。
【0081】
別の態様では、a)複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスは、カップリングされたポリペプチド複合体を含み、各アドレスは、互いのアドレスから分析可能であり、各カップリングされたポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチドと、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドとを含む、ことと、b)複数のアドレスの各アドレスにおけるカップリングされたポリペプチド複合体の存在又は非存在を検出する工程;c)アレイを複数の遊離リガンド結合ポリペプチドと接触させ、それにより、複数の結合リガンドのうちの少なくとも1つの結合リガンドを、カップリングされたポリペプチド複合体から遊離リガンド結合ポリペプチドに転移させることと、d)場合により、複数のアドレスのうちの1又は複数のアドレスにおける結合リガンドの非存在を検出することと、を含む競合的結合方法が本明細書で提供される。
【0082】
別の態様では、競合的結合方法であって、a)複数の結合リガンドを含むアレイを提供することであって、複数の結合リガンドの各結合リガンドがアレイ上のアドレスに位置し、アレイの各アドレスが単一分析物分析能でアレイ上の互いのアドレスから分析可能である、ことと、b)アレイを、第1の複数のリガンド結合ポリペプチド及び第2の複数のリガンド結合ポリペプチドを含む混合物と接触させることであって、第1の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1つのリガンド結合ポリペプチドが第1の結合特異性を含み、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1つのリガンド結合ポリペプチドが第2の結合特異性を含む、ことと、c)第1のアドレスで第1のポリペプチド複合体を形成し、場合により、第2のポリペプチド複合体を形成することであって、第1のポリペプチド複合体が、第1の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを含み、第2のポリペプチド複合体が、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを含む、ことと、d)第1のポリペプチド複合体を含む第1のアドレスを同定することであって、e)第1のアドレス以外の各アドレスにおける第1のポリペプチド複合体又は第2のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することと、を含む、競合的結合方法が本明細書で提供される。
【0083】
別の態様において、競合的結合方法であって、a)複数のリガンド結合ポリペプチドを含むアレイを提供することであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドがアレイ上のあるアドレスに位置し、アレイの各アドレスが、単一分析物分析能でアレイ上の互いのアドレスから分析可能である、ことと、b)アレイを、第1の複数の結合リガンド及び第2の複数の結合リガンドを含む混合物と接触させることであって、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、第1の複数の結合リガンドのうちの結合リガンドに対する第1の結合親和性を含み、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、第2の複数の結合リガンドのうちの結合リガンドに対する第2の結合親和性を含む、ことと、c)第1のアドレスで第1のポリペプチド複合体を形成し、場合により、第2のアドレスで第2のポリペプチド複合体を形成することであって、第1のポリペプチド複合体が、第1の複数の結合リガンドの結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含み、第2のポリペプチド複合体が、第2の複数の結合リガンドの結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含む、ことと、d)第1のポリペプチド複合体を含む第1のアドレスを同定することと、e)第1のアドレス以外の各アドレスにおける第1のポリペプチド複合体又は第2のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することと、を含む、競合的結合方法が本明細書で提供される。
【0084】
別の態様では、競合的結合方法であって、a)複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスは、カップリングされた第1のポリペプチド複合体を含み、各アドレスは、単一分析物分析能で互いから分析可能であり、各第1のポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチドと、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドとを含み、リガンド結合ポリペプチドは、結合リガンドに対する第1の結合親和性を含む、ことと、b)アレイを複数の遊離結合リガンドと接触させることであって、遊離結合リガンドが結合リガンドとは異なる化学構造を含み、リガンド結合ポリペプチドが遊離結合リガンドに対する第2の結合親和性を含む、ことと、c)結合リガンドを遊離結合リガンドと交換することによって、1又は複数の第2のポリペプチド複合体を形成することであって、1又は複数の第2のポリペプチド複合体の第2のポリペプチド複合体が、遊離結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含む、ことと、d)アレイ上の各アドレスにおける第2のポリペプチド複合体の存在又は非存在を検出することと、を含む、競合的結合方法が本明細書で提供される。
【0085】
当業者であれば、本明細書中に記載されるようなアレイ形成の方法、ポリペプチド結合相互作用を形成する方法、並びにポリペプチド結合相互作用を検出及び/又は特徴づける方法が、1又は複数の競合的結合実体(例えば、競合的結合リガンド、競合的リガンド結合ポリペプチド等)の添加による競合的結合アッセイのために容易に適合され得ることを容易に認識するであろう。本明細書に記載の競合結合法のいくつかの場合では、アレイを競合結合実体と接触させる前及び/又は接触させた後に、各アドレスでポリペプチド複合体の存在又は非存在を同定し、場合により、検出された各ポリペプチド複合体の組成を同定することが有利であり得る。いくつかの場合、本明細書中に記載されるような競合的結合法の1又は複数の工程を繰り返してもよい。例えば、アレイを競合的結合実体と接触させる工程を繰り返してもよい。他の場合において、競合的結合方法は、アレイを、以前に置換された結合実体を含む流体媒体と接触させ、競合的結合実体が順番に置換される任意のアドレスを同定する工程を含み得る。
【0086】
競合結合法は、遊離競合結合実体、置換結合実体、及び遊離ポリペプチド複合体等の複数の遊離種(例えば、アレイと接触している流体媒体中の遊離種)を生成し得る。競合結合法は、a)固体支持体の下流の遊離種を捕捉する工程と、b)遊離種を同定する工程と、を更に含み得る。いくつかの場合、競合的結合法は、アレイを複数の遊離リガンド結合ポリペプチドと接触させた後、a)固体支持体の下流で複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの遊離リガンド結合ポリペプチドを捕捉する工程と、b)遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドの存在又は非存在を検出する工程と、を行う工程を更に含み得る。いくつかの場合、競合的結合法は、遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを同定することを更に含み得る。いくつかの場合、遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを同定することは、バルク同定アッセイを含む。いくつかの場合、遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを同定することは、遊離リガンド結合ポリペプチド及び結合リガンドの質量分析を行うことを含む。いくつかの場合、遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを同定することは、本明細書中に記載されるような単一分子ポリペプチドアッセイを行うことを含む。例えば、遊離ポリペプチド複合体を第2のアレイにカップリングし、本明細書に記載の分析方法に供することができる。いくつかの場合、遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを同定することは、a)ポリペプチド複合体を解離する工程であって、ポリペプチド複合体が、遊離リガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを含む、工程と、b)検出可能なタグ(例えば、核酸バーコード、ペプチドバーコード)を結合リガンドの一部に付加する工程と、c)結合リガンドの一部を配列決定する工程と、d)結合リガンドの部分を配列決定することに基づいて、結合リガンドの結合リガンドを同定する工程と、のうちの1又は複数を含み得る。いくつかの場合、結合リガンドの配列決定は、フルオロシーケンシングアッセイ又は親和性剤ベースの配列決定アッセイを含み得る。いくつかの場合、結合リガンドが遊離リガンド結合ポリペプチドによって結合される前に、検出可能なタグを結合リガンドの一部に付加すること(例えば、元のポリペプチド複合体に結合している間に検出可能なタグを付加すること)ができる。
【0087】
本明細書に記載の方法は、第2の単一分析物アレイを利用することができる。別の態様において、a)複数の第1の結合実体を、複数のアドレスを含む第1の固体支持体と接触させる工程であって、各アドレスが複数の第2の結合実体のうちの単一の第2の結合実体を含み、各アドレスが単一分析物分析能で分析可能である、工程と、b)複数の第1の結合実体のうちの第1の結合実体を、固体支持体上のアドレスにおいて第2の結合実体に結合させる工程と、c)第1の固体支持体から1又は複数の未結合の第1の結合実体を除去する工程と、d)1又は複数の未結合の第1の結合実体を第2の固体支持体に結合させる工程と、e)固体支持体に結合した1又は複数の未結合の第1の結合実体の第1の結合実体を特徴づける工程と、のうちの1又は複数を含む、方法が本明細書で提供される。
【0088】
図17A~
図17C及び
図18A~
図18Cは、ポリペプチド結合相互作用を特徴づけるために2つの単一分析物アレイを利用する方法を示す。
図17A~
図17Cは、アレイ上の各アドレスにリガンド結合ポリペプチドを含む単一分析物アレイを利用する方法を示す。
図17Aは、第1の複数のアドレス1715を含む第1の固体支持体1710と、第2の複数のアドレス1717を含む第2の固体支持体1716とを含むシステムを示す。第1の複数のアドレス1715の各アドレスは、単一のカップリングされたリガンド結合ポリペプチド1720を含有する。第1の固体支持体1710を複数のポリペプチド1730と接触させ、それにより、ポリペプチド1730とリガンド結合ポリペプチド1720との間のポリペプチド結合相互作用の形成を促進する。
図17Bに示されるように、1又は複数のポリペプチド1730が関与するポリペプチド結合相互作用を形成した後、未結合ポリペプチド1732の残りの画分が第2の固体支持体1716に対して除去される(例えば、すすぎ流体によって)。
図17Cに示されるように、未結合ポリペプチド1732の残りの画分は、第2の固体支持体1716上のアドレス1717にカップリングされ得る。続いて、第1のアレイ又は第2のアレイは、例えば、リガンド結合ポリペプチドと結合しなかった1又は複数のポリペプチドを同定するために、本明細書中に記載されるような特性評価アッセイを受ける場合がある。
【0089】
図18A~18Cは、リガンド結合ポリペプチドのための一連の結合リガンドを利用して、複数のポリペプチドからリガンド結合ポリペプチドを除去する方法を示す。
図18Aは、第1の複数のアドレス1815を含む第1の固体支持体1810と、第2の複数のアドレス1817を含む第2の固体支持体1816とを含むシステムを示す。第1の複数のアドレス1815の各アドレスは、カップリングされた単一の結合リガンド1822を含む。第1の固体支持体1810を、リガンド結合ポリペプチド1820及び非リガンド結合ポリペプチド1830を含む複数のポリペプチドと接触させ、それにより、結合リガンド1822とリガンド結合ポリペプチド1820との間のポリペプチド結合相互作用の形成を促進する。
図18Bに示されるように、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド1820が関与するポリペプチド結合相互作用を形成した後、未結合ポリペプチド1832の残りの画分が第2の固体支持体1816に対して除去される(例えば、すすぎ流体によって)。
図18Cに示されるように、未結合ポリペプチド1832の残りの画分は、第2の固体支持体1816上のアドレス1817にカップリングされ得る。続いて、第1のアレイ又は第2のアレイは、例えば、リガンド結合ポリペプチドと結合しなかった1又は複数のポリペプチドを同定するために、本明細書中に記載されるような特性評価アッセイを受ける場合がある。
【0090】
第2の単一分析物アレイを利用する方法は、1)試料からの共通のポリペプチド種又は非ポリペプチド種の除去を促進し、それによって第2のアレイ上の低コピー数種の相対量を増加させることと、2)既知の又は予想されるポリペプチド結合相互作用に関与しなかった結合実体を同定すること及び/又は特徴づけること(例えば、第2のアレイ上で、第1のアレイ上の既知のアルブミン結合リガンドに結合しなかったアルブミンを捕捉し、第2のアレイ上のアルブミン構造に対する可能な修飾を特徴づけること)と、3)第1のアレイ上での捕捉によって種の混合物から特定の種を枯渇させることによって、第2のアレイ上での同定及び/又は特性評価の複雑さを低減することと、を含む、複数の種類のアッセイに有用であり得る。当業者は、いくつかの構成では、特定の種が非単一の分析物固体支持体(例えば、アフィニティークロマトグラフィカラム)上で枯渇し得ることを認識するであろう。他の構成では、第1の単一分析物アレイでの捕捉によって特定の種を枯渇させ、次いで第1のアレイ及び第2のアレイで捕捉された種を特徴づけることが有利であり得る。
【0091】
本明細書に記載の方法は、長手方向又は時間方向の一連の測定を含むことができる。長手方向の一連の測定値は、例えば対象のコホートからの複数の異なる試料、又は単一の対象から個別に収集されたいくつかの試料の測定値を含み得る。例えば、長手方向の一連の測定は、血液抽出ポリペプチド試料を含み得、各試料は、医学的状態を有すると疑われる異なるヒト(例えば、糖尿病)から採取される。別の例では、長手方向の一連の測定値は、医学的状態(例えば、炎症性障害)を有すると疑われるヒトの異なる体液(例えば、血液、脳脊髄液、滑液等)に由来する複数のポリペプチド試料を含み得る。測定の時系列は、単一の対象又は複数の対象からの測定の時系列を含むことができる。例えば、経時的な一連の測定は、異なる時間に対象から採取された2以上のポリペプチド試料を含み得る。別の例では、測定の時系列は、本明細書に記載の方法によって2つの異なる時間に測定される単一の試料を含み得る。長手方向又は時間的な一連の測定は、複数の単一分析物アレイで実行することができ、各単一分析物アレイは、互いに異なる試料を含む。例えば、結合実体が由来する試料を一意に同定する同定標識(例えば、蛍光標識)又はタグ(例えば、ペプチド又は核酸バーコード)を含めることによって、単一の単一分析物アレイに対して長手方向又は時間方向の一連の測定をまとめて実行することができる。
【0092】
本開示の方法は、広範囲のポリペプチド濃度を有するポリペプチド系について、単一分析物分析能で低コピー数ポリペプチド(例えば、試料中に10000、5000、2500、1000、500、250、100、50、25、10以下、又はそれ未満を含むポリペプチド)の検出効率を高めるために利用され得る。広範囲のポリペプチド濃度を有する例示的なポリペプチド系は血清であり、総タンパク質重量に対して50重量%~60重量%を超える血清アルブミンを含有することができ、総タンパク質重量に対して更に5重量%~10重量%のグロブリンを含有することができる。したがって、個々の血清ポリペプチドを含む単一分析物アレイは、血清アルブミン及びグロブリンのみによって占有されるアレイアドレスの最大70%を有し得、それにより、血清アルブミン及びグロブリンの大部分の中で、可能性のある臨床的に関連するバイオマーカーを含む、低コピー数ポリペプチドを検出することの困難さを増大させる。低コピー数ポリペプチドを検出するための1つのプロテオミクスアプローチは、高コピー数ポリペプチドの画分を除去するために1又は複数の分離工程を行うことを含む(例えば、アルブミン、グロブリン等)。驚くべきことに、本明細書に記載の方法は、高コピー数ポリペプチドの分離又は除去を必要とせずに、低コピー数ポリペプチドの検出効率を高めるのに有用であり得る。
【0093】
別の態様では、a)複数のポリペプチドを含むアレイを提供することであって、複数のポリペプチドの各ポリペプチドは、アレイ上の互いに分析可能なアドレスに位置し、アレイの各アドレスは、単一分子分析能で検出可能であり、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドを含み、複数のポリペプチドは、2種以上のポリペプチド種を含む、ことと、b)第1の複数の親和性剤の、複数のポリペプチドのポリペプチドへの親和性剤の結合の存在又は非存在を、複数のアドレスの各アドレスにおいて検出することであって、親和性剤は、リガンド結合ポリペプチドに対する結合特異性を含む、ことと、c)信頼性の閾値尺度を超えて複数のアドレスのアドレスのサブセットにおけるリガンド結合ポリペプチドの存在又は非存在を決定することと、d)リガンド結合ポリペプチドの存在が信頼性の閾値尺度を超えて決定されるアドレスのサブセットを除く複数のアドレスの各アドレスにおいて第2の複数の親和性剤の親和性剤の結合の存在又は非存在を検出することと、を含む方法が本明細書で提供される。そのような方法は、高コピー数ポリペプチドを迅速に同定し、更なる分析から高コピー数ポリペプチドに対応するアドレスを除去することによって、アレイ上の低コピー数ポリペプチドの存在及び/又は同一性を同定する複雑さを低減するのに特に有利であり得る。
【0094】
いくつかの場合では、低コピー数結合リガンドを検出及び/又は同定する方法を、高コピー数リガンド結合ポリペプチドを含有するアレイ上の最初の同定アドレスに分岐させ、次いで、高コピー数リガンド結合ポリペプチドを含有するアドレス以外のアドレスで低コピー数結合リガンドを検出及び/又は同定することにその後の分析を集中させることができる。いくつかの場合、分析方法は、第2の複数の親和性剤を利用し得、第2の複数の親和性剤は、リガンド結合ポリペプチドに対する結合特異性を欠く親和性剤を含み得る。特定の場合において、方法は、アレイを1又は複数の更なる複数の親和性剤と接触させることを含み得、ここで、更なる複数の親和性剤のそれぞれは、リガンド結合ポリペプチドに対する結合特異性を欠く親和性剤を含む。そのような親和性剤は、リガンド結合ポリペプチド以外の標的への結合の可能性を高めるように選択され得る。いくつかの場合、方法は、リガンド結合ポリペプチドの存在が決定されたアドレスのサブセットを除く複数のアドレスのアドレスにおいてポリペプチドを同定することを更に含み得る。
【0095】
本明細書に記載の方法は、結合実体を特徴づける及び/又は同定するために1又は複数の親和性剤を利用することができる。親和性剤は、1)1又は複数の結合実体又はそのエピトープに対する既知の又は特徴づけられた結合特異性を有することと、2)結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド)に対する結合特異性の既知の又は特徴的な欠如を有することと、3)リガンド結合ポリペプチドの結合部位に対する既知の結合特異性又は特徴づけられた結合特異性を有することと、4)結合実体(例えば、翻訳後修飾、分子の化学誘導体等)の修飾又は変化に対する既知の又は特徴づけられた結合特異性を有する、ことと、のうちの1又は複数の特性を有する場合に特に有用であり得る。親和性試薬に対する結合特異性は、結合実体又はそのエピトープに対する結合親和性に関して、例えば解離定数(KD)、解離速度定数(koff)又は会合速度定数(kon)等の尺度によって特徴づけることができる。いくつかの場合、リガンド結合ポリペプチド等の結合実体に対する結合特異性の既知の又は特徴づけられた欠如は、親和性剤が所与の物理的条件(例えば、流体組成、温度等)で閾値未満で結合実体に結合する確率を有することを含み得る。他の場合では、リガンド結合ポリペプチド等の結合実体に対する結合特異性の既知の又は特徴づけられた欠如は、結合特異性に対する基準(例えば、閾値を超える解離定数を有すること、閾値を超える解離速度定数を有すること、閾値を下回る会合速度定数を有すること等)を満たさない特徴づけられた結合親和性を有することを含み得る。
【0096】
本明細書に記載の親和性剤は、任意の適切な方法によって同定することができる。適切な親和性剤には、アプタマー、ペプタマー、親和性剤、及びそれらの断片が含まれ得る。親和性剤を同定する例示的な方法は、SELEX、ELONA、ファージディスプレイ、又は抗体スクリーニングを含み得る。いくつかの場合、親和性剤スクリーニング方法は、ネガティブスクリーニングを含み得る。例えば、リガンド結合ポリペプチドに結合しない親和性剤を同定するためのスクリーニング方法は、リガンド結合ポリペプチドに対する陰性スクリーニングを含み得る。親和性剤選択方法の更なる詳細は、例えば、米国特許第20200318101号及び国際公開第2020106889号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの場合、親和性剤又は異なる親和性剤のパネルは、インシリコ又はバイオインフォマティクス選択によって選択され得る。例えば、生物情報学的方法を適用して、結合リガンドへの結合の存在又は非存在が結合リガンドについての高信頼性結合プロファイルを含む2以上の親和性剤を同定することができる。別の例では、生物情報学的方法を適用して、リガンド結合ポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチドに存在しないエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤)に対する結合特異性の欠如を有する親和性試薬を同定することができる。
【0097】
本明細書に記載の親和性剤は、リガンド結合ポリペプチド又は結合リガンドの翻訳後修飾等のポリペプチドの天然又は操作された修飾に対する結合特異性を含み得る。親和性剤は、グリコシル化パターン(例えば、レクチン)に対する既知の又は特徴づけられた特異性を有する成分を含み得る。親和性剤は、翻訳後修飾(例えば、ジスルフィド架橋、ユビキチン等)を含むエピトープに対して既知の又は特徴づけられた結合特異性を有し得る。親和性剤は、翻訳後修飾の非存在下で形成されるエピトープに対する既知の又は特徴づけられた結合特異性を有し得る。例えば、親和性剤は、ジスルフィド架橋の破壊によって露出されるエピトープに特異的に結合し得る。親和性剤は、結合実体のアイソフォームに対する既知の又は特徴づけられた結合特異性を有し得る。例えば、親和性剤は、グリコシル化アルブミンに高い特異性で結合し得るが、非グリコシル化アルブミンには高い特異性で結合しない。
【0098】
本明細書に記載の方法は、複数のポリペプチド、例えば複数のリガンド結合ポリペプチド、複数のポリペプチド結合リガンド、又は複数の競合ポリペプチド結合リガンドを利用し得る。複数のポリペプチドを利用して、結合標的のアレイを形成し、結合標的のアレイ上にポリペプチド複合体を形成して、検出可能なプローブを形成し、本明細書に記載の任意の他の目的を形成することができる。いくつかの場合、複数のポリペプチドは、異種の複数のポリペプチドを含み得、異種の複数のポリペプチドは、少なくとも2つのポリペプチド種を含む。いくつかの場合、複数のポリペプチドは、少なくとも1つのポリペプチド種及び少なくとも1つの非ポリペプチド種(例えば、ポリペプチド及び医薬結合リガンド)を含む異種の複数のポリペプチドを含み得る。いくつかの場合、異種の複数のポリペプチドは、総ポリペプチド含有量に対して重量又はモル基準で少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%又はそれを超えるポリペプチド種(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)を含み得る。代替的又は追加的に、異種の複数のポリペプチドは、総ポリペプチド含有量に対して重量又はモル基準で、約99.99999%、99.9999%、99.999%、99.99%、99.9%、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%以下、又はそれ未満のポリペプチド種(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)を含み得る。いくつかの場合、複数のポリペプチドは、均一な複数のポリペプチドを含み得、ここで、均一な複数のポリペプチドは、閾値レベルを超える純度、例えば、総ポリペプチド含有量に対して重量又はモル基準で約90%、95%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%、99.999999%、99.9999999%、99.99999999%又はそれを超える純度の1つのポリペプチド種を含む。
【0099】
結合標的の異種混合物間のポリペプチド結合相互作用を同定する単一分析物アレイベースの方法は、複雑な系の分析に有用である。アルブミン及び/又はグロブリン含有流体、例えば血液及び脳脊髄液は、典型的には時間がかかる又は高価な分離方法によって除去される多数の不純物又は外来種を含有し得る。そのような前分析処理は、不十分な分離に起因する目的の種の喪失を潜在的に引き起こし得るか、又はポリペプチド結合相互作用を不安定化する化学的環境の変化に起因するポリペプチド複合体の破壊を引き起こし得る。本明細書に記載の方法は、追加の精製工程を必要とせずに、リガンド結合ポリペプチドを含む試料から目的の種を直接捕捉するための経路を提供し得る。更に、提供される方法の単一分析物の性質は、アレイ上に存在する種又はポリペプチド複合体の単一コピーとの結合相互作用の高感度検出を可能にするので、本明細書で提供される方法は、ポリペプチド又は非ポリペプチド不純物を含む不均一混合物をアレイ上に堆積させることを可能にし得る。
【0100】
図6A~
図6Dは、異種の複数の結合標的(例えば、2種以上のポリペプチド種を含む複数のポリペプチド;複数の非ポリペプチド種と混合された複数のポリペプチド種等)を含むアレイ上のポリペプチド結合相互作用を同定する方法を示す。
図6Aは、複数のアドレス615を含む固体支持体610を含むアレイを示す。複数のアドレス615の各アドレスは、異種の複数の結合ターゲットのうちの単一の結合ターゲットを含む。複数のアドレス615のうちのアドレスの第1のサブセットは、リガンド結合ポリペプチド620を含み得、複数のアドレス615のうちのアドレスの第2のサブセットは、ポリペプチド結合リガンド622を含み得、複数のアドレス615のうちの第3のアドレスサブセットは、非ポリペプチド結合リガンド624を含み得る。アレイを、場合により流体媒体内の複数の検出可能なプローブと接触させることができ、複数の検出可能なプローブの各検出可能なプローブ630は、リガンド結合ポリペプチド620に対する結合特異性を含む。
図6Bは、リガンド結合ポリペプチド620とのポリペプチド結合相互作用を形成する複数の検出可能なプローブのうちの1又は複数の検出可能なプローブ630を有するアレイを示す。ポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在は、アドレスの第1のサブセットの特定のアドレスで検出可能なプローブ630からのシグナルを検出することによって決定され得る。
図6Cは、固体支持体610を、複数の検出可能な親和性剤と、場合により流体媒体内で接触させることを示し、この場合、複数の親和性剤のうちの親和性剤632は、リガンド結合ポリペプチド620に対する結合特異性を欠く。
図6Dは、複数のポリペプチド結合リガンドのうちのポリペプチド結合リガンド622とポリペプチド結合相互作用を形成する1又は複数の検出可能な親和性剤632を含むアレイを示す。場合により、方法は、複数の検出可能なプローブ又は検出可能な親和性剤を複数の結合標的に結合させる工程を繰り返すことを含み得る。場合により、方法は、検出可能なプローブ結合測定値を利用して、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチド620を含有する複数のアドレス615のアドレスの第1のサブセットを同定する工程を含み得る。場合により、方法は、検出可能な親和性剤結合測定値を利用して、複数のポリペプチド結合標的のうちのポリペプチド結合標的622を含む複数のアドレス615のアドレスの第2のサブセットを同定することを含み得る。
【0101】
本明細書に記載の方法は、比較アッセイを含み得る。比較アッセイは、リガンド結合ポリペプチドを結合リガンドと接触させたときの、対象によって提供されるリガンド結合ポリペプチドと、第2の対象又は対照対象によって提供されるリガンド結合ポリペプチドとの間のポリペプチド結合相互作用の差を同定及び/又は定量し得る。比較アッセイは、結合リガンドをリガンド結合ポリペプチドと接触させたときの、対象によって提供されるポリペプチドと第2の対象によって提供されるポリペプチド(例えば、第2の対象は、対照対象であり得る)との間のポリペプチド結合相互作用の差を同定及び/又は定量することができる。当業者は、本明細書に記載の方法が比較アッセイに容易に適合され得ることを認識するであろう。例えば、第1の供給源(例えば、ヒト対象、非ヒト対象等)からの第1の複数のポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を第1の固体支持体上に提供することができ、第2の供給源(例えば、ヒト対象、非ヒト対象、対照試料等)からの第2の複数のポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を第2の固体支持体上に提供することができる。あるいは、第1の供給源(例えば、ヒト対象、非ヒト対象等)からの第1の複数のポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)は、第1の複数の検出可能なプローブとして提供され得、第2の供給源(例えば、ヒト対象、非ヒト対象、対照試料等)からの第2の複数のポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)は、第2の複数の検出可能なプローブとして提供され得る。別の例では、第1の供給源(例えば、ヒト対象、非ヒト対象等)からの第1の複数のポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を固体支持体上の複数の結合リガンドと接触させ得、第1の複数のポリペプチドの任意の結合ポリペプチドを除去した後、第2の供給源(例えば、ヒト対象、非ヒト対象、対照試料等)からの第2の複数のポリペプチド(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を固体支持体上の複数の結合実体と接触させ得る。
【0102】
別の態様では、a)第1の複数のリガンド結合ポリペプチドを第1のポリペプチド供給源から提供し、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドを第2のポリペプチド供給源から提供することと、b)固体支持体上の結合リガンドに対する第1の複数のリガンド結合ポリペプチド及び第2の複数のリガンド結合ポリペプチドの結合の存在又は非存在を単一分析物分析能で検出することと、c)第1の複数のリガンド結合ポリペプチドと第2の複数のリガンド結合ポリペプチドとの間の結合特性の差異を同定することと、を含む、方法が本明細書で提供される。複数のポリペプチドの第1の供給源又は第2の供給源は、医療対象又は研究対象を含み得る。いくつかの場合では、第1の供給源は第1の対象(例えば、医療対象、研究対象)を含み得、第2の供給源は第2の対象(例えば、医療対象、研究対象)を含み得る。いくつかの場合では、第1の供給源は対象(例えば、医療対象、研究対象)を含み得、第2の供給源は対照試料を含み得る。
【0103】
比較アッセイは、結合特性の差を同定する工程を含み得、ここでの同定は、第1の複数のポリペプチドと第2の複数のポリペプチドとの間の結合特異性の差を同定することを含む。比較アッセイは、結合特性の差を同定する工程を含み得、ここでの同定は、第1の複数のポリペプチドと第2の複数のポリペプチドとの間の結合親和性の差を同定することを含む。いくつかの場合では、結合親和性の差を同定することは、第1の複数のポリペプチドと第2の複数のポリペプチドとの間の解離定数、会合速度定数又は解離速度定数の差を定量することを含む。比較アッセイは、結合特性の差の同定に基づいて、医療対象の疾患状態又は健康状態を同定することを更に含み得る。疾患状態又は健康状態を特定することは、例えば、結合リガンドに対する結合親和性の増加又は減少を有するリガンド結合ポリペプチドを特定すること、又はリガンド結合ポリペプチドとのポリペプチド結合相互作用を形成する結合リガンドの存在又は非存在を特定することを含み得る。例えば、比較アッセイは、健康対象由来の血清アルブミンと比較して、医療対象から得られた血清アルブミンのインスリン結合挙動に基づいて糖尿病性疾患状態の存在又は非存在を同定し得る。別の例において、比較アッセイは、血清アルブミンに対する結合特異性を有する複数の医薬化合物から医薬化合物を同定し得る。比較アッセイは、医療対象の疾患状態を同定することに基づいて、疾患状態についての医療対象の治療方法を同定することを更に含み得る。
【0104】
本明細書に記載の方法は、標準又は対照結合実体(例えば、標準又は対照ポリペプチド、標準又は対照非ポリペプチド)を利用し得る。いくつかの場合、標準又は対照結合実体は、リガンド結合ポリペプチドを含み得る。特定の場合において、標準又は対照結合実体は、分析される試料内に含まれることが予想されるリガンド結合ポリペプチドを含む場合がある。例えば、複数の血清ポリペプチドを含むアレイは、血清中のアルブミンの予想される存在のために、アルブミン標準又はアルブミン対照を含み得る。標準結合実体は、複数の結合実体(例えば、精製効率基準、試料分解基準、貯蔵基準等)をモニタリングする目的で複数の結合実体と組み合わされるポリペプチド種又は非ポリペプチド種を含み得る。対照結合実体は、複数の結合実体と対照結合実体との間のポリペプチド結合相互作用挙動の定性的及び/又は定量的比較を提供するために、複数の結合実体に加えられるポリペプチド種又は非ポリペプチド種を含み得る。標準又は対照結合実体は、アレイが分析される前の任意の時点で複数の結合実体と組み合わされ得る。いくつかの場合、複数の結合実体がアレイ上に堆積される前に、標準又は対照結合実体がアレイ上に堆積され得る。いくつかの場合、複数の結合実体がアレイ上に堆積される前に、標準又は対照結合実体を複数の結合実体と組み合わせることができる。
【0105】
別の態様において、a)複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、各アドレスは、単一分析物分析能で互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの第1のサブセットの各アドレスは、複数の結合実体の結合実体にカップリングされており、複数のアドレスの第2のサブセットの各アドレスは、複数の標準結合実体又は対照結合実体のうちの標準結合実体又は対照結合実体にカップリングされており、複数の結合実体が対象から抽出され、複数の結合実体が第1のリガンド結合ポリペプチドを含み、複数の標準又は対照結合実体が第2のリガンド結合ポリペプチドを含む、ことと、b)アレイを複数の検出可能なプローブと接触させることであって、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブが結合リガンドを含む、ことと、c)複数のアドレスの各アドレスにおいて、複数の検出可能プローブのうちの検出可能プローブの存在又は非存在を検出する、ことと、d)複数のアドレスの各アドレスにおける複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブの存在又は非存在に基づいて、第1のリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間又は第2のリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を同定することと、を含む方法が本明細書で提供される。
【0106】
図15A~15Jは、比較アッセイにおいて標準又は対照ポリペプチドを利用する方法を示す。
図15Aは、複数の結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)を複数の標準又は結合実体と組み合わせる第1の工程を示す。複数の結合実体のうちの結合実体1520は、第1のリンカー1510にカップリングされていてもよく、及び/又は複数の標準若しくは対照結合実体のうちの標準若しくは対照結合実体1522は、第2のリンカー1512にカップリングされていてもよく、第1のリンカー1510は、単一分析物分析能(例えば、異なるフルオロフォア等を含む)で第2のリンカー1512と区別可能である。
図15Bは、複数の結合実体及び複数の標準又は対照結合実体を含むアレイの形成を示す。固体支持体1500を含むアレイは、複数のアドレス1505を含み、各アドレスは単一分析物分析能で分析可能である。複数のアドレス1505のうちのアドレスの第1のサブセットは、複数の結合実体のうちの1又は複数のリンカー1510にカップリングし、複数のアドレス1505のうちのアドレスの第2のサブセットは、複数の標準又は対照結合実体のうちの1又は複数のリンカー1512にカップリングする。
図15C~
図15Dは、複数の結合実体を含むアドレスの第1のサブセット及び複数の標準又は対照結合実体を含むアドレスの第2のサブセットを同定することを含む任意選択の工程のセットを示す。
図15Cは、単一分析物分析能での複数の結合実体のうちの結合実体1520に関連するリンカー1510からの第1のシグナル1532の存在又は非存在の検出を示す。第1のシグナル1532が検出されるアドレスは、複数のアドレス1505のアドレスの第1のサブセットに含まれる。場合により、第1のシグナル1532は、第1の励起源1530(例えば、光源)によって誘起されてもよい。
図15Dは、単一分析物分析能での複数の標準又は対照結合実体の結合実体1522に関連するリンカー1512からの第2のシグナル1537の存在又は非存在の検出を示す。第2のシグナル1537が検出されるアドレスは、複数のアドレス1505のアドレスの第2のサブセットに含まれる。場合により、第2のシグナル1537は、第2の励起源1535(例えば、光源)によって誘起されてもよい。
図15E~
図15Jは、結合実体の結合挙動を標準又は対照結合実体の結合挙動と比較する方法を示す。
図15Eに示されるように、複数の第1の検出可能なプローブを、場合により流体媒体内で、固体支持体1500と接触させることができ、この場合、複数の第1の検出可能なプローブのうちの第1の検出可能なプローブ1540は、複数の結合実体のうちの結合実体1520に対する結合特異性、及び複数の標準又は対照結合実体のうちの標準又は対照結合実体1522に対する結合特異性を含む。
図15Fは、複数のアドレス1505の各アドレスにおける複数の第1の検出可能なプローブのうちの第1の検出可能なプローブ1540の存在又は非存在の検出を示し、検出することは、単一分析物分析能で各アドレスにおける検出可能なプローブ1540からの第3のシグナル1555の存在又は非存在を決定することを含む。場合により、第3のシグナル1555は、第3の励起源1550(例えば、光源)によって誘導されてもよい。
図15Gに示されるように、複数の競合的結合リガンドと組み合わされた複数の第1の検出可能なプローブを含む不均一混合物を、場合により流体媒体内で、固体支持体1500と接触させることができ、複数の第1の検出可能なプローブのうちの第1の検出可能なプローブ1540は、複数の結合実体のうちの結合実体1520に対する結合特異性、及び複数の標準又は対照結合実体のうちの標準又は対照結合実体1522に対する結合特異性を含む。
図15Hは、複数のアドレス1505の各アドレスにおける複数の第1の検出可能なプローブのうちの第1の検出可能なプローブ1540の存在又は非存在の検出を示し、検出することは、単一分析物分析能で各アドレスにおける第1の検出可能なプローブ1540からの第3のシグナル1555の存在又は非存在を決定することを含む。場合により、第3のシグナル1555は、第3の励起源1550(例えば、光源)によって誘導されてもよい。場合により、競合的結合リガンドは、検出可能な標識を含み得る。場合により、方法は、複数のアドレスのうちの1又は複数のアドレスにおける競合的結合リガンド1542からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程を更に含み得る。
図15Iに示されるように、複数の第2の検出可能なプローブを、場合により流体媒体内で、固体支持体1500と接触させることができ、この場合、複数の第1の検出可能なプローブのうちの第2の検出可能なプローブ1544は、第1の検出可能なプローブ1540と比較して、複数の結合実体のうちの結合実体1520に対する異なる結合特異性、又は複数の標準又は対照結合実体のうちの標準又は対照結合実体1522に対する異なる結合特異性を含む。
図15Jは、複数のアドレス1505の各アドレスにおける複数の第2の検出可能なプローブの第2の検出可能なプローブ1544の存在又は非存在の検出を示し、検出することは、単一分析物分析能で各アドレスにおける第2の検出可能なプローブ1544からの第4のシグナル1555の存在又は非存在を決定することを含む。場合により、第4のシグナル1557は、第4の励起源1552(例えば、光源)によって誘導されてもよい。場合により、方法は、第1の複数の検出可能なプローブ及び/又は第2の複数の検出可能なプローブ及び/又は複数の競合的結合リガンドの検出された結合プロファイルに基づいて、結合実体1520と標準又は対照結合実体1522との間の結合挙動の差を同定することを更に含み得る。
【0107】
単一分析物アレイベースの方法を利用して、アレイ上の結合標的の配向を同定することができる。アレイ上のアドレスにおける結合標的の配向は、アレイ上のアドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を決定する場合に重要であり得る。結合標的の配向は、1)結合標的の特定の配向は、結合標的の結合関連エピトープを閉塞し得ることと、(例えば、リガンド結合ポリペプチドの結合部位、リガンド結合ポリペプチドの結合部位によって結合される結合リガンドエピトープ)、2)結合標的のバリアント(例えば、変異体、非定型翻訳後修飾、小分子化合物の誘導体等)は、相補的な結合実体との最適な結合のために異なる配向を有し得ることと、を含む様々な理由でアッセイ中に重要であり得る。一例として、ランダムなリジン残基にコンジュゲートするリンカーによって固体支持体にカップリングされた血清アルブミンを含むアレイの場合、アレイ上の各血清アルブミンは、アレイ上の隣接するアドレスの血清アルブミンに対してランダムに配向され得る。したがって、特定の血清アルブミンは、アレイ上のアドレスのサブセットにおいてポリペプチド結合部位が血清アルブミン上に閉塞されるように配向され得る。結合標的配向の同定は、ポリペプチド結合相互作用の形成を阻害又は防止する結合標的配向を含むいくつかのアドレスの除外を可能にすることによって、ポリペプチド結合相互作用データの分析を改善し得る。いくつかの場合、リガンド結合ポリペプチドは、そのリガンド結合ポリペプチドがアレイのアドレスにカップリングされるか、又は検出可能なプローブにカップリングされるとき、構造及び/又は結合部位の一貫した配向を提供するように構成され得る。いくつかの場合、リガンド結合ポリペプチドの配向は、ポリペプチド構造中の特定の位置で機能部位(例えば、非天然アミノ酸を組み込むこと)を操作し、次いで操作された機能部位によってリガンド結合ポリペプチドをカップリングすることによって制御され得る。他の場合において、リガンド結合ポリペプチドの配向は、そのリガンド結合ポリペプチドを、そのポリペプチドの特定の天然に存在する残基(例えば、アミノ酸側鎖)によってアレイにカップリングさせることによって制御される場合がある。他の場合において、リガンド結合ポリペプチドの配向は、a)リガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドを単一分析物アレイのアドレスにカップリングさせることと、b)リガンド結合ポリペプチドの結合部位によって、単一分析物アレイ上のアドレスにおいてリガンド結合ポリペプチドを結合リガンドに結合させることと、c)リガンド結合ポリペプチドを単一分析物アレイにカップリング又は架橋し、それにより、単一分析物アレイ上のアドレスに対するリガンド結合ポリペプチドの配向を固定することと、によって制御され得る。
【0108】
別の態様では、a)複数のアドレスを含む固体支持体を含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスは、単一分析物分析能で分析可能であり、各アドレスは、複数の結合標的のうちの単一の結合標的(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)を含む、ことと、b)固体支持体を複数の検出可能なプローブと接触させることであって、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブが、単一の結合標的の結合エピトープに対する結合特異性を含む、ことと、c)複数のアドレスの各アドレスにおいて、複数の検出可能プローブのうちの検出可能プローブの結合の存在又は非存在を検出することと、d)1又は複数の更なる複数の検出可能なプローブについて、接触工程及び検出工程を繰り返すことであって、場合により、各複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブが、単一の結合標的の異なる結合エピトープに対する結合特異性を含む、ことと、e)2つ又はそれを超える複数の検出可能なプローブについての結合の存在又は非存在に関する2つ又はそれを超える測定結果に基づいて、閉塞された結合エピトープを有する単一の結合標的を含むアドレスのサブセットを同定することと、を含む方法が本明細書で提供される。場合により、方法は、第1の閉塞エピトープを有する結合標的を含むアドレスの第1のサブセットと、第2の閉塞エピトープを有する結合標的を含むアドレスの第2のセットとを同定することを含み得る。いくつかの場合、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤を含み得る。他の場合には、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブは、リガンド結合ポリペプチドの結合部位に結合するように構成された結合リガンドを含み得る。いくつかの場合、方法は、ポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在が、閉塞された結合エピトープを含有するアドレスのサブセットを除いて複数のアドレスの各アドレスで決定され得る、本明細書に記載の方法を実施することを更に含み得る。
【0109】
図13A~13Cは、複数の結合部位を有するリガンド結合ポリペプチドを含む、リガンド結合ポリペプチド上の結合部位の結合特異性を同定する方法を示す。
図13Aは、複数のアドレス1315を含む固体支持体1310を含む単一分析物アレイを示し、複数のアドレスの各アドレスは、単一分析物分析能で分析可能である。複数のアドレス1315の各アドレスは、「1」~「4」と標識された4つの結合部位を含む単一のリガンド結合ポリペプチド1320にカップリングされている。リガンド結合ポリペプチド1320中のランダム連結部分(例えば、ランダムなリジン残基等)によってリガンド結合ポリペプチド1320を連結することによって、リガンド結合ポリペプチド1320の配向をアレイ上でランダムに変化させる。
図13Bは、複数の検出可能な結合リガンドプローブを、場合により流体媒体内で固体支持体1310と接触させ、各検出可能な結合リガンド1330プローブがリガンド結合ポリペプチド1320に対する既知の結合特異性を含むことを示す。
図13Cに示されるように、検出可能な結合リガンドプローブ1330の存在又は非存在が、リガンド結合ポリペプチド1320及び結合リガンドプローブ1330の存在又は非存在を明らかにするために、複数のアドレスのそれぞれのアドレスにおいて検出される場合がある。場合により、検出可能な結合リガンドプローブ結合は、異なる結合部位特異性を有する1又は複数の検出可能なプローブについて繰り返され得る。場合により、方法は、複数のアドレスの各アドレスにおける各リガンド結合ポリペプチドの配向を同定する工程を更に含み得る。配向は、単一の配向に対応する同定可能なリンカーを介してアレイ上に同一の配向を有するリガンド結合ポリペプチドを沈着させることによって決定されていてもよく、又は結合部位に関連するエピトープの存在又は非存在を、関連するエピトープに対する結合特異性を有する検出可能な親和性剤の結合によって同定することによって決定されてもよい。場合により、方法は、プローブ結合の存在又は非存在に基づいて、結合リガンドプローブ1330とポリペプチド結合相互作用を形成することができる結合部位を同定することを更に含み得る。当業者は、提供される結合部位特異性を同定する方法が、リガンド結合ポリペプチドを含む検出可能なプローブを使用して実施することもできることを認識するであろう。複数の検出可能なプローブを調製することができ、各複数の検出可能なプローブは、プローブにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドの特定の配向を含む(例えば、リガンド結合ポリペプチドの配向を制御する保持構成要素を含むプローブ)。複数の検出可能なプローブのそれぞれの結合を、結合リガンドのアレイに対して試験して、どの配向が結合を阻害するかを決定することができる。
【0110】
ポリペプチド結合相互作用の同定は、本明細書に記載のポリペプチドアッセイ中に利用され得る。いくつかの場合では、結合実体とアレイ結合ポリペプチドとの間の結合相互作用の存在を利用して、更なる分析のためにアレイ結合ポリペプチドの画分を同定することができる。例えば、アレイ結合核プロテオームの分析中に、アレイ結合核プロテオームのポリペプチドとランダム又は非ランダムな複数の核酸(例えば、DNA、RNA)との間の結合相互作用を同定することによって核酸結合タンパク質を同定することが有利であり得る。他の場合では、結合実体とアレイ結合ポリペプチドとの間の結合相互作用の非存在を利用して、更なる分析のためにアレイ結合ポリペプチドの画分を同定することができる。例えば、アレイ結合核プロテオームのポリペプチドとランダム又は非ランダム核酸(例えば、DNA、RNA)との結合相互作用を最初に同定し、次いで核酸結合ポリペプチドを更なる分析から除外することによって、核酸に結合しない核プロテオームのポリペプチドを同定することが有利であり得る。
【0111】
別の態様では、本明細書に記載の方法は、i)複数のアドレスを含むアレイを提供する工程であって、各アドレスは単一分析物分析能で互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスは複数の結合実体の結合実体(例えば、ポリペプチド)にカップリングされている、工程と、ii)アレイを複数の結合リガンドと接触させる工程と、iii)複数のアドレスの各アドレスにおいて複数の結合リガンドの結合リガンドの存在又は非存在を検出する工程と、iv)複数のアドレスのアドレスにおける結合リガンドの存在又は非存在に基づいて、複数の結合実体の結合実体を同定する工程と、のうちの1又は複数の工程を含み得る。場合により、複数のアドレスのアドレスにおいて複数の結合実体の結合実体を同定することは、i)結合実体を複数の親和性剤と接触させる工程と、ii)複数のアドレスのアドレスにおいて複数の親和性剤の親和性剤の存在又は非存在を検出する工程と、iii)複数のアドレスのアドレスにおける結合リガンドの存在又は非存在に基づいて、及び複数のアドレスのアドレスにおける親和性剤の存在又は非存在に基づいて、複数の結合実体の結合実体を同定する工程と、のうちの1又は複数の工程を更に含み得る。
【0112】
図19A及び
図19Bは、ポリペプチドアッセイ中にポリペプチドを同定するために結合リガンドを利用する方法の態様を例示する。
図19Aは、複数の分析物結合部位を有する固体支持体1900を含むアレイを示す。各分析物結合部位は、カップリングされたポリペプチド(それぞれ1911、1912、1913、1914、1915、1916)を、場合により天然状態の折り畳み立体配座で含む。カップリングされたポリペプチドを含むアレイを、二本鎖DNA配列(dsDNA)1920及び検出可能な標識1925(例えば、フルオロフォア、ルミノフォア、核酸タグ等)を含む検出可能な分子と接触させ、それにより、dsDNA配列が、核酸結合相互作用を形成するように構成された任意のポリペプチドに結合することを可能にする。
図19Aに示すように、ポリペプチド1912及び1913は、dsDNA配列1920と結合相互作用を形成し、それにより、dsDNA配列1920が結合している分析物結合部位に対応する各アレイアドレスで検出可能な標識1925からの検出可能なシグナルの検出を可能にする。したがって、結合した検出可能な分子からの検出されたシグナルに基づいて、dsDNA配列1920と結合相互作用を形成するように構成されたポリペプチドを含有するものとして、1又は複数のアドレスを同定することができる。場合により、dsDNA配列1920の結合は、アレイからのdsDNA配列1920の接触、結合、検出及び除去のサイクルを介して繰り返されてもよい。場合により、他の検出可能な結合リガンド(例えば、ポリペプチド、一本鎖DNA、RNA、糖類、脂質、代謝産物、小分子等)がdsDNA配列1920の代わりに用いられてもよい。
【0113】
図19Bは、アレイアドレスにおいてカップリングされたポリペプチドを同定するために親和性剤のサイクリングを利用する任意のポリペプチド同定プロセスを示す。
図19Aに示されるプロセスの前又は後に、ポリペプチドのアレイを、親和性剤1930及び検出可能な標識1935を含む複数の検出可能なプローブと接触させることができる。場合により、各親和性剤1930は、1又は複数のエピトープに結合するように構成され得、1又は複数のエピトープのそれぞれは、2以上のポリペプチド(例えば、三量体又は四量体アミノ酸配列)中に存在する。
図19Bに示すように、検出可能なプローブは、ポリペプチド1912及び1915に結合し、それにより、親和性剤が結合している分析物結合部位に対応する各アレイアドレスで検出可能な標識1935からの検出可能なシグナルの検出を可能にする。場合により、ポリペプチド同定アッセイは、各々が異なる結合特異性を含む複数の異なる検出可能なプローブのサイクリングを含み得る。検出可能なプローブ及び/又は結合リガンドの結合プロファイルに基づいて、ポリペプチド同一性を、観察可能なポリペプチドを含む各アレイアドレスについて決定することができる。
【0114】
当業者は、本明細書に記載の方法の無数の変形が可能であることを容易に認識するであろう。例えば、ポリペプチド結合相互作用を同定する方法は、結合標的のアレイを形成する工程、又はポリペプチド結合相互作用に関与する1又は複数の種を同定する工程を更に含み得る。単一分析物、アレイベースの方法の特定の一般的な工程又は手順を以下に記載する。
【0115】
複数のポリペプチドのポリペプチドは、天然の折り畳み配置状態を含み得る。天然の折り畳み構成状態は、ポリペプチドの生物活性形態を生成するためのポリペプチド鎖折り畳みを含み得る。天然の折り畳み配置状態は、ポリペプチドの生物活性形態を生成する化学修飾(例えば、ジスルフィド結合の形成、翻訳後修飾等)又は化学的組み込み(例えば、金属含有部分の包含、補因子又は補酵素の包含等)を更に含み得る。あるいは、複数のポリペプチドのポリペプチドは、天然の折り畳み配置状態を含まなくてもよい。複数のポリペプチドのポリペプチドは、部分的に折り畳まれた状態又は変性した状態を含み得る。複数のポリペプチドのポリペプチドは、ミスフォールド状態(すなわち、ポリペプチドの非生物活性形態を生成する折り畳み状態)を含み得る。いくつかの場合、複数のポリペプチドのポリペプチドは、ポリペプチドの結合相互作用を同定するために天然の折り畳み構成状態で提供され、ポリペプチドの同一性を決定するために部分的又は完全に変性した状態で提供され得る。他の場合には、ポリペプチドの結合相互作用を同定し、ポリペプチドの同一性を決定するために、複数のポリペプチドのポリペプチドを天然の折り畳み配置状態で提供することができる。
【0116】
本明細書に記載の方法は、i)本明細書に記載の単一分析物アレイのアドレスに複数のポリペプチドのポリペプチドを提供する工程であって、ポリペプチドは天然状態で提供される、工程と、ii)複数のポリペプチドのポリペプチドと結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用を同定する工程と、iii)複数のポリペプチドのポリペプチドを部分的又は完全に変性させる工程と、iv)本明細書に記載のポリペプチド同定アッセイによって複数のポリペプチドのポリペプチドを同定する工程と、のうちの1又は複数を含み得る。いくつかの場合、複数のポリペプチドのポリペプチドを部分的又は完全に変性させることは、ポリペプチドを変性剤又はカオトロープと接触させることを含み得る。場合により、方法は、ポリペプチドの天然の状態に関連する1又は複数のエピトープを同定する工程を更に含み得る。場合により、方法は、ポリペプチドの部分的又は完全に変性した状態に関連する1又は複数のエピトープを同定する工程を更に含み得る。場合により、方法は、ポリペプチドのミスフォールド状態に関連する1又は複数のエピトープを同定する工程を更に含み得る。場合により、方法は、部分的又は完全に変性したポリペプチドを天然の状態に折り畳む工程を更に含み得る。いくつかの場合では、部分的又は完全に変性したポリペプチドを、折り畳み促進剤(例えば、シャペロニン)の存在下で天然状態に折り畳むことができる。いくつかの場合、方法は、i)ポリペプチドの部分的又は完全に変性した状態に関連するエピトープの存在を場合により同定する工程と、ii)ポリペプチドの天然の状態に関連するエピトープの非存在を場合により同定する工程と、iii)ポリペプチドの折り畳み状態を変化させる工程(例えば、ポリペプチドを部分的又は完全に折り畳むこと、ポリペプチドを部分的又は完全に変性させる工程と)と、iv)ポリペプチドの部分的又は完全に折り畳まれた状態(例えば、天然の状態)に関連するエピトープの存在を場合により同定する工程と、iv)ポリペプチドの部分的又は完全に変性した状態に関連するエピトープの非存在を場合により検出する工程と、のうちの1又は複数の工程を含み得る。
【0117】
図25A~
図25Dは、本明細書に記載の方法の一部としてポリペプチドの折り畳み状態を同定する方法を示す。
図25Aは、完全に変性した状態の第1のカップリングされたポリペプチド2520と、部分的に折り畳まれた状態の第2のポリペプチド2521とを有する固体支持体2500を含むアレイを示す。両方のポリペプチドは、連結部分2510を連結することによって異なるアレイアドレスに局在化される。アレイを、完全に変性したエピトープに結合するように構成された第1の検出可能なプローブ2541、及び部分的に折り畳まれたエピトープ(例えば、いくつかの二次又は三次構造を含むエピトープ)に結合するように構成された第2の検出可能なプローブ2540を含む複数の検出可能なプローブと接触させる。
図25Bは、検出可能なプローブ2541がポリペプチド2520に結合し、検出可能なプローブ2540がポリペプチド2521に結合したアレイ構成を示す。したがって、左アドレスは完全変性ポリペプチドを含み、右アドレスは部分的に折り畳まれたポリペプチドを含むと決定することができる。
図25Cは、ポリペプチドが折り畳まれた又は再折り畳まれた(例えば、流体媒体の変更を介して、折り畳み媒介タンパク質の導入等を介して)後続のアッセイ工程を示す。そのような工程は、ポリペプチドのリガンド結合特性に対する折り畳み状態の影響を同定するために行われ得る。
図25Cでは、ポリペプチド2520は天然の折り畳み構成状態を採用しているが、ポリペプチド2521は異なる部分的に折り畳まれた構成を採用している。アレイを、ポリペプチドの天然の折り畳み構成のエピトープに結合するように構成された検出可能なプローブ2542と接触させる。
図25Dは、検出可能なプローブ2542がポリペプチド2542に結合しており、ポリペプチド2521に結合しておらず、それによってポリペプチド2520の天然の折り畳み立体配置状態の同定を可能にするアレイ立体配置を示す。
【0118】
本明細書に記載の方法、組成物又はシステムで利用される複数のポリペプチドは、試料から画分を除去するために1回又は複数回の分離を受け得る。複数のポリペプチドは、試料(例えば、金属イオン、非金属イオン、小分子化合物、酸性化合物、塩基性化合物、ペプチド、核酸、脂質等)から非ポリペプチド画分を除去するために1又は複数の分離を受け得る。複数のポリペプチドは、複数のポリペプチドからポリペプチドの画分を除去するために1回以上の分離を受け得る。いくつかの場合、方法は、a)試料又は対象から複数のポリペプチドを抽出する工程と、b)複数のポリペプチドからリガンド結合ポリペプチドの画分を分離する工程と、のうちの1又は複数の工程を更に含み得る。他の場合では、方法は、a)試料又は対象から複数のポリペプチドを抽出する工程と、b)複数のポリペプチドから候補結合リガンドの画分を分離する工程と、のうちの1又は複数の工程を更に含み得る。いくつかの場合、方法は、リガンド結合ポリペプチドの画分又は候補結合リガンドの画分を廃棄することを更に含み得る。複数のポリペプチドは、アフィニティークロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、高圧液体クロマトグラフィ、遠心分離、沈殿等の任意の適切な方法によって精製、分離及び/又は分画され得る。
【0119】
本明細書に記載の複数の検出可能なプローブは、結合実体を検出可能な標識にカップリングさせることによって調製され得る。複数の検出可能なプローブは、複数のポリペプチド又はその画分に由来する結合実体を検出可能な標識にカップリングすることによって調製され得る。いくつかの構成において、方法は、複数のリガンド結合ポリペプチドのリガンド結合ポリペプチドを検出可能な標識にカップリングさせることによって、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブを調製する工程を更に含み得る。例えば、リガンド結合ポリペプチドの分離された画分を検出可能な標識にカップリングして、複数の検出可能なプローブを調製することができる。他の構成では、方法は、候補結合リガンドの一部の候補結合リガンドを検出可能な標識にカップリングすることによって、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブを調製することを更に含み得る。例えば、候補結合リガンドの分離された画分を検出可能な標識にカップリングさせて、複数の検出可能なプローブを調製することができる。
【0120】
本明細書に記載の検出可能なプローブ又はアレイは、任意の考えられる供給源に由来する結合実体(例えば、親和性試薬、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド等)を含み得る。本明細書に記載の検出可能なプローブ又はアレイは、天然の生物に由来する結合実体を含み得る。例えば、検出可能なプローブは、ヒト血液試料に由来するアルブミンを含み得る。本明細書に記載の検出可能なプローブ又はアレイは、操作された生物に由来する結合実体を含み得る。例えば、検出可能なプローブは、操作された微生物(例えば、大腸菌(E.coli)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)等)によって産生されたアルブミンを含み得る。本明細書に記載の検出可能なプローブ又はアレイは、天然のリガンド結合ポリペプチドを含み得る。例えば、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、そのアミノ酸配列が対象の集団又はコホート内で天然に存在するアルブミン又はグロブリンを含み得る。本明細書に記載の検出可能なプローブ又はアレイは、操作されたリガンド結合ポリペプチドを含み得る。例えば、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブは、操作された微生物によって産生されたアルブミンを含み得る。本明細書中に記載されるような検出可能なプローブ又はアレイは、天然のリガンド結合ポリペプチドと比較して操作された変異を含むリガンド結合ポリペプチドを含み得る。例えば、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、アミノ酸配列が対象の集団又はコホート内に天然に存在しないアルブミン又はグロブリンを含み得る。本明細書に記載の検出可能なプローブ又はアレイは、翻訳後修飾及び/又は合成後修飾を含むリガンド結合ポリペプチドを含み得る。翻訳後修飾としては、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、プレニル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、リポイル化、フラビン部分結合、ヘムC結合、ホスホパンテテイニル化、レチニリデンシッフ塩基形成、ジプサミド形成、エタノールアミンホスホグリセロール結合、ヒプシン、β-リジン付加、アシル化、アセチル化、脱アセチル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、C末端アミド化、アルギニル化、ポリグルタミル化、ポリグリシル化、ブチリル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、グリシル化、ポリシアリル化、マロニル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ヌクレオチド付加、ホスホ酸エステル形成、ホスホルアミデート形成、リン酸化、アデニル化、ウリジル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸塩形成、S-グルタチオン化、S-ニトロシル化、S-スルフェニル化、S-スルフィニル化、S-スルホニル化、スクシニル化、硫酸化、糖化、カルバミル化、カルボニル化、イソペプチド結合形成、ビオチン化、カルバミル化、酸化、還元、ペグ化、ISG化、SUMO化、ユビキチン化、ネジル化、プシル化、シトルリン化、脱アミド化、エルミニル化、ジスルフィド架橋形成、タンパク質分解的切断、イソアスパラギン酸形成、ラセミ化及びタンパク質スプライシングが挙げられ得る。
【0121】
本開示の結合実体は、検出可能な標識を結合実体にカップリングさせることによって、検出可能なプローブに容易に変換され得る。本明細書中に記載されるような多数の方法が、2つ又はそれを超える検出可能な標識を含む複数の結合実体を利用することによって、多重配置に容易に適合され得、第1のタイプの結合実体には第1の検出可能な標識が提供され、第2のタイプの結合実体には第2の検出可能な標識が提供される。例えば、競合結合アッセイは、複数のリガンド結合ポリペプチドを含むアレイを、第1の複数の結合リガンド及び第2の複数の結合リガンドと同時に接触させることを含み得、第1の複数の結合リガンドの各結合リガンドは第1の検出可能な標識を含み、第2の複数の結合リガンドの各結合リガンドは第2の検出可能な標識を含む。別の例では、複数の単一種類のリガンド結合ポリペプチド(例えば、アルブミン、グロブリン等)を含むアレイを、第1のプロテオーム試料及び第2のプロテオーム試料を含む複数のポリペプチド結合実体と接触させることができ、第1のプロテオーム試料の各ポリペプチドは、第1の検出可能な標識を含み、第2のプロテオーム試料の各ポリペプチドは、第2の検出可能な標識を含む。
【0122】
本明細書に記載の方法は、結合速度論又は結合平衡アッセイに容易に拡張することができる。いくつかの場合において、方法は、i)第2の複数の結合実体を、第1の複数の結合実体を含み、第2の複数の結合実体が第1の測定可能な濃度を含む、本明細書中に記載されるようなアレイに接触させる工程と、ii)第2の複数の結合実体を、第1の複数の結合実体を含み、第2の複数の結合実体が第2の測定可能な濃度を含む、本明細書中に記載されるようなアレイに接触させる工程と、iii)場合により、第2の複数の結合実体を、第1の複数の結合実体を含み、第2の複数の結合実体が第3の測定可能な濃度を含む、本明細書中に記載されるようなアレイに接触させる工程と、iv)第2の複数の結合実体をアレイに接触させた後、アレイの各アドレスにおける結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程と、v)第2の複数の結合実体をアレイに接触させた各アレイアドレスにおける結合の検出された存在又は非存在に基づいて、第1の複数の結合実体の結合実体についての第2の複数の結合実体の結合実体の速度論的又は熱力学的結合パラメータ(例えば、解離定数、会合速度定数、解離速度定数等)を決定する工程と、のうちの1又は複数を含み得る。場合により、結合速度論又は結合平衡アッセイは、i)システム特性又はパラメータ(例えば、接触時間、流体pH、流体イオン強度、流体組成等)を変更する工程と、ii)変更されたシステム特性又はパラメータを用いて第2の複数の結合実体の1又は複数の接触をアレイに繰り返す工程と、のうちの1又は複数の工程を更に含み得る。当業者は、結合速度論又は結合平衡アッセイが、本明細書に記載の多重化方法によって多重化され得ることを更に認識するであろう。
【0123】
本明細書に記載の方法は、a)複数の検出可能なプローブを、複数のアドレスを含むアレイと接触させる工程であって、複数のアドレスの各アドレスが結合標的(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を含む、工程と、b)アレイ上の複数のアドレスのうちの1又は複数のアドレスにおいて、複数の検出可能なプローブのうちの1又は複数の検出可能なプローブを1又は複数の結合標的に結合させて、1又は複数のアドレスにおいて1又は複数のポリペプチド結合相互作用を形成する工程と、c)アレイ上の1又は複数のアドレスにおける1又は複数のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程と、のうちの1又は複数を含み得る。いくつかの場合、1又は複数のアドレスにおける1又は複数のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することは、各アドレスにおける複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブからのシグナル又はシグナルの非存在を検出することを含む。検出可能なプローブからのシグナルは、蛍光測定、発光測定、発光寿命測定、又はシグナルコード化(例えば、核酸又はペプチドバーコード等)によって観察され得る。
【0124】
本明細書に記載の方法は、複数の結合標的(例えば、複数のポリペプチド、複数のリガンド結合ポリペプチド、複数の結合リガンド、複数のポリペプチド複合体等)を含むアレイを提供する工程を含み得る。いくつかの場合では、複数の結合標的を含むアレイを提供する工程は、a)複数の結合標的を複数のリンカーと接触させる工程であって、複数のリンカーの各リンカーが、複数の結合標的のうちの結合標的に結合するように構成されている工程と、b)複数のリンカーを、複数のアドレスを含む固体支持体と接触させる工程であって、複数のアドレスの各アドレスが、複数のリンカーのリンカーと結合するように構成される、工程と、c)複数の結合標的の結合標的を複数のリンカーのうちの1つのリンカーにカップリングさせる工程と、d)複数のリンカーのうちの1つのリンカーを複数のアドレスのアドレスにカップリングさせる工程と、のうちの1又は複数を含み得る。上記又は本明細書の他の箇所に記載された例示的な構成等のアレイ形成方法は、多数の変形形態で起こり得ることが容易に認識されよう。例えば、複数のリンカー(例えば、SNAP、ナノ粒子等)の各リンカーを固体支持体のアドレスにカップリングさせ、次いで、複数の結合標的の結合標的を複数のリンカーの各リンカーにカップリングさせることができる。別の例において、複数の結合標的のうちの1又は複数の結合標的は、1又は複数のリンカーとカップリングされ得、次いで、1又は複数のリンカーの各リンカーは、固体支持体上のアドレスにカップリングされ得る。いくつかの場合、固体支持体上の各アドレスは、単一のリンカー及び/又は単一の結合標的を含み得る。
【0125】
本明細書に記載の方法、組成物又はシステムによって利用されるアレイは、異種混合物を含む領域を含むことができ、異種混合物は複数の結合標的を含み、複数の結合標的のうちの結合標的はアレイ上のアドレスにカップリングされ得る。結合標的の混合物は、混合物が少なくとも2つの異なる種類の化学種を含む態様では不均一であり得、各異なる種はアレイの異なるアドレスにカップリングされ得、単一分析物分析能(例えば、ポリペプチドと脂質の混合物、ポリペプチドと核酸の混合物、ポリペプチドと小分子化合物の混合物等)で場合により同定可能であり得る。例えば、アレイは、ポリペプチドと核酸との異種混合物を含み得、アレイ上の複数のアドレスの各アドレスは、カップリングされたポリペプチド又はカップリングされた核酸のいずれかを含む。結合標的の混合物は、アレイのアドレスにカップリングすることができ、単一分析物分析能で場合により同定可能であり得る少なくとも2つの異なる種類のポリペプチド種を含むという態様では不均一であり得る。例えば、血液試料からの複数のポリペプチドを含むアレイは、リガンド結合ポリペプチド、リガンド結合ポリペプチドに対する候補結合リガンド、及び非結合ポリペプチドの異種混合物を含み得、アレイ上の複数のアドレスの各アドレスは、カップリングされたリガンド結合ポリペプチド、リガンド結合ポリペプチドに対するカップリングされた結合リガンド、又は非結合ポリペプチドを含む。これに代えて、又はこれに加えて、本明細書に記載の方法によって利用されるアレイは、複数の結合標的を含む均質な混合物を含んでいてもよく、複数の結合標的のうちの1つの結合標的がアレイ上のアドレスにカップリングされていてもよい。複数の結合標的の純度が不純物に関して閾値純度レベルを超える場合、結合標的の混合物は均質であると見なされ得る。例えば、複数のリガンド結合ポリペプチドを含む均一な混合物は、リガンド結合ポリペプチドの、リガンド結合ポリペプチド以外のポリペプチドに対する純度が閾値を超える場合、均一であると見なされ得る。結合標的の均質混合物の純度の閾値は、モル基準又は質量基準等の基準尺度に基づいてもよい。例えば、結合標的の均質な混合物は、総結合標的含有量に対して質量基準で少なくとも約90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%、99.999999%、又はそれを超える閾値純度を超え得る。代替的又は追加的に、結合標的の均質混合物は、総結合標的含有量に対して質量基準で約99.999999%、99.99999%、99.9999%、99.999%、99.99%、99.9%、99%、98%、97%、96%、95%、90%以下、又はそれ未満の純度を有し得る。
【0126】
いくつかの場合、複数の結合標的は、不純物(すなわち、実行される分析のための望ましくない種又は外来種)を含む試料に由来し得る。特定の場合には、複数の結合標的を、粗、未精製又は不完全に精製された試料から抽出することができる。例えば、本明細書に記載の方法による分析のために、複数の結合標的を粗細胞溶解物からアレイに直接移してもよい。精製が困難又は高価であり得る場合、又は結合標的の収集が時間感受性である場合(例えば、本ポリペプチドの時間配列、急速に分解する環境等)、粗、未精製又は不完全に精製された試料から結合標的のアレイを調製することが特に有利であり得る。したがって、粗試料、未精製試料又は不完全に精製された試料に由来する結合標的から調製されたアレイは、結合標的を固体支持体上のアドレスにカップリングするために使用される化学に応じて、結合標的の不均一混合物を含み得る。別の態様では、a)複数の結合標的(例えば、複数のポリペプチド、複数のリガンド結合ポリペプチド、複数の結合リガンド、複数のポリペプチド複合体等)及び1又は複数の不純物を含むアレイを提供することであって、複数の結合標的の各結合標的は、アレイ上の互いのアドレスから分析可能なアドレスに位置し、1又は複数の不純物のそれぞれは、アレイ上の互いのアドレスから分析可能なアドレスに位置し、アレイの各アドレスは、単一分析物分析能で検出可能であり、複数の結合標的は、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、又は候補結合リガンドを含み、場合により、リガンド結合ポリペプチドは、アルブミン又はグロブリンを含む、ことと、b)信頼性の閾値尺度を超えてアレイ上の各アドレスにおける1又は複数の不純物の不純物の存在又は非存在を決定することと、c)1又は複数の不純物の不純物の存在が信頼性の閾値尺度を超えて決定されたアドレスのサブセットを除外した複数のアドレスの各アドレスにおいて、複数の親和性剤のうちの親和性剤の、複数の結合標的のうちの結合標的への結合の存在又は非存在を検出することであって、親和性剤は、結合標的に対する結合特異性を含む、ことと、を含み得る方法が本明細書で提供される。
【0127】
本明細書に記載の方法は、アレイ上のアドレスにおいて複数の結合標的のうちの結合標的を同定することを含み得る。複数の結合標的のうちの結合標的は、リガンド結合ポリペプチドとのポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在が決定される前又は後に、その同一性が確立され得る。いくつかの場合では、アレイ上のアドレスにおける複数の結合標的のうちの結合標的を同定することは、a)アレイを第1の複数の親和性剤と接触させる工程であって、第1の複数の親和性剤のうちの親和性剤の結合特性がエピトープのセットに関して特徴づけられる、工程と、b)アレイ上のアドレスにおいて、第1の複数の親和性剤のうちの親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、c)アレイを1又は複数の更なる複数の親和性剤と接触させる工程であって、1又は複数の更なる複数の親和性剤の各々の親和性剤の結合特性が、1又は複数の更なるエピトープのセットに関して特徴づけられる、工程と、d)アレイ上のアドレスにおける各追加の複数の親和性剤の親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、e)アドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、アドレスにおける複数の結合標的のうちの結合標的を同定する工程と、のうちの1又は複数を含み得る。いくつかの場合では、アドレスにおける各複数の親和性剤からのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、アドレスにおける複数の結合標的の結合標的を同定することは、a)アドレスにおける各複数の親和性剤からのシグナルの観察された存在又は非存在をコンピュータアルゴリズムに提供する工程と、b)アドレスにおける各複数の親和性剤からのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、コンピュータアルゴリズムによってアドレスにおける結合標的の同一性を決定する工程と、を含み得る。場合により、本明細書に記載の方法は、アレイ上の1又は複数の不純物を同定することを含んでもよい。不純物を同定する方法は、a)アレイ上のアドレスにカップリングされた不純物を含むアレイを第1の複数の親和性剤と接触させる工程であって、複数の親和性剤のうちの親和性剤が不純物に対する結合特異性を含む、工程と、b)アレイ上のアドレスにおいて第1の複数の親和性剤の親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、c)アレイ上のアドレスにおける複数の親和性剤の親和性剤からのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、アレイ上のアドレスにおける不純物を同定する工程と、を含み得る。
【0128】
リガンド結合ポリペプチドの単一分析物アレイ又は検出可能なプローブを利用する、本明細書中に記載されるような方法、組成物及びシステムは、結合リガンドとのポリペプチド結合相互作用を形成するように構成される1又は複数のユニーク結合部位を有するリガンド結合ポリペプチドを含み得る。結合部位は、単一の結合リガンドに対する結合特異性を含み得る。結合部位は、2以上の結合リガンドに対する結合特異性を含み得る。結合部位は、構造的類似性(例えば、小分子及びその誘導体、ポリペプチドアイソフォーム、ポリペプチド及びその変異体等)を有する2以上の結合リガンドに対する結合特異性を含み得る。結合部位は、構造的相違を有する2以上の結合リガンド(例えば、ポリペプチド及び脂質、ポリペプチド及び核酸等)に対する結合特異性を含み得る。
【0129】
リガンド結合ポリペプチドは、2つ又はそれを超える結合部位を含み得る。リガンド結合ポリペプチドは、結合リガンドとのポリペプチド結合相互作用を形成するように構成された約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える結合部位を含み得る。リガンド結合ポリペプチドは、結合リガンドとのポリペプチド結合相互作用を形成するように構成された少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える結合部位を含み得る。代替において、又は、加えて、リガンド結合ポリペプチドは、結合リガンドとのポリペプチド結合相互作用を形成するように構成される約10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又はそれ未満の結合部位を含む場合がある。リガンド結合ポリペプチドは、一度に単一のポリペプチド結合相互作用を形成するように構成され得る。リガンド結合ポリペプチドは、一度に2以上のポリペプチド結合相互作用を形成するように構成され得る。リガンド結合ポリペプチドが一度に形成し得るポリペプチド結合相互作用の数は、アロステリック促進又はアロステリック阻害等の調節機構によって全体的又は部分的に制御され得る。
【0130】
多数のタイプの親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用を検出するために有利であり得る。特に興味深いのは、1)ポリペプチド結合相互作用中に関与又は存在するリガンド結合ポリペプチドのエピトープの存在又は非存在を検出する、及び2)リガンド結合ポリペプチド中に存在するエピトープに結合することなく、結合リガンドの存在又は非存在を検出する、親和性剤である。表IIは、結合特異性によって様々なタイプの親和性試薬を要約し、そのような親和性剤からの検出可能なシグナルの存在又は非存在がポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在の証拠をどのように提供するかを述べている。
【表2】
【0131】
方法は、アレイの各アドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程を含み得、検出する工程は、a)アレイを第1の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、各検出可能な親和性剤は、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する特徴づけられた結合親和性を含む、工程と、b)各アドレスにおいて複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、を含む。いくつかの場合、第1の複数の親和性剤の親和性剤は、リガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を含み得る。他の場合において、第1の複数の親和性剤の親和性剤は、第1の結合部位におけるポリペプチド結合相互作用に起因するリガンド結合ポリペプチドの立体配座変化に関連するエピトープに対する結合特異性を含み得る。リガンド結合ポリペプチドの立体構造変化に関連するエピトープは、立体構造変化によって露出されるエピトープ(例えば、ポリペプチド結合相互作用が生じていないときにタンパク質のコア内に埋もれているエピトープ)を含み得る。リガンド結合ポリペプチドの立体配座変化に関連するエピトープには、立体配座変化によってスクリーニング又は埋設されるエピトープが含まれ得る(例えば、ポリペプチド結合相互作用が生じているときにタンパク質コアに埋め込まれるようになる結合可能なエピトープ)。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにおけるリガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤からのシグナルの存在は、リガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位における複数の結合リガンドの結合リガンドの非存在を示し得る。いくつかの場合、あるアドレスにおけるリガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を有する親和性剤からのシグナルの非存在は、リガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位における複数の結合標的のうちの結合標的の存在を示し得る。いくつかの場合、複数の親和性剤のうちの親和性剤は、検出可能な標識にカップリングされたリガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドを含み得る。
【0132】
方法は、アレイ上のアドレスにおける第2のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することを更に含み得る。いくつかの場合では、第2のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在は、第1のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在に依存しない場合がある。例えば、リガンド結合ポリペプチドは、第1の結合部位が、第2の結合部位における第2のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在とは無関係にポリペプチド結合相互作用を形成し得る2以上の結合部位を含み得る。他の場合では、第2のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在は、第1のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在に依存し得る。例えば、リガンド結合ポリペプチドは、第1の結合部位におけるポリペプチド結合相互作用の存在によって引き起こされる立体構造変化によって露出又は閉塞される第2の結合部位を含み得る。アレイ上のアドレスにおける第2のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程を更に含む方法は、a)アレイを第2の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、各検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドの第2の結合部位に関連するエピトープに対する特徴づけられた結合特異性を含む工程と、b)各アドレスにおいて、第2の複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、を含み得る。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにおけるシグナルの存在は、リガンド結合ポリペプチドの第2の結合部位における複数の結合リガンドのうちの結合リガンドの非存在を示し得る。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにおけるシグナルの非存在は、リガンド結合ポリペプチドの第2の結合部位における複数の結合リガンドのうちの結合リガンドの存在を示し得る。
【0133】
方法は、アレイの各アドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程を含み得、検出する工程は、a)アレイを第1の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、各検出可能な親和性剤は、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する特徴づけられた結合の欠如を含む、工程と、b)各アドレスにおいて複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からの第1のシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、を含む。そのような方法のための有用な親和性剤は、結合リガンド中に存在し得るがリガンド結合ポリペプチド中には存在しない化学構造又はエピトープに対する結合特異性を有するという特性を有するであろう。したがって、そのような親和性剤は、主に結合リガンドが存在する場合に、アドレスにおいて主に結合し、及び/又は検出可能なシグナルを提供し、それにより、リガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用の形成を示す。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにおける第1のシグナルの存在は、そのアドレスにおけるリガンド結合ポリペプチドの結合部位における複数の結合リガンドのうちの結合リガンドの存在を示し得る。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにおける第1のシグナルの非存在は、そのアドレスにおけるリガンド結合ポリペプチドの結合部位における複数の結合リガンドのうちの結合リガンドの非存在を示し得る。
【0134】
本明細書に記載の方法は、複数のアドレスのうちの1つのアドレスにおいて複数の結合リガンドのうちの1つの結合リガンドを同定する工程を更に含み得る。いくつかの場合、結合リガンドは、アレイ上の各アドレスで1又は複数の複数の親和性剤の結合の存在又は非存在を検出することによって同定され得、1又は複数の複数の親和性剤のそれぞれの親和性剤は、単一の結合リガンドに対する結合特異性を含む。例えば、リガンド結合ポリペプチドに結合した脂質結合リガンドの検出を含む方法は、リガンド結合ポリペプチドとのポリペプチド結合相互作用の形成に関与しない脂質結合リガンドの化学構造に結合する親和性剤を利用し得る。別の例では、リガンド結合ポリペプチドに結合したポリペプチド結合リガンドの検出を含む方法は、リガンド結合ポリペプチドとのポリペプチド結合相互作用の形成に関与しないポリペプチドの固有のエピトープに結合する親和性剤を利用し得る。別の場合、結合リガンドは、アレイ上の各アドレスで1又は複数の複数の親和性剤の結合の存在又は非存在を検出することによって同定され得、1又は複数の複数の親和性剤のそれぞれの親和性剤は、複数の結合リガンドに対する結合特異性を含む。特徴づけられた結合特異性を有する親和性剤を利用する方法は、本明細書中に記載されるように、結合リガンドの同一性を推測するために、例えば、復号化方法によって、複数の親和性剤のそれぞれの観察された測定結果を組み合わせることによって、結合リガンドの同一性を決定し得る。いくつかの場合において、あるアドレスにおける複数の結合リガンドのうちの結合リガンドを特定することは、a)そのアドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの1又は複数の観察された存在又は非存在をコンピュータアルゴリズムに提供する工程と、b)アドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの1又は複数の観察された存在又は非存在に基づいて、コンピュータアルゴリズムによってアドレスにおける結合リガンドの同一性を決定する工程と、を含み得る。
【0135】
アレイ上のアドレスにおいて結合リガンドを特定することは、a)アレイを第2の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、各検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する結合の特徴的な欠如を含む工程と、b)各アドレスにおいて複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からの第2のシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、c)第1の親和性剤からの第1のシグナルの存在又は非存在及び第2の親和性剤からの第2のシグナルの存在又は非存在に基づいて、複数のアドレスのアドレスにおける複数のポリペプチドのポリペプチドを同定する工程と、を更に含み得る。
【0136】
検出可能なプローブ又は親和性剤は、結合標的に対して特徴づけられた結合親和性を有し得る。結合標的に対する結合親和性は、平衡解離定数(KD)、会合速度定数(kon)又は解離速度定数(koff)等の尺度によって定量的に決定され得る。検出可能なプローブ又は親和性剤は、選択された検出方法に対する検出の可能性を高める結合親和性を有するように選択され得る。例えば、蛍光に基づくアッセイ(例えば、蛍光顕微鏡法、発光寿命等)で利用される親和性剤は、蛍光に基づく検出のための時間スケールと比較して遅い解離を示す解離速度定数に基づいて選択され得る。別の例では、シグナルエンコードアッセイ(例えば、核酸バーコード転写)で利用される親和性剤は、複合体の最小解離を示す平衡解離定数に基づいて選択することができ、それによって適切なシグナルコードの可能性が高まる。検出可能なプローブ又は親和性剤は、約10ミリモル(mM)、1mM、100マイクロモル(μM)、10μM、1μM、500ナノモル(nM)、250nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、2.5nM、1nM、500ピコモル(pM)、250pM、100pM、50pM、25pM、10pM、5pM、2.5pM、1pM以下、又はそれ未満の特徴づけられた解離定数を有し得る。あるいは又は更に、検出可能なプローブ又は親和性剤は、少なくとも約1pM、2.5pM、5pM、10pM、25pM、50pM、100pM、250pM、500pM、1nM、2.5nM、5nM、10nM、25nM、50nM、100nM、250nM、500nM、1μM、10μM、100μM、1mM、10mM又はそれを超える特徴づけられた解離定数を有し得る。検出可能なプローブ又は親和性剤は、約1/秒(s-1)、1x10-1s-1、2.5x10-1s-1、5x10-1s-1、1x10-2s-1、2.5x10-2s-1、5x10-2s-1、1x10-1s-3、2.5x10-3s-1、5x10-3s-1、1x10-4s-1、2.5x10-4s-1、5x10-4s-1、1x10-5s-1、2.5x10-5s-1、5x10-5s-1、1x10-1s-6以下、又はそれ未満の特徴づけられた解離速度定数を有し得る。あるいは又は更に、検出可能なプローブ又は親和性剤は、少なくとも約1x10-6s-1、5x10-5s-1、2.5x10-5s-1、1x10-5s-1、5x10-4s-1、2.5x10-4s-1、1x10-4s-1、5x10-3s-1、2.5x10-3s-1、1x10-3s-1、5x10-2s-1、2.5x10-2s-1、1x10-2s-1、5x10-1s-1、2.5x10-1s-1、1x10-1s-1、1s-1又はそれを超える特徴づけられた解離速度定数を有し得る。検出可能なプローブ又は親和性剤は、約1×107/秒(s-1)、5x106s-1、2.5x106s-1、1x106s-1、5x105s-1、2.5x105s-1、1x105s-3、5x104s-1、2.5x104s-1、1x104s-1、5x103s-1、2.5x103s-1、1x103s-1以下、又はそれ未満の特徴づけられた会合速度定数を有し得る。代替的又は追加的に、検出可能なプローブ又は親和性剤は、少なくとも約1×103s-1、2.5×103s-1、5×103s-1、1×104s-1、2.5×104s-1、5×104s-1、1×105s-1、2.5×105s-1、5×105s-1、1×106s-1、2.5×106s-1、5×106s-1、1×107s-1又はそれを超える特徴づけられた会合速度定数を有し得る。
【0137】
本明細書に記載の方法は、アレイ上のアドレスにおいて結合実体(例えば、ポリペプチド)を同定することを含み得る。いくつかの場合、アレイ上のアドレスにおいて結合実体を同定することは、そのアドレスにおいて検出可能なプローブ(例えば、親和性剤)の結合を検出することを含み得、検出可能なプローブは、その結合実体に対する結合特異性を含む。他の場合には、アレイ上のアドレスにおいて結合実体を同定することは、アドレスにおいて2つ又はそれを超える検出可能なプローブ(例えば、2以上の親和性剤)の結合の存在又は非存在を検出することを含み得、検出可能なプローブの各々は、特徴づけられた結合特異性を含む。いくつかの場合、方法は、あるアドレスにおける第1の複数の親和性剤の親和性剤の観察された結合の存在又は非存在に関するデータを分析アルゴリズムに提供すること、及びそのアドレスにおける第2の複数の親和性剤の親和性剤の観察された結合の存在又は非存在に関するデータを分析アルゴリズムに提供することを更に含み得る。いくつかの場合では、分析アルゴリズムは、画像分析アルゴリズム、シグナル処理アルゴリズム、及びポリペプチド同定アルゴリズムのうちの1又は複数を含み得る。いくつかの場合、アルゴリズムは、あるアドレスにおける第1の複数の親和性剤の親和性剤の結合の観察の存在又は非存在に関するデータを得、そのアドレスにおける第2の複数の親和性剤の親和性剤の結合の観察の存在又は非存在に関するデータを得、得られたデータに基づいて、そのアドレスにおける結合実体(例えば、ポリペプチド、非ポリペプチド)を同定するように構成され得る。
【0138】
本明細書に記載の方法は、複数の結合標的(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)を含むアレイを提供することを含み得、方法は、a)複数の結合標的を提供する工程と、b)複数の結合標的を固体支持体にカップリングさせる工程であって、固体支持体が複数のアドレスを含み、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスが複数の結合標的のうちの単一の結合標的を含む、工程と、のうちの1又は複数を含む。いくつかの場合、複数の結合標的を固体支持体にカップリングさせることは、a)複数の結合標的の各結合標的をリンカーにカップリングさせる工程と、b)各リンカーを固体支持体上の単一のアドレスにカップリングさせる工程であって、各アドレスが単一のリンカーを含む工程と、のうちの1又は複数を含む。いくつかの場合、リンカーは核酸を含み得る。いくつかの場合、各リンカーを固体支持体上の単一のアドレスにカップリングすることは、リンカーを固体支持体に共有結合させることを含み得る。別の場合、各リンカーを固体支持体上の単一のアドレスにカップリングすることは、リンカーを固体支持体に非共有結合させることを含み得る。
【0139】
本明細書に記載の方法は、ポリペプチド結合相互作用の結合特徴を同定及び/又は定量することを更に含み得る。結合特性を同定及び/又は定量することは、結合特異性を同定及び/又は定量することを含み得る。いくつかの場合、結合特異性を同定及び/又は定量することは、リガンド結合ポリペプチド又はポリペプチド複合体とポリペプチド結合相互作用を形成する結合リガンドのリストを提供することを含み得る。他の場合、結合特異性を同定及び/又は定量することは、結合リガンドに対する結合特異性を有するリガンド結合ポリペプチド又はポリペプチド複合体のリストを提供することを含み得る。結合特性を同定及び/又は定量することは、リガンド結合ポリペプチド(例えば、解離定数、会合速度定数、解離速度定数等)の結合親和性を定量することを含み得る。いくつかの場合において、リガンド結合ポリペプチドの結合親和性を定量することは、a)各アドレスが結合標的(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、ポリペプチド複合体)を含み、検出可能なプローブが結合標的に対する相補的結合実体を含む、固体支持体上の複数のアドレスの各アドレスにおける検出可能なプローブの単一分析物分析能での存在又は非存在を最初に検出する工程と、b)固体支持体上の複数のアドレスの各アドレスにおける検出可能なプローブの単一分析物分析能での存在又は非存在を第2の時点で検出する工程と、c)第1の時間及び第2の時間における各アドレスでの検出可能なプローブの存在又は非存在に基づいて、検出可能なプローブ結合標的対の結合親和性特性(例えば、KD、kon、koff等)を計算する工程と、を含み得る。他の場合において、リガンド結合ポリペプチド又はポリペプチド複合体の結合親和性を定量することは、a)各アドレスが結合標的(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、ポリペプチド複合体)を含み、検出可能なプローブが結合標的に対する相補的結合実体を含む、固体支持体上の複数のアドレスの各アドレスにおける検出可能なプローブの単一分析物分析能での存在又は非存在を第1の条件で検出する工程と、b)固体支持体上の複数のアドレスの各アドレスにおける検出可能なプローブの単一分析物分析能での存在又は非存在を第2の条件で検出する工程と、c)第1の時間及び第2の時間における各アドレスでの検出可能なプローブの存在又は非存在に基づいて、検出可能なプローブ結合標的対の結合親和性特性を計算する工程と、を含み得る。いくつかの場合では、第1の状態及び/又は第2の状態は、流体状態(例えば、化学組成、イオン強度、pH、濃度等)又は温度を含み得る。
【0140】
本明細書に記載の方法は、単一分析物アレイを含むことができる。アレイは、単一分析物分析能でアレイ上の互いにアドレスから分析可能な1又は複数のアドレスを含む1又は複数の表面を含むことができる。アレイは、複数のアドレスを含むことができ、複数のアドレスの各アドレスは、単一分析物分析能でアレイ上の互いにアドレスから分析可能である。いくつかの場合では、アレイは、複数のアドレスを含む単一の表面を含むことができ、複数のアドレスの各アドレスは、単一分析物分析能でアレイ上の互いにアドレスから分析可能である。アレイは、複数の結合実体又は結合標的を含み得、複数の結合実体又は結合標的の各結合実体又は結合標的は、アレイ上の複数のアドレスのアドレスにカップリングされる。アレイは、複数の結合実体又は複数の結合標的を含み得、複数の結合実体又は結合標的の各結合実体又は結合標的は、アレイ上の複数のアドレスのアドレスにカップリングされ、複数のアドレスのアドレスは、複数の結合実体又は結合標的のうちの1つ以下の結合実体又は結合標的を含む。アレイは、複数の結合実体又は複数の結合標的を含み得、複数の結合実体又は結合標的の各結合実体又は結合標的は、アレイ上の複数のアドレスのアドレスにカップリングされ、複数のアドレスの各アドレスは、複数の結合実体又は結合標的のうちの1つ以下の結合実体又は結合標的を含む。アレイは、複数の結合実体又は複数の結合標的を含み得、複数の結合実体又は結合標的の各結合実体又は結合標的は、アレイ上の複数のアドレスのアドレスにカップリングされ、複数のアドレスのアドレスは、複数の結合実体又は結合標的の2以上の結合実体又は結合標的を含む。アレイは、1又は複数の間隙領域を含むことができる。アレイは、複数の間隙領域を含むことができる。いくつかの場合、間隙領域は、間隙領域への分子の非特異的結合を最小限に抑えるように構成された部分を含み得る。
【0141】
本明細書に記載の方法は、単一分析物分析能でポリペプチド結合相互作用を同定する目的で、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)の単一分析物アレイを利用し得る。アレイは、固体支持体上への複数の結合実体の堆積によって形成され得る。いくつかの場合、アレイを形成する方法は、複数の結合実体を提供する工程を含み得、複数の結合実体の各結合実体は、リンカーにカップリングされる。別の態様では、結合実体粒子を形成する方法であって、a)非カップリング型結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド)及び非カップリング型リンカーを含む組成物を提供することと、b)リンカーを結合実体にカップリングさせ、それにより、結合実体粒子を形成する工程と、を含む方法が本明細書で提供される。いくつかの場合、方法は、リンカーを固体支持体にカップリングさせることを更に含み得る。特定の場合において、リンカーは、リンカーが結合実体にカップリングされる前に固体支持体にカップリングされ得る。他の場合において、リンカーは、リンカーが結合実体にカップリングされる前に固体支持体にカップリングされなくてもよい。同様の方法を利用して、1又は複数の結合実体を含む検出可能なプローブを形成することができる。検出可能なプローブを形成する方法は、a)1又は複数の非カップリング型結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド)及び非カップリング型保持構成要素を含む組成物を提供することと、b)保持構成要素を1又は複数の結合実体にカップリングし、それにより、結合実体粒子を形成することと、を含み得る。
【0142】
本明細書に記載の方法は、ポリペプチドに対する親和性剤の結合プロファイルを作成することによってポリペプチドを同定することを含み得る。いくつかの場合、そのような方法は、親和性剤結合プロファイルに基づいてポリペプチドのプロテオフォーム又はアイソフォームを同定することを更に含み得る。例えば、方法は、試料中の2以上のポリペプチドアイソフォームを同定し、次いで、結合リガンド(例えば、医薬化合物)がどちらのアイソフォームによっても結合されていないか、一方のアイソフォームによって結合されているか、又は両方のアイソフォームによって結合されているかを決定することを含み得る。
図24A~24Dは、親和性剤を利用してポリペプチドアイソフォームを同定する方法を示す。
図24Aは、異なるリン酸化パターンを有するポリペプチド2420を含む固体支持体2400を示す。各ポリペプチド2420は、連結部分2410によって固体支持体2400にカップリングされている。アレイを検出可能なプローブ2440及び2441と接触させ、各検出可能なプローブは異なるリン酸化エピトープに対する結合特異性を有する。
図24Bは、検出可能なプローブ2440が右アイソフォームに結合し、検出可能なプローブ2441が左アイソフォームに結合したアレイ構成を示す。
図24Cは、アレイを複数の第3の検出可能なプローブ2442と接触させることを示す。
図24Dは、検出可能なプローブ2442が両方のアイソフォームに結合しているアレイ構成を示す。したがって、両方のアイソフォームが、結合リガンド相互作用アッセイの前又は後に、1つの共通のリン酸化エピトープ及び2つの異なるリン酸化エピトープを含むことが決定され得る。
【0143】
本明細書に記載の方法は、粗又は部分的に分離された試料から分離又は精製された結合実体を利用し得る。試料を分離又は精製して、試料から1又は複数の結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を得ることができる。例えば、血液試料を分離してアルブミン及び/又はグロブリンに富む画分を得ることができる。試料は、1又は複数の結合実体から1又は複数の不純物を除去するために分離又は精製され得る。例えば、試料を脱塩して、1又は複数の結合実体からイオン種(例えば、Ca2+、Mg2+、Na+、K+、Fe2+等)を除去することができる。試料は、1又は複数の結合実体から特定の種を除去するために分離又は精製され得る。例えば、血液試料を精製して、他の血清タンパク質からアルブミン及び/又はグロブリンを除去することができる。試料は、遠心分離、沈殿、液液分離、固相分離、クロマトグラフィ、脱塩、及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって分離又は精製することができる。結合実体を調製する例示的な方法は、“Clinical Diagnosis and Management by Laboratory Methods,”16th Ed.,Campbell,et al.(1979),“Investigation of an Albumin-enriched Fraction of Human Serum and its Albuminome,”Gundry,et al.,Proteomics Clin.Appl.,(2007),or“Proteomic and Network Analysis of Human Serum Albuminome by Integrated Use of Quick Cross-linking and Two-step Precipitation,”Liu,et al.,Nature Scientific Reports,(2017)に記載されており、それぞれ参照によりその全体が組み込まれる。いくつかの場合では、血液試料内の種の凝固又は凝固を防ぐために、血液試料を抗凝固剤(例えば、クエン酸塩、ヘパリン、又はEDTA)で処理することができる。
【0144】
本明細書に記載の複数の結合実体を含有する画分は、1又は複数の不純物を含み得る。不純物は、複数の結合実体を含む画分に含まれる任意の望ましくない実体を指し得る。不純物は、ポリペプチド不純物又は非ポリペプチド不純物を含み得る。不純物は、糖類、多糖類、アミノ酸、タンパク質、ペプチド、ヌクレオチド、核酸、ビタミン、補因子、イオン、医薬化合物、毒性化合物、毒液、ナノ粒子、マイクロプラスチック、その誘導体、その分解産物、又はそれらの組合せ等の生体分子を含み得る。単一分析物アレイ又は複数の検出可能なプローブは、1又は複数の不純物を含有する複数の結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)から調製され得る。単一分析物アレイ又は複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、不純物を含有し得る。本明細書に記載の方法は、結合実体及び1又は複数の不純物を含む画分を利用し得る。例えば、流体試料(例えば、血液、脳脊髄液、滑液等)を固体支持体に直接適用し、結合実体(例えば、アルブミン)及び不純物をアレイの別々のアドレスに堆積させることによって、単一分析物アレイを調製することができる。本明細書に記載の方法は、不純物の存在下で機能するように構成され得る。例えば、アルブミン検出可能なプローブと複数のポリペプチド候補結合リガンドとの間の1又は複数のポリペプチド結合相互作用は、複数のポリペプチド候補結合リガンド及び1又は複数の不純物(例えば、核酸、脂質等)を含む単一分析物アレイで観察され得る。複数のポリペプチド又はそれに由来する単一分析物アレイを含有する画分は、単一分析物アレイ上のアドレスの少なくとも約0.0000000001%、0.000000001%、0.00000001%、0.0000001%、0.000001%、0.00001%、0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、又は約1%超にカップリングした不純物を含み得る。代替的又は追加的に、複数のポリペプチド又はそれに由来する単一分析物アレイを含有する画分は、単一分析物アレイ上のアドレスの約1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、0.001%、0.0005%、0.0001%、0.00001%、0.000001%、0.0000001%、0.00000001%、0.000000001%、0.0000000001%以下、又は約0.0000000001%未満にカップリングした不純物を含み得る。
【0145】
本明細書に記載の方法は、対照結合実体(例えば、対照リガンド結合ポリペプチド、対照結合リガンド等)を利用し得る。対照結合実体は、任意の適切な供給源から誘導又は抽出され得る。対照結合実体は、結合実体が由来又は抽出される対象とは異なる対象から誘導又は抽出され得る。例えば、複数のポリペプチドをヒト対象から抽出してもよく、対照ポリペプチドを第2のヒト対象から抽出してもよい。別の例では、複数のポリペプチドをヒト対象から抽出してもよく、対照ポリペプチドを非ヒト対象から抽出してもよい。対照結合実体は、結合実体が誘導又は抽出されるのと同じ対象から誘導又は抽出され得る。対照結合実体は、既知の又は特徴づけられた疾患又は健康状態を有する対象から誘導又は抽出され得る。例えば、既知の非糖尿病対象から対照アルブミンを抽出して、糖尿病が疑われる対象からのアルブミン試料を特徴づけることができる。対照結合実体は、トランスジェニック生物から誘導又は抽出され得る。対照結合実体は、結合実体が由来する対象の健康組織又は健康流体から誘導又は抽出され得る。例えば、結合実体は、対象から採取された脳脊髄液の試料から抽出され得、対照結合実体は、同じ対象から採取された血液試料から抽出され得る。
【0146】
本明細書に記載の方法は、既知の、未知の、又は疑われる疾患状態又は健康状態を有する対象から結合実体を誘導又は抽出することを含み得る。本明細書に記載の方法は、結合実体を含む試料が得られる対象における疾患状態又は健康状態を同定することを含み得る。疾患状態又は健康状態は、対象に由来するか又は対象から抽出された試料中の結合実体の存在又は非存在に基づいて同定され得る。疾患状態又は健康状態は、単一分析物アレイ上の対象に由来する又は対象から抽出された第1の結合実体と第2の結合実体との間のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在に基づいて同定され得る。疾患状態は、対象内でバイオマーカー、症状、又は異常な機能を生成する、対象内の分子、細胞、又は組織の構造又は機能の任意の障害を含み得る。例示的な疾患状態には、癌状態、心血管疾患状態、自己免疫疾患状態、炎症状態、神経精神状態、細菌感染状態、ウイルス感染状態、寄生虫感染状態、毒性応答状態、毒気状態、又はそれらの組合せが含まれ得る。具体的な例示的な疾患状態には、糖尿病、脳がん、口腔がん、食道がん、肺がん、胃がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、結腸がん、白血病、心臓病、肺疾患、脳卒中、高血圧、低血圧、肝硬変、腎臓疾患、関節炎、狼瘡、乾癬、多発性硬化症、セリアック病、クローン病、大うつ病性障害、統合失調症、強迫性障害、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、ウイルス性髄膜炎、細菌性髄膜炎、ウイルス性胃腸炎、細菌性胃腸炎、又はそれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。健康状態は、対象における正常又は予想される構造又は機能の任意の同定又は特徴づけを含み得る。健康状態は、健康状態に関連するバイオマーカーの存在又は非存在によって決定されてもよい。例えば、アルブミンに結合したポリペプチドバイオマーカーの特定された存在は、正常な血圧を示し得る。健康状態は、健康状態に関連するポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在によって決定され得る。例えば、翻訳後修飾されたアルブミンポリペプチドに特徴的なポリペプチド結合相互作用がないことに基づいて、対象を非糖尿病性として同定することができる。
【0147】
本明細書に記載の方法は、1又は複数の流体媒体を利用することができる。本明細書に記載の方法は、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)又は固体支持体を有する親和性剤を接触するために1又は複数の流体媒体を利用することができる。本明細書に記載の方法は、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)又は固体支持体を有する親和性剤を除去するために1又は複数の流体媒体を利用することができる。例えば、流体媒体を利用して、固体支持体から未結合の親和性剤又は検出可能なプローブをすすぐことができる。別の例では、流体媒体を利用して、ポリペプチド結合相互作用又は結合実体への親和性剤の結合等の結合会合を破壊することができる。本明細書に記載の方法は、アレイを流体媒体と接触させる1又は複数の工程を含むことができ、流体媒体は特定の組成(例えば、pH、イオン強度、温度、極性、疎水性、親水性、化学組成等)を有する。本明細書に記載の方法は、アレイを流体媒体と接触させる1又は複数の工程を含むことができ、流体媒体はイオン種(例えば、一価イオン、多価イオン、アニオン、カチオン、単原子イオン、多原子イオン、金属イオン、非金属イオン、有機イオン、無機イオン等)を含む。本明細書に記載の方法は、アレイを流体媒体と接触させる1又は複数の工程を含み得、流体媒体は、ポリペプチド結合相互作用を変化させるように構成されたイオン種を含む(例えば、相互作用を強化し、相互作用を促進し、相互作用を破壊する等)。例えば、リガンド結合ポリペプチドを含む固体支持体を、リガンド結合ポリペプチドとリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用の形成を媒介するイオン種を含む流体媒体と接触させることができる。別の例では、ポリペプチド複合体を含む固体支持体を、ポリペプチド複合体を破壊するイオン種を含む流体媒体と接触させ、それによってポリペプチド複合体からの1又は複数の種の解離を引き起こすことができる。
【0148】
ポリペプチド結合系をアッセイするための組成物及び系
本明細書に記載の方法によるリガンド結合ポリペプチドのポリペプチド結合相互作用の分析に有利であり得る組成物が本明細書で提供される。組成物は、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、又はポリペプチド複合体等の結合実体の単一分析物アレイを調製又は分析するのに特に有用であり得、単一分析物アレイ上の各結合実体は、単一分析物分析能で分析可能である。更に、本明細書に記載されるように、開示される組成物の1又は複数を組み込むことができるシステムが本明細書に開示される。開示されるシステムは、リガンド結合ポリペプチドのポリペプチド結合相互作用を単一分析物分析能で同定及び/又は定量することを含む、本明細書に記載の方法を実施するように構成され得る。
【0149】
一態様では、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数の結合実体であって、複数の結合実体の各結合実体が複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域が結合実体を欠いている、複数の結合実体と、を含む組成物が本明細書で提供される。複数の結合実体は、複数のリガンド結合ポリペプチドを含み得る。複数のリガンド結合ポリペプチドは、均質な複数のリガンド結合ポリペプチドを含み得、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドは、同じリガンド結合ポリペプチド種のものである。複数のリガンド結合ポリペプチドは、異種の複数のリガンド結合ポリペプチドを含み得、ここで、複数のリガンド結合ポリペプチドは、2種以上のリガンド結合ポリペプチドを含む。いくつかの場合、複数のリガンド結合ポリペプチドは、アルブミン又はグロブリンを含み得る。複数の結合実体は、複数の結合リガンドを含み得る。複数の結合リガンドは、均質な複数の結合リガンドを含み得、複数の結合リガンドの各結合リガンドは、同じ結合リガンド種のものである。複数の結合リガンドは、不均一な複数の結合リガンドを含み得、複数の結合リガンドは、2種以上の結合リガンドを含む。
【0150】
図5A~
図5Cは、本明細書に記載の方法に有用であり得るアレイの複数の実施形態を示す。
図5Aは、複数のアドレス515を含む固体支持体510を含むアレイを示す。複数のアドレス515の各アドレスは、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの単一のリガンド結合ポリペプチド520を含み得る。場合により、アレイ又は固体支持体510を、(例えば、対象から抽出された複数のポリペプチド、結合リガンド、候補結合リガンド等)1又は複数の結合実体530と接触させてもよい。場合により、1又は複数の結合実体530は、アレイ又は固体支持体510と接触する流体媒体内にあってもよい。
図5Bは、複数のアドレス515を含む固体支持体510を含むアレイを示す。複数のアドレス515の各アドレスは、複数の結合リガンドのうちの単一のポリペプチド結合リガンド540を含み得る。場合により、アレイ又は固体支持体510を、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド520と接触させることができる。場合により、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド520は、アレイ又は固体支持体510と接触させた流体媒体内にあってもよい。
図5Cは、複数のアドレス515を含む固体支持体510を含むアレイを示す。複数のアドレス515の各アドレスは、複数の結合リガンドのうちの単一の非ポリペプチド結合リガンド540を含み得る。場合により、アレイ又は固体支持体510を、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド520と接触させることができる。場合により、1又は複数のリガンド結合ポリペプチド520は、アレイ又は固体支持体510と接触させた流体媒体内にあってもよい。
図5A~
図5Cに示すアレイの実施形態は、それぞれ、均一な複数の結合標的を含むアレイを含むが、アレイは、不均一な複数の結合標的(例えば、2以上の種の結合標的を含む複数)を含むこともできる。
【0151】
いくつかの構成では、組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数のリガンド結合ポリペプチドであって、該複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが該複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、該複数の間隙領域の間隙領域がリガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、を含み得る。他の場合において、組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが他の各アドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数の結合リガンドであって、複数の結合リガンドの各結合リガンドが複数のアドレスのアドレスにカップリングされ、複数の間隙領域の間隙領域が結合リガンドを欠いている、複数の結合リガンドと、を含み得る。
【0152】
本明細書に記載の組成物は、アレイのアドレスにカップリングした結合実体を含み得る。組成物は、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を固体支持体又はそのアドレスにカップリングさせるように構成されたリンカーを更に含み得る。いくつかの場合、リンカーは、結合実体を固体支持体にカップリングさせるように構成された核酸リンカーを含み得る。核酸リンカーは、オリゴヌクレオチドを含み得る。核酸リンカーは、構造化核酸粒子(SNAP)を含み得る。SNAPは、核酸オリガミ又は核酸ナノボールを含み得る。いくつかの場合、核酸リンカーは、固体支持体に共有結合していてもよい。他の場合において、核酸リンカーは、固体支持体に非共有結合的にカップリングされ得る。他の場合では、リンカーは非核酸リンカーを含み得る。非核酸リンカーは、アレイ(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、デキストラン等)への分子の非特異的結合を防止するように構成された部分を含み得る。非核酸リンカーは、共有結合相互作用(例えば、シラン等)を形成するように構成された部分を含み得る。いくつかの場合、リンカーは、核酸部分及び非核酸部分を含み得る。例えば、結合実体は、核酸部分(例えば、SNAP)にカップリングされ得、ここで、核酸部分は、非核酸部分(例えば、表面結合シラン)にカップリングされる。
【0153】
本明細書に記載の組成物は、アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合実体を更に含み得る。いくつかの場合、組成物は、アレイ又はその固体支持体と接触している複数のリガンド結合ポリペプチドを更に含み得、アレイは複数の結合リガンドを含む。他の場合、組成物は、アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合リガンドを更に含み得、アレイは複数のリガンド結合ポリペプチドを含む。いくつかの場合、組成物は、アレイが複数の結合実体を含む複数の競合的結合リガンドを更に含み得る。いくつかの場合、アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合実体は、1又は複数の遊離結合実体を含み得る。いくつかの場合、アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合実体は、複数の遊離結合実体を含み得る。他の場合には、アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合実体は、アレイ又はその固体支持体上の1又は複数の結合実体に結合している1又は複数の結合実体を含み得る。他の場合において、アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合実体は、アレイ又はその固体支持体上の1又は複数の結合実体に結合している複数の結合実体を含み得る。いくつかの場合、組成物は、アレイ又はその固体支持体と接触する流体媒体を含み得、流体媒体は複数の結合実体を含む。
【0154】
アレイ又はその固体支持体と接触している複数の結合実体は、複数のポリペプチドを含み得、ここで、その複数のポリペプチドのポリペプチドは、その複数のリガンド結合ポリペプチドのリガンド結合ポリペプチドとポリペプチド結合相互作用を形成するように構成されている。複数のポリペプチドは、単一種のポリペプチドを含み得る。複数のポリペプチドは、2種以上のポリペプチドを含み得る。いくつかの場合、複数のポリペプチドを対象(例えば、医療患者、研究対象)から誘導又は抽出することができる。いくつかの場合、複数のポリペプチドがヒト対象に由来し得る。
【0155】
別の態様では、組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数のポリペプチド複合体であって、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体が、リガンド結合ポリペプチドと、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドとを含み、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体が、複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の各間隙領域が、ポリペプチド複合体又はリガンド結合ポリペプチドを含まない、複数のポリペプチド複合体と、を含み得る。いくつかの場合、リガンド結合ポリペプチドは、アルブミン又はグロブリンを含み得る。
【0156】
複数のカップリングされた結合実体(例えば、複数のリガンド結合ポリペプチド、複数の結合リガンド、複数のポリペプチド複合体)を含むアレイ又はその固体支持体を含む組成物は、流体媒体を更に含み得る。流体媒体は、アレイ又はその固体支持体上の複数のカップリングされた結合実体のうちのカップリングされた結合実体とポリペプチド複合体を形成するように構成された結合実体を含み得る。流体媒体は、ポリペプチド複合体を破壊するように構成された結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)を含み得る。例えば、流体媒体は、カップリングされたポリペプチド複合体からのリガンド結合ポリペプチドの解離を引き起こす競合的結合リガンドを含み得る。流体媒体は、ポリペプチド複合体を破壊するように構成された結合実体以外の化学種を含み得る。例えば、流体媒体は、カップリングしたポリペプチド複合体からの結合リガンドの解離を引き起こす変性剤又はカオトロープを含み得る。
【0157】
本明細書に記載の組成物は、架橋分子を更に含み得る。架橋分子は、第1の実体を第2の実体(例えば、結合リガンドに対するリガンド結合ポリペプチド)に共有結合的又は非共有結合的に連結するように構成された任意の分子を含み得る。架橋分子は、化学的架橋剤又は光誘導性架橋剤を含み得る。架橋分子は、二官能性、三官能性、及び多官能性リンカー(ホモ官能性及びヘテロ官能性リンカーを含む)を含み得る。架橋分子は、クリック型反応によって実体と共有結合を形成するように構成された1又は複数のクリック型官能基を含み得る。架橋分子は、非共有結合相互作用(例えば、ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド、ストレプトアビジン-ビオチン、SpyTag-SpyCatcher、SdyTag-SdyCatcher、SnoopTag-Snoopcatcher等)によって連結された部分を含む。本明細書に記載の組成物は、アレイ又はその固体支持体と接触する流体媒体を含んでもよく、流体媒体は架橋分子を含んでもよい。本明細書に記載の組成物は、リガンド結合ポリペプチドとポリペプチド複合体の結合リガンドとが架橋分子によってカップリングされたポリペプチド複合体を含み得る。
【0158】
図7A~
図7Bは、架橋あり及びなしのポリペプチド複合体を含むアレイの例を示す。
図7Aは、単一分析物分析能で分析可能な複数のアドレスを含む固体支持体710を含むアレイを示す。複数のアドレス715の各アドレスは、各ポリペプチド複合体がリガンド結合ポリペプチド720及びリガンド結合ポリペプチド720の結合リガンド730を含む単一のポリペプチド複合体に連結されている。いくつかの構成において、ポリペプチド複合体は、結合リガンド730を、複数のアドレス715のうちのアドレスにカップリングされるリガンド結合ポリペプチド720と接触させることによってアレイ上に形成され得る。他の構成では、場合により流体媒体内の遊離ポリペプチド複合体をアレイと接触させ、次いで遊離ポリペプチド複合体を複数のアドレス715のアドレスにカップリングすることによって、遊離ポリペプチド複合体をアレイ上に堆積させることができる。
図7Bは、単一分析物分析能で分析可能な複数のアドレスを含む固体支持体710を含むアレイを示す。複数のアドレス715の各アドレスは、単一のポリペプチド複合体に連結されており、各ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド720と、リガンド結合ポリペプチド720の結合リガンド730と、リガンド結合ポリペプチド720を結合リガンド730にカップリングしたリンカー740とを含む。いくつかの場合では、ポリペプチド複合体は、アレイに堆積された後にリンカー740によって架橋され得る。他の場合では、ポリペプチド複合体は、アレイに堆積される前にリンカー740によって架橋され得る。
【0159】
別の態様では、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが他の各アドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域と、b)複数のポリペプチドであって、複数のポリペプチドのうちの単一のポリペプチドが該複数のアドレスの各アドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の各間隙領域が複数のポリペプチドのポリペプチドを含まず、複数のポリペプチドが総タンパク質重量に対して少なくとも50重量%のアルブミン及びグロブリンを含む、複数のポリペプチドと、を含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの構成では、複数のポリペプチドは、総タンパク質に対して少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、99.9重量%、99.99重量%、99.999重量%、又はそれを超える重量を含み得る。代替的又は追加的に、複数のポリペプチドは、総タンパク質重量に対して約99.999重量%、99.99重量%、99.9重量%、99重量%、95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%以下、又はそれ未満を含み得る。いくつかの場合、複数のポリペプチドは、単一の対象(例えば、単一のヒト対象)に由来し得る。いくつかの構成では、複数のポリペプチドは、精製された複数のポリペプチド(例えば、分離プロセス等によって除去された1又は複数のポリペプチドを有するポリペプチド試料)を含み得る。他の構成では、複数のポリペプチドは、精製された複数のポリペプチドを含まなくてもよい。驚くべきことに、本明細書に記載の方法は、単一分析物分析能でアレイ上の1又は複数の不純物を同定し、それらを更なる分析から除外する能力のために、ポリペプチドの精製を必要としない場合がある。
【0160】
図14は、対象1400から抽出された複数のポリペプチドを含むアレイの形成を示す。試料1410(例えば、血液、脳脊髄液等)は、対象1400から収集又は抽出され得る。試料は、複数のポリペプチド1430を提供するために、1又は複数の精製プロセス1420が経験されていてもよい。複数のポリペプチド1430は、本明細書に記載の方法によってアレイ1440上に堆積させて提供することができる。
【0161】
別の態様では、a)1又は複数の検出可能な標識を含む保持構成要素と、b)保持構成要素にカップリングされた2以上のポリペプチドであって、アルブミン及びグロブリンから独立して選択される、2以上のポリペプチドと、を含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの構成では、2以上のポリペプチドは、単一の対象(例えば、単一のヒト対象)から誘導及び/又は抽出され得る。そのような組成物は、対象から誘導及び/又は抽出されたリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドのアレイとの間のポリペプチド結合相互作用を測定するための検出可能なプローブとして有用であり得る。
【0162】
別の態様では、a)複数のポリペプチドであって、複数のポリペプチドのポリペプチドがアルブミン及びグロブリンから選択されるリガンド結合ポリペプチドを含む、複数のポリペプチドと、b)リンカーであって、リンカーが複数のポリペプチドのポリペプチドにカップリングされるように構成されており、リンカーが固体支持体にカップリングされるように構成されている、リンカーと、を含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの構成において、組成物は、リガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドを更に含み得る。いくつかの構成では、結合リガンドは遊離結合リガンドであり得る。他の構成では、結合リガンドは、複数のポリペプチドのポリペプチドに結合し得る。別の態様では、a)複数のポリペプチドであって、複数のポリペプチドのポリペプチドがリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドを含み、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン及びグロブリンから選択されていてもよい、複数のポリペプチドと、b)リンカーであって、リンカーが複数のポリペプチドのポリペプチドにカップリングされるように構成されており、リンカーが固体支持体にカップリングされるように構成されている、リンカーと、を含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの構成では、組成物は、結合リガンドとポリペプチド結合相互作用を形成するように構成されたリガンド結合ポリペプチドを更に含み得る。いくつかの構成において、リガンド結合ポリペプチドは、遊離リガンド結合ポリペプチドであり得る。他の構成では、リガンド結合ポリペプチドは、複数のポリペプチドのポリペプチドに結合され得る。
【0163】
本明細書に記載のリンカーは、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド、ポリペプチド複合体)に結合するように構成されたカップリング部位を含み得る。いくつかの構成において、カップリング部位は、結合実体に共有結合的に結合するように構成され得る。他の構成において、カップリング部位は、結合実体に非共有結合的に結合するように構成され得る。リンカーは、複数のカップリング部位を含み得、各カップリング部位は、異なる結合実体に共有結合するように構成され得る。リンカーは、複数のカップリング部位を含み得、各カップリング部位は、異なる結合実体に非共有結合するように構成され得る。いくつかの構成において、リンカーは、結合実体にカップリングされ得る。他の構成では、リンカーは結合実体にカップリングしていなくてもよい。
【0164】
本明細書に記載のリンカーは、固体支持体にカップリングするように構成された表面を含み得る。いくつかの構成では、リンカーは、静電相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、リガンド結合相互作用、及び核酸ハイブリダイゼーション相互作用からなる群の1又は複数から選択される非共有結合相互作用によって固体支持体にカップリングするように構成された表面を含み得る。他の構成では、リンカーは、共有結合相互作用によって固体支持体にカップリングするように構成された表面を含み得る。いくつかの構成では、リンカーは、1又は複数の不動態化基を含み得、1又は複数の不動態化基は、リンカーへの分子の非特異的結合を防止するように構成される。
【0165】
本明細書に記載の組成物は、複数のポリペプチドを含み得る。複数のポリペプチドを対象(例えば、ヒト対象、家畜対象、非家畜対象等)から誘導及び/又は抽出することができる。複数のポリペプチドは、操作された生物から誘導及び/又は抽出され得る。複数のポリペプチドは、総ポリペプチド重量に対する、少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、99.9重量%、99.99重量%、99.999重量%又はそれを超えるリガンド結合ポリペプチドを含み得る。これに代えて、又はこれに加えて、複数のポリペプチドは、全ポリペプチド重量に対する、約99.999重量%、99.99重量%、99.9重量%、99重量%、95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%以下、又はそれ未満のリガンド結合ポリペプチドを含み得る。
【0166】
本明細書に記載の組成物は、固体支持体を更に含み得る。いくつかの構成では、リンカーが固体支持体にカップリングされ得る。いくつかの構成では、単一のリンカーが固体支持体上のアドレスにカップリングされ得る。他の構成では、リンカーは固体支持体にカップリングしていなくてもよい。いくつかの構成において、固体支持体にカップリングされたリンカーは、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)にカップリングされ得る。他の構成では、固体支持体にカップリングされたリンカーは、結合実体にカップリングされなくてもよい。
【0167】
別の態様では、本明細書で提供される組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数のリガンド結合ポリペプチドであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが場合によりアルブミン又はグロブリンを含み、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域がリガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、c)複数の標準ポリペプチドであって、複数のアドレスのアドレスに各標準ポリペプチドがカップリングされており、複数の間隙領域が標準ポリペプチドを欠いている、複数の標準ポリペプチドと、を含む組成物が本明細書で提供される。
【0168】
別の態様では、本明細書で提供される組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数のリガンド結合ポリペプチドであって、該複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを場合により含み、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが該複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域がリガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、c)固体支持体と接触している流体媒体であって、流体媒体が複数の結合リガンドを含み、複数の結合リガンドの各結合リガンドが、複数のリガンド結合ポリペプチドのリガンド結合ポリペプチドと結合相互作用を形成するように構成されている、流体媒体と、を含む。
【0169】
別の態様では、本a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)各ポリペプチド複合体がリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドにカップリングしたリガンド結合ポリペプチドを含み、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを場合により含み、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体が複数のアドレスのアドレスにカップリングしており、複数の間隙領域の間隙領域がポリペプチド複合体を欠いている、複数のポリペプチド複合体と、c)固体支持体と接触している流体媒体であって、ポリペプチド複合体解離種を含み、ポリペプチド複合体解離種が、塩、酸、塩基、界面活性剤、競合的結合リガンド及び遊離リガンド結合ポリペプチドを含む群から選択される、流体媒体と、を含む組成物が本明細書で提供される。
【0170】
別の態様では、本明細書で提供される組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数のリガンド結合ポリペプチドであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが、対象から抽出されるアルブミン又はグロブリンを場合により含み、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが、複数のアドレスのアドレスにカップリングされ、複数の間隙領域の間隙領域が、リガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、c)対象に由来する核酸配列であって、核酸配列がゲノム配列を含み、核酸配列が複数のアドレスのアドレスにカップリングされている、核酸配列と、を含む組成物が本明細書で提供される。
【0171】
本明細書に記載のアレイ組成物は、リガンド結合ポリペプチド及び/又はリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドの存在に関する定量的情報を提供するように構成され得る。占有率は、アレイ又はその上で収集された任意のデータを特徴づけるための有用な特性であり得る。いくつかの場合では、占有率は、特定の結合実体を含むアレイアドレスの数を定量化するのに有用であり得る。例えば、ヒト血液試料から抽出された複数のポリペプチドを含むアレイは、0.55の特徴づけられたリガンド結合ポリペプチド占有率を有し得る。これは、0.6の既知の標準又は平均リガンド結合ポリペプチド占有率に直接匹敵し得る。別の例では、試料から抽出された複数のポリペプチドを含むアレイを分析して、結合リガンド占有率、リガンド結合ポリペプチド占有率、及びポリペプチド複合体占有率を同時に決定することができる。他の場合では、占有率は、ポリペプチド結合相互作用を形成することができるアレイアドレスの数を定量するために有用であり得る。例えば、複数のリガンド結合ポリペプチドを含むアレイは、0.99の特徴づけられたリガンド結合ポリペプチド占有率を有し得る。第1の結合リガンドを含む第1の複数の検出可能なプローブ、及び第2の結合リガンドを含む第2の複数の検出可能なプローブと接触させた場合、第1の検出可能なプローブのポリペプチド複合体占有率は0.55であり得、第2の検出可能なプローブのポリペプチド複合体占有率は0.80であり得、第2の結合リガンドに対する結合親和性がより高いことを示唆している。
【0172】
アレイは、少なくとも約0.000000001、0.00000001、0.0000001、0.000001、0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、0.99、0.99、0.999、0.9999、0.99999、0.999999、又はそれを超える特徴づけられた占有率(例えば、リガンド結合ポリペプチド占有率、結合リガンド占有率、非結合リガンド占有率、ポリペプチド複合体占有率等)を有することができる。代替的又は追加的に、アレイは、約0.999999、0.99999、0.9999、0.999、0.99、0.95、0.9、0.85、0.8、0.75、0.7、0.65、0.6、0.55、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、0.01、0.001、0.0001、0.00001、0.000001、0.0000001、0.00000001、0.000000001以下、又はそれ未満の特徴的な占有率を有することができる。
【0173】
別の態様では、a)固体基材と、b)組成物が固体基材内に配置されている、本明細書に記載の組成物と、c)第1のポート及び第2のポートを含む流体チャネルであって、流体チャネルが、流体媒体と組成物とを接触させるように構成されており、流体チャネルが、第1のポートを通して流体媒体の一部を受け取り、第2のポートを通して流体媒体の一部を排出するように構成されている、流体チャネルと、を含む流体装置が本明細書で提供される。流体装置の基材は、流体装置用のハウジングを備えてもよい。流体装置は、2以上のアレイ又は固体支持体を含んでもよい。例えば、流体装置は、同時にアッセイを行うための2つの流体的に隔離されたアレイを含み得る。例えば、流体装置は、第1の試料を分析するための第1のアレイと、第2の試料又は対照試料を分析するための第2のアレイとを含み得る。別の例では、流体装置は、第1のアレイ(例えば、競合的結合リガンドによってポリペプチド複合体から解離された結合リガンド)から放出された結合実体を捕捉するための2つの流体カップリングアレイを含み得る。流体装置は、第2の流体チャネルを更に含み得る。いくつかの構成では、第2の流体チャネルは、第1の流体チャネルと流体連通していてもよい。他の構成では、第2の流体チャネルは、第1の流体チャネルと流体連通していなくてもよい。いくつかの構成では、第2の流体チャネルは、本明細書に記載の第2の組成物を含んでもよく、第2の組成物は、第1の組成物と同じ固体基材内に配置されてもよい。他の構成では、第2の流体チャネルは、本明細書に記載の第2の組成物を含んでもよく、第2の組成物は、第1の組成物と同じ固体基材内に配置されていない。例えば、流体装置は、2つの接合された基材を含むことができ、2つの接合された基材の各基材は、複数の結合実体をカップリングするように構成されたアレイを含む。いくつかの構成では、第2の流体チャネルは、複数のポリペプチドを結合するように構成された非占有アレイを含み得る。例えば、非占有アレイを第1のアレイの下流に構成して、第1のアレイから放出された結合実体(例えば、競合的結合リガンドによってポリペプチド複合体から解離された結合リガンド)を捕捉することができる。
【0174】
場合により、流体装置内のチャネルの少なくとも一部は、分析物の検出を容易にするように構成することができる。例えば、チャネルの少なくとも一部は、検出に使用される波長の放射線に対して透過性であり得る。例えば、チャネルの少なくとも一部は、発光等の光学的検出技術に使用される励起放射又は発光放射を伝送することができる。別の例では、チャネルの少なくとも一部は、電界効果トランジスタ(FET)又はナノ細孔等の電子検出器を含むことができる。検出のために構成されたチャネルの一部は、アドレスのアレイを収容することができる。あるいは、アレイと相互作用する(又はアレイから除去された)分析物がアレイと接触した流体中で検出され得るように、この部分はアレイの下流にあってもよい。
【0175】
別の態様では、本明細書で提供される組成物は、a)複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いに分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、b)複数の結合実体であって、複数のアドレスのうちの第1の画分の各アドレスが、複数の結合実体のうちの単一の結合実体を含み、複数の結合実体のうちの各結合実体が、複数のアドレスのうちの第1の画分のアドレスにカップリングされている、複数の結合実体と、c)複数のアドレスのうちの第2の画分の各アドレスが複数の結合実体のうちの単一の結合実体を含み、複数の結合実体のうちの各結合実体が複数のアドレスのうちの第2の画分のアドレスにカップリングしている、1又は複数の不純物と、を含む組成物である。そのような組成物は、試料からの不純物の除去が最小限であるか、不完全であるか、又は全くない試料からポリペプチド結合相互作用を同定するのに有用であり得る。結合実体を含有する複数のアドレスの第1の画分は、少なくとも約1:1、2:1、5:1、10:1、25:1、50:1、100:1、500:1、1000:1、10000:1、100000:1、1000000:1、10000000:1、100000000:1、1000000000:1、10000000000:1、又は10000000000:1超の不純物を含有する複数のアドレスの第2の画分に対する比を有し得る。代替的又は付加的に、結合実体を含有する複数のアドレスの第1の画分は、約10000000000:1以下、1000000000:1以下、100000000:1以下、10000000:1以下、1000000:1以下、100000:1以下、10000:1以下、1000:1、500:1、100:1以下、50:1以下、25:1以下、10:1以下、5:1以下、2:1以下、1:1以下又は1:1未満の不純物を含有する複数のアドレスの第2の画分に対する比を有し得る。いくつかの場合では、不純物を含む単一分析物アレイ組成物は、単一分析物アレイ上の1又は複数の不純物の存在下で、低コピー数結合実体(例えば、単一分析物アレイ上の約1000以下、500以下、250以下、100以下、50以下、25以下、20以下、15以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は2未満のアドレスに存在するポリペプチド結合リガンド種又はリガンド結合ポリペプチド種)のポリペプチド結合相互作用を同定するのに有用であり得る。低コピー数結合実体を含有する複数のアドレスの第1の画分は、少なくとも約1:1、2:1、5:1、10:1、25:1、50:1、100:1、500:1、1000:1、10000:1、100000:1、1000000:1、10000000:1、100000000:1、1000000000:1、10000000000:1、又は10000000000:1超の不純物を含有する複数のアドレスの第2の画分に対する比を有し得る。代替において、又は、加えて、低コピー数結合実体を含有する複数のアドレスの第1の画分は、約10000000000:1以下、1000000000:1以下、100000000:1以下、10000000:1以下、1000000:1以下、100000:1以下、10000:1以下、1000:1、500:1、100:1以下、50:1以下、25:1以下、10:1以下、5:1以下、2:1以下、1:1以下又は1:1未満の不純物を含有する複数のアドレスの第2の画分に対する比を有する場合がある。
【0176】
本開示の組成物又はシステムは、リガンド結合ポリペプチドの相対的な結合特異性及び/又は結合親和性を同定及び/又は定量するのに有用であり得る。別の態様では、a)第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含み、複数のアドレスの各アドレスが、ポリペプチドにカップリングしたリガンド結合分子を含む第1のポリペプチド複合体を含み、リガンド結合ポリペプチドが場合によりアルブミン又はグロブリンを含み、固体支持体が、競合結合リガンドを含む流体媒体と接触しており、競合結合リガンドがリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドである、第1の構成において、複数のアドレスを含む固体支持体と、b)第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスのうちのアドレスのサブセットは、リガンド結合ポリペプチドと競合結合リガンドとを含む第2のポリペプチド複合体を含み、固体支持体は、ポリペプチドを含む流体媒体と接触している、第2の構成における、固体支持体と、を含むシステムがであって、第1の構成及び第2の構成は、単一分析物分析能で区別可能である、システムが本明細書で提供される。いくつかの構成において、ポリペプチドは、第1の検出可能な標識を含み得、競合的結合リガンドは、第2の検出可能な標識を含み得、第1の検出可能な標識は、第2の検出可能な標識と区別可能である。
【0177】
図9A~
図9Bは、単一分析物アレイ上のポリペプチド複合体中の結合リガンドの交換を示す。
図9Aは、複数のアドレス915を含む固体支持体910を含むアレイの第1の構成を示す。複数のアドレス915の各アドレスは、ポリペプチド複合体を含み、ポリペプチド複合体は、結合リガンド930とのポリペプチド結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチド920を含む。複数の競合的結合リガンドを、場合により流体媒体内で、固体支持体910と接触させる。
図9Bは、アレイの第2の構成を示す。複数のアドレス915のうちの1又は複数のアドレスは、リガンド結合ポリペプチド920及び競合結合リガンド932を含むポリペプチド複合体を含む。第1の構成及び第2の構成は、本明細書に記載の方法によって単一分析物分析能で区別可能であり得る。
【0178】
あるいは、別の態様では、a)第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含み、複数のアドレスの各アドレスが、ポリペプチドに結合したリガンド結合分子を含む第1のポリペプチド複合体を含み、リガンド結合ポリペプチドが場合によりアルブミン又はグロブリンを含み、固体支持体が、第2のリガンド結合ポリペプチドを含む流体媒体と接触している、第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、b)第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスのうちのアドレスのサブセットがリガンド結合ポリペプチドを含み、固体支持体が、遊離の第2のポリペプチド複合体を含む流体媒体と接触しており、遊離の第2のポリペプチド複合体が、ポリペプチドにカップリングされた第2のリガンド結合ポリペプチドを含む、第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、を含むシステムであって、第1の構成及び第2の構成は、単一分析物分析能で区別可能である、システムが本明細書で提供される。いくつかの構成において、ポリペプチドは、第1の検出可能な標識を含み得、リガンド結合ポリペプチドは、第2の検出可能な標識を含み得、第1の検出可能な標識は、第2の検出可能な標識と区別可能である。
【0179】
本開示の組成物又はシステムは、2以上の結合リガンドを含むポリペプチド複合体の形成を同定及び/又は定量するのに有用であり得る。別の態様では、第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含み、複数のアドレスの各アドレスが、第1のポリペプチドにカップリングしたリガンド結合分子を含む第1のポリペプチド複合体を含み、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを場合により含み、固体支持体が、第2のポリペプチドを含む流体媒体と接触しており、第2のポリペプチドがリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドである、第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、b)第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスのうちのアドレスのサブセットは、リガンド結合ポリペプチド、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含む第2のポリペプチド複合体を含む、第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、を含むシステムであって、第1の構成及び第2の構成は、単一分析物分析能で区別可能である、システムが本明細書で提供される。いくつかの構成において、第1のポリペプチドは、第1の検出可能な標識を含み得、第2のポリペプチドは、第2の検出可能な標識を含み得、第1の検出可能な標識は、第2の検出可能な標識と区別可能である。
【0180】
図8A~
図8Bは、単一分析物アレイ上の2以上の結合リガンドを含むポリペプチド複合体の形成を示す。
図8Aは、複数のアドレス815を含む固体支持体810を含むアレイの第1の構成を示す。複数のアドレス815の各アドレスは、ポリペプチド複合体を含み、ポリペプチド複合体は、第1の結合リガンド830とのポリペプチド結合相互作用を形成するリガンド結合ポリペプチド820を含む。複数の第2の結合リガンドを、場合により流体媒体内で、固体支持体810と接触させる。
図8Bは、アレイの第2の構成を示す。複数のアドレス815のうちの1又は複数のアドレスは、リガンド結合ポリペプチド820、第1の結合リガンド830及び第2の結合リガンド832を含むポリペプチド複合体を含む。第1の構成及び第2の構成は、本明細書に記載の方法によって単一分析物分析能で区別可能であり得る。
【0181】
本明細書に記載の方法を実施するように構成されたシステムが、本明細書に更に提供される。システムは、複数の結合実体を含むアレイを含むことができ、各結合実体は単一分析物分析能で分析可能である。いくつかの構成では、システムは、流体装置内に配置されたアレイを含み得る。システムは、単一分析物分析能でアレイ上のポリペプチド結合相互作用の測定値を得るように構成された単一分析物検出装置を更に含み得る。いくつかの構成では、システムは、アレイから1又は複数の流体を提供及び/又は除去する流体移送システムを更に含むことができる。いくつかの構成では、システムは、単一分析物検出装置から1又は複数の測定値を受信し、ポリペプチド結合相互作用の1又は複数の特徴を同定及び/又は定量するように構成されたコンピュータを更に含み得る。
【0182】
別の態様では、a)本明細書に記載の流体装置と、b)流体装置と流体連通する流体移送装置であって、1又は複数の流体媒体を流体装置に送達するように構成され、1又は複数の流体媒体のうちの少なくとも1つの流体媒体が複数の検出可能なプローブを含む、流体移送装置と、c)物理的測定デバイスであって、物理的測定デバイスが、流体デバイス内の検出可能なプローブのシグナルの存在又は非存在を含む物理的測定値を受信するように構成される、物理的測定デバイスと、d)物理的測定装置から物理的測定値を受信するように構成されたコンピュータであって、物理的測定値に基づいて、流体装置内の固体支持体上のポリペプチド結合相互作用の1又は複数の特徴を同定するように構成されたコンピュータと、を含む、システムが本明細書で提供される。
【0183】
図10は、本明細書に記載の単一分析物分析能の方法を実施するように構成されたシステムの概略図を示す。基材材料を含む流体装置1015は、単一分析物アレイが配置される流体チャネル1016を含む。流体装置1015は、流体装置1015に1又は複数の流体媒体を供給するリザーバ1010に流体接続されている。流体移送装置1012(例えば、ポンプ)は、リザーバ1010から流体装置1015の入口ポート1014に一以上の流体媒体を移送する。流体接続部1011及び1013(例えば、チューブ、ロボット注射器等)は、リザーバ、流体移送装置、及び流体装置の間の流体接続性を提供する。1又は複数の流体媒体は、出口ポート1017に流体接続された出口流体接続部1018によって流体装置1015から引き出されるか、又は排出される。システムは、流体チャネル1016内に配置されたアレイ上のアドレスから生じる1又は複数のシグナル1022を検出するように構成された単一分析物センサ1025を更に含む。1又は複数のシグナル1022は、励起場1021(例えば、光、熱等)を流体チャネル1016内に配置されたアレイに提供する励起源1020によって誘起されてもよい。単一分析物センサは、データ転送接続1031(例えば、有線又は無線接続)を介してコンピュータ1030に接続される。コンピュータ1030は、単一分析物アレイから生じる検出されたシグナル1022に基づいて、ポリペプチド結合相互作用の1又は複数の特徴を決定するように構成される。
【0184】
本明細書に記載のシステムは、結合実体のアレイを含む流体装置を含み得る。いくつかの構成では、アレイは、第1のポート及び第2のポートを含む流体チャネル内に配置されてもよい。流体チャネルの第1のポートは、流体媒体をアレイに送達するように構成されてもよい。流体チャネルの第2のポートは、アレイから流体媒体を取り出すように構成され得る。いくつかの構成では、流体装置は、可逆的な流れ方向(例えば、任意のポートを通じた流体送達及び/又は回収)に構成され得る。いくつかの構成では、流体装置は、2以上の流体的に隔離されたチャネルを含むことができ、各チャネルは、複数の結合実体を含むアレイを含む。いくつかの構成では、流体装置は、2以上の流体的に接続されたチャネルを含むことができ、各チャネルは、複数の結合実体を含むアレイを含む。流体装置は、流体装置を流体移送システムに接続するように構成された1又は複数のカップリングを更に備えてもよい。
【0185】
本明細書に記載のシステムは、流体移送システムを更に含むことができる。流体移送システムは、1又は複数の流体媒体を流体装置に移送するように構成されてもよい。流体移送システムは、容積型ポンプ、真空ポンプ、圧縮機、送風機等の1又は複数の流体変位装置を含むことができる。流体移送システムは、質量流量コントローラ、体積流量コントローラ、バルブ、及びマニホールド等の1又は複数の流体制御装置を含むことができる。流体移送システムは、圧力センサ、流量センサ、気泡センサ、pHセンサ、及び温度センサ等、流体移送システム内の流体の流れに関する測定値を取得するように構成された1又は複数の流体センサを含むことができる。流体移送システムは、流体移送システムの2以上の構成要素間に流体接続を提供するように構成されたチューブ又は配管を含むことができる。流体移送システムは、流体媒体を第1の位置から第2の位置に移送するように構成された自動又はロボット流体移送装置を含むことができ、第1の位置及び第2の位置は配管又はチューブによって流体的に接続されていない。流体移送システムは、流体媒体を含むように構成されたリザーバを備えてもよい。いくつかの構成では、流体移送システムは2以上のリザーバを含むことができ、各リザーバは流体媒体を収容するように構成される。いくつかの構成では、リザーバは、本明細書に記載の検出可能なプローブ又は親和性剤を含む流体媒体を含み得る。
【0186】
本明細書に記載のシステムは、単一分析物検出装置を更に含み得る。単一分析物検出装置は、複数の結合実体を含むアレイから単一分析物分析能で物理的測定値を得るように構成され得る。いくつかの構成では、単一分析物検出装置は、複数のチャネル又は画素を含むセンサを含むことができる。単一分析物検出装置は、単一分析物分析能でアレイ上の複数のアドレスを分析するのに十分な量の画素又はチャネルを含むセンサを含むことができる。単一分析物検出装置は、複数の結合実体を含むアレイにエネルギー又は質量の入力を提供するように構成された励起装置を更に含み得る。いくつかの場合では、エネルギーの入力は、光放射、電場、又は磁場等の励起場を含むことができる。いくつかの構成では、質量入力は、流体移送システム(例えば、蛍光酵素のための基質を提供すること等)によって提供されてもよい。単一分析物検出装置は、アレイから検出可能なシグナルを生成する入力を提供するように構成された励起装置を更に含み得る。単一分析物検出装置は、単一分析物分析能(例えば、蛍光顕微鏡法、表面プラズモン共鳴、原子間力顕微鏡法、透過型電子顕微鏡法等)でアレイの物理的測定値を得るように構成された測定システムを備えてもよい。いくつかの構成では、単一分析物検出装置は、光源(例えば、ランプ、レーザ等)、ミラー、レンズ、フィルタ等の1又は複数の光学部品を備えてもよい。いくつかの構成では、単一分析物検出装置は、光学シグナル測定(例えば、蛍光顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、発光寿命測定等)を実行するように構成された光学装置を備えてもよい。
【0187】
本明細書に記載のシステムは、コンピュータを含むことができる。コンピュータは、単一分析物検出装置から1又は複数の物理的測定値を取得するように構成されてもよい。コンピュータは、単一分析物デバイスから得られた1又は複数の物理的測定値に基づいてポリペプチド結合相互作用の特徴を決定するように構成された1又は複数のアルゴリズムを含み得る。いくつかの構成では、アルゴリズムは、画像処理アルゴリズム、シグナル処理アルゴリズム、又はポリペプチド同定アルゴリズムを含み得る。いくつかの場合、コンピュータは、ポリペプチド結合相互作用データの分析中に行われる計算の数を減らすように構成されたデータ削減アルゴリズムを含み得る。データ減少アルゴリズムは、a)アレイ上の複数のアドレスの各アドレスにおける第1のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を含む第1の物理的測定値を得る、b)アレイ上の複数のアドレスの各アドレスにおける第1のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在に基づいて、信頼性の閾値尺度を超えるアレイ上の複数のアドレスのアドレスのサブセットにおける高コピー数ポリペプチドの存在又は非存在を同定する、c)アレイ上の複数のアドレスの各アドレスにおける第2のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を含む第2の物理的測定値を得る、d)アドレスのサブセットを除外して、複数のアドレスの各アドレスにおける結合実体の特性を同定する、ように構成され得る。コンピュータは、本明細書に記載の方法のためのアルゴリズムを実施するように構成された1又は複数のプロセッサを含むことができる。コンピュータは、複数のプロセッサを含むことができ、各プロセッサは、1又は複数のアルゴリズムを実装するように構成される。いくつかの構成では、コンピュータは、本明細書に記載されるように、システムを含む機器内に配置されたプロセッサを含むことができる。いくつかの構成では、コンピュータは、クラウドベースのプロセッサを含むことができる。コンピュータは、単一分析物検出装置からコンピュータに1又は複数の物理的測定値を提供するように構成されたデータ転送装置を含むことができる。データ転送デバイスは、有線データ転送デバイス、無線データ転送デバイス、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0188】
本明細書に記載の組成物又はシステムは、流体媒体を含み得る。流体媒体は、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)又は親和性剤を固体支持体と接触させるように構成され得る。流体媒体は、結合実体(例えば、リガンド結合ポリペプチド、結合リガンド)又は親和性剤を固体支持体から除去するように構成され得る。流体媒体は、ポリペプチド結合相互作用を変化させる特性(例えば、pH、イオン強度、組成、温度、流体圧力、疎水性、親水性、極性等)を含み得る。流体媒体は、ポリペプチド結合相互作用を変化させる特定の種(例えば、イオン種、界面活性剤種、カオトロピック種等)を含み得る。
【0189】
流体媒体は、溶媒種、pH緩衝種、カチオン種、アニオン種、界面活性剤種、変性種、又はそれらの組合せ等の様々な成分のいずれかを含み得る。溶媒種は、水、酢酸、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、ギ酸、アンモニア、プロピレンカルボナート、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1~4、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、又はそれらの組合せを含み得る。流体媒体は、MES、Tris、Bis-tris、Bis-trisプロパン、ADA、ACES、PIPES、MOPSO、MOPS、BES、TES、HEPES、HEPBS、HEPPSO、DIPSO、MOBS、TAPSO、TAPS、TABS、POPSO、TEA、EPPS、Tricine、Gly-Gly、Bicine、AMPD、AMPSO、AMP、CHES、CAPSO、CAPS、及びCABSを含むがこれらに限定されない緩衝種を含み得る。流体媒体は、Na+、K+、Ag+、Cu+、NH4
+、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Cd2+、Zn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cr2+、Mn2+、Ge2+、Sn2+、Al3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、Ni3+、Ti3+、Mn3+、Si4+、V4+、Ti4+、Mn4+、Ge4+、Se4+、V5+、Mn5+、Mn6+、Se6+、及びそれらの組合せ等のカチオン種を含むことができる。流体媒体は、F-、Cl-、Br-、ClO3
-、H2PO4
-、HCO3
-、HSO4
-、OH-、I-、NO3
-、NO2
-、MnO4
-、SCN-、CO3
2-、CrO4
2-、Cr2O7
2-、HPO4
2-、SO4
2-、SO3
2-、PO4
3-、及びそれらの組合せ等のアニオン種を含み得る。流体媒体は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤等の界面活性剤種を含み得る。流体媒体は、限定されないが、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルアミン塩酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリエチレンオキシド、ノニルフェニルエトキシラート、Triton X、ペンタプロピレングリコールモノドデシルエーテル、オクタプロピレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ラウラミドモノエチルアミン、ラウラミドジエチルアミン、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、Tween 20、Tween 80、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ノノノキシノール9、グリセロールモノラウラート、ポリエトキシル化獣脂アミン、ポロキサマー、ジギトニン、ゾニルFSO、2,5-ジメチル-3-ヘキシレン-2,5-ジオール、Igepal CA630、エアロゾル-OT、トリエチルアミン塩酸塩、臭化セトリモニウム、塩化ベンゼトニウム、オクテニジン二塩酸塩、塩化セチルピリジニウム、アドゲン、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、CHAPS、CHAPSO、コカミドプロピルベタイン、アミドスルホベタイン-16、ラウリル-N,N-(ジメチルアンモニオ)ブチラート、ラウリル-N,N-(ジメチル)-グリシンベタイン、ヘキサデシルホスホコリン、ラウリルジメチルアミンN-オキシド、ラウリル-N,N-(ジメチル)-プロパンスルホナート、3-(1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホナート、3-(4-tert-ブチル-1-ピリジニオ)-1-プロパンスルホナート、N-ラウリルサルコシン及びそれらの組合せを含む界面活性剤種を含み得る。
【0190】
流体媒体は、pHによって特徴づけられ得る。流体媒体は、少なくとも約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は14超のpHを有し得る。代替的又は追加的に、流体媒体は、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0以下又は0未満のpHを有し得る。流体媒体は、イオン強度によって特徴づけられ得る。イオン強度は、全イオン組成(例えば、1Mの塩溶液)に基づいて、又は単一のイオン種(例えば、0.1MのMg2+を含有する溶液)に関して決定され得る。流体媒体は、少なくとも約0.000001M、0.00001M、0.0001M、0.001M、0.01M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、1.5M、2M、2.5M、3M、3.5M、4M、4.5M、5M、6M、7M、8M、9M、10M、又は10Mを超えるイオン強度(合計、又は1又は複数の種に特異的)を有し得る。代替的又は追加的に、流体媒体は、約10M、9M、8M、7M、6M、5M、4.5M、4M、3.5M、3M、2.5M、2M、1.5M、1M、0.9M、0.8M、0.7M、0.6M、0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、0.01M、0.001M、0.0001M、0.00001M、0.000001M以下、又は0.000001M未満のイオン強度(合計、又は1又は複数の種に特異的)を有し得る。流体媒体は、非イオン種(例えば、界面活性剤、カオトロープ等)の濃度によって特徴づけられ得る。イオン強度は、全非イオン性組成(例えば、1Mの塩溶液)に基づいて、又は単一の非イオン種(例えば、0.1MのTween-20を含有する溶液)に関して決定され得る。流体媒体は、少なくとも約0.000001M、0.00001M、0.0001M、0.001M、0.01M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、1.5M、2M、2.5M、3M、3.5M、4M、4.5M、5M、6M、7M、8M、9M、10M、又は10Mを超える非イオン濃度(合計、又は1又は複数の種に特異的)を有し得る。代替的又は追加的に、流体媒体は、約10M、9M、8M、7M、6M、5M、4.5M、4M、3.5M、3M、2.5M、2M、1.5M、1M、0.9M、0.8M、0.7M、0.6M、0.5M、0.4M、0.3M、0.2M、0.1M、0.01M、0.001M、0.0001M、0.00001M、0.000001M以下、又は0.000001M未満の非イオン濃度(合計、又は1又は複数の種に特異的)を有し得る。流体媒体は、温度によって特徴づけることができる。流体媒体は、少なくとも約-80℃(摂氏)、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、-30℃、-20℃、-10℃、-5℃、0℃、4℃、10℃、20℃、30℃、37℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、又は少なくとも約95℃の温度を有し得る。代替的又は追加的に、流体媒体は、約95℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、37℃、30℃、20℃、10℃、4℃、0℃、-5℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、又は約-80℃以下の温度を有し得る。
【0191】
分析物アッセイの組成物及び方法
本開示は、試料成分の複数の別個の非同一の測定値を得ることによって、タンパク質、核酸、細胞又は他の種等の試料成分を特徴づけるのに有用であり得る組成物、装置及び方法を提供する。特定の構成では、個々の測定値は、それ自体では特性評価を行うのに十分に正確でも特異的でもない可能性があるが、複数の非同一の測定値を集約することにより、その特性評価を高度の精度、特異性及び信頼性で行うことができる。例えば、複数の別個の測定は、試料の複数の成分の認識に関して無差別である試薬に試料を供することを含むことができる。したがって、第1の無差別試薬を使用して行われる第1の測定は、1つの成分を別の成分と区別することなく、試料成分の第1のサブセットを認識することができる。第2の無差別試薬を使用して行われる第2の測定は、ここでも、1つの成分を別の成分と区別することなく、試料成分の第2のサブセットを認識することができる。しかしながら、第1の及び第2の測定値の比較は、(i)第1のサブセットに一意に存在するが、第2のサブセットには存在しない試料成分;(ii)第2のサブセットに一意的に存在するが第1のサブセットには存在しない試料成分;(iii)第1の及び第2のサブセットの両方に一意的に存在する試料成分;又は(iv)第1の及び第2のサブセットに一意に存在しない試料成分を区別することができる。使用される無差別試薬の数、取得される別個の測定値の数、及び試薬の無差別性の程度(例えば、試薬によって認識される成分の多様性)は、特定の試料に対して予想される成分多様性に適合するように調整することができる。
【0192】
説明を容易にするために、本開示の組成物、装置及び方法を、結合測定を使用してタンパク質を特徴づけるという観点で例示する。本明細書に記載の例は、(タンパク質の代替物又は添加物として)他の分析物を特徴づけること、又は無差別結合剤以外の無差別試薬の使用に容易に拡張することができる。本明細書に記載の組成物、装置又は方法は、例えば、存在、非存在、量(例えば、量又は濃度)、化学反応性、分子構造、構造的完全性(例えば、全長又は断片化)、成熟状態(例えば、タンパク質中のプレ配列又はプロ配列の存在又は非存在)、位置(例えば、分析系、細胞内コンパートメント、細胞又は自然環境)、別の分析物又は部分との会合、別の分析物又は部分に対する結合親和性、生物学的活性、化学的活性等を含む様々な特徴又は特徴のいずれかに関して、分析物又はその部分を特徴づけるために使用することができる。分析物は、共通の構造的特徴(例えば、タンパク質のアミノ酸配列長、全電荷又は全pKa)又は共通部分(例えば、タンパク質の短い一次配列モチーフ又は翻訳後修飾)の存在又は非存在等の比較的一般的な特徴に関して特徴づけることができる。分析物は、固有のアミノ酸配列(例えば、タンパク質又はモチーフの全長について)、タンパク質をコードするRNA若しくはDNA配列(例えば、タンパク質又はモチーフの全長について)、又はタンパク質を同定する酵素若しくは他の活性等の比較的特異的な特徴に関して特徴づけることができる。特性評価は、例えば、当業者によって適切又は明白であると考えられるレベルで、分析物を同定するのに十分に特異的であり得る。
【0193】
特定の構成では、タンパク質は、タンパク質に対する既知又は測定可能な結合親和性を有する1又は複数の親和性剤を使用して検出することができる。例えば、親和性剤は、タンパク質に結合して複合体を形成することができ、複合体によって生成されたシグナルを検出することができる。既知の親和性剤に結合することによって検出されるタンパク質は、親和性剤の既知の又は予測される結合特性に基づいて同定することができる。例えば、試料中の他のタンパク質に実質的に結合することなく、試料中にあると疑われる候補タンパク質に選択的に結合することが知られている親和性剤を使用して、結合事象を観察するだけで試料中の候補タンパク質を同定することができる。候補タンパク質に対する親和性剤のこの1対1の相関は、1又は複数のタンパク質の同定に使用することができる。しかしながら、試料中のタンパク質の複雑さ(すなわち、異なるタンパク質の数及び多様性)が増加するにつれて、又は同定されるべき異なる候補タンパク質の数が増加するにつれて、タンパク質に対する1対1の特異性を有する相応の様々な親和性剤を産生する時間及び資源は、実用性の限界に近づく。
【0194】
本明細書に記載の方法は、これらの制約を克服するために有利に使用することができる。特定の構成では、方法を使用して、使用される親和性剤の数を超えるいくつかの異なる候補タンパク質を同定することができる。例えば、同定される候補タンパク質の数は、使用される親和性剤の数の少なくとも5倍、10倍、25倍、50倍、100倍又はそれ以上であり得る。これは、例えば、(1)所与の試料中に存在すると疑われる複数の異なる候補タンパク質に結合する無差別親和性剤を使用すること、及び(2)タンパク質試料を、全体として異なる組合せで各タンパク質に結合すると予想される無差別親和性剤のセットに供して、各タンパク質が結合及び非結合事象の固有のプロファイルによってコードされると予想されるようにすることによって達成することができる。親和性剤の無差別性は、所与のタンパク質集団に対して理解され得る特徴である。候補タンパク質が所与のタンパク質集団中に存在すると疑われる複数の異なる候補タンパク質中に存在することが知られているエピトープを認識する親和性剤に起因して、無差別性が生じ得る。例えば、二量体、三量体、四量体、五量体又は六量体等の比較的短いアミノ酸長を有するエピトープは、ヒトプロテオームにおいて相当数の異なるタンパク質で生じると予想され得る。代替的又は追加的に、無差別的親和性剤は、異なるエピトープ(すなわち、様々な異なる構造を有する)を認識することができ、異なるエピトープは、複数の異なる候補タンパク質中に存在する。例えば、第1の三量体エピトープに対する親和性について設計又は選択された無差別な親和性剤は、第1のエピトープと比較した場合に異なるアミノ酸配列を有する第2のエピトープに結合し得る。
【0195】
無差別親和性剤と複合タンパク質試料との間で単一の結合反応を行うと、それが結合する異なるタンパク質の同一性に関する曖昧な結果が得られる場合があるが、その結果をそれらのタンパク質に関する他の同定情報と組み合わせると、その曖昧さを解消することができる。同定情報は、長さ(すなわち、アミノ酸の数)、疎水性、電荷対質量比、等電点、クロマトグラフィ分画挙動、酵素活性、翻訳後修飾の存在又は非存在等のタンパク質の特性を含み得る。同定情報は、他の無差別親和性剤との結合の結果を含むことができる。例えば、複数の異なる無差別親和性剤を、タンパク質の複雑な集団と接触させることができ、複数の無差別親和性剤は、集団中に存在すると疑われる各候補タンパク質について異なる結合プロファイルを生成するように構成される。この例において、親和性剤のそれぞれは、例えば、ユニークな標識(例えば、異なる親和性剤は異なるルミノフォア標識を有する)、ユニークな空間的位置(例えば、異なる親和性剤は、アレイ内の異なるアドレスに配置される)及び/又はユニークな使用時間(例えば、異なる親和性剤がタンパク質の集団に直列に送達される)に起因して、他の親和性剤と区別可能である。したがって、複数の無差別親和性剤は、個々のタンパク質に存在するエピトープの固有の組合せを同定するために復号することができる個々のタンパク質ごとの結合プロファイルを生成し、これを使用して、エピトープの同じ又は類似の固有の組合せを有する特定の候補タンパク質として個々のタンパク質を同定することができる。結合プロファイルは、観察された結合事象並びに観察された非結合事象を含むことができ、この情報は、陽性同定を行うために、所与の候補タンパク質におけるエピトープの存在及び非存在とそれぞれ比較することができる。
【0196】
いくつかの構成では、試料中で同定されるタンパク質の一部又は更にはかなりの大部分について、別個の再現性のある結合プロファイルが観察され得る。しかしながら、多くの場合、1又は複数の結合事象は、不確定な結果又は更には異常な結果をもたらし、そしてこれは、曖昧な結合プロファイルをもたらし得る。例えば、単一分子結合事象についての結合結果の観察は、特定の検出ハードウェアを使用して観察した場合、単一分子の挙動における確率論に起因する曖昧さが特に生じやすい可能性がある。本開示は、多くの状況で生じ得る曖昧さ及び不完全性にもかかわらず、正確なタンパク質同定を提供する方法を提供する。いくつかの構成では、試料中の1又は複数のタンパク質を同定、定量又は他の方法で特徴づけるための方法は、試料中に存在すると疑われる1又は複数の候補タンパク質に対する参照結合プロファイルを利用する。参照結合プロファイルは、1又は複数の親和性剤と1又は複数の候補タンパク質との結合についての予想される結合結果(例えば、結合又は非結合)に関する情報を含み得る。情報は、候補タンパク質中の特定のエピトープの存在又は非存在又は候補タンパク質の長さ等、候補タンパク質の先験的な特徴を含むことができる。代替的又は追加的に、情報は、親和性剤の事前に認識可能なエピトープがないにもかかわらず、候補タンパク質が特定の親和性剤に結合する傾向又は可能性等の経験的に決定された特徴を含むことができる。したがって、参照結合プロファイルは、特定の親和性剤の存在下で偽陽性又は偽陰性の結合結果を生成する所与の候補タンパク質の傾向又は可能性に関する情報が含まれていてもよく、そのような情報は、複数の親和性剤について場合により含めることができる。
【0197】
本明細書に記載の方法は、試料中の1又は複数の候補タンパク質を同定するために、1又は複数の経験的結合プロファイルと1又は複数の参照結合プロファイルとの適合性の程度を評価するために使用することができる。例えば、一致を特定するために、経験的結合プロファイルを、所与の試料中にあると疑われる多くの又は全ての候補タンパク質についての参照結合プロファイルと比較することができる。本明細書に記載の方法のいくつかの構成では、一致は、経験的結合パターンが与えられた場合、未知のタンパク質が特定の候補タンパク質である可能性に基づいて、又は特定の候補タンパク質が経験的結合パターンを生成する確率に基づいて決定される。場合により、試料中に存在すると疑われる多くの又は全ての候補タンパク質に関して未知のタンパク質について取得された測定値からスコアを決定することができる。2つの離散状態のうちの1つを示すデジタル又はバイナリスコアを使用することができる。特定の構成では、スコアは非デジタル又は非バイナリであり得る。例えば、スコアは、閾値を上回る又は下回るスコアに基づいて同一性が形成されるように、値の連続体から選択される値とすることができる。更に、スコアは、単一の値又は値の集合であり得る。
【0198】
本開示の方法、組成物及び装置は、同じ一次構造を有するタンパク質が同じ組の親和性剤にさらされているにもかかわらず異なる経験的結合プロファイルを生成する状況において有利に展開することができる。例えば、方法、組成物及び装置は、単一分子検出及び確率的変動が起こりやすい他のフォーマットによく適している。経験的結合プロファイルと1又は複数の参照結合プロファイルとの適合性の程度を評価することによって、タンパク質を同じ候補タンパク質と同一であると同定することができる。したがって、本開示は、タンパク質の正確な同定に有用な結合プロファイルを提供するために、観察された結合結果の曖昧さ及び誤差を克服する組成物、装置及び方法を提供する。方法は、プロテオーム又はその部分画分を含む複雑な試料に対して有利に展開することができる。
【0199】
本開示は、1又は複数の分析物を検出するのに有用なアッセイを提供する。例示的なアッセイは、タンパク質の検出に関連して本明細書に記載される。当業者は、本明細書に記載の方法、組成物及び装置を、核酸、多糖類、代謝産物、ビタミン、ホルモン、酵素補因子及び本明細書に記載の又は当技術分野で公知の他のもの等の他の分析物との使用に適合させることができることを認識するであろう。本明細書に記載の方法、装置及び組成物の特定の構成は、例えば、米国特許第10,473,654号明細書又は米国特許出願公開第2020/0318101号明細書又は米国特許出願公開第2020/0286584号明細書に記載されているように作製及び使用することができる。例示的な方法、システム及び組成物を以下に更に詳細に記載する。
【0200】
本開示は、試料中の候補タンパク質を同定する方法を提供する。この方法は、(a)複数の異なる親和性剤を試料中の複数のタンパク質と接触させる工程と、(b)複数のタンパク質の個々のタンパク質についての経験的結合プロファイルを決定する工程であって、経験的結合プロファイルのそれぞれが、複数の異なる親和性剤へのそれぞれのタンパク質の結合又は非結合の観察された結果を含む工程と、(c)複数の候補タンパク質に対する参照結合プロファイルを提供する工程と、(d)経験的結合プロファイルと参照結合プロファイルとの適合性を決定することに基づいて、試料中の候補タンパク質のセットを同定する工程と、を含むことができる。場合により、共通の候補タンパク質が、候補タンパク質のセットにおける複数の候補タンパク質についての異なる経験的結合プロファイルから同定される。
【0201】
特定の構成では、試料中の候補タンパク質を同定する方法は、(a)複数の異なる親和性剤を試料中の複数のタンパク質と接触させる工程であって、複数のタンパク質は、同一の一次構造を有するタンパク質のサブセットを含む、工程と、(b)複数のタンパク質の個々のタンパク質についての経験的結合プロファイルを決定する工程であって、経験的結合プロファイルの各々は、複数の異なる親和性剤へのそれぞれのタンパク質の結合又は非結合の観察された結果を含み、サブセット中のタンパク質が同一の一次構造を有するにもかかわらず、サブセット中のタンパク質について異なる経験的結合プロファイルが生成される、工程と、(c)複数の候補タンパク質に対する参照結合プロファイルを提供する工程と、(d)経験的結合プロファイルと参照結合プロファイルとの適合性を決定することに基づいて、試料中の候補タンパク質のセットを同定する工程であって、タンパク質のサブセットは、異なる経験的結合プロファイルを有する候補タンパク質に対する参照結合プロファイルの適合性の程度に基づいて、同じ候補タンパク質であると同定される、工程と、を含み得る。
【0202】
場合により、試料中の候補タンパク質を同定する方法は、(a)複数の異なる親和性剤を試料中の複数のタンパク質と接触させる工程と、(b)候補タンパク質のセットに対する参照結合プロファイルを提供する工程であって、各当該候補タンパク質に対する参照結合プロファイルが、当該候補タンパク質に対する複数の参照測定結果を含み、各当該参照測定結果が、複数の異なる親和性剤との当該個々のタンパク質の結合又は非結合の予測結果を含む、工程と、(c)試料の個々のタンパク質についての経験的測定結果を、(i)個々のタンパク質と複数の異なる親和性剤の個々の親和性剤との結合又は非結合の観察、及び(ii)観察された結果と複数の異なる親和性剤についての参照測定結果との間の適合性の決定に基づいて取得する工程であって、経験的測定結果が、参照測定結果と適合する観察された結果を含む、工程と、(d)複数の個々の親和性剤について工程(c)を繰り返し、それにより個々のタンパク質についての経験的結合プロファイルを生成する工程であって、経験的結合プロファイルが個々のタンパク質についての複数の経験的測定結果を含む、工程と、(e)個々のタンパク質についての複数の経験的測定結果と候補タンパク質のセットについての参照結合プロファイルとの間の適合性の程度を決定することによって、試料中にある候補タンパク質を同定する工程と、を含み得る。
【0203】
本開示は、タンパク質のアレイにおいてタンパク質の位置を特定するための方法を提供する。方法は、(a)タンパク質を固有の同定子にランダムに結合させ、それによって異なるタンパク質のアレイを生成する工程であって、固有の同定子は、当該異なるタンパク質のそれぞれに結合される、工程と、(b)アレイを複数の異なる親和性剤と接触させ、それにより、親和性剤のタンパク質への結合又は非結合が、固有の同定子に関連するシグナルを生成する工程と、(c)固有の同定子に関連するシグナルから経験的結合プロファイルを決定する工程であって、経験的結合プロファイルのそれぞれが、複数の異なる親和性剤に対するそれぞれのタンパク質の結合又は非結合の観察された結果を含む工程と、(c)複数の候補タンパク質に対する参照結合プロファイルを提供する工程と、(d)経験的結合プロファイルと参照結合プロファイルとの適合性を決定することに基づいて、固有の同定子の各々に結合した候補タンパク質を同定する工程と、を含み得る。
【0204】
本明細書に記載の組成物、装置又は方法を使用して、細胞、細胞小器官、組織又は生物等の生物学的試料からタンパク質を同定することができる。本明細書で使用される場合、「タンパク質」又は「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって結合された2以上のアミノ酸を含む分子を指す。タンパク質は、ポリペプチド、オリゴペプチド又はペプチドとも呼ばれ得る。タンパク質は、天然に存在する分子又は合成分子であり得る。タンパク質は、1又は複数の非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、又は非アミノ酸リンカーを含み得る。タンパク質は、D-アミノ酸エナンチオマー、L-アミノ酸エナンチオマー、又はその両方を含有し得る。タンパク質のアミノ酸は、天然に又は合成的に、例えば翻訳後修飾によって修飾され得る。
【0205】
生物学的試料は、生物の均質な培養物若しくは集団から、又は代替的に、例えばコミュニティ若しくは生態系内のいくつかの異なる生物の集合体から誘導することができる。特定の構成では、試料はプロテオーム又はプロテオームの部分画分であり得る。プロテオーム又は部分画分は、少なくとも5、10、100、1×103、1×104、2×104、3×104又はそれ以上の異なる天然長タンパク質一次配列の複雑度を有することができる。代替的又は追加的に、プロテオーム又は部分画分は、最大で3×104、2×104、1×104、1×103、100、10、5又はそれ未満の複雑度を有することができる。本明細書で使用される試料は、生物学的供給源からのものである必要はなく、代わりに合成供給源、例えば、コンビナトリアル合成からのライブラリ又は生物学的成分を利用するインビトロ合成からのライブラリからのものであり得る。合成試料は、プロテオームについて上述したものと同様の複雑さを有することができる。本明細書に記載の方法は、例えば、試料中のタンパク質の少なくとも約1%、5%、10%、25%、50%、75%、90%又は99%を含むプロテオーム又は他の試料中の一部又は全部のタンパク質を検出、同定又は特性評価することができる。
【0206】
本明細書に記載の組成物、装置又は方法のいくつかの構成は、同じ一次構造(すなわち、同じアミノ酸配列)を有するが翻訳後修飾の数、種類又は位置が異なるタンパク質等の異なるプロテオフォームを区別することができる。本開示の方法は、試料の1又は複数のタンパク質中の1又は複数の翻訳後修飾の数、種類、又は位置を同定するように構成することができる。例示的な翻訳後修飾としては、限定されないが、ホスホリル、グリコシル(例えば、N-アセチルグルコサミン又はポリシアル酸)、ユビキチン、アシル(例えば、ミリストイル又はパルミトイル)、イソプレニル、プレニル、ファルネシル、ゲラニルゲラニル、リポイル、アセチル、アルキル(例えば、メチル又はエチル)、フラビン、ヘム、ホスホパンテチニル、C末端アミド化、ヒドロキシル、ヌクレオチジル、アデニリル、ウリジリル、プロピリオニル、S-グルタチオニル、硫酸、スクシニル、カルバミル、カルボニル、SUMOyl、又はニトロシル部分が挙げられる。プロテオフォームの検出又は特徴づけのための様々な翻訳後修飾及び方法は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第63/193,486号又は第63/139,739号に示される。
【0207】
様々な親和性剤のいずれも、本明細書に記載の組成物、装置又は方法で使用することができる。本明細書で使用される場合、「親和性剤」という用語は、分析種(例えば、タンパク質)に特異的又は再現性よく結合することができる分子又は他の物質を指す。親和性剤は、分析物よりも大きい、小さい、又は同じサイズであり得る。親和性剤は、分析物と可逆的又は不可逆的な結合を形成し得る。親和性剤は、共有結合又は非共有結合様式で分析物と結合し得る。親和性剤には、反応性親和性剤、触媒親和性剤(例えば、キナーゼ、プロテアーゼ等)又は非反応性親和性剤(例えば、抗体又はその断片)が含まれ得る。親和性剤は、非反応性及び非触媒性であり得、それにより、それが結合する分析物の化学構造を永続的に変化させない。タンパク質への結合に特に有用であり得る親和性剤としては、限定されないが、抗体若しくはその機能的断片(例えば、Fab’断片、F(ab’)2断片、一本鎖可変断片(scFv)、ジscFv、トリscFv、又は微小抗体)、アフィボディ、アフィリン、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アンチカリン、アビマー、DARPin、モノボディ、nanoCLAMP、又はレクチン若しくはその機能的断片が挙げられる。
【0208】
親和性剤は、例えば、本明細書に記載の方法で使用する前に、その結合特性に関して特徴づけることができる。特徴づけることができる例示的な結合特性には、結合の特異性、強度が含まれるが、これらに限定されない。平衡結合定数(例えばKA又はKD);結合速度定数、例えば会合速度定数(kon)又は解離速度定数(koff);結合確率;等である。結合特性は、エピトープ、エピトープのセット(例えば、構造的類似性を有するタンパク質のセット)、タンパク質、タンパク質のセット(例えば、構造的類似性を有するタンパク質のセット)、又はプロテオームに関して決定することができる。
【0209】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、タンパク質、ポリペプチド又は他の分析物内の親和性標的を指す。エピトープは、タンパク質の一次構造において連続的に隣接するアミノ酸配列、又はタンパク質の二次、三次若しくは四次構造において構造的に隣接するアミノ酸を含み得る。エピトープは、抗体によって認識されていてもよく、又は抗体に結合されていてもよい。しかしながら、エピトープは、必ずしも任意の抗体によって認識される必要はなく、例えば、代わりにアプタマー、ミニタンパク質又は他の親和性剤によって認識される。エピトープは、抗体に結合して免疫応答が誘発されていてもよい。しかしながら、エピトープは、免疫応答の誘発に必ずしも関与する必要はなく、また誘発することもできない。
【0210】
親和性剤は標識を含むことができる。例示的な標識としては、限定されないが、フルオロフォア、ルミノフォア、発色団、ナノ粒子(例えば、金、銀、カーボンナノチューブ)、重原子、放射性同位体、質量標識、電荷標識、スピン標識、受容体、リガンド、核酸バーコード、ポリペプチドバーコード、多糖バーコード等が挙げられる。標識は、例えば、放射線の吸光度、発光(例えば、蛍光又はリン光)発光、発光寿命、発光偏光等の光学シグナルを含む様々な検出可能なシグナル;レイリー散乱及び/又はミー散乱;磁気特性;電気特性;電荷;質量;放射能等のいずれかを生成することができる。標識成分は、特徴的な周波数、強度、極性、持続時間、波長、シーケンス、又はフィンガープリントを有するシグナルを生成することができる。ラベルは、信号を直接生成する必要はない。例えば、標識は、特徴的なシグナルを生成する部分を有する受容体又はリガンドに結合することができる。そのような標識には、例えば、特定のヌクレオチド配列でコードされる核酸、アビジン、ビオチン、既知の受容体の非ペプチドリガンド等が含まれ得る。親和性剤は、誘導性シグナルを有する標識を含み得る。例えば、親和性剤は、励起光子によって誘導されるフルオロフォア、基質の存在下で蛍光反応生成物を生成する酵素基(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、又は相補的標識(例えば、Forster共鳴エネルギー移動(FRET)フルオロフォア対)に近接している場合にシグナルを生成し得る近接ベースの対の成分を含み得る。
【0211】
本明細書に記載の方法は、液相又は固相で実施することができる。液相配置の場合、1又は複数のタンパク質を含有する流体を、1又は複数の親和性剤を含有する別の流体と混合することができる。固相配置の場合、1又は複数のタンパク質又は親和性剤を固体支持体に付着させることができる。結合事象に関与する1又は複数の成分を流体に含有させることができ、流体を固体支持体に送達することができ、固体支持体は結合事象に関与する1又は複数の他の成分に取り付けられる。本明細書で使用される場合、「固体支持体」という用語は、水性液体に不溶性の基質を指す。場合により、基材は剛性であり得る。基材は、非多孔質又は多孔質であり得る。基材は、場合により液体(例えば、多孔性による)を取り込むことができるが、典型的には、必ずしもそうとは限らないが、液体を取り込むときに基材が実質的に膨潤せず、液体が乾燥によって除去されるときに実質的に収縮しないように十分に剛性である。非多孔質固体支持体は、一般に、液体又は気体に対して不透過性である。例示的な固体支持体としては、ガラス及び修飾又は官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン及びスチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(商標)、環状オレフィン、ポリイミド等を含む)、ナイロン、セラミック、樹脂、Zeonor(商標)、ケイ素及び修飾ケイ素を含むシリカ又はシリカ系材料、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバ束、ゲル、及びポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。特定の構成では、フローセルは、フローセルに導入された流体が、結合事象(又は他の反応)の1又は複数の成分が付着している固体支持体の表面と相互作用することができるように、固体支持体を含む。
【0212】
本開示の方法は、単一の分析物分析能で実行することができる。本明細書で使用される場合、「単一の分析物」という用語は、個別に操作されるか、又は他の分析物と区別される分析物(例えば、タンパク質、核酸又は親和性剤)を指す。単一の分析物は、単一の分子(例えば、単一タンパク質)、2以上の分子の単一の複合体(例えば、構造化核酸粒子に結合した単一のタンパク質又は親和性剤に結合した単一のタンパク質)、単一の粒子等であり得る。単一の分析物は、例えば、他の分析物からの空間的又は時間的分離に基づいて、他の分析物から分離することができる。したがって、分析物は、「単一分析物分析能」で検出することができ、これは、例えばアレイ内の最近傍から区別されるように、個々の基準で分析物の検出又は検出能力である。本明細書において組成物、装置又は方法の文脈における「単一の分析物」への言及は、文脈上又は明示的に反対に示されない限り、個々に操作又は区別される複数の単一の分析物への組成物、装置又は方法の適用を必ずしも排除しない。
【0213】
単一分析物分析能の代わりに、方法は、アンサンブル分析能又はバルク分析能で実行することができる。バルク分析能構成は、容器内又は表面上の複数の異なる分析物又は親和性剤から複合シグナルを取得する。例えば、複合体シグナルは、個々の複合体が互いに分離されないように、ウェル若しくはキュベット内、又は固体支持体表面上の異なるタンパク質親和性剤複合体の集団から取得することができる。アンサンブル分析能配置は、複合シグナルが試料中のタンパク質又は親和性剤の第2の集合によって生成されたシグナルと区別できるように、試料中のタンパク質又は親和性剤の第1の集合から複合シグナルを取得する。例えば、アンサンブルは、アレイ内の異なるアドレスに配置することができる。したがって、各アドレスから得られる合成シグナルは、アンサンブルからのシグナルの平均となるが、異なるアドレスからのシグナルを互いに区別することができる。
【0214】
本明細書に記載の組成物、装置又は方法は、1又は複数のタンパク質(例えば、様々なタンパク質のアレイ)を複数の異なる親和性剤と接触させるように構成することができる。例えば、複数の親和性剤(別々に又はプールとして構成されるかにかかわらず)は、少なくとも2、5、10、25、50、100、250、500又はそれを超える種類の親和性剤を含み得、各種類の親和性剤は、認識される(1又は複数の)エピトープに関して他の種類とは異なる。代替的又は追加的に、複数の親和性剤は、最大で500、250、100、50、25、10、5又は2種類の親和性剤を含み得、各種類の親和性剤は、認識される(1又は複数の)エピトープに関して他の種類とは異なる。プール内の異なる種類の親和性剤は、異なる種類を互いに区別できるように一意に標識することができる。いくつかの構成では、プール内の異なる種類の親和性剤の少なくとも2つ、最大で全部が区別できないように標識され得る。ユニークな標識の使用の代わりに、又はそれに加えて、異なる種類の親和性剤を、1又は複数のタンパク質(例えば、アレイ内)を評価するときに連続的に送達及び検出することができる。
【0215】
本開示の方法は、多重フォーマットで実行することができる。多重化構成では、異なるタンパク質を異なる固有の同定子(例えば、アレイ内のアドレス)に取り付けることができ、タンパク質を並行して操作及び検出することができる。例えば、アレイのタンパク質が(1又は複数の)親和性剤と同時に接触するように、1又は複数の異なる親和性剤を含有する流体をアレイに送達することができる。更に、複数のアドレスを並行して観察することができ、結合事象の迅速な検出を可能にする。複数の異なるタンパク質は、少なくとも5、10、100、1×103、1×104、2×104、3×104又はそれを超える異なる天然長タンパク質一次配列の複雑さを有することができる。代替的又は追加的に、本明細書に記載の方法で分析されるプロテオーム又はプロテオーム部分画分は、最大で3×104、2×104、1×104、1×103、100、10、5又はそれ未満の異なる天然長タンパク質一次配列である複雑性を有することができる。複数のタンパク質は、プロテオーム又はプロテオームの部分画分を構成することができる。検出、特徴づけ又は同定される試料のタンパク質の総数は、例えば、少なくともいくつかのタンパク質種の複数のコピーの存在のために、試料中の異なる一次配列の数と異なり得る。更に、検出、特徴づけ又は同定される試料のタンパク質の総数は、例えば、少なくともいくつかのタンパク質種の複数のコピーの存在、試料の供給源にいくつかのタンパク質が存在しないこと、又は分析前にいくつかのタンパク質が失われていることに起因して、試料中にあると疑われる候補タンパク質の数とは異なり得る。
【0216】
特に有用なマルチプレックス形式は、タンパク質及び/又は親和性剤のアレイを使用する。本明細書で使用される場合、「アレイ」という用語は、分析物を互いに区別できるように固有の同定子に取り付けられた分析物(例えば、タンパク質)の集団を指す。本明細書で使用される場合、「固有の同定子」という用語は、分析物に取り付けられ、プロセスの1又は複数の工程を通して他の同定子とは異なる、固体支持体(例えば粒子又はビーズ)、アレイ内の空間アドレス、タグ、ラベル(例えば、ルミノフォア)、又はバーコード(例えば核酸バーコード)を指す。このプロセスは、分析物を検出、同定、特徴づけ又は定量する方法等の分析プロセスであり得る。固有の同定子への付着は、共有結合又は非共有結合(例えば、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス力等)であり得る。固有の同定子は、例えば分析物に合成的に付着している等、分析物に対して外因性であり得る。あるいは、固有の同定子は、例えば、分析物の生来の環境において分析物に結合又は関連している等、分析物に対して内因性であり得る。アレイは、それぞれ異なる固有の同定子に取り付けられた異なる分析物を含むことができる。アレイは、同じ又は類似の分析物に取り付けられた異なる固有の同定子を含むことができる。アレイは、それぞれが異なる分析物を有する別個の固体支持体又は別個のアドレスを含むことができ、固体支持体又はアドレスの位置に従って異なる分析物を同定することができる。
【0217】
本明細書で使用される場合、「アドレス」という用語は、アレイに関して使用される場合、特定の分析種(例えばタンパク質)が存在するアレイ内の位置を意味する。アドレスは、単一の分析物を含むことができ、又は同じ種のいくつかの分析物の集団(すなわち、分析物のアンサンブル)を含むことができる。あるいは、アドレスは、異なる分析物の集団を含むことができる。アドレスは、典型的には離散的である。離散アドレスは連続していてもよく、又は間隙空間によって分離されていてもよい。本明細書で有用なアレイは、例えば、100μm、10μm、1μm、100nm、10nm又はそれ未満の平均距離によって分離されたアドレスを有することができる。代替的又は追加的に、アレイは、少なくとも10nm、100nm、1μm、10μm、又は100μmの平均距離によって分離されたアドレスを有することができる。アドレスはそれぞれ、1平方ミリメートル、500平方μm、100平方μm、10平方μm、1平方μm、100平方nm未満の面積を有することができる。アレイは、少なくとも約1x104、1x105、1x106、1x107、1x108、1x109、1x1010、1x1011、1x1012、又はそれ以上のアドレスを含むことができる。アドレスの平均間隔は、光学顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、又は表面形状測定等の任意の適切な方法によって決定することができる。
【0218】
タンパク質は、様々な手段のいずれかを使用して固有の同定子に結合することができる。結合は共有結合又は非共有結合であり得る。例示的な共有結合性結合には、クリックケミストリーを使用して達成されるもの等の化学リンカー、又は当技術分野で公知の若しくは参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第17/062,405号明細書に記載されている他の結合が含まれる。非共有結合は、例えば、受容体が固有の同定子に結合し、リガンドがタンパク質に結合する、又はその逆の受容体-リガンド相互作用(例えば、(ストレプト)アビジン-ビオチン、抗体-抗原、又は相補的核酸鎖)によって媒介され得る。特定の構成では、タンパク質は、構造化核酸粒子(SNAP)を介して固体支持体(例えば、アレイ内のアドレス)に結合している。タンパク質はSNAPに結合することができ、SNAPは、例えば、DNAと支持体との非共有結合相互作用によって、及び/又はSNAPと支持体との共有結合を介して、固体支持体と相互作用することができる。核酸オリガミ又は核酸ナノボールが特に有用である。アレイ内のタグ又はアドレス等の固有の同定子にタンパク質を付着させるためのSNAP及び他の部分の使用は、出願人その各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第17/062,405号明細書及び米国特許出願公開第63/159,500号明細書に記載される。
【0219】
本開示の方法は、タンパク質と親和性剤との間の結合をアッセイして測定結果を決定する工程を含むことができる。本明細書で使用される場合、「測定結果」という用語は、プロセスの観察又は検査から生じる情報を指す。例えば、親和性剤を分析物と接触させるための測定結果は、「結合結果」と呼ぶことができる。測定結果は、陽性又は陰性であり得る。例えば、結合の観察は、正の結合結果であり、非結合の観察は、負の結合結果である。測定結果は、所与の測定から肯定的又は否定的な結果が生じない場合には、ヌル結果であり得る。「経験的」測定結果は、分析技術からのシグナルの観測に基づく情報を含む。「推定」測定結果は、分析技術又は分析物の理論的又は先験的評価に基づく情報を含む。
【0220】
結合は、使用されるアッセイ成分に適した様々な技術のいずれかを使用して検出することができる。例えば、結合は、観察されたタンパク質に結合したときに親和性剤に結合した標識からシグナルを取得すること、観察された親和性剤に結合したときにタンパク質に結合した標識からシグナルを取得すること、又は親和性剤及びタンパク質に結合した標識から(1又は複数の)シグナルを取得することによって検出することができる。いくつかの構成では、タンパク質-親和性剤複合体は、例えば、タンパク質と親和性剤との間の結合の結果として核酸タグ又は他の部分が作成又は修飾される形式で直接検出される必要はない。発光強度検出、発光寿命検出、発光偏光検出、又は表面プラズモン共鳴検出等の光学検出技術が有用であり得る。他の検出技術には、電界効果トランジスタ(FET)、イオン感応性FET、又は化学感応性FETを利用する技術等の電子検出が含まれるが、これらに限定されない。例示的な方法は、米国特許第10,473,654号明細書又は米国特許第63/112,607号又は同第63/132,170号に示され、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0221】
本開示の方法は、タンパク質の経験的結合プロファイルを決定する工程を含むことができる。経験的結合プロファイルは、複数の異なる親和性剤へのタンパク質の結合又は非結合の観察された結果を含むことができる。マルチプレックス形式では、複数のタンパク質のタンパク質のそれぞれについて経験的結合プロファイルを決定することができ、経験的結合プロファイルのそれぞれは、複数の異なる親和性剤へのそれぞれのタンパク質の結合又は非結合の観察された結果を含む。本明細書で使用される場合、「結合プロファイル」という用語は、タンパク質又は他の分析物に対する複数の結合結果を指す。結合結果は、独立した結合観察から得ることができ、例えば、独立した結合結果は、それぞれ異なる親和性剤を使用して得ることができる。結合プロファイルは、経験的測定結果、推定測定結果又はその両方を含み得る。結合プロファイルは、経験的測定結果又は推定測定結果を除外することができる。
【0222】
参照結合プロファイルは、候補タンパク質に対する複数の推定結合結果を含み得る。参照プロファイルは、複数の異なる候補タンパク質について提供することができる。複数の候補タンパク質は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、800、1000、又はそれ以上の異なる候補タンパク質を含み得る。いくつかの実施形態において、1又は複数の参照結合プロファイルをデータベースに保存することができる。データベース又は参照結合プロファイルに含めることができる特に有用な情報には、例えば、タンパク質への1又は複数の親和性剤の結合に関する結合特性が含まれる。例えば、情報は、複数の候補タンパク質のそれぞれに対する複数の親和性剤のそれぞれの結合確率を含み得る。いくつかの構成では、結合確率又は他の結合特性は、例えば、1又は複数の既知の候補タンパク質と(1又は複数の)既知の親和性剤との間で行われた結合実験から経験的に導出される。いくつかの実施形態では、結合確率又は他の結合特性は、候補タンパク質の構造(例えばアミノ酸配列)中の疑わしいエピトープ配列の存在等の事前情報に基づいて導出される。候補タンパク質の参照結合プロファイルは、候補タンパク質の経験的測定が観察された測定結果を生成する確率又は尤度を含み得る。追加的又は代替的に、候補タンパク質に対する参照結合プロファイルは、候補タンパク質の経験的測定が観察された測定結果を生成しない確率を含み得る。
【0223】
参照結合プロファイルは、本開示の方法又は装置において使用することができる。例えば、1又は複数の候補タンパク質は、各候補タンパク質の経験的結合プロファイルと1又は複数の参照結合プロファイルとの適合性の程度を評価することによって、試料中で同定することができる。未知のタンパク質の経験的結合プロファイルは、所与の試料中にあると疑われる多くの又は全ての候補タンパク質の参照結合プロファイルと比較することができ、比較の結果を使用して、一致する候補タンパク質を同定することができる。方法によれば、特定の未知のタンパク質の同一性は、全ての候補タンパク質が未知のタンパク質である可能性に基づいて決定することができる。所与の候補タンパク質が未知のタンパク質である可能性は、各親和性剤が所与の候補タンパク質に結合する確率に基づいて決定することができる。
【0224】
本明細書に記載の方法のいくつかの構成では、未知のタンパク質の経験的パターンには、経験的結合パターンが与えられた場合、未知のタンパク質が特定の候補タンパク質である可能性を示すスコアが割り当てられ、及び/又はスコアは、特定の候補タンパク質が経験的結合パターンを生成する確率を示すことができる。場合により、試料中にあると疑われる多くの又は全ての候補タンパク質に関して、未知のタンパク質についてスコアを決定することができる。スコアを組み合わせることができ、最高のマッチングスコアが寄与した総スコアの割合を決定することができ、割合を閾値と比較して同定が行われるかどうかを決定することができる。
【0225】
候補タンパク質に対する結合プロファイルの適合性の程度を評価するために特に有用なスコアは、割合である。例えば、観察された結合プロファイルを、候補タンパク質のセットについて予想される個々の結合プロファイルと比較することができ、各比較には適合度を示す数値スコアを与えることができ、スコアを合計することができ、最良適合比較のスコアを合計で除算して、上位一致が寄与するスコアの割合を導出することができる。閾値を適用して、誤った同定を除外することができる。より具体的な例として、各結合プロファイル比較は、観察された結合プロファイルを考慮して、検出されたタンパク質が特定の候補タンパク質である可能性を示す0と1との間のスコア(0は可能な限り低い一致であり、1は可能な限り高い一致である)を出力することができ(又はスコアは、観察された結合プロファイルを生成する特定の候補タンパク質の確率を示すことができる)、スコアは、観察された結合プロファイルと生物のプロテオーム(例えば、ヒトプロテオーム)にあると疑われる各候補タンパク質との比較から計算することができ、閾値は0.9に設定することができる。したがって、所与の結合プロファイルは、正確に1つのタンパク質が十分に一致する場合にのみ候補同定をもたらす。
【0226】
候補タンパク質を同定するために使用されるスコアは、深層学習、統計学習、教師あり学習、教師なし学習、クラスタリング、期待値最大化、最尤推定、ベイズ推定、線形回帰、ロジスティック回帰、バイナリ分類、多項分類、サポートベクターマシン(SVM)、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、ディープニューラルネットワーク、カスケードニューラルネットワーク、k最近傍法(k-NN)分類、ランダムフォレスト(RF)、分類及び回帰木(CART)又はパターン認識アルゴリズム等の機械学習プロセスを使用して決定することができる。例えば、ソフトウェアは、1又は複数のアルゴリズムを実行して、(i)1又は複数の親和性剤の先験的な結合特性、(ii)1又は複数の親和性剤の実験的に観察された結合挙動、(iii)1又は複数の候補タンパク質についての推定的な結合結果又は推定的な結合プロファイル、(iv)候補タンパク質中の特定のエピトープの存在又は非存在、(v)1又は複数の結合プロファイルを生成するために使用される結合結果の特徴、(vi)実験的に観察されたタンパク質についての固有の同定子(例えば、アレイアドレス)を特定する情報、及び/又は(vii)1又は複数の未知のタンパク質についての実験的な結合結果又は実験的な結合プロファイル等の入力を分析することができる。したがって、本開示のアルゴリズムへの入力は、1又は複数の候補タンパク質についての情報のデータベース及び1又は複数の未知のタンパク質についての経験的結合結果のセットを含み得る。アルゴリズムの出力は、(i)仮定された候補タンパク質同一性を考慮して、結合結果又は結合プロファイルが観察される確率、(ii)未知タンパク質について、候補タンパク質のセットから選択される最も可能性の高い同一性、(iii)観察された経験的結合結果又は経験的結合プロファイルを考慮して、候補同定が正しい確率、及び/又は(iv)高確率の候補タンパク質同一性のグループ、及び未知タンパク質がグループ内のタンパク質の1つである関連確率を含み得る。タンパク質を特徴づけるための例示的なアルゴリズム及び方法は、参照により本明細書に組み込まれる例えば、米国特許出願公開第2020/0286584号明細書に記載されている。
【0227】
したがって、本明細書に記載の方法は、1又は複数の候補タンパク質についての1又は複数の参照結合プロファイルとの経験的結合プロファイルの適合性の決定に基づいて、試料中の1又は複数の候補タンパク質を同定する工程を含み得る。方法は、1又は複数の候補タンパク質の各々が試料中に存在するという信頼水準を提供するように更に構成することができる。復号化タンパク質同一性は、試料中で同定された候補タンパク質の集合を生成するために、試料中の各未知タンパク質に独立して適用され得る。例えば、復号化手法は、アレイの個々のアドレスに独立して適用されてもよい。
【0228】
本明細書に記載の組成物又は方法は、固体支持体又はその表面にカップリングした1又は複数の分析物を含み得る。本明細書で使用される場合、「固体支持体」という用語は、水性液体に不溶性の基質を指す。場合により、基材は剛性であり得る。基材は、非多孔質又は多孔質であり得る。基材は、場合により液体(例えば、多孔性による)を取り込むことができるが、典型的には、必ずしもそうとは限らないが、液体を取り込むときに基材が実質的に膨潤せず、液体が乾燥によって除去されるときに実質的に収縮しないように十分に剛性である。非多孔質固体支持体は、一般に、液体又は気体に対して不透過性である。例示的な固体支持体としては、ガラス及び修飾又は官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン及びスチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン(商標)、環状オレフィン、ポリイミド等を含む)、ナイロン、セラミック、樹脂、Zeonor(商標)、ケイ素及び修飾ケイ素を含むシリカ又はシリカ系材料、炭素、金属、無機ガラス、光ファイバ束、ゲル、及びポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、固体支持体は、ケイ素、溶融シリカ、石英、雲母、又はホウケイ酸ガラスを含み得る。
【0229】
固体支持体又はその表面は、1つ又は複数の分析物を表示するように構成されてもよい。固体支持体は、分析物を表示するための少なくとも1つのアドレスを含む1又は複数のパターン化、形成、又は調製された表面を含み得る。いくつかの場合では、固体支持体は、複数のアドレスを含む1又は複数のパターン化、形成、又は調製された表面を含むことができ、各アドレスは1又は複数の分析物を表示するように構成される。したがって、本明細書に記載のアレイは、固体支持体又はその表面にカップリングした複数の分析物を含み得る。いくつかの構成では、固体支持体又はその表面をパターン化又は形成して、アドレスの順序付き又はパターン付きアレイを生成することができる。規則的又はパターン化されたアドレスアレイ上の分析物の堆積は、固体支持体と分析物との間の相互作用、例えば静電相互作用、磁気相互作用、疎水性相互作用、親水性相互作用、共有結合相互作用又は非共有結合相互作用によって制御され得る。したがって、アドレスアレイの各アドレスにおける分析物のカップリングは、固体支持体の配列又はパターニングの公差及び各アドレスの分析物結合領域のサイズに基づいて分析物間の平均間隔が決定される、配列又はパターン化された分析物アレイを生成することができる。分析物の規則的又はパターン化されたアレイは、長方形、三角形、多角形、又は環状のグリッド等の規則的な幾何学的形状を有するものとして特徴づけることができる。他の構成では、固体支持体又はその表面は、パターン化されていなくてもよく、又は配列されていなくてもよい。不規則又はパターン化されていないアドレスアレイ上の分析物の堆積は、固体支持体と分析物との間の相互作用、又は例えば立体反発、静電反発、静電引力、磁気反発、磁気引力、共有結合相互作用、又は非共有結合相互作用等の分析物間相互作用によって制御され得る。
【0230】
固体支持体又はその表面は、ベース基材材料と、場合により、基材材料と接触又は接着する1又は複数の追加の材料とを含んでもよい。固体支持体は、基材材料上に堆積、コーティング、又は嵌め込まれる1又は複数の追加の材料を含んでもよい。追加の材料を基材材料に添加して、基材材料の特性を変更することができる。例えば、材料を添加して、表面化学を変化させ(例えば、疎水性、親水性、非特異的結合、静電特性)、光学特性を変化させ(例えば、反射特性、屈折特性)、電気的又は磁気的特性を変化させ(例えば、誘電材料、導電材料、電気絶縁材料)、又は基材材料の熱伝達特性を変化させることができる。基材材料と接触又は接着された追加の材料は、例えば、アドレスに追加の材料を配置するか、又はアドレス間の間隙領域に追加の材料を配置するために、基材材料上に順序付け又はパターニングされてもよい。例示的な追加の材料は、金属(例えば、金、銀、銅等)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化鉄等)、金属窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ガリウム等)、金属炭化物(例えば、炭化タングステン、炭化チタン、炭化鉄等)、金属硫化物(例えば、硫化鉄、硫化銀等)、及び有機部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、化学反応性官能基等)を含み得る。
【0231】
本開示の方法は、結合プロファイルの測定の前に、1又は複数の分析物を固体支持体又はその表面にカップリングする工程を含むことができる。固体支持体表面への1又は複数の分析物のカップリングは、固体支持体への1又は複数の分析物の共有結合又は非共有結合カップリングを含み得る。分析物の固体支持体への共有結合は、分析物の固体支持体への直接共有結合(例えば、配位結合の形成)又は分析物の反応性官能基と固体支持体にカップリングした反応性官能基との間の間接共有結合(例えば、CLICK型反応)を含み得る。非共有結合カップリングは、静電若しくは磁気相互作用又は非共有結合相互作用(例えば、イオン結合、ファンデルワールス相互作用、水素結合等)を含む、分析物と固体支持体との間の任意の非共有結合相互作用の形成を含み得る。当業者は、特定の分析物及び固体支持体の選択が、本明細書に記載の組成物及び方法のカップリング化学の選択に影響を及ぼし得ることを容易に認識するであろう。
【0232】
したがって、カップリング化学物質は、本明細書に記載の方法の時間スケールを満たすか又は超える時間スケールで分析物の固体支持体への十分に安定したカップリングを提供するという基準に基づいて選択され得る。例えば、ポリペプチド同定方法は、分析物の一連の経験的測定を可能にするのに十分な時間、分析物の固体支持体へのカップリングを必要とし得る。分析物は、例えば、少なくとも約1分、1時間(時)、3時間、6時間、12時間、1日、1.5日間、2日、3日、1週間(週)、2週間、3週間、1ヶ月又はそれ以上等の観察可能な長さの時間、固体支持体に連続的にカップリングされ得る。固体支持体への分析物のカップリングは、固体支持体上への分析物の堆積を促進する溶液相の化学的性質によって起こり得る。固体支持体への分析物のカップリングは、溶液組成、種の濃度、pH、イオン強度、溶液温度等を含む、考えられる任意の溶液特性に最適化された溶液条件下で行われ得る。溶液組成は、緩衝剤の種類、塩、酸、塩基、及び界面活性剤等の化学種によって変化し得る。いくつかの構成では、塩及び界面活性剤等の種は、分析物と固体支持体との間の相互作用の形成を促進するように選択され得る。分析物を固体支持体にカップリングさせるための共有結合カップリング方法は、特定の反応性化学を促進するための触媒、開始剤及び促進剤等の種を含み得る。
【0233】
分析物の固体支持体へのカップリングは、媒介基によって促進され得る。媒介基は、カップリングを容易にするために分析物の特性を修飾することができる。有用な媒介基が本明細書に記載されている(例えば、SNAP)。いくつかの構成では、分析物を固体支持体にカップリングさせる前に、媒介基を分析物にカップリングさせることができる。したがって、媒介基は、分析物の固体支持体へのカップリングの強度、対照又は特異性を増加させるように選択され得る。他の構成では、分析物を固体支持体にカップリングさせる前に、媒介基を固体支持体にカップリングさせることができる。したがって、媒介基は、固体支持体のみによって提供され得るよりも好ましいカップリング化学を提供するように選択され得る。
【0234】
本開示は、1又は複数のタンパク質を検出するための組成物、装置及び方法を提供する。タンパク質は、タンパク質に対する結合親和性を有する1又は複数の親和性剤を使用して検出することができる。親和性剤とタンパク質は互いに結合して複合体を形成することができ、形成中又は形成後に複合体を検出することができる。複合体は、例えば、親和性剤又はタンパク質上に存在する標識のために直接検出することができる。いくつかの構成において、複合体は、例えば、複合体が形成され、次いで、複合体中に存在した親和性剤、タンパク質又は標識成分が検出される形式で、直接検出される必要はない。
【0235】
酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)等の多くのタンパク質検出方法は、(1又は複数の)タンパク質に対する抗体、アプタマー又は他の結合剤の高い特異性結合を利用し、試料中の他の全てのタンパク質を無視しながら結合事象を検出することによって、試料中の1又は複数のタンパク質の高信頼特性評価を達成する。ELISAは、一般に低プレックス規模(例えば、並行して又は連続して検出される1~100個の異なるタンパク質)で行われるが、より高いプレキシティで使用することができる。ELISA法は、マルチウェルプレート内、アレイ上、又はマイクロ流体デバイス内の粒子上で、固定化された結合剤及び/又はタンパク質を検出することによって行うことができる。例示的なプレートベースの方法には、例えば、MesoScale Diagnostics(Rockville,Maryland)によって商品化されたMULTI-ARRAY技術、又はProtein Simple(San Jose,CA)によって商品化されたSimple Plex技術が含まれる。例示的なアレイベースの方法には、Quanterix(Billerica,MA)によって市販されているSimoa(登録商標)Planar Array Technology又はSimoa(登録商標)Bead Technologyを利用するものが含まれるが、これらに限定されない。更なる例示的なアレイベースの方法は、米国特許第9,678,068;9,395,359;8,415,171;8,236,574;又は8,222,047に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。例示的なマイクロ流体検出方法は、商品名xMAP(登録商標)技術でLuminex(Austin,Texas)によって市販されているもの、又はMAGPIX(登録商標)、LUMINEX(登録商標)100/200若しくはFEXMAP 3D(登録商標)として同定されるプラットフォームで使用されるものを含む。
【0236】
例えば低プレックススケールで使用することもできる他の検出方法には、SOMAmer試薬を使用する手順及びSomaLogicによって市販されているSOMAscanアッセイが含まれる(Boulder,CO)。一構成では、試料を、タンパク質のアミノ酸配列に対して高い特異性でタンパク質に結合することができるアプタマーと接触させる。得られたアプタマー-タンパク質複合体は、例えば、他の試料成分から除去されたビーズ(又は他の固体支持体)に複合体を付着させることによって、他の試料成分から分離することができる。次いで、アプタマーを単離することができ、アプタマーが核酸であるため、アプタマーは、例えば、核酸アレイへのハイブリダイゼーション、PCRに基づく検出、又は核酸配列決定を含む、核酸を検出するための当技術分野で公知の様々な方法のいずれかを使用して検出することができる。例示的な方法及び組成物は、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,855,054号;同第7,964,356号;同第8,404,830号;同第8,945,830号;同第8,975,026号;同第8,975,388号;同第9,163,056号;同第9,938,314号;同第9,404,919号;同第9,926,566号;同第10,221,421号;同第10,239,908号;同第10,316,321 10,221,207号又は同第10,392,621号に記載されている。
【0237】
いくつかの検出アッセイでは、タンパク質を周期的に修飾することができ、個々のサイクルからの修飾生成物を検出することができる。いくつかの構成では、タンパク質は、各サイクルがタンパク質のアミノ末端アミノ酸を標識し除去する工程及び標識を検出する工程を含む逐次プロセスによって配列決定することができる。したがって、タンパク質を検出する方法は、(i)タンパク質上の末端アミノ酸を曝露する工程と、(ii)タンパク質からのシグナルの変化を検出する工程と、(iii)工程(ii)で検出された変化に基づいて除去されたアミノ酸のタイプを同定する工程と、を含み得る。末端アミノ酸は、例えば、タンパク質のアミノ末端又はカルボキシル末端から1又は複数のアミノ酸を除去することによって露出させることができる。工程(i)~(iii)を繰り返して、タンパク質の配列を示す一連のシグナル変化を生成することができる。
【0238】
上記方法の第1の構成では、タンパク質中の1又は複数のタイプのアミノ酸を、アミノ酸のタイプを一意的に同定する標識に付着させることができる。この構成では、アミノ酸を同定するシグナルの変化は、それぞれの標識からのシグナルの喪失であり得る。タンパク質からアミノ酸を除去し、シグナル変化を検出するために使用することができる例示的な組成物及び技術は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれるSwaminathan et al.,Nature Biotech.36:1076-1082(2018);又は米国特許第9,625,469号又は同第10,545,153号に記載される。Erisyon,Inc.(Austin,TX)によって開発中の方法及び装置もまた、タンパク質を検出するために有用であり得る。
【0239】
上記方法の第2の構成では、タンパク質の末端アミノ酸は、末端アミノ酸に特異的な、又は末端アミノ酸上に存在する標識部分に特異的な親和性剤によって認識され得る。親和性剤は、例えば、親和性剤上の標識により、アレイ上で検出することができる。場合により、標識は、複合体の形成時にプライマー核酸に付加される核酸バーコード配列である。複合体の形成及び末端アミノ酸の同一性は、バーコード配列を復号することによって決定することができる。例示的な親和性剤及び検出方法は、米国特許出願公開第2019/0145982号;2020/0348308;又は2020/0348307に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。Encodia,Inc.(San Diego,CA)によって開発中の方法及び装置もまた、タンパク質を検出するために有用であり得る。
【0240】
タンパク質からの末端アミノ酸の周期的除去は、穏やかなアルカリ条件下(例えば約pH8)でフェニルイソチオシアナートがN末端アミノ基と反応して、周期的フェニルチオカルバモイルエドマン錯体誘導体を形成するエドマン型配列決定反応を使用して行うことができる。フェニルイソチオシアナートは、官能基を含む1又は複数の官能基、リンカー基、又はリンカー基で置換又は非置換であり得る。エドマン型配列決定反応は、タンパク質末端からのアミノ酸の検出可能な除去をもたらし、それによってタンパク質又はその一部についてのアミノ酸配列の決定を容易にする試薬及び条件に対する変形を含み得る。例えば、フェニル基は、Edman型配列決定反応に関与し得る少なくとも1つの芳香族、ヘテロ芳香族又は脂肪族基で置き換えることができ、非限定的な例としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダゾリン、ナフタレン及びキノリン等の縮合芳香族基、メチル又は他のアルキル基又はアルキル基誘導体(例えば、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル)が挙げられる。特定の条件下、例えば約pH2の酸性条件下では、誘導体化末端アミノ酸は、例えばチアゾリノン誘導体として切断され得る。酸性条件下でのチアゾリノンアミノ酸誘導体は、検出され得るより安定なフェニルチオヒダントイン(PTH)又は類似のアミノ酸誘導体を形成し得る。この手順は、後続のN末端アミノ酸を同定するために、残留タンパク質について反復的に繰り返すことができる。エドマン型分解の多くの変形が記載されており、例えば、アルカリ条件を用いたN末端アミノ酸の一段階除去を含めて使用することができる(Chang,J.Y.,FEBS LETTS.,1978,91(1),63-68)。いくつかの場合では、エドマン型反応は、選択的に除去され得るN末端修飾、例えばN末端アセチル化又はホルミル化によって妨害され得る(例えば、Gheorghe M.T.,Bergman T.(1995)in Methods in Protein Structure Analysis,Chapter 8:Deacetylation and internal cleavage of Proteins for N-terminal Sequence Analysis.Springer,Boston,MA.https://doi.org/10.1007/978-1-4899-1031-8_8を参照されたい)。
【0241】
置換フェニルイソチオシアナートの官能基の非限定的な例は、既知の受容体のリガンド(例えば、ビオチン及びビオチン類似体)、ルミノフォア等の標識、又はクリック官能性(例えば、アジド又はアセチレン部分を有する組成物)等の反応性基を含み得る。官能基は、DNA、RNA、ペプチド若しくは小分子バーコード、又は更に処理及び/若しくは検出され得る他のタグであり得る。
【0242】
エドマン型プロセスを用いたアミノ末端アミノ酸の除去は、少なくとも2つの主要な工程を利用し、第1の工程は、イソチオシアナート又は等価物をタンパク質N末端残基と反応させて、比較的安定なエドマン錯体、例えばフェニルチオカルバモイル錯体を形成することを含む。第2の工程は、例えば加熱によって誘導体化N末端アミノ酸を除去することを含む。ここで1アミノ酸だけ短縮されたタンパク質は、例えば、タンパク質をアミノ末端に相補的な標識された親和性剤と接触させ、薬剤への結合についてタンパク質を検査することによって、又は除去されたアミノ酸に結合した標識の喪失を検出することによって検出され得る。
【0243】
エドマン型プロセスは、複数のタンパク質を検出、特徴づけ又は同定するために多重フォーマットで実行することができる。タンパク質を検出する方法は、(i)アレイのアドレスにおいてタンパク質上の末端アミノ酸を曝露する工程と、(ii)親和性剤を末端アミノ酸に結合させる工程であって、親和性剤が核酸タグを含み、プライマー核酸がアドレスに存在する、工程と、(iii)プライマー核酸を伸長し、それによってタグのコピーを有する伸長されたプライマーを生成する工程と、(iv)伸長されたプライマーのタグを検出する工程と、を含み得る。末端アミノ酸は、例えば、タンパク質のアミノ末端又はカルボキシル末端から1又は複数のアミノ酸を除去することによって露出させることができる。工程(i)~(iv)を繰り返して、タンパク質の配列を示す一連のタグを生成することができる。方法は、アレイ上の複数のタンパク質に並行して適用することができる。プレキシティが何であれ、プライマーの伸長は、例えば、鋳型として核酸タグを使用して、プライマーのポリメラーゼに基づく伸長によって行うことができる。あるいは、プライマーの伸長は、例えば、核酸タグにハイブリダイズする核酸へのプライマーのリガーゼ又は化学ベースのライゲーションによって行うことができる。核酸タグは、核酸プローブへのハイブリダイゼーション(例えば、アレイ内)、増幅ベースの検出(例えば、PCRに基づく検出、又はローリングサークル増幅に基づく検出)又は核酸配列決定(例えば、周期的可逆的ターミネーター法、ナノポア法、又は単一分子、リアルタイム検出法)を介して検出することができる。核酸タグを使用してタンパク質を検出するために使用することができる例示的な方法は、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0145982号;同第2020/0348308号;又は同第2020/0348307号に記載されている。
【0244】
タンパク質は、その酵素活性又は生物学的活性に基づいて検出されていてもよい。例えば、タンパク質を、タンパク質の酵素活性によって検出可能な生成物に変換される反応物質と接触させることができる。他のアッセイ形式では、既知の酵素機能を有する第1のタンパク質を第2のタンパク質と接触させて、第2のタンパク質が第1のタンパク質の酵素機能を変化させるかどうかを決定することができる。したがって、第1のタンパク質は、第2のタンパク質を検出するためのレポーター系として働く。観察され得る例示的な変化には、酵素機能の活性化、酵素機能の阻害、酵素機能の減衰、第1のタンパク質の分解、又は第1のタンパク質によって使用される反応物質若しくは補因子に対する競合が含まれるが、これらに限定されない。タンパク質はまた、タンパク質、核酸、ヌクレオチド、代謝産物、ホルモン、ビタミン、生物学的シグナル伝達経路に関与する小分子、生物学的受容体等の他の分子とのそれらの結合相互作用に基づいて検出され得る。例えば、シグナル伝達経路に関与するタンパク質は、その経路における候補タンパク質の結合パートナーであることが知られている第2のタンパク質への結合を検出することによって、特定の候補タンパク質として同定され得る。
【0245】
翻訳後修飾(PTM)の存在又は非存在は、本明細書に記載の組成物、装置又は方法を用いて検出することができる。PTMは、PTMを認識する親和性剤を使用して、又はPTMの化学的特性に基づいて検出することができる。検出、同定又は特徴づけすることができる例示的なPTMには、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、プレニル化、ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化、リポイル化、フラビン部分結合、ヘムC結合、ホスホパンテテイニル化、レチニリデンシッフ塩基形成、ジプサミド形成、エタノールアミンホスホグリセロール結合、ヒプシン、β-リジン付加、アシル化、アセチル化、脱アセチル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、C末端アミド化、アルギニル化、ポリグルタミル化、ポリグリシル化、ブチリル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、グリシル化、ポリシアリル化、マロニル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ヌクレオチド付加、ホスホ酸エステル形成、ホスホルアミデート形成、リン酸化、アデニル化、ウリジル化、プロピオニル化、ピログルタミン酸塩形成、S-グルタチオン化、S-ニトロシル化、S-スルフェニル化、S-スルフィニル化、S-スルホニル化、スクシニル化、硫酸化、糖化、カルバミル化、カルボニル化、イソペプチド結合形成、ビオチン化、カルバミル化、酸化、還元、ペグ化、ISG化、SUMO化、ユビキチン化、ネジル化、プシル化、シトルリン化、脱アミド化、エルミニル化、ジスルフィド架橋形成、タンパク質分解的切断、イソアスパラギン酸形成、ラセミ化及びタンパク質スプライシングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0246】
PTMは、タンパク質の特定のアミノ酸残基で起こり得る。例えば、特定のプロテオフォームのリン酸部分は、タンパク質のセリン、トレオニン、チロシン、ヒスチジン、システイン、リジン、アスパラギン酸又はグルタミン酸残基上に存在し得る。他の例では、アセチル部分は、N末端又はリジン上に存在することができ、セリン又はトレオニン残基は、O結合グリコシル部分を有することができ、アスパラギン残基は、N結合型グリコシル部分を有することができ、プロリン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸又はヒスチジンアミノ酸をヒドロキシル化することができ、アルギニン残基又はリジン残基はメチル化されていてもよく、又はN末端メチオニン若しくはリジンアミノ酸がユビキチン化され得る。
【0247】
本明細書に記載の装置及び方法のいくつかの構成では、1又は複数のタンパク質を固体支持体上で検出することができる。例えば、(1又は複数の)タンパク質を支持体に結合させることができ、支持体を溶液中の検出剤(例えば親和性剤)と接触させることができ、薬剤は(1又は複数の)タンパク質と相互作用し、それによって検出可能なシグナルを生成することができ、次いでシグナルを検出して(1又は複数の)タンパク質の存在を決定することができる。このアプローチの多重化バージョンでは、異なるタンパク質をアレイ内の異なるアドレスに付着させることができ、プロービング及び検出工程を並行して行うことができる。別の例では、親和性剤を固体支持体に付着させることができ、支持体を溶液中のタンパク質と接触させることができ、タンパク質は親和性剤と相互作用することができ、それによって検出可能なシグナルを生成し、次いでシグナルを検出してタンパク質の存在、量又は特徴を決定することができる。このアプローチは、異なる親和性剤をアレイの異なるアドレスに付着させることによって多重化することもできる。
【0248】
タンパク質、親和性剤又は他の目的の物体は、共有結合又は非共有結合を介して固体支持体に結合することができる。例えば、リンカーを使用して、タンパク質又は他の目的の物体をアレイに共有結合させることができる。特に有用なリンカーは、核酸ナノボール(例えば、環状核酸鋳型のローリングサークル複製によって産生されるコンカテメリックアンプリコン)又は核酸オリガミ等の構造化核酸粒子である。例えば、複数のタンパク質は、各タンパク質コンジュゲート型粒子がアレイ内のアドレスを形成するように、複数の構造化核酸粒子にコンジュゲートされ得る。タンパク質又は他の目的の物体をアレイ又は他の固体支持体に付着させるための例示的なリンカーは、国際公開第2019/195633号又は米国特許第出願第63/159,500号明細書に記載され、その各々が参照により本明細書に組み込まれる
タンパク質は、2以上の親和性剤の近接に基づいて検出することができる。例えば、2つの親和性剤は、それぞれ受容体成分及び核酸成分の2つの成分を含むことができる。親和性剤が互いに近接して結合する場合、例えば、それぞれの受容体に対するリガンドが単一のタンパク質上にあることに起因して、又はリガンドが互いに会合する2つのタンパク質上に存在することに起因して、核酸は相互作用して、2つのリガンドが近接していることを示す修飾を引き起こすことができる。場合により、修飾は、鋳型として他の核酸を使用した核酸の1つの伸長であり得る。別の選択肢として、核酸の1つは、オリゴヌクレオチドへのライゲーションのために他の核酸を配置するためのスプリントとして作用する鋳型を形成することができる。例示的な方法は、Olink Proteomics AB(Uppsala Sweden)によって市販されているか、又は米国特許第7,306,904;同第7,351,528号;同第8,013,134号;同第8,268,554;又は同第9,777,315号に記載され、その各々が参照により本明細書に組み込まれる
本開示の方法又は装置は、光学的検出(例えば発光検出)のために構成されていてもよい。分析物又は他の実体は、発光体を励起する放射線の波長、発光体によって放出される放射線の波長、発光体によって放出される放射線の強度(例えば、(1又は複数の)特定の検出波長で)、発光寿命(例えば、発光団が励起状態に留まる時間)又は発光極性等の測定可能な特性に基づいて検出され、互いに区別されていてもよい。検出することができ、分析物を区別するために使用されていてもよい他の光学特性としては、例えば、放射の吸光度、共鳴ラマン、放射散乱等が挙げられる。ルミノフォアは、検出されるタンパク質又は他の分析物の固有の部分であり得るか、又はルミノフォアは、タンパク質又は他の分析物に合成的に添加された外因性部分であり得る。
【0249】
本開示の方法又は装置は、本明細書に記載の、又は当技術分野で知られている特性を検出するのに適した光検知装置を使用することができる。光検知装置の特に有用な構成要素は、光学サブシステム又は核酸配列決定システムで使用される構成要素を含むことができるが、これらに限定されない。有用なサブシステム及びその構成要素の例は、米国特許出願公開第2010/0111768号明細書又は米国特許第7,329,860号;同第8,951,781号又は同第9,193,996号に記載され、その各々が参照により本明細書に組み込まれる 他の有用な光感知デバイス及びその構成要素は、米国特許第5,888,737号;同第6,175,002号;同第5,695,934号;同第6,140,489号;又は同第5,863,722号;又は米国特許公開第2007/007991号、同第2009/0247414号又同第2010/0111768号;又は国際公開第2007/123744号に記載され、その各々が参照により本明細書に組み込まれる。発光寿命に基づいて発光体を検出するために使用することができる光検出デバイス及び構成要素は、例えば、米国特許第9,678,012号;同第9,921,157号;同第10,605,730号;同第10,712,274号;同第10,775,305号;又は同第10,895,534号に記載されており、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0250】
ルミネセンス寿命は、入射光子を受け取り、入射光子に応答して複数の電荷キャリアを生成するように構成された光検出領域を有する集積回路を使用して検出することができる。集積回路は、少なくとも1つの電荷キャリア蓄積領域と、電荷キャリアが生成される時間に基づいて複数の電荷キャリアのうちの電荷キャリアを電荷キャリア蓄積領域内に直接選択的に誘導するように構成された電荷キャリア分離構造とを含むことができる。例えば、米国特許第9,606,058号明細書、同第10,775,305号、同第10,845,308号を参照されたく、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。短い光パルスを生成する光源を発光寿命測定に使用することができる。例えば、半導体レーザ又はLED等の光源をバイポーラ波形で駆動して、テールエミッションを抑制した約85psという短いFWHM持続時間を有する光パルスを生成することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,605,730号明細書を参照されたい。
【0251】
光学検出(例えば、発光検出)を使用する構成では、1又は複数の分析物(例えば、タンパク質)を表面に固定化し、この表面を顕微鏡でスキャンして、固定化された分析物からの任意のシグナルを検出することができる。顕微鏡自体は、スキャン中に収集されたデータを記録、記憶、及び分析するように構成されたデジタルカメラ又は他のルミネセンス検出器を含むことができる。本開示の発光検出器は、エピ発光検出、全内部反射(TIR)検出、導波路支援励起等のために構成することができる。
【0252】
光感知デバイスは、任意の適切な技術に基づくことができ、例えば、デバイス内の位置に衝突する光子に基づいて画素化画像データを生成する電荷カップリング素子(CCD)センサとすることができる。時間遅延積分(TDI)動作用に構成された検出器アレイ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、アバランシェフォトダイオード(APD)検出器、ガイガーモード光子計数器、光電子増倍管(PMT)、電荷注入装置(CID)センサ、JOT画像センサ(Quanta)、又は任意の他の適切な検出器を含むがこれらに限定されない様々な他の光検知装置のいずれも使用できることが理解されよう。光検知装置は、1又は複数の励起源、例えば、レーザ、発光ダイオード(LED)、アークランプ、又は当技術分野で公知の他のエネルギー源とカップリングされていてもよい。
【0253】
光学検出システムは、単一分子検出用に構成することができる。例えば、導波路又は光学的閉じ込めを使用して、分析物が位置する固体支持体の位置に励起放射を送達することができる。ゼロモード導波路は特に有用であり得、その例は米国特許第7,181,122号、同第7,302,146号又は同第7,313,308号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。分析物は、例えば、単一分子分析能を容易にするために、表面特徴に限定することができる。例えば、分析物は、米国特許第7,122,482号明細書若しくは同第8,765,359号明細書、又は米国特許第出願公開第2013/0116153号明細書に記載されているようなナノメートル寸法を有するウェルに分配することができる。ウェルは、例えば、米国特許第8,798,414号明細書又は米国特許第9,347,829号明細書に記載されているように、選択的励起のために構成することができ、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。分析物は、ナノメートルスケールのポスト、例えば、場合により金属層を貫通して延びる誘電体ピラーであって、ピラーに付着した分析物の検出を改善することができる高アスペクト比のポストに分配することができる。例えば、米国特許第8,148,264号、同第9,410,887号又は同第9,987,609号を参照されたく、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。分析物を検出するために使用することができるナノ構造体の更なる例は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/176793号に記載されているように、分析物を定量することができるように、分析物の濃度に応じて状態が変化するナノ構造体である。
【0254】
本明細書に記載の装置又は方法は、光学的検出のために構成される必要はない。例えば、電子検出器は、プロトン又は荷電標識の検出に使用することができる(例えば、米国特許第2009/0026082号;同第2009/0127589号;第2010/0137143号;又は2010/0282617号を参照されたく、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。電界効果トランジスタ(FET)は、例えば、FETに対する電界破壊部分の近接度に基づいて、分析物又は他の実体を検出するために使用することができる。磁場破壊部分は、分析物又は親和性剤に結合した外因性標識に起因し得るか、又は部分は、使用される分析物又は親和性剤に内因性であり得る。表面プラズモン共鳴を使用して、表面又は表面付近の分析物又は親和性剤の結合を検出することができる。分子をセンサに付着させるための例示的なセンサ及び方法は、米国特許第2017/0240962号;同第2018/0051316号;2018/0112265号;同第2018/0155773号又は同第2018/0305727号;又は米国特許第9,164,053;同第9,829,456号;同第10,036,064号に記載され、その各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0255】
本開示の組成物、装置又は方法を使用して、プロテオーム中の全タンパク質種の少なくとも約0.0000001%、0.000001%、0.00001%、0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、10%、25%、50%、90%、99%、99.9%、99.99%、99.999%、99.9999%、99.99999%、99.999999%又はそれ以上を特性評価又は同定することができる。代替的又は追加的に、プロテオーム特徴づけ方法は、プロテオーム中の全タンパク質種の約99.999999%、99.99999%、99.9999%、99.999%、99.99%、99.9%、99%、90%、50%、25%、10%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%、0.00001%、0.000001%、0.0000001%以下、又はそれ未満を特徴づけるか、又は特徴づけることができる。
【0256】
固体支持体又はその表面は、少なくとも約10ナノメートル(nm)、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm(μm)、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm、2μm、2.1μm、2.2μm、2.3μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.7μm、2.8μm、2.9μm、3μm、3.1μm、3.2μm、3.3μm、3.4μm、3.5μm、3.6μm、3.7μm、3.8μm、3.9μm、4μm、4.5μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、又は50μm超の平均、最小又は最大サイトピッチを含み得る。代替的又は追加的に、固体支持体又はその表面は、約50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μm、4.5μm、4.0μm、3.9μm、3.8μm、3.7μm、3.6μm、3.5μm、3.4μm、3.3μm、3.2μm、3.1μm、3.0μm、2.9μm、2.8μm、2.7μm、2.6μm、2.5μm、2.4μm、2.3μm、2.2μm、2.1μm、2μm、1.9μm、1.8μm、1.7μm、1.6μm、1.5μm、1.4μm、1.3μm、1.2μm、1.1μm、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nm、10nm以下、又は10nm未満の平均、最小又は最大サイトピッチを含み得る。平均ピッチは、単一分析物分析能で複数の部位の各部位の光学分析能を達成するように選択され得る。したがって、平均ピッチは、固体支持体(例えば、フォトリソグラフィ)を形成するために使用される方法の空間分析能、所望のアレイ密度、及び/又は各部位に結合した部分の単一分析物分析能を得るための隣接部位間の必要な空間的分離に基づいて決定され得る。
【0257】
固体支持体又はその表面は、少なくとも約10ナノメートル(nm)、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm(μm)、1.1μm、1.2μm、1.3μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.7μm、1.8μm、1.9μm、2μm、2.1μm、2.2μm、2.3μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.7μm、2.8μm、2.9μm、3μm、3.1μm、3.2μm、3.3μm、3.4μm、3.5μm、3.6μm、3.7μm、3.8μm、3.9μm、4μm、4.5μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、又は50μm超の平均、最小又は最大サイトサイズ(例えば、幅、長さ、直径等)を含み得る。代替的又は追加的に、固体支持体又はその表面は、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μm、4.5μm、4.0μm、3.9μm、3.8μm、3.7μm、3.6μm、3.5μm、3.4μm、3.3μm、3.2μm、3.1μm、3.0μm、2.9μm、2.8μm、2.7μm、2.6μm、2.5μm、2.4μm、2.3μm、2.2μm、2.1μm、2μm、1.9μm、1.8μm、1.7μm、1.6μm、1.5μm、1.4μm、1.3μm、1.2μm、1.1μm、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、50nm、10nm以下、又は10nm未満の平均、最小又は最大サイトサイズを含み得る。部位サイズは、固体支持体(例えば、フォトリソグラフィ)を形成するために使用される方法の空間分析能及び/又は部位に堆積される分析物又は核酸のサイズに基づいて決定され得る。第1の部位を第2の部位から分離する間隙領域は、平均、最小、又は最大寸法(例えば、長さ、幅、直径等)が、平均、最小、又は最大部位サイズの少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、又は100倍超であってもよい。
【0258】
本明細書に記載の組成物、装置及び方法のいくつかの構成では、1又は複数のタンパク質が固体支持体上に存在することができ、タンパク質は場合により検出されていてもよい。例えば、タンパク質を固体支持体に結合させることができ、固体支持体を溶液中の検出剤(例えば親和性剤)と接触させることができ、親和性剤はタンパク質と相互作用し、それによって検出可能なシグナルを生成することができ、次いで、シグナルを検出してタンパク質の存在又は非存在、量、特徴又は同一性を決定することができる。このアプローチの多重化バージョンでは、アレイ内の異なるアドレスに異なるタンパク質を付着させることができ、各アドレスのタンパク質が検出、定量、特徴づけ又は同定されるように、検出工程を並行して行うことができる。別の例では、検出剤を固体支持体に付着させることができ、支持体を溶液中のタンパク質と接触させることができ、タンパク質は検出剤と相互作用することができ、それによって検出可能なシグナルを生成し、次いでシグナルを検出してタンパク質の存在を決定することができる。このアプローチは、アレイの異なるアドレスに異なるプローブを取り付けることによっても多重化することができる。
【0259】
多重化構成では、異なるタンパク質を異なる固有の同定子(例えば、アレイ内のアドレス)に取り付けることができ、タンパク質を並行して操作及び検出することができる。例えば、アレイのタンパク質が(1又は複数の)親和性剤と同時に接触するように、1又は複数の異なる親和性剤を含有する流体をアレイに送達することができる。更に、複数のアドレスを並行して観察することができ、結合事象の迅速な検出を可能にする。複数の異なるタンパク質は、少なくとも5、10、100、1×103、1×104、1×105又はそれを超える異なる天然長タンパク質一次配列の複雑さを有することができる。代替的又は追加的に、本明細書に記載の方法で分析されるプロテオーム、プロテオーム部分画分又は他のタンパク質試料は、最大で1×105、1×104、1×103、100、10、5又はそれ未満の異なる天然長タンパク質一次配列である複雑性を有することができる。検出、特徴づけ又は同定される試料のタンパク質の総数は、例えば、少なくともいくつかのタンパク質種の複数のコピーの存在のために、試料中の異なる一次配列の数と異なり得る。更に、検出、特徴づけ又は同定される試料のタンパク質の総数は、例えば、少なくともいくつかのタンパク質種の複数のコピーの存在、試料の供給源にいくつかのタンパク質が存在しないこと、又は分析前にいくつかのタンパク質が失われていることに起因して、試料中にあると疑われる候補タンパク質の数とは異なり得る。
【0260】
タンパク質は、様々な手段のいずれかを使用して固有の同定子に結合することができる。結合は共有結合又は非共有結合であり得る。例示的な共有結合性結合には、クリックケミストリーを使用して達成されるもの等の化学リンカー、又は当技術分野で公知の若しくは参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第17/062,405号明細書に記載されている他の結合が含まれる。非共有結合は、例えば、受容体が固有の同定子に結合し、リガンドがタンパク質に結合する、又はその逆の受容体-リガンド相互作用(例えば、(ストレプト)アビジン-ビオチン、抗体-抗原、又は相補的核酸鎖)によって媒介され得る。特定の構成では、タンパク質は、構造化核酸粒子(SNAP)を介して固体支持体(例えば、アレイ内のアドレス)に結合している。タンパク質はSNAPに結合することができ、SNAPは、例えば、DNAと支持体との非共有結合相互作用によって、及び/又はSNAPと支持体との共有結合を介して、固体支持体と相互作用することができる。核酸オリガミ又は核酸ナノボールが特に有用である。アレイ内のタグ又はアドレス等の固有の同定子にタンパク質を付着させるためのSNAP及び他の部分の使用は、出願人その各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第17/062,405号明細書及び米国特許出願公開第63/159,500号明細書に記載される。
【0261】
[実施例]
[実施例1]
検出可能なプローブ
血液試料をヒト医療対象から採取する。血清タンパク質を含む血清画分は、医療対象から得られた全血試料の遠心分離及び得られた上清の回収を介して血液試料から精製される。上清には、収集された血清タンパク質、並びに微量の凝固因子、ビタミン、補因子、核酸、トリグリセリド、コレステロール、電解質(例えば、Ca2+、Mg2+、Na+、K+、Fe2+等)、微量の非ヒト抗原(例えば、ウイルス抗原)、及び微量の医療対象の処方された医薬品を含むいくつかの不純物が含まれる。抽出された血清タンパク質を含有する画分は、本タンパク質のアミン含有アミノ酸側鎖のいくつかにトランスシクロオクテン(TCO)部分を組み込むように修飾される。各修飾血清タンパク質は、TCO-mTzクリック型反応を介してメチルテトラジン(mTz)結合部分を含む構造化核酸粒子(SNAP)に結合して、複数の血清タンパク質結合体を形成する。特定の不純物はまた、官能化試薬及び/又はメチルテトラジンとの交差反応性のためにSNAPにコンジュゲートされる。共役SNAPの1%未満が非ポリペプチド不純物を含む。複数の血清タンパク質コンジュゲートを含有するSNAPの混合物を、アミン官能化(正に帯電した)表面を有するパターン化ガラス固体支持体と接触させ、それにより、アドレスの官能化表面とSNAP成分の負に帯電した表面との間の静電相互作用に起因して、固体支持体上の各パターン化アドレスに単一の血清タンパク質コンジュゲート又は単一の不純物コンジュゲートを含有するSNAPを堆積させる。
【0262】
血清タンパク質コンジュゲートのパターン化されたアレイは、親和性試薬の周期的結合を特徴とする。各サイクルは、a)流体媒体中で固体支持体を複数の蛍光標識親和性剤と接触させる工程と、b)共焦点蛍光顕微鏡法によって固体支持体上の各アドレスにおける蛍光シグナルの存在又は非存在を検出する工程と、c)洗浄緩衝液を用いてアレイから任意の結合親和性剤を除去する工程と、を含む。各サイクルは、エピトープのセットに関して特徴づけられる結合特性に関して互いに異なる複数の親和性剤を利用する。200の固有のサイクルを実行した後、200サイクルからの測定結果は、パターン化アレイ上の各アドレスに存在するポリペプチドを同定するように構成されたコンピュータ復号アルゴリズムに提供される。血清タンパク質の同一性は、アレイ上のアドレスの約95%について99.9%の信頼水準を超えて決定される。同定された血清アルブミンを含む各アドレスは、追加の分析から除外される。
【0263】
4つの複数の検出可能なプローブを調製する。第1の複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、蛍光標識されたSNAPにコンジュゲートされた4つの野生型ヒト血清アルブミンタンパク質を含む。第2の複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、蛍光標識されたSNAPにコンジュゲートされた4つのグリコシル化ヒト血清アルブミンタンパク質を含む。第3の複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、蛍光標識されたSNAPにコンジュゲートされた4つの野生型ヒトトランスコルチンタンパク質を含む。第4の複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブは、蛍光標識されたSNAPにコンジュゲートされた4つの野生型血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質を含む。各タンパク質は、TCO-mTzコンジュゲーション反応によって4つの結合部位を有するSNAPにコンジュゲートされる。
【0264】
各複数をアレイと別々に接触させて、検出可能なプローブの結合を検出する。各結合サイクルは、a)固体支持体を複数の検出可能なプローブと接触させる工程と、b)共焦点蛍光顕微鏡法によって固体支持体上の各アドレスにおける蛍光シグナルの存在又は非存在を検出する工程と、c)洗浄緩衝液を用いてアレイから任意の結合した検出可能なプローブを除去する工程と、からなる。各サイクルは、4つの複数の全ての結合が試験されるまで、4つの複数の検出可能なプローブのうちの1つを使用する。4サイクルからの測定結果は、アレイ上の各アドレス(同定された血清アルブミンを含むアドレスを除く)における各検出可能なプローブの結合の存在又は非存在を同定するように構成されたコンピュータ復号アルゴリズムに提供される。検出可能なプローブ結合データをタンパク質同定データと組み合わせて、どのポリペプチドが各検出可能なプローブとポリペプチド結合相互作用を形成したかを同定する。
【0265】
2つのアルブミンに基づく検出可能なプローブは、高い結合親和性で多数のポリペプチド種に繰り返し結合することが観察される(すなわち、アルブミン結合が複数回観察される種)。おそらくグリコシル化部分の存在又は非存在によって引き起こされる結合挙動の違いに起因して、野生型バージョンとグリコシル化バージョンとの間に実質的な違いが生じる。トランスコルチン及びVEGF検出可能なプローブは、結合するポリペプチド種が少なく、結合親和性が低いことが観察される(すなわち、検出可能なプローブ結合は、非特異的結合相互作用に起因してランダムに起こるようである)。
【0266】
[実施例2]
アルブミンアレイ
血清タンパク質の代わりに精製ヒト血清アルブミンを用いて、実施例1に記載の方法に従ってヒト血清アルブミンの2つのアレイを調製する。第1のアレイは、野生型ヒト血清アルブミンを含有する。第2のアレイは、遺伝子組換え大腸菌株を介して産生される数百万個の操作された変異体を含む複数を含む。提供された精製ヒト血清アルブミンの試料は、アレイ形成前に純度99%として特徴づけられる。
【0267】
アルブミンアレイを、血清アルブミンの異なる結合リガンド(インスリン、コレステロール、レチノール)を含む3つの複数の蛍光標識プローブと接触させる。各検出可能なプローブの結合は、実施例1に記載の方法によってアレイ上で検出される。どのアレイアドレスがプローブ結合アルブミンを99%の信頼度で含むかを決定するために、測定結果がコンピュータアルゴリズムに提供される。アルブミン含有アドレスのサブセットが決定され、他の全てのアレイアドレスは更なる分析から除外される。
【0268】
続いて、各アレイを、キングコブラ毒液から抽出された複数のタンパク質を含む流体媒体と接触させる。毒液タンパク質を各アレイ上でインキュベートし、遊離毒液タンパク質とカップリング血清アルブミンとの間にポリペプチド結合相互作用を形成させる。各アレイ上にポリペプチド複合体を形成した後、アレイを、ヒト血清アルブミンに対する結合特異性を有する3つの検出可能なプローブと再び接触させる。両方のアレイ上の各検出可能なプローブの測定結果は、コンピュータアルゴリズムに提供される。アルゴリズムは、インスリンプローブが結合していないが、少なくとも1つの他の非ポリペプチドプローブが結合していることに基づいて、除外されていないアドレスのうちのどのアドレスが、結合した毒液タンパク質を有すると思われるかを同定する。
【0269】
変異アレイ上の毒液結合特性を有するアドレスを同定した後、変異アレイを実施例1に記載されるようにポリペプチド同定アッセイに供する。親和性剤ベースのエピトープ結合データを使用して、ヒト血清アルブミンの各毒液結合バリアントに存在する可能性のある変異を同定する。候補を、毒液結合を増強すると思われる一般的な構造変異について分析する。結果に基づいて、更なる試験のために一連の候補卵白ベースの毒液防止医薬品が特定される。
【0270】
[実施例3]
ポリペプチド複合体
ヒト血清の試料を光切断性架橋剤と組み合わせる。架橋後、血清タンパク質を精製する。血清アルブミン及び血清アルブミンの複合体のみが分析にとって興味深いので、66キロダルトン(kDa)を超えるタンパク質のみが保持される。血清タンパク質を実施例1の方法に従ってアレイ上に堆積させる。
【0271】
血清タンパク質を、2つの検出可能なプローブとの結合によって分析する。第1の検出可能なプローブは、非結合部位エピトープで血清アルブミンに特異的に結合する。第2の検出可能なプローブは、ポリペプチド結合部位で血清アルブミンに特異的に結合する。測定結果を分析して、アルブミンが存在し(第1の検出可能なプローブの結合の存在)、ポリペプチド結合部位が占有されている(第2の検出可能なプローブの結合の非存在)アドレスを同定する。この結果セットのないアドレスは、更なる分析から除外される。
【0272】
同定されたポリペプチド複合体を含有するアドレスに、光切断性リンカーを切断するための波長でレーザを照射する。各ポリペプチド複合体を切断した後、アレイを変性剤と接触させる。変性剤をアレイからすすぎ、解離したタンパク質を変性剤から単離する。解離したタンパク質を、実施例1の方法に従って第2のアレイに堆積させる。
【0273】
解離したタンパク質を実施例1の親和性剤法によって同定する。観察された各ポリペプチドの同一性は、ヒト血清アルブミンの可能性のある結合リガンドとして提供される。低コピー数タンパク質は、ヒト血清アルブミンの結合リガンドであることが観察されている。
【0274】
[実施例4]
競合的結合
表IIIに示すように、キングコブラ毒液を4つの異なるタンパク質含有混合物で置き換えて、実施例2の方法に従う。
【表3】
【0275】
全血清タンパク質と毒液との混合物は、血清アルブミンへの結合について全てのタンパク質種間の自由結合競合を可能にする。更に、疼痛管理のための一般的な鎮痛薬(アセトアミノフェン及びイブプロフェン)の阻害効果を試験する。
【0276】
各アレイ上のポリペプチド複合体を用いてアドレスを同定及び定量した後、各アレイを変性剤と接触させることによって、各複合体から結合リガンドを放出させる。解離した結合リガンドを取り出した変性媒体から単離し、更なるアレイに堆積させる。解離した結合リガンドを実施例3の方法に従って同定する。結合データ及び結合リガンド同一性は、シミュレートされた実際の血液条件下での様々な候補抗毒液の有効性の分析を可能にする。
【0277】
[実施例5]
薬物有効性及び動的応答
医療患者は、潰瘍性大腸炎の診断を受ける。医療患者の臨床提供者は、免疫調節医薬化合物を含む治療方法を推奨する。候補医薬品には、小分子免疫調節剤(例えば、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、メトトレキサート)及び生物学的免疫調節剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ)が含まれる。医療提供者は、最初に一連のメトトレキサートを試み、次いでメトトレキサートが無効である場合にはインフリキシマブに切り替えることを推奨する。医療提供者は、薬学的治療が進行するにつれて、関連するサイトカインレベルを監視するために、時系列の血液タンパク質測定値を更に指示する。
【0278】
治療開始前に最初の血液試料を医療患者から採取し、その後の血液試料をメトトレキサート治療の3、7、及び14日目に採取する。各血液試料を毎分2500回転(rpm)で15分間遠心分離し、血清画分を回収する。各血清画分をヘテロ二官能性官能化剤(NHS-PEG-アジド)と組み合わせてタンパク質を官能化し、次いで、官能化タンパク質を単一のジベンゾシクロオクチレン(DBCO)タンパク質結合部位を含むDNAオリガミタイルと組み合わせて、タンパク質のアジド官能性とDNAオリガミタイルのDBCO官能性との間のクリック型反応を介してタンパク質コンジュゲートを形成する。タンパク質コンジュゲートの各画分は、レーン1、2、3、及び4がそれぞれ0、3、7、及び14日間の血清タンパク質画分に対応するように、調製直後にマイクロ流体チップの流体的に隔離されたレーン内の単一分析物アレイに堆積される。各単一分析物アレイは、10億個の個々のタンパク質コンジュゲート結合部位を収容するように構成される。
【0279】
各タンパク質コンジュゲート画分がチップ上に堆積された後、流体レーン内の各アレイを、アルブミンに対する結合特異性を有する複数の多価検出可能なプローブと接触させる。各検出可能なプローブは、それぞれDNAオリガミタイルにコンジュゲートされた40個のペンダント脂肪酸及び40個のフルオロフォアを含む。検出可能なプローブをアレイと1分間接触させた後、結合していないプローブを流体レーンからすすぐ。すすぎ後、アレイを蛍光顕微鏡法によって画像化して、どのアレイアドレスがアルブミン特異的プローブに結合したかを決定する。画像化後、流体レーンをプローブ除去流体と接触させ、次いですすぎ、未結合プローブを除去する。検出可能なプローブ法は、合計5回のプローブ結合のために各流体レーンについて更に4回繰り返される。
【0280】
各レーンに対するアルブミン特異的な検出可能なプローブ結合の蛍光イメージングデータをコンピュータアルゴリズムに提供する。アルゴリズムは、アレイアドレスにおける蛍光の存在の検出を介して検出可能なプローブに結合したアレイアドレスを同定する。5ラウンドの各々についての各アレイアドレスにおけるプローブ結合の存在又は非存在がコンピュータアルゴリズムによって決定され、各アレイについての結果がコンパイルされる。5回のうち少なくとも2回アルブミンプローブに結合することが観察されるアレイアドレスには、アルブミンの同一性が割り当てられる。同定されたアルブミンを有する各アレイアドレスは、更なる分析から除外される。
【0281】
5回のアルブミン特異的検出可能なプローブ結合の後、各アレイを一連の100個のタンパク質同定親和性剤と接触させる。一連の親和性剤の各親和性剤は、アルブミンに存在しない1又は複数の三量体又は四量体アミノ酸タンパク質エピトープに対する特徴的な結合特異性を有する。選択された100種のタンパク質同定親和性剤のセットは、潰瘍性大腸炎(例えば、IL-5、IL-12、IL-13、IL-17等)と相関するサイトカイン中に存在するエピトープへの結合の可能性に基づいて選択される。一連の親和性剤の複数の各親和性剤を、流体レーン内のアレイと接触させる。各親和性剤は、アルブミン特異的プローブ結合の方法に従って、インキュベーション、すすぎ、イメージング及び除去のサイクルを経る。
【0282】
各レーンに対する一連のタンパク質同定親和性剤の蛍光イメージングデータは、コンピュータアルゴリズムに提供される。アルゴリズムは、アレイアドレスにおける蛍光の存在の検出を介して親和性剤を結合させたアレイアドレスを同定する。100ラウンドの各々についての各アレイアドレスにおける結合プロファイル(例えば、各親和性剤に対する親和性剤結合の存在又は非存在)がコンピュータアルゴリズムによって決定され、各アレイについての結果がコンパイルされる。コンピュータアルゴリズムは、アレイアドレスに存在するタンパク質を同定するために、アルブミンを含むと見なされない各アレイアドレスの結合プロファイルを利用する。同定されたサイトカインを有する各アドレスは、各単一分析物アレイについてコンピュータアルゴリズムによってカウントされる。
【0283】
100回の親和性剤結合後、各アレイを最終的に一連のタンパク質特異的親和性剤と接触させる。各タンパク質特異的親和性剤は、目的のサイトカインの特定のタンパク質に対する特徴的な結合特異性を有する。タンパク質特異的親和性剤結合は、他の前述の親和性剤のように測定される。タンパク質特異的親和性剤結合データは、同定されたサイトカインを含む各アレイアドレスにおける特異的サイトカインプロテオフォームの存在又は非存在を決定するコンピュータアルゴリズムに提供される。
【0284】
全ての結合データが収集された後、サイトカインデータがコンピュータアルゴリズムによってコンパイルされる。臨床提供者には、0、3、7、及び14日目の総サイトカイン量、IL-5、IL-12、IL-13、及びIL-17の個々のサイトカイン量、並びに各測定サイトカインの個々のプロテオフォームの量を含むデータ報告が提供される。データ報告に基づいて、臨床提供者は、医療患者の薬学的治療方法を変更するかどうかを決定する。
【0285】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書内で提供される特定の例によって限定されることを意図しない。本発明を前述の明細書を参照して説明してきたが、本明細書の実施形態の説明及び例示は、限定的な意味で解釈されることを意味しない。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が思い浮かぶであろう。更に、本発明の全ての態様は、様々な条件及び変数に依存する本明細書に記載の特定の描写、構成又は相対的な割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替形態が、本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、任意のそのような代替形態、修正形態、変形形態又は均等物も包含すると考えられる。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物がそれによって包含されることが意図される。
【0286】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書に記載の開示はまた、以下の条項によって定義される。
【0287】
1.ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、リガンド結合ポリペプチド及びポリペプチドの結合リガンドを固体支持体の存在下で接触させてポリペプチド結合相互作用を形成することと、固体支持体上のポリペプチド結合相互作用を単一分子分析能で検出することと、を含む、方法。
【0288】
2.ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、
a.複数の結合ターゲットを含むアレイを提供することであって、複数の結合ターゲットの各結合ターゲットは、アレイ上のアドレスに位置し、アレイの各アドレスは、アレイ上の互いにアドレスから分析可能である、ことと、
b.アレイを複数の検出可能なプローブと接触させることであって、各検出可能なプローブは、リガンド結合ポリペプチド及び検出可能な標識を含む、ことと、
c.単一分子分析能で各アドレスにおいてポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することであって、ポリペプチド結合相互作用が、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブの、複数の結合標的のうちの結合標的への結合を含む、ことと、
を含む、方法。
【0289】
3.リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含む、条項2に記載の方法。
【0290】
4.各検出可能なプローブが、
a.保持構成要素と、
b.保持構成要素にカップリングされた複数のリガンド結合ポリペプチドと、
c.保持構成要素に結合された1又は複数の検出可能な標識と、
を含む、条項2又は3に記載の方法。
【0291】
5.保持構成要素が、構造化核酸粒子(SNAP)又はナノ粒子を含む、条項4に記載の方法。
【0292】
6.SNAPが核酸オリガミ又は核酸ナノボールを含む、条項5に記載の方法。
【0293】
7.ナノ粒子が、蛍光標識ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、デンドリマー、分岐ポリマー、又は量子ドットを含む、条項5に記載の方法。
【0294】
8.検出可能なプローブが、検出可能な標識にコンジュゲートされたリガンド結合ポリペプチドを含む、条項2又は3に記載の方法。
【0295】
9.複数の結合標的が複数のポリペプチドを含む、条項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【0296】
10.複数のポリペプチドが、ヒト対象から得られた試料に由来するポリペプチドを含む、条項9に記載の方法。
【0297】
11.試料が血液試料を含む、条項10に記載の方法。
【0298】
12.試料が血液試料を含まない、条項10に記載の方法。
【0299】
13.方法が、
a.試料から複数のポリペプチドを抽出する工程と、
b.複数のポリペプチドからリガンド結合ポリペプチドの画分を分離する工程と、
のうちの1又は複数を更に含む、条項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【0300】
14.リガンド結合ポリペプチドの画分を廃棄することを更に含む、条項13に記載の方法。
【0301】
15.複数のポリペプチドが、標準ポリペプチド又は対照ポリペプチドを含む、条項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【0302】
16.複数の結合標的が複数の非ポリペプチド結合標的を含む、条項2~15のいずれか一項に記載の方法。
【0303】
17.複数の非ポリペプチド結合標的が、核酸、脂質、植物由来化合物又は医薬化合物を含む、条項16に記載の方法。
【0304】
18.複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブが天然のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項2~17のいずれか一項に記載の方法。
【0305】
19.複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブが操作されたリガンド結合ポリペプチドを含む、条項2~17のいずれか一項に記載の方法。
【0306】
20.リガンド結合ポリペプチドが、天然のリガンド結合ポリペプチドと比較して操作された変異を含む、条項2~19のいずれか一項に記載の方法。
【0307】
21.リガンド結合ポリペプチドが翻訳後修飾を含む、条項2~19のいずれか一項に記載の方法。
【0308】
22.翻訳後修飾が、糖化、システイニル化、S-ニトロシル化、S-トランスニトロソ化、デヒドロアラニン変換、又はS-グアニル化を含む、条項21に記載の方法。
【0309】
23.リガンド結合ポリペプチドが対象から抽出される、条項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【0310】
24.各アドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することが、各アドレスにおける複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブからのシグナルの存在又は非存在を検出することを含む、条項2~23のいずれか一項に記載の方法。
【0311】
25.シグナルが、蛍光測定、発光測定、発光寿命測定、又はシグナルコード化によって観察される、条項24に記載の方法。
【0312】
26.複数の結合標的を含むアレイを提供することが、
a.複数の結合標的を複数のリンカーと接触させる工程であって、複数のリンカーの各リンカーは、複数の結合標的の結合標的に結合するように構成される、工程と、
b.複数のリンカーを、複数のアドレスを含む固体支持体と接触させる工程であって、複数のアドレスの各アドレスが、複数のリンカーのリンカーと結合するように構成される、工程と、
c.複数の結合標的のうちの結合標的を複数のリンカーのうちの単一のリンカーにカップリングさせる工程と、
d.複数のリンカーのうちの単一のリンカーを複数のアドレスのうちのアドレスにカップリングする工程と、
のうちの1又は複数の工程を含む、条項2~25のいずれか一項に記載の方法。
【0313】
27.アレイ上のアドレスにおいて複数の結合標的のうちの結合標的を同定することを更に含む、条項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【0314】
28.アレイ上のアドレスにおいて複数の結合標的のうちの結合標的を同定する工程が、
a.アレイを第1の複数の親和性剤と接触させる工程であって、第1の複数の親和性剤のうちの親和性剤の結合特性が、エピトープのセットに関して特徴づけられる、工程と、
b.アレイ上のアドレスにおいて第1の複数の親和性剤の親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、
c.アレイを1又は複数の追加の複数の親和性剤と接触させる工程であって、1又は複数の追加の複数の親和性剤の各々の親和性剤の結合特性が、1又は複数の追加のエピトープのセットに関して特徴づけられる、工程と、
d.アレイ上のアドレスにおける各追加の複数の親和性剤のうちの親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、
e.アドレスにおいて観察された複数の親和性剤の少なくとも1つのセットからのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、アドレスにおいて複数のポリペプチドのポリペプチドを同定する工程と、
のうちの1又は複数の工程を含む、条項27に記載の方法。
【0315】
29.工程e)が、
a.アドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの観察された存在又は非存在をコンピュータアルゴリズムに提供する工程と、
b.アドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、コンピュータアルゴリズムによってアドレスにおける結合標的の同一性を決定する工程と、
を含む、条項28に記載の方法。
【0316】
30.複数のアドレスの各アドレスが、複数の結合標的のうちの単一の結合標的を含む、条項2~29のいずれか一項に記載の方法。
【0317】
31.ポリペプチド結合相互作用を検出する方法であって、
a.複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスがリガンド結合ポリペプチドを含み、アレイ上の各アドレスがアレイ上の互いにアドレスから分析可能である、ことと、
b.アレイを複数の結合実体と接触させることと、
c.単一の分析物分析能で各アドレスにおけるポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出することであって、ポリペプチド結合相互作用が、複数の結合実体のうちの結合実体とリガンド結合ポリペプチドとの結合を含む、ことと、
を含む、方法。
【0318】
32.リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含む、条項31に記載の方法。
【0319】
33.各アドレスでポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程が、
a.アレイを第1の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する結合特異性の特徴的な欠如を含む、工程と、
b.各アドレスにおいて複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からの第1のシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、
を含む、条項31又は32に記載の方法。
【0320】
34.リガンド結合ポリペプチドへの検出可能な親和性剤の結合の特徴づけられた欠如が、少なくとも10ミリモル(mM)のリガンド結合ポリペプチドからの検出可能な親和性剤の解離定数(KD)を含む、条項33に記載の方法。
【0321】
35.リガンド結合ポリペプチドへの検出可能な親和性剤の結合の特徴づけられた欠如が、少なくとも1×10-2s-1のリガンド結合ポリペプチドからの検出可能な親和性剤の解離速度定数(koff)を含む、条項33に記載の方法。
【0322】
36.アドレスにおける第1のシグナルの存在が、リガンド結合ポリペプチドの結合部位における複数の結合実体の結合実体の存在を示す、条項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【0323】
37.アドレスにおける第1のシグナルの非存在が、リガンド結合ポリペプチドの結合部位における複数の結合標的のうちの結合標的の非存在を示す、条項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【0324】
38.
a.アレイを第2の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、各検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する結合の特徴的な欠如を含む、工程と、
b.各アドレスにおいて第2の複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からの第2のシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、
c.第1のシグナルの存在又は非存在及び第2のシグナルの存在又は非存在に基づいて、複数のアドレスのアドレスにおいて複数の結合実体のうちの結合実体を同定する工程と、
を含む、条項31~37のいずれか一項に記載の方法。
【0325】
39.各アドレスでのポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を検出する工程が、
a.アレイを第1の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、第1の複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する特徴づけられた結合親和性を含む、工程と、
b.各アドレスにおいて複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、
を含む、条項38に記載の方法。
【0326】
40.リガンド結合ポリペプチドに対する検出可能な親和性剤の特徴づけられた結合親和性が、1マイクロモル(μM)以下のリガンド結合ポリペプチドからの検出可能な親和性剤の特徴づけられた解離定数を含む、条項39に記載の方法。
【0327】
41.リガンド結合ポリペプチドに対する検出可能な親和性剤の特徴づけられた結合親和性が、1×10-3s-1以下のリガンド結合ポリペプチドからの検出可能な親和性剤の特徴づけられた解離速度定数を含む、条項39に記載の方法。
【0328】
42.第1の複数の親和性剤の親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を含む、条項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【0329】
43.アドレスにおけるシグナルの存在が、リガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位における複数の結合実体の結合実体の非存在を示す、条項42に記載の方法。
【0330】
44.アドレスにおけるシグナルの非存在が、リガンド結合ポリペプチドの第1の結合部位における複数の結合実体のうちの結合実体の存在を示す、条項42に記載の方法。
【0331】
45.
a.アレイを第2の複数の検出可能な親和性剤と接触させる工程であって、第2の複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドの第2の結合部位に関連するエピトープに対する特徴づけられた結合特異性を含む、工程と、
b.各アドレスにおいて、第2の複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出する工程と、
を含む、条項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【0332】
46.アドレスにおけるシグナルの存在が、リガンド結合ポリペプチドの第2の結合部位における複数の結合実体の結合実体の非存在を示す、条項38に記載の方法。
【0333】
47.アドレスにおけるシグナルの非存在が、リガンド結合ポリペプチドの第2の結合部位における複数の結合実体の結合実体の存在を示す、条項35に記載の方法。
【0334】
48.複数のアドレスのアドレスにおいて複数の結合実体のうちの結合実体を同定することを更に含む、条項39~47のいずれか一項に記載の方法。
【0335】
49.アドレスにおいて複数の結合実体のうちの結合実体を同定することが、
a.アドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの観察された存在又は非存在をコンピュータアルゴリズムに提供することと、
b.アドレスにおける複数の親和性剤のそれぞれからのシグナルの観察された存在又は非存在に基づいて、コンピュータアルゴリズムによってアドレスにおけるポリペプチドの同一性を決定することと、
を含む、条項48に記載の方法。
【0336】
50.第1の複数の親和性剤の親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドを含み、結合リガンドが検出可能な標識にカップリングされる、条項39~49のいずれか一項に記載の方法。
【0337】
51.複数の結合実体が複数のポリペプチドを含む、条項31~50のいずれか一項に記載の方法。
【0338】
52.複数のポリペプチドが、ヒト対象から得られた試料から抽出されたポリペプチドを含む、条項51に記載の方法。
【0339】
53.試料が血液試料を含む、条項52に記載の方法。
【0340】
54.試料が血液試料を含まない、条項52に記載の方法。
【0341】
55.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが天然のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項31~54のいずれか一項に記載の方法。
【0342】
56.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが操作されたリガンド結合ポリペプチドを含む、条項31~54のいずれか一項に記載の方法。
【0343】
57.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、天然のリガンド結合ポリペプチドに対する操作された変異を含む、条項31~56のいずれか一項に記載の方法。
【0344】
58.リガンド結合ポリペプチドが翻訳後修飾を含む、条項31~57のいずれか一項に記載の方法。
【0345】
59.翻訳後修飾が、糖化、システイニル化、S-ニトロシル化、S-トランスニトロソ化、デヒドロアラニン変換、又はS-グアニル化を含む、条項58に記載の方法。
【0346】
60.複数の結合実体が複数の非ポリペプチド結合実体を含む、条項31~59のいずれか一項に記載の方法。
【0347】
61.複数の非ポリペプチド結合実体が、核酸、脂質、植物由来化合物又は医薬化合物を含む、条項60に記載の方法。
【0348】
62.アレイが少なくとも0.000001のポリペプチド占有率を有する、条項31~61のいずれか一項に記載の方法。
【0349】
63.アレイが少なくとも0.001のポリペプチド占有率を有する、条項62に記載の方法。
【0350】
64.アレイが、少なくとも0.1のポリペプチド占有率を有する、条項63に記載の方法。
【0351】
65.複数のアドレスの各アドレスが、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの単一のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項31~64のいずれか一項に記載の方法。
【0352】
66.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、
b.複数のリガンド結合ポリペプチドであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含み、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域がリガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、
を含む、組成物。
【0353】
67.リガンド結合ポリペプチドを固体支持体にカップリングする核酸リンカーを更に含む、条項66に記載の組成物。
【0354】
68.核酸リンカーがオリゴヌクレオチドを含む、条項67に記載の組成物。
【0355】
69.核酸リンカーが構造化核酸粒子(SNAP)を含む、条項67に記載の組成物。
【0356】
70.SNAPが核酸オリガミ又は核酸ナノボールを含む、条項69に記載の組成物。
【0357】
71.核酸リンカーが固体支持体に共有結合している、条項66~70のいずれか一項に記載の組成物。
【0358】
72.核酸リンカーが固体支持体に非共有結合している、条項66~70のいずれか一項に記載の組成物。
【0359】
73.複数の結合実体を更に含み、複数の結合実体の各結合実体が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドとのポリペプチド結合相互作用を形成する、条項66~72のいずれか一項に記載の組成物。
【0360】
74.複数の結合実体が複数のポリペプチド結合実体を含む、条項73に記載の組成物。
【0361】
75.複数の結合実体が複数の非ポリペプチド結合実体を含む、条項73又は74に記載の組成物。
【0362】
76.複数の結合実体が、2種以上の結合実体を含む、条項73に記載の組成物。
【0363】
77.結合実体の2以上の種が、ヒト対象から抽出されたポリペプチドの2以上の種を含む、条項76に記載の組成物。
【0364】
78.複数の結合実体が、単一の種の結合実体を含む、条項73に記載の組成物。
【0365】
79.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドとのポリペプチド結合相互作用を形成する競合結合リガンドを更に含む、条項73~78のいずれか一項に記載の組成物。
【0366】
80.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、操作されていないリガンド結合ポリペプチドを含む、条項66~79のいずれか一項に記載の組成物。
【0367】
81.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、操作されたリガンド結合ポリペプチドを含む、条項66~79のいずれか一項に記載の組成物。
【0368】
82.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、天然のリガンド結合ポリペプチドと比較して変異を含む、条項66~81のいずれか一項に記載の組成物。
【0369】
83.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが翻訳後修飾を含む、条項66~82のいずれか一項に記載の組成物。
【0370】
84.翻訳後修飾が、糖化、システイニル化、S-ニトロシル化、S-トランスニトロソ化、デヒドロアラニン変換、又はS-グアニル化を含む、条項83に記載の組成物。
【0371】
85.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、ヒト対象から得られた試料から抽出される、条項66~84のいずれか一項に記載の組成物。
【0372】
86.試料が血液試料を含む、条項85に記載の組成物。
【0373】
87.試料が血液試料を含まない、条項85に記載の組成物。
【0374】
88.複数のアドレスの各アドレスが、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの単一のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項66~87のいずれか一項に記載の組成物。
【0375】
89.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、
b.複数のポリペプチド複合体であって、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチドと、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドとを含み、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体は、複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の各間隙領域は、ポリペプチド複合体又はリガンド結合ポリペプチドを含まない、複数のポリペプチド複合体と、
を含む、組成物。
【0376】
90.アレイと接触する流体を更に含み、流体が複数の遊離リガンド結合ポリペプチドを含む、条項89に記載の組成物。
【0377】
91.流体が競合結合リガンドを更に含み、競合結合リガンドがリガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドを含む、条項89又は90に記載の組成物。
【0378】
92.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが天然のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項89~91のいずれか一項に記載の組成物。
【0379】
93.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、操作されたリガンド結合ポリペプチドを含む、条項89~91のいずれか一項に記載の組成物。
【0380】
94.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、天然のリガンド結合ポリペプチドに対する操作された変異を含む、条項89~93のいずれか一項に記載の組成物。
【0381】
95.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが翻訳後修飾を含む、条項89~94のいずれか一項に記載の組成物。
【0382】
96.翻訳後修飾が、糖化、システイニル化、S-ニトロシル化、S-トランスニトロソ化、デヒドロアラニン変換、又はS-グアニル化を含む、条項95に記載の組成物。
【0383】
97.複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドが、ヒト対象から得られた試料から抽出される、条項89~96のいずれか一項に記載の組成物。
【0384】
98.試料が血液試料を含む、条項97に記載の組成物。
【0385】
99.試料が血液試料を含まない、条項97に記載の組成物。
【0386】
100.架橋分子を更に含む、条項89~99のいずれか一項に記載の組成物。
【0387】
101.架橋分子が、結合リガンドをリガンド結合ポリペプチドにカップリングさせるように構成されている、条項100に記載の組成物。
【0388】
102.架橋分子が固体支持体と流体連通している、条項101に記載の組成物。
【0389】
103.架橋分子が、結合リガンドとリガンド結合分子との間に架橋を含む、条項100に記載の組成物。
【0390】
104.複数のアドレスの各アドレスが、複数のポリペプチド複合体のうちの単一のポリペプチド複合体を含む、条項89~103のいずれか一項に記載の組成物。
【0391】
105.システムであって、
a.第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含み、複数のアドレスの各アドレスが、結合実体にカップリングしたリガンド結合分子を含む第1のポリペプチド複合体を含み、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含み、固体支持体が、競合結合リガンドを含む流体と接触しており、競合結合リガンドが、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドである、第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、
b.第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスのうちのアドレスのサブセットは、リガンド結合ポリペプチド及び競合的結合リガンドを含む第2のポリペプチド複合体を含み、固体支持体は、結合実体を含む流体と接触している、第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、
を含み、
第1の構成及び第2の構成が、単一分析物分析能で区別可能である、
システム。
【0392】
106.ポリペプチドが第1の検出可能な標識を含み、競合結合リガンドが第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識が第2の検出可能な標識と区別可能である、条項105に記載の組成物。
【0393】
107.結合実体がポリペプチド結合リガンドを含む、条項105又は106に記載の組成物。
【0394】
108.結合実体が非ポリペプチド結合リガンドを含む、条項105又は106に記載の組成物。
【0395】
109.システムであって、
a.第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含み、複数のアドレスの各アドレスが、第1の結合実体にカップリングしたリガンド結合分子を含む第1のポリペプチド複合体を含み、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含み、固体支持体が、第2の結合実体を含む流体と接触しており、第2の結合実体がリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドである、第1の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、
b.第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスのうちのアドレスのサブセットは、第2のポリペプチド複合体を含み、第2のポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド、第1の結合実体、及び第2の結合実体とを含む、第2の構成における、複数のアドレスを含む固体支持体と、
を含み、
第1の構成及び第2の構成が、単一分析物分析能で区別可能である、
システム。
【0396】
110.第1の結合実体が第1の検出可能な標識を含み、第2の結合実体が第2の検出可能な標識を含み、第1の検出可能な標識が第2の検出可能な標識と区別可能である、条項109に記載の組成物。
【0397】
111.第1の結合実体がポリペプチド結合リガンドを含む、条項109又は110に記載の組成物。
【0398】
112.第1の結合実体が非ポリペプチド結合リガンドを含む、条項109又は110に記載の組成物。
【0399】
113.第2の結合実体がポリペプチド結合リガンドを含む、条項109~112のいずれか一項に記載の組成物。
【0400】
114.第2の結合実体が非ポリペプチド結合リガンドを含む、条項109~112のいずれか一項に記載の組成物。
【0401】
115.リガンド結合相互作用を特徴づける方法であって、
a.複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスは、カップリングされたポリペプチド複合体を含み、各アドレスは、他の各アドレスから分析可能であり、各ポリペプチド複合体は、リガンド結合ポリペプチド、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドを含み、リガンド結合ポリペプチドは、アルブミン又はグロブリンを含む、ことと、
b.複数のアドレスの各アドレスにおける結合ポリペプチド複合体の存在又は非存在を検出することと、
c.アレイを複数の遊離リガンド結合ポリペプチドと接触させ、それにより、複数の結合リガンドのうちの少なくとも1つの結合リガンドを、カップリングされたポリペプチド複合体から、複数の遊離リガンド結合ポリペプチドのうちの遊離リガンド結合ポリペプチドに転移させることと、
を含む、リガンド結合相互作用を特徴づける方法。
【0402】
116.結合リガンドがポリペプチド種を含む、条項115に記載の方法。
【0403】
117.ポリペプチド種がホルモン種を含む、条項116に記載の方法。
【0404】
118.結合リガンドが非ポリペプチド種を含む、条項115に記載の方法。
【0405】
119.非ポリペプチド種が、単原子イオン、多原子イオン、脂質、フラボノイド、レチノイド、又は医薬化合物を含む、条項118に記載の方法。
【0406】
120.複数の遊離リガンド結合ポリペプチドのうちの遊離リガンド結合ポリペプチドが、複数のポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドと比較して変化したリガンド結合ポリペプチドを含む、条項115~119のいずれか一項に記載の方法。
【0407】
121.改変されたリガンド結合ポリペプチドが、複数のポリペプチドのリガンド結合ポリペプチドに対して操作されたアミノ酸変異を含む、条項120に記載の方法。
【0408】
122.変更されたリガンド結合ポリペプチドが、複数のポリペプチドのリガンド結合ポリペプチドと比較して翻訳後修飾を含む、条項120又は121に記載の方法。
【0409】
123.工程c)の前に工程b)を実行する工程を含む、条項115~122のいずれか一項に記載の方法。
【0410】
124.工程c)の後に工程b)を繰り返す工程を含む、条項123に記載の方法。
【0411】
125.工程c)の後に工程b)を実行する工程を含む、条項115~122のいずれか一項に記載の方法。
【0412】
126.カップリングされたポリペプチド複合体の存在又は非存在を検出することが、
a.アレイを複数の検出可能な親和性剤と接触させることであって、各検出可能な親和性剤が、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドに対する特徴づけられた結合親和性を含む、ことと、
b.各アドレスにおいて複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤からのシグナルの存在又は非存在を検出することと、
を含む、条項115~125のいずれか一項に記載の方法。
【0413】
127.リガンド結合ポリペプチドに対する検出可能な親和性剤の特徴づけられた結合親和性が、1マイクロモル(μM)以下のリガンド結合ポリペプチドからの検出可能な親和性剤の解離定数(KD)を含む、条項126に記載の方法。
【0414】
128.リガンド結合ポリペプチドに対する検出可能な親和性剤の特徴づけられた結合親和性が、1×10-3/秒(s-1)以下のリガンド結合ポリペプチドからの検出可能な親和性剤の解離速度定数(koff)を含む、条項126に記載の方法。
【0415】
129.複数の検出可能な親和性剤のうちの検出可能な親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドの結合部位に関連するエピトープに対する結合特異性を含む、条項126~128のいずれか一項に記載の方法。
【0416】
130.アドレスにおけるシグナルの存在が、リガンド結合ポリペプチドの結合部位における複数の結合リガンドのうちの結合リガンドの非存在を示す、条項129に記載の方法。
【0417】
131.アドレスにおけるシグナルの非存在が、リガンド結合ポリペプチドの結合部位における複数の結合リガンドのうちの結合リガンドの存在を示す、条項129に記載の方法。
【0418】
132.アレイを複数の遊離リガンド結合ポリペプチドと接触させる前に、複数のアドレスのうちのあるアドレスにおいてリガンド結合ポリペプチドに結合した結合リガンドを同定することを更に含む、条項115~131のいずれか一項に記載の方法。
【0419】
133.アレイを複数の遊離リガンド結合ポリペプチドと接触させた後、遊離リガンド結合ポリペプチドに結合した結合リガンドの存在を検出することを更に含む、条項115~132のいずれか一項に記載の方法。
【0420】
134.固体支持体との接触から除去された流体相から複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの遊離リガンド結合ポリペプチドを捕捉することを更に含む、条項133に記載の方法。
【0421】
135.遊離リガンド結合ポリペプチドに結合した結合リガンドを同定することを更に含む、条項133に記載の方法。
【0422】
136.遊離リガンド結合ポリペプチドに結合した結合リガンドを同定することが、遊離リガンド結合ポリペプチド又は結合リガンドの質量分析を行うことを含む、条項134に記載の方法。
【0423】
137.遊離リガンド結合ポリペプチドに結合した結合リガンドを同定することが、単一分析物ポリペプチドアッセイを実施することを含む、条項134に記載の方法。
【0424】
138.方法であって、
a.複数の結合標的を含むアレイを提供することであって、複数の結合標的の各結合標的は、アレイ上の互いのアドレスから分析可能なアドレスに位置し、アレイの各アドレスは、単一分析物分析能で検出可能であり、複数の結合標的は、リガンド結合ポリペプチドを含み、複数の結合標的は、2以上の種を含み、リガンド結合ポリペプチドは、アルブミン又はグロブリンを含む、ことと、
b.第1の複数の親和性剤の、複数のポリペプチドのポリペプチドへの親和性剤の結合の存在又は非存在を、複数のアドレスの各アドレスにおいて検出することであって、親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドに対する結合特異性を含む、ことと、
c.信頼性の閾値尺度を超えて、複数のアドレスの各アドレスにおけるリガンド結合ポリペプチドの存在又は非存在を決定することと、
d.リガンド結合ポリペプチドの存在が信頼性の閾値尺度を超えて決定されるアドレスのサブセットを除外して、複数のアドレスの各アドレスにおいて第2の複数の親和性剤の親和性剤の結合の存在又は非存在を検出することと、
を含む、方法。
【0425】
139.複数の結合標的が複数のポリペプチドを含む、条項137に記載の方法。
【0426】
140.複数の結合標的が複数の非ポリペプチドを更に含む、条項138に記載の方法。
【0427】
141.複数のポリペプチドが、ヒト対象から得られた試料に由来する、条項138に記載の方法。
【0428】
142.試料が血液試料を含む、条項140に記載の組成物。
【0429】
143.試料が血液試料を含まない、条項140に記載の組成物。
【0430】
144.複数の結合標的を含むアレイを提供することが、
a.複数の結合標的を提供する工程と、
b.複数の結合標的を固体支持体に結合させる工程であって、固体支持体は複数のアドレスを含み、複数のアドレスの各アドレスは互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスは、複数の結合標的のうちの単一の結合標的を含む、工程と、
のうちの1又は複数の工程を含む、条項137~142のいずれか一項に記載の方法。
【0431】
145.複数の結合標的を固体支持体にカップリングさせる工程が、
a.複数の結合標的の各結合標的をリンカーにカップリングする工程と、
b.各リンカーを固体支持体上の複数のアドレスのうちの単一のアドレスにカップリングさせる工程であって、各アドレスが単一のリンカーを含む工程と、
のうちの1又は複数の工程を含む、条項143に記載の方法。
【0432】
146.リンカーが核酸を含む、条項143に記載の方法。
【0433】
147.各リンカーを固体支持体上の単一アドレスにカップリングさせることが、リンカーを固体支持体に共有結合させることを含む、条項144又は145に記載の方法。
【0434】
148.各リンカーを固体支持体上の単一アドレスにカップリングさせることが、リンカーを固体支持体に非共有結合させることを含む、条項144又は145に記載の方法。
【0435】
149.複数の結合標的を固体支持体にカップリングさせる前にポリペプチド複合体を破壊することを更に含み、ポリペプチド複合体がリガンド結合ポリペプチド及び結合リガンドを含む、条項143~147のいずれか一項に記載の方法。
【0436】
150.ポリペプチド複合体を破壊することが、ポリペプチド複合体を変性させることを含む、条項148に記載の方法。
【0437】
151.ポリペプチド複合体を破壊することが、
a.ポリペプチド複合体を競合的結合リガンドと接触させる工程であって、競合的結合リガンドがリガンド結合ポリペプチドに対する結合リガンドである、工程と、
b.競合的結合リガンドをリガンド結合ポリペプチドに結合させ、それにより、結合リガンドを遊離させる工程と、
を含む、条項148に記載の方法。
【0438】
152.競合結合リガンドが非ポリペプチド分子を含む、条項150に記載の方法。
【0439】
153.複数の結合標的が、少なくとも10重量%のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項137~151のいずれか一項に記載の方法。
【0440】
154.複数の結合標的が、少なくとも25重量%のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項152に記載の方法。
【0441】
155.複数の結合標的が、少なくとも50重量%のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項130に記載の方法。
【0442】
156.第2の複数の親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドに結合しない親和性剤を含む、条項137~154のいずれか一項に記載の方法。
【0443】
157.リガンド結合ポリペプチドの存在が決定されたアドレスのサブセットを除く複数のアドレスのアドレスにおいて結合標的を同定することを更に含む、条項137~155のいずれか一項に記載の方法。
【0444】
158.複数のアドレスのアドレスにおいて結合標的を同定することが、各アドレスにおいて第1の複数の親和性剤の親和性剤の観察された結合の存在又は非存在に関するデータを分析アルゴリズムに提供することと、各アドレスにおいて第2の複数の親和性剤の親和性剤の観察された結合の存在又は非存在に関するデータを分析アルゴリズムに提供することと、を更に含む、条項156に記載の方法。
【0445】
159.分析アルゴリズムが、画像分析アルゴリズム、シグナル処理アルゴリズム、及びポリペプチド同定アルゴリズムのうちの1又は複数を含む、条項157に記載の方法。
【0446】
160.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む固体支持体と、
b.複数のポリペプチドであって、複数のポリペプチドのうちの単一のポリペプチドが複数のアドレスの各アドレスにカップリングしており、複数の間隙領域の各間隙領域が複数のポリペプチドのポリペプチドを含まず、複数のポリペプチドが単一のヒト対象に由来し、複数のポリペプチドが少なくとも75重量%のアルブミン及びグロブリンを含む、複数のポリペプチドと、
を含む、組成物。
【0447】
161.検出可能なプローブ組成物であって、
a.1又は複数の検出可能な標識を含む保持構成要素と、
b.保持構成要素にカップリングされた2以上のポリペプチドであって、2以上のポリペプチドがアルブミン及びグロブリンから独立して選択され、2以上のポリペプチドが単一のヒト対象に由来する、2以上のポリペプチドと、
を含む、検出可能なプローブ組成物。
【0448】
162.組成物であって、
a.複数のポリペプチドであって、複数のポリペプチドのポリペプチドがアルブミン及びグロブリンから選択されるリガンド結合ポリペプチドを含む、複数のポリペプチドと、
b.リンカーであって、複数のポリペプチドのポリペプチドにカップリングするように構成されており、リンカーが、固体支持体にカップリングするように構成されている、リンカーと、
を含む、組成物。
【0449】
163.複数のポリペプチドが、総ポリペプチド含有量に対して少なくとも約50重量%のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項161に記載の組成物。
【0450】
164.複数のポリペプチドが、総ポリペプチド含有量に対して少なくとも約90重量%のリガンド結合ポリペプチドを含む、条項162に記載の組成物。
【0451】
165.リンカーがナノ粒子を含む、条項161~163のいずれか一項に記載の組成物。
【0452】
166.ナノ粒子が、ポリマーナノ粒子、核酸ナノ粒子、有機ナノ粒子、金属ナノ粒子、又は半導体ナノ粒子を含む、条項164に記載の組成物。
【0453】
167.核酸ナノ粒子が、核酸オリガミ及び核酸ナノボールから選択される構造化核酸ナノ粒子を含む、条項165に記載の組成物。
【0454】
168.リンカーが、リガンド結合ポリペプチドに結合するように構成されたカップリング部位を含む、条項161~166のいずれか一項に記載の組成物。
【0455】
169.カップリング部位が、複数のポリペプチドのポリペプチドに共有結合するように構成されている、条項161~167のいずれか一項に記載の組成物。
【0456】
170.カップリング部位が、複数のポリペプチドのポリペプチドに非共有結合するように構成されている、条項161~167のいずれか一項に記載の組成物。
【0457】
171.リンカーが複数のカップリング部位を含み、各カップリング部位が複数のポリペプチドのうちの異なるポリペプチドに共有結合するように構成されている、条項167~169のいずれか一項に記載の組成物。
【0458】
172.リンカーが複数のポリペプチドのポリペプチドにカップリングされている、条項161~170のいずれか一項に記載の組成物。
【0459】
173.リンカーが、検出可能なシグナルを提供するように構成された1又は複数の検出可能な標識を含む、条項161~171のいずれか一項に記載の組成物。
【0460】
174.リンカーが、固体支持体にカップリングするように構成された表面を含む、条項161~172のいずれか一項に記載の組成物。
【0461】
175.表面が、静電相互作用、磁気相互作用、リガンド結合相互作用、及び核酸ハイブリダイゼーション相互作用からなる群から選択される非共有結合相互作用によって固体支持体にカップリングするように構成される、条項173に記載の組成物。
【0462】
176.表面が、共有結合相互作用によって固体支持体にカップリングするように構成される、条項173に記載の組成物。
【0463】
177.リンカーが1又は複数の不動態化基を含む、条項161~175のいずれか一項に記載の組成物。
【0464】
178.複数のポリペプチドが、リガンド結合ポリペプチドに対するポリペプチド結合リガンドを更に含む、条項161から176のいずれか一項に記載の組成物。
【0465】
179.ポリペプチド結合リガンドがリガンド結合ポリペプチドに結合している、条項177に記載の組成物。
【0466】
180.架橋部分を更に含む、条項177又は178に記載の組成物。
【0467】
181.架橋部分が、ポリペプチド結合リガンドとリガンド結合ポリペプチドとの間に架橋を形成する、条項179に記載の組成物。
【0468】
182.固体支持体に接触するように構成された流体を更に含む、条項173~180のいずれか一項に記載の組成物。
【0469】
183.固体支持体を更に含む、条項173~181のいずれか一項に記載の組成物。
【0470】
184.リンカーが固体支持体にカップリングされている、条項182に記載の組成物。
【0471】
185.リガンド結合ポリペプチドがリンカーにカップリングされていない、条項183に記載の組成物。
【0472】
186.リガンド結合ポリペプチドがリンカーにカップリングされている、条項183に記載の組成物。
【0473】
187.リガンド結合ポリペプチド粒子を形成する方法であって、
a条項161~185のいずれか一項に記載の組成物を提供することと、
b.リンカーをリガンド結合ポリペプチドにカップリングさせ、それにより、リガンド結合ポリペプチド粒子を形成することと、
を含む、リガンド結合ポリペプチド粒子を形成する方法。
【0474】
188.リンカーを固体支持体にカップリングさせることを更に含む、条項186に記載の方法。
【0475】
189.リガンド結合ポリペプチドに1又は複数の更なる結合実体をカップリングすることを更に含む、条項187に記載の方法。
【0476】
190.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、
b.複数のリガンド結合ポリペプチドであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが、複数のアドレスのアドレスの第1のサブセットにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域が、リガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、
c.複数の標準ポリペプチドであって、各標準ポリペプチドが複数のアドレスのアドレスの第2のサブセットにカップリングされており、複数の間隙領域が標準ポリペプチドを欠いている、複数の標準ポリペプチドと、
を含む、組成物。
【0477】
191.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、
b.複数のリガンド結合ポリペプチドであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが、複数のアドレスのうちのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域が、リガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、
c.固体支持体と接触している流体であって、流体が、複数の結合リガンドを含み、複数の結合リガンドのうちの結合リガンドが、複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1つのリガンド結合ポリペプチドと結合相互作用を形成するように構成されている、流体と、
を含む、組成物。
【0478】
192.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、
b.複数のポリペプチド複合体であって、各ポリペプチド複合体が、リガンド結合ポリペプチドの結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含み、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体が、複数のアドレスのうちの1つのアドレスにカップリングされ、複数の間隙領域の間隙領域が、ポリペプチド複合体を欠いている、複数のポリペプチド複合体と、
c.固体支持体と接触している流体であって、ポリペプチド複合体解離種を含み、ポリペプチド複合体解離種が、塩、酸、塩基、界面活性剤、競合的結合リガンド及び遊離リガンド結合ポリペプチドを含む群から選択される、流体と、
を含む、組成物。
【0479】
193.組成物であって、
a.複数のアドレスを含む固体支持体であって、複数のアドレスの各アドレスが互いにアドレスから分析可能であり、複数のアドレスの各アドレスを複数のアドレスのうちの1又は複数の隣接するアドレスから分離する複数の間隙領域を更に含む、固体支持体と、
b.複数のリガンド結合ポリペプチドであって、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが、ヒト対象から抽出されるアルブミン又はグロブリンを含み、複数のリガンド結合ポリペプチドの各リガンド結合ポリペプチドが、複数のアドレスのアドレスにカップリングされており、複数の間隙領域の間隙領域が、リガンド結合ポリペプチドを欠いている、複数のリガンド結合ポリペプチドと、
c.ヒト対象に由来する核酸配列であって、核酸配列がゲノム配列を含み、核酸配列が複数のアドレスのアドレスに結合されている、ヒト対象に由来する核酸配列と、
を含む、組成物。
【0480】
194.流体装置であって、
a.固体基材と、
b.組成物が固体基材内に配置されている、条項66~104のいずれか一項に記載の組成物と、
c.第1のポート及び第2のポートを含む流体チャネルであって、流体チャネルが、流体を組成物と接触させるように構成されており、流体チャネルが、第1のポートを通して流体の一部を受け取り、第2のポートを通して流体の一部を排出するように構成されている、流体チャネルと、
を含む、流体装置。
【0481】
195.第2の流体チャネルを更に含む、条項193に記載の流体装置。
【0482】
196.第2の流体チャネルが流体チャネルと流体連通している、条項194に記載の流体装置。
【0483】
197.第2の流体チャネルが流体チャネルと流体連通していない、条項194に記載の流体装置。
【0484】
198.第2の流体チャネルが、条項66~104のいずれか一項に記載の第2の組成物を含み、第2の組成物が固体基材内に配置される条項193~196のいずれか一項に記載の流体装置。
【0485】
199.第2の流体チャネルが、複数のポリペプチドを結合するように構成された非占有アレイを含む、条項194~197のいずれか一項に記載の流体装置。
【0486】
200.システムであって、
a.条項193~198のいずれか一項に記載の流体装置と、
b.流体装置と流体連通する流体移送装置であって、1又は複数の流体を流体装置に送達するように構成され、1又は複数の流体のうちの少なくとも1つの流体が複数の親和性剤を含む、流体移送装置と、
c.物理的測定装置であって、物理的測定装置は、流体装置からのシグナルの存在又は非存在を含む物理的測定値を受信するように構成される、物理的測定装置と、
d.物理的測定装置から物理的測定値を受信するように構成されたコンピュータであって、物理的測定値に基づいて、流体装置内の固体支持体にカップリングしたポリペプチドの1又は複数の特性を同定するように構成された、コンピュータと、
を含む、システム。
【0487】
201.方法であって、
a.複数のポリペプチド及び1又は複数の不純物を含むアレイを提供することであって、複数のポリペプチドの各ポリペプチドは、アレイ上の互いのアドレスから分析可能なアドレスに位置し、1又は複数の不純物の各々は、アレイ上の互いのアドレスから分析可能なアドレスに位置し、アレイの各アドレスは、単一分析物分析能で検出可能であり、複数のポリペプチドは、リガンド結合ポリペプチドを含む、ことと、
b.信頼性の閾値尺度を超えてアレイ上のアドレスのサブセットにおける1又は複数の不純物の不純物の存在又は非存在を決定することと、
c.1又は複数の不純物の存在が信頼性の閾値尺度を超えて決定されたアドレスのサブセットを除外した複数のアドレスの各アドレスにおいて、複数のポリペプチドのポリペプチドに対する複数の親和性剤の親和性剤の結合の存在又は非存在を検出する工程であって、親和性剤が、リガンド結合ポリペプチドに対する結合特異性を含む、ことと、
を含む、方法。
【0488】
202.方法であって、
a.複数のポリペプチド複合体を含むアレイを提供することであって、複数のポリペプチド複合体の各ポリペプチド複合体は、結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含み、アレイは、複数のアドレスを含み、複数のアドレスの各アドレスは、単一分析物分析能で分析可能であり、各ポリペプチド複合体が複数のアドレスのうちの1つのアドレスにカップリングされており、リガンド結合ポリペプチドがアルブミン又はグロブリンを含む、ことと、
b.アレイを複数の検出可能なプローブと接触させることであって、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブが、ポリペプチド複合体に対する結合特異性を含む、ことと、
c.複数のアドレスの各アドレスにおける複数のポリペプチド複合体のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することであって、複数のポリペプチド複合体のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することが、複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブからのシグナルを検出することを含む、ことと、
を含む、方法。
【0489】
203.方法であって、
a.複数の結合リガンドを含むアレイを提供することであって、複数の結合リガンドの各結合リガンドが、アレイ上のアドレスに配置され、アレイの各アドレスが、アレイ上のアドレスから互いに分析可能である、ことと、
b.アレイを、第1の複数のリガンド結合ポリペプチド及び第2の複数のリガンド結合ポリペプチドを含む混合物と接触させることであって、第1の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1つのリガンド結合ポリペプチドが第1の結合特異性を含み、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちの1つのリガンド結合ポリペプチドが第2の結合特異性を含む、ことと、
c.第1のアドレスで第1のポリペプチド複合体を形成し、場合により、第2のポリペプチド複合体を形成することであって、第1のポリペプチド複合体が、第1の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを含み、第2のポリペプチド複合体が、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドのうちのリガンド結合ポリペプチドにカップリングされた結合リガンドを含む、ことと、
d.第1のポリペプチド複合体を含む第1のアドレスを同定することと、
e.第1のアドレス以外の1又は複数のアドレスにおける第1のポリペプチド複合体又は第2のポリペプチド複合体の存在又は非存在を決定することと、
を含む、方法。
【0490】
204.リガンド結合相互作用を特徴づける方法であって、
a.複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、複数のアドレスの各アドレスが、カップリングされた第1のポリペプチド複合体を含み、各アドレスが、互いにアドレスから分析可能であり、各第1のポリペプチド複合体が、リガンド結合ポリペプチド及びリガンド結合ポリペプチドの結合リガンドを含み、リガンド結合ポリペプチドが、結合リガンドに対する第1の結合親和性を含む、ことと、
b.アレイを複数の遊離結合リガンドと接触させることであって、遊離結合リガンドが結合リガンドとは異なる化学構造を含み、リガンド結合ポリペプチドが遊離結合リガンドに対する第2の結合親和性を含む、ことと、
c.結合リガンドを遊離結合リガンドと交換し、それにより、1又は複数の第2のポリペプチド複合体を形成することであって、1又は複数の第2のポリペプチド複合体の第2のポリペプチド複合体が、遊離結合リガンドにカップリングされたリガンド結合ポリペプチドを含む、ことと、
d.アレイ上の1又は複数のアドレスにおける第2のポリペプチド複合体の存在又は非存在を検出することと、
を含む、リガンド結合相互作用を特徴づける方法。
【0491】
205.方法であって、
a.第1の複数のリガンド結合ポリペプチドを第1のポリペプチド供給源から提供し、第2の複数のリガンド結合ポリペプチドを第2のポリペプチド供給源から提供することと、
b.固体支持体上の結合リガンドに対する第1の複数のリガンド結合ポリペプチド及び第2の複数のリガンド結合ポリペプチドの結合の存在又は非存在を単一分析物分析能で検出することと、
c.第1の複数のリガンド結合ポリペプチドと第2の複数のリガンド結合ポリペプチドとの間の結合特性の差異を同定することと、
を含む、方法。
【0492】
206.第1の供給源又は第2の供給源が医療対象を含む、条項204に記載の方法。
【0493】
207.第1の供給源が第1の医療対象を含み、第2の供給源が第2の医療対象を含む、条項205に記載の方法。
【0494】
208.第1の供給源が医療対象を含み、第2の供給源が対照試料を含む、条項206に記載の方法。
【0495】
209.結合特性の差を同定することが、第1の複数のポリペプチドと第2の複数のポリペプチドとの間の結合特異性の差を同定することを含む、条項204~207のいずれか一項に記載の方法。
【0496】
210.結合特性の差を同定することが、第1の複数のポリペプチドと第2の複数のポリペプチドとの間の結合親和性の差を同定することを含む、条項204~208のいずれか一項に記載の方法。
【0497】
211.結合親和性の差を同定することが、第1の複数のポリペプチドと第2の複数のポリペプチドとの間の解離定数、会合速度定数又は解離速度定数の差を定量することを含む、条項209に記載の方法。
【0498】
212.結合特性の差の同定に基づいて、医療対象の疾患状態又は健康状態を同定することを更に含む、条項208~210のいずれか一項に記載の方法。
【0499】
213.医療対象の疾患状態を同定することに基づいて、疾患状態についての医療対象の治療方法を同定することを更に含む、条項211に記載の方法。
【0500】
214.方法であって、
a.複数のアドレスを含むアレイを提供することであって、各アドレスは、単一分析物分析能で互いに分析可能であり、複数のアドレスの第1のサブセットの各アドレスは、複数のポリペプチドのポリペプチドにカップリングされており、複数のアドレスの第2のサブセットの各アドレスは、複数の標準ポリペプチドの標準ポリペプチドにカップリングされており、複数のポリペプチドは対象から抽出され、複数のポリペプチドは第1のリガンド結合ポリペプチドを含み、複数の標準ポリペプチドは第2のリガンド結合ポリペプチドを含む、ことと、
b.アレイを複数の検出可能なプローブと接触させる工程であって、複数の検出可能なプローブのうちの検出可能なプローブが結合リガンドを含む、ことと、
c.複数のアドレスの各アドレスにおいて、複数の検出可能プローブのうちの検出可能プローブの存在又は非存在を検出する工程と、
d.複数のアドレスの各アドレスにおける複数の検出可能なプローブの検出可能なプローブの存在又は非存在に基づいて、第1のリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間又は第2のリガンド結合ポリペプチドと結合リガンドとの間のポリペプチド結合相互作用の存在又は非存在を同定することと、
を含む、方法。
【国際調査報告】