(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電極および電気化学セル
(51)【国際特許分類】
H01M 4/90 20060101AFI20241008BHJP
H01M 8/1253 20160101ALI20241008BHJP
H01M 8/126 20160101ALI20241008BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20241008BHJP
【FI】
H01M4/90 X
H01M8/1253
H01M8/126
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517492
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 GB2022052479
(87)【国際公開番号】W WO2023052780
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リア,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン,マフジュル
【テーマコード(参考)】
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
5H018AA06
5H018AS02
5H018AS03
5H018BB01
5H018BB08
5H018BB11
5H018BB12
5H018EE12
5H018EE13
5H018HH03
5H018HH05
5H126AA06
5H126BB06
5H126GG12
5H126GG13
5H126HH01
5H126HH04
5H126HH06
5H126HH08
5H126JJ03
5H126JJ05
(57)【要約】
式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の第1の電極材料を含む第1の層を有する電気化学セル用の電極が開示される。希土類金属は、ランタニド、スカンジウムまたはイットリウムであり得る。また、そのような電極を有する電気化学セルおよびそのような電気化学セルを製造する方法も開示される。電気化学セルは、電解槽、酸素セパレータ、センサまたは燃料電池であり得る。また、式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)およびPr(1-x)SmxO(2-0.5x-δ)の材料も開示される。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル用の電極であって、式Pr
(1-x)Ln
xO
(2-0.5x-δ)
(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、
δは、酸素欠乏の度合いであり、
0.01≦x≦0.4である)
の第1の電極材料を含む少なくとも1つの第1の層を含む、電極。
【請求項2】
前記希土類金属が、ランタノイド、Sc、Yおよびそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記希土類金属が、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yおよびそれらの混合物から選択される、請求項1または請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記希土類金属が、La、Sm、Gd、およびYb;好ましくはSmから選択される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電極。
【請求項5】
0.02≦x≦0.25である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電極。
【請求項6】
前記第1の電極材料が、式Pr
0.9Ln
0.1O
(1.95-δ)、Pr
0.85Ln
0.15O
(1.925-δ)、Pr
0.8Ln
0.2O
(1.9-δ)またはそれらの混合物である(式中、Lnは、La、Sm、Gd、またはYb;好ましくはSmである)、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電極。
【請求項7】
前記第1の層が、20重量%またはそれより多い前記第1の電極材料;場合によっては30重量%またはそれより多い前記第1の電極材料;場合によっては40重量%またはそれより多い前記第1の電極材料;場合によっては55重量%またはそれより多い前記第1の電極材料を含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電極。
【請求項8】
前記第1の層が、1μmから7μmの範囲の厚みを有する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電極。
【請求項9】
第2の電極材料を含む少なくとも1つの第2の層を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電極。
【請求項10】
電気化学セル用の電極であって、式Pr
(1-x)Ln
xO
(2-0.5x-δ)
(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、
δは、酸素欠乏の度合いであり、
0.01≦x≦0.4である)
の第1の電極材料を含む少なくとも1つの第1の層と、第2の電極材料を含む少なくとも1つの第2の層とを含む、電極。
【請求項11】
前記第2の電極材料が導電性であり、場合によっては導電性セラミック材料である、請求項9または請求項10に記載の電極。
【請求項12】
前記第2の電極材料が、ランタンコバルタイト、ランタンフェライト、ランタンニッケルフェライト、La
0.99Co
0.4Ni
0.6Co
0O
(3-δ)(LCN60)およびそれらの混合物から選択される、請求項9から11のいずれか一項に記載の電極。
【請求項13】
前記第2の層が、少なくとも1つの追加の第2の電極材料をさらに含む複合層であり、場合によっては、前記追加の電極材料が、場合によっては希土類ストロンチウムコバルタイト;希土類ストロンチウムフェライト、希土類ストロンチウムコバルトフェライトから選択される材料を含むストロンチウムを含み、前記希土類成分が、場合によってはPr、La、Gdおよび/またはSmであり得る、請求項9から12のいずれか一項に記載の電極。
【請求項14】
前記複合層が、重量で1:10から10:1、場合によっては重量で1:5から5:1、場合によっては重量で1:1から5:1の比で前記第2の電極材料と前記追加の電極材料とを含む、請求項13に記載の電極。
【請求項15】
前記第2の層が、60重量%またはそれより多い前記第2の電極材料;場合によっては65重量%またはそれより多い前記第2の電極材料;場合によっては70重量%またはそれより多い前記第2の電極材料;場合によっては75重量%またはそれより多い前記第2の電極材料を含む、請求項13または請求項14に記載の電極。
【請求項16】
場合によっては前記第1の層と前記第2の層との間に位置する第3の電極材料を含む第3の層をさらに含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の電極。
【請求項17】
前記第3の電極材料が、場合によっては希土類ストロンチウムコバルタイト;希土類ストロンチウムフェライト、希土類ストロンチウムコバルトフェライトから選択される材料を含むストロンチウムを含み;前記希土類成分が、場合によってはPr、La、Gdおよび/またはSmであってもよい、請求項9から16のいずれか一項に記載の電極。
【請求項18】
前記第3の層が、1μmから5μmの範囲内の厚みを有する、請求項9から17のいずれか一項に記載の電極。
【請求項19】
前記電極が、空気極である、請求項1から18のいずれか一項に記載の電極。
【請求項20】
電気化学セルであって、請求項1から19のいずれか一項に記載の電極を含み;場合によっては1つまたは複数の電解質、第2の燃料極および基板をさらに含む、電気化学セル。
【請求項21】
電極を含む電気化学セルであって、前記電極が、
式Pr
(1-x)Ln
xO
(2-0.5x-δ)(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の第1の電極材料を含む少なくとも1つの第1の層を含み;
前記第1の電極材料を含む前記第1の層が、ジルコニアを含む材料と直接接触している、
電気化学セル。
【請求項22】
電解質をさらに含み、ジルコニアを含む前記材料が、前記電解質の層を形成する、請求項20または請求項21のいずれかに記載の電気化学セル。
【請求項23】
ジルコニアを含む前記材料が、スカンディア安定化ジルコニア(ScSZ)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、イッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ),スカンディアセリア共安定化ジルコニア(ScCeSZ)、スカンディアイットリア共安定化ジルコニア(ScYSZ)およびそれらの混合物から選択される、請求項20から22のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項24】
場合によってはサマリウム-ドープセリア(SDC)、ガドリニウム-ドープセリア(GDC)、プラセオジムドープセリア(PDC)、サマリア-ガドリニアドープセリア(SGDC)およびそれらの混合物から選択されるドープされたセリアをさらに含む電解質層をさらに含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項25】
基板;場合によっては金属基板、好ましくは鋼基板をさらに含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項26】
電解槽、酸素セパレータ、センサまたは燃料電池であり、場合によっては、固体酸化物形電気化学セルを含む、請求項20から25のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項27】
電気化学セルを生産する方法であって、
場合によっては燃料極および電解質を含む層の上に堆積されている基板を準備するステップ、
PrおよびLn(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択される)の源を前記基板に適用して、空気極層を形成するステップ、
場合によっては乾燥させるステップ、および
場合によっては前記空気極層を焼結するステップ;
それによって、請求項1から19のいずれか一項に記載の電極を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項28】
さらに、
材料を前記基板に適用して、少なくとも1つの電解質層を形成するステップ、
PrおよびLnの前記源を前記電解質層の上に適用して、空気極層を形成するステップ、
場合によっては乾燥させるステップ、および
前記電解質層および前記空気極層を同時焼結するステップ
を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
式Pr
(1-x)Ln
xO
(2-0.5x-δ)
(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、
δは、酸素欠乏の度合いであり、
0.01≦x≦0.4である)
の材料。
【請求項30】
式Pr
(1-x)Sm
xO
(2-0.5x-δ)
(式中、δは、酸素欠乏の度合いであり、
0.01≦x≦0.4である)
の材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セル用の電極、そのような電極を含む電気化学セル、そのような電気化学セルを生産する方法およびそのような電極で使用するための材料に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物層(多くの場合、固体酸化物形電池:SOCとしても既知)で形成される電気化学セルは、燃料電池または電解セルとして使用される場合がある。
【0003】
SOC燃料電池ユニットは、燃料を酸化する電気化学変換プロセスを使用して電気を生成する。SOC燃料電池ユニットは、また、もしくは代わりに、例えば水から水素と酸素とを分離するため、または二酸化炭素から一酸化炭素と酸素とを分離するために、多くの場合、固体酸化物形電解槽燃料電池ユニットとして既知の再生燃料電池(またはリバース燃料電池)ユニットとして作動することができる。
【0004】
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、燃料ガス(通常水素系)の電気化学的酸化を通じて電気エネルギーを生成し、その装置は、一般的にセラミック系であり、その電解質として酸素イオン伝導性金属酸化物含有セラミックを使用する。多くのセラミック製酸素イオン伝導体(例えば、ドープされた酸化ジルコニウムまたはドープされた酸化セリウム)は、500℃(酸化セリウム系の電解質のため)または650℃(酸化ジルコニウム系のセラミックのため)を超える温度で有用なイオン伝導度を有しているので、SOFCは、高温で操作される傾向にある。
【0005】
稼働中、SOFCの電解質は、カソードからの酸素イオンを、電解質の反対側に位置するアノードに伝える。燃料、例えば、炭化水素またはアルコールの改質からもたらされる燃料は、アノード(通常「燃料極」として既知)に接触し、空気または酸素を多く含む流体などの酸化剤は、カソード(通常「空気極」として既知)に接触する。従来のセラミック支持型(例えばアノード支持型)SOFCは、機械的強度が低く、破壊に対して脆弱である。したがって、金属基板の上に支持されたアクティブ型燃料電池コンポーネント層を有する金属支持型SOFCが、近年、開発されている。これらの電池において、電気化学的機能を実行するだけなので、セラミック層は、非常に薄い可能性がある:すなわち、セラミック層は、自立型ではなく、むしろ金属基板の上に敷設され、それにより支持された薄いコーティング/フィルムである。 そのような金属支持型SOFCスタックは、より頑強で、より低コストであり、セラミック支持型SOFCよりも熱的性質が良好であり、従来の金属溶接技術を使用して密閉することができる。
【0006】
出願人の以前の特許出願である国際公開第2015/136295号は、それぞれ(例えば薄いコーティング/フィルムとして)金属支持プレート(例えば箔)の上に堆積され、それにより支持された電気化学的活性層(またはアクティブ型燃料電池コンポーネント層)が、アノード、電解質およびカソード層を含む金属支持型SOFCを開示している。 金属支持プレートは、多孔質領域の上に堆積されている活性層を有する非多孔質領域により囲まれた多孔質領域を有しており、そのため、気体は、金属支持プレートの片面から反対面に細孔を通って通過して、その上にコーティングされた活性層にアクセスすることができる。多孔質領域は、支持プレートを通って延び、アノード(またはカソード、電気化学的活性層の方向に応じて)の上に重なっている小開口(金属箔基板を貫通した穴)を含む。
【0007】
固体酸化物形電解セル(SOEC)は、SOFCと同じ構造を有している場合があるが、実際には、水および/または二酸化炭素の電気分解を達成するために、逆方向、または再生モードで動作するSOFCである。
【0008】
SOCの燃料極、電解質および空気極は、動作を最適化するために、それぞれ1つまたは複数の層で形成される場合がある。効果的な空気極材料は、酸素の空気極/電解質界面への拡散を可能にし、電解質と同様の熱膨張係数を有する。実用的な空気極材料は、多くの場合、ペロブスカイト構造ABX3(式中、AおよびBは、異なる金属イオンであり(1つより多くのAおよびBの金属イオンが存在する場合がある)、XはOであり得る)を有している。SOFCには、その空気極が、酸素の電気化学的還元のための高い活性を有する電解質に近い活性層および金属導体である場合があるバルク層で形成されるものもある。多数の既知のカソード材料がある。
【0009】
Cruz Pacheco et al.,(J.Phys:Conference Series,vol.687,no.1,2016)は、SOFCデバイスにおけるアノード構成部分としての用途のための、重合燃焼法によるプラセオジムドープ酸化セリウムの合成を開示する。
【0010】
ドープされた酸化プラセオジムは、SOCとは無関係の理由で調査されている。例えば、Zoellner et al.(J.Crystal Growth,vol.355,no.1,2012,p.159-165)は、Si(111)上のエピタキシァルなセリウムドープ酸化プラセオジムフィルムの化学量論-構造相関を開示する。Knauth et al.(J.European Ceramic Society,vol.19,no.6-7,1999,p.831-836)は、ナノ結晶混合プラセオジム-酸化セリウムの非化学量論および緩和速度論を開示する。Popescu Ione et al.(Applied Catalysis A:General,vol.578,2019,p.30-39)は、Ce-Pr混合酸化物の触媒的酸化性能に対する研究を開示する。Simona Somacescu et al.(J.Nanoparticle Research;vol.14,no.6,2012,p.1-17)は、CePrO構造、形態、界面化学、および触媒的性能を開示する。Kang et al.(J.Alloys and Compounds,vol.207-208,1994,p.420-423)は、HREMにおいてin situで変更されたコロイド粒子における構造および構造上の欠陥を開示する。
【0011】
米国特許第6,117,582号明細書は、PrCoO3、または亜マンガン酸プラセオジムなどの遷移金属のペロブスカイトから作られたカソードを有する固体酸化物形燃料電池用のカソード組成物を開示する。Nicollet,C,et al.,International Journal of Hydrogen Energy,September 2016,Vol.41,Issue 34,pages 15538-15544は、酸素還元反応用の電極触媒としてのPr6O11およびSOFCにおけるカソードとしてのその使用を開示する。CN-A-106 057 641は、La、NdおよびGdドープPr半導体酸化物を開示する。Wang et al 2017 Meet.Abstr.(MA2017-02)1730は、固体酸化物形燃料電池用のカソードとして使用されるPNNOの活性および位相安定性を改善するために、(Pr,Nd)2NiO4(PNNO)と組み合わせたPr1-xNdxO2-dを開示する。Biswas,R.et al.(1997)Journal of Materials Science Letters.16.1089-1091は、Pr1-xLaxO2-δ(x=0.05、0.1、0.2)の調製、構造および電気伝導度を開示する。Zhu,et al.Advanced Materials Research,vol.1065-1069,(2014),pp.1921-1925は、Ce0.8Pr0.2-xNdxO2-δ(x=0.02、0.05、0.1)の調製および特性を開示する。国際公開第2006/106334号A1は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を開示しており、ここで、カソード材料は、プラセオジムを含む場合があるペロブスカイト構造を有するドープされた材料を含む。この構造は、従来の表記であるABX3を有しており、ここで、セリウムは、「B」部位上で置換されている。
【0012】
しかし、電気化学セルにおける使用に適した特性を有する電極材料を提供する必要性が依然として存在する。
【0013】
本発明の目的は、そのような必要性に対処することである。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明は、第1の態様において、電気化学セル用の電極であって、式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の第1の電極材料を含む少なくとも1つの第1の層を含む、電極を提供する。
【0015】
δは、第1の電極材料の環境および前歴に応じて変更される場合がある。多くのプラセオジム含有酸化物における酸化環境では、プラセオジムは、温度および酸素分圧に応じて、その+3から+4の酸化状態の熱力学的平衡にある。Pr4+が、Pr3+に還元されると、酸素空孔が作成される。プラセオジム還元により誘導される酸素空孔は、付加空孔として既知である。クレーガービンク表記を使用すると、平衡は、以下のように表すことができる:
【0016】
【0017】
(式中、VO
’’は、酸素空孔である。)
【0018】
第1の電極材料において、δは、0.25もしくはそれより小さい、適切には0.2もしくはそれより小さい、より適切には≦0.15であり得る。
【0019】
δは、0.0001、場合によっては0.001、場合によっては0.005、場合によっては0.01、場合によっては0.05の下限値を有する場合がある。
【0020】
(例えば三価の)ドーパントカチオンの酸化プラセオジムへの付加により、構造内に固有酸素空孔が作成される。第1の電極材料において、適切には、希土類金属は、ドーパントとして機能する場合がある。
【0021】
希土類金属は、ランタノイド、Sc、Yおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0022】
適切には、希土類金属は、セリウムではない。
【0023】
適切には、希土類金属は、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0024】
より適切には、希土類金属は、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0025】
最も適切には、希土類金属は、La、Nd、Sm、Eu、Gd、およびYb;好ましくはNd、Sm、Eu、Gd、より好ましくはGdまたはSm、最も好ましくはSmから選択され得る。
【0026】
本明細書で使用されるように、Lnは、ドーパントを示し、したがって、Lnは、Prを除外する。
【0027】
プラセオジムの酸化物は、組成が多少変化する相の系を表している。単相PrO2は、一般的に純酸素中、高圧(>20,000kPa)で形成される。様々な酸化物の中で、Pr6O11は、特に安定である。周囲温度および圧力で、Pr6O11は、付加酸素空孔を有するPr(III)およびPr(IV)の混合原子価状態であり、酸素イオン伝導性を促進するPr6O11の中でプラセオジムイオンを有する立方晶系蛍石型構造をとり、触媒的活性を提供する(縛られることを望むものではないが)と考えられる。
【0028】
有利なことに、第1の電極材料における希土類金属ドーパントの存在は、結果として、追加の固有酸素空孔の形成となる場合があり、材料の立方晶系蛍石型構造を安定化させる場合がある。
【0029】
適切には、Lnのイオン半径は、プラセオジム(IV)のイオン半径と同様であり得る。これは、格子歪みを低減し、結果として、より安定な構造となり得るので、有利である。Pr(IV)のイオン半径(8座標)は、110ピコメートルである。
【0030】
したがって、本明細書で開示されるように、特に適した希土類には、La、Nd、Sm、Eu、およびGd、またはそれらの混合物が含まれる。選択されたLn(III)のイオン半径は、以下の表1に示される。
【0031】
【0032】
第1の電極材料において、xは、酸素空孔濃度とイオン移動度との間のバランス、例えば0.02~0.25を達成するように選択され得る。有利なことに、xは、0.02≦x≦0.3;0.03≦x≦0.3;0.04≦x≦0.3;0.05≦x≦0.3;0.05≦x≦0.27;0.05≦x≦0.25;0.05≦x≦0.25;または0.05≦x≦0.3の範囲内であり得る。適切には、xは、0.08~0.2または0.08~0.12であり得、より適切には、xは、約0.1;約0.15;または約0.2であり得る。
【0033】
したがって、好適には、第1の電極材料は、式Pr0.9Ln0.1O(1.95-δ)、Pr0.85Ln0.15O(1.925-δ)、Pr0.8Ln0.2O(1.9-δ)またはそれらの混合物であり得る(式中、Lnは、La、Nd、Sm、Eu、Gd、またはYbであり;好ましくはSmである)。
【0034】
電極の第1の層は、本質的に第1の電極材料からなり得る。場合によっては、第1の層は、第1の電極材料および少なくとも1つのさらなる材料を含む複合層を含んでいてもよい。さらなる材料は、例えば、ドープされたセリアもしくはドープされたジルコニアまたはそれらの混合物を含んでいてもよい。ドープされたセリアは、セリウムガドリニウム酸化物(CGO)を含んでいてもよい。ドープされたジルコニアは、式Zr(1-x)YxO(2-0.5x δ)(式中、0<x≦0.2)に一致する固溶体であり得る。
【0035】
したがって、第1の層は、20重量%以上の第1の電極材料;場合によっては25重量%以上の第1の電極材料;場合によっては30重量%以上の第1の電極材料;場合によっては35重量%以上の第1の電極材料;場合によっては40重量%以上の第1の電極材料;場合によっては45重量%以上の第1の電極材料;場合によっては50重量%以上の第1の電極材料;場合によっては55重量%以上の第1の電極材料;場合によっては60重量%以上の第1の電極材料を含んでいてもよい。
【0036】
代わりに、第1の層は、80重量%以上の第1の電極材料;場合によっては85重量%以上の第1の電極材料;場合によっては90重量%以上の第1の電極材料;場合によっては95重量%以上の第1の電極材料を含んでいてもよい。
【0037】
有利なことに、第1の電極材料は、立方晶系微結晶構造;好ましくは蛍石型微結晶構造を有していてもよい。したがって、第1の電極材料の少なくとも1つの相は、蛍石型結晶構造を有していてもよく、a=5.4~5.5Aの範囲内の格子定数を有していてもよい;および/または例えば、20~85nMの微結晶サイズを有していてもよい。第1の電極材料は、本質的に、立方晶系蛍石型構造を有する単相を含むか、またはそれからなる。そのような構造は、より安定であり、それぞれ酸素不定比性の様々な度合いを有する複数の異なる相よりもより予測可能な酸素イオン輸送特性を有する場合がある。
【0038】
第1の電極材料は、0.5μm~1.5μmの範囲内のサイズd90を有するように粉砕されてもよい。本明細書で使用されるように、d90、d90、d(90)またはD90は、テストされた試料中の粒子の90%がd90粒径より小さいか、またはd90より小さい粒子の百分率が90%であるような粒径である。
【0039】
第1の電極材料は、≧7m2/gの範囲内;適切には10m2/gより大きい、より適切には12m2/gより大きい、最も適切には20m2/g以上の比表面積(例えばBET:ブルナウアー、エメット、テラー、比表面積)を有していてもよい。
【0040】
第1の電極層は、有利には、600℃で≦100mΩcm2または500℃で<300mΩcm2の電流フローの方向に応じて酸素還元/排出のための面積比抵抗を有していてもよい。酸素還元/排出のための活性化エネルギーは、約100~110kJmol-1の範囲内であり得る。
【0041】
第1の層は、1μm~7μm、場合によっては1μm~6μm;1μm~5μm;1~4μmの範囲内または約3μmの厚みを有していてもよい。
【0042】
電極は、電気化学セルのための追加のおよび/または改善された特性を与える多層の電極系であり得る。例えば、電極は、2層、3層、4層または5層の系であり得るか、または5層より多くを有していてもよい。一般的に、電極系の各層は、同じであっても異なっていてもよく、異なっている場合、異なる材料で形成されていてもよく、電極系全体として、異なる特性および用途を有していてもよい。
【0043】
したがって、電極は、第2の電極材料を含む少なくとも第2の層を含んでいてもよい。場合によっては、第2の電極材料は、導電性であり得、場合によっては、導電性セラミック材料であり得る。
【0044】
第2の層は、10μm~80μm;15μm~75μm;17μm~73μm;20μm~70μm;20μm~65μm;20μm~60μm;25μm~55μm;30μm~50μm;または35μm~45μmの範囲内の厚みを有していてもよい。
【0045】
第1の電極層と第2の電極層との厚みの比は、1~20;適切には1~10、より適切には1~6、場合によっては1~5の範囲内であり得る。
【0046】
したがって、第2の態様において、本発明は、電気化学セル用の電極であって、式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の第1の電極材料と、第2の電極材料を含む少なくとも1つの第2の層とを含む少なくとも1つの第1の層を含む、電極を提供する。
【0047】
一例として、電極系の第1および第2の層は、それぞれ、空気極活性層(SOFCにおけるカソード活性層CALとしても既知)として使用するための前述の第1の層、および空気極バルク層(SOFCにおけるカソードバルク層CBLとしても既知)としての第2の層を含んでいてもよい。空気極バルク層は、第1の層よりも大きい電気(すなわち電子)伝導度を有していてもよく、そのため集電体として機能する場合がある。
【0048】
第1の層は、電極の第1の層と電解質との間の中間層(例えば電極のさらなる層)のいずれかを有する電解質(それ自体、多数の層で構成される電解質系であり得る)の隣に位置していてもよいか、または第1の層は、電解質の層と直接接触している(すなわち、すぐ隣にある)。
【0049】
第2の層(例えば空気極バルク層)は、有利には、導電性である第2の電極材料、例えば電気化学セルの動作温度で金属導体であり得、それらの温度で比較的高い電子伝導度を有する可能性がある第2の電極材料で形成され得るか、またはそれを含む。第2の層の材料は、好ましくは化学的に、また機械的に安定である。第2の層、例えば空気極バルク層は、セルの空気側で酸素との良好な相互作用を可能にするように、通常、多孔質である(通常、第1の層がそうであるように)。第2の層(例えば空気極バルク層)の電極触媒活性は、第1の層(前述したように高い電極触媒活性を有する可能性がある)のものより小さい可能性がある。
【0050】
第2の電極材料は、好ましくはペロブスカイト構造、ABX3を有する電子導電性のセラミック材料を含んでいてもよい。
【0051】
適切な第2の電極材料には、ランタンコバルタイト、ランタンフェライト、ランタンニッケルフェライト、La0.99Co0.4Ni0.6O(3-δ)(LCN60)およびそれらの混合物が含まれる。
【0052】
場合によっては、第2の層は、少なくとも1つの追加の第2の電極材料をさらに含む複合層であり得る。追加の電極材料は、場合によっては希土類ストロンチウムコバルタイト;希土類ストロンチウムフェライト、希土類ストロンチウムコバルトフェライトから選択される材料を含むストロンチウムを含んでいてもよく、希土類成分は、場合によってはPr、La、Gdおよび/またはSm、好ましくはPrであり得る。
【0053】
複合の第2の電極層は、第2の電極材料および追加の電極材料を、重量で1:10~10:1、場合によっては重量で1:5~5:1、場合によっては重量で1:1~5:1の比で含んでいてもよい。場合によっては、複合の第2の電極層は、60重量%またはそれより多い第2の電極材料;場合によっては65重量%またはそれより多い第2の電極材料;場合によっては70重量%またはそれより多い第2の電極材料;場合によっては75重量%またはそれより多い第2の電極材料を含んでいてもよい。
【0054】
電極は、第3の電極材料を含んでいてもよい第3の層をさらに含んでいてもよい。
【0055】
第1の電極層と第2の電極層との間の接着を改善するために、必要であれば、第3の層は、場合によっては第1の層と第2の層との間に位置していてもよい。
【0056】
場合によっては、第3の電極材料は、酸素イオン伝導体を含んでいてもよい。酸素イオン伝導体は、好ましくはドープされたセリア、もしくはドープされたジルコニアまたはそれらの混合物を含んでいてもよい。ドープされたセリアは、好ましくは、式Ce(1-x)GdxO(2-0.5x-δ)(式中、0<x≦0.5である)を有する固溶体であるセリウムガドリニウム酸化物(CGO)を含んでいてもよい。ドープされたジルコニアは、式Zr(1-x)YxO(2-0.5x δ)(式中、0<x≦0.2)に一致する固溶体であり得る。
【0057】
さらにまたは代わりに、第3の電極材料は、場合によっては希土類ストロンチウムコバルタイト;希土類ストロンチウムフェライト、希土類ストロンチウムコバルトフェライトから選択される材料を含むストロンチウムを含んでいてもよく、希土類成分は、場合によってはPr、La、Gd、および/またはSm;好ましくはPrであり得る。
【0058】
場合によっては、第3の電極材料は、希土類ストロンチウムコバルタイトまたは希土類ストロンチウムフェライトおよび希土類ドープセリア(REDC)の混合材料を含んでいてもよい。そのような混合物の比は、重量で70:30~重量で30:70、例えば重量で60:40の希土類ストロンチウムコバルタイト、希土類ストロンチウムフェライトまたは希土類ストロンチウムコバルトフェライト対REDC、例えば60:40の希土類ストロンチウムコバルタイト対REDCであり得る。特に適切な第3の電極材料は、重量で60:40のプラセオジムストロンチウムコバルタイト(例えばPSC 551:Pr0.5Sr0.5CoO3)およびCGOの混合物を含んでいてもよい。
【0059】
第3の電極材料は、第1の電極層と第2の電極層との間の良好な接着を促進することが可能であり、二次相の形成をもたらす可能性がある第2の電極材料(例えばLCN60)と第1の電極材料との間のセルの状態における反応をいずれも低減することが可能であり、接着が悪くなり、潜在的にオーム抵抗が増す可能性がある。
【0060】
セル内の汚染物質が、第1の電極層に接触する前に、第3の電極材料(例えばストロンチウムコバルタイト/コバルトフェライトを含む)と反応する可能性があるので、さらに、第3の電極層は、第1の電極層のためのポイズンゲッターとして機能する可能性がある。これは、有利に、第1の電極材料および層を分解から保護する。そのような汚染物質には、高温でステンレス鋼成分を蒸発させ、空気極の有効表面全体で安定なクロメート相を形成するように反応する傾向があるクロム;空気極の有効表面を物理的にブロックするケイ素;ならびに硫酸塩を形成するように反応する傾向がある空気中のSO2由来の硫黄が含まれる場合がある。
【0061】
第3の層は、1μm~5μm;1μm~4μm;2μm~5μm;または2μm~4μmの範囲内の厚みを有していてもよい。
【0062】
したがって、電極は、有利に、式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)の第1の電極材料を含む第1の層、および前述した通りの第3の電極材料を含む少なくとも第3の層を含む場合がある。
【0063】
電極は、有利には、少なくとも式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)の第1の電極材料を含む第1の層、前述した通りの第3の電極材料を含む第3の層,および前述した通りの第2の電極材料を含む第2の層の複数の層を含む場合がある。
【0064】
電極の層は、接着および他の特性を改善するように焼結している間、プレスされてもよく、場合によっては静水圧プレスされてもよい。
【0065】
通常、電極は、電気化学セル内の空気極、例えばSOC、SOFCまたはSOECであり得る。
【0066】
したがって、第3の態様において、本発明は、前述の請求項のいずれか一項に記載の電極を含み、場合によっては1つまたは複数の電解質、第2の電極および基板をさらに含む電気化学セルを提供する。第2の電極は、第2の燃料極であり得る。
【0067】
第1の電極材料は、いくらかの電極材料とは対照的に、優れた活性および他の特性を有しており、アルカリ土類金属酸化物(例えば酸化ストロンチウム)を含む必要がない。アルカリ土類金属酸化物は、特にジルコニア系の電解質と反応することができるので、電気化学セルにおいて問題がある可能性がある。
【0068】
したがって、第4の態様において、本発明は、電極を含む電気化学セルを提供し、その電極は、式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の第1の電極材料を含む少なくとも1つの第1の層を有しており;第1の電極材料を含む第1の層は、ジルコニアを含む材料と直接接触している。
【0069】
ジルコニアを含む材料は、電気化学セル内の電解質の層であり得る。
【0070】
したがって、電気化学セルは、通常、電解質をさらに含み、ジルコニアを含む材料は、電解質の層を形成する場合がある。
【0071】
ジルコニア含有層を有する層は、別の主電解質層(例えば、セリアを含む場合がある)の上の主電解質層または中間層(特に薄い中間層)であり得る。セリア系の電解質のある程度の電気伝導度のため、薄いジルコニア電子ブロッキング層は、電解質の電気絶縁層としてSOCに適用される場合がある。
【0072】
したがって、ジルコニアを含む材料は、電解質の実質的な電子絶縁層を形成する場合がある。
【0073】
既知の電気化学セルにおいて、ジルコニアとアルカリ土類金属酸化物との間の反応を回避するために、空気極とジルコニア層との間のドープされたセリア(例えばCGO)の緩衝(または保護)層は、多くの場合堆積される。
【0074】
場合によっては処理温度がより低く、全体としてセルの焼結/堆積ステップが少ないために、セルの製造コストを大幅に削減することができ、また処理後の最終のジルコニア含有層の質を改善することができるので、緩衝層の必要性を回避することは非常に有利である。
【0075】
ジルコニアを含む材料は、スカンディア安定化ジルコニア(ScSZ)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンディアセリア共安定化ジルコニア(ScCeSZ)、イッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ)、スカンディアイットリア共安定化ジルコニア(ScYSZ)およびそれらの混合物から選択され得る。
【0076】
電気化学セルは、多層の電解質を含んでいてもよく、そのため、場合によってはサマリウム-ドープセリア(SDC)、ガドリニウム-ドープセリア(GDCまたはCGO)、サマリア-ガドリニアドープセリア(SGDC)およびそれらの混合物から選択されるドープされたセリアを含む電解質層をさらに含んでいてもよい。
【0077】
電気化学セルは、基板;場合によっては金属基板、好ましくは鋼基板をさらに含んでいてもよい。基板は、多孔質であり得る。
【0078】
金属基板は、開口が与えられる金属箔(すなわち固体金属)であり得る。これは、多孔性を適合し、基板の特定の領域に配置することができる利点を有する。代わりにまたはさらに、 金属基板は、例えばフィルムを粉末堆積し、その後、焼結して多孔質基板を形成することにより成形されたテープとして形成された固有の多孔性(例えば等方性の多孔性)を有している場合がある。本明細書における金属基板または多孔質鋼板への言及は、これらのいずれかを指す場合がある。
【0079】
電気化学セルは、電解槽、酸素セパレータ、センサもしくは燃料電池、または電解セル、好ましくはSOFCであり得る。
【0080】
したがって、電気化学セルは、燃料電池、または電解セルであり得る。セルは、固体酸化物電解質、場合によっては金属支持型固体酸化物形電池に基づいている場合がある。燃料電池モードでは、燃料は、アノード(燃料極)に接触し、空気または酸素を多く含む流体などの酸化剤は、カソード(空気極)に接触し、そのため、燃料電池モード動作において、空気極は、カソードである。固体酸化物形電解セル(SOEC)は、SOFCと同じ構造を有する場合があるが、本質的にSOFCが逆にまたは再生モードで稼働され、水素ガスおよび/または一酸化炭素および酸素を生成するために固体酸化物電解質を使用することにより水および/または二酸化炭素の電気分解を達成する。
【0081】
したがって、第5の態様において、本発明は、電気化学セルを生産する方法であって、場合によっては、その上に堆積した燃料極層および電解質を含む層を有する基板を準備するステップ、PrおよびLnの源を基板(燃料極層および1つまたは複数の電解質層を含むオプションの層の有無に関わらず)に適用して、空気極層を形成するステップ(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択される)、場合によっては乾燥させるステップ、および場合によっては空気極層を焼結するステップ;それによって空気極を形成するステップを含む方法を提供する。
【0082】
場合によっては、方法は、材料を前記基板に適用して、少なくとも1つの電解質層を形成するステップ、PrおよびLnの源を電解質層の上に適用して、空気極層を形成するステップ、場合によっては乾燥させるステップ、ならびに電解質層および空気極層を同時焼結するステップをさらに含んでいてもよい。
【0083】
例えば、空気極層(例えば活性空気極層、CAL)は、下にある電解質材料層と一緒に同時焼成(すなわち同時焼結)される場合があり、ここで両方の層は、緑色の層として順次敷設(そして場合によってはプレス)されていた。少なくとも1つの電解質層(もちろん他の電解質層がある場合がある)は、ジルコニアを含む層(例えば電子ブロッキング層)であり得る。より少ないステップでの生産を可能にするので、同時焼結は非常に有利である。
【0084】
第6の態様において、本発明は、式Pr(1-x)LnxO(2-0.5x-δ)(式中、Lnは、少なくとも1つの希土類金属から選択され、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の材料を提供する。
【0085】
第7の態様において、本発明は、式Pr(1-x)SmxO(2-0.5x-δ)(式中、δは、酸素欠乏の度合いであり、0.01≦x≦0.4である)の材料を提供する。
【0086】
本発明の第6または第7の態様による材料を製造する方法は:
(a)可溶性のPr塩、好ましくはPr硝酸塩、および可溶性のLn塩、好ましくはLn硝酸塩を含む第1の溶液を製造するステップ;
(b)(a)の第1の溶液を、(a)の塩と反応して、不溶性沈殿物を形成することができる第2の溶液と混合するステップであって、不溶性沈殿物が熱分解され得るステップ;
(c)不溶性沈殿物を焼結して不溶性沈殿物を分解し、本発明の第1の態様による材料を生成するステップ
を含んでもよい。
【0087】
少なくとも第1の電極層を含む電極を形成する方法は、第1の電極層材料の担体中で適切な分散体を準備するステップ、分散体のコーティングを基板に適用するステップ;およびコーティングを焼結して空気極を形成するステップを含んでもよい。
【0088】
焼結は、750℃~900℃、好ましくは800℃~870℃の範囲内の温度で実行され得る。焼結は、空気雰囲気中で実行され得る。
【0089】
定義
本明細書において、用語「ランタノイド」、および「ランタニド」は、交換可能に使用され、原子番号57~71の金属化学元素を意味する。
【0090】
本明細書で使用される用語「ドーパント」は、化学構造に追加される元素、イオンまたは化合物の最大パーセンテージに制限することを意図するものではない。同様に、用語「ドープ処理」は、ある特定の量の元素、イオンまたは化合物の材料への追加を意味することを意図する。材料の最大量は制限されず、それ以降は材料をさらに追加してもドーピングとはみなされない。
【0091】
本明細書で使用される用語「ペロブスカイト構造」は、一般的にペロブスカイト(ABX3)構造を有する化学的に結合した結晶構造の単一のネットワークを指す。これはこの単一のネットワークが、全構造にわたって単一の均一な結晶構造を保持することを必要とすることを意味しない。しかし、異なる結晶構造が、ネットワークの異なる領域間で生じると、これらの領域が、化学結合がその間にさらに容易に形成するのを可能にする相補的構造を有する場合が多い。
【0092】
用語「固体酸化物形電池」(SOC)は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)および固体酸化物形電解セル(SOEC)の両方を包含することを意図している。
【0093】
用語「原子パーセント」または「原子百分率」(本明細書では「at.%」と略される)は、指定のドーパントサイトに対する原子の百分率を指す。
【0094】
元素、化合物または他の材料「の源」という用語は、その源に化学的に結合しているかどうかに関係なくその元素、化合物または他の材料を含む材料を指す。元素、化合物または他の材料の源は、元素源(例えばLn、Sm、PrまたはO2)であり得るか、化合物または1つもしくは複数のそれらの元素、化合物もしくは材料を含む元素、化合物もしくは他の材料を含む混合物の形であり得る。
【0095】
本明細書において電気化学セル、SOC、SOFCおよびSOECへの言及は、円筒型または平板型セルを指す場合がある。電気化学セルユニットは、構成が円筒型または平板型であり得る。平板型燃料電池ユニットは、スタック配置で互いに重なって配置される場合があり、例えば個々の燃料電池ユニットを有するスタック内の100~200個の燃料電池ユニットは、直列で電気的に配置される。
【0096】
電気化学セルは、燃料電池、可逆性燃料電池または電解セルであり得る。一般的に、これらのセルは、同じ構造を有する場合があり、電気化学セルへの言及は、(文脈上特にそうでないことが示唆されていない限り)これらのタイプのセルのいずれかを指す場合がある。
【0097】
「酸化剤極」または「空気極」および「燃料極」は、本明細書で使用され、燃料電池と電解セルとの間で混同される可能性があるので、それぞれSOFCのカソードおよびアノードを指すために、交換可能に使用される場合がある。
【0098】
本明細書において、燃料極(例えばアノード)が基板の上に最初に敷設されるセルが説明されるが、本発明はまた、空気極が基板の上に最初に敷設されるセルを包含する。
【0099】
本明細書に記載のセルは、金属支持型セルを含み、そのセルの層は、金属基板により支持されるが、本発明はまた、各層がその上にコートされたすべての他の層のための構造上の支持を与える、アノード支持型、電解質支持型またはカソード支持型セルを包含する。
【0100】
本発明により包含される電気化学セルは、
a)(例えば電気化学層を有する基板と相互接続したもの(別個のプレート)との)間に流体の体積を挟んで一緒に溶接された2枚の平板型部品
b)(例えば電気化学層を有する基板と相互接続したもの(別個のプレート)と流体の量を与えるスペーサーとの)間に流体の体積を挟んで一緒に溶接された3枚の平板型部品
を含んでもよい。
【0101】
本明細書に記載の本開示の態様の種々の特徴は、当業者により理解されるように、必要に応じて適切な修正を加えて、本開示の同じまたは他の態様における任意の他の特徴と組み合わせて使用されてもよい。
【0102】
さらに、本発明または本開示のすべての態様が、好ましくはその態様に関連して説明された特徴を「含む」が、特許請求の範囲で概説されたそれらの特徴「からなる」または「から本質的になる」場合があることが特に想定されている。
【0103】
本発明は、ここで、添付の図面および実施例を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】
図1は、本発明による材料を含む空気極活性層(CAL)を含むSOFCの走査型電子顕微鏡写真(SEM)断面を説明する。
【
図2】
図2は、Pr
0.9Gd
0.1O
(1.95-δ)のX線回折(XRD)スペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図3】
図3は、Pr
0.8Gd
0.2O
(1.90-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図4】
図4は、Pr
0.9Sm
0.1O
(1.95-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図5】
図5は、Pr
0.85Sm
0.15O
(1.925-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図6】
図6は、Pr
0.9La
0.1O
(1.95-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図7】
図7は、Pr
0.8La
0.2O
(1.90-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図8】
図8は、Pr
0.9Yb
0.1O
(1.95-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図9】
図9は、Pr
0.8Yb
0.2O
(1.90-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図10】
図10は、非ドープPr
6O
11のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【
図11】
図11は、ドーパントおよびドーパントレベルの関数としてXRDから算出された立方晶系格子定数の曲線を示す。
【
図12】
図12は、17層スタックにおけるセルについての温度の関数として正規化された分極抵抗の曲線を示す。多種多様の空気極の変形は、標準の複合空気極と比較される。
【
図13】
図13は、17層スタックにおけるセルについての温度の関数として正規化された分極抵抗の曲線を示す。種々の空気極の変形のより大きい選択(
図12よりも)は、標準の複合空気極と比較される。
【
図14】
図14は、570℃で標準セルと比較した実施例6におけるセルのOCVの箱ひげ図を示す。
【
図15】
図15は、標準セルおよび理論値と比較した温度の関数として実施例6のセルの平均OCVを示す。
【
図16】
図16は、実施例5によるSOCの走査型電子顕微鏡写真(SEM)断面を示す。
【
図17】
図17は、実施例5によるSOCの空気極-電解質界面のSEM断面の詳細を示す。
【
図18】
図18は、実施例6によるSOCの空気極-電解質界面のSEM断面を示す。
【
図19】
図19は、570℃で標準セルと比較した実施例7のセルの平均OCVを示す。
【
図20】
図20は、PSC/CGO複合カソード活性層(標準セル=1.0)を有する標準セルに正規化された実施例9における複合CALを使用するセルについての温度の関数として分極抵抗のグラフを示す。
【
図21】
図21(a)および
図21(b)は、セリア界面層と同時焼成されたカソードを有する実施例9によるSOCの異なる倍率での走査型電子顕微鏡写真(SEM)断面を示す。
【
図22】
図22は、セリア界面層と別個に焼結されたカソードを有する実施例9によるSOCの走査型電子顕微鏡写真(SEM)断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
図1は、アノード(10)、ドープされたセリア電解質層(20)、ジルコニア層(30)、PGO10(Pr
0.9Gd
0.1O
1.95-δ)空気極活性層、CAL(40)およびペロブスカイト空気極バルク層(50)、CBLを含むSOCを説明する。示してはいないが、
図1におけるSOCは、金属表面、例えば金属、特に鋼鉄、より特別にはフェライト系ステンレス鋼層、通常はホイル層の表面上に堆積される可能性がある。
【0106】
CAL(40)は、本発明による材料を含む。アノード(10)、ドープされたセリア中間層(20)、ジルコニア中間層(30)および空気極バルク層(50)は、その組成が当業者に既知であるタイプの層であり、製造および適用の方法も同様である。例えば、これらのタイプの層の敷設のための方法、およびそれらの代表的な組成を、そのような層を金属基板上、特にステンレス鋼基板の上に敷設する方法とともに論じている、国際公開第2009/090419号(A2)を参照されたい。層(空気極層を含む)は、良好な接着を示すか、または接着を改善するためにアイソプレス(isopressed)される場合がある。
【0107】
本発明による材料は、調製、分析およびテストされている。
図2~
図9は、本発明の第1の態様による以下の材料:Pr
0.9Gd
0.1O
(1.95-δ)、Pr
0.8Gd
0.2O
(1.90-δ)、Pr
0.9Sm
0.1O
(1.95-δ)、Pr
0.85Sm
0.15O
(1.925-δ)、Pr
0.9La
0.1O
(1.95-δ)、Pr
0.8La
0.2O
(1.90-δ)、Pr
0.9Yb
0.1O
(1.95-δ)、Pr
0.8Yb
0.2O
(1.90-δ)のXRDスペクトル(Cu K-α放射線)を説明する。
【0108】
これらのXRDスペクトルはそれぞれ、単相立方晶系蛍石型構造の存在を示す。これは、材料が、両方とも同じ立方晶系蛍石型構造を有しているが、わずかに異なる格子定数を有している2つの結晶相に結晶化していることを示す、
図10のXRDスペクトル(非ドープPr
6O
11のXRDスペクトル(Cu K-α放射線))と対比されるものである。より大きい格子定数(したがって、すべてのピークについてより小さい回折角)を有する相は、三価プラセオジムの割合が高い。この情報は、各ピークが、
図2~
図9の場合のような単一ピークではなく、2つの密に隣接するピークを含むダブレットであるという事実から導き出せる。この相不安定性は、上に述べたように、Pr
6O
11に特有である。
【0109】
図11は、PrO
2を参考として提供して、ドーパントおよびドーパントレベルの関数としてXRDから算出された立方晶系格子定数の曲線を示す。すでに説明したように、Pr
3+イオンは、Pr
4+イオンよりも大きい(113ピコメートル対110pm)。Pr
6O
11が、熱力学的平衡でこれらのイオンの両方を含むので、Pr
6O
11は、PrO
2よりも大きい格子定数を有する。
図11において観察された影響は、これと一致している。例えば、小型のYb
3+イオン(イオン半径:100.8pm)が添加されると、その存在は、特大のPr
3+イオンの影響を無効にし、その格子定数は減少し、純PrO
2の格子定数に向かう傾向がある。逆に、特大のLaイオン(イオン半径:117pm)の存在は、ドーパントレベルの増加に伴って格子定数の増加を引き起こす。GdおよびSmイオンでのドープ処理は、これらの材料のイオン半径(それぞれ107.8pmおよび109.8pm)がPr
4+のイオン半径(110pm)に近いので、YbおよびLaイオンでのドープ処理よりも影響が小さい。
【0110】
図12は、多種多様の空気極の変形を有する17層スタックにおけるセルについての温度の関数として正規化された分極抵抗の曲線を、標準の複合空気極(高い触媒的活性を有する希土類ストロンチウムコバルタイト/CGO複合体)と比較して示しており、その中で:
PG010は、Pr
0.9Gd
0.1O
1.95-δ)を指し、
PG020は、Pr
0.8Gd
0.2O
1.90-δ)を指し、
PLa010は、Pr
0.9La
0.1O
1.95-δ)を指し、
PLa020は、Pr
0.8La
0.2O
1.90-δ)を指す。
【0111】
動作スタック(この例では、SOFCモードで作動している)における分極抵抗を測定するため、スタックに部分的に外部から水蒸気改質した天然ガスを模倣する燃料混合物を、酸化しやすい燃料の75%が、そのスタック内での電気化学反応により消費される流量で供給した。内部温度勾配を最小化するために、酸素のための化学量論的要件を相当上回る流量で、空気をスタックの空気極側に供給した。134mAcm-2の一定の電流密度があった。テストが実行される炉の温度を制御することにより、スタックの温度を変化させた。
【0112】
各温度で、スタックが熱平衡に到達すると、ACインピーダンス分光を使用して全17セルのインピーダンスを測定した。この技術は、内部セルインピーダンスをオーム性成分(非周波数の変形)と非オーム性の成分とに分離することを可能にする。空気極の電気化学インピーダンスは、この後、分極抵抗として記載される、インピーダンスの非オーム性部分に分類される。完全な燃料電池における燃料極から空気極の寄与を分離することは一般的には可能ではないので、分極抵抗は、セル全体のものである。分極抵抗は、開回路からの電圧降下からオーム抵抗に寄与する電圧降下を差し引いた値に基づいて算出される(所定温度では電流を流してもあまり変化しない)。引用された値は、625℃で標準の空気極を有する電池の値に正規化されたものであり、少なくとも3つのセルからの全平均値である。燃料極およびセルの外部環境がすべて同じであったので、分極抵抗における何らかの差異は、酸素還元のための空気極の電気化学活性における変化に寄与され得る。1未満の値はいずれも、空気極が、標準の空気極よりも酸素還元にとってより活性であることを意味する。
【0113】
これらの曲線は、すべて本発明による4つのテストされた材料が、電極(空気極)材料として機能することを示す。
【0114】
図13は、標準の複合空気極と比較して(
図12よりも)より多様な空気極の変形を有する17層スタックにおけるセルについての温度の関数として正規化された分極抵抗(
図12に関連して上述したものと同じ方法で測定された)の曲線を示し、その中で:
PGO10は、Pr
0.9Gd
0.1O
1.95-δ)を指し、
PGO20は、Pr
0.8Gd
0.2O
1.90-δ)を指し、
PLaO10は、Pr
0.9La
0.1O
1.95-δ)を指し、
PLaO20は、Pr
0.8La
0.2O
1.90-δ)を指し、
PYbO10は、Pr
0.9Yb
0.1O
1.95-δ)を指し、
PYbO20は、Pr
0.8Yb
0.2O
1.90-δ)を指し、
PSmO15は、Pr
0.85Sm
0.15O
1.925-δ)を指す。
【0115】
本発明にしたがってドープされたプラセオジミアを合成するため(実施例1および2)、そのようなドープされたプラセオジム粉末を使用する印刷可能なインクを合成するため(実施例3)およびCALを印刷するためのそのようなインクを使用するため(実施例4)の一般的な方法である実施例1~4を以下に示す。
【0116】
実施例5は、多層の空気極系における本発明による電極層の使用に関する。
【0117】
実施例6は、電解質系のスカンディア-イットリア安定化ジルコニア含有層と直接接触する本発明による電極層の使用に関する。
【0118】
実施例7は、電解質系のイッテルビア安定化ジルコニア含有層と直接接触する本発明による電極層の使用に関する。
【0119】
実施例8は、複合空気極バルク層の使用に関する。
【0120】
実施例1:ドープされた酸化プラセオジム粉末の合成
溶液の調製
硝酸プラセオジム六水和物と望ましいドーパントの硝酸塩との化学量論的混合物を脱イオン(DI)水に溶解して、モル濃度が0.4Mの溶液を与える。
【0121】
換気フード下、別の容器で、シュウ酸二水和物を、硝酸塩を溶解するのに使用した同量のDI水に溶解して、シュウ酸対硝酸塩のモル比1.7(金属イオンがすべて沈殿するのを確実にする化学量論的要件1.5をわずかに超える)を与える。
【0122】
シュウ酸が完全に溶解すると、pHをモニターしながら、シュウ酸アンモニウムの溶液を残して酸が中和される(pH7)まで、濃水酸化アンモニウム溶液を添加する。
【0123】
沈殿
混合物を激しく撹拌しながら、硝酸塩の溶液をシュウ酸アンモニウム溶液に添加すると、結果として不溶性のプラセオジムとドーパントのシュウ酸塩との薄緑色の沈殿物となる。
【0124】
濾過
高強度濾紙と水槽ポンプとを備えたブフナー漏斗を準備する。水槽ポンプを稼働して、沈殿混合物をフィルター上に注ぎ、濾紙上に沈殿物のケークを残して大部分の上清溶液が除去されるまで十分な時間通過させた。
【0125】
洗浄
沈殿物を3回DI水で、その後1回エタノールで洗浄する。
【0126】
乾燥
湿った濾過ケークを、漏斗から適切な容器に移し、溶剤対応(solvent-rated)オーブンで一晩、70℃で乾燥させる。
【0127】
微粉化
乳棒と乳鉢とを使用して、乾燥させた沈殿ケークを微粉化し、その後、得られた粉末をアルミナるつぼに移す。
【0128】
焼結
微粉砕された沈殿物をアルミナるつぼに移し、様々な気体混合物が中を通って供給され得る気密の管状炉に置く。水バブラー(water bubbler)は、炉からガス排気ラインに提供され、両方とも気体が炉を通って流れることを示唆し、冷却中に気体の供給が遮断される場合でも空気の炉への逆流を防止する。
【0129】
Ar中の5%H2の混合物の流れが与えられ、炉の排気から気体が湧き上がったことを確認する。炉は、1時間の滞留で710℃まで5℃/分で加熱される。その後、炉は、還元雰囲気下で<300℃に冷却され、その後10分間窒素でパージされる。
【0130】
完成した材料が望ましい酸化物相であることを確実にするために、空気の流れが与えられる。炉の排気から気体が湧き上がったことを確認する。炉は、1時間の滞留で710℃まで5℃/分で加熱される。その後、炉は、室温まで冷却される。
【0131】
実施例2:ドープされた酸化プラセオジム粉末の代替の合成
溶液の調製
硝酸プラセオジム六水和物と望ましいドーパントの硝酸塩との化学量論的混合物を脱イオン(DI)水に溶解して、0.15Mのモル濃度の溶液を与える。
【0132】
換気フード下、別の容器で、濃水酸化アンモニウム溶液をDI水に希釈して、硝酸塩溶液として同量の0.45M溶液を与える。
【0133】
沈殿
混合物を激しく撹拌しながら、硝酸塩の溶液を水酸化アンモニウム溶液に添加すると、結果として不溶性のプラセオジムとドーパントの水酸化物との薄緑色のゼラチン質の沈殿物となる。
【0134】
濾過
高強度濾紙と水槽ポンプとを備えたブフナー漏斗を準備する。水槽ポンプを稼働して、沈殿混合物をフィルター上に注ぎ、濾紙上に沈殿物のケークを残して大部分の上清溶液が除去されるまで十分な時間通過させる。
【0135】
洗浄
沈殿物を3回DI水で、その後1回エタノールで洗浄する。
【0136】
乾燥
湿った濾過ケークを、漏斗から適切な容器に移し、溶剤対応(solvent-rated)オーブンで一晩、70℃で乾燥させる。
【0137】
微粉化
乳棒と乳鉢とを使用して、乾燥させた沈殿ケークを微粉化し、その後、得られた粉末をアルミナるつぼに移す。
【0138】
焼結
微粉砕された沈殿物をアルミナるつぼに移し、それを適切な炉に置き、空気中、650℃の温度まで加熱して、水酸化物沈殿物を望ましい混合酸化物に分解する。
【0139】
実施例3:印刷可能なインクの合成
ドープされた酸化プラセオジム粉末の分散および破砕
実施例1または2で議論されたように製造された、ドープされた酸化プラセオジム粉末を計量し、担体、分散剤および消泡剤と混合して、目標量の46wt%の粉末を含むスラリーを形成する。
【0140】
スラリーをバスケットミルに移し、そこにスラリーの重量の2倍の1mm YSZ粉砕媒体も添加する。
【0141】
<0.9μmのd90が達成されるまで、スラリーを約7000rpmで粉砕する。粒度分布は、マルバーンマスターサイザー(登録商標)2000レーザー回折粒度分析装置を使用して測定され得る。
【0142】
その後、スラリーをバスケットミルから取り出す。
【0143】
インクの製造
前のセクションで製造された、分散させ粉砕された酸化プラセオジム粉末のスラリーを、小さい高せん断分散機(HSD)のポットに移し、HSD上に置く。
【0144】
完成したインクの2.5~3.5wt%に相当する量のバインダ粉末を計量する。
【0145】
バインダを、HSD上で積極的に分散されているスラリーに添加する。
【0146】
バインダがインクに完全に溶解するまで、インクをHSD上に放置する。
【0147】
最終の均質化のためにインクを3本ロールミル(TRM)に移し、5μmのフロントニップを用いてミルに4回通し、バインダがインクに完全に均質化され、5μmより大きい粒子が完成したインクに残っていないことを確認する。
【0148】
実施例4:インクの印刷および活性層の形成
当該基板は、金属支持型SOFCの上に堆積された電解質層を含んでいた。金属支持型SOFCの電解質層の上に単回通過で、自動化スクリーン印刷機を使用してインクをスクリーン印刷した。その後、乾燥器内で乾燥させた。およそ3μmの薄い印刷を与えるように、インク固形分とスクリーンメッシュとの組み合わせを選択した。CBLの添加に続いて、次にCBLと一緒に、820~870℃の温度で層を焼結して、CALを形成した。焼結に続いて、X線回折およびBET分析を繰り返した。焼結後、微結晶サイズにおける僅かな増大およびBET表面領域における減少があったが、結晶構造における変化はなかった。層は、依然として、立方晶系蛍石型構造を有する単相からなっていた。
【0149】
実施例5:PrLnOのCALの層およびさらなる層を使用する空気極。
本明細書に記載され、上記実施例1~4に例示される第1の電極材料は、標準と同等またはそれよりも良好な性能を有し、空中の汚染物質、特に空気中の硫黄および水蒸気による中毒の影響を受けにくい。性能をより一層改善するため、3層からなるSOFC空気極を生産した。3層電極は、クロム汚染の影響を有利に低減し(酸化プラセオジムはクロミアと反応して、ペロブスカイトを形成する可能性がある)、バルク層と活性層との間のさらに良好な接着を確実にする。
【0150】
電極の3層は、優れた安定性および熱膨張を与えるLCN60のバルク層であり、残りのセル、希土類ストロンチウムコバルタイト(またはLSCF)/CGOの界面複合層および希土類ドープ酸化プラセオジムの触媒活性層と一致していた。界面層は、活性層とバルクとの間の良好な接着を確実にすると同時に、クロムおよび硫黄などの毒が、ストロンチウムがない活性層(クロム中毒の影響を受けやすい可能性がある)を得る前に希土類ストロンチウムコバルタイト/コバルトフェライトと反応する活性層のためのポイズンゲッターとしても作用する。界面層は、空気極バルク層と類似の熱係数を有する。これは活性層を分解から保護する(水蒸気、二酸化炭素または二酸化硫黄により影響を受けない)。
【0151】
空気極は、第1の電極材料(例えばPSmO10)の薄層(約3ミクロン)、希土類ストロンチウムコバルタイト/CGO(例えばReSC/CGO10 60:40(式中、「Re」は希土類を指す))の薄層(約3ミクロン)、および最後のさらに厚みがある(約40ミクロン)のバルク層(LCN60)の3層としてスクリーン印刷されることにより生産された。
【0152】
場合によっては、これらの層を焼き尽くし、静水圧にまたは一軸的にプレスして、それらの圧粉密度を高め、その後、最後に空気中、800~850℃で焼結して、完成した空気極を形成することができる。
【0153】
一般的に、粘着性は、電気化学的活性層がPLnO、例えばPGO10またはPSmO10であり、この最上部にPSC/CGOの界面層がある2層を印刷することにより層をアイソプレスする(isopressing)必要なしで改善され得る。
【0154】
説明された空気極は、標準の金属支持型SOFCに提供され、17のセルスタックに組み込まれた。各セルについてアノードは、セリア-ニッケルサーメットであり、電解質は、ドープされたジルコニア電子ブロッキング層を有するCGOを含んでいた。以下の実施例5で議論されるように、活性層は、ジルコニア電子ブロッキング層と直接接触している可能性があるか、または例えばCGOの層は、活性層とジルコニア電子ブロッキング層との間に挟まれている可能性がある。
【0155】
空気側に気流、燃料側に模擬水蒸気改質天然ガスの燃料を用いて、2.19khの経過時間、570℃(スタック空気出口温度)の温度、および17.81(227mAcm-2)の電流で、燃料使用率(Uf)が80%、空気使用率(Ua)が20%、空気中の水蒸気が1.5%でスタックを稼働させた。
【0156】
標準セル(上述した通りであるが標準の複合空気極を有する)と、800℃または820℃で焼成され、プレスされた(300MPaの圧力でアイソプレス(isopressing)された)か、またはプレスされていないPSmO10とについて、経過時間に対する電圧およびASR劣化率についての結果を表2に示す。
【0157】
【0158】
結果から、テストされたPSmO10空気極活性層(CAL)がすべて、1.5khで2200時間後に低いまたは非常に低い劣化を示すことが示される。 スタックは、重大な性能変化なしで数回のディープ熱サイクルを受けた。実施例による空気極が優れており、優れた活性、粘着力を示し、汚染の影響をほとんど受けないことが結論である。
【0159】
実施例5のSOCの断面を
図16に示し、詳細は
図17に示す。
図16および
図17において、SOCの層は、バルク空気極層(CBL)200、ReSC/CGOの界面空気極層210、PSmO10の空気極活性層(CAL)220、ジルコニア電子ブロッキング層230、ドープされたセリアバリア層235、ドープされたセリアの電解質層240および燃料極250である。燃料極は、金属基板(示さず)の上に支持される。
【0160】
実施例6.電解質のスカンディア-イットリア安定化ジルコニア含有層と直接接触したPrLnO電極材料。
この実施例は、電解質系でジルコニア電子ブロッキング層と直接接触したPrLnO CALの性能を調査する。
【0161】
空気極は、第1の電極材料(例えばPSmO10)の薄層(約3ミクロン)、希土類ストロンチウムコバルタイト/CGO(例えばReSC/CGO10 60:40)の薄層(約3ミクロン)、および最後のさらに厚みがある(約40ミクロン)のバルク層(LCN60)の3層として電解質の上にスクリーン印刷されることにより生産された。
【0162】
説明された空気極は、標準の金属支持型SOFCに与えられ、スタックに組み込まれた。各セルについてアノードは、セリア-ニッケルサーメットであり、電解質は、スカンディア-イットリア安定化ジルコニア電子ブロッキング層を有するCGOを含んでいた。
【0163】
2種類のセルが生産された:セル1は、ジルコニア電子ブロッキング層の上に直接堆積した、ドープされたセリア保護層を有していた。セル2は、ドープされたセリア保護層を有しておらず、そのため、PSmO10のCALは、ジルコニア電子ブロッキング層と直接接触していた。
【0164】
セルは、空気側で気流、燃料側でN2中44%H2の燃料を用いる開回路で、570℃の温度でテストされた。
【0165】
セルを標準セルと比較した。
【0166】
図14は、570℃で標準セルと比較したセルの開回路電圧(OCV)の箱ひげ図を示す。
【0167】
変形はすべて、標準セルよりもさらに高いOCVを示し、セルの2つの変形も、わずかな変動を示した。
【0168】
図15は、標準セルと比較した温度の関数としてセルの平均OCVを示す。テストされたセルであるセル1およびセル2はそれぞれ良好な結果を示す。ドープされたセリア層を有するセル(STDおよびセル1)は、温度に伴うOCV減衰が加速する傾向を示すが、セル2の結果は、適度に線形である。
【0169】
セル1およびセル2の電気化学的性能も評価し、標準セルに匹敵することが認められ、セル2におけるドープされたセリア緩衝層の省略が性能に悪影響を及ぼさなかったことを示した。
【0170】
テストされたセルについての優れた結果は、保護層を除去することによるセルデザインの単純化が可能であることを示す。したがって、希土類ドーププラセオジミア空気極電極触媒、例えばPSmO10は、セルのジルコニア電子ブロッキング層の上に直接堆積されたCALと少なくとも等価のセル性能を与える可能性があり、ドープされたセリアのバリア層の必要性を回避する。ジルコニアとプラセオジミアとの間の少量の相互拡散が、境界面の両側にイオン伝導性の相をもたらす可能性が高いので、非導電性界面層が、これらの材料間に形成すされる可能性が低い。これは、セルの製造コストを大幅に削減する可能性がある。
【0171】
実施例6のSOCの断面詳細を
図18に示し、その中で、SOCの層は、バルク空気極層300、ReSC/CGOの界面空気極層310、PSmO10の空気極活性層320、ジルコニア電子ブロッキング層330およびドープされたセリアの電解質層340である。燃料極層および基板は示していない。
【0172】
電解質のドープされたジルコニア含有層およびPrLnO電極材料の同時焼結を評価するために、他のテストを実行した。同時焼結は、生産を単純化し、焼結ステップの数が少なくなる。ScYSZ層およびPrLnO層は、基板の上に緑色層として順次堆積され、800℃~850℃で同時焼結された(層は、場合によってはプレスされてもよい)。セルのOCV結果は、許容範囲であった。
【0173】
実施例7.電解質のイッテルビア安定化ジルコニア含有層と直接接触したPrLnO電極材料。
この実施例は、電解質系でジルコニア電子ブロッキング層と直接接触したPrLnO CALの性能を調査する。
【0174】
空気極は、第1の電極材料(例えばPSmO10)の薄層(約3ミクロン)、希土類ストロンチウムコバルタイト/CGO(例えばReSC/CGO10 60:40)の薄層(約3ミクロン)、および最後のさらに厚みがある(約40ミクロン)のバルク層(LCN60)の3層として電解質の上にスクリーン印刷されることにより生産された。
【0175】
説明された空気極は、標準の金属支持型SOFCに与えられ、スタックに組み込まれた。各セルについてアノードは、セリア-ニッケルサーメットであり、電解質は、イッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ)電子ブロッキング層を有するCGOを含んでいた。
【0176】
図19は、570℃で標準セルと比較したセル(セル3として記載)の開回路電圧(OCV)の箱ひげ図を示す。実施例6と同様に、この実施例にしたがって製造されたセルのOCVが、標準セルよりも有意に高いことを確認することができる。
【0177】
セル3の電気化学的性能も評価し、標準セルに匹敵するか、またはいくらかの条件下ではそれより良好であることが認められ、ドープされたセリア緩衝層の省略が性能に悪影響を及ぼさなかったことが示された。
【0178】
実施例8.PLnO活性空気極および複合バルク空気極の2層空気極
第1の層と第2の層との間に緩衝層がない、PSmO10の第1の層と25wt%のPSC/75wt%のLCN60の複合体の第2の層との2層空気極を、上記の実施例5に記載の通りの他の標準構成のセルの上に印刷した。その後、印刷された層を焼結して、完成したセルを形成した。
【0179】
この場合の2層の粘着力が、
図1で説明された単一成分のバルクカソード層と比較して改善され、十分な界面結合を達成するために静水圧プレスする必要がなかったことが分かった。
【0180】
実施例9.PSmO10/CGO10の複合カソード活性層。
それぞれ、PSmO10/CGO10(重量で60%:40%)の第1の電極複合材料の薄層、希土類ストロンチウムコバルタイト/CGO(例えばReSC/CGO10 60:40(式中、「Re」は希土類を指す))の薄層、および最後のさらに厚みがあるバルクカソード層(LCN60)の3層としてスクリーン印刷されることにより生産された空気極を有する二種類のセルを調査した。
【0181】
各セルについてアノードは、セリア-ニッケルサーメットであり、電解質は、ドープされたジルコニア電子ブロッキング層およびジルコニアブロッキング層の上に界面のドープされたセリア層を有するCGOを含んでいた。第1の電極複合材料の薄層は、セリア層の上に印刷された。
【0182】
図20は、133mAcm
-2および75%の燃料使用率で稼働する17層スタック内のセルからのテストデータのグラフを示す。グラフは、PSC/CGO複合カソード活性層を有する標準セルに正規化された温度の関数としての分極抵抗を示す(標準セル=1.0)。結果は、PSmO10/CGO10複合体について改善された電極性能(より低い分極抵抗)を示す。
【0183】
図21(a)および
図21(b)は、セリア界面層と同時焼成されたカソードを有するPSmO10-CGO(60:40)複合カソード活性層(CAL)およびスタックの他の層の2倍の断面SEM像を示す。
【0184】
図21(a)および
図21(b)において、SOCの層は、バルク空気極層(CBL)400、ReSC/CGOの界面空気極層410、PSmO10/CGO10(60:40wt%)の空気極活性層(CAL)420、ジルコニア電子ブロッキング層430、ドープされたセリアのバリア層435、ドープされたセリアの電解質層440および燃料極450である。燃料極450は、金属基板(示さず)の上に支持されている。
【0185】
図22は、セリア界面層とは別個に焼結されたカソードを有するPSmO10-CGO(60:40)複合カソード活性層(CAL)およびスタックの他の層の断面SEM像を示す。
【0186】
図22において、SOCの層は、バルク空気極層(CBL)500、ReSC/CGOの界面空気極層510、PSmO10/CGO10(60:40wt%)の空気極活性層(CAL)520、ジルコニア電子ブロッキング層530、ドープされたセリアのバリア層535、ドープされたセリアの電解質層540および燃料極550である。燃料極550は、金属基板(示さず)の上に支持されている。
【0187】
図21および
図22において、材料の密度および形態が非常に類似しているため、CAL内の2つの相は、SEMイメージングではほとんどコントラストがない。
【符号の説明】
【0188】
10-アノード(燃料極)
20-ドープされたセリアの電解質層
30-ジルコニアの電子ブロッキング層
40-空気極活性層(カソード活性層、CAL)
50-バルクカソード層
200-バルク空気極層(CBL)
210-ReSC/CGOの界面空気極層
220-PSmO10の空気極活性層(CAL)
230-ジルコニアと空気極活性層との間に薄いドープされたセリアのバリア層を有するジルコニア電子ブロッキング層
235-薄いドープされたセリアの界面層
240-ドープされたセリアの電解質層
250-燃料極
300-バルク空気極層
310-ReSC/CGOの界面空気極層
320-PSmO10の空気極活性層
330-ジルコニア電子ブロッキング層
340-ドープされたセリアの電解質層
400-バルク空気極層
410-ReSC/CGOの界面空気極層
420-PSmO10/CGOの空気極活性複合層
430-ジルコニア電子ブロッキング層
435-薄いドープされたセリアのバリア/界面層
440-ドープされたセリアの電解質層
450-燃料極
500-バルク空気極層
510-ReSC/CGOの界面空気極層
520-PSmO10/CGOの空気極活性複合層
530-ジルコニア電子ブロッキング層
535-薄いドープされたセリアのバリア/界面層
540-ドープされたセリアの電解質層
550-燃料極
【0189】
上記明細書で言及されたすべての刊行物は、本明細書に参照により組み込まれる。本発明の例証的実施形態は、添付の図面を参照して本明細書で詳細に説明されているが、本発明が正確な実施形態に限定されず、種々の変更および改変が、添付の特許請求の範囲およびそれらと同等のものにより定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によりその中で実行することができることが理解される。
【国際調査報告】