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特表2024-537691波面感知のための光フェーズドアレイアーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】波面感知のための光フェーズドアレイアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20241008BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20241008BHJP
   H04B 10/40 20130101ALI20241008BHJP
   G02F 1/29 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04B10/112
G02F1/01 B
H04B10/40
G02F1/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517494
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022042025
(87)【国際公開番号】W WO2023048910
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,605
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/897,410
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクリー,デビン
(72)【発明者】
【氏名】エルクメン,バリス
(72)【発明者】
【氏名】アブリル,ジョーキン マトレス
(72)【発明者】
【氏名】エップ,ポール
【テーマコード(参考)】
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2K102BA01
2K102BB04
2K102BD01
2K102BD09
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA25
2K102EB08
2K102EB22
5K102AA22
5K102AL23
5K102AL28
5K102PB01
5K102PB02
5K102PB03
5K102PH15
5K102PH31
5K102PH49
5K102PH50
5K102RB01
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】 波面感知を実行するワイヤレス光通信端末のための光フェーズドアレイ(OPA)アーキテクチャを提供することである。
【解決手段】 光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップ(114)は、複数のアレイ要素(120)と、複数の移相器(121)と、複数のコンバイナ(230~234)と、シングルモード導波路に結合するように構成されたエッジカプラ(236)とを含む。複数の移相器は、複数のアレイ要素内の各アレイ要素に接続された移相器を有する移相器の層を含む。複数のコンバイナは、複数の移相器をエッジカプラに接続するように構成される。複数のコンバイナは、第2のコンバイナ又はエッジカプラに接続された第1の出力を有する第1のコンバイナを含み、第1のコンバイナの第2の出力は光検出器(240)に接続される。第1のコンバイナにおける同相光部分は、第1の出力を通して出力され、第1のコンバイナにおける異相光部分は、第2の出力を通して出力される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップであって、
複数のアレイ要素と、
前記複数のアレイ要素内の各アレイ要素に接続された移相器を有する移相器の層を含む複数の移相器と、
前記複数の移相器をシングルモード導波路のためのエッジカプラに接続するように構成された複数のコンバイナであって、前記複数のコンバイナが、
第2のコンバイナ又は前記エッジカプラに接続された第1の出力を有する第1のコンバイナを含み、
前記第1のコンバイナの第2の出力が光検出器に接続され、
前記第1のコンバイナにおける同相光部分が、前記第1の出力を通して出力され、前記第1のコンバイナにおける異相光部分が、前記第2の出力を通して出力される、複数のコンバイナと、
前記シングルモード導波路に結合するように構成された前記エッジカプラと、
を備える、光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップ。
【請求項2】
前記複数のアレイ要素が格子エミッタを含む、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項3】
前記複数のアレイ要素が、32×32格子のアレイ要素に配置される、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項4】
前記複数のコンバイナが、少なくとも1つの2×2マルチモード干渉計(MMI)を含む、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項5】
前記複数のコンバイナが、少なくとも1つの方向性カプラを含む、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項6】
前記複数のコンバイナが、H木構成で配置される、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項7】
前記複数のコンバイナが、光検出器に接続された出力を有する2つ以上のコンバイナを含む、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項8】
前記複数のアレイ要素及び前記複数の移相器がシリコン内に配置され、前記エッジカプラが窒化シリコン内に配置される、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項9】
前記複数のコンバイナの第1のセットがシリコン内に配置され、前記複数のコンバイナの第2のセットが窒化シリコン内に配置される、請求項8に記載のOPAチップ。
【請求項10】
前記複数のアレイ要素と前記OPAチップのエッジとの間に配置されたマイクロレンズアレイを更に備える、請求項1に記載のOPAチップ。
【請求項11】
請求項1に記載のOPAチップを含む、光通信システム。
【請求項12】
前記OPAチップを介して第1の光信号を送信し、前記OPAチップを介して第2の光信号を受信するように構成された1つ以上のプロセッサを更に備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサが、
前記光検出器から信号を受信し、
前記OPAチップに結合される入射光の量を増加させるために、前記複数の移相器のうちの少なくとも1つの移相器に対する調整を決定し、
前記調整を実行するための命令を前記少なくとも1つの移相器に送信する、ように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の光信号及び前記第2の光信号が、100GHz以上の波長分離を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
光通信のための波面補正を実行する方法であって、前記方法が、
通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて、入射光通信ビームを受信することと、
前記フォトニック集積チップのコンバイナにおいて、前記入射光通信ビームの第1のビーム部分及び前記入射光通信ビームの第2のビーム部分を受信することと、
前記コンバイナにおいて、前記第1のビーム部分及び前記第2のビーム部分を出力ビームに結合することと、
前記コンバイナから、前記フォトニック集積チップのエッジカプラに向かって第1の出力ビーム部分を出力することであって、前記第1の出力ビーム部分が、前記出力ビームの同相部分である、第1の出力ビーム部分を出力することと、
前記コンバイナから、第2の出力ビーム部分を光検出器に出力することであって、前記第2の出力ビーム部分が、前記出力ビームの異相部分である、第2の出力ビーム部分を出力することと、
前記通信システムの1つ以上のプロセッサによって、前記光検出器からの前記第2の出力ビーム部分の測定を検出することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記測定に基づいて前記入射光通信ビームの波面誤差を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記決定された波面誤差に基づいて、前記通信システムの少なくとも1つの移相器を調整することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記波面誤差の前記決定が、前記測定に基づいて相対位相差を決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサによって、前記フォトニック集積チップ及び前記調整された少なくとも1つの移相器を使用して出射光通信ビームを送信することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記測定の前記検出、前記波面誤差の前記決定、及び前記少なくとも1つの移相器の前記調整が、フィードバックループを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フィードバックループを使用して、前記入射光通信ビームの変化を追跡することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの移相器の前記調整が、前記コンバイナにおいて、前記出力ビームの前記同相部分を増加させることと、前記出力ビームの前記異相部分を減少させることとを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年8月29日に出願された米国特許出願第17/897,410号及び2021年9月21日に出願された米国仮特許出願第63/246,605号の出願日の優先権と利益を主張するものであり、それらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス光通信は、送信ビームの狭い角度幅によって提供される高い利得に部分的に起因して、高スループット及び長距離通信を可能にする。しかしながら、狭いビームはまた、遠隔端で端末開口部に位置合わせされたままにするために、正確かつ能動的に向けられなければならないことを必要とする。このポインティングは、ビームを操縦するように作動される小型ミラー(例えば、MEMS又はボイスコイルベースの高速ステアリングミラー機構)によって達成され得る。他の実装形態では、可動部分のないビームの電気光学ステアリングが、ビームを操縦するために使用され、これは、コスト、寿命、及び性能の利点を提供する。光フェーズドアレイ(OPA)は、適応光学、ポイントツーマルチポイントサポート、及びメッシュネットワークトポロジに対して追加の利点を有する重要な技術構成要素である。OPA内の各能動要素は、電気光学位相シフト能力を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップを提供する。OPAチップは、複数のアレイ要素と、複数のアレイ要素内の各アレイ要素に接続された移相器を有する移相器の層を含む複数の移相器と、複数の移相器をシングルモード導波路のためのエッジカプラに接続するように構成された複数のコンバイナであって、複数のコンバイナが、第2のコンバイナ又はエッジカプラに接続された第1の出力を有する第1のコンバイナを含み、第1のコンバイナの第2の出力が光検出器に接続され、第1のコンバイナにおける同相光部分が、第1の出力を通して出力され、第1のコンバイナにおける異相光部分が、第2の出力を通して出力される、複数のコンバイナと、シングルモード導波路に結合するように構成されたエッジカプラと、を含む。
【0004】
一例では、複数のアレイ要素は格子エミッタを含む。別の例では、複数のアレイ要素は、32×32格子のアレイ要素に配置される。更なる例では、複数のコンバイナは、少なくとも1つの2×2マルチモード干渉計(MMI)を含む。更に別の例では、複数のコンバイナは、少なくとも1つの方向性カプラを含む。更に別の例では、複数のコンバイナはH木構成で配置される。別の例では、複数のコンバイナは、光検出器に接続された出力を有する2つ以上のコンバイナを含む。
【0005】
更なる例では、複数のアレイ要素及び複数の移相器がシリコン内に配置され、エッジカプラが窒化シリコン内に配置される。この例では、複数のコンバイナの第1のセットがシリコン内に配置され、複数のコンバイナの第2のセットが窒化シリコン内に配置される。更に別の例では、OPAチップはまた、複数のアレイ要素とOPAチップのエッジとの間に配置されたマイクロレンズアレイを含む。
【0006】
更に別の例では、光通信システムがOPAチップを含む。この例では、光通信システムはまた、OPAチップを介して第1の光信号を送信し、OPAチップを介して第2の光信号を受信するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。また、この例では、1つ以上のプロセッサは、光検出器から信号を受信し、OPAチップに結合される入射光の量を増加させるために、複数の移相器のうちの少なくとも1つの移相器に対する調整を決定し、調整を実行するための命令を少なくとも1つの移相器に送信する、ように構成されている。追加又は代替として、この例では、第1の光信号及び第2の光信号は、100GHz以上の波長分離を有する。
【0007】
本開示の他の態様は、光通信のための波面補正を実行するための方法を提供する。方法は、通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて、入射光通信ビームを受信することと、フォトニック集積チップのコンバイナにおいて、入射光通信ビームの第1のビーム部分及び入射光通信ビームの第2のビーム部分を受信することと、コンバイナにおいて、第1のビーム部分及び第2のビーム部分を出力ビームに結合することと、コンバイナから、フォトニック集積チップのエッジカプラに向かって第1の出力ビーム部分を出力することであって、第1の出力ビーム部分が、出力ビームの同相部分である、ことと、コンバイナから、第2の出力ビーム部分を光検出器に出力することであって、第2の出力ビーム部分が、出力ビームの異相部分である、ことと、通信システムの1つ以上のプロセッサによって、光検出器からの第2の出力ビーム部分の測定を検出することと、1つ以上のプロセッサによって、測定に基づいて入射光通信ビームの波面誤差を決定することと、1つ以上のプロセッサによって、決定された波面誤差に基づいて、通信システムの少なくとも1つの移相器を調整することと、を含む。
【0008】
一例では、波面誤差の決定が、測定に基づいて相対位相差を決定することを含む。別の例では、方法はまた、1つ以上のプロセッサによって、フォトニック集積チップ及び調整された少なくとも1つの移相器を使用して出射光通信ビームを送信することを含む。この例では、測定の検出、波面誤差の決定、及び少なくとも1つの移相器の調整が、フィードバックループを含む。更にこの例では、方法はまた、フィードバックループを使用して、入射光通信ビームの変化を追跡することを含む。更なる例では、少なくとも1つの移相器の調整が、コンバイナにおいて、出力ビームの同相部分を増加させることと、出力ビームの異相部分を減少させることとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスのブロック図である。
図2A】本開示の態様による移相器アーキテクチャの絵図である。
図2B】本開示の態様による光フェーズドアレイアーキテクチャの絵図である。
図3】本開示の態様によるネットワークの絵図である。
図4】本開示の態様によるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概要
本技術は、波面感知を実行するワイヤレス光通信端末のための光フェーズドアレイ(OPA)アーキテクチャに関する。アーキテクチャ設計は、リアルタイム波面測定、到来角測定、及び低電力受信信号を伴う高送信電力を可能にし得る。波面測定は、無損失であり得る。更に、単一のOPAのためのアーキテクチャ設計は、同時の送信及び受信機能を実行することができる。
【0011】
OPAアーキテクチャは、マイクロレンズアレイと、各マイクロレンズに関連付けられたエミッタと、複数の移相器と、OPA内の構成要素を接続する導波路とを含み得る。OPAアーキテクチャは、単一のチップ、OPAチップ上に配置され得る。導波路は、エミッタと、他の送信機及び/又は受信機構成要素に接続するエッジカプラとの間で徐々に合流する。特に、導波路構成は、各段で2つの導波路を組み合わせることができ、これは、導波路の数が、エッジカプラにより近い連続する段ごとに2分の1に低減されることを意味する。結合点はノードであってもよく、コンバイナは各ノードにあってもよい。コンバイナは、2×2マルチモード干渉(MMI)又は方向性カプラであってもよい。
【0012】
マイクロレンズアレイは、有効なフィルファクタを増加させるために、光をエミッタ上に集束させる凸レンズで構成されてもよい。いくつかの実装形態では、エミッタは、格子エミッタであり得る。アレイ内の各マイクロレンズは、逆通過ビームのための信号内のサイドローブ並びに受信機角度受容を除去するように成形される。各マイクロレンズは、典型的には、直径及び高さが数十~数百マイクロメートルである。更に、各マイクロレンズは、レンズをウェハに直接成形、印刷、又はエッチングすることによって製造されてもよい。マイクロレンズアレイを統合することは、格子エミッタサイズの低減及びエミッタ間のピッチの増加を可能にする。このようにして、このアーキテクチャにおける2次元導波路ルーティングは、単層光フェーズドアレイにより良好に適合し得る。
【0013】
エミッタは、有効フィルファクタを更に増加させ、波面を改善するために、特定の位相及び強度プロファイルを生成するように構成されてもよい。位相及び強度プロファイルは、逆設計又は他の技法を使用して、透過信号がマイクロレンズアレイに伝搬し、通過する際に透過信号がどのように変化するかを説明するように決定することができる。位相プロファイルは、従来の格子エミッタの平坦なプロファイルとは異なり得、強度プロファイルは、従来の格子エミッタのガウシアン形状の強度プロファイルとは異なり得る。
【0014】
OPAアーキテクチャの少なくともいくつかの構成要素は、送信信号におけるより高い電力をサポートするために窒化シリコン(SiN)内に配置され得る。SiNは、従来から利用されているシリコンオンインシュレータ(SOI)よりも高い光パワー非線形閾値を有する。SiNは、標準的な鋳造プロセスに適合し、可視と赤外との間の波長に対して低い減衰を提供する。SiNは、バンドギャップが大きいため、シリコンの最大出力を制限する2光子吸収の影響を受けない。このアーキテクチャは、マルチワット送信電力をOPAチップに注入することを可能にし、これは次いで、導波路構成を通して集中される。送信信号が導波路構成内でエミッタに向かって分岐するにつれて、エミッタに最も近い段の各分岐内の電力は、SOIの2光子吸収限界未満に低減し得る。送信信号の分岐は、SOI層内のエミッタに断熱的に結合することができる。いくつかの実装形態では、導波路構成の一部がSOI層内に配置されてもよい。
【0015】
ノードのうちのいくつかにおいて、コンバイナは、各ノードに2つの入力ポート及び2つの出力ポートがあるように、入射光ビームのための受信経路の各ノードにある。第1の出力は光検出器に向けられてもよく、第2の出力は受信経路の次のノード又は他の受信機構成要素に向けられてもよい。光検出器を有するコンバイナの数は、エッジカプラにおける最終結合信号における単一の光検出器と、導波路木に沿った各ノードにおける光検出器との間の任意の数に対するアルゴリズムに基づいて選択することができる。第1の出力は、入射光ビームの異相部分、すなわち第1の部分を送信することができ、第2の出力は、入射光ビームの同相部分、すなわち第2の部分を送信することができる。したがって、一方のポートから出射する光が存在しない場合には、入射ビームからの全ての光が他方のポートから出力されていると判断することができる。
【0016】
光検出器は、第1の出力から受光される入射光ビームの第1の部分の光の量を測定するように構成されてもよい。第1の出力ポート内の光の量は、第1の入力ポートからの部分光及び第2の入力ポートからの部分光を含み得る。例えば、光の量は、第1の入力ポートにおける信号のスケーリングされた値である第1の光ビームと、第2の入力ポートにおける信号のスケーリングされかつ90度位相シフトされた値である第2の光ビームとを含んでもよい。光の量を測定することは、光検出器の第1の軸に沿って第1の信号を生成し、第1の軸の90度位相シフトで光検出器の第2の軸に沿って第2の信号を生成することを含むことができる。例えば、第1の信号は第1の光ビームに基づいて生成されてもよく、第2の信号は第2の光ビームに基づいて生成されてもよい。生成された第1の信号の振幅及び生成された第2の信号の振幅は、第1の部分の大きさ又は強度を決定するために合計されてもよい。例えば、第1及び第2の信号の和の振幅二乗を光検出器によって測定することができる。
【0017】
測定された振幅又は強度は、2つの入力光信号間の相対位相差を決定するために光検出器から出力されてもよく、これは次に、波面及び入力到来角の計算に使用される。この測定及び計算は、追加の損失をほとんど又は全く導入しない。決定された相対位相差に基づいて、移相器は、第1の出力における入射ビームの第1の部分において測定された光を低減するように調整され得る。第1の出力ポートにおける光の量が少ないほど、受信経路の次のノード又は他の受信機構成要素に接続される第2の出力ポートに結合する光の量が多くなる。
【0018】
端末によって使用される送信信号及び受信信号は、周波数分離を有するように構成され得る。周波数分離は、端末を同時に通過し、自由空間を通過する可能性がある送信信号と受信信号との間の分離を改善する。送信信号及び受信信号のための導波路は同一であり得、導波路木内の経路長はほぼ同一であるように設計され得るので、端末の構成要素が両方の信号に対して同じ効果を有することを確実にしながら、周波数分離は可能な限り大きくなるように選択され得る。いくつかの例では、光分離はサーキュレータによって提供されてもよい。いくつかの更なる例では、光分離はまた、サーキュレータと光源又はセンサとの間など、端末内の部分に沿って、送信経路のための1つの導波路及び受信経路のための別の導波路を使用することによって提供されてもよい。サーキュレータ又はその近くなどに、送信信号と受信信号との間の分離を更に増大させるフィルタがあってもよい。一例では、周波数分離は約100GHz以上であってもよい。
【0019】
全体として、光通信端末用のこのOPAの設計は、より高速でより正確な位置合わせ調整を可能にすることができ、これは、光リンクに沿って送信される光の量を増加させることができる。OPAの材料及び設計はまた、高電力で送信し、低電力受信信号を検出するように構成され得る。OPAアーキテクチャはまた、光通信端末を製造するための複雑さ、構成要素、及びコストを低減し得る。複雑さ及び構成要素の低減はまた、誤差又は摩耗を低減し、システムの寿命を増加させ得る。
【0020】
システムの例
図1は、例えば自由空間光通信(FSOC)システムなどのシステムの一部として、第2の通信端末の第2の通信デバイスと1つ以上のリンクを形成するように構成された第1の通信端末の第1の通信デバイスのブロック図100である。図2A図2Bは、図1の第1の通信デバイスの例示的なシステムアーキテクチャの絵図である。例えば、第1の通信デバイス102は、1つ以上のプロセッサ104と、メモリ106と、送受信機112と、光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップ114とを含む。いくつかの実装形態では、送受信機112は、フォトニック集積チップであり得る。第1の通信デバイス102は、2つ以上の送受信機チップ及び/又は2つ以上のOPAチップを含み得る。
【0021】
1つ以上のプロセッサ104は、市販のCPUなどの任意の従来のプロセッサ(複数可)であり得る。代替的に、1つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)などの専用デバイス、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)などの他のハードウェアベースのプロセッサであってもよい。図1は、1つ以上のプロセッサ104及びメモリ106を、図2Aに示されるデジタル信号処理のためのモデム202など、同じブロック内にあるものとして機能的に示すが、1つ以上のプロセッサ104及びメモリ106は、実際には、モデム202及び別個の処理ユニット203の両方など、同じ物理的ハウジング内に格納されてもされなくてもよい複数のプロセッサ及びメモリを備え得る。したがって、プロセッサ又はコンピュータへの言及は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサ又はコンピュータ又はメモリの集合への言及を含むと理解されよう。
【0022】
メモリ106は、1つ以上のプロセッサ104によって実行されてもよいデータ108及び命令110を含む、1つ以上のプロセッサ104によってアクセス可能な情報を格納してもよい。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、又は他の光ディスクなどのコンピュータ可読媒体、並びに他の書き込み可能及び読み取り専用メモリを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意の種類のメモリであってもよい。システム及び方法は、上記の様々な組合せを含んでもよく、それによって、データ108及び命令110の様々な部分が、様々な種類の媒体に格納される。メモリ106などの各通信デバイスのメモリには、信号を追跡するために決定された1つ以上のオフセットなどの較正情報が格納されてもよい。
【0023】
データ108は、命令110に従って、1つ以上のプロセッサ104によって検索、格納、又は修正されてもよい。例えば、システム及び方法はいずれの特定のデータ構造によっても制限されないが、データ108は、複数の異なるフィールド及びレコード、XML文書又はフラットファイルを有するテーブルとして、リレーショナルデータベースのコンピュータレジスタに格納され得る。データ108は、バイナリ値又はユニコードなどであるがこれらに限定されない任意のコンピュータ可読フォーマットでフォーマットされてもよい。更なる単なる例として、画像データがビットマップとして格納され得、ビットマップは、圧縮又は非圧縮、無損失(例えば、BMP)又は損失(例えば、JPEG)、及びビットマップ又はベクトルベース(例えば、SVG)、並びにグラフィックスを描画するためのコンピュータ命令であるフォーマットに従って格納されるピクセルの格子からなる。データ108は、番号、記述テキスト、専用コード、同じメモリ又は異なるメモリの他の領域(他のネットワーク場所を含む)に格納されたデータへの参照、又は関連データを計算するために関数によって使用される情報などの、関連情報を識別するのに十分な任意の情報を含んでもよい。
【0024】
命令110は、1つ以上のプロセッサ104によって直接実行される命令(機械コードなど)又は間接的に実行される命令(スクリプトなど)の任意のセットであり得る。例えば、命令110は、コンピュータ可読媒体にコンピュータコードとして格納されてもよい。この点に関して、用語「命令」及び「プログラム」は、本明細書では交換可能に使用され得る。命令110は、1つ以上のプロセッサ104による直接的な処理のためにオブジェクトコード形式で格納されてもよく、あるいは要求に応じて解釈されるか、又は事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプト又はコレクションを含む、任意の他のコンピュータ言語で格納されてもよい。命令110の関数、方法、及びルーチンについては、以下でより詳しく説明する。
【0025】
1つ以上のプロセッサ104は送受信機112と通信してもよい。送受信機112は、1つ以上のフォトニック集積チップ上に送信機構成要素及び受信機構成要素を備えることができる。図2Aに示されるように、モデム202内の1つ以上のプロセッサは、送受信機チップ112と通信してもよく、入射光信号を受信及び処理し、光信号を送信するように構成される。送受信機チップ112は、1つ以上の送信機構成要素及び1つ以上の受信機構成要素を含み得る。したがって、1つ以上のプロセッサ104は、送信機構成要素を介して、信号でデータを送信するように構成されてもよく、また、受信機構成要素を介して、信号で通信及びデータを受信するように構成されてもよい。受信信号は、1つ以上のプロセッサ104によって処理されて、通信及びデータを抽出してもよい。
【0026】
送信機構成要素は、少なくともシードレーザ116などの光源を含むことができる。他の送信機構成要素は、高出力半導体光増幅器204などの増幅器を含んでもよい。いくつかの実装形態では、増幅器は別個のフォトニックチップ上にある。シードレーザ116は、分布帰還型レーザ(DFB)、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、ファイバレーザ、又は固体レーザであってもよい。シードレーザ116の光出力又は光信号は、受信した電気信号を変調する変調器などからシードレーザに直接印加される電流又は電気信号によって制御することができる。シードレーザ116から送信された光は、OPAチップ114によって受信される。
【0027】
受信機構成要素は、少なくともフォトダイオードなどのセンサ118を含むことができる。センサは、受信した光又は光信号を、1つ以上のプロセッサによって処理することができる電気信号に変換することができる。他の受信機構成要素は、可変光減衰器206などの減衰器、半導体光増幅器208などの増幅器、又はフィルタを含むことができる。
【0028】
1つ以上のプロセッサ104は光フェーズドアレイチップ114と通信してもよい。OPAチップ114は、送信機構成要素から光を受信し、第2の通信デバイス122などの遠隔通信デバイスによって受信されるコヒーレント通信ビームとして光を出力する。OPAチップ114はまた、第2の通信デバイス122からの通信ビームなどの光を自由空間から受け取り、それを受信機構成要素に提供する。
【0029】
OPAチップ114は、複数のアレイ要素120又はエミッタと、複数の移相器121とを含み得る。複数のマイクロレンズを複数のアレイ要素120上に配置して、入射光を集束させ、出射光をコリメートすることができる。アレイ内の各マイクロレンズは、対応するエミッタ上に光を集束させる凸レンズであってもよい。加えて、各マイクロレンズは、送信又は受信された光ビームにおけるサイドローブを除去するように成形され得る。各マイクロレンズは、数十又は数百マイクロメートルのオーダーの直径及び高さを有する。複数のアレイ要素120は、隣接する要素間に一貫したピッチ又は距離を有する格子パターンで配置されてもよい。いくつかの例では、複数のアレイ要素120は、格子パターンを有する格子エミッタであってもよい。例として、格子パターンは、100ミクロンピッチを有する32×32格子であってもよい。他の例では、アレイ要素120は、異なる数の行及び列、異なる形状、及び/又は異なるピッチ(一貫又は一貫しない)を有する異なる配置であってもよい。移相器121は、アレイ要素120における入射光及び出射光を変化させる。入射光は受信機構成要素に提供され、出射光はアレイ要素120に提供される。図2Bに示すように、複数の移相器121のアーキテクチャは、移相器の少なくとも1つの層を含む。移相器の第1の層は、複数のアレイ要素120内の各アレイ要素に接続された1つの移相器を含むことができる。32×32格子のアレイ要素の場合、1024個の移相器が存在する。いくつかの例では、移相器アーキテクチャは移相器の複数の層を含み、第1の層内の移相器は、第2の層内の1つ以上の移相器と直列に接続され得る。
【0030】
OPAチップはまた、入射光ビームを狭め、出射光ビームを各アレイ要素に向ける1つ以上のコンバイナと、入射光ビームをOPAチップとシングルモード導波路との間で結合するエッジカプラとを含み得る。次いで、シングルモード導波路は、ビームを送受信機112に向け得る。複数のアレイ要素120の格子パターンが32×32格子である場合、単一の出力ビームにマージされる1024個の入射ビーム部分が存在する。入射ビーム部分は、単一の出力ビームが形成されるまで、2倍、又はH木、又はそれ以上の数で結合されてもよい。H木構成を使用するとき、コンバイナの10個の層があり、層は、アレイ要素に最も近いところから始まり、エッジカプラに最も近いところで終わる以下の数のコンバイナを含む:512、256、128、64、32、16、8、4、2、及び1。
【0031】
1つ以上のコンバイナは、2×2MMI又は方向性カプラであってもよい。所与のコンバイナは、第1の入力及び第2の入力において2つの入射ビーム部分を受信し、ビームを出力ビームにマージし、出力ビームの一部分を出力から別のコンバイナ又はエッジカプラの入力に向けてもよい。1つ以上のコンバイナのうちの少なくともいくつかに関して、出力ビームの一部は、そのようなコンバイナの別個の出力から光検出器に向けられてもよく、又は出力ビームから方向転換されてもよい。光検出器は、フォトダイオード、フォトレジスタ、フォトトランジスタ、又は他のタイプの光強度センサを含んでもよい。
【0032】
図2Bは、本明細書で説明される特徴によるOPAアーキテクチャのサンプル部分を示す。例えば、OPAチップ114は、エミッタ120A、120B、120C、120Dと、移相器121A、121B、121C、121Dと、2×2MMI 230、232、234と、エッジカプラ236とを含み得る。エミッタ120Aは移相器121Aに接続されている。エミッタ120Bは移相器121Bに接続されている。エミッタ120Cは移相器121Cに接続され、エミッタ120Dは移相器121Dに接続されている。図2Bに示されるアーキテクチャは、より多くのエミッタ、移相器、及びコンバイナを有するアーキテクチャのために外挿又は拡張され得る。例えば、OPAチップは、コンバイナも含み得るノードの追加の層を含むことができ、その最後の層は、複数の移相器121と接続することができる。
【0033】
図2Bに示される部分では、コンバイナ230の第1の入力は、移相器121Aに接続され得る。コンバイナ230の第2の入力は、移相器121Bに接続され得る。コンバイナ232の第3の入力は移相器121Cに接続されてもよく、コンバイナ232の第4の入力は移相器121Dに接続されてもよい。コンバイナ230は、光検出器240への第1の出力とコンバイナ234への第2の出力とを含むことができ、コンバイナ232は、光検出器242への第3の出力とコンバイナ234への第4の出力とを含むことができる。コンバイナ234は、コンバイナ230の第2の出力に接続された第5の入力と、コンバイナ232の第4の出力に接続された第6の入力と、光検出器246に接続された第5の出力と、エッジカプラ236に接続された第6の出力とを含むことができる。他の実装形態では、コンバイナ234のみが2つの出力を有し、出力のうちの1つが光検出器に接続されてもよく、コンバイナ230、232は、コンバイナ234に接続された1つの出力のみを有する。エッジカプラ236は、結合された入射光ビームを、他の受信機構成要素に通じるシングルモード導波路に向けることができる。いくつかの例では、シングルモード導波路は、任意の出射光からの入射光の分離を提供するサーキュレータに通じる。
【0034】
光検出器に接続されたコンバイナに関して、異相である出力ビームの第1の部分は、第1の出力から光検出器に向かって方向付けられてもよく、同相である出力ビームの第2の部分は、第2の出力から別のコンバイナ又はエッジカプラに向かって方向付けられてもよい。光検出器は、出力ビームの第1の部分などの受信した光の大きさを感知し、受信した光の大きさを示す信号を通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104に提供するように構成され得る。このようにして、感知された大きさは、到来角推定値を生成し、処理ユニット203内のものなどの1つ以上のプロセッサ104に提供するために、1つ以上のプロセッサによって使用され得る。
【0035】
OPAチップ内の構成要素は、シリコンオンインシュレータ(SOI)などのシリコン(Si)と窒化シリコン(SiN)との組合せの上に配置され得る。エッジカプラを含み、エッジカプラにより近い構成要素の第1のセットは、SiN上に配置されてもよく、複数のアレイ要素を含み、複数のアレイ要素により近い構成要素の第2のセットは、Si上に配置されてもよい。図2Bに示されるように、エッジカプラ236及びコンバイナ230、232、234は、点描の陰影によって示されるように、SiN上に配置され得る。複数のアレイ要素120及び複数の移相器121は、点描されていない塗りつぶしによって示されるように、Si上に配置されてもよい。
【0036】
システムは、通信端末の機能をサポートする追加の構成要素を含むことができる。例えば、システムは、望遠鏡を形成する1つ以上のレンズ及び/又はミラーを含んでもよい。望遠鏡は、コリメートされた光を受光し、コリメートされた光を出力し得る。望遠鏡は、対物部分、接眼部分、又はリレー部分を含むことができる。図2Aに示されるように、システムは、対物レンズ210、接眼レンズ212、及びリレーレンズ214、216を含んでもよい。システムは、入射光及び出射光を少なくとも部分的に別個の経路上に保ちながらそれらをルーティングする、シングルモードサーキュレータ218等のサーキュレータを含んでもよい。システムは、環境特徴及び/又はシステム構成要素の測定を検出するための1つ以上のセンサ220を含むことができる。システムは、OPAチップ114の一部であり得る1つ以上の移相器を制御するための1つ以上のバイアス手段などの1つ以上のステアリング機構、及び/又は高速/微細ポインティングミラーなどのアクチュエーテッド/ステアリングミラー222を含み得る。いくつかの例では、アクチュエーテッドミラーは、MEMS2軸ミラー、2軸ボイスコイルミラー、又は圧電2軸ミラーであってもよい。処理ユニット203内のものなどの1つ以上のプロセッサ104は、1つ以上のセンサ220、送受信機112、及び/又はOPAチップ114からの信号を受信して処理し、以下でより詳細に説明するポインティング方向及び/又は波面形状を調整するために1つ以上のステアリング機構を制御するように構成され得る。システムはまた、光学構成要素を接続し、シードレーザ116とOPAチップ114との間の経路及びOPAチップ114とフォトダイオード118との間の経路を作成する、光ファイバ又は導波路を含む。
【0037】
図1に示すように、第1の通信デバイス102は、第2の通信デバイス122に向けられた光ビーム20aを出力することができる。
【0038】
同様に、第2の通信デバイス122は、1つ以上のプロセッサ124、メモリ126、送受信機132、及びOPAチップ134を含む。1つ以上のプロセッサ124は、上述した1つ以上のプロセッサ104と同様であってもよい。メモリ126は、プロセッサ124によって実行されてもよいデータ128及び命令130を含む、1つ以上のプロセッサ124によってアクセス可能な情報を格納してもよい。メモリ126、データ128、及び命令130は、上述したメモリ106、データ108、及び命令110と同様に構成されてもよい。加えて、第2の通信デバイス122の送受信機132及びOPAチップ134は、送受信機112及びOPAチップ114と同様であり得る。送受信機132は、送信機構成要素と受信機構成要素の両方を含み得る。送信機構成要素は、シードレーザ116と同様に構成されたシードレーザ136などの光源を含むことができる。他の送信機構成要素は、高出力半導体光増幅器などの増幅器を含んでもよい。受信機構成要素は、センサ118と同様に構成されたセンサ138を含むことができる。他の受信機構成要素は、可変光減衰器などの減衰器、半導体光増幅器などの増幅器、又はフィルタを含むことができる。OPAチップ114は、複数のアレイ要素140及び複数の移相器141を含んでもよく、これらはそれぞれアレイ要素120及び移相器121と同様であってもよい。上述した追加構成要素と同様に、通信デバイス122の機能をサポートするための追加構成要素が含まれてもよい。通信デバイス122は、図2に示されるシステムアーキテクチャと同一又は類似のシステムアーキテクチャを有し得る。
【0039】
図1に示されるように、第2の通信デバイス122は、光ビーム20bを受信する第1の通信デバイス102に向けられた光ビーム20bを出力することができる。
【0040】
図1に示されるように、第1及び第2の通信デバイスの送受信機が位置合わせされると、第1の通信デバイス102と、第2の通信デバイス122との間に通信リンク22が形成され得る。位置合わせは、光ビーム20a、20bを使用して、通信デバイス102、122間に見通し線が確立されたときを判定することによって判定することができる。通信リンク22を使用して、1つ以上のプロセッサ104は、光ビーム20aを使用して自由空間を介して第2の通信デバイス122に通信信号を送信することができ、1つ以上のプロセッサ124は、光ビーム20bを使用して自由空間を介して第1の通信デバイス102に通信信号を送信することができる。第1の通信デバイス102と第2の通信デバイス122との間の通信リンク22は、2つのデバイス間のデータの双方向送信を可能にする。特に、これらの例における通信リンク22は、自由空間光通信(FSOC)リンクであってもよい。他の実装形態では、通信リンク22のうちの1つ以上は、無線周波数通信リンク又は自由空間を通って移動できる他のタイプの通信リンクであり得る。
【0041】
図3に示すように、第1の通信デバイス102及び第2の通信デバイス122などの複数の通信デバイス、複数の通信端末間に複数の通信リンク(矢印として示される)を形成し、それによってネットワーク200を形成するように構成されてもよい。ネットワーク300は、クライアントデバイス310及び312、サーバデバイス314、及び通信デバイス102、122、320、322、及び324を含むことができる。クライアントデバイス310、312、サーバデバイス314、及び通信デバイス320、322、及び324の各々は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、送受信機、及び上述のものと同様のOPAチップを含むことができる。送信機及び受信機を使用して、ネットワーク300内の各通信デバイスは、矢印で示すように、別の通信デバイスとの少なくとも1つの通信リンクを形成することができる。通信リンクは、光周波数、無線周波数、他の周波数、又は異なる周波数帯域の組合せに対するものとすることができる。図3では、クライアントデバイス310及び通信デバイス122、320、及び322との通信リンクを有する通信デバイス102が示されている。通信デバイス122は、通信デバイス102、320、322、及び324との通信リンクを有するように示されている。
【0042】
図3に示すネットワーク300は、単なる例示であり、いくつかの実装形態では、ネットワーク300は、追加の又は異なる通信端末を含んでもよい。ネットワーク300は、複数の通信デバイスが複数の地上通信端末上にある地上ネットワークであってもよい。他の実装形態では、ネットワーク300は、1つ以上の高高度プラットフォーム(HAP)を含み得、気球、小型飛行船、又は他の飛行船、飛行機、無人航空機(UAV)、衛星、又は任意の他の形式の高高度プラットフォーム又は他のタイプの移動可能又は固定通信端末であり得る。いくつかの実装形態では、ネットワーク300は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、又はタブレットコンピュータなどのクライアントデバイス用のアクセスネットワークとして機能することができる。ネットワーク300はまた、インターネットなどのより大きなネットワークに接続されることができ、より大きなコンピュータネットワーク上に格納された、又はより大きなコンピュータネットワークを介して提供されるリソースへのアクセスをクライアントデバイスに提供するように構成されることができる。
【0043】
方法の例
動作中、1つ以上のプロセッサ104は、光通信のための波面感知及び/又は補正を実行することができる。図4に、上述した態様のうちのいくつかによるフロー図400を示し、これは第1の通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104によって実施され得る。追加又は代替として、第2の通信デバイス122の1つ以上のプロセッサ124はフロー図400の1つ以上のステップを実施してもよい。図4は特定の順序でブロックを示しているが、順序は変更されてもよく、複数の動作が同時に実施されてもよい。また、動作が追加又は省略されてもよい。
【0044】
ブロック402において、入射光通信ビームは、通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて受信され得る。入射光通信ビームは、遠隔通信システム又はクライアントデバイスからのデータを搬送することができる。入射光通信ビームは、光フェーズドアレイの複数のアレイ要素において受信され得る。所与のアレイ要素で受信された各ビーム部分は、複数の移相器のうちの移相器を通して方向付けられ得る。ビーム部分は導波路に結合され、導波路は、集められたビーム部分を、処理される通信システムの受信機構成要素に向ける。データは、処理され、及び/又はネットワーク内の次のホップに送信され得る。例えば、光ビーム20bは、通信デバイス102のOPAチップ114内のアレイ要素120において受信され得る。光ビーム20bは、OPAチップ114における移相器121を通ってシングルモード導波路に向かって方向付けられてもよく、シングルモード導波路は、光ビームをセンサ118などの受信機構成要素に方向付ける。
【0045】
ブロック404において、入射光通信ビームの第1のビーム部分及び入射光通信ビームの第2のビーム部分は、フォトニック集積チップのコンバイナにおいて受信され得る。コンバイナは、2つの入力及び2つの出力を有し得る。例えば、コンバイナは、OPA114のコンバイナ230、232、234のうちの1つ以上などの2×2MMIであってもよい。第1のビーム部分はコンバイナの第1の入力で受信されてもよく、第2のビーム部分はコンバイナの第2の入力で受信されてもよい。例として図2Bのコンバイナ230を使用すると、第1のビーム部分は、移相器121Aを介してアレイ要素120Aから受信されてもよく、第2のビーム部分は、移相器121Bを介してアレイ要素120Bから受信されてもよい。ブロック406において、第1のビーム部分及び第2のビーム部分は、コンバイナにおいて出力ビームに結合され得る。
【0046】
ブロック408において、第1の出力ビーム部分が、コンバイナからフォトニック集積チップのエッジカプラに向かって出力され得る。第1の出力ビーム部分は、出力ビームの同相部分であってもよい。ブロック410において、第2の出力ビーム部分は、コンバイナから光検出器に出力され得る。第2の出力ビーム部分は、出力ビームの異相部分であってもよい。例えば、異相部分は、第1の入力からの第1のビーム部分のスケーリングされた値と、第2の入力からの第2のビーム部分のスケーリングされかつ90度位相シフトされた値とを含み得る。コンバイナ230を使用する例では、第1の出力ビーム部分は、第1の出力からコンバイナ234に送信されてもよく、第2の出力ビームは、第2の出力から光検出器240に送信されてもよい。
【0047】
ブロック412において、光検出器からの第2の出力ビーム部分の測定が、通信システムの1つ以上のプロセッサによって検出され得る。光検出器は、光検出器の第1の軸に沿った第1の信号と、第1の軸の90度位相シフトで光検出器の第2の軸に沿った第2の信号とを生成することによって、大きさ又は強度を検出するように構成されてもよい。例えば、第1の信号は、第1のビーム部分のスケーリングされた値に基づくことができ、第2の信号は、第2のビーム部分のスケーリングされかつ90度位相シフトされた値に基づくことができる。生成された第1の信号の振幅及び生成された第2の信号の振幅は、第1の部分の大きさ又は強度を決定するために合計されてもよい。例えば、光検出器からの第2の出力ビーム部分の測定は、第1及び第2の信号の和の振幅二乗であってもよい。測定は、相対位相差を決定するために光検出器から出力されてもよく、その後相対位相差は、波面及び入力到来角の計算のために使用される。例えば、通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104は、光検出器240からの第2の出力ビーム部分の大きさ又は強度測定を検出してもよい。
【0048】
ブロック414において、入射光通信ビームの波面誤差が、大きさ又は強度の測定に基づいて1つ以上のプロセッサによって決定され得る。いくつかの実装形態では、波面誤差を決定することは、大きさ又は強度測定に基づいて相対位相差及び/又は入力到来角を決定することを含むことができる。入力到来角に対して決定される項は、チップ、チルト、又はより高次の項の組合せを含み得る。1つ以上のプロセッサは、相対位相差及び/又は入力到来角に基づいて波面誤差を決定することができる。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、光検出器240からの大きさ又は強度測定に基づいて、光ビーム20bの波面誤差を決定してもよい。
【0049】
ブロック416において、通信システムの少なくとも1つの移相器は、決定された波面誤差に基づいて1つ以上のプロセッサによって調整され得る。少なくとも1つの移相器の調整は、OPAチップにおける入射光通信ビームの改善された結合を達成するために実行されてもよく、これはまた、遠隔通信システムにおける出射光通信ビームの結合を改善し得る。OPAチップにおける改善された結合は、所与のコンバイナにおける出力ビームの同相部分を増加させる一方で、所与のコンバイナにおける出力ビームの異相部分を減少させ得る。ブロック412、414、及び416は、出力ビームの異相部分において測定されたパワーを最小化するために繰り返される、1つ以上のプロセッサによって実行されるフィードバックループの一部であり得る。フィードバックループは、各サイクルにおいて移相器調整を行うことを含み得る。出力ビームの異相部分が0強度に近ければ近いほど、出力ビームの同相部分への、したがって受信経路の残りの部分への結合が良好になる。
【0050】
他の実装形態では、1つ以上のプロセッサは、追加又は代替として、決定された波面誤差に基づいて波面又はポインティング方向を調整することができる。波面及び/又はポインティング方向は、機械的及び/又は電子的に調整されてもよい。機械的ステアリングは、アクチュエーテッドミラーなどの二次ステアリング要素の角度を制御することを含んでもよい。電子ステアリングは、各移相器に対する位相シフト設定を設定することなどによって、複数の移相器を制御することを含み得る。いくつかの実装形態では、二次ステアリング要素をステアリングすることは、より大規模な低周波数調整のために使用され得、複数の移相器を使用するステアリングは、より小規模な高周波数調整のためであり得る。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、決定された波面誤差に基づいて、通信デバイス102の波面及び/又はポインティング方向を調整し得る。機械的ステアリングは、ステアリングミラー222を制御することを含み得る。電子ステアリングは、複数の移相器121を制御することを含み得る。
【0051】
少なくとも1つの移相器が調整されると、出射光通信ビームは、フォトニック集積チップ及び少なくとも1つの調整された移相器を使用して送信され得る。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、OPAチップ114のアレイ要素120及び移相器121を使用して光ビーム20aを送信し得る。いくつかの実装形態では、プロセッサの第1のセットは、大きさ又は強度測定の検出、波面誤差の決定、及び少なくとも1つの移相器の調整を実行することができ、プロセッサの第2のセットは、出射光通信ビームの送信を実行することができる。プロセッサの第1のセットは、入射光通信ビームにおける変化を追跡するために使用され得るフィードバックループにおいてステップを実行し得る。変化は、ドリフト、フェージング若しくはシンチレーションなどの位置変化、又は他のタイプの変化を含み得る。
【0052】
本明細書で説明する特徴は、集積フォトニックチップを実装することによって、より費用効果が高く正確な通信システムを提供することができる。このシステムモードシステムの単一経路送受信設計は、複雑さがより低く、より安価な構成要素の使用を可能にする。更に、この設計は、通信デバイス間の位置合わせの誤差も低減する。この設計はまた、追跡ビームと通信ビームとの間のボアサイト要件を、分岐ビームではなく通信ビームに直接接続されたフィードバックループに置き換えることによって誤差を低減することができる。
【0053】
特に明記しない限り、前述の代替例は相互に排他的ではなく、独自の利点を達成するために様々な組合せで実施することができる。上記の特徴のこれら及び他の変形及び組合せは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用でき、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例示として解釈されるべきである。更に、本明細書に記載の例の提供、並びに「など」、「含む」などの表現は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例は、多くの可能な実施形態のうちの1つのみを説明することを意図している。更に、異なる図面の同じ参照符号は、同一又は同様の要素を識別することができる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【国際調査報告】