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特表2024-537693複数部品カートリッジケースのベースピースを作製するための方法およびツール、ベースピース、およびカートリッジケース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】複数部品カートリッジケースのベースピースを作製するための方法およびツール、ベースピース、およびカートリッジケース
(51)【国際特許分類】
   F42B 5/285 20060101AFI20241008BHJP
   B21J 5/02 20060101ALI20241008BHJP
   B21K 21/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F42B5/285
B21J5/02 C
B21K21/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517583
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022075605
(87)【国際公開番号】W WO2023046559
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021124431.5
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518213754
【氏名又は名称】ルアグ・アモーテック・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100224856
【弁理士】
【氏名又は名称】朱牟田 奏人
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、グローア
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087CA13
4E087CA15
4E087CA33
4E087EA11
4E087EC02
4E087EC13
4E087HB02
4E087HB17
(57)【要約】
本発明は、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するための方法に関する。本方法において、前記複数部品カートリッジケースのケースジャケットであって発射体を受容するためのケースジャケット用のレセプタクルが、特に変形により作製される前に、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝が変形により作製される。また、本発明は、ベースピースを作製するためのツール構成体、ベースピース、およびカートリッジケースに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に請求項15~20の一項に従って成形されるベースピース(1)であって、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)を作製するための方法において、
前記複数部品カートリッジケース(10)のケースジャケット(3)であって発射体を受容するためのケースジャケット(3)用のレセプタクル(5)が、特に成形により作製される前に、銃器エジェクタにより内部で係合するための引抜溝(9)が成形により作製される、
方法。
【請求項2】
前記レセプタクル(5)の作製を開始する前に、前記引抜溝(9)は既に作製済みである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レセプタクル(5)の作製時に、前記引抜溝(9)は係合しない、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
特に請求項15~21の一項に従って成形されるベースピース(1)であって、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)を作製するための特に請求項1~3のいずれか一項に記載の方法において、
銃器エジェクタによる係合のための引抜溝(9)が変形により作製され、これにより、前記引抜溝(9)のプライマー側溝フランク(29)が、前記ベースピース(1)の前記長手方向(L)に向けた材料変位により、材料が径方向外方に変位することなく成形される、
方法。
【請求項5】
前記引抜溝(9)の作製は、前記成形方向(U)の反対方向に向けた材料フローを伴う、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記引抜溝(8、9)のプライマー側溝フランク(28、29)が、前記ベースピース(1)の前記長手方向(L)に対して90°未満の角度(45)で傾斜するように、前記引抜溝(9)が、特に一対の予備成形パンチ・ダイ(59)を用いて最初に予備成形される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記予備成形された引抜溝(8)を、特に第2対のパンチ・ダイ(75)を用いて、逆方向押出によりさらに変形させる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
特に請求項13~18の一項に従って成形されるベースピース(1)であって、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)を作製するための特に請求項1~7の一項に記載の方法において、
銃器エジェクタによる係合のための引抜溝(9)が、事後の機械加工作業をせずに、変形により作製される、
方法。
【請求項9】
銃器エジェクタによる係合のための引抜溝(9)を、特に請求項13~21の一項に従って成形されるベースピース(1)であって、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)を作製するためのケースブランク(43)に導入するためのツール構成体(100)であって、
前記ケースブランク(43)のフェース側面(55)を固定するとともに、前記ケースブランク(43)のケースキャビティ(41)に係合するためのダイ(61、77)と、
前記ケースブランク(43)の周囲に周方向に係合するためのケース形状のプレスプランジャ(63、79)と、
を備えるツール構成体(100)において、
前記引抜溝(9)の前記変形作製のために、前記プレスプランジャ(63、79)は、前記ダイ(61、77)に対して特に純粋に軸方向に移動可能である、
ツール構成体(100)。
【請求項10】
前記プレスプランジャ(63、79)は、周方向に閉鎖している、および/または一部品から作製される、
請求項9に記載のツール構成体(100)。
【請求項11】
銃器エジェクタによる係合のための引抜溝(9)を、特に請求項13~21の一項に従って成形されるベースピース(1)であって、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)を作製するためのケースブランク(43)に導入するための特に請求項9~10の一項に記載のツール構成体(100)であって、
前記ケースブランク(43)のフェース側面(55)を固定するとともに、前記ケースブランク(43)のケースキャビティ(41)に係合するためのダイ(61、77)と、
前記ケースブランク(43)の前記外面の周囲に係合するためのプレスプランジャ(63、79)と、
を備えるツール構成体(100)において、
前記プレスプランジャ(63、79)は、前記ケースブランク(43)に対面するその内側面(67、81)に材料変位凸部(69、83)を有し、
前記ダイ(61、77)に対する前記プレスプランジャ(63、79)の特に厳密な軸方向プレス移動中に、前記ツール構成体(100)は、前記材料変位凸部(69、83)によって、銃器エジェクタによる係合のための前記引抜溝(8、9)のプライマー側溝フランク(28、29)を成形する、
ツール構成体(100)。
【請求項12】
前記材料変位凸部(69)は、前記プレス移動方向(P)に対して傾斜するプレス面(71)を有し、
特に傾斜角度は、10°~80°の範囲、特に15°~75°の範囲、特に20°~70°の範囲、または25°~65°の範囲である、
請求項11に記載のツール構成体(100)。
【請求項13】
銃器エジェクタによる係合のための引抜溝(9)を、特に請求項13~21の一項に従って成形されるベースピース(1)であって、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)を作製するためのケースブランク(43)またはベースピース前段階(109)に導入するための特に請求項9~10の一項に記載のツール構成体(100)であって、
前記ケースブランク(43)のフェース側面(55)または前記ベースピース前段階(109)を固定するとともに、前記ケースブランク(43)のケースキャビティ(41)または前記ベースピース前段階(109)に係合するためのダイ(61、77)と、
前記引抜溝(9)を変形させて作製するための少なくとも2つの、特に正確には2つのパンチ部品(109、111)であって、前記ケースブランク(43)または前記ベースピース前段階(109)の周囲に周方向に係合するように配置されるパンチ部品(109、111)を備える成形パンチ(105)と、
前記ケースブランク(43)の前記フェース側面(55)の反対側のフェース側面(115)または前記ベースピース前段階(109)を固定するために前記成形パンチ(105)に対して並進的に移動可能なアンビル(107)であって、前記成形パンチ(105)に当接接触可能なアンビル(107)と、
を備えるツール構成体(100)において、
互いに対面する成形パンチ(105)およびアンビル(107)の当接接触面(117、119)は、互いに形状一致する、
ツール構成体(100)。
【請求項14】
前記成形パンチ(105)の前記当接接触面(119)は、少なくとも部分的に、特に全体的に凹形状である、および/または、
前記アンビル(107)の前記当接接触面(117)は、少なくとも部分的に、特に全体的に凸形状である、
請求項13に記載のツール構成体(100)において、
特に前記成形パンチ(105)の前記当接接触面(119)は、前記アンビル(107)に対する凹状レセプタクル(121)を形成し、
前記アンビル(107)は、前記レセプタクル(121)を実質的に完全に充填する、
ツール構成体(100)。
【請求項15】
請求項1~8の一項に記載の方法に従って、および/または、請求項9~14の一項に記載のツール構成体(100)により作製される、複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するためのベースピース(1)。
【請求項16】
複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するための特に請求項15に記載のベースピース(1)であって、
中央プライミングボア(15)を有する環状ジャケット(11)と、
前記プライミングボア(15)に開口するレセプタクル(5)であって、発射体を受容するための前記複数部品カートリッジケース(10)のケースジャケット(3)用のレセプタクル(5)と、を備える、
ベースピース(1)において、
前記ジャケット(11)は、銃器エジェクタにより内部で係合するための引抜溝(9)を有し、
前記引抜溝(9)は、前記ベースピース(1)の前記長手方向(L)に対して横方向に配向されたプライマー側溝フランク(29)と、前記プライマー側溝フランク(29)に開口する溝フランク(29)と、前記ベースピース(1)の前記長手方向(L)に実質的に配向された溝ベース(31)と、を有し、
前記プライマー側溝フランク(29)における前記ジャケット(11)の前記硬度は、前記溝ベース(31)における前記ジャケット(11)の前記硬度から40%未満だけ逸脱する、
ベースピース(1)。
【請求項17】
前記プライマー側溝フランク(29)における前記ジャケット(11)の前記硬度は、前記溝ベース(31)における前記ジャケット(11)の前記硬度から35%未満、特に30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満だけ逸脱し、
特に、前記プライマー側溝フランク(29)における前記ジャケット(11)の前記硬度は、前記溝ベース(31)における前記ジャケット(11)の前記硬度と実質的に一致する、
請求項16に記載のベースピース(1)。
【請求項18】
環状ジャケット(11)を備える複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するための特に請求項16または17に記載のベースピース(1)であって、
前記環状ジャケット(11)は、前記ジャケット(11)を貫通して延びるプライミングボア(15)を画定するプライミングボア壁(23)と、前記プライミングボア壁(23)に開口するレセプタクル壁(25)であって、発射体を受容するための前記複数部品カートリッジケース(10)のケースジャケット(3)用のレセプタクル(5)を形成するレセプタクル壁(25)と、を有する、
ベースピース(1)において、
前記レセプタクル壁(25)および/または前記プライミングボア壁(23)の前記壁厚の25%~75%のコアセクションの前記硬度は、前記ベースピース(1)の前記長手方向(L)において、プライマー側下側面(19)から発射体側上側面(21)まで減少しない、特に少なくとも一定のままである、または連続的に増加する、
ベースピース(1)。
【請求項19】
複数部品カートリッジケース(10)用のプライマーを受容するための特に請求項15~18の一項に記載のベースピース(1)であって、中央プライミングボア(15)を有する前記環状ジャケット(11)と、前記プライミングボア(15)に開口するレセプタクル(5)であって、発射体を受容するための前記複数部品カートリッジケース(10)のケースジャケット(3)用のレセプタクル(5)と、を備えるベースピース(1)において、
銃器エジェクタによる係合のための引抜溝(9)が、事後の機械加工作業をせずに、変形により前記ジャケット(11)に導入される、
ベースピース(1)。
【請求項20】
前記引抜溝(9)は、前記周方向において材料フラグがなく、
特に、同一軸方向高さにおける前記引抜溝(9)の前記部分における前記直径の逸脱が、0.1mm未満である、
請求項19に記載のベースピース(1)。
【請求項21】
回転対称のケースジャケット(3)と、これに取り付けられるベースピース(1)であって、請求項15~20の一項に従って成形されるベースピース(1)と、を備える銃弾用のカートリッジケース(10)において、
特に、プライマーが、前記ベースピース(1)に挿入される、特に圧入される、
カートリッジケース(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数部品カートリッジケースのベースピースを作製するための方法およびツール構成体に関する。さらに、本発明は、複数部品カートリッジケース用のベースピース、および複数部品カートリッジケースに関する。
【背景技術】
【0002】
複数部品カートリッジケースは、基本的に知られており、プライマーに対面してプライマーを受容するベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、に少なくとも分割される。ベースピースは、発砲して空になったカートリッジケースの取出をサポートする引抜溝を通常有している。引抜溝を介して、銃器のいわゆるエキストラクタが、空のカートリッジケースを銃器のいわゆるエジェクタまで搬送し、エジェクタは、最終的に空のカートリッジを押し出す。引抜溝は、周方向溝または凹部として環状のベースピースの周壁に成形されている。周方向溝または凹部は、長手軸方向に対して本質的に横方向に配向された後方段差縁部と、本質的に長手軸方向に配向された径方向内側ベース面と、ベース面に隣接するとともに長手軸方向に対して傾斜する移行縁部と、を有している。従来技術において、引抜溝は、これまで機械加工により作製されてきたが、これは、生産コストおよび有利な大量生産の点で最適ではないことが分かっている。一体型のカートリッジケースの作製分野では、変形により引抜溝を作製する従来技術のアプローチが既に存在している。ここでは、いわゆるセグメント化されたパンチ・ダイツール構成体が使用されており、これによって発射体およびプライマーを保持するための内側の幾何学的形状が、最初に作製され仕上げられる。そして、引抜溝がその後のプロセスステップで外側に導入される。これらのパンチ・ダイツール構成体は、複数部品カートリッジケースに容易に移送できない。
【0003】
例えば、FR1113479は、引抜溝を有するベースピースとケースジャケットと締結部品とからなる3部品カートリッジケースを開示している。ベースピースが同様に引抜溝を備える別の複数部品カートリッジケースが、US2019/0226817から知られている。
【0004】
本発明の発明者らは、引抜溝に関する多くの潜在的な改善点、すなわち、一方で、製造公差に関して、他方でベースピースとケースジャケットとを締結するための達成可能な保持力に関して、多くの潜在的な改善点を見出した。複数部品カートリッジケースのベースピースとケースジャケットとの保持力が、銃器の発砲時の大きな力に確実に耐えることを保証することは常に可能ではないということが判明した。引抜溝の機械加工による作製でも、冷間成形による作製のための従来の解決策でも、所望の製造公差を確実に保証することはできない。特に、セグメント化されたツールを使用して引抜溝を作製する場合、セグメント化されたツールが引抜溝の一部に引抜機能に害を及ぼす表面欠陥を生じさせ得るため、特に不利であることが判明している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの課題は、従来技術の欠点を克服すること、特に作製が容易で安価な複数部品カートリッジケース用のベースピースを作製することである。これにより、ベースピースとケースジャケットとのより高い保持力が達成され得る、および/またはその引抜溝がより低い製造公差で作製され得る。
【0006】
この課題は、独立請求項の目的により解決される。したがって、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するための方法が提供される。本発明は、以下に記載の本発明の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って成形されるベースピースの作製に使用されることが想定され得る。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、少なくとも部分的にケースジャケットを受容し得る。
【0007】
本発明によれば、ベースピースを作製するための方法において、複数部品カートリッジケースのケースジャケットであって発射体を受容するためのケースジャケット用のレセプタクル(受容部)が作製される前に、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝が、成形または造形により、特に冷間成形により作製される。ケースジャケット用のレセプタクルも、成形または造形により、特に冷間成形により作製され得るとともに、ベースピースにおける中央凹部として成形され得る。変形は、一般に非切削作製プロセスである。非切削作製プロセスにおいて、ベースピースは、ベースピースから材料を除去したり追加したりすることなく、異なる形状とされる。変形中に、ベースピースの質量は同一のままである。衝撃押出等の冷間成形プロセスが、引抜溝および/またはケースジャケットのレセプタクルを変形させるように利用され得る。変形中にベースピースの材料が特徴的に硬化することにより、ベースピースは、変形後に、少なくとも変形部分において、すなわち、引抜溝の部分、および場合によりケースジャケット用のレセプタクルの部分において、より高い強度および/またはより高い硬度を有する。より高い強度および/またはより高い硬度を理由として、より強い保持力が、ベースピースとケースジャケットとの間で、および/またはベースピースとプライマーとの間で達成され得る。この結果、本発明による方法を用いて作製されたベースピースを有するカートリッジケースは、発射体の発砲時により大きな内部圧力に耐えることができる。
【0008】
また、ケースジャケット用のレセプタクルが作製される前に引抜溝を変形させるため、よりシンプルでより安価なツールを使用して引抜溝を作製することができる。本発明による方法のさらなる利点は、変形中の引抜溝の寸法精度がより高く、より確実に確保されることである。この理由は、引抜溝を変形させるために使用されるツールは、例えば従来技術において使用されるセグメント化されたツールで生じるような表面欠陥を引抜溝の部分に生じさせないからである。表面欠陥は引抜機能に悪影響を及ぼし得るため、本発明による方法を用いて作製したベースピースは、より確実な引抜機能を有する。引抜溝の変形後にレセプタクルを作製することにより、より高い寸法精度およびより高い硬度またはより高い強度が、レセプタクルの作製により損なわれないことが保証される。
【0009】
本発明による方法の例示的な実施形態において、前記レセプタクルの作製を開始する前に、前記引抜溝は既に作製済みである。このようにして、引抜溝の寸法精度およびベースピースの強度および/または硬度がケースジャケット用のレセプタクルの作製とは無関係に確保されること、および/または、これらがレセプタクルの同時または事前作製により損なわれないことが保証され得る。
【0010】
本発明のさらなる例示的な実施形態において、レセプタクルの作製中に引抜溝は妨げられない。このようにして、引抜溝の寸法精度およびベースピースの強度および/または硬度が、例えば、レセプタクルを作製するために使用され得るセグメント化されたツールであって、引抜機能を損ない得る表面欠陥または隆起を引抜溝に生じさせ得るセグメント化されたツールにより引抜溝を変形させた後に、損なわれないことが保証され得る。
【0011】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製する方法が提供される。本方法は、以下に記載の本発明の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って成形されるベースピースの作製に使用されることが想定され得る。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。
【0012】
複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、少なくとも部分的にケースジャケットを受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0013】
本発明による方法において、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝が変形、特に冷間成形により作製され、これにより、前記引抜溝のプライマー側溝フランク(プライマー側溝側面)が、前記ベースピースの前記長手方向に向けた材料変位により、材料が径方向外方に変位することなく成形される。変形は、一般に非切削作製プロセスである。非切削作製プロセスにおいて、ベースピースは、ベースピースから材料を除去したり追加したりすることなく、異なる形状とされる。変形中に、ベースピースの質量は同一のままである。引抜溝のプライマー側溝フランクは、ベースピースの長手方向に対して横方向に、特に垂直方向に配向され得る。銃器エジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケースを、引抜溝またはプライマー側溝フランクを介して把持して取り出すことができる。プライマー側溝フランクは、確実な引抜機能に関して最も重要なポイントであり得る。本発明による溝フランクを変形させることにより、溝フランクが、引抜溝の変形中に、材料が径方向外方に変位することによってベースピースの外径が増加することなく、軸方向の材料変形により直接的に作製される。材料が変位した部分では、ベースピースの直径は、引抜溝を変形させる前よりも、引抜溝の変形後において、より小さくなり得る。このような変形の結果、一方で材料がより高い強度および/またはより高い硬度を特徴的に有し、他方で強度および/または硬度の逸脱がより小さい。換言すれば、ベースピースにおける強度曲線および/または硬度曲線は、特に引抜溝の部分において、および/または、ケースジャケット用のレセプタクルおよび/またはプライマーにおいて、より均一である。したがって、ベースピースとケースジャケットとの間、および/またはベースピースとプライマーとの間において必要な保持力を確保するための十分な材料強度および/または材料硬度を得ることがより確実に保証され得る。本発明による方法のさらなる利点は、溝フランクをより高い寸法精度で作製することができること、特に、一方で溝フランクからベースピースのジャケットまでの、および溝フランクに隣接する溝ベースまでの移行部であって、ベースピースの長手方向において本質的に配向される移行部が、例えば、長手方向に向く材料変位により鋭角のショルダとして常に同一態様で作製できること、および空のカートリッジケースを確実に取り出すことができることである。換言すれば、引抜溝またはプライマー側溝フランクは、より高い寸法精度を有する。より高い寸法精度も、より確実に保証され得る。本発明による方法のさらなる利点は、よりシンプルな構造を有するより費用効果の高いツールであって、引抜溝の部分に、特に溝フランクの部分に表面欠陥をさらに生じさせ得ないツールを、引抜溝の作製に使用できることである。表面欠陥は、従来記述で使用されているセグメント化されたツールのように、引抜機能を損ない得る。
【0014】
本発明の例示的な実施形態において、前記引抜溝の作製は、前記成形方向の反対方向に向けた材料のフローを伴う。換言すれば、引抜溝を変形させるために使用されるツールの移動方向と反対方向の材料のフローが存在する。このようにして、変形中に、材料が径方向において外方に変位しないことが保証され得る。
【0015】
本発明による方法のさらなる例示的な実施形態によれば、前記引抜溝のプライマー側溝フランクが、前記ベースピースの前記長手方向に対して90°未満の角度で傾斜するように、前記引抜溝が最初に予備成形される。引抜溝は、一対のパンチ・ダイを用いて予備成形されることが想定され得る。このように、最初に材料をそれほど変形させる必要がないため、よりシンプルでより安価なツールを使用することができる。
【0016】
本発明による不法のさらなる例示的な実施形態において、予備成形された前記引抜溝を、逆方向押出によりさらに変形させる。引抜溝を、第2対のパンチ・ダイを用いてさらに変形させることが想定され得る。逆方向押出とは、材料フローとパンチ移動方向とが反対方向である押出プロセスである。
【0017】
これは、材料フローが、成形方向の反対方向、および成形ツールの移動の反対方向に向けられることを意味する。本実施形態において、溝フランクは、さらなる変形後に、ベースピースの長手方向に対して90°の角度で配向されるだけである。引抜溝の2段階による作製は、よりシンプルでより費用効果の高いツールを各々のステップについて使用できるということを意味する。また、引抜溝をより迅速かつより費用効果高く変形させるように、一対の成形パンチ・ダイのダイを、既に予備成形された引抜溝をさらに変形させる第2ステップでも使用することが想定され得る。
【0018】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するための方法が提供される。本方法は、以下に記載の本発明の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って成形されるベースピースの作製に使用されることが想定され得る。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。
【0019】
複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、少なくとも部分的にケースジャケットを受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0020】
本発明によれば、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するための方法において、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝が、事後の機械加工をせずに、変形、特に冷間成形により作製される。変形は、一般に非切削作製プロセスである。非切削作製プロセスにおいて、ベースピースは、ベースピースから材料を除去したり追加したりすることなく、異なる形状とされる。変形中に、ベースピースの質量は同一のままである。引抜溝の変形後に、事後の機械加工プロセスが必要ないため、より迅速でより費用効果が高い。また、引抜溝のより高くより信頼性のある寸法精度が保証され得る。
【0021】
例示的な実施形態において、ベースピースの内側および/または外側の幾何学的形状を作製するための少なくとも1つのステップが、押抜により実施され得る。これにより、作製効率が大幅に向上する。特に、作製性能が大きく改善し、作製コストを顕著に、具体的にはおよそ30%削減できる。これにより、カートリッジケースの作製は、大量生産および/または自動生産に非常に適するものとなる。カートリッジケースの例示的な実施形態において、ベースピースは、環状ジャケットと、ジャケット、特にプライマー用の受容凹部を通過して延びる貫通孔と、を備える。貫通孔は、押抜により少なくとも部分的に作製され得る。換言すれば、ベースピースの内側の幾何学的形状は、押抜により少なくとも部分的に作製され得る。
【0022】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝を複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するためのケースブランクに導入するためのツール構成体が提供される。引抜溝により、銃器エジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケースを把持して取り出すことができる。ツール構成体を使用して以下に記載の本発明の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って成形されるベースピースを作製することが想定され得る。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0023】
ツール構成体は、加圧成形プロセスを実施するように適合され得る。本発明によれば、ツール構成体は、前記ケースブランクのフェース側面を固定するとともに、前記ケースブランクのケースキャビティに係合するための特にセグメント化されたダイと、前記ケースブランクの周囲に周方向に係合するためのケース形状のプレスプランジャと、を備える。ダイおよび/またはプレスプランジャは、回転対称であるように形成され得る。ケースブランクは、例えば、一片のワイヤを設定する、またはこれをプレートから押し抜くことによる第1ステップにおいて作製され得る。さらなるステップにおいて、変形中に本発明によるツール構成体のダイが係合するケースキャビティが、例えば押出により作製され得る。ケースキャビティは、完成したベースピース上のプライマーレセプタクルを形成することが想定され得る。
【0024】
本発明の態様によれば、プレスプランジャは、引抜溝を変形させる、特に冷間成形するためのダイに対して移動可能である。具体的には、プレスプランジャは、厳密に軸方向に、特にベースピースまたはケースブランクの長手方向において、ダイに対して移動可能であり得る。換言すれば、プレスプランジャの純粋に並進的な移動が、引抜溝を作製するために提供され得る。従来技術で使用されているセグメント化されたツールにおける径方向におけるさらなる可動性、すなわち、プレスまたは変形のためにセグメント化されたツールの個々のセグメントが互いに対して径方向に移動することの必要性を省くことができる。従来技術で通常使用されるツールに比較して、本発明によるツール構成体は、よりシンプルな構造を有するため、より安価でエラーが生じにくい。本発明によるツール構成体、および特に本発明によるプレスプランジャは、ツールの個々のセグメント間において引抜溝の部分に、隆起または表面欠陥を生じさせずに引抜溝を作製するように使用され得る。隆起または表面欠陥は、銃器エジェクタの機能に悪影響を及ぼし得る、および/または、さらなる手間およびさらなる費用をかけて機械加工によりその後除去する必要があり得る。引抜溝を本発明によるツール構成体で変形させることにより、ベースピースのより高い強度および/またはより高い硬度も達成され得るため、ベースピースとケースジャケットとの間、および/またはベースピースとプライマーとの間に、より強い保持力が得られる。本発明によるツール引張構成体のさらなる利点は、ベースピースにおいてより均一な硬度および/または強度曲線が達成され得ることである。
【0025】
本発明によるベースピースを作製するための方法についての実施形態は、本発明によるツール構成体にも同様に適用されることを理解すべきである。
【0026】
本発明の例示的な実施形態において、プレスプランジャは、周方向に閉鎖している。代替的または追加的に、プレスプランジャは、単一部品から構成される。このようなプレスプランジャは、引出溝を作製する際に、従来技術において引出溝を変形させるためのセグメント化されたツールを使用する際に生じる凹凸や表面欠陥を生じさせない。
【0027】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝を複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するためのケースブランクに導入するためのツール構成体が提供される。引抜溝により、銃器エジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケースを把持して取り出すことができる。ツール構成体を使用して以下に記載の本発明の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って成形されるベースピースを作製することが想定され得る。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0028】
ツール構成体は、加圧成形プロセスを実施するように適合され得る。本発明によれば、ツール構成体は、前記ケースブランクのフェース側面を固定するとともに、前記ケースブランクのケースキャビティに係合するための特にセグメント化されたダイと、前記ケースブランクの外側の周囲を把持するためのケース形状のプレスプランジャと、を備える。ダイおよび/またはプレスプランジャは、回転対称であるように形成され得る。プレスプランジャは、ケース形状において形成され得る。ケースブランクは、例えば、一片のワイヤを設定する、またはこれをプレートから押し抜くことによる第1ステップにおいて作製され得る。さらなるステップにおいて、変形中に本発明によるツール構成体のダイが係合するケースキャビティが、例えば押出により作製され得る。ケースキャビティは、完成したベースピース上のプライマーレセプタクルを形成することが想定され得る。
【0029】
本発明の態様によれば、前記プレスプランジャは、前記ケースブランクに対面するその内側面に材料変位凸部を有し、前記ダイに対する前記プレスプランジャのプレス移動中に、前記ツール構成体は、前記材料変位凸部によって、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝のプライマー側溝フランクを成形する。特に、プレス移動は、ベースピースまたはケースブランク純粋に軸方向の、特に長手方向におけるものであり得る。材料変位凸部は、径方向、周方向、および/または平面方向に形成され、特に隆起または凹部がないことが想定され得る。材料変位凸部は、ベースピースまたはケースブランクの長手方向に対して90°の角度、または90°未満の角度で配向され得る。材料変位凸部により、引抜溝のより高い寸法精度が達成され得るとともに、引抜機能を損ない得る隆起または表面欠陥が引抜溝の部分に生じないことが保証され得る。本発明によるツール構成体のさらなる利点は、引抜溝および特に溝フランクが、より高い寸法精度で作製され得ること、特に、一方で溝フランクからベースピースのジャケットまでの、および溝フランクに隣接する溝ベースまでの移行部であって、ベースピースの長手方向において本質的に配向される移行部が、例えば、長手方向に向く材料変位により鋭角のショルダとして常に同一態様で作製できること、および空のカートリッジケースをより確実に取り出すことができることである。換言すれば、引抜溝またはプライマー側溝フランクは、より高い寸法精度を有する。より高い寸法精度も、より確実に保証され得る。
【0030】
本発明によるベースピースを作製するための方法についての実施形態は、本発明によるツール構成体にも同様に適用されることを理解すべきである。
【0031】
本発明によるツール構成体の例示的な実施形態において、前記材料変位凸部は、前記プレス移動方向に対して傾斜するプレス面を有する。プレス移動方向は、ベースピースまたはケースブランクの長手方向に一致し得る。例示的なさらなる発展例において、特に材料の傾斜角度は、10°~80°の範囲、特に15°~75°の範囲、特に20°~70°の範囲、または25°~65°の範囲である。引抜溝が傾斜したプレス面を用いて予備成形されること、および予備成形された引抜溝を次いで変形させることが想定され得る。
【0032】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝を、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースを作製するためのケースブランクまたはベースピース前段階に導入するためのツール構成体が提供される。引抜溝により、銃器エジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケースを把持して取り出すことができる。ツール構成体を使用して以下に記載の本発明の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って成形されるベースピースを作製することが想定され得る。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0033】
ツール構成体は、加圧成形プロセスを実施するように適合され得る。ツール構成体は、完成した前記引抜溝を変形させるための少なくとも2つの、特に正確には2つのパンチ部品であって、前記ケースブランクまたは前記ベースピース前段階の周囲に周方向に係合するように配置されるパンチ部品を備える成形パンチをさらに備える。成形パンチは、引抜溝をインプリントまたは成形するように、プレス移動によってケースブランクまたはベースピース前段階から材料を変位させるように適合され得る。パンチ部品、具体的にはパンチ半体は、互いに対して移動可能に装着され得る、および/または同一に形成され得る。パンチ部品は、ペンチのような態様において、ケースブランクまたはベースピース前段階を把持および/またはクランプ、特に冷間成形し得る。
【0034】
さらに、本発明のさらなる態様によるツール構成体は、前記ケースブランクの前記フェース側面の反対側のフェース側面または前記ベースピース前段階を固定するために前記成形パンチに対して並進的に移動可能なアンビルであって、前記成形パンチに当接接触可能なアンビルを備える。例えば、アンビルは、少なくとも1つの動作状態と、別の動作状態、具体的には不動状態と、を有し得る。動作状態において、アンビルは成形パンチに当接接触する。不動状態に置いて、アンビルは成形パンチに当接接触しない。特に、アンビルは、パンチ部品、特にパンチ半体同士の間で並進し得る。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、成形パンチとアンビルとの対面する当接接触面は、互いに形状一致する。例えば、当接接触面は、アンビルが成形パンチに対して特に当接接触の係合方向において並進移動する間に自己センタリングが生じるように、互いに形状一致する。
【0036】
本発明によるツール構成体の例示的な実施形態において、前記成形パンチの前記当接接触面は、少なくとも部分的に、特に全体的に凹形状である、および/または、前記アンビルの前記当接接触面は、少なくとも部分的に、特に全体的に凸形状である。停止接触時に、本質的に完全な当接接触があり得る。特に、アンビルの並進移動方向に対して横方向の当接と成形パンチとの相対移動が、確実に防止される。例示的なさらなる発展例によれば、前記成形パンチの前記当接接触面は、前記アンビルに対する凹状レセプタクルを形成し、前記アンビルは、本質的に前記レセプタクルを完全に充填する。例えば、レセプタクルは、半球形状を有し得る。そして、アンビルは、一致した形状を有し得る。
【0037】
本発明によるツール構成体の例示的な実施形態において、アンビルは、当接接触面に隣接する中央凸部を備えている。引出溝の造形中にレセプタクルの構造、またはレセプタクルがその後に作製される構造が維持されるように、中央凸部は、複数部品カートリッジケースのケースジャケット用のレセプタクルに係合するように配置される。
【0038】
本発明のさらなる例示的な実施形態において、ツール構成体は、最大で0.2m、特に0.15mm、または約0.1mmの寸法を有する認識可能な分離ポイントをベースピースの外側に生成するように適合される。この目的のために、パンチ部品は、ベースピースのプレス中に、ベースピースの材料を変位させ得るとともに、材料をそれらの間でクランプし得る。この結果、ベースピースの外側から突出する分離ポイントすなわちシームが生じる。
【0039】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、本発明による方法に従って、および/または、本発明によるツール構成体により作製される、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースが提供される。
【0040】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースが提供される。ベースピースは、本発明による方法に従って、および/または、本発明によるツール構成体により作製され得る。本発明による方法およびツール構成体についての上述の実施形態および利点は、本発明によるベースピースにも同様に適用されることを理解すべきである。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0041】
ベースピースは、中央プライミングボアを有する環状ジャケットと、前記プライミングボアに開口するレセプタクルであって、発射体を受容するための前記複数部品カートリッジケースのケースジャケット用のレセプタクルと、を備える。ケースジャケット用のレセプタクルは、プライミングボアに直接的に開口し得る、またはウェブによりプライミングボアから隔てられ得る。この場合、プライミングボアをレセプタクルに流体的に接続するように、貫通ボアがウェブに設けられ得る。ベースピースは、回転対称的に成形され得るとともに、ベースピースの長手方向に配向される回転軸を規定し得る。
【0042】
本発明の態様によれば、前記ジャケットは、銃器エジェクタにより内部で係合するための引抜溝を有する。引抜溝を介して、銃器のエジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケースを把持して取り出すことができる。前記引抜溝は、前記ベースピースの前記長手方向に対して横方向に、特に垂直方向に配向されたプライマー側溝フランクと、前記プライマー側溝フランクに開口する溝フランクと、前記ベースピースの前記長手方向に本質的に配向された溝ベースと、を有する。本発明によれば、前記プライマー側溝フランクにおける前記ジャケットの前記硬度は、前記溝ベースにおける前記ジャケットの前記硬度から40%未満だけ逸脱する。このような硬度プロファイルは、例えば引抜溝、および場合によりケースジャケットのレセプタクルを変形させて、その結果生じる材料の変形度により生じ得る。変形度は、本発明によるベースピースを作製する際の形状変化の尺度である。
【0043】
本発明の例示的な実施形態において、材料の硬度は、例えば変形度に直接的に依存し得る。したがって、本発明による硬度プロファイルは、ベースピースの引抜溝の変形作製に特徴的である。材料の硬度の尺度として、例えばビッカース硬度を利用できる。
【0044】
本発明の例示的な実施形態において、前記プライマー側溝フランクにおける前記ジャケットの前記硬度は、前記溝ベースにおける前記ジャケットの前記硬度から35%未満だけ逸脱する。特に、前記プライマー側溝フランクにおける前記ジャケットの前記硬度は、前記溝ベースにおける前記ジャケットの前記硬度から30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満だけ逸脱する。例示的なさらなる発展例において、前記プライマー側溝フランクにおける前記ジャケットの前記硬度は、前記溝ベースにおける前記ジャケットの前記硬度と実質的に一致する。したがって、さらなる発展例において、引抜溝の部分におけるベースピースの均質な硬度プロファイルが得られる。
【0045】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースが提供される。ベースピースは、本発明による方法に従って、および/または、本発明によるツール構成体により作製され得る。
【0046】
本発明による方法およびツール構成体についての上述の実施形態および利点は、本発明によるベースピースにも同様に適用されることを理解すべきである。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0047】
ベースピースは、環状ジャケットを備える。前記環状ジャケットは、前記ジャケットを貫通して延びるプライミングボアを画定するプライミングボア壁と、前記プライミングボア壁に開口するレセプタクル壁であって、発射体を受容するための前記複数部品カートリッジケースのケースジャケット用のレセプタクルを形成するレセプタクル壁と、を有する。ベースピースは、回転対称的に成形され得るとともに、ベースピースの長手方向に配向される回転軸を規定し得る。
【0048】
本発明によれば、前記レセプタクル壁および/または前記プライミングボア壁の前記壁厚の25%~75%のコアセクションの前記硬度は、前記ベースピースの前記長手方向において、プライマー側下側面から発射体側上側面まで減少しない。例示的なさらなる発展例において、コアセクションの硬度は、特に少なくとも一定のままである、または連続的に増加する。換言すれば、ベースピースは、プライミングボア壁および/またはレセプタクル壁の断面において、プライマー側の下側面と発射体側上側面との間で均質な硬度プロファイルを有する。材料の硬度の尺度として、例えばビッカース硬度を利用できる。このような硬度プロファイルは、変形による引抜溝の作製に特徴的である。材料の硬度は、例えば材料の変形度に直接的に依存し得る。変形度は、本発明によるベースピースを作製する際の形状変化の尺度である。
【0049】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、複数部品カートリッジケース用のプライマーを受容するためのベースピースが提供される。ベースピースは、本発明による方法に従って、および/または、本発明によるツール構成体により作製され得る。
【0050】
本発明による方法およびツール構成体についての上述の実施形態および利点は、本発明によるベースピースにも同様に適用されることを理解すべきである。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0051】
ベースピースは、中央プライミングボアを有する前記環状ジャケットと、前記プライミングボアに開口するレセプタクルであって、発射体を受容するための前記複数部品カートリッジケースのケースジャケット用のレセプタクルと、を備える。本発明によれば、銃器エジェクタによる係合のための引抜溝が、機械加工をせずに、変形、特に冷間成形により前記ジャケットに導入される。引抜溝により、銃器エジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケースを把持して取り出すことができる。従来技術において、引抜溝は、変形後に、例えば凹凸を機械加工で除去することにより引抜溝を機械加工する必要があった。これにより、追加コストと追加の手間が生じる、引抜溝の変形作製は、引抜溝の部分に、特にプライマー側溝フランクの領域に表面欠陥や隆起が存在しないため、溝フランクが非常に平面的に成形されるという事実により、完成したベースピース上で認識され得る。
【0052】
本発明によるベースピースの例示的な実施形態において、前記引抜溝は、前記周方向において材料フラグがない。材料フラグとは、引抜溝の部分における凹凸または隆起であると理解されたい。これは、従来技術では、引抜溝をセグメント化されたツールで作製する際に生じる。これは、ツールの個々のセグメントが互いに対して移動する際に、ベースピースから変位した材料がそれらの間に蓄積し、最終的に2つの協働するセグメント間のシームの領域における材料フラグとしてベースピース上に残るという事実を原因とする。同一軸方向高さにおける前記引抜溝の前記部分における前記直径の逸脱が、0.1mm未満である。
【0053】
上述の態様および例示的な実施形態と組み合わせられ得る本発明のさらなる態様によれば、銃弾用のカートリッジケースが提供される。例えば、銃弾は、4.6~12.7の範囲の口径を有する。カートリッジとも称される銃弾は、以下の部品、すなわち、カートリッジケースと、推進剤粉末に点火するためのプライマーと、エネルギー担体としての推進剤チャージと、銃器から発砲される発射体と、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。複数部品カートリッジケースは、プライマーに対面してプライマーを受容するための少なくとも1つのベースピースと、ベースピースに堅固に接続して発射体を受容するためのケースジャケットと、を一般に備えている。ケースジャケットとベースピースとを互いに取り付けると、ケースジャケットの外側面は、ベースピースの内側面に接触して静止し得る。換言すれば、ベースピースは、ケースジャケットを少なくとも部分的に受容し得る。例えば、ベースピースは、ケースジャケットを受容する中央凹部を有し得る。
【0054】
本発明によれば、カートリッジケースは、回転対称のケースジャケットと、これに取り付けられた本発明によるベースピースと、を備える。プライマーが、前記ベースピースに挿入される、特に圧入されることが想定され得る。
【0055】
好適な実施形態は、従属請求項に示される。
【0056】
以下において、本発明のさらなる特性、特徴および利点が、添付の例示的な図面を参照してなされる本発明の好適な実施形態についての説明によって明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明によるカートリッジケースの例示的な実施形態の断面図。
図2】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図3】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図4】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図5】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図6】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図7】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図8】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図9】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図10】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図11】本発明によるツール構成体における図2図10までの作製シーケンスの概略図。
図12】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図13】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図14】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図15】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図16】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図17】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図18】本発明によるベースピースの作製シーケンスの概略図。
図19】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図20】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図21】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図22】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図23】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図24】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図25】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図26】本発明によるツール構成体のさらなる例示的な実施形態における代替的な作製シーケンスの概略図。
図27】従来技術によるベースピースの成形度のシミュレーションである。
図28】本発明によるベースピースの変形度のシミュレーションである。
図29】従来技術によるベースピースの変形度のカラーでのシミュレーションである。
図30】本発明によるベースピースの変形度のカラーでのシミュレーションである。
図31】本発明によるツール構成体の例示的な実施形態の斜視図。
図32】本発明によるベースピースの例示的な実施形態の斜視図。
図33】本発明によるカートリッジケースのさらなる例示的な実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の例示的な実施形態についての以下の説明において、複数部品カートリッジ用の本発明によるベースピースに全体として参照符号1を付し、本発明によるカートリッジケースに全体として参照符号10を付し、ベースピースを作製するための本発明によるツール構成体に参照符号100を付す。
【0059】
図1は、本発明によるカートリッジケース10の例示的な実施形態を断面図で示す。カートリッジケース10は、ベースピース1と、これに堅固に接続して発射体(図示せず)を受容するためのケースジャケット3と、を備えている。図1に示す実施形態において、ベースピース1およびケースジャケット3は、回転対称となるように成形されている。ケースジャケット3は、一定の壁厚を有するとともに、例えば金属から成形されている。
【0060】
ベースピース1も同様に、金属、または金属合金、例えば銅、ケース硬化鋼、または真鍮から作製され得る。ベースピース1は、ケースジャケット3を受容するための中央凹部5を有している。凹部5の反対側に、ベースピース1は、プライマー(図示せず)が受容されるさらなる中央筒型凹部7を有している。以下の説明において、凹部5をレセプタクル5と称し、凹部7をプライマーレセプタクルと称する。
【0061】
また、ベースピース1は、中央プライミングボア15を有している。中央プライミングボア15は、ベースピースの環状ジャケット11により画定され、ケースジャケット3用のレセプタクル5に開口している。図1に示す実施形態において、ウェブ17が、レセプタクル5とプライマーレセプタクル7との間に成形されている。プライマーレセプタクル7は、ベースピース1のプライマー側の下側面19から、ベースピース1の発射体側の上側面21の方向にウェブ17まで延びている。プライマーレセプタクル7を画定するジャケット11の部分を、以下でプライミングボア壁23と称する。ケースジャケット3用のレセプタクル5は、発射体側の上側面21からベースピース1のプライマー側の下側面19の方向においてウェブ17まで延びている。ケースジャケット3用のレセプタクル5を画定するジャケット11の部分を、以下でレセプタクル壁25と称する。図1に示す実施形態において、ウェブ17は、プライマーレセプタクル7とレセプタクル5とを流体的に接続する中央貫通ボア27を有している。図1の実施形態において、したがって、プライミングボア15は、プライマーレセプタクル7および貫通ボア27により形成されている。ウェブ17は、発射体の発砲時に、レセプタクル壁25がプライミングボア壁23から意図せずに離間することを防止し得る。本発明によるベースピース1のさらなる実施形態において(図26参照)、レセプタクル5は、プライマーレセプタクル7に、図1に示すようにこれらの間にウェブが設けられることなく直接的に開口し得る。本実施形態において、プライミングボア15は、プライマーレセプタクル7のみにより形成されている。両実施形態において、ケースジャケット3は、ベースプレート1に面する側に対応する貫通ボア26を有している。この目的は、発射体を発砲するために、プライマーが生成した力を発射体に伝達することである。
【0062】
ベースプレート1は、引抜溝も備えている。以下では、引抜溝に全体として参照符号9を付す。引抜溝9は、ベースピース1の環状ジャケット11の外側面13に導入されるとともに、ベースピース1の周囲全体を周方向において延びている。銃器のエジェクタは、発射体を発砲した後の空のカートリッジケース10を引抜溝9を介して把持して取り出すことができる。引抜溝9は、ベースピース1の長手方向Lに対して本質的に垂直に配向されるプライマー側溝フランク29と、長手方向Lの方向に本質的に配向された径方向内側溝ベース31と、溝ベース31に隣接するとともに長手方向Lに対して傾斜する移行縁部33と、を備えている。空のカートリッジケース10を取り出すには、銃器のエジェクタを、プライマー側溝フランク29に係合させる。したがって、これは確実に取り出すために最も重要なポイントである。引抜溝9または溝フランク29は、周方向において材料フラグがない。
【0063】
材料フラグとは、引抜溝9または溝フランク29の部分における凹凸または隆起である。これは、従来技術では、引抜溝をセグメント化されたツールで作製する際に、ツールの個々のセグメント間に生じる。本発明によるベースピース1において、同一の軸方向高さにおける引抜溝9の部分の直径の偏差は0.1mm未満であるため、本発明によるベースピース1において、引抜溝9の寸法精度は非常に高い。したがって、本発明によるベースピース1において、溝フランク29、溝ベース31、および移行縁部33は、特に隆起や表面欠陥なく特に平面的に成形されるため、事後の機械加工が不要である。このような引抜溝9は、以下に詳細に説明する、引抜溝9をベースピース1に導入するための本発明による方法で作製され得る。
【0064】
図2図10は、本発明によるベースピース1を作製するための本発明による方法の作製シーケンスの概略図を、方法中のベースピースの個々の段階に基づいて示す。
【0065】
最初に、金属ワイヤが準備され、これを一定長さに切断またはトリミングすることで円筒状のワイヤセクション35が成形され得る(図2)。そして、ワイヤセクション35をセットして厚肉ディスク37を成形する(図3)。次いで、ケースキャビティとも称され得る中央内側キャビティ41を有するカップ構造体39が、押出成形により作製される(図4)。カップ構造体39は、以下でケースブランク43と称する。
【0066】
次いで、ケースキャビティ41をさらに凹ませて、プライマーレセプタクル7を成形する(図5)。同時に、引抜溝9を、変形により予備成形する。変形は、一般に、ベースピース1から材料を除去したり加えたりせずにベースピース1を異なる形状にする非切断作製プロセスである。ベースピース1の質量は、変形中に同一のままである。
【0067】
図5は、予備成形された引抜溝8の予備成形されたプライマー側溝フランク28が、ベースピース1またはケースブランク43の長手方向Lに対して90°未満の角度で配向されていることを示す。予備成形された溝フランク28の傾斜角度は、図5において参照符号45で示されている。次のステップにおいて、予備成形された溝フランク28をさらに変形させる。図6は、さらなる変形後における、完全に変形させた溝フランク29を示す。これが、長手方向Lに対して横方向に90°の角度で配向されていることが分かる。この角度は、図6において参照符号47で示されている。
【0068】
以降の2つの作製ステップにおいて、ベースピース1の所望の内側および外側の幾何学的形状が作製される。まず、外側の幾何学的形状がプリプレスされる(図7)。これにより、引抜溝9の移行縁部33が作製されるとともに、溝ベース31が成形される。次のステップにおいて、ケースジャケット3用のレセプタクル5がプレスされる(図8)。次いで、ベースピース1は校正され(図9)、ウェブ17が穿孔される。これにより、プライマーレセプタクル7とケースジャケット3用のレセプタクル5との間に、接続部27が成形される。
【0069】
概略的な作製シーケンスは、本発明による作製方法において、ケースジャケット3用のレセプタクル5の作製が開始する前に(図8)、引抜溝9がケースブランク43に導入されて完成される(図6)ことを示している。これにより、変形中に達成可能な引抜溝9の高い寸法精度が、レセプタクルの同時作製または先行作製によって損なわれないことが保証される。
【0070】
図11図18は、関連するツールを用いて本発明によるベースピース1を作製するための図2図10の作製シーケンスを示す。
【0071】
図11は、図2の円筒状ワイヤセクション35を再び示す。ワイヤセクション35を、ワイヤセクションを軸方向に固定するためのダイ49と、長手方向Lに移動可能であるプレスプランジャ51とを用いて、図12で厚肉ディスク39に変形させる。図13において、厚肉ディスク39の上側面53が、プレスプランジャ51により固定されているため、ケースキャビティ41を、厚肉ディスク39の下側面55から、さらなるプレスプランジャ57を用いた押出により導入することができる。
【0072】
図14は、引抜溝9を予備成形するための本発明によるツール構成体100において先のステップにより作製されたケースブランク43を示す。ツール構成体100は、長手方向Lのみに移動可能である予備成形ダイ61と予備成形パンチ63とからなる一対の予備成形パンチ・ダイ59を備えている。したがって、プレス動作方向Pひいては成形方向Uは、ベースピース1またはケースブランク43の長手方向Lに沿って延びている。プレス動作方向Pおよび成形方向Uは、図14および図15において、各々矢印で示されている。
【0073】
図11図18の例示的な作製プロセスにおいて、ケースキャビティ41を導入するためのプレスプランジャ51は、引抜溝9を予備成形するための予備成形ダイ61としても使用される。引抜溝9を予備成形するために、予備成形ダイ61は、ケースブランク43の下側面55を固定するとともに、ケースブランク43のケースキャビティ41内の中央隆起65と係合する。中央隆起65は、ケースブランク43をセンタリングするとともに、これを径方向に固定する。予備成形パンチ63は、ケース状態様で成形され、周方向に閉鎖している。予備成形パンチ63は、一体部品としても作製され、ケースブランク43を外側で取り囲む。予備成形パンチ63は、ケースブランク43に対面する内面67に径方向周方向において材料変位凸部69を有している。予備成形パンチ63を予備成形ダイ61に向けて長手方向Lにおいて移動させると、引抜溝9の溝フランク29が、材料変位凸部69により予備成形される。図5に示すように、予備成形された溝フランク28は、長手方向L(図15参照)に対して90°未満の角度45で配向されている。
【0074】
したがって、予備成形パンチ63の材料変位凸部69も同様に、長手方向Lに対して90°未満の角度で配向される。特に、材料変位凸部69のプレス面71が、長手方向Lに対して10°~80°の範囲、好適には15°~75°の範囲、20°~70°の範囲、または25°~65°の範囲の傾斜角度で配向され得る。
【0075】
図14は、引抜溝9の予備成形中に予備成形パンチ63がケースブランク43の長手方向Lに沿って予備成形ダイ61に向けて移動する際に、材料が軸方向にのみ、すなわちプレス移動方向Pまたは成形方向Uに沿って変位していることを示す。図14図15との比較から、引抜溝9の予備成形中にケースブランク43の外径が増大しないという事実により分かるように、材料は径方向外方に変位しない。
【0076】
図15は、本発明によるさらなるツール構成体100を示す。さらなるツール構成体100を用いて、予備成形された溝フランク28を逆方向押出によってさらに変形させる。本文脈において、逆方向押出は、材料フローが成形方向Uと反対方向に、または成形ツールの移動方向の反対方向に生成される押出プロセスとして理解されたい。ツール構成体100は、ダイ77とプレスプランジャ79とからなる、さらなるパンチ・ダイ対75を備えている。図15のダイ77は、図14の予備成形ダイ61と同一である。ただし、中央隆起65がより高く、したがってプライマーレセプタクル7がケースキャビティ41から既に成形されているという点だけ異なる。例えば、中央隆起65は、予備成形ダイ61内で軸方向において変位可能であり得る。これにより、予備成形された引抜溝8をさらに変形させるためにダイを追加する必要がなく、作製時のコストおよび時間を節約することができる。プレスプランジャ79も、ケース状態様で成形される。ケースブランク43に対面するプレスプランジャ79の下側面83は、プレスプランジャ79の内側面81を起点とする材料変位凸部としてみなすことができる。プレスプランジャ79がダイ77に向かって長手方向Lにおいて移動すると、材料が変位することで、図6に示すように長手方向Lに対して横方向に90°の角度で配向された溝フランク29が成形される。図15に示す実施形態において、ケースブランク43の上側面53は、さらなるプレスプランジャ85により追加的に固定されている。
【0077】
図15の作製ステップ、および完全に変形した引抜溝9を有する図16のケースブランク43の結果としての段階を同時に観察すると、完成した溝フランク29への予備成形された溝フランク28の変形は、プレス移動方向Pおよび変形方向Uに逆らう材料フロー、またはケースブランク43の長手軸Lに沿ったプレスプランジャ79の移動に伴われることが分かる。ただし引抜溝9の予備成形と同様に、径方向外方への材料の変位はない。
【0078】
図14および図15に示す引抜溝9を変形させるための本発明によるツール構成体は、従来技術で使用されているツールに比較してシンプルな構造を有するため、従来技術で使用されているツールよりもコスト効率が高い。
【0079】
図16図18において、ベースピース1の内側および外側の幾何学的形状がプレスされる。図16において、引抜溝9の移行縁部33およびケースジャケット3用のレセプタクル5の外側の幾何学的形状が、セグメント化されたツール87を用いて最初にプレスされる。ケースブランク43の上側面53は、プレスプランジャ85により固定されたままであり、ケースブランク43の下側面55は、ダイ77により固定されたままである。図17において、外側の幾何学的形状がさらなるセグメント化されたツール89を使用して仕上げプレスされ、同時にレセプタクル5の内側の幾何学的形状がプレスプランジャ91により成形される。セグメント化されたツール87、89は、変形のために径方向に互いに向かって移動する複数の打ち抜きセグメントから各々なり得る。最後に、図18は、仕上げられたベースピース1を示す。ただし、貫通ボア27をレセプタクル5とプライマーレセプタクル7との間のウェブ17に導入する必要がまだある。
【0080】
図11図18は、レセプタクル5の作製時に、引抜溝9が干渉を受けることがなく、引抜溝9の高い寸法精度が変形後に損なわれないことを示している。引抜溝9を変形させた後に、事後の機械加工処理が必要ないことも明瞭である。本発明による作製方法のさらなる利点は、溝フランク29と溝ベース31との間の移行部、ならびに溝フランクとベースピース1のジャケット11の外側面13との間の移行部が、確実に90°の角度で成形できることである(図1参照)。
【0081】
図19図26は、本発明によるベースピース1のための代替的な作製シーケンスを、この目的のために使用されるツールとともに示す。使用されるツールは、図19図26の各々の上部に示し、ベースピース1すなわちケースブランク43の結果として得られる段階を下方に示す。作製されるベースピース1を図26に示す。これは、図1または図10および図18のベースピース1とは、ケースジャケット3用のレセプタクル5とプライマーレセプタクル7との間にウェブが設けられていない点で異なる。
【0082】
最初に、ブランク37がプレートから撃ち抜かれる(図19)。代替的に、図2および図3に示すように、一片のワイヤからブランク37がプレスされる。続いて、中央内側キャビティ93が、ブランク37の上側面53に、プレスプランジャ95による逆方向押出(図20)によって作製される。これにより、カップ構造体39が成形される。この目的のために、プレスプランジャ95は、ケース形状ガイド96内でケースブランク43の長手方向Lにおいて変位可能であり得る。ブランク37の下側面55は、ダイ50により固定される。次のステップにおいて、ケースキャビティ41が、ブランク37の下側面55に、プレスプランジャ97による順方向押出(図21)によって作製される。これにより、二重カップ構造体40が成形される。
【0083】
ケースブランク43は、軸方向および径方向に、内側キャビティ93に係合したままであるプレスプランジャ95により固定される。ウェブ99が、ケースキャビティ41とキャビティ93との間に残る。これは、次いで、プレスプランジャ95を用いて穿孔され、図22の下方に示すケースブランク43が作製される。ケースブランク43の下側面53は、ケース形状ダイ98により保持される。図22のケースブランク43は、環状ジャケット11を貫通する連続プライミングボア15を既に有している。
【0084】
図11図18の作製プロセスと同様に、引抜溝9が、次のステップ(図23)において変形により最初に予備成形される。本発明によるツール構成体100は、図14のツール構成体100位本質的に対応する。したがって、図11図28の実施形態を参照し、相違点のみを以下に説明する。図23の実施形態において、ダイ61は、ケースブランク43の中央内側キャビティ41内で係合するための中央隆起を有していない。なぜならば、ケースブランク43は、連続プライミングボア15を既に有しており、中央隆起上のウェブに当接できないためである。その代わりに、ケースブランク43は、ケースブランク43のプライミングボア15を完全に貫通して突出するプレスプランジャ95によりセンタリングされるとともに、径方向に固定されている。次のステップにおいて、予備成形された引抜溝8をさらに変形させる(図24)。本発明によるツール構成体100は、ここでも図15のツール構成体100と本質的に対応するが、ケースブランク43がプレスプランジャ95によりセンタリングされるとともに径方向に固定され続けている点が異なる。図23において、プレスプランジャ95は、ガイド96により保持され、一端部がダイ61に対面した状態でダイ61に載置されている。図24においては対照的に、プレスプランジャ95は、長手方向Lにおいてさらに変位しているとともに、ガイド96および対応してケース形状態様で成形されたダイ77によりガイドされている。プレスプランジャ95をガイドするようにダイ61もケース形状であり得ること、およびダイ77は必ずしもケース形状である必要はないこと、しかし、さらなる変形中(図24)にプレスプランジャ95がガイド96によってのみ保持され得ることを理解すべきである。
【0085】
次いで、ベースピース1の内側および外側の幾何学的形状が、プレスされる。特に、引抜溝9の移行縁部33および溝ベース33(図25)、およびジャケット3用のレセプタクル5(図26)が、セグメント化されたツール87、89およびプレスプランジャ91により成形される。図16図18の作製プロセスの実施形態を参照されたい。
【0086】
代替的な作製シーケンスにおいて、ケースジャケット3用のレセプタクル5の作製が開始される前に(図25)、引抜溝9は、ケースブランク43に同様に導入され完成される(図24)。図24および図25から、レセプタクル5の作製時に引抜溝9が妨げられず、引抜溝9の事後の機械加工が不要であることも分かる。
【0087】
図27および図28は、従来技術において一般的な真鍮製のベースピース2(図27および図29)と、本発明による真鍮製のベースピース1(図28および図30)との直接比較を示す。図27および図29において、ベースピースの個々の要素に対する参照符号は、各々100だけ増加している。従来技術によるベースピース2では、引抜溝109は、ケースジャケット3用のレセプタクル5の作製後に作製されたものである。本発明によるベースピース1では、材料の純粋な軸方向変形によるケースジャケット3用のレセプタクル5の作製前に、引抜溝9は変形により作製されたものである。いずれの図面においても、ケースジャケット3用のレセプタクル5、105とプライマーレセプタクル7とを隔てるウェブ17、117は、まだ穿孔されていない。
【0088】
比較から明瞭なように、本発明によるベースピース1は、より高い変形度を有している。特にケースジャケット3用のレセプタクル5の部分および引抜溝9の部分において、本発明によるベースピース1のレセプタクル壁25およびプライミングボア壁23はより高い変形度を有することが分かる。変形度は、ベースピース1の変形の尺度である。これは、ワイヤセクションまたはディスク37からベースピース1を作製する際に、材料が変形する程度を示す。変形度が高いほど、材料の高い強度および/または高い硬度がもたらされる。ベースピース1の硬度は、成形度に直接的に依存する。ベースピース1の成形度が高ければ結果として硬度が高くなるため、ベースピース1とケースジャケット3との間、ならびにベースピース1とプライマーとの間のより高い保持力が達成され得る。この結果、本発明によるベースピース1を有するカートリッジケース10は、発射体の発砲時に、より大きな内部圧力に耐えることができる。
【0089】
本発明による方法またはツール構成体100を使用して作製されたベースピース1は、ベースピース1のジャケット11における特徴的な硬度プロファイルをも有する。したがって、これは、引抜溝9が、本発明による方法またはツール構成体100を使用して作製されたことを示す。
【0090】
図28および図30において、溝フランク29の変形度が溝ベース31の変形度に本質的に対応するため、均一な変形度ひいては均一な硬度プロファイルが、引抜溝9の部分に存在することが分かる。これに対し、従来技術において一般的な図27または図29のベースピース2の場合、溝フランク29の変形度は溝ベース131の変形度よりも大きい。
【0091】
さらに、プライミングボア壁23、123およびレセプタクル壁25、125の壁厚の中央に沿って延びるライン101および103から、本発明によるベースピース1の変形度は、プライマー側の下側面19から発射体側の上側面21まで連続的に増加していることが分かるが、従来技術のベースピース2では該当しない。
【0092】
図31は、本発明によるツール構成体100のさらなる例示的な実施形態を示す。図31は、成形パンチ115にフォーカスしたツール構成体100の断面の斜視図を示す。図31による好適な実施形態において、成形パンチ115は、2つのパンチ半体127、129を備えている。これらのパンチ半体127、129は、それらの間にレセプタクル131を画定している。レセプタクル131は、断面において円形であり、他方の断面方向において凹状、特に半球状である。2つのパンチ半体127、129の間において、アンビル107が成形パンチ115に対して並進移動可能となっており、この目的は、並進移動方向において成形パンチ115に当接接触するとともに成形パンチ115から離れることである。
【0093】
図32は、本発明によるベースピース1の例示的な実施形態の斜視図を示す。ベースピース1は、少なくとも2つのパンチ部品を備える成形パンチを備えた特に本発明によるツール構成体100により作製されている。ベースピース100をセグメント化されたツールを用いて作製する場合、ベースピース1の長手軸方向に延びて外側面135に残る分離ポイントすなわちシーム133が、細く長い凸部として生じる。分離ポイント133は、2つの打ち抜き部品の間に位置してプレス動作を実施するよう互いに対して移動可能なセグメント化されたツールによりベースピース1をプレスする際に変位した材料から生じる。プレス動作において、材料は、プレスされてシーム133として見える。図32による例示的な実施形態において、シーム133は、ベースピース1の溝フランク129から上側面21まで本質的に延びている。ただし、ベースピース1の長手方向におけるシーム133のシーム長さは、より短くすることも可能であり、例えば、レセプタクル壁25の高さの約半分までしか延びないとすることもできる(例えば図33も参照)。さらに、シーム133の深さまたは形状は、長手方向延長線に対して横方向に、特に径方向に変化し得る。この場合、溝フランク29の部分におけるシーム深さは、隣り合う部分におけるよりも顕著に小さく、特にゼロになるほど小さくすることができる。これは、溝フランク29が閉鎖した、例えば円筒形状のツールを用いてプレスされるため、シームの成形の原因となる材料の変位が生じないためであると考えられる。シーム深さは、ベースピース1のケースジャケット3を受容する部分において、頂部に向けて同様に減少し得る。これは、ベースピース1をケースジャケット3に接合する際に、校正ダイにより再度平らにすることができるためである。これによって、この領域においてより目立たなくなる。
【0094】
図33では、ベースピース1がケースジャケット3に組み合わされている、または接合されている、より短いシーム133が示されている。特に、ケースジャケット3に対面するベースピース1の上側接合セクション137において、シーム133は、接合後に、本質的に見えなくなるように再び平滑化され得る。さらに、図33において異なるライン太さで示すように、溝フランク29の部分におけるシーム深さは、同様により目立たないものとされ得る。これは、閉鎖したツールよって溝フランク29を作製するという上述の態様を理由とする。
【0095】
このことは、シーム133の機能的な欠点を最小限にし得る。これは、ベースピースの外側面135上のシーム133は、特定の状況下で、装填能力に悪影響を及ぼし得るためである。溝フランクの部分における顕著なシーム133は、特定の状況下で、引抜溝9の本質的な引抜性能に悪影響を及ぼし得る。神経痛的な、機能的に関連するセクションにおいてシーム133の程度を丹念に制御し減少させる本発明による方法を用いることで、従来技術で知られる方法から生じる欠点、すなわち、セグメント化されたツールにより引抜溝におけるプレスから生じる欠点を回避することができる。
【0096】
上記の説明、図面および特許請求の範囲に開示された特徴は、種々の実施形態における本発明を実現するために、個々でも任意の組み合わせにおいても重要であり得る。
【符号の説明】
【0097】
1 ベースピース
2 ベースピース(最新式)
10 カートリッジケース
100 ツール構成体
3 ケースジャケット
5、105 レセプタクル
7、107 プライマーレセプタクル
8 予備成形された引抜溝
9、108 引抜溝
11、111 環状ジャケット
13 外側面
15 プライミングボア
17、117 ウェブ
19、119 プライマー側下側面
21、121 発射体側上側面
23、123 プライミングボア壁
25、125 レセプタクル壁
26 貫通ボア
27 貫通ボア
28 予備成形された溝フランク
29 溝フランク
31、131 溝ベース
33、133 移行縁部
35 円筒状ワイヤセクション
37 肉厚ディスク
39 カップ構造体
40 二重カップ構造体
41 ケースキャビティ
43 ケースブランク
45 角度
47 角度
49 ダイ(設定)
50 ダイ
51 プレスプランジャ(設定)
53 プレスプランジャ(ケースキャビティ)
55 上側面
57 下側面
59 一対の予備成形パンチ・ダイ
61 予備成形ダイ
63 予備成形パンチ
65 中央隆起
67 パンチの内面
69 材料変位凸部
71 プレス面
75 パンチ・ダイ対
77 ダイ
79 プレスプランジャ
81 パンチ内面
83 材料変位凸部
85 プレスプランジャ
87 セグメント化されたツール
89 セグメント化されたツール
91 プレスプランジャ
93 中央凹部
95 プレスプランジャ
96 ガイド
97 プレスプランジャ
99 ウェブ
101 ライン
103 ライン
115 成形パンチ
127、129 パンチ半体
131 レセプタクル
133 分離ポイント
135 外側面
L 長手方向
U 成形方向
P プレス方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【国際調査報告】