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特表2024-537707フィールドデバイスのための再使用可能な本質安全電源モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】フィールドデバイスのための再使用可能な本質安全電源モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/202 20210101AFI20241008BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20241008BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/597 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M50/202 501C
G08C17/02
H01M50/271 B
H01M50/284
H01M50/597
H01M50/588
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518305
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022043965
(87)【国際公開番号】W WO2023049067
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/483,091
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ニューハース,ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,コリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マルソ,ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】チュオイ,フン
(72)【発明者】
【氏名】ジンデル,グレッグ・イー
(72)【発明者】
【氏名】ポコーニー,マシュー
【テーマコード(参考)】
2F073
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DE13
2F073EE01
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG05
2F073GG08
5H040AA37
5H040AT01
5H040AY05
5H040DD02
5H040DD08
5H040DD12
5H043AA04
5H043BA07
5H043CA03
5H043GA21
(57)【要約】
フィールドデバイス(100)のための再使用可能な電源モジュール(110、200)が提供される。再使用可能な電源モジュール(110、200)は、電池(206)を収容するように構成されたチャンバを画定する本体(204)を含む。カバー(202)が、本体(204)に動作可能に結合され、本体(204)に対し、本体(204)が開き、電池(206)へのアクセスを可能にする第一の形態を有する。カバー(202)はまた、電池(206)へのアクセスが閉じられる第二の形態を有する。カバー(202)が第二の形態にあるとき、再使用可能な電源モジュール(110、200)は本質安全規格に準拠する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールドデバイスのための再使用可能な電源モジュールであって、
電池を収容するように構成されたチャンバを画定する本体と;
前記本体に動作可能に結合されたカバーであって、前記本体に対し、前記本体が開き、前記電池へのアクセスを可能にする第一の形態と、前記電池へのアクセスが閉じられる第二の形態とを有するカバーと、を含み、
前記カバーが前記第二の形態にあるとき、本質安全規格に準拠する、再使用可能な電源モジュール。
【請求項2】
前記カバーが前記本体に枢動可能に結合している、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項3】
前記カバーが前記本体に滑動可能に結合している、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項4】
前記カバーが、前記カバーを前記第二の形態に保持するために前記本体の対応する特徴と係合する少なくとも一つの特徴を含む、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項5】
前記少なくとも一つの特徴がスナップを含む、請求項4記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項6】
前記カバーが複数のフィールドコミュニケータ接続クリップを含む、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項7】
前記本体が、前記フィールドデバイスに電力及び通信を提供するための複数の導体を含む、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項8】
前記チャンバが、単1電池を収容するように構成されている、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項9】
前記本体中に配置された単1一次電池をさらに含む、請求項8記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項10】
前記単1一次電池がリチウム電池である、請求項9記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項11】
前記ボディに対して取り付けられた第一の回路板をさらに含む、請求項1記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項12】
前記第一の回路板の中心からそれぞれ離間した一対のばねをさらに含む、請求項11記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項13】
前記一対のばねが受動的な極性保護を提供する、請求項12記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項14】
前記カバーに対して取り付けられた第二の回路板と、前記第一及び第二の回路板を結合する複数の導体とをさらに含む、請求項11記載の再使用可能な電源モジュール。
【請求項15】
少なくとも一つのプロセス変量センサに動作可能に結合され、前記少なくとも一つのプロセス変量センサの電気的特性に関するデジタル示度を提供するように構成された測定回路;
前記測定回路に結合され、前記デジタル示度に基づいてプロセス変量情報を生成するように構成された制御装置;
前記制御装置に結合されたプロセス通信回路であって、前記制御装置によって提供された前記プロセス変量情報に基づいてプロセス変量出力を生成するように構成されているプロセス通信回路;及び
前記測定回路、前記制御装置及び前記プロセス通信回路に動作可能に結合された再使用可能な電源モジュールであって、
電池を収容するように構成されたチャンバを画定する本体と;
前記本体に動作可能に結合されたカバーであって、前記本体に対し、前記本体が開き、前記電池へのアクセスを可能にする第一の形態と、前記電池へのアクセスが閉じられる第二の形態とを有するカバーと
を含み、前記カバーが前記第二の形態にあるとき、本質安全規格に準拠する、再使用可能な電源モジュール
を含むフィールドデバイス。
【請求項16】
前記本体中に配置されたリチウム単1一次電池をさらに含む、請求項13記載のフィールドデバイス。
【請求項17】
前記プロセス通信回路がワイヤレスプロセス通信回路である、請求項15記載のフィールドデバイス。
【請求項18】
前記カバーが前記本体に枢動可能に結合している、請求項15記載のフィールドデバイス。
【請求項19】
前記カバーが前記本体に滑動可能に結合している、請求項15記載のフィールドデバイス。
【請求項20】
非本質安全一次電池を再使用可能な電源モジュール中で使用して、危険な場所に位置するフィールドデバイスに電力を提供する方法であって、
再使用可能な電源モジュールを提供するステップ;
非本質安全電池を取得するステップ;
前記再使用可能な電源モジュールを開け、前記非本質安全電池を前記再使用可能な電源モジュールに挿入するステップ;
前記再使用可能な電源モジュールを閉じるステップ;
前記フィールドデバイスの危険な場所に移動するステップ;
前記フィールドデバイスのカバーを開けるステップ;
前記フィールドデバイスから電源モジュールを取り出し、前記再使用可能な電源モジュールを前記フィールドデバイスに挿入するステップ;及び
前記フィールドデバイスの前記カバーを閉じるステップ
を含む方法。
【請求項21】
前記再使用可能な電源モジュールを閉じるステップが、前記再使用可能な電源モジュールのカバーを前記再使用可能な電源モジュールの本体に対して枢動させることを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記再使用可能な電源モジュールを閉じるステップが、前記再使用可能な電源モジュールのカバーを前記再使用可能な電源モジュールの本体に対して滑動させることを含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記再使用可能な電源モジュールを閉じるステップが、前記再使用可能な電源モジュールのカバーを前記再使用可能な電源モジュールの本体にスナップ嵌めすることを含む、請求項20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、工業プロセス制御及びモニタリングシステムに関する。より具体的には、本発明は、そのようなシステムにおいて使用するためのワイヤレスプロセスフィールドデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
工業的状況においては、工業的及び化学的プロセスなどのインベントリー及び運転をモニタし、制御するためにプロセス制御システムが使用される。通常、それらの機能を実行するシステムは、プロセス制御ループによって制御室中の制御回路に結合された、工業プロセス中の主要な場所に分散したフィールドデバイスを使用する。「フィールドデバイス」という語は、工業プロセスの測定、制御及びモニタリングにおいて使用されるすべてのデバイスを含む、分散制御又はプロセスモニタリングシステムにおいて機能を実行するデバイスを指す。普通、そのようなフィールドデバイスは、比較的過酷な環境で屋外設置することができ、かつ、温度、湿度の気候学的極値、振動及び機械的衝撃に耐えることができるよう、実地試験済みの(field-hardened)エンクロージャを有する。
【0003】
通常、各フィールドデバイスはまた、プロセス制御ループを介してプロセス制御装置、他のフィールドデバイス又は他の回路と通信するために使用される通信回路を含む。一部の施設において、プロセス制御ループはまた、フィールドデバイスに給電するために、調整された電流及び/又は電圧をフィールドデバイスに印加するためにも使用される。プロセス制御ループはまた、アナログ又はデジタルフォーマットにあるデータを運ぶ。
【0004】
一部の施設において、フィールドデバイスとの通信のために今ではワイヤレス技術が使用されている。ワイヤレス操作はフィールドデバイスの配線及びセットアップを簡素化する。現在、フィールドデバイスが局所的電源を含むワイヤレス施設が使用されている。しかし、電力制限のせいで、そのようなワイヤレスフィールドデバイスの機能が限られることもある。
【0005】
ワイヤレスフィールドデバイスは、電源のエネルギーが消耗した、又は選択された閾値を下回ったとき交換することができる局所的な本質安全電源を用いることができる。本質安全とは、潜在的に爆発性の環境においてフィールドデバイスが安全に作動する能力を指す用語である。たとえば、フィールドが作動する環境は、ときには、不規則なスパーク又は電気部品の十分に高い表面温度が環境を発火させ、爆発を発生させるほどに爆発性であることもある。そのような状況が起こらないことを保証するために、本質安全規格が開発された。本質安全要件への準拠が、障害条件下でさえ、回路又はデバイスそのものが爆発性の環境を発火させないことを保証するのに役立つ。本質安全要件の一つの規格が、Factory Mutual Researchによって1998年10月に公布されたAPPROVAL STANDARD INTRINSICALLY SAFE APPARATUS AND ASSOCIATED APPARATUS FOR USE IN CLASS I, II AND III, DIVISION 1 HAZARDOUS (CLASSIFIED) LOCATIONS, CLASS 3610に記載されている。また、さらなる工業規格、たとえばカナダ規格協会(CSA)及び欧州電気標準化委員会の規格に準拠するための適合が考慮される。
【発明の概要】
【0006】
フィールドデバイスのための再使用可能な電源モジュールが提供される。再使用可能な電源モジュールは、電池を収容するように構成されたチャンバを画定する本体を含む。カバーが、本体に動作可能に結合され、本体に対し、本体が開き、電池へのアクセスを可能にする第一の形態を有する。カバーはまた、電池へのアクセスが閉じられる第二の形態を有する。カバーが第二の形態にあるとき、再使用可能な電源モジュールは本質安全規格に準拠する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に記載される実施形態が特に適用可能であるワイヤレス測定トランスミッタの上方部の分解図である。
図2】本明細書に記載される実施形態が特に適用可能であるワイヤレス測定トランスミッタの下方部の分解図である。
図3】従来技術による公知の交換可能なパワーモジュールの断面図である。
図4】本発明の実施形態が特に適用可能である、交換可能なモジュールを有するワイヤレス測定トランスミッタの図である。
図5】本発明の実施形態による再使用可能な一つの本質安全単1電池電源モジュールの斜視図である。
図6】本発明の実施形態による再使用可能な一つの本質安全単1電池電源モジュールの斜視図である。
図7】本発明の実施形態による再使用可能な一つの単1電池電源モジュールの内部特徴を示す図である。
図8A】本発明の実施形態による、極性保護を提供するための一対のばねの利用を示す図である。
図8B】本発明の実施形態による、極性保護を提供するための一対のばねの利用を示す図である。
図9】本発明のもう一つの実施形態による再使用可能な一つの単1電池電源モジュールの斜視図である。
図10】本発明のもう一つの実施形態による再使用可能な一つの単1電池電源モジュールの斜視図である。
図11】本発明の実施形態にしたがって、非本質安全一次電池を再使用可能な電源モジュール中で使用して、危険な場所に位置するフィールドデバイスに電力を提供する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的実施形態の詳細な説明
現在、ワイヤレスフィールドデバイスのための電源モジュールは比較的高価であり、一度しか使用することができない。したがって、電源モジュールを交換する必要がある場合、電源モジュール全体を取り出し、自治体のリサイクル規制にしたがって廃棄しなければならない。一次電池(一般的にリチウムベースの一次電池)に加えて、その電池を取り囲むプラスチック及び電源モジュールの回路もまた廃棄される。以下に説明する様々な実施形態は一般に、消耗した一次リチウム電池を取り出し、交換するために開けることができる新規な再使用可能な電源モジュールを用いる。そのうえ、実施形態は一般に、特注品の電池ではなく、既製品の一次リチウム電池を利用する。これらのタイプのリチウム電池は一般的であり、いくつかの卸売業者から入手可能である。エンドユーザが電池を交換し、電源モジュールを再使用する能力は、現在の市販品を上回る有意な利点を提供する。リチウム一次電池そのものは本質安全デバイスではない。本明細書に提供される実施形態は、市販の既製品リチウム一次電池を受けることができる電源モジュールを提供し、また、電池を受けるために開かれ、その後に閉じられて本質安全電源モジュール(その後、フィールドデバイスの場所に運び、爆発性の環境でさえ消耗した電源モジュールとで交換することができる)を提供することができるエンクロージャを提供する。
【0009】
図1は、本明細書に記載される実施形態が特に適用可能であるワイヤレス測定トランスミッタの上方部の分解図である。ワイヤレス測定トランスミッタ100は、上下のハウジング部品それぞれ102、104によって形成されるハウジングアセンブリを含む。ハウジングアセンブリは一般に、キャビティ106を含むハウジング本体を有する。下ハウジング104は、交換可能な電源モジュール110を受けるようにサイズ設定され、成形された第二のチャンバ108を含む。
【0010】
図2は、本明細書に記載される実施形態が特に適用可能であるワイヤレス測定トランスミッタの下方部の分解図である。図2に示すように、交換可能な電源モジュール110は、ハウジングとエンドキャップとを螺合させることによるハウジング104とエンドキャップ112との係合によってチャンバ104内に囲い込まれる。二つのカバー(102及び112)及び二つのキャビティ(106及び108)の使用が、第二のカバー112を外すことにより、第一のキャビティ106中に配置された電子部品を周辺の工業的環境からの汚染に曝露することなく、かつ第一のキャビティ106を周辺の工業的環境の雰囲気に曝露することなく、サービス作業(たとえば一次電池交換、設定調整)を可能にする。図2に示すように、ワイヤレス測定トランスミッタ100は、電気接点122によってキャビティ106内の電子部品に結合可能である測定センサ120を含むことができる。測定センサの例は、温度センサ、圧力センサ、ガスセンサ、湿度センサなどを含む。
【0011】
図3は、従来技術による、チャンバ108内に位置する交換可能な電源モジュールを示すワイヤレス測定トランスミッタの一部分の断面図である。交換可能な電源モジュール110は、カバー112によって閉じられるキャビティ108中に設置される。これが起こるとき、カバー112と、交換可能なモジュール110の外側シェル128のスラスト面126との間でばね124が圧縮される。図3に示すように、交換可能なモジュール110は一般に、キャビティ108中の対応する接点132と係合する接点130を含む。交換可能なモジュール110は、一次電池134と、カバー112が取り外されたときキャビティ108の縁138を越えて突出するサービス通信コネクタ136とを含む。したがって、ワイヤレス測定トランスミッタは、もっぱら一次電池134からのエネルギーによって給電される。
【0012】
図4は、本発明の実施形態が特に適用可能である、測定センサに接続されたワイヤレス測定トランスミッタの図である。図4に示すように、トランスミッタ100は計測及び温度センサ150に結合され、このセンサは他方で工業プロセス152に結合されている。計測及び温度センサ150はワイヤレストランスミッタ100の測定回路154に結合されている。測定回路154は、工業プロセス152から感知されるプロセス変量を表す電気出力を測定センサ130から受ける。一例において、測定センサ150は温度を測定し、測定回路154は、その温度の関数としてプロセス状態を決定することができる。測定回路154は、プロセス状態を表す出力を制御装置156に提供する。
【0013】
制御装置156は、測定回路154から受けた信号に基づいてプロセス変量を生成するためのプログラムステップを実行する適当な回路又は回路の組み合わせであることができる。一例において、制御装置156はマイクロプロセッサである。制御装置156はまた、通信回路158に結合され、この通信回路が、制御装置156からプロセス変量出力情報を受け、それに基づいてワイヤレス工業規格プロセス通信信号を提供することができる。好ましくは、通信回路158は、ワイヤレスアンテナ160を利用して双方向ワイヤレス通信を可能にする。参照番号162で図に示すように、この双方向ワイヤレス通信は一般に、工業プロセス制御システム164と通信する。適当なワイヤレスプロセス通信プロトコルの一例がIEC62591に記載されている。しかし、IEC62591の代わりに、又はそれに加えて、他の例もまた考慮される。
【0014】
図5は、本発明の実施形態による、フィールドデバイスのための再使用可能な一つの本質安全単1電池電源モジュールの斜視図である。図5には、電源モジュール200がその開いた形態で示され、上部202が枢動して本体から離れて、市販の既製品単1一次電池206にアクセスすることを可能にする。好ましくは、単1電池は、リチウムイオン化学を用いる一次電池である。電源モジュール200によって提供されるアクセスが、消耗した単1電池を取り出し、新たな単1電池をその中に配置することを容易にする。ひとたび新たな電池を本体204中に配置したならば、上部202を枢動させて元の位置に戻し、エンクロージャを閉じる。この閉じた形態が図6に示されている。
【0015】
閉じた形態で、モジュール200は、好ましくは、従来技術の交換可能な電源モジュールと実質的に同じフォームファクタを有する。したがって、そのような再使用可能な電源モジュールは、従来技術モジュールのために設計されたレガシーシステムとともに作動させることができる。一実施形態において、電源モジュールエンクロージャは四つの射出成形部品を含み、そのうち二つが外部部品であり、二つが内部部品である。外部部品(図5及び6に示す)はエンクロージャを形成し、このエンクロージャは、エンドユーザが二つの位置202、204の間でスナップを解放又は係合させることにより、開閉することができる。これらのスナップは、図5中、参照番号208及び210で示されている。スナップ208、210は本体204中の対応するスロット212と係合する。加えて、凹み214が、ユーザの指によってスナップをスロット212から係合解除することを可能にする。分離可能なエンクロージャは、エンドユーザが電池を容易に取り出し、交換することを可能にする。上述したように、再使用可能な電源モジュールのフォームファクタは、好ましくは、現在市販されている使い捨て電源モジュールに一致し、同じ外部電気接続を用いて、それがレガシー的なフィールドデバイスで使用されることを可能にする。
【0016】
内部ポリマー部品は、電子基板(プリント回路板)をユーザ接触及び電池交換中の損傷から保護する囲い板(図示せず)を含むことができる。電池がエンクロージャ内に配置され、エンクロージャが閉じられると、アセンブリ全体は本質安全になり、危険な場所でフィールドデバイス中に設置することができる。しかし、リチウム電池は、非危険区域でエンクロージャから取り出され、及び/又はエンクロージャ中に設置されなければならない。理由は、むき出しの単1一次電池は、エンクロージャの外では本質安全定格ではないからである。本質安全定格を受けるためには、デバイスは、上述した要件又は承認機関によって適当とみなされる他の適用可能な国際規格を満たさなければならない。これは、機械的及び電気的な設計要件、たとえばワイヤ/導線絶縁厚さ、エンクロージャ材料特性及び機械的試験を含む。
【0017】
電池への堅牢な内部接続を形成するために、好ましくは、電池のマイナス端子上に一対の円錐コイルばねが使用される。この円錐コイルばね対の目的もまた、電池のプラス端子を内部囲い板の一つに当てて保持し、それにより、落とした場合と強い振動応答の両方でそれを確保するという点で機械的な性質である。また、好ましくは、電池のプラス端子と接触して、フィールドデバイスに電力を提供するための回路を完成させる余分なばね押しピンのセットがある。エンクロージャ内で二つのプリント回路板を接続する3本のワイヤ(電力、コモン及びHART COMM)がある。好ましくは、フィールドコミュニケータ接続(図6に示すCOMMクリップ216)が電源モジュールの端部に位置する。フィールドコミュニケータ接続は、メンテナンス及び/又は性能検証(commissioning)中に技術者がフィールドデバイスと対話することができるよう、ハンドヘルド型メンテナンスデバイスによるフィールドデバイスへの容易な有線アクセスを可能にする。
【0018】
図5及び6に示す実施形態において、上ハウジング及び下ハウジングそれぞれは、好ましくは、それら自体のそれぞれのプリント回路板を含む。これらのプリント回路板それぞれは、ヒンジ部218(図5に示す)における接続を介して互いに電気的に結合されている。上ハウジングアセンブリは、上記のハンドヘルド型フィールドメンテナンスデバイスなどの通信デバイスに接続するためのコネクタと、電池陰極220に接続するためのコネクタとを含むプリント回路板を収容する。下ハウジングアセンブリ204は、別のプリント回路板と、電池陽極に接触するためのばねとを収容する。加えて、下ハウジングアセンブリは、フィールド機器に電力及び通信を提供するためのコネクタを収容する。下ハウジングのプリント回路板は、ヒンジ部218を通過するコネクタを介して上ハウジングのプリント回路板に電気的に結合される。この接続は、電池の反対側の端から電力を提供するだけでなく、COMMクリップ216が使用されるとき通信信号を運ぶ。
【0019】
図7は、本発明の実施形態による再使用可能な一つの単1電池電源モジュールの内部特徴の図である。電源モジュール200は、導体226によって互いに結合された一対の回路板222、224を含む。カバー202が閉じているとき、導体226の一方が電池206のプラス端子220(図5に示す)に接続する。さらなる導体226が、トランスミッタ100の電子部品と通信するために、COMMクリップ216をピン132に結合する。回路板222、224それぞれは電源モジュールのポリマー内に確実に取り付けられる。図7はまた、回路板222の中心の両側に配置された一対のばね228を示す。図示する例において、ばね228は円錐コイルばねである。振動下でさえ堅牢な電気接触が維持されるよう、単1電池のマイナス側に有意な力を与えるために一対のばね228を使用することが好ましい。加えて、回路板222の中心の両側に配置された一対のばねの利用は受動的な極性保護を提供する。この保護が提供される方法を、以下、図8A及び8Bを参照しながら説明する。
【0020】
図8A及び8Bは、本発明の実施形態による、極性保護を提供するための一対のばねの利用を示す図である。図8Aは、誤った極性で電源モジュールに挿入された単1電池206を示す。この配置では、プラス端子206がはじめに挿入され、ばね228とばね228の間で静止する。これが起こると、ばね228と220との間に電気的接触は起こらず、さらなる極性保護回路に頼らずとも、逆極性動作の危険性は排除される。これが、さらなるばねのコストを超えるさらなるコストを追加することなく、有意な受動的保護機能を提供する。図8Bに示すように、マイナス端子230が電源モジュールに挿入されると、マイナス端子は両方のばね228に載り、それによって堅牢な機械的及び電気的接触を提供する。
【0021】
これまで説明した実施形態は一般に、一次電池へのアクセスを可能にするためにエンクロージャの上方部が枢動して下方部から離れる実施形態を提供したが、他の機械的技術をも同様に使用することができる。
【0022】
図9は、電子部品が永久的に保持される「棺」型設計を用いる再使用可能な電源モジュールの図である。電子部品は、超音波溶接又は熱カシメされたポリマー部品によって保持することもできる。電源モジュールは、一次電池206へのアクセスを可能にするために、枢動して本体252から離れるドア250を含むことができる。図9に示すように、ドア250は、好ましくは、スロット256と係合して一次電池を電源モジュール内に封止するラッチ254を含む。このようにして、ひとたびドア250が閉じられると、電源モジュールは本質安全規格に準拠し、それにより、電源モジュールは、危険な環境にあるワイヤレスフィールドデバイス中に設置されることを可能にする。発明の精神及び範囲を逸脱することなく、さらなるタイプの接続が利用されてもよいことが理解されよう。
【0023】
図10は、本発明のもう一つの実施形態によるさらに別の再使用可能な電源モジュールの図である。図10に示すように、電源モジュール280は、本体282と、滑動するドア284とを含み、このドアは、本体282の対応するスロット290と係合して、ドア284が矢印292で示す方向に前後に滑動することを可能にするエッジ286、288の構成部品を有する。図8に示すように、ドアは滑動して開き、一次電池206へのアクセスを可能にする。
【0024】
さらに別の設計においては、図5及び6に示すものに類似する交換可能な電源モジュールが提供されるが、上方部が掛け止めし、枢動して離れるのではなく、上方部と本体との間の係合が、ねじ接続を介する係合である。さらに別の実施形態において、係合は、4分の1回転の回転係合を介する係合であってもよく、その場合、4分の1回転中に第一の部品の特徴が第二の部品の特徴と係合し、それが、4分の1回転の終わりにロック形態を提供する。
【0025】
図11は、本発明の実施形態にしたがって、非本質安全一次電池を再使用可能な電源モジュール中で使用して、危険な場所に位置するフィールドデバイスに電力を提供する方法の流れ図である。方法300は、再使用可能な電源モジュールを提供するブロック302で始まる。一例において、再使用可能な電源モジュールは図5に示すものである。次に、ブロック304で、非本質安全単1電池を取得する。一例において、これは市販の単1電池である。好ましくは、市販の単1電池はリチウム電池である。ブロック306で、図5に示すように、再使用可能な電源モジュールを開ける。再使用可能な電源モジュールが開いた状態で、単1電池を電源モジュールに挿入する。次に、ブロック308で、再使用可能な電源モジュールのカバーを閉じ、それにより、再使用可能な電源モジュールを本質安全要件に準拠させる。そのようなものとして、ブロック310で、再使用可能な電源モジュールを、危険な環境又は潜在的に爆発性の環境にあり得る、配備されたフィールドデバイス(すなわち「フィールド」に位置する)の場所に持って行くことができる。
【0026】
ブロック312で、フィールドデバイスのカバーを開けて、消耗した電源モジュールを露出させる。これは、レガシー的な電源モジュールであってもよいし、単に、消耗した単1電池を収容する別の再使用可能な電源モジュールであってもよい。ブロック314で、消耗した電源モジュールをフィールドデバイスから取り出す。ブロック316で、新品又は新たな電池を収容する再使用可能な電源モジュールをフィールドデバイスに挿入する。ブロック318で、フィールドデバイスのカバーを元に戻す。このようにして、非本質安全単1電池を再使用可能な電源モジュールの中に配置して、本質安全電源モジュールを提供することができる。そして、電源モジュールアセンブリ全体を使用して、フィールドデバイスをその場から移すことなく(すなわち、電源モジュールを交換するためにフィールドデバイスを非危険な場所に持ち込むことなく)、危険な場所又は潜在的に爆発性の場所にあるフィールドデバイスに給電することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
【国際調査報告】