(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】トリフルオロエチレンを製造及び精製する方法、並びに当該方法から得られる組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 17/383 20060101AFI20241008BHJP
C07C 17/23 20060101ALI20241008BHJP
C07C 21/18 20060101ALI20241008BHJP
C07C 19/08 20060101ALI20241008BHJP
C07C 9/06 20060101ALI20241008BHJP
B01J 23/44 20060101ALI20241008BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
C07C17/383
C07C17/23
C07C21/18
C07C19/08
C07C9/06
B01J23/44 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518334
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 FR2022051780
(87)【国際公開番号】W WO2023047056
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カンブロドン, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ラヌゼル, ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ラビー, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ヒスラー, ケビン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BC65A
4G169BC69A
4G169BC72B
4G169CB02
4G169CB25
4G169CB61
4G169DA06
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC11
4H006AD11
4H006BA25
4H006BA55
4H006BC11
4H006BE20
4H006EA02
4H006EA03
4H039CA99
4H039CB10
4H039CD20
4H039CF10
(57)【要約】
本発明は、触媒を含む固定触媒床を備える反応器においてトリフルオロエチレンを製造する方法に関し、当該方法は、a)触媒の存在下、気相中でクロロトリフルオロエチレンと水素とを反応させて、トリフルオロエチレンを含有する生成物流を製造する段階;b)段階a)で得られた生成物流を処理して、トリフルオロエチレン(HFO-1123)と、クロロトリフルオロエチレン(HCFO-1113)と、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物とを含有する流れAを回収する段階、当該流れAにおいて、少なくとも1つのさらなる化合物の合計含有量は重量で0.5%未満である;c)当該流れAを蒸留して、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満含有する、流れBを回収する段階を含むものである。本発明はまた、組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%、エタンを0.1~1000ppm、及び/又は1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、含有する組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒を含む固定触媒床を備える反応器においてトリフルオロエチレンを製造する方法であって、以下の段階:
a)触媒の存在下、気相中でクロロトリフルオロエチレンと水素とを反応させて、トリフルオロエチレンを含有する生成物流を製造する段階;
b)段階a)で得られた生成物流を処理して、トリフルオロエチレン(HFO-1123)と、クロロトリフルオロエチレン(HCFO-1113)と、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物とを含有する流れAを回収する段階であって、当該流れAにおいて、前記少なくとも1つのさらなる化合物の合計含有量が重量で0.5%未満である、段階;
c)前記流れAを蒸留して、流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも95重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満含有する、流れBを回収する段階
を含む、方法。
【請求項2】
前記流れAを蒸留する段階c)が、3bara未満の圧力で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流れAを蒸留する段階c)が、規則充填物を含む蒸留塔で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流れAが、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)及び1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を、それぞれ0.1重量%未満の含有量で含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記流れAが、当該流れAの合計重量を基準として、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を、0.01重量%未満の含有量で含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記流れAが、当該流れAの合計重量を基準として、エタンを0.05重量%未満の含有量で含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、元素周期表の第8族から第10族の金属系触媒であり、好ましくは担体上に堆積され、特にアルミニウム系担体上に堆積されており、より具体的には触媒がα-アルミナ上に担持されたパラジウムを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
クロロトリフルオロエチレン及び水素が無水形態であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
組成物の合計重量を基準として、
少なくとも99重量%のトリフルオロエチレン、並びに
0.1~1000ppmのエタン、又は
0.1~1000pmの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、又は
0.1~1000ppmのエタン、及び0.1~1000pmの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、
を含む、組成物。
【請求項10】
組成物の合計重量を基準として、0.1~1000ppmの1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)も含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の合計重量を基準として、0.1~2000ppmの1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)も含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロフルオレフィンの製造方法に関する。特に、本発明は、クロロトリフルオロエチレンの水素化分解による、トリフルオロエチレン(HFO-1123又はVF3)の製造方法に関する。本発明はまた、トリフルオロエチレンを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素化オレフィン、例えばVF3は、注目すべき特性、特に、優れた耐薬品性及び良好な耐熱性を示すフルオロカーボンポリマーを製造するためのモノマー又はコモノマーとして知られ、使用されている。
【0003】
トリフルオロエチレンは、圧力及び温度について標準条件のもとでは、気体である。この生成物の使用に関連する主なリスクは、可燃性、安定化されていない場合の自己重合性、化学的不安定性に起因する爆発性、及び他のハロゲン化オレフィンと同様に過酸化への敏感性が想定されることと関連している。トリフルオロエチレンは、極めて可燃性が高いという顕著な特徴を示し、その爆発下限(LEL)はおよそ10%、爆発上限(UEL)はおよそ30%である。しかしながら主な危険性は、特定の圧力条件下、エネルギー源の存在下で、酸素が不在であっても、激しく爆発的に分解するVF3の傾向と関連している。
【0004】
上記主な危険性を考慮して、VF3の合成及びその貯蔵も、特定の問題をもたらし、これらのプロセス全体には、厳格な安全規制が課される。トリフルオロエチレンを製造するための既知の経路では、出発材料としてクロロトリフルオロエチレン(CTFE)及び水素が、触媒の存在下、気相で使用される。
【0005】
国際公開第2013 128102号(WO2013/128102)からは、気相で、第VIII族の金属系触媒の存在下、大気圧にて比較的低温で、CTFE水素化分解によりトリフルオロエチレンを製造する方法が知られている。
【0006】
欧州特許出願公開第2990213号明細書(EP 2 993 213)からは、トリフルオロエチレンの製造方法が知られている。トリフルオロエチレンは、クロロトリフルオロエチレンの水素化分解により、又はクロロジフルオロメタン及びクロロフルオロメタンの熱分解により、得ることができる。この製造方法には、蒸留段階を10bargで行うことが含まれ、当該蒸留段階により、トリフルオロエチレンが、側方抜き取りで回収される。高圧蒸留を行うためには、3baraを超えると爆発するトリフルオロエチレンの性質を考慮して、特定の作業条件を整える必要がある。
【0007】
このように、高い収率及び選択性を保ちながら、より単純でより安全なトリフルオロエチレンの製造方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
第一の態様によれば、本発明により、触媒を含む固定触媒床を備える反応器においてトリフルオロエチレンを製造する方法が提供され、当該方法は、以下の段階を含むものである:
a)触媒の存在下、気相中でクロロトリフルオロエチレンと水素とを反応させて、トリフルオロエチレンを含有する生成物流を製造する段階;
b)段階a)で得られた生成物流を処理して、トリフルオロエチレン(HFO-1123)と、クロロトリフルオロエチレン(HCFO-1113)と、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物とを含有する流れAを回収する段階であって、当該流れAにおいて、少なくとも1つのさらなる化合物の合計含有量が重量で0.5%未満である、段階;
c)当該流れAを蒸留して、流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも95重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満含有する、流れBを回収する段階。
【0009】
本発明により、トリフルオロエチレンを製造及び精製するための安全で効率的なプロセスを行うことが可能になる。従来技術と比較してより単純なプロセスを行いながら、特定のさらなる化合物の含有量は、大幅に制限される。また、本方法により、高純度のトリフルオロエチレンの良好な収率を得ることが可能になる。
【0010】
好ましい実施態様によれば、流れAを蒸留する工程c)が、3bara未満の圧力で行われる。
【0011】
好ましい実施態様によれば、流れAを蒸留する工程c)が、規則充填物(structured packing)を含む蒸留塔で行われる。
【0012】
好ましい実施態様によれば、流れAが、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)及び1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を、それぞれ0.1重量%未満の含有量で含む。
【0013】
好ましい実施態様によれば、流れAが、当該流れAの合計重量を基準として、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を、0.01重量%未満の含有量で含む。
【0014】
好ましい実施態様によれば、流れAが、当該流れAの合計重量を基準として、エタンを0.05重量%未満の含有量で含む。
【0015】
好ましい実施態様によれば、当該触媒は、元素周期表の第8族から第10族の金属系触媒であり、好ましくは担体上に堆積され、特にアルミニウム系担体上に堆積されており、より具体的には触媒が、α-アルミナ上に担持されたパラジウムを含む。
【0016】
好ましい実施態様によれば、クロロトリフルオロエチレン及び水素が、無水形態である。
【0017】
第2の態様によれば、本発明により、下記組成物が提供される:
組成物の合計重量を基準として、
少なくとも99重量%のトリフルオロエチレン、並びに
0.1~1000ppmのエタン、又は
0.1~1000pmの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、又は
0.1~1000ppmのエタン、及び0.1~1000pmの1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、
を含有する、組成物。
【0018】
好ましい実施態様によれば、本組成物はまた、当該組成物の合計重量を基準として、0.1~1000ppmの1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を含有する。
【0019】
好ましい実施態様によれば、本組成物はまた、当該組成物の合計重量を基準として、0.1~2000ppmの1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を含有する。
【0020】
本発明により、さらなる化合物の含有量が制限された、トリフルオロエチレン組成物が提供される。これにより、トリフルオロエチレンの適用分野で多くの利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、気相において、好ましくは触媒の存在下で、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)と水素とを水素化分解反応させる段階を含む、トリフルオロエチレンの製造方法に関する。
【0022】
好ましい実施態様によれば、本特許出願に記載された発明による方法は、連続的に行われる。
【0023】
好ましい実施態様によれば、本特許出願に記載された発明による方法において、水素は無水形態である。
【0024】
好ましい実施態様によれば、本特許出願に記載された発明による方法において、クロロトリフルオロエチレンは無水形態である。
【0025】
本発明による方法を無水の水素及び/又はクロロトリフルオロエチレンの存在下で行うことにより、触媒の寿命、ひいてはプロセスの生産性全体を効果的に増大させることが可能になる。「無水」という用語は、考慮している化合物の合計重量を基準として、水の含有量が重量で1000ppm未満、有利には500ppm未満、好ましくは200ppm未満、特に100ppm未満であることをいう。
【0026】
触媒
触媒は好ましくは、元素周期表の第8族から第10族の金属に基づく。触媒は特に、Pd、Pt、Rh及びRuからなる群から選択される金属、好ましくはパラジウムに基づく。
【0027】
触媒は、担持されているのが好ましい。担体は好ましくは、活性炭、アルミニウム系担体、炭酸カルシウム、及びグラファイトからなる群から選択される。担体は好ましくは、アルミニウム系である。担体は特に、アルミナである。アルミナは、α-アルミナであり得る。アルミナは好ましくは、α-アルミナを少なくとも90%含む。アルミナがα-アルミナの場合、水素化分解反応の転化率が改善されることが観察された。よって、触媒は、殊に、アルミナに担持されたパラジウムであり、有利には、α-アルミナを少なくとも90%含むアルミナに担持されたパラジウムであり、好ましくは、α-アルミナに担持されたパラジウムである。好ましくは、パラジウムが、触媒の合計重量を基準として、0.01重量%~5重量%を占め、好ましくは、触媒の合計重量を基準として、0.1重量%~2重量%を占める。
【0028】
特に、触媒はアルミナに担持されたパラジウムを0.01重量%~5重量%含み、好ましくはアルミナが、α-アルミナを少なくとも90%含み、より好ましくは、アルミナが、α-アルミナである。
【0029】
触媒の活性化
触媒は好ましくは、段階a)で使用する前に、活性化される。触媒の活性化は好ましくは、高温にて、還元剤の存在下で行われる。特定の実施態様によれば、還元剤が、水素、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド、C1~C6アルカン、及びC1~C10ハロ炭化水素(hydrohalocarbons)、又はこれらの混合物;好ましくは、水素又はC1~C10ハロ炭化水素、又はこれらの混合物;特に、水素、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエタン、トリフルオロエタン若しくはジフルオロエタン、又はこれらの混合物からなる群から選択される。触媒の活性化は好ましくは、100℃~400℃の間の温度、特に150℃~350℃の間の温度で行われる。触媒の活性化は特に、還元剤としての水素の存在下では、100℃~400℃の間の温度、特に150℃~350℃の間の温度で行われる。
【0030】
触媒の再生
本方法で使用される触媒は、再生可能である。この再生段階は、90℃~450℃の間の触媒床温度範囲で行われ得る。再生段階は好ましくは、水素の存在下で行われる。再生段階を行うことにより、再生前の当初収率と比較して、反応の収率を改善させることができる。
【0031】
好ましい実施態様によれば、再生段階は、90℃~300℃の触媒床温度、好ましくは90℃~250℃の触媒床温度、より好ましくは90℃~200℃、特に90℃~175℃、殊に90℃~150℃の触媒床温度で行われ得る。特に、再生段階を低温(例えば90℃~200℃、又は90℃~175℃、又は90℃~150℃)で行うことにより、触媒の活性に有害な化合物の脱着が可能になり、かつ/又は触媒の構造を変性させる相転移を制限することが可能になる。
【0032】
別の好ましい実施態様によれば、再生段階は、200℃より高い、有利には230℃より高い、好ましくは250℃より高い、特に300℃より高い触媒床温度で行われ得る。再生段階は、段階a)で得られる生産性又は転化率に応じて、周期的に行われ得る。再生段階は有利には、200℃~300℃の間、好ましくは205℃~295℃の間、より好ましくは210℃~290℃の間、特に215℃~290℃の間、殊に220℃~285℃の間、好適には225℃~280℃の間、より好適には230℃~280℃の間の触媒床温度で行われ得る。代替的には、再生段階は、300℃~450℃の間の温度、好ましくは300℃~400℃の間の温度で行われ得る。再生された触媒は、本方法の段階a)で再利用可能である。
【0033】
水素化分解反応
上述したように本発明は、トリフルオロエチレンを含む流れを製造するために、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)と水素とを水素化分解反応させる段階を含む。水素化分解段階は、触媒の存在下、気相で行われる。水素化分解段階は好ましくは、事前に活性化された触媒の存在下、気相で行われる。水素化分解段階は、水素、CTFE及び任意選択的に不活性ガス(例えば窒素)を、気相で、先の触媒(事前に活性化されているのが望ましい)の存在下、同時に導入することからなる。
【0034】
段階a)は好ましくは、50℃~250℃の間の固定触媒床温度で行われる。段階a)は、50℃~240℃の間、有利には50℃~230℃の間、好ましくは50℃~220℃の間、より好ましくは50℃~210℃の間、特に50℃~200℃の間の固定触媒床温度で行われ得る。段階a)はまた、60℃~250℃の間、有利には70℃~250℃の間、好ましくは80℃~250℃の間、より好ましくは90℃~250℃の間、特に100℃~250℃の間、殊に120℃~250℃の間の固定触媒床温度で行われ得る。段階a)はまた、60℃~240℃の間、有利には70℃~230℃の間、好ましくは80℃~220℃の間、より好ましくは90℃~210℃の間、特に100℃~200℃の間、殊に100℃~180℃の間、好適には100℃~160℃の間、特に好ましくは120℃~160℃の間の固定触媒床温度で行われ得る。
【0035】
H2/CTFEのモル比は、0.5/1~2/1の間、好ましくは1/1~1.2/1の間にある。窒素などの不活性ガスが段階a)に存在する場合、窒素/H2のモル比は、0/1~2/1の間、好ましくは0/1~1/1の間にある。
【0036】
段階a)は好ましくは、0.05MPa~1.1MPaの圧力、より好ましくは0.05MPa~0.5MPaの圧力、特に大気圧で行われる。
【0037】
接触時間(触媒の体積(リットル)の、気体混合物の合計流量(標準リットル/秒:standard liters per second)に対する比として計算)は、反応器の入口において、1~60秒の間、好ましくは5~45秒の間、特に10~30秒の間、殊に15~25秒の間である。
【0038】
本方法の水素化分解段階(段階a)により、トリフルオロエチレンを含む生成物流が製造される。この生成物流は、未反応の水素及び未反応のクロロトリフルオロエチレンも含み得る。この生成物流は、1,1-ジフルオロエチレン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、又はエタンも含み得る。この生成物流は、HCl若しくはHF、又はこれら2つの混合物も含み得る。段階a)を行うことにより、1,1-ジフルオロエチレン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン及び/又はエタンの含有量が低減されたトリフルオロエチレンを製造することができる。これにより、反応流を処理する段階が容易になり、プロセス全体の収率が良好になる。
【0039】
反応流の処理
本方法の段階b)によれば、段階a)から生じた生成物流が、トリフルオロエチレン(HFO-1123)と、クロロトリフルオロエチレン(HCFO-1113)と、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物とを含有する流れAを回収するために、処理される。よってこの流れAは、上述の1つ、2つ、3つ、又は4つのさらなる化合物を含み得る。
【0040】
好ましい実施態様によれば、流れAにおける少なくとも1つのさらなる化合物の合計含有量は、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.5%未満、有利には0.4%未満、好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.2%未満である。よって、流れAに存在するさらなる化合物の総計は、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.5%未満、有利には0.4%未満、好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.2%未満の含有量を占める。
【0041】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を、重量で0.05%未満、有利には0.025%未満、好ましくは0.01%未満の含有量で含む。好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、エタンを重量で0.1%未満、好ましくは0.05%未満、特に0.025%未満の含有量で含む。
【0042】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を、重量で0.2%未満、有利には0.15%未満、好ましくは0.1%未満、特に0.08%未満、殊に0.075%未満の含有量で含む。
【0043】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1,1-トリフルオロエタンを、重量で0.2%未満、有利には0.15%未満、好ましくは0.1%未満の含有量で含む。
【0044】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)及び1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)をそれぞれ、重量で0.2%未満、好ましくは0.1%未満の含有量で含む。
【0045】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)及び1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)をそれぞれ、重量で0.2%未満、好ましくは0.1%未満の含有量で含み、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、エタンを重量で0.1%未満、好ましくは0.05%未満の含有量で含む。
【0046】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)及び1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)をそれぞれ、重量で0.2%未満、好ましくは0.1%未満の含有量で含み、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を重量で0.05%未満、有利には0.025%未満、好ましくは0.01%未満の含有量で含む。
【0047】
好ましい実施態様によれば、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)及び1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)をそれぞれ、重量で0.2%未満、好ましくは0.1%未満の含有量で含み、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を重量で0.05%未満、有利には0.025%未満、好ましくは0.01%未満の含有量で含み、流れAは、当該流れAの合計重量を基準として、エタンを重量で0.1%未満、好ましくは0.05%未満の含有量で含む。
【0048】
好ましい実施態様によれば、流れAにおいて、当該流れAの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンの含有量は重量で、10%より多く、有利には15%より多く、好ましくは20%より多く、特に25%より多く、殊に30%より多い。
【0049】
好ましい実施態様によれば、流れAにおいて、当該流れAの合計重量を基準として、クロロトリフルオロエチレンの含有量は、重量で70%未満、有利には65%未満、好ましくは60%未満、特に55%未満である。好ましくは、流れAにおいて、当該流れAの合計重量を基準として、クロロトリフルオロエチレンの含有量が、重量で1%より多く、好ましくは5%より多い。
【0050】
流れAは、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、クロロトリフルオロエチレン(HCFO-1113)、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンを、先に表した含有量(重量)のいずれかで含み得る。
【0051】
よって、特定の実施形態によれば、流れAは、
・トリフルオロエチレンを、当該流れAの合計重量を基準として、重量で10%より多く、有利には15%より多く、好ましくは20%より多く、特に25%より多く、殊に30%より多くの含有量で、
・クロロトリフルオロエチレンを、当該流れAの合計重量を基準として、重量で70%未満、有利には65%未満、好ましくは60%未満、特に55%未満の含有量で、任意選択的に、当該流れAの合計重量を基準として、重量で1%より多く、好ましくは5%より多くの含有量で、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.05%未満、有利には0.025%未満、好ましくは0.01%未満の含有量で、
・エタンを、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.1%未満、好ましくは0.05%未満の含有量で、
・1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.2%未満、有利には0.15%未満、好ましくは0.1%未満、特に0.08%未満の含有量で、及び
・1,1,1-トリフルオロエタンを、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.2%未満、有利には0.15%未満、好ましくは0.1%未満の含有量で、
含み、流れAにおける1,1,1,2-テトラフルオロエタン、エタン、1,1-ジフルオロエチレン及び1,1,1-トリフルオロエタンの合計含有量は、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.5%未満、有利には0.4%未満、好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.2%未満である。
【0052】
流れAに、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択されるさらなる化合物のうち1つが存在する場合、これ(又はこれら)は、当該流れAの合計重量を基準として、重量で0.01ppmより多く、好ましくは0.1ppmより多くの含有量で存在する。
【0053】
特定の実施形態によれば、本方法による処理段階b)は、以下の段階:
i)気体混合物を形成するために、HF及び/又はHClを、段階a)で得られた生成物流から除去する段階、
ii)工程i)から生じる気体混合物を乾燥させる段階、
iii)水素、及び任意選択的に不活性ガスを除去して、流れAを形成するために、工程ii)で乾燥させた気体混合物を処理する段階、
を含み得る。
【0054】
流れAは、気体状であるのが好ましい。
【0055】
以下の段落では、段階i)~iii)について詳細に説明する。
【0056】
段階a)から生じる生成物流は、反応器出口において気体状で回収される。好ましくは、水素化分解反応器の出口において、HCl及びHFを除去するために、生成物流がまず処理される。生成物流は、洗浄カラム内の水を通過し、それから希釈塩基、例えばNaOH又はKOHで洗浄される。未変換の反応体(H2及びCTFE)、希釈窒素(存在する場合)、トリフルオロエチレン、及び前述のさらなる化合物からなる気体混合物の残分は、洗浄水の痕跡量を除去するために、乾燥機に導かれる。乾燥は、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸カリウム、シリカゲル又はゼオライトなどの製品を用いて行われ得る。1つの実施態様では、モレキュラーシーブ(ゼオライト)、例えばシリポライト(siliporite)が、乾燥のために使用される。このように乾燥させた気体混合物は、水素及び不活性物質を、気体混合物中に存在する他の生成物の残分から、大気圧で周囲温度を下回る温度にて、吸収のために好ましくは10℃未満、より好ましくは-25℃未満の温度で、1~4個の炭素原子を有するアルコール、好ましくはエタノールの存在下で吸収/脱着により分離する段階に供される。1つの実施態様では、有機物質の吸収が、-25℃に冷却されたエタノールによる向流塔で行われる。エタノールの流量は、吸収させる有機物質の流量に従って調整される。水素及び不活性ガス(これらはこの温度でエタノールに不溶性)は、吸収塔上部で除去される。有機物質は、エタノールをその沸点まで加熱することにより(脱着)、流れAの形態で実質的に回収され、続いて蒸留される。
【0057】
こうして本方法の段階a)及びb)により、流れAにおける1又は複数のさらなる化合物の含有量を制限することが可能になり、これによって以下に記載する段階c)を行うことがより容易になる(特に、低圧でこの段階を行うことにより)。
【0058】
段階c)によれば、トリフルオロエチレンと、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択されるさらなる化合物とを含む流れBを形成及び回収するために、こうして得られた流れAを蒸留する。流れBは、上記さらなる化合物を1つ、2つ、3つ、又は4つ含み得る。
【0059】
好ましい実施態様によれば、流れAの蒸留を行う段階c)は、3bara未満の圧力、好ましくは0.5~3baraの間の圧力、特に0.9~2baraの間の圧力で行われる。3bara未満の圧力で蒸留を行うことにより、3baraを超えるとトリフルオロエチレンが爆発する性質を考慮して、プロセスにより安全性をもたらすことができる。
【0060】
好ましくは、流れAを蒸留する段階c)が、規則充填物を含む蒸留塔で行われる。規則充填物により、より効率的な蒸留段階c)が得られることが観察された。規則充填物は、金属材料製であり得る。
【0061】
流れBは好ましくは、蒸留塔の上部で回収される。回収前に、流れBは、任意選択的に、蒸留塔の上部で部分的に凝縮され得る。部分的な凝縮を行う場合、流れBを-50℃~-70℃の温度にする。この温度は、段階c)で印加される圧力に応じて調整される。部分的な凝縮により、流れBにおけるさらなる化合物の含有量が制限され、蒸留の効率を改善することが可能になる。
【0062】
流れAの蒸留はまた、クロロトリフルオロエチレンを含む流れCの形成をもたらし、これは好ましくは、蒸留塔の底部で回収される。流れCは、任意選択的な精製処理後に、段階a)にリサイクルされ得る。
【0063】
流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを重量で少なくとも95%、有利には少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、特に少なくとも98%、殊に少なくとも99%、含み得る。
【0064】
好ましくは、流れBはまた、当該流れBの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満、含み得る。
【0065】
よって流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも95重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満、含み得る。
【0066】
有利には、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも96重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満、含み得る。
【0067】
好ましくは、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも97重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満、含み得る。
【0068】
より好ましくは、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも98重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満、含み得る。
【0069】
特に、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%、並びに1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物を0.2重量%未満、含み得る。
【0070】
好ましくは、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、エタンを重量で500ppm未満、より好ましくは200ppm未満、特に100ppm未満、殊に50ppm未満、好適には10ppm未満の含有量で含む。
【0071】
好ましくは、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、1,1,1,2-テトラフルオロエタンを、重量で500ppm未満、より好ましくは200ppm未満、特に100ppm未満、殊に50ppm未満、好適には10ppm未満の含有量で含む。流れBは、1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含まなくてもよい。
【0072】
好ましくは、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、1,1,1-トリフルオロエタンを、重量で1000ppm未満、より好ましくは750ppm未満、特に500ppm未満、殊に250ppm未満の含有量で含む。
【0073】
好ましくは、流れBは、当該流れBの合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレンを重量で、2000ppm未満、より好ましくは1500ppm未満、特に1000ppm未満の含有量で含む。
【0074】
流れB中に、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)及びエタンからなる群から選択される1又は複数のさらなる化合物のうち1つが存在する場合、これ(又はこれら)は、当該流れBの合計重量を基準として、重量で0.01ppmより多く、好ましくは0.1ppmより多くの含有量で存在する。
【0075】
組成物
第2の態様によれば、本発明により、高純度のトリフルオロエチレン組成物が提供される。
【0076】
本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%、エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1ppm~100ppm、特に0.1ppm~50ppm、殊に0.1ppm~10ppm、含む。
【0077】
本組成物はまた、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、含み得る。
【0078】
本組成物はまた、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含むことができ:
・エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
含み得る。
【0079】
好ましい実施形態によれば、上記組成物のいずれかはまた、当該組成物の合計重量を基準として、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を0.1~1000ppm、好ましくは0.1~750ppm、特に0.1~500ppm、より好ましくは0.1~250ppm、含む。
【0080】
好ましい実施形態によれば、上記組成物のいずれかはまた、当該組成物の合計重量を基準として、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を0.1~2000ppm、好ましくは0.1~1500ppm、特に0.1~1000ppm、含む。
【0081】
本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含むことができ:
・エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を0.1~1000ppm、好ましくは0.1~750ppm、特に0.1~500ppm、より好ましくは0.1~250ppm、
含み得る。
【0082】
本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含むことができ、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を0.1~1000ppm、好ましくは0.1~750ppm、特に0.1~500ppm、より好ましくは0.1~250ppm、
含み得る。
【0083】
本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含むことができ、
・エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を0.1~2000ppm、好ましくは0.1~1500ppm、特に0.1~1000ppm、
含み得る。
【0084】
本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含むことができ、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を0.1~2000ppm、好ましくは0.1~1500ppm、特に0.1~1000ppm、
含み得る。
【0085】
よって好ましい実施態様によれば、本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含み、
・エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を0.1~1000ppm、好ましくは0.1~750ppm、特に0.1~500ppm、より好ましくは0.1~250ppm、
含む。
【0086】
よって、別の好ましい実施態様によれば、本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含み、
・エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を0.1~2000ppm、好ましくは0.1~1500ppm、特に0.1~1000ppm、
含む。
【0087】
別の特定の実施態様によれば、本組成物は、当該組成物の合計重量を基準として、トリフルオロエチレンを少なくとも99重量%含み、
・エタンを0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を0.1~1000ppm、有利には0.1~500ppm、好ましくは0.1~200ppm、より好ましくは0.1~100ppm、特に0.1~50ppm、殊に0.1~10ppm、
・1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を0.1~1000ppm、好ましくは0.1~750ppm、特に0.1~500ppm、より好ましくは0.1~250ppm、
・1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を0.1~2000ppm、好ましくは0.1~1500ppm、特に0.1~1000ppm、
含む。
【0088】
上記組成物は、本発明による方法によって得ることができる。
【実施例】
【0089】
25cm3の触媒(α-アルミナ上に担持された0.2%のパラジウム)を、直径25mmにわたる長さ1200mmのステンレス製管からなる管状反応器(ジャケット付き)に導入した。このように装填した触媒を続いて、以下のように活性化した:反応管を反応炉内に置き、水素流を供給した(触媒1グラムあたり0.05~0.1mol)。それから、触媒床を200~250℃の温度に、0.2℃/分の温度勾配で加熱した。この活性化期間の後、管を周辺温度まで冷却し、それから、後続の水素化分解テストベンチに設置するために隔離した。反応器には、1mol/hのCTFE及び1mol/hの水素が、無水形態で供給された。反応器に、不活性ガス(この場合は窒素)を供給することも可能である。触媒床の温度は、100℃~130℃の間であった。接触時間(触媒の体積(リットル)の、反応体の合計流量(標準リットル/秒)に対する比率として計算)は、22秒のオーダーであった。
【0090】
水素酸(hydracids)をスクラブ除去するため、反応体から生じた気体を、フルオロポリマー製の管からなるカラム(長さ355mm、直径40mm)であって、直径4mm、長さ5mmのフルオロポリマー製のリングが充填されたカラムに導入する。スクラブ塔には、水が10l/hの流量で、連続的に供給される。水素酸が負荷された水は、スクラブ塔の底部で連続的に除去される。反応生成物(このようにして水素酸が取り除かれたもの)を続いて、直列に取り付けられた2つのステンレス鋼製金属管(長さ800mm、直径50mm、シリポライト(siliporite)3A型のモレキュラーシーブが充填されたもの)からなる乾燥セクションに送る。このように乾燥させた気体を続いて、ステンレス鋼製の金属管(長さ700mm、直径40mm、ジャケット付き、直径が4.3mmで長さが4.5mmのガラスリングが充填されたもの)からなる吸収塔に送る。吸収塔の上部には、ポンプによりエタノールが供給され、その流量は8リットル/hである。吸収塔のジャケットには、-25℃の熱交換流体が供給される。水素及び不活性物質は、吸収塔の上部で出るのに対し、反応生成物はエタノール中に溶解されて、塔の底部で出て、長さ250mm、直径18mmのガラスカラム(直径4.3mm、長さ4.5mmのガラスリングが充填されたもの)と、1リットルの丸底ガラスフラスコ(ここでエタノールが、加熱カバーにより沸点に到達する)とからなる脱着セクションに送られる。反応から生じる有機生成物は蒸発し、塔の上部を介して脱着セクションを出るのに対し、エタノール(有機物質が取り除かれたもの)は、吸収塔の上部に供給するために、ポンプで採取される。
【0091】
脱着セクションから生じた有機生成物の混合物は続いて、Sulzer EX又はSulzer DXの規則充填物を備える蒸留塔に送られる。精留セクションは、12~13の理論段に相当し、ストリッピングセクションは、1つの理論段に相当する。蒸留塔に入る流れAは、35%~40%の間のトリフルオロエチレン、45%~55%のクロロトリフルオロエチレン、0.01%~0.02%のエタン、0.05%~0.1%の1,1-ジフルオロエチレン、0.05%~0.1%の1,1,1-トリフルオロエタン、0.005%~0.01%の1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含む。この蒸留段階は、0.8~1.2baraの間の圧力で行う。流れBは、蒸留塔の上部で回収される。流れBは、トリフルオロエチレンを99.5%、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)を0.1%、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)を0.02%、及びエタンを0.0002%含み、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)を1ppm未満含む。
【国際調査報告】