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特表2024-537722電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/12 20060101AFI20241008BHJP
   C25D 3/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C25D21/12 C
C25D3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518478
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022076465
(87)【国際公開番号】W WO2023046876
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198544.5
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーステン・ロス
(72)【発明者】
【氏名】ヨゼプ・サンス
【テーマコード(参考)】
4K023
【Fターム(参考)】
4K023AA11
4K023CB01
(57)【要約】
本発明は、レーダ信号を利用して電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法、並びにそれぞれの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法であって、
(a)電気めっき区画中に前記電気めっき組成物を準備する工程、
(b)前記電気めっき区画から分離され、
(i)ガスを吹き込むための手段、及び
(ii)レーダエミッタ及びレーダセンサ
を含む分析区画を準備する工程、
(c)前記電気めっき組成物の部分を分離し、前記部分を、前記分析区画が一定の充填レベルで前記部分で充填されるように分析区画に移す工程、
(d)前記分析区画中、泡状物が高さを伴って生成するように、前記分離された部分を前記ガスと接触させる工程、並びに
(e)レーダ信号を前記レーダエミッタから前記生成された泡状物上に放射し、前記泡状物の高さを決定するように前記レーダセンサ上で反射したレーダ信号を受信する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記電気めっき組成物が三価クロム電気めっき組成物又は六価クロム電気めっき組成物であり、好ましくは六価クロム電気めっき組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)において、前記ガスを吹き込むための手段が、弁、好ましくはボール弁又はニードル弁、最も好ましくはニードル弁を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)において、前記ガスが不活性ガス及び/又は周囲空気、好ましくは周囲空気を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)において、前記レーダエミッタが前記泡状物の上に位置し、工程(e)において前記レーダ信号を前記泡状物と直角をなすように垂直に放射する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)において、前記部分が連続的に又は間を置いて、好ましくは連続的に分離される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)において、前記ガスが0.1L/h~7L/h、好ましくは0.4L/h~5.5L/h、より好ましくは0.6L/h~4L/h、更により好ましくは0.9L/h~3L/h、最も好ましくは1L/h~2.5L/hの範囲にわたる流速で吹き込まれる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(e)において、前記放射されたレーダ信号が10GHz~150GHz、好ましくは20GHz~125GHz、より好ましくは35GHz~110GHz、更により好ましくは50GHz~100GHz、なお更により好ましくは60GHz~95GHz、最も好ましくは70GHz~90GHz、なお更に最も好ましくは75GHz~85GHzの範囲にわたる周波数を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)において、前記放射されたレーダ信号が、距離測定についての、好ましくは表面積に基づく距離測定についての基準である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(e)において、前記泡状物が0.5cm~6cm、好ましくは0.7cm~5cm、より好ましくは0.9cm~4cm、最も好ましくは1cm~3cmの範囲にわたる高さを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(f)1つ若しくは1つを超える泡状物生成化合物又は1つ若しくは1つを超える消泡化合物を前記電気めっき組成物に添加する工程
を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(f)において、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物及び前記1つ又は1つを超える消泡化合物がフッ素原子を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(f)において、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物が1つ又は1つを超えるベタインを含み、前記1つ又は1つを超える消泡化合物が1つ又は1つを超えるオルガノシロキサンを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
六価クロム電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための、レーダ信号の使用。
【請求項15】
電気めっき組成物上の泡状物の高さを決定するための機器であって、レーダエミッタ、レーダセンサ及び一定の充填レベルを提供するためのオーバーフローを備える分析区画を備える機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ信号を利用して電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法、並びにそれぞれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クロムめっきは、装飾及び機能的用途についての遠大な歴史を有する。六価クロムめっきから始まったが、ここ数十年間で、環境的に問題のある六価クロム種と置き換えるために三価クロムめっきの開発が開始された。しかし、六価クロムめっきは、今までのところ三価クロムめっきにより置き換えることができず、依然として更に開発及び改善されている。
【0003】
六価クロムめっきは典型的に、界面活性剤(表面活性化合物としても公知である)の利用及びめっきの間の激しい水素ガスの形成に起因して、所望されない泡状物及びミストの形成をもたらすことが周知である。界面活性剤は典型的に、それぞれの電気めっき組成物上でのミストの抑制のために、表面張力を低減し、発泡ブランケットを集中的に形成する必要がある。しかし、制御不能となる場合、特に過剰な界面活性剤が利用される場合、発泡は次第に様々な厚さ及び全体的に高すぎる高さを有する発泡ブランケットをもたらす可能性がある。これは、発泡ブランケットがその泡に大量の水素ガスを取り込む可能性があるため、問題となる。過剰な水素ガスがそのように結合する場合、爆発の危険が非常に高い。
【0004】
六価クロムめっきも健康を害するものであるため、ミストが全く漏出しないように電気めっき組成物を発泡ブランケットで完全に覆うように、及び同時に電気めっき槽全体にわたり絶対的に必要とされる厚さで均等に分布するように、発泡ブランケットを維持することが非常に重要である。
【0005】
したがって、発泡ブランケットを、特にその高さを非常に一定に維持するように何らかの方法で制御することが望ましい。
【0006】
米国特許第5,597,950(A)号は、溶液中の活性な界面活性剤又は他の表面活性剤の存在又は非存在をモニタリングするための機器に関する。該機器は、光線を用いて泡状物の形成を検出する。
【0007】
米国特許第10,857,486(B2)号は流体系中の変動する発泡傾向の継続的な測定が可能であり、それに応じて発泡を許容可能な標的レベルで維持するために消泡剤の供給速度を調節するための信号を提供する、機器に関する。供給の調節は、自動で又は手動で達成することができる。
【0008】
米国特許出願公開第2020/353381(A1)号は、酸性ガス除去プロセスの間に消泡剤の用量送達を自動で制御することによってガス処理システム中で泡状物を管理する方法に関する。
【0009】
しかし、特に六価クロム電気めっき組成物は、非常に要求の厳しいものである。そのような組成物中で生成された泡状物は、典型的に、クロム酸の存在に起因して橙色を有する。これは、泡状物の高さを決定するための典型的な手段、例えばレーザ光を含む光が泡状物との適切な相互作用を十分に可能としないように、泡状物に更に影響を及ぼす。多くの事例では、そのような光は過度に吸収又は散乱されるので、いかなる反射した信号もセンサ検出器に受信されない。
【0010】
よって、電気めっき組成物上の、特に六価クロム電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための、更なる改善された方法を提供するという需要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,597,950(A)号
【特許文献2】米国特許第10,857,486(B2)号
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/353381(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、より普遍的に適用可能である、電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための改善された方法を提供することが、本発明の目的であった。これは、典型的に白色(又は少なくとも明るい)発泡ブランケットを有する電気めっき組成物に適用可能なだけでなく、同様に、(六価クロム電気めっき組成物の場合のように)しばしば比較的密な発泡ブランケットを有する、強力に着色された発泡ブランケットを有するより要求の厳しい電気めっき組成物にも適用可能であることを意味する。換言すると、電気めっき槽上の発泡ブランケットの特徴からより独立した、したがってより可変的に利用可能である改善された方法を提供することが目的である。
【0013】
更に、典型的に比較的薄い発泡ブランケットを形成する電気めっき組成物に対してより普遍的に適用することができる、改善された方法を提供することが、本発明の目的である。一般的な原則として、発泡ブランケットが薄いほどその高さの決定は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的は、電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法であって、
(a)電気めっき区画中に電気めっき組成物を準備する工程、
(b)電気めっき区画から分離され、
(i)ガスを吹き込むための手段、及び
(ii)レーダエミッタ及びレーダセンサ
を含む分析区画を準備する工程、
(c)電気めっき組成物の部分を分離し、前記部分を、分析区画が一定の充填レベルで前記部分で充填されるように分析区画に移す工程、
(d)分析区画中、泡状物が高さを伴って生成するように、分離された部分をガスと接触させる工程、並びに
(e)レーダ信号をレーダエミッタから生成された泡状物上に放射し、泡状物の高さを決定するようにレーダセンサ上で反射したレーダ信号を受信する工程
を含む方法により解決する。
【0015】
自らの実験によって、好ましくは本文全体を通して定義されたような、最も好ましくは好ましいと定義されたようなレーダ信号を用いると、要求の厳しく洗練された、特に着色された発泡ブランケットでさえも、良好にモニタリングでき、その高さを一定に決定することができると示されている(以下の実施例を参照されたい)。これは、六価クロム電気めっき組成物の場合において特に役立つ。しかし、本発明の方法はより普遍的に適用可能であり、すなわち発泡ブランケットを形成する及び/又は必要とする他の電気めっき組成物にも適用可能である。特にレーダ信号はほぼ吸収されずに非常に強力に反射され、信頼性があり且つ安定した信号検出に非常に役立つことが示されている。対照的に、信頼性のある測定は、典型的な先行技術の手段、例えば過度に強力に散乱及び/又は吸収されるレーザ光を含む光では可能ではない。
【0016】
自らの実験によって、慎重に制御されモニタリングされた発泡ブランケットは、特に六価クロム電気めっき組成物の場合において、毒性の六価クロムミストの環境を良好に保護し、同時に過剰な水素ガス蓄積のリスクを制御下に保つことが示された。
【0017】
したがって、発泡ブランケットを、(i)不十分な発泡(under-foaming)並びに(ii)過剰な発泡(over-foaming)を予防するように制御することが大いに望ましい。(i)の場合では、所望されないミストは蒸発し環境を汚染する可能性があり、並びにそのような電気めっき組成物の近くで働く人々の疾患を誘発する可能性がある。(ii)の場合では、厚すぎる発泡ブランケットは過剰な水素ガスを蓄積する可能性があり、これは爆発のリスクを劇的に増大する。
【0018】
加えて、レーダ信号は分析区画内のミスト及び空気汚染の影響を受けにくく、生成された泡状物の性質からより独立している。光信号、特にレーザ信号は、エミッタから生成された泡状物までの道の途中で、及び生成された泡状物に当たる際に容易に散乱するが、レーダ信号は有意に影響を受けにくく、したがってより信頼性のある結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の文脈において、「少なくとも1つの」、「1つ又は複数の」又は「1つ又は1つを超える」という用語は、それぞれ適切な場合、「1、2、3又はそれを超える」及び「1、2、3又は3を超える」を示す(又はそれらと交換可能である)。
【0020】
「実質的に有しない」という用語は、本発明の様々な態様に影響を及ぼさない、その有意でない量を示す。「含まない」という用語は、典型的に、そのような化合物及び成分の総量が先行技術の測定器具の検出範囲未満であり、最も好ましくは全く存在しないことを示す。
【0021】
電気めっき区画中の電気めっき組成物:
本発明の方法において利用される(すなわち工程(a)で準備される)電気めっき組成物は、好ましくは機能的なクロム層をめっきするためのものである。好ましくは、電気めっき区画中、機能的クロム層、好ましくは硬質且つ耐摩耗性の機能的クロム層が、それぞれの電気めっきプロセスの結果として得られる。
【0022】
いくつかの場合では、本発明の方法において利用される電気めっき組成物は、好ましくは装飾的クロム層をめっきするためのものである。それぞれ、電気めっき区画中、好ましくは装飾的クロム層が、電気めっきプロセスの結果として得られる。
【0023】
明白に別途記載のない場合、本発明の方法に関する特徴は、好ましくは機能的並びに装飾的用途に適合する。
【0024】
より好ましいのは、工程(a)において、電気めっき組成物がクロムを含み、好ましくはクロム電気めっき組成物である、本発明の方法である。
【0025】
更により好ましいのは、工程(a)において、電気めっき組成物が三価クロム電気めっき組成物又は六価クロム電気めっき組成物であり、好ましくは六価クロム電気めっき組成物である、本発明の方法である。
【0026】
三価クロム電気めっき組成物の発泡ブランケットは、六価クロム電気めっき組成物の発泡ブランケットの場合におけるような典型的な橙色を示さないが、本発明の方法において利用される原理は好ましくは同様に適用可能である。
【0027】
いくつかの場合では、電気めっき組成物が亜鉛を含む本発明の方法が好ましい。したがって、好ましくは、電気めっき組成物は亜鉛又は亜鉛合金(例えば合金元素としてニッケル、鉄)の電気めっき組成物である。
【0028】
いくつかの場合では、電気めっき組成物がアルミニウムを含む本発明の方法が好ましい。したがって、好ましくは、電気めっき組成物はアルミニウム又はアルミニウム合金の電気めっき組成物である。
【0029】
いくつかの場合では、電気めっき組成物がニッケルを含む本発明の方法が好ましい。したがって、好ましくは、電気めっき組成物はニッケル又はニッケル合金の電気めっき組成物である。
【0030】
いくつかの場合では、電気めっき組成物が銅を含む本発明の方法が好ましい。したがって、好ましくは、電気めっき組成物は銅又は銅合金の電気めっき組成物である。
【0031】
好ましいのは、電気めっき組成物が水性電気めっき組成物であり、最も好ましくは電気めっき組成物の総体積に対して50vol%を超える水を含む、本発明の方法である。
【0032】
好ましいのは、電気めっき組成物がクロム電気めっき組成物である場合、酸性又はアルカリ性、好ましくは酸、最も好ましくは酸性である、本発明の方法である。これは、pHが好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更により好ましくは3以下、なお更により好ましくは2以下、最も好ましくは1以下、更に最も好ましくは0以下であることを意味する。
【0033】
電気めっき組成物中の泡状物生成化合物:
好ましいのは、電気めっき組成物が1つ又は1つを超える泡状物生成化合物、好ましくは1つ又は1つを超える界面活性剤を含む、本発明の方法である。
【0034】
より好ましいのは、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物が1つ又は1つを超えるベタインを含む、本発明の方法である。より好ましくは、1つ又は1つを超えるベタインは表面活性であり、最も好ましくは、70mN/m以上の表面張力を有するDI水を基準として、40mN/m以下、好ましくは39mN/m以下、より好ましくは37mN/m以下の表面張力をもたらす。最も好ましくは、これは30mg/Lの濃度の前記1つ又は1つを超えるベタインを基準とする。好ましくは、前記1つ又は1つを超えるベタインは、36mN/m以上の表面張力をもたらす。
【0035】
好ましくは、1つ又は1つを超えるベタインは第四級窒素を含む。第四級窒素は、好ましくは正電荷で荷電されている。最も好ましくは、正電荷は脱プロトン化により除去することができない。これは、正電荷が安定していることを意味する。
【0036】
好ましいのは、第四級窒素が、前記正電荷が恒久的に安定するように置換基を有するが、但し置換基が水素でないことを条件とする、本発明の方法である。好ましくは、前記置換基は少なくとも有機残基を含み、好ましくはアルキル残基、エステル残基、カルボキシアルキル残基、及び/又はアミド残基を含む。好ましくは、アルキル残基、エステル残基、カルボキシアルキル残基及びアミド残基は、各々個々に1~20個の炭素原子を含む。
【0037】
好ましくは、1つ又は1つを超えるベタインは独立して、更にスルホン酸基及び/又はカルボキシレート基、好ましくはスルホン酸基を含む。前記基は、好ましくは負電荷で荷電されている。
【0038】
好ましいのは、1つ又は1つを超えるベタインが正味の中性の電荷を有する、本発明の方法である。
【0039】
好ましいのは、前記1つ又は1つを超えるベタインが独立して、少なくとも5個の炭素原子、好ましくは少なくとも7個の炭素原子、より好ましくは少なくとも9個の炭素原子、更により好ましくは少なくとも11個の炭素原子、なお更により好ましくは少なくとも12個の炭素原子、最も好ましくは少なくとも14個の炭素原子を含む、本発明の方法である。好ましくは、前記1つ又は1つを超えるベタインは、50個以下の炭素原子を有する。
【0040】
好ましいのは、前記1つ又は1つを超えるベタインが、少なくとも式(I)の化合物
(R1)N+(R2R3)-X-Y (I)
(式中、独立して、
R1はアルキル、アルキルエステル又はアルキルアミド、好ましくはアルキルを示し、
R2及びR3は、C1~C5直鎖状又は分岐鎖アルキル、好ましくはC1~C5直鎖状アルキルを示し、
Xは二価の部分を示し、
Yは、スルホン酸基又はカルボン酸基、好ましくはスルホン酸基を示す)
を含む、本発明の方法である。
【0041】
好ましくは、R1は分岐鎖又は直鎖状、好ましくは直鎖状である。
【0042】
好ましくは、R1は、4~26個、好ましくは6~24個、より好ましくは8~20個、最も好ましくは12~18個の炭素原子を含む。最も好ましくは、R1は18個の炭素原子を含む。
【0043】
好ましくは、R2及びR3は独立して、1~4個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子、より好ましくは1又は2個の炭素原子、最も好ましくは1個の炭素原子を含む。
【0044】
好ましくは、Xは、1~8個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは2~4個の炭素原子、最も好ましくは3又は4個の炭素原子を含む。
【0045】
より好ましくは、Xは、アルキレン部分、ヒドロキシ-アルキレン部分又はアルコキシレン部分、好ましくはアルキレン部分を示す。最も好ましくは、Xはプロピレン、好ましくは直鎖状プロピレンを示す。
【0046】
好ましいのは、独立して、
R1が、C16~C18直鎖状アルキル、好ましくはC18直鎖状アルキルを示し、
R2及びR3が、メチル又はエチル、好ましくはメチルを示し、
Xが、C2~C4アルキレン部分、好ましくはC3アルキレン部分を示し、
Yがスルホン酸基を示す、本発明の方法である。
【0047】
より好ましいのは、前記1つ又は1つを超えるベタインがスルホベタインである、本発明の方法である。
【0048】
更により好ましいのは、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物、最も好ましくは前記1つ又は1つを超えるベタインが、少なくともN,N-ジメチル-N-(3-ココアミドプロピル)-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、N-オクタデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート及びN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタインからなる群の中からの1つ又は1つを超える(好ましくは1つの)化合物を含む、本発明の方法である。
【0049】
好ましいのは、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物、最も好ましくは前記1つ又は1つを超えるベタインが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.0005g/L~1g/L、好ましくは0.001g/L~0.5g/L、より好ましくは0.005g/L~0.3g/L、及び最も好ましくは0.01g/L~0.2g/Lの範囲にわたる総濃度を有する、本発明の方法である。
【0050】
好ましいのは、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物がフッ素原子を含まない、本発明の方法である。換言すると、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物は、フッ素化されておらず、パーフルオロ化されておらず、むしろフッ素を含まない。
【0051】
上述の1つ又は1つを超える泡状物生成化合物は、好ましくは、工程(d)において生成された泡状物と同様に、電気めっき組成物上に発泡ブランケットを形成する。
【0052】
電気めっき組成物中の消泡化合物:
好ましいのは、電気めっき組成物が、1つ又は1つを超える消泡化合物、好ましくは1つ又は1つを超えるオルガノシロキサン、最も好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンを更に含む、本発明の方法である。したがって、好ましいオルガノシロキサン及びポリオルガノシロキサンは、それぞれ好ましい消泡化合物である。
【0053】
本発明の文脈では、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物と1つ又は1つを超える消泡化合物とは互いに別個のものである。
【0054】
消泡化合物は、好ましくは発泡ブランケットの厚さ及び密度を調節するための調節手段を表す。したがって、これは1つ又は1つを超える泡状物生成化合物の過剰投与に対抗する手段であるだけでなく、好ましくは発泡ブランケット中の泡のサイズに影響を及ぼすことによって泡状物の密度を調節するための手段でもある。
【0055】
好ましくは、1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは架橋されており、より好ましくは少なくとも二次元架橋されており、最も好ましくは三次元架橋されている。
【0056】
好ましくは、1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、ビニル部分を介して架橋されている。
【0057】
好ましいのは、電気めっき組成物中、1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンが3Dシロキサン、すなわち3Dポリオルガノシロキサンである、本発明の方法である。これらは、例えばMunzing Chemie GmbH社から入手可能である。
【0058】
より好ましくは、1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは表面活性であり、最も好ましくは1つ又は1つを超える消泡化合物、好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンはそれ自体、いかなる表面活性化合物も有しない水を基準にして表面張力を減少させる観点から、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物、好ましくは前記1つ又は1つを超えるベタインと比較して表面活性が低い。
【0059】
最も好ましくは、1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサン及び前記1つ又は1つを超えるベタインは、いかなる表面活性化合物も有しない水を基準にして表面張力を減少させる観点から、各々それ自体よりも、共に相乗的により表面活性となる。
【0060】
好ましくは、1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、非イオン性である。
【0061】
好ましいのは、電気めっき組成物中、消泡化合物、好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.01mg/L~5000mg/L、好ましくは0.05mg/L~3000mg/L、より好ましくは0.1mg/L~1500mg/L、更により好ましくは0.15mg/L~1000mg/L、なお更により好ましくは0.2mg/L~500mg/L、最も好ましくは0.25mg/L~150mg/Lの総濃度を有する、本発明の方法である。
【0062】
より好ましいのは、電気めっき組成物中、消泡化合物、好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.01mg/L~100mg/L、好ましくは0.05mg/L~70mg/L、より好ましくは0.1mg/L~50mg/L、更により好ましくは0.15mg/L~25mg/L、なお更により好ましくは0.2mg/L~10mg/L、最も好ましくは0.3mg/L~5mg/Lの総濃度を有する、本発明の方法である。
【0063】
好ましくは、1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、1つ又は1つを超える、好ましくは1つを超えるビニル部分を含む。より好ましくは、1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、不飽和二重結合を含む少なくとも1つのビニル部分を含み、一方で他のビニル部分は、それらの二重結合がもはや存在しないように、架橋に関与している。これは好ましくは、本発明の方法において利用されるポリオルガノシロキサンが、ビニル部分を介して部分的に架橋されているが、全てのビニル部分が架橋には使用されていないことを意味する。
【0064】
好ましくは、1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、炭素原子、水素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含み、好ましくはそれからなる。
【0065】
好ましくは、1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、窒素原子を含まない。
【0066】
好ましくは、1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、硫黄原子を含まない。
【0067】
好ましくは、1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、フッ素原子を含まない。換言すると、前記1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンは、フッ素化されておらず、パーフルオロ化されていない。
【0068】
電気めっき組成物中の更なる化合物及び特性;
好ましいのは、電気めっき組成物が少なくとも1つの乳化剤を更に含む、本発明の方法である。これは好ましくは、電気めっき組成物中の1つ又は1つを超える消泡化合物、より好ましくは1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンを乳化する。したがって、乳化剤は、好ましくは水溶液中の1つ又は1つを超えるポリオルガノシロキサンを乳化するためのものである。
【0069】
好ましくは、電気めっき組成物は、いかなる相分離、表面液滴の浮遊、油の表面膜形成、及び/又は密度勾配も示さない。
【0070】
いくつかの場合では、好ましいのは、電気めっき組成物がポリジメチルシロキサンを実質的に有さず、好ましくはそれを含まず、最も好ましくはシリコーン油を実質的に有さず、好ましくはそれを含まない、本発明の方法である。しかし、いくつかの他の場合においてもこのことは好ましいであろう。
【0071】
上述の1つ又は1つを超える泡状物生成化合物と1つ又は1つを超える消泡化合物との組合せは、全体的な平均表面張力という意味で、電気めっき組成物の表面張力をもたらす。
【0072】
好ましいのは、電気めっき組成物が、表面張力計での測定に基づき、50mN/m以下、好ましくは45mN/m以下、より好ましくは40mN/m以下、更により好ましくは38mN/m以下、なお更により好ましくは36mN/m以下、最も好ましくは35mN/m以下の表面張力を有する、本発明の方法である。いくつかの場合では、最も好ましくは34mN/m以下又は33mN/m以下である。本発明の文脈では、表面張力を決定するために、表面張力計にWilhelmyプレートを利用することが最も好ましい。
【0073】
より好ましいのは、電気めっき組成物が、表面張力計での測定に基づき、28mN/m~40mN/m、好ましくは30mN/m~38mN/m、最も好ましくは31mN/m~36mN/mの範囲にわたる表面張力を有する、本発明の方法である。
【0074】
好ましいのは、電気めっき区画中の電気めっき組成物上の発泡ブランケットが、電気めっき組成物の被覆可能な表面の50%超を、好ましくは0.5cm~6cm、好ましくは1cm~3cmの範囲にわたる厚さを有する前記発泡ブランケットで被覆する、本発明の方法である。これは、機能的及び装飾的用途の両方に適合する。
【0075】
より好ましいのは、電気めっき区画中の電気めっき組成物上の発泡ブランケットが、電気めっき組成物の被覆可能な表面の60%超を前記発泡ブランケットで被覆し、好ましくは電気めっき組成物の被覆可能な表面の70%超、更により好ましくは80%超、なお更により好ましくは90%超、最も好ましくは95%超、更に最も好ましくは全体を前記発泡ブランケットで被覆する、本発明の方法である。これは、最も好ましくは、0.5cm~6cm、好ましくは1cm~3cmの範囲にわたる好ましい高さの発泡ブランケットに適合する。これは、機能的及び装飾的用途の両方に適合する。
【0076】
好ましいのは、電気めっき組成物が硫酸イオンを、好ましくは電気めっき組成物の総体積に対して0.1g/L~10g/L、好ましくは1g/L~8.5g/L、より好ましくは1.5g/L~7.5g/L、更により好ましくは2g/L~6.5g/L、最も好ましくは3g/L~5g/Lの範囲にわたる濃度で更に含む、本発明の方法である。
【0077】
好ましいのは、電気めっき組成物が、1つ若しくは1つを超えるスルホン酸及び/又は2つ、3つ若しくは3つを超えるスルホン酸基を有するその塩、好ましくは1つ若しくは1つを超えるアルキルスルホン酸及び/又は2つ、3つ若しくは3つを超えるスルホン酸基を有するその塩を含む、本発明の方法である。
【0078】
好ましいのは、電気めっき組成物が銀イオンを更に任意に含み、好ましくは銀イオンを、より好ましくは電気めっき組成物の総体積に対して0.0001g/L~3g/L、好ましくは0.001g/L~1g/L、最も好ましくは0.01g/L~0.3g/Lの範囲にわたる総濃度で含む、本発明の方法である。これは最も好ましくは機能的用途に適合する。
【0079】
好ましいのは、電気めっき組成物がフッ素化泡状物生成有機化合物を実質的に有さず、好ましくはそれを含まず、最も好ましくはフッ素化有機化合物を実質的に有さず、好ましくはそれを含まない、本発明の方法である。
【0080】
しかし、これは有意にあまり問題とならない無機フッ素化合物、例えばフッ化物アニオンの使用を除外しない。したがって好ましいのは、いくつかの場合では、電気めっき組成物がフッ化物アニオンを更に含む、本発明の方法である。これは最も好ましくは装飾的用途に適合する。
【0081】
好ましいのは、電気めっき組成物がフッ素を含む無機化合物、好ましくはフルオロ-シリケート、最も好ましくはSiF6を更に含む、本発明の方法である。これは最も好ましくは、それぞれの装飾的クロム層の光沢及び均一性を増大し、したがって視覚的な外観を改善するための、装飾的用途に適合する。
【0082】
好ましくは、フッ素を含む無機化合物(好ましくはフルオロ-シリケート、最も好ましくはSiF6)は、電気めっき組成物の総体積に対して、0.2g/L~2g/Lの範囲にわたる総濃度を有する。
【0083】
発泡ブランケットの高さを決定するための分析区画及び方法:
本発明の方法は、電気めっき組成物、好ましくは上で定義された電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するためのものである。
【0084】
好ましくは、電気めっき区画中の電気めっき組成物は、発泡ブランケットを有する。本発明の文脈において、本発明の方法の工程(d)において生成された泡状物は、電気めっき区画中の電気めっき組成物の利用の際に(すなわち、基材を電気めっきする際に)存在するか又は得られ得る発泡ブランケットを表す。事実、本発明の方法は、好ましくは電気めっき組成物のいかなる積極的利用にも依存しない。これは、電気めっき組成物が電気めっき区画中で使用されていない場合でさえ、発泡ブランケットの高さが決定され得ることを意味する。
【0085】
好ましくは、分析区画は、生成された泡状物が形態の安定した発泡ブランケットを形成するのに十分な空間を有するように、ある特定のサイズ、すなわち寸法を有する。好ましくは、分離された電気めっき組成物は、少なくとも100cm2、好ましくは少なくとも150cm2、より好ましくは少なくとも200cm2、最も好ましくは少なくとも220cm2の表面積を形成する。好ましくは、表面積は、100cm2~1000cm2、より好ましくは150cm2~800cm2、より好ましくは200cm2~600cm2、最も好ましくは220cm2~400cm2の範囲にわたる。
【0086】
分析区画は電気めっき区画から分離され、(i)ガスを吹き込むための手段を含む。
【0087】
好ましいのは、工程(b)において、ガスを吹き込むための手段が、弁、好ましくはボール弁又はニードル弁、最も好ましくはニードル弁を含む、本発明の方法である。この弁は、ガスを、好ましくは圧力を用いて通過させるように設計される。最も好ましいのは、高精度のガス通過画分を得るためのニードル弁である。
【0088】
基本的に、ガスは、電気めっきプロセスを含む方法全体の文脈において適切である限り、任意のガスであることができる。しかし、好ましいのは、工程(b)において、ガスが不活性ガス及び/又は周囲空気、好ましくは周囲空気を含む、本発明の方法である。好ましい不活性ガスは、窒素を含み、好ましくは窒素ガスである。不活性ガスは、電気めっき組成物との酸化的相互作用が全く起こらないという利点を提供する。これは、分離された部分が電気めっき区画へと戻る場合に特に関係する。対照的に、周囲空気は広く利用可能でありコスト効率が良いが、その酸素が酸化的影響を有する可能性がある。しかし、これは典型的に本発明の方法の目的に十分に役立ち、したがって非常に好ましい。
【0089】
好ましいのは、工程(d)において、ガスが0.1L/h~7L/h(時間あたりのリットルで示す)、好ましくは0.4L/h~5.5L/h、より好ましくは0.6L/h~4L/h、更により好ましくは0.9L/h~3L/h、最も好ましくは1L/h~2.5L/hの範囲にわたる流速で吹き込まれる、本発明の方法である。それぞれの機器がそれぞれに適用される。
【0090】
好ましいのは、分析区画がフィルタ、好ましくはガラスフィルタを含む、本発明の方法である。最も好ましくは、前記フィルタは、少なくともガスの吹き込みが工程(d)において泡状物を生成するように前記フィルタを通して吹き込まれるように配置される。最も好ましくは、フィルタは固体である。
【0091】
分析区画は、更に好ましくは、電気めっき組成物の部分を分析区画へと移すためのパイプを含む。より好ましくは、パイプは流速に関して調節される。最も好ましくは、パイプは、電気めっき組成物の前記部分が好ましくは圧力を用いて分析区画に到達するように、ポンプに連結される。好ましくは、ポンプはダイヤフラムポンプである。したがって、前記分離された部分は、好ましくは分析区画へと活発に移される。最も好ましくは、分離された部分は一定の流速で移される。
【0092】
好ましいのは、工程(c)において部分が連続的に又は間を置いて、好ましくは連続的に分離される、本発明の方法である。
【0093】
より好ましいのは、本発明の方法の工程(c)~(e)が連続的に、すなわち好ましくは反復的に実行される、本発明の方法である。
【0094】
最も好ましいのは、本発明の方法全体が連続的に、すなわち好ましくは反復的に実行される、本発明の方法である。
【0095】
好ましいのは、工程(c)において、前記部分が0.5L/h~10L/h(時間あたりのリットルで示す)、好ましくは1L/h~9L/h、より好ましくは2L/h~8L/h、更により好ましくは3L/h~7L/h、最も好ましくは4L/h~6L/hの範囲にわたる流速で分析区画へと移される、本発明の方法である。それぞれの機器がそれぞれに適用される。
【0096】
分離された部分を分析区画へと移す際、分析区画は前記部分である特定のレベルまで充填され、これは方法全体を通して維持される。したがって、分析区画は一定の充填レベルを有する。好ましくは、この一定の充填レベルはオーバーフローを使用することによって得られ、これは余分な電気めっき組成物を電気めっき区画へと戻すことを可能とする。したがって、好ましいのは、分析区画がオーバーフローを含み、好ましくは電気めっき区画と流体的に連結される、本発明の方法である。
【0097】
分析区画における必須の特性は、(ii)レーダエミッタ及びレーダセンサである。これらの機器により、六価クロム電気めっき組成物についてさえも、最も特には比較的薄い泡状物の高さについての技術的需要を満たすことができることが判明した。更に、そのようなエミッタ及びセンサはそれぞれ、他の電気めっき組成物上の、更にはクロム電気めっき組成物以外の発泡ブランケットの高さを決定するために利用することができる。
【0098】
好ましいのは、レーダエミッタが工程(d)において生成された泡状物の上に位置する、本発明の方法である。
【0099】
好ましいのは、レーダエミッタがレーダ信号を、生成された泡状物上に垂直に、最も好ましくは生成された泡状物と垂直且つ直角をなすように放射する、本発明の方法である。
【0100】
最も好ましいのは、工程(b)において、レーダエミッタが泡状物の上に位置し、工程(e)においてレーダ信号を泡状物と直角をなすように垂直に放射する、本発明の方法である。
【0101】
好ましいのは、工程(e)において、放射されたレーダ信号が10GHz~150GHz、好ましくは20GHz~125GHz、より好ましくは35GHz~110GHz、更により好ましくは50GHz~100GHz、なお更により好ましくは60GHz~95GHz、最も好ましくは70GHz~90GHz、なお更に最も好ましくは75GHz~85GHzの範囲にわたる周波数を有する、本発明の方法である。レーダエミッタは、そのような信号を提供するようにそれぞれ適用される。
【0102】
いくつかの場合では、好ましいのは、工程(e)において放射されたレーダ信号が、75GHz~110GHz、好ましくは77GHz~100GHz、より好ましくは79GHz~90GHzの範囲にわたる周波数を有する、本発明の方法である。レーダエミッタは、そのような信号を提供するようにそれぞれ適用される。
【0103】
好ましいのは、工程(e)において放射されたレーダ信号が、距離測定についての、好ましくは表面積に基づく距離測定についての基準である、本発明の方法である。これは、一般的に公知の測定、例えば典型的に小さい領域点のみを包含し、したがって生成された泡状物の局所的な変動に感受性であるレーザによるものを超える、大きな利点である。対照的に、放射されたレーダ信号は典型的により大きな表面積を包含し、したがって表面積に基づく反射されたレーダ信号を反応信号として提供する。
【0104】
生成された泡状物に到達する際、放射されたレーダ信号は典型的に反射及び/又は散乱する。少なくともその部分は、最も好ましくは周波数の有意な変化なく、レーダセンサ上に反射されて戻る。本発明の文脈において、「レーダセンサ」という用語は、「レーダ検出器」又は「レーダ信号検出器」という用語に対応する(及びそれと交換可能である)。
【0105】
生成された泡状物の高さは、オーバーフローによる固定された高さの情報である一定の充填レベルと、別の高さの情報をもたらす反射されたレーダ信号とを互いに相関させることにより決定される。差を決定することにより、最も好ましくは、生成された泡状物及び発泡ブランケットの高さがそれぞれ決定される。したがって、本発明の文脈において、発泡ブランケットの「高さ」及び生成された泡状物の「高さ」という用語は、その厚さを意味する(及び好ましくはそれと互換的である)。一般に本発明の文脈において、高さは好ましくはレーダにより直接決定され、最も好ましくはそれにより直接測定される。
【0106】
好ましいのは、いくつかの場合では、工程(e)において放射されたレーダ信号及び反射したレーダ信号が、±3%の変動範囲デルタ内で同一の周波数を有する、本発明の方法である。
【0107】
好ましくは、電気めっき区画中に存在する電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さは、0.5cm~6cm、好ましくは0.7cm~5cm、より好ましくは0.9cm~4cm、最も好ましくは1cm~3cmの範囲にわたる。最も好ましくは、分析区画中、生成された泡状物は実質的に同一の高さであり、したがって電気めっき組成物中の発泡ブランケットを表す。これは典型的に、ガスの吹き込みの流速を調節することにより保証される。したがって、好ましいのは、工程(e)において、泡状物が0.5cm~6cm、好ましくは0.7cm~5cm、より好ましくは0.9cm~4cm、最も好ましくは1cm~3cmの範囲にわたる高さを有する、本発明の方法である。
【0108】
生成された泡状物及び発泡ブランケットの所望の高さはそれぞれ典型的に知られているため、生成された泡状物の決定された高さは、好ましくは、更なる泡状物生成化合物又は消泡化合物が必要であるかどうか、したがってそれらを電気めっき組成物に添加しなければならないかどうかを知らせるものである。したがって、好ましいのは、
(f)1つ若しくは1つを超える泡状物生成化合物又は1つ若しくは1つを超える消泡化合物を電気めっき組成物に添加する工程
を更に含む、本発明の方法である。
【0109】
より好ましいのは、工程(f)における添加が1つ又は1つを超えるポンプにより実行される、本発明の方法である。
【0110】
最も好ましいのは、自動化されている、本発明の方法である。したがって好ましいのは、工程(f)における添加が、計算機器、好ましくは少なくともレーダセンサと通信する計算機器により制御される、本発明の方法である。典型的に、レーダセンサは、生成された泡状物の高さを決定する(すなわち得る)ように計算機器中で計算される出力信号を生成する。この泡状物の高さに基づいて、計算機器は、好ましくは制御信号により、好ましくは1つ又は1つを超えるポンプと通信する。
【0111】
好ましいのは、工程(f)において、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物が、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物を含む第1のリザーバから電気めっき区画へと前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物をポンプ注入するための第1のポンプにより添加される、本発明の方法である。また好ましいのは、工程(f)において、1つ又は1つを超える消泡化合物が、前記1つ又は1つを超える消泡化合物を含む第2のリザーバから電気めっき区画へと前記1つ又は1つを超える消泡化合物をポンプ注入するための第2のポンプにより添加される、本発明の方法である。
【0112】
最も好ましくは、計算機器は、前記1つ又は1つを超えるポンプ、最も好ましくは前記第1及び第2のポンプのスイッチを個々につけるか又は消し、好ましくはその流速を更に個々に制御する。そのようにして、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物と1つ又は1つを超える消泡化合物との間の比は操作され、所望の程度に調節される。これは全て、電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを慎重に制御することを可能とする。
【0113】
好ましくは、制御信号はアナログ制御信号又はデジタル制御信号、好ましくはアナログ制御信号である。より好ましくは、アナログ制御信号は電流情報又は電圧情報を含む。好ましくは、アナログ制御信号は、互いに異なる2つの個々の信号、好ましくは第1のアナログ制御信号及び第2のアナログ制御信号、最も好ましくは第1のポンプについての第1のアナログ制御信号及び第2のポンプについての第2のアナログ制御信号に分けられる。最も好ましくは、アナログ制御信号はケーブルを介して送信される。
【0114】
しかしいくつかの場合では、制御信号が、好ましくは無線で、好ましくは無線LAN及び/又はブルートゥースを介して、最も好ましくはブルートゥースを介して送信されるデジタル制御信号である、本発明の方法が好ましい。
【0115】
上で言及したように、電気めっき組成物は、好ましくは1つ又は1つを超えるフッ素不含泡状物生成化合物を既に含み、好ましくは更なる1つ又は1つを超えるフッ素不含消泡化合物を含む。したがって、工程(f)において対応する化合物が添加されることも好ましい。したがって好ましいのは、工程(f)において1つ又は1つを超える泡状物生成化合物及び1つ又は1つを超える消泡化合物がフッ素原子を含まない、本発明の方法である。
【0116】
泡状物生成化合物及び消泡化合物がいかなるフッ素原子も含まない場合、好ましくは(好ましくは自動の)投与ユニットを有する分析区画が非常に好ましい。典型的に、フッ素化/パーフルオロ化化合物は過去に使用されていたが、これは非常に厳しい電気めっき組成物条件に対する比較的高い固有の抵抗性を示す。しかし、これらは禁止されることがより多くなってきており、したがって代替化合物に置き換えなければならない。多くの場合では、そのような化合物は抵抗性が低く、したがって分解に感受性である。その結果として、そのような化合物及び対応する発泡ブランケットの一定の総濃度を維持するために、より頻回の投与が必要とされる。したがって、自動化モニタリング/投与が役立ち、非常に効率的であり、最も好ましい。
【0117】
1つ又は1つを超える泡状物生成化合物及び1つ又は1つを超える消泡化合物に関連して上述されたことは、好ましくは工程(f)において添加される1つ又は1つを超える泡状物生成化合物及び1つ又は1つを超える消泡化合物に同様に適合する。より好ましいのは、工程(f)において、1つ又は1つを超える泡状物生成化合物が1つ又は1つを超えるベタインを含み、1つ又は1つを超える消泡化合物が1つ又は1つを超えるオルガノシロキサンを含む、本発明の方法である。特に、1つ又は1つを超えるベタイン及び1つ又は1つを超えるオルガノシロキサンに関連して上述されたことは、好ましくは工程(f)において添加されるそれぞれの化合物に同様に適合する。
【0118】
本発明は、六価クロム電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さ(すなわち厚さ)を決定するためのレーダ信号の使用に更に関する。
【0119】
本発明の方法に関連して上述されたことは、好ましくは本発明の使用に同様に適合する。
【0120】
本発明は、電気めっき組成物上の泡状物の高さを決定するための機器であって、レーダエミッタ、レーダセンサ及び一定の充填レベルを提供するためのオーバーフローを備える分析区画を備える機器に更に関する。
【0121】
本発明の方法に関連して上述されたことは、好ましくは本発明の機器に同様に適合する。
【0122】
以降の非限定的な実施例によって、本発明をより詳細に説明する。
【実施例
【0123】
以下の電気めっき組成物を、電気めっき区画において使用した:
(i)クロム酸、250g/L、
(ii)泡状物生成化合物として、N-オクタデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、
(iii)消泡化合物として、乳化し均質に分布した3D-ポリオルガノシロキサン(すなわち、Munzing Chemie GmbH社からの3Dシロキサン)、
(iv)硫酸イオン、2~5g/L(硫酸として添加)、
(v)メタン-ジ-スルホン酸、1.5~10g/L、
pH 強酸性
【0124】
電気めっき組成物の部分を連続的に分離し、別のユニットとして設計した分析区画へと移した(5L/h)。分析区画は、電気めっき組成物の前記部分が電気ダイヤフラムポンプ(electrical diaphragm pump)の補助により分析区画に到達し得るように電気めっき区画と流体的に連結するパイプを備えた。
【0125】
分析区画は、分析区画中で一定の充填レベルを維持するためのオーバーフローを更に備えた。余分な電気めっき組成物を、電気めっき区画へと戻した。
【0126】
分析区画は、この特定の例では周囲空気であるガスを吹き込むための手段として、ニードル弁を更に備えた。0.5L/h~4L/hの範囲にわたる流速を試験し、1L/h~2L/hの範囲を最適であると決定した。周囲空気の補助により、分析区画中、泡状物をある特定の高さで連続的に生成した。
【0127】
レーダセンサを含むレーダエミッタ(80GHz;VEGAPULS C 21)は、生成された泡状物上で使用される。放射及び反射されたレーダ信号は、前記周囲空気を通して分離された部分の表面上に形成された生成された泡状物と、垂直且つ直角をなすように実行される。
【0128】
生成された泡状物は、約1cmの高さを連続的に有した。これは、0.15mL/L/h(電気めっき組成物の総体積に対して)の定常流の泡状物生成化合物を0.075mL/L/h(電気めっき組成物の総体積に対して)の定常流の消泡化合物と組み合わせて用いて得られた。本発明の方法によって、そのような連続的且つ低体積の投与が実によく達成されることが判明した。そのようにして、フッ素不含有機化合物の連続的な分解は、電気めっき区画中の安定な発泡ブランケットを損なうことなく補填される。
【0129】
計算機器はレーダエミッタ及び/又はレーダセンサと電気的に通信して、泡状物生成化合物を添加するための第1のポンプ及び消泡化合物を電気めっき組成物に添加するための第2のポンプを自動で制御した。計算機器は、好ましくはレーダエミッタ(VEGAPULS)のハウジングに既に組み込まれていた。
【0130】
電気めっき区画中、電気めっきを、鋼基材(棒)を用いて、約50A/dm2の電流密度、約55℃の温度、約5~7時間で実行して、それぞれ硬質且つ耐摩耗性のクロム層を得た。
【0131】
電気めっき組成物の分離された部分上で生成された泡状物は、電気めっき区画中の電気めっき組成物上に存在する発泡ブランケットによく対応した(すなわち、同一の高さを有した)。
【0132】
電気めっき区画中の電気めっき組成物が積極的に利用されていない場合でさえも発泡ブランケットの高さをなお決定することができることは、更なる利点である。分析区画は電気めっき組成物のわずかな部分のみを必要とするため、泡状物生成化合物と消泡化合物との間の比についての信頼性のある情報をなお得ることができる。
【0133】
比較例では、レーダエミッタはレーザに置き換えられた。しかし、信頼性のある情報は検出されなかった。レーザは過剰に収束したビームを提供するが、これは分離された部分の表面上の全体の状態を確実に検出する位置にないことが推測される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための方法であって、
(a)電気めっき区画中に前記電気めっき組成物を準備する工程、
(b)前記電気めっき区画から分離され、
(i)ガスを吹き込むための手段、及び
(ii)レーダエミッタ及びレーダセンサ
を含む分析区画を準備する工程、
(c)前記電気めっき組成物の部分を分離し、前記部分を、前記分析区画が一定の充填レベルで前記部分で充填されるように分析区画に移す工程、
(d)前記分析区画中、泡状物が高さを伴って生成するように、前記分離された部分を前記ガスと接触させる工程、並びに
(e)レーダ信号を前記レーダエミッタから前記生成された泡状物上に放射し、前記泡状物の高さを決定するように前記レーダセンサ上で反射したレーダ信号を受信する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記電気めっき組成物が三価クロム電気めっき組成物又は六価クロム電気めっき組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)において、前記ガスを吹き込むための手段が、弁を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)において、前記ガスが不活性ガス及び/又は周囲空気を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)において、前記レーダエミッタが前記泡状物の上に位置し、工程(e)において前記レーダ信号を前記泡状物と直角をなすように垂直に放射する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)において、前記部分が連続的に又は間を置いて分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(d)において、前記ガスが0.1L/h~7L/hの範囲にわたる流速で吹き込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(e)において、前記放射されたレーダ信号が10GHz~150GHzの範囲にわたる周波数を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)において、前記放射されたレーダ信号が、距離測定についての基準である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(e)において、前記泡状物が0.5cm~6cmの範囲にわたる高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(f)1つ若しくは1つを超える泡状物生成化合物又は1つ若しくは1つを超える消泡化合物を前記電気めっき組成物に添加する工程
を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(f)において、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物及び前記1つ又は1つを超える消泡化合物がフッ素原子を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(f)において、前記1つ又は1つを超える泡状物生成化合物が1つ又は1つを超えるベタインを含み、前記1つ又は1つを超える消泡化合物が1つ又は1つを超えるオルガノシロキサンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
六価クロム電気めっき組成物上の発泡ブランケットの高さを決定するための、レーダ信号の使用。
【請求項15】
電気めっき組成物上の泡状物の高さを決定するための機器であって、レーダエミッタ、レーダセンサ及び一定の充填レベルを提供するためのオーバーフローを備える分析区画を備える機器。
【国際調査報告】