(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】汗滴を搬送するための装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20241008BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241008BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01N1/00 101F
A61B5/00 N
G01N1/10 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518685
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022075717
(87)【国際公開番号】W WO2023057188
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ペルサース エドュアルド ジェラルド マリー
(72)【発明者】
【氏名】ファン リーシャウト ロン マルティヌス ローレンティウス
(72)【発明者】
【氏名】フェルベーク ギルバート マルティヌス
【テーマコード(参考)】
2G052
4C117
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA17
2G052CA02
2G052CA04
2G052GA23
2G052GA29
2G052JA03
2G052JA07
4C117XC11
4C117XC26
4C117XE06
(57)【要約】
汗滴を搬送するための装置が提供される。この装置は、汗を満たすための複数のチャンバを有する。各チャンバは、基板内に画定され、皮膚の表面に隣接して置かれる入口を有する。この入口は、汗をチャンバに入れ、チャンバを満たすことを可能にする。各チャンバは、基板の表面によって画定される出口も有し、チャンバが満たされると、この出口から汗滴が押し出る。前記出口は、少なくとも第1、第2及び第3のグループのチャンバを画定するために、基板の表面の中央部分の周りに半径方向にグループ分けされる。前記装置は、複数の電極を有するエレクトロウェッティング構成をさらに有する。前記電極の各々は、電気的に帯電及び放電可能である。エレクトロウェッティング構成は、少なくとも電極の第1、第2及び第3のリムを有し、前記電極を帯電及び放電することによって、第1のリムの場合は第1のグループから中心方向に、第2のリムの場合は第2のグループから中心方向に、第3のリムの場合は第3のグループから中心方向に汗滴を搬送することを可能にするように構成される。エレクトロウェッティング構成は、第1、第2及び第3のリムの電極を互いに電気的に接続するように配される導電性トレース構成も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汗滴を搬送するための装置であって、前記装置は、
基板内に画定される複数のチャンバと、
エレクトロウェッティング構成と
を有し、
前記チャンバの各々は、皮膚から汗を受け取るための入口と、前記チャンバを汗で満たした後、前記汗滴を形成し、前記チャンバから前記汗滴を押し出すように配される出口とを持ち、
前記出口は、前記基板の表面の中心部分の周りに半径方向にグループ分けされ、少なくとも第1、第2及び第3のチャンバのグループを画定し、
エレクトロウェッティング構成は、
各々が電気的に帯電及び放電可能である複数の電極と、
導電性トレース構成
を有し、
前記エレクトロウェッティング構成は、電極の第1、第2及び第3のリムを有し、前記リムは、前記電極の帯電及び放電によって、第1のリムの場合は、第1のグループから中央領域に又はそれに向けて汗滴の搬送を可能にする、第2のリムの場合は、第2のグループから前記中央領域に又はそれに向けて液滴の搬送を可能にする、及び第3のリムの場合は、第3のグループから前記中央領域に又はそれに向けて汗滴の搬送を可能にするように構成され、
前記導電性トレース構成は、前記第1、第2及び第3のリムの電極を互いに電気的に接続するように配される
装置。
【請求項2】
前記複数の電極は、複数の電極の組を有し、各組は、互いに接続される前記第1、第2及び第3のリムからの電極を有し、前記導電性トレース構成に含まれる第1の導電性トレースは、前記第1のリムの電極の1つを前記第2のリムの電極の1つに接続するように構成され、前記導電性トレース構成に含まれる第2の導電性トレースは、前記第2のリムの電極の前記1つを前記第3のリムの電極の1つに接続するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のリムは、第1の電極の少なくとも1つの列を有し、前記少なくとも1つの列の各第1の電極は、前記第1のグループにおける夫々の出口から押し出る前記汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のリムは、前記第1の電極の少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第1の電極の少なくとも1つの列から遠ざかるよう搬送するように構成される第1の電極の少なくとも1つのさらなる列を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のリムは、第1の電極の追加の列を有し、前記第1のリムは、前記第1の電極の複数のさらなる列を有し、前記第1の電極の追加の列は、前記第1の電極の複数のさらなる列の各さらなる列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第1の電極の前記複数のさらなる列から遠ざかるよう搬送するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のリムは、第2の電極少なくとも1つの列を有し、前記少なくとも1つの列の各第2の電極は、前記第2のグループにおける夫々の出口から押し出る前記汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のリムは、前記第2の電極の少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第2の電極の少なくとも1つの列から遠ざかるよう搬送するように構成される第2の電極の少なくとも1つのさらなる列を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のリムは、第2の電極の追加の列を有し、前記第2のリムは、前記第2の電極の複数のさらなる列を有し、前記第2の電極の追加の列は、前記第2の電極の複数のさらなる列の各さらなる列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第2の電極の前記複数のさらなる列から遠ざかるよう搬送するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第3のリムは、第3の電極の少なくとも1つの列を有し、前記少なくとも1つの列の各第3の電極は、前記第3のグループにおける夫々の出口から押し出る前記汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される、請求項1乃至8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第3のリムは、前記第3の電極の少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第3の電極の少なくとも1つの列から遠ざかるよう搬送するように構成される第3の電極の少なくとも1つのさらなる列を有し、任意選択で、前記第3のリムは、第3の電極の追加の列を有し、前記第3のリムは、第3の電極の複数の前記さらなる列を有し、前記第3の電極の追加の列は、前記第3の電極の複数のさらなる列の各さらなる列から汗滴を受け取り、前記第3の電極の複数のさらなる列から遠ざかるよう搬送するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の電極の少なくとも1つの列は、第1の電極の複数の列を有し、前記第1の電極の複数の列の各々は、第1の電極の1つのさらなる列に沿って、互いに対して異なる位置で、前記第1の電極の少なくとも1つのさらなる列の前記1つと交差する、及び/又は
前記第2の電極の少なくとも1つの列は、第2の電極の複数の列を有し、前記第2の電極の複数の列の各々は、第2の電極の1つのさらなる列に沿って、互いに対して異なる位置で、前記第2の電極の少なくとも1つのさらなる列の前記1つと交差する、及び/又は
前記第3の電極の少なくとも1つの列は、第3の電極の複数の列を有し、前記第3の電極の複数の列の各々は、第3の電極の1つのさらなる列に沿って、互いに対して異なる位置で、前記第3の電極の少なくとも1つのさらなる列の前記1つと交差する、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
第1の発汗量センサ、第2の発汗量センサ及び第3の発汗量センサの少なくとも1つを有し、
前記第1の発汗量センサは、前記第1のグループの前記出口の下流に配され、前記第1のリムによって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成される、
前記第2の発汗量センサは、前記第2のグループの前記出口の下流に配され、前記第2のリムによって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成される、及び
前記第3の発汗量センサは、前記第3のグループの前記出口の下流に配され、前記第3のリムによって搬送される発汗量から発汗量を決定するように構成される、
請求項1乃至11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
汗検体の濃度を決定するように構成されるバイオセンサを有し、前記バイオセンサは、前記第1、第2及び第3のリムによって当該センサに搬送される汗滴を受け取るように構成され、任意選択で、前記装置は、前記バイオセンサの下流に汗収集器をさらに有する、請求項1乃至12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記エレクトロウェッティング構成の前記電極の各々を帯電及び放電し、前記汗滴の各々を搬送するための電界発生器を有する、請求項1乃至13の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
任意選択で、ウェアラブルデバイスは、前記入口が身体部分の皮膚から汗を受け取るように、前記装置を前記身体部分に取り付けることを可能にするように構成されるアタッチメント構成を有する、請求項1乃至14の何れか一項に記載の装置を備えるウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汗滴(sweat droplets)を搬送するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患/健康状態及び心身の健康を示すバイオマーカーの非侵襲的、半連続的及び長期間にわたるモニタリングは、例えば、脱水、ストレス、睡眠、子供の健康をモニタリングする、及び周術期モニタリングに需要がある。
【0003】
汗、涙液及び唾液は全て非侵襲的に取得することができる。汗は、特に入手可能な生体液であり、被検者の生理学及び代謝に関する豊富な情報源である。
【0004】
汗の臨床関連成分は、脱水をモニタリングするためのNa+、Cl-及び/又はK+、(敗血症に関連する)炎症の早期警告としての乳酸、糖尿病及び新生児のためのグルコース(ブドウ糖)、並びに睡眠時無呼吸及びストレスのモニタリングに関するコルチゾールである。
【0005】
汗バイオマーカーモニタリング装置を使用して、例えば重篤な慢性疾患を患う患者、術前又は術後の患者及び高齢者のようなハイリスクの患者を連続的にモニタリングすることは、複数の血液サンプルを繰り返し採取することによって通常行われるような定期なバイオマーカーの抜き取り検査(スポットチェック)よりも高品質の診断情報を提供することができる。そのような連続的なモニタリングは、病院又は他の場所で行われてもよい。人間の汗単体又は皮脂脂質との混合物としての汗は、ウェアラブルな皮膚貼り付け(on-skin)装置におけるバイオマーカー測定のための容易に入手可能な供給源である。例えば、コレステロールは、心血管疾患の進行におけるリスク上昇と関連付けられる重要なバイオマーカーである。例えば、インターロイキン(interleukins)(例えば、TNF-a、IL-6)のような炎症マーカー又はサイトカインは、免疫反応、並びにリウマチ性関節炎及び乾癬(かんせん)性関節炎における関節損傷並びに腸疾患の検出又は病勢モニタリングにおいて重要な役割を果たす。
【0006】
例えば入院患者のような、あまり動かない状態(sedentary state)の人は、発汗率(sweat rate)が最小であり、従って、汗の分泌とバイオマーカーの検出との間に大幅な遅延があり、これは、如何なる合併症の兆候の適時なモニタリング及び早期警告をさせないようにする。特定の関連バイオマーカーの濃度は、発汗率に依存し、従って、臨床的に意義のある解釈のために、1汗腺当たり発汗率が評価されなければならない。従来の発汗センシングソリューションは、これらのソリューションは、モニタリングされる人が運動を行うことを必要とし、発汗率を決定するためにかなり複雑なマイクロ流体及びセンサを使用する傾向があるので、用途が限定されている。
【0007】
国際公開第WO2018/125695(A1)号は、能動的な汗サンプリングを用いたウェアラブルな汗バイオセンシング装置を開示している。エレクトロウェッティング(electrowetting)の電気機械効果を利用する、汗を搬送するための能動的方法が記載される。エレクトロウェッティングのプレートは、電極を覆う疎水性誘電体層(例えば、テフロン(登録商標))を有する。親水性材料で作られた汗と結合する“ウィッキング”の構成要素は、皮膚表面からの汗がエレクトロウェッティングのプレートにゆっくりと経時的に拡散することを可能にし、その後、汗は前記電気機械効果によって搬送される。この手法は、非常に時間がかかり、蒸発を理由に少量の汗では効果的でない場合がある。さらに、この技術は、異なる時間に皮膚から受け取った汗の混合を必然的に伴い、これは、信頼性のある半連続的なバイオマーカー測定には望ましくない。
【0008】
国際公開第2021/074010(A1)号は、汗滴をセンサに搬送するための装置を開示している。この装置は、汗で満たすためのチャンバを有する。このチャンバは、皮膚の表面に隣接して置かれる入口を有し、この入口は、汗がチャンバに入り、チャンバを満たすことを可能にする。前記チャンバは、このチャンバが満たされると、汗滴をそこから押し出す出口を有する。前記装置は、前記出口から押し出る汗滴が、前記チャンバの出口から切り離されることを可能にするように設計される流体搬送アセンブリをさらに有する。汗滴は、その後、流体搬送アセンブリによってセンサに搬送される。前記押し出る液滴が出口から放出されると、この出口は、チャンバをさらに満たすとすぐに、後続する汗滴がそこから押し出るために利用される。放出された汗滴と後続する汗滴とは、センサに到達する前に互いに接触しないように、放出された汗滴は、前記後続する汗滴が出口から押し出るのと少なくとも同じ速さで流体搬送アセンブリを介して搬送される。このように、前記装置は、液滴方式で汗をセンサに供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、小さな液滴がエレクトロウェッティングによって搬送されることが文献において実証されている。さらに、液滴は、エレクトロウェッティングを利用することによって分けたり混合したりすることができる。エレクトロウェッティングを用いた幾つか液滴の複雑な液滴の操作が、電極のマトリックス上に示されている。多くの電極を含む場合、装置の制御電子機器との最終的な電気接続の数を減らすために、電極マトリクス層の下にアクティブマトリクスドライバ層が使用される。このアクティブマトリクスドライバ層は、各電極を個々に制御する。しかしながら、ウェアラブルな使い捨てパッチ形式が必要とされるとき、そのような構成のコストは、アプリケーションのスペースを制限する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義する。
【0011】
一態様によれば、汗滴を搬送するための装置が提供され、この装置は、
基板内に画定される複数のチャンバと、
エレクトロウェッティング構成と
を有し、
前記チャンバの各々は、皮膚から汗を受け取るための入口と、前記基板の表面によって画定され、及び前記チャンバを汗で満たした後、汗滴を形成し、そこから汗滴を押し出すように配される出口とを持ち、
前記出口は、前記基板の表面の中央部分の周りに半径方向にグループ分され、少なくとも第1、第2及び第3のグループのチャンバを画定し、
前記エレクトロウェッティング構成は、
各々が帯電及び放電する複数の電極と、
導電性トレース構成と
を有し、
前記エレクトロウェッティング構成は、電極の第1、第2及び第3のリムを有し、電極の帯電及び放電によって、第1のリムの場合は、第1のグループから中央領域に又はそれに向けて汗滴の搬送を可能にする、同様に、第2のリムの場合は、第2のグループから中心方向に液滴の搬送を可能にする、及び同様に、第3のリムの場合は、第3のグループから中心方向に汗滴の搬送を可能にするように構成され、
前記導電性トレース構成は、前記第1、第2及び第3のリムの電極を互いに電気的に接続するように配される。
【0012】
基板の表面の中央部分の周りに出口の半径方向のグループ分けは、グループの各々、特に第1、第2及び第3のグループの出口が、前記中央部分から延在する2つの(例えば概念的な)半径と、複数のチャンバの各々が境界内に位置するように、これら複数のチャンバの回りに線を描く(例えば概念的な)境界、例えば円周の一部との間に画定される放射状のセグメントに配されることを意味する。
【0013】
“リム”と言う用語は、夫々のグループの出口から中央領域へ、又は中央領域に向けて汗滴を運ぶ電極の全体的な経路を指す。各リムは、本明細書において以下に記載されるように、電極の1つ以上の列を含んでもよい。
【0014】
導電性トレース構成は、装置の平面又はレベルにおいて、電極との電気的接続、及び電極間の電気的接続を提供するものとみなすことができ、それによって、電極は、導電性トレース構成によってこの平面又はレベルにおいて接続される。従って、導電性トレース構成は、例えば、垂直相互接続アクセス(VIA)接続のような、装置の異なる平面間、又は異なるレベル間で行われる接続とは異なる。言い換えると、VIAは、1つ以上の隣接する層の平面を通り抜ける、物理的電子回路における層と層と間の電気的接続である。
【0015】
第1、第2及び第3のリムが第1、第2及び第3のグループから夫々中心方向に汗滴を搬送することによって、前記装置は、例えば、ウェアラブル汗検知デバイスに例えば、ウェアラブルパッチの形態で組み込むのに特に適している。
【0016】
そのようなウェアラブル汗検知デバイスにおいて、1つ以上のセンサは、好ましくは、汗滴が(少なくとも)第1、第2及び第3のリムを介してそこに又はそこに向けて搬送される、前記装置の上述した中央領域に配される。少なくとも幾つかの実施形態において、リムの放射状形態とみなすことができるリムの構成は、前記中央領域から最も遠くに位置決められる出口からセンサまでの搬送距離を最小にするのを支援することができる。これは、同様にして、汗滴をセンサに搬送している間、汗滴の蒸発を最小限にするのを支援することができる。
【0017】
さらに、導電性トレース構成を第1、第2及び第3のリムの電極を互いに電気的に接続するように配することによって、前記装置の物理的設計は、より少数の垂直相互接続アクセス(VIA: vertical interconnect access)が必要とされるため、及び/又は電極の帯電及び放電を制御するためのマトリクスドライバ層を使用する必要がなくなるため、簡略化される及び/又はよりロバストとすることができる。従って、製造プロセスの複雑さ、コスト及びエラー/故障の原因が減る。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記複数の電極は、複数の電極の組を有し、各組は、互いに接続される第1、第2及び第3のリムからの電極を有する。
【0019】
そのような実施形態において、導電性トレース構成に含まれる第1の導電性トレースは、第1のリムの電極の1つを第2のリムの電極の1つに接続するように構成され、導電性トレース構成に含まれる第2の導電性トレースは、(前記第1のリムの前記電極に接続された)前記第2のリムの電極の前記1つを第3のリムの電極の1つに接続するように構成される。
【0020】
第1のリムは、第1の電極の少なくとも1つの列を有することができ、この少なくとも1つの列の各第1の電極は、第1のグループにおける夫々の出口から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。前記第1の電極の列によって画定される汗滴の経路は、“レベル0トラック”とみなすことができる。
【0021】
第1のリムは、前記第1の電極の少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、これら汗滴を前記第1の電極の少なくとも1つの列から遠ざかる、例えば中心方向に遠ざかるよう搬送するように構成される第1の電極の少なくとも1つのさらなる列を有することができる。前記第1の電極のさらなる列によって画定される汗滴の経路は、“レベル1トラック”とみなすことができる。
【0022】
前記さらなる列の電極に関連付けられるチャンバを持たない、故に出口がなくてもよい。従って、前記さらなる列の電極は、汗滴を、例えば、少なくとも1つのセンサに又はそれに向けて搬送するためだけに使用されてもよい。
【0023】
幾つかの実施形態において、第1のリムは、第1の電極の追加の列を有し、この第1のリムは、複数の前記第1の電極のさらなる列を有する。そのような実施形態において、前記第1の電極の追加の列は、複数の前記第1の電極のさらなる列の各々から汗滴を受け取り、前記汗滴を複数の前記第1の電極のさらなる列のから遠ざかる、例えば中心方向に遠ざかるよう搬送するように構成されてもよい。前記第1の電極の追加の列は、レベル2トラックとみなすことができる。
【0024】
前記追加の列の電極に関連付けられるチャンバを持たない、故に出口がなくてもよい。従って、前記追加の列の電極は、汗滴を、例えば、少なくとも1つのセンサに又はそれに向けて搬送するためだけに使用されてもよい。
【0025】
代替的又は追加的に、第2のリムは、第2の電極の少なくとも1つの列を有し、この少なくとも1つの列の各第2の電極は、第2のグループにおける夫々の出口から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。前記第2の電極の列によって画定される汗滴の経路は、レベル0トラックとみなすことができる。
【0026】
第2のリムは、前記第2の電極の少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第2の電極の少なくとも1つの列から遠ざかる、例えば、中心方向に遠ざかるよう搬送するように構成される第2の電極の少なくとも1つのさらなる列を有することができる。前記第2の電極のさらなる列によって画定される汗滴の経路は、レベル1トラックとみなすことができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、第2のリムは、第2の電極の追加の列を有し、この第2のリムは、複数の前記第2の電極のさらなる列を有する。そのような実施形態において、前記第2の電極の追加の列は、複数の前記第2の電極のさらなる列の各々から汗滴を受け取り、前記汗滴を複数の前記第2の電極のさらなる列から遠ざかる、例えば中心方向に遠ざかるよう搬送するように構成されてもよい。前記第2の電極の追加の列は、レベル2のトラックとみなすことができる。
【0028】
代替的又は追加的に、第3のリムは、第3の電極の少なくとも1つの列を有し、この少なくとも1つの列の各第3の電極は、第3のグループにおける夫々の出口から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。前記第3の電極の列によって画定される汗滴の経路は、レベル0トラックとみなすことができる。
【0029】
第3のリムは、前記第3の電極の少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、前記汗滴を前記第3の電極の少なくとも1つの列から遠ざかる、例えば、中心方向に遠ざかるよう搬送するように構成される第3の電極の少なくとも1つのさらなる列を有することができる。前記第3の電極のさらなる列よって画定される汗滴の経路は、レベル1トラックとみなすことができる。
【0030】
幾つかの実施形態において、第3のリムは、第3の電極の追加の列を有し、この第3のリムは、複数の前記第3の電極のさらなる列を有する。そのような実施形態において、前記第3の電極の追加の列は、複数の前記第3の電極のさらなる列の各々から汗滴を受け取り、前記汗滴を複数の前記第3の電極のさらなる列から遠ざかる、例えば中心方向に遠ざかるよう搬送するように構成されてもよい。前記第3の電極の追加の列は、レベル2トラックとみなすことができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、第1の電極の少なくとも1つの列は、第1の電極の複数の列を有し、前記第1の電極の複数の列の各々は、第1の電極の1つのさらなる列に沿って、互いに対して異なる位置で、第1の電極の前記少なくとも1つのさらなる列の前記1つのさらなる列と交差する。
【0032】
従って、レベル0トラックは、レベル1トラックの幾つかの位置に汗滴を移動させることができる。これは、例えば、前記装置をウェアラブルパッチに組み込むのに特に適したものにする空間的に効率的な構成を提供することができる。
【0033】
幾つかの実施形態において、汗滴は、次いで、(レベル0トラックが異なる位置で交差する)そのようなレベル1トラックから、レベル2トラックに搬送され、例えば、再びレベル2トラックの幾つかの位置から出て、最終的に、レベル2トラックは、例えば、液滴を各発汗量センサへ、又はそれを通って、及びバイオセンサが位置する中央領域又はその近位に向けて搬送する。
【0034】
より一般的には、幾つかの実施形態において、前記第1の電極の少なくとも1つのさらなる列は、第1の電極の複数のさらなる列を有し、複数の前記第1の電極のさらなる列の各々は、第1の電極の追加の列に沿って、互いに対して異なる位置で、第1の電極の前記追加の列と交差する。
【0035】
このようにチャンバの密度を最適化することによって、汗収集性能を維持しながら、前記装置を組み込んだより小さいウェアラブルパッチを皮膚上に配することができる。
【0036】
代替的又は追加的に、第2の電極の少なくとも1つの列は、第2の電極の複数の列を有し、複数の前記第2の電極の列の各々は、第2の電極の1つのさらなる列に沿って、互いに対して異なる位置で、第2の電極の前記少なくとも1つのさらなる列の前記1つのさらなる列と交差する。
【0037】
幾つかの実施形態において、第2の電極の少なくとも1つのさらなる列は、第2の電極の複数のさらなる列を有し、複数の前記第2の電極のさらなる列の各々は、第2の電極の追加の列に沿って、互いに対して異なる位置で、第2の電極の前記追加の列と交差する。
【0038】
代替的又は追加的に、第3の電極の少なくとも1つの列は、第3の電極の複数の列を有し、複数の前記第3の電極の列の各々は、第3の電極の1つのさらなる列に沿って、互いに対して異なる位置で、第3の電極の前記少なくとも1つのさらなる列の前記1つのさらなる列と交差する。
【0039】
幾つかの実施形態において、第3の電極の少なくとも1つのさらなる列は、第3の電極の複数のさらなる列を有し、複数の前記第3の電極のさらなる列の各々は、第3の電極の追加の列に沿って、互いに対して異なる位置で、第3の電極の追加の列と交差する。
【0040】
幾つかの実施形態におい、前記装置は、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の、上に定義されるリムを有してもよい。
【0041】
幾つかの実施形態において、リムの半径方向の中心線に沿って延在している鏡面を持つため、各リムは対称である。
【0042】
各リムが前記鏡面を有する実施形態において、導電性トレース構成の導電性トレースは、各リムの前記半径方向の中心線において方向を変えることができる。これは、VIAの数を減らすのを支援することができる。
【0043】
各リムの前記半径方向の中心線における各方向の変更は、導電性トレース構成が平面的に星形に見えるようにすることができる。
【0044】
より一般的には、前記装置は、エレクトロウェッティング構成及び導電性トレース構成がその上及び/又はその中に配される、さらなる基板を有することができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、前記さらなる基板は、第1の半径方向に延在する縁部及び第2の半径方向に延在する縁部を有し、前記リムは、第1の半径方向に延在する縁部と第2の半径方向に延在する縁部との間において、前記基板上及び/又は基板内に配される。
【0046】
特定の実施形態において、導電性トレース構成の導電性トレースは、前記第1の半径方向に延在する縁部の近位から第2の半径方向に延在する縁部の近位まで延在する。
【0047】
VIAは、例えば、第1及び/又は第2の半径方向に延在する縁部の近位に設けられることができる。特定の実施形態において、例えば、前記第1及び第2の半径方向に延在する縁部の近位に導電性トレースの端部を製造するために用いられるプロセスを理由に、前記装置は如何なるVIAも含まないことがある。
【0048】
前記装置は、第1の発汗量センサ、第2の発汗量センサ及び第3の発汗量センサの少なくとも1つを有することができる。そのような第1の発汗量センサは、前記第1のグループの出口の下流に配され、第1のリムによって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成されてもよい。同様に、第2の発汗量センサは、前記第2のグループの出口の下流に配され、第2のリムによって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成されてもよく、第3の発汗量センサは、前記第3のグループの出口の下流に配され、第3のリムによって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成されてもよい。
【0049】
より一般的には、前記装置は、1つのリム当たり1つの発汗量センサを含むことができる。
【0050】
前記装置は、汗検体の濃度を決定するように構成されるバイオセンサを有することができる。このバイオセンサは、第1、第2及び第3のリムによって当該センサに搬送される汗滴を受け取るように構成されてもよい。従って、バイオセンサは、前記リムを介して当該センサに搬送される汗滴を受け取るために、中央に位置決められる、例えば、上記したさらなる基板上に位置する中央領域又はその近位のような、前記中央領域内又はその近位に位置決められてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態において、前記装置は、1つ以上のセンサの下流に配される汗収集器、例えば、吸収体/吸収パッドを有する。特に、そのような汗収集器は、上記バイオセンサが前記に含まれるとき、バイオセンサの下流に配される。
【0052】
そのような汗収集器は、例えば、上述した第1の半径方向に延在する縁部と第2の半径方向に延在する縁部との間に画定される空間、例えば、放射状のセグメント空間内に配されてもよい。
【0053】
前記装置は、例えば、各々の前記汗滴を搬送するために、エレクトロウェッティング構成の電極の各々を帯電及び放電するための電界発生器を有することができる。この電界発生器は、導電性トレース構成を介して電極に接続されてもよい。
【0054】
別の態様によれば、上述した装置を有するウェアラブルデバイス、例えば、ウェアラブルパッチを提供する。
【0055】
幾つかの実施形態において、このウェアラブルデバイスは、前記入口が身体部分の皮膚から汗を受け取るように、装置をこの身体部分に取り付けることを可能にするように構成されるアタッチメント構成を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、限定ではない例として、より詳細に説明される。
【
図1】
図1は、汗滴を搬送するための例示的な装置の一部の第1の図を示す。
【
図4】
図4は、
図1-3に示される装置を用いて搬送される汗滴を示す。
【
図6】
図6は、第1の実施例による、汗滴を搬送するための装置を示す。
【
図7】
図7は、第2の実施例による、汗滴を搬送するための装置を示す。
【
図8】
図8は、第3の実施例による、汗滴を搬送するための装置を示す。
【
図9A】
図9Aは、第4の実施例による、汗滴を搬送するための装置の図を提供する。
【
図9B】
図9Bは、第4の実施例による、汗滴を搬送するための装置の図を提供する。
【
図9C】
図9Cは、第4の実施例による、汗滴を搬送するための装置の図を提供する。
【
図9D】
図9Dは、第4の実施例による、汗滴を搬送するための装置の図を提供する。
【
図9E】
図9Eは、第4の実施例による、汗滴を搬送するための装置の図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
詳細な説明及び特定の例は、前記装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、これらは単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら並びに他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、図面全体にわたって同じ参照番号が使用されることも理解されたい。
【0058】
1汗腺当たり発汗量を決定する及び汗中のバイオマーカーの濃度を決定するための、経時的な汗のサンプリングは、特にあまい動かない状態の人の場合、発汗量の少なさがネックであり、これは、1エクリン汗腺につき0.1~0.3nl/分という低さである。EWOD(electrowetting on dielectrics)を使用する“離散化された汗収集”、すなわち、別個の汗滴の汗収集は、発汗量センサ及びバイオセンサに向かう汗液体の流れを最適化する独自の方法を作り出し、後者はバイオマーカーの濃度を決定することが示されている。文献には、連続する汗の流れを用いて汗を収集する方法がしばしば記載されているが、人間の皮膚上に位置決められる高さ50μmの小さなマイクロ流体チャンバを満たすことでさえ、あまり動かない状態の人にとって、数十時間を要することがある。従って、これらの方法は、例えば激しい運動を行うスポーツ選手及び労働者のような、発汗量の多い人に限られる。提示される“離散化された汗収集”方法は、数十秒で汗を収集することができ、典型的には、センサへの搬送のためにさらに10~30秒を使用する。
【0059】
しかしながら、特にあまり動かない状態では、能動腺(active gland)の密度はかなり低く、典型的には1cm2当たり10個の能動腺である。この数は人によって異なり、身体位置によって異なることに留意されたい。バイオマーカーの濃度を測定するのに充分な汗を得るためには、皮膚の1cm2のサンプリングが望ましい。しかしながら、数秒のオーダーで汗の収集を可能にするために、汗収集チャンバは、高さ及び直径を非常に小さくしなければならない。直径が、典型的には10~100μm、より典型的には20~60μmと小さいため、例えば1万のオーダーのような、多くのこれらチャンバが必要とされる。そのような円筒形チャンバの穴から出てくる汗滴の各々は、前記センサに搬送されなければならない。EWOD軌道の場合、これらの液滴は、数十秒のオーダーでセンサに搬送することができる。しかしながら、各チャンバは、EWODによる搬送を可能にするために、電極に接続されなければならない。その結果、EWOD軌道も、1万のオーダーでの多数の電極を必要とする。
【0060】
この流体側におけるスケール及び複雑さの増加は、EWOD軌道に必要とされる電気接続に関して、複雑さの増加に影響を及ぼす。汗サンプルが離散化される、すなわち、汗サンプルが個別の汗滴を有する、比較的多数の収集チャンバを扱う一方で、汗収集チャンバから一箇所に集められる(集中型の)バイオセンサに向けて液滴を搬送する必要性が、互いに交差する必要がある多数の電気経路を作り出す。これを達成するために、多数のVIAが必要とされ、これらVIAは、複雑さ、コストを追加し、エラー/故障の原因を生み出す。最適化をしない場合、約10,000個の小さな収集チャンバを提供する、EWOD設計のためのVIAの数は、例えば、数千のオーダーで大きくなる。マトリクスドライバ層を使用する代替案は、コスト及び複雑さを追加し、ウェアラブルである装置と互換性がない可能性がある。
【0061】
汗滴を、例えば、1つ以上のセンサに搬送するための装置が提供される。この装置は、汗で満たすための複数のチャンバを有する。各チャンバは、基板内に画定され、皮膚の表面に隣接して位置する入口を持つ。この入口は、汗がチャンバに入り、このチャンバを満たすことを可能にする。各チャンバは、基板の表面によって画定される出口も持ち、チャンバが満たされると、前記出口から汗滴が押し出る。この出口は、少なくとも第1、第2及び第3のグループのチャンバを画定するために、前記基板の表面の中央部分の周りに半径方向にグループ分けされる。前記装置は、複数の電極を有するエレクトロウェッティング構成をさらに有する。電極の各々は、帯電及び放電可能である。エレクトロウェッティング構成は、電極の帯電及び放電によって、第1のリムの場合は第1のグループから中心方向に、第2のリムの場合は第2のグループから中心方向に、及び第3の放射状部分の場合は、第3のグループから中心方向に汗滴を搬送することを可能にするように構成される、少なくとも第1、第2及び第3のリムの電極を有する。エレクトロウェッティング構成は、第1、第2及び第3のリムの電極を互いに電気的に接続するように配される導電性トレース構成も含む。
【0062】
第1、第2及び第3のリムが第1、第2及び第3のグループから夫々中心方向に汗滴を搬送することによって、前記装置は、例えば、ウェアラブルな汗検知デバイスに、例えば、ウェアラブルパッチの形態で組み込むのに特に適している。
【0063】
そのようなウェアラブル汗検知デバイスにおいて、1つ以上のセンサが、前記装置の中央領域に好ましくは配置され、汗滴が第1、第2及び第3のリムを介して前記中央領域に又はそれに向けて搬送される。少なくとも幾つかの実施形態において、リムの放射状形態とみなすことができるリムの構成は、前記中央領域から最も遠くに位置決められる出口からセンサまでの搬送距離を最小にするのを支援することができる。これは、同様にして、汗滴をセンサに搬送している間、汗滴の蒸発を最小限にするのを支援することができる。
【0064】
さらに、導電性トレース構成を第1、第2及び第3のリムの電極を互いに電気的に接続するように配置することによって、前記装置の物理的設計は、例えば、短絡問題を回避するために、より少数の垂直相互接続アクセス(VIA)が必要とされるため、及び/又は電極の帯電及び放電を制御するためのマトリクスドライバ層を使用する必要がなくなるため、簡略化される及び/又はよりロバストとすることができる。
【0065】
VIAを製造するプロセスの例は、ガラス基板内のガラス貫通電極(TGV)、ガラス上の再配線層(RDL)回路パターニング、並びにガラス基板内のチャネル及び成形VIAの形成が挙げられる。VIAは、1つ以上の隣接する層の平面を通過する、物理的な電子回路における層間の電気的接続である。上手く作られていれば、プリント基板(PCB)のVIAは、銅めっきとPCBとの間の面外方向(Z)における膨張及び収縮の差が原因となって、主として故障することがある。この膨張及び収縮の差は、銅めっきにおいて繰り返し疲労を誘発し、最終的に亀裂の伝播及び断線をもたらす。様々な設計、材料及び環境パラメータが、この劣化の速度に影響を及ぼす。これは特に、ウェアラブルデバイスに関連する。従って、エレクトロウェッティング構成に含まれるVIAの数を最小限に抑えることが望ましい。
【0066】
汗の液滴状の又は離散化した流れは、連続する流れに対して、幾つかの独特の利点を提供することに留意されたい。汗の排出からバイオマーカーの濃度を実際に決定するまでの遅延は、例えば、あまり動かない状態の被験者では、典型的には1~2時間から約10~15分までに減少する。微量の汗を取り扱い、この汗を比較的素早くセンサに搬送することができる能力は、バイオマーカーセンサを有するセンサの場合、被験者があまり動かない状態であるときでさえ、バイオマーカーの濃度を決定することを可能する。さらに、汗が連続する流れとしてではなく個別の汗滴として提供されるとき、例えば、より単純なセンサを使用して、発汗量は、より直接的に決定されることができる。
【0067】
図1は、一例による装置100の一部を断面図で概略的に示す。装置100は、複数のチャンバ102を有し、これらチャンバ102の各々は、入口104を持つ。入口104は、皮膚106から汗を受け取る。
図1に示されるように、入口104は、皮膚106の表面に隣接して配されることができる。
【0068】
入口104は、汗腺108の近位に示されている。この場合、汗腺108によって排出された汗は、入口104を介してチャンバ102に入り、チャンバ102を満たす。
図1に示されるように、装置100は、皮膚106の表面に取り付けられる基板110を有することができる。図示される例において、基板110の下面は、皮膚106の表面と直接接触している。この場合、チャンバ102は、基板110によって画定される開口の形態をとる。
図1に示されるように、チャンバ102の各々は、z軸と平行に配向されるが、他の配向も可能である。
【0069】
基板110は、皮膚上に配することができる任意の適切な材料、例えばポリマーから形成されることができる。例えば、基板110は、皮膚106の表面へのコンフォーマルな適用を可能にするように、少なくともある程度の柔軟性を持つことができる。もし入口104が皮膚106から汗を受け取るのであれば、より硬質な基板110も考えられる。
【0070】
被験者から汗を収集するために、基板110は、例えば、適切な接着剤を使用して皮膚106の表面に接着されてもよい。代替的に、基板110は、基板110を被験者の身体に取り付けるための締め具、例えばストラップによって皮膚106の表面に対して保持されてもよい。
【0071】
より一般的には、装置100は、例えばウェアラブルパッチのような、ウェアラブルデバイスに含まれることができる。
【0072】
幾つかの実施形態において、ウェアラブルデバイスは、前記入口104が身体部分の皮膚106から汗を受け取るような、装置100を前記身体部分に取り付けることを可能にするように構成される取り付け構成、例えば上述した接着剤及び/又は締め具を有する。
【0073】
入口104及び出口114の夫々の領域は、発汗量の範囲にわたってチャンバ102を効率的に満たすこと及び汗滴の形成を確実にするように選択される。幾つかの例において、入口104及び出口114は、この目的のために固定された寸法を選択している。好ましい例において、各チャンバ102は、少なくとも10~15分以内に汗で満たされるような寸法となる。チャンバ102を満たした後の半球状の汗滴の形成は、好ましくは、比較的低い発汗量、例えば、0.2nl/分/汗腺で、典型的には10秒以内に起こる。
【0074】
一実施形態において、複数のチャンバ102の各入口104は、平均で0.1~1つの能動汗腺から汗を受け取るような寸法となる。これは、装置100が1汗腺当たりの発汗量を決定するのに使用されるのを助けることができる。
【0075】
各入口104は、例えば、0.005mm2~20mm2の領域を持つことができる。入口領域は、チャンバ102の他の寸法、及び装置100に含まれるチャンバ102の数に従って選択されてもよい。
【0076】
チャンバ102が汗で満たされると、汗滴はチャンバ102の出口114から押し出る。
図1に示される例において、出口114は、基板110の上面によって画定され、チャンバ102が汗で満たされると、半球状の汗滴が出口114の上部に形成される。
【0077】
チャンバ102の容量は、ボリュームは、チャンバ102を汗で満たすのに必要な時間を最小にするために、様々な方法で最小化されることができる。そのような変更は、例えば、チャンバ102の各々の形状、例えば、出口114の方向に狭くなる先細りの形状を使用すること、及びチャンバ102内に多孔質材料を含めることなどでもよい。
【0078】
装置100は、夫々の出口114から押し出る各汗滴を搬送するように配されるエレクトロウェッティング構成を有する。このエレクトロウェッティング構成は、複数の帯電及び放電可能な電極116を有する。
【0079】
図1に示される限定ではない実施例において、電極116は、基板110の上面に対向するさらなる基板118に配され、前記上面は出口114を画定する。
【0080】
さらなる基板118は、汗滴と直接接触するための疎水性層118Aを有することができる。少なくとも1つの誘電体層118B、例えば、1つ、2つ又はそれ以上の誘電体層118Bがこの疎水性層118Aに隣接している。前記少なくとも1つの誘電体層118Bに隣接してエレクトロウェッティング構成の電極116が位置決められる。従って、前記少なくとも1つの誘電体層118Bは、電極116と疎水性層124Aとの間に置かれている。
【0081】
そのような疎水性層と部分的に接触している汗滴は、汗滴が部分的に重畳している表面の下の電極116が帯電されると、駆動力及び反力、粘性抗力並びに接触角ヒステリシスが生じる。前記駆動力は、汗滴の動きを促進する表面エネルギー勾配によって生成されるのに対し、粘性抗力及び接触角ヒステリシスは、汗滴の動きに対抗する。接触角ヒステリシスは、動きに対する抵抗力として作用し、汗滴をその静止位置に留まらせようとする。これらの相反する力の合力を受けて汗滴が加速する。
【0082】
疎水性層118Aの真上の電極116の帯電は、汗滴とこの疎水性層との間の接触角を低下させ、汗滴がこの表面に完全に移動するための引っ張り力が生じる。疎水性層の表面は必ずしも変化しないが、層が疎水性から親水性に切り替わると言うことができる。汗滴は、それに応じて帯電した電極116に隣接する疎水性層の部分に移動することができる。それに続く前記帯電した電極116の放電、及び搬送方向において後続する電極116の帯電は、汗滴を、前記後続する電極116に隣接する疎水性層118Aの部分に移動させることができるなどである。このシーケンスは、“エレクトロウェッティング波”とみなすことができる。
【0083】
従って、電極116を疎水性層118Aで、例えばクロロポリマー(chloropolymer)、例えばフッ素樹脂(fluoropolymer)、例えばCYTOP(登録商標)及びFluoropelを有する又はそれらから成る疎水性層118Aで被覆することによって、電極116の帯電/放電が、疎水性層118Aの疎水性特性の切り替えを可能する。誘電体層118Bは、パリレン層でもよいが、例えば、電極上に五酸化タンタル又は窒化ケイ素でスパッタリングし、パラレンで被覆されるような様々な物質からなる積層コーティングとすることができ、最後に層118Aが適用される。
【0084】
汗滴を搬送/移動させるためのエレクトロウェッティング構成の使用は、汗滴の比較的迅速な移動、及び汗滴の搬送、例えば速度の正確な制御を提供することができる。エレクトロウェッティング波の伝播は、原則として、汗滴を比較的長い距離にわたって搬送するために適用される。
【0085】
電極116に接続される電界発生器(図示せず)を使用して、電極116を帯電/放電することができる。この電界発生器は、例えば、装置100、特にエレクトロウェッティング構成に含まれてもよい。他の例において、前記電界発生器は、装置100とは別に供給される。
【0086】
制御される局所的電圧は、複数のエレクトロウェッティング波を生成するために使用される。そのようなエレクトロウェッティング波は、1つ以上のセンサ(
図1に図示せず)に向かう又は当該センサへの、及び任意選択で当該センサを通る、汗滴の搬送/移動に影響を及ぼす。
【0087】
電極116に加えて、エレクトロウェッティング構成は、接地電極120を含むことができる。
図1に示される限定ではない実施例において、そのような接地電極は、疎水性層122の下に配される導電層120、例えば酸化インジウムスズ層の形態をとるか、又はそれを有する。疎水性層122は、示されるように、基板110とさらなる基板118との間に設けられる間隙にさらされる
【0088】
少なくとも幾つかの実施形態において、出口114から汗滴の分離又は放出は、この汗滴が特定の直径に達した瞬間に起こる。
【0089】
図1に示される限定ではない実施例において、さらなる基板118の位置決めは、各汗滴の体積を制御することを可能にする。これは、例えば、さらなる基板118を規定された距離だけ基板110から分離することによって達成される。そのような規定された距離は、例えば、基板110とさらなる基板118との間に配されるスペーサ要素によって提供される。汗滴は、さらなる基板118と接触するまで、サイズが増大する。実際に、汗滴がさらなる基板118と接触するとき、この汗滴が、さらなる基板118に“飛び移る”ことによって切り離されることができる。
【0090】
代替的に又は追加的に、汗滴の切り離し、エレクトロウェッティング構成によって促進されてもよい。出口114からの切り離しは、汗滴が成長して、汗滴が一対の電極116と少なくとも部分的に重畳するほど十分に大きな直径を得るときに起こる。この場合、エレクトロウェッティング波が電極116に沿って通過すると、それに応じて、前記一対の電極116にまたがる汗滴は、出口114から取り除かれる。そのような例において、汗滴は、必要な直径に達する汗滴とエレクトロウェッティング波の到達との間の期間に様々な程度で成長し続けるので、この汗滴の全てが、均一なサイズ又は体積ではない場合がある。この点に関して、汗滴のサイズは、エレクトロウェッティング波の周波数によって決定される。
【0091】
従って、さらなる基板118に電極116を配することは、限定的であると見なされるべきではなく、代替の限定ではない実施例において、エレクトロウェッティング構成の電極116が、基板110に配されてもよい。後者の場合、汗滴が放出され、基板110の上面を画定する疎水性層118Aに沿って搬送される。
【0092】
より一般的には、放出された汗滴は、後続する汗滴が出口114から押し出るのと少なくとも同じ速さで搬送される。好ましくは、汗滴の移動は、後続する汗滴の形成、すなわち押し出しよりも速い。これは、明確な汗滴の定義を保証するため、すなわち、一連の別個の汗滴の搬送を保証するためである。
【0093】
言い換えると、流体搬送アセンブリは、汗滴の形成に対して迅速な搬送/移動を保証することによって、汗滴の個別の液滴特性を維持することができる。これは、異なる時点で収集された汗サンプル間で、例えばバイオマーカーのような成分が拡散するのを減らす又は防ぐという点で、汗の連続する流れ、特に低い発汗量に勝る利点を持つことができる。
【0094】
図1に与えられる断面図には見ることができないが、汗滴が搬送される通路は、エレクトロウェッティング構成による汗滴の搬送中に、これら汗滴が蒸発するのを最小にするために、少なくとも部分的に、好ましくは完全に密閉されてもよいことにも留意されたい。
【0095】
図1に示され、
図2にも示される限定ではない実施例において、エレクトロウェッティング構成は、電極116の少なくとも1つの列124を有し、各電極116は、夫々の出口114から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。さらに、この例において、前記エレクトロウェッティング構成は、電極116の列124、例えば、各列から汗滴を受け取り、前記汗滴を電極116の少なくとも1つの列124から遠ざかるように搬送するように構成される電極116の少なくとも1つのさらなる列126をさらに有する。
【0096】
電極116の列124によって画定される汗滴の経路は、“レベル0トラック”と見なすことができ、電極116のさらなる列126によって画定される汗滴の経路は、“レベル1トラック”と見なすことができる。
【0097】
図1に示される限定ではない実施例において、列124の5つの電極116は、6つの円筒形チャンバ102と関連付けられているが、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、7つ、8つ又はそれ以上のような代替のチャンバ102の数(及び形状)が検討されることもできる。
【0098】
さらなる列126の電極116と関連付けられる、例えば対向しているチャンバ102がない、故に出口114がなくてもよい。従って、そのような例において、さらなる列126の電極116は、汗滴を、例えば、少なくとも1つのセンサ(
図1に図示せず)に又はそれに向けて搬送するためにのみ使用される。
【0099】
図2は、基板110の一部の平面図を示し、この図は、10個の列124A~J、言い換えれば10個のレベル0トラック、及び1つのさらなる列126、言い換えれば1つのレベル1トラックを示す。
図2において、各チャンバ102の出口114も明らかである。
【0100】
図3は、さらなる基板118の一部を示し、特にエレクトロウェッティング構成の電極116を示す。この特定の例において、六角形の電極116が使用される。このようにして、チャンバ102/出口114の密度を増大させることができる。しかしながら、平面図で見たとき、例えば、正方形又は長方形のような、電極に適した任意の形状が検討されることができる。代替的に又は追加的に、これらの電極の外面、例えば、外周は、液滴の動きを改善するために、規則的な突出部及び窪みを持つことができる。液滴は、動きを誘発するために、常に後続する電極の上にある表面と接触していなければならない場合がある。
【0101】
図4は、
図3に示される装置100を使用して搬送されている汗滴128を示す。レベル0トラック124A~Jにおいて1~5の番号を付した電極116を帯電/放電することによって、エレクトロウェッティング波が誘発される。1~4の番号の番号を付した電極116を順次帯電/放電することによって、レベル1トラック126に第2のエレクトロウェッティング波が誘発される。
【0102】
図5は、導電性トレース130が、
図3及び
図4に示される電極116を接続する例を示す。レベル0トラック124A~Jにおいて1の番号を付した電極116の各々は、電極116の組を定めるように接続される。2の番号を付した電極116、3の番号を付した電極116、4の番号を付した電極116、及び5の番号を付した電極116についても同様である。従って、レベル0トラックの電極116は、6つの接続、すなわち、電極116を帯電/放電するための5つの接続、及び共有するアース又はニュートラル(
図1に関連して上述した接地電極120を参照)に接続する1つの接続(図示せず)のみを必要とする。とは言っても、5つより多い又は少ない電極116がレベル0トラックにおいて使用され得ることが理解されるべきである。N個の電極が使用される場合、必要とされる接続の数はN+1であり、ここで、余分な1つの接続は、共有するアース又はニュートラルである。
【0103】
このように、(1~5の番号を付した)レベル0トラック124A~Jの電極116を互いに接続し、組にすることによって、各電極116を電界発生器、例えば、そのような電界発生器の電子制御盤に接続する電気接続方式の複雑さは、各電極116を電界発生器に個別に接続するシナリオに比べ大幅に減少する。
【0104】
図5に示される例において、汗滴を搬送するために、レベル1トラック126も、電極116の組、この場合、1~4の番号を付した電極116の組を利用する。レベル1トラック126上でエレクトロウェッティング波を可能にするために、示されるように、10個のレベル0トラック124A~Jを持つ装置100に対し、15個のVIA132が必要とされる。
【0105】
例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれ以上のような、任意の適切な数の電極116が、レベル0トラック124A~Jの各々に使用され得ることに留意されたい。
【0106】
幾つかの実施形態において、レベル1トラック126は、汗滴128を発汗量センサ(
図5に図示せず)に向けて搬送し、そして発汗量センサを通過させ、当該発汗量センサは、発汗量センサを通過する汗滴128の数、及び各汗滴128が発汗量センサを通過するのに要した時間もカウントするように構成される。
【0107】
さらに、幾つかの実施形態において、バイオセンサ(
図5に図示せず)が、そのような発汗量センサの下流に配されてもよい。発汗量センサを通過した汗滴128が、レベル1トラック126によってさらにバイオセンサに搬送されるとき、汗中のバイオマーカーの濃度を決定することができる。汗サンプルを受け取るのに適した他のセンサを使用することもできる。
【0108】
レベル1トラック126の(1~4の番号を付した)電極の各シーケンスは、後続するシーケンスが続くので、汗滴128は、中断することなくレベル1トラック126に沿ってシームレスに搬送される。
図5に示される例において、エレクトロウェッティング波を、電極116の組の連続的な帯電/除電(de-charge)と定義すると、これらの波のうちの10個の波が、レベル0トラック124A~J上で同時に伝えられるが、5つの波が、レベル1トラック126内に伝えられる。このように、汗滴128は、
図4に示されるように、最初にレベル0トラック124A~Jにわたり、次いで、レベル1トラック126にわたってシームレスな搬送を経験し、従って、汗滴128の観点からすれば、発汗量センサ及び/又はバイオセンサに向けて1つの大きなエレクトロウェッティング波を経験していると見なすことができる。
【0109】
より一般的には、
図6を参照すると、出口114は、基板110の表面の中央部分135の周りで半径方向にグループ分けされ、少なくとも第1、第2及び第3のグループのチャンバ102を定める。さらに、エレクトロウェッティング構成は、電極116の第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138を有し、これらのリムは、電極116の帯電及び放電によって、第1のリム134の場合は、第1のグループから中央部分135に位置する電極を介して、第2のリム136の場合は、同様に第2のグループから中央に、及び第3のリム138の場合は、同様に第3のグループから中央に、汗滴の搬送を可能にするように構成される。チャンバ102のグループは、
図6には示されていないが、これらチャンバは、それらは、リムの下に位置する、すなわち、
図6に示される例において、第1のグループのチャンバ102は、第1のリム134の下に位置し、第2のグループのチャンバ102は、第2のリム136の下に位置し、第3のグループのチャンバは、第3のリム138の下に位置する。
【0110】
図6は、例示的な装置100の平面図を提供し、この装置において、第1のリム134は、第1の電極116Aの列を有する、又はより具体的には、第1の電極116Aの列によって定められ、この列の各第1の電極116Aは、第1のグループのチャンバ102における夫々の出口から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。従って、この例における第1のリム134/第1の電極116Aの列は、レベル0トラックと見なすことができる。
【0111】
同様に、第2のリム136は、第2の電極116Bの列を有する、又はより具体的には、第2の電極116Bの列によって定められ、この列の各第2の電極116Bは、第2のグループのチャンバ102における夫々の出口から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。従って、この例における第2のリム136/第2の電極116Bの列は、レベル0トラックと見なすことができる。
【0112】
引き続き
図6を参照すると、第3のリム138は、第3の電極116Cの列を有する、又はより具体的には、第3の電極116Cの列によって定められ、この列の各第3の電極は、第3のグループチャンバ102における夫々の出口から押し出る汗滴の1つを放出及び/又は搬送するように構成される。従って、この例における第3のリム138/第3の電極116Cの列は、レベル0トラックと見なすことができる。
【0113】
第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138が、夫々、第1のグループ、第2のグループ及び第3のグループから中央に、例えば、概ね半径方向に汗滴128を搬送することによって、装置100は、例えば、ウェアラブル汗検知デバイスに、例えば、ウェアラブルパッチの形態で組み込むのに特に適している。
【0114】
そのようなウェアラブル汗検知デバイスにおいて、1つ以上のセンサ、例えば、上述した発汗量センサ及び/又はバイオセンサは、好ましくは、装置100の中央領域に配置され、汗滴が第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138を介して前記中央領域に又はそれに向けて搬送される。少なくとも幾つかの実施形態において、リム134、136、138の放射状配置とみなすことができるリム134、136、138の構成は、前記中央領域から最も遠くに位置決められる出口からセンサまでの搬送距離を最小にすることを支援することができる。これは、同様にして、汗滴128をセンサに搬送している間、汗滴128の蒸発を最小限にするのを支援することができる。
【0115】
エレクトロウェッティング構成は、第1のリム134、第2のリム134及び第3のリム138の電極116を互いに電気的に接続するように配される導電性トレース構成も有する。この導電性トレース構成を第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138の電極を互いに電気的に接続するように配置することによって、装置100の物理的設計は、例えば、より少数の垂直相互接続アクセス(VIA)が必要とされるため、及び/又は電極の帯電及び放電を制御するためのマトリクスドライバ層を使用する必要がなくなるため、簡略化される及び/又はよりロバストとすることができる。
【0116】
例えば、
図6に示される限定ではない例のような幾つかの実施形態において、複数の電極116は、複数の電極の組を有し、各電極の組は、第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138からの電極116A、116B、116Cを有し、これら電極は互いに接続されている。
【0117】
そのような実施形態において、導電性トレース構成の第1の導電性トレース140A;140B;140C;140D;140Eは、第1のリム134の第1の電極116Aの1つ、特に
図6に示される例の場合、前記第1の電極116Aの列のうちの1つを、第2のリム136の第2の電極116Bの1つ、特にこの場合、前記第2の電極116Bの列のうちの1つに接続するように構成される。さらに、導電性トレース構成の第2の導電性トレース142A;142B;142C;142D;142Eは、(前記第1のリム134の電極116Aの1つに接続された)前記第2のリム136の電極116Bの前記1つを、第3のリム138の電極116Cの1つ、特に前記第3の電極116Cのうちの1つに接続するように構成される。
【0118】
図6に示されるレベル0トラック134、136、138の出口114及び関連する電極116A、116B、116Cは、(本明細書において“カリフラワー設計”とも呼ばれる)ほぼ半円形の設計で配されていると見なすことができる。これは、比較的コンパクトな装置100を提供することができる。
【0119】
図6に示される限定ではない実施例において、第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138に対応する、全てのレベル0トラックの電極116A、116B、116Cは、5本の電線に接続され、上述したエレクトロウェッティング波がレベル0トラック134、136、138上を伝播することを可能にする電気接続を提供するために、4つのVIA(144B、144C、144D、144E)しか必要としない。
【0120】
図6に示される限定ではない実施例において、センサ搬送リム146は、第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138から、下流にある例えば、発汗量センサ及び/又はバイオセンサのような1つ以上のセンサ(
図6に図示せず)向けて汗滴を搬送する。この場合、センサ搬送リム146は、そのリムの電極116がVIA148によって接続されるレベル1トラックに対応する。
【0121】
例えば
図7に示される限定ではない例のような幾つかの実施形態において、第1のリム134は、第1の電極116AA、116AB、116ACの少なくとも1つの列、並びに前記第1の電極116AA、116AB、116ACの少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、この汗滴を前記第1の電極116AA、116AB、116ACの少なくとも1つの列から遠ざかる、本事例においては、中心方向へと遠ざかるよう搬送するように構成される第1の電極116ADの少なくとも1つのさらなる列を有する。
【0122】
第1の電極116AA、116AB、116ACの少なくとも1つの列の各々は、レベル0トラックを構成し、第1の電極116ADの少なくとも1つのさらなる列の各々は、レベル1トラックを構成する。
【0123】
第2のリム136も、第2の電極116BA、116BB、116BCの少なくとも1つの列、並びに第2の電極116BA、116BB、116BCの少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、この汗滴を前記第2の電極116BA、116BB、116BCの少なくとも1つの列から遠ざかる、本事例においては、中心方向へと遠ざかるよう搬送するように構成される第2の電極116BDの少なくとも1つのさらなる列を有する。
【0124】
第2の電極116BA、116BB、116BCの少なくとも1つの列の各々は、レベル0トラックを構成し、第2の電極116BDの少なくとも1つのさらなる列の各々は、レベル1トラックを構成する。
【0125】
同様に、第3のリム138も、第3の電極116CA、116CB、116CCの少なくとも1つの列、並びに、第3の電極116CA、116CB、116CCの少なくとも1つの列の各列から汗滴を受け取り、この汗滴を第3の電極116CA、116CB、116CCの少なくとも1つの列から遠ざかるように、本事例において合は、中心方向へと遠ざかるよう搬送するように構成される第3の電極116CDの少なくとも1つのさらなる列を有する。
【0126】
第3の電極116CA、116CB、116CCの少なくとも1つの列の各々は、レベル0トラックを構成し、第3の電極116CDの少なくとも1つのさらなる列の各々は、レベル1トラックを構成する。
【0127】
図6に示される例と同様に、
図7に示されるエレクトロウェッティング構成において、複数の電極は、複数の電極の組を有し、各電極の組は、第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138からの電極116AB-AD;116BA-BD、116CA-CD有し、これら電極は互いに接続されている。
【0128】
導電性トレース構成の第1の導電性トレース140A-Oは、第1のリム134の電極の1つを第2のリム136の電極の1つに接続するように構成される。さらに、導電性トレース構成の第2の導電性トレース142A-Oは、(前記第1のリム134の前記電極の1つに接続された)前記第2のリム136の電極の前記1つを第3のリム138の電極の1つに接続するように構成される。
【0129】
さらに、例えば
図7に示される限定ではない例のような幾つかの実施形態において、少なくとも1つのさらなる導電性トレース150A、150B、150Cは、リム134、136、138のうちの1つにある電極を互いに接続するように構成される。
【0130】
図7に示される例において、第1のリム134、第2のリム136及び第3のリム138の各々は、3つのレベル0トラックを有し、示されるように、1つのリム当たり2つのさらなる導電性トレース150A、150B、150Cが、各リム内にあるレベル0トラックを互いに接続している。
【0131】
例えば、
図8に示される限定ではない例のような幾つかの実施形態において、第1のリム134は、第1の電極116AAA、116AAB、116ABA、116ABB、116ABC、116ACA、16ACBの複数の列、第1の電極116AAD、116ABD、116ACDの複数のさらなる列、及び第1の電極116ADAの追加の列を有し、この第1の電極116ADAの追加の列は、前記第1の電極116AAD、116ABD、116ACDの複数のさらなる列の各さらなる列から汗滴を受け取り、この汗滴を前記第1の電極116AAD、116ABD、116ACDの複数のさらなる列から遠ざかる、本事例においては、中心方向へと遠ざかるよう搬送するように構成される。
【0132】
前記第1の電極116ADAの追加の列は、レベル2トラックと見なすことができる。
【0133】
図8に示される限定ではない実施例において、第2及び第3のリム136、138も各々が、第1の電極の複数の列、第1の電極の複数のさらなる列及び第1の電極の追加の列を有する。
【0134】
図7に示される例と同様に、
図8に示される装置において、複数の電極は、複数の電極の組を有し、導電性トレース構成の第1の導電トレース140Aは、第1のリム134の電極の1つを第2のリム136の電極の1つに接続するように構成される。さらに、第2の導電性トレース142Aは、(前記第1のリム134の電極の1つに接続された)前記第2のリム136の電極の前記1つを第3のリム138の電極の1つに接続するように構成される。さらに、さらなる導電性トレースが導電性トレース構成に含まれ、各さらなる導電性トレースは、リム134、136、138の1つにおいて電極を互いに接続するように構成される。
【0135】
図6~8に示される例示的な装置100における出口114及びVIA144、148の数は、レベル1トラックからレベル3トラックを持つさらなる例(図示せず)と共に、表1にまとめられている。表1は、一般に、出口114の数が増加すると、言い換えるとチャンバ102の数が増加すると、より多くの数のVIAを必要とすることを示す。
【表1】
【0136】
幾つかの場合において、さらに多くの出口114が必要とされる場合がある。例えば、各々の出口114の直径が30μmであり、皮膚106上への腺管108の出口が約40μmである場合、1つの出口114によってサンプリングされる皮膚の表面積は、約113μmの直径を持つ(腺108の出口と少なくとも部分的な重畳を提供する)。典型的には、あまり動かない状態では、皮膚1cm2あたり約10個のエクリン腺が活性化している。十分な信頼性を提供するために、約10個の腺を測定したい。従って、1cm2の皮膚をサンプリングすることができる。これは、約10000個の出口114を必要とする。より高い発汗量の場合、表面積当たりの活性化した汗腺の数は増加する(典型的には、2~10倍)が、依然として大量の収集チャンバが必要とされ、従って、必要とされるVIAの数は依然としてかなりの数であることに留意されたい。本発明の教示を使用することなく、10000個の出口114を提供するためにカリフラワー設計が提供されるとき、VIAの数は、数千のオーダーである。外挿法は、4296個のVIAを必要とすることを示している。
【0137】
図9Aは、別の限定ではない実施例による装置100の斜視図を提供する。この事例において、エレクトロウェッティング構成は、7つのリム134、136、138、152、154、156、158を有する。より一般的には、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12又はそれ以上のような、3つを超える任意の適切な数のリム134、136、138、152、154、156、158が検討される。
【0138】
この例において、複数の電極は、複数の電極の組を有し、各組は、第1のリム134、第2のリム136、第3のリム138、第4のリム152、第5のリム154、第6のリム156及び第7のリム158からの電極を含む。第1の導電性トレース140は、第1のリム134の電極の1つを第2のリム136の電極の1つに接続するように構成され、第2の導電性トレース142は、前記第2のリム136の電極の前記1つを第3のリム138の電極の1つに接続するように構成され、第3の導電性トレース160は、第3のリム138の電極の1つを第4のリム152の電極の1つに接続するように構成され、第4の導電性トレース162は、第4のリム152の電極の1つを第5のリム154の電極の1つに接続するように構成され、第5の導電性トレース164は、第5のリム154の電極の1つを第6のリム156の電極の1つに接続するように構成され、第6の導電性トレース166は、第6のリム156の電極の1つを第7のリム158の電極の1つに接続するように構成される。
【0139】
さらに、
図7に示される導電性トレース150A、150B、150Cと同様に、導電性トレース構成に含まれる少なくとも1つのさらなる導電性トレース(
図9Cの参照番号150を参照)は、リム134、136、138、152、154、156、158の1つにおける電極を互いに接続するように構成される。
【0140】
図9A、並びに
図9B及び
図9Aの拡大図に示される限定ではない例を含む幾つかの実施形態において、第1の発汗量センサ、第2の発汗量センサ及び/又は第3の発汗量センサ168が、装置100に含まれる。そのような実施形態において、第1の発汗量センサは、第1のグループの出口114の下流に配され、第1のリム134によって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成され、第2の発汗量センサは、第2のグループの出口114の下流に配され、第2のリム136によって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成され、第3の発汗量センサ168は、第3のグループの出口114の下流に配され、第3のリム138によって搬送される汗滴から発汗量を決定するように構成される。
【0141】
装置100において、単一の発汗量センサ168が使用されてもよいが、好ましくは、発汗量センサ168は、リム134、136、138毎に設けられる。これは、装置100が1汗腺当たりの発汗量を決定するのを支援することができる。
図9Aに示される限定ではない実施例において、7つのリム134、136、138、152、154、156、158の各々に対し1つずつ、7つの発汗量センサ168が設けられている。
【0142】
図9Aに示される例において、
図8に示される例と同様に、エレクトロウェッティング構成は、レベル0トラック、レベル1トラック及びレベル2トラックを有する。示されるように、レベル2トラックの夫々に発汗量センサ168が設けられる。
【0143】
発汗量センサ168は、このセンサに搬送される汗滴をカウントするように構成され、場合によっては、汗滴の各々の体積も決定するように構成される。
【0144】
任意の適切な検知原理を発汗量センサ168に用いることができる。例えば、静電容量センシング原理は、汗滴をカウントするために特に有用である。そのようなセンシング原理は、空気と汗滴(約99%が水)との間の誘電率変化が比較的大きい(約80倍)ため、汗滴が検出器を通過する時間、すなわちコンデンサのプレート間を通過する時間を推定することを可能にする。汗滴が発汗量センサを通過するのに要した時間は、汗滴の体積を示すことができる。
【0145】
代替的又は追加的に、装置100は、汗検体の濃度を決定するように構成されるバイオセンサ170を有する。バイオセンサ170は、リム134、136、138、152、154、156、158の各々によって、バイオセンサ170に搬送される汗滴を受け取るように配される。
【0146】
少なくとも幾つかの実施形態において、装置100は、バイオセンサ170の下流に汗収集器172をさらに有する。汗収集器172は、バイオセンサ170によって分析された汗の貯蔵リザーバを提供することができる。例えば、汗収集器172は、この汗収集器172に搬送される汗を吸収するように構成される吸収体/吸収パッド、言い換えると吸収性材料の形態とすることができる。
【0147】
図9Aに示される装置100は、約10000個の出口114を持つことができる。参考までに、この例における装置100の直径174は、27.35mmである。
【0148】
図9Aに示される例において、汗滴は、7つの羽状のリム134、136、138、152、154、156、158に沿って搬送され、各リムは、レベル0トラック、レベル1トラック及びレベル2トラックを有する。液滴は、レベル0トラックからレベル1トラックに移動し、次いで、発汗量センサ168を通る通路も画定しているレベル2トラックに移動することができ、発汗量センサ168において、液滴がカウントされ、さらにバイオセンサ170に搬送され、バイオセンサ170において、バイオマーカーの濃度が測定される。最後に、液滴の液体は、汗収集器172、本事例において吸収器に収集される。
【0149】
さらなる詳細は、
図9B-Eに提供される拡大図から観察することができる。
図9B及び
図9Cに最もよく示されているように、導電性トレース構成の導電性トレースの各々は、例えば、さらなる基板118の第1の半径方向に延在する縁部176Aの近位から、例えば、このさらなる基板118の第2の半径方向に延在する縁部176Bの近位までぐるりと延在する。例えば、VIAは、第1及び/又は第2の半径方向に延在する縁部176A、176Bの近位に設けられてもよい。
【0150】
示される例において、汗収集器172は、第1の半径方向に延在する縁部176Aと、第2の半径方向に延在する縁部176Bとの間に配される。
【0151】
図9Cに最もよく示されるように、1つの電気経路は、幾つかの電極を接続するが、そのような電極の全ては同じ番号を持ち、本事例において、“1”、“2”、“3”、“4”及び“5”と番号が付されているので、
図3~5も参照されたい。この例において、直列に並ぶ5つの電気経路がグループを形成し、そのようなグループが、バイオセンサ170の周辺部から半径方向外側に向かって繰り返される。
【0152】
レベル0トラック、レベル1トラック、レベル2トラック、及び導電性トレースは、
図9Dに提供される拡大図において明確に見られる。
図9Dの上部において、導電性トレースの方向の変更が見られる。この方向を変更する地点は、同じリムの電極に対し鏡面でもある。従って、導電性トレースは、前記半径方向に延在する縁部176A、176Bの一方の近位から始まり、複数のそのような方向の変更を介して、前記半径方向に延在する縁部176B、176Aの他方の近位で終わる。
【0153】
この時点で、
図6-8に示される実施形態において、レベル0トラックは全て、レベル1トラックの開始点である第1の地点に汗滴を搬送することに留意されたい。次いで、これらのレベル1トラックは、レベル2トラックの開始点である第2の地点に汗滴を搬送する。最後に、これらのレベル2トラックは、液滴を中心のセンサ領域に搬送する1つのレベル3トラックの開始点である、第3の地点に液滴を搬送する。
【0154】
図9A~Dの実施形態は、本主題の好ましい修正例である、つまり、レベル0トラックは、液滴を直線的にレベル1トラックに移動させ(従って、1つの第1の中心点ではなく、レベル1トラックの幾つかの位置に出てくる)、次いで、これらレベル1トラックは、再び直線的にレベル2トラックに出て(ここでもまた、1つの中心点ではなく、レベル2トラックの幾つかの位置に出てくる)、そして最後に、レベル2トラックは、各々の発汗量センサを越えて、バイオセンサと重なる中心点に向けて液滴を搬送する。
【0155】
このように、チャンバ102の平均密度は、例えば、6-8図に示される設計のものよりも大きくてもよい。後者は、チャンバ102を配置するために、装置の周辺部のみを使用することができる。
図9A-Dに示される実施形態の方法でチャンバの密度を最適化することによって、同じ性能を持つより小さなパッチを皮膚に貼り付けることができる。
【0156】
図9Dは、レベル0トラック、レベル1トラック及びレベル2トラックの延在方向に対してある角度で延在する導電性トレース178を示す。
【0157】
この特定の例において、4つの電極116があるので、1つのレベル0トラックに関連付けられる5つの出口114がある。また、例えば、1つのレベル0トラック当たり5つ、6つ又は7つの電極のように、別の数の電極を選択することもできる。さらに、12個のレベル0トラックが1つのレベル1トラックに関連付けられているが、1つのレベル1トラック当たりのレベル0トラックの数は、空間制限を理由に、エレクトロウェッティング構成の中心に向かって少なくすることができる。この例において、11番目のレベル1トラックの各々は、9個のレベル0トラックを持ち、12番目である、最後のレベル1トラックは、6個のレベル0トラックを持つ。次いで、これら12個のレベル1トラックが1つのレベル2トラックに接続され、ミラーリングにより、合計24本のレベル1トラックが(羽状のリム134、136、138、152、154、156、158の1つを構成する)1つのレベル2トラックに接続される。
【0158】
最も末梢にあるレベル0トラックを接続するために30個の電気路がある。さらに、全てのレベル1トラックをレベル2トラックに接続するために220個の電気路があり、最後に、約25個の電気路が、レベル2トラックをバイオセンサ170まで接続する。その結果、前記半径方向に延在する縁部176A、176Bの一方の近位から始まり、前記半径方向に延在する縁部176B、176Aの他方で終わる275個の電気路が存在する。これは、5つの電極からなる55個のグループを構成する。
【0159】
半径方向に延在する縁部176A、176Bの一方の近位には、1グループ当たり2つのVIAがあり、他方の半径方向に延在する縁部176B、176Aの近位には、このグループの1つのVIAがある。従って、第1の半径方向に延在する縁部176Aの近位には、合計110個のVIAがあり、他方の半径方向に延在する縁部の近位には、合計55個のVIAがある。これにより、これで合計155個のVIAとなる。
【0160】
さらに、関連付けられるレベル0トラックを含む12個のレベル1トラックは、675個の出口114を提供し、関連付けられるレベル1トラック及びレベル0トラックを有する1つのレベル2トラックは、1350個の出口114を提供することが計算される。7つのレベル2トラックがあるので、エレクトロウェッティング構成全体は、9450個の出口114を提供する。比較として、10000個の出口114に線形にスケーリングすると、必要とされるVIAは、約175個だけである。
【0161】
比較のために、10000個の出口を提供するエレクトロウェッティング構成の個々にアドレス処理された電極116は、10000個のVIAを必要とする。従って、
図9A~Dに示される設計は、VIAの数を約60分の1に減らすことができる。
【0162】
図9Eは、半径方向に延在する縁部176Bの1つの拡大図を提供し、この図は、“3”の番号を付した電極の全てを接続するためのVIA144A、及び“4”の番号を付した電極の全てを接続するためのVIA144Bも示す。“2”の番号を付した電極を接続するためのVIAは必要ない。
【0163】
“1”及び“4”の番号を付した電極のための電気路は、他方の半径方向に延在する縁部176Aの近位に位置する(
図9Eでは見えない)。
【0164】
VIA144Bは、電極を接続している導電性トレースが配される表面に対向する表面上に設けられる追加の導電性トレース182に接続する。同様に、VIA144Aは、電極を接続している導電性トレースが配される表面に対向する表面上に設けられる別の追加の導電性トレース184に接続する。
【0165】
残っているのは、
図9A~Eに示される例のように、バイオセンサ170から最も遠くにある出口114から生じる汗滴の搬送時間を計算することである。電極116の数は、最も遠くにあるレベル0トラックの4個の電極、関連付けられるレベル1トラックの25個の電極、及び関連付けられるレベル2トラックの245個の電極である。合計で274個の電極があり、従って、最も遠くにある出口114からバイオセンサ170まで275個のステップがある。
【0166】
エレクトロウェッティング波の典型的なステップ時間は、0.1~1秒である。エレクトロウェッティング波は、上述したように、第1の電極を帯電させ、一定の時間、この帯電を維持し、この電極を除電し、この除電中に、隣接する後続する電極上でこのサイクルを開始するなどとして定義される。
【0167】
ステップ時間を0.1秒と仮定すると、
図9A-Eに示される限定ではない実施例において、最長の総搬送時間は、27.5秒である。この最長の総搬送時間が比較的短いので、有利には、センサ168、170への搬送中に汗滴が蒸発するのを最小限に抑えることができる。
【0168】
図9Eは、半径方向に延在する縁部176Bの1つの近位に配されるVIA144A、144Bを示すが、幾つかの実施形態において、そのようなVIAは省略することができる。
図10A~Dは、そのようなVIAを形成する代替として使用することができる製造プロセスを概略的に示す。
【0169】
図10Aは、導電性トレース構成を提供するプロセスにおける第1のステップを概略的に示す。そのような第1のステップは、例えば、基板、例えばさらなる基板118上にクロムを最初に堆積させ、次いで金を堆積させることを含む。この目的のために、例えば、ガラス(さらなる)基板118を使用することができる。
【0170】
図10Aにおいて、導電性トレース構成の端部のみ特に、1~5の番号を付した電極の2つのグループの端部が示されている。
【0171】
1の番号を付した電極の導電性トレースの端部は、他の電極の導電性トレースの端部から最も遠い場所で終わり、続いて、2の番号を付した電極が続くなどである。
【0172】
導電性トレース構成の端部は、
図9A~Eに示される例の場合、半径方向に延在する縁部176A、176Bの一方の近位にある。
【0173】
図10Bに示されるステップにおいて、各々の導電性トレースの絶縁部分188が電気絶縁層186で覆われ、露出する部分190は絶縁層186で覆われないように、電気絶縁層186は、導電性トレース構成上に、この特定の例において、導電性トレース構成の金の層の上に堆積される。
【0174】
図10Cに示されるステップにおいて、例えばクロム、次いで金を有するさらなる導電層192が、主に絶縁層186上に堆積される。しかしながら、さらなる導電層192の導電性トレースは、1の番号を付した電極を接続する導性電トレースの前記露出する部分190の間に延在するが、絶縁層186によって、他の導電性トレース(2、3、4及び5番の)の全てからは絶縁されている。2、3、4及び5の番号を付した電極を接続する導電性トレースの端部は、類似して接続される。
【0175】
従って、
図10Dに最もよく示されるように、絶縁層186は、VIAを1つも必要としないように、電気路の電気的短絡を防止する。
【0176】
絶縁層186は、例えば、セラミック層又はポリマー、すなわちパリレンCとすることができる。この絶縁層の端部の厚さの段階的な減少が急すぎる場合、最新のフォトリソグラフィプロセスを利用して、絶縁層の一部を除去し、厚さにおいて、この絶縁層の縁部をより段階的にすることができる。要するに、追加の保護層が適用され、この保護層は、その後、フォトリソグラフィマスクを通して照射される。その後、この保護層の特定の領域が洗い流され、パターンが形成される。その後、保護層が取り除かれた適切な位置にある絶縁層を取り除くエッチングステップが適用される。続いて、保護層を取り除く。
【0177】
本開示の装置、システム及び方法は、例えば、脱水、ストレス、睡眠、子供の健康をモニタリングする、及び周術期モニタリングにおける、健康状態及び心身の健康を示すバイオマーカーの非侵襲的、半連続的及び長期間にわたるモニタリング適用される。本装置、システム及び方法は、一般的に被験者モニタリングに適用可能であるだけでなく、一般病棟及び集中治療室における患者の突然の悪化に対する早期警告を提供するために、又は睡眠障害の調査のために特に適用されてもよい。現在、測定は、患者が医師の診察を受けているときにのみスポットチェック方式で行われるが、本開示は、そのようなスポットチェック測定を行うときにも有用に適用されることに留意されたい。
【0178】
開示される実施形態に対する他の変形は、図面、本開示及び添付の請求項の検討することで、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、“有する”という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べていなくとも、それらが複数あることを排除するものではない。互いに異なる従属請求項に記載される手段は、有利に組み合わされることができる。請求項における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】