IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォトンパス エッセ.エレ.エーレの特許一覧

<>
  • 特表-光結合デバイスおよびその調節方法 図1
  • 特表-光結合デバイスおよびその調節方法 図2
  • 特表-光結合デバイスおよびその調節方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】光結合デバイスおよびその調節方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/313 20060101AFI20241008BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02F1/313
G02B6/125 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518765
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 IT2022050257
(87)【国際公開番号】W WO2023053153
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021000025160
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524112876
【氏名又は名称】フォトンパス エッセ.エレ.エーレ
【氏名又は名称原語表記】PHOTONPATH S.R.L
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペリーノ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアーニ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】オリベイラ モライス デ アグイアーラ,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】グリエルミ,エマヌエーレ
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AB32
2H147AC02
2H147AC05
2H147BA05
2H147BE15
2H147DA11
2H147EA12A
2H147EA12B
2K102AA28
2K102BA08
2K102BC04
2K102BC10
2K102DA05
2K102DB00
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA16
2K102EA21
(57)【要約】
光結合デバイス(99)および該デバイスを調節するための方法。光結合デバイスは、長手方向(100)に沿って主展開する第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)においてそれぞれ相互に光学的に結合された1対の光導波路(1,2)と、第1の光結合トラクト(3)の長手方向両側で第1の光導波路(1)に電気的に結合された第1の電極(8)及び第2の電極(9)とを備える。光結合デバイスの調節方法は、第1の光結合トラクト(3)内への電流の通路を提供するために第1の電極(8)及び第2の電極(9)間に電圧差を印加するステップと、入力光信号を導入するステップと、1対の出力光信号間の光パワーの比を変化させるべく前記電圧差の値を調整するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力(10)および第1の出力(11)を有する半導体で作られた第1の光導波路(1)と、
第2の入力(20)および第2の出力(21)を有する第2の光導波路(2)と、
を備えた光結合デバイス(99)であって、
前記第1の光導波路(1)および前記第2の光導波路(2)は、前記第1の入力(10)と第1の出力(11)との間および前記第2の入力(20)と第2の出力(21)との間にそれぞれ介在する第1の光結合トラクト(3)および第2の光結合トラクト(7)でそれぞれ相互に光学的に結合され、
前記第1の光結合トラクト(3)および前記第2の光結合トラクト(7)は、長手方向(100)に沿って主展開しており、
当該光結合デバイスは更に、
前記第1の光結合トラクト(3)の長手方向の両側において前記第1の光導波路(1)に電気的に接続された第1の電極(8)および第2の電極(9)を備えている、
ことを特徴とする光結合デバイス(99)。
【請求項2】
前記第1の光導波路(1)は、単一のタイプのドーピングで、少なくとも前記第1の電極(8)から前記第2の電極(9)までのトラクト内でドープされ、
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)それぞれとの接触エリアにおける前記第1の光導波路(1)のドーピング濃度は、前記第1の光導波路の残部のドーピング濃度よりも高く、
前記接触エリアにおける前記ドーピング濃度は、1015atoms/cm以上、且つ、1021atoms/cm以下であり、前記第1の光導波路の残部の前記ドーピング濃度は、1014atoms/cm以上、且つ、1018atoms/cm以下である、
請求項1に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項3】
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)における前記第1の光導波路(1)は、前記第1の光導波路(1)の主展開ラインに略直交する平面上に、中央部分(70)と、前記中央部分(70)の両側に連続して配置され、前記中央部分(70)に対してより低い高さを有する、第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)と、を備えるセクションを有するリブ型導波路であり、
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)の各々は、前記第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)のうちの少なくとも1つと電気的に接触している、
請求項1または2に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項4】
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)の各々は、前記第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)の両方と電気的に接触している、請求項3に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項5】
前記第1の電極(8)および第2の電極(9)は、前記第1の光結合トラクト(3)の外側に配置され、前記第1の光導波路(1)および第2の光導波路(2)は相互に電気的に絶縁されており、前記第1の光導波路(1)は前記第1の光結合トラクト(3)においてチャネル型導波路である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項6】
前記第2の光導波路(2)は、前記第2の光結合トラクト(7)においてチャネル型導波路である、請求項5に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項7】
前記第1の光導波路(1)の前記セクションの前記第1の側方部分(71)および第2の側方部分(72)は、それぞれの電極(8、9)とのそれぞれの接触エリアから前記第1の光結合トラクト(3)に向かって前記主展開ラインに沿って移動するにつれ、前記中央部分(70)に向かって先細となっている、請求項3または4に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項8】
各電極(8、9)は、前記第1の光導波路(1)に向かって移動するにつれ先細となるセクションを有しており、当該光結合デバイス(99)は、前記第1の光導波路(1)および第2の光導波路(2)を実質的に完全に取り囲む電気絶縁材料の層(30)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項9】
長手方向対称面と、前記長手方向対称面に略直交する横方向対称面とを備えており、前記第2の光導波路(2)は半導体で作られている、請求項1から8のいずれか一項に記載の光結合デバイス(99)。
【請求項10】
光結合デバイスを調節するための方法であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記光結合デバイス(99)を提供するステップと、
前記第1の光結合トラクト(3)内への電流の通路を提供するために、前記第1の電極(8)および第2の電極(9)間に電圧差を印加するステップと、
前記第1の入力(10)への入力として光信号を導入するステップと、
前記第1の出力(11)から出る第1の光信号と前記第2の出力(21)から出る第2の光信号との間の光パワーの比を変化させるべく前記電圧差の値を調整するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光結合デバイス、および当該デバイスを調節するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、光工学の分野、すなわち光信号の生成、伝送、処理、および受信のための技術および方法のセットに関する。
【0003】
「光(optical)」という用語は、可視光帯域の拡張された近傍に含まれるが、必ずしも厳密に可視広帯域(すなわち、暗示的に400~700nm)に収まらない電磁放射線を指し、例えば、可視光帯域のこの拡張された近傍は、典型的には近赤外線(例えば、約700nmから約2μmの波長)を含む。
【0004】
光工学の分野では、入力ポートに入る光信号が2つの別個の光信号に分割され、各々がそれぞれの出力ポートから出る、光結合デバイスが知られている。
【0005】
一実施形態では、光結合デバイスは、結合領域で相互に光学的に結合された1対の光導波路を含み得る。
【0006】
所与の波長で、2つの出力光信号の光パワー間の比(分割比)を動的に変化させることができる(最高で0-100から100-0までの比の場合を含む)、および/または光パワー間の所与の比が得られる波長を変化させることができる、調節可能光結合デバイスも知られている。
【0007】
「ドーピング」という用語は、半導体の分野において、純半導体を構成する材料の物理的特性を修正するために、純半導体(例えば、ケイ素、炭化ケイ素)に対する異なる元素の原子の可変パーセンテージの純半導体(「真性」とも呼ばれる)への添加を意味する。典型的には、ドーピングは、純半導体の導電性を向上させる。ドーピングのタイプは、一般に2つあり、それぞれ「n」タイプおよび「p」タイプとして定義される。ドーピングのタイプ、およびこのようなタイプのドーピングが純半導体に与える動作特性は、それ自体が知られており、これ以上は説明しない。
【0008】
特許文献1は、調節可能光結合デバイスを開示している。
【0009】
非特許文献1は、2つの導波路間に熱勾配を確立するために2つの導波路の一方の近傍に配置された加熱素子(例えば、電気抵抗)を加熱することによって調節することができる光結合デバイスを開示している。実際、導波路の温度変化は、導波路を構成する材料の光学特性の変化を決定し、(例えば、加熱された導波路の屈折率の変化によって)出力信号間の光パワーの比の調整を可能にすることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO2020/089495号A1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】”Tunable silicon photonics directional coupler driven by a transverse temperature gradient”,Orlandiら,2013年3月15日/Vol.38,No.6/OPTICS LETTERS
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本出願人は、例えば前述の文献に記載されたような、(熱光学効果に起因する)導波路のうちの1つの近傍に配置された加熱素子による光結合デバイスの調節が、多くの局面下では非効率的であることを認識した。
【0013】
実際、導波路を加熱するためには、まず、加熱素子を(例えば電流の通過によって)加熱し、典型的に導波路(および場合によっては加熱素子自体も)を組み込む層を通る熱伝導によって熱が加熱素子から導波路に伝達されるのを待つ必要がある。したがって、加熱素子内で熱出力が生成される瞬間と導波路の結果的な温度上昇との間に時間遅延が生じ、これによって調節は、光回路に典型的な急速な時間にとって不適切となる可能性がある。
【0014】
さらに、導波路の所望の温度上昇を得るために、例えば前述の層(典型的には酸化ケイ素で作られている)など、デバイスを作成するために典型的に使用される材料の内在的な熱抵抗を考慮すると、加熱素子の温度を著しく上昇させる必要があり、結果的に熱放散および高エネルギー消費をもたらす。
【0015】
加えて、加熱素子は典型的に加熱される導波路の近傍に配置されるが、生成された熱出力は、部分的に他の導波路にも伝達され(「熱クロストーク」)、結果的にそれぞれの温度が上昇し、したがって2つの導波路間の熱勾配が全体的に減少し、光パワー間の前述の比を変化させることができる値の範囲を制限し、および/または必要な温度(したがって消費量)を増加させる。
【0016】
したがって、本出願人は、特に熱光学効果によって調節可能な光結合デバイスを、効率的、簡単、迅速、および安価な方法で実現するという問題に直面してきた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願人によれば、上記の問題は、添付の請求項による、および/または以下の特徴のうちの1つ以上を有する、光結合デバイス、および当該デバイスを調節するための方法によって解決される。
【0018】
一態様によれば、本発明は、光結合デバイスに関する。
当該デバイスは、
第1の入力および第1の出力を有する半導体で作られた第1の光導波路と、
第2の入力および第2の出力を有する第2の光導波路と、であって、
当該第1および第2の光導波路は、当該第1の入力と第1の出力との間および当該第2の入力と第2の出力との間にそれぞれ介在する第1および第2の光結合トラクトでそれぞれ相互に光学的に結合されており、
当該第1および第2の光結合トラクトは、長手方向に沿った主展開を有する、第1および第2の光導波路と、
当該第1の光結合トラクトの長手方向の両側で当該第1の光導波路に電気的に接続された第1の電極および第2の電極と、
を備える。
【0019】
一態様によれば、本発明は、光結合デバイスを調節するための方法に関する。当該方法は、
本発明による当該光結合デバイスを提供するステップと、
当該第1の光結合トラクト内への電流の通路を提供するために、当該第1および第2の電極間に電圧差を印加するステップと、
当該第1の入力への入力として光信号を導入するステップと、
当該第1の出力から出る第1の光信号と当該第2の出力から出る第2の光信号との間の光パワーの比を変化させるように当該電圧差の値を調整するステップと、
を含む。
【0020】
本出願人は、加熱によって光結合デバイスを調節するために、光導波路とは異なる加熱素子を提供する必要なく、(例えば、ジュール効果を利用することによる)光導波路自体への電流の直接流入のおかげで、2つの光導波路の一方を加熱することができることを認識した。
【0021】
このようにして、熱光学効果による調節は、効率的かつ迅速な方法での光導波路の加熱によって達成され、同時にデバイスの構造を単純化し、他方の光導波路の加熱を制限し、こうして広い調節範囲および/または限られた消費電力を得る。
【0022】
本出願人は、光導波路への電流の注入は、デバイスの動作中に光導波路に沿って伝送される光信号に干渉しないと考えている。
【0023】
上記の態様の1つ以上における本発明は、以下の好適な特徴のうちの1つ以上を呈することができる。
【0024】
好ましくは、当該第2の光導波路は半導体で作られている。このようにして、導波路は、デバイスの単純さに有利になるように、同じ技術を用いて作ることができる。
【0025】
好ましくは、当該第1および第2の光導波路は、それぞれの主展開ライン(例えば、光信号の経路のライン)を各々備える。
【0026】
好ましくは、当該第1の光導波路は、好ましくは単一のタイプのドーピングで、(少なくとも第1から第2の電極までのトラクト内で)ドープされる。このようにして、電流の通路が改善される。
【0027】
好ましくは、それぞれ当該第1および第2の電極との接触エリアにおける第1の光導波路のドーピング濃度は、第1の光導波路の残部のドーピング濃度よりも高い。このようにして、電荷キャリアのためのリザーバが作成され、および/または電極と第1の光導波路との間の電気的接触が改善される。
【0028】
好ましくは、接触エリアにおける当該ドーピング濃度は、1015atoms/cm以上、より好ましくは1017atoms/cm以上、および/または1021atoms/cm以下、より好ましくは1020atoms/cm以下である。好ましくは、第1の光導波路の残部の当該ドーピング濃度は、1014atoms/cm以上、より好ましくは1016atoms/cm以上、および/または1018atoms/cm以下、より好ましくは1017atoms/cm以下である。このようなドーピング濃度は、製造コストおよび/または光信号の伝搬に対する潜在的な外乱を制限しながら、電流の伝送に特に適している。
【0029】
好ましくは、当該第1および第2の電極における当該第1の光導波路(のみ)は、リブ(型)導波路である。好ましくは、当該リブ(型)導波路は、前記主展開ラインに(略)直交する平面上に、中央部分と、当該中央部分の両側に連続して配置され、中央部分に対してより低い高さを有する、第1および第2の側方部分とを備えるセクションを有する。好ましくは、当該第1および第2の電極の各々は、当該第1および第2の側方部分のうちの少なくとも1つと(直接)電気的接触している。このようにして、側方部分は、光信号との干渉を制限しながら、電極を配置するのに十分な空間を提供する。
【0030】
好ましくは、当該第1および第2の電極は、当該第1の光結合トラクトの外側に配置される。このようにして、電極を配置するために利用可能な空間が使用される。
【0031】
好ましくは、当該第1および第2の電極の各々は、当該第1および第2の側方部分の両方と(直接)電気的接触している。このようにして、電気的接触が改善される。
【0032】
好ましくは、当該第1および第2の光導波路は、相互に電気的に絶縁されている。このようにして、電流が第2の光導波路に流入してこれを加熱することが防止される。
【0033】
好ましくは、当該第1の光導波路(より好ましくは各光導波路)は、(完全に)当該第1の(およびそれぞれの第2の)光結合トラクトにおいてチャネル(型)導波路である。このようにして、前述の電気的絶縁は、構造的に簡単な方法で達成される。
【0034】
好ましくは、第1の光導波路の当該セクションの当該第1および第2の側方部分は、当該接触エリアから当該第1の光結合トラクトに向かって当該主展開ラインに沿って移動する(につれ)中央部分に向かって先細(テーパ)になる。このようにして、「リブ(型)導波路」から「チャネル(型)導波路」への移行ゾーンが効果的に実現される。
【0035】
好ましくは、各電極は、当該第1の光導波路に向かって移動する(につれ)、先細となるセクションを有する。このように、電気的接触が有利である。
【0036】
好ましくは、当該デバイスは、長手方向対称面を含む。このように、デバイスは合理的である。
【0037】
好ましくは、当該デバイスは、当該長手方向対称面に(略)直交する横方向対称面を含む。このようにして、デバイスの機能が改善される。
【0038】
好ましくは、当該デバイスは、電気絶縁材料(例えば、酸化ケイ素)の層を備える。好ましくは、当該層は、当該第1および第2の光導波路を(電極エリアを除いて)実質的に完全に取り囲む。このようにして、デバイスは堅牢であり、光導波路間の電気的分離が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による光結合デバイスの上面図を概略的に示す図である。
図2図1のAA面に沿った断面を概略的に示す図である。
図3図1のBB面に沿った断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の特徴および利点は、添付の図面(縮尺通りではない)を参照して、本発明の非限定的な例として提示される、いくつかの実施形態の以下の詳細な説明によってさらに明確になるであろう。
【0041】
図中、99という番号は、光結合デバイスを示す。例示的には、デバイス99は、第1の入力10および第1の出力11を有する半導体(例えば、ケイ素、炭化ケイ素など)で作られた第1の光導波路1と、第2の入力20および第2の出力21を有する半導体で作られた第2の光導波路2とを備える。
【0042】
例示的には、第1の光導波路1および第2の光導波路2は、第1の入力と第1の出力との間および第2の入力と第2の出力との間にそれぞれ介在する第1の光結合トラクト3および第2の光結合トラクト7においてそれぞれ相互に光学的に結合される。
【0043】
例示的には、第1の光結合トラクト3および第2の光結合トラクト7は、長手方向100に沿って主展開を有する(主として展開する)。
【0044】
例示的には、デバイス99は、第1の光結合トラクト3の長手方向の両側でかつ外側で第1の光導波路1に電気的に結合された、第1の電極8および第2の電極9を備える。
【0045】
例示的には、第1の光導波路1は、その全体に沿って単一のタイプのドーピング(すなわち、「n」または「p」)のみでドープされ、第1の電極8および第2の電極9とのそれぞれの接触エリアにおけるドーピング濃度(図2において+記号によって概略的に示される)は、残部のドーピング濃度よりも高い。例示的には、電極との接触エリアにおけるドーピング濃度は、約1019atoms/cmであり、残部のドーピング濃度は約1016atoms/cmである。
【0046】
例示的には、第1の電極8および第2の電極9のみにおける第1の光導波路1は、第1の光導波路の主展開ラインに直交する平面(例えば、平面AA)上に、中央部分70と、中央部分70の両側に連続して配置され、中央部分70に対してより低い高さを有する、第1の側方部分71および第2の側方部分72とを備えるセクションを有する、リブ(型)導波路である(即ち当該セクションは、反転したT(字形の)プロファイルを有する)。
【0047】
例示的には、各第1の電極8および第2の電極9は、第1の側方部分71および第2の側方部分72の両方と直接電気的接触して配置されている。
【0048】
例示的には、第1の光導波路1および第2の光導波路2は、相互に電気的に絶縁されており、この目的のために、これらは両方とも、第1の光結合トラクト3および第2の光結合トラクト7の全体においてチャネル(型)導波路である。
【0049】
例示的には、第1の光導波路のセクションの側方部分71、72は、電極との接触エリアから第1の光結合トラクト3に向かって主展開ラインに沿って移動する(につれ)中央部分70に向かって先細になる。有利には、第1の光結合トラクト3において、第1の光導波路1は、中央部分70と同じ断面形状(図3)を有する。
【0050】
例示的には、各電極は、第1の光導波路1に向かって移動する(につれ)先細のセクションを伴いつつ、金属材料で作られる。
【0051】
例示的には、デバイス99は、(電極エリアを除いて)第1および第2の光導波路を実質的に完全に取り囲む、電気絶縁材料(例えば、酸化ケイ素)の層30を備える。例示的には、層30は、電極と光導波路との間の電気的接触を可能にするために、電極のところに開口31を備えている。
【0052】
例示的には、デバイスは、(長手方向100に沿った図1および図4の平面と交差する)長手方向対称面と、(切断面BBと一致する図1における)長手方向対称面に直交する横方向対称面とを含む。
【0053】
例示的には、第2の光導波路は、第1の光導波路の全ての特徴を有し(例えば、長手方向対称面に対して第1の光導波路をミラーリングする、図1)、デバイスは、第2の光結合トラクト7の長手方向両側で第2の光導波路に電気的に結合された1対の電極15を備える。このようにして、(第1の光導波路を加熱する代わりに)第2の光導波路に電流を直接注入することで第2の光導波路を加熱することによってデバイスを調節することが可能である。このように、デバイスは非常に汎用性がある。
【0054】
使用時に、デバイス99は、例示的には、第1の入力10に入る光信号を、第1の出力11および第2の出力21からそれぞれ出る1対の光信号に分割することを可能にする(図中、光信号は方向矢印で表されている)。
【0055】
任意選択的に(図示せず)、光信号を第2の入力に供給し、(二つの)出力間で分割することができる。
【0056】
例示的には、デバイス99は、第1の出力11および第2の出力21からそれぞれ出る信号間の光パワーの比を動的に変化させるように調節することができる。
【0057】
例示的には、デバイス99を調節(チューニング)するために、(例示的には、実質的に全ての第1の光導波路に沿って)第1の光結合トラクト3内への電流の通路(図示せず)を提供するために、第1の電極8と第2の電極9との間に電圧差を印加するステップと、光パワー間の前述の比を変化させるように電圧差の値を調整するステップと、が提供される。電流の通路は、例示的に、ジュール効果によって第1の光導波路1を加熱する。
【0058】
例示的には、図1には、前述の電圧差を印加するために第1の電極8および第2の電極9に電気的に接続された電圧発生器91が概略的に示されている。
【符号の説明】
【0059】
1 第1の光導波路
10 第1の入力
11 第1の出力
2 第2の光導波路
20 第2の入力
21 第2の出力
3 第1の光結合トラクト
7 第2の光結合トラクト
8 第1の電極
9 第2の電極
30 電気絶縁材料の層
70 中央部分
71 第1の側方部分
72 第2の側方部分
91 電圧発生器
99 光結合デバイス
図1
図2
図3
【国際調査報告】