(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ハンドヘルド式外科手術システムのための汎用アダプタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518814
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 IB2022059201
(87)【国際公開番号】W WO2023053006
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523419417
【氏名又は名称】スピンガード
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シャンダンソン,ティボルト
(72)【発明者】
【氏名】ベッテ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ブルリオン,マウリス
(72)【発明者】
【氏名】ラチェク,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ティセール,フランソワ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL09
4C160LL24
(57)【要約】
導電率感知システムによって誘導されながら、骨構造内への外科的穴あけなどの外科的処置を行うための外科用ドリルシステム用アダプタおよび使用方法が提供される。アダプタは、従来の外科用ドリルおよび導電率感知能力を有するドリルビットなどの外科用ドリル器具、または導電率感知能力を有する外科用ハンドツールに結合されるように構成され得る。アダプタは、測定された導電率および/または穿孔深さ測定値を示す1つ以上の信号を受信し、信号に基づいて測定された導電率の変化に関連する状態を検出し、状態の検出に応答して外科用ドリル器具の前進を阻止するように構成されたコントローラをさらに含む。
【選択図】
図13D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタであって、前記アダプタは、
前記外科用器具の細長いドリル部分を通すようなサイズおよび形状のルーメンを備えるスリーブと、
前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構と、
コントローラであって、
前記細長いドリル部分によって感知された導電率を示す信号を受信し、
前記信号に応答して、前記ブレーキ機構に前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成された、コントローラと、
を備える、アダプタ。
【請求項2】
前記コントローラはさらに、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記細長いドリル部分は、骨に穿孔するように構成され、前記コントローラは、前記細長いドリル部分が骨から組織に移行することによって引き起こされる導電率の変化を感知するように構成される、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記細長いドリル部分による穿孔中の導電率の変化を感知するように構成され、そのことにより、前記コントローラは、前記導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記アダプタに動作可能に結合された外部コンピューティングデバイス
をさらに備え、
前記コントローラは、有線接続または無線接続を介して前記外部コンピューティングデバイス内に配置される、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記コントローラはさらに、所定の条件を満たす前記信号の検出時にアラームを生成するように構成される、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記コントローラはさらに、
前記信号に基づいて、骨構造内への前記細長いドリル部分の穿孔を監視し、
測定された導電率の変化に関連する状態を検出し、
前記状態の検出に応答して、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記スリーブは、ばねを備える固定部品を備え、前記アダプタはさらに、
前記ばねに結合されたプランジャであって、前記外科用器具によって印加される力に応答して、前記固定部品内で摺動自在に移動可能であるように構成されたプランジャ
を備え、
前記ルーメンは、前記プランジャおよび前記固定部品を通って延びる、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記ブレーキ機構は、前記固定部品に対して前記プランジャをロックし、そのことより、前記アダプタに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止するように構成される、請求項8に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記プランジャの近位端は、前記外科用器具のストッパと係合するように構成された平坦部分を備え、そのことにより、前記外科用器具は、前記平坦部分と前記ストッパとの係合を介して前記プランジャに力を印加する、請求項8に記載のアダプタ。
【請求項11】
前記固定部品は、接触センサを備え、前記プランジャは、前記プランジャが前記固定部品に対して移動するにつれて、前記接触センサと係合するように構成されたスクリューを備え、前記コントローラは、前記スクリューと前記接触センサとの係合に応答する電気インピーダンスに基づいて、前記細長いドリル部分の穿孔深さを決定するように構成される、請求項8に記載のアダプタ。
【請求項12】
前記アダプタの固定部品は、所定の外科的処置のための前記外科用器具の刺入点または軌道のうちの少なくとも一方を決定するようにプログラムされたロボットアームの遠位端に結合されるように構成される、請求項8に記載のアダプタ。
【請求項13】
前記外科用器具は、ドリルビットを備え、前記スリーブは、前記ドリルビットを受容するように構成されたチャックを備え、前記アダプタはさらに、
前記外科用器具に結合されて、前記外科用ドリルからドリルビットに回転運動を選択的に伝達するように構成された近位端
を備え、
前記コントローラは、前記信号に応答して、前記外科用ドリルから前記ドリルビットへの回転運動の伝達を停止して、前記ドリルビットの前進を阻止するように構成される、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項14】
前記アダプタの近位端は、前記外科用ドリルに結合されるように構成された第1のロータと、前記チャックに結合された第2のロータとを備え、前記第1のロータおよび前記第2のロータは、回転運動を伝達するために互いに係合するように構成され、前記信号に応答して、前記コントローラは、前記第2のロータを前記第1のロータから切り離して、前記外科用ドリルから前記ドリルビットへの回転運動の伝達を停止する、請求項13に記載のアダプタ。
【請求項15】
前記ブレーキ機構は、前記コントローラによって作動され、前記第1のロータからの前記第2のロータの切り離しに続いて、前記アダプタに対して前記ドリルビットをロックして前記ドリルビットの回転運動を停止させるように構成される、請求項14に記載のアダプタ。
【請求項16】
前記第2のロータは、機械力または電磁力を介して前記第1のロータに選択的に結合される、請求項14に記載のアダプタ。
【請求項17】
前記機械力は、噛み合う歯または摩擦のうちの少なくとも一方を介して達成される、請求項16に記載のアダプタ。
【請求項18】
デフォルト状態では、前記第2のロータは、前記第1のロータから切り離され、前記コントローラは、前記外科用ドリルの作動時に前記第2のロータを前記第1のロータに結合させるように構成される、請求項14に記載のアダプタ。
【請求項19】
デフォルト状態では、前記ブレーキ機構は、前記ドリルビットを前記アダプタに対してロックするように構成され、前記コントローラは、前記外科用ドリルの作動時に、前記ブレーキ機構を作動させて前記ドリルビットを前記アダプタに対してロック解除するように構成される、請求項13に記載のアダプタ。
【請求項20】
前記ブレーキ機構は、摩擦プレートおよびパッド、クランプジョー、または噛み合う歯のうちの少なくとも1つを介して、前記アダプタに対して前記ドリルビットをロックするように構成される、請求項13に記載のアダプタ。
【請求項21】
前記チャックは、前記ドリルビットの穿孔深さを測定するように構成された伸縮式チャネルを備える、請求項13に記載のアダプタ。
【請求項22】
そこを通って延びるチャネルを有する線形アクチュエータと、
前記線形アクチュエータのチャネル内に摺動自在に配置されたシャフトと、
をさらに備え、
前記ブレーキ機構は、前記線形アクチュエータと通信した状態で配置され、
前記信号に応答して、前記コントローラは、前記ブレーキ機構に前記線形アクチュエータに対して前記シャフトをロックして、前記ドリルビットの前進を阻止させる、請求項13に記載のアダプタ。
【請求項23】
デフォルト状態では、前記ブレーキ機構は、前記線形アクチュエータに対して前記シャフトをロックするように構成され、前記コントローラは、前記外科用ドリルの作動時に、前記ブレーキ機構を作動させて前記線形アクチュエータに対して前記シャフトをロック解除するように構成される、請求項22に記載のアダプタ。
【請求項24】
前記シャフトの遠位端は、骨構造に接触するように構成され、前記ドリルビットが前記骨構造内を前進するとき、前記シャフトが前記骨構造に対して静止したまま、前記チャネル内を摺動する、請求項22に記載のアダプタ。
【請求項25】
前記シャフトの近位端は、前記外科用ドリルに接触するように構成され、前記ドリルビットが骨構造内を前進するとき、前記シャフトが前記チャネル内を摺動するにつれて前記外科用ドリルと前記アダプタとの間の距離が減少する、請求項22に記載のアダプタ。
【請求項26】
ハンドルをさらに備える、請求項1に記載のアダプタ。
【請求項27】
請求項1に記載のアダプタを備え、外科用器具をさらに備えるシステム。
【請求項28】
前記外科用器具は、導電率を測定し、前記細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を生成するように構成された少なくとも2つの電極を備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタであって、前記アダプタは、
前記外科用器具の細長いドリル部分を通すようなサイズおよび形状のルーメンを備えるスリーブと、
前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構と、
コントローラであって、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記信号に応答して、前記ブレーキ機構に前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成された、コントローラと、
を備える、アダプタ。
【請求項30】
細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタであって、前記アダプタは、
前記外科用器具の細長いドリル部分を通すようなサイズおよび形状のルーメンを備えるスリーブと、
前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構と、
コントローラであって、
前記細長いドリル部分によって感知された導電率を示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成された、コントローラと、
を備える、アダプタ。
【請求項31】
細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタを動作させるためのコンピュータ実装システムであって、前記システムは、
前記細長いドリル部分が前記アダプタのスリーブのルーメンを通って解剖学的部分に穿孔するにつれて、前記細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を受信し、
前記信号に応答して、前記ブレーキ機構に前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える、コンピュータ実装システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項31に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項33】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記細長いドリル部分による穿孔中の導電率の変化を感知し、
前記導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項31に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記信号に基づいて、骨構造内への前記細長いドリル部分の穿孔を監視し、
測定された導電率の変化に関連する状態を検出し、
前記状態の検出に応答して、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項31に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項35】
前記スリーブは、ばねを備える固定部品を備え、前記アダプタは、前記ばねに結合されたプランジャをさらに備え、前記プランジャは、前記外科用器具によって印加される力に応答して、前記固定部品内で摺動自在に移動可能であるように構成され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記ブレーキ機構に前記プランジャを前記固定部品に対してロックし、そのことにより、前記アダプタに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止させることによって、前記ブレーキ機構に前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止させるように構成される、請求項31に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項36】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記アダプタに結合された深さセンサから前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項35に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項37】
細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタであって、前記アダプタは、
前記外科用器具の細長いドリル部分を通すようなサイズおよび形状のルーメンを備えるスリーブと、
前記細長いドリル部分に動作可能に結合され、アラームを生成するように構成されたアラート機構と、
コントローラであって、
前記細長いドリル部分による穿孔中に、前記細長いドリル部分によって感知された導電率を示す信号を受信し、
前記信号に応答して、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記アラート機構に前記アラームを生成させる
ように構成された、コントローラと、
を備える、アダプタ。
【請求項38】
前記コントローラはさらに、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記アラート機構にアラームを生成させる
ように構成される、請求項37に記載のアダプタ。
【請求項39】
前記スリーブに対する前記細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構
をさらに備え、
前記コントローラはさらに、前記導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させるように構成される、請求項37に記載のアダプタ。
【請求項40】
前記コントローラはさらに、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項39に記載のアダプタ。
【請求項41】
細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタを動作させるためのコンピュータ実装システムであって、前記システムは、
前記細長いドリル部分が前記アダプタのスリーブのルーメンを通って解剖学的部分に穿孔するにつれて、前記細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を受信し、
前記信号に応答して、前記導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、アラート機構にアラームを生成させる
ように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータ実装システム。
【請求項42】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記アラート機構にアラームを生成させる
ように構成される、請求項41に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項43】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記導電率の変化が前記1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項41に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項44】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、
前記細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、前記ブレーキ機構に前記細長いドリル部分の前進を阻止させる
ように構成される、請求項43に記載のコンピュータ実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月28日に出願された、米国仮特許出願第63/249,451号の優先権を主張するものであり、その内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
汎用アダプタは、フィードバックベースの感知システムによって誘導される外科的処置を実施するための外科手術器具と共に使用するために提供される。
【背景技術】
【0003】
画像ベースの外科技術は、医師が多種多様な繊細な外科的処置を行うのを支援するために使用されてきた。これらの外科的処置は、例えば、患者の解剖学的構造によって外科用器具の可視化が不明瞭な場合、または外科用器具の作業端を3次元で可視化することが困難な場合に使用される。このような懸念が頻繁に生じる外科的処置には、例えば、脊椎インプラント埋入、骨折した骨片の位置合わせ、および骨折の固定が含まれる。
【0004】
X線画像または蛍光透視画像を使用して、患者の解剖学的構造内の外科用器具の作業端の位置を可視化して医師を支援する、手術ナビゲーションシステムが知られている。このようなシステムでは、外科的処置中にX線画像またはCT画像を何度も取得することで、患者の解剖学的構造に対する外科用器具の作業端の位置のほぼリアルタイムでの表示を可能にしている。蛍光透視法に基づく手術ナビゲーションシステムは、外科的処置中に何度もX線を撮影することなく、外科用器具の軌道を追跡して、事前に取得した患者の解剖学的構造の画像上に外科用器具の表現を重ね合わせることもできる。そのようなシステムの一例は、Medtronic社によって販売されているStealth Station(登録商標)ナビゲーションシステムであり、これは、外科医に器具の位置および軌道のCT撮像フィードバックを提供するものである。
【0005】
従来公知の手術ナビゲーションシステムの採用は、そのようなシステムの精度が様々な要因によって損なわれる可能性があるため、制限されてきた。例えば、患者または外科医は、手術台上で患者の体の位置を変えることがあり、その結果、事前に取得した画像に対する外科用器具の作業端の位置にずれが生じる。この問題に対する1つの解決策は、外科的処置中に蛍光透視画像またはCT画像を定期的に更新することであり、患者および外科医を電離放射線により多く被曝させるという不利益をもたらす。
【0006】
従来公知のナビゲーションシステムのさらに別の固有の限界は、二次元で表示された画像に基づいて、三次元の外科用器具の作業端の位置を、高い信頼性で提供することができないことである。ナビゲーションシステムは、患者の解剖学的構造および作業端の複数のビューを提供し得るが、外科医は、特に、敏感な構造または組織への穿孔を回避するために外科用器具の前進を制限する必要がある場合、外科用器具の作業端の位置について高い信頼性を得るために、リアルタイムでそのような複数のビューを頭の中で統合することは困難であり得る。
【0007】
したがって、既知の手術ナビゲーションシステムを改良し、特に、外科用器具の作業端が患者の解剖学的構造の敏感な部分に近づいているときに、外科医が外科用器具の作業端の位置を正確に確認することを可能にする、システムおよび方法を提供することが望ましい。
【0008】
作業端が解剖学的構造の移行に近づいたときにほぼリアルタイムで外科医に警告するだけでなく、作業端が望ましくない状態に近づいたときに作業端のさらなる前進を自動的に停止させるシステムおよび方法を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、従来公知のシステムの欠点を克服するシステムおよび方法が提供される。本発明の一態様によれば、骨(例えば脊椎)の穴あけを伴う処置などの外科的処置中の損傷を防止するための、外科用ドリルシステムで使用するためのアダプタが提供される。例えば、アダプタは、細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するために提供されてもよい。アダプタは、外科用器具の細長いドリル部分を通すようなサイズおよび形状のルーメンを有するスリーブと、スリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構と、細長いドリル部分によって感知された導電率を示す信号を受信し、信号に応答して、ブレーキ機構にスリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止させるようにプログラムされたコントローラとを含み得る。
【0010】
コントローラは、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらにプログラムされ得る。細長いドリル部分は、骨に穿孔するように構成され得る。したがって、コントローラは、細長いドリル部分が骨から組織へ移行することによって引き起こされる導電率の変化を感知するようにプログラムされ得る。さらに、コントローラは、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるように、細長いドリル部分による穿孔中の導電率の変化を感知するようにプログラムされ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、外部コンピューティングデバイスは、コントローラが有線接続または無線接続を介して外部コンピューティングデバイス内に配置され得るように、アダプタに動作可能に結合され得る。コントローラは、所定の条件を満たす信号を検出するとアラームを生成するようにさらにプログラムされ得る。加えて、コントローラはさらに、信号に基づいて細長いドリル部分の骨構造内への穿孔を監視し、測定された導電率の変化に関連する状態を検出し、状態の検出に応答してブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにプログラムされ得る。
【0012】
スリーブは、ばねを備える固定部品を含み得、アダプタは、ばねに結合されたプランジャをさらに含み得、プランジャは、外科用器具によって印加される力に応答して、固定部品内で摺動自在に移動可能であるように構成される。したがって、ルーメンは、プランジャおよび固定部品を通って延び得る。さらに、ブレーキ機構は、固定部品に対してプランジャをロックし、そのことにより、アダプタに対する細長いドリル部分の前進を阻止するように構成され得る。加えて、プランジャの近位端は、外科用器具のストッパと係合するように構成された平坦部分を含み得、そのことにより、外科用器具は、平坦部分とストッパとの係合を介してプランジャに力を印加する。固定部品は、接触センサを含み得、プランジャは、プランジャが固定部品に対して移動するにつれて、接触センサと係合するように構成されたスクリューを含み得、コントローラは、スクリューと接触センサとの係合に応答する電気インピーダンスに基づいて、細長いドリル部分の穿孔深さを決定するようにプログラムされる。いくつかの実施形態では、アダプタの固定部品は、所定の外科的処置のための外科用器具の刺入点または軌道のうちの少なくとも一方を決定するようにプログラムされたロボットアームの遠位端に結合されるように構成され得る。
【0013】
本開示のいくつかの態様によれば、外科用器具は、ドリルビットを備え得、スリーブは、ドリルビットを受容するように構成されたチャックを備え得る。したがって、アダプタは、外科用ドリルに結合されて外科用ドリルからドリルビットに回転運動を選択的に伝達するように構成された近位端をさらに含み得、コントローラは、信号に応答して、外科用ドリルからドリルビットへの回転運動の伝達を停止してドリルビットの前進を阻止するようにプログラムされる。アダプタの近位端は、外科用ドリルに結合されるように構成された第1のロータと、チャックに結合された第2のロータとを含み得、第1のロータおよび第2のロータは、回転運動を伝達するために互いに係合するように構成され、信号に応答して、コントローラは、第2のロータを第1のロータから切り離して、外科用ドリルからドリルビットへの回転運動の伝達を停止する。
【0014】
ブレーキ機構は、コントローラによって作動され、第1のロータからの第2のロータの切り離しに続いて、アダプタに対してドリルビットをロックしてドリルビットの回転運動を停止させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2のロータは、機械力または電磁力を介して第1のロータに選択的に結合され得る。例えば、機械力は、噛み合う歯または摩擦のうちの少なくとも一方を介して達成され得る。
【0015】
デフォルト状態では、第2のロータは、第1のロータから切り離され得、コントローラは、外科用ドリルの作動時に第2のロータを第1のロータに結合させるようにプログラムされる。あるいは、デフォルト状態では、ブレーキ機構は、ドリルビットをアダプタに対してロックするように構成され得、コントローラは、外科用ドリルの作動時に、ブレーキ機構を作動させてドリルビットをアダプタに対してロック解除するようにプログラムされる。ブレーキ機構は、摩擦プレートおよびパッド、クランプジョー、または噛み合う歯のうちの少なくとも1つを介して、アダプタに対してドリルビットをロックするように構成され得る。さらに、チャックは、ドリルビットの穿孔深さを測定するように構成された伸縮式チャネルを備え得る。
【0016】
本開示の別の態様によれば、アダプタは、線形アクチュエータを含み得、線形アクチュエータは、線形アクチュエータを通って延びるチャネルと、線形アクチュエータのチャネル内に摺動自在に配置されたシャフトとを有する。したがって、ブレーキ機構は、線形アクチュエータと通信した状態で配置され得、信号に応答して、コントローラは、ブレーキ機構に線形アクチュエータに対してシャフトをロックして、ドリルビットの前進を阻止させる。例えば、デフォルト状態では、ブレーキ機構は、線形アクチュエータに対してシャフトをロックするように構成され得、コントローラは、外科用ドリルの作動時に、ブレーキ機構を作動させて線形アクチュエータに対してシャフトをロック解除するようにプログラムされ得る。シャフトの遠位端は、骨構造に接触するように構成され得、そのことにより、ドリルビットが骨構造内を前進するとき、シャフトが骨構造に対して静止したままチャネル内を摺動する。あるいは、シャフトの近位端は、外科用ドリルに接触するように構成され得、そのことにより、ドリルビットが骨構造内を前進するとき、シャフトがチャネル内を摺動するにつれて外科用ドリルとアダプタとの間の距離が減少する。
【0017】
アダプタは、ハンドルをさらに備え得る。さらに、アダプタを備えるシステムが提供される。例えば、システムは、外科用器具を含み得る。外科用器具は、導電率を測定し、細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を生成するように構成された少なくとも2つの電極を含み得る。
【0018】
本開示の別の態様によれば、細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するための別のアダプタが提供される。例えば、アダプタは、外科用器具の細長いドリル部分を通すサイズおよび形状のルーメンを有するスリーブと、スリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構と、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、信号に応答して、ブレーキ機構にスリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止させるようにプログラムされたコントローラとを含み得る。
【0019】
本開示のさらに別の態様によれば、細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するための別のアダプタが提供される。例えば、アダプタは、外科用器具の細長いドリル部分を通すサイズおよび形状のルーメンを備えるスリーブと、スリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構と、細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構にスリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止させるようにプログラムされたコントローラとを含み得る。
【0020】
本開示の別の態様によれば、細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタを動作させるためのコンピュータ実装システムが提供される。該システムは、細長いドリル部分がアダプタのスリーブのルーメンを通って解剖学的部分に穿孔するにつれて細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を受信し、信号に応答して、ブレーキ機構にスリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止させるように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらに構成され得る。
【0021】
また、少なくとも1つのプロセッサはさらに、細長いドリル部分による穿孔中の導電率の変化を感知し、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるように構成され得る。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、信号に基づいて、細長いドリル部分の骨構造内への穿孔を監視し、測定された導電率の変化に関連する状態を検出し、状態の検出に応答して、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらに構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、スリーブは、ばねを備える固定部品を含み得、アダプタは、ばねに結合されたプランジャをさらに含み得、プランジャは、外科用器具によって印加される力に応答して、固定部品内で摺動自在に移動可能であるように構成され得る。したがって、少なくとも1つのプロセッサは、ブレーキ機構にプランジャを固定部品に対してロックし、そのことにより、アダプタに対する細長いドリル部分の前進を阻止させることによって、ブレーキ機構にスリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止させるように構成され得る。また、少なくとも1つのプロセッサはさらに、アダプタに結合された深さセンサから細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらに構成され得る。
【0023】
本開示の別の態様によれば、細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するための別のアダプタが提供される。例えば、アダプタは、外科用器具の細長いドリル部分を通すサイズおよび形状のルーメンを備えるスリーブと、細長いドリル部分に動作可能に結合され、アラームを生成するように構成されたアラート機構と、細長いドリル部分による穿孔中に細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を受信し、信号に応答して、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、アラート機構にアラームを生成させるようにプログラムされたコントローラとを含み得る。コントローラはさらに、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、アラート機構にアラームを生成させるようにプログラムされ得る。加えて、アダプタは、スリーブに対する細長いドリル部分の前進を阻止するように作動するように構成されたブレーキ機構をさらに含み得る。したがって、コントローラは、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらにプログラムされ得る。さらに、コントローラは、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらにプログラムされ得る。
【0024】
本開示の別の態様によれば、細長いドリル部分を備える外科用器具と共に使用するためのアダプタを動作させるための別のコンピュータ実装システムが提供される。該システムは、細長いドリル部分がアダプタのスリーブのルーメンを通って解剖学的部分に穿孔するにつれて細長いドリル部分によって感知される導電率を示す信号を受信し、信号に応答して、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、アラート機構にアラームを生成させるように構成された少なくとも1つのプロセッサを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、アラート機構にアラームを生成させるようにさらに構成され得る。さらに、少なくとも1つのプロセッサは、導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらに構成され得る。加えて、少なくとも1つのプロセッサは、細長いドリル部分の穿孔深さを示す信号を受信し、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たしたときに、ブレーキ機構に細長いドリル部分の前進を阻止させるようにさらに構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の原理に従って構築された例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図2】本開示の外科用ドリルシステムと共に使用するための例示的な外科用ドリルビットを示す図である。
【
図3A】
図1の外科用ドリルシステムの断面図である。
【
図3B】
図1の外科用ドリルシステムの断面図である。
【
図3C】
図1の外科用ドリルシステムの動作を示す図である。
【
図4】本開示の原理に従って構築された例示的なコントローラの概略図である。
【
図5】
図1の外科用ドリルシステムを外部コンピューティングデバイスと共に示す図である。
【
図6A】本発明の原理に従って構築された代替の例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図6B】本発明の原理に従って構築された代替の例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図7A】本発明の原理に従って構築された別の代替の例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図7B】本発明の原理に従って構築された別の代替の例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図8A】本発明の原理に従って構築されたさらに別の代替の例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図8B】本発明の原理に従って構築されたさらに別の代替の例示的な外科用ドリルシステムを示す図である。
【
図9A】本発明の原理に従って構築された外科用ドリルシステム用の例示的なアダプタを様々な角度から見た図である。
【
図9B】本発明の原理に従って構築された外科用ドリルシステム用の例示的なアダプタを様々な角度から見た図である。
【
図9C】本発明の原理に従って構築された外科用ドリルシステム用の例示的なアダプタを様々な角度から見た図である。
【
図9D】本発明の原理に従って構築された外科用ドリルシステム用の例示的なアダプタを様々な角度から見た図である。
【
図10】本開示の原理に従って構築された代替の例示的なコントローラの概略図である。
【
図11A】本発明の原理に従う例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図11B】本発明の原理に従う例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図11C】本発明の原理に従う例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図11D】本発明の原理に従う例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図12A】本発明の原理に従う代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタ使用する様子を示す図である。
【
図12B】本発明の原理に従う代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタ使用する様子を示す図である。
【
図12C】本発明の原理に従う代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタ使用する様子を示す図である。
【
図12D】本発明の原理に従う代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタ使用する様子を示す図である。
【
図13A】本発明の原理に従う別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図13B】本発明の原理に従う別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図13C】本発明の原理に従う別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図13D】本発明の原理に従う別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図14A】本発明の原理に従うさらに別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図14B】本発明の原理に従うさらに別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図14C】本発明の原理に従うさらに別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図14D】本発明の原理に従うさらに別の代替の例示的な外科用ハンドツールと共に
図9A~
図9Dのアダプタを使用する様子を示す図である。
【
図16】本発明の原理に従うロボットアームと一体化された
図9A~
図9Dのアダプタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
導電率感知システムによって誘導されながら、骨構造内への外科的穴あけなどの外科的処置を行うための外科用ドリルシステムおよび方法が提供される。本開示の原理に従って構成されたシステムは、ハンドヘルド式外科用ドリルなどの任意の従来の外科用ドリルに結合され得る汎用アダプタと、導電率感知能力を有するドリルビットとを含む。代替として、汎用アダプタは、外科用ロボットシステムのロボットアームに結合され得る。患者に対する損傷を防止するために、アダプタは、ドリルが感知した導電率に応答して、数ミリ秒から数秒以内に、ほぼリアルタイムで、ドリルビットの前進を自動的に阻止する。
【0027】
本明細書に記載するアダプタは、整形外科および脊椎外科の分野において、外科的処置中に外科医が患者の脊椎の1つ以上の椎骨にインプラントを配置するのを支援するために使用するのに特に有利である。したがって、アダプタは、配置精度の改善を可能にし、脊髄、神経終末、および血管構造などの敏感な機能性組織への意図しない侵入に関連する損傷のリスクを防止する。本発明の装置および方法は、椎骨、より一般的には骨構造における適用に関して本明細書に記載されているが、そのような適用に限定されない。むしろ、本発明の原理は、有利には、異なる媒質を備え、電流を伝導する媒質の容量の関数として変化する導電率または抵抗率のような電気的特性を有する任意の解剖学的部分に適用され得る。
【0028】
図1を参照すると、本発明の一態様に従って構成された例示的な外科用ドリルシステムが示されている。
図1に示すように、外科用ドリルシステム10は、汎用アダプタ100と、従来の外科用ドリル12と、導電率感知ドリルビット200とを含む。外科用ドリル12は、回転運動を受け取ってドリルビットに伝達するように構成された任意の従来の外科用ドリルであり得る。以下に詳細に説明するように、外科用ドリル12がアダプタ100を介して回転運動をドリルビット200に伝達するように、アダプタ100は、その近位端において外科用ドリル12に結合され得、その遠位端においてドリルビット200を受容するように構成されたスリーブを有し得る。ドリルビット200は、アダプタ100と、例えばアダプタ100のチャックによって受容されるようなサイズおよび形状の近位端202と、例えば組織および/または骨に接触して穿孔するように構成された遠位端204と、ドリルビット200をアダプタ100に電気的に結合するための導体206とを含み得る。
【0029】
ここで
図2を参照すると、ドリルビット200の遠位端204が示されている。ドリルビット200の遠位端204は、椎骨および周囲組織を含む領域などの解剖学的部分に穿孔するように構成される。外科技術においてよく理解されているように、神経終末付近の皮質骨の孔または外層を画定する皮質骨の内層を損傷または通過することを回避するために、ドリルビット200の正確な位置決めを確実にすることが重要である。アダプタ100は、好ましくは、ドリルビット200が解剖学的部分内で動かされたときに、ドリルビット200により感知された電気的特性の関数として変化する警告信号を発し、穿孔させるべきではない解剖学的部分にドリルビット200が近づいた場合(例えば、違反状態)、ドリルビット200による穿孔を阻止するように構成される。
【0030】
ドリルビット200は、米国特許第7,580,743号(その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているハンドツールと同様に動作し、その装置は、PediGuard(登録商標)という商品名で本出願の譲受人から市販されている。ドリルビット200はさらに、スクリュー、特に椎弓根スクリューなどの、解剖学的構造内に埋入されるインプラントを構成し得る。
【0031】
図2をさらに参照すると、ドリルビット200は、近位端202と遠位端204との間で長手方向軸Lに沿って延在し、骨構造に穿孔するための先端208を形成する。ドリルビット200は、一般に、長手方向軸Lに沿って延在する円形断面の円筒状外面を有し、先端208から近位に延在する1つ以上の螺旋状切削端を含む。しかしながら、ドリルビット200の本体は、任意の他の形状、特に多角形または他の断面を有する円筒形を有することができる。追加としてまたは代替として、ドリルビット200は、ねじ式ドリルビットであり得る。ドリルビット200は、長手方向軸Lと平行にドリルビット200の内部に延在する、円筒状で導電性材料の第1の電極210を備える。特に、第1の電極210は、ドリルビット200の中心ボア内に配置され、先端208においてドリルビット200の外面と同一平面上にある第1の接触面214を有する自由端まで長手方向軸Lと同軸に延在する。
【0032】
ドリルビット200はさらに、第1の電極210の周囲に長手方向軸Lに沿って延在する、環状で導電性材料の第2の電極212を含む。特に、この場合、第2の電極212は、導電性材料で作られたドリルビット200自体の一部で形成される。第2の電極212は、長手方向軸Lに平行でドリルビット200の側面に対応する円筒状部分と、ドリルビット200の遠位面に対応する長手方向軸Lを横断する環状部分とから成る第2の接触面216を有する。
【0033】
ドリルビット200が解剖学的部分に穿孔する間に、第1の接触面214および第2の接触面216が解剖学的部分と互いに間隔を置いて接触することができるように、電気絶縁材料の層が第1の電極210と第2の電極212との間に介在される。しかしながら、本発明は、ドリルビット200によって示される実施形態に限定されず、例えば、第1の電極210および第2の電極212が同軸に配置されず、ドリルビット200に挿入された導電性材料のロッドから形成され得るような、他の形状が可能であることを理解されたい。さらに、第1の電極210および第2の電極212はそれぞれ、ドリルビット200の側面または遠位面と同一平面上にある点状または他の接触面214、216を有し得る。あるいは、ドリルビット200は、2つ以上の第1の電極210および2つ以上の第2の電極212を支持することができる。
【0034】
ここで
図3Aおよび
図3Bを参照すると、システム10のアダプタ100の内部部品が示されている。
図3Bでは、アダプタ100は、ドリルビット200の近位端202を確実に通すためのスリーブ、例えばチャック104を含み得る。チャック104は、ドリルビット200の第1の電極210および第2の電極212への電気的接続を確立する部品を含み得、したがって、アダプタ100内に配置された電子機器が適切な警告信号を発することを可能にする。これらの部品は、コントローラ150(
図3C参照)、例えば、回路基板上に取り付けられた電気的処理装置に結合された発電機を含み得る。発電機は、第1の電極210および第2の電極212に接続され、例えば、導体206を介して、第1の接触面214および第2の接触面216に1つ以上の電圧を印加するために好適である。コントローラ150は、例えば導体206を介して、発電機と第1の電極210および第2の電極212とに接続され得、印加電圧(単数または複数)によって誘導される測定電流(単数または複数)に基づいて電気的特性に関連する測定パラメータを決定し、測定パラメータに対応する警告信号を発するのに好適である。測定パラメータは、特に、電圧、電流の強度、導電率または抵抗率であり得る、あるいは、積分、平均化などによる1つ以上の測定電流の処理の結果であり得る、あるいは、周波数分析の結果であり得る。
【0035】
アダプタ100はさらに、発電機およびコントローラ150に電力を供給するための装置、例えば、バッテリを封入してもよい。さらに、アダプタ100は、以下に説明するように、任意の好適な手段によって、有線または無線、例えば、Bluetoothを介して、コントローラ150と通信する通信インターフェースを含み得る。代替形態では、発電機および/またはコントローラ150、ならびにドリルビット200の他の電子部品は、アダプタ100の本体から遠隔に位置し得る。例えば、部品の少なくともいくつかは、以下に説明するように、外部コンピューティングデバイスによって担持され得る。
【0036】
ここで
図3Bを参照すると、アダプタ100は、外科用ドリル12に解放可能に係合するように構成された第1のロータ110を含み得る。例えば、第1のロータ110は、外科用ドリル12のチャック16によって確実に受容されるようなサイズおよび形状のシャフト112を含み得る。したがって、外科用ドリル12は、外科用ドリル12の作動時に、回転運動を第1のロータ110に伝達することができる。加えて、アダプタ100は、第2のロータ106の回転が回転運動をドリルビット200に伝達するように、ドリルビット200の近位端202を確実に受容するためのチャネル108を有する第2のロータ106を含み得る。追加としてまたは代替として、第1のロータおよび/または第2のロータは、例えば、シャフト、ディスク、軸、シリンダなどであり得る。
【0037】
外科用ドリル12は、第1のロータ110が第2のロータ106に機械的に結合されたときに、第1のロータ110および第2のロータ106を介して回転運動をドリルビット200に伝達し得るように、第1のロータ110は、例えば、電磁クラッチ機構を介して、第2のロータ106に解放可能に結合され得る。例えば、コントローラ150は、第2のロータ106に磁場を発生させて、第2のロータ106を第1のロータ110に電磁気的に結合させることができる。あるいは、磁場は、ロータ106、110上の機械的要素、例えば、噛み合う歯または摩擦力を相互係合させてもよい。以下に説明するように、状態を検出すると、コントローラ150は、磁場を停止させて、第1のロータ110を第2のロータ106から切り離すことができる。これにより、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達が停止し、ドリルビット200が「自動停止」する。デフォルト状態では、外科用ドリル12の作動前は、第1のロータ110が第2のロータ106から切り離され得、外科用ドリル12の作動時に、コントローラ150は、第1のロータ110および第2のロータ106を結合させて、外科用ドリル12からドリルビット200に回転運動を伝達させる。
【0038】
図3Bでは、アダプタ100は、1つ以上のアクチュエータ120をさらに含み得る。例えば、アクチュエータ120は、ドリルビット200を自動停止させる信号が存在するにもかかわらず、ユーザがコントローラ150をオーバーライドして穴あけを継続することを可能にし得る。したがって、アクチュエータ120の作動は、ドリルビット200の自動停止を一時的に無効にし、コントローラ150に第1のロータ110を第2のロータ106に再係合させて、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達の継続を可能にし得る。アクチュエータ120の解放時に、コントローラ150は、測定されたリアルタイムの導電率に基づいて状態が依然として検出される場合に、ドリルビット200の自動停止へと進むことができる。追加としてまたは代替として、1つ以上のアクチュエータ120は、外科用ドリル12がドリルビット200に直接命令するように、ユーザがコントローラ150の自動停止機能をオフにする、例えば、システム10を無効にすることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ120は、外科医が音声コマンドを提供して、コントローラ150に上述の方法でシステム10を一時的に無効にさせる、または無効にさせることができるように、音声制御アクチュエータであり得る。
【0039】
加えて、アダプタ100は、そこから遠位に延在する伸縮式チャネル114を含み得る。伸縮式チャネル114は、伸縮式チャネル114に張力を付与するために、その内部にばね116が配置され得る。例えば、ばね116は、伸縮式チャネル114にばね力を印加して伸縮式チャネル114を伸長構成に付勢してもよい。伸縮式チャネル114の遠位端は、例えば、組織または骨内へのドリルビット200の刺入点に隣接する表面に接触して圧迫するようなサイズおよび形状のリップ118を含み得る。したがって、ドリルビット200が解剖学的部分に穿孔すると、リップ118は、ドリルビット刺入点に隣接する表面に接触し、ドリルビット200が解剖学的部分、例えばリップ118へと前進するにつれて、伸縮式チャネル114を軸方向に収縮させる。結果として生じる伸縮式チャネル114の伸縮動作が
図3Cに示されている。さらに、伸縮式チャネル114は、伸縮式チャネル114が収縮するにつれて解剖学的部分内へ入るドリルビット200の深さ測定を容易にするために、その外面上にマーキングを含み得る。いくつかの実施形態では、アダプタ100は、アダプタ100のハンドル102が外科用ドリル12から、例えば、90度の角度をなすように外科用ドリル12に結合され得、そのことによりシステム10の安定性および制御が改善され得る。
【0040】
次に
図4を参照すると、アダプタ100と共に使用されるコントローラ150に含まれ得る部品について説明する。コントローラ150は、アダプタ100およびドリルビット200に動作可能に結合され得、そのことにより、コントローラ150は、例えば、周囲組織および/または骨の電気インピーダンスに基づいて、ドリルビット200から導電率測定値を示す信号を受信し、その信号に基づいて、外科的穴あけ処置中の状態(例えば、違反)を検出し、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達を停止するようにアダプタ100に命令し得る。コントローラ150は、1つ以上のプロセッサ152、通信回路154、電源156、ユーザインターフェース157、および/またはメモリ158を含み得る。
【0041】
コントローラ150は、RAM、ROM、フラッシュ、もしくは他の既知のメモリ、またはそれらの何らかの組み合わせであり得るメモリを含み、好ましくは、データが選択的に保存され得る記憶装置を含む。例えば、骨内への外科的穴あけ処置中にドリルビットの違反または違反に近い状態を検出するためのアルゴリズムを実行するためのプログラム可能な命令が記憶され得る。1つ以上の電気部品および/または回路は、本明細書に記載する様々な部品の役割の一部または全てを実行し得る。別々に説明されているが、電気部品は、別々の構造要素である必要はないことを理解されたい。例えば、コントローラ150および通信回路154は、シングルチップで具現化されてもよい。また、コントローラ150はメモリを有するものとして説明されているが、メモリチップ(単数または複数)が別に設けられてもよい。
【0042】
コントローラ150は、プロセッサ152を組み込み得、プロセッサ152は、1つ以上のプロセッサで構成され得、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、または本明細書に記載する機能を実行するように設計されたそれらの任意の好適な組み合わせであり得る。コントローラはさらに、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0043】
コントローラ150は、メモリを含み、および/または1つ以上のバスを介して結合されて、メモリから情報を読み取り、もしくはメモリに情報を書き込むことができる。メモリは、異なるレベルが異なる容量およびアクセス速度を有するマルチレベル階層キャッシュを含むプロセッサキャッシュを含み得る。メモリはさらに、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、他の揮発性記憶装置、または不揮発性記憶装置を含み得る。記憶装置は、例えば、ハードドライブ、光ディスク、フラッシュメモリ、およびZipドライブを含み得る。
【0044】
コントローラ150は、メモリに記憶されたファームウェア/ソフトウェアと共に、例えば、Windows、Mac OS、Unix、またはSolaris5.10などのオペレーティングシステム(例えば、オペレーティングシステム172)を実行し得る。コントローラ150はまた、メモリに記憶されているソフトウェアアプリケーションを実行する。1つの非限定的な実施形態において、ソフトウェアは、例えば、Unix Kornシェルスクリプトを含む。他の実施形態では、ソフトウェアは、例えば、C++、PHP、またはJavaを含む、当業者に周知の任意の好適なプログラミング言語のプログラムであり得る。
【0045】
通信回路154は、コントローラ150が、導体206を介して、アダプタ100の電子部品(例えば、発電機、1つ以上の深さセンサ、電源156、アラームシステム、1つ以上のアクチュエータ120、第1のロータ110、第2のロータ106など)および電極210、212と通信することを可能にする回路を含み得る。通信回路154は、当技術分野において周知の技術を使用して、インターネット、電話網、Bluetoothネットワーク、および/またはWiFiネットワークなどのネットワークを介した、有線および/または無線通信用に構成され得る。通信回路154は、Bluetoothチップおよび/またはWiFiチップなどの当技術分野で周知の通信チップであり得る。通信回路154は、コントローラ150が、脊椎の穴あけに関連する違反または違反に近い状態を示す信号などの情報を、ローカルにおよび/またはサーバなどの遠隔位置に転送することを可能にする。
【0046】
電源156は、交流電流または直流電流を供給し得る。直流電流の実施形態では、電源は、交換可能なバッテリまたは充電式バッテリなどの好適なバッテリを含み得、装置は、充電式バッテリを充電するための回路と、取り外し可能な電源コードとを含み得る。電源156は、充電器内の誘導コイルおよび誘導コイルを介して充電器によって充電され得る。あるいは、電源156は、例えば、AC-DC電力変換器を有するコードおよび/またはUSBポートを介して、アダプタを従来の壁ソケットに差し込んで装置内の部品に電力供給することを可能にするポートであり得る。電源156は、アダプタの部品に電力を供給するように設計され得る。
【0047】
ユーザインターフェース157は、ユーザから入力を受信し、および/またはユーザに出力を提供するために使用され得る。例えば、ユーザインターフェース157は、穴あけ処置中の違反または違反に近い状態の検出に関する情報をユーザに提供し得る。ユーザインターフェース157は、オーディオ出力を選択的に増減させるための可聴デバイスおよび/または音量コントロールをさらに含み得る。ユーザインターフェース157は、タッチスクリーン、スイッチ、ダイヤル、ライト、LED(例えば、
図3Bに示されているLED122)、LEDマトリックス、他のLEDインジケータ、またはユーザから入力を受信し、および/もしくはユーザに出力を提供するための他の入出力装置を含み得る。他の実施形態では、ユーザインターフェース157は、アダプタ上に存在しなくてもよいが、代わりに、通信回路154を介してアダプタに通信可能に接続されるリモートの外部コンピューティングデバイス上に設けられる。ユーザインターフェース157はさらに、アダプタ上の要素とリモートコンピューティングデバイスとの組み合わせであり得る。
【0048】
非一時的コンピュータ可読媒体の一例であるメモリ158は、オペレーティングシステム(OS)172、アダプタ・インターフェースモジュール160、発電機インターフェースモジュール162、導電率感知モジュール164、深さ感知モジュール166、状態検出モジュール168、およびアラート生成モジュール170を記憶するために使用され得る。モジュールは、本開示に従う様々な動作を実行するためにプロセッサ152によって実行され得るコンピュータ実行可能命令の形態で提供される。例えば、Bourlionの米国特許第11,344.372号または米国特許出願第17/661,719号(それぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、違反検出に関連するアルゴリズムを実行する命令が記憶され得る。
【0049】
アダプタ・インターフェースモジュール160は、アダプタ100の電子部品と通信し、それらを作動するように、プロセッサ152によって実行され得る。例えば、アダプタ・インターフェースモジュール160は、第2のロータ106に動作可能に結合され得、アダプタ・インターフェースモジュール160は、外科用ドリル12の作動時に、第2のロータ106に磁場を生成させて第1のロータ110と結合させるために、プロセッサ152によって実行され得る。したがって、アダプタ・インターフェースモジュール160は、外科用ドリル112が作動し、第2のロータ106を第1のロータ110に結合させることを示す信号を第1のロータ110から受信し、そのことにより、回転運動が外科用ドリル12からドリルビット200に伝達され得る。さらに、アダプタ・インターフェースモジュール160は、以下でさらに詳細に説明するように、状態検出モジュール168による状態の検出時に、磁場を停止させて、第2のロータ106を第1のロータ110から切り離すことができる。
【0050】
発電機インターフェースモジュール162は、ドリルビット200による解剖学的部分の穿孔中に、アダプタ100の発電機に、ドリルビット200の第1の接触面214および第2の接触面216に1つ以上の電圧を印加させるために、プロセッサ152によって実行され得る。
【0051】
導電率感知モジュール164は、ドリルビット200が解剖学的部分に穿孔するときに測定された導電率を示す第1の電極210および第2の電極212からの1つ以上の信号を受信するために、プロセッサ152によって実行され得る。具体的には、導電率感知モジュール164は、印加電圧(単数または複数)によって誘導される測定電流(単数または複数)に基づいて、電気的特性(例えば、電圧、電流の強度、導電率、または抵抗率)に関連する測定パラメータを決定することができる。したがって、導電率感知モジュール164は、例えば、ドリルビット200が解剖学的部分に穿孔するときにリアルタイムで、ドリルビット200の先端208を取り囲む組織および/または骨の電気インピーダンスに基づいて、導電率を測定することができる。
【0052】
深さ感知モジュール168は、アダプタ100および/またはドリルビット200に結合された1つ以上の深さセンサから1つ以上の信号を受信し、1つ以上の信号に基づいて解剖学的部分へのドリルビット200の穿孔深さを決定するために、プロセッサ152によって実行され得る。例えば、第1の深さセンサは、アダプタ100の固定部分上に位置決めされ得、第2の深さセンサは、伸縮式チャネル114の遠位端に位置決めされ得、そのことにより、深さ感知モジュール166は、第1の深さセンサおよび第2の深さセンサの相対位置を示す第1の深さセンサおよび第2の深さセンサのそれぞれからの信号を受信することによって、第1の深さセンサおよび第2の深さセンサとの間の距離を決定し得る。代替としてまたは追加として、光学深さセンサは伸縮式チャネル114の遠位端に位置決めされてもよく、レーザを放射してドリルビット200の先端208の深さを決定してもよい。したがって、深さ感知モジュール166は、光学深さセンサから受信した1つ以上の信号に基づいて、解剖学的部分へのドリルビット200の穿孔深さを決定することができる。
【0053】
状態検出モジュール168は、導電率感知モジュール164によって測定された導電率および深さ感知モジュール166によって決定されたドリルビット200の穿孔深さのうちの少なくとも一方を示す信号に基づいて、状態(例えば、外科的穴あけ処置中の違反)を検出するために、プロセッサ152によって実行され得る。具体的には、状態検出モジュール168は、例えば、ドリルビット200が解剖学的部分内に穿孔するにつれて、穿孔深さの関数としての導電率の変化が、違反状態を示す所定の条件を満たす時点を数学的に検出するために、記憶されている1つ以上のアルゴリズムを実行し得る。例えば、導電率および/または穿孔深さ測定値を示す信号に基づいて、状態検出モジュール168は、孔を画定する皮質骨の内層への移行、または神経終末近傍の皮質骨の外層への移行などの違反を検出してもよい。
【0054】
目標は、信号の急激な変化が観察されたときに外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達を停止することであり得、1秒を超える遅延は、穴あけの終了時に違反を引き起こし得る。したがって、状態検出モジュール168は、信号の前処理中にアルゴリズムを統合することができ、これは、逆フィルタを実行する。
【数1】
【0055】
米国特許第11,344,372号に記載されているように、これは、フィルタリングされた信号から時間tにおける信号の未処理値を回復させ、同時に遅延をなくすことを可能にする。次いで、穿孔深さの関数としての導電率の所定の変化によって示されるように、違反が生じる直前に、警告信号を使用して磁場の発生を停止させ、第2のロータ106を第1のロータ110から切り離してドリルビット200を自動停止させることができる。使用されるアルゴリズムは、以下の通りであり得る。
【0056】
警告信号が臨界閾値sc1を下回ったときに、皮質骨内への穿孔が検出される。皮質骨に穿孔したときに、信号が閾値sc2よりも大きい偏差でその最小値sminを超えて上昇すると、差し迫った違反が検出される。実施される実験において、閾値sc1、sc2は、実験の前に設定される(初期試験に基づいて行われる調整)。これに対して、最小基準値sminは、穴あけごとにあまり再現性がないので、オンラインで自動的に計算される。
【0057】
器具信号の解釈は、以下の擬似コードによって記述可能である。
【0058】
初期化:smin←∞;flagcortical=0
【0059】
信号(t)から受信された新しい値ごとに、以下のようにループする。
1.最小信号値を計算する。
s(t)<Sminの場合、Smin←s(t)
2.皮質骨内への刺入を検出する。
s(t)<S1かつflagcortical=0の場合、flagcortical←1
3.皮質骨において、差し迫った違反を検出する。
flagcortical=1かつ(s(t)-smin)>s2の場合、回転運動の伝達を停止する。
【0060】
アダプタ・インターフェースモジュール160は、上述したように、状態検出モジュール168による状態の検出時に、アダプタ100内の電子部品に磁場の発生を停止させて、第2のロータ106を第1のロータ110から切り離してドリルビット200を自動停止させることができる。加えて、アダプタ・インターフェースモジュール160は、アダプタ100の1つ以上のアクチュエータ120の作動時に、システム10を一時的に無効にするかまたは無効にして、上述したように、ユーザがドリルビット200の自動停止をオーバーライドすることを可能にするための信号をさらに受信し得る。
【0061】
アラート生成モジュール170は、状態検出モジュール168が状態を検出したときに警告信号を生成し、警告信号に基づいて、例えばユーザインターフェース157を介して、システム10のアラームシステムに警告(例えば、可聴警告、視覚警告、および/または触覚警告)を発生させるために、プロセッサ152によって実行され得る。例えば、アラート生成モジュール170は、アラームシステム、例えば、LEDライト122(
図3B参照)に点滅警告を発生させることができる。追加としてまたは代替として、アラート生成モジュール170は、アラームシステム(例えば、スピーカ)に、状態検出モジュール168によって検出された導電率の変化に基づいて変化し得る、周波数変調され、場合によっては強度変調された可聴警告信号を発生させることができる。追加としてまたは代替として、アラート生成モジュール170は、アラームシステム(例えば、バイブレータ)に、状態検出モジュール168によって検出された導電率の変化に基づいて変化し得る、周波数変調され、場合によっては強度変調された可聴警告信号を発生させることができる。加えて、生成されるアラートの強度は、ドリルビット200によって測定された穿孔深さに基づいて変化し得る。
【0062】
図5を参照すると、いくつかの代替形態では、システム10は、外部コンピューティングデバイス300をさらに含み得る。例えば、コントローラ150は、アダプタ100内ではなく、外部コンピューティングデバイス300内に配置されてもよい。したがって、コントローラ150は、有線接続(例えば、1本または複数のケーブル)、または無線接続(例えば、Bluetooth接続)を介してアダプタ100の電子部品に動作可能に結合され得る。さらに、電源156は、アダプタ100の電子部品に電力を供給するために、外部コンピューティングデバイス300内に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、外部コンピューティングデバイス300は、上述したように、ドリルビット200の穿孔の深さの関数として測定された導電率に関する情報、ならびに状態が検出された場合の視覚的警告メッセージを表示するための表示画面を含み得る。
【0063】
図6Aおよび
図6Bを参照すると、線形深さ制御機構を有する代替アダプタが記載されている。アダプタ100’は、アダプタ100と同様に構成されてもよく、同様の部品は、プライム記号付きの同じ参照番号を有する。例えば、ハンドル102’はハンドル102に対応する。アダプタ100’は、アダプタ100’が線形アクチュエータ130を含むという点でアダプタ100と異なる。さらに、アダプタ100’は、選択的に係合可能な第1のロータおよび第2のロータを含まなくてもよい。その代わりに、ドリルビット200は、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達のために、アダプタ200内の外科用ドリル12のチャックによって直接受容され得る。あるいは、アダプタ100’は、アダプタ100と同様の第1のロータおよび第2のロータを含み得る。さらに、アダプタ100’は、伸縮式チャネルを含んでもよく、または含まなくてもよい。
図6Aおよび
図6Bは、伸縮式チャネルが省略されたアダプタ100’を示す。
図6Aおよび
図6Bに示すように、線形アクチュエータ130は、アダプタ100’の上面に配置され得る。あるいは、線形アクチュエータ130は、アダプタ100’の側面に配置され得る。線形アクチュエータ130は、その中を通って延び、シャフト132を摺動自在に受容するようなサイズおよび形状のチャネルを有する。シャフト132は、近位端136と、解剖学的部分(例えば、骨B)の表面と接触および係合するように構成された遠位端134とを含む。
【0064】
線形アクチュエータ130は、その内部に配置され、シャフト132と係合するように構成されたブレーキ機構を含む。ブレーキ機構は、状態検出モジュール168による状態の検出時に、コントローラ150のアダプタ・インターフェースモジュール160がシャフト132を線形アクチュエータ130に対してロックさせるように、コントローラ150に動作可能に結合される。例えば、動作中、シャフト132の遠位端134は、骨Bの表面と接触して位置決めされる。ドリルビット200の先端208が骨Bに穿孔するときに、シャフト132は、アダプタ100’のハンドル102’が骨Bに向かって前進するにつれて、線形アクチュエータ130のチャネルを通って近位に摺動する。この状態を検出すると、コントローラ150は、ブレーキ機構にシャフト132を線形アクチュエータ130に対してロックさせ、このことが、シャフト132の遠位端134と骨Bとの接触により、骨B内へのドリルビット200の前進(例えば、さらなる穿孔)を阻止する。したがって、回転運動が外科用ドリル12からドリルビット200に連続的に伝達され得る場合であっても、ドリルビット200の前進は停止される。いくつかの実施形態では、シャフト132は、骨B内へのドリルビット200の深さ測定を容易にするために、その外面上にマーキングを含み得る。デフォルト状態では、外科用ドリル12の作動前に、ブレーキ機構は、シャフト132が線形アクチュエータ130に対してロックされるように起動され得る。したがって、外科用ドリル12の作動時に、コントローラ150は、ブレーキ機構にロックシャフト132を線形アクチュエータ130に対してロック解除させ、そのことにより、ドリルビット200の前進を可能にする。
【0065】
図7Aおよび
図7Bでは、線形深さ制御を有する本発明のアダプタを採用する別の代替の例示的な外科用穿孔システムが記載されている。アダプタ100”は、アダプタ100’、100と同様に構成され、同様の部品は、2重プライム記号付きの同じ参照番号を有する。例えば、ハンドル102”はハンドル102’に対応し、伸縮式チャネル114”は伸縮式チャネル114に対応し、リップ118”はリップ118に対応する。アダプタ100とは異なり、アダプタ100”は、外科用ドリル12をドリルビット200に結合するための選択的に係合可能な第1のロータおよび第2のロータを含まない。その代わりに、ドリルビット200は、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達のために外科用ドリル12のチャックによって直接受容され得る。さらに、伸縮式チャネル118”'は、動作中に収縮しないように、所定の位置にロックされ得る。線形アクチュエータ130は、以下に記載するように、近位端136が外科用ドリル12と接触するように、アダプタ100”の上面に配置され得るか、あるいは、アダプタ100’の側面に配置され得る。
【0066】
アダプタ100’とは異なり、近位端136は、外科用ドリル12の表面と接触し、係合するように構成される。ブレーキ機構は、状態検出モジュール168による状態の検出時に、コントローラ150のアダプタ・インターフェースモジュール160がシャフト132を線形アクチュエータ130に対してロックさせるように、コントローラ150に動作可能に結合される。例えば、動作中、リップ118”は、骨Bの表面と接触して位置決めされ、シャフト132の近位端136は、外科用ドリル12と接触して位置決めされる。ドリルビット200の先端208が骨Bに穿孔するときに、外科用ドリル12がアダプタ100”のハンドル102”に向かって前進するにつれて、シャフト132は、線形アクチュエータ130のチャネルを通って遠位に摺動するが、アダプタ100”は、伸縮式チャネル114”およびリップ118”を介して骨Bに対して静止した状態のままである。この状態を検出すると、コントローラ150は、ブレーキ機構にシャフト132を線形アクチュエータ130に対してロックさせ、このことが、シャフト132の近位端136と外科用ドリル12との接触により、骨B内へのドリルビット200の前進(例えば、さらなる穿孔)を阻止する。したがって、回転運動が外科用ドリル12からドリルビット200に連続的に伝達され得る場合であっても、ドリルビット200の前進は停止される。いくつかの実施形態では、シャフト132は、骨B内へのドリルビット200の深さ測定を容易にするために、その外面上にマーキングを含み得る。デフォルト状態では、外科用ドリル12の作動前に、ブレーキ機構は、シャフト132が線形アクチュエータ130に対してロックされるように起動され得る。したがって、外科用ドリル12の作動時に、コントローラ150は、ブレーキ機構にロックシャフト132を線形アクチュエータ130に対してロック解除させ、そのことにより、ドリルビット200の前進を可能にする。
【0067】
ここで
図8Aおよび
図8Bを参照すると、外科用ドリルシステムにおいて使用するための機械式ブレーキを有するアダプタが記載されている。アダプタ100’’’は、アダプタ100と同様に構成され、同様の部品は、3重プライム記号付きの同じ参照番号を有する。例えば、チャック104’’’は、チャック104に対応する。アダプタ100’’’は、外科用ドリル12をドリルビット200に結合するための選択的に係合可能な第1のロータおよび第2のロータを含まないという点でアダプタ100とは異なる。その代わりに、ドリルビット200は、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達のために外科用ドリル12のチャックによって直接受容され得る。例えば、外科用ドリル12のチャックは、ドリルビット200の近位端202を確実に受容するための受容チャネル18を有してもよい。さらに、アダプタ100’’’は、ドリルビット200の近位端202をその中に受容するために、その中を通って延びるチャネルを有するブレーキ機構140を含む。ブレーキ機構140は、摩擦プレートおよびパッド、クランプジョー、または噛み合う歯のうちの少なくとも1つを介して、ドリルビット200と係合され得る。
【0068】
ブレーキ機構140は、状態検出モジュール168による状態の検出時に、コントローラ150のアダプタ・インターフェースモジュール160がブレーキ機構140にドリルビット200に対して、ひいてはアダプタ100’’’に対してロックさせるように、コントローラ150に動作可能に結合される。したがって、外科用ドリル12のモータを停止させて外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達を防止するために、ドリルビット200に加えられるブレーキ機構140の制動力/トルクは、外科用ドリル12のトルクよりも大きくなければならない。例えば、動作中、状態の検出時に、コントローラ150は、ブレーキ機構140にドリルビット200に対してロックさせ、これにより、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達を停止させる。デフォルト状態では、外科用ドリル12の作動前に、ブレーキ機構140は、ドリルビット200、ひいては外科用ドリル12に対してロックされるように起動され得る。したがって、外科用ドリル12の作動時に、コントローラ150は、ブレーキ機構140にドリルビット200に対してロック解除させ、このことにより、外科用ドリル12からドリルビット200への回転運動の伝達を可能にする。
【0069】
ここで
図9A~
図9Dを参照すると、外科用ハンドツールシステムと共に使用するための例示的なアダプタが提供される。例えば、アダプタ400は、米国特許第7,580,743号(その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているハンドツールと共に使用され、その装置は、PediGuard(登録商標)という商品名で本出願の譲受人から市販されている。例えば、外科用ハンドツールは、ハンドルの手動回転を介して、解剖学的部分(例えば、組織および/または骨)に接触し、穿孔するように構成された遠位端を有する細長いドリル部分に結合されたハンドル部分を含み得る。さらに、外科用ハンドツールの遠位端は、細長いドリル部分が組織および/または骨に穿孔するにつれて、電極によって印加された電圧(単数または複数)によって誘導された電流(単数または複数)に基づいてリアルタイムで導電率を測定するために、ハンドル内の発電機に結合された(
図2のドリルビット200に関して上述したような)2つ以上の電極を含み得る。
【0070】
電極は、コントローラ450、例えば、回路基板上に搭載される電気的処理装置に動作可能に結合され得、コントローラ450は、以下にさらに詳細に説明するように、測定電流(単数または複数)に基づいて電気的特性に関連する測定パラメータを決定し、測定パラメータおよび/もしくは細長いドリル部分の穿孔深さ測定値に基づいて違反状態を検出し、穿孔中に感知された電気的特性の関数として変化し得る測定パラメータおよび/もしくは穿孔深さ測定値に対応する警告信号を発し、ならびに/または細長いドリル部分の遠位端が穿孔するべきではない解剖学的部分に近づいた(例えば、違反状態)場合、アダプタ400に対する外科用ハンドツールのさらなる前進を阻止し得る。
【0071】
追加としてまたは代替として、電極は、外科用ハンドツール内の電気的処理装置に動作可能に結合され得る、つまり、電極間でデータを送信するためにコントローラ450に動作可能に結合される。上述したように、測定パラメータは、特に、電圧、電流の強度、導電率もしくは抵抗率であり得、または、積分、平均化などによるような1つ以上の測定電流の処理の結果であり得、または、周波数分析の結果であり得る。さらに、外科用ハンドツールは、後述するように、発電機に電力を供給するための装置(例えば、バッテリ)、ならびに任意の好適な手段によって、有線または無線、例えば、Bluetoothを介して、コントローラ450と通信する通信インターフェースを含み得る。
【0072】
図9A~
図9Dに示すように、アダプタ400は、固定部品(例えば、スリーブ402)と、例えば、ばね418を介してスリーブ402に摺動自在に結合されたプランジャ420とを含み得る。スリーブ402は、近位端414から遠位端406までその中を通って延びるルーメン404を含み得、そのようなルーメン404は、細長いドリル部分が前進して組織および/または骨に穿孔するときに、外科用器具の少なくとも細長いドリル部分を受容するようなサイズおよび形状を有する。ルーメン404の少なくとも一部は、内部にばね418が配置されるようなサイズおよび形状のキャビティ417を含み得る。キャビティ417はさらに、プランジャ420の遠位部分を通すようなサイズおよび形状を有する。プランジャ420の遠位端424は、ばね418の近位端に結合され、それによりプランジャ420に張力を付与し得る。例えば、ばね418は、
図9Aおよび
図9Cに示す伸長構成で、プランジャ420にばね力を印加して、プランジャ420を付勢してもよい。
【0073】
図9Bおよび
図9Dに示すように、外科用ハンドツールのハンドルに隣接するストッパによって、プランジャ420の近位端(例えば、プランジャ420の平坦部分426)に力を加えると、ばね418が圧縮され、そのことにより、プランジャ420がスリーブ402のキャビティ417を通って遠位に前進し、その結果、伸縮式チャネルを形成し得る。平坦部分426は、外科用ハンドツールのストッパとの係合を容易にするために、キャビティ417によって受容されるプランジャ420の細長いシャフトの外径よりも大きい外径を有し得る。プランジャ420の細長い部分はスリーブ402のルーメン404の遠位部分の直径よりも大きい外径を有し得るので、プランジャ420がキャビティ417の遠位端を越えて前進することができないため、キャビティ417内のプランジャ420の前進はキャビティ417の長手方向の長さによって制限され得る。追加としてまたは代替として、平坦部分426がスリーブ420のキャビティ417よりも大きい外径を有し得るので、キャビティ417内のプランジャ420の前進は、スリーブ420の近位端414の近位側とプランジャ420の平坦部分426の遠位側との係合によって制限されてもよく、その結果、平坦部分426は近位端414を越えて前進することができない。
【0074】
さらに、プランジャ420は、細長いドリル部分が前進して組織および/または骨に穿孔するとき、外科用器具の細長いドリル部分を受容するようなサイズおよび形状を有するルーメン422を含み得る。したがって、ルーメン422は、ルーメン404と同心円状に整列され、そのことにより、細長いドリル部分は、ルーメン422、キャビティ417、ルーメン404の遠位部分を通って、スリーブ402の遠位端406から出るように前進することができる。ルーメン422は、少なくともルーメン404と同じ大きさの直径を有し得る。遠位端406は、例えば、組織または骨内への細長いドリル部分の刺入点に隣接する表面に接触して圧迫するようなサイズおよび形状を有し得る。したがって、細長いドリル部分が解剖学的部分内に穿孔するとき、遠位端406は、刺入点に隣接する表面に接触し、細長いドリル部分が解剖学的部分内へ前進するにつれてプランジャ420の平坦部分426と遠位端406との間の距離が減少し、ばね418を軸方向に収縮させる。スリーブ402の近位領域は、アダプタ400の電気部品(例えば、コントローラ450、発電機、通信回路、深さセンサ410、ブレーキ機構416、ならびに/または穿孔中に組織または骨の表面に対するアダプタ400の角度を測定するためのセンサ、例えば、加速度計および/もしくはジャイロスコープ)を収容するようなサイズおよび形状のキャビティ408を含み得る。
【0075】
図9A~
図9Dに示すように、深さセンサ410は、キャビティ417内で長手方向に延びる接触センサ(例えば、バンド412)に動作可能に結合され、プランジャ420の外面の遠位部分は、プランジャ420がキャビティ417を通って前進するにつれてバンド412の内面に係合するようなサイズおよび形状の1つ以上のスクリューを含み、そのことにより、プランジャ420がキャビティ417を通って前進するにつれて変化する電気インピーダンスを発生させ、測定された電気インピーダンスは、外科用ハンドツールの細長いドリル部分の穿孔深さを示し得る。深さセンサ410は、スクリューとバンド412との係合に起因して測定された電気インピーダンスを示す1つ以上の信号を生成し、例えば、電気インピーダンスに基づいて穿孔深さを決定する処理のために、1つ以上の信号をコントローラ450に送信し得る。追加としてまたは代替として、深さセンサ410は、線形ポテンショメータ、レーザ距離センサ、赤外線距離センサ、超音波距離センサ、光検出測距(LiDAR)センサ、3D Time-of-Flightカメラ、線形磁気またはホール効果エンコーダ、リードスクリューなどの可逆線形アクチュエータ、または誘導線形位置センサのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0076】
さらに、アダプタ400は、後述するように、アダプタ400の電気部品に電力を供給するための装置(例えば、発電機またはバッテリ)、ならびに任意の好適な手段によって、有線または無線、例えば、Bluetoothを介して、コントローラ450と通信する通信インターフェースを含み得る。
図9A~
図9Dは、スリーブ402のキャビティ408内のコントローラ450を示すが、代替形態では、コントローラ150および/またはアダプタ400の他の電気部品のうちの1つ以上は、アダプタ400の本体から遠隔に位置してよい。例えば、部品の少なくともいくつかは、
図15に示すように、外部コンピューティングデバイス(例えば、デバイス300)によって担持され得る。
【0077】
以下にさらに詳細に説明するように、コントローラ450は、例えば、細長いドリル部分の穿孔深さの関数としての導電率の変化が1つ以上の所定の条件を満たすときに、外科用ハンドツールからの測定パラメータおよび/またはアダプタ400の深さセンサ410からの穿孔深さ測定値に基づいて、違反状態を検出するために1つ以上のアルゴリズムを実行し得る。次いで、コントローラ450は、プランジャ420に動作可能に結合されたブレーキ機構416に、違反状態の検出時に警告信号を送信し、そのことにより、違反状態の検出時にブレーキ機構416にプランジャ420をスリーブ402に対してロックさせることができる。例えば、ブレーキ機構416は、摩擦プレートおよびパッド、クランプジョー、または噛み合う歯のうちの少なくとも1つを介して、プランジャ420と係合され得る。細長いドリル部分がプランジャ420のルーメン422を通って前進するとき、外科用ハンドツールのストッパとプランジャ420の平坦部分426との係合が、プランジャ420に力を加えてばね418を圧縮するので、スリーブ402に対してプランジャ420がロックされ、ブレーキ機構416を介した違反の検出時にアダプタ400に対する外科用ハンドツールのさらなる前進が防止される。
【0078】
次に
図10を参照すると、アダプタ400と共に使用されるコントローラ450に含まれ得る部品が記載されている。コントローラ450は、アダプタ400および外科用ハンドツールに動作可能に結合され得、そのことにより、コントローラ450は、例えば、周囲組織および/または骨の電気インピーダンスに基づいて、外科用ハンドツールから導電率測定値を示す信号を受信し、深さセンサ410から穿孔深さ測定値を示す信号を受信し、それらの信号に基づいて、外科的穴あけ処置中の状態(例えば、違反)を検出し、プランジャ420をスリーブ402に対してロックすることで外科用ハンドツールのアダプタ400に対する前進を阻止するようにブレーキ機構416に命令し得る。コントローラ450は、アダプタ400内に完全に完全に配置され得、外科用ハンドツール内に完全に配置され得、またはアダプタ400および外科用ハンドツールの組み合わせもしくはその両方内に配置され得、またはアダプタ400および外科用ハンドツールの両方の外部に(例えば、外部コンピューティングデバイス300)内に配置され得る。コントローラ450は、1つ以上のプロセッサ452、通信回路454、電源456、ユーザインターフェース457、および/またはメモリ458を含み得る。
【0079】
メモリ158と同様に、メモリ458は、RAM、ROM、フラッシュ、もしくは他の既知のメモリ、またはそれらの何らかの組み合わせであり得、好ましくは、データが選択的に保存され得る記憶装置を含む。例えば、骨内への外科的穴あけ処置中に細長いドリル部分の違反または違反に近い状態を検出するためのアルゴリズムを実行するためのプログラム可能な命令が記憶され得る。1つ以上の電気部品および/または回路は、本明細書に記載する様々な部品の役割の一部または全てを実行し得る。別々に説明されているが、電気部品は、別々の構造要素である必要はないことを理解されたい。例えば、コントローラ450および通信回路454は、シングルチップに具現化されてもよい。また、コントローラ450はメモリを有するものとして説明されているが、メモリチップ(単数または複数)が別に設けられてもよい。
【0080】
コントローラ450は、プロセッサ452を組み込み得、プロセッサ452は、1つ以上のプロセッサで構成され得、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、または本明細書に記載する機能を実行するように設計されたそれらの任意の好適な組み合わせであり得る。コントローラはさらに、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0081】
コントローラ450は、メモリに記憶されたファームウェア/ソフトウェアと共に、例えば、Windows、Mac OS、Unix、またはSolaris5.10などのオペレーティングシステム(例えば、オペレーティングシステム472)を実行し得る。コントローラ450はまた、メモリに記憶されているソフトウェアアプリケーションを実行する。1つの非限定的な実施形態において、ソフトウェアは、例えば、Unix Kornシェルスクリプトを含む。他の実施形態では、ソフトウェアは、例えば、C++、PHP、またはJavaを含む、当業者に周知の任意の好適なプログラミング言語のプログラムであり得る。
【0082】
通信回路454は、コントローラ450が、アダプタ400の電子部品(例えば、発電機、深さセンサ410、電源、アラームシステム、およびブレーキ機構416)、および外科用ハンドツールの電子部品(例えば、電極、発電機、および/または電気的処理装置)と通信することを可能にする回路を含み得る。通信回路454は、当技術分野において周知の技術を使用して、インターネット、電話網、Bluetoothネットワーク、および/またはWiFiネットワークなどのネットワークを介した、有線および/または無線通信用に構成され得る。通信回路144は、Bluetoothチップおよび/またはWiFiチップなどの当技術分野で周知の通信チップであり得る。通信回路454は、コントローラ450が、脊椎の穴あけに関連する違反または違反に近い状態を示す信号などの情報を、ローカルにおよび/またはサーバなどの遠隔位置に転送することを可能にする。電源456は、アダプタ450および/または外科用ハンドツールの部品に電力を供給するように設計され得、上述の電源156と同様に構築され得る。
【0083】
ユーザインターフェース457は、ユーザから入力を受信し、および/またはユーザに出力を提供するために使用され得る。例えば、ユーザインターフェース457は、穴あけ処置中の違反または違反に近い状態の検出に関する情報、ならびに外科用ハンドツールの穿孔深さおよび/または角度測定値に関する情報をユーザに提供してもよい。ユーザインターフェース457は、オーディオ出力を選択的に増減させるための可聴デバイスおよび/または音量コントロールをさらに含み得る。ユーザインターフェース457は、タッチスクリーン、スイッチ、ダイヤル、ライト、LED、LEDマトリックス、他のLEDインジケータ、またはユーザから入力を受信し、および/もしくはユーザに出力を提供するための他の入出力装置を含み得る。他の実施形態では、ユーザインターフェース457は、アダプタ上に存在しなくてもよいが、代わりに、通信回路454を介してアダプタに通信可能に接続されるリモートの外部コンピューティングデバイス上に設けられる。ユーザインターフェース457はさらに、アダプタ上の要素とリモートコンピューティングデバイスとの組み合わせであり得る。
【0084】
非一時的コンピュータ可読媒体の一例であるメモリ158は、オペレーティングシステム(OS)172、アダプタ・インターフェースモジュール160、発電機インターフェースモジュール162、導電率感知モジュール164、深さ感知モジュール166、状態検出モジュール168、およびアラート生成モジュール170を記憶するために使用され得る。モジュールは、本開示に従う様々な動作を実行するためにプロセッサ152によって実行され得るコンピュータ実行可能命令の形態で提供される。例えば、Bourlionの米国特許第11,344,372号または米国特許出願第17/661,719号(それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、違反検出に関連するアルゴリズムを実行する命令が記憶され得る。さらに、穿孔深さ測定値の関数としての導電率に基づく、または穿孔測定値に基づく、違反検出に関連するアルゴリズムを実行するための命令が記憶され得る。
【0085】
発電機インターフェースモジュール460は、細長いドリル部分による解剖学的部分の穿孔中に、外科用ハンドツールの発電機に、外科用ハンドツールの第1の接触面および第2の接触面(例えば、電極)に1つ以上の電圧を印加させるために、プロセッサ452によって実行され得る。
【0086】
導電率感知モジュール462は、細長いドリル部分が解剖学的部分に穿孔するときに測定された導電率を示す外科用ハンドツールの電極からの1つ以上の信号を受信するために、プロセッサ452によって実行され得る。具体的には、導電率感知モジュール462は、印加電圧(単数または複数)によって誘導される測定電流(単数または複数)に基づいて、電気的特性(例えば、電圧、電流の強度、導電率または抵抗率)に関連する測定パラメータを決定することができる。したがって、導電率感知モジュール462は、例えば、細長いドリル部分が解剖学的部分に穿孔するときにリアルタイムで、細長いドリル部分の遠位先端を取り囲む組織および/または骨の電気インピーダンスに基づいて、導電率を測定することができる。
【0087】
深さ感知モジュール464は、アダプタ400の深さセンサ410からの1つ以上の信号を受信し、1つ以上の信号に基づいて解剖学的部分への細長いドリル部分の遠位端の穿孔深さを決定するために、プロセッサ452によって実行され得る。例えば、1つ以上の信号は、プランジャ420の1つ以上のスクリューとバンド412との係合の電気インピーダンスを示し得る。追加としてまたは代替として、1つ以上の信号は、アダプタ400に結合された、線形ポテンショメータ、レーザ距離センサ、赤外線距離センサ、超音波距離センサ、光検出測距(LiDAR)センサ、3D Time-of-Flightカメラ、線形磁気またはホール効果エンコーダ、リードスクリューなどの可逆線形アクチュエータ、または誘導線形位置センサのうちの少なくとも1つによって測定されるような深さを示し得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、メモリ458は、解剖学的部分の表面に対するアダプタ400の角度を測定するように構成されたアダプタ400の1つ以上の角度センサ(例えば、角度エンコーダ、加速度計、および/またはジャイロスコープ)から1つ以上の信号を受信するために、プロセッサ452によって実行され得る角度感知モジュールをさらに含み得る。角度感知モジュールは、角度センサから受信された1つ以上の信号に基づいて、解剖学的部分の表面に対するアダプタ400の角度を決定し得る。
【0089】
状態検出モジュール466は、導電率感知モジュール462によって測定された導電率および深さ感知モジュール464によって決定された外科用ハンドツールの細長いドリル部分の穿孔深さのうちの少なくとも一方を示す信号に基づいて、状態(例えば、外科的穴あけ処置中の違反)を検出するために、プロセッサ452によって実行され得る。具体的には、状態検出モジュール466は、例えば、細長いドリル部分が解剖学的部分に穿孔するにつれて、穿孔深さの関数としての導電率の変化が、違反状態を示す所定の条件を満たす時点を数学的に検出するために、記憶されている1つ以上のアルゴリズムを実行し得る。例えば、導電率測定値および/または穿孔深さ測定値を示す信号に基づいて、状態検出モジュール466は、孔を画定する皮質骨の内層への移行、または神経終末近傍の皮質骨の外層への移行などの違反を検出してもよい。目標は、信号の急激な変化が観察されたときにアダプタ400および穿孔されている解剖学的部分に対する細長いドリル部分の前進を阻止することであり得、1秒を超える遅延は、穴あけの終了時に違反を引き起こし得る。
【0090】
アラート生成モジュール468は、状態検出モジュール466が状態を検出したときに警告信号を生成し、警告信号に基づいて、例えば、アダプタ400、外科用ハンドツール、またはコントローラ450を担持する外部コンピューティングデバイスに動作可能に結合されたアラームシステムに警告(例えば、可聴警告、視覚警告、および/または触覚警告)を発生させるために、プロセッサ452によって実行され得る。例えば、アラート生成モジュール468は、アラームシステム(例えば、スピーカ)に、状態検出モジュール462によって検出された導電率の変化または深さ感知モジュール464によって決定された穿孔深さ測定値、またはその両方に基づいて変化し得る、周波数変調され、場合によっては強度変調された可聴警告信号を発生させることができる。
【0091】
ブレーキ機構インターフェースモジュール470は、アラート生成モジュール468によって生成された警告信号を受信し、アダプタ400のブレーキ機構416にプランジャ420をスリーブ402に対してロックさせ、そのことにより、アダプタ400および穿孔されている解剖学的部分に対する外科用ハンドツールの細長いドリル部分の前進を阻止するために、プロセッサ452によって実行され得る。例えば、プランジャ420がスリーブ402に対してロックされるので、プランジャ420の平坦部分426は、以下にさらに詳細に説明するように、外科用ハンドツールがプランジャ420のルーメン422およびスリーブ402のルーメン404を通ってさらに前進することを防止する。
【0092】
ここで
図11A~
図11Dを参照すると、アダプタ400が例示的な外科用ハンドツールと共に使用される様子が示されている。外科用ハンドツール20は、例えば、本出願の譲受人から市販されている、改良型ストレートPediGuard(登録商標)デバイスであり得る。
図11Aに示すように、外科用ハンドツール20は、ストッパ28を有するハンドル20と、細長いシャフト24およびドリル先端26を含む細長いドリル部分とを含み得る。ドリル先端26は、解剖学的部分(例えば、組織および/または骨)内への穿孔を容易にするために、直線状の先端を有し得る。
図11Aに示すように、ドリルビット26は、細長いシャフト24の外径よりも小さい外径を有し得る。上述したように、外科用ハンドツール20は、電圧を印加して電流を誘導するための2つ以上の電極と、ドリル先端26が解剖学的部分に穿孔するにつれて導電率を測定するための電気部品とを含み得、これらはハンドル22内に収容され得る。ハンドル22は、操作者(例えば、外科医)によって容易に把持され、手動で回転されるようなサイズおよび形状を有する。例えば、ハンドル22は、その長手方向軸に関して対称であり得る。
【0093】
アダプタ400は、スリーブ402の遠位端406が解剖学的部分の表面を圧迫し、ルーメン404が解剖学的表面の所望の刺入点と整列されるように、解剖学的部分に対して位置決めされ得る。
図11Bに示すように、ドリル先端26および細長いシャフト24は、プランジャ420のルーメン422およびスリーブ402のキャビティ417を通して挿入され得る。外科用ハンドツール20の細長いドリル部分が422およびキャビティ417を通ってさらに前進するにつれて、ドリル先端26はスリーブ402のルーメン404内に挿入される。いくつかの実施形態では、外科用ハンドツール20がアダプタ400を通って前進するにつれて、細長いシャフト24もルーメン404を通って挿入され得る。あるいは、細長いシャフト24は、外科用ハンドツール20が、細長いシャフト24の遠位端がキャビティ417の遠位端に接触する点を越えて前進することができないように、ルーメン404より大きい外径を有し得る。外科用ハンドツール20は、ストッパ28がプランジャ426の平坦部分426と係合するまでアダプタ20を通って前進し得、その時点で、アダプタ400を通る外科用ハンドツール20のさらなる前進は、ばね418を圧縮させ、プランジャ420をスリーブ402のキャビティ417内で遠位に前進させる。細長いシャフト24の長さに応じて、ドリル先端26は、ストッパ28が平坦部分426と係合する前に、遠位端406を越えて既に前進していてもよい。外科用ハンドツール20は、ドリル先端26が所望の解剖学的部分に穿孔するように、さらに前進および回転させてもよい。
【0094】
図11Cおよび
図11Dに示すように、ドリル先端26は、平坦部分426がスリーブ414の近位端414と係合するまで、遠位端406を越えて前進し得る。上述したように、外科用ハンドツール20によって測定された導電率および/またはアダプタ400による穿孔深さ測定値に基づいて、コントローラ450は、外科用ハンドツール20がアダプタ400を通って前進している間に違反状態を検出すると、ブレーキ機構416にプランジャ420をスリーブ402に対してロックさせ得る。したがって、外科用ハンドツール20はアダプタ400に対して依然として回転し得るが、ブレーキ機構416が作動すると、ドリル先端26の前進は停止される。
【0095】
ここで
図12A~
図12Dを参照すると、アダプタ400が別の例示的な外科用ハンドツールと共に使用される様子が示されている。外科用ハンドツール30は、例えば、本出願の譲受人から市販されている、カニューレ状PediGuard(登録商標)デバイスであり得る。
図12Aに示すように、外科用ハンドツール30は、ストッパ38を有するハンドル30と、細長いシャフト34およびドリル先端36を含む細長いドリル部分とを含み得る。ドリル先端36は、解剖学的部分(例えば、組織および/または骨)内への穿孔を容易にするために、ベベルまたはトロカールであり得る。細長いシャフト34は、挿入および取り外しを容易にするために、漸進的な直径を有し得る。例えば、細長いシャフト34は、骨内への前進を制御するために、目盛り付きシャフトを有し得る。上述したように、外科用ハンドツール30は、電圧を印加して電流を誘導するための2つ以上の電極と、ドリル先端36が解剖学的部分に穿孔するにつれて導電率を測定するための電気部品とを含み得、これらはハンドル32内に収容され得る。ハンドル32は、操作者(例えば、外科医)によって容易に把持され、手動で回転されるようなサイズおよび形状を有する。例えば、ハンドル32は、T字形を有してもよい。
【0096】
外科用ハンドツール20と同様に、ルーメン404が解剖学的表面の所望の刺入点と整列されるようにアダプタ400の遠位端406が解剖学的部分に対して位置決めされ、外科用ハンドツール30は、アダプタ400を通して挿入され得る。例えば、外科用ハンドツール30のドリル先端36および細長いシャフト34は、
図12Bに示すように、ストッパ38が平坦部分426と係合するまで、プランジャ420のルーメン422ならびにスリーブ402のキャビティ417およびルーメン404を通って遠位に前進し得る。細長いシャフト34の長さに応じて、ドリル先端36は、遠位端406を越えて既に前進していてもよい。アダプタ400を通る外科用ハンドツール30のさらなる前進は、スリーブ402の近位端414とプランジャ420の平坦部分426との係合が、スリーブ402に対するプランジャ420、ひいては、外科用ハンドツール30のさらなる前進を防止するまで、ばね418を圧縮させ、プランジャ420をキャビティ417内で遠位に前進させる。
【0097】
上述したように、外科用ハンドツール30によって測定された導電率および/またはアダプタ400による穿孔深さ測定値に基づいて、コントローラ450は、外科用ハンドツール30がアダプタ400を通って前進している間に(例えば、
図12Cおよび
図12Dに示すように、スリーブ402の近位端414がプランジャ420の平坦部分426と係合する前に)違反状態を検出すると、ブレーキ機構416にプランジャ420をスリーブ402に対してロックさせ得る。したがって、外科用ハンドツール30はアダプタ400に対して依然として回転し得るが、ブレーキ機構416が作動すると、ドリル先端36の前進は停止される。
【0098】
ここで
図13A~
図13Dを参照すると、アダプタ400が別の例示的な外科用ハンドツールと共に使用される様子が示されている。外科用ハンドツール40は、例えば、本出願の譲受人から市販されている、ねじ式PediGuard(登録商標)デバイスであり得る。
図13Aに示すように、外科用ハンドツール40は、アクチュエータ43を介して、細長いシャフト44およびドリル先端46を含む細長いドリル部分に動作可能に結合されたハンドル40を含み得る。細長いシャフト44は、ストッパ48を含み得る。ドリル先端46は、解剖学的部分(例えば、組織および/または骨)への穿孔を容易にするために、ねじ表面を有し得る。
図13Aに示すように、ストッパ48は、細長いシャフト44上に、例えば、細長いシャフト44の外径がハンドル42に向かう方向に増加する点に、形成され得る。
【0099】
上述したように、外科用ハンドツール40は、電圧を印加して電流を誘導するための2つ以上の電極と、ドリル先端46が解剖学的部分に穿孔するにつれて導電率を測定するための電気部品とを含み得、これらはハンドル42内に収容され得る。ハンドル42は、操作者(例えば、外科医)によって容易に把持され、手動で回転されるようなサイズおよび形状を有する。例えば、ハンドル42は、T字形を有してもよい。アクチュエータ43は、ハンドル42の第1の方向への回転が細長いドリル部分を第1の方向に回転させるが、ハンドル42の反対方向への回転が細長いドリル部分を回転させないロック解除状態と、ハンドル42の第1の方向への回転が細長いドリル部分を第1の方向に回転させ、ハンドル42の反対方向への回転が細長いドリル部分を反対方向へ回転させるロック状態との間で作動され得る。
【0100】
外科用ハンドツール20、30と同様に、ルーメン404が解剖学的表面の所望の刺入点と整列されるようにアダプタ400の遠位端406が解剖学的部分に対して位置決めされ、外科用ハンドツール40は、アダプタ400を通して挿入され得る。例えば、外科用ハンドツール40のドリル先端46および細長いシャフト44は、
図13Bに示すように、ストッパ48が平坦部分426と係合するまで、プランジャ420のルーメン422ならびにスリーブ402のキャビティ417およびルーメン404を通って遠位に前進し得る。細長いシャフト44の長さに応じて、ドリル先端46は、遠位端406を越えて既に前進していてもよい。アダプタ400を通る外科用ハンドツール40のさらなる前進は、スリーブ402の近位端414とプランジャ420の平坦部分426との係合が、スリーブ402に対するプランジャ420、ひいては、外科用ハンドツール40のさらなる前進を防止するまで、ばね418を圧縮させ、プランジャ420をキャビティ417内で遠位に前進させる。
【0101】
上述したように、外科用ハンドツール40によって測定された導電率および/またはアダプタ400による穿孔深さ測定値に基づいて、コントローラ450は、外科用ハンドツール40がアダプタ400を通って前進している間に(例えば、
図13Cおよび
図13Dに示すように、スリーブ402の近位端414がプランジャ420の平坦部分426と係合する前に)違反状態を検出すると、ブレーキ機構416にプランジャ420をスリーブ402に対してロックさせ得る。したがって、外科用ハンドツール40はアダプタ400に対して依然として回転し得るが、ブレーキ機構416が作動すると、ドリル先端46の前進は停止される。
【0102】
ここで
図14A~
図14Dを参照すると、アダプタ400が別の例示的な外科用ハンドツールと共に使用される様子が示されている。外科用ハンドツール50は、例えば、本出願の譲受人から市販されているDSG(登録商標)スマートねじ装置であり得る。
図14Aに示すように、外科用ハンドツール50は、アクチュエータ53を介して内側の細長いシャフト57に動作可能に結合されたハンドル50と、内側の細長いシャフト57の少なくとも一部の上に回転可能に配置された外側の細長いシャフト54とを含み得る。外側の細長いシャフト54の近位端は、ストッパ58を含み得、外側の細長いシャフト54の遠位端は、接続部55(例えば、ねじ接続部)を介して、埋込型ドリル先端56に取り外し可能に結合され得る。ハンドル52は、操作者(例えば、外科医)によって容易に把持され、手動で回転されるようなサイズおよび形状を有する。例えば、ハンドル52は、T字形を有してもよい。アクチュエータ53は、ハンドル52の第1の方向への回転が内側の細長いシャフト57、ひいては外側の細長いシャフト54およびドリル先端56を第1の方向へ回転させるが、ハンドル52の反対方向への回転が内側の細長いシャフト57を回転させないロック解除状態と、ハンドル52の第1の方向への回転が内側の細長いシャフト57、ひいては外側の細長いシャフト54およびドリル先端56を第1の方向へ回転させ、ハンドル52の反対方向への回転が内側の細長いシャフト57、ひいては外側の細長いシャフト54およびドリル先端56を反対方向へ回転させるロック状態との間で作動され得る。ストッパ58は、外側の細長いシャフト54のねじ山付き遠位端をドリル先端56のねじ接続部55に係合させるか、または係合解除させるように、作動され、例えば、内側の細長いシャフト57に対して回転され得る。
【0103】
上述したように、外科用ハンドツール50は、電圧を印加して電流を誘導するための2つ以上の電極と、ドリル先端56が解剖学的部分に穿孔するにつれて導電率を測定するための電気部品とを含み得、これらはハンドル52内に収容され得る。ドリル先端56は、解剖学的部分(例えば、組織および/または骨)内への穿孔を容易にするために、ねじ表面を有し得、導電率を測定するための電気部品(例えば、1つ以上の電極)の少なくともいくつかをさらに含み得る。したがって、ドリル先端56は、外科用ハンドツール50の電気部品に電気的に結合され得、そのことにより、ドリル先端56は、それらの間で信号を送信し得る。
【0104】
外科用ハンドツール20、30、40と同様に、ルーメン404が解剖学的表面の所望の刺入点と整列されるようにアダプタ400の遠位端406が解剖学的部分に対して位置決めされ、外科用ハンドツール50は、アダプタ400を通して挿入され得る。例えば、外科用ハンドツール50のドリル先端56、外側の細長いシャフト54および内側の細長いシャフト57は、
図14Bに示すように、ストッパ58が平坦部分426と係合するまで、プランジャ420のルーメン422ならびにスリーブ402のキャビティ417およびルーメン404を通って遠位に前進し得る。外側の細長いシャフト54および内側の細長いシャフト57の長さに応じて、ドリル先端56は、遠位端406を越えて既に前進していてもよい。アダプタ400を通る外科用ハンドツール50のさらなる前進は、スリーブ402の近位端414とプランジャ420の平坦部分426との係合が、スリーブ402に対するプランジャ420、ひいては、外科用ハンドツール50のさらなる前進を防止するまで、ばね418を圧縮させ、プランジャ420をキャビティ417内で遠位に前進させる。
【0105】
上述したように、外科用ハンドツール50によって測定された導電率および/またはアダプタ400による穿孔深さ測定値に基づいて、コントローラ450は、外科用ハンドツール50がアダプタ400を通って前進している間に(例えば、
図14Cおよび
図14Dに示すように、スリーブ402の近位端414がプランジャ420の平坦部分426と係合する前に)違反状態を検出すると、ブレーキ機構416にプランジャ420をスリーブ402に対してロックさせ得る。したがって、外科用ハンドツール50はアダプタ400に対して依然として回転し得るが、ブレーキ機構416が作動すると、ドリル先端56の前進は停止される。
【0106】
ここで
図15を参照すると、いくつかの代替形態では、アダプタ400および/または外科用ハンドツールは、外部コンピューティングデバイス(例えば、外部コンピューティングデバイス300)に動作可能に結合され得る。例えば、コントローラ450は、アダプタ400および/または外科用ハンドツール内ではなく、外部コンピューティングデバイス300内に配置されてもよい。したがって、コントローラ450は、有線接続(例えば、1つ以上のケーブル)、または無線接続(例えば、Bluetooth接続)を介してアダプタ400および/または外科用ハンドツールの電子部品に動作可能に結合され得る。さらに、電源456は、アダプタ400および/または外科用ハンドツールの電子部品に電力を供給するために、外部コンピューティングデバイス300内に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、外部コンピューティングデバイス300は、上述したように、外科用ハンドツールの穿孔の深さの関数としての測定された導電率に関する情報、穿孔深さ測定値、角度測定値、および/または状態が検出された場合の視覚的警告メッセージを表示するための表示画面を含み得る。
【0107】
ここで
図16を参照すると、いくつかの代替形態では、アダプタ400は、解剖学的構造の所望の刺入点においてアダプタ400を自動的に制御および/または位置決めするように構成される、ロボットアーム500と一体化され得る。例えば、ロボットアーム500は、所定の外科的処置のための外科用ハンドツールの刺入点および/または軌道を決定するようにプログラムされてもよい。追加としてまたは代替として、ロボットアーム500は、ロボットアーム500に動作可能に結合されたマスターコンソールを介して遠隔操作されてもよく、そのことにより、ロボットアーム500は、マスターコンソールの動きを再現する。ロボットアーム500は、例えば、米国特許第11,344,372号または米国特許出願第17/661,719号(それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように構成され得る。追加としてまたは代替として、ロボットアーム500は、当業者の技術の範囲内の方法で構成された別のロボットアームであってもよい。
図16に示すように、ロボットアーム500の遠位端は、アダプタ400に結合されるように構成された係合部分502を含み得る。例えば、アダプタ400は、係合部分502と一体化され、係合部分502に埋め込まれ、または係合部分502に取り外し可能に結合されてもよい。したがって、外科用ハンドツール(例えば、外科用ハンドツール50)は、本明細書に記載される本開示の原理に従って、違反の検出時にアダプタ400が外科用ハンドツールをアダプタ400に対して自動ロックし得るように、上述したようにアダプタ400内に挿入され得る。
【0108】
本発明の様々な例示的な実施形態が上述されているが、本発明から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得ることが当業者には明らかであろう。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内にあるこのような変更および修正の全てを網羅することを意図するものである。
【国際調査報告】