(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】調節可能な放出プロファイルを有する植込み型デポー
(51)【国際特許分類】
A61K 9/22 20060101AFI20241008BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20241008BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/59 20170101ALI20241008BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20241008BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20241008BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20241008BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61K9/22
A61P25/04
A61K31/445
A61K9/24
A61K47/26
A61K47/59
A61L31/16
A61L31/06
A61L31/12
A61L31/14 500
A61L31/14 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519035
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2022077351
(87)【国際公開番号】W WO2023056422
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520119079
【氏名又は名称】ファウンドリー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック, ジャッキー ジョー
(72)【発明者】
【氏名】シート, ダニエル ブーン リム
(72)【発明者】
【氏名】リー, シンシア アール.
(72)【発明者】
【氏名】テウ, クーン キアト
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ, グレッグ エム.
(72)【発明者】
【氏名】リム, ミン シュー
(72)【発明者】
【氏名】ング, アリシア ムイ シェン
(72)【発明者】
【氏名】ルアン, パトリック エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】シン, ムクティアール
(72)【発明者】
【氏名】スー, ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】タイ, メイ イー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076AA40
4C076BB32
4C076CC01
4C076DD08
4C076DD46
4C076EE24A
4C076FF32
4C081AC16
4C081BA16
4C081BB06
4C081CA171
4C081CE02
4C081CE11
4C081DB03
4C081DC04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA65
4C086NA12
4C086ZA08
4C086ZA20
(57)【要約】
治療剤を送達するための植込み型デポー、ならびに関連システムおよび方法が提供される。一部の実施形態では、外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための植込み型デポーは、第1のポリマーおよび鎮痛剤を有する治療薬領域、第2のポリマーを含む第1の制御領域、ならびに第3のポリマーを含む第2の制御領域を含む。第1および第2の制御領域は、治療薬領域の第1および第2の表面を覆って、その表面からの鎮痛剤の放出を阻害することができる。デポーは、第1および第2の制御領域ならびに治療薬領域にわたって伸びて1つまたは複数の曝露された部分を形成する、1つまたは複数の孔を含むことができる。植込み型デポーは、対象に植え込まれた場合、第1の表面と第2の表面との間の治療薬領域の外側面から、および治療薬領域の曝露された部分から、鎮痛剤を放出することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための植込み型デポーであって、前記植込み型デポーが、
第1の表面、前記第1の表面とは反対の第2の表面、および前記第1の表面と前記第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域であって、第1のポリマーおよび鎮痛剤を含む治療薬領域と、
前記治療薬領域の前記第1の表面を覆って、前記第1の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する第1の制御領域であって、第2のポリマーを含む前記第1の制御領域と、
前記治療薬領域の前記第2の表面を覆って、前記第2の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域であって、第3のポリマーを含む前記第2の制御領域と、
前記第1および第2の制御領域ならびに前記治療薬領域にわたって伸びて、前記外側面から間隔を空けられた前記治療薬領域の1つまたは複数の曝露された部分を形成する、1つまたは複数の孔と
を含み、
前記植込み型デポーが、前記対象に植え込まれた場合、前記治療薬領域の前記外側面および前記1つまたは複数の曝露された部分から前記鎮痛剤を放出するように構成されている、
植込み型デポー。
【請求項2】
前記1つまたは複数の孔が、前記治療剤の最大移動距離が5mm以下になるように構成されている、請求項1に記載の植込み型デポー。
【請求項3】
三角形の形状を有する、請求項1または請求項2に記載の植込み型デポー。
【請求項4】
複数の孔を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項5】
4個の孔を含む、請求項4に記載の植込み型デポー。
【請求項6】
前記4個の孔が、
前記植込み型デポーの中心またはその近傍に設置された中心の孔、および
前記中心の孔から間隔を空けられた3個の周囲の孔
を含む、請求項5に記載の植込み型デポー。
【請求項7】
前記1つまたは複数の孔の少なくとも一部が、異なるサイズを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項8】
前記1つまたは複数の孔の少なくとも一部が、異なる形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項9】
前記1つまたは複数の孔が、それぞれ、同じサイズおよび形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項10】
単一の孔を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項11】
前記1つまたは複数の孔の少なくとも一部が、円形の形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項12】
前記孔の少なくとも一部が、1mm~5mmの範囲内の幅を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項13】
1.8mm~2.2mmの範囲内の全厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項14】
前記治療薬領域が、第1の厚さを有しており、前記第1および第2の制御領域が、合わせると、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項15】
前記第1の厚さが、前記植込み型デポーの全厚さの少なくとも95%である、請求項14に記載の植込み型デポー。
【請求項16】
前記第2の厚さが、前記植込み型デポーの全厚さの5%以下である、請求項14または請求項15に記載の植込み型デポー。
【請求項17】
前記第1の厚さに対する前記第2の厚さの比が、1/35以下である、請求項14~16のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項18】
前記第1の厚さが、1.75mm~2.25mmの範囲内であり、前記第2の厚さが、40μm~60μmの範囲内である、請求項14~17のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項19】
前記治療薬領域が、第1の体積を有しており、前記第1および第2の制御領域が、合わせると、前記第1の体積よりも小さい第2の体積を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項20】
前記第1の体積が、前記植込み型デポーの総体積の少なくとも95%である、請求項19に記載の植込み型デポー。
【請求項21】
前記第2の体積が、前記植込み型デポーの総体積の5%以下である、請求項19または請求項20に記載の植込み型デポー。
【請求項22】
前記第1の体積が、少なくとも850mm
3であり、前記第2の体積が、25mm
3以下である、請求項19~21のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項23】
前記植込み型デポーが、少なくとも3つの側面を含み、各側面の長さが、25mm~35mmの範囲内である、請求項1~22のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項24】
前記鎮痛剤が、前記デポーの全質量の少なくとも60%を構成する、請求項1~23のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項25】
前記鎮痛剤が、前記治療薬領域の全質量の少なくとも60%を構成する、請求項1~24のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項26】
前記植込み型デポーにおける前記鎮痛剤の全質量が、540mg~660mgの範囲内である、請求項1~25のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項27】
前記鎮痛剤が、ブピバカインまたはロピバカインを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項28】
前記第1、第2、および第3のポリマーが、合わせると、前記デポーの全質量の35%以下を構成する、請求項1~27のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項29】
前記第1のポリマーが、前記治療剤の全質量の35%以下を構成する、請求項1~28のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項30】
前記第2のポリマーが、前記第1の制御領域の全質量の少なくとも95%を構成し、前記第3のポリマーが、前記第2の制御領域の全質量の少なくとも95%を構成する、請求項1~29のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項31】
前記植込み型デポーにおける前記第1、第2、および第3のポリマーの全質量が、300mg~350mgの範囲内である、請求項1~30のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項32】
前記第1、第2、および第3のポリマーが、同じポリマーである、請求項1~31のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項33】
前記第1、第2、および第3のポリマーが、生体再吸収性ポリマーである、請求項1~32のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項34】
前記第1、第2、または第3のポリマーの1つまたは複数が、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)である、請求項1~33のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項35】
前記鎮痛剤および前記第1のポリマーが、前記治療薬領域内の個別の相である、請求項1~34のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項36】
前記治療薬領域が、放出剤を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項37】
前記放出剤が、前記植込み型デポーの全質量の5%以下を構成する、請求項36に記載の植込み型デポー。
【請求項38】
前記放出剤が、前記治療薬領域の全質量の5%以下を構成する、請求項36または請求項37に記載の植込み型デポー。
【請求項39】
前記植込み型デポーにおける前記放出剤の全質量が、20mg~40mgの範囲内である、請求項36~38のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項40】
前記放出剤が、ポリソルベートである、請求項36~39のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項41】
in vivoで植え込まれた場合、少なくとも7日、14日、21日、または30日間の期間にわたって前記鎮痛剤を継続的に放出するように構成されている、請求項1~40のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項42】
前記植込み型デポーが、前記鎮痛剤を、第1の期間にわたって第1の速度で放出し、第2の期間にわたって第2の速度で放出するように構成されており、前記第1の速度が前記第2の速度よりも大きい、請求項1~41のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項43】
植込み後、最初の72時間にわたって前記鎮痛剤の20%までを放出するように構成されている、請求項1~42のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項44】
植込み後、最初の7日間にわたって前記鎮痛剤の50%までを放出するように構成されている、請求項1~43のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項45】
植込み後、最初の14日間にわたって前記鎮痛剤の少なくとも70%を放出するように構成されている、請求項1~44のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項46】
外科手術手技後の対象の疼痛を処置するためのシステムであって、請求項1~45のいずれか一項に記載の植込み型デポーの1つまたは複数を含む、システム。
【請求項47】
複数の植込み型デポーを含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
3個の植込み型デポーを含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
単一の植込み型デポーを含む、請求項46に記載のシステム。
【請求項50】
前記1つまたは複数の植込み型デポーが、in vivoで植え込まれた場合、5ng/ml、10ng ml、15ng/ml、20mg/ml、25ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、110ng/ml、120ng/ml、130ng/ml、140ng/ml、150ng/ml、160ng/ml、170ng/ml、180ng/ml、190ng/ml、200ng/ml、210ng/ml、220ng/ml、230ng/ml、240ng/ml、250ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/ml、600ng/ml、700ng/ml、800ng/ml、900ng/ml、または1000ng/mlに等しいかまたはそれよりも大きい前記鎮痛剤の平均血漿濃度を生じる、請求項46~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記平均血漿濃度が、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間の期間にわたって維持される、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記1つまたは複数の植込み型デポーが、in vivoで植え込まれた場合、1000ng/ml、900ng/ml、800ng/ml、700ng/ml、600ng/ml、500ng/ml、400ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、または50ng/mlに等しいかまたはそれよりも小さい前記鎮痛剤の平均C
maxを生じる、請求項46~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記1つまたは複数の植込み型デポーが、in vivoで植え込まれた場合、少なくとも500日-ng/ml、1000日-ng/ml、1500日-ng/ml、2000日-ng/ml、2500日-ng/ml、3000日-ng/ml、3500日-ng/ml、4000日-ng/ml、4500日-ng/ml、5000日-ng/ml、5500日-ng/ml、6000日-ng/ml、6500日-ng/ml、7000日-ng/ml、7500日-ng/ml、または8000日-ng/mlの前記鎮痛剤の平均AUC
0~14dを生じる、請求項46~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための方法であって、請求項46~53のいずれか一項に記載のシステムを前記対象内に置くことを含む、方法。
【請求項55】
外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための方法であって、前記方法が、
1つまたは複数のデポーを前記対象内に置くことを含み、各デポーが、
第1の表面、前記第1の表面とは反対の第2の表面、および前記第1の表面と前記第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域であって、第1のポリマーおよび鎮痛剤を含む治療薬領域と、
前記治療薬領域の前記第1の表面を覆って、前記第1の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する第1の制御領域であって、第2のポリマーを含む第1の制御領域と、
前記治療薬領域の前記第2の表面を覆って、前記第2の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域であって、第3のポリマーを含む第2の制御領域と、
前記第1および第2の制御領域ならびに前記治療薬領域にわたって伸びて、前記外側面から間隔を空けられた前記治療薬領域の1つまたは複数の曝露された部分を形成する、1つまたは複数の孔と
を含み、
各デポーが、前記治療薬領域の前記外側面および前記1つまたは複数の曝露された部分から前記鎮痛剤を放出するように構成されている、
方法。
【請求項56】
前記1つまたは複数のデポーが、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のデポーを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
各デポーにおける前記鎮痛剤の質量が、540mg~660mgの範囲内である、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
各デポーにおける前記鎮痛剤の質量が、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、または1800mgに等しいかまたはそれよりも大きい、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
各デポーが、in vivoで植え込まれた場合、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間の期間にわたって前記鎮痛剤を継続的に放出する、請求項55~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記1つまたは複数のデポーが、in vivoで植え込まれた場合、5ng/ml、10ng ml、15ng/ml、20mg/ml、25ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、110ng/ml、120ng/ml、130ng/ml、140ng/ml、150ng/ml、160ng/ml、170ng/ml、180ng/ml、190ng/ml、200ng/ml、210ng/ml、220ng/ml、230ng/ml、240ng/ml、250ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/ml、600ng/ml、700ng/ml、800ng/ml、900ng/ml、または1000ng/mlに等しいかまたはそれよりも大きい前記鎮痛剤の平均血漿濃度を生じる、請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記平均血漿濃度が、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間の期間にわたって維持される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記1つまたは複数のデポーが、in vivoで植え込まれた場合、1000ng/ml、900ng/ml、800ng/ml、700ng/ml、600ng/ml、500ng/ml、400ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、または50ng/mlに等しいかまたはそれよりも小さい前記鎮痛剤の平均C
maxを生じる、請求項55~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記1つまたは複数のデポーが、in vivoで植え込まれた場合、少なくとも500日-ng/ml、1000日-ng/ml、1500日-ng/ml、2000日-ng/ml、2500日-ng/ml、3000日-ng/ml、3500日-ng/ml、4000日-ng/ml、4500日-ng/ml、5000日-ng/ml、5500日-ng/ml、6000日-ng/ml、6500日-ng/ml、7000日-ng/ml、7500日-ng/ml、または8000日-ng/mlの前記鎮痛剤の平均AUC
0~14dを生じる、請求項55~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均NRSスコアが、前記1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の平均NRSスコアと比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する、請求項55~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記処置集団の前記平均NRSスコアおよび前記対照集団の前記平均NRSスコアが、前記外科手術手技の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後に評価される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%が、前記外科手術手技後のある時点で痛みがなくなる、請求項55~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記時点が、前記外科手術手技の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均NRS AUCが、前記1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の平均NRS AUCと比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する、請求項55~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記処置集団の前記平均NRS AUCおよび前記対照集団の前記平均NRS AUCが、前記外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間の期間にわたって評価される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%が、前記外科手術手技後のある期間にわたってオピオイドを用いていない、請求項55~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記期間が、前記外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均全オピオイド消費量が、前記1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の平均全オピオイド消費量と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する、請求項55~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記処置集団の前記平均全オピオイド消費量および前記対照集団の前記平均全オピオイド消費量が、前記外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間の期間にわたって評価される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均全オピオイド消費量が、600モルヒネミリグラム当量(MME)、550MME、500MME、450MME、400MME、350MME、300MME、250MME、200MME、150MME、100MME、または50MME以下である、請求項55~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記処置集団の前記平均全オピオイド消費量が、前記外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間の期間にわたって評価される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の初めてのオピオイド消費までの平均時間が、前記1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の初めてのオピオイド消費までの平均時間と比較して、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、96時間、5日間、6日間、または7日間遅延する、請求項55~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記外科手術手技が、人工膝関節全置換術(TKA)、人工肩関節全置換術、人工股関節全置換術、鼠径ヘルニア修復術、バニオン切除術、乳房形成術、または腹壁形成術である、請求項55~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
対象の疼痛を処置するための植込み型デポーであって、前記植込み型デポーが、
第1の表面、前記第1の表面とは反対の第2の表面、および前記第1の表面と前記第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域であって、前記治療薬領域がポリマーおよび鎮痛剤を含み、前記鎮痛剤の少なくとも一部が遊離塩基形態で存在する、治療薬領域
を含み、
前記植込み型デポーが、前記対象に植え込まれた場合、前記治療薬領域の少なくとも前記外側面から、少なくとも3日間の放出期間にわたって前記鎮痛剤を放出するように構成されている、
植込み型デポー。
【請求項79】
前記鎮痛剤が、ブピバカインを含み、前記遊離塩基形態が、ブピバカイン遊離塩基を含む、請求項78に記載の植込み型デポー。
【請求項80】
前記鎮痛剤の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%が、前記遊離塩基形態で存在する、請求項78または79に記載の植込み型デポー。
【請求項81】
前記鎮痛剤の100%が、前記遊離塩基形態で存在する、請求項78~80のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項82】
前記鎮痛剤の少なくとも一部が、塩形態で存在する、請求項78~80のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項83】
前記鎮痛剤が、ブピバカインを含み、前記塩形態が、ブピバカイン塩酸塩を含む、請求項82に記載の植込み型デポー。
【請求項84】
前記塩形態の前記遊離塩基形態に対する質量による比が、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1に等しいかまたはそれよりも大きい、請求項82または83に記載の植込み型デポー。
【請求項85】
前記治療薬領域が、放出剤を含む、請求項78~84のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項86】
前記放出剤が、ポリソルベートである、請求項85に記載の植込み型デポー。
【請求項87】
前記ポリマーが、第1のポリマーであり、前記デポーが、前記治療薬領域の前記第1の表面を覆って、前記第1の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する制御領域をさらに含み、前記制御領域が、前記第1のポリマーと同じかまたは異なる第2のポリマーを含む、請求項78~86のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項88】
前記制御領域が第1の制御領域であり、前記植込み型デポーが、前記治療薬領域の前記第2の表面を覆って、前記第2の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域をさらに含み、前記第2の制御領域が、前記第1のポリマーおよび前記第2のポリマーの一方または両方と同じかまたは異なる第3のポリマーを含む、請求項87に記載の植込み型デポー。
【請求項89】
前記第1、第2、および第3のポリマーが、同じポリマーである、請求項88に記載の植込み型デポー。
【請求項90】
前記第1、第2、または第3のポリマーの1つまたは複数が、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)である、請求項88または89に記載の植込み型デポー。
【請求項91】
前記放出期間が、少なくとも14日、21日、28日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、110日、または120日間である、請求項78~90のいずれか一項に記載の植込み型デポー。
【請求項92】
対象の疼痛を処置するためのシステムであって、請求項78~91のいずれか一項に記載の植込み型デポーの1つまたは複数を含む、システム。
【請求項93】
疼痛を処置するための方法であって、
デポーを対象に植え込むことであって、ここで前記デポーは、第1の表面、前記第1の表面とは反対の第2の表面、および前記第1の表面と前記第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域を含み、前記治療薬領域は、第1のポリマーおよび鎮痛剤を含み、前記鎮痛剤の少なくとも一部は、遊離塩基形態で存在する、ことと、
前記治療剤の少なくとも前記外側面から、少なくとも3日間の放出期間にわたって前記鎮痛剤を放出することと
を含む、方法。
【請求項94】
前記疼痛が、外科手術手技と関連する術後疼痛を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記外科手術手技が、膝の外科手術、股関節の外科手術、肩の外科手術、ヘルニア修復外科手術、バニオン切除術、乳房の外科手術、腹部の外科手術、脊椎の外科手術、または痔核切除術を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記鎮痛剤が、ブピバカインを含み、前記遊離塩基形態が、ブピバカイン遊離塩基を含む、請求項93~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記鎮痛剤の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%が、前記遊離塩基形態で存在する、請求項93~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記鎮痛剤の100%が、前記遊離塩基形態で存在する、請求項93~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記鎮痛剤の少なくとも一部が、塩形態で存在する、請求項93~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記鎮痛剤が、ブピバカインを含み、前記塩形態が、ブピバカイン塩酸塩を含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記塩形態の前記遊離塩基形態に対する質量による比が、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1に等しいかまたはそれよりも大きい、請求項99または100に記載の方法。
【請求項102】
前記治療薬領域が、放出剤を含む、請求項93~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記デポーが、前記治療薬領域の前記第1の表面を覆って、前記第1の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する制御領域を含み、前記制御領域が第2のポリマーを含む、請求項93~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記制御領域が第1の制御領域であり、前記デポーが、前記治療薬領域の前記第2の表面を覆って、前記第2の表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域をさらに含み、前記第2の制御領域が第3のポリマーを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記第1、第2、および第3のポリマーが、同じポリマーである、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記放出期間が、少なくとも14日、21日、28日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、110日、または120日間である、請求項93~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
対象の疼痛を処置するための植込み型デポーであって、前記植込み型デポーが、
外表面を有する治療薬領域であって、前記治療薬領域が第1のポリマーおよび鎮痛剤を含み、前記鎮痛剤の少なくとも一部が遊離塩基形態で存在する、治療薬領域と、
前記治療薬領域の表面の少なくとも一部分を覆って、前記表面からの前記鎮痛剤の放出を阻害する制御領域であって、前記第1のポリマーと同じまたは異なる第2のポリマーを含む、制御領域と
を含み、
前記植込み型デポーが、前記対象に植え込まれた場合、前記治療薬領域の少なくとも前記表面から少なくとも3日間の放出期間にわたって前記鎮痛剤を放出するように構成されている、
植込み型デポー。
【請求項108】
前記デポーが、前記治療薬領域の一部分が前記制御領域を通して曝露されるように、前記デポーの厚さの少なくとも一部分にわたって伸びている開口を含み、前記植込み型デポーが、前記対象に植え込まれた場合、前記開口を通して前記鎮痛剤を放出するように構成されている、請求項107に記載の植込み型デポー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月30日出願の米国仮出願第63/261,921号および2022年8月25日出願の米国仮出願第63/373,510号に基づく優先権の利益を主張するものであり、これらの仮出願はそれぞれその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明の技術は、一般に、植込み型デポー(implantable depots:徐放性製剤)に関し、特に、治療剤を送達するための植込み型デポーならびに関連システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
治療剤の制御放出のための植込み型システムは、他の薬物送達方法、例えば、経口または非経口方法を上回る利点をもたらす。生体適合性および/または生分解性ポリマーならびに治療剤から作製されたデバイスは、臨床的に望ましい解剖学的場所に植え込まれ、それによって、選択された薬剤の局所的送達をもたらすことができる。この局所的送達は、かなりの割合の薬剤が意図された標的に到達できるようにし、望ましくない全身性副作用を回避することができる。しかし、これらのシステムは、多くの場合、典型的には周囲の生理学的流体と接触すると治療剤をバースト放出し、これに残りの薬剤放出が続くという点で、真の制御放出機序を欠くという欠点がある。
【0004】
治療剤の制御された持続放出は、ある特定の環境では臨床的な利益になり得る。特に、経時的に制御された持続放出のために、大用量の治療剤を保持する生分解性担体を植え込むことが望ましいことがある。このことは、治療剤をローディングされた担体が、介入または外科手術手技と共に、必要に応じて植込み型医療デバイスの横にまたはその一部として植え込まれた場合、特に価値を有することができる。したがって、治療剤の高度に制御された放出をもたらすことができる生体適合性の植込み型システムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の多くの態様は、以下の図を参照することでより良く理解され得る。図中の構成成分は、必ずしも縮尺を示すものではない。その代わり、本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された植込み型デポーの部分的な概略図である。
【0007】
【
図1B】
図1Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された別の植込み型デポーの部分的な概略図である。
【0008】
【
図1C】
図1Cは、本発明の技術の実施形態に従って構成されたさらに別の植込み型デポーの部分的な概略図である。
【0009】
【
図2A】
図2Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された長方形デポーの上面図である。
【0010】
【0011】
【
図3A】
図3Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有する三角形デポーの上面図である。
【0012】
【0013】
【
図4A】
図4Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有する三角形デポーの上面図である。
【0014】
【0015】
【
図4C】
図4Cは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有する別の三角形デポーの上面図である。
【0016】
【
図4D】
図4Dは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有するさらに別の三角形デポーの上面図である。
【0017】
【
図4E】
図4Eは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有する三角形デポーの上面図である。
【0018】
【
図4F】
図4Fは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有する別の三角形デポーの上面図である。
【0019】
【
図4G】
図4Gは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有する三角形デポーの上面図である。
【0020】
【
図4H】
図4Hは、本発明の技術の実施形態に従って構成された孔を有するさらに別の三角形デポーの上面図である。
【0021】
【
図5A】
図5Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された矢じり形の形状のデポーの上面図である。
【0022】
【
図5B】
図5Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された菱形の形状のデポーの上面図である。
【0023】
【
図5C】
図5Cは、本発明の技術の実施形態に従って構成された長方形デポーの上面図である。
【0024】
【
図5D】
図5Dは、本発明の技術の実施形態に従って構成された十字形のデポーの上面図である。
【0025】
【
図5E】
図5Eは、本発明の技術の実施形態に従って構成されたL字形のデポーの上面図である。
【0026】
【
図5F】
図5Fは、本発明の技術の実施形態に従って構成された円形デポーの上面図である。
【0027】
【
図5G】
図5Gは、本発明の技術の実施形態に従って構成された球形デポーの斜視図である。
【0028】
【
図6】
図6は、植込み型デポーの一部分の走査電子顕微鏡画像である。
【0029】
【
図7A】
図7Aは、植込み型デポーについてのin vitro溶出データを示すグラフである。
【0030】
【
図7B】
図7Bは、植込み型デポーについてのin vitro溶出データを示す別のグラフである。
【0031】
【
図8A】
図8Aは、およそ25%が溶出されている植込み型デポーの走査電子顕微鏡画像である。
【0032】
【
図8B】
図8Bは、およそ75%が溶出されている植込み型デポーの走査電子顕微鏡画像である。
【0033】
【
図9A】
図9Aは、人工膝関節全置換術後、植込み型デポーで処置された対象における平均ブピバカイン血漿濃度を、他の製剤に対して示すグラフである。
【0034】
【
図9B】
図9Bは、人工膝関節全置換術後、植込み型デポーで処置された対象における平均ブピバカイン血漿濃度に術後疼痛データを重ねて示すグラフである。
【0035】
【
図9C】
図9Cは、人工膝関節全置換術後、植込み型デポーで処置された対象におけるブピバカイン血漿濃度の曲線下面積(AUC)を、他の製剤に対して示すグラフである。
【0036】
【
図9D】
図9Dは、植込み型デポーから様々な用量のブピバカインを受けている対象における平均ブピバカイン血漿濃度を示すグラフである。
【0037】
【
図9E】
図9Eは、植込み型デポーについてC
maxとブピバカイン用量との間の関係を示すグラフである。
【0038】
【
図9F】
図9Fは、植込み型デポーについてAUC
0~14dとブピバカイン用量との間の関係を示すグラフである。
【0039】
【
図9G】
図9Gは、植込み型デポーを受けている対象におけるin vivoブピバカイン放出プロファイルを示すグラフである。
【0040】
【
図10】
図10は、植込み型デポーで処置された対象についての平均疼痛強度スコアを示すグラフである(オピオイド消費量については調整されていない)。
【0041】
【
図11A】
図11Aは、肩の外科手術後の、植込み型デポーで処置された対象についてシミュレートされたブピバカイン血漿濃度を、他のブピバカイン製剤で処置された対象における実際のブピバカイン血漿濃度に対して示すグラフである。
【0042】
【
図11B】
図11Bは、バニオン切除術後の、植込み型デポーで処置された対象についてシミュレートされたブピバカイン血漿濃度を、別のブピバカイン製剤で処置された対象における実際のブピバカイン血漿濃度に対して示すグラフである。
【0043】
【
図11C】
図11Cは、開腹鼠径ヘルニア修復術後の、植込み型デポーで処置された対象についてシミュレートされたブピバカイン血漿濃度を、他のブピバカイン製剤で処置された対象における実際のブピバカイン血漿濃度に対して示すグラフである。
【0044】
【
図12】
図12は、制御領域なしにブピバカイン遊離塩基を用いて製剤化された植込み型デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。
【0045】
【
図13】
図13は、様々な制御領域を有する植込み型デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。
【0046】
【
図14A】
図14Aは、遊離塩基および塩形態のブピバカインを用いて製剤化された植込み型デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。
【0047】
【
図14B】
図14Bは、遊離塩基および塩形態のブピバカインを有する植込み型デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。
【0048】
【
図15】
図15は、ウサギ皮下モデルにおける、遊離塩基および塩形態のブピバカインを用いて製剤化された植込み型デポーからのブピバカインのin vivo放出を示す片対数グラフである。
【0049】
【
図16】
図16は、様々な治療薬ローディングを有する植込み型デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。
【0050】
【
図17】
図17は、様々な遊離塩基:塩比で製剤化された植込み型デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。
【0051】
【
図18A-B】
図18Aおよび18Bは、様々なデポー幾何構造(geometry)の移動距離をモデル化するためのモンテカルロ手法を示す。
【0052】
【
図18C-D】
図18Cおよび18Dは、様々なデポー幾何構造の移動距離をモデル化するための幾何/微分手法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
詳細な説明
本発明の技術は、治療剤の持続的な制御放出のための植込み型デポー、ならびに関連システムおよび方法に関する。例えば、一部の実施形態では、対象を処置するための植込み型デポーは、第1の表面、第1の表面とは反対の第2の表面、および第1の表面と第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域を含む。治療薬領域は、ポリマーおよび治療剤(例えば、ブピバカイン)を含むことができる。デポーは、ポリマーを含み、かつ治療薬領域の第1の表面を覆って、第1の表面からの治療剤の放出を阻害する第1の制御領域を含むこともできる。デポーは、ポリマーを含み、かつ治療薬領域の第2の表面を覆って、第2の表面からの治療剤の放出を阻害する第2の制御領域を含むこともできる。必要に応じて、デポーは、第1および第2の制御領域ならびに治療薬領域にわたって伸びて、外側面から間隔を空けられた治療薬領域の1つまたは複数の曝露された部分を形成する、1つまたは複数の孔を含むことができる。デポーは、対象に植え込まれた場合、治療薬領域の外側面および1つまたは複数の曝露された部分から治療剤を放出することができる。治療剤の放出プロファイルは、デポーの様々なパラメーター、例えば、組成(例えば、治療剤、ポリマー、および/または他の構成成分、例えば、放出剤の量および/またはタイプ)および/または幾何構造(例えば、治療薬領域および/または制御領域の厚さ、孔(複数可)のサイズ、形状および/または場所)を変えることによって調節することができる。したがって、本明細書に記載されるデポーは、多くの様々なタイプの用途に、例えば、外科手術手技後の術後疼痛を処置するのに好適な、治療剤の持続的な制御放出を提供するように適応させることができる。
【0054】
本開示の実施形態は、添付の図を参照することにより、以下により完全に記載され、それらの図では、いくつかの図を通して類似の数字が類似の要素を表しており、例としての実施形態が示されている。しかし、特許請求の範囲の実施形態は、多くの様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載される例は、非限定的な例であり、可能性がある他の例の中の単なるいくつかの例に過ぎない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「垂直」、「外側(側方)」、「上」および「下」という用語は、図に示される配向を考慮して本明細書で開示される実施形態の特色の相対的な方向または位置を指すことができる。例えば、「上」または「最上」は、あるページの別の特色よりも上部近傍に位置する特色を指すことができる。しかし、これらの用語は、他の配向、例えば、逆位のまたは傾斜した配向を有する実施形態を含むように広範に解釈されるべきであり、上部/下部、の上/の下、よりも上/よりも下、上へ/下へ、および左/右は、その配向に応じて交換され得る。
【0056】
本明細書で提供される見出しは、単に便宜的に提供されており、特許請求される本発明の技術の範囲または意味を解釈するものではない。いずれかの1つの表題の下の実施形態は、いずれかの他の表題の下の実施形態と併用することができる。
I.治療剤を送達するための植込み型デポー
A.概要
【0057】
図1Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された植込み型デポー100aの部分的な概略図である。デポー100aは、患者の身体の処置部位に植え込まれ、植え込まれると、例えば、所望の放出プロファイルに従って少なくとも1種の治療剤を処置部位において制御方式で放出するように構成されている。治療剤は、患者の疾患または状態を処置するのに好適な任意の物質であり得る。例えば、治療剤は、術後疼痛または他のタイプの疼痛(例えば、慢性疼痛)に対処するための鎮痛薬(例えば、ブピバカイン)であり得るか、またはそれを含み得る。デポー100aに含まれ得る治療剤のさらなる例および特色は、以下の節I.C.1.に提供される。
【0058】
デポー100aは、治療剤を担持し、かつ制御可能に放出するのに好適な任意の好適な構造またはデバイス、例えば、フィルム、シート、ストリップ、リボン、カプセル、コーティング、マトリックス、ウェーハ、丸剤、ペレット、ビーズ、足場(scaffold)、またはそれらの組合せであり得る。説明的な実施形態では、デポー100aは、第1の制御領域104aと第2の制御領域104bとの間に並べられた治療薬領域102を含む多層状の一体化(monolithic)構造である。治療薬領域102(「コア領域」、「薬物コア」、または「薬物層」としても公知)は、治療剤を含み、一方、制御領域104a、104b(「制御層」としても公知)は、治療薬領域102からの治療剤の放出をモジュレートすることができる。以下に詳細に論じられる通り、治療薬領域102および制御領域104a、104bの幾何構造および組成は、治療剤の所望の放出プロファイルを生じるように構成され得る。
【0059】
一部の実施形態では、治療薬領域102は、治療剤および少なくとも1種のポリマー(例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA))を含む。ポリマーを治療剤と組み合わせて、デポー100aの中実の中心コアを形成することができる。一部の実施形態では、治療剤およびポリマーは、治療薬領域102内の個別の相であり、ポリマーは治療剤を一緒に保持するための「接着剤」として作用する。このような実施形態では、治療剤は、個別の結晶、粒子などを形成することができ、これらはポリマーによって互いに接着して一体化材料を形成する。しかしその代わりに、他の実施形態では、治療剤をポリマーに溶解させて単一相の薬物-ポリマーマトリックスを形成することができる。一部の実施形態では、ポリマーは、生理学的流体に曝露されたときに分解するように構成されている生体再吸収性ポリマーである。生体再吸収性ポリマーの分解特徴は、治療薬領域102からの治療剤の放出速度をモジュレートするように選択することができる。治療薬領域102に含まれ得るポリマーのさらなる例および特色は、以下の節I.C.2に提供される。
【0060】
必要に応じて、治療薬領域102は、さらなる構成成分、例えば、放出剤(例えば、ポリソルベート)を含むことができる。放出剤は、治療剤の放出速度に影響を及ぼすこともできる。一部の実施形態では、放出剤は、流体(例えば、生理学的流体)に曝露された場合、治療薬領域102におけるポリマーの分解速度よりも急速な溶解速度を有することができる。したがって、放出剤は、流体が治療薬領域102と接触する場合(例えば、処置部位へのデポー100aの植込み後)、治療薬領域102の周囲のポリマーに溶解し、したがって周囲のポリマー領域に開口(例えば、チャネル、空隙、孔など)を形成し、その開口は、治療薬領域102への流体の浸潤および/または治療薬領域102からの治療剤の拡散を促進する。したがって、治療薬領域102における放出剤の量を増大することは、本明細書の他所でさらに詳細に論じられる通り、植込み後の治療剤の放出速度を増大することができる。代替としてまたは組合せとして、放出剤は、デポー100aへの水の取込みを増大するか、またはそうでなければ治療剤、ポリマー、および水の間の界面を変えて放出速度を増強する界面活性剤として機能することができる。必要に応じて、放出剤は、治療薬領域102の機械的特性をモジュレートする(例えば、可撓性を増大するおよび/または脆性を低減する)ことができ、それによって、デポー100aの製造、保存、および/または取扱いを容易にすることができる。治療薬領域102に含まれ得る放出剤のさらなる例および特色は、以下の節I.C.3に提供される。しかし、他の実施形態では、治療薬領域102は、任意の放出剤なしに提供され得る。
【0061】
図1Aに示される通り、治療薬領域102は、制御領域104aと104bとの間に並べられる。第1の制御領域104aは、治療薬領域102の第1の表面106a(例えば、上表面)上を部分的にまたは完全に覆うことができる。第2の制御領域104bは、第1の表面106aとは反対の治療薬領域102の第2の表面106b(例えば、下表面)を部分的にまたは完全に覆うことができる。治療薬領域102は、制御領域104a、104bによって覆われていない1つまたは複数の外側面108を含むことができる。説明的な実施形態では、例えば、治療薬領域102のすべての4つの外側面108が曝露される。その代わりに他の実施形態では、治療薬領域102は、3つ、2つ、または単一の曝露された外側面108を含むことができる。代替として、治療薬領域102は、曝露された外側面108が存在しないように、1つまたは複数の制御領域によって全体的に被包されてもよい。
【0062】
制御領域104a、104bは、それぞれ、少なくとも1種のポリマー(例えば、PLGA)を含むことができる。第1の制御領域104aは、第2の制御領域104bと同じポリマーから作製されてもよく、または異なるポリマーから作製されてもよい。追加として、第1および/または第2の制御領域104a、104bにおいて使用されるポリマーは、治療薬領域102において使用されるポリマーと同じであってもよく、または異なるポリマーであってもよい。一部の実施形態では、第1および/または第2の制御領域104a、104bのポリマーは、生体再吸収性ポリマーである。第1および第2の制御領域104a、104bに含まれ得るポリマーのさらなる例および特色は、以下の節I.C.2に提供される。
【0063】
必要に応じて、制御領域104a、104bは、さらなる構成成分、例えば、放出剤(例えば、ポリソルベート)を含むことができる。第1の制御領域104aは、第2の制御領域104bと同じ放出剤を含んでいてもよく、または異なる放出剤を含んでいてもよい。追加として、第1および/または第2の制御領域104a、104bにおいて使用される放出剤は、治療薬領域102において使用される放出剤と同じであってもよく、または異なる放出剤であってもよい。第1および第2の制御領域104a、104bに含まれ得る放出剤のさらなる例および特色は、以下の節I.C.3に提供される。しかし、他の実施形態では、第1および/または第2の制御領域104a、104bは、任意の放出剤なしに提供され得る。
【0064】
制御領域104a、104bの構成(例えば、位置および/または幾何構造)および組成は、治療薬領域102からの治療剤の放出プロファイルをモジュレートすることができる。例えば、デポー100aが処置部位に植え込まれる場合、制御領域104a、104bは、治療薬領域102の第1および第2の表面106a、106bと処置部位の生理学的流体との間に位置させることができる。したがって、制御領域104a、104bは、第1および第2の表面106a、106bに向かう流体の拡散を低減または防止することができる。一部の実施形態では、制御領域104aおよび104b内のポリマーは、制御領域104a、104b内の任意のさらなる構成成分(例えば、放出剤)がポリマー内に隔離され、流体に曝露されないように、流体の浸潤に対して部分的にまたは完全に透過不可能なバリアを作り出す。
【0065】
制御領域104a、104bは、第1および第2の表面106a、106bからの治療剤の拡散を低減または防止することができる。一部の実施形態では、治療剤は、治療薬領域102の表面が流体に曝露され、したがって、治療剤が治療薬領域102から周囲環境に拡散するための経路が提供されると初めて、その表面から放出される。制御領域104a、104bは、デポー100aから送達される治療剤のすべてまたは実質的にすべてが、治療薬領域102の曝露された外側面108を通して放出されるように、第1および第2の表面106a、106bからの治療剤のすべてまたは実質的にすべての放出を遮断するように構成され得る。例えば、デポー100aから送達される治療剤の少なくとも80%、85%、90%、95%、99%、または100%が、外側面108を通して放出され得、一方、デポー100aから送達される治療剤の20%、15%、10%、5%、または1%未満が、第1および第2の表面106a、106bを通して放出され得る。一部の実施形態では、治療剤の全体的な放出速度は、治療剤の個々の分子と、それらに最も近い治療薬領域102の曝露された表面との間の距離(例えば、最大、最小、および/または平均距離)に少なくとも部分的に応じて決まり、この距離は、本明細書において治療剤の「移動距離」とも呼ばれる。例えば、外側面108の近傍のデポー100aの周辺に設置された治療剤は、外側面108から離れているデポー100aの内部に設置された治療剤よりも急速に放出され得、したがって、以下により詳細に記載される通り、持続放出プロファイルを作り出す。
【0066】
一部の実施形態では、制御領域104a、104bは他の機能も果たし、例えば、デポー100aの機械的完全性を増大する。例えば、制御領域104a、104bは、治療薬領域102よりも高い引張強度および/または破壊抵抗を有することができる。したがって、制御領域104a、104bの存在は、デポー100aの取扱いおよび保存の特徴を改善することができる。
【0067】
デポー100aは、特に、処置される病状および/または使用される治療剤に合わせて調整される高度に制御された所定の方式で治療剤を放出するように構成されている。以下により詳細に記載される通り、デポー100の放出動態は、デポーの組成および/または構造の1つまたは複数の態様、例えば、以下のいずれか:デポー100a、治療薬領域102、および/または制御領域104a、104bの幾何構造(例えば、サイズおよび/または形状);使用される治療剤、ポリマー、および/または放出剤のタイプ;ならびにデポー100aに(例えば、治療薬領域102および/または制御領域104a、104bに)含まれる治療剤、ポリマー、および/または放出剤の量を変更することによって、特定の用途に合わせてカスタマイズすることができる。
【0068】
図1Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された別の植込み型デポー100bの部分的な概略図である。デポー100bは、デポー100bが2つの制御領域ではなく単一の制御領域を含むことを除いて、
図1Aのデポー100aに一般に類似している。説明的な実施形態では、デポー100bは、第2の表面106bおよび外側面108が曝露されるように、デポー100bの第1の表面106aを覆う第1の制御領域104aを含む。その代わりに代替として、デポー100bは、第1の表面106aおよび外側面108が曝露されるように、デポー100bの第2の表面106bを覆う第2の制御領域104bを含むことができる。デポー100bは、より急速な放出速度が所望される(デポー100aの放出速度に対して)実施形態、および/または治療剤が、さらに以下に記載される通り相対的に疎水性である実施形態において使用することができる。
【0069】
図1Cは、本発明の技術の実施形態に従って構成されたさらに別の植込み型デポー100cの部分的な概略図である。デポー100cは、第1の表面106a、第2の表面106b、および外側面108が曝露されるようにデポー100cが制御領域を全く含んでいないことを除いて、
図1Aのデポー100aに一般に類似している。デポー100cは、より急速な放出速度が所望される(デポー100aまたはデポー100bの放出速度に対して)実施形態、および/または治療剤が、さらに以下に記載される通り相対的に疎水性である実施形態において使用することができる。
B.幾何構造
【0070】
図2A~5Gは、本発明の技術の実施形態に従って構成された様々な幾何構造を有するデポー200~560の代表例を示す。デポー200~560の特色は、
図1A~1Cのデポー100a~100cの特色に一般に類似し得る。したがって、
図1A~5Gにおける類似のまたは同一の構成成分を特定するために類似の数字(例えば、治療薬領域102と治療薬領域202)が使用され、
図2A~5Gのデポー200~560の議論は、
図1A~1Cのデポー100a~100cとは異なる特色に限定される。追加として、
図2A~5Gのデポー200~560の特色のいずれかを互いに、および/または
図1A~1Cのデポー100a~100cの特色と組み合わせることができる。
図2A~5Gのデポー200~560の一部の実施形態は、2つの制御領域を有するもの(
図1Aのデポー100aに類似の)として図示されているが、他の実施形態では、デポー200~560のいずれかは、単一の制御領域を有していてもよく(
図1Bのデポー100bに類似)、または制御領域を有していなくてもよい(
図1Cのデポー100cに類似)。
【0071】
図2Aは、長方形デポー200の上面図であり、
図2Bは、長方形デポー200の側面図である。
図2Aに最もよく見られる通り、デポー200は、丸みを帯びた角を有する、一般に長方形の形状を有する。デポー200は、10mm~50mm、15mm~45mm、20mm~30mm、または25mm~35mmの範囲内の長さL
1を有することができる。一部の実施形態では、長さL
1は、少なくとも10mm、12.5mm、15mm、17.5mm、20mm、22.5mm、25mm、27.5mm、30mm、32.5mm、35mm、37.5mm、40mm、42.5mm、45mm、47.5mm、または50mmである。デポー200は、5mm~30mm、10mm~25mm、10mm~20mm、または15mm~25mmの範囲内の幅W
1を有することができる。一部の実施形態では、幅W
1は、5mm、7.5mm、10mm、11mm、12mm、12.5mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、17.5mm、18mm、19mm、20mm、22.5mm、25mm、27.5mm、または30mmに等しいかまたはそれよりも大きい。
【0072】
次に
図2Bを参照すると、デポー200は、100μm~5mm、500μm~2.5mm、1mm~2mm、750μm~1.25mm、1mm~1.5mm、1.25mm~1.75mm、1.75mm~2.25mm、または2mm~2.5mmの範囲内の全厚さT
1を有することができる。例えば、全厚さT
1は、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.25mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.75mm、1.8mm、1.9mm、2mm、2.1mm、2.2mm、2.25mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.75mm、2.8mm、2.9mm、3mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、または5mmに等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。
【0073】
治療薬領域202は、デポー200の全厚さT1の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、98.8%、99%、または99.5%に等しいかまたはそれよりも大きい厚さを有することができる。一部の実施形態では、治療薬領域202の厚さは、100μm~5mm、500μm~2.5mm、1mm~2mm、750μm~1.25mm、1mm~1.5mm、1.25mm~1.75mm、1.75mm~2.25mm、1.8mm~2.2mm、1.9mm~2.1mm、1.5mm~2.5mm、または2mm~2.5mmの範囲内である。例えば、治療薬領域202の厚さは、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、910μm、920μm、930μm、940μm、950μm、960μm、970μm、980μm、990μm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.25mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.61mm、1.62mm、1.63mm、1.64mm、1.65mm、1.66mm、1.67mm、1.68mm、1.69mm、1.7mm、1.75mm、1.8mm、1.9mm、1.91mm、1.92mm、1.93mm、1.94mm、1.95mm、1.96mm、1.97mm、1.98mm、1.99mm、2mm、2.1mm、2.2mm、2.25mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.75mm、2.8mm、2.9mm、3mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、または5mmに等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。
【0074】
説明的な実施形態では、制御領域204a、204bは、同じ厚さを有する。しかし、他の実施形態では、制御領域204a、204bは、異なる厚さを有することができる(例えば、第1の制御領域204aは、第2の制御領域204bよりも大きい厚さを有することができ、または逆もまた同じである)。制御領域204a、204bは、それぞれ、デポー200の全厚さT1の50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1.2%、1%、または0.5%に等しいかまたはそれよりも小さいそれぞれの厚さを有することができる。一部の実施形態では、各制御領域204a、204bは、1μm~100μm、5μm~50μm、10μm~20μm、5μm~15μm、または15μm~25μmの範囲内の厚さを有する。例えば、各制御領域204a、204bは、100μm、95μm、90μm、85μm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、40μm、35μm、30μm、29μm、28μm、27μm、26μm、25μm、24μm、23μm、22μm、21μm、20μm、19μm、18μm、17μm、16μm、15μm、14μm、13μm、12μm、11μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、または1μmに等しいかまたはそれよりも小さい厚さを有することができる。一部の実施形態では、制御領域がより厚いほど、製造、取扱い、および/または保存中の破壊、亀裂、または他の損傷に対して抵抗性がより高くなり、したがって、異なるロットまたはバッチの間でより一貫した治療剤の放出プロファイルを生じることができる。しかし、制御領域204a、204bは、デポー200が処置部位への配置に好適な小型サイズを依然として有するように、十分に薄いままであり得る。
【0075】
制御領域204a、204bを合わせた厚さは、デポー200の全厚さT1および/または治療薬領域202の厚さの50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1.2%、1%、または0.5%に等しいかまたはそれよりも小さくてもよい。一部の実施形態では、制御領域204a、204bを合わせた厚さ対治療薬領域202の厚さの比は、1/10、1/20、1/25、1/30、1/35、1/39、1/40、1/45、1/49、1/50、1/55、1/60、1/65、1/70、1/75、1/80、1/84、1/85、1/90、1/95、または1/100以下である。制御領域204a、204bを合わせた厚さは、1μm~100μm、5μm~50μm、10μm~20μm、5μm~15μm、15μm~25μm、40μm~60μm、または45μm~55μmの範囲内であり得る。例えば、制御領域204a、204bを合わせた厚さは、100μm、95μm、90μm、85μm、80μm、75μm、70μm、65μm、60μm、55μm、50μm、40μm、35μm、30μm、29μm、28μm、27μm、26μm、25μm、24μm、23μm、22μm、21μm、20μm、19μm、18μm、17μm、16μm、15μm、14μm、13μm、12μm、11μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、または1μmに等しいかまたはそれよりも小さくてもよい。
【0076】
一部の実施形態では、治療薬領域202の体積は、デポー200の総体積の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、98.8%、99%、または99.5%に等しいかまたはそれよりも大きい。制御領域204a、204bを合わせた体積は、デポー200の総体積の50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1.2%、1%、または0.5%に等しいかまたはそれよりも小さくてもよい。一部の実施形態では、デポー200は、少なくとも100mm3、150mm3、200mm3、250mm3、300mm3、350mm3、400mm3、450mm3、または500mm3の体積を有する。治療薬領域202は、少なくとも100mm3、150mm3、200mm3、250mm3、300mm3、350mm3、400mm3、450mm3、または500mm3の体積を有することができる。制御領域204a、204bは、合わせると、100mm3、75mm3、50mm3、25mm3、10mm3、9mm3、8mm3、7mm3、6mm3、5mm3、4mm3、3mm3、2mm3、または1mm3以下の体積を有することができる。
【0077】
図2Aおよび2Bを一緒に参照すると、一部の実施形態では、デポー200は、デポー200の1つまたは複数の外側面212に形成された1つまたは複数のノッチ210(例えば、切抜き、窪み、凹みなど)を含む。ノッチ210は、流体に曝露される表面積の量を変えることによって、デポー200の放出特徴をモジュレートするように構成され得る。代替としてまたは組合せとして、ノッチ210は、処置部位の適所にデポー200を固定するための縫合糸または他の留め具を収容するように構成され得る。しかし、他の実施形態では、デポー200は、任意のノッチ210なしに提供され得る。
【0078】
説明的な実施形態では、デポー200は、4個のノッチ210、すなわちデポー200の4つの外側面212のそれぞれに1個を含む。代替として、デポー200は、異なる数のノッチ210(例えば、1個、2個、3個、5個、またはそれよりも多いノッチ210)を含むことができる。デポー200の一部の外側面212は、2個以上のノッチ210(例えば、2個、3個、4個、またはそれよりも多いノッチ210)を含むことができ、および/または一部の外側面212は、任意のノッチ210を含まなくてもよい(例えば、ノッチ210は、デポー200の3個、2個、または単一の外側面212に設置することができる)。追加として、
図2Aおよび2Bは、各ノッチ210を対応する外側面212の中心またはその近傍に設置されるものとして示しているが、他の実施形態では、ノッチ210の一部またはすべてが、異なる場所に(例えば、デポー200の角にまたはその近傍に)あってもよい。
【0079】
説明的な実施形態では、各ノッチ210は、デポー200の全厚さT1に沿って、例えば、デポー200の第1の表面214a(例えば、最上表面)から、第1の制御領域204a、治療薬領域202、および第2の制御領域204bを通して、デポー200の第2の表面214b(例えば、最下表面)まで伸びる。代替として、ノッチ210の一部またはすべてが、デポー200の厚さT1に沿って一部だけに伸びることができる(例えば、ノッチ210は、第1の制御領域204a、第2の制御領域204b、治療薬領域202、第1の制御領域204aと治療薬領域202、治療薬領域202と第2の制御領域204bなどに局在することができる)。
【0080】
ノッチ210の幾何構造(例えば、サイズ、形状)は、所望に応じて変更することができる。例えば、
図2Aの実施形態では、ノッチ210のそれぞれは、半円形の形状を有する。他の実施形態では、ノッチ210の一部またはすべてが、異なる形状、例えば、三角形、正方形、長方形、半楕円形、またはそれらの組合せを有することができる。ノッチ210の一部またはすべてのすべてまたは一部分は、対応する外側面の曲線部分を形成することができ、および/またはノッチ210の一部もしくはすべてのすべてもしくは一部分は、対応する外側面の直線部分を形成することができる。各ノッチ210は、0.5mm~10mm、1mm~5mm、または2.5mm~3.5mmの範囲内の直径または幅(例えば、最大幅)を有することができる。例えば、各ノッチ210は、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、または0.5mmに等しいかまたはそれよりも小さい直径または幅を有することができる。一部の実施形態では、ノッチ210のすべてが、同じサイズおよび/または形状を有する。他の実施形態では、ノッチ210の一部またはすべてが、異なるサイズおよび/または形状を有することができる。
【0081】
デポー200は、多くの様々なやり方で製造することができる。一部の実施形態では、例えば、治療薬領域202は、まず、熱圧縮プロセスを使用して形成される。熱圧縮プロセスは、室温よりも高い温度(例えば、少なくとも30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、または120℃)および約0.01MPa~約1MPa、または約0.1MPa~約0.8MPa、または約0.3MPa~約0.6MPaの範囲内の圧力で実施することができる。その後、制御領域204a、204bは、スプレーコーティング、ディップコーティング、溶媒キャスト法、レーザー溶融法、または当業者に公知の他の好適なプロセスを使用して治療薬領域202に施与され得る。次に、ブレード、レーザー切断、超音波切断、エアナイフ、または他の好適な技術を使用して、デポー200にノッチ210を切り抜くことができる。一部の実施形態では、各デポー200は、個々に形成される。他の実施形態では、治療薬領域202および制御領域204a、204bは、より大きい材料シートとして形成することができ、次にそれを個々のデポー200に切断することができる。
【0082】
図3Aは、三角形デポー300の上面図であり、
図3Bは、三角形デポー300の側面図である。
図3Aに最もよく見られる通り、デポー300は、丸みを帯びた角を有する、一般に三角形の形状を有する。三角形の形状は、ある特定の外科手術部位、例えば、大腿の溝(gutter)および/または膝の膝蓋上包の形状に合致するのに有利であり得る。説明的な実施形態では、デポー300は、デポー300のすべての3つの側面が同じ長さL
2を有するように、正三角形として成形される。長さL
2は、10mm~50mm、15mm~45mm、20mm~30mm、または25mm~35mmの範囲内であり得る。一部の実施形態では、長さL
2は、少なくとも10mm、12.5mm、15mm、17.5mm、20mm、22.5mm、25mm、27.5mm、30mm、30.5mm、32.5mm、35mm、37.5mm、40mm、42.5mm、45mm、47.5mm、または50mmである。しかし、他の実施形態では、デポー300の側面のいくつかまたはすべてが、異なるそれぞれの長さを有することができる。デポー300は、10mm~40mm、15mm~35mm、20mm~30mm、または25mm~35mmの範囲内の高さH
2を有することができる。一部の実施形態では、高さH
2は、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、25.5mm、26mm、2.65mm、27mm、27.5mm、28mm、28.5mm、29mm、29.5mm、30mm、30.5mm、31mm、31.5mm、32mm、32.5mm、33mm、33.5mm、34mm、34.5mm、または35mmに等しいかまたはそれよりも大きい。
【0083】
次に
図3Bを参照すると、デポー300は、全厚さT
2を有することができる。デポー300の厚さT
2、ならびに治療薬領域302および制御領域304a、304bの厚さの値および範囲(および様々な厚さの間の比)は、
図2Aおよび2Bのデポー200の対応する値および範囲と同じであり得るか、または類似し得る。
【0084】
一部の実施形態では、デポー300の治療薬領域302の体積は、デポー300の総体積の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、98.8%、99%、または99.5%に等しいかまたはそれよりも大きい。制御領域304a、304bを合わせた体積は、デポー300の総体積の50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1.2%、1%、または0.5%に等しいかまたはそれよりも小さくてもよい。一部の実施形態では、デポー300は、少なくとも100mm3、200mm3、300mm3、400mm3、500mm3、550mm3、600mm3、650mm3、700mm3、750mm3、800mm3、850mm3、900mm3、950mm3、または1000mm3の体積を有する。治療薬領域302は、少なくとも100mm3、200mm3、300mm3、400mm3、500mm3、550mm3、600mm3、650mm3、700mm3、750mm3、800mm3、850mm3、900mm3、950mm3、または1000mm3の体積を有することができる。制御領域304a、304bは、合わせると、100mm3、75mm3、50mm3、45mm3、40mm3、35mm3、30mm3、25mm3、20mm3、25mm3、15mm3、10mm3、9mm3、8mm3、7mm3、6mm3、5mm3、4mm3、3mm3、2mm3、または1mm3以下の体積を有することができる。
【0085】
図3Aに最もよく見られる通り、デポー300は、それに形成された孔316(例えば、開口部、開口、チャネル)を含むことができる。孔316は、流体に曝露される治療薬領域302の表面積の量を変えることなどによって、デポー300の放出特徴をモジュレートするように構成され得る。例えば、孔316は、デポー300の周辺から離して設置された治療薬領域302の部分を曝露し、したがって、孔316の側壁において曝露された治療薬領域302の表面への流体の浸潤および/またはその表面からの治療剤の放出を促進することができる。デポー300が植え込まれる場合、孔316は、デポー300のすぐ上および/またはすぐ下に設置された標的組織への治療剤の拡散を容易にすることもできる。しかし、他の実施形態では、デポー300は、任意の孔316なしに提供され得る。
【0086】
説明的な実施形態では、デポー300は、デポー300の中心(例えば、重心)にまたはその近傍に単一の孔316を含む。他の実施形態では、孔316は、デポー300の異なる場所にあってもよい。孔316の場所は、治療剤の個々の分子と、それらに最も近い治療薬領域302の曝露された表面との間の平均および/または最大移動距離を低減する(例えば、最小限に抑える)ように選択され得る。例えば、デポー300における治療剤の平均および/または最大移動距離は、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、0.5mm、0.25mm、または0.1mmに等しいかまたはそれよりも小さくてもよい。
【0087】
孔316は、デポー300の全厚さT2にわたって、例えば、デポー300の第1の表面314a(例えば、最上表面)から、第1の制御領域304a、治療薬領域302、および第2の制御領域304bを通して、デポー300の第2の表面314b(例えば、最下表面)まで伸びることができる。代替として、孔316は、デポー300の厚さT2を通して一部だけに伸びることができる(例えば、孔316は、第1の制御領域304aだけ、第2の制御領域304bだけ、第1の制御領域304aと治療薬領域302だけ、治療薬領域302と第2の制御領域304bだけなどにわたって伸びることができる)。
【0088】
孔316の幾何構造(例えば、サイズ、形状)は、所望に応じて変更することができる。例えば、
図3Aに示される通り、孔316は、円形の形状を有することができる。他の実施形態では、孔316は、異なる形状、例えば、楕円形、三角形、正方形、もしくは長方形の形状、またはそれらの組合せを有することができる。孔316は、0.5mm~10mm、1mm~5mm、または2.5mm~3.5mmの範囲内の直径または幅(例えば、最大幅)を有することができる。例えば、孔316は、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、または0.5mmに等しいかまたはそれよりも小さい直径または幅を有することができる。
【0089】
代替としてまたは組合せとして、孔316は他の機能を果たすことができ、例えば、処置部位の適所にデポー300を固定するための留め具(例えば、縫合糸)を収容することができる。必要に応じて、孔316の存在は、デポー300の全体的な可撓性を増大することができ、それによって、デポー300の製造、保存、および/または取扱い中の不可避の破砕の可能性を低減することができる。
【0090】
デポー300は、
図2Aおよび2Bのデポー200に関して上述したものに類似の技術を使用して製造することができる。例えば、治療薬領域302は、熱圧縮プロセスを使用して形成することができ、制御領域304a、304bは、スプレーコーティング、ディップコーティング、溶媒キャスト法、レーザー溶融法などを使用して治療薬領域302に施与され得る。次に、ブレード、レーザー切断、超音波切断、エアナイフ、または当業者に公知の好適な技術を使用して、デポー300に孔316を切り抜くことができる。
【0091】
図4Aは、別の三角形デポー400の上面図であり、
図4Bは、三角形デポー400の側面図である。デポー400は、一般に、
図3Aおよび3Bのデポー300に類似し得る。例えば、デポー400の寸法の値および範囲(例えば、長さL
3、高さH
3、および厚さT
3)は、デポー300と関連して上述される対応する値および範囲と同じであり得るか、または類似し得る。したがって、デポー400の議論は、デポー300とは異なる特色に限定される。
【0092】
図4Aに最もよく見られる通り、デポー400は、それに形成された複数の孔416a~416d(例えば、開口部、開口、チャネル)を含む。孔416a~416dは、
図3Aおよび3Bのデポー300の孔316と同じまたは類似の機能を果たす(例えば、デポー400の放出特徴をモジュレートする、デポー400を固定するための留め具を収容する、および/またはデポー400の可撓性を増大する)ことができる。説明的な実施形態では、デポー400は、4個の孔416a~416d、すなわちデポー400の中心または重心における1個の孔416a、および中心の孔416aから間隔を空けられ、デポー400の3つの角の近傍に設置された3個の孔416b~416dを含む。代替として、デポー400は、異なる数の孔(例えば、2個、3個、5個、またはそれよりも多い孔)を含むことができる。例えば、孔416a~416dのいずれかを省くことができ、例えば、デポー400は、中心の孔416aだけを含み、周囲の孔416b~416dだけを含み、孔416a~416dに加えてまたはその代替として1つまたは複数の孔を含む。さらに、孔416a~416dのいずれかは、デポー400の様々な部分に、例えば、デポー400の端部にまたはその近傍に、デポー400に無作為に分布して設置することができる。
【0093】
複数の孔416a~416dの使用は、例えば、孔が少ないまたは孔がないデポー(例えば、
図3Aおよび3Bのデポー300)と比較して、治療剤の平均および/または最大移動距離を低減することができる。一部の実施形態では、デポー400における治療剤の平均および/または最大移動距離は、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、または0.5mmに等しいかまたはそれよりも小さい。
【0094】
孔416a~416dのそれぞれは、デポー400の全厚さT3にわたって、例えば、デポー400の第1の表面414a(例えば、最上表面)から、第1の制御領域404a、治療薬領域402、および第2の制御領域404bを通して、デポー400の第2の表面414b(例えば、最下表面)まで伸びることができる。代替として、孔416a~416dの一部またはすべてが、デポー400の厚さT3を通して一部だけに(例えば、第1の制御領域404aだけ、第2の制御領域404bだけ、第1の制御領域404aと治療薬領域402だけ、治療薬領域402と第2の制御領域404bだけなどにわたって)伸びることができる。
【0095】
説明的な実施形態では、孔416a~416dのそれぞれは、治療剤が孔416a~416dを介してデポーから溶出することができるように、治療薬領域402にわたって伸び、その表面を曝露する。他の実施形態では、バリア材料を、孔416a~416dの一部またはすべての治療薬領域402の表面上に位置させて、ある特定の1つまたは複数の孔からの治療剤の放出を低減または防止することができる。バリア材料は、治療剤の拡散を阻害する任意の材料、例えば、ポリマーの層またはコーティングであり得るか、またはそれを含み得る。例えば、バリア材料は、制御領域404a、404bの材料と同一または類似の材料から作製され得る。バリア材料は、中心の孔416aだけ、周囲の孔416b~416dだけ、または孔416a~416dの任意の他の選択されたサブセットに設置することができる。例えば、バリア材料は、縫合のために使用されることが意図されている孔に設置することができ、一方、治療剤の放出プロファイルをモジュレートすることを意図された孔は、任意のバリア薬剤を含まなくてもよい。
【0096】
孔416a~416dの幾何構造(例えば、サイズ、形状)は、所望に応じて変更することができる。例えば、
図4Aに示される通り、孔416a~416dは、それぞれ円形の形状を有することができる。他の実施形態では、孔416a~416dの一部またはすべてが、異なる形状、例えば、楕円形、三角形、正方形、もしくは長方形の形状、またはそれらの組合せを有することができる。孔416a~416dは、それぞれ、0.5mm~10mm、1mm~5mm、または2.5mm~3.5mmの範囲内の直径または幅(例えば、最大幅)を有することができる。例えば、孔416a~416dは、それぞれ、10mm、9.5mm、9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、6.5mm、6mm、5.5mm、5mm、4.5mm、4mm、3.5mm、3mm、2.5mm、2.25mm、2mm、1.75mm、1.5mm、1.25mm、1mm、0.75mm、0.5mm、または0.25mmに等しいかまたはそれよりも小さい直径または幅を有することができる。一部の実施形態では、孔416a~416dのすべてが、同じサイズおよび/または形状を有する。他の実施形態では、孔416a~416dの一部またはすべてが、異なるサイズおよび/または形状を有することができる。例えば、中心の孔416aは、周囲の孔416b~416dとは異なるサイズおよび/または形状を有することができる。
【0097】
デポー400は、
図3Aおよび3Bのデポー300に関して上述したものに類似の技術を使用して製造することができる。例えば、治療薬領域402は、熱圧縮プロセスを使用して形成することができ、制御領域404a、404bは、スプレーコーティング、ディップコーティング、溶媒キャスト法、レーザー溶融法などを使用して治療薬領域402に施与され得る。次に、ブレード、レーザー切断、超音波切断、エアナイフ、または当業者に公知の好適な技術を使用して、デポー400に孔416a~416dを切り抜くことができる。孔416a~416dの一部またはすべてがバリア材料を含む実施形態では、それらの孔は、制御領域404a、404bの材料がバリア材料として働くように、制御領域404a、404bが施与される前に治療薬領域402に形成され得る。代替として、孔は、制御領域404a、404bが施与された後に形成され得、その後の加工ステップでバリア材料が孔に施与される。
【0098】
別の例として、デポー400は、まず、治療薬領域材料の大型シートまたはフィルムを形成することによって製造され得る。次に、シートを、制御領域材料でコーティング(例えば、スプレーコーティングまたはディップコーティング)することができる。コーティングプロセス後、シートの上面、下面、および外側面は、すべて制御領域材料で覆われ得る。次に、シートは、個々のデポーに切り出され得る。得られたデポー400において、治療薬領域402は、切断されたデポー400の外側面において曝露され得、他のすべての外側面は制御領域材料で覆われたままであり得る。したがって、切断の場所に応じて、各デポー400は、1つ、2つ、または3つの外側面を含むことができ、その外側面で治療薬領域402が曝露される。例えば、正方形シートを対角に沿って半分に切断することによって生成されたデポー400は、治療薬領域402が曝露される1つの外側面、および治療薬領域402が覆われている2つの外側面を有することができる。
【0099】
図4C~4Hは、本発明の技術の実施形態に従って構成された三角形デポー420~470のさらなる例を示す。
図4C~4Hのデポー420~470の特色は、一般に、
図4Aおよび4Bのデポー400の対応する特色に類似し得る。したがって、
図4A~4Hにおける類似のまたは同一の構成成分を特定するために類似の数字が使用され、デポー420~470の議論は、
図4Aおよび4Bのデポー400とは異なる特色に限定される。追加として、デポー420~470の特色のいずれかを互いに、ならびに/または
図4Aおよび4Bのデポー400の特色と組み合わせることができる。
【0100】
図4Cは、本発明の技術の実施形態に従って構成された別の三角形デポー420の上面図である。デポー420は、周囲の孔416b~416dだけを含み、中心の孔を含んでいない。他の実施形態では、デポー420は、孔416b~416dのサブセットだけ、例えば、孔416bだけ、孔416bおよび416cだけなどを含むことができる。
【0101】
図4Dは、本発明の技術の実施形態に従って構成されたさらに別の三角形デポー430の上面図である。説明的な実施形態では、デポー430の中心の孔416aは、周囲の孔416b~416dとは異なる幾何構造を有する。例えば、
図4Dに示される通り、中心の孔416aは、周囲の孔416b~416dよりも大きくてもよい。その代わりに他の実施形態では、中心の孔416aは、周囲の孔416b~416dの一部またはすべてよりも小さくてもよい。追加として、中心の孔416aは周囲の孔416b~416dと同じ形状を有するものとして示されているが、代替として、中心の孔416aは、周囲の孔416b~416dの一部またはすべてとは異なる形状を有していてもよい。
【0102】
図4Eは、本発明の技術の実施形態に従って構成された三角形デポー440の上面図である。説明的な実施形態では、デポー440は、さらなる孔416e~416gを含む。例えば、
図4Eに示される通り、デポー440は、デポー440のそれぞれの側面の近傍(例えば、それぞれの側面の中間点の近傍)にそれぞれ設置された3個のさらなる孔416e~416gを含む。他の実施形態では、デポー440は、異なる数のさらなる孔を含むことができ、例えば、孔416e~416gの一部は省くことができ、および/またはデポー440は、他の場所にさらなる孔を含むことができる。代替としてまたは組合せとして、孔416a~416dの一部またはすべてを省くことができる。
【0103】
図4Fは、本発明の技術の実施形態に従って構成された別の三角形デポー450の上面図である。説明的な実施形態では、デポー450は、無作為に分布している複数の孔416hを含む。孔416hは、それぞれ同じ幾何構造(例えば、サイズおよび/または形状)を有することができ、または孔416hの一部もしくはすべてが、異なる幾何構造を有することができる。一部の実施形態では、孔416hは、デポー450の特定の部分に、例えば、角の近傍だけ、中心の近傍だけ、側面の近傍だけに、または任意の他の好適な構成に局在することができる。
【0104】
必要に応じて、デポー450の制御領域404a、404bは、デポー450の治療薬領域402が制御領域404a、404bによって全体的に取り囲まれ、孔416hだけを通して曝露されるように、デポー450の外側面(
図4Fでは目に見えない)にわたって広がることができる。このような実施形態では、デポー450は、治療剤の放出を可能にするために、相対的に多数の孔416h(例えば、数十、数百、または数千個の孔416h)を含むことができる。
【0105】
図4Gは、本発明の技術の実施形態に従って構成された三角形デポー460の上面図である。デポー460は、デポー460の1つの側面(例えば、底辺)が第1の長さL
4を有し、その他の2つの側面が、それぞれ第2の長さL
5を有するように、二等辺三角形として成形される。説明的な実施形態では、第2の長さL
5は、第1の長さL
4よりも大きく、例えば、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、または5倍大きい。しかし、他の実施形態では、第1の長さL
4は、第2の長さL
5よりも大きくてもよい。第1の長さL
4は、10mm~40mm、15mm~35mm、20mm~30mm、または25mm~35mmの範囲内であり得る。一部の実施形態では、第1の長さL
1は、少なくとも10mm、12.5mm、15mm、17.5mm、20mm、22.5mm、25mm、27.5mm、30mm、32.5mm、35mm、37.5mm、または40mmである。第2の長さL
5は、20mm~60mm、30mm~50mm、35mm~45mm、または40mm~50mmの範囲内であり得る。一部の実施形態では、第2の長さL
5は、少なくとも20mm、25mm、30mm、32.5mm、35mm、37.5mm、40mm、42.5mm、45mm、47.5mm、50mm、55mm、または60mmである。デポー460は、20mm~60mm、30mm~50mm、または35mm~45mmの範囲内の高さH
4を有することができる。一部の実施形態では、高さH
4は、20mm、25mm、30mm、32.5mm、35mm、37.5mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、47.5m、50mm、55mm、または60mmに等しいかまたはそれよりも大きい。
【0106】
図4Hは、本発明の技術の実施形態に従って構成された三角形デポー470の上面図である。デポー470は、直角三角形として成形されており、デポー470の第1の側面は、第1の長さL
Aを有し、デポー470の第2の側面は、第2の長さL
Bを有し、デポー470の第3の側面は、第3の長さL
Cを有する。例えば、第1の長さL
Aは、5mm~25mm、7.5mm~22.5mm、10mm~15mm、または12.5mm~17.5mmの範囲内であり得る。第2の長さL
Bは、8.5mm~35mm、13mm~30mm、17.5mm~26mm、または21.5mm~30mmの範囲内であり得る。第3の長さL
Cは、10mm~50mm、15mm~45mm、20mm~30mm、または25mm~35mmの範囲内であり得る。
【0107】
図5A~5Gは、様々な幾何構造を有するデポー500~560のさらなる例を示す。
図5A~5Gのデポー500~560の特色は、一般に、本明細書に記載されるその他のデポー(例えば、
図4Aおよび4Bのデポー400)に類似し得る。したがって、デポー500~560の議論は、本明細書に記載されるデポーのその他の実施形態とは異なる特色に限定される。追加として、デポー500~560の特色のいずれかを互いに、および/または本明細書に記載されるその他の実施形態の特色と組み合わせることができる。
【0108】
図5Aは、本発明の技術の実施形態に従って構成された矢じり形の形状のデポー500の上面図である。
図5Aに示される通り、デポー500は、デポー500の1つの端部502がデポー500の中心に向かって曲線を描いて矢じり形または山形の形状を形成していることを除いて、一般に三角形である。この幾何構造は、処置部位へのデポー500の挿入を容易にすることができる。例えば、外科医は、デポー500の頂点504を処置部位に向かって配向し、次にデポー500の端部502に力をかけてデポー500をその部位に押し付けることができる。デポー500は、
図4Aおよび4Bの孔416a~416dと同様に構成された4個の孔506a~506dを含む(例えば、中心の孔506aおよびデポー500の角の近傍の3個の周囲の孔506b~506dを含む)ものとして図示されているが、その代わりに、デポー500の孔は、本明細書に記載されるその他の実施形態のいずれかに従って構成することができ、または完全に省くことができる。
【0109】
図5Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された菱形の形状のデポー510の上面図である。
図5Bに示される通り、デポー510は、より小さい角度(例えば、90°、80°、70°、60°、50°、45°、40°、35°、30°、25°、20°、15°、または10°に等しいかまたはそれよりも小さい角度)を有する2つの角512a、512bおよびより大きい角度(例えば、90°、100°、110°、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°、155°、160°、165°、170°、または175°に等しいかまたはそれよりも大きい角度)を有する2つの角512c、512dを含む。デポー510は、等しい長さの4つの側面を有するものとして示されているが、他の実施形態では、デポー510の側面のいくつかは、異なる長さを有することができる(例えば、2つの上側面は、2つの下側面よりも長くてもよく、または短くてもよい)。デポー510は、10mm~70mm、20mm~60mm、30mm~50mm、35mm~45mm、または40mm~45mmの範囲内の高さH
6を有することができる。デポー510は、5mm~50mm、10mm~30mm、15mm~25mm、または20mm~25mmの範囲内の幅W
6を有することができる。
【0110】
説明的な実施形態では、デポー510は、4つの角512a~512dの近傍に4個の孔514a~514dを含む。他の実施形態では、孔514a~514dの数および場所は変更することができ、例えば、デポー510は、より少ないまたはより多い孔514a~514dを含むことができ、孔514a~514dは、異なる場所などに(例えば、デポー510の中心またはその近傍に)あってもよい。孔514a~514dの幾何構造(例えば、形状、サイズ)および機能は、
図4Aおよび4Bの孔416a~416dと同一であり得るか、または類似し得る。必要に応じて、孔514a~514dの一部またはすべてを、完全に省くことができる。
【0111】
図5Cは、本発明の技術の実施形態に従って構成された長方形デポー520の上面図である。デポー520は、10mm~50mm、20mm~40mm、25mm~35mm、または30mm~35mmの範囲内の長さL
7を有することができる。デポー520は、5mm~25mm、10mm~20mm、10mm~15mm、または15mm~20mmの範囲内の幅W
7を有することができる。説明的な実施形態では、デポー520は、デポー520の中心の縦軸に沿って均一に間隔を空けられた4個の孔522a~522dを含む。しかし、他の実施形態では、デポー520は、より少ないまたはより多い孔522a~522dを含むことができる。追加として、孔522a~522dは、異なって配列することができ、例えば、孔522a~522dの間の間隔を変更することができ、孔522a~522dは、デポー520の中心の水平軸に沿って間隔を空けることができ、孔522a~522dは、デポー520の4つの角の近傍などに設置することができる。孔522a~522dの幾何構造(例えば、形状、サイズ)および機能は、
図4Aおよび4Bの孔416a~416dと同一であり得るか、または類似し得る。必要に応じて、孔522a~522dの一部またはすべてを、完全に省くことができる。
【0112】
図5Dは、本発明の技術の実施形態に従って構成された十字形のデポー530の上面図である。
図5Dに示される通り、デポー530は、中心の本体534から伸びている4つのアーム532a~532dを含む。デポー530は、正方形に等価であり、その正方形の4つの側面に4つの切抜き536a~536dを有していると考えることができる。説明的な実施形態では、デポー530のすべての4つの側面は、例えば、10mm~40mm、15mm~35mm、20mm~30mm、20mm~25mm、または25mm~30mmの範囲内の同じ長さL
8を有する。他の実施形態では、デポー530の側面のいくつかは、異なる長さを有することができ、例えば、水平側面は、垂直側面よりも大きいまたは小さい長さを有することができる。
【0113】
切抜き536a~536dの幾何構造は、所望に応じて変更することができる。説明的な実施形態では、例えば、切抜き536a~536dは、それぞれ半円形の形状を有する。しかし、他の実施形態では、切抜き536a~536dの一部またはすべてが、異なる形状、例えば、正方形、長方形、三角形、半楕円形、または他の形状を有することができる。切抜き536a~536dは、それぞれ独立に、任意の好適なサイズ、例えば、1mm~20mm、5mm~15mm、または8mm~12mmの範囲内の直径D8または幅を有することができる。
【0114】
説明的な実施形態では、デポー530は、4つのアーム532a~532dの末端の近傍に設置された4個の孔538a~538dを含む。他の実施形態では、孔538a~538dの数および場所は変更することができ、例えば、デポー530は、より少ないまたはより多い孔538a~538dを含むことができ、孔538a~538dは、異なる場所などに(例えば、デポー530の中心またはその近傍に)あってもよい。孔538a~538dの幾何構造(例えば、形状、サイズ)および機能は、
図4Aおよび4Bの孔416a~416dと同一であり得るか、または類似し得る。必要に応じて、孔538a~538dの一部またはすべてを、完全に省くことができる。
【0115】
図5Eは、L字形のデポー540の上面図である。デポー540は、第2の細長いアーム544に接続されている第1の細長いアーム542を含む。第1および第2の細長いアーム542の間の角度は、10°、15°、20°、30°、40°、45°、50°、60°、70°、80°、90°、110°、120°、130°、140°、または150°に等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。説明的な実施形態では、第1および第2の細長いアーム542は、一般に長方形の構造であり、同じ長さL
9および幅W
9を有する。長さL
9は、10mm~50mm、20mm~40mm、25mm~35mm、25mm~30mm、または30mm~35mmの範囲内であり得る。幅W
9は、1mm~20mm、5mm~15mm、5mm~10mm、または10mm~15mmの範囲内であり得る。他の実施形態では、第1の細長いアーム542は、第2の細長いアーム544とは異なる(例えば、より長いまたはより短い)長さおよび/または幅を有することができる。
【0116】
説明的な実施形態では、デポー540は、3個の孔546a~546c、すなわち第1の細長いアーム542の末端の近傍の1個の孔546a、第2の細長いアーム544の末端の近傍に設置された1個の孔546b、ならびに第1および第2の細長いアーム542、544の間の接続部の近傍に設置された1個の孔546cを含む。他の実施形態では、孔546a~546cの数および場所は変更することができ、例えば、デポー540は、より少ないまたはより多い孔546a~546cを含むことができ、孔546a~546cは、異なる場所などにあってもよい(例えば、第1の細長いアーム542および/または第2の細長いアーム544の長さに沿って間隔を空けて。孔546a~546cの幾何構造(例えば、形状、サイズ)および機能は、
図4Aおよび4Bの孔416a~416dと同一であり得るか、または類似し得る。必要に応じて、孔546a~546cの一部またはすべてを、完全に省くことができる。
【0117】
図5Fは、円形デポー550の上面図である。デポー550は、1mm~100mm、5mm~50mm、10mm~30mm、または10mm~15mmの範囲内の直径OD
10を有することができる。一部の実施形態では、直径OD
10は、少なくとも5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、または50mmである。必要に応じて、デポー550は、中心の孔552を含むことができる。孔552は、生理学的流体に曝露されるデポー550の表面積を増大することおよび/または治療剤が移動して曝露された表面に到達するまでの距離を低減することによって、治療剤の放出速度を増大することができる。一部の実施形態では、孔552は、1mm~20mm、2mm~15mm、5mm~10mm、または1mm~5mmの範囲内の直径ID
10を有する。例えば、直径ID
10は、20mm、15mm、10mm、5mm、2mm、または1mmに等しいかまたはそれよりも小さくてもよい。一部の実施形態では、デポー550は、100μm~5mm、500μm~2.5mm、1mm~2mm、750μm~1.25mm、1mm~1.5mm、1.25mm~1.75mm、1.75mm~2.25mm、1.8mm~2.2mm、1.9mm~2.1mm、1.5mm~2.5mm、または2mm~2.5mmの範囲内の厚さを有する。例えば、デポー550の厚さは、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、910μm、920μm、930μm、940μm、950μm、960μm、970μm、980μm、990μm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.25mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.61mm、1.62mm、1.63mm、1.64mm、1.65mm、1.66mm、1.67mm、1.68mm、1.69mm、1.7mm、1.75mm、1.8mm、1.9mm、1.91mm、1.92mm、1.93mm、1.94mm、1.95mm、1.96mm、1.97mm、1.98mm、1.99mm、2mm、2.1mm、2.2mm、2.25mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.75mm、2.8mm、2.9mm、3mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、または5mmに等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。
【0118】
図5Gは、本発明の技術の実施形態に従って構成されたデポー560を示す。デポー560は、球形の形状を有する本体562を有する。球形の形状は、デポー560の機械的強度を増大し、患者の体内の不規則な形状の空間に詰め込むのに有利であり得る。本体560の直径D
11は、1mm~100mm、5mm~75mm、10mm~50mm、15mm~45mm、20mm~30mm、25mm~35mm、1mm~10mm、または1mm~5mmの範囲内であり得る。一部の実施形態では、直径D
11は、少なくとも1mm、2mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、または50mmである。説明的な実施形態では、デポー520は、複数の孔566(2つだけが標識されている)を含む。孔566は、デポー560の外表面の周囲に沿って均一に間隔を空けることができる。一部の実施形態では、孔566は、本体562のある特定の部分だけ、例えば一方の半球内だけ、ある特定の四分円だけなどに並べられる。必要に応じて、孔566は、本体562の外表面の上に無作為に分布させられ得る。これらおよび他の実施形態では、孔566は、均一に間隔を空けられていなくてもよい。孔566の幾何構造(例えば、形状、サイズ)および機能は、
図4Aおよび4Bの孔416a~416dと同一であり得るか、または類似し得る。必要に応じて、孔566の一部またはすべてを、完全に省くことができる。孔566の1つ、一部、またはすべてが、本体562の直径D
11に等しいかまたはそれよりも小さい深度d
1を有することができる(例えば、孔567および孔568)。このような実施形態では、孔は、本体562の表面に開口を有することができ、本体562の表面の別の開口で終わっていてもよく(例えば、孔568)、または本体562内で終わっていてもよい(例えば、孔567)。追加としてまたは代替として、孔566の1つ、一部、またはすべてが、本体562の直径D
11に等しい深度を有することができ(例えば、孔569)、したがって、孔は、直径方向に逆側にある本体562の表面の2つの開口の間に伸びる。一部の実施形態では、少なくとも1個の孔は、本体562の直径D
11よりも小さい深度を有し、少なくとも別の孔は、本体562の直径D
11に等価な深度を有する。
【0119】
一部の実施形態では、本発明の技術のデポーは、使用前により小さい小片に切断され、破壊され、またはそうでなければ分割されるように構成される。例えば、正三角形として成形されたデポー(例えば、
図3Aのデポー300)は、2つのより小さい直角三角形(例えば、
図4Hのデポー470に類似の)に破砕されるように設計することができる。このような実施形態では、デポーは、デポーの制御された破砕を容易にする分離場所を画定する穿孔、溝、細くなった部分などを含むことができる。この手法により、デポーの破壊をより簡単にすると同時に、制御領域の望ましくない亀裂を回避することができる。代替としてまたは組合せとして、ガイドとして使用すると同時に、デポーをより小さい小片に切断する(例えば、ブレードを用いて)ための鋳型が提供され得る。
C.組成
【0120】
本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)は、治療剤の所望の放出プロファイルを提供するように構成された組成を有することができる。先に論じた通り、本明細書に記載されるデポーは、治療剤ならびに1つまたは複数のさらなる構成成分、例えば、ポリマーおよび/または放出剤を含むことができる。これらの構成成分のそれぞれは、以下により詳細に記載される。
1.治療剤
【0121】
本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)によって担持されている治療剤は、それを必要とする患者に治療効果をもたらす任意の生物学的に活性な物質(または物質の組合せ)であり得る。本明細書で使用される場合、「治療剤」または「薬物」は、単一治療剤を指すことができ、または治療剤の組合せを指すことができる。一部の実施形態では、治療剤は、単一治療剤だけを含む。他の実施形態では、治療剤は、同時または逐次的放出のために2種またはそれよりも多い治療剤を含むことができる。
【0122】
一部の実施形態では、治療剤は、鎮痛剤であるか、またはそれを含む。「鎮痛剤」または「鎮痛薬」という用語は、疼痛を全体的に低減する、防止する、軽減する、または除去するために投与される1種または複数種の局所性または全身性薬剤を含む。鎮痛剤は、全身性および/または局所性麻酔薬、麻薬、および/または抗炎症剤を含み得る。鎮痛剤は、薬理学的に活性な薬物または薬学的に許容されるその塩を含むことができる。好適な鎮痛剤には、ブピバカイン(例えば、ブピバカイン塩酸塩一水和物、ブピバカイン塩酸塩、ブピバカイン遊離塩基)、ロピバカイン、メピバカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、トリメカイン、カルチカイン、アルチカイン、リドカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、プロカイン、テトラカイン、クロロプロカイン、デキサメタゾン、テトロドトキシン、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、カプサイシン、およびそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されない。
【0123】
一部の実施形態では、治療剤には、麻薬、例えば、コカインまたは抗炎症剤が含まれる。適切な抗炎症剤の例として、ステロイド、例えば、プレドニゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、およびメチルプレドニゾロンが挙げられる。他の適切な抗炎症剤には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナク-ミソプロストール、セレコキシブ、ピロキシカム、インドメタシン、メロキシカム、ケトプロフェン、スリンダク、ジフルニサル、ナブメトン、オキサプロジン、トルメチン、サルサラート、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、および他のCOX-2阻害剤、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0124】
一部の実施形態では、治療剤は、抗生物質、抗菌剤もしくは抗真菌剤、またはそれらの組合せであるか、またはそれらを含む。例えば、好適な抗生物質および抗菌薬には、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、レボフロキサシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、テトラサイクリン、ミノサイクリン、チゲサイクリン、ドキシサイクリン、リファンピン、トリクロサン、クロルヘキシジン、ペニシリン、アミノグリコシド(aminoglycide)、キノロン、フルオロキノロン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン、カルバペネム、イミペネム、エルタペネム、抗菌ペプチド、セクロピン-メリチン(mellitin)、マガイニン、ダーマセプチン、カテリシジン、α-デフェンシン、およびα-プロテグリンが含まれるが、それらに限定されない。抗真菌剤には、ケトコナゾール、クロトリマゾール(clortrimazole)、ミコナゾール、エコナゾール、イトラコナゾール(intraconazole)、フルコナゾール、ビホナゾール(bifoconazole)、テルコナゾール、ブトコナゾール(butaconazole)、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、グリセオフルビン、ハロプロギン、ブテナフィン、トルナフテート、ニスタチン、シクロヘキサミド、シクロピロックス、フルシトシン、テルビナフィン、およびアンホテリシンBが含まれるが、それらに限定されない。
【0125】
一部の実施形態では、治療剤は、副腎皮質ホルモン合成阻害薬(adrenocorticostatic)、β-抗アドレナリン薬、アンドロゲンもしくは抗アンドロゲン薬、抗貧血薬、駆虫薬、タンパク質同化薬、麻酔薬もしくは鎮痛薬、興奮薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬、抗動脈硬化薬、抗生物質、抗糖尿病薬、抗線溶薬、抗けいれん薬、血管新生阻害剤、抗コリン作用薬、酵素、補酵素もしくは対応する阻害剤、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗低血圧薬、抗凝固薬、抗真菌薬、消毒薬、抗感染薬、抗出血薬、β-受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、抗筋無力薬(antimyasthenic)、消炎薬、解熱薬、抗リウマチ薬、強心薬、化学療法薬、冠動脈拡張薬、細胞分裂阻害薬、グルココルチコイド、止血薬、免疫グロブリンもしくはその断片、ケモカイン、サイトカイン、マイトジェン、細胞分化因子、細胞傷害剤、ホルモン、免疫抑制薬、免疫賦活薬、モルヒネアンタゴニスト、筋弛緩薬、麻薬、ベクター、ペプチド、(副)交感神経刺激薬((para)sympathicomimetic)、(副)交感神経遮断薬、タンパク質、細胞、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、鎮静剤、鎮痙薬、骨の再吸収を阻害する物質、血管収縮薬もしくは血管拡張薬、ウイルス増殖抑制薬(virustatic)、または創傷治癒剤であるか、またはそれらを含む。一部の実施形態では、治療剤は、止血剤(例えば、硫酸アルミニウム、フィブリン、微粒子化ゼルフォームなど)を含むことができ、これは、高血流量および潜在的に平均を上回る術後出血を有する領域(例えば、胸部、腹部、肛門直腸、頭頸部など)にデポーを植え込む場合、特に有益であり得る。
【0126】
一部の実施形態では、治療剤は、がんの処置に使用される薬物または薬学的に許容されるその塩であるか、またはそれらを含む。このような化学療法剤には、抗体、アルキル化剤、血管新生阻害剤、代謝拮抗薬、DNA切断剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、DNA副溝結合剤、エンジイン、熱ショックタンパク質90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、免疫調節薬、微小管安定化薬、ヌクレオシド(プリンまたはピリミジン)アナログ、核外輸送阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ(IまたはII)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤が含まれる。特定の治療剤には、アダリムマブ、アンサマイトシンP3、アウリスタチン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カリスタチン(callistatin)A、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、シスプラチン、クラドリビン(cladribin)、シタラビン(cytarabin)、クリプトフィシン、ダカルバジン、ダサチニブ、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、ジネミシン(dynemycin)A、エポチロン、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、イピリムマブ、ヒドロキシウレア、イマチニブ、インフリキシマブ、インターフェロン、インターロイキン、ベータ-ラパコン、レナリドミド、イリノテカン、メイタンシン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシンC、ニロチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、プロカルバジン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、6-チオグアニジン(thioguanidine)、チオテパ、テニポシド、トポテカン、トラスツズマブ、トリコスタチンA、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびタモキシフェンが含まれるが、それらに限定されない。
【0127】
一部の実施形態では、治療剤は、疼痛と関連する様々な神経筋および/または神経腺(neuroglandular)障害ならびに神経障害の処置に使用されるボツリヌス毒素または他の神経毒であるか、またはそれらを含む。ボツリヌス毒素または他の神経毒には、薬理学的に活性な薬物または薬学的に許容されるその塩が含まれ得る。ボツリヌス毒素は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)の様々な株から選択することができ、薬理学的に活性な薬物または薬学的に許容されるその塩を含み得る。一部の実施形態では、ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素A、B、C、D、E、F、およびG型からなる群から選択される。
【0128】
薬学的に許容される塩は、中性治療剤の生物学的有効性および特性を保っている塩であって、他の形でも薬学的使用に許容されなくはない塩を指す。薬学的に許容される塩には、酸性または塩基性基の塩が含まれ、これらの基は治療剤に存在し得る。本発明の技術において使用される塩基性性質の治療剤は、様々な無機および有機酸と共に多種多様な塩を形成することができる。本発明の技術において使用される塩基性治療剤の薬学的に許容される酸付加塩には、非毒性の酸付加塩を形成する塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含む塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフト酸塩))が含まれ得る。アミノ部分を含む本発明の技術の治療剤は、上記に言及される酸に加えて、様々なアミノ酸と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な塩基性塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成することができ、その塩には、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、またはジエタノールアミン塩が含まれ得る。
【0129】
薬学的に許容される塩は、別の分子、例えば、水もしくは生物学的に適合性がある別の溶媒(溶媒和物)、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンを含むことができる。対イオンは、親化合物の電荷を安定化する任意の有機または無機部分であり得る。必要に応じて、薬学的に許容される塩は、複数の対イオンを含むことができる。
【0130】
治療剤または薬学的に許容されるその塩は、本質的に純粋な化合物であってもよく、または薬学的に許容される担体、例えば、当業者に公知の希釈剤、アジュバント、賦形剤もしくはビヒクルを用いて製剤化することができる。担体(複数可)は、製剤のその他の成分と適合性があり、そのレシピエントにとって有害でないという意味で「許容される」ものであり得る。例えば、希釈剤には、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリシンなどが含まれ得る。
【0131】
治療剤または薬学的に許容される塩形態は、微粒子化するか、ジェットミル粉砕するか、またはふるいを通過させて一貫した粒径を形成することができ、それによって、治療剤の制御放出をさらに容易にすることができる。このプロセスは、例えば高度に不溶性の治療剤に役立つことができる。一部の実施形態では、治療剤の粒径(例えば、DS50値)は、500μm、450μm、400μm、350μm、300μm、250μm、200μm、150μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、15μm、14μm、13μm、12μm、11μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、または1μmに等しいかまたはそれよりも小さい。
【0132】
本発明の技術のデポーを利用する好適な投与量範囲は、特定の治療剤の効力に依存して決まるが、体重1キログラム当たり約0.001mg~約500mgの範囲内の薬物、例えば、体重1キログラム当たり約0.1mg~約200mgの範囲内の薬物、または体重1kg当たり約1~約100mgの範囲内であり得る。投与量範囲は、当業者に公知の方法によって簡単に決定され得る。単位剤形は、約1mg~約500mgの間の活性成分を含有することができる。
【0133】
一部の実施形態では、治療剤は、デポーの全質量の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を構成する(本明細書においてデポーにおける治療剤の「質量パーセント」または「重量パーセント」とも呼ばれる)。デポーにおける治療剤の質量パーセントは、25%~75%、40%~80%、50%~65%、または60%~65%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、治療剤は、治療薬領域の全質量の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を構成する。治療薬領域における治療剤の質量パーセントは、治療薬領域の全質量の25%~75%、40%~80%、50%~65%、または60%~65%の範囲内であり得る。
【0134】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるデポーは、100mg~1500mg、100mg~1000mg、100mg~500mg、300mg~500mg、500mg~1000mg、または800mg~1000mgの範囲内の全質量(例えば、全乾燥質量)を有する。例えば、全質量は、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、または1000mgに等しいかまたはそれよりも大きくてもよい。
【0135】
デポーにおける治療剤の全質量は、100mg~1800mg、100mg~1500mg、100mg~1000mg、200mg~800mg、300mg~600mg、500mg~700mg、540mg~660mg、または570mg~630mgの範囲内であり得る。一部の実施形態では、個々のデポーにおける治療剤の全質量は、25mg、50mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、または1800mgに等しいかまたはそれよりも大きい。
【0136】
治療剤の特性は、in vivoで所望の放出プロファイルをもたらすように選択することができる。例えば、治療剤は、デポーが、より少ない制御領域を含むか(例えば、
図1Bのデポー100b)、または制御領域を含まない(例えば、
図1Cのデポー100c)場合でも、生理学的流体に曝露された場合、in vivoの処置部位において制御された持続的な方式でデポーから溶出するのに十分に疎水性であり得る。一部の実施形態では、治療剤は、様々な疎水度を有する複数の形態、例えば、少なくとも1つの疎水性形態および少なくとも1つの親水性形態を有する。例えば、治療剤は、疎水性の遊離塩基形態および親水性の塩形態を有するアミン化合物であり得るか、またはそれを含み得る。アミン化合物は、アミン含有鎮痛薬、例えば、アミノアミド局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン、ロピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、トリメカイン、アルチカイン)またはアミノエステル局所麻酔薬(例えば、ベンゾカイン、プロカイン、テトラカイン、クロロプロカイン)であり得る。アミン含有鎮痛薬は、アミン基が脱プロトン化されている遊離塩基形態(例えば、ブピバカイン遊離塩基)、およびアミンがプロトン化されており、対イオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン)と会合している塩形態(例えば、ブピバカイン塩酸塩、ブピバカイン塩酸塩一水和物)を有することができる。別の例として、疎水性形態は、相対的に疎水性の塩(例えば、塩化物塩ではなくパルミチン酸塩)を使用する治療剤の塩形態であり得る。アミン含有鎮痛薬は、アミン含有鎮痛薬の疎水性および溶解速度を変える、様々な対イオンの組合せの塩形態を含有することができる。
【0137】
植込み型デポーにおける治療剤は、部分的にまたは全体的に疎水性(例えば、遊離塩基)形態で提供され得る。例えば、質量により治療剤の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.5%、または100%が、疎水性形態で存在し得る。代替としてまたは組合せとして、質量により治療剤の95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、40%、30%、または20%以下が、疎水性形態で存在し得る。必要に応じて、植込み型デポーは、治療剤の疎水性形態と親水性形態との組合せを含むことができる。疎水性形態および親水性形態の相対量は、所望の放出プロファイルを生じるように選択することができ、例えば、疎水性形態の相対量を増大することにより、より緩慢な放出速度を生じることができ、一方、親水性形態の相対量を増大することにより、より急速な放出速度を生じることができる。一部の実施形態では、疎水性形態の全質量対親水性形態の全質量の比は、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、または20:1に等しいかまたはそれよりも大きい。
【0138】
治療剤の疎水性形態の使用は、様々な利益をもたらすことができる。例えば、疎水性形態が使用される場合、デポーは、より少ない制御領域を用いてまたはさらには制御領域なしに製作することができ、したがって、製造プロセスが簡素化され、および/または制御領域の製造欠陥に起因する制御の効かない不可避の放出の可能性が低減される。この手法は、単一のデポーにローディングされ得る治療剤の量を増大し、および/またはデポーサイズを減らすこともできる。追加として、治療剤の疎水性形態が制御領域と組み合わせて使用される場合、治療剤の放出持続期間をまたさらに延長することができ、したがって、そうでなければ従来のシステムでは困難または不可能であるはずの長期間にわたって、制御放出が可能になる。さらに、疎水性形態は、親水性形態とは異なる融点(例えば、より低い融点)および/または異なる溶解度(例えば、有機溶媒への溶解度の改善)を呈し得る。これにより、親水性形態から主にまたは全体的に製剤化されたデポーと比較して、デポーの製造がより簡単になり、および/またはさらなる製造選択肢が可能になり得る。
【0139】
一部の実施形態では、植込み型デポーは、例えば、追加の臨床的利益をもたらすように、同時または逐次的な方式で複数の治療剤を放出するように構成される。例えば、疼痛管理の状況では、デポーは、より急速な開始を有する第1の鎮痛薬(例えば、リドカイン)およびより緩慢な開始を有する第2の鎮痛薬(例えば、ブピバカイン)を放出することができる。別の例として、デポーは、第1のタイプの治療効果(例えば、鎮痛効果)を有する第1の治療剤、および第2のタイプの治療効果を有する(例えば、血流を増大または減らす、炎症を低減する、水の取込みを変える、デポーおよび/または周囲環境におけるpHに影響を及ぼす)第2の治療剤を放出することができる。第2の治療剤は、第1の治療剤の有効性を増強することができ、または患者に対して治療利益を独立にもたらすことができる。本明細書に記載される植込み型デポーは、任意の好適な数の治療剤、例えば、1種、2種、3種、4種、5種、またはそれよりも多い異なる治療剤を含むことができる。
2.ポリマー
【0140】
本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)は、1種または複数種のポリマーから作製され得る。一部の実施形態では、デポーの治療薬領域および制御領域は、それぞれポリマー(またはポリマーの組合せ)を含み、それらのポリマーは、同じまたは異なる量、濃度、および/または質量パーセンテージの同じまたは異なるポリマー(またはポリマーの組合せ)であり得る。一部の実施形態では、制御領域はポリマーを含み、治療薬領域はポリマーを含まない。一部の実施形態では、治療薬領域はポリマーを含み、制御領域はポリマーを含まない。
【0141】
一部の実施形態では、本発明の技術のデポーにおいて使用されるポリマー(複数可)は、生体再吸収性ポリマーである。本発明の技術において使用される生体再吸収性ポリマーは、所定の分解速度を有することができる。「生体再吸収性」または「生体吸収性」という用語は、ポリマーが、例えば細胞または組織によって患者の体内に吸収されることを意味することができる。これらのポリマーは、ポリマーのすべてまたは一部が、酵素作用によって、加水分解作用によって、および/または患者の身体の他の類似の機序によって経時的に分解するという点で「生分解性」であり得る。一部の実施形態では、生体再吸収性ポリマーが体内で非毒性構成成分に解体または分解すると同時に、治療剤が放出される。本発明の技術のデポーの基本構成成分として使用される生体再吸収性ポリマーは、治療剤が完全に放出された後に解体または分解し得る。生体再吸収性ポリマーはまた、周囲の組織、流体に見出される物質との接触に少なくとも部分的に起因して、または細胞作用によって経時的に浸食または分解されるという点で、「生体内被浸食性(bioerodible)」であってもよい。
【0142】
本発明の技術のデポーにおける使用に好適なポリマーには、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド(PLA)(例えば、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、メソ-ポリ(乳酸)、ポリ(D,L-乳酸)(PDLLA)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)(PLDLLA))、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)(例えば、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド))、PLA-PLGA、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)(PGCL)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(DL-ラクチド-co-カプロラクトン)(DL-PLCL)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)(PAHA)、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)(例えば、ポリ(4-ヒドロキシブチレート))、ポリ(ホスファゼン)(例えば、エチルグリシネートポリ(ホスファゼン))、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(デプシペプチド)、ポリ(ブチレンスクシネート)(PBS)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポロキサマー(例えば、PEO-PPO-PEO)、PEO-PPO-ポリ(アクリル酸)コポリマー(PEO-PPO-PAA)、PLGA-PEO-PLGA、PEG-PLG、PEG-PLGA-PEG、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA-グラフト化PLGA(PVA-g-PLGA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシ-エチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチルグルタメート-co-グルタミン酸)、ポリ(tert-ブチルオキシ-カルボニルメチルグルタメート)、ポリ(グリセロールセバケート)、チロシン由来のポリカーボネート、ポリ(1,3-ビス-(p-カルボキシフェノキシ)ヘキサン-co-セバシン酸)、ポリ(カプロラクトンco-ブチルアクリレート)、無水マレイン酸のコポリマー、セルロースもしくはセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩)、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)とポリ(ブチレンテレフタレート)のコポリマー(PEGT-PBT)(例えば、PolyActive)、多糖体(例えば、ヒアルロン酸、キトサン、デンプン、アルファ化デンプン、アルギネート、デキストラン)、イソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)、ポリ(アスピリン)、ビタミンEもしくはビタミンEアナログ(例えば、アルファトコフェロール酢酸エステル、D-アルファトコフェロールコハク酸エステル)を組み込んでいるポリマー、Carbopol(登録商標)、またはタンパク質(例えば、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン)、またはコポリマー誘導体、あるいはそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されない。
【0143】
必要に応じて、本明細書に記載されるポリマーは、官能性側鎖基または側鎖を含むように修飾され得る。例えば、ポリマーは、親水性側鎖、例えば、PEGとグラフト化され得るか、それに架橋され得るか、またはそうでなければ共有結合され得る。この手法は、治療剤の一貫した制御放出性を確保するのに有利であり得る。一部の状況では、治療剤が治療薬領域から溶出するとき、治療剤によって既に占められていたポリマーにおける空隙または空間が崩壊して、部分的にまたは完全に不透過性のポリマー領域を形成し得る。崩壊が、生理学的流体と接触させられる治療薬領域の部分の近傍で現れる場合、これにより、それらの場所からの治療剤のさらなる溶出を部分的にまたは完全に阻害するバリアを作り出すことができる。しかし、親水性側鎖を含むポリマーは、流体に曝露されると膨潤することができ、したがって、崩壊の可能性が低減され、治療剤の継続放出が可能になる。
【0144】
一部の実施形態では、ポリマーの特性は、デポーからの治療剤の放出プロファイルをモジュレートするように選択される。例えば、ポリマーの疎水性または親水性は、デポーへの水の取込みに影響を及ぼすことができ、それによって、ひいては治療剤の放出速度を変えることができる。より親水性のポリマー(例えば、より高いグリコール酸含量を含むPLGA、PEGが共有結合によりポリマー骨格に組み込まれているポリマー)は、より疎水性のポリマーよりも高い放出速度を生じ得る。一部の実施形態では、ポリマーの親水性に影響を及ぼすように、ポリマーの異なる末端基を選択することができる。例えば、酸性末端基を有するポリマーは、エステル末端基を有するポリマーよりも親水性が高くなり得る。
【0145】
一部の実施形態では、デポーにおけるポリマーの質量パーセントは、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下である。デポーにおけるポリマーの質量パーセントは、10%~60%、20%~50%、25%~40%、または30%~35%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、治療薬領域におけるポリマーの質量パーセントは、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下である。治療薬領域におけるポリマーの質量パーセントは、10%~60%、20%~50%、25%~40%、または30%~35%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、個々の制御領域におけるポリマーの質量パーセントは、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%である。制御領域におけるポリマーの質量パーセントは、25%~75%、40%~80%、50%~65%、60%~65%、50%~75%、または75%~100%の範囲内であり得る。
【0146】
デポーにおけるポリマーの全質量は、100mg~1000mg、100mg~500mg、150mg~350mg、250mg~350mg、または300mg~350mgの範囲内であり得る。一部の実施形態では、ポリマーの全質量は、1000mg、900mg、800mg、700mg、600mg、500mg、475mg、450mg、425mg、400mg、375mg、350mg、325mg、300mg、275mg、250mg、225mg、200mg、175mg、150mg、125mg、または100mgに等しいかまたはそれよりも小さい。
【0147】
一部の実施形態では、デポーにおける治療剤の質量対デポーにおけるポリマーの質量の比は、少なくとも3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、または16:1である。一部の実施形態では、治療薬領域におけるポリマーの質量対治療薬領域における治療剤の質量の比は、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、または1:10以下である。
【0148】
一部の実施形態では、本明細書で開示されるポリマーは、少なくとも所定の期間にわたってまたは所定の割合の治療剤がデポーから放出されるまで、十分な曲げ強度および/または機械的完全性をデポーがin vivoで維持するように、十分に緩慢な速度で分解するように構成される。デポーがほとんど未変化のままであり、治療剤の溶出、または制御領域もしくは放出剤の溶解に起因してごく部分的にまたは漸進的に低減する場合、デポーはその構造的完全性を維持すると考えることができる。デポーは、多重構成成分の小片に分離する(例えば、破壊)する場合、例えば、得られた小片の2つまたはそれよりも多くが、デポーの以前のサイズの少なくとも5%になる場合、その構造的完全性を喪失すると考えることができる。代替としてまたは追加として、デポーは、治療剤の放出速度が、緩衝溶液に沈めた対照デポーにおける治療剤の放出速度と比較して3倍を超えて増大する場合、その構造的完全性を喪失すると考えることができる。一部の実施形態では、ポリマーの分子量は、製造後の分子量が所望の持続放出プロファイルを達するのに必要な最小限の重量よりも大きいままであるように、製造プロセス中に現れる分子量の喪失を担うように選択することができる。
【0149】
一部の実施形態では、デポーは、少なくとも所定の長さの時間にわたってin vivoでその構造的完全性を維持するように構成される。例えば、デポーは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間にわたってin vivoでその構造的完全性を維持するように構成され得る。一部の実施形態では、デポーは、少なくとも所定の割合の治療剤ペイロードがデポーから放出されるまで、in vivoでその構造的完全性を維持するように構成される。例えば、デポーは、デポーにおける治療剤の元の質量の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%が放出されるまで、in vivoでその構造的完全性を維持するように構成され得る。
3.放出剤
【0150】
本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)は、必要に応じて1種または複数種の放出剤を含むことができる。一部の実施形態では、治療薬領域および制御領域は、それぞれ放出剤(または放出剤の組合せ)を含み、それらの放出剤は、同じまたは異なる量、濃度、および/または質量パーセンテージの同じまたは異なる放出剤(または放出剤の組合せ)であり得る。一部の実施形態では、制御領域は放出剤を含み、治療薬領域は放出剤を含まない。一部の実施形態では、治療薬領域は放出剤を含み、制御領域は放出剤を含まない。
【0151】
一部の実施形態では、放出剤は、ポリソルベート、例えば、Polysorbate 80、Polysorbate 60、Polysorbate 40、またはPolysorbate 20(Tween 20(商標))である。本発明の技術における使用に好適な他の放出剤には、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 3000、PEG 6000、PEG 10,000など)、ポリビニルアルコール、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアレート(Span 60)、ソルビタントリステアレート(Span 65)、ソルビタントリオレエート(Span 85)、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリベヘネート)、スクロースエステル(例えば、モノデカン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、ステアリン酸スクロース)、ヒマシ油(例えば、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシル硬化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油、Cremophor(登録商標)RH60、Cremophor(登録商標)RH40)、ポリエチレングリコールエステルグリセリド(例えば、Labrasol(登録商標)、Labrifil(登録商標)1944)、ポロキサマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン1800、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシル20ステアリルエーテル、ジエチレングリコールオクタデシルエーテル、モノステアリン酸グリセリル、トリグリセロールモノステアレート、ポリオキシル20ステアレート、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール40ソルビタンジイソステアレート)、オレイン酸、デソキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチン酸、ステアリン酸、ビタミンE D-アルファ-トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸(ビタミンE-TPGS)、飽和ポリグリコール化グリセリド(例えば、Gelucire(登録商標)44/14、Gelucire(登録商標)50/13)、ポリプロポキシル化ステアリルアルコール(例えば、Acconon(登録商標)MC-8、Acconon(登録商標)CC-6)、またはそれらの誘導体もしくは組合せが含まれる。
【0152】
一部の実施形態では、デポーにおける放出剤の質量パーセントは、50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4.5%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%以下である。デポーにおける放出剤の質量パーセントは、0.1%~20%、0.5%~10%、または1%~5%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、治療薬領域における放出剤の質量パーセントは、50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4.5%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%以下である。治療薬領域における放出剤の質量パーセントは、0.1%~20%、0.5%~10%、または1%~5%の範囲内であり得る。一部の実施形態では、個々の制御領域における放出剤の質量パーセントは、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4.5%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、または0.1%以下である。制御領域における放出剤の質量パーセントは、0.1%~20%、0.5%~10%、1%~5%、10%~50%、20%~40%、または30%~35%の範囲内であり得る。
【0153】
デポーにおける放出剤の全質量は、1mg~200mg、10mg~100mg、10mg~50mg、20mg~50mg、20mg~40mg、または25mg~35mgの範囲内であり得る。一部の実施形態では、放出剤の全質量は、200mg、150mg、100mg、90mg、80mg、70mg、60mg、50mg、45mg、40mg、35mg、30mg、25mg、20mg、15mg、10mg、5mg、または1mgに等しいかまたはそれよりも小さい。
【0154】
一部の実施形態では、放出剤の質量対治療薬領域におけるポリマーの質量の比は、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、または1:16以下である。一部の実施形態では、放出剤の質量対ポリマーの質量対治療薬領域における治療剤の質量の比は、0.1:10:20~2:10:20、0.1:10:20~1:10:20、0.1:10:20~0.5:10:20、0.5:10:20~0.1:10:20、0.5:10:20~1:10:20、1:10:20~10:10:20、1:10:20~5:10:20、2:10:20~5:10:20、または5:10:20~10:10:20の範囲内である。他の実施形態では、治療薬領域は、任意の放出剤を含まなくてもよい。
【0155】
一部の実施形態では、個々の制御領域における放出剤の質量対ポリマーの質量の比は、少なくとも2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:21、1:22、1:23、1:24、または1:25である。他の実施形態では、制御領域は、任意の放出剤を含まなくてもよい。
II.放出プロファイルおよび薬物動態
【0156】
本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)は、所望の放出プロファイルに従って治療剤を送達するように構成され得る。本明細書の他所に記載される通り、デポーの放出プロファイルは、デポーの幾何構造および/または組成を調整することによって調節することができる。放出プロファイルは、所望の処置期間または持続期間(例えば、デポーが体内に植え込まれ、および/または流体に浸漬させられた後の期間)にわたって治療剤の持続的な継続的放出をもたらすことができる。処置期間は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間であり得る。本明細書のデポーは、デポーにおける治療剤の初期量(例えば、質量)の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%を、処置期間にわたって放出することができる。
【0157】
デポーの放出プロファイルは、in vitroまたはin vivo技術を使用して測定することができる。デポーの放出プロファイルの本明細書のいかなる説明も、別段特定されない限り、in vitro放出、in vivo放出、またはそれらの両方を指すことができる。デポーの放出プロファイルは、デポーを、制御された温度(例えば、37℃)およびpH(例えば、7.4、5.8)で好適な溶出媒体(例えば、リン酸緩衝食塩水)に浸漬させ、放出された治療剤の量を様々な時点において測定する(例えば、分光光度技術を使用して)ことによってin vitroで測定することができる。in vitro放出を測定する場合、溶出のpHおよび/または他のパラメーターは、in vivo生理的条件に近づくように構成され得る(例えば、放出はpH7.4で測定される)。代替として、溶出のpHおよび/または他のパラメーターは、他の考察に基づいて選択することができる。例えば、生成物が開発または製造に進む場合、例えば、品質管理試験を容易にするために加速されたin vitro放出プロセスが開発され得る。加速されたin vitro放出は、温度上昇、界面活性剤もしくは水性緩衝剤に対する有機共溶媒の添加、および/またはpHの変化を通して達成され得る。例えば、加速されたin vitro放出は、pH5.8で測定され得る。
【0158】
デポーの放出プロファイルは、対象(例えば、動物またはヒト対象)の処置部位にデポーを植え込み、様々な時点において対象から局所および/または全身試料(例えば、血液試料、血漿試料、滑液試料)を収集し、試料における治療剤の量を測定する(例えば、液体クロマトグラフィータンデム質量分析を使用して)ことによってin vivoで測定することができる。必要に応じて、濃度データの全曲線下面積(AUC0~inf)を、デポーにおける全治療剤用量の100%放出に対応すると想定し、次に100%に正規化されたAUC0~t1対AUC0~infの比から、各研究時点t1における治療剤の累積放出パーセンテージを計算することによって、累積in vivo放出プロファイルを濃度データから推定することができる。さらに別の例として、in vivo放出プロファイルは、様々な時点において処置部位からデポーを取り外し(explanting)、デポーに残存している治療剤の量を測定することによって決定することができる。例えば、デポーを抽出媒体(例えば、5:3v/vアセトニトリル:メタノール)に浸漬させてデポーを溶解させ、残存している任意の治療剤を放出させることができる。抽出媒体は、完全に蒸発させることができ、治療剤は、好適な溶媒(例えば、メタノール)を使用して復元され得る。復元された試料を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を介して分析して、試料における治療剤の量を測定することができる。
【0159】
一部の実施形態では、本明細書のデポーは、処置期間にわたって異なる速度で治療剤を放出するように構成される。例えば、本明細書のデポーは、治療剤を、第1の処置期間中に第1の速度で放出し、その後の第2の処置期間中に第2の速度で放出することができる。例えば、第1の期間は、処置期間の最初の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日間であり得、第2の期間は、第1の期間後の、次の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日間であり得る。言い換えれば、第1の期間は、処置期間の最初の1時間、2時間、5時間、10時間、12時間、20時間、24時間、30時間、36時間、40時間、48時間、50時間、60時間、70時間、72時間、80時間、84時間、90時間、96時間、100時間、108時間、120時間、150時間、200時間、250時間、300時間、350時間、400時間、450時間、または500時間であり得、第2の期間は、第1の期間後の、処置期間の次の1時間、2時間、5時間、10時間、12時間、20時間、24時間、30時間、36時間、40時間、48時間、50時間、60時間、70時間、72時間、80時間、84時間、90時間、96時間、100時間、108時間、120時間、150時間、200時間、250時間、300時間、350時間、400時間、450時間、または500時間であり得る。第1の速度は、第2の速度と同じであってもよく、または異なっていてもよい(例えば、第2の速度よりも小さいまたは大きい)。一部の実施形態では、第1の速度は、第2の速度の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍もしくは10倍であり、または逆もまた同じである。
【0160】
一部の実施形態では、デポーは、第1の期間にわたって第1の量の治療剤を放出し、第2の期間にわたって第2の量の治療剤を放出する。第1の量は、デポーにおける治療剤の初期量(例えば、質量による)の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%もしくは60%であり得、および/または第1の量は、デポーにおける治療剤の初期量の80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%もしくは25%以下であり得る。第2の量は、デポーにおける治療剤の初期量の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%もしくは50%であり得、および/または第2の量は、デポーにおける治療剤の初期量の60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%以下であり得る。必要に応じて、デポーは、第2の期間の後の第3の期間にわたって、第3の量の治療剤を放出することができる。第3の量は、デポーにおける治療剤の初期量の少なくとも1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%もしくは30%であり得、および/または第3の量は、デポーにおける治療剤の初期量の40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%もしくは5%以下であり得る。
【0161】
例えば、デポーは、pH5.8においてin vitroで測定される場合、以下の放出プロファイルを呈することができる:デポーは、処置期間の最初の5時間~10時間にわたって治療剤の10%~35%を放出することができ、デポーは、処置期間の次の25時間~35時間にわたって治療剤の5%~65%を放出することができ、および/またはデポーは、処置期間の次の115時間~130時間にわたって治療剤の1%~60%を放出することができる。
【0162】
一部の実施形態では、デポーは、pH5.8においてin vitroで測定される場合、以下の放出プロファイルを呈する:処置期間の最初の6時間~8時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の5%~40%、10%~35%もしくは15%~30%の範囲内であり、処置期間の最初の35時間~42時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の35%~80%、37%~77%、40%~75%もしくは42%~72%の範囲内であり、および/または処置期間の最初の159時間~161時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の少なくとも60%、70%もしくは80%である。
【0163】
一部の実施形態では、デポーは、pH5.8においてin vitroで測定される場合、以下の放出プロファイルを呈する:デポーにおける治療剤の少なくとも10%が、処置期間の最初の15分、30分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間もしくは5時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の少なくとも20%が、処置期間の最初の1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間もしくは6時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の少なくとも30%が、処置期間の最初の5時間、5.5時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間もしくは10時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の少なくとも40%が、処置期間の最初の8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間、12.5時間、13時間、13.5時間、14時間、14.5時間もしくは15時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の少なくとも50%が、処置期間の最初の10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、14.5時間、15時間、15.5時間、16時間、16.5時間、17時間、17.5時間、18時間、18.5時間、19時間、19.5時間もしくは20時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の少なくとも60%が、処置期間の最初の15時間、20時間、21時間、22時間、22.5時間、23時間、23.5時間、24時間、24.5時間、25時間、25.5時間、26時間、26.5時間、27時間、27.5時間、28時間、29時間もしくは30時間にわたって放出され、治療剤の少なくとも70%が、処置期間の最初の30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間または40時間にわたって放出され、治療剤の少なくとも80%が、処置期間の最初の50時間、52時間、54時間、55時間、56時間、57時間、58時間、59時間、60時間、62時間、64時間もしくは65時間にわたって放出され、および/またはデポーにおける治療剤の少なくとも90%が、処置期間の最初の100時間、105時間、110時間、115時間、120時間、125時間、130時間、135時間、140時間、145時間もしくは150時間にわたって放出される。
【0164】
一部の実施形態では、デポーは、pH7.4においてin vitroでおよび/またはin vivoで測定される場合、以下の放出プロファイルを呈する:処置期間の最初の24時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の1%~25%、1%~10%もしくは1%~5%の範囲内であり、処置期間の最初の48時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の1%~30%、5%~20%もしくは5%~15%の範囲内であり、処置期間の最初の72時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の10%~35%、10%~25%もしくは15%~25%の範囲内であり、処置期間の最初の96時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の15%~50%、10%~40%もしくは10%~30%の範囲内であり、処置期間の最初の120時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の20%~60%、25%~50%もしくは30%~40%の範囲内であり、処置期間の最初の144時間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の25%~70%、30%~50%もしくは35%~45%の範囲内であり、処置期間の最初の7日~8日間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の30%~70%もしくは35%~55%の範囲内であり、処置期間の最初の14日間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の50%~90%もしくは60%~80%の範囲内であり、および/または処置期間の最初の21日間にわたって放出される治療剤の累積量は、デポーにおける治療剤の初期量の70%~99%もしくは85%~95%の範囲内である。
【0165】
一部の実施形態では、デポーは、pH7.4においてin vitroでおよび/またはin vivoで測定される場合、以下の放出プロファイルを呈する:デポーにおける治療剤の10%までが、処置期間の最初の4時間、12時間、24時間もしくは48時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の20%までが、処置期間の最初の24時間、48時間、72時間もしくは84時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の30%までが、処置期間の最初の48時間、72時間、120時間もしくは144時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の40%までが、処置期間の最初の120時間、144時間、168時間もしくは192時間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の50%までが、処置期間の最初の7日、8日、9日もしくは10日間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の60%までが、処置期間の最初の10日、11日、12日もしくは13日間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の70%までが、処置期間の最初の13日、14日、15日もしくは16日間にわたって放出され、デポーにおける治療剤の80%までが、処置期間の最初の16日、17日、18日もしくは19日間にわたって放出され、および/またはデポーにおける治療剤の90%までが、処置期間の最初の19日、20日、21日もしくは22日間にわたって放出される。
【0166】
一部の実施形態では、治療剤の放出プロファイルは、一次放出プロファイルである(これは、方程式
【数1】
によってモデル化することができ、ここで、Q
tは、時間tにおいて放出された治療剤の量であり、Q
0は、デポーにおける治療剤の初期量であり、kは、速度定数である)。代替として、放出プロファイルは、ゼロ次放出プロファイル、二次放出プロファイル、または当業者に公知の任意の他の好適な放出プロファイルであり得る。
【0167】
本明細書に記載されるデポーは、より長い第2の期間よりも、第1の期間にわたって1日当たりより多量の治療剤を放出するように構成され得る。一部の実施形態では、デポーは、植込み後(または流体への浸漬後)少なくとも14日間にわたって治療剤を放出するように構成され、ここで、治療剤ペイロードの約20%~約50%の制御されたバーストが、最初の3日~5日間に放出され、残存している治療剤ペイロードの少なくとも80%が、最後の10日~11日間にわたってより緩慢な速度で放出される。一部の実施形態では、治療剤ペイロードの少なくとも90%が、14日間の最後までに放出される。
【0168】
二段階放出プロファイルは、人工膝関節全置換術(「TKA」)の結果生じる疼痛を処置する状況において特に有利であり得る。TKA患者は、典型的に、外科手術後最初の1日~3日間以内に最も大きい疼痛を経験し(臨床的に「急性疼痛」と呼ばれる)、次の7日~10日間にわたって疼痛が徐々に少なくなる(臨床的に「亜急性疼痛」と呼ばれる)。急性期間は、多くの場合、患者の入院患者ケアと重複または一致し(通常1日~3日間)、亜急性期間は、一般に、患者が退院し、帰宅するときに始まる。二段階放出プロファイルは、以下により詳細に記載される通り、他の外科手術用途、例えば、他の整形外科的用途(例えば、靱帯修復/置換術および膝、肩、足首等への他の損傷)または非整形外科的な外科手術用途にも有益であり得る。任意の外科手術後の過度の疼痛は、入院患者ケアを延長し、心理的苦痛を引き起こし、オピオイド消費量を増大させ、および/または理学療法への患者の関与を損なうことがあり、それらはいずれも、患者の回復を長引かせ、および/または回復の程度を抑えることがある。亜急性期間中の疼痛緩和は、入院患者から家庭環境へと患者が移行するときに、処方された疼痛管理レジメンへの患者コンプライアンスが低くなるので、特に管理が複雑になり得る。
【0169】
外科手術後の疼痛管理における前述の困難に対処するために、本発明の技術のデポーは、急性および亜急性期間に特有の疼痛管理の必要性を満たすように合わせて調整された放出プロファイルを有することができる。例えば、外科手術直後に現れるより大きい急性疼痛に対処するために、デポーは、植込み後最初の3日~5日間にわたって、その後の9日~11日間と比較してより急速な速度で治療剤を放出するように構成され得る。一部の実施形態では、デポーは、この第1の急性期間中に、約150mg/日~約400mg/日の速度で局所麻酔薬を送達する。亜急性期間中に減少する疼痛に対処するために、デポーは、残りの9日~11日間にわたってより緩慢な速度で治療剤を放出するように構成され得る。一部の実施形態では、デポーは、この第2の亜急性期間中に、約50mg/日~約250mg/日の速度で局所麻酔薬を送達する。一部の実施形態では、放出速度は、第1の期間および/または第2の期間を通して継続的に減る。
【0170】
デポーの放出プロファイルは、デポーが製造される構造、組成、および/またはプロセスを調整することによって、他の持続期間にわたっておよび/または他の放出速度で治療剤を放出するように調節することができる。例えば、一部の実施形態では、デポーは、全放出持続期間を通して治療剤を定速で放出するように構成される。一部の実施形態では、デポーは、治療剤を、第1の期間にわたって定速で放出し、第2の期間(第1の期間の前または後に現れ得る)にわたって非定速で放出することになる。
【0171】
一部の実施形態では、デポーは、放出持続期間の最初の1日、2日、3日、4日、5日、6日、8日、9日、10日、11日、12日、または13日間で治療剤の20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%以下を放出するように構成され、残存している治療剤の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%が、放出持続期間の残りの日に放出される。意図される放出持続期間は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日間であり得る。
【0172】
一部の実施形態では、デポーは、50mg/日~600mg/日、100mg/日~500mg/日、100mg/日~400mg/日、または約100mg/日~300mg/日の治療剤を処置部位に放出するように構成される。一般に、放出速度は、外科手術手技後の所与の時間に必要とされる程度の疼痛緩和をもたらすように所望の投与量を送達し、毒性を制御し、疼痛緩和に十分な期間にわたって治療剤を送達するように選択することができる。一部の実施形態では、デポーは、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、または1000mgの治療剤を、任意の日数の放出持続期間内に放出するように構成される。
【0173】
一部の実施形態では、デポーは、50mg/日~600mg/日、100mg/日~500mg/日、100mg/日~400mg/日、または100mg/日~300mg/日の治療剤を、第1の放出期間内に処置部位に放出するように構成される。デポーはさらに、500mg/日~600mg/日、100mg/日~500mg/日、100mg/日~400mg/日、または100mg/日~300mg/日の治療剤を、第2の放出期間内に処置部位に放出するように構成され得る。第1の期間中の放出速度は、第2の期間中の放出速度と同じであってもよくもしくは異なっていてもよく、またはそれより小さくてもよくもしくは大きくてもよい。さらに、第1の期間は、第2の期間より長くてもよく、または短くてもよい。第1の期間は、第2の期間の前または後に現れ得る。
【0174】
一部の実施形態では、デポーは、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg以下の治療剤を、任意の日数の第1の放出期間内に放出するように構成される。代替としてまたは組合せとして、デポーは、少なくとも10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、または300mgの治療剤を、任意の日数の第1の放出期間内に放出するように構成され得る。これは、外科手術手技後の異なる時間に異なる疼痛緩和度をもたらすのに有用であり得、毒性を制御するにも有用であり得る。このような実施形態では、デポーは、少なくとも10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、または1000mgの治療剤を、任意の日数の第2の放出期間内に放出するように構成され得る。第1の期間および/または第2の期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日間であり得る。
【0175】
本発明の技術の1つまたは複数のデポーは、in vivoで所望のレベルの治療剤、例えば、治療閾値のもしくはそれよりも高いレベル、および/または毒性閾値よりも低いレベルを生じさせるために、処置部位に植え込むことができる。例えば、本発明の技術の1つまたは複数のデポーは、植え込まれた場合、5ng/ml、10ng ml、15ng/ml、20mg/ml、25ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、110ng/ml、120ng/ml、130ng/ml、140ng/ml、150ng/ml、160ng/ml、170ng/ml、180ng/ml、190ng/ml、200ng/ml、210ng/ml、220ng/ml、230ng/ml、240ng/ml、250ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/ml、600ng/ml、700ng/ml、800ng/ml、900ng/ml、または1000ng/mlの治療閾値に等しいかまたはそれよりも大きい治療剤の平均血漿濃度を生じることができる。代替としてまたは組合せとして、デポー(複数可)は、9000ng/ml、8000ng/ml、7000ng/ml、6000ng/ml、5000ng/ml、4000ng/ml、3000ng/ml、2500ng/ml、2400ng/ml、2300ng/ml、2200ng/ml、2100ng/ml、2000ng/ml、1900ng/ml、1800ng/ml、1700ng/ml、1600ng/ml、1500ng/ml、1400ng/ml、1300ng/ml、1200ng/ml、1100ng/ml、または1000ng/mlの毒性閾値に等しいかまたはそれよりも小さい治療剤の平均血漿濃度を生じることができる。治療剤の平均血漿濃度は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間にわたって、治療閾値よりも高くおよび/または毒性閾値よりも低く維持され得る。
【0176】
一部の実施形態では、デポー(複数可)は、植え込まれた場合、1000ng/ml、900ng/ml、800ng/ml、700ng/ml、600ng/ml、500ng/ml、400ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、または50ng/mlに等しいかまたはそれよりも小さい治療剤の平均Cmaxを生じる。デポー(複数可)は、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、30時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、または7日に等しいかまたはそれよりも大きい治療剤の平均t1/2を生じ得る。デポー(複数可)は、少なくとも1時間、2時間、4時間、12時間、24時間、48時間、36時間、72時間、96時間、120時間、144時間、または168時間である治療剤の平均tmaxを生じ得る。デポー(複数可)は、少なくとも7日、8日、9日、10日、12日、13日、14日、15日、16日、20日、25日、30日、35日、40日、または45日である治療剤の平均tlastを生じ得る。
【0177】
一部の実施形態では、デポー(複数可)は、植え込まれた場合、少なくとも500日-ng/ml、1000日-ng/ml、1500日-ng/ml、2000日-ng/ml、2500日-ng/ml、3000日-ng/ml、3500日-ng/ml、4000日-ng/ml、4500日-ng/ml、5000日-ng/ml、5500日-ng/ml、6000日-ng/ml、6500日-ng/ml、7000日-ng/ml、7500日-ng/ml、または8000日-ng/mlである治療剤の平均AUCt1~t2を生じ、期間t1~t2は、以下のいずれかであり得る:0日~7日間、0日~14日間、0日~21日間、0日~30日間、3日~7日間、7日~14日間、7日~21日間、7日~30日間、14日~21日間、14日~30日間、または21日~30日間。デポー(複数可)は、少なくとも500日-ng/ml、1000日-ng/ml、1500日-ng/ml、2000日-ng/ml、2500日-ng/ml、3000日-ng/ml、3500日-ng/ml、4000日-ng/ml、4500日-ng/ml、5000日-ng/ml、5500日-ng/ml、6000日-ng/ml、6500日-ng/ml、7000日-ng/ml、7500日-ng/ml、または8000日-ng/mlである治療剤の平均AUClastを生じ得る。
III.システムおよび使用方法
【0178】
本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)は、上述される通り送達される治療剤の性質に応じて、様々な傷害、状態、または疾患を処置するために使用することができる。治療剤は、処置される病状に応じて、患者の身体の特定領域に送達することができる。本発明の技術のデポーは、患者の体内の標的組織(例えば、骨、軟組織など)に近接してin vivoに位置させて、特定の状態の処置のための治療剤の制御された持続放出をもたらすことができる。この植込みは、特定の状態を急性的に処置するための外科手術または介入と関連することができ、それによって、デポーは、外科手術または介入の完了後に長期的な持続的な薬理学的処置をもたらす。デポーは、独立型要素であってよく、または介入もしくは外科手術と関連する植込み型デバイスもしくは人工関節につながっていてもよく、もしくはその一部として統合されてもよい。
【0179】
それを必要とする患者において有効な治療剤の量または用量は、状態の特定の性質に応じて変わり得、当技術分野に公知の標準的な臨床技術によって決定され得る。加えて、最適な投与量範囲を特定する一助にするために、必要に応じてin vitroまたはin vivoアッセイを用いることができる。任意の特定の個体のための特定の用量レベルは、薬物の活性、年齢、体重、全般的な身体および心の健康、遺伝因子、環境の影響、性別、食事、投与のタイミング、投与場所、排出速度、ならびに/または処置される特定の問題の重症度を含む様々な因子に応じて変わる。
【0180】
本発明の技術の一部の態様は、臨床医によって植込みのために提供される1つまたは複数のデポー(それらのそれぞれは、本明細書に記載されるデポーのいずれかであり得る)を含むシステムを含む。例えば、システムは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれよりも多い植え込まれたデポーを含むことができる。各デポーは、デポーの植込み部位に近接している組織に治療剤を制御放出するように構成され得る。したがって、デポーは、合わせると、所望の用量、例えば、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、または1800mgに等しいかまたはそれよりも大きい用量の治療剤をもたらすことができる。個々のデポーまたは一連のデポーによってもたらされる用量は、デポー(複数可)において使用される治療剤の質量に関して、または別の形態(例えば、活性部分の形態または確立された塩形態)の治療剤の質量に関して表すことができる。例えば、ブピバカイン塩酸塩一水和物を用いて製剤化されたデポーにおけるブピバカインの用量は、ブピバカイン遊離塩基の等価質量に関して(例えば、ブピバカイン塩酸塩一水和物595mgは、ブピバカイン遊離塩基500mgに等価である)、またはブピバカイン塩酸塩の等価質量に関して(例えば、ブピバカイン塩酸塩一水和物595mgは、ブピバカイン塩酸塩563mgに等価である)表すことができる。
【0181】
システムが複数のデポーを含む実施形態では、システムにおけるデポーの一部またはすべてが同一であってよく、および/またはデポーの一部もしくはすべてが互いに異なっていてもよい(例えば、幾何構造、組成、および/または放出プロファイルに関して)。例えば、システムは、治療剤の即時放出をもたらす放出プロファイルを有する少なくとも1個のデポー、および治療剤の遅延放出をもたらす放出プロファイルを有する少なくとも1個の他のデポーを含むことができる。
【0182】
本発明の技術の多くのデポーは、部位におけるまたはその近傍における術後疼痛を処置するために、外科手術部位に植え込まれるように構成される。本明細書で使用される場合、「疼痛」という用語は、痛覚および疼痛感覚を含み、それらは共に、疼痛スコアおよび当技術分野で周知の他の方法、例えば、以下にさらに詳細に記載される通り、オピオイド使用法を使用して客観的および主観的に査定することができる。疼痛には、アロディニア(例えば、普通は有害でない刺激への応答の増大)または痛覚過敏(例えば、普通は有害なまたは不快な刺激への応答の増大)が含まれ得、それらは、ひいては熱的または機械的(触覚)な性質であり得る。一部の実施形態では、疼痛は、熱的感度、機械的感度、および/または安静時疼痛によって特徴付けられる。疼痛は、当技術分野で周知の通り、原発性または続発性疼痛であり得る。本明細書で開示される方法および組成物によって低減できる、防止できるまたは処置できる疼痛の例示的なタイプとして、例えば、背中腰部(腰背部痛)もしくは頸部領域(頸部痛)からの術後疼痛、脚の痛み、神経根痛(腰部外科手術に由来する腰背部および脚において、ならびに頸部外科手術に由来する頸部および腕部において経験される)、または腹部外科手術に由来する腹痛、ならびに椎間板もしくは脊椎の外科手術の結果生じる腕部、頸部、背部、腰背部、脚および関連疼痛分布部の神経障害性疼痛が挙げられるが、それらに限定されない。神経障害性疼痛には、神経根、後根神経節、または末梢神経への外科手術から生じる疼痛が含まれ得る。
【0183】
一部の実施形態では、疼痛には、「外科手術後の疼痛」、「術後疼痛」、または「外科手術誘発性疼痛」が含まれ、これらは、本明細書では交換可能に使用され、外科手術手技(例えば、ヘルニア修復術、整形外科的なまたは脊椎の外科手術など)の後、数秒間、数分間、数時間、数日間または数週間の回復期間に生じる疼痛を指す。外科手術手技は、皮膚の下に貫通し、患者に疼痛および/または炎症を引き起こす任意の手技を含み得る。外科手術手技は、患者の体内の様々な部位において実施され得る。例えば、外科手術は、患者の膝、股関節、上肢、下肢、頸部、脊椎、肩、胸部、鼻/副鼻腔領域、腹部、および/または骨盤領域において実施され得る。
【0184】
本発明の技術の一部の実施形態は、TKAとしても公知の人工膝関節全置換外科手術と関連する疼痛を処置するために膝関節の外科手術部位にまたはその近傍に位置させた、1つまたは複数のデポー(例えば、同じまたは異なる構成および/または投与量を有する)を含む。ある場合には、デポーの1つまたは複数を関節包内に位置させることが有益であり得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを、膝蓋上包にまたはその近傍に、特に骨膜の下に位置させ、四頭筋腱に付着させる。1つまたは複数のデポーを置くためのさらなる領域には、一般に、内側および外側の溝(それぞれの溝の内側または外側における組織への必要に応じた固定を含む)、大腿骨上、脛骨上(例えば、脛骨プラトーへの後方付着、伏在神経の膝蓋下枝を麻酔するために前脛骨にまたはその近傍に)が含まれ得る。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを、後膝関節包、膝蓋骨の上領域、および/または膝関節包への関節切開術の切開部の少なくとも1つに隣接して位置させる。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを、伏在神経、内転筋管、および/または大腿神経にまたはその近傍に位置させる。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを、伏在神経の膝蓋下枝、膝の1つまたは複数の膝神経、膝蓋骨の上領域にまたはその近傍に位置させる。膝関節包内に、しかし膝関節自体の任意の関節接合部分から離してデポー(複数可)を位置させることが望ましいことがある。
【0185】
一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを、前膝関節包を神経支配する1つまたは複数の神経にまたはその近傍に位置させる。例えば、デポー(複数可)は、外側広筋からの上外側膝神経分岐(genicular branch)、内側広筋からの上内側膝神経分岐、中間広筋からの内側(支帯)膝神経分岐、総腓骨神経からの下外側膝神経分岐、伏在神経からの下内側膝神経分岐、および/または総腓骨神経からの側方(支帯)膝神経分岐にまたはその近傍に位置するように構成され得る。関節内腔内にデポーを置く代わりにまたはそれに加えて、1つまたは複数のデポーは、関節外位置に置くことができる。一部の実施形態では、デポー(複数可)は、1つまたは複数の関節外神経に隣接して植え込まれる。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを、皮膚の皮下切開部に沿ってまたはそれに隣接して位置させる。
【0186】
デポーの1つまたは複数は、周術期に患者に投与される末梢神経ブロックを妨害しないように、またはそれと重複しないように、必要に応じて植込みの6時間~24時間後に遅延放出する能力を含み得る。一部の実施形態では、内転筋管および膝関節包内に置かれる1つまたは複数のデポーは、治療剤の放出が少なくとも24時間遅延するように構成される。
【0187】
一部の実施形態では、本発明の技術のデポーは、TKA後の疼痛を制御するための局部的手技を利用する。このような手技は、膝窩動脈と膝関節包(IPACK)ブロックとの間に局所麻酔薬を浸潤させることを含むことができる。IPACKブロック手技は、典型的に、膝窩横紋(popliteal crease)の近位にプローブを使用して膝窩を走査し、患者の膝窩動脈と大腿骨との間に鎮痛薬(例えば、0.25%ロピバカイン20ml)を注射することを含む。TKA後の術後疼痛を処置するための他の公知の手技(例えば、内転筋管ブロック(ACB)および大腿神経カテーテル(FNC)ブロック)とは異なり、IPACKブロックは、坐骨神経の終末枝だけを標的にする。そうすることで、遠位の神経学的欠損を引き起こすことなく後膝領域に鎮痛薬および/または他の治療剤を提供することができる。一部の実施形態では、本発明の技術のデポーは、IPACKブロック手技とACBまたはFNCブロック手技との組合せを使用して植え込まれる。例えば、患者は、手術前にFNCブロックを利用して1つまたは複数のデポーを受け、次に、術後IPACKブロックを利用して1つまたは複数のさらなるデポーを受けることができる。IPACKブロック手技を本発明の技術のデポーと共に利用することは、有利なことには、TKA後に適正な鎮痛をもたらし、理学療法性能の改善を促進し、下垂足の発生率を低下させ、オピオイド消費量を低減し、および/または例えばACB、FNCブロックもしくはTKA後の疼痛管理のための他の公知の技術に対してTKA後の膝後部疼痛をより良好に制御することができ、多くの場合、病院からの退院を早めることができる。
【0188】
本明細書で開示されるデポーは、他の膝の外科手術と関連する術後疼痛を処置するために使用することができる。例えば、1つまたは複数のデポーを使用して、ACL修復外科手術、内側側副靱帯(「MCL」)の外科手術、および/または後十字靱帯(「PCL」)の外科手術と関連する術後疼痛を処置することができる。ACL修復については、1つまたは複数のデポーを、大腿神経および/または坐骨神経に鎮痛薬を送達するように位置させることができ、一方、PCL修復外科手術については、1つまたは複数のデポーを、坐骨神経に鎮痛薬を送達するように仙骨傍に位置させることができる。1つまたは複数のデポーを使用して、膝の部分置換術の外科手術、人工膝関節全置換外科手術、および/または人工膝関節置換外科手術の修正外科手術と関連する術後疼痛を処置することができる。このような手技では、1つまたは複数のデポーを、関節または修復部位に隣接して置いて局所ブロックをもたらすことができ、またはそれ以外では、例えば内転筋管への配置を介して大腿神経もしくは坐骨神経の1つもしくは複数に鎮痛薬を送達することによって局部ブロックをもたらすように、好適に位置させることができる。
【0189】
上述される膝関連外科手術に加えて、本明細書で開示されるデポーの実施形態は、整形外科的な他の外科手術、例えば、足首、股関節、肩、手首、手、脊椎、脚、または腕を伴う手技と関連する術後疼痛を処置するために使用することができる。これらの外科手術手技の少なくとも一部については、術後疼痛を処置するための局所ブロックまたは局部ブロックを送達するために鎮痛薬が提供され得る。局所ブロックについては、1つまたは複数のデポーは、観血的外科手術において、例えば関節形成術、観血的整復法および内固定法(ORIF)の外科手術、靱帯再建術中などに、直視下で付着させられ得る。関節を伴う手技では、1つまたは複数のデポーを、関節包に(例えば、関節の関節内および/または関節外腔にまたはその近傍に)、および/またはデポーが関節運動により妨げられるかもしくは関節接合表面との接触により損傷するのを回避するために関節接合表面から間隔を空けられた隣接軟組織に位置させることができる。骨折修復または靱帯修復を伴う手技では、1つまたは複数のデポーを、修復部位にまたはそれに隣接して位置させて、局所ブロックをもたらすことができる。局部ブロックについては、1つまたは複数のデポーは、ブラントトロカー(blunt trocar)カテーテルまたは他の好適な機器を使用して、超音波誘導を介して標的神経に隣接する処置部位に据え置かれ得る。一部の実施形態では、デポー(複数可)を介する鎮痛剤または他の治療剤の送達を、NSAID、術前に送達される長時間作用性麻薬、および/またはアセトアミノフェンと組み合わせることが有益であり得る。1つまたは複数のデポーを介する鎮痛薬の持続的な制御放出は、これらの他の治療剤と協力して働いて、整形外科的なおよび他の外科手術手技と関連する術後疼痛の低減をもたらすことができる。
【0190】
例えば、1つまたは複数のデポーを使用して、足および/または足首の外科手術、例えば、足首関節形成術(足首修正術、足首置換術、および足首全置換術を含む)、足首固定術(fusion)、後足固定術、靱帯再建術、矯正骨切り術(例えば、バニオン切除術、扁平足の外科手術)、または足首もしくは足骨折のORIFと関連する術後疼痛を処置することができる。このような外科手術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーを、関節または修復部位に隣接するように構成し、位置させて、局所ブロックをもたらすことができる。加えてまたは代替として、1つまたは複数のデポーは、仙骨傍に、または臀下部(subgluteal)坐骨神経、膝窩坐骨神経、深腓骨神経もしくは浅腓骨神経の1つもしくは複数を標的にするのに好適な別の場所に置くことができる。一部の実施形態では、足首または足の外科手術と関連する術後疼痛を処置するために位置させたデポーは、治療上有益な鎮痛レベルを3日~7日間の期間にわたって送達するように構成された放出プロファイルを有する。
【0191】
別の例では、1つまたは複数のデポーを使用して、股関節の外科手術、例えば、股関節形成術(股関節修正術、股関節の部分置換術、および股関節全置換術を含む)または股関節骨折のORIFと関連する術後疼痛を処置することができる。このような外科手術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーを、関節または修復部位に隣接するように構成し、位置させて、局所ブロックをもたらすことができる。加えてまたは代替として、大腰筋筋溝、腰部傍脊椎腔、腸骨筋膜下、または腰神経叢、仙骨神経叢、大腿神経、坐骨神経、上殿神経もしくは閉鎖神経の1つもしくは複数を標的にするのに好適な他の場所にデポーを置くことによって、局部ブロックをもたらすことができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを固定して(例えば、縫合糸、留め具、または他の固定機構を使用する)、デポーの前方位置を維持し、それによって、運動神経(例えば、坐骨神経または大腿神経)への鎮痛薬の曝露を防止または低減することが有益になり得る。一部の実施形態では、股関節の外科手術と関連する術後疼痛を処置するために位置させたデポーは、特定の外科手術手技に応じて、治療上有益な鎮痛レベルを5日~7日間または7日~10日間の期間にわたって送達するように構成された放出プロファイルを有する。
【0192】
肩および上腕の外科手術と関連する術後疼痛も同様に、本明細書で開示される1つまたは複数のデポーを使用して処置することができる。このような外科手術の例として、肩関節形成術(肩修正術、肩の部分置換術、および肩全置換術を含む)、上腕骨折修復術(例えば、肩甲骨、上腕骨)、靱帯/腱の修復術(例えば、回旋筋腱板、関節唇、二頭筋など)、または肩もしくは上腕の骨折のORIFが挙げられる。このような外科手術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーを、関節または修復部位に隣接するように構成し、位置させて、局所ブロックをもたらすことができる。加えてまたは代替として、1つまたは複数のデポーは、頸部傍脊椎腔、斜角筋間、または鎖骨上窩に1つまたは複数のデポーを置くことによって、腕神経叢を標的にするように構成し、位置させることができる。一部の実施形態では、斜角筋間へのデポーの配置は、自然軟骨への鎮痛薬の曝露を回避し、それによって、軟骨毒性(chondrotoxicity)のリスクを低減することができる。一部の実施形態では、肩または上腕関連外科手術と関連する術後疼痛を処置するために位置させたデポーは、治療上有益な鎮痛レベルを3日~7日間の期間にわたって送達するように構成された放出プロファイルを有する。
【0193】
別の例では、本明細書に記載される1つまたは複数のデポーを使用して、肘の外科手術、例えば、肘関節形成術(肘修正術、肘の部分置換術、および肘全置換術を含む)、靱帯再建術、または肘の骨折のORIFと関連する術後疼痛を処置することができる。このような外科手術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーを、関節または修復部位に隣接するように位置させて、局所ブロックをもたらすことができる。加えてまたは代替として、1つまたは複数のデポーは、例えば、頸部傍脊椎腔、鎖骨下、または腋窩位置、または他の好適な場所にまたはその近傍に置くことによって、腕神経叢神経を標的にするように構成し、位置させることができる。一部の実施形態では、肘の外科手術と関連する術後疼痛を処置するために位置させたデポーは、治療上有益な鎮痛レベルを3日~7日間の期間にわたって送達するように構成された放出プロファイルを有する。
【0194】
手首および手の外科手術と関連する術後疼痛も、本明細書に記載される1つまたは複数のデポーを使用して処置することができる。手首および手の外科手術の例として、手首関節形成術(手首修正術、手首の部分置換術、および手首全置換術を含む)、手首固定術、手根管の外科手術、および手首の骨折のORIFが挙げられる。このような外科手術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーを、手首の関節または修復部位に隣接するように構成し、位置させて、局所ブロックをもたらすことができる。加えてまたは代替として、1つまたは複数のデポーは、例えば、肘前窩、頸部傍脊椎腔、鎖骨下、または腋窩位置における配置を介して、尺側、正中、橈側、および皮膚前腕神経を標的にするように構成し、位置させることができる。一部の実施形態では、手首および手の外科手術と関連する術後疼痛を処置するために位置させたデポーは、治療上有益な鎮痛レベルを3日~7日間の期間にわたって送達するように構成された放出プロファイルを有する。
【0195】
本明細書で開示されるデポーは、他の整形外科的な外科手術、例えば、脊椎の外科手術(例えば、椎弓切除術、脊椎固定術)、骨折(例えば、股関節骨折、橈骨骨折、尺骨骨折、脛骨骨折、腓骨骨折、足首関節骨折)を処置するための手技からの術後疼痛を処置するために同様に使用することができる。例えば、脊椎固定術と関連する術後疼痛は、皮下または傍脊椎腔への1つまたは複数のデポーの配置を介して処置することができる。腓骨骨折修復術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーを、例えば、仙骨傍に置くことによって、坐骨神経および/または膝窩坐骨神経を標的にするように構成し、置くことができる。整形外科的な外科手術手技と関連する術後疼痛からの治療的緩和をもたらすために、様々な他の配置および構成も可能性がある。
【0196】
本明細書で開示されるデポーは、整形外科的な外科手術に加えて、他のタイプの外科手術と関連する術後疼痛を処置するために使用することができる。例えば、デポーを使用して、胸部関連の外科手術;乳房関連の外科手術;婦人科もしくは産科の外科手術;一般外科手術;腹部の外科手術;泌尿器の外科手術;耳、鼻、および喉(ENT)の外科手術;口腔および顎顔面の外科手術;腫瘍学的外科手術;または美容外科手術の術後疼痛を処置することができる。特定の外科手術または特定のクラスの外科手術では、1つまたは複数のデポーを、術後疼痛を処置するために処置部位に位置させることができる。処置部位は、外科手術部位にもしくはその近傍にあり得るか、または外科手術部位から間隔を空けられ得る(例えば、外科手術部位を神経支配する標的神経または神経束に近接して)。
【0197】
例えば、本明細書に記載される1つまたは複数のデポーを使用して、胸部関連の外科手術、例えば、開胸術、胸骨切開術、食道の外科手術、心臓の外科手術、肺切除術、胸部の外科手術、またはこのような他の手技と関連する術後疼痛を処置することができる。このような外科手術と関連する術後疼痛の処置では、1つまたは複数のデポーは、例えば、胸部傍脊椎腔もしくは他の好適な場所にまたはその近傍に置くことによって、肋間神経を標的にするように構成し、位置させることができる。肋間神経に送達された鎮痛薬は、患者の胸部領域の疼痛を低減し、それによって、上述される胸部関連外科手術手技と関連する術後疼痛を緩和することができる。
【0198】
別の例では、本明細書で開示される1つまたは複数のデポーを使用して、乳房関連の外科手術、例えば、乳房切除術、豊胸術(乳房形成術)、乳房縮小術、乳房再建術手技、またはこのような他の手技と関連する術後疼痛を処置することができる。このような手技からの術後疼痛を処置するために、1つまたは複数のデポーは、例えば、患者の鎖骨下腔または他の好適な場所へのまたはその近傍への配置を介して、鎮痛薬または他の治療剤を肋間神経に送達するように位置させ、構成することができる。加えてまたは代替として、1つまたは複数のデポーは、例えば、前鋸筋と広背筋との間または他の好適な場所への配置を介して、鎮痛薬または他の治療剤を外側胸筋神経および/または内側胸筋神経に送達するように位置させ、構成することができる。前述の通り、肋間神経に送達された鎮痛薬は、患者の胸部領域の疼痛を低減することができ、一方、外側および/または内側胸筋神経に送達された鎮痛薬は、大胸筋および小胸筋の疼痛を低減することができ、それによって、上述される胸部関連外科手術手技と関連する術後疼痛を低減する。
【0199】
別の例として、1つまたは複数のデポーを使用して、全身、腹部、骨盤、および/または泌尿器の手技と関連する術後疼痛を処置することができる。このような手技の例として、直腸結腸切除術、結腸切除術、膵切除術、虫垂切除術、痔核切除術、胆嚢摘出術、腎臓移植、腎摘除術、前立腺全摘除術、腎摘除術、胃切除術、胃の外科手術、小腸切除術、脾摘出術、開腹手術、腹腔鏡検査、ヘルニア修復術(例えば、鼠径、腹壁、臍、瘢痕)、S状結腸切除術、結腸直腸切除術、肝臓切除術、腸瘻造設術、直腸切除術、腎結石除去術、膀胱切除手技、および性別適合外科手術が挙げられる。このような手術では、術後疼痛は、腹横筋膜面(TAP)の神経を標的にするように1つまたは複数のデポーを置くことによって処置することができる。TAPに送達された鎮痛薬は、前腹壁に供給する神経を麻酔し、それによって、この領域の術後疼痛を低減することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーは、内腹斜筋と腹横筋との間に並べられる。一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーは、例えば、縫合糸、留め具、または他の固定機構を介して適所に固定することによって、腹壁にまたはその近傍に並べることができる。
【0200】
一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーは、婦人科および産科の外科手術、例えば、筋腫摘出術、帝王切開術、子宮摘出術(例えば、膣式子宮摘出術)、卵巣摘出術、骨盤底再建術、またはこのような他の外科手術手技と関連する術後疼痛を処置するために使用される。このような手技では、デポー(複数可)は、鎮痛薬または他の治療剤を、骨盤および/または生殖器領域を神経支配する神経、例えば、陰部神経、肋間神経、または他の好適な神経の1つまたは複数に送達するように構成し、位置させることができる。
【0201】
一部の実施形態では、1つまたは複数のデポーを使用して、ENT外科手術手技、例えば、扁桃摘出術、粘膜下切除術、鼻形成術、副鼻腔の外科手術、内耳の外科手術、耳下腺摘出術、顎下腺の外科手術、またはこのような他の手技と関連する術後疼痛を処置することができる。同様に、1つまたは複数のデポーを使用して、口腔および顎顔面の外科手術、例えば、歯槽の外科手術、歯科インプラントの外科手術、下顎矯正の外科手術、顎関節(TMJ)の外科手術、歯の再建外科手術、またはこのような他の手技と関連する術後疼痛を処置することができる。ENT外科手術手技ならびに/または口腔および顎顔面の外科手術手技では、デポー(複数可)は、鎮痛薬または他の治療剤を、外科手術手技によって影響を受けた領域を神経支配する神経、例えば、下顎神経、顎舌骨筋神経、舌神経、下歯槽神経、頬神経、耳介側頭神経、前篩骨神経、または他の好適な神経の1つまたは複数に送達するように構成し、位置させることができる。
【0202】
また、1つまたは複数のデポーを使用して、他の外科手術手技、例えば、腫瘍学的外科手術(例えば、腫瘍切除術)、美容外科手術(例えば、脂肪吸引法、腹壁形成術)、切断術、または術後疼痛を結果として生じる他の外科手術手技の術後疼痛を処置することができる。必要に応じて、1つまたは複数のデポーは、外科手術手技と関連し得ない適応症の疼痛を処置するため、例えば、神経腫または幻肢痛の処置に使用することができる。
【0203】
デポーの数および個々のデポーの特徴(例えば、幾何構造、組成、放出プロファイル)は、処置される特定の状態に所望の治療利益を送達するように選択することができる。例えば、硬組織の外科手術(例えば、人工膝関節置換外科手術)から回復中の患者は、相対的に長期間(例えば、外科手術後少なくとも7日、14日、または21日間)にわたって鎮痛薬の送達から利益を得ることができ、一方、他のタイプの外科手術から回復中の患者は、同じレベルまたは持続期間の鎮痛薬物送達を必要としないことがある。一部の実施形態では、軟組織の外科手術(例えば、扁桃摘出術、ヘルニア修復術、腹壁形成術、乳房形成術)から回復中の患者は、より短期間、例えば、外科手術後4日、5日、6日、または7日間までで鎮痛薬の送達から利益を得ることができる。したがって、軟組織の外科手術後の術後疼痛の処置のために患者に送達されるデポーは、より少ないデポー、または治療剤のより小さいペイロードを有するデポー、またはより急速な放出プロファイルを有するデポー(複数可)などを必要とし得る。別の例では、所望の量の疼痛緩和と相関する治療剤の全身治療閾値は、処置される状態に応じて変わり得、植込みのために選択されるデポー(複数可)の数および特徴は、外科手術後、適切な期間にわたって全身治療閾値にまたはそれよりも高くなるように、治療剤を送達するように選択することができる。追加として、植込みのために選択されるデポー(複数可)の数および特徴は、患者の体内に置くために標的解剖学的領域に順応するように合わせて調整することができる。
IV.臨床転帰
【0204】
治療利益をもたらす本発明の技術のデポー(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560)の有効性は、様々な測定基準を使用して評価することができる。例えば、鎮痛薬の送達を介して疼痛緩和をもたらす1つまたは複数のデポーの有効性は、疼痛スコア、回復の質、オピオイド消費量および関連副作用、ならびに/または機能的査定、例えば、中でも運動範囲のテスト、西オンタリオ大学およびマクマスター大学変形性関節症(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis)(WOMAC)指標、ならびに膝傷害および変形性関節症の転帰スコア(KneeInjury and Osteoarthritis Outcome Score)(KOOS)に基づいて評価され得る。
【0205】
数値評定スケール(Numeric Rating Scale)(NRS)は、患者が0(疼痛なし)~10(考え得る最悪の疼痛)のスケールで自身の疼痛を査定する、疼痛スコア付けシステムである。疼痛は、静止時に(NRS-R)または活動を伴って(NRS-A)測定され得る。本明細書におけるNRSスコアへのいかなる言及も、NRS-Rスコア、NRS-Aスコア、またはそれらの組合せを包含し得る。本明細書に記載されるNRSスコアは、患者が任意のオピオイドもしくは他の疼痛管理医薬品を消費する前の時間帯に、および/または患者が任意のオピオイドもしくは他の疼痛管理医薬品を消費していない時間帯に測定され得る。一部の実施形態では、外科手術後の1つまたは複数の時点における、本発明の技術の1つまたは複数のデポーを受けた患者(「処置患者」)のNRSスコアは、デポーを全く受けなかった患者(「対照患者」)のNRSスコアよりも有意に低い。時点は、外科手術の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後であり得る。処置患者のNRSスコアは、同じ時点における対照患者のNRSスコアと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低減し得る。
【0206】
一部の実施形態では、処置患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%が、外科手術後の1つまたは複数の時点において、例えば、外科手術の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後に、NRSスコアに基づいて痛みがなくなる(例えば、NRSスコア0または1)。処置患者は、対照患者よりも、例えば、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、28日、または30日早く、疼痛がない状態を達成し得る。
【0207】
一部の実施形態では、術後疼痛は、1つまたは複数の時点において患者のNRS-RスコアをNRS-Aスコアと比較することによって評価される。TKAの状況では、活動により、膝の滑膜腔内に麻酔薬が再分布することがあり、それによってNRS-Aスコアが低減し得る。したがって、特定の時点におけるNRS-AスコアとNRS-Rスコアとの差は、対照患者に対して処置患者の方が小さくなる(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%小さくなる)ことがある。
【0208】
必要に応じて、術後疼痛は、外科手術後の1つまたは複数の期間にわたって、処置患者のNRSスコアのAUC(「NRS AUC」)を対照患者のNRS AUCと比較することによって査定することができる。期間は、外科手術後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~10日間、12時間~14日間、12時間~21日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~21日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~21日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~21日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~21日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~21日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~21日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~21日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~21日間、14日~30日間、15日~21日間、15日~30日間、16日~21日間、16日~30日間、または21日~30日間であり得る。処置患者のNRS AUCは、同じ期間にわたる対照患者のNRS AUCと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下し得る。
【0209】
疼痛の処置における本発明の技術のデポーの有効性は、疼痛管理のために患者に処方された補助的なオピオイド医薬品の消費量に基づいて査定することもできる。一部の実施形態では、処置患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%が、外科手術後1つまたは複数の期間にわたって依然としてオピオイドを用いていない。代替としてまたは組合せとして、処置患者によって消費されたオピオイドの全量は、外科手術後、同じ期間にわたって対照患者によって消費されたオピオイドの全量と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下し得る。処置患者によって消費されたオピオイドの全量は、特定された期間にわたって、600モルヒネミリグラム当量(MME)、550MME、500MME、450MME、400MME、350MME、300MME、250MME、200MME、150MME、100MME、または50MME以下であり得る。術後オピオイド消費量を査定するための期間は、外科手術後0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~10日間、12時間~14日間、12時間~21日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~21日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~21日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~21日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~21日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~21日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~21日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~21日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~21日間、14日~30日間、15日~21日間、15日~30日間、16日~21日間、16日~30日間、または21日~30日間であり得る。
【0210】
一部の実施形態では、処置患者の外科手術後初めてのオピオイド消費までの時間(例えば、レスキューオピオイドまでの時間)は、対照患者と比較して、例えば、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、96時間、5日間、6日間、または7日間遅延する。処置患者は、外科手術の少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、15時間、20時間、24時間、30時間、36時間、40時間、または48時間後まで、任意のオピオイドを消費しなくて済む。処置患者はまた、対照患者と比較してオピオイド関連有害事象(例えば、悪心、嘔吐、便秘、イレウス)の経験が少なくて済むか、または経験しなくて済む。一部の実施形態では、オピオイド関連有害事象を経験している処置患者のパーセンテージは、対照患者と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する。
【0211】
疼痛の処置における本発明の技術のデポーの有効性は、動作パラメーター、例えば、運動および/または他の活動の範囲に基づいて査定することもできる。例えば、TKAについて、運動範囲は、外科手術後の膝の屈曲および/または伸展度に基づいて査定することができる。一部の実施形態では、処置患者が、外科手術後に標的屈曲および/または伸展度を達成するまでの時間は、対照患者と比較して、例えば、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、28日、または30日間低減する。標的屈曲および/または伸展度は、査定されている活動(例えば、歩く、座る、階段を上るなど)に基づいて変化し得、当業者に公知の基準に従って決定され得る。処置患者は、外科手術後1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日間以内に、標的屈曲および/または伸展度を達成することができる。別の例として、処置患者は、対照患者よりも、外科手術後、例えば、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、14日、28日、または30日早く正常な身体活動を再開し得る。他の好適な動作パラメーターには、全体的な活動レベル(例えば、足踏み回数、歩くのに費やす時間、ランニングに費やす時間、6分間歩行距離など)、歩行(例えば、正常な歩行の回復までの時間)、および/または他の測定基準が含まれる。動作パラメーター測定は、測定値の経時的な変化もしくは変化速度、ならびに/または対照患者の値、健康な個体(例えば、外科手術前の患者に類似の年齢の個体、類似の活動プロファイルを有する個体など)の値、および/もしくは特定の患者の術前レベルとの測定値の比較に基づいて査定することができる。一部の実施形態では、患者の身体活動は、ウェアラブルまたはセンサー、例えば、体の健康(fitness)のモニターを使用して追跡し、査定される。
【0212】
一部の実施形態では、疼痛の処置における本発明の技術のデポーの有効性は、処方された理学療法レジメンへのコンプライアンスに基づいて査定される。かなりの術後疼痛を経験している患者は、多くの場合、理学療法セッション(例えば、オンサイトまたはバーチャル)に参加できなかったり欠席したりし、ならびに/または時間、反復、屈曲/伸展および/もしくは他のパラメーターによって定量化されるものとしての労力を大幅に省いてしまう。それゆえに、処置患者は、これらの測定基準の1つまたは複数に基づいて、対照患者と比較してより高い理学療法へのコンプライアンスを実証し得る。理学療法へのコンプライアンスが低下すると、外科手術領域(例えば、膝関節)のこわばり感を引き起こす癒着および/または傷痕組織が形成されることがあり、それによって、膝の外科手術操作のために病院に戻る必要があり得る。したがって、外科手術操作の比率または発生率は、利益を実証するための別の臨床的エンドポイントになり得、例えば、処置患者における外科手術操作の比率は、対照患者と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下し得る。
【0213】
疼痛の処置における本発明の技術のデポーの有効性は、代替としてまたは追加として、他の因子に基づいて査定することができる。例えば、処置患者は、対照患者よりも、例えば、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、60時間、または96時間早く病院から退院し得る。より多くの術後疼痛を経験している患者が、より少ない術後疼痛を経験している患者よりも遅く退院し得るという点で、退院する時間は、患者が経験している疼痛の量に関係し得る。さらなる例では、処置患者の再入院率は、対照患者と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下し得る。再入院は、患者が長引くおよび/もしくは重度の疼痛を経験している場合、修正外科手術が必要とされる場合、ならびに/または他の因子がある場合に起こり得る。さらに別の例では、退院後、術後疼痛の処置を求めるために担当の外科医または医師に連絡を取る処置患者のパーセンテージは、対照患者と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下し得る。
【0214】
別の例として、処置患者は、1つまたは複数の回復の質(QoR)スコアによって測定される通り、対照患者と比較して外科手術後の回復の改善を呈し得る。QoRスコアにより、患者は、回復関連尺度、例えば、疼痛、身体的安楽、身体的独立性、心理的支え、感情の状態、および精神衛生に基づいて自己申告評価を提供することができる。QoRスコアは、より長い形態の40項目スコア(QoR-40)またはQoR-40から誘導されたより短い形態の15項目スコア(QoR-15)を使用して査定することができる。一部の実施形態では、処置患者は、外科手術後1つまたは複数の時点において、例えば、外科手術の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後に、対照患者と比較して改善されたQoRスコアを呈する。
【0215】
一部の実施形態では、本発明の技術のデポーの有効性は、WOMAC指標を使用して評価され、この指標は、様々な起源からの関節痛を有する患者の状態を評価するために医療従事者によって使用される一連の標準化された質問票である。WOMACにより、疼痛について5項目(スコア範囲0~20)、こわばり感について2項目(スコア範囲0~8)、および機能的制限について17項目(スコア範囲0~68)を測定する。身体機能についての質問は、日々の活動、例えば、階段昇降、座位または横臥位からの立ち上がり、直立、屈曲、歩く、車からの乗り降り、買い物、靴下の着脱、ベッドに横たわる、浴槽への出入り、座る、ならびに困難な家事および簡単な家事の実施を網羅している。WOMACの質問は、股関節障害および変形性関節症の転帰スコア(Hip disability and Osteoarthritis Outcome score)(HOOS)の質問のサブセットである。したがって、HOOS調査を使用してWOMACスコアを決定することもできる。
【0216】
本発明の技術の一部の実施形態は、患者の身体の解剖学的領域において外科手術後の疼痛に罹患している患者を処置するための方法を含む。疼痛は、解剖学的領域のまたはその近傍の外科手術と関連し得る。一部の実施形態では、本方法は、本明細書で開示されるデポーの1つまたは複数を外科手術部位の解剖学的領域に植え込むことによって、患者のWOMAC指標による全スコアを改善することを含む。その方法は、WOMAC指標疼痛サブスコア、こわばり感サブスコア、および/または身体機能サブスコアを改善することを含むことができる。WOMAC指標による全スコアおよび/またはサブスコアの1つもしくは複数は、所定の時間間隔(毎週、毎月、2カ月に1回など)に評価され得、患者の過去のスコア、患者の術前スコア、ならびに/または同じ外科手術を受けたが本発明の技術のデポーの1つで処置されなかった、類似の年齢、体の健康および健康状態を有する患者のスコアと比較され得る。
【0217】
KOOSは、膝傷害および変形性関節症を有する対象における短期的および長期的な症状および機能を評価する目的で、WOMAC指標の拡張版として開発された。KOOSは、別個にスコア化される5つの下位スケール、すなわち疼痛、他の症状、日常生活における機能(ADL)、スポーツおよびレクリエーションにおける機能(スポーツ/レク)、ならびに膝関連の生活の質(QOL)を含む。KOOSは、いくつかの整形外科的介入、例えば、前十字靱帯再建術、半月板切除術および人工膝関節全置換について検証されている。効果量は、一般に、下位スケールQOLについて最も大きく、続いて疼痛下位スケールが大きい。一部の実施形態では、本方法は、本明細書で開示されるデポーの1つまたは複数を外科手術部位の解剖学的領域に植え込むことによって、患者のKOOSスコアを改善することを含む。その方法は、疼痛、他の症状、日常生活における機能(ADL)、スポーツおよびレクリエーションにおける機能(スポーツ/レク)、ならびに/または膝関連の生活の質(QOL)の少なくとも1つを含むKOOSサブスコアを改善することを含むことができる。KOOSスコアおよび/またはサブスコアの1つもしくは複数は、所定の時間間隔(毎週、毎月、2カ月に1回など)に評価され得、患者の過去のスコア、患者の術前スコア、および/または対照患者(同じ外科手術を受けたが本発明の技術のデポーの1つで処置されなかった、類似の年齢、体の健康および健康状態を有する患者)のスコアと比較され得る。
【0218】
一部の実施形態では、外科手術手技(例えば、TKAまたは本明細書に記載されるその他の外科手術手技のいずれか)後に疼痛に罹患している対象を処置する方法は、本明細書に記載されるデポーの1つまたは複数(例えば、
図1A~5Gのデポー100a~560の1つまたは複数)を対象内に(例えば、外科手術部位または別の処置部位にまたはその近傍に)置くことを含む。デポー(複数可)は、デポー(複数可)で処置された患者の集団(「処置集団」)が、デポー(複数可)で処置されなかった患者の集団(「対照集団」)と比較して、少なくとも1つの臨床転帰の改善を呈するように構成され得る。臨床転帰の改善には、本明細書に記載される測定基準のいずれかが含まれ得る。例えば、処置集団は、対照集団と比較して、以下の転帰の改善の1つまたは複数を呈し得る:平均NRSスコアの低下、NRS-AスコアとNRS-Rスコアとの間の平均差の低下、平均NRS AUCの低下、痛みがなくなった患者のより大きいパーセンテージ、平均オピオイド消費量の低減、オピオイドを用いていない患者のより大きいパーセンテージ、初めてのオピオイド消費までのより長い平均時間、オピオイド関連有害事象の発生率の低下、平均屈曲および/もしくは伸展度の改善、標的屈曲および/もしくは伸展度を達成するまでの平均時間の短縮、病院から退院するまでの平均時間の短縮、入院率の低下、より大きい平均QoRスコア、より大きい平均WOMACスコア、ならびに/またはより大きい平均KOOSスコア。臨床転帰の改善は、本明細書に記載される外科手術手技後の時点および/または期間のいずれかにおいて査定することができる。
【実施例】
【0219】
以下の実施例は、本発明の技術の一部の態様をさらに記載するために含まれており、本発明の技術の範囲を限定するために使用されるべきではない。
(実施例1)
術後疼痛を処置するための植込み型デポーの構成
【0220】
この実施例は、術後疼痛を処置するために外科手術部位に植え込むように設計されたデポーの3つの構成、すなわち(1)
図2Aおよび2Bに示されるデポー200に類似の、ノッチを有する長方形デポー(「R300」)、(2)
図3Aおよび3Bに示されるデポー300に類似の、単一の孔を有する三角形デポー(「T600」)、ならびに(3)
図4Aおよび4Bに示されるデポー400に類似の、4個の孔を有する三角形デポー(「T500」)を記載する。各デポーは、2つの制御領域の間に位置させた単一の治療薬領域を含んでいた。各デポーの寸法は、以下の表1に提供される。
【0221】
【0222】
以下の表2および3は、それぞれR300、T600、およびT500デポーにおける、治療薬領域および制御領域についての乾燥質量による組成を提供する。実施例1~3および添付の図では、「BUP-HCl」は、ブピバカイン塩酸塩一水和物(治療剤)を指し、「PLGA5050」は、PLGA 50:50(ポリマー)を指し、「PS20」は、Polysorbate 20(放出剤)を指す。
【0223】
【0224】
【0225】
表4は、R300、T600、およびT500デポーの構成成分の乾燥質量による理論的組成を提供する。各構成成分の理論的組成パーセントを、治療薬領域および制御領域のそれぞれの厚さ、ならびに各製剤の組成パーセントから誘導された質量ベースで計算した。計算では、すべての構成成分の密度が等価である(すなわち、1.0g/cm3)と想定した。
【0226】
【表4】
(実施例2)
植込み型デポーの調製および特徴付け
【0227】
この実施例は、R300、T600、およびT500デポーの調製および特徴付けを記載する。すべての3個のデポーの治療薬領域を、質量により1:10:20:30比のPS20、PLGA5050、BUP-HCl、およびアセトンを用いて製剤化した。R300およびT600の制御領域を、質量により1:2:6比のPS20、PLGA5050、およびアセトンを用いて製剤化した。T500の制御領域を、質量により1:4比のPLGA5050およびアセトンを用いて製剤化した。
【0228】
R300、T600、およびT500の治療薬領域を、PS20、PLGA5050、およびアセトンを合わせ、PLGA5050が完全に溶解するまで混合することによって製造した。次に、BUP-HClをポリマー溶液に混合して、生地のような粘稠度を作り出した。生地をより小さい分量に分け、撹拌した。各部分を一連の熱圧縮ステップに供して、所望の厚さのディスクを形成した。次に、ディスクを乾燥させた。
【0229】
ディスクを乾燥させた後、制御領域をディスクの両側に施与した。R300およびT600デポーについては、制御領域を、PLGA5050およびPS20をアセトンに溶解させ、次にポリマー溶液を所望の厚さの薄フィルムにキャスティングすることによって形成した。次に、薄フィルムを、熱圧縮を使用してディスクの各側に結合させた。T500デポーについては、制御領域を、PLGA5050をアセトンに溶解させ、次にディスクをポリマー溶液に浸すことによって形成した。制御領域を施与した後、個々のデポーをディスクから切り出した。
【0230】
図6は、R300デポーの一部分の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。デポーを凍結粉砕させ、スパッタコーティングした後に画像化した。
図6に見られる通り、治療薬領域は、PLGA5050によって一緒に保持されたBUP-HCl結晶を有する二相構造である。制御領域は、治療薬領域上のおよそ10μmの厚さの層である。
(実施例3)
in vitro放出プロファイル
【0231】
この実施例は、T500デポーについてのin vitro放出データを記載する。in vitro溶出研究を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中pH5.8で実施した。デポーを、溶出媒体750mL中37℃において10RPMで回転するバスケット内に置いた。溶出媒体を、262nmで分光光度的に周期的に分析し、BUP-HCl濃度を、独立型の密封されたキュベット内で、USP参照標準を用いて定量化した。
【0232】
図7Aは、T500デポーから放出されたBUP-HClのパーセンテージを経時的に示すグラフである。放出プロファイルは、試験した異なるデポー試料(n=12)の間で高度に一貫しており、最初の80時間の放出については10%未満の標準偏差であった。
【0233】
図7Bは、T500デポーに残存しているBUP-HClのパーセンテージを経時的に示す片対数グラフである。グラフに見られる通り、T500デポーからのBUP-HClのin vitro溶出は、一次放出動態(R
2=0.9979)に密接に従い、観察された速度定数は0.023時間
-1であり、半減期は30時間である。
【0234】
図8Aは、およそ25%が溶出されているT500デポーの50倍拡大率のSEM画像であり、
図8Bは、およそ75%が溶出されているT500デポーの50倍拡大率のSEMである。デポーを、画像化の前にミクロトームで薄片にした。75%溶出試料では、孔の周辺および周囲近傍のデポー部分は、25%溶出試料と比較して著しく薄くなっており、このことは、それらの部分におけるBUP-HClペイロードが放出されたことを指し示す。それとは対照的に、周辺および孔から離れたデポーの内部部分は、それらの元の厚さを維持しており、このことは、BUP-HClペイロードがまだ存在していることを指し示す。これらの結果は、デポーの曝露された表面のより近傍に設置されたBUP-HCl分子が、曝露された表面からさらに離して設置されたBUP-HCl分子よりも急速に溶出するという点で、BUP-HCl放出速度が移動距離に相関することを示す。
(実施例4)
植込み型デポーのin vivo薬物動態
【0235】
この実施例は、TKA後の術後疼痛の処置のためにヒト対象に植え込まれたR300およびT600デポーについてのin vivo薬物動態データを記載する。R300およびT600デポーの安全性および薬物動態を、22人の患者による非盲検研究で調査した。患者は、片側一次TKAを受けている18~80歳の間の成人対象であった。1つまたは複数のデポーを、TKA手技後、膝関節包の外科手術縫合前に、各対象の膝関節包に置いた。投与量レベルに応じて、デポー(複数可)を以下の場所の1つまたは複数に置いた:膝蓋上包、被膜組織の横の内側の溝、および/または被膜組織の横の外側の溝。以下の表5は、コホートごとのデポー構成およびブピバカイン用量を提供する(実施例4~6および添付の図では、「BUP」または「ブピバカイン」は、ブピバカイン遊離塩基を指す)。
【0236】
【0237】
血漿薬物動態分析のための静脈血試料(4mL)を、外科手術中、および外科手術後最初の24時間以内に、次に外科手術後24~96時間ではおよそ4時間ごとに、次にその後15日目まで毎日、ならびに30日目、45日目および60日目の追跡調査訪問時に(コホート3Cの対象は、さらに18日目、21日目、24日目、および27日目に訪問した)、様々な時間間隔で採取した。ブピバカインを、アセトニトリルを用いるタンパク質沈殿によってヒト血漿から抽出した。抽出前に、ブピバカイン-d9を内部標準物質として添加した。有機上清の一部を、新しい96ウェルプレートに移し、水で希釈した。試料を、アセトニトリル、水、およびギ酸を含有する勾配移動相と共にAgilent Zorbax SB-C18カラムを使用して、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)システムに注入した。
【0238】
図9Aは、TKA後、R300またはT600デポーを受けている対象(線902)における経時的な平均ブピバカイン血漿濃度を、他のブピバカイン製剤で処置された対象(線904~910)と比較して示すグラフである。線902は、コホート3A~3Cの対象からのデータを示す(1~14日目および30日目のデータは、すべてのコホート3A~3Cの対象からのデータであり、18日目、21日目、24日目、および27日目のデータは、コホート3Cの対象だけからのデータである)。線904は、Exparelリポソームブピバカイン注射で処置した対象からのデータを示す(n=24、266mgのブピバカイン、Bramlett et al., The Knee 19 (2012), 530-536)。線906は、Marcaineブピバカイン注射で処置した対象からのデータを示す(n=30、133mgのブピバカイン、Bramlettet al.)。線908は、ExparelおよびMarcaineで処置した対象からのデータを示す(n=11、400mgのブピバカイン、Marino etal., The Journal of Arthroplasty 34 (2019) 495-500)。線910は、Zynrelefブピバカインおよびメロキシカム注射で処置した対象からのデータを示す(n=58、400mgのブピバカイン、Lachiewiczet al., The Journal of Arthroplasty 35 (2020) 2843-2851)。
【0239】
図9Aに示される通り、R300またはT600デポーで処置された対象における平均ブピバカイン血漿濃度(線902)は、21日目まで200ng/mlの治療閾値に近いかまたはそれよりも高いままであった。それとは対照的に、他の製剤で処置された対象の平均ブピバカイン血漿濃度は、最初の3~5日間以内に治療閾値未満に下がった。このデータは、植込み型デポーが、従来の製剤よりも著しく長期間にわたって、ブピバカインの継続的な持続放出を治療レベルでもたらし得ることを実証している。
【0240】
図9Bは、R300またはT600デポーを受けている対象における経時的な平均ブピバカイン血漿濃度(線902、左縦軸)に、Force Therapeuticsデータベース(n=103,818~296,286)から得られた一次TKA患者のNRS-R術後疼痛スコア(線912、右縦軸)を重ねて示すグラフである。
図9Bに示される通り、疼痛スコアは、TKAの直後に上昇し、次の30日間にわたって徐々に減る。ある場合には、穏やかな療養およびリハビリテーションを可能にするために、局所麻酔薬は、疼痛スコアが4未満に低くなるまで(TKA後およそ21日間)存在するべきである。R300およびT600デポーの放出プロファイルは、急性疼痛期間(0~4日間)中により高いブピバカインレベルをもたらし、療養期間全体(4~30日間)にわたって持続的なより低いブピバカインレベルをもたらすことによって、疼痛スコアの経時的な発生に整合している。
【0241】
図9Cは、R300またはT600デポーを受けている対象における様々な期間にわたるブピバカイン血漿濃度のAUC(棒914~918)を、他のブピバカイン製剤で処置された対象(棒920~926)と比較して示すグラフである。棒914は、コホート1の対象からのデータを示し、棒916は、コホート2の対象からのデータを示し、棒918は、コホート3A~3Cの対象からのデータを示す(14~30日目の棒914~918の破線は、これらのAUC値を、
図9Cに示されるその他のAUC値(3~4日間)と比較してより長い間隔(2週間)にわたって計算したことを指し示す)。棒920は、Exparelを受けている対象からのデータを示し、棒922は、Marcaineを受けている対象からのデータを示し、棒924は、ExparelおよびMarcaineを受けている対象からのデータを示し、棒926は、Zynrelefを受けている対象からのデータを示す。その他の製剤についてのデータは、
図9Aと同じ供給源から得た。
図9Bに示される通り、R300またはT600デポーで処置された対象のAUC値は、急性期間(0~4日間)中は他の製剤のAUC値と同等であり、療養期間(4~30日間)を通してその他の製剤よりも優れていた。
【0242】
図9Dは、植込み型デポーから様々な用量のブピバカインを受けている対象における平均ブピバカイン血漿濃度を示すグラフである。具体的には、線902は、1512mgのブピバカインを受けている対象からのデータを示し(コホート3A~3C)、線928は、756mgのブピバカインを受けている対象からのデータを示し(コホート2)、線930は、252mgのブピバカインを受けている対象からのデータを示す(コホート1)。
図9Eは、C
maxとブピバカイン用量との間の関係を示すグラフであり、
図9Fは、AUC
0~14dとブピバカイン用量との間の関係を示すグラフである。
図9D~9Fのデータは、R300およびT600デポーの薬物動態パラメーターが、線形用量応答を呈することを示す。
【0243】
図9Gは、植込み型デポーを受けている対象におけるin vivoブピバカイン放出プロファイルを示すグラフである。
図9Gに示されている放出プロファイルは、1512mgのブピバカインを受けている対象のブピバカイン血漿濃度レベル(コホート3A~3C)から推定した。簡潔には、経時的なブピバカイン血漿濃度の全曲線下面積(AUC
0~inf)を、デポーにおける全ブピバカイン用量の100%放出に対応すると想定した。経時的に放出されたブピバカインの累積パーセンテージを、100%に正規化されたAUC
0~t1対AUC
0~infの比から、各研究時点t
1において計算した。
図9Gに示される通り、デポーは、植込み後、21日間を超えてブピバカインの持続放出を呈した。全ブピバカイン用量のおよそ50%が、最初の7~8日間に放出され、全ブピバカイン用量のおよそ90%が、最初の21日に放出された。このデータは、植込み型デポーが、外科手術後の急性期間および療養期間中にブピバカインの持続放出を維持できることを示す。
(実施例5)
植込み型デポーの臨床的有効性
【0244】
この実施例は、TKA後、植込み型デポーで処置された患者(実施例4のコホート1~3Cの対象)における術後疼痛およびオピオイド消費を記載する。研究の一次エンドポイントはブピバカイン濃度であったが、一方、NRS-Rに関して、疼痛強度およびオピオイド消費量について臨床的有効性の探索的分析も評価した。
【0245】
すべてのコホート1の対象のための術中および術後医薬品には、植込み型デポーに加えて、くも膜下腔内モルヒネ;内転筋管ブロック;ロピバカイン、クロニジン、ケトロラク、およびエピネフリンからなる局所浸潤カクテル;長時間作用性オピオイド(Targin);ならびに必要な場合にはレスキューオピオイド(ほとんどの場合オキシコドン)が含まれていた。これらの対象は、治験中、様々な持続期間にわたってアセトアミノフェンおよびセレコキシブも消費した。これらの対象では、255mg以下のロピバカインを、局所浸潤カクテル、内転筋管ブロック、および/または脊椎麻酔において使用することができた。
【0246】
すべてのコホート2の対象のための術中および術後医薬品には、植込み型デポーに加えて、くも膜下腔内モルヒネ;内転筋管ブロック;ロピバカイン、クロニジン、ケトロラク、およびエピネフリンからなる局所浸潤カクテル;長時間作用性オピオイド(Targin);ならびに必要な場合にはレスキューオピオイド(ほとんどの場合オキシコドン)が含まれていた。これらの対象は、治験中、様々な持続期間にわたってアセトアミノフェンおよびセレコキシブも消費した。これらの対象では、165mg以下のロピバカインを、局所浸潤カクテル、内転筋管ブロック、および/または脊椎麻酔において使用することができた。
【0247】
コホート3A~3Cの対象(まとめて、「コホート3の対象」)のための術中および術後医薬品には、植込み型デポーに加えて、15人の対象のうち6人においてくも膜下腔内モルヒネ;15人の対象のうち6人においてクロニジン、ケトロラク、およびエピネフリンからなる局所浸潤カクテルならびに残りの9人の対象においては局所浸潤なし;15人の対象のうち3人に長時間作用性オピオイド(Targin);ならびに必要な場合にはレスキューオピオイド(ほとんどの場合オキシコドン)が含まれていた。これらの対象は、治験中、様々な持続期間にわたってアセトアミノフェンおよびセレコキシブも消費した。これらの対象では、脊椎麻酔としてロピバカインだけが許可された。内転筋管ブロックおよび麻酔薬の局所浸潤は許可されなかった。
【0248】
NRS-Rを、外科手術の30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、9時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、28時間、32時間、36時間、40時間、44時間、48時間、52時間、56時間、60時間、64時間、68時間、72時間、76時間、80時間、84時間、90時間および96時間、ならびに6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、30日、45日、および60日前および後に実行した。加えて、プロトコール修正に起因して、コホート3Cの対象については、18日、21日、24日、および27日目にも疼痛強度に関するNRS-Rを実行した。対象は、外科手術手技から15日目まで、任意のオピオイドを消費する前に疼痛強度に関するNRS-Rを完了するように求められた。
【0249】
図10は、コホートのそれぞれについての平均NRS-R疼痛スコアを示すグラフである(オピオイド消費量については調整されていない)。コホートの間で疼痛スコアの有意差はなかった。しかし、消費されたオピオイドの全量の比較(コホート1に対してコホート3では64%少ない、以下の表8を参照されたい)および限定された一連の疼痛スコアでは、患者がTKA外科手術後の最初の2週間の間に耐えられる疼痛強度レベルを維持しようとするためにオピオイドを消費するように見える。全体的には、患者の疼痛は、管理しやすく、疼痛強度スコアは一般に3またはそれよりも低かった。
【0250】
オピオイド使用について調整された疼痛強度に関するNRS-RのAUCは、台形法を使用して、一日ごとに、一日の終わりまで累積的に計算した。以下の表6は、最初の72時間についてのAUCを示す。AUCは、コホート1と3との間で同等であったが、コホート1、コホート2のすべての対象、およびコホート3の15人の対象のうち6人は、くも膜下腔内モルヒネを受け、それによって、それらの対象では最初のおよそ24時間のAUCが下がった。
【0251】
【0252】
以下の表7は、最初の15日(外科手術後2週間)にわたるAUCを示す。AUCは、コホート1と3との間で同等であったが、コホート3の対象は、コホート1の対象と比較して2週間にわたるオピオイドの消費が64%少なく(以下の表8を参照されたい)、術中の補助麻酔薬(内転筋管ブロック、または麻酔薬の局所的浸潤)を受けなかった。
【0253】
【0254】
以下の表8は、外科手術後、最初の2週にわたる患者のオピオイド消費量を示す。オピオイド消費量のすべての場合を、TKA外科手術手技の日(1日目)から15日目まで追跡した。予備的な中間分析では、1,512mg用量のコホート3の対象の80%(12人/15人)が、文献による52.8%(Runner et al., The Journal of Arthroplasty 35 (2020), S158-S162)と比較して、TKA外科手術後の最初の2週間以内にTKAによる膝疼痛のためのすべてのオピオイドの使用を中断した(表1)ことが示された。コホート2の対象(756mg)は、15日目以降オピオイドを消費せず、コホート1(252mg)の対象の半数(50%)が、15日目を超えてオピオイドを消費し続けた。
【0255】
【0256】
結果は、ブピバカイン用量が増大されると、外科手術後の最初の2週間の外科手術後オピオイド消費量(MME)が減ることを示した。文献では、TKA後に消費された平均MMEが、428MME~ほぼ700MMEの間であることが指し示されている(Runner et al.; Ruddell et al., The Journal of Bone and Joint Surgery103 (2021), 106-114)。コホート3の対象は、文献で報告された全オピオイドの半量よりも少ないオピオイドを消費した(428MMEに対して176.77MME)。コホート3の対象の20%(3人/15人)は、最初の2週間以降、膝疼痛に必要な場合に追加のオピオイドを実際に消費したが、これらの追加のオピオイド(2週間を超える)は、表8で報告された176.77MMEには取り込まれていない。
【0257】
コホート3の15人の対象のうち、1人の対象は、オピオイドを全く消費しなかった(6.7%)。オピオイドを実際に消費した残りの対象のうち、初めて消費するまでの時間は、カプラン・マイヤー法(Kaplan-Meyer)によって計算して6.283時間であった(95%CI;3.117、22.533)。
(実施例6)
植込み型デポーのシミュレートされた薬物動態
【0258】
この実施例は、肩の外科手術、バニオン切除術、および鼠径ヘルニア修復術後の術後疼痛を処置するための植込み型デポーのシミュレートされた薬物動態データを記載する。TKAおよび目的の別の適応症(「新しい適応症」)の処置において同じブピバカイン投与量を使用した他のブピバカイン製剤についての薬物動態データからCmaxおよびTmaxスケール因子を計算することによって、シミュレートされたデータを作成した。具体的には、TKA薬物動態データのCmax対新しい適応症についての薬物動態データのCmaxの比を取ることによって、Cmaxスケール因子をコンピュータ処理した。次に、Cmaxスケール因子を、すべての時点にわたるコホート3のブピバカイン血漿濃度データと掛け合わせて、新しい適応症についてスケーリングされたブピバカイン血漿濃度データを得た。同様に、TKA薬物動態データのTmax対新しい適応症についての薬物動態データのTmaxの比を取ることによって、Tmaxスケール因子をコンピュータ処理した。次に、Tmaxスケール因子を、すべてのブピバカイン血漿濃度データにわたるコホート3のブピバカイン時間データと掛け合わせて、新しい適応症についてスケーリングされた時間データを誘導した。ブピバカイン血漿濃度データを、上記の実施例4で得られた線形Cmax用量関係に基づいてさらにスケーリングして、様々なブピバカイン投与量の結果生じる薬物動態をシミュレートすることができた。得られたデータにより、他の適応症を処置するために他の解剖学的場所に植え込まれた場合の植込み型デポーの薬物動態の概略シミュレーションを提供する。
【0259】
図11Aは、肩の外科手術後の、植込み型デポーで処置された対象についてシミュレートされた経時的な平均ブピバカイン血漿濃度(線1102および1104)を、他のブピバカイン製剤で処置された対象における実際の平均ブピバカイン血漿濃度(線1106および1108)に対して示すグラフである。具体的には、線1102は、1000mg用量のブピバカインを含有するデポー(例えば、2個のT500デポー)で処置された対象についてシミュレートされたブピバカインレベルを示し、線1104は、750mg用量のブピバカインを含有するデポー(例えば、3個のR300デポー)で処置された対象についてシミュレートされたブピバカインレベルを示し、線1106は、Exparel(266mgのブピバカイン、Patel et al., Pain Medicine 21 (2020), 387-400)で処置された対象におけるブピバカインレベルを示し、線1108は、Posimir(ブピバカイン延長放出溶液、660mgのブピバカイン、FDABriefing Document, Meeting of Anesthetic and Analgesic Drug Products AdvisoryCommittee (2020))で処置された対象におけるブピバカインレベルを示す。
図11Aに示される通り、植込み型デポーは、200ng/mlの治療閾値よりも高いブピバカイン血漿レベルを10日間超にわたって生じ、したがって、肩の外科手術後の急性および亜急性疼痛期間を網羅すると予想される。それとは対照的に、ExparelおよびPosimir製剤で処置された対象におけるブピバカイン血漿レベルは、外科手術後最初の3~4日間で治療閾値未満に低くなる。
【0260】
図11Bは、バニオン切除術後の、植込み型デポーで処置された対象についてシミュレートされた経時的な平均ブピバカイン血漿濃度(線1110)を、別のブピバカイン製剤で処置された対象における実際の平均ブピバカイン血漿濃度(線1112)に対して示すグラフである。具体的には、線1110は、250mg用量のブピバカインを含有するデポー(例えば、1個のR300デポー)で処置された対象についてシミュレートされたブピバカインレベルを示し、一方、線1112は、Zynrelef(60mgのブピバカイン、Viscusi et al., ASRA poster (2017), Viscusi et al., ESRA poster(2017))で処置された対象におけるブピバカインレベルを示す。Zynrelefは、バニオン切除術後72時間までの術後鎮痛について承認されている。
図11Bに示される通り、植込み型デポーは、72時間の時点でZynrelefによって生じたレベルのまたはそれよりも高いブピバカイン血漿レベルを12日間超にわたって維持し、推定された5ng/mlの治療閾値のまたはそれよりも高いブピバカイン血漿レベルを維持し、したがって、バニオン切除術後の急性および亜急性疼痛期間を網羅すると予想される。
【0261】
図11Cは、開腹鼠径ヘルニア修復術後の、植込み型デポーで処置された対象についてシミュレートされた経時的な平均ブピバカイン血漿濃度(線1114および1116)を、他のブピバカイン製剤で処置された対象における実際の平均ブピバカイン血漿濃度(線1118および1120)に対して示すグラフである。具体的には、線1118は、1500mg用量のブピバカインを含有するデポー(例えば、3個のT500デポー)で処置された対象についてシミュレートされたブピバカインレベルを示し、線1116は、1000mg用量のブピバカインを含有するデポー(例えば、2個のT500デポー)で処置された対象についてシミュレートされたブピバカインレベルを示し、線1118は、Xaracoll(ブピバカインインプラント、266mgのBUP、Leiman et al., Advances in Therapy 38 (2021), 691-706)で処置された対象におけるブピバカインレベルを示し、線1120は、Zynrelef(300mgのブピバカイン、Viscusiet al., ESRA poster (2017))で処置された対象におけるブピバカインレベルを示す。
図11Cに示される通り、植込み型デポーは、200ng/mlの治療閾値よりも高いブピバカイン血漿レベルを7日間超にわたって生じ、したがって、開腹鼠径ヘルニア修復術後の急性および亜急性疼痛期間を網羅すると予想される。それとは対照的に、ExparelおよびPosimir製剤で処置された対象におけるブピバカイン血漿レベルは、外科手術後最初の1~2日間で治療閾値未満に低くなる。
(実施例7)
制御領域を含まないデポーからのin vitro放出
【0262】
この実施例は、ブピバカイン遊離塩基(「BUPFB」)を含有するデポーからのin vitro放出を記載する。デポーは、治療薬領域だけを含んでおり、制御領域を全く含んでいなかった(
図1Cのデポー100cに類似)。デポーの組成および幾何構造を、以下の表9に列挙する。
【0263】
【0264】
治療薬領域を、質量により1:10:20:30比のPS20、PLGA5050、BUPFB、およびアセトンを混合することによって調製した。熱圧縮機を使用して製剤を圧縮し、乾燥させて大型の円形ディスクにした。その後、大型ディスクを、外径14mmおよび100mgのBUPFBの標的化薬物ローディングを有する、より小さい円形ディスク(
図5Fのデポー550に類似の)に切断した。
【0265】
図12は、C100-FB-TRデポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである(n=3)。放出データは、加速in vitro放出試験を使用して得た。試料をpH5.8のリン酸緩衝剤に浸漬させた。所定の時点で、緩衝剤の一定分量を取り出し、UV-Vis分光法を使用して分析して、放出されたブピバカインの量を定量化した。
図12に示される通り、C100-FB-TRデポーは、6日間にわたってペイロードの制御放出を呈した。
(実施例8)
様々な制御領域を含むデポーからのin vitro放出
【0266】
この実施例は、2個、1個の制御領域を含むBUPFBデポー、および制御領域を含まないBUPFBデポーからのin vitro放出を記載する。デポーの組成および幾何構造を、以下の表10に列挙する。
【0267】
【0268】
R300-FB-TR、R300-FB-1CR、およびR300-FB-2CRの治療薬領域を、治療薬領域を長方形に切断したことを除いて、実施例7のプロセスに従って調製した。
【0269】
R300-FB-TRデポーは、制御領域を全く含んでおらず、R300-FB-1CRデポーは、単一の制御領域を含んでおり(
図1Bのデポー100bに類似)、R300-FB-2CRデポーは、2つの制御領域を含んでいた(
図1Aのデポー100aに類似)。制御領域を、質量により1:2:6比のPS20、PLGA5050、およびアセトンを混合することによって調製した。次に、制御領域を、溶媒キャスティングプロセスを使用して形成し、そのプロセスにおいて、製剤をポリテトラフルオロエチレンブロック(PTFE)ブロックにわたって薄く広げ、アセトンを飛ばした(flashed off)。次に、制御領域を、熱圧縮機を使用して熱圧縮を介して治療薬領域に施与した。
【0270】
図13は、デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである(デポータイプごとにn=2)。デポーをpH7.4のリン酸緩衝剤に浸漬させた。所定の時点に、デポーをpH7.4の緩衝剤から取り出し、新鮮なpH7.4緩衝剤に入れた。緩衝剤を、UV-Vis分光法を使用して分析して、各時点において放出されたブピバカインの量を定量化した。
図13に示される通り、すべての3個のデポーが、14日間の期間にわたって制御放出を呈した。放出速度は、制御領域の数が増大すると緩慢になった。
(実施例9)
遊離塩基、塩、およびハイブリッドデポーからのin vitro放出
【0271】
この実施例は、BUPFB、ブピバカイン塩酸塩一水和物(「BUP-HCl」)、またはBUPFBとBUP-HClとの混合物(「ハイブリッド」デポー)を用いて製剤化されたデポーからのin vitroおよびin vivo放出を記載する。デポーの組成および幾何構造を、以下の表11に列挙する。
【0272】
【0273】
デポーを、以下の変更を除いて、上記の実施例7に記載される方法に従って調製した:(1)C100-ハイブリッド-TRデポーについては、治療薬領域を、質量により1:10:10:10:30比のPS20、PLGA5050、BUP-HCl、BUPFB、およびアセトンの混合物を使用し、50mgのBUPFBおよび60mgのBUP-HCl(100mgのBUPFBに等価)の標的化薬物ローディングで製剤化し、(2)T400-塩-TRデポーについては、治療薬領域を、質量により1:10:20:30比のPS20、PLGA5050、BUP-HCl、およびアセトンの混合物を使用し、480mgのBUP-HCl(400mgのBUPFBに等価)の標的化薬物ローディングで製剤化し、三角形の形状に切断した。
【0274】
図14Aは、C100-FB-TRおよびC100-ハイブリッド-TRデポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである(デポータイプごとにn=3)。放出データは、上記の実施例7に記載される加速in vitro放出試験を使用して得た。
図14Aに示される通り、ハイブリッドデポーは、BUPFBを用いて製剤化されたデポーよりも急速な放出を呈した。
【0275】
図14Bは、すべての3個のデポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。放出データは、上記の実施例7に記載される加速in vitro放出試験を使用して得た。
図14Bに示される通り、BUP-HClだけを用いて製剤化されたデポー(T400-塩-TR、n=5)は、最も急速に放出し、続いてハイブリッドデポー(C100-ハイブリッド-TR、n=6)、次にBUPFBだけを用いて製剤化されたデポー(C100-FB-TR、n=3)が続いた。
(実施例10)
遊離塩基、塩、およびハイブリッドデポーからのin vivo放出
【0276】
この実施例は、ウサギ皮下モデルにおける、様々な形態のブピバカインを有するデポーからのin vivo放出を記載する。デポーの組成および幾何構造を、以下の表12に列挙する。
【0277】
【0278】
C100-FB-TRおよびC100-ハイブリッド-TRデポーを、実施例9で上述される通りに調製した。C100-塩-2CRデポーは、ブピバカイン塩酸塩一水和物(BUP-HCl)を有する治療薬領域および2つの制御領域を含有していた(
図1Aのデポー100aに類似)。C100-塩-2CRデポーの治療薬領域を、治療薬領域のためにBUPFBではなくBUP-HClを使用したことを除いて、上記の実施例7に記載される通りに調製した。C100-塩-2CRデポーの制御領域を、質量比2:9のPLGA5050およびアセトンを含む製剤を使用して、ディップコーティングプロセスを介して調製した。このディップコーティングプロセスでは、実施例7に記載される熱圧縮法を使用して製造された大型ディスクを、2:9のPLGA:アセトンのディップコーティング製剤を含有する容器にその全体を沈めた。C100-塩-2CRデポーの標的化薬物ローディングは、120mgのBUP-HCl(100mgのBUPFBに等価)であった。
【0279】
図15は、ウサギ皮下モデルにおけるデポーからのブピバカインのin vivo放出を示す片対数グラフである。4匹のウサギに、背側領域に沿った皮下腔に2個のデポーをそれぞれ植え込んだ。2個のデポーについて1つの皮下ポケットだけを作り出した。所定の時点(ベースライン、1、3、8、24、48、72、120、168、216、264、336、384、432、504、600、および672時間)に採血を実施した。ブピバカインアッセイを、各一定分量で実施して、各時点におけるブピバカイン遊離塩基の血漿濃度を定量化した。
図15に示される通り、ハイブリッドデポー(C100-ハイブリッド-TR、n=3)は、BUPFBデポー(C100-FB-TR、n=4)よりも急速に放出した。制御領域の存在により、親水性BUP-HCl形態(C100-塩-2CR、n=4)を使用した場合でも放出持続期間が延長された。
(実施例11)
様々な治療薬ローディングを有するデポーからのin vitro放出
【0280】
この実施例は、様々な量のBUPFBを用いて製剤化されたデポーからのin vitro放出を記載する。デポーの組成および幾何構造を、以下の表13に列挙する。
【0281】
【0282】
デポーを、R300-FB2-TRデポーの治療薬領域が、質量により1:10:40:30比のPS20、PLGA、BUPFB、およびアセトンの混合物を含んでいたことを除いて、上記の実施例8に記載される通りに調製した。
【0283】
図16は、デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。in vitro放出試験を、実施例8の方法を使用してpH7.4で実施した。
図16に示される通り、両方のデポーが、2週間にわたって制御放出を呈した。より高いBUPFBローディングを有するデポー(R300-FB2-TR、78.4%BUPFB、n=2)は、より低いBUPFBローディングを有するデポー(R300-FB-TR、64.5%BUPFB、n=2)よりもわずかに緩慢な放出を呈した。
(実施例12)
様々な遊離塩基:塩比を有するデポーからのin vitro放出
【0284】
この実施例は、様々なBUPFB:BUP-HCl比を用いて製剤化されたデポーからのin vitro放出を記載する。デポーの組成および幾何構造を、以下の表14に列挙する。
【0285】
【0286】
デポーを、(1)C100-1:1ハイブリッド-TRデポーの治療薬領域を、質量により1:10:10:10:30比のPS20、PLGA5050、BUP-HCl、BUPFB、およびアセトンの混合物を使用し、50mgのBUPFBおよび60mgのBUP-HCl(100mgのBUPFBに等価)の標的化薬物ローディングで製剤化し、(2)C100:1:2ハイブリッド-TRデポーの治療薬領域を、質量により1:10:13.7:30比のPS20、PLGA5050、BUP-HCl、BUPFB、およびアセトンの混合物を使用し、39mgのBUPFBおよび72.5mgのBUP-HCl(100mgのBUPFBに等価)の標的化薬物ローディングで製剤化したことを除いて、上記の実施例7に記載される通りに調製した。
【0287】
図17は、デポーからのブピバカインの累積in vitro放出を示すグラフである。in vitro放出試験を、実施例8の方法を使用してpH7.4で実施した。
図17に示される通り、より高いBUPFB:BUP-HCl比を有するデポー(C100-1:1ハイブリッド-TR、n=6)は、より低いBUPFB:BUP-HCl比を有するデポー(C100-1:2ハイブリッド-TR、n=6)よりも緩慢に放出した。
(実施例13)
移動距離のモデル化
【0288】
この実施例は、様々なデポー幾何構造について治療剤の移動距離を決定するためのモデル化技術を記載する。
【0289】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるデポーは、シンク条件(例えば、pH5.8のPBS)下で一次動態により治療剤(例えば、ブピバカイン)を放出し、したがって、半減期(t1/2)は、観察された速度定数(kobs)に、方程式t1/2=ln(2)/kobsによって関係付けられる。半減期は、本明細書に記載されるin vitro溶出技術を使用して実験的に決定することができる。半減期は、治療剤に最も近いデポーの曝露された表面までの治療剤の平均移動距離を含むデポーの幾何構造と共に変化すると予想される。2つのモデル化手法、すなわちモンテカルロ統計手法および幾何/微分手法を開発して、放出速度と移動距離との間の関係を検証した。
【0290】
図18Aおよび18Bは、2つのデポー幾何構造、すなわち正三角形(「T500」)(
図18A)および直角三角形(「T250」)(
図18B)に適用されたモンテカルロ手法を示す。モンテカルロモデルを、Pythonを使用して開発し、以下の通り操作した:デポーの幾何構造ごとに、デポーの内部にいくつかのランダム点を加えた。次に、各点から最も近い端部までの移動距離を決定し(3つの例が、
図18Aおよび18Bに示されている)、次に、すべての点についての移動距離の平均を計算した。次に、T500およびT250についての平均移動距離の比を、観察された速度定数の比(またはt
1/2値の比)と比較した。両方の比はおよそ1.4であったが、このことは、観察された速度定数に平均移動距離が正比例することを指し示している。このモデルを使用して、様々なデポー幾何構造(例えば、異なる形状、孔の有無)からの治療剤の相対的放出速度を予測することができる。
【0291】
図18Cおよび18Dは、T500(
図18C)およびT250(
図18D)デポー幾何構造に適用された幾何/微分手法を示す。デポーを、すべての端部から最も遠い点(内心)を使用してより小さい面積に幾何学的に分割し、それぞれのより小さい面積の積分を取る。被積分関数は、ある点からある線までの最短距離について公知の式である。この積分により、無数の点について端部までの平均最短距離が出力される。積分の出力は、モンテカルロシミュレーションの出力に整合すると予想される。
さらなる例
【0292】
本発明の技術の一部の態様を、以下の例に記載する。
1.外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための植込み型デポーであって、植込み型デポーが、
第1の表面、第1の表面とは反対の第2の表面、および第1の表面と第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域であって、第1のポリマーおよび鎮痛剤を含む治療薬領域と、
治療薬領域の第1の表面を覆って、第1の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する第1の制御領域であって、第2のポリマーを含む第1の制御領域と、
治療薬領域の第2の表面を覆って、第2の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域であって、第3のポリマーを含む第2の制御領域と、
第1および第2の制御領域ならびに治療薬領域にわたって伸びて、外側面から間隔を空けられた治療薬領域の1つまたは複数の曝露された部分を形成する、1つまたは複数の孔と
を含み、
植込み型デポーが、対象に植え込まれた場合、治療薬領域の外側面および1つまたは複数の曝露された部分から鎮痛剤を放出するように構成されている、
植込み型デポー。
2.1つまたは複数の孔が、治療剤の最大移動距離が5mm以下になるように構成されている、例1の植込み型デポー。
3.三角形の形状を有する、例1または例2の植込み型デポー。
4.複数の孔を含む、例1~3のいずれか1つの植込み型デポー。
5.4個の孔を含む、例4の植込み型デポー。
6.4個の孔が、
植込み型デポーの中心またはその近傍に設置された中心の孔、および
中心の孔から間隔を空けられた3個の周囲の孔
を含む、例5の植込み型デポー。
7.1つまたは複数の孔の少なくとも一部が、異なるサイズを有する、例1~6のいずれか1つの植込み型デポー。
8.1つまたは複数の孔の少なくとも一部が、異なる形状を有する、例1~7のいずれか1つの植込み型デポー。
9.1つまたは複数の孔が、それぞれ、同じサイズおよび形状を有する、例1~6のいずれか1つの植込み型デポー。
10.単一の孔を含む、例1~3のいずれか1つの植込み型デポー。
11.1つまたは複数の孔の少なくとも一部が、円形の形状を有する、例1~10のいずれか1つの植込み型デポー。
12.孔の少なくとも一部が、1mm~5mmの範囲内の幅を有する、例1~11のいずれか1つの植込み型デポー。
13.1.8mm~2.2mmの範囲内の全厚さを有する、例1~12のいずれか1つの植込み型デポー。
14.治療薬領域が、第1の厚さを有しており、第1および第2の制御領域が、合わせると、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、例1~13のいずれか1つの植込み型デポー。
15.第1の厚さが、植込み型デポーの全厚さの少なくとも95%である、例14の植込み型デポー。
16.第2の厚さが、植込み型デポーの全厚さの5%以下である、例14または例15の植込み型デポー。
17.第1の厚さに対する第2の厚さの比が、1/35以下である、例14~16のいずれか1つの植込み型デポー。
18.第1の厚さが、1.75mm~2.25mmの範囲内であり、第2の厚さが、40μm~60μmの範囲内である、例14~17のいずれか1つの植込み型デポー。
19.治療薬領域が、第1の体積を有しており、第1および第2の制御領域が、合わせると、第1の体積よりも小さい第2の体積を有する、例1~18のいずれか1つの植込み型デポー。
20.第1の体積が、植込み型デポーの総体積の少なくとも95%である、例19の植込み型デポー。
21.第2の体積が、植込み型デポーの総体積の5%以下である、例19または例20の植込み型デポー。
22.第1の体積が、少なくとも850mm3であり、第2の体積が、25mm3以下である、例19~21のいずれか1つの植込み型デポー。
23.植込み型デポーが、少なくとも3つの側面を含み、各側面の長さが、25mm~35mmの範囲内である、例1~22のいずれか1つの植込み型デポー。
24.鎮痛剤が、デポーの全質量の少なくとも60%を構成する、例1~23のいずれか1つの植込み型デポー。
25.鎮痛剤が、治療薬領域の全質量の少なくとも60%を構成する、例1~24のいずれか1つの植込み型デポー。
26.植込み型デポーにおける鎮痛剤の全質量が、540mg~660mgの範囲内である、例1~25のいずれか1つの植込み型デポー。
27.鎮痛剤が、ブピバカインまたはロピバカインを含む、例1~26のいずれか1つの植込み型デポー。
28.第1、第2、および第3のポリマーが、合わせると、デポーの全質量の35%以下を構成する、例1~27のいずれか1つの植込み型デポー。
29.第1のポリマーが、治療剤の全質量の35%以下を構成する、例1~28のいずれか1つの植込み型デポー。
30.第2のポリマーが、第1の制御領域の全質量の少なくとも95%を構成し、第3のポリマーが、第2の制御領域の全質量の少なくとも95%を構成する、例1~29のいずれか1つの植込み型デポー。
31.植込み型デポーにおける第1、第2、および第3のポリマーの全質量が、300mg~350mgの範囲内である、例1~30のいずれか1つの植込み型デポー。
32.第1、第2、および第3のポリマーが、同じポリマーである、例1~31のいずれか1つの植込み型デポー。
33.第1、第2、および第3のポリマーが、生体再吸収性ポリマーである、例1~32のいずれか1つの植込み型デポー。
34.第1、第2、または第3のポリマーの1つまたは複数が、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)である、例1~33のいずれか1つの植込み型デポー。
35.鎮痛剤および第1のポリマーが、治療薬領域内の個別の相である、例1~34のいずれか1つの植込み型デポー。
36.治療薬領域が、放出剤を含む、例1~35のいずれか1つの植込み型デポー。
37.放出剤が、植込み型デポーの全質量の5%以下を構成する、例36の植込み型デポー。
38.放出剤が、治療薬領域の全質量の5%以下を構成する、例36または例37の植込み型デポー。
39.植込み型デポーにおける放出剤の全質量が、20mg~40mgの範囲内である、例36~38のいずれか1つの植込み型デポー。
40.放出剤が、ポリソルベートである、例36~39のいずれか1つの植込み型デポー。
41.in vivoで植え込まれた場合、少なくとも7日、14日、21日、または30日間の期間にわたって鎮痛剤を継続的に放出するように構成されている、例1~40のいずれか1つの植込み型デポー。
42.植込み型デポーが、鎮痛剤を、第1の期間にわたって第1の速度で放出し、第2の期間にわたって第2の速度で放出するように構成されており、第1の速度が第2の速度よりも大きい、例1~41のいずれか1つの植込み型デポー。
43.植込み後、最初の72時間にわたって鎮痛剤の20%までを放出するように構成されている、例1~42のいずれか1つの植込み型デポー。
44.植込み後、最初の7日間にわたって鎮痛剤の50%までを放出するように構成されている、例1~43のいずれか1つの植込み型デポー。
45.植込み後、最初の14日間にわたって鎮痛剤の少なくとも70%を放出するように構成されている、例1~44のいずれか1つの植込み型デポー。
46.外科手術手技後の対象の疼痛を処置するためのシステムであって、例1~45のいずれか1つの植込み型デポーの1つまたは複数を含む、システム。
47.複数の植込み型デポーを含む、例46のシステム。
48.3個の植込み型デポーを含む、例47のシステム。
49.単一の植込み型デポーを含む、例46のシステム。
50.1つまたは複数の植込み型デポーが、in vivoで植え込まれた場合、5ng/ml、10ng ml、15ng/ml、20mg/ml、25ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、110ng/ml、120ng/ml、130ng/ml、140ng/ml、150ng/ml、160ng/ml、170ng/ml、180ng/ml、190ng/ml、200ng/ml、210ng/ml、220ng/ml、230ng/ml、240ng/ml、250ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/ml、600ng/ml、700ng/ml、800ng/ml、900ng/ml、または1000ng/mlに等しいかまたはそれよりも大きい鎮痛剤の平均血漿濃度を生じる、例46~49のいずれか1つのシステム。
51.平均血漿濃度が、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間の期間にわたって維持される、例50のシステム。
52.1つまたは複数の植込み型デポーが、in vivoで植え込まれた場合、1000ng/ml、900ng/ml、800ng/ml、700ng/ml、600ng/ml、500ng/ml、400ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、または50ng/mlに等しいかまたはそれよりも小さい鎮痛剤の平均Cmaxを生じる、例46~51のいずれか1つのシステム。
53.1つまたは複数の植込み型デポーが、in vivoで植え込まれた場合、少なくとも500日-ng/ml、1000日-ng/ml、1500日-ng/ml、2000日-ng/ml、2500日-ng/ml、3000日-ng/ml、3500日-ng/ml、4000日-ng/ml、4500日-ng/ml、5000日-ng/ml、5500日-ng/ml、6000日-ng/ml、6500日-ng/ml、7000日-ng/ml、7500日-ng/ml、または8000日-ng/mlの鎮痛剤の平均AUC0~14dを生じる、例46~52のいずれか1つのシステム。
54.外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための方法であって、例46~53のいずれか1つのシステムを対象内に置くことを含む、方法。
55.外科手術手技後の対象の疼痛を処置するための方法であって、方法が、
1つまたは複数のデポーを対象内に置くことを含み、各デポーが、
第1の表面、第1の表面とは反対の第2の表面、および第1の表面と第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域であって、第1のポリマーおよび鎮痛剤を含む治療薬領域と、
治療薬領域の第1の表面を覆って、第1の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する第1の制御領域であって、第2のポリマーを含む第1の制御領域と、
治療薬領域の第2の表面を覆って、第2の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域であって、第3のポリマーを含む第2の制御領域と、
第1および第2の制御領域ならびに治療薬領域にわたって伸びて、外側面から間隔を空けられた治療薬領域の1つまたは複数の曝露された部分を形成する、1つまたは複数の孔と
を含み、
各デポーが、治療薬領域の外側面および1つまたは複数の曝露された部分から鎮痛剤を放出するように構成されている、
方法。
56.1つまたは複数のデポーが、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のデポーを含む、例55の方法。
57.各デポーにおける鎮痛剤の質量が、540mg~660mgの範囲内である、例55または例56の方法。
58.各デポーにおける鎮痛剤の質量が、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、または1800mgに等しいかまたはそれよりも大きい、例55~57のいずれか1つの方法。
59.各デポーが、in vivoで植え込まれた場合、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間の期間にわたって鎮痛剤を継続的に放出する、例55~58のいずれか1つの方法。
60.1つまたは複数のデポーが、in vivoで植え込まれた場合、5ng/ml、10ng ml、15ng/ml、20mg/ml、25ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、110ng/ml、120ng/ml、130ng/ml、140ng/ml、150ng/ml、160ng/ml、170ng/ml、180ng/ml、190ng/ml、200ng/ml、210ng/ml、220ng/ml、230ng/ml、240ng/ml、250ng/ml、300ng/ml、400ng/ml、500ng/ml、600ng/ml、700ng/ml、800ng/ml、900ng/ml、または1000ng/mlに等しいかまたはそれよりも大きい鎮痛剤の平均血漿濃度を生じる、例55~59のいずれか1つの方法。
61.平均血漿濃度が、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、40日、50日、60日、70日、90日、100日、200日、300日、または365日間の期間にわたって維持される、例60の方法。
62.1つまたは複数のデポーが、in vivoで植え込まれた場合、1000ng/ml、900ng/ml、800ng/ml、700ng/ml、600ng/ml、500ng/ml、400ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、100ng/ml、または50ng/mlに等しいかまたはそれよりも小さい鎮痛剤の平均Cmaxを生じる、例55~61のいずれか1つの方法。
63.1つまたは複数のデポーが、in vivoで植え込まれた場合、少なくとも500日-ng/ml、1000日-ng/ml、1500日-ng/ml、2000日-ng/ml、2500日-ng/ml、3000日-ng/ml、3500日-ng/ml、4000日-ng/ml、4500日-ng/ml、5000日-ng/ml、5500日-ng/ml、6000日-ng/ml、6500日-ng/ml、7000日-ng/ml、7500日-ng/ml、または8000日-ng/mlの鎮痛剤の平均AUC0~14dを生じる、例55~62のいずれか1つの方法。
64.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均NRSスコアが、1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の平均NRSスコアと比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する、例55~63のいずれか1つの方法。
65.処置集団の平均NRSスコアおよび対照集団の平均NRSスコアが、外科手術手技の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後に評価される、例64の方法。
66.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%が、外科手術手技後のある時点で痛みがなくなる、例55~65のいずれか1つの方法。
67.時点が、外科手術手技の12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日後である、例66の方法。
68.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均NRS AUCが、1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の平均NRS AUCと比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する、例55~67のいずれか1つの方法。
69.処置集団の平均NRS AUCおよび対照集団の平均NRS AUCが、外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間の期間にわたって評価される、例68の方法。
70.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%が、外科手術手技後のある期間にわたってオピオイドを用いていない、例55~69のいずれか1つの方法。
71.期間が、外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間である、例70の方法。
72.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均全オピオイド消費量が、1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の平均全オピオイド消費量と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低下する、例55~71のいずれか1つの方法。
73.処置集団の平均全オピオイド消費量および対照集団の平均全オピオイド消費量が、外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間の期間にわたって評価される、例72の方法。
74.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の平均全オピオイド消費量が、600モルヒネミリグラム当量(MME)、550MME、500MME、450MME、400MME、350MME、300MME、250MME、200MME、150MME、100MME、または50MME以下である、例55~73のいずれか1つの方法。
75.処置集団の平均全オピオイド消費量が、外科手術手技後、0時間~12時間、0時間~24時間、0時間~72時間、0時間~96時間、0時間~7日間、0時間~14日間、0時間~15日間、0時間~30日間、12時間~24時間、12時間~36時間、12時間~72時間、12時間~96時間、12時間~7日間、12時間~14日間、12時間~14日間、12時間~30日間、1日~2日間、1日~4日間、1日~7日間、1日~14日間、1日~15日間、1日~30日間、2日~3日間、2日~4日間、2日~7日間、2日~14日間、2日~15日間、2日~30日間、3日~4日間、3日~7日間、3日~14日間、3日~15日間、3日~30日間、4日~5日間、4日~7日間、4日~14日間、4日~15日間、4日~30日間、5日~6日間、5日~7日間、5日~14日間、5日~15日間、5日~30日間、6日~7日間、6日~14日間、6日~15日間、6日~30日間、7日~8日間、7日~14日間、7日~15日間、7日~30日間、8日~9日間、9日~10日間、10日~11日間、11日~12日間、12日~13日間、13日~14日間、14日~15日間、14日~30日間、15日~30日間、または16日~30日間の期間にわたって評価される、例74の方法。
76.1つまたは複数のデポーで処置された処置集団の初めてのオピオイド消費までの平均時間が、1つまたは複数のデポーで処置されなかった対照集団の初めてのオピオイド消費までの平均時間と比較して、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、96時間、5日間、6日間、または7日間遅延する、例55~75のいずれか1つの方法。
77.外科手術手技が、人工膝関節全置換術(TKA)、人工肩関節全置換術、人工股関節全置換術、鼠径ヘルニア修復術、バニオン切除術、乳房形成術、または腹壁形成術である、例55~76のいずれか1つの方法。
78.対象の疼痛を処置するための植込み型デポーであって、植込み型デポーが、
第1の表面、第1の表面とは反対の第2の表面、および第1の表面と第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域であって、治療薬領域がポリマーおよび鎮痛剤を含み、鎮痛剤の少なくとも一部が遊離塩基形態で存在する、治療薬領域
を含み、
植込み型デポーが、対象に植え込まれた場合、治療薬領域の少なくとも外側面から、少なくとも3日間の放出期間にわたって鎮痛剤を放出するように構成されている、
植込み型デポー。
79.鎮痛剤が、ブピバカインを含み、遊離塩基形態が、ブピバカイン遊離塩基を含む、例78の植込み型デポー。
80.鎮痛剤の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%が、遊離塩基形態で存在する、例78または79の植込み型デポー。
81.鎮痛剤の100%が、遊離塩基形態で存在する、例78~80のいずれか1つの植込み型デポー。
82.鎮痛剤の少なくとも一部が、塩形態で存在する、例78~80のいずれか1つの植込み型デポー。
83.鎮痛剤が、ブピバカインを含み、塩形態が、ブピバカイン塩酸塩を含む、例82の植込み型デポー。
84.塩形態の遊離塩基形態に対する質量による比が、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1に等しいかまたはそれよりも大きい、例82または83の植込み型デポー。
85.治療薬領域が、放出剤を含む、例78~84のいずれか1つの植込み型デポー。
86.放出剤が、ポリソルベートである、例85の植込み型デポー。
87.ポリマーが、第1のポリマーであり、デポーが、治療薬領域の第1の表面を覆って、第1の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する制御領域をさらに含み、制御領域が、第1のポリマーと同じかまたは異なる第2のポリマーを含む、例78~86のいずれか1つの植込み型デポー。
88.制御領域が第1の制御領域であり、植込み型デポーが、治療薬領域の第2の表面を覆って、第2の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域をさらに含み、第2の制御領域が、第1のポリマーおよび第2のポリマーの一方または両方と同じかまたは異なる第3のポリマーを含む、例87の植込み型デポー。
89.第1、第2、および第3のポリマーが、同じポリマーである、例88の植込み型デポー。
90.第1、第2、または第3のポリマーの1つまたは複数が、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)である、例88または89の植込み型デポー。
91.放出期間が、少なくとも14日、21日、28日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、110日、または120日間である、例78~90のいずれか1つの植込み型デポー。
92.対象の疼痛を処置するためのシステムであって、例78~91のいずれか1つの植込み型デポーの1つまたは複数を含む、システム。
93.疼痛を処置するための方法であって、
デポーを対象に植え込むことであって、ここでデポーは、第1の表面、第1の表面とは反対の第2の表面、および第1の表面と第2の表面との間の外側面を有する治療薬領域を含み、治療薬領域は、第1のポリマーおよび鎮痛剤を含み、鎮痛剤の少なくとも一部は、遊離塩基形態で存在する、ことと、
治療剤の少なくとも外側面から、少なくとも3日間の放出期間にわたって鎮痛剤を放出することと
を含む、方法。
94.疼痛が、外科手術手技と関連する術後疼痛を含む、例93の方法。
95.外科手術手技が、膝の外科手術、股関節の外科手術、肩の外科手術、ヘルニア修復外科手術、バニオン切除術、乳房の外科手術、腹部の外科手術、脊椎の外科手術、または痔核切除術を含む、例94の方法。
96.鎮痛剤が、ブピバカインを含み、遊離塩基形態が、ブピバカイン遊離塩基を含む、例93~95のいずれか1つの方法。
97.鎮痛剤の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%が、遊離塩基形態で存在する、例93~96のいずれか1つの方法。
98.鎮痛剤の100%が、遊離塩基形態で存在する、例93~98のいずれか1つの方法。
99.鎮痛剤の少なくとも一部が、塩形態で存在する、例93~98のいずれか1つの方法。
100.鎮痛剤が、ブピバカインを含み、塩形態が、ブピバカイン塩酸塩を含む、例99の方法。
101.塩形態の遊離塩基形態に対する質量による比が、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、または5:1に等しいかまたはそれよりも大きい、例99または100の方法。
102.治療薬領域が、放出剤を含む、例93~101のいずれか1つの方法。
103.デポーが、治療薬領域の第1の表面を覆って、第1の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する制御領域を含み、制御領域が第2のポリマーを含む、例93~102のいずれか1つの方法。
104.制御領域が第1の制御領域であり、デポーが、治療薬領域の第2の表面を覆って、第2の表面からの鎮痛剤の放出を阻害する第2の制御領域をさらに含み、第2の制御領域が第3のポリマーを含む、例103の方法。
105.第1、第2、および第3のポリマーが、同じポリマーである、例104の方法。
106.放出期間が、少なくとも14日、21日、28日、30日、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、110日、または120日間である、例93~105のいずれか1つの方法。
107.対象の疼痛を処置するための植込み型デポーであって、植込み型デポーが、
外表面を有する治療薬領域であって、治療薬領域が第1のポリマーおよび鎮痛剤を含み、鎮痛剤の少なくとも一部が遊離塩基形態で存在する、治療薬領域と、
治療薬領域の表面の少なくとも一部分を覆って、表面からの鎮痛剤の放出を阻害する制御領域であって、第1のポリマーと同じまたは異なる第2のポリマーを含む、制御領域と
を含み、
植込み型デポーが、対象に植え込まれた場合、治療薬領域の少なくとも表面から少なくとも3日間の放出期間にわたって鎮痛剤を放出するように構成されている、
植込み型デポー。
108.デポーが、治療薬領域の一部分が制御領域を通して曝露されるように、デポーの厚さの少なくとも一部分にわたって伸びている開口を含み、植込み型デポーが、対象に植え込まれた場合、開口を通して鎮痛剤を放出するように構成されている、例107の植込み型デポー。
結論
【0293】
術後疼痛を処置するためのシステム、デバイス、および方法に関して実施形態の多くが上述されているが、本発明の技術は、他の用途および/または他の手法にも適用できる。例えば、本発明の技術のデポーを使用して、獣医学的手技および/または外科手術と関連する術後疼痛を処置することができる。さらに、本発明の技術の範囲内には、本明細書に記載されるものに加えて、他の実施形態が含まれる。追加として、本発明の技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書に記載されるものとは異なる構成、構成成分、または手技を有することができる。したがってそれゆえに、当業者は、本発明の技術がさらなる要素を含む他の実施形態を有することができること、または本発明の技術が
図1A~18Dを参照して示され、上述されている特色のいくつかを含まない他の実施形態を有することができることを理解されよう。
【0294】
本発明の技術の実施形態の説明は、包括的であることを意図されるものでも、本発明の技術を上記に開示される精確な形態に限定することを意図されるものでもない。文脈により可能な限り、単数または複数を示す用語は、それぞれ複数または単数を示す用語を含むこともできる。本発明の技術についての具体的な実施形態および実施例は、例示目的で上述されているが、関連分野の技術者には認識される通り、本発明の技術の範囲内で様々な等価な改変が可能である。例えば、複数のステップが所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、それらのステップを異なる順序で実施することができる。本明細書に記載される様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することもできる。
【0295】
本明細書で使用される場合、「一般に」、「実質的に」、「約」という用語、および類似の用語は、度合いを示す用語としてではなく、近似を示す用語として使用され、当業者によって認識されるはずの測定または計算値の固有の変動を説明することが意図される。
【0296】
さらに、「または」という語が、2つまたはそれよりも多い項目の一覧に言及して単一の項目だけをその他の項目から排他的に意味するように明確に限定されていない限り、そのような一覧における「または」の使用は、(a)その一覧における任意の単一の項目、(b)その一覧における項目のすべて、または(c)その一覧における項目の任意の組合せを含むものとして解釈されるべきである。追加として、「含む(comprising)」という用語は、任意のより多数の同じ特色および/またはさらなるタイプの他の特色が排除されないように、少なくとも記載されている特色(複数可)を含むことを意味するために、全体を通して使用される。本明細書で使用される場合、「Aおよび/またはB」などにおける「および/または」という句は、A単独、B単独、およびAとBを指す。
【0297】
参照により本明細書に組み込まれる任意の資料が本開示と矛盾する限りにおいては、本開示が優先する。
【0298】
また、具体的な実施形態が説明目的で本明細書に記載されているが、本発明の技術から逸脱することなく、様々な修正が加えられ得ることを理解されよう。さらに、本発明の技術のある特定の実施形態と関連する利点が、それらの実施形態の文脈において記載されているが、他の実施形態もそのような利点を呈することができ、すべての実施形態が、本発明の技術の範囲に含まれるのにそのような利点を呈する必要は必ずしもない。したがって、本開示および関連技術は、本明細書に明確に示されても記載されてもいない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】