IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルク パテント ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-537767インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法
<>
  • 特表-インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法 図1A
  • 特表-インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法 図1B
  • 特表-インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法 図2
  • 特表-インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法 図3
  • 特表-インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法 図4
  • 特表-インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】インライン一定加圧タンク「ICPT」を使用するプロセス強化のための統合された解決法
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/90 20060101AFI20241008BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B01D29/42 501A
B01D29/36 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519058
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022076836
(87)【国際公開番号】W WO2023052357
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21306336.5
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルブエナ,バティスト
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラクロワ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ハジャミ,ナージス・エル
(72)【発明者】
【氏名】カシュットニヒ,パウル
(72)【発明者】
【氏名】デュール,ジョスラン・ハース
(72)【発明者】
【氏名】トミック-シュクルビッチ,スラジャナ
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA26
4D116BB01
4D116BC06
4D116BC11
4D116BC13
4D116DD01
4D116EE04
4D116FF12B
4D116GG01
4D116GG02
4D116GG03
4D116GG12
4D116KK04
4D116QA01C
4D116QA01D
4D116QA02C
4D116QA02D
4D116QA12C
4D116QA12D
4D116QA39D
4D116QA44C
4D116QA44F
4D116QC34A
4D116VV07
4D116VV30
(57)【要約】
バイオロジクスまたは生物製剤の精製プロトコルを作動させるための方法および手順であって、別個のプロセスステップは、サージタンク、保持タンクまたは同様のものを使用しない連続プロセスとして、著しく異なるプロセスパラメータ(例えば、圧力および流量)を必要とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給流の流量とは無関係にフィルタ装置に一定の圧力を供給するための方法であって、前記方法は、
a)i)1つ以上の流体供給流入口および1つ以上の流体供給流出口を含むリザーバと、ii)作動中にリザーバに圧力を供給および維持するための圧力源であって、圧力調整器によって制御される加圧ガス供給部と、前記圧力調整器と前記リザーバとの間に配置され、流体接続する圧力調整弁との両方を備える圧力源とを設けることと、
b)流体供給流は、或る流量で1つ以上の流体供給流入口を介してリザーバに入ることと、
c)リザーバは、圧力源によって供給されるガスから加圧されることと、
d)リザーバの圧力が第1の予め設定された圧力を超える場合、ガス供給ラインから過剰な圧力を徐々に減らすように前記圧力調整弁が開くか、またはリザーバの圧力が第2の予め設定された圧力以下である場合、リザーバの圧力を維持または上昇させるために、ガス供給ラインからのガスがリザーバに入ることを可能にするように前記圧力調整弁が閉じるとき、リザーバにおいて一定の圧力が維持されることと、
e)前記流体供給流は、リザーバに入るときとほぼ同じ流量で、1つ以上の流体供給流出口を通してリザーバを出ることと、
f)前記流体供給流は、1つ以上のリザーバ出口の下流に位置する1つ以上のフィルタに一定の圧力で送達されることと、
を含む方法。
【請求項2】
第1の予め設定された圧力は、第2の予め設定された圧力よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス供給源は無菌である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス供給ガスは空気である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1または第2の圧力は、約4バール~約7バールまでである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタはウイルスフィルタである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタは、流体供給流を滅菌するためのフィルタである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタは、供給流を濃縮するためのフィルタである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
リザーバに入る流体供給流は連続的である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
上流プロセスステップから流体流を濾過するための方法であって、
a)i)上流プロセスステップから濾過される流体供給流と、ii)作動時に実質的に一定の圧力に維持されたリザーバと、iii)リザーバの下流に配置されたフィルタ装置とを設けること、
b)前記リザーバは、i)前記流体流がリザーバに入るための1つ以上の入口と、ii)1つ以上の出口と、iii)加圧ガス供給部と、iv)加圧ガス供給部とリザーバとの間で流体接続されて配置された圧力調整弁と、を有し、前記リザーバは、リザーバへの流体供給蒸気の流量とは無関係に一定の圧力に維持されることと、
c)リザーバの圧力が第1の予め設定された圧力を超える場合ガス供給ラインから過剰な圧力を徐々に減らすように前記圧力調整弁が開くか、またはリザーバの圧力が第2の予め設定された圧力以下である場合にリザーバの圧力を維持または上昇させるためにガス供給ラインからのガスがリザーバに入ることを可能にするように前記圧力調整弁閉じるとき、リザーバで一定の圧力が維持されることと、
d)前記リザーバ出口は、フィルタと流体連通していることと、
e)上流プロセスステップからの前記流体供給流は、前記フィルタ装置に向けられる前に一定の圧力に維持された前記リザーバに入ることと、
を含む方法。
【請求項11】
第1の予め設定された圧力は、第2の予め設定された圧力よりも低い、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ガス供給源は無菌である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガス供給ガスは空気である、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1または第2の圧力は、約4バール~約7バールまでである、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタはウイルスフィルタである、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルタは、流体供給流を滅菌するためのフィルタである、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタは、供給流を濃縮するためのフィルタである、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
リザーバに入る流体供給流は連続的である、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
バイオロジクスおよび生物製剤の処理は、例えばクロマトグラフィーおよび濾過ステップを含む複数のプロセスステップを必要とする。通常、ステップは精製プロセスの中でバッチモードで行われる。これは、特に流量および圧力に関して、大きく変化する条件下で異なるステップを実行する必要があることが多いためである。例えば、比較的一定の流量で作動させられるクロマトグラフィーカラムからの溶出液は、次のプロセスステップによって処理される前にタンクに一時的に貯蔵する必要があることが多い。これは、そのような多くの濾過ステップで、次のステップが一定の圧力条件の下で作動する場合に、特に当てはまる。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「連続プロセス」では、異なるプロセスステップによって要求される様々な条件により、プロセスステップの直接的な接続が可能にならないため、サージタンクまたは保持タンクがしばしば使用される。現在利用可能なシステムでサージタンクおよび保持タンクを使用する必要性は、生成プロトコルの生産性および効率を低下させる可能性がある。
【0003】
当業者は、この問題に対処しようと試みてきた。例えば、Schick(Filter and Separation,Dec.2003,pp.30-33および欧州特許出願公開第1,623,752号明細書)は、ユーザ定義の圧力限界に達するまで最初に一定の流量を濾過に利用し、次いで一定の圧力設定に自動的に切り替える、自動化された方法を開示している。しかしながら、この方法は、一定の流れまたは圧力が維持されることを確実にはせず、サージタンクまたは保持タンクの排除をおそらく確実にはしない。さらに、このシステムが必要とする流量を変動させることは、上流プロセスステップに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
さらに、Bohonakら(Biotechnology Progress,05 Oct.2020,37:e3088;doi.org/10.1002/btpr.3088)は、2つの並列処理の連鎖を利用するシステムを開示しており、それでは、一方の連鎖が使用されている間、他方がサービスされている。言い換えれば、プロセスフローは2つの連鎖で交互になり、それによってプロセス全体の連続作動を可能にする。しかしながら、このシステムでは、プロセス連鎖の中の流量および圧力などの異なるプロセスパラメータのシームレスな融合が可能にならない。
【0005】
当技術分野で必要とされるのは、例えば、保持タンク、サージタンクまたは貯蔵タンクなどでプロセスを中断する必要なしに、濾過などの定圧のステップを伴うクロマトグラフィーステップなどの一定の流れのプロセスステップの連続的な作動を可能にする方法、プロセスシステムおよび装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1,623,752号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Schick(Filter and Separation,Dec.2003,pp.30-33)
【非特許文献2】Bohonakら(Biotechnology Progress,05 Oct.2020,37:e3088;doi.org/10.1002/btpr.3088)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ICPT(インライン一定加圧タンク)は、必ずしも同じ作動条件下(例えば、一定の流れおよび一定の圧力)で行われない2つの精製ステップの結合を可能にする。実際、本発明は、2つの異なるステップ、すなわち、サージタンクおよび/または保持タンク(または同様のもの)を使用することなく、プロセスを中断することなく、または例えば複数の連鎖間でプロセス流の流れを切り替える/方向転換することなく、一定の流れの下で作動するステップと、一定の圧力の下で作動する別のステップとを結合する方法、プロセスシステムおよび装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、加圧リザーバ(本明細書では「リザーバ」とも呼ばれる)は、一定の流れのステップ(例えば、クロマトグラフィー、接線流濾過(TFF)またはシングルパス接線流濾過(SPTFF))と一定の圧力のステップ(例えば、ウイルス濾過、無菌濾過)とを連結する。タンクは、一定の流量または実質的に一定の流量の流れを1つのプロセスステップ(例えば、クロマトグラフィーカラムからの流出物)から受け取り、一定の圧力または実質的に一定の圧力の流れを次のプロセスステップ(例えば、濾過)に送達するように設計および作動される。必要または所望とされる、1つの生成プロセスで、複数のリザーバを使用することができる。本発明の方法およびプロセスシステムの使用は、サージタンクまたは保持タンクの追加の費用および設置面積、または並列の濾過連鎖の使用なしに、バイオ精製生成プロセスの連続作動を可能にする。
【0010】
本発明の実施は、生成プロセスの合理化をもたらし、生成時間の短縮および設置面積の縮小をもたらし、したがってコストの削減およびスペースの節約をもたらす。生成プロセスを合理化することに加えて、本発明は、生成プロセスの濾過ステップにおけるフィルタの処理能力の増加(例証のセクションを参照されたい)をもたらし、これはプロセスの生産性の向上にさらにつながる。本発明は理論に限定されないが、フィルタの処理能力の増加は、膜を横切る分極の結果であり得ると考えられる。換言すれば、例えば、抗体は、充填中の濃度勾配(例えば、可逆的自己凝集、弱い相互作用、ファンデルウォール、親和性相互作用など)に起因して沈降し、同様のメッシュを形成する。メッシュは、他の目詰まり化合物/分子/ウイルスなどを保持することによって「保護プレフィルタ」として機能し得る。この理論を支持して、1回の実行で、タンクの異なる深さで物質の濃度を測定した。濃度はタンクの底部ではるかに高いことが示された。
【0011】
また、本発明のICPTの場合、例えば、ESHMUNO(R)(Milliporesigma、マサチューセッツ州バーリントン)ESHMUNO(R)CP-FTカラムから出てくる不均一な溶出液を「ウイルスフィルタ」で連続的に濾過している。対照的に、バッチモード作動では、所与の量のほぼ均一な溶液が濾過される。本発明のICPTシステムでは、濾過プロセスの開始時に、溶出液は最終時よりも凝集体に濃縮されにくい。ESHMUNO(R)CP-FT後の溶出よりも濾過に時間がかかっているため、リザーバを一定レベルまで溶出液で満たし、そのとき同時に濾過を行っている。したがって、凝集体の濃度の勾配が加圧タンク内に発生される可能性があり、フィルタの処理能力の改善を担うことができる。この理論を支持して、プレフィルタリザーバー中で撹拌しながらおよび撹拌せずに実験を行った。溶液を撹拌して均一な溶出液を生成した場合、不均一な溶出液を有する「非撹拌」プロセスと比較して、ウイルスフィルタの処理能力が劇的に減少した。
【0012】
実際、リザーバが、例えばクロマトグラフィーカラムの溶出液で満たされている間、後続のステップは、生成プロセスの少なくとも大部分(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%超)にわたって同時に行われる。例えば、プロセス流体をすべての作動の領域に送達するために、リザーバを充填し、下流ステップ(例えば、濾過ステップ)を作動させる同時作動の初期の遅延が必要な場合がある。同様に、下流ステップは、上流ステップが完了した後の期間にわたって継続することができる。したがって、本発明は、従来のプロセスと比較して、プロセス時間の短縮およびフィルタの処理能力の増加をもたらす。
【0013】
一態様では、本発明は、供給流の流量とは無関係にフィルタ装置に一定の圧力を供給するための方法であって、i)1つ以上の流体供給流入口および1つ以上の流体供給流出口を具備するリザーバと、ii)作動中にリザーバに圧力を供給および維持するための圧力源であって、圧力調整器によって制御される加圧ガス供給部と、前記圧力調整器と前記リザーバとの間に配置され、流体接続する圧力調整弁との両方を備える圧力源とを設けること、を含み、流体供給流は、或る流量で1つ以上の流体供給流入口を通してリザーバに入り、リザーバは、圧力源によって供給されるガスから加圧され、リザーバの圧力が第1の予め設定された圧力を超える場合、前記圧力調整弁は、ガス供給ラインから過剰な圧力をブリードオフするように開くか、またはリザーバの圧力が第2の予め設定された圧力以下である場合、リザーバの圧力を維持または上昇させるためにガス供給ラインからのガスがリザーバに入ることを可能にするように閉じるとき、リザーバにおいて一定の圧力が維持され、前記流体供給流は、リザーバに入るときとほぼ同じ流量で、1つ以上の流体供給流出口を介してリザーバを出て、前記流体供給流は、1つ以上のリザーバ出口の下流に位置する1つ以上のフィルタに一定の圧力で送達される、方法を企図している。
【0014】
別の態様では、本発明は、第1の予め設定された圧力が第2の予め設定された圧力よりも低いことを企図する。
【0015】
別の態様では、本発明は、ガス供給源が無菌であることを企図する。
【0016】
別の態様では、本発明は、ガス供給ガスが空気であることを企図する。
【0017】
別の態様では、本発明は、第1または第2の圧力が約4バール~約7バールまでであることを企図する。
【0018】
別の態様では、本発明は、フィルタがウイルスフィルタであることを企図する。
【0019】
別の態様では、本発明は、フィルタが流体供給流を滅菌するためのフィルタであることを企図する。
【0020】
別の態様では、本発明は、フィルタが供給流を濃縮するためのフィルタであることを企図する。
【0021】
別の態様では、本発明は、リザーバに入る流体供給流が連続的であることを企図する。
【0022】
別の態様では、本発明は、上流プロセスステップから流体流を濾過するための方法を企図しており、方法は、i)上流プロセスステップから濾過される流体供給流と、ii)作動時に実質的に一定の圧力に維持されたリザーバと、iii)リザーバの下流に配置されたフィルタ装置と、を設けることを含み、前記リザーバは、i)前記流体流がリザーバに入るための1つ以上の入口と、ii)1つ以上の出口と、iii)加圧ガス供給部と、iv)加圧ガス供給部とリザーバとの間で流体接続されて配置された圧力調整弁と、を有し、前記リザーバは、リザーバへの流体供給蒸気の流量とは無関係に一定の圧力に維持され、前記圧力調整弁は、リザーバの圧力が第1の予め設定された圧力を超える場合ガス供給ラインから過剰な圧力をブリードオフするように開くか、またはリザーバの圧力が第2の予め設定された圧力以下である場合にリザーバの圧力を維持または上昇させるためにガス供給ラインからのガスがリザーバに入ることを可能にするように閉じるとき、リザーバで一定の圧力が維持され、前記リザーバ出口は、フィルタと流体連通しており、上流プロセスステップからの前記流体供給流は、前記フィルタ装置に向けられる前に一定の圧力に維持された前記リザーバに入る。
【0023】
別の態様では、本発明は、第1の予め設定された圧力は第2の予め設定された圧力よりも低いことを企図する。
【0024】
別の態様では、本発明は、ガス供給源は無菌であることを企図する。
【0025】
別の態様では、本発明は、ガス供給ガスは空気であることを企図する。
【0026】
別の態様では、本発明は、第1または第2の圧力は約4バール~約7バールまでであることを企図する。
【0027】
別の態様では、本発明は、フィルタはウイルスフィルタであることを企図する。
【0028】
別の態様では、本発明は、フィルタは流体供給流を滅菌するためのフィルタであることを企図する。
【0029】
別の態様では、本発明は、フィルタは供給流を濃縮するためのフィルタであることを企図する。
【0030】
別の態様では、本発明は、リザーバに入る流体供給流は連続的であることを企図する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】本発明の2つの実施形態の概略図を示す。
図1B】本発明の2つの実施形態の概略図を示す。
図2】mAb(mAb2;150kDa)の処理中の質量スループット(g/m)の関数として、ICPTと分離された(正方形/下位のデータ点の連鎖)および結合された(本発明のICPTプロセス;菱形/上位のデータ点の連鎖)モードでのVIRESOLVE(R)ProフィルタへのESHMUNO(R)CP-FTフロースルーの流束の減衰(%)の比較を示す。
図3】mAb(mAbμ;105kDa)の処理中の質量スループット(g/m)の関数として、ICPTと分離された(正方形/下位のデータ点の連鎖)および結合された(本発明のICPTプロセス;菱形/上位のデータ点の連鎖)モードでのVIRESOLVE(R)ProフィルタへのESHMUNO(R)CP-FTフロースルーの流束の減衰(%)の比較を示す。
図4】質量スループット(g/m)の関数における、VIRESOLVE(R)ProフィルタへのESHMUNO(R)CP-FTフロースルーの正規化された透過率(LMH/psiの%)の比較を示す。分離モード=正方形/下位データポイント;結合モード(ICPT)=菱形/上位データポイントおよび直接結合モード=円/中間レベルデータポイント。「直接結合」システムは、2つのステップの間に何も(例えば、サージタンクも)ないシステムを意味する、すなわち、カラムの出口は後続のフィルタの入口に直接結合される。
図5】本発明のICPTプロセスシステムおよび方法の概略図を示す。図の詳細な説明については、「例証」を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
「クロマトグラフィー」という用語は、本明細書で使用される場合、混合物に存在する他の分子から目的の分析物(例えば、標的分子)を分離するあらゆる種類の技術を指す。通常、目的の分析物は、移動相の影響下で、または結合および溶出プロセスにおいて、混合物の個々の分子が固定の媒体を通って移動する速度の差の結果として、他の分子から分離される。
【0033】
「クロマトグラフィー樹脂」または「クロマトグラフィー媒体」という用語は、本明細書では互換的に使用され、混合物に存在する他の分子から目的の分析物(例えば、標的分子)を分離するあらゆる種類の相(例えば、固相)を指す。通常、目的の分析物は、移動相の影響下で、または結合および溶出プロセスにおいて、混合物の個々の分子が固定した固相を通って移動する速度の差の結果として、他の分子から分離される。様々なタイプのクロマトグラフィー媒体の非限定的な例としては、例えば、陽イオン交換樹脂、親和性樹脂、陰イオン交換樹脂、陰イオン交換膜、疎水性相互作用樹脂およびイオン交換モノリスが挙げられる。他のクロマトグラフィー媒体は、本出願の出願時に当業者に公知であってよく、本明細書に含まれる。
【0034】
「捕捉ステップ」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、標的分子を刺激応答性ポリマーまたはクロマトグラフィー樹脂と結合させるために使用される方法を指し、標的分子およびポリマーまたは樹脂の沈殿物を含む固相をもたらす。典型的には、標的分子は、その後、固相から標的分子を除去する溶出ステップを用いて回収され、それにより、1つ以上の不純物からの標的分子の分離をもたらす。様々な実施形態では、捕捉ステップは、クロマトグラフィー媒体、例えば樹脂、膜もしくはモノリス、またはポリマー、例えば刺激応答性ポリマー、高分子電解質もしくは標的分子に結合するポリマーを使用して実施することができる。
【0035】
「結合」という用語は、標的分子(例えば、Fc領域含有タンパク質)とマトリックスに結合したリガンド(例えば、固相マトリックスにまたは樹脂に結合したプロテインA)との間の相互作用を説明するために本明細書で使用される場合、例えば、結合部位でのタンパク質およびリガンド構造の空間的相補性と、結合部位での静電力、水素結合、疎水力、および/またはファンデルワールス力と結合された組み合わせの効果による、標的分子のリガンドへの一般に可逆的な結合を指す。一般に、空間的相補性が大きく、結合部位における他の力が強いほど、タンパク質のそれぞれのリガンドに対する結合特異性は大きくなる。特異的結合の非限定的な例としては、抗体-抗原結合、酵素-基質結合、酵素-補因子結合、金属イオンキレート化、DNA結合タンパク質-DNA結合、調節タンパク質-タンパク質相互作用などが挙げられる。理想的には、アフィニティークロマトグラフィーでは、遊離溶液で約10-4~10-8Mの親和性で特異的結合が起こる。
【0036】
「洗浄剤」という用語は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);トリトン;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリストアミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ナトリウムメチルココイル-または二ナトリウムメチルオレイルタウレート;およびMONAQU AT(TM)シリーズ(Mona Industries,Inc.、パターソン、ニュージャージー州)などのイオン性および非イオン性界面活性剤を指す。洗浄剤として有用なものは、ポリソルベート、例えばポリソルベート20(TWEEN 20(R))もしくはポリソルベート80(TWEEN 80(R))または種々の酸、例えばオクタン酸である。
【0037】
「緩衝液」は、その酸塩基共役成分の作用によるpHの変化に抵抗する溶液である。例えば、緩衝液の所望のpHに応じて使用することができる様々な緩衝液は、Buffers.A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems,Gueffroy,D.,ed.Calbiochem Corporation(1975)に記載されている。緩衝液の非限定的な例としては、MES、MOPS、MOPSO、Tris、HEPES、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩およびアンモニウム緩衝液、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
本発明によれば、「緩衝液」または「溶媒」という用語は、分離ユニットを装填、洗浄、溶出および再平衡化するために使用されるいずれかの液体組成物に使用される。
【0039】
標的分子を「フロースルーする」ために分離カラムを「装填する」場合、緩衝液を使用して、標的分子(例えば、Fc領域含有の標的タンパク質)および1つ以上の不純物を備える試料または組成物を、クロマトグラフィーカラム(例えば、アフィニティーカラムまたはイオン交換カラム)に装填する。緩衝液は、標的分子がクロマトグラフィーマトリックスに結合せず、カラムをフロースルーする一方で、理想的にはすべての不純物がカラムに結合するように、導電率および/またはpHを有する。
【0040】
「再平衡化」という用語は、標的分子を装填する前にクロマトグラフィーマトリックスを再平衡化するために緩衝液を使用することを指す。典型的には、装填する緩衝液は、再平衡化のために使用される。
【0041】
クロマトグラフィーマトリックスを「洗浄する」または「洗浄すること」という用語は、適切な液体、例えば緩衝液をマトリックスの中に通過させること、またはマトリックスの上に通過させることを指す。典型的には、洗浄することは、標的分子を溶出する前にマトリックスから弱く結合した汚染物を除去するために、および/または装填後に非結合であるかもしくは弱く結合した標的分子を除去するために利用される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アフィニティークロマトグラフィーマトリックス」という用語は、アフィニティークロマトグラフィーに適したリガンドを担持するクロマトグラフィーマトリックスを指す。典型的には、リガンド(例えば、プロテインAまたはその機能的変異体もしくは断片)は、クロマトグラフィーマトリックス材料に共有結合しており、溶液がクロマトグラフィーマトリックスと接触するときに溶液の標的分子に接近可能である。アフィニティークロマトグラフィーマトリックスの一例はプロテインAマトリックスである。アフィニティークロマトグラフィーマトリックスは、典型的には、抗原/抗体または酵素/受容体結合などの鍵穴/鍵の機構に基づいて、高い特異性で標的分子に結合する。アフィニティーマトリックスの例は、プロテインA SEPHAROSE(TM)(GE Healthcare、マサチューセッツ州ボストン)またはPROSEP(R)-A(MilliporeSigma、マサチューセッツ州バーリントン)のようなプロテインAリガンドを担持するマトリックスである。本明細書に記載のプロセスおよびシステムでは、アフィニティークロマトグラフィーのステップを精製プロセス全体の結合および溶出クロマトグラフィーのステップとして使用することができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、ミクスト混合物中の目的の溶質または分析物(例えば、精製される標的分子)が、固相イオン交換材料に結合した(例えば共有結合によって)荷電化合物と相互作用し、それにより目的の溶質または分析物が混合物の溶質不純物または汚染物よりも多いまたは少ない荷電化合物と非特異的に相互作用するクロマトグラフィーのプロセスを指す。混合物中の汚染性溶質は、目的の溶質よりも速くもしくは遅くイオン交換材料のカラムから溶出するか、または目的の溶質に対して樹脂に結合するかもしくは樹脂から排除される。
【0044】
「イオン交換クロマトグラフィー」は、具体的には、陽イオン交換、陰イオン交換、および混合モードイオン交換クロマトグラフィーを含む。例えば、標的分子(例えば、全体的に正電荷または正に荷電した領域を有する標的タンパク質)は陽イオン交換クロマトグラフィー樹脂に結合し、続いて溶出することができ(例えば、陽イオン交換結合および溶出クロマトグラフィー、すなわち「CIEX」を使用する)、または主に不純物に結合することができ、一方で標的分子はカラムを「フロースルー」(陽イオン交換フロースルークロマトグラフィー、FT-CIEX)する。陰イオン交換クロマトグラフィー標的分子(例えば、全体的に負電荷または負に荷電した領域を有する標的タンパク質)は、陰イオン交換樹脂に結合し、続いて溶出することができ、または主に不純物に結合することができ、一方で標的分子はカラムを「フロースルー」し、これはネガティブクロマトグラフィーとも呼ばれる。或る実施形態では、本明細書に記載の例において実証されるように、陰イオン交換クロマトグラフィーステップはフロースルーモードで行われる。当業者に知られているように、カラムクロマトグラフィー条件(例えば、pH)は、標的分子の電荷特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0045】
「イオン交換マトリックス」という用語は、負に帯電した(すなわち、陽イオン交換媒体)または正に帯電した(すなわち、陰イオン交換媒体)マトリックスを指す。電荷は、例えば共有結合によって、1つ以上の荷電リガンドをマトリックスに結合させることによって供給され得る。代替的または追加的に、電荷は、マトリックスの固有の特性(例えば、全体的に負の電荷を有するシリカの場合のように)であってもよい。
【0046】
混合モード陰イオン交換材料は、典型的には陰イオン交換基および疎水性部分を有する。適切な混合モード陰イオン交換材料は、CAPTO(R)Adhere(GE Healthcare)である。
【0047】
「陰イオン交換マトリックス」という用語は、本明細書では、正に帯電している、例えば、それに結合した第四級アミノ基などの1つ以上の正に帯電したリガンドを有するマトリックスを指すために使用される。市販の陰イオン交換樹脂としては、DEAEセルロース、QAE SEPHADEX(TM)およびFAST Q SEPHAROSE(TM)(GE Healthcare、マサチューセッツ州ボストン)が挙げられる。本明細書に記載のプロセスおよびシステムで使用されることができる他の例示的な材料は、FRACTOGEL(R)EMD TMAE、FRACTOGEL(R)EMD TMAE HIGHCAP、ESHMUNO(R)QおよびFRACTOGEL(R)EMD DEAE(MilliporeSigma、マサチューセッツ州バーリントン)である。
【0048】
「陽イオン交換マトリックス」という用語は、負に帯電し、マトリックスの固相と接触した水溶液中の陽イオンと交換するための遊離陽イオンを有するマトリックスを指す。陽イオン交換マトリックスまたは樹脂を形成するために固相に結合した負に帯電したリガンドは、例えば、カルボン酸塩またはスルホン酸塩であってもよい。市販の陽イオン交換マトリックスには、カルボキシメチルセルロース、アガロースに固定化されたスルホプロピル(SP)(例えば、GE Healthcare、マサチューセッツ州ボストンのSP-SEPHAROSE FAST FLOW(TM)またはSP-SEPHAROSE HIGH PERFORMANCE(TM))およびアガロースに固定化されたスルホニル(例えば、GE HealthcareのS-SEPHAROSE FAST FLOW(TM))が含まれる。FRACTOGEL(R)EMD SO3、FRACTOGEL(R)EMD SE HIGHCAP、ESHMUNO(R)SおよびFRACTOGEL(R)EMD COO(MilliporeSigma、マサチューセッツ州バーリントン)が好ましい。
【0049】
「平衡緩衝液」という用語は、状態を中和するか、そうでなければ標的分子をバイアスしてクロマトグラフィーカラムまたはバイオリアクター内部のリガンドと効果的に相互作用させるために使用される溶液または試薬を指す。例えば、本明細書に記載の緩衝液溶液は、化学変化が生じている間、生物系のpHを概ね一定に保つことができる。本開示の実施形態による或る例では、生物系が例えば7.0~10.0のpHを有するにもかかわらず、pHは平衡緩衝液によって概ね一定に維持される。
【0050】
「溶出緩衝液」という用語は、クロマトグラフィー媒体に結合した生成物を取り出すまたは溶出するために使用される緩衝液または試薬を指す。例えば、溶出緩衝液は、第1の溶出中に空のAAV(アデノ随伴ウイルス)粒子を、第2の溶出中に完全なAAV粒子を溶出することができ、それによって完全なAAV粒子の濃度を可能にする。
【0051】
「流出物」という用語は、例えば、緩衝液の組成を増減させることなく一定の組成の溶出緩衝液を使用して、クロマトグラフィーのプロセス間で移動性である、すなわち溶出液を残す成分を指す。
【0052】
「アイソクラクティック溶出条件」という用語は、クロマトグラフィーのプロセス間での溶出緩衝液の一定した組成の条件を指す。
【0053】
「勾配溶出条件」という用語は、例えば特定の時間および/または複数のカラム体積である間に、0~100%の緩衝液からの溶出緩衝液の勾配を形成する、クロマトグラフィーのプロセスの間での溶出緩衝液の、例えば2つ以上の緩衝液の混合による、多様な組成の条件を指す。
【0054】
クロマトグラフィーは、(1)培地に標的タンパク質を装填し、装填を停止し、培地が洗浄され、溶出され、プールを回収するバッチモード、(2)連続的に装填を実行し、間欠的に溶出する(例えば、連続マルチカラムクロマトグラフィーの場合)半連続モード、および(3)完全な「連続モード」、装填と溶出の両方が持続的に行われる完全な「連続モード」、という3つのモードのいずれかで作動させることができる。米国特許出願公開第2013/0280788号明細書(その全体が本明細書に組み込まれる)は、複数のクロマトグラフィーカラムを順に連続して使用する連続的なクロマトグラフィー方法および装置と呼ばれるものの実施形態を記載している。連続クロマトグラフィーは、「連続プロセス」精製手順または作動の一部とすることができる。
【0055】
「連続プロセス」または「途切れのないプロセス」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、1つのプロセスステップからの排出物が中断することなくプロセスの次のプロセスステップに直接流れ込むように、2つ以上のプロセスステップ(またはユニット作動)を含み、2つ以上のプロセスステップがそれらの持続時間の少なくとも一部にわたって同時に実行され得る、標的分子を精製するためのプロセスを指す。言い換えれば、連続プロセスの場合、本明細書で説明するように、次のプロセスステップが開始される前にプロセスステップを完了する必要はなく、サンプルの一部は常に、プロセスステップを通して移動している。「連続プロセス」という用語は、プロセスステップ内のステップにもあてはまり、その場合、複数のステップを含むプロセスステップを実行している間、サンプルは、プロセスステップを実行するために必要な複数のステップを通して、連続的に流れる。本明細書に記載のそのようなプロセスステップの一例は、連続的に実施される複数のステップ、例えばフロースルー活性炭、引き続いてフロースルーAEX培地、引き続いてフロースルーCEX培地、引き続いてフロースルーウイルス濾過を含む、フロースルー精製ステップである。
【0056】
「半連続プロセス」という用語は、本明細書で使用される場合、標的分子を精製するための概ね連続的なプロセスを指し、このプロセスでは、いずれかの単一のプロセスステップにおける流体材料の投入または排出が不連続または断続的である。例えば、本発明による或る実施形態では、プロセスステップ(例えば、結合および溶出クロマトグラフィーステップ)における投入物は連続的に装填され得るが、排出物が間欠的に(例えば、サージタンクまたはプールタンクに)収集される可能性があり、精製プロセスの他のプロセスステップは連続的である。したがって、或る実施形態では、本明細書に記載のプロセスおよびシステムは、これらが断続的に作動する少なくとも1つのユニット作動を含むという点で、本質的に「半連続的」であるが、プロセスまたはシステムの他のユニット作動は連続的に操作されることができる。
【0057】
「接続されたプロセス」という用語は、標的分子を精製するためのプロセスを指し、このプロセスは、互いに直接流体連通する2つ以上のプロセスステップ(またはユニット作動)を備え、その結果、流体材料はプロセスのプロセスステップを通して連続的にフロースルーし、プロセスの通常作動中に2つ以上のプロセスステップと同時に関わる。時には、プロセスのうちの少なくとも1つのプロセスステップは、閉位置にあるバルブなどのバリアによって他のプロセスステップから一時的に隔離され得ることが理解される。個々のプロセスステップのこの一時的な隔離は、例えば、プロセスの始動もしくはシャットダウンの間、または個々のユニット作動の除去/交換の間に必要となり得る。「接続されたプロセス」という用語はまた、例えば、プロセスステップがプロセスステップの意図された結果を達成するために複数のステップを実行する必要がある場合、プロセスステップ内の諸ステップにあてはまる。そのような一例は、本明細書に記載のフロースルー精製プロセスステップであり、フロースルーモードで実施される複数のステップ、それは例えば、活性炭、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、およびウイルス濾過を含み得る。
【0058】
「流体連通」という用語は、本明細書で使用される場合、2つのプロセスステップ間の流体材料(液体または気体)の流れ、またはプロセスステップのステップ間の流体材料の流れを指し、プロセスステップは任意の適切な手段(例えば、接続ラインまたはサージタンク)によって接続され、それによって1つのプロセスステップから別のプロセスステップへの流体の流れを可能にする。或る実施形態では、2ユニット作動間の接続ラインは、接続ラインを通る流体の流れを制御するために1つ以上の弁によって中断され得る。
【0059】
「精製している」、「精製」、「分離する」、「分離している」、「分離」、「隔離する」、「隔離している」または「隔離」という用語は、本明細書で使用される場合、標的分子および1つ以上の不純物を備える試料由来の標的分子の純度の程度を増加させることを指す。典型的には、標的分子の純度は、試料から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって増加する。或る実施形態では、試料中の標的分子の純度は、本明細書に記載のように、例えばクロマトグラフィープロセスを使用して試料から1つ以上の不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって、増加する。別の実施形態では、試料中の標的分子の純度は、試料中の1つ以上の不純物から標的分子を沈殿させることによって増加する。本明細書で互換的に使用される場合、ポリペプチドの「pI」または「等電点」という用語は、ポリペプチドの正電荷がその負電荷と釣り合うpHを指す。pIは、ポリペプチドの結合した炭水化物のアミノ酸残基またはシアル酸残基の正味の電荷から計算することができ、または等電点電気泳動によって判定することができる。
【0060】
「pH」という用語は、液体中の水素イオン濃度の尺度を指すことが当技術分野で知られている。これは、溶液の酸性度またはアルカリ性度の尺度である。pHを計算するための方程式は、1909年にデンマークの生化学者Peter Lauritz Sorensenによって提唱された
pH=-log[H+]
式中、logは底10の対数であり、[H+]は、溶液1リットル当たりのモルの単位での水素イオン濃度を表す。「pH」という用語は、水素の元素記号であるHと組み合わせた「動力」を意味するドイツ語「ポテンツ」に由来するので、pHは「水素の動力」の略語である。
【0061】
「プロセスパラメータ」という用語は、精製プロセスで使用される条件として本明細書で使用される。これらのプロセスパラメータは、例えば、1つ以上のセンサおよび/またはプローブで監視することができる。プロセスパラメータの例は、温度、圧力、pH、導電率、溶存酸素(DO)、溶存二酸化炭素(DCO)、混合速度、および流量である。センサは、場合によっては光学センサであってもよい。センサは、プロセスパラメータを調整するための自動制御システムに接続されてもよい。
【0062】
「導電率」という用語は、本明細書で使用される場合、水溶液が2つの電極間で電流を伝導する能力を指す。溶液において、電流はイオン輸送によって流れる。したがって、水溶液に存在するイオンの量が増加するにつれて、溶液はより高い導電率を有することとなる。導電率の測定単位は、ミリ単位/センチメートル(mS/cmまたはmS)であり、市販の導電率計(例えば、Orionによって販売されている)を用いて測定することができる。溶液の導電率は、その中のイオンの濃度を変えることによって変えることができる。例えば、緩衝剤の濃度および/または溶液中の塩(例えば、NaClまたはKCl)の濃度は、所望の導電率を達成するために変更することができる。或る実施形態では、様々な緩衝剤の塩濃度は、所望の導電率を達成するように変更される。或る実施形態では、試料の装填に1つ以上の添加剤を添加するプロセスにおいて、1つ以上の洗浄ステップが続いて使用される場合、そのような洗浄ステップは、約20mS/cm以下の導電率を有する緩衝液を使用する。
【0063】
「塩」という用語は、本明細書で使用される場合、酸と塩基との相互作用によって形成される化合物を指す。本明細書に記載される方法において使用される種々の緩衝液において使用され得る種々の塩には、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、塩化物(例えば、塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム)またはカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
「結合および溶出モード」および「結合および溶出プロセス」という用語は、本明細書で使用される場合、試料(例えば、Fc領域含有タンパク質)に含まれる少なくとも1つの標的分子が、適切な樹脂または媒体(例えば、アフィニティークロマトグラフィー媒体または陽イオン交換クロマトグラフィー媒体)に結合し、続いて溶出される分離技術を指す。
【0065】
「フロースループロセス」、「フロースルーモード」、および「フロースルー作動」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、生物医薬製剤に含まれる少なくとも1つの標的分子(例えば、Fc含有融合タンパク質または抗体などのFc領域含有タンパク質)が、1つ以上の不純物と共に、通常は1つ以上の不純物に結合する材料を通って流れることを意図し、標的分子は通常結合しない(すなわち、フロースルーである)分離技術を指す。
【0066】
「プロセスステップ」または「ユニット作動」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、精製プロセスにおいて特定の結果を達成するための1つ以上の方法または装置の使用を指す。本明細書に記載のプロセスおよびシステムで使用され得るプロセスステップまたはユニット作動の例には、清澄化、結合および溶出クロマトグラフィー、ウイルス不活化、フロースルー精製、濾過および製剤化が含まれるが、これらに限定されない。プロセスステップまたはユニット作動の各々は、そのプロセスステップまたはユニット作動の意図された結果を達成するために2つ以上のステップまたは方法または装置を使用することができることが理解される。例えば、或る実施形態では、本明細書に記載の清澄化ステップおよび/またはフロースルー精製ステップは、そのプロセスステップまたはユニット作動を達成するために2つ以上のステップまたは方法または装置を使用することができる。或る実施形態では、プロセスステップまたはユニット作動を実行するために使用される1つ以上の装置は、使い捨て装置であり、プロセスにおいて他のいずれかの装置を交換する必要なく、またはプロセスの実行を停止する必要さえなく、取り外しおよび/または交換することができる。
【0067】
「サージタンク」または「保持タンク」などの用語は、本明細書では互換的に使用され、プロセスステップ間またはプロセスステップ内で(例えば、単一のプロセスステップが2つ以上のステップを備える場合)使用される任意の入れ物または容器またはバッグを指し、1つのステップからの排出物は、次のステップへとサージタンクをフロースルーする。したがって、サージタンクは、ステップからの排出物の全体積を保持または収集することを意図していないという点で、「プールタンク」とは異なり、むしろ、1つのステップから次のステップへの排出物の連続的な流れを可能にする。定義により、本明細書で理解されるように、サージタンク(または保持タンクなど)は、周囲圧力であるか、または周囲圧力に近い。それは、プロセスの全体的な効率に寄与しないという点で、精製プロセスにおける不可欠なステップではない。むしろ、サージタンク(または同様のもの)は、1つ以上のプロセスパラメータ、例えば流量および/または圧力を中断する。本発明の或る態様では、サージタンク、保持タンク、プールタンクなどの使用は、本発明から明示的に除外される。
【0068】
或る実施形態では、本明細書に記載のプロセスまたはシステムにおける2つのプロセスステップの間またはプロセスステップ内で使用されるサージタンクの容積は、プロセスステップからの排出物の全体積の25%以下である。別の実施形態では、サージタンクの容積は、プロセスステップ由来の排出物の全体積の10%以下である。或る他の実施形態では、サージタンクの容積は、標的分子が精製される出発材料を構成するバイオリアクターの細胞培養物の全体積の35%未満、または30%未満、または25%未満、または20%未満、または15%未満、または10%未満である。
【0069】
「リザーバ」または「加圧リザーバ」という用語は、本明細書では同義語と考えられ、一定の圧力、または実質的に一定の圧力、すなわち周囲圧力よりも高い圧力の下で、下流のプロセスステップ、例えば下流の濾過ステップで必要とされる圧力と同じまたは実質的に同じ圧力で作動するプロセスタンクを指す。本発明におけるリザーバは、これらが明確に異なる機能を果たすという点でサージタンク(または同様のもの)と同じではなく、すなわち、サージタンクはプロセスステップ間でプロセス溶液を保持するだけであり、一方、リザーバは、例えば、上流プロセスステップの一定の流れを妨げずに、下流のプロセスステップに必要な一定の圧力を供給する、精製プロセスの不可欠な部分である。上述のように、サージタンク(または同様のもの)は、本発明のリザーバが一定のプロセスパラメータを維持している間、流れまたは圧力などの1つ以上のプロセスパラメータを中断する。
【0070】
「フィルタ」という用語は、本明細書で使用される場合、膜、シート、フィルタ、フィルタ要素、濾過媒体、およびそれらの組み合わせなどの1つ以上の多孔質材料を含み得るが、これらに限定されない。フィルタは、プリーツ状であっても、平坦であっても、螺旋状に巻かれていてもよく、それらの組み合わせであってもよい。フィルタは、単層または多層膜装置であってもよく、例えば感染性生物およびウイルスなどの汚染物、ならびにそれらの組み合わせの、サイズ排除および化学的または物理的吸着によって除去され得る環境毒素および汚染物質を含む不所望の物質の濾過のために使用されることができる。フィルタ材料は、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、例えばナイロン、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、フルオロカーボン、例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリカーボネート、ポリエチレン、ガラス繊維、ポリカーボネート、セラミック、および金属を含むがこれらに限定されない、任意の適切な材料から構成されることができる。
【0071】
作動条件
図1Aは、本発明の実施形態の概略図を示す。図面は代表的なものであり、当業者は、本明細書の教示を授かり、この構成の変形形態を発展することができる。
【0072】
リザーバ1は、少なくとも1つの供給入口2と、加圧ガス供給部3と、少なくとも1つのガス供給入口4と、第1の圧力調整器5、および第1の圧力調整器の下流にある、加圧ガス供給部とリザーバとの間に配置されて流体連通する一方向弁5aと、ガス供給入口へのガス供給ラインと流体連通し、第1の圧力調整器の下流にある第2の圧力調整器6と、供給流出口8とを有する。逆流を防止するために、一方向弁7(矢印)が第2の圧力調整器の上流に位置する。さらに、供給流出口に配置され、リザーバと流体連通する1つ以上のフィルタ9(例えば、ウイルスフィルタまたは滅菌フィルタ)と、フィルタの上流および下流にそれぞれ配置された入口弁10および出口弁11と、濾液を収集するための収集装置12。フィルタは、フィルタベント13を有することができる。供給流入口ラインは、逆流を防止するための一方向弁(すなわち、逆止弁)14である。
【0073】
図1Bは、本発明の第2の実施形態の概略図を示す。図面は代表的なものであり、本明細書の教示を受けた当業者は、この構成の変形形態を発展することができるであろう。
【0074】
この実施形態は、上述の実施形態と同様であるが、第2の圧力調整器(図1Aの要素6)または第2の圧力調整器の上流に配置された一方向弁(図1Aの要素7)を必要としない。要素の他の番号付けはすべて、図1Aと同じままである。
【0075】
したがって、リザーバ1は、少なくとも1つの供給入口2と、加圧ガス供給部3と、少なくとも1つのガス供給入口4と、圧力調整器5、および加圧ガス供給部とリザーバとの間に配置されてこのラインにおける二方向の流れを可能にする(二方向の流れを示す矢印を参照されたい)一方向弁を有さない圧力調整器の下流と、供給流出口8とを有する。さらに、供給流出口に配置され、リザーバと流体連通する1つ以上のフィルタ9(例えば、ウイルスフィルタまたは滅菌フィルタ)と、フィルタの上流および下流にそれぞれ配置された入口弁10および出口弁11と、濾液を収集するための収集装置12。フィルタは、フィルタベント13を有することができる。供給流入口ラインは、逆流を防止するための一方向弁14である。
【0076】
この構成の1つの利点は、第2の圧力弁および圧力調整器が必要とされないため、必要な装置を簡素化するということである。すなわち、図1Bのこの設定は、第1のバージョンと比較して、ハードウェア/チューブ/部品の点でより軽量であり、したがってより安価で設定が容易である。しかしながら、使用に応じて、図1Aに表されている設定によって得られる、より大きな制御が望まれる場合がある。
【0077】
作動
ここで、システムの代表的な作動について説明する。当業者は、当業者の知識を考慮して本明細書の教示を受けて、本発明のシステムの代替の作動モードが可能であってよく、企図されてもよく、本明細書に組み込まれるということを理解するであろう。
【0078】
システムは、一態様では、以下のように作動する。供給源からの液体は、供給流入口を通って一定または実質的に一定の流量でリザーバに流入する。「実質的に一定の流れ」は、本明細書では、所望の流量の±25%、20%、15%、10%、5%、2%、または1%以内と定義される。リザーバへの入口流量は、リザーバからの出口流量よりも低くなる。リザーバは、濾過の開始前に所望のレベルまで「事前充填」され得るので、リザーバは乾燥しない。さらに、必要に応じて濾過を一時的に停止してリザーバの体積を増加させてもよい。
【0079】
リザーバは、供給源からのガスで加圧され、第1の圧力調整器によって調整される。使用される圧力は、使用されるフィルタによって判定される。或るフィルタは、作動のためにより大きいまたはより小さい圧力を必要とする場合がある。一実施形態では、圧力は7バールに設定されるが、これは、プロセスの設定の能力に応じてより低くても高くてもよい。圧力は少なくとも約4バールであると企図されている。使用される圧力は、特定のプロセスの実行(すなわち、より高いまたはより低い)または特定の利用可能なプロセスリソースに対して変更することができる。当業者は、本明細書の指針により、正しい圧力を決定することができる。別の実施形態では、圧力調整器は、圧力を低下させることのみを可能にする。したがって、圧力の供給は、プロセスの圧力よりも高くなければならない(または少なくとも等しくなければならない)。
【0080】
圧力は、例えばフィルタが詰まり始める場合、プロセスを実行している間に変更され得る。本発明の文脈における「一定の圧力」および「一定の圧力を維持する」ということは、生成実行の任意の時点での所望の圧力および所望の圧力(すなわち、オペレータによって設定された圧力)を維持することを意味し、生成実行間に圧力を異なる所望の圧力にリセットすることができないということを意味していない。「実質的に一定の圧力」は、本明細書では、所望の圧力の±25%、20%、15%、10%、5%、2%、または1%以内と定義される。
【0081】
本発明の態様では、リザーバの圧力は、第2の弁を介して維持される。リザーバに出入りする流量が等しいかまたはほぼ等しくなり得ても、リザーバの流体の水位(level)の変動が依然として発生する可能性があり、圧力が適切に調整されない場合に圧力の変動を引き起こす可能性がある。さらに、使用に伴いフィルタが目詰まりを起こすと、リザーバの圧力は、適切に調整されなければ上昇する可能性がある。これは、流量、したがって上流のプロセスに悪影響を及ぼす可能性がある。第2の弁は、リザーバの圧力が上昇して設定値を上回ると、第2の弁が開いてガス供給源からの圧力のブリードオフによって、リザーバの圧力を低下させるように設定される。同様に、リザーバの圧力が設定圧力以下である場合、第2の弁は閉じているか閉じたままであり、リザーバの圧力が上昇するか維持される。
【0082】
本発明の別の態様では、1つの圧力調整器のみが使用される。1つの調整器は、二元的調整器システムの第1の調整器と同様のガス供給用供給ラインに配置されてもよく、または第2の調整器が二元的調整器システムに配置される場所に配置されてもよい。さらに、1つの調整器を使用するシステムにおける圧力調整は、機能的であり、本発明の態様であるとはいえ、2つの調整器が使用されるシステムほど正確に圧力を調整することはできない可能性がある。
【0083】
本発明のさらに別の態様では、本発明は、他のプロセスパラメータまたは異なる順序のプロセスパラメータを結合することができる。例えば、本発明は、上流の一定の圧力のステップを、下流の一定の流量のステップと結合することができると企図される。
【0084】
例えば、本発明のICPTシステムをSPTFF(またはTFF)または他のフィルタリングのステップに接続することが企図される。この状況では、保持液の圧力は、圧力制御弁ではなく、タンクの圧力センサ(ICPT)で設定される。この設定は、例えば、タンクを空にするために、一定の圧力と一定の流れ、または(異なる)一定の圧力と一定の圧力を結合させることを可能にする。一定の圧力のステップの出口をICPTに接続することも実現可能であるべきであり、これはその後、非通過ポンプ、例えば蠕動ポンプを使用して、一定の流れのステップに接続(排出)される。この第2のステップの圧力は、タンクの圧力+ポンプによって生成された圧力によって求められる。
【0085】
例示的な実施形態では、クロマトグラフィー(第1のステップ)および濾過のステップ(第2のステップ)は、同時にまたは実質的に同時に終了する。例えば、システムのサイズに応じて、互いに数秒以内、互いに1分未満、互いに2分未満、または互いに3分未満である。
【0086】
例証
ICPT:インライン一定加圧タンクプロセス
組み立ての教示。図5を参照されたい。
1)上流ステップを設定して、それを一方向弁の液体(ow)に接続する、それは後続的にICPTの液体入口(I)ポートに接続しなければならなかった-入口液体(b)が構築される
2)液体出口(c)ラインを組み立てて、下流ステップの前に弁(v)を設定する。弁は、非通過ポンプ(例えば蠕動ポンプ)に置き換えることができ、この弁は、システムの完全性を確保するために閉じなければならない。
3)供給圧力調整器(P)を圧力供給源に接続し、直後にPの出口で一方向弁(ow)を追加する。次いで、Tコネクタを使用して、供給圧力供給部をリザーバ(R)および圧力調整ラインの排出部に連結することができる。追加の一方向弁(ow)を追加し、その後に第2の排気圧力調整器(P)を追加しなければならない。この第2の圧力調整器の直後に、閉弁(v)を追加しなければならない。次いで、このラインは、リザーバ(R)の入口調整ラインポート(I)に接続されるために使用されるT字コネクタのフリーポートに接続されることができる。
【0087】
プロセスの教示。図5を参照されたい。
1)使用前の考慮事項:システムがいかなる漏れもなく適切に構築され、一体化されていることの検証。使用するポンプがタンクによって発生する背圧を補助できることを確実にする。
2)圧力供給部をオンにし、供給圧力調整器(P)を所望の試験圧力(例えば、30psi)に設定する。
3)排気圧力調整器を同じ圧力(すなわち、ここでは30psi)に設定し、弁(v)を閉じる。
4)弁(v)を閉じる-充填段階。
5)上流ステップを開始し、プロセスが進行するにつれてタンクが充填され、圧力調整ライン(a)で圧力を一定に維持した。
6)十分な量がタンクに蓄積されたとき(この量/充填タンクレベルを正確に知り、事前に決定しなければならない)、弁(v)を開いて下流ステップを開始した。
7)下流ステップを同時に処理しながら、上流ステップを介してタンクが充填された、すなわち体積が維持された。
8)すべてが適切に作動した場合、両方のステップが同時にまたは実質的に同時に終了する(例えば、互いに数秒以内)。
9)圧力供給部をオフにし、システムを解体および/または滅菌することができる。
【0088】
結果
このプロセスは、プロセス時間の短縮およびフィルタの寿命の延長をもたらし、それによって公知の従来技術のプロセスよりも労力および材料のコストを節約する。例示的な実行の結果が図2図3および図4に示される。
【0089】
図2は、例示的なモノクローナル抗体mAb2(150kDa)を用いた流体の流れの質量スループット(g/m)のグラフを示す。グラフにおける下側のデータ点列は、本発明のICPTプロセスおよび、設定を使用しない分離された設定によって生成された。上側のデータ点のセットは、分離された設定と同じ特性を有する流体の流れで実行されるプロセスを示すが、本発明のICPTプロセスを含む。グラフから分かるように、分離されたプロセスでは、流束の減衰は大幅に低減され、質量スループットが大幅に増加した。
【0090】
図3は、例示的なモノクローナル抗体mAbμ(105kDa)を用いた流体の流れの質量スループット(g/m)のグラフを示す。グラフにおける下側のデータ点列は、本発明のICPTプロセスおよび設定を使用しない、分離された設定によって生成された。上側のデータ点のセットは、分離された設定と同じ特性を有するが、本発明のICPTプロセスを含む流体の流れで実行されるプロセスを示す。グラフから分かるように、分離されたプロセスでは、流束の減衰が大幅に低減され、質量スループットが大幅に増加した。
【0091】
図4は、3つのモードで動作するESHMUNO(R)CP-FTフロースルーVIRESOLVE(R)Proフィルタ(MilliporeSigma、マサチューセッツ州ベッドフォード)の質量スループット(g/m)正規化された透過率(LMH/psi)のグラフを示す。下側のデータ点列(正方形)は、分離プロセスを利用した。中央のデータ点列(円)は、直接結合プロセスを利用し、上側のデータ点列(菱形)は、本発明のICPTプロセスを利用した。本発明のICPTプロセスは、対照実行と比較して、より大きな質量スループットをもたらしたことが分かる。
【0092】
これらの詳細な実験の結果から容易に分かるように、本発明のICPTプロセスは、材料、労力、およびスペースの節約をもたらす、異なるプロセスステップを結合するプロセスを提供すると同時に、フィルタの処理能力の大幅な増加をもたらす。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給流の流量とは無関係にフィルタ装置に一定の圧力を供給するための方法であって、前記方法は、
a)i)1つ以上の流体供給流入口および1つ以上の流体供給流出口を含むリザーバと、ii)作動中にリザーバに圧力を供給および維持するための圧力源であって、圧力調整器によって制御される加圧ガス供給部と、前記圧力調整器と前記リザーバとの間に配置され、流体接続する圧力調整弁との両方を備える圧力源とを設けることと、
b)流体供給流は、或る流量で1つ以上の流体供給流入口を介してリザーバに入ることと、
c)リザーバは、圧力源によって供給されるガスから加圧されることと、
d)リザーバの圧力が第1の予め設定された圧力を超える場合、ガス供給ラインから過剰な圧力を徐々に減らすように前記圧力調整弁が開くか、またはリザーバの圧力が第2の予め設定された圧力以下である場合、リザーバの圧力を維持または上昇させるために、ガス供給ラインからのガスがリザーバに入ることを可能にするように前記圧力調整弁が閉じるとき、リザーバにおいて一定の圧力が維持されることと、
e)前記流体供給流は、リザーバに入るときとほぼ同じ流量で、1つ以上の流体供給流出口を通してリザーバを出ることと、
f)前記流体供給流は、1つ以上のリザーバ出口の下流に位置する1つ以上のフィルタに一定の圧力で送達されることと、
を含む方法。
【請求項2】
第1の予め設定された圧力は、第2の予め設定された圧力よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガス供給源は無菌である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス供給ガスは空気である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1または第2の圧力は、約4バール~約7バールまでである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタはウイルスフィルタである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルタは、流体供給流を滅菌するためのフィルタである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタは、供給流を濃縮するためのフィルタである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
リザーバに入る流体供給流は連続的である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
上流プロセスステップから流体流を濾過するための方法であって、
a)i)上流プロセスステップから濾過される流体供給流と、ii)作動時に実質的に一定の圧力に維持されたリザーバと、iii)リザーバの下流に配置されたフィルタ装置とを設けること、
b)前記リザーバは、i)前記流体流がリザーバに入るための1つ以上の入口と、ii)1つ以上の出口と、iii)加圧ガス供給部と、iv)加圧ガス供給部とリザーバとの間で流体接続されて配置された圧力調整弁と、を有し、前記リザーバは、リザーバへの流体供給蒸気の流量とは無関係に一定の圧力に維持されることと、
c)リザーバの圧力が第1の予め設定された圧力を超える場合ガス供給ラインから過剰な圧力を徐々に減らすように前記圧力調整弁が開くか、またはリザーバの圧力が第2の予め設定された圧力以下である場合にリザーバの圧力を維持または上昇させるためにガス供給ラインからのガスがリザーバに入ることを可能にするように前記圧力調整弁が閉じるとき、リザーバで一定の圧力が維持されることと、
d)前記リザーバ出口は、フィルタと流体連通していることと、
e)上流プロセスステップからの前記流体供給流は、前記フィルタ装置に向けられる前に一定の圧力に維持された前記リザーバに入ることと、
を含む方法。
【請求項11】
第1の予め設定された圧力は、第2の予め設定された圧力よりも低い、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ガス供給源は無菌である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガス供給ガスは空気である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1または第2の圧力は、約4バール~約7バールまでである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルタはウイルスフィルタである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルタは、流体供給流を滅菌するためのフィルタである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタは、供給流を濃縮するためのフィルタである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項18】
リザーバに入る流体供給流は連続的である、請求項10または11に記載の方法。
【国際調査報告】