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特表2024-537794ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物を使用して固形腫瘍を治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物を使用して固形腫瘍を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/439 20060101AFI20241008BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61K31/439
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/04
A61K31/444
A61K31/496
A61K31/519
A61P11/00
A61P25/00
A61P43/00 111
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519525
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022077364
(87)【国際公開番号】W WO2023056431
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/251,536
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/357,309
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】522432044
【氏名又は名称】ヌバレント, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アミット エム. デシュパンデ
(72)【発明者】
【氏名】ダーリーン ノチ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー エフレム ペリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ アール. ポーター
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アール. ソリア
(72)【発明者】
【氏名】アヌポン タンペーラチャイクル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー デュラント ターナー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マイヤーズ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076DD38
4C076DD41C
4C076EE32
4C076EE38B
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C084AA19
4C084AA23
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB262
4C084ZC202
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC50
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物(例えば、化合物1)、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、固形腫瘍を治療、予防または管理するために使用する方法が、本明細書で提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形腫瘍を有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量の化合物1:
【化1】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記固形腫瘍が、進行性固形腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記進行性固形腫瘍が、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による以前の治療後に再発性であるか、それに対して抵抗性であるか、またはそれに対して耐性である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固形腫瘍が、非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記固形腫瘍が、転移性である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記固形腫瘍が、CNS転移性である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記固形腫瘍が、ROS1陽性である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記固形腫瘍が、ROS1変異を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ROS1変異が、G2032Rである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固形腫瘍が、ROS1融合物を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記固形腫瘍が、ALK陽性(例えば、ALK融合物)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記固形腫瘍が、LTK陽性である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法により無処置である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者が、1つの以前のTKI療法で治療されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者が、少なくとも1つの以前のTKI療法で治療されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が、少なくとも2つの以前のTKI療法で治療されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記TKIが、ROS1 TKIである、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記以前のTKI療法が、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ(brigatinib)、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ(entrectinib)、レポトレクチニブ(repotrectinib)、カボザンチニブ、フォレチニブ(foretinib)、メレスチニブ(merestinib)、タレトレクチニブ(taletrectinib)、マシチニブ(masitinib)またはエンサルチニブ(ensartinib)からなる群から選択される1つ以上である、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が、以前の白金ベースの化学療法で治療されていない、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者が、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者が、1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記患者が、免疫療法で治療されていない、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記患者が、免疫療法で治療されている、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記患者が、化学療法で治療されていない、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記患者が、少なくとも1つの以前の化学療法ラインで治療されている、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記患者が、少なくとも2つの以前の化学療法ラインで治療されている、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記患者が、少なくとも3つの以前の抗がん療法ラインで治療されている、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者が、ROS1 TKI(例えば、治験ROS1 TKI、クリゾチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ及びタレトレクチニブ)及び化学療法からなる群から選択される少なくとも2つの以前の抗がん療法ラインで治療されている、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者が、少なくとも1つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が、少なくとも2つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、少なくとも3つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記患者が、少なくとも2つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、少なくとも1つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記患者が、少なくとも2つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者が、少なくとも3つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記ROS1 TKIが、クリゾチニブである、請求項17~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記ROS1 TKIが、エヌトレクチニブである、請求項17~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記ROS1 TKIが、ロルラチニブである、請求項17~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ROS1 TKIが、レポトレクチニブである、請求項17~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記患者が、ロルラチニブ及びレポトレクチニブで治療されている、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記固形腫瘍が、進行性または転移性ROS1陽性固形腫瘍であり、前記患者が、少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法で治療されている、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記固形腫瘍が、進行性または転移性ROS1陽性NSCLCであり、前記患者が、TKI療法により無処置であり、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記固形腫瘍が、進行性または転移性ROS1陽性NSCLCであり、前記患者が、1つの以前のROS1 TKI療法で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法で治療されていない、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記固形腫瘍が、進行性または転移性ROS1陽性NSCLCであり、前記患者が、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前のROS1 TKI療法及び1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記固形腫瘍が、進行性または転移性ROS1陽性NSCLCであり、前記患者が、免疫療法とともにまたはそれなしで、少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記固形腫瘍が、進行性または転移性ROS1陽性固形腫瘍であり、前記患者が、以前の療法において進行している、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物1が、前記患者に、1日以上にわたって投与される、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物1が、前記患者に、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与される、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
1つの治療サイクルが少なくとも7日間である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
1つの治療サイクルが少なくとも14日間である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
1つの治療サイクルが少なくとも21日間である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
1つの治療サイクルが少なくとも28日間である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後にグレード4の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後にグレード3の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後にグレード1の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後に最大グレード1の有害事象(例えば、TRAE)を経験する、請求項1~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記グレード1の有害事象が、疲労、筋肉痛または嘔気である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後に嘔気のみを経験する、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記患者が、前記化合物1の前記投与後にCNS有害事象を経験しない、請求項1~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記CNS有害事象が、めまい、運動失調、歩行障害、知覚異常、体重増加、過食、知覚異常、異常運動、認知変化、発話効果(例えば、構音障害、緩徐発話または発話障害)、気分障害(例えば、易刺激性、不安、抑うつ、情動不安定性、人格変化、気分変動、情動障害、攻撃性、激越、気分変化、抑うつ気分、多幸気分または躁病)及び認知障害(例えば、記憶障害、認知障害、健忘、錯乱、注意力障害、せん妄、精神的機能障害、注意欠如多動症、認知症、睡眠障害または読字障害)からなる群から選択される1つ以上である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記患者が、体重増加及び/またはグルコース代謝障害の有害事象を経験しない、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記患者が、患者集団である、請求項1~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記患者集団の30%未満が、前記化合物1の前記投与後にグレード1のTRAEを経験する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記患者集団の20%未満が、前記化合物1の前記投与後にグレード2のTRAEを経験する、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記患者集団が、前記化合物1の前記投与後にグレード3またはグレード4のTRAEを経験しない、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記患者が、1つ以上の治療サイクル後に完全奏効を有する、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記患者が、1つ以上の治療サイクル後に部分奏効を有する、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者が、1つ以上の治療サイクル後に安定した疾患に達している、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記患者が、脳転移を有する、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、脳転移を有し、少なくとも1つの治療サイクル後に頭蓋内進行を経験しない、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記患者が、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約5%~約100%の低減を有する、請求項1~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記患者が、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約35%の低減を有する、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記患者が、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約55%の低減を有する、請求項1~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記患者が、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約65%の低減を有する、請求項1~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記患者が、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約100%の低減を有する、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記患者が、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおける検出不可能なROS1対立遺伝子バリアントを有する、請求項1~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ROS1対立遺伝子バリアントが、G2032Rである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記以前の療法が、以前のROS1 TKI療法である、請求項46~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記ROS1 TKIが、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、タレトレクチニブ、ロルラチニブまたはレポトレクチニブである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記化合物1の前記投与が、前記化合物の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)を、(500ng*h/mLの80%~125%)~(30000ng*h/mLの80%~125%)の範囲で提供する、請求項1~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記化合物1の前記投与が、前記化合物の0~24時間の前記曲線下面積(AUC0~24)を、約500~約30000ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記化合物の0~24時間の前記曲線下面積(AUC0~24)が、約半治療サイクル後に約1000~約13000ng*h/mLの範囲にある、請求項1~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
このような投与が、前記化合物の前記投与後の0~24時間の前記曲線下面積(AUC0~24)を、投与された前記化合物1のmg毎に(20ng*h/mLの80%~125%)~(500ng*h/mLの80%~125%)の範囲で提供する、請求項1~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
このような投与が、前記化合物の前記投与後の0~24時間の前記曲線下面積(AUC0~24)を、投与された前記化合物1のmg毎に約20~約500ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
このような投与が、前記化合物の前記投与後の0~24時間の前記曲線下面積(AUC0~24)を、約半治療サイクル後に約50~約200ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
このような投与が、前記化合物のAUClast,unboundを、約400~約7000ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
このような投与が、前記化合物の前記AUClast,unboundを、投与された前記化合物1のmg毎に約10~約80ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
このような投与が、前記化合物のAUCtauを、約2000~約8000ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
このような投与が、前記化合物の前記AUCtauを、投与された前記化合物1のmg毎に約50~約150ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
このような投与が、前記化合物のAUCinfを、約4000~約15000ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
このような投与が、前記化合物の前記AUCinfを、投与された前記化合物1のmg毎に約50~約250ng*h/mLの範囲で提供する、請求項1~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
このような投与が、前記化合物の最大血漿中濃度(Cmax)を、(100ng/mLの80%~125%)~(1500ng/mLの80%~125%)の範囲で提供する、請求項1~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
このような投与が、前記化合物の前記最大血漿中濃度(Cmax)を、約100~約1500ng/mLの範囲で提供する、請求項1~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
このような投与が、前記化合物の前記最大血漿中濃度(Cmax)を、投与された前記化合物1のmg毎に約2~約50ng/mLの範囲で提供する、請求項1~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
このような投与が、2つの用量の投与間の時間間隔中に前記化合物1によって達せられる最小血漿中濃度(Cmin)を、約50~約350ng/mLの範囲で提供する、請求項1~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
このような投与が、前記化合物の非結合型最大血漿中濃度(Cmax,unbound)を、約30ng/mL~約400ng/mLの範囲で提供する、請求項1~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
このような投与が、前記投与後の前記化合物のTmaxを、約0.25時間~約5時間または約0.7時間~約1.3時間の範囲で提供する、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
このような投与が、前記投与後の前記化合物のt1/2を、約2時間~約50時間または約10時間~約24時間の範囲で提供する、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記投与が、前記投与の直後の約24時間の少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%中に、ROS1 G2032R変異体に対する前記化合物のIC50よりも少なくとも10%、20%、30%、40%または50%高い前記化合物の用量血漿中濃度を提供する、請求項1~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
ROS1陽性固形腫瘍を有する対象における病変を低減する方法であって、
(i)前記病変のサイズの第1の放射線測定値を得ることと、
(ii)薬学的有効量の化合物1を、1日1回1日以上にわたって投与することと、
(iii)前記病変のサイズの第2の放射線測定値を得ることと、を含み、
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の最大100%である、前記方法。
【請求項102】
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の最大約90%である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の最大約80%である、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の最大約70%である、請求項101に記載の方法。
【請求項105】
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の最大約60%である、請求項101に記載の方法。
【請求項106】
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の最大約50%である、請求項101に記載の方法。
【請求項107】
前記第2の測定値が、前記第1の測定値の約0.01%~約90%である、請求項101に記載の方法。
【請求項108】
前記第2の測定値が、検出可能な病変を示さない、請求項101に記載の方法。
【請求項109】
前記化合物が、(化合物1遊離塩基の重量による)約5mg~約500mgの量で1日1回投与される、請求項1~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約25mg~約250mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約25mg~約200mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約50mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約75mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項114】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約100mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項115】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約125mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項116】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mgまたは約150mgの量で1日1回投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項117】
前記化合物が、(化合物1遊離塩基の重量による)約5mg~約500mgの量で1日2回(BID)投与される、請求項1~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約25mg~約250mgの量で1日2回(BID)投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約25mg~約200mgの量で1日2回(BID)投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約25mg~約150mgの量で1日2回(BID)投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約25mg~約100mgの量で1日2回(BID)投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項122】
前記化合物が、(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mgまたは約150mgの量で1日2回(BID)投与される、請求項117に記載の方法。
【請求項123】
前記化合物が、経口投与される、請求項1~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記化合物が、1つ以上の錠剤の形態において投与される、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記錠剤が、遊離塩基化合物1の重量による約5mgまたは約25mgの単位用量強度を有する、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記化合物が、絶食状態での患者に投与される、請求項1~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
前記化合物が、摂食状態での患者に投与される、請求項1~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記患者が、CYP3A4の強力な阻害剤、CYP3A4の強力な誘導剤、CYP3A4の感受性基質、P-gp/多剤耐性タンパク質(MDR1)の基質、BCRP/乳癌耐性タンパク質(ABCG2)の基質、MATE1の基質または胃酸低減剤のうちのいずれか1つを服用していない、請求項1~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記患者が、CYP3A4の強力な阻害剤、CYP3A4の強力な誘導剤、CYP3A4の感受性基質、P-gp/多剤耐性タンパク質(MDR1)の基質、BCRP/乳癌耐性タンパク質(ABCG2)の基質、MATE1の基質または胃酸低減剤のうちのいずれか1つを服用している、請求項1~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
前記化合物が、CYP3A4の感受性基質の非存在下で投与される、請求項1~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項131】
前記CYP3A4の感受性基質が、ブスピロン、エベロリムス、ロバスタチン、ミダゾラム、シンバスタチン、トリアゾラム、マラビロク、コニバプタン及びダリフェナシンのうちの1つ以上を含む、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記患者が、認知障害、気分障害、睡眠障害、めまい、運動失調及び体重増加からなる群から選択される1つ以上の症状を、前記化合物の前記投与後に経験しない、請求項1~131のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
前記患者が、pROS1、ROS1、pAKT及びpERKのうちの1つ以上の低減されたレベルを、前記化合物の前記投与後に経験する、請求項1~132のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
前記患者が、腫瘍における1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子の低減された発現レベルを、前記化合物の前記投与後に経験する、請求項1~133のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
前記患者が、固形腫瘍における1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子の低減された発現レベルを、前記化合物の前記投与後に経験する、請求項1~134のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子が、DUSP6、FOS、IL1R1及びSPRY4からなる群から選択される、請求項134または135に記載の方法。
【請求項137】
前記化合物が、化合物1遊離塩基である、請求項1~136のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
投与された前記化合物が、およそ10.7、15.0及び21.2°2θ(±0.2°)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、前記化合物1の固体形態である、請求項1~137のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
前記化合物が、前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、希釈剤と、結合剤と、崩壊剤と、潤滑剤と、を含む、薬学的組成物として投与される、請求項1~138のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記希釈剤が、マンニトールであり、前記結合剤が、HPC及びSMCCの混合物であり、前記崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)であり、前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項139に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月1日に出願された米国特許出願第63/251,536号及び2022年6月30日に出願された米国特許出願第63/357,309号の優先権の利益を主張し、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞表面酵素であり、これらの細胞表面酵素は、外部シグナル、例えば、成長及び分裂するかについての外部シグナルを受容し、これらのシグナルを、細胞においてキナーゼ活性を介して伝達する。多くのRTKは、原がん遺伝子であり、異常なRTK活性は、がん及び関連障害をもたらす細胞生存、成長及び増殖を駆動し得る。この異常なキナーゼ活性は、変異によって引き起こされ得、例えば、キナーゼドメインにおける変異の活性化、インタクトなキナーゼドメインを含有する融合タンパク質をもたらす遺伝子再編成、増幅及び他の手段によって引き起こされ得る。RTK原がん遺伝子は、ROS1、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、(TRKAをコードする)NTRK1、(TRKBをコードする)NTRK2及び(TRKCをコードする)NTRK3を含む。
【0003】
ROS1は、RTK原がん遺伝子であり、RTK原がん遺伝子は、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、胆管細胞癌、卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、血管肉腫及びスピッツ様黒色腫において検出されるROS1再編成を有する。発がん性ROS1遺伝子融合物は、様々なパートナー遺伝子の5’領域に融合したROS1のキナーゼドメイン(3’領域)を含有する。NSCLCにおいて観察されるROS1融合パートナー遺伝子の例としては、SLC34A2、CD74、TPM3、SDC4、EZR、LRIG3、KDELR2、CEP72、CLTL、CTNND2、GOPC、GPRC6A、LIMA1、LRIG3、MSN、MYO5C、OPRM1、SLC6A17(推定)、SLMAP、SRSF6、TFG、TMEM106B、TPD52L1、ZCCHC8及びCCDC6が挙げられる。他の融合パートナーは、CAPRIN1、CEP85L、CHCHD3、CLIP1(推定)、EEF1G、KIF21A(推定)、KLC1、SART3、ST13(推定)、TRIM24(推定)、ERC1、FIP1L1、HLAA、KIAA1598、MYO5A、PPFIBP1、PWWP2A、FN1、YWHAE、CCDC30、NCOR2、NFKB2、APOB、PLG、RBP4及びGOLGB1を含む。
【0004】
NTRK1、NTRK2及びNTRK3は、TRKファミリーキナーゼをコードするRTK原がん遺伝子であり、RTK原がん遺伝子は、低い頻度で多くのがんにおいて検出されるNTRK1、NTRK2及びNTRK3染色体再編成を有する。しかしながら、ROS1陽性またはALK陽性患者の治療のために、TRK阻害、特に、中枢神経系(CNS)におけるTRK阻害は、めまい/運動失調/歩行障害、知覚異常、体重増加及び認知変化を含む有害反応に関連している。
【0005】
発がん性ROS1及びALKを治療するために使用される現存する薬剤は、重要な欠陥を有する。これらの欠陥は、以下、関連するTRK阻害、制限されたCNS活性及び耐性変異に対する不適切な活性のうちの1つ以上を表し得る。TRK阻害を伴う、ROS1陽性またはALK陽性患者の治療は、有害反応、特に、CNSにおける有害反応に関連し、有害反応は、めまい/運動失調/歩行障害、知覚異常、体重増加及び認知変化を含む。加えて、野生型ROS1キナーゼドメイン、ならびにG2032R、D2033N、S1986F、S1986Y、L2026M、L1951R、E1935G、L1947R、G1971E、E1974K、L1982F、F2004C、F2004V、E2020K、C2060G、F2075V、V2089M、V2098I、G2101A、D2113N、D2113G、L2155S、L2032K及びL2086Fを含む、個別にまたは組み合わせでのいずれかで発生する獲得耐性変異を有するROS1のCNS浸透性かつTRK温存型阻害剤の必要性がある。同様に、獲得耐性変異を有するALKのCNS浸透性かつTRK温存型阻害剤の必要性がある。個別にまたは組み合わせでのいずれかで発生する様々なALK薬物耐性変異が報告されており、ALK薬物耐性変異は、G1202R、L1196M、G1269A、C1156Y、I1171T、I1171N、I1171S、F1174L、V1180L、S1206Y、E1210K、1151Tins、F1174C、G1202del、D1203N、S1206Y、S1206C、L1152R、L1196Q、L1198P、L1198F、R1275Q、L1152P、C1156T及びF1245Vを含む。
【発明の概要】
【0006】
ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物(例えば、化合物1)、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、固形腫瘍を治療、予防または管理するために使用する方法が、本明細書で提供される。
【0007】
一実施形態において、固形腫瘍を治療する方法であって、それを必要としている患者に、治療有効量の化合物1:
【化1】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、化合物は、化合物1である。
【0008】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0009】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、中枢神経系(CNS)(例えば、脳)転移性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS(例えば、脳)転移性ROS1陽性NSCLCである。
【0010】
一実施形態において、患者は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法により無処置である。一実施形態において、患者は、1つ以上の以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前のROS1 TKI療法(例えば、クリゾチニブまたはエヌトレクチニブ(entrectinib))で治療されている。一実施形態において、患者は、2つ以上の以前のROS1 TKI療法で治療されている。一実施形態において、患者の腫瘍は、ROS1以外の既知の発がん性ドライバー改変を有さない。
【0011】
一実施形態において、化合物は、約5mg~約400mgの量で1日1回(QD)または2回(BID)投与される。一実施形態において、化合物は、(化合物1の重量による)約5mg~約200mgの量で1日1回(QD)または2回(BID)投与される。一実施形態において、化合物は、空腹を有する患者に(例えば、水以外の食物及び/または飲料の摂取の少なくとも1時間前にかつその2時間以上後に)投与される。一実施形態において、化合物は、患者に、食物及び/または飲料の摂取の後に投与される。一実施形態において、患者は、CYP3A4の強力な阻害剤、CYP3A4の強力な誘導剤、CYP3A4の感受性基質、P-gp/多剤耐性タンパク質(MDR1)の基質、BCRP/乳癌耐性タンパク質(ABCG2)の基質、MATE1の基質または胃酸低減剤のうちのいずれか1つを服用していない。一実施形態において、患者は、CYP3A4の強力な阻害剤、CYP3A4の強力な誘導剤、CYP3A4の感受性基質、P-gp/多剤耐性タンパク質(MDR1)の基質、BCRP/乳癌耐性タンパク質(ABCG2)の基質、MATE1の基質または胃酸低減剤のうちのいずれか1つを服用している。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の強力な阻害剤、CYP3A4の強力な誘導剤またはCYP3A4の感受性基質の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の強力な阻害剤、CYP3A4の強力な誘導剤またはCYP3A4の感受性基質の存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の強力な阻害剤の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の強力な誘導剤の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の感受性基質の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、P-gp/多剤耐性タンパク質1(MDR1)の基質、BCRP/乳癌耐性タンパク質(ABCG2)の基質またはMATE1の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、P-gp/多剤耐性タンパク質1(MDR1)の基質、BCRP/乳癌耐性タンパク質(ABCG2)の基質またはMATE1の存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、胃酸低減剤(例えば、プロトンポンプ阻害剤、例えば、ランソプラゾール)の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、胃酸低減剤(例えば、プロトンポンプ阻害剤、例えば、ランソプラゾール)の存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の強力な誘導剤の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物は、CYP3A4の強力な誘導剤の存在下で投与される。
【0012】
一実施形態において、化合物は、CYP3A4の感受性基質の非存在下で投与される。一実施形態において、化合物及びCYP3A4の感受性基質は、同時に投与されない。一実施形態において、CYP3A4の感受性基質は、ブスピロン、エベロリムス、ロバスタチン、ミダゾラム、シンバスタチン、トリアゾラム、マラビロク、コニバプタン及びダリフェナシンのうちの1つ以上を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1相及び第2相研究設計を示す。
【0014】
図2】A、B、及びCは、Lu01-0414、CTG-0848及びCTG-2532患者由来異種移植モデル(PDX)における化合物1誘導性退縮をそれぞれ示す。Balb/cマウス内に皮下移植された様々なROS1 PDXモデルにおける化合物1の活性。ビヒクルは、20%のHP-ベータ-CD(ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン)である。プロットされた平均±SEM。体重における有意な変化は観察されなかった(データ図示せず)。化合物1は、融合パートナー(SDC4またはCD74)にかかわらず、退縮を誘導した。
【0015】
図3】PI3K及びMAPキナーゼ経路を介して、増殖及び他の転写変化をもたらすROS1融合物シグナルを示す。
【0016】
図4A】化合物1(BID×5 PO)で治療されたLu01-0414 PDXの代表的なウエスタンブロットが、pROS1、ROS1、pAKT及びpERKの低減されたレベルを介する、ROS1依存的細胞シグナル伝達の抑制を明らかにしたことを示す。薬物動態解析は、化合物1非結合型血漿中濃度における用量依存的差を示した。このモデルにおいて、0.04mg/kgが、静止を達成し、5mg/kgが、退縮を達成した。
図4B】化合物1(BID×5 PO)で治療された3つのPDXモデルのウエスタンブロット定量化により、ROS1、pROS1及びpERKの低減されたレベルが確認された。Y軸は、中空の黒色正方形及び灰色横線で示されるビヒクル治療に正規化された倍率変化を示す。プロットされた平均±SEM。
図4C】化合物1(BID×5 PO)で治療された3つのPDXモデルのウエスタンブロット定量化により、ROS1、pROS1及びpERKの低減されたレベルが確認された。Y軸は、中空の黒色正方形及び灰色横線で示されるビヒクル治療に正規化された倍率変化を示す。プロットされた平均±SEM。
図4D】化合物1(BID×5 PO)で治療された3つのPDXモデルのウエスタンブロット定量化により、ROS1、pROS1及びpERKの低減されたレベルが確認された。Y軸は、中空の黒色正方形及び灰色横線で示されるビヒクル治療に正規化された倍率変化を示す。プロットされた平均±SEM。
【0017】
図5】A、B、及びCは、化合物1が腫瘍におけるROS1シグナル伝達を阻害したことを、免疫組織化学染色の定量的デジタル画像解析によって示す。プロットされた平均±SEM。pERK、ERK及びpAKTへの効果は、モデル依存的であった。
【0018】
図6】A、B、及びCは、化合物1が、腫瘍におけるMAPキナーゼ経路遺伝子の発現レベルを低減したことを示す。NanoString 770 gene nCounter PanCancer Pathwaysパネルでの腫瘍試料の遺伝子発現プロファイリング。MAPキナーゼ経路遺伝子DUSP6、FOS、IL1R1及びSPRY4の発現レベルは、化合物1治療の際に腫瘍において用量依存的に低減された。Y軸は、黒色ドット及び灰色横線で示されるビヒクル治療に正規化された相対的発現を示す。プロットされた平均±SEM。
【0019】
図7】追加の第1相研究設計を示す。
【0020】
図8A】以前のクリゾチニブ、ロルラチニブ及び化学療法後のROS1 G2032R耐性変異を有するCD74-ROS1融合物陽性肺腺癌を有する患者における、化合物1での治療の確定部分奏効(PR)を実証する代表的なコンピュータ断層撮影(CT)画像を示す。矢印は、治療の経過にわたってサイズが減少した左肺小結節を示す。
【0021】
図8B】以前のエヌトレクチニブ、レポトレクチニブ(repotrectinib)及び化学療法後のROS1 G2032R耐性変異を有するEZR-ROS1融合物陽性肺腺癌を有する患者における、化合物1での治療の確定PRを実証する代表的なCT(上パネル)及び磁気共鳴イメージング(下パネル)画像を示す。上パネル内の矢印は、治療の経過にわたって継続的退縮を有する区域5/6及び3の肝臓転移を示す。下パネル内の矢印は、4週目にサイズが減少し、16週目にほとんど認識可能でなくなった右後頭葉転移を示す。
【0022】
図8C】以前のクリゾチニブ後の既知のROS1耐性変異を有さないEZR-ROS1融合物陽性肺腺癌を有する患者における、化合物1の確定部分奏効を実証する代表的なコンピュータ断層撮影画像を示す。矢印は、4週目にサイズが減少し、24週目にほとんど認識可能でなくなった左胸膜ベースの肺小結節を示す。
【0023】
図9】化合物1が、MAPK及びPI3K/AKT経路を介するシグナル伝達を阻害し、SDC4-ROS1を保有するPDX腫瘍におけるアポトーシスを誘導することを示す。
【0024】
図10】Aは、化合物1の遊離塩基の形態1の代表的なX線粉末回折(XRPD)パターンである。Bは、化合物1の遊離塩基の形態1の代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
【0025】
図11】化合物1が、試験された全ての用量レベルで、ROS1融合物及びROS1 G2032R溶媒フロント変異の両方に対して活性があったことを示すctDNAデータを示す。
【0026】
図12】化合物1を投与された患者についてのX線撮影腫瘍退縮を示す。PD=進行性疾患;PR=確定部分奏効;QD=1日1回;SD=安定した疾患;TKI=チロシンキナーゼ阻害剤。確定されていない単一時点PR。確定未決定の進行中の部分奏効。残存非標的疾患に起因する最良奏効PR。追加の以前のROS1 TKIは、セリチニブまたはカボザンチニブであった。免疫療法、ベバシズマブ及び治験療法を含む。
【0027】
図13】化合物1を投与されたNSCLCを有する奏効評価可能患者についての治療の持続期間の持続を示す。PD=進行性疾患;PR=部分奏効;TKI=チロシンキナーゼ阻害剤。
【0028】
図14】化合物1による、ROS1 G2032Rを有する患者における腫瘍負荷における低減(左パネル)及び化合物1による、ROS1 G2032R対立遺伝子における低減(右パネル)を示す。バーは、2週目の結果を表す;8週目の結果は未決定である。
【0029】
図15】化学療法、クリゾチニブ及びロルラチニブで以前に治療されており、CNS進行を有し既知のROS1耐性変異を有さなかったCD74-ROS1融合物NSCLCを有する65歳の女性における頭蓋内奏効を示すX線撮影画像を示す。
【0030】
図16】EZR-ROS1融合物NSCLCと診断された患者におけるTKI抵抗性ROS1 G2032R+NSCLCにおける頭蓋内及び頭蓋外活性を示すX線撮影画像を示す。
【0031】
図17】ステージIVの肺腺癌及び多発性脳転移を有する65歳の患者の血漿中のEZR-ROS1(左y軸)及びROS1 G2032R(右y軸)バリアント対立遺伝子頻度を示し、Guardant 360アッセイによって決定された場合、治療(C1D1)前にかつ治療(C1D15及びC3D1)中に血漿試験によって特定されたEZR-ROS1を有した。
【0032】
図18】A、B、及びCは、治療サイクル1の15日目における3人の患者の、24時間の期間にわたる化合物1の非結合型血漿中濃度を示す(実施例5の結果の項を参照されたい)。破線は、最小有効濃度閾値5.3ng/mL=13nMを示し、最小有効濃度閾値は、マウスCTG-2532 CD74-ROS1 G2032R PDX研究における有効閾値に基づく。
【0033】
図19】臨床治験における化合物1曝露が、前臨床モデルにおいて退縮をもたらす標的レベルを超えたことを示す(実施例5を参照されたい)。化合物1は、低いコホート内患者PK変動性、増加する用量レベルとともに増加する曝露、およそ20時間の半減期を含む良好な薬物動態が、QD投与を支持することを実証した。2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日現在のデータ。125mgのQDコホートについての薬物動態データは、未完成に起因して示されない。QD=1日1回。a、bそれぞれ、SDC4-ROS1及びCD74-ROS1 G2032Rを有するインビボモデルにおける腫瘍退縮に基づく。c、d.それぞれ、a及びbを予測ヒトCNS Kpで割ったものについての値。
【0034】
図20】2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日のデータによれば、実施例5における第1相集団が、重度に前治療されたROS1陽性固形腫瘍を有することを示す。別途特定されない限り、n(%)として示される全てのデータ。CNS、中枢神経系;ECOG PS、Eastern Cooperative Oncology Groupパフォーマンスステータス;NSCLC、非小細胞肺癌;RECIST 1.1、Response Evaluation Criteria in Solid Tumoursバージョン1.1;TKI、チロシンキナーゼ阻害剤。未治療のCNS病変を有する患者を含む。初期疾患のために施された療法を除く。カテゴリーは、相互排他的でない。
【0035】
図21】2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日のデータによる、第1相治験(実施例5)における1人超の患者における治療関連有害事象(TRAE)を示す。化合物1の安全性プロファイルは、良好であり、高度にROS1選択的なTRK温存型化合物1と一致する。AE、有害事象;ALT、アラニンアミノトランスフェラーゼ;AST、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;DLT、用量制限毒性;SAE、重篤有害事象。浮腫及び末梢性浮腫を含む。
【発明を実施するための形態】
【0036】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示の当該技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参照文献は、当業者に、本開示で使用される用語の多くの一般の定義を提供する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)及びHale&Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、別途特定されない限り、それらに帰属する以下の意味を有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、化学構造が、対応する化学名称で開示される。矛盾する場合、名称ではなく、化学構造が、意味を定義する。
【0038】
本明細書で使用される、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は区別することなく使用され得る。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、記載される特徴または言及される構成要素の存在を特定するとして解釈されるが、1つ以上の特徴もしくは構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除しない。加えて、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、「からなる」という用語によって包含される例を含むことが意図されている。したがって、「からなる」という用語は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語の代わりに使用され得る。
【0039】
「~からなる(consisting of)」という用語は、対象物が、少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%の記載されたそれが構成する特徴または構成要素を有することを意味する。別の実施形態において、「からなる」という用語は、達成される技術的効果に必須でないものを除いて、いずれもの後続の列挙の範囲からいずれもの他の特徴もしくは構成要素を排除する。
【0040】
具体的に記載されない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的であると理解される。別途具体的に記載されない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「a」、「an」及び「the」という用語は、単数または複数であると理解される。例えば、本明細書で提供される化合物が、「患者(a patient)」に投与されるときに、これは、個別の患者または患者集団に、化合物を投与することを含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「立体異性体」とは、1つ以上の非対称中心または立体障害を構造において含む化合物の様々な立体異性形態を指す。いくつかの実施形態において、立体異性体は、そのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、アトロプ異性体または互変異性体である。例えば、本明細書に記載される化合物は、個別のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体(例えば、アトロプ異性体)の形態であってもよく、またはラセミ混合物及び1つ以上の立体異性体において濃縮された混合物を含む、立体異性体の混合物の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物は、アトロプ異性体であり得る。ある特定の実施形態において、アトロプ異性体は、単結合を中心とする回転障害に起因して生じる立体異性体であり、立体歪みまたは他の寄与体に起因するエネルギー差は、個別の配座異性体の単離を可能にするのに十分に高い回転の障害をもたらす。立体異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびにキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に既知の方法によって混合物から単離されてもよく、または好ましい異性体は、非対称合成によって調製されてもよい。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)及びWilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は、加えて、他の異性体を実質的に含まない個別の異性体としての化合物を包含し、代替として、様々な異性体の混合物としての化合物を包含する。
【0042】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、ラセミ体であり得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、一方のエナンチオマーにおいて濃縮され得る。例えば、本明細書で提供される化合物は、約30%超のee、約40%超のee、約50%超のee、約60%超のee、約70%超のee、約80%超のee、約90%超のeeまたは更には約95%以上のeeを有し得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、2つ以上の立体中心を有し得る。ある特定のこのような実施形態において、本明細書で提供される化合物は、1つ以上のジアステレオマーにおいて濃縮され得る。例えば、本明細書で提供される化合物は、約30%超のde、約40%超のde、約50%超のde、約60%超のde、約70%超のde、約80%超のde、約90%超のdeまたは更には約95%以上のdeを有し得る。
【0043】
ある特定の実施形態において、治療調製物は、化合物の主に一方のエナンチオマーを提供するように濃縮され得る。エナンチオマー的に濃縮された混合物は、例えば、少なくとも約60モルパーセントの一方のエナンチオマー、または更に特に、少なくとも約75、約90、約95もしくは更には約99モルパーセントを含み得る。ある特定の実施形態において、一方のエナンチオマーにおいて濃縮された化合物は、他方のエナンチオマーを実質的に含まず、実質的に含まないとは、当該の物質が、例えば、組成物または化合物混合物中で、他方のエナンチオマーの量と比較して約10%未満または約5%未満または約4%未満または約3%未満または約2%未満または約1%未満を構成することを意味する。例えば、組成物または化合物混合物が、約98グラムの第1のエナンチオマー及び約2グラムの第2のエナンチオマーを含有する場合、組成物または化合物混合物は、約98モルパーセントの第1のエナンチオマー及び約2%のみの第2のエナンチオマーを含有すると言われる。
【0044】
ある特定の実施形態において、治療調製物は、化合物の主に1つのジアステレオマーを提供するように濃縮され得る。ジアステレオマー的に濃縮された混合物は、例えば、少なくとも約60モルパーセントの1つのジアステレオマー、または更に特に、少なくとも約75、約90、約95もしくは更には約99モルパーセントを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、化合物中の部分は、互変異性体の混合物として存在する。「互変異性体」は、別の構造異性体と容易に相互変換する部分または化合物の構造異性体である。例えば、ピラゾール環は、2つの互変異性体を有し、
【化2】
2つの互変異性体は、パイ結合及び水素原子の位置が異なる。別途明記されない限り、部分または化合物の1つの互変異性体の図は、可能な互変異性体の全てを包含する。
【0046】
投与が企図される「対象」という用語は、ヒト(すなわち、いずれかの年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、幼児、小児、青少年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))及び/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);商業関連哺乳動物を含む哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ及び/またはイヌ;及び/または商業関連鳥類を含む鳥類、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ及び/またはシチメンチョウを含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも40歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも50歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも60歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも70歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも18歳または少なくとも12歳のヒト成人である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、治療薬(例えば、本明細書に記載される化合物)の投与が、疾患、障害もしくは状態、またはそれらの症状を治療、予防または管理するために企図されるヒト対象はまた、「患者」と称される。
【0047】
本明細書で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計的試料において、未治療の対照試料に対して治療した試料中の障害もしくは状態の発生を低減する、または発生を遅延させる、または未治療の対照試料に対して障害もしくは状態の1つ以上の症状の重症度を低減する化合物を指す。これらの効果はまた、「予防的」効果と称される。したがって、本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「予防」及び「予防すること」という用語は、有益なまたは所望の結果を得るための手法を指し、有益なまたは所望の結果は、予防的利益を含むが、これに限定されない。予防的利益のために、治療薬は、特定の疾患を発症するリスクがある患者または疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を報告する患者に、この疾患の診断がなされていないことがあっても投与され得る。一実施形態において、治療薬は、望まれない状態(例えば、対象の疾患または他の望まれない状態)の臨床徴候前に、予防的利益(例えば、治療薬は、対象を望まれない状態の発症から保護する)のために投与される。
【0048】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「治療」及び「治療すること」という用語は、治療または緩和処置を指す。有益なまたは所望の臨床結果は、検出可能または検出不可能にかかわらず、疾患または障害または状態に関連する症状の全体的または部分的軽減、疾患の程度の減弱、疾患の安定化された(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態(例えば、疾患の1つ以上の症状)の寛解または緩和、及び(部分的または完全にかかわらず)緩解を含むが、これらに限定されない。「治療」とはまた、治療を受容していない場合の予想される生存期間と比較して、生存を延長することを意味し得る。一実施形態において、「治療」は、望まれない状態の徴候後の治療薬の投与を含む(すなわち、存在する望まれない状態またはその副作用を減弱する、寛解させるまたは安定化することが意図されている)。
【0049】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「管理すること」という用語は、特定の疾患もしくは障害を患っていた患者におけるその再発を予防すること、疾患もしくは障害を患っていた患者が緩解状態に存続する時間を延ばすこと、患者の死亡率を低減すること、及び/または管理されている疾患もしくは状態に関連する症状の重症度における低減もしくは回避を維持することを包含する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、所望の生物学的効果を達成するのに十分である量を指す。本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、所望の治療効果を達成するのに十分である量を指す。例えば、治療有効量とは、がんの少なくとも1つの兆候または症状を改善するのに十分である量を指し得る。
【0051】
治療方法への「応答」は、とりわけ、陰性症状における減少またはそれらの寛解、疾患またはその症状の進行における減少、有益な症状または臨床転帰における増加、副作用を減らすこと、疾患の安定化、疾患の部分的または完全な治癒を含むことができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「再発性」という用語は、以前の治療に応答し(例えば、完全な応答を達成し)、次いで、進行を有した障害、疾患または状態を指す。以前の治療は、1つ以上の療法ラインを含み得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「抵抗性」という用語は、1つ以上の療法ラインを含み得る以前の治療に応答していない障害、疾患または状態を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、組成物または剤形の成分の用量、量または重量パーセントに関連して使用されるときに、「約」及び「およそ」という用語は、特定の用量、量または重量パーセントから得られるものと等価の薬理学的効果を提供すると当業者によって認識される用量、量または重量パーセントを意味する。ある特定の実施形態において、この文脈で使用されるときに、「約」及び「およそ」という用語は、特定の用量、量または重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内の用量、量または重量パーセントであることを企図する。
【0055】
「間」という用語は、範囲の両方の限度における終点数字を含む。例えば、「3~5」によって説明される範囲は、数字「3」及び「5」を含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激及びアレルギー応答などがなく、対象の組織との接触における使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、Berge et al.は、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19において詳細に記載する。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される塩は、アルキル、ジアルキル、トリアルキルまたはテトラアルキルアンモニウム塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される塩は、L-アルギニン、ベネンタミン、ベンザチン、ベタイン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リチウム、L-リジン、マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、ピペラジン、カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び亜鉛塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される塩は、Na、Ca、K、Mg、Znまたは他の金属塩を含むが、これらに限定されない。
【0057】
薬学的に許容される酸付加塩は、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド等との様々な溶媒和物として存在することもできる。また、このような溶媒和物の混合物が調製され得る。このような溶媒和物の源は、結晶化の溶媒からのものであってもよく、調製もしくは結晶化の溶媒中に内在するものであってもよく、またはこのような溶媒に外来性のものであってもよい。
【0058】
薬学的に許容されるアニオン性塩は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、デカン酸塩、エデト酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩及びトシル酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0059】
化合物
一実施形態において、本明細書に提供される方法で使用される化合物は、「化合物1」とも称される以下の式の化合物:
【化3】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩である。化合物1は、(19R)-3-エチル-16-フルオロ-10,19-ジメチル-20-オキサ-3,4,9,10,11,23-ヘキサアザペンタシクロ[19.3.1.0.012.01318]ペンタコサ-1(24),2(6),4,8,11,13,15,17,21(25),22-デカエン-22-アミンの化学名を有し、国際特許出願第PCT/US2021/030842号に記載されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「化合物1」、「化合物1遊離塩基」、「化合物1(遊離塩基)」及び「遊離塩基化合物1」は、互換的に使用される。
【0060】
別途特定されない限り、本明細書に記載される化合物がその薬学的に許容される塩として提供されるときに、重量量とは、塩部分を除く部分(すなわち、化合物1遊離塩基として)を指すことを理解されたい。
【0061】
一実施形態において、化合物1(遊離塩基)が、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、化合物1の互変異性体が、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、(S)-エナンチオマーを実質的に含まない化合物1が、本明細書で提供される方法において使用される。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」とは、(S)-エナンチオマーが、化合物1の約10重量%未満(例えば、化合物1の約5重量%未満または約0.05重量%未満)中に存在することを意味する。一実施形態において、化合物1は、実質的に純粋であり、少なくとも約98%(例えば、99%または99.5%)のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、化合物1の薬学的に許容される塩が、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、薬学的に許容される塩は、ベシル酸塩である。一実施形態において、薬学的に許容される塩は、リン酸塩である。
【0062】
一実施形態において、本明細書で提供される方法において使用される化合物は、化合物1の固体形態である。一実施形態において、固体形態は、化合物1の形態1である。化合物1の形態1の代表的なXRPDパターンは、図10Aで提供される。
【0063】
一実施形態において、化合物1の固体形態は、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ以下の位置(例えば、2θ度±0.2)、10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、18.6、20.8、21.2、21.3、21.6、21.7、23.3、23.5、24.0、25.2、26.0、26.2、26.7、27.7、28.0及び29.6°2θにおいて位置するXRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個または全てを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0064】
一実施形態において、化合物1の固体形態(例えば、結晶性形態)は、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0065】
一実施形態において、化合物1の固体形態(例えば、結晶性形態)は、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0066】
一実施形態において、化合物1の固体形態(例えば、結晶性形態)は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0及び21.2°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)17.4及び21.3°2θでのピークを更に含む。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)12.0、12.2及び13.9°2θでのピークを更に含む。別の実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)21.6及び24.0°2θでのピークを更に含む。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θでのピークを含む。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θでのピークを含む。
【0067】
一実施形態において、固体形態は、図10Aに示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする。
【0068】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα放射線及び1.5444Åの波長を有するKα放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα:Kα比は、0.5である。
【0069】
形態1の代表的なDSCサーモグラムは、図10Bで提供される。一実施形態において、固体形態は、DSCによって特徴付けられるように、約265℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す。一実施形態において、熱事象はまた、約267℃(例えば、±2°)のピーク温度を有する。一実施形態において、特定の理論によって拘束されることなく、熱事象は、融解に対応する。一実施形態において、固体形態は、図10Bに示されるDSCサーモグラムと一致するDSCサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DSCサーモグラムは、DSCによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0070】
別の実施形態において、固体形態は、約270℃(例えば、±2°)での融点を有する。
【0071】
一実施形態において、化合物1の固体形態(例えば、結晶性形態)は、およそ、a=8.4Å、b=8.4Å、c=14.9Å、α=90°、β=106°及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施形態において、固体形態は、およそ、a=8.43Å、b=8.44Å、c=14.91Å、α=90°、β=105.6°及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施形態において、固体形態は、およそ、a=8.431Å、b=8.441Å、c=14.914Å、α=90°、β=105.55°及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施形態において、形態1は、P2の空間群の単位胞を有する。一実施形態において、固体形態は、約1022.7Å/胞の体積を有する。一実施形態において、形態1は、2のZ値を有する。一実施形態において、形態1は、約1.362g/cmの密度を有する。
【0072】
一実施形態において、化合物1の(S)-エナンチオマーが、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、化合物1の(S)-エナンチオマーの互変異性体が、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、化合物1の(S)-エナンチオマーの薬学的に許容される塩が、本明細書で提供される方法において使用される。
【0073】
一実施形態において、化合物1のラセミ混合物が、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、化合物1のラセミ混合物の互変異性体が、本明細書で提供される方法において使用される。一実施形態において、化合物1のラセミ混合物の薬学的に許容される塩が、本明細書で提供される方法において使用される。
【0074】
使用方法
一実施形態において、がんを治療する方法であって、ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物、例えば、化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0075】
一実施形態において、ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物(例えば、化合物1)、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、固形腫瘍を治療、予防または管理するために使用する方法が、本明細書で提供される。
【0076】
一実施形態において、固形腫瘍を有する患者を治療する方法であって、当該患者に、治療有効量の化合物1:
【化4】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0077】
一実施形態において、がんは、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、非定型髄膜腫、乳癌、胆管細胞癌、胃癌、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、炎症性肝細胞腺腫(HCA)、黒色腫、膵癌、甲状腺乳頭癌、唾液腺癌、漿液性卵巣癌またはスピッツ様腫瘍である。
【0078】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性固形腫瘍である。一実施形態において、進行性固形腫瘍は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による以前の治療後に再発したもの、またはそれに対して抵抗性もしくは耐性である。一実施形態において、固形腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。一実施形態において、固形腫瘍は、ROS1陽性(例えば、ROS1融合物)NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、ALK陽性(例えば、ALK融合物)NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性(例えば、LTK融合物)NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性である。一実施形態において、固形腫瘍は、CNSへの転移性である(「CNS転移性」または「転移性CNS」とも本明細書で称される)。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNSに転移性のNSCLCである。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「進行性腫瘍」とは、治癒することができないか、または初期の起源部位を越えて成長する局所進行性または転移性のいずれかの腫瘍を指す。
【0079】
一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ROS1陽性である。一実施形態において、固形腫瘍は、ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ROS1変異を有する。一実施形態において、ROS1変異は、G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、G2032R、及びS1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026M、D2033NまたはG2101Aのうちの1つ以上を含む。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ROS1融合物を有する。
【0080】
一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ALK陽性である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「ALK陽性」(ALK+)がん、疾患または障害とは、ALK遺伝子の不適切な高発現及び/またはALK遺伝子における変異の存在及び/または部分的に欠失したALKタンパク質の存在を特徴とするがん、疾患または障害を指す。一実施形態において、固形腫瘍は、ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ALK変異を有する。
【0081】
一実施形態において、ALK変異は、1つ以上のALK再編成(一実施形態において、1つの再編成)を含む。一実施形態において、ALK変異は、1つ以上のALK融合物(一実施形態において、1つの融合物)を含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法によって治療されるがんは、ALK融合物を含む。一実施形態において、ALK融合物は、Ou et al.,JTO Clinical and Research Reports,1(1):1-10に記載されている融合パートナーのうちの1つとのものであり、この文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、ALK融合物は、EML4、TFG、KIF5B、KLC1、STRN、HIP1、TPR、BIRC6、DCTN1、SQSTM1、SOCS5、SEC31A、CLTC、PRKAR1A、PPM1B、EIF2AK3、CRIM1、CEBPZ、PICALM、CLIP1、BCL11A、GCC2、LMO7、PHACTR1、CMTR1、VIT、DYSF、ITGAV、PLEKHA7、CUX1、VKORC1L1、FBXO36、SPTBN1、EML6、FBXO11、CLIP4、CAMKMT、NCOA1、MYT1L、SRBD1、SRD5A2、NYAP2、MPRIP、ADAM17、ALK、LPIN1、WDPCP、CEP55、ERC1、SLC16A7、TNIP2、ATAD2B、SLMAP、FBN1、SWAP70、TCF12、TRIM66、WNK3、AKAP8L、SPECC1L、PRKCB、CDK15、LCLAT1、YAP1、PLEKHM2、DCHS1、PPFIBP1、ATP13A4、C12orf75、EPAS1、FAM179A、FUT8、LIMD1、LINC00327、LOC349160、LYPD1、RBM20、TACR1、TANC1、TTC27、TUBBB、SMPD4、SORCS1、LINC00211、SOS1、C9orf3、CYBRD1、MTA3、THADA、TSPYL6、WDR37及びPLEKHH2からなる群から選択される融合パートナーのうちの1つとのものである。一実施形態において、ALK融合物は、EML4、TMP1、WDCP、GTF2IRD1、TPM3、TPM4、CLTC、LMNA、PRKAR1A、RANBP2、TFG、FN1、KLC1、VCL、STRN、HIP1、NPM1、DCTN1、SQSTM1、TPR、CRIM1、PTPN3、FBXO36、ATIC及びKIF5Bからなる群から選択される融合パートナーのうちの1つとのものである。一実施形態において、ALK変異は、EML4-ALKであり、EML4-ALKは、棘皮動物微小管関連タンパク質様4(EML4)遺伝子とALKチロシンキナーゼドメインとの間の融合物である。切断点接合部によって異なるEML4-ALKの多くのバリアントがあり、バリアント1(v1)及びバリアント3(v3)が、臨床的に最も頻繁である。一実施形態において、ALK変異は、NPM1-ALKである。一実施形態において、ALK変異は、STRN-ALKである。
【0082】
一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、白血球受容体チロシンキナーゼ(LTK)陽性である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「LTK陽性」(LTK+)がん、疾患または障害とは、LTK遺伝子の不適切な高発現、及び/またはLTK融合タンパク質をもたらすLTK遺伝子再編成を含む、LTK遺伝子における変異の存在を特徴とするがん、疾患または障害を指す。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性浸潤性乳管癌、前立腺腺癌、膵臓腺癌、原発不明の腺癌または膀胱尿路上皮癌である。一実施形態において、がんは、LTK陽性白血病である。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性肺癌である。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、LTK変異を有する。一実施形態において、LTK変異は、G269A、F218I、N257T、A13fsまたはA214fsである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、LTK融合物を有する。一実施形態において、LTK融合物は、CLIP1-LTKである。Cooper AJ,Sequist LV,Johnson TW,Lin JJ.LTK fusions:A new target emerges in non-small cell lung cancer.Cancer Cell.2022 Jan 10;40(1):23-25及びIzumi,H.,Matsumoto,S.,Liu,J.et al.The CLIP1-LTK fusion is an oncogenic driver in non-small-cell lung cancer.Nature 600,319-323(2021)を参照されたく、それらのそれぞれは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
一実施形態において、患者は、以前の療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、いずれものチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法により無処置である(すなわち、受容していない)。
【0084】
一実施形態において、患者は、1つ以上の以前の療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、2つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、TKIは、ROS1 TKI(例えば、クリゾチニブまたはエヌトレクチニブ)である。一実施形態において、以前のTKI療法は、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、タレトレクチニブ及びロルラチニブからなる群から選択される1つ以上である。
【0085】
一実施形態において、患者は、以前の白金ベースの化学療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、2つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0086】
本明細書で使用される場合、「白金ベースの化学療法」とは、白金の配位錯体である化学療法剤を指す。例示的な白金ベースの化学療法は、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチンまたはカルボプラチンを含むが、これらに限定されない。
【0087】
一実施形態において、患者は、免疫療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前の免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前の免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前の免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、2つの免疫療法で治療されている。
【0088】
本明細書で使用される場合、「免疫療法」とは、免疫系を活性化または抑制することによる疾患の治療を指す。免疫応答を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法として分類され、低減または抑制する免疫療法は、抑制免疫療法として分類される。免疫療法は、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)など)を調節して、一緒にがんに対して、腫瘍細胞の表面上で発現される異常な抗原を標的とすることによって作用することができる。例示的な免疫療法は、チェックポイント阻害剤(例えば、抗細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)及び抗プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)抗体)を含むが、これらに限定されない。例示的なPD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(Keytruda)、ニボルマブ(Opdivo)及びセミプリマブ(Libtayo)を含むが、これらに限定されない。例示的なPD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)、デュルバルマブ(Imfinzi)を含むが、これらに限定されない。例示的なCTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(Yervoy)を含むが、これらに限定されない。
【0089】
一実施形態において、患者は、化学療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前の化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前の化学療法ラインで治療されている。
【0090】
一実施形態において、患者は、少なくとも3つの以前の抗がん療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、ROS1 TKI(例えば、治験ROS1 TKI、クリゾチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、タレトレクチニブ、レポトレクチニブ)及び化学療法からなる群から選択される少なくとも2つの以前の抗がん療法ラインで治療されている。
【0091】
一実施形態において、患者は、少なくとも1つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも3つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも3つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている。
【0092】
一実施形態において、ROS1 TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、エヌトレクチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、ロルラチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、レポトレクチニブである。一実施形態において、患者は、ロルラチニブ及びレポトレクチニブで治療されている。一実施形態において、ROS1 TKIは、タレトレクチニブである。
【0093】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍であり、患者は、少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法で治療されている。
【0094】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、TKI療法により無処置であり、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0095】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、1つの以前のROS1 TKI療法で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法で治療されていない。
【0096】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前のROS1 TKI療法及び1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0097】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0098】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍であり、患者は、以前の療法において進行している。一実施形態において、以前の療法は、以前のROS1 TKI療法である。一実施形態において、以前の療法は、以前の化学療法(例えば、白金ベースの化学療法)である。一実施形態において、以前の療法は、以前の免疫療法である。
【0099】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、TKI療法により無処置であり、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0100】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、1つの以前のROS1 TKI療法で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法で治療されていない。
【0101】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前のROS1 TKI療法及び1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0102】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0103】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性固形腫瘍であり、患者は、以前の療法において進行している。一実施形態において、以前の療法は、以前のROS1 TKI療法である。
【0104】
一実施形態において、ROS1 TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、エヌトレクチニブである。
【0105】
一実施形態において、化合物1は、患者に、1日以上にわたって投与される。一実施形態において、化合物1は、患者に、少なくとも1つの治療サイクルにわたって投与される。一実施形態において、1つの治療サイクルは、少なくとも7日間である。一実施形態において、1つの治療サイクルは、少なくとも14日間である。一実施形態において、1つの治療サイクルは、少なくとも21日間である。一実施形態において、1つの治療サイクルは、少なくとも28日間である。
【0106】
一実施形態において、患者は、化合物1の投与後にグレード4の有害事象を経験しない。一実施形態において、患者は、化合物1の投与後にグレード3の有害事象を経験しない。一実施形態において、患者は、化合物1の投与後にグレード2の有害事象を経験しない。一実施形態において、患者は、化合物1の投与後にグレード1の有害事象を経験しない。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、有害事象のグレードは、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)グレードに従う。
【0107】
一実施形態において、患者は、化合物1の投与後に嘔気のみを経験する。一実施形態において、患者は、化合物1の投与後に神経学的有害事象を経験しない。一実施形態において、患者は、めまい、運動失調、歩行障害、知覚異常、体重増加、過食、知覚異常、異常運動、認知変化、発作、幻覚、発話効果(例えば、失語症、構音障害、緩徐発話または発話障害)、気分障害(例えば、易刺激性、不安、抑うつ、情動障害、情動不安定性、人格変化、気分変動、情動障害、攻撃性、ストレス、激越、気分変化、抑うつ気分、多幸気分、自殺念慮または躁病)、精神状態、睡眠障害(sleep disorder)及び認知障害(例えば、記憶障害、認知障害、健忘、錯乱、注意力障害、せん妄、精神的機能障害、注意欠如多動症、認知症、睡眠障害(sleep disturbance)、失見当識または読字障害)からなる群から選択される1つ以上のCNS有害事象を経験しない。一実施形態において、神経学的有害事象は、認知障害、気分障害、睡眠障害、めまい及び運動失調からなる群から選択される1つ以上である。一実施形態において、患者は、体重増加及び/またはグルコース代謝障害の有害事象を経験しない。一実施形態において、グルコース代謝障害は、高血糖(例えば、糖尿病)である。一実施形態において、グルコース代謝障害は、低血糖である。一実施形態において、患者は、化合物1の投与後にグレード1の治療関連有害事象を経験する。一実施形態において、患者は、化合物1の投与後に最大グレード1の治療関連有害事象を経験する。一実施形態において、グレード1の治療関連有害事象は、疲労、筋肉痛、浮腫(例えば、浮腫及び末梢性浮腫)、増加したアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、増加したアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)または嘔気である。
【0108】
一実施形態において、患者は、治療関連重篤有害事象(SAE)を経験しない。一実施形態において、患者は、治療関連CNS有害事象を経験しない。一実施形態において、患者は、治療関連めまいを経験しない。
【0109】
一実施形態において、患者集団の約40%未満が、化合物1の投与後に最大グレード1の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約30%未満が、化合物1の投与後に最大グレード1の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約20%未満が、化合物1の投与後に最大グレード1の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約15%未満が、化合物1の投与後に最大グレード1の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、グレード1の有害事象(例えば、TRAE)は、疲労、筋肉痛、浮腫(例えば、浮腫及び末梢性浮腫)、増加したアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、増加したアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)または嘔気である。
【0110】
一実施形態において、患者集団の約30%未満が、化合物1の投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約20%未満が、化合物1の投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約15%未満が、化合物1の投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約10%未満が、化合物1の投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約5%未満が、化合物1の投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団は、化合物1の投与後にグレード2の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない。
【0111】
一実施形態において、患者集団の約20%未満が、化合物1の投与後にグレード3の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約15%未満が、化合物1の投与後にグレード3の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約10%未満が、化合物1の投与後にグレード3の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約5%未満が、化合物1の投与後にグレード3の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団は、化合物1の投与後にグレード3の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない。
【0112】
一実施形態において、患者集団の約10%未満が、化合物1の投与後にグレード4の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約5%未満が、化合物1の投与後にグレード4の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団の約1%未満が、化合物1の投与後にグレード4の有害事象(例えば、TRAE)を経験する。一実施形態において、患者集団は、化合物1の投与後にグレード4の有害事象(例えば、TRAE)を経験しない。
【0113】
一実施形態において、患者は、1つ以上の治療サイクル後に完全奏効を有する。一実施形態において、患者は、1つ以上の治療サイクル後に部分奏効を有する。一実施形態において、患者は、1つ以上の治療サイクル後に安定した疾患に達している。一実施形態において、患者は、1つ以上の治療サイクル後に進行性疾患を経験していない。
【0114】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、完全奏効(CR)とは、全ての標的病変(複数可)の消失を指す。CRのいくつかの実施形態において、(標的または非標的にかかわらず)いずれかの病理学的リンパ節が、10mm未満への短軸における低減を有さなければならない。部分奏効(PR)とは、標的病変(複数可)の直径の合計における少なくとも30%の減少を指す。進行性疾患(PD)とは、標的病変(複数可)の直径の合計における少なくとも20%の増加を指す。PDのいくつかの実施形態において、20%の相対的増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの増加を実証する。いくつかの実施形態において、1つ以上の新たな病変(複数可)の出現もまた、進行と考えられる。安定した疾患(SD)とは、研究中の間に、最小合計直径を参照として、PRに該当するのに十分な縮小もなく、PDに該当するのに十分な増加もないことを指す。RECIST 1.1に従ったこれらの用語の追加の説明は、EUROPEAN JOURNAL OF CANCER 45(2009)228-247に見出され得る。
【0115】
一実施形態において、患者は、脳転移を有する。一実施形態において、患者は、脳転移を有し、少なくとも1つの治療サイクル後に頭蓋内進行を経験しない。
【0116】
一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約5%~約100%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約35%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約45%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約55%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約65%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約75%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約85%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおけるROS1対立遺伝子バリアントの少なくとも約100%の低減を有する。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの治療サイクル後に、循環腫瘍DNAにおける検出不可能なROS1対立遺伝子バリアントを有する。一実施形態において、ROS1対立遺伝子バリアントは、G2032Rである。
【0117】
一実施形態において、以前の療法は、以前のROS1 TKI療法である。一実施形態において、ROS1 TKIは、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブ、セリチニブ、カボザンチニブ、タレトレクチニブまたはレポトレクチニブである。
【0118】
一実施形態において、化合物1の投与は、化合物の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)を、(500ng*h/mLの80%~125%)~(30000ng*h/mLの80%~125%)の範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)を、約500~約30000ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)は、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約1000~約13000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)は、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約1500~約10000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)は、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約2000~約8000ng*h/mLの範囲にある。
【0119】
一実施形態において、このような投与は、化合物の投与後の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)を、投与された化合物1のmg毎に(20ng*h/mLの80%~125%)~(500ng*h/mLの80%~125%)の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の投与後の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)を、投与された化合物1のmg毎に約20~約500ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の投与後の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)を、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約50~約200ng*h/mLの範囲で提供する。
【0120】
一実施形態において、化合物1の投与は、0時間~化合物の最終測定可能血漿中濃度の非結合型化合物1の曲線下面積(AUClast,unboundを、400ng*h/mLの80%~125%)~(7000ng*h/mLの80%~125%)の範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUClast,unboundを、約400~約7000ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物のAUClast,unboundは、約1000~約6200ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unbound約25mgの化合物の投与後、約1100~約1500ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unbound約50mgの化合物の投与後、約2800~約3200ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unbound約75mgの化合物の投与後、約3800~約4200ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unbound約100mgの化合物の投与後、約5500~約5900ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unbound約125mgの化合物の投与後、約4800~約5200ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unbound約150mgの化合物の投与後、約2600~約3100ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unboundは、約150mgの化合物の投与後に約2850ng*h/mLである。ある特定の実施形態において、最終測定可能血漿中濃度は、24時間でのものである。
【0121】
一実施形態において、このような投与は、0時間~化合物の最終測定可能血漿中濃度の非結合型化合物の曲線下面積(AUClast,unbound)を、投与された化合物1のmg毎に(10ng*h/mLの80%~125%)~(80ng*h/mLの80%~125%)の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は投与された化合物1のmg毎に対して、約10~約80ng*h/mLの範囲の化合物のAUClast,unboundを提供する。一実施形態において、このような投与は投与された化合物1のmg毎に対して、約30~約70ng*h/mLの範囲の化合物のAUClast,unboundを提供する。一実施形態において、このような投与は投与された化合物1のmg毎に対して、約35~約65ng*h/mLの範囲の化合物のAUClast,unboundを提供する。一実施形態において、化合物のAUClast,unboundは、投与された化合物1のmg毎に約15~約25ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のAUClast,unboundは、投与された化合物1のmg毎に約19ng*h/mLである。ある特定の実施形態において、最終測定可能血漿中濃度は、24時間でのものである。
【0122】
一実施形態において、化合物1の投与は、化合物の投薬間隔の0~終了の曲線下面積(AUCtau)を、2000hr*ng/mL~10000hr*ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCtauを、約2000~約8000ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCtauを、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約2000~約8000ng*h/mLの範囲で提供する。
【0123】
一実施形態において、化合物1の投与は、化合物の投薬間隔の0~終了の曲線下面積(AUCtau)を、投与された化合物1のmg毎に30hr*ng/mL~200hr*ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCtauを、投与された化合物1のmg毎に約50~約150ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCtauを、投与された化合物1のmg毎に、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約50~約150ng*h/mLの範囲で提供する。
【0124】
一実施形態において、化合物1の投与は、化合物の0~無限大の曲線下面積(AUCinf)を、3500hr*ng/mL~20000hr*ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCinfを、約4000~約15000ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCinfを、半治療サイクル(例えば、15日)後に約4000~約15000ng*h/mLの範囲で提供する。
【0125】
一実施形態において、化合物1の投与は、化合物の0~無限大の曲線下面積(AUCinf)を、投与された化合物1のmg毎に50hr*ng/mL~300hr*ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCinfを、投与された化合物1のmg毎に約50~約250ng*h/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のAUCinfを、投与された化合物1のmg毎に、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約50~約250ng*h/mLの範囲で提供する。
【0126】
一実施形態において、このような投与は、化合物の最大血漿中濃度(Cmax)を、(100ng/mLの80%~125%)~(1500ng/mLの80%~125%)の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の最大血漿中濃度(Cmax)を、約100~約1500ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の最大血漿中濃度(Cmax)を、約200~約1000ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のCmaxを、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約200~約1000ng*h/mLの範囲で提供する。
【0127】
一実施形態において、このような投与は、化合物の最大血漿中濃度(Cmax)を、投与された化合物1のmg毎に約2~約50ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の最大血漿中濃度(Cmax)を、投与された化合物1のmg毎に約5~約20ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物1の投与は、化合物のCmaxを、投与された化合物1のmg毎に、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約5~約20ng/mLの範囲で提供する。
【0128】
一実施形態において、このような投与は、2つの用量の投与間の時間間隔中に化合物1によって達せられる最小血漿中濃度(Cmin)を、約50~約400ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、2つの用量の投与間の時間間隔中に化合物1によって達せられる最小血漿中濃度(Cmin)を、約50~約350ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、2つの用量の投与間の時間間隔中に化合物1によって達せられる最小血漿中濃度(Cmin)を、約半治療サイクル(例えば、15日)後に約50~約350ng/mLの範囲で提供する。
【0129】
一実施形態において、このような投与は、非結合型化合物の最大血漿中濃度(Cmax,unbound)を、(30ng/mLの80%~125%)~(400ng/mLの80%~125%)の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の非結合型最大血漿中濃度(Cmax,unbound)を、約30ng/mL~約400ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、化合物の非結合型最大血漿中濃度(Cmax,unbound)を、約50ng/mL~約350ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約50mgの化合物の投与後、約90~約140ng/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約75mgの化合物の投与後、約200~約250ng/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約100mgの化合物の投与後、約300~約400ng/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約150mgの化合物の投与後、約200~約300ng/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約150mgの化合物の投与後、約200~約300ng/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約150mgの化合物の投与後に約258ng/mL(約0.62μM)である。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約100mgの化合物の投与後、約150~約200ng/mLの範囲にある。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、約100mgの化合物の投与後に約172ng/mL(約0.41μM)である。一実施形態において、このような投与は、化合物のCmax,unboundを、投与された化合物1のmg毎に約1~約4ng/mLの範囲で提供する。一実施形態において、化合物のCmax,unboundは、投与された化合物1のmg毎に約1.7ng/mLである。
【0130】
一実施形態において、特定の理論によって拘束されることなく、化合物1の脳浸透(脳対血漿比)は、約0.26(約26%)である。
【0131】
一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のTmaxを、約0.25時間~約5時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のTmaxを、約0.25時間~約4時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のTmaxを、約0.5時間~約5時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のTmaxを、約0.5時間~約2時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のTmaxを、約0.5時間~約1.0時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、約1時間の、投与後の化合物のTmaxを提供する。一実施形態において、このような投与は、約0.5時間の、投与後の化合物のTmaxを提供する。
【0132】
一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のt1/2を、約2時間~約50時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のt1/2を、約8時間~約25時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のt1/2を、約10時間~約24時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のt1/2を、約10時間~約20時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、投与後の化合物のt1/2を、約16時間~約25時間の範囲で提供する。一実施形態において、このような投与は、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間または約24時間の、投与後の化合物のt1/2を提供する。一実施形態において、このような投与は、約20時間の、投与後の化合物のt1/2を提供する。
【0133】
一実施形態において、投与は、投与の直後の約24時間の少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%中に、ROS1 G2032R変異体に対する化合物のIC50よりも少なくとも10%、20%、30%、40%または50%高い化合物の用量血漿中濃度を提供する。
【0134】
ROS1陽性固形腫瘍(例えば、NSCLC)を有する対象における病変を低減する方法であって、
(i)病変のサイズの第1の放射線測定値を得ることと、
(ii)薬学的有効量の化合物1を、1日1回1日以上にわたって投与することと、
(iii)病変のサイズの第2の放射線測定値を得ることと、を含み、
第2の測定値が、第1の測定値の最大100%である、方法。
【0135】
一実施形態において、第2の測定値は、第1の測定値の最大約90%である。一実施形態において、第2の測定値は、第1の測定値の最大約80%である。一実施形態において、第2の測定値は、第1の測定値の最大約70%である。一実施形態において、第2の測定値は、第1の測定値の最大約60%である。一実施形態において、第2の測定値は、第1の測定値の最大約50%である。一実施形態において、第2の測定値は、第1の測定値の約0.01%~約90%である。一実施形態において、第2の測定値は、検出可能な病変を示さない。
【0136】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、1日1回(QD)投与される。一実施形態において、化合物は、1日2回(BID)投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0137】
一実施形態において、化合物は、化合物の投与後の0~24時間の曲線下面積(AUC0~24)が約500~約30000ng*h/mLの範囲にあるような量で投与される。一実施形態において、AUC0~24は、約750~約20000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約750~約15000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約1000~約13000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約1500~約10000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約750~約4500ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約1000~約3000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約1250~約3000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約1500~約2500ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約1750~約7500ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約2000~約6000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約3000~約5000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約3000~約14000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約3000~約9000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約4500~約7500ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約4000~約13000ng*h/mLの範囲にある。一実施形態において、AUC0~24は、約6000~約10000ng*h/mLの範囲にある。
【0138】
一実施形態において、化合物は、化合物の最大血漿中濃度(Cmax)が約100~約1500ng/mLの範囲にあるような量で投与される。一実施形態において、Cmaxは、約150~約1400ng/mLの範囲にある。一実施形態において、Cmaxは、約150~約350ng/mLの範囲にある。一実施形態において、Cmaxは、約300~約900ng/mLの範囲にある。一実施形態において、Cmaxは、約300~約700ng/mLの範囲にある。一実施形態において、Cmaxは、約450~約1050ng/mLの範囲にある。一実施形態において、Cmaxは、約600~約1400ng/mLの範囲にある。
【0139】
一実施形態において、化合物は、化合物の血漿中濃度が、投与の直後の選択される期間(例えば、約24時間)の少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%または99%中に、所定の値(例えば、ROS1 G2032R変異体に対する化合物のIC50)よりも高い(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%または50%高い)ような量で投与される。
【0140】
一実施形態において、化合物は、患者において約2~約50時間の半減期を有する。一実施形態において、約10~約20時間の半減期。一実施形態において、約15~約25時間の半減期。一実施形態において、半減期は、約20時間である。
【0141】
一実施形態において、本明細書で提供される薬物動態パラメータ(例えば、AUC0~24、AUClast,unbound、Cmax、Tmax及び半減期)とは、患者集団の算術平均を指す。一実施形態において、本明細書で提供される薬物動態パラメータ(例えば、AUC0~24、Cmax)とは、患者集団の幾何平均を指す。ある特定の実施形態において、t1/2とは、患者集団の算術平均を指す。ある特定の実施形態において、Tmaxとは、患者集団の中央値範囲を指す。ある特定の実施形態において、AUC0~24、AUClast,unbound、AUCtau、AUCtau_DN、AUCinf、AUCinf_DN、Cmax、Cmax_DN、Cmax_unbound及びCminのそれぞれは、患者集団の幾何平均を指す。
【0142】
一実施形態において、本明細書で提供される薬物動態パラメータ(例えば、AUC0~24、Cmax、Tmax及び半減期)は、化合物が患者に治療サイクルにおいて初めて投与された後に(例えば、治療サイクルの1日目、例えば、28日間の治療サイクルのサイクル1の1日目に)測定される。一実施形態において、本明細書で提供される薬物動態パラメータ(例えば、AUC0~24、Cmax及び半減期)は、化合物が患者に治療サイクルにおいて複数回投与された後に(例えば、患者における定常状態が、化合物について達成されていてもよい)(例えば、28日間の治療サイクルのサイクル1の15日目に)測定される。
【0143】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、1日当たり(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg~約500mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約250mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約200mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約50mg~約200mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約5mg~約150mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約150mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約125mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約100mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約50mg~約125mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約50mg~約100mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195または約200mgの量で投与される。一実施形態において、量は、1日当たり約5mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約10mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約15mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約20mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約25mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約30mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約35mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約40mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約45mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約50mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約75mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約100mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約125mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約150mgである。本明細書で使用される場合、重量量とは、遊離塩基化合物1の重量量を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0144】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg~約500mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約250mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約200mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約200mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約150mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約150mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約125mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約100mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約125mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約100mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195または約200mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、量は、約5mg1日1回である。一実施形態において、量は、約10mg1日1回である。一実施形態において、量は、約15mg1日1回である。一実施形態において、量は、約20mg1日1回である。一実施形態において、量は、約25mg1日1回である。一実施形態において、量は、約30mg1日1回である。一実施形態において、量は、約35mg1日1回である。一実施形態において、量は、約40mg1日1回である。一実施形態において、量は、約45mg1日1回である。一実施形態において、量は、約50mg1日1回である。一実施形態において、量は、約75mg1日1回である。一実施形態において、量は、約100mg1日1回である。一実施形態において、量は、約125mg1日1回である。一実施形態において、量は、約150mg1日1回である。本明細書で使用される場合、重量量とは、遊離塩基化合物1の重量量を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0145】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg~約500mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約250mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約250mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約200mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約10mg~約50mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約10mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約150mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約150mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195または約200mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、量は、約5mg1日2回である。一実施形態において、量は、約10mg1日2回である。一実施形態において、量は、約15mg1日2回である。一実施形態において、量は、約20mg1日2回である。一実施形態において、量は、約25mg1日2回である。一実施形態において、量は、約30mg1日2回である。一実施形態において、量は、約35mg1日2回である。一実施形態において、量は、約40mg1日2回である。一実施形態において、量は、約45mg1日2回である。一実施形態において、量は、約50mg1日2回である。一実施形態において、量は、約75mg1日2回である。一実施形態において、量は、約100mg1日2回である。一実施形態において、量は、約125mg1日2回である。一実施形態において、量は、約150mg1日2回である。本明細書で使用される場合、重量量とは、遊離塩基化合物1の重量量を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0146】
一実施形態において、化合物は、経口投与される。
【0147】
一実施形態において、化合物は、1つ以上の錠剤の形態において投与される。一実施形態において、錠剤は、遊離塩基化合物1の重量による約5mgの単位用量強度を有する。一実施形態において、錠剤は、遊離塩基化合物1の重量による約25mgの単位用量強度を有する。
【0148】
一実施形態において、化合物は、空腹を有する対象に投与される。一実施形態において、化合物は、絶食状態での対象に投与される。一実施形態において、化合物は、対象に食物なしで投与される。一実施形態において、化合物は、対象に、水以外の食物及び/または飲料の摂取の少なくとも1時間前にかつその2時間以上後に投与される。一実施形態において、化合物は、満腹を有する対象に投与される。一実施形態において、化合物は、摂食状態での対象に投与される。一実施形態において、化合物は、対象に食物とともに投与される。一実施形態において、化合物は、食物及び/または飲料の摂取とともに投与される。
【0149】
一実施形態において、患者は、認知障害、気分障害、睡眠障害、めまい、運動失調及び体重増加からなる群から選択される1つ以上の症状における改善を、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、患者は、認知障害、気分障害、睡眠障害、めまい、運動失調及び体重増加からなる群から選択される1つ以上の症状を、化合物の投与後に経験しない。一実施形態において、患者は、pROS1、ROS1、pAKT及びpERKのうちの1つ以上の低減されたレベルを、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、患者は、腫瘍における1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子の低減された発現レベルを、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、患者は、固形腫瘍における1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子の低減された発現レベルを、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子は、DUSP6、FOS、IL1R1及びSPRY4からなる群から選択される。
【0150】
がんは、ある特定の遺伝子における改変からもたらされる制御されていない細胞増殖の疾患である。これらの改変のうちのいくつかは、シグナルを細胞外から伝達して、細胞生存、成長及び増殖を促進する膜結合タンパク質のファミリーである受容体チロシンキナーゼ(RTK)をコードする遺伝子において発生する。異常なRTK活性化は、過剰な細胞成長をもたらし得、したがって、がんをもたらし得る。概して、RTKは、細胞外リガンドに結合するN末端ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達を触媒するC末端キナーゼドメインと、を含有する。
【0151】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、ヒトROS1の阻害剤である。ROS1は、ROS1遺伝子によってコードされたRTKである。ヒトROS1のリガンド及び生物学的機能は不明であるが、いくつかの他の種におけるその相同体は、細胞外リガンドに結合し、細胞分化を刺激することが示されている。例えば、マウスROS1は、雄配偶子成熟及び生殖に必須である。ヒトにおいて、ROS1染色体再編成は、がんの十分に立証された原因であり、非小細胞肺癌(NSCLC)の1~2%及び他の多くのがんのサブセットを表す。これらの再編成は、ROS1のC末端と、様々なパートナータンパク質のN末端との融合をもたらし、最も一般的なパートナータンパク質は、CD74である。ROS1融合物は、腫瘍成長をMAPK、PI3K及びJAK/STATシグナル伝達経路を介して駆動する構成的キナーゼ活性を有する。小分子チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、がんにおけるROS1融合物を標的とするために使用されており、クリゾチニブ及びエヌトレクチニブを含む。クリゾチニブは、ROS1陽性NSCLCの治療のための最初のFDA承認TKIであった。初期応答にもかかわらず、ほとんどの患者は、クリゾチニブに対する耐性を獲得し再発する。耐性の主な機構は、溶媒フロントにおけるG2032R変異であり、これは、クリゾチニブ親和性を劇的に低減する。ROS1-G2032R融合物に対する活性を有する阻害剤は、FDA承認されておらず、これは、当該技術分野における必要性を示す。
【0152】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、ROS1を選択的に阻害する。一実施形態において、化合物は、ALKに優先してROS1を選択的に阻害する。非限定的な例として、選択性の比は、約1.5倍超、約2倍超、約3倍超、約4倍超、約5倍超、約10倍超、約20倍超、約30倍超、約50倍超または約100倍超であることができ、選択性は、手段のうちでもとりわけ、IC50値の比によって測定され得る。一実施形態において、ALKに優先するROS1の選択性は、ALKに対するIC50値対ROS1対するIC50値の比によって測定される。
【0153】
一実施形態において、化合物は、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害する。非限定的な例として、選択性の比は、約5倍超、約10倍超、約50倍超、約100倍超、約200倍超、約400倍超、約600倍超、約800倍超、約1000倍超、約1500倍超、約2000倍超、約5000倍超、約10,000倍超または約20,000倍超であることができ、選択性は、手段のうちでもとりわけ、IC50値の比によって測定され得る。一実施形態において、TRKに優先するROS1の選択性は、TRKに対するIC50値対ROS1対するIC50値の比によって測定される。
【0154】
一実施形態において、ALKに優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、細胞において起こる、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、細胞において起こる、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、方法は、ROS1を有効量の本明細書で提供される化合物と接触させることを含む。一実施形態において、このような接触は、細胞において発生する。一実施形態において、このような接触は、哺乳動物、例えば、ヒトにおける細胞において発生する。一実施形態において、このような接触は、本明細書で提供されるがんを有するヒト患者における細胞において発生する。
【0155】
一実施形態において、ALKに優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、がんを患う対象において起こり、当該方法が、当該対象に、有効量の本明細書で提供される化合物または薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、ROS1に関連するがんを患う対象を治療する方法であって、当該方法が、当該対象に、本明細書で提供される化合物または薬学的組成物の量を投与することによって、ALKに優先してROS1を選択的に阻害することを含み、当該量が、ALKに優先してROS1を選択的に阻害するのに十分である、方法が、本明細書で提供される。
【0156】
一実施形態において、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、がんを患う対象において起こり、当該方法が、当該対象に、有効量の本明細書で提供される化合物または薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、ROS1に関連するがんを患う対象を治療する方法であって、当該方法が、当該対象に、本明細書で提供される化合物または薬学的組成物の量を投与することによって、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害することを含み、当該量が、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害するのに十分である、方法が、本明細書で提供される。
【0157】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、ROS1の阻害は、野生型ROS1またはその変異の阻害を含み、ALKの阻害は、野生型ALKまたはその変異の阻害を含み、TRKの阻害は、野生型TRKまたはその変異の阻害を含む。
【0158】
本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、肺癌、例えば、非小細胞肺癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、卵巣癌、例えば、漿液性卵巣癌、黒色腫、例えば、スピッツ様黒色腫、神経膠芽腫、胆管癌、例えば、胆管細胞癌、胃癌、結腸直腸癌、血管肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、例えば、食道扁平上皮癌、腎臓癌、例えば、腎髄質癌または腎細胞癌、乳癌、例えば、三種陰性乳癌、甲状腺癌、例えば、乳頭様甲状腺癌、神経芽細胞腫、類上皮血管内皮腫、結腸癌、及びスピッツ様腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0159】
本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1、ALK、TRKA、TRKB及びTRKCから選択される1つ以上の発がん性タンパク質に起源を有するがんを含む。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1、ALK、TRKA、TRKB及びTRKCから選択される1つ以上の発がん性タンパク質を対象とする治療に対して薬物耐性であるがんを含む。
【0160】
一実施形態において、本明細書で提供される方法におけるがんは、ROS1陽性(ROS1+)である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「ROS1陽性」(ROS1+)がん、疾患または障害とは、ROS1遺伝子の不適切な高発現及び/またはROS1遺伝子における変異の存在を特徴とするがん、疾患または障害を指す。一実施形態において、変異は、ROS1核酸分子またはポリペプチドの生物学的活性を改変する。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、ROS1の「変異」または「変異体」は、ROS1のアミノ酸もしくはヌクレオチド配列、またはそれらの断片における1つ以上の欠失、置換、挿入、逆位、重複、転座または増幅を含む。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、ROS1「再編成」とは、ROS1遺伝子に関する遺伝子転座であって、ROS1融合遺伝子及び/またはROS1融合タンパク質をもたらし得る、遺伝子転座を指す。ROS1融合物はまた、変異体がキナーゼリン酸化活性を保持する限り、1つ以上の欠失、置換、挿入、逆位、重複、転座もしくは増幅、またはその断片を含むことができる。
【0161】
一実施形態において、ROS1変異は、1つ以上のROS1点変異を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1キナーゼにおける1つ以上の変異を含む。一実施形態において、1つ以上のROS1点変異は、E1935、L1947、L1951、G1971、E1974、L1982、S1986、F2004、E2020、L2026、G2032、D2033、C2060、F2075、L2086、V2089、V2098、G2101、D2113、1981Tins、M2001T及びL2155における点変異から選択される。一実施形態において、1つ以上のROS1点変異は、G2032R、G2032K、D2033N、S1986F、S1986Y、L2026M、L1951R、E1935G、L1947R、G1971E、E1974K、L1982F、F2004C、F2004V、E2020K、C2060G、F2075V、V2089M、V2098I、G2101A、D2113N、D2113G、L2155S及びL2086Fから選択される。一実施形態において、ROS1変異は、G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、S1986Fである。一実施形態において、ROS1変異は、S1986Yである。一実施形態において、ROS1変異は、L2026Mである。一実施形態において、ROS1変異は、D2033Nである。一実施形態において、ROS1変異は、L2086Fである。一実施形態において、ROS1変異は、F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、L1982Fである。一実施形態において、ROS1変異は、G2032R、及びS1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026MまたはD2033Nのうちの1つ以上の共変異である。
【0162】
一実施形態において、ROS1変異は、1つ以上のROS1再編成(一実施形態において、1つの再編成)を含む。一実施形態において、ROS1変異は、1つ以上のROS1融合物(一実施形態において、1つの融合物)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1融合物を含む。一実施形態において、ROS1融合物は、SLC34A2、CD74、TPM3、SDC4、EZR、LRIG3、KDELR2、CEP72、CLTL、CTNND2、GOPC(例えば、GOPC-S、GOPC-L)、GPRC6A、LIMA1、LRIG3、MSN、MYO5C、OPRM1、SLC6A17 SLMAP、SRSF6、TFG、TMEM106B、TPD52L1、ZCCHC8、CCDC6、CAPRIN1、CEP85L、CHCHD3、CLIP1、EEF1G、KIF21A、KLC1、SART3、ST13、TRIM24、ERC1、FIP1L1、HLAA、KIAA1598、MYO5A、PPFIBP1、PWWP2A、FN1、YWHAE、CCDC30、NCOR2、NFKB2、APOB、PLG、RBP4及びGOLGB1から選択される融合パートナーのうちの1つとのものである。一実施形態において、ROS1融合物は、CD74-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、SDC4-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、EZR-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、SLC34A2-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、GOPC-ROS1融合物(例えば、GOPC-ROS1-S、GOPC-ROS1-L)である。一実施形態において、ROS1融合物は、CEP85L-ROS1融合物である。
【0163】
一実施形態において、ROS1変異は、1つのROS1再編成及び1つ以上のROS1点変異を含む。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1、EZR-ROS1、SLC34A2-ROS1、GOPC-ROS1(例えば、GOPC-ROS1-S、GOPC-ROS1-L)及びCEP85L-ROS1からの1つ以上のROS1再編成、ならびにF2004C、F2004V及びG2032Rから選択される1つ以上のROS1点変異を含む。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1、EZR-ROS1及びSLC34A2-ROS1からの1つ以上のROS1再編成、ならびにG2101AのROS1点変異を含む。
【0164】
一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 S1986Fである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 L2026Mである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 D2033Nである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 F2004C(例えば、GOPC-ROS1-S F2004C、GOPC-ROS1-L F2004C)である。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 F2004V(例えば、GOPC-ROS1-S F2004V、GOPC-ROS1-L F2004V)である。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 G2032R(例えば、GOPC-ROS1-S G2032R、GOPC-ROS1-L G2032R)である。一実施形態において、ROS1変異は、CEP85L-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、CEP85L-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、CEP85L-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 L1982F(例えば、GOPC-ROS1-S L1982F、GOPC-ROS1-L L1982F)である。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 L1982Fである。
【0165】
いくつかの実施形態において、ROS1陽性固形腫瘍を有する患者集団を治療する方法であって、当該患者集団のそれぞれに、有効量の本明細書で提供される化合物1または薬学的組成物を投与することを含み、客観的奏効率(ORR)が、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約10%(RECIST 1.1)である、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約20%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約30%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約40%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約50%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約60%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約70%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約80%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約90%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、安定した疾患を達成する。
【0166】
いくつかの実施形態において、ROS1変異(例えば、G2032R)を有する固形腫瘍を有する患者集団を治療する方法であって、当該患者集団のそれぞれに、有効量の本明細書で提供される化合物1または薬学的組成物を投与することを含み、ORRが、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約30%(RECIST 1.1)である、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約40%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約50%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約60%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約70%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約80%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約90%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約90%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約5%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約15%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、安定した疾患を達成する。
【0167】
いくつかの実施形態において、ベースラインでのROS1陽性固形腫瘍及びCNS疾患を有する患者集団を治療する方法であって、当該患者集団のそれぞれに、有効量の本明細書で提供される化合物1または薬学的組成物を投与することを含み、ORRが、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約30%(RECIST 1.1)である、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約40%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約50%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約60%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約70%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約80%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約90%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約90%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約5%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約15%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、安定した疾患を達成する。
【0168】
いくつかの実施形態において、患者集団が少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び少なくとも1つの化学療法を受容した後にROS1陽性固形腫瘍を有する患者集団を治療する方法であって、当該患者集団のそれぞれに、有効量の本明細書で提供される化合物1または薬学的組成物を投与することを含み、ORRが、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約10%(RECIST 1.1)である、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約20%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約30%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約40%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約50%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約60%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約70%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約80%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約90%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約90%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、安定した疾患を達成する。
【0169】
いくつかの実施形態において、患者集団が少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法及び少なくとも1つの化学療法を受容した後にROS1陽性固形腫瘍を有する患者集団を治療する方法であって、当該患者集団のそれぞれに、有効量の本明細書で提供される化合物1または薬学的組成物を投与することを含み、ORRが、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約10%(RECIST 1.1)である、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約20%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約30%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約40%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約50%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約60%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約70%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約80%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約90%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約90%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、安定した疾患を達成する。
【0170】
いくつかの実施形態において、患者集団がロルラチニブ及び/またはレポトレクチニブの以前の治療を受容した後にROS1陽性固形腫瘍を有する患者集団を治療する方法であって、当該患者集団のそれぞれに、有効量の本明細書で提供される化合物1または薬学的組成物を投与することを含み、ORRが、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約10%(RECIST 1.1)である、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約20%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約30%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約40%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約50%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約60%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約70%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約80%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、ORRは、化合物1の治療サイクル後に少なくとも約90%(RECIST 1.1)である。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約90%が、部分奏効を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約10%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約20%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約30%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約40%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約50%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約60%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約70%が、安定した疾患を達成する。一実施形態において、患者集団の少なくとも約80%が、安定した疾患を達成する。
【0171】
一実施形態において、ROS1+がんは、FDA承認試験または当該技術分野で既知の他の試験によって決定される。使用され得る試験は、例えば、Thermo Fisher Scientific.によるOncomine(商標)Dx Target Test(非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者からのホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍(FFPE)組織試料から単離されたDNA及びRNAにおける23個の遺伝子における配列多様性を、Ion PGM Dx Systemシステムを使用して検出するための標的高スループット並列シーケンシング技術を使用する定性インビトロ診断試験);Vysis ROS1 Break Apart FISH Probe Kit(ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)非小細胞肺癌(NSCLC)組織検体において、6q22におけるROS1遺伝子再編成を含む再編成を、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)を介して検出するための定性試験)、または局所診断試験を介する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)もしくは次世代シーケンシング(NGS)を含む。
【0172】
また、がん(例えば、ROS1陽性がん)を有する対象を治療する方法であって、がんを有し第1のROS1阻害剤を以前に投与された対象から得られた試料におけるがん細胞が、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を有するかを決定することと、対象が1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を有するがん細胞を有する場合、対象に、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、単剤療法としてまたは別の抗がん剤とともに投与することと、を含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、第1のROS1阻害剤での治療に対する増加した耐性を、がん細胞または腫瘍に付与する。いくつかの実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を含む。例えば、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、アミノ酸位置2032、2033、1986、2026、1951、1935、1947、1971、1974、1982、2004、2020、2060、2075、2089、2098、2101、2113、2155、2032及び2086のうちの1つ以上における置換を含むことができ、例えば、G2032R、D2033N、S1986F、S1986Y、L2026M、L1951R、E1935G、L1947R、G1971E、E1974K、L1982F、F2004C、F2004V、E2020K、C2060G、F2075V、V2089M、V2098I、G2101A、D2113N、D2113G、L2155S、L2032K及びL2086Fを含むことができる。いくつかの実施形態において、別の抗がん剤は、当該技術分野で既知のいずれかの抗がん剤である。例えば、別の抗がん剤は、別のROS1阻害剤(例えば、第2のROS1阻害剤)であることができる。
【0173】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、CNS浸透性化合物である。一実施形態において、有効量の本明細書で提供される化合物の(例えば、経口または静脈内)投与後に、化合物は、CNS(例えば、血液脳関門)に浸透することができ、ROS1を阻害する(例えば、選択的に阻害する)のに依然として十分である、CNS(例えば、脳)における濃度を達成することができる。
【0174】
一実施形態において、がんのCNS転移を治療するための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、CNS転移は、脳転移である。一実施形態において、がんは、ROS1+がんである。
【0175】
いくつかの実施形態において、化合物は、ヒトトロポミオシン受容体キナーゼA、BまたはCの阻害剤である。ある特定の実施形態において、変異型または非変異型ROS1またはALKの阻害のための化合物のIC50は、野生型トロポミオシン受容体キナーゼA、BまたはCの阻害のための化合物のIC50の5分の1以下である。TRK阻害、特に、中枢神経系(CNS)におけるTRK阻害は、めまい/運動失調/歩行障害、知覚異常、体重増加及び認知変化を含む有害反応に関連している。
【0176】
いくつかの実施形態において、がん(例えば、ROS1陽性がん)のための治療を必要としている対象における治療関連有害事象を最小化する方法であって、方法が、対象に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、その立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、方法が、TRK阻害剤に関連する治療関連有害事象を最小化する、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、がんは、ROS1関連がんである。いくつかの実施形態において、有害事象は、TRK関連CNS有害事象のうちの1つ以上である。
【0177】
本明細書で使用される場合、有害事象を「最小化する」とは、TRK阻害剤(例えば、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブまたはロルラチニブ)で治療される対象または患者集団における有害事象のパラダイム発生率と比較して、対象または患者集団における有害事象の発生率における低減を指す。いくつかの実施形態において、有害事象の発生率とは、対象または患者集団にわたる具体的な有害事象の頻度または百分率を指す。いくつかの実施形態において、有害事象の発生率とは、個別の対象によって経験される有害事象の総数を指す。いくつかの実施形態において、有害事象を最小化することとは、TRK関連CNS有害事象を最小化することを指す。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の40%未満がTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満がTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の12%未満が、2つ以上のTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満または3%未満が、2つ以上のTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。
【0178】
いくつかの実施形態において、TRK関連CNS治療関連有害事象とは、以下、めまい、運動失調、歩行障害、知覚異常、体重増加、過食、知覚異常、異常運動、認知変化、発話効果(例えば、構音障害、緩徐発話または発話障害)、気分障害(例えば、易刺激性、不安、抑うつ、情動不安定性、人格変化、気分変動、情動障害、攻撃性、激越、気分変化、抑うつ気分、多幸気分または躁病)及び認知障害(例えば、記憶障害、認知障害、健忘、錯乱、注意力障害、せん妄、精神的機能障害、注意欠如多動症、認知症、睡眠障害または読字障害)のうちの1つ以上を指す。
【0179】
一実施形態において、がん治療におけるTRK関連治療関連CNS副作用または有害事象を予防または制限するための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、方法は、TRK関連CNS有害事象の発生を予防する。一実施形態において、方法は、TRK関連CNS有害事象の発生の頻度を制限する。一実施形態において、方法は、TRK関連副作用の重症度を制限する。一実施形態において、低減されたTRK関連副作用を有する、がんのCNS転移を治療するための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、CNS副作用または有害事象における低減/制限/予防は、統計的試料において、標準治療、例えば、ROS1+及び/またはALK+がんのための承認されたROS1及び/またはALK阻害剤(例えば、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブまたはレポトレクチニブ)と比較して決定される。一実施形態において、TRK関連副作用は、TRKB関連CNS副作用である。一実施形態において、TRK関連CNS副作用または有害事象は、めまい、運動失調、歩行障害、知覚異常、体重増加、認知障害、気分障害または睡眠障害である。
【0180】
一実施形態において、がんを治療するための方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、がんは、ROS1関連がんである。一実施形態において、がんは、ROS1+がんである。一実施形態において、がんは、ROS1であると特定される。
【0181】
一実施形態において、ROS1+がんを治療するための方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0182】
一実施形態において、対象におけるがんを治療するための方法であって、(i)対象におけるがんがROS1+であると特定することと、(ii)対象に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0183】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、固形腫瘍である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、進行性固形腫瘍である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、局所進行性固形腫瘍である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、気管支癌、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、胆管癌、例えば、胆管細胞癌、卵巣癌、例えば、漿液性卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、血管肉腫、黒色腫、例えば、スピッツ様黒色腫、類上皮血管内皮腫、食道癌、例えば、食道扁平上皮癌(ESCC)、腎臓癌、例えば、腎髄質癌もしくは腎細胞癌、乳癌、例えば、三種陰性乳癌、結腸癌、甲状腺癌、例えば、乳頭様甲状腺癌、スピッツ様腫瘍、膵癌、炎症性肝細胞腺腫、または神経芽細胞腫である。
【0184】
一実施形態において、がんは、肺癌である。一実施形態において、がんは、非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、気管支癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+気管支癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性気管支癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+気管支癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された気管支癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+気管支癌である。
【0185】
一実施形態において、がんは、神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経膠芽腫である。
【0186】
一実施形態において、がんは、IMTである。一実施形態において、がんは、ROS1+IMTである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性IMTである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+IMTである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたIMTである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+IMTである。
【0187】
一実施形態において、がんは、胆管癌である。一実施形態において、がんは、胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+胆管細胞癌である。
【0188】
一実施形態において、がんは、卵巣癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+卵巣癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性卵巣癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+卵巣癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された卵巣癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+卵巣癌である。一実施形態において、卵巣癌は、漿液性卵巣癌である。一実施形態において、卵巣癌は、高悪性度漿液性卵巣癌である。
【0189】
一実施形態において、がんは、胃癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+胃癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性胃癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+胃癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された胃癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+胃癌である。
【0190】
一実施形態において、がんは、結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+結腸直腸癌である。
【0191】
一実施形態において、がんは、血管肉腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+血管肉腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性血管肉腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+血管肉腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された血管肉腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+血管肉腫である。
【0192】
一実施形態において、がんは、黒色腫である。一実施形態において、がんは、スピッツ様腫瘍である。一実施形態において、がんは、スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたスピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+スピッツ様黒色腫である。
【0193】
一実施形態において、がんは、類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+類上皮血管内皮腫である。
【0194】
一実施形態において、がんは、食道癌である。一実施形態において、がんは、ESCCである。一実施形態において、がんは、ROS1+ESCCである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ESCCである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+ESCCである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたESCCである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+ESCCである。
【0195】
一実施形態において、がんは、腎臓癌である。一実施形態において、がんは、腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+腎細胞癌である。
【0196】
一実施形態において、がんは、乳癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+乳癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性乳癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+乳癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された乳癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+乳癌である。一実施形態において、乳癌は、三種陰性乳癌である。
【0197】
一実施形態において、がんは、結腸癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+結腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性結腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+結腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された結腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+結腸癌である。
【0198】
一実施形態において、がんは、甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+乳頭様甲状腺癌である。
【0199】
一実施形態において、がんは、ROS1+神経膠腫(例えば、グレード1、グレード2、グレード3またはグレード4)である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経膠腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経膠腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経膠腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経芽細胞腫である。一実施形態、がんは、新たに診断された神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経芽細胞腫である。
【0200】
一実施形態において、がんは、ROS1+膵癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性膵癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+膵癌である。一実施形態、がんは、新たに診断された神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+膵癌である。
【0201】
一実施形態において、がんは、ROS1+炎症性肝細胞腺腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性炎症性肝細胞腺腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+炎症性肝細胞腺腫である。一実施形態、がんは、新たに診断された神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+炎症性肝細胞腺腫である。
【0202】
一実施形態において、がん(またはROS1+がんまたはALK+がん)は、血液癌である。一実施形態において、がん(またはROS1+がんまたはALK+がん)は、リンパ腫である。一実施形態において、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一実施形態において、リンパ腫は、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または大細胞型B細胞リンパ腫である。また、血液癌に加えて、ROS1+またはALK+である他の血液障害または血液悪性腫瘍を治療するための方法が、本明細書で提供される。
【0203】
一実施形態において、がんは、ALCLである。一実施形態において、がんは、ROS1+ALCLである。一実施形態において、がんは、ALK+ALCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+ALCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALK+ALCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+ALCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALK+ALCLである。
【0204】
一実施形態において、がんは、DLBCLである。一実施形態において、がんは、ROS1+DLBCLである。一実施形態において、がんは、ALK+DLBCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性DLBCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+DLBCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALK+DLBCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたDLBCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+DLBCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALK+DLBCLである。
【0205】
一実施形態において、がんは、大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、ALK+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALK+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALK+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、新たに診断されたものである。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、以前に治療されていない。
【0206】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、再発性または抵抗性である。一実施形態において、がんは、再発性である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、抵抗性である。
【0207】
一実施形態において、対象は、以前に治療されていない。一実施形態において、対象は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法により無処置である。一実施形態において、対象は、1つ以上の以前の療法ラインを受容している。一実施形態において、対象は、2つ以上の以前の療法ラインを受容している。一実施形態において、対象は、以前の療法ラインのうちの1つ以上に対する耐性を発症している。一実施形態において、以前の療法は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む。一実施形態において、以前のTKI療法は、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ(brigatinib)、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ(foretinib)、タレトレクチニブ、メレスチニブ(merestinib)、マシチニブ(masitinib)及びエンサルチニブ(ensartinib)のうちの1つ以上での治療を含む。一実施形態において、以前の療法は、1つ以上の化学療法を含む。一実施形態において、1つ以上の化学療法は、TKI療法に加えてのものである。
【0208】
一実施形態において、がんは、進行性がん、例えば、TKIによる以前の治療後に再発した進行性がん、またはそれに対して抵抗性もしくは耐性である進行性がんである。
【0209】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して耐性である。
【0210】
一実施形態において、がんは、耐性肺癌である。一実施形態において、がんは、耐性気管支癌である。一実施形態において、がんは、耐性非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、TKIに対して耐性である非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、TKIに対して耐性であるROS1+非小細胞肺癌である。
【0211】
一実施形態において、がんは、肺癌(例えば、NSCLC、気管支癌)である。一実施形態において、がんは、進行性肺癌、例えば、TKIによる以前の治療後に再発した進行性肺癌またはそれに対して抵抗性である進行性肺癌である。
【0212】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、第1の治療ラインとして投与される。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、第2の治療ラインとして投与される。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、第3または第4の治療ラインとして投与される。
【0213】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、転移性である。一実施形態において、がんは、CNS転移を有する。一実施形態において、がんは、脳転移を有する。一実施形態において、がんは、転移性非小細胞肺癌(NSCLC)である。一実施形態において、がんは、転移性ROS1+NSCLCである。
【0214】
一実施形態において、転移性ROS1+非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者を治療するための方法であって、患者に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0215】
一実施形態において、患者は、成人患者である。一実施形態において、患者は、小児患者である。
【0216】
一実施形態において、転移性ROS1+NSCLCを有する成人患者を治療するための方法であって、患者に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0217】
一実施形態において、転移性ROS1+NSCLCを有する成人患者を治療するための方法であって、方法が、患者に、治療有効量の本明細書で提供される化合物物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、患者が、少なくとも1つの以前のTKI療法において進行しているかまたはそれに対して不耐性である、方法が、本明細書で提供される。
【0218】
一実施形態において、溶媒フロント変異G2032Rを有するROS1+である転移性NSCLCを有する成人患者を治療するための方法であって、方法が、患者に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、患者が、少なくとも1つの以前のTKI療法において進行しているかまたはそれに対して不耐性である、方法が、本明細書で提供される。
【0219】
一実施形態において、ROS1関連(またはROS1+)がんを治療することを必要としている対象においてそれを行う方法であって、がんが、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して耐性になっており、方法が、対象に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0220】
一実施形態において、ROS1関連(またはROS1+)がんを治療することを必要としている対象においてそれを行う方法であって、がんが、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して耐性になっており、がんが、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を有するとして特定されており、方法が、対象に、治療有効量の本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、1986、2004、2026、2032及び2033から選択されるアミノ酸位置における1つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、S1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026M、G2032R、D2033N、L2086F及びG2101Aから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、G2032Rである。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、G2032R、及びS1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026M、D2033NまたはG2101Aのうちの1つ以上を含む。一実施形態において、ROS1阻害剤耐性変異は、L2086Fである。
【0221】
一実施形態において、TKIは、ROS1阻害剤である。一実施形態において、TKIは、ALK阻害剤である。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ、メレスチニブ、タレトレクチニブ、マシチニブまたはエンサルチニブである。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、TKIは、エヌトレクチニブである。一実施形態において、TKIは、ロルラチニブである。一実施形態において、TKIは、レポトレクチニブである。
【0222】
ある特定の実施形態において、対象は、がんの第1の治療ライン後に再発している。他の実施形態において、対象は、がんの第2の治療ライン後に再発している。
【0223】
ある特定の実施形態において、がんを治療または予防するための方法は、1つ以上の応答、例えば、増加したアポトーシス、腫瘍成長の阻害、腫瘍転移の低減、腫瘍転移の阻害、微小血管密度の低減、減少した新血管新生、腫瘍遊走の阻害、腫瘍退縮及び対象の増加した生存によって実証され得る。
【0224】
併用治療
いくつかの実施形態において、がんを治療または予防する方法は、式(I)の化合物を、1つ以上の他の化学療法剤(複数可)と合同して投与することを含み得る。
【0225】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「合同して」または「との組み合わせで」は、他の薬剤、及び式(I)の化合物が、同時に投与されなければならず、及び/または送達のために一緒に処方されなければならないことを意味することは意図されていないが、これらの送達方法は、本開示の範囲内である。本明細書で提供される化合物は、1つ以上の他の薬剤(例えば、1つ以上の他の追加の薬剤)と同時に投与されてもよく、その前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間または16週間前に)投与されてもよく、またはその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間または16週間後に)投与されてもよい。概して、それぞれの治療剤は、この特定の薬剤について決定された用量で及び/または時間スケジュールにおいて投与される。他の治療剤は、本明細書で提供される化合物とともに、単一の組成物中で投与されてもよくまたは別個に異なる組成物中で投与されてもよい。また、三重療法が、本明細書で企図される。
本明細書で提供される化合物と合同して投与され得る化学療法剤は、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、ABT-263、アファチニブマレイン酸塩、アキシチニブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、APCP、アスパラギナーゼ、AZD5363、Bacillus Calmette-Guerinワクチン(bcg)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、β-メチレン-ADP(AOPCP)、ブセレリン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セリチニブ、クロラムブシル、クロロキン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コビメチニブ、コルヒチン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デメトキシビリジン、デキサメタゾン、ジクロロアセテート、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、GSK1120212、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イクサベピロン、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトホルミン、メトトレキサート、ミルテホシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、MK-2206、ムタマイシン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペリフォシン、PF-04691502、プリカマイシン、ポマリドミド、ポルフィマー、PPADS、プロカルバジン、ケルセチン、ラルチトレキセド、ラムシルマブ、リアクティブブルー2、リツキシマブ、ロロフィリン、ロミデプシン、ルカパリブ、セルメチニブ、シロリムス、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タラゾパリブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トナポフィリン、トポテカン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ベリパリブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びボリノスタット(SAHA)を含む。他の実施形態において、本明細書で提供される化合物と合同して投与され得る化学療法剤は、ABT-263、デキサメタゾン、5-フルオロウラシル、PF-04691502、ロミデプシン及びボリノスタット(SAHA)を含む。他の実施形態において、本明細書で提供される化合物と合同して投与され得る化学療法剤は、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、APCP、β-メチレン-ADP(AOPCP)、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、PPADS、ケルセチン、リアクティブブルー2、ロロフィリン2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、スマリン及びトナポフィリンを含む。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、生物製剤、例えば、ADCまたはMET抗体である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、MET阻害剤、MEK阻害剤、RET阻害剤、別のALK阻害剤またはROS1阻害剤である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、1つ以上の白金ベースの化学療法及び/または免疫療法(例えば、チェックポイント阻害剤)とともに使用される。
【0226】
多くの併用療法が、がんの治療のために開発されている。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)の化合物)は、1つ以上の併用療法と合同して投与され得る。本明細書で提供される化合物が合同して投与され得る併用療法の例が、表1に含まれている。
【表1】
【0227】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される合同療法は、他のタイプの化学療法剤、例えば、免疫腫瘍学的薬剤との合同投与を含む。がん細胞は、しばしば、免疫系によって認識され得る特異的細胞表面抗原を有する。したがって、免疫腫瘍学的薬剤、例えば、モノクローナル抗体は、がん細胞抗原に選択的に結合することができ、細胞死をもたらすことができる。他の免疫腫瘍学的薬剤は、先天免疫応答の腫瘍媒介性阻害を抑制することができるか、またはそうでなければ、免疫応答を活性化することができ、したがって、免疫系による腫瘍の認識を容易にすることができる。例示的な抗体免疫腫瘍学的薬剤は、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトックス、アポリズマブ、ブリナツモマブ、BMS-936559、カツマキソマブ、デュルバルマブ、エパカドスタット、エプラツズマブ、インドキシモド、イノツズマブオゾガマイシン、インテツムマブ、イピリムマブ、イサツキシマブ、ランブロリズマブ、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、サマリズマブ及びトレメリムマブを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗体免疫腫瘍学的薬剤は、抗CD73モノクローナル抗体(mAb)、抗CD39 mAb、抗PD-1 mAb及び抗CTLA4 mAbから選択される。したがって、いくつかの実施形態において、本明細で提供される方法は、1つ以上の免疫腫瘍学的薬剤、例えば、上記の薬剤の合同投与を含む。
【0228】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、SH2阻害剤、例えば、CGP78850、CPG85793、C90、C126、G7-18NATE、G7-B1及びNSC642056との合同投与を含む。
【0229】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物と、ERK1/2阻害剤、例えば、ASN007、GDC-0994、KO-947、LTT462、LY3214996、MK-8353、ウリキセルチニブ(ulixertinib)との合同投与を含む。
【0230】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、MEK阻害剤、例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040及びTAK-733との合同投与を含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、JNJ-38877605、PF-04217903、フォレチニブ、AMG 458、チバンチニブ、カボザンチニブ、クリゾチニブ、カプマチニブ塩酸塩、テポチニブ塩酸塩及びサボリチニブから選択されるMET阻害剤との合同投与を含む。
【0232】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本開示の化合物、例えば、式(I)と、TNO-155、RMC-4630、JAB-3068またはRLY-1971から選択されるSHP2阻害剤との合同投与を含む。
【0233】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、アリスキレン、カプトプリル、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、フィマサルタン、アジルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル及びトランドラプリルから選択されるRAS阻害剤との合同投与を含む。
【0234】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物を、TKIとの組み合わせで投与することを含む。一実施形態において、TKIは、ROS1阻害剤である。一実施形態において、TKIは、ALK阻害剤である。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ、メレスチニブ、タレトレクチニブ、マシチニブまたはエンサルチニブである。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、TKIは、エヌトレクチニブである。一実施形態において、TKIは、アレクチニブである。一実施形態において、TKIは、ブリグチニブである。一実施形態において、TKIは、ロルラチニブである。
【0235】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、抗PD-1療法との合同投与を含む。ある特定の実施形態において、併用療法は、本明細で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、オキサリプラチンとの合同投与を含む。他の実施形態において、併用療法は、本明細で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、ドキソルビシンとの合同投与を含む。
【0236】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、がん治療の非化学的方法と合同して投与され得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、放射線療法と合同して投与され得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、手術、熱アブレーション、集束超音波療法、寒冷療法またはこれらのいずれかの組み合わせと合同して投与され得る。
【0237】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、本明細書で提供される1つ以上の他の化合物と合同して投与され得る。また、このような組み合わせは、他の治療剤、例えば、がん、免疫学的または神経学的疾患の治療に好適な他の薬剤、例えば、上記で特定される薬剤と合同して投与され得る。ある特定の実施形態において、1つ以上の追加の化学療法剤を、本明細書で提供される化合物と合同して投与することは、相乗効果を提供する。ある特定の実施形態において、1つ以上の追加の化学療法剤を合同して投与することは、相加効果を提供する。
【0238】
薬学的組成物
ある特定の実施形態において、ヒト患者における使用に好適な薬学的調製物であって、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)の化合物と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的調製物が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、薬学的調製物は、本明細書に記載される状態または疾患の治療または予防における使用のためのものであり得る。本明細書で提供される化合物は、本明細書に開示されるいずれかの疾患または状態の治療のための医薬の製造において使用され得る。
【0239】
一実施形態において、薬学的組成物は、式(I)の化合物:
【化5】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、希釈剤と、結合剤と、崩壊剤と、潤滑剤と、を含む。一実施形態において、薬学的組成物中の化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基である。一実施形態において、化合物1の遊離塩基は、非晶質である。一実施形態において、化合物1の遊離塩基は、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の固体形態のうちの1つである。一実施形態において、化合物1の遊離塩基は、化合物1の遊離塩基の形態1である。
【0240】
一実施形態において、希釈剤は、マンニトールである。一実施形態において、希釈剤は、Pearlitol 100SD、Pearlitol 110 C、Pearlitol 160 C、Pearlitol 25 C、Pearlitol 300 DC、Pearlitol 400 DC、Pearlitol 500 DC、Pearlitol SW-F 200、Parteck M 100、Parteck M 200またはラクトース一水和物である。一実施形態において、希釈剤は、マンニトールPearlitol 50Cである。一実施形態において、希釈剤は、マンニトールPearlitol 200SDである。
【0241】
一実施形態において、結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ケイ化微結晶セルロース(SMCC)またはそれらの混合物である。一実施形態において、結合剤は、HPCである。一実施形態において、結合剤は、SMCCである。一実施形態において、結合剤は、HPC及びSMCCの混合物である。ある特定の実施形態において、結合剤は、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/またはアカシア、あるいは、それらの混合物である。
【0242】
一実施形態において、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)である。一実施形態において、崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0243】
一実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。別の実施形態において、潤滑剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0244】
一実施形態において、希釈剤は、マンニトールであり、結合剤は、HPC及びSMCCの混合物であり、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)であり、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0245】
一実施形態において、錠剤は、非機能性フィルムコーティング(例えば、Opadry IIピンク)でコーティングされている。
【0246】
一実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、経口剤形である。一実施形態において、経口剤形は、錠剤である。一実施形態において、経口剤形は、即時放出錠剤である。
【0247】
本明細書で提供される組成物及び方法は、それらを必要としている対象を治療するために使用され得る。ある特定の実施形態において、対象は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である。対象、例えば、ヒトに投与されたときに、組成物または化合物は、好ましくは、薬学的組成物として投与され、薬学的組成物は、例えば、本明細書で提供される化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む。薬学的に許容される担体は、当該技術分野で周知であり、例えば、水溶液、例えば、水もしくは緩衝生理食塩水、または他の溶媒もしくはビヒクル、例えば、グリコール、グリセロール、油、例えば、オリーブ油もしくは注射可能有機エステルを含む。好ましい実施形態において、このような薬学的組成物が、ヒト投与のためのもの、特に、侵襲的投与経路(すなわち、上皮性関門を介する輸送または拡散を回避する注射または埋込みなどの経路)のためのものであるときに、水溶液は、パイロジェンフリーまたは実質的にパイロジェンフリーである。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすように、または1つ以上の細胞、組織もしくは臓器を選択的に標的するように選択され得る。薬学的組成物は、単位剤形、例えば、錠剤、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、顆粒、再構成のための凍結乾燥剤、粉末、溶液、シロップ、坐剤または注射剤などであることができる。組成物はまた、経皮送達システム、例えば、皮膚パッチにおいて存在することができる。組成物はまた、局所投与に好適な溶液、例えば、点眼剤において存在することができる。
【0248】
薬学的に許容される担体は、例えば、化合物、例えば、本明細書で提供される化合物を安定化するように、その溶解度を増加させるようにまたはその吸収を増加させるように作用する生理学的に許容される薬剤を含有することができる。このような生理学的に許容される薬剤は、例えば、炭水化物、例えば、グルコース、スクロースもしくはデキストラン、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸もしくはグルタチオン、キレート剤、低分子量タンパク質、または他の安定剤もしくは賦形剤を含む。生理学的に許容される薬剤を含む薬学的に許容される担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。調製物または薬学的組成物は、自己乳化性薬物送達システムまたは自己微細乳化性薬物送達システムであることができる。薬学的組成物(調製物)はまた、リポソームまたは他のポリマーマトリックスであることができ、例えば、本明細書で提供される化合物が、リポソームまたは他のポリマーマトリックス内に組み込まれ得る。例えば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームは、作製及び投与が比較的簡単である無毒の生理学的に許容される代謝可能な担体である。
【0249】
「薬学的に許容される」という語句は、これらの化合物、材料、組成物及び/または剤形が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症がなく、対象の組織との接触における使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に見合うことを指すために本明細書で用いられる。
【0250】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語句は、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料を意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合し、かつ対象に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース、(4)トラガカント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝溶液、ならびに(21)薬学的製剤において用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。
【0251】
薬学的組成物(調製物)は、対象に、いくつかの投与経路のうちのいずれかによって投与され得、投与経路は、例えば、経口(例えば、水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液中のものとしての水薬、錠剤、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト);口腔粘膜を介する吸収(例えば舌下);肛門、直腸または膣(例えば、ペッサリー、クリームまたは泡として);非経口(例えば、滅菌溶液または懸濁液として、筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(例えば、皮膚に適用されるパッチとして);及び局所(例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏もしくはスプレーとして、または点眼剤として)を含む。化合物はまた、吸入のために処方され得る。ある特定の実施形態において、化合物は、簡単に、滅菌水中に溶解されたものまたは滅菌水中に懸濁したものであり得る。適切な投与経路及びそれらに好適な組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970及び同第4,172,896号、ならびにそれらで引用されている特許に見出され得る。
【0252】
製剤は、好都合に、単位剤形において提示され得、薬学の分野で周知のいずれかの方法によって調製され得る。ある特定の実施形態において、単位剤形は、錠剤である。ある特定の実施形態において、単位剤形は、(遊離塩基化合物1の重量による)5mgの用量強度の錠剤である。ある特定の実施形態において、単位剤形は、(遊離塩基化合物1の重量による)25mgの用量強度の錠剤である。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、治療されている対象、特定の投与様式に依存して変動する。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、概して、治療効果をもたらす化合物のこの量である。概して、100パーセントのうち、この量は、約1パーセント~約99パーセントの活性成分、好ましくは、約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは、約10パーセント~約30パーセントの範囲である。
【0253】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、活性化合物、例えば、本明細書で提供される化合物を、担体及び任意選択で1つ以上の副成分と会合させるステップを含む。概して、製剤は、本明細書で提供される化合物を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、または両方と均一かつ密接に会合させることと、次いで、必要に応じて、生成物を成形することとによって調製される。
【0254】
経口投与に好適である本明細書で提供される製剤は、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、(香味付けされたベース、通常、スクロース及びアカシア、またはトラガカントを使用する)ロゼンジ、凍結乾燥剤、粉末、顆粒の形態;または水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液としてのもの;または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとしてのもの;またはエリキシル剤もしくはシロップ剤としてのもの;または(不活性ベース、例えば、ゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアを使用する)トローチとしてのもの;及び/または口腔洗浄剤としてのものなどであり得、それぞれは、所定の量の本明細書で提供される化合物を、活性成分として含有する。組成物または化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。
【0255】
経口投与のための固体剤形((スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末及び顆粒など)を調製するために、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムと混合され、及び/または以下、(1)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/またはアカシア、(3)保水剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート及び炭酸ナトリウム、(5)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール、(8)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物、(10)錯化剤、例えば、修飾及び未修飾シクロデキストリン、ならびに(11)着色剤のうちのいずれかと混合される。(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、錠剤及び丸剤の場合、薬学的組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用いられ得る。
【0256】
錠剤は、任意選択で、1つ以上の副成分とともに、圧縮または成型することによって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製され得る。成型錠剤は、好適な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた化合物末の混合物を成型することによって作製され得る。
【0257】
薬学的組成物の錠剤、ならびに他の固体剤形、例えば、糖衣錠、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、丸剤及び顆粒は、任意選択で、刻み目が付けられてもよく、またはコーティング及びシェル、例えば、腸溶性コーティング及び薬学的処方の分野で周知の他のコーティングで調製されてもよい。これらはまた、それらの中の活性成分の徐放または制御放出を提供するように、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/またはマイクロスフェアを使用して処方され得る。これらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくはある他の滅菌注射可能媒体中に溶解され得る滅菌固体組成物の形態における滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。これらの組成物はまた、任意選択で、不透明剤を含有し得、活性成分(複数可)を、胃腸管のある特定の部分のみにおいてまたはその部分において優先的に、任意選択で、遅延様式で放出する組成物のものあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。活性成分はまた、マイクロカプセル化形態であることができ、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1つ以上を有するマイクロカプセル化形態であることができる。
【0258】
経口投与に有用な液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、再構成のための凍結乾燥剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、シクロデキストリン及びその誘導体、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ピーナッツ(groundnut)油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0259】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤及び保存剤を含むことができる。
【0260】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0261】
直腸、膣または尿道投与のための薬学的組成物の製剤は、坐剤として提示され得、坐剤は、1つ以上の活性化合物を、1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得、1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチレートを含み、坐剤は、室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解し、活性化合物を放出する。
【0262】
口腔への投与のための薬学的組成物の製剤は、口腔洗浄剤または口腔スプレーまたは経口軟膏として提示され得る。
【0263】
代替としてまたは加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤまたは他の腔内デバイスを介する送達のために処方され得る。このようなデバイスを介する送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸または腸への送達に特に有用であり得る。
【0264】
膣投与に好適である製剤はまた、適切であることが当該技術分野で既知である担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤を含む。
【0265】
局所または経皮投与のための剤形は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤を含む。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、及び必要とされ得るいずれかの保存剤、緩衝液または噴射剤と混合され得る。
【0266】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含有し得る。
【0267】
粉末及びスプレーは、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有することができる。スプレーは、加えて、通例の噴射剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素、ならびに揮発性非置換炭化水素、例えば、ブタン及びプロパンを含有することができる。
【0268】
経皮パッチは、体への本明細書で提供される化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有する。このような剤形は、活性化合物を適切な媒体中に溶解するまたは分散させることによって作製され得る。また、吸収増強剤が、皮膚をわたる化合物の流束を増加させるために使用され得る。このような流束の速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることのいずれかによって制御され得る。
【0269】
また、点眼用製剤、眼軟膏、粉末及び溶液などが、本開示の範囲内であるとして企図される。例示的な点眼用製剤は、米国特許出願公開第2005/0080056号、同第2005/0059744号、同第2005/0031697号及び同第2005/004074号、ならびに米国特許第6,583,124号に記載されており、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。所望の場合、液体点眼用製剤は、涙液、房水もしくは硝子体液のものと同様の特性を有するか、またはこのような流体と適合する。好ましい投与経路は、局所投与(例えば、外用投与、例えば、点眼剤、またはインプラントを介する投与)である。
【0270】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口投与される」という語句は、経腸及び外用投与以外の、通常、注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。
【0271】
非経口投与に好適な薬学的組成物は、1つ以上の活性化合物を、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンとの組み合わせで、または使用直前に滅菌注射可能溶液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末との組み合わせで含み、これらは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化もしくは増ちょう剤を含有し得る。
【0272】
本明細書で提供される薬学的組成物中で用いられ得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注射可能有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンの使用によって維持され得、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持によって維持され得、界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0273】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含有し得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール及びフェノールソルビン酸などを含めることによって確実にされ得る。また、等張剤、例えば、糖及び塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましいことがある。加えて、注射可能薬学的形態の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0274】
いくつかの場合において、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、乏しい水溶性を有する結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次いで、その溶解速度は、結晶サイズ及び結晶性形態に依存し得る。代替として、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクル中に溶解するまたは懸濁させることによって達成される。
【0275】
注射可能デポー形態は、主題化合物のマイクロカプセル化マトリックスを、生分解性ポリマー、例えば、ポリラクチド-ポリグリコリド中で形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比及び用いられる特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤はまた、薬物を、体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に封入することによって調製される。
【0276】
本明細書で提供される方法における使用のために、活性化合物は、それ自体でまたは薬学的組成物として投与され得、薬学的組成物は、例えば、0.1~99.5%(より好ましくは、0.5~90%)の活性成分を、薬学的に許容される担体との組み合わせで含有する。
【0277】
また、導入方法が、再充填可能または生分解性デバイスによって提供され得る。近年、様々な徐放性ポリマーデバイスが、タンパク質性バイオ医薬品を含む薬物の制御送達のために開発されており、インビボで試験されている。生分解性及び非分解性ポリマーの両方を含む(ヒドロゲルを含む)様々な生体適合性ポリマーが、化合物を特定の標的部位において持続放出するためのインプラントを形成するために使用され得る。
【0278】
薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、所望の治療応答を、特定の患者、組成物及び投与様式について、患者に毒性であることなく達成するのに有効である活性成分の量を得るように変動し得る。
【0279】
選択される投与量レベルは、様々な因子に依存し、因子は、用いられる特定の化合物もしくは化合物の組み合わせ、またはそれらのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられている特定の化合物(複数可)の排泄速度、治療の持続期間、用いられる特定の化合物(複数可)との組み合わせで使用される他の薬物、化合物及び/または材料、治療されている対象の年齢、性別、体重、状態、健康全般及び以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の因子を含む。
【0280】
当該技術分野の通常の技能を有する医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の治療有効量を容易に決定及び処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされるものよりも低いレベルでの用量の薬学的組成物または化合物から開始することができ、投与量を、所望の効果が達成されるまで徐々に増加させることができる。「治療有効量」とは、所望の治療効果を誘発するのに十分である化合物の濃度を意味する。概して、化合物の有効量は、対象の体重、性別、年齢及び病歴に従って変動することが理解される。有効量に影響する他の因子は、対象の状態の重症度、治療されている障害、化合物の安定性、及び所望の場合、本明細書で提供される化合物とともに投与されている別のタイプの治療剤を含み得るが、これらに限定されない。より大きい総用量が、薬剤の複数回の投与によって送達され得る。有効性及び投与量を決定するための方法は、当業者に既知である(参照により本明細書に組み込まれるIsselbacher et al.(1996)Harrison’s Principles of Internal Medicine 13 ed.,1814-1882)。
【0281】
所望の場合、有効な日用量の活性化合物は、別個に投与される1回、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上の副用量として、1日中適切な間隔で、任意選択で、単位剤形で投与され得る。本明細書で提供されるある特定の実施形態において、活性化合物は、1日2または3回投与され得る。好ましい実施形態において、活性化合物は、1日1回投与される。
【0282】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、単独で使用されてもよく、または別のタイプの治療剤と合同して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「合同投与」という語句は、2つ以上の異なる治療化合物のいずれかの投与形態であって、以前に投与された治療化合物が、依然として体内で有効でありつつ、第2の化合物が投与される(例えば、2つの化合物が、対象において同時に有効であり、これは、2つの化合物の相乗効果を含み得る)、投与形態を指す。例えば、異なる治療化合物は、同じ製剤または別個の製剤のいずれかにおいて、同時または逐次のいずれかで投与され得る。ある特定の実施形態において、異なる治療化合物は、互いに1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間または1週間以内に投与され得る。したがって、このような治療を受容する対象は、異なる治療化合物の併用効果から利益を得ることができる。
【0283】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物と1つ以上の追加の治療剤(複数可)(例えば、1つ以上の追加の化学療法剤(複数可))との合同投与は、本明細書で提供される化合物または1つ以上の追加の治療剤(複数可)のそれぞれの個別の投与に対して改善された有効性を提供する。ある特定のこのような実施形態において、合同投与は、相加効果を提供し、相加効果とは、本明細書で提供される化合物及び1つ以上の追加の治療剤(複数可)の個別の投与の効果のそれぞれの総体を指す。
【0284】
湿潤剤、乳化剤、及び潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤、保存剤、及び抗酸化剤が組成物中に存在することもできる。
【0285】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル及びアルファトコフェロールなど、ならびに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸及びリン酸などが挙げられる。
【0286】
ここで概して説明されている本開示は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、実施例は、本開示のある特定の態様及び実施形態の単なる例示の目的で含まれており、本開示を限定することは意図されていない。
【実施例
【0287】
実施例1.
Ba/F3安定発現細胞株の生成。CD74-ROS1野生型(wt)及びCD74-ROS1 G2032Rをコードする遺伝子を合成し(GeneRay)、レトロウイルス構築物pMSCV-puro(Biovector)内にクローニングし、レトロウイルス粒子内にパッケージングした。ウイルスを使用して、Ba/F3細胞(RIKEN)を感染多重度=1で1日にわたって感染させた。感染細胞を、マウスIL-3(10ng/mL)で補充された培地(10%のウシ胎仔血清と、1%のストレプトマイシン及びペニシリンと、を有する、RPMI-1640)中で2日間レスキューし、安定発現細胞株を、IL-3除去及びピューロマイシン(0.8μg/mL)によって7日間選択した。モノクローンを、ピューロマイシン(0.8μg/mL)を含有するIL-3不含培地中の単一細胞希釈によって選択した。所望の遺伝子の形質転換を、サンガーシーケンシング及びウエスタンブロットによって、ROS1抗体(CST #3287)を使用して確認した。
【0288】
細胞増殖アッセイ。安定発現細胞を、1,000個の細胞/ウェル(40μL)で、384ウェルプレート内に1日にわたって蒔いた。次いで、試験化合物(40nL)を、TECAN EVO200液体ハンドラーを使用して3倍希釈系列で添加し、72時間インキュベートした。プレートを、室温で15分間平衡化し、続いて、40μLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を添加した。発光を、プレートリーダーにおいて測定した。最大半数阻害濃度(IC50)を、4パラメータロジスティック回帰を使用して、パーセント阻害及び阻害剤濃度から計算した。
【0289】
化合物1及びいくつかのROS1阻害剤の結果を、以下に示す。
【表2】
【0290】
実施例2.化合物1のインビボ評価
モデル2A:雌性Balb/cヌードマウスに、モデルLU-01-0414からの腫瘍切片(約30mm)を右側腹部内に皮下移植した。モデルLU-01-0414は、NSCLCを有し喫煙歴が不明である51歳の女性に由来した。腫瘍は、G3であり、腫瘍ステージは、T2N2M0であった。腫瘍は、SDC4-ROS1を保有した。有効性研究において、腫瘍が160mmの平均腫瘍体積に成長した後に、マウス(n=5~8匹/群)をランダム化し、マウスに、1日2回(BID;12時間間隔)の強制経口投与によって、ビヒクルまたは化合物1を28日間投与した。結果を、図2Aに示す。
【0291】
モデル2B:雌性無胸腺ヌード-Foxn1nuマウスに、モデルCTG-0848からの腫瘍断片を左側腹部内に皮下移植した。モデルCTG-0848は、ステージIIのNSCLCを有する41歳のアジア系男性に由来した。腫瘍は、CD74-ROS1融合物を保有した。腫瘍がおよそ240mmに成長した後に、マウス(n=5~5匹/群)をランダム化し、マウスに、ビヒクルまたは化合物1を、1日2回(BID、12時間間隔)の強制経口投与によって21日間の投薬(BID×21日間)で投与した。結果を、図2Bに示す。
【0292】
モデル2C:雌性無胸腺ヌード-Foxn1nuマウスに、モデルCTG-2532からの腫瘍断片を左側腹部内に皮下移植し、モデルCTG-2532は、ステージIVのNSCLCを有する女性アジア系非喫煙者であって、その疾患が、TKIクリゾチニブに応答し、次いで、進行した、女性アジア系非喫煙者に由来した。腫瘍は、CD74-ROS1 G2032Rを保有した。腫瘍がおよそ215に成長した後に、マウス(n=5匹/群)をランダム化し、マウスに、ビヒクル、または1、5もしくは15mg/kgの化合物1を、1日2回(BID、12時間間隔)の強制経口投与によって21日間の投薬(BID×21日間)で投与した。結果を、図2Cに示す。
【0293】
実施例3.化合物1のインビボ評価
モデル1(LU-01-0414 PDX SDC4-ROS1):雌性Balb/cヌードマウスに、モデルLU-01-0414からの腫瘍切片(約30mm)を右側腹部内に皮下移植した。モデルLU-01-0414は、NSCLCを有し喫煙歴が不明である51歳の女性に由来した。腫瘍は、G3であり、腫瘍ステージは、T2N2M0であった。腫瘍は、SDC4-ROS1を保有した。腫瘍が492mmの平均腫瘍体積に成長した後に、マウスは、単一用量またはBID×5日間のビヒクルまたは化合物1を受容し、腫瘍及び血液を、最終用量の1時間及び12時間(治療のみ)後に収集した。腫瘍を、分割し瞬間凍結し、ウエスタンブロット(図4A及び図4B、以下に記載される)のために処理したか、またはホルマリン中で24~48時間固定し、続いて、FFPEブロックを調製し、免疫組織化学解析(図5A、以下に記載される)もしくはNanoStringアッセイによる遺伝子発現解析(図6A、以下に記載される)のために処理した。血液試料を、EDTA-K2を収容するチューブ内に収集し、遠心分離し、得られた血漿を、LC/MS/MSによって解析して、血漿中の化合物1の総濃度を決定した。化合物1の遊離濃度(図4A)を、平衡透析によって決定された雌性Balb/cマウス血漿中の化合物1についての非結合型割合を掛けることによって計算した。
【0294】
モデル2(CTG-0848 PDX CD74-ROS1):雌性無胸腺ヌード-Foxn1nuマウスに、モデルCTG-0848からの腫瘍断片を左側腹部内に皮下移植した。モデルCTG-0848は、ステージIIのNSCLCを有する41歳のアジア系男性に由来した。腫瘍は、CD74-ROS1融合物を保有した。腫瘍が350~500mmに成長した後に、マウスは、単一用量またはBID×5日間のビヒクルまたは化合物1を受容し、腫瘍を、最終用量の1時間及び12時間(治療のみ)後に収集し、モデル1について記載されるように、ウエスタンブロット解析(図4C)、免疫組織化学解析(図5B)または遺伝子発現解析(図6B)のために処理した。
【0295】
モデル3(CTG-2532 PDX CD74-ROS1 G2032R):雌性無胸腺ヌード-Foxn1nuマウスに、モデルCTG-2532からの腫瘍断片を左側腹部内に皮下移植し、モデルCTG-2532は、ステージIVのNSCLCを有する女性アジア系非喫煙者であって、その疾患が、TKIクリゾチニブに応答し、次いで、進行した、女性アジア系非喫煙者に由来した。腫瘍は、CD74-ROS1 G2032Rを保有した。腫瘍が350~500mmに成長した後に、マウスは、単一またはBID×5日(合計11個の用量)のビヒクルまたは化合物1を受容し、腫瘍を、最終用量の1時間及び12時間(治療のみ)後に収集し、モデル1について記載されるように、ウエスタンブロット解析(図4D)、免疫組織化学解析(図5C)または遺伝子発現解析(図6C)のために処理した。
【0296】
以下の調製物を、これらの3つのモデルにおいて、腫瘍におけるROS1シグナル伝達における化合物1の阻害活性を評価するために使用した。
【0297】
ウエスタンブロット解析のために、瞬間凍結腫瘍を、切断し、(プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤カクテルを含有する)RIPA緩衝液で溶解し、粉砕し遠心分離した。上清を収集し、タンパク質を定量化し、同様の濃度の上清試料を、電気泳動によって分離し、ニトロセルロース膜に移した。膜を、切断しブロットし、HRP基質で処理し、化学発光を、Amersham Imager 680によって検出した。個々のバンドの強度を、1D quant(GE)デンシトメトリーソフトウェアを使用して定量化した。以下の抗体、ホスホ-ROS1(Tyr2274)、Cell Signaling Technology(CST)3078;ROS1(D4D6)CST 3287;ホスホ-AKT(Ser473)(D9E)、CST 4060;AKT、CST 9272;ホスホ-p44/42 MAPK(Erk1/2)(Thr202/Tyr204)、CST 9101;p44/42 MAPK(Erk1/2)、CST 9102;β2ミクログロブリン(β2m)、CST 12851;GAPDH(D4C6R)、CST 97166;ヤギ抗ウサギIgG H&L(HRP)、Abcam ab6721;及びヤギ抗マウスIgG H&L(HRP)、Abcam ab97023を使用した。
【0298】
免疫組織化学解析のために、FFPEブロックを切片化し、Leica Bond RXシステムで自動的に染色し、Leica Aperio Versa8でイメージングした。腫瘍領域を、HALO(Indica Labs)において手動で選択し、陽性細胞の百分率を、自動的に記録した。以下の抗体、ROS1、CST 63452;ウサギIgG、Abcam 172730;ERK、CST 4695;ホスホ-ERK、CST 4376;及びKi-67、CST 9027を使用した。
【0299】
NanoStringアッセイによる遺伝子発現解析のために、RNAを、RNAstorm FFPE RNA Extraction KitによってFFPE切片から抽出し、NanoDrop、Qubit及びAgilent BioAnalyzer 2100によって定量化し、NanoString nCounter PanCancer Human Pathways Panelによって、製造業者の説明書に従って解析した。NanoStringデータを、Excel及びR/Biocondutorからのパッケージによって解析し、NanoStringデータは、実験の品質管理、陰性及び陽性スパイクインによるバックグラウンド相関及び直線性、比率の中央値(Median of Ratio)法によるハウスキーピング遺伝子に基づく正規化、ならびにWalt検定よる差次的遺伝子発現解析を含み、p値を、複数の試験についてBenjamini-Hochberg法で補正した。
【0300】
実施例4:第1/2相臨床研究
FIH第1/2相多施設非盲検用量漸増及び拡大研究を行って、化合物1の安全性及び耐容性を評価し、RP2Dを決定し、進行性ROS1陽性NSCLC及び他の進行性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者における抗腫瘍活性を評価する。
【0301】
第1相の目的:
【0302】
主要目的:進行性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者における化合物1のRP2D及び/または最大耐用量(MTD)を決定すること。
【0303】
副次目的:化合物1の全体的な安全性及び耐容性を評価すること;化合物1のPKプロファイルを特徴付けること;進行性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者における化合物1の予備的抗腫瘍活性を評価すること。
【0304】
第2相の目的:
【0305】
主要目的:進行性ROS1陽性NSCLC及び他の固形腫瘍を有する患者におけるRP2Dでの化合物1のORRを評価すること。
【0306】
副次目的:ROS1陽性NSCLC及び他の固形腫瘍を有する患者における臨床有効性の追加の尺度を評価すること;進行性ROS1陽性NSCLC及び他の固形腫瘍を有する患者におけるRP2Dでの化合物1の頭蓋内抗腫瘍活性を評価すること;RP2Dでの化合物1の安全性及び耐容性を特徴付けること;RP2Dでの化合物1のPKプロファイルを確認すること。
【0307】
第1相エンドポイント:
【0308】
主要エンドポイント:サイクル1中の用量制限毒性(DLT)の発生率
【0309】
副次エンドポイント:
●治療下で発現した有害事象(TEAE)の発生率及び重症度、ならびに臨床的に関連する検査パラメータにおける変化
●化合物1の薬物動態パラメータ:最大血漿中濃度(Cmax);Cmax-用量正規化;投薬間隔終了時の血漿中濃度(Ctau);最大濃度の時間(Tmax);投薬間隔終了時の曲線下面積(AUCtau);AUCtau-用量正規化;時間0~24の曲線下面積(AUC0~24);AUC0~24-用量正規化;時間0~無限大の曲線下面積(AUCinf);AUCinf-用量正規化;経口クリアランス(CL/F);分布容積(V/F);及び半減期(t1/2
●Response Evaluation Criteria in Solid Tumorsバージョン1.1(RECIST 1.1)による客観的奏効率(ORR)-RECIST 1.1に従った完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を有する患者のパーセントとして定義される
●RECIST 1.1による奏効の持続期間(DOR)-レスポンダーにおいて、RECIST 1.1による最初の奏効からX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1による頭蓋内ORR(IC-ORR)-測定可能転移性CNS疾患を有する患者において、最大5つの頭蓋内標的病変が、RECIST 1.1に従った奏効について評価される
●RECIST 1.1による頭蓋内DOR(IC-DOR)-転移性CNS疾患を有するレスポンダーにおいて、RECIST 1.1による最初のIC奏効からX線撮影IC疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1による臨床的有用率(CBR)-RECIST 1.1に従った少なくとも24週間の持続期間の確定CRまたはPRまたは安定した疾患(SD)を有する患者のパーセントとして定義される
●RECIST 1.1による奏効までの時間-最初の用量からRECIST 1.1に従った最初の確定X線撮影奏効までの時間として定義される
●RECIST 1.1による無増悪生存期間(PFS)-最初の用量からRECIST 1.1によるX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
【0310】
探索的エンドポイント:
●化合物1の奏効に関連する薬力学的マーカー
●RECIST 1.1による頭蓋外ORR(EC-ORR)
●頭蓋外転移性疾患を有する患者において、研究者評価によるRECIST 1.1に従った頭蓋外奏効を有する患者のパーセントとして定義される
●化合物1の代謝物プロファイルを評価する
【0311】
第2相エンドポイント:
【0312】
主要エンドポイント:RECIST 1.1によるORR-Blinded Independent Central Review(BICR)によるベースラインでの測定可能疾患を有することが確定された患者の、BICRによるRECIST 1.1に従った確定CRまたはPRを有する患者の割合として定義される。
【0313】
副次エンドポイント
●RECIST 1.1によるDOR-レスポンダーにおいて、RECIST 1.1による最初のBICR評価確定奏効からX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1によるIC-ORR-測定可能転移性CNS疾患を有する患者において、最大5つの頭蓋内標的病変が、BICRによるベースラインでの測定可能頭蓋内疾患を有することが確定された患者の、BICRによるRECIST 1.1に従った奏効について評価される
●RECIST 1.1によるIC-DOR-転移性CNS疾患を有するレスポンダーにおいて、RECIST 1.1による最初のBICR評価確定奏効からX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される。
●RECIST 1.1によるCBR-BICRによるRECIST 1.1に従った少なくとも24週間の持続期間の確定CRまたはPRまたはSDを有する患者のパーセントとして定義される
●RECIST 1.1による奏効までの時間-最初の用量からBICRによるRECIST 1.1に従った最初の確定X線撮影奏効までの時間として定義される
●RECIST 1.1によるIC奏効までの時間-転移性CNS疾患を有する患者において、最初の用量からBICRによるRECIST 1.1に従った最初の確定X線撮影IC奏効までの時間として定義される
●TEAEの発生率及び重症度、ならびに臨床的に関連する検査パラメータにおける変化
●化合物1の薬物動態パラメータ-Cmax、Cmax-用量正規化、Ctau、Tmax、AUCtau、AUCtau-用量正規化、AUC0~24、AUC0~24-用量正規化、AUCinf、AUCinf-用量正規化、CL/F、V/F、t1/2
●RECIST 1.1によるPFS-最初の用量からBICR評価に基づくRECIST 1.1によるX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1による頭蓋内PFS(IC-PFS)-転移性CNS疾患の患者において、最初の用量からBICR評価に基づくRECIST 1.1によるX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●全生存期間(OS)-最初の用量からいずれかの原因による死亡までの時間として定義される
【0314】
研究設計:研究を、2つの相において行う(図1)。
●第1相は、3+3の導入期間を有する用量漸増を有するベイズ最適間隔設計(BOIN)を用いる。少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法で治療された進行性/転移性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者。
●第2相は、5つのコホートを含む。
○コホート2a:TKI療法により無処置である進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。免疫療法とのまたはそれなしでの最大1つの以前の白金ベースの化学療法が可能とされる。
○コホート2b:1つの以前のROS1 TKI(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法が可能とされない進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。
○コホート2c:1つの以前のROS1 TKI(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)で治療されており、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前の白金ベースの化学療法で治療された進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。
○コホート2d:2つ以上の以前のROS1 TKIで治療されており、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療された進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。
○コホート2e(探索的):いずれかの進行性/転移性ROS1陽性固形腫瘍を有し(ROS1陽性NSCLCを有し、その他の点ではいずれもの他のコホートに適格でない患者を含む)、いずれかの以前の療法において進行した(以前のROS1 TKIにおいて進行した患者を含むが、これに限定されない)患者。
【0315】
研究の第1相部分は、3+3の導入期間を有するBOIN設計を用いて、用量漸増を評価する。研究の第1相部分の主要目的は、RP2Dを決定し、固形腫瘍を有する患者における化合物1の安全性を評価することである。安全性プロファイルは、身体検査;ECOG PS;検査パラメータ、ECG、バイタルサイン及び眼科検査(ベースラインのみであり、臨床的に示された場合)におけるベースラインからの変化;ならびにAEの報告に基づいて評価される。DLT観察期間は、サイクル1の1日目(C1D1)の最初の用量から第1のサイクル(28日間のサイクル期間)の終了までと定義される。
【0316】
患者が、所与の用量レベルで治療され、28日間モニタリングされた後に、全ての入手可能な安全性データが再調査される。次の投薬群の開始は、BOIN解析の成績に依存する。
【0317】
RP2Dの選択は、十分な数の患者が、登録され、最初のイメージング/有効性評価を完了し、データが再調査された後に行われる。
【0318】
第1相用量レベル:第1相は、疾患進行、許容されない毒性または同意の自発的撤回まで1日1回(QD)継続的に経口投与された化合物1単剤療法の漸増用量を評価する。それぞれの治療サイクルは、28日間である。BOIN設計下で、最大およそ53人の患者が、登録され、以下の表に提示される用量レベルで治療される。
【表3】
【0319】
中間用量レベルは、用量漸増中に探索され得る;より低い用量レベル(例えば、10mg QD及び5mg QD)が、BOINの結果に基づいて追加の用量レベルとして探索され得る。
【0320】
推奨第2相用量:推奨第2相用量(RP2D)は、MTDもしくはより低い最適な生物学的用量、または最大実行可能用量であると予想され、研究の第2相部分における試験に好適であるとして考えられる用量レベルである。RP2Dは、PKモデリングシミュレーションに基づいて、末梢及びCNSにおけるG2032R ROS1変異の十分な標的範囲を達成することが期待される;RP2Dはまた、予備的抗腫瘍活性とともに耐容性がある安全性プロファイルを実証する。RP2Dの選択は、第1相から得られたデータの全体を使用して行われ、臨床PK、薬力学、安全性及び抗腫瘍活性の評価を含む。
【0321】
治療の持続期間:両方の相にわたって、患者は、研究薬物を、最初の用量から疾患進行の独立した放射線確認、許容されない毒性、患者による撤回、終了研究または商業的可用性まで継続的に受容する。患者は、局所アブレーションに好適である体または脳における進行後に、化合物1を継続して受容し得る。
【0322】
研究終了の定義:研究の終了は、研究における最後の患者の最後の来院日または研究の終了日として定義される。
【0323】
参加基準:患者は、研究における登録に適格であるために、以下の基準の全てを満たさなければならない。
1. 18歳以上の年齢。(第2相コホート2eのみ:12歳以上の年齢及び40kg超の体重。)
2. 疾患基準
a.フェーズ1:米国内のClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)研究所または米国(US)外の同等に認定された診断研究所において、局所診断試験もしくは市販の試験を使用して、または規制当局により承認された蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)もしくは次世代シーケンシング(NGS)もしくは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって試験することによって決定された、実証されたROS1再編成を有する組織学的または細胞学的に確認された転移性固形腫瘍。
b.コホート2a、2b、2c、及び2d:CLIAまたは同等に認定された診断研究所において、局所診断試験もしくは市販の試験を使用して、または規制当局により承認されたFISHもしくはNGSもしくはRT-PCRによって試験することによって決定された、ROS1再編成を有する組織学的または細胞学的に確認された転移性NSCLC。
c.コホート2e:CLIAまたは同等に認定された診断研究所において、局所診断試験もしくは市販の試験を使用して、または規制当局により承認されたFISHもしくはNGSもしくはRT-PCRによって試験することによって決定された、ROS1再編成を有する組織学的または細胞学的に確認された(NSCLC以外の)転移性固形腫瘍。
3. 以前の抗がん治療
a.フェーズ1:少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法を受容していなければならない;免疫療法とのまたはそれなしでのいずれかの数の以前の白金ベースの化学療法が可能とされる。
b.コホート2a:TKI療法及び(免疫療法とのまたはそれなしでの)最大1つの以前の白金ベースの化学療法により無処置でなければならない。
c.コホート2b:1つの以前のROS1 TKI療法(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)を受容していなければならず、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法を受容していてはならない。
d.コホート2c:1つの以前のROS1 TKI療法(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)及び(免疫療法とのまたはそれなしでの)1つの以前の白金ベースの化学療法を受容していなければならない。
e.コホート2d:少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び(免疫療法とのまたはそれなしでの)最大1つの以前の白金ベースの化学療法を受容していなければならない。
f.コホート2e:いずれかの以前の療法において進行していなければならない(以前のROS1 TKIにおいて進行した患者を含むが、これに限定されない)。
4. フェーズ1:RECIST 1.1に従った評価可能疾患(標的または非標的)を有さなければならない。フェーズ2:RECIST 1.1に従った1つ以上の放射線測定可能標的病変として定義される測定可能疾患を有さなければならない(Oken et al.,Am.J.Clin.Oncol.1982,5(6):649-655)。全ての研究パートにおいて、RECIST 1.1によって定義される10mm以上の無症候性CNSのみの測定可能疾患を有する患者が適格である。
5. 患者は、腫瘍組織(適用可能な場合、保存記録されたもの、または新鮮生検)をROS1ステータス確認のために提供することに同意し、安全であり医学的に実行可能であると考えられる場合、治療中の腫瘍生検を検討する意思がある。
6. 0、1または2のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)(Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer 2009,45(2):228-247)。
7. 研究薬物の最初の用量前に実行される以下の検査評価によって示される適切な臓器機能及び骨髄予備。
a.骨髄機能:1500/μL以上の好中球絶対数(ANC);75,000/μL超の血小板数;8g/dL以上のヘモグロビン。
b.腎機能:Cockroft-Gault式による60mL/分以上の推定クレアチニンクリアランス。
c.肝機能:患者が3.0mg/dL未満の総ビリルビンを有さなければならないジルベール症候群の証拠がない限り、1.5×ULN未満のビリルビン;3.0×ULN以下のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(肝臓転移併発の場合、5.0×ULN以下)。
8. 以前の抗がん療法に関連する全ての臨床的に関連する毒性は、グレード1以下またはベースラインに回復していなければならない(脱毛症または聴器毒性を除く)。
9. 妊娠可能性のある女性(WOCBP)及び男性患者は、説明と同意書(ICF)に署名した時から、研究の持続期間にわたって、かつ研究薬物の最後の投与後女性については30日間、男性については90日間にわたって、性行為を慎む意思、または有効な避妊法を使用する意思、または外科的に不妊である意思がなければならない。WOCBPのための有効な避妊は、World Health Organization(WHO)基準に基づく1つの「非常に有効な方法」または2つの「有効な」方法を含む。
10. 書面による説明と同意を提供し、研究プロトコルの要件に準拠する意思及び能力があること。18歳未満の患者(第2相コホート2eのみ)については、賛成が得られなければならず、親/保護者は、書面による同意を提供しなければならない。
【0324】
除外基準:以下の基準のうちのいずれかを満たす患者は、研究から除外される。
1. 患者のがんは、ROS1以外の既知の一次ドライバー改変を有する。例えば、EGFR、ALK、MET、RETまたはBRAFにおける標的可能変異を有するNSCLC;発がん性KRAS、NRASまたはBRAF変異を有する結腸直腸。
2. 化合物1の賦形剤に対する既知のアレルギー/過敏症。
3. 研究参加の4週間以内の大手術。小外科手技(例えば、ポート挿入)は、許可されるが、臨床的に適切であると考えられる創傷治癒に十分な時間を有して許可される。
4. 研究薬物の最初の用量前の以下の時間枠内の進行中または最近の抗がん療法(安全であり患者の最良の利益の範囲内であると考えられ、事前の承認を有する場合、化合物1は、以前のTKIまたは化学療法についての限界内で開始され得る)。
a.5半減期未満または7日未満のいずれかより長い方のTKIまたは他の非化学療法/非免疫療法抗がん剤
b.21日未満の化学療法
c.28日未満の免疫療法または細胞療法
5. 研究薬物の最初の用量前の以下の時間枠内の進行中または最近の放射線療法。
a.14日未満の放射線療法(骨痛を軽減するための緩和放射線を除く)
b.48時間未満の、骨痛を軽減するための緩和放射線
c.7日未満の定位または小視野脳照射
d.14日未満の全脳放射線
6. 幹細胞レスキューを必要とする以前の高用量化学療法。
7. 全身療法を必要とする制御されていない臨床的に関連する細菌または真菌感染。
8. 既知の活動性結核、または活動性B型もしくはC型肝炎を有すること。活動性B型肝炎は、既知の陽性HBsAg結果として定義される。活動性C型肝炎は、既知の陽性C型肝炎Ab結果及びアッセイの検出の下限を超える既知の定量的HCV RNA結果によって定義される。
9. 患者が、一貫して450ミリ秒超のQTcFを有する。患者は、QT延長症候群またはトルサードドポアントの病歴を有する。
10. 以下のように臨床的に有意な心血管疾患を有する患者。
a.登録の3ヶ月以内:脳血管発作/脳卒中;心筋梗塞;不安定狭心症;制御されていないいずれかのグレードの心房細動
b.うっ血性心不全の病歴(New York Heart Association ClassificationのクラスII以上);第2度もしくは第3度房室ブロック(ペーシングされていない限り)、または一貫して220ミリ秒超のPRを有するいずれかの房室ブロック;あるいは、NCI-CTCAEのグレード2以上の進行中の不整脈。
11. 患者が、中枢神経系(CNS)転移もしくは進行性神経学的症状に関連する原発性CNS腫瘍を有するか、またはCNS疾患を制御するためのコルチコステロイドの用量の増加を必要とする。患者がCNS疾患の管理のためにコルチコステロイドを必要とする場合、用量は、C1D1前の2週間にわたって安定していなければならない。
12. 症候性脊髄圧迫。
13. 研究要件に準拠する患者の能力を損なう中等度から重度の認知障害または精神障害を有する患者。
14. 全身療法を必要とする(現在のROS1陽性固形悪性腫瘍以外の)活動性悪性腫瘍の過去2年以内の証拠。
a.例外:非黒色腫皮膚癌、表皮内黒色腫、表皮内子宮頸癌、乳頭様甲状腺癌、乳房の乳管内上皮内癌、または限局性及び治癒したと推定された前立腺癌。以前の悪性腫瘍のための長期抗ホルモン療法中の患者は、悪性腫瘍が過去2年以内に活動性でない限り可能とされる。
15. 強力なCYP3A4誘導剤または強力なCYP3A4阻害剤の同時使用(登録の12日以内)。
16. 研究薬物の経口吸収、分布、代謝または排泄に影響し得る以前の胃腸手術、疾患または他の疾病に起因する吸収不良の徴候。
17. 患者が、妊娠中または母乳栄養中である。WOCBPは、スクリーニングの際に陰性血清妊娠検査を有さなければならず、研究薬物の最初の用量前に陰性尿検査を有さなければならない。
18. 別の治療的臨床研究において全身治療または直接医療介入を積極的に受容している。
19. 研究患者にリスクをもたらすかまたは研究結果を解釈する能力を混乱させるいずれかの医学的状態または検査異常。
【0325】
研究薬物、投与量及び投与経路:化合物1は、5mg及び25mgの2つの強度での経口投与のための錠剤として供給され、錠剤は、誘導シール/チャイルドレジスタントキャップ経口投与を備える32カウント高密度ポリエチレンボトルにおいて提供される。化合物1は、空腹において、水以外の食物及び/または飲料の摂取の少なくとも1時間前にかつその2時間以上後に服用されるべきである。
【0326】
以前の及び同時医薬品及び療法:
【0327】
化合物1は、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19またはCYP2D6のための基質と考えられなかった。化合物1は、CYP1A2及びCYP2C8からの寄与についての潜在性を有するCYP3A4の基質である。
【0328】
化合物1は、CYP1A2、CYP2B6またはCYP2D6の阻害剤(100μM超のIC50)と考えられず、CYP2C8(IC50=70μM)、CYP2C9(IC50=70.3μM)、CYP3A4(テストステロンIC50=62.7μM)、CYP2C19(IC50=38.4μM)及びCYP3A4(ミダゾラムIC50=30μM)の弱い阻害剤であった。化合物1は、CYP3A4(テストステロン)及びCYP3A4(ミダゾラム)の潜在的な阻害剤であった。化合物1は、CYP3A4の潜在的な誘導剤であった。
【0329】
ある特定の実施形態において、既知の強力なCYP3A4誘導剤(例えば、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート)である薬物の同時使用(登録の12日以内)が禁止される。ある特定の実施形態において、既知の強力なCYP3A4誘導剤(例えば、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート)である薬物の同時使用(登録の12日以内)が許可される。ある特定の実施形態において、既知の強力なCYP3A4誘導剤(例えば、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート)である薬物の同時使用(登録の12日以内)が慎重に使用される。
【0330】
ある特定の実施形態において、CYP3A4の基質または誘導剤、CYP3A4またはCYP2C8の阻害剤、P-糖タンパク質の基質(P-gp)、乳癌耐性タンパク質(BCRP)またはMATE1トランスポーター、狭い治療指数を有するCYP2C19の基質である薬物の同時使用(登録の12日以内)が慎重に使用される。ある特定の実施形態において、化合物1と、CYP3A4の基質または誘導剤、CYP3A4またはCYP2C8の阻害剤、P-糖タンパク質の基質(P-gp)、乳癌耐性タンパク質(BCRP)またはMATE1トランスポーター、狭い治療指数を有するCYP2C19の基質であるいずれかの1つ以上の薬物との同時使用(登録の12日以内)または共投与が許可される。ある特定の実施形態において、CYP3A4の基質または誘導剤、CYP3A4またはCYP2C8の阻害剤、P-糖タンパク質の基質(P-gp)、乳癌耐性タンパク質(BCRP)またはMATE1トランスポーター、狭い治療指数を有するCYP2C19の基質である薬物の同時使用(登録の12日以内)または共投与が禁止される。
【0331】
ある特定の実施形態において、胃酸低減剤と化合物1との同時使用(登録の12日以内)または共投与は回避されるべきである。ある特定の実施形態において、胃酸低減剤と化合物1との同時使用(登録の12日以内)または共投与は慎重に使用されるべきである。ある特定の実施形態において、胃酸低減剤と化合物1との同時使用(登録の12日以内)または共投与が許可される。
【0332】
本明細書で提供される例示的な薬剤は、以下を含むが、これらに限定されない。
●CYP3A4誘導剤:フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート
●CYP3A4阻害剤:クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ジルチアゼム、イトラコナゾール、ケトコナゾール、リトナビル、ベラパミル、ゴールデンシール、グレープフルーツ(ジュースを含む)
●CYP3A4基質(感受性):ブスピロン、エベロリムス、ロバスタチン、ミダゾラム、シンバスタチン、トリアゾラム、マラビロク、コニバプタン、ダリフェナシン
●P-gp基質:ジゴキシン、フェキソフェナジン、ロペラミド、キニジン、タリノロール、ビンブラスチン
●BCRP基質:ダイゼイン、ダントロレン、エストロン-3-サルフェート、プラゾシン、スルファサラジン
●MATE1基質:メトホルミン、テトラ-エチルアンモニウム(TEA)、シメチジン、プロカインアミド
【0333】
実施例5:第1/2相臨床研究
FIH第1/2相多施設非盲検用量漸増及び拡大研究を行って、化合物1の安全性及び耐容性を評価し、RP2Dを決定し、適用可能な場合、MTDを決定し、進行性ROS1陽性NSCLC及び他の進行性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者における抗腫瘍活性を評価する。
【0334】
第1相の目的:
【0335】
主要目的:進行性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者における化合物1のRP2D及び/または最大耐用量(MTD)を決定すること。
【0336】
副次目的:化合物1の全体的な安全性及び耐容性を評価すること;化合物1のPKプロファイルを特徴付けること;進行性ROS1陽性固形腫瘍を有する患者における化合物1の予備的抗腫瘍活性を評価すること。
【0337】
第2相の目的:
【0338】
主要目的:進行性ROS1陽性NSCLC及び他の固形腫瘍を有する患者におけるRP2Dでの化合物1のORRを評価すること。
【0339】
副次目的:ROS1陽性NSCLC及び他の固形腫瘍を有する患者における臨床有効性の追加の尺度を評価すること;進行性ROS1陽性NSCLC及び他の固形腫瘍を有する患者におけるRP2Dでの化合物1の頭蓋内抗腫瘍活性を評価すること;RP2Dでの化合物1の安全性及び耐容性を特徴付けること;RP2Dでの化合物1のPKプロファイルを確認すること。
【0340】
第1相エンドポイント:
【0341】
主要エンドポイント:サイクル1中のDLTの発生率、全体的な安全性プロファイル、PK、PD及び予備的有効性によって決定されるRP2D、及び適用可能な場合、MTD。
【0342】
副次エンドポイント:
●治療下で発現した有害事象(TEAE)の発生率及び重症度、ならびに臨床的に関連する検査パラメータにおける変化
●化合物1の薬物動態パラメータ:最大血漿中濃度(Cmax);Cmax_DN(Cmax-用量正規化)、投薬間隔終了時の血漿中濃度(Ctau);最大濃度の時間(Tmax);投薬間隔終了時の曲線下面積(AUCtau);AUCtau_DN(AUCtau-用量正規化)、時間0~24の曲線下面積(AUC0~24);AUC0~24_DN(AUC0~24-用量正規化)、時間0~無限大の曲線下面積(AUCinf);AUCinf_DN(AUCinf-用量正規化);経口クリアランス(CL/F);分布容積(V/F);及び半減期(t1/2
●Response Evaluation Criteria in Solid Tumorsバージョン1.1(RECIST 1.1)による客観的奏効率(ORR)-RECIST 1.1に従った完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を有する患者のパーセントとして定義される
●RECIST 1.1による奏効の持続期間(DOR)-レスポンダーにおいて、RECIST 1.1による最初の奏効からX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1による頭蓋内ORR(IC-ORR)-ベースラインでの測定可能転移性CNS疾患を有する患者において、研究者評価によるRECIST 1.1原理に従った最大5つの頭蓋内標的病変の評価に基づく確定頭蓋内奏効(IC-CRまたはIC-PR)を有する患者の割合として定義される
●RECIST 1.1による頭蓋内DOR(IC-DOR)-頭蓋内奏効を有する患者において、、RECIST 1.1原理による最初の研究者評価IC奏効からX線撮影IC疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1による臨床的有用率(CBR)-RECIST 1.1に従った少なくとも24週間の持続期間の確定CRまたはPRまたは安定した疾患(SD)を有する患者のパーセントとして定義される
●RECIST 1.1による奏効までの時間-最初の用量からRECIST 1.1に従った最初の確定X線撮影奏効までの時間として定義される
●RECIST 1.1による無増悪生存期間(PFS)-最初の用量からRECIST 1.1によるX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
【0343】
探索的エンドポイント:
●化合物1の奏効に関連する薬力学的マーカー
●RECIST 1.1による頭蓋外ORR(EC-ORR)
●頭蓋外転移性疾患を有する患者において、研究者評価によるRECIST 1.1に従った頭蓋外奏効を有する患者のパーセントとして定義される
●化合物1の代謝物プロファイルを評価する
【0344】
第2相エンドポイント:
【0345】
主要エンドポイント:RECIST 1.1によるORR-Blinded Independent Central Review(BICR)によるベースラインでの測定可能疾患を有することが確定された患者の、BICRによるRECIST 1.1に従った確定CRまたはPRを有する患者の割合として定義される。
【0346】
副次エンドポイント
●RECIST 1.1によるDOR-レスポンダーにおいて、RECIST 1.1による最初のBICR評価確定奏効からX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1によるIC-ORR-ベースラインでの測定可能転移性CNS疾患を有する患者において、BICRによるRECIST 1.1原理に従った最大5つの頭蓋内標的病変の評価に基づく確定頭蓋内奏効(IC-CRまたはIC-PR)を有する患者の割合として定義される
●RECIST 1.1によるIC-DOR-頭蓋内奏効のある患者において、、RECIST 1.1原理による最初のBICR評価確定IC奏効からX線撮影IC疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1によるCBR-BICRによるRECIST 1.1に従った少なくとも24週間の持続期間の確定CRまたはPRまたはSDを有する患者のパーセントとして定義される
●RECIST 1.1による奏効までの時間-測定可能転移性CNS疾患を有する患者において、最初の用量からBICRによるRECIST 1.1原理に従った最初の確定X線撮影IC奏効までの時間として定義される
●RECIST 1.1によるIC奏効までの時間-転移性CNS疾患を有する患者において、最初の用量からBICRによるRECIST 1.1に従った最初の確定X線撮影IC奏効までの時間として定義される
●TEAEの発生率及び重症度、ならびに臨床的に関連する検査パラメータにおける変化
●化合物1の薬物動態パラメータ-Cmax、Cmax_DN(Cmax用量正規化)、Ctau、Tmax、AUCtau、AUCtau_DN(AUCtau-用量正規化)、AUC0~24、AUC0~24_CN(AUC0~24用量正規化)、AUCinf、AUCinf_DN(AUCinf-用量正規化)、CL/F、V/F、t1/2
●RECIST 1.1によるPFS-最初の用量からBICR評価に基づくRECIST 1.1によるX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●RECIST 1.1による頭蓋内PFS(IC-PFS)-測定可能転移性CNS疾患を有する患者において、最初の用量からBICR評価に基づくRECIST 1.1原理によるX線撮影疾患進行または死亡までの時間として定義される
●全生存期間(OS)-最初の用量からいずれかの原因による死亡までの時間として定義される
【0347】
研究設計:研究を、2つの相において行う(図1、第1相についてのn=54を除く)。
●第1相は、3+3の導入期間を有する用量漸増を有するベイズ最適間隔設計(BOIN)を用いる。少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法で治療された進行/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者、または他のROS1陽性固形腫瘍を有し、いずれかの以前の療法において進行した患者(以前のROS1 TKIにおいて進行した患者を含むが、これに限定されない)。
●第2相は、5つのコホートを含む。
○コホート2a:TKI療法により無処置である進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。免疫療法とのまたはそれなしでの最大1つの以前の白金ベースの化学療法が可能とされる。
○コホート2b:1つの以前のROS1 TKI(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法が可能とされない進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。
○コホート2c:1つの以前のROS1 TKI(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)で治療されており、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前の白金ベースの化学療法で治療された進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。
○コホート2d:2つ以上の以前のROS1 TKIで治療されており、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療された進行性/転移性ROS1陽性NSCLCを有する患者。
○コホート2e(探索的):いずれかの進行性/転移性ROS1陽性固形腫瘍を有し(ROS1陽性NSCLCを有し、その他の点ではいずれもの他のコホートに適格でない患者を含む)、いずれかの以前の療法において進行した(以前のROS1 TKIにおいて進行した患者を含むが、これに限定されない)患者。
【0348】
研究の第1相部分は、3+3の導入期間を有するBOIN設計を用いて、用量漸増を評価する。研究の第1相部分の主要目的は、RP2Dを決定し、適用可能な場合、MTDを決定し、固形腫瘍を有する患者における化合物1の安全性を評価することである。安全性プロファイルは、身体検査;ECOG PS;検査パラメータ、ECG、バイタルサイン及び眼科検査(ベースラインのみであり、臨床的に示された場合)におけるベースラインからの変化;ならびにAEの報告に基づいて評価される。DLT観察期間は、サイクル1の1日目(C1D1)の最初の用量から第1のサイクル(28日間のサイクル期間)の終了までと定義される。
【0349】
患者が、所与の用量レベルで治療され、28日間モニタリングされた後に、入手可能な安全性データ(DLT/他のAEの発生率及び予備的PKを含むが、これらに限定されない)が再調査される。次の投与群の開始は、全体的な安全性プロファイルを考慮して、DLTの発生及びBOIN解析の成績に依存する。用量漸増中に、入手可能なデータが、所与の用量レベルの安全性、PK及び臨床活性を支持するときに、追加の患者(BOIN用量漸増において既に含まれている患者を含む最大合計12人の患者)が、この用量レベルで登録され得る。
【0350】
BOIN用量漸増は、現在の用量で治療された評価可能患者の数が9に達し、現在の用量にとどまることが決定されたときに、または最大試料サイズが達せられたときに完了したと断言される。しかしながら、最適生物学的用量または最大実行可能用量が、BOIN用量漸増の完了前に達せられた場合、RP2Dが断言され得る。RP2Dの選択は、十分な数の患者が、登録され、最初のイメージング/有効性評価を完了し、データが再調査された後に行われる。
【0351】
安全性及び有効性を更に評価するために、かつRP2Dを確認するために、最大20人の追加の患者が、研究の第2相部分の開始前に、RP2Dまたは1つ以上の候補RP2Dで治療され得る。
【0352】
第1相用量レベル:第1相は、疾患進行、許容されない毒性または同意の自発的撤回まで1日1回(QD)継続的に経口投与された化合物1単剤療法の漸増用量を評価する。それぞれの治療サイクルは、28日間である。BOIN設計下で、最大およそ53人の患者が、登録され、以下の表に提示される用量レベルで治療される。
【表4】
【0353】
中間用量レベルは、用量漸増中に探索され得る;より低い用量レベル(例えば、10mg QD及び5mg QD)が、BOINの結果に基づいて追加の用量レベルとして探索され得る。例えば、以下の用量低減レベルを、本明細書で提供する。
【表5】
【0354】
推奨第2相用量:推奨第2相用量(RP2D)は、MTDもしくはより低い最適な生物学的用量、または最大実行可能用量であると予想され、研究の第2相部分における試験に好適であるとして考えられる用量レベルである。RP2Dは、PKモデリングシミュレーションに基づいて、末梢及びCNSにおけるG2032R ROS1変異の十分な標的範囲を達成することが期待される;RP2Dはまた、予備的抗腫瘍活性とともに耐容性がある安全性プロファイルを実証する。RP2Dの選択は、第1相から得られたデータの全体を使用して行われ、臨床PK、薬力学、安全性及び抗腫瘍活性の評価を含む。
【0355】
治療の持続期間:両方の相にわたって、患者は、研究薬物を、最初の用量から疾患進行、許容されない毒性、患者による撤回、終了研究または商業的可用性まで継続的に受容する。患者は、局所アブレーションに好適である体または脳における進行後に、化合物1を継続して受容し得る。
【0356】
研究終了の定義:研究の終了は、研究における最後の患者の最後の来院日または研究の終了日として定義される。
【0357】
参加基準:患者は、研究における登録に適格であるために、以下の基準の全てを満たさなければならない。
1. 18歳以上の年齢。
a.第2相コホート2eのみ:12歳以上の年齢及び40kg超の体重。(12~17歳の年齢の患者は、規制が許可する国及び施設においてのみ登録される。)
2. 疾患基準
a.第1相:米国内のClinical Laboratory Improvement Amendments(CLIA)研究所または米国(US)外の同等に認定された診断研究所において、局所診断試験もしくは市販の試験を使用して、または規制当局により承認された試験、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)もしくは次世代シーケンシング(NGS)もしくは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって試験することによって決定された、実証されたROS1再編成を有する組織学的または細胞学的に確認された局所進行性または転移性固形腫瘍。
b.コホート2a、2b、2c及び2d:CLIAまたは同等に認定された診断研究所において、局所診断試験もしくは市販の試験を使用して、または規制当局により承認された試験、例えば、FISHもしくはNGSもしくはRT-PCRによって試験することによって決定された、ROS1再編成を有する組織学的または細胞学的に確認された局所進行性または転移性NSCLC。
c.コホート2e:CLIAまたは同等に認定された診断研究所において、局所診断試験もしくは市販の試験を使用して、または規制当局により承認された試験、例えば、FISHもしくはNGSもしくはRT-PCRによって試験することによって決定された、ROS1再編成を有する組織学的または細胞学的に確認された局所進行性または転移性固形腫瘍(コホート2a~2dに適格でないNSCLCを含む)。
3. 以前の抗がん治療
a.フェーズ1:ROS1融合物陽性NSCLCを有する患者は、少なくとも1つの以前のROS1 TKIを以前に受容していなければならず、他のROS1陽性固形腫瘍を有する患者は、いずれかの以前の療法において進行していなければならない(以前のROS1 TKIにおいて進行した患者を含むが、これに限定されない);免疫療法とのまたはそれなしでのいずれかの数の以前の白金ベースの化学療法が可能とされる。
b.コホート2a:TKI療法及び(免疫療法とのまたはそれなしでの)最大1つの以前の白金ベースの化学療法により無処置でなければならない。
c.コホート2b:1つの以前のROS1 TKI療法(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)を受容していなければならず、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法を受容していてはならない。
d.コホート2c:1つの以前のROS1 TKI療法(クリゾチニブまたはエヌトレクチニブのいずれか)及び(免疫療法とのまたはそれなしでの)1つの以前の白金ベースの化学療法を受容していなければならない。
e.コホート2d:少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び(免疫療法とのまたはそれなしでの)最大1つの以前の白金ベースの化学療法を受容していなければならない。
f.コホート2e:いずれかの以前の療法において進行していなければならない(以前のROS1 TKIにおいて進行した患者を含むが、これに限定されない)。
4. フェーズ1:RECIST 1.1に従った評価可能疾患(標的または非標的)を有さなければならない。フェーズ2:RECIST 1.1に従った1つ以上の放射線測定可能標的病変として定義される測定可能疾患を有さなければならない(Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer 2009,45(2):228-247)。CNSのみの疾患を有する患者は適格であるが、但し、この疾患が、評価可能(第1相)または測定可能(第2相)であり、除外基準#11を満たさないことを条件とする。
5. 患者は、腫瘍組織(適用可能な場合、保存記録されたもの、または新鮮生検)を中央解析のために提供することに同意する。提出された腫瘍組織は、最も最近の疾患進行中にまたはその後に得られることが好ましい。適切な組織が入手可能でない場合、かつ生検が、安全であり医学的に実行可能であると考えられない場合、患者は、医学的監視員との相談後に登録を承認され得る。
6. 0、1または2のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス(PS)(Oken et al.,Am.J.Clin.Oncol.1982,5(6):649-655)。
7. 研究薬物の最初の用量前の最後の評価における以下の検査値によって示される適切な臓器機能及び骨髄予備。
a.骨髄機能:1500/μL以上の好中球絶対数(ANC);75,000/μL超の血小板数;8g/dL以上のヘモグロビン(輸血なし)。
b.腎機能:Cockroft-Gault式、修正Cockroft-Gault式による60mL/分以上の推定クレアチニンクリアランス、または24時間クレアチニンクリアランス。
c.肝機能:患者が3.0mg/dL未満の総ビリルビンを有さなければならないジルベール症候群の証拠がない限り、1.5×ULN未満のビリルビン;3.0×ULN以下のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(肝臓転移併発の場合、5.0×ULN以下)。
8. 以前の抗がん療法に関連する全ての臨床的に関連する毒性は、グレード1以下またはベースラインに回復していなければならない(脱毛症または聴器毒性を除く)。
9. 妊娠可能性のある女性(WOCBP)及び男性患者は、説明と同意書(ICF)に署名した時から、女性については研究薬物の最後の投与後少なくとも30日間、男性については研究薬物の最後の投与後少なくとも90日間(または法律もしくは規制によって要求されるより長い期間)にわたって、外科的に不妊でなければならないか、または性行為を慎む意思もしくは有効な避妊法を使用する意思がなければならない。WOCBPのための有効な避妊は、World Health Organization(WHO)基準に基づく1つの「非常に有効な方法」または2つの「有効な」方法を含む。
10. 書面による説明と同意を提供し、研究プロトコルの要件に準拠する意思及び能力があること。18歳未満の患者については(または現地の規制によって定義される同意の年齢に達していない未成年者については)、賛成が得られなければならず、親/保護者は、書面による同意を提供しなければならない。
【0358】
除外基準:以下の基準のうちのいずれかを満たす患者は、研究から除外される。
1. 患者のがんは、ROS1以外の既知の発がん性ドライバー改変を有する。例えば、EGFR、ALK、MET、RETまたはBRAFにおける標的可能変異を有するNSCLC;発がん性KRAS、NRASまたはBRAF変異を有する結腸直腸。
2. 化合物1の賦形剤に対する既知のアレルギー/過敏症。
3. 研究薬物の最初の用量の4週間以内の大手術。小外科手技(例えば、ポート挿入)は、許可されるが、臨床的に適切であると考えられる創傷治癒に十分な時間を有して許可される。
4. 研究薬物の最初の用量前の以下の時間枠内の進行中または最近の抗がん療法(安全であり患者の最良の利益の範囲内であると考えられ、事前の承認を有する場合、化合物1は、以前のTKIまたは化学療法についての限界内で開始され得る)。
a.5半減期未満または7日未満のいずれかより長い方のTKIまたは他の抗がん(ガイダンスが以下に記載される化学療法、免疫療法または細胞療法を除く)
b.21日未満の化学療法
c.28日未満の免疫療法または細胞療法
5. 研究薬物の最初の用量前の以下の時間枠内の進行中または最近の放射線療法。
a.14日未満の放射線療法(骨痛を軽減するための緩和放射線を除く)
b.48時間未満の、骨痛を軽減するための緩和放射線
c.7日未満の定位または小視野脳照射
d.14日未満の全脳放射線
6. 幹細胞レスキューを必要とする以前の高用量化学療法。
7. 全身療法を必要とする制御されていない臨床的に関連する細菌または真菌感染。
8. 既知の活動性結核、または活動性B型もしくはC型肝炎を有すること。活動性B型肝炎は、既知の陽性HBsAg結果及びアッセイの検出の下限を超える既知の定量的HBV DNA結果として定義される。活動性C型肝炎は、既知の陽性C型肝炎Ab結果及びアッセイの検出の下限を超える既知の定量的HCV RNA結果によって定義される。
9. 患者が、450ミリ秒超のQTcFを有する(2つ以上の評価における繰り返し実証)。患者は、QT延長症候群またはトルサードドポアントの病歴を有する。
10. 以下のように臨床的に有意な心血管疾患を有する患者。
a.登録の3ヶ月以内:脳血管発作/脳卒中;心筋梗塞;不安定狭心症;制御されていないいずれかのグレードの心房細動
b.うっ血性心不全の病歴(New York Heart Association ClassificationのクラスII以上);第2度もしくは第3度房室ブロック(ペーシングされていない限り)、または一貫して220ミリ秒超のPRを有するいずれかの房室ブロック;あるいは、NCI-CTCAEのグレード2以上の進行中の不整脈。
11. 患者が、中枢神経系(CNS)転移もしくは進行性神経学的症状に関連する原発性CNS腫瘍を有するか、またはCNS疾患を制御するためのコルチコステロイドの用量の増加を必要とする。患者がCNS疾患の管理のためにコルチコステロイドを必要とする場合、用量は、C1D1前の2週間にわたって安定していなければならない。無症候性軟膜癌腫症は可能とされる。
12. 症候性脊髄圧迫。
13. 研究要件に準拠する患者の能力を損なう中等度から重度の認知障害または精神障害を有する患者。
14. 全身療法を必要とする(現在のROS1陽性固形悪性腫瘍以外の)活動性悪性腫瘍の過去2年以内の証拠。
a.例外:非黒色腫皮膚癌、表皮内黒色腫、表皮内子宮頸癌、乳頭様甲状腺癌、乳房の乳管内上皮内癌、または限局性及び治癒したと推定された前立腺癌。以前の悪性腫瘍のための長期抗ホルモン療法中の患者は、悪性腫瘍が過去2年以内に活動性でない限り可能とされる。
15. 強力なCYP3A4誘導剤または強力なCYP3A4阻害剤の同時使用(研究薬物の最初の用量の12日以内)。
16. 研究薬物の経口吸収、分布、代謝または排泄に影響し得る以前の胃腸手術、疾患または他の疾病に起因する吸収不良の徴候。
17. 患者が、妊娠中または母乳栄養中である。WOCBPは、スクリーニングの際に陰性血清妊娠検査を有さなければならず、研究薬物の最初の用量前に陰性血清または尿検査を有さなければならない。
18. 別の治療的臨床研究において全身治療または直接医療介入を積極的に受容している。
19. 研究患者にリスクをもたらすかまたは研究結果を解釈する能力を混乱させるいずれかの医学的状態または検査異常。
【0359】
研究薬物、投与量及び投与経路:化合物1は、5mg及び25mgの2つの強度での経口投与のためのフィルムコーティングされた錠剤として供給され、錠剤は、誘導シール/チャイルドレジスタントキャップを備える32カウント高密度ポリエチレンボトルにおいて提供される。化合物1は、空腹において、水以外の食物及び/または飲料の摂取の少なくとも1時間前にかつその2時間以上後に服用されるべきである。
【0360】
以前の及び同時医薬品及び療法:
【0361】
化合物1は、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19またはCYP2D6のための基質と考えられなかった。化合物1は、CYP1A2及びCYP2C8からの寄与についての潜在性を有するCYP3A4の基質である。
【0362】
化合物1は、CYP1A2、CYP2B6またはCYP2D6の阻害剤(100μM超のIC50)と考えられず、CYP2C8(IC50=70μM)、CYP2C9(IC50=70.3μM)、CYP3A4(テストステロンIC50=62.7μM)、CYP2C19(IC50=38.4μM)及びCYP3A4(ミダゾラムIC50=30μM)の弱い阻害剤であった。化合物1は、CYP3A4(テストステロン)及びCYP3A4(ミダゾラム)の潜在的な阻害剤であった。化合物1は、CYP3A4の潜在的な誘導剤であった。
【0363】
ある特定の実施形態において、既知の強力なCYP3A4誘導剤(例えば、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート)である薬物の同時使用(登録の12日以内)が禁止される。ある特定の実施形態において、既知の強力なCYP3A4誘導剤(例えば、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート)である薬物の同時使用(登録の12日以内)が許可される。ある特定の実施形態において、既知の強力なCYP3A4誘導剤(例えば、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート)である薬物の同時使用(登録の12日以内)が慎重に使用される。
【0364】
ある特定の実施形態において、CYP3A4の基質または誘導剤、CYP3A4またはCYP2C8の阻害剤、P-糖タンパク質の基質(P-gp)、乳癌耐性タンパク質(BCRP)またはMATE1トランスポーター、狭い治療指数を有するCYP2C19の基質である薬物の同時使用(登録の12日以内)が慎重に使用される。ある特定の実施形態において、化合物1と、CYP3A4の基質または誘導剤、CYP3A4またはCYP2C8の阻害剤、P-糖タンパク質の基質(P-gp)、乳癌耐性タンパク質(BCRP)またはMATE1トランスポーター、狭い治療指数を有するCYP2C19の基質であるいずれかの1つ以上の薬物との同時使用(登録の12日以内)または共投与が許可される。ある特定の実施形態において、CYP3A4の基質または誘導剤、CYP3A4またはCYP2C8の阻害剤、P-糖タンパク質の基質(P-gp)、乳癌耐性タンパク質(BCRP)またはMATE1トランスポーター、狭い治療指数を有するCYP2C19の基質である薬物の同時使用(登録の12日以内)または共投与が禁止される。
【0365】
ある特定の実施形態において、胃酸低減剤と化合物1との同時使用(登録の12日以内)または共投与は回避されるべきである。ある特定の実施形態において、胃酸低減剤と化合物1との同時使用(登録の12日以内)または共投与は慎重に使用されるべきである。ある特定の実施形態において、胃酸低減剤と化合物1との同時使用(登録の12日以内)または共投与が許可される。
【0366】
本明細書で提供される例示的な薬剤は、以下を含むが、これらに限定されない。
●CYP3A4誘導剤:フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピン、セントジョーンズワート
●CYP3A4阻害剤:クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ジルチアゼム、イトラコナゾール、ケトコナゾール、リトナビル、ベラパミル、ゴールデンシール、グレープフルーツ(ジュースを含む)
●CYP3A4基質(感受性):ブスピロン、エベロリムス、ロバスタチン、ミダゾラム、シンバスタチン、トリアゾラム、マラビロク、コニバプタン、ダリフェナシン
●P-gp基質:ジゴキシン、フェキソフェナジン、ロペラミド、キニジン、タリノロール、ビンブラスチン
●BCRP基質:ダイゼイン、ダントロレン、エストロン-3-サルフェート、プラゾシン、スルファサラジン
●MATE1基質:メトホルミン、テトラ-エチルアンモニウム(TEA)、シメチジン、プロカインアミド
【0367】
結果。20人の患者(19人がNSCLC、1人が膵癌)は、化合物1を25~100mgの用量レベルで1日1回経口受容した。患者は、中央値3つ(範囲:1~9つ)の以前の抗がん療法を受容し、以前の抗がん療法は、いずれかのROS1 TKI(100%)、治験ROS1 TKI(85%、55%においてロルラチニブ、40%においてレポトレクチニブを含む)、2つ以上のROS1 TKI(75%)、いずれかの化学療法(80%)、2つ以上の化学療法(50%)を含んだ。ベースラインにおいて、55%が、CNS転移を有し、45%が、ROS1 G2032Rを有した。DLT、用量低減または薬物関連治療中止は報告されていない。全ての治療関連有害事象(TRAE)は、グレード1であった。1人超の患者における唯一のTRAEは、嘔気(n=2)であった。化合物1のPK解析は、用量依存的曝露を実証した。25~75mg QDで治療されたROS1+NSCLCを有する12人の有効性評価可能患者のうち、6人の確定部分奏効(PR)が達成された。頭蓋内転移の縮小または消散が観察され、頭蓋内進行を有した患者はいなかった。PRは、ロルラチニブまたはレポトレクチニブで前治療された腫瘍を含むほとんどの(n=5/7)ROS1 G2032R変異体がんにおいて達成された。循環腫瘍DNA解析は、ROS1バリアント対立遺伝子頻度の低減を示す。RP2Dは特定されておらず、用量漸増が継続している。
【0368】
2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日のデータによれば、第1相患者集団は、重度に前治療されたROS1陽性固形腫瘍を有する(図20)。安全性プロファイルは、良好であり、高度にROS1選択的なTRK温存型化合物1と一致する。DLTは観察されず、治療関連SAEはなく、用量低減または中止をもたらすAEはなく、治療関連めまいはない(図21)。
【0369】
2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日現在のデータに基づいて、臨床治験における化合物1曝露は、前臨床モデルにおいて退縮をもたらす標的レベルを超えた(図19)。化合物1は、低いコホート内患者PK変動性、増加する用量レベルとともに増加する曝露、およそ20時間の半減期を含む良好な薬物動態が、QD投与を支持することを実証した。
【0370】
例として、カルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブ及びアテゾリズマブの2つのサイクルに応答した転移性肺腺癌を有する54歳の患者は、腫瘍組織において、蛍光インサイツハイブリダイゼーションによってROS1融合物について陽性である試験をもたらした。患者は、クリゾチニブを2ヶ月間受容し、肺炎を併発し、その後、ロルラチニブを受容し、初期部分奏効(PR)を有した。続いて、胸腔内疾患進行が、32ヶ月後にあった。次いで、患者は、カルボプラチン及びペメトレキセドの2つのサイクルを受容し、ロルラチニブを継続し、安定した疾患を有した。ロルラチニブ耐性肺小結節の次世代シーケンシングは、ROS1 G2032RとのCD74-ROS1融合物を明らかにした。患者は、1日25mgの最低用量レベルでの化合物1での治療を開始した。臨床的応答が、療法の2週間以内に達成され、患者の呼吸困難における顕著な改善が達成された。4週間後のイメージングは、多発性両側肺転移における減少を有するPRを示した(RECIST 1.1による-31%)。患者の化合物1用量を、プロトコルによって許可された1日75mgに漸増した。患者は、5ヶ月超にわたって療法を続け、神経学的毒性を有さずに進行中の確定PRを有する(RECIST 1.1による-60%、図8A)。サイクル1の15日目における24時間の期間にわたる化合物1の非結合型血漿中濃度を、図18Aに示す。
【0371】
頭蓋外抗腫瘍活性に加えて、頭蓋内活性が、EZR-ROS1 G2032Rを保有する転移性NSCLCを有する別の患者において観察された。ステージIVの肺腺癌及び多発性脳転移を有する65歳の患者は、ctDNA試験によって特定されたEZR-ROS1を有した。エヌトレクチニブを開始し、初期応答があったが、患者の疾患は、9ヶ月後に進行した。成長する肝臓病変の生検により、既知のEZR-ROS1融合物が確認され、ROS1 G2032R変異が特定された。患者を、レポトレクチニブの臨床治験に移行した。患者は、進行性疾患に起因して、全身療法における変更を迅速に必要とし、カルボプラチン、ペメトレキセド、ベバシズマブ及びエヌトレクチニブの組み合わせを開始した。残念ながら、混合応答、成長する脳転移及び新たな肝臓転移が観察された。ctDNA試験を再度繰り返し、ROS1 G2032Rを検出した。化合物1での治療を1日50mgで開始した。4週目において、右後頭葉転移の退縮が、肝臓及び肺におけるいくつかの転移における減少に加えて観察された(RECIST 1.1による-38%)。患者は、療法を続け、およそ5ヶ月で確定PRを有し、脳及び肝臓における更なる疾患退縮を有した(RECIST 1.1による-58%、図8B)。神経学的毒性は報告されなかった。対応するctDNA解析を、図17に示し、サイクル1の15日目における24時間の期間にわたる化合物1の非結合型血漿中濃度を、図18Bに示す。
【0372】
化合物1の抗腫瘍活性は、既知のROS1耐性変異を有さない症例に拡大した。転移性EZR-ROS1融合物陽性肺腺癌を有する75歳の患者は、初期に、紹介医によってアレクチニブで治療された。原発性進行が、予想されるように観察され、治療を、クリゾチニブに移行した。臨床的及び放射線学的応答が、39ヶ月まで維持され、39ヶ月に、成長する両側肺小結節が、イメージングにおいて認められた。ctDNA解析は、いずれものROS1キナーゼドメイン変異を明らかにしなかった。化合物1での治療を1日25mgで開始した。治療は、めまい、起立効果または知覚異常の証拠を有することなく良好な耐容性があった。PR(RECIST 1.1による-33%)が、4週目に観察され、これは、7ヶ月超にわたる進行中の治療で確定及び維持された(RECIST 1.1による-48%、図8C)。サイクル1の15日目における24時間の期間にわたる化合物1の非結合型血漿中濃度を、図18Cに示す。
【0373】
化合物1は、1日最大125mgまで良好な耐容性があり、良好な薬物動態を有する。活性は、脳転移及びG2032R変異を有する患者を含む重度に前治療された患者(患者のうち、70%が、2つ以上の以前のROS1 TKIプラス化学療法を受容した)において実証されている。
【0374】
全血試料を、臨床治験施設において、STRECKセルフリーDNA BCT(登録商標)チューブ内に収集し、血漿生成及び-80℃での貯蔵のために、周囲温度で中央研究所に送った。その後、血漿試料を解析して、循環腫瘍DNA(ctDNA)におけるゲノム変化を、ハイブリッドキャプチャベースの次世代シーケンシング方法を介して決定した。
【0375】
ctDNA解析は、化合物1が、試験された全ての用量レベルで、ベースラインと比較してROS1バリアント対立遺伝子頻度(VAF)を強力に抑制したことを実証した(サイクル1の1日目「C1D1」)。25mgで、化合物1での治療は、ctDNAにおけるEZR-ROS1及びROS1 G2032Rバリアントの両方の完全なクリアランスをもたらした。また、ROS1融合物及びG2032Rの完全なクリアランスが、より高い用量レベルで観察された。まとめると、ctDNAデータは、化合物1が、試験された全ての用量レベルで、ROS1融合物及びROS1 G2032R溶媒フロント変異の両方に対して活性があり、患者における化合物のオンターゲット活性を支持したことを示唆する(図11)。図11で使用されるように、C1D15は、サイクル1の15日目を表し、C3D1は、サイクル3の1日目を表す。
【0376】
2022年9月19日現在のデータカットオフにおいて、予備的臨床薬物動態解析を、以下の表に要約する。
【表6】
【0377】
本明細書で使用される場合、Cmaxとは、最大血漿中濃度を意味し;Cmax_DNとは、用量正規化Cmaxを意味し;AUClastとは、時間0~最終測定可能濃度時間の血漿中濃度時間曲線下面積を指し;AUClast_DNとは、用量正規化AUClastを指し;AUC0~24とは、時間0~24時間の曲線下面積を指し;AUCtauとは、投薬間隔にわたる曲線下面積を指し;AUCtau_DNとは、用量正規化AUCtauを指し;AUCinfとは、時間0~無限大の曲線下面積を指し;AUCinf_DNとは、用量正規化AUCinfを指しCL/Fとは、経口クリアランスを指し;V/Fとは、分布容積(V/F)を指し;t1/2とは、半減期を指し;Cminとは、投薬間隔にわたって薬物によって達せられる最小血漿中濃度を指す。
【0378】
加えて、2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月8日のデータカットオフ日に基づいて、X線撮影測定値に基づく予備的有効性解析は、化合物1が、重度に前治療された患者集団にわたって腫瘍応答を誘導したことを示した(以下の表を参照されたい)。本明細書で使用される場合、CNSとは、中枢神経系を指し、PDとは、進行性疾患を指し、PRとは、確定部分奏効を指し、SDとは、安定した疾患を指し、TKIとは、チロシンキナーゼ阻害剤を指す。
【表7】
【0379】
2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日のデータカットオフ日に基づいて、予備的有効性解析は、化合物1の全ての用量レベルにわたってX線撮影腫瘍退縮を示した(図12を参照されたい)。2人の患者(25mgのQD及び125mgのQD用量コホート、両方は、クリゾチニブ、ロルラチニブ及び化学療法からなる以前の療法を有する)は、PD及び症状悪化の状況におけるベースライン後腫瘍評価の不完全または欠損に起因して示されない。
【0380】
9月1日までに治療されたNSCLCを有する奏効評価可能患者についての2022年9月13日現在のデータに基づいて、化合物1は、治療の持続期間の持続を提供した。治療の中央値(範囲)持続期間は、約3.6(1.0、8.3+)ヶ月であった。毒性に起因して中止された治療はなかった。76%(16/21)の奏効評価可能患者は、治療を継続している。奏効までの中央値時間は、約3.6(3.1、4.6の範囲の)週であった(図13を参照されたい)。
【0381】
2022年9月1日までに治療されたNSCLCを有する奏効評価可能患者についての2022年9月13日現在のデータに基づいて、化合物1は、TKI耐性患者において急速な奏効を誘導したことが観察された(図14を参照されたい)。既知のROS1 G2032R耐性変異を有する患者下位群について、ORRは、78%(7/9)であり、100%(9/9)が、腫瘍縮小を有することが見出された。中央ctDNA解析において検出されたG2032Rを有する全ての7人の患者におけるG2032R対立遺伝子の完全なクリアランス。進行中のPR(-40%)を有するROS1 D2033Nを有する1人の患者は、確定未決定である。
【0382】
2022年9月1日までに治療された患者についての2022年9月13日現在のデータに基づいて、化合物1は、頭蓋内病変における奏効を誘導したことが見出された。測定可能(10mm超)CNS転移を有する3/3の患者における頭蓋内PR(進行中の頭蓋内PRを有する1人の患者は、確定未決定である)。73%(8/11)のORRが、いずれかのCNS疾患を有する奏効評価可能患者において観察された。CNS進行は、35人の治療された患者のうちのいずれにおいても観察されなかった。
【0383】
化学療法、クリゾチニブ及びロルラチニブで以前に治療されており、CNS進行を有し既知のROS1耐性変異を有さなかったCD74-ROS1融合物NSCLCを有する65歳の女性において、頭蓋内奏効が観察された(図15を参照されたい)。患者は、化合物1(100mg QD)での治療を継続し、3.2ヶ月で進行中の奏効を有する。
【0384】
化合物1での治療の別の症例研究は、EZR-ROS1融合物NSCLCと診断された患者におけるTKI抵抗性ROS1 G2032R+NSCLCにおける頭蓋内及び頭蓋外活性を提供した。患者は、エヌトレクチニブで以前に治療されており(ROS1 G2032Rを有する疾患進行が特定された)、レポトレクチニブで以前に治療されていた(急速な疾患進行が観察された)。患者はまた、白金ベースの化学療法+ベバシズマブ+エヌトレクチニブで以前に治療されていた(疾患進行が観察された)。2022年9月13日現在のデータに基づいて、化合物1(50mg)は、4週間後に、右後頭葉転移の収縮及びいくつかの肝臓/肺転移における減少を含むPR(RECIST 1.1による-38%)をもたらすことが観察された。更なる疾患退縮(-58%)が、16週間で観察され、脳病変のほぼ完全な消散を含んだ。治療は、めまい、起立効果または知覚異常の証拠を有することなく良好な耐容性があった。患者は、化合物1を継続して受容し、進行中の奏効を5.3ヶ月で有する。X線撮影画像を、図16に示す。
【0385】
実施例6:第1相臨床研究
第1相研究を、健常な対象における化合物1の食物効果、pH調整の潜在的な影響及び薬物-薬物相互作用の潜在性を調査するために行う。28人の健常な対象を計画する(パートAにおいて14人の対象及びパートBにおいて14人の対象)。
【0386】
主要目的:パートA:健常な対象における化合物1の単一経口用量PKへの食物の効果を決定すること;健常な対象における化合物1(被害分子)の単一経口用量PKへのPPIランソプラゾール(加害分子)の複数経口用量の影響を決定すること。パートB:健常な対象におけるミダゾラム(被害分子)の単一経口用量PKへの化合物1(加害分子)の複数経口用量の影響を決定すること。
【0387】
副次目的:パートA及びB:健常な対象における化合物1の安全性及び耐容性を更に評価すること。
【0388】
主要エンドポイント:パートA:非コンパートメント解析を使用して決定された化合物1の薬物動態パラメータ(Cmax、Tmax、AUC0~24、AUClast、AUCinf、t1/2、CL/F)。パートB:非コンパートメント解析を使用して決定されたミダゾラムの薬物動態パラメータ(Cmax、AUC0~24、AUCinf)。
【0389】
副次エンドポイント:パートA及びB:TEAEの発生率及び重症度、ECGパラメータにおける変化、ならびに臨床的に関連する検査パラメータにおける変化。
【0390】
研究設計:研究を、2つのパートにおいて行う(図7)。
【0391】
これは、第1相非盲検研究である。パートA及びパートBを並行して行う。
【0392】
パートA-食物効果、プロトンポンプ阻害剤(PPI)薬物相互作用:パートAは、ランダム化バランスクロスオーバー研究設計を使用する。14人の健常な対象を、単一のコホートにおいて以下のように研究する。
●対象は、CRUにおいて-1日目~19日目にわたって常在する。
●この研究の食物効果部分において、それぞれの対象は、1及び6日目に、摂食(高脂肪朝食)または絶食状態のいずれかで、化合物1の単一経口用量(25mg)を受容する。対象の半数(n=7)が、ランダム化されて、1日目に摂食状態下で化合物1を受容し、次いで、クロスオーバーされて、6日目に絶食状態下で化合物1を受容し、半数(n=7)が、ランダム化されて、1日目に絶食状態下で化合物1を受容し、次いで、クロスオーバーされて、6日目に摂食状態下で化合物1を受容する。
●この研究のPPI薬物相互作用部分において、対象は、11日目~17日目にわたってランソプラゾール(30mg QD)を受容し、続いて、17日目に絶食状態下で化合物1の第3の用量(25mg)を受容する。投与後PK試料採取は、48時間(19日目の朝)まで継続する。
●全ての対象は、最終化合物1用量の5~7日後にフォローアップ(診療所訪問または電話)を有して、安全性が再調査される。
【0393】
パートB-化合物1加害薬物-薬物相互作用:パートBは、固定順序複数経口化合物1用量研究設計を使用する。14人の健常な対象を、単一の群として研究する。
●対象は、CRUにおいて-1日目~10日目の朝まで常在する。
●1及び9日目に、ミダゾラム(2mg)を投与し、PK時点を、24時間にわたって収集する。化合物1(25mg QD)を、2~9日目に絶食状態下で投与する。
●全ての対象は、最終化合物1用量の5~7日後にフォローアップ(診療所訪問または電話)を有して、安全性が再調査される。
【0394】
治療の持続期間:パートAにおける対象は、治療を17日間受容し、化合物1の3つの単一1日用量(研究1、6及び17日目)に受容し、11日目~17日目にわたってランソプラゾールを受容する。パートBにおける対象は、治療を9日間受容し、化合物1の毎日の投薬(研究2~9日目)を受容し、1及び9日目にミダゾラムを受容する。
【0395】
参加基準:対象は、研究における登録に適格であるために、以下の基準の全てを満たさなければならない。
1. 健常な男性及び女性。
2. 18歳~55歳の年齢、18歳及び55歳を含む。
3. 18~32kg/m2のBMI、18及び32kg/m2を含む。
4. いずれもの民族起源。
5. 非喫煙者。
6. 妊娠可能性のある女性及び男性患者は、ICFに署名した時から、女性については研究薬物の最後の投与後30日間、男性については研究薬物の最後の投与後90日間にわたって、外科的に不妊でなければならないか、または性行為を慎む意思もしくは有効な避妊法を使用する意思がなければならない。
7. 男性対象は、研究全体にわたってかつ化合物1の最終用量後90日間にわたって、精子を供与しないことに同意しなければならない。
8. 書面による説明と同意を提供し、食物摂取、アルコール、カフェイン、タバコ/ニコチン、娯楽的薬物使用、運動、ならびに(男性対象について)精子、及び/または血液、血漿もしくは血小板の供与に関して概説される研究制限を含むが、これらに限定されない研究プロトコルの要件に準拠する意思及び能力があること。
【0396】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす対象は、研究から除外される。
1. 研究者(または被指名人)によって承認されない限り、いずれかの薬物化合物、食物もしくは他の物質に対する著しい過敏症、不耐性もしくはアレルギー、またはランソプラゾール(パートA)またはミダゾラム(パートB)に対するいずれかの禁忌の病歴。
2. CRUへの入院前2ヶ月以内の入院、6ヶ月以内のいずれかのタイプの大外科手技。
3. 研究者によってリスクと考えられる慢性もしくは再発性感染の病歴;CRUへの入院前6ヶ月以内の重篤もしくは生命を脅かす感染;あるいは、抗生物質、抗ウイルス薬もしくは他の積極的治療を必要とするか、または研究者によって研究参加へのリスクであると考えられるいずれかの疑われる現在の活動性細菌もしくはウイルス感染。
4. 既知の活動性結核、陽性HIV検査、陽性B型肝炎パネル及び/またはC型肝炎抗体を有すること。B型肝炎結果が以前の予防接種と適合する対象は含まれ得る。
5. 対象が、一貫して450ミリ秒超(男性において)または470ミリ秒超(女性において)のQTcFを有する。範囲外の値の事例において、ECGが、2回繰り返され得、3つの結果の平均が、対象が除外されるかを決定するために使用され得る。対象が、QT延長症候群またはトルサードドポアントの病歴を有する。
6. 研究要件に準拠する対象の能力を損なう中等度から重度の認知障害または精神障害を有する対象。
7. 以下を受容している対象。
a.CRUへの入院前30日以内のハーブ医薬品(例えば、セントジョーンズワート)またはワクチン(COVIDワクチン及び/またはブースターを含む)。
b.CRUへの入院前7日以内のOTC医薬品、マルチビタミンまたはホメオパシー調製物。
c.CRUへの入院前14日以内のいずれかの他の医薬品(処方医薬品、経口避妊薬または他のホルモン性避妊薬治療を含む)。
d.注:許可される例外は、連続3日間超にわたる1日当たり最大2グラムのアセトアミノフェン、及び5半減期以上が最後の用量から経過した他の医薬品の時折の使用(研究者による承認の際)を含む。
8. CRUへの入院前1年以内の自己申告性薬物またはアルコール乱用及び/または依存;CRUへの入院前1年以内に薬物またはアルコールリハビリテーションプログラムに参加している対象を含む。
9. 1週間当たり14単位超の積極的なアルコール摂取またはCRUへの入院前48時間以内のアルコールの摂取。
10. CRUへの入院の少なくとも3ヶ月前からCRUからの最終退院までのいずれかのタバコまたはニコチン含有物質の使用。
11. スクリーニングまたはCRUへの入院の際の乱用薬物、アルコールまたはコチニンについての陽性試験結果。
12. CRUへの入院前48時間以内のカフェインの摂取。
13. CRUへの入院前7日以内のグレープフルーツを含有する食物及び飲料の摂取。
14. CRUへの入院前30日以内の500mL超の全血の献血もしくは損失;CRUへの入院前2週間以内に血漿の献血;またはCRUへの入院前6週間以内に血小板の献血。
15. CRUへの入院前72時間以内の激しい運動への参加;及び研究参加にわたって新たな運動プログラムも開始せず、いずれもの異常に激しい労作にも参加しないことに同意すること。
16. 対象が、妊娠中または母乳栄養中である。女性対象は、スクリーニングかつCRUへの入院の際に陰性血清妊娠検査を有さなければならない。定量的検査の際に閉経後状態と一致すると決定されない限り、陽性BHcG検査は除外事項である。
17. 治験薬物を含む別の臨床研究における積極的登録。
18. スクリーニングまたはCRUへの入院の際の以下の検査異常のうちのいずれか(繰り返し試験が、確認のために実行され得る)。
a.1.5×ULN超の総ビリルビン(注:既知のギルバート症候群を有するかまたはそれが疑われる対象は除外される。)
b.2×ULN超のAST、ALTまたはアルカリホスファターゼ
19. 研究者によって判断された場合の研究薬物の経口吸収、分布、代謝または排泄に潜在的に影響し得る以前の胃腸手術(複雑でない虫垂切除術、複雑でない胆嚢摘出術もしくはヘルニア修復、または整形手術、例えば、腹壁形成術を除く)、疾患または他の疾病。
20. 研究者の見解において、研究対象にリスクをもたらすかまたは研究結果を解釈する能力を混乱させるいずれかの他の医学的状態または検査異常または他の理由。
【0397】
研究薬物、投与量及び投与経路:化合物1は、25mgの1つの強度での経口投与のための錠剤(楕円形)として供給され、錠剤は、誘導シール/チャイルドレジスタントキャップを備える32カウント高密度ポリエチレンボトルにおいて提供される。
【0398】
研究薬物、投与量及び投与経路:対象は、研究の経過中にいずれかの医薬品を服用することを控えるべきである。対象の安全性及び健康のために必要であると考えられるいずれかの医薬品は、研究者の裁量において、以下のガイダンスを考慮して与えられ得る。全ての医薬品(治験製品を含む)の投与は、適切なCRFページに列挙されなければならない。
【0399】
回避されるまたは慎重に服用される医薬品:以下の医薬品、サプリメント及び食物は、回避されなければならないかまたは慎重に服用されなければならない(例示的な薬剤を、実施例4で提供する)。
●CYP3A4の強力な阻害剤である医薬品。
●CYP3A4の強力な阻害剤であるハーブサプリメント及び食物;グレープフルーツ及びグレープフルーツジュースを含むが、これらに限定されない。
●CYP3A4の既知の基質である医薬品。
●狭い治療指数を有するCYP2C19基質である医薬品。
●P-gp/MDR1及びBCRP/ABCG2の既知の基質である医薬品。
●MATE1トランスポーターの既知の基質である医薬品(メトホルミン、シメチジン、プロカインアミドなどを含むが、これらに限定されない)。
●胃酸低減剤、例えば、PPI。胃酸低減剤と化合物1との共投与は、化合物1と胃酸低減剤との間の薬物-薬物相互作用についての潜在性が存在するため回避されるべきである。
●ワルファリン及び低分子量ヘパリン。
【0400】
禁止される医薬品及び療法:以下の医薬品及び療法は、研究中に除外されるべきである。
●いずれかの他の治験療法
●CYP3A4の強力な誘導剤である医薬品
【0401】
統計的方法:
【0402】
解析セット:PK解析セットは、研究治療を受容し、少なくとも1つの評価可能血漿PK試料を有する全ての対象として定義される。PKを、以下の対象サブセットのうちで調査する。パートA:摂食状態の対象(n=14)における化合物1PK;絶食状態の対象(n=14)における化合物1PK;ランソプラゾール(PPI)を定常状態まで受容する対象(n=14)における化合物1PK。パートB:ミダゾラムPK(n=14);化合物1を定常状態まで受容する対象(n=14)におけるミダゾラムPK。安全性解析セットは、少なくとも1つの用量の化合物1を受容する対象からなる。
【0403】
薬物動態の解析:PKパラメータを、Phoenix 64(Certara、バージョン8.2)及び非コンパートメント手法を使用して決定する。全てのPK濃度及びパラメータ解析を、PK解析セットにおいて行う。終末相排泄半減期は、Cmaxが確立された時点後の少なくとも3つの時点の最小を使用して推定される。PKパラメータのプロット及び導出については、最初の測定可能濃度前に発生する定量化値の下限を、ゼロに設定する。最初の測定可能濃度後に発生する欠損値を、欠損に設定する。実際の試料採取時間を使用する。実際の投与後試料採取時間を、時間で表し、四捨五入して3つの有効数字にする。
【0404】
導出されたPKパラメータ:Cmax:観察された最大血漿中濃度。Tmax: Cmaxに達するまでの時間。AUC0~24: 投薬時~投与後24時間の血漿中濃度時間曲線下面積。AUClast: 投薬時~最終測定可能非ゼロ濃度の血漿中濃度時間曲線下面積。AUCinf: 投薬時~無限大の血漿中濃度時間曲線下面積。t1/2:終末相排泄半減期。 CL/F: 経口投与後の血漿からの薬物の見かけの総クリアランス。
【0405】
PKパラメータの要約:導出されたPKパラメータを、観察の数(n)及び以下の統計値、平均、中央値、標準偏差、変動係数、最小、最大、幾何平均を使用して要約する。
【0406】
PKパラメータの比較:
【0407】
パートA:食物効果:摂食及び絶食状態での対象における化合物1についてのCmax、AUClast及びAUCinfの幾何平均(%CV)を計算する。データを、摂食対絶食の幾何平均比として提示する。
【0408】
パートA:PPI薬物相互作用:絶食状態での対象及び定常状態でランソプラゾール(PPI)を受容する絶食状態での対象における化合物1についてのCmax、AUClast及びAUCinfの幾何平均(%CV)を計算する。データを、化合物1単独対化合物1+ランソプラゾールの幾何平均比として提示する。
【0409】
パートB:化合物1加害DDIL:化合物1を受容する前及び定常状態での化合物1の投与後の対象におけるミダゾラムについてのCmax、AUC0~24、AUCinfの幾何平均(%CV)を計算する。データを、ミダゾラム単独対ミダゾラム+化合物1の幾何平均比として提示する。
【0410】
他の導出されたPKパラメータを、必要に応じてまたは解析において有用であると考えられる場合、評価することができ、データセット内に含めることができる。
【0411】
パートA研究の予備的解析:
【0412】
2022年9月21日現在のデータの予備的解析により、AUC0~infの幾何平均比が、約1.12であり、AUC0~48の幾何平均比が、約1.08であり、Cmaxの幾何平均比が、約0.84であることが見出された。幾何平均比を、摂食状態での対象対絶食状態での対象についての値(例えば、Cmax、AUC0~48及びAUCinf)として計算した。予備的結果は、化合物1が食物とともにまたは食物なしで服用され得ることを示唆する。
【0413】
2022年9月21日現在のデータの予備的解析により、AUC0~infの幾何平均比が、約0.92であり、AUC0~48の幾何平均比が、約0.92であり、Cmaxの幾何平均比が、約0.73であることが見出された。幾何平均比を、化合物1及びランソプラゾールの両方を受容する対象対化合物1単独を受容する対象についての値(例えば、Cmax、AUC0~48及びAUCinf)として計算した。予備的結果は、化合物1がPPIと同時に服用され得ることを示唆する。
【0414】
パートB研究の予備的解析:
【0415】
2022年9月21日現在のデータの予備的解析により、AUC0~infの幾何平均比が、約1.12であり、AUC0~24の幾何平均比が、約1.11であり、Cmaxの幾何平均比が、約1.20であることが見出された。幾何平均比を、ミダゾラム単独を受容する対象対ミダゾラム及び化合物1の両方を受容する対象についての値(例えば、Cmax、AUC0~48及びAUCinf)として計算した。予備的結果は、化合物1が感受性CYP3A4基質と同時服用可能でないことを示唆する。
【0416】
実施例7:細胞生存率アッセイ
細胞培養:全ての細胞を、37℃で5%のCOで維持した。Ba/F3細胞は、MEXT、JapanのNational Bio-Resource Projectを介してRIKEN BRCによって提供された。Ba/F3細胞を、RPMI-1640+10%のFBS中で維持した。ヒトCD74-ROS1(野生型キナーゼドメイン、またはG2032R、D2033N、L2026MもしくはS1986F変異を有する)、TPM3-TRKA、ETV6-TRKB、ETV6-TRKCまたはTRKB(完全長)をコードする遺伝子を、合成し、ピューロマイシン耐性マーカーを有するレトロウイルスベクター内にクローニングし、レトロウイルス粒子内にパッケージングした。ウイルスを使用して、Ba/F3細胞を感染させた。安定発現細胞株を、インターロイキン(IL)-3除去及びピューロマイシンによって少なくとも7日間選択した。ポリクローナル培養物を、アッセイにおいて直接使用したか、またはモノクローナル培養物を、限界希釈を介して確立し、その後、アッセイにおいて使用した。成功した形質転換体を、サンガーシーケンシング及びウエスタンブロットによって確認した。全ての細胞が、完全な所望のタンパク質を発現することを確認した。Ba/F3 CD74-ROS1は、小さいC末端切断を含有し、Ba/F3 ETV6-TRKCは、小さいC末端フレームシフトを含有した。両方は、阻害剤活性への識別可能な効果を有さないことを、直交アッセイによって確認した。HCC78及びA549を、Pharmaronにおいて得て、それぞれ、1640培地+10%のFBSまたはF12K培地+10%のFBS中で培養した。
【0417】
代替として、以下の遺伝子を発現するBa/F3細胞を別個に作製した。ROS1融合物変異体を、部位特異的変異誘発(Agilent、New England Biolabs)を使用して作製した。白金E細胞(Cell Biolabs,Inc)に、Biotool DNAトランスフェクション試薬を使用して、pBABE CD74-ROS1、pMIG CEP85L-ROS1、pCX4 EZR-ROS1、pBABE GOPC(S)-ROS1、pCX4 GOPC(S)-ROS1、pBABE GOPC(L)-ROS1、pCX4 GOPC(L)-ROS1またはpMIG SLC34A2-ROS1野生型または変異型構築物をトランスフェクトして、複製不全エコトロピックレトロウイルスを生成した。Ba/F3親細胞を、レトロウイルスに感染させた。細胞を、ピューロマイシンで処理して、それぞれの融合物を安定して発現する細胞を選択した。IL-3除去後に生存した細胞を、インビトロアッセイのために使用した。全ての形質転換細胞株を、シーケンシングして、所望の変異の存在を検証した。細胞を採取しペレット化し、DNAを、QuickExtract(商標)DNA Extraction Solution(Lucigen)を使用して抽出した。ROS1キナーゼ及びC末端ドメインをPCR増幅した。Benchlingソフトウェアを使用して、クロマトグラフでアライメントして、所望の変異の存在を確認し、望ましくない変異がウイルス形質導入中に導入されなかったことを検証した。
【0418】
細胞生存率アッセイ:A549または安定したBa/F3細胞を、384ウェルプレート内に播種し、試験化合物を、3倍希釈系列で、10%のFBSを含有する完全培養培地中に添加した。阻害剤との72時間のインキュベーション後に、細胞生存率を、CellTiter-Glo試薬(Promega)を使用して測定した。未処理のウェルは、陰性対照(増殖の阻害なし)として機能し、高濃度の非特異的キナーゼ阻害剤スタウロスポリンで処理されたウェルは、陽性対照(増殖の完全阻害)として機能した。IC50を、4パラメータロジスティック回帰を使用して、パーセント阻害及び対数(阻害剤濃度)から計算した。
【0419】
代替として、全ての阻害剤を、DMSO中の1mMのストックとして調製した。プレートに、Multidrop Combi試薬ディスペンサ(Thermo Scientific)を使用して、1ウェル当たり25μLの完全培地を前播種した。阻害剤を、D300 Digital Dispenser(Hewlett-Packard)を使用して、384ウェルプレート上に、示される濃度の2倍で1ウェル当たり25μLの完全培地中に分配した。野生型または変異体ROS1融合物を発現するBa/F3細胞株を、Multidrop Combi試薬ディスペンサ(Thermo Scientific)を使用して、25μLの体積中の1ウェル当たり1,000個の細胞で播種した。プレートを、72時間インキュベートした。生存率を、WST-8[2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム一ナトリウム塩]ベースのアッセイ(Bimake)を使用して測定し、Biotek Synergy 2プレートリーダーにおいて読み取った。それぞれの条件を、三つ組でアッセイした。データを、Microsoft Excelを使用して正規化し、IC50値を、GraphPad Prismにおいて非線形回帰解析を使用して計算した。
【0420】
結果:6つのROS1 TKI(クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブ、タレトレクチニブ、レポトレクチニブ及び化合物1)を、1つのヒトがん細胞株及び18個の操作されたBa/F3細胞株に対する細胞生存率アッセイにおいてプロファイリングした。これらの細胞株は、6つのROS1融合パートナー(SLC34A2、EZR、CD74、GOPC(L)、GOPC(S)及びCEP85L)及び8つのROS1変異型バリアント(野生型、G2032R、S1986F、F2004C、F2004V、L2026M、D2033N及びG2101A)を包含した。
【0421】
野生型ROS1融合物を発現する7つの細胞株において、全ての6つのTKIが、異なるレベルの効力ではあるが、顕著な成長阻害活性を有した。化合物1及びロルラチニブが、最も強力(それぞれ、平均IC50=0.4nM及び0.5nM)があり、効力は、レポトレクチニブのものを7倍(IC50=3.3nM)超え、クリゾチニブ、エヌトレクチニブまたはタレトレクチニブのものを19倍超(IC50=9.7~30nM)超えた。
【0422】
G2032R変異を有するROS1融合物を保有する6つの細胞株において、化合物1は、一桁ナノモル効力(平均IC50=1.6nM)を達成した唯一のTKIであり、効力は、レポトレクチニブ及びタレトレクチニブを10倍超(IC50=18~44nM)超え、ロルラチニブを60倍超(IC50=98nM)超え、クリゾチニブ及びエヌトレクチニブを500倍超(IC50=846nM~916nM)超えた。
【0423】
化合物1及びいくつかのROS1阻害剤のIC50(nM)結果を、以下に示す。
【表8】
【0424】
TKI感受性へのG2032R置換の効果を測定するために、野生型ROS1からROS1 G2032RへのIC50シフトを、3つの適合する融合物対(CD74-ROS1、EZR-ROS1及びGOPC(L)-ROS1細胞株、wt、ならびにG2032R陽性)において、6つのTKIについて解析した。解析は、ROS1 TKIの2つの異なる群を、G2032Rに対するそれらの耐容性に基づいて明らかにした。クリゾチニブ、エヌトレクチニブ及びロルラチニブを含む第1の群については、G2032Rは、有害であり、野生型ROS1と比較して60~220倍の平均IC50損失を引き起こし、G2032R効力を所望の範囲外にした。タレトレクチニブ、レポトレクチニブ及び化合物1を含む第2の群は、G2032Rに耐容性があり、野生型ROS1と比較して3~4倍のわずかなIC50損失を示した。しかしながら、レポトレクチニブ及びタレトレクチニブと対照的に、化合物1は、ROS1 G2032Rについて4倍シフトを含み、野生型ROS1に対するそのサブナノモル効力に起因して、依然として一桁ナノモル効力を維持した。
【0425】
G2032Rに加えて、クリゾチニブ及び/またはエヌトレクチニブにおける疾患進行後に観察された他の置換は、S1986F、F2004C、F2004V、L2026M、D2033N及びG2101Aを含む。これらの変異を保有するCD74-ROS1またはEZR-ROS1融合タンパク質を、Ba/F3細胞において発現させ、6つのTKIに対する細胞生存率アッセイにおいて試験した。化合物1は、非G2032R ROS1変異体を強力に阻害し、1.5nM以下のIC50を有した。IC50シフト解析は、ほとんどの非G2032R変異が、ROS1がクリゾチニブ及びエヌトレクチニブに対してより耐性になることを引き起こすが、耐性の程度が、中程度(IC50シフト=0.7~5.7倍)であり、G2032Rと比較してより小さい大きさ(IC50シフト=24~110倍)であることを明らかにした。逆に、非G2032R変異は、ロルラチニブ、タレトレクチニブ、レポトレクチニブ及び化合物1に対する耐性を付与しなかった(IC50シフト=0.01~1.3倍)。
【0426】
化合物1及びいくつかのROS1阻害剤のIC50(nM)結果を、以下に示す。
【表9】
【0427】
上流ROS1融合パートナーの多様性を考慮して、ROS1 TKIを、野生型キナーゼドメインまたはG2032R変異を有するCD74-、EZR-、GOPC(L)-、GOPC(S)-、CEP85L-またはSLC34A2-ROS1融合物を発現するBa/F3細胞において調査した。化合物1は、評価された全てのROS1融合物にわたって強力な活性を示した(10nM未満のIC50)。
【0428】
実施例8:足場非依存性成長
要約:アノイキス回避は、がんの特徴であり、遊走性または転移性傾向を潜在的に示す。アノイキスへのROS1阻害の効果を研究するために、CD74-ROS1またはEZR-ROS1融合物を発現するNIH3T3細胞における足場非依存性コロニー形成アッセイを実行した。
【0429】
コロニー形成アッセイ:プレートに、DMSOまたは阻害剤(10、100または1000nMでのクリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブまたは化合物1)のいずれかを有する完全培地中の0.8%のアガロースを前播種した。それぞれの阻害剤を、正確な対照として機能するようにそれ自体のDMSO条件と対にした。CD74-ROS1またはEZR-ROS1野生型または変異体融合物を発現するNIH3T3細胞を、底層と同一の濃度でのDMSOまたは阻害剤を有する完全培地中の0.4%のアガロース中に、0.5mLのアガロース当たり2,000個の細胞の密度で蒔いた。プレートを、4週間インキュベートし、それぞれのウェルに、阻害剤を有するかまたはそれを有さない75μLの完全培地を1週間当たり3回供給して、それぞれのウェルをそれぞれのプレート条件に適合させて、アガロースの乾燥を防止した。3及び4週間後に、プレートを、GelCount(商標)(Oxford Optronix)を使用して読み取った。コロニー数を、条件によって平均化し、対にされたDMSO条件からのコロニー数に正規化した。データ解析及び可視化を、Microsoft Excel及びGraphPad Prism使用して実行した。
【0430】
結果:ROS1形質転換NIH3T3細胞は、接触阻害を失い、コロニーを軟寒天上に形成した。野生型ROS1融合物を発現するNIH3T3細胞については、全てのROS1 TKIは、100nM未満で、80%超抑制されたコロニー形成を評価し、化合物1及びロルラチニブが、最も高い効力を有し、続いて、クリゾチニブ、次いで、エヌトレクチニブが高い効力を有した。この効力傾向は、ウエスタンブロッティングによって測定された標的結合及びシグナル伝達調節の程度と相関した。対照的に、G2032Rを有するROS1融合物を発現するNIH3T3細胞については、化合物1のみが、100nMで、コロニー形成を90%以上阻害することができ、他のTKI(クリゾチニブ、エヌトレクチニブ及びロルラチニブ)は、同じ濃度でより弱い効果を有した。この効力傾向を、パスウェイ解析によって確認した。タレトレクチニブは、コロニー形成アッセイにおいて評価されなかったが、ウエスタンブロット解析は、化合物1が、ROS1ドライブNIH3T3細胞においてタレトレクチニブよりも強力であることを示し、これは、実施例7における観察と一致した。
【0431】
実施例9:細胞リン酸化アッセイ
要約:TRKとROS1との間の化合物1及び他のROS1阻害剤の相対的効力を評価した。
【0432】
方法:Ba/F3 TRKB細胞リン酸化アッセイのために、細胞を384ウェルプレート内に播種し、試験化合物を、3倍希釈系列で、完全培養培地+10%のFBS中に添加した。細胞を、100ng/mLのBDNFで20分間刺激した。TRKリン酸化を、ホスホ-TRKA(Tyr674/675)/ホスホ-TRKB(Tyr706/Tyr707)AlphaLISA試薬(PerkinElmer #ALSU-PTRKAB)を使用して測定した。未処理のウェルは、陰性対照(阻害なし)として機能し、高濃度の非特異的キナーゼ阻害剤スタウロスポリンで処理されたウェルは、陽性対照(完全阻害)として機能した。IC50を、4パラメータロジスティック回帰を使用して、パーセント阻害及び阻害剤濃度から計算した。
【0433】
EZR-ROS1野生型または変異体融合物を発現するNIH3T3細胞を、採取前に3時間、示される濃度の阻害剤で処理した。細胞を、PBSで洗浄し、0.25%のデオキシコレート、0.05%のSDS、ならびにプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤で補充された細胞溶解緩衝液で採取した。タンパク質濃度を、Pierce(商標)BCA Protein Assay(ThermoFisher Scientific)を使用して決定した。可溶化物を、ベータ-メルカプトエタノールで補充されたLaemelli試料用緩衝液を使用して、10分間75℃で抽出し、可溶化物を、4~20%のプレキャスト勾配ビス-トリスゲル(Invitrogen;ThermoFisher Scientific)において実行した。タンパク質を、ニトロセルロース膜(Prometheus)に移し、ホスホ-ROS1 Y2274(3078;1:1000;Cell Signaling Technology)、DYKDDDDK[Flag](8H8L17;1:1000;Invitrogen)、ホスホ-SHP2(A5278;1:1000;Bimake)、ホスホ-ERK1/2(9101;1:1000;Cell Signaling Technology)、ERK2(sc-1647;1:1000;Santa Cruz)、ホスホ-S6(4858;1:1000;Cell Signaling Technology)、S6(2216;1:1000、Cell Signaling Technology)、ホスホ-Akt(4060;1:1000、Cell Signaling Technology)、Akt(9272;1:1000、Cell Signaling Technology)またはアクチン(JLA-20;1:5000;Developmental Studies Hybridoma Bank)でプローブした。シグナルを、HRPコンジュゲートまたはIRDye二次抗体を使用して、それぞれ、BioRad ChemiDocイメージングステーションまたはLI-COR Odysseyイメージングステーションにおいて検出した。
【0434】
結果:TRK関連神経学的毒性は、TRKBシグナル伝達経路の既知の機能と最も一致する。したがって、完全長TRKBを安定して発現するBa/F3細胞を使用するアッセイを開発した。脳由来神経栄養因子(BDNF)でのこの細胞株の刺激は、TRKB自己リン酸化(pTRKB)を促進する。本発明者らの生化学的及び細胞生存率アッセイと一致して、化合物1は、細胞TRKBリン酸化を弱くのみ阻害し(IC50=850nM)、試験されたいずれもの他のROS1 TKIで達成されなかった、pTRKBに優先する野生型ROS1及びROS1 G2032R(670倍及び240倍)の両方についての広い選択性ウインドウを提供した。
【0435】
化合物1及びいくつかのROS1阻害剤のIC50(nM)測定値を、以下に示す。
【表10】
【0436】
実施例10:前臨床頭蓋内活性
方法:これらの研究における動物の取り扱い、ケア及び治療に関連する全ての手順を、AAALACのガイダンスに従ったPharmaronのIACUCによって承認されたガイドラインに従って実行した。
【0437】
化合物1を、脱イオン水中の20%のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)中の1mg/mLの懸濁液として製剤化した。化合物を、雄性Wistar Hanラット(それぞれ、n=3)に経口投与した。1時間後に、脳試料及び血漿を収集し、脳試料を、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中で均質化した。脳及び血漿試料を、アセトニトリル及び遠心分離(4700rpm、15分)によって沈殿させた。上清中の薬物濃度を、LC/MS/MSによって定量化した。非結合型画分を、急速平衡透析を使用して決定した。Kp,uuを、脳内の非結合型薬物濃度と血漿中の非結合型薬物濃度との間の比として計算した。
【0438】
Ba/F3 CD74-ROS1 G2032R細胞を、ホタルルシフェラーゼ遺伝子及びネオマイシン耐性マーカーを含有するウイルス粒子で形質導入した。感染細胞を、ネオマイシンにおいて選択し、モノクローナル培養物を、限界希釈を介して確立した。成功した形質転換体を、サンガーシーケンシング及び生物発光によって確認した。インビボ研究のために、1×10個のBa/F3 CD74-ROS1 G2032Rルシフェラーゼ細胞を、6~8週齢の雌性Balb/cヌードマウスの右前脳内に定位的に移植した。5日後に、マウスを、平均生物発光シグナルに基づいて、それぞれn=7~10匹のマウスの3つの群にランダム化し、マウスは、2mg/kgのビヒクルまたは化合物1をPO、BIDで受容した。生物発光及び体重を、研究の終了(治療開始の61日後)まで、または動物が安楽死のための基準を満たすまで一定の間隔で測定した。
【0439】
結果:化合物1は、Wistar-Hanラットにおいて、10mg/kgの単一経口用量の1時間後に測定された0.16の良好なKp,uu(非結合型脳-血漿分配)を示した。頭蓋内抗腫瘍活性を評価するために、Ba/F3 CD74-ROS1 G2032Rルシフェラーゼモデルを生成し、モデルは、生動物生物発光イメージングを介する脳腫瘍負荷のモニタリングを可能にした。Ba/F3 CD74-ROS1 G2032Rルシフェラーゼ細胞を、マウス内に頭蓋内注射し、急速な腫瘍成長を観察した。全てのビヒクル治療マウスは、体重が減少し、19日目までに疾患に屈し、16.5日の中央値全生存期間(mOS)を有した。対照的に、2mg/kgでの化合物1は、体重における有意な変化を有することなく頭蓋内腫瘍成長を抑制し、研究終了まで生存した全てのマウス(61日超のmOS)は、ビヒクル治療に対して4倍超の生存期間延長に対応する。これらの結果は、化合物1が強力な頭蓋内抗腫瘍活性を有することを示した。
【0440】
実施例11:インビボ薬理学
方法:SDC4-ROS1を保有するPDX腫瘍を有するマウスを、単一用量(PO)のビヒクル(20%のHP-β-CD)または化合物1で治療し、続いて、腫瘍を、示される時点(n=3)で収集し、ウエスタンブロットを行った。抗β2ミクログロブリン(β2m)は、マウスβ2ミクログロブリンを認識しない負荷対照である。pERK、pAKT及び切断型PARPは、それぞれ、MAPKシグナル伝達、PI3Kシグナル伝達及びアポトーシスのマーカーである。
【0441】
結果:この研究の結果を、図9に示す。インビボでの化合物1によるROS1融合物の直接阻害は、ホスホ-p44/42 MAPK ERK1/2(pERK)及びホスホ-AKT(pAKT)のレベルにおける低減によってそれぞれ測定されたシグナル伝達経路MAPK及びPI3Kの下流阻害によって支持された。これらの結果は、化合物1が、MAPK及びPI3K/AKT経路を介するシグナル伝達を阻害し、SDC4-ROS1を保有するPDX腫瘍におけるアポトーシスを誘導することを示す。
【0442】
実施例12:LTK細胞株についての細胞生存率アッセイ
Ba/F3安定発現細胞株の生成:CLIP1-LTKをコードする遺伝子を、合成し、レトロウイルス構築物pMSCV-puro(Biovector)内にクローニングし、レトロウイルス粒子内にパッケージングした。ウイルスを使用して、Ba/F3細胞(RIKEN)を感染多重度=1または10で1日にわたって感染させた。感染細胞を、マウスIL-3(10ng/mL)で補充された培地(10%のウシ胎仔血清と、1%のストレプトマイシン及びペニシリンと、を有する、RPMI-1640)中で2日間レスキューし、安定発現細胞株を、IL-3除去及びピューロマイシン(0.8μg/mL)によって7日間選択した。所望の遺伝子の形質転換を、サンガーシーケンシング及びウエスタンブロットによって確認した。
【0443】
細胞増殖アッセイ:安定発現細胞を、1,000個の細胞/ウェル(40μL)で、384ウェルプレート内に1日にわたって蒔いた。次いで、試験化合物(40nL)を、TECAN EVO200液体ハンドラーを使用して3倍希釈系列で添加し、72時間インキュベートした。プレートを、室温で15分間平衡化し、続いて、40μLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を添加した。発光を、プレートリーダーにおいて測定した。最大半数阻害濃度(IC50)を、4パラメータロジスティック回帰を使用して、パーセント阻害及び阻害剤濃度から計算した。
【0444】
結果:Ba/F3 CLIP1-LTK細胞株に対する化合物1についてのIC50を、9.57nMであると決定した。
【0445】
実施例13:L2086F変異を有するBa/F3安定発現細胞株
生化学的キナーゼアッセイ
ROS1 L2086F(アミノ酸1881~2347)は、SignalChemにおける特別注文製(カタログ番号NP72-092G/Y4232-2)であった。ATP(1mM)を、緩衝液(54mMのHEPES pH7.5、0.012%のBrij-35、0.52mMのEGTA、1.2mMのDTT、1%のグリセロール、0.2mg/mLのBSA、10mMのMgCl)中の蛍光発生リン酸化基質AQT0101(15μM、AssayQuant)及びROS1 L2086F(0.5nM、SignalChem)と混合することによって、キナーゼ反応を開始した。プレートを、密封し、SpectraMax Paradigmによって、λ=485nmで2分毎に120分間30℃で読み取った。反応の初期速度(v)を、反応の初期線形部分中の経時的な蛍光強度における変化から計算した。最後に、見かけ阻害定数(K app)を、モリソン方程式(E=酵素濃度)へのv及びI(阻害剤濃度)の回帰から決定した。
【数1】
【0446】
Ba/F3安定発現細胞株の生成
CD74-ROS1 L2086Fをコードする遺伝子を、GeneRayにおいて合成し、レトロウイルス構築物pMSCV-puro(Biovector)内にクローニングし、レトロウイルス粒子内にパッケージングした。ウイルスを使用して、Ba/F3細胞(RIKEN)を感染多重度=1で1日にわたって感染させた。感染細胞を、マウスIL-3(10ng/mL)で補充された培地(10%のウシ胎仔血清と、1%のストレプトマイシン及びペニシリンと、を有する、RPMI-1640)中で2日間レスキューし、安定発現細胞株を、IL-3除去及びピューロマイシン(0.8μg/mL)によって7日間選択した。所望の遺伝子の形質転換を、サンガーシーケンシング及びウエスタンブロットによって、ROS1抗体(CST #3287)を使用して確認した。
【0447】
細胞増殖アッセイ
安定発現細胞を、1,000個の細胞/ウェル(40μL)で、384ウェルプレート内に1日にわたって蒔いた。次いで、試験化合物(40nL)を、TECAN EVO200液体ハンドラーを使用して3倍希釈系列で添加し、72時間インキュベートした。プレートを、室温で15分間平衡化し、続いて、40μLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を添加した。発光を、プレートリーダーにおいて測定した。最大半数阻害濃度(IC50)を、4パラメータロジスティック回帰を使用して、パーセント阻害及び阻害剤濃度から計算した。細胞増殖アッセイのデータを、以下の表に要約する。
【表11】
【0448】
いくつかの参照文献が引用されており、それらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0449】
上記の実施形態は、単なる例示であることが意図されており、当業者は、通例の実験のみを使用して、特定の化合物、材料及び手順の多数の均等物を認識するかまたは確認することができる。このような均等物は全て、本発明の範囲内であると考えられ、添付の特許請求の範囲に包含される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】