(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ヘテロ芳香族大環状エーテル化合物の固体形態、薬学的組成物、及び調製
(51)【国際特許分類】
C07D 491/22 20060101AFI20241008BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241008BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241008BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241008BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C07D491/22 CSP
A61K31/4439
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/12
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519535
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022077323
(87)【国際公開番号】W WO2023056405
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522432044
【氏名又は名称】ヌバレント, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】シバオ チェン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー クーパー ジー.エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ボードワン ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア コートニー ホラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ティー. クロップ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スティーブン レーン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェームズ ピアソン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD38A
4C076DD41C
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38B
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、固体形態が、本明細書で提供される。また、式(I)の化合物を合成する方法、それを含む薬学的組成物、ならびに様々な障害を本明細書で提供される組成物を使用して治療、予防及び管理する方法が、本明細書で提供される。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む固体形態。
【化1】
【請求項2】
結晶性である、請求項1に記載の固体形態。
【請求項3】
前記式(I)の化合物の遊離塩基を含む、請求項1または2に記載の固体形態。
【請求項4】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項5】
およそ10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項4に記載の固体形態。
【請求項6】
およそ10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項5に記載の固体形態。
【請求項7】
およそ10.7、15.0及び21.2°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項4に記載の固体形態。
【請求項8】
前記XRPDパターンが、およそ17.4及び21.3°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項7に記載の固体形態。
【請求項9】
前記XRPDパターンが、およそ12.0、12.2及び13.9°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項8に記載の固体形態。
【請求項10】
図1に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項4に記載の固体形態。
【請求項11】
DSCによって特徴付けられるように、約265℃(±2℃)の開始温度及び/または約267℃(±2℃)のピーク温度を有する吸熱事象を示す、請求項4~10のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項12】
図3に示されるDSCサーモグラムと一致する前記DSCサーモグラムを特徴とする、請求項4~11のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項13】
約0%の相対湿度から約90%の相対湿度への相対湿度における増加に供されたときに、約0.25%の重量増加を示す、請求項4~12のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項14】
およそ、a=8.4Å、b=8.4Å、c=14.9Å、α=90°、β=106°及びγ=90°の単位胞寸法を有する、請求項4~13のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項15】
無水である、請求項4~14のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項16】
非吸湿性である、請求項4~15のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項17】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項18】
およそ6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項17に記載の固体形態。
【請求項19】
およそ6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項18に記載の固体形態。
【請求項20】
およそ8.6、14.0及び20.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項17に記載の固体形態。
【請求項21】
前記XRPDパターンが、およそ6.8及び13.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項20に記載の固体形態。
【請求項22】
前記XRPDパターンが、およそ10.0及び21.1°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項21に記載の固体形態。
【請求項23】
図7に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項17に記載の固体形態。
【請求項24】
DSCによって特徴付けられるように、約96℃(±2℃)の開始温度を有する吸熱事象を示し、及び/またはDSCによって特徴付けられるように、約169℃(±2℃)の開始温度を有する発熱事象を示す、請求項17~23のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項25】
約50℃(±2℃)から約170℃(±2℃)への加熱の際に、約15.4%の重量損失を示す、請求項17~24のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項26】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ13.4、19.5及び20.9°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項27】
前記XRPDパターンが、およそ11.4及び22.9°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項26に記載の固体形態。
【請求項28】
前記XRPDパターンが、およそ9.7及び16.2°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項27に記載の固体形態。
【請求項29】
図12に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項26に記載の固体形態。
【請求項30】
DSCによって特徴付けられるように、約168℃(±2℃)の開始温度を有する発熱事象を示す、請求項26~29のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項31】
約100℃(±2℃)から約130℃(±2℃)への加熱の際に、約1.3%の重量損失を示す、請求項26~30のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項32】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ12.1、12.7及び18.4°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とするXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項33】
前記XRPDパターンが、およそ15.0及び21.9°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項32に記載の固体形態。
【請求項34】
前記XRPDパターンが、およそ23.9及び24.3°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項33に記載の固体形態。
【請求項35】
図14に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項32に記載の固体形態。
【請求項36】
DSCによって特徴付けられるように、約135℃(±2℃)の開始温度を有する吸熱事象を示す、請求項32~35のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項37】
約110℃(±2℃)から約145℃(±2℃)への加熱の際に、約9.0%の重量損失を示す、請求項32~36のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項38】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ10.5、10.8及び21.9°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項39】
前記XRPDパターンが、およそ12.1及び12.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項38に記載の固体形態。
【請求項40】
前記XRPDパターンが、およそ7.6及び15.0°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項39に記載の固体形態。
【請求項41】
図16に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項38に記載の固体形態。
【請求項42】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ8.6、18.7及び20.5°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項43】
前記XRPDパターンが、およそ15.9及び20.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項42に記載の固体形態。
【請求項44】
前記XRPDパターンが、およそ10.0及び14.1°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項43に記載の固体形態。
【請求項45】
図17に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項42に記載の固体形態。
【請求項46】
DSCによって特徴付けられるように、約126℃(±2℃)の開始温度を有する吸熱事象を示す、請求項42~45のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項47】
約25℃(±2℃)から約50℃(±2℃)への加熱の際に、約13.1%の重量損失を示し、約115℃(±2℃)から約155℃(±2℃)への加熱の際に、約12.1%の重量損失を示す、請求項42~46のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項48】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ9.5、9.7、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項3に記載の固体形態。
【請求項49】
およそ9.5、9.7、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項48に記載の固体形態。
【請求項50】
およそ9.5、9.7、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θ(±0.2°2θ)からなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項49に記載の固体形態。
【請求項51】
およそ12.5、13.4及び14.6°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項48に記載の固体形態。
【請求項52】
前記XRPDパターンが、およそ20.9及び22.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項51に記載の固体形態。
【請求項53】
前記XRPDパターンが、およそ11.4及び15.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項52に記載の固体形態。
【請求項54】
図19に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項48に記載の固体形態。
【請求項55】
約0%の相対湿度から約90%の相対湿度への相対湿度における増加に供されたときに、約0.27%の重量増加を示す、請求項48~54のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項56】
およそ、a=8.0Å、b=14.8Å、c=18.0Å、α=90°、β=90°及びγ=90°の単位胞寸法を有する、請求項48~55のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項57】
前記式(I)の化合物のベシル酸塩を含む、請求項1または2に記載の固体形態。
【請求項58】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ15.0、17.9及び23.0°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項57に記載の固体形態。
【請求項59】
前記XRPDパターンが、およそ10.7及び14.6°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項58に記載の固体形態。
【請求項60】
前記XRPDパターンが、およそ4.6及び25.7°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項59に記載の固体形態。
【請求項61】
図24に示されるXRPDパターンと一致する前記XRPDパターンを特徴とする、請求項58に記載の固体形態。
【請求項62】
DSCによって特徴付けられるように、約128℃(±2℃)の開始温度及び/または約136℃(±2℃)のピーク温度を有する吸熱事象を示す、請求項58~61のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項63】
約25℃(±2℃)から約125℃(±2℃)への加熱の際に、約2.8%の重量損失を示し、及び/または約125℃(±2℃)から約275℃(±2℃)への加熱の際に、約1.2%の重量損失を示す、請求項58~62のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項64】
前記式(I)の化合物のリン酸塩を含む、請求項1または2に記載の固体形態。
【請求項65】
Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ10.8、18.5及び24.8°2θ(±0.2°2θ)でのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項64に記載の固体形態。
【請求項66】
前記XRPDパターンが、およそ22.3及び24.1°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項65に記載の固体形態。
【請求項67】
前記XRPDパターンが、およそ14.2及び17.7°2θ(±0.2°2θ)でのピークを更に含む、請求項66に記載の固体形態。
【請求項68】
実質的に
図28に示されるXRPDパターンを特徴とする、請求項65に記載の固体形態。
【請求項69】
約25℃(±2℃)から約175℃(±2℃)への加熱の際に、約5.8%の重量損失を示す、請求項65~68のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項70】
実質的に純粋である、請求項1~69のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項71】
少なくとも97%の化学的及び/または物理的純度を有する、請求項1~70のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項72】
少なくとも約99.5%のエナンチオマー純度を有する、請求項1~71のいずれか1項に記載の固体形態。
【請求項73】
請求項1~72のいずれか1項に記載の固体形態と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項74】
がんを治療する方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の請求項1~72のいずれか1項に記載の固体形態または請求項73に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項75】
式(I)の化合物の形態1を調製するためのプロセスであって、
【化2】
(i)前記式(I)の化合物を溶媒中に溶解することと、
(ii)貧溶媒を添加することと、
(ii)前記形態1を回収することと、を含む、前記プロセス。
【請求項76】
前記溶媒が、酢酸エチルである、請求項75に記載のプロセス。
【請求項77】
前記貧溶媒が、ヘプタンである、請求項75または76に記載のプロセス。
【請求項78】
式(I)の化合物、
【化3】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、
(ステップ1.0)式(II)の化合物、
【化4】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を環化させて、前記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を提供することを含む、前記プロセス。
【請求項79】
前記ステップ1.0が、塩基の存在下で行われる、請求項78に記載のプロセス。
【請求項80】
前記塩基が、ピバル酸カリウムである、請求項79に記載のプロセス。
【請求項81】
前記ステップ1.0が、触媒前駆体の存在下で行われる、請求項78~80のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項82】
前記触媒前駆体が、Pd(OAc)
2を含む、請求項81に記載のプロセス。
【請求項83】
前記触媒前駆体が、cataCXium Aリガンドを含む、請求項81または82に記載のプロセス。
【請求項84】
前記ステップ1.0が、t-アミルアルコール(tAmOH)の溶媒中で行われる、請求項78~83のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項85】
前記式(II)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩が、
(ステップ2.0)式(III)の化合物、
【化5】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(IV)の化合物、
【化6】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含むプロセスによって調製される、請求項78~84のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項86】
前記ステップ2.0が、塩基の存在下で行われる、請求項85に記載のプロセス。
【請求項87】
前記塩基が、炭酸セシウムである、請求項86に記載のプロセス。
【請求項88】
前記ステップ2.0が、ジメチルアセトアミド(DMA)またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の溶媒中で行われる、請求項85~87のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項89】
前記式(III)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩が、
(ステップ3.0)式(V)の化合物、
【化7】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、メシル化試薬と反応させることを含むプロセスによって調製される、請求項85~88のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項90】
前記メシル化試薬が、メタンスルホン酸無水物である、請求項89に記載のプロセス。
【請求項91】
前記ステップ3.0が、塩基の存在下で行われる、請求項89または90に記載のプロセス。
【請求項92】
前記塩基が、トリエチルアミンである、請求項91に記載のプロセス。
【請求項93】
前記ステップ3.0が、ジクロロメタン(DCM)の溶媒中で行われる、請求項89~92のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項94】
前記式(V)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩が、
(ステップ4.0)式(VI)の化合物、
【化8】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(VII)の化合物、
【化9】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含むプロセスによって調製される、請求項89~93のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項95】
前記ステップ4.0が、触媒の存在下で行われる、請求項94に記載のプロセス。
【請求項96】
前記触媒が、PdCl
2(dppf)またはPd(Amphos)Cl
2である、請求項95に記載のプロセス。
【請求項97】
前記ステップ4.0が、塩基の存在下で行われる、請求項94~96のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項98】
前記塩基が、炭酸カリウム(K
2CO
3)またはリン酸カリウム(K
3PO
4)である、請求項97に記載のプロセス。
【請求項99】
前記ステップ4.0が、テトラヒドロフラン(THF)及び水を含む溶媒混合物、またはトルエン及び水を含む混合物中で行われる、請求項94~98のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項100】
前記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩が、
(ステップ1.0)前記式(II)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を環化させて、前記式(I)の化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、または互変異性体、またはその薬学的に許容される塩を提供することを含むプロセスによって調製され、前記式(II)の化合物が、
(ステップ2.0)前記式(III)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、前記式(IV)の化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、または互変異性体、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含むプロセスによって調製され、前記式(III)の化合物が、
(ステップ3.0)前記式(V)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、メシル化試薬と反応させることを含むプロセスによって調製され、前記式(V)の化合物が、
(ステップ4.0)前記式(VI)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、前記式(VII)の化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、または互変異性体、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含むプロセスによって調製される、請求項78~99のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項101】
前記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、固体形態において提供するステップを更に含む、請求項78~100のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項102】
前記固体形態が、結晶性形態である、請求項101に記載のプロセス。
【請求項103】
請求項102に記載のプロセスによって調製される、前記式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の結晶性形態。
【請求項104】
式(II)、(III)、(V)もしくは(VI)の化合物、
【化10】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項105】
化合物1、
【化11】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、希釈剤と、結合剤と、崩壊剤と、潤滑剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項106】
前記薬学的組成物中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約1%~約30%w/wである、請求項105に記載の薬学的組成物。
【請求項107】
前記薬学的組成物中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約5%~約17%w/wである、請求項106に記載の薬学的組成物。
【請求項108】
前記薬学的組成物中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約10%~約17%w/wである、請求項107に記載の薬学的組成物。
【請求項109】
前記薬学的組成物中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約15%~約17%w/wである、請求項108に記載の薬学的組成物。
【請求項110】
前記薬学的組成物中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約16%~約17%w/wである、請求項109に記載の薬学的組成物。
【請求項111】
約50μm~約150μmの粒子サイズを有する、前記化合物1の粒子を含む、請求項105~110のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項112】
前記希釈剤が、マンニトールである、請求項105~111のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項113】
前記薬学的組成物中の前記希釈剤の量が、約50%~約95%w/wである、請求項105~112のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項114】
前記薬学的組成物中の前記希釈剤の量が、約65%~約87%w/wである、請求項113に記載の薬学的組成物。
【請求項115】
前記結合剤が、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ケイ化微結晶セルロース(SMCC)またはそれらの混合物である、請求項105~114のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項116】
前記結合剤が、HPC及びSMCCの混合物である、請求項115に記載の薬学的組成物。
【請求項117】
HPC対SMCCの重量比が、約1:11である、請求項116に記載の薬学的組成物。
【請求項118】
前記薬学的組成物中の前記結合剤の量が、約1%~約20%w/wである、請求項105~117のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項119】
前記薬学的組成物中の前記結合剤の量が、約2%~約14%w/wである、請求項118に記載の薬学的組成物。
【請求項120】
前記薬学的組成物中の前記結合剤の量が、約2%~約5%w/wである、請求項119に記載の薬学的組成物。
【請求項121】
前記薬学的組成物中の前記結合剤の量が、約10%~約14%w/wである、請求項119に記載の薬学的組成物。
【請求項122】
前記崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)である、請求項105~121のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項123】
前記薬学的組成物中の前記崩壊剤の量が、約1%~約8%w/wである、請求項105~122のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項124】
前記薬学的組成物中の前記崩壊剤の量が、約2.0%~約4%w/wである、請求項123に記載の薬学的組成物。
【請求項125】
前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項105~124のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項126】
前記薬学的組成物中の前記潤滑剤の量が、約0.1%~約3%w/wである、請求項105~125のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項127】
前記薬学的組成物中の前記潤滑剤の量が、約1%~約1.2%w/wである、請求項126に記載の薬学的組成物。
【請求項128】
(i)前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む顆粒製剤と、(ii)顆粒外希釈剤と、(iii)顆粒外崩壊剤と、(iv)顆粒外潤滑剤と、を含む、請求項105~127のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項129】
前記薬学的組成物中の前記顆粒製剤の量が、約10%~約65%w/wである、請求項128に記載の薬学的組成物。
【請求項130】
前記薬学的組成物中の前記顆粒製剤の量が、約16%~約56%w/wである、請求項129に記載の薬学的組成物。
【請求項131】
前記薬学的組成物中の前記顆粒外希釈剤の量が、約30%~約85%w/wである、請求項128~130のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項132】
前記薬学的組成物中の前記顆粒外希釈剤の量が、約40%~約80%w/wである、請求項131に記載の薬学的組成物。
【請求項133】
前記薬学的組成物中の前記顆粒外崩壊剤の量が、約1%~約4%w/wである、請求項128~132のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項134】
前記薬学的組成物中の前記顆粒外崩壊剤の量が、約2.5%w/wである、請求項133に記載の薬学的組成物。
【請求項135】
前記薬学的組成物中の前記顆粒外潤滑剤の量が、約0.1%~約2.5%w/wである、請求項128~134のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項136】
前記薬学的組成物中の前記顆粒外潤滑剤の量が、約1%w/wである、請求項135に記載の薬学的組成物。
【請求項137】
前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、前記結合剤と、任意選択である顆粒内希釈剤と、顆粒内崩壊剤と、顆粒内潤滑剤と、を含む、前記顆粒製剤、請求項128~136のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項138】
前記顆粒製剤中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約20%~約80%w/wである、請求項137に記載の薬学的組成物。
【請求項139】
前記顆粒製剤中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約30%~約70%w/wである、請求項138に記載の薬学的組成物。
【請求項140】
前記顆粒製剤中の前記化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量が、約30%w/wである、請求項138に記載の薬学的組成物。
【請求項141】
前記顆粒製剤中の前記結合剤の量が、約15%~約35%w/wである、請求項137~140のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項142】
前記顆粒製剤中の前記結合剤の量が、約24%w/wである、請求項141の薬学的組成物。
【請求項143】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内崩壊剤の量が、約1%~約4%w/wである、請求項137~142のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項144】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内崩壊剤の量が、約2.5%w/wである、請求項143の薬学的組成物。
【請求項145】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内潤滑剤の量が、約0.1%~約0.5%w/wである、請求項137~144のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項146】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内潤滑剤の量が、約0.25%w/wである、請求項145の薬学的組成物。
【請求項147】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内希釈剤の量が、約0%~約60%w/wである、請求項137~146のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項148】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内希釈剤の量が、約43%w/wである、請求項147に記載の薬学的組成物。
【請求項149】
前記顆粒製剤中の前記顆粒内希釈剤の量が、前記顆粒製剤の残余である、請求項137~146のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項150】
前記薬学的組成物の総重量の約5%w/wの量での前記化合物1と、
前記薬学的組成物の総重量の約84%w/wの量でのマンニトールと、
前記薬学的組成物の総重量の約3.5%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、
前記薬学的組成物の総重量の約0.3%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、
前記薬学的組成物の総重量の約2.8%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、
前記薬学的組成物の総重量の約1.0%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む、請求項105に記載の薬学的組成物。
【請求項151】
約100mgの総重量を有する、請求項150の薬学的組成物。
【請求項152】
前記薬学的組成物の総重量の約16.67%w/wの量での前記化合物1と、
前記薬学的組成物の総重量の約62%w/wの量でのマンニトールと、
前記薬学的組成物の総重量の約11.7%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、
前記薬学的組成物の総重量の約1.0%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、
前記薬学的組成物の総重量の約3.7%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、
前記薬学的組成物の総重量の約1.1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む、請求項105に記載の薬学的組成物。
【請求項153】
約150mgの総重量を有する、請求項152の薬学的組成物。
【請求項154】
前記薬学的組成物の総重量の約16.7%w/wの量での前記化合物1と、
前記薬学的組成物の総重量の約65%w/wの量でのマンニトールと、
前記薬学的組成物の総重量の約12.2%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、
前記薬学的組成物の総重量の約1.1%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、
前記薬学的組成物の総重量の約3.9%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、
前記薬学的組成物の総重量の約1.1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む、請求項105に記載の薬学的組成物。
【請求項155】
約25mg、約50mg、約75mgまたは約100mgの前記化合物1を含む、請求項154に記載の薬学的組成物。
【請求項156】
経口剤形である、請求項105~155のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項157】
前記経口剤形が、錠剤である、請求項156に記載の組成物。
【請求項158】
前記経口剤形が、即時放出錠剤である、請求項157に記載の組成物。
【請求項159】
少なくとも約90%の化学的及び/または物理的純度を有する、請求項105~158のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項160】
約3面積%以下である、前記化合物1の分解生成物を有する、請求項105~159のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項161】
それぞれ約0.3面積%以下である、前記化合物1の1つ以上の分解生成物を有する、請求項105~160のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項162】
がんを治療する方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の請求項105~161のいずれか1項に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月1日に出願された米国特許出願第63/251,514号の優先権の利益を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1.背景技術
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞表面酵素であり、これらの細胞表面酵素は、外部シグナル、例えば、成長及び分裂するかについての外部シグナルを受容し、これらのシグナルを、細胞においてキナーゼ活性を介して伝達する。多くのRTKは、原がん遺伝子であり、異常なRTK活性は、がん及び関連障害をもたらす細胞生存、成長及び増殖を駆動し得る。この異常なキナーゼ活性は、変異によって引き起こされ得、例えば、キナーゼドメインにおける変異の活性化、インタクトなキナーゼドメインを含有する融合タンパク質をもたらす遺伝子再編成、増幅及び他の手段によって引き起こされ得る。RTK原がん遺伝子は、ROS1、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、(TRKAをコードする)NTRK1、(TRKBをコードする)NTRK2及び(TRKCをコードする)NTRK3を含む。
【0003】
ROS1は、RTK原がん遺伝子であり、RTK原がん遺伝子は、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、胆管細胞癌、卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、血管肉腫及びスピッツ様黒色腫において検出されるROS1再編成を有する。発がん性ROS1遺伝子融合物は、様々なパートナー遺伝子の5’領域に融合したROS1のキナーゼドメイン(3’領域)を含有する。NSCLCにおいて観察されるROS1融合パートナー遺伝子の例としては、SLC34A2、CD74、TPM3、SDC4、EZR、LRIG3、KDELR2、CEP72、CLTL、CTNND2、GOPC、GPRC6A、LIMA1、LRIG3、MSN、MYO5C、OPRM1、SLC6A17(推定)、SLMAP、SRSF6、TFG、TMEM106B、TPD52L1、ZCCHC8及びCCDC6が挙げられる。他の融合パートナーは、CAPRIN1、CEP85L、CHCHD3、CLIP1(推定)、EEF1G、KIF21A(推定)、KLC1、SART3、ST13(推定)、TRIM24(推定)、ERC1、FIP1L1、HLAA、KIAA1598、MYO5A、PPFIBP1、PWWP2A、FN1、YWHAE、CCDC30、NCOR2、NFKB2、APOB、PLG、RBP4及びGOLGB1を含む。
【0004】
ALKは、NSCLC、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、IMT、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、食道扁平上皮癌(ESCC)、腎髄質癌、腎細胞癌、乳癌、結腸癌、漿液性卵巣癌、乳頭様甲状腺癌及びスピッツ様腫瘍を含む多くのがんにおいて検出されるALK再編成、ならびに神経芽細胞腫において検出されるALK活性化変異を有するRTK原がん遺伝子である。発がん性ALK遺伝子融合物は、20個超の異なるパートナー遺伝子の5’領域に融合したALKのキナーゼドメイン(3’領域)を含有し、最も一般的なパートナー遺伝子は、NSCLCにおけるEML4及びALCLにおけるNPMである。他のパートナー遺伝子は、TMP1、WDCP、GTF2IRD1、TPM3、TPM4、CLTC、LMNA、PRKAR1A、RANBP2、TFG、FN1、KLC1、VCL、STRN、HIP1、DCTN1、SQSTM1、TPR、CRIM1、PTPN3、FBXO36、ATIC及びKIF5B.キナーゼを含む。
【0005】
NTRK1、NTRK2及びNTRK3は、TRKファミリーキナーゼをコードするRTK原がん遺伝子であり、RTK原がん遺伝子は、低い頻度で多くのがんにおいて検出されるNTRK1、NTRK2及びNTRK3染色体再編成を有する。しかしながら、ROS1陽性またはALK陽性患者の治療のために、TRK阻害、特に、中枢神経系(CNS)におけるTRK阻害は、めまい/運動失調/歩行障害、知覚異常、体重増加及び認知変化を含む有害反応に関連している。
【0006】
発がん性ROS1及びALKを治療するために使用される従来技術における薬剤は、重要な欠陥を有する。これらの欠陥は、以下、関連するTRK阻害、制限されたCNS活性及び耐性変異に対する不適切な活性のうちの1つ以上を表し得る。TRK阻害を伴う、ROS1陽性またはALK陽性患者の治療は、有害反応、特に、CNSにおける有害反応に関連し、有害反応は、めまい/運動失調/歩行障害、知覚異常、体重増加及び認知変化を含む。加えて、野生型ROS1キナーゼドメイン、ならびにG2032R、D2033N、S1986F、S1986Y、L2026M、L1951R、E1935G、L1947R、G1971E、E1974K、L1982F、F2004C、F2004V、E2020K、C2060G、F2075V、V2089M、V2098I、G2101A、D2113N、D2113G、L2155S、L2032K及びL2086Fを含む、個別にまたは組み合わせでのいずれかで発生する獲得耐性変異を有するROS1のCNS浸透性かつTRK温存型阻害剤の必要性がある。同様に、獲得耐性変異を有するALKのCNS浸透性かつTRK温存型阻害剤の必要性がある。個別にまたは組み合わせでのいずれかで発生する様々なALK薬物耐性変異が報告されており、ALK薬物耐性変異は、G1202R、L1196M、G1269A、C1156Y、I1171T、I1171N、I1171S、F1174L、V1180L、S1206Y、E1210K、1151Tins、F1174C、G1202del、D1203N、S1206Y、S1206C、L1152R、L1196Q、L1198P、L1198F、R1275Q、L1152P、C1156T及びF1245Vを含む。
【0007】
加えて、ヒトにおける使用が意図されている原体の製造のために、不純物のレベルを制御することができ、かつ所定の仕様を一貫して満たすAPI製品が製造されることを確実にすることができる手順が、適切に設けられる必要がある。したがって、ヒト使用に好適なROS1及びALK阻害剤を、特に、商業規模で調製するためのプロセス、すなわち、特に、安全な、スケーラブルな、効率的な、経済的に実行可能な及び/または他の望ましい特性を有するプロセスの必要性が存在する。実体のうちでもとりわけ、これらの必要性に対処し模範的な利点を提供するための結晶性形態及びこのような結晶性形態を含む薬学的組成物が、本明細書に開示される。
【発明の概要】
【0008】
2.発明の概要
(化合物1とも称される)式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【化1】
いくつかの実施形態において、固体形態は、結晶性形態である。他の実施形態において、固体形態は、非晶質形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、式(I)の化合物の固体形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基の固体形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、式(I)の化合物の塩の固体形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、式(I)の化合物の遊離塩基の結晶性形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、式(I)の化合物の塩の結晶性形態である。
【0009】
また、固体形態を調製する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の遊離塩基の固体形態を調製する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の塩の固体形態を調製する方法が、本明細書で提供される。
【0010】
また、がんを治療する方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の本明細書で提供される式(I)の化合物の固体形態を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0011】
また、式(I)の化合物の固体形態と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、式(I)の化合物の遊離塩基の固体形態を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、式(I)の化合物の塩の固体形態を含む。
【0012】
また、式(I)の化合物、
【化2】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、
(ステップ1.0)式(II)の化合物、
【化3】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を環化させて、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を提供することを含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0013】
また、式(I)の化合物、
【化4】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、希釈剤と、結合剤と、崩壊剤と、潤滑剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0014】
また、がんを治療する方法であって、治療有効量の本明細書で提供される薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0015】
3.参照による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許または特許出願が、参照により組み込まれることが具体的にかつ個別に示されるのと同じ程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
4.図面の簡単な説明
【
図1】化合物1の遊離塩基の形態1の代表的なX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【0017】
【
図2】化合物1の遊離塩基の形態1についての代表的な統合熱重量分析(TGA)及び示差熱分析(DTA)サーモグラムである。
【0018】
【
図3】化合物1の遊離塩基の形態1の代表的な示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムである。
【0019】
【
図4】化合物1の遊離塩基の形態1の代表的な動的水蒸気吸着(DVS)等温線である。
【0020】
【
図5】化合物1の遊離塩基の形態1の代表的なフーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)スペクトルである。
【0021】
【
図6】化合物1の遊離塩基の形態1の単結晶X線回折研究の単位胞b軸の代表的な図である。
【0022】
【
図7】化合物1の遊離塩基の形態2の代表的なXRPDパターンである。
【0023】
【
図8】化合物1の遊離塩基の形態2についてのTGA及び示差熱分析(DTA)サーモグラムの代表的なオーバーレイである。
【0024】
【
図9】化合物1の遊離塩基の形態2についてのTGA及び示差熱分析(DTA)サーモグラムの別の代表的なオーバーレイである。
【0025】
【
図10】化合物1の遊離塩基の形態2の代表的なDSCサーモグラムである。
【0026】
【
図11】化合物1の遊離塩基の形態2の代表的なFT-IRスペクトルである。
【0027】
【
図12】化合物1の遊離塩基の形態3の代表的なXRPDパターンである。
【0028】
【
図13】化合物1の遊離塩基の形態3についてのTGA及びDTAサーモグラムの代表的なオーバーレイである。
【0029】
【
図14】化合物1の遊離塩基の形態4の代表的なXRPDパターンである。
【0030】
【
図15】化合物1の遊離塩基の形態4についてのTGA及びDTAサーモグラムの代表的なオーバーレイである。
【0031】
【
図16】化合物1の遊離塩基の形態5の代表的なXRPDパターンである。
【0032】
【
図17】化合物1の遊離塩基の形態6の代表的なXRPDパターンである。
【0033】
【
図18】化合物1の遊離塩基の形態6についてのTGA及びDTAサーモグラムの代表的なオーバーレイである。
【0034】
【
図19】化合物1の遊離塩基の形態7の代表的なXRPDパターンである。
【0035】
【
図20】化合物1の遊離塩基の形態7の代表的なDSCサーモグラムである。
【0036】
【
図21】化合物1の遊離塩基の形態7の代表的なDVS等温線である。
【0037】
【
図22】化合物1の遊離塩基の形態7の代表的なFT-IRスペクトルである。
【0038】
【
図23】化合物1の遊離塩基の形態7の単結晶X線回折研究からの単位胞の代表的な図である。
【0039】
【
図24】化合物1のベシル酸塩の形態Aの代表的なXRPDパターンである。
【0040】
【
図25】化合物1のベシル酸塩の形態AについてのTGA及びDSCサーモグラムの代表的なオーバーレイである。
【0041】
【
図26】化合物1のベシル酸塩の形態Aについての代表的なDSCサーモグラムである。
【0042】
【
図27】化合物1のベシル酸塩の形態Aの代表的なDVS等温線である。
【0043】
【
図28】化合物1のリン酸塩の形態Aの代表的なXRPDパターンである。
【0044】
【
図29】化合物1のリン酸塩の形態AのTGA及びDSCサーモグラムの代表的なオーバーレイである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
5.発明を実施するための形態
5.1 定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示の当該技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参照文献は、当業者に、本開示で使用される用語の多くの一般の定義を提供する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)及びHale&Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用される場合、以下の用語は、別途特定されない限り、それらに帰属する以下の意味を有する。
【0046】
いくつかの実施形態において、化学構造が、対応する化学名称で開示される。矛盾する場合、名称ではなく、化学構造が、意味を定義する。
【0047】
本明細書で使用される、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は区別することなく使用され得る。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、記載される特徴または言及される構成要素の存在を特定するとして解釈されるが、1つ以上の特徴もしくは構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除しない。加えて、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、「からなる」という用語によって包含される例を含むことが意図されている。したがって、「からなる」という用語は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語の代わりに使用され得る。
【0048】
「~からなる(consisting of)」という用語は、対象物が、少なくとも90%、95%、97%、98%、または99%の記載されたそれが構成する特徴または構成要素を有することを意味する。別の実施形態において、「からなる」という用語は、達成される技術的効果に必須でないものを除いて、いずれもの後続の列挙の範囲からいずれもの他の特徴もしくは構成要素を排除する。
【0049】
具体的に記載されない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、包括的であると理解される。別途具体的に記載されない限りまたは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「a」、「an」及び「the」という用語は、単数または複数であると理解される。例えば、本明細書で提供される化合物が、「患者(a patient)」に投与されるときに、これは、個別の患者または患者集団に、化合物を投与することを含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「立体異性体」とは、1つ以上の非対称中心または立体障害を構造において含む化合物の様々な立体異性形態を指す。いくつかの実施形態において、立体異性体は、そのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、アトロプ異性体または互変異性体である。例えば、本明細書に記載される化合物は、個別のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体(例えば、アトロプ異性体)の形態であってもよく、またはラセミ混合物及び1つ以上の立体異性体において濃縮された混合物を含む、立体異性体の混合物の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される化合物は、アトロプ異性体であり得る。ある特定の実施形態において、アトロプ異性体は、単結合を中心とする回転障害に起因して生じる立体異性体であり、立体歪みまたは他の寄与体に起因するエネルギー差は、個別の配座異性体の単離を可能にするのに十分に高い回転の障害をもたらす。立体異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ならびにキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に既知の方法によって混合物から単離されてもよく、または好ましい異性体は、非対称合成によって調製されてもよい。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)及びWilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は、加えて、他の異性体を実質的に含まない個別の異性体としての化合物を包含し、代替として、様々な異性体の混合物としての化合物を包含する。
【0051】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、ラセミ体であり得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、一方のエナンチオマーにおいて濃縮され得る。例えば、本明細書で提供される化合物は、約30%超のee、約40%超のee、約50%超のee、約60%超のee、約70%超のee、約80%超のee、約90%超のeeまたは更には約95%以上のeeを有し得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、2つ以上の立体中心を有し得る。ある特定のこのような実施形態において、本明細書で提供される化合物は、1つ以上のジアステレオマーにおいて濃縮され得る。例えば、本明細書で提供される化合物は、約30%超のde、約40%超のde、約50%超のde、約60%超のde、約70%超のde、約80%超のde、約90%超のdeまたは更には約95%以上のdeを有し得る。
【0052】
ある特定の実施形態において、治療調製物は、化合物の主に一方のエナンチオマーを提供するように濃縮され得る。エナンチオマー的に濃縮された混合物は、例えば、少なくとも約60モルパーセントの一方のエナンチオマー、または更に特に、少なくとも約75、約90、約95もしくは更には約99モルパーセントを含み得る。ある特定の実施形態において、一方のエナンチオマーにおいて濃縮された化合物は、他方のエナンチオマーを実質的に含まず、実質的に含まないとは、当該の物質が、例えば、組成物または化合物混合物中で、他方のエナンチオマーの量と比較して約10%未満または約5%未満または約4%未満または約3%未満または約2%未満または約1%未満を構成することを意味する。例えば、組成物または化合物混合物が、約98グラムの第1のエナンチオマー及び約2グラムの第2のエナンチオマーを含有する場合、組成物または化合物混合物は、約98モルパーセントの第1のエナンチオマー及び約2%のみの第2のエナンチオマーを含有すると言われる。
【0053】
ある特定の実施形態において、治療調製物は、化合物の主に1つのジアステレオマーを提供するように濃縮され得る。ジアステレオマー的に濃縮された混合物は、例えば、少なくとも約60モルパーセントの1つのジアステレオマー、または更に特に、少なくとも約75、約90、約95もしくは更には約99モルパーセントを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、化合物中の部分は、互変異性体の混合物として存在する。「互変異性体」は、別の構造異性体と容易に相互変換する部分または化合物の構造異性体である。例えば、ピラゾール環は、2つの互変異性体を有し、
【化5】
2つの互変異性体は、パイ結合及び水素原子の位置が異なる。別途明記されない限り、部分または化合物の1つの互変異性体の図は、可能な互変異性体の全てを包含する。
【0055】
投与が企図される「対象」という用語は、ヒト(すなわち、いずれかの年齢群の男性または女性、例えば、小児対象(例えば、幼児、小児、青少年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))及び/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);商業関連哺乳動物を含む哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ及び/またはイヌ;及び/または商業関連鳥類を含む鳥類、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ及び/またはシチメンチョウを含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも40歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも50歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも60歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも70歳のヒト成人である。ある特定の実施形態において、対象は、少なくとも18歳または少なくとも12歳のヒト成人である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、治療薬(例えば、本明細書に記載される化合物)の投与が、疾患、障害もしくは状態、またはそれらの症状を治療、予防または管理するために企図されるヒト対象はまた、「患者」と称される。
【0056】
本明細書で使用される場合、障害または状態を「予防する」治療薬は、統計的試料において、未治療の対照試料に対して治療した試料中の障害もしくは状態の発生を低減する、または発生を遅延させる、または未治療の対照試料に対して障害もしくは状態の1つ以上の症状の重症度を低減する化合物を指す。これらの効果はまた、「予防的」効果と称される。したがって、本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「予防」及び「予防すること」という用語は、有益なまたは所望の結果を得るための手法を指し、有益なまたは所望の結果は、予防的利益を含むが、これに限定されない。予防的利益のために、治療薬は、特定の疾患を発症するリスクがある患者または疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を報告する患者に、この疾患の診断がなされていないことがあっても投与され得る。一実施形態において、治療薬は、望まれない状態(例えば、対象の疾患または他の望まれない状態)の臨床徴候前に、予防的利益(例えば、治療薬は、対象を望まれない状態の発症から保護する)のために投与される。
【0057】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「治療」及び「治療すること」という用語は、治療または緩和処置を指す。有益なまたは所望の臨床結果は、検出可能または検出不可能にかかわらず、疾患または障害または状態に関連する症状の全体的または部分的軽減、疾患の程度の減弱、疾患の安定化された(すなわち、悪化していない)状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態(例えば、疾患の1つ以上の症状)の寛解または緩和、及び(部分的または完全にかかわらず)緩解を含むが、これらに限定されない。「治療」とはまた、治療を受容していない場合の予想される生存期間と比較して、生存を延長することを意味し得る。一実施形態において、「治療」は、望まれない状態の徴候後の治療薬の投与を含む(すなわち、存在する望まれない状態またはその副作用を減弱する、寛解させるまたは安定化することが意図されている)。
【0058】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「管理すること」という用語は、特定の疾患もしくは障害を患っていた患者におけるその再発を予防すること、疾患もしくは障害を患っていた患者が緩解状態に存続する時間を延ばすこと、患者の死亡率を低減すること、及び/または管理されている疾患もしくは状態に関連する症状の重症度における低減もしくは回避を維持することを包含する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、所望の生物学的効果を達成するのに十分である量を指す。本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、所望の治療効果を達成するのに十分である量を指す。例えば、治療有効量とは、がんの少なくとも1つの兆候または症状を改善するのに十分である量を指し得る。
【0060】
治療方法への「応答」は、とりわけ、陰性症状における減少またはそれらの寛解、疾患またはその症状の進行における減少、有益な症状または臨床転帰における増加、副作用を減らすこと、疾患の安定化、疾患の部分的または完全な治癒を含むことができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「再発性」という用語は、以前の治療に応答し(例えば、完全な応答を達成し)、次いで、進行を有した障害、疾患または状態を指す。以前の治療は、1つ以上の療法ラインを含み得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「抵抗性」という用語は、1つ以上の療法ラインを含み得る以前の治療に応答していない障害、疾患または状態を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「結晶性」とは、一定の距離を構成物部分間に有する原子、イオンまたは分子の反復三次元パターンによって形成された均質な固体を指す。単位胞は、このパターンにおける最も簡単な反復単位である。理想的な結晶の均質な性質にもかかわらず、完全結晶は、あったとしても、きわめてまれに存在する。本明細書で使用される場合、「結晶性」は、結晶性欠陥、例えば、本明細書に記載される結晶性形態を操作する(例えば、調製、精製する)ことによって一般的に形成される結晶性欠陥を含む結晶性形態を包含する。当業者は、このような欠陥の存在にもかかわらず、化合物の試料が結晶性であるかを決定することが可能である。結晶性形態は、分析方法、例えば、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、核磁気共鳴分光法(NMR)、単結晶X線回折、ラマン分光法、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)及び/またはいずれかの他の好適な分析技法によって特徴付けられ得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」とは、結晶性格子構造内に組み込まれた1つ以上の溶媒の分子を更に含む分子、原子及び/またはイオンの結晶性形態を指す。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置及び/または秩序のない配置において存在し得る。溶媒和物は、化学量論的量または非化学量論的量のいずれかの溶媒分子を含み得る。例えば、非化学量論的量の溶媒分子を有する溶媒和物は、溶媒和物からの溶媒の部分的損失からもたらされ得る。溶媒和物は、2つ以上の分子または化合物ABCを結晶性格子構造内に含む二量体またはオリゴマーとして発生し得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「非晶質」とは、結晶性でない分子、原子及び/またはイオンの固体形態を指す。特に、「非晶質形態」という用語は、無秩序な固体形態、すなわち、長範囲の結晶秩序を欠く固体形態を説明する。非晶質固体は、決定的なX線回折パターンを示さない。ある特定の実施形態において、物質の非晶質形態は、他の非晶質形態及び/または結晶性形態から実質的に純粋であり得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「固体形態」という用語及び関連用語は、主に液体または気体状態でない物理的形態を指す。固体形態は、結晶性、非晶質またはそれらの混合物であり得る。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「結晶性形態」という用語及び関連用語は、結晶性である固体形態を指す。結晶性形態は、非溶媒和物、非水和物、溶媒和物、水和物及び他の分子錯体、ならびにそれらの塩、塩の溶媒和物、塩の水和物及び塩の他の分子錯体を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、非晶質形態及び/または他の固体形態及び/または結晶性形態を実質的に含まなくてもよい。ある特定の実施形態において、物質の固体形態及び/または結晶性形態は、重量ベースで約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%未満の1つ以上の非晶質形態及び/または他の固体形態及び/または結晶性形態を含有し得る。ある特定の実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、物理的及び/または化学的に純粋であり得る。ある特定の実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%または90%物理的及び/または化学的に純粋であり得る。ある特定の実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、少なくとも約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%または90%物理的及び/または化学的に純粋であり得る。一実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、重量ベースで約97.0%物理的及び/または化学的に純粋である。一実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、重量ベースで約98.0%物理的及び/または化学的に純粋である。一実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、重量ベースで約99.0%物理的及び/または化学的に純粋である。一実施形態において、物質の固体形態または結晶性形態は、重量ベースで約99.9%物理的及び/または化学的に純粋である。ある特定の実施形態において、固体形態または結晶性形態は、実質的に化学的に純粋であり得、及び/または実質的に物理的に純粋であり得る。
【0067】
「実質的に純粋」とは、更なる条件なしに使用されるときに、化合物が、化合物の重量に基づいて、90重量パーセント超、例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99重量パーセント超の純度を有し、また、約100重量パーセントに等しい純度を含むことを意味する。残りの材料は、化合物の他の形態(複数可)及び/またはその調製から生じる反応不純物及び/または加工不純物を含み得る。純度は、当該技術分野で既知の技法、例えば、HPLCアッセイを使用して評価され得る。
【0068】
また、「実質的に純粋」が、条件とされ得る。化合物が、化学的不純物(例えば、その調製から生じる反応不純物及び/または加工不純物)の存在に関して「実質的に純粋」である場合、これは、「実質的に化学的に純粋」と称され得る。化合物が、他方のエナンチオマーの存在に関して「実質的に純粋」である場合、これは、「実質的にエナンチオマー的に純粋」と称され得る。いくつかの実施形態において、化合物(例えば、化合物1)は、実質的にエナンチオマー的に純粋であり、他方のエナンチオマー(例えば、Sエナノンチオマー)は、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満または0.1重量%未満で存在する。化合物が、示される構造を有する化合物の他の物理的形態の存在に関して「実質的に純粋」である場合、これは、「実質的に物理的に純粋」と称され得る。条件とされるときに、「実質的に純粋」とは、示される化合物が、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満または0.1重量%未満の示される不純物を含有することを意味する。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態は、実質的に純粋である(例えば、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%または少なくとも約99重量%の純度を有する)。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態は、少なくとも約95重量%の純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態は、実質的にエナンチオマー的に純粋である(例えば、少なくとも約98.0重量%、少なくとも約99.0重量%、少なくとも約99.5重量%または少なくとも約99.9重量%のエナンチオマー純度を有する)。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態は、少なくとも約99.5重量%のエナンチオマー純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約95重量%の純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約96重量%の純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約97重量%の純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約98重量%の純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約99重量%の純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約95重量%の純度を12ヶ月間にわたって有する。
【0069】
固体形態は、特定の固体形態、例えば、本明細書に記載される結晶性形態に固有である明確な物理的特徴付けデータを示し得る。これらの特徴付けデータは、当業者に既知の様々な技法によって得られ得る。これらの技法によって提供されるデータは、特定の固体形態を特定するために使用され得る。例えば、XRPDパターンまたはDSCサーモグラムまたはTGA熱曲線を示す本明細書の1つ以上の図とそれぞれ「一致する」、または互換的に、それらにそれぞれ「実質的に従う」XRPDパターン、DSCサーモグラムまたはTGA熱曲線は、本明細書で提供される1つ以上の図のパターンまたはサーモグラムまたは熱曲線を提供する化合物の試料と同じである、化合物の単結晶性形態を表すと当業者によって考えられるものである。したがって、一致するまたは実質的に従うXRPDパターンまたはDSCサーモグラムまたはTGA熱曲線は、図のうちの1つのものと同一であってもよく、またはおそらく、図のうちの1つ以上とある程度異なるものであってもよい。例えば、図のうちの1つ以上とある程度異なるXRPDパターンは、必ずしも、本明細書で提示される回折パターンの線のそれぞれを示さなくてもよく、及び/または線の出現もしくは強度におけるわずかな変化、または線の位置におけるシフトを示してもよい。これらの差異は、典型的には、データを得ることに関与する条件における差異またはデータを得るために使用される試料の純度における差異からもたらされる。当業者は、結晶性化合物の試料が、本明細書に開示される形態と同じ形態のものであるかまたは本明細書に開示される形態と異なる形態のものであるかを、試料のXRPDパターンまたはDSCサーモグラムまたはTGA熱曲線と、本明細書に開示される対応するXRPDパターンまたはDSCサーモグラムまたはTGA熱曲線との比較によって決定することが可能である。
【0070】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、組成物または剤形の成分の用量、量または重量パーセントに関連して使用されるときに、「約」及び「およそ」という用語は、特定の用量、量または重量パーセントから得られるものと等価の薬理学的効果を提供すると当業者によって認識される用量、量または重量パーセントを意味する。ある特定の実施形態において、この文脈で使用されるときに、「約」及び「およそ」という用語は、特定の用量、量または重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内の用量、量または重量パーセントであることを企図する。
【0071】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、特定の固体形態を特徴付けるために提供される数値または値の範囲、例えば、具体的な温度もしくは温度範囲、例えば、融解、脱水、脱溶媒和もしくはガラス遷移温度を説明するもの;質量変化、例えば、温度もしくは湿度の関数としての質量変化;溶媒もしくは水含有量、例えば、質量もしくは百分率の観点での溶媒もしくは水含有量;またはピーク位置、例えば、IRもしくはラマン分光法もしくはXRPDによる分析におけるピーク位置に関して使用されるときに、「約」及び「およそ」という用語は、値または値の範囲が、当業者に合理的であるとみなされる程度まで逸脱し得るが、依然として特定の固体形態を説明することを示す。例えば、特定の実施形態において、この文脈で使用されるときに、「約」及び「およそ」という用語は、数値または値の範囲が、列挙される値または値の範囲の25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%または0.25%以内で変動し得ることを示す。例えば、いくつかの実施形態において、XRPDピーク位置の値は、最大±0.2度2θまで変動し得るが、依然として特定のXRPDピークを説明する。一実施形態において、XRPDピーク位置の値は、最大±0.1度2θまで変動し得る。一実施形態において、XRPDピーク位置の値は、最大±0.05度2θまで変動し得る。
【0072】
「間」という用語は、範囲の両方の限度における終点数字を含む。例えば、「3~5」によって説明される範囲は、数字「3」及び「5」を含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激及びアレルギー応答などがなく、対象の組織との接触における使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、Berge et al.は、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19において詳細に記載する。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される塩は、アルキル、ジアルキル、トリアルキルまたはテトラアルキルアンモニウム塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される塩は、L-アルギニン、ベネンタミン、ベンザチン、ベタイン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リチウム、L-リジン、マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、ピペラジン、カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び亜鉛塩を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される塩は、Na、Ca、K、Mg、Znまたは他の金属塩を含むが、これらに限定されない。
【0074】
薬学的に許容される酸付加塩は、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド等との様々な溶媒和物として存在することもできる。また、このような溶媒和物の混合物が調製され得る。このような溶媒和物の源は、結晶化の溶媒からのものであってもよく、調製もしくは結晶化の溶媒中に内在するものであってもよく、またはこのような溶媒に外来性のものであってもよい。
【0075】
薬学的に許容されるアニオン性塩は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、デカン酸塩、エデト酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、硫酸メチル、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩及びトシル酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、1つ以上のキラル中心(複数可)を有する化合物の一方のエナンチオマーを、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%のエナンチオマー過剰率で含む組成物を指す。いくつかの実施形態において、組成物は、「実質的にエナンチオマー的に純粋」であり得、これは、化合物の他方のエナンチオマーに対して少なくとも約85重量%、例えば、少なくとも約90重量%、更に、例えば、少なくとも95重量%の一方のエナンチオマーを有する組成物の調製物を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、化合物の一方のエナンチオマーを、少なくとも約90重量%のエナンチオマー過剰率で含む。他の実施形態において、組成物は、化合物の一方のエナンチオマーを、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%または少なくとも約99重量%のエナンチオマー過剰率で含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、本明細書で提供される「プロセス(複数可)」という用語は、本明細書に記載される化合物または本明細書で提供されるその固体形態(例えば、結晶性形態、部分的結晶性形態または非晶質形態)を調製するのに有用である、本明細書で提供される方法を指す。また、本明細書で提供される方法(例えば、出発材料、試薬、保護基、溶媒、温度、反応時間、精製)の修正形態が、本明細書で提供される。概して、本明細書で提供される一実施形態の技術的教示は、本明細書で提供されるいずれかの他の実施形態において開示されるものと組み合わされ得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「添加すること」、「反応させること」または「処理すること」という用語などは、1つの反応物、試薬、溶媒、触媒または反応基などを、別の反応物、試薬、溶媒、触媒または反応基などと接触させることを意味する。反応物、試薬、溶媒、触媒または反応基などは、個別に、同時にまたは別個に添加され得、いずれかの順序で添加され得る。反応物、試薬、溶媒、触媒または反応性基などはそれぞれ、それぞれ、1つの部分で添加され得、1つの部分は、一度にもしくはある期間にわたって送達されてもよく、または別々の部分で添加され得、別々の部分はまた、一度にもしくはある期間にわたって送達されてもよい。それらは、熱の存在下または非存在下で添加することができ、また、任意選択で、不活性雰囲気下で添加することができる。「反応」とは、インサイツ形成または分子内反応であって、反応性基が同じ分子内にある、インサイツ形成または分子内反応を指し得る。
【0079】
本明細書で使用される場合、「組み合わせること」という用語は、1つ以上の化学的実体を、別の1つ以上の化学的実体と会合させることを指す。組み合わせることは、1つ以上の化合物を、1つ以上の化合物(同じまたは他の化学的実体)の固体、液体もしくは気体混合物に、または液体溶液もしくは多相液体混合物に添加するプロセスを含む。組み合わせる行為は、1つ以上の化合物が、1つ以上の化合物(同じまたは他の化学的実体)と反応(例えば、結合形成または切断、塩形成、溶媒和物形成、キレート化または他の非結合会合改変)する1つ以上のプロセスを含む。組み合わせる行為は、1つ以上の化合物の改変、例えば、異性化(例えば、互変異性、1つの異性体の別のものからの分解またはラセミ化)による1つ以上の化合物の改変を含むことができる。
【0080】
本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、「変換すること」という用語は、現行の化合物を、現行の所望の化合物の形成をもたらすのに好適な反応条件に供することを指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、「回収すること」という用語は、1つ以上の化合物を、本明細書で開示されるプロセスステップ中に及び/またはその後に収集することによって得る作用、ならびに1つ以上の化合物を、本明細書で開示されるプロセスステップ中に及び/またはその後に、1つ以上の他の化学的実体から分離することによって1つ以上の化合物を得る作用を含むが、これらに限定されない。「収集」という用語は、この目的で当該技術分野で既知のいずれかの作用(複数可)を指し、作用(複数可)は、濾過;母液を固体からデカントして、1つ以上の化合物を得ること;及び溶液または他の混合物中の液体媒体を蒸発させて、1つ以上の化合物を含む固体、油または他の残留物を得ることを含むが、これらに限定されない。固体は、当該技術分野で既知の特徴のうちでもとりわけ、結晶性、非結晶性、部分的結晶性または非晶質、様々な粒子サイズ、均一な粒子サイズの粉末、顆粒であり得る。油は、色及び粘度において変動することができ、当該技術分野で既知の特徴のうちでもとりわけ、不均質な混合物としての1つ以上の固体形態を含むことができる。「分離」という用語は、この目的で当該技術分野で既知のいずれかの作用(複数可)を指し、作用(複数可)は、1つ以上の化合物を、例えば、播種もしくは無播種結晶化、または他の沈殿技法(例えば、貧溶媒を溶液に添加して、化合物沈殿を誘導すること;溶液を、加熱し、次いで、冷却して、化合物沈殿を誘導すること;溶液の表面を器具で引っ掻いて、化合物沈殿を誘導すること)、及び蒸留技法を使用することによって、溶液または混合物から単離することを含むが、これらに限定されない。1つ以上の化合物を回収することは、塩、溶媒和物、水和物、キレートまたはそれらの他の錯体を調製し、次いで、上記のように収集または分離することを含むことができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「触媒前駆体」という用語は、化学組成物であって、活性触媒の1つ以上の構成要素(例えば、金属中心及び支持リガンド)が、反応混合物に添加され、これにより、活性触媒の形成がインサイツで発生する、化学組成物を指す。例えば、cataCXium A連結パラジウム触媒は、パラジウム源(例えば、Pd(OAc)2)及びcataCXium Aの源(例えば、cataCXium A)を含む触媒前駆体を添加することによってインサイツで形成され得る。金属源及び支持リガンドが、単一の化学的実体(例えば、Pd(dppf)Cl2)の形態において反応混合物に添加されたときにでも、インサイツでの更なる活性化及び/または反応が、活性触媒を生成するために必要とされ得ることが、当業者には認識されよう。しかしながら、本明細書で使用される場合、「触媒」という用語は、化学組成物であって、インサイツでの更なる活性化及び/または反応が、活性触媒を生成するために必要とされる場合でも、活性触媒の2つ以上の構成要素(例えば、金属中心及び支持リガンド)が、単一の化学的実体(例えば、Pd(dppf)Cl2)の形態において反応混合物に添加される、化学組成物を含むが、これに限定されない。
【0083】
本明細書で提供されるほとんどの実施形態及び実施例は、化合物の一方のエナンチオマーを対象とするが、キラル反応物、試薬、溶媒、触媒またはリガンドなどの立体化学が逆にされるときに、化合物の反対のエナンチオマーが、提供されるプロセスによって調製され得ることを理解されたい。
【0084】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「溶媒」、「有機溶媒」または「不活性溶媒」という用語はそれぞれ、記載される反応の条件下で不活性である溶媒を意味する。反して特定されない限り、限界試薬のそれぞれのグラムについて、1cc(またはmL)の溶媒が、体積当量(または「体積」)を構成する。
【0085】
本開示は、非限定的な実施形態を例示することを意図した以下の詳細な説明及び例示的な実施例を参照することにより、より完全に理解することができる。
【0086】
5.2 固体形態
潜在的な薬学的固体は、結晶性固体及び非晶質固体を含む。非晶質固体は、長範囲の構造的秩序の欠如を特徴し、結晶性固体は、構造的周期性を特徴とする。所望のクラスの薬学的固体は、具体的な用途に依存し、非晶質固体は、しばしば、例えば、増強された溶解プロファイルに基づいて選択され、結晶性固体は、特性、例えば、物理的または化学的安定性のため望ましいことがある(例えば、S.R.Vippagunta et al.,Adv.Drug.Deliv.Rev.,(2001)48:3-26、L.Yu,Adv.Drug.Deliv.Rev.,(2001)48:27-42を参照されたい)。固体形態における変化は、様々な物理的及び化学的特性に影響し得、これは、重要な薬学的特徴のうちでもとりわけ、加工、処方、安定性及びバイオアベイラビリティにおける利点または欠点を提供し得る。
【0087】
結晶性または非晶質にかかわらず、薬学的化合物の潜在的な固体形態は、単一構成要素及び複数構成要素固体を含み得る。単一構成要素固体は、薬学的化合物から他の化合物の非存在下で本質的になる。単一構成要素結晶性材料のうちの多様性は、多型の現象から潜在的に生じ得、複数の三次元配置が、特定の薬学的化合物について存在する(例えば、S.R.Byrn et al.,Solid State Chemistry of Drugs,(1999)SSCI,West Lafayetteを参照されたい)。
【0088】
薬学的化合物の潜在的な固体形態のうちの追加の多様性は、複数構成要素固体の可能性から生じ得る。2つ以上のイオン種を含む結晶性固体は、塩と称される(例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth,Eds.,(2002),Wiley,Weinheimを参照されたい)。薬学的化合物またはその塩についての他の特性改善を潜在的にもたらし得る追加のタイプの複数構成要素固体は、例えば、とりわけ、水和物、溶媒和物、共結晶及びクラスレートを含む(例えば、S.R.Byrn et al.,Solid State Chemistry of Drugs,(1999)SSCI,West Lafayetteを参照されたい)。複数構成要素結晶性形態は、潜在的に、多形に感受性であり得、所与の複数構成要素組成物は、2つ以上の三次元結晶性配置において存在し得る。固体形態の発見は、安全であり有効な安定した市販可能な薬学的化合物の開発において非常に重要である。
【0089】
本明細書で提供される固体形態は、動物またはヒトにおける使用のための製剤の調製のための活性薬学的成分として有用である。したがって、本明細書での実施形態は、最終医薬品としてのこれらの固体形態の使用を包含する。ある特定の実施形態は、最終医薬品の製造、加工、処方及び/または貯蔵のために必要とされる改善された特性、例えば、とりわけ、粉末流動特性、圧縮特性、錠剤化特性、安定性特性及び賦形剤適合性特性を有する最終剤形を作製するのに有用である、固体形態を提供する。本明細書でのある特定の実施形態は、式(I)の化合物を含む単一構成要素結晶性形態及び/または複数構成要素結晶性形態と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0090】
固体形態及び関連用語は、主に液体または気体状態でない物理的形態を指す。固体形態は、結晶性、または結晶性及び非晶質形態の混合物であり得る。特定の化合物を含む「単一構成要素」固体形態は、この化合物から本質的になる。特定の化合物を含む「複数構成要素」固体形態は、この化合物と、固体形態内の有意な量の1つ以上の追加の種、例えば、イオン及び/または分子と、を含む。本明細書で提供される固体形態は、結晶性または中間形態(例えば、結晶性及び非晶質形態の混合物)であり得る。したがって、本明細書に記載される結晶性形態は、様々な結晶化度または格子秩序度を有し得る。本明細書に記載される固体形態は、いずれもの特定の結晶化度または格子秩序度に限定されず、0~100%の結晶性であり得る。結晶化度を決定する方法は、当業者に既知であり、例えば、Suryanarayanan,R.,X-Ray Powder Diffractometry,Physical Characterization of Pharmaceutical Solids,H.G.Brittain,Editor,Marcel Dekker,Murray Hill,N.J.,1995,pp.187-199に記載されているものであり、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される固体形態は、約0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100%の結晶性である。
【0091】
固体形態は、特定の固体形態、例えば、本明細書に記載される結晶性形態に固有である明確な物理的特徴付けデータを示し得る。これらの特徴付けデータは、当業者に既知の様々な技法によって得られ得、技法は、例えば、粉末X線回折、示差走査熱量測定、熱重量分析及び核磁気共鳴分光法を含む。これらの技法によって提供されるデータは、特定の固体形態を特定するために使用され得る。当業者は、固体形態が本明細書に記載される形態のうちの1つであるかを、これらの特徴付け技法のうちの1つを実行することと、得られたデータが、特定の固体形態の特徴であるとして特定される本明細書で提供される参照データと「実質的に同様」であるかを決定することとによって決定することができる。参照固体形態のものと「実質的に同様」である特徴付けデータは、参照固体形態と同じ固体形態に対応することが、当業者には理解される。データが「実質的に同様」であるかを分析することにおいて、特定の特徴付けデータ点は、例えば、実験誤差及び通例の試料対試料分析に起因して、合理的な程度に変動し得るが、依然として所与の固体形態を説明することが、当業者には理解される。
【0092】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【化6】
【0093】
一実施形態において、式(I)の化合物を含む固体形態は、結晶性形態、部分的結晶性形態、または結晶性形態(複数可)及び非晶質形態(複数可)の混合物であることができる。一実施形態において、式(I)の化合物の結晶性形態を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、その塩、溶媒和物(例えば、水和物)もしくは塩の溶媒和物、またはそれらの混合物を含む。別の実施形態において、固体形態は、非晶質形態である。一実施形態において、固体形態は、実質的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約95%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約96%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約97%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、約99.71%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、約99.9%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、実質的にエナンチオマー的に純粋である。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、少なくとも約98%(例えば、99%または99.5%)のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、少なくとも約98.0%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、少なくとも約98.5%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、少なくとも約99.0%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、少なくとも約99.5%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、約99.9%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、約100%のエナンチオマー純度を有する。式(I)の化合物は、国際特許出願第PCT/US2021/030842号に記載されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
5.2.1.化合物1の遊離塩基の固体形態
式(I)の化合物を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【化7】
【0095】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の無水遊離塩基を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基の溶媒和物を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基の水和物を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基のMTBE、MEK、ACNまたは1,4-ジオキサン溶媒和物を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0096】
本明細書で使用される場合、「化合物1」、「化合物1の遊離塩基」、「式(I)の化合物の遊離塩基」及び「化合物1遊離塩基」は、互換的に使用される。
【0097】
化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩は、様々な固体形態において存在することができることが企図される。このような固体形態は、結晶性固体(例えば、無水化合物1の結晶性形態、化合物1の水和物の結晶性形態及び化合物1の溶媒和物の結晶性形態)、非晶質固体、または結晶性及び非晶質固体の混合物を含む。一実施形態において、固体形態は、実質的に結晶性である。一実施形態において、固体形態は、結晶性である。
【0098】
いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1対溶媒(例えば、水)のモル比は、約10:1~約1:10の範囲である。いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1対溶媒(例えば、水)のモル比は、約5:1~約1:5の範囲である。いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1対溶媒(例えば、水)のモル比は、約3:1~約1:3の範囲である。いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1対溶媒(例えば、水)のモル比は、約2:1~約1:2の範囲である。一実施形態において、モル比は、約1:2(すなわち、ビス溶媒和物または二水和物)である。別の実施形態において、モル比は、約1:1(すなわち、モノ溶媒和物または一水和物)である。更に別の実施形態において、モル比は、約2:1(すなわち、ヘミ溶媒和物または半水和物)である。
【0099】
5.2.1.1 化合物1の形態1
一実施形態において、化合物1の形態1が、本明細書で提供される。化合物1の形態1の代表的なXRPDパターンは、
図1で提供される。
【0100】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、18.6、20.8、21.2、21.3、21.6、21.7、23.3、23.5、24.0、25.2、26.0、26.2、26.7、27.7、28.0及び29.6°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0101】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態(例えば、結晶性形態)であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0102】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態(例えば、結晶性形態)であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0103】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態(例えば、結晶性形態)であって、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0及び21.2°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)17.4及び21.3°2θでのピークを更に含む。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)12.0、12.2及び13.9°2θでのピークを更に含む。別の実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)21.6及び24.0°2θでのピークを更に含む。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)10.7、15.0、17.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θでのピークを含む。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)10.7、12.0、12.2、13.9、15.0、17.4、18.4、20.8、21.2、21.3、21.6、24.0及び25.2°2θでのピークを含む。
【0104】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図1に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0105】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0106】
形態1の代表的なDSCサーモグラムは、
図3で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DSCによって特徴付けられるように、約265℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、熱事象はまた、約267℃(例えば、±2°)のピーク温度を有する。一実施形態において、特定の理論によって拘束されることなく、熱事象は、融解に対応する。一実施形態において、固体形態は、
図3に示されるDSCサーモグラムと一致するDSCサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DSCサーモグラムは、DSCによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0107】
別の実施形態において、固体形態は、約270℃(例えば、±2°)での融点を有する。
【0108】
形態1のTGA/DSCサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図2で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約20℃から約200℃への加熱の際に重量損失を実質的に示さない、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約200℃(例えば、±2°)からの加熱の際に分解を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図2に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0109】
形態1の代表的なDVS等温線は、
図4で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約0%の相対湿度から約90%の相対湿度への相対湿度における増加に供されたときに、約0.25%(例えば、±0.05%)の重量増加を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図4に示されるDVS等温線と一致するDVS等温線を特徴とする。一実施形態において、DVS等温線は、約25℃で測定された場合のものである。
【0110】
形態1の代表的なFT-IRスペクトルは、
図5で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ1621、3523、3413(例えば、±5)cm
-1での共鳴を含むFT-IRスペクトルを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、FT-IRスペクトルは、1176、1400、1537、1621、3413及び3523(例えば、±5)cm
-1からなる群から選択されるおよそ少なくとも3つのピークでの共鳴を含む。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図5に示されるFT-IRスペクトルと一致するFT-IRスペクトルを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0111】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ、a=8.4Å、b=8.4Å、c=14.9Å、α=90°、β=106°及びγ=90°の単位胞寸法を有する、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、形態1は、およそ、a=8.43Å、b=8.44Å、c=14.91Å、α=90°、β=105.6°及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施形態において、形態1は、およそ、a=8.431Å、b=8.441Å、c=14.914Å、α=90°、β=105.55°及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施形態において、形態1は、P21の空間群の単位胞を有する。一実施形態において、形態1は、約1022.7Å3/胞の体積を有する。一実施形態において、形態1は、2のZ値を有する。一実施形態において、形態1は、約1.362g/cm3の密度を有する。
【0112】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、無水である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、化合物1の結晶性無水遊離塩基である。一実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。一実施形態において、固体形態は、化合物1の他の結晶性形態を実質的に含まない。一実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。一実施形態において、固体形態は、溶媒和していない。一実施形態において、1つ以上の残留溶媒(例えば、少量の酢酸エチル)が、固体形態において存在し得るが、残留溶媒は、化合物1の溶媒和物を形成しない。一実施形態において、固体形態は、実質的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約97%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約98%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約99%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、約約99.71%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、約99.9%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約98%(例えば、99%または99.5%)のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約約98.5%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約約99.0%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態は、少なくとも約約99.5%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態は、約99.9%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、固体形態(例えば、形態1)は、約100%のエナンチオマー純度を有する。一実施形態において、純度は、HPLCまたはキラルHPLC(%面積)によって決定される。
【0113】
一実施形態において、固体形態は、非吸湿性である。一実施形態において、固体形態は、40℃/75%のRH、25℃/60%のRH及び/または80℃での少なくとも7日間の貯蔵後に安定している。実施形態において、固体形態は、約100MPa及び/または約250MPaでの少なくとも約60秒間の圧縮に安定している。
【0114】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態1と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態1と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態1と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の形態7と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0115】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0116】
5.2.1.2 化合物1の形態2
一実施形態において、化合物1の形態2が、本明細書で提供される。化合物1の形態2の代表的なXRPDパターンは、
図7で提供される。
【0117】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、6.8、8.6、10.0、10.7、13.8、14.0、14.9、15.9、17.3、18.3、18.9、19.4、20.1、20.4、20.8、21.2、21.7、22.9、23.3、23.8、24.2、24.8、25.1及び30.4°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0118】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0119】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)8.6、14.0及び20.8°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)6.8及び13.8°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.0及び21.2°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)6.8、8.6、10.0、13.8、14.0、20.1、20.8、21.2及び22.9°2θでのピークを含む。
【0120】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図7に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0121】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0122】
形態2のTGA/DTAサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図8で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DTAによって特徴付けられるように、約98℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図8に示されるDTAサーモグラムと一致するDTAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約90℃から約130℃への加熱の際に、約9.8%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図8に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。
【0123】
形態2のTGA/DTAサーモグラムの別の代表的なオーバーレイは、
図9で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DTAによって特徴付けられるように、約96℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)及び/または約169℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(発熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、DTAサーモグラムを特徴とし、
図9に示されるものに実質的に従う。別の実施形態において、約50℃から約170℃への加熱の際に、約15.4%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図9に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。
【0124】
一実施形態において、DTAサーモグラムは、DTAによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0125】
形態2の代表的なDSCサーモグラムは、
図10で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DSCによって特徴付けられるように、約96℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、熱事象はまた、約99℃(例えば、±2°)のピーク温度を有する。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DSCによって特徴付けられるように、約168℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(発熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、熱事象はまた、約174℃(例えば、±2°)のピーク温度を有する。一実施形態において、固体形態は、
図10に示されるDSCサーモグラムと一致するDSCサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DSCサーモグラムは、DSCによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0126】
形態2の代表的なFT-IRスペクトルは、
図11で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図11に示されるFT-IRスペクトルと一致するFT-IRスペクトルを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0127】
いくつかの実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の他の固体形態(例えば、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。一実施形態において、固体形態は、非吸湿性である。
【0128】
一実施形態において、固体形態は、40℃/75%のRHまたは25℃/60%のRHでの少なくとも7日間の貯蔵後に安定している。一実施形態において、固体形態は、加熱の際に、形態変化をする。一実施形態において、固体形態は、約80℃で貯蔵された後に、形態変化をする。一実施形態において、形態変化は、化合物1の遊離塩基の形態7をもたらす。
【0129】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1対溶媒のモル比が、約1:0.5~約1:2の範囲である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.6~約1:1.35の範囲である。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.75~約1:1の範囲である。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.6である。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.9である。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:1.3である。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:1である。
【0130】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、等構造溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1の遊離塩基のメチルエチルケトン(MEK)溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1対MEKのモル比は、約1:0.6である。別の実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基のメチルt-ブチルエーテル溶媒和物である。一実施形態において、化合物1対メチルt-ブチルエーテルのモル比は、約1:0.9である。一実施形態において、化合物1対メチルt-ブチルエーテルのモル比は、約1:1.3である。別の実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基の1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、3-メチル-1-ブタノール、アセトン、シクロペンチルメチルエーテルまたはtアミルアルコール溶媒和物である。
【0131】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態2と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態2と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0132】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0133】
5.2.1.3 化合物1の形態3
一実施形態において、化合物1の形態3が、本明細書で提供される。化合物1の形態3の代表的なXRPDパターンは、
図12で提供される。
【0134】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、9.7、11.4、11.8、12.5、13.4、14.7、16.2、16.9、18.9、19.3、19.5、20.9、21.9、22.5、22.9、23.3及び24.3°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0135】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)9.7、11.4、13.4、16.2、18.9、19.5、20.9、22.5、22.9及び23.3°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)9.7、11.4、13.4、16.2、18.9、19.5、20.9、22.5、22.9及び23.3°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)9.7、11.4、13.4、16.2、18.9、19.5、20.9、22.5、22.9及び23.3°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0136】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)13.4、19.5及び20.9°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)11.4及び22.9°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)9.7及び16.2°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)9.7、11.4、13.4、16.2、18.9、19.5、20.9、22.5、22.9及び23.3°2θでのピークを含む。
【0137】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図12に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0138】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0139】
形態3のTGA/DTAサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図13で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DTAによって特徴付けられるように、約168℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図13に示されるDTAサーモグラムと一致するDTAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DTAサーモグラムは、DTAによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0140】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約100℃から約130℃への加熱の際に、約1.3%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図13に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0141】
いくつかの実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の他の固体形態(例えば、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。
【0142】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、等構造溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1対溶媒のモル比が、約1:0.2~約1:1の範囲である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基の水和物である。一実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基の半水和物である。別の実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基のメタノール溶媒和物である。更に別の実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基の酢酸イソプロピル溶媒和物である。
【0143】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態3と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態3と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0144】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0145】
5.2.1.4 化合物1の形態4
一実施形態において、化合物1の形態4が、本明細書で提供される。化合物1の形態4の代表的なXRPDパターンは、
図14で提供される。
【0146】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、7.5、7.6、10.8、12.0、12.1、12.7、12.8、15.0、15.7、18.4、19.0、19.3、19.7、20.0、21.4、21.8、21.9、22.0、22.8、23.9、24.1、24.3、24.8、25.1、25.7、29.1及び30.2°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0147】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)12.0、12.1、12.7、12.8、15.0、15.7、18.4、21.4、21.9、23.9及び24.3°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)12.0、12.1、12.7、12.8、15.0、15.7、18.4、21.4、21.9、23.9及び24.3°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)12.0、12.1、12.7、12.8、15.0、15.7、18.4、21.4、21.9、23.9及び24.3°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0148】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)12.1、12.7及び18.4°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)15.0及び21.9°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)23.9及び24.3°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)12.1、12.7、15.0、15.7、18.4、21.4、21.9、23.9及び24.3°2θでのピークを含む。
【0149】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図14に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0150】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0151】
形態4のTGA/DTAサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図15で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DTAによって特徴付けられるように、約135℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図15に示されるDTAサーモグラムと一致するDTAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DTAサーモグラムは、DTAによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0152】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約110℃から約145℃への加熱の際に、約9.0%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図15に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0153】
いくつかの実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の他の固体形態(例えば、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。
【0154】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1対溶媒のモル比が、約1:0.5~約1:1.5の範囲である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.8~約1:1.1の範囲である。一実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基のアセトニトリル溶媒和物である。一実施形態において、化合物1対アセトニトリルのモル比は、約1:0.9である。
【0155】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態4と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態4と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0156】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0157】
5.2.1.5 化合物1の形態5
一実施形態において、化合物1の形態5が、本明細書で提供される。化合物1の形態4の代表的なXRPDパターンは、
図16で提供される。
【0158】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、7.6、10.5、10.8、12.1、12.8、13.4、15.0、15.8、16.4、18.3、18.9、19.3、19.7、20.3、21.9、22.7、23.6、23.9及び28.9°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0159】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)7.6、10.5、10.8、12.1、12.8、15.0、15.8、19.7、21.9、22.7及び23.9°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)7.6、10.5、10.8、12.1、12.8、15.0、15.8、19.7、21.9、22.7及び23.9°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)7.6、10.5、10.8、12.1、12.8、15.0、15.8、19.7、21.9、22.7及び23.9°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0160】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)10.5、10.8及び21.9°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)12.1及び12.8°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)7.6及び15.0°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)7.6、10.5、10.8、12.1、12.8、15.0、15.8、19.7及び21.9°2θでのピークを含む。
【0161】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図16に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0162】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0163】
いくつかの実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の他の固体形態(例えば、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。
【0164】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1対溶媒のモル比が、約1:0.5~約1:1.5の範囲である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.6~約1:0.8の範囲である。一実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基のアセトニトリル溶媒和物である。一実施形態において、化合物1対アセトニトリルのモル比は、約1:0.7である。
【0165】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態5と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態5と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0166】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0167】
5.2.1.6 化合物1の形態6
一実施形態において、化合物1の形態6が、本明細書で提供される。化合物1の形態6の代表的なXRPDパターンは、
図17で提供される。
【0168】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、6.7、6.8、8.3、8.5、8.6、10.0、13.8、13.9、14.1、15.9、17.3、18.3、18.7、18.9、19.3、20.1、20.5、20.8、21.2、22.9、23.9、24.2、24.8、25.2及び26.8°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0169】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)8.4、8.6、10.0、15.9、18.7、20.5、20.8、21.2及び22.9°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)8.4、8.6、10.0、15.9、18.7、20.5、20.8、21.2及び22.9°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)8.4、8.6、10.0、15.9、18.7、20.5、20.8、21.2及び22.9°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0170】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)8.6、18.7及び20.5°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)15.9及び20.8°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.0及び14.1°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)8.6、10.0、15.9、18.7、20.5、20.8、21.2及び22.9°2θでのピークを含む。
【0171】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図17に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0172】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0173】
形態6のTGA/DTAサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図18で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DTAによって特徴付けられるように、約126℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図18に示されるDTAサーモグラムと一致するDTAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DTAサーモグラムは、DTAによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0174】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約25℃から約50℃への加熱の際に、約13.1%の重量損失を示し、及び/または約115℃から約155℃への加熱の際に、約12.1%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図18に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0175】
いくつかの実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1の遊離塩基の結晶性溶媒和物である、固体形態が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の他の固体形態(例えば、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。
【0176】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、化合物1対溶媒のモル比が、約1:0.2~約1:1.5の範囲である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1対溶媒のモル比は、約1:0.5~約1:1.3の範囲である。一実施形態において、固体形態は、化合物1の遊離塩基の1,4-ジオキサン溶媒和物である。一実施形態において、化合物1対1,4-ジオキサンのモル比は、約1:0.7である。別の実施形態において、化合物1対1,4-ジオキサンのモル比は、約1:1.2である。
【0177】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態6と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態6と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0178】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0179】
5.2.1.7 化合物1の形態7
一実施形態において、化合物1の形態7が、本明細書で提供される。化合物1の形態7の代表的なXRPDパターンは、
図19で提供される。
【0180】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、9.5、9.7、11.1、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、16.2、16.9、18.4、18.8、19.3、19.5、20.9、21.5、22.5、22.8、23.2、24.9、25.1及び29.5°2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0181】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)9.5、9.7、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)9.5、9.7、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)9.5、9.7、11.4、12.3、12.5、13.4、14.6、14.7、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0182】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)12.5、13.4及び14.6°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)20.9及び22.8°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)11.4及び15.8°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)9.5、11.4、12.5、13.4、14.6、15.8、20.9、22.8及び23.2°2θでのピークを含む。
【0183】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図19に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0184】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0185】
形態7の代表的なDSCサーモグラムは、
図20で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、DSCによって特徴付けられるように、約278℃(例えば、±2°)の開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、熱事象はまた、約280℃(例えば、±2°)のピーク温度を有する。一実施形態において、特定の理論によって拘束されることなく、熱事象は、融解に対応する。一実施形態において、固体形態は、
図20に示されるDSCサーモグラムと一致するDSCサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DSCサーモグラムは、DSCによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0186】
形態7の代表的なDVS等温線は、
図21で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、約0%の相対湿度から約90%の相対湿度への相対湿度における増加に供されたときに、約0.27%(例えば、±0.05%)の重量増加を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図21に示されるDVS等温線と一致するDVS等温線を特徴とする。一実施形態において、DVS等温線は、約25℃で測定された場合のものである。
【0187】
形態7の代表的なFT-IRスペクトルは、
図22で提供される。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ3386及び3489(例えば、±5)cm
-1での共鳴を含むFT-IRスペクトルを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、FT-IRスペクトルは、およそ1461、1584、1619、3386及び3489(例えば、±5)cm
-1群から選択される少なくとも3つの共鳴を含む。一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、
図22に示されるFT-IRスペクトルと一致するFT-IRスペクトルを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0188】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、およそ、a=8.0Å、b=14.8Å、c=18.0Å、α=90°、β=90°及びγ=90°の単位胞寸法を有する、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ、a=7.95Å、b=14.8Å、c=18.0Å、α=90°、β=90°及びγ=90°の単位胞寸法を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ、a=7.954Å、b=14.82Å、c=18.02Å、α=90°、β=90°及びγ=90°の単位胞寸法を有する。一実施形態において、固体形態は、P212121の空間群の単位胞を有する。一実施形態において、固体形態は、約2124.1Å3/胞の体積を有する。一実施形態において、固体形態は、4のZ値を有する。一実施形態において、固体形態は、約1.312g/cm3の密度を有する。
【0189】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基を含む固体形態であって、無水である、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、化合物1の結晶性無水遊離塩基である。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の他の固体形態(すなわち、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、化合物1の塩を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、1つ以上の残留溶媒(例えば、少量の酢酸エチル)が、固体形態において存在し得るが、残留溶媒は、化合物1の溶媒和物を形成しない。いくつかの実施形態において、固体形態は、溶媒和していない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。
【0190】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態7と、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、遊離塩基化合物1の形態7と、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0191】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0192】
5.2.2.化合物1の固体形態を調製するプロセス
一実施形態において、式(I)の化合物の形態1を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態1固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態1固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態1に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態1を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0193】
一実施形態において、溶媒は、2-MeTHF、酢酸イソプロピル、アセトン、アニソール、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトンまたはそれらの混合物である。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルである。一実施形態において、貧溶媒は、水である。一実施形態において、貧溶媒は、非極性有機溶媒である。一実施形態において、非極性有機溶媒は、炭化水素溶媒である。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:2~約1:6である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:3~約1:5である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:4である。一実施形態において、貧溶媒は、溶媒に、室温超の温度で添加される。一実施形態において、貧溶媒は、約30℃~約60℃の温度で添加される。一実施形態において、温度は、約50℃である。
【0194】
本明細書で使用される場合、全ての溶媒比は、体積比を意味する。
【0195】
一実施形態において、非形態1固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態1固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態1固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、アルコールである。一実施形態において、溶媒は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、エタノールまたはtアミルアルコールである。一実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸ブチル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトンまたは酢酸メチルである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルである。一実施形態において、溶媒系は、2つの溶媒の混合物を含む。一実施形態において、溶媒系は、2つの溶媒の混合物である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、1-ブタノール及びヘプタンの混合物、1-プロパノール及びヘプタンの混合物、2-MeTHF及びヘプタンの混合物、2-プロパノール及びヘプタンの混合物、エタノール及び水の混合物、アセトン及び水の混合物、酢酸ブチル及びヘプタンの混合物、ジメチルスルホキシド及び水の混合物、酢酸エチル及びヘプタンの混合物、酢酸イソプロピル及びヘプタンの混合物、またはメチルエチルケトン及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、1-ブタノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、1-ブタノール対ヘプタンの体積比は、約1:10~約1:5である。一実施形態において、1-ブタノール対ヘプタンの体積比は、約2:9である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、1-プロパノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、1-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:5~約1:2である。一実施形態において、1-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:4である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、2-MeTHF及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2-MeTHF対ヘプタンの体積比は、約1:3~約1:3である。一実施形態において、2-MeTHF対ヘプタンの体積比は、約1:1である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、2-プロパノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:5~約1:2である。一実施形態において、2-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、98.5%のエタノール/1.5%の水及び水の混合物である。一実施形態において、98.5%のエタノール/1.5%の水対水の体積比は、約1:6~約1:2である。一実施形態において、98.5%のエタノール/1.5%の水対水の体積比は、約2:5である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、アセトン及び水の混合物である。一実施形態において、アセトン対水の体積比は、約1:3~約2:1である。一実施形態において、アセトン対水の体積比は、約1:1である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、酢酸ブチル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、酢酸ブチルとヘプタンとの体積比は、約1:4~約2:1である。一実施形態において、酢酸ブチルとヘプタンとの体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、ジメチルスルホキシド及び水の混合物である。一実施形態において、ジメチルスルホキシドと水との体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、ジメチルスルホキシドと水との体積比は、約1:2である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、エタノール及び水の混合物である。一実施形態において、エタノールと水との体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、エタノールと水との体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、酢酸エチル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、酢酸エチルとヘプタンとの体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、酢酸エチルとヘプタンとの体積比は、約1:2である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、酢酸イソプロピル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、酢酸イソプロピルとヘプタンとの体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、酢酸イソプロピルとヘプタンとの体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、メチルエチルケトン及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、メチルエチルケトンとヘプタンとの体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、メチルエチルケトンとヘプタンとの体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、エタノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、エタノールとヘプタンとの体積比は、約1:10~約1:5である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、アセトン及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、エタノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、アセトンとヘプタンとの体積比は、約1:10~約1:5である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、テトラヒドロフラン及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、エタノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、テトラヒドロフランとヘプタンとの体積比は、約1:10~約1:5である。
【0196】
一実施形態において、非形態1固体形態は、式(I)の化合物の非晶質固体形態である。一実施形態において、非形態1固体形態は、式(I)の化合物の形態2~形態7のうちのいずれか1つである。一実施形態において、非形態1固体形態は、形態6である。一実施形態において、非形態1固体形態は、形態7である。一実施形態において、非形態1固体形態の総量の少なくとも約50%を形態1に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0197】
式(I)の化合物の形態1は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され得、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0198】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態1は、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の溶媒から結晶化または再結晶化することによって調製される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、アルコールである。一実施形態において、溶媒は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、エタノールまたはtアミルアルコールである。一実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸ブチル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、トルエンまたは酢酸メチルである。
【0199】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態1は、式(I)の化合物を、2つの溶媒の混合物を含む溶媒から結晶化または再結晶化することによって調製される。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、1-ブタノール及びヘプタンの混合物、1-プロパノール及びヘプタンの混合物、2-MeTHF及びヘプタンの混合物、2-プロパノール及びヘプタンの混合物、エタノール及び水の混合物、アセトン及び水の混合物、酢酸ブチル及びヘプタンの混合物、ジメチルスルホキシド及び水の混合物、酢酸エチル及びヘプタンの混合物、酢酸イソプロピル及びヘプタンの混合物、またはメチルエチルケトン及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、1-ブタノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、1-ブタノール対ヘプタンの体積比は、約1:10~約1:5である。一実施形態において、1-ブタノール対ヘプタンの体積比は、約2:9である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、1-プロパノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、1-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:5~約1:2である。一実施形態において、1-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:4である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、2-MeTHF及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2-MeTHF対ヘプタンの体積比は、約1:3~約1:3である。一実施形態において、2-MeTHF対ヘプタンの体積比は、約1:1である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、2-プロパノール及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、2-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:5~約1:2である。一実施形態において、2-プロパノール対ヘプタンの体積比は、約1:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、98.5%のエタノール/1.5%の水及び水の混合物である。一実施形態において、98.5%のエタノール/1.5%の水対水の体積比は、約1:6~約1:2である。一実施形態において、98.5%のエタノール/1.5%の水対水の体積比は、約2:5である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、アセトン及び水の混合物である。一実施形態において、アセトン対水の体積比は、約1:3~約2:1である。一実施形態において、アセトン対水の体積比は、約1:1である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、酢酸ブチル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、酢酸ブチルとヘプタンとの体積比は、約1:4~約2:1である。一実施形態において、酢酸ブチルとヘプタンとの体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、ジメチルスルホキシド及び水の混合物である。一実施形態において、ジメチルスルホキシドと水との体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、ジメチルスルホキシドと水との体積比は、約1:2である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、エタノール及び水の混合物である。一実施形態において、エタノールと水との体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、エタノールと水との体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、酢酸エチル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、酢酸エチルとヘプタンとの体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、酢酸エチルとヘプタンとの体積比は、約1:2である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、酢酸イソプロピル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、酢酸イソプロピルとヘプタンとの体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、酢酸イソプロピルとヘプタンとの体積比は、約2:3である。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、メチルエチルケトン及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、メチルエチルケトンとヘプタンとの体積比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、メチルエチルケトンとヘプタンとの体積比は、約2:3である。
【0200】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態1は、本明細書で提供される実験に記載されるように結晶化または再結晶化によって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷または衝突冷却を含むが、これらに限定されない。
【0201】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態1を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物を溶媒中に溶解することと、
(ii)貧溶媒を添加することと、
(iii)当該形態1を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0202】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態1は、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、2-MeTHF、酢酸イソプロピル、アセトン、アニソール、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトンまたはそれらの混合物から、貧溶媒の添加によって結晶化または再結晶化することによって調製される。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルである。一実施形態において、貧溶媒は、水である。一実施形態において、貧溶媒は、非極性有機溶媒である。一実施形態において、非極性有機溶媒は、炭化水素溶媒である。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:2~約1:6である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:3~約1:5である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:4である。一実施形態において、貧溶媒は、溶媒に、室温超の温度で添加される。一実施形態において、貧溶媒は、約30℃~約60℃の温度で添加される。一実施形態において、温度は、約50℃である。
【0203】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態2を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態2固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態2固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態2に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態2を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0204】
一実施形態において、非形態2固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態2固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態2固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、MTBE、MEK、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、3-メチル-1-ブタノールアセトン、シクロペンチルメチルエーテルまたはtアミルアルコールである。一実施形態において、溶媒は、MEKである。一実施形態において、溶媒は、MTBEである。一実施形態において、溶媒は、1-ブタノールである。一実施形態において、非形態2固体形態は、式(I)の化合物の非晶質形態である。一実施形態において、非形態2固体形態の総量の少なくとも約50%を形態2に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0205】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態2は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0206】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態2は、1-ブタノールからの蒸発によって得られる。一実施形態において、式(I)の化合物の形態2は、MTBE中の非晶質化合物1のスラリーを、インキュベータシェーカーにおいて温度サイクルに供することによって調製される。いくつかの実施形態において、温度サイクルは、周囲温度~約30~60℃の高温で行われる。いくつかの実施形態において、温度サイクルは、約2~約6時間の間隔で、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超の期間にわたって行われる。一実施形態において、式(I)の化合物の形態2は、MTBE中の非晶質化合物1のスラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~約40℃の温度で、約4時間の間隔で、約24時間の期間にわたって温度サイクルに供することによって調製される。
【0207】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態3を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態3固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態3固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態3に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態3を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0208】
一実施形態において、非形態3固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態3固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態3固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、水である。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、メタノールまたは酢酸イソプロピルである。一実施形態において、2つの溶媒の混合物は、アセトニトリル及びヘプタンの混合物である。一実施形態において、非形態3固体形態は、式(I)の化合物の非晶質形態である。一実施形態において、非形態3固体形態の総量の少なくとも約50%を形態3に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0209】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態3は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0210】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態4を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態4固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態4固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態4に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態4を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0211】
一実施形態において、非形態4固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態4固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態4固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、アセトニトリルである。一実施形態において、非形態4固体形態は、式(I)の化合物の非晶質形態である。一実施形態において、非形態4固体形態の総量の少なくとも約50%を形態4に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0212】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態4は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0213】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態4は、ヘプタン貧溶媒を、非晶質化合物1及びアセトニトリルを含む組成物に添加することから得られる。一実施形態において、式(I)の化合物の形態4は、アセトニトリル中の非晶質化合物1のスラリーを、インキュベータシェーカーにおいて温度サイクルに供することによって調製される。いくつかの実施形態において、温度サイクルは、周囲温度~約30~60℃の高温で行われる。いくつかの実施形態において、温度サイクルは、約2~約6時間の間隔で、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超の期間にわたって行われる。一実施形態において、式(I)の化合物の形態4は、アセトニトリル中の非晶質化合物1のスラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~約40℃の温度で、約4時間の間隔で、約72時間の期間にわたって温度サイクルに供することによって調製される。
【0214】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態5を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態5固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態5固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態5に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態5を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0215】
一実施形態において、非形態5固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態5固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態5固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、アセトニトリルである。一実施形態において、非形態5固体形態は、式(I)の化合物の非晶質形態である。一実施形態において、非形態5固体形態の総量の少なくとも約50%を形態5に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0216】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態5は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0217】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の形態5は、アセトニトリル中の非晶質化合物1の溶媒滴下粉砕から得られる。一実施形態において、式(I)の化合物の形態6を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態6固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態6固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態6に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態6を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0218】
一実施形態において、非形態6固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態6固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態6固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、1,4-ジオキサンである。一実施形態において、非形態6固体形態は、式(I)の化合物の非晶質形態である。一実施形態において、非形態6固体形態の総量の少なくとも約50%を形態6に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0219】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態6は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0220】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態6は、1,4-ジオキサン中の非晶質化合物1のスラリーを、インキュベータシェーカーにおいて温度サイクルに供することによって調製される。いくつかの実施形態において、温度サイクルは、周囲温度~約30~60℃の高温で行われる。いくつかの実施形態において、温度サイクルは、約2~約6時間の間隔で、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超の期間にわたって行われる。一実施形態において、式(I)の化合物の形態6は、1,4-ジオキサン中の非晶質化合物1のスラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~約40℃の温度で、約4時間の間隔で、約72時間の期間にわたって温度サイクルに供することによって調製される。
【0221】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態7を調製するためのプロセスであって、
(i)式(I)の化合物の少なくとも1つの非形態7固体形態を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、非形態7固体形態(複数可)の総量の少なくとも約50%を形態7に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該形態7を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0222】
一実施形態において、非形態7固体形態は、1つの溶媒に曝露される。一実施形態において、非形態7固体形態は、2つの溶媒の混合物に曝露される。一実施形態において、非形態7固体形態は、1つ以上の溶媒に曝露される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、2-ブタノール及びオクタンの混合物、メチルイソブチルケトン及びオクタンの混合物、酢酸イソプロピル及びオクタンの混合物、または1,2-ジメトキシエタン及びオクタンの混合物である。一実施形態において、非形態7固体形態は、形態1である。一実施形態において、非形態7固体形態の総量の少なくとも約50%を形態7に変換するのに十分な期間は、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間または121時間超である。
【0223】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態7は、式(I)の化合物を含む組成物を、1つ以上の溶媒に、本明細書で提供される実験に記載されるように曝露することによって調製され、実験は、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。
【0224】
一実施形態において、式(I)の化合物の形態7は、形態1を溶媒中で高温でスラリー化することによって調製される。一実施形態において、溶媒は、2-ブタノール及びオクタンの混合物、メチルイソブチルケトン及びオクタンの混合物、酢酸イソプロピル及びオクタンの混合物、または1,2-ジメトキシエタン及びオクタンの混合物である。一実施形態において、温度は、約60℃超である。一実施形態において、温度は、約60℃である。一実施形態において、温度は、約80℃超またはそれ以上である。一実施形態において、温度は、約80℃である。
【0225】
また、式(I)の化合物の形態7を調製するプロセスが、本明細書で提供され、プロセスは、形態1の固体形態を、任意選択で、真空下で加熱して、形態6にすることを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の形態7は、形態2を反応容器において真空下で加熱することによって調製される。いくつかの実施形態において、反応容器は、ガラスバイアルであり、形態2は、バイアル壁のうちの1つ上に、大きい表面積を有するように広げて適用されて、均質な脱溶媒和を促進する。いくつかの実施形態において、真空圧は、約2mbar~約50mbarである。いくつかの実施形態において、真空圧は、約10mbarである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の形態7は、形態2を真空下で約200℃~約300℃の反応温度で加熱することによって調製される。いくつかの実施形態において、反応温度は、約250℃である。いくつかの実施形態において、反応容器は、反応温度で約3~約10分の時間にわたって維持される。いくつかの実施形態において、時間は、約6分である。いくつかの実施形態において、反応温度は、反応容器を約10℃/分~約30℃/分の速度で加熱することによって到達される。いくつかの実施形態において、速度は、約20℃/分である。いくつかの実施形態において、反応容器が、真空下で所望の時間にわたって加熱された後に、反応容器及び/または反応容器内に収容された固体は、活発に冷却される。いくつかの実施形態において、活発な冷却は、湿ったタオルの使用を含む。
【0226】
5.2.3.式(I)の化合物の塩
ある特定の実施形態において、式(I)の化合物の塩を含む固体形態が、本明細書で提供される。
【化8】
【0227】
化合物1対化合物1の塩の対イオンのモル比は、約1:1、約1:2、約1:3または約1:4であり得る。一実施形態において、化合物1対対イオンのモル比は、約1:1である。一実施形態において、化合物1対対イオンのモル比は、約1:2である。一実施形態において、化合物1対対イオンのモル比は、約1:3である。一実施形態において、化合物1対対イオンのモル比は、約1:4である。
【0228】
一実施形態において、対イオンは、クロリド、リン酸、ベシル酸、メシル酸、クエン酸またはマレイン酸である。一実施形態において、化合物1の塩は、化合物1のベシル酸塩である。一実施形態において、化合物1の塩は、化合物1のリン酸塩である。
【0229】
一実施形態において、化合物1の塩を含む固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の塩を含む非溶媒和固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の塩を含む無水固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の塩を含む溶媒和固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1の塩を含む水和物固体形態が、本明細書で提供される。
【0230】
化合物1の塩は、様々な固体形態において存在することができることが企図される。このような固体形態は、結晶性固体、または結晶性及び非晶質固体の混合物を含む。一実施形態において、固体形態は、実質的に結晶性である。一実施形態において、固体形態は、結晶性である。
【0231】
いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1の塩対溶媒(例えば、水)のモル比は、約10:1~約1:10の範囲である。いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1の塩対溶媒(例えば、水)のモル比は、約5:1~約1:5の範囲である。いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1の塩対溶媒(例えば、水)のモル比は、約3:1~約1:3の範囲である。いくつかの実施形態において、固体形態における化合物1の塩対溶媒(例えば、水)のモル比は、約2:1~約1:2の範囲である。一実施形態において、モル比は、約1:1(すなわち、モノ溶媒和物または一水和物)である。
【0232】
5.2.3.1 化合物1のベシル酸塩の形態A
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩の形態Aが、本明細書で提供される。化合物1のベシル酸塩の形態Aの代表的なXRPDパターンは、
図24で提供される。
【0233】
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、4.6、10.7、11.5、14.6、15.0、17.9、19.4、20.4、21.0、21.3、21.4、23.0、23.4及び25.7 2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0234】
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)4.6、10.7、11.5、14.6、15.0、17.9、19.4、21.0、21.4、23.0及び25.7 2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)4.6、10.7、11.5、14.6、15.0、17.9、19.4、21.0、21.4、23.0及び25.7 2θからなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)4.6、10.7、11.5、14.6、15.0、17.9、19.4、21.0、21.4、23.0及び25.7 2θからなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0235】
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)15.0、17.9及び23.0°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.7及び14.6°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)4.6及び25.7°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)4.6、10.7、11.5、14.6、15.0、17.9、21.4、23.0及び25.7°2θでのピークを含む。
【0236】
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、
図24に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0237】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0238】
化合物1のベシル酸塩の形態AのTGA/DSCサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図25で提供される。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、約25℃から約125℃への加熱の際に、約2.8%の重量損失を示し、及び/または約125℃から約275℃への加熱の際に、約1.2%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、約25℃(例えば、±2°)からの加熱の際に分解を示し、及び/または約125℃(例えば、±2°)からの加熱の際に分解を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図25に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0239】
化合物1のベシル酸塩の形態Aの代表的なDSCサーモグラムは、
図26で提供される。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、DSCによって特徴付けられるように、約128℃(例えば、±2°)での開始温度を有する熱事象(吸熱)を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、熱事象はまた、約136℃(例えば、±2°)のピーク温度を有する。一実施形態において、特定の理論によって制限されることなく、熱事象は、融解に対応する。一実施形態において、固体形態は、
図26に示されるDSCサーモグラムと一致するDSCサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、DSCサーモグラムは、DSCによって、約10℃/分の走査速度を使用して測定された場合のものである。
【0240】
化合物1のベシル酸塩の形態Aの代表的なDVS等温線は、
図27で提供される。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態であって、約0%の相対湿度から約90%の相対湿度への相対湿度における増加に供されたときに、約2%(例えば、±0.05%)の重量増加を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、
図27に示されるDVS等温線と一致するDVS等温線を特徴とする。一実施形態において、DVS等温線は、約25℃で測定された場合のものである。
【0241】
いくつかの実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、化合物1のモノベシル酸塩である。一実施形態において、固体形態は、化合物1のベシル酸塩の水和物である。一実施形態において、固体形態は、化合物1のベシル酸塩の一水和物である。
【0242】
一実施形態において、固体形態は、化合物1のベシル酸塩を含む結晶性固体形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1及び/または化合物1の塩の非晶質形態を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、化合物1のベシル酸塩を含む固体形態は、化合物1の他の固体形態(すなわち、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。
【0243】
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩の形態Aと、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩の形態Aと、化合物1の非晶質ベシル酸塩と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩の形態Aと、化合物1のベシル酸塩の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0244】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0245】
5.2.3.2 化合物1のリン酸塩の形態A
一実施形態において、化合物1のリン酸塩の形態Aが、本明細書で提供される。化合物1のリン酸塩の形態Aの代表的なXRPDパターンは、
図28で提供される。
【0246】
一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態であって、XRPDピークのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個または全てが、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、2θ±0.2度)、以下の位置、10.8、14.2、15.0、15.9、17.7、18.5、19.4、20.1、20.7、21.6、22.3、24.1、24.8及び25.8 2θに位置することを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの3つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの5つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの7つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの9つを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの11個を特徴とする。一実施形態において、固体形態は、ピークのうちの全てを特徴とする。
【0247】
一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態であって、Cu Kα放射線を使用して測定されたときに、およそ(例えば、±0.2°)10.8、14.2、15.0、15.9、17.7、18.5、19.4、22.3、24.1、24.8及び25.8からなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.8、14.2、15.0、15.9、17.7、18.5、19.4、22.3、24.1、24.8及び25.8からなる群から選択される少なくとも4つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)10.8、14.2、15.0、15.9、17.7、18.5、19.4、22.3、24.1、24.8及び25.8からなる群から選択される少なくとも5つのピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0248】
一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態であって、およそ(例えば、±0.2°)10.8、18.5及び24.8°2θでのピークを含むXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)22.3及び24.1°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、固体形態は、およそ(例えば、±0.2°)14.2及び17.7°2θでのピークを更に含むXRPDパターンを特徴とする。一実施形態において、XRPDパターンは、およそ(例えば、±0.2°)10.8、14.2、15.9、17.7、18.5、22.3、24.1及び24.8°2θでのピークを含む。
【0249】
一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態であって、
図28に示されるXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする、固体形態が、本明細書で提供される。
【0250】
一実施形態において、本明細書に記載されるXRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して得られる。一実施形態において、XRPDパターンは、XRPDによって、1.5406Åの波長を有するKα1放射線及び1.5444Åの波長を有するKα2放射線を含むCu Kα放射線を使用して測定され、Kα1:Kα2比は、0.5である。
【0251】
化合物1のリン酸塩の形態AのTGA/DSCサーモグラムの代表的なオーバーレイは、
図29で提供される。一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態であって、約25℃から約175℃への加熱の際に、約5.8%の重量損失を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態であって、約25℃(例えば、±2°)からの加熱の際に分解を示す、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態は、
図29に示されるTGAサーモグラムと一致するTGAサーモグラムを特徴とする。一実施形態において、TGAサーモグラムは、約10℃/分の加熱速度を使用して測定された場合のものである。
【0252】
いくつかの実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、固体形態は、単一リン酸対イオンを含む。一実施形態において、固体形態は、化合物1のリン酸塩の水和物である。一実施形態において、固体形態は、化合物1のリン酸塩の溶媒和物である。
【0253】
一実施形態において、固体形態は、化合物1のリン酸塩を含む結晶性固体形態である。いくつかの実施形態において、固体形態は、非晶質化合物1及び/または化合物1の塩の非晶質形態を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、化合物1のリン酸塩を含む固体形態は、化合物1の他の固体形態(例えば、結晶性形態)を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に純粋として提供される。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に化学的に純粋である。いくつかの実施形態において、固体形態は、実質的に物理的に純粋である。
【0254】
一実施形態において、化合物1のリン酸塩の形態Aと、化合物1の非晶質遊離塩基と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のリン酸塩の形態Aと、化合物1の非晶質リン酸塩と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。一実施形態において、化合物1のリン酸塩の形態Aと、化合物1のリン酸塩の1つ以上の他の結晶性形態と、を含む、固体形態が、本明細書で提供される。
【0255】
上記の実施形態の組み合わせのうちの全ては、本出願によって包含される。
【0256】
5.2.4.化合物1の塩の固体形態を調製するプロセス
化合物1の固体形態を調製するプロセスであって、固体形態が、化合物1のベシル酸塩の固体形態であり、プロセスが、
(i)化合物1を含む組成物を、1つ以上の溶媒中のベンゼンスルホン酸に、化合物1の総量の少なくとも約50%を化合物1のベシル酸塩の固体形態に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該固体形態を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0257】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態1は、1つ以上の溶媒中のベンゼンスルホン酸に曝露される。一実施形態において、非晶質化合物1は、1つ以上の溶媒中のベンゼンスルホン酸に曝露される。一実施形態において、主に非晶質の化合物1は、1つ以上の溶媒中のベンゼンスルホン酸に曝露される。一実施形態において、化合物1は、ベンゼンスルホン酸水溶液に曝露される。一実施形態において、ベンゼンスルホン酸溶液は、約0.1M~5Mのベンゼンスルホン酸の濃度を有する。一実施形態において、ベンゼンスルホン酸溶液は、1Mのベンゼンスルホン酸の濃度を有する。一実施形態において、化合物1は、約0.8~約1.3モル当量のベンゼンスルホン酸に曝露される。一実施形態において、化合物1は、約1.1モル当量のベンゼンスルホン酸に曝露される。一実施形態において、ベンゼンスルホン酸は、1つ以上の溶媒中の化合物1に添加される。一実施形態において、化合物1は、溶媒中に溶解される。一実施形態において、化合物1は、溶媒中に、約10~約200mg/mlの化合物1の濃度で溶解される。一実施形態において、化合物1は、溶媒中に、約100mg/mlの化合物1の濃度で溶解される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、アルコールである。一実施形態において、溶媒は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、エタノールまたはtアミルアルコールである。一実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸ブチル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトンまたは酢酸メチルである。一実施形態において、溶媒は、2-MeTHFである。一実施形態において、化合物1を含む組成物は、1つ以上の溶媒中のベンゼンスルホン酸への曝露後に撹拌される。一実施形態において、化合物1の総量の少なくとも約50%を化合物1のベシル酸塩の固体形態に変換するのに十分な期間は、1時間、約1時間、約2時間、約5時間、約10時間、約12時間、約20時間、約24時間、約30時間、約40時間、約48時間、約72時間、約97時間、約121時間未満または121時間超である。
【0258】
一実施形態において、化合物1のベシル酸塩の固体形態を調製するプロセスは、化合物1を含む組成物をベンゼンスルホン酸に曝露した後に、溶媒から結晶化または再結晶化するステップを更に含む。一実施形態において、結晶化または再結晶化ステップは、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、化合物1のベシル酸塩の固体形態を調製するプロセスは、化合物1を含む組成物をベンゼンスルホン酸に曝露した後に、溶媒を蒸発させるステップを更に含む。一実施形態において、プロセスは、2-MeTHF溶媒を蒸発させるステップを含む。
【0259】
化合物1の固体形態を調製するプロセスであって、固体形態が、化合物1のリン酸塩の固体形態であり、プロセスが、
(i)化合物1を含む組成物を、1つ以上の溶媒中のリン酸に、化合物1の総量の少なくとも約50%を化合物1のリン酸塩の固体形態に変換するのに十分な期間にわたって曝露することと、
(ii)当該固体形態を回収することと、を含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0260】
一実施形態において、化合物1の遊離塩基の形態1は、1つ以上の溶媒中のリン酸に曝露される。一実施形態において、非晶質化合物1は、1つ以上の溶媒中のリン酸に曝露される。一実施形態において、主に非晶質の化合物1は、1つ以上の溶媒中のリン酸に曝露される。一実施形態において、化合物1は、リン酸水溶液に曝露される。一実施形態において、リン酸溶液は、約0.1M~15Mのリン酸の濃度を有する。一実施形態において、リン酸溶液は、1Mのリン酸の濃度を有する。一実施形態において、化合物1は、約0.8~約1.3モル当量のリン酸に曝露される。一実施形態において、化合物1は、約1.1モル当量のリン酸に曝露される。一実施形態において、リン酸は、1つ以上の溶媒中の化合物1に添加される。一実施形態において、化合物1は、溶媒中に溶解される。一実施形態において、化合物1は、溶媒中に、約10~約200mg/mlの化合物1の濃度で溶解される。一実施形態において、化合物1は、溶媒中に、約100mg/mlの化合物1の濃度で溶解される。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、アルコールである。一実施形態において、溶媒は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、エタノールまたはtアミルアルコールである。一実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、酢酸ブチル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトンまたは酢酸メチルである。一実施形態において、溶媒は、2-MeTHFである。一実施形態において、化合物1を含む組成物は、1つ以上の溶媒中のリン酸への曝露後に撹拌される。一実施形態において、化合物1の総量の少なくとも約50%を化合物1のリン酸塩の固体形態に変換するのに十分な期間は、1時間未満、約1時間未満、約2時間未満、約5時間未満、約10時間未満、約12時間未満、約20時間未満、約24時間未満、約30時間未満、約40時間未満、約48時間未満、約72時間未満、約97時間未満、約121時間未満または121時間超である。
【0261】
一実施形態において、化合物1のリン酸塩の固体形態を調製するプロセスは、化合物1を含む組成物をリン酸に曝露した後に、溶媒から結晶化または再結晶化するステップを更に含む。一実施形態において、結晶化または再結晶化ステップは、蒸発、貧溶媒添加、徐冷、衝突冷却、温度サイクルまたは溶媒滴下粉砕を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、化合物1のリン酸塩の固体形態を調製するプロセスは、化合物1を含む組成物をリン酸に曝露した後に、溶媒を蒸発させるステップを更に含む。一実施形態において、プロセスは、2-MeTHF溶媒を蒸発させるステップを含む。
【0262】
5.3 化合物1の調製のためのプロセス
ある特定の実施形態において、式(I)の化合物、
【化9】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するプロセスであって、
(ステップ1.0)式(II)の化合物、
【化10】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を環化させて、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を提供することを含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0263】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、塩基は、有機塩基である。いくつかの実施形態において、有機塩基は、カルボン酸塩基である。いくつかの実施形態において、カルボン酸塩基は、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ピバル酸リチウム、ピバル酸ナトリウム、ピバル酸カリウム、酢酸セシウムまたはピバル酸セシウムである。一実施形態において、塩基は、酢酸カリウムである。一実施形態において、塩基は、ピバル酸カリウムである。
【0264】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対塩基のモル比は、約1:2~約1:6である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対塩基のモル比は、約1:5である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対塩基のモル比は、約1:3である。
【0265】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、触媒前駆体の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、触媒前駆体は、パラジウム源を含む。いくつかの実施形態において、パラジウム源は、Pd-G3、Pd2(dba)3、PdCl2(MeCN)2、Pd(OAc)2、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、PdCl2(PCy3)2、PdCl2(dtbpf)、PdCl2(dppf)、PdCl2(Amphos)、{Pd(μ-Br)[P(tBu)3]}2、PdCl2[P(Cy)3]2、Pd[P(tBu)3]2、PdCl2(dtbpf)、Pd[P(Cy)3]2またはPdCl2[P(tBu)(Cy)2]2である。一実施形態において、パラジウム源は、Pd(OAc)2である。一実施形態において、触媒前駆体は、Pd(OAc)2を含む。いくつかの実施形態において、触媒前駆体は、リガンドを含む。いくつかの実施形態において、リガンドは、ホスフィンリガンドまたはビスホスフィンリガンドである。いくつかの実施形態において、リガンドは、当該技術分野で一般的に使用されるホスフィンまたはビスホスフィンリガンドである。一実施形態において、リガンドは、cataCXiumリガンドである。一実施形態において、cataCXiumリガンドは、cataCXium A、cataCXium ABn、cataCXium AHI、cataCXium PIntB、cataCXium PICy、cataCXium PtB、cataCXium POmeBまたはcataCXium Cである。一実施形態において、cataCXiumリガンドは、cataCXium Aである。一実施形態において、触媒前駆体は、cataCXium Aを含む。一実施形態において、cataCXium Aの使用は、ステップ1.0における改善された変換をもたらす。いくつかの実施形態において、触媒前駆体は、パラジウム源及びリガンドを含む。いくつかの実施形態において、触媒前駆体及びリガンドは、予め形成されたパラジウムリガンド錯体、例えば、cataCXium A Pd G2、cataCXium A Pd G3またはビス(ブチルジ-1-アダマンチルホスフィン)パラジウムジアセテートである。一実施形態において、触媒前駆体は、Pd(OAc)2及びcataCXium Aを含む。一実施形態において、Pd(OAc)2及びcataCXium Aを含む触媒前駆体を使用するときに、ステップ1.0は、HPLCによって決定された場合、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の変換に、約22~24時間以内で進行する。
【0266】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対パラジウム源のモル比は、約1:0.01(すなわち、1モル%)~約1:0.15(すなわち、15モル%)である。いくつかの実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対パラジウム源のモル比は、約1:0.02、約1:0.03、約1:0.04、約1:0.05、約1:0.06、約1:0.07、約1:0.08、約1:0.09、約1:0.10、約1:0.11または約1:0.12である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対パラジウム源のモル比は、約1:0.02(すなわち、2モル%)である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対パラジウム源のモル比は、約1:0.03(すなわち、3モル%)である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対パラジウム源のモル比は、約1:0.04(すなわち、4モル%)である。一実施形態において、約10モル%未満、約5モル%未満または約4モル%のパラジウムロードが、ステップ1.0において用いられる。
【0267】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対リガンドのモル比は、約1:0.01(すなわち、1モル%)~約1:0.15(すなわち、15モル%)である。いくつかの実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対リガンドのモル比は、約1:0.03、約1:0.04、約1:0.05、約1:0.06、約1:0.07、約1:0.08、約1:0.09、約1:0.10、約1:0.11または約1:0.12である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対リガンドのモル比は、約1:0.04(すなわち、4モル%)である。一実施形態において、ステップ1.0における式(II)の化合物対リガンドのモル比は、約1:0.08(すなわち、8モル%)である。一実施形態において、約10モル%未満のリガンドロードが、ステップ1.0において用いられる。
【0268】
一実施形態において、リガンド対パラジウム源のモル比は、約5:1約1:5である。一実施形態において、リガンド対パラジウム源のモル比は、約2:1~約1:2である。一実施形態において、リガンド対パラジウム源のモル比は、約2:1~約1:1である。一実施形態において、リガンドは、単座リガンドであり、リガンド対パラジウム源のモル比は、約2:1である。一実施形態において、リガンドは、単座リガンドであり、リガンド対パラジウム源のモル比は、約1:1である。一実施形態において、リガンドは、二座リガンドであり、リガンド対パラジウム源のモル比は、約1:1である。一実施形態において、リガンドは、二座リガンドであり、リガンド対パラジウム源のモル比は、約1:2である。
【0269】
ステップ1.0は、反応に好適な溶媒中で行われ得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、有機溶媒または有機溶媒の混合物である。一実施形態において、溶媒は、高沸点溶媒であり、高沸点溶媒は、C4~12脂肪族アルコール(分枝状または非分枝状)、トルエン、アニソール、2-MeTHF、DMF、NMP、DMAまたはtAmOHを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、溶媒は、アルコールである。一実施形態において、溶媒は、t-アミルアルコール(tAmOH)である。一実施形態において、溶媒は、n-BuOH、s-BuOHまたはt-BuOHである。
【0270】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0における溶媒の体積は、約10体積~約30体積である。一実施形態において、ステップ1.0における溶媒の体積は、約20体積である。いくつかの実施形態において、ステップ1.0における溶媒の体積は、約5体積~約10体積である。一実施形態において、ステップ1.0における溶媒の体積は、約8体積である。
【0271】
本明細書で使用される場合、体積とは、限界試薬の重量(それぞれ、kgまたはg)に関連する溶媒の体積(LまたはmL)を指す。いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、不活性雰囲気において(すなわち、大気酸素の存在を排除するまたは実質的に低減する条件下で)行われる。一実施形態において、溶媒は、ステップ1.0において、不活性ガス(例えば、二窒素またはアルゴン)でスパージされる。
【0272】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、約90℃~約120℃の反応温度で行われる。一実施形態において、反応温度は、溶媒の沸騰温度である。一実施形態において、反応温度は、約100℃~約110℃である。一実施形態において、反応温度は、約102℃である。一実施形態において、反応温度は、約105℃である。
【0273】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、約16時間~約30時間の反応時間で行われる。一実施形態において、反応時間は、約22時間~約24時間である。
【0274】
一実施形態において、ステップ1.0は、ピバル酸カリウム塩基、ならびにPd(OAc)2及びcataCXium Aを含む触媒前駆体の存在下で行われる。一実施形態において、式(I)の化合物対ピバル酸カリウム、Pd(OAc)2及びcataCXium Aのモル比は、それぞれ、1:3、1:0.04及び1:0.08である。一実施形態において、ステップ1.0は、t-アミルアルコールの溶媒中で、20体積の溶媒体積において、約102℃の反応温度で行われる。一実施形態において、式(I)の化合物対ピバル酸カリウム、Pd(OAc)2及びcataCXium Aのモル比は、それぞれ、1:3、1:0.02及び1:0.04である。一実施形態において、ステップ1.0は、t-アミルアルコールの溶媒中で、8体積の溶媒体積において、約105℃の反応温度で行われる。一実施形態において、溶媒は、ステップ1.0において、二窒素ガスでスパージされる。
【0275】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、HPLC及び/またはNMRによって決定された場合、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の変換に、約22~24時間以内で進行する。いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、式(I)の化合物と異なる約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%または約1%未満の不純物を提供する。ステップ1.0において提供される不純物は、出発材料、本明細書で以下に記載される式(SP-1)の脱臭素化種、式(SP-2)の二量体、式(SP-3)のt-ブチルカルボニル化種、式(SP-7)の位置異性体及び/または式(V)の化合物を含み得るが、これらに限定されない。
【化11】
【0276】
一実施形態において、ステップ1.0において提供される不純物の総量は、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満または約0.05重量%未満である。
【0277】
いくつかの実施形態において、ステップ1.0は、式(I)の化合物の精製を更に含む。ある特定の実施形態において、ステップ1.0において生成された式(I)の化合物は、パラジウム修復、貧溶媒による溶媒からの沈殿及び/または(再)結晶化によって精製される。
【0278】
一実施形態において、パラジウム修復は、当該技術分野で既知のいずれかのパラジウムスカベンジャーでの処理を含む。一実施形態において、パラジウムスカベンジャーは、チオプロピルシリカスカベンジャーである。一実施形態において、パラジウム修復は、室温超の温度、例えば、約40℃~約80℃、例えば、約60℃で発生する。一実施形態において、パラジウム修復は、1時間超、4時間超、10時間超、14時間超、16時間超または約18時間の期間にわたるパラジウムスカベンジャーでの処理を含む。一実施形態において、パラジウム修復は、パラジウムスカベンジャーでの2回以上の処理、例えば、パラジウムスカベンジャーでの2回の処理を含む。
【0279】
別の実施形態において、パラジウム修復は、式(I)の化合物を、官能化シリカ処理によって精製することを含む。一実施形態において、チオール官能化シリカゲルが、パラジウムを反応混合物からスカベンジするために使用される。いくつかの実施形態において、これは、室温で行われる。他の実行形態において、これは、高温(60~100℃)で実行される。いくつかの実施形態において、スカベンジャーロードは、生成物質量に対して最大60重量%である。他の実施形態において、これは、生成物質量に対して0~30重量%である。いくつかの実施形態において、パラジウム修復は、式(I)の化合物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製することを含む。更に別の実施形態において、パラジウム修復は、式(I)の化合物の有機溶液をL-システイン水溶液で洗浄することを含む。いくつかの実施形態において、L-システイン水溶液は、L-システインの5重量%の水溶液である。いくつかの実施形態において、洗浄は、高温(すなわち、室温超の温度)、例えば、約35~約50℃または約40~約45℃の温度で行われる。一実施形態において、パラジウム修復は、式(I)の化合物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製することと、式(I)の化合物の有機溶液をL-システイン水溶液で洗浄することと、を含む。
【0280】
一実施形態において、式(I)の化合物は、高沸点有機溶媒から沈殿する。一実施形態において、式(I)の化合物は、アニソールから沈殿する。一実施形態において、式(I)の化合物は、溶媒から、非極性有機貧溶媒の添加によって沈殿する。一実施形態において、非極性有機貧溶媒は、炭化水素溶媒である。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:2~約1:6である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:4~約1:6である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:5である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:5.5である。
【0281】
一実施形態において、式(I)の化合物は、有機溶媒または有機溶媒の混合物から結晶化または再結晶化される。一実施形態において、式(I)の化合物の結晶化または再結晶化は、化合物1の形態1を提供する。一実施形態において、式(I)の化合物は、2-MeTHF、酢酸イソプロピル、アセトン、アニソール、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトンまたはそれらの混合物から、任意選択で、貧溶媒の添加によって結晶化または再結晶化される。一実施形態において、貧溶媒は、水である。一実施形態において、貧溶媒は、非極性有機溶媒である。一実施形態において、非極性有機溶媒は、炭化水素溶媒である。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:2~約1:6である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:3~約1:5である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:4である。一実施形態において、貧溶媒は、溶媒に、室温超の温度で添加される。一実施形態において、貧溶媒は、約30℃~約60℃の温度で添加される。一実施形態において、温度は、約50℃である。
【0282】
ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、実質的に純粋な形態における式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、実質的に化学的に純粋な形態における式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、少なくとも約97%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、少なくとも約98%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、少なくとも約99%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、約99.71%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、約99.9%w/wの化学的及び/または物理的純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、少なくとも約98%(例えば、99%または99.5%)のエナンチオマー純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、少なくとも約99.5%のエナンチオマー純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、約99.9%のエナンチオマー純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、約100%のエナンチオマー純度を有する式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、不純物を実質的に含まない式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満または約10ppm未満の残留パラジウム含有量を有する化合物1を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態における式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、実質的に物理的に純粋な形態における式(I)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ1.0は、所望の形態(例えば、具体的な結晶性形態、例えば、化合物1の形態1)または有利なレオロジー特性を有する固体形態における式(I)の化合物を提供する。
【0283】
また、ある特定の実施形態において、式(II)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するプロセスであって、
(ステップ2.0)式(III)の化合物、
【化12】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(IV)の化合物、
【化13】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0284】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1:1~約1:1.5である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1.2である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1.1である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1.14である。
【0285】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、アルカリ金属塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、塩基は、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩またはリン酸二水素塩である。いくつかの実施形態において、塩基は、LiOH、Li2CO3、NaOH、KOH、tBuOK、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、NaHCO3、KHCO3、Na3PO4、K3PO4、Na2HPO4、K2HPO4、NaH2PO4またはKH2PO4である。一実施形態において、塩基は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)である。いくつかの実施形態において、塩基は、炭酸セシウム(Cs2CO3)である。一実施形態において、塩基は、リン酸カリウム(K3PO4)である。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、窒素含有塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、トリアザビシクロデセン(TBD)またはカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS)の存在下で行われる。
【0286】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対塩基のモル比は、約1:1~約1:5である。いくつかの実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対塩基のモル比は、約1:1~約1:3である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対塩基のモル比は、約1:1である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対塩基のモル比は、約1:2である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対塩基のモル比は、約1:2.2である。一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対塩基のモル比は、約1:4.1である。
【0287】
ステップ2.0は、反応に好適な溶媒中で行われ得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、有機溶媒または有機溶媒の混合物である。一実施形態において、溶媒は、極性有機溶媒である。一実施形態において、溶媒は、DMF、DCM、IPAc、酢酸エチル、t-アミルアルコール、1,4-ジオキサン、DMA、NMP、ACNまたはDMSOである。一実施形態において、ステップ2.0は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の溶媒中で行われる。一実施形態において、ステップ2.0は、ジメチルアセトアミド(DMA)の溶媒中で行われる。一実施形態において、ステップ2.0は、ジメチルホルムアミド(DMF)の溶媒中で行われる。
【0288】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約4体積~約20体積である。一実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約16体積である。いくつかの実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約4体積~約15体積である。一実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、15体積である。一実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約13体積である。一実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約8体積である。一実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約6体積である。一実施形態において、ステップ2.0における溶媒の体積は、約5.6体積である。
【0289】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、不活性雰囲気において(すなわち、大気酸素の存在を排除するまたは実質的に低減する条件下で)行われる。一実施形態において、溶媒は、ステップ2.0において、不活性ガス(例えば、二窒素またはアルゴン)でスパージされる。
【0290】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、約20℃~約60℃の反応温度で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、約35℃~約45℃の反応温度で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、約20℃~約30℃の反応温度で行われる。一実施形態において、反応温度は、約20℃である。一実施形態において、反応温度は、約25℃である。一実施形態において、ステップ2.0は、室温で行われる。一実施形態において、ステップ2.0は、式(III)の化合物の分解を最小化する温度で行われる。
【0291】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、約10時間~約30時間の反応時間で行われる。一実施形態において、反応時間は、約22時間である。
【0292】
一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1:1である。一実施形態において、ステップ2.0は、炭酸セシウム(Cs2CO3)の存在下で行われ、ステップ2.0における式(III)の化合物対Cs2CO3のモル比は、約1:2.2である。一実施形態において、ステップ2.0は、DMAの溶媒中で行われる。一実施形態において、ステップ2.0は、NMPの溶媒中で行われる。一実施形態において、ステップ2.0は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の溶媒中で、6体積の溶媒体積において、室温で行われる。一実施形態において、溶媒は、ステップ2.0において、窒素ガスでスパージされる。
【0293】
一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1:1である。一実施形態において、ステップ2.0は、リン酸カリウム(K3PO4)の存在下で行われ、ステップ2.0における式(III)の化合物対K3PO4のモル比は、約1:4.1である。一実施形態において、ステップ2.0は、ジメチルホルムアミド(DMA)の溶媒中で、16体積の溶媒体積において、約35℃~約45℃で行われる。一実施形態において、溶媒は、ステップ2.0において、二窒素ガスでスパージされる。
【0294】
一実施形態において、ステップ2.0における式(III)の化合物対式(IV)の化合物のモル比は、約1:14である。一実施形態において、ステップ2.0は、炭酸セシウム(Cs2CO3)の存在下で行われ、ステップ2.0における式(III)の化合物対Cs2CO3のモル比は、約1:2.2である。一実施形態において、ステップ2.0は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の溶媒中で、5.6体積の溶媒体積において、約20℃~約30℃で行われる。一実施形態において、溶媒は、ステップ2.0において、二窒素ガスでスパージされる。
【0295】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、HPLC及び/またはNMRによって決定された場合、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の変換に、約22~24時間以内で進行する。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、式(II)の化合物と異なる約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%または約1%未満の不純物を提供する。ステップ2.0において提供される不純物は、出発材料、本明細書で以下に記載される式(SP-5)の排除生成物及び/または式(V)の化合物を含み得るが、これらに限定されない。
【化14】
【0296】
一実施形態において、ステップ2.0において提供される不純物の総量は、約10%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満または約1重量%未満である。
【0297】
いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、式(II)の化合物の精製を更に含む。ある特定の実施形態において、ステップ2.0において生成された式(II)の化合物は、貧溶媒による溶媒からの沈殿及び/または(再)結晶化によって精製される。
【0298】
一実施形態において、式(II)の化合物は、有機溶媒から沈殿する。一実施形態において、式(II)の化合物は、NMPから沈殿する。一実施形態において、式(II)の化合物は、溶媒から、貧溶媒の添加によって沈殿する。一実施形態において、貧溶媒は、水である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:1~約1:4である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:1.5である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:2である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:3である。
【0299】
一実施形態において、式(II)の化合物は、
【化15】
有機溶媒または有機溶媒の混合物から結晶化または再結晶化される。一実施形態において、式(II)の化合物は、2-MeTHF、酢酸イソプロピル、アセトン、アニソール、トルエン、t-ブタノール、アセトニトリル、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトンまたはそれらの混合物から、任意選択で、貧溶媒の添加によって結晶化または再結晶化される。一実施形態において、貧溶媒は、水である。一実施形態において、貧溶媒は、非極性有機溶媒である。一実施形態において、非極性有機溶媒は、炭化水素溶媒である。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、貧溶媒は、メチルシクロヘキサンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチル、トルエン、アニソール、t-ブタノール、アセトニトリル、酢酸イソプロピルまたはEtOHであり、貧溶媒は、水、ヘプタンまたはメチルシクロヘキサンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、トルエンであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチル及びトルエンの混合物であり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:2~約1:6である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:3~約1:5である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:3である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:4である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:5である。一実施形態において、貧溶媒は、溶媒に、室温超の温度で添加される。一実施形態において、貧溶媒は、約30℃~約60℃の温度で添加される。一実施形態において、温度は、約40℃である。
【0300】
ある特定の実施形態において、ステップ2.0は、実質的に純粋な形態における式(II)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ2.0は、実質的に化学的に純粋な形態における式(II)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ2.0は、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態における式(II)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ2.0は、不純物を実質的に含まず、かつスケールアップが容易である式(II)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ2.0は、ステップ1.0へ持ち越される不純物の量を低減、排除または最小化する。
【0301】
また、ある特定の実施形態において、式(III)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、
(ステップ3.0)式(V)の化合物、
【化16】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、メシル化試薬と反応させることを含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0302】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0におけるメシル化試薬は、塩化メシル(MsCl)またはメタンスルホン酸無水物(Ms2O)である。一実施形態において、メシル化試薬は、メタンスルホン酸無水物(Ms2O)である。
【0303】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0における式(V)の化合物対メシル化試薬のモル比は、約1:1~約1:2である。一実施形態において、式(V)の化合物対メシル化試薬のモル比は、1:2である。一実施形態において、式(V)の化合物対メシル化試薬のモル比は、約1:1.2である。
【0304】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、窒素含有塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、NH4OH、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIEAまたはDIPEA)、ピリジン、ルチジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾールまたは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)の存在下で行われる。一実施形態において、塩基は、トリエチルアミン(TEA)である。
【0305】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0における式(V)の化合物対塩基のモル比は、約1:1~約1:4である。一実施形態において、式(V)の化合物対塩基のモル比は、約1:4である。一実施形態において、式(V)の化合物対塩基のモル比は、約1:1.3である。
【0306】
ステップ3.0は、反応に好適な溶媒中で行われ得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、有機溶媒または有機溶媒の混合物である。一実施形態において、ステップ3.0は、ジクロロメタン(DCM)の溶媒中で行われる。一実施形態において、ステップ3.0は、2-メチルTHFの溶媒中で行われる。
【0307】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0における溶媒の体積は、約4体積~約20体積である。一実施形態において、ステップ3.0における溶媒の体積は、約20体積である。一実施形態において、ステップ3.0における溶媒の体積は、約15体積である。一実施形態において、ステップ3.0における溶媒の体積は、約10体積である。
【0308】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、5℃未満の反応温度で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、約0℃~約5℃の反応温度で行われる。一実施形態において、反応温度は、約0℃である。一実施形態において、反応温度は、約5℃である。
【0309】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、約10分~約2時間の反応時間で行われる。一実施形態において、反応時間は、約30分である。
【0310】
一実施形態において、ステップ3.0におけるメシル化試薬は、メタンスルホン酸無水物(Ms2O)であり、塩基は、トリエチルアミンである。一実施形態において、式(V)の化合物対メシル化試薬及び塩基のモル比は、それぞれ、1.2及び1.3である。一実施形態において、ステップ3.0は、DCMの溶媒中で、10体積の溶媒体積において、0℃~室温で行われる。一実施形態において、ステップ3.0は、DCMの溶媒中で、10体積の溶媒体積において、室温で行われる。一実施形態において、ステップ3.0は、2-メチルTHFの溶媒中で、10体積の溶媒体積において、室温で行われる。一実施形態において、式(V)の化合物は、水抽出及び/またはヘプタンの添加での酢酸エチルからの沈殿によって精製される。一実施形態において、式(V)の化合物は、水抽出及び/またはヘプタンの添加でのDCMからの沈殿によって精製される。
【0311】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、HPLC及び/またはNMRによって決定された場合、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の変換に、約1時間以内で進行する。いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、式(III)の化合物と異なる約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%または約1%未満の不純物を提供する。ステップ3.0において提供される不純物は、出発材料を含み得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、このステップにおいて観察される例示的な不純物は、排除不純物(SP-3)及び出発材料である。一実施形態において、ステップ3.0において提供される不純物の総量は、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満である。
【0312】
いくつかの実施形態において、ステップ3.0は、式(III)の化合物の精製を更に含む。ある特定の実施形態において、ステップ3.0において生成された式(III)の化合物は、水抽出及び/または貧溶媒による溶媒からの沈殿によって精製される。一実施形態において、式(III)の化合物は、希釈炭酸水素ナトリウムでの水抽出によって精製される。一実施形態において、炭酸水素ナトリウムでの抽出は、反応混合物のpHを、約pH7以上で維持する。一実施形態において、炭酸水素ナトリウムでの抽出は、存在するメタンスルホン酸無水物をクエンチする。
【0313】
一実施形態において、式(III)の化合物は、有機溶媒から沈殿する。一実施形態において、式(III)の化合物は、酢酸エチルから沈殿する。一実施形態において、式(III)の化合物は、DCMから沈殿する。一実施形態において、式(III)の化合物は、溶媒から、貧溶媒の添加によって沈殿する。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:1~約1:4である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:3である。
【0314】
ある特定の実施形態において、ステップ3.0は、実質的に純粋な形態における式(III)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ3.0は、実質的に化学的に純粋な形態における式(III)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ3.0は、不純物を実質的に含まない式(III)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ3.0は、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態における式(III)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ3.0は、所望の形態または有利なレオロジー特性を有する固体形態における式(III)の化合物を提供する。
【0315】
また、ある特定の実施形態において、式(V)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、
(ステップ4.0)式(VI)の化合物、
【化17】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(VII)の化合物、
【化18】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含む、プロセスが、本明細書で提供される。
【0316】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:1~約1:1.2である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:2である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:1.05である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:1.02である。
【0317】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、触媒の存在下で行われる。一実施形態において、触媒は、パラジウム触媒である。一実施形態において、パラジウム触媒は、Pd2(dba)3、Pd(PPh3)4、PdCl2(PPh3)2、PdCl2(PCy3)2、PdCl2(dppf)、PdCl2(dtbpf)またはPd(Amphos)Cl2である。一実施形態において、触媒は、PdCl2(dppf)である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2である。
【0318】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対触媒のモル比は、約1:0.001(すなわち、0.1モル%)~約1:0.04(すなわち、4モル%)である。いくつかの実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対触媒のモル比は、約1:0.001、約1:0.002、約1:0.003、約1:0.004、約1:0.005、約1:0.006、約1:0.007、約1:0.008、約1:0.009または約1:0.01である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対触媒のモル比は、約1:0.04(すなわち、4モル%)である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対触媒のモル比は、約1:0.005(すなわち、0.5モル%)である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対触媒のモル比は、約1:0.002(すなわち、0.2モル%)である。一実施形態において、約4モル%未満、約1モル%未満または約0.5モル%の触媒ロードが、ステップ4.0において用いられる。
【0319】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ2.0は、アルカリ金属塩基の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、塩基は、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩またはリン酸二水素塩である。いくつかの実施形態において、塩基は、LiOH、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、NaHCO3、KHCO3、Na3PO4、K3PO4、Na2HPO4、K2HPO4、NaH2PO4またはKH2PO4である。一実施形態において、塩基は、炭酸カリウム(K2CO3)である。一実施形態において、塩基は、リン酸カリウム(K3PO4)である。一実施形態において、塩基は、リン酸カリウム三水和物(K3PO4・3H2O)である。
【0320】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対塩基のモル比は、約1:2~約1:4である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対塩基のモル比は、約1:3である。一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対塩基のモル比は、約1:3.05である。
【0321】
ステップ4.0は、反応に好適な溶媒中で行われ得る。一実施形態において、溶媒は、CPME、MeTHF、DME、DMAc、IPA、MeOH、DMF、DMA、NMP、ACN、DMSO、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランもしくは水、またはそれらの混合物である。一実施形態において、溶媒は、有機溶媒及び水の混合物である。一実施形態において、ステップ4.0は、1,4-ジオキサン及び水の混合物中で行われる。一実施形態において、ステップ4.0は、テトラヒドロフラン及び水の混合物中で行われる。一実施形態において、ステップ4.0は、ジメチルホルムアミド(DMF)及び水の混合物中で行われる。一実施形態において、ステップ4.0は、トルエン及び水の混合物中で行われる。一実施形態において、混合物有機溶媒及び水は、約10:1~約3:1の有機溶媒対水の比を有する。一実施形態において、有機溶媒対水の比は、約10:1である。一実施形態において、有機溶媒対水の比は、約5:1である。一実施形態において、混合物有機溶媒及び水は、約1:2~約1:5の有機溶媒対水の比を有する。一実施形態において、有機溶媒対水の比は、約1:4である。
【0322】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0における溶媒の体積は、約2体積~約15体積である。いくつかの実施形態において、ステップ4.0における溶媒の体積は、約4体積~約15体積である。一実施形態において、ステップ4.0における溶媒の体積は、約11体積である。一実施形態において、ステップ4.0における溶媒の体積は、約6体積である。一実施形態において、ステップ4.0における溶媒の体積は、約2.5体積である。
【0323】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、約40℃~約90℃の反応温度で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、約40℃~約70℃の反応温度で行われる。いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、約60℃~約70℃の反応温度で行われる。一実施形態において、反応温度は、約65℃である。一実施形態において、反応温度は、約50℃である。
【0324】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、約1時間~約4時間の反応時間で行われる。一実施形態において、反応時間は、約2~約3時間である。一実施形態において、ステップ4.0において提供される式(V)の化合物の純度は、より長い反応時間とともに減少する。
【0325】
一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:1.2である。一実施形態において、触媒は、Pd(dppf)Cl2であり、触媒ロードは、4モル%である。一実施形態において、塩基は、炭酸カリウム(K2CO3)であり、ステップ4.0における式(VI)の化合物対炭酸カリウムのモル比は、約1:3である。一実施形態において、ステップ4.0における溶媒は、THF及び水の約10:1の混合物である。一実施形態において、ステップ4.0は、約60~約65℃の反応温度で行われる。
【0326】
一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:1.05である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2であり、触媒ロードは、0.05モル%である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2であり、触媒ロードは、0.5モル%である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2であり、触媒ロードは、0.4モル%である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2であり、触媒ロードは、0.3モル%である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2であり、触媒ロードは、0.2モル%である。一実施形態において、塩基は、炭酸カリウム(K2CO3)であり、ステップ4.0における式(VI)の化合物対炭酸カリウムのモル比は、約1:3である。一実施形態において、ステップ4.0における溶媒は、ジメチルホルムアミド及び水の約5:1の混合物である。一実施形態において、ステップ4.0は、約65℃の反応温度及び約2~約3時間の反応時間で行われる。
【0327】
一実施形態において、ステップ4.0における式(VI)の化合物対式(VII)の化合物のモル比は、約1:1.02である。一実施形態において、触媒は、Pd(Amphos)Cl2であり、触媒ロードは、0.2モル%である。一実施形態において、塩基は、リン酸カリウム三水和物(K3PO4・3H2O)であり、ステップ4.0における式(VI)の化合物対リン酸カリウム三水和物のモル比は、約1:3.05である。一実施形態において、ステップ4.0における溶媒は、トルエン及び水の約1:4の混合物である。一実施形態において、ステップ4.0は、約50℃の反応温度で行われる。
【0328】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、HPLC及び/またはNMRによって決定された場合、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の変換に、約2~3時間以内で進行する。いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、式(V)の化合物と異なる約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%または約1%未満の不純物を提供する。ステップ4.0において提供される不純物は、出発材料及び式(SP-6)の化合物を含み得るが、これらに限定されない。
【化19】
【0329】
一実施形態において、ステップ3.0において提供される不純物の総量は、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満である。
【0330】
いくつかの実施形態において、ステップ4.0は、式(V)の化合物の精製を更に含む。ある特定の実施形態において、ステップ4.0において生成された式(V)の化合物は、水抽出、パラジウム修復及び/または貧溶媒による溶媒からの沈殿によって精製される。
【0331】
一実施形態において、水抽出は、有機溶媒中に溶解された式(V)の化合物を含む組成物を、水で抽出することを含む。一実施形態において、有機溶媒は、酢酸エチルである。一実施形態において、水抽出は、有機溶媒中に溶解された式(V)の化合物を含む組成物を、塩化リチウム水溶液で抽出することを含む。一実施形態において、塩化リチウム水溶液は、5%の塩化リチウム水溶液である。一実施形態において、塩化リチウム水溶液は、15%の塩化リチウム水溶液である。一実施形態において、有機溶媒は、酢酸エチル、DMF、MTBE、2-MeTHFもしくはCPME、またはそれらの混合物である。一実施形態において、有機溶媒は、MTBE及びDMFの混合物である。一実施形態において、有機溶媒は、MTBEである。一実施形態において、有機溶媒は、MTBE及びイソプロピルエーテルの混合物である。
【0332】
一実施形態において、パラジウム修復は、当該技術分野で既知のいずれかのパラジウムスカベンジャーでの処理を含む。一実施形態において、パラジウムスカベンジャーは、チオプロピルシリカスカベンジャーである。一実施形態において、パラジウム修復は、室温超の温度、例えば、約40℃~約80℃、例えば、約65℃で発生する。一実施形態において、パラジウム修復は、約1時間~約18時間の期間にわたるパラジウムスカベンジャーでの処理を含む。ある特定の実施形態において、パラジウム修復は、約1時間、約3時間、約3時間超、10時間超、14時間超、16時間超または約18時間の期間にわたるパラジウムスカベンジャーでの処理を含む。
【0333】
別の実施形態において、パラジウム修復は、式(V)の化合物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製することを含む。更に別の実施形態において、パラジウム修復は、式(V)の化合物の有機溶液をL-システイン水溶液で洗浄することを含む。いくつかの実施形態において、L-システイン水溶液は、L-システインの5重量%の水溶液である。いくつかの実施形態において、洗浄は、高温(すなわち、室温超の温度)、例えば、約35~50℃、または40~45℃の温度で行われる。一実施形態において、パラジウム修復は、式(V)の化合物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製することと、式(V)の化合物の有機溶液をL-システイン水溶液で洗浄することと、を含む。
【0334】
更に別の実施形態において、パラジウム修復は、式(V)の化合物の溶液を、活性炭で(例えば、CUNOフィルターを介して)処理することを含む。
【0335】
一実施形態において、式(V)の化合物は、有機溶媒から沈殿する。一実施形態において、式(V)の化合物は、MTBEから沈殿する。一実施形態において、式(V)の化合物は、MTBE及びイソプロピルエーテルの混合物から沈殿する。一実施形態において、式(V)の化合物は、溶媒から、貧溶媒の添加によって沈殿する。一実施形態において、貧溶媒は、イソプロピルエーテルである。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:1~約1:4である。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終比は、約1:3である。一実施形態において、貧溶媒は、溶媒に、0℃未満の温度で添加される。一実施形態において、式(V)の化合物は、有機溶媒または有機溶媒の混合物から結晶化または再結晶化される。一実施形態において、式(II)の化合物は、酢酸エチル、CPME、MTBE、トルエンまたはそれらの混合物から、任意選択で、貧溶媒の添加によって結晶化または再結晶化される。一実施形態において、貧溶媒は、水である。一実施形態において、貧溶媒は、非極性有機溶媒である。一実施形態において、非極性有機溶媒は、炭化水素溶媒である。一実施形態において、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、酢酸エチルであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒は、トルエンであり、貧溶媒は、ヘプタンである。一実施形態において、溶媒対貧溶媒の最終体積比は、約1:2~約1:6である。
【0336】
ある特定の実施形態において、ステップ4.0は、実質的に純粋な形態における式(V)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ4.0は、実質的に化学的に純粋な形態における式(V)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ4.0は、実質的に不純物を含まない式(V)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ4.0は、実質的にエナンチオマー的に純粋な形態における式(V)の化合物を提供する。ある特定の実施形態において、ステップ4.0は、所望の形態または有利なレオロジー特性を有する固体形態における式(V)の化合物を提供する。
【0337】
また、ある特定の実施形態において、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を調製するためのプロセスであって、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩が、
(ステップ1.0)式(II)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を環化させて、式(I)の化合物、またはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、または互変異性体、またはその薬学的に許容される塩を提供することを含むプロセスによって調製され、式(II)の化合物が、
(ステップ2.0)式(III)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含むプロセスによって調製され、式(III)の化合物が、
(ステップ3.0)式(V)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、メシル化試薬と反応させることを含むプロセスによって調製され、式(V)の化合物が、
(ステップ4.0)式(VI)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(VII)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含むプロセスによって調製される、プロセスが、本明細書で提供される。
【0338】
一実施形態において、本明細書で提供されるプロセスは、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、固体形態において提供するステップを更に含む。一実施形態において、固体形態は、結晶性形態である。一実施形態において、プロセスによって調製される、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の結晶性形態が、本明細書で提供される。
【0339】
また、一実施形態において、式(II)、(III)、(V)もしくは(VI)の化合物、
【化20】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩が、本明細書で提供される。
【0340】
5.4.薬学的組成物
一実施形態において、式(I)の化合物、
【化21】
またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、希釈剤と、結合剤と、崩壊剤と、潤滑剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0341】
一実施形態において、薬学的組成物中の化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基である。一実施形態において、化合物1の遊離塩基は、非晶質である。一実施形態において、化合物1の遊離塩基は、本明細書で提供される化合物1の遊離塩基の固体形態のうちの1つである。一実施形態において、化合物1の遊離塩基は、化合物1の遊離塩基の形態1である。
【0342】
一実施形態において、薬学的組成物中の化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩は、化合物1の薬学的に許容される塩である。一実施形態において、塩は、化合物1の塩化物、リン酸、ベシル酸、メシル酸、クエン酸またはマレイン酸塩である。一実施形態において、塩は、本明細書で提供される化合物1のベシル酸塩である。一実施形態において、塩は、本明細書で提供される化合物1のリン酸塩である。一実施形態において、塩は、非晶質である。一実施形態において、塩は、本明細書で提供される化合物1の塩の結晶性形態のうちの1つである。
【0343】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、薬学的組成物の総重量(または薬学的組成物の総重量に基づくw/w)は、薬学的組成物のコーティング(例えば、本明細書で提供される錠剤薬学的組成物のOpadry IIコート)を含まない。一実施形態において、薬学的組成物中の化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量は、約1%~約30%w/wである。一実施形態において、量は、約3%~約20%w/wである。一実施形態において、量は、約5%~約17%w/wである。一実施形態において、量は、約3%~約7%w/wである。一実施形態において、量は、約4%~約6%w/wである。一実施形態において、量は、約3、約4、約5、約6または約7%w/wである。一実施形態において、量は、約5%w/wである。一実施形態において、量は、約15%~約20%w/wである。一実施形態において、量は、約10%~約17%w/wである。一実施形態において、量は、約15%~約17%w/wである。一実施形態において、量は、約16%~約18%w/wである。一実施形態において、量は、約16%~約17%w/wである。一実施形態において、量は、約15、約16、約17、約18、約19または約20%w/wである。一実施形態において、量は、約17%w/wである。一実施形態において、量は、約16.7%w/wである。一実施形態において、量は、約16.67%w/wである。
【0344】
一実施形態において、希釈剤は、マンニトールである。一実施形態において、希釈剤は、Pearlitol 100SD、Pearlitol 110 C、Pearlitol 160 C、Pearlitol 25 C、Pearlitol 300 DC、Pearlitol 400 DC、Pearlitol 500 DC、Pearlitol SW-F 200、Parteck M 100、Parteck M 200またはラクトース一水和物である。一実施形態において、希釈剤は、例えば、スクロース、デキストロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、セルロース誘導体、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される糖であることができる。別の実施形態において、希釈剤は、マンニトールまたは微結晶セルロース(例えば、SMCC90)であることができる。一実施形態において、希釈剤は、マンニトールPearlitol 50Cである。一実施形態において、希釈剤は、マンニトールPearlitol 200SDである。
【0345】
一実施形態において、薬学的組成物中の希釈剤の量は、約50%~約95%w/wである。一実施形態において、量は、約60%~約90%w/wである。一実施形態において、量は、約65%~約87%w/wである。一実施形態において、量は、約62%~約68%w/wである。一実施形態において、量は、約64%~約66%w/wである。一実施形態において、量は、約62、約63、約64、約65、約66、約67または約68%w/wである。一実施形態において、量は、約65%w/wである。一実施形態において、量は、約85%~約90%w/wである。一実施形態において、量は、約86%~約88%w/wである。一実施形態において、量は、約85、約86、約87、約88、約89または約90%w/wである。一実施形態において、量は、約87%w/wである。いくつかの実施形態において、希釈剤は、マンニトール、デンプン、SMCC、ラクトース、リン酸水素カルシウム(DCP)である。いくつかの実施形態において、希釈剤は、マンニトールである。いくつかの実施形態において、希釈剤は、SMCCである。いくつかの実施形態において、希釈剤は、マンニトール及びSMCCの混合物である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約1:5~約35:1の範囲である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約1:1~約35:1の範囲である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約3:1~約30:1の範囲である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約6:1~約1:1の範囲である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約1:5~約1:1の範囲である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約5:1である。いくつかの実施形態において、マンニトール対SMCCの重量比は、約5.3:1である。
【0346】
ケイ化微結晶セルロース(SMCC)は、高機能性かつ多機能性賦形剤としての微結晶セルロース(MCC)及びコロイド状二酸化ケイ素(CSD)の固有の組み合わせであり、SMCCは、最適な圧縮及び優れた流動の両方を、希釈剤として製剤に与えるという点で固有である。これはまた、脆性破壊及び塑性変形特徴の両方を示し、これらは、良好な結合特性をもたらす。SMCCの結合特性を考慮すると、これは、乾燥結合剤として、単独でまたは他の結合剤(複数可)とともに、例えば、直接圧縮プロセスにおいて使用され得る。一実施形態において、結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ケイ化微結晶セルロース(SMCC)またはそれらの混合物である。一実施形態において、結合剤は、HPCである。一実施形態において、結合剤は、SMCCである。一実施形態において、結合剤は、HPC及びSMCCの混合物である。一実施形態において、HPC対SMCCの重量比は、約1:8~約1:14である。一実施形態において、HPC対SMCCの重量比は、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13または約1:14である。一実施形態において、HPC対SMCCの重量比は、約1:11である。一実施形態において、薬学的組成物中のHPCの量は、約1.1%w/wである。一実施形態において、薬学的組成物中のSMCCの量は、約12.2%w/wである。ある特定の実施形態において、結合剤は、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/またはアカシア、あるいは、それらの混合物である。ある特定の実施形態において、結合剤は、1つ以上の多糖及びそれらの誘導体、例えば、デンプン、セルロースもしくは変性セルロース、例えば、MCC、及びセルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリメタクリレート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの混合物である。
【0347】
一実施形態において、薬学的組成物中の結合剤の量は、約1%~約20%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約16%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約14%w/wである。一実施形態において、量は、約4%~約14%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約6%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約5%w/wである。一実施形態において、量は、約3%~約5%w/wである。一実施形態において、量は、約2、約3、約4、約5または約6%w/wである。一実施形態において、量は、約4%w/wである。一実施形態において、量は、約12%~約16%w/wである。一実施形態において、量は、約13%~約15%w/wである。一実施形態において、量は、約12、約13、約14、約15または約16%w/wである。一実施形態において、量は、約14%w/wである。一実施形態において、量は、約13.3%w/wである。一実施形態において、量は、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9または約2%w/wである。一実施形態において、結合剤の量は、約1.1%w/wである。
【0348】
一実施形態において、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)である。一実施形態において、崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムである。一実施形態において、崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、クロスポビドン及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上である。
【0349】
一実施形態において、薬学的組成物中の崩壊剤の量は、約1%~約8%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約5%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約4%w/wである。一実施形態において、量は、約2.9%~約4%w/wである。一実施形態において、量は、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9または約5%w/wである。一実施形態において、量は、約2.9%w/wである。一実施形態において、量は、約3.9%w/wである。一実施形態において、量は、約4%w/wである。
【0350】
一実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。別の実施形態において、潤滑剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。一実施形態において、潤滑剤は、脂肪酸の1つ以上の金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸、Carbowax(PEG)4000/6000、オレイン酸ナトリウム、sterotex、安息香酸ナトリウム、タルク、酢酸ナトリウム、ワックス、ラウリル硫酸ナトリウム、Stear-O-Wet、Mg-ラウリル硫酸、ならびにベヘン酸グリセリル(Compritol888)である。
【0351】
一実施形態において、薬学的組成物中の潤滑剤の量は、約0.1%~約3%w/wである。一実施形態において、量は、約0.8%~約1.4%w/wである。一実施形態において、量は、約1%~約1.2%w/wである。一実施形態において、量は、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3または約1.4%w/wである。一実施形態において、量は、約1%w/wである。一実施形態において、量は、約1.1%w/wである。一実施形態において、量は、約1.2%w/wである。
【0352】
一実施形態において、薬学的組成物は、錠剤であり、錠剤は、薬学的組成物の総重量の約4.0%~約5.5%w/wの量での化合物1と、薬学的組成物の総重量の約80%~約88%w/wの量でのマンニトールと、薬学的組成物の総重量の約3.0%~約4.0%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、薬学的組成物の総重量の約0.2%~約0.4%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、薬学的組成物の総重量の約2.2%~約3.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、薬学的組成物の総重量の約0.5%~約1.5%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、錠剤組成物は、薬学的組成物の総重量の約5%w/wの量での化合物1と、薬学的組成物の総重量の約84%w/wの量でのマンニトールと、薬学的組成物の総重量の約3.5%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、薬学的組成物の総重量の約0.3%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、薬学的組成物の総重量の約2.8%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、薬学的組成物の総重量の約1.0%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、錠剤組成物は、化合物1の約5mgの固体形態(例えば、形態1)を有する約100mgの総重量を有する。
【0353】
一実施形態において、薬学的組成物は、錠剤であり、錠剤は、薬学的組成物の総重量の約15.0%~約17.5%w/wの量での化合物1と、薬学的組成物の総重量の約60%~約66%w/wの量でのマンニトールと、薬学的組成物の総重量の約10%~約13%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、薬学的組成物の総重量の約0.5~約1.5%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、薬学的組成物の総重量の約3.0%~約4.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、薬学的組成物の総重量の約0.8~約1.5%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、錠剤組成物は、薬学的組成物の総重量の約16.67%w/wの量での化合物1と、薬学的組成物の総重量の約62%w/wの量でのマンニトールと、薬学的組成物の総重量の約11.7%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、薬学的組成物の総重量の約1.0%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、薬学的組成物の総重量の約3.7%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、薬学的組成物の総重量の約1.1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、錠剤組成物は、約150mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、化合物1の約25mgの固体形態(例えば、形態1)を有する約150mgの総重量を有する。
【0354】
一実施形態において、錠剤組成物は、薬学的組成物の総重量の約16.7%w/wの量での化合物1と、薬学的組成物の総重量の約65%w/wの量でのマンニトールと、薬学的組成物の総重量の約12.2%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、薬学的組成物の総重量の約1.1%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、薬学的組成物の総重量の約3.9%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、薬学的組成物の総重量の約1.1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、錠剤組成物は、薬学的組成物の総重量の約16.67%w/wの量での化合物1と、薬学的組成物の総重量の約64.97%w/wの量でのマンニトールと、薬学的組成物の総重量の約12.22%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、薬学的組成物の総重量の約1.11%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、薬学的組成物の総重量の約3.89%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、薬学的組成物の総重量の約1.14%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、錠剤組成物は、約150mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、化合物1の約25mgの固体形態(例えば、形態1)を有する約150mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、約300mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、化合物1の約50mgの固体形態(例えば、形態1)を有する約300mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、約450mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、化合物1の約75mgの固体形態(例えば、形態1)を有する約450mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、約600mgの総重量を有する。一実施形態において、錠剤組成物は、化合物1の約100mgの固体形態(例えば、形態1)を有する約600mgの総重量を有する。
【0355】
薬学的組成物は、好都合に、単位剤形において提示され得る。ある特定の実施形態において、単位剤形は、錠剤である。ある特定の実施形態において、単位剤形は、(遊離塩基化合物1の重量による)5mgの用量強度の錠剤である。ある特定の実施形態において、単位剤形は、(遊離塩基化合物1の重量による)25mgの用量強度の錠剤である。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、治療されている対象、特定の投与様式に依存して変動する。
【0356】
一実施形態において、本明細で提供される薬学的組成物は、(i)化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む顆粒製剤と、(ii)顆粒外希釈剤と、(iii)顆粒外崩壊剤と、(iv)顆粒外潤滑剤と、を含む。
【0357】
一実施形態において、薬学的組成物中の顆粒製剤の量は、約10%~約65%w/wである。一実施形態において、量は、約13%~約60%w/wである。一実施形態において、量は、約16%~約56%w/wである。一実施形態において、量は、約13%~約20%w/wである。一実施形態において、量は、約15%~約18%w/wである。一実施形態において、量は、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20%w/wである。一実施形態において、量は、約16%w/wである。一実施形態において、量は、約17%w/wである。一実施形態において、量は、約16.7%w/wである。一実施形態において、量は、約16.67%w/wである。一実施形態において、量は、約50%~約60%w/wである。一実施形態において、量は、約54%~約57%w/wである。一実施形態において、量は、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59または約60%w/wである。一実施形態において、量は、約55%w/wである。一実施形態において、量は、約56%w/wである。一実施形態において、量は、約55.6%w/wである。一実施形態において、量は、約55.55%w/wである。
【0358】
一実施形態において、薬学的組成物中の顆粒外希釈剤の量は、約30%~約85%w/wである。一実施形態において、量は、約35%~約85%w/wである。一実施形態において、量は、約40%~約80%w/wである。一実施形態において、量は、約35%~約45%w/wである。一実施形態において、量は、約40%~約42%w/wである。一実施形態において、量は、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44または約45%w/wである。一実施形態において、量は、約41%w/wである。一実施形態において、量は、約40.95%w/wである。一実施形態において、量は、約75%~約85%w/wである。一実施形態において、量は、約79%~約81%w/wである。一実施形態において、量は、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84または約85%w/wである。一実施形態において、量は、約80%w/wである。一実施形態において、量は、約79.8%w/wである。一実施形態において、量は、約79.83%w/wである。
【0359】
一実施形態において、薬学的組成物中の顆粒外崩壊剤の量は、約1%~約4%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約3%w/wである。一実施形態において、量は、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9または約3%w/wである。一実施形態において、量は、約2.5%w/wである。
【0360】
一実施形態において、薬学的組成物中の顆粒外潤滑剤の量は、約0.1%~約2.5%w/wである。一実施形態において、量は、約0.5%~約1.5%w/wである。一実施形態において、量は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4または約1.5%w/wである。一実施形態において、量は、約1%w/wである。
【0361】
一実施形態において、化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩と、結合剤と、任意選択である顆粒内希釈剤と、顆粒内崩壊剤と、顆粒内潤滑剤と、を含む、顆粒製剤。ある特定の実施形態において、化合物1の固体形態(例えば、形態1)を含む、顆粒製剤。
【0362】
一実施形態において、顆粒製剤中の化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の量は、約20%~約80%w/wである。一実施形態において、量は、約30%~約70%w/wである。一実施形態において、量は、約30%~約50%w/wである。一実施形態において、量は、約30%~約40%w/wである。一実施形態において、量は、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75または約80%w/wである。一実施形態において、量は、約30%w/wである。一実施形態において、量は、約40%w/wである。一実施形態において、量は、約50%w/wである。
【0363】
一実施形態において、顆粒製剤中の結合剤の量は、約15%~約35%w/wである。一実施形態において、量は、約20%~約30%w/wである。一実施形態において、量は、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29または約30%w/wである。一実施形態において、量は、約24%w/wである。
【0364】
一実施形態において、顆粒製剤中の顆粒内崩壊剤の量は、約1%~約4%w/wである。一実施形態において、量は、約2%~約3%w/wである。一実施形態において、量は、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9または約3%w/wである。一実施形態において、量は、約2.5%w/wである。
【0365】
一実施形態において、顆粒製剤中の顆粒内潤滑剤の量は、約0.1%~約0.5%w/wである。一実施形態において、量は、約0.1、約0.15、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45または約0.5%w/wである。一実施形態において、量は、約0.25%w/wである。
【0366】
一実施形態において、顆粒製剤中の顆粒内希釈剤の量は、約0%~約60%w/wである。一実施形態において、量は、約35%~約50%w/wである。一実施形態において、量は、約40%~約45%w/wである。一実施形態において、量は、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49または約50%w/wである。一実施形態において、量は、約43%w/wである。一実施形態において、量は、約43.2%w/wである。一実施形態において、量は、約43.3%w/wである。一実施形態において、量は、約43.25%w/wである。一実施形態において、顆粒製剤中の顆粒内希釈剤の量は、顆粒製剤の残余である。
【0367】
一実施形態において、薬学的組成物は、(i)薬学的組成物の総重量の約16%~約17.5%w/wの量での顆粒製剤と、(ii)薬学的組成物の総重量の約79%~約80.5%w/wの量でのマンニトールと、(iii)薬学的組成物の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(iv)薬学的組成物の総重量の約1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含み、顆粒製剤は、(i.a)顆粒製剤中の約30%~約30.5%w/wの量での化合物1と、(i.b)顆粒製剤の総重量の約42.75%~約43.25%w/wの量でのマンニトールと、(i.c)顆粒製剤の総重量の約22%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、(i.d)顆粒製剤の総重量の約2%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、(i.e)顆粒製剤の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(i.f)顆粒製剤の総重量の約0.25%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、薬学的組成物は、(i)薬学的組成物の総重量の約16.7%(一実施形態において、約16.67%)w/wの量での顆粒製剤と、(ii)薬学的組成物の総重量の約79.8%(一実施形態において、約79.83%)w/wの量でのマンニトールと、(iii)薬学的組成物の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(iv)薬学的組成物の総重量の約1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含み、顆粒製剤は、(i.a)顆粒製剤中の約30%w/wの量での化合物1と、(i.b)顆粒製剤の総重量の約43.25%w/wの量でのマンニトールと、(i.c)顆粒製剤の総重量の約22%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、(i.d)顆粒製剤の総重量の約2%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、(i.e)顆粒製剤の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(i.f)顆粒製剤の総重量の約0.25%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、薬学的組成物は、約100mgの総重量を有する。
【0368】
一実施形態において、薬学的組成物は、(i)薬学的組成物の総重量の約55%~約56.5%w/wの量での顆粒製剤と、(ii)薬学的組成物の総重量の約40%~約41.5%w/wの量でのマンニトールと、(iii)薬学的組成物の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(iv)薬学的組成物の総重量の約1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含み、顆粒製剤は、(i.a)顆粒製剤中の約30%~約30.5%w/wの量での化合物1と、(i.b)顆粒製剤の総重量の約42.75%~約43.25%w/wの量でのマンニトールと、(i.c)顆粒製剤の総重量の約22%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、(i.d)顆粒製剤の総重量の約2%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、(i.e)顆粒製剤の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(i.f)顆粒製剤の総重量の約0.25%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、薬学的組成物は、(i)薬学的組成物の総重量の約55.6%w/wの量での顆粒製剤と、(ii)薬学的組成物の総重量の約40.9%w/wの量でのマンニトールと、(iii)薬学的組成物の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(iv)薬学的組成物の総重量の約1%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含み、顆粒製剤は、(i.a)顆粒製剤中の約30%w/wの量での化合物1と、(i.b)顆粒製剤の総重量の約43.25%w/wの量でのマンニトールと、(i.c)顆粒製剤の総重量の約22%w/wの量でのケイ化微結晶セルロースと、(i.d)顆粒製剤の総重量の約2%w/wの量でのヒドロキシプロピルセルロースと、(i.e)顆粒製剤の総重量の約2.5%w/wの量でのデンプングリコール酸ナトリウムと、(i.f)顆粒製剤の総重量の約0.25%w/wの量でのステアリン酸マグネシウムと、を含む。一実施形態において、薬学的組成物は、約150mgの総重量を有する。
【0369】
一実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、経口剤形である。一実施形態において、経口剤形は、錠剤である。一実施形態において、経口剤形は、即時放出錠剤である。
【0370】
一実施形態において、薬学的組成物は、化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む顆粒製剤を、1つ以上の顆粒外賦形剤(複数可)とブレンドすることを含むプロセスによって調製される。一実施形態において、1つ以上の顆粒外賦形剤(複数可)は、顆粒外希釈剤(例えば、マンニトール)、顆粒外崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)及び顆粒外潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含む。一実施形態において、顆粒外潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、他の構成要素が最初にブレンドされた後にブレンドされる。
【0371】
一実施形態において、顆粒製剤は、化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を含む顆粒内ブレンドを、ローラーコンパクタ及び任意選択でcomilを介して供給して、顆粒製剤を提供するプロセスによって調製される。一実施形態において、顆粒内ブレンドは、化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の顆粒内賦形剤(複数可)とブレンドすることを含むプロセスによって調製される。一実施形態において、1つ以上の顆粒内賦形剤(複数可)は、顆粒内希釈剤(例えば、マンニトール)、顆粒内結合剤(例えば、ケイ化微結晶セルロース及びヒドロキシプロピルセルロースの混合物)、顆粒内崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)及び顆粒内潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含む。一実施形態において、顆粒内潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)は、他の構成要素が最初にブレンドされた後にブレンドされる。
【0372】
一実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、約10μm~約500μmの粒子サイズを有する。一実施形態において、粒子サイズは、約10μm~約50μmである。一実施形態において、粒子サイズは、約25μm~約35μmである。一実施形態において、粒子サイズは、約50μm~約150μmである。一実施形態において、粒子サイズは、約120μm~約140μmである。一実施形態において、粒子サイズは、約150μm~約400μmである。一実施形態において、粒子サイズは、約320μm~約360μmである。
【0373】
一実施形態において、本明細書で提供される薬学的組成物は、約10μm~約150μmの平均粒子サイズを有する粒子の集団を含む。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D10)は、約10μm~約50μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D10)は、約10μm~約30μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D10)は、約10μm~約20μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D50)は、約50μm~約100μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D50)は、約50μm~約100μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D50)は、約60μm~約90μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D50)は、約70μm~約80μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D90)は、約100μm~約150μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D90)は、約110μm~約150μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D90)は、約110μm~約120μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D10)は、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μmまたは約20μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D50)は、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μmまたは約100μmである。一実施形態において、平均粒子サイズ(例えば、D90)は、約110μm、約115μm、約120μm、約125μm、約130μm、約135μm、約140μm、約145μmまたは約150μmである。
【0374】
一実施形態において、上記の粒子サイズを有する粒子または上記の平均粒子サイズを有する粒子の集団は、化合物1の固体形態(例えば、形態1)を摩砕することによって得られる。一実施形態において、摩砕は、湿式摩砕である。一実施形態において、湿式摩砕は、本明細書に記載される手段または当該技術分野で既知の手段に従って行われる。一実施形態において、摩砕は、乾式摩砕である。一実施形態において、乾式摩砕は、本明細書に記載される手段または当該技術分野で既知の手段に従って行われる。
【0375】
一実施形態において、粒子サイズまたは平均粒子サイズは、当該技術分野で既知のいずれかの手段、例えば、Malvern Mastersizer 3000または類似の機器を使用して決定される。
【0376】
ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、少なくとも約90%の化学的及び/または物理的純度を有する。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、薬学的組成物の代表的な試料中で検出される化合物1の量(例えば、HPLCまたは他の分析技法によって検出される量)を、製剤中の化合物1の理論量で割ったものである。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約95%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約96%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約97%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約98%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約99%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、約99.4%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、約101.1%の化学的及び/または物理的純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約99.5%のエナンチオマー純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、約100%のエナンチオマー純度を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物は、少なくとも約95%の化学的、物理的及び/またはエナンチオマー純度を12ヶ月間にわたって有する。
【0377】
ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物の調製(例えば、固体剤形、例えば、化合物1を含む錠剤の調製)後に、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、少なくとも約90重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、少なくとも約95重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、少なくとも約96重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、少なくとも約97重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、少なくとも約98重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、少なくとも約99重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、約99.4重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1の化学的及び/または物理的純度は、約101.1重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1のエナンチオマー純度は、少なくとも約99.5重量%である。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の化合物1のエナンチオマー純度は、約100重量%である。
【0378】
ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、約3面積%未満である分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、約2面積%未満である分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、約1面積%未満である分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、約0.5面積%未満である分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、約0.1面積%未満である分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、約0.1面積%である分解生成物を有する。
【0379】
ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、それぞれ約0.5面積%未満である1つ以上の分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、それぞれ約0.4面積%未満である1つ以上の分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、それぞれ約0.3面積%未満である1つ以上の分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、それぞれ約0.2面積%未満である1つ以上の分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、それぞれ約0.1面積%未満である1つ以上の分解生成物を有する。ある特定の実施形態において、化合物1を含む薬学的組成物(例えば、固体剤形におけるもの、例えば、化合物1を含む錠剤)は、それぞれ約0.05面積%未満である1つ以上の分解生成物を有する。
【0380】
ある特定の実施形態において、ヒト患者における使用に好適な薬学的調製物であって、本明細書で提供される化合物(例えば、式(I)の化合物と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的調製物が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、薬学的調製物は、本明細書に記載される状態または疾患の治療または予防における使用のためのものであり得る。本明細書で提供される化合物は、本明細書に開示されるいずれかの疾患または状態の治療のための医薬の製造において使用され得る。
【0381】
本明細書で提供される組成物及び方法は、それらを必要としている対象を治療するために使用され得る。ある特定の実施形態において、対象は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物である。対象、例えば、ヒトに投与されたときに、組成物または化合物は、好ましくは、薬学的組成物として投与され、薬学的組成物は、例えば、本明細書で提供される化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む。薬学的に許容される担体は、当該技術分野で周知であり、例えば、水溶液、例えば、水もしくは緩衝生理食塩水、または他の溶媒もしくはビヒクル、例えば、グリコール、グリセロール、油、例えば、オリーブ油もしくは注射可能有機エステルを含む。好ましい実施形態において、このような薬学的組成物が、ヒト投与のためのもの、特に、侵襲的投与経路(すなわち、上皮性関門を介する輸送または拡散を回避する注射または埋込みなどの経路)のためのものであるときに、水溶液は、パイロジェンフリーまたは実質的にパイロジェンフリーである。賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすように、または1つ以上の細胞、組織もしくは臓器を選択的に標的するように選択され得る。薬学的組成物は、単位剤形、例えば、錠剤、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、顆粒、再構成のための凍結乾燥剤、粉末、溶液、シロップ、坐剤または注射剤などであることができる。組成物はまた、経皮送達システム、例えば、皮膚パッチにおいて存在することができる。組成物はまた、局所投与に好適な溶液、例えば、点眼剤において存在することができる。
【0382】
薬学的に許容される担体は、例えば、化合物、例えば、本明細書で提供される化合物を安定化するように、その溶解度を増加させるようにまたはその吸収を増加させるように作用する生理学的に許容される薬剤を含有することができる。このような生理学的に許容される薬剤は、例えば、炭水化物、例えば、グルコース、スクロースもしくはデキストラン、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸もしくはグルタチオン、キレート剤、低分子量タンパク質、または他の安定剤もしくは賦形剤を含む。生理学的に許容される薬剤を含む薬学的に許容される担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。調製物または薬学的組成物は、自己乳化性薬物送達システムまたは自己微細乳化性薬物送達システムであることができる。薬学的組成物(調製物)はまた、リポソームまたは他のポリマーマトリックスであることができ、例えば、本明細書で提供される化合物が、リポソームまたは他のポリマーマトリックス内に組み込まれ得る。例えば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームは、作製及び投与が比較的簡単である無毒の生理学的に許容される代謝可能な担体である。
【0383】
「薬学的に許容される」という語句は、これらの化合物、材料、組成物及び/または剤形が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症がなく、対象の組織との接触における使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に見合うことを指すために本明細書で用いられる。
【0384】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語句は、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料を意味する。それぞれの担体は、製剤の他の成分と適合し、かつ対象に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース、(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース、(4)トラガカント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤ワックス、(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝溶液、ならびに(21)薬学的製剤において用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。
【0385】
薬学的組成物(調製物)は、対象に、いくつかの投与経路のうちのいずれかによって投与され得、投与経路は、例えば、経口(例えば、水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液中のものとしての水薬、錠剤、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト);口腔粘膜を介する吸収(例えば舌下);肛門、直腸または膣(例えば、ペッサリー、クリームまたは泡として);非経口(例えば、滅菌溶液または懸濁液として、筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(例えば、皮膚に適用されるパッチとして);及び局所(例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏もしくはスプレーとして、または点眼剤として)を含む。化合物はまた、吸入のために処方され得る。ある特定の実施形態において、化合物は、簡単に、滅菌水中に溶解されたものまたは滅菌水中に懸濁したものであり得る。適切な投与経路及びそれらに好適な組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970及び同第4,172,896号、ならびにそれらで引用されている特許に見出され得る。
【0386】
製剤は、好都合に、単位剤形において提示され得、薬学の分野で周知のいずれかの方法によって調製され得る。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、治療されている対象、特定の投与様式に依存して変動する。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、概して、治療効果をもたらす化合物のこの量である。概して、100パーセントのうち、この量は、約1パーセント~約99パーセントの活性成分、好ましくは、約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは、約10パーセント~約30パーセントの範囲である。
【0387】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、活性化合物、例えば、本明細書で提供される化合物を、担体及び任意選択で1つ以上の副成分と会合させるステップを含む。概して、製剤は、本明細書で提供される化合物を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、または両方と均一かつ密接に会合させることと、次いで、必要に応じて、生成物を成形することとによって調製される。
【0388】
経口投与に好適である本明細書で提供される製剤は、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、(香味付けされたベース、通常、スクロース及びアカシア、またはトラガカントを使用する)ロゼンジ、凍結乾燥剤、粉末、顆粒の形態;または水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液としてのもの;または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとしてのもの;またはエリキシル剤もしくはシロップ剤としてのもの;または(不活性ベース、例えば、ゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアを使用する)トローチとしてのもの;及び/または口腔洗浄剤としてのものなどであり得、それぞれは、所定の量の本明細書で提供される化合物を、活性成分として含有する。組成物または化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。
【0389】
経口投与のための固体剤形((スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末及び顆粒など)を調製するために、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムと混合され、及び/または以下、(1)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/またはアカシア、(3)保水剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケート及び炭酸ナトリウム、(5)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール、(8)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、(9)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物、(10)錯化剤、例えば、修飾及び未修飾シクロデキストリン、ならびに(11)着色剤のうちのいずれかと混合される。(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、錠剤及び丸剤の場合、薬学的組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用いられ得る。
【0390】
錠剤は、任意選択で、1つ以上の副成分とともに、圧縮または成型することによって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製され得る。成型錠剤は、好適な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた化合物末の混合物を成型することによって作製され得る。
【0391】
薬学的組成物の錠剤、ならびに他の固体剤形、例えば、糖衣錠、(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)カプセル、丸剤及び顆粒は、任意選択で、刻み目が付けられてもよく、またはコーティング及びシェル、例えば、腸溶性コーティング及び薬学的処方の分野で周知の他のコーティングで調製されてもよい。これらはまた、それらの中の活性成分の徐放または制御放出を提供するように、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/またはマイクロスフェアを使用して処方され得る。これらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、または使用直前に滅菌水もしくはある他の滅菌注射可能媒体中に溶解され得る滅菌固体組成物の形態における滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。これらの組成物はまた、任意選択で、不透明剤を含有し得、活性成分(複数可)を、胃腸管のある特定の部分のみにおいてまたはその部分において優先的に、任意選択で、遅延様式で放出する組成物のものあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。活性成分はまた、マイクロカプセル化形態であることができ、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1つ以上を有するマイクロカプセル化形態であることができる。
【0392】
経口投与に有用な液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、再構成のための凍結乾燥剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、シクロデキストリン及びその誘導体、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ピーナッツ(groundnut)油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0393】
不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、芳香剤及び保存剤を含むことができる。
【0394】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、ならびにそれらの混合物を含有し得る。
【0395】
直腸、膣または尿道投与のための薬学的組成物の製剤は、坐剤として提示され得、坐剤は、1つ以上の活性化合物を、1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得、1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチレートを含み、坐剤は、室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解し、活性化合物を放出する。
【0396】
口腔への投与のための薬学的組成物の製剤は、口腔洗浄剤または口腔スプレーまたは経口軟膏として提示され得る。
【0397】
代替としてまたは加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤまたは他の腔内デバイスを介する送達のために処方され得る。このようなデバイスを介する送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸または腸への送達に特に有用であり得る。
【0398】
膣投与に好適である製剤はまた、適切であることが当該技術分野で既知である担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤を含む。
【0399】
局所または経皮投与のための剤形は、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入剤を含む。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、及び必要とされ得るいずれかの保存剤、緩衝液または噴射剤と混合され得る。
【0400】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含有し得る。
【0401】
粉末及びスプレーは、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有することができる。スプレーは、加えて、通例の噴射剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素、ならびに揮発性非置換炭化水素、例えば、ブタン及びプロパンを含有することができる。
【0402】
経皮パッチは、体への本明細書で提供される化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有する。このような剤形は、活性化合物を適切な媒体中に溶解するまたは分散させることによって作製され得る。また、吸収増強剤が、皮膚をわたる化合物の流束を増加させるために使用され得る。このような流束の速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることのいずれかによって制御され得る。
【0403】
また、点眼用製剤、眼軟膏、粉末及び溶液などが、本開示の範囲内であるとして企図される。例示的な点眼用製剤は、米国特許出願公開第2005/0080056号、同第2005/0059744号、同第2005/0031697号及び同第2005/004074号、ならびに米国特許第6,583,124号に記載されており、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。所望の場合、液体点眼用製剤は、涙液、房水もしくは硝子体液のものと同様の特性を有するか、またはこのような流体と適合する。好ましい投与経路は、局所投与(例えば、外用投与、例えば、点眼剤、またはインプラントを介する投与)である。
【0404】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口投与される」という語句は、経腸及び外用投与以外の、通常、注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内及び胸骨内注射及び注入を含むが、これらに限定されない。
【0405】
非経口投与に好適な薬学的組成物は、1つ以上の活性化合物を、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョンとの組み合わせで、または使用直前に滅菌注射可能溶液もしくは分散液に再構成され得る滅菌粉末との組み合わせで含み、これらは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁化もしくは増ちょう剤を含有し得る。
【0406】
本明細書で提供される薬学的組成物中で用いられ得る好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど)及びそれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注射可能有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンの使用によって維持され得、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持によって維持され得、界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0407】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含有し得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール及びフェノールソルビン酸などを含めることによって確実にされ得る。また、等張剤、例えば、糖及び塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることが望ましいことがある。加えて、注射可能薬学的形態の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0408】
いくつかの場合において、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、乏しい水溶性を有する結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次いで、その溶解速度は、結晶サイズ及び結晶性形態に依存し得る。代替として、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクル中に溶解するまたは懸濁させることによって達成される。
【0409】
注射可能デポー形態は、主題化合物のマイクロカプセル化マトリックスを、生分解性ポリマー、例えば、ポリラクチド-ポリグリコリド中で形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比及び用いられる特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤はまた、薬物を、体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に封入することによって調製される。
【0410】
本明細書で提供される方法における使用のために、活性化合物は、それ自体でまたは薬学的組成物として投与され得、薬学的組成物は、例えば、0.1~99.5%(より好ましくは、0.5~90%)の活性成分を、薬学的に許容される担体との組み合わせで含有する。
【0411】
また、導入方法が、再充填可能または生分解性デバイスによって提供され得る。近年、様々な徐放性ポリマーデバイスが、タンパク質性バイオ医薬品を含む薬物の制御送達のために開発されており、インビボで試験されている。生分解性及び非分解性ポリマーの両方を含む(ヒドロゲルを含む)様々な生体適合性ポリマーが、化合物を特定の標的部位において持続放出するためのインプラントを形成するために使用され得る。
【0412】
薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、所望の治療応答を、特定の患者、組成物及び投与様式について、患者に毒性であることなく達成するのに有効である活性成分の量を得るように変動し得る。
【0413】
選択される投与量レベルは、様々な因子に依存し、因子は、用いられる特定の化合物もしくは化合物の組み合わせ、またはそれらのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられている特定の化合物(複数可)の排泄速度、治療の持続期間、用いられる特定の化合物(複数可)との組み合わせで使用される他の薬物、化合物及び/または材料、治療されている対象の年齢、性別、体重、状態、健康全般及び以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の因子を含む。
【0414】
当該技術分野の通常の技能を有する医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の治療有効量を容易に決定及び処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要とされるものよりも低いレベルでの用量の薬学的組成物または化合物から開始することができ、投与量を、所望の効果が達成されるまで徐々に増加させることができる。「治療有効量」とは、所望の治療効果を誘発するのに十分である化合物の濃度を意味する。概して、化合物の有効量は、対象の体重、性別、年齢及び病歴に従って変動することが理解される。有効量に影響する他の因子は、対象の状態の重症度、治療されている障害、化合物の安定性、及び所望の場合、本明細書で提供される化合物とともに投与されている別のタイプの治療剤を含み得るが、これらに限定されない。より大きい総用量が、薬剤の複数回の投与によって送達され得る。有効性及び投与量を決定するための方法は、当業者に既知である(参照により本明細書に組み込まれるIsselbacher et al.(1996)Harrison’s Principles of Internal Medicine 13 ed.,1814-1882)。
【0415】
概して、本明細書で提供される組成物及び方法において使用される活性化合物の好適な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最も低い用量である化合物のこの量である。このような有効用量は、概して、上記の因子に依存する。
【0416】
所望の場合、有効な日用量の活性化合物は、別個に投与される1回、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれ以上の副用量として、1日中適切な間隔で、任意選択で、単位剤形で投与され得る。本明細書で提供されるある特定の実施形態において、活性化合物は、1日2または3回投与され得る。好ましい実施形態において、活性化合物は、1日1回投与される。
【0417】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物は、単独で使用されてもよく、または別のタイプの治療剤と合同して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「合同投与」という語句は、2つ以上の異なる治療化合物のいずれかの投与形態であって、以前に投与された治療化合物が、依然として体内で有効でありつつ、第2の化合物が投与される(例えば、2つの化合物が、対象において同時に有効であり、これは、2つの化合物の相乗効果を含み得る)、投与形態を指す。例えば、異なる治療化合物は、同じ製剤または別個の製剤のいずれかにおいて、同時または逐次のいずれかで投与され得る。ある特定の実施形態において、異なる治療化合物は、互いに1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間または1週間以内に投与され得る。したがって、このような治療を受容する対象は、異なる治療化合物の併用効果から利益を得ることができる。
【0418】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される化合物と1つ以上の追加の治療剤(複数可)(例えば、1つ以上の追加の化学療法剤(複数可))との合同投与は、本明細書で提供される化合物または1つ以上の追加の治療剤(複数可)のそれぞれの個別の投与に対して改善された有効性を提供する。ある特定のこのような実施形態において、合同投与は、相加効果を提供し、相加効果とは、本明細書で提供される化合物及び1つ以上の追加の治療剤(複数可)の個別の投与の効果のそれぞれの総体を指す。
【0419】
湿潤剤、乳化剤、及び平滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤、保存剤、及び抗酸化剤が組成物中に存在することもできる。
【0420】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル及びアルファトコフェロールなど、ならびに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸及びリン酸などが挙げられる。
【0421】
5.5.治療方法
一実施形態において、がんを治療する方法であって、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物を、固形腫瘍を治療、予防または管理するために使用する方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、固形腫瘍を治療する方法であって、それを必要としている患者に、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0422】
一実施形態において、がんは、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、非定型髄膜腫、乳癌、胆管細胞癌、胃癌、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、炎症性肝細胞腺腫(HCA)、黒色腫、膵癌、甲状腺乳頭癌、唾液腺癌、漿液性卵巣癌またはスピッツ様腫瘍である。
【0423】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性固形腫瘍である。一実施形態において、進行性固形腫瘍は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による以前の治療後に再発したもの、またはそれに対して抵抗性もしくは耐性である。一実施形態において、固形腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性である。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性である。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性NSCLCである。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「進行性腫瘍」とは、治癒することができないか、または初期の起源部位を越えて成長する局所進行性または転移性のいずれかの腫瘍を指す。
【0424】
一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ROS1陽性である。一実施形態において、固形腫瘍は、ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ROS1陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ROS1陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ROS1変異を有する。一実施形態において、ROS1変異は、G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、G2032R、及びS1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026M、D2033NまたはG2101Aのうちの1つ以上を含む。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ROS1融合物を有する。
【0425】
一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ALK陽性である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「ALK陽性」(ALK+)がん、疾患または障害とは、ALK遺伝子の不適切な高発現及び/またはALK遺伝子における変異の存在及び/または部分的に欠失したALKタンパク質の存在を特徴とするがん、疾患または障害を指す。一実施形態において、固形腫瘍は、ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、局所進行性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ALK陽性固形腫瘍である。一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍は、CNS転移性ALK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、ALK変異を有する。
【0426】
一実施形態において、ALK変異は、1つ以上のALK再編成(一実施形態において、1つの再編成)を含む。一実施形態において、ALK変異は、1つ以上のALK融合物(一実施形態において、1つの融合物)を含む。いくつかの実施形態において、本開示の方法によって治療されるがんは、ALK融合物を含む。一実施形態において、ALK融合物は、Ou et al.,JTO Clinical and Research Reports,1(1):1-10に記載されている融合パートナーのうちの1つとのものであり、この文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、ALK融合物は、EML4、TFG、KIF5B、KLC1、STRN、HIP1、TPR、BIRC6、DCTN1、SQSTM1、SOCS5、SEC31A、CLTC、PRKAR1A、PPM1B、EIF2AK3、CRIM1、CEBPZ、PICALM、CLIP1、BCL11A、GCC2、LMO7、PHACTR1、CMTR1、VIT、DYSF、ITGAV、PLEKHA7、CUX1、VKORC1L1、FBXO36、SPTBN1、EML6、FBXO11、CLIP4、CAMKMT、NCOA1、MYT1L、SRBD1、SRD5A2、NYAP2、MPRIP、ADAM17、ALK、LPIN1、WDPCP、CEP55、ERC1、SLC16A7、TNIP2、ATAD2B、SLMAP、FBN1、SWAP70、TCF12、TRIM66、WNK3、AKAP8L、SPECC1L、PRKCB、CDK15、LCLAT1、YAP1、PLEKHM2、DCHS1、PPFIBP1、ATP13A4、C12orf75、EPAS1、FAM179A、FUT8、LIMD1、LINC00327、LOC349160、LYPD1、RBM20、TACR1、TANC1、TTC27、TUBBB、SMPD4、SORCS1、LINC00211、SOS1、C9orf3、CYBRD1、MTA3、THADA、TSPYL6、WDR37及びPLEKHH2からなる群から選択される融合パートナーのうちの1つとのものである。一実施形態において、ALK融合物は、EML4、TMP1、WDCP、GTF2IRD1、TPM3、TPM4、CLTC、LMNA、PRKAR1A、RANBP2、TFG、FN1、KLC1、VCL、STRN、HIP1、NPM1、DCTN1、SQSTM1、TPR、CRIM1、PTPN3、FBXO36、ATIC及びKIF5Bからなる群から選択される融合パートナーのうちの1つとのものである。一実施形態において、ALK変異は、EML4-ALKであり、EML4-ALKは、棘皮動物微小管関連タンパク質様4(EML4)遺伝子とALKチロシンキナーゼドメインとの間の融合物である。切断点接合部によって異なるEML4-ALKの多くのバリアントがあり、バリアント1(v1)及びバリアント3(v3)が、臨床的に最も頻繁である。一実施形態において、ALK変異は、NPM1-ALKである。一実施形態において、ALK変異は、STRN-ALKである。
【0427】
一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、白血球受容体チロシンキナーゼ(LTK)陽性である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「LTK陽性」(LTK+)がん、疾患または障害とは、LTK遺伝子の不適切な高発現、及び/またはLTK融合タンパク質をもたらすLTK遺伝子再編成を含む、LTK遺伝子における変異の存在を特徴とするがん、疾患または障害を指す。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性浸潤性乳管癌、前立腺腺癌、膵臓腺癌、原発不明の腺癌または膀胱尿路上皮癌である。一実施形態において、がんは、LTK陽性白血病である。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性肺癌である。一実施形態において、固形腫瘍は、LTK陽性NSCLCである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、LTK変異を有する。一実施形態において、LTK変異は、G269A、F218I、N257T、A13fsまたはA214fsである。一実施形態において、固形腫瘍(またはがん)は、LTK融合物を有する。一実施形態において、LTK融合物は、CLIP1-LTKである。Cooper AJ,Sequist LV,Johnson TW,Lin JJ.LTK fusions:A new target emerges in non-small cell lung cancer.Cancer Cell.2022 Jan 10;40(1):23-25及びIzumi,H.,Matsumoto,S.,Liu,J.et al.The CLIP1-LTK fusion is an oncogenic driver in non-small-cell lung cancer.Nature 600,319-323(2021)を参照されたく、それらのそれぞれは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0428】
一実施形態において、患者は、以前の療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、いずれものチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法により無処置である(すなわち、受容していない)。
【0429】
一実施形態において、患者は、1つ以上の以前の療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者は、2つの以前のTKI療法で治療されている。一実施形態において、患者の腫瘍は、ROS1以外の既知の発がん性ドライバー改変を有さない。一実施形態において、TKIは、ROS1 TKI(例えば、クリゾチニブまたはエヌトレクチニブ)である。一実施形態において、以前のTKI療法は、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、タレトレクチニブ及びロルラチニブからなる群から選択される1つ以上である。
【0430】
一実施形態において、患者は、以前の白金ベースの化学療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。一実施形態において、患者は、2つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0431】
本明細書で使用される場合、「白金ベースの化学療法」とは、白金の配位錯体である化学療法剤を指す。例示的な白金ベースの化学療法は、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチンまたはカルボプラチンを含むが、これらに限定されない。
【0432】
一実施形態において、患者は、免疫療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前の免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前の免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、1つの以前の免疫療法で治療されている。一実施形態において、患者は、2つの免疫療法で治療されている。
【0433】
本明細書で使用される場合、「免疫療法」とは、免疫系を活性化または抑制することによる疾患の治療を指す。免疫応答を誘発または増幅するように設計された免疫療法は、活性化免疫療法として分類され、低減または抑制する免疫療法は、抑制免疫療法として分類される。免疫療法は、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)など)を調節して、一緒にがんに対して、腫瘍細胞の表面上で発現される異常な抗原を標的とすることによって作用することができる。例示的な免疫療法は、チェックポイント阻害剤(例えば、抗細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)及び抗プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)抗体)を含むが、これらに限定されない。例示的なPD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(Keytruda)、ニボルマブ(Opdivo)及びセミプリマブ(Libtayo)を含むが、これらに限定されない。例示的なPD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)、デュルバルマブ(Imfinzi)を含むが、これらに限定されない。例示的なCTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(Yervoy)を含むが、これらに限定されない。
【0434】
一実施形態において、患者は、化学療法で治療されていない。一実施形態において、患者は、少なくとも1つの以前の化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの以前の化学療法ラインで治療されている。
【0435】
一実施形態において、患者は、少なくとも3つの以前の抗がん療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、ROS1 TKI(例えば、治験ROS1 TKI、クリゾチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、タレトレクチニブ、レポトレクチニブ)及び化学療法からなる群から選択される少なくとも2つの以前の抗がん療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも3つのROS1 TKIライン及び1つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも1つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも2つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている。一実施形態において、患者は、少なくとも3つのROS1 TKIライン及び2つの化学療法ラインで治療されている。
【0436】
一実施形態において、ROS1 TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、エヌトレクチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、ロルラチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、レポトレクチニブである。一実施形態において、患者は、ロルラチニブ及びレポトレクチニブで治療されている。一実施形態において、ROS1 TKIは、タレトレクチニブである。
【0437】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍であり、患者は、少なくとも1つの以前のROS1 TKI療法で治療されている。
【0438】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、TKI療法により無処置であり、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0439】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、1つの以前のROS1 TKI療法で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法で治療されていない。
【0440】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前のROS1 TKI療法及び1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0441】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0442】
一実施形態において、固形腫瘍は、転移性ROS1陽性固形腫瘍であり、患者は、以前の療法において進行している。一実施形態において、以前の療法は、以前のROS1 TKI療法である。一実施形態において、以前の療法は、以前の化学療法(例えば、白金ベースの化学療法)である。一実施形態において、以前の療法は、以前の免疫療法である。
【0443】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、TKI療法により無処置であり、免疫療法とともにまたはそれなしで、最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0444】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、1つの以前のROS1 TKI療法で治療されており、以前の白金ベースの化学療法または免疫療法で治療されていない。
【0445】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、1つの以前のROS1 TKI療法及び1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0446】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性NSCLCであり、患者は、免疫療法とともにまたはそれなしで、少なくとも2つの以前のROS1 TKI療法及び最大1つの以前の白金ベースの化学療法で治療されている。
【0447】
一実施形態において、固形腫瘍は、進行性ROS1陽性固形腫瘍であり、患者は、以前の療法において進行している。一実施形態において、以前の療法は、以前のROS1 TKI療法である。
【0448】
一実施形態において、ROS1 TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、ROS1 TKIは、エヌトレクチニブである。
【0449】
一実施形態において、以前の療法は、以前のROS1 TKI療法である。一実施形態において、ROS1 TKIは、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、タレトレクチニブまたはレポトレクチニブである。
【0450】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、1日1回(QD)投与される。一実施形態において、化合物は、1日2回(BID)投与される。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0451】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、1日当たり(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg~約500mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約250mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約200mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約50mg~約200mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約5mg~約150mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約150mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約125mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約25mg~約100mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約50mg~約125mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約50mg~約100mgの量で投与される。一実施形態において、化合物は、1日当たり約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195または約200mgの量で投与される。一実施形態において、量は、1日当たり約5mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約10mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約15mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約20mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約25mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約30mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約35mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約40mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約45mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約50mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約75mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約100mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約125mgである。一実施形態において、量は、1日当たり約150mgである。本明細書で使用される場合、重量量とは、遊離塩基化合物1の重量量を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0452】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg~約500mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約250mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約200mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約200mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約150mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約150mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約125mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約100mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約125mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約100mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、化合物は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195または約200mgの量で1日1回投与される。一実施形態において、量は、約5mg1日1回である。一実施形態において、量は、約10mg1日1回である。一実施形態において、量は、約15mg1日1回である。一実施形態において、量は、約20mg1日1回である。一実施形態において、量は、約25mg1日1回である。一実施形態において、量は、約30mg1日1回である。一実施形態において、量は、約35mg1日1回である。一実施形態において、量は、約40mg1日1回である。一実施形態において、量は、約45mg1日1回である。一実施形態において、量は、約50mg1日1回である。一実施形態において、量は、約75mg1日1回である。一実施形態において、量は、約100mg1日1回である。一実施形態において、量は、約125mg1日1回である。一実施形態において、量は、約150mg1日1回である。本明細書で使用される場合、重量量とは、遊離塩基化合物1の重量量を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0453】
一実施形態において、本明細書で使用される化合物(化合物1、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩)は、(遊離塩基化合物1の重量による)約5mg~約500mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約250mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約250mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約200mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約10mg~約50mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約10mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約50mg~約100mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5mg~約150mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約25mg~約150mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、化合物は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195または約200mgの量で1日2回投与される。一実施形態において、量は、約5mg1日2回である。一実施形態において、量は、約10mg1日2回である。一実施形態において、量は、約15mg1日2回である。一実施形態において、量は、約20mg1日2回である。一実施形態において、量は、約25mg1日2回である。一実施形態において、量は、約30mg1日2回である。一実施形態において、量は、約35mg1日2回である。一実施形態において、量は、約40mg1日2回である。一実施形態において、量は、約45mg1日2回である。一実施形態において、量は、約50mg1日2回である。一実施形態において、量は、約75mg1日2回である。一実施形態において、量は、約100mg1日2回である。一実施形態において、量は、約125mg1日2回である。一実施形態において、量は、約150mg1日2回である。本明細書で使用される場合、重量量とは、遊離塩基化合物1の重量量を指す。ある特定の実施形態において、本明細書で使用される化合物は、化合物1である。
【0454】
一実施形態において、化合物は、経口投与される。
【0455】
一実施形態において、化合物は、1つ以上の錠剤の形態において投与される。一実施形態において、錠剤は、遊離塩基化合物1の重量による約5mgの単位用量強度を有する。一実施形態において、錠剤は、遊離塩基化合物1の重量による約25mgの単位用量強度を有する。
【0456】
一実施形態において、化合物は、空腹を有する対象に投与される。一実施形態において、化合物は、絶食状態での対象に投与される。一実施形態において、化合物は、対象に食物なしで投与される。一実施形態において、化合物は、対象に、水以外の食物及び/または飲料の摂取の少なくとも1時間前にかつその2時間以上後に投与される。一実施形態において、化合物は、満腹を有する対象に投与される。一実施形態において、化合物は、摂食状態での対象に投与される。一実施形態において、化合物は、対象に食物とともに投与される。一実施形態において、化合物は、食物及び/または飲料の摂取とともに投与される。
【0457】
一実施形態において、患者は、認知障害、気分障害、睡眠障害、めまい、運動失調及び体重増加からなる群から選択される1つ以上の症状における改善を、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、患者は、認知障害、気分障害、睡眠障害、めまい、運動失調及び体重増加からなる群から選択される1つ以上の症状を、化合物の投与後に経験しない。一実施形態において、患者は、pROS1、ROS1、pAKT及びpERKのうちの1つ以上の低減されたレベルを、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、患者は、腫瘍における1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子の低減された発現レベルを、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、患者は、固形腫瘍における1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子の低減された発現レベルを、化合物の投与後に経験する。一実施形態において、1つ以上のMAPキナーゼ経路遺伝子は、DUSP6、FOS、IL1R1及びSPRY4からなる群から選択される。
【0458】
一実施形態において、がんを治療する方法であって、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0459】
がんは、ある特定の遺伝子における改変からもたらされる制御されていない細胞増殖の疾患である。これらの改変のうちのいくつかは、シグナルを細胞外から伝達して、細胞生存、成長及び増殖を促進する膜結合タンパク質のファミリーである受容体チロシンキナーゼ(RTK)をコードする遺伝子において発生する。異常なRTK活性化は、過剰な細胞成長をもたらし得、したがって、がんをもたらし得る。概して、RTKは、細胞外リガンドに結合するN末端ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達を触媒するC末端キナーゼドメインと、を含有する。
【0460】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、ヒトROS1の阻害剤である。ROS1は、ROS1遺伝子によってコードされたRTKである。ヒトROS1のリガンド及び生物学的機能は不明であるが、いくつかの他の種におけるその相同体は、細胞外リガンドに結合し、細胞分化を刺激することが示されている。例えば、マウスROS1は、雄配偶子成熟及び生殖に必須である。ヒトにおいて、ROS1染色体再編成は、がんの十分に立証された原因であり、非小細胞肺癌(NSCLC)の1~2%及び他の多くのがんのサブセットを表す。これらの再編成は、ROS1のC末端と、様々なパートナータンパク質のN末端との融合をもたらし、最も一般的なパートナータンパク質は、CD74である。ROS1融合物は、腫瘍成長をMAPK、PI3K及びJAK/STATシグナル伝達経路を介して駆動する構成的キナーゼ活性を有する。小分子チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、がんにおけるROS1融合物を標的とするために使用されており、クリゾチニブ及びエヌトレクチニブを含む。クリゾチニブは、ROS1陽性NSCLCの治療のための最初のFDA承認TKIであった。初期応答にもかかわらず、ほとんどの患者は、クリゾチニブに対する耐性を獲得し再発する。耐性の主な機構は、溶媒フロントにおけるG2032R変異であり、これは、クリゾチニブ親和性を劇的に低減する。ROS1-G2032R融合物に対する活性を有する阻害剤は、FDA承認されておらず、これは、当該技術分野における必要性を示す。
【0461】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、ROS1を選択的に阻害する。一実施形態において、化合物は、ALKに優先してROS1を選択的に阻害する。非限定的な例として、選択性の比は、約1.5倍超、約2倍超、約3倍超、約4倍超、約5倍超、約10倍超、約20倍超、約30倍超、約50倍超または約100倍超であることができ、選択性は、手段のうちでもとりわけ、IC50値の比によって測定され得る。一実施形態において、ALKに優先するROS1の選択性は、ALKに対するIC50値対ROS1に対するIC50値の比によって測定される。
【0462】
一実施形態において、化合物は、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害する。非限定的な例として、選択性の比は、約5倍超、約10倍超、約50倍超、約100倍超、約200倍超、約400倍超、約600倍超、約800倍超、約1000倍超、約1500倍超、約2000倍超、約5000倍超、約10,000倍超または約20,000倍超であることができ、選択性は、手段のうちでもとりわけ、IC50値の比によって測定され得る。一実施形態において、TRKに優先するROS1の選択性は、TRKに対するIC50値対ROS1対するIC50値の比によって測定される。
【0463】
一実施形態において、ALKに優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、細胞において起こる、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、細胞において起こる、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、方法は、ROS1を有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物と接触させることを含む。一実施形態において、このような接触は、細胞において発生する。一実施形態において、このような接触は、哺乳動物、例えば、ヒトにおける細胞において発生する。一実施形態において、このような接触は、本明細書で提供されるがんを有するヒト患者における細胞において発生する。
【0464】
一実施形態において、ALKに優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、がんを患う対象において起こり、当該方法が、当該対象に、有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、ROS1に関連するがんを患う対象を治療する方法であって、当該方法が、当該対象に、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物の量を投与することによって、ALKに優先してROS1を選択的に阻害することを含み、当該量が、ALKに優先してROS1を選択的に阻害するのに十分である、方法が、本明細書で提供される。
【0465】
一実施形態において、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害するための方法であって、阻害が、がんを患う対象において起こり、当該方法が、当該対象に、有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、ROS1に関連するがんを患う対象を治療する方法であって、当該方法が、当該対象に、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物の量を投与することによって、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害することを含み、当該量が、TRK(例えば、TRKA、TRKB及び/またはTRBC)に優先してROS1を選択的に阻害するのに十分である、方法が、本明細書で提供される。
【0466】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、ROS1の阻害は、野生型ROS1またはその変異の阻害を含み、ALKの阻害は、野生型ALKまたはその変異の阻害を含み、TRKの阻害は、野生型TRKまたはその変異の阻害を含む。
【0467】
本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、肺癌、例えば、非小細胞肺癌、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、卵巣癌、例えば、漿液性卵巣癌、黒色腫、例えば、スピッツ様黒色腫、神経膠芽腫、胆管癌、例えば、胆管細胞癌、胃癌、結腸直腸癌、血管肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、例えば、食道扁平上皮癌、腎臓癌、例えば、腎髄質癌または腎細胞癌、乳癌、例えば、三種陰性乳癌、甲状腺癌、例えば、乳頭様甲状腺癌、神経芽細胞腫、類上皮血管内皮腫、結腸癌、及びスピッツ様腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0468】
本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1、ALK、TRKA、TRKB及びTRKCから選択される1つ以上の発がん性タンパク質に起源を有するがんを含む。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1、ALK、TRKA、TRKB及びTRKCから選択される1つ以上の発がん性タンパク質を対象とする治療に対して薬物耐性であるがんを含む。
【0469】
一実施形態において、本明細書で提供される方法におけるがんは、ROS1陽性(ROS1+)である。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「ROS1陽性」(ROS1+)がん、疾患または障害とは、ROS1遺伝子の不適切な高発現及び/またはROS1遺伝子における変異の存在を特徴とするがん、疾患または障害を指す。一実施形態において、変異は、ROS1核酸分子またはポリペプチドの生物学的活性を改変する。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、ROS1の「変異」または「変異体」は、ROS1のアミノ酸もしくはヌクレオチド配列、またはそれらの断片における1つ以上の欠失、置換、挿入、逆位、重複、転座または増幅を含む。本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、ROS1「再編成」とは、ROS1遺伝子に関する遺伝子転座であって、ROS1融合遺伝子及び/またはROS1融合タンパク質をもたらし得る、遺伝子転座を指す。ROS1融合物はまた、変異体がキナーゼリン酸化活性を保持する限り、1つ以上の欠失、置換、挿入、逆位、重複、転座もしくは増幅、またはその断片を含むことができる。
【0470】
一実施形態において、ROS1変異は、1つ以上のROS1点変異を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1キナーゼにおける1つ以上の変異を含む。一実施形態において、1つ以上のROS1点変異は、E1935、L1947、L1951、G1971、E1974、L1982、S1986、F2004、E2020、L2026、G2032、D2033、C2060、F2075、L2086、V2089、V2098、G2101、D2113、1981Tins、M2001T及びL2155における点変異から選択される。一実施形態において、1つ以上のROS1点変異は、G2032R、G2032K、D2033N、S1986F、S1986Y、L2026M、L1951R、E1935G、L1947R、G1971E、E1974K、L1982F、F2004C、F2004V、E2020K、C2060G、F2075V、V2089M、V2098I、G2101A、D2113N、D2113G、L2155S及びL2086Fから選択される。一実施形態において、ROS1変異は、G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、S1986Fである。一実施形態において、ROS1変異は、S1986Yである。一実施形態において、ROS1変異は、L2026Mである。一実施形態において、ROS1変異は、D2033Nである。一実施形態において、ROS1変異は、L2086Fである。一実施形態において、ROS1変異は、F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、L1982Fである。一実施形態において、ROS1変異は、G2032R、及びS1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026MまたはD2033Nのうちの1つ以上の共変異である。
【0471】
一実施形態において、ROS1変異は、1つ以上のROS1再編成(一実施形態において、1つの再編成)を含む。一実施形態において、ROS1変異は、1つ以上のROS1融合物(一実施形態において、1つの融合物)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法によって治療されるがんは、ROS1融合物を含む。一実施形態において、ROS1融合物は、SLC34A2、CD74、TPM3、SDC4、EZR、LRIG3、KDELR2、CEP72、CLTL、CTNND2、GOPC(例えば、GOPC-S、GOPC-L)、GPRC6A、LIMA1、LRIG3、MSN、MYO5C、OPRM1、SLC6A17 SLMAP、SRSF6、TFG、TMEM106B、TPD52L1、ZCCHC8、CCDC6、CAPRIN1、CEP85L、CHCHD3、CLIP1、EEF1G、KIF21A、KLC1、SART3、ST13、TRIM24、ERC1、FIP1L1、HLAA、KIAA1598、MYO5A、PPFIBP1、PWWP2A、FN1、YWHAE、CCDC30、NCOR2、NFKB2、APOB、PLG、RBP4及びGOLGB1から選択される融合パートナーのうちの1つとのものである。一実施形態において、ROS1融合物は、CD74-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、SDC4-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、EZR-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、SLC34A2-ROS1融合物である。一実施形態において、ROS1融合物は、GOPC-ROS1融合物(例えば、GOPC-ROS1-S、GOPC-ROS1-L)である。一実施形態において、ROS1融合物は、CEP85L-ROS1融合物である。
【0472】
一実施形態において、ROS1変異は、1つのROS1再編成及び1つ以上のROS1点変異を含む。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1、EZR-ROS1、SLC34A2-ROS1、GOPC-ROS1(例えば、GOPC-ROS1-S、GOPC-ROS1-L)及びCEP85L-ROS1からの1つ以上のROS1再編成、ならびにF2004C、F2004V及びG2032Rから選択される1つ以上のROS1点変異を含む。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1、EZR-ROS1及びSLC34A2-ROS1からの1つ以上のROS1再編成、ならびにG2101AのROS1点変異を含む。
【0473】
一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 S1986Fである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 L2026Mである。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 D2033Nである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、EZR-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 G2101Aである。一実施形態において、ROS1変異は、SLC34A2-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 F2004C(例えば、GOPC-ROS1-S F2004C、GOPC-ROS1-L F2004C)である。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 F2004V(例えば、GOPC-ROS1-S F2004V、GOPC-ROS1-L F2004V)である。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 G2032R(例えば、GOPC-ROS1-S G2032R、GOPC-ROS1-L G2032R)である。一実施形態において、ROS1変異は、CEP85L-ROS1 F2004Cである。一実施形態において、ROS1変異は、CEP85L-ROS1 F2004Vである。一実施形態において、ROS1変異は、CEP85L-ROS1 G2032Rである。一実施形態において、ROS1変異は、GOPC-ROS1 L1982F(例えば、GOPC-ROS1-S L1982F、GOPC-ROS1-L L1982F)である。一実施形態において、ROS1変異は、CD74-ROS1 L1982Fである。
【0474】
一実施形態において、ROS1+がんは、FDA承認試験または当該技術分野で既知の他の試験によって決定される。使用され得る試験は、例えば、Thermo Fisher Scientific.によるOncomine(商標)Dx Target Test(非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者からのホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍(FFPE)組織試料から単離されたDNA及びRNAにおける23個の遺伝子における配列多様性を、Ion PGM Dx Systemシステムを使用して検出するための標的高スループット並列シーケンシング技術を使用する定性インビトロ診断試験);Vysis ROS1 Break Apart FISH Probe Kit(ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)非小細胞肺癌(NSCLC)組織検体において、6q22におけるROS1遺伝子再編成を含む再編成を、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)を介して検出するための定性試験)、または局所診断試験を介する逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)もしくは次世代シーケンシング(NGS)を含む。
【0475】
また、がん(例えば、ROS1陽性がん)を有する対象を治療する方法であって、がんを有し第1のROS1阻害剤を以前に投与された対象から得られた試料におけるがん細胞が、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を有するかを決定することと、対象が1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を有するがん細胞を有する場合、対象に、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物を、単剤療法としてまたは別の抗がん剤とともに投与することと、を含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、第1のROS1阻害剤での治療に対する増加した耐性を、がん細胞または腫瘍に付与する。いくつかの実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を含む。例えば、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、アミノ酸位置2032、2033、1986、2026、1951、1935、1947、1971、1974、1982、2004、2020、2060、2075、2089、2098、2101、2113、2155、2032及び2086のうちの1つ以上における置換を含むことができ、例えば、G2032R、D2033N、S1986F、S1986Y、L2026M、L1951R、E1935G、L1947R、G1971E、E1974K、L1982F、F2004C、F2004V、E2020K、C2060G、F2075V、V2089M、V2098I、G2101A、D2113N、D2113G、L2155S、L2032K及びL2086Fを含むことができる。いくつかの実施形態において、別の抗がん剤は、当該技術分野で既知のいずれかの抗がん剤である。例えば、別の抗がん剤は、別のROS1阻害剤(例えば、第2のROS1阻害剤)であることができる。
【0476】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、CNS浸透性化合物である。一実施形態において、有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物の(例えば、経口または静脈内)投与後に、化合物は、CNS(例えば、血液脳関門)に浸透することができ、ROS1を阻害する(例えば、選択的に阻害する)のに依然として十分である、CNS(例えば、脳)における濃度を達成することができる。
【0477】
一実施形態において、がんのCNS転移を治療するための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、CNS転移は、脳転移である。一実施形態において、がんは、ROS1+がんである。
【0478】
いくつかの実施形態において、化合物は、ヒトトロポミオシン受容体キナーゼA、BまたはCの阻害剤である。ある特定の実施形態において、変異型または非変異型ROS1またはALKの阻害のための化合物のIC50は、野生型トロポミオシン受容体キナーゼA、BまたはCの阻害のための化合物のIC50の5分の1以下である。TRK阻害、特に、中枢神経系(CNS)におけるTRK阻害は、めまい/運動失調/歩行障害、知覚異常、体重増加及び認知変化を含む有害反応に関連している。
【0479】
いくつかの実施形態において、がん(例えば、ROS1陽性がん)のための治療を必要としている対象における有害事象を最小化する方法であって、方法が、対象に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、その立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含み、方法が、TRK阻害剤に関連する有害事象を最小化する、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、がんは、ROS1関連がんである。いくつかの実施形態において、有害事象は、TRK関連CNS有害事象のうちの1つ以上である。
【0480】
本明細書で使用される場合、有害事象を「最小化する」とは、TRK阻害剤(例えば、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブまたはロルラチニブ)で治療される対象または患者集団における有害事象のパラダイム発生率と比較して、対象または患者集団における有害事象の発生率における低減を指す。いくつかの実施形態において、有害事象の発生率とは、対象または患者集団にわたる具体的な有害事象の頻度または百分率を指す。いくつかの実施形態において、有害事象の発生率とは、個別の対象によって経験される有害事象の総数を指す。いくつかの実施形態において、有害事象を最小化することとは、TRK関連CNS有害事象を最小化することを指す。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の40%未満がTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満または5%未満がTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の12%未満が、2つ以上のTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象を最小化することとは、患者集団の11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満または3%未満が、2つ以上のTRK関連CNS有害事象を有することを意味する。
【0481】
いくつかの実施形態において、TRK関連CNS有害事象とは、以下、めまい、運動失調、歩行障害、知覚異常、体重増加、過食、知覚異常、異常運動、認知変化、発話効果(例えば、構音障害、緩徐発話または発話障害)、気分障害(例えば、易刺激性、不安、抑うつ、情動不安定性、人格変化、気分変動、情動障害、攻撃性、激越、気分変化、抑うつ気分、多幸気分または躁病)及び認知障害(例えば、記憶障害、認知障害、健忘、錯乱、注意力障害、せん妄、精神的機能障害、注意欠如多動症、認知症、睡眠障害または読字障害)のうちの1つ以上を指す。
【0482】
一実施形態において、がん治療におけるTRK関連CNS副作用または有害事象を予防または制限するための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、方法は、TRK関連CNS有害事象の発生を予防する。一実施形態において、方法は、TRK関連CNS有害事象の発生の頻度を制限する。一実施形態において、方法は、TRK関連副作用の重症度を制限する。一実施形態において、低減されたTRK関連副作用を有する、がんのCNS転移を治療するための方法であって、それを必要としている対象に、有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、CNS副作用または有害事象における低減/制限/予防は、統計的試料において、標準治療、例えば、ROS1+及び/またはALK+がんのための承認されたROS1及び/またはALK阻害剤(例えば、クリゾチニブ、エヌトレクチニブ、ロルラチニブまたはレポトレクチニブ)と比較して決定される。一実施形態において、TRK関連副作用は、TRKB関連CNS副作用である。一実施形態において、TRK関連CNS副作用または有害事象は、めまい、運動失調、歩行障害、知覚異常、体重増加、認知障害、気分障害または睡眠障害である。
【0483】
一実施形態において、がんを治療するための方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、がんは、ROS1関連がんである。一実施形態において、がんは、ROS1+がんである。一実施形態において、がんは、ROS1であると特定される。
【0484】
一実施形態において、ROS1+がんを治療するための方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0485】
一実施形態において、対象におけるがんを治療するための方法であって、(i)対象におけるがんがROS1+であると特定することと、(ii)対象に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することと、を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0486】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、固形腫瘍である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、進行性固形腫瘍である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、局所進行性固形腫瘍である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経膠芽腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)、胆管癌、例えば、胆管細胞癌、卵巣癌、例えば、漿液性卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、血管肉腫、黒色腫、例えば、スピッツ様黒色腫、類上皮血管内皮腫、食道癌、例えば、食道扁平上皮癌(ESCC)、腎臓癌、例えば、腎髄質癌もしくは腎細胞癌、乳癌、例えば、三種陰性乳癌、結腸癌、甲状腺癌、例えば、乳頭様甲状腺癌、スピッツ様腫瘍、膵癌、炎症性肝細胞腺腫、または神経芽細胞腫である。
【0487】
一実施形態において、がんは、肺癌である。一実施形態において、がんは、非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、気管支癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+気管支癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性気管支癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+気管支癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された気管支癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+気管支癌である。
【0488】
一実施形態において、がんは、神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経膠芽腫である。
【0489】
一実施形態において、がんは、IMTである。一実施形態において、がんは、ROS1+IMTである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性IMTである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+IMTである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたIMTである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+IMTである。
【0490】
一実施形態において、がんは、胆管癌である。一実施形態において、がんは、胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された胆管細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+胆管細胞癌である。
【0491】
一実施形態において、がんは、卵巣癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+卵巣癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性卵巣癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+卵巣癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された卵巣癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+卵巣癌である。一実施形態において、卵巣癌は、漿液性卵巣癌である。一実施形態において、卵巣癌は、高悪性度漿液性卵巣癌である。
【0492】
一実施形態において、がんは、胃癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+胃癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性胃癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+胃癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された胃癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+胃癌である。
【0493】
一実施形態において、がんは、結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された結腸直腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+結腸直腸癌である。
【0494】
一実施形態において、がんは、血管肉腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+血管肉腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性血管肉腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+血管肉腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された血管肉腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+血管肉腫である。
【0495】
一実施形態において、がんは、黒色腫である。一実施形態において、がんは、スピッツ様腫瘍である。一実施形態において、がんは、スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+スピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたスピッツ様黒色腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+スピッツ様黒色腫である。
【0496】
一実施形態において、がんは、類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された類上皮血管内皮腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+類上皮血管内皮腫である。
【0497】
一実施形態において、がんは、食道癌である。一実施形態において、がんは、ESCCである。一実施形態において、がんは、ROS1+ESCCである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ESCCである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+ESCCである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたESCCである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+ESCCである。
【0498】
一実施形態において、がんは、腎臓癌である。一実施形態において、がんは、腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+腎髄質癌である。一実施形態において、がんは、腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された腎細胞癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+腎細胞癌である。
【0499】
一実施形態において、がんは、乳癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+乳癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性乳癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+乳癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された乳癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+乳癌である。一実施形態において、乳癌は、三種陰性乳癌である。
【0500】
一実施形態において、がんは、結腸癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+結腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性結腸癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+結腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された結腸癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+結腸癌である。
【0501】
一実施形態において、がんは、甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、ROS1+乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断された乳頭様甲状腺癌である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+乳頭様甲状腺癌である。
【0502】
一実施形態において、がんは、ROS1+神経膠腫(例えば、グレード1、グレード2、グレード3またはグレード4)である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経膠腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経膠腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経膠腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経膠芽腫である。一実施形態において、がんは、神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+神経芽細胞腫である。一実施形態、がんは、新たに診断された神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+神経芽細胞腫である。
【0503】
一実施形態において、がんは、ROS1+膵癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性膵癌である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+膵癌である。一実施形態、がんは、新たに診断された神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+膵癌である。
【0504】
一実施形態において、がんは、ROS1+炎症性肝細胞腺腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性炎症性肝細胞腺腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+炎症性肝細胞腺腫である。一実施形態、がんは、新たに診断された神経芽細胞腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+炎症性肝細胞腺腫である。
【0505】
一実施形態において、がん(またはROS1+がんまたはALK+がん)は、血液癌である。一実施形態において、がん(またはROS1+がんまたはALK+がん)は、リンパ腫である。一実施形態において、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫である。一実施形態において、リンパ腫は、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または大細胞型B細胞リンパ腫である。また、血液癌に加えて、ROS1+またはALK+である他の血液障害または血液悪性腫瘍を治療するための方法が、本明細書で提供される。
【0506】
一実施形態において、がんは、ALCLである。一実施形態において、がんは、ROS1+ALCLである。一実施形態において、がんは、ALK+ALCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+ALCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALK+ALCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+ALCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALK+ALCLである。
【0507】
一実施形態において、がんは、DLBCLである。一実施形態において、がんは、ROS1+DLBCLである。一実施形態において、がんは、ALK+DLBCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性DLBCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+DLBCLである。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALK+DLBCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたDLBCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+DLBCLである。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALK+DLBCLである。
【0508】
一実施形態において、がんは、大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、ROS1+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、ALK+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ROS1+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、再発性または抵抗性ALK+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断された大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたROS1+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がんは、新たに診断されたALK+大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、新たに診断されたものである。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、以前に治療されていない。
【0509】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、再発性または抵抗性である。一実施形態において、がんは、再発性である。一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、抵抗性である。
【0510】
一実施形態において、対象は、以前に治療されていない。一実施形態において、対象は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法により無処置である。一実施形態において、対象は、1つ以上の以前の療法ラインを受容している。一実施形態において、対象は、2つ以上の以前の療法ラインを受容している。一実施形態において、対象は、以前の療法ラインのうちの1つ以上に対する耐性を発症している。一実施形態において、以前の療法は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む。一実施形態において、以前のTKI療法は、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ、タレトレクチニブ、メレスチニブ、マシチニブ及びエンサルチニブのうちの1つ以上での治療を含む。一実施形態において、以前の療法は、1つ以上の化学療法を含む。一実施形態において、1つ以上の化学療法は、TKI療法に加えてのものである。
【0511】
一実施形態において、がんは、進行性がん、例えば、TKIによる以前の治療後に再発した進行性がん、またはそれに対して抵抗性もしくは耐性である進行性がんである。
【0512】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して耐性である。
【0513】
一実施形態において、がんは、耐性肺癌である。一実施形態において、がんは、耐性非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、TKIに対して耐性である非小細胞肺癌である。一実施形態において、がんは、TKIに対して耐性であるROS1+非小細胞肺癌である。
【0514】
一実施形態において、がんは、肺癌(例えば、NSCLC)である。一実施形態において、がんは、進行性肺癌、例えば、TKIによる以前の治療後に再発した進行性肺癌またはそれに対して抵抗性である進行性肺癌である。
【0515】
一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、第1の治療ラインとして投与される。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、第2の治療ラインとして投与される。一実施形態において、本明細書で提供される化合物は、第3または第4の治療ラインとして投与される。
【0516】
一実施形態において、がん(またはROS1+がん)は、転移性である。一実施形態において、がんは、CNS転移を有する。一実施形態において、がんは、脳転移を有する。一実施形態において、がんは、転移性非小細胞肺癌(NSCLC)である。一実施形態において、がんは、転移性ROS1+NSCLCである。
【0517】
一実施形態において、転移性ROS1+非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者を治療するための方法であって、患者に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0518】
一実施形態において、患者は、成人患者である。一実施形態において、患者は、小児患者である。
【0519】
一実施形態において、転移性ROS1+NSCLCを有する成人患者を治療するための方法であって、患者に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0520】
一実施形態において、転移性ROS1+NSCLCを有する成人患者を治療するための方法であって、方法が、患者に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含み、患者が、少なくとも1つの以前のTKI療法において進行しているかまたはそれに対して不耐性である、方法が、本明細書で提供される。
【0521】
一実施形態において、溶媒フロント変異G2032Rを有するROS1+である転移性NSCLCを有する成人患者を治療するための方法であって、方法が、患者に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含み、患者が、少なくとも1つの以前のTKI療法において進行しているかまたはそれに対して不耐性である、方法が、本明細書で提供される。
【0522】
一実施形態において、ROS1関連(またはROS1+)がんを治療することを必要としている対象においてそれを行う方法であって、がんが、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して耐性になっており、方法が、対象に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0523】
一実施形態において、ROS1関連(またはROS1+)がんを治療することを必要としている対象においてそれを行う方法であって、がんが、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対して耐性になっており、がんが、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異を有するとして特定されており、方法が、対象に、治療有効量の本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩の形態1を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、1986、2004、2026、2032及び2033から選択されるアミノ酸位置における1つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、S1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026M、G2032R、D2033N、L2086F及びG2101Aから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、G2032Rである。一実施形態において、1つ以上のROS1阻害剤耐性変異は、G2032R、及びS1986F、S1986Y、F2004C、F2004V、L2026M、D2033NまたはG2101Aのうちの1つ以上を含む。一実施形態において、ROS1阻害剤耐性変異は、L2086Fである。
【0524】
一実施形態において、TKIは、ROS1阻害剤である。一実施形態において、TKIは、ALK阻害剤である。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ、メレスチニブ、タレトレクチニブ、マシチニブまたはエンサルチニブである。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、TKIは、エヌトレクチニブである。
【0525】
ある特定の実施形態において、対象は、がんの第1の治療ライン後に再発している。他の実施形態において、対象は、がんの第2の治療ライン後に再発している。
【0526】
ある特定の実施形態において、がんを治療または予防するための方法は、1つ以上の応答、例えば、増加したアポトーシス、腫瘍成長の阻害、腫瘍転移の低減、腫瘍転移の阻害、微小血管密度の低減、減少した新血管新生、腫瘍遊走の阻害、腫瘍退縮及び対象の増加した生存によって実証され得る。
【0527】
5.6.併用療法
いくつかの実施形態において、がんを治療または予防する方法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1を、1つ以上の他の化学療法剤(複数可)と合同して投与することを含み得る。
【0528】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、「合同して」または「との組み合わせで」は、他の薬剤、及び本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物が、同時に投与されなければならず、及び/または送達のために一緒に処方されなければならないことを意味することは意図されていないが、これらの送達方法は、本開示の範囲内である。本明細書で提供される化合物は、1つ以上の他の薬剤(例えば、1つ以上の他の追加の薬剤)と同時に投与されてもよく、その前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間または16週間前に)投与されてもよく、またはその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間または16週間後に)投与されてもよい。概して、それぞれの治療剤は、この特定の薬剤について決定された用量で及び/または時間スケジュールにおいて投与される。他の治療剤は、本明細書で提供される化合物とともに、単一の組成物中で投与されてもよくまたは別個に異なる組成物中で投与されてもよい。また、三重療法が、本明細書で企図される。
【0529】
本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物と合同して投与され得る化学療法剤は、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、ABT-263、アファチニブマレイン酸塩、アキシチニブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、APCP、アスパラギナーゼ、AZD5363、Bacillus Calmette-Guerinワクチン(bcg)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、β-メチレン-ADP(AOPCP)、ブセレリン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セリチニブ、クロラムブシル、クロロキン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コビメチニブ、コルヒチン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デメトキシビリジン、デキサメタゾン、ジクロロアセテート、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、GSK1120212、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イクサベピロン、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトホルミン、メトトレキサート、ミルテホシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、MK-2206、ムタマイシン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペリフォシン、PF-04691502、プリカマイシン、ポマリドミド、ポルフィマー、PPADS、プロカルバジン、ケルセチン、ラルチトレキセド、ラムシルマブ、リアクティブブルー2、リツキシマブ、ロロフィリン、ロミデプシン、ルカパリブ、セルメチニブ、シロリムス、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タラゾパリブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トナポフィリン、トポテカン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ベリパリブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びボリノスタット(SAHA)を含む。他の実施形態において、本明細書で提供される化合物と合同して投与され得る化学療法剤は、ABT-263、デキサメタゾン、5-フルオロウラシル、PF-04691502、ロミデプシン及びボリノスタット(SAHA)を含む。他の実施形態において、本明細書で提供される化合物と合同して投与され得る化学療法剤は、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、APCP、β-メチレン-ADP(AOPCP)、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、PPADS、ケルセチン、リアクティブブルー2、ロロフィリン 2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、スマリン及びトナポフィリンを含む。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、生物製剤、例えば、ADCまたはMET抗体である。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、MET阻害剤、MEK阻害剤、RET阻害剤、別のALK阻害剤またはROS1阻害剤である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、1つ以上の白金ベースの化学療法及び/または免疫療法(例えば、チェックポイント阻害剤)とともに使用される。
【0530】
多くの併用療法が、がんの治療のために開発されている。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物(例えば、式(I)の化合物の形態1)は、1つ以上の併用療法と合同して投与され得る。本明細書で提供される化合物が合同して投与され得る併用療法の例が、表1に含まれている。
【表1】
【0531】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される合同療法は、他のタイプの化学療法剤、例えば、免疫腫瘍学的薬剤との合同投与を含む。がん細胞は、しばしば、免疫系によって認識され得る特異的細胞表面抗原を有する。したがって、免疫腫瘍学的薬剤、例えば、モノクローナル抗体は、がん細胞抗原に選択的に結合することができ、細胞死をもたらすことができる。他の免疫腫瘍学的薬剤は、先天免疫応答の腫瘍媒介性阻害を抑制することができるか、またはそうでなければ、免疫応答を活性化することができ、したがって、免疫系による腫瘍の認識を容易にすることができる。例示的な抗体免疫腫瘍学的薬剤は、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトックス、アポリズマブ、ブリナツモマブ、BMS-936559、カツマキソマブ、デュルバルマブ、エパカドスタット、エプラツズマブ、インドキシモド、イノツズマブオゾガマイシン、インテツムマブ、イピリムマブ、イサツキシマブ、ランブロリズマブ、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、サマリズマブ及びトレメリムマブを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗体免疫腫瘍学的薬剤は、抗CD73モノクローナル抗体(mAb)、抗CD39 mAb、抗PD-1 mAb及び抗CTLA4 mAbから選択される。したがって、いくつかの実施形態において、本明細で提供される方法は、1つ以上の免疫腫瘍学的薬剤、例えば、上記の薬剤の合同投与を含む。
【0532】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、SH2阻害剤、例えば、CGP78850、CPG85793、C90、C126、G7-18NATE、G7-B1及びNSC642056との合同投与を含む。
【0533】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、ERK1/2阻害剤、例えば、ASN007、GDC-0994、KO-947、LTT462、LY3214996、MK-8353、ウリキセルチニブとの合同投与を含む。いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、MEK阻害剤、例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、PD-325901、CI-1040及びTAK-733との合同投与を含む。
【0534】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、JNJ-38877605、PF-04217903、フォレチニブ、AMG458、チバンチニブ、カボザンチニブ、クリゾチニブ、カプマチニブ塩酸塩、テポチニブ塩酸塩及びサボリチニブから選択されるMET阻害剤との合同投与を含む。
【0535】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、TNO-155、RMC-4630、JAB-3068またRLY-1971から選択されるSHP2阻害剤との合同投与を含む。
【0536】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、アリスキレン、カプトプリル、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、フィマサルタン、アジルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル及びトランドラプリルから選択されるRAS阻害剤との合同投与を含む。
【0537】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1を、TKIとの組み合わせで投与することを含む。一実施形態において、TKIは、ROS1阻害剤である。一実施形態において、TKIは、ALK阻害剤である。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ブリグチニブ、ロルラチニブ、エヌトレクチニブ、レポトレクチニブ、カボザンチニブ、フォレチニブ、メレスチニブ、タレトレクチニブ、マシチニブまたはエンサルチニブである。一実施形態において、TKIは、クリゾチニブである。一実施形態において、TKIは、エヌトレクチニブである。一実施形態において、TKIは、アレクチニブである。一実施形態において、TKIは、ブリグチニブである。
【0538】
いくつかの実施形態において、併用療法は、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1と、抗PD-1療法との合同投与を含む。ある特定の実施形態において、併用療法は、本明細で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、オキサリプラチンとの合同投与を含む。他の実施形態において、併用療法は、本明細で提供される化合物、例えば、式(I)の化合物と、ドキソルビシンとの合同投与を含む。
【0539】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1は、がん治療の非化学的方法と合同して投与され得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1は、放射線療法と合同して投与され得る。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1は、手術、熱アブレーション、集束超音波療法、寒冷療法またはこれらのいずれかの組み合わせと合同して投与され得る。
【0540】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される固体形態または薬学的組成物、例えば、式(I)の化合物の形態1は、本明細書で提供される1つ以上の他の化合物と合同して投与され得る。また、このような組み合わせは、他の治療剤、例えば、がん、免疫学的または神経学的疾患の治療に好適な他の薬剤、例えば、上記で特定される薬剤と合同して投与され得る。ある特定の実施形態において、1つ以上の追加の化学療法剤を、本明細書で提供される化合物と合同して投与することは、相乗効果を提供する。ある特定の実施形態において、1つ以上の追加の化学療法剤を合同して投与することは、相加効果を提供する。
【実施例】
【0541】
6.実施例
以下で提供される実施例及び調製物は、本明細書で提供される化合物及びこのような化合物を調製する方法を更に説明及び例示する。本開示の範囲は、以下の実施例及び調製物の範囲によってなんら限定されないことを理解されたい。以下の実施例において、単一キラル中心を有する分子は、別途記載されない限り、ラセミ混合物として存在する。2つ以上のキラル中心を有する分子は、別途記載されない限り、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一エナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に既知の方法によって得られ得る。
【表2】
【0542】
実施例1.化合物1の調製
スキーム1.化合物6の合成。
【化22】
化合物11の合成。反応器に、1-エチル-1H-ピラゾール(1.50kg、15.6モル)及びDMF(4.5L、3体積)を、20~30℃で窒素下で投入した。反応器を、50~60℃に加熱し、次いで、POCl
3(4.78kg、31.2モル、2当量)を、50~60℃で1~1.5時間にわたって滴加した。添加が完了した後に、混合物を、16時間70~80℃でかき混ぜた。次いで、混合物を、15~20℃に冷却し、水(7.5L、5体積)中に15~35℃で緩徐に滴加した。添加が完了した後に、混合物を、1時間25~35℃でかき混ぜた。次いで、NaOH水溶液(9L、50重量%)を滴加して、pHを6~8に35℃未満で調整した。混合物を、EtOAc(5体積×3)で抽出し、Na
2SO
4(1.0kg)上で乾燥させ、40~50℃で濃縮して、粗化合物11を得た。粗化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(3×のシリカゲル、100~200メッシュ、EtOAc/n-ヘプタン=1:10~1:2)によって精製して、化合物10を、基準試料と一致する
1H NMR特徴を有する淡黄色の油(1.52kg、98.3%/220nm、収率78.6%)として得た。
【0543】
化合物10の合成。50Lの反応器に、NMP(12L、8体積)及びNIS(12.2kg、2.5当量)を、20~30℃で投入した。混合物を、80~85℃に加熱し、その時点で、NMP(3L、2体積)中の2H-1,2,3-トリアゾール(1.5kg、1.0当量)の溶液を、1~1.5時間にわたって80~85℃で添加した。添加が完了した後に、混合物を、1~2時間80~85℃でかき混ぜた。次いで、混合物を、20~25℃に冷却し、水(90L)中に、0~10℃でかき混ぜながら注いだ。次いで、混合物を、1時間0~10℃でかき混ぜ、濾過した。湿った濾過ケークを、水(15L)中で1~2時間20~25℃で粉砕し、再び濾過した。濾過ケークを、水(5L)で洗浄し、60℃で乾燥させて、化合物9を、基準試料と一致する1H NMR特徴を有する黄色の固体(4.66kg、98%/210nm、0.2%のKF、収率67%)として得た。
【0544】
化合物9の合成。100Lの反応器に、4,5-ジヨード-2H-1,2,3-トリアゾール(4.6kg、1.0当量)及びDMF(23L、5体積)を、20~25℃で投入した。反応混合物を、-10~0℃にN2下で冷却した。ヨウ化メチル(2.45kg、1.2当量)を、反応器に、1.0時間にわたって-10~0℃で添加した。添加が完了した後に、反応混合物を、2~3時間-10~0℃でかき混ぜた。次いで、水(23L)及びEtOAc(23L)を、反応器に添加し、混合物を、1.0時間5~15℃でかき混ぜた。この時間後に、混合物を濾過し、続いて、水相を分離し、EtOAc(23L)で抽出した。組み合わされた有機相を、ブライン(15L×2)で洗浄し、濃縮して、溶媒を、約12Lの体積が残るまで除去した。混合物を、55~60℃に加熱し、n-ヘプタン(4L)を緩徐に添加し、続いて、1.0時間55~60℃でかき混ぜた。この時点で、混合物を、15~20℃に冷却し、濾過した。濾過ケークを、n-ヘプタン(2L)で洗浄した。固体を、シリカゲルクロマトグラフィーカラム(n-ヘプタン/EtOAc=10/1)によって更に精製して、化合物8を、基準試料と一致する1H NMR特徴を有するオフホワイトの固体(2.15kg、99.9/240nm、収率45%)として得た。
【0545】
化合物8の合成。100Lの反応器に、化合物9(2.1kg、6.27モル、1.05当量)及びTHF(17L)を投入し、10~20分間10~20℃でN2下でかき混ぜた。混合物を、-35~-25℃にかき混ぜながら冷却し、次いで、混合物に、i-PrMgCl(2.99L、THF中の2M、5.98モル)を、-35~-25℃で1時間にわたって緩徐に投入した。混合物を、更に1時間-10~0℃でかき混ぜた。次いで、THF(4L)中の化合物11(742g、5.98モル)の溶液を、反応器内に、1~2時間にわたって-15~0℃で緩徐に投入し、次いで、混合物を、更に16時間0~20℃でかき混ぜた。この時点で、混合物を、0~5℃に冷却し、混合物に、NH4Cl水溶液(15kg/15Lの水)を、5~20℃で投入した。酢酸エチル(20L)を添加し、混合物を、0.5時間かき混ぜ、分離した。水層を、追加のEtOAc(10L)抽出した。組み合わされた有機相を、ブライン(5重量%、20L)で洗浄した。有機相を、減圧下で40~45℃で、溶媒が蒸留されなくなるまで濃縮した。ヘプタン(4.2L×2)を添加し、溶媒を、減圧下で40~45℃で、約2体積まで再び濃縮した。酢酸エチル(2.1L)を、40~45℃で添加し、続いて、ヘプタン(6.3L)を、1時間にわたって40~45℃で添加した。混合物を、20~25℃に1~2時間にわたってかき混ぜながら冷却し、濾過した。固体を、オーブンにおいて55~60℃で、一定の重量まで20時間にわたって乾燥させて、化合物8を、オフホワイトの固体(1.57kg、99.4%/220nm、98.8重量%、収率79%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.58 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 5.74 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 5.68 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.13 (s, 3H), 4.07 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 1.33 (t, J = 7.3 Hz, 3H).MS(ESI,m/z):334(M+H)+。
【0546】
化合物6の合成。化合物8(1.50kg、4.5モル)及びDCM(15L、10体積)を、50Lの反応器内に投入し、10~20分間15~20℃でかき混ぜた。次いで、溶液を、-5~0℃にN2下でかき混ぜながら冷却し、溶液に、Et3SiH(1.57kg、13.5モル、3.0当量)を、-5~5℃で15分間にわたって緩徐に投入した。添加が完了した後に、混合物に、TFA(2.0kg、17.54モル、3.9当量)を、1~1.5時間にわたって-5~5℃で緩徐に投入した。添加が完了した後に、混合物を、更に2時間-5~0℃でかき混ぜ、次いで、16時間0~25℃でかき混ぜた。この時間後に、反応混合物を、NaHCO3水溶液(2.4kg、20kgの水)で、10~20℃で洗浄した。水相を、DCM(7.5L)で抽出した。組み合わされた有機相を、水(12L)で洗浄した。次いで、有機物を、減圧下で40~45℃で、溶媒が蒸留されなくなるまで濃縮した。MeCN(7.5L)を添加して、化合物6の溶液を得、化合物6の溶液に、n-ヘプタン(7.5L)を、0.5時間にわたって15~25℃でかき混ぜながら添加した。n-ヘプタン上層を除去し、アセトニトリル層を、n-ヘプタン(7.5L)で、0.5時間15~25℃でかき混ぜながら再び抽出した。ヘプタン上層を除去し、化合物6の残りのアセトニトリル溶液を、40~45℃で、溶媒が蒸留されなくなるまで濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラム(3kgのシリカゲル、100~200メッシュ、EtOAc/ヘプタン)によって更に精製して、化合物6を、淡褐色の油として得た。-10℃に20時間冷却した後に、化合物6は、淡黄色の固体(1.16kg、98.6%/220nm、98.6重量%、収率81%)の形態を呈した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 4.16 (s, 3H), 4.12 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 3.80 (s, 2H), 1.46 (t, J = 7.3 Hz, 3H). MS (ESI, m/z): 318 (M + H)+.
【0547】
スキーム2.化合物7の合成。
【化23】
化合物7の合成。100Lの反応器に、THF(33.6L、8体積)及び(S)-1-(5-フルオロ-2-ヨードフェニル)エタン-1-オール(4.2kg、1.0当量)を投入し、反応器を、N
2で再充填した。反応器を、-30~-20℃に冷却し、i-PrMgCl(17.4L、2.2当量、THF中の2M)を、1.5時間にわたって-30~-20℃でN
2下で滴加した。混合物を、2時間-30~-20℃でかき混ぜた。B(OMe)
3(4.10kg、2.5当量)を、反応器に、1時間にわたって-30~-20℃でN
2下で滴加した。混合物を、-10~0℃に加温し、更に2時間-10~0℃でN
2下でかき混ぜた。混合物を、20重量%のNH
4Cl水溶液(10体積)で、10℃未満でN
2下でクエンチした。EtOAc(10体積)を添加し、分離し、水相を、EtOAc(10体積)で再び抽出し、分離した。有機層を、組み合わせ、水(5体積)及びブライン(5体積)で別個に洗浄した。有機物を、40~45℃で、約2~3体積まで濃縮し、n-ヘプタン(3体積×2)に2回変更し、40~45℃で濃縮して、粗生成物を、油として得た。n-ヘプタン(粗生成物に対して2体積)を、添加し、次いで、40℃に加熱し、1~2時間35~40℃でかき混ぜて、透明な溶液を得た。溶液を、15~20℃に1時間にわたって徐冷し、1~2時間15~20℃でかき混ぜた。次いで、混合物を、0℃に2時間にわたって徐冷し、0~5℃で16時間かき混ぜた。混合物を濾過し、濾過ケークを、冷却されたn-ヘプタン(粗生成物に対して0.5体積)でリンスし、収集された固体を、オーブンにおいて40~45℃で乾燥させて、化合物7を、オフホワイトの固体(1.45kg、99.8%/220nm、収率55.3%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.18 (s, 1H), 7.73 (dd, J = 8.1, 5.9 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 9.5, 2.1 Hz, 1H), 7.17 (td, J = 8.1, 4.1 Hz, 1H), 5.19 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 1.40 (d, J = 6.6 Hz, 3H). MS (ESI, m/z): 167 (M + H)
+.
【0548】
スキーム3.化合物1の合成。
【化24】
化合物5の合成。反応器に、THF(10体積)、水(1体積)、続いて、化合物6(850.0g、2.68モル、1当量)及び化合物7(534.0g、3.22モル、1.2当量)を、20~30℃で投入した。固体を、20~30℃で15分間かき混ぜながら完全に溶解し、K
2CO
3(1.11kg、3当量)を、10~15分間にわたって20~30℃で少しずつ添加した。反応混合物を、窒素で完全に再充填し、反応混合物に、Pd(dppf)Cl
2(78.5g、0.04当量)を、窒素下で一度に添加した。反応混合物を、窒素で完全に再び再充填し、次いで、60~65℃に加熱し、60~65℃で16時間窒素下でかき混ぜた。反応混合物を、20~30℃に冷却し、10cmのceliteパッド(2×、2.4kgのcelite)に通して濾過した。組み合わされた濾液を、EtOAc(10体積、21L)で洗浄し、分離した。有機相を、水(5体積、10.5L)で洗浄し、分離した。有機相を、1時間40~45℃で、5重量%のL-システイン水溶液(2.0当量、30.6kgの水中の1.61kg)中でかき混ぜ、分離した。有機相を、水(5体積、10.5L)で洗浄し、分離した。得られた有機相を、45~50℃で真空中で濃縮して、粗生成物を、淡褐色の油(2.28kg)として得た。粗生成物に、MTBE(228mL、粗生成物に対して0.1体積)を投入し、50℃に15分間にわたって加熱し、続いて、イソプロピルエーテル(2.28L、1体積)を、1時間にわたって45~50℃で滴加し、次いで、10℃に2時間にわたって冷却した。大量の固体が現れ、得られたスラリーを、2時間10~15℃でかき混ぜた。固体を、濾過によって収集し、オーブンにおいて45℃で16時間乾燥させて、粗化合物5を、淡黄色の固体(1.67kg、96.3%/220nm、キラル純度99.9%超/220nm)として得た。1.67kgの粗化合物5を、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/n-ヘプタン=1:1、2.5×のシリカゲル、100~200メッシュ)によって精製して、化合物5を、オフホワイトの固体(1.58kg、99.6%/220nm、キラル純度99.9%超/220nm、97.9重量%、収率72%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.44 (dd, J = 10.5, 2.5 Hz, 1H), 7.36 (s, 1H), 7.22 (dd, J = 8.3, 6.0 Hz, 1H), 7.16 - 7.08 (m, 2H), 5.25 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 4.86 - 4.68 (m, 1H), 4.14 (s, 3H), 4.00 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.72 (s, 2H), 1.27 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.11 (d, J = 6.3 Hz, 3H). MS (ESI, m/z): 330.20 (M + H)
+.
【0549】
別の実施例において、同様の手順を、触媒量(例えば、0.002モル当量)を有するトルエン及び水(2.5体積)の0.5:2の二相混合物中で実行した。(0.04モル当量のPd(dppf)2Cl2の代わりに)Pd(Amphos)Cl2を、触媒として使用した。炭酸カリウム(K2CO3)を置き換わったリン酸カリウム(K3PO43 H2O)は、塩基として3.0モル当量であり、用いられた化合物7の量は、1.02モル当量であった。改善されたプロセスを、50℃で行った。反応の終了時に、有機層を、濾過し、活性炭で処理し、濃縮し、最終材料を、トルエン/ヘプタン/水から結晶化して、化合物5を、収率92%及び純度99.9%で得た。
【0550】
化合物3の合成。50Lの反応器に、ジクロロメタン(11.25L)、化合物5(750g、キラル純度99.9%超/220nm)及びトリエチルアミン(920.0g)を、室温(20~30℃)で投入した。得られた混合物を、窒素で再充填し、0℃に冷却した。これに、ジクロロメタン(3.75L)中のMs2O(793.0g)の溶液を、45分間にわたって、温度を0~5℃で保持しつつ滴加した。反応混合物を、0~5℃で1時間窒素下でかき混ぜた。反応混合物を、冷水(7.5L)で5~15℃でクエンチし、分離した。有機相を、冷水(3.75L)で洗浄し、分離した。有機相を、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、25~30℃で真空中で、約2体積に濃縮し、次いで、n-ヘプタン(2.25L)に変更し、25~30℃で真空中で濃縮して、n-ヘプタン中の約2体積の化合物3を得た。n-ヘプタン/EtOAc(3.0L、10体積/1体積)を、上記の混合物に添加し、混合物を、1時間0~10℃で窒素下でスラリー化し、濾過した。濾過ケークを、n-ヘプタン(1.5L)で洗浄し、真空中で25~30℃で5時間乾燥させて、化合物3を、オフホワイトの固体(845g、98.9重量%、キラル純度99.98%/220nm、収率91%)として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.35 (dd, J = 9.6, 2.5 Hz, 1H), 7.24 - 7.18 (m, 2H), 7.12 (s, 1H), 7.08 (td, J = 8.3, 2.6 Hz, 1H), 5.78 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.21 (s, 3H), 4.05 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 3.90 - 3.76 (m, 2H), 2.78 (s, 3H), 1.58 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.40 (t, J = 7.3 Hz, 3H). MS (ESI, m/z): 408.20 (M + H)+.
【0551】
別の実施例において、トリエチルアミン塩基(1.3モル当量)、Ms2O(1.2モル当量)及びジクロロメタン溶媒(10体積)を使用した。反応混合物を、炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチして、過剰なMs2Oを除去し、ジクロロメンタン/ヘキサンからの結晶化により、収率98%及び純度100%の化合物3を得た。
【0552】
化合物2の合成。20Lの反応器を、窒素で再充填し、次いで、反応器に、DMA(12.6L)を、室温(20~25℃)で投入した。反応器に、化合物4(390.0g)及び化合物3(840.0g、キラル純度99.98%/220nm)を、20~25℃で乾燥窒素流を介して一度に投入した。反応混合物を、35℃に15分間にわたって加熱し、5~10分間35~40℃でかき混ぜて、透明な溶液を得た。反応混合物に、粉末K3PO4(875.0g)を、35~45℃で一度に投入した。完全に添加した後に、得られた混合物を、60℃に20分間にわたって加熱し、58~63℃で1.5時間、乾燥窒素流を介してかき混ぜた。反応混合物を、25~30℃に冷却し、celiteパッド(5cm、1.5kg)に通して濾過し、濾過ケークを、EtOAc(2L、2~3体積)でリンスした。濾液を、水(16.8L、20体積)中に0~10℃で注ぎ、EtOAc(10L、12体積)で抽出し、分離した。水相を、EtOAc(5L、6体積)で抽出した。組み合わされた有機相を、水(5L×3、6体積×3)で洗浄し、50℃で真空中で濃縮して、粗生成物を、灰色の固体(956g)として得た。粗生成物を、EtOAc(950mL、粗生成物に対して1体積)中に35~40℃で溶解し、次いで、n-ヘプタン(950mL、粗生成物に対して1体積)を、30~40℃で20分間にわたって滴加した。得られた混合物を、20~25℃に30分間にわたって冷却し、1時間30~40℃でかき混ぜた。ある程度の固体が緩徐に現れ、n-ヘプタン(1.9L、粗生成物に対して2体積)を、スラリー混合物に、20~25℃で30分間にわたって滴加した。沈殿物を、15~20℃で3時間かき混ぜ、濾過した。濾過ケークを、n-ヘプタン(1.5L)で洗浄し、オーブンにおいて45~50℃で16時間乾燥させて、化合物2を、淡黄色の固体(743g、98.6%/220nm、96.9重量%、キラル純度99.98%/220nm、0.48%のKF、収率72%)として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.54 (dd, J = 10.2, 2.7 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.31 (dd, J = 8.5, 5.8 Hz, 1H), 7.22 (td, J = 8.4, 2.7 Hz, 1H), 7.17 (s, 1H), 6.92 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.14 (s, 2H), 5.47 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 4.22 (s, 3H), 4.02 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 3.78 (q, J = 16.1 Hz, 2H), 1.40 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 1.29 (t, J = 7.3 Hz, 3H). MS (ESI, m/z): 500.30 (M + H)+.
【0553】
別の実施例において、化合物4(化合物3に対して1.1モル当量)が使用されたプロセスを展開した。リン酸カリウム塩基(K2PO4、4.1モル当量)及びDMA(16体積)を、炭酸セシウム(Cs2CO3、2.2モル当量)及びNMP(5.6体積)で置換した。反応を、20~30℃で実施した。反応の完了後に、粗生成物を、水で沈殿させた。次いで、材料を、酢酸エチル中に溶解し、水で洗浄し、活性炭で処理した。その後、生成物を、トルエン/酢酸エチル/ヘプタンから結晶化して、化合物2を、収率80%及び純度99.9%で得る。
【0554】
化合物1の合成。反応器に、t-AmOH(20体積)、化合物2(700.0g、キラル純度99.99%)及びピバル酸カリウム(588.0g)を投入した。反応混合物を、窒素で完全に再充填した。反応混合物に、cataCXium A(120.4g)及びPd(OAc)
2(37.8g)を、室温で窒素下で添加した。得られた混合物を、100℃に加熱し、18時間窒素下でかき混ぜた。反応混合物を、30℃に冷却し、celiteパッドに通して濾過し、濾過ケークを、EtOAc(3体積)で洗浄した。濾液を、水(5体積×2)で洗浄し、分離した。有機上相を、真空中で濃縮して、褐色の油を得た。油を、EtOAc(27L)中に溶解し、次いで、5重量%のL-システイン水溶液(18.6kgの水中の0.98kg)を、添加し、1時間40~45℃でかき混ぜ、分離した。有機相を、水(6.75L)で洗浄し、分離した。5重量%のL-システイン水溶液(18.6kgの水中の0.98kg)を、上記の有機相に投入し、1時間40~45℃でかき混ぜ、分離した。有機相を、水(6.75L)で洗浄し、分離した。有機相を、真空中で45~50℃で濃縮して、褐色の固体(1.12kg)を得た。粗固体(1.12kg)を、シリカゲルクロマトグラフィーによって更に精製し、EtOAc/DCM(乾燥ロード、3×、100~200メッシュ、EtOAc:DCM=1:1)で溶出されて、淡黄色の固体(1.02kg)を得た。固体を、EtOAc(600mL、2体積)中に50~60℃で溶解し、次いで、n-ヘプタン(1.8L、6体積)を、50分間にわたって50~60℃で滴加した。大量の固体が、添加中に現れた。得られたスラリーを、15~20℃に50分間にわたって冷却し、30分間15~20℃でかき混ぜた。スラリーを、真空中で45~50℃で濃縮して、2~3体積の混合物を得た。n-ヘプタン(1.2L、4体積)を、上記の混合物(2~3体積)に添加し、真空中で45~50℃で濃縮して、2~3体積の混合物を得た。混合物を、10~15℃に2時間にわたって冷却し、10~15℃で1時間かき混ぜ、濾過した。濾過ケークを、n-ヘプタン(600mL)でリンスし、真空中で50℃で20時間乾燥させて、化合物1の形態1を、オフホワイトの固体(280g、99.0%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.79 (dd, J = 10.3, 2.2 Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.43 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.24 - 7.16 (m, 2H), 6.13 (s, 2H), 6.08 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 5.31 - 5.23 (m, 1H), 4.16 (s, 3H), 4.05 - 3.94 (m, 2H), 3.78 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 2.98 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 1.71 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 3H). MS (ESI, m/z): 420.30 (M + H)
+.形態1の試料についてのXRPD(
図1)、TG/DTA(
図2)、DSC(
図3)、DVS(
図4)及びFT-IR(
図5)の結果を得た。
【0555】
別の実施例において、プロセスを、上記のものと類似の様式で、約0.02当量の酢酸パラジウム、0.04当量のCatacXiumA、3.0当量のピバル酸カリウム及び8体積のt-アミルアルコールの存在下で行った。結晶化を、酢酸エチル/ヘプタンから実施し、スラリー化プロセスを、トルエン/ヘプタン中で実施した。
【0556】
いくつかの不純物を、この環化ステップにおいて特定及び/または分離することができ、不純物は、位置異性体(SP-7)を含んだ。
1H NMR. (400MHz, DMSO-d
6) δ 7.86 (s, 1H), 7.71 (dd, J=2.5, 10.3 Hz, 1H), 7.62 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.41 - 7.16 (m, 2H), 6.20 (s, 1H), 5.86 (s, 2H), 5.14 - 5.07 (m, 1H), 4.20 (s, 3H), 4.11 (q, J=7.3 Hz, 2H), 3.89 (d, J=15.8 Hz, 1H), 3.61 (t, J=6.5 Hz, 2H), 3.11 (d, J=15.6 Hz, 1H), 1.77 (d, J=3.3 Hz, 1H), 1.76 - 1.69 (m, 4H), 1.40 (t. J=7.3 Hz, 3H).
実施例2.固体形態の調製
A.非晶質材料の調製
1.化合物1のおよそ700mgの形態1を秤量する。
2.10mlの1,4-ジオキサンを添加して、固体を溶解する。
3.約-50℃で2時間凍結させ、その後、約12時間凍結乾燥させる。
4.XRPDによって分析して、非晶質含有物について確認する。
B.形態2の調製
1.700mgの調製された非晶質材料を使用する。
2.10mlのMTBEを添加して、スラリーを形成する。
3.スラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~40℃で4時間サイクルにおいて24時間温度サイクルに供する。
4.24時間後に、少量の試料を、XRPD分析のために採取する。
5.XRPD(
図7)及びTG/DTA(
図8)の結果を、形態2の試料について得た。
C.形態3の調製
1.700mgの調製された非晶質材料を使用する
2.16mlの水を添加して、スラリーを形成する。
3.試料を、少なくとも24時間キャップをして放置する。
4.スラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~40℃で4時間サイクルにおいて24時間温度サイクルに供する。
5.24時間後に、少量の試料を、XRPD分析のために採取する。
6.形態3の試料についてのXRPD(
図12)及びTG/DTA(
図13)。
D.形態4の調製
1.700mgの調製された非晶質材料を使用する
2.10mlのアセトニトリルを添加して、スラリーを形成する。
3.スラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~40℃で4時間サイクルにおいて72時間温度サイクルに供する。
4.72時間後に、少量の試料を、XRPD分析のために採取する。
5.形態4の試料についてのXRPD(
図14)及びTG/DTA(
図15)。
E.形態5の調製
1.700mgの調製された非晶質材料を使用する
2.3.5mlのアセトニトリルを、固体に添加する。
3.ビーズミルにおいて、5500rpmで90秒の10周期サイクルにおいて摩砕する。このサイクルを、8回、2時間の総摩砕時間にわたって繰り返した。
4.得られた固体を、XRPDによって分析する。
5.XRPD(
図16)の結果を、形態5の試料について得た。
F.形態6の調製
1.700mgの調製された非晶質材料を使用する。
2.10mlの1,4-ジオキサンを、固体に添加する。
3.スラリーを、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~40℃で4時間サイクルにおいて72時間温度サイクルに供する。
4.72時間後に、少量の試料を、XRPD分析のために採取する。
5.XRPD(
図17)及びTG/DTA(
図18)の結果を、形態6の試料について得た。
G.パターン7の調製
1.700mgの形態2調製材料を使用し、ガラスバイアルを使用し、固体を、バイアル壁のうちの1つ上に、大きい表面積を有するように広げて適用して、迅速な脱溶媒和を、固体上で均質に促進する。
2.バイアルを、ガラスオーブン(Buchi)内に置く。
3.試料を、250℃に、約20℃/分の加熱速度で真空下(約10mbar)で加熱する。
4.オーブンが250℃に到達した後に、試料を、この温度で真空下で6分間保持する。
5.湿ったペーパータオルを使用して冷却を支援して、可能な限り迅速に冷却する(およそ15~20分間)
6.少量の試料を、XRPD分析のために採取する。
7.XRPD(
図19)、DSC(
図20)、DVS(
図21)及びFT-IR(
図22)の結果を、形態7の試料について得た。
【0557】
固体形態のスクリーニング中に、高い溶解度に起因する油形成が、蒸発実験の試料のほとんどにおいて観察された。固体が存在する場合、形態2及び形態1を特定した。形態2は、最初に、溶媒溶解度スクリーニングにおけるMTBEから観察され、温度サイクル実験から観察された。しかしながら、この実験セットにおいて、形態2は、異なる溶媒である1-ブタノールから観察された。これは、形態2が等構造溶媒和物であり得たことを示す。
【0558】
衝突冷却実験については、全ての試料が、油を形成し、MTBE(添加された体積:200μL)からの試料を除いて、固体は、7日後に2~8℃で観察されず、MTBEからの試料の固体は、形態2として得た。
【0559】
貧溶媒添加実験については、形態4が、ヘプタン貧溶媒を有するアセトニトリルから得られた。また、形態1が、貧溶媒添加実験において特定された。
【0560】
4つの固体形態、形態1、形態2、形態3及び形態5として定義される新しい形態が、溶媒滴下粉砕実験において特定された。溶媒滴下粉砕プロセス後に、13個の試料が油であることが見出された。これらの試料を、真空下で乾燥させ、その後、XRPD分析を行った。溶媒滴下粉砕プロセス後の固体を含有する11個の試料を、XRPDによって分析した。
【0561】
実施例3:形態1の単結晶X線回折特徴付け
形態1の完全な結晶構造を収集し解析した。形態1の単結晶X線回折研究から決定された構造の代表的な図について、
図6を参照されたい。化合物1形態1についての構造データの概要を、以下の表で提供する。形態1は、単斜晶系において結晶化し、空間群は、P2
1であり、最終R1[I>2σ(I)]=2.85%である。
【表3】
【0562】
形態1の非対称単位は、化合物1の1つの完全に秩序のある分子を含有する。非水素原子についての異方性原子変位楕円体は、50%の確率レベルにおいて示される。水素原子は、任意の小さい半径で示される。
【0563】
化合物1の絶対配置は、以下に示されるように、Flackパラメータ=-0.04(6)で決定されている。Parsons,S and Flack,H.,Acta Cryst.2004,A60,s61を参照されたい。キラル中心は、R配置を有する。
【化25】
【0564】
実施例4.化合物1の形態7の単結晶X線回折特徴付け
形態7の単結晶を、最初に、500mgの非晶質化合物1をMTBE中でスラリー化することによって得た。試料を、インキュベータシェーカーにおいて、周囲温度~40℃で4時間サイクルにわたって約20時間温度サイクルに供し、この時点で、XRPDは、材料が形態2に変換したことを確認した。約100mgの形態2材料を、Buchiガラスオーブンにおいて、5mlのシンチレーションバイアル内に置いた。試料を、最大250℃に20℃/分の加熱速度で加熱した。試料を、250℃で6分間保持し、次いで、湿ったペーパータオル及びアセトンを使用して冷却を支援して、可能な限り迅速に室温に冷却した。アリコートを、XRPDによって分析し、形態7の形成を確認した。
【0565】
形態7の完全な結晶構造を収集し解析した。形態1の単結晶X線回折研究から決定された構造の代表的な図について、
図23を参照されたい。化合物1形態7についての構造データの概要を、以下の表で提供する。形態7は、斜方晶系において結晶化し、空間群は、P2
12
12
1であり、最終R1[I>2σ(I)]=2.61%である。
【表4】
【0566】
形態7の非対称単位は、化合物1の1つの完全に秩序のある分子を含有する。非水素原子についての異方性原子変位楕円体は、50%の確率レベルにおいて示される。水素原子は、任意の小さい半径で示される。
【0567】
化合物1の絶対配置は、以下に示されるように、Flackパラメータ=-0.01(3)で決定されている。Parsons,S and Flack,H.,Acta Cryst.2004,A60,s61を参照されたい。キラル中心は、R配置を有する。
【0568】
実施例5.安定性研究
化合物1の形態1:方法。化合物1の約10mgの形態1を、2mlのバイアル内に置き、7日間、以下の条件、A)40℃/75%のRH(開放バイアル)、B)25℃/60%のRH(開放バイアル)、C)80℃(密封バイアル)下で貯蔵した。固体を、XRPDによって分析し、HPLCに供した。
【0569】
化合物1の形態1:結果。40℃/75%のRH(開放バイアル)、25℃/60%のRH(開放バイアル)及び80℃(密封バイアル)での1週間の貯蔵後の化合物1パターン1の3つの試料のHPLC分析については、高純度(99.5%超)を、全ての試料において示した。化合物1の形態1において実行された7日間の安定性研究のHPLC分析結果は、以下の表に見出され得る。形態1は、全ての試験条件下で安定している。
【表5】
【0570】
化合物1の形態2:方法。化合物1の形態1の部分(10mg)を、1.5mlのバイアル内に置いた。1つのバイアルを、7日間、以下の条件のそれぞれ下、A)40℃/75%のRH(開放バイアル)、B)25℃/60%のRH(開放バイアル)、C)80℃(密封バイアル)下で貯蔵した。固体を、XRPDによって分析し、HPLCに供した。
【0571】
化合物1の形態2:結果。XRPDパターンは、形態2のものに対応することが観察されたため、スケールアップされた形態2は、40℃/75%のRH及び25℃/60%のRHで7日間安定していることが決定された。しかしながら、80℃で貯蔵された試料Cについては、XRPDパターンは、形態7についてのものに対応することが観察された。
【0572】
実施例6.100及び250MPaでの圧縮試験
化合物1のおよそ100mgの形態1を、FT-IRプレス内に置き、100MPaの圧力を適用し、60秒間保持した。得られた材料を、XRPDによって分析した。
【0573】
化合物1のおよそ100mgの形態1を、圧縮クランプの装置内に置いた。この装置を、圧縮クランプ内に置き、250MPaの圧力を適用して、60秒間保持した。得られた材料を、XRPDによって分析した。
【0574】
圧縮試験後の両方の試料のXRPDディフラクトグラムは、結晶格子歪みに起因して、より広いピークを示した。結晶性形態における変化は観察されなかった。形態1は、100MPa及び250MPa下で60秒間安定している。
【0575】
100及び250MPaのそれぞれでの圧縮試験後の形態1試料のDSCサーモグラムは、融解前の約255~260℃の開始を有する滑らかな発熱事象を示し、約275℃の開始は、格子破壊によって増強された発熱分解、続いて、吸熱分解に関連した。これは、形態1の存在と一貫する。
【0576】
100MPa圧縮試験後の形態1試料の変調DSCサーモグラムは、約265℃の開始温度を有する非可逆熱流トレースにおける吸熱事象、及び約268℃の開始温度を有する可逆熱流トレースにおける吸熱事象を示した。発熱事象は、この試料についてのトレースのうちのいずれにおいても観察されなかった。材料中の非晶質含有物の証拠はなかった。
【0577】
250MPa圧縮試験後の形態1試料の変調DSCサーモグラムは、約266℃の開始温度を有する非可逆熱流トレースにおける吸熱事象、及び約266℃の開始温度を有する可逆熱流トレースにおける吸熱事象を示した。発熱事象は、この試料についてのトレースのうちのいずれにおいても観察されなかった。材料中の非晶質含有物の証拠はなかった。
【0578】
実施例7.形態1及び7での競合的スラリー
A.室温及び80℃での競合的スラリー化
形態1及び形態7の競合的スラリー実験を、4つの溶媒中で室温及び高温(80℃)で実行した。1:1のwt/wtの混合物中のおよそ25mgのそれぞれの形態を、選択された溶媒中でスラリー化し、合計約5日間撹拌した。得られた材料を、XRPDによって再分析して、形態を確認した。溶媒条件については、以下の表を参照されたい。
【表6】
【0579】
XRPDによれば、室温での競合的スラリー化は、室温での48時間のかき混ぜ後に形態1への完全な変換を、スクリーニングされた全ての溶媒について示した。
【0580】
XRPDによれば、80℃での競合的スラリー化は、5日間の80℃での加熱後に形態7への完全な変換を、スクリーニングされた全ての溶媒について示した。
【0581】
B.40℃及び60℃での競合的スラリー化
形態1及び形態7の競合的スラリー実験を、4つの溶媒中で40及び60℃で実行し、遷移温度範囲を狭くすることを目的とした。1:1のwt/wtの混合物中のおよそ25mgのそれぞれの形態を、選択された溶媒中でスラリー化し、約10日間撹拌した。得られた材料を、XRPDによって再分析して、形態を確認した。溶媒条件については、以下の表を参照されたい。
【表7】
【0582】
XRPDによれば、40℃での競合的スラリー化は、40℃での10日後に形態1及び7の混合物であることを、スクリーニングされた全ての溶媒について示した。
【0583】
XRPDによれば、60℃での競合的スラリー化は、60℃での10日後に形態1及び7の混合物であることを、スクリーニングされた全ての溶媒について示した。
【0584】
C.予備粉砕を有する、40℃及び60℃での競合的スラリー化
形態1及び形態7の競合的スラリー実験を、2つの溶媒中で40及び60℃で、予備粉砕を有して実行した。1:1のwt/wtの混合物およそ120mgのそれぞれの形態を、乳鉢及び乳棒を使用して1分間粉砕して、固体混合物を形成した。少量のこの混合物を、XRPDによって分析して、固体混合物を確認した。約30mgのこの混合物を、秤量して、4つの別個の4mlのバイアル内に入れ、それぞれ、40℃または60℃に予備加温し、適切な溶媒を、混合物に添加して、スラリーを形成した。これらの実験において、貧溶媒を使用しなかった。スラリーを、それぞれ、最大40℃または60℃に最大5日間加熱した。得られた材料を、XRPDによって再分析して、形態を確認した。溶媒条件については、以下の表を参照されたい。
【表8】
【0585】
XRPD分析は、1分間の粉砕後に形態1及び形態7の固体混合物形成を確認した。
【0586】
XRPDによれば、40℃での競合的スラリー化は、40℃での5日間後に形態1への完全な変換を、スクリーニングされた全ての溶媒について示した。
【0587】
XRPDによれば、60℃での競合的スラリー化は、5日間の60℃での加熱後に形態1への完全な変換を、2-ブタノール中で実行された実験について示したが、メチルイソブチルケトン実験において、5日後に得られた固体のディフラクトグラムは、形態1及び形態7の両方の混合物が依然としてあったことを示した。
【0588】
実施例8.化合物1のベシル酸塩の形態Aの調製及び特徴付け
化合物1の遊離塩基のおよそ60mgの形態1を、秤量して、20mLのバイアル内に入れた。600μlの部分の2-メチル-THFを添加して、材料を完全に溶解し、続いて、1.1当量の1Mのベンゼンスルホン酸水溶液を添加した。次いで、混合物を、手動で撹拌し、キャップをせずに放置して、溶媒を、周囲温度で蒸発させた。蒸発後に得られた固体を、回収し、本明細書の以下に記載されるように分析した。
【0589】
試料のXRPD分析(
図24)は、ベシル酸塩の再現が成功したことを示した。化合物1のベシル酸塩の形態Aの
1H NMR及び
19F NMRスペクトルは、塩形成(例えば、約-111ppmで観察された
19Fシグナル)及び化合物1の結合接続性の保持を確認した。HPLCによって、化合物1のベシル酸塩の形態Aの純度は、99.9%であることが観察された。
【0590】
TG分析(
図25)において、2つの重量損失が観察された。第1の重量損失は、約25℃から約125℃への加熱の際に2.8%であり、これは、おそらく、1当量の水の損失に起因し、第2の重量損失は、約125℃から約275℃への加熱の際に1.2%であり、これは、分解に起因した。この結果は、材料が一水和物であることを示唆する。DSCトレース(
図25)において、119.2℃の開始を有する融解吸熱事象が観察された。DSC分析(
図26)の第1の加熱サイクルにおいて、約128℃(18.6J/g)の開始温度及び/または約136℃のピーク温度を有する融解吸熱事象が観察された。
【0591】
DVS分析(
図27)において、2%の重量変化が、乾燥状態と90%のRHとの間で観察され、これは、材料が吸湿性であることを示した。しかしながら、この実験中に、一水和物の水は完全には失われなかった。XRPDディフラクトグラムは、化合物1のベシル酸塩の形態Aが、DVS分析中に同じ結晶性形態において保持されたことを示した。
【0592】
安定性研究は、化合物1のベシル酸塩の形態Aが、40℃及び75%のRHで7日間物理的に安定していることを示した。形態における変化は、XRPDによって観察されなかった。
【0593】
実施例9.化合物1のリン酸塩の形態Aの特徴付け
一次塩スクリーニングから特定された化合物1のリン酸塩の形態Aを、XRPD(
図28)によって分析した。化合物1のリン酸塩の形態Aの
1H NMR及び
31P NMRスペクトルは、塩形成(例えば、約0.9ppmで観察された
31Fシグナル)及び化合物1の結合接続性の保持を確認した。
【0594】
リン酸塩のTG分析(
図29)において、(約0.4当量の2-メチル-THFまたは約1.8当量の水に等価の)5.8%の重量損失が、約25℃から約175℃への加熱の際に観察された。DSCトレース(
図29)において、分解が、200℃超で観察された。
【0595】
実施例10.固体形態の特徴付け
X線粉末回折(XRPD)
標準条件:XRPD分析を、PIXcel検出器を有するPANalytical X’pert pro(128個のチャネル)において実施し、試料を、3~35°2θで走査した。材料を、穏やかに粉砕して、いずれもの凝集体を遊離し、Mylarポリマーフィルムを有するマルチウェルプレート上にロードして、試料を支持した。次いで、マルチウェルプレートを、回折計内に置き、40kV/40mAの発生器設定を使用して透過モード(0.0130°2θのステップサイズ、18.87秒のステップ時間)において実行されたCu K放射線(α1λ=1.54060Å、α2=1.54443Å、β=1.39225Å、α1:α2比=0.5)を使用して分析した。HighScore Plus 4.7デスクトップアプリケーション(PANalytical、2017)を使用して、データを視覚化し、画像を生成した。
【0596】
可変温度実験:VT-XRPD分析を、温度チャンバを備えるPhilips X’Pert Pro多目的回折計において実施した。試料を、40kV/40mAの発生器設定を使用してBragg-Brentano幾何学(0.008°2θのステップサイズ)において実行されたCu K放射線(α1λ=1.54060Å、α2=1.54443Å、β=1.39225Å、α1:α2比=0.5)を使用して、4~35.99°2θで走査した。測定を、以下のように実行した。1)30℃での初期走査;2)30℃に10℃/分で加熱、5分間の保持、走査;3)150℃に10℃/分で加熱、5分間の保持、走査;4)225℃に5℃/分で加熱、5分間の保持、走査;5)300℃に5℃/分で加熱、5分間の保持、走査;6)30℃に-10℃/分で冷却、走査。
【0597】
単結晶X線回折(SCXRD)
データを、Oxford Cryosystems Cobra冷却デバイスを備えるOxford Diffraction Supernova Dual Source,Cu at Zero,Atlas CCD回折計において収集した。データは、CuKα放射線を使用して収集した。構造を、典型的には、SHELXSまたはSHELXDプログラムのいずれかを使用して解析し、Bruker AXS SHELXTLスイート(V6.10)の一部分としてのSHELXLプログラムで精密化した。別途記載されない限り、炭素に結合した水素原子を、幾何学的に置き、ライディング等方性変位パラメータで精密化することを可能にした。ヘテロ原子に結合した水素原子を、差フーリエ合成において配置し、等方性変位パラメータで自由に精密化することを可能にした。
【0598】
核磁気共鳴(NMR)
NMR実験を、プロトンについて500.23MHzで動作するPRODIGYクライオプローブを備えるBruker AVIIIHD分光計において実行した。実験を、重水素化ジメチルスルホキシド中で実行し、それぞれの試料を、約10mMの濃度に調製した。
【0599】
赤外分光法(ATR-FTIR)
赤外分光法を、Bruker ALPHA P分光計において実施した。十分な材料を、分光計のプレートの中央上に置き、スペクトルを、以下のパラメータを使用して得た。分解能:4cm-1;バックグラウンド走査時間:16回の走査;試料走査時間:16回の走査;データ収集:4000~400cm-1;結果スペクトル:透過率;ソフトウェア:OPUSバージョン6。
【0600】
示差走査熱量測定(DSC)
およそ1~5mgの材料を、秤量して、アルミニウムDSCパン内に入れ、アルミニウム蓋で非気密的に密封した。次いで、試料パンを、RC90クーラーを備えるTA Instruments Discovery DSC2500示差走査熱量計内にロードした。試料及び参照を、300℃に10℃/分の走査速度で加熱し、得られた熱流応答を監視した。試料を、20℃に再冷却し、次いで、全てを、300℃に10℃/分で再び再加熱した。窒素を、パージガスとして50cm3/分の流速で使用した。
【0601】
熱重量/示差熱分析(TG/DTA)
およそ5~10mgの材料を、秤量して、オープンアルミニウムパン内に入れ、同時熱重量/示差熱分析器(TG/DTA)内にロードし、室温で保持した。次いで、試料を、10℃/分の速度で20℃から400℃へ加熱し、この時間中に、試料重量における変化を、いずれもの示差熱事象(DTA)とともに記録した。窒素を、パージガスとして300cm3/分の流速で使用した。
【0602】
熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)
およそ5~10mgの材料を、予めタール付きのオープンアルミニウムパン内に添加し、TA Instruments Discovery SDT 650 Auto-Simultaneous DSC内にロードし、室温で保持した。次いで、試料を、10℃/分の速度で30℃から400℃へ加熱し、この時間中に、試料重量における変化を、熱流応答(DSC)とともに記録した。窒素を、試料パージガスとして200cm3/分の流速で使用した。
【0603】
動的水蒸気吸着(DVS)
およそ10~20mgの試料を、メッシュ蒸気吸着天びん皿内に置き、Surface Measurement SystemsによるDVS Advantage動的水蒸気吸着天びん内にロードした。それぞれのステップにおける試料を、安定した重量が達成されるまで(0.004%のdm/dt、30分の最小ステップ長さ、500分の最大ステップ長さ)25℃で維持しながら、試料を、10%のインクリメントでの40~90%の相対湿度(RH)のランププロファイルに供した。吸着サイクルの完了後に、試料を、同じ手順を使用して0%のRHに乾燥させ、次いで、第2の吸着サイクルを、40%のRHに戻した。2サイクルを実行した。吸着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、試料の吸湿性を決定することを可能にした。次いで、XRPD分析を、保持されたいずれもの固体において実施した。
【0604】
実施例11.化合物1の錠剤の調製
化合物1錠剤のための製造プロセスにおけるステップの一般の説明を、以下で提供する。
【0605】
化合物1原体及びそれぞれの賦形剤を、バッチ配合に従って秤量及び分注する。顆粒内賦形剤(マンニトール、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びデンプングリコール酸ナトリウム)を、化合物1原体とともにふるいにかけて、塊をなくし、その後、ブレンドして、初期顆粒化前ブレンドを達成する。ステアリン酸マグネシウムを、ふるいにかけ、顆粒化前ブレンドと組み合わせ、ブレンドする。次いで、得られた最終顆粒化前ブレンドを、ローラーコンパクタ及びcomilを介して供給して、化合物1顆粒を生成する。
【0606】
化合物1顆粒を、顆粒外賦形剤(マンニトール及びデンプングリコール酸ナトリウム)とともにふるいにかけ、ブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを、ふるいにかけ、顆粒外ブレンドと組み合わせ、ブレンドして、化合物1最終ブレンドを達成する。
【0607】
化合物1最終ブレンドを、自動打錠装置に移して、適切な形状、サイズ及び重量での化合物1錠剤を製造する。圧縮実行全体にわたって、錠剤を、試料採取し、重量、外観、厚さ、硬度及び破砕性について試験する。得られた錠剤を、除塵機及び金属検知機に通し、その後、フィルムコーティングする。
【0608】
Opadry(登録商標)ピンクIIの水性懸濁液を、調製し、パンコーターにおいて、目標重量増加が達成されるまで錠剤上に噴霧する。平均錠剤重量を、コーティングプロセス全体にわたって監視して、適切な重量制御を確実にし、コーティング終点を達成する。
【0609】
化合物1のローラー圧縮バッチを、以下の表における配合及び条件で製造した。
【表9】
【0610】
2つの化合物1最終ブレンドバッチを、以下の表における配合及び条件で製造して、それぞれ、5mg及び25mgの化合物1錠剤を製造した。
【表10】
【0611】
5mg及び25mgの化合物1錠剤の定量的組成を、以下の表で提供する。
【表11】
【0612】
実施例12.化合物1の安定性研究
安定性研究を、化合物1(形態1)について、以下の3つの貯蔵条件において行った。(1)5℃±3℃、周囲相対湿度(RH)、0及び1ヶ月で収集されたデータ;(2)25℃±2℃、60%±5%のRH、0、1、3、6、9及び12ヶ月で収集されたデータ;ならびに(3)40℃±2℃、75%±5%のRH、0、1、3及び6ヶ月で収集されたデータで行った。
【0613】
安定性結果は、25℃±2℃/60%±5%のRHの提案された長期条件において12ヶ月間、及び40℃±2℃/75%±5%のRHの加速条件において6ヶ月間貯蔵された化合物1の化学的及び物理的安定性を実証した。有意な変化は、説明、アッセイ、関連物質、水含有量、多型形態及びキラル純度において観察されなかった。全ての結果は、承認基準(例えば、原体純度:少なくとも97%、個別の不純物:それぞれ、0.2面積%以下、不純物の総量:2.0%以下、エナンチオマー純度:少なくとも99.5%、固体形態:形態1)に全ての時点で準拠した。
【0614】
実施例13.化合物1の錠剤の調製
化合物1錠剤のための別の製造プロセスにおけるステップの一般の説明を、以下で提供する。
【0615】
化合物1及びそれぞれの賦形剤を、バッチ配合に従って秤量及び分注する。マンニトール、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びデンプングリコール酸ナトリウムを、化合物1とともに、20メッシュのふるいに通してふるいにかけて、塊をなくし、その後、ブレンドして、初期ブレンドを形成する。ステアリン酸マグネシウムを、ふるいにかけ、初期ブレンドと組み合わせ、ブレンドして、最終ブレンドを達成する。
【0616】
最終ブレンドを、自動打錠装置に移して、適切な形状、サイズ及び重量での錠剤を製造する。圧縮実行全体にわたって、錠剤を、試料採取し、重量、外観、厚さ、硬度及び破砕性について試験する。得られた錠剤を、除塵機及び金属検知機に通し、その後、フィルムコーティングする。
【0617】
Opadry(登録商標)ピンクIIの水性懸濁液を、調製し、パンコーターにおいて、目標重量増加(4%)が達成されるまで錠剤上に噴霧する。平均錠剤重量を、コーティングプロセス全体にわたって監視して、適切な重量制御を確実にし、コーティング終点を達成する。
【0618】
製剤は、用量比例として設計される。共通のブレンドを圧縮して、異なる強度(例えば、25mg、50mg、75mg及び100mg)を有する錠剤にする。化合物1の錠剤の代表的な組成及び処方を、以下の表に列挙する。
【表12】
【0619】
実施例14.化合物1の錠剤の安定性研究
安定性研究を、化合物1の錠剤について、様々な貯蔵条件下で行った。
【0620】
実施例11に記載されるように調製された錠剤についての結果:結果は、25℃±2℃/60%±5%のRHの長期ICH条件下及び30℃±2℃/65%±5%のRHのICH中間条件下での最大12ヶ月間の貯蔵、ならびに40℃±2℃/75%±5%のRHのICH加速条件下で6ヶ月間の貯蔵の際の化合物1の錠剤の化学的及び物理的安定性を実証する。有意な変化は、説明、アッセイ及び分解生成物、キラル純度、水含有量、ならびに溶解において観察されなかった。
【0621】
結果は、30℃±2℃/65%±5%のRHの長期ICH条件下での12ヶ月間の貯蔵、及び40℃±2℃/75%±5%のRHのICH加速条件下での6ヶ月間の貯蔵の際の化合物1の錠剤の化学的及び物理的安定性を実証する。有意な変化は、説明、アッセイ及び分解生成物、水含有量、ならびに溶解において観察されなかった。
【0622】
全ての結果は、承認基準(例えば、医薬品純度:少なくとも90%、個別の分解生成物:それぞれ、0.3面積%以下、分解生成物の総量:3.0%以下、エナンチオマー純度:少なくとも99.5%)に全ての時点で準拠した。
【0623】
実施例13に記載されるように調製された錠剤について結果:結果は、30℃±2℃/65%±5%のRHの長期ICH条件下及び40℃±2℃/75%±5%のRHのICH加速条件下での最大6ヶ月間の貯蔵の際の化合物1の錠剤の化学的及び物理的安定性を実証する。有意な変化は、説明、アッセイ及び分解生成物、キラル純度、水含有量、ならびに溶解において観察されなかった。
【0624】
結果は、30℃±2℃/65%±5%のRHの長期ICH条件及び40℃±2℃/75%±5%のRHのICH加速条件下での3ヶ月間の貯蔵の際の化合物1の錠剤の化学的及び物理的安定性を実証する。有意な変化は、説明、アッセイ及び分解生成物、水含有量、ならびに溶解において観察されなかった。
【0625】
全ての結果は、承認基準(例えば、医薬品純度:少なくとも90%、個別の分解生成物:それぞれ、0.3面積%以下、分解生成物の総量:3.0%以下、エナンチオマー純度:少なくとも99.5%)に全ての時点で準拠した。
【0626】
実施例15.化合物1の粒子サイズ
湿式摩砕:湿式摩砕は、形成された材料の粒子サイズ分布を制御するために、化合物1の結晶化中に用いられ得る。概して、2P/4Mローターステータスタックを備えるIKA Works湿式摩砕機は、プロセスタンクに並列に接続されている。湿式摩砕を、所望の粒子サイズ(例えば、約50~100ミクロンのD50、10ミクロン超のD10、150ミクロン未満のD90)が湿式摩砕機へのおよそ25回の通過後に達成され得るような速度で実行する。摩砕時間の量は、摩砕機が動作するrpmsを変化させることによってより短くされてもよくまたは長くされてもよい。材料は、本質的に砕けやすく、誤った設定が選択された場合、過剰摩砕され得ることに留意することが重要である。摩砕が完了した後に、材料を、濾過し、濾過乾燥機において穏やかに撹拌して乾燥させる。
【0627】
粒子サイズ決定:摩砕された試料についての粒子サイズを、試料を反応混合物から濾過することと、試料を適切な分散剤中に懸濁させることとによって決定する。化合物1に適切な分散剤は、少量の追加の界面活性剤、例えば、Triton Xを有する水である。次いで、材料を、機器、例えば、Malvern Mastersizer3000または類似のものを使用して、その粒子サイズ分布について測定することができる。
【0628】
本開示の例示的な実施形態が、本明細書に示され説明されているが、このような実施形態は、例としてのみ提供されることが、当業者には明らかである。多くの変形、変更及び置換が、本開示から逸脱することなく、当業者より今や見出されよう。本明細書に記載される実施形態の様々な代替が、本明細書で提供される主題の実施において用いられ得ることを理解されたい。このような均等物は全て、特許請求される主題の範囲内であると考えられ、添付の特許請求の範囲に包含される。
【国際調査報告】