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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】口腔用ガム組成物
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20241008BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519615
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 IB2022059303
(87)【国際公開番号】W WO2023053060
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/250,619
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/333,729
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボン・コスモス,ニコラス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】アルダーマン,スティーブン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ザワトツキ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB22
4B043BC02
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC12
4B043BC19
4B043BC26
(57)【要約】
本開示は、口腔用使用に対して構築されている組成物を提供する。本組成物は、ガム基剤;1種以上の増量剤;塩基性アミン官能性を有する活性成分;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含み、塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、この結合が、塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガム基剤
1種以上の増量剤
塩基性アミン官能性を有する活性成分、及び
有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せ
を含む口腔用組成物であって、前記塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分が、前記有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、該結合が、塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態にある、口腔用組成物。
【請求項2】
チューイングガムの形態にある、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分が、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態にある、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記有機酸が、約1~約12のlogP値を有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
前記有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
前記有機酸が約4.5~約12のlogP値を有しており、組成物が溶解増強剤をさらに含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
前記溶解増強剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、請求項7に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミン官能性を有する活性成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの前記有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
アミン遊離塩基として計算して、前記塩基性アミン官能性を有する活性成分に対して、約2~約10モル当量の前記有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
前記有機酸が、安息香酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
前記ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである、請求項11に記載の口腔用組成物。
【請求項13】
前記有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項14】
安息香酸及び安息香酸ナトリウムをさらに含む、請求項13に記載の口腔用組成物。
【請求項15】
安息香酸及び安息香酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項16】
前記有機酸及び該有機酸のアルカリ金属塩を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項17】
前記アルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである、請求項16に記載の口腔用組成物。
【請求項18】
前記有機酸のアルカリ金属塩に対する前記有機酸の割合が、約0.1~約10である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項19】
前記組成物のpHが、約4.0~約9.0である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項20】
前記組成物のpHが、約4.5~約7である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項21】
前記組成物のpHが、約5.5~約7である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項22】
前記組成物のpHが、約4.0~約5.5である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項23】
前記組成物のpHが、約7.0~約9.0である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項24】
前記塩基性アミン官能性を有する活性成分がニコチンである、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項25】
前記ニコチンが、前記組成物の総重量に基づき遊離塩基として計算して、前記組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項24に記載の口腔用組成物。
【請求項26】
安息香酸ニコチン、ニコチンポラクリレクス又はこれらの組合せなどのニコチン塩を含む、請求項24又は25に記載の口腔用組成物。
【請求項27】
前記ガム基剤が合成エラストマーを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項28】
前記ガム基剤が、可塑剤、フィラー、軟化剤、乳化剤、ワックス、粘着防止剤、抗酸化剤、又はこれらの組合せをさらに含む、請求項27に記載の口腔用組成物。
【請求項29】
前記増量剤が1種以上の糖アルコールを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項30】
前記増量剤として、
約25~約50重量%の量のソルビトール、
約10~約20重量%の量のマルチトール、及び
約10~約20重量%の量のイソマルト
(各々前記口腔用組成物の総重量に基づく)
の組合せを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項31】
1種以上の追加の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の保湿剤、タバコ材料、又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項32】
栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される、1種以上の追加の活性成分をさらに含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項33】
前記口腔用組成物の総重量に対して約20~約30重量%の量の前記ガム基剤、
前記口腔用組成物の総重量に対して約50~約80重量%の量の前記増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む増量剤、
前記口腔用組成物の総重量に対して約1~約2重量%の量の保湿剤、
安息香酸ニコチン、及び
安息香酸ナトリウム
を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項34】
ニコチンポラクリレクスをさらに含む、請求項33に記載の口腔用組成物。
【請求項35】
前記口腔用組成物の総重量に対して約20~約30重量%の量の前記ガム基剤、
前記口腔用組成物の総重量に対して約50~約80重量%の量の前記増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む増量剤、
前記口腔用組成物の総重量に対して約1~約2重量%の量の保湿剤、
ニコチンポラクリレクス、及び
安息香酸ナトリウム
を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項36】
香味顆粒をさらに含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
【請求項37】
前記香味顆粒が、
重量基準で約60~約90%の量の糖アルコール、
重量基準で約16~約22%の量の保湿剤、
重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤、
重量基準で約1~約3%の量のフィラー、
着色剤、及び
着香剤
(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)
を含む、請求項36に記載の口腔用組成物。
【請求項38】
前記香味顆粒が、
重量基準で約15~約35%の量の糖アルコール、
重量基準で約20~約50%の量のフィラー、
重量基準で約20~約30%の量の着香剤、
重量基準で約15~約30%の量の保湿剤、
重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤、及び
重量基準で約0.1~約1.5%の量の着色剤
(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)
を含む、請求項36に記載の口腔用組成物。
【請求項39】
前記糖アルコールがイソマルトであり、前記フィラーが微結晶性セルロースであり、前記保湿剤がグリセリンであり、前記甘味剤がスクラロースである、請求項37又は38に記載の口腔用組成物。
【請求項40】
前記香味顆粒が、
総量が重量基準で約96~約99%の量の2種の糖アルコールの組合せ、
重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤、並びに、前記香味顆粒の残りを構成する着色剤及び着香剤
を含む、請求項36に記載の口腔用組成物。
【請求項41】
前記香味顆粒が、
重量基準で約92~約96%の量のイソマルト、
重量基準で約4~約6%の量のマルチトールシロップ、
重量基準で約0.1~約0.5%の量のスクラロース
からなり、
残りが、着色剤及び着香剤からなる、
請求項40に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔用製品に関する。特に、本開示は、ヒトへの使用を目的とする組成物に関する。本組成物は、口腔用使用に対して構築されており、使用中の香味料、活性成分、又はこれらの両方などの物質を送達する。
【背景技術】
【0002】
タバコ材料、ニコチン成分及び/又は他の活性成分を様々な結合剤及びフィラーと組み合わせる無煙タバコ製品の構成は、ロゼンジ剤、パステル剤、ゲル剤、押出し形態などを含む例となる製品フォーマットで最近提案されている。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Engstromらの米国特許出願公開第2008/0196730号;Crawfordらの米国特許出願公開第2008/0305216号;Kumarらの米国特許出願公開第2009/0293889号;Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号;Muaらの米国特許出願公開第2011/0139164号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0037175号;Huntらの米国特許出願公開第2012/0055494号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138073号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138074号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074855号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074856号;Muaらの米国特許出願公開第2013/0152953号;Jacksonらの米国特許出願公開第2013/0274296号;Moldoveanuらの米国特許出願公開第2015/0068545号;Marshallらの米国特許出願公開第2015/0101627号;及びLampeらの米国特許出願公開第2015/0230515号に記載されている製品の種類を参照されたい。類似のフォーマットであり、タバコを含まない口腔用製品もまた提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タバコを含まない、口腔用使用に対して構築されている製品であって、活性成分、着香剤又はこれらの両方を楽しむことが可能な形態で使用者に送達することができる製品を提供することが望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、口腔用使用に対して構築されている組成物を概して提供する。本組成物は、ガム、例えば、チューイングガムの形態にある。本組成物は、水性環境(例えば、唾液中)に一般に不溶性のエラストマーを含めたガム基剤を含む。本組成物は、増量剤及び活性成分をさらに含み、香味剤、及び本明細書において開示されている追加の構成成分をさらに含んでもよい。
【0006】
したがって、一態様において、ガム基剤;1種以上の増量剤;塩基性アミン官能性を有する活性成分;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む口腔用組成物であって、塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、該結合が、塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態にある、口腔用組成物が提供される。
【0007】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、チューイングガムの形態にある。
【0008】
一部の実施形態において、塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態にある。
【0009】
一部の実施形態において、有機酸は、約1~約12のlogP値を有する。一部の実施形態において、有機酸は、約1.4~約4.5のlogP値を有する。一部の実施形態において、有機酸は、約2.5~約3.5のlogP値を有する。一部の実施形態において、有機酸は、約4.5~約12のlogP値を有しており、本組成物は、溶解増強剤をさらに含む。一部の実施形態において、溶解増強剤は、グリセロール又はプロピレングリコールである。
【0010】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミン官能性を有する活性成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミン官能性を有する活性成分に対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。
【0011】
一部の実施形態において、有機酸は、安息香酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。
【0012】
一部の実施形態において、有機酸は、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウムをさらに含む。
【0013】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、有機酸及び有機酸のアルカリ金属塩を含む。一部の実施形態において、有機酸のアルカリ金属塩に対する有機酸の割合は、約0.1~約10である。
【0014】
一部の実施形態において、アルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムである。
【0015】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを含む。
【0016】
一部の実施形態において、本組成物のpHは、約4.0~約9.0である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約4.5~約7である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約5.5~約7である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約4.0~約5.5である。一部の実施形態において、本組成物のpHは、約7.0~約9.0である。
【0017】
一部の実施形態において、塩基性アミン官能性を有する活性成分は、ニコチンである。一部の実施形態において、ニコチンは、組成物の総重量に基づき、遊離塩基として計算して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、安息香酸ニコチン、ニコチンポラクリレクス又はこれらの組合せを含む。
【0018】
一部の実施形態において、ガム基剤は、合成エラストマーを含む。一部の実施形態において、ガム基剤は、可塑剤、フィラー、軟化剤、乳化剤、ワックス、粘着防止剤、抗酸化剤、又はこれらの組合せをさらに含む。
【0019】
一部の実施形態において、増量剤は1種以上の糖アルコールを含む。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、増量剤として、約25~約50重量%の量のソルビトール、約10~約20重量%の量のマルチトール、及び約10~約20重量%の量のイソマルト(各々前記口腔用組成物の総重量に基づく)の組合せを含む。
【0020】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、1種以上の追加の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の保湿剤、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含む。
【0021】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される、1種以上の追加の活性成分をさらに含む。
【0022】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約20~約30重量%の量のガム基剤;口腔用組成物の総重量に対して、約50~約80重量%の量の増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む、増量剤;口腔用組成物の総重量に対して、約1~約2重量%の量の保湿剤;安息香酸ニコチン;及び安息香酸ナトリウムを含む。
【0023】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約20~約30重量%の量のガム基剤;口腔用組成物の総重量に対して、約50~約80重量%の量の増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む、増量剤;口腔用組成物の総重量に対して、約1~約2重量%の量の保湿剤;安息香酸ニコチン;ニコチンポラクリレクス;及び安息香酸ナトリウムを含む。
【0024】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約20~約30重量%の量のガム基剤;口腔用組成物の総重量に対して、約50~約80重量%の量の増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む、増量剤;口腔用組成物の総重量に対して、約1~約2重量%の量の保湿剤;ニコチンポラクリレクス;及び安息香酸ナトリウムを含む。
【0025】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、香味顆粒をさらに含む。一部の実施形態において、香味顆粒は、重量基準で約60~約90%の量の糖アルコール;重量基準で約16~約22%の量の保湿剤;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約1~約3%の量のフィラー;着色剤;及び着香剤(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)を含む。一部の実施形態において、糖アルコールはイソマルトであり、保湿剤はグリセリンであり、甘味剤はスクラロースであり、フィラーは微結晶性セルロースである。
【0026】
一部の実施形態において、香味顆粒は、重量基準で約15~約35%の量の糖アルコール;重量基準で約15~約30%の量の保湿剤;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約20~約50%の量のフィラー;重量基準で約20~約30%の量の着香剤;及び着色剤(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)を含む。一部の実施形態において、糖アルコールはイソマルトであり、保湿剤はグリセリンであり、甘味剤はスクラロースであり、フィラーは微結晶性セルロースである。
【0027】
一部の実施形態において、香味顆粒は、総量が重量基準で約96~約99%の量の2種の糖アルコールの組合せ;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約0.1~約1%の量の着香剤;重量基準で約0.1~約1.5%の量の着色剤(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)を含む。一部の実施形態において、香味顆粒は、重量基準で約92~約96%の量のイソマルト;重量基準で約4~約6%の量のマルチトールシロップ;重量基準で約0.1~約0.5%の量のスクラロースからなり、残りは、着色剤及び着香剤からなる。
【0028】
本開示は、以下の実施形態を非限定的に含む。
【0029】
実施形態1:ガム基剤;1種以上の増量剤;塩基性アミン官能性を有する活性成分;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む口腔用組成物であって、塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分が、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、この結合が、塩基性アミン-有機酸の塩の形態、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態、又は両方の形態にある、口腔用組成物。
【0030】
実施形態2:チューイングガムの形態にある、実施形態1の口腔用組成物。
【0031】
実施形態3:塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分が、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態にある、実施形態1又は2の口腔用組成物。
【0032】
実施形態4:有機酸が、約1~約12のlogP値を有する、実施形態1~3のいずれか1つの口腔用組成物。
【0033】
実施形態5:有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、実施形態1~4のいずれか1つの口腔用組成物。
【0034】
実施形態6:有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態1~5のいずれか1つの口腔用組成物。
【0035】
実施形態7:有機酸が約4.5~約12のlogP値を有しており、組成物が溶解増強剤をさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つの口腔用組成物。
【0036】
実施形態8:溶解増強剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、実施形態7の口腔用組成物。
【0037】
実施形態9:アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミン官能性を有する活性成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、実施形態1~8のいずれか1つの口腔用組成物。
【0038】
実施形態10:アミン遊離塩基として計算して、塩基性アミン官能性を有する活性成分に対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、実施形態1~9のいずれか1つの口腔用組成物。
【0039】
実施形態11:有機酸が、安息香酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル、又はこれらの組合せを含む、実施形態1~10のいずれか1つの口腔用組成物。
【0040】
実施形態12:ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである、実施形態1~11のいずれか1つの口腔用組成物。
【0041】
実施形態13:有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである、実施形態1~12のいずれか1つの口腔用組成物。
【0042】
実施形態14:安息香酸及び安息香酸ナトリウムをさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つの口腔用組成物。
【0043】
実施形態15:安息香酸及び安息香酸ナトリウムを含む、実施形態1~14のいずれか1つの口腔用組成物。
【0044】
実施形態16:有機酸及び有機酸のアルカリ金属塩を含む、実施形態1~15のいずれか1つの口腔用組成物。
【0045】
実施形態17:アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態1~16のいずれか1つの口腔用組成物。
【0046】
実施形態18:有機酸のアルカリ金属塩に対する有機酸の割合が、約0.1~約10である、実施形態1~17のいずれか1つの口腔用組成物。
【0047】
実施形態19:組成物のpHが、約4.0~約9.0である、実施形態1~18のいずれか1つの口腔用組成物。
【0048】
実施形態20:組成物のpHが、約4.5~約7である、実施形態1~19のいずれか1つの口腔用組成物。
【0049】
実施形態21:組成物のpHが、約5.5~約7である、実施形態1~20のいずれか1つの口腔用組成物。
【0050】
実施形態22:組成物のpHが、約4.0~約5.5である、実施形態1~21のいずれか1つの口腔用組成物。
【0051】
実施形態23:組成物のpHが、約7.0~約9.0である、実施形態1~22のいずれか1つの口腔用組成物。
【0052】
実施形態24:塩基性アミン官能性を有する活性成分がニコチンである、実施形態1~23のいずれか1つの口腔用組成物。
【0053】
実施形態25:ニコチンが、組成物の総重量に基づき遊離塩基として計算して、組成物の約0.001~約10重量%の量で存在する、実施形態1~24のいずれか1つの口腔用組成物。
【0054】
実施形態26:ニコチン塩(例えば、安息香酸ニコチン)、ニコチンポラクリレクス又はこれらの組合せを含む、実施形態1~25のいずれか1つの口腔用組成物。
【0055】
実施形態27:ガム基剤が合成エラストマーを含む、実施形態1~26のいずれか1つの口腔用組成物。
【0056】
実施形態28:ガム基剤が、可塑剤、フィラー、軟化剤、乳化剤、ワックス、粘着防止剤、抗酸化剤、又はこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~27のいずれか1つの口腔用組成物。
【0057】
実施形態29:増量剤が1種以上の糖アルコールを含む、実施形態1~28のいずれか1つの口腔用組成物。
【0058】
実施形態30:増量剤として、約25~約50重量%の量のソルビトール、約10~約20重量%の量のマルチトール、及び約10~約20重量%の量のイソマルト(各々前記口腔用組成物の総重量に基づく)の組合せを含む、実施形態1~29のいずれか1つの口腔用組成物。
【0059】
実施形態31:1種以上の追加の活性成分、1種以上の香味剤、1種以上の塩、1種以上の甘味剤、1種以上の保湿剤、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含む、実施形態1~30のいずれか1つの口腔用組成物。
【0060】
実施形態32:栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物及びテルペンからなる群から選択される、1種以上の追加の活性成分をさらに含む、実施形態1~31のいずれか1つの口腔用組成物。
【0061】
実施形態33:口腔用組成物の総重量に対して、約20~約30重量%の量のガム基剤;口腔用組成物の総重量に対して、約50~約80重量%の量の増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む、増量剤;口腔用組成物の総重量に対して、約1~約2重量%の量の保湿剤;安息香酸ニコチン;及び安息香酸ナトリウム(又は他の安息香酸アルカリ金属塩)を含む、実施形態1~32のいずれか1つの口腔用組成物。
【0062】
実施形態34:ガム基剤;1種以上の増量剤;塩基性アミン官能性を有する活性成分;及び有機酸を含む口腔用組成物であって、有機酸が、安息香酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、若しくはこれらの組合せから選択されるジカルボン酸などのジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル又はこれらの組合せを含み、特に有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せを含む口腔用組成物。
【0063】
実施形態35:塩基性アミン官能性を有する活性成分がニコチンである、実施形態34の口腔用組成物。
【0064】
実施形態36:ニコチンが、ニコチン塩、ニコチンポラクリレクス又はこれらの組合せを含む、実施形態35の口腔用組成物。
【0065】
実施形態37:安息香酸ニコチンを含む、実施形態34~36のいずれか1つの口腔用組成物。
【0066】
実施形態38:ニコチンポラクリレクスを含む、実施形態34~37のいずれか1つの口腔用組成物。
【0067】
実施形態39:安息香酸ニコチンとニコチンポラクリレクスとの組合せを含む、実施形態34~38のいずれか1つの口腔用組成物。
【0068】
実施形態40:口腔用組成物の総重量に対して、約20~約30重量%の量のガム基剤;口腔用組成物の総重量に対して、約50~約80重量%の量の増量剤であって、1種以上の糖アルコールを含む、増量剤;口腔用組成物の総重量に対して、約1~約2重量%の量の保湿剤;ニコチンポラクリレクス;及び安息香酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【0069】
実施形態41:香味顆粒をさらに含む、実施形態1~40のいずれか1つの口腔用組成物。
【0070】
実施形態42:香味顆粒が、重量基準で約60~約90%の量の糖アルコール;重量基準で約16~約22%の量の保湿剤;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約1~約3%の量のフィラー;着色剤;及び着香剤(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)、を含み、実施形態41の口腔用組成物。
【0071】
実施形態43:糖アルコールがイソマルトであり、保湿剤がグリセリンであり、甘味剤がスクラロースであり、フィラーが微結晶性セルロースである、実施形態42の口腔用組成物。
【0072】
実施形態44:香味顆粒が、重量基準で約15~約35%の量の糖アルコール;重量基準で約15~約30%の量の保湿剤;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約20~約50%の量のフィラー;重量基準で約20~約30%の量の着香剤;及び着色剤(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)、を含む、実施形態41の口腔用組成物。
【0073】
実施形態45:糖アルコールがイソマルトであり、保湿剤がグリセリンであり、甘味剤がスクラロースであり、フィラーが微結晶性セルロースである、実施形態44の口腔用組成物。
【0074】
実施形態46:香味顆粒が、総量が重量基準で約96~約99%の量の2種の糖アルコールの組合せ;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約0.1~約1%の量の着香剤;及び重量基準で約0.1~約1.5%の量の着色剤(各重量基準の量は、前記香味顆粒の総重量に基づく)、を含む、実施形態41の口腔用組成物。
【0075】
実施形態47:顆粒が、重量基準で約92~約96%の量のイソマルト;重量基準で約4~約6%の量のマルチトールシロップ;重量基準で約0.1~約0.5%の量のスクラロースからなり、残りが、着色剤及び着香剤からなる、実施形態46の口腔用組成物。
【0076】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明を読むことで明らかとなる。本発明には、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの任意の組合せ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの特徴又は要素の組合せが、このような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられているかどうかに関わらず、含まれている。本開示は、全体的に読み取るように意図されているので、特に文脈が明確に他を指示しない限り、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて結合可能なことが意図されていると見なされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本開示は、これより、この例示的実施形態を参照して、本明細書のこれ以降にさらに完全に記載される。これらの例示的実施形態は、本開示が十分かつ完全となるように記載され、本開示の範囲を当業者に完全に伝達するものである。実際に、本開示は、多数の異なる形態で具現化され得、本明細書において説明されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満足するよう提供されている。
【0078】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0079】
本明細書全体を通して使用される「約」という用語は、わずかなばらつきを説明及び考慮するために使用されている。例えば、用語「約」とは、±5%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下などの±10%以下を指すことができる。数値はすべて、本明細書において、明示的に示されているか否かに関わらず、用語「約」によって修飾される。用語「約」によって修飾されている値は、当然ながら、指定の値を含む。例えば、「約5.0」は、5.0を含まなければならない。
【0080】
「乾燥重量パーセント」又は「乾燥重量基準」と言う場合、乾燥成分(すなわち、水を除く全成分)を基準にした重量を指す。「湿潤重量」という言及は、水を含めた組成物の重量を指す。特に示さない限り、組成物の「重量パーセント」と言う場合、組成物の全湿潤重量(すなわち、水を含む)を反映する。
【0081】
口腔用組成物
本明細書に記載されている通り、ガム基剤;1種以上の増量剤;塩基性アミン官能性を有する活性成分;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む口腔用組成物が提供される。口腔用組成物は、追加の活性成分、香味剤、塩、甘味剤、保湿剤、タバコ材料又はこれらの組合せをさらに含んでもよい。組成物内の様々な構成成分の相対量は、異なってもよく、通常、所望の感覚性及び性能特徴を口腔用組成物にもたらすように選択される。口腔用組成物の例となる個々の構成成分及び口腔用組成物の特徴は、本明細書の以下に記載されている。
【0082】
ガム基剤
本明細書において開示されている口腔用組成物は、ガム基剤を含む。用語「ガム基剤」とは、口腔用組成物に所望のテキスチャーをもたらす、一般に、水不溶性かつ疎水性の成分が意図される。本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、又は約50から約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、又は約95重量%までの量などの、口腔用組成物の総重量に対して、約5~約95重量パーセントの量のガム基剤を含むことができる。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55又は約60重量パーセントなどの、約10~約60重量パーセントの量のガム基剤を含む。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約15~約40又は約20~約30重量パーセントの量のガム基剤を含む。
【0083】
ガム基剤の製剤は、調製される具体的な口腔用組成物、並びに最終の口腔用組成物の所望の咀嚼に適した特徴及び他の感覚特徴(例えば、硬度及び弾性、並びに使用者によって体験される咀嚼感に関連する多数の主観的パラメータ)に応じて、実質的に異なり得る。一般に、ガム基剤は、エラストマーを含む。エラストマーは、ガム基剤及び口腔用組成物全体に、ゴムのような粘着性のある性質をもたらす。このゴムのような粘着性のある性質は、エラストマーの化学構造、並びにガム基剤及び口腔用組成物全体における他の成分とどのようにコンパウンドされるかに応じて異なり得る。したがって、ガム基剤に使用されるエラストマーは、所望のガム基剤のタイプ、ガムの所望のテキスチャー及び最終口腔用組成物を作製するために使用される他の構成成分などの様々な因子に応じて異なり得る。一般に、エラストマーは、当技術分野において公知の任意の水不溶性ポリマーであってもよい。本発明のガム基剤において使用するのに適切なエラストマーは、天然物、合成物又はこれらの組合せを含むことができる。
【0084】
一部の実施形態において、エラストマーは、天然エラストマーである。適切な天然エラストマーの非限定例としては、ラテックス、チクル、クラウンガム、ニスペロ、ロシディンハ(rosidinha)、ジェルトン、ペリロ、ニジェールグッタ、トゥヌ、バラタ、ガッタペルチャ、レチカスピ、ソルバ、ガッタケイ、マサランドゥババラタ、マサランドゥバチョコレート、ニスペロ、ロシンジーニャ、ガッタハンカン、チキブル、ペンダレ、レチェデバカ、トゥヌ、チルテ及びそれらの混合物が挙げられる。
【0085】
一部の実施形態において、エラストマーは、合成エラストマーである。適切な合成エラストマーの非限定例としては、スチレン-ブタジエンコポリマー(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン-イソプレンコポリマー、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、生分解性ポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。合成エラストマーのさらなる例は、以下に限定されないが、Food and Drug Administration、CFR、Title 21、Section 172,615、the Masticatory Substances、Syntheticに列挙されている合成エラストマーを含む。一部の実施形態において、合成エラストマーは、生分解性であり、例えば、乳酸ポリマー(poymer)である。一部の実施形態において、合成エラストマーは、約50,000~80,000などの約10,000~1,000,000の範囲のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)平均分子量を有するポリイソブチレンである。一部の実施形態において、合成エラストマーは、イソブチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー(例えば、約1:3~3:1のスチレン-ブタジエン割合を有する)又はポリ酢酸ビニル(PVA)ポリマーである。適切なイソブチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー及びポリ酢酸ビニルポリマーは、約3,000~約80,000又は約30,000~約50,000などの約2,000~90,000の範囲のGPC平均分子量を有することができる。
【0086】
一部の実施形態において、高い分子量を有する合成エラストマー及び低い分子量を有する合成エラストマーが一緒にされる。このような組合せの例は、ポリイソブチレン及びスチレン-ブタジエンコポリマー、ポリイソブチレン及びポリイソプレンコポリマー、ポリイソブチレン及びイソブチレン-イソプレンコポリマー、並びにそれらの組合せである。上述の個々の合成ポリマーのいずれも、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル-ラウリン酸ビニルコポリマー、生分解性ポリマー及びそれらの混合物をさらに含んでもよい。
【0087】
ガム基剤、特に合成エラストマーベースのガム基剤は、可塑剤、フィラー、軟化剤、乳化剤、ワックス、粘着防止剤、及び抗酸化剤、着色剤、香味剤、緩衝液などのさらに多岐にわたる構成成分などの1種以上をさらに含んでもよい。
【0088】
一部の実施形態において、ガム基剤は、可塑剤を含む。可塑剤は、分子間ポリマー鎖を様々な程度まで妨害するため、ガム基剤の弾性及び可撓性を変化させる。適切な可塑剤は、天然樹脂、合成樹脂、ワックス及びそれらの組合せを含む。天然樹脂は、以下に限定されないが、天然テルペン樹脂、及びエステルガムと称されることが多い天然ロジンエステルを含む。天然ロジンエステルの非限定例は、部分水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、部分二量化ロジンのグリセロールエステル、トール油ロジンのグリセロールエステル、部分水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのメチルエステル、ロジンの部分水素化メチルエステル、及びロジンのペンタエリスリトールエステルを含む。合成樹脂は、以下に限定されないが、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン及び/又はd-リモネンに由来するテルペン樹脂を含む。
【0089】
一部の実施形態において、ガム基剤は、ワックスを含む。適切なワックスの例は、以下に限定されないが、微結晶性ワックス、ライスワックス、カルナウバワックス、ミツロウ、コメヌカワックス及びカンデリラワックスを含む。
【0090】
一部の実施形態において、ガム基剤は、フィラーを含む。適切なフィラーは、以下に限定されないが、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、粉砕石灰岩、ケイ酸塩(ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウムなど)、クレイ、アルミナ、タルク、酸化チタン、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム及びリン酸三カルシウム、セルロースポリマー及びそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、フィラーは、炭酸カルシウム、タルク又はこれらの組合せである。特定の一実施形態において、フィラーはタルクである。
【0091】
一部の実施形態において、ガム基剤は、乳化剤を含む。ある特定の乳化剤は、軟化剤としてさらに働くことがある。適切な乳化剤及び/又は軟化剤は、以下に限定されないが、獣脂、水素化獣脂、水素化及び部分水素化植物油、カカオ脂、モノステアリン酸グリセロール、酢酸グリセロール、二酢酸グリセロール(ジアセチン)、三酢酸グリセロール(トリアセチン)、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びリノール酸)、ソルビタン脂肪酸エステル、ラノリン及びそれらの組合せを含む。
【0092】
一部の実施形態において、ガム基剤は、抗酸化剤を含む。適切な抗酸化剤の例は、以下に限定されないが、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシ-トルエン(BHT)、三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)、トコフェロール、混合トコフェロール、オイゲノール、グアヤク脂、チモール、カルバクロール、タイムのスパイス抽出物、オレガノ、ローズマリー、ナツメグ、ショウガ及びそれらの混合物を含む。
【0093】
ガム基剤の個々の構成成分の各々の量は、異なってもよい。重量%で表される、ガム基剤の総重量に対する、上述のガム基剤の構成成分の典型的な範囲は、約5~約80%のエラストマー;約1~約80%の可塑剤;約0~約40%のワックス、約0~約35%の乳化剤/軟化剤;約0~約50%のフィラー;及び約0~5%の他の多岐にわたる成分(抗酸化剤、着色剤など)である。
【0094】
一部の実施形態において、ガム基剤は、エラストマーポリマーの混合物、樹脂、精製ワックス、食用油脂酸のグリセロールエステル、タルク及び抗酸化剤を含み、各々は、本明細書の上に記載されている通りである。このようなガム基剤の特に適切な例の1つは、CAFOSA Gum S/A(Barcelona、スペイン)から入手可能なArtica Tとして入手可能である。
【0095】
増量剤
本明細書において開示されている口腔用組成物は、1種以上の増量剤を含む。このような増量剤は、一般に、少なくとも部分的に水溶性であり、完全に水溶性であることがある。増量剤は、1つ超の目的を果たすことがある。例えば、増量剤は、フィラー(すなわち、組成物への物理的嵩をもたらす)として、甘味剤として、及びテキスチャー改質剤(例えば、噛み応え、弾力、柔らかさなどの物理的特質に寄与する)として働くことができる。適切な増量剤は、糖、糖アルコール及びそれらの組合せなどの甘味剤を含む。糖は、糖含有構成成分(例えば、単糖及び二糖又は多糖)を一般に含む。適切な糖は、以下に限定されないが、グルコース(gluctose)、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、イソマルツロース、乾燥転化糖、フルクトース、レブロース、ガラクトース、固形トウモロコシシロップ、ハイマルトースシロップ、転化/異性化フルクトースシロップ、マルトトリオース、エリトロース、キシロース、ロイクロース、マンノース及びL-糖を含む。糖アルコールは部分的又は完全に水素化された形態(例えば、水素化デンプン加水分解物)を有する、単糖又は二糖由来のポリオールである。糖アルコールは、例えば、約4~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール及びソルビトールを含む。
【0096】
一部の実施形態において、増量剤は1種以上の糖アルコールを含む。一部の実施形態において、1種以上の糖アルコールは、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態において、1種以上の糖アルコールは、イソマルト、マルチトール、マンニトール、ソルビトール及びそれらの組合せからなる群から選択される。特定の実施形態において、増量剤は、ソルビトール、マルチトール及びイソマルトの組合せである。イソマルトは、2種の二糖の等モル混合物であり、各々は、以下の2種の糖からなる:グルコース及びマンニトール(α-D-グルコピラノシド-1,6-マンニトール);及びグルコース及びソルビトール(α-D-グルコピラノシド-1,6-ソルビトール)。一部の実施形態において、イソマルトは、結晶形態にある。結晶性イソマルトは市販されている、又は公知方法によって結晶化をする前に、加熱(例えば、約130℃超、又は約160℃超の温度まで)によってイソマルトから調製され得る。
【0097】
増量剤の量は、使用されるガム基剤及びその量、並びに所望の噛み応え、甘味などに応じて異なり得る。一般に、口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、口腔用組成物の約10~約90%、約30~約90%又は約40~約90重量%などの約5~約95重量%の量の増量剤を含む。特定の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約25~約50重量%の量のソルビトール、約10~約20重量%の量のマルチトール、及び約10~約20重量%の量のイソマルトを含む。
【0098】
活性成分
本明細書において開示されている口腔用組成物は、活性成分を含む。本明細書で使用される場合、「活性成分」とは、以下のカテゴリーのいずれかに属する1種以上の物質を指す:API(活性医薬物質)、食品添加物、天然薬剤及びヒトに対して作用を有し得る天然由来物質。例示的活性成分として、1種以上の体内の生物学的機能に影響を及ぼすことが公知の任意の成分、例えば、疾患の診断、治癒、軽減、治療、若しくは予防において、薬理学的活性又は他の直接的作用をもたらす、又はヒトの身体の構造又は任意の機能に影響を与える成分(例えば、中枢神経系に刺激作用をもたらす、活発化作用、解熱作用若しくは鎮痛作用、又は身体に有用な他の作用を有する)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は、一般的に栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる種類であってもよい。これらの種類の添加剤は、1種以上の有利な生物学的作用(例えば、健康促進、疾患予防、又は他の薬理作用)を提供するが、薬物として分類されても、規制されてもいない天然由来の供給源(例えば、ボタニカル材料)から通常入手可能な物質を包含するように当技術分野で定義される場合もある。
【0099】
活性成分の非限定例は、ボタニカル成分、刺激剤、アミノ酸、ニコチン成分並びに/又は医薬品、栄養補給食品及び薬用成分(例えば、B6、B12及びCなどのビタミン、並びに/又はテトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)などのカンナビノイド)のカテゴリーに入るものを含む。これらのカテゴリーのそれぞれがさらに以下の本明細書に記載されている。活性成分の特定の選択は、特定の口腔用製品の所望の香味料、テキスチャー及び所望の特徴に応じて異なる。
【0100】
存在する活性成分の特定のパーセンテージは、特定の口腔用製品の所望の特徴に応じて異なる。通常、活性成分又はこれらの組合せは、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001重量%~約20重量%の範囲の総濃度で存在する。一部の実施形態において、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約10重量%、例えば、約0.5%w/w~約10重量%、約1重量%~約10重量%、又は約1重量%~約5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%又は約1重量%から、約20重量%まで、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%又は約20重量%までの濃度で存在する。特定の活性成分のさらに適切な範囲は、本明細書の以下に提示されている。
【0101】
ニコチン成分
ある特定の実施形態において、活性成分は、ニコチン成分を含む。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部分の経口吸収をもたらすための、任意の適切な形態のニコチン(例えば、遊離塩基又は塩)を意味する。ニコチン源は様々であってもよく、天然物であってもよく、又は合成物であってもよい。ニコチンは、タバコに由来することができる(例えば、タバコ抽出物)、又は非タバコに由来することができる(例えば、合成又は他の方法で得られるもの)。最も好ましくは、ニコチンは天然物であり、ニコチアナ属種(例えば、タバコ)から抽出物として得られる。ニコチンは、エナンチオマー形態S(-)-ニコチン、R(+)-ニコチン、又はS(-)-ニコチンとR(+)-ニコチンの混合物を有することができる。最も好ましくは、ニコチンはS(-)-ニコチンの形態(例えば、実質的にはすべてS(-)-ニコチンである形態)又は主に若しくは大部分S(-)-ニコチン(例えば、約95重量部のS(-)-ニコチンと約5重量部のR(+)-ニコチンで構成される混合物)で構成されるラセミ混合物である。最も好ましくは、ニコチンは、実質的に純粋な形態で又は本質的に純粋な形態で利用される。利用される極めて好ましいニコチンは、重量ベースで、約95パーセントより大きい、より好ましくは約98パーセントより大きい、最も好ましくはより大きい約99パーセントより大きい純度を有する。
【0102】
通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基及びニコチン塩からなる群から選択される。一部の実施形態において、ニコチン成分とは、遊離塩基形態のニコチンのことであり、これは、例えば、微結晶性セルロース材料に簡単に吸着されて、微結晶性セルロース-ニコチン担体複合体を形成することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Hanssonの米国特許出願第2004/0191322号における遊離塩基形態のニコチンの考察を参照されたい。
【0103】
一部の実施形態では、ニコチン成分の少なくとも一部分は塩の形態で利用することができる。ニコチン塩は、参照により本明細書に組み込まれる、Coxらの米国特許第2,033,909号及びPerfetti、Beitrage Tabakforschung Int.、12巻:43~54頁(1983年)に記載の種類の成分及び技術を使用して提供することができる。さらに、ニコチンの塩は、例えば、Pfaltz and Bauer、Inc.及びK&K Laboratories、Division of ICN Biochemicals、Inc.などの供給源から入手可能である。通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、ニコチン塩、例えば、塩酸塩、ジヒドロクロリド、モノ酒石酸塩、酒石酸水素塩、硫酸塩、サリチル酸塩及び塩化亜鉛ニコチンからなる群から選択される。一部の実施形態において、ニコチン成分は、酒石酸水素ニコチンである。
【0104】
一部の実施形態において、ニコチンの少なくとも一部分はニコチンの樹脂複合体の形態であることができ、この場合、ニコチンは、イオン交換樹脂に結合している、例えば、ニコチンポラクリレクスであり、これは、例えば、ポリメタクリル酸に結合しているニコチン、例えば、Amberlite IRP64、Purolite C115HMR、又はDoshion P551である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Lichtneckertらの米国特許第3,901,248号を参照されたい。別の例は、ニコチン-ポリアクリルカルボマー複合体、例えば、Carbopol974Pのものである。一部の実施形態において、ニコチンは、ニコチンポリアクリル複合体の形態で存在することができる。
【0105】
一部の実施形態において、ニコチン成分の少なくとも一部分は、本明細書の以下においてさらに記載されている通り、イオン対を形成し得る。
【0106】
通常、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、存在する場合、組成物の約0.001%~約10%の範囲などの、少なくとも約0.001重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、ニコチン成分は、組成物の総重量に基づき遊離塩基として計算して、例えば、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%又は約0.9w/w%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%までなどの、約0.1%w/w~約10重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、ニコチン成分は、組成物の総重量に基づき遊離塩基として計算して、例えば、約0.1%w/w~約2.5重量%、約0.1重量%~約2.0重量%、約0.1重量%~約1.5重量%又は約0.1重量%~約1重量%などの約0.1%w/w~約3重量%の濃度で存在する。存在するニコチンの総量は、ニコチン遊離塩基、ニコチン塩、イオン対形成したニコチン及びポリマー結合ニコチン(例えば、ニコチンポラクリレクス)のいずれかの様々な組合せなどの1種超のニコチン源によって供給されてもよい。一部の実施形態において、ニコチン成分は、安息香酸ニコチン、ニコチンポラクリレクス又はこれらの混合物である。
【0107】
一部の実施形態において、本開示の口腔用製品又は組成物は、いかなるニコチン成分の完全に含まない、又は実質的に含まないことを特徴とすることができる(例えば、本明細書において開示されているいずれの実施形態も、いかなるニコチン成分も完全に又は実質的に含まなくてもよい。)。「実質的に含まない」とは、例えば、ボタニカル材料中に自然に存在し得る微量を超えて、いかなるニコチンも意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、遊離塩基として計算された0.001重量%未満のニコチン、又は0.0001重量%未満のニコチン、又はさらに0重量%未満のニコチンを有することを特徴とすることができる。
【0108】
ボタニカル
一部の実施形態では、活性成分はボタニカル成分を含む。本明細書で使用される場合、「ボタニカル成分」又は「ボタニカル」という用語は、任意の植物材料又は菌類由来の材料(その天然形態での植物材料を含む)及び天然植物材料由来の植物材料、例えば、植物材料又は処理した植物材料からの抽出物又は分離物(例えば、材料の物理的及び/又は化学的性質を改変することが可能な加熱処理、発酵、漂白、又は他の処理プロセスに供された植物材料)を指す。本開示の目的のため、「ボタニカル」には、これらに限定されないが、「薬草材料」が含まれ、この薬草材料とは、持続性の木質組織を生み出さず、多くの場合、これらの薬用特性又は感覚特性(例えば、茶又はハーブ茶)に対して評価されている種子生成植物を指す。「非タバコ」とボタニカル材料を言及する場合、タバコ材料を除外することが意図される(すなわち、いかなるニコチアナ(Nicotiana species)属種も含まない)。本発明において使用されるボタニカル材料は、非限定的に、それらの混合物を含めた、本明細書において記載されている化合物及び供給源のいずれかを含むことができる。このタイプのある特定のボタニカル材料は、時には栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる。
【0109】
存在する場合、ボタニカルは、通常、組成物の総重量に対して、約0.01w/w%~約10重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.05w/w%、約0.1w/w%又は約0.5w/w%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%又は約15重量%までの濃度である。
【0110】
本開示に有用なボタニカル材料は、制限なしに、これらの混合物を含めた、本明細書において記載の化合物及び供給源のいずれかを含むことができる。この種類のある特定のボタニカル材料は、時には栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる。ある特定のボタニカルは、ボタニカル材料又はボタニカル抽出物として、従来の薬草薬における使用が見出され、本明細書でさらに記載されている。
【0111】
非タバコボタニカル材料の非限定例は、非限定的に、アサイーベリー(エウテルペオレラセア・マルティウス(Euterpe oleraceamartius))、アセロラ(マルピグイア・グラブラ(Malpighia glabra))、アルファルファ、オールスパイス、アンジェリカルート、アニス(例えば、スターアニス)、アナトーシード、リンゴ(マルス・ドメスティカ(Malus domestica))、アプリコット油、アシュワガンダ、バコパ・モニエラ(Bacopamonniera)、バオバブ、バジル(オシムム・バシリクム(Ocimum basilicum))、月桂樹、ビーバーム、ビート根、ベルガモット、ブラックベリー(モルス・ニグラ(Morus nigra))、ブラックコホシュ、黒コショウ、紅茶、ブルーベリー、ボルド(ペウムス・ボルドゥス(Peumus boldus))、ルリヂサ、キランソウ、カカオ、カラマスルート、カム(ミルカリア・ドュビア(Myrcaria dubia))、アサ/ヘンプ、キャラウェイ種子、カルダモン、カシス、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、チャガマッシュルーム、チャイフー、カモミール、サクラ、チャービル、チャイブ、クロロフィル、チョコレート、コリアンダー、シナモン(シンアモムム・カッシア(Cinnamomum cassia))、シトロングラス(シムボポゴン・シトラトゥス(Cymbopogon citratus))、カンキツ、クラリーセージ、クローブ、ココナッツ(ココス・ヌシフェラ(Cocos nucifera))、コーヒー、ヒレハリソウの葉及び根、ノムシタケ属(cordyceps)、コリアンダー種子、クランベリー、クミン、クルクミン、ダミアナ、タンポポ、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラータ(Dorstenia odorata)、エキナセア、エルダーベリー、エルダーフラワー、エンドロ(endro)(アネスム・グラベオレンス(Anethum graveolens))、イブニングプリムローズ、ユーカリ、フェンネル、ナツシロギク、フラックス、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、ニンニク、ショウガ(ジンギベル・オフィシナレ(Zingiber officinale))、イチョウ、ニンジン、ゴジベリー、ゴールデンシール、ブドウ種、グレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ(シトラス・パラディシイ(Citrus paradisi))、グラビオーラ(アンノナ・ムリカタ(Annona muricata))、緑茶、ガラナ、ゴツコーラ、サンザシ、ヘーゼル、ヘンプ、ハイビスカスの花(ヒビスクス・サドダリファ(Hibiscus sabdariffa))、ハニーブッシュ、ホップ、アマチャヅル、ジャンブー(スピランテス・オレラセアエ(Spilanthes oleraceae))、ジャスミン(ジャスミヌム・オフィシナレ(Jasminum officinale))、ジュニパーベリー(ジュニペルス・コムニス(Juniperus communis))、カエンフェリア・パルビフローラ(Kaempferia parviflora)(ウコン)、カバ、ローレル、ラベンダー、レモン(シトラス・リモン(Citrus limon))、レモンバーム、レモングラス、甘草、ライラック、ヤマブシタケ、ルテイン、マカ(レピディウム・メイエニイ(Lepidiummeyenii))、メース、ハナハッカ、マッチャ、オオアザミ、ミント(マント)、クワ、ナルドスタキス・チネンシス(Nardostachys chinensis)、ナツメグ、オリーブ、ウーロン茶、オレンジ(シトラス・シネンシス(Citrus sinensis))、オレガノ、パパイヤ、パプリカ、ペニーロイヤル、ペパーミント(メンタ・ピペリタ(Mentha piperita))、ピメント、ジャガイモの皮、月見草、ケルセチン、クインス、レッドクローバ、リスベラトロール、リゾマ・ガストロジアエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ(ロサ・カニナ(Rosa canina))、ローズマリー、サフラン、セージ、セイヨウオトギリ、サンダルウッド、サルビア(サリビア・オフィシナレ(Salvia officinalis))、セイボリー、ノコギリヤシ、スケレチウム・トルトゥオスム(Sceletium tortuosum)、チョウセンゴミシ、シリバム・マリアナム(silybummarianum)、スカルキャップ、スペアミント、スパイクナード、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スペアミント(メンタ・スピカタ(Mentha spicata))、スピルリナ、スターアニス、スマックふすま、タラゴン、タイム、ハーブ茶、ターメリック、トゥルネラ・アフロディシアカ(Turnera aphrodisiaca)、ウバウルシ、バレリアン、バニラ、ビオラ・オドラータ(Viola odorata)、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、アシュワガンダ、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ及びイェルバサンタを含む。
【0112】
刺激剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の刺激剤を含む。本明細書で使用される場合、「刺激剤」という用語は、中枢神経系及び/又は身体の活性を増加させる、例えば、集中、認知、活力、気分、警戒などを増強する材料を指す。刺激剤の非限定的例として、カフェイン、テアクリン、テオブロミン及びテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)はカフェインと構造的に関係しているプリンアルカロイドであり、刺激作用、鎮痛作用及び抗炎症作用を有する。存在する刺激剤は天然のものでも、自然に由来するものでも、又は完全に合成のものであってもよい。例えば、ある特定のボタニカル材料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えば、カフェイン又は関連アルカロイドの存在により刺激作用を有することができ、したがって「天然の」刺激剤である。「自然に由来する」とは、刺激剤(例えば、カフェイン、テアクリン)は、その天然(例えば、ボタニカル)マトリックスの外側が精製された形態であることを意味する。例えば、カフェインは、ボタニカル供給源(例えば、茶)からの抽出及び精製により得ることができる。「完全に合成による」とは、刺激剤が化学合成により得られることを意味する。一部の実施形態では、活性成分はカフェインを含む。一部の実施形態において、活性成分はカフェインである。一部の実施形態では、カフェインは封入された形態で存在する。封入されたカフェインの1つの例は、Balchem Corp.、52 Sunrise Park Road、New Hampton、NY、10958から入手可能なVitashure(登録商標)である。
【0113】
存在する場合、刺激剤又は刺激剤の組合せ(例えば、カフェイン、テアクリン、及びこれらの組合せ)は通常、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0114】
アミノ酸
一部の実施形態では、活性成分はアミノ酸を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH)及びカルボキシル(-COOH)又はスルホン酸(SOH)官能基を、各アミノ酸に特異的である側鎖(R基)と共に含有する有機化合物を指す。アミノ酸はタンパク質原性であっても、非タンパク質原性であってもよい。「タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に見出される20種の天然由来アミノ酸のうちの1種であることを意味する。タンパク質原性アミノ酸として、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。「非タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に自然に見出されない、又は細胞機構により直接生成されない(例えば、翻訳後修飾の生成物である)ことを意味する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的例として、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン及びβ-アラニンが挙げられる。
【0115】
アミノ酸又はアミノ酸の組合せ(例えば、タウリン、テアニン及びこれらの組合せ)は、存在する場合、通常、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%、約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%又は約0.9w/w%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%又は約15重量%までの濃度である。
【0116】
ビタミン及びミネラル
一部の実施形態では、活性成分はビタミン又はビタミンの組合せを含む。本明細書で使用される場合、「ビタミン」という用語は、哺乳動物における代謝の適正な機能に必要とされる主要な微量栄養素である有機分子(又は関連する分子のセット)を指す。ヒトの代謝には13種のビタミンが必要とされ、これらは以下の通りである:ビタミンA(all-trans-レチノール、all-trans-レチニル-エステル、並びにall-trans-β-カロテン及び他のプロビタミンAカロチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸又はフォレート)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)及びビタミンK(キノン)。一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンCを含む。一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンC、カフェイン及びタウリンの組合せである。一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンB6及びB12のうちの1種以上を含む。一部の実施形態において、活性成分は、テアニン、並びにビタミンB6及びB12のうちの1種以上を含む。
【0117】
存在する場合、ビタミン又はビタミンの組合せ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC又はこれらの組合せ)は、通常、組成物の総重量に対して、約0.01%w/w~約1重量%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、又は約0.1w/w%から、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%又は約1重量%までの濃度である。
【0118】
一部の実施形態において、活性成分は、ビタミンAを含む。一部の実施形態において、ビタミンAは封入されている。一部の実施形態において、ビタミンは、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC又はこれらの組合せである。
【0119】
一部の実施形態において、活性成分は、ミネラルを含む。本明細書において使用される場合、「ミネラル」という用語は、哺乳動物における様々な系の適正な機能に必要とされる必須微量栄養素である無機分子(又は、関連する分子のセット)を指す。ミネラルの非限定例には、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロム、コバルト、マンガン、カルシウム、リン、硫黄、マグネシウムなどが含まれる。一部の実施形態において、活性成分は鉄を含む。適切な鉄源には、以下に限定されないが、第一鉄の塩、例えば、硫酸第一鉄及びグルコン酸第一鉄が含まれる。一部の実施形態において、鉄は封入されている。
【0120】
カンナビノイド
一部の実施形態では、活性成分は1種以上のカンナビノイドを含む。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、脳内の神経伝達物質放出を変化させる、細胞内のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用するクラスの多様な天然又は合成化学化合物を指す。カンナビノイドは、特定の特性、例えば、血液脳関門を簡単に横断する能力などを示す環式の分子である。カンナビノイドは、植物、例えばアサなどからの天然由来(植物性カンナビノイド)であっても、動物由来(内在性カンナビノイド)であっても、又は人為的に製造されたもの(合成カンナビノイド)であってもよい。アサ種は、少なくとも85種の異なる植物性カンナビノイドを発現し、これらはカンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、及び他のカンナビノイド、例えば、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)を含むサブクラスに分割することができる。
【0121】
一部の実施形態において、カンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)及びこれらの混合物からなる群から選択される。一部の実施形態において、カンナビノイドは少なくともテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。一部の実施形態において、カンナビノイドはテトラヒドロカンナビノール(THC)である。一部の実施形態において、カンナビノイドは少なくともカンナビジオール(CBD)を含む。一部の実施形態において、カンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。一部の実施形態において、CBDは合成CBDである。
【0122】
一部の実施形態において、カンナビノイド(例えば、CBD)は、分離物の形態で組成物に添加される。分離物とは、植物、例えば、アサからの抽出物であり、目的の活性物質(この場合カンナビノイド、例えば、CBD)は、高度の純度で、例えば、95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きい、又は99%の周辺の純度で存在する。
【0123】
一部の実施形態において、カンナビノイドは、高度の純度のCBDの分離物であり、組成物中のいずれかの他のカンナビノイドの量は、組成物の約0.5重量%以下など、組成物の約0.1重量%以下など、組成物の約0.01重量%以下など、組成物の約1重量%以下である。
【0124】
開示された組成物内に存在し得るカンナビノイドの選択及びその特定のパーセンテージは、組成物の所望の香味料、テキスチャー及び他の特徴に応じて変動することになる。
【0125】
一部の実施形態において、カンナビノイド(CBDなど)は、組成物中に、組成物の約0.001重量%~約2重量%の範囲などの、組成物の少なくとも約0.001重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、カンナビノイド(CBDなど)は、組成物中に、組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約1.5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態において、カンナビノイド(CBDなど)は、口腔用組成物の総重量に対して、約0.4濃度%~約1.5重量%の濃度で存在する。
【0126】
代替的に、又はカンナビノイドに加え、活性成分は、カンナビノイドと同様にエンドカンナビノイド系に対する生物学的作用を有する、アサ以外の植物由来のクラスの化合物である大麻類似物を含んでもよい。例として、ヤンゴニン、アルファ-アミリン又はベータ-アミリン(テルペンとしても分類される)、シアニジン、クルクミン(ターメリック)、カテキン、ケルセチン、サルビノリンA、N-アシルエタノールアミン、及びN-アルキルアミド脂質が挙げられる。このような化合物は、カンナビノイドに関して本明細書において明記したものと同量及び同じ比で使用され得る。
【0127】
テルペン
本開示における使用に適した活性成分はまたテルペンとして分類され得、このうちの多くは生物学的作用、例えば、沈静作用を伴う。テルペンは、一般式(Cを有すると考えられ、モノテルペン、セスキテルペン及びジテルペンを含む。テルペンは非環式、単環式又は二環式の構造であることができる。一部のテルペンは、カンナビノイド又は大麻類似物と組み合わせて使用された場合、アントラージュ効果を提供する。例として、ベータ-カリオフィレン、リナロール、リモネン、ベータ-シトロネロール、酢酸リナリル、ピネン(アルファ又はベータ)、ゲラニオール、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン及びゲルマクレンが挙げられ、これらは個々に又は組み合わせて使用することができる。
【0128】
一部の実施形態では、テルペンは、植物性カンナビノイド生成植物、例えば、カンナビス・サティヴァ種、例えば、大麻の株の植物から誘導可能なテルペンである。この関連で適切なテルペンとして、いわゆる「C10テルペン」(10個の炭素原子を含むようなテルペン)、及びいわゆる「C15テルペン」(15個の炭素原子を含むようなテルペン)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は1種より多くのテルペンを含む。例えば、活性成分は、本明細書で定義された、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種又はそれよりも多くのテルペンを含むことができる。一部の実施形態では、テルペンは、ピネン(アルファ及びベータ)、ゲラニオール、リナロール、リモネン、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン、ゲルマクレン及びこれらの混合物から選択される。
【0129】
抗酸化剤
一部の実施形態において、活性成分は1種以上の抗酸化剤を含む。本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、フリーラジカル反応を終結させることによって、酸化を防止又は抑制する物質を指し、一部の種類の細胞損傷を遅延又は防止することができる。抗酸化剤は天然由来でも、又は合成でもよい。天然由来の抗酸化剤として、食物及びボタニカル材料に見出されるものが挙げられる。抗酸化剤の非限定的例として、ある特定のボタニカル材料、ビタミン、ポリフェノール及びフェノール誘導体が挙げられる。
【0130】
抗酸化性特徴を伴うボタニカル材料の例として、制限なしで、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトーシード、アンズ油、バジル、ビーバーム、野生型ベルガモット、黒コショウ、ブルーベリー、ルリジサ種子油、キランソウ、カカオ、カラマスルート、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ジャガイモの皮、ブドウ種、ニンジン、イチョウ、セイヨウオトギリ、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホシュ、カイエン、カモミール、クローブ、ココア粉末、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、イブニングプリムローズ、ナツシロギク、ショウガ、ゴールデンシール、サンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、甘草、ハナハッカ、オオアザミ、ミント(マント)、ウーロン茶、ビート根、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、赤色クローバ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、セイボリー、スペアミント、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スマックふすま、ヒレハリソウの葉及び根、ゴジベリー、ゴツコーラ、タイム、ターメリック、ウバウルシ、バレリアン、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ、イェルバサンタ、バコパ・モニエラ、アシュワガンダ、ヤマブシタケ及びシリバム・マリアナム(silybum marianum)が挙げられる。このようなボタニカル材料は新鮮なまま又は乾燥させた形態、エッセンシャルオイルで提供されてもよいし、又は抽出物の形態であってもよい。ボタニカル材料(並びにこれらの抽出物)は、多くの場合、抗酸化作用をもたらすことが公知の様々なクラスの化合物、例えば、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール(phytoesterols)、硫化アリル、ジチオールチオン、イソチオシアネート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール及びカロチノイドを含む。ボタニカル抽出物又は油に見出される化合物の例として、アスコルビン酸、ピーナッツ内果皮、リスベラトロール、スルフォラファン、β-カロテン、リコペン、ルテイン、コエンザイムQ、カルニチン、ケルセチン、ケンフェロールなどが挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Santhoshら、Phytomedicine、12(2005)216~220頁を参照されたい。
【0131】
他の適切な抗酸化剤の非限定的例として、クエン酸、ビタミンE又はその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、没食子酸エピガロカテコール、エリソルビン酸、エリトルビン酸ナトリウム、4-ヘキシルレソルシノール、テアフラビン、テアフラビンモノガレートA又はB、テアフラビンジガレート、フェノール酸、グリコシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ヒペロシド、ポリフェノール、カテコール、リスベラトロール、オレウロペイン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)及びこれらの組合せが挙げられる。
【0132】
抗酸化剤は、存在する場合、通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.001%w/w、約0.005%w/w、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度である。
【0133】
医薬品成分
一部の実施形態において、活性成分は、活性医薬成分(API)を含む。APIは、治療用、予防用又は診断用の使用に適応した任意の公知の薬剤であることができる。これらは、例えば、合成有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖及び他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質又はその前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)及び核酸配列を含むことができ、これらは治療的、予防的又は診断用活性を有する。APIの非限定的例として、鎮痛剤及び解熱剤(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、ベータ-ヒドロキシ-ベータ-メチルブチレート(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-ジホスフェート-コリン)及びコチニンが挙げられる。一部の実施形態において、活性成分は、シチコリンを含む。一部の実施形態において、活性成分は、シチコリン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。一部の実施形態において、活性成分は、ヒマワリレシチンを含む。一部の実施形態において、活性成分は、ヒマワリレシチン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。
【0134】
APIの量は、異なってもよい。例えば、存在する場合、APIは、通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%、約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、約0.9w/w%又は約1w/w%から、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%までの濃度である。
【0135】
漂白した活性成分
一部の実施形態において、本組成物は、本明細書において開示されている活性成分を含み、活性成分は、漂白されていることを特徴とする。このような漂白された活性成分は、組成物の使用中に歯の変色を例えば予防することが望ましいことがある、又はその結果、本製品の使用後に使用者の口内に留まる残留物のいずれも目視可能ではなく、残留物に接触することがある衣類などの繊維材料への染みを引き起こす可能性は低い。「漂白された」活性成分とは、活性成分(例えば、ボタニカル材料又はその誘導体)を意味し、これは、その天然状態で、色が付いており、色を軽減又は排除するために処理されている。「色」とは、赤色、青色、黄色(原色)、又は原色の組合せに由来する茶色、オレンジ色、緑色、紫色などの名称による色の分類により説明されるヒトの視覚を特徴付けるものを意味する。色のこのような感覚は、物体から反射される光の波長により、この物体に関連する可視スペクトルにおける電磁放射線によるヒトの眼中の錐体細胞の刺激から導かれる。この反射は、例えば、電磁スペクトル全体の吸収スペクトル及び発光スペクトルなどの、物体の物理特性によって支配される。
【0136】
電磁スペクトルの可視範囲の光を反射する、その中の天然化学化合物のために、ある特定の活性成分は、活性成分(例えば、それぞれ、緑色及び茶色の原因になる、ある特定のボタニカル材料中のクロロフィル又は顔料分解生成物)に色を付与する。活性成分の色の原因になる、このような化学化合物又はその一部は、化学的に改変されていることがあり、又は様々な処理によって除去されることがある。一部の実施形態において、処理は、天然化合物の重量に対し、電磁スペクトルの可視範囲の波長の極大透過率を有する活性成分中に存在する化学物質の少なくとも70%を取り除くのに有効である。例えば、このような処理は、活性成分の可視色の原因となる天然化合物の70%、80%、90%、95%、99%、又は100%さえも取り除くのに有効なことがある。
【0137】
一部の実施形態において、漂白のための処理(すなわち、活性成分に由来する有色化学化合物の改変又は除去)には、抽出、化学的漂白、又はこれらの組合せが挙げられる。特に適切な抽出方法の1つは、超臨界二酸化炭素(CO)抽出である。タバコを含めた例えばボタニカル材料の化学漂白方法は、公知であり、非限定例として、過酸化水素、オゾン又は他の酸化剤による処理を含む。例えば、漂白した活性成分(例えば、漂白したボタニカル材料又はタバコ材料)は、様々な漂白剤又は酸化剤を使用する様々な白化方法によって生成され得る。例示的酸化剤として、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム及びこれらの組合せが挙げられる。酸化触媒が使用され得る。例示的酸化触媒は二酸化チタン、二酸化マンガン及びこれらの組合せである。
【0138】
漂白タバコに公知の漂白方法は、本活性成分に適用されてもよい。漂白剤を用いてタバコを処理するためのプロセスは、例えば、すべて本明細書に参照により組み込まれている、Daniels,Jr.の米国特許第787,611号;Oelenheinzの米国特許第1,086,306号;Dellingの米国特許第1,437,095号;Rosenhochの米国特許第1,757,477号;Hawkinsonの米国特許第2,122,421号;Baierの米国特許第2,148,147号;Baierの米国特許第2,170,107号;Baierの米国特許第2,274,649号;Pratsらの米国特許第2,770,239号;Rosenの米国特許第3,612,065号;Rosenの米国特許第3,851,653号;Rosenの米国特許第3,889,689号;Minamiの米国特許第3,943,940号;Rosenの米国特許第3,943,945号;Rainerの米国特許第4,143,666号;Campbellの米国特許第4,194,514号;Rainerらの米国特許第4,366,823号、米国特許第4,366,824号及び米国特許第4,388,933号;Schmekelらの米国特許第4,641,667号;Bergerの米国特許第5,713,376号;Byrd Jr.らの米国特許第9,339,058号;Beesonらの米国特許第9,420,825号;並びにByrd Jr.らの米国特許第9,950,858号;並びにBjorkholmらの米国特許出願公開第2012/0067361号;Crooksの米国特許出願公開第2016/0073686号;Bjorkholmの米国特許出願公開第2017/0020183号;及びBjorkholmの米国特許出願公開第2017/0112183号、並びにGiolvasのPCT公開出願第WO1996/031255号及びBjorkholmのPCT公開出願第WO2018/083114号において論じられている。
【0139】
一部の実施形態において、漂白された活性剤、又は漂白された活性剤を含む組成物若しくは製品は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%又は少なくとも約80%のISO白色度を有することができる。一部の実施形態において、漂白された活性剤、又は漂白された活性剤を含む組成物若しくは製品は、約50%~約90%、約55%~約75%又は約60%~約70%の範囲のISO白色度を有することができる。ISO白色度は、ISO3688:1999又はISO2470-1:2016に従い測定することができる。
【0140】
一部の実施形態において、漂白された活性剤は、未処理活性剤と比較して、明色化した色を特徴とすることができる(例えば、「白色化」)。白色の色は多くの場合国際照明委員会(International Commission on Illumination(CIE))の色度図を参照して定義される。漂白された活性剤、又は漂白された活性剤を含む組成物若しくは製品は、ある特定の実施形態において、色度図において、未処理活性剤、又は未処理活性剤を含む組成物若しくは製品よりも純粋な白色により近いことを特徴とすることができる。
【0141】
漂白された活性成分、組成物、及びこのような成分を含むパウチ製品の白度値は、対照製品と比較した、例えば、携帯式色彩色差計を用いて、国際照明員会(CIE)モデルに準拠して決定することができる(参照により本明細書に組み込まれている、「Precise Color Communication;Color Control from Perception to Instrumentation」、Konica Minolta、2007;http://konicaminolta.com/instruments/about/networkを参照されたい。)。白色からの変色は、式WI=3.388Z-3Y(式中、Y及びZは、CIE三刺激値であり、携帯式計測器により測定される。)を使用し、ASTM法のE313に準拠して、E313白度指数によって評価され得る。
【0142】
活性成分の封入及び安定化
一部の実施形態において、本明細書に記載されている活性成分は、組成物の加工中又は保管時に、分解(例えば、酸化、光分解、熱、蒸発)を受けやすいことがある。このような実施形態において、活性成分(カフェイン、ビタミンA及び鉄(Fe)など)は封入され得る、又は組成物は、適切な構成成分(フィラー、結合剤など)を用いて他の方法で改変されて、活性成分の安定性の増強を実現することができる。例えば、機能性セルロース(例えば、以下に限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースを含むセルロースエーテル)又はアルギネートベースの物質(例えば、架橋アルギネート)などの結合剤が使用されて、このような活性剤の分解に対する安定性を増強することができる、又は活性成分の持続送達及び/若しくは個別送達を実現することができる。さらに、封入した活性物は、その溶解度及び/又は生体利用率を増大するため、組成物中に賦形剤と対を形成する必要があることがある。適切な賦形剤の非限定的例として、ベータ-カロテン、リコペン、ビタミンD、ビタミンE、コエンザイムQ10、ビタミンK及びクルクミンが挙げられる。
【0143】
他の実施形態において、活性成分の重量基準での所望の濃度をもたらすため、活性成分の最初の量を増量して、分解が徐々に起こる喪失分を補ってもよい。したがって、本明細書において開示されている量よりも多い最初の量が、本開示によって企図される。
【0144】
塩基性アミン含有活性成分及び有機酸のイオン対形成
一部の実施形態において、本明細書において開示されている口腔用組成物は、塩基性アミン官能性(すなわち、活性成分が塩基性アミンを含む)を有する活性成分を含む。「塩基性アミン」とは、少なくとも1つの塩基性アミン官能性を含む分子を意味する。塩基性アミンの例には、以下に限定されないが、アルカロイドが含まれる。「塩基性アミン官能性」とは、電子の孤立電子対を有する窒素原子を含有する基を意味する。塩基性アミン官能性は、前記窒素原子への1つ以上の共有結合を介して、分子に結合している、又は分子内に組み込まれている。塩基性アミンは、一級、二級又は三級アミンであってもよく、窒素が、炭素原子への共有結合を1つ、2つ又は3つ有することを意味する。窒素原子上の孤立電子対のため、このようなアミンは、「塩基性」と称され、孤立電子対が水素結合に利用可能であることを意味する。塩基性アミンの塩基性(すなわち、窒素原子上の電子密度であり、したがって、水素結合の窒素原子への利用可能性及び強度)は、隣接原子の性質、分子の立体的な嵩高さなどによって影響を受け得る。
【0145】
一般に、塩基性アミンは、組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これによって血流に入り、ここで、全身に循環される。一般に、塩基性アミンは、本明細書の以下に記載されている通り、組成物中に存在する、又は組成物中の活性成分として存在する。
【0146】
一部の実施形態において、塩基性アミン官能性を有する活性成分は、カフェインである。一部の実施形態において、塩基性アミン官能性を有する活性成分は、ニコチン、例えば、本明細書の上に記載されているニコチン成分である。
【0147】
一部の実施形態において、塩基性アミン官能性を有する活性成分(例えば、ニコチン)の少なくとも一部分は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分と結合する。複数の変数(有機酸の濃度、pH、性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミン官能性を有する活性成分は、遊離塩基として、陽イオンとして、塩として、又はこれらの任意の組合せとして、溶液中(すなわち、完全に溶媒和されている)において、イオン対形成を含めて、複数の形態で存在することができる。
【0148】
一部の実施形態において、組成物中に存在する、塩基性アミン官能性を有する活性成分の少なくとも一部分は、本明細書の以下にさらに記載されている有機酸又はこの共役塩基とイオン対を形成した形態にある。一部の実施形態において、塩基性アミン官能性を有する活性成分、及び有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態にある。
【0149】
イオン対形成とは、イオン対と呼ばれるはっきりと異なる化学種を形成するための比較的濃縮された溶液中の反対に荷電したイオンの部分的な結合について記載している。結合の強度(すなわち、イオン対形成)は、正イオンと負イオンとの間(すなわち、プロトン化された塩基性アミンと、有機酸の共役塩基)の引力の静電力に依存する。「共役塩基」とは、対応する酸の脱プロトン化から生成される塩基を意味する(例えば、安息香酸イオンは安息香酸の共役塩基)。
【0150】
平均して、これらイオン対のある特定の集団は、いかなる時点にも存在するが、イオン対の形成及び解離は連続的である。本明細書において開示されている組成物において、及び/又は前記組成物の口腔用使用時(例えば、唾液との接触時)に、塩基性アミン官能性を有する活性成分及び有機酸の共役塩基は、少なくとも一部がイオン対の形態で存在する。理論によって拘泥されることを望むものではないが、このようなイオン対形成は、塩基性アミン官能性を有する活性成分の化学分解を最小限にすることがある、及び/又は塩基性アミン官能性を有する活性成分の口腔利用可能性を増大することがあると考えられる。アルカリpH値(例えば、約7.5~約9など)において、塩基性アミン官能性を有するある特定の活性成分、例えば、ニコチンは、大部分が遊離塩基形態で存在し、この遊離塩基形態は、比較的低い水溶解度、並びに溶媒蒸発及び酸化的分解に対して低い安定性を有するが、高い粘膜利用可能性を有する。反対に酸性pH値(約6.5~約4など)において、塩基性アミン官能性を有するある特定の活性成分、例えば、ニコチンは、大部分がプロトン化形態で存在し、このプロトン化形態は、比較的高い水溶解度、並びに溶媒蒸発及び酸化的分解に対してより高い安定性を有するが、低い粘膜利用可能性を有する。一部の実施形態において、ニコチンの安定性、溶解度及び利用可能性という特性は、ニコチンと適切な有機酸及び/又はこれらの共役塩基とのイオン対形成又は塩形成により増大され得る。具体的に、中程度の脂溶性のニコチン-有機酸のイオン対は、有利な安定性及び吸収特性をもたらす。脂溶性は、親油性相と水相、通常、それぞれオクタノールと水との間の分子の分配係数である、logPに関して都合よく測定される。イオン対のオクタノールへの分配を有利にするオクタノール-水分配は、組成物中に存在する塩基性アミン官能性を有する活性成分の口腔粘膜を介する良好な吸収を予測する。
【0151】
上に明記されている通り、アルカリpHの値(例えば、約7.5~約9など)において、ニコチンは、大部分が遊離塩基形態で存在する(したがって、オクタノールへの分配が高い)一方、酸性のpHの値(約6.5~約4など)において、ニコチンは、大部分がプロトン化形態で存在する(したがって、オクタノールへの分配は低い)。驚くべきことに、本開示によれば、ある特定の有機酸(例えば、約1.4~約4.5などの約1.4~約8.0のlogP値を有する)との間のイオン対は、pH8.4におけるオクタノールへのニコチンの分配に予測されるものと一致する、ニコチンのオクタノールへの分配が可能であることが見出された。
【0152】
当業者は、使用者による使用前と使用中の両方において、開示組成物におけるイオン対形成の程度は、例えば、pH、組成物中に存在する有機酸の性質、ニコチンの濃度、有機酸又は有機酸の共役塩基の濃度、組成物の含水量、組成物のイオン強度などに基づいて異なり得ることを認識している。当業者はまた、イオン対形成が前述の変数により影響される平衡過程であることを認識する。したがって、イオン対形成の範囲の定量化は困難であるか、又は計算又は直接的観察では不可能である。しかし、イオン対形成の存在は、代用の測定、例えばオクタノールと水との間の分配、又はニコチンプラス有機酸及び/又はそれらの共役塩基の水溶液の膜透過により実証されることがある。
【0153】
有機酸
本明細書の上において議論されている通り、一部の実施形態において、本明細書において開示されている口腔用組成物は、有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの両方を含む。一部の実施形態において、有機酸又はこの塩の少なくとも一部分は、本明細書の上に記載されている塩基性アミン含有活性成分とのイオン対の形態にある。
【0154】
本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸の特性により特徴付けられる有機(すなわち、炭素ベースの)化合物を指す。通常、有機酸は比較的弱酸(すなわち、これらは水の存在下で完全に分離しない)、例えば、カルボン酸(-COH)又はスルホン酸(-SOOH)である。本明細書で使用される場合、有機酸についての言及は、意図的に添加された有機酸を意味する。これに関連して、有機酸は、別の組成物の成分の構成成分として単に本来存在する有機酸(例えば、組成物成分、例えば、タバコ材料中に本来存在し得る少量の有機酸)とは対照的に、特定の組成物成分として意図的に添加することができる。
【0155】
適切な有機酸は通常ある範囲の親油性を有する(すなわち、水と有機の溶解度との適当な平衡を付与する両極性を有する)。通常、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1~約12(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は、約1~約12、例えば、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、又は約8.0から、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5、約11.0、約11.5、又は約12.0までのlogP値を有する。
【0156】
理論によって拘泥されることを望むものではないが、中程度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、ニコチンとイオン対を生成し、このイオン対は、イオン対の良好なオクタノール-水分配をもたらし、こうして、水よりもオクタノールにニコチンを分配する極性があると考えられる。上に議論されている通り、オクタノールへのこのような分配は、有利な口腔利用可能性を予測する。
【0157】
特定の実施形態において、有機酸は、約3.0~約8.0、約10.0又はさらには12.0のlogP値を有する。一部の実施形態において、ある特定の溶媒又は可溶化剤が存在(例えば、組成物中にグリセリン又はプロピレングリコールを含む)すると、高い親油性有機酸(例えば、約4.5より高い)の場合、有機酸及び対応する塩、又はその塩基性アミンとのイオン対の溶解に有利となり得る。
【0158】
一部の実施形態では、有機酸はカルボン酸又はスルホン酸である。カルボン酸又はスルホン酸官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基に結合していてもよい。一部の実施形態では、有機酸はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールカルボキシル又はスルホン酸である。
【0159】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、任意の直鎖又は分枝鎖炭化水素を指す。アルキル基は飽和していてもよく(すなわち、すべてのsp炭素原子を有する)、又は不飽和であってもよい(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)。本明細書で使用される場合、「不飽和の」という用語は、アルキル基内の1つ以上の位置における炭素-炭素、sp二重結合の存在を指す。不飽和のアルキル基は、単価不飽和又は多価不飽和であってもよい。代表的な直鎖アルキル基として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルが挙げられる。分枝鎖アルキル基として、これらに限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが挙げられる。代表的な不飽和アルキル基として、これらに限定されないが、エチレン又はビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられる。アルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0160】
「シクロアルキル」は本明細書で使用される場合、炭素環式基を指し、この炭素環式基は単環式であっても、又は二環式であってよい。シクロアルキル基として、単環式として3~7個の炭素原子を有する環又は二環式として7~12個の炭素原子を有する環が挙げられる。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位を含むことができる(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)。
【0161】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例として、これらに限定されないが、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0162】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、芳香族又は非芳香族環系をそれぞれ指し、この中で1個以上の環原子はヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及び硫黄である。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は、20個までの炭素原子並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、3~7環員を有する単環式(例えば、2~6個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)又は7~10環員を有する二環式(例えば、4~9個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってもよい。ヘテロアリール基の例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、及びイサチノイルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが挙げられる。ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0163】
「置換されている」は、本明細書で使用される場合及び上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される場合、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置き換えられていることを意味する。典型的置換基として、これらに限定されないが、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH、NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-NC(=O)CH、-C(=O)-、-C(=O)NH、及び-C(=O)N(CHが挙げられる。基が「任意選択的に置換されている」と記載されている場合は常に、その基は、それぞれの場合に対して独立して選択される上記置換基のうちの1個以上で置換されていることができる。一部の実施形態では、置換基は1個以上のメチル基又は1個以上のヒドロキシル基であってもよい。
【0164】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0165】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的例として、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、及びオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0166】
一部の実施形態では、アルキルカルボキシル又はスルホン酸は1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。非限定的例として、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、及び乳酸が挙げられる。
【0167】
一部の実施形態では、有機酸として、1つより多くのカルボン酸基又は1つより多くのスルホン酸基(例えば、2、3、又はそれよりも多くカルボン酸基)を含むことができる。非限定的例として、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、及びグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸を含有する(例えば、2~4つのカルボン酸基)有機酸において、カルボン酸基の1つ以上がエステル化していてもよい。非限定的例として、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチル又はクエン酸ジメチルシトレートなどが挙げられる。
【0168】
一部の実施形態では、有機酸は1つより多くのカルボン酸基及び1つ以上のヒドロキシル基を含むことができる。このような酸の非限定的例として、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0169】
一部の実施形態では、有機酸はアリールカルボン酸又はアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸及びスルホン酸の非限定的例として、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0170】
ある特定の実施形態で有用となり得る有機酸のさらなる非限定的例として、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、アルファ-メチル酪酸、樟脳酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、ケイヒ酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸酸性、ステアリン酸、及びウンデシレン酸が挙げられる。適切な酸の例として、これらに限定されないが、表1の有機酸のリストが挙げられる。
【0171】
【表1】
【0172】
有機酸の選択は、logP値を考慮することに加え、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、ヒトの消費にとって安全と認識されるものであるべきであり、許容される風味、臭気、揮発性、安定性などを有する。適切な有機酸の決定は、当業者の範囲内にある。
【0173】
一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸又はポリカルボン酸のモノエステルである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では,ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、又はこれらの組合せである。
【0174】
一部の実施形態では、ジカルボン酸のアルコール形成モノエステルは親油性アルコールである。適切な親油性アルコールの例として、これらに限定されないが、オクタノール、メントール、及びトコフェロールが挙げられる。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のオクチルモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノメンチルエステルである。ある特定のメンチルエステルは、組成物を含む製品の使用時にこれらが冷却感覚をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中あるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノトコフェリルエステルである。ある特定のトコフェリルエステルは、これらが抗酸化剤作用をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中にあるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸トコフェリル、フマル酸トコフェリル、グルタル酸トコフェリル、又はこれらの組合せである。
【0175】
一部の実施形態では、有機酸は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。カロチノイドはテトラテルペンであり、これらは8個のイソプレン分子から生成され、40個の炭素原子を含有することを意味する。したがって、これらは普通長い不飽和の脂肪族鎖の存在により親油性であり、色は一般的に黄色、オレンジ色、又は赤色である。ある特定のカロチノイド誘導体は、イオン対形成と、組成物中の着色剤としての役目の両方をもたらすことにより、口腔用組成物において有利となり得る。一部の実施形態では、有機酸は、2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16Z,18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ビキシン)又はその異性体である。ビキシンは、アチョーテ木(ビクサ・オレラナ(Bixa orellana))からのアナトーシードに見出されるアポカロテノイドであり、赤みを帯びたオレンジ色をアナトーに提供する天然由来の顔料である。ビキシンは脂肪及びアルコールに溶解性があるが、水には不溶性であり、単離した場合、化学的に不安定であり、異性化を介して二重結合異性体、trans-ビキシン(β-ビキシン)へと変換され、以下の構造を有する:
【0176】
【化1】
【0177】
一部の実施形態では、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン二酸(ノルビキシン)であり、ビキシンの水溶性加水分解生成物であり、以下の構造を有する:
【0178】
【化2】
【0179】
有機酸の選択は、logP値に対する考慮に加えて又はこれを考慮せずに、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、ヒトによる消費に対して安全と認識され、許容される香味、臭気、揮発性、安定性などを有する有機酸であるべきである。適当な有機酸の判定は当業者の認識範囲内である。
【0180】
一部の実施形態では、1種より多くの有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2種、又は3種、又は4種、又はそれよりも多く有機酸を含むことができる。したがって、本明細書での「有機酸」という言及は、2種又はそれよりも多くの有機酸の混合物を想定している。複数の有機酸の相対量は変動し得る。例えば、組成物は、等量の2種、又は3種、又はそれよりも多くの有機酸を含むことができ、又は異なる相対量を含むこともできる。このように、他の有機酸と組み合わせた場合、組合せに対して所望の平均logP範囲をもたらすように、所望の範囲の外側のlogP値を有するある特定の有機酸(例えば、クエン酸又はミリスチン酸)を含めることも可能である。一部の実施形態では、目的に対して所望の範囲の外側のlogP値を有する組成物中に、例えば、これらに限定されないが、望ましい官能特性、安定性を香味成分として提供する有機酸を含むことが望ましいこともある。さらに、ある特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸(例えば、ニコチンと比べて等モル又はより大きな量の)としてのこれらの存在を妨げる有害な香味及び又は芳香特徴を有する。理論に制約されることを望むことなく、異なる有機酸の組合せは、組成物中の任意の単一有機酸の濃度を、感覚性の観点から好ましくないと判明した閾値よりも低いまま保ちながら、所望のイオン対形成を提供することができると考えられる。
【0181】
例えば、一部の実施形態において、有機酸は、例えば、約0.2モル当量のオクタン酸又はその塩、及び0.2モル当量のデカン酸又はその塩と一緒にされた、ニコチンに対して、約1~約5モル当量又はそれより多くの安息香酸を含むことができる。
【0182】
一部の実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸からなる群から選択されるいずれか2種の有機酸の組合せである。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、及びデカン酸、又は安息香酸及びオクタン酸の組合せである。一部の実施形態では、組成物は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸のうちの1種以上に加えてクエン酸を含む。
【0183】
一部の実施形態では、口腔用組成物は有機酸のアルカリ金属塩を含む。例えば、有機酸の少なくとも一部分はアルカリ金属塩の形態で組成物中に存在し得る。適切なアルカリ金属塩として、リチウム、ナトリウム及びカリウムが挙げられる。一部の実施形態において、アルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムである。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。一部の実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0184】
一部の実施形態では、口腔用組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、本組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウムを含む。一部の実施形態において、本組成物は、安息香酸ナトリウムを含む。
【0185】
一部の実施形態において、ナトリウム塩(又は、他のアルカリ金属塩)に対する有機酸の割合は、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75又は約1から約2、約5又は約10までなどの約0.1~約10である。例えば、一部の実施形態では、有機酸とそのナトリウム塩の両方が組成物の他の構成成分に添加され、有機酸は、ナトリウム塩を超える量で、ナトリウム塩と等モルの量で、又はナトリウム塩の一部分として添加される。当業者は、相対量は、組成物の所望のpH、並びに所望のイオン強度により決定されることを認識している。例えば、有機酸は組成物の所望のpHレベルをもたらす量で添加されてもよく、その一方でアルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は所望の範囲のイオン対形成をもたらす量で添加される。組成物中に存在するアルカリ金属塩、又は共役塩基形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化形態)の量は、組成物のpH及び有機酸のpKaにより、並びに組成物に最初に添加された実際の相対的な量により変動することを当業者は理解している。
【0186】
塩基性アミン含有活性成分(例えば、ニコチン)に対する、口腔用組成物中に存在する有機酸又はそのアルカリ金属塩の量は異なり得る。一般に、有機酸(又はこの共役塩基)の濃度が向上するにつれて、有機酸とイオン対を形成する、ニコチンの割合が増大する。これによって、通常、logP(分配係数のlog10)によって測定される、イオン対の形態にあるニコチンの、水に対するオクタノールへの分配が増大する。一部の実施形態において、本組成物は、ニコチンを遊離塩基として計算して、ニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。
【0187】
一部の実施形態では、口腔用組成物は、遊離塩基ニコチンベースで、ニコチンに対して、約2~約10、又は約2~約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せは、約2、約3、約4、又は約5から、約6、約7、約8、約9、又は約10までとなる、ニコチンとのモル比で存在する。1種より多い有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらのどちらも存在する実施形態において、このようなモル比は、存在する有機酸の総量に反映することを理解すべきである。
【0188】
ある特定の実施形態において、有機酸の含有は、約4.0~約9.0、又は約4.0~約8.5、又は約4.0~約8.0、又は約4.5~約7.5、又は約4.5~約7.0、又は約5.5~約7.0、又は約4.0~約5.5、又は約7.0~約9.5などの約4.0~約9.5のpHの口腔用組成物をもたらすには十分である。一部の実施形態において、有機酸の含有は、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5又は約9.0のpHの組成物をもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸の包含は、約4.5~約6.5、例えば、約4.5、約5.0、又は約5.5から、約6.0、又は約6.5までの組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば,約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0から、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、又は約6.5までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、など)を添加して、組成物のpHを所望の値に調節する。
【0189】
一部の実施形態において、有機酸は、遊離酸として、ニート(すなわち、元々の固体形態又は液状形態)、又は例えば、水中の溶液としてのどちらかで、他の口腔用組成物の構成成分に添加される。一部の実施形態において、有機酸のアルカリ金属塩は、ニート又は例えば水中の溶液としてのどちらかで、他の口腔用組成物の構成成分に添加される。
【0190】
一部の実施形態では、有機酸は、遊離酸として、純粋な形態(すなわち、天然の固体又は液体形態)又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、純粋な形態又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態において、組成物への添加前、又は塩が形成される前のどちらか一方において、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)を一緒にして塩を形成させ、組成物中にそのまま存在する。他の実施形態において、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は、組成物中に個々の構成成分として存在し、水分(例えば、使用者の口内の唾液)に接触すると、イオン対を形成する。
【0191】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、安息香酸ニコチン及び安息香酸ナトリウムを含み、存在するニコチン及び安息香酸イオンの少なくとも一部分は、イオン対を形成した形態で存在する。一部の実施形態において、本組成物は、安息香酸ニコチン、安息香酸ナトリウム及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含み、有機酸は約1~約12のlogP値を有しており、有機酸は、ジカルボン酸のモノエステルである、又は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。
【0192】
一部の実施形態において、口腔用組成物は、有機酸又はその塩の少なくとも1種以上の溶解度を増大させるため、溶解増強剤をさらに含む。適切な溶解増強剤には、以下に限定されないが、本明細書に記載されている保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコールを含む。
【0193】
特定の実施形態において、本口腔用組成物は、安息香酸ニコチン及び安息香酸ナトリウムを含む。一部の実施形態において、安息香酸ナトリウムは、安息香酸ニコチンに対して、約2、約5又は約10などの約1~約20の範囲のモル比で存在する。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、ニコチンポラクリレクスをさらに含む。一部の実施形態において、組成物中に存在するニコチンの総量は、安息香酸ニコチン及びニコチンポラクリレクスと等量で供給される。他の実施形態において、本口腔用組成物は、ニコチン源としてニコチンポラクリレクスしか含まず、本組成物は、安息香酸ナトリウムなどの有機酸構成成分を任意選択的に含む。
【0194】
香味剤及び香味顆粒
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、香味剤を含む。本明細書において使用される場合、「香味剤」又は「着香剤」は、組成物に伴う感覚特性を改変することが可能な任意の風味豊かな又は香りの良い物質である。香味剤で修正することができる感覚特性の例として、味覚、口当たり、湿り気、冷却/加熱及び/又は香料/芳香が挙げられる。香味剤は天然又は合成であってよく、これによりもたらされる香味料の性質は、制限なしで、フレッシュ、スイート、ハーバル、菓子類、フローラル、フルーティー、又はスパイシーと記載することができる。
【0195】
香味剤は、模倣品、合成成分若しくは天然成分、又はこれらのブレンドであってもよい。香味剤は、天然香味物質、ボタニカル、ボタニカルの抽出物、合成により得られる物質、又はこれらの組合せ(例えば、タバコ、アサ、甘草(licorice)(甘草(liquorice))、アジサイ、オイゲノール、白樹皮モクレンの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、カエデ、抹茶、メントール、和ハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、クワ、柑橘、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハット、ナスワール、キンマ、シーシャ、パイン、ハニーエッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、オレンジの花、サクラの花、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、アサ、ハッカ(Mentha)属のあらゆる種のハッカ油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ヘーゼル、ハイビスカス、ローレル、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶又は紅茶などのお茶、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、月桂樹の葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、ビーフステーキプラント、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミエン(damien)、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルビ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、風味増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子又は刺激因子、糖及び/又は糖代替品(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール又はマンニトール)、及びその他の添加剤(木炭、クロロフィル、ミネラル、ボタニカル又は口臭清涼剤など)を含むことができる。
【0196】
着香剤は、風味増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子又は刺激因子及び三叉神経感覚剤をさらに含んでもよい。本明細書において使用する場合、「三叉神経感覚剤」とは、三叉神経に作用して、温感、冷感、ヒリヒリ感などを含めた感覚を生じる、香味剤を指す。三叉神経感覚剤である香味剤の非限定例として、カプサイシン、クエン酸、メントール、四川ボタン(Sichuan button)、エリスリトール及びクベボールが挙げられる。適切な熱作用剤は、以下に限定されないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、以下に限定されないが、ユーカリプトール又はN-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(WS-3)であってもよい。
【0197】
香味剤は、任意の適切な形態、例えば、オイルなどの液体、粉末などの固体、又はガスであってもよい。ある場合において、香味剤は、噴霧乾燥形態又は液体形態で供給されてもよい。一部の実施形態において、液状着香剤は、多孔質粒状担体、例えば微結晶性セルロース中又はその表面に配置されており(すなわち、その内部若しくは表面に吸着又は吸収される)、これは、次に、他の組成物の成分と一緒にされる。
【0198】
口腔用組成物において利用される香味剤の量は異なってもよいが、通常、約10重量%までであり、ある特定の実施形態は、組成物の総重量に対して、約0.5~約10重量%、約1~約5重量%又は約2~約4重量%などの、少なくとも約0.1重量%の香味剤含有量であることを特徴とする。
【0199】
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、香味顆粒を含む。用語「香味顆粒」は、本明細書において使用される場合、香味剤が、マトリックス中に封入されており、これは、香味剤の放出パターンの改変をもたらす、例えば、香味剤の遅延放出又は持続放出がもたらす。このような香味顆粒は、一般に、小型ビーズ又は粒子(例えば、約14~約20メッシュ又は約0.5~約1.5mmのサイズ範囲)の形態にある。理論によって拘泥されることを望むものではないが、口腔用組成物中に香味顆粒が存在すると、見た目の関心、さらなるテキスチャー及び/又は香味料の遅延送達若しくは持続送達などの、組成物全体への望ましい量をもたらすと考えられる。このような香味料は、組成物の残りに存在する他の香味料と同一であり得又は異なり得る。適切な香味顆粒は、糖アルコール、フィラー、甘味剤、保湿剤、着色剤及び着香剤を、通常、含む、又は2種以上の糖アルコール、甘味剤、着色剤及び着香剤の組合せを含む。各構成成分の量は、顆粒の所望の特性及び個々の構成成分の選択に応じて変わり得る。一部の実施形態において、顆粒は、重量基準で約60~約90%の量の糖アルコール;重量基準で約15~約30%の量の保湿剤;重量基準で約0~約50%の量のフィラー;重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤;重量基準で約1~約30%の量の着香剤を含み、バランスをとる残りのものは、着色剤である。一部の実施形態において、顆粒は、総量が重量基準で約96~約99%の量の2種の糖アルコールの組合せ、及び重量基準で約0.1~約0.5%の量の甘味剤を含み、残りは、着色剤及び着香剤を含む。
【0200】
適切な糖アルコールは、以下に限定されないが、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、糖アルコールは、イソマルト、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール又はこれらの組合せである。一部の実施形態において、糖アルコールは、イソマルトである。
【0201】
適切な保湿剤は、以下に限定されないが、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール及びそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、保湿剤はグリセリンである。
【0202】
適切なフィラーは、以下に限定されないが、デンプン(例えば、ジャガイモ、小麦、米、トウモロコシ由来)、天然セルロース及び修飾セルロース系材料を含む。一部の実施形態において、フィラーは、セルロース材料又はセルロース誘導体である。一部の実施形態において、フィラーは、微結晶性セルロース(「mcc」)である。MCCは合成であっても、半合成であってもよく、又は全面的に天然セルロースから得ることもできる。MCCは、AVICEL(登録商標)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(登録商標)グレード101、102、12、20及びEMOCEL(登録商標)グレード50M及び90Mなど、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0203】
甘味剤は、天然若しくは人工の形態、又は天然甘味剤と人工甘味剤の組合せとして、任意の甘味剤又は甘味剤の組合せであることができる。天然甘味剤の例として、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、ステビア、蜂蜜などが挙げられる。人工甘味料の例として、スクラロース、イソマルツロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどを含む。一部の実施形態において、甘味剤は、ノンカロリーの人工甘味剤である。一部の実施形態において、甘味剤は、スクラロースである。
【0204】
着香剤及び着色剤は、本明細書に記載されている通りである。一部の実施形態において、着色剤は、レッド又はブルーレーキ染料などのレーキ染料である。本明細書の上に記載されている通り、顆粒に存在する着香剤は、同一であってもよく、又は組成物の残りに存在する着香剤と異なっていてもよい。構成成分
【0205】
一部の実施形態において、香味顆粒は、糖アルコールとしてイソマルト、保湿剤としてグリセリン、フィラーとして微結晶性セルロース及び甘味剤としてスクラロースを含む。一部の実施形態において、香味顆粒は、イソマルト、グリセリン、スクラロース、微結晶性セルロース、着色剤及び着香剤からなる押出成形混合物である。一部の実施形態において、顆粒は、重量基準で約70~約80%などの約60~約90%の量のイソマルト;重量基準で約18~約20%などの約16~約22%の量のグリセリン;重量基準で約1~約3%の量の微結晶性セルロース;重量基準で約0.2~約0.4%などの約0.1~約0.5%の量のスクラロースからなり、残りは、着色剤及び着香剤からなる。一部の実施形態において、顆粒は、重量基準で約25~約35%などの約15~約35%の量のイソマルト;重量基準で約18~約22%などの約15~約30%の量のグリセリン;重量基準で約20~約30%などの約20~約50%の量の微結晶性セルロース;重量基準で約0.2~約0.4%などの約0.1~約0.5%の量のスクラロース;重量基準で約20~約30%の量の着香剤からなり、残りは着色剤からなる。
【0206】
一部の実施形態において、香味顆粒は、着香剤及び着色剤と共に、糖アルコールとしてイソマルト及びマルチトール、並びに甘味剤としてスクラロースを含む。一部の実施形態において、香味顆粒は、イソマルト、マルチトールシロップ、スクラロース、着色剤及び着香剤からなる、溶融されて、冷却され、粉砕された混合物である。一部の実施形態において、顆粒は、重量基準で約92~約94%などの約92~約96%の量のイソマルト;重量基準で約4~約6%の量のマルチトールシロップ;重量基準で約0.2~約0.4%などの約0.1~約0.5%の量のスクラロースからなり、残りは、着色剤及び着香剤からなる。
【0207】
香味顆粒の量は、口腔用組成物中に存在する場合、変わり得る。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、組成物の総重量に対して、約1、約2又は約3から約4又は約5%までの香味顆粒などの、約1~約5重量%の香味顆粒を含む。
【0208】
味覚改質剤
本明細書において開示されている口腔用組成物の感覚刺激特性を改善するため、本組成物は、例えば、本明細書に記載されている口腔用組成物の風味をマスクする、改変する、遮断する又は改善する働きをすることができる、1種以上の味覚修飾剤(「味覚改質剤」)を含んでもよい。このような味覚改質剤の非限定例には、鎮痛性又は麻酔性ハーブ、スパイス及び香味料を含み、これらは、清涼感(例えば、メントール、ユーカリ、ミント)、温まり(例えば、シナモン)又は疼痛(例えば、カプサイシン)の感覚を生じる。ある特定の味覚改質剤は、1種超の重なる分類に収まる。
【0209】
一部の実施形態において、味覚改質剤は、苦味、甘味、塩味又は酸味のうちの1つ以上を改変する。一部の実施形態において、味覚改質剤は、疼痛受容体を標的とする。一部の実施形態において、本組成物は、苦味を有する活性成分、及びこの苦味の感覚をマスク又は遮断する味覚改質剤を含む。一部の実施形態において、味覚改質剤は、例えば、別の構成成分(例えば、活性成分)の苦味をマスクするための、使用者の口腔内における疼痛受容体(例えば、バニロイド受容体)を標的とする物質である。一部の実施形態において、味覚改質剤はカプサイシンである。
【0210】
一部の実施形態において、味覚改質剤は、本明細書の上で、アミノ酸に関して言及されている、アミノ酸であるガンマ-アミノ酪酸(GABA)である。マウスにおける検討により、GABAは、シナプスの阻害に加え、味蕾における機能を果たし得ることが示唆される。例えば、Dvoryanchikovら、J Neurosci.2011年、4月13日;31(15):5782~91頁を参照されたい。理論によって拘泥されることを望むものではないが、GABAは、苦味などのある特定の味覚の知覚を抑制することがある。一部の実施形態において、本組成物は、カフェイン及びGABAを含む。
【0211】
一部の実施形態において、味覚改質剤は、アデノシン一リン酸(AMP)である。AMPは、苦味という食物の風味を遮断することができる、又は甘味を増強することができる天然ヌクレオチド物質である。AMPは、苦味の風味を直接、改変しないが、関連する受容体を遮断することによって、「苦味」のヒト感覚を改変することがある。
【0212】
一部の実施形態において、味覚改質剤は、ラクチゾールである。ラクチゾールは、甘味受容体のアンタゴニストである。一時的な遮断性甘味受容体は、例えば、旨味を際立たせることがある。
【0213】
味覚改質剤の代表的な量は、存在する場合、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上、又は約1.0重量%以上であるが、通常、口腔用組成物の総重量の約10重量%未満(例えば、口腔用組成物の総重量に対して、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%又は約0.5重量%から、約1重量%、約5重量%又は約10重量%まで)を構成する。
【0214】
甘味剤
口腔用組成物の感覚特性及び/又は物理特性を改善するため、1種以上の甘味剤が、増量剤として存在し得る糖又は糖アルコールのいずれか以外に添加されてもよい。甘味剤又は甘味剤の混合物は、口腔用組成物中に存在する場合、口腔用組成物の総重量に対して、約0.1~約1重量%又は約0.3~約0.6重量%などの、組成物の約1重量%未満の量で一般に存在する。
【0215】
甘味剤は、天然若しくは人工の形態、又は天然甘味剤と人工甘味剤の組合せとして、任意の甘味剤又は甘味剤の組合せであることができる。天然甘味剤の例として、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、イソマルツロース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、ステビア、蜂蜜などが挙げられる。人工甘味剤の例として、スクラロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどが挙げられる。一部の実施形態において、甘味剤は、人工甘味剤である。一部の実施形態において、人工甘味料は、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0216】
保湿剤
ある特定の実施形態において、1種以上の保湿剤が、本開示の口腔用組成物中に使用されてもよい。保湿剤は、口腔用組成物の軟化又は甘味化などの、追加の役割を果たすことがある。保湿剤は、含まれる場合、通常、口腔用組成物に所望の水分特質又は他の物理的特質をもたらすのに十分な量で提供される。保湿剤は、存在する場合、口腔用組成物の総重量に対して、約0.1~約3重量%又は約1~約2重量%などの約0.01%~約5%の量で存在し得る。適切な保湿剤の例は、以下に限定されないが、グリセリン、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコールなどを含む。一部の実施形態において、保湿剤はグリセリンである。
【0217】
タバコ材料
一部の実施形態において、口腔用組成物は、タバコ材料を含んでもよい。タバコ材料は、種、種類及び形態が異なってもよい。一般的に、タバコ材料は、ニコチアナ属種の収穫された植物から得る。例示的ニコチアナ属種として、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスチカ(N.rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレントシ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノーザ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトケリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントサ(N.tomentosa)、N.トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、N.アンドゥラタ(N.undulata)、N.xサンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種ヘスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフロラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)及びN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ属種の様々な代表的な他の種類の植物が、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Goodspeed、The Genus Nicotiana、(Chonica Botanica)(1954年);Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号、Lawsonらの米国特許第7,025,066号;Lawrence,Jr.の米国特許第7,798,153号及びMarshallらの米国特許第8,186,360号に記載されている。様々な種類のタバコ、栽培の実施及び収穫の実施の説明が、参照により本明細書に組み込まれる、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。
【0218】
適切なタバコ材料を得ることができるニコチアナ属種は、遺伝的改変又は交配育種技術を使用して誘導することができる(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作又は異種交配して、構成成分、特徴又は特質の生成を増加又は低減することができる)。例えば、Fitzmauriceらの米国特許第5,539,093号;Wahabらの米国特許第5,668,295号;Fitzmauriceらの米国特許第5,705,624号;Weiglの米国特許第5,844,119号;Dominguezらの米国特許第6,730,832号;Liuらの米国特許第7,173,170号;Colliverらの米国特許第7,208,659号及びBenningらの米国特許第7,230,160号;Conklingらの米国特許出願公開第2006/0236434号;並びにNielsenらのPCT WO2008/103935に記載の植物の遺伝子改変の種類を参照されたい。また、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;及びDominguezらの米国特許第6,730,832号に記載の種類のタバコも参照されたい。
【0219】
一部の実施形態では、ニコチアナ属種は、その中に存在する様々な化合物の含有量に対して選択することができる。例えば、植物は、単離を希望する1種以上の化合物を比較的多量に生成するような植物であることに基づき選択することができる。ある特定の実施形態では、ニコチアナ属種の植物(例えば、ガルパオコムンタバコ)は、これらの葉面化合物が豊富なことから特別に栽培されている。タバコ植物は、温室、生育チャンバー、又は屋外のフィールドで栽培することができ、又は水耕栽培することができる。
【0220】
ニコチアナ属種の植物の様々な部分又は一部分が、本明細書で開示されている組成物内に含まれていてもよい。例えば、実質的には植物のすべて(例えば、植物全体)を収穫し、そのまま利用することができる。代わりに、植物の様々な部分又は小片は、収穫する、又は収穫後のさらなる使用のために分離することもできる。例えば、花、葉、茎、幹、根、種子及び様々なこれらの組合せは、さらなる使用又は処理のために単離することができる。一部の実施形態では、タバコ材料はタバコ葉(葉身)を含む。本明細書で開示されている組成物は、加工したタバコ部分若しくは小片、本質的に天然葉身及び/又は茎の形態で乾燥加工し、熟成させたタバコ、タバコ抽出物、抽出タバコパルプ(例えば、水を溶媒として使用)、又は前述の混合物(例えば、抽出タバコパルプを顆粒化し、乾燥加工して、熟成させた天然のタバコ葉身と合わせた混合物)を挙げることができる。
【0221】
ある特定の実施形態では、タバコ材料は、葉身及び茎からなる群から選択される固形タバコ材料を含む。混合物に使用されるタバコは、最も好ましくは、タバコ葉身、又はタバコ葉身と茎の混合物(このうち少なくとも一部分は煤煙処理している)が挙げられる。混合物内のタバコの一部分は加工した形態、例えば、加工タバコ茎(例えば、切断圧延茎、切断圧延拡張茎又は切断パフ茎)、又は体積膨張タバコ(例えば、パフタバコ、例えば、ドライアイス膨張タバコ(DIET))を有してもよい。例えば、すべてが参照により組み込まれているde la Burdeらの米国特許第4,340,073号;Guyらの米国特許第5,259,403号;並びにPoindexterらの米国特許第5,908,032号;及びPoindexterらの米国特許第7,556,047号に記載のタバコ膨張加工を参照されたい。加えて、混合物は任意選択的に発酵性であるタバコを組み込んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、AtchleyらのPCT WO2005/063060に記載のタバコ加工技術の種類を参照されたい。
【0222】
タバコ材料は通常、粒状と記載することができる形態(すなわち、細断、製粉、顆粒化、又は粉末形態)で使用されている。タバコ材料が微細に分割された又は粉末形態のタイプで提供される方式は異なり得る。好ましくは、植物部分又は小片は、製粉、ミリングなどに対する装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化されて粒状形態となる。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満又は約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。最も好ましくは、タバコ材料は、1.4ミリメートル~250ミクロンの間の平均粒径を有する部分又は小片の形態で利用される。ある場合には、タバコ粒子は、必要とされる粒径範囲を得るため、スクリーンメッシュの通過サイズにすることができる。所望する場合、空気分級装置を使用して、所望のサイズ、又はサイズ範囲の、小さなサイズのタバコ粒子を確実に収集することができる。所望する場合、顆粒化タバコの異なるサイズの小片を一緒に混合することができる。
【0223】
タバコが微細に分割された又は粉末タイプの形態で提供される方式は異なってもよい。好ましくは、タバコ部分又は小片は、製粉、ミリングなどのための装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化され、粉末タイプの形態にする。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満~約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。例えば、タバコ植物又はその一部分は、個々の部分又は小片へと分離することができる(例えば、葉は茎から除去することができ、並びに/又は茎及び葉は幹から除去することができる)。収穫された植物又は個々の部分又は小片は、部分又は小片へとさらに細分することができる(例えば、葉は、細断、切断、粉末化、微粉化、ミリング、又は製粉して、小片又は部分にすることができ、これら小片又は部分はフィラータイプ小片、顆粒、粒状又は微細な粉末であることを特徴とし得る)。植物、又はその部分は、外部の力又は圧力に供することができる(例えば、圧縮又はロール処理により)。このような加工条件を実行する場合、植物若しくはその一部分はその天然含水量に近似する含水量(例えば、収穫直後のその含水量)、水分を植物若しくはその一部分に添加することにより達成される含水量、又は植物若しくはその一部分の乾燥から得られる含水量を有することができる。例えば、粉末化、微粉化、製粉又はミリングした植物の小片又はその一部分は、約25重量パーセント未満、多くの場合約20重量パーセント未満、及び頻繁には約15重量パーセント未満の含水量を有することができる。
【0224】
口腔用組成物の調製のため、ニコチアナ属種の収穫された植物を乾燥加工化プロセスに供することが通常である。本明細書において開示されている口腔用組成物内に配合されるタバコ材料は、適切に乾燥加工したもの、及び/又は熟成したものである。様々な種類のタバコに対する様々な種類の乾燥加工プロセスの説明が、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。熱風乾燥したタバコを乾燥加工するための技術及び条件の例が、参照により本明細書に組み込まれる、Nestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.、20巻、467~475頁(2003年)及びPeeleの米国特許第6,895,974号に記載されている。タバコを空気乾燥加工するための代表的な技術及び条件が、参照により本明細書に組み込まれる、Grovesらの米国特許第7,650,892号;Rotonら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、305~320頁(2005年)及びStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、321~330頁(2005年)に記載されている。ある特定の種類のタバコは、代替の種類の乾燥加工プロセス、例えば、直火煙乾燥又は日光乾燥に供することもできる。
【0225】
ある特定の実施形態では、利用することができるタバコ材料として、熱風乾燥した又はバージニア(例えば、K326)、バーレー種、日光乾燥したもの(例えば、インディアンクルヌール及びオリエンタルタバコ、これにはカテリニ、プレリップ、コモティニ、クサンティ及びヤンボルタバコが含まれる)、メリーランド、ダーク、ダークファイアード、ダーク空気乾燥(例えば、マドール、パサンダ、クバーノ、ジャティン及びベズキタバコ)、ライト空気乾燥(例えば、ノースウィスコンシン及びガルパオタバコ)、インディアン空気乾燥、レッドロシアン及びルスチカタバコ、並びに様々な他の稀な又は専門タバコ及び前述のタバコのいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0226】
タバコ材料はまた、いわゆる「ブレンド」形態を有することができる。例えば、タバコ材料は、熱風乾燥、バーレー種(例えば、マラウイバーレー種タバコ)及びオリエンタルタバコの部分又は小片の混合物を含むことができる(例えば、タバコ葉身、又はタバコ葉身とタバコ茎の混合物で構成される、又はこれら由来のタバコ)。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量ベースで、約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、葉身、又は葉身及び茎)、及び約30~約70部の熱風乾燥タバコ(例えば、茎、葉身、又は葉身及び茎)を組み込むことができる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約75部の熱風乾燥タバコ、約15部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約25部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約10部のバーレー種タバコ、及び約25部のオリエンタルタバコを組み込んでいる。他の例示的タバコブレンドは、乾燥重量ベースで、約20~約30部のオリエンタルタバコ及び約70~約80部の熱風乾燥タバコを組み込んでいる。
【0227】
本開示において使用されているタバコ材料は、例えば、発酵、漂白などに供することができる。所望する場合、タバコ材料は、例えば、照射、低温殺菌、又はさもなければ制御された加熱処理に供することもできる。このような処理プロセスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第8,061,362号に詳述されている。ある特定の実施形態では、タバコ材料は、水で、及びタバコ材料の加熱時にアクリルアミドを形成するアスパラギンの反応を阻害することが可能な添加剤(例えば、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価のカチオンを組み込んでいる組成物、アスパラギナーゼ、ある特定の非還元性糖類、ある特定の還元剤、フェノール系化合物、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能基を有するある特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然の植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される添加剤)で処理することができる。例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、Chenらの米国特許公開第8,434,496号、米国特許公開第8,944,072号及び米国特許公開第8,991,403号に記載されているタイプの処理プロセスを参照されたい。ある特定の実施形態では、このタイプの処理は、以前に記述されたプロセスにおいて元のタバコ材料を加熱に供する場合有用である。
【0228】
一部の実施形態では、タバコ材料の種類は、最初に目視により他のタバコ材料よりも色がある程度薄いものが選択される(例えば、白色化又は漂白されている)。ある特定の実施形態において、タバコパルプは、当分野において公知の手段のいずれかに準拠して白色化され得る。例えば、様々な漂白剤又は酸化剤及び酸化触媒を使用して様々な白色化方法により生成された漂白タバコ材料を使用することができる。例示的酸化剤として、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム及びこれらの組合せが挙げられる。例示的酸化触媒は二酸化チタン、二酸化マンガン及びこれらの組合せである。漂白剤を用いてタバコを処理するためのプロセスは、例えば、すべて本明細書に参照により組み込まれている、Daniels,Jr.の米国特許第787,611号;Oelenheinzの米国特許第1,086,306号;Dellingの米国特許第1,437,095号;Rosenhochの米国特許第1,757,477号;Hawkinsonの米国特許第2,122,421号;Baierの米国特許第2,148,147号;Baierの米国特許第2,170,107号;Baierの米国特許第2,274,649号;Pratsらの米国特許第2,770,239号;Rosenの米国特許第3,612,065号;Rosenの米国特許第3,851,653号;Rosenの米国特許第3,889,689号;Minamiの米国特許第3,943,940号;Rosenの米国特許第3,943,945号;Rainerの米国特許第4,143,666号;Campbellの米国特許第4,194,514号;Rainerらの米国特許第4,366,823号、米国特許第4,366,824号及び米国特許第4,388,933号;Schmekelらの米国特許第4,641,667号;Bergerの米国特許第5,713,376号;Byrd Jr.らの米国特許第9,339,058号;Beesonらの米国特許第9,420,825号;並びにByrd Jr.らの米国特許第9,950,858号;並びにBjorkholmらの米国特許出願公開第2012/0067361号;Crooksの米国特許出願公開第2016/0073686号;Bjorkholmの米国特許出願公開第2017/0020183号;及びBjorkholmの米国特許出願公開第2017/0112183号、並びにGiolvasのPCT公開出願第1996/031255号及びBjorkholmのPCT公開出願第2018/083114号において論じられている。
【0229】
一部の実施形態において、白色化タバコ材料は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%のISO白色度を有することができる。一部の実施形態において、漂白されたタバコ材料は、約50%~約90%、約55%~約75%又は約60%~約70%の範囲のISO白色度を有することができる。ISO白色度は、ISO3688:1999又はISO2470-1:2016に従い測定することができる。
【0230】
一部の実施形態において、白色化タバコ材料は、未処理のタバコ材料と比較して、明色化した色を特徴とすることができる(例えば、「白色化」)。白色の色は多くの場合、国際照明委員会(International Commission on Illumination(CIE))の色度図を参照して定義される。ある特定の実施形態において、白色化タバコ材料は、色度図上で未処理のタバコ材料よりも純粋な白色により近いことを特徴とすることができる。
【0231】
様々な実施形態では、タバコ材料は、処理して、タバコ材料の溶解性構成成分をそれから抽出することができる。「タバコ抽出物」は本明細書で使用される場合、抽出プロセスでタバコ材料と接触させる溶媒により、固形のタバコパルプから抽出されるタバコ材料の単離した構成成分を指す。タバコ材料の様々な抽出技術を使用して、タバコ抽出物及びタバコ固形材料を得ることができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Beesonらの米国特許出願公開第2011/0247640に記載されている抽出プロセスを参照されたい。タバコの構成成分を抽出するための他の例示的技術は、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Fioreの米国特許第4,144,895号;Osborne,Jr.らの米国特許第4,150,677号;Reidの米国特許第4,267,847号;Wildmanらの米国特許第4,289,147号;Brummerらの米国特許第4,351,346号;Brummerらの米国特許第4,359,059号;Mullerの米国特許第4,506,682号;Keritsisの米国特許第4,589,428号;Sogaらの米国特許第4,605,016号;Pouloseらの米国特許第4,716,911号;Niven,Jr.らの米国特許第4,727,889号;Bernasekらの米国特許第4,887,618号;Clappらの米国特許第4,941,484号;Faggらの米国特許第4,967,771号;Robertsらの米国特許第4,986,286号;Faggらの米国特許第5,005,593号;Grubbsらの米国特許第5,018,540号;Whiteらの米国特許第5,060,669号;Faggの米国特許第5,065,775号;Whiteらの米国特許第5,074,319号;Whiteらの米国特許第5,099,862号;Whiteらの米国特許第5,121,757号;Faggの米国特許第5,131,414号;Munozらの米国特許第5,131,415号;Faggの米国特許第5,148,819号;Kramerの米国特許第5,197,494号;Smithらの米国特許第5,230,354号;Faggの米国特許第5,234,008号;Smithの米国特許第5,243,999号;Raymondらの米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらの米国特許第5,318,050号;Teagueの米国特許第5,343,879号;Newtonの米国特許第5,360,022号;Clappらの米国特許第5,435,325号;Brinkleyらの米国特許第5,445,169号;Lauterbachの米国特許第6,131,584号;Kierulffらの米国特許第6,298,859号;Muaらの米国特許第6,772,767号;及びThompsonの米国特許第7,337,782号に記載されている。
【0232】
タバコ材料に対する典型的な包含範囲は、タバコ材料の性質及び種類、並びに組成物に対して意図する作用に応じて異なってもよく、例示的範囲は、口腔用組成物の総重量に対して、約30重量%まで(又は、約20重量%まで、又は約10重量%まで、又は約5重量%まで)(例えば、約0.1~約15重量%)である。一部の実施形態において、本開示の口腔用組成物は、タバコ材料を完全に含まない又は実質的に含まないことを特徴とすることができる(活性成分としての精製ニコチン以外)。例えば、ある特定の実施形態は、1重量%未満、又は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満のタバコ材料、又は0.01重量%のタバコ材料、又は0重量%のタバコ材料を有することを特徴とすることができる。
【0233】

一部の実施形態において、本口腔用組成物は、所望の官能属性を生成物にもたらすのに十分な量で、通常、使用される塩(例えば、アルカリ金属塩)を含む。適切な塩の非限定的例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、穀粉塩、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0234】
塩の代表的な量は、存在する場合、少なくとも約1重量%など、少なくとも約1.5重量%などの、少なくとも約0.5重量%である。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、口腔用組成物の総重量に対して、約1%~約7.5重量%など、約1.5%~約5重量%などの約0.5%~約10重量%の量の塩を含んでもよい。
【0235】
緩衝剤
ある特定の実施形態において、口腔用組成物はpH調整剤又は緩衝剤を含んでもよい。使用することができるpH調整剤及び緩衝剤の例として、これらに限定されないが、金属水酸化物(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム)及び他のアルカリ金属緩衝液、例えば、金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム)、又は金属炭酸水素塩、例えば、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。適切な緩衝液の非限定的例として、アルカリ金属酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩又はこれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態において、緩衝剤は、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。一部の実施形態において、緩衝剤はクエン酸ナトリウムである。
【0236】
緩衝剤は、存在する場合、組成物の重量に対して、通常、約5%未満の量で存在し、例えば、口腔用組成物の総重量に対して、例えば、約0.75重量%~約4重量%、約0.75重量%~約3重量%又は約1重量%~約2重量%などの約0.5%~約5重量%の量で存在する。
【0237】
着色剤
着色剤は、口腔用組成物に所望の物理的特質をもたらすのに十分な量で使用され得る。天然又は合成染料、食物グレードの着色剤及び医薬品グレードの着色剤などの天然又は合成着色剤が使用されてもよい。着色剤の例として、カラメル着色剤及び二酸化チタンなどの様々な染料及び顔料が挙げられる。クルクミン、ビートジュース抽出物、スピルリナなどの天然着色剤、やはりまた様々な合成顔料も使用されてもよい。一部の実施形態において、着色剤は、レッド又はブルーアルミニウムレーキ染料などのレーキ染料である。口腔用組成物において利用される着色剤の量は異なり得るが、存在する場合、口腔用組成物の総重量に対して、通常、約0.1%、約0.5%又は約1%から約3重量%までなどの約3重量%までである。
【0238】
オーラルケア添加剤
一部の実施形態において、本口腔用組成物は、オーラルケア成分(又は、このような成分の混合物)を含む。オーラルケア成分は、虫歯又は歯の喪失を阻止する、歯茎の疾患を阻止する、口腔内疼痛を緩和する、歯を白くする、又は他に、歯の汚れの阻止、唾液刺激の誘導、口臭を阻止する、息の清涼感を出すなどの能力をもたらす。例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛(例えば、Discus Dental製のZYTEX(登録商標)として市販されている配合物の成分など)などの成分の有効量が、口腔用組成物に配合され得る。本発明の組成物内の所望の有効量で配合され得る成分の他の例は、Takahashiら、Oral Microbiology and Immunology、19巻(1)、61~64頁(2004);Thistleの米国特許第6,083,527号;及びJakubowskiの米国特許出願公開第2006/0210488号及びCumminsらの同第2006/02228308号に記載されているオーラルケア組成物のタイプに配合されているものを含むことができる。タバコ含有配合物の他の例示的な成分は、RoquetteによるMALTISORB(登録商標)として、及びNatraRxによるDENTIZYME(登録商標)として上市されている配合物に含まれるものを含む。オーラルケア添加剤の代表的な量は、存在する場合、組成物の総重量の少なくとも約1%、多くの場合、少なくとも約3%、及び頻繁には少なくとも約5%である。口腔用組成物内のオーラルケア添加剤の量は、口腔用組成物の総重量の、約30%を、通常、超えず、多くの場合、約25%を超えず、頻繁に、約20%を超えない。
【0239】
他の添加剤
他の添加剤が口腔用組成物中に含まれ得る。例えば、口腔用組成物は、他の材料又は成分と共に、加工されて、ブレンドされて、配合されて、一緒にされて、及び/又は混合される。添加剤は人工のものとすることができ、又は薬草若しくは生物源から得られるもの若しくはこれら由来のものとすることができる。さらなるタイプの添加剤の例として、増粘剤若しくはゲル化剤(例えば、魚ゼラチン)、保存剤(例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウムなど)、水溶性の一層高い組成物の場合に比較的水溶性となるよう選択される亜鉛塩若しくはマグネシウム塩(例えば、グルコン酸マグネシウム又はグルコン酸亜鉛)、又は水溶性の低い組成物の場合に比較的非水溶性となるよう選択される亜鉛塩若しくはマグネシウム塩(例えば、酸化マグネシウム又は酸化亜鉛)、又はこれらの組合せが挙げられる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第9,237,769号、Holton,Jr.らの米国特許第7,861,728号、Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号及びHolton,Jr.らの米国特許出願公開第2007/0062549号に記載されているような、代表的な構成成分、構成成分の組合せ、それら構成成分の相対量、並びにこれら構成成分を利用するための方式及び方法を参照されたい。このような追加の添加剤に対する典型的な包含範囲は、添加剤の性質及び機能、最終組成物に及ぼす所期の作用に応じて異なることができ、例となる範囲は、組成物の総重量に対して、約10重量%まで(例えば、約0.1~約5重量%)である。
【0240】
例えば、保存剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウムなど)は、存在する場合、口腔用組成物中に、組成物の約0.01重量%~約2.5重量%など、口腔用組成物の約0.05重量%~約1重量%などの、組成物の約0.001重量%~約5重量%の量で含まれ得る。
【0241】
上述の添加剤は一緒に(例えば、添加剤配合物として)又は別々に利用され得る(例えば、個々の添加剤成分は、最終口腔用組成物の調製に関与している異なる段階において添加され得る)。さらに、上述のタイプの添加剤は、最終生成物又は組成物で提供される場合、封入されていてもよい。例示的封入添加剤は、例えば、本明細書において参照により組み込まれている、AtchleyのWO2010/132444に記載されている。
【0242】
口腔用使用に対する構築
本明細書に記載されている口腔用組成物は、口腔用使用に対して構築されている。「口腔用使用に対して構築された」という用語は、本明細書において使用される場合、使用中、使用者の口内唾液により口腔用組成物の1種以上の構成成分(例えば、香味剤及び/又は活性成分)が使用者の口の中に運ばれるような形態で、口腔用組成物が提供されることを意味する。ある特定の実施形態において、口腔用組成物は、構成成分を、使用者の口内粘膜、使用者の消化系、又はこれらの両方を介して使用者に送達するように適応されており、ある場合において、前記構成成分は、口腔用組成物が使用された際に口内粘膜を介して吸収され得る、又は消化管を介して吸収され得る活性成分である。
【0243】
本明細書に記載されている口腔用組成物は、固形のチュアブル形態にあり、本口腔用組成物は、咀嚼時に軽い復元力又は「跳ね返り」を有し、所望の低度の展性を有することを意味する。このような口腔用組成物は、本明細書において、「チュアブル剤」、「噛みもの」又は「チューイングガム」と称される。チュアブル形態の口腔用組成物は、一般に、非溶解性ガムの形態にあり、この場合、ある特定の構成成分(例えば、活性成分、香味料、増量剤、甘味剤など)だけが溶解して、非溶解性マトリックスが後に残る。本明細書において使用する場合、用語「溶解する」、「溶解すること」及び「可溶性の」は、口腔内の水分と相互作用して、溶液に入り込み、こうして、口腔用組成物の少なくとも一部分の段階的な消費を引き起こす、水可溶性構成成分(例えば、活性成分、香味料、増量剤、甘味剤など)を有する口腔用組成物を指す。チュアブル形態の口腔用組成物などの所望のテキスチャー特性は、接着性、凝集性、密度、粒状性、粘着性、硬度、重さ、水分吸収、水分放出、口腔内コーティング、粗さ、滑りやすさ、滑らかさ、粘度及び濡れ具合のうちの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、本明細書の以下に記載されているコーティングを含み、これは、口腔用組成物にさらなる特性をもたらすよう働くことができる(例えば、サクサク感、ある特定の構成成分、追加の香味料又は活性成分の即時放出)。
【0244】
口腔用組成物の物理フォーマットは変わり得る。例えば、口腔用組成物は、任意の所望の形状を有するタブレット形態(圧縮タブレットなど)にあってもよく、又は任意の所望の寸法(厚さ、幅及び長さ)のシートの形態にあってもよい。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、慣用的なスティック(すなわち、幅よりも大きい長さ、及び長さ又は幅の一方よりも実質的に小さい厚さを有する)、又は任意の所望の厚さの実質的に正方形又は丸いフォーマットなどの、任意の所望の形状のタブレットの形態であってもよい。
【0245】
一部の実施形態において、口腔用組成物は、外側コーティングを含む。外側コーティングは、硬質、軟質、フィルムの形態、又はこれらの任意の組合せであってもよい。コーティングは、コーティングされた口腔用組成物を約0.1~約75重量%含むことができる。一部の実施形態において、口腔用組成物は、フィルム形態の外側コーティングを含む。このようなフィルムコーティングは、セルロース誘導体、加工デンプン、デキストリン、ゼラチン、ゼイン、シェラック、ガム(例えば、アラビアガム又は植物性ガム)、ワックス、合成ポリマー又はこれらの組合せなどのフィルム形成剤によって供給されてもよい。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、硬質コーティングの形態の外側コーティングを含む。硬質コーティングは、甘いザクザクした食感のある層をもたらし、この層は、一層軟質のガム中心部を保護するようさらに働くことがある。硬質コーティングは、糖ベース又は糖不含であってもよい。適切な硬質コーティングは、スクロース又はデキストロースなどの1種以上の糖、又はソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、イソマルトなどの1種以上の糖アルコールを含むことができる。一部の実施形態において、コーティングは、イソマルトを含む。
【0246】
一部の実施形態において、コーティングは、口腔用組成物中に供給されている任意の香味剤と同一であってもよい若しくは異なってもよい香味剤、口腔用組成物中に供給されている任意の活性成分と同一であってもよい若しくは異なってもよい活性成分、着色剤、又はこれらのいずれかの組合せをさらに含む。活性成分、着香剤又はこれらの両方を含むコーティングを含む実施形態において、コーティングされている口腔用組成物は、例えば、様々な香味料及び活性成分の即時送達、遅延送達、持続送達及び/又は個別送達を実現することができる。
【0247】
口腔用組成物の調製
一般に、本明細書において開示されている口腔用組成物は、口腔用組成物の様々な構成成分(例えば、ガム基剤、増量剤、活性成分、着香剤など)を一緒にして、均一な混合物を得ることによって調製される。口腔用組成物の様々な構成成分(例えば、ガム基剤、増量剤、活性成分、着香剤など)が一緒にされる方法は、異なることができる。一般に、ガム基剤は、増量剤、活性成分及び/又は着香剤、保湿剤、並びに組成物の任意のさらなる構成成分と一緒にされて、次いで混合される。
【0248】
口腔用組成物の様々な構成成分は、当技術分野において公知の任意の混合技術又は装置を使用して、一緒に接触される、組み合わされる、又は混合されることができる。口腔用組成物成分を密接に接触させる任意の混合方法、例えば、インペラ又は他の撹拌可能な構造を特徴とする混合装置が使用され得る。混合装置の例として、ケーシングドラム、コンディショニングシリンダー又はドラム、液体スプレー装置、コニカル型ブレンダー、リボンブレンダー、Littleford Day、Inc.から入手可能なミキサー、例えば、FKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000及びFKM3000、Plough Share型ミキサーシリンダー、Hobartミキサーなどが挙げられる。また、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号に記載されている方法論の種類を参照されたい。
【0249】
一部の実施形態において、ガム基剤は、混合を容易にするため、他の構成成分と一緒にする前に温められる。例えば、ガム基剤は、ガム基剤が柔らかく、展性となるよう、十分な時間、及び適切な温度において、任意の適切な手段(蒸気ケトル、オーブン、マイクロ波照射など)によって加熱されてもよい。一部の実施形態において、ガム基剤は、約70~約90℃などの約50~約100℃の温度まで加熱される。一部の実施形態において、このような加熱は、約1分間~約10分間などの、一定期間、マイクロ波加熱によって達成される。温かいガム基剤は、均質性及び滑らかな稠度が確保されるほど十分な時間、通常、混合される。
【0250】
次に、残りの口腔用組成物の構成成分が、逐次に又は同時に添加されて、次いで混合され得る。特定の実施形態において、固体(例えば、乾燥粒子又は微粒子)成分及び液体(例えば、湿潤形態又は溶液形態)成分が、個別に添加される。例えば、一部の実施形態において、湿潤構成成分(例えば、液状形態の増量剤、溶液形態の活性成分、保湿剤など)が、互いに混合されて、液体ミックスを形成し、ある分量の液体ミックスが添加され、次いで混合される。続いて、乾燥構成成分(例えば、増量剤、有機酸など)が、一緒に混合されて、乾燥ミックスを形成し、ある分量の乾燥ミックスが加えられ、次いで、混合される。すべての構成成分が添加されるまで、この交互添加が繰り返される。特定の実施形態において、添加毎に液体ミックスのほぼ1/3が添加され、乾燥ミックスのほぼ1/3が添加毎に添加される。一部の実施形態において、活性成分(例えば、ニコチン又はニコチン塩)は、湿潤ミックス又は乾燥ミックスから個別に添加される。一部の実施形態において、甘味剤は、湿潤ミックス又は乾燥ミックスから個別に添加される。一部の実施形態において、甘味剤は、乾燥ミックスの一部分ではないが、その最初の分量と一緒に添加される。一部の実施形態において、組成物は、ニコチンポラクリレクスを含み、ニコチンポラクリレクスは、乾燥成分ミックスの1つ以上の分量と共に加えられる。一部の実施形態において、香味剤は、湿潤ミックス又は乾燥ミックスの一部ではなく、すべての乾燥構成成分及び湿潤構成成分のすべてが配合された後に添加される。特定のいかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、甘味剤及び香味剤の小分け添加及び個別添加により、甘味剤及び/又は香味料の、口腔用組成物を消費している間の一層持続的かつ一様な送達を実現することができると考えられる。
【0251】
一部の実施形態において、有機酸構成成分は、安息香酸ナトリウムなどの有機酸のアルカリ金属塩である。一部の実施形態において、有機酸構成成分(例えば、安息香酸ナトリウム)は、乾燥及び湿潤構成成分の全部が配合された後であるが、香味剤を添加する前に、混合物に添加される。
【0252】
一部の実施形態において、組成物は、本明細書の上に記載されている香味顆粒をさらに含む。このような顆粒は、香味料ミックスを生成し、この香味料ミックスをグリセリン(又は他の保湿剤)及びイソマルト(又は他の糖アルコール)と一緒にし、徹底的に混合して、ダイから押出成形することによって一般に調製され得る。一部の実施形態において、香味料ミックスは、微結晶性セルロース、着色剤(例えば、レーキなどのレッド又はブルー染料)などのフィラー、及び1種以上の着香剤及び甘味剤(例えば、スクラロースなどのノンカロリー甘味剤)を一緒にすることによって調製される。次に、ミックスは、ダイ(例えば、0.5~1.5mmのダイ)から押出成形されてビーズを形成し、このビーズは、任意選択的に球形化されてもよい。ビーズは、約14~20メッシュ又は約0.5~約1.5mmの範囲のサイズを一般に有する。他の実施形態において、香味顆粒は、1種以上の糖アルコール(例えば、イソマルト、マルチトール又はこれらの組合せ)、甘味剤(例えば、スクラロースなどのノンカロリー甘味剤)及び着色剤(例えば、レーキなどのレッド又はブルー染料)及び1種以上の着香剤を一緒にし、このミックスを液状形態になるまで加熱し、冷却して、固形塊を形成し、この固形塊を破壊又は粉砕して粒子にし、この粒子をふるいにかけて、所望のサイズの顆粒を得ることによって調製される。香味顆粒(ビーズ又は微粒子)は、任意選択的に、別の着香剤と一緒にそのまま(例えば、乾燥又はさらなる加工なしに)組成物に一般に配合される。顆粒の添加後、組成物は、組成物全体に均等に分布させるのに十分な時間、混合される。通常、約45秒の混合が必要とされる。
【0253】
組成物を調製するための混合プロセス全体は、通常、バッチサイズに応じて、約5分間~約30分間、かかる。当業者は、この混合手順又は他の混合手順の変形形態が後に続いてもよいことを認識している。
【0254】
混合の後、口腔用組成物をミキサーから取り出す。口腔用組成物は、加工を援助するため(例えば、粘性を低下させるため)、又は口腔用組成物の最初の味特性を改変するため、様々な物質と共に細粉されてもよい。このような物質は、スクロース、マンニトール、デンプン、炭酸カルシウム、タルク、ラクチトール、ラクトース及びこれらの組合せを含むことができる。次に、口腔用組成物は、押出成形、巻き取り、圧縮などが行われる。一部の実施形態において、本口腔用組成物は、シーターにより加工されて、所望の厚さを得る。例えば、口腔用ガム基剤は、少なくとも1つ及び好ましくはいくつかの組の逆回転減速ローラー及び仕上げローラーに複数回の通過を受けて、口腔用組成物を延伸してその厚さを低下させることができる。粘着性ガムの場合、この厚さは、一般に、約0.06~約0.08インチなどの約0.05~約0.10インチの範囲となり、タブレットガムの場合、これは、約0.18~0.25インチなどの約0.15~約0.3インチの範囲であり得る。一部の実施形態において、口腔用組成物は、乾燥、硬化、エージングなどのさらなる加工を受けてもよい。次に、口腔用組成物は、所望のフォーマットで包装される。
【実施例
【0255】
本発明の態様を、以下の実施例によって一層完全に例示し、この実施例は、本発明のある特定の態様を例示するために記載され、本発明の限定として解釈されるべきではない。
【0256】
[実施例1] 安息香酸ニコチンを含む香味付けされたチューイングガムの調製
香味剤を含有するチューイングガムタブレット、及び各々がほぼ2mgのニコチンを表2に提示されている配合物構成成分を使用して調製した。
【0257】
ソルビトール、イソマルト及び安息香酸ナトリウムを合わせて、乾燥混合物を得た。これとは別に、マルチトールシロップ、グリセリン及び安息香酸ニコチンの溶液を合わせて、液状混合物を形成した。ガム基剤(Artica T;CAFOSA GUM S/A、Barcelona、スペイン)を、マイクロ波オーブン中、ほぼ5分間、低出力下で温めて、軟化させた。加熱して軟化したガム基剤を手作業によって一様になるまで混合し、市販ミキサーのボウルに移した。液状混合物のほぼ1/3を上記のガム基剤に加え、次いで、2分間、混合した。乾燥混合物のほぼ1/3をスクラロースと共に上記のガム基剤-液状混合物に加え、次いで、2分間、混合した。乾燥混合物及び液状混合物の添加を、それぞれ、2回、繰り返し、次いで、各場合において、さらに2分間、混合して、残りの乾燥混合物及び液状混合物を配合した。この混合物に香味剤を加え、次いで、45秒間、混合した。この混合物をミキサーボウルから取り出し、マンニトール粉末を用いて細粉し、次に、シーターに通して、一様な厚さの組成物を得た。各々1.65gの重量の正方形タブレットを組成物のシートからダイ型抜きした。
【0258】
【表2】
【0259】
[実施例2] 着色香味顆粒の調製
着色した香味顆粒(レッド及びブルー)を表3に提示されている配合構成成分を使用して調製した。
【0260】
微結晶性セルロース、着色剤(レッド又はブルーレーキ染料の一方)、及び香味料を一緒にして混合し、香味料ミックスを形成した。このミックスに、グリセリン及びイソマルトを加え、次いで混合して、均一な組成物を得た。次に、均一な組成物を1.5mmのダイに通して押出成形し、14~20メッシュのサイズを有するビーズを形成した。このビーズを以下の実施例に直接、使用した。
【0261】
【表3】
【0262】
[実施例3] 安息香酸ニコチン及び香味顆粒を含む香味付けされたチューイングガムの調製
香味剤を含有するチューイングガムタブレット、及び各々がほぼ2mgのニコチンを表4に提示されている配合物構成成分を使用して調製した。
【0263】
ガム基剤(Artica T;CAFOSA GUM S/A、Barcelona、スペイン)を、マイクロ波オーブン中、ほぼ5分間、低出力下で温めて、軟化させた。これとは別に、マルチトールシロップ及びグリセリンを合わせて、液状混合物を形成した。それとは別に、ソルビトール及びイソマルトを一緒にして、乾燥混合物を得た。
【0264】
加熱して軟化したガム基剤を手作業によって一様になるまで混合し、市販ミキサーのボウルに移した。液状混合物のほぼ1/3を安息香酸ニコチン溶液と共に上記のガム基剤に加え、次いで、2分間、混合した。乾燥混合物のほぼ1/3をスクラロースと共に、20メッシュのふるいに通して上記のガム基剤-液状混合物に加え、次いで、2分間、混合した。液体混合物及び乾燥混合物の添加を、それぞれ、2回、繰り返し、次いで、各場合において、さらに2分間、混合して、残りの乾燥混合物及び液状混合物を配合した。この混合物に安息香酸ナトリウム、次いで、香味剤を加え、この混合物に香味顆粒(実施例2)を加え、次いで、45秒間、混合した。この混合物をミキサーボウルから取り出し、マンニトール粉末を用いて細粉し、次に、シーターに通して、一様な厚さの組成物を得た。全バッチ重量は2kgとした。各々1.74gの重量の正方形タブレットを組成物のシートからダイ型抜きした。
【0265】
【表4】
【0266】
[実施例4] 安息香酸ニコチン、ニコチンポラクリレクス及び香味顆粒を含む香味付けされたチューイングガムの調製
香味剤を含有するチューイングガムタブレット、及び各々がほぼ2mgのニコチン(安息香酸ニコチン及びニコチンポラクリレクスに由来するニコチンと等量部)を表5に提示されている配合物構成成分を使用して調製した。
【0267】
ガム基剤(Artica T;CAFOSA GUM S/A、Barcelona、スペイン)を、マイクロ波オーブン中、ほぼ5分間、低出力下で温めて、軟化させた。これとは別に、マルチトールシロップ及びグリセリンを合わせて、液状混合物を形成した。それとは別に、ソルビトール及びイソマルトを一緒にして、乾燥混合物を得た。
【0268】
加熱して軟化したガム基剤を手作業によって一様になるまで混合し、市販ミキサーのボウルに移した。液状混合物のほぼ1/3を安息香酸ニコチン溶液と共に上記のガム基剤に加え、次いで、2分間、混合した。乾燥混合物のほぼ1/3をスクラロース及びニコチンポラクリレクスと共に、20メッシュのふるいに通して上記のガム基剤-液状混合物に加え、次いで、2分間、混合した。液体混合物及び乾燥混合物の添加を、それぞれ、2回、繰り返し、次いで、各場合において、さらに2分間、混合して、残りの乾燥混合物及び液状混合物を配合した。この混合物に安息香酸ナトリウム、次いで、香味剤を加え、この混合物に香味顆粒(実施例2)を加え、次いで、45秒間、混合した。この混合物をミキサーボウルから取り出し、マンニトール粉末を用いて細粉し、次に、シーターに通して、一様な厚さの組成物を得た。全バッチ重量は2kgとした。各々1.74gの重量の正方形タブレットを組成物のシートからダイ型抜きした。
【0269】
【表5】
【0270】
[実施例5] ニコチンポラクリレクス及び香味顆粒を含む香味付けされたチューイングガムの調製
香味剤を含有するチューイングガムタブレット、及び各々がほぼ2mgのニコチン(ニコチンポラクリレクスに由来)を表6に提示されている配合物構成成分を使用して調製した。
【0271】
ガム基剤(Artica T;CAFOSA GUM S/A、Barcelona、スペイン)を、マイクロ波オーブン中、ほぼ5分間、低出力下で温めて、軟化させた。これとは別に、マルチトールシロップ及びグリセリンを合わせて、液状混合物を形成した。それとは別に、ソルビトール及びイソマルトを一緒にして、乾燥混合物を得た。
【0272】
加熱して軟化したガム基剤を手作業によって一様になるまで混合し、市販ミキサーのボウルに移した。液状混合物のほぼ1/3を上記のガム基剤に加え、次いで、2分間、混合した。乾燥混合物のほぼ1/3をスクラロース及びニコチンポラクリレクスと共に、20メッシュのふるいに通して上記のガム基剤-液状混合物に加え、次いで、2分間、混合した。液体混合物及び乾燥混合物の添加を、それぞれ、2回、繰り返し、次いで、各場合において、さらに2分間、混合して、残りの乾燥混合物及び液状混合物を配合した。この混合物に安息香酸ナトリウム、次いで、香味剤を加え、この混合物に香味顆粒(実施例2)を加え、次いで、45秒間、混合した。この混合物をミキサーボウルから取り出し、マンニトール粉末を用いて細粉し、次に、シーターに通して、一様な厚さの組成物を得た。全バッチ重量は2kgとした。各々1.74gの重量の正方形タブレットを組成物のシートからダイ型抜きした。
【0273】
【表6】
【0274】
[実施例6] サイズの低下した着色香味顆粒の調製
着色した香味顆粒(レッド及びブルー)を表7に提示されている配合構成成分を使用して調製した。
【0275】
微結晶性セルロース、着色剤(レッド又はブルーレーキ染料の一方)、及び香味料を一緒にして混合し、香味料ミックスを形成した。このミックスに、グリセリン及びイソマルトを加え、次いで混合して、均一な組成物を得た。次に、均一な組成物を0.5mmのダイに通して押出成形して、ビーズを形成し、次に、このビーズを球形化してふるいにかけて、所望のサイズのビーズを得た。
【0276】
【表7】
【0277】
[実施例7] 着色香味顆粒の代替調製
着色した香味顆粒(レッド及びブルー)を表8に提示されている配合構成成分を使用して調製した。
【0278】
イソマルト、マルチトールシロップ、着色剤(レッド又はブルーレーキ染料の一方)、スクラロース及び香味料を合わせて、混合しながら加熱し、流体である液状混合物を形成した。次に、この液状混合物を冷却して、固形塊を形成し、これを粉砕してふるいにかけ、所望の粒子サイズ範囲(ほぼ0.5mm)を有する香味料粒子を得た。
【0279】
【表8】
【0280】
[実施例8] 着色香味顆粒の代替調製 - 香味料を高充填
着色した香味顆粒を表9に提示されている配合構成成分を使用して調製した。
【0281】
微結晶性セルロース、着色剤(レッド又はブルーレーキ染料の一方)、及び香味料を一緒にして混合し、香味料ミックスを形成する。このミックスに、グリセリン及びイソマルトを加え、次いで混合して、均一な組成物を得る。次に、均一な組成物を0.5mmのダイに通して押出成形して、ビーズを形成し、次に、このビーズを球形化してふるいにかけて、所望のサイズのビーズを得る。
【表9】
【国際調査報告】