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特表2024-537802パネル間スペースを断熱するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】パネル間スペースを断熱するための方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
F17C3/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519633
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022077354
(87)【国際公開番号】W WO2023052621
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2110346
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100224856
【弁理士】
【氏名又は名称】朱牟田 奏人
(72)【発明者】
【氏名】ガエル、トス
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ラロック
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ペスケ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン、クルー
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、フレイス
(72)【発明者】
【氏名】レオ、コカン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB13
3E172AB20
3E172BD01
3E172BD05
3E172DA23
(57)【要約】
本発明は、低温で流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの壁の第1断熱パネル(1)と第2断熱パネル(2)との間に形成されたパネル間スペースを断熱するための方法であって、前記第1断熱パネル(1)は、前記第2断熱パネル(2)の第2側面(9)に対面する第1側面(8)を備え、前記パネル間スペース(7)は、前記第1側面(8)と前記第2側面(9)とにより画定され、前記方法は、
‐少なくとも1つのインサート要素(10、111、112)を、前記第1断熱パネル(1)の少なくとも前記第1側面(8)に対して配置するステップと、
‐膨張性発泡体を、前記パネル間スペース(7)内において前記インサート要素(10、111、112)と前記第2断熱パネル(2)の前記第2側面(9)との間に注入し、前記膨張性発泡体を膨張させて前記インサート要素(10、111、112)を前記膨張性発泡体と前記第1断熱パネル(1)の前記第1側面(8)との間で押圧するステップと、
を備えるパネル間スペースを断熱するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温で流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの壁の第1断熱パネル(1)と第2断熱パネル(2)との間に形成されたパネル間スペースを断熱するための方法であって、前記第1断熱パネル(1)は、前記第2断熱パネル(2)の第2側面(9)に対面する第1側面(8)を備え、前記パネル間スペース(7)は、前記第1側面(8)と前記第2側面(9)とにより画定され、前記方法は、
‐少なくとも1つのインサート要素(10、111、112)を、前記第1断熱パネル(1)の少なくとも前記第1側面(8)に対して配置するステップと、
‐膨張性発泡体を、前記パネル間スペース(7)内において前記インサート要素(10、111、112)と前記第2断熱パネル(2)の前記第2側面(9)との間に注入し、前記膨張性発泡体を膨張させて前記インサート要素(10、111、112)を前記膨張性発泡体と前記第1断熱パネル(1)の前記第1側面(8)との間で押圧するステップと、
を備える、パネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項2】
前記方法は、前記パネル間スペース(7)を区画化するステップをさらに備え、
前記区画化するステップは、前記膨張性発泡体を注入する前に実施される、
請求項1に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項3】
前記区画化するステップは、底部ストリップ(11)を前記パネル間スペース(7)に挿入するステップを備え、
前記底部ストリップ(11)は、前記パネル間スペース(7)の下端部に配置されるとともに、前記パネル間スペース(7)の長手方向において前記パネル間スペース(7)の全長に亘って延びる、
請求項2に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項4】
前記底部ストリップ(11)は、ポリウレタン発泡体を備える、
請求項3に記載の断熱するための方法。
【請求項5】
前記区画化するステップは、前記パネル間スペース(7)の第1側端部および第2側端部にそれぞれ位置する第1側方ストリップ(12)および第2側方ストリップ(13)を挿入するステップをさらに備え、
前記第1側方ストリップ(12)および前記第2側方ストリップ(13)は、前記パネル間スペース(7)の前記長手方向を横切る方向に延びる、
請求項2~4のいずれか一項に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項6】
前記区画化するステップは、少なくとも1つの保持ストリップ(31)を前記パネル間スペース(7)に挿入するステップを備え、
前記保持ストリップ(31)は、前記パネル間スペース(7)の前記長手方向を横切る方向に延びる、
請求項2~5の一項に記載の断熱するための方法。
【請求項7】
前記第1側方ストリップ(12)および前記第2側方ストリップ(13)は、グラスウールを備える、
請求項5または請求項5および6の組み合わせに記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項8】
膨張性発泡体を注入する前記ステップの前に、
‐非拡張状態にある拡張可能装置(17)を、前記第1断熱パネルおよび前記第2断熱パネルのうちの少なくとも一方と前記第1断熱パネルまたは前記第2断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルとの間に規定された領域に配置するステップであって、前記領域は前記パネル間スペースを横切り、前記パネル間スペース(7)は前記拡張可能装置に対面配置されるステップと、
‐前記拡張可能装置(17)を拡張させることで、拡張状態にある前記拡張可能装置(17)が少なくとも前記第3断熱パネルに寄りかかるとともに前記パネル間スペース(7)の第1側端部を覆うことにより、前記膨張性発泡体を注入して膨張させる前記ステップにおいて、前記膨張性発泡体を前記パネル間スペース(7)内に維持するステップと、
断熱を備える、請求項2~7の一項に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項9】
前記拡張可能装置(17)は前記第1側方ストリップ(12)に対面配置され、
前記拡張可能装置(17)を拡張させることで、前記拡張可能装置(17)は前記第1側方ストリップ(12)に寄りかかり前記第1側方ストリップ(12)が固定された状態に保持される、
請求項5と組み合わせた請求項8に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項10】
膨張性発泡体を注入する前記ステップの前に、
‐断熱材料製の第1クロスピース(31)を、前記第1断熱パネル(1)および前記第2断熱パネル(2)のうちの少なくとも一方と前記第1断熱パネルまたは前記第2断熱パネルに隣り合う第3断熱パネル(18)との間に規定された領域に配置するステップであって、前記領域は前記パネル間スペース(7)を横切り、前記クロスピース(31)は、前記膨張性発泡体を注入し膨張させる前記ステップにおいて、前記パネル間スペース(7)の第1側端部を閉鎖するように配置されるステップを備える、
請求項1~7の一項に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項11】
前記区画化するステップは、前記パネル間スペース(7)をカバー(14)で覆うステップを備え、
前記カバー(14)は、開口(15)を備え、
前記膨張性発泡体は、前記開口(15)を通って前記パネル間スペース(7)に注入される、
請求項2~10の一項に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項12】
前記カバー(14)は、前記膨張性発泡体に接触することが意図された前記カバーの表面から突出する舌部(34)を有する、
請求項11に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項13】
前記カバー(14)は、取付手段を介して前記第1断熱パネル(1)および前記第2断熱パネル(2)に対して取り付けられる、
請求項11または12に記載のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項14】
前記膨張性発泡体は、ポリウレタンを備える、
請求項1~13の一項に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項15】
前記インサート要素は、圧縮可能な断熱要素(10)である、
請求項1~14の一項に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項16】
前記圧縮可能な断熱要素は、グラスウールを備え、
前記グラスウールは、前記膨張性発泡体を膨張させる前記ステップにおいて圧縮される、
請求項15に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項17】
前記インサート要素は、クラフト紙、非粘着性伸縮フィルム、または離型剤、好適にはクラフト紙を備える、
請求項1~14の一項に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【請求項18】
前記第1断熱パネル(1)および前記第2断熱パネル(2)は断熱発泡体(3)を各々備え、前記断熱発泡体(3)は、シール膜を支持することが意図された第1合板プレート(5)と支持体上に配置されることが意図された第2合板プレート(5)との間に挟まれ断熱、
前記区画化するステップは、
‐第1マスチック樹脂製ビード(42)を前記第1断熱パネル(1)の前記第2合板プレート(5)の外面に置くステップであって、前記第1マスチック樹脂製ビード(42)は、前記パネル間スペース(7)に沿って連続的に延びるステップと、
‐第2マスチック樹脂製ビード(43)を前記第2断熱パネル(2)の前記第2合板プレート(5)の外面に置くステップであって、前記第2マスチック樹脂製ビード(43)は、前記パネル間スペース(7)に沿って連続的に延びるステップと、
を備える、請求項2~17の一項に記載の密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を有する密閉断熱タンクの分野に関する。具体的には、本発明は、低温で液化ガスを貯蔵および/または輸送するための密閉断熱タンク、例えば、大気圧でおよそ-163℃の液化天然ガス(LNG)、アンモニア(NH)、ドライアイス(固体状のCO)、または水素を輸送するためのタンクの分野に関する。これらのタンクは、陸上または浮構造体上に設置され得る。より具体的には、本発明はこれらのタンクの断熱に関する。
【背景技術】
【0002】
多層タンク構造体であって、タンクの外側から内側に向かって、二次断熱バリア、二次シール膜、一次断熱バリア、およびタンクに収容された液体と接触することが意図された一次シール膜を備える多層タンク構造体が既に記載されている。このようなタンクは、互いに隣り合って配置されて断熱バリアを形成する断熱パネルを含んでいる。しかしながら、断熱パネルの間には、パネル間スペースが存在する。これらのスペースは、断熱バリアの断熱効率を低下させる。したがって、前記断熱バリアの断熱性の連続性を確保するように、これらのパネル間スペースを充填する必要がある。いくつかの解決策が存在する。例えば、シースと、このシース内に収容されたグラスウール等の圧縮可能な材料とを備える断熱要素を付加することが、文献WO2019155158A1に記載されている。断熱要素をパネル間スペースに挿入する前に、シースを真空下に配置する。これにより、圧縮可能な材料が圧縮されて挿入が容易になる。断熱要素の挿入後、シースを穿孔することで、圧縮可能な材料はパネル間スペースを充填する。しかしながら、圧縮可能な材料から構成された要素を真空化に配置することは困難である。
【0003】
断熱構造体を極低温液体貯蔵タンクのパネル間スペースに設置するための方法も、文献KR20180060576Aから知られている。本方法は、特にパネル間スペースを充填すべくグラスウールのブロックを挿入することを含む。グラスウールがパネル間スペースに対して十分に厚くない場合には、発泡体ブロックを追加する。前記発泡体ブロックを残りのスペースに挿入するために、本方法は特に測定ステップを備えている。本件発明者らは、このようなタンクでこのような方法を実施するのは難しく、大規模に実施する場合には技術的困難を伴うと認めている。これは、タンクの構成要素が、組立や製造から発生する多数の不測の事態、例えばずれやエラーを呈するためである。このため、前記測定ステップを、各パネル間スペースについて繰り返さなければならない。
【0004】
このため、確実かつ効率的で実施が容易なパネル間スペースを断熱するための方法を開発する必要が紛れもなく存在している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の基礎をなす思想は、隣り合う断熱パネル間の断熱連続性を確保することを可能にするパネル間スペースを断熱するための方法である。
【0006】
本発明の基礎をなす別の思想は、特にパネルの熱膨張および熱収縮の下で相当な熱的制約がある場合でも、効率的で耐久性のあるパネル間断熱部を導入することである。
【0007】
本発明の基礎をなす別の思想は、グラスウール等の圧縮可能な断熱要素のパネル間スペースへの導入を容易化することである。
【0008】
本発明の基礎をなす別の思想は、密閉断熱タンクの製造を容易化することである。
【0009】
一実施形態によれば、本発明は、低温で流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの壁の第1断熱パネルと第2断熱パネルとの間に形成されたパネル間スペースを断熱するための方法であって、前記第1断熱パネルは、前記第2断熱パネルの第2側面に対面する第1側面を備え、前記パネル間スペースは、前記第1側面と前記第2側面とにより画定され、前記方法は、
‐少なくとも1つのインサート要素を、前記第1断熱パネルの少なくとも前記第1側面に対して(接触して)配置するステップと、
‐膨張性発泡体を、前記パネル間スペース内において前記インサート要素と前記第2断熱パネルの前記第2側面との間に注入し、前記膨張性発泡体を膨張させて前記インサート要素を前記膨張性発泡体と前記第1断熱パネルの前記第1側面との間で押圧するステップと、
を備える、パネル間スペースを断熱するための方法を提供する。
【0010】
これらの特徴により、第1断熱パネルと第2断熱パネルとの断熱連続性が、膨張性発泡体およびインサート要素によって確保される。また、インサート要素の存在により、その場で膨張させた発泡体は、第1断熱パネルの第1面に直接付着しないため、これに対して自由に移動できる。これにより、例えば熱収縮、熱膨張、または隆起を原因として特に断熱パネル同士が互いに対して相対移動した場合でも、膨張した発泡体が劣化するリスクが低減される。なぜならば、このような状況において、2つの隣り合う断熱パネルの側面に直接付着する膨張性発泡体の場合では、亀裂が生じやすく断熱性が損なわれるからである。
【0011】
実施形態によれば、このような方法は、以下の1つ以上の特徴を含み得る。
【0012】
一実施形態によれば、本方法は、前記パネル間スペースを区画化するステップをさらに備え、前記区画化するステップは、前記膨張性発泡体を注入する前に実施される。
【0013】
これらの特徴により、膨張性発泡体は、パネル間スペースの内部に維持されるため、パネル間スペースの外部に流れ出し得る膨張性発泡体の体積の損失が低減される。
【0014】
好適な実施形態によれば、膨張性発泡体は、液体状態で注入される。
【0015】
一実施形態によれば、前記区画化するステップは、底部ストリップを前記パネル間スペースに挿入するステップを備え、前記底部ストリップは、前記パネル間スペースの下端部に配置されるとともに、前記パネル間スペースの長手方向において前記パネル間スペースの全長に亘って延びる。
【0016】
一実施形態によれば、底部ストリップは、第1断熱パネルの第1側面と第2断熱パネルの第2側面との間の間隙以上の幅を有する。
【0017】
一実施形態によれば、底部ストリップは、第1断熱パネルの第1側面と第2断熱パネルの第2側面との間で圧縮される。
【0018】
一実施形態によれば、底部ストリップは、パネル間スペースの下端部に向けて圧縮される。
【0019】
これらの特徴により、底部ストリップは、パネル間スペースの下端部を密閉する。
【0020】
一実施形態によれば、前記区画化するステップは、前記パネル間スペースの第1側端部および第2側端部にそれぞれ位置する第1側方ストリップおよび第2側方ストリップを挿入するステップをさらに備え、前記第1側方ストリップおよび前記第2側方ストリップは、前記パネル間スペースの前記長手方向を横切る方向に延びる。
【0021】
一実施形態によれば、第1側方ストリップ、第2側方ストリップは、第1断熱パネルの第1側面と第2断熱パネルの第2側面との間の間隙以上の幅を有する。一実施形態によれば、第1側方ストリップまたは第2側方ストリップは、第1断熱パネルの第1側面と第2断熱パネルの第2側面との間で圧縮される。
【0022】
一実施形態によれば、前記区画化するステップは、少なくとも1つの保持ストリップを前記パネル間スペースに挿入するステップを備え、前記保持ストリップは、前記パネル間スペースの前記長手方向を横切る方向に延びる。
【0023】
一実施形態によれば、保持ストリップは、第1側方ストリップと第2側方ストリップとの間に配置される。
【0024】
一実施形態によれば、前記区画化するステップは、前記パネル間スペースをカバーで覆うステップを備え、前記カバーは、開口を備え、前記膨張性発泡体は、前記開口を通って前記パネル間スペースに注入される。
【0025】
これらの特徴により、膨張性発泡体が溢れ出ることが防止される。
【0026】
一実施形態によれば、開口は、5mm~30mmの直径、好適には20mmの直径を有する。
【0027】
一実施形態によれば、カバーは、互いに間隔を空けた複数の開口を備え、開口は、カバーの長手方向に配置される。
【0028】
一実施形態によれば、カバーは、丸みを帯びた縁部を有する矩形の全体形状を有する。
【0029】
一実施形態によれば、カバーは、
‐1~5メートル(m)、例えば3.5メートル、好適には1.4~1.6mの長さと、
‐15~50センチメートル(cm)、好適には20~30cmの幅と、
‐10~60ミリメートル(mm)、好適には20~30mmの厚さと、
を有する。
【0030】
一実施形態によれば、カバーは、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに接する側縁部を有するとともに、第1断熱パネルまたは第2断熱パネルの反対側の前記側縁部に作製された複数の孔を備えている。したがって、孔はパネル間スペースに開放していない。
【0031】
一実施形態によれば、複数の孔のうちのいくつかの孔は、同一または異なる寸法を有する。
【0032】
これらの特徴により、孔によりカバーはより軽量となり、オペレータはカバーを扱いやすくなる。
【0033】
一実施形態によれば、複数の孔は、長円孔を備える。
【0034】
一実施形態によれば、前記カバーは、取付手段を介して前記第1断熱パネルおよび前記第2断熱パネルに対して取り付けられる。一実施形態によれば、取付手段は、例えば第1断熱パネルまたは第2断熱パネルに取り付けられたねじ込みインサートに受容されるネジ、およびトグルクランプから選択される。
【0035】
一実施形態によれば、取付手段は、カバーに作製された複数の孔のうちの少なくとも1つの孔を貫通する。一実施形態によれば、取付手段は、カバーに作製された長円孔を貫通する。長円孔により、取付手段を介したカバーの取付を調整して、特に第2断熱パネルに対する第1断熱パネルの相対的な位置決めの公差を補正することがより容易になる。される。
【0036】
一実施形態によれば、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルは、第1断熱パネルの第1側面の縁部に沿った2つの凹部、および第2断熱パネルの第2側面の縁部に沿った2つの凹部をそれぞれ備える。カバーは、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに対して、カバーに取り付けられたアンカーシステムを介して取り付けられる。アンカーシステムは、凹部毎に1つのアンカー要素を備える。各アンカー要素は、センタリング円錐体と、センタリング円錐体の周囲に配置される拡張可能シールであって拡張システムに接続する拡張可能シールと、を備えている。挿入後、凹部において、各拡張可能シールを、空気圧源を使用して拡張させる。したがって、円錐面の配向を考慮すると、各拡張可能シールは、下向きの力をセンタリング円錐体に及ぼす。これにより、膨張性発泡体を膨張させるステップにおいて、カバーを第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに対して保持することができる。発泡体を膨張させるステップの後、拡張可能なシールを収縮させ、カバーおよびアンカーシステムを取り外す。
【0037】
これらの特徴により、パネル間スペースを覆うカバーのセンタリングが容易になり、いずれのシールも最適に圧縮されて良好な密閉が得られる。
【0038】
一実施形態によれば、空気圧源は、アンカー要素と共通である。
【0039】
一実施形態によれば、複数の孔は、互いに離間した長円孔である。換言すれば、前記長円孔の間に連続性はない。
【0040】
これらの特徴により、カバーはさらに軽量化される一方で、パネル間スペースを断熱するための方法を実施するための良好な剛性、すなわち、発泡体の膨張圧力に耐える十分な剛性が維持される。
【0041】
一実施形態によれば、カバーは、膨張性発泡体に接触することが意図されたカバーの表面と反対側の表面に取り付けられた少なくとも1つのハンドルを備える。好適には、カバーは、2つのハンドルを含む。
【0042】
一実施形態によれば、少なくとも1つのハンドルの長さは、カバーの長さ方向に対して垂直な方向に延びる。
【0043】
一実施形態によれば、少なくとも1つのハンドルは、カバーの長さの対称軸上に配置される。
【0044】
一実施形態によれば、2つのハンドルは、カバーの長さ方向において間隔を空けている。
【0045】
一実施形態によれば、カバーは、第1断熱パネルと第2断熱パネルとをまたぐように配置される。
【0046】
一実施形態によれば、カバーは、シールを介して第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに取り付けられる。
【0047】
これらの特徴により、発泡体を膨張させるステップにおいて、膨張性発泡体は、パネル間スペースから溢れ出ることがない。カバーは、膨張性発泡体により及ぼされる膨張圧力に耐えるように取り付けられる。
【0048】
一実施形態によれば、シールは、カバーの全長に亘って延びる。
【0049】
一実施形態によれば、第1断熱パネルおよび第2断熱パネル上のシールは、膨張性発泡体に接触することが意図された表面とともに、余剰発泡体排出通路を形成するのに十分な厚さを有している。前記余剰発泡体排出通路は、第1断熱パネルの一側および/または第2断熱パネルの一側に配置された発泡体容器に接続している。これにより、発泡体を膨張させるフェーズにおいて、余剰の発泡体が排出され得る。例えば、発泡体容器は、木材または複合材料製のボックスである。
【0050】
一実施形態によれば、余剰発泡体排出通路を形成するシールは、5mm~20mmの厚さを有する。
【0051】
一実施形態によれば、余剰発泡体排出通路を形成するシールは、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)発泡体の閉鎖セルストリップを備える。一実施形態によれば、余剰発泡体排出通路を形成するシールは、ネオプレン接着剤を備える。
【0052】
一実施形態によれば、カバーは透明であり、好適には、ポリメチルメタクリレート(PMME)(プレキシグラス(Plexiglas)(登録商標)の商品名でさらに知られる)製である。
【0053】
これらの特徴により、特に膨張性発泡体を注入して膨張させるステップにおいて、本方法を実施するオペレータの作業が容易になる。これは、発泡体の膨張をリアルタイムで見ることができることにより、注入される膨張性発泡体の量をより簡単に調節することができるためである。
【0054】
一実施形態によれば、前記カバーは、前記膨張性発泡体に接触することが意図された前記カバーの表面から突出する舌部を有する。
【0055】
これらの特徴により、特にカバーを取り外した後に発泡体が膨張し続けたとしても、膨張性発泡体がパネル間スペースを超えて溢れ出ることが防止される。
【0056】
一実施形態によれば、舌部は、カバーの全長に亘って延びる。
【0057】
一実施形態によれば、舌部は、2mm~15mmの高さを有する。
【0058】
一実施形態によれば、舌部は、第1側面と第2側面との間の間隙よりも小さい幅を有する。
【0059】
一実施形態によれば、カバーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製である。
【0060】
一実施形態によれば、フィルムが、膨張性発泡体に接触することが意図されたカバーの表面を覆う。一実施形態によれば、フィルムは、非粘着性である。一実施形態によれば、フィルムは、PTFE製である。
【0061】
一実施形態によれば、フィルムは、PTFEに類似した特性を有するパーフルオロアルコキシ(PFA)またはフルオロエチレンプロピレン(FEP)製である。
【0062】
これらの特徴により、膨張した発泡体はカバーに付着しないため、発泡体を膨張させるステップ後の前記カバーの取り外しが容易になる。
【0063】
一実施形態によれば、本方法は、膨張した発泡体を乾燥させるステップをさらに備える。
【0064】
一実施形態によれば、本方法は、カバーを取り外すステップをさらに備える。
【0065】
一実施形態によれば、本方法は、発泡体容器を取り外すステップをさらに備える。
【0066】
一実施形態によれば、本方法は、発泡体排出通路に存在する余剰の発泡体を平らにするステップをさらに備える。
【0067】
一実施形態によれば、発泡体は、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルの高さに達するまで注入される。
【0068】
一実施形態によれば、膨張性発泡体を注入するステップは、第1膨張性発泡体注入ステップであり、本方法は、少なくとも第2発泡体注入ステップをさらに備える。第2発泡体注入ステップは、第1発泡体注入ステップの膨張性発泡体を膨張させた後に実施される。
【0069】
これらの特徴により、オペレータは、注入された膨張性発泡体の量、および膨張させて生じた発泡体の高さを考慮しながら、最後の発泡体注入ステップにおいて注入される膨張性発泡体の量を調節することで、膨張性発泡体がパネル間スペースを超えて溢れ出ることがないようにすることができる。
【0070】
一実施形態によれば、膨張性発泡体は、発泡体注入ガンを使用して注入される。
【0071】
一実施形態によれば、本方法は、膨張性発泡体を注入する前記ステップの前に、
‐非拡張状態にある拡張可能装置を、前記第1断熱パネルおよび前記第2断熱パネルのうちの少なくとも一方と前記第1断熱パネルまたは前記第2断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルとの間に規定された領域に配置するステップであって、前記領域は前記パネル間スペースを横切り、前記パネル間スペースは前記拡張可能装置に対面配置されるステップと、
‐前記拡張可能装置を拡張させることで拡張状態にある前記拡張可能装置が少なくとも前記第3断熱パネルに寄りかかるとともに前記パネル間スペースの第1側端部を覆うことにより、前記膨張性発泡体を注入して膨張させる前記ステップにおいて、前記膨張性発泡体を前記パネル間スペース内に維持するステップと、
を備える。
【0072】
一実施形態によれば、本方法は、膨張性発泡体を注入する前記ステップの前に、
‐非拡張状態にある拡張可能装置を、前記第1断熱パネルおよび前記第2断熱パネルのうちの少なくとも一方と前記第1断熱パネルまたは前記第2断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルとの間に規定された領域に配置するステップであって、前記領域は前記パネル間スペースを横切り、前記パネル間スペースは前記拡張可能装置に対面配置されるステップと、
‐前記拡張可能装置を拡張させることで拡張状態にある前記拡張可能装置が少なくとも前記第3断熱パネルに寄りかかるとともに前記パネル間スペースの第1側端部を覆うことにより、前記膨張性発泡体を注入して膨張させる前記ステップにおいて、前記膨張性発泡体を前記パネル間スペース内に維持するステップと、
を備える。
【0073】
これらの特徴により、拡張可能装置は、3つの断熱パネルの間に規定された領域に容易に挿入され得る。さらに、拡張可能装置を拡張させことにより、組立や製造から発生する不測の事態、例えばずれやエラーが回避され得る。
【0074】
一実施形態によれば、拡張状態にある拡張可能装置は、パネル間スペースの第1側端部または第2側端部を覆う。
【0075】
一実施形態によれば、前記拡張可能装置は、前記第1側方ストリップに対面配置され、前記拡張可能装置を拡張させることで、前記拡張可能装置は前記第1側方ストリップに寄りかかり前記第1側方ストリップが固定された状態に保持される。
【0076】
一実施形態によれば、前記拡張可能装置は、前記第2側方ストリップに対面配置され、前記拡張可能装置を拡張させることで、前記拡張可能装置は前記第2側方ストリップに寄りかかり前記第2側方ストリップが固定された状態に保持される。
【0077】
したがって、第1側方ストリップまたは第2側方ストリップは、第1側方ストリップまたは第2側方ストリップの全長に亘って固定された状態に保持される。
【0078】
一実施形態によれば、領域は、第1断熱パネルと第2断熱パネルとの間、および、第1断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルと第2断熱パネルに隣り合う第4断熱パネルとの間に規定される。拡張可能装置が拡張されることで、当該拡張可能装置は、第3断熱パネル、第4断熱パネル、および第1側方ストリップに寄りかかる。
【0079】
一実施形態によれば、領域は、第1断熱パネルと第2断熱パネルとの間、および、第1断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルと第2断熱パネルに隣り合う第4断熱パネルとの間に規定される。拡張可能装置が拡張されることで、当該拡張可能装置は、第3断熱パネル、第4断熱パネル、および第1側方ストリップに寄りかかる。
【0080】
一実施形態によれば、発泡体を膨張させるステップの後に、拡張可能装置を取り外す。一実施形態によれば、拡張可能装置は、収縮状態で取り外される。
【0081】
一実施形態によれば、拡張可能装置は、拡張可能要素と、当該拡張可能要素を拡張させることが意図されたポンプと、を備える。
【0082】
一実施形態によれば、拡張可能要素は、空気圧式拡張可能バッグ、または油圧式拡張可バッグから選択される。
【0083】
一実施形態によれば、拡張可能装置は、手動ポンプまたは自動ポンプから選択されるポンプを備える。一実施形態によれば、ポンプは、空気ポンプまたは液体ポンプである。
【0084】
一実施形態によれば、拡張可能装置は、非粘着性被覆および/または断熱被覆を備える。
【0085】
一実施形態によれば、本方法は、膨張性発泡体を注入する前記ステップの前に、
‐断熱材料製の第1クロスピースを、前記第1断熱パネルおよび前記第2断熱パネルのうちの少なくとも一方と前記第1断熱パネルまたは前記第2断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルとの間に規定された領域に配置するステップであって、前記領域は前記パネル間スペースを横切り、前記クロスピースは、前記膨張性発泡体を注入し膨張させる前記ステップにおいて、前記パネル間スペースの第1側端部を閉鎖するように配置されるステップ、を備える。
【0086】
一実施形態によれば、領域は、第1断熱パネルと第2断熱パネルとの間、および、第1断熱パネルに隣り合う第3断熱パネルと第2断熱パネルに隣り合う第4断熱パネルとの間に規定される。
【0087】
一実施形態によれば、クロスピースは、4つのアームを備える。4つのアームは、第1断熱パネルと第2断熱パネルの間と、第2断熱パネルと第3断熱パネルとの間と、第3断熱パネルと第4断熱パネルとの間と、第4断熱パネルと第1断熱パネルとの間に、それぞれ配置される。
【0088】
一実施形態によれば、本方法は、膨張性発泡体を注入するステップの前に、
‐断熱材料製の第2クロスピースを、第1クロスピースと同様の態様で配置して、前記膨張性発泡体を注入し膨張させる前記ステップにおいて、パネル間スペースの第2側端部が閉鎖されるステップ、
を備える。
【0089】
一実施形態によれば、低温流体は、例えば、液化天然ガス(LNG)、水素、または液化石油ガス(LPG)である。好適には、低温流体は、極低温流体である。「低温」という表現は、例えば-20℃より低い温度、例えば-50℃、-163℃より低い温度を有する液体を意味する。
【0090】
一実施形態によれば、膨張性発泡体は、熱硬化性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーを備える。
【0091】
一実施形態によれば、膨張性発泡体は、ポリウレタン(PU)、ポリイソシアヌレート(PIR)から選択される成分を備える。
【0092】
これにより、パネル間断熱部の特性が、より効率的になる。実際に、ポリウレタンベースの膨張性発泡体は、優れた断熱性を有する。
【0093】
一実施形態によれば、膨張性発泡体は、低密度発泡体、すなわち30~70kg/mの密度を有する発泡体である。
【0094】
一実施形態によれば、膨張性発泡体の膨張は、重合反応により実施される。
【0095】
一実施形態によれば、重合反応は、セ氏10~150度(℃)、例えば10℃~100℃、好適には10℃~40℃の温度範囲で実施される。
【0096】
一実施形態によれば、インサート要素は、第1断熱パネルの第1側面の少なくとも50%、好適には少なくとも90%、例えば95%、または第1断熱パネルの第1側面全体を覆う。
【0097】
一実施形態によれば、底部ストリップは、パネル間スペースの下端部に向けて圧縮可能な材料を備える。
【0098】
一実施形態によれば、底部ストリップは、グラスウールまたはポリウレタン発泡体から選択される材料から構成される。底部ストリップは、好適には、ポリウレタン発泡体を備える。ポリウレタン発泡体は、コンクリートに付着するため、組立や製造から発生する不測の事態が回避されるという利点を有する。
【0099】
一実施形態によれば、第1側方ストリップおよび第2側方ストリップは、グラスウールまたはポリ(メタクリル酸メチル)を備える。ポリ(メチルメタクリレート)は、プレキシグラス(Plexiglas)(登録商標)という商品名で特に知られている。
【0100】
一実施形態によれば、保持ストリップは、グラスウールを備える。
【0101】
一実施形態によれば、インサート要素は、圧縮可能な断熱要素である。
【0102】
これらの特徴により、例えば熱収縮、熱膨張、または隆起を原因とする断熱パネル同士の相対的な移動が、前記圧縮可能な断熱要素の厚さ方向に膨張および収縮する能力を有する圧縮した圧縮可能な断熱要素の存在により、特に解消される。さらに、これらの特徴により、圧縮可能な断熱要素は、上流で圧縮されることなくパネル間スペースに挿入され、その挿入が容易になる。さらに、これらの特徴により、発泡体を膨張させるフェーズにおいて膨張性発泡体により及ぼされる圧力は、圧縮可能な断熱要素に対して向けられる。これにより、圧縮可能な断熱要素は圧縮する。
【0103】
一実施形態によれば、圧縮可能な断熱要素は、膨張性発泡体の膨張により及ぼされる圧力に対して、1ミリメートル(mm)超える、好適には2mmを超える、例えば1mm~10mmの厚さ方向における圧縮する能力を有する。
【0104】
これらの特徴により、隣り合う第1断熱パネルおよび/または第2断熱パネルの収縮および膨張という現象に対して、パネル間断熱部は、厚さ方向に膨張および/または圧縮し得る。
【0105】
一実施形態によれば、圧縮可能な断熱要素は、膨張性発泡体による圧縮前に、5mm~50mmの厚さ、好適には5mm~30mm、例えば10mmの厚さを有する。
【0106】
一実施形態によれば、圧縮可能な断熱要素は、第1断熱パネルの第1側面を覆うプレートの形状を有する。
【0107】
一実施形態によれば、前記圧縮可能な断熱要素は、グラスウールを備え、前記グラスウールは、前記膨張性発泡体を膨張させる前記ステップにおいて圧縮される。
【0108】
一実施形態によれば、前記インサート要素は、クラフト紙、非粘着性伸縮フィルム、または離型剤を備える。好適には、インサート要素は、クラフト紙を備える。一実施形態によれば、離型剤は、潤滑剤である。
【0109】
一実施形態によれば、パネル間スペースを断熱するための本方法は、第2インサート要素を、第2断熱パネルの第2側面に対して配置するステップをさらに備える。
【0110】
一実施形態によれば、第2インサート要素は、クラフト紙、非粘着性伸縮フィルム、または離型剤を備える。好適には、第2インサート要素は、クラフト紙を備える。
【0111】
これらの特徴により、インサート要素は、第1断熱パネルおよび/または第2断熱パネルの側面に付着することがない。したがって、特に断熱パネル同士が互いに対して相対移動した場合でも、膨張した発泡体が劣化するリスクが大幅に低減される。
【0112】
別の実施形態によれば、断熱パネルの予備製造ステップにおいて、圧縮可能な断熱要素は、第1断熱パネルの第1側面に対して取り付けられる。
【0113】
一実施形態によれば、前記第1断熱パネルまたは前記第2断熱パネルは断熱発泡体を備え、前記断熱発泡体は、シール膜を支持することが意図された第1合板プレートと支持体上に配置されることが意図された第2合板プレートとの間に挟まれる。
【0114】
一実施形態によれば、第1パネルおよび第2パネルの第1合板プレートは、例えば第1パネルまたは第2パネルに取り付けられたインサートに形成されたねじ付きボアを各々有する。カバーは、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルの第1合板プレートに対して、ねじ付きロッドを有する取付手段を介して取り付けられる。ねじ付きロッドは、カバーの側縁部に作製された孔、および第1断熱パネルまたは第2断熱パネルの第1合板プレートに作製されたねじ付きボアに各々係合する。
【0115】
一実施形態によれば、マスチック樹脂(ワニス)製ビードが、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルの第2合板プレートの周囲に連続的に置かれる。
【0116】
一実施形態によれば、前記区画化するステップは、
‐第1マスチック樹脂製ビードを前記第1断熱パネルの前記第2合板プレートの外面に置くステップであって、前記第1マスチック樹脂製ビードは、前記パネル間スペースに沿って連続的に延びるステップと、
‐第2マスチック樹脂製ビードを前記第2断熱パネルの前記第2合板プレートの外面に置くステップであって、前記第2マスチック樹脂製ビードは、前記パネル間スペースに沿って連続的に延びるステップと、
を備える。
【0117】
低温で流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの壁の第1断熱パネルと第2断熱パネルとの間に形成されたパネル間スペースを断熱するための上述の方法は、特に密閉断熱タンクの製造において実施される。このようなタンクは、例えば、文書FR2724623または文書FR2599468に記載されている。
【0118】
このようなタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵施設の一部を構成してもよいし、沿岸または深海の浮体構造物、特に液化ガス運搬船、浮体式貯蔵・再ガス化ユニット(FSRU)、遠隔浮体式製造・貯蔵ユニット(FPSO)等に設置してもよい。
【0119】
添付図面を参照しつつ非限定的な説示のみにより提供される本発明のいくつかの具体的な実施形態についての以下の説明を通じて、本発明はより良く理解され、その他の目的、詳細、特徴および利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1図1は、一実施形態によるパネル間スペースを断熱するための方法のステップを概略的に示す。
図2図2は、2つの隣り合う断熱パネル、および前記断熱パネル間に形成されたパネル間スペースに配置されることが意図された底部ストリップの斜視図である。
図3図3は、図2と同様の2つの隣り合う断熱パネルを、前記断熱パネル間に形成されたパネル間スペースに配置されることが意図されたインサート要素とともに示す斜視図である。
図4図4は、インサート要素を入れた後の、図3の軸II‐IIに沿った断面図である。
図5図5は、図2および図3と同様の2つの隣り合う断熱パネルを、前記断熱パネル間に形成パネル間スペースに配置されることが意図された2つの側方ストリップとともに示す斜視図である。
図6図6は、パネル間スペースを覆うカバーを取り付けた後の、2つの隣り合う断熱パネルの斜視図である。
図7図7は、一実施形態によりパネル間スペースが充填されている2つの隣り合う断熱パネルの斜視図である。
図8図8は、一実施形態による拡張状態にある拡張可能装置を備える4つの断熱パネルの交差領域の斜視図である。
図9図9は、図6の軸III‐IIIに沿った概略断面図である。
図10図10は、別の実施形態による、パネル間スペースを覆うカバーを取り付けた後の、対となって互いに対面して配置された6つの断熱パネルの上面図である。
図11図11は、2つの隣り合う断熱パネルを、別の実施形態によるシールを介して取り付けたカバーとともに示す断面図である。
図12図12は、変形実施形態によるカバーの上面図である。
図13図13は、図12に示すカバーの概略斜視図である。
図14図14は、別の実施形態によるマスチック樹脂製ビードを備えた2つの隣り合う断熱パネルの断面図である。
図15図15は、対となって互いに対面して配置された4つの断熱パネルであって、図14に示す実施形態によるマスチック樹脂製ビードを備える断熱パネルの底面図である。
図16図16は、別の実施形態による2つの隣り合う断熱パネルをパネル間スペースとともに示す上面図である。
図17図17は、領域IIIに位置する第1円形凹部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1は、パネル間スペース断熱方法のステップを示す。前記パネル間スペースは、低温で流体を貯蔵するための、具体的にはLNGを貯蔵するための密閉断熱タンクの壁の第1断熱パネルと第2断熱パネルとの間に形成されている。
【0122】
第1断熱パネルは、第2断熱パネルの第2側面に対面配置される第1側面を有している。パネル間スペースは、第1側面および第2側面により画定されている。
【0123】
ステップ100は、インサート要素をパネル間スペースに挿入するステップに対応する。例えばグラスウールやクラフト紙であるインサート要素は、第1断熱パネルの第1側面に対して(接触して)配置される。ステップ100を、特に図3および図4に示し、以下で詳細に説明する。
【0124】
図3は、隣り合う第1断熱パネル1および第2断熱パネル2を示す。前記第1断熱パネル1および第2断熱パネル2は、第1合板プレート4と第2合板プレート5との間に挟まれた、例えばポリウレタン発泡体である断熱発泡体3の層をそれぞれ備えている。第1合板プレート4はシール膜を支持することが意図されており、第2合板プレート5は例えばキャリアの壁である支持体に配置されることが意図されている。特に第1断熱パネル1および第2断熱パネル2が将来配置される支持体を平らにするように、マスチック樹脂製ビード6が、第2合板プレート5の外面に置かれている。他のタイプの断熱パネルを使用することも可能である。パネル間スペース7が、第1断熱パネル1と第2断熱パネルとの間の間隙により、より具体的には、第2断熱パネル2の第2側面9に対面配置された第1断熱パネル1の第1側面8により形成されている。パネル間スペース7の上方に、パネル間スペース7に挿入されることが意図されたインサート要素10も示されている。インサート要素10は、例えば、全体として矩形のグラスウール製プレート10またはクラフト紙製シートである。インサート要素10は、パネル間スペース7に入れた後に、第1側面8を覆うことを可能とする寸法を有している。インサート要素10は、第1側面8と第2側面9との間の間隙よりも小さい厚さを有している。図4は、インサート要素の挿入後における、図3の軸II‐IIに沿った断面図である。インサート要素10は、第1側面8に対して配置され、当該第1側面8を完全に覆っている。本方法のこの段階では、パネル間スペース7は、インサート要素10と第2側面9との間に位置する空のスペース、すなわち材料がないスペースを含んでいる。この空のスペースは、本断熱方法において、この後に膨張性発泡体で充填されることが意図されている。
【0125】
ステップ100の変形実施形態によれば、インサート要素10は、断熱パネルの予備製造ステップにおいて、第1断熱パネルの第1側面に対して取り付けられる。
【0126】
図1に示す次のステップ101は、膨張性発泡体を、インサート要素と第2断熱パネルの第2側面との間のパネル間スペースに、当該パネル間スペースを充填すべく注入するステップに対応する。膨張性発泡体は、例えばポリウレタンベースの発泡体である。この膨張性発泡体注入ステップにより、パネル間スペース7を充填することができる。
【0127】
次のステップ102は、膨張性発泡体を膨張させるステップである。インサート要素がグラスウール等の圧縮可能な断熱要素である場合、このステップにより、インサート要素を前記膨張性発泡体と第1パネルの第1側面との間で圧縮することができる。例えば、膨張性発泡体がポリウレタンをベースとする場合、化学重合反応を生じさせる。重合反応により、最初に注入した膨張性発泡体の体積を増加させることができる。この体積増大により、圧縮可能な断熱要素を第1断熱パネルの第1側面に対して厚さ方向に押し付けて圧縮させることができる。
【0128】
重合反応は、10℃~150℃の温度で5~60分間実施される。重合反応により、パネル間スペース7を充填すること、およびインサート要素10を第1面8に対して押し付けることができる。
【0129】
図2図7に示すように、パネル間スペースを断熱するための方法は、パネル間スペースを区画化するステップをさらに備えている。前記区画化ステップは、単独でも組み合わせても実施され得る複数の変形実施形態を有する。
【0130】
図2は、図3と同様に、2つの隣り合う断熱パネル1および2、ならびにパネル間スペース7を示している。インサート要素10は、この図2には示されていない。パネル間スペース7の上方に、パネル間スペース7に挿入される前の底部ストリップ11も示されている。底部ストリップ11は、矩形の平行六面体の全体形状を有している。図4は、パネル間スペース7に挿入された後の底部ストリップ11を示す。
【0131】
図4に示すように、区画化ステップは、底部ストリップ11をパネル間スペース7内にパネル間スペース7の第1下端部まで挿入するステップを含んでいる。このステップは、有利には、インサート要素10を挿入するステップの前に実施される。第1下端部は、第1断熱パネル1の第2合板プレート5と第2断熱パネル2の第2合板プレート5との間に位置するとともに、パネル間スペース7の底部を規定している。この第1下端部は、パネル間スペース7の長手方向において、パネル間スペース7の全長に亘って延びている。底部ストリップ11は、第1側面8と第2側面9との間の間隙に少なくとも等しい幅を有している。これにより、パネル間スペース7の底部が充填される。好適には、底部ストリップ11は、第1断熱パネル1の第1側面8と第2断熱パネル2の第2側面との間で圧縮されるとともに、パネル間スペースの下端部に向かって圧縮される。このような底部ストリップ11により、膨張性発泡体がパネル間スペース7の外部に、特に第2合板プレート5の外面を超えて流れ出ることを防止することができる。
【0132】
図5に示す実施形態において、区画化ステップは、第1側方ストリップ12および第2側方ストリップ13を挿入するステップを備えている。このステップは、インサート要素の挿入ステップの前または後に、好適にはインサート要素の挿入ステップの前に実施される。
【0133】
パネル間スペース7に挿入される前の第1側方ストリップ12および第2側方ストリップ13が、パネル間スペース7の上方に示されている。第1側方ストリップ12および第2側方ストリップ13は、矩形の平行六面体の全体形状を有するとともに、パネル間スペース7の長手方向を横切る方向において、断熱パネル1、2の全厚に亘って延びている。第1側方ストリップ12は、パネル間スペース7の第1側端部において挿入され、第2側方ストリップ13は、パネル間スペース7の第2側端部であって、第1側端部から距離を置いた第2側端部において挿入される。このような区画化ステップにより、膨張性発泡体を注入するステップにおいて、当該膨張性発泡体がパネル間スペース7の外部に、特にパネル間スペース7の第1側端部および第2側端部において流れ出ることを防止することができる。
【0134】
図6に示すように、区画化ステップは、膨張性発泡体の注入ステップの前段階として、パネル間スペース7をカバー14で覆うステップをさらに備えている。カバー14は、矩形プレートの形状を有し、第1断熱パネル1の第1合板プレート4と第2断熱パネル2の第1合板プレート4とをまたぐように配置され、パネル間スペースの全長に沿って延びている。これにより、パネル間スペース7の上面が覆われる。カバー14は、パネル間スペースに連通する開口15を含んでいる。開口15は円形である。そして、膨張性発泡体をパネル間スペース内に、インサート要素10と第2断熱パネル2の第2側面との間において注入することを可能にする。続いて、膨張性発泡体をパネル間スペースに注入すると、膨張性発泡体は膨張する(図6に図示せず)。膨張ステップの後、膨張した発泡体21は、前記パネル間スペースをインサート要素10と第2断熱パネル2の第2側面との間において充填するとともに、図9に示すように前記インサート要素10を押圧する。インサート要素が圧縮可能な断熱要素である場合、これも圧縮される。そして、図7に示すように、カバー14を取り外して、パネル間スペース全体を充填するとともに優れた断熱性を有するパネル間断熱部16を得る。したがって、パネル間断熱部16は、底部ストリップ11と、インサート要素10と、第1側方ストリップ12と、第2側方ストリップ13と、膨張した発泡体とから構成されている。
【0135】
図8に示す変形例によれば、本方法は、膨張性発泡体を注入するステップの前に、拡張可能装置17を所定位置に配置するステップを備える。図8は、隣り合う第1断熱パネル1と第2断熱パネル2と第3断熱パネル18と第4断熱パネル19とを含む4つの断熱パネルの間に位置する領域を示している。上述のパネル間スペース7および第1側方ストリップ12が図8に見える。上述のように、第1断熱パネル1は、第2断熱パネル2の第2側面に対面する第1側面を有し、パネル間スペース7が形成されている。第1断熱パネル1は、第3断熱パネル18の側面に対面する別の側面も有しており、第2パネル間スペースが形成されている。同様に、第2断熱パネル2も、第4断熱パネル19の側面に対面する別の側面を有しており、第3パネル間スペースが形成されている。同様に、第3断熱パネル18も、第4断熱パネル19の側面に対面する別の側面を有しており、第4パネル間スペースが形成されている。
【0136】
拡張可能装置17は、非拡張状態において、第1、第2、第3および第4断熱パネルの間に規定された領域に配置される。この領域は、パネル間スペース7を横切っている。すなわち、この領域は、連続する第2パネル間スペースおよび第3パネル間スペースにより形成されている。拡張可能装置17は、第1側方ストリップ12に対面配置される。次いで、拡張可能装置を、例えば手動ポンプであるポンプ20を使用して拡張させる。これにより、膨張性発泡体の注入ステップおよび膨張ステップにおいて、側方ストリップ12を固定された状態に保持することができ、パネル間スペース7への膨張性発泡体の注入前に組立や製造から発生する不測の事態をなくすことができる。
【0137】
図10は、2列に平行に配置された6つの断熱パネルの上面図である。各断熱パネル2の4つの側面の各々は、別の断熱パネルの側面に対向して配置されるとともにこれと整列している。図10は、隣り合う第1断熱パネル1と第2断熱パネル2との間のパネル間スペースを覆うカバー14を示す。本実施形態は、例えばクラフト紙である2つのインサート要素がパネル間スペースに配置されている点で、これまでの実施形態と異なる。第1インサート要素111は、第1断熱パネル1の第1側面に対して配置され、第2インサート要素112は、第2断熱パネル2の第2側面に対して配置されている。
【0138】
カバー14は、第1断熱パネル1および第2断熱パネル2に配置された取付手段30を介して取り付けられている。これにより、発泡体を膨張させるステップにおいてカバー14は密閉した態様で固定された状態に保持されるため、膨張性発泡体がカバー14を超えて溢れ出ることがない。
【0139】
本方法は、膨張性発泡体を注入するステップの前に、第1断熱パネル1と第2断熱パネル2と第3断熱パネル18と第4断熱パネル19との交差部に位置する第1クロスピース32を所定位置に配置するステップをさらに備える。第1クロスピース32は、上記断熱パネル18のうちの2つの間に形成されたパネル間スペースに各々挿入される4つのアームを備えている。第1クロスピース32は、パネル間スペースの第1側端部を閉鎖するように配置される。
【0140】
本方法は、第1クロスピースと同様に、第1断熱パネル1と第2断熱パネル2と第5断熱パネル28と第6断熱パネル29との交差部に位置する第2クロスピース33を所定位置に配置するステップをさらに備える。第2クロスピース33は、パネル間スペースの第2側端部を閉鎖するように配置される。本方法は、例えばグラスウール製の保持ストリップ31を挿入するステップをさらに備え、保持ストリップ31は、第1クロスピース32と第2クロスピース33との間に配置される。
【0141】
図11に示す変形実施形態によれば、カバー114は、取付手段を使用して、例えば、特に第1断熱パネルまたは第2断熱パネルの取り付けられたねじ付きインサートにねじ込まれ得るネジを使用して取り付けられている。カバー114は、第1断熱パネルの第1側面8の縁部に沿ってカバーの全長に亘って延びる第1シール131を介して、および第2断熱パネル2の第2側面9の縁部に沿ってカバーの全長に亘って延びる第2シール132を介して、第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに接している。第1シール131、第2シール132とカバー141との間の間隙は、余剰発泡体排出通路50を形成している。余剰発泡体排出通路50は、パネル間スペース断熱方法の実施中に余剰の発泡体を排出することが意図されている。
【0142】
さらに、非粘着性材料製のフィルム40が、膨張性発泡体と接触することが意図されたカバーの表面を覆っている。フィルム40は、例えばテフロン(登録商標)製、すなわちPTFE製である。
【0143】
したがって、膨張性発泡体が膨張して第1断熱パネル1および第2断熱パネル2の高さを超える高さに達した場合、当該高さを超える発泡体の体積により特徴付けられる余剰発泡体は、発泡体排出通路50を介して第1パネル1または第2パネル2の縁部付近に配置された容器(図示せず)に排出される。
【0144】
図12および図13は、本方法において使用され得るカバーの変形実施形態を示す。カバー115は、丸みを帯びた縁部を有する矩形の全体形状を有している。カバー115は、図6に示すものと同様の複数の開口15を備えている。開口15は、貫通開口であり、パネル間スペースに向けて開放している。開口15は、カバー115の長手方向において互いに間隔を空けている。開口15は、例えば20mmの直径を各々有している。膨張性発泡体の注入は、1つ以上の開口15を介して独立して実施され得る。開口15は、特に膨張性発泡体注入ステップの後に、発泡体をパネル間スペースに収容するようにプラグを使用して閉鎖され得る。
【0145】
カバー115は、複数の長円孔41も有している。これらの一部は異なる寸法を有している。長円孔41によりカバーはより軽量となるため、本方法を実施するオペレータの作業が容易になる。長円孔41は、貫通孔であり得るとともに、第1断熱パネルまたは第2断熱パネルの反対側に開放し得る。したがって、長円孔41は、パネル間スペースに開放していない。
【0146】
また、長円孔41により貫通通路が提供され得る。これにより、カバー115を第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに取付手段を使用して取り付けることができる。
【0147】
変形実施形態によれば、カバー115は、カバーの表面から突出する舌部34であって、膨張性発泡体と接触することが意図された舌部34を有している。このような舌部34によってパネル間スペースの容積が制限されることにより、発泡体がパネル間スペースを超えて溢れ出ることが防止される。
【0148】
図14および図15に示す別の変形実施形態によれば、特に図2図4図6、および図9に示す、パネル間スペース7に配置された底部ストリップ11に代えて、マスチック樹脂製ビードが用いられる。
【0149】
本変形実施形態において、第1マスチック樹脂製ビード42が、第1断熱パネル1の第2合板プレート5の外面に置かれる。第1マスチック樹脂製ビード42は、第1断熱パネル1に沿って、パネル間スペース7の近傍で連続的に延びている。これにより、膨張性発泡体が第1マスチック樹脂製ビード42を超えて伝搬することを防止する、特に膨張性発泡体が第1断熱パネルの下を大量に流れることを防止することが意図された第1バリアが形成される。
【0150】
第2マスチック樹脂製ビード43は、第2断熱パネル2の第2合板プレート5の外面に置かれる。第2マスチック樹脂製ビード43は、第2断熱パネル2に沿って、パネル間スペース7の近傍で連続的に延びている。これにより、膨張発泡体が第2マスチック樹脂製ビード43を超えて伝搬することを防止する、特に膨張性発泡体が第2断熱パネルの下を大量に流れることを防止することが意図された第2バリアが形成される。
【0151】
第1マスチック樹脂製ビード42と第2マスチック樹脂製ビード43との間の距離Dは、パネル間スペース7を形成する第1断熱パネル1の第1側面8と第2断熱パネル2の第2側面9との間の距離以上である。第1マスチック樹脂製ビード42および第2マスチック樹脂製ビード43は、パネル間スペース7の下方の側方制限部を規定するという特定の役割を有している。これにより、特に図2図4図6、および図9に示す底部ストリップ11と同様の態様で、膨張性発泡体がパネル間スペース7において膨張することができる。
【0152】
したがって、パネル間スペースに注入される膨張性発泡体は、一部が第1マスチック樹脂製ビード42と第2マスチック樹脂製ビード43との間に位置するスペースに収容され、一部がパネル間スペース7に収容されることとなる。
【0153】
次いで、膨張性発泡体は、上述の実施形態と同様の態様で膨張し、逆T字形のパネル間断熱部116が形成される。
【0154】
同一の構成が、図14に示す複数の隣り合う断熱パネルに、すなわち合板プレート5の周縁部を囲むように置かれたマスチック樹脂製ビードを各々備える4つの断熱パネルに適用され得る。
【0155】
カバーの取付の別の変形実施形態を図16および図17に示す。本実施形態において、第1断熱パネル1および第2断熱パネル2は、図4の第1断熱パネルおよび第2断熱パネルと以下の点において異なる。すなわち、第1断熱パネル1および第2断熱パネル2は、第1円形凹部44、45および第2円形凹部46、47を第1断熱パネルの第1側面8の縁部に沿って、および第2側面9の縁部に沿ってそれぞれ有している。カバー117は、円形凹部44、45毎に1つのアンカー要素51を備えるアンカーシステムを介して取り付けられている。図17において左に示す図は、第1凹部44に収容されて上昇位置にあるアンカー要素51を示す。アンカー要素51は、カバー117からのロッド52を備えている。ロッド52は、凹部44において長手方向に延びるとともに、センタリング円錐体55に取り付けられている。センタリング円錐体は、頂点が上方を向く円錐面であってカム面56を規定する円錐面を有している。アンカー要素51は、センタリング円錐体55のカム面56を取り囲む拡張可能な環状シール54も含んでいる。拡張可能な環状シール54は、本図において収縮状態で示されている。
【0156】
図17において右に示す図は、下降位置にあるアンカー要素51であって、カバー117およびシール133を第1断熱パネルおよび第2断熱パネルに対して固定しているアンカー要素51を示す。
【0157】
この目的のために、拡張可能な環状シール54は、ポンプ等の拡張システム(図示せず)を介して拡張されている。
【0158】
拡張可能な環状シール54の拡張により、センタリング円錐体55は、断熱パネル2の第2合板プレートに向かって下方に移動し、これによりカバー117が固定されるとともにシール133が圧縮される。
【0159】
発泡体を膨張させるステップの後、拡張可能な環状シール54を収縮させて、カバーおよびアンカーシステムを取り外すことができる。
【0160】
凹部44に挿入されたアンカー要素51に関するこの説明は、例えば、第1断熱パネル1の第1円形凹部45および第2円形凹部47、および第2断熱パネルの第2円形凹部46にそれぞれ挿入された各アンカー要素にも同様に適用可能である。
【0161】
密閉断熱タンクの壁のパネル間スペースを断熱するためのこのような方法は、複数のタイプのパネル間スペースを断熱するように容易に適合され得る。
【0162】
本発明をいくつかの特定の実施形態に関連して説明したが、本発明はこれに限定されるものではまったくない。また、説明した手段のすべての技術的等価物およびそれらの組み合わせが本発明の範囲に含まれるのであれば、それらも本発明に含まれることは明らかである。
【0163】
動詞「備える」(comprise)または「含む」(include)およびその活用形に使用は、請求項に記載された要素の他に、別の要素または別のステップの存在を排除するものではない。
【0164】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
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図4
図5
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図8
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【国際調査報告】