(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】配列決定用核酸ライブラリーの調製用キット及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20241008BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20241008BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20241008BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20241008BHJP
【FI】
C12M1/00 A ZNA
C12Q1/6806 Z
C40B40/06
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519676
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022077273
(87)【国際公開番号】W WO2023056366
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524120000
【氏名又は名称】シークウェル, インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド, ジャック ティー.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029AA27
4B029BB20
4B029CC01
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4B029GB10
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4B063QQ28
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4B063QQ62
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR42
4B063QR62
4B063QS08
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
本明細書は、核酸配列決定のための核酸ライブラリーを調製用キット及び方法に関する。より具体的には、本発明は、すべての工程を単一の反応容器で行うことによる、核酸ライブラリー調製用のより効率的なキット及び方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キットであって、
(a)DNAポリメラーゼを含む第1組成物、
(b)第2組成物であって、
(i)第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに
(ii)第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体、
を含み、マグネシウムイオンを含まない、第2組成物、並びに
(c)マグネシウムイオンであって、第3組成物中又は第1組成物中のいずれかにある、マグネシウムイオン、
を含む、キット。
【請求項2】
前記第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1アダプターバーコード領域を含み、及び
前記第2アダプターオリゴヌクレオチドは、第2ユニバーサルプライマー領域及び第2アダプターバーコード領域を含む、
請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1アダプタープライミング領域を含み、及び第2アダプターオリゴヌクレオチドは第2アダプタープライミング領域を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
(i)第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに
(ii)第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、
をさらに含み、
ここで、前記第1アダプターオリゴヌクレオチドの前記第1アダプタープライミング領域は、前記第1増幅オリゴヌクレオチドの前記第1増幅プライミング領域と相同であり、及び前記第2アダプターオリゴヌクレオチドの前記第2アダプタープライミング領域は、前記第2増幅オリゴヌクレオチドの前記第2増幅プライミング領域と相同である、
請求項3に記載のキット。
【請求項5】
第1反応容器中のシングルポット反応において、標的核酸を含む核酸サンプルからライブラリーを作製する方法であって、ここで、前記方法は、請求項2に記載のキットを用いて前記核酸サンプルを増幅し、
(a)前記第1ユニバーサルプライマー領域、前記第1アダプターバーコード領域、前記第1核酸フラグメントの相同配列、前記第2アダプターバーコード領域の相補配列、及び前記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列であって、前記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって前記核酸サンプルから作製される、核酸配列、並びに
(b)その相補配列、
を含む配列決定オリゴヌクレオチドを作製することを含み、
それによって前記ライブラリーを作製する、方法。
【請求項6】
(i)前記第1組成物、前記第2組成物、マグネシウムイオン、及び前記核酸サンプルを、前記第1反応容器中で組み合わせる工程、
(ii)前記核酸サンプル、前記第1シナプス複合体、及び前記第2シナプス複合体の間の転移反応において、
(a)前記第1ユニバーサルプライマー領域、前記第1アダプターバーコード領域、及び前記第1核酸フラグメントの相同配列、及び
(b)前記第2ユニバーサルプライマー領域、前記第2アダプターバーコード領域、及び前記第1核酸フラグメントの相補配列、
の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程、並びに
(iii)前記中間核酸及び前記DNAポリメラーゼを伴う重合反応において、前記配列決定オリゴヌクレオチドを作製する工程であって、ここで、前記重合反応は、一対の前記中間核酸を含む核酸二本鎖の3'末端を伸長して、前記配列決定オリゴヌクレオチドを作製する工程
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こり、及び/又は重合反応は、55-95℃の間の重合反応温度で起こる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間にわたって起こり、及び/又は前記重合反応は、1及び60分の間の第2反応時間にわたって起こる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記核酸サンプル、前記第1アダプターオリゴヌクレオチド、前記第2アダプターオリゴヌクレオチド、前記一対の中間核酸、及び/又は前記配列決定オリゴヌクレオチドは、DNAを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1反応容器中のライブラリーを、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応において増幅することをさらに含み、並びに、前記第1ユニバーサルプライマーは、前記第1ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、及び、前記第2ユニバーサルプライマーは、前記第2ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、それによって増幅ライブラリーを作製する、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記ライブラリー、前記第1ユニバーサルプライマー、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、DNAを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからライブラリーを作製する方法であって、前記方法は、請求項4に記載のキットを用いて前記核酸サンプルを増幅し、
(a)前記第1ユニバーサルプライマー領域、前記第1増幅バーコード領域、前記第1増幅プライミング領域、前記第1核酸フラグメントの相同配列、前記第2増幅プライミング領域の相補配列、前記第2増幅バーコード領域の相補配列、及び前記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列であって、ここで、前記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって前記核酸サンプルから作製される、核酸配列、並びに
(b)その相補配列、
を含むアンプリコンを作製することを含み、
それによって前記ライブラリーを作製する、方法。
【請求項14】
(i)前記第1組成物、前記第2組成物、マグネシウムイオン、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、前記第2増幅オリゴヌクレオチド、及び前記核酸サンプルを、前記第1反応容器中で組み合わせる工程、
(ii)前記核酸サンプル、前記第1シナプス複合体、及び前記第2シナプス複合体の間の転移反応において、
(a)前記第1アダプタープライミング領域及び前記第1核酸フラグメントの相同配列、及び
(b)前記第2アダプタープライミング領域及び前記第1核酸フラグメントの相補配列、
の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程、並びに
(iii)一対の前記中間核酸、DNAポリメラーゼ、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、及び前記第2増幅オリゴヌクレオチドを用いるPCR反応において、アンプリコンを作製する工程、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記転移反応は、5及び30分の間の第1反応時間にわたって起こる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記PCR反応は、1-35サイクルを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸サンプル、前記第1アダプターオリゴヌクレオチド、前記第2アダプターオリゴヌクレオチド、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、前記第2増幅オリゴヌクレオチド、前記中間核酸、及び/又は前記アンプリコンは、DNAを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1反応容器中のライブラリーを、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応において増幅することをさらに含み、並びに、前記第1ユニバーサルプライマーは、前記第1ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、前記第2ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、それによって増幅ライブラリーを作製する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記ライブラリー、前記第1ユニバーサルプライマー、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、DNAを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからアンプリコンを含むライブラリーを作製する方法であって、以下を含む方法。
I.前記第1反応容器において、
(a)マグネシウムイオン、
(b)DNAポリメラーゼ、
(c)第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、及び第1アダプタープライミング領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、
(d)第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、及び第2アダプタープライミング領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、
(e)第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに
(f)第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、
を組み合わせる工程であって、
ここで、前記第1アダプタープライミング領域は、前記第1増幅プライミング領域に相同であり、及び前記第2アダプタープライミング領域は、前記第2増幅プライミング領域に相同である、工程、
II.前記核酸サンプル、前記第1シナプス複合体、及び前記第2シナプス複合体の間の転移反応において、
(a)前記第1アダプタープライミング領域及び第1核酸フラグメントの相同配列、及び
(b)前記第2アダプタープライミング領域及び前記第1核酸フラグメントの相補配列、
の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、前記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって前記核酸サンプルから作製される、工程、並びに
III.一対の前記中間核酸、前記DNAポリメラーゼ、前記第1増幅オリゴヌクレオチド及び前記第2増幅オリゴヌクレオチドを含むPCR反応において、前記アンプリコンを作製する工程であって、
ここで、前記アンプリコンは、
(a)前記ユニバーサルプライマー領域、前記第1増幅バーコード領域、前記第1増幅プライミング領域、前記第1核酸フラグメントの相同配列、前記第2増幅プライミング領域の相補配列、前記第2増幅バーコード領域の相補配列、及び前記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに
(b)その相補配列、
を含む、工程。
【請求項23】
前記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
転移反応は、5及び30分の間の第1反応時間にわたって起こる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記PCR反応は、1-35サイクルを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記核酸サンプル、前記第1アダプターオリゴヌクレオチド、前記第2アダプターオリゴヌクレオチド、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、及び前記第2増幅オリゴヌクレオチド、前記一対の中間核酸、並びに前記アンプリコンは、DNAを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1反応容器中のライブラリーを、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応において増幅することをさらに含み、並びに、前記第1ユニバーサルプライマーは、前記第1ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、前記第2ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、それによって増幅ライブラリーを作製する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記ライブラリー、前記第1ユニバーサルプライマー、及び前記第2ユニバーサルプライマーはDNAを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルから配列決定オリゴヌクレオチドを含むライブラリーを作製する方法であって、以下を含む方法。
I.前記第1反応容器において、
(a)マグネシウムイオン、
(b)DNAポリメラーゼ、
(c)第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、並びに第1ユニバーサルプライマー領域及び第1アダプターバーコード領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、並びに
(d)第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、並びに第2ユニバーサルプライマー領域及び第2アダプターバーコード領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、
を組み合わせる、工程、
II.前記核酸サンプル、前記第1シナプス複合体、及び前記第2シナプス複合体の間の転移反応において、
(a)前記第1ユニバーサルプライマー領域、前記第1アダプターバーコード領域、及び第1核酸フラグメントの相同配列、及び
(b)前記第2ユニバーサルプライマー領域、前記第2アダプターバーコード領域、及び前記第1核酸フラグメントの相補配列、
の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、前記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって前記核酸サンプルから作製される、工程、並びに
III.一対の前記中間核酸及び前記DNAポリメラーゼを含む重合反応において、前記配列決定オリゴヌクレオチドを作製する工程であって、、ここで、前記重合反応は、前記一対の中間核酸を含む核酸二本鎖の3'末端を伸長して、前記配列決定オリゴヌクレオチドを作製し、
ここで、前記配列決定オリゴヌクレオチドは、
(a)前記第1ユニバーサルプライマー領域、前記第1アダプターバーコード領域、第1核酸フラグメントの相同配列、前記第2アダプターバーコード領域の相補配列、及び前記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに
(b)その相補配列、
を含む、工程。
【請求項31】
前記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こり、及び/又は前記重合反応は、55-95℃の間の重合反応温度で起こる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間にわたって起こり、及び/又は前記重合反応は、1及び60分の間の第2反応時間にわたって起こる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記核酸サンプル、前記第1アダプターオリゴヌクレオチド、前記第2アダプターオリゴヌクレオチド、前記一対の中間核酸、及び前記配列決定オリゴヌクレオチドは、DNAを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(i)第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、及び
(ii)第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、
をさらに含み、
ここで、前記第1アダプターオリゴヌクレオチドの前記第1アダプタープライミング領域は、前記第1増幅オリゴヌクレオチドの前記第1増幅プライミング領域に相同であり、前記第2アダプターオリゴヌクレオチドの前記第2アダプタープライミング領域は、前記第2増幅オリゴヌクレオチドの前記第2増幅プライミング領域に相同である、
請求項3に記載のキット。
【請求項36】
第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからライブラリーを作製する方法であって、ここで、前記方法は、請求項35に記載のキットを用いて前記核酸サンプルを増幅し、
(a)前記第1ユニバーサルプライマー領域、前記第1増幅プライミング領域、前記第1核酸フラグメントの相同配列、前記第2増幅プライミング領域の相補配列、及び前記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列であって、ここで、前記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって前記核酸サンプルから作製される、核酸配列、並びに
(b)その相補配列、
を含むアンプリコンを作製することを含み、
それによって前記ライブラリーを作製する、方法。
【請求項37】
(i)前記第1組成物、前記第2組成物、マグネシウムイオン、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、前記第2増幅オリゴヌクレオチド、及び前記核酸サンプルを、前記第1反応容器中で組み合わせる工程、
(ii)前記核酸サンプル、前記第1シナプス複合体、及び前記第2シナプス複合体の間の転移反応において、
(a)前記第1アダプタープライミング領域及び前記第1核酸フラグメントの相同配列、及び
(b)前記第2アダプタープライミング領域及び前記第1核酸フラグメントの相補配列、
の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程、並びに
(iii)一対の中間核酸、DNAポリメラーゼ、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、及び前記第2増幅オリゴヌクレオチドを用いたPCR反応において、前記アンプリコンを作製する工程、
をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記転移反応は、5及び30分の間の第1反応時間にわたって起こる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記PCR反応は、1-35サイクルを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記核酸サンプル、前記第1アダプターオリゴヌクレオチド、前記第2アダプターオリゴヌクレオチド、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、前記第2増幅オリゴヌクレオチド、前記中間核酸、及び/又は前記アンプリコンは、DNAを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1反応容器中のライブラリーを、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応において増幅することをさらに含み、並びに、前記第1ユニバーサルプライマーは、前記第1ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、前記第2ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、それによって増幅ライブラリーを作製する、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記ライブラリー、前記第1ユニバーサルプライマー、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、DNAを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからアンプリコンを含むライブラリーを作製する方法であって、以下を含む方法。
I.前記第1反応容器において、
(a)マグネシウムイオン、
(b)DNAポリメラーゼ、
(c)第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、及び第1アダプタープライミング領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、
(d)第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、及び第2アダプタープライミング領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、
(e)第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに
(f)第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、
を組み合わせる工程であって、
ここで、前記第1アダプタープライミング領域は、前記第1増幅プライミング領域に相同であり、及び前記第2アダプタープライミング領域は、前記第2増幅プライミング領域に相同である、工程、
II.前記核酸サンプル、前記第1シナプス複合体、及び前記第2シナプス複合体の間の転移反応において、
(a)前記第1アダプタープライミング領域及び第1核酸フラグメントの相同配列、及び
(b)前記第2アダプタープライミング領域及び前記第1核酸フラグメントの相補配列、
の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、前記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって前記核酸サンプルから作製される、工程、並びに
III.一対の前記中間核酸、前記DNAポリメラーゼ、前記第1増幅オリゴヌクレオチド及び前記第2増幅オリゴヌクレオチドを含むPCR反応において、前記アンプリコンを作製する工程であって、
ここで、前記アンプリコンは、
(a)前記ユニバーサルプライマー領域、前記第1増幅プライミング領域、前記第1核酸フラグメントの相同配列、前記第2増幅プライミング領域の相補配列、及び前記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに
(b)その相補配列、
を含む、工程。
【請求項46】
前記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
転移反応は、5及び30分の間の第1反応時間にわたって起こる、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記PCR反応は、1-35サイクルを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記核酸サンプル、前記第1アダプターオリゴヌクレオチド、前記第2アダプターオリゴヌクレオチド、前記第1増幅オリゴヌクレオチド、及び前記第2増幅オリゴヌクレオチド、前記一対の中間核酸、並びに前記アンプリコンは、DNAを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1反応容器中のライブラリーを、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応において増幅することをさらに含み、並びに、前記第1ユニバーサルプライマーは、前記第1ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、及び前記第2ユニバーサルプライマーは、前記第2ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、それによって増幅ライブラリーを作製する、請求項45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含有し、その全体が参照により本出願に組み込まれる。2022年9月27日に作成された前述のXMLコピーは、51178-011WO2_Sequence_Listing_9_27_22と命名され、94,151バイトのサイズである。
【背景技術】
【0002】
核酸配列決定には、1つ又は複数の核酸サンプルから核酸ライブラリーを調製することが含まれる。次世代配列決定に使用される核酸ライブラリーの調製方法には、長い核酸サンプルを使用する配列決定方法に適した長さにフラグメント化することと、DNA配列決定のためのアダプター核酸を付加し、識別及び解析のために各ライブラリーフラグメントに1つ又は複数の短い識別(例えば、バーコード)配列をタグ付けすることの両方が必要とされることがある。これらの方法は、その間に必要とされる精製とともに、複数の工程を含んでもよく、これは調製時間を増加させるだけでなく、最終的な配列決定結果に誤差をもたらし得る。ここで提供されるのは、この問題に対処するためのキット及び方法である。
【発明の概要】
【0003】
典型的には、本発明は、次世代シーケンシング(NGS)技術による核酸配列決定に適した核酸ライブラリーの調製用キット及び方法に関する。
【0004】
一態様において、本発明は、キットを提供する。上記キットは、DNAポリメラーゼを含む第1組成物、第2組成物であって、第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体を含み、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)を含まない、第2組成物、並びに、マグネシウムイオンであって、第3組成物中又は第1組成物中のいずれかにある、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、上記第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1アダプターバーコード領域を含み、及び上記第2アダプターオリゴヌクレオチドは、第2ユニバーサルプライマー領域及び第2アダプターバーコード領域を含む。
【0006】
一態様において、本発明は、第1反応容器中のシングルポット反応において、標的核酸を含む核酸サンプルからライブラリーを作製する方法を特徴とする。上記方法は、本明細書に記載のキットを用いて上記核酸サンプルを増幅し、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1アダプターバーコード領域、上記第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2アダプターバーコード領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに上記核酸配列の相補配列を含む配列決定オリゴヌクレオチドを作製し、それによって上記ライブラリーを作製することを含む。上記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される。
【0007】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記第1組成物、上記第2組成物、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、及び上記核酸サンプルを、上記第1反応容器中で組み合わせる工程、上記核酸サンプル、上記第1シナプス複合体、及び上記第2シナプス複合体の間の転移反応において、(a)上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1アダプターバーコード領域、及び上記第1核酸フラグメントの相同配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域、上記第2アダプターバーコード領域、及び上記第1核酸フラグメントの相補配列、の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程、並びに、上記中間核酸及び上記DNAポリメラーゼを伴う重合反応において、上記配列決定オリゴヌクレオチドを作製する工程であって、ここで、上記重合反応が、一対の上記中間核酸を含む核酸二本鎖の3'末端を伸長して、上記配列決定オリゴヌクレオチドを作製する工程、をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度(例えば、35-65℃、40-65℃の間、45-65℃の間、50-65℃の間、55-65℃の間、60-65℃の間、25-60℃の間、25-55℃の間、25-50℃の間、25-45℃の間、25-40℃の間、25-35℃の間、25-30℃の間、40-50℃の間、又は53-57℃の間、例えば、約25℃で、約30℃で、約35℃で、約40℃で、約45℃で、約50℃で、約53℃で、約54℃で、約55℃で、約56℃で、約57℃で、約60℃で、又は約65℃)で起こり、及び/又は重合反応は、55-95℃の間の重合反応温度(例えば、60-95℃の間、65-95℃の間、70-95℃の間、75-95℃の間、80-95℃の間、85-95℃の間、90-95℃の間、55-90℃の間、55-85℃の間、55-80℃の間、55-75℃の間、55-70℃の間、55-65℃の間、55-60℃の間、65-85℃の間、70-80℃の間、73-77℃の間、例えば、約55℃で、約60℃で、約65℃で、約70℃で、約73℃で、約74℃で、約75℃で、約76℃で、約77℃で、約80℃で、約85℃で、約90℃で、約95℃)で起こる。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間(例えば、1及び25分の間1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、10及び30分の間、15及び30分の間、20及び30分の間、25及び30分の間、10及び20分の間、15及び25分の間、例えば、約1分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、又は約30分)にわたって起こり、及び/又は上記重合反応は、1及び60分の間の第2反応時間(例えば、1及び55分の間、1及び50分の間、1及び45分の間、1及び40分の間、1及び35分の間、1及び30分の間、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、10及び60分の間、15及び60分の間、20及び60分の間、25及び60分の間、30及び60分の間、35及び60分の間、40及び60分の間、45及び60分の間、50及び60分の間、55及び60分の間、15及び35分の間、30及び50分の間、10及び20分の間、20及び40分の間、又は13及び17分の間、例えば、約1分、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、又は約60分)にわたって起こる。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプル、上記第1アダプターオリゴヌクレオチド、上記第2アダプターオリゴヌクレオチド、上記一対の中間核酸、及び/又は上記配列決定オリゴヌクレオチドは、DNAを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記第1反応容器中のライブラリーを、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応において増幅することをさらに含み、並びに、上記第1ユニバーサルプライマーは、上記第1ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、及び、上記第2ユニバーサルプライマーは、上記第2ユニバーサルプライマー領域と相同な配列を含み、それによって増幅ライブラリーを作製する。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記ライブラリー、上記第1ユニバーサルプライマー、及び上記第2ユニバーサルプライマーは、DNAを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、上述のキットにおいて、上記第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1アダプタープライミング領域を含み、及び第2アダプターオリゴヌクレオチドは第2アダプタープライミング領域を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記キットは、第1ユニバーサルプライマー領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに第2ユニバーサルプライマー領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、をさらに含み、ここで、上記第1アダプターオリゴヌクレオチドの上記第1アダプタープライミング領域は、上記第1増幅オリゴヌクレオチドの上記第1増幅プライミング領域と相同であり、及び上記第2アダプターオリゴヌクレオチドの上記第2アダプタープライミング領域は、上記第2増幅オリゴヌクレオチドの上記第2増幅プライミング領域と相同である。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記キットは、第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに、第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、をさらに含み、ここで、上記第1アダプターオリゴヌクレオチドの上記第1アダプタープライミング領域は、上記第1増幅オリゴヌクレオチドの上記第1増幅プライミング領域と相同であり、及び上記第2アダプターオリゴヌクレオチドの上記第2アダプタープライミング領域は、上記第2増幅オリゴヌクレオチドの上記第2増幅プライミング領域と相同である。
【0017】
一態様において、本発明は、第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからライブラリーを作製する方法を特徴とする。上記方法は、本明細書に記載のキットを用いて上記核酸サンプルを増幅し、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1増幅プライミング領域、上記第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2増幅プライミング領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、及びその相補配列を含み、それによって上記ライブラリーを作製する。第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される。
【0018】
一態様において、本発明は、第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからライブラリーを作製する方法を特徴とする。上記方法は、本明細書に記載のキットを用いて上記核酸サンプルを増幅し、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1バーコード領域、上記第1増幅プライミング領域、上記第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2増幅プライミング領域の相補配列、上記第2バーコード領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、及びその相補配列を含み、それによって上記ライブラリーを作製する。第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記方法は、上記第1組成物、上記第2組成物、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、上記第1増幅オリゴヌクレオチド、上記第2増幅オリゴヌクレオチド、及び上記核酸サンプルを、上記第1反応容器中で組み合わせる工程、上記核酸サンプル、上記第1シナプス複合体、及び上記第2シナプス複合体の間の転移反応において、上記第1アダプタープライミング領域及び上記第1核酸フラグメントの相同配列、並びに、上記第2アダプタープライミング領域及び上記第1核酸フラグメントの相補配列、の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程、並びに、一対の中間核酸、DNAポリメラーゼ、上記第1増幅オリゴヌクレオチド、及び上記第2増幅オリゴヌクレオチドを用いたPCR反応において、上記アンプリコンを作製する工程、をさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度(例えば、35-65℃の間、40-65℃の間、45-65℃の間、50-65℃の間、55-65℃の間、60-65℃の間、25-60℃の間、25-55℃の間、25-50℃の間、25-45℃の間、25-40℃の間、25-35℃の間、25-30℃の間、40-50℃の間、又は53-57℃の間、例えば、約25℃で、約30℃で、約35℃で、約40℃で、約45℃で、約50℃で、約53℃で、約54℃で、約55℃で、約56℃で、約57℃で、約60℃で、又は約65℃)で起こる。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間(例えば、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、1及び5分の間、5及び10分の間、5及び20分の間、5及び30分の間、10及び30分の間、15及び30分の間、20及び30分の間、25及び30分の間、10及び20分の間、15及び25分の間、例えば、約1分、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、又は約30分)にわたって起こる。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記PCR反応は、1-35サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35サイクル)を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプル、上記第1アダプターオリゴヌクレオチド、上記第2アダプターオリゴヌクレオチド、上記第1増幅オリゴヌクレオチド、上記第2増幅オリゴヌクレオチド、上記中間核酸、及び/又は上記アンプリコンは、DNAを含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む。
【0025】
一態様において、本発明は、上記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからアンプリコンを含むライブラリーを作製する方法を特徴とする。本方法は、上記第1反応容器において、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、DNAポリメラーゼ、第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、及び第1アダプタープライミング領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、及び第2アダプタープライミング領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに、第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、を組み合わせる工程であって、ここで、上記第1アダプタープライミング領域は、上記第1増幅プライミング領域に相同であり、及び上記第2アダプタープライミング領域は、上記第2増幅プライミング領域に相同である工程、を含む。上記方法はさらに、上記核酸サンプル、上記第1シナプス複合体、及び上記第2シナプス複合体の間の転移反応において、上記第1アダプタープライミング領域及び第1核酸フラグメントの相同配列、並びに、上記第2アダプタープライミング領域及び上記第1核酸フラグメントの相補配列、の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、上記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖が、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される工程、を含む。上記方法はさらに、一対の上記中間核酸、上記DNAポリメラーゼ、上記第1増幅オリゴヌクレオチド及び上記第2増幅オリゴヌクレオチドを含むPCR反応において、上記アンプリコンを作製する工程であって、ここで、上記アンプリコンは、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1増幅プライミング領域、上記第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2増幅プライミング領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに、その相補配列を含む工程、を含む。
【0026】
一態様において、本発明は、上記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからアンプリコンを含むライブラリーを作製する方法を特徴とする。本方法は、上記第1反応容器において、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、DNAポリメラーゼ、第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、並びに、第1アダプタープライミング領域及び第1アダプターバーコード領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、並びに、第2アダプタープライミング領域及び第2アダプターバーコード領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに、第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、を組み合わせる工程であって、ここで、上記第1アダプタープライミング領域は、上記第1増幅プライミング領域に相同であり、及び上記第2アダプタープライミング領域は、上記第2増幅プライミング領域に相同である工程、を含む。上記方法はさらに、上記核酸サンプル、上記第1シナプス複合体、及び上記第2シナプス複合体の間の転移反応において、上記第1アダプタープライミング領域、上記第1アダプターバーコード領域及び第1核酸フラグメントの相同配列、並びに、上記第2アダプタープライミング領域、上記第2アダプターバーコード領域、及び上記第1核酸フラグメントの相補配列、の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、上記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖が、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される工程、を含む。上記方法はさらに、一対の上記中間核酸、上記DNAポリメラーゼ、上記第1増幅オリゴヌクレオチド及び上記第2増幅オリゴヌクレオチドを含むPCR反応において、上記アンプリコンを作製する工程であって、ここで、上記アンプリコンは、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1増幅プライミング領域、第1アダプターバーコード領域、上記第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2アダプターバーコード領域の相補配列、上記第2増幅プライミング領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに、その相補配列、を含む工程、を含む。
【0027】
一態様において、本方法は、上記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルからアンプリコンを含むライブラリーを作製する方法を特徴とする。本方法は、上記第1反応容器において、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、DNAポリメラーゼ、第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、及び第1アダプタープライミング領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、及び第2アダプタープライミング領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに、第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、を組み合わせる工程であって、ここで、上記第1アダプタープライミング領域は、上記第1増幅プライミング領域に相同であり、及び上記第2アダプタープライミング領域は、上記第2増幅プライミング領域に相同である工程、を含む。上記方法はさらに、上記核酸サンプル、上記第1シナプス複合体、及び上記第2シナプス複合体の間の転移反応において、上記第1アダプタープライミング領域及び第1核酸フラグメントの相同配列、並びに、上記第2アダプタープライミング領域及び上記第1核酸フラグメントの相補配列、の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、上記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖が、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される工程、を含む。上記方法はさらに、一対の上記中間核酸、上記DNAポリメラーゼ、上記第1増幅オリゴヌクレオチド及び上記第2増幅オリゴヌクレオチドを含むPCR反応において、上記アンプリコンを作製する工程であって、ここで、上記アンプリコンは、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1増幅バーコード領域、上記第1増幅プライミング領域、上記第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2増幅プライミング領域の相補配列、上記第2増幅バーコード領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに、その相補配列、を含む工程、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度で起こる。
【0029】
いくつかの実施形態において、転移反応は、5及び30分の間の第1反応時間(例えば、5及び25分の間、5及び20分の間、5及び15分の間、5及び10分の間、10及び30分の間、15及び30分の間、20及び30分の間、25及び30分の間、10及び20分の間、15及び25分の間、例えば、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、又は約30分)にわたって起こる。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記PCR反応は、1-35サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35サイクル)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプル、上記第1アダプターオリゴヌクレオチド、上記第2アダプターオリゴヌクレオチド、上記第1増幅オリゴヌクレオチド、及び上記第2増幅オリゴヌクレオチド、上記一対の中間核酸、並びに上記アンプリコンは、DNAを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む。
【0033】
一態様において、本発明は、上記第1反応容器中のシングルポット反応において核酸サンプルから配列決定オリゴヌクレオチドを含むライブラリーを作製する方法を特徴とする。本方法は、上記第1反応容器において、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、DNAポリメラーゼ、第1転移酵素を含む第1シナプス複合体、並びに第1ユニバーサルプライマー領域及び第1アダプターバーコード領域を含む第1アダプターオリゴヌクレオチド、並びに、第2転移酵素を含む第2シナプス複合体、並びに第2ユニバーサルプライマー領域及び第2アダプターバーコード領域を含む第2アダプターオリゴヌクレオチド、を組み合わせる工程、を含む。上記方法はさらに、上記核酸サンプル、上記第1シナプス複合体、及び上記第2シナプス複合体の間の転移反応において、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1アダプターバーコード領域、及び第1核酸フラグメントの相同配列、並びに、上記第2ユニバーサルプライマー領域、上記第2アダプターバーコード領域、及び上記第1核酸フラグメントの相補配列、の核酸配列を含む中間核酸を作製する工程であって、ここで、上記第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖が、転移酵素活性によって上記核酸サンプルから作製される工程、を含む。本方法はさらに、一対の上記中間核酸及び上記DNAポリメラーゼを伴う重合反応において、上記配列決定オリゴヌクレオチドを作製する工程であって、、ここで、上記重合反応が、上記一対の中間核酸を含む核酸二本鎖の3'末端を伸長して、上記配列決定オリゴヌクレオチドを作製し、ここで、上記配列決定オリゴヌクレオチドは、上記第1ユニバーサルプライマー領域、上記第1アダプターバーコード領域、第1核酸フラグメントの相同配列、上記第2アダプターバーコード領域の相補配列、及び上記第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに、その相補配列、を含む工程、を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、上記転移反応は、25-65℃の間の転移反応温度(例えば、35-65℃の間、40-65℃の間、45-65℃の間、50-65℃の間、55-65℃の間、60-65℃の間、30-60℃の間、30-55℃の間、30-50℃の間、30-45℃の間、30-40℃の間、30-35℃の間、35-55℃の間、40-50℃の間、又は53-57℃の間、例えば、約30℃で、約35℃で、約40℃で、約45℃で、約50℃で、約53℃で、約54℃で、約55℃で、約56℃で、約57℃で、約60℃で、又は約65℃)で起こり、及び/又は上記重合反応は、55-95℃の間の重合反応温度(例えば、60-95℃の間、65-95℃の間、70-95℃の間、75-95℃の間、80-95℃の間、85-95℃の間、90-95℃の間、55-90℃の間、55-85℃の間、55-80℃の間、55-75℃の間、55-70℃の間、55-65℃の間、55-60℃の間、65-85℃の間、70-80℃の間、73-77℃の間、例えば、約55℃で、約60℃で、約65℃で、約70℃で、約73℃で、約74℃で、約75℃で、約76℃で、約77℃で、約80℃で、約85℃で、約90℃で、約95℃)で起こる。
【0035】
いくつかの実施形態において上記転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間にわたって起こり、及び/又は上記重合反応は、1及び60分の間の第2反応時間(例えば、1及び55分の間、1及び50分の間、1及び45分の間、1及び40分の間、1及び35分の間、1及び30分の間、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、1及び5分の間、5及び10分の間、10及び60分の間、15及び60分の間、20及び60分の間、25及び60分の間、30及び60分の間、35及び60分の間、40及び60分の間、45及び60分の間、50及び60分の間、55及び60分の間、15及び35分の間、30及び50分の間、10及び20分の間、20及び40分の間、又は13及び17分の間、例えば、約1分、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、又は約60分)にわたって起こる。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプル、上記第1アダプターオリゴヌクレオチド、上記第2アダプターオリゴヌクレオチド、上記一対の中間核酸、及び上記配列決定オリゴヌクレオチドは、DNAを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含む。
【0038】
定義:
以下の定義は、本発明の開示において使用される特定の用語について提供される。
【0039】
「約」という用語は、本明細書において、言及された値の±10%を指す。
【0040】
「アダプター」又は「アダプターオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸を増幅又はDNA配列決定に適するように修飾するために使用される任意の核酸を意味する。いくつかの例において、アダプターは、転移酵素モザイク末端(ME)配列として知られる転移酵素を結合するための核酸配列を含んでもよい。いくつかの例において、アダプターは、DNA配列決定に使用される核酸配列と相同又は相補的な核酸配列を含んでもよい。いくつかの例において、アダプターはバーコード配列(例えば、バーコード領域)を含んでもよい。いくつかの例において、アダプターは増幅のための核酸配列を含んでもよい。いくつかの例において、アダプターは可溶性分子足場に結合していてもよい。
【0041】
「増幅させる」又は「増幅」とは、核酸分子のコピーを作成する行為又は方法を意味する。いくつかの例において、増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はリガーゼ連鎖反応(LCR)を用いて達成されてもよい。他の例において、増幅は1回より多くのポリメラーゼ連鎖反応、例えば、2回のポリメラーゼ連鎖反応を用いて達成されてもよい。いくつかの例において、PCRは1組又は複数組の配列決定オリゴヌクレオチド及び/又は1組又は複数組のバーコードオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて実施してもよい。.
【0042】
「バーコード」とは、対応するサンプルを同定することを可能にするものであってもよい、ユニークなオリゴヌクレオチド配列を意味する。いくつかの実施形態において、核酸配列は長めの核酸配列の特定の位置にあってもよい。
【0043】
「相補」又は「相補的」配列とは、第2核酸の配列に対する第1核酸の配列を意味し、第1及び第2核酸が互いに反平行に整列(第1核酸の5'末端を第2核酸の3'末端に一致させ、その逆も同様)している場合、それらの配列の各位置のヌクレオチド塩基は、ロック・アンド・キーの原理(すなわち、AはU又はTと対になり、GはCと対になる)に従って相補的な構造を有する。相補配列は、最大でヌクレオチド塩基の3分の1までのミスマッチを含んでもよい。例えば、長さが9塩基の2つの配列は、最大3塩基、最大2塩基、最大1塩基、又は最大でも0塩基のミスマッチがあってもよく、互いに相補的であり続ける。
【0044】
「挟む」とは、3つの核酸領域の相対的な位置を意味する。第1及び第2領域が第3核酸領域のすぐ上流及び下流にある場合、第1及び第2核酸領域は第3核酸領域を挟むと言われる。
【0045】
「相同」とは、実質的に同じ配列を有することを意味する。相同配列は、ヌクレオチド塩基の最大3分の1まで異なっていてもよい。例えば、長さが9塩基の2つの配列は、最大3塩基、最大2塩基、最大1塩基、又は最大0塩基の違いがあってもよく、それでも互いに相同である。
【0046】
「ハイブリダイゼーション」とは、2つの一本鎖核酸が塩基対形成によって非共有結合し、安定な二本鎖核酸を形成するプロセスを意味する。ハイブリダイゼーションは、2つの核酸の全長にわたって起こってもよく、又は核酸の一方又は両方の一部又は部分領域に対してのみ起こってもよい。結果として生じる二本鎖核酸分子又は領域は「二本鎖」である。
【0047】
「インデックスホッピング」とは、核酸配列決定(例えば、NGSを介した)において、配列決定リードにおいて不正確に又は予期せずペアリングされたバーコードが検出される現象を意味する。インデックスホッピングは、また、例えば、インデックススワッピング、インデックスクロストーク、インデックスミスアサインメント、又はインデックススイッチングとも呼ばれることがある。核酸配列決定がマルチプレックスされ、そして複数の核酸サンプルから調製された核酸ライブラリーが一緒に配列決定される場合、各核酸サンプルは、固有のバーコードのペアを割り当てられてもよい。インデックスホッピングは、解析中に核酸サンプルへの配列決定リードのミスアサインメントにつながることがある。
【0048】
「ライブラリー」とは、DNA配列決定のために調製された核酸の集合体を意味し、ライブラリー中の核酸の集合体は、同じ配列を有していてもよいし、又は異なる配列を有していてもよい。
【0049】
「核酸」とは、少なくとも2つの結合したヌクレオチドの高分子分子を意味する。この用語は、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)、並びにそれらのハイブリッド及び混合物を含む。核酸は一本鎖でも二本鎖であってもよく、又は一本鎖もしくは二本鎖の両方の配列の領域もしくは部分の混合物を含んでもよい。核酸中のヌクレオチドは通常、ホスホジエステル結合によって連結されているが、「核酸」は、また、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホルアミデート、モルホリノ、ロックド核酸(LNA)、グリセロール核酸(GNA)、トレオース核酸(TNA)、及びペプチド核酸(PNA)の結合又は骨格を含むが、これらに限定されない、他のタイプの化学結合又は骨格を有する他の分子アナログを指してもよい。核酸は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はそれらの非天然アナログの任意の組み合わせを含有してもよい。核酸の例としては、遺伝子、遺伝子フラグメント、ゲノムギャップ、エクソン、イントロン、遺伝子間DNA(限定されないが、ヘテロクロマチックDNAを含む)、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、miRNA、核小体低分子RNA(snoRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、単離された配列のDNA、単離された配列のRNA、核酸プローブ、及びプライマーが挙げられる。
【0050】
「ヌクレオチド」又は「nt」とは、任意のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、非標準ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、又はヌクレオチドアナログを意味する。ヌクレオチドとしては、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、及びウラシルが挙げられる。修飾ヌクレオチドの例としては、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5′-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチル-2-チオウラシル、及び3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
「オリゴヌクレオチド」とは、長さ150ヌクレオチドまでの核酸を意味する。オリゴヌクレオチドは合成であってもよい。オリゴヌクレオチドは、5'末端、3'末端、又は内部にかかわらず、1つ又は複数の化学修飾を含有してもよい。化学修飾の例としては、官能基(例えば、ビオチン、アミノ修飾基、アルキン、チオール修飾基、又はアジド)、蛍光色素(例えば、量子ドット又は有機色素)、スペーサー(例えば、C3スペーサー、dスペーサー、光開裂可能なスペーサー)、修飾塩基、又は修飾骨格の付加が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
「シナプス複合体」又は「転移酵素シナプス複合体」とは、1つ又は複数の転移酵素及び1つ又は複数のオリゴヌクレオチドを含むタンパク質-核酸複合体を意味する。いくつかの例において、1つ又は複数のシナプス複合体のオリゴヌクレオチドは、転移酵素活性によって核酸サンプルの核酸配列に挿入される。いくつかの例において、シナプス複合体は、2つ又はそれより多くのオリゴヌクレオチドに結合した転移酵素のヘテロダイマーを含んでもよい。いくつかの例において、いくつかの例において、核酸サンプルの核酸配列へのオリゴヌクレオチドの挿入は、転移酵素による挿入部位での核酸のフラグメントによって先行される。いくつかの例において、転移酵素はTn5転移酵素又は操作した転移酵素変異体であってもよい。いくつかの例において、オリゴヌクレオチドはアダプター配列であってもよい。いくつかの例において、シナプス複合体は予め組み立てられる。いくつかの例において、シナプス複合体は固体表面に結合していてもよい。いくつかの例において、シナプス複合体は可溶性分子足場に結合していてもよい。
【0053】
「標的核酸」とは、本発明の組成物(例えば、配列決定オリゴヌクレオチド又はバーコードオリゴヌクレオチド)又は方法を用いた増幅又は分析(例えば、配列決定)のために選択される任意の目的の核酸(例えば、RNA又はDNA)を意味する。いくつかの例において、RNAは、本発明の組成物(例えば、配列決定オリゴヌクレオチド又はバーコードオリゴヌクレオチド)で処理される前に、cDNAに変換されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1Aは、2つのシナプス複合体、核酸サンプル、及びDNAポリメラーゼの模式図例である。シナプス複合体は、バーコードアダプターオリゴヌクレオチドを用いて核酸ライブラリーを作製する方法に適した全長アダプターオリゴヌクレオチドを含み、ここで、アダプターオリゴヌクレオチドはバーコード化されており、そして、ユニバーサルプライマー領域、アダプターバーコード領域、配列決定プライマー領域(SP1又はSP2)、及び転移酵素モザイク末端配列領域(ME)を含む。MEの5'-リン酸化相補体も示す(ME')。
図1Bは、核酸サンプル上の2つのシナプス複合体の転移反応で得られた作製物を示す模式図であり、ここで2つのアダプターオリゴヌクレオチドは、標的核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖の5'末端に共有結合し、一対の中間核酸を作製した。
図1Cは、転移酵素が重合温度で解離した後、一対の中間核酸の二本鎖で起こる重合反応を示す模式図である。重合方向は矢印で示されている。
図1Dは、重合後のライブラリーフラグメントを示す模式図であり、ここでライブラリーフラグメントは、(a)第1ユニバーサルプライマー領域、第1バーコード領域、第1配列決定プライマー領域、第1二本鎖転移酵素モザイク末端配列領域、及び第1核酸フラグメントの相同配列、第2二本鎖転移酵素モザイク末端配列領域の相補配列、第2配列決定プライマー領域の相補配列、第2バーコード領域の相補配列、第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、及び(b)その相補配列、を含む。
【
図2】
図2Aは、2つのシナプス複合体、核酸サンプル、DNAポリメラーゼ、及び2つの増幅オリゴヌクレオチドの模式図例を示す。シナプス複合体は、バーコード増幅オリゴヌクレオチドを用いて核酸ライブラリーを作製する方法に適したアダプターオリゴヌクレオチドを含み、ここで、アダプターオリゴヌクレオチドはアダプタープライミング領域を含む。増幅オリゴヌクレオチドは、ユニバーサルプライマー領域、増幅バーコード領域及び増幅プライミング領域を含む。いくつかの例において、アダプタープライミング領域は、対応する増幅プライミング領域と相同である。
図2Bは、核酸サンプル上の2つのシナプス複合体の転移反応で得られる作製物を示す模式図であり、ここで2つのアダプターオリゴヌクレオチドは、核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖の5'末端に付加され、一対の中間核酸を作製している。
図2Cは、転移酵素が重合温度で解離した後、一対の中間核酸の二本鎖で起こる重合反応を示す模式図である。重合方向は矢印で示されている。
図2Dは、上記重合反応の核酸産物及び2つの例示的な増幅オリゴヌクレオチドの模式図例を示す。いくつかの例において、上記重合反応の核酸産物は、第1アダプターオリゴヌクレオチドからの第1アダプタープライミング領域及び第2アダプターオリゴヌクレオチドからの第2アダプタープライミング領域を含んでもよい。いくつかの例において、第1増幅オリゴヌクレオチドは、第1アダプタープライミング領域の相同配列を含む第1増幅プライミング領域を含み、及び第2増幅オリゴヌクレオチドは、第2アダプタープライミング領域の相同配列を含む第2増幅プライミング領域を含む。
図2Eは、増幅ライブラリーフラグメントを示す模式図であり、ここでアンプリコンは、(a)第1ユニバーサルプライマー領域、増幅バーコード領域、第1増幅プライミング領域、第1配列決定プライマー領域、第1転移酵素モザイク末端配列領域、第1核酸フラグメントの相同配列、第2転移酵素モザイク末端配列領域の相補配列、第2配列決定プライマー領域の相補配列、第2増幅プライミング領域の相補配列、第2増幅バーコード領域の相補配列、第2ユニバーサルプライマー領域を含む核酸配列、及び(b)その相補配列、を含む。
【
図3】
図3は、タグ付け及びライブラリー増幅がシングルポット反応で開始される、本発明のワンステップライブラリー調製方法を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明のワンステップライブラリー調製方法により作製した精製ライブラリーの核酸フラグメントの長さ分布を示すアガロースゲルである。
【
図5】
図5は、8倍(8-64 ng)の投入範囲にわたってプラスミドDNAから作製された標準化されたリード出力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、核酸配列決定のために核酸サンプルから核酸ライブラリーを作製する際に要する複雑さ及び時間を低減し、同時に核酸ライブラリーの性能を向上させるための新規なキット及びその使用方法を提供する。本キット及び方法は、核酸(例えば、DNA又はRNA)配列決定に適した核酸ライブラリーを、転移酵素を介したタグ付け、及び任意にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介した増幅により、単一の実験工程及びワンポット反応で調製するのに有用である。本発明方法は、従来のライブラリー調製の各工程間の精製の必要性をなくすことにより、核酸ライブラリー調製ワークフローの複雑さを軽減する。従来のライブラリー調製方法では、最初の反応工程で、シナプス複合体すなわち「トランスポソーム」を用いて核酸サンプルにタグを付ける。次いで第2工程で、得られたタグ付き核酸を精製し、そしてその後最後に第3工程で、タグ付きライブラリーを別のPCRで増幅する。核酸ライブラリー調製のすべての工程を単一工程にまとめるという単純さに加えて、本発明によって提供される方法及びキットの使用は、容易にマルチプレックス(例えば、1-384の間のサンプルを同時、又はそれらよりも多く)でき、迅速に(例えば、96プレックス反応では1サンプルあたり1分未満)調製することができ、そして自動サンプル調製のための既存の技術で容易に自動化することができる。本発明により提供されるキット及び方法はまた、広範な研究及び臨床用途に容易に適合させることができる。例えば、本発明により提供されるワンステップライブラリー調製方法は、使用される配列決定方法に応じて、増幅を伴わない核酸ライブラリーの調製のために容易に改変することができる。PCRを伴わないライブラリーが所望される場合、シナプス複合体は、転移酵素にロードすることができるユニバーサルプライマー及びバーコード配列を含む全長アダプターを用いて調製することができる。ライブラリーを増幅するためにPCRを使用するのではなく、アダプターの単純なポリメラーゼ充填(サイクリングなし)が組み込まれる。さらに、本発明のキット及び方法を用いて調製した核酸ライブラリーは、優れたユニークデュアルインデックス(UDI)性能を提供し、そして配列決定のために多様性の高いライブラリーを提供する。本発明のキット及び方法は、コンビナトリアルインデキシングを用いる標準的な方法論と比較して、インデックスホッピングを有意に減少させることが判明している。
【0056】
キット
本発明は、DNAポリメラーゼを含む第1組成物、第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体を含む第2組成物、並びにマグネシウムイオン(例えば、Mg2+)を、第1組成物中又は第3組成物中のいずれかに含むが、第2組成物中には含まないキットを提供する。マグネシウムイオンは、塩化物、酢酸塩、硫酸塩を含むがこれらに限定されない任意の適切な対イオンとともに存在してもよい。いくつかの例において、上記第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1アダプターバーコード領域を含み、及び上記第2アダプターオリゴヌクレオチドは、第2ユニバーサルプライマー領域及び第2アダプターバーコード領域を含む。いくつかの他の例において、第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1アダプタープライミング領域を含み、及び第2アダプターオリゴヌクレオチドは、第2アダプタープライミング領域を含む。いくつかの例において、キットは、第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチドをさらに含んでもよい。あるいは、いくつかの例において、キットは、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチド、すなわち第1増幅バーコード領域又は第2増幅バーコード領域を含まない、を追加で含んでもよい。いくつかの例において、第1アダプターオリゴヌクレオチドの第1アダプタープライミング領域は、第1増幅オリゴヌクレオチドの第1増幅プライミング領域と相同であり、及び第2アダプターオリゴヌクレオチドの第2アダプタープライミング領域は、第2増幅オリゴヌクレオチドの第2増幅プライミング領域と相同である。
【0057】
本明細書において、キットの各成分を個々に包装することができることは理解されるであろう、しかしながら、より少ない総組成物を使用することが、使用の容易さのために有利である。
【0058】
組成物
上述のように、キットは、第1組成物、第2組成物、及び任意に第3組成物を含んでもよい。いくつかの例において、第1組成物はDNAポリメラーゼを含んでもよい。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは耐熱性であってもよく、又は高温(例えば、50-100℃の間、50-97℃の間、50-90℃の間、50-80℃の間、50-70℃の間、50-60℃の間、60-97℃の間、70-97℃の間、80-97℃の間、60-80℃の間、60-90℃の間、70-90℃の間)で機能してもよい。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは、熱活性化DNAポリメラーゼ又はホットスタートDNAポリメラーゼであってもよい。いくつかの例において、熱活性化DNAポリメラーゼ又はホットスタートDNAポリメラーゼは、熱可逆性付加体、例えば、抗体又はアプタマーと結合していてもよい。いくつかの例において、第1組成物中のDNAポリメラーゼの量は、本発明方法における使用に適したもの、例えば、約0.1 ng/μl、0.25 ng/μl、0.5 ng/μl、0.75 ng/μl、1 ng/μl、1.5 ng/μl、2 ng/μl、2.5 ng/μl、3 ng/μl、3.5 ng/μl、4 ng/μl、4.5 ng/μl、又は5 ng/μlであってもよい。いくつかの例において、核酸サンプルに対するDNAポリメラーゼの比率は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、又は1:100核酸サンプルに対するDNAポリメラーゼの比率は、約であってもよい。いくつかの例において、第1組成物はヌクレオチド、 例えば、dNTPs(例えば、dATPs、dCTPs、dGTPs、dTTPs、及び/又はそれらの組み合わせ)を含んでもよい。いくつかの例において、本発明の方法において使用するために、第1組成物中に十分なdNTPが存在する。いくつかの例において、各dNTPの濃度は、約0.1 mM、0.2 mM、0.3 mM、0.4 mM、0.5 mM、0.6 mM、0.7 mM、0.8 mM、0.9 mM、又は1 mM(例えば、0.1 mM及び1 mMの間)である。一例において、各dNTPの濃度は約0.32 mM(例えば、0.1 mM及び0.5 mMの間、又は0.2 mM及び0.4 mMの間)である。いくつかの例において、第1組成物は緩衝剤、例えば、Tris、TAPS(例えば、約16 mM、例えば、1 mM及び30 mMの間、又は10 mM及び20 mMの間)、HEPES、又はその適切な等価物を含んでもよい。いくつかの例において、第1組成物は、DNAポリメラーゼ及び重合反応に適したpH、例えば、約8.5に緩衝化されていてもよい。いくつかの例において、第1組成物は、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)及び塩化物及び硫酸塩を含むがこれらに限定されない適切な対イオンを含んでもよい。いくつかの例において、第1組成物は、塩化マグネシウムを含んでもよい。(MgCl2)。いくつかの例において、塩化マグネシウムの濃度は重合反応に適している。いくつかの例において、塩化マグネシウムは、第1組成物中に約0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mM、5 mM、6 mM、7 mM、8 mM、9 mM、又は10 mM(例えば、0.5 mM及び10 mMの間)の濃度で提供される。一例において、塩化マグネシウムの濃度は約3.2 mM(例えば、1 mM及び5 mMの間)である。いくつかの例において、第1組成物は、配列決定ライブラリーの調製中にGCバイアスを低下させるための添加剤を含んでもよい。いくつかの例において、第1組成物は、DNAポリメラーゼ活性又は長期安定性(例えば、何日も、何週間も、何カ月も、何年も、例えば、1及び31日の間、1及び4週間の間、1及び12ヶ月の間、又は1及び10年の間、又はそれらより多く)、を増強するグリセロール、TRITON(登録商標)X-100、DMSO、ベタイン、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、TMAC、Tween 20、ウシ血清アルブミン、及びPEG 8000(例えば、約5% w/v、例えば、約5.12% w/v、例えば、1%及び10% w/vの間、又は3%及び7% w/vの間)を含むが、これらに限定されない他の化学成分を適切な量又は濃度で含んでもよい。
【0059】
いくつかの例において、第2組成物は、第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体を含んでもよい。いくつかの例において、第1及び第2転移酵素は、dsDNA分子をフラグメント化し、並びに第1及び第2アダプターオリゴヌクレオチドをdsDNA分子の2本の鎖のそれぞれの5'末端に付加する反応において使用するのに適している。いくつかの例において、第1及び第2転移酵素は、原核生物転移酵素(例えば、ISs、Tn3、Tn5、Tn7、及びTn10、ファージMu由来のバクテリオファージ転移酵素(Nagy and Chandler 2004、reviewed by Craig et al. 2002、U.S.特許第6,593,113号))、真核生物「カットアンドペースト」転移酵素(Jurka et al. 2005、Yuan and Wessler 2011)、及びHIVなどのレトロウイルス転移酵素(Dyda et al. 1994、Haren et al. 1999、Rice et al. 1996、Rice and Baker 2001)などのDDE転移酵素を含む、任意の転移酵素であってもよい。いくつかの例において、第1及び第2転移酵素はTn5転移酵素である。いくつかの例において、第1及び第2アダプターオリゴヌクレオチドは、第1及び/又は第2トランスポゾン末端配列を追加で含んでもよい。第1及び/又はトランスポゾン配列は、原核生物トランスポゾン(例えば、IS、Tn3、Tn5、Tn7、及びTn10などの原核生物由来、及びファージMuを含むバクテリオファージ由来(Nagy and Chandler 2004、review by Craig et al. 2002))、真核生物の「カットアンドペースト」トランスポゾン(Jurka et al. 2005、Yuan and Wessler 2011)、又はHIVなどのレトロウイルス由来の任意のトランスポゾン配列(Dyda et al. 1994、Haren et al. 1999、Rice et al. 1996、Rice and Baker 2001)を含む、任意のトランスポゾン配列(例えば、トランスポゾン末端配列)であってもよい。いくつかの例において、第1及び第2トランスポゾン末端配列はTn5トランスポゾン末端配列である。いくつかの例において、第2組成物は緩衝剤、例えば、Tris、TAPS(例えば、約20 mM(例えば、1 mM及び50 mMの間、10 mM及び30 mMの間、又は15 mM及び30 mMの間)、HEPES、又はそれらの適切な等価物を含んでもよい。いくつかの例において、第2組成物は、シナプス複合体及び転移反応に適したpH、例えば、約8.5(例えば、7及び10の間又は8及び9の間)に緩衝化されていてもよい。いくつかの例において、第2組成物は、第2転移酵素活性又は長期安定性を増強する、グリセロール(例えば、約50% v/v(例えば、10%及び70% w/vの間、又は40%及び60% w/vの間))、TRITON(登録商標)X-100(例えば、約1% v/v、例えば、0.1%及び5% w/vの間又は0.5%及び2% w/vの間)、DMSO、ベタイン、塩化カリウム、塩化ナトリウム(例えば、約100 mM(例えば、10 mM及び300 mMの間、又は50 mM及び150 mMの間))、硫酸アンモニウム、TMAC、Tween 20、牛血清アルブミン、ジチオスレイトール(DTT、例えば、約1 mM、例えば、0.1 mM及び5 mMの間、又は0.5 mM及び2 mMの間、例えば、約0.1 mM、0.15 mM、0.2 mM、0.25 mM、0.3 mM、0.4 mM、0.5mM、0.6 mM、0.7 mM、0.8 mM、0.9 mM、1 mM、1.25 mM、1.5 mM、1.75 mM、又は2 mM)及びPEG 8000を含むが、これらに限定されない、他の化学成分を含んでもよい。いくつかの例において、第2組成物はEDTAを含む。本発明の上記のいずれの例においても、第2組成物はマグネシウムを含まない。いくつかの例において、第2組成物中のマグネシウムの濃度は実質的にゼロ(例えば、1 mM未満、1 μM未満、1 nM未満、1 pM未満、1 fM未満、1 aM未満又はそれよりも少ない)であり、及び/又は第2組成物中のマグネシウムのレベルは実質的に検出不可能である。 いくつかの例において、トランスポゾン末端配列は、5-30ヌクレオチド(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30 nt)の長さであってもよい。いくつかの例において、トランスポゾン末端配列の長さは19 ntでもよい。
【0060】
いくつかの例において、キットは、任意に、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)並びに塩化物及び硫酸塩を含むがこれらに限定されない適切な対イオンを含む第3組成物を含んでもよい。いくつかの例において、第3組成物は、塩化マグネシウム(MgCl2)を含んでもよい。いくつかの例において、塩化マグネシウムの濃度は重合反応に適している。いくつかの例において、塩化マグネシウムは、第3組成物中に約0.5 mM、1 mM、2 mM、3 mM、4 mM、5 mM、6 mM、7 mM、8 mM、9 mM、10 mM、11 mM、12 mM、13 mM、14 mM、15 mM、16 mM、17 mM、18 mM、19 mM、20 mM、25 mM、30 mM、40 mM、50 mM、又はこれらより高い、例えば、1 mM又はそれより高い濃度で提供される。いくつかの例において、第1、第2及び第3組成物を組み合わせた後の塩化マグネシウムの使用濃度は、0.5mM及び5mMの間、又は1mM及び5mMの間(例えば、0.5 mM及び4 mMの間、0.5 mM及び3 mMの間、0.5 mM及び2 mMの間、0.5 mM及び1 mMの間、1 mM及び5 mMの間、2 mM及び4 mMの間、2.5及び5 mMの間、2.5及び3.5 mM、又は3及び3.5 mMの間、例えば、約0.5 mM、0.8 mM、1 mM、1.5 mM、2 mM、2.5 mM、3 mM、3.2 mM、3.5 mM、4 mM、4.5 mM、又は5 mM)である。一例において、第1、第2及び第3組成物を組み合わせた後の塩化マグネシウムの使用濃度は、約0.8 mM(例えば、0.5及び2 mMの間、又は0.6及び1.0 mMの間)である。
【0061】
上記の例のいずれにおいても、組成物は水溶液中であってもよい。 上記の例のいずれにおいても、第1、第2、又は任意に第3組成物は、第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、 及び第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチドを含んでもよい。あるいは、上記の例のいずれにおいても、第1、第2、又は任意に第3組成物は、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む、第2増幅オリゴヌクレオチド、すなわち、第1又は第2増幅バーコード領域を含まない、を含んでもよい。いくつかの例において、第1アダプターオリゴヌクレオチドの第1アダプタープライミング領域は第1増幅オリゴヌクレオチドの第1増幅プライミング領域と相同であり、また、第2アダプターオリゴヌクレオチドの第2アダプタープライミング領域は第2増幅オリゴヌクレオチドの第2増幅プライミング領域と相同である。
【0062】
本明細書に記載された組成物の各成分は、個別に包装できることが理解されよう、しかし、少ない組成物の使用は、使用を容易にするために有利である。組成物は、溶液又は固体の形態であってもよい。溶媒(例えば、緩衝液又は水)を含んでもよいし、並びに/又は固体成分を溶解するため及び/もしくは濃度を調整するために使用してもよい。
【0063】
アダプターオリゴヌクレオチド
いくつかの例において、本発明は、第1アダプターオリゴヌクレオチド及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。いくつかの例において、第1アダプターオリゴヌクレオチドは、5'から3'にかけて、第1ユニバーサルプライマー領域、第1アダプターバーコード領域、第1配列決定プライマー領域及び第1転移酵素モザイク末端配列を含み、並びに第2アダプターオリゴヌクレオチドは、5'から3'にかけて、第2ユニバーサルプライマー領域、第2アダプターバーコード領域、第2配列決定プライマー領域及び第2転移酵素モザイク末端配列を含む。他の例において、第1アダプターオリゴヌクレオチドは、第1アダプタープライミング領域及び第1転移酵素モザイク末端配列を含み、そして第2アダプターオリゴヌクレオチドは、第2アダプタープライミング領域及び第2転移酵素モザイク末端配列を含む。いくつかの例において、第1及び第2ユニバーサルプライマー領域並びに第1及び第2アダプタープライミング領域は、PCR中のプライミング領域として機能してもよい。いくつかの例において、アダプターオリゴヌクレオチドをビーズ又は配列決定用フローセルなどの固体表面に付着させる。アダプターオリゴヌクレオチド上の転移酵素モザイク末端配列に相補的オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、シナプス複合体を、転移酵素タンパク質と二本鎖アダプターオリゴヌクレオチドをマグネシウムを含まない緩衝液中で1時間室温でインキュベートすることにより調製する。いくつかの例において、シナプス複合体形成時に転移酵素タンパク質及び二本鎖アダプターオリゴヌクレオチドは10-20 μM存在する。
【0064】
第1及び第2アダプターオリゴヌクレオチドの各領域(例えば、各ユニバーサルプライマー領域、各アダプターバーコード領域、及び/又は各アダプタープライミング領域)は、5-30 nt(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30 nt)を含んでもよい。第1及び第2アダプターオリゴヌクレオチドの全体的な配列は、天然に存在しないものが選択される。いくつかの例において、アダプターオリゴヌクレオチドはRNA、DNA、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの例において、第1及び第2アダプターオリゴヌクレオチドはまた、修飾ヌクレオチド、例えば修飾塩基、糖、又はリン酸塩を含んでもよい。いくつかの例において、1-30 ntのスペーサー(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30 nt)が、アダプター組み立て、アダプター切断、又は配列決定プライマーのアニーリングのために、アダプターオリゴヌクレオチド上の領域を分離するために含まれていてもよい。
【0065】
増幅オリゴヌクレオチド
いくつかの例において、本発明は、第1増幅オリゴヌクレオチド及び第2増幅オリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。いくつかの例において、第1増幅オリゴヌクレオチドは、5'から3'にかけて、第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含み、並びに第2増幅オリゴヌクレオチドは、5'から3'にかけて、第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む。あるいは、いくつかの例において、第1増幅オリゴヌクレオチドは、5'から3'にかけて、第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含み、及び第2増幅オリゴヌクレオチドは、5'から3'にかけて、第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含み、すなわち、第1又は第2増幅バーコード領域を含まない。
【0066】
第1及び第2増幅オリゴヌクレオチドの各領域(例えば、各ユニバーサルプライミング領域、増幅バーコード領域、及び/又は増幅プライミング領域)は、5-30 nt(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30 nt)を含んでもよい。第1及び第2増幅オリゴヌクレオチドの全体的な配列は、天然に存在しないものが選択される。いくつかの例において、増幅オリゴヌクレオチドは、RNA、DNA、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの例において、第1及び第2増幅オリゴヌクレオチドはまた、修飾ヌクレオチド、例えば修飾塩基、糖、又はリン酸塩を含んでもよい。いくつかの例において、ホスホロチオエート結合は、ヌクレアーゼ活性に対する耐性を増加させるために第1及び第2増幅オリゴヌクレオチドに組み込まれる。いくつかの例において、増幅オリゴヌクレオチドは10mM Tris-HCl、pH8.0又は超純水に溶解される。
【0067】
特定の例において、以下の成分リストを記載濃度及び条件で又はその程度で含む第1組成物及び第2組成物は、核酸サンプルから核酸ライブラリーを構築する方法における使用に適していてもよい。
【0068】
第1組成物
2 ng/μlホットスタートDNAポリメラーゼ
0.32 mM dNTPs(各)
3.2 mM塩化マグネシウム
16 mM TAPSバッファー、pH 8.5
5.12 % PEG 8000(w/v)
第2組成物
500 nMシナプス複合体1
500 nMシナプス複合体2
50%グリセロール(vol/vol)
20 mM TAPSバッファー、pH 8.5
1% TRITON(登録商標)X-100(vol/vol)
0.1 mM EDTA
1 mMジチオスレイトール
100 mM塩化ナトリウム
8 μM増幅オリゴヌクレオチド1
8 μM増幅オリゴヌクレオチド2
DNA(核酸サンプル)
12.5 ng/μlの精製ヒトDNA(NA12878、Coriell Labs)in 10 mM Tris-HCl、pH 8.
【0069】
一例において、4 μlのDNAを8 μlのコンポーネントAに加え、次に20 μlのコンポーネントBを加えることにより、32 μlの反応を調製する。
【0070】
方法
本発明は、本発明の組成物及びキットを用いて、配列決定(例えば、NGS法による)に適した核酸ライブラリーを作製する方法を特徴とする。いくつかの例において、作製された核酸ライブラリーは、配列決定オリゴヌクレオチドを含んでもよい。いくつかの例において、配列決定オリゴヌクレオチドは、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応においてさらに増幅されてもよく、ここで第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーは、配列決定オリゴヌクレオチド中のそれぞれの相補的ユニバーサルプライマー領域に結合する。他の例において、作製された核酸ライブラリーはアンプリコンを含んでもよい。いくつかの例において、アンプリコンは、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いるPCR反応においてさらに増幅されてもよく、ここで第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーは、アンプリコン中のそれぞれの相補的ユニバーサルプライマー領域に結合する。
【0071】
バーコードアダプターオリゴヌクレオチドを用いた核酸ライブラリーの作製方法
本発明は、バーコードアダプターオリゴヌクレオチドを用いた配列決定オリゴヌクレオチドを有する核酸ライブラリーの作製方法を提供する。いくつかの例において、この方法は、(a)DNAポリメラーゼ、(b)第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体、並びに(c)マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)を用いて核酸ライブラリーを作製することを含む。いくつかの例において、各アダプターオリゴヌクレオチドは、ユニバーサルプライマー領域及びアダプターバーコード領域を含む。
【0072】
図1A-1Dに描かれているように、配列決定オリゴヌクレオチドは、転移反応及び重合反応を含む方法を通して、単一の反応容器中で作製されてもよい。
図1Aに描かれているように、この方法は、まず、第1反応容器中でDNAポリメラーゼ、第1シナプス複合体、第2シナプス複合体、マグネシウムイオン(例えば、Mg
2+)、及び核酸サンプルを組み合わせることを含む。
図1Bに描かれているように、シナプス複合体の転移酵素は核酸サンプルを核酸フラグメントへとフラグメント化し、核酸フラグメント及びその相補配列を含有する核酸二本鎖の2本の鎖の5'末端にアダプターオリゴヌクレオチド配列を転移反応で付加して中間核酸を作製する。いくつかの例において、転移反応は転移反応温度25-65℃の間(例えば、35-65℃の間、40-65℃の間、45-65℃の間、50-65℃の間、55-65℃の間、60-65℃の間、25-60℃の間、25-55℃の間、25-50℃の間、25-45℃の間、25-40℃の間、25-35℃の間、25-30℃の間、40-50℃の間、又は53-57℃の間、例えば、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約60℃、又は約65℃で)で起こる。いくつかの例において、転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間(例えば、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、10及び30分の間、15及び30分の間、20及び30分の間、25及び30分の間、10及び20分の間、15及び25分の間、例えば、約1分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、又は約30分)にわたって起こる。
【0073】
図1Cに描かれているように、転移反応の後、DNAポリメラーゼによる重合反応が中間核酸の3'末端を伸長し、
図1Dに描かれている配列決定オリゴヌクレオチドを作製する。いくつかの例において、重合反応は、55-95℃の間の重合反応温度(例えば、60-95℃の間、65-95℃の間、70-95℃の間、75-95℃の間、80-95℃の間、85-95℃の間、90-95℃の間、55-90℃の間、55-85℃の間、55-80℃の間、55-75℃の間、55-70℃の間、55-65℃の間、55-60℃の間、65-85℃の間、70-80℃の間、73-77℃の間、例えば、約55℃で、約60℃で、約65℃で、約70℃で、約73℃で、約74℃で、約75℃で、約76℃で、約77℃で、約80℃で、約85℃で、約90℃で、約95℃で)で行われる。いくつかの例において、重合反応は、1及び60分の間の第2反応時間(例えば、1及び55分の間、1及び50分の間、1及び45分の間、1及び40分の間、1及び35分の間、1及び30分の間、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、10及び60分の間、15及び60分の間、20及び60分の間、25及び60分の間、30及び60分の間、35及び60分の間、40及び60分の間、45及び60分の間、50及び60分の間、55及び60分の間、15及び35分の間、30及び50分の間、10及び20分の間、20及び40分の間、又は13及び17分の間、例えば、約1分、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、又は約60分)にわたって行われる。いくつかの例において、第1反応容器が重合温度まで加熱されると、転移酵素は解離する。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは耐熱性DNAポリメラーゼであってもよい。いくつかの例において、DNAポリメラーゼはホットスタートDNAポリメラーゼあってもよい。いくつかの例において、ホットスタートDNAポリメラーゼはDNAポリメラーゼに結合した抗体又はアプタマーを含んでもよく、それはホットスタートDNAポリメラーゼが重合温度より高くてもよい適当な温度まで加熱、及びその温度でインキュベートされたときに放出される。
【0074】
いくつかの例において、配列決定オリゴヌクレオチドは、(a)第1ユニバーサルプライマー領域、第1アダプターバーコード領域、第1核酸フラグメントの相同配列、第2アダプターバーコード領域の相補配列、及び第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列であって、ここで、第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって核酸サンプルから作製される、核酸配列、並びに(b)その相補配列を含む。いくつかの例において、核酸ライブラリーの配列決定オリゴヌクレオチドは、増幅ライブラリーを作製するためにPCRによってさらに増幅されてもよい。いくつかの例において、PCR反応は、第1ユニバーサルプライマー及び第2ユニバーサルプライマーを用いて配列決定オリゴヌクレオチドを増幅することを含む。いくつかの例において、第1ユニバーサルプライマーは第1アダプタープライミング領域を含み、及び第2ユニバーサルプライマーは第2アダプタープライミング領域を含み、ここで第1及び第2アダプタープライミング領域の核酸配列は、それぞれ第1及び第2ユニバーサルプライマー領域の核酸配列と相同である。
【0075】
いくつかの例において、核酸サンプル、第1アダプターオリゴヌクレオチド、第2アダプターオリゴヌクレオチド、一対の中間核酸、及び/又は配列決定オリゴヌクレオチドは、DNAを含んでもよい。いくつかの例において、ライブラリー、第1ユニバーサルプライマー、及び第2ユニバーサルプライマーは、DNAを含んでもよい。いくつかの例において、核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含んでもよい。
【0076】
いくつかの例において、核酸サンプルはRNAを含んでもよい。いくつかの例において、核酸サンプルは、DNA及びRNAを含んでもよい。いくつかの例において、RNAサンプルは、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)逆転写酵素、トリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)逆転写酵素、及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)逆転写酵素を含む、適切な逆転写酵素を用いた逆転写によって、RNA/DNA二本鎖に変換することができる。トリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)逆転写酵素の例としては、例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A逆転写酵素、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)逆転写酵素、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV逆転写酵素、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV逆転写酵素、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV逆転写酵素、及びラウス関連ウイルス(RAV)逆転写酵素が挙げられる。
【0077】
配列決定オリゴヌクレオチドを含む核酸ライブラリーを作製するための上記の方法のいくつかの例において、DNAポリメラーゼ、第1シナプス複合体、及び第2シナプス複合体、並びにマグネシウムイオン(例えば、Mg2+)は、本明細書に記載される本発明の1つ又は複数のキットにおいて提供される。いくつかの例において、DNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンは第1組成物中に提供され、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体は第2組成物中に提供される。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは第1組成物中に提供され、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体は第2組成物中に提供され、マグネシウムイオンは第3組成物中に提供される。いくつかの例において、第1、第2及び任意に第3組成物は、本明細書に記載される本発明のキットにおいて提供されてもよい。
【0078】
特定の例において、第1反応容器は以下を含んでもよい。約3.2%(w/v)ポリエチレングリコール(PEG)8000、約0.11 μMシナプス複合体1(nE01)、約0.11 μシナプス複合体2(PB037)、約3.125 μMユニバーサルプライマー1(P5)、約3.125 μMユニバーサルプライマー2(P7)、約1.5625 ng/μlヒトDNA、約14 mM TAPS、約pH 8.5、約3 mM MgCl2、約2 ng/μlホットスタートDNAポリメラーゼ、約25 mM NaCl、約0.025 mM EDTA、約12.5%(v/v)グリセロール、約0.25 mMジチオスレイトール(DTT)、及び約0.25%(v/v)TRITON(登録商標)X-100。この特定の例において、第1反応容器は以下のサーモサイクラーのプログラムにかけられてもよい。
工程1 55℃で約15分
工程2 75℃で約15分
工程3 95℃で約2分
工程4 95℃で約25秒
工程5 55℃で約30秒
工程6 68℃で約1分
工程7 工程4に戻る、10回
工程8 68℃で約5分
工程9 約4℃保持。
【0079】
別の特定の例において、第1反応容器は、約12.5 nMシナプス複合体1、約12.5 nMシナプス複合体2、約0.5 μMユニバーサルプライマー1(P5)、約0.5 μMユニバーサルプライマー2(P7)、約0.5-4 ng/μL(可変投入)pUC19 DNA(プラスミドDNA)、約10 mM TAPS、pH 8.5、約2.5 mM MgCl2、約0.02 Units/μLホットスタートDNAポリメラーゼ、約1Xポリメラーゼバッファー、及び約0.2 mM dNTPs、及び約7%(v/v)DMSO、を含有してもよい。この特定の例において、第1反応容器は以下のサーモサイクラープログラムにかけられてもよい。
工程1 約55℃で約5分
工程2 約75℃で約5分
工程3 約79℃で約5分
工程4 約83℃で約5分
工程5 約98℃で約3分
工程6 約98℃で約15秒
工程7 約64℃で約30秒
工程8 約72℃で約1分
工程9 工程6に戻る、12回
工程10 約72℃で約15分
工程11 約4℃保持。
【0080】
増幅オリゴヌクレオチドを用いた核酸ライブラリーの作製方法
本発明は、アダプターオリゴヌクレオチド及び増幅オリゴヌクレオチドを用いた、アンプリコンを有する核酸ライブラリーの作製方法を提供する。いくつかの例において、この方法は、(a)DNAポリメラーゼ、(b)第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体、並びに(c)マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)を用いて核酸ライブラリーを作製することを含む。いくつかの例において、各アダプターオリゴヌクレオチドは、アダプタープライミング領域を含む。いくつかの例において、各アダプターオリゴヌクレオチドは、アダプタープライミング領域及びアダプターバーコード領域を含む。本方法は、(i)第1ユニバーサルプライマー領域及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに(ii)第2ユニバーサルプライマー領域及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチドであって、ここで、第1アダプターオリゴヌクレオチドの第1増幅プライミング領域は、第1増幅オリゴヌクレオチドの第1増幅プライミング領域と相同であり、そして第2アダプターオリゴヌクレオチドの第2増幅プライミング領域は、第2増幅オリゴヌクレオチドの第2増幅プライミング領域と相同である、第2増幅オリゴヌクレオチド、を使用することをさらに含んでもよい。
【0081】
配列決定オリゴヌクレオチドは、転移反応、重合反応、及びPCR反応を含む方法を通して単一の反応容器中で作製してもよい。この方法は、まず、DNAポリメラーゼ、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体、マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)、第1及び第2増幅オリゴヌクレオチド、並びに核酸サンプルを第1反応容器中で組み合わせることを含む。シナプス複合体の転移酵素は核酸サンプルを核酸フラグメントへとフラグメント化し、転移反応において核酸フラグメント及びその相補配列を含有する核酸二本鎖の2本の鎖の5'末端にアダプターオリゴヌクレオチド配列を付加して中間核酸を作製する。いくつかの例において、転移反応は25-65℃の間の転移反応温度(例えば、35-65℃の間、40-65℃の間、45-65℃の間、50-65℃の間、55-65℃の間、60-65℃の間、25-60℃の間、25-55℃の間、25-50℃の間、25-45℃の間、25-40℃の間、25-35℃の間、25-30℃の間、40-50℃の間、又は53-57℃の間、例えば、約25℃で、約30℃で、約35℃で、約40℃で、約45℃で、約50℃で、約53℃で、約54℃で、約55℃で、約56℃で、約57℃で、約60℃で、又は約65℃)で起こる。いくつかの例において、転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間(例えば、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、1及び5分の間、5及び10分の間、5及び20分の間、5及び30分の間、10及び30分の間、15及び30分の間、20及び30分の間、25及び30分の間、10及び20分の間、15及び25分の間、例えば、約1分、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、又は約30分)にわたって起こる。
【0082】
転移反応後、第1組成物のDNAポリメラーゼによる重合反応により、中間核酸の3'末端が伸長し、完全な二本鎖が作製する。いくつかの例において、重合反応は55-95℃の重合反応温度(例えば、60-95℃の間、65-95℃の間、70-95℃の間、75-95℃の間、80-95℃の間、85-95℃の間、90-95℃の間、55-90℃の間、55-85℃の間、55-80℃の間、55-75℃の間、55-70℃の間、55-65℃の間、55-60℃の間、65-85℃の間、70-80℃の間、73-77℃の間、例えば、約55℃で、約60℃で、約65℃で、約70℃で、約73℃で、約74℃で、約75℃で、約76℃で、約77℃で、約80℃で、約85℃で、約90℃で、約95℃)で起こる。いくつかの例において、第1反応容器が重合温度まで加熱されると、転移酵素は解離する。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは耐熱性DNAポリメラーゼであってもよい。いくつかの例において、DNAポリメラーゼはホットスタートDNAポリメラーゼであってもよい。いくつかの例において、ホットスタートDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼに結合した抗体又はアプタマーを含んでもよく、それはホットスタートDNAポリメラーゼが、最適重合温度より高くてもよいし、高くなくてもよい適切な温度に加熱され、その温度でインキュベートされたときに放出される。その後、増幅オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いたPCR反応により、核酸ライブラリーのアンプリコンが作製される。
【0083】
いくつかの例において、アンプリコンは、(a)第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅プライミング領域、第1核酸フラグメントの相同配列、第2増幅プライミング領域の相補配列、及び第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに(b)その相補配列を含む。他の例において、すなわち、アダプターオリゴヌクレオチドがアダプタープライマー領域及びアダプターバーコード領域の両方を含む場合、アンプリコンは、(a)第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅プライミング領域、第1アダプターバーコード領域、第1核酸フラグメントの相同配列、第2アダプターバーコード領域の相補配列、第2増幅プライミング領域の相補配列、及び第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに(b)その相補配列を含む。いくつかの例において、第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって核酸サンプルから作製される。いくつかの例において、PCR反応は、増幅オリゴヌクレオチドを用いて中間核酸からアンプリコンを作製する。いくつかの例において、PCR反応は1-35サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35サイクル)を含む。
【0084】
いくつかの例において、上記核酸サンプル、上記第1アダプターオリゴヌクレオチド、上記第2アダプターオリゴヌクレオチド、上記第1増幅オリゴヌクレオチド、上記第2増幅オリゴヌクレオチド、上記中間核酸、及び/又は上記アンプリコンは、DNAを含んでもよい。いくつかの例において、上記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含んでもよい。
【0085】
いくつかの例において、核酸サンプルはRNAを含んでもよい。いくつかの例において、核酸サンプルは、DNA及びRNAを含んでもよい。いくつかの例において、RNAサンプルは、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)逆転写酵素、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)逆転写酵素、及びトリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)逆転写酵素を含む、適切な逆転写酵素を用いた逆転写によって、RNA/DNA二本鎖に変換することができる。トリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)逆転写酵素としては、ラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV逆転写酵素、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV逆転写酵素、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A逆転写酵素、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV逆転写酵素、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV逆転写酵素、ラウス関連ウイルス(RAV)逆転写酵素、及び骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)逆転写酵素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
アンプリコンを含む核酸ライブラリーを作製するための上記の方法のいくつかの例において、DNAポリメラーゼ、第1シナプス複合体、及び第2シナプス複合体、並びにマグネシウムイオン(例えば、Mg2+)は、本明細書に記載される本発明の1つ又は複数の組成物において提供される。いくつかの例において、DNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンは第1組成物中に提供され、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体は第2組成物中に提供される。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは第1組成物中に提供され、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体は第2組成物中に提供され、マグネシウムイオンは第3組成物中に提供される。いくつかの例において、第1、第2及び任意に第3組成物は、本明細書に記載される本発明のキットにおいて提供されてもよい。
【0087】
バーコード増幅オリゴヌクレオチドを用いた核酸ライブラリーの作製方法
本発明は、アダプターオリゴヌクレオチド及びバーコード増幅オリゴヌクレオチドを用いた、アンプリコンを有する核酸ライブラリーの作製方法を提供する。いくつかの例において、この方法は、(a)DNAポリメラーゼ、(b)第1転移酵素及び第1アダプターオリゴヌクレオチドを含む第1シナプス複合体、並びに第2転移酵素及び第2アダプターオリゴヌクレオチドを含む第2シナプス複合体、並びに(c)マグネシウムイオン(例えば、Mg2+)を用いて核酸ライブラリーを作製することを含む。いくつかの例において、各アダプターオリゴヌクレオチドは、アダプタープライミング領域を含む。本方法は、(i)第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、及び第1増幅プライミング領域を含む第1増幅オリゴヌクレオチド、並びに(ii)第2ユニバーサルプライマー領域、第2増幅バーコード領域、及び第2増幅プライミング領域を含む第2増幅オリゴヌクレオチドであって、ここで、第1アダプターオリゴヌクレオチドの第1増幅プライミング領域は、第1増幅オリゴヌクレオチドの第1増幅プライミング領域と相同であり、そして第2アダプターオリゴヌクレオチドの第2増幅プライミング領域は、第2増幅オリゴヌクレオチドの第2増幅プライミング領域と相同である、第2増幅オリゴヌクレオチド、を使用することをさらに含んでもよい。
【0088】
図2A-2Eに描かれているように、配列決定オリゴヌクレオチドは、転移反応、重合反応、及びPCR反応を含む方法を通して単一の反応容器中で作製してもよい。
図2Aに描かれているように、この方法は、まず、DNAポリメラーゼ、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体、マグネシウムイオン(例えば、Mg
2+)、第1及び第2増幅オリゴヌクレオチド、並びに核酸サンプルを第1反応容器中で組み合わせることを含む。
図2Bに描かれているように、シナプス複合体の転移酵素は核酸サンプルを核酸フラグメントへとフラグメント化し、転移反応において核酸フラグメント及びその相補配列を含有する核酸二本鎖の2本の鎖の5'末端にアダプターオリゴヌクレオチド配列を付加して中間核酸を作製する。いくつかの例において、転移反応は25-65℃の転移反応温度(例えば、35-65℃の間、40-65℃の間、45-65℃の間、50-65℃の間、55-65℃の間、60-65℃の間、25-60℃の間、25-55℃の間、25-50℃の間、25-45℃の間、25-40℃の間、25-35℃の間、25-30℃の間、40-50℃の間、又は53-57℃の間、例えば、約25℃で、約30℃で、約35℃で、約40℃で、約45℃で、約50℃で、約53℃で、約54℃で、約55℃で、約56℃で、約57℃で、約60℃で、又は約65℃)で起こる。いくつかの例において、転移反応は、1及び30分の間の第1反応時間(例えば、1及び25分の間、1及び20分の間、1及び15分の間、1及び10分の間、1及び5分の間、5及び10分の間、5及び20分の間、5及び30分の間、10及び30分の間、15及び30分の間、20及び30分の間、25及び30分の間、10及び20分の間、15及び25分の間、例えば、約1分、約5分、約10分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約20分、約25分、又は約30分)にわたって起こる。
【0089】
図2Cに描かれているように、転移反応後、第1組成物のDNAポリメラーゼによる重合反応により、中間核酸の3'末端が伸長し、
図2Dに描かれている完全な二本鎖が作製する。いくつかの例において、重合反応は55-95℃の重合反応温度(例えば、60-95℃の間、65-95℃の間、70-95℃の間、75-95℃の間、80-95℃の間、85-95℃の間、90-95℃の間、55-90℃の間、55-85℃の間、55-80℃の間、55-75℃の間、55-70℃の間、55-65℃の間、55-60℃の間、65-85℃の間、70-80℃の間、73-77℃の間、例えば、約55℃で、約60℃で、約65℃で、約70℃で、約73℃で、約74℃で、約75℃で、約76℃で、約77℃で、約80℃で、約85℃で、約90℃で、約95℃)で起こる。いくつかの例において、第1反応容器が重合温度まで加熱されると、転移酵素は解離する。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは耐熱性DNAポリメラーゼであってもよい。いくつかの例において、DNAポリメラーゼはホットスタートDNAポリメラーゼであってもよい。いくつかの例において、ホットスタートDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼに結合した抗体又はアプタマーを含んでもよく、それはホットスタートDNAポリメラーゼが、最適重合温度より高くてもよいし、高くなくてもよい適切な温度に加熱され、その温度でインキュベートされたときに放出される。
図2Eに描かれているように、その後、増幅オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いたPCR反応により、核酸ライブラリーのアンプリコンが作製される。
【0090】
いくつかの例において、アンプリコンは、(a)第1ユニバーサルプライマー領域、第1増幅バーコード領域、第1増幅プライミング領域、第1核酸フラグメントの相同配列、第2増幅プライミング領域の相補配列、第2増幅バーコード領域の相補配列、及び第2ユニバーサルプライマー領域の相補配列を含む核酸配列、並びに(b)その相補配列を含む。いくつかの例において、第1核酸フラグメント及びその相補体を含む核酸二本鎖は、転移酵素活性によって核酸サンプルから作製される。いくつかの例において、
図2Dに描かれた中間核酸は、
図2Eに描かれたPCR反応の鋳型である。いくつかの例において、PCR反応は増幅オリゴヌクレオチドを用いて中間核酸からアンプリコンを作製する。いくつかの例において、PCR反応は1-35サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35サイクル)を含む。
【0091】
いくつかの例において、上記核酸サンプル、上記第1アダプターオリゴヌクレオチド、上記第2アダプターオリゴヌクレオチド、上記第1増幅オリゴヌクレオチド、上記第2増幅オリゴヌクレオチド、上記中間核酸、及び/又は上記アンプリコンは、DNAを含んでもよい。いくつかの例において、。いくつかの例において、上記核酸サンプルは、二本鎖DNA(dsDNA)を含んでもよい。
【0092】
いくつかの例において、核酸サンプルはRNAを含んでもよい。いくつかの例において、核酸サンプルは、DNA及びRNAを含んでもよい。いくつかの例において、RNAサンプルは、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)逆転写酵素、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)逆転写酵素、及びトリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)逆転写酵素を含む、適切な逆転写酵素を用いた逆転写によって、RNA/DNA二本鎖に変換することができる。トリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)逆転写酵素としては、ラウス肉腫ウイルス(RSV)逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)逆転写酵素、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV逆転写酵素、ニワトリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV逆転写酵素、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A逆転写酵素、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV逆転写酵素、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV逆転写酵素、ラウス関連ウイルス(RAV)逆転写酵素、及び骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)逆転写酵素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
アンプリコンを含む核酸ライブラリーを作製するための上記の方法のいくつかの例において、DNAポリメラーゼ、第1シナプス複合体、及び第2シナプス複合体、並びにマグネシウムイオン(例えば、Mg2+)は、本明細書に記載される本発明の1つ又は複数の組成物において提供される。いくつかの例において、DNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンは第1組成物中に提供され、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体は第2組成物中に提供される。いくつかの例において、DNAポリメラーゼは第1組成物中に提供され、第1シナプス複合体及び第2シナプス複合体は第2組成物中に提供され、マグネシウムイオンは第3組成物中に提供される。いくつかの例において、第1、第2及び任意に第3組成物は、本明細書に記載される本発明のキットにおいて提供されてもよい。
【0094】
配列決定方法
本発明の方法は、核酸配列決定(例えば、次世代シーケンシング(NGS))又は当技術分野で公知の他の方法によって、配列決定オリゴヌクレオチド又はアンプリコンの核酸配列を決定することをさらに含んでもよい。いくつかの例において、配列決定は、現在利用可能な様々なシステム、例えば、Pacific Biosciences(PACBIO(登録商標))、ILLUMINA(登録商標)、Oxford NANOPORE(登録商標)、Genapsys(登録商標)、又はThermoFisher(ION TORRENT(登録商標))による配列決定システムによって行うことができる。代替的又は追加的に、配列決定は、核酸増幅、配列決定-ライゲーション(例えば、SOLiD)、配列決定-合成、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、デジタルPCR、定量的PCR、又はリアルタイムPCR)、又は等温増幅を用いて行ってもよい。いくつかの例において、本明細書に記載の配列決定オリゴヌクレオチド及びアンプリコンは、核酸フラグメントの核酸配列、及びそれぞれ配列決定オリゴヌクレオチド又はアンプリコンのアダプターバーコード領域又は増幅バーコード領域の核酸配列に基づいて、一意に同定され得る。本発明方法はさらに、核酸配列決定によって作製されたデータ、並びにそのような配列データを作製及び解析するための方法、及びそのような方法において使用され、形成される反応混合物を含む。
【実施例】
【0095】
本発明を以下の非限定的実施例により説明する。
【0096】
実施例1.「ワンステップ」核酸ライブラリー調製法
ワンステップ反応では、以下の成分を単一の反応容器(例えば、96ウェルプレート)に表1に示す最終濃度で32μlの反応容量で添加した。反応容器をサーモサイクラーに入れ、後述の表2に示すプログラムを実行した。
【0097】
【0098】
【0099】
増幅核酸ライブラリーの調製には、上記のプロトコールで以下の核酸配列を使用した。
配列番号1:全長第1アダプターオリゴヌクレオチド:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AGT CAC CAG TCT CGT GGG CTC GGA GAT GTG TAT AAG AGA CAG
配列番号2:全長の第2アダプターオリゴヌクレオチド:AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG ATC TAC ACA AGG AGT ATC GTC GGC AGC GTC AGA TGT GTA TAA GAG ACA G
配列番号3:ME'(転移酵素モザイク末端配列の5'-リン酸化相補体):/5Phos/CTG TCT CTT ATA CAC ATC T/3InvdT/
配列番号4:ユニバーサルプライマー1:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA G
配列番号5:ユニバーサルプライマー2:AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG
配列番号6:増幅オリゴヌクレオチド1:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GGA AGA GAT AGT CTC GTG GGC TCG G
配列番号7:増幅オリゴヌクレオチド2:AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG ATC TAC ACC CAC AAC TTA TCG TCG GCA GCG TC
配列番号8:第1アダプターオリゴヌクレオチド:TCG TCG GCA GCG TCA GAT GTG TAT AAG AGA CAG
配列番号9:第2アダプターオリゴヌクレオチド:GTC TCG TGG GCT CGG AGA TGT GTA TAA GAG ACA G
【0100】
例示的なDNAサンプルからのワンステップ反応から得られた増幅核酸ライブラリーを、メーカーの説明書(seqWell, Inc.)に従って、0.8容量当量のMAGwise
TM paramagnetic beadsを用いて精製した。精製したライブラリーのアガロースゲルを
図4に示すが、増幅された配列決定ライブラリーには幅広いDNAフラグメントサイズが認められた。核酸ライブラリーをMiSeq(登録商標)sequencer(ILLUMINA(登録商標))で配列決定した。
【0101】
結果
50 ngのヒトDNAサンプルから上記のワンステップライブラリー調製法を用いて調製した核酸ライブラリーを、Illumina MiSeq(登録商標)sequencerとv3 sequencing kitを用いて配列決定した。全33,340,460リードペアのうち、100%がPF(passing filter)リードであり、97.7%がヒトhg38参照配列と一致した。さらに、増幅ライブラリーは高い多様性を示し、解析した約3200万リードペアのうち、重複リードはわずか約1.3%であった。増幅フラグメントの長さは平均261±159 bp(平均±標準偏差)であった。
【0102】
実施例2.プラスミド用「ワンステップ」核酸ライブラリー調製法
プラスミドDNA(pUC19)からNGSライブラリーをワンステップ反応で調製するために、以下の成分を単一の反応容器(例えば、96ウェルプレート)に16 μlの反応容量で表3に示す最終濃度で添加した。この反応容器を表4に示すプログラムを実行するサーモサイクラーに入れた。
【0103】
【0104】
【0105】
実施例2において、以下の核酸配列を使用して、シナプス複合体を作製し、プラスミドDNAにタグを付け、そして核酸ライブラリーをワンステップ反応で増幅した。
配列番号10:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GAG TTA GTT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号11:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAT CCA GTA CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号12:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCC TCC GAT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号13:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CCA TCA GAA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号14:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GGT AAC GAT AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号15:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TAA CAG ACC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号16:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAT GTT GGC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号17:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CGT GTA ATG AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号18:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTC AGG TTA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号19:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TGG AAC CGC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号20:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GGC AAG TAT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号21:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TTC CGC GAT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号22:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCG CGT TCT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号23:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CCT TGG TTC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号24:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CTG ACT AAC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号25:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TTA CCT ACT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号26:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GAA GTA CCT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号27:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAT ATT CCT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号28:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT ATT GTG CGT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号29:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CCT TCT CAA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号30:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAG GTG CAA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号31:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTA TCC ACT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号32:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GCA TCT TAT CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号33:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TGT CGA GGT AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号34:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TGG CTC GGT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号35:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CTT GAA TCC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号36:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTA TCT GTT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号37:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GAG TTA CCT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号38:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CGT ATT GTC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号39:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT ATG CAC AAT CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号40:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAT GGT GTG CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号41:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GGA ATA ACG AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号42:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAT GAC GTT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号43:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAT CGT TCT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号44:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTA ATT GCA GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号45:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT ATC ATC GGC GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号46:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTC TTG TCC GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号47:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GAG GAG TAC GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号48:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAC TCA TGC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号49:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GCT CCA GAT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号50:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCT GAC CAA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号51:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAC AGG TCT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号52:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TTC ATT AGC GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号53:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT ATG CAC TCT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号54:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCA GCT TAC CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号55:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAC TGA ATA CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号56:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAC GTA GCG CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号57:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GCT ATG ACA AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号58:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCC GCA ACA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号59:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GGT TAG CAT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号60:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TAC GTG TTA CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号61:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCC GTA TAT CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号62:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CCT CTC GGA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号63:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTG TGA ATT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号64:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GAA CTG ACA AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号65:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAT GGC GTA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号66:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTT ATT GGT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号67:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TTG TGG ACG CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号68:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAG CGC ACA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号69:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GCA CTA GAT AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号70:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAT TGT AGG CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号71:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAC TGA GCT TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号72:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCT AAG CGT AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号73:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CCT AGT GGA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号74:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAG ACG GAC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号75:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GTT ACT CAT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号76:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT ATT CGC GCA GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号77:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAT ACT ACA GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号78:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TGT ACG GCT CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号79:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CCT AAG AAT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号80:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TTG TCG GTC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号81:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CGG TTA CAC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号82:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAG TCC TTC GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号83:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TGA CGG TAG AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号84:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CGA TAT TAC CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号85:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT AAC TCG CAC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号86:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCA GCG ATA AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号87:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GAA CTC AAC CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号88:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GGC GTC CAA TGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号89:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CAC ACA CAT AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号90:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT GCG ATA ACT AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号91:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT ATC ACC TGC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号92:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TAG CTT CAC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号93:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCA GGA GTT GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号94:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CGT TGC TAC AGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号95:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TGC GTT ACC GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号96:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT CTG CTG CTA CGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号97:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA GAT TCG GCT GTA GGT CTC GTG GGC TCG GAG ATG TGT ATA AGA GAC AG
配列番号98:AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG ATC TAC ACC TGA TTA GGA TCG TCG GCA GCG TCA GAT GTG TAT AAG AGA CAG
配列番号10-98はアダプターオリゴヌクレオチドである配列番号10-97はi7シナプス複合体1の作製に使用し、配列番号98はi5シナプス複合体2の作製に使用した。
配列番号99:ME'(転移酵素モザイク末端配列の5'-リン酸化相補体):/5Phos/CTG TCT CTT ATA CAC ATC T/3InvdT/
配列番号100:ユニバーサルプライマー1:CAA GCA GAA GAC GGC ATA CGA G
配列番号101:ユニバーサルプライマー2:AAT GAT ACG GCG ACC ACC GAG
【0106】
サーマルサイクリング後、ワンステップ反応から得られた各増幅プラスミドライブラリー10 μLをプールし、そしてメーカーの指示に従って0.75容量当量のMAGwiseTM paramagnetic beadsで精製した(seqWell, Inc.)。プールした精製ライブラリーをMiSeq(登録商標)sequencer(ILLUMINA(登録商標))で配列決定し、次いでリードを配列番号10 - 配列番号97にコードされる10塩基のi7インデックスに基づいてデマルチプレックスした。さらなるマルチプレックスが必要な場合は、i5を含有する追加のアダプターオリゴヌクレオチドを使用でき、シナプス複合体2をさらに作製することができる。それから作製された配列決定リードは、シナプス複合体1及びシナプス複合体2を作製するために使用されたアダプターオリゴヌクレオチドにコードされたi7及びi5インデックスの両方に基づいてデマルチプレックスすることができる。
【0107】
結果
8-64 ngの入力範囲におけるプラスミドサンプルの読み取り出力バランスは、変動係数(c.v.)が10.2%であった。読み取り値のバランスを
図5に、及び標準化結果を表5に示す。
【0108】
【0109】
他の実施形態
本明細書において、本発明の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、そのような実施形態が例示によってのみ提供されることは、当業者には明らかであろう。本明細書内で提供される特定の実施形態によって本発明が限定されることは意図されていない。本発明を前述の明細書を参照して説明したが、本明細書における実施形態の説明及び図示は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。本発明を逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換が今後当業者に生じるであろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件及び変数に依存する本明細書に記載された特定の描写、構成又は相対的な割合に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替形態が、本発明の実施において採用されてもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明は、そのような代替物、変更、変形、又は等価物も包含することが企図される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定し、そしてこれらの特許請求の範囲及びその等価物の範囲内の方法及び構造がそれによって包含されることが意図される。
【0110】
その他の実施形態は特許請求の範囲に記載する。
【配列表】
【国際調査報告】