IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セットボーン メディカル リミテッドの特許一覧

特表2024-537823加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント
<>
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図1
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図2
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図3
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図4
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図5
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図6
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図7a
  • 特表-加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント 図7b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】加速された現場硬化特性を有する即時使用可能なモノマーを含まないアクリル骨セメント
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/16 20060101AFI20241008BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20241008BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20241008BHJP
   A61L 27/26 20060101ALI20241008BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20241008BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20241008BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61L27/16
A61L27/18
A61L27/20
A61L27/26
A61L27/50
A61L27/54
A61L27/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519756
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 IL2022051032
(87)【国際公開番号】W WO2023053119
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,616
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】522068555
【氏名又は名称】セットボーン メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン、ロイ
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン、ニムロッド
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB02
4C081AC04
4C081BA16
4C081BB01
4C081BB02
4C081BB06
4C081CA03
4C081CA05
4C081CA08
4C081CA16
4C081CA18
4C081CC03
4C081CC05
4C081CD01
4C081CE01
4C081CE02
4C081DA14
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つの混合可能な構成成分を有する医療グレードの骨セメントであって、前記骨セメントが、官能基の40%以上がメタクリレートである、20重量%以上の第1のポリマー材料を含む第1の構成成分;及び前記第1のポリマー材料の架橋を生じるように選択された少なくとも1つの開始剤を含む第2の構成成分であって、前記第2の構成成分の残部が、前記開始剤と反応しない40重量%以上の第2のポリマー材料を含み;前記第2の構成成分がペーストである、第2の構成成分を含む、医療グレードの骨セメントに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの混合可能な構成成分を有する医療グレードの骨セメントであって、
前記骨セメントが、
a.40%以上のモノマー単位がメタクリレート基(methacrylate group)を含む、20重量%以上の第1のポリマー材料を含む第1の構成成分;及び
b.前記第1のポリマー材料の架橋を生じるように選択された少なくとも1つの開始剤を含む第2の構成成分、ここで、前記第2の構成成分の残部は、前記開始剤と反応しない50重量%以上の第2のポリマー材料を含む;
を含み、
前記第2の構成成分がペーストである、医療グレードの骨セメント。
【請求項2】
前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項3】
前記第1の構成成分は、モノマーが10重量%未満である、請求項1又は請求項2に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項4】
前記第1の構成成分がモノマーを含まない(monomer-free)、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項5】
前記第1の構成成分が、少なくとも約20重量%~約80重量%の前記第1のポリマー材料を含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項6】
前記第2の構成成分が、少なくとも約40重量%~約100重量%の前記第2のポリマー材料を含む、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項7】
前記骨セメントが、専用の実装デバイス(dedicated implementation device)中の即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントとして提供される、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項8】
前記第1のポリマー材料が、メタクリル基で修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを含む、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項9】
メタクリル基で修飾されたPVA系ポリマーを含む前記第1のポリマー材料が、PVGMAである、請求項8に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項10】
前記PVAに対するメタクリレート修飾が、約1:100~約20:1の比であることを特徴とする、請求項8に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項11】
前記PVAに対するメタクリレート修飾が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加であることを特徴とする、請求項8に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項12】
前記第1のポリマー材料中の最小量のPGMAEが、1:10のPGMAE/PVA比を有し、前記PGMAEが、4単位の長さを含む、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項13】
前記第1のポリマー材料が、100%のPGMAEである、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項14】
前記第1の構成成分が、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される溶媒を含む、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項15】
前記第1の構成成分がPEG/PPG系溶媒を含む、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項16】
前記第1の構成成分が、ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(bisEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項17】
前記第1の構成成分が、放射線不透過性(radiopaque)材料、阻害剤、水及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項18】
前記第1の構成成分が、水を吸収する能力を特徴とする、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項19】
メタクリル官能基間のエーテル基が、水を吸収する前記能力を付与する、請求項18に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項20】
前記第1の構成成分が、水を吸収することができないことを特徴とする、請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項21】
前記PVAが、水を吸収する前記能力を付与する、請求項18に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項22】
前記第2のポリマー材料が、プルロニック(Pluronic)P123、プルロニックP105、プルロニックP85、ペースト状のPEG1000、ペースト状のPPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG、PPG、ポロキサマーの混合物、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1~請求項21のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項23】
前記第2のポリマー材料が生分解性ポリマーである、請求項1~請求項22のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項24】
前記生分解性ポリマーが、ポリエステル及び多糖類のうちの1又は複数である、請求項23に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項25】
前記生分解性ポリマーが、架橋重合プロセスの一部であるように構成された架橋性ポリマーである、請求項23に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項26】
前記架橋性ポリマーがポリプロピレンフマレート(PPF)である、請求項25に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項27】
前記少なくとも1つの開始剤が、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1~請求項26のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項28】
前記第2の構成成分が、少なくとも1つの共開始剤(co-initiator)を含む、請求項1~請求項27のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項29】
前記共開始剤が、アスコルビン酸及びアスコルビン酸に基づく改変分子のうちの1又は複数である、請求項28に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項30】
共開始剤-対-開始剤(co-initiation to initiation)の比が約0.1:1~約1:1である、請求項1~請求項29のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項31】
前記第2の構成成分が、少なくとも1つの安定剤を含む、請求項1~請求項30のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項32】
前記第2の構成成分が、少なくとも1つの添加剤を含む、請求項1~請求項31のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項33】
前記少なくとも1つの添加剤が、医薬、抗生物質、幹細胞及び骨成長因子のうちの1又は複数である、請求項32に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項34】
前記開始剤の濃度が、メタクリル官能基に対して約1:10~約1:500である、請求項1~請求項33のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項35】
前記第1の構成成分と前記第2の構成成分との比が約1:10~約1:1である、請求項1~請求項34のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項36】
混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約10Pa・s~約100Pa・sの低粘度レベルを有することを特徴とする、請求項1~請求項35のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項37】
混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約100Pa・s~約500Pa・sの中粘度レベルを有することを特徴とする、請求項1~請求項36のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項38】
混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約500Pa・s~約1500Pa・sの高粘度レベルを有することを特徴とする、請求項1~請求項37のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項39】
前記医療グレードの骨セメントが、室温で約1分~約40分の作業時間(working time)を特徴とする、請求項1~請求項38のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項40】
前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から開始して約24時間後までの硬化時間を特徴とする、請求項39に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項41】
前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から約1分~約5分後に非変形段階を達成することを特徴とする、請求項39に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項42】
重合プロセスが温度の影響を受ける、請求項1~請求項41のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項43】
重合プロセスが水分の影響を受ける、請求項1~請求項42のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項44】
約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の温度でのプロセス時間と比較して、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、請求項1~請求項43のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項45】
水分への前記骨セメントの曝露が、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、請求項1~請求項44のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項46】
水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、重合プロセス時間を約2~約25倍加速させる、請求項1~請求項45のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項47】
前記医療グレードの骨セメントが、重合プロセスのための変色指示薬を含む、請求項1~請求項46のいずれか一項に記載の医療グレードの骨セメント。
【請求項48】
骨セメントを重合する方法であって、前記骨セメントに2つの別個の重合反応を提供することを含み、第1の重合反応が、温度依存性でない高速重合反応であることを特徴とする一方、第2の重合反応が、温度依存性である低速重合反応であることを特徴とする、方法。
【請求項49】
骨セメントのための送達デバイスであって、
a.混合ユニットであって、
i.少なくとも2つのチャンバを備える少なくとも1つのカートリッジであって;前記少なくとも2つのチャンバのうちの各チャンバが前記骨セメントの一部分を収容し;前記少なくとも1つのカートリッジが前記骨セメントの前記一部分の押圧機構を含み;前記押圧機構が前記少なくとも2つのチャンバ内で同じ距離を移動するように構成されている、少なくとも1つのカートリッジ;及び
ii.前記少なくとも2つのチャンバに接続され、前記少なくとも2つのチャンバに収容されている前記骨セメントの一部分を受け取るように構成されているミキサ
を備える、混合ユニット;
b.少なくとも1つのアクチュエーション機構(actuating mechanism)を作動させて、前記少なくとも2つのチャンバに収容されている前記骨セメントの前記一部分を前記少なくとも2つのチャンバから前記ミキサ内へと排出させるための少なくとも1つのアクチュエータを備える制御ユニット;
c.一方の側が前記混合ユニットに接続され、第2の側が前記制御ユニットに接続されたコネクタであって;前記コネクタが前記制御ユニットから前記混合ユニットにアクチュエーション作用(actuation actions)を伝達するように構成されている、コネクタ
を備える、送達デバイス。
【請求項50】
前記少なくとも1つのアクチュエーション機構が、油圧式、機械式、及び電気式のアクチュエーション機構のうちの1又は複数を含む、請求項49に記載の送達デバイス。
【請求項51】
前記押圧機構が、前記骨セメントの前記一部分を前記少なくとも2つのチャンバから押し出すように構成されたプランジャである、請求項49に記載の送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年9月29日に出願された米国仮特許出願第63/249,616号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、刺激後にそれらの特性を変化させるように構成された医療グレード及び非医療グレードの材料に関する。
【0003】
経皮的椎骨増強は、骨粗鬆症又は脊椎の損傷のために骨折した椎骨を増強するための低侵襲性の手順である。骨折した椎骨を安定させ、痛みを軽減するために、椎弓根のドリルを通して椎体内に針を挿入する。椎体形成術処置では、液体形態のメチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントが、針を介して骨折した椎骨に直接注入され、骨折した骨が硬化して安定化する。脊椎形成術処置では、骨セメントを適用する前に、膨張していないバルーンを椎体の海綿骨に挿入し、膨張させて椎骨の高さを回復させ、その後除去して、セメントで充填される空隙を残す。処置の最も有害な事象は、椎体外へのセメント漏れである。セメントが脊柱管内に漏れると、脊髄及び神経を圧迫し、新たな痛み及び神経学的問題を引き起こす可能性がある。医師の観点から、PMMAセメントの主な欠点は、調製直後に硬化し始めることである。したがって、セメント粘度は作業中に変化し、総作業時間は数分に制限され、骨折した椎骨の不適切な充填につながる可能性がある。
【0004】
さらなる背景技術には、少なくとも20体積%のポリマー材料から形成された変形体を開示するWO2021/038562が含まれ、ここで、個々のポリマー骨格は、架橋して架橋を形成することが可能な複数の官能基を有し;前記ポリマー材料は、第1の低架橋構成で提供され;前記ポリマー材料は、適切な刺激の適用時に、前記刺激が、前記官能基の架橋を生じさせて前記ポリマー骨格間に架橋を形成し、その結果、前記ポリマー材料が第2のより架橋した構成になる、方法。
【0005】
米国特許第5264215号は、「炭素原子数1~4のアルキル基を有するメタクリレートに由来するポリアルキルメタクリレート、ヒドロキシアパタイト、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、4-(2-メタクリロイルオキシエチル)トリメリット酸又はその無水物、及び重合開始剤を含む骨セメント組成物を開示する。組成物の硬化物、組成物を使用するインプラント材料、及びインプラント材料の調製のための方法も開示されている。
【0006】
米国特許第5538514号は、「いかなるアミン開始剤も含まないセメント混合物がインプラントの周りに成形され、セメント混合物を放射線源に曝露することによって重合が開始される、人工インプラントに骨セメントを成形するための方法。この方法は、重合骨セメント混合物をインプラントに成形する製造タイミングの問題を排除する」を開示する。
【0007】
米国特許第8475536号には、「セメント結合の強度(例えば、引張、剪断、及び/又は疲労)を高めることができる改質された表面を有するバイオメディカルインプラント(例えば、整形外科用インプラント)が、そのようなインプラントを製造及び使用する方法と共に開示される。インプラントは、セメント結合を強化することができる種々の物理的、化学的、又はプロセス由来の特徴を示すことができる。例えば、インプラント表面は、特定の粗さ値を示す可能性があり、及び/又は非天然材料を実質的に含まない可能性がある。そのようなインプラントを製造するためのプロセスは、例えば粒子ブラスト加工によって製造することができる第1の粗面化インプラント表面を提供することを含むことができる。処理配合物を第1の粗面化表面に適用して、第1の粗面化表面に対して強化されたセメント結合特性を示す第2の粗面化表面を作成することができる。いくつかの事例では、第1の粗面化表面及び第2の粗面化表面は、実質的に同様のRa値を示し得る。第2の粗面化表面は、負のRsk値を示し得る。」と開示されている。
【0008】
米国特許第8926710号には、「骨伝導性骨移植材料」を開示している。これらの組成物は、注入可能なセメント及び脱灰骨マトリックス繊維を含有する。これらの材料の組合せは、強度と吸収のバランスをとりながら骨の空隙の充填を可能にする。」と開示されている。
【0009】
米国特許第8834845号には、「生物活性PMMA(ポリメチルメタクリレート)骨セメントは、粉末構成成分及び反応性モノマー液体を含有し、粉末構成成分及び反応性モノマー液体は、互いに混合されると互いに反応してポリマーベースの固体材料を形成する。粉末構成成分は、ポリメチルメタクリレート、ラジカルスターター及びアニオン性コポリマーナノ粒子の粒子状ポリマー粉末を含有する。アニオン性コポリマーナノ粒子は、粒子状粉末構成成分内にナノ粒子形態で分布しているか、又は粒子状ポリマー粉末の粒子上にフィルムとしてコーティングされている。」と開示されている。
【発明の概要】
【0010】
以下は、本発明の実施形態のいくつかの例を含む非排他的なリストである。本発明はまた、以下に明示的に列挙されていない場合、例のすべての特徴よりも少ない特徴を含む実施形態、及び複数の例からの特徴を使用する実施形態を含む。
【0011】
例1.少なくとも2つの混合可能な構成成分を有する医療グレードの骨セメントであって、前記骨セメントが、
a.40%以上のモノマー単位がメタクリレート基(methacrylate group)を含む、20重量%以上の第1のポリマー材料を含む第1の構成成分;及び
b.前記第1のポリマー材料の架橋を生じるように選択された少なくとも1つの開始剤を含む第2の構成成分、ここで、前記第2の構成成分の残部は、前記開始剤と反応しない50重量%以上の第2のポリマー材料を含む;
を含み、
前記第2の構成成分がペーストである、医療グレードの骨セメント。
【0012】
例2.前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、例1に記載の医療グレードの骨セメント。
【0013】
例3.前記第1の構成成分は、モノマーが10重量%未満である、例1又は例2に記載の医療グレードの骨セメント。
【0014】
例4.前記第1の構成成分がモノマーを含まない(monomer-free)、例1~3のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0015】
例5.前記第1の構成成分が、少なくとも約20重量%~約80重量%の前記第1のポリマー材料を含む、例1~4のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0016】
例6.前記第2の構成成分が、少なくとも約40重量%~約100重量%の前記第2のポリマー材料を含む、例1~5のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0017】
例7.前記骨セメントが、専用の実装デバイス(dedicated implementation device)中の即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントとして提供される、例1~6のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0018】
例8.前記第1のポリマー材料が、メタクリル基で修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを含む、例1~7のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0019】
例9.メタクリル基で修飾された前記PVA系ポリマーを含む前記第1のポリマー材料がPVGMAである、例8に記載の医療グレードの骨セメント。
【0020】
例10.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、約1:100~約20:1の比であることを特徴とする、例8に記載の医療グレードの骨セメント。
【0021】
例11.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加を特徴とする、例8に記載の医療グレードの骨セメント。
【0022】
例12.前記第1のポリマー材料中の最小量のPGMAEが、1:10のPGMAE/PVA比を有し、前記PGMAEが、4単位の長さを含む、例1~11のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0023】
例13.前記第1のポリマー材料が、100%のPGMAEである、例1~12のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0024】
例14.前記第1の構成成分が、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される溶媒を含む、例1~13のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0025】
例15.前記第1の構成成分がPEG/PPG系溶媒を含む、例1~14のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0026】
例16.前記第1の構成成分が、ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(bisEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ブタンジオールジアクリレート(BDDA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、例1~15のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0027】
例17.前記第1の構成成分が、放射線不透過性(radiopaque)材料、阻害剤、水及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、例1~16のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0028】
例18.前記第1の構成成分が、水を吸収する能力を特徴とする、例1~17のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0029】
例19.メタクリル官能基間のエーテル基が、水を吸収する前記能力を付与する、例18に記載の医療グレードの骨セメント。
【0030】
例20.前記第1の構成成分が、水を吸収することができないことを特徴とする、例1~19のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0031】
例21.前記PVAが、水を吸収する前記能力を付与する、例18に記載の医療グレードの骨セメント。
【0032】
例22.前記第2のポリマー材料が、プルロニック(Pluronic)P123、プルロニックP105、プルロニックP85、ペースト状のPEG1000、ペースト状のPPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG、PPG、ポロキサマーの混合物、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例1~21のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0033】
例23.前記第2のポリマー材料が生分解性ポリマーである、例1~22のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0034】
例24.前記生分解性ポリマーが、ポリエステル及び多糖類のうちの1又は複数である、例23に記載の医療グレードの骨セメント。
【0035】
例25.前記生分解性ポリマーが、架橋重合プロセスの一部であるように構成された架橋性ポリマーである、例23に記載の医療グレードの骨セメント。
【0036】
例26.前記架橋性ポリマーがポリプロピレンフマレート(PPF)である、例25に記載の医療グレードの骨セメント。
【0037】
例27.前記少なくとも1つの開始剤が、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例1~26のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0038】
例28.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの共開始剤(co-initiator)を含む、例1~27のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0039】
例29.前記共開始剤が、アスコルビン酸及びアスコルビン酸に基づく改変分子のうちの1又は複数である、例28に記載の医療グレードの骨セメント。
【0040】
例30.共開始剤-対-開始剤(co-initiation to initiation)の比が約0.1:1~約1:1である、例1~29のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0041】
例31.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの安定剤を含む、例1~30のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0042】
例32.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの添加剤を含む、例1~31のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0043】
例33.前記少なくとも1つの添加剤が、医薬、抗生物質、幹細胞及び骨成長因子のうちの1又は複数である、例32に記載の医療グレードの骨セメント。
【0044】
例34.前記開始剤の濃度が、メタクリル官能基に対して約1:10~約1:500である、例1~33のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0045】
例35.前記第1の構成成分と前記第2の構成成分との比が約1:10~約1:1である、例1~34のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0046】
例36.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約10Pa・s~約100Pa・sの低粘度レベルを有することを特徴とする、例1~35のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0047】
例37.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約100Pa・s~約500Pa・sの中粘度レベルを有することを特徴とする、例1~36のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0048】
例38.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約500Pa・s~約1500Pa・sの高粘度レベルを有することを特徴とする、例1~37のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0049】
例39.前記医療グレードの骨セメントが、室温で約1分~約40分の作業時間(working time)を特徴とする、例1~38のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0050】
例40.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から開始して約24時間後までの硬化時間を特徴とする、例39に記載の医療グレードの骨セメント。
【0051】
例41.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から約1分~約5分後に非変形段階を達成することを特徴とする、例39に記載の医療グレードの骨セメント。
【0052】
例42.重合プロセスが温度の影響を受ける、例1~41のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0053】
例43.重合プロセスが水分の影響を受ける、例1~42のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0054】
例44.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の温度でのプロセス時間と比較して、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、例1~43のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0055】
例45.水分への前記骨セメントの曝露が、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、例1~44のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0056】
例46.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、重合プロセス時間を約2~約25倍加速させる、例1~45のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0057】
例47.前記医療グレードの骨セメントが、重合プロセスのための変色指示薬を含む、例1~46のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0058】
例48.骨セメントを重合する方法であって、前記骨セメントに2つの別個の重合反応を提供することを含み、第1の重合反応が、温度依存性でない高速重合反応であることを特徴とする一方、第2の重合反応が、温度依存性である低速重合反応であることを特徴とする、方法。
【0059】
例49.骨セメントのための送達デバイスであって、
a.混合ユニットであって、
i.少なくとも2つのチャンバを備える少なくとも1つのカートリッジであって;前記少なくとも2つのチャンバのうちの各チャンバが前記骨セメントの一部分を収容し;前記少なくとも1つのカートリッジが前記骨セメントの前記一部分の押圧機構を含み;前記押圧機構が前記少なくとも2つのチャンバ内で同じ距離を移動するように構成されている、少なくとも1つのカートリッジ;及び
ii.前記少なくとも2つのチャンバに接続され、前記少なくとも2つのチャンバに収容されている前記骨セメントの一部分を受け取るように構成されているミキサ
を備える、混合ユニット;
b.少なくとも1つのアクチュエーション機構(actuating mechanism)を作動させて、前記少なくとも2つのチャンバに収容されている前記骨セメントの前記一部分を前記少なくとも2つのチャンバから前記ミキサ内へと排出させるための少なくとも1つのアクチュエータを備える制御ユニット;
c.一方の側が前記混合ユニットに接続され、第2の側が前記制御ユニットに接続されたコネクタであって;前記コネクタが前記制御ユニットから前記混合ユニットにアクチュエーション作用(actuation actions)を伝達するように構成されている、コネクタ
を備える、送達デバイス。
【0060】
例50.前記少なくとも1つのアクチュエーション機構が、油圧式、機械式、及び電気式のアクチュエーション機構のうちの1又は複数を含む、例49に記載の送達デバイス。
【0061】
例51.前記押圧機構が、前記骨セメントの前記一部分を前記少なくとも2つのチャンバから押し出すように構成されたプランジャである、例49に記載の送達デバイス。
【0062】
以下は、本発明の実施形態のいくつかの例を含む別の非排他的なリストである。本発明はまた、以下に明示的に列挙されていない場合、例のすべての特徴よりも少ない特徴を含む実施形態、及び複数の例からの特徴を使用する実施形態を含む。
【0063】
例1.少なくとも2つの混合可能な構成成分を有する医療グレードの骨セメントであって、前記骨セメントが、
a.40%以上のモノマー単位がメタクリレート基(methacrylate group)を含む、20重量%以上の第1のポリマー材料を含む第1の構成成分;及び
b.前記第1のポリマー材料の架橋を生じるように選択された少なくとも1つの開始剤を含む第2の構成成分、ここで、前記第2の構成成分の残部は、前記開始剤と反応しない50重量%以上の第2のポリマー材料を含む;
を含み、
前記第2の構成成分がペーストである、医療グレードの骨セメント。
【0064】
例2.前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、例1に記載の医療グレードの骨セメント。
【0065】
例3.前記第1の構成成分は、モノマーが10重量%未満である、例1又は例2に記載の医療グレードの骨セメント。
【0066】
例4.前記第1の構成成分がモノマーを含まない(monomer-free)、例1~3のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0067】
例5.前記第1の構成成分が、少なくとも約20重量%~約80重量%の前記第1のポリマーを含む、例1~4のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0068】
例6.前記第2の構成成分が、少なくとも約40重量%~約100重量%の前記第2のポリマー料を含む、例1~5のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0069】
例7.前記第2の構成成分が、使用される前に前処理動作(pre-processing actions)を必要としない、例1~6のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0070】
例8.前記骨セメントが、専用の実装デバイス(dedicated implementation device)中の即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントとして提供される、例1~7のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0071】
例9.前記第1のポリマー材料が、メタクリル基で修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを含む、例1~8のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0072】
例10.メタクリル基で修飾された前記PVA系ポリマーを含む前記第1のポリマー材料がPVGMAである、例1~9のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0073】
例11.前記PVAが、約40%~約99.9%の加水分解度を特徴とする、例1~10のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0074】
例12.前記PVAに沿ったメタクリレート修飾が、約1:100~約20:1の比であることを特徴とする、例1~11のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0075】
例13.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加であることを特徴とする、例1~12のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0076】
例14.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりも重量基準で約3倍多い、例1~13のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0077】
例15.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりもモル比で約1.2倍大きい、例1~14のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0078】
例16.前記第1のポリマー材料中の最小量のPGMAEが、1:10のPGMAE/PVA比を有し、前記PGMAEが、4単位の長さを含む、例1~15のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0079】
例17.前記第1のポリマー材料が、100%のPGMAEである、例1~16のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0080】
例18.前記第1の構成成分が、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される溶媒を含む、例1~17のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0081】
例19.前記第1の構成成分がPEG/PPG系溶媒を含む、例1~18のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0082】
例20.前記第1の構成成分が、ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(bisEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、例1~19のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0083】
例21.前記第1の構成成分が、放射線不透過性(radiopaque)材料、阻害剤、水及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、例1~20のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0084】
例22.前記第1の構成成分が、水を吸収する能力を特徴とする、例1~21のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0085】
例23.前記メタクリル官能基間のエーテル基が、水を吸収する前記能力を付与する、例1~22のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0086】
例24.前記PVAが、水を吸収する前記能力を付与する、例1~23のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0087】
例25.前記第2のポリマーが、プルロニック(Pluronic)P123、プルロニックP105、プルロニックP85、ペースト状のPEG1000、ペースト状のPPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG、PPG、ポロキサマーの混合物、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例1~24のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0088】
例26.前記第2のポリマーが生分解性ポリマーである、例1~25のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0089】
例27.前記生分解性ポリマーが、ポリエステル及び多糖類のうちの1又は複数である、例1~26のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0090】
例28.前記少なくとも1つの開始剤が、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例1~27のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0091】
例29.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの共開始剤(co-initiator)を含む、例1~28のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0092】
例30.前記共開始剤がアスコルビン酸である、例1~29のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0093】
例31.前記共開始剤がアスコルビン酸に基づく改変分子である、例1~30のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0094】
例32.共開始剤-対-開始剤(co-initiation to initiation)の比が約0.1:1~約1:1である、例1~31のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0095】
例33.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの安定剤を含む、例1~32のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0096】
例34.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの添加剤を含む、例1~33のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0097】
例35.前記少なくとも1つの添加剤が医薬である、例1~34のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0098】
例36.前記少なくとも1つの添加剤が、抗生物質、幹細胞、骨成長因子及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例1~35のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0099】
例37.前記開始剤の濃度が、メタクリル官能基に対して約1:10~約1:500である、例1~36のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0100】
例38.前記第1の構成成分と前記第2の構成成分との比が約1:10~約1:1である、例1~37のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0101】
例39.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約10Pa・s~約100Pa・sの低粘度レベルを有することを特徴とする、例1~38のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0102】
例40.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約100Pa・s~約500Pa・sの中粘度レベルを有することを特徴とする、例1~39のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0103】
例41.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約500Pa・s~約1500Pa・sの高粘度レベルを有することを特徴とする、例1~40のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0104】
例42.前記医療グレードの骨セメントが、室温で約1分~約40分の作業時間(working time)を特徴とする、例1~41のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0105】
例43.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から開始して約24時間後までの硬化時間を特徴とする、例1~42のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0106】
例44.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から約1分~約5分後に非変形段階を達成することを特徴とする、例1~43のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0107】
例45.重合プロセスが温度の影響を受ける、例1~44のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0108】
例46.重合プロセスが水分の影響を受ける、例1~45のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0109】
例47.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の温度でのプロセス時間と比較して、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、例1~46のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0110】
例48.水分への前記骨セメントの曝露が、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、例1~47のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0111】
例49.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、重合プロセス時間を約2~約25倍加速させる、例1~48のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0112】
例50.前記医療グレードの骨セメントが、重合プロセスのための変色指示薬を含む、例1~49のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0113】
例51.前記作業時間が温度の影響を受ける、例1~50のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0114】
例52.前記作業時間プロセスが水分の影響を受ける、例1~51のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0115】
例53.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の室温での前記作業時間と比較して、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例1~52のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0116】
例54.水分への前記骨セメントの曝露が、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例1~53のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0117】
例55.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、作業時間を約2分の1~約25分の1に低下させる、例1~54のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0118】
例56.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間のための変色指示薬を含む、例1~55のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0119】
例57.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に親水性である、例1~56のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0120】
例58.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例1~57のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0121】
例59.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ親水性である、例1~58のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0122】
例60.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例1~59のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0123】
例61.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に吸湿性である、例1~60のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0124】
例62.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ吸湿性である、例1~61のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0125】
例63.前記医療グレードの骨セメントが、使用される前に室温で保存される、例1~62のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0126】
例64.前記医療グレードの骨セメントが、約1年~約10年の貯蔵寿命を有する、例1~63のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0127】
例65.前記構成成分及びその成分が、混合前に3つ以上の部分に分割される、例1~64のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0128】
例66.前記骨セメントが重合プロセス中に色を変化させ、それによって固有の硬化インジケータを提供する、例1~65のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0129】
例67.前記重合プロセスが、低発熱重合プロセスであることを特徴とする、例1~66のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0130】
例68.骨セメントシステムであって、
a.2つのカートリッジを備えるアプリケータ;
b.1つの第1のカートリッジ内の第1の構成成分及び1つの第2のカートリッジ内の第2の構成成分であって;
前記第1の構成成分が、40%以上のモノマー単位がメタクリレート基を含む、20重量%以上の第1のポリマー材料を含み;及び
前記第2の構成成分が、前記第1のポリマー材料の架橋を生じるように選択された少なくとも1つの開始剤を含み、前記第2の構成成分の残部が、前記開始剤と反応しない50重量%以上の第2のポリマー材料を含み;前記第2の構成成分がペーストである、第1の構成成分及び第2の構成成分;並びに
c.前記2つのカートリッジと流体連通するチャネルを備えるミキサであって;前記チャネルが、前記第1の構成成分と前記第2の構成成分とを混合するための複数の混合レベルを含む、ミキサ
を含む、骨セメントシステム。
【0131】
例69.前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、例68に記載の骨セメントシステム。
【0132】
例70.前記第1の構成成分は、モノマーが10重量%未満である、例68又は例69に記載の骨セメントシステム。
【0133】
例71.前記第1の構成成分がモノマーを含まない(monomer-free)、例68~70のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0134】
例72.前記第1の構成成分が、少なくとも約20重量%~約80重量%の前記第1のポリマーを含む、例68~71のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0135】
例73.前記第2の構成成分が、少なくとも約40重量%~約100重量%の前記第2のポリマー料を含む、例68~72のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0136】
例74.前記第2の構成成分が、使用される前に前処理動作(pre-processing actions)を必要としない、例68~73のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0137】
例75.前記骨セメントが、専用の実装デバイス(dedicated implementation device)中の即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントとして提供される、例68~74のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0138】
例76.前記第1のポリマー材料が、メタクリル基で修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを含む、例68~75のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0139】
例77.メタクリル基で修飾された前記PVA系ポリマーを含む前記第1のポリマー材料がPVGMAである、例68~76のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0140】
例78.前記PVAが、約40%~約99.9%の加水分解度を特徴とする、例68~77のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0141】
例79.前記PVAに沿ったメタクリレート修飾が、約1:100~約20:1の比であることを特徴とする、例68~78のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0142】
例80.前記PVAに沿ったメタクリレート修飾が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加であることを特徴とする、例68~79のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0143】
例81.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりも重量基準で約3倍多い、例68~80のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0144】
例82.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりもモル比で約1.2倍大きい、例68~81のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0145】
例83.前記第1のポリマー材料中の最小量のPGMAEが、1:10のPGMAE/PVA比で存在し、前記PGMAEが、4単位の長さを含む、例68~82のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0146】
例84.前記第1のポリマー材料が、100%のPGMAEである、例68~83のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0147】
例85.前記第1の構成成分が、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される溶媒を含む、例68~84のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0148】
例86.前記第1の構成成分がPEG/PPG系溶媒を含む、例68~85のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0149】
例87.前記第1の構成成分が、ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(bisEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、例68~86のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0150】
例88.前記第1の構成成分が、放射線不透過性(radiopaque)材料、阻害剤、水及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、例68~87のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0151】
例89.前記第1の構成成分が、水を吸収する能力を特徴とする、例68~88のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0152】
例90.前記メタクリル官能基間のエーテル基が、水を吸収する前記能力を付与する、例68~89のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0153】
例91.前記PVAが、水を吸収する前記能力を付与する、例68~90のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0154】
例92.前記第2のポリマーが、プルロニック(Pluronic)P123、プルロニックP105、プルロニックP85、ペースト状のPEG1000、ペースト状のPPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG、PPG、ポロキサマーの混合物、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例68~91のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0155】
例93.前記第2のポリマーが生分解性ポリマーである、例68~92のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0156】
例94.前記生分解性ポリマーが、ポリエステル及び多糖類のうちの1又は複数である、例68~93のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0157】
例95.前記少なくとも1つの開始剤が、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例68~94のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0158】
例96.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの共開始剤(co-initiator)を含む、例68~95のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0159】
例97.前記共開始剤がアスコルビン酸である、例68~96のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0160】
例98.前記共開始剤がアスコルビン酸に基づく改変分子である、例68~97のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0161】
例99.共開始剤-対-開始剤(co-initiation to initiation)の比が約0.1:1~約1:1である、例68~98のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0162】
例100.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの安定剤を含む、例68~99のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0163】
例101.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの添加剤を含む、例68~100のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0164】
例102.前記少なくとも1つの添加剤が医薬である、例68~101のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0165】
例103.前記少なくとも1つの添加剤が、抗生物質、幹細胞、骨成長因子及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例68~102のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0166】
例104.前記開始剤の濃度が、メタクリル官能基に対して約1:10~約1:500である、例68~103のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0167】
例105.前記第1の構成成分対前記第2の構成成分との比が約1:10~約1:1である、例68~104のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0168】
例106.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約10Pa・s~約100Pa・sの低粘度レベルを有することを特徴とする、例68~105のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0169】
例107.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約100Pa・s~約500Pa・sの中粘度レベルを有することを特徴とする、例68~106のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0170】
例108.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約500Pa・s~約1500Pa・sの高粘度レベルを有することを特徴とする、例68~107のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0171】
例109.前記医療グレードの骨セメントが、室温で約1分~約40分の作業時間(working time)を特徴とする、例68~108のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0172】
例110.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から開始して約24時間後までの硬化時間を特徴とする、例68~109のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0173】
例111.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から約1分~約5分後に非変形段階を達成することを特徴とする、例68~110のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0174】
例112.重合プロセスが温度の影響を受ける、例68~111のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0175】
例113.重合プロセスが水分の影響を受ける、例68~112のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0176】
例114.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の温度でのプロセス時間と比較して、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、例68~113のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0177】
例115.水分への前記骨セメントの曝露が、重合プロセス時間を約2~約5倍加速させる、例68~114のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0178】
例116.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、重合プロセス時間を約2~約25倍加速させる、例68~115のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0179】
例117.前記医療グレードの骨セメントが、重合プロセスのための変色指示薬を含む、例68~116のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0180】
例118.前記作業時間が温度の影響を受ける、例68~117のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0181】
例119.前記作業時間プロセスが水分の影響を受ける、例68~118のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0182】
例120.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の室温での前記作業時間と比較して、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例68~119のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0183】
例121.水分への前記骨セメントの曝露が、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させるする、例68~120のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0184】
例122.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、前記作業時間を約2分の1~約25分の1に低下させる、例68~121のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0185】
例123.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間のための変色指示薬を含む、例68~122のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0186】
例124.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に親水性である、例68~123のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0187】
例125.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例68~124のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0188】
例126.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ親水性である、例68~125のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0189】
例127.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例68~126のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0190】
例128.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に吸湿性である、例68~127のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0191】
例129.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ吸湿性である、例68~128のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0192】
例130.前記医療グレードの骨セメントが、使用される前に室温で保存される、例68~129のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0193】
例131.前記医療グレードの骨セメントが、約1年~約10年の貯蔵寿命を有する、例68~130のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0194】
例132.前記構成成分及びその成分が、混合前に3つ以上の部分に分割される、例68~131のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0195】
例133.前記骨セメントが重合プロセス中に色を変化させ、それによって固有の硬化インジケータを提供する、例68~132のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0196】
例134.前記重合プロセスが、低発熱重合プロセスであることを特徴とする、例68~133のいずれか1つに記載の骨セメントシステム。
【0197】
例135.2つの混合可能な粘性の構成成分を有する医療グレードの骨セメントであって、前記骨セメントが、
a.第1の構成成分であって、
i.モノマーを含まないPVGMA/PGMAEポリマー;
ii.メタクリル化溶媒
を含む、第1の構成成分;
b.第2の構成成分であって、
iii.少なくとも1つの開始剤;
iv.前記開始剤に対して非反応性の少なくとも1つのポリマー;及び
v.共開始剤としてのアスコルビン酸
を含む、第2の構成成分
を含む、医療グレードの骨セメント。
【0198】
例136.前記メタクリル化溶媒がジ/モノ-PEG/PPGである、例135に記載の医療グレードの骨セメント。
【0199】
例137.前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、例135又は例136に記載の医療グレードの骨セメント。
【0200】
例138.前記第1の構成成分は、モノマーが10重量%未満である、例135~137のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0201】
例139.前記第1の構成成分がモノマーを含まない(monomer-free)、例135~138のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0202】
例140.前記第1の構成成分が、少なくとも約20重量%~約80重量%の前記第1のポリマーを含む、例135~139のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0203】
例141.前記第2の構成成分が、少なくとも約40重量%~約100重量%の前記第2のポリマー料を含む、例135~140のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0204】
例142.前記第2の構成成分が、使用される前に前処理動作(pre-processing actions)を必要としない、例135~141のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0205】
例143.前記骨セメントが、専用の実装デバイス(dedicated implementation device)中の即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントとして提供される、例135~142のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0206】
例144.前記第1のポリマー材料が、メタクリル基で修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを含む、例135~143のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0207】
例145.メタクリル基で修飾された前記PVA系ポリマーを含む前記第1のポリマー材料がPVGMAである、例135~144のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0208】
例146.前記PVAが、約40%~約99.9%の加水分解度を特徴とする、例135~145のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0209】
例147.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、約1:100~約20:1の比であることを特徴とする、例135~146のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0210】
例148.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加であることを特徴とする、例135~147のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0211】
例149.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりも重量基準で約3倍多い、例135~148のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0212】
例150.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりもモル比で約1.2倍大きい、例135~149のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0213】
例151.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量がPGMAE/PVAの1:10の比であり、前記PGMAEが4単位の長さを含む、例135~150のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0214】
例152.前記第1のポリマー材料が、100%のPGMAEである、例135~151のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0215】
例153.前記第1の構成成分が、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される溶媒を含む、例135~152のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0216】
例154.前記第1の構成成分がPEG/PPG系溶媒を含む、例135~153のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0217】
例155.前記第1の構成成分が、ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(bisEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、例135~154のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0218】
例156.前記第1の構成成分が、放射線不透過性(radiopaque)材料、阻害剤、水及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、例135~155のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0219】
例157.前記第1の構成成分が、水を吸収する能力を特徴とする、例135~156のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0220】
例158.前記メタクリル官能基間のエーテル基が、水を吸収する前記能力を付与する、例135~157のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0221】
例159.前記PVAが、水を吸収する前記能力を付与する、例135~158のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0222】
例160.前記第2のポリマーが、プルロニック(Pluronic)P123、プルロニックP105、プルロニックP85、ペースト状のPEG1000、ペースト状のPPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG、PPG、ポロキサマーの混合物、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例135~159のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0223】
例161.前記第2のポリマーが生分解性ポリマーである、例135~160のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0224】
例162.前記生分解性ポリマーが、ポリエステル及び多糖類のうちの1又は複数である、例135~161のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0225】
例163.前記少なくとも1つの開始剤が、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例135~162のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0226】
例164.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの共開始剤(co-initiator)を含む、例135~163のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0227】
例165.前記共開始剤がアスコルビン酸である、例135~164のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0228】
例166.前記共開始剤がアスコルビン酸に基づく改変分子である、例135~165のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0229】
例167.共開始剤-対-開始剤(co-initiation to initiation)の比が約0.1:1~約1:1である、例135~166のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0230】
例168.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの安定剤を含む、例135~167のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0231】
例169.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの添加剤を含む、例135~168のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0232】
例170.前記少なくとも1つの添加剤が医薬である、例135~169のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0233】
例171.前記少なくとも1つの添加剤が、抗生物質、幹細胞、骨成長因子及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例135~170のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0234】
例172.前記開始剤の濃度が、メタクリル官能基に対して約1:10~約1:500である、例135~171のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0235】
例173.前記第1の構成成分と前記第2の構成成分との比が約1:10~約1:1である、例135~172のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0236】
例174.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約10Pa・s~約100Pa・sの低粘度レベルを有することを特徴とする、例135~173のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0237】
例175.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約100Pa・s~約500Pa・sの中粘度レベルを有することを特徴とする、例135~174のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0238】
例176.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約500Pa・s~約1500Pa・sの高粘度レベルを有することを特徴とする、例135~175のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0239】
例177.前記医療グレードの骨セメントが、室温で約1分~約40分の作業時間(working time)を特徴とする、例135~176のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0240】
例178.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から開始して約24時間後までの硬化時間を特徴とする、例135~177のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0241】
例179.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から約1分~約5分後に非変形段階を達成することを特徴とする、例135~178のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0242】
例180.重合プロセスが温度の影響を受ける、例135~179いずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0243】
例181.重合プロセスが水分の影響を受ける、例135~180のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0244】
例182.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の温度での処理時間と比較して、重合プロセスを約2倍~約5倍加速させる、例135~181のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0245】
例183.水分への前記骨セメントの曝露が、重合プロセスを約2倍~約5倍加速させる、例135~182のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0246】
例184.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、重合プロセスを約2倍~約25倍加速させる、例135~183のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0247】
例185.前記医療グレードの骨セメントが、重合プロセスのための変色指示薬を含む、例135~184のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0248】
例186.前記作業時間が温度の影響を受ける、例135~185のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0249】
例187.前記作業時間プロセスが水分の影響を受ける、例135~186のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0250】
例188.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の室温での前記作業時間と比較して、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例135~187のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0251】
例189.水分への前記骨セメントの曝露が、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例135~188のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0252】
例190.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、前記作業時間を約2分の1~約25分の1に低下させる、例135~189のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0253】
例191.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間のための変色指示薬を含む、例135~190のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0254】
例192.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に親水性である、例135~191のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0255】
例193.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例135~192のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0256】
例194.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ親水性である、例135~193のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0257】
例195.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例135~194のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0258】
例196.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に吸湿性である、例135~195のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0259】
例197.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ吸湿性である、例135~196のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0260】
例198.前記医療グレードの骨セメントが、使用される前に室温で保存される、例135~197のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0261】
例199.前記医療グレードの骨セメントが、約1年~約10年の貯蔵寿命を有する、例135~198のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0262】
例200.前記構成成分及びその成分が、混合前に3つ以上の部分に分割される、例135~199のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0263】
例201.前記骨セメントが重合プロセス中に色を変化させ、それによって固有の硬化インジケータを提供する、例135~200のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0264】
例202.前記重合プロセスが、低発熱重合プロセスであることを特徴とする、例135~201のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0265】
例203.2つの混合可能な構成成分を含む骨セメントであって、前記2つの混合可能な構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、骨セメント。
【0266】
例204.2つの混合可能な構成成分を含む骨セメントであって、第1の構成成分が少なくとも部分的に親水性であり、第2の構成成分が親水性基材中に少なくとも1つの開始剤を含む、骨セメント。
【0267】
例205.2つの混合可能な構成成分を含む骨セメントであって、第1の構成成分が第1のポリマーを含み、第2の構成成分が前記第1のポリマーのための開始剤の担体として作用するペースト形態の第2のポリマーを含み;前記第2のポリマーは前記開始剤と反応しない、骨セメント。
【0268】
例206.2つの混合可能な構成成分を含む骨セメントであって、第1の構成成分が第1のポリマーを含み、第2の構成成分が前記第1のポリマーのための開始剤の担体として作用する第2のポリマーを含み;前記第2のポリマーは前記開始剤と反応せず;及び前記開始剤が、共開始剤としてアスコルビン酸と共に使用される過硫酸塩である、骨セメント。
【0269】
例207.2つの混合可能な構成成分を含む骨セメントであって、第1の構成成分が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加によって修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマー、並びにPEG及び/又はPPG系溶媒を含む第1のポリマーを含み;第2の構成成分が、前記第1のポリマーのための開始剤の担体として作用する第2のポリマーを含み;前記第2のポリマーが前記開始剤と反応せず;前記開始剤が、アスコルビン酸又はアスコルビン酸に基づく改変分子と共に共開始剤として使用される過硫酸塩である、骨セメント。
【0270】
例208.前記第1の構成成分及び前記第2の構成成分が、10倍以内の類似した粘度を有することを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0271】
例209.前記第1の構成成分は、モノマーが10重量%未満である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207及び例208のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0272】
例210.前記第1の構成成分がモノマーを含まない(monomer-free)、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~209のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0273】
例211.前記第1の構成成分が、少なくとも約20重量%~約80重量%の前記第1のポリマーを含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~210のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0274】
例212.前記第2の構成成分が、少なくとも約40重量%~約100重量%の前記第2のポリマー料を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~211のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0275】
例213.前記第2の構成成分が、使用される前に前処理動作(pre-processing actions)を必要としない、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~212のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0276】
例214.専用の実装デバイス(dedicated implementation device)中の即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントとして提供される、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~213のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0277】
例215.前記第1のポリマー材料が、メタクリル基で修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~214のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0278】
例216.メタクリル基で修飾された前記PVA系ポリマーを含む前記第1のポリマー材料がPVGMAである、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~215のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0279】
例217.前記PVAが、約40%~約99.9%の加水分解度を特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~216のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0280】
例218.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、約1:100~約20:1の比であることを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~217のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0281】
例219.前記PVAに対するメタクリレート修飾が、ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の付加であることを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~218のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0282】
例220.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりも重量基準で約3倍多い、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~219のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0283】
例221.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量が、前記PVAよりもモル比で約1.2倍大きい、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~220のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0284】
例222.前記第1のポリマー材料中のPGMAEの最小量がPGMAE/PVAの1:10の比であり、前記PGMAEが4単位の長さを含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~221のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0285】
例223.前記第1のポリマー材料が、100%のPGMAEである、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~222のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0286】
例224.前記第1の構成成分が、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される溶媒を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~223のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0287】
例225.前記第1の構成成分がPEG/PPG系溶媒を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~224のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0288】
例226.前記第1の構成成分が、ビスフェノールAグリシジルジメタクリレート(bisGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(bisEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~225のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0289】
例227.前記第1の構成成分が、放射線不透過性(radiopaque)材料、阻害剤、水及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~226のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0290】
例228.前記第1の構成成分が、水を吸収する能力を特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~227のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0291】
例229.前記メタクリル官能基間のエーテル基が、水を吸収する前記能力を付与する、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~228のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0292】
例230.前記PVAが、水を吸収する前記能力を付与する、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~229のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0293】
例231.前記第2のポリマーが、プルロニック(Pluronic)P123、プルロニックP105、プルロニックP85、ペースト状のPEG1000、ペースト状のPPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG、PPG、ポロキサマーの混合物、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~230のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0294】
例232.前記第2のポリマーが生分解性ポリマーである、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~231のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0295】
例233.前記生分解性ポリマーが、ポリエステル及び多糖類のうちの1又は複数である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~232のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0296】
例234.前記少なくとも1つの開始剤が、過硫酸ナトリウム(NPS)、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~233のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0297】
例235.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの共開始剤(co-initiator)を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~234のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0298】
例236.前記共開始剤がアスコルビン酸である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~235のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0299】
例237.前記共開始剤がアスコルビン酸に基づく改変分子である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~236のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0300】
例238.共開始剤-対-開始剤(co-initiation to initiation)の比が約0.1:1~約1:1である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~237のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0301】
例239.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの安定剤を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~238のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0302】
例240.前記第2の構成成分が、少なくとも1つの添加剤を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~239のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0303】
例241.前記少なくとも1つの添加剤が医薬である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~240のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0304】
例242.前記少なくとも1つの添加剤が、抗生物質、幹細胞、骨成長因子及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~241のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0305】
例243.前記開始剤の濃度が、メタクリル官能基に対して約1:10~約1:500である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~242のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0306】
例244.前記第1の構成成分と前記第2の構成成分との比が約1:10~約1:1である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~243のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0307】
例245.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約10Pa・s~約100Pa・sの低粘度レベルを有することを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~244のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0308】
例246.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約100Pa・s~約500Pa・sの中粘度レベルを有することを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~245のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0309】
例247.混合後の前記医療グレードの骨セメントが、約500Pa・s~約1500Pa・sの高粘度レベルを有することを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~246のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0310】
例248.前記医療グレードの骨セメントが、室温で約1分~約40分の作業時間(working time)を特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~247のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0311】
例249.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から開始して約24時間後までの硬化時間を特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~248のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0312】
例250.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間終了頃から約1分~約5分後に非変形段階を達成することを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~249のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0313】
例251.重合プロセスが温度の影響を受ける、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~250のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0314】
例252.重合プロセスが水分の影響を受ける、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~251のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0315】
例253.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の温度での処理時間と比較して、重合プロセスを約2倍~約5倍加速させる、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~252のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0316】
例254.水分への前記骨セメントの曝露が、重合プロセスを約2倍~約5倍加速させる、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~253のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0317】
例255.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、重合プロセスを約2倍~約25倍加速させる、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~254のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0318】
例256.前記医療グレードの骨セメントが、重合プロセスのための変色指示薬を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~255のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0319】
例257.前記作業時間が温度の影響を受ける、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~256のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0320】
例258.前記作業時間プロセスが水分の影響を受ける、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~257のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0321】
例259.約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの曝露が、約20℃~約25℃の室温での前記作業時間と比較して、前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~258のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0322】
例260.水分への前記骨セメントの曝露が前記作業時間を約2分の1~約5分の1に低下させる、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~259のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0323】
例261.水分及び約35℃~約40℃の温度への前記骨セメントの同時曝露が、前記作業時間を約2分の1~約25分の1に低下させる、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~260のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0324】
例262.前記医療グレードの骨セメントが、前記作業時間のための変色指示薬を含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~261のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0325】
例263.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に親水性である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~262のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0326】
例264.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~263のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0327】
例265.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ親水性である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~264のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0328】
例266.親水性開始剤を含む第2の構成成分をさらに含む、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~265のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0329】
例267.前記第1のポリマー材料が少なくとも部分的に吸湿性である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~266のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0330】
例268.前記第1のポリマー材料が部分的にのみ吸湿性である、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~267のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0331】
例269.前記医療グレードの骨セメントが、使用される前に室温で保存される、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~268のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0332】
例270.前記医療グレードの骨セメントが、約1年~約10年の貯蔵寿命を有する、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~269のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0333】
例271.前記構成成分及びその成分が、混合前に3つ以上の部分に分割される、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~270のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0334】
例272.前記骨セメントが重合プロセス中に色を変化させ、それによって固有の硬化インジケータを提供する、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~271のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0335】
例273.前記重合プロセスが、低発熱重合プロセスであることを特徴とする、例203又は例204又は例205又は例206又は例207のいずれか1つ及び例208~272のいずれか1つに記載の医療グレードの骨セメント。
【0336】
例274.患者の組織を治療するための方法であって、
a.少なくとも2つの構成成分を別々の容器に準備することと;
b.混合ユニット内で前記少なくとも2つの構成成分を混合し、それによって混合された構成成分を生成することと;
c.前記混合された構成成分を標的組織に送達することと;
d.前記少なくとも1つのインプラントを刺激して、第1の構成から第2のより硬い構成へと前記混合された構成成分の架橋を加速させること
とを含み;
前記刺激することが、前記患者の身体の自然熱及び/又は水分によって行われる、方法。
【0337】
例275.ポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝の添加によって修飾されたポリビニルアルコール(PVA)系ポリマーを20重量%以上含む第1のポリマーと、前記第1のポリマーの架橋を生じるように選択された少なくとも1つの開始剤とを含む医療グレードのインプラントのための材料の使用であって;前記少なくとも1つの開始剤が、前記開始剤と反応しない50重量%以上の第2のポリマー材料中に担持され;前記第2の構成成分がペーストである、使用。
【0338】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及び材料と類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施形態の実施又は試験に使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び例は例示にすぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0339】
図面のいくつかの図の簡単な説明
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に記載されている。ここで図面を詳細に特に参照すると、示されている詳細は例としてのものであり、本発明の実施形態の例示的な議論のためのものであることが強調される。この点に関して、図面を用いてなされた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0340】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な実装デバイスの画像である。
図2図2は、本発明のいくつかの実施形態による、取り付けられ、即時使用可能な例示的な実装デバイスの画像である。
図3図3は、本発明のいくつかの実施形態による、使用されている例示的な実装デバイス及び一連の混合レベルを強制的に通過させることによって混合ユニット内で混合されている2つの化合物の画像である。
図4図4は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な実装デバイスから適用されている例示的な混合セメントの画像である。
図5図5は、本発明のいくつかの実施形態による、構成成分A及び構成成分Bの例示的な分子の図である。
図6図6は、本発明のいくつかの実施形態による、分子の付加の例示的な概略的連鎖反応の図である。
図7a図7aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な実施/送達デバイスの概略図である。
図7b図7bは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な実施/送達デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0341】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、刺激後にそれらの特性を変化させるように構成された医療グレード及び非医療グレードの材料に関する。
【0342】
概要
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、モノマーを含まず、即時使用可能なメタクリル骨セメントに関する。いくつかの実施形態では、セメントは2つのペースト状構成成分を含み、ユーザーがそれらを積極的に混合する場合に注入中にのみ混合される。いくつかの実施形態では、混合ビスコース物質は一定の粘度を有し、狭い開口部を通って移動して空隙を満たす。いくつかの実施形態では、現場で数分後、ビスコース物質は堅い安定な物質に変わる。いくつかの実施形態では、骨セメントはPVGMA/PGMAEポリマーを含む。いくつかの実施形態では、骨セメントは、2つの構成成分の組合せによって生成され、第1の構成成分は架橋性ポリマー及びジメタクリレートであり、第2の構成成分は、少なくとも1つの開始剤及び所望により少なくとも1つの共開始剤を担持する非共有結合性(少なくとも1つの開始剤に非反応性)ポリマーである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共開始剤はアスコルビン酸である。いくつかの実施形態では、充填剤として非反応性ポリマーを使用することにより、骨セメントの機械特性が改善される。いくつかの実施形態では、非反応性ポリマーは、開始剤分子のための担体として、及び所望により添加剤(例えば、医薬、細胞など)のための担体としても使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの開始剤は、所望により共開始剤、例えばアスコルビン酸と共に使用される過硫酸塩である。
【0343】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載され、並びに/又は図面及び/若しくは実施例に示される構成成分及び/又は方法の構造及び配置の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施又は実行することが可能である。
【0344】
いくつかの実施形態では、「医療グレード」は、異なる国、国際団体など(例えば、FDA、ASTM、ISOなど)の基準内にある物質を指す。
【0345】
いくつかの実施形態では、「インプラント(複数可)」、「医療グレードのインプラント」、及び「医療用インプラント」という用語は交換可能である。いくつかの実施形態では、「送達デバイス」、「実装デバイス」という用語は交換可能である。
【0346】
例示的な骨セメント
いくつかの実施形態では、例示的な骨セメントは、即時使用可能な骨セメントであり、すなわち、粉末形態で供給される骨セメントで通常起こるように、ユーザーは材料の予混合動作を行う必要がない。いくつかの実施形態では、即時使用可能な(ready-to-use)骨セメントの潜在的な利点は、外科医が介入を行う時間を節約し、病院の費用も節約し、骨セメントの調製における人為的ミスを潜在的に回避し、さらなる介入を潜在的に回避し、さらには命を救うことができることである。
【0347】
いくつかの実施形態では、骨セメントはモノマーを含まず、即時使用可能な(ready-to-use)メタクリルセメントである。いくつかの実施形態では、骨セメントの成分は2つの構成成分に分割され、これらは使用中に実装デバイス内で混合される。いくつかの実施形態では、骨セメントの成分は3つ以上の構成成分に分割され、これらは使用中に実装デバイス内で混合される。当業者が本発明を理解できるようにするために、2つの構成成分について説明する。添加剤を含む/含まない骨セメントの成分は、3つ以上の構成成分、例えば3つ又は4つ以上に分割することができ、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
【0348】
いくつかの実施形態では、異なるレベルの弾性を有する異なる材料を達成するために、異なる比の2つの構成成分が使用される。
【0349】
【表1】

【0350】
いくつかの実施形態では、2つの構成成分が混合されると、混合粘性セメントは一定の粘度で実装デバイスから流出する。
【0351】
いくつかの実施形態では、混合材料の粘度は、所望の値に達するように調整される。いくつかの実施形態では、低粘度セメントが望まれる場合、低粘度セメントは、例えば、約10Pa・s~約100Pa・sの粘度値を特徴とする。いくつかの実施形態では、中粘度セメントが所望される場合、中粘度セメントは、例えば、約100Pa・s~約500Pa・sの粘度値を特徴とする。いくつかの実施形態では、高粘度セメントが望まれる場合、高粘度セメントは、例えば、約500Pa・s~約1500Pa・sの粘度値を特徴とする。
【0352】
いくつかの実施形態では、重合プロセスは、2つ(又はそれ以上)の構成成分が実装デバイス内で混合されると開始する。いくつかの実施形態では、重合プロセスは、数分後に開始し、例えば、重合プロセスは、約2分~約4分後、所望により約1分~約5分後、所望により約30秒~約10分後に開始する。いくつかの実施形態では、重合プロセスは、温度及び水分のうちの1又は複数の影響を受ける。いくつかの実施形態では、重合プロセスは、混合材料がより高い温度及び/又は水分(例えば、体液)の増加に曝されるにつれて、体内で加速される。いくつかの実施形態では、体温(約35℃~約40℃)への曝露は、室温(約20℃~約25℃)での重合プロセス時間と比較して、重合プロセス時間を約2~約5倍、所望により約1.5~約8倍、所望により約1.2~約10倍加速する。いくつかの実施形態では、水分への曝露を増加させると、重合プロセス時間は約2~約5倍、所望により約1.5~約8倍、所望により約1.2~約10倍加速される。いくつかの実施形態では、温度及び水分への曝露を同時に増加させると、重合プロセス時間は約2~約10倍、所望により約1.5~約20倍、所望により約1.2~約50倍加速される。
【0353】
いくつかの実施形態では、硬化した硬化物の最終圧縮強度は、約100MPs~約150MPsであり、その圧縮弾性は、約200MPa~約2000MPaである。
【0354】
骨セメントの分野では、各特定の骨セメントに「混合時間」(材料が最良の作業粘度に到達する時間)、「作業時間」(材料が最良の作業粘度に到達した瞬間から骨セメントがもはや加工可能でなくなるまで、すなわち、骨セメントが硬くなるまでの時間)及び「硬化時間」(骨セメントがもはや修正できなくなってから完全に硬くなるまでの時間)を与えることが通例である。いくつかの実施形態では、前述のように、本発明のセメントの潜在的な利点は、2つ(又はそれ以上)の構成成分が分離されたカートリッジ/容器で使用する準備ができており、患者に埋め込まれる数秒前に実装デバイスで混合されるため、混合時間がほぼ完全に回避されることである。
【0355】
いくつかの実施形態では、材料が実装デバイス内で混合されると、骨セメントの作業時間が始まり、例えば、約2分~約10分、所望により約1分~約30分、所望により約30秒~約40分の期間継続する。いくつかの実施形態では、作業時間は、温度及び水分のうちの1又は複数の影響を受ける。いくつかの実施形態では、混合材料が体内に注入される前に存在していたよりも高温に曝される、及び/又は水分(例えば、体液)への曝露が増加するにつれて、作業時間が体内で低減される。いくつかの実施形態では、体温(約35℃~約40℃)への曝露は、室温(約20℃~約25℃)での作業時間と比較して、作業時間を約2分の1~約5分の1に、所望により約1.5分の1~約8分の1に、所望により約1.2分の1~約10分の1に低下させる。いくつかの実施形態では、水分への曝露を増加させると、作業時間は約2分の1~約5分の1に、所望により約1.5分の1~約8分の1に、所望により約1.2分の1~約10分の1に低減される。いくつかの実施形態では、高温(体温)及び水分(体液)への同時曝露は、作業時間を約2分の1~約10分の1に、所望により約1.5分の1~約25分の1に、所望により約1.2分の1~約50分の1に低下させる。
【0356】
いくつかの実施形態では、骨セメントの貯蔵は、カートリッジ/容器に貯蔵された分離された構成成分としてである。いくつかの実施形態では、骨セメントは、その分離された即時使用可能な構成成分において、使用が必要になるまで室温で保存される。いくつかの実施形態では、骨セメントは、その分離された即時使用可能な構成成分において、使用が必要になるまで低温での貯蔵を必要とせず、例えば、4℃又は-20℃で貯蔵する必要がない。いくつかの実施形態では、骨セメントは、約1年~約10年の貯蔵寿命を含む。
【0357】
例示的な実装/送達デバイス
ここで図7a~図7bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による例示的な実装/送達デバイス700の概略図が示されている。いくつかの実施形態では、骨セメントは、骨セメントの2つの化合物が予め充填された2室カートリッジ706において供給される(成分が2つの構成成分に分割されている場合)。いくつかの実施形態では、実装/送達デバイス700は、2室カートリッジ706の出口に取り付け可能な使い捨て混合ユニット708をさらに備え、ここで2つの化合物の混合が行われる。いくつかの実施形態では、使い捨て混合ユニットにおいて、重合プロセスが初期化される。いくつかの実施形態では、2室カートリッジ内の各化合物は、使い捨て混合ユニット内で混合されるまで変化しないままである、すなわち、化合物は重合しない。いくつかの実施形態では、埋め込み手順の任意の段階で混合ユニットを容易に交換することができる。いくつかの実施形態では、容易に交換可能な使い捨て混合ユニットを有することの潜在的な利点は、それが無制限の時間にわたって追加のセメントの連続混合を潜在的に可能にし、それによって任意の所望の量の骨セメントの利用を可能にすることである。さらに、これにより、外科医はいつでも作業を停止し、混合ユニットを交換し、骨セメント材料を失うことなく新たな手順を継続又は開始することができる。
【0358】
いくつかの実施形態では、使い捨て混合ユニット708は、所望の位置に送達される前に、2つの構成成分の混合を確実にする。
【0359】
いくつかの実施形態では、混合ユニット708は、一連の混合レベルを含む。いくつかの実施形態では、混合される材料の粘度を考慮して、その順序におけるレベルの数が混合の質を決定する。いくつかの実施形態では、例えば、高品質の混合を保証するために15レベルミキサが使用される。いくつかの実施形態では、さらに、2つの混合される構成成分には異なる色が与えられる。いくつかの実施形態では、2つの構成成分に異なる色を与える潜在的な利点は、それらを混合する場合に色の変化が得られ、それによって混合品質の視覚的表示が得られることである。
【0360】
いくつかの実施形態では、実装/送達デバイスは、2つの別個のユニット702/704を備える。いくつかの実施形態では、実施/送達デバイスは、混合/注入ユニット702及び制御ユニット704を備える。いくつかの実施形態では、混合/注入ユニットは、骨セメントの2つの化合物で予め充填された2室カートリッジ706及びミキサ708を備える。いくつかの実施形態では、混合/注入ユニット702では、名称が示すように、骨の混合は、所望により患者に注入されている間に行われる。いくつかの実施形態では、制御ユニット704は、混合注入ユニット702を制御(開始/停止)するアクチュエータ710(ハンドル又はボタンの形態)を備える。いくつかの実施形態では、制御ユニット704は、骨セメントが送達される流れを制御するように構成される。いくつかの実施形態では、混合/注入ユニット702及び制御ユニット704は互いに分離されており、混合/注入ユニット702は通常、ユーザーから遠位に配置されており、患者の近くに存在し、一方、制御ユニット704はユーザーの近位に配置されている。いくつかの実施形態では、混合/注入ユニット702及び制御ユニット704は、活性化/非活性化コマンドを伝達するように構成された1又は複数のコネクタ712によって互いに接続されている。いくつかの実施形態では、実装/送達デバイス700は、油圧、機械及び電気アクチュエーション機構(actuating mechanism)714のうちの1又は複数を利用する(図7a~図7bには油圧機構が示されている)。いくつかの実施形態では、アクチュエーション機構(actuating mechanism)714は、制御ユニット704で行われる穏やかで容易な動作を、混合/注入ユニット702で所望により強い力を必要とする高強度の動作に変換するように構成される。例えば、図7bには油圧機構714が示されており、アクチュエータ710の回転により、作動液が制御ユニット704からコネクタ712を越えて混合/注入ユニット702に移動し、この例では、作動液(hydraulic liquid)が専用プランジャ716を押して(又は引いて)、測定された量の材料を各チャンバ706からミキサ708内に付与する。いくつかの実施形態では、プランジャの移動は、2つのチャンバ内で常に同じであり、これは、プランジャが両方の(又はすべての)バレル内で同じ距離を移動するように構成されることを意味する。いくつかの実施形態では、プランジャは、異なるバレル内で異なる距離を移動するように構成されていない。いくつかの実施形態では、2つの部分からなる実装/送達デバイスを有することの潜在的な利点は、骨セメントを送達する部分と作動部分とをユーザーが分離することを可能にし、それによって骨セメントが送達されている間にデバイスを誤って動かす可能性を潜在的に低下させることである。いくつかの実施形態では、さらに、別の潜在的な利点は、骨セメントを送達しながら混合/注入ユニットに直接高い力を加える必要性をユーザーから排除することによって、デバイスの操作を容易にすることである。骨セメントは非常に粘性であることが多いため、骨セメント部分をバレルから出してミキサ内で混合させるために、ユーザーは強い力を加えることを強いられる。いくつかの実施形態では、これは、本明細書に開示されているように、油圧式、機械式、及び電気式のアクチュエーション機構のうちの1又は複数を使用することによって回避される。
【0361】
ここで図1を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による例示的な実装デバイス100の画像が示されている。いくつかの実施形態では、上述したように、実装デバイスは、骨セメントの2つの化合物を予め充填した2室カートリッジ102を備える。いくつかの実施形態では、2室カートリッジは、2つの化合物を2室カートリッジから混合ユニット106に同時に押し出すように構成されたアプリケータ104に接続されている。図2は、本発明のいくつかの実施形態による、取り付けられ、即時使用可能な例示的な実装デバイスの画像を示す。図3は、本発明のいくつかの実施形態による、使用されている例示的な実装デバイス及び一連の混合レベル108を強制的に通過させることによって混合ユニット106内で混合されている2つの化合物の画像を示す。図4は、本発明のいくつかの実施形態による、例示的な実装デバイスから適用されている例示的な混合セメント110の画像を示す。
【0362】
骨セメントの例示的な化学組成
いくつかの実施形態では、上述のように、骨セメントはアクリル骨セメントであり、その成分はビスコース重合系物質の少なくとも2つの構成成分(A及びB-下記参照)に分割されている。いくつかの実施形態では、2つの部分を混合すると、化学的架橋反応が開始し、これにより、2つの構成成分の混合物が堅い物質になる。いくつかの実施形態では、上述のように、温度及び/又は水分は重合プロセスを加速する。
【0363】
既知のアクリル系セメントは、通常、重合分子:液体部分、及び非共有結合性ポリマー-固体粉末部分から構成される。一般に、2つの部分の混合中に、液体は粉末を溶解し、重合後、液体モノマー/ダイマーは粉末ポリマーと同じポリマーに変化し、残りの構成成分は同じポリマー鎖からなる単一の塊になる。
【0364】
いくつかの実施形態では、本発明の骨セメントにおいて、非共有結合部分は、(開始剤に対して)不活性なペースト状ポリマーからなる。いくつかの実施形態では、不活性なペースト状ポリマーは、準備するために溶解プロセス(又は任意の他の化学プロセス)を経る必要はない。いくつかの実施形態では、不活性なペースト状ポリマーを使用する潜在的な利点は、それが開始剤分子を良好かつ安定に分散させることができ、同時に、それを反応性ペースト状部分と容易かつ即座に混合することができることである。いくつかの実施形態では、効率的で安定した混合を可能にするために、2つ(又はそれ以上)の構成成分は、同様の化学的、物理的及び機械的特性を有する。例えば、2つの構成成分は、異なる側鎖の有無にかかわらず、種々の長さのポリエーテル分子に基づく。本発明のいくつかの実施形態による、構成成分A及び構成成分Bの例示的な分子の図5を参照されたい。
【0365】
構成成分A
いくつかの実施形態では、構成成分Aは、架橋され得る活性アクリル基を有する分子を含む。いくつかの実施形態では、混合物の粘度及び疎水性は、その化合物の種類及び比率によって制御される(以下の表を参照されたい)。
【0366】
いくつかの実施形態では、構成成分Aは、以下の例示的なメタクリル分子のうちの1又は複数の混合物である:
【0367】
固体ポリマー、PVGMA:ポリビニルグリシジルメタクリレート。ポリビニルアルコール(PVA)系重合体をメタクリル基で変性することによりPVGMAを生成する。いくつかの実施形態では、PVAは、異なる加水分解度(約40%~約99.9%)、例えば70%、80%又は90%であり得る。いくつかの実施形態では、PVAに沿ったメタクリル酸修飾は、異なる比率(例えば、約1:100~約1:1又は1:100~20:1)で、又は異なる長さ及び密度のポリグリシジルメタクリレートエーテル(PGMAE)の分枝としてであり得る。いくつかの実施形態では、純粋なPGMAEである、鎖に沿ってメタクリレート基を有するポリエーテルがPVGMAの代わりに使用される。いくつかの実施形態では、PGMAEは、メタクリレートを側基として残しながら、GMAとそのグリシジル基との重合によって合成される。
【0368】
液体ポリマー、PEGdiMA:架橋され得る固体PVGMAのための溶媒。いくつかの実施形態では、それは、ポリエチレングリコールジ/モノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジ/モノメタクリレート、ポロキサマージ/モノメタクリレート又は別の溶媒であり得る。いくつかの実施形態では、液体ポリマーと固体ポリマーとの比は、混合物の粘度を規定する。
【0369】
ペースト状の短いリンカー、bisGMA:混合物のすべてのメタクリル基-固体、液体及びペーストの間で架橋することができるメタクリル分子。いくつかの実施形態では、分子は、架橋プロセスを改善し、最終架橋物を強化する。いくつかの実施形態では、それは、ビスフェノールAグリシジルメタクリレート(ビスGMA)、ビスフェノールAエチレングリコールジメタクリレート(ビスEMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート(UDMA)などのうちの1又は複数であり得る。
【0370】
構成成分Aに対する例示的な添加剤
いくつかの実施形態では、上記メタクリル分子に加えて、構成成分Aは、所望により以下の例示的な添加剤のうちの1又は複数を含むことができる:
【0371】
放射線不透過性、BaSO:不活性粉末。いくつかの実施形態では、それはX線下で骨セメントを見ることを可能にする。いくつかの実施形態では、ZnO又は任意の他の放射線不透過性材料で置き換えることができる。いくつかの実施形態では、セメントの最終質量の20%又は10パーセント~50パーセントの任意の量で添加することができる。
【0372】
阻害剤、HQ:ヒドロキノン。いくつかの実施形態では、それはアクリル基を安定化させるために使用され、室温での製品の貯蔵寿命を潜在的に増加させる。いくつかの実施形態では、750ppmの濃度又は50ppm~2000ppmの任意の他の濃度で添加することができる。いくつかの実施形態では、例示的な阻害剤は、4-メトキシフェノール(MEHQ)及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0373】
水:いくつかの実施形態では、架橋反応を改善する。いくつかの実施形態では、水は、反応の速度及び均一性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、水は、総質量の10%、又は0%(水を全く含まない)~40%の任意の他のパーセンテージで添加することができる。
【0374】
構成成分Aに関する一般的な情報
いくつかの実施形態では、PGMAEは、PVGMAの一部であるか、又は構成成分Aの独立したポリマーである。いくつかの実施形態では、PVGMA単独に対するPVGMA/PGMAEの潜在的な利点は、PVA主鎖に沿ってGMAの濃度を修正することによってPVGMAの疎水性を制御できることである。(本発明のいくつかの実施形態による、分子の付加の例示的な概略的連鎖反応の図6を参照されたい)。いくつかの実施形態では、低濃度のGMAで修飾する場合、ポリマーは長いPVA領域を含有し、分子の親水性を増加させる。いくつかの実施形態では、これは潜在的に水の吸収を可能にする(吸湿性)一方、水に可溶であることも可能にし、これは場合によってはインプラントでは望ましくない特徴であるが、本発明の骨セメントの特徴である。いくつかの実施形態では、さらに、低濃度のMAは、架橋物の最終強度を低下させる。
【0375】
いくつかの実施形態では、PVGMA/PGMAEにおいて、ポリGMAエーテルの分枝は、PVGMAに沿って側鎖として成長する。いくつかの実施形態では、分枝中のMA基の濃度が高いため、ポリマー全体は疎水性である。しかしながら、いくつかの実施形態では、PVA領域はPVGMA鎖に沿って残り、PGMAE分枝に沿ったエーテル基はポリマーを吸湿性にする。いくつかの実施形態では、PGMAE分枝はポリエーテルであるため、水を含有することができるPEG(ポリエチレングリコール)材料にもポリマーを可溶性にする。いくつかの実施形態では、これらの特性のために、PVGMA/PGMAE/PEG混合物は一定量の水を保持することができる。いくつかの実施形態では、水を吸収する能力は、開始剤としての水溶性塩の使用を可能にする。いくつかの実施形態では、さらに、高濃度のMAは、架橋物の最終強度を増加させる。
【0376】
いくつかの実施形態では、構成成分Bと混合する前の構成成分Aの粘度は、低粘度セメント、中粘度セメント、又は高粘度セメントに対して、それぞれ約100Pa・s、300Pa・s、又は700Pa・sであり得る。
【0377】
構成成分B
いくつかの実施形態では、構成成分Bは、開始剤化合物及び所望によりペースト状ポリマー物質を含む。いくつかの実施形態では、構成成分Bと構成成分Aとの比は、1:10又は約1:10~約1:1の間の任意の他の比である。いくつかの実施形態では、2つの構成成分(A+B)間の比は、最終架橋物の圧縮弾性に影響を及ぼす。
【0378】
いくつかの実施形態では、開始剤に対する非反応性ポリマーである構成成分Bは、いくつかの要件を満たす:いくつかの実施形態では、構成成分Bは、2つの部分の分子間に良好なファンデルワールス力及び極性結合を生成するために、構成成分A(重合部分)と同じポリマーのファミリーに属し;いくつかの実施形態では、開始剤の粉末の着実な保持を可能にするために、45摂氏度より高いTg(ガラス転移温度)を有し(より低いTgも可能であるが、Tg未満の温度での冷蔵貯蔵が必要になる);いくつかの実施形態では、混合流によって構成成分Aとの混合を容易にするために、ペースト状物質であることを特徴とし;いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、開始システムに必要とされる少量の水を保持するために、わずかに吸湿性である。
【0379】
いくつかの実施形態では、これらの条件が維持される限り、非反応性ポリマー(構成成分B)の量及び種類は、骨セメントの所望の最終特性に応じて容易に変更することができる。例えば、非反応性ポリマーの量を増加させること、又はより可撓性の高い分子を使用することは、硬化物の弾性を増加させるが、その最終強度も低下させ得る。他の実施形態では、より多くの吸湿性の高いポリマーを使用することによって、より多くの水を吸収し、開始剤のより速い活性化及び重合プロセスの加速及び物質の硬化を生じさせる。
【0380】
いくつかの実施形態では、非反応性ポリマーは、最終混合骨セメント中の化合物A中のポリマーに共有結合していないため、生分解性ポリマーで置き換えることができる。この場合、埋め込み後の開始時に、非反応性ポリマーは負荷ベアラーとして作用し、患者の体内でのインプラントの機械的崩壊を防止する。その後、生分解性ポリマーは分解し始め、新しい骨が成長するための空間を提供する。
【0381】
いくつかの実施形態では、構成成分Aと混合する前の構成成分Bの粘度は、低粘度セメント、中粘度セメント、又は高粘度セメントに対して、それぞれ約100Pa・s、300Pa・s、又は700Pa・sであり得る。
【0382】
いくつかの実施形態では、構成成分Bは、以下のうちの1又は複数を含む:
【0383】
ポリマー充填剤、例えばポロキサマー:いくつかの実施形態では、このペースト状物質はメタクリル基を含有せず、メタクリルマトリックスに共有結合しないため、開始剤と共に配置することができる。いくつかの実施形態では、それは2つの役割を有する:第1に、開始分子を運び、分配するための媒体としての役割、第2に、最終架橋物の圧縮弾性を改善するための役割。例えば、骨の圧縮弾性は、骨粗鬆症の骨及び健康な骨では10MPa~500MPaであるのに対して、一般的なセメントの弾性は約1800MPaである。セメントの補剛材は、骨と比較して、弱い隣接する骨に破片を生じさせる可能性があることが示されている。いくつかの実施形態では、本発明の骨セメントは、骨と同様の弾性レベル、例えば約250MPa~約500MPaを特徴とする。いくつかの実施形態では、その粘度は構成成分Aの粘度と同様であり、その構造は、構成成分Aのポリマーとの良好なファンデルワールス力及び極性接続を可能にする。いくつかの実施形態では、ポリマー充填剤は、例えば、プルロニックP123、P105、P85、任意の他のペースト状ポロキサマー、ペースト状PEG1000、ペースト状PPG8000、短鎖液体の及び長鎖固体のPEG PPG、ポロキサマーの混合物、又は他の充填剤のうちの1又は複数であり得る。
【0384】
いくつかの実施形態では、ポリマー充填剤は、粘性アクリルポリマー、例えば、短いポリブチルアクリレート、ポリブチルアクリレート-コ-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート-コ-アクリル酸、ポリブチルアクリレート-コ-酢酸ビニルなどであり得る。いくつかの実施形態では、特定の充填剤は、材料の必要な疎水性及び/又は粘度、例えば、中粘度(25℃で最大350Pa・s)の疎水性ポリマーでは10~50単位の純粋なポリブチルアクリレート、又は高粘度(25℃で最大1000Pa・s)ポリマーでは50~90単位に従って選択される。半親水性ポリマーについては10~20%のメタクリル酸2-ヒドロキシエチルから構成されるブチル-コ-ヒドロキシルメタクリレートのコポリマー、又は高親水性ポリマーについては40~70%のアクリル酸から構成されるブチル-コ-アクリル酸のコポリマー。
【0385】
生分解性充填剤の例示的な使用
いくつかの実施形態では、上述のように、ポリマー充填剤はインプラント物質の一部にすぎず、インプラント物質に共有結合していない。いくつかの実施形態では、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、又は他のポリエステルなどの生分解性ポリマーを充填剤として使用すると、材料の生分解性のために、経時的にインプラント内に空洞が形成される。いくつかの実施形態では、生分解性充填剤を使用する潜在的な利点は、これらの空洞が骨組織の良好な基質であり、したがってそれらの中への骨の再成長を促進することである。いくつかの実施形態では、新たに成長した骨は、インプラント及び骨を安定化及び一体化するのに役立つ。
【0386】
架橋性充填剤の例示的な使用
いくつかの実施形態では、充填剤ポリマーは、混合物中のアクリルラジカルと反応し、次いで部分Aポリマーと架橋する炭素-炭素Pi結合を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレンフマレート(PPF)であり得る。
【0387】
開始系:骨セメント混合物はわずかに親水性を含むように構成されているため、親水性の開始分子が使用され、それを使用することができる。いくつかの実施形態では、このように構成された骨セメントを有することの潜在的な利点は、架橋硬化反応が、例えば体内の埋め込み位置のような湿った環境で加速され得ることである。
【0388】
例示的な開始剤
開始剤、NPS:いくつかの実施形態では、例示的な開始剤分子は、過硫酸ナトリウム(NPS)若しくはそれに類似する他のもの、過硫酸アンモニウム(APS)又は過硫酸カリウム(KPS)のうちの1又は複数である。いくつかの実施形態では、各開始剤は、異なる溶解度及び分解定数を有し、これは、開始及び架橋の速度に影響を及ぼし、したがって、ユーザーは、必要に応じて適切な開始剤を選択することができる。いくつかの実施形態では、例えば、7%の水を含む、1:50のNPS対MA基のモル比を使用することにより、室温において3分の硬化時間が付与される一方、NPSをKPSで置き換えることにより、硬化時間が約15分に増加するであろう。いくつかの実施形態では、開始剤の濃度は、メタクリル基に対して1:50モル、又は約1:10~約1:500の任意の他の比である。
【0389】
いくつかの実施形態では、水溶性の低い開始剤、例えば過酸化ベンゾイル(BPO)開始剤を使用することができる。
【0390】
いくつかの実施形態では、重合プロセスは、デュアルタイミング重合反応を特徴とする。いくつかの実施形態では、反応の第1の部分では、重合反応は温度依存性ではない迅速な反応であるが、反応の第2の部分では、重合反応は温度依存性である遅い反応である。
【0391】
共開始剤、アスコルビン酸:いくつかの実施形態では、過硫酸塩の開始は、高温(70℃超)で自発的に分解し、室温ではわずかに分解する。体温での分解を増加させるために、共開始剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、アスコルビン酸が共開始剤として使用される。いくつかの実施形態では、アスコルビン酸を共開始剤として使用することについて本発明者らによって見出された潜在的な利点は、アスコルビン酸が過硫酸塩系開始剤のための良好な共開始剤であるが、それらを一緒に安全に保存することもできることである。いくつかの実施形態では、例えば、共開始剤は、開始剤に対して1:1モルの比、又は約0.1:1~約2:1(共開始剤:開始剤)の任意の他の比で使用される。いくつかの実施形態では、アスコルビン酸は、長い反応が必要な場合、単独開始剤としても機能する。いくつかの実施形態では、代替的及び/又は追加的に、鉄(III)を同じ方法で共開始剤として使用することができる。いくつかの実施形態では、より疎水性の混合物について、アスコルビン酸をアスコルビルパルミテート又はアスコルビルステアレートで置き換えることができる。いくつかの実施形態では、過硫酸カリウム開始剤について、18クラウンエーテルが共開始剤として使用されるが、この場合、それらは一緒に保存することができず、18クラウンエーテルが構成成分Aに添加される。
【0392】
いくつかの実施形態では、難水溶性開始剤、例えばPBOを使用する場合、好適な活性化剤、例えば、一般的なジメチル-p-トルイジン(DMPT)が使用される。
【0393】
安定剤、ソルビトール:いくつかの実施形態では、場合により、アスコルビン酸の安定性及び貯蔵寿命を改善するために安定剤が添加される。いくつかの実施形態では、例示的な安定剤はソルビトールである。いくつかの実施形態では、安定剤は、例えば、アスコルビン酸に対して1:1のモル比で、又は約0.1:1~約2:1(安定剤:アスコルビン酸)の任意の比で使用される。
【0394】
放射線不透過性材料:いくつかの実施形態では、放射線不透過性材料、例えばBaSO4が構成成分Bに全体的又は部分的に添加される。いくつかの実施形態では、充填剤との混合により混合物が安定化され、放射線不透過性材料の沈降が防止される。いくつかの実施形態では、放射線不透過性材料を構成成分Bに移すことにより、構成成分Aと構成成分Bとの比が、例えば4:1~1:1の値に低下する。
【0395】
例示的な機械的特性
いくつかの実施形態では、作業時間(working time)中の骨セメントである混合ペーストの粘度は、高粘度セメント、中粘度セメント、又は低粘度セメントでそれぞれ約100Pa・s、500Pa・s、及び1000Pa・sに設定することができる。いくつかの実施形態では、混合物がその安定した非流動段階に達するのにかかる時間である硬化時間(curing time)/硬化時間(hardening time)は温度依存性であり、体温で約1分~約10分、室温で約5分~約40分の数に設定することができる。いくつかの実施形態では、硬化時の圧縮強度及び弾性は、それぞれ約50MPa~約70MPa及び約250MPa~約500MPaである。いくつかの実施形態では、24時間後に、骨セメントはその完全硬化状態(cured state)(硬化状態(hardening state))に達し、最終圧縮強度及び弾性はそれぞれ約80MPa~約200MPa、及び約200MPa~約2000MPaである。
【0396】
2つより多い構成成分の例示的な使用
いくつかの実施形態では、実装デバイス/送達デバイスは、3つ以上のカートリッジ/容器を含み、例えば、3つ又は4つ以上のカートリッジ/容器を含む。例えば、骨セメントの全成分は、以下のように3つのカートリッジに分割ことができる:第1のカートリッジにおける上記に開示されている構成成分A;第2のカートリッジにおける開始剤及び前記開始剤に対して不活性であるポリマー材料;並びに第3のカートリッジにおける特定の介入に必要とされる添加剤、例えば医薬、細胞又は他の添加剤を含むポリマー材料(所望により第2のカートリッジと同じポリマー材料)。いくつかの実施形態では、このことの潜在的な利点は、最初の2つのカートリッジが即時使用可能であり、必要な場合にのみ使用することができる第3のカートリッジを備えた実装デバイス/送達デバイスを事前に準備することができ、したがって、骨セメントシステムに汎用性を与えながら、前述のように医療従事者の作業をさらに容易にすることである。
【0397】
いくつかの実施形態では、さらに、構成成分A及び/又は構成成分Bの成分のいずれかを2つ以上の群及び別個のカートリッジに分割することができ、次いで、これを実装デバイス/送達デバイス内で混合する。
【0398】
既知の骨セメント(例えば、PMMAセメント)開始システムの例示的な改善
いくつかの実施形態では、既知の骨セメントは、本発明の構成成分を使用することによって改善することができる。いくつかの実施形態では、例えば、過硫酸塩-アスコルビン酸(及び他の言及された共開始剤)をMMA/PMMAセメントに調整して、一般的に使用されるBPO/DMPTを置き換えることができる。いくつかの実施形態では、そうするための1つの方法は、アスコルビン酸の代わりにアスコルビルパルミテート又はアスコルビルステアレートを使用し、18-クラウンエーテルを過硫酸カリウムに添加することによるものであり、これは潜在的に有機媒体中でのその溶解度を改善する。いくつかの実施形態では、反応は、すべての化合物を一緒に混合すると開始する。いくつかの実施形態では、既知の骨セメントを改善する別の方法は、MMA/PMMA混合物の疎水性を変化させることによるものである。いくつかの実施形態では、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)モノマーをMMA溶液に添加し、ポリ(エチルメタクリレート)固体ポリマーを粉末に添加すると、混合物がより親水性になり、よって、過酸化物-アスコルビン酸開始対を開始するために水を吸収することが可能になる。
【0399】
発熱特性
いくつかの実施形態では、骨セメントは高粘度レベルで供給され、その結果、発熱化学結合の大部分が既に形成されている、すなわち、反応はポリマーによってのみ開始し、モノマーは開始しないため、新しい化学結合はほとんど形成されない。いくつかの実施形態では、重合プロセス中に形成される化学結合がより少なく、したがって、全体的な反応は発熱が少なく、したがって温度は数度しか上昇しない。いくつかの実施形態では、低発熱反応は、抗生物質のような感温性添加剤の添加を可能にする。いくつかの実施形態では、低発熱反応の潜在的な利点は、重合プロセス中に周囲組織を損傷しないことである。いくつかの実施形態では、さらに、高粘度レベルの骨セメントを提供することの潜在的な利点は、漏れの潜在的な低減及び材料の流れの制御の潜在的な改善である。
【0400】
例示的な添加剤
いくつかの実施形態では、上述のように、骨セメントの低い発熱反応及びわずかに親水性の性質は、種々の添加剤の添加を可能にする。いくつかの実施形態では、例えば、医薬及び/又は抗生物質が構成成分に添加され、これにより治癒プロセスが改善され、感染による合併症のリスクが低減されることになる。ほとんどの抗生物質は高温で不安定であり、PMMAセメントの発熱反応に耐えることができないが、本発明の骨セメントの低い発熱反応には容易に耐えるであろう。いくつかの実施形態では、温度に対して感受性であり、及び/又は水性環境を必要とし、通常のセメントでは効果的ではない、幹細胞及び骨成長因子などの追加の材料を、懸念することなく骨セメントに組み込むことができる。
【0401】
例示的な硬化インジケータ
いくつかの実施形態では、上述のように、各化合物は、ユーザーが混合プロセスを評価することを可能にする色を含む。いくつかの実施形態では、混合が完了すると、混合材料は均一な色を含む。いくつかの実施形態では、さらに、骨セメントは、硬化プロセス中に変化する、すなわち、骨セメントの混合構成成分が重合プロセス中に色を変化させる固有の変色指示薬を含む。したがって、異なる構成成分の固有の色を使用して混合プロセスを評価し、混合構成成分の色の変化を使用して重合プロセスを評価する。いくつかの実施形態では、これの潜在的な利点は、医師が骨セメントの硬化段階に関するリアルタイム情報を得ることを可能にすることである。いくつかの実施形態では、例えば、骨セメントは、ビスコース流動段階で淡橙色として始まり、最終硬化段階で淡黄色になる。
【0402】
例示的な配合物
いくつかの実施形態では、本発明の骨セメントは、所望の粘度及び所望の硬化速度に従って、以下の例示的な配合物を有することができる(以下の配合物は、当業者が本発明を理解することを可能にするために提供される単なる例であり、決して限定することを意図するものではないことを理解されたい)。
【0403】
【表2】

【0404】
H=高粘度(約700Pa・s);M=中粘度(約300Pa・s);L=低粘度(約100Pa・s);F=高速硬化(体温で約1分、室温で約5分);S=緩硬化(体温で約5分、室温で約15分);*プルロニックp123-PEG8000/プルロニックp105-PEG8000/PEG1000-PEG8000;HPBC=疎水性混合物;X=ヒドロキシエチル又は酢酸若しくはカルボン酸。
【0405】
例示的な方法
いくつかの実施形態では、例示的な使用方法は以下の通りである:
少なくとも1つの開始剤を含む非架橋又はわずかに架橋した骨増強材料は、(所望により)使い捨て混合ユニットで混合される。いくつかの実施形態では、骨増強材料中のポリマーの架橋は、使い捨て混合ユニットでのみ始まる。いくつかの実施形態では、混合材料は、選択された位置に送達される。いくつかの実施形態では、混合材料の重合プロセスは、刺激、この場合、例えば、患者の自然な身体の熱への曝露及び/又は水分への曝露に起因して加速される。
【0406】
一般的な例示的な医療用途
いくつかの実施形態では、骨セメントは、種々の医療用途、例えば、骨折を支持するため(例えば、椎骨形成術及び椎体形成術、又は骨充填剤として)、人工関節の固定(例えば、窓付きねじによるスクリューセメント増強又はセメントによる関節形成術)のために使用される。
【0407】
一般的な非医療用途の例
いくつかの実施形態では、医療グレードのインプラントとして使用される材料は、非医療用途で使用される。いくつかの実施形態では、材料は医学的に等級付けされていない材料である。上記の方法は、ここでも適用可能である。
【0408】
非医療用途のいくつかの非限定的な例は、建築又は航空用の空隙充填(軽量材料が必要な場合)、接着代替固定(スクリューアンカー)、技術、クラフト、プロトタイプ製作、温度隔離及び流体濾過である。
【0409】
量又は値に関して本明細書で使用される場合、「約」という用語は「~の±20%以内」を意味する。
【0410】
「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「有する(has)」、「有すること(having)」という用語及びそれらの活用形は、「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」を意味する。
【0411】
「からなる(consisting of)」という用語は、「含み、これらに限定される(including and limited to)」を意味する。
【0412】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法又は構造が追加の成分、工程及び/又は部分を含み得るが、追加の成分、工程及び/又は部分が特許請求される組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。
【0413】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0414】
本出願を通して、本発明の実施形態は、範囲形式を参照して提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲についての記載は、すべての可能な部分範囲及びその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと考えられるべきである。例えば、「1~6」などの範囲についての記載は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などの部分範囲並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5及び6を具体的に開示していると考えられるべきである。。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0415】
本明細書で数値範囲(例えば、「10~15(10-15)」、「10~15(10 to 15)」、又はこれらの別のそのような範囲指示によって連結された任意の数字のペア)が示される場合はいつでも、文脈上他に明確に指示されない限り、範囲限界を含む、示された範囲限界内の任意の数(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の指示数及び第2の指示数の「範囲(range)/範囲(ranging)/範囲(ranges between)」並びに第1の指示数から第2の指示数「~(to)」、「まで(up to)」、「まで(until)」又は「~(through)」(又は別のそのような範囲指示用語)の「範囲(range)/範囲(ranging)/範囲(ranges from)」は、本明細書で互換的に使用され、第1及び第2の指示数並びにそれらの間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
【0416】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される数及びそれに基づく任意の数の範囲は、当業者によって理解されるように、合理的な測定及び丸め誤差の精度内の近似値である。
【0417】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替形態、修正形態及び変形形態が当業者には明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるすべてのそのような代替形態、修正形態及び変形形態を包含することが意図される。
【0418】
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により本明細書中に組み込まれることが言及される場合に具体的かつ個別に言及されたかのように、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれることが本出願人の意図である。さらに、本出願における任意の参考文献の引用又は特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの自認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本出願の任意の優先権書類は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
【国際調査報告】