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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ピラゾロキノリンKRAS阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20241008BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
C07D471/04 CSP
A61K31/4745
A61P35/02
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519781
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022077350
(87)【国際公開番号】W WO2023056421
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/261,982
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ウェンユー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ウェンチン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
式(I)の化合物、KRAS活性を阻害するために化合物を使用する方法、及びそのような化合物を含む薬学的組成物が開示される。化合物は、がんなどのKRAS活性に関連する疾患または障害を治療、予防、または改善するのに有用である。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
が、Cl、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
Cyが、以下から選択され、
【化2】
が、F及びClから選択され、
が、以下から選択され、
【化3】
かつ、
Cyが、以下から選択され、
【化4】
但し、式Iの前記化合物が、以下以外である、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【表1】
【請求項2】
が、Cl、CHF、CHF、及びCFから選択され、
Cyが、以下から選択され、
【化5】
が、F及びClから選択され、
が、以下から選択され、
【化6】
かつ、
Cyが、以下から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【化7】
【請求項3】
が、CH、CHF、CHF、及びCFから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、Cl、CH、及びCFから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、CHF、CHF、及びCFから選択される、請求項1もしくは2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、Cl及びCHから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、Cl及びCFから選択される、請求項1もしくは2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、CH及びCFから選択される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
Cyが、Cy-a及びCy-bから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Cyが、Cy-a及びCy-cから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Cyが、Cy-b及びCy-cから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、Fである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、Clである、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、R-aである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
が、R-bである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
Cyが、Cy-a及びCy-bから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
Cyが、Cy-a及びCy-cから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
Cyが、Cy-b及びCy-cから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
Cyが、Cy-aであり、
Cyが、Cy-aである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
前記化合物が、
1-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-8-クロロ-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリル、
8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、
8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、及び
8-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、
から選択される、請求項1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
KRAS活性を阻害する方法であって、請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、もしくは薬学的に許容される塩、または請求項21に記載の薬学的組成物を、KRASと接触させることを含む、前記方法。
【請求項23】
前記接触させることが、前記化合物を患者に投与することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
KRAS相互作用の阻害に関連する疾患または障害を治療する方法であって、前記治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項21に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項25】
G12C変異を有するKRASタンパク質の阻害に関連する疾患または障害を治療する方法であって、前記治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項21に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項26】
患者におけるがんを治療するための方法であって、前記患者に、治療有効量の請求項1~20のいずれか1項に記載の化合物、もしくは薬学的に許容される塩、または請求項21に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
前記がんが、癌腫、血液癌、肉腫、及び神経膠芽腫から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記血液癌が、骨髄増殖性新生物、骨髄異形成症候群、慢性及び若年性骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、及び多発性骨髄腫から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記癌腫が、膵臓癌腫、結腸直腸癌腫、肺癌腫、膀胱癌腫、胃癌腫、食道癌腫、乳房癌腫、頭頸部癌腫、子宮頸部癌腫、皮膚癌腫、及び甲状腺癌腫から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患または障害が、免疫学的または炎症性障害である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記免疫学的または炎症性障害が、KRASの体細胞変異によって引き起こされるRas関連リンパ増殖性障害及び若年性骨髄単球性白血病である、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年10月1日に出願された米国仮出願第63/261,982号の優先権を主張し、その全体の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、化合物ならびにそれらの組成物及び使用方法を提供する。当該化合物はKRAS活性を調節し、がんを含む種々の疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
Rasタンパク質は、増殖因子及び種々の細胞外刺激によって活性化される低分子量GTPaseのファミリーの一部である。Rasファミリーは、細胞の増殖、遊走、生存及び分化に関与する細胞内シグナル伝達経路を調節する。細胞膜でのRASタンパク質の活性化は、重要なエフェクターの結合、ならびにRAF及びPI3Kキナーゼ経路を含む細胞内の細胞内シグナル伝達経路のカスケードの開始をもたらす。RASにおける体細胞変異は、制御されない細胞増殖及び悪性形質転換を生じる場合がある一方で、RASタンパク質の活性化は正常細胞では厳密に調節されている(Simanshu,D.et al.Cell 170.1(2017):17-33)。
【0004】
Rasファミリーは3つのメンバー:KRAS、NRAS及びHRASから構成される。RAS変異がんは、ヒトがんの約25%を占める。KRASは最も頻繁に変異するアイソフォームであり、全てのRAS変異85%を占めるが、NRAS及びHRASは、全てのRAS変異がんのそれぞれ12%及び3%に変異が認められる(Simanshu,D.et al.Cell 170.1(2017):17-33)。KRAS変異は上位3つの最も致死的ながんの種類:膵臓癌(97%)、結腸直腸癌(44%)、及び肺癌(30%)の間で広く見られる(Cox,A.D.et al.Nat Rev Drug Discov(2014)13:828-51)。RAS変異の大部分は、アミノ酸残基12、13、及び61で発生する。特定の変異の頻度は、RAS遺伝子アイソフォーム間で異なり、G12及びQ61の変異は、それぞれKRAS及びNRASにおいて優勢であるが、G12、G13及びQ61の変異は、HRASにおいて最も頻繁である。更に、RASアイソフォームにおける変異のスペクトルは、がんの種類間で異なる。例えば、KRAS G12D変異は、膵臓癌(51%)で優勢であり、続いて、結腸直腸腺癌(45%)及び肺癌(17%)で優勢であり、KRAS G12V変異は、膵臓癌(30%)と関連し、結腸直腸腺癌(27%)及び肺腺癌(23%)がそれに続く(Cox,A.D.et al.Nat Rev Drug Discov(2014)13:828-51)。対照的に、KRASのG12C変異は、肺腺癌の11~16%を含む非小細胞肺癌(NSCLC)、ならびに膵臓腺癌及び結腸直腸腺癌の2~5%において優勢である(Cox,A.D.et al.Nat.Rev.Drug Discov.(2014)13:828-51)。数百のがん細胞株にわたるゲノム研究は、KRAS変異を有するがん細胞が、細胞増殖及び生存に関するKRAS機能に高度に依存することを実証してきた(McDonald,R.et al.Cell 170(2017):577-592)。発がん性ドライバーとしての変異体KRASの役割は、変異体KRASが動物モデルにおける初期腫瘍の発症及び維持に必要であることを示す広範なインビボの実験的証拠によって更に支持されている(Cox,A.D.et al.Nat Rev Drug Discov(2014)13:828-51)。
【0005】
まとめると、これらの知見は、KRAS変異がヒトのがんにおいて重要な役割を担うことを示唆し、したがって、変異体KRASを標的とする阻害剤の開発は、KRAS変異を特徴とする疾患の臨床治療において有用であり得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、とりわけ、式Iの化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を提供するものであり、式中、構成変数は本明細書で規定されている。
【0007】
本開示は更に、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。
【0008】
本開示は更に、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を個体に投与することを含む、KRAS活性を阻害する方法を提供する。本開示はまた、療法に使用するための薬剤の製造における、本明細書に記載されている化合物の使用を提供する。本開示はまた、療法に使用するための、本明細書に記載されている化合物も提供する。
【0009】
本開示は更に、治療有効量の本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、患者において疾患または障害を治療する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
化合物
ある態様では、本明細書に提供されているのは、式I:
【化2】
を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
は、Cl、CH、CHF、CHF、及びCFから選択され、
Cyは、以下から選択され、
【化3】
は、F及びClから選択され、
は、以下から選択され、
【化4】
かつ、
Cyは、以下から選択され、
【化5】
但し、式Iの化合物は、以下以外である、化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【表1】
【0011】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、
は、Cl、CHF、CHF、及びCFから選択され、
Cyは、以下から選択され、
【化6】
は、F及びClから選択され、
は、以下から選択され
【化7】
かつ、
Cyは、以下から選択される。
【化8】
【0012】
式I、またはその薬学的に許容される塩の別の実施形態では、
は、Clであり、
Cyは、以下から選択され、
































【化9】
は、Fであり、
は、以下であり、
【化10】
かつ、
Cyは、以下から選択される。
【化11】
【0013】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Rは、Cl、CHF、CHF、及びCFから選択される。更に別の実施形態では、Rは、CH、CHF、CHF、及びCFから選択される。なおも別の実施形態では、Rは、Cl、CH、及びCFから選択される。
【0014】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Rは、CHF、CHF、及びCFから選択される。別の実施形態では、Rは、Cl及びCHから選択される。更に別の実施形態では、Rは、Cl及びCFから選択される。なおも別の実施形態では、Rは、CH及びCFから選択される。
【0015】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Rは、Clである。別の実施形態では、Rは、CHである。更に別の実施形態では、Rは、CHFである。なおも別の実施形態では、Rは、CHFである。一実施形態では、Rは、CFである。
【0016】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Cyは、Cy-a及びCy-bから選択される。別の実施形態では、Cyは、Cy-a及びCy-cから選択される。更に別の実施形態では、Cyは、Cy-b及びCy-cから選択される。
【0017】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、CyはCy-aである。別の実施形態では、Cyは、Cy-bである。別の実施形態では、Cyは、Cy-cである。
【0018】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Rは、Fである。別の実施形態では、Rは、Clである。
【0019】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Rは、R-aである。別の実施形態では、Rは、R-bである。
【0020】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態において、Cyは、Cy-a及びCy-bから選択される。別の実施形態では、Cyは、Cy-a及びCy-cから選択される。別の実施形態では、Cyは、Cy-b及びCy-cから選択される。別の実施形態では、Cyは、Cy-aである。更に別の実施形態では、Cyは、Cy-bである。なおも別の実施形態では、Cyは、Cy-cである。
【0021】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、Cyは、Cy-aであり、Cyは、Cy-aである。
【0022】
式I、またはその薬学的に許容される塩の一実施形態では、式Iの化合物は、以下以外である。





















【表2】
【0023】
一実施形態では、式Iの化合物は、
1-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-8-クロロ-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリル、
8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、
8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、及び
8-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、
またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0024】
別の実施形態では、式Iの化合物は、
1-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-8-クロロ-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、
2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリル、
8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、及び
8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、
またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される。
【0025】
更に別の実施形態では、式Iの化合物は、8-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0026】
なおも別の実施形態では、式Iの化合物は、1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0027】
別の実施形態では、本明細書の式の化合物は、式の化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0028】
明確にするために、別々の実施形態の文脈において説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態と組み合わせて提供することもできる(一方で、実施形態は、多重従属形式で記載されたように、組み合わされることが意図される)と更に理解される。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の種々の特徴を、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供することもできる。したがって、式Iの化合物の実施形態を任意の好適な組み合わせで組み合わせることができると記載される特徴として企図されている。
【0029】
特定の場所で、定義または実施形態は、特定の環(例えば、アゼチジン環、ピリジン環など)を指す。特に明記されていない限り、これらの環は、原子の原子価を超えないという条件で、任意の環員に結合することができる。例えば、アゼチジン環は、環の任意の位置で結合されてもよいのに対して、アゼチジン-3-イル環は3位で結合される。
【0030】
本明細書に記載されている化合物は、不斉であり得る(例えば、1つ以上の立体中心を有する)。特に明記されていない限り、エナンチオマー及びジアステレオマーのような全ての立体異性体が意図されている。不斉置換された炭素原子を含有する本発明の化合物は、光学的に活性がある形態、またはラセミ形態で単離され得る。光学的に不活性な出発材料から光学活性形態を調製する方法は、ラセミ混合物の分割によるのものまたは立体選択的合成によるものなど、当該技術分野において既知のものである。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体は、本明細書に記載されている化合物中に存在することもでき、全てのそのような安定した異性体が、本発明において企図される。本発明の化合物のシス及びトランスの幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離された異性体形態として単離され得る。
【0031】
化合物のラセミ混合物の分割は、当該技術分野で既知の多数の方法のうちのいずれかによって実施され得る。1つの方法は、光学的に活性な塩形成有機酸であるキラル分割酸を使用した分画再結晶化を含む。分画再結晶化方法に好適な分割剤は、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、またはβ-カンファースルホン酸のような様々な光学的に活性なカンファースルホン酸のD及びL形態のような光学的に活性な酸である。分画結晶化方法に好適な他の分割剤は、α-メチルベンジルアミンの立体異性体的に純粋な形態(例えば、S及びR形態、またはジアステレオマー的に純粋な形態)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N-メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどを含む。
【0032】
ラセミ混合物の分割はまた、光学活性分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を充填したカラム上への溶出によって実施され得る。好適な溶出溶媒組成物は当業者によって決定され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、(R)-構成を有する。他の実施形態では、本化合物は、(S)-構成を有する。1超のキラル中心を持つ化合物では、化合物におけるキラル中心のそれぞれは、別に示されない限り、独立して(R)または(S)であってもよい。
【0034】
本発明の化合物には、互変異性形態も含まれる。互変異性形態は、単結合と隣接する二重結合が入れ替わり、それに伴ってプロトンが移動することによって生じる。互変異性形態には、同じ実験式及び総電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピック互変異性体が含まれる。プロトトロピック互変異性体の例は、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、ならびにプロトンが複素環系の2つ以上の位置を占めることができる環状形態、例えば、1H-及び3H-イミダゾール、1H-、2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、ならびに1H-及び2H-ピラゾールを含む。互変異性形態は、平衡状態であり得るか、または適切な置換によって1つの形態に立体的に固定することができる。
【0035】
本発明の化合物には、中間体または最終化合物において発生する原子の全ての同位体も含まれ得る。同位体は、原子番号が同じであるが、質量数が異なる原子を含む。例えば、水素の同位体は、トリチウム及び重水素を含む。本発明の化合物の1つ以上の構成原子は、天然または非天然存在比で原子の同位体で置き換えられるか、または置換されることができる。いくつかの実施形態では、化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子を、重水素で置き換えることができ、または置換することができる。いくつかの実施形態では、化合物は2つ以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の重水素原子を含む。有機化合物中に同位体を含めるための合成法は、当該技術分野では既知である(Deuterium Labeling in Organic Chemistry by Alan F.Thomas(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971;The Renaissance of H/D Exchange by Jens Atzrodt,Volker Derdau,Thorsten Fey and Jochen Zimmermann,Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765;The Organic Chemistry of Isotopic Labelling by James R.Hanson,Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイのような種々の試験において使用することができる。
【0036】
重水素のような更に重い同位体による置換は、更に大きな代謝安定性の結果として生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボでの半減期の増加または必要な投与量の減少をもたらし得、したがって、いくつかの状況では好ましい場合がある。(A.Kerekes et.al.J.Med.Chem.2011,54,201-210、R.Xu et.al.J.Label Compd.Radiopharm.2015,58,308-312)。
【0037】
「化合物」という用語は、本明細書で使用されるとき、図示される構造の全ての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、及び同位体を含むことを意味する。この用語はまた、例えば、合成で、生物学的プロセス(例えば、代謝または酵素変換)を介して、またはそれらの組み合わせを介してそれらがどのように調製されるかに関係なく、本発明の化合物を指すことを意味する。
【0038】
全ての化合物及びその薬学的に許容される塩は、水及び溶媒のような他の物質と一緒に見いだされ得る(例えば、水和物及び溶媒和物)、または単離され得る。固体状態である場合、本明細書に記載されている化合物及びその塩は、種々の形態で発生してもよく、例えば、水和物を含む溶媒和物の形態を取ってもよい。化合物は、多形体または溶媒和物のような任意の固体形態であってもよく、したがって、特に明確に示されない限り、化合物及びその塩に対する本明細書における言及は、化合物の任意の固体形態を包含すると理解されるべきである。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物またはその塩は実質的に単離される。「実質的に単離される」とは、化合物が形成されたまたは検出された環境から化合物が少なくとも部分的に、または実質的に分離されていることを意味する。部分的な分離には、例えば、本発明の化合物が濃縮された組成物が含まれ得る。実質的な分離には、本発明の化合物またはその塩の少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%を含有する組成物が含まれ得る。
【0040】
「薬学的に許容される」という語句は、安全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合う化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指すのに本明細書で採用されている。
【0041】
本明細書で使用される「周囲温度」及び「室温」という表現は、当該技術分野で理解され、一般に、およそ反応が実行される部屋の温度、例えば、約20℃~約30℃の温度である温度、例えば、反応温度を指す。
【0042】
本発明には、本明細書に記載されている化合物の薬学的に許容される塩も含まれる。「薬学的に許容される塩」という用語は、開示されている化合物の誘導体を指し、親化合物は、既存の酸または塩基の部分をその塩形態に変換することによって修飾される。薬学的に許容される塩の例には、アミンのような塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の非毒性塩が含まれる。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で、化学量論的量の適切な塩基または酸と、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を反応させることにより調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノール)またはアセトニトリル(MeCN)のような非水性媒質が好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Ed.,(Mack Publishing Company,Easton,1985),p.1418、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66(1),1-19及びStahl et al.,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Wiley,2002)に見いだされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物にはN-オキシド形態が含まれる。
【0043】
合成
本発明の化合物(その塩を含む)は、既知の有機合成手法を使用して調製され得、以下のスキームにおけるもののような、多数の可能な合成経路のいずれかに従って合成され得る。
【0044】
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中において実施され得る。好適な溶媒は、反応が実施される温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度の範囲であり得る温度で、出発物質(反応物)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または1よりも多くの溶媒の混合物において実施することができる。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに好適な溶媒が当業者によって選択され得る。
【0045】
本発明の化合物の調製は、種々の化学基の保護及び脱保護を含むことができる。保護及び脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、Kocienski,Protecting Groups,(Thieme,2007)、Robertson,Protecting Group Chemistry,(Oxford University Press,2000)、Smith et al.,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,6th Ed.(Wiley,2007)、Peturssion et al.,“Protecting Groups in Carbohydrate Chemistry,”J.Chem.Educ.,1997,74(11),1297、及びWuts et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,4th Ed.,(Wiley,2006)に記載される。
【0046】
反応は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法に従ってモニタリングされ得る。例えば、生成物形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外線分光法、分光光度測定(例えば、UV-可視)、質量分析法のような分光学的手段によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)のようなクロマトグラフィー方法によってモニタリングされ得る。
【0047】
以下のスキームは、本発明の化合物の調製に関連する一般的な指針を提供する。当業者は、スキームに示される調製物が、本発明の種々の化合物を調製するために有機化学の一般知識を使用して修飾または最適化され得ることを理解するであろう。
【化12】
【0048】
式1-17の化合物は、スキーム1に概説される合成経路を介して調製され得る。エタノール中のHSOを用いた市販の出発物質1-1のエステル化。N-クロロスクシンイミド(NCS)などの適切な試薬による化合物1-2のハロゲン化は、中間体1-3(Halは、F、Cl、Br、またはIなどのハロゲン化物である)をもたらす。化合物1-5は、1-3をエチルマロニルクロリド(1-4)などの試薬で処理することによって調製することができる。中間体1-5は、環化反応(エタノール中のナトリウムエトキシドなど)を受けて、化合物1~6を産生することができ、これは、適切な試薬(例えば、POCl)で処理されて、化合物1~7をもたらすことができる。中間体1-7のアミン1-8との縮合(PGは、Bocなどの適切な保護基である)を実施して、化合物1-9を生成することができる。還元試薬(DIBALなど)によるエステルの還元、それに続く酸化試薬(Dess-Martinペルヨージナンなど)による中間体の酸化により、アルデヒド1-10を得る。中間体1-10をヒドロキシルアミン塩酸塩及びピリジンで処理すると、化合物1-11が得られる。中間体1-11は、環化反応(例えば、DCM中のメタンスルホニルクロリド、アミノピリジン)を経て、化合物1~12を産生することができる。次いで、1-13内のR基は、SAr反応またはカップリング反応などの好適な変換を介して配置することができる。中間体1-13は、まず、保護基PGの脱保護を経て、続いて、得られたアミンの官能化(例えば、酸塩化物、例えば、アクリロイルクロリドとのカップリング)を経て、次いで、化合物1-14を得ることができる。1-14(Hal)のハロゲンは、任意選択的に、遷移金属媒介カップリングまたは他の好適な方法を介してRに変換して1-15を得ることができる。所望の生成物1-17は、標準的な鈴木クロスカップリング条件下(例えば、パラジウム触媒及び好適な塩基の存在下)、または標準的なStilleクロスカップリング条件下(例えば、パラジウム触媒の存在下)、または標準的な根岸クロスカップリング条件下(例えば、パラジウム触媒の存在下)で(Mはボロン酸、ボロン酸エステルまたは適切に置換された金属(例えば、MはB(OR)、Sn(アルキル)またはZn-Hal)である)、1-15と式1-16の付加物との間のクロスカップリング反応によって調製することができる。上記の化学反応の順序は、異なる類似体の調製に適するように、適切に再配置することができる。
【0049】
KRASタンパク質
Rasファミリーは3つのメンバー:KRAS、NRAS及びHRASで構成される。RAS変異がんは、ヒトがんの約25%を占める。KRASは、ヒトがんにおいて最も頻繁に変異するアイソフォームである:全てのRAS変異の85%がKRASに、12%がNRASに、3%がHRASに見られる(Simanshu,D.et al.Cell 170.1(2017):17-33)。KRAS変異は上位3つの最も致死的ながんの種類:膵臓癌(97%)、結腸直腸癌(44%)、及び肺癌(30%)の間で広く見られる(Cox,A.D.et al.Nat Rev Drug Discov(2014)13:828-51)。RAS変異の大部分は、アミノ酸残基/コドン12、13、及び61で発生し、コドン12変異はKRASにおいて最も頻繁である。RAS遺伝子とG12D変異との間で変化する特定の変異の頻度はKRASにおいて最も優勢であるのに対して、Q61R及びG12Rの変異はNRAS及びHRASにおいて最も頻繁である。更に、RASアイソフォームにおける変異のスペクトルは、がんの種類間で異なる。例えば、KRASのG12D変異は、膵臓癌(51%)で優勢であり、結腸直腸腺癌(45%)及び肺癌(17%)がそれに続く(Cox,A.D.et al.Nat Rev Drug Discov(2014)13:828-51)。対照的に、KRASのG12C変異は、肺腺癌の11~16%構成する非小細胞肺癌(NSCLC)(変異体KRASのほぼ半分はG12Cである)、ならびに膵臓腺癌及び結腸直腸腺癌のそれぞれ2~5%において優勢である(Cox,A.D.et al.Nat.Rev.Drug Discov.(2014)13:828-51)。ゲノム研究は、数百のがん細胞株にわたる数千の遺伝子のshRNAノックダウンを使用して、KRAS変異を示すがん細胞が、細胞増殖に対するKRAS機能に高度に依存することを実証した(McDonald,R.et al.Cell 170(2017):577-592)。まとめると、これらの知見は、KRAS変異がヒトがんにて重要な役割を担うことを示唆し、したがって、変異体KRASを標的とする阻害剤の開発は、KRASの変異を特徴とする疾患の臨床治療において有用であり得る。
【0050】
使用方法
G12C、G12V、及びG12D変異を有するKRASが関与するがんの種類には、癌腫(例えば、膵臓癌腫、結腸直腸癌腫、肺癌腫、膀胱癌腫、胃癌腫、食道癌腫、乳房癌腫、頭頸部癌腫、頸部皮膚癌腫、甲状腺癌腫)、造血悪性腫瘍(例えば、骨髄増殖性新生物(MPN)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性及び若年性骨髄単球性白血病(CMML及びJMML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)及び多発性骨髄腫(MM))、ならびに他の新生物(例えば、神経膠芽腫及び肉腫)が含まれるが、これらに限定されない。加えて、KRAS変異は、抗EGFR療法に対する獲得耐性において見いだされた(Knickelbein,K.et al.Genes & Cancer,(2015):4-12)。KRAS変異は、免疫学性障害及び炎症性障害において見いだされた(Fernandez-Medarde,A.et al.Genes & Cancer,(2011):344-358)(例えば、KRASまたはNRASの体細胞変異によって引き起こされるRas関連リンパ増殖性障害(RALD)または若年性骨髄単球性白血病(JMML))。
【0051】
本開示の化合物は、KRASタンパク質の活性を阻害することができる。例えば、本開示の化合物は、細胞、個体、または患者に、本開示の1つ以上の化合物の阻害量を投与することによって、酵素の阻害を必要とする細胞または個体または患者においてKRASの活性を阻害するのに使用することができる。
【0052】
KRAS阻害剤として、本開示の化合物は、KRASの異常な発現または活性と関連する種々の疾患の治療に有用である。KRASを阻害する化合物は、血管新生を阻害することによって、腫瘍における成長の防止またはアポトーシスの誘導の手段を提供するのに有用となる。したがって、本開示の化合物は、がんのような増殖性障害の治療または予防に有用であることが証明されることが予想される。特に、受容体型チロシンキナーゼの活性化変異体を持つ、または受容体型チロシンキナーゼの上方調節がある腫瘍は、阻害剤に対して特に感受性が高い場合がある。
【0053】
本明細書において、ある態様では、KRAS活性を阻害する方法が提供され、上記方法は、本開示の化合物をKRASと接触させることを含む。一実施形態では、接触させることは、患者に化合物を投与することを含む。
【0054】
本明細書において、ある態様では、G12C変異を有するKRASタンパク質を阻害する方法が提供され、上記方法は、本開示の化合物をKRASと接触させることを含む。
【0055】
本明細書において、ある態様では、G12D変異を有するKRASタンパク質を阻害する方法が提供され、上記方法は、本開示の化合物をKRASと接触させることを含む。
【0056】
本明細書において、ある態様では、G12V変異を有するKRASタンパク質を阻害する方法が提供され、上記方法は、本開示の化合物をKRASと接触させることを含む。
【0057】
本明細書において、別の態様では、KRAS相互作用の阻害に関連する疾患または障害を治療する方法が提供され、上記方法は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書に開示されている式のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0058】
本明細書において、更に別の態様では、G12C変異を有するKRASタンパク質を阻害することに関連する疾患または障害を治療する方法が提供され、上記方法は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書に開示されている式のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0059】
本明細書において、なおも別の態様では、治療有効量の本明細書に開示されている化合物を患者に投与することを含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療する方法も提供され、がんは、G12C変異を有するKRASタンパク質との相互作用を特徴とする。
【0060】
本明細書において、更に別の態様では、G12D変異を有するKRASタンパク質を阻害することに関連する疾患または障害を治療する方法が提供され、上記方法は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書に開示されている式のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0061】
本明細書において、なお別の態様では、治療有効量の本明細書に開示されている化合物を患者に投与することを含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療する方法が提供され、がんは、G12D変異を有するKRASタンパク質との相互作用を特徴とする。
【0062】
本明細書において、更に別の態様では、G12V変異を有するKRASタンパク質を阻害することに関連する疾患または障害を治療する方法が提供され、上記方法は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書に開示されている式のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0063】
本明細書において、なおも別の態様では、治療有効量の本明細書に開示されている化合物を患者に投与することを含む、がんの治療を必要とする患者においてがんを治療する方法が提供され、がんは、G12V変異を有するKRASタンパク質との相互作用を特徴とする。
【0064】
本明細書において、更に別の態様では、患者においてがんを治療する方法が提供され、上記方法は、治療有効量の本明細書に開示されている化合物のいずれか1つまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む。
【0065】
本明細書において、ある態様では、KRAS相互作用またはその変異体の阻害に関連する疾患または障害の治療を必要とする患者においてそれを治療する方法が提供され、方法は、本明細書に開示されている化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に開示されている化合物もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物を、本明細書に記載されている別の療法または治療剤と組み合わせて患者に投与するステップを含む。
【0066】
一実施形態では、疾患または障害は、免疫学的または炎症性障害である。別の実施形態では、免疫学的または炎症性障害は、KRASの体細胞変異によって引き起こされるRas関連リンパ増殖性障害及び若年性骨髄単球性白血病である。
【0067】
一実施形態では、前記がんは、血液癌、肉腫、肺癌、消化器癌、泌尿生殖路癌、肝臓癌、骨癌、神経系癌、婦人科癌、及び皮膚癌から選択される。
【0068】
別の実施形態において、がんは、癌腫、血液癌、肉腫、及び神経膠芽腫から選択される。
【0069】
更に別の実施形態では、血液癌は、骨髄増殖性新生物、骨髄異形成症候群、慢性及び若年性の骨髄単球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、及び多発性骨髄腫から選択される。
【0070】
なおも別の実施形態において、癌腫は、膵臓癌腫、大腸癌腫、肺癌腫、膀胱癌腫、胃癌腫、食道癌腫、乳房癌腫、頭頸部癌腫、子宮頸部癌腫、皮膚癌腫、及び甲状腺癌腫から選択される。
【0071】
別の実施形態では、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、気管支原性癌腫、扁平上皮細胞気管支原性癌腫、未分化小細胞気管支原性癌腫、未分化大細胞気管支原性癌腫、腺癌、気管支原性癌腫、肺胞癌腫、気管支癌腫、気管支腺腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫、小細胞癌(pavicellular carcinoma)及び非小細胞癌(non-pavicellular carcinoma)、気管支腺腫、及び胸膜肺芽腫から選択される。
【0072】
更に別の実施形態では、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。なおも別の実施形態では、肺癌は腺癌である。
【0073】
一実施形態では、消化器癌は、食道扁平上皮癌腫、食道腺癌、食道平滑筋肉腫、食道リンパ腫、胃癌、胃リンパ腫、胃平滑筋肉腫、外分泌膵臓癌、膵管腺癌、膵臓インスリン腫、膵臓グルカゴン産生腫瘍、膵臓ガストリン産生腫瘍、膵臓カルチノイド腫瘍、膵臓ビポーマ、小腸腺癌、小腸リンパ腫、小腸カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、小腸平滑筋腫、小腸血管腫、小腸脂肪腫、小腸神経線維腫、小腸線維腫、大腸腺癌、大腸管腺腫、大腸絨毛腺腫、大腸過誤腫、大腸平滑筋腫、大腸癌、胆嚢癌、及び肛門癌から選択される。
【0074】
一実施形態では、胃腸癌は結腸直腸癌である。
【0075】
別の実施形態では、がんは癌腫である。更に別の実施形態では、癌腫は、膵臓癌、大腸癌腫、肺癌腫、膀胱癌腫、胃癌腫、食道癌腫、乳癌腫、頭頸部癌腫、子宮頸部皮膚癌腫、及び甲状腺癌腫から選択される。
【0076】
なおも別の実施形態では、がんは造血系悪性腫瘍である。一実施形態では、造血系悪性腫瘍は、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、及び骨髄増殖性新生物から選択される。
【0077】
別の実施形態では、がんは、新生物である。更に別の実施形態では、新生物は、神経膠芽腫または肉腫である。
【0078】
特定の実施形態では、本開示は、KRASが介在する障害の治療を必要とする患者においてそれを治療する方法を提供し、方法は、本発明による化合物またはその薬学的に許容される組成物を上記患者に投与するステップを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物を使用して治療可能である疾患及び適応症には、血液癌、肉腫、肺癌、消化管癌、泌尿生殖器癌、肝臓癌、骨癌、神経系癌、婦人科癌、及び皮膚癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
例示的な血液癌には、リンパ腫及び白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(再発性または難治性NHL及び再発性濾胞を含む)、ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性疾患(例えば、原発性骨髄線維症(PMF)、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加性(ET)、8p11骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群(MDS)、T細胞急性リンパ芽球性リンパ腫(T-ALL)、多発性骨髄腫、皮膚T細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ヘアリー細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、慢性骨髄性リンパ腫、及びバーキットリンパ腫が挙げられる。
【0081】
例示的な肉腫には、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、線維腫、脂肪腫、過誤腫、リンパ肉腫、平滑筋肉腫及び奇形腫が挙げられる。
【0082】
例示的な肺癌には、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支腺腫、軟骨腫性過誤腫、中皮腫、小細胞癌(pavicellular carcinoma)及び非小細胞癌(non-pavicellular carcinoma)、気管支腺腫、及び胸膜肺芽腫が挙げられる。
【0083】
例示的な消化管癌には、食道のがん(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃のがん(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓のがん(膵外分泌癌、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸のがん(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸のがん(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、大腸癌、胆嚢癌及び肛門癌が挙げられる。
【0084】
例示的な泌尿生殖路癌には、腎臓のがん(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、腎細胞癌)、膀胱及び尿道のがん(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺のがん(腺癌、肉腫)、精巣のがん(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)及び尿路上皮癌が挙げられる。
【0085】
例示的な肝臓癌には、肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、及び血管腫が挙げられる。
【0086】
例示的な骨癌には、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫瘍、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫瘍が挙げられる。
【0087】
例示的な神経系癌には、頭蓋骨のがん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜のがん(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳のがん(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、膠芽腫、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍、神経外胚葉性腫瘍)、及び脊髄のがん(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫)、神経芽細胞腫及びレルミット・ダクロス病及び松果体腫瘍が挙げられる。
【0088】
例示的な婦人科癌には、乳房のがん(乳管癌、小葉癌、乳房肉腫、トリプルネガティブ乳癌、HER2陽性乳癌、炎症性乳癌、乳頭癌)、子宮のがん(子宮内膜癌)、子宮頸部のがん(子宮頸癌、腫瘍前子宮頸部異形成)、卵巣のがん(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌腫)、顆粒-鱗屑細胞腫瘍、セルトリ-ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部のがん(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣のがん(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(botryoid sarcoma)(胚性横紋筋肉腫))、及び卵管のがん(癌腫)が挙げられる。
【0089】
例示的な皮膚癌には、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、メルケル細胞皮膚癌、ほくろ形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、及びケロイドが挙げられる。
【0090】
例示的な頭頸部癌には、膠芽腫、黒色腫、横紋筋肉腫、リンパ肉腫、骨肉腫、扁平上皮癌、腺癌、口腔癌、喉頭癌、鼻咽頭癌、鼻腔癌及び副鼻腔癌、甲状腺癌及び副甲状腺癌、眼の腫瘍、口唇及び口腔の腫瘍、ならびに扁平上皮頭頸部のがんが挙げられる。
【0091】
本開示の化合物はまた、腫瘍転移の阻害に有用であり得る。
【0092】
発がん性新生物に加えて、本発明の化合物は、軟骨無形成症、低軟骨形成症、小人症、タナトフォリック異形成症(TD)(臨床形態TDI及びTDII)、アペール症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン-ワイス症候群、ベア-スティーブンソン脳回状皮膚症候群(Beare-Stevenson cutis gyrate syndrome)、ファイファー症候群、及び頭蓋骨癒合症症候群を含むが、これらに限定されない、骨格及び軟骨細胞の障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本開示は、骨格及び軟骨細胞の障害に罹患している患者を治療する方法を提供する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、アルツハイマー病、HIV、または結核を治療ために使用することができる。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「8p11骨髄増殖性症候群」という用語は、好酸球増多症及びFGFR1の異常と関連する骨髄性/リンパ性の新生物を指すことを意味する。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「細胞」という用語は、インビトロ、エクスビボまたはインビボの細胞を指すことを意味する。いくつかの実施形態では、エクスビボ細胞は、哺乳動物などの生物から切除された組織試料の一部であり得る。いくつかの実施形態では、インビトロ細胞は、細胞培養物中の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、インビボ細胞は、哺乳動物などの生物に生存する細胞である。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「接触させること」という用語は、インビトロ系またインビボ系において示された部分を一緒にすることを指す。例えば、KRASを本明細書に記載されている化合物と「接触させること」は、本明細書に記載されている化合物を、KRASを有するヒトのような個体または患者に投与すること、ならびに、例えば、本明細書に記載されている化合物を、KRASを含有する細胞調製物または精製調製物を含む試料中に導入することを含む。
【0097】
本明細書で使用されるとき、相互交換可能に使用される「個体」、「対象」、または「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類を含む任意の動物を指し、最も好ましくはヒトを指す。
【0098】
本明細書で使用されるとき、「治療有効量」という語句は、研究者、獣医師、医師、または他の臨床医によって求められている組織、系、動物、個体、またはヒトにおいて生物学的応答または医薬的応答を誘発する、本明細書に開示されている固体形態またはその塩のうちのいずれかの量のような活性化合物または医薬剤の量を指す。任意の個々の場合における適切な「有効な」量は、当業者に知られている技術を使用して決定されてもよい。
【0099】
「薬学的に許容される」という語句は、安全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題もしくは合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指すように本明細書で使用される。
【0100】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体または賦形剤」という語句は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、溶媒、またはカプセル化材料などの、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指す。賦形剤または担体は、一般的に安全で無毒であり、生物学的に望ましくないものでも他の点で望ましくないものでもなく、獣医学的用途ならびにヒトの薬学的用途に許容される賦形剤または担体を含む。一実施形態では、各構成成分は、本明細書に定義されているように「薬学的に許容される」。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.、Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,Pa.,2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.、Rowe et al.,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009;Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.、Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.、Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton,Fla.,2009を参照されたい。
【0101】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」または「治療」という用語は、疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態、または障害の病理または総体的症状(symptomology)を経験している、または呈している個体において、疾患、状態、または障害を阻害すること(すなわち、病理及び/または総体的症状の更なる発達を停止させること)、あるいは疾患を改善すること;例えば、疾患、状態、または障害の病理または総体的症状を経験している、または呈している個体において、疾患、状態、または障害を改善すること(すなわち、病理及び/または総体的症状を元に戻すこと)、例えば、疾患の重症度を低減させることを指す。
【0102】
本明細書で使用されるとき「予防する」、「予防すること」、または「予防」という用語は、予防される状態、疾患または障害に関連する、またはそれによって引き起こされる少なくとも1つの症状の予防を含む。
【0103】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特定の特徴を、単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることが理解される(一方で、実施形態は、多重従属形式で記載されたように組み合わされることが意図される)。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈において説明される本発明の種々の特徴を、別個にまたは任意の好適な部分的組み合わせで提供することもできる。
【0104】
併用療法
I.がん療法
がん細胞増殖及び生存は、複数のシグナル伝達経路の機能不全に影響を受け得る。したがって、そのような状態を治療するためには、活性を調節する標的において異なる嗜好性を示す、異なる酵素/タンパク質/受容体阻害剤を組み合わせることが有用である。1つ超のシグナル伝達経路(または所与のシグナル伝達経路に関与する1つ超の生体分子)を標的とすることは、細胞集団中で生じる薬物抵抗性の可能性を減少させ、及び/または処置の毒性を減少させる場合がある。
【0105】
1つ以上の追加の医薬剤、例えば、化学療法薬、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、がん免疫療法剤、代謝酵素阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤、及びホスファターゼ阻害剤などに加えて、標的療法、例えば、Bcr-Abl、Flt-3、EGFR、HER2、JAK、c-MET、VEGFR、PDGFR、c-Kit、IGF-1R、RAF、FAK、及びCDK4/6キナーゼ阻害剤など、例えば、WO2006/056399に記載されているものなどが、CDK2関連疾患、障害または状態を処置するために本開示の化合物と組み合わせて使用され得る。治療用抗体などの他の薬剤が、CDK2関連疾患、障害または状態を処置するために本開示の化合物と組み合わせて使用され得る。1つ以上の追加の医薬剤が、患者に同時にまたは連続して投与され得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、CDK2阻害剤は、BCL2阻害剤またはCDK4/6阻害剤と組み合わせて投与または使用される。
【0107】
本明細書で開示されているような化合物は、がんのような疾患及び本明細書に記載されている他の疾患または障害を処置するために、1つ以上の他の酵素/タンパク質/受容体阻害剤療法と組み合わせて使用され得る。併用療法で治療可能な疾患及び適応症の例としては、本明細書に記載されているようなものが挙げられる。がんの例には、固形腫瘍、及び液体腫瘍、血液癌のような非固形腫瘍が挙げられる。感染症の例としては、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症または寄生虫感染症が挙げられる。例えば、本開示の化合物は、がんの治療のために、以下のキナーゼの1つ以上の阻害剤と組み合わされ得る:Akt1、Akt2、Akt3、BCL2、CDK4/6、TGF-βR、PKA、PKG、PKC、CaM-キナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、MEKK、ERK、MAPK、mTOR、EGFR、HER2、HER3、HER4、INS-R、IDH2、IGF-1R、IR-R、PDGFαR、PDGFβR、PI3K(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、及び複数または選択的)、CSF1R、KIT、FLK-II、KDR/FLK-1、FLK-4、flt-1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、c-Met、PARP、Ron、Sea、TRKA、TRKB、TRKC、TAMキナーゼ(Axl、Mer、Tyro3)、FLT3、VEGFR/Flt2、Flt4、EphA1、EphA2、EphA3、EphB2、EphB4、Tie2、Src、Fyn、Lck、Fgr、Btk、Fak、SYK、FRK、JAK、ABL、ALK及びB-Raf。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、がんまたは感染症を治療するために以下の阻害剤のうち1つ以上と組み合わされ得る。がん及び感染症の治療のために本開示の化合物と組み合わされ得る阻害剤の非限定的な例には、FGFR阻害剤(FGFR1、FGFR2、FGFR3、またはFGFR4、例えば、ペミガチニブ(INCB54828)、INCB62079)、EGFR阻害剤(ErB-1またはHER-1としても知られており、例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、オシメルチニブ、セツキシマブ、ネシツムマブ、またはパニツムマブ)、VEGFR阻害剤もしくは経路遮断薬(例えば、ベバシズマブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、レゴラフェニブ、ポナチニブ、カボザンチニブ、バンデタニブ、ラムシルマブ、レンバチニブ、ziv-アフリベルセプト)、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、またはニラパリブ)、JAK阻害剤(JAK1及び/またはJAK2、例えば、ルキソリチニブまたはバリシチニブ;またはJAK1、例えば、イタシチニブ(INCB39110)、INCB052793、またはINCB054707)、IDO阻害剤(例えば、エパカドスタット、NLG919、またはBMS-986205、MK7162)、LSD1阻害剤(例えば、GSK2979552、INCB59872及びINCB60003)TDO阻害剤、PI3K-デルタ阻害剤(例えば、パルサクリシブ(INCB50465)またはINCB50797)、PI3K-ガンマ選択的阻害剤などのPI3K-ガンマ阻害剤、Pim阻害剤(例えば、INCB53914)、CSF1R阻害剤、TAM受容体チロシンキナーゼ(Tyro-3、Axl、及びMer、例えば、INCB081776)、アデノシン受容体アンタゴニスト(例えば、A2a/A2b受容体アンタゴニスト)、HPK1阻害剤、ケモカイン受容体阻害剤(例えば、CCR2またはCCR5阻害剤)、SHP1/2ホスファターゼ阻害剤、HDAC8阻害剤などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、血管新生阻害剤、インターロイキン受容体阻害剤、ブロモ及び余剰末端ファミリーメンバー阻害剤(例えば、ブロモドメイン阻害剤またはBET阻害剤、例えば、INCB54329及びINCB57643)、c-MET阻害剤(例えば、カプマチニブ)、抗CD19抗体(例えば、タファシタマブ)、ALK2阻害剤(例えば、INCB00928)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物または塩は、PI3Kδ阻害剤とともに投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物または塩は、JAK阻害剤とともに投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物または塩は、JAK1またはJAK2阻害剤(例えば、バリシチニブまたはルキソリチニブ)とともに投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物または塩は、JAK1阻害剤とともに投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物または塩は、JAK2よりも選択的であるJAK1阻害剤とともに投与される。
【0109】
併用療法で使用するための抗体の例には、トラスツズマブ(例えば、抗HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗VEGF-A)、ベバシズマブ(AVASTIN(商標)、例えば、抗VEGF)、パニツムマブ(例えば、抗EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗EGFR)、リツキサン(例えば、抗CD20)及びc-METに対する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
以下の薬剤のうちの1つ以上が、本開示の化合物と併用されてもよく、非限定的なリストとして提示される:細胞分裂阻害剤、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソテール、タキソール、エトポシド、イリノテカン、カンプトサール、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、タモキシフェン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、テモゾロミド、シクロホスファミド、SCH66336、R115777、L778,123、BMS214662、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)、EGFRに対する抗体、イントロン、ara-C、アドリアマイシン、シトキサン、ゲムシタビン、ウラシルマスタード、クロルメチン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン(triethylenethiophosphoramine)、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンリン酸エステル、オキサリプラチン、ロイコビリン(leucovirin)、ELOXATIN(商標)(オキサリプラチン)、ペントスタチン(pentostatine)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、テニポシド17.アルファ.-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゴセレリン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、アムサクリン、プロカルバジン、ミトタン、ミトキサントロン、レバミゾール、ナベルビン(navelbene)、アナストロゾール(anastrazole)、レトラゾール(letrazole)、カペシタビン、レロキサフィン(reloxafine)、ドロロキサフィン(droloxafine)、ヘキサメチルメラミン、アバスチン、HERCEPTIN(商標)(トラスツズマブ)、BEXXAR(商標)(トシツモマブ)、VELCADE(商標)(ボルテゾミブ)、ZEVALIN(商標)(イブリツモマブチウキセタン)、TRISENOX(商標)(ヒ素トリオキシド)、XELODA(商標)(カペシタビン)、ビノレルビン、ポルフィマー、ERBITUX(商標)(セツキシマブ)、チオテパ、アルトレタミン、メルファラン、トラスツズマブ、レロゾール(lerozole)、フルベストラント、エキセメスタン、イホスフォミド(ifosfomide)、リツキシマブ、C225(セツキシマブ)、キャンパス(アレムツズマブ)、クロファラビン、クラドリビン、アフィジコロン(aphidicolon)、リツキサン、スニチニブ、ダサチニブ、テザシタビン、Sml1、フルダラビン、ペントスタチン、トリアピン、ジドックス、トリミドックス、アミドックス、3-AP、及びMDL-101,731。
【0111】
本開示の化合物は更に、例えば、化学療法、放射線療法、腫瘍標的療法、アジュバント療法、免疫療法または外科手術によって、がんを治療する他の方法と組み合わせて使用され得る。免疫療法の例には、サイトカイン治療(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2)、CRS-207免疫療法、がんワクチン、モノクローナル抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体、抗体薬物複合体、養子T細胞移入、Toll受容体アゴニスト、RIG-Iアゴニスト、腫瘍溶解性ウイルス療法、及びサリドマイドまたはJAK1/2阻害剤、PI3Kδ阻害剤などを含む免疫調節低分子が挙げられる。化合物は、1つ以上の抗がん薬、例えば、化学療法剤などと組み合わせて投与され得る。化学療法薬の例としては、アバレリクス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アザシチジン、ベバシズマブ、ベキサロテン、バリシチニブ、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、静注用ブスルファン、経口用ブスルファン、カルステロン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルテパリンナトリウム、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デニロイキン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エクリズマブ、エピルビシン、エルロチニブ、エストラムスチン、リン酸エトポシド、エトポシド、エキセメスタン、クエン酸フェンタニル、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、メシル酸イマチニブ、インターフェロンアルファ2a、イリノテカン、ラパチニブジトシレート、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、酢酸ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パニツムマブ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノスタット、及びゾレドロネートのいずれかが挙げられる。
【0112】
化学療法薬の追加の例としては、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、REVLIMID、及びDNA損傷剤、例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチンなどが挙げられる。
【0113】
例示的なステロイドとしては、コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾンまたはプレドニゾンなどが挙げられる。
【0114】
例示的なBcr-Abl阻害剤としては、メシル酸イマチニブ(GLEEVAC(商標))、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、及びポナチニブ、ならびに薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なBcr-Abl阻害剤には、米国特許第5,521,184号、WO04/005281、及び米国第60/578,491号に開示されている属及び種の化合物及びその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0115】
例示的で好適なFlt-3阻害剤には、ミドスタウリン、レスタウルチニブ、リニファニブ、スニチニブ、スニチニブ、マレエート、ソラフェニブ、キザルチニブ、クレノラニブ、パクリチニブ、タンズチニブ、PLX3397及びASP2215、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なFlt-3阻害剤としては、WO03/037347、WO03/099771、及びWO04/046120に開示されているような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0116】
例示的で好適なRAF阻害剤には、ダブラフェニブ、ソラフェニブ、及びベムラフェニブ、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なRAF阻害剤には、WO00/09495及びWO05/028444に開示されているような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0117】
例示的で好適なFAK阻害剤には、VS-4718、VS-5095、VS-6062、VS-6063、BI853520、及びGSK2256098、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なFAK阻害剤には、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、及びWO01/014402に開示されるような化合物、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0118】
例示的で好適なCDK4/6阻害剤としては、パルボシクリブ、リボシクリブ、トリラシクリブ、レロシクリブ、及びアベマシクリブ、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。他の例示的で好適なCDK4/6阻害剤には、WO09/085185、WO12/129344、WO11/101409、WO03/062236、WO10/075074、及びWO12/061156に開示されているような化合物、及びそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性がある患者を処置するために、イマチニブを含む1つ以上の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、がんの処置において化学療法薬と組み合わせて使用され得、その毒性作用の憎悪をもたらすことなく、化学療法剤単独での応答と比較した場合に処置応答を改善する場合がある。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、本明細書で提供されている化学療法剤と併用して使用することができる。例えば、多発性骨髄腫の治療に使用される追加の医薬剤には、限定しないで、メルファラン、メルファランとプレドニゾン[MP]、ドキソルビシン、デキサメタゾン、及びベルケイド(ボルテゾミブ)を挙げることができる。多発性骨髄腫の治療に使用される更に追加の薬剤には、Bcr-Abl、Flt-3、RAF及びFAKキナーゼ阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、その薬剤は、アルキル化剤、プロテアソーム阻害剤、コルチコステロイド、または免疫調節剤である。アルキル化剤の例としては、シクロホスファミド(CY)、メルファラン(MEL)、及びベンダムスチンが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアソーム阻害剤はカルフィルゾミブである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドはデキサメタゾン(DEX)である。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、レナリドミド(LEN)またはポマリドミド(POM)である。相加効果または相乗効果は、本開示のCDK2阻害剤を追加の薬剤と組み合わせる場合の望ましい結果である。
【0121】
薬剤は、単一のもしくは連続した剤形で本化合物と組み合わされ得るか、または薬剤は、別個の剤形として同時にもしくは連続して投与され得る。
【0122】
本開示の化合物は、感染症の治療のために、1つ以上の他の阻害剤または1つ以上の療法と併用して使用することができる。感染症の例としては、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症または寄生虫感染症が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンのようなコルチコステロイドは、本開示の化合物と併用して患者に投与され、デキサメタゾンは連続的ではなく間欠的に投与される。
【0124】
式(I)もしくは本明細書に記載されている式のうちのいずれかの化合物、特許請求の範囲のいずれかに引用され、かつ本明細書に記載されている化合物、またはその塩を、がん性細胞、精製された腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、及び炭水化物分子を含む)、細胞、及び免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子で形質移入された細胞のような別の免疫原性剤と組み合わせることができる。使用され得る腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、黒色腫抗原のペプチド、例えば、gp100、MAGE抗原、Trp-2、MARTI及び/またはチロシナーゼのペプチドなど、あるいはサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞が挙げられる。
【0125】
式(I)もしくは本明細書に記載されている式のうちのいずれかの化合物、特許請求の範囲のいずれかに引用され、かつ本明細書に記載されている化合物、またはその塩は、がんの治療のためのワクチン接種プロトコルと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、GM-CSFを発現するように形質導入される。いくつかの実施形態では、腫瘍ワクチンとしては、ヒトのがんに関与するウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBV及びHCV)ならびにカポジヘルペス肉腫ウイルス(KHSV)などに由来するタンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、腫瘍特異的抗原、例えば、腫瘍組織自体から単離された熱ショックタンパク質などと組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、式(I)もしくは本明細書に記載される式のうちのいずれかの化合物、特許請求の範囲のうちのいずれかに記載され、かつ本明細書に記載される化合物、またはそれらの塩は、樹状細胞免疫と組み合わされて、強力な抗腫瘍応答を活性化することができる。
【0126】
本開示の化合物は、腫瘍細胞をFeアルファまたはFeガンマ受容体発現エフェクター細胞の標的とする二重特異性大環状ペプチドと組み合わせて使用することができる。本開示の化合物はまた、宿主の免疫応答性を活性化する大環状ペプチドと組み合わせることができる。
【0127】
いくつかの更なる実施形態では、本開示の化合物と他の治療剤との組み合わせは、骨髄移植または幹細胞移植の前、その間、及び/またはその後に患者に投与され得る。本開示の化合物は、造血起源の種々の腫瘍を治療するために骨髄移植と組み合わせて使用することができる。
【0128】
式(I)のもしくは本明細書に記載されている式のうちのいずれかの化合物、特許請求の範囲のいずれかに引用され、かつ本明細書に記載されている化合物、またはその塩は、ワクチンと組み合わせて使用して、病原体、毒素、及び自己抗原に対する免疫応答を刺激することができる。この治療アプローチが特に有用な可能性がある病原体の例としては、現在効果的なワクチンが存在しない病原体、または従来のワクチンが完全に効果的ではない病原体が挙げられる。これらには、HIV、肝炎(A、B、及びC型)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、Staphylococcus aureus、Pseudomonas Aeruginosaが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こすウイルスには、これらに限定されないが、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザ、A型、B型、C型またはD型肝炎ウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、エボラウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタインバーウイルス)、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コルノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、マンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、伝染性ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス性脳炎ウイルスが含まれる。
【0130】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性細菌には、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリウム、ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌及びコノコッカス(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、バチルス、コレラ、破傷風、ボツリヌス症、炭疽、ペスト、レプトスピラ症、ならびにライム病の細菌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性真菌には、Candida(albicans、krusei、glabrata、tropicalisなど)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus(fumigatus、nigerなど)、Genus Mucorales(mucor、absidia、rhizophus)、Sporothrix schenkii、Blastomyces dermatitidis、Paracoccidioides brasiliensis、Coccidioides immitis、及びHistoplasma capsulatumが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
本開示の方法によって治療可能な感染症を引き起こす病原性寄生虫には、Entamoeba histolytica、Balantidium coli、Naegleriafowleri、Acanthamoeba sp.、Giardia lambia、Cryptosporidium sp.、Pneumocystis carinii、Plasmodium vivax、Babesia microti、Trypanosoma brucei、Trypanosoma cruzi、Leishmania donovani、Toxoplasma gondi、及びNippostrongylus brasiliensisが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
1つ超の医薬剤が患者に投与される場合、それらは同時に、別々に、逐次的に、または組み合わせて(例えば、2つ超の薬剤の場合に)投与され得る。
【0134】
これらの化学療法剤のほとんどを安全かつ効果的に投与するための方法は、当業者に既知である。加えて、それらの投与は、標準的な文献に記載されている。例えば、多くの化学療法剤の投与は、「Physicians’Desk Reference」(PDR、例えば、1996 edition,Medical Economics Company,Montvale,NJ)に記載されており、その開示は、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
II.免疫チェックポイント療法
本開示の化合物は、疾患、例えば、がんまたは感染症などを処置するために1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。例示的な免疫チェックポイント阻害剤としては、免疫チェックポイント分子、例えば、CBL-B、CD20、CD28、CD40、CD70、CD122、CD96、CD73、CD47、CDK2、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kデルタ、PI3Kガンマ、TAM、アルギナーゼ、HPK1、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、TLR(TLR7/8)、TIGIT、CD112R、VISTA、PD-1、PD-L1及びPD-L2などに対する阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR及びCD137から選択される刺激性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、TIGIT、及びVISTAから選択される阻害性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されている化合物は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤及びTGFRベータ阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されている化合物は、免疫チェックポイント分子、例えば、OX40、CD27、GITR、及びCD137(4-1BBとしても知られる)の1つ以上のアゴニストと組み合わせて使用され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である。
【0138】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1またはPD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-1または抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1または抗PD-L1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、チスレリズマブ、スパルタリズマブ(PDR001)、セトレリマブ(JNJ-63723283)、トリパリマブ(JS001)、カムレリズマブ(SHR-1210)、シンチリマブ(IBI308)、AB122(GLS-010)、AMP-224、AMP-514/MEDI-0680、BMS936559、JTX-4014、BGB-108、SHR-1210、MEDI4736、FAZ053、BCD-100、KN035、CS1001、BAT1306、LZM009、AK105、HLX10、SHR-1316、CBT-502(TQB2450)、A167(KL-A167)、STI-A101(ZKAB001)、CK-301、BGB-A333、MSB-2311、HLX20、TSR-042、またはLY3300054である。いくつかの実施形態では、PD-1またはPD-L1の阻害剤は、米国特許第7,488,802号、同第7,943,743号、同第8,008,449号、同第8,168,757号、同第8,217,149号、もしくは同第10,308,644号、米国公開第2017/0145025号、同第2017/0174671号、同第2017/0174679号、同第2017/0320875号、同第2017/0342060号、同第2017/0362253号、同第2018/0016260号、同第2018/0057486号、同第2018/0177784号、同第2018/0177870号、同第2018/0179179号、同第2018/0179201号、同第2018/0179202号、同第2018/0273519号、同第2019/0040082号、同第2019/0062345号、同第2019/0071439号、同第2019/0127467号、同第2019/0144439号、同第2019/0202824号、同第2019/0225601号、同第2019/0300524号、もしくは同第2019/0345170号、またはPCT公開第WO03042402、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、もしくは同第WO2011161699号に開示されているものであり、各々が、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、PD-L1の阻害剤は、INCB086550である。
【0139】
いくつかの実施形態では、PD-L1阻害剤は、表Aの化合物またはその薬学的に許容される塩から選択される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【0140】
いくつかの実施形態では、抗体は抗PD-1抗体、例えば、抗PD-1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、セトレリマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、AB122、AMP-224、JTX-4014、BGB-108、BCD-100、BAT1306、LZM009、AK105、HLX10、またはTSR-042である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、カムレリズマブ、セトレリマブ、トリパリマブ、またはシンチリマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、セミプリマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、スパルタリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、カムレリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、セトレリマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、トリパリマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、シンチリマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、AB122である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、AMP-224である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、JTX-4014である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、BGB-108である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、BCD-100である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、BAT1306である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、LZM009である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、AK105である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、HLX10である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体はTSR-042である。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブまたはペンブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体は、MGA012(INCMGA0012、レチファンリマブ)である。いくつかの実施形態では、抗PD1抗体は、SHR-1210である。他の抗がん薬剤(複数可)には、4-1BBなどの抗体治療薬(例えば、ウレルマブ、ウトミルマブ)が含まれる。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、チスレリズマブ、BMS-935559、MEDI4736、アテゾリズマブ(MPDL3280A;RG7446としても知られる)、アベルマブ(MSB0010718C)、FAZ053、KN035、CS1001、SHR-1316、CBT-502、A167、STI-A101、CK-301、BGB-A333、MSB-2311、HLX20、またはLY3300054である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、またはチスレリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、アベルマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、デュルバルマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、チスレリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、BMS-935559である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、MEDI4736である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、FAZ053である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、KN035である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、CS1001である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、SHR-1316である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、CBT-502である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、A167である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、STI-A101である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、CK-301である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、BGB-A333である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、MSB-2311である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、HLX20である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、LY3300054である。
【0141】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1に結合する小分子、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1に結合して内在化させる小分子、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、US2018/0179201、US2018/0179197、US2018/0179179、US2018/0179202、US2018/0177784、US2018/0177870、米国第16/369,654号(2019年3月29日出願)、及び米国第62/688,164号の中のものから選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、KIR、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRベータの阻害剤である。
【0143】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、MCLA-145である。
【0144】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤はCTLA-4の阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ、AGEN1884、またはCP-675,206である。
【0145】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば、抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態では、抗LAG3抗体は、BMS-986016、LAG525、INCAGN2385、またはエフチラギモドアルファ(IMP321)である。
【0146】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD73の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD73の阻害剤はオレクルマブである。
【0147】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIGITの阻害剤である。いくつかの実施形態では、TIGITの阻害剤は、OMP-31M32である。
【0148】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、VISTAの阻害剤である。いくつかの実施形態では、VISTAの阻害剤は、JNJ-61610588またはCA-170である。
【0149】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、B7-H3の阻害剤である。いくつかの実施形態では、B7-H3の阻害剤は、エノブリツズマブ、MGD009、または8H9である。
【0150】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、KIRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、KIRの阻害剤は、リリルマブまたはIPH4102である。
【0151】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、A2aRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、A2aRの阻害剤は、CPI-444である。
【0152】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TGF-ベータの阻害剤である。いくつかの実施形態では、TGF-ベータの阻害剤は、トラベデルセン、ガルセルチニブ、またはM7824である。
【0153】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤はPI3K-ガンマの阻害剤である。いくつかの実施形態では、PI3K-ガンマの阻害剤は、IPI-549である。
【0154】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD47の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD47の阻害剤は、Hu5F9-G4またはTTI-621である。
【0155】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD73の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD73の阻害剤はMEDI9447である。
【0156】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤はCD70の阻害剤である。いくつかの実施形態では、CD70の阻害剤は、クサツズマブまたはBMS-936561である。
【0157】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、TIM3の阻害剤、例えば、抗TIM3抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIM3抗体は、INCAGN2390、MBG453、またはTSR-022である。
【0158】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CD20の阻害剤、例えば、抗CD20抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD20抗体は、オビヌツズマブまたはリツキシマブである。
【0159】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、OX40、CD27、CD28、GITR、ICOS、CD40、TLR7/8、及びCD137(4-1BBとしても知られる)のアゴニストである。
【0160】
いくつかの実施形態では、CD137のアゴニストはウレルマブである。いくつかの実施形態では、CD137のアゴニストはウトミルマブである。
【0161】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストはGITRの阻害剤である。いくつかの実施形態では、GITRのアゴニストは、TRX518、MK-4166、INCAGN1876、MK-1248、AMG228、BMS-986156、GWN323、MEDI1873、またはMEDI6469である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストはOX40のアゴニスト、例えば、OX40アゴニスト抗体またはOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、抗OX40抗体は、INCAGN01949、MEDI0562(タボリマブ)、MOXR-0916、PF-04518600、GSK3174998、BMS-986178、または9B12である。いくつかの実施形態では、OX40L融合タンパク質はMEDI6383である。
【0162】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD40のアゴニストである。いくつかの実施形態では、CD40のアゴニストは、CP-870893、ADC-1013、CDX-1140、SEA-CD40、RO7009789、JNJ-64457107、APX-005M、またはChi Lob7/4である。
【0163】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、ICOSのアゴニストである。いくつかの実施形態では、ICOSのアゴニストは、GSK-3359609、JTX-2011、またはMEDI-570である。
【0164】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD28のアゴニストである。いくつかの実施形態では、CD28のアゴニストはセラリズマブである。
【0165】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、CD27のアゴニストである。いくつかの実施形態では、CD27のアゴニストはバルリルマブである。
【0166】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子のアゴニストは、TLR7/8のアゴニストである。いくつかの実施形態では、TLR7/8のアゴニストは、MEDI9197である。
【0167】
本開示の化合物は、二重特異性抗体と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体のドメインのうち1つは、PD-1、PD-L1、CTLA-4、GITR、OX40、TIM3、LAG3、CD137、ICOS、CD3またはTGFβ受容体を標的とする。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、PD-1及びPD-L1に結合する。いくつかの実施形態では、PD-1及びPD-L1に結合する二重特異性抗体は、MCLA-136である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、PD-L1及びCTLA-4に結合する。いくつかの実施形態では、PD-L1及びCTLA-4に結合する二重特異性抗体は、AK104である。
【0168】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は1つ以上の代謝酵素阻害剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、代謝酵素阻害剤はIDO1、TDO、またはアルギナーゼの阻害剤である。IDO1阻害剤の例としては、エパカドスタット、NLG919、BMS-986205、PF-06840003、IOM2983、RG-70099及びLY338196が挙げられる。アルギナーゼ阻害剤の阻害剤としては、INCB1158が挙げられる。
【0169】
全体を通して提供されるように、追加的な化合物、阻害剤、薬剤などは、単一または連続剤形で本発明の化合物と組み合わされ得るか、またはそれらは、別個の剤形として同時にまたは順次投与され得る。
【0170】
製剤、剤形、及び投与
医薬品として使用される場合、本開示の化合物は薬学的組成物の形態で投与することができる。したがって、本開示は、式I、IIのもしくは本明細書に記載されている式のいずれかの化合物、特許請求の範囲のいずれかに引用され、かつ本明細書に記載されている化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその実施形態のいずれか、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体もしくは賦形剤を含む組成物を提供する。これらの組成物は、薬学分野において周知の方法で調製することができ、局所性または全身性の治療が示されるかどうかに応じて、及び治療される領域に応じて種々の経路によって投与することができる。投与は、局所(経皮、表皮、眼内、ならびに鼻腔内、膣内、及び直腸送達を含む粘膜を含む)、肺(例えば、噴霧器によるものを含む粉末もしくはエアロゾルの吸入もしくは充填によるもの、気管内もしくは鼻腔内)、経口または非経口のものであり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内または注射もしくは注入、あるいは頭蓋内、例えば、くも膜下または脳室内投与を含む。非経口投与は、単回ボーラス用量の形態であることができ、または例えば、連続灌流ポンプによるものであってもよい。局所投与のための薬学的組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体、及び粉末が挙げられてもよい。従来の薬学的担体、水性基剤、粉末基剤、または油性基剤、増粘剤などは、必須であるか、または望ましいことがある。
【0171】
本発明には、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて、有効成分として、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物も含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、局所的投与に好適である。本発明の組成物を作製する際に、有効成分は通常、賦形剤と混合される、賦形剤によって希釈される、または例えば、カプセル、小袋、紙、もしくは他の容器の形態でそのような担体内に封入される。賦形剤は、希釈剤として機能する場合、有効成分のためのビヒクル、担体、または媒質として作用する固体、半固体、または液体の材料であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、舐剤、小袋、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、乳剤、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒質中)、例えば、10重量%までの活性化合物を含有する軟膏、軟質及び硬質のゼラチンカプセル、坐薬、無菌注入液、ならびに無菌包装粉末の形態であることができる。
【0172】
製剤を調製する際は、活性化合物は、他の成分と組み合わせる前に、適切な粒径を提供するために粉砕することができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、200メッシュ未満の粒径まで粉砕され得る。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、製剤中に実質的に均一な分布を提供するために、例えば、約40メッシュに粉砕することにより調整することができる。
【0173】
本発明の化合物は、湿式粉砕のような既知の粉砕手順を使用して粉砕され、錠剤形成及び他の製剤型に適切な粒径を得ることができる。本発明の化合物の微粉化した(ナノ粒子)調製物は、当該技術分野において既知のプロセス(例えば、WO2002/000196を参照のこと)によって調製することができる。
【0174】
好適な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。製剤は更に、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油のような潤滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;安息香酸メチル及びプロピルヒドロキシベンゾエートのような保存剤;甘味料;ならびに香味料を含むことができる。本発明の組成物は、当該技術分野で既知の手順を使用することによる患者への投与後に、有効成分の迅速、持続、または遅延放出を提供するように製剤化することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ケイ化微結晶性セルロース(SMCC)と、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩とを含む。いくつかの実施形態では、ケイ化微結晶性セルロースは、約98重量%の微結晶性セルロース及び約2重量%の二酸化ケイ素で構成される。
【0176】
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む持続放出組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリエチレンオキシドから選択される少なくとも1つの成分とを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩と、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、及びポリエチレンオキシドとを含む。いくつかの実施形態では、組成物は更に、ステアリン酸マグネシウムまたは二酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースはAvicel PH102(商標)である。いくつかの実施形態では、ラクトース一水和物はFast-flo 316(商標)である。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 K4M(例えば、Methocel K4 M Premier(商標))、及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 K100LV(例えば、Methocel K00LV(商標))である。いくつかの実施形態では、ポリエチレンオキシドはポリエチレンオキシドWSR 1105(例えば、Polyox WSR 1105(商標))である。
【0177】
いくつかの実施形態では、湿式造粒プロセスを使用して組成物を製造する。いくつかの実施形態では、乾式造粒プロセスを使用して組成物を製造する。
【0178】
組成物は、単位剤形で製剤化され得、各投薬量は、約5~約1,000mg(1g)、より通常では約100mg~約500mgの有効成分を含む。いくつかの実施形態では、各投薬量は、約10mgの有効成分を含む。いくつかの実施形態では、各投薬量は、約50mgの有効成分を含む。いくつかの実施形態では、各投薬量は、約25mgの有効成分を含む。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤に関連して、所望の治療効果を生み出すように算出された既定量の活性物質を含有する。
【0179】
薬学的組成物を製剤化するのに使用される構成成分は、高純度のものであり、有害である可能性がある汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくとも国の食品グレード、一般には少なくとも分析グレード、更に通常では少なくとも医薬品グレード)。特にヒトの消費のために、組成物は、好ましくは、米国食品医薬品局の適用規制に定義される、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則の基準の下で製造または製剤化される。例えば、好適な製剤は、滅菌及び/または実質的に等張であり得、及び/または米国食品医薬品局の全ての医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則の規定に完全に準拠することができる。
【0180】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたって有効であり得、一般に、治療有効量で投与される。しかし、実際に投与される化合物の量は、通常、処置される状態、選択した投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度などを含む関連状況に従って、医師が決定することが理解されるであろう。
【0181】
本発明の化合物の治療投与量は、例えば、処置が施される特定の用途、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、ならびに処方医師の判断に従って変化し得る。薬学的組成物における本発明の化合物の比率または濃度は、投与量、化学的性質(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多くの因子に応じて変化することができる。例えば、本発明の化合物は、非経口投与の場合、約0.1~約10%w/vの化合物を含有する生理緩衝水溶液中で提供することができる。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/kg体重~約1g/kg体重である。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対生体効能、賦形剤の製剤化、及びその投与経路のような変数に依存する可能性がある。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムに由来する用量反応曲線から外挿することができる。
【0182】
錠剤のような固体組成物を調製するために、主要な有効成分を薬学的賦形剤と混合して、本発明の化合物の均質な混合物を含有する固体の予製剤組成物(preformulation composition)を形成する。これらの予製剤組成物が均質物として言及される場合、有効成分は、通常、組成物全体に均一に分散され、それにより、組成物は、錠剤、丸剤、及びカプセル剤のような等しく有効な単位剤形に容易に分割することができる。次いで、この固体の事前製剤は、例えば、約0.1~約1000mgの本発明の有効成分を含有する、上記のタイプの単位剤形に分割される。
【0183】
本発明の錠剤または丸剤をコーティングまたは他の方法で配合して、長期作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量及び外部用量の成分を含み得、後者は前者上のエンベロープの形態である。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗し、かつその内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、または放出を遅延させるのに役立つ腸溶性の層によって分離することができる。種々の材料をそのような腸溶性層またはコーティングに使用することができ、そのような材料は、多数のポリマー酸、ならびにポリマー酸とセラック、セチルアルコール、及びセルロース酢酸塩のような材料との混合物を含む。
【0184】
本発明の化合物及び組成物が経口または注射による投与のために組み込まれ得る液体形態には、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油のような食用油で風味付けされた乳剤、ならびにエリキシル剤及び類似の薬学的ビヒクルが含まれる。
【0185】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液及び懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体の組成物は、上記のような好適な薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために口または鼻呼吸経路により投与される。組成物は、不活性ガスの使用により噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接的に吸入され得るか、または噴霧デバイスが、顔面マスク、テント、もしくは断続的陽圧呼吸機器に装着され得る。溶液、懸濁液、または粉末の組成物は、適切な様式で製剤を送達するデバイスから経口的または経鼻的に投与され得る。
【0186】
局所製剤は1つ以上の従来の担体を含有することができる。いくつかの実施形態では、軟膏は、水と、例えば、流動パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリンなどから選択される1つ以上の疎水性担体とを含有することができる。クリームの担体組成物は、グリセロール及び1つ以上の他の構成成分、例えば、グリセリンモノステアリン酸塩、PEG-グリセリンモノステアリン酸塩、及びセチルステアリルアルコールと組み合わせた水に基づくことができる。ゲルは、イソプロピルアルコール及び水を使用して、好適には、例えばグリセロール、ヒドロキシエチルセルロースなどの他の構成成分との組み合わせで製剤化することができる。いくつかの実施形態では、局所製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5wt%の本発明の化合物を含有する。局所製剤は、好適には、選択適応症、例えば乾癬または他の皮膚状態の治療のための指示と任意選択的に関連する、例えば100gのチューブに包装され得る。
【0187】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、予防または治療のような投与の目的、患者の状態、投与様式などに応じて変化することになる。治療的用途では、組成物は、疾患の症状及びその合併症を治癒または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、すでに疾患に罹患している患者に投与することができる。有効用量は、治療される病態、ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び一般状態などのような因子に応じた担当医師の判断に左右されることになる。
【0188】
患者に投与される組成物は、上記の薬学的組成物の形態であることができる。これらの組成物は、従来の殺菌技法によって殺菌され得るか、または無菌濾過されてもよい。水溶液は、そのままで使用するために包装するか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥調製物は、投与前に無菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8となる。前述の賦形剤、担体、または安定剤のいくつかの使用が薬学的塩の形成をもたらすことは、理解されることになる。
【0189】
本発明の化合物の治療投与量は、例えば、処置が施される特定の用途、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、ならびに処方医師の判断により変化し得る。薬学的組成物における本発明の化合物の比率または濃度は、投与量、化学的性質(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多くの因子に応じて変化させることができる。例えば、本発明の化合物は、非経口投与の場合、約0.1~約10%w/vの化合物を含有する生理緩衝水溶液中で提供することができる。いくつかの典型的な用量範囲は、1日当たり約1μg/kg体重~約1g/kg体重である。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対生体効能、賦形剤の製剤化、及びその投与経路のような変数に依存する可能性がある。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムに由来する用量反応曲線から外挿することができる。
【0190】
標識化合物及びアッセイ法
本発明の別の態様は、標識化合物の阻害結合によって、ヒトを含めた組織試料中でKRASタンパク質の位置を特定してそれを定量するため、及びKRASリガンドを特定するために、画像化技法のみならず、インビトロ及びインビボの両方でのアッセイにおいても有用であろう本開示の標識化合物(放射性標識、蛍光標識など)に関する。本開示の化合物の原子うちの1つ以上の置換はまた、異なるADME(吸着、分布、代謝、及び排泄)を生み出す上で有用であり得る。したがって、本発明は、かかる標識または置換された化合物を含有するKRAS結合アッセイを含む。
【0191】
本開示は更に、本開示の同位体標識化合物を含む。「同位体標識」または「放射性標識」化合物は、1つ以上の原子が、自然界で通常見られる(すなわち、天然に存在する)原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子に置き換えられている、または置換されている本開示の化合物である。本開示の化合物に組み込まれ得る好適な放射性核種には、H(また、重水素としてDとも記される)、H(また、トリチウムとしてTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、及び131Iが含まれるがこれらに限定されない。例えば、本開示の化合物における1つ以上の水素原子は、重水素原子で置き換えられ得る(例えば、式I、II、または本明細書に提供される任意の式のC1~6アルキル基の1つ以上の水素原子は、-CHに対して置換されている-CDなど、重水素原子で任意選択的に置換され得る)。いくつかの実施形態では、式I、II、または本明細書に提供されている任意の式におけるアルキル基を過重水素化することができる。
【0192】
本明細書に提示されている化合物の1つ以上の構成原子は、天然または非天然の存在量の原子の同位体で置き換える、または置換することができる。いくつかの実施形態では、化合物は少なくとも1つの重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は2つ以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~6の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物における全ての水素原子を重水素原子に置き換える、または置換することができる。
【0193】
有機化合物中に同位体を含めるための合成法は、当該技術分野では既知である(Deuterium Labeling in Organic Chemistry by Alan F.Thomas(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971;The Renaissance of H/D Exchange by Jens Atzrodt,Volker Derdau,Thorsten Fey and Jochen Zimmermann,Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765;The Organic Chemistry of Isotopic Labelling by James R.Hanson,Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイのような種々の試験で使用することができる。
【0194】
重水素などのより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期または減少した投与量要件に起因する特定の治療上の利点をもたらし得、それによって、いくつかの状況で好ましい場合がある(例えば、A.Kerekes et.al.J.Med.Chem.2011,54,201-210、R.Xu et.al.J.Label Compd.Radiopharm.2015,58,308-312を参照されたい)。特に、1つ以上の代謝部位での置換は、1つ以上の治療上の利点をもたらし得る。
【0195】
本放射標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射標識化合物の特定の用途に依存することになる。例えば、インビトロアデノシン受容体標識及び競合アッセイの場合、H、14C、82Br、125I、131Iまたは35Sを組み込む化合物が有用であり得る。放射性画像化用途の場合、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Br、または77Brが有用であり得る。
【0196】
「放射性標識」または「標識化合物」は少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ化合物であることが理解される。いくつかの実施形態では、放射性核種は、H、14C、125I、35S、及び82Brから選択される。
【0197】
本開示は更に、放射性同位体を本開示の化合物に組み込むための合成方法を含むことができる。有機化合物に放射性同位体を組み込むための合成方法は、当該技術分野で周知であり、当業者は、本開示の化合物に適用可能な方法を容易に認識するであろう。
【0198】
本発明の標識化合物をスクリーニングアッセイで使用して、化合物を特定する、及び/または評価することができる。例えば、標識されている新しく合成または特定された化合物(すなわち、試験化合物)は、KRASとの接触時のその濃度変化を、標識の追跡を介してモニタリングすることによって、KRASタンパク質と結合するその能力について評価され得る。例えば、(標識された)試験化合物は、KRASタンパク質(すなわち、標準化合物)に結合することが知られている別の化合物の結合を低減するその能力について評価され得る。したがって、KRASタンパク質への結合に関して標準化合物と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性と直接相関している。逆に、他のいくつかのスクリーニングアッセイでは、標準化合物が標識され、試験化合物は標識されない。したがって、標識された標準化合物の濃度は、標準化合物と試験化合物との間の競合を評価するためにモニタリングされ、したがって、試験化合物の相対的結合親和性が確認される。
【0199】
キット
本開示はまた、例えば、がんまたは感染症のような、KRASの活性と関連する疾患または障害の治療または予防に有用な薬学的キットも含み、これには、治療有効量の式I、IIの、またはその実施形態のいずれかの化合物を含む薬学的組成物を含有する1つ以上の容器が含まれる。かかるキットは、当業者に容易に明らかとなる、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加的な容器などのような、様々な従来の薬学的キット構成成分のうちの1つ以上を更に含むことができる。挿入物または標識のいずれかとして、投与される構成成分の量、投与のためのガイドライン、及び/または構成成分を混合するためのガイドラインを示す指示書もまた、キットに含まれ得る。
【0200】
本発明は、特定の実施例によって更に詳細に説明される。以下の実施例は例示の目的のために提供され、いかなる様式でも本発明を限定するようには意図されない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更または修正され得る、種々の重要でないパラメータを容易に認識するであろう。実施例の化合物は、本明細書に記載されている少なくとも1つのアッセイに従ってKRASの活性を阻害することが判明している。
【実施例
【0201】
本発明の化合物の実験手順を以下に提供する。調製された化合物の一部の分取LC-MS精製を、Watersの質量分別システム(mass directed fractionation systems)で実施した。これらのシステムの操作のための基本的な機器セットアップ、プロトコル、及び制御ソフトウェアは、文献において詳細に記載されている。例えば、“Two-Pump At Column Dilution Configuration for Preparative LC-MS”,K.Blom,J.Combi.Chem.,4,295(2002)、“Optimizing Preparative LC-MS Configurations and Methods for Parallel Synthesis Purification”,K.Blom,R.Sparks,J.Doughty,G.Everlof,T.Haque,A.Combs,J.Combi.Chem.,5,670(2003)、及び“Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom,B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Combi.Chem.,6,874-883(2004)を参照されたい。分離した化合物を通常、純度チェックのために分析液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)に供した。
【0202】
分離した化合物を、典型的には、以下の条件下で純度チェックのために分析液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)に供した。機器;Agilent 1100シリーズ、LC/MSD、カラム:Waters Sunfire(商標)C18 5μm粒径、2.1×5.0mm、緩衝液:移動相A:水中の0.025%TFA及び移動相B:アセトニトリル、流速2.0mL/分で3分間のBの勾配2%~80%。
【0203】
また、実施例に示されるMS検出器を有する逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)またはフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)により、調製された化合物のいくつかを分取規模で分離した。典型的な分取逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)カラム条件は次のとおりである:
pH=2精製:Waters Sunfire(商標)C18 5μm粒径、19×100mmカラム、移動相A:水中の0.1%のTFA(トリフルオロ酢酸)及び移動相B:アセトニトリルで溶出、流速は30mL/分であり、分離勾配を、文献に記載されるCompound Specific Method Optimizationプロトコルを使用して各化合物について最適化した[“Preparative LCMS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom,B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Comb.Chem.,6,874-883(2004)を参照されたい]。通常、30×100mmカラムで使用される流速は60mL/分であった。
【0204】
pH=10精製:Waters XBridge C18 5μm粒径、19×100mmカラム、移動相A:水中の0.15%のNHOH及び移動相B:アセトニトリルで溶出、流速は30mL/分であり、分離勾配を、文献に記載されるCompound Specific Method Optimizationプロトコルを使用して各化合物について最適化した[“Preparative LCMS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom,B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Comb.Chem.,6,874-883(2004)を参照されたい]。通常、30×100mmカラムで使用される流速は60mL/分であった。
【0205】
以下の略語が、本明細書で使用され得る。AcOH(酢酸);AcO(無水酢酸);aq.(水性);atm.(雰囲気(複数可));Boc(t-ブトキシカルボニル);BOP((ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩);br(広域);Cbz(カルボキシベンジル);calc.(算出した);d(二重線);dd(二重線の二重線);DBU(1,8-ジアザビジクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン);DCM(ジクロロメタン);DIAD(N,N’-アジドジカルボン酸ジイソプロピル);DIEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン);DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン);DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド);Et(エチル);EtOAc(酢酸エチル);FCC(フラッシュカラムクロマトグラフィー);g(グラム(複数可));h(時間(複数可));HATU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート);HCl(塩酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);Hz(ヘルツ);J(カップリング定数);LCMS(液体クロマトグラフィー-質量分析);LDA(リチウムジイソプロピルアミド);m(多重線);M(モル);mCPBA(3-クロロペルオキシ安息香酸);MS(質量分析);Me(メチル);MeCN(アセトニトリル);MeOH(メタノール);mg(ミリグラム(複数可));min(分(複数可));mL(ミリリットル(複数可));mmol(ミリモル(複数可));N(規定);NCS(N-クロロスクシンイミド);NEt(トリエチルアミン);nM(ナノモル);NMP(N-メチルピロリジノン);NMR(核磁気共鳴分光法);OTf(トリフルオロメタンスルホン酸);Ph(フェニル);pM(ピコモル);PPT(沈殿物);RP-HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー);r.t.(室温)、s(一重線);t(三重線または三級);TBS(tert-ブチルジメチルシリル);tert(三級);tt(三重線の三重線);TFA(トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);μg(マイクログラム(複数可));μL(マイクロリットル(複数可));μM(マイクロモル);wt%(重量パーセント)。ブラインは飽和塩化ナトリウム水溶液である。in vacuoは真空下である。
【0206】
実施例1a及び実施例1b.1-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-8-クロロ-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル
【化13】
ステップ1.2-アミノ-4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸エチル
【化14】
エタノール(184ml)中の2-アミノ-4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸(22.7g、92mmol)の溶液に、硫酸(9.82ml、184mmol)をゆっくりと添加した。得られた混合物を2日間加熱還流させた。室温に冷却した後、反応混合物を、水で希釈し、pHを、6MのNaOH(22mL)で7に調節した。有機溶媒を真空中で除去した。得られた混合物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を0.5N NaOH溶液、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、所望の生成物(23.2g、96%)を得た。C10BrFNO(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=262.0,264.0;測定値262.0,264.0。
【0207】
ステップ2.2-アミノ-3-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸エチル
【化15】
窒素雰囲気下、100℃で、2-アミノ-4-ブロモ-3-フルオロ安息香酸エチル(21.8g、83mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(25.3g、100mmol)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(6.79g、8.32mmol)、及び酢酸、無水カリウム塩(17.96g、183mmol)、及びジオキサン(416ml)の混合物を5時間撹拌した。粗製物をセライトを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物(24g、93%)を得た。C1522BFNO(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=310.2;測定値310.1。
【0208】
ステップ3.8-シアノイソキノリン2-オキシド
【化16】
CHCl(240ml)中のイソキノリン-8-カルボニトリル(3.70g、24.00mmol)の溶液に、0℃でm-CPBA(7.10g、28.8mmol)を添加した。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。この反応混合物を飽和NaHCO溶液で希釈した。水層をDCM(×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中勾配0~100%酢酸エチルで溶出する)で精製して、所望の生成物(3.2g、78%)を得た。C10O(M+H)に対する LC-MS 計算値:m/z=171.1;測定値171.1。
【0209】
ステップ4.1-クロロイソキノリン-8-カルボニトリル
【化17】
CHCl(62.3ml)中の8-シアノイソキノリン2-オキシド(5.30g、31.1mmol)、2,6-ルチジン(7.26ml、62.3mmol)の溶液に、POCl(5.81ml、62.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3(80mL)を添加してクエンチした。有機層をMgSO4で乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をヘキサン中の酢酸エチルで粉砕して、所望の生成物を白色固体(4.0g、68%)として得た。C10ClN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=189.0;測定値189.0。
【0210】
ステップ5.2-アミノ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチル
【化18】
1,4-ジオキサン(120mL)及び水(24mL)中の1-クロロイソキノリン-8-カルボニトリル(6.60g、35.0mmol)、2-アミノ-3-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸エチル(11.36g、36.7mmol)、SPhos Pd G4(1.390g、1.750mmol)、及びリン酸三カリウム水和物(17.73g、77mmol)の混合物を、80℃で2時間撹拌した。溶液を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を濃縮した。粗製物を精製することなく次のステップで使用した。C1915FN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=336.1;測定値336.1。
【0211】
ステップ6.2-アミノ-5-クロロ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチル
【化19】
DMF(116ml)中の2-アミノ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチル(11.7g、34.9mmol)の溶液に、NCS(5.12g、38.4mmol)を室温で添加した。混合物を80℃で15時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈した。沈殿物を、濾過により回収し、水及び酢酸エチル/ヘキサン(1:2)で洗浄した。濾液を、酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮した。固体を濾過により収集し、酢酸エチル/ヘキサン(1:2)で洗浄して、所望の生成物(10.2g、79%)を得た。C1914ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=370.1;測定値370.1。
【0212】
ステップ7.5-クロロ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-2-(3-エトキシ-3-オキソプロパンアミド)-3-フルオロ安息香酸エチル
【化20】
DCM(280mL)中の2-アミノ-5-クロロ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチル(10.3g、27.9mmol)及びTEA(5.05ml、36.2mmol)の溶液に、3-クロロ-3-オキソプロパン酸エチル(3.92ml、30.6mmol)を0℃で滴下した。得られた混合物を0℃で撹拌し、LC-MSによってモニタリングした。別の当量の3-クロロ-3-オキソプロパン酸エチル(3.92ml、30.6mmol)を滴下で添加し、1時間撹拌した。反応物を水及びDCMで希釈した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(9.5g、70%)を得た。C2420ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=484.1;測定値484.1。
【0213】
ステップ8.エチル6-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレート
【化21】
EtOH中の21%ナトリウムエトキシド(19.91ml、53.3mmol)の溶液を、EtOH(80ml)中の5-クロロ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-2-(3-エトキシ-3-オキソプロパンアミド)-3-フルオロ安息香酸エチル(8.6g、17.77mmol)の溶液に滴下添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応フラスコに1N HClを添加して、pHを3に調節した。溶媒を真空下で除去した。得られた沈殿物を収集し、酢酸エチルで洗浄して所望の生成物を白色の固体(7.4g、95%)として得た。C2214ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=438.1;測定値438.1。
【0214】
ステップ9.エチル6-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレート
【化22】
反応フラスコに、エチル6-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレート(7.4g、16.90mmol)及びPOCl(31.5ml、338mmol)を添加し、得られた混合物を110℃で2時間撹拌した。POClを、トルエンによる共沸によって除去し(3回)、残留物を、DCM及び飽和NaHCO溶液で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で粉砕して、所望の生成物を白色の固体(7.24g、90%)として得た。C2212ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=474.0,476.0;測定値474.0,476.0。
【0215】
ステップ10.エチル4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート
【化23】
DMF(100ml)中のエチル2,4,6-トリクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート(7.24g、15.25mmol)の溶液に、tert-ブチル(2S,4S)-4-アミノ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(6.56g、18.30mmol)及びDIEA(5.3ml、30.5mmol)を添加した。得られた混合物を、65℃で一晩撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、シリカゲルカラム(ヘキサン中勾配0~30%酢酸エチルで溶出)で精製して所望の生成物を淡い黄色の泡状物(11.5g、95%)として得た。C4049ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=796.3,798.3;測定値796.3,798.3。
【0216】
ステップ11.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化24】
-78℃の、エチル4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート(2.45g、3.07mmol)のトルエン(30.7ml)溶液に、DCM中1.0M DIBAL-H(9.84ml、9.84mmol)を添加した。得られた混合物を、2時間にわたって-20℃に温め、メタノール(1.3mL)でクエンチした。ロッシェル塩溶液(14.7g(6重量)のロッシェル塩及び50mLの水から調製された)を、10℃以下で溶液に添加した。二相性混合物を15~25℃で1時間以上激しく撹拌し、分離して有機層を得た。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そのまま使用した。C3847ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=754.3,756.3;測定値754.3,756.3。
【0217】
ステップ12.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化25】
DCM(23ml)及びアセトニトリル(7.7ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(2.32g、3.07mmol)の溶液に、酢酸(0.53ml、9.22mmol)及びIBX(2.58g、9.22mmol)を添加した。得られた混合物を38℃で22時間撹拌し、反応混合物を濾過し、DCMで洗浄した。濾液を濃縮し、シリカゲルカラム(hexs中の勾配0~20%の酢酸エチルで溶出)で精製して、所望の生成物を2つのピークとして得た。
【0218】
ジアステレオマー1(1.05g、45%)。ピーク1。C3845ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=752.3,754.3;測定値752.3,754.3。
【0219】
ジアステレオマー2(1.05g、45%)。ピーク2。C3845ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=752.3,754.3;測定値752.3,754.3。
【0220】
ステップ13.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート




























【化26】
tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.85g、1.13mmol)(最後のステップからのピーク1)、DCM(11ml)及びEtOH(11ml)の混合物に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.259g、3.73mmol)及びピリジン(0.30ml、3.73mmol)を添加した。混合物を40℃で16時間撹拌した。溶媒を、真空中で蒸発させた。DCMと水を含む残留物。水層をDCMで抽出した。合わせた有機層をCuSO溶液、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物(0.5g、57%)を得た。C3846ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=767.3,769.3;測定値767.3,769.3。
【0221】
ジアステレオマー2を、最後のステップからのピーク2を使用して、ジアステレオマー1と同様の方法で調製した。C3846ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=767.3,769.3;測定値767.3,769.3。
【0222】
ステップ14.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(4,8-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化27】
(tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート(486mg、0.633mmol)(最後のステップからのジアステレオマー1)のCHCl溶液(5mL)に、2-アミノピリジン(113mg、1.203mmol)及びMs-Cl(84μl、1.076mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで一晩室温まで温めた。この反応混合物を水で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そのまま使用した。C3844ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=749.3,751.3;測定値749.3,751.3。
【0223】
ジアステレオマー2を、最後のステップからのピーク2を使用して、ジアステレオマー1と同様の方法で調製した。C3844ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=749.3,751.3;測定値749.3,751.3。
【0224】
ステップ15 tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化28】
MeOH(6.3ml)/1,4-ジオキサン(6.3ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(4,8-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(475mg、0.634mmol)(最後のステップからのジアステレオマー1)の混合物に、ナトリウムチオメトキシド(133mg、1.901mmol)を添加し、90℃で18時間撹拌した。混合物を飽和NHClで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そのまま使用した。C3947ClFNSSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=761.3,;測定値761.3。
【0225】
ジアステレオマー2を、最後のステップからのピーク2を使用して、ジアステレオマー1と同様の方法で調製した。C3947ClFNSSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=761.3,;測定値761.3。
【0226】
ステップ16.tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化29】
THF(6.33ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(482mg、0.633mmol)(最後のステップからのジアステレオマー1)の溶液に、THF中の1.0MのTBAF(633μl、0.633mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を、水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(0.39g、95%)を得た。C3333ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=647.2;測定値647.2。
【0227】
ジアステレオマー2を、最後のステップからのピーク2を使用して、ジアステレオマー1と同様の方法で調製した。C3333ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=647.2;測定値647.2。
【0228】
ステップ17.tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-クロロナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化30】
DCM(6.0ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(392mg、0.606mmol)の溶液に、デス-マーチンペルヨージナン(283mg、0.666mmol)を添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、反応フラスコに飽和NaHCOを添加し、10分間撹拌した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物をTHF(20mL)に溶解させ、水酸化アンモニウム(1.37ml、9.81mmol)を反応フラスコに添加し、続いてヨウ素(157mg、0.618mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、反応溶液を、酢酸エチル及び飽和NaS溶液で希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(0.32g、82%)を得た。C3330ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=641.2;測定値641.2。
【0229】
ジアステレオマー2を、最後のステップからのピーク2を使用して、ジアステレオマー1と同様の方法で調製した。C3330ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=641.2;測定値641.2。
【0230】
ステップ18.1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル
【化31】
m-CPBA(43.9mg、0.254mmol)を、CHCl(2.211ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(142mg、0.221mmol)の溶液に0℃で添加し、次いで、この温度で反応物を20分間撹拌した。反応物を、飽和Naを添加することによってクエンチし、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO溶液、ブラインで洗浄し、濾過し、濃縮し、粗製物を次のステップに直接使用した。
【0231】
LiHMDS(318μl、0.318mmol)を、THF(1mL)中の(S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エタン-1-オール(41.0mg、0.318mmol)の溶液に添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。第1の溶液を、THF(2.0ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルスルフィニル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(95mg、0.144mmol)の溶液に添加し、次いで反応物を60℃で2時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、1:1のDCM/TFA(2mL)で1時間処理した。溶媒を真空中で蒸発させた。残留物を、分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出させる)で精製して、所望の生成物を2つのピーク(60mg、58%)として得た。C3433ClFNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=623.2;測定値623.2。
【0232】
ジアステレオマー2を、最後のステップからのピーク2を使用して、ジアステレオマー1と同様の方法で調製した。C3433ClFNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=623.2;測定値623.2。
【0233】
ステップ19.1-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-8-クロロ-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル
DMF(1.0ml)中のブタ-2-イン酸(0.711mg、8.46μmol)及び1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリルビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(6.0mg、7.05μmol)の溶液に、HATU(3.4mg、8.81μmol)及びDIEA(4.9μl、0.028mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応物をメタノール及び1N HCl(0.1mL)で希釈し、次いで分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で0.1%TFAを含むアセトニトリル/水の勾配で溶出する)を使用して精製して、所望のジアステレオマー1を得た。
【0234】
ジアステレオマー2を、1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリルビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(最後のステップからのピーク2)を使用して同様の方法で合成した。
【0235】
実施例1a.ジアステレオマー1.ピーク1.C3835ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=689.3;測定値689.3。
【0236】
実施例1b.ジアステレオマー2.ピーク2.C3835ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=689.3;測定値689.3。
【0237】
実施例2a及び実施例2b.1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル
【化32】
この化合物を、実施例1a及び実施例1b、ステップ19に記載の手順に従って、ブタ-2-イン酸を(E)-4-メトキシブタ-2-エン酸に置き換えて調製した。C3939ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値:m/z=721.3;測定値:721.3。
【0238】
実施例3a及び実施例3b.1-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)イソキノリン-8-カルボニトリル
【化33】
この化合物を、実施例1a及び実施例1b、ステップ19に記載の手順に従って、ブタ-2-イン酸を2-フルオロアクリル酸に置き換えて調製した。C3734ClF(M+H)に対するLCMS 計算値:m/z=695.2;測定値:695.2。
【0239】
実施例4a及び実施例4b.2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリル
【化34】
ステップ1:2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸メチル
【化35】
硫酸(7.76ml、146mmol)を、室温で、MeOH(146ml)中の2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸(19.5g、72.8mmol)の溶液にゆっくりと添加した。得られた混合物を、80℃に一晩加熱した。次いで混合物を室温に冷却し、飽和NaHCOにゆっくりと注いだ。混合物を室温で30分間撹拌し、次いでEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、更に精製することなく次のステップで使用した。CBrClFNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=281.9,283.9;測定値281.9,283.9。
【0240】
ステップ2:エチル7-ブロモ-6-クロロ-8-フルオロ-4-ヒドロキシ-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-3-カルボキシレート
【化36】
3-クロロ-3-オキソプロパン酸エチル(9.60ml、75.0mmol)を、DCM(150mL)中の2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸メチル(19.25g、68.1mmol)及びTEA(14.25ml、102mmol)の溶液に、室温で滴下した。1時間撹拌した後、追加の3-クロロ-3-オキソプロパン酸エチル(1.745ml、13.63mmol)を追加した。更に1時間撹拌した後、反応物を水でクエンチし、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ、濾過し、次いで濃縮した。濃縮した残留物をEtOH(150ml)に再溶解し、エタノール(53.4ml、143mmol)中のナトリウムエトキシドを加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物を水(1L)に注ぎ、pH約3に酸性化し、得られた沈殿物を濾過によって収集し、所望の生成物(18.39g、74.0%)を得た。C12BrClFNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=363.9,365.9;測定値363.9,365.9。
【0241】
ステップ3:エチル7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート
【化37】
エチル7-ブロモ-6-クロロ-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレート(2.0g、5.49mmol)をPOCl(10.2ml、110mmol)に溶解し、DIEA(1.92ml、10.97mmol)を添加した。得られた混合物を100℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、反応物を、急速に撹拌された氷水(約250mL)中にゆっくりと注ぐことによってクエンチし、30分間撹拌し、次いで、濾過によって固体を収集し、所望の生成物を茶色の固体として得た(1.66g、75%)。C12BrClFNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=399.9,401.9,403.9;測定値399.9,401.9,403.9。
【0242】
ステップ4.tert-ブチル(R)-6-シアノ-5-ヒドロキシ-3-オキソヘキサノエート
【化38】
無水THF(223ml)中の2.0M LDA(100ml、200mmol)の溶液を、1時間-78℃に冷却し、次いでtert-ブチルアセテート(26.9ml、200mmol)を20分間にわたって撹拌しながら滴下した。-78℃で更に40分維持した後、(R)-4-シアノ-3-ヒドロキシブタン酸エチル(10.5g、66.8mmol)の溶液を滴下添加した。混合物を-40℃で4時間撹拌し、次いで、pHを約6に維持しながら、適切な量のHCl(2M)を混合物に添加した。このクエンチ中、混合物の温度を-10℃に維持した。完了すると、混合物の温度を0℃に冷却した。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO(100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、材料を黄色の油状物(15.0g、99%)として得た。
【0243】
ステップ5.tert-ブチル(2S,4R)-2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート
【化39】
酢酸(110ml)中のtert-ブチル(R)-6-シアノ-5-ヒドロキシ-3-オキソヘキサノエート(15.0g、66.0mmol)の溶液を、酸化白金(IV)水和物(0.868g、3.30mmol)で処理した。Parrボトルを排気し、Hで3回戻し充填し、H雰囲気(45psi、再充填4回)下、22℃で3時間撹拌した。混合物をセライトを通して濾過し、フィルターケーキをEtOHで洗浄した。濾液を濃縮して、約9:1のシス:トランスジアステレオマー比を有する生成物を得た。残留物をメタノール(100mL)に溶解させ、Boc無水物(15.3ml、66.0mmol)、炭酸ナトリウム(13.99g、132mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(11.7g、56%)を得た。C1629NNaO(M+Na)に対するLCMS 計算値(生成物+Na):m/z=338.2;測定値:338.2。
【0244】
ステップ6.tert-ブチル(2S,4S)-4-アジド-2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化40】
0℃のDCM(33ml)中のtert-ブチル(2S,4R)-2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(2.10g、6.66mmol)の溶液に、Ms-Cl(0.67mL、8.66mmol)を添加し、1時間撹拌した後、反応物を水で希釈し、有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。生じた残留物をDMF中に溶解し、アジ化ナトリウム(1.3g、20mmol)を添加し、反応混合物を70℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、反応物をEtOAc及び水で希釈した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムで精製して、所望の生成物(1.90g、84%)を得た。(生成物-Boc)C1121(M+H)に対するLCMS 計算値:m/z=241.2;測定値:241.2。
【0245】
ステップ7.tert-ブチル(2S,4S)-4-アジド-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化41】
-78℃のDCM(400ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-アジド-2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(21.4g、62.9mmol)の溶液に、DCM中の1.0MのDIBAL-H(113ml、113mmol)を添加した。得られた混合物を-78℃で2時間撹拌した。反応物をメタノール(38.1ml、943mmol)で-78℃でクエンチした。ロッシェル塩水溶液(ロッシェル塩126g(6重量)及び水300mLから調製した)を、10℃以下で溶液に添加した。二相性混合物を、15~25℃で1時間以上激しく撹拌し、分離して、有機層を得た。二相性混合物を分離した。有機層をNaCl水溶液(×2)で15~25℃で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、そのまま使用した。残留物をメタノール(300mL)中に溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム(1.43g、37.7mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応物を水でクエンチし、メタノールを減圧下で蒸発させた。反応混合物を酢酸エチル(2回)で抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の勾配0~50%の酢酸エチルで溶出)で精製し、所望の生成物を無色の油状物(14.8g、87%)として得た。(生成物-Boc)C15O(M+H)+に対するLCMS 計算値:m/z=171.1;測定値:171.1。
【0246】
ステップ8.tert-ブチル(2S,4S)-4-アジド-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化42】
DMF(74.0ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-アジド-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(4.0g、14.80mmol)の溶液に、イミダゾール(1.51g、22.2mmol)及びTBS-Cl(2.90g、19.24mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で1時間15分間撹拌した。この反応混合物をEtOAc及び水で希釈した。有機層を水(2回)、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中0~20%酢酸エチル)で精製して所望の生成物を無色油状物として得た。(5.30g,93%)。(生成物-Boc)C1329OSi(M+H)+に対するLCMS 計算値:m/z=285.2、測定値:285.2。
【0247】
ステップ9.tert-ブチル(2S,4S)-4-アミノ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化43】
メタノール(70ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-アジド-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-ピペリジン-1-カルボキシレート(5.30g、13.78mmol)の溶液に、10%のパラジウム炭素(1.47g、1.38mmol)を添加した。反応混合物を真空下で排出し、Hで再充填し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、メタノールで洗浄した。濾液を濃縮して、所望の生成物(4.5g、91%)を得た。(生成物-Boc)C1331OSi(M+H)+に対するLCMS 計算値:m/z=259.2、測定値:259.2。
【0248】
ステップ10.エチル7-ブロモ-4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート
【化44】
DMF(80ml)中のエチル7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート(8.7g、21.7mmol)の溶液に、tert-ブチル(2S,4S)-4-アミノ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(9.33g、26.0mmol)及びDIEA(7.6ml、43.3mmol)を添加した。得られた混合物を65℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、酢酸エチル及び水を添加した。有機層を水(2回)及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中0%~25%酢酸エチルで溶出)で精製して所望の生成物を泡状物(14.6g、93%)として得た。C3044BrClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=722.2,724.2;測定値722.2,724.2。
【0249】
ステップ11.tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化45】
78℃のトルエン(200ml)中のエチル7-ブロモ-4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート(14.6g、20.18mmol)の溶液に、-DCM中1.0MのDIBAL-H(60.5ml、60.5mmol)を添加した。得られた混合物を、-78℃で40分間撹拌し、0℃まで1時間20分温め、メタノール(6.8ml、167mmol)でクエンチした。ロッシェル塩水溶液(ロッシェル塩88g(6重量)及び水200mLから調製した)を、10℃以下で溶液に添加した。二相性混合物を15~25℃で1時間以上激しく撹拌し、分離して有機層を得た。二相性混合物を分離した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物をそのまま使用した。C2842BrClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=680.1,682.1;測定値680.1,682.1。
【0250】
ステップ12.tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化46】
DCM(150ml)及びアセトニトリル(50ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(13.0g、19.07mmol)の溶液に、IBX(16.02g、57.2mmol)及び酢酸(3.28ml、57.2mmol)を添加した。得られた反応混合物を35℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。生じた残留物をEtOAcで粉砕し、得られた沈殿物を濾過によって収集し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を淡黄色の固体(9.4g、2ステップで73%)として得た。C2840BrClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=678.1,680.1;測定値678.1,680.1。
【0251】
ステップ13.tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化47】
tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(7.67g、11.29mmol)、DCM(56ml)及びEtOH(56ml)の混合物に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.35g、33.9mmol)及びピリジン(2.8ml、34.4mmol)を添加した。反応混合物を40℃で16時間撹拌した。ピリジン(2.8ml、34.4mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(2.35g、33.9mmol)の別の一部を加え、4時間撹拌した。溶媒を、真空中で蒸発させた。DCMと水を含む残留物。水層をDCMで抽出した。合わせた有機層をCuSO水溶液、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、所望の生成物(4.5g、57%)を得た。C2841BrClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=693.1,695.1;測定値693.1,695.1。
【0252】
ステップ14.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-4,8-ジクロロ-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化48】
CHCl(75mL)中の(tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(4.53g、6.52mmol)の溶液に、2-アミノピリジン(0.798g、8.48mmol)及びMs-Cl(0.610ml、7.83mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を一晩室温に温めた。反応物を水で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%酢酸エチルの勾配で溶出)によって精製して、所望の生成物(1.80g、41%)を得た。C2839BrClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=675.1,677.1;測定値675.1,677.1。
【0253】
ステップ15.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化49】
ナトリウムチオメトキシド(0.56g、8.00mmol)を、MeOH(26ml)/DCM(26ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-4,8-ジクロロ-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)-オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(1.80g、2.67mmol)の混合物に添加し、次いで室温で1時間撹拌した。混合物を飽和NHClで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を得た(1.75g、95%)。C2942BrClFNSSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=687.2,689.2;測定値687.2,689.2。
【0254】
ステップ16.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化50】
THF(28ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(1.96g、2.84mmol)の溶液に、THF中の1.0MのTBAF(4.27ml、4.27mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を、水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物をそのまま使用した。C2328BrClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=573.1,575.1;測定値573.1,575.1。
【0255】
ステップ17.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化51】
DCM(8ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.50g、0.871mmol)の溶液に、デス-マーチンペルヨージナン(0.406g、0.958mmol)を添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、反応フラスコに飽和NaHCOを添加し、10分間撹拌した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物をTHF(10mL)中に溶解させ、水酸化アンモニウム(1.96ml、14.11mmol)を反応フラスコに添加し、続いてヨウ素(0.243g、0.958mmol)を添加した。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、反応溶液を、酢酸エチル及び飽和NaS溶液で希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、所望の生成物(0.40g、80%)を得た。C2325BrClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=568.1,570.1;測定値568.1,570.1。
【0256】
ステップ18.tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(6-クロロ-5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート










【化52】
tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(401mg、0.705mmol)、6-クロロ-5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール(319mg、0.846mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(122mg、0.106mmol)、炭酸ナトリウム(299mg、2.82mmol)、及び5:1のジオキサン/水(6ml)を充填したバイアルを、105℃で一晩加熱した。混合物をブライン及びEtOAcで希釈し、有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、所望の生成物(0.39g、75%)を得た。C3639ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=738.2;測定値738.2。
【0257】
ステップ19.tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化53】
0℃でDCM(10ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(6-クロロ-5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.73g、0.988mmol)の溶液に、m-CPBA(0.196g、1.136mmol)を添加した。反応混合物をこの温度で20分間撹拌した。反応物を、飽和Naを添加することによってクエンチし、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、濾過し、乾燥させ、濃縮した。粗製物をアセトニトリル(8ml)及びトリエチルアミン(0.607ml、4.36mmol)に溶解し、N-エチル-N-メチルアゼチジン-3-アミン二塩酸塩(0.306g、1.634mmol)を反応バイアルに添加し、得られた混合物を80℃で2時間撹拌した。粗製物を濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(MeOH中0~20%DCMの勾配で溶出)によって精製し、所望の生成物(0.65g、76%)を得た。C4252ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=784.4;測定値784.4。
【0258】
ステップ20.2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリル
【化54】
DCM(5ml)中tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(6-クロロ-5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(0.65g、0.771mmol)の溶液に、TFA(4.8ml、61.7mmol)を添加した。0.5時間撹拌した後、溶媒を真空中で除去し、残留物を、分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出)で精製して、所望の生成物を2つのピーク(0.40g、85%)として得た。
【0259】
ジアステレオマー1.ピーク1.C3236ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=600.3;測定値600.3。
【0260】
ジアステレオマー2.ピーク2.C3236ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=600.3;測定値600.3。
【0261】
ステップ21.2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリル
DMF(1.0ml)中の2-フルオロアクリル酸(1.1mg、0.012mmol)及び2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(5,6-ジメチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(エチル(メチル)アミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリルビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(8.5mg、10.3μmol)(最後のステップからのピーク2)の溶液に、HATU(5.1mg、0.013mmol)及びDIEA(9.0μl、0.051mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応物を、メタノール及び1N HCl(0.1mL)で希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出)を使用して精製して、所望のジアステレオマー1を得た。
【0262】
ジアステレオマー2を、2-((2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(6-クロロ-5-メチル-1H-インダゾール-4-イル)-4-(3-(ジメチルアミノ)アゼチジン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-2-イル)アセトニトリルビス(2,2,2-トリフルオロ酢酸)(最後のステップからのピーク1)を使用して同様の方法で合成した。
【0263】
実施例4a.ジアステレオマー1.ピーク1.C3537ClFO (M+H)に対するLCMS 計算値 m/z = 672.3;測定値672.3. H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.34 (m, 2H), 7.48 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 5.70 (m, 1H), 5.35 (m, 2H), 4.98-4.27 (m, 9H), 3.54 (m, 2H), 3.27 (m, 2H), 2.86 (m, 2H), 2.49 (s, 3H), 2.37 - 2.27 (m, 4H), 2.09 (s, 3H), 1.28 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0264】
実施例4b.ジアステレオマー2.ピーク2.C3537ClFO(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=672.3;測定値672.3。
【0265】
実施例5a及び実施例5b.8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-(2-フルオロアクリロイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
【化55】
ステップ1.2-アミノ-4-(8-シアノナフタレン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチル
【化56】
1-クロロイソキノリン-8-カルボニトリルの代わりに8-ブロモ-1-ナフトニトリルを利用して、実施例1a及び実施例1bのステップ5に記載される手順に従って表題化合物を合成した。C2016FN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=335.1;測定値335.1。
【0266】
ステップ2.2-アミノ-5-クロロ-4-(8-シアノナフタレン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチル
【化57】
2-アミノ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチルの代わりに、2-アミノ-4-(8-シアノナフタレン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチルを使用して、実施例1a及び実施例1bのステップ6に記載される手順に従って表題化合物を合成した。C2015ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=369.1;測定値369.1。
【0267】
ステップ3.5-クロロ-4-(8-シアノナフタレン-1-イル)-2-(3-エトキシ-3-オキソプロパンアミド)-3-フルオロ安息香酸エチル
【化58】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ7に記載の手順に従って、2-アミノ-5-クロロ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチルを2-アミノ-5-クロロ-4-(8-シアノナフタレン-1-イル)-3-フルオロ安息香酸エチルに置き換えて調製した。C2521ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=483.1;測定値483.1。
【0268】
ステップ4.エチル6-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレート
【化59】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ8に記載の手順に従って、5-クロロ-4-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-2-(3-エトキシ-3-オキソプロパンアミド)-3-フルオロ安息香酸エチルを5-クロロ-4-(8-シアノナフタレン-1-イル)-2-(3-エトキシ-3-オキソプロパンアミド)-3-フルオロ安息香酸エチルに置き換えて調製した。C2315ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=437.1;測定値437.1。
【0269】
ステップ5.エチル2,4,6-トリクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート
【化60】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ9に記載の手順に従って、エチル6-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレートをエチル6-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-2,4-ジヒドロキシキノリン-3-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2313ClFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=473.0,475.0;測定値473.1,475.1。
【0270】
ステップ6.エチル4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレート
【化61】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ10に記載の手順に従って、エチル2,4,6-トリクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレートをエチル2,4,6-トリクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C4150ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=795.3,797.3;測定値795.5,797.5。
【0271】
ステップ7.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化62】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ11に記載の手順に従って、エチル4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレートをエチル4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3948ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=753.3,755.3;測定値753.4,755.5。
【0272】
ステップ8.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化63】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ12に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C39ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=751.3,753.3;測定値751.4,753.4。
【0273】
ステップ9.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化64】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ13に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3947ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=766.3,768.3;測定値766.4,768.4。
【0274】
ステップ10.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(4,8-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化65】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ14に記載の手順に従って、(tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-((2,6-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3945ClFNSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=748.3,750.3;測定値748.4,750.4。
【0275】
ステップ11.tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化66】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ15に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(4,8-ジクロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(4,8-ジクロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C4048ClFNSSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=760.3;測定値760.3。
【0276】
ステップ12.tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化67】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ16に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3434ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=646.2;測定値646.2。
【0277】
ステップ13.tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化68】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ17に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3431ClFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=641.2;測定値641.2。
【0278】
ステップ14.8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
【化69】
この化合物を、実施例1a及び実施例1bのステップ18に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノイソキノリン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-(8-クロロ-7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3534ClFNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=622.2;測定値622.2。
【0279】
ステップ15.8-(1-((2S,4S)-1-アセチル-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-8-クロロ-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
DMF(1.0ml)中の2-フルオロアクリル酸(0.9mg、9.88μmol)及び8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリルビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(7.0mg、8.23μmol)の溶液に、HATU(3.9mg、10.3μmol)及びDIEA(1.4μl、8.23μmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応物を、メタノール及び1N HCl(0.1mL)で希釈し、次いで、分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出)を使用して精製して、所望のジアステレオマー1を得た。
【0280】
ジアステレオマー2を、8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリルビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(最後のステップからのピーク2)を使用して同様の方法で合成した。
【0281】
実施例5a.ジアステレオマー1.ピーク1.C3736ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=664.3;測定値664.3。
【0282】
実施例5b.ジアステレオマー2.ピーク2.C3736ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z = 664.3;測定値664.3。H NMR (600 MHz, DMSO) δ 9.86 (m, 1H), 8.52 (m, 3H), 8.34 (m, 1H), 8.17 (m, 1H), 7.88 (m, 1H), 7.78 (m, 1H), 7.73 (m, 1H), 5.83 (m, 1H), 5.50 (m, 1H), 5.39 (m, 1H), 5.27 (s, 1H), 3.84 (m, 1H), 3.56 (m, 1H), 3.30 (m, 2H), 3.18 (m, 1H), 3.09 (m, 3H), 2.30 (m, 1H), 2.11 (m, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.53 (d, J = 6.0 Hz, 3H)。
【0283】
実施例6a及び実施例6b.8-(8-クロロ-1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)-1-((E)-4-メトキシブタ-2-エノイル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
【化70】
この化合物を、実施例5a及び実施例5bのステップ15に記載の手順に従って、2-フルオロアクリル酸を(E)-4-メトキシブタ-2-エン酸に置き換えて調製した。C4040ClFN(M+H)に対するLCMS 計算値:m/z=720.3;測定値:720.3。
【0284】
実施例7 8-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
【化71】
ステップ1:エチル7-ブロモ-2,4-ジクロロ-8-フルオロ-6-ヨードキノリン-3-カルボキシレート
【化72】
実施例4a及び実施例4bのステップ1~3に記載される手順に従って、ステップ1の2-アミノ-4-ブロモ-5-クロロ-3-フルオロ安息香酸の代わりに、2-アミノ-4-ブロモ-3-フルオロ-5-ヨード安息香酸を使用して、表題化合物を合成した。C12BrClFINO(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=491.80,493.80;測定値491.80,493.80。
【0285】
ステップ2.エチル7-ブロモ-4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2-クロロ-8-フルオロ-6-ヨードキノリン-3-カルボキシレート
【化73】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ10に記載の手順に従って、エチル7-ブロモ-2,4,6-トリクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレートをエチル7-ブロモ-2,4-ジクロロ-8-フルオロ-6-ヨードキノリン-3-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C3044BrClFINSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=814.1,816.1;測定値814.1,816.2。
【0286】
ステップ3.tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)-6-ヨードキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化74】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ11に記載される手順に従って、エチル7-ブロモ-4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2,6-ジクロロ-8-フルオロキノリン-3-カルボキシレートをエチル7-ブロモ-4-(((2S,4S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-2-クロロ-8-フルオロ-6-ヨードキノリン-3-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2842BrClFINSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=772.1,774.1;測定値772.1,774.1。
【0287】
ステップ4.tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-3-ホルミル-6-ヨードキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化75】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ12に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)キノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)-6-ヨードキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2840BrClFINSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=770.1,772.1;測定値770.1,772.1。
【0288】
ステップ5.tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)-6-ヨードキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化76】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ13に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-ホルミルキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-3-ホルミル-6-ヨードキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2841BrClFINSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=785.1,787.1;測定値785.2,787.2。
【0289】
ステップ6.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-4-クロロ-6-フルオロ-8-ヨード-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化77】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ14に記載の手順に従って、(tert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2,6-ジクロロ-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)キノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-((7-ブロモ-2-クロロ-8-フルオロ-3-((E)-(ヒドロキシイミノ)メチル)-6-ヨードキノリン-4-イル)アミノ)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2839BrClFINSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=767.1,769.1;測定値767.1,769.1。
【0290】
ステップ7.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-ヨード-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化78】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ15に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-4,8-ジクロロ-6-フルオロ-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-4-クロロ-6-フルオロ-8-ヨード-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートと置き換えて、調製した。C2942BrFINSSi(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=779.1,781.1;測定値779.1,781.1。
【0291】
ステップ8.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-ヨード-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化79】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ16に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-ヨード-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2328BrFINS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=665.0,667.0;測定値665.1,667.1。
【0292】
ステップ9.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-ヨード-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化80】
この化合物を、実施例4a及び実施例4bのステップ17に記載の手順に従って、tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-8-クロロ-6-フルオロ-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-ヨード-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン-1-カルボキシレートに置き換えて、調製した。C2325BrFINS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=660.0,662.0;測定値660.0,662.0。
【0293】
ステップ10.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-メチル-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化81】
1,4-ジオキサン(36ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-ヨード-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(2.75g、4.16mmol)の溶液に、水(6.0ml)、メチルボロン酸(1.496g、24.99mmol)、KCO(1.151g、8.33mmol)及びPd(PPhCI(0.292g、0.416mmol)を室温で添加した。反応混合物をN雰囲気下、90℃で10時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相を、無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、次いで、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し(溶出剤:ヘキサン:酢酸エチル=5:1)、化合物(1.9g、83%)を白色固体として得た。C2428BrFNS(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=548.1,550.1;測定値548.2,550.2。
【0294】
ステップ11.tert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化82】
m-CPBA(57.9mg、0.335mmol)を、CHCl(2.9ml)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-メチル-4-(メチルチオ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(160mg、0.29mmol)の溶液に0℃で添加し、次いでこの温度で20分間反応物を撹拌した。反応物を、飽和Naを添加することによってクエンチし、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、濾過し、乾燥させ、濃縮した。THF中の1.0MのLiHMDS(753μl、0.753mmol)を、THF(1mL)中の(S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エタン-1-オール(97mg、0.753mmol)の溶液に添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した。THF(2.0mL)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-メチル-4-(メチルスルフィニル)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(170mg、0.301mmol)の溶液を反応バイアルに添加し、次いで反応物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、シリカゲルカラムで精製(DCM中0~20%のメタノールの勾配で溶出)して、所望の生成物を黄色の泡状物(150mg、79%)として得た。C3039BrFN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=629.2,631.2;測定値629.3,631.3。
【0295】
ステップ12.tert-ブチル(2S,4S)-2-(シアノメチル)-4-(7-(8-シアノナフタレン-1-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化83】
1,4-ジオキサン(2.0mL)/水(0.400mL)中のtert-ブチル(2S,4S)-4-(7-ブロモ-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-1-イル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(150mg、0.238mmol)、8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-ナフトニトリル(86mg、0.31mmol)、SPhos Pd G4(19mg、0.024mmol)及びリン酸三カリウム水和物(121mg、0.524mmol)の混合物を、N雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。溶液を、酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を濃縮し、残留物を分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出)で精製して、所望の生成物を2つのピーク(105mg、63%)として得た。
【0296】
ジアステレオマー1.ピーク1.C4145FN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=702.3;測定値702.3。
【0297】
ジアステレオマー2.ピーク2.C4145FN(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=702.3;測定値702.3。
【0298】
ステップ13.8-(1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
【化84】
最後のステップからの2つのジアステレオマーを1:1のDCM/TFA(2mL)で40分間処理し、揮発物を真空中で除去し、残留物をそのまま次のステップで使用した。
【0299】
ジアステレオマー1.ピーク1.C3637FNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=602.3;測定値602.3。
【0300】
ジアステレオマー2.ピーク2.C3637FNO(M+H)に対するLC-MS 計算値:m/z=602.3;測定値602.3。
【0301】
ステップ14.8-(1-((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-((S)-1-((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)エトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリル
DMF(1.0ml)中のブタ-2-イン酸(0.730mg、8.68μmol)及び8-(1-((2S,4S)-2-(シアノメチル)ピペリジン-4-イル)-6-フルオロ-8-メチル-4-(((S)-1-メチルピロリジン-2-イル)メトキシ)-1H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-7-イル)-1-ナフトニトリルビス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(6.0mg、7.36μmol)(最後のステップからのジアステレオマー2ピーク2)の溶液に、HATU(3.5mg、9.19μmol)及びDIEA(6.4μl、0.037mmol)を添加した。得られた混合物を、室温で1時間撹拌した。反応物を、メタノール及び1N HCl(0.1mL)で希釈し、分取LCMS(XBridge C18カラム、60mL/分の流速で、0.1%TFAを含有するアセトニトリル/水の勾配で溶出)を使用して精製して、所望の生成物(2.5mg、52%)を得た。C4039FN(M+H)に対するLCMS 計算値 m/z=668.3;測定値668.3。
【0302】
実施例A.GDP-GTP交換アッセイ
例示された化合物の阻害剤効力を、SOS1(グアニンヌクレオチド交換因子)の存在下で、KRASの活性状態を生成するためのGppNHp(非加水分解性GTP類似体)とBodipy-GDP(蛍光標識されたGDP)の交換を測定する、蛍光に基づくグアニンヌクレオチド交換アッセイによって判定した。阻害剤をDMSOで段階的に希釈し、0.1μLの体積を黒色の低体積の384ウェルプレートのウェルに移した。アッセイ緩衝液(25mMのHepes pH7.5、50mMのNaCl、10mMのMgCl2、及び0.01%のBrij-35)中で5nMに希釈された、5μL/ウェル体積のBodipy充填KRAS G12Cをプレートに添加し、周囲温度で2時間、阻害剤でプレインキュベートした。適切な対照(阻害剤を含まない、またはG12C阻害剤(AMG-510)を含む酵素)をプレートに含めた。交換は、アッセイ緩衝液中に1mMのGppNHp及び300nMのSOS1を含有する5μL/ウェル体積を加えることによって開始した。Bodipy充填KRAS G12C、GppNHp、及びSOS1の10μL/ウェルの反応濃度は、それぞれ、2.5nM、500uM、及び150nMであった。反応プレートを周囲温度で2時間インキュベートし、時間は、阻害剤の非存在下での完全なGDP-GTP交換について推定した。KRAS G12D及びG12V変異体については、同様のグアニンヌクレオチド交換アッセイを、Bodipy充填KRASタンパク質の最終濃度として2.5nMで、及びGppNHp-SOS1混合物をG12D及びG12Vにそれぞれ添加した後、4時間及び3時間のインキュベーションで使用した。G12D変異体に選択的に結合すると説明された環状ペプチド(Sakamoto et al.,BBRC,484.3(2017),605-611)または結合が確認された内部化合物を、アッセイプレート内で陽性対照として使用した。485nmでの励起及び520nmでの発光を使用して、PheraStarプレートリーダー装置(BMG Labtech)で蛍光強度を測定した。
【0303】
GraphPad prismまたはGenedata Screener SmartFitのいずれかを使用してデータを分析した。データを4パラメータロジスティック方程式に適合させて、可変Hill係数を伴うシグモイド型用量反応曲線を生成することによって、IC50値を導き出した。
【0304】
KRAS_G12C交換アッセイIC50データ、KRAS_G12C pERKアッセイIC50データ、KRAS_G12C WB pERKアッセイIC50データを以下の表1に提供する。記号「†」はIC50が≦100nMであることを示し、「††」はIC50が>100nMであるが、≦1μMであることを示し、「†††」はIC50が>1μΜであるが、≦5μΜであることを示し、「††††」はIC50が>5μΜであるが、≦10μΜであることを示す。「NA」は、データが利用できないことを示す。
【表4】
【0305】
実施例B:発光生存率アッセイ
10%FBS(Gibco/Life Technologies)を補充したRPMI1640培地において、MIA PaCa-2(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-1420)、NCI-H358(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-5807)、A427(KRAS G12D;ATCC(登録商標)HTB53)、HPAFII(KRAS G12D;ATCC(登録商標)CRL-1997)、YAPC(KRAS G12V;DSMZ ACC382)、SW480(KRAS G12V;ATCC(登録商標)CRL-228)及びNCI-H838(KRAS WT;ATCC(登録商標)CRL-5844)細胞を培養する。2%FBSを補充したRPMI1640培地において、ウェル当たり800個の細胞を、試験化合物の50nLドットを含有する白色の透明な底の384ウェルのCostar組織培養プレートに播種する(最終濃度は1:500希釈、0.2%DMSO中の最終濃度)。プレートは、370℃、5%CO2で3日間インキュベートされる。アッセイの終了時に、25μl/ウェルのCellTiter-Glo試薬(Promega)を加える。15分後、PHERAstar(BMG)で発光を読み取る。データは、IC50値についてSmartFitを使用してGenedata Screenerで分析する。
【0306】
実施例C:細胞pERK HTRFアッセイ
MIA PaCa-2(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-1420)、NCI-H358(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-5807)、A427(KRAS G12D;ATCC(登録商標)HTB53)、HPAFII(KRAS G12D;ATCC(登録商標)CRL-1997)、YAPC(KRAS G12V;DSMZ ACC382)、SW480(KRAS G12V;ATCC(登録商標)CRL-228)及びNCI-H838(KRAS WT;ATCC(登録商標)CRL-5844)細胞をATCCから購入し、10%FBS(Gibco/Life Technologies)を補充したRPMI 1640培地において維持する。細胞を、ウェル当たり5000個の細胞(8uL)で、Greiner384-ウェル低体積、平底、組織培養処理白色プレート中に播種し、370℃、5%COで一晩インキュベートする。翌朝、試験化合物ストック溶液を、培地中で3×最終濃度に希釈し、4μLを細胞に加え、DMSOの最終濃度を0.1%とする。細胞を試験化合物とともに、37℃、5%COで4時間(G12C及びG12V)または2時間(G12D)インキュベートする。ブロッキング試薬(Cisbio)を含む4uLの4×溶解緩衝液を各ウェルに加え、プレートを室温で30分間穏やかに回転させる(300rpm)。4uL/ウェルのCisbio抗ホスホ-ERK1/2d2を、抗ホスホ-ERK1/2クリプテート(1:1)と混合し、各ウェルに加え、暗所において室温で一晩インキュベートする。Pherastarプレートリーダーで665nm及び620nmの波長でプレートを読み取る。データは、IC50値についてSmartFitを使用してGenedata Screenerで分析する。
【0307】
実施例D:全血pERK1/2 HTRFアッセイ
10%FBS(Gibco/Life Technologies)を有するRPMI 1640において、MIA PaCa-2細胞(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-1420)、HPAF-II(KRAS G12D;ATCC(登録商標)CRL-1997)及びYAPC(KRAS G12V;DSMZ ACC382)を維持する。MIA PaCa-2アッセイの場合、100μLの培地において、ウェル当たり25000個の細胞で、96ウェル組織培養プレート(Corning#3596)に細胞を播種し、アッセイ前に37℃、5%COで2日間培養する。HPAF-II及びYAPCアッセイの場合、100μLの培地において、96ウェル組織培養プレートにウェル当たり50000個の細胞で細胞を播種し、アッセイの前に1日間培養する。血中の化合物の濃度が、0.5%DMSO中で所望の濃度の1×となるように、96ウェルプレート中の化合物(DMSO中で調製された)の1uLドットに全血を加え、ピペットで上下することによって穏やかに混合する。培地を細胞から吸引し、試験化合物を含む50uL/ウェルの全血を加え、MIA PaCa及びYAPCアッセイの場合は4時間;またはHPAF-IIアッセイの場合は2時間、それぞれ37℃、5%COでインキュベートする。血液を捨てた後、ウェルの側面にPBSを加え、プレートからPBSを紙タオル上に捨て、プレートを軽く叩いて十分に排出させることによって、プレートを穏やかに2回洗浄する。次いで、ブロッキング試薬(Cisbio)及びベンゾナーゼヌクレアーゼ(Sigmaカタログ番号E1014-5KU、1:10000の最終濃度)を含む50ul/ウェルの1×溶解緩衝液#1(Cisbio)を加え、振盪しながら(250rpm)室温で30分間インキュベートする。溶解後、Assist Plus(Integra Biosciences,NH)を使用して384ウェルGreiner小容量白色プレートに16uLの溶解物を移す。抗ホスホ-ERK1/2 d2及び抗ホスホ-ERK1/2クリプテート(Cisbio)の4uLの1:1混合物を、Assist Plusを使用してウェルに加え、暗所において室温で一晩インキュベートする。Pherastarプレートリーダーで665nm及び620nmの波長でプレートを読み取る。データは、IC50値についてSmartFitを使用してGenedata Screenerで分析する。
【0308】
実施例E:Ras活性化ELISA
96ウェルRas活性化ELISAキット(Cell Biolabs Inc;#STA441)は、96ウェルプレートに結合したRaf1 RBD(Rho結合ドメイン)を使用して、細胞溶解物から活性型Rasを選択的にプルダウンする。次いで、捕捉されたGTP-Rasを、汎-Ras抗体及びHRPコンジュゲート二次抗体によって検出する。
【0309】
10%FBS(Gibco/Life Technologies)を有するRPMI 1640培地において、MIA PaCa-2(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-1420)、NCI-H358(KRAS G12C;ATCC(登録商標)CRL-5807)、A427(KRAS G12D;ATCC(登録商標)HTB53)、HPAFII(KRAS G12D;ATCC(登録商標)CRL-1997)、YAPC(KRAS G12V;DSMZ ACC382)、SW480(KRAS G12V;ATCC(登録商標)CRL-228)及びNCI-H838(KRAS WT;ATCC(登録商標)CRL-5844)細胞を維持する。100μL培地中で、ウェル当たり25000個の細胞で、96ウェル組織培養プレート(Corning#3596)に細胞を播種し、アッセイの開始時に約80%コンフルエントになるように37℃、5%COで2日間培養する。細胞を、化合物で37℃、5%COで4時間または一晩処理する。回収の時点で、細胞をPBSによって洗浄し、十分に排水を行い、次いで50uLの1×溶解緩衝液(キットにより提供される)、更に追加でHaltプロテアーゼ及びホスファターゼの阻害剤(1:100)によって氷上で1時間溶解する。
【0310】
Raf-1 RBDをアッセイ希釈液(キットで提供される)中で1:500に希釈し、100μLの希釈したRaf-1 RBDをRAf-1RBD捕捉プレートの各ウェルに加える。プレートをプレート封止フィルムで覆い、室温で1時間オービタルシェーカーでインキュベートする。プレートをウェル当たり250μLの1×洗浄緩衝液で3回洗浄し、各洗浄の間に完全な吸引を行う。ウェル当たり50μLのRas溶解物試料(10~100μg)を二重に添加する。「細胞溶解物なし」対照を、バックグラウンド測定のためにいくつかのウェルに追加する。全てのウェルに対して、50μLのアッセイ希釈液を各ウェルに直ちに加え、プレートを室温で1時間オービタルシェーカーでインキュベートする。プレートをウェル当たり250μLの1×洗浄緩衝液で5回洗浄し、各洗浄の間に完全な吸引を行う。100μLの希釈された抗汎Ras抗体を各ウェルに加え、プレートを室温で1時間オービタルシェーカーでインキュベートする。プレートは以前と同様に5回洗浄する。100μLの希釈した二次抗体であるHRPコンジュゲートを各ウェルに加え、プレートを室温で1時間オービタルシェーカーでインキュベートする。プレートは以前と同様に5回洗浄し、十分に排水を行う。100μLの化学発光試薬(キットに提供される)を、ブランクウェルを含む各ウェルに添加する。プレートを室温で5分間オービタルシェーカー上でインキュベートした後、各マイクロウェルの発光をプレートルミノメーターで読み取る。%阻害は、全ての値から「溶解物なし対照」のバックグラウンドレベルを差し引いた後に、DMSO対照ウェルに対して計算する。IC50の決定は、GraphPad Prism7ソフトウェアを使用して、阻害剤濃度の対数に対して阻害剤の阻害パーセントの曲線を当てはめることによって行う。
【0311】
実施例F:RAS-RAF経路及びPI3K-AKT経路の阻害
化合物の細胞効力は、KRAS下流エフェクターの細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、リボソームS6キナーゼ(RSK)、AKT(プロテインキナーゼB、PKBとしても知られる)、及び下流基質S6リボソームタンパク質のリン酸化を測定することによって決定される。
【0312】
リン酸化細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、リボソームS6キナーゼ(RSK)、AKT及びS6リボソームタンパク質を測定するために、細胞(生成される細胞株及びデータの種類に関する詳細は、表2に更に詳細に記載される)を、Corning96ウェル組織培養処理プレートに、4×104細胞/ウェルで、10%FBSを有するRPMI培地中で一晩播種する。翌日、細胞を、ある濃度範囲の試験化合物の存在下または非存在下で、37℃、5%COで4時間インキュベートする。細胞をPBSで洗浄し、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を含む1×溶解緩衝液(Cisbio)で溶解する(Thermo Fisher,78446)。Cell Signaling Technologies(Danvers,MA)からの以下の抗体:ホスホ-ERK1/2-Thr202/Tyr204(#9101L)、トータル-ERK1/2(#9102L)、ホスホ(phosphor)-AKT-Ser473(#4060L)、ホスホ-p90RSK-Ser380(#11989S)、及びホスホ-S6リボソームタンパク質-Ser235/Ser236(#2211S)を使用して、10または20μgの総タンパク質溶解物をSDS-PAGE及び免疫ブロット分析に供する。
【表5】
【0313】
実施例G:インビボ有効性試験
Mia-Paca-2(KRAS G12C)、H358(KRAS G12C)、HPAF-II(KRAS G12D)、AGS(KRAS G12D)、SW480(KRAS G12V)またはYAPC(KRAS G12V)ヒトがん細胞を、American Type Culture Collectionから取得し、10%FBSを補充したRPMI培地で維持する。有効性試験の実験については、5×106個の細胞を6~8週齢のBALB/cヌードマウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA,USA)の右後腹部に皮下接種する。腫瘍体積が約150~250mmであるときに、マウスを腫瘍体積によって無作為化し、化合物を経口投与する。腫瘍体積は、式(L×W2)/2を使用して計算し、ここで、L及びWはそれぞれ、長さ及び幅寸法を指す。腫瘍増殖阻害は、式(1-(VT/VC))×100を使用して計算し、ここで、VTは処置最終日の処置群の腫瘍体積であり、VCは処置最終日の対照群の腫瘍体積である。ダネットの多重比較試験を用いた二元配置分散分析を使用して、処置群間の統計的差異を決定する(GraphPad Prism)。マウスはケージ当たり10~12匹で飼育し、栄養強化し、12時間の明/暗サイクルに曝露する。腫瘍体積が限界(体重の10%)を超えたマウスは、COの吸入によって人道的に安楽死させる。動物は、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care,Internationalによって完全に認定されたバリア施設で維持される。全ての手順は、US Public Service Policy on Human Care and Use of Laboratory Animals及びIncyte Animal Care and Use Committeeガイドラインに従って行う。
【0314】
実施例H:Caco2アッセイ
Caco-2細胞を、10%(v/v)のウシ胎児血清、1%(v/v)の非必須アミノ酸、ペニシリン(100U/mL)、及びストレプトマイシン(100μg/mL)を補充したDMEM増殖培地中で、5%COの雰囲気で37℃で増殖させた。コンフルエント細胞単層を、1μMのEDTAを含有する0.05%トリプシンで処理することによって、7日毎または4日毎にCaco-2について継代培養した。Caco-2細胞を96ウェルのTranswellプレートに播種した。Caco-2細胞の播種密度は、14,000細胞/ウェルであった。DMEM増殖培地は、播種後1日おきに交換した。細胞単層を、Caco-2細胞について22~25日間のトランスポートアッセイに使用した。
【0315】
細胞培養培地を除去し、HBSSで置き換えた。TEERを測定するために、HBSSをドナーコンパートメント(頂端側)及びレシーバーコンパートメント(基底側)に添加した。TEERは、細胞単層の完全性を確保するために、REMS Autosamplerを使用して測定した。TEER値が300Ω・cm以上のCaco-2細胞単層を、トランスポート実験に使用した。吸収方向(A-B)のPappを決定するために、HBSS中の試験化合物(50μM)の溶液をドナーコンパートメント(頂端側)に添加し、4%BSAを含むHBSS溶液をレシーバーコンパートメント(基底側)に添加した。頂端体積は0.075mL、基底体積は0.25mLであった。インキュベーション期間は、5%COの雰囲気中、37℃で120分であった。インキュベーション期間の終わりに、ドナー及びレシーバー側から試料を除去し、タンパク質沈殿のために等体積のアセトニトリルを添加した。上清を、LCMS分析のために遠心分離(3000 rpm,Beckman Coulter,Indianapolis,INのAllegra X-14R Centrifuge)後に収集した。透過性値は、以下の式に従って決定した:
app(cm/s)=(F*VD)/(SA*MD)、
式中、流動速度(F、質量/時間)はレシーバー側の対象の化合物の累積量の傾きから算出され、SAは細胞膜の表面積であり、VDはドナー体積であり、MDはドナーチャンバー内の溶液の初期量である。
【0316】
Caco-2透過性アッセイデータを以下の表3に提供する。記号「†」は、Caco2が≦0.5であることを示し、「††」は、Caco-2が>0.5であるが≦1であることを示し、「†††」は、Caco-2が>1であることを示す。「NA」は、Caco-2データが利用できないことを示す。
【表6】
【0317】
実施例I:ヒト全血安定性
例示的な化合物の全血安定性を、LC-MS/MSによって決定した。バイアル当たり0.5mLの血液を含む1.0mLのガラスバイアルを含有するインキュベーションプレートには、96ウェルのFlexi-Tier(商標)ブロック(Analytical Sales & Services,Inc,Flanders,NJ)を使用した(プールされた性別、BIOIVT,Hicksville,NYなどから調達したヒト全血)。血液を、水浴中で37℃に30分間予め温めた。96-ディープウェル分析プレートを、100μLの超純水/ウェルを添加して調製した。50μLの冷却された超純水/ウェルを96-ディープウェル試料収集プレートに添加し、シーリングマットで覆った。1μLの0.5mMの化合物作業溶液(DMSO:水)を、インキュベーションプレート中の血液に添加して、1μMの最終濃度に到達させ、ピペッティングで完全に混合し、50μLを、試料収集プレートのT=0ウェルに移した。血液を水中に2分間放置し、次いで400μLの停止溶液/ウェルを添加した(内部標準を含有するアセトニトリル)。インキュベーションプレートを、150rpmで振盪しながら、Incu-Shaker CO Miniインキュベーター(Benchmark Scientific,Sayreville,NJ)に37℃で配置した。1、2、及び4時間で、血液試料をピペッティングによって完全に混合し、50μLを試料収集プレートの対応するウェルに移す。血液を水中に2分間放置し、次いで、400μLの停止溶液/ウェルを添加した。収集プレートを密封し、1700rpmで3分間ボルテックスし(VX-2500 Multi-Tube Vortexer,VWR International,Radnor,PA)、次いで試料を収集プレート内で3500rpmで10分間遠心分離した(Allegra X-14R Centrifuge Beckman Coulter,Indianapolis,IN)。100μLの上清/ウェルを、試料採取プレートから分析プレートの対応するウェルに移した。最終プレートを1700rpmで1分間ボルテックスし、LC-MS/MSによって試料を分析した。T=0に対する1、2、及び4時間の試料のピーク面積比を使用して、残存パーセントを決定した。残存パーセント対時間の自然対数を使用して、血液中の化合物の半減期を計算するための傾きを決定した(t1/2=0.693/傾き)。
【0318】
ヒト全血安定性データを、以下の表4に提供する。記号「†」は、WBSが≦70%であることを示し、「††」は、WBSが>70%だが≦90%であることを示し、「†††」は、WBSが>90%であることを示す。「NA」は、WBSデータが利用できないことを示す。
【表7】
【0319】
実施例J:インビトロの固有クリアランスのプロトコル
試験化合物は、インビトロ代謝安定性実験のために、ヒト肝臓ミクロソームとともに37℃でインキュベートされる。インキュベーション混合物は、100mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中に試験化合物(1μΜ)、NADPH(2mM)、及びヒト肝臓ミクロソーム(0.5mgタンパク質/mL)を含有する。混合物を、NADPHを添加する前に、37℃で2分間プレインキュベートする。反応はNADPHの添加で開始し、0分、10分、20分及び30分での氷冷メタノールによってクエンチする。終了したインキュベーション混合物をLC-MS/MSシステムを使用して分析する。分析システムは、Shimadzu LC-30ADバイナリーポンプシステム及びSIL-30ACオートサンプラー(Shimadzu Scientific Instruments,Columbia,MD)と結合したApplied Biosystems(Foster City,CA)製のSciex Triple Quad6500+質量分析計で構成された。試験化合物及び内部標準のクロマトグラフィー分離は、ThermoFisher Scientific(Waltham,MA)製のHypersil Gold C18カラム(50×2.1mm、5μΜ、175Å)を使用して達成される。移動相Aは、水中の0.1%ギ酸で構成され、移動相Bは、アセトニトリル中の0.1%ギ酸で構成される。総LC-MS/MS実行時間は、0.75mL/分の流速で2.75分とすることができる。ピーク面積の積分及びピーク面積比の計算は、Applied Biosystems製のAnalystソフトウェア(バージョン1.6.3)を使用して行う。
【0320】
インビトロ固有クリアランス、CLint,in vitroは、CLint,in vitro=(0.693/t1/2)×(1/Cprotein)としての試験化合物の消失のt1/2から計算され式中、Cproteinは、インキュベーション中のタンパク質濃度であり、t1/2は、濃度対時間プロファイルの対数線形回帰分析の傾き(k)によって決定される;したがって、t1/2=ln2/kである。CLint,in vitro値は、生理学に基づくスケーリング因子、肝臓ミクロソームタンパク質濃度(45mgタンパク質/g肝臓)、及び肝臓重量(21g/kg体重)を使用することによってヒトのインビボ値にスケーリングされる。式CLint=CLint,in vitro×(mgタンパク質/g肝臓重量)×(g肝臓重量/kg体重)を使用する。次に、インビボ肝クリアランス(CL)を、十分に撹拌された肝臓モデルにおいて、CLint及び肝血流であるQ(ヒトでは20mL・min-1・kg-1)を用いて、CL=(Q×CLint)/(Q+CLint)から全ての結合を無視して計算する。肝臓抽出比は、CLをQで割ったものとして計算した。
【0321】
実施例K:インビボ薬物動態プロトコル
インビボ薬物動態実験については、静脈内に、または強制経口投与を介して、雄のSprague Dawleyラット、または雄及び雌のカニクイザルに試験化合物を投与する。静脈内(IV)投与については、ラットにはIVボーラス、及びサルには5分間または10分間のIV注入を介して、酸性化生理食塩水中10%ジメチルアセトアミド(DMAC)の製剤を使用して、0.5~1mg/kgで試験化合物を投与する。経口(PO)投与については、クエン酸緩衝液(pH2.5)中の0.5%メチルセルロース中の5%DMACを使用して、1.0~3.0mg/kgで試験化合物を投与する。投与前及び投与後24時間までの種々の時点で血液試料を採取する。全ての血液試料は抗凝固剤としてEDTAを使用して採取し、血漿試料を得るために遠心分離する。試験化合物の血漿中濃度を、LC-MS法によって決定する。測定された血漿濃度を使用して、Phoenix(登録商標)WinNonlinソフトウェアプログラム(バージョン8.0、Pharsight Corporation)を使用する標準的な非コンパートメント法によってPKパラメータを算出する。
【0322】
ラット及びサルでは、予備的なPKパラメータを取得するために試験化合物のカセット投与を行う。
【0323】
雄のビーグル犬を用いたインビボ薬物動態実験は上記の条件下で実施されてもよい。
【0324】
実施例L:CYPプロトコルの時間依存性阻害(TDI)
このアッセイは、試験化合物が経時的に代謝されるにつれて、CYP阻害が上昇することを特徴付けるように設計される。このための可能性があるメカニズムには、強固に結合した準不可逆的阻害代謝物複合体の形成または代謝物の共有結合付加体形成によるP450酵素の不活性化が含まれる。この実験は、代謝産物濃度を減少させ、したがって可逆的な阻害の効果を減少させるために10倍希釈を採用しているが、非常に強力なCYP阻害剤である代謝物が陽性結果を生じ得る可能性がある(しかし一般的ではない)。
【0325】
結果は、ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)を使用したCYP2C9、2C19、2D6及び3A4(ミダゾラム)に対するそれらのKm濃度の4倍でのCYP特異的プローブ基質のカクテルからのものである。HLMは、NADPH再生系の存在下(+N)または非存在下(-N)で10μMの濃度の試験化合物と30分間プレインキュベートし、10倍に希釈し、NADPH再生系の新しいアリコートを加えて基質カクテルの存在下で8分間インキュベートすることができる。代謝産物標準の検量線を使用して、LC-MS/MSを使用して酵素活性を定量的に測定することができる。加えて、陽性対照として使用される、既知の時間依存性阻害剤、チエニル酸(CYP2C9)、チクロピジン(CYP2C19)、パロキセチン(CYP2D6)、及びトロレアンドマイシン(CYP3A4)とのインキュベーションは、NADPH再生系の有無にかかわらずに30分間プレインキュベートされる。
【0326】
分析システムは、Shimadzu LC-30ADバイナリーポンプシステム及びSIL-30ACオートサンプラー(Shimadzu Scientific Instruments,Columbia,MD)と結合したApplied Biosystems(Foster City,CA)製のSciex Triple Quad 6500+質量分析計で構成される。試験化合物及び内部標準のクロマトグラフィー分離は、ACQUITY UPLC BEH 130A、2.1×50mm、1.7μm HPLCカラム(Waters Corp,Milford,MA)を使用して達成することができる。移動相Aは、水中の0.1%ギ酸で構成され、移動相Bは、アセトニトリル中の0.1%ギ酸で構成される。総LC-MS/MS実行時間は、0.9mL/分の流速で2.50分である。ピーク面積の積分及びピーク面積比の計算はApplied Biosystems製のAnalystソフトウェア(バージョン1.6.3)を使用して行う。
【0327】
NADPHとの化合物のプレインキュベーション後の対照のCYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、及びCYP3A4の残存活性の割合を、対応する対照ビヒクル活性について補正し、次いで、0分を100%として算出する。各アイソザイムについての残存活性%の自然対数の時間に対する線形回帰プロットを使用して傾きを算出する。-傾きは、酵素損失の速度、またはKobsに等しい。
【0328】
本明細書に説明されているものに加えて、本発明の種々の修正は前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本出願で引用された、限定されないが、全ての特許、特許出願、及び刊行物を含む各参考文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】