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特表2024-537838フォトニックデバイスのパターニング方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】フォトニックデバイスのパターニング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241008BHJP
   H01L 27/15 20060101ALI20241008BHJP
   G02F 1/035 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L27/15 C
G02F1/035
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519983
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022045522
(87)【国際公開番号】W WO2023056086
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/251,135
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522387685
【氏名又は名称】サイクアンタム コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コヴァル,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】フェンリッチ,コリーン シャン
【テーマコード(参考)】
2K102
5F004
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA28
2K102DA05
2K102DB04
2K102EA02
2K102EA08
2K102EA12
2K102EA16
5F004AA09
5F004BA09
5F004BA11
5F004BA14
5F004BA20
5F004BB13
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA04
5F004DA11
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB12
5F004EA06
5F004EA07
5F004EA10
5F004EA28
(57)【要約】
エッチング方法は、チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、パターニングされたマスキング層を金属酸化物層上に形成することと、異方性ドライエッチングプロセスを実行して、パターニングされたマスキング層によって覆われていない領域における金属酸化物層をエッチングすることと、等方性ウェットエッチングプロセスを実行して、異方性ドライエッチングプロセスによって除去されていない残留物を除去し、パターニングされた金属酸化物層を形成することとを含む。
【選択図】 図12C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、
パターニングされたマスキング層を前記金属酸化物層上に形成することと、
異方性ドライエッチングプロセスを実行して、前記パターニングされたマスキング層によって覆われていない領域における前記金属酸化物層をエッチングすることと、
等方性ウェットエッチングプロセスを実行して、前記異方性ドライエッチングプロセスによって除去されていない残留物を除去し、パターニングされた金属酸化物層を形成することと、
を含む、エッチング方法。
【請求項2】
前記等方性ウェットエッチングプロセスは、前記パターニングされたマスキング層の部分の下の前記金属酸化物層において、アンダーカットされたエッチング領域を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異方性ドライエッチングプロセスは、反応性イオンエッチング(RIE)、容量結合プラズマRIE、誘導結合プラズマRIE、電子サイクロトロン共鳴RIE、中性線密度RIE、磁気強化RIE、イオンミリング若しくはイオンビームエッチング、又はガスクラスターイオンビームエッチングのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記異方性ドライエッチングプロセスは、Ar、BCl、Cl、CHClF、CHClF、C、C、C、CF、CH、CHF、SF、HBr、又はNFを含む少なくとも1つのエッチャント剤を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのエッチャント剤は、O、H、He、N、CO、又はそれらの混合物のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記異方性ドライエッチングプロセスは、ドライプラズマエッチングプロセス又はイオンビームエッチングプロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記等方性ウェットエッチングプロセスは、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムを使用する緩衝フッ化水素酸、緩衝酸化物エッチ液、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化アンモニウム、又はそれらの混合物を含む少なくとも1つのエッチャント剤を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記残留物は、バリウム化合物又はストロンチウム化合物のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記パターニングされたマスキング層は、フォトレジストを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記等方性ウェットエッチングプロセスを実行する前に前記パターニングされたマスキング層を除去することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パターニングされた金属酸化物層は、テーパー状の側壁を有するリッジ部分と、前記基板上の前記リッジ部分の各側に位置する水平層部分とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パターニングされた金属酸化物層は、マッハツェンダー干渉計の導波路層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属酸化物層は前記チタン酸バリウム層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記水平層部分上に第1の電極及び第2の電極を形成することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属酸化物層は前記チタン酸ストロンチウム層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記金属酸化物層を形成する前記ステップは、前記チタン酸ストロンチウム層を基板上に形成し、前記チタン酸バリウム層を前記チタン酸ストロンチウム層上に形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記パターニングされた金属酸化物層は、前記チタン酸ストロンチウム層上に位置するテーパー状の側壁を有するチタン酸バリウムリッジ部分を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チタン酸バリウムリッジ部分は、マッハツェンダー干渉計の導波路層を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、
パターニングされたマスキング層を前記金属酸化物層上に形成することと、
第1の異方性ドライエッチングプロセスを実行して、前記パターニングされたマスキング層によって覆われていない領域における前記金属酸化物層をエッチングすることと、
前記第1の異方性ドライエッチングプロセスよりも高いイオン衝撃を有する第2の異方性ドライエッチングプロセスを実行して、前記第1の異方性ドライエッチングプロセスによって除去されていない残留物を除去し、パターニングされた金属酸化物層を形成することと、
を含む、エッチング方法。
【請求項20】
前記パターニングされたマスキング層は、フォトレジストを含み、前記残留物は、バリウム化合物又はストロンチウム化合物のうちの少なくとも一方を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における実施形態は、包括的には、材料をエッチングして、移相器及びスイッチ等の電気光学デバイスのコンポーネントを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学(EO:electro-optic)変調器及び光スイッチは、光信号の制御及び操作に有用なコンポーネントである。いくつかのEO変調器は、自由キャリア電界屈折、自由キャリア電界吸収、ポッケルス効果、又はDCカー効果を利用して、動作中に光学特性を変更し、例えば、EO変調器又はスイッチを通って伝播する光の位相を変化させる。光位相変調器は、集積光学システム、導波路構造体、集積オプトエレクトロニクス等において使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
EO変調器及びスイッチの分野において行われている進歩にかかわらず、EO変調器、スイッチ、及び関連デバイスにおいて使用されるウェハースタックをパターニング及びエッチングすることに関連した方法及びシステムの改良が継続して必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態のエッチング方法は、チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、パターニングされたマスキング層を前記金属酸化物層上に形成することと、異方性ドライエッチングプロセスを実行して、前記パターニングされたマスキング層によって覆われていない領域における前記金属酸化物層をエッチングすることと、等方性ウェットエッチングプロセスを実行して、前記異方性ドライエッチングプロセスによって除去されていない残留物を除去し、パターニングされた金属酸化物層を形成することとを含む。
【0005】
更なる実施形態のエッチング方法は、チタン酸バリウム層又はチタン酸ストロンチウム層を含む金属酸化物層を基板上に形成することと、パターニングされたマスキング層を前記金属酸化物層上に形成することと、第1の異方性ドライエッチングプロセスを実行して、前記パターニングされたマスキング層によって覆われていない領域における前記金属酸化物層をエッチングすることと、前記第1の異方性ドライエッチングプロセスよりも高いイオン衝撃を有する第2の異方性ドライエッチングプロセスを実行して、前記第1の異方性ドライエッチングプロセスによって除去されていない残留物を除去し、パターニングされた金属酸化物層を形成することとを含む。
【0006】
本明細書に援用されて本明細書の一部をなす添付図面は、本開示の例示の実施形態を示し、上記に示した一般的な説明及び下記に示す詳細な説明とともに、本開示の特徴を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、様々な実施形態による、光スイッチを示す簡略化した概略図である。
図2図2は、様々な実施形態による、スタック層を含む事前に製作されたウェハーの概略図である。
図3A図3Aは、様々な実施形態による、誘導電界の方向を示す導波路構造体の断面を示す簡略化した概略図である。
図3B図3Bは、様々な実施形態による、導波路構造体の断面を示す簡略化した概略図である。
図4図4は、様々な実施形態による、導波路構造体の上面図を示す簡略化した概略図である。
図5図5は、様々な実施形態による、ウェハーエッチング装置の概略図である。
図6図6は、イオンミリングエッチング手順の概略説明図である。
図7図7は、様々な実施形態による、イオン化した部分ガス混合物を使用して電気光学層をエッチングする概略説明図である。
図8図8は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる薄いSiOハードマスクの概略説明図である。
図9図9は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる薄いSiハードマスクの概略説明図である。
図10図10は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる厚いSiOハードマスクの概略説明図である。
図11図11は、様々な実施形態による、ウェハーをエッチングするのに使用することができる厚いSiハードマスクの概略説明図である。
図12A図12Aは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成において使用することができる中間構造体の縦断面図である。
図12B図12Bは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成において使用することができる更なる中間構造体の縦断面図である。
図12C図12Cは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成において使用することができる更なる中間構造体の縦断面図である。
図13A図13Aは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの縦断面図である。
図13B図13Bは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
様々な実施形態が添付図面を参照して詳細に説明される。図面は、必ずしも一律の縮尺ではなく、本開示の様々な特徴を示すことを目的としている。図面の全体を通して同じ又は同様の部分を参照するには、可能な限り同じ参照符号が使用される。特定の例及び実施態様に行われる参照は、例示を目的としたものであり、本開示の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものでない。
【0009】
「第1」、「第2」等の用語が、いくつかの場合において、様々な要素を説明するために本明細書において使用されるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきでないことも理解されるであろう。これらの用語は、或る要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、説明される様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の電極層を第2の電極層と呼ぶことができるし、同様に、第2の電極層を第1の電極層と呼ぶこともできる。第1の電極層及び第2の電極層はともに電極層であるが、同じ電極層ではない。
【0010】
開示される実施形態は、光学システムのコンポーネントを構築するエッチング方法及びパターニング方法に関する。例示の実施形態は、アクティブ光学デバイスを含む集積光学システムに関するものが提供されるが、本開示は、そのような例に限定されるものではなく、様々な光学システム及び光電子システムへの広い適用性を有する。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、本明細書において説明されるアクティブフォトニックデバイスは、半導体における自由キャリア誘導屈折率変化、ポッケルス効果、及び/又はDCカー効果等の電気光学効果を利用して、光信号の変調及び/又はスイッチングを実施する。したがって、実施形態は、透過光がON又はOFFのいずれかに変調されるか、又は光が透過率の部分的変化によって変調される双方の変調器、並びに、透過光が第1の出力(例えば、導波路)若しくは第2の出力(例えば、導波路)上に出力される光スイッチ又は3つ以上の出力及び2つ以上の入力を有する光スイッチに適用可能である。したがって、本開示の実施形態は、本明細書において論述される方法、デバイス、及び技法を利用するM(入力)×N(出力)システムを含む様々なシステム構成に適用可能である。いくつかの実施形態は、スイッチ又は変調器内で使用することができる本明細書において位相調整セクションとも呼ばれる電気光学移相器デバイスにも関する。
【0012】
図1は、様々な実施形態による、光スイッチを示す簡略化した概略図である。図1を参照すると、スイッチ100は、入力1及び入力2の2つの入力と、出力1及び出力2の2つの出力とを含む。一例として、スイッチ100の入力及び出力は、シングルモード光ビーム又はマルチモード光ビームをサポートするように構成された光導波路として実施することができる。一例として、スイッチ100は、50/50ビームスプリッター105及び107のセットとそれぞれ結合されたマッハツェンダー干渉計として実施することができる。図1に示すように、入力1及び入力2は、方向性結合器とも呼ばれる第1の50/50ビームスプリッター105に光学的に結合される。第1の50/50ビームスプリッター105は、入力1又は入力2からの光を受光し、当該50/50ビームスプリッター内のエバネッセント結合を通じて、入力1からの入力光の50%を導波路110に誘導し、入力1からの入力光の50%を導波路112に誘導する。同時に、第1の50/50ビームスプリッター105は、入力2からの入力光の50%を導波路110に誘導し、入力2からの入力光の50%を導波路112に誘導する。入力1からの入力光のみを考えた場合に、この入力光は、導波路110と導波路112との間で均等に分割される。
【0013】
マッハツェンダー干渉計120は、位相調整セクション122を含む。位相調整セクション122内の導波路が制御可能に変更される屈折率を位相調整セクション122において有することができるように、この導波路の両端に電圧Vを印加することができる。導波路110及び112内の光は、第1の50/50ビームスプリッター105を通過伝播した後も、明確に定義された位相関係(例えば、同相である場合、180度異相である場合等)を引き続き有することがあるので、位相調整セクション122における位相調整によって、導波路130内を伝播する光と導波路132内を伝播する光との間に所定の位相差を導入することができる。導波路130内を伝播する光と導波路132内を伝播する光との間の位相関係によって、出力光は出力1に存在する場合もあるし(例えば、光ビームが同相である場合)、出力2に存在する場合もあり(例えば、光ビームが異相である場合)、それによって、光が位相調整セクション122に印加される電圧Vの関数として出力1又は出力2に誘導されるようなスイッチ機能が提供される。図1には単一のアクティブアームが示されているが、他の実施形態では、マッハツェンダー干渉計の双方のアームが位相調整セクションを含むことができる。
【0014】
図1に示すように、全光学式スイッチ技術と比較して、電気光学スイッチ技術は、スイッチのアクティブ領域の両端に印加される電気バイアス(例えば、図1におけるV)を使用して光学的変化を生み出す。この電圧バイアスの印加によって誘導される電界及び/又は電流は、屈折率又は吸光度等のアクティブ領域の1つ以上の光学特性の変化を引き起こす。マッハツェンダー干渉計を実装したものが図1に示されているが、本開示は、この特定のスイッチアーキテクチャに限定されるものではなく、リング共振器設計、マッハツェンダー変調器、一般化されたマッハツェンダー変調器等を含む他の位相調整デバイスも、本開示の範囲内に含まれる。
【0015】
図1に示す光スイッチは、ウェハーからパターニングされた導波路構造体を含むことができる。図2は、ウェハー製造業者から受け取ることができ、本明細書に説明される実施形態に従ってエッチングされて導波路構造体を製造することができる一例示のウェハーを示している。図2は、様々な実施形態による、本明細書に説明される様々なデバイスの製作プロセスの一部として受け取ることができる層スタックを含む第1のウェハーの断面を示している。図示するように、第1の絶縁基板層202はシード層204の下に(任意選択で)配置することができ、シード層204は電気光学層206の下に配置され、電気光学層206は電極層208の下に(任意選択で)配置され、電極層208は第2の絶縁基板層210の下に(任意選択で)配置される。或いは、電極層208は、電気光学層206と第1の絶縁基板層202との間に配置されてもよい。図2は、5つの層202~210のそれぞれが存在することを示しているが、これらの層のうちの任意の1つ以上は、様々な実施形態では存在しなくてもよい。換言すれば、第1のウェハーは、使用される特定の製作方法に応じて様々なタイプのものとすることができ、シード層、電極層、及び第2の基板層は、所望に応じて任意選択で存在する場合もあるし、存在しない場合もある。図2に示す層のうちの1つ以上は、本明細書に説明される実施形態に従って、化学的にエッチングされて電気光学コンポーネントを製造することができる。
【0016】
ウェハーの層のそれぞれは、様々なタイプの材料のうちの任意のものとすることができる。例えば、電極層208は、金属等の導電性材料を含むこともできるし、代替的に、半導体材料から構成することもできる。様々な実施形態において、電極層は、ガリウムヒ素(GaAs)、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)/GaAsヘテロ構造体、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)/GaAsヘテロ構造体、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化インジウム(InO)、ドープシリコン、チタン酸ストロンチウム(STO)、ドープSTO、チタン酸バリウム(BTO)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、酸化ハフニウム、ニオブ酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコニウムランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸ストロンチウムバリウム(SBN)、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、それらのドープ変異体若しくは固溶体、又は2次元電子ガスのうちの1つを含むことができる。電極層がドープSTOを含むことができる実施形態の場合に、STOは、様々な実施形態に従って、ニオブドープされたもの若しくはランタンドープされたもの、又は、空格子点を含むもののいずれかとすることができる。
【0017】
様々な実施形態では、電気光学層206は、STO、BTO、BST、酸化ハフニウム、ニオブ酸リチウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化グラフェン、酸化タンタル、PZT、PLZT、SBN、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、又はそれらのドープ変異体若しくは固溶体のうちの1つ以上を含むことができる。電気光学層は、いくつかの実施形態では、第1の絶縁基板層及び第2の絶縁基板層の屈折率よりも大きな屈折率を有する透明な材料から構成することができる。
【0018】
図3Aは、いくつかの実施形態による、一例示の完成した導波路構造体の断面を示す簡略化した概略図である。図3Aにおいて、誘導電界の方向が矢印を用いて示されている。図3Aに示す導波路構造体は、本明細書において説明される実施形態のエッチング技法を実行することによって図2に示すウェハーから製作することができる。図3Aは、2つの電気接点を示しており、各電気接点は、電極(340及び342)に接続されたリード(330及び332)を含む。本明細書において使用される場合、用語「電極」は、(例えば、導波路構造体の両端の電圧降下を変更し、フォトニックスイッチを作動させるために)導波路構造体に直接結合するデバイスコンポーネントを指すことに留意されたい。さらに、用語「リード」は、電極をデバイスの他のコンポーネントに結合するバックエンド構造体を指すことができる(例えば、リードは、電極を制御可能電圧源に結合することができる)が、波路構造体から隔離され、波路構造体に直接結合していない。いくつかの実施形態では、リードは、金属(例えば、銅、金等)、又は代替的に半導体材料から構成することができる。
【0019】
図示するように、図3Aは、導波路の両側に第1のクラッド層310及び第2のクラッド層312を含むフォトニックデバイスを示している。用語「第1」及び「第2」は、2つのクラッド層を単に区別することを意図したものであり、例えば、用語「第1のクラッド層」は、導波路のいずれかの側のクラッド層を指すことができることに留意されたい。
【0020】
図3Aは、第1の電気接点の第1の電極と第2の電気接点の第2の電極とに結合された第1の材料を含むスラブ層320を更に示している。いくつかの実施形態では、導波路構造体は、第1の材料(又は異なる材料)から構成されるとともにスラブ層に結合されたリッジ部分351を更に含み、このリッジ部分は、第1の電気接点と第2の電気接点との間に配置されている。
【0021】
図3Aに示すように、小さな矢印は、一般にデバイスの電極を通る正のx方向に沿った向きを示す誘導電界方向を示している。電界は、図示するように、電極の上方及び下方の双方において凸状に湾曲している。さらに、正のx方向に向いている大きな矢印350は、スラブ層及び導波路を通って進むことができる光学モードの偏光の方向を示している。
【0022】
図3Bは、導波路構造体351のリッジ部分がスラブ層の上部側に配置されるとともに第1のクラッド層312内に延在し、第1の電極及び第2の電極が上部側の反対側のスラブ層の底部側においてスラブ層に結合されているアーキテクチャを示している。図示するように、リッジ部分及びスラブ層を組み合わせたものは、スラブ層320単独の第2の厚さ360よりも厚い第1の厚さ362を有し、第2の厚さに対する第1の厚さの超過分は、スラブ層320の上部側において第1のクラッド層312内に延在する。図3Bに示すように、第1の電極340及び第2の電極342は、上部側の反対側のスラブ層の底部側においてスラブ層320に結合することができる。さらに、第1の電気接点330は、スラブ層の上部側からスラブ層の底部側にスラブ層320を貫通することによって第1の電極340に結合することができ、第2の電気接点332は、スラブ層の上部側からスラブ層の底部側にスラブ層320を貫通することによって第2の電極342に結合することができる。
【0023】
図4は、本明細書において説明される実施形態に従ってパターニングすることができる図3A及び図3Bのフォトニック移相器アーキテクチャの上下図である。図示するように、この移相器は、第1のリード430及び第2のリード432と、第1の電極440及び第2の電極442と、スラブ(例えば、導波路)層420と、導波路構造体のリッジ部分451とを含むことができる。
【0024】
図5は、いくつかの実施形態による、ウェハーエッチング装置600を示す概略図である。図示するウェハーエッチング装置は、ウェハーエッチング装置の1つの例である。他の実施形態では、様々な他のタイプの装置を使用して、本明細書において説明されるエッチングプロセスを実行することができる。図示するように、エッチングプロセスチャンバー602の上部を通してプロセスガス(特に、例えばHBr及びClの組み合わせ)を挿入することができ、シャワーヘッド604を使用してチャンバーの上部領域にわたって分散させることができる。図示するように、チャンバー602の周りに巻回されたインダクターコイル606が、高速振動磁界をチャンバー602内に導入するように構成された高周波(HF:high frequency)無線周波数(RF:radio frequency)ジェネレーター(例えば、60MHzRFジェネレーター)608に接続されている。
【0025】
誘導された振動磁界は、プロセスガスと相互作用して、このガスをイオン化することができる。チャンバー602の底部では、低周波(LF:low frequency)RFジェネレーター(例えば、通常は13.5MHzジェネレーター、又は別の周波数)610を台座612に容量結合して、振動容量性電荷を台座の上面に導入することができる。このLF振動電荷は、イオン化したガス粒子を下方に加速し、台座612上に位置決めされたウェハー(例えば、エッチング対象の1つ以上の層を含む基板)614と衝突させて、ウェハーを化学的にエッチングする。最後に、化学エッチング反応のガス状化学副生成物を、チャンバー602の底部にある低強度ポンプ616を通じて抜くことができる。
【0026】
上述した電気光学システムのコンポーネントの構築は、ウェハーを導波路構造体等の電気光学コンポーネントに変更するエッチングプロセスを伴うことができる。ウェハーエッチングの従来の方法は限界を呈し、本明細書における実施形態は、ウェハーエッチングの改良された方法を提示する。
【0027】
図6は、BTO(すなわち、BaTiO)をエッチングするイオンミリング方法を示している。BTOは、プラズマエッチングにおいて一般に使用されるハロゲン化合物であるフッ素又は塩素を有する揮発性の副生成物を形成しないので、BTOは、反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etch)を使用してパターニングするには難しい材料である。従来のフッ素及び塩素を使用してBTOをエッチングする化学副生成物は、約1500℃未満では不揮発性である。したがって、これらの副生成物は、RIEチャンバー内で利用可能な温度及び圧力においてウェハーから脱着しない場合がある。結果として、図6に示すように、BTO層20をパターニングするいくつかのこれまでの実施態様は、緩慢であり且つマスク(例えば、酸化ケイ素ハードマスク)22に対する選択性をほとんど有していないプロセスであるアルゴンを使用するイオンビームエッチングに集中していた。イオンミリング中、アルゴンイオンは、BTO表面に向けて加速され、バリウム原子及びチタン原子を物理的に取り除く。これらの原子は、その後、排出管を通ってポンプ排出される。しかしながら、エッチングされた原子は、多くの場合に、ウェハーの表面上の他の箇所に再付着して、望ましくない欠陥を引き起こす場合がある。加えて、イオンミリングは、ハードマスクを効果的に利用するためには、ハードマスク22が所望のパターニングの深さよりも厚いことが必要とされることがあり、その結果、材料コスト及びエッチング時間が増加し得ることから非選択的である。
【0028】
これらの懸念事項及び他の懸念事項に対処するために、本明細書における実施形態は、BTO層20が臭化水素(HBr)及び塩素(Cl)の混合物を使用してエッチングされて、それぞれ揮発性副生成物BaBr及びTiClを形成する方法を提供する。図7に示すように、HBr及びClの部分ガス混合物がイオン化し、このイオン化したガスが、BTOをエッチングするのに使用される。BaBrは、従来のRIEチャンバーの十分実現可能な範囲内にある1気圧における120℃において揮発性になる。様々な実施形態では、ウェハーをパターニングするために、SiOハードマスク22又はSiハードマスク24とのいくつかの統合方式を使用することができる。その理由は、双方の材料が、HBr/Cl含有化学反応に適合しているからである。
【0029】
いくつかの実施形態では、酸素イオン、水素イオン、及び/又はアルゴンイオンがプラズマに存在することによって、BaBrの形成を援助することができる。酸素イオン、水素イオン、及び/又はアルゴンイオンは、イオンミリングに使用されるエネルギーと比較してより低いエネルギーで表面に向けて加速することができる。Brラジカル及びClラジカルは、電気的に中性であり、ウェハー表面に拡散することができる。双方の副生成物は、ウェハー表面から容易に脱着し、ウェハー上に再付着することなくチャンバー外にポンプ排出することができる。
【0030】
付加的な利点は、HBr/Cl混合物がSiOハードマスク又はSiハードマスクに対して選択的であることである。BTOのエッチング速度も、化学的支援エッチングを使用すると、物理的なイオンミリングプロセスと比較してより高速であり、化学的支援エッチングは、ラインエッジラフネスをもたらすストリエーションのリスクがより低い。図8図11は、様々な実施形態による、電気光学層をパターニングするときにハードマスクを利用する種々の方法を示している。
【0031】
図8は、BTO層20をパターニングするためのSiOのハードマスク22の利用を示している。1つの実施形態では、BTO層20は、図3Bのデバイスにおけるスラブ/リッジ電気光学層320として使用することができる。SiOハードマスク22は、この材料がHBrベースのプラズマ内でSiOに対して高い選択性を示すことから選択される。ハードマスク22は、事前のステップにおいてパターニングしておくことができる。任意選択で、STO層40をBTO層20の下に配置することができる。STO層40は、図3Bの誘電体電極340、342を形成するのに使用することができる。STO層40は、イオンミリング等の任意の適した方法によってBTO層20を形成する前にパターニングすることができる。任意選択のSTO層40及びBTO層20は、図2に関して上述した二酸化ケイ素層又は窒化ケイ素層等の絶縁基板層202上にわたって形成することができる。
【0032】
絶縁基板層202は、その後除去される一時的な層である場合もあるし、最終的な電気光学デバイスにクラッド層として保持される場合もある。さらに、シード層204も、上述したようにBTO層20の下方に任意選択で形成することができる。シード層204は、その後除去される場合もあるし、最終的な電気光学デバイスに保持される場合もある。図示するように、BTO層20は、HBr/Cl化学反応を使用してエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、Oが、SiOハードマスク22に対する選択性及びプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、イオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。
【0033】
図9は、BTO層20をパターニングするための窒化ケイ素(Si)のハードマスク24の利用を示している。窒化ケイ素は、SiOハードマスク22の場合と同様の高い選択性をもたらすHBrを用いてエッチングすることが困難である点で二酸化ケイ素と類似しており、BTO層20は、HBr/Cl化学反応を使用してエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、Oがプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、SiOハードマスクの場合と全く同様にイオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。
【0034】
図10は、いくつかの実施形態においてBTO層20をパターニングするのに使用することができる図8に示すものと同様のSiOのハードマスク22を示している。ハードマスク22は、エッチングの深さが増加していることに起因して図8よりも厚くなっている。BTO層20及びSTO層40は、HBr/Cl化学反応を使用してともにエッチングされるか、又は、任意選択で、BTO層20がHBr/Cl化学反応を使用してエッチングされた後にイオンミリングを使用してSTO層40をエッチングすることによってエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、Oが、SiOハードマスク22に対する選択性及びプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、イオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。この実施形態では、全BTOスタックがエッチングされ、プロセスは、下に位置するSiO絶縁基板層202上で停止する。
【0035】
図11は、BTO層20をパターニングするのに使用することができる図9に示すものと同様のSiのハードマスク24を示している。ハードマスク24は、エッチングの深さの増加に対応するために図9に示すものよりも厚くなっている。BTO層20及びSTO層40は、HBr/Cl化学反応を使用してともにエッチングされるか、又は、任意選択で、BTO層20がHBr/Cl化学反応を使用してエッチングされた後にイオンミリングを使用してSTO層40をエッチングすることによってエッチングされる。2つの主要なエッチングガスに加えて、Oが、窒化ケイ素ハードマスク22に対する選択性及びプロファイル制御のために追加され、アルゴンが、イオン衝撃の形でエネルギーを供給するために追加される。この実施形態では、全BTOスタックがエッチングされ、プロセスは、下に位置するSiO絶縁基板層202上で停止する。
【0036】
BTO層20のエッチングについて本明細書において説明される実施形態は、フッ素と混合されたアルゴンイオンを使用するイオンミリング等の既存の方法を上回る利点をもたらす。本明細書における実施形態によって生成される副生成物は、表面から容易に脱着するので、製造されるウェハー(すなわち、エッチングされたBTO層20を支持する絶縁基板層202)は、イオンミリングプロセスを用いて製造されたウェハーと比較して欠陥がより少ない状態で図5に示すプロセスチャンバー602から出ることができる。加えて、化学的支援エッチングは、より高速なエッチング速度を有し、その結果、処理時間はより短くなる。さらに、いくつかの実施形態に従って説明されるエッチング方法は、プロセスの改良された制御を可能にする圧力、電力及びガス組成等のより多くの調整可能パラメーターを有することができる。本明細書における実施形態は、ハードマスクに対する改良された選択性を提供し、プロセス統合を簡単化する。本明細書において説明される化学エッチング方法は、イオンミリングよりも物理的でなく、ラインエッジラフネスを更に引き起こすストリエーション及びエッジチャネリング(edge channeling)のリスクを低減する。
【0037】
いくつかの実施形態では、HBrは、空気からの湿気と反応してウェハー上に再付着する場合がある。この再付着は、時間依存性ヘイズと呼ばれ、ウェハークリーニング中に溶解することができる。いくつかの実施形態では、未処理のウェハーを処理済みのウェハーから物理的に分離することができる。これによって、ヘイズが未処理のウェハーの表面に付着してマイクロマスキングを引き起こすのを防止することができる。
【0038】
上述したように、従来のプラズマドライエッチングを使用したBTO及びSTOの薄膜及び材料のパターニングは、BTOが、プラズマエッチングにおいて一般に使用されるハロゲン化合物であるフッ素又は塩素を有する揮発性副生成物を形成しないので、Ba原子及びSr原子の除去には効果的でない場合がある。したがって、そのような従来の手法の使用は、高スパッター成分を有するプラズマドライエッチングを必要とする。しかしながら、そのようなプロセスを使用すると、マスク材料の侵食がより速くなり、したがって、マスクのエッチング選択性が低下する。この点に関して、高スパッターエッチングは、マイクロマスク欠陥、残渣、表面ラフネスを増加させるおそれがある。さらに、これは、Tiエッチング生成物の揮発性がより高いことに起因して、Ba又はSrよりもTiの優先的エッチングを引き起こすおそれがある。これらの問題を回避する1つの手法は、図7図11を参照して上述したように、HBr及びClに基づくエッチングプロセスを使用することである。代替の実施形態では、以下でより詳細に説明するように、2ステップドライ/ウェットエッチングを使用することができる。
【0039】
代替の実施形態は、第1のプラズマドライエッチングを使用してBTO/STO材料を高い忠実度でパターニングし、これに続いて、ウェットエッチングを使用し、水溶液に溶解することができるBa含有エッチング生成物及び/又はSr含有エッチング生成物(例えば、化学反応の結果としてのBa含有化合物残渣及び/又はSr含有化合物残渣)を作製することによってBa含有残渣及び/又はSr含有残渣を除去する。2ステップドライ/ウェットエッチングプロセスの使用は、ドライエッチング又はウェットエッチングのいずれかの個別の使用を上回る利点を有することができる。上述したドライエッチングの単独使用の欠点に加えて、ドライエッチング(例えば、イオンビームエッチング又はイオンミリング)は、遅いエッチング速度を有する場合があるとともに、300mmウェハーの製作に利用できない場合がある。等方性ウェットエッチングの単独使用は、粒界又は他の欠陥の優先的エッチングに起因して粗いラインエッジ特徴部をもたらす場合がある。さらに、厳格な限界寸法(CD:critical dimension)及びプロファイル制御(側壁角等)を維持することが、ウェットエッチング速度変動及び等方性挙動に起因して困難である場合がある。
【0040】
BTO及び/又はSTO薄膜(すなわち、層)パターニングは、マスキング層を使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、フォトレジストをマスキング層として使用することができる一方、他の実施形態では、他の適したマスキング材料(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、金属、炭素等のハードマスク)を使用してもよい。マスキング層によって覆われていないBTO膜又はSTO膜の部分は、化学反応若しくは物理的衝撃のいずれか、又はこれらの2つのプロセスの組み合わせを受けて、BTO膜を除去することができる。1つの実施形態では、BTO膜又はSTO膜のマスキングされていない部分は、膜又はプロセスの副生成物を何ら残すことなく、2ステップドライ/ウェットエッチングプロセスを使用して完全に又は部分的にエッチングすることができる。
【0041】
第1のステップにおいて、異方性エッチングプロセスであるプラズマドライエッチングプロセスを使用してパターニング構造を規定することができる。そのような異方性エッチングを使用すると、マスク材料によって規定されるCDを維持することができるとともに、マスク材料のエッジの低いエッジラフネスによって規定される低いラインエッジラフネスを生成することができる。プラズマドライエッチングは、エッチングされたエリアに留まるBa含有残渣及び/又はSr含有残渣(例えば、BaF、BaCl、SrF及び/又はSrCl等のBa含有化合物及び/又はSr含有化合物)を効果的に除去しない場合があるので、BTO及びSTOもエッチングするウェットエッチング化学反応を含む第2のステップを適用して、Ba含有残渣及び/又はSr含有残渣の取り除き、Ba化合物若しくはSr化合物の溶解、又はBa含有残渣及び/又はSr含有残渣の下にある膜の一部分のアンダーカットによって、残存するBa含有残渣及び/又はSr含有残渣を溶解して除去することができる。ウェットエッチングは、任意選択で酸又は酸化剤のうちの少なくとも一方を含有するハロゲン含有エッチャント化学反応を含むことができる。ただし、非ハロゲン含有エッチャント化学反応も使用することができる。
【0042】
図12Aは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成に使用することができる中間構造体1200aの縦断面図である。中間構造体1200aは、基板202上に形成される電気光学層20Lを含むことができる。電気光学層20Lは、ブランケット(すなわち、パターニングされていない)層として堆積させることができ、上述したように、BTO又はSTO等の電気光学材料を含むことができる。中間構造体1200aは、フォトレジストマスキング層26等のパターニングされたマスキング層を更に含むことができる。或いは、上述したSiOハードマスク22又はSiハードマスク24が、マスキング層として代わりに使用されてもよい。パターニングされたフォトレジスト26は、フォトレジスト材料のブランケット層(図示せず)を堆積させ、フォロリソグラフィ技法を使用してフォトレジスト材料をパターニングし、パターニングされたフォトレジスト26を形成することによって形成することができる。パターニングされたフォトレジスト26は、その後、マスク層として使用され、電気光学層20Lを選択的にエッチングすることができる。
【0043】
図12Bは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成に使用することができる中間構造体1200bの縦断面図である。図12Bの中間構造体1200bは、第1のドライエッチングプロセスが図12Aの電気光学層20Lに対して実行された後に形成することができるエッチングされた電気光学層20を含む。この実施形態では、ドライエッチングは、電気光学層20Lのマスキングされていない部分の厚さ全体を貫通してエッチングする前及び基板202の表面に達する前に停止される場合がある。図12Bに示すように、エッチングされた電気光学層20は、Baコンポーネント及び/又はSrコンポーネント(例えば、Ba残渣及び/又はSr残渣)の不完全な除去に起因して、様々な表面欠陥1208を含む場合がある。以下で図12Cを参照してより詳細に説明するように、その後、ウェットエッチングプロセスを実行して、表面欠陥1208を除去することができるとともに、エッチングされた電気光学層20を更にエッチングすることができる。
【0044】
図12Cは、様々な実施形態による、光学コンポーネントの形成に使用することができる中間構造体1200cの縦断面図である。図12Cに示すように、ウェットエッチングプロセスを使用して、ドライエッチングプロセスによって後に残された表面欠陥1208を除去することができる。この実施形態では、ウェットエッチングは、電気光学層20のマスキングされていない部分の厚さ全体を貫通してエッチングする前及び基板202の表面に達する前に停止される場合がある。上述したように、ウェットエッチングは、異方性エッチングであるドライエッチングと対照的に等方性エッチングである。したがって、図12Cに示すように、ウェットエッチングは、パターニングされたフォトレジスト26の下のエッチングされた電気光学層20の部分を除去することができ、それによって、テーパー状の側壁20Sを有するアンダーカットされた領域を生成する。
【0045】
図13Aは、一実施形態による、光学コンポーネント1300aの縦断面図である。光学コンポーネント1300aは、図12A図12Cを参照して上述したプロセスを使用して形成することができる。この点に関して、第1のドライエッチングプロセスを中間構造体1200a(例えば、図12A参照)に対して実行して、図12Bの中間構造体1200bを生成することができる。その後、ウェットエッチングプロセスを中間構造体1200bに対して実行して、表面欠陥1208を除去するとともに、パターニングされたフォトレジスト26の下にあるエッチングされた電気光学層20の部分を等方的にエッチングすることができる。図13Aのエッチングされた電気光学層20は、テーパー状の側壁20Sを有するリッジ部分20Rと、基板202上のリッジ部分20Rの各側に位置する水平層部分20Hとを含むことができる。少なくともリッジ部分20Rは、光学コンポーネント1300aにおける導波路として機能することができる。電気光学コンポーネント1300aは、その後、パターニングされたフォトレジスト26を(例えば、化学溶剤を用いて又は灰化によって)除去するとともに、エッチングされた電気光学層20の水平部分20H上に第1の電極340及び第2の電極342を形成することによって形成することができる。
【0046】
図13Bは、代替の実施形態による、光学コンポーネント1300bの縦断面図である。この実施形態では、電気光学層20はBTO層を含み、追加のSTO層40が基板202とBTO層との間に形成される。この実施形態では、ドライエッチング及び/又はウェットエッチングが、電気光学層(例えば、BTO層)20のマスキングされていない部分の厚さ全体を貫通してエッチングすることができ、下にあるSTO層40の表面に達することができる。エッチングされた電気光学層20は、下にあるSTO層40上に位置するテーパー状の側壁20Sを有するリッジ部分20Rのみを含む。STO層40の部分が、誘電体電極として機能することもできるし、図13Bに示すように、追加の電極340、342をSTO層40上に形成することもできる。
【0047】
上述した2ステップエッチング方法は、ドライエッチングプロセス及びウェットエッチングプロセスの様々な技法を使用して実施することができる。例えば、ドライエッチングプロセスは、RIE、容量結合プラズマRIE、誘導結合プラズマRIE、電子サイクロトロン共鳴RIE、中性線密度RIE、磁気強化RIE、イオンミリング若しくはイオンビームエッチング、ガスクラスターイオンビームエッチング等を含むことができる。例示的なドライエッチャント剤は、Ar、BCl、Cl、CHClF、CHClF、C、C、C、CF、CH、CHF、SF、HBr、NF、及び/又はハロゲン含有エッチャント等を含むことができる。エッチャント剤は、上記で参照した材料の様々な組み合わせを更に含むことができる。これらの材料は、O、H、He、N、COを含むガスを追加したもの及び上述したエッチングガスとガスを追加したものとの組み合わせを更に含むことができる。
【0048】
例示的なウェットエッチャント剤は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムを使用する緩衝フッ化水素酸、緩衝酸化物エッチ液(BOE:buffered oxide etch)、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化アンモニウム、及び上記酸又は塩基の組み合わせを含むことができる。上述した酸又は塩基の上述した組み合わせは、過酸化水素等の酸化剤を更に含むことができる。
【0049】
他の実施形態では、様々な他のプロセスを使用することができる。例えば、第1のエッチングステップに、ドライプラズマエッチングではなくイオンビームエッチング(すなわち、マイクロマシニング)を使用することができる。上述した実施形態は、エッチングマスク26としてフォトレジストの使用を含む。代替的に、他の材料(例えば、酸化ケイ素又は窒化ケイ素等)をエッチングマスクに使用することができる。図12A図12Cの実施形態では、ウェットエッチングプロセスは、パターニングされたフォトレジストの除去前に実行されていた。代替的に、パターニングされたフォトレジストは、ウェットエッチングを実行する前に除去することができる。上述したように、残留エッチング生成物を除去するウェットエッチング化学反応を変更する多くの方法が存在する。上述した実施形態では、異方性ドライエッチングの後に等方性ウェットエッチングが続いていた。更なる実施形態では、異方性ドライエッチングの後に等方性ドライエッチングが続き、それによって、Ba及び/又はSrの下にある材料をアンダーカットすることができる。残留エッチング材料は、その後、液体を用いてサンプルをすすぐことによって除去することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、ドライエッチング前にウェットエッチングを行うことが有利な場合がある。この方法では、最初のウェットエッチングは、ドライエッチング前にエッチング表面をクリーニングするとともに、側壁20Sのテーパーの増加が所望される場合にはテーパーを増加させるように作用することができる。他の実施形態では、ドライ/ウェットエッチングの複数のシーケンス又は他のエッチングシーケンス(例えば、ドライ、ウェット、ドライ、ウェット;ドライ、ドライ;ウェット、ウェット;等)を実行することができる。
【0051】
例えば、化学ドライエッチング等の低イオン衝撃ドライエッチングを最初に行って、エッチングマスク26を維持することができる。スパッターエッチング又はイオンビームミリング等の高イオン衝撃エッチングを低イオン衝撃エッチングの後に行って、残渣を除去することができる。したがって、特に高イオン衝撃エッチングが、残渣を除去するためにのみ、低イオン衝撃エッチングよりも短い時間の間行われる場合には、高イオン衝撃エッチング中のエッチングマスク26の除去又は損傷は重大なものではない。
【0052】
したがって、様々な実施形態では、イオンビームエッチング、ドライエッチング、及びウェットエッチングの任意の直列の組み合わせを実行することができる。スプレーツール、ベイパーツール、エッチングバス等の様々なツールもウェットエッチングステップに使用することができる。
【0053】
上述した実施形態は、単一のドライエッチングプロセスしか使用しない従来の手法を上回る様々な利点をもたらす。2ステップエッチングプロセスでは、潜在的に低いエッジラフネスを有する限界特徴寸法を、ドライエッチングプロセスに続いてウェットエッチングプロセスを使用し、Ba及び/又はSrの非揮発化残留要素を除去して形成することができる。残渣をプラズマドライエッチングによって完全に除去する必要はないので、ハードマスク材料はドライエッチングステップに必要とされない。これは、ドライエッチングステップから残存するいずれの残渣もウェットエッチングステップによって除去することができるからである。したがって、フォトレジスト等の柔らかい除去可能なマスク材料をドライエッチングプロセスのマスクとして使用することができる。ハードマスクではなくフォトレジストの使用は、プロセスフローを単純化することができるという点で利点を有する。さらに、プラズマドライエッチングに続いて短いウェットエッチングを使用すると、材料の全厚さにウェットエッチングを使用することと比較して、パターンCD及びプロファイル制御を改善することができる。ウェットエッチングは、ドライエッチングに起因する表面ラフネスも改善することができる。ウェットエッチングプロセスの選択に関する柔軟性は、酸の選択、溶液組成、及び溶液濃度の最適化を可能にすることができる。
【0054】
上述したエッチング方法は、多くの用途において使用することができ、多くの用途には、フォトニクス(例えば、電気光学材料、酸化物ペロブスカイト材料を有するデバイス、光スイッチ、干渉計等);微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)(例えば、開示される実施形態を熱検出器において使用して、焦点面アレイ(FPA:focal plane array)及び酸化物ペロブスカイト材料を使用するボロメーターにおけるピクセルをエッチングすることができる);通信システム(例えば、開示される実施形態を使用して、リフレクトアレイアンテナをパターニングすることができる);メモリデバイス(例えば、開示される実施形態を使用して、薄膜キャパシター及び薄膜バラクター、例えば、BTO層、STO層、又はBST層を有するDRAMをパターニングすることができる);高k誘電体等が含まれる。
【0055】
前述の説明は、単に説明のための例として提供されているにすぎず、様々な実施形態のステップを提示された順序で実行しなければならないことを必要とすること又は意味することを意図するものではない。当業者であれば理解することができるように、前述の実施形態におけるステップの順序は、任意の順序で実行することができる。「それ以降」、「その後」、「次に」等の用語は、必ずしもステップの順序を限定することを意図するものではなく、これらの用語は、方法の説明を通して読み手を案内するのに使用することができる。さらに、例えば、「a」、「an」、又は「the」の冠詞を用いて、請求項の要素を単数にて参照する場合、それらの要素は単数に限定されるものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される任意の実施形態の任意のステップ又は構成要素を他の任意の実施形態において使用することができる。
【0056】
開示される態様のこれまでの説明は、当業者が開示される実施形態を実施及び/又は使用することを可能にするために提供されている。これらの態様に対する様々な変更は、当業者に直ちに明らかになるものであり、本明細書に定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の態様に適用することができる。したがって、本開示の実施形態は、本明細書に示された態様に限定されるように意図されておらず、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられることになる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
【国際調査報告】