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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】NKG2Aを標的化する癌療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20241008BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241008BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P35/00
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520011
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2022077455
(87)【国際公開番号】W WO2023057381
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21306386.0
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】500287019
【氏名又は名称】レ ラボラトワール セルヴィエ
【氏名又は名称原語表記】Les Laboratoires Servier
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ロージェル,ブリュノ
(72)【発明者】
【氏名】メランデル,エヴァ・マリア・カールセン
(72)【発明者】
【氏名】ナンシー-ポ-トボア,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】オカニャ・フェルナンデス,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ピエラ,マリー-ジャンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウーレンブロック,フランチスカ・カタリーナ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、場合により抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体及び/又は抗EGFR若しくは抗HER2抗体と組み合わせた、抗NKG2A抗体、並びにそれを必要とする患者における免疫の増強において及び癌の処置において、前記抗体又は抗体の組み合わせを使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に、
a)それぞれ配列番号9及び10又はそれぞれ配列番号19及び20の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトNKG2Aへの結合について競合若しくは交差競合するか、又はヒトNKG2Aのそれと同じエピトープに結合する、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、場合により、
b)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、或いはその抗原結合部分;並びに、場合により、
c)1つ若しくは2つの抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分、又は抗HER2抗体を含む、抗EGFR抗体成分
を投与することを含む、それを必要とするヒト患者において免疫を増強する方法。
【請求項2】
前記方法が、患者に、
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗NKG2A抗体の重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3が、
a)それぞれ配列番号1~6;又は
b)それぞれ配列番号11~16
のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
抗NKG2A抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)が、
a)それぞれ配列番号7及び8;又は
b)それぞれ配列番号17及び18
のアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抗NKG2A抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)が、
a)それぞれ配列番号9及び10;又は
b)それぞれ配列番号19及び20
のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
抗PD-1抗体の重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3が、
a)それぞれ配列番号21~26;
b)それぞれ配列番号31~36;
c)それぞれ配列番号41~46;
d)それぞれ配列番号51~56;
e)それぞれ配列番号61~66;又は
f)それぞれ配列番号71~76
のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
抗PD-1抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)が、
a)それぞれ配列番号27及び28;
b)それぞれ配列番号37及び38;
c)それぞれ配列番号47及び48;
d)それぞれ配列番号57及び58;
e)それぞれ配列番号67及び68;又は
f)それぞれ配列番号77及び78
のアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
抗PD-1抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)が、
a)それぞれ配列番号29及び30;
b)それぞれ配列番号39及び40;
c)それぞれ配列番号49及び50;
d)それぞれ配列番号59及び60;
e)それぞれ配列番号69及び70;又は
f)それぞれ、配列番号79及び80
のアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、又はレチファンリマブである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
抗PD-L1抗体の重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3が、
a)それぞれ配列番号81~86;
b)それぞれ配列番号91~96;又は
c)それぞれ配列番号101~106
のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
抗PD-L1抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)が、
a)それぞれ配列番号87及び88;
b)それぞれ配列番号97及び98;又は
c)それぞれ配列番号107及び108
のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗PD-L1抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)が、
a)それぞれ配列番号89及び90;
b)それぞれ配列番号99及び100;又は
c)それぞれ配列番号109及び110
のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗EGFR成分が、
a)それぞれ配列番号111~116;
b)それぞれ配列番号121~126;
c)それぞれ配列番号131~136;又は
d)それぞれ配列番号141~146
のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
抗EGFR成分が、
a)それぞれ配列番号117及び118;
b)それぞれ配列番号127及び128;
c)それぞれ配列番号137及び138;又は
d)それぞれ配列番号147及び148
のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
抗EGFR成分が、
a)それぞれ配列番号119及び120;
b)それぞれ配列番号129及び130;
c)それぞれ配列番号139及び140;又は
d)それぞれ配列番号149及び150
のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を有する抗EGFR抗体を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗EGFR成分が、それぞれ配列番号131~136のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号141~146のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3及びL-CDR1~3を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
抗EGFR成分が、それぞれ配列番号137及び138のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号147及び148のアミノ酸配列を含むVH及びVLを有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、請求書17に記載の方法。
【請求項19】
抗EGFR成分が、それぞれ配列番号139及び140のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を有する抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のアミノ酸配列を含むHC及びLCを有する抗EGFR抗体を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
抗EGFR成分が、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はフツキシマブ+モドツキシマブである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗HER2抗体の重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3が、
a)それぞれ配列番号151~156;又は
b)それぞれ配列番号161~166
のアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
抗HER2抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)が、
a)それぞれ配列番号157及び158;又は
b)それぞれ配列番号167及び168
のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抗HER2抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)が、
a)それぞれ配列番号159及び160;又は
b)それぞれ配列番号169及び170
のアミノ酸配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗HER2抗体又は抗原結合部分が、DXd又はDM1にコンジュゲートされている、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
抗HER2抗体が、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びにそれぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号161~166のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号167及び168のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号71~76のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号161~166のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号77及び78のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号167及び168のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号79及び80のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号151~156のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号157及び158のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号159及び160のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;及び
それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
患者に、
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号111~116のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号117及び118のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号119及び120のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体
を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記抗体又は抗原結合部分が患者に同時に投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗体又は抗原結合部分が逐次的に患者に投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者が癌を有する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記癌が血液学的悪性病変である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記癌が固形腫瘍である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記癌が、結腸直腸癌、胃癌、又は胃食道癌である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分が、8、20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与され、場合により、前記抗体又は部分が、2週間又は3週間毎に投与される、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分が、200mgの用量で投与され、場合により、前記抗体又は部分が、2週間又は3週間毎に投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分が、21日サイクル又は28日サイクル中で投与される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分が、抗NKG2A抗体と同時に又は抗NKG2A抗体の1サイクル後に、投与される、請求項1~41に記載の方法。
【請求項43】
抗EGFR成分が、6mg/kg、9mg/kgの用量で、又は9mg/kgそれに続く6mg/kgの負荷用量で、投与され、場合により、前記成分が、毎週又は2週間毎に投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分が、15mg/kgの用量で投与され、場合により、前記抗体又は部分が、3週間毎又は4週間毎に投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記抗体又は抗原結合部分が静脈内注入用に製剤化される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体を患者に投与することを含む、患者において進行性の固形腫瘍悪性病変を処置する方法であって、前記抗体が、8、20、100、300、750、又は1500mgの用量で2週間毎にIV注入により投与される、方法。
【請求項47】
患者に、
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びに
b)それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体
を投与することを含む、患者において進行性の固形腫瘍悪性病変を処置する方法であって、
抗NKG2A抗体が、3週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量でIV注入により投与され、及び
抗NKG2A抗体投与の21日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体が、3週間毎に200mgの用量でIV注入により投与される、方法。
【請求項48】
患者に、
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
c)それぞれ配列番号159及び160のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体
を投与することを含む、患者において転移性HER2胃癌を処置する方法であって、
場合により、前記癌が局所的に進行している及び/又は切除不能である、並びに
場合により、前記患者が、第一選択の標準治療療法に失敗している、方法。
【請求項49】
抗NKG2A抗体が、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与され、
抗NKG2A抗体投与の21日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体が、3週間毎に200mgの用量で投与され、
抗HER2抗体が、3~4週間毎に15mg/kgで投与され、
前記抗体が、IV注入を介して投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
患者に、
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;及び
c)それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分
を投与することを含む、患者において転移性結腸直腸癌を処置する方法であって、
場合により、前記患者は、低いマイクロサテライト不安定性状態を有し、及び
場合により、前記患者は、(i)以下のコドン:エクソン2中のコドン12及び13、エクソン3中のコドン59及び61、エクソン4中のコドン117及び146のいずれかにおいてRAS変異を伴わず;並びに/或いは(ii)BRAF V600E変異を伴わない、方法。
【請求項51】
抗NKG2A抗体が、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与され、
抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体が、2週間毎に200mgの用量で投与され、
抗EGFR成分が、9mg/kgの負荷用量、それに続く1又は2週間毎の6mg/kgの用量で投与され、
前記抗体が、IV注入により投与される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記患者に、放射線療法、又は化学療法剤、抗腫瘍剤及び抗血管新生剤の少なくとも1つ、を投与することを更に含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記処置が、以下:
a)改善された客観的応答率;
b)改善された臨床利益率;
c)改善された応答の持続時間;
d)増加した無増悪生存期間;及び
e)増加した全生存期間
のうちの1つ以上をもたらす、請求項35~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
a)ヒトNKG2A及びヒトPD-1;
b)ヒトNKG2A及びヒトPD-L1;
c)ヒトNKG2A、ヒトPD-1、及びヒトEGFR;
d)ヒトNKG2A、ヒトPD-1、及びヒトHER2;
e)ヒトNKG2A、ヒトPD-L1、及びヒトEGFR;又は
f)ヒトNKG2A、ヒトPD-L1、及びヒトHER2
に特異的に結合する、多重特異的抗体。
【請求項55】
a)請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、及び請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体の抗原結合ドメイン;
b)請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、及び請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体の抗原結合ドメイン;
c)請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体の抗原結合ドメイン、及び請求項14~17のいずれか一項において定義される1つ若しくは2つの抗EGFR抗体の抗原結合部分;
d)請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体の抗原結合ドメイン、及び請求項21~25のいずれか一項において定義される抗HER2抗体の抗原結合部分;
e)請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体の抗原結合ドメイン、及び請求項14~17のいずれか一項において定義される1つ若しくは2つの抗EGFR抗体の抗原結合部分;又は
f)請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体の抗原結合ドメイン、及び請求項21~25のいずれか一項において定義される抗HER2抗体の抗原結合部分
を含む、請求項54に記載の多重特異的抗体。
【請求項56】
請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を含む、医薬組成物であって、更に:
a)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
並びに医薬的に許容可能な賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項57】
抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項6~9のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項10~13のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項59】
抗EGFR成分が、請求項14~20のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項56~58のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項60】
抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項21~25のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項56~58のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
請求項1~53のいずれか一項に記載の方法の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項62】
請求項1~53のいずれか一項に記載の方法におけるヒト患者の処置において使用するための、請求項56~61のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
a)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分
と組み合わせて、それを必要とするヒト患者における免疫の増強に使用するための、請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分。
【請求項64】
抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項6~9のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項63に記載の使用のための抗NKG2A抗体又は抗原結合部分。
【請求項65】
抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項10~13のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項63に記載の使用のための抗NKG2A抗体又は抗原結合部分。
【請求項66】
抗EGFR成分が、請求項14~20のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項63~65のいずれか一項に記載の使用のための抗NKG2A抗体又は抗原結合部分。
【請求項67】
抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項21~25のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項63~65のいずれか一項に記載の使用のための抗NKG2A抗体又は抗原結合部分。
【請求項68】
請求項1~53のいずれか一項に記載の方法におけるヒト患者の処置において使用するための、
a)請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項14~20のいずれか一項において定義される抗EGFR成分;
b)請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項21~25のいずれか一項において定義される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
c)請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項14~20のいずれか一項において定義される抗EGFR成分;又は
d)請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項21~25のいずれか一項において定義される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分
と組み合わせた、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分。
【請求項69】
それを必要とするヒト患者において免疫を増強するための医薬の製造のための、
a)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分
と組み合わせた、請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分の使用。
【請求項70】
抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項6~9のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項10~13のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項69に記載の使用。
【請求項72】
抗EGFR成分が、請求項14~20のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項69~71のいずれか一項に記載の使用。
【請求項73】
抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分が、請求項21~25のいずれか一項において定義されるとおりである、請求項69~71のいずれか一項に記載の使用。
【請求項74】
請求項1~53のいずれか一項に記載の方法においてヒト患者を処置するための医薬の製造のための、
a)請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項14~20のいずれか一項において定義される抗EGFR成分;
d)請求項6~9のいずれか一項において定義される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項21~25のいずれか一項において定義される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項14~20のいずれか一項において定義される抗EGFR成分;又は
f)請求項10~13のいずれか一項において定義される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び請求項21~25のいずれか一項において定義される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分
と組み合わせた、請求項1~5のいずれか一項において定義される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
癌は、世界のすべての国において死亡の主要な原因及び平均余命を増加させることに対する重要な障壁としてランク付けされている。2019年の世界保健機関(WHO)の推計によると、癌は183ヶ国中112ヶ国において年齢70歳前での死亡の第一又は第二の原因となっており、更に23ヶ国において第三又は第四にランク付けされている。
【0002】
HER2過剰発現胃癌は、限定された治療選択肢を有するアンメットメディカルニーズの領域である。HER2(また、ERBB2として公知)癌遺伝子の増幅及びHER2タンパク質の過剰発現は、胃癌を有する患者の約17~20%において生じる。HER2過剰発現胃癌を有する患者は、第一選択におけるシスプラチン及び5FU又はカペシタビンとの組み合わせにおける抗HER2抗体トラスツズマブを用いた処置から利益を得る;しかし、トラスツズマブベースの治療での進行後、選択肢は、HER2+進行胃癌を処置するために限定されている。
【0003】
転移性結腸直腸癌(mCRC)のための処置は、遺伝子発現に重く依存しており、多くの薬物が特定の腫瘍プロファイルについてだけ処方されている。抗PD-1薬剤、例えばニボルマブ及びペムブロリズマブなどは、マイクロサテライト不安定性高/欠損性ミスマッチ修復(MSI-H/dMMR)mCRCにおける初期の成功を見ているが、これらは患者の15%だけを含む。RAS/BRAF野生型(WT)及びEGFR陽性の腫瘍は、最も一般的な遺伝子発現プロファイルの間にあり、CRCの約40%を占める。
【0004】
NKG2A(CD159a)は、CD94とヘテロ二量体化し、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、ガンマデルタ(γδ)T細胞及び細胞傷害性T細胞のサブセット上で発現される免疫阻害性受容体を作るC型レクチンである(Borrego et al., Immunol Res(2006)35(3):263-78;Vivier et al., Nat Rev Immunol.(2004)4(3):190-8)。そのリガンドであるヒト白血球抗原(HLA)-Eへのライゲーション時に、NKG2A/CD94は、その細胞質尾部中の2つの免疫チロシンベースの阻害モチーフを介した阻害シグナル及びSHP-1チロシンホスはターゼの動員を伝達する(Carotta et al., Front Immunol.(2016)7:152)。この機構は、NK細胞による自然な自己認識/寛容の一部である。しかし、癌細胞は、HLA-Eを過剰発現することによりこのシステムを利用し、それにより、NK細胞及びT細胞媒介性の死滅に対して自らを保護する。患者では、NKG2A発現は腫瘍浸潤NK細胞及びT細胞上で増加し、免疫抑制因子、例えばTGF-β及びアデノシンなどにより誘導されることができる(Platonova et al., Cancer Res.(2011)71(16):5412-22;Sheu et al., Cancer Res.(2005)65(7):2921-9)。実際に、NKG2A及びHLA-Eの高い腫瘍内発現によって、肝癌(HCC)を有する患者についての不良な予後が予測される(Sun et al., Oncoimmunology(2017)6(1):e1264562)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
癌におけるNKG2A、PD-1及びPD-L1、HER2、及びEGFRの決定的な役割を考慮すると、癌を処置するためにこれらの受容体を標的化する(例、組み合わせにおいて)、新たな改善された治療についての必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、例えば、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体、場合により、例えば、本明細書中に記載されるPD-1若しくはPD-L1を標的化する抗体及び/又はEGFR若しくはHER2を標的化する抗体を含む、免疫を増強するための治療に基づく。一部の実施形態では、治療は、癌を処置するためである。また、提供されるのは、治療の成分を含む医薬組成物、及び患者において免疫を増強する(例、癌を処置する)ための治療の使用である。本明細書中に記載される治療は、患者において免疫を増強する(例、癌を処置する)ための方法において使用してもよい;患者において免疫を増強する(例、癌を処置する)ための医薬の製造のために使用してもよい;又は患者において免疫を増強する(例、癌を処置する)ために使用してもよい。抗体処置を含む、現在利用可能な処置(例、癌のため)と比較して、本明細書中に記載される治療は、優れた臨床応答を提供しうることが企図される。
【0007】
一部の実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト患者において免疫を増強する方法を提供し、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10、又はそれぞれ配列番号19及び20の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトNKG2Aへの結合について競合若しくは交差競合する、又はそれと同じヒトNKG2Aのエピトープに結合する抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、場合により
b)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体、或いはその抗原結合部分;並びに、場合により
c)1つ若しくは2つの抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分、又は抗HER2抗体を含む、抗EGFR抗体成分(「抗EGFR成分」)。
【0008】
特定の実施形態では、方法は、以下を投与することを含む:
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分。
【0009】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体の重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3は、それぞれ配列番号1~6;又はそれぞれ配列番号11~16のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体の重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)は、それぞれ配列番号7及び8;又はそれぞれ配列番号17及び18のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体の重鎖(HC)及び軽鎖(LC)は、それぞれ配列番号9及び10;又はそれぞれ配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む。
【0010】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体のH-CDR1~3及びL-CDR1~3は、以下のアミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号21~26;
b)それぞれ配列番号31~36;
c)それぞれ配列番号41~46;
d)それぞれ配列番号51~56;
e)それぞれ配列番号61~66;又は
f)それぞれ配列番号71~76。
【0011】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体のVH及びVLは、以下のアミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号27及び28;
b)それぞれ配列番号37及び38;
c)それぞれ配列番号47及び48;
d)それぞれ配列番号57及び58;
e)それぞれ配列番号67及び68;又は
f)それぞれ配列番号77及び78。
【0012】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体のHC及びLCは、以下のアミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号29及び30;
b)それぞれ配列番号39及び40;
c)それぞれ配列番号49及び50;
d)それぞれ配列番号59及び60;
e)それぞれ配列番号69及び70;又は
f)それぞれ、配列番号79及び80。
【0013】
抗PD-1抗体は、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、又はレチファンリマブであり得る。
【0014】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体のH-CDR1~3及びL-CDR1~3は、以下のアミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号81~86;
b)それぞれ配列番号91~96;又は
c)それぞれ配列番号101~106。
【0015】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体のVH及びVLは、以下のアミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号87及び88;
b)それぞれ配列番号97及び98;又は
c)それぞれ配列番号107及び108。
【0016】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体のHC及びLCは、以下のアミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号89及び90;
b)それぞれ配列番号99及び100;又は
c)それぞれ配列番号109及び110。
【0017】
抗PD-L1抗体は、例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブであり得る。
【0018】
一部の実施形態では、抗EGFR成分は、以下のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(H-CDR)1~3及び軽鎖相補性決定領域(L-CDR)1~3を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む:
a)それぞれ配列番号111~116;
b)それぞれ配列番号121~126;
c)それぞれ配列番号131~136;又は
d)それぞれ配列番号141~146。
【0019】
特定の実施形態では、抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分は、以下のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号117及び118;
b)それぞれ配列番号127及び128;
c)それぞれ配列番号137及び138;又は
d)それぞれ配列番号147及び148。
【0020】
特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、以下のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号119及び120;
b)それぞれ配列番号129及び130;
c)それぞれ配列番号139及び140;又は
d)それぞれ配列番号149及び150。
【0021】
抗EGFR抗体は、例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブであり得る。
【0022】
一部の実施形態では、抗EGFR成分は、それぞれ配列番号131~136のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3及びL-CDR1~3を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号141~146のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3及びL-CDR1~3を有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態では、抗EGFR成分は、それぞれ配列番号137及び138のアミノ酸配列を含むVH及びVLを有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号147及び148のアミノ酸配列を含むVH及びVLを有する抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態では、抗EGFR成分は、それぞれ配列番号139及び140のアミノ酸配列を含む重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を有する抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のアミノ酸配列を含むHC及びLCを有する抗EGFR抗体を含む。抗EGFR成分は、例えば、フツキシマブ+モドツキシマブ(例、1:1比率において)であり得る。
【0023】
一部の実施形態では、抗HER2抗体のH-CDR1~3及びL-CDR1~3は、それぞれ配列番号151~156又はそれぞれ配列番号161~166のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗HER2抗体のVH及びVLは、それぞれ配列番号157及び158又はそれぞれ配列番号167及び168のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗HER2抗体のHC及びLCは、それぞれ配列番号159及び160又はそれぞれ配列番号169及び170のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗HER2抗体若しくは抗原結合部分は、部分、例えばDXd又はDM1などにコンジュゲートされ得る。抗HER2抗体は、例えば、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシンであり得る。
【0024】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びにそれぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;及び
それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;
それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;又は
それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分。
【0026】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号161~166のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号167及び168のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0027】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号71~76のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号161~166のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号77及び78のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号167及び168のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号79及び80のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0028】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号151~156のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号157及び158のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号159及び160のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0029】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号21~26のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号151~156のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号27及び28のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号157及び158のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号159及び160のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0030】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びに配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分。
【0031】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号21~26のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
それぞれ配列番号27及び28のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに
それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFR成分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びに配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分。
【0032】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号111~116のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号117及び118のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号119及び120のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体。
【0033】
一部の実施形態では、方法は、患者に以下を投与することを含む:
a)それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号21~26のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号111~116のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;
b)それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号27及び28のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号117及び118のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;又は
c)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号119及び120のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体。
【0034】
上の方法のいずれにおいても、抗体若しくは抗原結合部分は、同時に又は逐次的に患者に投与され得る。
【0035】
一部の実施形態では、患者は、癌、例えば血液学的悪性病変又は固形腫瘍を有する。特定の実施形態では、癌は結腸直腸癌又は胃癌である。
【0036】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分は、8、20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与される(例、2週間毎)。抗体若しくは抗原結合部分は、28日サイクルにおいて投与され得る。一部の実施形態では、抗PD-1又は抗PD-L1抗体、或いはその抗原結合部分は、200mgの用量で投与され(例、2週間毎)、一部の場合では、抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分の1サイクル後に投与されてもよい。一部の実施形態では、抗EGFR成分は、6mg/kg、9mg/kgの用量で、又は9mg/kg、それに続く6mg/kgの負荷用量で投与される(例、毎週又は2週間毎)。一部の実施形態では、抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分は、15mg/kgの用量で投与される(例、3週間毎又は4週間毎)。特定の実施形態では、抗体若しくは抗原結合部分は、静脈内投与(例、静脈内注入)用に製剤化される。
【0037】
本開示は、それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体を患者に投与することを含む、患者において進行性の固形腫瘍悪性病変を処置する方法を提供し、例えば、それにおいて、抗体は、8、20、100、300、750、又は1500mgの用量で2週間毎にIV注入により投与される。
【0038】
更に、本開示は、患者において進行性の固形腫瘍悪性病変を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びに
b)それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体、
例えば、それにおいて、抗NKG2A抗体は、IV注入により2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与され、それにおいて、抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体が、IV注入により2週間毎に200mgの用量で投与される。
【0039】
更に、本開示は、患者において進行性の固形腫瘍悪性病変を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びに
b)それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体、
例えば、それにおいて、抗NKG2A抗体は、IV注入により2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与され、それにおいて、抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体は、IV注入により2週間毎に200mgの用量で投与される。
【0040】
更に、本開示は、患者の進行性の固形腫瘍悪性病変を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びに
b)それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体、
例えば、それにおいて、抗NKG2A抗体は、IV注入により2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与され、それにおいて、抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体は、IV注入により2週間毎に200mgの用量で投与される。
【0041】
本開示はまた、患者において転移性HER2胃癌を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
c)それぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0042】
一部の実施形態では、癌は局所進行性及び/又は切除不能である。一部の実施形態では、患者は第一選択の標準治療療法に失敗している。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与される;抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体が、2週間毎に200mgの用量で投与される;及び抗HER2抗体が、3又は4週間毎に15mg/kgで投与され、それにおいて、抗体はIV注入を介して投与される。
【0043】
本開示はまた、患者において転移性HER2胃癌を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号79及び80のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
c)それぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0044】
一部の実施形態では、癌は局所進行性及び/又は切除不能である。一部の実施形態では、患者は第一選択の標準治療療法に失敗している。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与される;抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体が、2週間毎に200mgの用量で投与される;及び抗HER2抗体が、3又は4週間毎に15mg/kgで投与され、それにおいて、抗体は、IV注入を介して投与される。
【0045】
本開示はまた、患者において転移性結腸直腸癌を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
c)それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びに配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分。
【0046】
一部の実施形態では、患者は、低いマイクロサテライト不安定性状態を有する。一部の実施形態では、患者は、(i)以下のコドンのいずれかにおいてRAS変異を伴わない:エクソン2中のコドン12及び13、エクソン3中のコドン59及び61、並びにエクソン4中のコドン117及び146;及び/又は(ii)BRAF V600E変異を伴わない。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与される;抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体は、2週間毎に200mgの用量で投与される;及び抗EGFR成分は、9mg/kgの負荷用量、それに続く1又は2週間毎の6mg/kgの用量で投与され、それにおいて、抗体はIV注入を介して投与される。
【0047】
本開示はまた、患者において転移性結腸直腸癌を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
c)それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分。
【0048】
一部の実施形態では、患者は、低いマイクロサテライト不安定性状態を有する。一部の実施形態では、患者は、(i)以下のコドンのいずれかにおいてRAS変異を伴わない:エクソン2中のコドン12及び13、エクソン3中のコドン59及び61、並びにエクソン4中のコドン117及び146;及び/又は(ii)BRAF V600E変異を伴わない。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与される;抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体は、2週間毎に200mgの用量で投与される;及び抗EGFR成分は、9mg/kgの負荷用量、それに続く1又は2週間毎の6mg/kgの用量で投与され、それにおいて、抗体はIV注入を介して投与される。
【0049】
本開示はまた、患者において転移性結腸直腸癌を処置する方法を提供し、以下を患者に投与することを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;
b)それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに
c)それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体並びに配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体を含む、抗EGFR成分。
【0050】
一部の実施形態では、患者は、低いマイクロサテライト不安定性状態を有する。一部の実施形態では、患者は、(i)以下のコドンのいずれかにおいてRAS変異を伴わない:エクソン2中のコドン12及び13、エクソン3中のコドン59及び61、並びにエクソン4中のコドン117及び146;及び/又は(ii)BRAF V600E変異を伴わない。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、2週間毎に20、100、300、750、又は1500mgの用量で投与される;抗NKG2A抗体投与の28日サイクルを完了した後、抗PD-1抗体は、2週間毎に200mgの用量で投与される;及び抗EGFR成分は、9mg/kgの負荷用量、それに続く1又は2週間毎の6mg/kgの用量で投与され、それにおいて、抗体はIV注入を介して投与される。
【0051】
一部の実施形態では、本開示の方法は、放射線療法、又は化学療法剤、抗腫瘍剤、及び抗血管新生剤の少なくとも1つを患者に投与することを更に含む。
【0052】
本開示の方法による処置は、腫瘍退行、腫瘍進行の遅延、癌進行の阻害、癌転移の阻害、癌再発若しくは残存疾患の予防、及び/又は延長した生存期間をもたらし得る。一部の実施形態では、本開示の方法による処置は、例えば、未処置患者との比較において、改善された客観的応答率、改善された臨床利益率、改善された応答の持続時間、増加した無増悪生存期間、増加した全生存期間、又はそれらの任意の組み合わせをもたらす。
【0053】
本開示はまた、以下に特異的に結合する多重特異的抗体を提供する:
a)ヒトNKG2A及びヒトPD-1;
b)ヒトNKG2A及びヒトPD-L1;
c)ヒトNKG2A、ヒトPD-1、及びヒトEGFR;
d)ヒトNKG2A、ヒトPD-1、及びヒトHER2;
e)ヒトNKG2A、ヒトPD-L1、及びヒトEGFR;又は
f)ヒトNKG2A、ヒトPD-L1、及びヒトHER2。
【0054】
一部の実施形態では、多重特異的抗体は以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、及び本明細書中に記載される抗PD-1抗体の抗原結合ドメイン;
b)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、及び本明細書中に記載される抗PD-L1抗体の抗原結合ドメイン;
c)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、本明細書中に記載される抗PD-1抗体の抗原結合ドメイン、及び本明細書中に記載される1つ若しくは2つの抗EGFR抗体の抗原結合部分;
d)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、本明細書中に記載される抗PD-1抗体の抗原結合ドメイン、及び本明細書中に記載される抗HER2抗体の抗原結合部分;
e)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、本明細書中に記載される抗PD-L1抗体の抗原結合ドメイン、及び本明細書中に記載される1つ若しくは2つの抗EGFR抗体の抗原結合部分;又は
f)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体の抗原結合ドメイン、本明細書中に記載される抗PD-L1抗体の抗原結合ドメイン、及び本明細書中に記載される抗HER2抗体の抗原結合部分。
【0055】
本開示はまた、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を含み、更に以下を含む医薬組成物を提供する:
a)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
並びに医薬的に許容可能な賦形剤。抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、抗EGFR成分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分は、例えば、本明細書中に記載されるとおりであり得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書中に記載される方法のいずれかの抗体又は抗原結合部分を含み得る、及び本明細書中に記載される方法のいずれかにおけるヒト患者の処置において使用するためであり得る。
【0056】
本開示はまた、以下との組み合わせにおいて、それを必要とするヒト患者において免疫を増強する際での使用のための、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を提供する:
a)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分。
【0057】
抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、抗EGFR成分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分は、例えば、本明細書中に記載のとおりであり得る。一部の実施形態では、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分は、本明細書中に記載される方法におけるヒト患者の処置において使用するためである。
【0058】
本開示はまた、以下との組み合わせにおける、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分の使用を提供する:
a)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
b)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分;
c)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;
d)抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
e)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗EGFR成分;又は
f)抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分。
それを必要とするヒト患者において免疫を増強するための医薬の製造のため。抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、抗EGFR成分、及び抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分は、例えば、本明細書中に記載されるとおりであり得る。一部の実施形態では、医薬は、本明細書中に記載される方法においてヒト患者を処置するためである。
【0059】
本発明の他の特色、目的、及び利点は、続く詳細な説明において明らかである。しかし、詳細な説明は、本発明の実施形態及び態様を示している一方で、限定ではなく、例証だけにより与えられていることを理解すべきである。本発明の範囲内の種々の変更及び修正は、詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、6つの異なる腫瘍細胞株の表面での内因性HLA-Eの発現(パネルA)及びこれら6つの腫瘍細胞株のNK媒介性死滅に対するmAb1の効果(パネルB)を示す一対のグラフである。
図2図2は、インビトロでのモナリズマブ類似体(パネルA)及びBMS抗NKG2A mAbの類似体(パネルB)と比較した、mAb1によるγδT細胞媒介性腫瘍細胞死滅を示す一対のグラフである。1人の代表的なドナーが描写されている;結果は、n=3のドナーを使用して検証された。データは平均値±SEMとして提示されている。
図3図3は、単独で、又はmAb1、モナリズマブ類似体、若しくはイソタイプコントロールとの組み合わせにおいて、用量依存的な様式において滴定されたセツキシマブによる、FaDu細胞(HLA-E+/EGFR+)の特異的溶解パーセンテージを示す一連のグラフである。
図4A図4Aは、2人のヒトドナー(D1及びD2)における、抗EGFR抗体セツキシマブとの組み合わせにおける、A431腫瘍細胞のNK細胞媒介性死滅のmAb1誘導性増強を示す一対のグラフである。データは平均値±SEMとして提示されている。
図4B図4Bは、2人のヒトドナー(D1及びD2)における、抗EGFR抗体併用フツキシマブ/モドツキシマブ(「Futux/Modo」)との組み合わせにおける、A431腫瘍細胞のNK細胞媒介性死滅のmAb1誘導性増強を示す一対のグラフである。データは平均値±SEMとして提示されている。
図5図5は、単独で、又は抗EGFR抗体セツキシマブ(「cetux」)(パネルA)又は抗EGFR抗体併用フツキシマブ/モドツキシマブ(「futux/modo」)(パネルB)との組み合わせにおける、mAb1により影響されるNK細胞活性化(CD137発現により評価される)を示す一対のグラフである。各々のデータポイントはドナーを表す。
図6図6は、A431細胞、IL-2、及び示される抗体又は抗体の組み合わせの存在におけるインビトロでの初代NK細胞によるIFNγの分泌を示すグラフである。各々のデータポイントはドナーを表す。
図7図7は、2人のヒトドナー(D1及びD2)における、抗PD-L1抗体アベルマブとの組み合わせにおける、A431又はMDA-MB-231腫瘍細胞のNK細胞媒介性死滅のmAb1誘導性増強を示す一対のグラフである。データは平均値±SEMとして提示されている。
図8図8は、NK細胞活性化(CD137)(パネルA)及びIFNγ分泌(パネルB)の誘導に対する、アベルマブ(「Ave」)との組み合わせにおけるmAb1の効果を示す一対のグラフである。
図9A図9Aは、MDA-MB-231ヒト乳房腫瘍細胞を用いて皮下移植されたCD34ヒト化マウスにおける腫瘍成長を示すグラフである。灰色領域は処置期間を示す。データは平均値±SEMとして提示されている。*p<0.05。
図9B図9Bは、MDA-MB-231腫瘍浸潤リンパ球のフローサイトメトリー分析を示す一連のグラフである。ヒトCD45+及びCD3+細胞のパーセンテージ並びにCD8/CD4 T細胞の比率が、溶媒と比較して、示された抗体又は抗体の組み合わせを用いて処置された腫瘍について示されている。数字は、生細胞(CD45+)、ヒトCD45+細胞(CD3+)のパーセンテージ、又は比率(CD4及びCD8)として提示されている。
図10図10は、mAb1単独療法及び併用療法の臨床試験のデザインを示す図である。
図11図11は、MC38-HLAEマウス腫瘍細胞を用いて皮下移植されたhNKG2A/hCD94 KIマウスにおける腫瘍根絶のパーセントを示す。マウスは週3回、合計9用量を用いて処置された。腫瘍体積は週3回測定された。灰色領域は処置期間を示す。データは平均値±SEMとして提示されている。
図12図12は、MIP-1βのトラスツズマブ及びmAb1誘導性NK細胞分泌を示す。健康な個人からのヒト初代NKG2ANK細胞を、HLA-E形質導入N87、BxPC3、SKOV3、A375、A549及びJIMT-1標的細胞と48時間にわたり10ng/mL IL-2の存在において共培養した。共培養上清中のMIP-1βの分泌をELISAにより定量化した。
図13図13は、3人の健康なドナー(A、B及びC)から単離された末梢血リンパ球(PBL)に対する二重PD-1及びNKG2A遮断の併用効果を示す一連のグラフである。PBLを、HLA-E並びにPD-L1を過剰発現するHER2陽性SKOV3細胞と共培養し、トラスツズマブ又はトラスツズマブ+ゾレドロネートを用いて活性化した。
図14図14は、結腸直腸癌の処置におけるmAb1+ペムブロリズマブの臨床試験のデザインを示す図である。
図15図15は、胃癌の処置におけるmAb1+ペムブロリズマブ+トラスツズマブの臨床試験のデザインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
発明の詳細な説明
本開示は、ヒトNKG2Aを標的化する新たな単剤療法及び組成物、並びにヒトNKG2A;ヒトPD-1若しくはPD-L1;及び/又はヒトEGFR若しくはHER2を、これらの標的に結合する抗体を使用することにより標的化する新たな併用療法及び組成物を提供する。治療(即ち、単剤療法及び併用療法)及び組成物は、ヒト患者において癌を処置するために使用することができる。他に記述されない限り、本明細書中で使用される「NKG2A」、「PD-1」、「PD-L1」、「EGFR」、及び「HER2」は、それらの標的のヒト形態を指す。ヒトNKG2Aポリペプチド配列は、UniProt受託番号P26715(配列番号171)の下で入手可能である。ヒトPD-1ポリペプチド配列は、UniProt受託番号Q15116(配列番号172)の下で入手可能である。ヒトPD-L1ポリペプチド配列は、UniProt受託番号Q9NZQ7(配列番号173)の下で入手可能である。ヒトEGFRポリペプチド配列は、UniProt受託番号P00533(配列番号174)の下で入手可能である。ヒトHER2ポリペプチド配列は、UniProt受託番号P04626(配列番号175)の下で入手可能である。これらの配列を表4中に示す。
【0062】
用語「抗体」(Ab)又は「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書中で使用されるように、ジスルフィド結合により相互に接続されている、2つの重(H)鎖(約50~70kDa)及び2つの軽(L)鎖(約25kDa)を含む四量体を指す。各々の重鎖は、重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常領域(CH)で構成される。各々の軽鎖は、軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常領域(CL)で構成される。VH及びVLドメインは、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる超可変性の領域中に更に細分することができる。各々のVH及びVLは、3つのCDR(H-CDRは、本明細書中では、重鎖からのCDRを命名し;及びL-CDRは、本明細書中では、軽鎖からのCDRを命名する)及び4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシル末端に以下の順序において配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖又は軽鎖におけるアミノ酸番号の、並びにFR及びCDR領域の割り当ては、IMGT(登録商標)の定義(Lefranc et al., Dev Comp Immunol(2003)27(1):55-77);EUナンバリング;又は、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, MD(1987 and 1991))の定義;Chothia & Lesk, J. Mol. Biol.(1987)196:901-17;Chothia et al., Nature(1989)342:878-83;MacCallum et al., J. Mol. Biol.(1996)262:732-45;又はHonegger and Pluckthun, J. Mol. Biol.(2001)309(3):657-70に従ってよい。
【0063】
用語「組換え抗体」は、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む細胞又は細胞株から発現される抗体を指し、それにおいて、当該ヌクレオチド配列は、天然には細胞に関連付けられない。
【0064】
用語「単離タンパク質」「単離ポリペプチド」又は「単離抗体」は、その起源又は派生の供給源(1)のために、その天然状態においてそれに付随する天然に関連付けられる成分と会合していない、(2)同じ種からの他のタンパク質を含まない、(3)異なる種からの細胞から発現される、及び/又は(4)自然において生じないタンパク質、ポリペプチド又は抗体を指す。このように、化学的に合成された、又はそれが天然に由来する細胞とは異なる細胞系において合成されたポリペプチドは、その天然に関連付けられる成分から「単離」される。タンパク質はまた、当技術分野において周知のタンパク質精製技術を使用して、単離により、天然に関連付けられる成分を実質的に含まないようにすることもできる。
【0065】
用語「親和性」は、抗原と抗体の間の引力の尺度を指す。抗原についての抗体の固有の引力は、典型的には、特定の抗体-抗原相互作用の結合親和平衡定数(K)として表現される。抗体は、結合についてのKが≦1μM、例えば、≦100nM又は≦10nMである場合、抗原に特異的に結合すると言われる。K結合親和定数は、例えば、IBIS TechnologiesからのIBIS MX96 SPRシステム又はCarterra LSA SPRプラットフォームを使用する表面プラズモン共鳴(BIAcore(商標))により、又は、例えば、ForteBioからのOctet(商標)システムを使用したバイオレイヤー干渉法により測定することができる。
【0066】
本明細書中で使用される用語「エピトープ」は、抗体又は関連分子、例えば二重特異的結合分子などに特異的に結合する抗原の一部(決定基)を指す。エピトープ決定基は、一般的に、分子、例えばアミノ酸又は炭水化物又は糖側鎖などの化学的に活性な表面基からなり、一般的に特定の三次元構造特徴、並びに特定の電荷特徴を有する。エピトープは「線状」又は「立体構造的」であり得る。線状エピトープでは、タンパク質(例えば抗原など)と相互作用分子(例えば抗体など)の間での相互作用の点の全てが、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線的に生じる。立体構造エピトープでは、相互作用の点が、一次アミノ酸配列中で互いに分離されているタンパク質上のアミノ酸残基にわたって生じる。一度、抗原上の所望のエピトープが決定されると、当技術分野において周知の技術を使用して、そのエピトープに対する抗体を生成することが可能である。例えば、線状エピトープに対する抗体は、例えば、線状エピトープのアミノ酸残基を有するペプチドを用いて動物を免疫化することにより生成され得る。立体構造的エピトープに対する抗体は、例えば、立体構造的エピトープの関連アミノ酸残基を含むミニドメインを用いて動物を免疫化することにより生成され得る。特定のエピトープに対する抗体はまた、例えば、目的の標的分子又はその関連部分を用いて動物を免疫化し、次にエピトープへの結合についてスクリーニングすることにより生成することができる。
【0067】
抗体が、本明細書中に記載される抗体と同じエピトープに結合する、又は抗体との結合について競合するか否かは、限定されないが、競合アッセイ、エピトープビニング、及びアラニンスキャニングを含む、当技術分野において公知の方法を使用することにより決定することができる。一部の実施形態では、本開示の抗体を、飽和条件下でその標的に結合させ、次に、標的に結合する試験抗体の能力を測定することを可能にする。試験抗体が、参照抗体と同時に標的に結合することができる場合、次に、試験抗体は参照抗体とは異なるエピトープに結合する。しかし、試験抗体が同時に標的に結合することできない場合、次に、試験抗体は、同じエピトープ、重複するエピトープ、又は本開示の抗体により結合されるエピトープに近接するエピトープに結合する。この実験は、例えば、ELISA、RIA、BIACORE(商標)、SPR、バイオレイヤー干渉法、又はフローサイトメトリーを使用して実施することができる。抗体が別の抗体と交差競合するか否かを試験するために、上に記載される競合方法を2つの方向、即ち、公知の抗体が、試験抗体を遮断するか否かを決定する、又はその逆において使用してもよい。そのような相互競合実験は、例えば、IBIS MX96又はCarterra LSA SPR機器又はOctet(商標)システムを使用して実施してもよい。
【0068】
本明細書中で使用される抗体の用語「抗原結合部分」(又は単に「抗体部分」)は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ又は複数の部分又は断片を指す。全長抗体の特定の断片が、抗体の抗原結合機能を遂行することができることが示されている。用語「抗原結合部分」内に包含される結合断片の例は、(i)Fab断片:VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価の断片;(ii)F(ab’)2断片:ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片;並びに(vi)抗原に特異的に結合することが可能な、単離された相補性決定領域(CDR)。更に、Fv断片の2つのドメインであるVL及びVHは別々の遺伝子によりコードされているが、それらは、組換え方法を使用して、VL及びVHドメインが対合して一価分子(一本鎖Fv(scFv)として公知)を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーにより連結することができる。また、本開示内にあるのは、VH及び/又はVLを含む抗原結合分子である。VHの場合では、分子はまた、CH1、ヒンジ、CH2、又はCH3領域の1つ又は複数を含み得る。そのような一本鎖抗体がまた、抗体の用語「抗原結合部分」内に包含されることが意図される。他の形態の一本鎖抗体、例えばダイアボディなどがまた、包含される。ダイアボディは、二価の二重特異性抗体であり、それにおいて、VH及びVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、しかし、同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能にするには短過ぎるリンカーを使用しており、それにより、ドメインが、別の鎖の相補的ドメインと対合することを強制し、2つの抗原結合部位を作製する。
【0069】
抗体部分、例えばFab及びF(ab’)2断片などは、従来の技術、例えば抗体全体のパパイン又はペプシン消化などを使用して抗体全体から調製することができる。更に、抗体、抗体部分及びイムノアドヘシン分子は、例えば、本明細書中に記載されるような標準的な組換えDNA技術を使用して得ることができる。
【0070】
抗体のクラス(アイソタイプ)及びサブクラスは、当技術分野において公知の任意の方法により決定され得る。一般的に、抗体のクラス及びサブクラスは、抗体の特定のクラス及びサブクラスについて特異的な抗体を使用して決定され得る。そのような抗体は、商業的に入手可能である。クラス及びサブクラスは、ELISA又はウェスタンブロット並びに他の技術により決定することができる。或いは、クラス及びサブクラスは、抗体の重鎖及び/又は軽鎖の定常領域の全て又は一部を配列決定すること、それらのアミノ酸配列を、免疫グロブリンの種々のクラス及びサブクラスの公知のアミノ酸配列と比較すること、並びに抗体のクラス及びサブクラスを決定する。
【0071】
他に示さない限り、本開示中で言及される全ての抗体アミノ酸残基番号は、IMGT(登録商標)ナンバリングスキームの下の残基番号である。
【0072】
抗NKG2A抗体
一部の実施形態では、本明細書中に記載される治療(例、単独療法又は併用療法)又は組成物は、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態において、抗NKG2A抗体は、本明細書中で抗体mAb1若しくはmAb2として言及される抗体、又はこれらのいずれかのバリアントであり、ここで、バリアントは、抗体の抗原結合特異性を失うことなく、例えば、当該抗体と比べて特定の最小アミノ酸変化(例、フレームワーク領域中にあり得る1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸変化)を含む。mAb1は、それぞれ配列番号9及び10の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む。mAb2は、それぞれ配列番号19及び20の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0073】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、ヒトNKG2Aへの結合について、抗体mAb1又はmAb2と競合又は交差競合する、或いはそれと同じ、ヒトNKG2Aのエピトープに結合する。
【0074】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、それぞれ配列番号1~3又は11~13のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3を含む。
【0075】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号7又は17のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)であるVHを有する。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号7又は17のアミノ酸配列を含むVHを有する。
【0076】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号9又は19のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)であるHCを有する。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号9又は19のアミノ酸配列を含むHCを有する。
【0077】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、それぞれ配列番号4~6又は14~16のアミノ酸配列を含むL-CDR1~3を含む。
【0078】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号8又は18のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVLを有する。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号8又は18のアミノ酸配列を含むVLを有する。
【0079】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号10又は20のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)であるLCを有する。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体は、配列番号10又は20のアミノ酸配列を含むLCを有する。
【0080】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、上の重鎖配列のいずれか及び上の軽鎖配列のいずれかを含む。
【0081】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、以下のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号1~6;又は
b)それぞれ配列番号11~16。
【0082】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号7及び8;又は
b)それぞれ配列番号17及び18。
【0083】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、以下のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号7及び8;又は
b)それぞれ配列番号17及び18。
【0084】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10;又は
b)それぞれ配列番号19及び20。
【0085】
一部の実施形態では、抗NKG2A抗体は、以下のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号9及び10;又は
b)それぞれ配列番号19及び20。
【0086】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分は、米国仮特許出願第63/195,470号において記載される抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分であり、それは、その全体において参照により本明細書中に援用される。
【0087】
抗PD-1抗体
一部の実施形態では、本明細書中に記載される併用療法又は組成物は、抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3(それぞれ配列番号69及び70の重及び軽鎖アミノ酸配列を含む)、レチファンリマブ、又はこれらのいずれかのバリアントであり、ここで、バリアントは、例えば、抗体の抗原結合特異性を失うことなく、当該抗体と比べて特定の最小限のアミノ酸変化(例、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸変化、それは、例えば、フレームワーク領域中にあり得る)を含み得る。
【0088】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ヒトPD-1への結合について、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブと競合又は交差競合する、或いはそれらと同じ、ヒトPD-1のエピトープに結合する。
【0089】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブのH-CDR1~3及びL-CDR1~3を含む。
【0090】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブのVH及びVLと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一のVH及びVLを含む。
【0091】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブのVH及びVLを含む。
【0092】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブのHC及びLCと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む。
【0093】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブのHC及びLCを含む。
【0094】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、それぞれ配列番号21~23、31~33、41~43、51~53、61~63、又は71~73のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3を含む。
【0095】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号27、37、47、57、67、又は77のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVHを有する。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号27、37、47、57、67、又は77のアミノ酸配列を含むVHを有する。
【0096】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号29、39、49、59、69、又は79のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHCを有する。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号29、39、49、59、69、又は79のアミノ酸配列を含むHCを有する。
【0097】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、それぞれ配列番号24~26、34~36、44~46、54~56、64~66、又は74~76のアミノ酸配列を含むL-CDR1~3を含む。
【0098】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号28、38、48、58、68、又は78のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVLを有する。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号28、38、48、58、68、又は78のアミノ酸配列を含むVLを有する。
【0099】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号30、40、50、60、70、又は80のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるLCを有する。特定の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号30、40、50、60、70、又は80のアミノ酸配列を含むLCを有する。
【0100】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上の重鎖配列のいずれか及び上の軽鎖配列のいずれかを含む。
【0101】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、以下のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号21~26;
b)それぞれ配列番号31~36;
c)それぞれ配列番号41~46;
d)それぞれ配列番号51~56;
e)それぞれ配列番号61~66;又は
f)それぞれ配列番号71~76。
【0102】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号27及び28;
b)それぞれ配列番号37及び38;
c)それぞれ配列番号47及び48;
d)それぞれ配列番号57及び58;
e)それぞれ配列番号67及び68;又は
f)それぞれ配列番号77及び78。
【0103】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、以下のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号27及び28;
b)それぞれ配列番号37及び38;
c)それぞれ配列番号47及び48;
d)それぞれ配列番号57及び58;
e)それぞれ配列番号67及び68;又は
f)それぞれ配列番号77及び78。
【0104】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号29及び30;
b)それぞれ配列番号39及び40;
c)それぞれ配列番号49及び50;
d)それぞれ配列番号59及び60;
e)それぞれ配列番号69及び70;又は
f)それぞれ、配列番号79及び80。
【0105】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、以下のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号29及び30;
b)それぞれ配列番号39及び40;
c)それぞれ配列番号49及び50;
d)それぞれ配列番号59及び60;
e)それぞれ配列番号69及び70;又は
f)それぞれ、配列番号79及び80。
【0106】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分は、国際公開第2017/055547号において記載されている抗PD-1抗体若しくは抗原結合部分であり、それは、参照により、その全体において本明細書中に援用される。
【0107】
抗PD-L1抗体
一部の実施形態では、本明細書中に記載される併用療法又は組成物は、抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、又はこれらのいずれかのバリアントであり、ここで、バリアントは、例えば、抗体の抗原結合特異性を失うことなく、当該抗体と比べて特定の最小アミノ酸変化(例、1、2、、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸変化、それは、例えば、フレームワーク領域中にあり得る)を含む。
【0108】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1への結合について、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブと競合又は交差競合する、或いはそれと同じ、ヒトPD-L1のエピトープに結合する。
【0109】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブのH-CDR1~3及びL-CDR1~3を含む。
【0110】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブのVH及びVLと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む。
【0111】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブのVH及びVLを含む。
【0112】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブのHC及びLCと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む。
【0113】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブのHC及びLCを含む。
【0114】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、それぞれ配列番号81~83、91~93、又は101~103のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3を含む。
【0115】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号87、97、又は107のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVHを有する。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号87、97、又は107のアミノ酸配列を含むVHを有する。
【0116】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号89、99、又は109のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHCを有する。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号89、99、又は109のアミノ酸配列を含むHCを有する。
【0117】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、それぞれ配列番号84~86、94~96、又は104~106のアミノ酸配列を含むL-CDR1~3を含む。
【0118】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号88、98、又は108のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)のVLを有する。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号88、98、又は108のアミノ酸配列を含むVLを有する。
【0119】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号90、100、又は110のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるLCを有する。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は、配列番号90、100、又は110のアミノ酸配列を含むLCを有する。
【0120】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、上の重鎖配列のいずれか及び上の軽鎖配列のいずれかを含む。
【0121】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、以下のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号81~86;
b)それぞれ配列番号91~96;又は
c)それぞれ配列番号101~106。
【0122】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号87及び88;
b)それぞれ配列番号97及び98;又は
c)それぞれ配列番号107及び108。
【0123】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号87及び88;
b)それぞれ配列番号97及び98;又は
c)それぞれ配列番号107及び108。
【0124】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号89及び90;
b)それぞれ配列番号99及び100;又は
c)それぞれ配列番号109及び110。
【0125】
一部の実施形態では、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号89及び90;
b)それぞれ配列番号99及び100;又は
c)それぞれ配列番号109及び110。
【0126】
抗EGFR抗体
一部の実施形態では、本明細書中に記載される併用療法又は組成物は、抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はこれらのいずれかのバリアントであり、ここで、バリアントは、例えば、抗体の抗原結合特異性を失うことなく、当該抗体と比べて特定の最小アミノ酸変化(例、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸変化、それは、例えば、フレームワーク領域中にあり得る)を含む。
【0127】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、ヒトEGFRへの結合について、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブと競合又は交差競合する、或いはそれらと同じ、ヒトEGFRのエピトープに結合する。
【0128】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブのH-CDR1~3及びL-CDR1~3を含む。
【0129】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブのVH及びVLと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む。
【0130】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブのVH及びVLを含む。
【0131】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブのHC及びLCと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む。
【0132】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、又はモドツキシマブのHC及びLCを含む。
【0133】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、それぞれ配列番号111~113、121~123、131~133、又は141~143のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3を含む。
【0134】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号117、127、137、又は147のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVHを有する。特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号117、127、137、又は147のアミノ酸配列を含むVHを有する。
【0135】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号119、129、139、又は149のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHCを有する。特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号119、129、139、又は149のアミノ酸配列を含むHCを有する。
【0136】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、それぞれ配列番号114~116、124~126、134~136、又は144~146のアミノ酸配列を含むL-CDR1~3を含む。
【0137】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号118、128、138、又は148のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVLを有する。特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号118、128、138、又は148のアミノ酸配列を含むVLを有する。
【0138】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号120、130、140、又は150のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるのLCを有する。特定の実施形態では、抗EGFR抗体は、配列番号120、130、140、又は150のアミノ酸配列を含むLCを有する。
【0139】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、上の重鎖配列のいずれか及び上の軽鎖配列のいずれかを含む。
【0140】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、以下のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号111~116;
b)それぞれ配列番号121~126;
c)それぞれ配列番号131~136;又は
d)それぞれ配列番号141~146。
【0141】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるのVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号117及び118;
b)それぞれ配列番号127及び128;
c)それぞれ配列番号137及び138;又は
d)それぞれ配列番号147及び148。
【0142】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、以下のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号117及び118;
b)それぞれ配列番号127及び128;
c)それぞれ配列番号137及び138;又は
d)それぞれ配列番号147及び148。
【0143】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号119及び120;
b)それぞれ配列番号129及び130;
c)それぞれ配列番号139及び140;又は
d)それぞれ配列番号149及び150。
【0144】
一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、以下のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号119及び120;
b)それぞれ配列番号129及び130;
c)それぞれ配列番号139及び140;又は
d)それぞれ配列番号149及び150。
【0145】
一部の実施形態では、フツキシマブ及びモドツキシマブの抗EGFRの組み合わせ(anti-EGFR combination)(例、1:1の比率)、又は一方若しくは両方の抗体のバリアントを含む組み合わせが、本開示の併用療法又は組成物が「抗EGFR抗体」を要求する場合に使用され得る。一部の実施形態では、抗EGFR抗体又は抗EGFRの組み合わせは、「抗EGFR成分」として言及される。
【0146】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、ヒトEGFRへの結合について、それぞれフツキシマブ及びモドツキシマブと競合又は交差競合する、或いはそれらと同じ、ヒトEGFRのエピトープに結合する第一及び第二の抗体を含む。
【0147】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれフツキシマブ及びモドツキシマブのH-CDR1~3及びL-CDR1~3を含む第一及び第二の抗体を含む。
【0148】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれフツキシマブ及びモドツキシマブのVH及びVLと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む第一及び第二の抗体を含む。
【0149】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれフツキシマブ及びモドツキシマブのVH及びVLを含む第一及び第二の抗体を含む。
【0150】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれフツキシマブ及びモドツキシマブのHC及びLCと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む第一及び第二の抗体を含む。
【0151】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれフツキシマブ及びモドツキシマブのHC及びLCを含む第一及び第二の抗体を含む。
【0152】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれ配列番号131~133及び配列番号141~143のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3を有する第一及び第二の抗体を含む。
【0153】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号137のアミノ酸配列及び配列番号147のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVHをそれぞれ含む第一及び第二の抗体を含む。特定の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号137のアミノ酸配列を含むVHを有する第一の抗体、及び配列番号147のアミノ酸配列を含むVHを有する第二の抗体を含む。
【0154】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号139のアミノ酸配列及び配列番号149のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHCをそれぞれ含む第一及び第二の抗体を含む。特定の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号139のアミノ酸配列を含むHCを有する第一の抗体、及び配列番号149のアミノ酸配列を含むHCを有する第二の抗体を含む。
【0155】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれ配列番号134~136及び配列番号144~146のアミノ酸配列をそれぞれ含むL-CDR1~3を有する第一及び第二の抗体を含む。
【0156】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号138のアミノ酸配列及び配列番号148のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVLをそれぞれ含む第一及び第二の抗体を含む。特定の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号138のアミノ酸配列を含むVLを有する第一の抗体、及び配列番号148のアミノ酸配列を含むVLを有する第二の抗体を含む。
【0157】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号140のアミノ酸配列及び配列番号150のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるLCをそれぞれ含む第一及び第二の抗体を含む。特定の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、配列番号140のアミノ酸配列を含むLCを有する第一の抗体及び配列番号150のアミノ酸配列を含むLCを有する第二の抗体を含む。
【0158】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、それぞれ第一及び第二の抗体について上の重鎖配列のいずれか及び上の軽鎖配列のいずれかを有する第一及び第二の抗体を含む。
【0159】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、以下を含む:
a)それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む第一の抗体;並びに
b)それぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む第二の抗体。
【0160】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、以下を含む:
a)それぞれ配列番号137及び138のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む第一の抗体;並びに
b)それぞれ配列番号147及び148のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む第二の抗体。
【0161】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、以下を含む:
a)それぞれ配列番号137及び138のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む第一の抗体;並びに
b)それぞれ配列番号147及び148のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む第二の抗体。
【0162】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、以下を含む:
a)それぞれ配列番号139及び140のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む第一の抗体;並びに
b)それぞれ配列番号149及び150のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む第二の抗体。
【0163】
一部の実施形態では、抗EGFRの組み合わせは、以下を含む:
a)それぞれ配列番号139及び140のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む第一の抗体;並びに
b)それぞれ配列番号149及び150のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む第二の抗体。
【0164】
[0001] 一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分又は抗EGFRの組み合わせは、国際公開第2008/104183号において記載されている抗EGFR抗体若しくは抗原結合部分又は組み合わせであり、それは、参照によりその全体において本明細書中に援用される。
【0165】
抗HER2抗体
一部の実施形態では、本明細書中に記載される併用療法又は組成物は、抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分を含む。特定の実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ若しくはマルゲツキシマブ、又はこれらのいずれかのバリアントであり、ここで、バリアントは、例えば、抗体の抗原結合特異性を失うことなく、当該抗体と比べて、特定の最小アミノ酸変化(例、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸の変化、それは、例えば、フレームワーク領域中にあり得る)を含み得る。
【0166】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、ヒトHER2への結合について、トラスツズマブ若しくはマルゲツキシマブと競合又は交差競合する、或いはそれと同じ、ヒトHER2のエピトープに結合する。
【0167】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ又はマルゲツキシマブのH-CDR1~3及びL-CDR1~3を含む。
【0168】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ又はマルゲツキシマブのVH及びVLと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む。
【0169】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ又はマルゲツキシマブのVH及びVLを含む。
【0170】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ又はマルゲツキシマブのHC及びLCと少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一のHC及びLCを含む。
【0171】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、トラスツズマブ又はマルゲツキシマブのHC及びLCを含む。
【0172】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、それぞれ配列番号151~153又は161~163のアミノ酸配列を含むH-CDR1~3を含む。
【0173】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号157又は167のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVHを有する。特定の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号157又は167のアミノ酸配列を含むVHを有する。
【0174】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号159又は169のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHCを有する。特定の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号159又は169のアミノ酸配列を含むHCを有する。
【0175】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、それぞれ配列番号154~156又は164~166のアミノ酸配列を含むL-CDR1~3を含む。
【0176】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号158又は168のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVLを有する。特定の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号158又は168のアミノ酸配列を含むVLを有する。
【0177】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号160又は170のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるLCを有する。特定の実施形態では、抗HER2抗体は、配列番号160又は170のアミノ酸配列を含むLCを有する。
【0178】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、上の重鎖配列のいずれか及び上の軽鎖配列のいずれかを含む。
【0179】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、以下のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む:
a)それぞれ配列番号151~156;又は
b)それぞれ配列番号161~166。
【0180】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、以下のアミノ酸配列と少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号157及び158;又は
b)それぞれ配列番号167及び168。
【0181】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、以下のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:
a)それぞれ配列番号157及び158;又は
b)それぞれ配列番号167及び168。
【0182】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、少なくとも90%(例、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%)同一であるHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号159及び160;又は
b)それぞれ配列番号169及び170。
【0183】
一部の実施形態では、抗HER2抗体は、以下のアミノ酸配列を含むHC及びLCを含む:
a)それぞれ配列番号159及び160;又は
b)それぞれ配列番号169及び170。
【0184】
一部の実施形態では、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)を、本開示の併用療法又は組成物が「抗HER2抗体」を必要とする場合に使用してもよい。特定の実施形態では、ADCは、本明細書中に記載される抗HER2抗体及びDXd又はDM1を含む。特定の実施形態では、ADCはトラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)又はトラスツズマブ エムタンシンである。
【0185】
本明細書中に記載される抗体のクラスは、別のクラス又はサブクラスに変化され得る又は切り替えられ得る。本開示の一部の実施形態では、VL又はVHをコードする核酸分子は、それが、それぞれCL又はCHをコードする核酸配列を含まないように、当技術分野において周知の方法を使用して単離される。VL又はVHをコードする核酸分子は次に、異なるクラスの免疫グロブリン分子からの、それぞれCL又はCHをコードする核酸配列に作動可能に連結される。これは、上に記載されるように、CL又はCH配列を含むベクター又は核酸分子を使用して達成され得る。例えば、本来はIgMであった抗体がIgGにクラススイッチされ得る。更に、クラススイッチを使用して、1つのIgGサブクラスが別のサブクラスに、例えば、IgGからIgGに変換され得る。κ軽鎖定常領域は、例えば、λ軽鎖定常領域に、又はその逆に変化させることができる。所望のIgアイソタイプを有する、本明細書中に記載される抗体を産生するための例示的な方法は、抗体の重鎖をコードする核酸分子及び抗体の軽鎖をコードする核酸分子を単離する、重鎖の可変ドメインを得る、重鎖の可変ドメインについてのコード配列を、所望のアイソタイプの重鎖の定常領域についてのコード配列と連結させる、連結された配列によりコードされる軽鎖及び重鎖を細胞中で発現させる、並びに所望のアイソタイプを有する抗体を収集する工程を含む。
【0186】
本明細書中に記載される抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、又はIgD分子であり得るが、しかし、典型的には、IgGアイソタイプ、例えば、IgGサブクラスIgG、IgG2a又はIgG2b、IgG又はIgGである。一部の実施形態では、抗体はアイソタイプサブクラスIgGである。
【0187】
一部の実施形態では、抗体は、Fc領域中に少なくとも1つの変異を含み得る。多くの異なるFc 変異が公知であり、ここで、これらの変異によって、抗体のエフェクター機能が変化する。例えば、一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を低下させる少なくとも1つの変異、例えば、位置228、233、234及び235の1つ又は複数での変異をFc領域中に含み、ここで、アミノ酸位置はEuナンバリングに従って番号付けされる。
【0188】
一部の実施形態では、例えば、抗体がIgGサブクラスである場合、位置234及び235でのアミノ酸残基の1つ又は両方が、例えば、LeuからAla(L234A/L235A)に変異され得る。これらの変異は、IgG抗体のFc領域のエフェクター機能を低下させる。アミノ酸位置は、Euナンバリングスキームに従って番号付けされる。
【0189】
一部の実施形態では、例えば、抗体がIgGサブクラスである場合、それは変異S228Pを含んでもよく、ここで、アミノ酸位置はEuナンバリングスキームに従って番号付けされる。この変異は、望ましくないFabアーム交換を低下させることが公知である。
【0190】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体若しくはその抗原結合部分は、抗体又は抗体部分と1つ又は複数の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合的又は非共有結合的な会合により形成される、より大きなイムノアドヘシン分子の一部であり得る。そのようなイムノアドヘシン分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov et al., Human Antibodies and Hybridomas(1995)6: 93-101)並びに二価及びビオチン化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド及びC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov et al., Mol. Immunol.(1994)31:1047-58)を含む。他の例は、抗体からの1つ又は複数のCDRが、共有結合的又は非共有結合的のいずれかで分子中に組み入れられて、それを、目的の抗原に特異的に結合するイムノアドヘシンにする場合を含む。そのような実施形態では、CDRは、より大きなポリペプチド鎖の一部として組み入れられてもよく、別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結されてもよく、又は非共有結合的に組み入れられてもよい。
【0191】
別の態様では、別のポリペプチドに連結された、本明細書中に記載される抗体の全部又は一部を含む融合抗体又はイムノアドヘシンが作製され得る。特定の実施形態では、抗体の可変ドメインだけが、ポリペプチドに連結される。特定の実施形態では、抗体のVHドメインが、第一のポリペプチドに連結される一方で、抗体のVLドメインは、VH及びVLドメインが互いに相互作用して抗原結合部位を形成することができるような様式において、第一のポリペプチドと会合する第二のポリペプチドに連結される。一部の実施形態では、VHドメインは、VH及びVLドメインが互いに相互作用することができるように、リンカーによりVLドメインから分離されている(例、一本鎖抗体)。VH-リンカー-VL抗体が次に、目的のポリペプチドに連結される。また、2つ(又はそれ以上)の一本鎖抗体が互いに連結された融合抗体を作製することができる。これは、単一のポリペプチド鎖上に二価若しくは多価抗体を作製したい場合、又は二重特異性抗体を作製したい場合に有用である。
【0192】
一本鎖抗体(scFv)を作製するために、VH及びVLをコードするDNA断片は、例えば、アミノ酸配列(Gly-Ser)(配列番号176)をコードする、柔軟なリンカーをコードする別の断片に作動可能に連結され、VH及びVL配列が、柔軟なリンカーにより連結されたVL及びVHドメインを有する、近接した一本鎖タンパク質として発現させることができる。例えば、Bird et al., Science(1988)242:423 6;Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1988)85:5879 83;及びMcCafferty et al., Nature(1990)348: 552-4を参照のこと。一本鎖抗体は、単一のVH及びVLだけが使用される場合には一価;2つのVH及びVLが使用される場合には二価;又は2を上回るVH及びVLが使用される場合は多価であり得る。例えば、本明細書中に記載される標的に特異的に結合する多重特異的又は多価抗体が生成され得る。
【0193】
他の実施形態では、他の修飾抗体を、抗体コード核酸分子を使用して調製してもよい。例えば、「カッパボディ」(Ill et al., Protein Eng.(1997)10:949-57)、「ミニボディ」(Martin et al., EMBO J.(1994)13:5303-9)、「ダイアボディ」(Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1993)90:6444-8)、又は「Janusins」(Traunecker et al., EMBO J.(1991)10:3655-9及びTraunecker et al., Int. J. Cancer(Suppl.)(1992)7:51-2)が、本明細書の教示に従って標準的な分子生物学的技術を使用して調製され得る。
【0194】
本明細書中に記載される抗体若しくは抗原結合部分は、誘導体化する、又は別の分子(例、別のペプチド又はタンパク質)に連結することができる。一般的に、抗体又はその部分は、標的結合が誘導体化又は標識により有害に影響されないように誘導体化される。したがって、本開示の抗体及び抗体部分は、本明細書中に記載される抗体のインタクトな形態及び修飾された形態の両方を含むことが意図される。例えば、本開示の抗体又は抗体部分は、1つ又は複数の他の分子実体、例えば別の抗体(例、二重特異性抗体又はダイアボディ)、検出薬剤、医薬的薬剤、及び/又は抗体若しくは抗体部分と別の分子(例えばストレプトアビジンコア領域又はポリヒスチジンタグなど)との会合を媒介することができるタンパク質若しくはペプチドに(化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的な会合又は他の方法により)機能的に連結することができる。
【0195】
誘導体化抗体の1つの種類は、2つ又はそれ以上の抗体(同じ種類の又は異なる種類の、例えば二重特異性抗体を作製するため)を架橋することにより産生される。適切な架橋剤は、適したスペーサーにより分離された2つの異なる反応性基を有するヘテロ二官能性(例、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)又はホモ二官能性(例、スベリン酸ジスクシンイミジル)である架橋剤を含む。そのようなリンカーは、例えば、Pierce Chemical Company(イリノイ州ロックフォード)から入手可能である。
【0196】
抗体若しくは抗原結合部分はまた、化学基、例えばポリエチレングリコール(PEG)、メチル基若しくはエチル基、又は炭水化物基などを用いて誘導体化することもできる。これらの基は、抗体の生物学的特徴を改善する(例、血清半減期を増加させる)ために有用であり得る。
【0197】
本明細書中に記載される抗体若しくは抗原結合部分がまた、標識され得る。本明細書中で使用される場合、用語「標識」又は「標識された」は、抗体中での別の分子の組み入れを指す。一部の実施形態では、標識は、検出可能なマーカーであり、例えば、放射性標識アミノ酸の組み入れ、又は標識アビジンにより検出することができるビオチニル部分の、ポリペプチドへの付着である(例、蛍光マーカーを含むストレプトアビジン、又は光学的若しくは比色的方法により検出することができる酵素活性)。一部の実施形態では、標識又はマーカーは、治療用、例えば、薬物複合体又は毒素であり得る。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する種々の方法が、当技術分野において公知であり、使用され得る。
ポリペプチドの標識の例は、限定されないが、以下を含む:放射性同位体又は放射性核種(例、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例、西洋ワサビペルオキシダーゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスはターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体についての結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、磁性物質、例えばガドリニウムキレートなど、毒素、例えば百日咳毒素など、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、並びにそれらの類似体又はホモログ。一部の実施形態では、標識を種々の長さのスペーサーアームにより付着させて、潜在的な立体障害を低下させる。
【0198】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗体若しくは抗原結合部分は、細胞傷害性薬剤とコンジュゲートされて免疫複合体を形成し得る。一部の実施形態では、本開示による抗体若しくは抗原結合部分は、放射性同位体に結合され得る。
【0199】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体は、中性形態(両性イオン形態を含む)において、又は正若しくは負に荷電した種として存在し得る。一部の実施形態では、抗体は対イオンとコンジュゲートされ、医薬的に許容可能な塩を形成し得る。
【0200】
併用療法
抗NKG2A抗体を含む単剤療法に加えて、本開示は、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を、(1)抗PD-1抗体、(2)抗PD-L1抗体、(3)抗EGFR抗体、(4)抗HER2抗体、又は(5)それらの任意の組み合わせとの組み合わせにおいて含む併用療法を提供する。特定の実施形態では、併用療法は以下を含む:
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び
b)抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分。
【0201】
特定の実施形態では、併用療法は以下を含む:
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び
b)抗EGFR抗体若しくは抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分。
【0202】
特定の実施形態では、併用療法は以下を含む:
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、
b)抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分、及び
c)抗EGFR抗体又は抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分。
【0203】
抗NKG2A抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗EGFR抗体、及び/又は抗HER2抗体は、本明細書中に記載される前記標的に対する抗体であり得る。併用療法は、例えば、前記抗体若しくは抗原結合部分、又は前記抗体若しくは抗原結合部分を含む医薬組成物を使用する治療方法の形態をとり得る。
【0204】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、及び
b)本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブ)。
【0205】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分(例、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ)。
【0206】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分(例、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はフツキシマブ+モドツキシマブ)。
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分(例、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシン)。
【0207】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分(例、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はフツキシマブ+モドツキシマブ)。
【0208】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分(例、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分(例、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はフツキシマブ+モドツキシマブ)。
【0209】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分(例、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシン)。
【0210】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分(例、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分(例、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシン)。
【0211】
一部の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
(1)mAb1、及び(2)mAb3;
(1)mAb1、及び(2)ペムブロリズマブ;
(1)mAb1、及び(2)セツキシマブ;
(1)mAb1、及び(2)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、及び(2)アベルマブ;
(1)mAb1、(2)mAb3、及び(3)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、(2)mAb3、及び(3)マルゲツキシマブ;
(1)mAb1、(2)レチファンリマブ、及び(3)マルゲツキシマブ;
(1)mAb1、(2)ペムブロリズマブ、及び(3)トラスツズマブ;
(1)mAb1、(2)ニボルマブ、及び(3)トラスツズマブ;
(1)mAb1、(2)ペムブロリズマブ、及び(3)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、(2)ニボルマブ、及び(3)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、(2)ニボルマブ、及び(3)セツキシマブ;又は
(1)mAb1、(2)ペムブロリズマブ、及び(3)セツキシマブ。
【0212】
一部の実施形態では、併用療法又は組成物は、当該抗体の6つのCDR、VH及びVL、又はHC及びLCを有する抗体若しくは抗原結合部分を含む。
【0213】
上で参照した抗体についての配列は、例えば、表4中に見出されるものであり得る。これらの配列についての配列番号は、下の表1中に示すように割り当てられる。
【表1】
【0214】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFRの組み合わせ;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFRの組み合わせ;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに、それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗体、並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗体を含む、抗EGFRの組み合わせ。
【0215】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号61~66のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号161~166のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号67及び68のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号167及び168のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号69及び70のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0216】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号71~76のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号161~166のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号77及び78のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号167及び168のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号79及び80のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号169及び170のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0217】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;並びにそれぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体。
【0218】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号151~156のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号157及び158のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号159及び160のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0219】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号21~26のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号151~156のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号27及び28のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号157及び158のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号159及び160のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗HER2抗体。
【0220】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFRの組み合わせ;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFRの組み合わせ;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに、それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗体、並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗体を含む、抗EGFRの組み合わせ。
【0221】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号21~26のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、それぞれ配列番号131~136のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号141~146のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFRの組み合わせ;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号27及び28のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びに、それぞれ配列番号137及び138のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分、並びにそれぞれ配列番号147及び148のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗体若しくはその抗原結合部分を含む、抗EGFRの組み合わせ;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びに、それぞれ配列番号139及び140のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗体、並びにそれぞれ配列番号149及び150のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗体を含む、抗EGFRの組み合わせ。
【0222】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号31~36のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号111~116のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号37及び38のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号117及び118のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号39及び40のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号119及び120のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体。
【0223】
特定の実施形態では、本開示の併用療法又は組成物は、以下を含む:
- それぞれ配列番号1~6のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号21~26のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号111~116のH-CDR1~3及びL-CDR1~3アミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;
- それぞれ配列番号7及び8のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;それぞれ配列番号27及び28のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分;並びにそれぞれ配列番号117及び118のVH及びVLアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分;又は
- それぞれ配列番号9及び10のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗NKG2A抗体;それぞれ配列番号29及び30のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体;並びにそれぞれ配列番号119及び120のHC及びLCアミノ酸配列を含む抗EGFR抗体。
【0224】
多重特異的結合分子
さらなる態様では、本開示は、(1)抗PD-1抗体、(2)抗PD-L1抗体、(3)抗EGFR抗体、(4)抗HER2抗体、又は(5)それらの任意の組み合わせの結合特異性との組み合わせにおける、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む)多重特異的結合分子を提供する。特定の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び
b)抗PD-1又は抗PD-L1抗体、或いはその抗原結合部分。
【0225】
特定の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、
b)抗PD-1又は抗PD-L1抗体、或いはその抗原結合部分、及び
c)抗EGFR又は抗HER2抗体、或いはその抗原結合部分。
抗NKG2A抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗EGFR抗体、及び/又は抗HER2抗体は、本明細書中に記載される当該標的に対する抗体であり得る。
【0226】
一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、及び
b)本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブ)。
【0227】
一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、及び
b)本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分(例、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ)。
【0228】
一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分(例、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はフツキシマブ+モドツキシマブ)。
【0229】
一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分(例、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分(例、セツキシマブ、パニツムマブ、フツキシマブ、モドツキシマブ、又はフツキシマブ+モドツキシマブ)。
【0230】
一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、セミプリマブ、ドスタルリマブ、mAb3、又はレチファンリマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分(例、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシン)。
【0231】
一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDRを含む抗原結合ドメインなどを含む):
a)本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分(例、mAb1又はmAb2)、
b)本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分(例、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ)、及び
c)本明細書中に記載される抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分(例、トラスツズマブ、マルゲツキシマブ、トラスツズマブ デルクステカン(trastuzumab dexrutecan)、又はトラスツズマブ エムタンシン)。
【0232】
[0002] 一部の実施形態では、多重特異的結合分子は、以下の結合特異性を有する(例、抗原結合部分、例えば6つのCDR又はVH及びVLを含む抗原結合ドメインなどを含む):
(1)mAb1、及び(2)mAb3;
(1)mAb1、及びペムブロリズマブ;
(1)mAb1、及び(2)セツキシマブ;
(1)mAb1、及び(2)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、及び(2)アベルマブ;
(1)mAb1、(2)mAb3、及び(3)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、(2)mAb3、及び(3)マルゲツキシマブ;
(1)mAb1、(2)レチファンリマブ、及び(3)マルゲツキシマブ;
(1)mAb1、(2)ペムブロリズマブ、及び(3)トラスツズマブ;
(1)mAb1、(2)ニボルマブ、及び(3)トラスツズマブ;
(1)mAb1、(2)ペムブロリズマブ、及び(3)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、(2)ニボルマブ、及び(3)フツキシマブ+モドツキシマブ;
(1)mAb1、(2)ニボルマブ、及び(3)セツキシマブ、又は
(1)mAb1、(2)ペムブロリズマブ、及び(3)セツキシマブ。
【0233】
多重特異的結合分子は当技術分野において公知であり、異なる種類の多重特異的結合分子の例が、本明細書中の他の箇所に与えられている。そのような多重特異的(例、二重特異的又は三重特異的)結合分子は、本開示の治療により包含される。
【0234】
核酸分子及びベクター
また、記載されるのは、本明細書中に記載される核酸分子及び配列、抗体若しくはその抗原結合部分である。一部の実施形態では、異なる核酸分子が、抗体若しくは抗原結合部分の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列をコードする。他の実施形態では、同じ核酸分子が、抗体若しくは抗原結合部分の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列をコードする。
【0235】
ヌクレオチド配列への参照は、他に特定されない限り、その補体を包含する。このように、特定の配列を有する核酸への参照は、その相補配列を有する、その相補鎖を包含すると理解すべきである。本明細書中で言及される用語「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチド若しくはデオキシヌクレオチドのいずれか、又はいずれかの種類のヌクレオチドの修飾型である、少なくとも10塩基長のヌクレオチドのポリマー形態を意味する。この用語は、一及び二本鎖形態を含む。
【0236】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書中に記載される抗体若しくはその抗原結合部分の重鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又は軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、或いはそれらの両方を含む核酸分子を提供する。
【0237】
本開示はまた、配列番号7~10、17~20、27~30、37~40、47~50、57~60、67~70、77~80、87~90、97~100、107~110、117~120、127~130、137~140、147~150、157~160、又は167~170からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であるヌクレオチド配列を提供する。核酸配列の文脈における用語「配列同一性パーセント」は、最大の対応のために整列させた場合に同一である2つの配列中の残基を指す。配列同一性の比較の長さは、少なくとも約9ヌクレオチド、通常には少なくとも約18ヌクレオチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36、48又はそれ以上のヌクレオチドのストレッチにわたり得る。ヌクレオチド配列の同一性を測定するために使用することができる、当技術分野において公知の多数の異なるアルゴリズムがある。例えば、ポリヌクレオチド配列は、FASTA、Gap又はBestfitを使用して比較することができ、それらは、Wisconsin Package Version 10.0Genetics Computer Group(GCG)(ウィスコンシン州マディソン)におけるプログラムである。FASTAは、例えば、プログラムFASTA2及びFASTA3を含み、クエリ配列と検索配列の間での最良の重複の領域のアラインメント及び配列同一性パーセントを提供する(例えば、Pearson, Methods Enzymol.(1990)183:63-98;Pearson, Methods Mol. Biol.(2000)132:185-219;Pearson, Methods Enzymol.(1996)266:227-58;及びPearson, J. Mol. Biol.(1998)276:71-84を参照のこと;参照により本明細書中に援用される)。他に特定されない限り、特定のプログラム又はルゴリズムについてのデフォルトパラメータが使用される。例えば、核酸配列間の配列同一性パーセントは、FASTAを、そのデフォルトパラメータ(6のワードサイズ及びスコアリングマトリックスについてのNOPAM係数)と使用して、又はGapを、参照により本明細書中に援用されるGCGバージョン6.1において提供されるそのデフォルトパラメータと使用して決定することができる。
【0238】
上の実施形態のいずれにおいても、核酸分子は単離され得る。本明細書中で「単離された」又は「精製された」として言及される核酸分子は、(1)それらの起源のゲノムDNA若しくは細胞RNAの核酸から分離された;及び/又は(2)自然において生じない核酸である。
【0239】
さらなる態様では、本開示は、本明細書中に記載される抗体若しくはその抗原結合部分の鎖の1つ又は両方を発現するために適切なベクターを提供する。本明細書中で使用される用語「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を意味する。一部の実施形態では、ベクターはプラスミド、即ち、追加のDNAセグメントが連結され得るDNAの環状二本鎖片である。更に、特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を向けることが可能である。そのようなベクターは、本明細書中で「組換え発現ベクター」(又は単純に「発現ベクター」)として言及される。
【0240】
本開示は、本明細書中に記載される抗体若しくはその抗原結合部分の重鎖、軽鎖、又は重鎖及び軽鎖の両方をコードする核酸分子を含むベクターを提供する。特定の実施形態では、本開示のベクターは、本明細書中に記載される核酸分子を含む。本開示は更に、融合タンパク質、修飾抗体、抗体断片、及びそれらのプローブをコードする核酸分子を含むベクターを提供する。ベクターは更に、発現制御配列を含み得る。
【0241】
本明細書中で使用される用語「発現制御配列」は、それらが連結されるコード配列の発現及びプロセシングに影響を及ぼすために必要であるポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列は、適した転写開始、終結、プロモーター及びエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えばスプライシング及びポリアデニル化シグナルなど;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(即ち、コザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列;及び、望ましい場合、タンパク質分泌を増強する配列を含む。そのような制御配列の性質は宿主生物に依存して異なる;原核生物において、そのような制御配列は、一般的に、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含む;真核生物において、一般的に、そのような制御配列はプロモーター及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、最低限、その存在が発現及びプロセシングに必須である全ての成分を含むことを意図しており、また、その存在が有利である追加の成分、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列を含むことができる。
【0242】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される核酸分子は、任意の供給源からの重鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列にインフレームで連結された、本明細書中に記載される抗体若しくは抗原結合部分からのVHドメインをコードするヌクレオチド配列を含む。同様に、本明細書中に記載される核酸分子は、任意の供給源からの軽鎖定常領域をコードするヌクレオチド配列にインフレームで連結された、本明細書中に記載される抗体若しくは抗原結合部分からのVLドメインをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0243】
本開示のさらなる態様では、VH及び/又はVLをコードする核酸分子は、全長抗体遺伝子に「変換」され得る。一部の実施形態では、VH又はVLドメインをコードする核酸分子は、それぞれ重鎖定常(CH)領域又は軽鎖定常(CL)領域を既にコードしている発現ベクター中への挿入により全長抗体遺伝子に変換され、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに作動可能に連結され、及び/又はVLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動可能に連結される。別の態様では、VH及び/又はVLドメインをコードする核酸分子は、標準的な分子生物学的手法を使用して、VH及び/又はVLドメインをコードする核酸分子を、CH及び/又はCL領域をコードする核酸分子に連結する、例えば、ライゲーションすることにより全長抗体遺伝子に変換される。全長重鎖及び/又は軽鎖をコードする核酸分子を次に、それらが導入された細胞から発現させ、抗体を単離することができる。
【0244】
一部の実施形態では、フレームワーク領域は、結果として得られるフレームワーク領域が、対応する生殖系列遺伝子のアミノ酸配列を有するように変異される。変異をフレームワーク領域又は定常領域中に作製して、例えば、抗体の半減期を増加させる。例えば、国際公開第00/09560号を参照のこと。フレームワーク領域又は定常領域中の変異をまた作製して、抗体の免疫原性を変化させる、及び/又は別の分子への共有結合的な又は非共有結合的な結合のための部位を提供することができる。本開示によれば、抗体は、可変ドメインのCDR若しくはフレームワーク領域のいずれか1つ又は複数において、又は定常領域において変異を有し得る。
【0245】
宿主細胞並びに抗体及び抗体組成物産生の方法
また、記載されるのは、本開示の併用療法(例、組成物)を産生する方法である。一実施形態は、本明細書中に記載される抗体を産生する方法であって、抗体を発現することが可能な組換え宿主細胞を提供すること、抗体の発現のために適切な条件下で当該宿主細胞を培養すること、及び結果として得られた抗体を単離することを含む。そのような組換え宿主細胞におけるそのような発現により産生される抗体を、本明細書中では「組換え抗体」として言及する。また、記載されるのは、そのような宿主細胞の子孫細胞、及び同により産生される抗体である。
【0246】
用語「組換え宿主細胞」(又は単純に「宿主細胞」)は、本明細書中で使用されるように、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味する。定義により、組換え宿主細胞は自然において生じない。本開示は、例えば、本明細書中に記載されるベクターを含み得る宿主細胞を提供する。本開示はまた、本明細書中に記載される抗体若しくはその抗原結合部分の重鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又はそれらの両方を含む宿主細胞を提供する。「組換え宿主細胞」及び「宿主細胞」は、特定の対象細胞だけでなく、また、そのような細胞の子孫を意味することを理解すべきである。特定の修飾が、変異又は環境の影響のいずれかに起因して、後続の世代において生じ得るため、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないであろうが、しかし、依然として、本明細書中で使用される用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。
【0247】
本明細書中に記載される抗体若しくはその抗原結合部分をコードする核酸分子、及びこれらの核酸分子を含むベクターは、適切な哺乳動物、植物、細菌又は酵母宿主細胞のトランスフェクションのために使用することができる。形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための任意の公知の方法によることができる。哺乳動物細胞中への異種ポリヌクレオチドの導入のための方法は、当技術分野において周知であり、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中でのポリヌクレオチドのカプセル化、及び核中へのDNAの直接マイクロインジェクションを含む。また、核酸分子は、ウイルスベクターにより哺乳動物細胞中に導入され得る。
【0248】
異なる細胞株により又はトランスジェニック動物において発現される抗体は、互いに異なるグリコシル化パターンを有する可能性が高い。しかし、本明細書中に提供される核酸分子によりコードされる、又は本明細書中に提供されるアミノ酸配列を含む、全ての抗体が、抗体のグリコシル化状態に関係なく、より一般的には、翻訳後修飾の存在又は非存在に関係なく、本開示の部分である。
【0249】
一部の実施形態では、本開示は、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分及び抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分を含む抗体組成物を産生するための方法に関し、この方法は以下を含む:
- 第一及び第二の宿主細胞を提供することであって、それにおいて、第一の宿主細胞は、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を発現することが可能であり、第二の宿主細胞は、本明細書中に記載される抗PD-1又はPD-L1抗体若しくはその抗原結合部分を発現することが可能であり、
- 第一及び第二並びに宿主細胞を、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分の発現のために適切な条件下で培養すること、及び
- 結果として得られた抗体を単離すること。
【0250】
一部の実施形態では、本開示は、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分、及び抗EGFR又は抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分を含む抗体組成物の産生するための方法に関し、方法は以下を含む:
- 第一、第二、及び第三の宿主細胞を提供することであって、第一の宿主細胞は、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分を発現することが可能であり、第二の宿主細胞は、抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分を発現することが可能であり、及び第三の宿主細胞は、本明細書中に記載される抗PD-L1抗体若しくはその抗原結合部分を発現することが可能であり、
- 第一、第二、及び第三の宿主細胞を、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分、及び抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分の発現のために適切な条件下で培養すること、並びに
- 結果として得られた抗体を単離すること。
【0251】
本開示はまた、以下を含む宿主細胞を提供する:
- 本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分の重鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又はそれらの両方、及び本明細書中に記載される抗PD-1若しくはPD-L1抗体の重鎖若しくはその抗原結合部分、軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又はその両方;或いは
- 本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分の重鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又はそれらの両方;本明細書中に記載される抗PD-1抗体又はPD-L1抗体の重鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又はそれらの両方;本明細書中に記載される抗EGFR若しくは抗HER2抗体の重鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、軽鎖若しくはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列、又はそれらの両方。
【0252】
医薬組成物
本開示の別の態様は、有効成分として(例、唯一の有効成分として)以下を含む医薬組成物である:
- 本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分;
- 本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び本明細書中に記載される抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分;
- 本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、及び本明細書中に記載される抗EGFR又は抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分;或いは
- 本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、本明細書中に記載される抗PD-1又はPD-L1抗体若しくはその抗原結合部分、及び本明細書中に記載される抗EGFR又は抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分。
【0253】
一部の態様では、医薬組成物は、多重特異的結合分子(例、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体及び本明細書中に記載される抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体;又は本明細書中に記載される抗NKG2A抗体、抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体、及び抗EGFR若しくは抗HER2抗体の結合特異性を有する多重特異的結合分子)を含む。
【0254】
本開示の別の態様は、有効成分として(又は唯一の有効成分として)、本開示の単独療法又は併用療法を含む医薬組成物である。医薬組成物は、加えて、医薬的に許容可能な賦形剤を含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、癌、例えば本明細書中に記載される癌の寛解、予防、及び/又は処置について意図される。特定の実施形態では、癌は、組織、例えば皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟組織、造血系、頭頸部、肝臓、骨、膀胱、乳房、胃、子宮、子宮頸部、及び膵臓などの中にある。
【0255】
本開示の医薬組成物は、本明細書中に記載される1つ又は複数の抗体、抗原結合部分、抗体組成物、又は多重特異的結合分子を含むであろう。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載される2つの抗体若しくはそれらの抗原結合部分を含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載される3つの抗体若しくはそれらの抗原結合部分を含む。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載される単独療法又は併用療法を含む。
【0256】
一部の実施形態では、医薬組成物は、本開示の単独療法又は併用療法、並びに、例えば、免疫刺激剤、ワクチン、化学療法剤、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、及びチロシンキナーゼ阻害剤より選択される1つ又は複数の追加の薬剤を含み得る。
【0257】
一部の実施形態では、医薬組成物は、NKG2A、PD-1、PD-L1、EGFR、HER2、又はそれらの任意の組み合わせの調節により、その進行を改善する、又は遅らせる、障害、疾患、又は状態の寛解、予防、及び/又は処置について意図される。一部の実施形態では、医薬組成物は、癌の寛解、予防、及び/又は処置について意図される。一部の実施形態では、医薬組成物は、免疫系の活性化について意図される。
【0258】
一般的に、本開示の治療及び組成物は、例えば、以下において記載するように、1つ又は複数の医薬的に許容可能な賦形剤との組み合わせにおける1つ又は複数の製剤として投与するために適切である。
【0259】
用語「賦形剤」は、本明細書中では、本開示の化合物以外の任意の成分を記載するために使用される。賦形剤の選択は、要因、例えば特定の投与の様式、溶解度及び安定性に対する賦形剤の効果、及び投薬形態の性質などに、大きな範囲まで依存する。本明細書中で使用される場合、「医薬的に許容可能な賦形剤」は、生理学的に適合性のある任意の及び全ての溶剤、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに同様のものを含む。医薬的に許容可能な賦形剤の一部の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノール及び同様のもの、並びにそれらの組み合わせである。多くの場合では、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトールなど、又は塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。医薬的に許容可能な物質の追加の例は、湿潤剤又は少量の補助物質、例えば湿潤剤若しくは乳化剤、保存剤若しくは緩衝剤などであり、それらは、抗体の有効期間又は有効性を増強する。
【0260】
本開示の医薬組成物及びそれらの調製のための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物及びそれらの調製のための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition(Mack Publishing Company, 1995)において見出され得る。医薬組成物は、好ましくは、GMP(適正製造基準)条件下で製造される。
【0261】
本開示の医薬組成物は、単一の単位用量として、又は複数の単一の単位用量として、バルクで調製、包装、又は販売され得る。本明細書中で使用される場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の個別量である。活性成分の量は、一般的に、対象に投与され得る活性成分の投与量、或いはそのような投与量の便利な画分、例えば、そのような投与量の2分の1又は3分の1に等しい。
【0262】
非経口投与のための適切な医薬組成物の製剤は、典型的には、医薬的に許容可能な担体、例えば滅菌水又は滅菌等張食塩水などと併用した活性成分を含む。そのような製剤は、ボーラス投与のために又は継続投与のために適切な形態において調製、包装、又は販売され得る。注射用製剤は、単位投薬形態中、例えば保存剤を含むアンプル中又は複数用量容器中などで調製、包装、又は販売され得る。非経口投与用の製剤は、限定されないが、懸濁液、溶液、油性又は水性溶媒中の乳濁液、ペースト、及び同様のものを含む。そのような製剤は、限定されないが、懸濁剤、安定化剤、又は分散剤を含む、1つ又は複数の追加成分を更に含んでもよい。非経口投与用の製剤の一部の実施形態では、活性成分は、再構成された組成物の非経口投与前に、適切な溶媒(例、無菌のパイロジェンフリー水)を用いた再構成のための乾燥(即ち、粉末又は顆粒)形態において提供される。非経口製剤はまた、賦形剤、例えば塩、炭水化物、緩衝剤など(好ましくは3~9のpH)を含み得る水溶液を含むが、しかし、一部の適用については、それらは、無菌の非水溶液として又は適切な溶媒、例えば無菌のパイロジェンフリー水などとの組み合わせにおいて使用される乾燥形態としてより適切に製剤化され得る。例示的な非経口投与形態は、滅菌水溶液、例えば、プロピレングリコール又はブドウ糖水溶液中の溶液又は懸濁液を含む。そのような投薬形態は、望ましい場合に適切に緩衝化することができる。有用である他の非経口投与可能な製剤は、微結晶形態中に、又はリポソーム調製物中に活性成分を含むものを含む。
【0263】
本開示の抗体及び組成物の治療的使用
一部の実施形態では、本開示の治療及び組成物は、それを必要とする患者(例、哺乳動物、例えばヒトなど)において免疫系を増強又は活性化するために使用される。特定の実施形態では、患者は免疫抑制されている。特定の実施形態では、医師は、本明細書中に記載される治療又は組成物を投与することにより、患者自身の免疫系の抗癌活性をブーストすることができる。例えば、医師は、本開示の治療又は組成物を単独で、又は他の治療剤との組み合わせにおいて(逐次的に又は同時に)投与することにより、患者において抗腫瘍活性をブーストすることができる。
【0264】
特定の実施形態では、本開示の治療又は組成物は、癌の処置において使用するためである。癌は、1つ又は複数の組織、例えば皮膚、肺、腸、結腸、卵巣、脳、前立腺、腎臓、軟部組織、造血系、頭頸部、肝臓、骨、膀胱、乳房、胃、子宮、子宮頸部、及び膵臓などの中であり得る。
【0265】
一部の実施形態では、本開示の治療及び組成物により処置される癌は、例えば、黒色腫(例、進行性又は転移性黒色腫)、皮膚基底細胞癌、神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠肉腫、星細胞腫、髄膜腫、神経芽腫、副腎皮質癌、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌、唾液腺癌、上咽頭癌、乳癌、肺癌(例、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、及び扁平上皮肺癌)、食道癌、胃食道接合部癌、胃癌、消化器癌、原発性腹膜癌、肝臓癌、肝細胞癌、胆道癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、卵管癌、膀胱癌、上部尿路癌、尿路上皮癌、腎細胞癌、腎臓癌、泌尿生殖器癌、子宮頸癌、前立腺癌、線維肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、組織球腫、膵臓癌、子宮内膜癌、虫垂癌、進行メルケル細胞癌、多発性骨髄腫、肉腫、絨毛癌、赤白血病、急性リンパ性白血病、急性単球性白血病、急性前骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、肥満細胞性白血病、小リンパ球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、単球性リンパ腫、HTLV関連T細胞白血病/リンパ腫、中皮腫、及び固形腫瘍を含み得る。癌は、例えば、初期、中期、後期、局所進行期、進行期、又は転移期にあり得る、再発し得る、並びに他の治療法(例、癌のための治療又は組成物の1つ又は複数の標的、チェックポイント阻害剤、又は標準治療に向けられる他の治療法)に対して難治性及び/又は不耐容性であり得る、或いは利用可能な標準治療がないであろう。一部の実施形態では、癌は、医学的禁忌又は腫瘍の切除不能のいずれかにより、外科的介入を受けられないであろう。
【0266】
一部の実施形態では、本開示の治療及び組成物により処置される状態は、例えば、胃癌及び結腸直腸癌を含み得る。一部の実施形態では、胃癌又は結腸直腸癌は、転移性、局所進行性、又は切除不能である。
【0267】
一部の実施形態では、胃癌は、(1)切除不能、(2)局所進行性若しくは転移性、(3)HER2、又は(4)(1)~(3)の任意の組み合わせ(例、全て)である。加えて又は代わりに、胃癌患者は、第一選択の標準療法(例、細胞傷害性化学療法、トラスツズマブ、及び/又はペムブロリズマブ)を用いた処置を受けていたであろう。特定の実施形態では、本開示の治療又は組成物(例、NKG2A、PD-1、及びHER2を標的化する、例えばmAb1+mAb3+マルゲツキシマブなど)は、局所進行性切除不能又は転移性HER2胃癌を処置するために使用され得るが、例えば、ここで、第一選択の標準治療、例えば細胞傷害性化学療法、トラスツズマブ、及び/又はペムブロリズマブなどは失敗している。
【0268】
一部の実施形態では、本開示の治療又は組成物(例、NKG2A、PD-1、及びHER2を標的化する、例えばmAb1+ペムブロリズマブ+トラスツズマブなど)は、局所進行性切除不能又は転移性HER2胃食道接合部(GEJ)及び胃腺腺癌(GA)を処置するために使用され得るが、ここで、例えば、第一選択の標準治療、例えば細胞傷害性化学療法、トラスツズマブ、及び/又はペムブロリズマブなどが失敗している。
【0269】
一部の実施形態では、結腸直腸癌は、(1)転移性である、(2)医学的禁忌又は腫瘍の切除不能のいずれかに起因して外科的介入を受けない、(3)施設のガイドライン又はアメリカ病理医協会のガイドラインに従ってマイクロサテライト不安定性ステータスが低い(例、MSI-H癌)、(4)(1)~(3)の任意の組み合わせ(例、全て)である。加えて又は代わりに、結腸直腸癌を有する患者は、(i)以下のコドンのいずれかにおいてRAS(KRAS及びNRAS)変異を伴わない:エクソン2中のコドン12及び13、エクソン3中のコドン59及び61、並びにエクソン4中の117及び146;及び/又は(ii)BRAF V600E変異を伴わないであろう。特定の実施形態では、本開示の治療又は組成物(例、NKG2A、PD-1、及びEGFRを標的化する、例えばmAb1+mAb3+フツキシマブ+モドツキシマブなど)は、転移性結腸直腸癌を処置するために使用され得る。特定の実施形態では、mAb1及びペムブロリズマブの治療又は組成物は、結腸直腸癌、具体的にはMSI-H/dMMR局所進行性切除不能又は転移性結腸直腸癌(mCRC)を処置するために使用され得る。
【0270】
一部の実施形態では、本開示の治療又は組成物は、実施例10において記載されているように、患者集団を処置するために使用され得る。
【0271】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される治療又は組成物は、インビボで腫瘍成長を阻害する及び/又は腫瘍成長退縮を誘導し得る。一部の実施形態では、本明細書中に記載される治療又は組成物は、癌患者において転移を遅らせる又は逆転させ得る。一部の実施形態では、本明細書中に記載される治療又は組成物は、癌患者の生存を延長させ得る。上の特性の任意の組み合わせも企図される。
【0272】
一部の実施形態では、本開示の治療又は組成物は、免疫障害の処置において使用され得る。
【0273】
一部の実施形態では、本開示の治療又は組成物は、免疫無防備状態(例、化学療法又は放射線療法に起因する)にある、又はそのリスクがある患者を処置するために使用され得る。一部の実施形態では、治療又は組成物は、幹細胞移植後の患者において幹細胞を増殖させるために使用され得る。
【0274】
一部の実施形態では、治療又は組成物は、例えば、病原体が宿主免疫応答を阻害する場合に、ウイルス及び/又は寄生虫感染を処置する際での使用のためである。病原体は、例えば、HIV、肝炎(A、B、又はC)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、アデノウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、ヒトT細胞リンパ球増殖性ウイルス(HTLV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、デング熱ウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ジョン・カニンガム(JC)ウイルス、アルボウイルス脳炎ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、黄色ブドウ球菌、又は緑膿菌であり得る。
【0275】
「処置する」、「処置すること」、及び「処置」は、生物学的障害及び/又はそれに付随する症状の少なくとも1つを軽減又は抑止する方法を指す。本明細書中で使用される場合、疾患、障害又は状態を「軽減する」は、疾患、障害又は状態の症状の重症度及び/又は発生頻度を低下させることを意味する。更に、本明細書中での「処置」への言及は、治癒的、緩和的、及び予防的処置への言及を含む。
【0276】
「治療有効量」は、処置されている疾患の症状の1つ又は複数をある程度まで軽減する、投与されている治療剤の量を指す。治療有効量の抗癌治療剤は、例えば、遅延した腫瘍成長、腫瘍縮小、増加した生存期間、癌細胞の排除、遅くなった又は減少した疾患進行、転移の逆転、又は医療専門家により望まれる他の臨床エンドポイントをもたらし得る。一部の実施形態では、本開示の治療又は組成物の治療有効量は、例えば、未処置の患者との比較において、改善された客観的応答率、改善された臨床利益率、改善された応答の持続時間、増加した無増悪生存期間、及び増加した全生存期間をもたらす。
【0277】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される治療は、単一の組成物中で投与される。他の実施形態では、治療(例、併用療法)は、1を上回る組成物中で投与される。例えば、抗NKG2A抗体、抗PD-1又は抗PD-L1抗体、及び抗EGFR又は抗HER2抗体を含む併用療法は、全ての3つの抗体を含む単一の組成物、抗体の2つを含む組成物及び抗体の1つを含む組成物、又は各抗体について別々の組成物の投与を含み得る。1を上回る組成物がある場合では、組成物は、同時に、逐次的に、別々に、又はそれらの任意の組み合わせで投与することができる。
【0278】
本開示の治療又は組成物は、追加の治療処置を伴わずに、即ち、単独治療(単独療法)として投与され得る。或いは、治療又は組み合わせを伴う処置は、少なくとも1つの追加の治療処置、例えば、別の免疫刺激剤、抗癌剤(例、化学療法剤、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、又はチロシンキナーゼ阻害剤)、又はワクチン(例、腫瘍ワクチン)を含み得る。
【0279】
一部の実施形態では、治療又は組成物は、癌の処置のための別の医薬/薬物と同時投与又は製剤化され得る。追加の治療処置は、例えば、免疫刺激剤、ワクチン、化学療法剤、抗腫瘍剤、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、及び/又は放射線療法を含み得る。一部の実施形態では、追加の治療処置は、異なる抗癌抗体を含み得る。
【0280】
本明細書中に記載される治療又は組成物及び少なくとも1つの他の薬剤(例、化学療法剤、抗腫瘍剤、又は抗血管新生剤)を含む医薬製品が、癌療法における同時、別々、又は連続投与のための併用処置として使用され得る。他の薬剤は、問題の特定の癌の処置のために適切な任意の薬剤、例えば、アルキル化剤、例えば、白金誘導体、例えばシスプラチン、カルボプラチン及び/又はオキサリプラチンなど;植物アルコイド、例えば、パクリタキセル、ドセタキセル及び/又はイリノテカン;抗腫瘍抗生物質、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンミトキサントロン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、アクチノマイシン、ルテオマイシン、及び/又はマイトマイシン;トポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポテカンなど;代謝拮抗物質、例えば、フルオロウラシル及び/又は他のフルオロピリミジン;FOLFOX;オシメルチニブ;シクロホスはミド;アントラサイクリン;ダカルバジン;ゲムシタビン;或いはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される薬剤であり得る。一部の実施形態では、本明細書中に記載される治療又は組成物は、他の薬剤への応答性を再確立する。
【0281】
本開示の治療又は組成物はまた、他の抗癌療法、例えばワクチン、サイトカイン、酵素阻害剤、免疫刺激化合物、及びT細胞治療などとの組み合わせにおいて使用され得る。ワクチンの場合では、それは、例えば、処置されている癌について関連する1つ又は複数の抗原を含むタンパク質、ペプチド、若しくはDNAワクチン、又は抗原とともに樹状細胞を含むワクチンであり得る。適切なサイトカインは、例えば、IL-2、IFN-ガンマ及びGM-CSFを含む。抗癌活性を有する酵素阻害剤の種類の例は、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害剤、例えば、1-メチル-D-トリプトはン(1-D-MT)である。また、企図されるのは、養子T細胞治療であって、それは、患者自身のT細胞を増殖又は操作して腫瘍を認識及び攻撃することを含む、種々の免疫療法技術を指す。
【0282】
また、本開示の治療又は組成物は、チロシンキナーゼ阻害剤との関連において補助治療において使用され得ることが企図される。これらは、合成的な、主にキナゾリン由来の低分子量分子であり、それらは、受容体の細胞内チロシンキナーゼドメインと相互作用し、例えば、細胞内Mg-ATP結合部位について競合することにより、リガンド誘導性の受容体リン酸化を阻害する。
【0283】
一部の実施形態では、治療又は組成物は、限定されないが、A2AR、A1AR、A2BR、A3AR、ADA、ALP、AXL、BTLA、B7-H3、B7-H4、CTLA-4、CD116、CD123、CD27、CD28、CD39、CD40、CD47、CD55、CD73、CD122、CD137、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、CTLA-3、CEACAM(例、CEACAM-1及び/又はCEACAM-5)、EGFR、FLT3、HER2、NKG2AL、GAL9、GITR、HVEM、LAG-3、LILRB1、LY108、LAIR1、MET、NKG2A、ICOS、IDO、IL2R、IL4R、KIR、LAIR1、PAP、PD-1/PD-L1/PD-L2、OX40、STING、TIGIT、TIM-3、TGFR-β、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9及びTLR10、TNFR2、VEGFR、VEGF、VISTA、LILRB2、CMTM6及び/又は2B4の発現又は活性を調節する薬剤を含む、免疫系活性化を媒介する医薬/薬物との組み合わせにおいて使用され得る。特定の実施形態では、薬剤は小分子阻害剤である。特定の実施形態では、薬剤は、上の分子の1つに結合する抗体又はその抗原結合断片である。また、本開示の治療又は組成物は、サイトカイン(例、IL-1、IL-2、IL-12、IL-15又はIL-21)、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤などとの組み合わせにおいて使用され得ることが企図される。
【0284】
本明細書中で使用される場合、用語「同時投与」、「同時投与される」、及び「との組み合わせにおいて」は、1つ又は複数の他の治療剤を伴う、本開示の治療及び組成物を指し、以下を意味することを意図しており、実際に以下を指す及び含む:
a)そのような成分が、当該成分を実質的に同時に当該患者に放出する単一投薬形態中に一緒に製剤化される場合での、処置を必要とする患者への、本開示のそのような治療/組成物及び治療剤の同時投与、
b)そのような成分が、互いに離れて別々の投薬形態中に製剤化され、それが、実質的に同時に当該患者により摂取される場合での、治療を必要とする患者への、本開示のそのような治療/組成物及び治療剤の実質的に同時の投与であって、その時、当該成分が、実質的に同時に当該患者に放出され、
c)そのような成分が、互いに離れて別々の投薬形態中に製剤化され、それが、各投与間に有意な時間間隔を伴って、当該患者により連続時間で摂取される場合での、処置を必要とする患者への本開示のそのような治療/組成物及び治療剤の連続投与であって、その時、当該成分は、実質的に異なる時間で当該患者に放出される;及び
d)そのような成分が、制御された様式において当該成分を放出する単一の投薬形態中に一緒に製剤化される場合での、処置を必要とする患者への本開示のそのような治療/組成物及び治療剤の連続的投与であって、その時、それらは、同じ及び/又は異なる時間に当該患者に同時に、継続的に、及び/又は重複して放出され、ここで、各部分は、同じ又は異なる経路のいずれかにより投与され得る。
【0285】
本開示の治療及び組成物は、本明細書中に記載される処置の方法において使用され得る、本明細書中に記載される処置において使用するためであり得る、及び/又は本明細書中に記載される処置のための医薬の製造における使用のためであり得ることが理解される。
【0286】
用量及び投与の経路
本開示の治療及び組成物は、問題の状態の処置のための有効量、即ち、所望の結果を達成するために必要な投与量及び期間で投与され得る。治療有効量は、要因、例えば処置されている特定の状態、患者の年齢、性別、及び体重、抗体が、単独の処置として、或いは1つ又は複数の追加の抗癌処置との組み合わせにおいて投与されるか否か、などに従って変動し得る。
【0287】
投与レジメンは、最適な望ましい応答が提供されるように調整され得る。例えば、単一ボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、或いは、用量を、治療状況の緊急性により示されるように、比例的に低下又は増加させてもよい。非経口組成物を、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、投薬単位形態において製剤化することが特に有利である。投薬単位形態は、本明細書中で使用される場合、処置される患者/対象のための単位投与量として適した物理的に分離した単位を指し;各単位は、要求される医薬的担体との関連において所望の治療効果を産生するように計算された所定量の活性化合物を含む。本開示の投薬単位形態のための仕様は、一般的に、(a)治療剤の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果又は予防効果、並びに(b)個人における感受性の処置のためにそのような活性化合物を配合する当該技術分野において固有の限度により指示され、それに直接的に依存的である。
【0288】
このように、当業者は、本明細書中に提供される開示に基づいて、用量及び投薬レジメンが、治療分野において周知の方法に従って調整されることを理解するであろう。すなわち、最大耐用量を容易に確立することができ、患者に検出可能な治療的利益を提供するための有効量がまた、患者に検出可能な治療的利益を提供するために各々の薬剤を投与するための時間的要件と同様に、決定することができる。したがって、特定の用量及び投与レジメンが本明細書中に例示されているが、これらの例は、本開示を実施する際に患者に提供され得る用量及び投与レジメンを決して限定しない。
【0289】
投与量の値は、軽減すべき状態の種類及び重症度で変動し得る、単一又は複数用量を含み得ることに注意すべきである。任意の特定の対象について、特定の投与レジメンは、個々の必要性及び組成物を投与する又は組成物の投与を監督する人の専門的判断に従って経時的に調整されるべきであること、並びに本明細書中に示される投与量範囲は例示だけであり、具体化された組成物の範囲又は実践を限定することを意図しないことを更に理解すべきである。更に、本開示の組成物を用いた投与レジメンは、疾患の種類、患者の年齢、体重、性別、医学的状態、状態の重症度、投与の経路、及び用いられる特定の抗体を含む、様々な要因に基づき得る。このように、投与レジメンは広く変動し得るが、しかし、標準的な方法を使用してルーチン的に決定することができる。例えば、用量は、臨床効果、例えば毒性効果及び/又は臨床検査値などを含み得る、薬物動態学的又は薬力学的パラメーターに基づいて調整され得る。このように、本開示は、当業者により決定される患者内の用量漸増を包含する。適した投与量及びレジメンを決定することは、関連技術分野において周知であり、一度、本明細書中に開示される教示が提供されれば、包含されることが当業者により理解されるであろう。
【0290】
腫瘍治療のための有効量は、患者において疾患進行を安定化する及び/又は症状を寛解させる能力、好ましくは例えば、腫瘍サイズを低下させることにより疾患進行を逆転させるその能力により測定され得る。癌を阻害する、本開示の治療又は組成物の能力は、例えば、実施例において記載されるようなインビトロアッセイにより、並びにヒト腫瘍における効力の予測的である適切な動物モデルにおいて評価され得る。適切な投与レジメンは、各々の特定の状況において最適な治療応答を提供するために選択され、例えば、単一ボーラス又は連続注入として投与され、各々の症例の緊急性により示される投与量の可能な調整を伴う。
【0291】
本開示の治療及び組成物は、当技術分野において許容されるペプチド、タンパク質又は抗体を投与するための任意の方法により投与され得るが、典型的には非経口投与のために適切である。本明細書中で使用される場合、「非経口投与」は、対象の組織の物理的破壊及び組織の破壊を通じた投与により特徴付けられる任意の投与の経路を含み、このように、一般的に、血流中、筋肉中、又は内臓中への直接投与がもたらされる。非経口投与は、このように、限定されないが、注射による、外科的切開を通じた適用による、組織貫通非外科的創傷を通じた適用、及び同様のものによる投与を含む。特に、非経口投与は、限定されないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内、大槽内、静脈内、動脈内、くも膜下腔内、尿道内、頭蓋内、腫瘍内、及び滑膜内注射又は注入を含むことが企図される。特定の実施形態は、静脈内経路及び皮下経路を含む。一部の実施形態では、投与はIV注射、例えば、IV注入である。
【0292】
一部の実施形態では、本開示の治療及び組成物は、例えば、記載される臨床試験のパート1a、1b、2a、及び2bに関して、実施例10において記載される例示的な投薬レジメンに従って投与され得る。
【0293】
例えば、特定の実施形態では、抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分は、8、20、100、300、750、若しくは1500mgの用量で、又は8~20、20~100、100~300、300~750、若しくは750~1500mg(例、本明細書中に記載されるように、単剤療法として、又は併用療法の一部として)の用量で投与され得る。特定の実施形態では、抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分は、1、2、3、4、5、又は6週間毎に投与される。更に、抗NKG2A抗体若しくは抗原結合部分は、7、14、28、42、56、70、又は84日のサイクルにおいて投与され得る。
【0294】
特定の実施形態では、抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分は、50、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500mgの用量で、或いは50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、又は450~500mgの用量で(例、本明細書中に記載される併用療法の一部として)投与され得る。特定の実施形態では、抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又は抗原結合部分は、1、2、3、4、5、又は6週間毎に投与され、特定の実施形態では、抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分の1、2、3、又は4サイクルの後に投与され得る。
【0295】
特定の実施形態では、抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分(例、2つの抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分の組み合わせ)は、1、3、6、9、12、15、又は18mg/kgの用量で(例、本明細書中に記載される併用療法の一部として)投与され得る。一部の実施形態では、抗EGFR若しくはその抗原結合部分は、当該用量の1つで、負荷用量として、当該用量の異なる用量で、維持用量として、例えば、9mg/kgの負荷用量、それに続く6mg/kgの維持用量として投与され得る。特定の実施形態では、抗EGFR抗体若しくはその抗原結合部分は、1、2、3、又は4週間毎に投与される。
【0296】
特定の実施形態では、抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分は、5、10、15、20、25、又は30mg/kgの用量で(例、本明細書中に記載される併用療法の一部として)投与され得る。特定の実施形態では、抗HER2抗体若しくはその抗原結合部分は、1、2、3、4、5、6、7、又は8週間毎に投与される。
【0297】
製造品及びキット
本開示はまた、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、並びに、場合により、本明細書中に記載される抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分並びに/或いは本明細書中に記載される抗EGFR若しくは抗HER2抗体又は抗原結合部分を含む製造品を提供する。例えば、製造品は、本明細書中に記載される任意の治療の抗体を含み得る、及び本明細書中に記載される任意の処置方法における使用のためであり得る。また、提供されるのは、当該物品を製造するための方法である。
【0298】
本開示はまた、本明細書中に記載される抗NKG2A抗体若しくはその抗原結合部分、並びに、場合により、本明細書中に記載される抗PD-1若しくは抗PD-L1抗体又はその抗原結合部分並びに/或いは本明細書中に記載される抗EGFR若しくは抗HER2抗体又は抗原結合部分を含むキットを提供する。例えば、キットは、本明細書中に記載される任意の治療の抗体を含み得る、及び本明細書中に記載される任意の処置方法における使用のためであり得る。
【0299】
本開示はまた、本明細書中に記載される治療又は組成物、場合により、追加の生物学的活性分子(例、別の治療剤)を含む1つ又は複数の容器(例、単一使用又は複数使用の容器)、及び使用のための説明書を含む製造品及びキットを提供する。治療又は組成物の抗体若しくは抗原結合部分、及び、オプションの追加の生物学的に活性な分子は、適切な包装、例えば非反応性ガラス又はプラスチックから作製されたバイアル又はアンプルなどの中に別々に又は任意の組み合わせにおいて一緒に包装することができる。特定の実施形態では、バイアル又はアンプルは、抗体若しくは抗原結合部分及び/又は生物学的に活性な分子の濃縮ストック(例、2×、5×、10×又はそれ以上)を保持する。特定の実施形態では、製造品及びキットは、治療若しくは組成物及び/又は追加の生物学的に活性な分子を投与するための医療デバイス(例、注射器及び針);並びに/或いは適した希釈剤(例、滅菌水及び生理食塩水)を含む。
【0300】
本明細書中で他に定義されない限り、本開示との関連において使用される科学用語及び技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有するものとする。例示的な方法及び材料を以下に記載しているが、本明細書中に記載されるものと類似又は等価の方法及び材料がまた、本開示の実施又は試験において使用されることができる。矛盾の場合では、本明細書が、定義を含め、優先される。
【0301】
一般的に、本明細書中に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、薬品及び医薬品化学、並びにタンパク質及び核酸の化学及びハイブリダイゼーションとの関連において使用される命名法及びそれらの技術は、周知であり、当技術分野において一般に使用される。酵素反応及び精製技術は、当技術分野において一般に達成されるように、又は本明細書中に記載されるように、製造業者の仕様書に従って実施される。
【0302】
更に、文脈により他に要求されない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本明細書及び実施形態を通じて、用語「有する(have)」及び「含む(comprise)」、又は変形、例えば「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(comprises)」、又は「含んでいる(comprising)」などは、記述される整数又は整数の群の包含を意味するが、しかし、任意の他の整数又は整数の群の除外を意味しないことが理解されるであろう。
【0303】
本明細書中で言及される全ての刊行物及び他の参考文献は、それらの全体において参照により援用される。多数の文書が本明細書中で引用されているが、この引用は、これらの文書のいずれかが当技術分野における共通の一般的な知識の一部を形成することの承認を構成しない。
【0304】
本開示がより良く理解され得るように、以下の実施例を示す。これらの例は、例証だけの目的のためであり、任意の様式において本開示の範囲を限定しているとして解釈されるべきではない。
【0305】
略語
本明細書中で使用される略語を以下に示す:
ADCC:抗体依存的細胞傷害性
AE:有害事象
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANC:絶対好中球数
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積
BOIN:ベイズ最適区間
CBR:臨床利益率
Cmax:最大血漿濃度
CNS:中枢神経系
CPI:チェックポイント阻害剤
CPS:複合陽性スコア
CR:完了応答
CRC:結腸直腸癌
CTCAE:有害事象共通用語規準
DLT:用量制限毒性
DOR:応答の持続時間
ECG:心電図
ECOG:米国東海岸癌臨床試験グループ
EGFR:上皮成長因子受容体
HCC:肝細胞癌
HER:ヒト上皮成長因子受容体
HLA:ヒト白血球抗原
IHC:免疫組織化学
IMP:治験医薬品
INR:国際標準比
IRR:注入関連反応
IS:含まれるセット
ISH:in situハイブリダイゼーション
IV:静脈内
LVEF:左室駆出率
MAD:最大投与用量
MSI:マイクロサテライト不安定性
MTD:最大耐用量
NCI:国立癌研究所
NE:評価可能ではない。
NK:ナチュラルキラー(細胞)
NYHA:ニューヨーク心臓協会
ORR:客観的応答率
OS:全生存期間
PBMC:末梢血単核球
PD:進行性疾患
PFS:無増悪生存期間
PK:薬物動態
PR:部分応答
RECIST:固形腫瘍における応答評価基準
SD:安定疾患
SRC:安全検討委員会
ULN:基準値上限
VPC:視覚的な予測チェック
WHO:世界保健機関
WT:野生型
【実施例
【0306】
実施例1:内因性HLA-Eを発現する、選択された細胞株においてmAb1により誘導されるNK細胞媒介性死滅
本実施例は、腫瘍細胞株(HT-29、CCRF-CEM、A253、Detroit 562、CAL-120、FaDu)の表面上での内因性HLA-Eの発現、及びインビトロでのこれらの腫瘍細胞株のNK細胞媒介性死滅に対するmAb1の効果を記載する。
【0307】
材料及び方法
6つの異なる細胞株(HT-29、CCRF-CEM、A253、Detroit 562、CAL-120、及びFaDu)における内因性 HLA-Eの発現をフローサイトメトリーにより調べた。健康な人からの単離ヒト初代NK細胞を、内因性HLA-E(HLA-B0701ペプチドを負荷)を発現する6つの異なるカルセイン標識標的細胞と10:1の比率において共培養し、単一濃度のmAb1又はアイソタイプ コントロール(IgG1 LALA)で処理した。カルセインの放出を1.5時間後に測定し、%特異的溶解を計算した。
【0308】
結果
全ての6つのヒト腫瘍細胞株が、表面上に内因性HLA-Eを発現することが示された(図1、パネルA)。mAb1での処理は、IgG1 LALA処理と比較して、これらの腫瘍細胞株のNK媒介性死滅を誘導した(図1、パネルB)。
【0309】
実施例2:BMS抗NKG2A抗体類似体及びモナリズマブ類似体との比較におけるmAb1の滴定
本実施例は、γδT細胞細胞傷害性アッセイにおけるモナリズマブ類似体及びBMS抗NKGA抗体類似体の両方との比較におけるmAb1の活性を記載する。健康な個人から由来する初代、増殖ヒトγδT細胞を、HLA-E発現標的細胞(K562-HLA-E)と共培養し、モナリズマブ類似体であるmAb1、BMS抗NKG2A.9の類似体(IgG1.3f)、BMS抗NKG2A.11(IgG1.3f)、又はイソタイプ コントロール(IgG1-LALA)で処理した。
【0310】
材料及び方法
K562-HLA-E細胞を、一晩、HLA-B0701ペプチド負荷した。翌日、健康な個人から由来し、増殖させたヒト初代γδT細胞を単離し、50μg/mLから開始した、示された抗体の2倍滴定でインキュベーションし、カルセイン負荷K562-HLA-E標的の添加及び3時間にわたるインキュベーションが続いた。γδT細胞の死滅能力が、上清へのカルセイン放出により測定された。特異的溶解が、自発的溶解(カルセイン負荷562-HLA-E細胞だけ)を差し引き、最大溶解(カルセイン負荷 K562-HLAE細胞のTriton X-100溶解)に対して標準化することにより計算された。
【0311】
結果
モナリズマブ類似体(図2A)又はBMS抗NKGA抗体類似体(NKG2A.9及びNKG2A.11)(図2B)のいずれかとの直接比較は、mAb1の優れた機能活性を示した。
【0312】
実施例3:mAb1は、FaDu細胞におけるセツキシマブ誘導性ADCCを強化する
本実施例は、HLA-E及びEGFRの両方を内因的に発現する標的細胞を使用したNK細胞細胞傷害性アッセイにおいて、EGFR標的抗体により誘導されるADCCを増強するmAb1の能力を記載している。固定濃度のアイソタイプコントロール抗体、mAb1、又はモナリズマブ類似体との組み合わせにおけるセツキシマブの滴定が、最初に試験された。
【0313】
材料及び方法
FaDu細胞を、一晩、HLA-B0701ペプチド負荷した。翌日、健康な個人から由来し、増殖させたヒト初代NKG2A+γδT細胞を、FaDu細胞(E:T比1:10)と共培養し、25ug/mLでの示した抗体との組み合わせにおける、1μg/mLから開始した、セツキシマブの2倍滴定を用いてインキュベートした。90分後、初代NK細胞の殺傷能力を、上清へのカルセイン放出により測定した。特異的溶解は、自発的溶解(カルセイン負荷562-HLA-E細胞だけ)を差し引き、最大溶解(カルセイン負荷 K562-HLA-E細胞のTriton X-100溶解)に対して標準化することにより計算された。
【0314】
結果
図3中に示すように、mAB1は、セツキシマブ誘導性の細胞毒性を実質的に増強した。より穏やかな効果が、セツキシマブをモナリズマブ類似体と組み合わせる場合に観察された。これらのデータは、mAb1が、ADCC誘導抗体により媒介されるNK細胞の細胞傷害活性を強化することができることを裏付ける。
【0315】
実施例4:mAb1は、A431細胞におけるセツキシマブ及びフツキシマブ/モドツキシマブ誘導性ADCCを強化する
本実施例は、初代NK細胞と共培養された場合での、腫瘍細胞株の死滅に対する、mAb1及びADCC誘導性モノクローナル抗EGFR抗体処置セツキシマブ又はフツキシマブ/モドツキシマブの組み合わせの効果を記載する。
【0316】
材料及び方法
2人の健康なヒト個人からのヒト初代NKG2A+NK細胞を、カルセイン標識標的細胞(HLA-B0701ペプチドで負荷されたA431 HLA-E/EGFR)と共培養し、mAb1を伴う又は伴わないセツキシマブ又はフツキシマブ及びモドツキシマブの組み合わせで処理した。カルセインの放出を約3時間後に測定し、特異的溶解(%)を計算した。
【0317】
結果
セツキシマブ(図4A)又はフツキシマブ及びモドツキシマブの組み合わせ(図4B)のいずれかとの組み合わせにおいて、mAb1は、セツキシマブ若しくはフツキシマブ/モドツキシマブ処置単独又はセツキシマブ+IgG1 LALA若しくはフツキシマブ/モドツキシマブ+IgG1 LALAを上回って、腫瘍細胞株A431の死滅を強化した。
【0318】
実施例5:mAb1単独、又はセツキシマブ及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせは、NK細胞活性化(CD137発現)を誘導した
本実施例は、インビトロでの初代NK細胞の活性化の誘導することに対する、単独、又はセツキシマブ若しくはフツキシマブ/モドツキシマブのいずれかとの組み合わせにおいて、1用量で試験されたmAb1の効果を記載する。NK細胞上での、それらの活性化状態のマーカーとしてのCD137の発現が、フローサイトメトリーにより調べられた。
【0319】
材料及び方法
A431細胞(HLA-E/EGFR)を、一晩、HLA-B0701ペプチド負荷した。翌日、NKG2A+NK細胞を、3人の健康なドナーからの新鮮なPBMCから単離し、10ng/mLのIL-2及び図5中に示す抗体又は抗体の組み合わせの存在において10:1の比率でA431細胞と共培養した。48時間の培養後、細胞を 、Zombie Dye Live/Dead染色及び抗FcR抗体を用いて染色し、抗CD3 APC-H7(SK7、BD Biosciences)、抗CD56 BV650(NCAM-16.2、BD Biosciences)、抗CD16 PE(B73.1、BD Biosciences)、及び抗CD137 BV421(B3、BD Biosciences)抗体を使用した表面染色が続き、FACScelestaを使用したフローサイトメトリーにより分析した。
【0320】
結果
図5中に示すように、mAb1並びにセツキシマブ又はフツキシマブ/モドツキシマブは、NK細胞活性化を単独で誘導したが、しかし、CD137の発現は、mAb1とセツキシマブ又はフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおいて更に誘導された。
【0321】
実施例6:mAb1は、単独で又はフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおいて、NK細胞によるIFNγの分泌を誘導した
本実施例は、インビトロでの初代NK細胞によりIFNγの分泌を誘導することに対する、単独で又はフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおいて、1用量で試験されたmAb1の効果を記載する。上清を、処理した共培養物からの回収し、IFNγの分泌についてELISAにより分析した。
【0322】
材料及び方法
A431細胞(HLA-E/EGFR)を、一晩、HLA-B0701ペプチドを用いてパルスした。翌日、NKG2ANK細胞を、3人の健康なドナーからの新鮮なPBMCから単離し、10ng/mL IL-2及び抗NKG2A抗体の存在において、A431細胞と10:1の比率で共培養した。48時間の培養後、細胞上清を回収し、IFNγの濃度をELISA(Invitrogen、88-7316-88)により定量化した。
【0323】
結果
mAb1及びフツキシマブ/モドツキシマブ処理は、各々が、IFNγ単独の分泌を刺激したが、しかし、IFNγ分泌は、2つが併用された場合に更に誘導された(図6)。
【0324】
実施例7:mAb1は、A431及びMDA-MB-231腫瘍細胞株におけるアベルマブ誘導性ADCCを強化する
本実施例は、初代NK細胞と共培養された場合での腫瘍細胞株の死滅に対する、mAb1とADCC誘導性モノクローナル抗PD-L1抗体アベルマブの組み合わせの効果を記載する。
【0325】
材料及び方法
2人の健康なヒトからのヒト初代NKG2ANK細胞を、カルセイン標識A431及びMDA-MB-231腫瘍細胞(両方ともHLA-B0701ペプチドで負荷されたHLA-E+/PD-L1+)と共培養した。カルセインの放出を約3時間後に測定し、特異的溶解(%)を計算した。
【0326】
結果
アベルマブとの組み合わせにおいて、mAb1は、アベルマブ処置単独又はベルマブ+IgG1 LALAと比較して、両方のドナーにおいて2つの腫瘍細胞株A431及びMDA-MB-231の死滅を強化した。
【0327】
実施例8:アベルマブとの組み合わせにおけるmAb1は、NK細胞活性化(CD137)及びIFNγ分泌を誘導した
本実施例は、インビトロでの初代NK細胞によるCD137発現並びにIFNγの分泌を誘導することに対する、mAb1単独又はベルマブとの組み合わせにおける、単一用量の効果を記載する。
【0328】
材料及び方法
A431細胞(HLA-E/EGFR)を、一晩、HLA-B0701ペプチドを用いてパルスした。翌日、NKG2ANK細胞を、健康なドナーからの新鮮な PBMCから単離し、10ng/mLのIL-2及びmAb1、アベルマブ、コントロール抗体IgG1、mAb1及びアベルマブの組み合わせ、又はベルマブ及びコントロールIgG1 LALAの組み合わせの存在において、A431細胞と10:1の比率で共培養した。48時間の培養後、細胞を、Zombie Dye Live/Dead染色及び抗FcR抗体を用いて染色し、抗CD3 APC-H7(SK7、BD Biosciences)、抗CD56 BV650(NCAM-16.2、BD Biosciences)、抗CD16 PE(B73.1、BD Biosciences)及び抗CD137 BV421(B3、BD Biosciences)抗体を使用した表面染色が続き、FACScelestaを使用したフローサイトメトリーにより分析した。また、細胞培養物からの上清を回収し、IFNγの濃度をELISA(Invitrogen、88-7316-88)により定量化した。
【0329】
結果
NK細胞活性化(CD137発現により評価される)は、mAb1単独により誘導されたが、しかし、mAb1及びアベルマブの組み合わせにより更に誘導された(図8A)。また、IFNγ分泌は、mAb1単独により誘導されたが、しかし、アベルマブ処置単独と比較して、mAb1及びアベルマブの組み合わせにより更に誘導された(図8B)。
【0330】
実施例9:アベルマブとの組み合わせにおけるmAb1によるインビボ腫瘍成長阻害
本実施例は、CD34ヒト化NOGマウスにおけるMDA-MB-231腫瘍成長に対する、アベルマブとの組み合わせにおけるmAb1のインビボ有効性を実証する。
【0331】
材料及び方法
ヒト乳腺癌細胞株MDA-MB-231を、ヒトCD34臍帯血幹細胞を用いてヒト化したヒトIL15ブーストNOGマウス上に皮下移植した。腫瘍を週3回、ノギスにより二次元において測定し、腫瘍体積(mm3)を式:(幅)2×長さ×0.5に従って計算した。処置は、腫瘍体積平均65mm3で開始された。マウスは、溶媒、mAb1(10mg/kg)、アベルマブ(10mg/kg)、又はmAb1及びアベルマブの組み合わせ(抗体当たり10mg/kg)の腹腔内注射により、週3回、合計9回の処置にわたり処置された。ボンフェローニの多重比較検定を使用した二元配置分散分析を適用して、処置群間の各々の時間点での腫瘍体積を比較した。統計分析を、GraphPad Prismバージョン9.1.0(GraphPad Software, Inc.)を使用して実施した。試験終了時に、腫瘍が回収され、フローサイトメトリーにより分析された。細胞を抗CD45-PE-Cy7、抗CD3-FITC、抗CD4-PE、及び抗CD8-APC-Cy7抗体を用いて染色し、Zombie Aquaを生細胞/死細胞の判別のために使用した。細胞を、FACSVerseフローサイトメーター及びFacsDivaソフトウェアを使用して分析した。データ分析を、GraphPad Prismバージョン9.1.0(GraphPad Software, Inc.)を使用して実施した。
【0332】
結果
図9A中に示すように、アベルマブと組み合わせたmAb1は、CD34ヒト化マウスにおいて移植されたMDA-MB-231異種移植片腫瘍に対する抗腫瘍効果を実証した。処置によって、腫瘍成長の有意な低下が誘導された(P<0.05 vs.溶媒コントロール)。腫瘍のフローサイトメーター分析によって、アベルマブ並びにmAb1及びアベルマブの組み合わせで処置されたマウスにおいて、CD4細胞と比較して、CD8細胞のより高い割合を伴うCD3細胞の浸潤における増加が明らかになった(図9B)。
【0333】
実施例10:mAb1単独療法及び併用療法の第1a/1b相臨床プロトコール
本実施例は、進行性の固形腫瘍悪性病変患者において、単独療法として、及びmAb3(抗PD-1)との組み合わせにおけるmAb1(抗NKG2A)の安全性、耐容性、及び予備的な抗腫瘍活性を調べる第1a/1b相、非盲検、多施設共同研究のための臨床治験プロトコールを記載する。本試験はまた、転移性胃癌又は結腸直腸癌を有する患者における、mAb1及びmAb3並びに抗HER2 mAb又は抗EGFR mAb(例、フツキシマブ/モドツキシマブ)の三重の組み合わせを伴う拡張部分を含む。
【0334】
各々の参加患者についての最大試験期間:各患者は、疾患進行の確認、追跡不能、中止に導く有害事象、試験プロトコールへの重大な不遵守、同意の撤回、試験の終了、又は任意の原因からの死亡まで試験に参加する。全ての患者について、処置期間の最大期間は、確認されたCRを有する患者については1年、確認されたPRを有する患者については2年を超えない。より長い処置期間が、治験責任医師の判断に従って及び治験依頼者との相談後に、患者の利益がリスクを上回る場合には許可され得る。
【0335】
試験デザイン
臨床試験の4群の各々を、以下に記載する。
【0336】
A.パート1a-mAb1単独療法
最初の主目的は、単一薬剤としてのmAb1の安全性と耐容性を評価することである。対応する主要評価項目は:
- AEの発生率、重症度、及び関連性;
- 用量中断、変更遅延、及び永久的な処置中止に導くAE;
- 安全性臨床検査値、バイタルサイン及びECG測定値におけるベースラインから試験の終了までの変化。
【0337】
第二の主目的は、単一薬剤としてのmAb1の最大耐用量(MTD)(又は最大投与用量[MAD])を決定することである。対応する主要評価項目は:
-サイクル1の間での用量限定毒性(DLT)の発生率、及び
- 有害事象(AE)の発生率及び重症度。
【0338】
第一の二次目的は、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)v1.1を使用した治験責任医師の評価に従って、サイクル1において投与された mAb1、それに続くその後のmAb3の予備的な抗腫瘍活性を評価することである。対応する副次的評価項目は:
- 抗腫瘍活性の治験責任医師の評価によるORR(RECIST v1.1を使用する);
- 臨床利益率(CBR)(CR+PR+安定疾患(SD)≧6ヶ月);
- 応答の持続時間(DOR);
- 無増悪生存期間(PFS);及び
- 全生存期間(OS)。
【0339】
第二の二次目的は、mAb1の免疫原性を評価することである。対応する副次的評価項目は、抗mAb1抗体の形成である。
【0340】
第三の二次目的は、mAb1の薬物動態(PK)プロファイルを特徴付けることである。対応する副次的評価項目は、限定されないが、血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)、Tmax、最大血漿濃度(Cmax)、及びCtroughを含むmAb1 PKパラメーターである。
【0341】
第一の探索的目的は、腫瘍生検(処置前及び後)及び/又は末梢血における活性の潜在的な薬力学(PD)バイオマーカーを探索することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検及び/又は末梢血における用量レベルによるNKG2A受容体占有率;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血における遺伝子発現プロファイル、免疫細胞サブセット及び活性化状態における変化;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血におけるHLA-E及びNKG2A発現における変化;並びに
- 可溶性 HLA-E及び潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度における変化。
【0342】
第二の探索的目的は、集団モデリングを介して潜在的なPK/PD関係を探索することである。対応する探索的評価項目は、PK/PDモデルにおけるmAb1 PK及びPDパラメーターとシミュレーション転帰の間での関係である。
【0343】
第三の探索的目的は、ベースライン腫瘍及び/又は末梢血サンプルからのmAb1に対する、応答の潜在的な予測バイオマーカーを評価することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるHLA-E発現及びNKG2A陽性免疫浸潤;
- 可溶性HLA-E又は潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度;及び
- 免疫調節剤に関連付けられる、又は抗NKG2A作用機構に特異的な腫瘍生検における他の潜在的な予測バイオマーカー。
【0344】
B.パート1b-mAb1+mAb3併用療法
第一の主目的は、mAb3との組み合わせにおいて投与された場合でのmAb1の安全性及び耐容性を評価することである。対応する主要評価項目は:
- AEの発生率、重症度、及び関係;
- 用量中断、変更、遅延、及び永久的な処置中止に導く有害事象;並びに
- 安全性臨床検査値、バイタルサイン及びECG測定値におけるベースラインから試験の終了までの変化。
【0345】
第二の主目的は、mAb3との組み合わせにおいて投与された場合でのmAb1のMTD又はMAD及び/又はRP2Dを決定することである。対応する主要評価項目は:
-サイクル1の間でのDLTの発生率;並びに
- AEの発生率及び重症度。
【0346】
第一の二次目的は、RECIST v1.1を使用した治験責任医師の評価に従って、mAb3との組み合わせにおけるmAb1の予備的な抗腫瘍活性を評価することである。対応する副次的評価項目は:
- 抗腫瘍活性の治験責任医師の評価によるORR(RECIST v1.1を使用);
- 臨床利益率(CBR)(CR+PR+SD≧6ヶ月);
- DOR;
- PFS;及び
- OS。
【0347】
第二の二次目的は、mAb1単独で又はmAb3との組み合わせにおいて免疫原性を評価することである。対応する二次目標は:
- 抗mAb1抗体の形成;及び
- 抗mAb3抗体の形成。
【0348】
第三の二次目的は、mAb3との組み合わせにおけるmAb1のPKプロファイルを特徴付け、mAb1とmAb3の間での潜在的なPK相互作用を調べることである。対応する副次的評価項目は:
- 限定されないが、AUC、Tmax、Cmax、及びCtroughを含むmAb1 PKパラメーター;並びに
- 内部集団PKモデルを使用して、mAb3の個々の濃度に対して実施される外部視覚的予測チェック(VPC)。
【0349】
第一の探索的目的は、腫瘍生検(処置前及び後)及び末梢血におけるmAb3との組み合わせにおける活性の潜在的なPDバイオマーカーを探索することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検及び/又は末梢血における用量レベルによるNKG2A受容体占有率;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血における遺伝子発現プロファイル、免疫細胞サブセット及び活性化状態における変化;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血におけるHLA-E及びNKG2A発現における変化;並びに
- 可溶性HLA-E及び潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度における変化。
【0350】
第二の探索的目的は、PD-L1腫瘍状態(CPS)と応答の間での関係を探索することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるPD-L1発現;及び
- 腫瘍生検におけるPD-L1発現と患者の応答の間での関係。
【0351】
第三の探索的目的は、RP2Dの選択を支持し得る集団モデリングを介して、任意の潜在的なPK/PD関係を探索することである。対応する探索的評価項目は、PK/PDモデルにおけるmAb1 PK及びPDパラメーターとシミュレーション転帰の間での関係である。
【0352】
4つの探索的目的は、ベースライン腫瘍及び末梢血サンプルからのmAb3との組み合わせにおけるmAb1に対する応答の潜在的な予測バイオマーカーを評価することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるHLA-E発現及びNKG2A陽性免疫浸潤;
- 可溶性 HLA-E又は他の潜在的な可溶性因子の血漿濃度;並びに
- 免疫調節剤に関連付けられる、又は腫瘍生検における抗NKG2A 作用機構に特異的な、他の潜在的な予測バイオマーカー。
【0353】
C.パート2a-mAb1+mAb3+マルゲツキシマブ三重併用
この群では、マルゲツキシマブ、抗HER2モノクローナル抗体が、併用療法に加えられる。主目的は、局所進行性切除不能又は転移性胃癌を有するHER2陽性患者における三重併用(mAb1+mAb3+マルゲツキシマブ)の抗腫瘍活性及び有効性を評価することである。対応する主要評価項目は、RECIST v1.1を使用した抗腫瘍活性の治験責任医師の評価によるORRである。
【0354】
第一の二次目的は、mAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1の安全性及び耐容性プロファイルを評価することである。対応する副次的評価項目は:
- AEの発生率及び重症度;
- 用量中断、変更、遅延、及び永久的な処置中止に導く有害事象;並びに
- 安全性臨床検査値、バイタルサイン、及びECG測定値におけるベースラインから試験の終了までの変化。
【0355】
第二の二次目的は、mAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1のRP2Dを確認することである。対応する二次評価項目は、全体的な安全性プロファイル、PKプロファイル、及び曝露とPDの間での関係(即ち、安全性、有効性、及びバイオマーカー)である。
【0356】
第三の二次目的は、mAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1の抗腫瘍活性を評価するための追加の有効性パラメーターを評価することである。対応する副次的評価項目は、CBR、DOR、PFS、及びOSである。
【0357】
第四の二次目的は、mAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1のPKプロファイルを特徴付け、mAb1、mAb3及びマルゲツキシマブの間での潜在的なPK相互作用を調べることである。対応する副次的評価項目は:
- 限定されないが、AUC、Tmax、Cmax、及びCtroughを含むmAb1 PKパラメーター;
- 内部集団PKモデルを使用して、mAb3の個々の濃度に対して実施される外部VPC;並びに
- 文献集団PKモデルを使用して、マルゲツキシマブの個々の濃度に対して実施される外部VPC。
【0358】
第五の二次目的は、mAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1の免疫原性を評価することである。対応する副次的評価項目は:
- 抗mAb1抗体の形成;
- 抗mAb3抗体の形成;及び
- 抗マルゲツキシマブ抗体の形成。
【0359】
第六の二次目的は、PD-L1(CPS)又はHER2腫瘍状態と応答の間での関係を探索することである。対応する副次的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるPD-L1及びHER2状態;
- 腫瘍生検におけるPD-L1発現と患者の応答の間での関係;並びに
- 腫瘍生検におけるHER2発現/増幅状態と患者の応答の間での相関関係。
【0360】
第一の探索的目的は、mAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおける活性の潜在的なPDバイオマーカー、並びにPK及び/又は抗腫瘍活性とのそれらの関係を更に探索することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検及び/又は末梢血におけるNKG2A受容体の占有率;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血における遺伝子発現プロファイル、免疫細胞サブセット及び活性化状態における変化;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血におけるHLA-E及びNKG2A発現における変化;
- 可溶性 HLA-E及び潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度;並びに
- PDバイオマーカーとPK及び/又は患者の応答の間での相関関係。
【0361】
第二の探索的目的は、ベースライン腫瘍及び末梢血サンプルからのmAb3及びマルゲツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1に対する応答の予測バイオマーカー、並びに抗腫瘍活性とのそれらの関係を評価することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるHLA-E発現及びNKG2A陽性免疫浸潤;
- 可溶性HLA-E又は潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度;
- 免疫調節剤に関連付けられる、又は腫瘍生検における抗NKG2A作用機構に特異的な、他の潜在的な予測バイオマーカー;並びに
- 潜在的な予測バイオマーカーと患者の応答の間での相関関係。
【0362】
D.パート2b-mAb1+mAb3+フツキシマブ/モドツキシマブ三重併用
主目的は、転移性結腸直腸癌患者における三重併用(mAb1+mAb3+フツキシマブ/モドツキシマブ)の抗腫瘍活性と有効性を評価することである。対応する主要評価項目は、RECIST v1.1を使用した抗腫瘍活性の治験責任医師の評価によるORRである。
【0363】
第一の二次目的は、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1の安全性及び耐容性プロファイルを評価することである。対応する副次的評価項目は:
- AEの発生率及び重症度;
- 用量中断、変更、遅延、及び永久的な処置中止に導く有害事象;並びに
- 安全性臨床検査値、バイタルサイン、及びECG測定値におけるベースラインから試験の終了までの変化。
【0364】
第二の二次目的は、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1のRP2Dを確認することである。対応する二次評価項目は、全体的な安全性プロファイル、PKプロファイル、及び曝露とPDの間での関係(即ち、安全性、有効性、及びバイオマーカー)である。
【0365】
第三の二次目的は、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1の抗腫瘍活性を評価するための追加の有効性パラメーターを評価することである。対応する副次的評価項目は、CBR、DOR、PFS、及びOSである。
【0366】
第四の二次目的は、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1のPKプロファイルを特徴付け、mAb1、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブの間での潜在的なPK相互作用を調べることである。対応する副次的評価項目は:
- 限定されないが、AUC、Tmax、Cmax、及びCtroughを含むmAb1 PKパラメーター;
- 内部集団PKモデルを使用して、mAb3の個々の濃度に対して実施される外部 VPC;並びに
- 内部集団PKモデルを使用して、フツキシマブ/モドツキシマブPKの個々の濃度に対して実施される外部VPC。
【0367】
第五の二次目的は、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1の免疫原性を評価することである。対応する副次的評価項目は:
- 抗mAb1抗体の形成;
- 抗mAb3抗体の形成;及び
- 抗フツキシマブ/モドツキシマブ抗体の形成。
【0368】
第六の二次目的は、PD-L1腫瘍状態(CPS)と応答の間での関係を探索することである。対応する副次的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるPD-L1状態;及び
- 腫瘍生検におけるPD-L1発現と患者の応答の間での相関関係。
【0369】
第一の探索的目的は、mAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおける活性の潜在的なPDバイオマーカー、並びにPK及び/又は抗腫瘍活性とのそれらの関係を更に探索することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検及び/又は末梢血におけるNKG2A受容体の占有率;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血における遺伝子発現プロファイルにおける変化;
- 腫瘍生検及び末梢血における免疫細胞サブセット及び活性化状態における変化;
- 腫瘍生検及び/又は末梢血におけるHLA-E及びNKG2A発現における変化;
- 可溶性 HLA-E及び潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度;並びに
- PDバイオマーカーとPK及び/又は患者の応答の間での相関関係。
【0370】
第二の探索的目的は、ベースライン腫瘍及び末梢血サンプルからのmAb3及びフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおけるmAb1への応答の予測バイオマーカー、並びに抗腫瘍活性とのそれらの関係を評価することである。対応する探索的評価項目は:
- 腫瘍生検におけるHLA-E発現及びNKG2A陽性免疫浸潤;
- 可溶性HLA-E又は潜在的な他の可溶性因子の血漿濃度;
- 免疫調節剤に関連付けられる、又は腫瘍生検における抗NKG2A作用機構に特異的な、他の潜在的な予測バイオマーカー;並びに
- 潜在的な予測バイオマーカーと患者の応答の間での相関関係。
【0371】
方法論
本試験は、進行性の固形腫瘍悪性病変患者におけるmAb3(抗PD1)との組み合わせ(パート1)における、及び2つの疾患特異的コホートにおけるマルゲツキシマブ又はフツキシマブ/モドツキシマブとの三重併用(パート2)におけるmAb1(抗NKG2A)の安全性及び抗腫瘍活性を決定する。
【0372】
mAb1単独及びmAb3との組み合わせにおけるMTD又はMADを確立するために、mAb1単独療法の安全性が、最初にパート1aにおいて、次にパート1bにおけるmAb3との組み合わせにおいて評価される。パート1bにおいて定義された RP2Dは、用量拡大パート(パート2)においてマルゲツキシマブ又はフツキシマブ/モドツキシマブとの組み合わせにおいて使用される。RP2Dは、MTDが特徴付けられるか否かを問わず、PK/PDを含む全体的な安全性プロファイルに基づいて、パート1bの間の任意の時間に選ばれ得る。RP2Dは、MTDを超えない(特徴付けされている場合)。
【0373】
この治験は、20mg用量で開始するmAb1単独療法の用量漸増を伴って始まる(パート1a)。DLT観察期間は28日間(サイクル1)である。第二用量レベル(100mg)でのDLT評価期間の完了時、安全性評価委員会(SRC)により安全であると見なされた場合、パート1bの併用mAb1(100mgで開始)+mAb3(200mg)用量漸増が開始される。この後、パート1aにおける次のmAb1単独療法の用量レベル(300mg)以降への漸増は、パート1bにおける併用用量の漸増と同時に実行される。単独療法の用量漸増についての5つの計画用量レベル(20、100、300、750、1500mg)に加えて、必要な場合、8mgの用量漸減レベルがある。併用の用量漸増についての4つの計画用量レベル(100、300、750、1500mg)に加えて、必要な場合、20mgの用量漸減レベルがある。mAb3は、パート1bの併用の用量漸増において200mgの固定用量として使用される(表2を参照のこと)。
【表2】
【0374】
パート1aのmAb1単独療法の用量漸増コホートにおける全ての患者が、mAb1の1サイクルを完了し、DLT評価期間を終了した後、mAb3(200mg)単独療法を受ける。これらの患者は、疾患進行、許容できない毒性の確認まで、或いはCRの確認後12ヶ月又はPRの確認後24ヶ月まで、mAb3単独療法を受け続ける。
【0375】
三重併用は、アンメットメディカルニーズ(即ち、転移性結腸直腸癌及び局所進行性切除不能又は転移性HER2胃癌)を伴う及びmAb1、例えばADCCを誘導するモノクローナル抗体(例、抗HER2マルゲツキシマブ又は他の抗HER2 mAb及び抗EGFR mAbフツキシマブ/モドツキシマブ)などにより潜在的に増強される化合物を伴う適応症において二重(mAb1+mAb3)のRP2Dを使用して、拡大コホートとして開始される(パート2a及び2b)。mAb1+mAb3併用のRP2Dは、マルゲツキシマブ(パート2a)又は抗EGFR(フツキシマブ/モドツキシマブ)(パート2b)と併用される。
【0376】
パート1(用量漸増)
パート1aは、単一患者の用量漸増(加速漸増)を伴って開始する。加速滴定デザインは、患者がmAb1関連のグレード2AE又はDLTを経験した場合、ベイジアン最適間隔(BOIN)デザインに切り替えられる。最大3人の患者をバックフィル患者として募集し、RP2D及びPK/PD関係を更に定義する/特徴付けるための追加データを生成することができ得る。バックフィル患者に投与されるmAb1の用量は、SRCとの合意において治験依頼者により決定され、MTDよりも高くない;これらのコホートは、パート1aの処置スケジュールに従い、DLTウィンドウに供されない。バックフィル患者からのデータは、DLT分析には役立たず、全体的な安全性分析において考慮される。
【0377】
パート1bでは、20mg mAb1又は中間用量レベル並びにより高い用量レベルへの漸減が、探索され得る。各々のmAb1用量レベルの患者は、mAb3(200mg)との組み合わせにおいてmAb1用量を受ける。
【0378】
パート1の間で、投薬は、各々の用量レベルにおける全ての患者の間で、少なくとも 24時間だけずらす。各々の用量レベルにおいて投薬された第一の患者は、安全性について24時間にわたり観察される。即ち、安全性に問題が記述されない場合、次に第二の患者が同じ用量レベルにおいて、第三の患者が別の24時間の安全観察後に登録される。パート1a及び1bにおいて登録された全ての患者が、進行性又は転移性疾患を有していなければならない。
【0379】
試験の他の目的は、mAb3との組み合わせにおけるmAb1の抗腫瘍活性の予備評価、免疫原性の評価、単独で及びmAb3との組み合わせにおけるmAb1のPKプロファイルの特徴付け、並びに血液及び腫瘍組織の両方における機構の証拠を支持する潜在的な薬力学マーカー及び他の予測バイオマーカーの評価を含む(腫瘍生検は、バックフィル患者を例外とし、パート1aにおいてはオプションであり、パート1bにおいては必須である)。
【0380】
パート2(用量拡大)
パート2は、2つの拡大コホートにおいて行われる(図10):(i)第三の要素である抗HER2治療(マルゲツキシマブ)の追加を伴うHER2陽性転移性胃癌を有する患者におけるパート2a;(ii)第三の要素である抗EGFR治療(フツキシマブ/モドツキシマブ)の追加を有する転移性結腸直腸癌を有する患者におけるパート2b。
【0381】
パート2aは、細胞傷害性化学療法並びにトラスツズマブ及びペムブロリズマブを含む第一選択の標準治療が失敗し、第二選択を開始するのに適したHER-2陽性胃癌患者において行われる。結腸直腸癌を有する患者(パート2b)では、第三及び第四の治療が、患者が以前に標準治療を受けていた場合に許可される。
【0382】
パートI スクリーニング基準
患者は、≧18歳の年齢の男性又は女性患者である。医学的及び治療的基準は以下を含む:
- 組織学的又は細胞学的に確認された切除不能な局所進行性又は転移性固形腫瘍悪性病変を有する患者;
- 医学的禁忌又は腫瘍の切除不能性のいずれかに起因して、現在外科的介入を受け入れられない悪性病変を有する患者;
- RECIST v1.1に従って測定可能な疾患を伴い、試験エントリー前に以前の治療での進行の放射線学的評価を受けていたに違いない患者;
- 臨床的な利益を提供することが公知である、又は標準治療と考えられる既存の治療に抵抗性又は不耐容性の患者;
- 推定余命≧12週間。
- ECOG(米国東海岸癌臨床試験グループ)のパフォーマンスステータス0又は1;及び
- 以前の治療ラインでの記録された放射線学的な進行。
【0383】
組み入れ基準は以下を含む:
- 最初の治験医薬品(IMP)投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な血液学的機能であって、以下のように定義される:絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L;ヘモグロビン≧8g/dL(輸血の場合では、ヘモグロビン評価は、輸血後2週間又はそれ以上に実施しなければならない);血小板数≧75×109/L;全ての患者について十分な凝固機能(抗凝固治療(血小板抗凝集剤を除く)を受けている患者については、INRの十分な治療レベルが確認されるべきである);
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な腎機能であって、以下のように定義される:クレアチニンクリアランス≧40mL/分、Cockcroft&Gault式を使用して評価;及び
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な肝機能であって、以下のように定義される:総血清ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN)(ギルバート病が確認されていない場合)、及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦3×ULN(肝機能異常が基礎的な肝転移に起因しない限り、AST及びALT≦5×ULN)。
【0384】
除外基準は以下を含む:
- ホルモン補充治療により十分に管理されている、持続性グレード2の脱毛症又は白斑、末梢神経障害及び/又は内分泌末端器官不全の例外を伴い、以前の抗腫瘍治療に関連付けられる任意の他の未消散のグレード>1毒性を有する患者;
- 最初のIMP投与前の4週間以内に大手術、又は手術の副作用から回復していない患者。
- 最初のIMP投与前の2週間以内に、任意の他の重篤/活動性/制御できない感染症、非経口抗生物質を要求する感染症を有する患者;
- HBsAg陽性として決定された活動性B型肝炎ウイルス感染、又は高感度定量分子方法により血清若しくは血漿中のHCV RNAの検出として決定された活動性C型肝炎ウイルス感染;
- HIV抗体の保有者(制御されたHIV RNAを有する患者は、薬物療法で安定であり、標準的な管理により検出不可能である場合は許可される);
- 臓器移植(例、幹細胞移植又は固形臓器移植)の病歴を有する患者;
- 最初のIMP投与前の4週間以内に活動性血栓症、又は深部静脈血栓症若しくは肺塞栓症の病歴を有する患者であって、十分に処置され、治験責任医師により安定的であると考えられていない場合;
- 活動性の制御不能な出血又は既知の出血素因を有する患者;
- 既知の臨床的に有意な心血管疾患又は状態を有する患者であって、以下を含む:心室性不整脈又は他の制御不能な不整脈のための抗不整脈薬物治療についての必要性(組み入れ前の>30日間にわたる制御不能な心房細動(心拍数<90)を有する患者);重度の伝導障害(例、3度心ブロック);制御不能な高血圧;現在治療を要求するうっ血性心不全;ニューヨーク心臓協会(NYHA)の機能分類に従ったクラスIII又は静脈内(IV)心血管疾患;6ヶ月以内での急性冠症候群の病歴(心筋梗塞及び不安定狭心症を含む)、冠動脈形成術、ステント留置術、又はバイパス移植術の病歴;
- 組み入れ後28日以内での胃腸穿孔又は腹腔内膿瘍の病歴;肝硬変の病歴(チャイルド・ピューB又はCの既知の診断として定義される)又は慢性肝疾患の病歴;肺線維症又は関連する制御不能な慢性肺状態の病歴;身体の任意の部分での治癒していない傷を有する患者;
- 以前に以下を受けている患者:低分子阻害剤、及び/又は他の類似の治験薬:≦2週間又は5半減期のいずれか短い方、化学療法、他のモノクローナル抗体、抗体-薬物複合体、又は他の類似の実験的治療≦3週間又は5半減期のいずれか短い方、又は放射性免疫複合体若しくは他の類似の実験的治療≦6週間又は5半減期のいずれか短い方;
- 患者は、(以前の抗癌剤治療からの)AEから、有害事象共通用語規準(CTCAE)V5.0グレード1又はそれ以下まで回復していなければならず、グレード2の神経障害は許容可能である(以前のAEに起因する補充ホルモン治療を受けている患者は、関連付けられるAEが、試験での最初の投与前に補充治療を用いてグレード1まで回復した場合には、本試験における参加から除外されない;
- 過去において抗NKG2A mAbを受けた患者;
- 既知の、未処置の中枢神経系(CNS)転移若しくは軟髄膜転移、又は脊髄圧迫を有する患者;以前の手術又は放射線療法により制御されていない、これらのいずれかを有する患者、又は処置が要求されるCNS関与を示唆する症状を有する患者(臨床的及び放射線学的に4週間にわたり安定なCNS転移を有する、並びに低コルチコステロイド処置を有する患者だけが、参加することが許される(≦10mg/日プレドニゾン又は等価品が、4週間にわたり投与される場合には許可される);
- 根治的に処置され、スクリーニング時での寛解期間が 5年未満である悪性病変を含む、他の悪性病変。この最小限で要求される寛解期間についての除外は、十分な処置により治癒されると見なされる子宮頸部上皮内癌及び基底細胞皮膚癌について適用され得る;
- 全身免疫抑制治療を用いた処置(予防的設定において又は慢性的な低用量[プレドニゾン換算≦10mg/日]で与えられるステロイドを除く)、吸入、鼻腔内、眼内、局所&関節内注射が許される;
- 症状緩和だけのための短いコースとして提供される場合を除き、最初のIMP投与前4週間以内に完了した場合での事前の放射線療法;
- 免疫刺激剤を受けた場合に悪化し得る活動性の自己免疫疾患(免疫抑制処置を要求しないI型糖尿病、白斑、乾癬、甲状腺機能低下症又は亢進症を有する患者が適格となる);
- 組み入れ前の28日以内での生ワクチンの投与;及び
- モノクローナル抗体への既知の重度の過敏症反応を含む、治験製品又はそれらの製剤中の任意の成分への既知の重度の過敏症(NCI CTCAE v. 5.0グレード≧ 3)。
【0385】
パート2a スクリーニング基準
医学的及び治療的基準は以下を含む:
- IHCにより3+又はIHC及びスクリーニング時に収集された腫瘍生検中でのin situハイブリダイゼーション(ISH-)増幅(≧2.0)により2+と決定された、組織学的に証明された切除不能な局所進行性又は転移性HER2癌を有する患者;
- 患者は、第二選択について適格であり、細胞傷害性化学療法並びにトラスツズマブ及びペムブロリズマブを含む、第一選択の標準治療を用いた処置を受けていなければならない;
- 過去6ヶ月間中にチェックポイント阻害剤(CPI)処置を受けた患者は、試験エントリー前にiRECISTによる、確認された放射線学的な進行を記録していなければならない;
- RECIST v1.1に従った、測定可能な疾患を有する患者は、試験エントリー前に以前の治療での進行の放射線学的評価を有していなければならない;
- 推定余命≧12週間。
- ECOGパフォーマンスステータス0又は1。
【0386】
組み入れ基準は以下を含む:
- 最初のIMP投与前7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な血液学的機能であって、以下のように定義される:ANC≧1.5×109/L、ヘモグロビン≧ 8g/dL、血小板数≧75×109/L、全ての患者について十分な凝固機能(INRレベルに影響を及ぼす抗凝固治療(血小板抗凝集薬を除く)を受けている患者については、INRの十分な治療レベルを確認すべきである);
- クレアチニンクリアランス≧30mL/分として定義される、最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な腎機能であって、Cockcroft&Gault式を使用して評価される;及び
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な肝機能であって、以下のとおりに定義される:総血清ビリルビン<1.5×ULN(ギルバート病が確認されていない場合)、AST及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦ 2.5×ULN(肝機能異常が、基礎となる肝転移、AST及びALT≦5×ULNに起因しない場合)。
【0387】
除外基準は、上のパート1に列挙されているものに加えて、以下を含む:
- 心エコー図又はマルチゲート収集スキャンによる左心室駆出率(LVEF)<50%;及び
- マルゲツキシマブ処方情報において存在する任意の禁忌。
【0388】
パート2b スクリーニング基準
医学的及び治療的基準は以下を含む:
- 患者は、転移性結腸直腸癌(mCRC)の組織学的又は細胞学的に確認された腺癌を有していなければならず(全ての他の組織型は除外される)、医学的禁忌又は腫瘍の切除不能のいずれかに起因して外科的介入を受け入れることができず、施設ガイドライン又は米国病理学者協会からのガイドラインに従って低いマイクロサテライト不安定状態を有する;
- ctDNAスクリーニング血液検査分析に基づき、患者は以下であるべきである:(i)以下のコドンのいずれかにおいてRAS(KRAS及びNRAS)変異を伴わない:エクソン2中のコドン12及び13、エクソン3中のコドン59及び61、並びにエクソン4中のコドン117及び146、及び(ii)BRAF V600E変異を伴わない;
- 過去6ヶ月間中にチェックポイント阻害剤(CPI)処置を受けた患者は、試験エントリー前にiRECISTに従って、確認された放射線学的な進行を文書化していなければならない;
- RECIST v1.1に従って測定可能な疾患を有する患者は、試験エントリー前に以前の治療での進行の放射線学的評価を受けていなければならない;
- 推定余命≧12週間;及び
- ECOGパフォーマンスステータス0又は1。
【0389】
組み入れ基準は以下を含む:
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な血液学的機能であって、以下のように定義される:ANC≧1.5×109/L、ヘモグロビン≧8g/dL(輸血の場合では、ヘモグロビン評価を、輸血後の2週間又はそれ以上に実施しなければならない)、血小板数≧75×109/L、及び全ての患者についての十分な凝固機能(抗凝固治療(血小板抗凝集剤を除く)を受けている患者について、INRの十分な治療レベルを確認すべきである);
- クレアチニンクリアランス≧30mL/分として定義される、最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な腎機能であって、Cockcroft&Gault式を使用して評価される;
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な肝機能であって、以下のように定義される:総血清ビリルビン<1.5×ULN(ギルバート病が確認されていない場合)、並びにAST及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦3.0×ULN(肝機能異常が基礎的な肝転移に起因しない場合、AST及びALT≦5×ULN);並びに
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく、補給を伴う又は伴わない、正常限度内の血清カリウム、血清リン酸塩、血清マグネシウム。
【0390】
除外基準は以下を含む。
- 有意な胃腸異常を有する患者であって、以下を含む:組み入れ時点でグレード>1の下痢及び栄養補給についての必要性;
- 組み入れ時点で以前の抗EGFRからのグレード>1の皮膚発疹、又は治験責任医師の判断に従って、試験における参加を妨げる任意の他の皮膚毒性を有する患者;並びに
- 製剤化されたフツキシマブ/モドツキシマブ、セツキシマブ又はパニツムマブの賦形剤のいずれかに対する既知の又は疑われる過敏症(セツキシマブ又はパニツムマブのいずれかを用いた以前の治療の間でのグレード3又は4の過敏症反応)。
【0391】
試験薬物
本臨床試験において試験された薬剤を、以下の表3中に示す:
【表3】
【0392】
パート1 薬物
mAb1は、上の表2中に示される投与量で投与される、又は必要とされる場合には調整される。投与は、2週間毎(Q2W)(±1日)、各々の28日サイクルの1日目とD15にIV注入を介する。この4週間(28日間)の期間が、1つの処置サイクルを構成する。mAb1は約30分間にわたり注入される。注入の持続時間は、注入関連反応(IRR)の事象において示された場合、30分又はそれより長く延長され得る。患者が、任意のサイクルの間にIRRを経験した場合、観察期間を、そのサイクル及びその患者についてのその後の全てのサイクルの間に2時間まで延長すべきである。
【0393】
mAb3は、パート1a中ではC2D1から、又はパート1b中ではC1D1から、2週間毎にIV注入として200mgの用量で投与される。パート1b中にmAb1と同時投与される場合、mAb1が最初に投与される。
【0394】
パート2 薬物
mAb1及びmAb3の投与は、パート1について上で考察されるとおりである。
【0395】
パート2aについては、マルゲツキシマブは、初回用量については120分(2時間)のIV注入として3週間毎に15mg/kgで、次に全てのその後の用量について最低30分間にわたり投与される。マルゲツキシマブは、IVプッシュ又はボーラスとして投与すべきではない。投与は、滅菌、非発熱性、低タンパク質結合ポリエーテルスルホン(PES)0.2ミクロンのインライン又はアドオンフィルターを含むIVラインを通じてである。最初の12週間後、治験責任医師は、Q4週スケジュールでマルゲツキシマブを投与することを決定し得る。
【0396】
パート2bについては、フツキシマブ/モドツキシマブは、サイクル1の1日目(C1D1)(負荷用量)に9mg/kgの用量で、次にその後の全ての投与についてはC1D8に開始して毎週(±2日)6mg/kgの用量(維持用量)で、IV注入により投与される。用量調整は、投薬サイクル(CxD1)の開始時に測定されるように、顕著な体重変化(±10%)の事象において作るべきである。最初の12週間後、治験責任医師は、フツキシマブ/モドツキシマブを Q2Wスケジュールで投与することを決定し得る。
【0397】
評価のための基準
標準応答基準が、疾患評価及び応答評価について適用される(RECIST v1.1及びiRECIST v1)。評価は、調査スケジュールにおいて指定された間隔で、及び疑われる進行性疾患の事象において実施すべきである。同じ疾患評価方法及び同じ技術を、試験全体を通じてベースラインとして使用すべきである。応答は、治験責任医師又は有資格の被指名者により評価され、各々の評価点でCR、PR、SD、PD、又は評価不能(NE)として記述される。疾患評価は、ベースラインで、サイクル2の終了時に、及びその後の偶数サイクルの終了時に(遅延が、投薬における遅延に起因して要求されない限り、約8週間毎)並びに疾患の進行時に実施される。
【0398】
RECIST v1.1に従い、応答を、応答が最初に記録された日から4週間以内に画像評価を反復することにより確認すべきである。応答を確認するためのスキャンは、最初の応答の記録から最も早期には4週間後に、又は次の予定されたスキャン(最後のスキャンから8週間間隔)のいずれか臨床的に示された方で実施され得る。
【0399】
iRECISTは、RECIST v1.1に従って、最初の放射線学的な進行後の腫瘍応答及び進行を評価するために治験責任医師により使用される;処置の決定が、それに応じて行われ得る。
【0400】
治験責任医師は、処置を継続するか否かを決定する前に、反復イメージングで腫瘍量を評価する際に、全ての病変(標的及び非標的)を考慮すべきである。患者は、免疫関連の偽進行が起こり得るため、その後に(進行の初回評価から少なくとも4週間後に)その進行の放射線学的な確認まで(臨床的に不安定でない限り)処置を継続する。臨床的に不安定である患者は、進行性疾患の確認のために反復イメージングを受けることを要求されない。
【0401】
AEは、NCI CTCAEバージョン5.0を使用して段階分けされる。DLTは、28日間のDLT観察期間の間に生じ、疾患進行、併発する病気、又は併用薬若しくは他の病因とは無関係として評価され、IMPに関連すると考えられるAEとして定義される。
【0402】
薬物動態測定は以下を含む:個々のPKパラメーター、例えばAUC又はCmax などは、集団PKモデリングアプローチを使用して導出される;及び、有効性又は安全性についての個々のPKパラメーターとPDエンドポイントの間の関係の探索的評価が実施され得る。
【0403】
薬力学的評価は以下である:末梢におけるNKG2A受容体占有率評価及び免疫表現型検査、末梢における標的関与の遺伝子発現シグネチャー、可溶性HLA-E及び潜在的な他の可溶性因子、並びに薬力学及び予測バイオマーカー評価のための腫瘍生検。
【0404】
実施例11:hNKG2A/hCD94 KIマウスにおける同系MC38-HLAE腫瘍モデルにおける抗PD1との組み合わせにおけるmAb1のインビボ有効性
本実施例は、マウスMC38-HLAE結腸癌細胞で移植されたhNKG2A/hCD94 KIマウス(Biocytogen、中国)における抗PD1 mAb3との組み合わせにおけるmAb1のインビボ有効性を実証する。
【0405】
材料及び方法
マウスMC38-HLAE結腸癌細胞株をヒトNKG2A/CD94ダブルノックインマウスモデル(Biocytogen、中国)中に皮下移植した。処置は、腫瘍体積60mm3で開始し、マウスは週3回、溶媒緩衝液、mAb1、抗PD1 mAb3、又はmAb1及び抗PD1 mAb3の組み合わせの腹腔内注射により合計9回の処置を伴って処置された(n=10/群)。全てのmAbが10mg/kgで投薬された。腫瘍を週3回、ノギスにより二次元において測定し、腫瘍体積(mm3)を式:(幅)2×長さ×0.5に従って計算した。
【0406】
ボンフェローニの多重比較検定を用いた二元配置分散分析を適用して、処置群間の各々の時間点での腫瘍体積を比較した。
【0407】
結果
図11中に示すように、mAb1及び抗PD1 mAb3を用いた併用療法は、抗PD1 mAb3の単一処置と比較して、より多くの、より早期の腫瘍根絶を誘導した。
【0408】
実施例12:MIP-1bを使用したトラスツズマブの滴定
本実施例は、インビトロでの初代NK細胞の炎症促進性サイトカインMIP-1βの発現に対する、滴定されたトラスツズマブへのmAb1の添加の効果を記載する。
【0409】
材料及び材料
WT SKOV3細胞を、一晩、HLA-B0701ペプチドを用いてパルスした。翌日、これらの細胞を、10ng/mlのIL-2及び抗NKG2A抗体の存在において、新鮮なPBMCから単離したNKG2ANK細胞と10:1比率で共培養した。データは、単一のドナーとの共培養におけるMIP-1βレベルを示す。同様に、HLA-Eの安定な表面発現のためにHLA-Eを形質導入した N87、BxPC3、SKOV3、A375、A549及びJIMT-1細胞を、10ng/ml IL-2及び抗NKG2A及び/又は抗HER2抗体又はコントロール抗体の存在において、新鮮なPBMCから単離した NKG2ANK細胞と10:1比率で共培養した。データは、単一のドナーとの共培養におけるMIP-1βレベルを示す。48時間の培養後、上清を収集し、MIP-1βの濃度をELISA(Invitrogen、88-7034-88)により定量化した。
【0410】
結果
25μg/mLのmAb1は、HLA-E+癌細胞と共培養した場合、NK細胞のMIP-1β分泌を誘導した。IgG1 LALA(アイソタイプコントロール)抗体への滴定トラスツズマブの添加は、MIP-1β分泌の用量依存的な誘導を誘導し、この効果は、滴定トラスツズマブをmAb1と組み合わせた場合に増加した(図12A)。HLA-Eで形質導入された全ての6つの細胞株について、コントロール抗体IgG1 LALAと比較して、低濃度でさえ、トラスツズマブとmAb1を組み合わせる場合に、MIP-1βにおけるトラスツズマブ用量依存的な増加がある(図12B)。
【0411】
実施例13:末梢血リンパ球に対する二重のPD-1及びNKG2A遮断の併用効果
材料及び方法
3人の健康なドナーからの末梢血リンパ球(PBL)は、末梢血単核球からCD14+細胞を枯渇させることにより単離された。50,000個のPBLを、HLA-E及びPD-L1を過剰発現するレンチウイルスベクターで形質導入され、トラスツズマブ1μg/mL又はトラスツズマブ1μg/mLに加えて、ゾレドロネート1μMで活性化された5,000個のSKOV3細胞と、丸底96ウェルプレート中に播種した。また、PBLはまた、mAb1(10μg/mL)、ペムブロリズマブ(10μg/mL)、mAb1(10μg/mL)及びペムブロリズマブ(10μg/mL)の組み合わせを用いて、或いはそれぞれのアイソタイプコントロールIgG1 LALA(10μg/mL)、IgG(10μg/mL)、又は両方の組み合わせを用いて処理された。上清を、3日間のインキュベーション後に収集し、可溶性メディエーターの濃度を、Meso QuickPlex SQ120プレートリーダー(Mesoscale Discovery)上のマルチサイトカインパネルU-Plexキット(K151AEL-4、Mesoscale Discovery)を用いた電気化学発光により測定した。
【0412】
結果
PBLは、HLA-E及びPD-L1を過剰発現するように操作されたHER2陽性SKOV3細胞の存在において、トラスツズマブ単独により、又はトラスツズマブ、及びゾレドロネートの添加によりSKOV3細胞の表面上で上方調節されたリン酸化抗原により活性化された。PD-1及びNKG2A チェックポイント阻害の効果は、IFN-γ(複数の抗腫瘍活性を有するサイトカイン);グランザイムB(直接的な細胞毒性を媒介する);MIP-1β/CCL4(炎症誘発性ケモカイン)の分泌を測定することにより、両方の活性化状況において個別に又は組み合わせにおいて評価された。トラスツズマブ活性化は、単独で、又はmAb1若しくはペムブロリズマブ単一薬剤と組み合わせて、可溶性メディエーターの分泌をほとんど又はまったく誘発しなかった。しかし、ドナー1の場合では、トラスツズマブ、mAb1、及びペムブロリズマブの三重併用によって、IFN-γ、グランザイムB、及びMIP-1βの分泌における劇的な増加がもたらされた(図13A)。PBLがトラスツズマブ及びゾレドロン酸誘導性リン酸化抗原の両方により活性化された場合、mAb1による単一のNKG2A遮断は、一般的に、可溶性メディエーターの増加分泌をもたらしたのに対し、単一のPD-1遮断は、対応する単一アイソタイプコントロールと比較して全く、又はほとんど効果を有さなかった。また、mAb1及びペムブロリズマブの両方の併用は、mAb1単一処置との比較において、並びにIgG1-LALA及びIgG4アイソタイプコントロールの組み合わせと比較して、全てのドナーにおいてIFN-γ、グランザイムB、及びMIP-1β分泌における増加をもたらした。これらの結果は、トラスツズマブ刺激との関連におけるNKG2A/PD-1二重遮断の併用効果を示す。
【0413】
実施例14:mAb1併用療法のための第1b/2相臨床プロトコール
本実施例は、MSI H/dMMR局所進行性切除不能又は転移性結腸直腸癌(mCRC)におけるペムブロリズマブとの併用並びにHER2陽性の局所進行性切除不能又は転移性胃食道接合部(GEJ)及び胃腺癌(GA)におけるmAb1、ペムブロリズマブ、及びトラスツズマブの三重併用におけるmAb1の安全性、耐容性、及び抗腫瘍活性を調べる非盲検、非無作為化、多群、多施設、第1b/2相試験を記載する。
【0414】
各々の参加患者の最大試験期間:各々の患者が、試験に参加し、約4ヶ月間の処置に加えて、3ヶ月間の安全性追跡調査を有する。全ての患者について、処置の最大持続期間は2年を超えない。
【0415】
試験デザイン
臨床試験の2群、mAb1+ペムブロリズマブ(図14)及びmAb1+ペムブロリズマブ+トラスツズマブ(図15)の各々を、以下に記載する。
【0416】
第一の主目的は、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)v1.1を使用した中央評価により全応答率(ORR)を評価することにより、MSI-H/dMMR(ミスマッチ修復不全)結腸直腸癌(CRC)を有する患者におけるmAb1及びペムブロリズマブの組み合わせの抗腫瘍活性及び有効性並びにHER2陽性の胃食道接合部(GEJ)及び胃腺癌(GA)を有する患者におけるmAb1、ペムブロリズマブ、及びトラスツズマブの組み合わせの予備的な有効性を評価することである。
【0417】
第二の主目的は、MSI-H/dMMR CRC患者におけるmAb1及びペムブロリズマブの組み合わせの安全性及び耐容性プロファイル、並びにHER2陽性の胃食道接合部(GEJ)及び胃腺癌(GA)におけるS095029、ペムブロリズマブ、及びトラスツズマブの三重併用の安全性及び耐容性を評価することである。
【0418】
第一の二次目的は、CRCを有する患者におけるペムブロリズマブとの組み合わせにおけるmAb1の薬物動態(PK)プロファイル、並びにHER2陽性を有する患者におけるペムブロリズマブ及びトラスツズマブとの組み合わせにおけるmAb1のPKプロファイルを特徴付けることである。
【0419】
第二の二次目的は、胃食道癌及び胃癌におけるmAb1、ペムブロリズマブ及びトラスツズマブの間での、並びに結腸直腸癌におけるmAb1及びペムブロリズマブの間での潜在的なPK/PD相互作用を調べることである。
【0420】
第三の二次目的は、PK/PDプロファイルの評価を継続し、各々の組み合わせの推奨される第2相用量(RP2D)を更に特徴付けることである。
【0421】
第四の二次目的は、抗薬物抗体(ADA)形成についての潜在能の評価により、組み合わせにおける各々の抗体の免疫原性を評価することである。
【0422】
第五の二次目的は、追加の有効性パラメーターを評価し、各々の組み合わせの抗腫瘍活性を評価することである。
【0423】
方法論
本試験は、MSI-H/dMMR局所進行性切除不能又はmCRCにおけるペムブロリズマブとの組み合わせにおけるmAb1、並びにHER2陽性の局所進行性切除不能胃食道癌及び胃癌におけるmAb1、ペムブロリズマブ、及びトラスツズマブの三重併用の安全性、耐容性、及び抗腫瘍活性を決定する。
【0424】
mAb1+ペムブロリズマブ
拡大第2相コホートについて、患者は、各々の21日サイクルの1日目に3週間毎のIV注入を介してRP2DでS095029、各々の21日サイクルの1日目に3週間毎のIV注入を介してペムブロリズマブ200mgを用いて処置される。
【0425】
スクリーニング基準
患者は≧18歳の男性又は女性である。医学的及び治療的基準は以下を含む:
- 患者は、組織学的又は細胞学的に確認された局所進行性の切除不能な腺癌又はmCRCを有していなければならない;
- 患者は、施設のガイドラインに従って、又は米国病理学者協会に従って、診断時にマイクロサテライト不安定性高ステータス(MSI-H)又はDNAミスマッチ修復不全(dMMR)を有していなければならない;
- 患者は、イピリムマブとの組み合わせにおけるペムブロリズマブ又はニボルマブなどの承認済み抗PD(L)-1薬剤、及びオキサリプラチン又はイリノテカン薬剤を伴うフルオロピリミジンに基づく標準治療化学療法レジメンを含む、少なくとも2つの以前のラインで進行していなければならない;
- BRAF(V600E)変異を有する患者を含めることができ、二次選択においてBRAF阻害剤であるエンコラフェニブを用いて処置することができたであろう;
- RECIST v1.1に従って測定可能な疾患を有する患者;
- 患者は、適したアーカイブ又は新たに収集された腫瘍生検を提供しなければならない;
- 推定余命≧12週間;
- ECOGパフォーマンスステータス0又は1。
【0426】
組み入れ基準は以下を含む:
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な血液学的機能であって、以下のように定義される:ANC≧1.5×109/L、ヘモグロビン≧8g/dL。輸血の場合では、血小板数≧75×109/L、全ての患者について十分な凝固機能;
- クレアチニンクリアランス≧30mL/分として定義される、最終評価に基づく十分な腎機能;
- 十分な肝機能であって、以下のように定義される:総血清ビリルビン<1.5×ULN(ギルバート病が確認された場合を除く<3×ULN)、AST及びALT≦3.0×ULN;
- 最後の評価に基づく、補給を伴う又は伴わない、正常限度内の血清カリウム、血清リン酸塩、血清マグネシウム。
【0427】
除外基準は以下を含む:
- 最初のIMP投与前の4週間以内の大手術;
- 他の重篤な/活動性/制御不能な感染症を有する患者;
- 活動性B型肝炎ウイルス感染症;
- HIV抗体の保因者;
- 臓器移植の病歴を有する患者;
- 活動性血栓症、又は深部静脈血栓症若しくは肺塞栓症の病歴を有する患者;
- 活動性の制御不能な出血を有する患者;
- 身体の任意の部分に治癒していない傷を有する患者;
- 過去において抗NKG2A mAbを受けた患者;
- 既知の、未処置の中枢神経系(CNS)を有する患者;
- 全身免疫抑制治療を用いた処置;
- 最初のIMP投与前の4週間以内に完了した場合には、以前の放射線療法;
- 免疫刺激剤を受けた場合により悪化し得る、活動性の自己免疫疾患;
- 組み込む前の28日以内での生ワクチンの投与;
- 治験製品又はそれらの製剤中の任意の成分への既知の重度の過敏症;
- ペムブロリズマブ処方情報において存在する任意の禁忌。
【0428】
mAb1+ペムブロリズマブ+トラスツズマブ
コホートの先頭にいる患者は、各々の21日サイクルの1日目に3週間毎にIV点滴を介した推奨第2相用量(RP2D)のmAb1、サイクル1の1日目にIV注入を介した8mg/kg負荷用量、その後3週間毎の6mg/kgのトラスツズマブ、及び3週間毎のIV注入を介したペムブロリズマブ200mgを用いて処置した。拡大第2相コホートについては、患者は、各々の21日サイクルの1日目に3週間毎にIV点滴を介したRP2DのmAb1、サイクル1の1日目にIV注入を介した8mg/kg負荷用量、その後3週間毎の6mg/kgのトラスツズマブ、及び3週間毎のIV注入を介したペムブロリズマブ200mgを用いて処置した。
【0429】
スクリーニング基準
患者は≧18歳の男性又は女性である。医学的及び治療的基準は以下を含む:
- 局所進行した切除不能又は転移性胃食道癌及び胃癌を有する患者;
- 組織学的に証明された切除不能な局所進行性又は転移性HER2+癌を有する患者;
-ペムブロリズマブを伴う又は伴わないトラスツズマブを含む、フルオロピリミジン及びプラチナベースの組み合わせを伴う第一選択並びに第二選択の標準治療レジメンを含む、2つの以前の処置ラインで進行した患者;
- RECIST v1.1に従って測定可能な疾患を有する患者;
- 推定余命≧12週間;
- ECOGパフォーマンスステータス0又は1。
【0430】
組み入れ基準は以下を含む:
- 最初の治験医薬品(IMP)投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な血液学的機能であって、以下のように定義される:絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L、ヘモグロビン≧8g/dL、血小板数≧75×109/L;
- 全ての患者について十分な凝固機能;
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な腎機能であって、以下のように定義される:クレアチニンクリアランス≧30mL/分;
- 最初のIMP投与前の7日以内に実施された最後の評価に基づく十分な肝機能であって、以下のように定義される:血清総ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN);アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦3×ULN。
【0431】
除外基準は以下を含む:
- 心エコー図による左心室駆出率(LVEF)<50%;
- トラスツズマブ又はペムブロリズマブにおいて存在する任意の禁忌;
- 最初のIMP投与前の4週間以内での大手術;
- 任意の他の重篤な/活動性/制御不能な感染症を有する患者;
- 活動性B型肝炎ウイルス感染症;
- HIV抗体の保因者;
- 臓器移植の病歴を有する患者;
- 活動性血栓症、又は深部静脈血栓症若しくは肺塞栓症の病歴を有する患者;
- 活動性の制御不能な出血を有する患者;
- 既知の臨床的に有意な心血管疾患を有する患者;
- 胃腸穿孔又は腹腔内膿瘍の病歴;
- 肝硬変又は慢性肝疾患の病歴;
- 肺線維症又は関連する制御不能な慢性肺疾患の病歴;
- 身体の任意の部分に治癒していない傷を有する患者;
- 過去に抗NKG2A mAbを受けた患者;
- 既知の未治療の中枢神経系(CNS)を有する患者;
- 全身免疫抑制治療を用いた処置;
- 最初のIMP投与前の4週間以内に完了した場合は、以前の放射線療法;
- 活動性の自己免疫疾患。
【0432】
評価のための基準。
【0433】
両方の群について、腫瘍評価は、医用画像診断により9週間(+/-7日)毎に実施され、応答の場合では、確認が、少なくとも4週間後に要求される。患者は、疾患進行後の生存状態の評価のために、90日(+/-7日)毎に追跡調査される。生存の追跡調査期間は2年間まで続く。
【表4】












図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
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【国際調査報告】