(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】リチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20241008BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241008BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20241008BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241008BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20241008BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20241008BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241008BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241008BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20241008BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241008BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241008BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20241008BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20241008BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241008BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241008BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241008BHJP
H01M 50/595 20210101ALI20241008BHJP
H01M 4/48 20100101ALN20241008BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/525
H01M4/131
H01M4/505
H01M4/38 Z
H01M4/587
H01M4/36 E
H01M4/13
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/533
H01M50/538
H01M50/586
H01M50/184 D
H01M10/0587
H01M50/591 101
H01M50/595
H01M4/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520039
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 KR2022015619
(87)【国際公開番号】W WO2023063783
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136711
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0121172
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・グ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク・ヒョン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】クァン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミュン・アン・イ
(72)【発明者】
【氏名】セ・ジン・キム
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011AA13
5H011CC06
5H029AJ03
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ05
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA12
5H043EA06
5H043GA22
5H043GA27
5H043JA03E
5H043JA06E
5H050AA08
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB29
5H050FA04
5H050FA05
5H050FA06
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
(57)【要約】
本発明は、正極板、負極板、前記正極板と負極板の間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた電極組立体と、前記電極組立体が収納される電池缶と、前記電池缶の開放端部を密封する密封体とを含む二次電池に関し、前記正極板は、単粒子、疑似-単粒子またはこれらの組み合わせを含む正極活物質を含み、前記正極活物質のDminが1.0μm以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板、負極板、前記正極板と負極板との間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた電極組立体と、前記電極組立体が収納される電池缶と、前記電池缶の開放端部を密封する密封体とを含む二次電池であって、
前記正極板は、単粒子、疑似-単粒子またはこれらの組み合わせを含む正極活物質を含み、前記正極活物質のD
minが1.0μm以上である、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記正極活物質は、D
50が5μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記正極活物質は、D
maxが12μm~17μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記正極活物質は、下記式(1)で表される粒度分布(PSD、Particle Size Distribution)が3以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
式(1):粒度分布(PSD)=(D
max-D
min)/D
50
【請求項5】
前記正極活物質は、体積累積粒度分布グラフで単一ピーク(Single peak)を示すユニモーダル粒度分布を有する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記単粒子、疑似-単粒子またはこれらの組み合わせは、前記正極板に含まれた正極活物質の全重量に対して、95重量%~100重量%の量で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記正極活物質は、遷移金属の全モル数に対して、Niを80モル%以上含むリチウムニッケル系酸化物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記正極活物質は、下記[化学式1]で表されるリチウムニッケル系酸化物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
[化学式1]
Li
aNi
bCo
cM
1
dM
2
eO
2
前記化学式1中、M
1は、Mn、Alまたはこれらの組み合わせで、M
2は、Zr、W、Ti、Mg、Ca、Sr、およびBaであり、0.8≦a≦1.2、0.83≦b<1、0<c<0.17、0<d<0.17、0≦e≦0.1である。
【請求項9】
前記正極活物質は、一次粒子の平均粒径が0.5μm~5μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記負極板は、シリコン系負極活物質を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
前記負極板は、シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項12】
前記シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質は、1:99~20:80の重量比で含まれる、請求項11に記載のリチウム二次電池。
【請求項13】
前記リチウム二次電池は、フォームファクタの比が0.4以上である円筒型電池であり、前記フォームファクタは、円筒型電池の直径を高さで除した値である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項14】
前記リチウム二次電池は、46110セル、4875セル、48110セル、4880セルまたは4680セルである、請求項13に記載のリチウム二次電池。
【請求項15】
前記正極板および負極板は、それぞれ、活物質層が形成されていない無地部を含み、
前記正極板または負極板の無地部の少なくとも一部が電極タブを定義する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項16】
前記正極板無地部および負極板無地部は、それぞれ、前記正極板および負極板の一辺の端部に前記電極組立体が巻き取られる方向に沿って形成され、
前記正極板無地部および負極板無地部のそれぞれに集電プレートが結合しており、
前記集電プレートが電極端子と連結される、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【請求項17】
前記正極板無地部および負極板無地部は、独立して折り曲げ可能な複数の分節片状に加工され、
前記複数の分節片のうち少なくとも一部が前記電極組立体の巻取中心に向かって折り曲げられている、請求項16に記載のリチウム二次電池。
【請求項18】
前記折り曲げられた複数の分節片のうち少なくとも一部は、前記電極組立体の上端および下端上で重なり合っており、
前記重なり合った複数の分節片上に前記集電プレートが結合している、請求項17に記載のリチウム二次電池。
【請求項19】
前記正極板上には、前記巻取方向と平行な方向に沿って、正極活物質層の一部と無地部の一部を覆っている絶縁層がさらに形成されている、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のリチウム二次電池を含む、電池パック。
【請求項21】
請求項20に記載の電池パックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月14日付けの韓国特許出願第10-2021-0136711号および2022年9月23日付けの韓国特許出願第10-2022-0121172号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池に関し、より具体的には、単粒子および/または疑似-単粒子正極活物質を適用することで、体積が増加しても、優れた熱安定性を実現することができるリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車、ポータブル電子装置などの技術の発展に伴い、エネルギー源としてリチウム二次電池の需要が急激に増加している。
【0004】
リチウム二次電池は、電池ケースの材質に応じて、円筒型または角型のような缶型電池と、パウチ型電池とに分けられる。缶型電池は、電池缶にシート状の正極板、セパレータおよび負極板を順に積層した後、一方向に巻き取って製造されるゼリーロール型電極組立体を収納した後、電池缶の上部にキャッププレートを覆って密封した形態を有する。正極板と負極板には、それぞれ、ストリップ状の正極タブと負極タブが備えられ、前記正極タブと負極タブが、電極端子と連結されて、外部電源と電気的に連結される。参考までに、正極電極端子は、キャッププレートであり、負極電極端子は、電池缶である。しかし、このような構造を有する従来の缶型電池の場合、ストリップ状の電極タブに電流が集中して抵抗が大きく、熱が多く発生し、集電効率が良くないという問題がある。
【0005】
一方、最近、電気自動車技術の発展に伴い、高容量電池に対するニーズが増加するにつれて体積が大きい大型の缶型電池の開発が求められている。従来、一般的に使用されていた小型の缶型電池、例えば、1865や2170のフォームファクタを有する小型の円筒型電池の場合、容量が小さいため、抵抗や発熱が、電池の性能に深刻な影響を及ぼさなかった。しかし、従来の小型の缶型電池の仕様を大型の缶型電池にそのまま適用する場合、電池安全性に深刻な問題が発生し得る。
【0006】
電池のサイズが大きくなると、電池の内部で発生する熱とガスの量もともに増加し、このような熱とガスによって、電池の内部の温度および圧力が上昇し、電池が発火または爆発する可能性があるためである。これを防止するためには、電池の内部の熱とガスが外部に適切に排出されなければならず、このためには、電池の外部に熱を排出する通路になる電池の断面積が、体積の増加に合わせて増加する必要がある。しかし、通常、断面積の増加分は、体積の増加分に満たないため、電池が大型化するほど電池の内部の発熱量が増加し、これによって爆発の恐れが高まり、出力が低下するなどの問題が発生する。また、高電圧で急速充電を行う場合、短時間で電極タブの周辺で多量の熱が発生して電池が発火する問題も発生し得る。
【0007】
したがって、高容量を実現するために、大きい体積を有し、且つ高い安全性を有する缶型電池の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、正極活物質として、単粒子または疑似-単粒子を適用することで、缶型電池の体積が増加しても、優れた熱安定性を実現することができるリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によると、本発明は、正極板、負極板、前記正極板と負極板との間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた電極組立体と、前記電極組立体が収納される電池缶と、前記電池缶の開放端部を密封する密封体とを含む二次電池であって、前記正極板は、単粒子、疑似-単粒子またはこれらの組み合わせを含む正極活物質を含み、前記正極活物質のDminが1.0μm以上である円筒型リチウム二次電池を提供する。
【0010】
また、前記正極活物質は、遷移金属の全モル数に対してNiを80モル%以上に含むリチウムニッケル系酸化物を含むことができ、例えば、下記[化学式1]で表されるリチウムニッケル系酸化物を含むことができる。
[化学式1]
LiaNibCocM1
dM2
eO2
【0011】
前記化学式1中、M1は、Mn、Alまたはこれらの組み合わせで、M2は、Zr、W、Ti、Mg、Ca、Sr、およびBaであり、0.8≦a≦1.2、0.83≦b<1、0<c<0.17、0<d<0.17、0≦e≦0.1である。
【0012】
一方、前記負極板は、シリコン系負極活物質を含むことができる。
【0013】
また、前記負極板は、シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質を含むことができ、ここで、前記シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質は、1:99~20:80の重量比で含まれることができる。
【0014】
一方、前記二次電池は、フォームファクタの比が0.4以上である円筒型電池であることができ、例えば、46110セル、4875セル、48110セル、4880セルまたは4680セルであることができる。ここで、前記フォームファクタの比は、円筒型電池の直径を高さで除した値である。
【0015】
また、本発明による二次電池は、正極板および負極板が、それぞれ、活物質層が形成されていない無地部を含み、前記無地部の正極板または負極板の少なくとも一部が電極タブを定義する電池であることができる。
【0016】
前記正極板無地部および負極板無地部は、それぞれ、前記電極組立体の巻取方向と平行な正極板および負極板の一辺の端部に沿って位置し、前記正極板無地部および負極板無地部のそれぞれに集電プレートが結合しており、前記集電プレートが電極端子と連結されることができる。
【0017】
一方、前記正極板無地部および負極板無地部は、独立して折り曲げ可能な複数の分節片状に加工されており、前記複数の分節片のうち少なくとも一部が前記電極タブを定義し、前記電極組立体の巻取中心Cに向かって折り曲げられていてもよい。また、前記折り曲げられた複数の分節片のうち少なくとも一部は、前記電極組立体の上端および下端上で重なり合っており、前記重なり合った複数の分節片上に前記集電プレートが結合していてもよい。
【0018】
一方、前記正極板上には、前記巻取方向と平行な方向に沿って正極活物質層の一部と無地部の一部を覆っている絶縁層がさらに形成されることができる。
【0019】
他の実施形態によると、本発明は、前記本発明によるリチウム二次電池を含む電池パックと、前記電池パックを含む自動車を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるリチウム二次電池は、正極活物質として、単粒子および/または疑似-単粒子からなる正極活物質を適用し、電極の製造時の粒子の割れおよび充放電時の内部クラックの発生によるガスの発生を最小化できるようにすることで、体積が増加した大型電池においても、優れた安全性を実現できるようにした。
【0021】
また、本発明によるリチウム二次電池は、Dminが1.0μm以上である正極活物質を使用することで、電池の熱安定性をより改善できるようにした。本発明者らの研究によると、正極活物質として、単粒子および/または疑似-単粒子を適用しても、正極活物質の粒度に応じて、圧延後、粒子の割れの抑制および熱安定性の改善効果が相違することが示されている。特に、正極活物質内に粒径1.0μm未満の粒子が含まれる場合、圧延工程で線圧が増加して粒子の割れが増加し熱安定性が低下して、大型の円筒型電池への適用時に、熱安定性を十分に確保することができなかった。したがって、本発明では、最小粒子径(Dmin)が1.0μm以上に制御された正極活物質を使用することで、熱安定性の改善効果を極大化できるようにした。
【0022】
また、本発明によるリチウム二次電池は、D50、Dmax、および粒度分布(PSD)が適切に調節された正極活物質を適用することで、単粒子の適用による抵抗の増加を最小化できるようにすることで、優れた容量特性および出力特性を実現できるようにした。
【0023】
また、本発明によるリチウム二次電池は、負極活物質として容量が大きいシリコン系負極活物質を含むことができ、この場合、より高いエネルギー密度を実現することができる。
【0024】
また、本発明によるリチウム二次電池は、正極板および負極板の無地部が電極タブの役割を果たす構造、例えば、タブレス(Tab-less)構造を有することができる。従来の電池は、電極タブを介して電極板と電極リードを連結する構造からなっているが、この場合、充電時に、電極タブに多量の電流が集中することによって電極タブの周辺に多くの熱が発生する。特に、急速充電時には、このような現象がひどくなって、電池の発火や爆発が発生する恐れがある。これに対し、本発明によるリチウム二次電池は、正極板と負極板の端部に活物質層が形成されていない無地部を形成し、前記無地部を広い断面積を有する集電プレートと溶接させる方法で電極端子と連結した構造に形成されることができる。このような構造の電池は、電極タブを備えた従来の電池に比べて電流の集中が少ないことから、電池の内部の発熱を効果的に減少させることができ、これにより、電池の熱安定性が改善する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による電極組立体の巻取前の積層状態を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電極組立体の電極板の構造を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるタブレス構造の電池の構造を示す断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態によるタブレス構造の電池の構造を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電極組立体の構造を説明するための図である。
【
図6】本発明によるバッテリパックを説明するための図である。
【
図7】本発明によるバッテリパックを含む自動車を説明するための図である。
【
図8】実施例1で使用された正極活物質のSEM写真である。
【
図9】実施例2で使用された正極活物質のSEM写真である。
【
図10】比較例2で使用された正極活物質のSEM写真である。
【
図11】実施例1のサンプル1および比較例1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【
図12】実施例1のサンプル2、3、実施例2のサンプル1、2および比較例2の4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【
図13】実施例1で製造された正極板の断面SEM写真である。
【
図14】比較例1で製造された正極板の断面SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0028】
本発明において、「一次粒子」は、走査型電子顕微鏡または後方散乱電子回折パターン分析装置(Electron Back Scatter Diffraction;EBSD)を用いて、5000倍~20000倍の視野で観察した時に、外観上粒界が存在しない粒子単位を意味する。「一次粒子の平均粒径」は、走査型電子顕微鏡またはEBSDイメージで観察される一次粒子の粒径を測定した後、計算されたこれらの算術平均値を意味する。
【0029】
本発明において、「二次粒子」は、複数個の一次粒子が凝集して形成された粒子である。本発明では、一次粒子が数十~数百個凝集して形成される従来の二次粒子と区別するために、一次粒子が10個以下に凝集した二次粒子を疑似-単粒子と称する。
【0030】
本発明において、「Dmin」、「D50」および「Dmax」は、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定された正極活物質の体積累積分布の粒度値である。具体的には、Dminは、体積累積分布で示される最小粒子径であり、D50は、体積累積量が50%である時の粒子径であり、Dmaxは、体積累積分布で示される最大粒子径である。前記体積累積分布の粒度値は、例えば、正極活物質を分散媒の中に分散させた後、市販のレーザ回折粒度測定装置(例えば、Microtrac MT 3000)に導入して、約28kHzの超音波を出力60Wで照射した後、体積累積粒度分布グラフを得て測定されることができる。
【0031】
本発明者らは、高い容量を実現し、且つ安全性に優れた大型電池を開発するために鋭意研究を重ねた結果、正極活物質として、1個の一次粒子からなる単粒子および/または10個以下の一次粒子の凝集体である疑似-単粒子からなる正極活物質を使用することで、大型電池の安全性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0032】
具体的には、本発明によるリチウム二次電池は、正極板、負極板、前記正極板と負極板との間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた電極組立体と、前記電極組立体が収納される電池缶と、前記電池缶の開放端部を密封する密封体とを含む。
【0033】
以下、本発明のリチウム二次電池の構成について具体的に説明する。
【0034】
電極組立体
前記電極組立体は、正極板、負極板、前記正極板と負極板との間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた構造を有し、例えば、ゼリーロールタイプの電極組立体であることができる。
【0035】
図1には、本発明による電極組立体の巻取前の積層構造が図示されており、
図2には、本発明による電極板(正極板または負極板)の断面構造が図示されている。
【0036】
図1および
図2を参照すると、本発明の電極組立体は、セパレータ12、正極板10、セパレータ12、負極板11が、順に、少なくとも1回積層して形成された積層体を一方向Xに巻き取ることで製造されることができる。
【0037】
ここで、前記正極板10と負極板11は、シート状の集電体20に活物質層21が形成された構造を有し、集電体20の一部領域に活物質層21が形成されていない無地部22を含むことができる。
【0038】
前記のように無地部22を含む正極板10および負極板11を用いると、別の電極タブを備えず、正極板10および負極板11の無地部の少なくとも一部が電極タブを定義するタブレス構造の電池を実現することができる。
【0039】
具体的には、前記無地部22は、集電体20の一辺の端部に巻取方向Xに沿って長く形成されることができ、前記正極板無地部と負極板無地部のそれぞれに集電プレートを結合し、前記集電プレートを電極端子と連結することで、タブレス(Tab-less)構造の電池を実現することができる。
【0040】
例えば、以下のような方法によりタブレス構造の電池を製造することができる。先ず、正極板10と負極板11の無地部22が互いに逆方向に位置するように、セパレータ、正極板、セパレータ、負極板を順に積層した後、一方向に巻き取って電極組立体を製造する。その後、正極板および負極板の無地部22を巻取中心C方向に折り曲げた後、正極板の無地部と負極板の無地部に集電プレートをそれぞれ溶接して結合し、前記集電プレートを電極端子と連結することで、タブレス(Tab-less)構造の電池を製造することができる。一方、前記集電プレートは、ストリップタイプの電極タブに比べて大きい断面積を有し、抵抗は、電流が流れる通路の断面積に反比例することから、二次電池を前記のような構造に形成する場合、セル抵抗を大きく下げることができる。
【0041】
一方、前記正極板および負極板無地部は、独立して折り曲げ可能な複数の分節片状に加工されていてもよく、前記複数の分節片のうち少なくとも一部が電極組立体の巻取中心Cに向かって折り曲げられていてもよい。
【0042】
前記分節片は、正極板および負極板の集電体をレーザノッチング、超音波カッティング、打ち抜きなどの金属箔カッティング工程により加工することで形成されることができる。
【0043】
正極板および負極板の無地部が複数の分節片状に加工されている場合、折り曲げ時に無地部に加えられる応力ストレスを減少させて無地部の変形や損傷を防止することができ、集電プレートとの溶接特性を改善することができる。
【0044】
集電プレートと無地部は、一般的に溶接によって接合され、溶接特性を向上させるためには、無地部の溶接領域に強い圧力を加えて無地部を最大限に平坦に折り曲げなければならない。しかし、このような折り曲げ過程で無地部の形が不規則に歪んで変形することがあり、変形した部位が反対極性の電極と接触して内部短絡を引き起こすか、無地部に微細なクラックを引き起こし得る。しかし、正極板および負極板の無地部が独立して折り曲げ可能な複数の分節片状に加工されていると、折り曲げ時に無地部に加えられる応力ストレスが緩和し、無地部の変形および損傷を最小化することができる。
【0045】
また、無地部が前記のように分節片状に加工されている場合、折り曲げ時に複数の分節片の間に重なり合いが発生し、これによって集電プレートとの溶接強度が増加し、レーザ溶接などの最新技術を使用する場合に、レーザが電極組立体の内部に浸透して、セパレータや活物質を溶融させる問題を防止することができる。好ましくは、前記折り曲げられた複数の分節片のうち少なくとも一部が前記電極組立体の上端および下端上で重なり合っていてもよく、重なり合った複数の分節片上に集電プレートが結合することができる。
【0046】
一方、本発明による電極組立体は、
図5に図示されたように、正極板10上には絶縁層24がさらに形成された構造に形成されることができる。具体的には、前記絶縁層24は、電極組立体の巻取方向と平行な方向に沿って、正極活物質層の一部と無地部の一部を覆うように形成されることができる。
【0047】
正極板10の無地部22cと負極板11の無地部22aを電極タブとして使用するタブレス構造の電池の場合、正極板10がセパレータ12上部に突出し、負極板11がセパレータ12の下部に突出するように電極組立体を形成し、突出した正極板10および/または負極板11を折り曲げた後、集電プレートと結合させる。しかし、前記のように正極板10または負極板11を折り曲げる場合、正極板10または負極板11の集電体がセパレータを越して反対極性の電極と近接して位置するようになり、これによって正極板と負極板が電気的に接触し、内部短絡を引き起こす可能性がある。しかし、
図5に図示されたように、正極活物質層と無地部の一部を覆う絶縁層24を形成する場合、絶縁層24により、正極板10と負極板11が電気的に接触することを防止することができ、電池内部で短絡が発生することを防止することができる。
【0048】
好ましくは、前記絶縁層24は、正極板10集電体の少なくとも一面に備えられることができ、好ましくは、正極板10の両面に備えられることができる。
【0049】
また、前記絶縁層24は、正極板10の領域のうち、負極板11の活物質層21aと対面する可能性がある領域に形成されることができる。例えば、前記正極板10の無地部22cのうち、折り曲げられた後に負極板11と対面する面では、絶縁層24が無地部22cの末端まで延びて形成されることができる。ただし、折り曲げられた後に負極板11と対面する面の反対面の場合、絶縁層24が無地部22cの一部、例えば、無地部22cの折り曲げ点の前のみまで形成されることが好ましい。負極板11と対面する面の反対面の無地部の全領域に絶縁層24が形成される場合、集電プレートとの電気的接触が不可能であり、電極タブとして機能することができないためである。
【0050】
一方、前記絶縁層24は、絶縁性能を確保しながら正極板に付着されることができるものであればよく、その素材や成分が特に限定されるものではない。例えば、前記絶縁層は、絶縁コーティング層または絶縁テープであってもよく、前記絶縁コーティング層は、有機バインダーおよび無機粒子を含むことができる。ここで、前記有機バインダーは、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)であってもよく、前記無機粒子は、アルミナ酸化物であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0051】
次に、本発明の電極組立体の各構成要素についてより詳細に説明する。
【0052】
(1)正極板
前記正極板は、例えば、長いシート状の正極集電体の一面または両面に正極活物質層が形成された構造からなることができ、前記正極活物質層は、正極活物質を含むことができ、選択的に、導電材および/またはバインダーを含むことができる。
【0053】
具体的には、前記正極板は、長いシート状の正極集電体の一面または両面に正極活物質、導電材、および/またはバインダーをジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)、水などの溶媒に分散させて製造された正極スラリーを塗布し、乾燥工程により正極スラリーの溶媒を除去した後、圧延させる方法により製造されることができる。一方、前記正極スラリーの塗布時に、正極集電体の一部領域、例えば、正極集電体の一端部に正極スラリーを塗布しない方法で無地部を含む正極板を製造することができる。
【0054】
前記正極集電体としては、当該技術分野で使用される様々な正極集電体が使用されることができる。例えば、前記正極集電体としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したものなどが使用されることができる。前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有することができ、前記正極集電体の表面上に微細な凹凸を形成して、正極活物質の接着力を高めることもできる。前記正極集電体は、例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など、様々な形態で使用されることができる。
【0055】
本発明において、前記正極板は、1個の一次粒子からなる単粒子および/または10個以下の一次粒子の凝集体である疑似-単粒子からなる正極活物質を含む。
【0056】
従来、リチウム二次電池の正極活物質として、数十~数百個の一次粒子が凝集した球状の二次粒子を使用することが一般的であった。しかし、このように多くの一次粒子が凝集した二次粒子形態の正極活物質の場合、正極の製造時に、圧延工程で一次粒子が離脱する粒子の割れが発生しやすく、充放電過程で粒子の内部にクラックが発生するという問題がある。正極活物質の粒子の割れや粒子内部のクラックが発生する場合、電解液との接触面積が増加するため、電解液との副反応によるガスの発生が増加するという問題がある。電池の内部でガスの発生が増加すると、電池内部の圧力が増加して、電池の爆発が発生する恐れがある。特に、円筒型電池の体積を増加させる場合、体積の増加によって電池内部の活物質量が増加し、これによってガス発生量も著しく増加するため、電池の発火および/または爆発の恐れがより大きくなる。
【0057】
これに対し、1個の一次粒子からなる単粒子や一次粒子が10個以下に凝集した疑似-単粒子形態の正極活物質は、一次粒子が数十~数百個凝集している既存の二次粒子形態の正極活物質に比べて粒子強度が高いことから、圧延時の粒子の割れがほとんど発生しない。また、単粒子または疑似-単粒子形態の正極活物質の場合、粒子を構成する一次粒子の個数が少ないことから、充放電時に、一次粒子の体積膨張、収縮による変化が少なく、これにより、粒子内部のクラックの発生も著しく減少する。
【0058】
したがって、本発明のように、単粒子および/または疑似-単粒子からなる正極活物質を使用する場合、粒子の割れおよび内部クラックの発生によるガス発生量を著しく減少させることができ、これにより、大型電池でも優れた安全性を実現することができる。
【0059】
一方、前記単粒子および/または疑似-単粒子は、正極板に含まれる全体の正極活物質の重量を基準として、95重量%~100重量%、好ましくは98重量%~100重量%、より好ましくは99重量%~100重量%、さらに好ましくは100重量%の量で含まれることが好ましい。単粒子および/または疑似-単粒子の含量が前記範囲を満たすと、大型電池への適用時に十分な安全性を得ることができる。二次粒子形態の正極活物質が全体の正極活物質のうち5重量%を超える量で含まれる場合、電極の製造および充放電時に、二次粒子から発生した微分によって電解液との副反応が増加してガス発生の抑制効果が低下し、これにより、大型電池への適用時に安定性の改善効果が低下し得るためである。
【0060】
一方、本発明による単粒子および/または疑似-単粒子を含む正極活物質は、Dminが1.0μm以上、1.1μm以上、1.15μm以上、1.2μm以上、1.25μm以上、1.3μm以上または1.5μm以上であることができる。正極活物質のDminが1.0μm未満である場合、正極板の圧延工程で電圧が増加して粒子の割れが発生しやすく、熱安定性が低下して、大型の円筒型電池への適用時に熱安定性を十分に確保することができない。
【0061】
一方、抵抗および出力特性を考慮すると、前記正極活物質のDminは、3μm以下、2.5μm以下または2μm以下であることができる。Dminが大きすぎると、粒子内のリチウムイオン拡散距離が増加して、抵抗および出力特性が低下し得る。
【0062】
例えば、前記正極活物質のDminは、1.0μm~3μm、1.0μm~2.5μm、または1.3μm~2.0μmであることができる。
【0063】
一方、前記正極活物質は、D50が5μm以下、4μm以下、または3μm以下であることができ、例えば、0.5μm~5μm、好ましくは1μm~5μm、さらに好ましくは2μm~5μmであることができる。単粒子および/または疑似-単粒子形態の正極活物質は、粒子の内部でリチウムイオンの拡散経路になる一次粒子の間の界面が少ないため、二次粒子形態の正極活物質よりリチウム移動性が劣り、これによって抵抗が増加するという問題がある。このような抵抗の増加は、粒子径が大きくなるほどよりひどくなり、抵抗が増加すると、容量および出力特性が悪影響を及ぼす。したがって、正極活物質のD50を5μm以下に調節することで、正極活物質粒子の内部でのリチウムイオン拡散距離を最小化することで、抵抗の増加を抑制することができる。
【0064】
また、前記正極活物質は、Dmaxが12μm~17μm、好ましくは12μm~16μm、さらに好ましくは12μm~15μmであることができる。正極活物質のDmaxが前記範囲を満たすと、より優れた抵抗特性および容量特性が示される。正極活物質のDmaxが大きすぎる場合には、単粒子間の凝集が発生し、凝集した粒子の内部でのリチウム移動経路が長くなってリチウム移動性が低下し、これによって抵抗が増加し得る。一方、正極活物質のDmaxの小さすぎる場合には、過剰な解砕工程が行われ、過剰な解砕によって、Dminが1μm未満に小さくなり得、圧延時に粒子の割れが引き起こされて熱安定性が低下し得る。
【0065】
一方、前記正極活物質は、下記式(1)で表される粒度分布(PSD、Particle Size Distribution)が3以下、好ましくは2~3、より好ましくは2.3~3であることができる。
【0066】
式(1):粒度分布(PSD)=(Dmax-Dmin)/D50
【0067】
正極活物質が前記のような粒度分布を有すると、正極の電極密度を適切に維持することができ、粒子の割れおよび抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
【0068】
一方、前記正極活物質は、一次粒子の平均粒径が5μm以下、4μm以下、3μm以下、または2μm以下であることができ、例えば、0.5μm~5μm、好ましくは1μm~5μm、さらに好ましくは2μm~5μmであることができる。一次粒子の平均粒径が前記範囲を満たす場合、電気化学的特性に優れた単粒子および/または疑似-単粒子形態の正極活物質を形成することができる。一次粒子の平均粒径が小さすぎると、正極活物質を形成する一次粒子の凝集個数が多くなって圧延時に粒子の割れ発生の抑制効果が低下し、一次粒子の平均粒径が大きすぎると、一次粒子の内部でのリチウム拡散経路が長くなって抵抗が増加し、出力特性が低下し得る。
【0069】
本発明において、前記正極活物質は、ユニモーダル粒度分布を有することが好ましい。従来、正極活物質層の電極密度を向上させるために、平均粒径が大きい大粒径正極活物質と平均粒径が小さい小粒径正極活物質を混合して使用するバイモーダル正極活物質が多く使用されてきた。しかし、単粒子または疑似-単粒子形態の正極活物質の場合、粒径が増加すると、リチウム移動経路が長くなって抵抗が著しく増加するため、大粒径粒子を混合して使用する場合、容量および出力特性が低下する問題が発生し得る。したがって、本発明では、ユニモーダル分布を有する正極活物質を使用することで、抵抗増加を最小化できるようにした。
【0070】
一方、前記正極活物質は、リチウムニッケル系酸化物を含むことができ、具体的には、遷移金属の全モル数に対して、Niを80モル%以上含むリチウムニッケル系酸化物を含むことができる。好ましくは、前記リチウムニッケル系酸化物は、Niを80モル%以上100モル%未満、82モル%以上100モル%未満、または83モル%以上100モル%未満で含むことができる。前記のように、Ni含量が高いリチウムニッケル系酸化物を使用する場合、高い容量を実現することができる。
【0071】
より具体的には、前記正極活物質は、下記[化学式1]で表されるリチウムニッケル系酸化物を含むことができる。
【0072】
[化学式1]
LiaNibCocM1
dM2
eO2
【0073】
前記化学式1中、M1はMn、Alまたはこれらの組み合わせであることができ、好ましくは、MnまたはMnおよびAlであることができる。
【0074】
前記M2は、Zr、W、Y、Ba、Ca、Ti、Mg、TaおよびNbからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは、Zr、Y、Mg、およびTiからなる群から選択される1種以上であることができ、さらに好ましくはZr、Yまたはこれらの組み合わせであることができる。M2元素は、必ずしも含まれるものではないが、適切な量で含まれる場合、焼成時の粒成長を促進したり、結晶構造安定性を向上させる役割を果たすことができる。
【0075】
前記aは、リチウムニッケル系酸化物内のリチウムモル比を示し、0.8≦a≦1.2、0.85≦a≦1.15、または0.9≦a≦1.2であることができる。リチウムのモル比が前記範囲を満たすと、リチウムニッケル系酸化物の結晶構造が安定的に形成されることができる。
【0076】
前記bは、リチウムニッケル系酸化物内のリチウム以外の全体の金属のうちニッケルのモル比を示し、0.8≦b<1、0.82≦b<1、0.83≦b<1、0.85≦b<1、0.88≦b<1または0.90≦b<1であることができる。ニッケルのモル比が前記範囲を満たすと、高いエネルギー密度を示して高容量の実現が可能である。
【0077】
前記cは、リチウムニッケル系酸化物内のリチウム以外の全体の金属のうちコバルトモル比を示し、0<c<0.2、0<c<0.18、0.01≦c≦0.17、0.01≦c≦0.15、0.01≦c≦0.12または0.01≦c≦0.10であることができる。コバルトのモル比が前記範囲を満たすと、良好な抵抗特性および出力特性を実現することができる。
【0078】
前記dは、リチウムニッケル系酸化物内のリチウム以外の全体の金属のうちM1元素のモル比を示し、0<d<0.2、0<d<0.18、0.01≦d≦0.17、0.01≦d≦0.15、0.01≦d≦0.12、または0.01≦d≦0.10であることができる。M1元素のモル比が前記範囲を満たすと、正極活物質の構造安定性に優れる。
【0079】
前記eは、リチウムニッケル系酸化物内のリチウム以外の全体の金属のうちM2元素のモル比を示し、0≦e≦0.1、または0≦e≦0.05であることができる。
【0080】
一方、本発明による正極活物質は、必要に応じて、前記リチウムニッケル系酸化物粒子の表面に、Al、Ti、W、B、F、P、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、V、Cu、Ca、Zn、Zr、Nb、Mo、Sr、Sb、Bi、SiおよびSからなる群から選択される1種以上のコーティング元素を含むコーティング層をさらに含むことができる。好ましくは、前記コーティング元素は、Al、B、Coまたはこれらの組み合わせであることができる。
【0081】
リチウムニッケル系酸化物粒子の表面にコーティング層が存在する場合、コーティング層により、電解質とリチウム複合遷移金属酸化物の接触が抑制され、これにより、電解質との副反応による遷移金属の溶出やガスの発生を減少させる効果を得ることができる。
【0082】
前記正極活物質は、正極活物質層の全重量に対して、80~99重量%、好ましくは85~99重量%、さらに好ましくは90~99重量%含まれることができる。
【0083】
次に、前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物が使用されることができる。前記導電材は、通常、正極活物質層の全重量に対して、1~30重量%、好ましくは1~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%含まれることができる。
【0084】
前記バインダーは、正極活物質粒子の間の付着および正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの様々な共重合体などが挙げられ、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物が使用されることができる。前記バインダーは、正極活物質層の全重量に対して、1~30重量%、好ましくは1~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%含まれることができる。
【0085】
一方、本発明による正極板上には、必要に応じて、正極活物質層の一部と無地部の一部を覆っている絶縁層がさらに形成されることができる。前記絶縁層は、電極組立体の巻取方向と平行な方向に沿って形成されることができる。
【0086】
(2)負極板
前記負極板は、長いシート状の負極集電体の一面または両面に負極活物質層が形成された構造からなることができ、前記負極活物質層は、負極活物質、導電材およびバインダーを含むことができる。
【0087】
具体的には、前記負極板はシート状の負極集電体の一面または両面に負極活物質、導電材、およびバインダーをジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)、水などの溶媒に分散させて製造された負極スラリーを塗布し、乾燥工程により負極スラリーの溶媒を除去した後、圧延させる方法により製造されることができる。一方、前記負極スラリー塗布時に、負極集電体の一部領域、例えば、負極集電体の一端部に負極スラリーを塗布しない方法で無地部を含む負極板を製造することができる。
【0088】
前記負極活物質は、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物が使用されることができる。負極活物質の具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Si-Me合金(ここで、Meは、Al、Sn、Mg、Cu、Fe、Pb、Zn、Mn、Cr、Ti、およびNiからなる群から選択される1種以上)、SiOy(ここで、0<y<2)、Si-C複合体などのシリコン系物質;リチウム金属薄膜;Sn、Alなどのように、リチウムとの合金化が可能な金属物質;などが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用されることができる。
【0089】
好ましくは、本発明による負極板は、シリコン系負極活物質を含むことができる。前記シリコン系負極活物質は、Si、Si-Me合金(ここで、Meは、Al、Sn、Mg、Cu、Fe、Pb、Zn、Mn、Cr、Ti、およびNiからなる群から選択される1種以上)、SiOy(ここで、0<y<2)、Si-C複合体またはこれらの組み合わせであることができ、好ましくは、SiOy(ここで、0<y<2)であることができる。シリコン系負極活物質は、高い理論容量を有することから、シリコン系負極活物質を含む場合、容量特性を向上させることができる。
【0090】
一方、前記シリコン系負極活物質は、Mb金属でドーピングされることができ、ここで、前記Mb金属は、第1族金属元素、第2族金属元素であることができ、具体的には、Li、Mgなどであることができる。具体的には、前記シリコン負極活物質は、Mb金属でドーピングされたSi、SiOy(ここで、0<y<2)、Si-C複合体などであることができる。金属ドーピングされたシリコン系負極活物質の場合、ドーピング元素によって活物質の容量は多少低下するが、高い効率を有することから、高いエネルギー密度を実現することができる。
【0091】
また、前記シリコン系負極活物質は、粒子の表面に炭素コーティング層をさらに含むことができる。ここで、前記炭素コーティング量は、シリコン系負極活物質の全重量に対して、20重量%以下、好ましくは1~20重量%であることができる。
【0092】
また、前記負極板は、必要に応じて、負極活物質として炭素系負極活物質をさらに含むことができる。前記炭素系負極活物質は、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素、軟化炭素(soft carbon)、硬化炭素(hard carbon)などであることができるが、これに限定されるものではない。
【0093】
一方、負極活物質として、シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質の混合物を使用する場合、前記シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質の混合比は、重量比で、1:99~20:80、好ましくは1:99~15:85、より好ましくは1:99~10:90であることができる。
【0094】
前記負極活物質は、負極活物質層の全重量に対して、80~99重量%、好ましくは85~99重量%、さらに好ましくは90~99重量%含まれることができる。
【0095】
一方、前記負極集電体としては、当該技術分野において一般的に使用される負極集電体が使用されることができ、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用されることができる。前記負極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有することができ、正極集電体と同様、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質の結合力を強化することもできる。例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など、様々な形態で使用されることができる。
【0096】
前記導電材は、負極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物が使用されることができる。前記導電材は、通常、負極活物質層の全重量に対して、1~30重量%、好ましくは1~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%含まれることができる。
【0097】
前記バインダーは、負極活物質粒子の間の付着および負極活物質と負極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの様々な共重合体などが挙げられ、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物が使用されることができる。前記バインダーは、負極活物質層の全重量に対して、1~30重量%、好ましくは1~20重量%、さらに好ましくは1~10重量%含まれることができる。
【0098】
(3)セパレータ
前記セパレータは、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、リチウム二次電池においてセパレータとして使用されるものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記セパレータとしては、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用されることができる。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性または機械的強度の確保のために、セラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが使用されてもよい。
【0099】
リチウム二次電池
次に、本発明によるリチウム二次電池について説明する。
【0100】
本発明によるリチウム二次電池は、正極板、負極板、前記正極板と負極板との間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた構造を有する電極組立体と、前記電極組立体が収納される電池缶と、前記電池缶の開放端部を密封する密封体とを含むことができる。
【0101】
好ましくは、本発明によるリチウム二次電池は、円筒型電池であることができ、さらに好ましくは、フォームファクタの比(円筒型電池の直径を高さで除した値、すなわち、高さ(H)に対する直径(Φ)の比として定義される)が0.4以上である大型の円筒型電池であることができる。ここで、フォームファクタとは、円筒型電池の直径および高さを示す値を意味する。
【0102】
本発明による円筒型電池は、例えば、46110セル(直径46mm、高さ110mm、フォームファクタの比0.418)、4875セル(直径48mm、高さ75mm、フォームファクタの比0.640)、48110セル(直径48mm、高さ110mm、フォームファクタの比0.436)、4880セル(直径48mm、高さ80mm、フォームファクタの比0.600)、4680セル(直径46mm、高さ80mm、フォームファクタの比0.575)であることができる。フォームファクタを示す数値において前の数字2つは、セルの直径を示し、次の数字2つまたは3つは、セルの高さを示す。
【0103】
本発明によるリチウム二次電池は、単粒子および/または疑似-単粒子形態の正極活物質を適用して、従来に比べてガス発生量を著しく減少させ、これにより、フォームファクタの比が0.4以上である大型の円筒型電池においても優れた安全性を実現することができる。
【0104】
一方、本発明によるリチウム二次電池は、好ましくは、電極タブを含まないタブレス(Tab-less)構造の電池であることができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
前記タブレス構造の電池は、例えば、正極板および負極板が、それぞれ、活物質層が形成されていない無地部を含み、電極組立体の上端および下端に、それぞれ、正極板無地部および負極板無地部が位置し、前記正極板無地部および負極板無地部に集電プレートが結合しており、前記集電プレートが電極端子と連結されている構造であることができる。
【0106】
図3には、本発明の一実施形態によるタブレス構造の電池の断面図が図示されている。以下、
図3を参照して、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池について説明する。ただし、
図3は、本発明の一実施形態を示すものであって、本発明のリチウム二次電池の構造が、
図3に開示されている範囲に限定されるものではない。
【0107】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池140は、ゼリーロールタイプの電極組立体141と、前記電極組立体141が収納される電池缶142と、前記電池缶142の開放端部を密封する密封体143とを含む。
【0108】
ここで、前記電極組立体の正極板および負極板は、それぞれ、活物質層が形成されていない無地部を含むことができ、前記電極組立体の上端および下端に、それぞれ、正極無地部および負極無地部が位置するように積層され巻き取られることができる。電極組立体については上述したため、以下では、電極組立体以外の残りの構成要素についてのみ説明する。
【0109】
電池缶142は、上方に開口部が形成された容器であり、アルミニウムやスチールのような導電性を有する金属材質からなる。電池缶は、上端開口部を介して内側空間に電極組立体141を収容し、電解質もともに収容する。
【0110】
本発明で使用される電解質としては、リチウム二次電池に使用可能な様々な電解質、例えば、有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが使用されることができ、その種類が特に限定されるものではない。
【0111】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0112】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関わるイオンが移動することができる媒質の役割を果たすものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用されることができる。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の直鎖状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。
【0113】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記リチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAl04、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiI、またはLiB(C2O4)2などが使用されることができる。前記リチウム塩の濃度は、0.1~5.0M、好ましくは0.1~3.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有することから優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0114】
前記電解質には、前記電解質構成成分の他にも、電池の寿命特性の向上、電池の容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として、添加剤をさらに含むことができる。例えば、前記添加剤としては、ジフルオロエチレンカーボネートなどのハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどを単独または混合して使用することができるが、これに限定されるものではない。前記添加剤は、電解質の全重量に対して、0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%含まれることができる。
【0115】
電池缶142は、負極板の無地部146bと電気的に連結され、外部電源と接触して外部電源から印加された電流を負極板で伝達する負極端子として機能する。
【0116】
必要に応じて、前記電池缶142の上端にビーディング部147およびクリンピング部148が備えられることができる。前記ビーディング部147は、電池缶142の外周面の周縁をD1の距離まで圧入して形成されることができる。ビーディング部147は、電池缶142の内部に収容された電極組立体141が電池缶142の上端開口部を介して離脱しないようにして、密封体143が載置される支持部として機能することができる。
【0117】
前記クリンピング部148は、前記ビーディング部147の上部に形成されることができ、ビーディング部147上に配置されるキャッププレート143aの外周面とキャッププレート143aの上面の一部を包むように延長および折り曲げられた形態を有する。
【0118】
次に、前記密封体143は、電池缶142の開放端部を密封するためのものであり、キャッププレート143a、キャッププレート143aと電池缶142との間に気密性を提供して、絶縁性を有する第1ガスケット143bを含み、必要に応じて、キャッププレート143aと電気的および機械的に結合した連結プレート143cをさらに含むことができる。前記キャッププレート143aは、電池缶142に形成されたビーディング部147上に圧着され、クリンピング部148によって固定されることができる。
【0119】
キャッププレート143aは伝導性を有する金属材質からなる部品であり、電池缶142の上端開口部をカバーする。キャッププレート143aは、電極組立体141の正極板と電気的に連結され、電池缶142とは、第1ガスケット143bを介して電気的に絶縁される。したがって、キャッププレート143aは、二次電池の正極端子として機能することができる。キャッププレート143aは、その中心部Cから上方に突出して形成された突出部143dを備えることができ、前記突出部143dが外部電源と接触して外部電源から電流が印加されるようにすることができる。
【0120】
キャッププレート143aとクリンピング部148との間には、電池缶142の気密性を確保し、電池缶142とキャッププレート143aとの電気的絶縁のために、第1ガスケット143bが介在されることができる。
【0121】
一方、本発明によるリチウム二次電池140は、必要に応じて、集電プレート144、145をさらに含むことができる。前記集電プレートは、正極板無地部146aと負極板の無地部146bに結合し、電極端子(すなわち、正極端子および負極端子)と連結される。
【0122】
具体的には、本発明によるリチウム二次電池140は、電極組立体141の上部に結合する第1集電プレート144と、電極組立体141の下部に結合する第2集電プレート145とを含むことができる。
【0123】
第1集電プレート144および/または第2集電プレート145をさらに含むことができる。
【0124】
第1集電プレート144は、電極組立体141の上部に結合する。第1集電プレート144は、アルミニウム、銅、ニッケルなどの導電性金属材質からなり、正極板の無地部146aと電気的に連結される。第1集電プレート144には、リード149が連結されることができる。リード149は、電極組立体141の上方に延びて連結プレート143cに結合するか、キャッププレート143aの下面に直接結合することができる。リード149と他の部品の結合は、溶接により行われることができる。好ましくは、第1集電プレート144は、リード149と一体に形成されることができる。この場合、リード149は、第1集電プレート144の中心部から外側に延びた長しいプレート形状を有することができる。
【0125】
一方、前記第1集電プレート144は、正極板の無地部146aの端部に結合し、前記結合は、例えば、レーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、半田付けなどの方法で行われることができる。
【0126】
第2集電プレート145は、電極組立体141の下部に結合する。第2集電プレート145は、アルミニウム、銅、ニッケルなどの導電性金属材質からなり、負極板の無地部146bと電気的に連結される。第2集電プレート145の一面は、負極板の無地部146bと結合することができ、反対側の面は、電池缶142の内側底面と結合することができる。ここで、前記結合は、レーザ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、半田付けなどの方法で行われることができる。
【0127】
一方、本発明による電池140は、必要に応じて、絶縁部材(インシュレータ)146をさらに含むことができる。絶縁部材146は、第1集電プレート144の上面をカバーするように配置されることができる。絶縁部材146が第1集電プレート144をカバーすることで、第1集電プレート144と電池缶142の内周面が直接接触することを防止することができる。
【0128】
絶縁部材146は、第1集電プレート144から上方に延びるリード149が引き出されるように、リードホール151を備える。リード149は、リードホール151を介して上方に引き出されて、連結プレート143cの下面またはキャッププレート143aの下面に結合する。
【0129】
絶縁部材146は、絶縁性がある高分子樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドまたはポリブチレンテレフタレートなどの高分子樹脂材質からなることができる。
【0130】
一方、本発明による電池140は、必要に応じて、電池缶142の下面に形成されたベンティング部152をさらに備えることができる。ベンティング部152は、電池缶142の下面のうち、周辺領域に比べてより薄い厚さを有する領域に該当する。ベンティング部152は、厚さが薄いため、周辺領域に比べて構造的に脆い。したがって、電池140内部の圧力が所度の水準以上に増加すると、ベンティング部152が破裂されて電池缶142内部のガスが外部に排出され、電池が爆発することを防止できるようにする。
【0131】
図4には、本発明の他の実施形態によるタブレス構造の電池の断面図が図示されている。以下、
図4を参照して、本発明の他の実施形態による電池について説明する。ただし、
図4は、本発明の一実施形態を示すものであって、本発明の電池の構造が
図4に開示された範囲に限定されるものではない。
【0132】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態による電池170は、
図3に図示されている電池140と比較して、電池缶および密封体の構造が相違しており、電極組立体および電解質の構成は実質的に同一である。
【0133】
具体的には、他の実施形態による電池170は、リベット端子172が貫通設置された電池缶171を含む。リベット端子172は、電池缶171の一末端の部分的に閉鎖された閉鎖面(図面の上部面)に設置される。リベット端子172は、絶縁性がある第2ガスケット173が介在された状態で、電池缶171の貫通孔(第1末端の第1開口)にリベッティングされる。リベット端子172は、重力方向とは逆方向に向かって外部に露出する。
【0134】
リベット端子172は、端子露出部172aおよび端子挿入部172bを含む。端子露出部172aは、電池缶171の閉鎖面の外側に露出する。端子露出部172aは、電池缶171の部分的に閉鎖された面の略中心部に位置することができる。端子露出部172aの最大径は、電池缶171に形成された貫通孔の最大径よりも大きく形成されることができる。端子挿入部172bは、電池缶171の部分的に閉鎖された閉鎖面の略中心部を貫通して正極板の無地部146aと電気的に連結されることができる。端子挿入部172bは、電池缶171の内側面上にリベット(rivet)結合することができる。すなわち、端子挿入部172bの端部は、電池缶171の内側面に向かって撓む形態を有することができる。端子挿入部172bの端部の最大径は、電池缶171の貫通孔の最大径よりも大きいことができる。
【0135】
端子挿入部172bの下端面は、正極板の無地部146aに連結された第1集電プレート144と溶接されることができる。第1集電プレート144と電池缶171の内側面との間には、絶縁物質からなる絶縁キャップ174が介在されることができる。絶縁キャップ174は、第1集電プレート144の上部と電極組立体141の上端縁部分をカバーする。これにより、電極組立体141の外周側の無地部が異なる極性を有する電池缶171の内側面と接触して短絡を引き起こすことを防止することができる。リベット端子172の端子挿入部172bは、絶縁キャップ174を貫通して第1集電プレート144に溶接されることができる。
【0136】
第2ガスケット173は、電池缶171とリベット端子172との間に介在されて、互いに反対極性を有する電池缶171とリベット端子172が電気的に接触することを防止する。これにより、略フラット(flat)な形状を有するリベット端子172の上面が電池170の正極端子として機能することができる。
【0137】
第2ガスケット173は、ガスケット露出部173aおよびガスケット挿入部173bを含む。ガスケット露出部173aは、リベット端子172の端子露出部172aと電池缶171との間に介在される。ガスケット挿入部173bは、リベット端子172の端子挿入部172bと電池缶171との間に介在される。ガスケット挿入部173bは、端子挿入部172bのリベッティング(reveting)時に、ともに変形し、電池缶171の内側面に密着することができる。第2ガスケット173は、例えば、絶縁性を有する高分子樹脂からなることができる。
【0138】
第2ガスケット173のガスケット露出部173aは、リベット端子172の端子露出部172aの外周面をカバーするように延びた形態を有することができる。第2ガスケット173がリベット端子172の外周面をカバーする場合、バスバーなどの電気的連結部品を電池缶171の上面および/またはリベット端子172に結合する過程で短絡が発生することを防止することができる。図面に図示されていないが、ガスケット露出部173aは、端子露出部172aの外周面だけでなく、上面の一部もともにカバーするように延びた形態を有することができる。
【0139】
第2ガスケット173が高分子樹脂からなる場合において、第2ガスケット173は、熱融着によって電池缶171およびリベット端子172と結合することができる。この場合、第2ガスケット173とリベット端子172の結合界面および第2ガスケット173と電池缶171の結合界面での気密性が強化することができる。一方、第2ガスケット173のガスケット露出部173aが端子露出部172aの上面まで延びた形態を有する場合において、リベット端子172は、インサート射出により、第2ガスケット173と一体に結合することができる。
【0140】
電池缶171の上面のうちリベット端子172および第2ガスケット173が占める領域以外の残りの領域175が、リベット端子172と反対極性を有する負極端子に該当する。
【0141】
第2集電プレート176は、電極組立体141の下部に結合する。第2集電プレート176は、アルミニウム、スチール、銅、ニッケルなどの導電性を有する金属材質からなり、負極板の無地部146bと電気的に連結される。
【0142】
好ましくは、第2集電プレート176は、電池缶171と電気的に連結される。このために、第2集電プレート176は、縁部分の少なくとも一部が電池缶171の内側面と第1ガスケット178bとの間に介在されて固定されることができる。一例において、第2集電プレート176の縁部分の少なくとも一部は、電池缶171の下端に形成されたビーディング部180の下端面に支持された状態で、溶接によりビーディング部180に固定されることができる。変形例において、第2集電プレート176の縁部分の少なくとも一部は、電池缶171の内壁面に直接溶接されることができる。
【0143】
第2集電プレート176は、無地部146bと対向する面上に放射状に形成された複数の凹凸(図示せず)を備えることができる。凹凸が形成された場合、第2集電プレート176を押圧して、凹凸を無地部146bに圧入することができる。
【0144】
好ましくは、第2集電プレート176と無地部146bの端部は、溶接、例えばレーザ溶接により結合することができる。
【0145】
電池缶171の下部開放端を密封する密封体178は、キャッププレート178aと第1ガスケット178bを含む。第1ガスケット178bは、キャッププレート178aと電池缶171を電気的に分離する。クリンピング部181は、キャッププレート178aの縁部と第1ガスケット178bをともに固定する。キャッププレート178aには、ベント部179が備えられる。ベント部179の構成は、上述の実施形態と実質的に同一である。
【0146】
好ましくは、キャッププレート178aは、導電性がある金属材質からなる。しかし、キャッププレート178aと電池缶171との間に第1ガスケット178bが介在されていることから、キャッププレート178aは、電気的極性を帯びない。密封体178は、電池缶171下部の開放端を密封し、バッテリセル170の内部圧力が臨界値以上増加した時に、ガスを排出させる機能をする。
【0147】
好ましく、正極板の無地部146aと電気的に連結されたリベット端子172は、正極端子として使用される。また、第2集電プレート176を介して負極板の無地部146bと電気的に連結された電池缶171の上部表面のうち、リベット端子172以外の部分175は、負極端子として使用される。このように、2個の電極端子が電池の上部に位置する場合、バスバーなどの電気的連結部品を電池170の一側にのみ配置することができる。これは、バッテリパック構造の単純化およびエネルギー密度の向上を図ることができる。また、負極端子として使用される部分175は、略フラットな形態を有することから、バスバーなどの電気的連結部品を接合させる際に、十分な接合面積を確保することができる。これにより、電池170は、電気的連結部品の接合部位での抵抗を好ましい水準に下げることができる。
【0148】
リチウム二次電池を前記のようにタブレス構造に形成する場合、電極タブを備えた従来の電池に比べて電流集中が少ないことから、電池の内部の発熱を効果的に減少させることができ、これにより、電池の熱安定性が改善する効果を得ることができる。
【0149】
前記のような本発明のリチウム二次電池は、バッテリパックの製造に使用されることができる。
図6には、本発明の実施形態によるバッテリパックの構成が概略的に図示されている。
図6を参照すると、本発明の実施形態によるバッテリパック3は、二次電池1が電気的に連結された集合体およびこれを収容するパックハウジング2を含む。ここで、前記二次電池1は、上述の実施形態によるバッテリセルである。図面では、図面図示の便宜上、二次電池1の電気的連結のためのバスバー、冷却ユニット、外部端子などの部品の図示は省略されている。
【0150】
バッテリパック3は、自動車に搭載されることができる。自動車は、一例として、電気自動車、ハイブリッド自動車またはプラグインハイブリッド自動車であることができる。自動車は、四輪自動車または二輪自動車を含む。
【0151】
図7は、
図6のバッテリパック3を含む自動車を説明するための図である。
【0152】
図7を参照すると、本発明の一実施形態による自動車5は、本発明の一実施形態によるバッテリパック3を含み、前記バッテリパック3から電力の供給を受けて動作する。
【0153】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0154】
[実施例1]
ユニモーダル粒度分布を有し、D
min=1.78μm、D
50=4.23μm、D
max=13.1μmであり、単粒子および疑似-単粒子が混合されている正極活物質(組成:Li[Ni
0.9Co
0.06Mn
0.03Al
0.01]О
2)を準備した。
図8には、実施例1で使用された正極活物質のSEM写真が図示されている。
【0155】
正極活物質:カーボンナノチューブ:PVDFバインダーを97.8:0.6:1.6の重量比でN-メチルピロリドンの中で混合して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーをアルミニウム集電体シートの一面に塗布した後、120℃で乾燥した後、圧延して、正極板を製造した。
【0156】
負極活物質(グラファイト(graphite):SiO=95:5重量比混合物):導電材(Super C)、:スチレン-ブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)を96:2:1.5:0.5の重量比で水の中で混合して、負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを銅集電体シートの一面に塗布した後、150℃で乾燥した後、圧延して、負極板を製造した。
【0157】
前記のように製造された正極板と負極板との間にセパレータを介在して、セパレータ/正極板/セパレータ/負極板の順に積層した後、巻き取って、ゼリーロールタイプの電極組立体を製造した。前記のように製造された電極組立体を電池缶に挿入した後、電解液を注入して、4680セルを製造した。
【0158】
[実施例2]
正極活物質として、ユニモーダル粒度分布を有し、D
min=1.38μm、D
50=4.69μm、D
max=18.5μmであり、単粒子および疑似-単粒子が混合されている正極活物質(組成:Li[Ni
0.9Co
0.06Mn
0.03Al
0.01]О
2)を使用した以外は、実施例1と同じ方法で4680セルを製造した。
図9には、実施例2で使用された正極活物質のSEM写真が図示されている。
【0159】
[比較例1]
正極活物質として、大粒径平均粒径D50が9μmであり、小粒径平均粒径D50が4μmであるバイモーダル粒度分布を有し、二次粒子形態である正極活物質(組成:Li[Ni0.9Co0.05Mn0.04Al0.01]О2)を使用した以外は、実施例1と同じ方法で4680セルを製造した。
【0160】
[比較例2]
正極活物質として、ユニモーダル粒度分布を有し、Dmin=0.892μm、D50=3.02μm、Dmax=11μmであり、単粒子および疑似-単粒子が混合されている正極活物質(組成: Li[Ni0.9Co0.06Mn0.03Al0.01]О2)を使用した以外は、実施例1と同じ方法で4680セルを製造した。
【0161】
図10には、比較例2で使用された正極活物質のSEM写真が図示されている。
【0162】
[実験例1]
実施例1~2および比較例1~2によって製造された4680セルに対して、ホットボックステスト(hot box test)を実施した。
【0163】
具体的には、実施例1および比較例1によって製造された4680セルのそれぞれを常温でホットボックスチャンバ(hot box chamber)に入れて、5℃/minの昇温速度で130℃まで昇温させてから30分間維持した後、電池の温度変化を測定した。テスト中に熱暴走および発火が発生しない場合をPass、熱暴走および/または発火が発生した場合をFailと表示した。また、テストの正確度のために、実施例1~2のセルに対しては、テストを2回以上実施した。
【0164】
測定結果は、下記の表1および
図11、
図12に図示した。
図11は、実施例1のサンプル1および比較例1によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフであり、
図12は、実施例1のサンプル2、3、実施例2のサンプル1、2および比較例2によって製造された4680セルのホットボックステスト結果を示すグラフである。
【0165】
【0166】
前記表1、
図11および
図12を参照すると、D
minが1.0μm以上である単粒子/疑似-単粒子形態の正極活物質を適用した実施例1の円筒型電池の場合、65分経過時まで電池の電圧および温度が安定的に維持されるのに対し、正極活物質として二次粒子を適用した比較例1およびD
minが1.0μm未満である単粒子/疑似-単粒子形態の正極活物質を適用した比較例2のリチウム二次電池は、電池の温度が急激に上昇したことを確認することができる。
【0167】
[実験例2]
実施例1および比較例1で製造された正極板の圧延後、正極活物質粒子の割れ程度を確認するために、イオンミリング装置で正極板を切断した後、断面をSEMで撮影した。
図13には、実施例1で製造された正極板の断面SEM写真が図示されており、
図14には、比較例1で製造された正極板の断面SEM写真が図示されている。
【0168】
図13および
図14を参照すると、実施例1の正極板は、圧延後にも正極活物質の粒子の割れがほとんどないのに対し、二次粒子を使用した比較例2の正極板は、圧延後、正極活物質粒子の割れが多数観察された。
【符号の説明】
【0169】
10 正極板
11 負極板
12 セパレータ
20 集電体
21、21a 活物質層
22、22a、22c、146b 無地部
24 絶縁層
140、170 円筒型電池
141 電極組立体
142、171 電池缶
143、178 密封体
144 第1集電プレート
145、176 第2集電プレート
146 絶縁部材(インシュレータ)
152 ベンティング部
172 リベット端子
173 第2ガスケット
147 ビーディング部
148 クリンピング部
149 リード
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板、負極板、前記正極板と負極板との間に介在されたセパレータが一方向に巻き取られた電極組立体と、前記電極組立体が収納される電池缶と、前記電池缶の開放端部を密封する密封体とを含む二次電池であって、
前記正極板は、単粒子、疑似-単粒子またはこれらの組み合わせを含む正極活物質を含み、前記正極活物質のD
minが1.0μm以上である、リチウム二次電池。
【請求項2】
前記正極活物質は、D
50が5μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記正極活物質は、D
maxが12μm~17μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記正極活物質は、下記式(1)で表される粒度分布(PSD、Particle Size Distribution)が3以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
式(1):粒度分布(PSD)=(D
max-D
min)/D
50
【請求項5】
前記正極活物質は、体積累積粒度分布グラフで単一ピーク(Single peak)を示すユニモーダル粒度分布を有する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記単粒子、疑似-単粒子またはこれらの組み合わせは、前記正極板に含まれた正極活物質の全重量に対して、95重量%~100重量%の量で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記正極活物質は、遷移金属の全モル数に対して、Niを80モル%以上含むリチウムニッケル系酸化物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記正極活物質は、下記[化学式1]で表されるリチウムニッケル系酸化物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
[化学式1]
Li
aNi
bCo
cM
1
dM
2
eO
2
前記化学式1中、M
1は、Mn、Alまたはこれらの組み合わせで、M
2は、Zr、W、
Y、Ba、Ca、Ti、Mg、TaおよびNbからなる群から選択される1種以上であり、0.8≦a≦1.2、0.83≦b<1、0<c<0.17、0<d<0.17、0≦e≦0.1である。
【請求項9】
前記正極活物質は、一次粒子の平均粒径が0.5μm~5μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記負極板は、シリコン系負極活物質を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
前記負極板は、シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項12】
前記シリコン系負極活物質および炭素系負極活物質は、1:99~20:80の重量比で含まれる、請求項11に記載のリチウム二次電池。
【請求項13】
前記リチウム二次電池は、フォームファクタの比が0.4以上である円筒型電池であり、前記フォームファクタは、円筒型電池の直径を高さで除した値である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項14】
前記リチウム二次電池は、46110セル、4875セル、48110セル、4880セルまたは4680セルである、請求項13に記載のリチウム二次電池。
【請求項15】
前記正極板および負極板は、それぞれ、活物質層が形成されていない無地部を含み、
前記正極板または負極板の無地部の少なくとも一部が電極タブを定義する、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項16】
前記正極板無地部および負極板無地部は、それぞれ、前記正極板および負極板の一辺の端部に前記電極組立体が巻き取られる方向に沿って形成され、
前記正極板無地部および負極板無地部のそれぞれに集電プレートが結合しており、
前記集電プレートが電極端子と連結される、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【請求項17】
前記正極板無地部および負極板無地部は、独立して折り曲げ可能な複数の分節片状に加工され、
前記複数の分節片のうち少なくとも一部が前記電極組立体の巻取中心に向かって折り曲げられている、請求項16に記載のリチウム二次電池。
【請求項18】
前記折り曲げられた複数の分節片のうち少なくとも一部は、前記電極組立体の上端および下端上で重なり合っており、
前記重なり合った複数の分節片上に前記集電プレートが結合している、請求項17に記載のリチウム二次電池。
【請求項19】
前記正極板上には、前記巻取方向と平行な方向に沿って、正極活物質層の一部と無地部の一部を覆っている絶縁層がさらに形成されている、請求項15に記載のリチウム二次電池。
【請求項20】
前記正極板は、正極集電体及び正極活物質層を含み、
前記正極活物質は、前記正極活物質層の全重量に対して90重量%~99重量%の量で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池。
【請求項21】
請求項1から請求項
20のいずれか一項に記載のリチウム二次電池を含む、電池パック。
【請求項22】
請求項
21に記載の電池パックを含む、自動車。
【国際調査報告】