IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2024-537845溶媒及び洗浄用途のための三級共沸及び共沸様組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】溶媒及び洗浄用途のための三級共沸及び共沸様組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/24 20060101AFI20241008BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20241008BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20241008BHJP
   C11D 3/24 20060101ALI20241008BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20241008BHJP
   C09K 3/30 20060101ALI20241008BHJP
   C10M 107/38 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241008BHJP
   C10N 50/02 20060101ALN20241008BHJP
   C10N 40/18 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
C11D7/24
C11D7/26
C11D1/00
C11D3/24
C11D3/20
C09K3/30 D
C09K3/30 K
C09K3/30 N
C09K3/30 J
C10M107/38
H01L21/304 647A
H01L21/304 647B
C10N50:02
C10N40:18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520051
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 US2022045492
(87)【国際公開番号】W WO2023059532
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/251,816
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール.フレイザー
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ウー
【テーマコード(参考)】
4H003
4H104
5F157
【Fターム(参考)】
4H003DA09
4H003DA12
4H003DA15
4H003DB02
4H003EB04
4H003ED13
4H003ED26
4H003ED28
4H003ED30
4H003FA46
4H104CD01A
4H104CD04A
4H104PA16
4H104QA08
5F157AA36
5F157AA66
5F157AA75
5F157BA08
5F157BB01
5F157BB11
5F157BC03
5F157BD02
5F157BF22
5F157BF32
5F157BF33
5F157BG13
5F157BG22
5F157DB03
(57)【要約】
本出願は、トランス-ジクロロエチレン及び2つの追加成分を含む、三級共沸又は共沸様組成物を提供する。本明細書で提供される組成物を、洗浄、フラックス除去、蒸着、及びキャリア流体の用途で使用する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
i)トランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)ヒドロフルオロエーテルである第2の成分と、
iii)ヒドロフルオロカーボン及びアルキルペルフルオロアルケンエーテルから選択される化合物から選択される第3の成分と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される化合物を更に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される化合物を更に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
共沸組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
共沸様組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヒドロフルオロエーテルが、HFE-7000、HFE-7100、HFE-7200、HFE-7300、及びHFE-347pc-fから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロフルオロエーテルが、HFE-7200及びHFE-7300から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約5重量パーセント~約45重量パーセントのHFE-7200を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、約1重量パーセント~約30重量パーセントのHFE-7300を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記第3の成分が、ヒドロフルオロカーボンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヒドロフルオロカーボンが、ヘプタフルオロシクロペンタン、ペンタフルオロブタン、及びペンタフルオロプロパンから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ヒドロフルオロカーボンが、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記ヒドロフルオロカーボンが、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、約1重量パーセント~約30重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第3の成分が、アルキルペルフルオロアルケンエーテルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記アルキルペルフルオロアルケンエーテルが、メチルペルフルオロヘプテンエーテルである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記メチルペルフルオロヘプテンエーテルが、約50重量パーセントの5-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテン、約20重量パーセントの3-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテン、約20重量パーセントの4-メトキシペルフルオロ-2-ヘプテン、及び約8重量パーセントの4-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテンの混合物を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、約65重量パーセント~約98重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及びヘプタフルオロシクロペンタンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、
i)約75重量パーセント~約90重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約1重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約20重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7200、及びヘプタフルオロシクロペンタンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7200、及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物が、
i)約65重量パーセント~約85重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約10重量パーセント~約30重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約1重量パーセント~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及びメチルペルフルオロへプテンエーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、
i)約75重量パーセント~約90重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約5重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
i)約79重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約12重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約9重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
i)約73重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約23重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約4重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
i)約70重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約15重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
基材の表面から残渣の少なくとも一部を除去するための方法であって、前記基材を請求項1に記載の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項32】
前記組成物が、噴射剤を更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記噴射剤が、空気、窒素、二酸化炭素、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、炭化水素、ジメチルエーテル、又はこれらの任意の混合物である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記接触させることが、蒸気脱脂によって達成される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記蒸気脱脂が、前記組成物を沸騰させて前記組成物の蒸気を形成し、基材の表面からの残渣の少なくとも一部を前記蒸気に曝露することによって行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記接触させることが、前記組成物に前記基材を浸漬することによって達成される、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、周囲温度又は室温よりも高い温度である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、おおよそ前記組成物の沸点の温度である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物への前記基材の第2の浸漬を更に含み、前記組成物が、第1の浸漬工程の温度よりも低い温度である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記第2の浸漬工程における前記組成物が、周囲温度又は室温である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記基材が、ステンレス鋼及び磁気ディスク媒体から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記残渣が、フラックス、潤滑剤、グリース、油、ワックス、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
溶質を溶解するためのプロセスであって、前記溶質を、十分な量の請求項1に記載の組成物と接触させ混合することを含む、プロセス。
【請求項45】
表面を洗浄するプロセスであって、請求項1に記載の組成物を前記表面と接触させることを含む、プロセス。
【請求項46】
濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、前記基材を請求項1に記載の組成物と接触させることと、次いで、前記基材を前記組成物との接触から除去することと、を含む、プロセス。
【請求項47】
組成物が、前記基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
表面上にフッ素系潤滑剤を堆積させるプロセスであって、
a)フッ素系潤滑剤と溶媒とを組み合わせて、潤滑剤/溶媒の組み合わせを形成することであって、前記溶媒が、請求項1に記載の組成物を含む、形成することと、
b)前記潤滑剤/溶媒の組み合わせを前記表面と接触させることと、
c)前記表面から前記溶媒を蒸発させて、前記表面上にフッ素系潤滑剤コーティングを形成することと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランス-ジクロロエチレン及び2つの追加成分を含む、三級共沸又は共沸様組成物に関する。本明細書に記載される組成物は、例えば、洗浄及びフラックス除去流体用途において有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
クロロフルオロカーボン(Chlorofluorocarbon、CFC)及びヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbon、HFC)化合物は、磁気ディスク媒体などの表面を洗浄するために、半導体製造分野において広く使用されている。しかしながら、CFC化合物などの塩素含有化合物は、地球のオゾン層に有害であると考えられている。更に、CFC化合物を置換するために使用されるヒドロフルオロカーボンの多くは、地球温暖化に寄与することが見出されている。したがって、残渣フラックス、潤滑剤又は油汚染物質、及び粒子の除去などの洗浄用途のための新たな環境に安全な溶媒を特定する必要がある。また、フッ素系潤滑剤の堆積のための新たな溶媒を特定する必要もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本出願は、とりわけ、組成物であって、
i)トランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)ヒドロフルオロエーテルである第2の成分と、
iii)ヒドロフルオロカーボン及びアルキルペルフルオロアルケンエーテルから選択される化合物から選択される第3の成分と、を含む、組成物、を提供する。
【0004】
本出願は、基材の表面から残渣の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、基材を十分な量の本明細書に記載の組成物と接触させることを含む、プロセス、を更に提供する。
【0005】
本出願は、溶質を溶解するためのプロセスであって、当該溶質を十分な量の本明細書に記載の組成物と接触させ混合することを含む、プロセス、を更に提供する。
【0006】
本出願は、濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するプロセスであって、基材を本明細書に記載の組成物と接触させることと、次いで、基材を組成物との接触から除去することと、を含む、プロセス、を更に提供する。
【0007】
本出願は、表面上にフッ素系潤滑剤を堆積させるプロセスであって、
a)フッ素系潤滑剤と溶媒とを組み合わせて、潤滑剤/溶媒の組み合わせを形成することであって、溶媒が、本明細書で提供される組成物を含む、形成することと、
b)潤滑剤/溶媒の組み合わせを表面と接触させることと、
c)表面から溶媒を蒸発させて、表面上にフッ素系潤滑剤コーティングを形成することと、を含む、プロセス、を更に提供する。
【0008】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されており、また、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料を使用してもよい。材料、方法、及び実施例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、シーケンス、データベースエントリ、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
不燃性フッ素化溶媒系洗浄剤は、工業用蒸気脱脂及びフラックス除去用途において有用である。ヒドロフルオロカーボン(HFC)及びその混合物は、良好な安全性と健康特性、オゾン層破壊ゼロ、良好な溶解性、低粘度の特性を兼ね備えているため、重要な洗浄に成功している。最近の環境問題や規制は、世界的な条約の観点から、オゾン層破壊から地球温暖化へとシフトしている(例えば、欧州連合のFガス規制、米国のSNAP規制など)。このように、環境的に持続可能でありかつ低GWPである代替洗浄剤の用途が存在する。更に、共沸及び共沸様組成物は、蒸留、凝縮、再混合しても分留されないため、重要な洗浄用途に望ましい。したがって、共沸及び共沸様組成物は、安定した洗浄性能を提供し、溶媒のメンテナンス時間を最小限に抑え、生産スループットを向上させる。また、高い溶解性は、電子部品上の無鉛ハンダ及び無洗浄ハンダからのフラックス残渣の除去、及び脱脂にとって望ましい。
【0010】
したがって、本出願は、トランス-ジクロロエチレンと2つの追加成分との混合物を含む、新たな三級共沸性及び共沸様組成物を提供する。これらの組成物は、以前はHFC化合物が果たしていた多くの用途において有用性を有する。本出願の組成物は、上記の望ましい特性のいくつか又は全てを保有し、環境への影響がほとんど又は全くなく、かつ、油、グリース、及び/又はフラックスを溶解する能力を保有している。したがって、本明細書で提供される組成物は、洗浄剤、フラックス除去剤、及び/又は脱脂剤として有用であり得る。
【0011】
定義及び略語
本明細書で使用するとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素のみに必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、すなわち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。
【0012】
本明細書で使用するとき、「から本質的になる」という用語は、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素が、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための作用機序に実質的に影響を及ぼさないことを条件に、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用される。「から本質的になる(consists essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む」と「からなる」との中間的立場を占める。
【0013】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上なされるものであり、本発明の範囲の全般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、実験誤差による変動(例えば、示された値のプラスマイナス約10%)を考慮することを意味する。本明細書で報告される全ての測定値は、特に明記しない限り、「約」という用語が明示的に使用されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾されているものと理解される。
【0015】
定義の全体を通して、「Cn~m」という用語は、端点を含む範囲を示し、n及びmは整数であり、炭素の数を示す。例としては、C1~6、C5~8などが挙げられる。
【0016】
本明細書で使用するとき、「Cn~mアルキル」という用語は、n~m個の炭素を有する、直鎖状又は分枝状であり得る飽和炭化水素基を指す。例示的なアルキル部分としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~8個の炭素原子、5~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~3個の炭素原子、又は1~2個の炭素原子を含有する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「Cn~mアルコール」という用語は、式(Cn~mアルキル)-OHの基を指し、アルキル基はn~m個の炭素原子を有する。例示的なアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルコールは、C1~6アルコールである。
【0018】
本明細書で使用するとき、「Cn~mケトン」という用語は、式(Cn~mアルキル)C(O)(Cn~mアルキル)の基を指し、各アルキルは独立してn~m個の炭素原子を有する。例示的なケトンとしては、ジメチルケトン(すなわち、アセトン)、エチルメチルケトン、ジエチルケトンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ケトンは、C3~6ケトンである。
【0019】
本明細書で使用するとき、「Cn~mアルカン」という用語は、n~m個の炭素を有する、直鎖状又は分枝状であり得る飽和炭化水素化合物を指す。例示的なアルカンとしては、メタン、エタン、n-プロパン、イソプロパン、n-ブタン、tert-ブタン、イソブタン、sec-ブタン、n-ペンタン、3-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルカンは、C5~8アルカンである。
【0020】
本明細書で使用するとき、「Cn~mシクロアルカン」という用語は、n~m個の炭素原子を有する非芳香族環状炭化水素化合物を指す。例示的なシクロアルカンとしては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、シクロアルカンは、C3~6シクロアルカンである。
【0021】
本明細書で使用するとき、「Cn~mアルキルアセテート」という用語は、式(Cn~mアルキル)OC(O)CHの化合物を指し、アルキルはn~m個の炭素原子を有する。例示的なアルキルアセテートとしては、メチルアセテート(すなわち、CHOC(O)CH)、エチルアセテート(すなわち、CHCHOC(O)CH)、プロピルアセテート(すなわち、CHCHCHOC(O)CH)、イソプロピルアセテート(すなわち、(CHCHOC(O)CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルキルアセテートは、C1~6アルキルアセテートである。いくつかの実施形態では、アルキルアセテートは、C1~3アルキルアセテートである。
【0022】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、又は好ましい上方値及び/若しくは好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられている場合に、これらは、範囲が別個に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限値又は好ましい上方値及び任意の範囲下限値又は好ましい下方値の任意の対から形成される全ての範囲を、具体的に開示するものとして理解されるものとする。本明細書に数値範囲が記述されている場合、特に指示しない限り、この範囲は、その端点を包含し、かつその範囲内の全ての整数及び分数を包含することが意図される。
【0023】
当該技術分野において認識されるように、共沸性組成物は、2つ以上の異なる成分の混合物であり、液体形態にあるとき、(1a)所与の一定圧力下において、実質的に一定の温度で沸騰するか(この温度は、個々の成分の沸騰温度よりも高い場合があるか若しくは低い場合がある)、又は(1b)所与の一定温度において、実質的に一定の圧力で沸騰し(この圧力は、個々の成分の沸騰圧力よりも高い場合があるか若しくは低い場合がある)、かつ(2)実質的に一定の組成で沸騰する(この相組成は、一定であるが、必ずしも等しいわけではない)(例えば、M.F.Doherty and M.F.Malone,Conceptual Design of Distillation Systems,McGraw-Hill(New York),2001,185を参照されたい)。
【0024】
単一の気相が単一の液相と平衡状態にある、均一共沸は、上記の特性(1a)、(1b)、及び(2)に加えて、各成分の組成が共存平衡相のそれぞれにおいて同じである。一般用語「共沸」は、均一共沸に一般的に使用される代替名である。
【0025】
本明細書で使用するとき、「共沸様」組成物は、共沸性組成物のように挙動する(すなわち、一定の沸騰特性、又は沸騰若しくは蒸発時に分留しない傾向を有する)組成物を指す。したがって、沸騰又は蒸発中、蒸気及び液体の組成は、たとえ変化する場合であっても、最小限又は無視できる程度しか変化しない。対照的に、非共沸様組成物の蒸気及び液体の組成は、沸騰又は蒸発中にかなりの程度変化する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「共沸様」又は「共沸様挙動」は、事実上圧力差がない露点圧力及び気泡点圧力を呈する組成物を指す。いくつかの実施形態では、所与の温度における露点圧力と気泡点圧力との差は、3%以下である。いくつかの実施形態では、気泡点圧力と露点圧力との差は、5%以下である。
【0027】
化学的略語
本出願全体を通して、以下の略語を使用する場合がある。
CFC:クロロフルオロカーボン
t-DCE:トランス-1,2-ジクロロエチレン
HFC:ヒドロフルオロカーボン
HFCP:1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン
HFE:ヒドロフルオロエーテル
HFE-7000:ペルフルオロイソプロピルメチルエーテル
HFE-7100:1-メトキシペルフルオロブタンと1-メトキシペルフルオロイソブタンとの混合物
HFE-7200:1-エトキシペルフルオロブタンと1-エトキシペルフルオロイソブタンとの混合物
HFE-7300:3-メトキシペルフルオロイソヘキサン
HFE-347pc-f:1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル
MPHE:メチルペルフルオロヘプテンエーテル
Novec(商標)7300:1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン
Novec(商標)7200:エチルノナフルオロブチルエーテル
共沸組成物及び共沸様組成物
【0028】
本出願は、組成物であって、
i)トランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)ヒドロフルオロエーテルである第2の成分と、
iii)ヒドロフルオロカーボン及びアルキルペルフルオロアルケンエーテルから選択される化合物から選択される第3の成分と、を含む、組成物、を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される化合物を更に含まない。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される化合物を更に含まない。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される2つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される3つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される4つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される5つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される6つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される6つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートを更に含まない。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルコールを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C3~6ケトンを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C5~8アルカンを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C3~6シクロアルカンを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、C1~6アルキルアセテートを更に含まない。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールから選択される化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、アセトンを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、n-ヘキサンを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、シクロペンタンを更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、エチルアセテートを更に含まない。
【0034】
いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される1つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される2つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される3つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される4つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される5つ以上の化合物を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される6つの化合物又はそれ以上を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートを更に含まない。
【0035】
いくつかの実施形態では、組成物は、共沸(すなわち、共沸性)組成物である。いくつかの実施形態では、第2及び第3の成分は、トランス-1,2-ジクロロエチレンと共沸組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、共沸様組成物である。いくつかの実施形態では、第2及び第3の成分は、トランス-1,2-ジクロロエチレンと共沸様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。
【0036】
いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロエーテルは、HFE-7000、HFE-7100、HFE-7200、HFE-7300、及びHFE-347pc-fから選択される。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロエーテルは、HFE-7200及びHFE-7300から選択される。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロエーテルは、HFE-720である。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロエーテルは、HFE-7300である。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5重量パーセント~約45重量パーセントのHFE-7200を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5~約40、約5~約38、約7~約35、約10~約30、約12~約28、約15~約25、又は約15~約23重量パーセントのHFE-7200を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約10~約30重量パーセントのHFE-7200を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約33、約25、約15、又は約10重量パーセントのHFE-7200を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約23重量パーセントのHFE-7200を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約15重量パーセントのHFE-7200を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量パーセント~約30重量パーセントのHFE-7300を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約28、約1~約25、約3~約25、約5~約25、約5~約22、又は約5~約20、約7~約18、約10~約15、又は約11~約13重量パーセントのHFE-7300を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約20重量パーセントのHFE-7300を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5~約20重量パーセントのHFE-7300を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約3、約4、約6、約10、約12、約14、約15、約17、約18、又は約19重量パーセントのHFE-7300を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約12重量パーセントのHFE-7300を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第3の成分は、ヒドロフルオロカーボンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、ヘプタフルオロシクロペンタン、ペンタフルオロブタン、及びペンタフルオロプロパンから選択される。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、ヘプタフルオロシクロペンタンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、ペンタフルオロブタンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、ペンタフルオロプロパンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンから選択される。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロカーボンは、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンである。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量パーセント~約30重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約28、約1~約25、約1~約22、約1~約20、約1~約18、約1~約15、約3~約15、又は約4~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約20重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約2、約4、約5、約9、約10、約11、約15、約17、又は約22重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約4重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約9重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、第3の成分は、アルキルペルフルオロアルケンエーテルである。いくつかの実施形態では、アルキルペルフルオロアルケンエーテルは、メチルペルフルオロヘプテンエーテルである。いくつかの実施形態では、メチルペルフルオロヘプテンエーテルは、約50重量パーセントの5-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテン、約20重量パーセントの3-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテン、約20重量パーセントの4-メトキシペルフルオロ-2-ヘプテン、及び約8重量パーセントの4-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテンの混合物を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物は、約1~約4、約2~約4、又は約3~約4重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約3、約4、又は約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、約65重量パーセント~約98重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約65~約95、約65~約93、約65~約92、又は約75~約80重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約65~約85、約68~約82、約70~約80、約72~約80、約75~約80重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約75~約90又は約65~約85重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約79、約73、又は約70重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、組成物は、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及びヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約75重量パーセント~約90重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約1重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約20重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約75重量パーセント~約85重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約5重量パーセント~約15重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約79重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約12重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約9重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7200、及びヘプタフルオロシクロペンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7200、及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約65重量パーセント~約85重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約10重量パーセント~約30重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約1重量パーセント~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約68重量パーセント~約78重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約18重量パーセント~約28重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約1重量パーセント~約8重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約73重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約23重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約4重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約65重量パーセント~約75重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約10重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約10重量パーセント~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約70重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約15重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及びメチルペルフルオロへプテンエーテルを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約75重量パーセント~約90重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約5重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルと、を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、
i)約80重量パーセント~約85重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約10重量パーセント~約15重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルと、を含む。
【0057】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、洗浄剤、フラックス除去剤、及び/又は脱脂剤として有用であり得る。したがって、本出願は、表面を洗浄するプロセスであって、本明細書で提供される組成物を当該表面と接触させることを含む、プロセス、を提供する。いくつかの実施形態では、プロセスは、表面又は基材から残渣を除去することであって、表面又は基材を本明細書で提供される組成物と接触させることと、組成物から表面又は基材を回収することと、を含む。いくつかの実施形態では、本出願は、基材の表面から残渣の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、基材を本明細書で提供される組成物と接触させることを含む、プロセス、を更に提供する。いくつかの実施形態では、本出願は、溶質を溶解するためのプロセスであって、当該溶質を十分な量の本明細書に開示の組成物と接触させ混合することを含む、プロセス、を更に提供する。いくつかの実施形態では、本出願は、表面を洗浄するプロセスであって、本明細書に開示の組成物を当該表面と接触させることを含む、プロセス、を更に提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、表面又は基材は、集積回路デバイスであり得、この場合、残渣は、ロジンフラックス又は油を含む。集積回路デバイスは、フリップチップ∀、μ∀BGA、又はチップスケールパッケージング構成要素などの様々な種類の構成要素を有する回路基板であり得る。表面又は基材は、追加として、ステンレス鋼などの金属表面であり得る。ロジンフラックスは、RMA((rosin mildly activated)ロジン弱活性化)、RA((rosin activated)ロジン活性化)、WS((water soluble)水溶性)、及びOA((organic acid)有機酸)が挙げられるが、これらに限定されない、集積回路デバイスのはんだ付けにおいて一般的に使用される任意の種類であり得る。油残渣としては、鉱油、モータ油、及びシリコーン油が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、表面又は基材は、磁気ディスク媒体である。いくつかの実施形態では、残渣は、フラックス、潤滑剤、グリース、油、ワックス、又はこれらの組み合わせである。
【0059】
いくつかの実施形態では、本出願は、濡れている基材又は表面又はデバイスの表面から水の少なくとも一部を除去するプロセスであって、基材、表面又はデバイス本明細書で提供される組成物と接触させることと、次いで、基材、表面、又はデバイスを組成物との接触から除去することと、を含む、プロセス、を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、1つ以上の添加剤成分を更に含む(すなわち、組成物は、トラン-1,2-ジクロロエチレン、本明細書に記載の第2の成分、本明細書に記載の第3の成分、及び本明細書に記載される1つ以上の添加剤成分を含む)。例示的な添加剤としては、噴射剤、界面活性剤、及びフッ素系潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、噴射剤を更に含む。いくつかの実施形態では、噴射剤は、空気、窒素、二酸化炭素、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、炭化水素、ジメチルエーテル、又はこれらの任意の混合物である。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む。例示的な界面活性剤としては、アルキルジメチルアンモニウムイソオクチルホスフェート、tert-アルキルアミン(例えば、tert-ブチルアミン)、ペルフルオロアルキルホスフェート、ジメチルデセンアミド、フッ素化アルキルポリエーテル、四級アミン(例えば、アンモニウム塩)、及びグリセロールモノステアレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
デバイス、表面、又は基材を接触させるための手段は、重要ではなく、例えば、本明細書で提供される組成物を含有する浴中にデバイス、表面、若しくは基材を浸漬すること、本明細書で提供される組成物をデバイス、表面、若しくは基材に噴霧すること、又は組成物で湿潤された材料(例えば、布)を用いてデバイス、表面、若しくは基材を拭くことによって達成され得る。いくつかの実施形態では、接触させることは、組成物に基材を浸漬することによって達成される。いくつかの実施形態では、組成物は、周囲温度又は室温よりも高い温度である。いくつかの実施形態では、組成物は、おおよそ組成物の沸点の温度である。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物への基材の第2の浸漬を更に含み、当該組成物は、第1の浸漬工程の温度よりも低い温度である。いくつかの実施形態では、第2の浸漬工程における組成物は、周囲温度又は室温である。
【0064】
代替的に、本明細書で提供される組成物は、このような残渣の除去のために設計された蒸気脱脂又はフラックス除去装置において使用され得る。このような蒸気脱脂又はフラックス除去機器は、Forward Technology(Crest Group,Trenton,NJの子会社)、Trek Industries(Azusa,CA)、及びUltronix,Inc.(Hatfield,PA)などの様々な供給元から入手可能である。いくつかの実施形態では、蒸気脱脂は、組成物を沸騰させて当該組成物の蒸気を形成し、基材の表面からの残渣の少なくとも一部を当該蒸気に曝露することによって行われる。
【0065】
デジタル情報を記憶する最も高度で最も高い記録密度及び最低コストの方法は、磁気材料でコーティングされた回転ディスクから磁束パターンを書き込み、読み取りすることを伴う。ビットの形態で情報が記憶される磁気層は、金属支持構造上にスパッタリングされる。次に、オーバーコート、通常は炭素系材料を保護のために磁気層の上に配置し、最後に潤滑剤をオーバーコートに塗布する。読み取り-書き込みヘッドは潤滑剤の上方に浮上し、ヘッドと磁気層との間で情報が交換される。情報転送の効率を高める飽くなき試みにおいて、ハードドライブ製造業者は、ヘッドと磁気層との間の距離、又は浮上高を100オングストローム未満まで低減してきた。
【0066】
必然的に、通常のディスクドライブアプリケーションの間、ヘッドとディスク表面とが接触することになる。ディスク上の摩耗を低減するために、摺動接点及び浮遊接点の両方から、それは潤滑される必要がある。
【0067】
フッ素系潤滑剤は、磁気ディスクドライブ産業において潤滑剤として広く使用されて、ヘッドとディスクとの間の摩擦を減少させ、すなわち摩耗を低減し、したがってディスク故障の可能性を最小限に抑える。
【0068】
フッ素系潤滑剤の堆積のための改良された方法の必要性が、産業界に存在する。CFC-113及びPFC-5060などの特定の溶媒の使用は、環境へのそれらの影響に起因して、調節されている。したがって、本出願で使用されることになる溶媒は、環境への影響を考慮すべきである。また、このような溶媒は、フッ素系潤滑剤を溶解し、フッ素系潤滑剤の実質的に均一な又は均一なコーティングを形成する必要がある。追加として、既存の溶媒は、所与の厚さコーティングを生成するためにより高いフッ素系潤滑剤濃度を必要とし、フッ素系潤滑剤コーティングの均一性の不規則性を生じることが見出されている。
【0069】
いくつかの実施形態では、本出願は、表面上にフッ素系潤滑剤を堆積させるプロセスを提供し、このプロセスは、フッ素系潤滑剤と溶媒とを組み合わせて、潤滑剤/溶媒の組み合わせを形成することであって、溶媒は、本明細書で提供される組成物を含む、形成することと、潤滑剤/溶媒の組み合わせを表面と接触させることと、表面から溶媒を蒸発させて、表面上にフッ素系潤滑剤コーティングを形成することと、を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示のフッ素系潤滑剤は、ペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPE)化合物、又はホスファゼン含有ディスク潤滑剤であるX-1P(登録商標)を含む潤滑剤を含む。これらのペルフルオロポリエーテル化合物は、時には、ペルフルオロアルキルエーテル(perfluoroalkylether、PFAE)又はペルフルオロポリアルキルエーテル(perfluoropolyalkylether、PFPAE)と称される。これらのPFPE化合物は、単純なペルフルオロ化エーテルポリマーから官能化ペルフルオロ化エーテルポリマーまで多岐にわたる。本発明においてフッ素系潤滑剤として有用であり得る異なる種類のPFPE化合物は、いくつかの供給源から入手可能である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるプロセスにおいて有用なフッ素系潤滑剤としては、Krytox(登録商標)GLP100、GLP105若しくはGLP160(The Chemours Co.,LLC,Fluoroproducts,Wilmington,DE,19898,USA)、Fomblin(登録商標)Z-Dol 2000、2500若しくは4000、Z-Tetraol、又はFomblin(登録商標)AM2001若しくはAM3001(Solvay Solexis S.p.A.,Milan,Italyから販売)、Demnum(商標)LR-200若しくはS-65(Daikin America,Inc.,Osaka,Japanから提供)、X-1P(登録商標)(Quixtor Technologies Corporation(Dow Chemical Co,Midland,MIの子会社)から入手可能な部分フッ素化ヒキサフェノキシシクロトリホスファゼンディスク潤滑剤)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。Krytox(登録商標)潤滑剤は、一般構造F(CF(CF)CFO)-CFCFを有するペルフルオロアルキルポリエーテルであり、nは、10~60の範囲である。Fomblin(登録商標)潤滑剤は、分子量が500~4000原子質量単位の範囲であり、一般式X-CF-O(CF-CF-O)-(CFO)-CF-X(式中、Xは、-CHOHであってもよく、p+qは、40~180であり、p/qは、0.5~2である)、CH(O-CH-CHOH(式中、nは、10~60である)、CHOCHCH(OH)CHOH、又は-CHO-CH-ピペロニルを有する官能化ペルフルオロポリエーテルである。Demnum(商標)油は、2700~8400原子質量単位の分子量の範囲のペルフルオロポリエーテル系油である。加えて、本明細書で提供されるプロセスにおいて有用であり得る、Moresco(Thailand)Co.,Ltdからのものなどの新しい潤滑剤が開発されている。
【0071】
本明細書に記載されるフッ素系潤滑剤は、フッ素系潤滑剤の特性を改善するための添加剤を追加として含み得る。潤滑剤自体として機能し得るX-1P(登録商標)は、PFPE分解に関与するディスク表面上のルイス酸部位を不活性化することによってディスクドライブの耐久性を高めるために、多くの場合、他のより低いコストのフッ素系潤滑剤に添加される。他の一般的な潤滑剤添加剤は、本明細書で提供されるプロセスにおいて有用なフッ素系潤滑剤において使用され得る。
【0072】
本明細書に記載されるフッ素系潤滑剤は、Z-DPA(Hitachi Global Storage Technologies,San Jose,CA)、ジアルキルアミン末端基で終端されたPFPEを更に含み得る。求核末端基は、X1P(登録商標)と同じ目的を果たすため、いかなる添加剤も有しない同じ安定性を提供する。
【0073】
フッ素系潤滑剤が堆積され得る表面は、潤滑から利益を得ることができる任意の固体表面である。シリカディスク、金属又は金属酸化物表面、蒸着炭素表面又はガラス表面などの半導体材料は、本明細書に記載されるプロセスにおいて使用され得る表面の種類を表す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるプロセスは、コンピュータドライブハードディスクなどの磁気媒体をコーティングするのに特に有用である。コンピュータディスクの製造において、表面は、アモルファス水素化又は窒素化炭素の薄い(10~50オングストロームの)層の蒸着によってもコーティングされる、磁性媒体の層を有する、ガラス、又はアルミニウム基材であり得る。フッ素系潤滑剤は、ディスクの炭素層にフッ素系潤滑剤を塗布することによって間接的に表面ディスク上に堆積され得る。
【0074】
フッ素系潤滑剤及び本明細書で提供される組成物(すなわち、溶媒として)を組み合わせる第1の工程は、堆積プロセスのための浴として使用され得るビーカー又は他の容器などの好適な容器内で混合するなどの任意の好適な方法で、達成され得る。本明細書で提供される組成物中のフッ素系潤滑剤濃度は、約0.010パーセント(重量/重量)~約0.50パーセント(重量/重量)であり得る。
【0075】
フッ素系潤滑剤及び本明細書で提供される組成物の当該組み合わせを表面と接触させる工程は、当該表面に適切な任意の方法で達成され得る(表面のサイズ及び形状を考慮する)。ハードドライブディスクは、ディスクの中心の穴を通って嵌合することができるマンドレル又は他のいくつかの支持体などのいくつかの方法で支持される必要がある。したがって、ディスクは、ディスクの平面が溶媒浴に垂直になるように鉛直に保持される。マンドレルは、円筒形棒又はV字形棒を含むがこれらに限定されない、異なる形状を有し得る。マンドレル形状は、ディスクとの接触領域を決定することになる。マンドレルは、金属、金属合金、プラスチック、又はガラスを含むがこれらに限定されない、ディスクを保持するのに十分な強さの任意の材料で構築され得る。加えて、ディスクは、織布バスケット内に鉛直に直立して支持され得るか、又は外側縁部上の1つ以上のクランプで鉛直位置にクランプされ得る。支持体は、金属、金属合金、プラスチック、又はガラスなどのディスクを保持する強度を有する任意の材料で構築され得る。ディスクがどのような仕方で支持されるにしても、ディスクは、フッ素系潤滑剤/溶媒(すなわち、本明細書で提供される組成物)の組み合わせの浴を保持する容器内に下げられることになる。浴は、室温で保持されるか、又は約0℃~約50℃の範囲の温度まで加熱若しくは冷却されてもよい。
【0076】
代替的に、ディスクは上述のように支持され得、浴が上げられて、ディスクを浸漬してもよい。いずれの場合も、次いで、ディスクは浴から(浴を下げることによって、又はディスクを上げることによってのいずれかで)除去され得る。超過量のフッ素系潤滑剤/溶媒の組み合わせを浴中に排出することができる。
【0077】
ディスクを浴内に下げるか、又は浴を上げてディスクを浸漬するかのいずれかの、ディスク表面とフッ素系潤滑剤/溶媒の組み合わせとを接触させるプロセスのいずれかは、一般にディップコーティングと称される。噴霧又はスピンコーティングを含むがこれらに限定されない、ディスクをフッ素系潤滑剤/溶媒の組み合わせと接触させるための他のプロセスが、本明細書に記載されるプロセスにおいて使用され得る。
【0078】
ディスクが浴から除去されると、ディスクは、その表面上にフッ素系潤滑剤及びいくらかの残渣溶媒(すなわち、本明細書で提供される組成物)のコーティングを有する。残留溶媒は蒸発され得る。蒸発は、通常、室温で実施される。しかしながら、室温超及び室温未満の両方の他の温度も、蒸発工程で使用され得る。約0℃~約100℃の範囲の温度を蒸発に使用してもよい。
【0079】
表面、又は表面がディスクである場合にはディスクには、コーティングプロセスの完了後、実質的に溶媒を含まないフッ素系潤滑剤の実質的に均一な又は均一なコーティングが残ることになる。フッ素系潤滑剤は、約300nm未満の厚さに、及び代替的に約100~約300nmの厚さに塗布され得る。
【0080】
ディスクの適切な機能のために均一なフッ素系潤滑剤コーティングが要求されるので、そのようなフッ素系潤滑剤の厚さが様々である領域は、ディスクの表面上において望ましくない。同じサイズのディスク上に記憶される情報がますます多くなるにつれて、読み取り/書き込みヘッドは、適切に機能するためにディスクにますます近づく必要がある。コーティング厚さの変動による不規則性がディスクの表面上に存在する場合、ヘッドとディスク上のこれらの領域との接触の可能性ははるかに大きくなる。ヘッド接点又は他の手段によって除去され得る領域に流れ込むのに十分なフッ素化潤滑剤をディスク上に有することが望ましいが、厚すぎるコーティングは、「汚れ」(超過量のフッ素系潤滑剤をかき集める読み取り/書き込みヘッドに関連付けられた問題である)を引き起こし得る。
【0081】
産業界で観察される1つの特定のコーティング厚さの不規則性は、「ラビットイヤー」効果として知られるものである。これらの不規則性は、既存の溶媒系を使用してフッ素系潤滑剤を堆積した後にディスクの表面上で視覚的に検出される。ディスクが溶媒中のフッ素系潤滑剤の溶液と接触し、次いで溶液から除去されると、溶液が蓄積し、かつ容易に排出し得ない任意の点は、容易に流れ落ちない溶液の液滴を生じさせる。このような液滴形成点の1つは、マンドレル又は他の支持デバイスとディスクとの接点(複数可)である。V字形状のマンドレルが使用される場合、マンドレルがディスクの内側縁部に接触する2つの接点が存在する。フッ素系潤滑剤の溶液が、浴から除去されたときに流れ落ちないこれらの場所で液滴を形成する場合、溶媒が蒸発すると、フッ素系潤滑剤の厚さがより大きい領域が形成される。フッ素系潤滑剤の厚さがより大きい領域は、ディスク表面上で視覚的に検出可能なウサギ耳に似たパターンを生成するので、ディスクとの2つの接点は、「ラビットイヤー」効果として知られているものを生成する。
【0082】
表面上にフッ素系潤滑剤を堆積させるためにディップコーティングが使用される場合、引き上げ速度(ディスクが浴から除去される速度)、並びにフッ素系潤滑剤の密度及び表面張力は、フッ素系潤滑剤の結果として得られる膜厚を決定することに関連する。所望の膜厚を得るためのこれらのパラメータの認識が必要とされる。これらのパラメータがコーティングにどのような影響を与えるかに関する詳細は、その開示内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Dip-Coating of Ultra-Thin Liquid Lubricant and its Control for Thin-Film Magnetic Hard Disks」in IEEE Transactions on Magnetics,vol.31,no.6,November 1995に記載されている。
【実施例
【0083】
本発明を、具体的な実施例によって、より詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のために提供され、いかなる意味でも、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正することができる様々な重要でないパラメータを、容易に認識するであろう。
【0084】
実施例1.組成物1の蒸留分析
79.85%のトランス-1,2-ジクロロエチレン(t-DCE)、10.19%の1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(HFCP)、及び9.95%の1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)-ペンタン(Novec(商標)7300)の混合物(組成物1)を、重量測定法で調製し、25プレートオールダーショー蒸留カラムを用いて大気圧で蒸留した。蒸留を1時間還流し、次いで、10パーセントの蒸留物画分を確保し、GC/FIDによって分析した。表1に示すように、25プレートカラムでの蒸留後、組成は著しく変化せず、蒸留物は、約9%のHFCP、12%のHFCP、及び79%のt-DCEのより好ましい共沸性組成を示す。沸点も記録したが、これはニートなt-DCEの沸点(48.4℃)より低く、共沸性挙動を確認した。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例2.組成物2の蒸留分析
64.59%のトランス-1,2-ジクロロエチレン、10.59%の1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(HFCP)、及び24.81%のエチルノナフルオロブチルエーテル(Novec(商標)7200)の混合物(組成物2)を、重量測定法で調製し、25プレートオールダーショー蒸留カラムを用いて大気圧で蒸留した。蒸留を1時間還流し、次いで、10パーセントの蒸留物画分を確保し、GC/FIDによって分析した。表2に示すように、3つの初期成分全てを含む蒸留物組成データにより、好ましくは約4.4%のHFCP、23.1%のNovec7200、及び約73.5%のt-DCEを含有する三元共沸の存在が実証された。更に、45.5℃の降下した沸点により、共沸性挙動が確認された。
【0087】
【表2】
【0088】
実施例3.組成物3の蒸留分析
76.8%のトランス-1,2-ジクロロエチレン(t-DCE)、18.3%の3-メトキシ-4-トリフルオロメチルデカフルオロペンタン(HFE-7300)、及び4.9%のヘプタフルオロシクロペンタン(HFCP)の混合物(組成物3)を調製し、単一プレート蒸留装置を用いて大気圧で蒸留した。組成物の50重量%が蒸留されるまで、混合物を蒸留した。次の蒸留カット及びヒールを収集し、GC/FIDによって分析し、沸騰フラスコの温度及び蒸気露点を蒸留全体を通して記録した。三元共沸様組成物3の分別蒸留の結果を以下の表3に列挙する。
【0089】
【表3】
【0090】
表4は、組成物3の蒸留による沸点(boiling point、BP)及び露点(dew point、DP)を示す。
【0091】
【表4】
【0092】
組成物3の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0093】
実施例4.組成物4の蒸留分析
組成物4(75.5%のt-DCE、2.6%のHFE-7300、及び21.9%のHFCP)について、実施例3のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物4の分別蒸留の結果を以下の表5に列挙する。
【0094】
【表5】
【0095】
表6は、組成物4の蒸留による沸点及び露点を示す。
【0096】
【表6】
【0097】
組成物4の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0098】
実施例5.組成物5の蒸留分析
組成物5(91.7%のt-DCE、4.1%のHFE-7300、及び4.2%のHFCP)について、実施例3のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物5の分別蒸留の結果を以下の表7に列挙する。
【0099】
【表7】
【0100】
表8は、組成物5の蒸留による沸点及び露点を示す。
【0101】
【表8】
【0102】
組成物5の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0103】
実施例6.組成物6の蒸留分析
組成物6(65.2%のt-DCE、17.4%のHFE-7300、及び17.4%のHFCP)について、実施例3のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物6の分別蒸留の結果を以下の表9に列挙する。
【0104】
【表9】
【0105】
表10は、組成物6の蒸留による沸点及び露点を示す。
【0106】
【表10】
【0107】
蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0108】
実施例7.組成物7の蒸留分析
組成物7(79.85%のt-DCE、9.95%のHFE-7300、及び10.19%のHFCP)を調製し、25プレートオールダーショー蒸留カラムを用いて大気圧で蒸留して、好ましい共沸性組成物を決定した。各混合物を蒸留カラムを通して1時間還流させ、最初の1%画分を収集し、GC/FIDによって組成について分析した。表11は、組成物の25プレートオールダーショー蒸留からの結果を示す。
【0109】
【表11】
【0110】
実施例8.組成物8の蒸留分析
組成物8(78.1%のt-DCE、14.1%のHFE-7300、及び7.8%のHFCP)について、実施例7のプロセスを繰り返した。表12は、組成物の25プレートオールダーショー蒸留からの結果を示す。
【0111】
【表12】
【0112】
表11及び表12に示すように、異なる出発組成を有するt-DCE、HFE-7300、及びHFCPの混合物の蒸留は、共沸性挙動を示す狭い範囲の蒸留物組成に収束した。
【0113】
実施例9.組成物9の蒸留分析
組成物9(70.0%のt-DCE、15.1%のHFE-7200、及び14.8%のHFCP)を調製し、単一プレート蒸留装置を使用して大気圧で蒸留した。混合物を50重量%まで蒸留し、各画分を採取し、分析して、混合物が三元共沸様組成物を形成したかどうかを決定した。各画分をGC/FIDによって分析し、沸点及び露点を各画分で記録した。三元共沸様組成物の分別蒸留の結果を以下の表13及び表14に列挙する。
【0114】
【表13】
【0115】
【表14】
【0116】
組成物9の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7200、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0117】
実施例10.組成物10の蒸留分析
組成物10(85.5%のt-DCE、9.5%のHFE-7200、及び5.0%のHFCP)について、実施例9のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物の分別蒸留の結果を以下の表15及び表16に列挙する。
【0118】
【表15】
【0119】
【表16】
【0120】
組成物10の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7200、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0121】
実施例11.組成物11の蒸留分析
組成物11(64.6%のt-DCE、33.2%のHFE-7200、及び2.2%のHFCP)について、実施例9のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物の分別蒸留の結果を以下の表17及び表18に列挙する。
【0122】
【表17】
【0123】
【表18】
【0124】
組成物11の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7200、及びHFCPの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0125】
実施例12.組成物12の蒸留分析
組成物12(81.30%のt-DCE、3.80%のMPHE、及び14.90%のHFE-7300)を調製し、単一プレート蒸留装置を使用して大気圧で蒸留した。混合物を45重量%まで蒸留し、各画分を採取し、分析して、混合物が三元共沸様組成物を形成したかどうかを決定した。各画分をGC/FIDによって分析し、沸点及び露点を各画分で記録した。三元共沸様組成物の分別蒸留の結果を以下の表19及び表20に列挙する。
【0126】
【表19】
【0127】
【表20】
【0128】
組成物12の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びMPHEの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0129】
実施例13.組成物13の蒸留分析
組成物13(75.0%のt-DCE、5.9%のMPHE、及び19.1%のHFE-7300)について、実施例12のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物の分別蒸留の結果を以下の表21及び表22に列挙する。
【0130】
【表21】
【0131】
【表22】
【0132】
組成物13の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びMPHEの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0133】
実施例14.組成物14の蒸留分析
組成物14(90.20%のt-DCE、3.30%のMPHE、及び6.60%のHFE-7300)について、実施例12のプロセスを繰り返した。三元共沸様組成物の分別蒸留の結果を以下の表22及び表23に列挙する。
【0134】
【表23】
【0135】
【表24】
【0136】
組成物14の蒸留全体を通して、沸騰温度及び組成は一定のままであり、t-DCE、HFE-7300、及びMPHEの三元混合物の共沸性挙動を示した。
【0137】
実施例15.組成物15の洗浄効果係数(Cleaning Effectiveness Factor、CEF)分析
組成物15(70%のt-DCE、15%のHFCP、及び15%のHFE-7200)を、凝縮コイルを備えた1000mLビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(45.5℃)まで加熱した。3枚の予め洗浄された304ステンレス鋼クーポンを化学天秤で計量した(初期重量)。各グリース又は油の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。次いで、各クーポンを再計量して汚染重量を求め、その後、沸騰組成物の気相中に10分間入れておいた。次いで、クーポンを取り出し、10分間乾燥及び排ガスした後に再計量して(洗浄後重量)、溶媒ブレンドの洗浄効果係数を求めた。洗浄分析の結果を表24に示し、式1に従ってCEFを決定した。
式1.
CEF=(汚染重量-洗浄後重量)/(汚染重量-初期重量)
【0138】
【表25】
【0139】
実施例16.組成物16の洗浄効果係数(CEF)分析
組成物16(92%のt-DCE、4%のHFE-7300、及び4%のHFCP)について、異なる汚染物質を使用して実施例15のプロセスを繰り返し、結果を以下の表25に列挙する。
【0140】
【表26】
【0141】
表24及び表25に示すように、両方の三元組成物は、蒸気脱脂剤において典型的に使用される気相洗浄のみを使用して、広範囲のグリース、油、及びワックスを除去するのに非常に効果的であった。
【0142】
他の実施形態
1.いくつかの実施形態では、本出願は、組成物であって、
i)トランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)ヒドロフルオロエーテルである第2の成分と、
iii)ヒドロフルオロカーボン及びアルキルペルフルオロアルケンエーテルから選択される化合物から選択される第3の成分と、を含む、組成物、を提供する。
2.組成物が、C1~6アルコール、C3~6ケトン、C5~8アルカン、C3~6シクロアルカン、及びC1~6アルキルアセテートから選択される化合物を更に含まない、実施形態1に記載の組成物。
3.組成物が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、n-ヘキサン、シクロペンタン、及びエチルアセテートから選択される化合物を更に含まない、実施形態1に記載の組成物。
4.共沸組成物である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.共沸様組成物である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
6.ヒドロフルオロエーテルが、HFE-7000、HFE-7100、HFE-7200、HFE-7300、及びHFE-347pc-fから選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.ヒドロフルオロエーテルが、HFE-7200及びHFE-7300から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
8.組成物が、約5重量パーセント~約45重量パーセントのHFE-7200を含む、実施形態6又は7に記載の組成物。
9.組成物が、約1重量パーセント~約30重量パーセントのHFE-7300を含む、実施形態6又は7に記載の組成物。
10.第3の成分が、ヒドロフルオロカーボンである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
11.ヒドロフルオロカーボンが、ヘプタフルオロシクロペンタン、ペンタフルオロブタン、及びペンタフルオロプロパンから選択される、実施形態10に記載の組成物。
12.ヒドロフルオロカーボンが、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンから選択される、実施形態10又は11に記載の組成物。
13.ヒドロフルオロカーボンが、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンである、実施形態10~12のいずれか1つに記載の組成物。
14.組成物が、約1重量パーセント~約30重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、実施形態12又は13に記載の組成物。
15.第3の成分が、アルキルペルフルオロアルケンエーテルである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物。
16.アルキルペルフルオロアルケンエーテルが、メチルペルフルオロヘプテンエーテルである、実施形態15に記載の組成物。
17.メチルペルフルオロヘプテンエーテルが、約50重量パーセントの5-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテン、約20重量パーセントの3-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテン、約20重量パーセントの4-メトキシペルフルオロ-2-ヘプテン、及び約8重量パーセントの4-メトキシペルフルオロ-3-ヘプテンの混合物を含む、実施形態16に記載の組成物。
18.組成物が、約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルを含む、実施形態16又は17に記載の組成物。
19.組成物が、約65重量パーセント~約98重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組成物。
20.組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及びヘプタフルオロシクロペンタンを含む、実施形態1~7、9~14、及び19のいずれか1つに記載の組成物。
21.組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、実施形態1~7、9~14、19、及び20のいずれか1つに記載の組成物。
22.組成物が、
i)約75重量パーセント~約90重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約1重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約20重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、実施形態1~7、9~14、及び19~21のいずれか1つに記載の組成物。
23.組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7200、及びヘプタフルオロシクロペンタンを含む、実施形態1~8、10~14、及び19のいずれか1つに記載の組成物。
24.組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7200、及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、実施形態1~8、10~14、19、及び23のいずれか1つに記載の組成物。
25.組成物が、
i)約65重量パーセント~約85重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約10重量パーセント~約30重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約1重量パーセント~約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、実施形態1~8、10~14、19、23及び24のいずれか1つに記載の組成物。
26.組成物が、トランス-1,2-ジクロロエチレン、HFE-7300、及びメチルペルフルオロへプテンエーテルを含む、実施形態1~7、9、及び15~19のいずれか1つに記載の組成物。
27.組成物が、
i)約75重量パーセント~約90重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約5重量パーセント~約20重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約1重量パーセント~約5重量パーセントのメチルペルフルオロヘプテンエーテルと、を含む、実施形態1~7、9、15~19、及び26のいずれか1つに記載の組成物。
28.
i)約79重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約12重量パーセントのHFE-7300と、
iii)約9重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、実施形態1~7、9~14、及び19~22のいずれか1つに記載の組成物。
29.
i)約73重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約23重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約4重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、実施形態1~8、10~14、19、及び23~25のいずれか1つに記載の組成物。
30.
i)約70重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンと、
ii)約15重量パーセントのHFE-7200と、
iii)約15重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンと、を含む、実施形態1~8、10~14、19、及び23~25のいずれか1つに記載の組成物。
31.いくつかの実施形態では、本出願は、基材の表面から残渣の少なくとも一部を除去するための方法であって、基材を実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物と接触させることを含む、方法、を更に提供する。
32.組成物が、噴射剤を更に含む、実施形態31に記載の方法。
33.噴射剤が、空気、窒素、二酸化炭素、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、炭化水素、ジメチルエーテル、又はこれらの任意の混合物である、実施形態32に記載の方法。
34.組成物が、界面活性剤を更に含む、実施形態31~33のいずれか1つに記載の方法。
35.当該接触させることが、蒸気脱脂によって達成される、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
36.蒸気脱脂が、組成物を沸騰させて当該組成物の蒸気を形成し、基材の表面からの残渣の少なくとも一部を当該蒸気に曝露することによって行われる、実施形態35に記載の方法。
37.当該接触させることが、組成物に基材を浸漬することによって達成される、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
38.組成物が、周囲温度又は室温よりも高い温度である、実施形態37に記載の方法。
39.組成物が、おおよそ組成物の沸点の温度である、実施形態37に記載の方法。
40.組成物への基材の第2の浸漬を更に含み、当該組成物が、第1の浸漬工程の温度よりも低い温度である、実施形態37~39のいずれか1つに記載の方法。
41.第2の浸漬工程における組成物が、周囲温度又は室温である、実施形態40に記載の方法。
42.基材が、ステンレス鋼及び磁気ディスク媒体から選択される、実施形態31~41のいずれか1つに記載の方法。
43.残渣が、フラックス、潤滑剤、グリース、油、ワックス、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態31~42のいずれか1つに記載の方法。
44.いくつかの実施形態では、本出願は、溶質を溶解するためのプロセスであって、当該溶質を、十分な量の実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物と接触させ混合することを含む、プロセス、を更に提供する。
45.いくつかの実施形態では、本出願は、表面を洗浄するプロセスであって、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物を当該表面と接触させることを含む、プロセス、を更に提供する。
46.いくつかの実施形態では、本出願は、濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、基材を実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物と接触させることと、次いで、基材を組成物との接触から除去することと、を含む、プロセス、を更に提供する。
47.組成物が、基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、実施形態46に記載のプロセス。
48.いくつかの実施形態では、本出願は、表面上にフッ素系潤滑剤を堆積させるプロセスを更に提供し、このプロセスは、
a)フッ素系潤滑剤と溶媒とを組み合わせて、潤滑剤/溶媒の組み合わせを形成することであって、溶媒が、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物を含む、形成することと、
b)潤滑剤/溶媒の組み合わせを表面と接触させることと、
c)表面から溶媒を蒸発させて、表面上にフッ素系潤滑剤コーティングを形成することと、を含む。
【0143】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を例示することを意図するものであり、限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載される特徴のいずれも、本明細書に記載される本発明の任意の他の態様及び/又は実施形態の他の特徴のいずれかのうちの1つ以上と組み合わせることができ、組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更することができることが、本発明に関連する当業者により理解されるべきである。そのような組み合わせは、本開示により企図される本発明の一部であるとみなされる。
【国際調査報告】