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特表2024-537855再使用単量体を含む、押出加工性が改善されたポリエステル共重合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】再使用単量体を含む、押出加工性が改善されたポリエステル共重合体
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/183 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
C08G63/183
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520679
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 KR2022013303
(87)【国際公開番号】W WO2023058916
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0134220
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513193923
【氏名又は名称】エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン ダヤン
(72)【発明者】
【氏名】キム サンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム ハヌル
(72)【発明者】
【氏名】イ ブヨン
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD10
4J029AE01
4J029AE02
4J029AE03
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA07
4J029BA08
4J029BD03A
4J029BD04A
4J029BF09
4J029CA02
4J029CA04
4J029CA06
4J029CA09
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CB09A
4J029CB10A
4J029CC06A
4J029CD03
4J029CF19
4J029CH02
4J029DB17
4J029GA13
4J029GA14
4J029HA01
4J029HB01
4J029HD04
(57)【要約】
本発明は、再使用単量体を含み、また、押出加工性が改善されたポリエステル共重合体、その製造方法およびこれを含む物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)再使用(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、
2)ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)、および
3)エチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが重合されて、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有するポリエステル樹脂において、
前記ポリエステル共重合体は、下記の数式1の押出性係数が1以上の値を有する、
ポリエステル共重合体:
【数1】
前記数式1中、
Aは、前記ポリエステル共重合体中の再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分の含有量(wt%)であり、
Bは、前記ポリエステル共重合体中の残留酸(acid)の含有量(ppmw)であり、
Cは、前記ポリエステル共重合体中の残留再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの含有量(ppmw)であり、
Dは、前記ポリエステル共重合体中のオリゴマーの含有量(area/g)である。
【請求項2】
前記ポリエステル共重合体は、前記再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分を10~90重量%を含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項3】
前記共単量体は、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール誘導体、またはその組み合わせである、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項4】
前記シクロヘキサンジメタノール誘導体は、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、または4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールである、
請求項3に記載のポリエステル共重合体。
【請求項5】
前記共単量体は、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、またはこれらの混合物を追加的に含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項6】
前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、テレフタル酸を含む、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項7】
前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、イソフタル酸、ジメチルイソフタレート、フタル酸、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ジフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジメチル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸およびアゼライン酸からなる群より選択されるいずれか1つ以上を含む、
請求項6に記載のポリエステル共重合体。
【請求項8】
前記押出性係数が3以上である、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項9】
前記ポリエステル共重合体の固有粘度が0.50~1.0dl/gである、
請求項1に記載のポリエステル共重合体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のポリエステル共重合体を含む、物品。
【請求項11】
前記物品は、フィルム、熱収縮フィルム、シート、プロファイル、またはブローンフィルムである、
請求項10に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再使用単量体を含み、また、押出加工性が改善されたポリエステル共重合体、その製造方法およびこれを含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性に優れているため、飲料充填用容器や、包装用フィルム、オーディオ、ビデオ用フィルムなどの素材として最も適して大量に使用されている。また、医療用繊維やタイヤコードなどの産業資材としても全世界的に幅広く生産されている。ポリエステルシート(sheet)や板材は、透明性が良好で機械的強度に優れていて、ケース、ボックス、パーティション、店舗棚、保護パネル、ブリスターパッケージング、建築材料、インテリア内外装材などの材料に広範囲に使用されている。
【0003】
一方、海洋汚染の約70%を占める廃プラスチックは、最近、深刻な社会問題として浮上しており、これによって、各国は使い捨てプラスチックの使用を規制すると同時に、廃プラスチックの再使用をはかっている。廃プラスチックをリサイクルする方法は大きく2つに分けられるが、一つは、廃プラスチックを回収、粉砕および洗浄した後、溶融押出して再ペレット化した後、これを原料として使用する方法があり、他の一つは、廃プラスチックを解重合(depolymerization)して得られた物質をプラスチック合成のための単量体として使用する方法である。後者の場合、廃プラスチック中でPETやPETGから解重合すれば、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができ、これをポリエステル共重合体の単量体として使用しようとする研究が進められている。
【0004】
しかし、廃プラスチック内の異物などによって良好な物質を得ることが難しく、特に廃プラスチックを解重合して得られた物質で製造されたプラスチックは品質の低下が発生する場合が多い。特に、プラスチックの品質が低下した場合には、押出加工で製造される物品も品質の低下を避けることはできない。
【0005】
そこで、本発明者らは、再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートをポリエステル共重合体の単量体として使用しかつ、後述のように他の単量体の使用量を調節して、廃プラスチックを解重合して得られた物質で製造されたポリエステル共重合体の品質を改善し、特に押出加工性が改善されることを確認して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、再使用単量体を含み、また、押出加工性が改善されたポリエステル共重合体、その製造方法およびこれを含む物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記のポリエステル共重合体を提供する:
1)再使用(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、
2)ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)、および
3)エチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが重合されて、
前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有するポリエステル樹脂において、
前記ポリエステル共重合体は、下記の数式1の押出性係数が1以上の値を有する、
ポリエステル共重合体:
【0008】
【数1】
【0009】
前記数式1中、
Aは、前記ポリエステル共重合体中の再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分の含有量(wt%)であり、
Bは、前記ポリエステル共重合体中の残留酸(acid)の含有量(ppmw)であり、
Cは、前記ポリエステル共重合体中の残留再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの含有量(ppmw)であり、
Dは、前記ポリエステル共重合体中のオリゴマーの含有量(area/g)である。
【0010】
用語の定義
本発明による共重合体は、ジカルボン酸またはその誘導体、およびジエチレングリコールおよび共単量体を含むジオールが共重合されて製造される共重合体に関し、前記共重合過程で再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートが反応に参加して製造されるポリエステル共重合体に関する。
【0011】
本明細書で使用する用語、「誘導」は、特定の化合物が化学反応に参加した時、その化学反応の結果物に含まれる前記特定の化合物に由来する一定の部分または単位を意味する。具体的には、前記ジカルボン酸またはその誘導体から誘導された酸部分、および前記ジオールから誘導されたジオール部分それぞれは、エステル化反応または縮重合反応で形成されるポリエステル共重合体中の繰り返し単位を意味する。また、前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分は、前記共重合反応においてエステル化反応で形成されるポリエステル共重合体中の繰り返し単位を意味する。
【0012】
ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸(acid)
本発明で使用されるジカルボン酸またはその誘導体は、ジオール成分と共にポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジカルボン酸は、テレフタル酸を含み、テレフタル酸によって本発明によるポリエステル共重合体の物性が向上できる。また、前記テレフタル酸残基は、テレフタル酸アルキルエステル、好ましくは、ジメチルテレフタル酸からも形成される。
【0013】
前記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸のほか、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、またはこれらの混合物を追加的に含むことができる。この場合、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分は、全体ジカルボン酸成分の総重量対比30重量%以下で含まれることが好ましい。
【0014】
前記芳香族ジカルボン酸成分は、炭素数8~20、好ましくは、炭素数8~14の芳香族ジカルボン酸またはこれらの混合物などであってもよい。前記芳香族ジカルボン酸の例として、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,5-チオフェンジカルボン酸などがあるが、前記芳香族ジカルボン酸の具体例がこれに限定されるものではない。前記脂肪族ジカルボン酸成分は、炭素数4~20、好ましくは、炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸成分、またはこれらの混合物などであってもよい。前記脂肪族ジカルボン酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸などの線状、枝状または環状脂肪族ジカルボン酸成分などがあるが、前記脂肪族ジカルボン酸の具体例がこれに限定されるものではない。
【0015】
具体的には、前記ジカルボン酸またはその誘導体を含む酸は、テレフタル酸のほか、イソフタル酸、ジメチルイソフタレート、フタル酸、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジメチル2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ジフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート、ジメチル1,3-シクロヘキサンジカルボキシレート、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸およびアゼライン酸からなる群より選択されるいずれか1つ以上を含むことができる。
【0016】
ジオール
本発明で使用されるジオール成分は、上述したジカルボン酸またはその誘導体と共にポリエステル共重合体を構成する主な単量体を意味する。特に、前記ジオール成分は、エチレングリコールおよび共単量体を含み、前記共単量体は、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール誘導体、またはその組み合わせである。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール誘導体は、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、または4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールである。好ましくは、本発明によるポリエステル樹脂がシクロヘキサンジメタノール誘導体を含む場合、前記ポリエステル樹脂は、全体ジオール部分に対して、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールから誘導されたジオール部分を0.1~25モル%含む。
【0017】
また、好ましくは、前記共単量体として、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチレン-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、またはこれらの混合物を追加的に含むことができる。
【0018】
前記共単量体中のジエチレングリコールは、ポリエステル共重合体の色特性の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記ジエチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モル対比5~50モル含まれる。より好ましくは、前記ジエチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モル対比6モル以上、7モル以上、または8モル以上かつ、45モル以下、40モル以下、35モル以下、30モル以下、25モル以下、または20モル以下で含まれる。
【0019】
前記エチレングリコールは、ポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記エチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モル対比30~80モル含まれる。より好ましくは、前記エチレングリコール残基は、前記全体ジオール成分残基100モル対比35モル以上、40モル以上、45モル以上、50モル以上、または55モル以上かつ、75モル以下で含まれる。
【0020】
前記シクロヘキサンジメタノール(例えば、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノールまたは1,4-シクロヘキサンジメタノール)は、製造されるポリエステル共重合体の透明性と耐衝撃強度の向上に寄与する成分である。好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール残基は、前記全体ジオール成分残基100モル対比5~40モル含まれる。より好ましくは、前記シクロヘキサンジメタノール残基は、前記全体ジオール成分残基100モル対比7モル~35モル含まれる。
【0021】
再使用(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート
本発明で使用する用語「再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート」は、使用された後に回収された廃プラスチックから得られた物質を意味する。前記ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることのできる廃プラスチックには、PETおよびPETGなどがある。例えば、使用された後に回収されたPEGからglycolysis、hydrolysis、methanolysisなどの方法でビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得ることができ、このような方法は当業界で広く知られている。
【0022】
前記再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートは、廃プラスチックから得る過程で様々な化学的な段階を経るため、これを共重合体の単量体として用いる場合、必然的に製品品質の低下が発生する。特に、ポリエステル共重合体の単量体として用いる場合、色品質の低下が発生し、また、後述のように副生成物が多量発生する問題がある。
【0023】
そこで、本発明では、前記再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを本発明によるポリエステル共重合体を構成する主な単量体として使用しかつ、前記ポリエステル共重合体は、前記再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基を10~90重量%を含むように調節する。前記再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基が10重量%未満の場合には、上述したジオールの含有量が相対的に高くなるが、これによってジオール成分に由来する副生成物、特にエチレングリコールに由来する副生成物が多くなってポリエステル共重合体の品質低下の一要因になる。また、前記再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートの残基が90重量%超過の場合には、ポリエステル共重合体の色品質および透明性が低下する問題がある。
【0024】
ポリエステル共重合体
本発明によるポリエステル共重合体は、上述した再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート、ジカルボン酸またはその誘導体、およびエチレングリコールおよび共単量体を共重合して製造することができる。この時、前記共重合は、エステル化反応(段階1)と重縮合反応(段階2)を順次に行うことができる。
【0025】
前記エステル化反応は、エステル化反応触媒の存在下で行い、亜鉛系化合物を含むエステル化反応触媒を使用することができる。このような亜鉛系触媒の具体例としては、亜鉛アセテート、亜鉛アセテートジハイドレート、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、またはその混合物が挙げられる。また、各出発物質の使用量は先に説明した通りである。
【0026】
前記エステル化反応は、0~10.0kg/cmの圧力および150~300℃の温度で行うことができる。前記エステル化反応条件は、製造されるポリエステルの具体的な特性、各成分の比率、または工程条件などにより適切に調節可能である。具体的には、前記エステル化反応条件の好ましい例として、0~5.0kg/cm、より好ましくは0.1~3.0kg/cmの圧力;200~270℃、より好ましくは240~260℃の温度が挙げられる。
【0027】
そして、前記エステル化反応は、バッチ(batch)式または連続式で行われ、それぞれの原料は別に投入されてもよいが、ジオール成分にジカルボン酸成分および再使用(recycled)ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを混合したスラリー状に投入することが好ましい。そして、常温で固形分のイソソルビドなどのジオール成分は、水またはエチレングリコールに溶解した後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分に混合してスラリーに作ることができる。あるいは、60℃以上でイソソルビドが溶融した後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分とその他のジオール成分とを混合してスラリーも作ることができる。また、前記混合されたスラリーに水を追加的に投入してスラリーの流動性増大にも寄与できる。
【0028】
前記重縮合反応は、前記エステル化反応生成物を150~300℃の温度および600~0.01mmHgの減圧条件で1~24時間反応させることによって行うことができる。
【0029】
このような重縮合反応は、150~300℃、好ましくは200~290℃、より好ましくは260~280℃の反応温度;および600~0.01mmHg、好ましくは200~0.05mmHg、より好ましくは100~0.1mmHgの減圧条件で行われる。前記重縮合反応の減圧条件を適用することによって、重縮合反応の副生成物であるグリコールを系外に除去することができ、これによって、前記重縮合反応が400~0.01mmHgの減圧条件範囲を超える場合、副生成物の除去が不十分でありうる。また、前記重縮合反応が150~300℃の温度範囲外で起こる場合、縮重合反応が150℃以下で進行すれば、重縮合反応の副生成物であるグリコールを効果的に系外に除去できず、最終反応生成物の固有粘度が低くて製造されるポリエステル樹脂の物性が低下し、300℃以上で反応が進行する場合、製造されるポリエステル樹脂の外観が黄変(yellow)する可能性が高まる。そして、前記重縮合反応は、最終反応生成物の固有粘度が適切な水準に達するまでに必要な時間、例えば、平均滞留時間1~24時間行われる。
【0030】
また、前記重縮合反応は、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物、またはこれらの混合物を含む重縮合触媒を使用することができる。
【0031】
前記チタン系化合物の例としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、2-エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタニウムジオキシドなどが挙げられる。前記ゲルマニウム系化合物の例としては、ゲルマニウムジオキシド、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムエチレングリコキシド、ゲルマニウムアセテート、これらを用いた共重合体、またはこれらの混合物などが挙げられる。好ましくは、ゲルマニウムジオキシドを使用することができ、このようなゲルマニウムジオキシドとしては、結晶性または非結晶性をすべて使用することができ、グリコール可溶性も使用可能である。
【0032】
一方、本発明によるポリエステル共重合体は、前記数式1の押出性係数が1以上の値を有するものを有する。後述する実施例のように、押出性係数が1以上の場合、押出加工時のrollのplate-out現象が減少し、outgasが減少して押出性に優れ、よって、押出加工性に優れていることを意味する。逆に、押出性係数が1未満の場合、押出加工時のrollのplate-out現象が増加して生産性が減少し、outgasが増加して製造されたsheetの品質に悪影響を及ぼす。
【0033】
好ましくは、本発明によるポリエステル共重合体は、前記数式1の押出性係数が1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、または10以上である。一方、前記押出性係数は、その値が高いほど押出加工性に優れていることを意味するので、その上限に理論的な制限はないが、一例として、200以下、190以下、180以下、170以下、160以下、150以下、140以下、130以下、120以下、110以下、または100以下であってもよい。
【0034】
一方、前記数式1中、変数A~Dの値は、各単位を除いた数値を適用する。例えば、変数Aに関連して、前記ポリエステル共重合体中の再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートから誘導される部分の含有量が50wt%の場合、Aは50になる。前記変数A~Dは、製造されたポリエステル共重合体の分析によりその値を得ることができ、具体的な方法は後述する実施例で具体化する。
【0035】
一方、前記変数Dは、前記ポリエステル共重合体中のオリゴマーの含有量(area/g)であり、具体的には、前記オリゴマーは、重量平均分子量が1,000以下の低分子を意味する。前記ポリエステル共重合体中のオリゴマーの含有量の測定方法は、後述する実施例で具体化する。
【0036】
また、本発明によるポリエステル共重合体は、固有粘度が0.50~1.0dl/gであり、好ましくは0.50~0.85dl/gであり、より好ましくは0.55~0.80dl/g、または0.60~0.80dl/gである。前記固有粘度の測定方法は、後述する実施例で具体化する。
【0037】
さらに、本発明は、前記ポリエステル共重合体を含む物品を提供する。
【0038】
上述した方法で製造されたポリエステル共重合体は、成形前のチップ、ペレットまたは粉末などの状態を有するだけでなく、押出または射出などの別の成形工程によって形成された成形品、例えば、フィルムまたはシート状などを有することができ、好ましくは、フィルム、熱収縮フィルム、シート、プロファイル、またはブローンフィルムである。
【発明の効果】
【0039】
上述した本発明によるポリエステル共重合体は、再使用単量体を含み、また、押出加工性に優れていて、各種物品、特にフィルムの製造に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0041】
実施例1
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、再使用ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート(689.8g;以下、「r-BHET」という)、TPA(terephthalic acid;2554.5g)、EG(ethylene glycol;755.4g)、CHDM(1,4-cyclohexanedimethanol;826.4g)、DEG(diethylene glycol;211.1g)を投入し、触媒としてTiO(1.0g)、安定剤としてリン酸(phosphoric acid、1.5g)、ブルートナーとしてClarient社製(0.006g)、およびレッドトナーとしてClarient社製(0.004g)を投入した。
【0042】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を260℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程で、カラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0043】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を265℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0044】
実施例2
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、r-BHET(2248.9g)、TPA(1202.5g)、EG(182.6g)、CHDM(734.8g)を投入し、触媒としてTiO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0045】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0046】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0047】
実施例3
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、r-BHET(3291.8g)、TPA(717.1g)、EG(21.4g)、CHDM(522.5g)、DEG(311.4g)を投入し、触媒としてTiO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)、ブルートナーとしてClarient社製(0.007g)、およびレッドトナーとしてClarient社製(0.004g)を投入した。
【0048】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0049】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0050】
実施例4
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、r-BHET(4388.5g)、TPA(151.0g)、EG(45.1g)、CHDM(261.9g)、DEG(239.0g)、CHDM誘導体(341.2g;i)4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、およびii)4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールを1:3のモル比で含む)を投入し、触媒としてGeO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)、ブルートナーとしてClarient社製(0.020g)、およびレッドトナーとしてClarient社製(0.008g)を投入した。
【0051】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より0.5kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1127.8mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、260℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を260℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0052】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.80dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0053】
実施例5
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、r-BHET(1005.9g)、DMT(dimethyl terephthalate;2304.9g)、EG(874.1g)、CHDM(707.2g)、DEG(231.3g)を投入し、触媒としてMn(II)acetate tetrahydrate(1.5g)およびSb(1.8g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.6g)を投入した。
【0054】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より0.1kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:833.6mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、240℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を240℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0055】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を265℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0056】
実施例6
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、r-BHET(2283.5g)、TPA(1221.0g)、IPA(isophthalic acid;1492.4g)、EG(185.5g)、CHDM(746.2g)を投入し、触媒としてGeO(1.0g)を投入した。
【0057】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0058】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0059】
比較例1
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、TPA(3005.3g)、EG(1088.8g)、CHDM(834.3g)、DEG(211.1g)を投入し、触媒としてTiO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)を投入した。
【0060】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げ、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0061】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を285℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0062】
比較例2
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、TPA(2780.6g)、EG(1495.5g)、CHDM(241.2g)、DEG(159.8g)、CHDM誘導体(341.2g;i)4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、およびii)4-(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメトキシメチル)シクロヘキシルメタノールを1:3のモル比で含む)を投入し、触媒としてTiO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)、呈色剤としてコバルトアセテート(cobalt acetate、0.7g)を投入した。
【0063】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、255℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0064】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を260℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.85dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0065】
比較例3
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、TPA(3631.3g)、EG(2780.3g)、DEG(159.7g)を投入し、触媒としてGeO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)を投入した。
【0066】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より1.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:1495.6mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、265℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0067】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、反応器の温度を275℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.60dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0068】
比較例4
カラムと、水によって冷却可能なコンデンサとが連結されている10L容積の反応器に、TPA(2300.2g)、NPG(neopentyl glycol;158.0g)、DEG(202.3g)を投入し、触媒としてGeO(1.0g)、安定剤としてリン酸(1.5g)を投入した。
【0069】
次に、反応器に窒素を注入して、反応器の圧力が常圧より2.0kgf/cmだけ高い加圧状態にした(絶対圧力:2231.1mmHg)。そして、反応器の温度を220℃まで90分かけて上げて、220℃で2時間維持した後、265℃まで2時間かけて上げた。その後、反応器内の混合物を肉眼で観察して混合物が透明になるまで、反応器の温度を255℃に維持してエステル化反応を進行させた。この過程でカラムとコンデンサとを経て副生成物が流出した。エステル化反応が完了すれば、加圧状態の反応器内の窒素を外部に排出して反応器の圧力を常圧に低下させた後、反応器内の混合物を真空反応可能な7L容積の反応器に移送させた。
【0070】
そして、反応器の圧力を常圧状態で5Torr(絶対圧力:5mmHg)まで30分かけて低下させ、同時に、応器の温度を280℃まで1時間かけて上げて、反応器の圧力を1Torr(絶対圧力:1mmHg)以下に維持しながら重縮合反応を実施した。重縮合反応の初期には撹拌速度を速く設定するが、重縮合反応の進行に伴う反応物の粘度上昇によって撹拌力が弱くなったり、または反応物の温度が設定した温度以上に上がる場合、撹拌速度を適切に調節することができる。前記重縮合反応は、反応器内の混合物(溶融物)の固有粘度(IV)が0.70dl/gになるまで進行させた。反応器内の混合物の固有粘度が所望の水準に到達すれば、混合物を反応器の外部に吐出してストランド(strand)化し、これを冷却液で固化後、平均重量が12~14mg程度となるように粒子化して、ポリエステル共重合体を製造した。
【0071】
実験例
前記実施例および比較例で製造した共重合体に対して、以下のように物性を評価した。
【0072】
1)残基組成
ポリエステル樹脂内のr-BHET由来の組成(wt%)およびジオール由来の残基組成(mol%)は、試料をCDCl溶媒に3mg/mLの濃度で溶解した後、核磁気共鳴装置(JEOL、600MHz FT-NMR)を用いて25℃で得られた1H-NMRスペクトルにより確認した。この時、ジオール由来の残基組成は、ジオールに由来するすべての残基の総組成対比、各具体的なジオール(DEGおよびCHDM)から遊離した残基のmol%で分析した。
【0073】
2)固有粘度
150℃のオルトクロロフェノール(OCP)に0.12%の濃度でポリエステル共重合体を溶解した後、35℃の恒温槽でウベローデ型粘度計を用いて固有粘度を測定した。具体的には、粘度管の温度を35℃に維持し、粘度管の特定の内部区間の間を溶媒(solvent)が通過するのにかかる時間(efflux time)tと、溶液(solution)が通過するのにかかる時間tとを求めた。以後、t値とt値を式1に代入して比粘度(specific viscosity)を算出し、算出された比粘度値を式2に代入して固有粘度を算出した。
【0074】
【数2】
【0075】
【数3】
【0076】
3)HPLC/残留acid、BHETの測定
High-performance liquid chromatography高性能液体クロマトグラフィーを用いて測定した。具体的には、Pellet試料中の未反応および残留するacidおよびdiolを定量するために、再沈法による残留monomer(TPA、DMT、BHET、IPAなど)の抽出を進行させた。
【0077】
HPLC用標準溶液は定量しようとするmonomer(TPA、BHET、DMT、IPAなど)0.01gをMeOH20mLに溶かした後(500μg/mL)、MeOHにに系列希釈して検量線試料の範囲に合うように希釈した。試料の前処理はpellet試料約0.1gをHFIP1mLに溶解して(shaker 180rpm1時間以上撹拌)、完全溶解確認後、MeOH3mlを入れて再沈した。
【0078】
また、液体クロマトグラフィー質量分析法を適用するためには移動相を設定しなければならないが、よって、移動相Aは蒸留水とHPOとを混合してpH2に製造し、移動相Bはacetonitrileを使用した。HPLC測定条件をまとめると、下記のとおりである。
【0079】
-Maker:Mightysil C18(4.0*250mm)、(5μm)
-Mobile phase:HO&HPO/acetonitrile(Gradient)
-Flow rate:1.2ml/min
-Wavelength for detection:242nm
-Retention time:about 30min
-Injection volume:10um
標準溶液で検量線を作成した後、相関係数(coefficient of correlation、r)を求めた。直線性は正確性/精度の試料の分析時に確認した。許容基準は最低定量限界で理論値と偏差が20%以内であり、最低定量限界以外の濃度で理論値と偏差が15%以内でなければならず、r(相関係数)が0.98以上でなければならない。
【0080】
4)GC total area/g
polymerの熱分解によるOligomerおよび単分子定量分析のために、気体クロマトグラフィーを活用して、下記の前処理条件で発生する気体物質を捕集して、グラフの全体area/gに換算した。
【0081】
前処理条件はpellet試料を260℃、air雰囲気で1時間加熱時に発生する物質をGC head spaceに捕集して、捕集される物質のtotal areaを定量化した(単位area/g)。Total area/gの数値が高いほど、pelletの内部に未反応の物質およびOligomerが多いことを意味し、また、熱分解によって発生する単分子量が増加することを示す。GCで検出されるOligomerのarea/gは、通常、分子量1000以下の物質を意味する。GC測定条件をまとめると、下記のとおりである。
【0082】
GC機器の条件
-Model:Triplus500(Thermo)
-Incubation temperature:260℃
-Incubation time:60min
-Loop temperature:260℃
-Loop volume:1mL
-Injection time:0.5min
-Injection mode:standard
5)押出性係数
上述したデータと本明細書の数式1を適用して、押出性係数を測定した。
【0083】
6)押出性
6-1)Plate-out評価
下記のspec.を有するBreyer設備を活用して、それぞれの実施例、比較例による試料を押出評価した。
【0084】
-Supplier:Breyer GmbH(Germany、December、2000)
-Main extruder:Single screw extruder with or without venting section
-Diameter:45mm
-L/D:33:1
260℃で0.25~1mmの厚さを有するsheetサンプルとなるように押出評価して、sheet押出を開始1時間経過後、押出が行われるrollのplate-out現象を官能評価した。官能評価はsheet押出後のrollの汚染度で以下のように評価した。
【0085】
-X:sheet押出後のroll汚染なし
-△:sheet押出後のroll汚染小幅発生
-○:sheet押出後のroll汚染あり
実施例および比較例として作製された試料で未反応monomer、残留monomerおよび熱分解によって発生するOligomer(total area/g)が多いほど、sheet押出時に発生する単分子が増加し、これはrollの汚染度を増加させて、sheet押出時に品質および生産性の低下を誘発する。
【0086】
5-2)Out-gas発生評価
同一の設備を活用して、実施例および比較例から作製された試料を押出評価し、それぞれのPelletが押出機の通過後、rollに圧着時に発生するout-gasに対して官能評価を進行させた。
【0087】
-◎:out gas発生なし/10分間隔で6回確認
-○:out gas発生ほとんどなし
-△:out gas小幅発生
-X:out gas持続的に発生
7)延伸性
押出されたsheetの品質を評価するために、前記製造したポリエステルフィルム(0.25um)を10cmx10cmの正方形に裁断し、延伸比(DR)がMD:TD=1:5、延伸温度75~95℃で再加熱しながら延伸を進行させた。
【0088】
ポリエステルフィルムの品質が低下する場合、フィルムの表面が均一でなく、延伸フィルムにfish eyeが発生する場合、fish eyeが発生した部分の延伸は不均一に行われ、この場合、延伸フィルムの品質に影響を与えて、延伸フィルムの所望の収縮率を確保しにくい。
【0089】
前記製造したポリエステルシートを10cmx10cmの正方形に裁断し、延伸比(DR)がMD:TD=1:5を有するようにした延伸したフィルム内で肉眼でFish eye官能評価した。
【0090】
-X:fish eyeほとんどなし
-△:fish eye小幅発生
-○:延伸不均一
前記結果を下記表1に示した。
【0091】
【表1】
【国際調査報告】