(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】がんを処置するための組合せ療法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20241008BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20241008BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241008BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241008BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20241008BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K31/496
A61K31/5377
A61K31/517
A61K31/454
A61P35/00
A61P35/02
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520818
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2022059456
(87)【国際公開番号】W WO2023057893
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ロクサーヌ、カチョッポ
(72)【発明者】
【氏名】アイラ、グプタ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン、クレーマー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー、リン
(72)【発明者】
【氏名】プラニ、パカ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ、パルンボ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、エイ、シェルトン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA07
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC75
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4C085AA21
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4C085EE03
4C085EE06
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC22
4C086BC46
4C086BC50
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA07
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
がんを処置するための方法および材料が本明細書に開示される。本開示は、がんを有する対象を処置するために、1種または2種以上の抗原結合性タンパク質(例えば、抗B細胞成熟抗原(BCMA)抗原結合性タンパク質)と、1種または2種以上のセレブロンE3リガーゼモジュレーター(CELMOD)とを使用するための方法および材料をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.抗BCMA抗原結合性タンパク質;および
b.セレブロンE3リガーゼモジュレーター(CELMOD)
を含む組合せ物。
【請求項2】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、抗体を含む、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項2に記載の組合せ物。
【請求項4】
前記モノクローナル抗体が、IgG1である、請求項3に記載の組合せ物。
【請求項5】
前記抗体が、脱フコシル化されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項6】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、抗BCMA抗原結合性ヒトタンパク質、抗BCMA抗原結合性ヒト化タンパク質または抗BCMA抗原結合性キメラタンパク質である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項7】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDRL2;および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項8】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項9】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(H)および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(L)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項10】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、免疫複合体である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項11】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、細胞毒素にコンジュゲートされた抗体を含む免疫複合体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項12】
前記細胞毒素が、MMAEまたはMMAFである、請求項11に記載の組合せ物。
【請求項13】
前記細胞毒素が、MMAFである、請求項12に記載の組合せ物。
【請求項14】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、ベランタマブマホドチンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項15】
前記組合せ物が、少なくとも約0.95mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.9mg/kg、少なくとも約2.5mg/kgまたは少なくとも約3.4mg/kgのベランタマブマホドチンを含む、請求項14に記載の組合せ物。
【請求項16】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、1000ダルトン未満の分子量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項17】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、Ikarosタンパク質、Aiolosタンパク質またはそれらの組合せを分解する、請求項1~16のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項18】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、セレブロンに対して1μM未満のIC
50値を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項19】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、メジグドミド(CC-92480)もしくはその薬学的に許容可能な塩、イベルドミド(CC-220)もしくはその薬学的に許容可能な塩、アバドミド(CC-122)もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-90009もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-99282もしくはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項20】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、メジグドミドまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項21】
前記組合せ物が、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mgまたは少なくとも約1mgのメジグドミドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項20に記載の組合せ物。
【請求項22】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、イベルドミドまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項23】
前記組合せ物が、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.1mg、少なくとも約1.2mgまたは少なくとも約1.3mgのイベルドミドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項22に記載の組合せ物。
【請求項24】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、GSPT1を分解する、請求項1~18のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項25】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、CC-90009またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項24に記載の組合せ物。
【請求項26】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、アバドミドまたはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項27】
前記セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、CC-99282またはその薬学的に許容可能な塩である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項28】
前記組合せ物が、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項29】
前記組合せ物が、アジュバントをさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項30】
前記組合せ物が、前記抗BCMA抗原結合性タンパク質と免疫調節薬(IMiD)との組合せ物よりも抗がん活性においてより相乗的である、請求項1~29のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項31】
前記IMiDが、ボルテゾミブもしくはその薬学的に許容可能な塩、ポマリドミドもしくはその薬学的に許容可能な塩、レナリドミドもしくはその薬学的に許容可能な塩、デキサメタゾンもしくはその薬学的に許容可能な塩、またはサリドマイドもしくはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項30に記載の組合せ物。
【請求項32】
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、請求項1~31のいずれか一項に記載の組合せ物の治療有効用量を対象に投与することを含む方法。
【請求項33】
前記がんが、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症および非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが、再発性および/または難治性の多発性骨髄腫である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、少なくとも1回、以前にがん処置を受けたことがある、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記治療有効用量が、3、4、6または8週毎に少なくとも約1回、前記対象に投与される、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記組合せ物の治療有効用量を投与することが、前記抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効量を単独で投与することに比べて、眼毒性を減少させる、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、ベランタマブマホドチンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記眼毒性が、角膜上皮の変化、ドライアイ、炎症、充血、目のかすみ、ドライアイ、羞明または視力の変化のうちの少なくとも1つである、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記眼毒性が、最良矯正視力、顕性屈折の記録と最良矯正視力を得るために使用された方法、現在の眼鏡処方(該当する場合)、眼圧測定、角膜のフルオレセイン染色と水晶体検査とを含む前眼部(細隙灯)検査、散瞳眼底検査、または眼表面疾患指数(OSDI)のうちの少なくとも1つの方法によって測定される、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記抗BCMA抗原結合性タンパク質が、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.95mg/kg、少なくとも約1.25mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.7mg/kg、少なくとも約2.5mg/kgまたは少なくとも約3.4mg/kgの用量で対象に投与される、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
がんの処置のための医薬の製造に使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項44】
がんの処置に使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載の組合せ物。
【請求項45】
a.請求項1~31のいずれか一項に記載の組合せ物;および
b.がんの処置に使用するための説明書
を含む、がんの処置に使用するためのキット。
【請求項46】
請求項1~31のいずれか一項に記載の組合せ物を含む、プレフィルドシリンジまたは自動注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月5日に出願された米国特許出願第63/252,479号に対する優先権を主張するものであり、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年9月22日に作成された前記のASCIIコピーは、054624-09-5022-WO_Sequence_Listing.xmlという名称であり、サイズはおよそ32.5キロバイトである。
【0003】
本開示は、がんを処置するための方法および材料に関する。例えば、本開示は、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために、1種または2種以上の抗体-薬物複合体(ADC)と、1種または2種以上のセレブロンE3リガーゼモジュレーター(CELMOD)とを使用するための方法および材料を提供する。本開示はさらに、がんを有する対象を処置するために、1種または2種以上の抗原結合性タンパク質(例えば、抗B細胞成熟抗原(BCMA)抗原結合性タンパク質)と、1種または2種以上のCELMODとを使用するための方法および材料を提供する。
【背景技術】
【0004】
多発性骨髄腫(MM)は、完治不能な悪性腫瘍であり、すべての癌の1%、およびすべての血液悪性腫瘍の10%を占める。種々の薬物および組合せ処置が評価され、多発性骨髄腫の処置に有効であることが見出されている。しかし、これらの患者のすべてではないにしても大部分は、必然的に再発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、免疫療法の分野において、自己免疫疾患およびがんをより効率的に処置するための、代替的なまたは改良された組成物および方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、がんを処置するための方法および材料を提供する。例えば、本開示は、がんを有する対象を処置するために、1種または2種以上の分子を使用するための方法および材料であって、各分子が、(i)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質または抗体-薬物複合体(ADC)、および(ii)1種または2種以上のセレブロンE3リガーゼモジュレーター(CELMOD)を含む、方法および材料を提供する。いくつかの場合において、哺乳動物(例えば、ヒト、例えば、がんを有するヒト)は、(a)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質またはADC、および(b)1種または2種以上のCELMODを含む、本明細書に開示される組合せ処置を投与され得る。
【0007】
本明細書には、抗BCMA抗原結合性タンパク質とCELMODとを含む組合せ物が開示される。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、抗体を含み得る。いくつかの場合において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの場合において、モノクローナル抗体は、IgG1である。いくつかの実施形態において、抗体は、エフェクター機能を強化するために修飾されている。いくつかの場合において、抗体は、脱フコシル化されている。いくつかの実施形態において、抗体は、フコシル化されている。いくつかの実施形態において、抗体は、シアル酸化(sialylated)されている。いくつかの実施形態において、抗体は、グルコシル化されている。いくつかの実施形態において、抗体は、グリコシル化されている。いくつかの実施形態において、抗体は、ガラクトシル化されている。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、抗BCMA抗原結合性ヒトタンパク質、抗BCMA抗原結合性ヒト化タンパク質または抗BCMA抗原結合性キメラタンパク質である。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDRL2;および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含み得る。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含み得る。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(H)および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(L)を含み得る。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、免疫複合体である。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、細胞毒素にコンジュゲートされた抗体を含む免疫複合体である。いくつかの場合において、細胞毒素は、MMAEまたはMMAFである。いくつかの場合において、細胞毒素は、MMAFである。いくつかの実施形態において、細胞毒素は、AFP、AEB、AEVBまたはアウリスタチンEである。いくつかの実施形態において、細胞毒素は、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、CC-1065、SN-38、トポテカン(topotecan)、モルホリノ-ドキソルビシン(morpholino-doxorubicin)、リゾキシン(rhizoxin)、シアノモルホリノ-ドキソルビシン(cyanomorpholino-doxorubicin)、ドラスタチン-10(dolastatin-10)、エキノマイシン(echinomycin)、コンブレタスタチン(combretatstatin)、カリケアマイシン(calicheamicin)またはネトロプシン(netropsin)である。いくつかの実施形態において、細胞毒素は、アウリスタチン(auristatin)、メイタンシノイド(maytansinoid)またはカリケアマイシン(calicheamicin)である。いくつかの実施形態において、細胞毒素は、AFP、MMAP、ビンクリスチン(vincristine)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンデシン(vindesine)、ビノレルビン(vinorelbine)、VP-16、カンプトテシン(camptothecin)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、エポチロンA(epothilone A)、エポチロンB(epothilone B)、ノコダゾール(nocodazole)、コルヒチン(colchicines)、コルシミド(colcimid)、エストラムスチン(estramustine)、セマドチン(cemadotin)、ジスコデルモリド(discodermolide)、メイタンシノール(maytansinol)、メイタンシン(maytasine)、DM1、DM2、DM3、DM4またはエレウテロビン(eleutherobin)である。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、ベランタマブマホドチン(belantamab mafodotin)である。いくつかの場合ににおいて、ベランタマブマホドチンは、組合せ物中に、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.95mg/kg、少なくとも約1.25mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.7mg/kg、少なくとも約2.5mg/kgまたは少なくとも約3.4mg/kgの用量(dose)で存在する。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量(therapeutically effective dose)は、0.95mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.0mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.4mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.9mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.92mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、2.5mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、3.4mg/kgである。いくつかの場合において、組合せ物は、薬学的に許容可能な担体を含み得る。いくつかの場合において、組合せ物は、アジュバントをさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCELMODは、メジグドミド(mezigdomide)(CC-92480)もしくはその薬学的に許容可能な塩、イベルドミド(iberdomide)(CC-220)もしくはその薬学的に許容可能な塩、アバドミド(avadomide)(CC-122)もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-90009もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-99282もしくはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の組合せである。いくつかの場合において、本明細書に開示されるCELMODは、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.1mg、少なくとも約1.2mgまたは少なくとも約1.3mgの用量(dose)で対象に投与される。
【0008】
本明細書には、がんを処置する方法が開示される。いくつかの場合において、本方法は、本明細書に開示される組合せ物の治療有効用量(therapeutically effective dose)を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるがんの処置を含み得る。いくつかの場合において、がんは、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症および非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される。いくつかの場合において、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの場合において、がんは再発性および/または難治性の多発性骨髄腫である。いくつかの場合において、対象は、少なくとも1回、以前にがん処置を受けたことがある。いくつかの場合において、組合せ物の治療有効用量は、1~60日毎に少なくとも約1回、対象に投与される。いくつかの場合において、組合せ物の治療有効用量は、3、4、6または8週毎(例えば、21日毎)に少なくとも約1回、対象に投与される。いくつかの場合において、組合せ物の治療有効用量は、8日毎に少なくとも約1回、対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、毎週、対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、2週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、3週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、4週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、5週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、6週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量の投与量(dosage)は、初回の投与の後に、本明細書に記載される、より低い用量へと段階的に減らされる。いくつかの場合において、組合せ物の治療有効用量を投与することは、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効量を単独で投与することに比べて、眼毒性を減少させる。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、ベランタマブマホドチンである。いくつかの場合において、眼毒性は、角膜上皮の変化、ドライアイ、炎症(irritation)、充血(redness)、目のかすみ(blurred vision)、ドライアイ、羞明(photophobia)または視力の変化のうちの少なくとも1つである。いくつかの場合において、眼毒性は、最良矯正視力(best corrected visual acuity)、顕性屈折の記録と最良矯正視力を得るために使用された方法(documentation of manifest refraction and the method used to obtain best corrected visual acuity)、現在の眼鏡処方(current glasses prescription)(該当する場合)、眼圧測定(intraocular pressure measurement)、角膜のフルオレセイン染色と水晶体検査とを含む前眼部(細隙灯)検査(anterior segment (slit lamp) examination including fluorescein staining of the cornea and lens examination)、散瞳眼底検査(dilated funduscopic examination)、または眼表面疾患指数(ocular surface disease index)(OSDI)のうちの少なくとも1つの方法によって測定される。いくつかの場合において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.95mg/kg、少なくとも約1.25mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約1.7mg/kg、少なくとも約2.5mg/kg、少なくとも約3.4mg/kgまたは少なくとも約4.6mg/kgの用量(dose)で、対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、0.95mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.0mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.4mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.9mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.92mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、2.5mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、3.4mg/kgである。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、毎週、対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、2週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、3週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、4週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、5週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、6週毎に対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量の投与量は、初回の投与の後に、本明細書に記載される、より低い用量へと段階的に減らされる。いくつかの実施形態において、2.5mg/kgまたは3.4mg/kgという抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量の投与量は、1.9mg/kgという用量へと段階的に減らされる。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1日目、8日目、およびその後は3~12週毎に対象に投与される。いくつかの場合において、組合せ物は、アジュバントをさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCELMODは、メジグドミド(CC-92480)もしくはその薬学的に許容可能な塩、イベルドミド(CC-220)もしくはその薬学的に許容可能な塩、アバドミド(CC-122)もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-90009もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-99282もしくはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の組合せである。いくつかの場合において、本明細書に開示されるCELMODは、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.1mg、少なくとも約1.2mgまたは少なくとも約1.3mgの用量(dose)で、対象に投与される。
【0009】
本明細書には、使用のための医薬の製造が開示される。いくつかの場合において、本明細書には、がんの処置のための医薬の製造に使用するための組合せ物が開示される。本明細書には、がんの処置のための本明細書に開示される組合せ物の使用が開示される。
【0010】
本明細書には、キットが開示される。いくつかの場合において、本明細書に開示されるキットは、がんの処置に使用するためのものである。いくつかの場合において、本明細書に開示されるキットは、本明細書に開示される組合せ物と、がんの処置に使用するための説明書とを含み得る。
【0011】
本明細書には、プレフィルドシリンジ(pre-filled syringe)または自動注射装置(autoinjector device)である。いくつかの場合において、本明細書に開示されるプレフィルドシリンジまたは自動注射装置は、本明細書に開示される組合せ物を含み得る。
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料を使用して本発明を実施することができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。加えて、材料、方法および例は、例示的であるに過ぎず、限定することを意図していない。
【0013】
本発明の1つまたは2つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付の説明に記載される。本発明のその他の特徴、目的および利点は、その説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
組合せ物(Combination)
本開示は、がんを処置するための方法および材料を提供する。いくつかの場合において、本明細書には、がんまたはその他のB細胞媒介性の疾患もしくは障害を処置するのに使用するための、抗BCMA抗原結合性タンパク質とCELMODとを含む組合せ物が開示される。
【0015】
本明細書に記載される「組合せ物」という用語は、少なくとも2種の治療剤を指す。本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、組織、系、動物、哺乳動物、ヒトまたはその他の対象において所望の効果を生じさせる物質を意味すると理解される。一実施形態において、組合せ物は、追加の治療剤、例えば、追加のがん治療剤などを含むことができる。一実施形態において、追加のがん治療剤は、免疫調節イミド薬(immunomodulatory imide drug)(IMiD)、例えば、サリドマイド(thalidomide)、レナリドミド(lenalidomide)、ポマリドミド(pomalidomide)、アプレミラスト(apremilast)、サリドマイド(thalidomide)もしくはその他のサリドマイド類似体(thalidomide analog)、ボルテゾミブ(bortezomib)、デキサメタゾン(dexamethasone)、またはそれらのいずれかの薬学的に許容可能な塩であり得る。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、カルフィルゾミブ(carfilzomib)、ダラツムマブ(daratumumab)、イサツキシマブ(isatuximab)、イキサゾミブ(ixazomib)、オプロゾミブ(oprozomib)、マリゾミブ(marizomib)、またはそれらのいずれかの薬学的に許容可能な塩であり得る。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、PD-1阻害剤である。いくつかの場合において、PD-1阻害剤は、PDR001、ニボルマブ(Nivolumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、ピディリズマブ(Pidilizumab)、MEDI0680、REGN2810、TSR-042、PF-06801591およびAMP-224からなる群から選択される。いくつかの場合において、PD-1阻害剤は、ジェンペルリ(Jemperli)である。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、PD-L1阻害剤である。いくつかの場合において、PD-L1阻害剤は、FAZ053、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、アベルマブ(Avelumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)およびBMS-93655からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、CTLA-4阻害剤である。いくつかの場合において、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(Ipilimumab)またはトレメリムマブ(Tremelimumab)である。いくつかの場合において、追加のがん治療剤は、TIM-3阻害剤である。いくつかの場合において、TIM-3阻害剤は、MGB453またはTSR-022である。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、LAG-3阻害剤である。いくつかの場合において、LAG-3阻害剤は、LAG525、BMS-986016およびTSR-033からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、mTOR阻害剤である。いくつかの場合において、mTOR阻害剤は、RAD001またはラパマイシン(rapamycin)である。
【0016】
本明細書に開示される組合せ物の投与は、単一の治療剤のみの個々の投与と比較した場合に、組合せ物が、以下の改善された特性:i)最も活性のある単一の薬剤よりも大きな抗がん効果、ii)相乗的または高度に相乗的な抗がん活性、iii)低下した副作用プロファイルを伴う強化された抗がん活性を提供する投薬プロトコール、iv)毒性作用プロファイルの低下、v)治療域の増大、またはvi)治療剤の一方もしくは両方のバイオアベイラビリティの増大のうちの1つまたは2つ以上を提供し得るという点で、個々の治療剤よりも有利であり得る。
【0017】
本明細書に記載される組合せ物は、医薬組成物の形態であり得る。「医薬組成物」は、本明細書に記載される組合せ物と、1種または2種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含有する。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤のその他の成分と適合性があり、医薬製剤化が可能であり、かつそのレシピエントに有害ではないという意味で、許容可能でなければならない。一実施形態において、組合せ物中の各治療剤は、それ自体の医薬組成物へと個別に製剤化されて、医薬組成物のそれぞれが、がんを処置するために投与され得る。この実施形態において、医薬組成物のそれぞれは、同一または異なる担体、希釈剤または賦形剤を有し得る。
【0018】
抗BCMA抗原結合性タンパク質
本明細書で使用される場合、「抗BCMA抗原結合性タンパク質」という用語は、BCMAに結合することができる抗体およびその他のタンパク質構築物、例えば、ドメインを指す。「BCMA結合性タンパク質」および「抗BCMA抗原結合性タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0019】
本明細書に記載される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、例えば、GenBank受託番号Q02223.2のアミノ酸配列を含むヒトBCMA、またはそれに対して少なくとも90パーセントの相同性もしくは少なくとも90パーセントの同一性を有するヒトBCMAをコードする遺伝子を含む、ヒトBCMAに結合することができる。
【0020】
例示的な抗BCMA抗原結合性タンパク質およびそれを作製する方法は、WO2012/163805に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらなる例示的な抗BCMA抗原結合性タンパク質としては、WO2016/014789、WO2016/090320、WO2016/090327、WO2016/020332、WO2016/079177、WO2014/122143、WO2014/122144、WO2017/021450、WO2016/014565、WO2014/068079、WO2015/166649、WO2015/158671、WO2015/052536、WO2014/140248、WO2013/072415、WO2013/072406、WO2014/089335、US2017/165373、WO2013/154760、WO2018/201051およびWO2017/051068に記載されているものが挙げられ、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「抗原結合性タンパク質」という用語は、抗原に結合することができる、抗体およびその他のタンパク質構築物、例えば、ドメインを指す。
【0022】
「抗体」という用語は、本明細書において、免疫グロブリン様ドメイン(例えば、IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE)を有する分子を指すために最も広い意味で使用され、これは、モノクローナル抗体、組換え抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体を含む多重特異性抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体;単一可変ドメイン(例えば、ドメイン抗体(DAB))、抗原結合性抗体断片、Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド連結Fv、一本鎖Fv、ジスルフィド連結scFv、ダイアボディ、TANDABSなど、および前記のもののいずれかの改変バージョンを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるBCMA結合性タンパク質は、ラット、マウス、霊長類(例えば、カニクイザル、旧世界ザルまたは大型類人猿)またはヒトに由来し得る。BCMA結合性タンパク質は、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であってもよい。BCMA結合性タンパク質は定常領域を含むことができ、これは任意のアイソタイプまたはサブクラスのものであってもよい。定常領域は、IgGアイソタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはそれらのバリアントのものであってもよい。BCMA結合性タンパク質定常領域は、IgG1であってもよい。
【0024】
「完全」、「全」または「インタクト」抗体という用語は、本明細書において互換的に使用され、ヘテロ四量体糖タンパク質を指す。インタクト抗体は、ジスルフィド共有結合によって連結された2つの同一の重鎖(HC)および2つの同一の軽鎖(LC)から構成され得る。このH2L2構造は、フォールディングして、「Fab」断片として知られる2つの抗原結合性断片と、「Fc」結晶化可能断片とを含む、3つの機能的ドメインを形成する。Fab断片は、アミノ末端にある可変ドメイン、可変重鎖(VH)または可変軽鎖(VL)と、カルボキシル末端にある定常ドメイン、CH1(重鎖)およびCL(軽鎖)から構成され得る。Fc断片は、対になったCH2およびCH3領域の二量体化によって形成される2つのドメインから構成され得る。Fcは、免疫細胞上の受容体への結合により、または古典的補体経路の第1成分であるC1qへの結合により、エフェクター機能を誘発することができる。IgM、IgA、IgG、IgEおよびIgDという抗体の5種のクラスは、それぞれμ、α、γ、εおよびδと呼ばれる別個の重鎖アミノ酸配列によって定義され、各重鎖はκまたはλ軽鎖のいずれかと対を形成することができる。血清中の抗体の大部分はIgGクラスに属し、ヒトIgGには4種のアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)があり、それらの配列は主にヒンジ領域で異なる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」は、±10%を意味する。
【0026】
完全ヒト抗体は、さまざまな方法を使用して、例えば、ヒト抗体のレパートリーを産生することができる酵母ベースのライブラリーまたはトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用して、得ることができる。目的の抗原に結合するヒト抗体を表面に提示する酵母は、FACS(蛍光活性化細胞選別)ベースの方法を使用して、または標識された抗原を使用するビーズ上での捕捉によって選択することができる。ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するように改変されたトランスジェニック動物は、目的の抗原およびB細胞選別手法を使用して単離された抗原特異的ヒト抗体により免疫化することができる。続いて、これらの手法を使用して産生されたヒト抗体は、所望の特性、例えば、親和性、開発可能性および選択性について特徴付けられ得る。
【0027】
いくつかの態様では、代替的な抗体形式を使用することができる。代替的な抗体形式は、BCMA抗体の1つまたは2つ以上のCDRが、好適な非免疫グロブリンタンパク質スキャフォールドまたは骨格、例えば、アフィボディ、SpAスキャフォールド、LDL受容体クラスAドメイン、アビマー(例えば、米国特許出願公開第2005/0053973号、同第2005/0089932号、同第2005/0164301号を参照)またはEGFドメインの上に配置され得る代替的なスキャフォールドを含む。
【0028】
「ドメイン」という用語は、ポリペプチドの残りの部分とは独立に、その三次構造を保持する折り畳まれたポリペプチド構造を指す。一般に、ドメインは、ポリペプチドの個別の機能的特性を担い、多くの場合には、タンパク質の残りの部分および/またはドメインの残りの部分の機能を失うことなく、追加されること、除去されること、またはその他のポリペプチドに移行されることが可能である。
【0029】
「単一可変ドメイン」という用語は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含む、折り畳まれたポリペプチドドメインを指す。これは、完全な抗体可変ドメイン、例えば、VH、VHHおよびVL、ならびに改変された抗体可変ドメイン、例えば、1つもしくは2つ以上のループが抗体可変ドメインの特徴ではない配列によって置き換えられているもの、または短縮されているか、もしくはN末端もしくはC末端伸長を含む抗体可変ドメイン、ならびに完全長ドメインの少なくとも結合活性および特異性を保持する可変ドメインの折り畳まれた断片を含み得る。単一可変ドメインは、異なる可変領域またはドメインとは独立して、抗原またはエピトープに結合することができる。「ドメイン抗体」または「DAB」は、「単一可変ドメイン」と同じであるとみなされ得る。単一可変ドメインは、ヒト単一可変ドメインであり得るが、その他の種、例えば、齧歯類(例えば、WO00/29004A1に開示されているように)、テンジクザメおよびラクダ科(Camelid)のVHH DABに由来する単一可変ドメインも含み得る。ラクダ科のVHHは、ラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダおよびグアナコを含む種に由来する免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドであり、これらは軽鎖を天然に欠く重鎖抗体を生じる。そのようなVHHドメインは、当技術分野で利用可能な標準的な手法に従ってヒト化することができ、そのようなドメインは「単一可変ドメイン」とみなすことができる。本明細書で使用される場合、VHは、ラクダ科VHHドメインを含む。
【0030】
抗原結合性断片、BCMA結合性タンパク質断片、機能性断片、生物学的活性断片または免疫学的有効断片は、部分的な重鎖または軽鎖可変配列を含むことができる。断片は、長さが少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8または少なくとも10アミノ酸長であり得る。あるいは、断片は、長さが少なくとも15、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも75または少なくとも100アミノ酸長であり得る。
【0031】
抗原結合性断片は、非抗体タンパク質スキャフォールド上に1つまたは2つ以上のCDRを配置することによって提供することができる。本明細書で使用される場合、「タンパク質スキャフォールド」は、限定されるものではないが、免疫グロブリン(Ig)スキャフォールド、例えば、IgGスキャフォールドを含み、4本鎖抗体または2本鎖抗体であってもよく、または抗体のFc領域のみを含んでいてもよく、抗体からの1つもしくは2つ以上の定常領域を含んでいてもよく、この定常領域はヒトもしくは霊長類由来であってもよく、またはヒトおよび霊長類の定常領域の人工的キメラであってもよい。
【0032】
タンパク質スキャフォールドは、Igスキャフォールド、例えば、IgGまたはIgAスキャフォールドであってもよい。IgGスキャフォールドは、抗体(すなわち、CH1、CH2、CH3、VH、VL)の一部またはすべてのドメインを含んでいてもよい。本明細書に開示される抗原結合性タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはIgG4PEから選択されるIgGスキャフォールドを含んでいてもよい。例えば、スキャフォールドはIgG1であってもよい。スキャフォールドは、抗体のFc領域からなってもよく、または抗体のFc領域を含んでいてもよく、またはその一部であってもよい。
【0033】
タンパク質スキャフォールドは、CTLA-4、リポカリン、プロテインA由来の分子、例えば、プロテインAのZドメイン(アフィボディ、SpA)、Aドメイン(アビマー/マキシボディ);熱ショックタンパク質、例えば、GroELおよびGroES;トランスフェリン(トランス体);アンキリンリピートタンパク質(DARPin);ペプチドアプタマー;C型レクチンドメイン(テトラネクチン);ヒトγ-クリスタリンおよびヒトユビキチン(アフィリン);PDZドメイン;ヒトプロテアーゼ阻害剤のサソリ毒Knitz型ドメイン;ならびにフィブロネクチン/アドネクチンからなる群から選択されるスキャフォールドの誘導体であってもよく、これらは天然リガンド以外の抗原への結合を得るためにタンパク質操作を受けている。
【0034】
「抗原結合部位」という用語は、抗原に特異的に結合することができる抗原結合性タンパク質上の部位を指し、これは単一可変ドメインであってもよく、または標準的な抗体上に見られる対になったVH/VLドメインであってもよい。一本鎖Fv(ScFv)ドメインもまた、抗原結合部位を提供することができる。
【0035】
多重特異性抗原結合性タンパク質という用語は、少なくとも2種の異なる抗原結合部位を含む抗原結合性タンパク質を指す。これらの抗原結合部位のそれぞれは、異なるエピトープに結合することができ、これらのエピトープは同一の抗原上または異なる抗原上に存在し得る。多重特異性抗原結合性タンパク質は、2種以上の抗原、例えば、2種の抗原、3種の抗原または4種の抗原に対する特異性を有し得る。
【0036】
二重特異性抗体の分類および形式は、Labrijnら(2019年)およびBrinkmannとKontermann(2017年)による総説に包括的に記載されている。二重特異性は一般に、対称構造または非対称構造を有するものとして分類される。二重特異性は、Fcを有する場合もあれば、または断片ベース(Fcを欠く)の場合もある。断片ベースの二重特異性は、Fc領域を有しない1つの分子中に複数の抗原結合性抗体断片を組合わせており、例えば、Fab-scFv、Fab-scFv2、オルソゴナルFab-Fab、Fab-Fv、タンデムscFc(例えば、BiTEおよびBiKE分子)、ダイアボディ、DART、TandAb、scダイアボディ、タンデムdAbなどがある。
【0037】
対称的な形式は、断片ベース形式および抗体断片が通常の抗体分子と融合される形式のFc融合タンパク質を含む単一ポリペプチド鎖または単一HLペアの中に複数の結合特異性を組合わせている。対称形式の例としては、DVD-Ig、TVD-Ig、CODV-Ig、(scFv)4-Fc、IgG-(scFv)2、四価DART-Fc、F(ab)4CrossMab、IgG-HC-scFv、IgG-LC-scFv、mAb-dAbなどが挙げられる。
【0038】
非対称的な形式は、正しいHL鎖の対形成を強制すること、および/または3つ(共通の重鎖または軽鎖が使用される場合)もしくは4つのポリペプチド鎖の共発現中にH鎖のヘテロ二量体化を促進することによって、天然抗体のネイティブ構造を可能な限り忠実に保持し、例えば、Triomab、非対称リエンジニアリング技術免疫グロブリン(ART-Ig)、CrossMab、Biclonics共通軽鎖、ZW1共通軽鎖、DuoBodyおよびノブ・イントゥー・ホール(knobs into holes)(KiH)、DuetMab、κλbody、Xmab、YBODY、HET-mAb、HET-Fab、DART-Fc、SEEDbody、マウス/ラットキメラIgGがある。
【0039】
二重特異性形式としてはまた、非Igスキャフォールドと融合された抗体、例えば、Affimab、Fynomab、Zybodyおよびアンチカリン-IgG融合体、ImmTACが挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗原結合性タンパク質は、多重特異性抗原結合性タンパク質である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗原受容体」(「CAR」)という用語は、細胞外抗原結合性ドメイン(これは通常、モノクローナル抗体またはその断片、例えば、scFvの形態にあるVHドメインおよびVLドメインに由来する)、場合によりスペーサー領域、膜貫通領域、および1つまたは2つ以上の細胞内エフェクタードメインからなる、操作された受容体を指す。CARはまた、キメラT細胞受容体またはキメラ免疫受容体(CIR)とも称されてきた。CARは、造血細胞、例えば、T細胞に遺伝的に導入されて、T細胞特異性を所望の細胞表面抗原に対して向け直すことができ、その結果、CAR-T治療薬となる。いくつかの実施形態において、CARは、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質を含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、「スペーサー領域」という用語は、膜貫通ドメインを標的結合性ドメインに連結するように機能するオリゴペプチドまたはポリペプチドを指す。この領域はまた、「ヒンジ領域」または「ストーク領域」とも称され得る。スペーサーのサイズは、CAR:標的の結合時に設定距離(例えば、14nm)を維持するために、標的エピトープの位置に応じて変化させることができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「膜貫通ドメイン」という用語は、細胞膜を横断するCAR分子の部分を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「細胞内エフェクタードメイン」(「シグナル伝達ドメイン」とも称される)という用語は、抗原結合性ドメインの標的への結合後の細胞内シグナル伝達を担うCAR中のドメインを指す。細胞内エフェクタードメインは、CARが発現される免疫細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化を担い得る。例えば、T細胞のエフェクター機能は、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性またはヘルパー活性であり得る。
【0044】
本明細書に開示されるVHおよび/またはVLドメインが、例えば、scFvの形態で、CAR-T治療薬に組み込まれ得ることは、当業者には理解されるであろう。
【0045】
親和性は、「結合親和性」とも称され、単一の相互作用部位での、すなわち、1つの分子、例えば、本明細書に開示されるBCMA結合性タンパク質の、別の分子、例えば、その標的抗原への、単一の結合部位での結合の強度である。抗原結合性タンパク質のその標的への結合親和性は、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはラジオイムノアッセイ(RIA))または動態学(例えば、BIACORE分析)によって決定することができる。
【0046】
アビディティは、機能的親和性とも称され、複数の相互作用部位での結合の累積強度であり、例えば、相互作用の結合価を考慮に入れた上で、2つの分子(または3つ以上、例えば、二重特異性または多重特異性分子の場合)が複数の部位で互いに結合する強度の総和である。
【0047】
一実施形態において、本明細書に開示される抗原結合性タンパク質-抗原相互作用の平衡解離定数(KD)は、100nM以下、10nM以下、2nM以下または1nM以下であり得る。あるいは、KDは、5~10nMまたは1~2nMであり得る。KDは、1pM~500pMまたは500pM~1nMであり得る。当業者は、KDの数値が小さいほど結合が強いことを認識するであろう。KDの逆数(すなわち、1/KD)は、単位M-1を有する平衡会合定数(KA)である。当業者は、KAの数値が大きいほど結合が強いことを理解するであろう。
【0048】
解離速度定数(kd)または「オフ速度」は、抗原結合性タンパク質-複合体の安定性、すなわち、1秒当たりに崩壊する複合体の割合を表す。例えば、0.01s-1のkdは、1秒当たり複合体の1%が崩壊することに等しい。一実施形態において、解離速度定数(kd)は、1×10-3s-1以下、1×10-4s-1以下、1×10-5s-1以下または1×10-6s-1以下であり得る。kdは、1×10-5s-1~1×10-4s-1または1×10-4s-1~1×10-3s-1であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗原結合性タンパク質のkdは、2.06×10-4s-1以下、1.58×10-4s-1以下、1.7×10-4s-1以下、5.68×10-4s-1以下、6.78×10-4s-1以下、8.26×10-4s-1以下、5.15×10-4s-1以下または5.68×10-4s-1以下であり得る。
【0049】
会合速度定数(ka)または「オン速度」は、抗原結合性タンパク質-複合体形成の速度を表す。一実施形態において、会合速度定数(ka)は、6.49×106M-1s-1、4.65×106M-1s-1、3.27×106M-1s-1、8.28×106M-1s-1、1.47×107M-1s-1、1.10×107M-1s-1または5.90×106M-1s-1であり得る。
【0050】
「由来する」という用語は、材料の物理的起源であるという意味で供給源を定義することを意図するだけでなく、材料と構造的に同一であるが参照供給源に由来しない材料を定義することもできることは、当業者には明らかであろう。
【0051】
「単離される」とは、分子、例えば、BCMA結合性タンパク質が、それが天然に見出され得る環境から除去されることを意図する。例えば、分子は、それが天然に通常存在するであろう物質から隔てられて精製され得る。例えば、BCMA結合性タンパク質は、BCMA結合性タンパク質を含有する培地に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%まで、またはそれ以上まで精製することができる。本明細書に開示されるBCMA結合性タンパク質および抗体は、単離されたBCMA結合性タンパク質および抗体であってもよい。
【0052】
「CDR」は、抗原結合性タンパク質の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。これらは、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である。免疫グロブリンの可変部分には、3つの重鎖および3つの軽鎖CDR(またはCDR領域)が存在する。したがって、本明細書で使用される場合、「CDR」は、3つの重鎖CDRすべて、3つの軽鎖CDRすべて、重鎖および軽鎖CDRのすべて、または少なくとも2つのCDRを指す。
【0053】
本明細書全体を通じて、完全長抗原結合性配列の内部、例えば、抗体重鎖配列または抗体軽鎖配列の内部の可変ドメイン配列中および可変ドメイン領域内のアミノ酸残基は、Kabat番号付け規則に従って番号付けされる。同様に、実施例において使用される用語「CDR」、「CDRL1」、「CDRL2」、「CDRL3」、「CDRH1」、「CDRH2」、「CDRH3」も、Kabat番号付け規則に従う。さらなる情報については、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版、U.S.Department of Health and Human Services、National Institutes of Health(1987年)を参照されたい。
【0054】
バリアント
当業者には、可変ドメイン配列および完全長抗体配列中のアミノ酸残基に対して代替的な番号付け規則があることが明らかであろう。CDR配列に対する代替的な番号付け規則もあり、これには例えば、Chothiaら((1989年)Nature 342:877~883ページ)によって記載されているものがある。例えば、BCMA結合性タンパク質の構造およびタンパク質フォールディングは、その他の残基がCDR配列の一部と考えられ得ることを意味することがあり、当業者にはそのように理解されるであろう。
【0055】
当業者に利用可能なCDR配列に対するその他の番号付け規則には、「AbM」法(University of Bath)および「contact」法(University College London)が含まれる。Kabat法、Chothia法、AbM法およびcontact法のうちの少なくとも2つを使用して最小重複領域を決定して、「最小結合単位」を得ることができる。最小結合単位は、CDRの一部分であってもよい。
【0056】
以下の表1は、各CDRまたは結合単位に対して各番号付け規則を使用する1つの定義を示す。Kabat番号付けスキームは、表1において可変ドメインアミノ酸配列に番号を付けるために使用される。CDR定義のいくつかは、使用される個々の刊行物によって異なり得ることに留意されたい。
【0057】
【0058】
したがって、BCMA結合性タンパク質が提供され、それは以下のCDR:配列番号1のCDRH1、配列番号2のCDRH2、配列番号3のCDRH3、配列番号4のCDRL1、配列番号5のCDRL2、配列番号6のCDRL3のうちのいずれか1つまたは任意の組合せを含むことができる。CDRは、少なくとも1つのアミノ酸置換、欠失または付加によって改変されてもよく、バリアント抗原結合性タンパク質は、非改変タンパク質の生物学的特徴、例えば、抗原への結合を実質的に保持する。
【0059】
【0060】
CDR H1、H2、H3、L1、L2、L3のそれぞれは、単独で、または任意の順列もしくは組合せで任意のその他のCDRと組合わせて改変され得ることが理解されるであろう。一実施形態において、CDRは、最大3個のアミノ酸、例えば、1個または2個のアミノ酸、例えば、1個のアミノ酸の置換、欠失または付加によって改変され得る。典型的には、改変は、例えば、以下の表3に示されるような置換、特に保存的置換であり得る。
【0061】
【0062】
例えば、バリアントCDRにおいて、代替的な定義、例えば、KabatまたはChothiaの一部としてCDRを含むフランキング残基は、保存的アミノ酸残基により置換されていてもよい。
【0063】
本明細書に開示されるVHまたはVL(またはHCまたはLC)配列は、最大で10個のアミノ酸の置換、付加または欠失を有するバリアント配列であってもよい。例えば、バリアント配列は、最大で9個、最大で8個、最大で7個、最大で6個、最大で5個、最大で4個、最大で3個、最大で2個または最大で1個のアミノ酸の置換、付加または欠失を有してもよい。配列の多様性は、CDRの1つまたは2つ以上またはすべてを除外してもよく、例えば、CDRはVHまたはVL(またはHCもしくはLC)配列と同じであり、多様性はVHまたはVL(またはHCもしくはLC)配列の残りの部分に存在し、したがって、CDR配列は固定され、インタクトである。
【0064】
あるいは、重鎖可変領域は、抗体について本明細書に記載されるアミノ酸配列と75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上または100%の同一性を有してもよく、軽鎖可変領域は、抗体について本明細書に開示されるアミノ酸配列と75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上または100%の同一性を有してもよい。
【0065】
本明細書に開示される抗体またはアミノ酸配列の重鎖可変領域は、30個、25個、20個、15個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含み得るバリアントであってもよい。本明細書に開示される抗体またはアミノ酸配列の軽鎖可変領域は、30個、25個、20個、15個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含み得るバリアントであってもよい。
【0066】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、パラトープとしても知られる、抗原結合性タンパク質の特定の結合性ドメインに接触する抗原の部分を指す。エピトープは、直鎖状または立体構造的/非連続的であってもよい。立体構造的または非連続的なエピトープは、その他の配列によって隔てられた、すなわち、ポリペプチド鎖の三次フォールディングによって組み立てられた抗原の一次配列において連続した配列ではないアミノ酸残基を含むことができる。残基は、ポリペプチド鎖の異なる領域に由来してもよいが、抗原の三次元構造では近接している。多量体抗原の場合、立体構造的または非連続的なエピトープは、異なるペプチド鎖由来の残基を含んでいてもよい。エピトープ内部に含まれる特定の残基は、コンピュータモデル化プログラムを通して、または当技術分野で公知の方法、例えば、X線結晶解析によって得られた三次元構造を介して、決定され得る。例示的な方法には、ペプチドベースのアプローチ、例えば、ペプスキャンが含まれ、これにより、一連の重複性ペプチドが、ELISAなどの手法を使用して、またはペプチドもしくはタンパク質変異体の大きなライブラリーの、例えば、ファージ上でのin vitroディスプレイによって、結合についてスクリーニングされる。詳細なエピトープ情報は、X線結晶解析、溶液核磁気共鳴(NMR)分光法および低温電子顕微鏡検査(cryo-EM)を含む構造的手法によって決定され得る。変異誘発、例えば、アラニンスキャニングは、結合喪失の分析がエピトープマッピングのために使用される効果的なアプローチとなり得る。別の方法は、非連続的または立体構造的なエピトープを特徴付けるための、タンパク質分解と液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)とが組合わされた水素/重水素交換(HDX)である。
【0067】
パーセント同一性
クエリ(query)核酸配列と対象(subject)核酸配列との間の「パーセント同一性」は、パーセンテージとして表される「同一性」の値であり、好適なアルゴリズムまたはソフトウェア、例えば、BLASTN、FASTA、ClustalW、MUSCLE、MAFFT、EMBOSS Needle、T-CoffeeおよびDNASTAR Lasergeneを使用してペアワイズグローバル配列アラインメントが行われた後に、クエリ配列の完全長にわたって、好適なアルゴリズムまたはソフトウェア、例えば、BLASTN、FASTA、DNASTAR Lasergene、GeneDoc、Bioedit、EMBOSS needleまたはEMBOSS infoalignを使用して計算される。いくつかの場合において、クエリ核酸配列は、本明細書の1つまたは2つ以上の請求項において特定される核酸配列によって記載され得る。
【0068】
クエリ(query)アミノ酸配列と対象(subject)アミノ酸配列との間の「パーセント同一性」は、パーセンテージとして表される「同一性」の値であり、好適なアルゴリズム/ソフトウェア、例えば、BLASTP、FASTA、ClustalW、MUSCLE、MAFFT、EMBOSS Needle、T-CoffeeおよびDNASTAR Lasergeneを使用してペアワイズグローバル配列アラインメントが行われた後に、クエリ配列の完全長にわたって、好適なアルゴリズムまたはソフトウェア、例えば、BLASTP、FASTA、DNASTAR Lasergene、GeneDoc、Bioedit、EMBOSS needleまたはEMBOSS infoalignを使用して計算される。いくつかの場合において、クエリアミノ酸配列は、本明細書の1つまたは2つ以上の請求項において特定されるアミノ酸配列によって記載され得る。
【0069】
クエリ配列は、対象配列と100%同一であってもよく、またはパーセント同一性が100%未満であり得るように、対象配列と比較して特定の整数個までのアミノ酸またはヌクレオチドの変更を含んでいてもよい。例えば、クエリ配列は、対象配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であり得る。そのような変更は、少なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換(保存的および非保存的置換を含む)、または挿入を含み、前記変更は、クエリ配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端の位置に生じてもよく、または、クエリ配列中のアミノ酸もしくはヌクレオチドの間に個別に、またはクエリ配列内部の1つもしくは2つ以上の連続した基のいずれかに散在して、それらの末端位置の間の任意の場所に生じてもよい。
【0070】
パーセント同一性は、CDRを含むクエリ配列の全長にわたって決定することができる。あるいは、パーセント同一性は、CDRの1つもしくは2つ以上またはすべてを除外することができ、例えば、CDRのすべては、対象配列と100%同一であってもよく、パーセント同一性の多様性は、クエリ配列の残りの部分、例えば、フレームワーク配列に存在してもよく、したがって、CDR配列は固定され、インタクトである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA結合性タンパク質は、本明細書に開示される配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一である配列を含む。
【0071】
改変
「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語はそれぞれ、2個または3個以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。ペプチドは、モノマーまたはポリマーであり得る。本明細書に開示されるペプチドは、改変され得る。
【0072】
Fc操作方法は、抗体の機能的または薬物動態学的特性を改変するために適用され得る。エフェクター機能は、C1qまたはFcγ受容体への結合を増加または減少させ、それぞれCDCまたはADCC活性を改変する、Fc領域における変異を作製することによって変更され得る。抗体のグリコシル化パターンの改変も、エフェクター機能を変化させるために行われ得る。抗体のin vivo半減期は、FcRn(新生児Fc受容体)へのFcの結合に影響を及ぼす変異を作製することによって変更され得る。
【0073】
エフェクター機能
本明細書で使用される場合、「エフェクター機能」という用語は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を含む抗体媒介作用、補体依存性細胞傷害(CDC)を含む抗体媒介性補体活性化、補体依存性細胞媒介性貪食(CDCP)、抗体依存性補体媒介性細胞溶解(ADCML)およびFc媒介性貪食または抗体依存性細胞貪食(ADCP)のうちの1つまたは2つ以上を指す。
【0074】
抗原結合性タンパク質または抗体のFc領域と、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、FcRn、C1qおよびII型Fc受容体を含むさまざまなFc受容体(FcR)との間の相互作用は、抗原結合性タンパク質または抗体のエフェクター機能を媒介すると考えられている。重要な生物学的効果は、エフェクター機能の結果であり得る。通常、エフェクター機能を媒介する能力は、抗原結合性タンパク質または抗体の抗原への結合を必要とし、すべての抗原結合性タンパク質または抗体があらゆるエフェクター機能を媒介するわけではない。
【0075】
エフェクター機能は、例えば、FcγRIIIを介してナチュラルキラー(NK)細胞によって、もしくはFcγRIを介して単球/マクロファージによって媒介される、標的細胞を覆った抗体のADCCエフェクター機能を評価すること、またはC1qを介した補体カスケードによって媒介される標的細胞を覆った抗体のCDCエフェクター機能を評価することを含む、多くの方法で評価され得る。例えば、本発明の抗原結合性タンパク質は、ナチュラルキラー細胞アッセイにおいてADCCエフェクター機能について評価され得る。そのようなアッセイの例は、Shieldsら、2001年、The Journal of Biological Chemistry、276巻、6591~6604ページ;Chappelら、1993年、The Journal of Biological Chemistry、268巻、25124~25131ページ;Lazarら、2006年、PNAS、103巻、4005~4010ページに見出され得る。CDC機能を決定するためのアッセイの例としては、J Imm Meth、1995年、184巻、29~38ページに記載されているものが挙げられる。エフェクター機能(例えば、FcRn結合、FcγRsおよびC1q結合、CDC、ADCML、ADCC、ADCP)に対する変異の効果は、例えば、Grevysら(J Immunol.、2015年6月1日、194巻11号、5497~5508ページ);またはTamら(Antibodies、2017年、6巻3号);Monnetら(2014年、mAbs、6巻2号、422~436ページ)によって記載されているように評価され得る。本明細書全体を通じて、抗体配列または完全長抗原結合性タンパク質配列におけるFc領域内のアミノ酸残基は、EUインデックス番号付け規則に従って番号付けされる。
【0076】
強化
特定の変異を含むヒトIgG1定常領域は、Fc受容体への結合を強化することが示されている。いくつかの場合において、これらの変異はまた、以下に記載されるように、エフェクター機能、例えば、ADCCおよびCDCも強化することが示されている。本発明の抗原結合性タンパク質は、以下の変異のいずれかを含み得る。
【0077】
強化されたCDC:Fc操作は、補体ベースのエフェクター機能を強化するために使用され得る。例えば(IgG1に関して)、K326W/E333S;S267E/H268F/S324T;およびIgG1/IgG3交差サブクラスは、C1q結合を増加させることができ;E345R(Diebolderら、Science、2014年、343巻、1260~1293ページ)およびE345R/E430G/S440Yは、予め形成されたIgG六量体をもたらす(Wangら、Protein Cell.、2018年1月、9巻1号、63~73ページ)。
【0078】
強化されたADCC:Fc操作は、ADCCを強化するために使用され得る。例えば(IgG1に関して)、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L;S239D/I332E;およびS298A/E333A/K334AはFcγRIIIa結合を増加させ、S239D/I332E/A330LはFcγRIIIa結合を増加させてFcγRIIb結合を減少させ、G236A/S239D/I332EはFcγRIIaへの結合を改善し、FcγRIIa/FcγRIIb結合比(活性/抑制比)を改善し、マクロファージによる抗体がコーティングされた標的細胞の食作用を強化する。一方の重鎖がL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298A変異を含み、反対側の重鎖がD270E/K326D/A330M/K334Eを含む非対称Fcは、FcγRIIIa F158(低親和性アレル)およびFcγRIIIa V158(高親和性アレル)に対する親和性を増加させるが、抑制性FcγRIIbに対する結合親和性は増加しない(Mimotoら、2013年)。
【0079】
強化されたADCP:Fc操作は、ADCPを強化するために使用され得る。例えば(IgG1に関して)、G236A/S239D/I332EはFcγRIIa結合を増加させ、FcγRIIIa結合を増加させる(Richards Jら、Mol.Cancer Ther.、2008年、7巻、2517~2527ページ)。
【0080】
強化された共結合:Fc操作は、FcRとの共結合を増加させるために使用され得る。例えば(IgG1に関して)、S267E/L328FはFcγRIIb結合を増加させる。N325S/L328FはFcγRIIa結合を増加させ、FcγRIIIa結合を減少させる(Wangら、2018年)。
【0081】
グリコシル化
本発明の抗原結合性タンパク質は、抗原結合性タンパク質が強化されたエフェクター機能、例えば、強化されたADCC、強化されたCDC、または強化されたADCCおよびCDCの両方を有するように変更されたグリコシル化プロファイルを有する重鎖定常領域を含み得る。変更されたグリコシル化プロファイルを有する抗原結合性タンパク質を作製するための好適な方法の例は、WO2003011878、WO2006014679およびEP1229125に記載されており、これらはすべて、本発明の抗原結合性タンパク質に適用され得る。
【0082】
IgG1抗体のN297のFcグリカン部分上の最内側のα1,6フコース残基の欠如は、FcγRIIIAに対する親和性を強化する。そのため、脱フコシル化または低フコシル化モノクローナル抗体は、治療効果が増大している可能性がある(Shieldsら、J Biol Chem.、2002年、277巻30号、26733~40ページおよびMonnetら、2014年、mAbs、6巻2号、422~436ページ)。
【0083】
ポテリジェント
本発明はまた、本発明による抗原結合性タンパク質を製造する方法であって、
a)本明細書に記載される単離された核酸を含む発現ベクターを含む組換え宿主細胞を培養する工程であって、アルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が組換え宿主細胞において不活性化されている工程;および
b)抗原結合性タンパク質を回収する工程
を含む方法を提供する。
【0084】
抗原結合性タンパク質の製造のためのそのような方法は、例えば、BioWa社(プリンストン、ニュージャージー州)から入手可能なポテリジェント(POTELLIGENT)技術システムを使用して行うことができ、この場合において、FUT8遺伝子の機能的コピーを欠くCHOK1SV細胞は、US7,214,775、US6,946,292、WO0061739およびWO0231240(これらはすべて本明細書に参照により組み込まれる)に記載されているように、機能的FUT8遺伝子を有する細胞において産生される同一のモノクローナル抗体と比較して増加している、強化されたADCC活性を有するモノクローナル抗体を産生する。当業者は、その他の好適なシステムも認識しているであろう。
【0085】
本発明の一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、FUT8遺伝子が不活性化された宿主細胞において産生される。本発明の一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、-/- FUT8宿主細胞において産生される。本発明の一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、Asn297(IgG1)が脱フコシル化されている。
【0086】
その他の改変
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗原結合性タンパク質のエフェクター機能を、例えば、ADCCまたはCDC、半減期などを強化するために改変することが望ましい場合がある。一実施形態において、抗原結合性タンパク質は、Fcが無効化され得る。Fc無効化を達成するための1つの方法は、重鎖定常領域の235位および237位(EUインデックス番号付け)のアラニン残基の置換を含み得る。あるいは、抗原結合性タンパク質がFc有効化されて、235位および237位のアラニン置換を含まないことも可能である。抗原結合性タンパク質は、ヒトまたはマウス動物モデルのin vivoにおいて、少なくとも6時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも7日または少なくとも9日の半減期を有し得る。
【0087】
抗体のFcエフェクター部分に対する変異性変化は、FcRnと抗体との間の相互作用の親和性を変化させて、抗体ターンオーバーを調節するために使用され得る。抗体の半減期は、in vivoで延長され得る。これは、in vivoでのIC50をより長期間維持する結果として、最大の用量および最大の投与頻度を達成し得ることから、患者集団にとって有益であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、定常領域を含む抗原結合性タンパク質は、低下したADCCおよび/または補体活性化またはエフェクター機能を有し得る。定常ドメインは、IgG2もしくはIgG4アイソタイプの天然に無効化された定常領域、または変異したIgG1定常ドメインを含み得る。好適な改変の例は、EP0307434に記載されている。Fcの無効化を達成するための1つの方法は、重鎖定常領域の235位および237位(EUインデックス番号付け)のアラニン残基の置換、すなわち、L235AおよびG237A(一般的に「LAGA」変異と称される)を含み得る。別の例は、234位および235位(EUインデックス番号付け)のアラニンによる置換、すなわち、L234AおよびL235A(一般的に「LALA」変異と称される)を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗原結合性タンパク質のFcエフェクター機能は、LAGA変異を使用して無効化され得る。
【0089】
エフェクター機能を低下させるためのさらなる変更および変異には(特に明記されない限りIgG1に関して)、グリコシル化N297AまたはN297QまたはN297G;L235E;IgG4:F234A/L235A;およびキメラIgG2/IgG4が含まれ得る。IgG2:H268Q/V309L/A330S/P331S、およびIgG2:V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sは、FcγRおよびC1qの結合を減少し得る(US8,961,967)。
【0090】
エフェクター機能を低下させるその他の変異としては、L234F/L235E/P331S;ヒトIgG2由来のCH1およびヒンジ領域、ならびにヒトIgG4由来のCH2およびCH3領域を使用して作製されたキメラ抗体;IgG4由来の4個の重要なアミノ酸残基(H268Q、V309L、A330S、P331S)が変化したIgG2アイソタイプに基づくIgG2m4;Fcγ受容体およびC1q補体タンパク質に対する親和性を消失させるV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S置換を含むIgG2σ;IgG2m4(H268Q/V309L/A330S/P331S、IgG4に対する変化);IgG4(S228P/L234A/L235A);huIgG1 L234A/L235A(AA);huIgG4 S228P/L234A/L235A;IgG1σ(L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S);IgG4σ1(S228P/F234A/L235A/G237A/P238S);ならびにIgG4σ2(S228P/F234A/L235A/G236/G237A/P238S)が挙げられる。
【0091】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗原結合性タンパク質は、抗体が、強化されたエフェクター機能/ADCCおよび/または補体活性化を有するように変異された定常ドメインから選択される1つまたは2つ以上の改変を含み得る。好適な改変の例は、US6,737,056、WO2004063351およびWO2004029207に記載されている。抗原結合性タンパク質は、抗原結合性タンパク質が、強化されたエフェクター機能/ADCCおよび/または補体活性化を有するように変更されたグリコシル化プロファイルを有する定常ドメインを含み得る。変更されたグリコシル化プロファイルを有する抗原結合性タンパク質を製造するための好適な方法の例は、WO2003/011878、WO2006/014679およびEP1229125に記載されている。
【0092】
半減期
半減期は、抗原結合性タンパク質の血清中濃度がその元の値の半分に達するのに必要な時間を指す。タンパク質の血清中半減期は、Kimら(1994年、Eur.J.of Immuno.、24巻、542~548ページ)によって記載された方法に従う薬物動態試験によって測定され得る。この方法によれば、放射性標識されたタンパク質がマウスに静脈内注射され、その血漿中濃度が時間の関数として、例えば、注射の約3分後から約72時間後まで定期的に測定される。薬物動態分析および分子の半減期の決定のためのその他の方法は、当業者にはよく知られているであろう。
【0093】
本開示の抗原結合性タンパク質は、定常ドメインまたはその断片のFcRnに対する親和性を増大させるアミノ酸改変を有し得る。治療用および診断用IgG抗体ならびにその他の生物活性分子の半減期(すなわち、血清中半減期)を延長することは、これらの分子の投与の量および/または頻度を減少させることを含む多くの利点を有する。一実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、以下のアミノ酸改変のうちの1つまたは2つ以上を有するIgG定常ドメインの全体または一部(FcRn結合部分)を含む。
【0094】
例えば、IgG1に関して、M252Y/S254T/T256E(一般的に「YTE」変異と称される)およびM428L/N434S(一般的に「LS」変異と称される)は、pH 6.0でのFcRn結合を増加させる(Wangら、2018年)。
【0095】
半減期は、(IgG1およびKabat番号付けに関して)T250Q/M428L、V259I/V308F/M428L、N434A、およびT307A/E380A/N434A変異によっても強化され得る(Monnetら)。
【0096】
半減期およびFcRn結合は、(IgG1に関して)H433KおよびN434F変異(一般的に「HN」または「NHance」変異と称される)を導入することによっても延長され得る(WO2006/130834)。
【0097】
WO00/42072は、変更されたFcRn結合親和性を有するバリアントFc領域を含むポリペプチドを開示しており、このポリペプチドは、Fc領域の238、252、253、254、255、256、265、272、286、288、303、305、307、309、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、386、388、400、413、415、424、433、434、435、436、439および447位のアミノ酸のうちのいずれか1つまたは2つ以上にアミノ酸改変を含む(EUインデックス番号付け)。
【0098】
WO02/060919は、野生型IgG定常ドメインに対して1つまたは2つ以上のアミノ酸改変を含むIgG定常ドメインを含む、改変されたIgGを開示しており、改変されたIgGは、野生型IgG定常ドメインを有するIgGの半減期と比較して延長された半減期を有し、1つまたは2つ以上のアミノ酸改変は、251、253、255、285~290、308~314、385~389および428~435位のうちの1つまたは2つ以上にある。
【0099】
Shieldsら(2001年、J Biol Chem、276巻、6591~604ページ)は、アラニンスキャニング変異誘発を使用してヒトIgG1抗体のFc領域の残基を変更し、続いてヒトFcRnへの結合を評価した。アラニンに変化した場合にFcRnへの結合を効果的に無効化した位置には、I253、S254、H435およびY436が含まれる。その他の位置は、より顕著でない結合の低下を示し、これらは以下:E233~G236、R255、K288、L309、S415およびH433の通りであった。いくつかのアミノ酸位置は、アラニンに変更された場合にFcRn結合の改善を示し、これらの中で注目すべきものには、P238、T256、E272、V305、T307、Q311、D312、K317、D376、E380、E382、S424およびN434がある。その他の多くのアミノ酸位置は、FcRn結合のわずかな改善を示すか(D265、N286、V303、K360、Q362およびA378)、または変化を示さなかった(S239、K246、K248、D249、M252、E258、T260、S267、H268、S269、D270、K274、N276、Y278、D280、V282、E283、H285、T289、K290、R292、E293、E294、Q295、Y296、N297、S298、R301、N315、E318、K320、K322、S324、K326、A327、P329、P331、E333、K334、T335、S337、K338、K340、Q342、R344、E345、Q345、Q347、R356、M358、T359、K360、N361、Y373、S375、S383、N384、Q386、E388、N389、N390、K392、L398、S400、D401、K414、R416、Q418、Q419、N421、V422、E430、T437、K439、S440、S442、S444およびK447)。
【0100】
改善されたFcRn結合に関する最も顕著な効果は、組合せバリアント(combination variants)に関して見出された。pH 6.0で、E380A/N434Aバリアントは、天然IgG1と比較して8倍を上回るFcRnに対する良好な結合を示し、一方、E380Aは2倍、N434Aは3.5倍であった。これにT307Aを加えたところ、天然IgG1と比較して12倍の結合の改善がもたらされた。一実施形態において、本発明の抗原結合性タンパク質は、E380A/N434A変異を含み、FcRnへの結合が増加している。
【0101】
Dall’Acquaら(2002年、J Immunol.、169巻、5171~80ページ)は、マウスFcRnに対するヒトIgG1ヒンジ-Fc断片ファージディスプレイライブラリーのランダム変異誘発およびスクリーニングを記述している。彼らは、251、252、254~256、308、309、311、312、314、385~387、389、428、433、434および436位でのランダム変異誘発を開示した。IgG1-ヒトFcRn複合体における安定性の主な改善は、Fc-FcRn境界面を横切るバンドに位置する残基を置換した場合(M252、S254、T256、H433、N434およびY436)、および程度は低いが、周辺部の残基、例えば、V308、L309、Q311、G385、Q386、P387およびN389を置換した場合に生じる。ヒトFcRnに対して最も高い親和性を有するバリアントは、M252Y/S254T/T256E(「YTE」)およびH433K/N434F/Y436H変異を組合わせることによって得られ、野生型IgG1と比較して57倍の親和性の増加を示した。そのような変異したヒトIgG1のin vivoでの挙動は、カニクイザルにおける血清中半減期において、野生型IgG1と比較して4倍近い増加を示した。
【0102】
本開示はしたがって、FcRnへの最適化された結合を有する抗原結合性タンパク質を提供する。いくつかの実施形態において、抗原結合性タンパク質は、前記抗原結合性タンパク質のFc領域における少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、前記改変は、Fc領域の226、227、228、230、231、233、234、239、241、243、246、250、252、256、259、264、265、267、269、270、276、284、285、288、289、290、291、292、294、297、298、299、301、302、303、305、307、308、309、311、315、317、320、322、325、327、330、332、334、335、338、340、342、343、345、347、350、352、354、355、356、359、360、361、362、369、370、371、375、378、380、382、384、385、386、387、389、390、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、403、404、408、411、412、414、415、416、418、419、420、421、422、424、426、428、433、434、438、439、440、443、444、445、446および447からなる群から選択されるアミノ酸位置にある。
【0103】
さらに、種々の刊行物は、FcRn結合性ポリペプチドを分子に導入すること(WO97/43316、US5,869,046、US5,747,035、WO96/32478およびWO91/14438)、または分子を、FcRn結合親和性は保持されているがその他のFc受容体に対する親和性は大幅に低下している抗体と融合すること(WO99/43713)、または抗体のFcRn結合性ドメインと融合すること(WO00/09560、US4703039)のいずれかによって、改変された半減期を有する生理活性分子を得る方法を記載している。
【0104】
抗体の細胞傷害性および半減期の両方を改善するためのFcRn親和性強化Fcバリアントが、pH 6.0でのスクリーニングで同定された。選択されたIgGバリアントは、低フコシル化分子として製造することができる。得られたバリアントは、hFcRnマウスにおける血清中持続性の増加、ならびに保存され、強化されたADCC(Monnetら)を示す。例示的なバリアントは、(IgG1およびKabat番号付けに関して)P230T/V303A/K322R/N389T/F404L/N434S;P228R/N434S;Q311R/K334R/Q342E/N434Y;C226G/Q386R/N434Y;T307P/N389T/N434Y;P230S/N434S;P230T/V305A/T307A/A378V/L398P/N434S;P230T/P387S/N434S;P230Q/E269D/N434S;N276S/A378V/N434S;T307A/N315D/A330V/382V/N389T/N434Y;T256N/A378V/S383N/N434Y;N315D/A330V/N361D/A387V/N434Y;V259I/N315D/M428L/N434Y;P230S/N315D/M428L/N434Y;F241L/V264E/T307P/A378V/H433R;T250A/N389K/N434Y;V305A/N315D/A330V/P395A/N434Y;V264E/Q386R/P396L/N434S/K439R;E294del/T307P/N434Yを含む(ここで「del」は欠失を示す)。
【0105】
抗体薬物複合体
同じく提供されるのは、1種または2種以上の薬物、例えば、化学療法剤、免疫療法剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素のようなタンパク質毒素、またはその断片)、抗ウイルス剤、放射性同位体(すなわち、放射性複合体)、抗生物質、または低分子干渉RNA(siRNA)などの細胞傷害性薬剤とコンジュゲートされた本開示による抗原結合性タンパク質を含む免疫複合体(「抗体-薬物複合体」、「ADC」または「抗原結合性タンパク質-薬物複合体」とも称される)である。
【0106】
免疫複合体は、がんの処置において、細胞傷害性薬剤、すなわち、細胞を死滅させるかまたはその成長もしくは増殖を阻害する薬物の局所送達のために使用されてきた(Lambert,J.(2005年)Curr.Opinion in Pharmacology、5巻、543~549ページ;Wuら(2005年)Nature Biotechnology、23巻9号、1137~1146ページ;Payne,G.(2003年)i 3、207~212ページ;SyrigosとEpenetos(1999年)Anticancer Research、19巻、605~614ページ;Niculescu-DuvazとSpringer(1997年)Adv.Drug Deliv.Rev.、26巻、151~172ページ;米国特許第4,975,278号)。免疫複合体は、とりわけ、非コンジュゲート化薬物の全身投与が正常細胞に対して許容されないレベルの毒性をもたらし得る場合に、腫瘍への薬物部分の標的化送達およびその中での細胞内蓄積を可能にする(TsuchikamaとAn、Protein and Cell(2018年)9巻、33~46ページ)。免疫複合体は、標的がん細胞への強力な細胞傷害性ペイロードの選択的送達を可能にし、その結果、従来の化学療法と比較して、改善された有効性、低減された全身毒性、ならびに好ましい薬物動態(PK)/薬力学(PD)および生体内分布をもたらす(TsuchikamaとAn、2018年;Beck A.ら(2017年)Nature Rev.Drug Disc、16巻、315~337ページ)。
【0107】
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体はいずれも、これらの戦略において有用であると報告されている(Rowlandら(1986年)Cancer Immunol.Immunother.、21巻、183~87ページ)。これらの方法に使用される薬物としては、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサートおよびビンデシンが挙げられる(Rowlandら(1986)、上記)。抗体-毒素複合体に使用される毒素としては、細菌毒素、例えば、ジフテリア毒素、植物毒素、例えばリシン、低分子毒素、例えばゲルダナマイシン(Mandlerら(2000年)J.Nat.Cancer Inst.、92巻19号、1573~1581ページ;Mandlerら(2000年)Bioorganic & Med.Chem.Letters、10巻、1025~1028ページ;Mandlerら(2002年)Bioconjugate Chem.、13巻、786~791ページ)、メイタンシノイド(EP1391213;Liuら(1996年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93巻、8618~8623ページ)、およびカリケアマイシン(Lodeら(1998年)Cancer Res.、58巻、2928ページ;Hinmanら(1993年)Cancer Res.、53巻、3336~3342ページ)が挙げられる。
【0108】
ある特定の実施形態において、免疫複合体は、抗原結合性タンパク質、例えば抗体、および薬物、例えば化学療法剤などの毒素を含む。薬物は、(例えば、標準的な合成化学を介して)薬物を抗原結合性タンパク質に連結させるリンカーの反応性末端へのその化学的結合(例えば、その化学的結合を可能にする反応ハンドルを含むこと)を可能にするように改変され得る。
【0109】
免疫複合体の薬物成分
免疫複合体の生成に有用な薬物、例えば、化学療法剤が、本明細書に記載される。使用され得る酵素的に活性な毒素およびその断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。例えば、1993年10月28日に公開されたWO93/21232を参照されたい。
【0110】
毒素に加えて、放射性物質、例えば放射性ヌクレオチドも、ADCにおける薬物として使用され得る。種々の放射性ヌクレオチドが、放射性複合体抗体の製造のために利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reが挙げられる。
【0111】
本開示の抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)は、限定されるものではないが、カリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコテセンおよびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体を含む1種または2種以上の毒素にコンジュゲートされ得る。好適な細胞傷害性薬剤としては、限定されるものではないが、ドバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン(MMAF)およびモノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むアウリスタチン類、ならびにMMAEのエステル型、DNA副溝結合剤、DNA副溝アルキル化剤、エンジイン、レキシトロプシン、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ピューロマイシン、ドラスタチン、メイタンシノイドおよびビンカアルカロイドが挙げられる。具体的な細胞傷害性薬剤としては、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン、カリケアマイシン、メイタンシン、DM-1、DM-4およびネトロプシンが挙げられる。その他の好適な細胞傷害性薬剤としては、抗チューブリン剤、例えば、アウリスタチン、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バッカチン誘導体、クリプトフィシン、メイタンシノイド、コンブレタスタチンまたはドラスタチンが挙げられる。抗チューブリン剤としては、ジメチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン-p-フェニレンジアミン(AFP)、MMAF、MMAE、アウリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルセミド(colcimid)、エストラムスチン、セマドチン、ジスコデルモリド、メイタンシン、DM-1、DM-4およびエレウテロビンが挙げられる。
【0112】
抗体薬物複合体は、抗チューブリン剤であるモノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)を抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)にコンジュゲートさせることによって生成され得る。MMAEの場合には、リンカーはチオール反応性マレイミド、カプロイルスペーサー、ジペプチドバリン-シトルリン、またはp-アミノベンジルオキシカルボニル、自己犠牲型断片化基からなることができる。MMAFの場合には、プロテアーゼ耐性マレイミドカプロイルリンカーが使用され得る。コンジュゲーションプロセスは薬物-抗体結合に不均一性をもたらし、各抗体分子に結合される薬物の数(モル比[MR])および結合部位の両方を変化させる。最も一般的な種は、MR=4を有する物質であり;あまり一般的でない種は、0、2、6および8のMRを有する物質である。全体の平均薬物-抗体間のMRは、およそ4である。
【0113】
アウリスタチンおよびドラスタチン
いくつかの実施形態において、免疫複合体は、ドラスタチンまたはドロスタチンペプチドの類似体もしくは誘導体の1つであるアウリスタチン(米国特許第5,635,483号;同第5,780,588号)にコンジュゲートされた抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)を含む。ドラスタチンおよびアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、ならびに核および細胞の分裂を妨害すること(Woykeら(2001年)、Antimicrob.Agents and Chemother.、45巻12号、3580~3584ページ)、ならびに抗がん活性(米国特許第5,663,149号)および抗真菌活性(Pettitら(1998年)Antimicrob.Agents Chemother.、42巻、2961~2965ページ)を有することが示されている。ドラスタチンまたはアウリスタチン(ドラスタチンのペンタペプチド誘導体)の薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合され得る(WO02/088172)。
【0114】
例示的なアウリスタチンの実施形態には、米国特許第7,498,298号、「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」に開示されているN末端結合モノメチルアウリスタチン薬物部分DEおよびDFが含まれる。本明細書で使用される場合、「MMAE」という略語は、モノメチルアウリスタチンEを指す。本明細書で使用される場合、「MMAF」という略語は、ドバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニンを指す。
【0115】
典型的には、ペプチドベースの薬物部分は、2個または3個以上のアミノ酸および/またはペプチド断片の間にペプチド結合を形成することによって調製され得る。そのようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野で周知の液相合成法(E.SchroderとK.Lubke、「The Peptides」、第1巻、76~136ページ、1965年、Academic Pressを参照)に従って調製することができる。アウリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、米国特許第5,635,483号;同第5,780,588号;Pettitら(1989年)J.Am.Chem.Soc.、111巻、5463~5465ページ;Pettitら(1998年)Anti-Cancer Drug Design、13巻、243~277ページ;Pettit,G.R.ら、Synthesis、1996年、719~725ページ;およびPettitら(1996年)J.Chem.Soc.Perkin Trans.、15巻、859~863ページの方法に従って調製され得る。Doronina(2003年)Nat Biotechnol、21巻7号、778~784ページ;「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」、米国特許第7,498,298号(例えば、リンカー、およびリンカーにコンジュゲートされたモノメチルバリン化合物、例えば、MMAEおよびMMAFを調製する方法を開示している)を参照されたい。細胞傷害性薬剤として作用する生物学的に活性な有機化合物、特にペンタペプチドは、米国特許第6,884,869号;同第7,498,298号;同第7,098,308号;同第7,256,257号;および同第7,423,116号に開示されている。
【0116】
メイタンシンおよびメイタンシノイド
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木メイテナス・セラタ(Maytenus serrata)から最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。その後、ある種の微生物も、メイタンシノイド、例えば、メイタンシノールおよびC-3メイタンシノールエステルを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。細胞傷害性の高いメイタンシノイド薬物は、微生物、例えば、アクチノシンネマ(Actinosynnema)属の発酵によって産生されるアンサマイトシン前駆体から調製され得る。アンサマイトシンを単離するための方法は、米国特許第6,573,074号に記載されている。合成メイタンシノールならびにその誘導体および類似体は、例えば、米国特許第4,137,230号;同第4,248,870号;同第4,256,746号;同第4,260,608号;同第4,265,814号;同第4,294,757号;同第4,307,016号;同第4,308,268号;同第4,308,269号;同第4,309,428号;同第4,313,946号;同第4,315,929号;同第4,317,821号;同第4,322,348号;同第4,331,598号;同第4,361,650号;同第4,364,866号;同第4,424,219号;同第4,450,254号;同第4,362,663号;および同第4,371,533号に開示されている。
【0117】
抗体-メイタンシノイド複合体は、抗体またはメイタンシノイド分子のいずれかの生物学的活性を顕著に低下させることなく、抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)をメイタンシノイド分子に化学的に連結させることによって調製される。例えば、米国特許第5,208,020号を参照されたい。抗体分子当たり平均3~4個のメイタンシノイド分子がコンジュゲートされることにより、抗体の機能にも溶解性にも悪影響を及ぼすことなく標的細胞の細胞傷害性を強化する有効性が示されているが、毒素/抗体が1分子であっても、裸の抗体の使用よりも細胞傷害性を強化することが期待される。メイタンシノイドは当技術分野において周知であり、公知の手法によって合成されることが可能であり、または天然の供給源から単離され得る。好適なメイタンシノイドは、例えば、米国特許第5,208,020号ならびに上記で言及されたその他の特許および非特許刊行物に開示されている。メイタンシノイドは、メイタンシノール分子、例えば種々のメイタンシノールエステルの、芳香環またはその他の位置で改変されたメイタンシノールおよびメイタンシノール類似体である。抗体との連結のためのメイタンシノイドを調製するための方法は、例えば、米国特許第6,570,024号および同第6,884,874号に開示されている。
【0118】
カリケアマイシン
抗生物質であるカリケアマイシンファミリーは、サブピコモル濃度で二本鎖DNA切断を生成することができる。カリケアマイシンファミリーの複合体の調製については、例えば、米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号および同第5,877,296号を参照されたい。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体としては、限定されるものではないが、γ1I、α2I、α3I、N-アセチルγ1I、PSAGおよびτI1(Hinmanら、Cancer Research、53巻、3336~3342ページ(1993年);Lodeら、Cancer Research、58巻、2925~2928ページ(1998年);および前記の米国特許)が挙げられる。抗体がコンジュゲートされ得る別の抗腫瘍薬は、抗葉酸剤であるQFAである。カリケアマイシンおよびQFAはいずれも細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易には通過しない。したがって、抗体媒介性インターナリゼーションを介したこれらの薬剤の細胞取り込みは、それらの細胞傷害性効果を大きく強化する。
【0119】
その他の細胞傷害性薬剤
抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)にコンジュゲートされ得るその他の細胞傷害性薬剤、例えば抗腫瘍剤としては、BCNU、ストレプトゾイシン(streptozoicin)、ビンクリスチンおよび5-フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号および第5,770,710号に記載されているLL-E33288複合体として総称される薬剤のファミリー、ならびにエスペラマイシン(米国特許第5,877,296号)が挙げられる。
【0120】
使用され得る酵素的に活性な毒素およびその断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。例えば、1993年10月28日に公開されたWO93/21232を参照されたい。
【0121】
本発明はさらに、抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)と、核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ、例えば、デオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)との間で形成される免疫複合体も企図される。
【0122】
腫瘍の選択的破壊のために、抗原結合性タンパク質(例えば、抗体)は、高放射性原子を含み得る。種々の放射性同位体が、放射性複合体抗体の製造のために利用可能である。その例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体が挙げられる。複合体が検出のために使用される場合、それは、シンチグラフィー試験のための放射性原子、例えばtc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴画像法、MRIとしても公知である)のためのスピン標識、例えば、同じくヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄を含み得る。
【0123】
放射性標識またはその他の標識は、公知の方法で複合体に組み込まれ得る。例えば、ペプチドは生合成されることが可能であり、または水素の代わりに、例えば、フッ素-19を含む好適なアミノ酸前駆体を使用する化学的アミノ酸合成によって合成されることも可能である。tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111などの標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して結合され得る。イットリウム-90は、リジン残基を介して結合され得る。IODOGEN法(Frakerら(1978年)Biochem.Biophys.Res.Commun.、80巻、49~57ページ)が、ヨウ素-123を組み込むために使用され得る。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal、CRC Press、1989年)は、その他の方法を詳細に記載している。
【0124】
いくつかの場合において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、本明細書に記載されるような抗原結合性タンパク質を含む免疫複合体であり、これには、限定されるものではないが、1種または2種以上の細胞傷害性薬剤、例えば、化学療法剤、薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、またはそれらの断片)、または放射性同位元素(すなわち、放射性複合体)などにコンジュゲートされた抗体が含まれる。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、アウリスタチンなどの毒素、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVBまたはアウリスタチンEにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン、カリケアマイシンまたはネトロプシンにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、アウリスタチン、メイタンシノイドまたはカリケアマイシンにコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、AFP、MMAP、MMAE、AEB、AEVB、アウリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルシミド、エストラムスチン、セマドチン、ジスコデルモリド、メイタンシノール、メイタンシン、DM1、DM2、DM3、DM4またはエレウテロビンにコンジュゲートされる。
【0125】
いくつかの場合において、毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるVH CDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるVH CDR2、および配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるVH CDR3を有する重鎖を含み得る。例えば、本明細書に記載される毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むことができる。いくつかの場合において、本明細書に記載される毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含むことができる。
【0126】
いくつかの場合において、毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるVL CDR1を有する軽鎖、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるVL CDR2、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなるVL CDR3を含むことができる。本明細書に記載される毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。いくつかの場合において、本明細書に記載される毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むことができる。
【0127】
いくつかの場合において、毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR1;配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR2;および配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むVH CDR3を有する重鎖を含むことができ、かつ、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR1;配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR2;および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖を含むことができる。例えば、毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含むことができ、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むことができる。いくつかの場合において、本明細書に記載される毒素にコンジュゲートされた抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含むことができ、かつ、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むことができる。
【0128】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号11、15または19の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号12、16または20の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号13、17、22または24の重鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号14、18、23または25の軽鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号11の重鎖可変領域および配列番号12の軽鎖可変領域、配列番号15の重鎖可変領域および配列番号16の軽鎖可変領域、または配列番号19の重鎖可変領域および配列番号20の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号13の重鎖領域および配列番号14の軽鎖、配列番号17の重鎖領域および配列番号18の軽鎖、配列番号22の重鎖領域および配列番号23の軽鎖、または配列番号24の重鎖領域および配列番号25の軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号21を含むscFV-fcである。
【0129】
いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、以下の一般構造:
ABP-((リンカー)n-Ctx)m
[式中、
ABPは、抗原結合性タンパク質であり、
リンカーは、存在しないか、または任意の切断可能もしくは切断不能なリンカーであり、
Ctxは、本明細書に記載される任意の細胞傷害性薬剤であり、
nは、0、1、2または3であり、
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。]
を有する免疫複合体であり得る。
【0130】
例示的なリンカーとしては、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン-シトルリン(val-cit)、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)およびN-スクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)が挙げられる。
【0131】
いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、MMAEまたはMMAFに連結されたモノクローナル抗体を含む免疫複合体であり得る。別の実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、以下の構造に示すように、MCリンカーによってMMAEまたはMMAFに連結されたモノクローナル抗体を含む免疫複合体であり得る。
【0132】
【0133】
いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、抗体であるベランタマブであり得る。別の実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質は、免疫複合体であるベランタマブマホドチンであり得る。
【0134】
いくつかの場合において、本開示のコンジュゲートされた抗体(抗体-薬物複合体またはADC)は、健康な組織を温存しつつ、腫瘍細胞に対する非常に強力な細胞傷害性薬剤の特異的標的化を可能にするように設計された強力な抗がん剤であり得る。腫瘍特異的抗体の使用にもかかわらず、ADCに関する新たな臨床データは、ADCがその最適な治療用量に達する前に、有害事象が頻繁に発生することを示している。そのため、これらのADCが前臨床腫瘍モデルにおいて高い活性があるにもかかわらず、臨床におけるそれらの治療域は狭く、投薬レジメンは、前臨床モデルからのデータに基づいて必ずしも予測することができない用量制限毒性によって妨げられるように思われる。
【0135】
いくつかの場合において、安全性プロファイルを悪化させることなく治療効果を相乗的に強化するために組合わされ得る治療法は、特に、処置下で発生する有害事象、例えば、眼毒性の発生率および重症度に関して、がん患者の処置における大きな進歩となり得る。
【0136】
いくつかの場合において、最良のベネフィット-リスクプロファイルを有しながら著しく高い全奏効率(ORR)を導く用量の有効性を強化することができる薬物との組合せは、そのような抗原結合性タンパク質によって処置される患者の管理においてパラダイムシフトを導く可能性がある。
【0137】
障害
いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、B細胞障害を処置することができる。B細胞障害は、B細胞の発達/免疫グロブリン産生の欠陥(免疫不全)および過度の/制御不能な増殖(リンパ腫、白血病)に分けることができる。本明細書で使用される場合、B細胞障害は両方のタイプの疾患を指し、B細胞障害を抗原結合性タンパク質によって処置するための方法が提供される。
【0138】
がん、特にB細胞媒介性もしくは形質細胞媒介性の疾患または抗体媒介性の疾患もしくは障害の例としては、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ性白血病(CLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、非分泌型多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、孤立性形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、原発性アミロイドーシス(AL)、重鎖病、全身性エリテマトーデス(SLE)、POEMS症候群/骨硬化性骨髄腫、I型およびII型クリオグロブリン血症、軽鎖沈着症、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、急性糸球体腎炎、天疱瘡および類天疱瘡障害および後天性表皮水疱症、または任意の非ホジキンリンパ腫B細胞白血病(NHL)ならびにホジキンリンパ腫(HL)が挙げられる。いくつかの場合において、疾患または障害は、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫B細胞白血病(NHL)、濾胞性リンパ腫(FL)およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)からなる群から選択され得る。いくつかの場合において、疾患は、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫B細胞白血病(NHL)であり得る。いくつかの場合において、疾患は、多発性骨髄腫であり得る。
【0139】
いくつかの場合において、がんは、造血系(または血液系、血液学的もしくは血液関連)がん、例えば、血液細胞または免疫細胞に由来するがんであり得、これらは「液体腫瘍」と称され得る。いくつかの場合において、がんは、B細胞関連がん、特にBCMA発現がんであり得る。いくつかの場合において、がんは、白血病、例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病および急性リンパ性白血病であり得る。別の場合において、がんは、リンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫等であり得る。別の場合において、がんは、形質細胞悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫およびワルデンストレームマクログロブリン血症であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物は、ALアミロイドーシスを処置する。
【0140】
いくつかの場合において、がんは、多発性骨髄腫であり得る。いくつかの場合において、がんは、再発性および/または難治性の多発性骨髄腫であり得る。いくつかの場合において、再発性および/または難治性の多発性骨髄腫患者は、多発性骨髄腫を処置するために、少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種または少なくとも4種の治療薬によって以前に処置されたことがある。
【0141】
先行する処置
いくつかの場合において、本明細書に記載される対象は、本明細書に記載される組合せ物によって処置される前に、0、1、2、3、4または5以上の先行する処置ラインを受けていてもよい。別の実施形態において、対象は、再発性および/または難治性の多発性骨髄腫を有してもよく、本明細書に記載される組合せ物によって処置される前に、0、1、2、3、4または5以上の先行する処置ラインを受けていてもよい。別の実施形態において、対象は、免疫調節薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)および抗CD38処置(例えば、ダラツムマブ)またはそれらの組合せを含み得る少なくとも3つの先行するラインによって以前に処置されたことがある。治療ラインは、International Myeloma Workshop(IMWG)のコンセンサスパネルによって定義され得る。
【0142】
いくつかの場合において、対象は、本明細書に記載される組合せ物によって処置される前に、0、1、2、3、4または5以上の先行する処置ラインを受けていてもよく、1または2以上の先行する処置ラインが不成功であってもよい。いくつかの場合において、先行する処置ラインに関連する有害事象により、先行する処置ラインの中止が余儀なくされた。本明細書に記載されるように処置され得る哺乳動物(例えば、ヒト)が、本明細書に記載されるように処置される前に、0、1、2、3、4または5以上の先行する処置ラインを受けていた哺乳動物である場合、先行する処置は、任意の適切な処置であり得る。例えば、本明細書に記載されるように処置される前に、0、1、2、3、4または5つ以上の先行する処置ラインを受けていた哺乳動物は、免疫調節薬(IMiD)、プロテアソーム阻害剤(PI)、抗CD38処置またはそれらの組合せによって以前に処置されたことがあってもよい。
【0143】
いくつかの場合において、先行する処置ラインを受けた対象が、再発性、再燃性および/または難治性のがんを有することがある。いくつかの場合において、がんは、原発性がんであり得る。いくつかの場合において、がんは、転移性がんであり得る。いくつかの場合において、がんは、化学療法抵抗性のがんであり得る。いくつかの場合において、がんは、B細胞がん(例えば、白血病およびリンパ腫)であり得る。本明細書に記載されるように処置され得るがんの例としては、限定されないが、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、非分泌性多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、孤立性形質細胞腫(例えば、骨の孤立性形質細胞腫および髄外孤立性形質細胞腫)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、原発性アミロイドーシス(AL)、重鎖病、全身性エリテマトーデス(SLE)、POEMS症候群、骨硬化性骨髄腫、I型およびII型クリオグロブリン血症、軽鎖沈着症、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、急性糸球体腎炎、天疱瘡および類天疱瘡障害、後天性表皮水疱症、非ホジキンリンパ腫、B細胞白血病、ならびにホジキンリンパ腫が挙げられる。
【0144】
使用の説明
いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、BCMA抗原結合性タンパク質が適応とされる疾患または状態、例えば、がんを処置するために使用され得る。そのような処置は、(i)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質またはADC、および(ii)1種または2種以上のCELMODを含み得る。いくつかの場合において、哺乳動物(例えば、ヒト、例えば、がんを有するヒト)は、(i)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質またはADC、および(ii)1種または2種以上のCELMODを投与され得る。いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、ADCの細胞傷害性薬剤を、BCMAポリペプチドを発現する(例えば、細胞表面上のBCMAポリペプチドを発現する)細胞(例えば、がん細胞)に対して標的化して、がん関連抗原を発現する細胞(例えば、がん細胞)に対する免疫応答を刺激(例えば、誘導または強化)する。いくつかの場合において、BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、同じがん細胞に結合され得る。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、異なるがん細胞に結合され得る。いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、同じまたは異なるがん細胞と相互作用することができる。
【0145】
いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、対象の処置のためのものであり得る。「個体」、「対象」および「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用される。対象はヒトであり得る。対象はまた、哺乳動物、例えば、マウス、ラットまたは霊長類(例えば、マーモセットまたはサル)でもあり得る。対象は、非ヒト動物であり得る。処置される対象は、家畜、例えば、雌ウシもしくは雄ウシ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギまたはウマであってもよく、または愛玩動物、例えば、イヌもしくはネコであってもよい。動物は、任意の齢数であってよく、または成熟した成体動物であってもよい。いくつかの実施形態において、処置は、治療的、予防的または防止的であり得る。対象は、それを必要とするものであってもよい。処置を必要とするものとしては、既に医学的疾患に罹患している個体に加えて、将来疾患を発症する可能性のあるものが挙げられる。
【0146】
したがって、本明細書に記載される組成物は、予防的または防止的処置のために使用され得る。この場合、本明細書に記載される組成物は、疾患の1つまたは2つ以上の態様もしくは症状の発生を予防するかまたは遅延させるために、個体に投与され得る。対象は無症候性であり得る。対象は、疾患に対する遺伝的素因を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物の予防的有効量は、そのような個体に投与され得る。いくつかの実施形態において、予防的有効量は、本明細書に記載される疾患の1つまたは2つ以上の態様もしくは症状の発生を予防するかまたは遅延させる量であり得る。
【0147】
本明細書に開示される組合せ物は、治療方法にも使用され得る。「治療法」という用語は、疾患の少なくとも1つの態様または症状の緩和、軽減または防止を包含する。例えば、本明細書に開示される組合せ物は、本明細書に記載される疾患の1つまたは2つ以上の態様もしくは症状を改善または軽減するために使用され得る。
【0148】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組合せ物は、治療的、予防的または防止的処置のために有効量で使用され得る。いくつかの場合において、本明細書に記載される組合せ物の治療有効量は、疾患の1つまたは2つ以上の態様もしくは症状を改善または軽減するために有効な量であり得る。いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、対象の健康に対して一般に有益な効果を及ぼすこともでき、例えば、対象の予想寿命を延ばすことができる。
【0149】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組合せ物は、実行可能な治療的処置を構成するのに、完全な治癒を及ぼすことも、疾患のすべての症状もしくは徴候を根絶することも必要としない場合がある。関連分野で認識されているように、治療剤として使用される薬物は、所与の疾患状態の重症度を軽減し得るが、有用な治療剤とみなされるために疾患のすべての徴候を消失させる必要はない。同様に、予防的に投与される処置は、実行可能な予防剤を構成するのに、疾患の発生を防止する上で完全に有効である必要はない。単に対象において疾患の影響を軽減すること(例えば、症状の数もしくは重症度を軽減することによって、または別の処置の有効性を高めることによって、または別の有益な効果を生じさせることによって)、または疾患が発生する可能性(例えば、疾患の発生を遅らせることによって)もしくは悪化する可能性を減らすことで、十分である場合もある。
【0150】
いくつかの場合において、本明細書で提供される材料および方法は、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)に存在するがん細胞の数を減少させるかまたはなくすために使用され得る。例えば、それを必要とする哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)は、がんを有する哺乳動物に存在するがん細胞の数(例えば、がんを有する哺乳動物から得られた試料中に存在するがん細胞の数)を、例えば、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセント、少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセントまたはそれを上回って減少させるために、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODを投与され得る。いくつかの場合において、がんを有する哺乳動物から得られた試料中には、がん細胞が存在しなくてもよい。例えば、それを必要とする哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)は、がんを有する哺乳動物に存在する1種または2種以上の腫瘍のサイズ(例えば、体積)を、例えば、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセント、少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセントまたはそれを上回って減少させるために、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODを投与され得る。いくつかの場合において、処置される哺乳動物に存在するがん細胞の数は、モニターされ得る。任意の好適な方法が、哺乳動物に存在するがん細胞の数が減少しているか否かを決定するために使用され得る。例えば、イメージング手法が、哺乳動物に存在するがん細胞の数を評価するために使用され得る。
【0151】
いくつかの場合において、本明細書に提供される材料および方法は、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)の生存時間を改善するために使用され得る。例えば、それを必要とする哺乳動物(例えば、がんを有する哺乳動物)は、その哺乳動物の生存時間を改善するために、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODを投与され得る。例えば、本明細書に記載される材料および方法は、がんを有する哺乳動物の生存時間を、例えば、少なくとも約10パーセント、少なくとも約20パーセント、少なくとも約30パーセント、少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約70パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約95パーセントまたはそれを上回って改善するために使用され得る。例えば、本明細書に記載される材料および方法は、がんを有する哺乳動物の生存時間を、例えば、少なくとも約3か月(例えば、少なくとも約3か月、少なくとも約6か月、少なくとも約8か月、少なくとも約10か月、少なくとも約1年、少なくとも約1.5年、少なくとも約2年、少なくとも約2.5年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年またはそれを上回って)改善するために使用され得る。
【0152】
いくつかの場合において、本明細書で提供される材料および方法は、哺乳動物が、最小限の副作用、軽減された副作用を経験するか、または副作用を全く経験しないように、がんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために使用され得る。例えば、本明細書に開示される組合せ物(例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMOD)が投与された場合に、哺乳動物は、がんを有していて抗BCMA抗原結合性タンパク質のみまたはCELMODのみが投与された哺乳動物と比較して、最小限の副作用、軽減された副作用を経験するか、または副作用を全く経験しないことが可能である。がんを有する哺乳動物によって経験され得る副作用の例としては、限定されないが、視覚または眼の変化、例えば、眼科的検査での所見(角膜症)、視力低下または目のかすみ、悪心、血球数減少、発熱、点滴関連反応、疲労感、腎機能または肝機能の血液検査値の変化、血小板減少症、眼毒性(例えば、角膜上皮の変化、ドライアイ、炎症、充血、目のかすみ、ドライアイ、羞明および視力の変化)から選択される1種または2種以上の副作用が挙げられる。
【0153】
いくつかの場合において、がん、例えば、多発性骨髄腫を有する患者において眼毒性を防止および/または軽減するのに使用するための、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODを含む組合せ物が提供される。一実施形態において、眼毒性は、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみ(単剤療法)で処置された患者と比較して、防止または軽減され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、スネレン視標(Snellen Visual Acuity)でのベースラインから1ラインの低下を減少/遅延させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、スネレン視標でのベースラインから2ラインまたは3ラインの低下を減少/遅延させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、スネレン視標でのベースラインから3ラインを超える低下を減少/遅延させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、スネレン視標でのベースラインからの変化を減少/遅延させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、logMAR(最小視角の対数)単位のベースラインからの減少を減少/遅延させる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、対象における軽度の表在性角膜症、中等度の表在性角膜症、重度の表在性角膜症または角膜上皮欠損の進行を減少/遅延させるか、または防止する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物、例えば、抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODは、抗BCMA抗原結合性タンパク質のみによる処置と比較して、対象における軽度の表在性角膜症、中等度の表在性角膜症、重度の表在性角膜症または角膜上皮欠損を防止する。
【0154】
「眼毒性」は、眼組織への治療剤のあらゆる意図しない曝露を指す。眼毒性としては、角膜上皮の変化、ドライアイ、炎症、充血、目のかすみ、ドライアイ、羞明および/または視力の変化が挙げられる。
【0155】
眼科的検査は、眼科医または検眼士によって実施され得る。眼科的検査には、以下:
1.最良矯正視力、
2.顕性屈折の記録と最良矯正視力を得るために使用された方法、
3.現在の眼鏡処方(該当する場合)、
4.眼圧測定、
5.角膜のフルオレセイン染色と水晶体検査とを含む前眼部(細隙灯)検査、
6.散瞳眼底検査、および/または、
7.視力についての潜在的な眼の変化が機能および健康関連の生活の質に及ぼす影響を評価する視覚機能質問票である、眼表面疾患指数(OSDI)
のうちの1つまたは2つ以上が含まれ得る。
【0156】
眼科的検査は、処置前、処置中、および/または処置後に行われ得る。
【0157】
一態様において、本開示による抗BCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODの治療有効用量を投与することを含む、それを必要とする対象においてがんを処置する方法が提供される。
【0158】
CELMOD
本明細書には、(i)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質またはADC、および(ii)1種または2種以上のセレブロンE3リガーゼモジュレーター(CELMOD)を含み得る組合せ物が開示される。任意の適切なCELMODが、本明細書に記載されるようながんを有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために使用され得る。いくつかの場合において、CELMODは、1000ダルトン未満の分子量を有し得る。いくつかの場合において、CELMODは、Ikarosタンパク質、Aiolosタンパク質、またはそれらの組合せを分解することができる。いくつかの場合において、CELMODは、セレブロン(例えば、セレブロンE3リガーゼ)に対して1μM未満のIC50値を有し得る。いくつかの場合において、CELMODは、メジグドミド(CC-92480)もしくはその薬学的に許容可能な塩、イベルドミド(CC-220)もしくはその薬学的に許容可能な塩、アバドミド(CC-122)もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-90009もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-99282もしくはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの場合において、CELMODは、CC-99282またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、経口的におよび/または1日1回投与される)であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCELMODは、毎日少なくとも1回、毎週少なくとも1回、隔週毎に少なくとも1回、3週毎に少なくとも1回または毎月少なくとも1回、対象に投与される。
【0159】
いくつかの例において、CELMODは、GSPT1、例えば、CC-90009またはその薬学的に許容可能な塩を分解することができる。いくつかの実施形態において、CELMODは、注射によって、例えば静脈内に、および/または単位用量(unit dose)当たり少なくとも約0.6mg(例えば、約0.6~1mg、約0.6~2mg、約0.6~3mg、約0.6~4mg、約0.6~5mg、約1~2mg、約1~3mg、約1~4mg、約1~5mg、約2~3mg、約2~4mg、約2~5mg、約3~4mg、約3~5mgまたは約4~5mg)が投与され得る。
【0160】
いくつかの例において、CELMODは、メジグドミド(CC-92480)またはその薬学的に許容可能な塩であり得、例えば、経口投与され得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、組合せ物中に約1~5mg、例えば、約1~1.6mg、約1.6~2mg、約1.6~3mg、約1.6~4mg、約1.6~5mg、約1~2mg、約1~3mg、約1~4mg、約1~5mg、約2~3mg、約2~4mg、約2~5mg、約3~4mg、約3~5mgもしくは約4~5mgで存在し得、および/または、1日1回投与され得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、組合せ物中に少なくとも約0.1mg~0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.1mg、少なくとも約1.2mg、少なくとも約1.3mg、少なくとも約1.4mg、少なくとも約1.5mgまたは少なくとも約1.6mgで存在し得る。いくつかの実施形態において、CELMODの化学名は、ベンゾニトリル,4-[4-[[4-[[[2-[(3S)-2,6-ジオキソ-3-ピペリジニル]-2,3-ジヒドロ-1-オキソ-1H-イソインドール-4-イル]オキシ]メチル]フェニル]メチル]-1-ピペラジニル]-3-フルオロであり得る。いくつかの実施形態において、CELMODの構造式は、以下の構造式:
【化2】
であり得る。
【0161】
いくつかの例において、CELMODは、イベルドミド(CC-220)またはその薬学的に許容可能な塩、例えば、塩酸イベルドミドであり得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、経口的におよび/または少なくとも約0.6mgもしくは約1mg/日で投与され得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、組合せ物中に少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.1mg、少なくとも約1.2mgまたは少なくとも約1.3mgで存在し得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、約0.3~1mg、約0.3~2mg、約1~2mg、約1~3mg、約1~4mg、約1~5mg、約1~10mg、約2~3mg、約2~4mg、約2~5mg、約2~6mg、約2~7mg、約2~8mg、約2~9mg、約2~10mg、約3~4mg、約3~5mg、約3~6mg、約3~7mg、約3~8mg、約3~9mg、約3~10mg、約4~5mg、約6~7mg、約8~9mg、約9~10mg、約6~8mg、約6~9mgまたは約6~10mgの単位用量であり得る。いくつかの実施形態において、CELMODの化学名は、S)-3-[4-({4-[(モルホリン-4-イル)メチル]フェニル}メトキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル]ピペリジン-2,6-ジオンであり得るか、または2,6-ピペリジンジオン,3-[1,3-ジヒドロ-4-[[4-(4-モルホリニルメチル)フェニル]メトキシ]-1-オキソ-2H-イソインドール-2-イル]-,(3S)-であり得る。いくつかの実施形態において、CELMODの構造式は、以下の構造式:
【化3】
であり得る。
【0162】
いくつかの例において、CELMODは、アバドミド(CC-122)またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、塩酸アバドミド)であり得る。いくつかの実施形態において、CELMODの化学名は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)ピペリジン-2,6-ジオンであり得るか、または2,6-ピペリジンジオン,3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-3(4H)-キナゾリニル)-であり得る。いくつかの実施形態において、CELMODの構造式は、以下の構造式:
【化4】
であり得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、少なくとも約2mgまたは少なくとも約3mgの用量で経口投与され得る。いくつかの実施形態において、CELMODは、少なくとも約0.5~1mg、少なくとも約1~2mg、少なくとも約1~3mg、少なくとも約1~4mg、少なくとも約1~5mg、少なくとも約1~10mg、少なくとも約2~3mg、少なくとも約2~4mg、少なくとも約2~5mg、少なくとも約2~6mg、少なくとも約2~7mg、少なくとも約2~8mg、少なくとも約2~9mg、少なくとも約2~10mg、少なくとも約3~4mg、少なくとも約3~5mg、少なくとも約3~6mg、少なくとも約3~7mg、少なくとも約3~8mg、少なくとも約3~9mg、少なくとも約3~10mg、少なくとも約4~5mg、少なくとも約6~7mg、少なくとも約8~9mg、少なくとも約9~10mg、少なくとも約6~8mg、少なくとも約6~9mgまたは少なくとも約6~10mgの単位用量であり得る。
【0163】
投与量(Dosage)
いくつかの場合において、本明細書では、がんの処置に使用するための、配列番号1によるCDRH1;配列番号2によるCDRH2;配列番号3によるCDRH3;配列番号4によるCDRL1;配列番号5によるCDRL2;および配列番号6によるCDRL3を含む抗BCMA抗原結合性タンパク質と、CELMODとの治療有効用量を含む組合せ物が提供される。
【0164】
いくつかの場合において、本明細書では、がんの処置に使用するための、配列番号7による重鎖可変領域(VH);および配列番号8による軽鎖可変領域(VL)を含む抗BCMA抗原結合性タンパク質と、CELMODとの治療有効用量を含む組合せ物が提供される。
【0165】
いくつかの場合において、本明細書では、がんを処置するに使用するための、配列番号9による重鎖(H)および配列番号10による軽鎖(L)を含む抗BCMA抗原結合性タンパク質と、CELMODとの治療有効用量を含む組合せ物が提供される。
【0166】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号11、15または19の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号12、16または20の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号13、17、22または24の重鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号14、18、23または25の軽鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号11の重鎖可変領域および配列番号12の軽鎖可変領域、配列番号15の重鎖可変領域および配列番号16の軽鎖可変領域、または配列番号19の重鎖可変領域および配列番号20の軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号13の重鎖領域および配列番号14の軽鎖領域、配列番号17の重鎖領域および配列番号18の軽鎖領域、配列番号22の重鎖領域および配列番号23の軽鎖領域、または配列番号24の重鎖領域および配列番号25の軽鎖領域を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗BCMA抗原結合性タンパク質は、配列番号21を含むscFV-fcである。
【0167】
いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、医薬調製物中にある場合、単位用量形態(unit dose form)で存在することができる。いくつかの実施形態において、投与レジメン(dosage regimen)は、医療専門家および/または臨床的因子によって決定される。医学分野では周知のように、任意の1人の患者に対する投与量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与される組合せ、性別、投与の時間および経路、全身健康状態、ならびに同時に投与されるその他の薬物を含む多くの因子に依存する。例示的な用量は、処置される個体の大きさおよび健康、ならびに処置される状態に従って変化し得る。
【0168】
本明細書に記載される抗BCMA抗原結合性タンパク質の好適な用量は、患者の体重に応じて計算され得、例えば、好適な用量は、約0.1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約1mg/kg~約20mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kg、または例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約10mg/kg~約15mg/kgであり得る。
【0169】
いくつかの場合において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、約0.03mg/kg~約4.6mg/kgであり得る。さらに別の実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、約もしくは少なくとも0.03mg/kg、約もしくは少なくとも0.06mg/kg、約もしくは少なくとも0.12mg/kg、約もしくは少なくとも0.24mg/kg、約もしくは少なくとも0.48mg/kg、約もしくは少なくとも0.96mg/kg、約もしくは少なくとも1.4mg/kg、約もしくは少なくとも1.92mg/kg、約もしくは少なくとも2.5mg/kg、約もしくは少なくとも3.4mg/kgまたは約もしくは少なくとも4.6mg/kgであり得る。さらに別の実施形態において、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効用量は、1.4mg/kg、1.9mg/kg、2.5mg/kgまたは3.4mg/kgであり得る。
【0170】
いくつかの場合において、対象は、少なくとも1回、以前にがん処置を受けたことがある。いくつかの場合において、組合せ物の治療有効用量は、1日~60日毎に少なくとも約1回、対象に投与され得る。いくつかの場合において、組成物の治療有効用量は、3、4、6または8週毎(例えば、21日毎)に少なくとも約1回、対象に投与され得る。いくつかの場合において、組成物の治療有効用量は、8日毎に少なくとも約1回、対象に投与され得る。
【0171】
投与経路
いくつかの場合において、(i)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質またはADC、および(ii)1種または2種以上のCELMODは、哺乳動物に同時に(例えば、単一組成物中で)投与され得る。いくつかの場合において、(i)BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する、抗BCMA抗原結合性タンパク質またはADC、および(ii)1種または2種以上のCELMODは、対象に別々に投与され得る。別々に投与される場合、これは同時に行ってもよく、または任意の順序で(同じ投与経路によって、または異なる投与経路によって)逐次的に行ってもよい。そのような逐次投与は、時間的に近くてもよく、または時間的に離れていてもよい。組合せ物の治療剤またはその医薬組成物およびさらなる治療的に活性な薬剤の用量、および投与の相対的タイミングは、所望の組合せ療法の効果を達成するために選択される。
【0172】
いくつかの実施形態において、投与量は、単回もしくは複数回、例えば、毎日、毎週、隔週もしくは毎月、毎時、投与され得、または処置される疾患もしくは状態の再発、再燃もしくは進行時に投与される。いくつかの実施形態において、用量の投与は、約2~約24時間の期間、例えば、約2~約12時間、または約2~約6時間にわたる緩徐な連続点滴によって行われ得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、非経口的、経皮的、管腔内、動脈内、髄腔内および/もしくは鼻腔内投与のための組合せ物、または組織への直接注射による組合せ物を含み得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、点滴または注射を介して患者に投与され得る。一実施形態において、静脈内投与のためのBCMA結合性タンパク質およびCELMODを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態において、皮下投与のためのBCMA結合性タンパク質およびCELMODを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、対象に、経動脈的に、皮下的に、皮内に、腫瘍内に、結節内に、髄内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射により、静脈内(i.v.)点滴により、または腹腔内に投与され得る。いくつかの実施形態において、組合せ物は、皮内または皮下注射によって対象に投与され得る。
【0174】
一実施形態において、組合せ物の1種または2種以上の治療剤は、静脈内に投与され得る。別の実施形態において、組合せ物の1種または2種以上の治療剤は、腫瘍内に投与され得る。別の実施形態において、組合せ物の1種または2種以上の治療剤は、経口投与され得る。別の実施形態において、組合せ物の1種または2種以上の治療剤は、全身的に、例えば、静脈内投与され得、組合せ物の1種または2種以上のその他の治療剤は、腫瘍内に投与され得る。別の実施形態において、本明細書に開示される組合せ物のすべての治療剤は、全身的に、例えば、静脈内に投与され得る。別の実施形態において、本明細書に記載される組合せ物のすべての治療剤は、腫瘍内に投与され得る。実施形態の任意のものにおいて、例えば、本段落において、本明細書に開示される治療剤は、1種または2種以上の医薬組成物として投与され得る。
【0175】
医薬組成物
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、対象に投与される薬学的に許容可能な組成物の調製のためのそれ自体が公知の方法によって調製され得、BCMA結合性タンパク質+CELMODの有効量は、薬学的に許容可能な担体と混合物中で組合わされる。好適な担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。これに基づいて、組成物は、排他的ではないが、1種または2種以上の薬学的に許容可能な担体または希釈剤と関連した、好適なpHを有するとともに生理液と等浸透圧を有する緩衝溶液中に含有される物質の溶液を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、酸性であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、塩基性であり得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5または約14のpHを有し得る。
【0176】
いくつかの実施形態において、好適な薬学的に許容可能な担体は、医薬組成物の生物学的活性の有効性を妨げない、本質的に化学的に不活性で無毒性の組成物を含み得る。好適な医薬担体の例としては、限定されるものではないが、水、生理食塩水、グリセロール溶液、N-(1(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオレシルホスホチジル-エタノールアミン(DOPE)およびリポソームが挙げられる。いくつかの実施形態において、そのような組成物は、本明細書に開示されるBCMA結合性タンパク質およびCELMODの治療有効量を、好適な量の担体とともに、対象への直接投与のための形態を提供するように含有する。
【0177】
医薬組成物は、限定されないが、凍結乾燥粉末または水性もしくは非水性の無菌注射用溶液もしくは懸濁液を含み得、これらはさらに、組成物に、意図されたレシピエントの組織または血液との実質的な適合性を与える、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含有し得る。そのような組成物中に存在し得るその他の成分としては、例えば、水、界面活性剤(例えば、Tween)、アルコール、保存料、ポリオール、グリセリンおよび植物油が挙げられる。即時注射用溶液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒、錠剤、または濃縮溶液もしくは懸濁液から調製され得る。
【0178】
本明細書に開示される医薬組成物は、種々の形態に製剤化されてよく、多くの異なる手段によって投与され得る。医薬製剤は、従来から許容可能な担体、アジュバントおよびビヒクルを必要に応じて含有する製剤中で、経口的、経直腸的または非経口的に投与され得る。本明細書で使用される場合、「非経口的」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内または胸骨内の注射および点滴の手法を含む。投与は、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、髄腔内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む注射または点滴、吸入、経皮的、経粘膜的、舌下、口腔内および局所(皮膚上、皮膚、浣腸、点眼薬、点耳薬、鼻腔内、膣内を含む)投与を含む。いくつかの例示的な実施形態において、投与経路は、注射、例えば、筋肉内、静脈内、皮下または腹腔内注射を介し得る。
【0179】
液体製剤としては、経口製剤、静脈内製剤、鼻腔内製剤、眼用製剤、耳用製剤、エアロゾルなどが挙げられる。ある特定の実施形態において、さまざまな製剤の組合せが投与され得る。ある特定の実施形態において、組成物は、延長放出プロファイルのために製剤化され得る。
【0180】
本明細書に開示される医薬組成物は、その他の治療薬または処置と組合わせて投与され得る。いくつかの実施形態において、対象に対する処置は、手術、放射線、化学療法、栄養レジメン、身体活動、免疫療法、医薬組成物、細胞移植、輸血(blood fusion)、またはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの場合において、本明細書に開示される組合せ物は、がんを処置するために使用される1種または2種以上の追加の薬剤/治療法とともに、がんを有する哺乳動物に投与され得る。がんを処置するために使用される追加の薬剤/治療法の例としては、限定されないが、手術、放射線療法、化学療法、標的療法(例えば、モノクローナル抗体療法)、ホルモン療法、血管新生阻害剤、免疫抑制剤、チェックポイント阻害療法(例えば、抗PD-1抗体療法、抗PD-L1抗体療法、および/または抗CTLA4抗体療法)、骨髄移植が挙げられる。
【0181】
いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、カルフィルゾミブ、ダラツムマブ、イサツキシマブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、マリゾミブ、またはそれらの薬学的に許容可能な塩であり得る。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、PD-1阻害剤である。いくつかの場合において、PD-1阻害剤は、PDR001、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI0680、REGN2810、TSR-042、PF-06801591およびAMP-224からなる群から選択される。いくつかの場合において、PD-1阻害剤はJemperliである。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、PD-L1阻害剤である。いくつかの場合において、PD-L1阻害剤は、FAZ053、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブおよびBMS-93655からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、CTLA-4阻害剤である。いくつかの場合において、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブまたはトレメリムマブである。いくつかの場合において、追加のがん治療剤は、TIM-3阻害剤である。いくつかの場合において、TIM-3阻害剤は、MGB453またはTSR-022である。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、LAG-3阻害剤である。いくつかの場合において、LAG-3阻害剤は、LAG525、BMS-986016およびTSR-033からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、追加のがん治療剤は、mTOR阻害剤である。いくつかの場合において、mTOR阻害剤は、RAD001またはラパマイシンである。
【0182】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物/製剤は、安定であり得る。いくつかの実施形態において、「安定な」製剤は、その中の組合せ物が貯蔵時にその物理的および/もしくは化学的安定性ならびに/または生物学的活性を本質的に保持するものである。安定性は、選択された温度で、選択された時間にわたって測定され得る。いくつかの実施形態において、製剤は、周囲温度または40℃で少なくとも1か月、および/または2~8℃で少なくとも1~2年間、安定であり得る。いくつかの実施形態において、製剤は、凍結(例えば、-70℃に凍結)および解凍の後に安定であり得る。いくつかの実施形態において、タンパク質は、色および/もしくは透明度の目視検査によって観察されるように、またはUV光散乱(可視的凝集物を測定する)もしくはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定されるように、凝集、沈殿および/または変性の変化がほとんどまたは全くない場合に、製剤中で「その物理的安定性を保持する」。SECは、必ずしも可視的凝集物の前駆体ではない可溶性凝集物を測定する。いくつかの実施形態において、所与の時間での化学的安定性が、タンパク質がその生物学的活性を保持すると考えられるようなものである場合に、タンパク質は製剤中で「その化学的安定性を保持する」。化学的に分解された種は、生物学的に活性および化学的に不安定であり得る。化学的安定性は、タンパク質の化学的に変更された形態を検出および定量することによって評価され得る。化学的変化は、例えば、SEC、SDS-PAGEおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価され得るサイズ改変(例えば、クリッピング)を含み得る。その他の種類の化学的変化としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィーによって評価され得る電荷変化(例えば、脱アミド化の結果として生じる)が挙げられる。
【0183】
いくつかの実施形態において、所与の時間でのBCMA結合性タンパク質の生物学的活性が、例えば、抗原結合アッセイで決定されるように医薬製剤が調製された時点で示された生物学的活性の約10%以内(アッセイの誤差の範囲内)である場合に、BCMA結合性タンパク質は、医薬製剤中で「その生物学的活性を保持する」。いくつかの実施形態において、所与の時間でのCELMODの生物学的活性が、例えば、抗原結合アッセイで決定されるように医薬製剤が調製された時点で示された生物学的活性の約10%以内(アッセイの誤差の範囲内)である場合に、CELMODは、医薬製剤中で「その生物学的活性を保持する」。
【0184】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される緩衝液は、その酸-塩基複合体成分の作用によるpHの変化に抵抗する緩衝溶液を指す。いくつかの実施形態において、緩衝液は、リン酸塩、クエン酸塩およびその他の有機酸であり得る。いくつかの実施形態において、緩衝液は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、またはそれらの混合物からなる群から選択され得る。本明細書に開示される組成物は、アスコルビン酸および/またはメチオニンを含む酸化防止剤を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、保存料を含み得る。いくつかの実施形態において、保存料は、その中の細菌を含む微生物の作用を本質的に低減させるため、製剤中に含まれ得る化合物であって、それにより例えば、多用途製剤の生産を容易にすることができる。可能性のある保存料の例としては、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;単糖、二糖およびその他の炭水化物(グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む);キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0185】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物は、化学療法剤、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、増殖阻害剤、抗ホルモン剤、および/または心臓保護剤をさらに含み得る。そのような分子は、意図された目的のために有効な量で組合わされて存在し得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組合せ物は、徐放性調製物として調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、組合せ物またはその部分を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態であり得る。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸とのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドとからなる注射可能なミクロスフェア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書には、1mg/mLから500mg/mLの濃度で存在し得る、BCMA結合性タンパク質およびCELMODを含む医薬組成物であって、2.0から10.0のpHを有する医薬組成物が開示される。医薬組成物は、緩衝系、保存料、等張化剤、キレート剤、安定剤および界面活性剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、水性製剤、例えば、水を含む製剤であり得る。そのような製剤は、溶液または懸濁液であり得る。さらなる実施形態において、薬学的製剤は水溶液であり得る。いくつかの実施形態において、水性製剤は、少なくとも50%w/wの水を含む製剤であり得る。いくつかの実施形態において、水溶液は、少なくとも50%w/wの水を含む溶液と定義される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載される組合せ物を含む安定な液体水性医薬製剤であり得る。
【0188】
医薬組成物はまた、治療的に活性な組合せ物の安定性をさらに強化し得る追加の安定化剤を含み得る。安定化剤としては、限定されるものではないが、メチオニン、およびメチオニン酸化からポリペプチドを保護するEDTA、ならびに凍結融解または機械的剪断に関連する凝集からポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。界面活性剤は、洗剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えば、ポロキサマー、例えば、PLURONIC F68、ポロキサマー188および407、Triton X-100)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体、例えば、アルキル化およびアルコキシル化誘導体(ツイーン、例えば、Tween-20、Tween-40、Tween-80およびBrij-35)、モノグリセリドもしくはそのエトキシル化誘導体、ジグリセリドもしくはそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチンおよびリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロールおよびスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えば、ジパルミトイルホスファチジン酸)およびリゾリン脂質(例えば、エタノールアミン、コリン、セリンもしくはトレオニンのパルミトイルリゾホスファチジル-L-セリンおよび1-アシル-sn-グリセロ-3-リン酸エステル)、ならびにリゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、例えば、リゾホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ならびにコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、トレオニン、グリセロール、イノシトールである極性頭部基の改変、ならびに正に荷電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリンおよびリゾホスファチジルトレオニン、グリセロリン脂質(例えば、セファリン)、グリセロ糖脂質(例えば、ガラクトピラノシド(galactopyransoide))、スフィンゴ糖脂質(例えば、セラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、鶏卵リゾレシチン、フシジン酸誘導体(例えば、タウロジヒドロフシド酸ナトリウムなど)、長鎖脂肪酸およびその塩C6~C12(例えば、オレイン酸およびカプリル酸)、アシルカルニチンおよび誘導体、リジン、アルギニンもしくはヒスチジンのNa-アシル化誘導体もしくはリジンもしくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニンもしくはヒスチジンと中性もしくは酸性アミノ酸との任意の組合せを含むジペプチドのNa-アシル化誘導体、中性アミノ酸と2個の荷電アミノ酸との任意の組合せを含むトリペプチドのNa-アシル化誘導体、DSS(ドクサートナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドクサートカルシウム(CAS登録番号[128-49-4])、ドクサートカリウム(CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウムもしくはラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸もしくはその誘導体、胆汁酸およびその塩ならびにグリシンもしくはタウリン複合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、陰イオン(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、両性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コラミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、陽イオン性界面活性剤(四級アンモニウム塩基)(例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシルβ-D-グルコピラノシド)、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加に由来する4官能性ブロックコポリマーであるポロキサミン類(例えば、Tetronic)から選択されることができ、または界面活性剤は、イミダゾリン誘導体もしくはその混合物の群から選択されることができる。
【0189】
キット
医薬組成物を使用説明書とともに含むキット・オブ・パーツが、さらに提供される。利便性のために、キット・オブ・パーツは、所定量の試薬および使用説明書を含み得る。
【0190】
いくつかの実施形態において、本明細書には、本明細書に開示されるBCMA結合性タンパク質およびCELMODを含むキットが開示される。キットは、それぞれが本明細書に記載されるキット成分の単一の単位用量を含む、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケットまたはブリスターパックを含み得る。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、水分の変化または蒸発に対して不透過性)、および/または遮光性であってもよい。キットは、成分の投与に好適なデバイス、例えば、シリンジ、吸入器、ピペット、鉗子、計量スプーン、スポイト(例えば、点眼器)、スワブ(例えば、綿棒または木製スワブ)、または任意のそのような送達装置を含み得る。いくつかの実施形態において、デバイスは、例えば、外科的挿入のために包装された医療用インプラントデバイスであってもよい。本明細書に開示されるキットは、方法が実施されるのを可能にする1種または2種以上の試薬または器具を含み得る。
【0191】
上記の成分に加えて、使用説明書がキット内に提供されてもよい。これらの説明書は、キット中に、種々の形態で、例えば、好適な媒体または基材上に印刷された情報(例えば、情報が印刷された1枚または2枚以上の紙)として、キットのパッケージに、添付文書などに存在し得る。いくつかの実施形態において、使用説明書は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体(例えば、ジャンプ/サムドライブ、CDなど)、またはインターネットを介してウェブサイトの情報にアクセスするために使用され得るウェブサイトのアドレスで提供されてもよい。
【0192】
デバイス
本開示の別の態様は、本明細書に記載されるBCMA抗原結合性タンパク質、CELMODまたは組合せ物を含む、プレフィルドシリンジまたは自動注射装置を提供する。いくつかの実施形態において、容器、プレフィルドシリンジ、注射器または自動注射装置内に収容される組合せ物は、本明細書に開示されるBCMA抗原結合性タンパク質およびCELMODを含有し得る。
【実施例】
【0193】
実施例1:がんの処置
対象は、がんを有すると同定される。対象には、(a)抗BCMA抗原結合性タンパク質または抗BCMA ADC、および(b)CELMODを含む組合せ物が投与される。
【0194】
実施例2:がんの処置
対象は、がんを有すると同定される。対象には、(a)抗BCMA抗原結合性タンパク質または抗BCMA ADC、および(b)同時投与される別個の組成物中のCELMODが投与される。例えば、がんを有する対象には、BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する1種または2種以上のADCを含む第1の組成物、および1種または2種以上のCELMODを含む第2の組成物が同時投与される。
【0195】
実施例3:がんの処置
対象は、がんを有すると同定される。対象には、(a)抗BCMA抗原結合性タンパク質または抗BCMA ADC、および(b)別個に投与される別個の組成物中のCELMODが投与される。例えば、がんを有する対象には、BCMAポリペプチドに対する結合特異性を有する1種または2種以上のADCを含む第1の組成物、および1種または2種以上のCELMODを含む第2の組成物が別々に投与される。
【0196】
実施例4:がんの処置
対象は、がんを有すると同定される。対象には、1)ベランタマブマホドチン、および、2)メジグドミド(CC-92480)、イベルドミド(CC-220)、アバドミド(CC-122)、CC-90009、CC-99282、またはそれらの薬学的に許容可能な塩を含む組合せ物が投与される。
【0197】
その他の実施形態
本発明をその詳細な説明とともに記載してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図しており、限定するものではないことを理解されたい。その他の態様、利点および改変は、以下の特許請求の範囲内にある。
【0198】
実施形態:
1.a.抗BCMA抗原結合性タンパク質;および
b.セレブロンE3リガーゼモジュレーター(CELMOD)
を含む組合せ物。
2.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、抗体を含む、実施形態1に記載の組合せ物。
3.抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態2に記載の組合せ物。
4.モノクローナル抗体が、IgG1である、実施形態3に記載の組合せ物。
5.抗体が、脱フコシル化されている、実施形態2~4のいずれか1つに記載の組合せ物。
6.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、抗BCMA抗原結合性ヒトタンパク質、抗BCMA抗原結合性ヒト化タンパク質または抗BCMA抗原結合性キメラタンパク質である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組合せ物。
7.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むCDRH1;配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むCDRH2;配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むCDRH3;配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むCDRL1;配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むCDRL2;および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組合せ物。
8.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組合せ物。
9.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む重鎖(H)および配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖(L)を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組合せ物。
10.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、免疫複合体である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組合せ物。
11.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、細胞毒素にコンジュゲートされた抗体を含む免疫複合体である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の組合せ物。
12.細胞毒素が、MMAEまたはMMAFである、実施形態11に記載の組合せ物。
13.細胞毒素が、MMAFである、実施形態12に記載の組合せ物。
14.抗BCMA抗原結合性タンパク質がベランタマブマホドチンである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組合せ物。
15.組合せ物が、少なくとも約0.95mg/kg、少なくとも約1.9mg/kg、少なくとも約1.4mg/kg、少なくとも約2.5mg/kgまたは少なくとも約3.4mg/kgのベランタマブマホドチンを含む、実施形態14に記載の組合せ物。
16.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、1000ダルトン未満の分子量を有する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の組合せ物。
17.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、Ikarosタンパク質、Aiolosタンパク質またはそれらの組合せを分解する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の組合せ物。
18.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、セレブロンに対して1μM未満のIC50値を有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の組合せ物。
19.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、メジグドミド(CC-92480)もしくはその薬学的に許容可能な塩、イベルドミド(CC-220)もしくはその薬学的に許容可能な塩、アバドミド(CC-122)もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-90009もしくはその薬学的に許容可能な塩、CC-99282もしくはその薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組合せ物。
20.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、メジグドミドまたはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組合せ物。
21.組合せ物が、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mgまたは少なくとも約1mgのメジグドミドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態20に記載の組合せ物。
22.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、イベルドミドまたはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組合せ物。
23.組合せ物が、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.2mg、少なくとも約0.3mg、少なくとも約0.4mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約0.6mg、少なくとも約0.7mg、少なくとも約0.8mg、少なくとも約0.9mg、少なくとも約1mg、少なくとも約1.1mg、少なくとも約1.2mgまたは少なくとも約1.3mgのイベルドミドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態22に記載の組合せ物。
24.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、GSPT1を分解する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組合せ物。
25.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、CC-90009またはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態24に記載の組合せ物。
26.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、アバドミドまたはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組合せ物。
27.セレブロンE3リガーゼモジュレーターが、CC-99282またはその薬学的に許容可能な塩である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の組合せ物。
28.組合せ物が、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の組合せ物。
29.組合せ物が、アジュバントをさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の組合せ物。
30.組合せ物が、抗BCMA抗原結合性タンパク質と免疫調節薬(IMiD)との組合せ物よりも抗がん活性においてより相乗的である、実施形態1~29のいずれか1つに記載の組合せ物。
31.IMiDが、ボルテゾミブ、ポマリドミド、レナリドミド、デキサメタゾン、サリドマイドまたはそれらの薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態30に記載の組合せ物。
32.それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組合せ物の治療有効用量を対象に投与することを含む方法。
33.がんが、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症および非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される、実施形態32に記載の方法。
34.がんが多発性骨髄腫である、実施形態32または33に記載の方法。
35.がんが再発性および/または難治性の多発性骨髄腫である、実施形態34に記載の方法。
36.対象が、少なくとも1回、以前にがん処置を受けたことがある、実施形態32~35のいずれか1つに記載の方法。
37.治療有効用量が、3、4、6または8週毎に少なくとも約1回、対象に投与される、実施形態32~36のいずれか1つに記載の方法。
38.組合せ物の治療有効用量を投与することが、抗BCMA抗原結合性タンパク質の治療有効量を単独で投与することに比べて、眼毒性を減少させる、実施形態32~37のいずれか1つに記載の方法。
39.抗BCMA抗原結合性タンパク質がベランタマブマホドチンである、実施形態38に記載の方法。
40.眼毒性が、角膜上皮の変化、ドライアイ、炎症、充血、目のかすみ、ドライアイ、羞明または視力の変化のうちの少なくとも1つである、実施形態38または39に記載の方法。
41.眼毒性が、最良矯正視力、顕性屈折の記録と最良矯正視力を得るために使用された方法、現在の眼鏡処方(該当する場合)、眼圧測定、角膜のフルオレセイン染色と水晶体検査とを含む前眼部(細隙灯)検査、散瞳眼底検査または眼表面疾患指数(OSDI)のうちの少なくとも1つの方法によって測定される、実施形態38~40のいずれか1つに記載の方法。
42.抗BCMA抗原結合性タンパク質が、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約0.95mg/kg、少なくとも約1.25mg/kg、少なくとも約1.7mg/kg、少なくとも約2.5mg/kgまたは少なくとも約3.4mg/kgの用量で対象に投与される、実施形態32~41のいずれか1つに記載の方法。
43.がんの処置のための医薬の製造に使用するための、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組合せ物。
44.がんの処置に使用するための、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組合せ物。
45.a.実施形態1~31のいずれか1つに記載の組合せ物;および
b.がんの処置に使用するための説明書
を含む、がんの処置に使用するためのキット。
46.実施形態1~31のいずれか1つに記載の組合せ物を含む、プレフィルドシリンジまたは自動注射装置。
【0199】
配列表
配列番号1:CDRH1
NYWMH
配列番号2:CDRH2
ATYRGHSDTYYNQKFKG
配列番号3:CDRH3
GAIYDGYDVLDN
配列番号4:CDRL1
SASQDISNYLN
配列番号5:CDRL2
YTSNLHS
配列番号6:CDRL3
QQYRKLPWT
配列番号7:重鎖可変領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSS
配列番号8:軽鎖可変領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKR
配列番号9:重鎖領域
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSNYWMHWVRQAPGQGLEWMGATYRGHSDTYYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARGAIYDGYDVLDNWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号10:軽鎖領域
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSNLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYRKLPWTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号11:BQ76重鎖可変領域
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKVAPYFAPFDYWGQGTLVTVSS
配列番号12:BQ76軽鎖可変領域
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGNPPLYTFGQGTKVEIK
配列番号13:BQ76重鎖領域
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKVAPYFAPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGX、ここでXは、Kであるか、または存在しない
配列番号14:BQ76軽鎖領域
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGNPPLYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号15:BU76重鎖可変領域
QIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSS
配列番号16:BU76軽鎖可変領域
DIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIK
配列番号17:BU76重鎖領域
QIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGX、ここでXは、Kであるか、または存在しない
配列番号18:BU76軽鎖領域
DIVLTQSPASLAMSLGKRATISCRASESVSVIGAHLIHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLETGVPARFSGSGSGTDFTLTIDPVEEDDVAIYSCLQSRIFPRTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号19:EE11重鎖可変領域
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKVLGWFDYWGQGTLVTVSS
配列番号20:EE11軽鎖可変領域
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGYPPDFTFGQGTKVEIK
配列番号21:EE11 scFV-Fc
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKVLGWFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGYPPDFTFGQGTKVEIKGGGGSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALAAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPCRDELTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGX、ここでXは、Kであるか、または存在しない
配列番号22:EM90重鎖
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSNSGMIWVRQAPGKGLEWVGHIRSKTDGGTTDYAAPVKGRFTISRDDSKNTLYLQMNSLKTEDTAVYYCTTGGSGSFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVCTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGX、ここでXは、Kであるか、または存在しない
配列番号23:EM90軽鎖
QAVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCGSSTGAVTTSNYANWVQEKPGQAFRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGAQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVLGQPKAAPSVTLFPPSSEELQANKATLVCLISDFYPGAVTVAWKADSSPVKAGVETTTPSKQSNNKYAASSYLSLTPEQWKSHRSYSCQVTHEGSTVEKTVAPTECS
配列番号24:FP31重鎖領域
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYPMSWVRQAPGKGLEWVSAIGGSGGSLPYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYWPMDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCEVECPECPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVAVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCEVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号25:FP31軽鎖領域
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLMYDASIRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYQSWPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【配列表】
【国際調査報告】