(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液晶光学システム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1334 20060101AFI20241008BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241008BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02F1/1334
G02F1/13 505
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520956
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 FR2022051880
(87)【国際公開番号】W WO2023057719
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク モンディオ
(72)【発明者】
【氏名】エルベ モンティゴー
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA02
2H088FA03
2H088GA02
2H088GA03
2H088GA13
2H088HA03
2H088JA06
2H092GA03
2H092GA14
2H092HA04
2H092KB23
2H189AA04
2H189AA22
2H189AA23
2H189AA35
2H189DA04
2H189DA24
2H189DA25
2H189DA26
2H189JA05
2H189JA06
2H189JA15
2H189LA05
2H189LA08
(57)【要約】
本発明は、ポリマーネットワーク内で安定化された第1の液晶及び第1の二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能装置(10)、並びに第2の液晶及び第2の二色性色素による可変偏光を有する、第2の電気制御可能装置(100)から構成される、光学システム(1000)を提案する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)であって:
- 第1の装置と称される、可変散乱である電気制御可能な装置(10)を含み、この第1の装置は、:
- 透明な第1の電極(2’a)であって、第1の接続表面SA1と称される、主表面、及び反対外側表面SBと呼ばれる、反対表面を有する、透明な第1の電極(2’a)、
- 透明な第2の電極(2a)であって、第2の接続表面SA2と称される、主表面を有し、反対外側表面SB2を有し、第1の電界E1を、前記第1の電極と前記第2の電極との間に有する、透明な第2の電極(2a)、
- 第1の誘電体電気活性層(3a)であって、面FA1と称される主面を、前記接続表面SA1側に有し、面FA2と称される主面を有し:
- 第1の液晶、
- ポリマーネットワークを形成するポリマーであって、前記第1の液晶が、前記ポリマーネットワークによって安定化されている、ポリマー、
を含む第1の材料でできている、第1の誘電体電気活性層(3a)、
の層のスタックを含み、
前記第1の材料が、T1と称される温度から、Pと称されるメソ相を示し、ここで、前記第1の材料が、一組のドメインを含み、前記ドメインが、二次元トポロジカル欠陥を含み、
前記第1の材料が、少なくとも1つの第1の二色性色素を有すること、
前記第1の電気活性層(3a)が、前記第1の装置上への入射光の偏光状態に応じた光学的応答を有すること、
前記光学システムが、第1の装置に対向している、可変偏光を有する電気切り替え可能な装置を含み、これは、第2の装置(100、100’、100a、101、102)と称され、前記第2の装置が:
- 第3の透明電極及び第4の透明電極(2,2’)であって、第2の電界E2を、前記第3の電極と前記第4の電極との間に有する、第3の透明電極及び第4の透明電極、
- 第2の電気活性層(3)であって、主面FA3を、前記第3の電極(2)側に有し、反対主面FA4を有し:
- ネマティックである、第2の液晶、
- 第2の二色性色素、
を含む第2の材料でできている、第2の電気活性層(3)、
を含むこと、並びに、
前記第3の電極(2,21)が、前記第2の電気活性層(3)と前記第1の装置(10)との間に延在していること、
を特徴とする、
液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項2】
前記第2の装置が、静的偏光フィルムを有さない、請求項1に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項3】
前記第1の電界E1が、交流電界であり、前記第2の電界E2が、交流電界であり、好ましくは、前記第1及び第2の電極(4a、4a’)が、別個の平面内にあり、前記第1の液晶が、正の誘電異方性を有する、請求項1又は請求項2に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項4】
前記第2の装置(100)が、第1及び第2の機能状態を有し:
- 前記第1の機能状態において、前記第1の装置(10)とは反対側への非偏光入射光から、前記第2の装置は、第1の軸に沿った電界P1の第1の成分、及び前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿った電界P2の第2の成分を有する、前記第1の装置側への出力光を、以下によって定義される第1の偏光比で送ることができ:
【数1】
rp1は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%であり、T1は、前記第1の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率であり、T2は、値が好ましくはゼロである、前記第3の電極と前記第4の電極との間の第1の電圧U2aに対する、前記第2の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率であり、
- 前記第2の機能状態において:
(i)前記第1の装置とは反対側への非偏光入射光から、前記第2の装置は、前記第1の装置側への出力光を、以下によって定義される第2の偏光比で送ることができ:
【数2】
rp2は、少なくとも30%、さらには少なくとも50%であり、
T’1は、前記第1の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率であり、T’2は、値が潜在的にはゼロである、前記第3の電極と前記第4の電極との間の所定の第2の電圧U2bに対する、前記第2の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率であり、U2bは、U2aとは異なり、
又は(j)前記第1の装置とは反対側への非偏光入射光から、前記第2の装置は、前記第1の装置側への非偏光出力光を提供することができ、
前記第1の機能状態及び前記第2の機能状態のうち一方は、オフ状態であり、前記第1の機能状態及び前記第2の機能状態のうち他方は、オン状態である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項5】
前記第3の電極及び前記第4の電極が、同一平面上であり、異なる電位において第1の電気伝導性ストリップ及び第2の電気伝導性ストリップ(21、22)を交互に形成し、前記第1の電気伝導性ストリップ及び第2の電気伝導性ストリップは、方向r0において細長く、
前記第2の装置は、好ましくは第2のねじれネマティック液晶を、前記第2の装置のオフ状態において有し:
- 前記第2の電気活性層(3)の面FA3に接触し、かつ前記第3の電極及び前記第4の電極上にある、方向r1の一方向性平面アンカー層(4’)、及び、
- 前記第2の電気活性層(3)の主面FA4に接触し、方向r2、好ましくはr1とは異なる方向r2の他の一方向性平面アンカー層(4)、
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項6】
r1が、r2と90°±15°、さらに好ましくは90°±5°の角度を形成し:
- r0が、r1と最大で15°、さらには最大で5°の角度を形成し、前記第2の液晶が、正の誘電異方性を有し、
- 又はr0が、r1と90°±15°、さらには最大で90°±5°の角度を形成し、前記第2の液晶が、負の誘電異方性を有する、
請求項5に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項7】
前記第2の装置(100、100’、100a、101、102)が、オフ状態である第1の機能状態において、偏光P1を有する偏光を送ることができ、かつオン状態である第2の機能状態において、第2の偏光P2を有する偏光を、送ることができ、特にP1がr1に垂直であり、かつP2がr1に平行である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項8】
前記第2の装置が、オフ状態である第1の機能状態において、特にはr1に垂直である、偏光P1を有する光を送ることができ、前記第1の装置が、面FA1上又は好ましくは面FA2上に、第1の方向bに沿った方向性アンカー層(2a)を含み、前記第2の装置が、P1が0°±20°、又はさらには0°±5°のbとの角度を形成するように、配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項9】
前記第2の装置が、オフ状態である第1の機能状態において、特にはr1に垂直である、偏光P1を有する光を送ることができ、前記第1の装置が、面FA1上又は好ましくは面FA2上に、第1の方向bに沿った方向性アンカー層(2a)を含み、前記第2の装置(100)が、P1が90°±20°又はさらには90°±5°のbとの角度を形成するように、配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項10】
前記第2の電気活性層が、前記第3の電極と前記第4の電極との間にあり、前記第2の装置が:
- 前記第2の電気活性層の前記主面FA3上にあり、かつ前記第3の電極上にある、方向r1の一方向性平面アンカー層、
- 及び、前記第2の電気活性層の前記主面FA4上にあり、かつ前記第4の電極上にある、別の一方向性平面アンカー層
を含み、
- r1が、r2と最大で15°、さらには最大で5°の角度を形成し、前記第2の液晶が、負の誘電異方性を有し、前記第2の装置のオフ状態における前記第2の電気活性層の厚さにおける前記第2の液晶の配向が、主にホメオトロピックであり、
- 又はr1が、r2と最大で15°、さらには最大で5°の角度を形成し、前記第2の液晶が、正の誘電異方性を有し、
- 又はr1が、r2と90°±15°、さらに好ましくは90°±5の角度を形成し、前記第2の液晶が、正の誘電異方性を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)
【請求項11】
前記第2の装置が、好ましくはオフ状態である第1の機能状態において、特にはr1に垂直な偏光P1を有する光を送ることができ:
- 前記第1の機能状態において、前記第1の装置の出力におけるヘイズは、前記第1の装置の入力における非偏光入射光で得られるヘイズよりも、少なくとも10%大きく、
- かつ、好ましくは、好ましくは前記第2の装置のオン状態である、第2の機能状態において、前記第1の装置の出力におけるヘイズは、前記第1の装置の入力における非偏光入射光で得られるヘイズよりも、少なくとも10%小さい、
請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項12】
前記メソ相Pが、好ましくはネマティックであり、前記ドメインが、焦点円錐ドメインであり、特に2つの欠陥線を有し、これは、特に一方が楕円であり、他方が双曲線であり、好ましくは、前記焦点円錐ドメインが、方向bに平行な線状ネットワークを形成する、請求項1~11のいずれか一項に記載の液晶光学システム(1000、1000’、1001、1002、1003、1000a)。
【請求項13】
前記第1の装置及び前記第2の装置が、透明結合層によって、特には光学接着剤、又は熱可塑性層、特には積層中間層によって、分離され若しくは連結されており、又は透明共通支持体、好ましくはプラスチックガラスが、第1の主面上で前記第2の電極を担持し、かつ他方側で、反対側の第2の主面上で、前記第3の電極を担持する、請求項1~12のいずれか一項に記載の液晶光学システム(2000、3000、4000)。
【請求項14】
積層グレージングユニット(3000、4000)であって:
- 透明である、第1の追加のガラスシート(8)、
- 熱可塑性、特にはEVA又はPVBの、積層中間層、
- 第2の透明な追加のガラスシート(8’)、又はプラスチックシート、
を含み、前記第1の追加のシート及び前記第2の追加のシートの、F2及びF3と称される、主内側面が、互いに対向しており、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学システムが、好ましくは面F2およびF3の間にあり、好ましくは前記積層中間層内にある、積層グレージングユニット(3000、4000)。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の光学システムを備える、乗り物または建物のグレージングユニット(2000、3000、4000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置による、電気制御可能な可変散乱を含む、液晶光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
グレージングユニットは、この特定の特徴が、適切な電力供給の影響下で、改変されうるし、最もとりわけ、電磁放射の特定の波長、特には可視領域及び/又は赤外領域内の波長における、透過、吸収、反射、又は光散乱も改変されうることが知られている。
【0003】
液晶を有する電気制御可能なグレージングユニットは、あらゆる場所、建設分野及び自動車分野の両方において、グレージングユニットを通して視界を所与の瞬間に妨げる必要がある場合に、用いられうる。
【0004】
液晶層は、用語「PDLC」(ポリマー分散液晶:Polymer Dispersed Liquid Crystal)として、ポリマーマトリックス中に分散している第1の液晶の液滴の形態で知られ、又は用語「PSLC」(ポリマー安定化液晶:Polymer Stabilized Liquid Crystal)で、均質に分布している液晶としても知られている。
【0005】
国際公開第2020/065038号は、「PSLC」に基づく液晶を有する電気制御可能な装置を提案しており、この液晶は、可逆的に多数の散乱状態を得ることを可能にする、2次元トポロジカル欠陥を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの主題は、改良された電気光学特性を有する液晶を有する、電気制御可能な装置を開発することからなり、これは、個々に合わせた様式において調整可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、以下を含む液晶光学システムを提案する:
- 可変散乱である電気制御可能な装置(平坦又は湾曲した装置、特には可撓性なもの)。これは、第1の装置と呼ばれ、以下のような層のスタック(エアギャップが随意に含まれ、好ましくは液晶の層を含む(固体)層の集合体を形成する)を含む、
- 第1の電極。これは、透明であり、特には自己支持型(随意に可撓性フィルム)であり、又は好ましくは誘電体基材上にあり、これは、好ましくは透明(かつ随意に可撓性)であり、特に、基材は、最大で1cm、5mm、3mm、又はサブミリメートルである厚さを有し、又は特に、基材は、プラスチックフィルム、又は薄型ガラス若しくは超薄型ガラス(「UTG」)であり、このフィルムは、サブミリメートルの厚さのもの、さらには最大で200nmの厚さのものであり、この第1の電極は、第1の電気伝導性層(単層又は多層、特には1つ以上の堆積物)を含み(又はさらにはこれからなり)、これは、特には無機のものであり、特には最大で200nmの厚さのものであり(第1の基材上にあり)、第1の電極は、第1の接続表面と称される第1の主表面、及び反対表面Sbと称される表面を有し、特に第1の電極は、第1の電流供給手段(バスバーストリップ-特には金属性であり、銅、銀などでできているもの)を、第1の接続表面のエッジにおいて含む。
- 第2の透明電極。これは、好ましくは第1の電極に対向しているもの(「平面-平面」構成を形成する2つの電極)、特には自己支持型(随意に可撓性)であり、又は好ましくは誘電体支持体上にあり、これは、好ましくは透明であり(好ましくは「平面-平面」構成における第1の電極のための上記基材とは異なる)、特に、支持体は、厚さが最大で1cm、5mm、3mm、又はサブミリメートルであり、特に、プラスチックフィルム、又は薄型ガラス若しくは超薄型ガラス(「UTG」)であり、このフィルムは、サブミリメートルの厚さのもの、さらには最大で200nmの厚さのものであり、特に第2の電極は、第2の電気伝導性層(単層又は多層、特には1つ以上の堆積物)を含み(又はさらにはこれからなり)、これは、特には無機のものであり、特には最大で200nmのものであり(支持体上にあり)、第2の電極は、第2の接続表面SA2と称される主表面を有し、反対外部表面SB2を有し、特にこの第2の電極は、第2の電流供給手段(バスバーストリップ-特には金属性のもの)を、第2の接続表面のエッジに、より好ましくは第1の電流供給手段の反対側に、含み、第1の電界E1を、第1の電極と第2の電極との間に有する。
- 第1の誘電体電気活性層。これは、面FA1と称される主面を、第1の接続表面SA1側に有し、反対側面FA2と称される主面を、好ましくは第2の接続表面SA2の側に、好ましくは第1の電極と第2の電極との間に(平面-平面構成)に有し、第1の電気活性層は、サブミリメートルの厚さEp1、さらには最大で100μm、かつ少なくとも50nm、特には50nm~50μm、さらには100nm~20μm、より好ましくは少なくとも1μm又は5μmの厚さであり、第1の電気活性層は、第1の材料、好ましくはサーモトロピックである第1の材料でできており、これは、以下を含む(又はさらには以下からなる):
- 第1の液晶(好ましくはサーモトロピック)。これは、好ましくは材料において重量について主成分(好ましくは上記第1の液晶の少なくとも50重量パーセント、70重量パーセント、80重量パーセント、85重量パーセント)であり、特に、第1の液晶は、メソゲンを、例えばポリマー鎖無しで、含み、又はポリマーの主鎖又は側鎖内に組み込まれているメソゲン基(「LCP」と称される類)を含み、特に、第1の液晶は、サイズが最大で50nm、20nm、又は10nm(かつEp1未満)であり、特に複数の第1の液晶の混合物(純粋の、非LCPの場合)であり、したがって複数のメソゲンであり、特に第1の液晶が、面FA1上又は好ましくは面FA2上で、面FA1又はFA2と接触している第1の方向bにおける一方向性アンカー層を介して、オフ状態(無電圧)において第1の方向bに配向している。
- (三次元)ポリマーネットワークを形成するポリマー。第1の液晶が、ポリマーネットワーク(すなわち、「PSLC」類)によって(物理的に)安定化されており、好ましくは、最大で20重量パーセント、15重量パーセント、10重量パーセント、5重量パーセントのポリマー(又はポリマー及びポリマー前駆体)が含まれる。
- 随意に(上記)ポリマー又はそうでなければ非架橋ポリマーの前駆体(特には重合度を調整することによるもの)、
- 少なくとも1つの第1の二色性色素(特には溶解状態にあるもの、特には第1の液晶中にあるもの)。例えば最大で30重量パーセント、20重量パーセント、10重量パーセント、5重量パーセントの第1の二色性色素(1つ又は複数の第1の二色性色素)であり、第1の二色性色素は、特には最大で50nm、20nm、又は10nm(かつEp1未満)のサイズであり;特に第1の液晶及び第1の二色性色素は、同等のサイズ、例えばそれぞれ20nm未満又は10nm未満である。
- 好ましくは(第1の)スペーサー。これは、特にEp1以下の高さ(さらには比較的大きな寸法)のものであり、周辺部にあり(誘電体であり、透明であり、若しくは随意に、例えばmylarなどでできている、フレームによってマスクされていない)、かつ/又は第1の電気活性層(誘電体であり、透明であり、特にはプラスチック、ガラス、シリカであり、好ましくはサブセンチメートルであり、特にはビーズである)中に分散されている。
- 随意に添加剤(第1の二色性色素以外)。例えば着色粒子、例えば金属性ナノ粒子(金、銀、両者の合金など)若しくは金属性酸化物ナノ粒子(酸化タングステン、酸化スズなど)など、又はさらには任意の他の非二色性色素、又は任意の他の光吸収分子、好ましくはEp1以下の高さのもの(さらにはEp1以下の比較的大きな寸法のもの)。
【0008】
好ましくは、第1の電気活性層は、誘電体シールによって、特にはポリマー性のものによって周辺部において(第1の結晶に基づく材料と接触しているか、又は周辺スペーサーによって分離されている、第1及び第2の接続表面のエッジにおいて)シールされ、例えば幅は、1cm以下である。
【0009】
さらに、第1の材料は、T1と称される(かつ等方相への転移温度でありうるTmと称される温度より低い)温度から、Pと称されるメソ相を有し、特に第1の材料は、(体積で、最も一般的には厚さで)一組のドメイン(ポリマーネットワークによって安定化された第1の液晶、及び1つ又は複数の第1の二色性色素、及び随意に添加剤を含有する)を含み、さらには、実質的には上記ドメイン又は体積要素に分割され、-ドメインは、好ましくは、少なくとも厚さEp1の一部にわたって、好ましくは厚さの少なくとも90%にわたって、延在する。さらに、ドメインは、二次元トポロジカル欠陥、特には線欠陥を含み、少なくとも2つの形状の線欠陥(例えば、1つの楕円-円を含む-、その他の直線又は曲線、双曲線など)を含む。
【0010】
特に、T1以上の(かつ等方相における転移温度でありうるTmと称される温度より低い)温度T’から出発して、電気制御可能な装置は、このようにして、複数の可逆的な散乱及び/又は着色状態を、特に、第1及び第2の電極間の第1の電界E1(第1及び第2の電極に垂直又は平行)下で、特には所定の電圧U1下で、好ましくは最大120V又は100V下で、有することが可能である。
【0011】
さらに、本発明によるシステムは、第1の装置に対向している、(透過において)可変偏光を有する電気切り替え可能な装置を含み、これは、第2の装置と呼ばれ、以下を含む:
- 第3及び第4の透明電極。これは、第2の電界E2を、第3及び第4の電極間に有し、特に第3及び第4の電極は、同一平面上若しくは平面-平面構成のものであり、自己支持型(随意に可撓性)であるか、又は共通の担体要素(同一平面上構成)若しくは互いに対向している分離した担体要素(平面-平面構成)上の第3及び第4の電気伝導性層の形態である。
- 第2の電気活性層。これは、第3の電極側に主面FA3を有し、FA3の反対側に主面FA4を有し、サブミリメートルの厚さEp2、さらには最大で100μm、かつ少なくとも50nm、特には50nm~50μm、さらには100nm~20μm、より好ましくは少なくとも1μm又は5μmの厚さを有し、第2の電気活性層は、第2の-(好ましくは)サーモトロピック-材料でできており、以下を含む(又はさらには以下からなる):
- 第2の液晶-(好ましくはサーモトロピック)-。これは、(T’以上において)ネマティックであり、湾曲しているか、又は湾曲しておらず、好ましくは(アンカー層の作用によって)ねじれており、オフ状態において無電力であり、かつ/又はコレステリックであり-(好ましくは、材料において重量について主成分であり(好ましくは、上記第2の液晶の少なくとも50重量パーセント、70重量パーセント、80重量パーセント、85重量パーセントであり))、特に、第2の液晶は、メソゲンを、例えばポリマー鎖無しで、含み、又はポリマーの主鎖若しくは側鎖内に組み込まれているメソゲン基(「LCP」と称される類)を含み、特に、第2の液晶は、サイズが最大で50nm、20nm又は10nm(かつEp2未満)であり、特に、複数の第2の液晶(純粋の、非LCPの場合)の混合物であり、したがって複数のメソゲンであり、
- 第2の二色性色素(特には溶解状態にあるもの、特には第2の液晶中にあるもの)。例えば最大で30重量パーセント、20重量パーセント、10重量パーセント、5重量パーセントの第2の二色性色素(1つ又は複数の第2の二色性色素)であり、第2の二色性色素は、特には最大で50nm、20nm、又は10nm(かつEp2未満)のサイズであり;特に、第2の液晶及び第2の二色性色素は、同等のサイズ、例えば、それぞれ20nm未満又は10nm未満であり、第2の二色性色素は、好ましくは、第1の二色性色素の吸収範囲内の吸収波長を有する。
- 随意にポリマー(好ましくは非架橋)又はポリマーの前駆体。好ましくは最大で20重量パーセント、15重量パーセント、10重量パーセント、5重量パーセント又は1重量パーセントのポリマー(又はポリマー及びポリマーの前駆体)が含まれ、例えば第2の電気活性層は、そのタイプ(PDLC又はPSLC)ではない。
- 好ましくは、他のスペーサー。これは、特にEp2以下の高さ(さらには比較的大きな寸法)のものであり、周辺部にあり(誘電体であり、透明であるか若しくは透明ではなく、随意に、例えばMylarなどでできている、フレームによってマスクされている)、かつ/又は第2の電気活性層(誘電体であり、透明であり、特にプラスチック、ガラス、シリカであり、好ましくはサブセンチメートルであり、特にはビーズである)中に分散されている。
- 随意に他の添加剤(第2の二色性色素以外)。例えば着色粒子、例えば金属ナノ粒子(金、銀、両者の合金など)若しくは金属酸化物ナノ粒子(酸化タングステン、酸化スズなど)など、又はさらには任意の他の非二色性色素、又は任意の他の光吸収分子、好ましくはEp2以下の高さのもの(さらにはEp2以下の比較的大きな寸法のもの)。
【0012】
好ましくは、第2の電気切り替え可能な電気活性層は、誘電体シールによって、特にはポリマー性のものによって周辺部において(第2の結晶に基づく第2の材料と接触しているか、又は周辺スペーサーによって分離されている、主面のエッジにおいて)シールされる。
【0013】
第3の電極は、第2の電気活性層と第1の装置との間(したがって、第1の装置の側に)に延在し、例えば、第1の装置が平面-平面電極構成を有する場合、第2の表面SB2に向かって方向づけられている。
【0014】
さらに、第4の電極は、第3の電極と同一平面上であってよく(したがって、第2の電気活性層と第1の装置との間でもある)、又は活性層は、第3及び第4の電極間にある(平面-平面構成)。
【0015】
このように、本発明によれば、偏光感受性可変散乱を有する上記第1の電気制御可能な装置、及び上記第2の可変偏光電気切り替え装置の組み合わせは、広い範囲の利用可能な光学特性、特には広い範囲のヘイズ及び光透過率及び着色レベルを有することを可能にする。特に、明度L*は、変化しうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気制御可能な装置100から構成される、光学システム1001の概略断面図を示す。
【0017】
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置101から構成される、光学システム1002の概略断面図を示す。
【0018】
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置102から構成される、光学システム1003の概略断面図を示す。
【0019】
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置100から構成される、光学システム1000の概略断面図を示す。
【0020】
【
図5】
図5は、
図4の第2の装置において用いられる、2つずつ配置されているストリップにおける電極の正面図である。
【0021】
【
図6】
図6は、オフ状態である第1の機能状態における、
図4の第2の装置の斜視概略部分図である。
【0022】
【
図7】
図7は、所定の電圧U2でのオン状態である第2の状態における、
図4の第2の装置の斜視概略部分図である。
【0023】
【
図8】
図8は、電界外の第1の装置10の2つの平面電極間の電気活性層の概略かつ詳細な断面図を示し、電界E1無しの特定の液晶の配向及び二色性色素の一部の配向を概略的に示す。
【0024】
【
図9】
図9は、電界E1中の第1の装置10の2つの平面-平面電極間の電気活性層の概略かつ詳細な断面図を示し、上記電界E1中の特定の液晶の配向及び二色性色素の一部の配向を概略的に示す。
【0025】
【
図10】
図10は、上記第1の電場E1の非存在下における、
図4(例1)の第1の電気制御可能な装置10の第1の電気活性層の、倍率20倍の偏光子下での偏光光学顕微鏡(PLM)によって得られた画像(白黒)の正面図である(50μmのスケールが白色で示されている)。
【0026】
【
図11】
図11は、上記第1の電場E1の非存在下における、
図4(例1)の第1の電気制御可能な装置10の第1の電気活性層の、倍率20倍の偏光子下での偏光光学顕微鏡(PLM)によって得られた画像(白黒)の正面図である(50μmのスケールが白色で示されている)。
【0027】
【
図12】
図12は、上記第1の電場E1の非存在下における、
図4(例1)の第1の電気制御可能な装置10の第1の電気活性層の、倍率20倍の偏光子下での偏光光学顕微鏡(PLM)によって得られた画像(白黒)の正面図である(50μmのスケールが白色で示されている)。
【0028】
【
図13】
図13は、P1がbに対して垂直である(第2の装置は90°回転している)場合の、
図4の光学システムの変形例における、380~630nmの波長の関数としての、全透過率TTに対応する曲線の一組を示す。
【0029】
【
図14】
図14は、P1がbに対して垂直である(第2の装置は90°回転している)場合の、
図4の光学システムの変形例における、380~630nmの波長の関数としての、拡散透過率DTに対応する曲線の一組を示す。
【0030】
【
図15】
図15は、
図4の光学システムの0~40Vの第1電圧U1の関数としての、ヘイズH(%)に対応する3つの曲線の一組を示す(U2が0Vに等しい場合)。
【0031】
【
図16】
図16は、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、全透過率TTに対する拡散透過率DTの比に対応する3つの曲線の一組を示す(光学システムがオフオフモードである場合)。
【0032】
【
図17】
図17は、
図4の光学システムの0~40Vの第1電圧U1の関数としての、積算光透過率LTに対応する曲線の一組を示す(U2が0Vに等しい場合)。
【0033】
【
図18】
図18は、P1がbに平行である場合の、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、全透過率TTに対応する曲線の一組を示す。
【0034】
【
図19】
図19は、P1がbに平行である場合の、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、拡散透過率DTに対応する3つの曲線の一組を示す。
【0035】
【
図20】
図20は、本発明の第4の実施形態の変形例における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素による可変偏光100’を有する、第2の電気制御可能な装置から構成される、光学システム1000の概略断面図を示す。
【0036】
【
図21】
図21は、本発明の第5の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能な装置10a、並びに液晶及び二色性色素100により可変偏光100aを有する、第2の電気制御可能な装置から構成される、光学システム1000aの概略断面図を示す。
【0037】
【
図22】
図22は、本発明による光学システム1000を備える、グレージングユニット2000の概略断面図を示す。
【0038】
【
図23】
図23は、本発明による光学システム1000を備える、積層グレージングユニット3000の概略断面図を示す。
【0039】
【
図24】
図24は、本発明による光学システム1000を備える、積層グレージングユニット4000の正面図及び概略断面図を示す。
【0040】
【
図25】
図25は、本発明による光学システム1000を備える、積層グレージングユニット4000の正面図及び概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
全透過率TT若しくは拡散透過率DT、LT又はヘイズの測定は、先行技術である国際公開第2020/065038号に記載されているものと同一である。
【0042】
一般にCIELABと称される、CIE 1976 L*a*b*色空間は、特には表面色の特徴付けに用いられる、色空間である。L*、a*、b*の3つの値が用いられる:明度L*は、表面輝度に起因し;a*及びb*の2つのパラメータは、同じ明度の灰色表面の色との色の差を表す。灰色、無色、無彩色表面の存在は、色表面を照らす光の組成を明示的に示すことを意味する。この光源は、ここでは昼光色D65として標準化されている。
【0043】
CIELAB色空間は、CIE XYZ空間から定義されている。それは、後者と比較すると、人間の視覚システムによる色偏差の知覚に比較的沿った色分布という利点を有する。また、L*の2乗との差、a*の2乗との差、b*の2乗との差の和の平方根によって定義される、2色間の色差デルタEを定義することもありうる。本発明における2つの色(第1の装置がオフの状態での第2の装置がオフの状態及びオンの状態、又は第1及び第2の装置がオフの状態と第1の装置がオンの状態との間、又はそうでなければ第2の装置がオフの状態での電界E1下での2つの色)の間のデルタEは、少なくとも1、又はさらには少なくとも7でありうる。
【0044】
本発明は、様々な分野、特には建物分野(窓、仕切り、グレージング床)、屋外、特には都市空間において、又は道路、海、鉄道、若しくは空中の乗り物(ウィンドシールド、ラテラル、サンルーフなど)において適用される。
【0045】
建物又は乗り物のグレージング内に組み込まれる場合、第1の装置は、外向き又は内向きのいずれかで方向づけられてよい。
【0046】
第2の装置は、好ましくは第1の装置と同様の形状のものであり、要件に応じて第1の装置の全部又は一部にわたって延在しうる。
【0047】
光学システムは、第1の装置と第2の装置との間で光を脱偏光させることができる光学素子を有しないものでありうる。
【0048】
光学システムは、任意の大きさでありうる;なぜなら、第1の装置及び第2の装置は、少なくとも1mの長さの表面上で容易に作られうるからである。
【0049】
第1の装置と第2の装置との間に、ディフューザーの配置を避けることが望ましい場合がある。
【0050】
もちろん、任意の不透明な、掩蔽する、又は反射する要素が、第1の装置と第2の装置との間にあるのを避けることもありうる。
【0051】
しかしながら、静的偏光子、例えば二色性色素を有するプラスチックフィルム(延伸されている)などを、第1の装置と第2の装置との間に加えうる。特に、静的偏光子は、所定の偏光P1を遮断するように設計されうる。特に、静的偏光子は、所定の偏光P2を遮断するように設計されうる。
【0052】
第2の装置自体は、1つ又は複数の偏光子、例えば、交差偏光子及びアナライザーを必要することなく、作動する。
【0053】
第1及び第2の装置の各々の切り替え時間は、数秒未満でありうる。光学システムの切り替え状態は、可逆的であり、(ある程度)即時である。
【0054】
第2の装置は、液晶の複数の層を必要とせず、液晶の1つの層のみ(シングルセルシステム)を必要として、可変偏光子を形成する。
【0055】
液晶システムの光学特性は、以下によって調整可能でありうる:
- 第1の電界E1(好ましくは交流電界している)の切り替えオフ又は適用によって、かつ電圧レベルU1の選択によって;
- かつ/又は、第2の電界E2(好ましくは交流電界している)の切り替えオフ又は適用によって、かつ電圧レベルU2の選択によって;
- P1と呼ばれる(支配的な)出力偏光の(例えば第2の装置のオフ状態における)、後に詳述する第1の装置の特性方向bに対する方向の選択、特にはP1がbに対して実質的に平行又は実質的に垂直である方向の選択によって。
【0056】
特に、光学システムの「オフ」状態(第1及び第2の装置の切り替えがオフ)に関して、P1がbに対して垂直である、非マスキング状態(光学システムを通して容易に見ることができる)を選択することがありうる。
【0057】
特に、光学システムの「オフ」状態(第1及び第2の装置の切り替えがオフ)に関して、P1がbに対して平行である、マスキング状態、及び比較的暗いものを選択することがありうる。色は、本質的に第1の二色性色素に依存し、第2の二色性色素にも依存しうる。
【0058】
以下によって、ある機能状態から別のものに切り替えることがありうる:
- 第2の装置の電源を、それがP1の十分に異なる偏光、好ましくはP1に対して垂直なものを送ることができる場合に、入れることによって;
- 第1の装置の電源を、第2の装置はオフのままで、P1がbに平行な状態で、入れることによって。
【0059】
光学システムは、最大で1cm、又は最大で5mm、又は最大で1mmの厚さを有しうる。
【0060】
第2の装置は、最大で5mm、又は最大で1mm、又は最大で0.5mmの厚さを有しうる。
【0061】
第1の装置は、最大で5mm、又は最大で1mm、又は最大で0.5mmの厚さを有しうる。
【0062】
第1の装置に関して、ドメインは、光の偏光状態の関数としての散乱特性の依存を誘起する。第1の二色性色素は、光の偏光状態の関数としての吸収特性の依存を誘起する。
【0063】
第2の装置に関して、第2の二色性色素は、第2の液晶によって、好ましくはオフ状態でねじれている第2の液晶によって制御され、可変偏光機能を提供する上で重要な役割を果たす。可変偏光を有する第2の装置は、好ましくは透明であり、オフ状態及びオン状態の両方において、最大で10%又は最大で1%又は最大で0.5%のヘイズを有する。
【0064】
適用される電圧は、120V未満、又はさらには80V未満でありうる。
【0065】
U1(さらにはレベルU1を選択すること)、及び/又はU2(さらにはU2のレベルを選択すること)が、設定値の関数として適用されるようにしてよい。このようにして、第1の装置及び/又は第2の装置を制御するための手段が、提供されうる。
【0066】
光学特性に影響を与えるパラメータは、特に以下の通りである:
- 第1の液晶を、特にはメソゲンの混合物(特には、動作温度範囲及びオン状態での「脱アンカリング」のための電圧レベルU1について)、及びそれらの誘電異方性から、選択すること;
- ありうる限り吸収の少ない電極(基材がある場合はそれらの基材)の透明レベル、及びストリップ状の電極の場合、ストリップの密度(これによって、ストリップ間の間隔を小さくすることによって電気電圧を下げ、液晶を切り替えせずにゾーンを小さくして、オフ/オンコントラストを高める);
- 第1及び/又は第2の二色性色素(二色比など)を、特に可視領域において最も高いかつ一定の吸収スペクトルを有するように、選択すること;
- 第1及び/又は第2の電気活性層の厚さ;
- 第1の装置のアンカー層(欠陥のタイプ又は欠陥の配置)及び第2の装置のアンカー層(オフ状態における偏光のタイプを誘導し、ネマティックにねじれ変形を受けさせる)を選択すること。
【0067】
特に、電界が適用されていない場合(又は所定の電圧の場合)のヘイズ値は、二次元欠陥のサイズ又はタイプ、それらの密度、電気活性材料の厚さ、第1の液晶の選択、ポリマーネットワーク(架橋度、重合条件)、モノマー、並びに液晶及びポリマーの屈折率における差に基づいて、変化しうる。
【0068】
特に、電界を適用されていない場合(又は所定の電圧の場合)のヘイズ値は、1つ又は複数の第1の液晶の配向、特には第1の液晶の長(分子)軸と、第1の電気活性層の表面に平行な平面に沿って偏光される光の偏光軸との間の角度に基づいて変化するであろう。
【0069】
ヘイズは、例えば、拡散透過率DTの全透過率TTに対する比として定義される。単位は、好ましくは%で表される。
【0070】
ヘイズHは、好ましくは、拡散透過率DT及びLTに関連する積算光透過率間の比として定義される。
【0071】
光学的、散乱的かつ/又はいくぶん着色されているシステムの各状態は、特に明度L*によって(かつa*、b*によっても)定義される、所定の色で定義されうる。
【0072】
全システムは、偏光していない光が、第1の装置に入射しても又は第2の装置に入射しても機能する。
【0073】
本発明による光学システムの光学的特性評価は(また)、好ましくは、第2の装置とは反対側の、第1の装置の出力において行われる。簡単のため、第1の装置に対する第2の装置の影響の説明は、第2の装置上への非偏光入射光から行われる。しかしながら、実質的に同じ光学性能が、第1の装置上(第2の装置とは反対側)への非偏光入射光で、第2の装置の出力における光を測定することによって、得られる。
【0074】
散乱及び/又は着色のレベルは、制御されてよく、特に、光学システムと通信しているセンサーによって収集されるデータ(温度、明るさなど)に基づいて(1つ又は複数の電力供給源を制御して)調整されてよい。分離した又は共有の電気供給回路、例えばAC電圧発生器(及び例えば120Vまでのもの)などを、提供することがありうる。
【0075】
好ましくは、第2の装置は、オフ状態である機能状態において、偏光P1(支配的)(以下に詳述する第1の機能状態)を有する光を送ることができ、オン状態(以下に詳述する第2の機能状態)において第2の偏光P2(好ましくは支配的)を有する光を送ることができ、特に、P1は、r1に対して垂直であり、P2は、r1に対して平行である。
【0076】
より広義には、第2の装置は、以下のような第1及び第2の機能状態を有しうる:
- 第1の機能状態において、第1の装置とは反対側への非偏光入射光から、第2の装置は、第1の軸に沿った(偏光)電界P1の第1の成分、及び第1の軸に垂直な第2の軸に沿った(偏光)電界P2の第2の成分を有する、第1の装置側への出力光(偏光)を、、以下によって定義される第1の偏光比で送ることができる:
【0077】
【0078】
rp1は、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、さらには少なくとも95%であり、T1は、第1の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率、又はさらには少なくとも400~600nm、さらには380~640nmで平均化される全透過率であり、T2は、好ましくはゼロである、第3及び第4の電極間の第1の電圧U2aに対する、第2の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率、又はさらには少なくとも400~600nm、さらには380~640nmで平均化される全透過率である。
【0079】
- 第2の機能状態において:
(i)第1の装置とは反対側への非偏光入射光から、第2の装置は、第1の装置側への(偏光)出力光を、以下によって定義される第2の偏光比で送ることができる:
【0080】
【0081】
rp2は、少なくとも30%、さらには少なくとも50%又は60%である。
【0082】
T’1は、第1の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率、又はさらには少なくとも400~600nm、さらには380~640nmで平均化される全透過率であり、T’2は、潜在的にはゼロである、第3及び第4の電極間の所定の第2の電圧U2bに対する、第2の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率、又はさらには少なくとも400~600nm、さらには380~640nmで平均化される全透過率であり、U2bは、U2aとは異なる。
【0083】
又は(j)第1の装置とは反対側への非偏光入射光から、第2の装置は、第1の装置側に非偏光出力光を提供することができる。
【0084】
第1及び第2の機能状態の一方は、オフ状態(無電圧)であり、第1及び第2の機能状態の他方は、オン状態(電源オン)である。
【0085】
好ましくは、第1の機能状態は、オフ状態であり、第2の機能状態は、好ましくは(i)に従うか、又は第1の機能状態は、オン状態であり、第2の機能状態は、(j)に従う。)
【0086】
一構成では、第1の機能状態は、オフ状態であり、第2の機能状態は、好ましくは(i)に従う。そして、当然ながら、第2の装置は、オン状態において多数の機能状態を有する。特に、第2の液晶のアンカリング力が液晶の一部について克服される、閾値電圧があり、電圧が増加すればするほど、液晶は、さらに再配向し、好ましくは最大で80Vである飽和電圧まで、再配向する。
【0087】
そして、適用される電圧U2に従って変化する偏光比を有することがありうる。
【0088】
有利には、第1の電界E1は、交番しており、好ましくは第1の適用電圧U1は、最大で120Vであり、第2の電界E2は、交番しており、好ましくは第2の適用電圧U2は、最大で120Vである。好ましくは、第1及び第2の電極は、別個の平面内にあり、第1の液晶は、正の誘電異方性(第1の電界E1の周波数に依存しない)を有し、第1の電界E1は、第1及び第2の電極に対して垂直である。
【0089】
E1は、E2も同様に、好ましくは50Hz以上の周波数、例えば100Hz、1kHz又は2kHzの周波数で、交番する。電圧は、ピーク電圧(Vpeak)を意味することを意図される。
【0090】
したがって、第1の液晶の配向の変化は、好ましくは、面FA1に垂直なE1によって誘起される(スタックが湾曲し、例えば可撓性である場合、中央平面においてであり、かつ湾曲している基材の間、特にはガラスででできている基材の間である)。
【0091】
オフ状態(第1及び第2の装置がオフ)である本発明による光学システムは、特には明度L*0(さらにはa*0、b*0)によって定義される、所定の色C0で着色されうる。
【0092】
第2の装置のオン状態(第1の装置がオフ)における本発明による光学システムは、特には明度L*によって(かつa*、b*によっても)定義される、所定の色Caで着色されうる。
【0093】
第1及び第2の装置のオン状態における本発明による光学システムは、特には明度L*によって(かつa*、b*によっても)定義される、所定の色Cbで着色されうる。
【0094】
第1の装置のオン状態(第2の装置がオフ)における本発明による光学システムは、特には明度L*によって(かつa*、b*によっても)定義される、所定の色Cbで着色されうる。
【0095】
さらに、色は、電圧U1及び/又はU2の関数として変化しうる。
【0096】
U1及び/又はU2の選択は、制御されてよく、特に、装置と通信しているセンサーによって収集されるデータ(温度、明るさなど)に基づいて(電力供給源を制御して)調整されてよい。
【0097】
第3(第4それぞれ)の電極は、電気伝導性層(単層又は多層、特には1つ又は複数の堆積物)、特には無機のもの、特には最大で200nmの厚さの電気伝導性層(担体要素上の電気伝導性層、好ましくは担体要素とアンカー層との間の電気伝導性層)、特にはエッジにおいて電流供給手段(ストリップ-バスバー-特には金属、銅、銀などでできているもの)を含みうる(又はさらにはこれらからなりうる)。
【0098】
平面-平面構成において、層状の第3及び第4の電極は、それらの分離した担体要素の全部又は一部にわたって延在している。
【0099】
第1の好ましい実施形態では、平面内切り替えのために、(好ましくは層内の)第3及び第4の電極は、同一平面上であり(好ましくは自己支持型ではなく共通の担体要素上にあり)、異なる電位において第1及び第2の電気伝導性ストリップ(例えば金属性)を交互に形成し、方向r0において細長いストリップ(線状、好ましくは矩形状)であり、好ましくはありうる限り最大のバンド密度(幅がありうる限り小さく、ストリップ間スペースがありうる限り小さいストリップ)を有する。
【0100】
このようにして、電位差は、同じ平面内に位置し、かつ電気的に2つずつ絶縁される、2つの「端子」間に適用される。
【0101】
第2の電界E2は、交流電界であり、そして、ほとんどが平面にある(第3及び第4の電極に平行である)。
【0102】
電気伝導性を維持しながら、ストリップは、ONモードでの「偏光子」力を向上させるために、できるだけ細いことが求められる。また、ストリップ間の幅(電気伝導性のない絶縁ストリップ)をありうる限り小さくし、それによって、適用される電位差を小さくすることが求められる。
【0103】
例えば、電気伝導性ストリップ及び/又はストリップ間の幅(絶縁ストリップ)は、最大で50μm又は最大で30μm又は最大で10μmである。
【0104】
例えば、絶縁ストリップは、蛇行配置を形成し、電気伝導性層の第1のゾーンは、コイルの第1の絶縁ストリップの第1の部分、及びコイルの最後の絶縁ストリップの最後の部分によって、層の第2のゾーンと絶縁される。
【0105】
このような絶縁ストリップの配置を、電気伝導性層を除去することによって、特にはレーザービームによって、提供することがありうる。ストリップの厚さの限界は、レーザービームのサイズによって与えられる。ストリップ間の距離の限界は、レーザービームの動きによって決まる。
【0106】
(第1の液晶の)第1の電気活性層の誘電異方性は、ゼロではなく、負又は正でありうる。(第2の液晶の)第2の電気活性層の誘電異方性は、ゼロではなく、負又は正でありうる。
【0107】
第1の装置は、以下を有しうる:
- 面FA1上又はFA2上のうちの一方、好ましくは面FA2上の、第1の方向bに沿った(第1の)方向性アンカー層(第1の液晶は、概して、この面FA2又はFA1において、この第1の方向bに、第1の装置のオフ状態において、配向される)
- 特には、面FA1上又はFA2上のうちの他方、好ましくは面FA1上の、(第2の)アンカー層、好ましくは分離したアンカー層(対立体)、好ましくは垂直なアンカリングのもの。そして、これは、第1の液晶がこの他方の面FA1又はFA2に対して垂直に配向されることを誘起する(ホメオトロピックアンカリング)。
【0108】
第3及び第4の電極が同一平面上にある構成において、第2の装置は、好ましくは第2のねじれネマティック液晶を第2の装置のオフ状態において有し、以下を含む:
- 第2の電気活性層の主面FA3上の(に接触し)、かつ第3の電極及び第4の電極上の、(第2の)方向r1に従う、(第3の)一方向性平面アンカー層であって、特にP1は、r1に垂直であり、P2は、r1に平行であるもの、
- 及び第2の電気活性層の主面FA4上の(に接触し)、(第3の)方向r2(好ましくはr1とは異なる)に従う、他の(又は第4の)一方向性平面アンカー層。
【0109】
特に、r1は、r2と90°±15°、さらに好ましくは90°±5°の角度を形成し(そして、第2のネマティック液晶は、オフ状態において強いねじれを有し):
- r0は、r1と最大で15°、さらには最大で5°の角度を形成し、第2の液晶は、正の誘電異方性を有し(そして、偏光P1を有する第2の装置の第1の機能状態がオフ状態であり、第2の機能状態がオン状態であり、(i)に沿う)、
- 又はr0は、r1と90°±15°、さらには最大で90°±5°の角度を形成し、第2の液晶は、負の誘電異方性を有する(そして、偏光P1を有する第2の装置の第1の機能状態がオフ状態であり、第2の機能状態がオン状態であり、(i)に沿う)。
【0110】
好ましくは、第2の装置は、オフ状態である第1の機能状態において、偏光P1(支配的)を有する光を送ることができ、第2の偏光P2(支配的)を有する光を、機能オン状態(状態i)において、送ることができ、特にP1がr1に垂直であり、P2がr1に平行である。
【0111】
(第2の装置の、同一平面上にある電極モードにおける)(j)無偏光での実施形態では、第2のネマティック液晶は、周波数の関数としての負から正に移る誘電異方性を有する、二重切り替え周波数であり、第2の交番電界E2は可変周波数である。
【0112】
同一平面上の構成に代えて、第2の電気活性層は、第3及び第4の電極(FA3面側の表面SA1、FA4面側の表面SA2)間にあり、第2の装置は以下を含む:
- 第2の電気活性層の面FA3と接触し、第3の電極上にある(特に第3の電極と接触している)、方向r1の一方向性平面アンカー層、
- 及び、第2の電気活性層の面FA4と接触し、第4の電極上にある(特に第4の電極と接触している)、方向r2の別の一方向性平面アンカー層。
- r1が、r2と最大で15°、さらには最大で5°の角度を形成し、第2の液晶が、正の誘電異方性を有し(そして、偏光P1を有する第2の装置の第1の機能状態が、オフ状態であり、第2の装置の第2の機能状態が、オン状態(オン、電圧あり)であり、(j)に従い、したがって非偏光出力光である)、
- 又はr1が、r2と90°±15°、さらに好ましくは90°±5の角度を形成し、第2の液晶が、正の誘電異方性を有し(そして、偏光P1を有する第2の装置の第1の機能状態が、オフ状態であり、第2の装置の第2の機能状態が、オン状態であり、(j)に沿い、したがって非偏光出力光である)、
- 又はr1が、r2と最大で15°、さらには最大で5°の角度を形成し、第2の液晶が、負の誘電異方性を有し、第2の装置のオフ状態における第2の電気活性層の厚さにおける第2の液晶の配向が、主にホメオトロピックである(そして、偏光P1を有する第2の装置の第1の機能状態が、オン状態であり、第2の装置の第2の機能状態が、オフ状態であり、(j)に沿い、したがって非偏光出力光である)。
【0113】
この後者の場合、第2の装置におけるアンカー層はそれぞれ、ホメオトロピックなアンカリングを生成するアンカー層(ポリイミドなど)であってよく、それでもなお、ラビングし、それによって、第2の液晶のメソゲンの長軸に対するプレチルト角を得る。この結果、ほぼホメオトロピックであるオフ状態、及び垂直方向に沿って適用される電界が負の誘電異方性メソゲンをラビング方向に再配向させる、オン状態が生じる。この具体的な構成では、アンカー層をラビングすることは、ラビングなしでホメオトロピックなアンカリングを生成する層上のプレチルトの設計のおかげで、オフ状態では巨視的な一方向性平面配向効果を有しない。
【0114】
プレチルトを有するこのタイプのアンカリングは、Liらによる論文「Dye-doped dual-frequency nematic cells as fast-switching polarization-independent shutters」、Vol.27 no.4 February 2019 OPTICS EXPRESS 3861ページに記載され、これは、直線偏光から完全消光に変更するためのデュアル液晶セルシステムに関する。
【0115】
さらに、第1の電気活性層(したがって、可変散乱を有する電気制御可能な装置)は、入射光の偏光に依存する光学応答を有する。
【0116】
光の偏光に対するこの差別化された応答は、以下によって誘起される:
- 二次元トポロジカル欠陥、特には線欠陥、特にはスメクチックメソ相の非トーリック焦点円錐ドメイン(非「TFCD」)の線欠陥の、フォームファクター、内部構造、
- 及び/又は、異なるドメイン(特には「TFCD」を含むスメクチックメソ相の焦点円錐ドメイン)の配置。特に、それらの形状、それらの配向、それらの対称性の程度は、例えばランダム、不規則などに分布し、分布はアンカリング条件(例えば多方向アンカリングなど、必要に応じて調整可能な2Dアンカー層)によって規定される。
【0117】
偏光感受性スメクチック焦点円錐ドメイン(言い換えれば、焦点円錐ドメイン)の様々な構造の例は、Ling Maらによる刊行物「Smectic Layer Origami Preprogrammed Photoalignement」、Advances Materials 2017 1606671 ページ1~7に示されている。
【0118】
好ましい実施形態では、第2の装置は、オフ状態である第1の機能状態において、偏光P1を有する光を送ることができ、第1の装置は、面FA1上又は好ましくは面FA2上に第1の方向bの(第1の)方向性アンカー層を有し、第2の装置は、P1が、0°±20°、又はより好ましくは0°±5°のbとの角度を形成するように、配置される(特に、r2は、0°±20°、又はより好ましくは0°±5°のbとの角度を形成する)。
【0119】
一実施形態において、第2の装置は、オフ状態である第1の機能状態において、偏光P1を有する光を送ることができ、第1の装置は、面FA1上に(面FA1と接触する)、又は好ましくは面FA2上に(面FA1と接触する)、第1の方向bの方向性アンカー層を含む。そして、第1の液晶は、面FA1上、又は好ましくは面FA2上で、この第1の方向bにおいて概ね配向される。第2の装置は、P1が90°±20°又はより好ましくは90°±5°のbとの角度を形成するように(特に、r1が、90°±20°又は好ましくは90°±5°のbとの角度を形成するように)、配置される。
【0120】
好ましくは、既に示したように、適用電界(E1又はE2)の非存在下で、製造の際に表面相互作用によって液晶を配向させる役割を果たす、アンカー層が用いられる。
【0121】
アンカー層の表面から離れて特定の距離まで、(第1又は第2の)液晶は、特定の電界強度(電圧)までその配向を維持しうる。
【0122】
(第2の装置及び/又は第1の装置の)アンカー層の厚さは、好ましくは最大で1μm、より好ましくはサブミクロン、例えば600nm未満である。
【0123】
また、同じ表面上に複数の異なるアンカリングゾーンが存在しうる。これらの欠陥は、材料の構造の機械的変形によって生成され、2つのアンカー層によって課される境界条件によって、これらの層と接触する液晶に特定の別々の配向を強制して、得られる。
【0124】
一方向性平面アンカー(第1又は第2の装置)として、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、PTFE、又はテフロン(登録商標)など(ポリマー鎖が、堆積の際のテフロンバーの変位方向に沿って整列しているもの)を用いうる。
【0125】
一方向性平面アンカーは、例えばテクスチャー化、平面アンカー層の研磨(ラビングとも呼ばれる)によって、例えばナノグルーブ又はマイクログルーブを含むことによって、液晶のダイレクタnの天頂配向及び方位角配向を固定する。
【0126】
研磨には、ベルベット生地を用いうる。
【0127】
垂直なアンカリング(好ましくは第1の装置)の場合、最も一般的に用いられる層は、オクチルトリクロロシラン(OTS)、及びN,N-ジメチル-N-オクタデシル-3-アミノプロピルトリメトキシシランクロリド(DMOAP)、又はポリイミドに基づく。
【0128】
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)又はさらにはアルカンチオールの混合物に基づく層も、垂直なアンカリングを生成しうる。
【0129】
1つ以上のアンカー層は、例えば液体経路によって堆積される。
【0130】
1つ以上のアンカー層は、好ましくは、例えば最大で200μm又は50μmの、薄い(可撓性の)フィルムであってよく、特には第1の装置の(第1及び/又は第2の)電極を担持する。1つ以上のアンカー層は、好ましくは、例えば最大で200μm又は50μmの、薄い(可撓性の)フィルムであってよく、これは特に第2の装置の(第3及び/又は第4の)電極担体である。
【0131】
(第1又は第2の装置の)アンカー層は、例えば、以下のものである:
- 好ましくは誘電体(特にはアモルファス、ポリマー性のもの、及び/又は無機のもの、ガラス)であり、これは、表面の機能化を有し;特には、ポリイミド、ポリビニルアルコール(PVA)に基づく層、例えば(特には第1の装置のための)平面アンカリング用。
- 電気伝導性であり、特に、第1の装置(第1又は第2の全表面電極、平面-平面電極構成)、又は第2の装置(第3又は第4の全表面電極、平面-平面電極構成)の電極の厚さの一部である(例えば、平面アンカリング用)。
【0132】
エアギャップは、垂直なアンカーを提供するが、強固なアンカー層を有することが好ましい。また、アンカー層(特には誘電体)は、電極と区別されることが好ましい。
【0133】
アンカー層は、2層超(3層以上)であってもよく、その場合、アンカー層によって間隔を隔てられている複数の液晶層が存在する。単一の液晶層が、第1及び第2の装置の各々について、単純化のために好ましい。
【0134】
第2の装置は、好ましくはオフ状態である第1の機能状態において、特にはr1に垂直な偏光P1(好ましくはP1:0°若しくは90°±20°、又はさらには0°若しくは90°±5°の、第1の方向bとの角度を形成する)を有する光を送ることができる。そして:
- 第1の機能状態において、第1の装置の出力におけるヘイズH0は、第2の装置の入力における非偏光入射光で得られるヘイズよりも、少なくとも10%(さらには20%)大きい。
- そして、好ましくは、好ましくは第2の装置のオン状態である、第2の機能状態において、第1の装置の出力におけるヘイズH1は、第2の装置の入力における非偏光入射光で得られるヘイズよりも、少なくとも10%(さらには20%)小さい。
【0135】
第1の液晶は、好ましくは、面FA1上又は面FA2上(平面配向面と称される)の所定の方向bにおいて、全体的にある程度組織化されている。
【0136】
それらのダイレクタn-又は長軸-は、全体的にこの第1の方向(b)に沿っている。bは特に、この平面配向面と接触している一方向性平面アンカー層の(ラビング)軸である(液晶とこの固体層との間の相互作用を発生させる)。
【0137】
欠陥線ドメインは、ヘイズ(散乱力)が顕著であるため、好ましい。スメクチック(メソ)相の焦点円錐ドメインが、参照により組み込まれる国際公開第2020/065038号に記載されているように、好ましい。
【0138】
欠陥ドメインは、一般的には、各々2つの欠陥線を有し、焦点円錐ドメインであり、対をなし、特に、一方は異なる偏心度を有する楕円形、及び他方は双曲線であり、したがって、「楕円-双曲線焦点円錐ドメイン(elliptic-hyperbolic focal conic domain)」又はEHFCDという名称がそれらに与えられる。
【0139】
好ましくは、メソ相Pは、ネマティックであり、ドメインは、特にはスメクチックメソ相(メソ相P’)の、焦点円錐ドメインであり、特には2つの欠陥線を有し、これは、好ましくは一方が楕円であり、他方が双曲線である(EHFCD)。
【0140】
焦点円錐ドメイン、特にEHFCDは、好ましくは方向bに平行な線状ネットワークを形成する。
【0141】
(第1及び/又は第2の)二色性色素は、異方性有機分子であってよく、これは、光学異方性を有し、細長く、特には棒状である。これは、材料中に溶解している状態、特には第1の液晶中に溶解している。(各)二色性色素の%は、溶解度の限界を超えないように調整される。特に、(1つ又は複数の)二色性色素であって、液晶と化学的に相溶性のあるものが選択される。
【0142】
特に、(各)(細長い、棒状の)二色性色素は、長い分子軸を有してよく、吸収は、長軸又は短軸に沿って変化する。
【0143】
(第1又は第2の)二色性色素は、関与する(第1又は第2の)電気活性層の(第1又は第2の)液晶の配向によって制御され、関与する電界(E1又はE2)の影響下での液晶の移動(回転)は、関与する電界に整列する傾向があり、二色性色素の移動(回転)をもたらし、長軸も、関与する電界に整列する傾向がある。
【0144】
このようにして、二色性色素の吸収は、入射光の偏光に対するその配向に基づいて変化する。逆に、吸収異方性を示さない、非二色性色素は、電場に対して鈍感であるか、又はあまり敏感ではなく、吸収も変化させないであろう。このような色素を、第1の装置内の所望の色合いを調整するために加えうる。
【0145】
第1の二色性色素は、好ましくは少なくとも200nm又は300nm、さらに好ましくは380nm~650nm、又はさらには700nm又は780nmの、第1の吸収帯(可視域にある)を有しうる。
【0146】
第2の二色性色素は、好ましくは少なくとも200nm又は300nm、さらに好ましくは380nm~650nm、又はさらには700nm又は780nmの、第2の吸収帯(可視域にある)を有しうる。
【0147】
第1及び第2の二色性色素は、共通の吸収範囲(必ずしも同じ吸収極大、又は同じ吸収プロファイルを有する必要はない)、好ましくは、少なくとも1nm、又は少なくとも10nm、又は少なくとも100nmの、共通の吸収範囲を有する。
【0148】
第1の二色性色素は、方向r1において偏光した光に対する光吸収極大を有しうる。
【0149】
第2の二色性色素は、この同じ方向r1において偏光した光に対する光吸収極大を有しうる。
【0150】
二色性色素の複数の類があり、それらは、特に、Mark T Simsによる出版物「dies as guests in ordered systems: current understanding and future directions」Liquid Crystals,2016,Vol43,NOS.13-15,ページ2363~2374に記載されている。
【0151】
本発明による二色性色素は、AZO(-N=N)を有する、特には棒状の、アゾ色素でありうる。アゾ色素に化学変化を誘起することがありうるし、例えばエステル基が組み込まれる(上記刊行物のページ2366参照)。
【0152】
他の色素は、アントラキノンであり、これらは、一般的には縮合環であるか、又は置換基を付加することによって棒状になる。二色性色素(発色団)の例は、この上記刊行物の表1にある。
【0153】
本発明に対して適切である二色性色素の例は、さらに、1994年にSpringerによって出版された、L.M.Blinovらによる書籍「Electrooptic effect in Liquid Crystal Materials」、特に「Optical Anisotropy and Dichroism」と題する2.3章、及び表2.2を含む、66ページ~68ページに記載されている。
【0154】
例えば、青色色素の場合、極大吸収波長として630nm±10nm、吸収帯外の波長として430nm±50nm又は±10nmを選択することがありうる。例えば、三井化学によって販売されている、色素M412を挙げてよい。
【0155】
例えば、赤色色素の場合、極大吸収波長として500nm±10nm、吸収帯外の波長として650nm±50nm又は±10nmを選択することがありうる。例えば、三井化学によって販売されている、色素SI-426を挙げてよい。
【0156】
例えば、黄色色素の場合、極大吸収波長として400nm±10nm、吸収帯外の波長として600nm±50nm又は±10nmを選択することがありうる。例えば、三井化学によって販売されている、色素SI-486を挙げてよい。
【0157】
例えば、黒色色素の場合、三井化学から販売されている、色素SI-428を挙げてよい。
【0158】
独立して、例えば第1の二色性色素とは別の極大吸収で、システムの要素の一つ又は複数(電極、アンカー層、基材又は支持体、積層中間層、ガラス裏材など)を、(程度の差はあるが)着色することがありうる。
【0159】
第1の装置は以下を含みうる:
- 透明誘電体基材であって、第1の電極(及びアンカー層、特には第1の電極上の垂直なもの)を担持し、この基材が、随意の外部引っかき防止層を有する、ガラスシート又は透明ポリマー性シートから選択されるもの。
- 透明誘電体支持体であって、第2の電極(平坦な構成である場合)、及び特には一方向性の、bに従う、少なくとも1つのアンカー層を(好ましくは第1の電極上に)担持し、この基材が、随意の外部引っかき防止層を有する、ガラスシート又は透明ポリマー性シートから選択されるもの。
【0160】
第2の装置は以下を含みうる:
- 第1の透明誘電体要素であって、第3の電極(及び好ましくは第4の電極)(同一平面上構成)、並びにさらにはアンカー層、好ましくはr1に従って一方向性であるものを担持し、第1の要素が、上記誘電体支持体とは異なるか、又はこれに対応する、ガラスシート又は透明ポリマー性シートから選択されるもの。
- 第2の透明誘電体要素であって、平面-平面構成であれば第4の電極を担持し、好ましくは一方向性の、r2に従う、少なくとも1つのアンカー層を担持し、第2の要素が、(随意の外部引っかき防止層を有する)ガラスシート又は透明ポリマー性シートから選択されるもの。
【0161】
第1の装置、及び第2の装置は、間隔を隔ててよく、共通の支持体(片側又は両側で)を共有してよく、又は結合されてよい(誘電体支持体と第1の誘電体要素とが結合される)。
【0162】
一実施形態では、第1の装置、及び第2の装置は、以下の通り接続されている:
- 透明接着層によって、特には光学接着剤(OCA)、若しくは熱可塑性層、特にはEVA若しくはPVB積層中間層によって、
- 又は、透明共通支持体、好ましくはプラスチックガラスが:
- 第2の電極(若しくはさらには同一平面上の場合、第1の電極)の第1の主面上、特には層のスタックの残りの第1の主面上で、
- かつ他方の側で、第3の電極(若しくはさらには同一平面上の場合、第4の電極)の対向する第2の主面上、特には層のスタックの残りの部分上で、
担持される。
【0163】
透明結合層は、無色であってよく、又は着色されうる。
【0164】
透明結合層は、最大で0.5mm、又はさらには最大で0.1mmの厚さを有しうる。
【0165】
光学システムは、例えば(モノリシック又は積層)グレージングの、曲率に適応するように柔軟である、平坦又は湾曲したものでありうる。そして、それは、モノリシックグレージングユニット上で、又は例えば上記積層グレージング内で、湾曲される。
【0166】
本発明はまた、以下を含む、随意に湾曲した積層グレージングユニットに関する:
- 特には厚さ0.7mm~4mmの、第1のガラスシート
- 熱可塑性、特にはEVA又はPVBの、積層中間層、
- 第2の追加のガラスシートであって、特には厚さ0.7mm~4mm、又はさらには0.7mm未満のもの、又はさらにはプラスチックシート、例えばポリカーボネート又はPMMAなどのもの(特にはPU積層中間層を有する)。
【0167】
第1及び第2の追加のガラスシートの、F2及びF3と称される、主内部面は、互いに対向しており、前述の光学システムは、好ましくは面F2とF3との間にあり、好ましくは積層中間層内にある。
【0168】
好ましくは、第1の装置に関して、基材はポリマー性であり、さらには支持体もポリマー性であり、第1のシートの表面の全部又は一部を占める。
【0169】
好ましくは、第1の要素は、ポリマー性であり、さらには第2の要素もポリマー性であり、第1の装置の表面の全部又は一部を占める。
【0170】
好ましくは、熱可塑性積層中間層は、光学システム(第1及び第2の装置)のエッジを取り囲む。
【0171】
光学システムのエッジ面は、積層中間層(又は第1のシート)の最も外側のエッジ面に対して後退しうる。
【0172】
好ましくは、随意の層担持シート(基材、支持体、第1及び第2の要素)は、好ましくは、最大で0.7mm、さらには最大で0.3又は0.2mmの厚さである。ガラスシートについて、薄型ガラス(1mm未満)、さらには超薄型ガラス(UTG)を選択することもありうる。
【0173】
追加のガラスシートの一方は、着色されていてよく、他方は、クリア又は超クリアであってよい。熱可塑性積層中間層は、無色(クリア、超クリア)であってよく、又は着色されていてよい。
【0174】
基材及び/若しくは支持体について、又はさらには積層グレージングユニット及び/若しくは複層グレージングユニットの、追加のガラスシート若しくはグレージングユニットについて、クリアガラス又は超クリアガラスを選択することがありうる。クリアガラスは、典型的には約0.05~0.2重量パーセントの量の酸化鉄を含有する一方で、超クリアガラスは、一般的には約0.005~0.03%の酸化鉄を含有する。
【0175】
積層グレージングユニット及び/又は複層グレージングユニットの、追加のガラスシート又はグレージングユニットは、それでもなお、例えば青、緑、灰色又は青銅色などで、着色されうる。
【0176】
積層グレージング及び/又は複層グレージングの、着色された追加のガラスシート又は着色されたグレージングユニットは、好ましくは10%以下の光透過率TLを有しうる。
【0177】
ガラスは、好ましくはソーダ石灰シリカタイプであるが、それは、ホウケイ酸ガラス又はアルミノホウケイ酸ガラスタイプでもありうる。ガラスの厚さは、一般的には0.5mm~19mm、好ましくは0.7mm~9mm、特には2mm~8mm、又はさらには4mm~6mmの範囲内である。ガラスは、好ましくはフロートガラスである。
【0178】
熱可塑性積層中間層は、剛性又は可撓性要素への接続を提供する。このポリマー性積層中間層は、特に、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン(PU)、アイオノマー、ポリオレフィン系接着剤、熱可塑性シリコーン、又は多成分若しくは単成分の樹脂、熱架橋性(エポキシ、PU)樹脂、若しくは紫外線架橋性(エポキシ、アクリル樹脂)樹脂に基づく層でありうる。
【0179】
PVB中間層は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、特にはウィンドスクリーンの場合、楔形であってよく、すなわち、積層グレージングユニットの上部から下部に向かって楔形に減少する、断面を有してよく、それによって、二重像を避ける。PVB中間層は、随意に防音かつ/又は着色される。防音PVB中間層は、特にはポリビニルブチラール(PVB)及び可塑剤に基づく、振動音響減衰特性を有する粘弾性プラスチックでできている少なくとも1つの「中央」層、並びにさらに標準的なPVBでできている2つの外部層を含み、中央層は2つの外部層の間にある。
【0180】
積層グレージングユニットの第1及び/又は第2のグレージングユニットは、(美的表現又は所望の光学効果に応じて)クリアガラス(厚さ4mmで光線透過率TLが90%以上であるもの)、例えば標準的なソーダ石灰組成のガラス、例えばSaint-Gobain GlassのPlanilux(商標)などであってよく、又は超クリアガラス(厚さ4mmで光線透過率TLが91.5%以上であるもの)、例えば、0.05%未満のFeIII又はFe2O3を含むソーダ石灰シリカガラス、例えばSaint-Gobain GlassのガラスDiamant(登録商標)、若しくはPilkingtonのOptiwhite(商標)、若しくはSchottのB270(商標)など、又は国際公開第2004/025334号に記載されている別の組成のガラスなどであってよい。Saint-Gobain Gl ass社のPlaniclear(商標)ガラスも選択しうる。
【0181】
第1及び/又は第2のグレージングユニットのガラスは、中立(色づけ無し)であってよく、又は(僅かに)着色されていてよく、特に灰色又は緑色であってよく、例えばSaint-Gobain GlassのTSAガラスなどであってよい。第1のグレージングユニット及び/又は第2のグレージングユニットのガラスは、硬化タイプ若しくはアニーリングタイプの化学若しくは熱処理、若しくは強化(特に、より優れた機械的強度を得るために)を受けうるし、又は半強化されうる。
【0182】
光透過率TLは、照度D65を用いて、ISO9050:2003規格に従って測定されてよく、直接透過及びありうる拡散透過の両方を考慮した、全透過率(特には可視領域にわたって積分され、人間の目の感度曲線によって重み付けされるもの)であり、測定は、例えば、積分球を備えた分光光度計を用いて、実施され、所定の厚さにおける測定値は、その後、必要に応じて、4mmの基準厚さに、ISO9050:2003規格に従って変換される。
【0183】
本発明による光学システムを、グレージングユニット、特にはモノリシック又は積層されたもの(平坦及び/又は湾曲している)に組み込んでよく、光学システムは、ストリップ、特には周辺ストリップを、グレージングユニットの主面の一部にわたって形成する。
【0184】
上記で定義した本発明による光学システムを、乗り物又は建物において用いることがありうる。
【0185】
それを、特には次のように用いうる:
- 建物内の内部仕切り(2つの部屋の間又は1つの空間内)、道路、鉄道、船舶、又は航空機の乗り物内(2つのコンパートメントの間、タクシー、バス、列車内など)、特にはグレージングのシャワー又は浴槽の壁として、
- ガラスドア(玄関ドア又は通用ドア)、窓(一重、二重、三重ガラス)、天井、タイル(床又は天井)、トイレのドア、住宅又は街路備品のグレージング部分、
- 自動車(乗用車、トラック、バス、コーチなど)用のグレージングユニット、したがって、道路、鉄道、船舶(ボート)の乗り物、ウィンドスクリーン、サイドグレージング、ルーフ用などのグレージングユニット。
- 投影又は逆投影スクリーン、
- 店舗の窓、特にはブース用の窓。
【0186】
もちろん、それは、グレージングユニット(トランサムタイプの仕切り及び窓など)の全部又は一部を形成しうる。
【0187】
したがって、建物のグレージングユニットは、前述したような光学システム、特にはモノリシック、二重、又は三重のグレージングユニット(積層グレージングの有無は問わない)の仕切り、窓などを備えうる。
【0188】
したがって、乗り物グレージングユニット、特には道路用乗り物用のグレージングユニットは、前述の光学システム、特には(光学システムが1つ又は複数の周辺バンドを形成している)ウィンドシールド、サンルーフ、(モノリシックな又は積層された)サイドグレージングユニット、特にはクォーターガラスを備えうる。
【0189】
本発明による積層グレージングユニット、特には自家用車(フロントガラス等)又はトラック用のものは、特に第1のシート、第2のシート、及び10cm~40cmの曲率半径について、1つ又は複数の方向に湾曲させ(曲げ)られてよい。バス、列車、トラクターの場合は、平坦にさせられうる。
【0190】
本発明による光学システムは、積層された、特には湾曲したグレージング内に組み込まれてよく、それぞれ外部及び内部グレージングユニットと呼ばれる、第1及び第2のグレージングユニット間にあり、グレージングユニットの上方部分にわたって周辺ストリップを形成し、スタックの外面と称されるエッジ面は、第1の不透明な周辺層、特には外部グレージングユニット(好ましくは面F2上)にわたるエナメルによって、外側からマスクされ、かつ/又はスタックの内面と称されるエッジ面は、第2の不透明な周辺層、特には内部グレージングユニット(例えば面F4上、又はさらには面F3上)にわたるエナメルによって、内側からマスクされる。
【0191】
本発明による湾曲積層グレージングユニット、特にはウィンドスクリーン又はサイドグレージングユニットは、好ましくは少なくとも70%、さらには少なくとも75%、又はさらには少なくとも80%である、-クリアガラスペインにおける-TLを有しうる。
【0192】
本発明による湾曲積層グレージングユニット、特にサンルーフは、最大で10%、さらには1~6%の光透過率TLを有しうる。
【0193】
自動車のルーフの場合、以下の基準の少なくとも1つ、又はすべてが好ましい:
- 最大で10%、さらには4~6%である、エネルギー透過率TE、
- 最大で10%、さらに好ましくは4~5%である、エネルギー反射率RE(好ましくは面F1側)、
- 30%未満、さらには26%未満、さらには20~23%である、太陽エネルギーの全透過率TTS。
【0194】
第1及び第2のグレージングユニット(特にウインドシールド)の曲げは、例えば国際公開第2010/136702号に記載されているように、1つ又は複数の方向に行いうる。
【0195】
乗員コンパートメント内の加熱を抑えるために、又は空調の使用を抑えるために、グレージングユニット(好ましくは外部ガラス)の少なくとも1つは着色され、積層グレージングユニットはまた、日射を反射又は吸収する層を、好ましくは面F4上又は面F2若しくはF3上に、有してよく、特には「TCO層」として知られる、透明電気伝導性酸化物層(面F4上)、又はさらには少なくとも1つのTCO層を含む薄層のスタック、又は少なくとも1つの銀層を含む薄層のスタック(面F2又はF3上)を有してよく、その銀層又は各銀層は、誘電体層の間に配置される。
【0196】
本発明による光学システムは、他の電気制御可能な装置、例えばエレクトロルミネッセンスシステム(無機点源LED、有機ダイオード、又はOLED、TFEL(薄層を有する)のセット)を有するものなどと組み合わせて用いられうる。両者は、(積層中間層の)積層グレージングユニット内で、対向又は隣接しうる。
【0197】
本発明による光学システムは、特には積層グレージングユニット内で、別の電気制御可能な装置、例えばエレクトロルミネッセンス電気制御可能な装置、特にはLED、OLED、TFELなどと組み合わせて、用いられうる。
【0198】
本発明の他の詳細及び特徴は、以下の添付図面に関連して与えられる以下の詳細な説明から明らかになるであろう:
【0199】
図1は、本発明の第1の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気制御可能な装置100から構成される、光学システム1001の概略断面図を示す。
【0200】
図2は、本発明の第2の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置101から構成される、光学システム1002の概略断面図を示す。
【0201】
図3は、本発明の第3の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置102から構成される、光学システム1003の概略断面図を示す。
【0202】
図4は、本発明の第4の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置100から構成される、光学システム1000の概略断面図を示す。
【0203】
図5は、
図4の第2の装置において用いられる、2つずつで配置されているストリップの形態の電極の正面図である。
【0204】
図6は、オフ状態である第1の機能状態における、
図4の第2の装置の斜視概略部分図である。
【0205】
図7は、所定の電圧U2でのオン状態である第2の状態における、
図4の第2の装置の斜視概略部分図である。
【0206】
図8は、電界外の第1の装置10の2つの平面電極間の電気活性層の概略かつ詳細な断面図を示し、電界E1無しの特定の液晶の配向及び二色性色素の一部の配向を概略的に示す。
【0207】
図9は、電界E1中の第1の装置10の2つの平面-平面電極間の電気活性層の概略かつ詳細な断面図を示し、上記電界E1中の特定の液晶の配向及び二色性色素の一部の配向を概略的に示す。
【0208】
図10、
図11、及び
図12は、上記第1の電場E1の非存在下における、
図4(例1)の第1の電気制御可能な装置10の第1の電気活性層の、倍率20倍の偏光子下での偏光光学顕微鏡(PLM)によって得られた画像(白黒)の正面図である(50μmのスケールが白色で示されている)。
【0209】
図13は、P1がbに対して垂直である(第2の装置は90°回転している)場合の、
図4の光学システムの変形例における、380~630nmの波長の関数としての、全透過率TTに対応する曲線の一組を示す。
【0210】
図14は、P1がbに対して垂直である(第2の装置は90°回転している)場合の、
図4の光学システムの変形例における、380~630nmの波長の関数としての、拡散透過率DTに対応する曲線の一組を示す。
【0211】
図15は、
図4の光学システムの0~40Vの第1電圧U1の関数としての、ヘイズH(%)に対応する3つの曲線の一組を示す(U2が0Vに等しい場合)。
【0212】
図16は、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、全透過率TTに対する拡散透過率DTの比に対応する3つの曲線の一組を示す(光学システムがオフ-オフモードである場合)。
【0213】
図17は、
図4の光学システムの0~40Vの第1電圧U1の関数としての、積算光透過率LTに対応する曲線の一組を示す(U2が0Vに等しい場合)。
【0214】
図18は、P1がbに平行である場合の、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、全透過率TTに対応する曲線の一組を示す。
【0215】
図19は、P1がbに平行である場合の、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、拡散透過率DTに対応する3つの曲線の一組を示す。
【0216】
図20は、本発明の第4の実施形態の変形例における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素による可変偏光100’を有する、第2の電気制御可能な装置から構成される、光学システム1000の概略断面図を示す。
【0217】
図21は、本発明の第5の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能な装置10a、並びに液晶及び二色性色素100により可変偏光100aを有する、第2の電気制御可能な装置から構成される、光学システム1000aの概略断面図を示す。
【0218】
図22は、本発明による光学システム1000を備える、グレージングユニット2000の概略断面図を示す。
【0219】
図23は、本発明による光学システム1000を備える、積層グレージングユニット3000の概略断面図を示す。
【0220】
図24及び
図25は、それぞれ、本発明による光学システム1000を備える、積層グレージングユニット4000の正面図及び概略断面図を示す。
【0221】
図に示す要素は、縮尺通りではない。
【0222】
図1は、本発明の第1の実施形態における、第1の液晶及び第1の二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに第2の液晶及び第2の二色性色素による可変偏光を有する第2の電気制御可能な装置101から構成される、光学システム1001の概略断面図を示す。
【0223】
ここで、第1の電気制御可能な装置10は、第1の液晶の第1の表面アンカリング方向bを特徴とする(オフ状態である場合)。
【0224】
正規直交基準系X、Y、Zが定義される。bは軸Xに沿っている。
【0225】
第2の電気制御可能な装置101は、この場合、第1の装置10に向かって出力側にある、第2の液晶の表面をアンカリングする第1の方向r1を特徴とし(オフ状態)、さらには、反対側、したがって第1の装置の入力側にある、第2の液晶の表面をアンカリングする第2の方向r2を特徴とする。
【0226】
第2の装置101は、第1及び第2の機能状態を有し:
- この場合オフ状態である第1の機能状態において、第1の装置とは反対側への非偏光入射光(同じ強度の垂直成分Pa及びPbによって概略的に表され、kはZに沿った光の伝搬ベクトルである)から、第2の装置101は、軸Xに沿った偏光電界の第1の成分P1、及びYに垂直な軸Yに沿った偏光電界の第2の成分P2を有する、第1の装置10側への偏光出力光を、第1の偏光比で送ることができ、これは、以下によって定義される。
【0227】
【0228】
rp1は、好ましくは、少なくとも70%又は90%、さらには少なくとも95%である。T1は、Xに沿った380nm~800nmの波長における全透過率であり、T2は、第3及び第4の所定の電極間の、好ましくはゼロである、第1の電圧U2aに関する、Yに沿った380nm~800nmの波長における全透過率である(したがって、P1はP2に対して超支配的である)。
【0229】
- この場合オン状態である第2の機能状態において、電圧U2(2つの電極の間、好ましくは同一平面上ストリップ内の、2つずつの間)で:
(i)第1の装置とは反対側の非偏光入射光から、第2の装置101は、第1の装置側への偏光出力光を、第2の偏光比で送ることができ、これは、以下によって定義される。
【0230】
【0231】
rp2は、少なくとも30%、さらには少なくとも50%又は60%である。T’1は、第1の軸に沿った380~800nmの波長における全透過率であり、T’2は、第3及び第4の電極間の、第2の電圧U2b(これはゼロではない)に関する、380~800nmの波長における第2の軸に沿った全透過率であり、U2bはU2aとは異なる。P2は、好ましくはP1に対して優勢である。
【0232】
第2の装置の出力光の偏光は、楕円でありうる。
【0233】
そして、当然のことながら、第2の装置は、オン状態において多数の機能状態を有する。特に、第2の液晶のアンカリング力が液晶の一部について克服される、閾値電圧があり、電圧が比較的増加するほど、液晶はさらに再配向し、好ましくは最大で80Vである飽和電圧まで、再配向する。
【0234】
そして、適用される電圧U2に応じて変化する、以下の偏光比r(U2)を有することがありうる。
【0235】
【0236】
第1の電気制御可能な装置10は、第1の装置上への入射光の偏光状態に応じた光学的応答を有する、第1の電気活性層を含み、光学的応答は、bがP1に対して垂直であるか平行であるかに応じて変化するであろう。
【0237】
図2は、本発明の第2の実施形態における、第1の液晶及び第1の二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに第2の液晶及び第2の二色性色素102による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置101から構成される、光学システム1002の概略断面図を示す。
【0238】
システム1002は、(例えば90°回転している)第2の装置102が、bに平行な方向r1を有し、換言すればP1がbに垂直であるという点で、前のものと異なる。
【0239】
図3は、本発明の第3の実施形態における、第1の液晶及び第1の二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに第2の液晶及び第2の二色性色素103による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置103から構成される、光学システム1003の概略断面図を示す。
【0240】
システム1003は、第2のオン状態において、第1の装置とは反対側への非偏光入射光から、第2の装置が、第1の装置側への非偏光出力光を提供することができる点で、第1のシステム1001 103とは異なる。
【実施例】
【0241】
以下の実施例は、第1及び第2の装置のありうる構造、さらにはそれらのアセンブリに関する、さらなる詳細を提供する。
【0242】
図4は、本発明の第4の実施形態における、第1の液晶及び第1の二色性色素による可変散乱及び可変色を有する第1の電気制御可能な装置10、並びに第2の液晶及び第2の二色性色素100による可変偏光を有する第2の電気的制御可能装置100から構成される、光学システム1000の概略断面図を示す。
【0243】
第1の装置
【0244】
第1の装置10は、(物理的、固体の)層のスタックをこの順序で含む:
- 透明誘電体支持体1’aであって、エッジ面及び主面11’a又は12’aを有し、この場合、1.1mmのガラス-又は代替の形式では、プラスチック、例えばPETなどである、透明誘電体支持体1’a、
- 接続表面SA1と称される第1の主面を有し、反対表面SBと称される表面、及びエッジ面を有する、第1の透明電極2’aであって、この透明電極は、シート抵抗が100Ω/sq.、より広くは5~300Ω/sq.である、酸化インジウムスズITO層であり、色での中立のために、この電極又は各電極はまた、ITO層の下に少なくとも2つの薄い誘電体下層、及びさらには1つ又は2つの(誘電体)オーバー層を有しうる、第1の透明電極2’a、
- (第1の電極2’a上の)第1の透明な垂直の平面アンカー層4’a、
- 第1のアンカー層4’aに接触している、色づけされた誘電体電気活性層3aであって、接続表面SB側の面FA1と称される主面、及び反対面FA2と称される主面を有し、この場合、厚さEp0(20μm未満)であり、以下を含む第1の材料でできている、誘電体電気活性層3a:
- 第1の液晶、
- ポリマー性ネットワークを形成するポリマーであって、液晶がポリマー性ネットワークによって安定化される、ポリマー、
- 1つ又は複数の第1の二色性色素(溶解状態である)。
第1の材料は、T1と呼ばれる温度から、Pと称されるメソ相を示し、ここで、この材料は、一組のドメインを含み、これは、この場合、サブミリメートルドメインであり、二次元トポロジカル欠陥、例えば線欠陥などを含み、T1未満でメソ相P’を示す。
- 材料中に分散されているスペーサーであって、この場合ガラスビーズである、スペーサー、
- ポリマー性シール5a、例えばエポキシアクリレート、この場合シアノアクリレートでできている、ポリマー性シール5aによって周辺がシールされている、層3a、
- 第2の透明アンカー層4aであって、この場合、Xに平行な方向bにおいて一方向にアンカリングする、第2の透明アンカー層4a、
- 面A2側に第2の接続表面SA2と称される主表面を有し、反対表面SB2と称される表面を有する、第2の透明電極2aであって、特に、この第2の電極2aは、100Ω/sq.のシート抵抗、より広くは5~300Ω/sq.のシート抵抗を有する、ITO層であり、色での中立のために、この電極又は各電極はまた、ITO層の下に少なくとも2つの薄い誘電体下層、及びさらには1つ又は2つのオーバー層を有しうる、第2の透明電極2a、
- 第2電極2aの透明誘電体支持体1aであって、エッジ面及び主面11a又は12aを有し、この場合、1.1mmのガラス-又は代替の形式では、プラスチック、例えばPETなどである、透明誘電体支持体1a。
【0245】
電源を介した電力供給のために、伝導性テープ(図示せず)、特には金属性伝導性テープ、例えば銅でできているテープが、周辺エッジに沿って、かつ周辺エッジ上に、接着結合によって固定され、電極2’a、2aに接触している(1つの電極につき1つのテープ、テープは好ましくは反対側のエッジ上にある)。そして、これらのテープは、電力供給に接続される。電極2’a、2aのエッジ面、及び電気活性層のエッジは、好ましくは、長方形(ガラス)又はその他の形状の基材、及び支持体1a、1’aの、エッジに対して後退している。(ガラス)基材及び支持体1a、1’aの厚さは、例えば0.7mm~4mmでありうる。それらは、アセンブリの比較的良好な機械的強度、及び/又は使用及び取り扱いの容易さのために、好ましくは100μm超、最大で300μmの厚さでありうるが、比較的高い柔軟性が望まれる場合には、例えば50μmまで下げることがありうる。
【0246】
以下に、作製工程をより正確に記載する。
【0247】
第1のアンカー層4’aは、オクチルトリクロロシラン(OTS)層である。それは、ガラスを第2のITO2’とともに、n-ヘプタン中の10nMのOTS溶液中に30分間にわたって浸漬し、脱イオン水ですすぎ、窒素下で乾燥することによって得られる。第1のアンカー層4’aは、この第1のアンカー層4’aに接触している液晶の垂直な(ホメオトロピックな)表面アンカリングを引き起こす(電場なしで)。
【0248】
上記電界E1下では、第1の装置10は、電圧によって変化する拡散透過、ヘイズ及び色を示すであろう。
【0249】
第2のアンカー層4aは、約1μmのポリビニルアルコール(PVA;Sigma-Aldrich;分子量27kDa)の溶液を、脱イオン水中で(PVAの9.1重量パーセント)スピンコーティングすることによって、第2のITO層2a上に堆積される。堆積前に、ITOを、好ましくは洗浄し(界面活性剤)、脱イオン水中ですすぎ、窒素下で乾燥させる。
【0250】
そして、第2のアンカー層4aは、第1の方向bに沿ってラビングされ、それによって、第1の液晶を、この層4aと接触している表面において、(電場なしで)この第1の方向bに沿って一方向に平面的にアンカリングする。
【0251】
第1の電気活性層3aは、最大吸収波長630n±10nmとして三井化学によって販売されているM412と呼ばれる青色二色性色素を含む混合物から構成される。
【0252】
第1の電気活性層3aは、安定化ポリマー性ネットワークを形成するモノマー、この場合、メソゲン、例えば式C33H32O10の1,4-ビス[4-(3-アクリロイルオキシエキシ)ベンゾイルオキシ]-2-メチルベンゼンST03021(Synthon Chemicalsにより販売されている)などを用いて、重合される。
【0253】
4-オクチル-4-シアノビフェニル(東京化成から販売されている8CB)及び4-シアノ-4’-ペンチルビフェニル(東京化成から販売されている5CB)から構成される液晶の混合物(スメクチック相を有しない)が用いられる。
【0254】
より正確には、色づけされた電気活性層3aを生成するために、これら2種類の液晶、5CB及び8CB、モノマー、二色性色素、並びにDPMAと呼ばれる光重合開始剤2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンを用いて混合物を形成する。
【0255】
混合物は以下を含む:
- 95.4重量パーセントの液晶5CB及び8CBであって、4gの8CBに対して1gの5CBの比であるもの、
- 2重量パーセントのモノマーST03021、
- 2重量パーセントの二色性色素M412、
- 0.6重量パーセントの光重合開始剤DPMA。
【0256】
先述した重合前の初期混合物は、約12±2℃の温度下でスメクチックAメソ相P’を示し、約12±2℃~約43±2℃でネマティックメソ相P(かつ約43±2℃を超えると等方相)を示す。
【0257】
最終混合物(重合後)は、約16±2℃の修正温度T1下でスメクチックAメソ相P’を示し、約16±2℃~約41±2℃でネマティックメソ相P(かつ約41±2℃を超えると等方相)を示す。
【0258】
この色づけされた混合物の層は、アンカー層4aと4’aとの間で約10μmの厚さにわたって形成される。
【0259】
次に、3℃(又は少なくとも12℃未満)で、したがってスメクチックA相内で、重合させるために、アセンブリをUV(λ=365nm)下で照射する。
【0260】
そして、色づけされた電気活性層3aは、スメクチックA相の焦点円錐ドメイン、特にこの場合、非TFCDドメインに匹敵する、ネマティック相ドメインを含む。これらの欠陥ドメインは、各々、2つの欠陥線(2線欠陥)を含み、対をなす焦点円錐ドメインであり、第1は異なる偏心度を有する楕円形であり、第2は双曲線である。与えられた名称はEHFCDである。
【0261】
第2の装置
【0262】
第2の装置100は、この順序で(固体)層のスタックを含む:
- 主面11’及び12’を有する第1の透明誘電体素要素1’であって、この場合、1.1mmの厚さのガラス-又は代替の形式では、プラスチック、例えばPETなどである、第1の透明誘電体素要素1’。
- 絶縁ストリップ23の間の第1ストリップ21及び第2ストリップ22を含む、分離したストリップ2における、第3及び第4の透明電極、
- シート抵抗100Ω/sq.、より広くは5~300Ω/sq.のITOストリップ、
- 第1の透明誘電体要素1’(面11’)上、かつITOストリップ21、22上の、b及びXに対して垂直な方向r1の、第3の一方向性平面アンカー層4’、
- この第3のアンカー層4’と接触し、第1の装置側の面FA3と称される主面及び反対面FA4と称される主面を有する、第2の誘電体電気活性層3であって、この場合、厚さ(20μm未満)であり、以下を含む第2の材料でできている、第2の誘電体電気活性層3:
- 第2の液晶、
- 1つ又は複数の第2の二色性色素(溶解状態)、
- 材料中に分散されているスペーサー(この場合ガラスビーズ)。
- ポリマー性シール5、例えばエポキシアクリレート、この場合、シアノアクリレートでできている、ポリマー性シール5によって周辺がシールされている、層3、
- 第4の透明アンカー層4であって、この場合、Xに平行な方向r1に垂直な方向r2において一方向にアンカリングする、第4の透明アンカー層4、
- 主面11及び12を有する、(層4の)第2の透明誘電体要素1であって、この場合、1.1mmの厚さのガラス-又は代替の形式では、プラスチック、例えばPETなどである、第2の透明誘電体素要素1。
【0263】
電源を介した電力供給のために、伝導性テープ(図示せず)、特には金属性伝導性テープ、例えば銅でできているテープが、周辺エッジに沿って、かつ周辺エッジ上に、接着結合によって固定され、電極21、22に接触している(1つの電極につき1つのテープ、テープは好ましくは反対側のエッジ上にある)。そして、これらのテープは、電力供給に接続される。電極21、22のエッジ面、及び第2の電気活性層のエッジは、好ましくは、長方形(ガラス)又はその他の形状の要素1、1’の、エッジに対して後退している。(ガラス)要素1、1’の厚さは、例えば0.7mm~4mmでありうる。それらは、アセンブリの比較的良好な機械的強度、及び/又は使用及び取り扱いの容易さのために、好ましくは100μm超、最大で300μmの厚さでありうるが、比較的高い柔軟性が望まれる場合には、例えば50μmまで下げることがありうる。
【0264】
以下に、作製工程をより正確に記載する。
【0265】
したがって、第3のアンカー層4’は、第2の液晶の方向r1における一方向性平面アンカリングを、この層4と接触している表面において、(電場無しで)誘起する層である。
【0266】
第3のアンカー層4’は、第1の要素1’上で、厚さ約500nmのポリビニルアルコール(PVA;Sigma-Aldrich;分子量27kDa)の溶液をスピンコーティングすることによって、ITOストリップ21及び22上、かつ絶縁ストリップと呼ばれるストリップ23の間に堆積される。
【0267】
そして、第3のアンカー層4’を、方向r1に対して平行である方向r0において延在しているストリップ21、22と平行な方向r1にラビングする。
【0268】
したがって、第4のアンカー層4’は、第2の液晶の方向r2への一方向性平面アンカリングを、この層4と接触する表面において、(電場無しで)誘起する層である。
【0269】
第4のアンカー層4は、約300nmのポリビニルアルコール(PVA;Sigma-Aldrich;分子量Mw~27kDa)の溶液をスピンコーティングすることによって、第2の要素1上に堆積される。そして、第4のアンカー層4を、r1に垂直な方向r2にラビングする。
【0270】
液晶3の第2の電気活性層は、三井化学によって販売されているS428と呼ばれる黒色二色性色素(2重量%)とともに、ネマティック液晶E7(98重量%)から構成される。第2の電気活性層の厚さは10μmである。
【0271】
図5は、
図4の第2の装置において、ストリップ21、22内で、かつ2つずつで用いられる電極の正面図である。
【0272】
例えば、絶縁ストリップ23は、蛇行配置を形成し、電気伝導性層の第1のゾーンは、コイルの第1の絶縁ストリップの第1の部分23aによって、かつコイルの最後の絶縁ストリップの最後の部分23bによって、層の第2のゾーンと遮断(絶縁)されている。
【0273】
導電性ストリップ21及び22は、r0及びr1に平行である。
【0274】
このような絶縁ストリップの配置を、特にはフェムト秒レーザービームによって、例えば直径30μmでストリップが15μmである、電気伝導性層を完全に除去することによって提供することがありうる。ストリップの厚さの限界は、レーザービームのサイズによって決まる。ストリップ間の距離の限界は、レーザービームの動きによって決まる。
【0275】
第1及び第2の液晶は、この場合、正の誘電異方性を示す。
【0276】
原理
図1に関連して説明したように、入力として偏光を受ける第2の装置100は、第1のオフ状態において、主にr1に垂直なP1に沿って偏光された光(bに平行な光)、又は第2の状態において、主にP1に垂直なP2に沿って偏光された光(bに垂直な光)のいずれかを送る。
【0277】
図6は、オフ状態である第1の状態における、
図4の第2の装置の斜視概略部分図である。
【0278】
第4のアンカー層4の表面において、(ディレクターn2によって定義される)第2の液晶312及び二色性色素322は、(概して)r2に平行である。
【0279】
第3の対立アンカー層4の表面において、(ディレクターn1によって定義される)第2の液晶310及び二色性色素320は、(概して)r1に平行である。
【0280】
この対立作用は、第2のネマティック液晶に、ねじれ変形を受けることを強制し、第2の二色性色素は、ネマティックによって制御される。
【0281】
第2の電気活性層3の厚さにおいて、(ディレクターn3によって定義される)第2の液晶311及び第2の二色性色素321は、r1及びr2と(概して)角度を形成する。
【0282】
図7は、所定の電圧U2におけるオン状態である第2の状態における、
図4の第2の装置の原理的斜視概略部分図である。
【0283】
第4のアンカー層4の表面において、(ディレクターn2によって定義される)第2の液晶312及び二色性色素322は、r2に対して(概して)平行のままである。
【0284】
第2の電気活性層3の厚さにおいて、(ディレクターn3によって定義される)第2の液晶311及び第2の二色性色素321は、概してr2に沿って整列する傾向がある。
【0285】
出力では、r1に対して垂直な偏光P1pは減少し、準オフでありうる。
【0286】
図8は、電界外の第1の装置の2つの平面-平面電極間の電気活性層3の概略かつ詳細断面図を示し、電界E1なしの、特定の第1の液晶34、34’の配向及び第1の二色性色素35、35’の一部の配向を概略的に示す。
【0287】
図8は、二色性色素を有する液晶の層状構造36を示し、ポリマー性ネットワークによって固定される構造は図示されていない。
【0288】
液晶の層は、中央ゾーン34において平面的なアンカー層(この場合は縮退している)に向かって湾曲しており、層は、多かれ少なかれ広がっており、かつ存在しないこともありうる、2つの側方ゾーンにおいて、平面的で互いに平行である。
【0289】
第1の電気活性層3a内に、それぞれ2本の欠陥線(2本の線欠陥)を含む既存の欠陥ドメインが存在し、これらは焦点円錐ドメインであり、対をなしており、特に一方は楕円形(平面X,Y内)であり、他方は双曲線(太線の線36)であり、したがって与えられた名称は「楕円-双曲線焦点円錐ドメイン」又はEHFCDである。
【0290】
第1の液晶(ロッド)34の第1の集合体は、アンカー層4a、4’aに対して垂直であり、したがってZに沿っている。このゾーン内に存在するいくつかの第1の二色性色素35にも同様のことが適用される。
【0291】
第1の液晶34’の第2の集合体は、このアンカー層4aに対して角度を形成する。特定の他の二色性色素35’についても同様のことが適用される。
【0292】
図9は、電界E1における第1の装置の2つの平面-平面電極間の電気活性層の概略かつ詳細な断面図を示し、上記電界E1における、特定の第1の液晶34、34’の配向及び第1の二色性色素35、35’の一部の配向を概略的に示す。
【0293】
電界中では、第1液晶34’の第2の系列も、アンカー層4a、4’aに対して垂直である傾向があり、したがってZに沿っている。特定の他の二色性色素35’についても同様のことが適用される。
【0294】
図10、
図11、及び
図12は、上記第1の電場E1の非存在下における、
図4(実施例1)の第1の電気制御可能な装置10の第1の電気活性層の、倍率20倍の偏光子下での偏光光学顕微鏡(PLM)によって得られた画像(白黒)の正面図を示す(50μmのスケールが白色で示されている)。
【0295】
図10は、bに平行な方向に直線偏光Piを有する、第1の装置上に入射する偏光の場合である。
【0296】
図11は、bに垂直な方向に直線偏光Piを有する、第1の装置上に入射する偏光の場合である。
【0297】
図12は、bに垂直な方向に直線偏光Piを有する、第1の装置上に、この偏光Piに垂直なアナライザーを追加することによって、入射する偏光の場合である。
【0298】
EHFCD焦点円錐ドメインは、方向bに平行な線形ネットワークを形成していることがわかる。
【0299】
図13は、P1がbに対して垂直である(第2の装置が90°回転している)場合の、
図4の光学システムの変形例における、380~630nmの波長の関数としての全透過率TTに対応する曲線の一組を示す。
【0300】
曲線1は、オフ+オフモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0301】
曲線2は、オン+オフモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0302】
曲線3は、オフ+オンモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0303】
曲線4は、オン+オンモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0304】
図14は、P1がbに対して垂直である(第2の装置が90°回転している)場合の、
図4の光学システムの変形例における、380~630nmの波長の関数としての拡散透過率DTに対応する曲線の一組を示す。
【0305】
曲線1は、光学システムのオフ+オフモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0306】
曲線2は、光学システムのオン+オフモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0307】
曲線3は、光学システムのオフ+オンモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0308】
曲線4は、光学システムのオン+オンモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0309】
図15は、
図4の光学システムの0~40Vの第1の電圧U1の関数としてのヘイズH(%)に対応する3つの曲線の一組を示す(U2が0Vに等しい場合)。
【0310】
ヘイズHは、積算光透過率と拡散透過率DTとの間の比である。
【0311】
曲線1は、P1がbに対して平行である場合に測定されるヘイズである。
【0312】
曲線2は、入射光が偏光していない場合に測定されるヘイズである。
【0313】
曲線3は、P1がbに対して垂直である場合に測定されるヘイズである。
【0314】
図16は、
図4の光学システムの380~630nmの波長の関数としての、拡散透過率DTの全透過率TTに対する比に対応する3つの曲線の一組を示す(光学システムがオフ-オフモードの場合)。
【0315】
図17は、
図4の光学システムの0~40Vの第1の電圧U1の関数としての、積算光透過率LTに対応する曲線の一組を示す(U2が0Vに等しい場合)。
【0316】
曲線1は、P1がbに対して平行である場合に測定されるLTである。
【0317】
曲線2は、入射光が偏光していない場合に測定されるLTである。
【0318】
曲線3は、P1がbに対して垂直である場合に測定されるLTである。
【0319】
図18は、P1がbに対して平行である場合の、
図4の光学システムの、380~630nmの波長の関数としての全透過TTに対応する曲線の一組を示す。
【0320】
曲線1は、オフ+オフモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0321】
曲線2は、オン+オフモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0322】
曲線3は、オフ+オンモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0323】
曲線4は、オン+オンモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0324】
全透過率は、曲線ごとにほとんど変化しない。
【0325】
図19は、P1がbに対して平行である場合の、
図4の光学システムの、380~630nmの波長の関数としての拡散透過率DTに対応する3つの曲線の一組を示す。
【0326】
曲線1は、オフ+オフモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0327】
曲線2は、オン+オフモードである(第1の電圧U1が40Vであり、第2の電圧U2が0Vである)。
【0328】
曲線3は、オフ+オンモードである(第1の電圧U1が0Vであり、第2の電圧U2が40Vである)。
【0329】
図4(r1がbに対して垂直である)に関連して記載する実施例1に関して、色変化を測定するために、全透過率から測定される明度L
*及びパラメータa
*及びb
*、並びに全透過率(LT1)又は拡散透過率(LT2)から計算される積算LT、並びに比LT2/LT1であるヘイズHが、計算される。Perkin Elmer Lambda 950タイプの分光計が用いられる。
【0330】
測定及び計算を表1に示す。
【0331】
【0332】
測色差デルタE(0V/0Vの場合と0V/40Vの場合との間)は、11.9である。
【0333】
1つの変形例(r1がbに対して平行である)に関して、色変化を測定するために、明度L*及びパラメータa*及びb*が、全透過率から測定され、積算LTが、全透過率(LT1)又は拡散透過率(LT2)から計算され、比LT2/LT1である、ヘイズHが計算される。Perkin Elmer Lambda 950タイプの分光計が用いられる。
【0334】
測定及び計算を表2に示す。
【0335】
【0336】
測色差ΔE(0V/0Vの場合と0V/40Vの場合との間)は、3.6である。
【0337】
第1の偏光比は、偏光P1(r1に対して垂直である)について以下のように定義されている:
【0338】
【0339】
第2の偏光比は、偏光P2(r1に対して平行であり、P1に対して垂直である)について以下のように定義されている:
【数2】
【0340】
T1は、P1の軸に沿った380~640nmの平均全透過率、T2は、P2の軸に沿った380~640nmの平均全透過率である。Perkin Elmer Lambda 950タイプの分光計が用いられる。
【0341】
適用される電圧U2の関数としての、r1とr2との比の相対評価を表3に示す。
【0342】
【0343】
電圧がゼロの場合、偏光は本質的にP1に沿っている。
【0344】
電圧が増加するにつれて、成分P2が増加する。
【0345】
図20は、本発明の第4の実施形態の変形例における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能な装置10、並びに液晶及び二色性色素による可変偏光100’を有する、第2の電気制御可能な装置から構成される、光学システム1000の概略断面図を示す。
【0346】
この光学システムは、支持体1’aが、第1及び第2の装置に対する共通の支持形態である(その2つの主面上にすべての電極を担持する)点で、
図4のシステムとは異なる。
【0347】
図21は、本発明の第5の実施形態における、液晶及び二色性色素による可変散乱及び可変色を有する、第1の電気制御可能な装置10a、並びに液晶及び二色性色素100により可変偏光100aを有する、第2の電気制御可能な装置から構成される、光学システム1000aの概略断面図を示す。
【0348】
光学システム1000aは、
図4のシステム1000とは以下の点で異なる:
- 第3及び第4の電極2及び2’は、平面-平面である(同一平面上ではない)。
- r1は、r2と0°の角度を形成する。
【0349】
その結果、第2の装置の出力光は、偏光されない。
【0350】
アセンブリ例
【0351】
図22は、本発明による光学システム1000を備える透明シート7(任意のありうる厚さ)を含む、グレージングアセンブリ2000の概略断面図を示す。
【0352】
第1の装置10は、光学接着剤60によって透明ガラス又はプラスチック(例えば硬質)シート7に結合され、光学接着剤61によって第2の装置100にも結合される。
【0353】
例えば、これは仕切り(垂直位置)である。
【0354】
アセンブリは、多重グレージングユニット(二重又は三重グレージングユニット)の一部を形成しうる。二重グレージングユニットの場合、システム1000は、面F1側(慣例により外側面)、F2、F3;F4(慣例により内側面)上にありうる。三重グレージングユニットの場合、スタックは、面F1側(外側面)、F2、F3;F4、F5、F6(外側面)上にありうる。シート7は、システム1000と同じ寸法であってよく、又はこれよりも大きくてよい。
【0355】
グレージングアセンブリ2000は、以下でありうる:
- 好ましくは、シャワー壁又は要素7の外部面上にある、シャワー壁、
- 又は好ましくは、湾曲した乗り物のグレージング、特には自動車:ルーフ、サイドグレージングユニット、ウィンドスクリーン、リアウィンドウ、又は要素7の内部面(面「F4」)上にある、湾曲したグレージングユニット。
【0356】
特に、グレージングアセンブリ2000は、投影スクリーンとして機能しうる。
【0357】
図23は、光学接着剤60によって第2の装置100と連結している第1の装置10を含む、本発明による光学システム1000を備える、積層グレージングユニット3000の概略断面図である。
【0358】
積層グレージングユニット3000は、以下を含む:
- 透明である、第1の追加のガラスシート8、
- 熱可塑性、特にはEVA又はPVBの、積層中間層70、
- 第2の透明な追加のガラスシート8’又はプラスチックシート、
第1及び第2の追加のシートのF2及びF3と呼ばれる主内側面は、互いに対向しており、光学システム1000は、面F2とF3との間にあり、サブミリメートルの積層中間層内にあり、又は最大で2mmのものである。
【0359】
製造の際、3つの中間層シートを用いることがありうる:シート8、8’の内側面に対する2枚の完全なシート72、73、及びシステム1000を収容するための開口部を有する中央シート71である。積層後、シート間の中間層(ドットで示される)は必ずしも識別可能ではない。開口部は、片側が、完全に開いているよりも、閉じられていることが好ましい。したがって、システム1000のエッジ全体が、積層中間層70によって囲まれている。もちろん、電力供給について、接続部がシステム1000から出ていてよく、さらにはグレージングユニットの1つ以上のサイドエッジを越えて突出してよい。
【0360】
代替的には、2つの中間層シートのみを用いることもありうるし、システム1000が十分に薄く、例えば最大で0.2mmの厚さである場合、穴を有する中央シートは必要ではなくなる。
【0361】
シート8又は8’の一方が、無色であってよく、又は着色(灰色、緑色、青銅色など)されてよく、グレージングユニットの他方が、クリア又は超クリア8’若しくは8でありうる。第1の中間層シートの一方が、着色(灰色、緑色、青銅色など)されてよく、(1つ又は複数の)他方が、クリア又は超クリアでありうる。シート8又は8’の一方が、プラスチックシート、例えばポリカーボネート又はPMMA(特にはPU積層中間層を有するもの)などによって、置き換えられうる。
【0362】
積層中間層70のエッジは、シート8、8’のエッジから(例えば、最大で5mm)後退しうる。
【0363】
システム1000は、例えば、シート8の主面の全体を実質的に覆い、この場合、さらには中央に配置される。システム1000のどちら側にも同じ幅のPVBが存在する。
【0364】
シート8、8’は平面であり、又は湾曲しており、システム1000は、湾曲したガラスシート8、8’の(1つ又は複数の)湾曲に適応することができる。
【0365】
光学システム1000は、仕切りでありうるし、又は乗り物のルーフでありうる。例えば、乗り物のルーフ用に、次のとおりである:
- シート8は、最も外側にあり、湾曲しており、随意に着色され、例えば3mmである。
- シート8’は、最も内側にあり、湾曲しており、好ましくはクリア又は超クリアであり、例えば3mm以下である。
- 積層中間層70は、PVBでできており、防音効果がありうるし、特には二層又は三層(シート71又は72又は73)でありうる。
【0366】
したがって、ルーフはまた、例えばダークブルーからライトブルーまで、電圧U1又はU2で、変化しうる色のものでありうる。
【0367】
図24及び
図25は、それぞれ、本発明による光学システム1000を備える積層グレージングユニットの正面図及び概略断面図を示す。
【0368】
積層グレージングユニット4000は、光学システム1000が、シート8の表面部分を、特には周辺ストリップを、例えば積層グレージングユニットのほぼ全長にわたって上方長手方向エッジHに沿って、覆っている点で、従来のグレージングユニット3000とは異なる。
【0369】
これは、例えば自動車のウィンドシールドである。
【0370】
このストリップに基づく光学システム1000は、マージナルゾーン内にあり、ここでは、LTの基準及びヘイズの不存在の基準が、中央ゾーンZB内よりも自由である。
【0371】
したがって、このストリップに基づく光学システム1000は、例えばダークブルーからライトブルーまで、電圧によって変化しうる色のものでもありうる。
【0372】
図25(断面図)に示すように、光学システム1000と下方長手方向エッジBとの間の中央中間層73の幅7aは、光学システム1000と上方長手方向エッジHとの間の中央中間層73の幅7bよりも大きい。
【0373】
変形例として、又は追加で、それは、ウィンドスクリーンの下方長手方向エッジBに沿って、全長又は長さの一部にわたって存在しうる。
【0374】
図24(乗り物の内部側の正面図)に示すように、ウィンドスクリーンは、例えばエナメル(黒色等)91’~94’でできている、第1の不透明フレームを、内側シート8’の自由面(F4)82’の短手方向及び長手方向エッジ上に有し、例えばエナメル(黒色等)91~94でできている、第2の不透明フレームを、外側シート8の自由面(F1)82の短手方向及び長手方向エッジ上に、有している。
【0375】
下方長手方向エッジ側にある、光学システム1000のエッジ面、及びさらには側方エッジ側にあるエッジ面も、エナメルフレームの層92、92’、93、93’、94、94’の間にあってよい(面していてよい)。例えば、接続部及び他の電流供給ストリップ(U1及びU2用)も、これらの層92、92’、93、93’、94、94’によってマスクされうる。
【0376】
1つの変形例では、それは、自動車のルーフ、例えば、着色された外側ガラス8及び/又は着色されたPVB71、並びに実質的にはガラス8、8’の主面全体を覆う光学システム1000を有する自動車のルーフである。
【国際調査報告】