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特表2024-537869ペプチドデンドロン及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ペプチドデンドロン及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 2/00 20060101AFI20241008BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20241008BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20241008BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241008BHJP
   C07K 7/00 20060101ALI20241008BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20241008BHJP
   A61P 31/16 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
C07K2/00
A61K48/00 ZNA
A61K47/42
A61K47/69
A61P43/00 111
C07K7/00
C07K14/00
A61P35/00
A61P31/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520995
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2022059608
(87)【国際公開番号】W WO2023057975
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】63/262,269
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ウレロ,モーガン オードリー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティー,ロナルド ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ボーン,ハンナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC29
4C076CC41
4C076EE41
4C076FF34
4C084AA13
4C084NA13
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC021
4C084ZC022
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA57
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本明細書は、式(I)の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロン、これらのペプチドデンドロンを含む医薬送達システム、それらを含む医薬組成物、及び治療におけるそれらの使用に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
Aは、結合、C1~6アルキレン、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;前記カルボシクリル又はヘテロシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよく;前記ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素はRから選択される基で任意選択的に置換されていてよい;
Qは、結合、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;前記カルボシクリル又はヘテロシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよく;前記ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素はRから選択される基で任意選択的に置換されていてよい;
環Bは、モルホリニル又はチオモルホリニルであり;ここで前記モルホリニル又はチオモルホリニルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい;
、R及びRは、それぞれ独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル及びN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択され;
nは、0~4であり;
、R及びRは、独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アセチル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、カルバモイル、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル及びN-メチル-N-エチルカルバモイルから選択される)
の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロン。
【請求項2】
Aは、結合、C1~6アルキレン又はヘテロシクリルである、請求項1に記載のペプチドデンドロン。
【請求項3】
Qは、結合である、請求項1又は2に記載のペプチドデンドロン。
【請求項4】
nは、0である、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項5】
環Bは、モルホリニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項6】
環Bは、チオモルホリニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項7】
Aは、結合、メチレン又はピリジルであり;
Qは、結合であり;
環Bは、モルホリニル又はチオモルホリニルであり;且つ
nは、0である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項8】
前記修飾リシンに由来する残基は、式(IB):
【化2】
で表される、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項9】
前記修飾リシンに由来する残基は、
(S)-2-アミノ-6-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]アミノ}ヘキサン酸;
(S)-2-アミノ-6-[(チオモルホリン-3-カルボニル)アミノ]ヘキサン酸;及び
(S)-2-アミノ-6-[2-(モルホリン-4-イル)アセトアミド]ヘキサン酸
である、請求項1~4、7及び8のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項10】
6未満の世代を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項11】
分岐点、世代0、及び続く世代を含み、前記分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、100個未満のアミノ酸残基を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項12】
式(II):
({X}{X}{X})({BP}{X}{X}{X})({BP}{X}{X}{X}){BP}
(II)
(式中、
、X、又はXのうちの1つは、塩基性アミノ酸残基であり;
別のX、X、又はXは、疎水性アミノ酸残基であり;
残りのX、X、又はXは、請求項1~9のいずれか一項で定義される修飾リシンに由来する残基であり;且つ
BPは、分岐点アミノ酸残基である)
のペプチドデンドロンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項13】
前記塩基性アミノ酸残基は、アルギンから選択される、請求項12に記載のペプチドデンドロン。
【請求項14】
前記疎水性アミノ酸残基は、ロイシンから選択される、請求項12又は13に記載のペプチドデンドロン。
【請求項15】
BPは、リシンである、請求項12~14のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項16】
前記ペプチドデンドロンの前記第1の分岐点アミノ酸に結合したアミノ酸残基の世代0配列をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項17】
前記世代0配列は、GLY-VAL-CIT-GLY-GLY-SER-CYS(配列番号5)からなり、前記末端CYSカルボキシ基はアミド化されてC(O)NH基を形成している、請求項16に記載のペプチドデンドロン。
【請求項18】
-(OCHCH-繰り返しサブユニット(式中、n>3)からなるポリエチレングリコール基をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項19】
ペプチド、抗体、糖、又は小分子標的化基から選択される標的化基をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項20】
医薬活性剤の細胞への送達に使用するための、請求項1~19のいずれか一項に記載のペプチドデンドロン。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載のペプチドデンドロンの1つ以上と医薬活性剤とを含む医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬活性剤は、遺伝物質である、請求項20又は21に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項23】
前記遺伝物質は、DNAである、請求項22に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項24】
前記遺伝物質は、RNAである、請求項22に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項25】
前記遺伝物質は、DNA及びRNAである、請求項22に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項26】
脂質をさらに含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項27】
前記動物に有効量の請求項21~26のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む遺伝子治療の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年10月8日に出願された米国仮特許出願第63/262,269号の優先権の利益を主張するものであり、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロン、及び医薬活性剤、特に遺伝物質を細胞に送達するためのこれらのペプチドデンドロンの使用に関する。本明細書はさらに、治療におけるこれらのペプチドデンドロンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
遺伝子療法は、疾患を治療するために患者の細胞内に(外来の)遺伝物質(そのような物質並びにDNA及びRNA)の治療的送達に焦点を当てる医学分野である。今までに、Luxturna(登録商標)(RPE65変異による失明)及びKymriah(登録商標)(キメラ抗原受容体T細胞療法)を含むいくつかの遺伝子療法が、多くの様々な医学的病態に対して規制当局の承認を受けてきた。
【0004】
遺伝子送達は、遺伝物質を細胞内へ導入するために使用されるプロセスである。成功を得るためには、遺伝物質は輸送中の安定性を維持しなければならず、最終的には標的細胞に内在化されなければならない。遺伝物質がDNAである場合、DNAは標的細胞内に内在化され、核内に送達されなければならない。遺伝子送達にはベクターが必要であり、好適なベクターは一般に2つのカテゴリー、ウイルスベクター及び非ウイルスベクターに分類される。
【0005】
ウイルス媒介遺伝子送達は、ウイルスが宿主細胞内にDNAを注入する能力を利用する。遺伝物質は、ウイルスベクターを形成するために、複製欠損性ウイルス粒子内にパッケージングされる。ウイルス方法は、高度に効率的であるが、免疫反応を誘導し得る。さらに、それらは細胞内に極めて小片の遺伝物質しか送達することができず、それらを生成する工程は労働集約的であり、無作為の挿入部位、細胞変性作用及び変異生成のリスクがある。
【0006】
合成ベクターは、遺伝子送達用途のためのウイルスと比べて構造的多様性及び拡張性に関するいくつかの長所を提供し、またそれらは、1つの所望の目的を達成するために単独且つ特別に設計することができる。これらの物質は、細胞への取り込み、細胞質内への輸送、及び(所望であれば)核内への送達に関連する生物学的障壁を克服するために、遺伝子操作されているナノ粒子又はベシクル内に遺伝物質をパッケージングするように設計することができる。一般的アプローチは、アニオン性核酸と関連する正電荷を含む高分子、ペプチド、又は脂質などの物質で遺伝物質を多分子組立体内にパッケージングすることである。正電荷と負電荷との間の静電相互作用は、ナノ粒子若しくはミクロ粒子構造への自己集合を駆動し、これらの粒子のサイズ及び形状は、物質のタイプ及び縮合条件によって制御することができる(非特許文献1)。
【0007】
例えば、ナノ粒子のような好適なベクターへのDNAの処方は、未調製DNAの取り込みと比較した場合に、DNAの細胞取り込みを有意に改善する。DNAは大きく、また負に荷電しているため、細胞膜を横切って拡散するなどの受動プロセスによってそれ自体で細胞(これもまた正味の負の電荷も有している)に取り込まれることはない。未調製DNAはまた、その分解につながる免疫反応を引き起こす傾向がある。好適なベクターへDNAを処方することにより、DNAの負の電荷を中和し、細胞外間隙での分解からDNAを保護することができる。
【0008】
ベクターが効果的に内在化されるためには、エンドサイトーシスと呼ばれるプロセスによって細胞内に輸送されなければならない。このプロセス中、ベクターは、その後に細胞の内側で出芽しエンドソームを形成する細胞膜の領域によって取り囲まれている。ベクターは、このプロセスの発生を可能にするが、次にリソソームへの取り込み、すなわち酸性膜結合リソソーム区画内への隔離の可能性を緩和するように設計されなければならない。これを達成するための1つの方法は、リソソームのトラフィッキングが発生し得る前に、エンドソームを確実に破裂させることである。これは、生じた浸透圧勾配によりエンドソームが破裂して細胞質内に遺伝物質を遊離させ、その遺伝物質がその場で転写/翻訳に利用可能になり得るまで、ベクターがエンドソームのpH(エンドソームは細胞へ取り込まれた後、ますます酸性が強くなる)を緩衝することによって達成され得る。エンドソームの緩衝範囲(pH7.4~pH5.0)に対して効率的な緩衝能力を備える好適なベクター物質は、プロトンを受け入れることによってエンドソームの酸性化を遅らせることができ、これにより、細胞質ゾルからのさらなるプロトン及び対イオンの流入が引き起こされる。
【0009】
現在の合成遺伝子送達システムは、遺伝物質の低い安定性、高い毒性、及び非効率的な細胞質侵入によってインビボに限定されている。高い送達効率を維持しながら調製特性(サイズ、電荷など)、安定性、緩衝能力、及び毒性間の最適なバランスを達成する、遺伝子送達に好適な多官能性物質を遺伝子操作する工程は、困難且つ複雑であることがわかっているが、得られる製剤は大幅に簡素化されるであろう。
【0010】
ペプチドデンドロン(PD)はアミノ酸残基を含む3次元構造であり、残基の1つの側鎖、例えば、リシンのε-アミンは、分枝又は世代を形成するために利用され、分子を3D巨大分子に構築する。ペプチドデンドロンは、典型的には、固相ペプチド合成を使用して生成され、明確に定義された構造内のアミノ酸残基配列及び幾何学的配置の正確な制御を可能にする。最終生成物は単分散であり、高度に調整可能な特性(すなわち、疎水性、電荷密度、及び分子量)を有し、多機能の最適化及び柔軟な適用を可能にする。
【0011】
ペプチドデンドロンは広く探索されてきたが、製造コスト及び低いタンパク質分解安定性が臨床的成功を妨げてきた。Kwokら(非特許文献2及び非特許文献3)は、DNA及びRNAのトランスフェクション試薬としてペプチドデンドリマー/脂質ハイブリッドシステムを探索したが、合成の制限、限定された材料の機能性及びインビボでの有効性により、ジペプチド分枝に限定された。
【0012】
本願は、修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含む特定のペプチドデンドロンを記載する。これらのペプチドデンドロンは、i)細胞内在化及びリソソームトラフィッキング中に発生するpH転移中のプロトン化を可能にするように調整された高い緩衝能力を有し、ii)静電的及び非静電的(例えば、π-πスタッキング)相互作用による核酸結合の増加によって安定性が高く、iii)天然に存在し、毒性若しくは免疫原性がある可能性が低い代謝産物に基づくコア単位が使用される場合、高い生体適合性を有し、且つ/又はiv)特異的な細胞内酵素分解(カテプシンB)によって迅速な核酸放出を達成する。それらは、プラスミドDNA、mRNA、siRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)(約25~100nm、球状、ロッド状、及びトロイド状)を含む複数の核酸形態を有するナノ粒子を形成し、関連する毒性を伴わずにマウスに静脈内注射された後は、高い血清中安定性及び長期の血液循環を示す。DNA、mRNA、siRNA、及びASOを含む広範な核酸形態を首尾よく送達及び/又は共送達し、細胞内まで容易に解離しないことによってカプセル化された遺伝物質を保護する能力を、それらが有することが示された。さらに、同じナノ粒子内でのRNA/DNAの共送達により、タンパク質発現動態、相乗的治療薬の発現の制御が可能になり、CRISPRなどの複数の成分が必要とされる分野へのナノ粒子の適用が拡大する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Park et al.Adv Drug Del Rev,2006,58(4):467-86
【非特許文献2】Kwok et al ACS Nano,2013 May 28;7(5):4668-82,doi:10.1021/nn400343z
【非特許文献3】Kwok et al ChemBioChem,2016,17(23),2223-2229
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書は、一部には、式(I)の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンを記載する:
【化1】
(式中、
Aは、結合、C1~6アルキレン、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;ここで前記カルボシクリル又はヘテロシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよく;前記ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい;
Qは、結合、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり;ここで前記カルボシクリル又はヘテロシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよく;前記ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい;
環Bは、モルホリニル又はチオモルホリニルであり;ここで前記モルホリニル又はチオモルホリニルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい;
、R及びRは、それぞれ独立してハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、アセチルアミノ、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N-メチル-N-エチルカルバモイル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル及びN-メチル-N-エチルスルファモイルから選択され;
nは、0~4であり;
、R及びRは、独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アセチル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、カルバモイル、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル及びN-メチル-N-エチルカルバモイルから選択される)。
【0015】
本明細書はまた、一部には、医薬活性剤を細胞内に送達する際に使用するための、本明細書に記載のペプチドデンドロンを記載する。
【0016】
本明細書はまた、一部には、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン及び医薬活性剤を含む医薬組成物を記載する。
【0017】
本明細書はまた、一部には、前記動物に本明細書に記載の有効量の医薬組成物を投与することを含む遺伝子治療の方法を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
多くの実施形態が、本明細書の全体を通して詳述されており、当業者には明らかであろう。本開示は、列挙される実施形態のいずれかに限定されると解釈されるべきでない。
【0019】
「1つの(a)」は、「少なくとも1つ」を意味する。「1つの(a)」が所与の物質又は要素を示すために使用されるいずれかの実施形態では、「1つの(a)」は、1つを意味し得る。
【0020】
「~含んでいる(comprising)」は、所与の物質又は要素が他の物質又は要素を含有し得ることを意味する。「~を含んでいる(comprising)」が言及されるいずれかの実施形態では、所与の材料又は要素は、少なくとも1%w/w、少なくとも5%w/w、少なくとも10%w/w、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、又は少なくとも40%w/wのその材料又は要素で形成され得る。「~を含んでいる(comprising)」はまた、所与の材料又は要素「からなっている(consisting of)」(若しくは「からなる(consist of)」)又は「から実質的になっている(consisting essentially of)」(若しくは「から実質的になる(consist essentially of)」)を意味し得る。
【0021】
「~からなっている(consisting of)」又は「~からなる(consist of)」は、所与の材料又は要素が全体的にその材料又は要素から形成されていることを意味する。「~からなっている(consisting of)」又は「~からなる(consist of)」が言及されているいずれかの実施形態では、所与の材料又は要素は、100%w/wのその材料又は要素で形成され得る。
【0022】
「~から実質的になっている(consisting essentially of)」又は「~から実質的になる(consist essentially of)」は、所与の材料又は要素がほぼ全体的にその物質若しくは要素から形成されていることを意味する。「~から実質的になっている(consisting essentially of)」又は「~から実質的になる(consist essentially of)」が言及されているいずれかの実施形態では、所与の材料又は要素は、少なくとも50%w/w、少なくとも60%w/w、少なくとも70%w/w、少なくとも80%w/w、少なくとも90%w/w、少なくとも95%w/w又は少なくとも99%w/wのその材料又は要素から形成され得る。
【0023】
「である」又は「であり得る」を用いて材料又は要素を定義するいずれかの実施形態では、「である」又は「であり得る」は、材料又は要素が、材料又は要素「からなる」又は「から実質的になる」ことを意味し得る。
【0024】
「約」が言及されている本明細書のいずれかの実施形態では、「約」は、引用された数値の+/-0(すなわち、差異なし)、+/-0.01、+/-0.05、+/-0.1、+/-0.5、+/-1、+/-2、+/-5、+/-10又は+/-20パーセントを意味し得る。数値が引用される場合、また別の実施形態では、これはさらに引用されたおよその数値を指す。
【0025】
特許請求の範囲は、実施形態である。
【0026】
本明細書においては、式(I)の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンが開示される:
【化2】
(式中、A、Q、B、R及びnは、本明細書に記載した通りである)。
【0027】
一実施形態では、Aは、結合である。
【0028】
一実施形態では、Aは、C1~6アルキレンである。
【0029】
一実施態様では、Aは、メチレンである。
【0030】
一実施形態では、Aは、カルボシクリルであり;前記カルボシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよい。
【0031】
一実施形態では、Aは、ヘテロシクリルであり;前記ヘテロシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよく;前記ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい。
【0032】
一実施態様では、Aは、ヘテロシクリルである。
【0033】
一実施形態では、Aは、ピリジルである。
【0034】
一実施形態では、Aは、結合、C1~6アルキレン又はヘテロシクリルである。
【0035】
一実施形態では、Aは、結合、メチレン又はピリジルである。
【0036】
一実施形態では、Qは、結合である。
【0037】
一実施形態では、Qは、カルボシクリルであり;前記カルボシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよい。
【0038】
一実施形態では、Qは、ヘテロシクリルであり;前記ヘテロシクリルは、任意選択的に炭素上で1つ以上のRで置換されていてよく;前記ヘテロシクリルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい。
【0039】
一実施形態においては、環Bは、モルホリニルである。
【0040】
一実施形態では、環Bは、モルホリニルであり;前記モルホリニルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい。
【0041】
一実施形態では、環Bは、チオモルホリニルである。
【0042】
一実施形態では、環Bは、チオモルホリニルであり;前記チオモルホリニルが-NH-部分を含有する場合、その窒素は任意選択的にRから選択される基で置換されていてよい。
【0043】
一実施形態では、Rは、ハロである。
【0044】
一実施形態では、nは、0である。
【0045】
一実施形態では、nは、1である。
【0046】
一実施形態では、nは、2である。
【0047】
一実施形態では、nは、3である。
【0048】
一実施形態では、nは、4である。
【0049】
一実施形態では、式(I)(式中、
Aは、結合、C1~6アルキレン又はヘテロシクリルであり;
Qは、結合であり;
環Bは、モルホリニル又はチオモルホリニルであり;且つ
nは、0である)
の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンが提供される。
【0050】
一実施形態では、式(I)(式中、
Aは、結合、メチレン又はピリジルであり;
Qは、結合であり;
環Bは、モルホリニル又はチオモルホリニルであり;且つ
nは、0である)
の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンが提供される。
【0051】
一実施形態では、式(I)の修飾リシンは、式(IA)の修飾リシンである:
【化3】
(式中、A、Q、B、R及びnは、本明細書に記載した通りである)。式(IA)の修飾リシンは、修飾D-リシンとも称され得る。
【0052】
一実施形態では、式(I)の修飾リシンは、式(IB)の修飾リシンである:
【化4】
(式中、A、Q、B、R及びnは、本明細書に記載した通りである)。式(IB)の修飾リシンは、修飾L-リシンとも称され得る。
【0053】
一実施形態では、式(I)の修飾リシンは、
2-アミノ-6-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]アミノ}ヘキサン酸;
2-アミノ-6-[(チオモルホリン-3-カルボニル)アミノ]ヘキサン酸;及び
2-アミノ-6-[2-(モルホリン-4-イル)アセトアミド]ヘキサン酸
から選択される。
【0054】
一実施形態では、式(I)の修飾リシンは、
(R)-2-アミノ-6-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]アミノ}ヘキサン酸;
(R)-2-アミノ-6-[(チオモルホリン-3-カルボニル)アミノ]ヘキサン酸;及び
(R)-2-アミノ-6-[2-(モルホリン-4-イル)アセトアミド]ヘキサン酸
から選択される。
【0055】
一実施形態では、式(I)の修飾リシンは、
(S)-2-アミノ-6-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]アミノ}ヘキサン酸;
(S)-2-アミノ-6-[(チオモルホリン-3-カルボニル)アミノ]ヘキサン酸;及び
(S)-2-アミノ-6-[2-(モルホリン-4-イル)アセトアミド]ヘキサン酸
から選択される。
【0056】
本明細書で使用される用語「置換(された)」は、化学基に関する場合、その化学基が除去され、置換基によって置換される1つ以上の水素原子を有することを意味する。本明細書で使用される用語「置換基」は、当該技術分野において知られている通常の意味を有し、親基に共有結合している化学部分を指す。本明細書で使用される場合、用語「任意選択的に置換(された)」は、その化学基が置換基を有していない(すなわち、非置換)又は1つ以上の置換基を有する(すなわち、置換)可能性があることを意味する。所与の原子での置換は、原子価によって限定されることが理解されるべきである。任意選択的置換基が基のリストから選択される場合、この定義が特定の基の1つから選択される全置換基を含むか、又は2つ以上の特定の基から選択される置換基を含むと理解すべきである。2つ以上の同一置換基、例えばRが基のリストから選択される場合は、この定義が特定の基の1つから選択されるそのような全置換基を含むか、又は2つ以上の特定の基から選択される置換基を含むと理解すべきである。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「Ci~j」は、ある範囲の炭素原子数を示すが、ここでi及びjは、整数であり、炭素原子数の範囲は、端点(すなわち、i及びj)並びにそれらの間の各整数点を含み、jはiより大きい。例えば、C1~6は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子及び6個の炭素原子を含む、1~6個の炭素原子の範囲を示す。いくつかの実施形態では、用語「C1~6」は、1~6、1~5、1~4、1~3又は1~2個の炭素原子を示す。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、別の用語の一部として使用されるか、又は独立して使用されるかにかかわらず、飽和炭化水素鎖を指す。上で言及した炭化水素鎖は、直鎖又は分岐鎖であり得る。用語「Ci~jアルキル」は、i~j個の炭素原子を有するアルキルを意味する。C1~6アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル;2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピルなどの高次のホモログを挙げることができるが、これらに限定されない。さらなる修飾を伴わない「ブチル」などの基についての言及は、例えば、n-ブチル及びtert-ブチルなどのブチルのあらゆる形態を指す。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」は、別の用語の一部として使用されるか、又は独立して使用されるかにかかわらず、飽和炭化水素鎖を指す。上で言及した炭化水素鎖は、直鎖又は分岐鎖であり得る。用語「Ci~jアルキレン」は、i~j個の炭素原子を有するアルキルを指す。C1~6アルキレンの例としては、メチレン(-CH-)、エチレン(-CH-CH-)、プロピレン(-CH-CH-CH-)及びブチレン(-CH-CH-CH-CH-及び-CH-CH(CH)-CH-など)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0061】
「ヘテロシクリル」は、他に特に規定されていない限り、炭素又は窒素結合であり得る、その内の少なくとも1つの原子が窒素、硫黄又は酸素から選択される4~12個の原子を含有する飽和、部分飽和又は未飽和の単環式又は二環式環であり、-CH-基は、任意選択的に-C(O)-によって置き換えられてよく、また環の硫黄原子は、任意選択的に酸化されてS-酸化物を形成することができる。用語「ヘテロシクリル」の例及び好適な数値は、モルホリノ、ピペリジル、ピリジル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、インドリル、キノリル、チエニル、1,3-ベンゾジオキソリル、チアジアゾリル、ピペラジニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、チオモルホリノ、ピロリニル、ホモピペラジニル、3,5-ジオキサピペリジニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、イソキザゾリル、N-メチルピロリル、4-ピリドン、1-イソキノロン、2-ピロリドン及び4-チアゾリドンである。用語「ヘテロシクリル」の特定の例は、ピリジルである。一実施形態では、「ヘテロシクリル」は、そのうちの少なくとも1つの原子が窒素、硫黄又は酸素から選択される5又は6個の原子を含有する飽和、部分飽和又は未飽和の単環式環であり、それは、他に特に規定されていない限り、炭素又は窒素結合であり得る、-CH-基は、任意選択的に-C(O)-で置き換えることができ、また環の硫黄原子は、任意選択的に酸化されてS-酸化物を形成することができる。
【0062】
「カルボシクリル」は、3~12個の原子を含有する、飽和、部分飽和又は不飽和の単環式又は二環式炭素環であり;-CH-基は、任意選択的に-C(O)-で置き換えることができる。一実施形態では、「カルボシクリル」は、5若しくは6個の原子を含有する単環式の環、又は9若しくは10個の原子を含有する二環式の環である。「カルボシクリル」に好適な数値としては、シクロプロピル、シクロブチル、1-オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、テトラリニル、インダニル又は1-オキソインダニルが挙げられる。「カルボシクリル」の特定の例は、フェニルである。
【0063】
本開示の「化合物」は、化合物内の原子の全ての同位体を包含している。1つの原子の同位体には、同じ原子番号を有するが質量数が異なる原子が含まれる。例えば、他に特に規定されていない限り、本開示の「化合物」中の水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭化物又はヨウ素には、以下に限定されないが、H、H、H、11C、12C、13C、14C、14N、15N、16O、17O、18O、31P、32P、32S、33S、34S、36S、17F、19F、35Cl、37Cl、79Br、81Br、127I及び131Iなどのそれらの同位体も含まれることが意図されている。いくつかの実施形態では、水素は、プロチウム、ジュウテリウム及びトリチウムを含む。いくつかの実施形態では、水素は、プロチウムを指す。いくつかの実施形態では、水素は、ジュウテリウムを指す。いくつかの実施形態では、水素は、トリチウムを指す。いくつかの実施形態では、用語「ジュウテリウムによって置換(された)」若しくは「ジュウテリウム置換(された)」は、化学基中の水素の他のアイソフォーム(例えば、プロチウム)をジュウテリウムで置換するためのものである。いくつかの実施形態では、炭素は、12C及び13Cを含む。
【0064】
残基
本明細書に記載のペプチドデンドロン内のアミノ酸は、一緒に連結されると、α-アミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合を介して鎖を形成する。鎖に一旦連結されると、個々のアミノ酸は、「残基」と呼ばれる。「残基」は、アミノ酸に由来する。「残基」はまた、α-アミノ基又はカルボキシ基を介してのみ連結された末端アミノ酸を記載するために使用され得、任意選択的に、(本明細書において以下に記載されるように)末端アミノ基が修飾アミノ基であるか、又は末端カルボキシ基が修飾カルボキシ基である。本明細書における特定のアミノ酸(例えば、「リシン」)への言及は、文脈に応じて、アミノ酸自体又は残基を指し得る。
【0065】
修飾リシン
修飾リシン又は修飾リシン由来の残基が記述されているいずれかの実施形態では、これらは式(I)及びその実施形態による修飾リシンを指す。
【0066】
修飾リシン又は修飾リシン残基が記述されているいずれかの実施形態では、これは修飾Dリシンを指し得る。
【0067】
修飾リシン又は修飾リシン残基が記述されているいずれかの実施形態では、これは修飾Lリシンを指し得る。
【0068】
塩形態
ペプチドデンドロンが記述されているいずれかの実施形態では、これは塩形態のペプチドデンドロンを指し得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、「塩形態」は、本明細書に記載のペプチドデンドロンの誘導体を指し、親化合物は、1つ以上の存在する酸性部分(例えば、カルボキシルなど)及び/又は塩基部分(例えば、アミン、アルカリなど)をその塩形態に変換させることによって修飾される。多くの場合、本開示の化合物は、アミノ基及び/若しくはカルボキシル基又はそれらに類似する基の存在によって、酸性塩及び/又は塩基性塩を形成することができる。特定の塩形態は、薬学的に許容される塩である。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、哺乳動物、特に人間での使用に安全且つ効果的な塩である。
【0070】
本明細書に記載のペプチドデンドロンの好適な塩形態としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)又は有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、トリメシン酸、クエン酸、乳酸、フェニル酢酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナパジシリル酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、サリチル酸、スルホサリチル酸など)に由来し得る酸付加塩が挙げられる。特定の酸付加塩は、塩酸塩である。
【0071】
本明細書に記載のペプチドデンドロンの好適な塩形態としては、例えば、無機塩基に由来し得る金属の塩基付加塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びカルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、銅などの周期表の第I~第XII族の水酸化物塩、炭酸塩、重炭酸塩)、又は有機塩基(例えば、第1級、第2級、及び第3級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など)に由来し得る塩基付加塩が挙げられる。特定の有機アミンとしては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる好適な塩のリストは、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”20th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,(1985);及びStahl and Wermuthによる”Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use”(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)に見出すことができる。
【0072】
本明細書で使用されるペプチドデンドロンの用語
本願は、本明細書に記載の式(I)の修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンを記載する。本明細書において、ペプチドデンドロンが言及されている場合、これはアミノ酸残基を含む3次元構造を指し、残基の1つの側鎖、例えばリシンのε-アミンは、その後の世代を作る分枝点を形成し、分子を3D巨大分子に構築する。ペプチドデンドロンは少なくとも1つの分岐点を含み、少なくとも1つの世代(G1)で非直鎖状分子を形成する。
【0073】
以下の略語が本明細書において使用される:
・世代0:ペプチドデンドロン内の第1の分岐点に先行するアミノ酸残基の配列。
・分岐点:新しい世代を開始するアミノ酸残基の付加によって修飾される側鎖を有するアミノ酸残基。
・世代:分岐点間のアミノ酸残基、連続する各世代に番号が付される(G1、G2、G3…)。
・標的化基:特定の細胞型又は器官に対し親和性を有する部分、例えば、糖、小分子、ペプチド、及び/又は抗体に基づく部分。
【0074】
慣例に従って、ペプチドは、N末端アミノ酸が最初に描かれ、C末端アミノ酸が最後に描かれる(左から右に書く)。
【0075】
リシン(LYS)は、特に明記しない限り、未修飾リシンを指す。
【0076】
アミノ酸がキラルであり得るいずれかの実施形態では、これはDアミノ酸を指し得る。
【0077】
アミノ酸がキラルであり得るいずれかの実施形態では、これはLアミノ酸を指し得る。
【0078】
アミノ酸がキラルであり得るいずれかの実施形態では、アミノ酸は、Lアミノ酸及びDアミノ酸の混合物であり得る。
【0079】
ペプチドデンドロン
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、その組成及び純度を正確に制御できる技術によって合成されたポリペプチドを指し得る。好適な技術としては、固相ペプチド合成が挙げられる。
【0080】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、120個未満のアミノ酸残基を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0081】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、100個未満のアミノ酸残基を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0082】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、80個未満のアミノ酸残基を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0083】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、60個未満のアミノ酸残基を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0084】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、約52個のアミノ酸残基を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0085】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、分岐点、世代0、及び続く世代が合わせて、52個のアミノ酸残基を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0086】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、塩形態であり得る。
【0087】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む。
【0088】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のアルギニン残基を含む。
【0089】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0090】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0091】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のロイシン残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0092】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む。
【0093】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、少なくとも1つの世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む。
【0094】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、少なくとも1つの世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のアルギニン残基を含む。
【0095】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、少なくとも1つの世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0096】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、少なくとも1つの世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0097】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、少なくとも1つの世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のロイシン残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0098】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、少なくとも1つの世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む。
【0099】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む。
【0100】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のアルギニン残基を含む。
【0101】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0102】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0103】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のロイシン残基、及び1つ以上のリシン残基を含む。
【0104】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、世代は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む。
【0105】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa>7.4の側鎖を有するアミノ酸%は、25~50%である。
【0106】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa>7.4の側鎖を有するアミノ酸%は、25~30%である。
【0107】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa>7.4の側鎖を有するアミノ酸%は、30~35%である。
【0108】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa>7.4の側鎖を有するアミノ酸%は、35~40%である。
【0109】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa>7.4の側鎖を有するアミノ酸%は、40~45%である。
【0110】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa>7.4の側鎖を有するアミノ酸%は、45~50%である。
【0111】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa=4.0~6.5の側鎖を有するアミノ酸%は、25~50%である。
【0112】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa=4.0~6.5の側鎖を有するアミノ酸%は、25~30%である。
【0113】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa=4.0~6.5の側鎖を有するアミノ酸%は、30~35%である。
【0114】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa=4.0~6.5の側鎖を有するアミノ酸%は、35~40%である。
【0115】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa=4.0~6.5の側鎖を有するアミノ酸%は、40~45%である。
【0116】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、pKa=4.0~6.5の側鎖を有するアミノ酸%は、45~50%である。
【0117】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、続く世代のアミノ酸残基のうち、pKa>7.4の側鎖を有する%は25~50%であり、pKa=4.0~6.5の側鎖を有する%は25~50%である。
【0118】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、式(II):
({X}{X}{X})({BP}{X}{X}{X})({BP}{X}{X}{X}){BP}
(II)
(式中、
、X、又はXのうちの1つは、塩基性アミノ酸残基であり;
別のX、X、又はXは、疎水性アミノ酸残基であり;
残りのX、X、又はXは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基であり;且つ
BPは、分岐点アミノ酸残基である)
のペプチドデンドロンを含む。
【0119】
式(II)において、X基の一方はBPアミノ酸のα-アミンに結合し、他方は側鎖上の反応性基、例えばアミノ基に、例えばリシンのε-アミンに結合する。式(II)のペプチドデンドロンは、以下の構造を有する。
【化5】
【0120】
式(II)のペプチドデンドロンにおいて、同じ世代内のXアミノ酸残基は同じであっても異なっていてもよく、且つ/又は異なる世代のXアミノ酸残基は同じであっても異なっていてもよい。X、Xについても同様である。
【0121】
一実施形態では、Xは、塩基性アミノ酸残基である。
【0122】
一実施形態では、Xは、疎水性アミノ酸残基である。
【0123】
一実施形態では、Xは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である。
【0124】
一実施形態では、Xは、塩基性アミノ酸残基である。
【0125】
一実施形態では、Xは、疎水性アミノ酸残基である。
【0126】
一実施形態では、Xは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である。
【0127】
一実施形態では、Xは、塩基性アミノ酸残基である。
【0128】
一実施形態では、Xは、疎水性アミノ酸残基である。
【0129】
一実施形態では、Xは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である。
【0130】
一実施形態では:
は、塩基性アミノ酸残基であり;
は、疎水性アミノ酸残基であり;且つ
は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である。
【0131】
一実施形態では:
は、塩基性アミノ酸残基であり;
は、疎水性アミノ酸残基であり;且つ
は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である。
【0132】
、X、又はXのうちの1つは、塩基性アミノ酸残基である。塩基性アミノ酸残基は、正電荷を担持することができる側鎖を有するアミノ酸残基である。
【0133】
一実施形態では、塩基性アミノ酸残基は、アルギニン、オルニチン及びリシンから選択される。
【0134】
一実施形態では、塩基性アミノ酸残基は、アルギニンである。
【0135】
一実施形態では、塩基性アミノ酸残基は、オルニチンである。
【0136】
一実施形態では、塩基性アミノ酸残基は、リシンである。
【0137】
一実施形態では、Xは、アルギニン、オルニチン及びリシンから選択される。
【0138】
一実施形態では、Xは、アルギニンである。
【0139】
一実施形態では、Xは、オルニチンである。
【0140】
一実施形態では、Xは、リシンである。
【0141】
一実施形態では、Xは、アルギニン、オルニチン及びリシンから選択される。
【0142】
一実施形態では、Xは、アルギニンである。
【0143】
一実施形態では、Xは、オルニチンである。
【0144】
一実施形態では、Xは、リシンである。
【0145】
一実施形態では、Xは、アルギニン、オルニチン及びリシンから選択される。
【0146】
一実施形態では、Xは、アルギニンである。
【0147】
一実施形態では、Xは、オルニチンである。
【0148】
一実施形態では、Xは、リシンである。
【0149】
、X、又はXのうちの1つは、疎水性アミノ酸残基である。疎水性アミノ酸残基は、主に炭素及び水素から構成される側鎖を有するアミノ酸残基であり、水をはじきやすい傾向がある
【0150】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、メチオニン及びバリンから選択される。
【0151】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、アラニンである。
【0152】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、イソロイシンである。
【0153】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、ロイシンである。
【0154】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、フェニルアラニンである。
【0155】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、トリプトファンである。
【0156】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、チロンである。
【0157】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、メチオニンである。
【0158】
一実施形態では、疎水性アミノ酸残基は、バリンである。
【0159】
一実施形態では、Xは、アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、メチオニン及びバリンから選択される。
【0160】
一実施形態では、Xは、アラニンである。
【0161】
一実施形態では、Xは、イソロイシンである。
【0162】
一実施形態では、Xは、ロイシンである。
【0163】
一実施形態では、Xは、フェニルアラニンである。
【0164】
一実施形態では、Xは、トリプトファンである。
【0165】
一実施形態では、Xは、チロシンである。
【0166】
一実施形態では、Xは、メチオニンである。
【0167】
一実施形態では、Xは、バリンである。
【0168】
一実施形態では、Xは、アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、メチオニン及びバリンから選択される。
【0169】
一実施形態では、Xは、アラニンである。
【0170】
一実施形態では、Xは、イソロイシンである。
【0171】
一実施形態では、Xは、ロイシンである。
【0172】
一実施形態では、Xは、フェニルアラニンである。
【0173】
一実施形態では、Xは、トリプトファンである。
【0174】
一実施形態では、Xは、チロシンである。
【0175】
一実施形態では、Xは、メチオニンである。
【0176】
一実施形態では、Xは、バリンである。
【0177】
一実施形態では、Xは、アラニン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、メチオニン及びバリンから選択される。
【0178】
一実施形態では、Xは、アラニンである。
【0179】
一実施形態では、Xは、イソロイシンである。
【0180】
一実施形態では、Xは、ロイシンである。
【0181】
一実施形態では、Xは、フェニルアラニンである。
【0182】
一実施形態では、Xは、トリプトファンである。
【0183】
一実施形態では、Xは、チロシンである。
【0184】
一実施形態では、Xは、メチオニンである。
【0185】
一実施形態では、Xは、バリンである。
【0186】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される式(II)(式中、
は、アルギニンであり;
は、ロイシンであり;
は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基であり、且つ
BPは、リシンである)
のペプチドデンドロンを含む。
【0187】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、本明細書で定義される式(II)(式中、
は、本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基であり;
は、ロイシンであり;
は、アルギニンであり;且つ
BPは、リシンである)
のペプチドデンドロンを含む。
【0188】
世代0
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、ペプチドデンドロン中の第1分岐点アミノ酸に結合した「世代0」と呼ばれるアミノ酸残基の配列を含む。アミノ酸残基の世代0配列は、C末端、又はN末端、特にC末端にあり得る。例えば、アミノ酸残基の世代0配列を有するペプチドデンドロンは、以下のように説明し得る。
【化6】
【0189】
第1分岐点がリシンである場合、上記図中の世代0配列は、以下のように結合され得る:
【化7】
(式中、「・・」は分子の残りの部分を表す)。
【0190】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、第1世代に先行する分岐点アミノ酸のC末端にアミノ酸の世代0配列を含む。
【0191】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンは、第1世代に先行する分岐点アミノ酸のN末端にアミノ酸の世代0配列を含む。
【0192】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、1つ以上のグリシン残基を含む。
【0193】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、グリシン残基を含む。
【0194】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、2つのグリシン残基を含む。
【0195】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、3つのグリシン残基を含む。
【0196】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、1つ以上のバリン残基を含む。
【0197】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、バリン残基を含む。
【0198】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、1つ以上のシトルリン残基を含む。
【0199】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、シトルリン残基を含む。
【0200】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、1つ以上のセリン残基を含む。
【0201】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、セリン残基を含む。
【0202】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、1つ以上のシステイン残基を含む。
【0203】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、システイン残基を含む。
【0204】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、終端がシステイン残基であり得る。終端システインにより、チオール化学によるさらなる官能化が可能になる。別の実施形態では、世代0配列は、終端がリシン、セリン、チロシン、及び/又はアジドフェニルアラニンなどのアミノ酸の反応性誘導体であり得る。他のアミノ酸の反応性誘導体としては、アジド、アルキン、シクロペンタジエン、及びテトラジン基を含有するものが挙げられる。
【0205】
アミノ酸の世代0配列が言及されている任意の実施形態では、世代0配列の終端は、末端カルボキシ基がアミド化されてC(O)NH基を形成しているシステイン残基である。アミド化によりCOOH基が不活性になり、ペプチド全体の電荷が減少し、天然ペプチドをよりよく模倣する。
【0206】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、グリシン、バリン、シトルリン、セリン、アラニン、リシン、フェニルアラニン及び/又はシステイン残基を含む。
【0207】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、グリシン、バリン、シトルリン、セリン及び/又はシステイン残基を含む。
【0208】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、グリシン、バリン、シトルリン、セリン及びシステイン残基を含む。
【0209】
アミノ酸の世代0配列が言及されているいずれかの実施形態では、世代0配列は、GLY-VAL-CIT-GLY-GLY-SER-CYS(配列番号5)からなる。
【0210】
アミノ酸の世代0配列が言及されている任意の実施形態では、世代0配列は、配列VAL-CIT、VAL-ALA、LYS-PHE、GLY-GLY-PHE-GLY(配列番号1)又はGLY-PHE-LEU-GLY(配列番号2)を含む。
【0211】
分岐点
分岐点は、新しい世代を開始するアミノ酸残基の付加によって修飾される側鎖を有するアミノ酸残基である。次の図では、分岐点はBPで示されている。
【化8】
【0212】
分岐点がリシンである場合、リシンは、以下のように上記図中の分岐点を形成し得る:
【化9】
(式中、「・・」は分子の残りの部分を表す)。
【0213】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン内の分岐点は、同一又は異なるアミノ酸残基であり得る。
【0214】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン内の分岐点は、同じアミノ酸残基であり得る。
【0215】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、リシンが1つ以上の分岐点を形成しているペプチドデンドロンを指し得る。
【0216】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、リシンが分岐点の全てを形成しているペプチドデンドロンを指し得る。
【0217】
世代
ペプチドデンドロンは世代を含む。世代は、以下のように説明し得る:
【化10】
式中、G1は第1世代を表し、G2は第2世代を表し、G3は第3世代を表し、総称して世代と呼ばれる。G3世代の末端X基にさらなる分岐点(BP)アミノ酸を付加し、続いてアミノ酸残基のG4世代配列、例えばさらなるX-X-X基などを付加することによって、さらなる世代を付加することができる。
【0218】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、5個のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0219】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、4個のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0220】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、3個のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0221】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、2個のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0222】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、4個以上のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0223】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、3個以上のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0224】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、2個以上のアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0225】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、最大5個までのアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0226】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、最大4個までのアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0227】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、最大3個までのアミノ酸残基からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0228】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、同じペプチド鎖からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0229】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、各世代において同じペプチド鎖からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0230】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、異なるペプチド鎖からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0231】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、各世代において異なるペプチド鎖からなる世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0232】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、塩基性アミノ酸残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0233】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、疎水性アミノ酸残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0234】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、塩基性アミノ酸残基及び疎水性アミノ酸残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0235】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、塩基性アミノ酸残基、疎水性アミノ酸残基、及び本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0236】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0237】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、及び1つ以上のアルギニン残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0238】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、本明細書で定義される修飾リシンに由来する1つ以上の残基、1つ以上のアルギニン残基、及び1つ以上のロイシン残基を含む世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0239】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、ARG-LEU-LYS(修飾)(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)を含む1つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0240】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、ARG-LEU-LYS(修飾)(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)からなる1つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0241】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、ARG-LEU-LYS(修飾)(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)を含む全ての世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0242】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、ARG-LEU-LYS(修飾)(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)からなる全ての世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0243】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、LYS(修飾)-LEU-ARG(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)を含む1つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0244】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、LYS(修飾)-LEU-ARG(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)からなる1つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0245】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、LYS(修飾)-LEU-ARG(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)を含む全ての世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0246】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、LYS(修飾)-LEU-ARG(ここで、LYS(修飾)は本明細書で定義される修飾リシンに由来する残基である)からなる全ての世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0247】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、1つの世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0248】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、2つの世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0249】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、3つの世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0250】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、4つの世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0251】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、5つの世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0252】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、一世代ペプチドデンドロンを指し得る。
【0253】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、二世代ペプチドデンドロンを指し得る。
【0254】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、三世代ペプチドデンドロンを指し得る。
【0255】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、四世代ペプチドデンドロンを指し得る。
【0256】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、五世代ペプチドデンドロンを指し得る。
【0257】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、2つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0258】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、3つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0259】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、4つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0260】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、5つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0261】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、5つ以下の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0262】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、4つ以下の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0263】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、3つ以上の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0264】
ペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、これは、2つ以下の世代を含むペプチドデンドロンを指し得る。
【0265】
ポリエチレングリコールペプチドデンドロン
さらなる実施形態では、本明細書に記載されるペプチドデンドロンは、生体適合性の親水性ポリマー、例えばポリエチレングリコール又はポリサルコシン基をさらに含み得る。
【0266】
ポリエチレングリコール(PEG)は、-(OCH2CH2)-反復サブユニットからなるポリマーであり、典型的には、nは>3及び<250である。PEGは、典型的には、エチレンオキシドの開環重合を用いて合成される。PEGポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。分岐状PEGは、典型的には、中心コア基から生じる3~30のPEG鎖を有する。
【0267】
一実施形態では、本明細書に記載されるペプチドデンドロンは、ポリエチレングリコール基を含み得、本明細書では「ポリエチレングリコールペプチドデンドロン」又は「PEGペプチドデンドロン」と称される。PEG基は、ナノ粒子の安定化を助け、立体遮蔽によって非特異的タンパク質相互作用を低減する「ステルス層」を形成し得る。
【0268】
PEG基は、ペプチドデンドロンのアミノ酸の世代0配列中の末端アミノ酸残基に、場合により連結基を介して、以下のように結合され得る。
【化11】
【0269】
PEG基は、末端-O基を介して、又はPEGの末端-CH-基を介してペプチドデンドロンに結合することができ、場合により連結基を介して、アミノ酸の世代0配列中の末端アミノ酸残基のアミン又はカルボキシに結合され得る。PEG基はまた、末端アミノ酸残基の側鎖上の反応性基、例えば、末端システインの側鎖上の-SH基に、場合により連結基を介して、特に末端システインの末端カルボキシ基もアミド化されている場合に、結合され得る。
【0270】
ポリエチレングリコールペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンに結合していないPEG基の末端は修飾されていても水素であってもよい。ポリエチレングリコール基の末端に好適な修飾は、例えば、C1~4アルキル、例えばメチル;又はC1~4アルコキシ、例えばメトキシである。
【0271】
ポリエチレングリコールペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロンに結合していないPEG基の末端に反応性基があってもよい。好適な反応性基としては、マレイミド、アジド、アルキン(例えば、C2~6アルキン)、及びシクロペンタジエンが挙げられる。この反応性基を使用して、ペプチドデンドロンへのPEGコンジュゲーションの前又は後に、放射標識、染料、及び細胞標的化リガンドなどの種に結合させることができる。
【0272】
ポリエチレングリコールペプチドデンドロンが言及されているいずれかの実施形態では、ポリエチレングリコールとペプチドデンドロンとの間に連結基が存在し得る。好適な連結基は、C1~4アルキルアミノ、例えばPEG-CH-CH-NH-PD若しくはPEG-NH-CH-CH-PDを形成する、例えば-CH-CH-NH-;又はC1~4アルキレン、例えばPEG-CH-CH-PDを形成する、例えばCH-CH-である(ここで、PDはペプチドデンドロンである)。
【0273】
ポリエチレングリコール基が末端アミノ酸残基の側鎖上の反応性基、例えば、末端システインの側鎖上の-SH基に結合している場合、ポリエチレングリコール基を結合させるために様々な方法を用いることができる。典型的には、これにより、リンカー基を介してペプチドデンドロンに結合したポリエチレングリコール基がもたらされる。例えば、アミド結合を介してポリエチレングリコールに連結された3-マレイミドプロパン酸官能基で官能化されたポリエチレングリコールは、チオール反応性試薬である。
ポリエチレングリコール分子の他端はメチル末端であり得る。PEG基とペプチドデンドロンとの間にリンカー基をもたらす、この性質の官能化ポリエチレングリコール基を用いる反応は、以下のように説明し得る:
【化12】
(式中、「PD-SH」における「SH」はシステイン側鎖上のチオールを指し、PDはペプチドデンドロンであり、「n」は、-(OCHCH-反復サブユニットの数である)。
【0274】
分岐状PEG基を含む官能化PEG基のさらなる例としては、以下が挙げられる。
【化13】
【0275】
以下は、分岐状PEG基を含むそのようなペプチドデンドロンの例である。
【化14】
(式中、nは-CHCHO-反復サブユニットの数であり、Σ(結合したn個の基全ての合計)は4~250である。)
【0276】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、0.5~30kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0277】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、2~20kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0278】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、4~11kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0279】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、1~6kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0280】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、約2kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0281】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、約5kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0282】
ポリエチレングリコールが言及されているいずれかの実施形態では、これは、約10kDaの分子量範囲を有するポリマーを指し得る。
【0283】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>3)を含むポリマーを指し得る。
【0284】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>10)を含むポリマーを指し得る。
【0285】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>20)を含むポリマーを指し得る。
【0286】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>30)を含むポリマーを指し得る。
【0287】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>50)を含むポリマーを指し得る。
【0288】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>100)を含むポリマーを指し得る。
【0289】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>150)を含むポリマーを指し得る。
【0290】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>200)を含むポリマーを指し得る。
【0291】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n>250)を含むポリマーを指し得る。
【0292】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<300)を含むポリマーを指し得る。
【0293】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<250)を含むポリマーを指し得る。
【0294】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<200)を含むポリマーを指し得る。
【0295】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<150)を含むポリマーを指し得る。
【0296】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<100)を含むポリマーを指し得る。
【0297】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<50)を含むポリマーを指し得る。
【0298】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<40)を含むポリマーを指し得る。
【0299】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<30)を含むポリマーを指し得る。
【0300】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<20)を含むポリマーを指し得る。
【0301】
ポリエチレングリコールが言及されるいずれかの実施形態では、これは、-(OCHCH-反復サブユニット(n<10)を含むポリマーを指し得る。
【0302】
標的化基
さらなる実施形態において、本明細書に記載されるペプチドデンドロンは、標的化基をさらに含み得る。標的化基とは、細胞に結合し、且つ/又は細胞内在化を促進する標的化部分を指す。標的化基は、場合により連結基を介して、以下のようにペプチドデンドロンのPEG基に結合され得る。
【化15】
【0303】
標的化基が言及されているいずれかの実施形態では、標的化基は、ペプチド、抗体、糖又は小分子から選択され得る。
【0304】
任意選択的に連結基を介して、PEG基に結合することができる好適な標的化ペプチドとしては、以下が挙げられる:
・トランスファー受容体標的化ペプチド、例えばAc-KGGGAWSIIDCSMNYCLYIEG(配列番号3)(ここで、ボールド体の「C」は、システインがジスルフィド結合を介して架橋されていることを示す)(例えば、https://doi.org/10.21954/ou.ro.0000d744);
・環状RGDペプチド、例えば腫瘍及び炎症血管系におけるaインテグリンを標的とするもの、例えばシクロ(-Arg-Gly-Asp-D-Tyr-Lys)(配列番号4):
【化16】
・筋標的化ペプチド、例えばASSLNIA(配列番号6)(T I Samoylova 1,B F Smith. Muscle Nerve.1999 Apr;22(4):460-6;doi:10.1002/(sici)1097-4598(199904)22:4<460::aid-mus6>3.0.co;2-I)。
【0305】
好適な標的化抗体としては、以下が挙げられる:
・T細胞標的化抗体、例えば抗CD3 Fab(Van Wauwe et al.J Immunol,1980,124(6):2708-2713);及び
・カベオラ標的化抗体、例えばMeca32モノマーFC(例えば、Gabriela M.Marchetti,et al.Commun Biol.2019;2:92;Published online 2019 Mar 7.doi:10.1038/s42003-019-0337-2などに記載されている抗体)。
【0306】
好適な標的化糖としては、肝臓におけるアシアロ糖タンパク質受容体を標的とするもの、例えばGalNac及びTri-GalNac含有分子、例えば
【化17】
が挙げられる。
【0307】
好適な小分子標的化剤としては、葉酸が挙げられる。
【0308】
いくつかの標的化基では、標的化基上の-SH基を利用し、上述したPEG基の結合について記載した方法と同様の方法を用いて、PEG基に結合し得る。典型的には、これにより、リンカー基を介した標的化基のポリエチレングリコール基への結合がもたらされる。有利な試薬は、チオール化学によってペプチドデンドロン及び標的化基にコンジュゲートされ得る二官能性PEG試薬である。このような試薬の1つは、分子の両端がマレイミドプロピオナート基で官能化されているPEG試薬である。PEG基とペプチドデンドロン、及びPEG基と標的化基の両間にリンカー基をもたらす、この性質の二官能化ポリエチレングリコール基を用いる反応を簡略化して記載すると、以下のように説明し得る:
【化18】
(式中、「PD-SH」における「SH」はシステイン側鎖上のチオールを指し、「TG-SH」における「SH」は標的化基における反応性チオールを指し、PDはペプチドデンドロンであり、TGは標的化基であり、「n」は、-(OCHCH-反復サブユニットの数である。
【0309】
ペプチド標的化基、又は反応性アミンを有する別の標的化基(例えば、アミン官能化糖)は、代替活性化PEG試薬を使用して、PEG基に結合させ得る。典型的には、これにより、リンカー基を介した標的化基のポリエチレングリコール基への結合がもたらされる。有利な試薬は、チオール化学によるペプチドデンドロンへのコンジュゲート、及びアミド結合によるペプチド標的化基へのコンジュゲートが可能な二官能性PEG試薬である。このような試薬の1つは、分子の一端がマレイミドプロピオナート基で官能化され、他端がテトラフルオロフェニル(TFP)エステルで官能化されたPEG試薬である。この性質の二官能化ポリエチレングリコール基を用いる反応を簡略化して記載すると、以下のように説明し得る。
【化19】
【0310】
末端アミノ基は任意選択的に修飾されたアミノ基であり得る
一実施形態では、ペプチドデンドロンの末端アミノ基は、未修飾であり得る。未修飾の末端アミノ基とは、それが-NH基であることを意味する。
【0311】
一実施形態では、ペプチドデンドロンの末端アミノ基は、修飾されたアミノ基であり得る。
【0312】
修飾は、典型的には化学修飾であり、これには、化学基を付加すること、新規結合を創出すること、及び化学基を除去することが含まれるが、これらに限定されない。修飾アミノ基は、当業者にはよく知られており、アセチル化、脱アミノ、N-低級アルキル、N-ジ低級アルキル、制約付きアルキル(例えば、分岐状、環状、融合、アダマンチル)及びN-アシル修飾が含まれ得るが、これらに限定されない。修飾アミノ基にはまた、N-末端(例えば、pyroGlu保護アミノ基を含むか、又は放射標識、蛍光タグ若しくは親和性タグ(例えば、ビオチン)を付加する内部アミド結合が含まれ得るが、これらに限定されない。修飾アミノ基にはまた、緩衝基(2-アミノ-6-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリシン3-カルボニル]アミノ}ヘキサン酸、2-アミノ-6-[(チオモルホリン-3-カルボニル)アミノ]ヘキサン酸、及び2-アミノ-6-[2-(モルホリン-4-イル)アセトアミド]ヘキサン酸、並びに架橋基(すなわち、シクロペンタジエン)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0313】
アミノ基に好適な保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルなどのアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル若しくはt-ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル若しくはアロイル基、例えばベンゾイルである。特定の修飾アミノ基は、アシルアミノである。特定の修飾アミノ基は、アセチルアミノである。
【0314】
低級アルキルは、t-ブチル、ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル及びメチルを含む、C1~4アルキルである。
【0315】
末端カルボキシ基は任意選択的に修飾されたカルボキシ基であり得る
一実施形態では、ペプチドデンドロンの末端カルボキシ基は、未修飾である。未修飾の末端カルボキシ基は、それが-C(O)OH基であることを意味する。
【0316】
一実施形態では、ペプチドデンドロンの末端カルボキシ基は、修飾されたカルボキシ基である。
【0317】
修飾は、典型的には化学修飾であり、これには、化学基を付加すること、新規結合を創出すること、及び化学基を除去することが含まれるが、これらに限定されない。修飾カルボキシ基は、当業者にはよく知られており、アミド、低級アルキルアミド、制約付きアルキル(例えば、分岐状、環状、融合、アダマンチル)、ジアルキルアミド、及び低級アルキルエステル修飾が含まれるが、これらに限定されない。修飾カルボキシ基にはまた、カルボキシ基の保護、又は放射標識、蛍光タグ若しくは親和性タグ(例えば、ビオチン)、若しくは細胞標的化リガンドの付加が含まれ得るが、これらに限定されない。カルボキシ基に好適な保護基は、例えば、エステル化基、例えばメチルエチル基、t-ブチル基、又はベンジル基である。特定の修飾カルボキシ基は、-CONHである。特定の修飾カルボキシ基は、C末端アミド化である。特定の修飾カルボキシ基は、カルボキサミド基である。特定の修飾カルボキシ基は、N-(C1~4アルキル)カルバモイル基である。
【0318】
医薬活性剤
本明細書に記載した組成物及び方法は、医薬活性剤の送達に好適である。医薬活性剤は、治療結果につながるヒト又は動物の身体に薬理学的効果を発揮することのできる任意の物質である。
【0319】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、遺伝物質、化学的に修飾された核酸、オリゴヌクレオチド、治療用ペプチド、化学療法剤、タンパク質、タンパク質コンジュゲート、造影剤、CRISPR技術に関連するタンパク質核酸、及びカプシド又は酵素などの天然ウイルス成分から選択することができる。
【0320】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、遺伝物質から選択することができる。
【0321】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、核酸から選択することができる。
【0322】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNA又はRNAなどの遺伝物質から選択することができる。
【0323】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNA及びRNAなどの遺伝物質から選択することができる。
【0324】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNA及び/又はRNAなどの遺伝物質から選択することができる。
【0325】
DNAが言及されているいずれかの実施形態では、これは、プラスミド、線状DNA、短鎖、一本鎖若しくは二本鎖DNA、ミニサークル及びミニストリングなどの小型化ベクター、ヘアピン型及び十字架型DNAを含む折畳みDNA、並びにウイルス由来DNAであり得る。
【0326】
RNAが言及されているいずれかの実施形態では、これは、mRNA又はsiRNAであり得る。
【0327】
RNAが言及されているいずれかの実施形態では、これは、mRNA、gRNA、及び/又はsiRNAであり得る。
【0328】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNAから選択することができる。
【0329】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、RNAから選択することができる。
【0330】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNA及びmRNAから選択することができる。
【0331】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、mRNA及びgRNAから選択することができる。
【0332】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNA及びgRNAから選択することができる。
【0333】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、DNA及びmRNA及びgRNAから選択することができる。
【0334】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、オリゴヌクレオチドから選択することができる。
【0335】
オリゴヌクレオチドが言及されるいずれかの実施形態では、これは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、RNA干渉(RNAi)、及びアプタマーRNAであり得る。
【0336】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、化学的に修飾された核酸から選択することができる。
【0337】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、治療用ペプチドから選択することができる。
【0338】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、化学療法剤から選択することができる。
【0339】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、タンパク質から選択することができる。
【0340】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、タンパク質コンジュゲートから選択することができる。
【0341】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、造影剤から選択することができる。
【0342】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、CRISPR技術に関連するタンパク質核酸から選択することができる。
【0343】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、CRISPR技術に関連するDNA、gRNA及び/又はmRNAから選択することができる。
【0344】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、例えばカプシド又は酵素などの天然ウイルス成分から選択することができる。
【0345】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、モノクローナル抗体、例えばアブシキシマブ、アダリムマブ、アレファセプト、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベズロトクスマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ゴリムマブ、インフレクトラ、イピリムマブ、イクセキズマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、セクキヌマブ及びウステキヌマブ;酵素;例えばアガルシダーゼベータ、イミグルセラーゼ、ベラグルセラーゼアルファ、タリグルセラーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ静注及びガルスルファーゼ;成長因子;並びにサイトカイン、例えばIL-2及びIFN-αなどの治療用タンパク質をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0346】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、モノクローナル抗体;酵素;成長因子及びサイトカインなどの治療用タンパク質をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0347】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、モノクローナル抗体;酵素;成長因子;転写因子及びサイトカインなどの治療用タンパク質をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0348】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、モノクローナル抗体をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0349】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、MEDI8852及びSTK11をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0350】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレファセプト、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベズロトクスマブ、カナキヌマブ、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、ゴリムマブ、インフレクトラ、イピリムマブ、イクセキズマブ、イピリムマブ、イクセキズマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、セクキヌマブ及びウステキヌマブから選択されるモノクローナル抗体をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0351】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、酵素をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0352】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、アガルシダーゼベータ、イミグルセラーゼ、ベラグルセラーゼアルファ、タリグルセラーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、イデュルスルファーゼ靜注及びガルスルファーゼから選択される酵素をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0353】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、増殖因子をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0354】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、転写因子をコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0355】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、転写因子HNF-4αをコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0356】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、サイトカインをコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0357】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、IL-2及びIFN-αから選択されるサイトカインをコードする核酸(すなわち、プラスミド及びmRNA)から選択することができる。
【0358】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、siRNAから選択することができる。
【0359】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、mRNAから選択することができる。
【0360】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、gRNAから選択することができる。
【0361】
医薬活性剤が言及されているいずれかの実施形態では、医薬活性剤は、腫瘍遺伝子、成長因子、及びサイトカイン発現の調節を含む用途におけるタンパク質発現を減少させるために使用されるsiRNAから選択することができる。
【0362】
医薬活性剤が核酸から選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:核酸リン酸の比(N:P)は、約2:1である。
【0363】
医薬活性剤が核酸から選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:核酸リン酸の比(N:P)は、約4:1である。
【0364】
医薬活性剤が核酸から選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:核酸リン酸の比(N:P)は、約6:1である。
【0365】
医薬活性剤がDNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:DNAリン酸の比(N:P)は、約2:1である。
【0366】
医薬活性剤がDNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:DNAリン酸の比(N:P)は、約4:1である。
【0367】
医薬活性剤がDNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:DNAリン酸の比(N:P)は、約6:1である。
【0368】
医薬活性剤がRNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:RNAリン酸の比(N:P)は、約2:1である。
【0369】
医薬活性剤がRNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:RNAリン酸の比(N:P)は、約4:1である。
【0370】
医薬活性剤がRNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:RNAリン酸の比(N:P)は、約6:1である。
【0371】
医薬活性剤がRNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:DNA及びRNAリン酸の比(N:P)は、約2:1である。
【0372】
医薬活性剤がRNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:DNA及びRNAリン酸の比(N:P)は、約4:1である。
【0373】
医薬活性剤がRNAから選択されるいずれかの実施形態では、ペプチドデンドロン塩基性アミノ酸残基:DNA及びRNAリン酸の比(N:P)は、約6:1である。
【0374】
医薬送達システム
一実施形態では、本明細書に記載した修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンを含む医薬送達システムが提供される。医薬送達システムは、ヒト又は動物の身体に医薬活性剤を送達するために使用され得る送達システムである。
【0375】
一実施形態では、本明細書に記載した修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンの医薬送達システムにおける使用が提供される。
【0376】
一実施形態では、医薬送達システムとして使用するための、本明細書に記載した修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンが提供される。
【0377】
一実施形態では、本明細書に記載した修飾リシンに由来する1つ以上の残基を含むペプチドデンドロンを含む、医薬活性剤のための送達システムが提供される。
【0378】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1つ以上の異なるペプチドデンドロン、例えば2つの異なるペプチドデンドロンを含み得る。標的化部分を組み込み、ナノ粒子を安定化し、且つ/又は異なる特性を相乗的に組み合わせるために、ペプチドデンドロンの混合物が使用され得る。
【0379】
一実施形態では、本明細書に記載した1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬送達システムが提供される。
【0380】
「1つ又は複数のペプチドデンドロン」が言及されるいずれかの実施形態では、これは、1つのペプチドデンドロンを指し得る。
【0381】
「1つ又は複数のペプチドデンドロン」が言及されるいずれかの実施形態では、これは、2つのペプチドデンドロンを指し得る。
【0382】
「1つ又は複数のペプチドデンドロン」が言及されるいずれかの実施形態では、これは、2つ以上のペプチドデンドロンを指し得る。
【0383】
一実施形態では、本明細書に記載した1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬活性剤のための送達システムが提供される。
【0384】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロンと、ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンとを含み得る。
【0385】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約1:50の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0386】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:50超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0387】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:50未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0388】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約1:20の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0389】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:20超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0390】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:20未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0391】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約1:15の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0392】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:15超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0393】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:15未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0394】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約1:10の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0395】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:10超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0396】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:10未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0397】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約1:5の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0398】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:5超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0399】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、1:5未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0400】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約2:4の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0401】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、2;4超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0402】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、2:4未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0403】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約1:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0404】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約4:2の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0405】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、4:2超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0406】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、4:2未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0407】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約5:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0408】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、5:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0409】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、5:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0410】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約10:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0411】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、10:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0412】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、10:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0413】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約15:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0414】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、15:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0415】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、15:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0416】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約20:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0417】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、20:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0418】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、20:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0419】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、約50:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0420】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、50:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0421】
一実施形態では、本明細書に記載した医薬送達システムは、50:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0422】
本明細書に記載したペプチドデンドロン及び医薬活性剤は、ナノ粒子を形成するために、生理学的等張バッファー(例えば、5%のトレハロース若しくはスクロース、20mMのHEPES、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で緩徐に混合しながら組み合わせることができる。これらの製剤は、即時に送達するか、4℃で貯蔵するか、又は長期保存のために凍結乾燥させることができる。
【0423】
本明細書に記載したペプチドデンドロンは、経口投与に好適な形態(例えば錠剤若しくはカプセル剤として)、非経口注射に好適な形態(静脈内、皮下、皮内、筋肉内、血管内若しくは注入を含む)、局所投与に好適な形態(軟膏若しくはクリーム剤として)、又は直腸投与用に好適な形態(坐剤として)で調製することができる。詳細には、本明細書に記載したペプチドデンドロンは、注射(例えば、静脈内、皮下、皮内又は筋肉内注射による)に好適な形態で調製することができる。
【0424】
さらなる賦形剤
一実施形態では、さらなる賦形剤を、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン及び医薬活性剤を含む製剤及び組成物に添加することができる。これらは、ナノ粒子の安定性を増強し、核酸のパッケージングを増強し、細胞送達及びトランスフェクションの改善をもたらし得る。
【0425】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと、脂質とを含む製剤が提供される。
【0426】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと、1:1(w/w)のN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-n,n,n-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)及びジオレオイルホスホチジルエタノールアミン(DOPE)から選択される脂質とを含む製剤が提供される。
【0427】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-n,n,n-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)及びジオレオイルホスホチジルエタノールアミン(DOPE)の混合物、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルグリセロール(DMG)、及びヘプタデカン-9-イル8((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(SM-102)又はコレステロールから選択される脂質とを含む製剤が提供される。
【0428】
使用
本明細書に記載のペプチドデンドロンは、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、吸収不良障害を含む広範囲の病気の治療に好適な医薬活性剤を送達するために使用することができる。治療用途としては、タンパク質(すなわち、ウイルス治療のための抗体)の全身性発現又は標的送達(すなわち、転移性腫瘍、インビボCAR-T)を挙げることができる。
【0429】
一実施形態では、治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬送達システムが提供される。
【0430】
一実施形態では、治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬活性剤のための送達システムが提供される。
【0431】
一実施形態では、細胞への医薬活性剤の送達に使用するためのペプチドデンドロンが提供される。
【0432】
一実施形態では、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害の治療において使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬送達システムが提供される。
【0433】
一実施形態では、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害の治療において使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬活性剤のための送達システムが提供される。
【0434】
一実施形態では、遺伝子治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬活性剤のための送達システムが提供される。
【0435】
本明細書で使用される場合、「治療」及び「治療する」という用語は、本明細書に記載の通り、疾患若しくは障害又はその1つ以上の症状を、回復させ、軽減し、その発症を遅延させ、又はその進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態では、治療は、1つ以上の症状が発現した後に実施され得る。他の実施形態では、治療は、症状がなくても実施され得る。例えば、治療は、症状が発現する前に感受性の高い個人に対して(例えば、症状の履歴に照らして及び/又は遺伝的素因若しくは感受性因子に照らして)実施することができる。治療はまた、症状が消退した後にも、例えばそれらの再発を提示若しくは遅延させるために、継続することができる。
【0436】
医薬組成物
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物が提供される。
【0437】
医薬組成物が1つ以上のペプチドデンドロンを含むいずれかの実施形態では、医薬組成物は、1つのペプチドデンドロンを含み得る。
【0438】
医薬組成物が「1つ以上のペプチドデンドロン」を含むいずれかの実施形態では、医薬組成物は、2つ以上の異なるペプチドデンドロンを含み得る。
【0439】
医薬組成物が「1つ以上のペプチドデンドロン」を含むいずれかの実施形態では、医薬組成物は、2つの異なるペプチドデンドロンを含み得る。
【0440】
医薬組成物が「1つ以上のペプチドデンドロン」を含むいずれかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも2つの異なるペプチドデンドロンを含み得る。
【0441】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと医薬活性剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0442】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物が提供される。
【0443】
一実施形態では、2つ以上の異なるペプチドデンドロンを含む医薬組成物が提供される。
【0444】
一実施形態では、医薬活性剤と本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンとを含む組成物が提供される。
【0445】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロンと、ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンとを含み得る。
【0446】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約1:50の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0447】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:50超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0448】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:50未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0449】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約1:20の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0450】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:20超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0451】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:20未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0452】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約1:15の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0453】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:15超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0454】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:15未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0455】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約1:10の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0456】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:10超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0457】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:10未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0458】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約1:5の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0459】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:5超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0460】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1:5未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0461】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約2:4の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0462】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、2:4超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0463】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、2:4未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0464】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約1:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0465】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約4:2の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0466】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、4:2超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0467】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、4:2未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0468】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約5:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0469】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、5:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0470】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、5:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0471】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約10:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0472】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、10:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0473】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、10:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0474】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約15:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0475】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、15:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0476】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、15:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0477】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約20:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0478】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、20:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0479】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、20:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0480】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、約50:1の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0481】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、50:1超の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0482】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、50:1未満の、ポリエチレングリコール基を含むペプチドデンドロン:ポリエチレングリコール基及び標的化基の両方を含むペプチドデンドロンの比を含み得る。
【0483】
一実施形態では、治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物が提供される。
【0484】
一実施形態では、治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと医薬活性剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0485】
一実施形態では、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害の治療において使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物が提供される。
【0486】
一実施形態では、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害の治療において使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと医薬活性剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0487】
一実施形態では、遺伝子治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンと医薬活性剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0488】
一実施形態では、遺伝子治療に使用するための本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物が提供される。
【0489】
治療方法
一実施形態では、前記動物に、有効量の本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物を投与することを含む、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害を治療する方法が提供される。
【0490】
一実施形態では、前記動物に、有効量の本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン及び医薬活性剤を含む医薬組成物を投与することを含む、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害を治療する方法が提供される。
【0491】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを投与することを含む遺伝子治療の方法が提供される。
【0492】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン及び医薬活性剤を投与することを含む遺伝子治療の方法が提供される。
【0493】
医薬組成物の使用
一実施形態では、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害を治療するための医薬の製造における本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物の使用が提供される。
【0494】
一実施形態では、代謝障害、免疫学的障害、ホルモン障害、癌、血液学的障害、遺伝性障害、感染性疾患、心疾患、骨障害、呼吸器疾患、神経学的障害、補助療法、眼疾患、又は吸収不良障害を治療するための医薬の製造における本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン及び医薬活性剤を含む医薬組成物の使用が提供される。
【0495】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロンを含む医薬組成物の遺伝子治療における使用が提供される。
【0496】
一実施形態では、明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン及び医薬活性剤を含む医薬組成物の遺伝子治療における使用が提供される。
【0497】
キット
一実施形態では、
a)第1の単位内の本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン;
b)第2の単位内の医薬活性剤;及び
c)前記第1及び第2の単位を含有するための容器手段
を含むキットが提供される。
【0498】
一実施形態では、
a)第1の単位内の本明細書に記載の1つ以上のペプチドデンドロン;
b)第2の単位内の医薬活性剤;
c)前記第1及び第2の単位を含有するための容器手段;及び
d)使用説明書
を含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0499】
図1】実施例2に記載のペプチドデンドロン(PD)の合成の代表的な概略図。
図2A-2B】実施例7に記載のアニオン解離(A)及びカテプシンB分解性(B)に対するペプチドナノ粒子(PNP)安定性の結果。ナノ粒子の安定性は標的細胞へのインタクトな核酸の効率的な送達に不可欠であるが、その機能を果たすためには細胞への取り込み時に核酸を放出しなければならない。この目的のために、PDは、細胞への取り込み時に酵素により分解するように設計されている。刺激に応答して放出される物質は、有効性が向上し、毒性が低いことが確認された。この結果は、PD3(MN)及びPD3(TM)ナノ粒子が、50μg/mLを超える硫酸デキストラン濃度でDNAを容易に放出するPD1、非修飾(NM)PD、及びPD3(His)で製剤化されたナノ粒子と比較して、アニオン解離に対する耐性が大きく増大したことを示している。さらに、PD3(M)、PD3(MN)、及びPD3(TM)は、非修飾PD3及び全てのPD2製剤と比較して、カテプシンB活性に応答してDNAを容易に放出した。
図3A-3C】実施例8に記載のインビトロトランスフェクションスクリーニングから得られた結果。図3A)ヒト非小肺癌細胞株H1299及び図3B)マウス筋管細胞株C2C12に示すように、異なる細胞株を評価した。発光は4回ずつ収集し、平均値±標準偏差として示した。図3Cでは、2つの異なるNP製剤PD3(MN)及びPD3(TM)を、様々な細胞株(H1299、C2C12、HEK393、及びHEPG2)でスクリーニングして、異なる適用における上位のパフォーマーを特定した。これらの結果は、MN修飾が肺(H1299;リンパ由来のヒト非小細胞肺癌細胞株)及び筋細胞(C2C12;マウス筋芽細胞)において優れていたことを示す。或いは、TM修飾は、腎臓(HEK393;ヒト胎児腎臓細胞)及び肝臓(HEPG2;ヒト肝癌細胞株)を含む濾過臓器に由来する細胞株において最もよく機能した。
図4】実施例9に記載のルシフェラーゼmRNAマウス発現実験から得られた結果。インビボ翻訳におけるDNA NPの翻訳を、マウス筋肉内発現研究において試験した。発現のライブ追跡を可能にするために、レポータータンパク質ルシフェラーゼを発現させた。発現を観察し、1か月のモニター期間の間、一貫性があると認められた。発現を、IVISを用いて毎週評価し、発光を4回ずつ収集し、平均値±標準偏差として示した。結果は、MeO-PEG-PD(MN)がインビボでIM注射によってDNAを効率的に送達し、1か月間安定した発現をもたらすことを示している。
図5A-5B】実施例10に記載の治療的発現実験から得られた結果。図5Aは、抗Flu mAb MEDI8852を用いた結果を示し、図5Bは、腫瘍抑制因子セリン/トレオニンキナーゼ11(STK11)を用いた結果を示す。MEDI8852は、間接ELISAによって定量し、発現レベルを3回収集し、平均値±標準偏差として示した。質量分析を、発現のさらなる確認として使用した。STK11は、ウェスタンブロットを用いて定量した。NPの目的は、宿主細胞を用いて治療用タンパク質を発現させることである。これらの結果は、NPがmAb(すなわち、MEDI8852(抗flu mAb))及び酵素(すなわち、腫瘍阻害剤セリン/トレオニンキナーゼ11(STK11))を含む多様な範囲の治療薬を、治療薬の作用モードで、目的の細胞株においてインビボで発現させる能力を有することを示している。
図6A-6C】実施例11に記載のインビトロでの標的DNA NPトランスフェクションから得られた結果。標的PDナノ粒子を様々な細胞株で試験し、トランスフェクションを促進することを確認した。H1299において、TfR(図6A)及びcRGD(図6B)は、市販のトランスフェクション対照ポリエチレンイミン(PEI)と比較して、全体的な発現レベル(GFPを送達、蛍光)及び動態(Gwizルシフェラーゼを送達;発光)を増強した。非標的NPと比較して、トランスフェクションにおける同様の改善が、C2C12及びCT26において観察された(図6C)。標的DNA送達を用いて、トランスフェクション効率を増加させ、且つ/又は細胞特異的発現を達成することができる。PDプラットフォームは、(実施例3及び5に示すように)ペプチドベース及び抗体ベースの広範囲の標的化リガンドの組み込みを可能にする柔軟な標的化戦略を用いて意図的に設計し、それによりトランスフェクションは大きく促進された。さらに、ペグ化及び標的化により、特異性の高い発現が達成された。これらの結果は、標的化により、複数の非常に異なった細胞株においても発現を増強させることができることを示している。
図7】実施例12に記載の肺標的NPのインビボ実験から得られた結果。PV1標的ナノ粒子をBALB/CマウスにIV投与し、ルシフェラーゼの発現をIVISにより8日間モニターした。3日目及び8日目のエクスビボ画像化は、最適化されたリガンド密度を有するナノ粒子のみが、標的の肺内で有意に発現したことを示した。細胞特異的送達は、核酸に基づく治療の潜在的用途を大幅に広げる。これらの結果は、標的PD NPを生成するために、抗体ベースの標的化部分を使用することができ、肺の標的化に、PV1標的化を使用することができることを示している。この実施例では、PV1標的NPが最低8日間でマウス肺内に特異性の高い発現を達成することが示された。
図8】実施例13に記載の、pDNAナノ粒子対mRNA PD3(MN)ナノ粒子によるH1299細胞のトランスフェクションから得られた結果。H1299細胞を、mRNA又はpDNAで調製したナノ粒子で処理した。トランスフェクション動態をIncucyteを用いてライブでモニターし、細胞を蛍光により画像化し、装置ソフトウェアを用いて、トランスフェクションの尺度として全赤色蛍光強度を定量した。mRNAは、良好な導入遺伝子発現のために複雑な核局在化の必要がなく、DNAが送達された場合よりも速い発現動態を促進することが示された。本発明者らのNPは、mRNAを首尾よくパッケージングして送達し、DNAが送達された場合よりも速い発現動態の達成が期待されることが示された。これらの結果は、mRNAは非常に速く発現するが、48時間までにはpDNAが送達された場合と同様の発現レベルに達する。
図9】実施例14に記載のルシフェラーゼマウス発現実験から得られた結果。CDマウスを、筋肉注射によりMeO PEG-PD3(MN)と複合体化したpDNA又はmRNAで処置した。発現をIVISを用いて評価した。発光は4回ずつ収集し、平均値±標準偏差として示した。これらの結果は、mRNA及びpDNAの両方が、mRNA NPがより速い発現動態を示すPDプラットフォームを使用して、筋肉注射によりインビボで送達され得ることを示している。
図10】実施例15に記載のマウス実験における抗Flu mAb MEDI8852発現から得られた結果。BALB/cマウスをIV注射によりmRNA NPで処置し、MEDI8852の発現をELISAによって定量した。これらの結果は、有意なレベルのmAbが8日間にわたって検出されたことを示し、PDがインビボで治療用タンパク質を発現する能力を有することを裏付けている。
図11】実施例16に記載の、抗CD3標的fabの異なるディスプレイを有するmCherry mRNA/PD3(MN)NPによる非活性化初代T細胞のトランスフェクションから得られた結果。これらの結果は、非標的NPはT細胞をトランスフェクトする能力を有するが、CD3標的化は、標的化fabが低(25%)~中(50%)レベルで表示される場合、送達を有意に増強する。
図12】CTNNB1サイレンシングから得られた結果を、実施例17に記載のように、レポーターアッセイ及びウェスタンブロットによってモニターした。siRNAを送達するNPの能力が、癌遺伝子CTNNB1を標的とする結腸癌細胞株SW480で示された。PD3(MN)及びPD3(TM)(1%(w/w)のDOPE:DOTMA=1:1を含む)が、ウェスタンブロットによって、少なくとも5日間にわたってCTNNB1を効果的にサイレンシングすることが示された。これらの結果は、PD NPがsiRNAを標的細胞に効率的に送達できることを示している。
図13A-13C】実施例18に記載の、異なるディスプレイの標的化ペプチドcRGDを用いたPD3(MN)NPによるカテニン-Bのサイレンシングから得られた結果。CTNNB1レポーター活性SW480 TopFlash(図13A)、CTNNB1タンパク質レベルSW480(図13B)、Colo205増殖(図13C)。多くの適用では、局所的な送達が必要とされる。NPプラットフォームを用いて「オン/オフ」送達が達成され得るかどうかを決定するために、ペグ化NPを、異なる量のcRGDディスプレイを用いて調製し、結腸癌細胞株SW480及びColo205をトランスフェクトするために使用した。ペグ化はサイレンシングを停止又は減少させると認められたが、NPへのcRGDの導入はNP活性を回復させた。これらの結果は、PEG化を使用して非特異的細胞取り込みを減少させることができ、標的化を使用してNP活性を回復させることができることを示している。
図14】実施例18に記載のマウス転移性結腸癌モデルにおける腫瘍体積から得られた結果。確立された結腸癌細胞株Colo205腫瘍を有するマウスに、8日目、9日目、15日目、及び16日目に様々な程度のcRGD標的化を有するNPを静脈内投与した(黒色矢印で示す)。群には、未処置(A)、非標的NPを投与するマウス(B)、及び中程度cRGD(C)~高cRGD(D)ディスプレイを有する標的ナノ粒子を投与するマウスが含まれた(各データセットは1匹のマウスを表す)。経時的な平均値(E)及び試験最終日の平均値(F)も決定した。標的siRNA NPのインビボ翻訳を、マウスモデルにおいて評価した。高レベルのcRGDディスプレイは、非標的NPと比較して、腫瘍の増殖を有意に遅くすることが確認された。これらの結果は、cRGD標的NPがsiRNA送達を増強させ得ることを示し、標的化リガンド密度の重要性を強調する。
図15】実施例19に記載の、蛍光標識DNA(Cy5)及びmRNA(Cy5)を配合したNPの蛍光スペクトル。Cy5標識DNAを有するNP(グラフ1)は、青色LEDによって励起されないので、その発光波長(650~700nm)で蛍光は検出されない。Cy3標識mRNAを有するNP(グラフ2)は、励起されて蛍光を発し、550~600付近にその発光ピークを有する。同様に、Cy3標識mRNAを有するNPと組み合わせたCy5標識DNAで調製されたNP(グラフ3)は、Cy3発光ピークで蛍光を発する。重要なことに、Cy5標識DNA及びCy3標識mRNAの1:1混合物を用いて調製したNP(グラフ4)は、560~700nm付近のCy5発光において発光の増加を示し、550~600nm付近のCy3発光ピークにおいて蛍光強度の対応する減少を示す。これは、試料4中のDNA及びmRNAが極めて近接しており(<5nm)、mRNA上のCy3フルオロフォアからの蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により、標識DNA上のCy5フルオロフォアの励起が可能になることを示している。これは、ペプチドデンドロンNPにおけるmRNA及びDNAの共封入の証拠である。
図16】実施例19に記載のH1299細胞におけるmRNA/DNAハイブリッドPDID NPの発現動態。DNA発現をGFP蛍光面積によって測定し、mRNA発現をmCherry蛍光面積によって測定する。GFP発現は100時間を超えて増加し、一方、mRNA発現は約60時間でピークに達する。重なり合った蛍光シグナルによって定量されるDNA/mRNA共発現量は、mRNA発現と同様の動態を有し、約65時間でピークに達する。これらの結果は、DNA及びmRNAの細胞への同時送達の成功を示している。
図17】実施例19に記載の分化したC2C12細胞におけるmRNA/DNAハイブリッドPDID NPの発現動態。分化したC2C12筋細胞は筋管に融合されており、非分裂性で、これらの細胞のトランスフェクトは困難である。DNA発現をGFP蛍光面積によって測定し、mRNA発現をmCherry発現面積によって測定する。GFP発現は75時間にわたって増加し、その後シグナルはプラトーになる。mRNA発現は約60時間でピークに達し、ゆっくりと減少する。重なり合った蛍光シグナルによって定量されるDNA/mRNA共発現量は、mRNA発現と同様の動態を有し、約60時間でピークに達する。これらの結果は、DNA及びmRNAの細胞への同時送達の成功を示している。
【実施例
【0500】
本明細書で使用した略語
・NP:ナノ粒子;
・PD:ペプチドデンドロン;
・PDID:ペプチドデンドロン細胞間送達
・アミノ酸「CIT」:シトルリン
・以下の略語は、修飾リシンについて本明細書で使用される。
【化20】
【0501】
以下のポリマー及びリガンドをペプチドデンドロンに組み込んだ:
【0502】
【表1】
【0503】
実施例1
修飾リシンの調製
方法1:1-{[(モルホリン-4-イル)アセチル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオンの合成
【化21】
(モルホリン-4-イル)酢酸(1g、6.89mmol)をジクロロメタン(DCM)(25mL)中に溶解させ、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(872mg、7.58mmol)及びN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)(1.60g、8.35mmol)を添加した。反応液を室温で1時間撹拌し、その後にシリカゲルの2”×3”パッドに通して濾過した。パッドをDCM(3×25mL)により洗浄し、濾液及び洗浄物を合わせて濃縮し、白色の固体として1-{[(モルホリン-4-イル)アセチル]オキシ}ピロリジン2,5-ジオン(1.3g、78%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)d3.75(d,J=3.6Hz,4H),3.57(s,2H),2.85(s,4H),2.67(d,J=4.2Hz,4H);MS(ESI)計算値:242.09,実測値:243.3(M+1).
【0504】
方法2:1-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオンの合成
【化22】
6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボン酸(350mg、1.68mmol)を室温で撹拌しながらDCM(25mL)中に溶解させた。NHS(213mg、1.85mmol)、続いてEDC・HCl((418mg、2.18mmol)を添加した。この反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、シリカゲルの2”×3”のパッドに通して濾過した。パッドをDCM(3×25mL)及び酢酸エチル(25mL)により洗浄した。濾液及び洗浄物を合わせて濃縮し、白色の固体として1-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオン(325mg、63%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)d8.89(s,1H),8.07(dd,J=9.3Hz,1.5Hz,1H),6.60(d,J=9.3Hz,1H),3.80(d,J=4.2Hz,4H)3.72(d,J=4.2Hz,4H),2.89(s,4H).MS(ESI)計算値:305.1,実測値:306.3(M+1).
【0505】
方法3:tert-ブチル3-{[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]カルボニル}チオモルホリン-4-カルボキシレートの合成
【化23】
4-(tert-ブトキシカルボニル)チオモルホリン-3-カルボン酸(1g、4.04mmol)を室温で撹拌しながらDCM(25mL)中に溶解させた。NHS(511mg、4.44mmol)、続いてEDC・HCl(1.01g、5.25mmol)を添加した。この反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、シリカゲルの2”×3”のパッドに通して濾過した。このパッドをDCM(3×25mL)により洗浄し、濾液及び洗浄物を合わせて濃縮し、白色の固体としてtert-ブチル3-{[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]カルボニル}チオモルホリン-4-カルボキシレート(1.3g、93.4%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)d5.38(br s,1H),4.43-4.22(m,1H),3.46-3.21(m,1H),3.19-3.10(m,1H),3.06-2.97(m,1H),2.85(s,4H),2.81-2.62(m,1H),2.61-2.42(m,1H),1.47(s,9H).MS(ESI)計算値:345.4(M+1).
【0506】
方法4:N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(6-モルホリノニコチノイル)-L-リシンの合成
【化24】
フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリドL-リシン(Fmoc-Lys-OH)(15.3g、41.53mmol、1.2当量)を室温で機械的に撹拌しながらTHF-水(1:1、800mL)中に溶解させた。上記で調製したDCM中のエステル(方法2)の溶液を1回で添加し、続いてDIPEA(10.73g、82.99mmol、2.4当量)を添加した。反応液をさらに室温で出発物質(TLC、2時間)が消費されるまで室温で撹拌し、次いで、酢酸エチル(EtOAc)(250mL)を添加した。混合物をHCl(1M、200mL)で酸性化し、分液漏斗中に注いで、層を分離させた。水層をEtOAc(2×250mL)で抽出した。有機層を合わせ、塩水(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物が淡褐色の油性残渣として得られ、これをTHF中に溶解させ、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルのカラム(7”×3”)によるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。カラムをヘキサン中50%の酢酸エチル及び100%の酢酸エチルで洗浄し、真空吸引下で生成物を溶出させた。必要とする生成物を含有する画分を合わせ、真空下で濃縮して、オフホワイト色の固体としてN2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(6-モルホリノニコチノイル)-L-リシン(12.6g、65%)を得た。H NMR(500MHz,CDClδ 9.26(br s,1H),8.62(d,J=1.5Hz,1H),7.93(dd,J=2.5,9Hz,1H),7.71(d,J=7.5Hz,2H),7.53(dd,J=4.5,7.5Hz,2H),7.35(t,J=7.5Hz,2H),7.23(q,J=6.5Hz,2H),6.59(t,J=5Hz,1H),6.48(d,J=9Hz,1H),5.99(d,J=8Hz,1H),4.41(dd,J=7.5,12.5Hz,1H),4.31(dd,J=12,18Hz,2H),4.15(d,J=7Hz,1H),3.71(t,=4.5Hz,4H),3.56-3.32(m,6H),1.98-1.87(m,1H),1.86-1.75(m,1H),1.71-1.57(m,2H),1.56-1.39(m,2Hppm;13C NMR(125MHz,CDCl3δ 175.2,166.6,159.9,156.6,146.9,144.1,143.9,141.4,137.7,127.9,127.3,125.3,120.1,119.5,106.3,67.2,66.6,53.8,47.3,45.3,39.5,32.0,28.9,22.4ppm;MS(ESI)C31H34N4O6[M+H]+の正確な質量計算値:559.26、実測値:559.35。
【0507】
方法5:(2S)-2-アミノ-6-{[6-(モルホリン-4-イル)ピリジン-3-カルボニル]アミノ}ヘキサン酸(N6-(6-モルホリノニコチノイル)-L-リシン)(LYS(MN))の合成
手順1
【化25】
N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(6-モルホリノニコチノイル)-L-リシン(方法4)のFmoc保護基は、例えばDMF中20%のピペリジンを用いて当技術分野において知られている標準的な手順によって除去することができる。
【0508】
手順2
【化26】
修飾リシンを700μLのNMP中に溶解させた(15mg、26.87μmol。続いて撹拌しながらこの溶液に300μLのピペリジンを添加した(ピペリジン:NMP=7:3;1mL)。反応液を室温で30分間攪拌した。続いて遠心分離により(4000g、10分、4℃)修飾リシンを沈殿させ、冷ジエチルエーテル(10mL)で3回洗浄した。H NMR(500MHz,CDCl)を使用してFmocの除去を確認した。1H NMR(500MHz,CDl3δ 11.89(s,1H),8.85(dd,1H),7.89(dd,1H),7.34(dd,1H),3.52-3.71(m,8H),3.35(t,1H),2.72-2.61(t,2H),2.01-1.57(m,6H)ppm.MS(ESI)正確な質量計算値[M+H2O]+:352.55、実測値:352.04。
【0509】
方法6:N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(tert-ブトキシカルボニル)チオモルホリン-3-カルボニル)-L-リシンの合成
【化27】
Fmoc-L-Lys-OH(8.94g、24.26mmol、1.2当量)を室温で機械的に撹拌しながらTHF-水(1:1、800mL)中に溶解させた。上記で調製したDCM中の活性化エステル(方法3)の溶液を1回で添加し、続いてDIPEA(6.27g、48.53mmol、2.4当量)を添加した。反応液をさらに室温で出発物質(TLC、2時間)が消費されるまで室温で撹拌し、次いで、EtOAc(250mL)を添加した。混合物をHCl(1M、200mL)で酸性化し、分液漏斗中に注いで、層を分離させた。水層をEtOAc(2×250mL)で抽出した。有機層を合わせ、塩水(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物が淡黄色の油性残渣として得られ、これをDCM中に溶解させ、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルのカラム(7”×3”)によるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。カラムをヘキサン中50%~70%の酢酸エチルで洗浄し、真空吸引下で生成物を溶出させた。必要とする生成物を含有する画分を合わせ、真空下で濃縮して、オフホワイト色の固体としてN2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(tert-ブトキシカルボニル)チオモルホリン-3-カルボニル)-L-リシン(9.1g、75%)を得た。H NMR(500MHz,CDClδ 7.75(d,J=7.5Hz,2H),7.63-7.51(m,2H),7.38(t,J=7.5Hz,2H),7.29(t,J=7.5Hz,2H),5.71(dd,J=7.5,23Hz,1H),4.97(br s,1H),4.57-4.23(m,4H),4.20(t,J=7Hz,1H),3.51-3.18(m,3H),3.17-2.96(br s,1H),2.77(d,J=12.5Hz,1H),2.70-2.58(m,1H),2.38(d,J=12.5Hz,1H),1.98-1.86(m,1H),1.85-1.73(m,1H),1.66-1.53(m,2H),1.46(br s,12Hppm;13C NMR(125MHz,CDClδ 175.0,156.4,155.8,143.9,141.4,127.9,127.3,125.3,120.1,67.3,60.6,53.8,47.3,39.2,31.5,29.1,28.5,26.7,22.3ppm;MS(ESIC3139S[M+Na]+の正確な質量計算値:620.24、実測値:620.35。
【0510】
方法7:(2S)-2-アミノ-6-[(チオモルホリン-3-カルボニル)アミノ]ヘキサン酸(N6-(チオモルホリン-3-カルボニル)-L-リシン)(LYS(TM))の合成
手順1
【化28】
N2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N6-(4-(tert-ブトキシカルボニル)チオモルホリン-3-カルボニル)-L-リシン(方法6)のFmoc保護基は、例えばDMF中20%のピペリジンを用いて当技術分野において知られている標準的な手順によって除去することができる。同様に、Boc保護基は、DCM中30%のTFAを使用して当技術分野において知られている標準的手法によって取り除くことができる。
【0511】
手順2
【化29】
修飾リシンを700μLのNMP中に溶解させた(15mg、25.12μmol。続いて撹拌しながらこの溶液に300μLのピペリジンを添加した(ピペリジン:NMP=7:3;1mL)。反応液を、Fmoc保護基を除去するために室温で30分間撹拌した。続いて遠心分離により(4000g、10分、4℃)修飾リシンを沈殿させ、冷ジエチルエーテル(10mL)で3回洗浄した。一晩風乾させた後、生成物を50%のTFA:DCM(1mL)中に溶解させ、室温で15分間撹拌した。TFA:DCM溶液をロータリーエバポレーターを用いて除去し、沈殿させ、冷エチルエーテルで2回洗浄した。Fmocの除去をH NMRにより確認した:δ 11.56-12.04(1H,br),7.34(s,1H),3.65-3.76(dd,2H),3.42(t,J=7.3Hz,1H),3.01-3.15(m,2H),2.70-2.89(m,2H),2.55-2.61(t,J=5.6Hz,2H),2.06-2.18(m,2H),1.74-1.85(m,2H),1.58-1.64(q,2H1.05(1H,s)ppm及びMS(ESI正確な質量計算値[M+H2O]+:279.22、実測値:279.62。
【0512】
方法8:N2(1-{[(モルホリン-4-イル)アセチル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオン)-L-リシンの合成
【化30】
下記の手順を使用して、N2(1-{[(モルホリン-4-イル)アセチル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオン)-L-リシンを生成することができる。Fmoc-L-Lys-OH 1.2当量)を室温で機械的に撹拌しながらTHF-水(1:1,800mL)中に溶解させることができる。上記で調製したDCM中の活性化エステルの溶液を1回で添加し、続いてDIPEA(2.4当量)を添加することができる。反応液をさらに室温で出発物質(TLC、2時間)が消費されるまで撹拌し、次いで、EtOAc(250mL)を添加することができる。混合物をHCl(1M、200mL)で酸性化し、分液漏斗中に注いで、層を分離させることができる。水層をEtOAc(2×250mL)で抽出することができる。有機層を合わせ、塩水(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することができる。粗生成物をDCM中に溶解させ、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルのカラム(7”×3”)によるフラッシュクロマトグラフィーによって精製することができる。カラムをヘキサン中50%~70%の酢酸エチルで洗浄し、真空吸引下で生成物を溶出させることができる。必要とする生成物を含有する画分を合わせ、真空下で濃縮して、N2-(N2(1-{[(モルホリン-4-イル)アセチル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオン)-L-リシンを得ることができる。
【0513】
方法9:(2S)-2-アミノ-6-[2-(モルホリン-4-イル)アセトアミド]ヘキサン酸(N6-(2-モルホリノアセチル)-L-リシン)(LYS(M))の合成
手順1
【化31】
N2(1-{[(モルホリン-4-イル)アセチル]オキシ}ピロリジン-2,5-ジオン)-L-リシン(方法8)のFmoc保護基は、例えばDMF中20%のピペリジンを用いて当技術分野において知られている標準的な手順によって除去することができる。
【0514】
手順2
【化32】
修飾リシンを700μLのNMP中に溶解させた(15mg、25.02μmol。続いて撹拌しながらこの溶液に300μLのピペリジンを添加した(ピペリジン:NMP=7:3;1mL)。反応液を室温で30分間攪拌した。続いて遠心分離により(4000g、10分、4℃)修飾リシンを沈殿させ、冷ジエチルエーテル(10mL)で3回洗浄した。Fmocの除去をH-NMRにより確認した:1H NMR(500 MHz,CDl3δ 12.01(br s,1H),3.62-3.74(m,4H),3.40(t,1H),3.29(s,2H),3.10(t,1H),2.59-2.70(m,4H),1.88-2.01(m,2H),1.58-1.65(m,2H),及び1.46-1.56(q,2H)及びMS(ESI)正確な質量計算値[M+H2O]+:273.17、実測値:273.33。
【0515】
実施例2
修飾リシンを有するペプチドデンドロンの合成
一連のペプチドデンドロンを合成した(表2)。修飾リシンは、上記の方法5、7及び9で合成された修飾リシンを使用してペプチド合成中に直接組み込まれたか(これらは表中「*」が付されている)、又はペプチド合成後に、樹脂切断後の溶液中で、N-ヒドロキシスクシンイミド化学と、上記の方法1~3で合成された化合物を利用してリシン側鎖(ε-アミン)を修飾することによって組み込まれた。PD1~PD3及びPD3(His)は比較のために合成されたもので、非修飾リシン(PD1~3)、又はリシンの代わりにヒスチジン(PD3(His))を含有する。
【0516】
【表2】
【0517】
【表3】
【0518】
手順a)修飾リシン又はヒスチジンの直接組み込みによるペプチドデンドロン合成
リンクアミド樹脂上でのフラグメント縮合による標準固相ペプチド合成を用いて、ペプチドデンドロンを合成した。各フラグメントを、Fmoc化学を使用して2-クロロトリチル樹脂(酸に非常に不安定な樹脂)上で合成し、トリフルオロエタノールを使用して樹脂から除去して、側鎖及びN末端上の全ての保護基を維持した。次いで、フラグメント及び分岐点としてのNα,Nε-ジ-Fmoc-L-リシンを用いてペプチドデンドロンを構築し、続いて、トリフルオロ酢酸(TFA)で樹脂から切断し、C末端アミド化をもたらした。この集合体を、PD3ベースの配列、例えばPD3(M)、PD3(MN)、及びPD3(TM)を有するペプチドデンドロンを用いて図1に模式的に示す。保護基は全て、切断工程の間に除去された。粗ペプチドを、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により、水:アセトニトリル勾配を用いて精製した。純度及び質量を、HPLC及びエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析によって確認した。デコンボリューションツールを用いて、同じ種で異なる電荷状態の形のものを含むESI質量スペクトルを解釈した。多重電荷種をその一価の電荷形態に計算し、m/z値及びピーク幅に従ってグループ化し、原子質量単位(amu)で示した。PD1:MW 4540.1[4540.2amu]。PD2:MW 7097.1[7097.5amu]。PD3:MW 7097.1[7097.5amu]。PD3(His):MW 7223.1[7223.1amu]。PD3(MN)*:MW 9760.0[9759.9amu]。PD3(TM)*:MW 8905.5[8905.5amu]。
【0519】
手順b)樹脂からデンドロン中間体を切断した後のペプチドリシンε-アミンの修飾によるペプチドデンドロンの合成
2μモルのペプチドデンドロン(PD1、PD2又はPD3)を、新たに調製した0.1Mの重炭酸ナトリウム(pH8.0)中に懸濁した。この混合物を10分間超音波処理した。40mMのNHS官能化中間体(方法1~3)をDMAC中で調製し、撹拌しながらペプチド溶液(0.5mM)に滴下した。リシンε-アミドの100%変換を確実にするため、NHS官能化中間体は、1ペプチド当たりリシンに対して1.5モル過剰に添加した。反応液を室温で0.5時間撹拌し、続いて非反応中間体を超遠心分離(MWCO 3.0kDa)により除去した。エレクトロスプレーイオン化質量分析を用いて、修飾を確認した。デコンボリューションツールを用いて、同じ種で異なる電荷状態の形のものを含むESI質量スペクトルを解釈した。多重電荷種をその一価の電荷形態に計算し、m/z値及びピーク幅に従ってグループ化し、原子質量単位(amu)で示した。PD2(M):MW 9904.9[9904.9amu]。PD2(MN):MW 9759.9[9808.1amu(MW+ギ酸)]。PD2(TM):MW 8905.5[8905.5amu]。PD3(M):MW 9904.8[9905.0amu]。PD3(MN):MW 9759.9[9808.1amu(MW+ギ酸)]。PD3(TM):MW 8905.5[8905.6amu]。
【0520】
実施例3
標的化部分又はポリエチレングリコール(PEG)のペプチドデンドロンへの組み込み
a)メトキシ-PEG及びMal-PEGペプチドデンドロンの調製
マレイミドで官能化したメトキシ-PEG(n=36)(m-dPEG(登録商標)36-MAL;Quanta BioDesign、Plain City Ohio)及びビス-マレイミドPEG(n=19)(Bis-MAL-PEG19(BroadPharm、San Diego、CA))(表1の化合物番号1及び2)を、pH5.5の20mMクエン酸ナトリウム緩衝液で、それぞれ1.25mM及び5mM液として調製した。同じ緩衝液中の等量のペプチドデンドロン溶液(実施例2のように調製、1mM)を、それぞれ1.25倍及び5倍モル過剰のPEG溶液と混合した。反応液を室温で2時間撹拌し、質量分析によって確認した。過剰なPEGを、PBS及び水、又はMal-PEG-PDコンジュゲートのための20mMクエン酸ナトリウム(pH5.5)中で、透析によって除去した。エレクトロスプレーイオン化質量分析を用いて、修飾を確認した。MeO-PEG(36)-PD2(MN)MW 11528.2(11528.2amu)、MeO-PEG(36)-PD3(TM):MW 10673.9(10674.1amu)、MeO-PEG(36)-PD2(MN):MW 11528.2(11529.2amu)、MeO-PEG(36)-PD3(TM):MW 10674.2(10673.9amu)。Mal-PEG(19)-PD1:MW 8296.4(8297.2amu)、Mal-PEG(19)-PD2(MN):MW 10959.3(10960.3amu)、Mal-PEG(19)-PD3(MN):MW 10959.3(10960.3amu)、及びMal-PEG(19)-PD2(MN):MW 10959.3(10960.3amu)。
【0521】
b)標的PEG-ペプチドデンドロンコンジュゲートの調製
標的化ペプチド(化合物(表1の番号3~6)を、Fmoc化学を用いた標準固相ペプチド合成により調製した。N末端アセチル化をDMF中10%の無水酢酸を用いて行った後、樹脂から切断した。TFP-PEG(n=36)-マレイミド(Quanta BioDesign、Plain City Ohio)(5mM)及びアシル化ペプチド(7.5mM)を、新たに調製した0.1Mの重炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に溶解し、ペプチド溶液を1.25モル過剰のPEG溶液に添加した。反応液を室温で30分間撹拌した後、pHを5.5に下げ、質量分析によってコンジュゲーションを確認した。緩衝液を、VivaspinカラムMWCO 3.5kDa(Sigma Aldrich、St.Louis、MO)を用いて、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)に交換した。続いて、精製された生成物を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中、2倍過剰量のペプチドデンドロン(実施例2のように調製)に、室温で2時間、添加した。エレクトロスプレーイオン化質量分析によって修飾を確認した。デコンボリューションツールを用いて、同じ種で異なる電荷状態の形のものを含むESI質量スペクトルを解釈した。多重電荷種をその一価の電荷形態に計算し、m/z値及びピーク幅に従ってグループ化し、原子質量単位(amu)で示した。TfR-PEG-PD3(MN)*:13855.0 MW(13856.7amu)。cRGD-PEG-PD3(MN)*:12188.5 MW(12188.2amu)。TfR-PEG-PD3(TM)*:MW 13855.0 MW(13856.7amu)。cRGD-PEG-PD3(TM)*:12188.5 MW(12188.6amu)。
【0522】
c)糖-PEG-Malコンジュゲートの調製
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(0.0860mmol)を、室温で、アミン官能化モノ又はトリアセチルガラクトサミン(GalNAc)(表1の化合物番号7及び8;Sussex Research、Ontario Canada)(0.01620mmol)及びMAL-dPEG(登録商標)36-TFPエステル(Quanta BioDesign、Plain City Ohio)(0.020261mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(6mmol)溶液に添加した。反応液を室温で1時間撹拌し、HPLC-MSによってコンジュゲーションを確認した。その後、生成物を逆相HPLCを用いて精製した。続いて、精製された生成物を、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中、2倍過剰量のペプチドデンドロン(実施例2のように調製)に、室温で2時間、添加した。エレクトロスプレーイオン化質量分析によって修飾を確認した。デコンボリューションツール(Agilent Mass Hunter Quantitative Analysis)を使用して、同じ種で異なる電荷状態の形のものを含むESI質量スペクトルを解釈した。多重電荷種をその一価の電荷形態に計算し、m/z値及びピーク幅に従ってグループ化し、原子質量単位(amu)で示した。GalNAc-PD3(TM)*MW 11708.6(フラグメント:11506.6)[11506.6amu]。トリGalNAc-PD3(TM)*:MW 12679.1(フラグメント:12071.2)[11507.0amu]。
【0523】
実施例4
単分散ナノ粒子へのペプチドデンドロン/DNAナノ粒子(NP)自己集合
カチオン性ペプチドデンドロン(PD)は、アニオン性核酸と自己集合してナノ粒子になる。NPは、透過型電子顕微鏡法及び動的光散乱法を含む標準的なナノ粒子技術によって、直径が50~75nmの球状であると決定された。
【0524】
a)NPの調製
等量のDNA(40μg/mL;Gwiz Luciferaseプラスミド(6732bp)(Genlantis、San Diego CA))及びペプチドデンドロン(実施例2のように調製)溶液を、20mM HEPES(pH7.0)中で調製した。ペプチド溶液を、ペプチドデンドロンアルギニン:DNAリン酸(N:P2:1に対応する濃度で作製した。均質な粒子を保証するために、DNA溶液を静かにボルテックスしながらペプチド溶液に滴加した。DNA/ペプチドナノ粒子を、室温で30分間にわたり複合体化させた。NP溶液中のDNAの最終濃度は、20μg/mLであった。
【0525】
b)動的光散乱法
動的光散乱データを、Zetasizer ZS(Malvern)、グリーンレーザー及びZEN2112石英製キュベットを用いて収集した。流体力学直径及び多分散度指数(PDI)を、累積適合度分析を用いて導出した。表3に示すように、全データポイントは、3つ以上の個別に調製した試料の平均値を表す。
【0526】
c)透過型電子顕微鏡法(TEM)
試料を、グロー放電した400メッシュのformvaコーティング銅グリッドに塗布し、1%酢酸ウラニルでネガティブ染色し、風乾し、透過型電子顕微鏡(Tecnai T12、Thermo Fisher Scientific)において80kVの動作電圧で試験した。AMTボトムマウントCCDカメラ及びAMT600ソフトウェアを用いてデジタル画像を取得した。形態は、表3に示すように決定された。
【0527】
【表4】
【0528】
実施例5
単分散ナノ粒子へのペプチドデンドロン/RNAナノ粒子(NP)の自己集合
カチオン性ペプチドデンドロン(PD)は、アニオン性核酸と自己集合してナノ粒子になる。NPは、動的光散乱法を含む標準的なナノ粒子技術を用いて直径が約50nmであると決定された。
【0529】
a)NPの調製
等量のRNA(40μg/mL)及びペプチド溶液(実施例2のように調製)を、20mM HEPES(pH7.0)中で調製した。具体的には、mcherryをコードするcleancap mRNA(Trilink、San Diego、CA)及びCTNNB1を標的とするsiRNA(Dharmacon/Horizon Discovery、Lafayette、CO)を調製した。ペプチド溶液を、ペプチドデンドロンアルギニン:mRNAリン酸(N:P)比4:1に対応する濃度で作製した:。均質な粒子を保証するために、RNA溶液を静かにボルテックスしながらペプチド溶液に滴加した。RNA/ペプチドナノ粒子を、室温で30分間にわたり複合体化させた。NP溶液中のRNAの最終濃度は、20μg/mLであった。任意選択の工程として、Lipofectin(登録商標)(DOTMA:DOPE(%w/w)=1)(Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を製剤に添加した。RNAの1~4のw/w%に相当するLipofectin(登録商標)を20mM HPES(pH7.0)希釈した。Lipofectin(登録商標)溶液を、前述のようにRNA溶液の添加の直前にペプチドデンドロン溶液に添加した。Lipofectin(登録商標)を含有するナノ粒子は、「脂質」のマークが付される。
【0530】
b)動的光散乱法
動的光散乱データを、Zetasizer ZS(Malvern)、グリーンレーザー及びZEN2112石英製キュベットを用いて収集した。流体力学直径及び多分散度指数(PDI)は、累積適合度分析を用いて導出した。全データポイントは、3つ以上の個別に調製した試料の平均値を表す。結果を表4に示す。
【0531】
【表5】
【0532】
実施例6
標的NPナノ粒子の生成
a)メトキシ-PEGペプチドデンドロン及び標的PEG-ペプチドデンドロンコンジュゲートとDNA又はRNAとの混合物を含むナノ粒子の調製
20mM HEPES(pH7.0)中に、ペプチドデンドロン(実施例2のように調製)又はメトキシ-PEGデンドロン(実施例3aのように調製)と、標的PEGペプチドコンジュゲート(実施例3bのように調製)とを異なる比率で含むペプチド溶液を調製した。同じ緩衝液中のDNA(gwiz luciferase)(Genlantis、San Diego、CA)又はRNA(cleancap mcherry)(Trilink、San Diego、CA)溶液(40μg/mL)をPD混合物に、ペプチドデンドロンアルギニン:核酸リン酸(N:P)の最終比が4:1(DNA)及び6:1(RNA)となるようにボルテックスしながら滴下した。核酸/ペプチドナノ粒子を、室温で30分間にわたり複合体化させた。ナノ粒子溶液中の核酸の最終濃度は、20μg/mLであった。任意選択の工程として、Lipofectin(登録商標)(DOTMA:DOPE(%w/w)=1)(Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を製剤に添加した。RNAと1~4のw/w%に相当するLipofectin(登録商標)を20mM HPES(pH7.0)希釈した。Lipofectin(登録商標)溶液を、前述のようにRNA溶液の添加の直前にペプチドデンドロン溶液に添加した。
【0533】
b)メトキシ-PEGペプチドデンドロン及び標的PEG-抗体ンコンジュゲートとDNA又はRNAとの混合物を含むナノ粒子の調製
抗体ベースの標的化リガンドについては、mal-PEG PDナノ粒子を調製し、次いで、抗体(以下のように修飾した表1の化合物番号5及び6)にコンジュゲートした。20mM HEPES(pH7.0)中に、メトキシ-PEGデンドロン(実施例3a)とmal-PEGデンドロン(実施例3a)とを異なる比率で含むペプチド溶液を調製した。同じ緩衝液中のDNA(gwiz luciferase)(Genlantis、San Diego、CA)又はRNA(cleancap mcherry)(Trilink、San Diego、CA)溶液(40μg/mL)をPD混合物に、ペプチドデンドロンアルギニン:核酸リン酸(N:P)の比が4:1(DNA)及び6:1(RNA)となるようにボルテックスしながら滴下した。核酸/ペプチドナノ粒子を、室温で30分間にわたり複合体化させた。ナノ粒子溶液中の核酸の最終濃度は、20μg/mLであった。
【0534】
Fab及び/又はハーフマー(1つの軽鎖及び1つの重鎖)を、重鎖内の以下の非天然アミノ酸置換で操作した。
【化33】
【0535】
非天然アミノ酸は、その側鎖内にシクロペンタジエンを含有し(Nnaa CP1)、これは、ディール・アルダー反応のための反応性ハンドルとして機能することができる。Nnaa CP1は、メタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)ピロリジンtRNAシンテターゼ/tRNA(PylRS)/tRNA(Pyl)対を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いて、アンバー終止(TAG)コドンに応答してNnaa CP1を送達する抗体配列に遺伝的にコードされた。(Amant et al.Angew Chem,2019,58(25):8489-93)。
【0536】
操作された抗体ベースの標的化部分を、実施例6に記載のように、室温で2時間、マレイミドに対して1.25モル過剰で核酸/ペプチドナノ粒子溶液に添加した。続いて、混合物をN-アセチルシステイン(10倍モル過剰)の添加によりクエンチした。超遠心分離(MWCO 100kDa)を用いて過剰の抗体を除去し、A260/A280比及び動的光散乱を用いて反応を確認した。
【0537】
c)動的光散乱
動的光散乱データを、Zetasizer ZS(Malvern)、グリーンレーザー及びZEN2112石英製キュベットを用いて収集した。流体力学直径及び多分散度指数(PDI)を、累積適合度分析を用いて導出した。全データポイントは、3つ以上の個別に調製した試料の平均値を表す。
【0538】
【表6】
【0539】
【表7】
【0540】
実施例7
NPは、刺激に応答してDNAを放出する安定なナノ粒子を生成した
a)アニオン安定性試験
20mM HEPESで硫酸デキストラン(DS)溶液を調製し、NP溶液(実施例4のように調製)に添加して、最終DS濃度を100mg/mL~1000mg/mLとし、DNA濃度を10μg/mLとした。15分間の脱錯体化期間の後、各製剤15μLを、臭化エチジウムを含む2%E-ゲルに添加し、10分間流した。pDNAの放出を、ImageJ(NIH、Bethesda、Maryland)を用いて計算し、その結果を図2Aに示した(インタクトなナノ粒子のパーセントをDS濃度の関数としてプロットする)。
【0541】
b)酵素によるDNAの放出
実施例4と同様に調製したが、最終DNA濃度0.1μg/μLで8mMのL-システインHCl緩衝液(pH6)中で調製されたNP。続いて、カテプシン-B原液(60単位/mL)を加えた。Cat-B NP溶液を37℃で4時間までインキュベートした。アリコートを適切な時点で取り出し、アガロースゲル電気泳動によって分析して、放出されたDNAを可視化した。DNA希釈物を、対照として異なる濃度で調製し、同様に、bio-rad強度ソフトウェア分析によるその後の定量化のために同じアガロースゲルに添加した。結果を図2Bに示す。
【0542】
【表8】
【0543】
実施例8
NPは、インビトロトランスフェクションにおいて細胞特異性を示す
a)インビトロトランスフェクション
H1299、C2C12、HEK393及びHEPG2細胞株を96ウェルプレートに播種し、24時間以内に80%のコンフルエンシーを目標とした。続いて、C2C12を、筋芽細胞から筋管へ分化させるために、2%ウマ血清を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で7日間インキュベートした。24時間の回復期間後、NP(実施例2のように調製)を、OPTI-MEM(1:10希釈)中、1ウェル当たり0.2μgで細胞に添加した。16時間後、NPを添加した培地を取り除き、新鮮な培養培地を添加した。Incucyte(EssenBio)を用いてGFPを画像化し、ONE-Glo(商標)+Toxルシフェラーゼレポーター(Promega)の標準プロトコルを用いてルシフェラーゼ/生存率を定量した。結果を図3A、3B及び3Cに示す。
【0544】
実施例9
インビボトランスフェクションにおける筋肉内DNA NP
a)筋肉内送達
BALB/Cマウスを、1肢当たり5μgの、MeO-PEG-PD(MN)(実施例5のように調製)と複合体化したpDNA(Gwizルシフェラーゼ)(Genlantis、San Diego、CA)で処置した。IVIS(Perkin Elmer)を用いて、発現を毎週評価した。発光を4回ずつ収集し、平均値±標準偏差として示した。結果を図4に示す。
【0545】
実施例10
DNA NPの治療的発現
a)MEDI8852及びSTK11コードPDナノ粒子の調製
ナノ粒子を、実施例4に記載のように、PD3(MN)と、治療用MEDI8852及びSTK11をコードするプラスミドを用いて調製した。MED8852発現では、NPをまた、TfR-PEG-PD3(MN)及びMeO-PD3(MN)(ペプチドデンドロンアルギニン:核酸リン酸(N:P 4:1)によっても調製した。ここで、ペプチドの25%は、TfR-PEG-PD3(MN)であった。等量のDNA(40μg/mL;MEDI8852プラスミド(Sigma-Aldrich、St.Louis、MOからのMinimal CMV発現プラスミドと同様の方法で調製)又はSTK11(Origene、Rockville MD)プラスミド)とペプチドデンドロンの溶液を、20mM HEPES(pH7.0)で調製した。ペプチドデンドロン溶液を、ペプチドデンドロンアルギニン:核酸リン酸(N:P)が4:1に相当する濃度で作製した。均質な粒子を保証するために、DNA溶液を静かにボルテックスしながらペプチド溶液に滴加した。DNA/ペプチドナノ粒子を、室温で30分間にわたり複合体化させた。NP溶液中のDNAの最終濃度は、20μg/mLであった。対照として、MEDI8852プラスミドもまた、リポフェクタミン-2000(ThermoFisher、Waltham、MA)を用い、製造業者のプロトコルに従って調製した。
【0546】
b)治療用コードナノ粒子を用いたインビトロトランスフェクション試験
H1299(6,600細胞/ウェル)、HEPG2(50,000細胞/ウェル)及びC2C12(12,000細胞/ウェル細胞)を、それぞれ、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(P/S)を補充したRPMI培地又はDMEM中、96ウェルプレートに播種した。24時間の回収期間の後、細胞を100μLのPBSで2回、培養培地で1回洗浄した。次いで、ナノ粒子を、培養培地中、1ウェル当たり0.2μg(H1299)又は0.5μg(HEPG2及びC2C12)で細胞に添加した。16時間後、ナノ粒子を添加した培地を取り除き、新鮮な培養培地を添加した。MEDI8852発現を、以下の(c)に記載のようにELISAを用いて定量し、STK11発現を、以下の(d)に記載のようにウェスタンブロットを用いて検出した。結果をそれぞれ図5A及び5Bに示す。
【0547】
c)MEDI8852 ELISA
NUNCTM MaxiSorp(商標)96ウェルマイクロプレートを、抗MEDI8852抗体(Ali,S et al.Antimicrob Agents Chemother.2018 Nov;62(11):e00694-18.)を1μg/mLで含む重炭酸緩衝液100μL/ウェルでコーティングした。プレートを4℃で一晩インキュベートし、翌朝、300μLのPBS-T(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)+0.1%Tween20)で3回洗浄した。全ての標準、品質管理試料、及び試験試料を、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBS+0.1%Tween20で1:250に希釈した。100μLの希釈試料を各ウェルにロードし、2時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを300μLのPBS-Tで3回洗浄した。二次抗体のビオチン化抗MEDI8852(Ali,S et al.Antimicrob Agents Chemother.2018 Nov;62(11):e00694-18.)をPBS-Tで2μg/mLに希釈し、100uLを各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、プレートをPBS-Tで4回洗浄し、100μLのストレプトアビジン-HRP複合体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、コード016-030-084)を1:40の希釈で添加した。プレートをPBS-Tで4回洗浄し、100μLの室温で平衡化したSureBlue TMB基質(Thermo Fischer Scientific)を全てのウェルに添加した。暗所で15分後、100μLのTMB停止液(Thermo Fischer Scientific)を用いて反応をクエンチした。各ウェルの光学密度(OD)を、BMG Labtech PHERAstar FSXマイクロプレートリーダーを用いて450nmで読み取った。結果を図5Aに示す。
【0548】
e)STK11 ウェスタンブロット
トランスフェクション後、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Pierce 番号78442)を補充したRIPA溶解緩衝液(Teknova カタログ番号No.R3792)を用いて細胞を溶解し、12,000×gで5分間遠心分離した。上清を回収し、BCAアッセイ(Thermo 製品番号23227)を用いて定量した。次いで、1試料当たり10μgの抽出タンパク質を、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動を用いて200mAの電流で90分間分離し、次いで、iBlotシステムによってPVDF膜に移した。続いて、膜を、5%BSAを補充したTBS-T(20mMトリス-HCl、pH7.6)でブロックした。ウサギ抗STK11(Cell Signaling カタログ番号D60C5)及び抗GAPDH(Cell Signalling カタログ番号14C10)一次抗体を1:10,000希釈で一晩ハイブリダイズさせた。膜を30分間洗浄し、次いでHRP結合ヤギ抗ウサギIgGに30分間ハイブリダイズさせた。インキュベーション後、膜を洗浄して非特異的結合を全て除去し、Pierce SuperSignal West Pico化学発光試薬(Pierce カタログ番号34579)と共にインキュベートした。バンドを、Image Quant LAS 4000を用いて検出した。結果を図5Bに示す。
【0549】
実施例11
インビトロにおける標的DNA NPトランスフェクション
a)インビトロトランスフェクション
H1299(6,600細胞/ウェル)、CT26(10,000細胞/ウェル)及びC2C12(12,000細胞/ウェル細胞)を、それぞれ、10%ウシ胎児血清(FBS)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(P/S)を補充したRPMI培地又はDMEM中、96ウェルプレートに播種した。H1299細胞及びCT26細胞のトランスフェクションの前に、24時間の回復期間を設け、その間にC2C12筋芽細胞を少なくとも7日間にわたり2%のウマ血清を補充したDMEM中でインキュベーションして筋管に分化させた。続いて、細胞を100μLのPBSで2回洗浄し、培養培地で1回洗浄した。標的及び非標的ナノ粒子を、実施例6に記載のように、Gwizルシフェラーゼプラスミド(Genlantis、San Diego CA)を用いて調製した。TfR標的NP及びcRGD標的NPを、MeO-PEG-PD(MN):TfR-PEG-PD(MN)又はcRGD-PEG-PD(MN)(実施例3a)及びb)で調製した材料)の混合物を用いて調製した。ここで、0、10、及び50%のTfR-PEG-PD(MN)並びに0、5、10、20、及び30%のcRGD-PEG-PD(MN)を用いた。NPを細胞に培地中で1ウェル当たり0.2μgで添加した(1:10希釈)。16時間後、ナノ粒子を添加した培地を取り除き、新鮮な培養培地を添加した。GFP発現は、Incucyte(Essen BioScience、Ann Arbor、MI)を使用して画像化し、ルシフェラーゼ/生存率は、ONE-Glo(商標)+Toxルシフェラーゼレポーター(Promega,Madison,WI)及びPHERAstarFSX機器(BMG Lab Tech,Cary,NC)の標準プロトコルを使用して定量した。結果を図6A~Cに示す。
【0550】
実施例12
a)ナノ粒子の調製
PV1標的MECA32を操作し、実施例6に記載のように、重鎖内に非天然アミノ酸置換を有するハーフマー(1本の軽鎖及び1本の重鎖)として発現させた。実施例6に記載のプロトコルを用いて、ペプチドデンドロンアルギニン:核酸リン酸(N:P)比4:1(75%MeO-PEG-PD3(MN):25%Mal-PEG-PD3(MN)))で、5%トレハロース緩衝液中においてPD3(MN)PEGコンジュゲート(実施例6のように調製)及びGwizルシフェラーゼプラスミド(Genlantis、San Diego CA)を用いてNPを調製した。nucleic acid phosphate(N:Pratio of 4:1(75% MeO-PEG-PD3(MN):25% Mal-PEG-PD3(MN)using the protocol described in Example 6.CP1-MECA32(Gabriela M.Marchetti,et al.Commun Biol.2019;2:92;2019年3月7日にオンラインで公開、doi:10.1038/s42003-019-0337-2)をマレイミドのモルに基づいて1.25倍モル過剰で添加し、室温で一晩インキュベートした。反応をN-アセチルシステイン(10倍モル過剰)の添加によりクエンチし、超遠心分離(MWCO 100kDa)によって過剰の抗体を除去した。
【0551】
b)マウスにおける肺標的送達
BALB/Cマウスを、PD(MN)と複合体を形成した20μgのGwizルシフェラーゼpDNAで静脈内処置した。pDNAの10%をCy-5(12標識/プラスミド)で標識した。発現及び生体内分布を、IVIS(Perkin Elmer)を用いて1、3及び8日目に評価した。各処置を4回ずつ行い、定量データを平均±標準偏差として示す。結果を図7に示す。
【0552】
実施例13
インビトロにおけるmRNA NPトランスフェクション
a)DNA及びmRNA NPの調製
ペプチドデンドロン溶液を、20mM HEPES(pH7.0)中でPD3(MN)(実施例4及び5のように調製)で調製した。mCherryをコードするDNA(Origene、Rockville MD)又はmRNA(Trilink、San Diego、CA)を同じ緩衝液(40μg/mL)で希釈し、ペプチドデンドロンアルギニン 核酸リン酸(N:P)の最終比が2:1(DNA)又は4であった:1(mRNA)となるようにボルテックスしながら滴下した。核酸/ペプチドナノ粒子を、室温で15分間にわたり複合体化させた。ナノ粒子溶液中の核酸の最終濃度は、20μg/mLであった。実施例4(DNA)及び5(mRNA)に記載のようにDLSを用いてNPの特性を評価した。
【0553】
b)インビトロトランスフェクション
H1299を96ウェルプレートに播種し、24時間以内に80%のコンフルエンシーを目標とした。24時間の回復期間の後、NPを培養培地中、1ウェル当たり0.2μgで細胞に添加した(1:10希釈)。4時間後、NPを添加した培地を取り除き、新鮮な培地を添加した。Incucyte(EssenBio)を用いてmCherryを画像化した。結果を図8に示す。
【0554】
実施例14
インビボにおけるpDNA及びmRNAのトランスフェクション
筋肉内送達
NPを、実施例4及び5に記載のように、MeO PEG-PD3(MN)を用いて調製した。BALB/Cマウスを、1肢当たり5μgの、ルシフェラーゼをコードする複合cleancap mRNA(Trilink、San Diego CA)又はGwiz DNA(Genlantis、San DiegoCA)で処置した。IVIS(Perkin Elmer)を用いて、発現を毎週評価した。発光は4回ずつ収集し、平均値±標準偏差として示した。結果を図9で示す。
【0555】
実施例15
インビボにおけるmRNAの治療的発現
静脈内送達
実施例5に記載のように、MeO-PD3(MN)及びMEDI8852をコードするmRNAを用いてNPを調製した。BALB/Cマウスに、NPを尾静脈注射により静脈内投与した(マウス1匹当たり20μg)。IVIS(Perkin Elmer)を用いて、発現を毎週評価した。発光は4回ずつ収集し、平均値±標準偏差として示した。結果を図10に示す。
【0556】
実施例16
初代T細胞のmRNA標的トランスフェクション
T細胞標的NPの調製及び特性評価
インビトロトランスフェクション
新鮮な初代T細胞(Cellero、Lowell、MAから得られるものに類似するが、新鮮であり凍結されていない)を、24ウェルプレート(3e6/ウェル)のRPMI1640培地(Sigma)に播種した。24時間の回復期間の後、NPを、OPTI-MEM中、100μM/ウェルで細胞に添加した。NPを、mcherryをコードするcleancap mRNA(Trilink、San Diego、CA)と、PD3(MN)及びMal-PEG-PD3(MN)の混合物とを用いて、実施例6に記載のように調製した。NPは、Mal-PEG-PD3(MN)を0、25、50及び100%用いて調製し、その後、実施例6に記載のように抗CD3 fabとコンジュゲートした。4時間後、NPを添加した培地を取り除き、新鮮な培養培地を添加した。RFPをIncucyte(EssenBio)を用いて画像化し、フローサイトメトリーを用いて定量した。結果を図11に示し、ここで、A)は平均mcherry強度、B)はトランスフェクトされた細胞のパーセント、C)はCD3の表面発現を示す。
【0557】
実施例17
siRNAトランスフェクションのインビトロ試験
a)細胞培養
Colo205及びSW480細胞株をATTC(Manassas、Virginia)から入手した。培養を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)増殖培地(Gibco)中、37℃及び5%CO2で維持した。Colo205及びSW480 CTNNB1 shRNA細胞株を、ドキシサイクリン誘導性ヒトCTNNB1 shRNA(Dharmacon/Horizon Discovery、Lafayette、CO)のレンチウイルス導入によって作製した。
【0558】
b)TopFlash CTNNB1レポーターアッセイ及びウェスタンブロット
SW480腫瘍細胞(ATCC、Manassas、VA)に、TCF1 TopFlashルシフェラーゼレポーター(EMD Millipore、Burlington、MA)を安定に導入した。SW480 TopFlash細胞を、6ウェルディッシュに1ウェル当たり2.0×105細胞の密度で播種し、上述したようにコレステロール結合siRNA(Accell siRNA)又はsiRNA NPで48~72時間処理した。ナノ粒子は、PD3(MN)又はMeO-PEG-PD(MN)とcRGD-PEG-PD(MN)との混合物(0、33、66又は100%のcRGD-標的化を含む)を用いて、実施例5に記載のように調製した。細胞を溶解し、BrightGlo試薬(Promega、Madison WI)を用いて処理し、96ウェルプレートに移し、Envision X(Perkin Elmer、Waltham MA)を用いてルシフェラーゼレポーター活性を測定した。PD3(MN):cRGD-PEG-PD3(MN)のTopFlashの結果を図12に示す。MeO-PEG-PD3(MN):cRGD-PEG-PD3(MN)のTopFlashの結果を図13Aに示す。図13Bに示すように、標準的なウェスタンブロットプロトコルを用いて、CTNNB1発現の5日後に細胞溶解物も評価した。
【0559】
c)CTNNB1ウェスタンブロット及び細胞増殖アッセイ
6ウェルプレートに1ウェル当たり2.0×105細胞の密度でColo205細胞をプレーティングした。対照として、コレステロール結合siRNAを用いて細胞を処理した。具体的には、1ウェル当たり1mlの、Dharmacon/Horizon Discovery(Lafayette、CO)から購入したAccellトランスフェクション培地中の細胞に、500nMのAccell対照非標的siRNA及びAccell CTNNB1 siRNAを添加した。コレステロール結合は、高濃度でのsiRNA送達を促進する。トランスフェクションの48時間後に、1ウェル当たり2mlのRPMI+10%FBSを添加した。実験は、Colo205細胞をCTNNB1 siRNAを封入したNPで処理し、6ウェルプレートに1ウェル当たり2.0×105細胞の密度で細胞を播種した。MeO-PEG-PD(MN)とcRGD-PEG-PD(MN)との混合物(0又は66%cRGD-PD及び1%(w/w siRNA)lipofectinを含む)を用いて、実施例5に記載のようにナノ粒子を調製した。増殖培地を900μlの最適最小必須培地(OPTIMEM)と交換し、1ウェル当たり100μlのNP製剤を添加した(1ウェル当たり100μMのmRNA)。トランスフェクションの16時間後に、1ウェル当たり2mlのRPMI+10%FBSを添加した。細胞増殖アッセイのために、細胞を採取し、図13Cに示すとおり、ViCell XR細胞カウンターを用いて、トランスフェクションの72~96時間後に計数した。
【0560】
実施例18
標的siRNAトランスフェクションインビボ試験
a)インビボ腫瘍増殖阻害アッセイ
7週齢の雌のヌードマウスに、200μlのPBS中の5.0×106個のColo205細胞を皮下注射した。平均腫瘍体積がおよそ100mmに達したとき、マウスを処置群に無作為化し、NP(実施例6のように調製した0、33、及び66%cRGD PD(MN):PEG-PD(MN)を3日間連続して注射し、その1週間後に2日間連続して注射した。腫瘍測定及びマウス体重を、実験期間中、1週間に2回又は3回記録した。腫瘍が2000mmの大きさに達したとき、又は腫瘍表面の50%超を包含する潰瘍形成を示したとき、マウスを安楽死させた。結果を図14に示す。
【0561】
実施例19
ハイブリッドRNA/DNAペプチドデンドロンナノ粒子(NP)自己集合
a)NPの調製
mCherryをコードするCleancap mRNA(Trilink、San Diego、CA)及びGFPをコードするgWiz(商標)DNA(Aldevron、Fargo、ND)を、20mM HEPES(pH7.0)中、1:1の質量比で、最終濃度40μg/mLとなるように調製した。PD3(MN)(実施例2のように調製)の溶液を、20mM HEPES(pH7.0)中、最終ペプチドデンドロンアルギニン:核酸リン酸(N:P)比4:1に相当する濃度で調製した。核酸溶液をPD3(MN)溶液に1:1の体積比で添加し、ピペッティングによって完全に混合した。NPを室温で30分間複合体化させた。NP溶液中の核酸の最終濃度は、20μg/mL(10μg/mLのmRNA及びμg/mLのDNA)であった。対照NPを、DNA及びmRNAのみを用いて、20μg/mLの最終核酸濃度で調製した。
【0562】
b)動的光散乱法
動的光散乱(DLS)データを、Zetasizer ZS(Malvern)、グリーンレーザー及びZEN2112石英製キュベットを用いて収集した。流体力学直径及び多分散度指数(PDI)を、累積適合度分析を用いて導出した。全データポイントは、3つ以上の個別に調製した試料の平均値を示す。結果を表8に示す。
【0563】
【表9】
【0564】
c)蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)による共封入の評価
Label IT(登録商標)核酸標識キット(Mirus Bio、Madison、WI)を用いて、GFPをコードするgWiz(商標)DNA(Aldevron、Fargo、ND)をCy5で標識し、mCherryをコードするCleancap mRNA(Trilink、San Diego、CA)をCy3で標識した。以下のナノ粒子を、20μg/mLの最終核酸濃度で、上記のようにPD3(MN)を用いて製剤化した:
1. Cy5 DNA+非標識DNA(1:1)共封入NP
2. Cy3 mRNA+非標識mRNA(1:1)共封入NP
3. Cy5 DNA NP+Cy3 mRNA NP(1:1)別々に封入
4.Cy5 DNA+Cy3 mRNA(1:1)共封入NP
NPを、蛍光分析の前に10分間複合体化させた。上に挙げた3のNPは別々に製剤化し、10分間複合体化し、次いで、蛍光分析の直前に1:1の比で合わせた。蛍光分析は、NanoDrop(商標)3300蛍光分光光度計(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)を用いて行った。2μLのNP試料を台に載せ、試料を青色LEDを用いて励起した。蛍光放射(相対蛍光単位、RFU)を、450~750nmの波長で測定した。これらのNP試料の蛍光スペクトルを図15に示す。
【0565】
d)H1299細胞におけるmRNAとDNAの発現
NPを、GFP DNA及びmCherry mRNAを、20μg/mLの最終核酸濃度となるよう、1:1の重量比で用いて、a)に記載されるように、PD3(MN)と共に製剤化した。H1299細胞を、処理の24時間前に、組織培養処理した96ウェルプレートに10,000細胞/ウェルでプレーティングした。処理の直前に、増殖培地を除去し、100μLのOpti-MEM(商標)I還元血清培地(ThermoFisher、Waltham、MA)と交換した。10μLのナノ粒子溶液を各ウェルに添加した(200ng/ウェル核酸用量。ナノ粒子を細胞と共に4時間インキュベートし、次いで、Opti-MEM及びナノ粒子を除去し、増殖培地に置き換えた。GFP及びmCherryタンパク質の発現を、Incucyte生細胞分析システム(Sartorius、Goettingen、Germany)を用いてモニターし、4時間ごとに細胞の蛍光画像を捕捉した。Incucyteソフトウェアを用いて画像を分析し、緑色(GFP)及び赤色(mCherry)チャネルにおける蛍光面積、並びに赤色及び緑色シグナルの重なり面積を決定した。シグナルをピークシグナル面積に対して正規化して、発現動態をモニターした。結果を図16に示す。
【0566】
e)C2C12細胞におけるmRNAとDNAの発現
C2C12細胞を、組織培養処理した96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルでプレーティングした。増殖培地を低血清分化培地(DMEM+2%ウマ血清)と交換し、融合した伸長筋管が形成されるまで7日間培養した。ナノ粒子を、GFP DNA及びmCherry mRNAを、50μg/mLの最終核酸濃度となるよう、1:1の重量比で用いて、a)に記載されるように、PD3(MN)と共に製剤化した。Lipofectin(登録商標)(DOTMA:DOPE(%w/w)=1)(Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を製剤に添加した。核酸の1%w/wに相当するリポフェクチン(登録商標)を、20mM HPES(pH7.0)で希釈した。Lipofectin(登録商標)溶液を、前述のようにRNA溶液を添加する直前にPD3(MN)溶液に添加した。処理の直前に、培地を除去し、100μLのOpti-MEM(商標)I還元血清培地(ThermoFisher、Waltham、MA)と交換した。10μLのナノ粒子溶液を各ウェルに添加した(200ng/ウェル)核酸用量。ナノ粒子を細胞と共に4時間インキュベートし、次いで、Opti-MEM及びナノ粒子を除去し、増殖培地に置き換えた。GFP及びmCherryタンパク質の発現を、記載のように、Incucyte精細胞分析を使用してモニターした。結果を図17に示す。
図1
図2A
図2B
図3A-3C】
図4
図5A-5B】
図6A
図6B-6C】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A-13C】
図14
図15
図16
図17
【配列表】
2024537869000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024537869000001.xml
【国際調査報告】