(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】気体バリア金属層を有するV型圧力容器
(51)【国際特許分類】
F17C 1/00 20060101AFI20241008BHJP
F17C 1/06 20060101ALI20241008BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F17C1/00 Z
F17C1/06
F16J12/00 A
F16J12/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520997
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022077775
(87)【国際公開番号】W WO2023057547
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521525527
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・ニュー・エナジーズ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・クリエル
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ドゥパリ
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB17
3E172BC04
3E172BC05
3E172BC08
3E172BC10
3E172BD03
3E172CA20
3E172DA36
3E172DA90
3J046AA14
3J046AA20
3J046BA03
3J046BA08
3J046DA05
3J046EA02
(57)【要約】
気体バリア金属層を有するV型圧力容器。内部複合構造(20)を取り囲むかまたは包み込む外部複合構造(10)を備えるV型圧力容器(1)であって、内部複合構造(20)が、内部気体貯蔵チャンバ(30)を画定する第1の内側表面(21)と、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第1の内側表面(21)上に堆積された金属材料から作られた第1の気体バリア金属層(22)と、円筒形中央部(24)と、第1の連結手段により円筒形中央部(24)に連結されたボス組立体(23)と、を備え、ボス組立体(23)が、ドーム形キャップ(26)、および、第2の連結手段によりドーム形キャップ(26)に連結されたボス部(25)を備える、V型圧力容器(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部複合構造(20)を取り囲むかまたは包み込む外部複合構造(10)を備えるV型圧力容器(1)であって、前記内部複合構造(20)が、
内部気体貯蔵チャンバ(30)を画定する第1の内側表面(21)と、
プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第1の内側表面(21)上に堆積された第1の金属材料から作られた第1の気体バリア金属層(22)と、
円筒形中央部(24)と、
を備え、
前記内部複合構造(20)が、
第1の連結手段により前記円筒形中央部(24)に連結されるボス組立体(23)であって、ドーム形キャップ(26)、および、第2の連結手段により前記ドーム形キャップ(26)に連結されたボス部(25)を備える、ボス組立体(23)
を具備することを特徴とする、V型圧力容器(1)。
【請求項2】
前記ドーム形キャップ(26)が、ベース部(26a)を備え、前記ボス組立体(23)が、前記ベース部(26a)を通じて前記円筒形中央部(24)に連結される、請求項1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項3】
前記円筒形中央部(24)が、少なくとも2つの円筒形部(24a)から形成され、前記ボス組立体(23)が、前記ドーム形キャップ(26)のベース部(26a)に接続される円筒形部(24a)を備え、その結果、前記ボス組立体(23)が、円筒形部(24a)を通じて前記円筒形中央部(24)に連結される、請求項1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項4】
前記外部複合構造(10)が、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項5】
前記円筒形中央部(24)が、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項6】
前記ドーム形キャップ(26)が、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項7】
前記繊維強化複合材料が、熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーからなる群から選択された母材を含み、好ましくは、前記繊維強化複合材料が、熱硬化性樹脂母材を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項8】
前記ボス部(25)が、前記内部気体貯蔵チャンバ(30)内への気体の充填および前記内部気体貯蔵チャンバ(30)からの前記気体の放出のための気体連通ポートを提供する軸方向円筒形中空部分(25b)を含むネック部(25a)を備えた極性ボスである、請求項1から7のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項9】
前記ドーム形キャップ(26)が、第2の内側表面(27)を有し、前記第2の内側表面(27)が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第2の内側表面(27)上に堆積された第2の金属材料から作られた第2の気体バリア金属層(28)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項10】
前記第1の金属材料および/または前記第2の金属材料が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鋼鉄、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化チタン(TiN
x)、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、酸化チタン(TiO
2)、酸化銅アルミニウム(CuAlO
2、CuAl
2O
4)、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)を製造する方法であって、
円筒形中央部(24)を用意するステップと、
ドーム形キャップ(26)に連結されたボス部(25)を備えるボス組立体(23)を用意するステップと、
前記ボス組立体(23)を前記円筒形中央部(24)に連結して内部複合構造(20)を形成するステップと、
前記内部複合構造(20)の上に外部複合構造(10)を製造するステップと、
前記内部複合構造(20)の第1の内側表面(21)上に、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第1の内側表面(21)上に堆積される第1の金属材料から作られる第1の気体バリア金属層(22)を適用するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)のための気密ボス組立体(23)を製造する方法であって、
第2の内側表面(27)を有するドーム形キャップ(26)を用意するステップと、
前記ドーム形キャップ(26)の前記第2の内側表面(27)上に第2の気体バリア金属層(28)を適用するステップであって、前記第2の気体バリア金属層(28)が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第2の内側表面(27)上に堆積される第2の金属材料から作られる、ステップと、
気密の態様でボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結して気密ボス組立体(23)を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
気密の態様で前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結する前記ステップが、
ネック部(25a)を備えるボス部(25)を用意するステップと、
前記ボス部(25)の前記ネック部(25a)をシール(29)および前記ドーム形キャップ(26)の軸方向開口部に通すステップと、
前記ドーム形キャップ(26)を前記第2の連結手段と前記シール(29)との間に挟むように前記第2の連結手段により前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
気密の態様で前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結する前記ステップが、
ボス部(25)を用意するステップと、
前記ボス部(25)上に気密材料を堆積させるステップと、
前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)における軸方向開口部に通すステップと、
前記ドーム形キャップ(26)を前記第2の連結手段と前記気密材料との間に挟むように前記第2の連結手段により前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
気密の態様で前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結する前記ステップが、
ボス部(25)を用意するステップと、
前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)における軸方向開口部に通すステップと、
前記ボス部(25)と前記ドーム形キャップ(26)との間に空洞を作り出すように前記第2の連結手段により前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結するステップと、
前記空洞の内側に気密材料を注入するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、V型圧力容器、V型圧力容器を製造する方法、V型圧力容器のためのボス組立体を製造する方法、およびV型圧力容器を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
任意のタイプの気体を圧力下で貯蔵および輸送するために、高圧容器が使用される。高圧容器は、典型的には、5つの型、すなわち、全金属構造を有するI型容器、補強のための繊維フープラップ(fiber hoop wrap)を含む金属裏打ち構造(metal-lined construction)を有するII型、完全繊維補強ラップ(complete fiber reinforcement wrap)を含む金属裏打ち構造を有するIII型、完全繊維補強ラップを含むプラスチック裏打ち構造(plastic-lined construction)を有するIV型、および裏打ち無し複合構造(liner-less composite construction)を有するV型のうちの1つに分類される。V型圧力容器は、気体透過を防ぐために気体バリア層を有し得る、裏打ち無しツール上にフープおよび螺旋繊維ラップを利用する複合圧力容器である。
【0003】
V型圧力容器は、エネルギー源などの多様な機能のためにそのような圧力容器を備える車両で使用される二水素(H2)を貯蔵および輸送するために使用され得る。
【0004】
特許文献1は、気体透過を防ぐために高圧タンクの補強体の内側表面を覆う樹脂材料を開示している。しかし、高圧タンクが気密であるためには、一定の厚さの樹脂材料が必要とされる。この厚さは、気体のために利用することができる貯蔵容積を減少させ、また、高圧タンクの重量を増大させるので、満足のいくものではない。さらに、樹脂材料で表面を覆うプロセスは、時間がかかるプロセスである。
【0005】
特許文献2は、気体透過を防ぐためにプラズマ支援被覆プロセスを使用して耐圧貯蔵コンテナの補強体の内側表面上に堆積される金属材料から作られる拡散バリア層を開示している。そのような拡散バリア層の厚さは、樹脂材料で作られた層の厚さよりも薄いものであり得るが、この従来技術は、継ぎ目なしに作られた補強体を有する耐圧貯蔵容器にしか適用されない。全ての耐圧貯蔵容器が継ぎ目なしに作られた補強体を有するわけではないので、この従来技術は、満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0197499号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0149759号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Agreement Concerning the Adoption of Uniform Technical Prescriptions for Wheeled Vehicles, Equipment and Parts which can be Fitted and/or be Used on Wheeled Vehicles and the Conditions for Reciprocal Recognition of Approvals Granted on the Basis of these Prescriptionsの付録133-規則134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のことを考慮すると、気体に利用可能な貯蔵容積を減少させず、圧力容器の重量を増大させず、圧力容器の内側表面上に適用するのに時間がかからず、かつ、任意のタイプの圧力容器構造に適合する、気体バリア層を有する気密V型圧力容器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、内部複合構造を取り囲むかまたは包み込む外部複合構造を備えるV型圧力容器であって、内部複合構造が、
- 内部気体貯蔵チャンバを画定する第1の内側表面と、
- プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第1の内側表面上に堆積された第1の金属材料から作られた第1の気体バリア層と、
- 円筒形中央部と、
- 第1の連結手段により円筒形中央部に連結されたボス組立体であって、ドーム形キャップ、および、第2の連結手段によりドーム形キャップに連結されたボス部を備える、ボス組立体と、
を具備する、V型圧力容器を提供する。
【0010】
気体バリア金属層は同じ厚さを有する気体樹脂バリア層よりも良好な気密性を提供するという事実により、本発明は、気体バリア層の厚さを5nmから600nmの範囲に、好ましくは5nmから100nmの間に減少させることを可能にする。気体バリア層の厚さを減少させることにより、圧力容器の重量を減少させることも可能である。
【0011】
プラズマベース金属堆積プロセスを使用することにより内側表面上に気体バリア金属層を適用するのに必要とされる時間は、同じ内側表面上に樹脂材料を適用するのに必要とされる時間よりも短いので、本発明は、製造時間の短縮をさらに可能にする。
【0012】
外部複合構造は、V型圧力容器がより強固でありかつ機械的に安定していることを可能にする。
【0013】
ボス組立体を円筒形中央部に連結することにより、内部複合構造は、現場で連結される別々の要素を含む組み立て式の内部複合構造であることが可能とされる。
【0014】
第1の連結手段は、結合手段、接着手段、溶接手段(摩擦手段を含む)、螺合手段、スナップ嵌め手段、圧入手段、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0015】
ボス部をドーム形キャップに連結することにより、ボス組立体は、現場で連結される別々の要素を含む組み立て式のボス組立体であることが可能とされる。
【0016】
第2の連結手段は、結合手段、接着手段、溶接手段(摩擦手段を含む)、螺合手段、スナップ嵌め手段、圧入手段、止め手段、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0017】
したがって、本発明は、内部複合構造を形成する部品または別々の要素の数にかかわらず任意のタイプの圧力容器構造に適合し、したがって、良好な気密性を保証しながら、内部複合構造のモジュール式の組立を可能にする。
【0018】
「気体バリア金属層」という語句は、内部気体貯蔵チャンバ内に貯蔵される気体に対して不透過性でありかつ化学的に不活性の金属層を意味する。気体バリア金属層は、好ましくは、あらゆる状況において第1の内側表面の伸び率よりも大きい破断伸び率を有するべきである。典型的には、気体バリア金属層の破断伸び率は、1%超、好ましくは2%超である。
【0019】
「プラズマベース金属堆積プロセス」は、例えば、金属ターゲットとともに不活性ガスすなわち非反応性ガスから形成されたプラズマが高真空条件下において反応チャンバ内で発火する、物理蒸着(PVDとして知られる)プロセスである。アルゴンは、そのような不活性ガスの一例である。PVDは、例えば、陰極霧化(スパッタリングとして知られる)、および/または内外アーク蒸着、外部熱電子ビーム蒸着によって行われる。次いで、有利には、金属層は、第1の内側表面上に追加のAl203気体バリア層を形成するために、プラズマプロセスによって、例えば高周波放電(RF放電として知られる)によって、酸化される。高真空条件下におけるプラズマ堆積の知られた代替案は、大気圧におけるプラズマ堆積である。
【0020】
好ましい実施形態によれば、ドーム形キャップは、ベース部を備え、ボス組立体は、ベース部を通じて円筒形中央部に連結される。この構成は、ベース部を有するドーム形キャップを備えた内部複合構造のモジュール式の組立を可能にする。
【0021】
特に好ましい実施形態によれば、円筒形中央部は、少なくとも2つの円筒形部から形成され、ボス組立体は、ドーム形キャップのベース部に接続される円筒形部を備え、その結果、ボス組立体は、円筒形部を通じて円筒形中央部に連結される。この構成は、ベース部を有するドーム形キャップとベース部から軸方向に延在する円筒形部とを備える内部複合構造のモジュール式の組立を可能にする。そのような実施形態では、本発明は、2つの相補的な半体で作られた内部複合構造を備えるV型圧力容器であって、各半体が、ベース部を有するドーム形キャップとベース部から半体の端部まで軸方向に延在する円筒形部とを備え、一方の半体の端部が他方の半体の端部に連結される、V型圧力容器を包含する。
【0022】
好ましい実施形態によれば、気体は、二水素ガスである。これは、V型圧力容器が燃料電池電気車両(FCEVとして知られる)で使用されることを可能にする。
【0023】
好ましい実施形態によれば、外部複合構造は、繊維強化複合材料の巻回物で構成される。これは、外部複合構造がその重量に関して強度と剛性との最適な比を有することを可能にする。
【0024】
好ましい実施形態では、繊維強化複合材料は、熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーからなる群から選択される母材を含む。繊維強化複合材料は、熱硬化性樹脂母材を含むことが好ましい。
【0025】
熱硬化性樹脂は、反応性熱硬化性前駆体を形成する2種類以上の反応性構成要素を混合することによって形成され、この反応性熱硬化性前駆体は、硬化条件(例えば、熱、UVもしくは他の放射線、または単純にそれらを互いに接触させること、など)にさらされたときに反応して、熱硬化性樹脂を形成する。熱硬化性樹脂は、高性能の複合材をもたらすために、完全に硬化されなければならない。熱硬化性樹脂は、硬化すると、固体であり、樹脂がそれ以上流れることができないので、さらに加工または再成形され得ない。熱硬化性樹脂の例は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレア樹脂、イソシアヌレート樹脂、およびポリウレタン樹脂を含む。べたつくがなおも柔らかなものにするために部分的にのみ硬化された反応性樹脂が浸透した繊維で作られた熱硬化性プリプレグを作製することが可能である。プリプレグは、樹脂を加熱するか、またはUVにさらしてプリプレグの硬化および圧密化を完了することにより、保管されて後に圧力下でさらに処理され得る。
【0026】
熱可塑性ポリマーは、温度を上げることにより、固体状態(または、非流動性状態)から液体状態(または、流動性状態)に変化することができ、また、温度を下げることにより、液体状態から固体状態に戻ることができる。半結晶性ポリマーの場合、熱可塑性物質の温度を下げることが、結晶の形成および熱可塑性物質の圧密化を促す。逆に、半結晶性ポリマーをその融解温度を超えて加熱することが、結晶を融解させ、熱可塑性物質は、流動することができる。半結晶性熱可塑性物質の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンケトンエーテルケトン(PEKKEK)などのポリエーテルケトン、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド10(PA10)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)などのポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、などを含む。アモルファス熱可塑性物質は、結晶を形成せず、融解温度を有さない。アモルファス熱可塑性物質は、材料温度がそのガラス転移温度を下回るか上回るかに応じて、凝固するかまたは流動性になる。アモルファス熱可塑性物質の例は、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、などを含む。したがって、半結晶性熱可塑性物質およびアモルファス熱可塑性物質のどちらも、それらをそれらの融解温度またはガラス転移温度を超えて加熱することにより再成形され、相応に温度を下げることによりそれらの新たな形状に凍結され得る。物理的観点からは厳密に正しくないとしても、簡潔さのために、液体状態における半結晶性熱可塑性物質およびアモルファス熱可塑性物質のどちらも、本明細書では「熱可塑性物質融解物」と呼ばれる。
【0027】
好ましい実施形態では、繊維強化複合材料の繊維は、炭素繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維、およびガラス繊維からなる群から選択された繊維である。これは、繊維強化複合材料の減量と機械的強度との間の良好な妥協を可能にする。
【0028】
好ましい実施形態では、外部複合構造を製造するために使用される繊維強化複合材料の繊維は、例えば250GPaの高いモジュラスを有する連続繊維である。これは、繊維強化複合材料の機械的強度をさらに改善する。
【0029】
円筒形中央部は、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成されることが好ましい。これは、円筒形中央部がその重量に関して強度と剛性との最適な比を有することを可能にする。
【0030】
ドーム形キャップは、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成されることが好ましい。これは、ドーム形キャップがその重量に関して強度と剛性との最適な比を有することを可能にする。
【0031】
特に好ましい1つの実施形態によれば、ボス部は、内部気体貯蔵チャンバ内への気体の充填および内部気体貯蔵チャンバからの気体の放出のための気体連通ポートを提供する軸方向円筒形中空部分を含むネック部を備えた極性ボスである。
【0032】
本発明の特定の実施形態によれば、ドーム形キャップは、第2の内側表面を有し、この第2の内側表面は、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第2の内側表面上に堆積された第2の金属材料から作られた第2の気体バリア金属層を有する。それにより、ボス部とドーム形キャップとの間に薄い気密表面が追加される。したがって、ボス組立体領域において第1の気体バリア金属層と第2の気体バリア金属層とを組み合わせることにより、より高い気密性を有する気体バリア金属層を前述の領域内に形成することが可能である。
【0033】
第1の金属材料および/または第2の金属材料は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鋼鉄、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiNx)、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、酸化チタン(TiO2)、酸化銅アルミニウム(CuAlO2、CuAl2O4)、およびそれらの合金からなる群から選択されることが好ましい。これは、気体バリア金属層が良好な破断伸び率も有しながら薄いものであることを可能にする。
【0034】
本発明によれば、
- 円筒形中央部を用意するステップと、
- ドーム形キャップに連結されたボス部を備えるボス組立体を用意するステップと、
- ボス組立体を円筒形中央部に連結して内部複合構造を形成するステップと、
- 内部複合構造の上に外部複合構造を製造するステップと、
- 内部複合構造の第1の内側表面上に、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第1の内側表面上に堆積される第1の金属材料から作られる第1の気体バリア金属層を適用するステップと、
を含む、V型圧力容器を製造する方法も提供される。
【0035】
本発明によれば、上述のV型圧力容器のための気密ボス組立体を製造する方法も提供される。この方法は、
- 第2の内側表面を有するドーム形キャップを用意するステップと、
- ドーム形キャップの第2の内側表面上に第2の気体バリア金属層を適用するステップであって、第2の気体バリア金属層が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第2の内側表面上に堆積される第2の金属材料から作られる、ステップと、
- 気密の態様でボス部をドーム形キャップに連結して気密ボス組立体を形成するステップと、
を含む。
【0036】
有利には、気密の態様でボス部をドーム形キャップに連結するステップは、
- ネック部を備えるボス部を用意するステップと、
- ボス部のネック部をシールおよびドーム形キャップの軸方向開口部に通すステップと、
- ドーム形キャップを第2の連結手段とシールとの間に挟むように第2の連結手段によりボス部をドーム形キャップに連結するステップと、
を含み得る。
【0037】
特定の例では、第2の連結手段は、ナットおよびネック部上に配置された雄ねじ山を備え、そのため、ボス部をドーム形キャップに連結するステップは、ドーム形キャップをナットとシールとの間に挟むようにナットをネック部の雄ねじ山上に螺合させることにある。
【0038】
代替的な実施形態では、気密の態様でボス部をドーム形キャップに連結するステップは、
- ボス部を用意するステップと、
- ボス部上に気密材料を堆積させるステップと、
- ボス部をドーム形キャップにおける軸方向開口部に通すステップと、
- ドーム形キャップを第2の連結手段と気密材料との間に挟むように第2の連結手段によりボス部をドーム形キャップに連結するステップと、
を含む。
【0039】
別の代替的な実施形態では、気密の態様でボス部をドーム形キャップに連結するステップは、
- ボス部を用意するステップと、
- ボス部をドーム形キャップにおける軸方向開口部に通すステップと、
- ボス部とドーム形キャップとの間に空洞を作り出すように第2の連結手段によりボス部をドーム形キャップに連結するステップと、
- 空洞の内側に気密材料を注入するステップと、
を含む。
【0040】
特定の例では、気密材料は、ボス部に配置された穴を通して空洞に注入される。ボス部の穴は、続いて閉塞手段(例えば、ねじ、栓)によって閉塞され得る。
【0041】
本発明によれば、上記で提示されたようなV型圧力容器を備える車両も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2a】従来技術による圧力容器の概略断面図である。
【
図2b】従来技術による圧力容器の概略断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による圧力容器の概略断面図である。
【
図4a】
図3に示された圧力容器の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図4b】
図3に示された圧力容器の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図4c】
図3に示された圧力容器の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図4d】
図3に示された圧力容器の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図4e】
図3に示された圧力容器の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図5a】ボス組立体の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図5b】ボス組立体の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図5c】ボス組立体の、その製造の一ステップにおける概略断面図である。
【
図6】
図5cに示されたボス組立体を備えた本発明による圧力容器の部分的な概略断面図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による圧力容器の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、特定の実施形態に関して、いくつかの図面を参照しながら説明されるが、本発明は、それらに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明される図面は、単に概略的なものであり、また、限定的なものではない。図面において、要素のうちのいくつかの大きさは、強調されている場合があり、また、例示の目的のために原寸通りに描かれていない場合がある。寸法および相対寸法は、本発明の実践のための実際の縮小に対応していない。
【0044】
本説明において、例えば第1の要素もしくは第2の要素、ならびに第1のパラメータおよび第2のパラメータ、または第1の基準および第2の基準などのように、特定の要素またはパラメータに指標を付けることが可能である。この場合、指標付けは、近いものであるが同一ではない要素またはパラメータまたは基準を識別しかつ命名するための単純な指標付けである。この指標付けは、1つの要素、パラメータ、または基準の別のものに対する優先度を意味するものではなく、本説明の範囲から逸脱することなしにそのような呼称を交換することは、容易である。この指標付けは、時間における順序も意味しない。
【0045】
特許請求の範囲において使用される「備えている、含んでいる(comprising)」という用語は、その後に挙げられる手段に制限されるものと解釈されるべきではないことに、気付くべきである。この用語は、他の要素またはステップを排除しない。したがって、この用語は、記載される特徴、完全体、ステップ、または構成要素の存在を指定するものであるが、1つもしくは複数の他の特徴、完全体、ステップ、または構成要素、あるいはこれらの群の存在あるいは追加を排除しないものとして解釈されるべきである。したがって、「手段AおよびBを備えているデバイス」という語句の範囲は、構成要素AおよびBのみで構成されたデバイスに限定されるべきではない。この語句は、本発明に関して、デバイスの単に関連する構成要素がAおよびBであることを意味する。
【0046】
図1は、高圧下で気体を収容するように構成されたV型圧力容器1を備えた燃料電池電気車両2を表す。この例では、V型圧力容器1は、車両2の燃料電池に動力を与えるための二水素ガスを収容する。「圧力容器」という語句は、700バールまで上昇する内圧に耐えることが可能な、圧力下で気体を貯蔵するように意図された容器を意味する。例えば、圧力容器は、国際連合によって発行された非特許文献1に準拠し得る。
【0047】
図2bは、内側表面21’を有する外部複合構造10’を備えた既知のV型圧力容器1’を表し、内側表面21’は、内部気体貯蔵チャンバ30’を画定し、かつ、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して内側表面21’上に堆積された金属材料から作られた気体バリア金属層22’を有する。
【0048】
図2a~
図2bは、既知のV型圧力容器1’を製造する方法を示す。この方法は、
- 外部複合構造10’を用意するステップと、
- 外部複合構造10’の内側表面21’上に気体バリア金属層22’を適用するステップであって、気体バリア金属層22’が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して内側表面21’上に堆積される金属材料から作られる、ステップと、
を含む。
【0049】
図3は、本発明の1つの実施形態によるV型圧力容器1を表す。V型圧力容器1は、内部複合構造20を取り囲むかまたは包み込む外部複合構造10を備える。内部複合構造20は、
- 内部気体貯蔵チャンバ30を画定する第1の内側表面21と、
- プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第1の内側表面21上に堆積された第1の金属材料から作られた第1の気体バリア金属層22と、
- 円筒形中央部24と、
- 第1の連結手段(図示せず)により円筒形中央部24に連結されたボス組立体23であって、ドーム形キャップ26、および、第2の連結手段(図示せず)によりドーム形キャップ26に連結されたボス部25を備える、ボス組立体23と、
を具備する。
【0050】
図3に示された実施形態では、内部複合構造20は、互いに連結された3つの別々の要素で作られている。3つの別々の要素は、2つのドーム形キャップ26および1つの円筒形中央部24であり、各ドーム形キャップ26は、ベース部26a(
図4bおよび
図5a参照)を備える。ボス組立体23は、ベース部26aを通じて円筒形中央部24の軸方向端部に連結される。この実施形態では、2つの第1の連結手段が存在し、一方の第1の連結手段は、円筒形中央部24の一方の軸方向端部と一方のドーム形キャップ26のベース部26aとの間の境界面に配置されており、他方の第1の連結手段は、円筒形中央部24の他方の軸方向端部と他方のドーム形キャップ26のベース部26aとの間の境界面に配置されている。
【0051】
好ましい実施形態では、外部複合構造10は、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される。繊維強化複合材料は、熱硬化性樹脂母材を含むことが好ましい。
【0052】
円筒形中央部24は、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成されることが好ましい。
【0053】
ドーム形キャップ26は、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成されることが好ましい。
【0054】
特に好ましい1つの実施形態では、ボス部25は、内部気体貯蔵チャンバ30内への気体の充填および内部気体貯蔵チャンバ30からの気体の放出のための気体連通ポートを提供する軸方向円筒形中空部分25bを含むネック部25aを備えた極性ボスである。
【0055】
図5aおよび
図5bの例では、ドーム形キャップ26は、第2の内側表面27を有し、第2の内側表面27は、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第2の内側表面27上に堆積された第2の金属材料から作られた第2の気体バリア金属層28を有する。
【0056】
第1の金属材料および/または第2の金属材料は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鋼鉄、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化チタン(TiNx)、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、酸化チタン(TiO2)、酸化銅アルミニウム(CuAlO2、CuAl2O4)、およびそれらの合金からなる群から選択されることが好ましい。
【0057】
有利には、外部複合構造10のためであるか、円筒形中央部24のためであるか、またはドーム形キャップ26のためであるかに関わらず、繊維強化複合材料は、例えば樹脂注入プロセス、または一般にRTMプロセスと呼ばれる樹脂トランスファー成形プロセスにより、敷設された後で事前含浸されて硬化されるか、または事前含浸されずに含浸され得る。そのようなプロセスの間、複合材料の硬化は、複合材料が樹脂注入ツールまたは樹脂トランスファー型の内側に留まっている間に行われる。RTMプロセスは、内部応力の減少を伴って外部複合構造10、円筒形中央部24、またはドーム形キャップ26の特に滑らかな外側表面を得ることを可能にすることが、留意されるべきである。
【0058】
図4aから
図4eに示されるように、本発明はまた、上記のV型圧力容器1を製造する方法に関する。この方法は、
- 円筒形中央部24を用意するステップと、
- ドーム形キャップ26に連結されたボス部25を備えるボス組立体23を用意するステップと、
- ボス組立体23を円筒形中央部24に連結して内部複合構造20を形成するステップと、
- 内部複合構造20の上に外部複合構造10を製造するステップと、
- 内部複合構造20の第1の内側表面21上に、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第1の内側表面21上に堆積される第1の金属材料から作られる第1の気体バリア金属層22を適用するステップと、
を含む。
【0059】
図5aから
図5cに示されるように、本発明はまた、上記のV型圧力容器1のためのボス組立体23を製造する方法に関する。この方法は、
- 第2の内側表面27を有するドーム形キャップ26を用意するステップと、
- ドーム形キャップ26の第2の内側表面27上に第2の気体バリア金属層28を適用するステップであって、第2の気体バリア金属層28が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して第2の内側表面27上に堆積される2の金属材料から作られる、ステップと、
- 気密の態様でボス部25をドーム形キャップ26に連結するステップと、
を含む。
【0060】
有利には、気密の態様でボス部25をドーム形キャップ26に連結するステップは、
- 雄ねじ山を有するネック部25aを備えたボス部25を用意するステップと、
- ボス部25のネック部25aをシール29およびドーム形キャップ26における軸方向開口部に通すステップと、
- ドーム形キャップ26をナット25cとシール29との間に挟むようにナット25cをネック部25aの雄ねじ山上に螺合させるステップと、を含む。この例では、ナット25cは、ネック部25a上の雄ねじ山と一緒に、第2の連結手段を構成する。
【0061】
図6は、V型圧力容器1の外部複合構造10の一部分とともに
図5cのボス組立体23を示す。
【0062】
図7は、本発明の別の実施形態によるV型圧力容器1を表す。この実施形態では、円筒形中央部24は、2つの円筒形部24aから形成される。ボス組立体23は、ボス組立体23が円筒形部24aを通じて円筒形中央部24に連結されるように、ドーム形キャップ26のベース部26aに接続される円筒形部24aを備える。示された例では、内部複合構造20は、互いに連結された2つの別々の要素で作られている。2つの別々の要素は、2つの相補的な半体であり、各半体は、ベース部26aを有するドーム形キャップ26と、ベース部26aから半体の端部24bまで軸方向に延在する円筒形部24aと、を備え、一方の半体の端部24bは、2つの円筒形部24aの間の境界面に配置された一方の第1の連結手段により、他方の半体の端部24bに連結される。
【0063】
有利には、各半体は、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される。
【0064】
繊維強化複合材料は、熱硬化性樹脂母材を含むことが好ましい。
【0065】
図8は、
図7に示されたV型圧力容器の構造の変形形態を表す。この実施形態では、2つの円筒形部24aの間の境界面に配置された第1の連結手段は、管状部材5によって補強される。管状部材5は、プラスチック材料で作られ、外側表面、内側表面、および2つの径方向表面を備える。第1の内側表面21は、管状部材5の内側表面、およびその2つの径方向表面を含む。
【0066】
有利には、管状部材5と2つの円筒形部24aとの間に空洞が設けられる(図示せず)。2つの円筒形部24aの間の境界面において円筒形中央部24の気密性を得るために、空洞内に気密材料が注入される。気密材料は、円筒形中央部24の外側から空洞内に注入される。
【0067】
【0068】
本明細書の上記の実施形態は、説明に役立つものであり、制限的な実施形態ではない。当然ながら、本発明の多くの修正および変形が、本発明の発明概念から逸脱することなしに、上記の教示を踏まえて可能である。したがって、本発明は、具体的に説明されたのとは違った風に実践され得ることが、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0069】
1、1’ V型圧力容器
2 燃料電池電気車両
5 管状部材
10、10’ 外部複合構造
20 内部複合構造
21 第1の内側表面
21’ 内側表面
22 第1の気体バリア金属層
22’ 気体バリア金属層
23 ボス組立体
24 円筒形中央部
24a 円筒形部
24b 端部
25 ボス部
25a ネック部
25b 軸方向円筒形中空部分
25c ナット
26 ドーム形キャップ
26a ベース部
27 第2の内側表面
28 第2の気体バリア金属層
29 シール
30、30’ 内部気体貯蔵チャンバ
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部複合構造(20)を取り囲むかまたは包み込む外部複合構造(10)を備えるV型圧力容器(1)であって、前記内部複合構造(20)が、
内部気体貯蔵チャンバ(30)を画定する第1の内側表面(21)と、
プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第1の内側表面(21)上に堆積された第1の金属材料から作られた第1の気体バリア金属層(22)と、
円筒形中央部(24)と、
を備え、
前記内部複合構造(20)が、
第1の連結手段により前記円筒形中央部(24)に連結されるボス組立体(23)であって、ドーム形キャップ(26)、および、第2の連結手段により前記ドーム形キャップ(26)に連結されたボス部(25)を備える、ボス組立体(23)
を具備することを特徴とする、V型圧力容器(1)。
【請求項2】
前記ドーム形キャップ(26)が、ベース部(26a)を備え、前記ボス組立体(23)が、前記ベース部(26a)を通じて前記円筒形中央部(24)に連結される、請求項1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項3】
前記円筒形中央部(24)が、少なくとも2つの円筒形部(24a)から形成され、前記ボス組立体(23)が、前記ドーム形キャップ(26)のベース部(26a)に接続される円筒形部(24a)を備え、その結果、前記ボス組立体(23)が、円筒形部(24a)を通じて前記円筒形中央部(24)に連結される、請求項1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項4】
前記外部複合構造(10)が、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される、請求項
1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項5】
前記円筒形中央部(24)が、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される、請求項
1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項6】
前記ドーム形キャップ(26)が、繊維強化複合材料の層の巻回物で構成される、請求項
1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項7】
前記繊維強化複合材料が、熱硬化性樹脂および熱可塑性ポリマーからなる群から選択された母材を含み、好ましくは、前記繊維強化複合材料が、熱硬化性樹脂母材を含む、請求項
4に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項8】
前記ボス部(25)が、前記内部気体貯蔵チャンバ(30)内への気体の充填および前記内部気体貯蔵チャンバ(30)からの前記気体の放出のための気体連通ポートを提供する軸方向円筒形中空部分(25b)を含むネック部(25a)を備えた極性ボスである、請求項
1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項9】
前記ドーム形キャップ(26)が、第2の内側表面(27)を有し、前記第2の内側表面(27)が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第2の内側表面(27)上に堆積された第2の金属材料から作られた第2の気体バリア金属層(28)を有する、請求項
1に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項10】
前記第1の金属材料および/または前記第2の金属材料が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鋼鉄、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化チタン(TiN
x)、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭窒化ジルコニウム(ZrCN)、酸化チタン(TiO
2)、酸化銅アルミニウム(CuAlO
2、CuAl
2O
4)、およびそれらの合金からなる群から選択される、請求
項9に記載のV型圧力容器(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)を製造する方法であって、
円筒形中央部(24)を用意するステップと、
ドーム形キャップ(26)に連結されたボス部(25)を備えるボス組立体(23)を用意するステップと、
前記ボス組立体(23)を前記円筒形中央部(24)に連結して内部複合構造(20)を形成するステップと、
前記内部複合構造(20)の上に外部複合構造(10)を製造するステップと、
前記内部複合構造(20)の第1の内側表面(21)上に、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第1の内側表面(21)上に堆積される第1の金属材料から作られる第1の気体バリア金属層(22)を適用するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)のための気密ボス組立体(23)を製造する方法であって、
第2の内側表面(27)を有するドーム形キャップ(26)を用意するステップと、
前記ドーム形キャップ(26)の前記第2の内側表面(27)上に第2の気体バリア金属層(28)を適用するステップであって、前記第2の気体バリア金属層(28)が、プラズマベース金属堆積プロセスを使用して前記第2の内側表面(27)上に堆積される第2の金属材料から作られる、ステップと、
気密の態様でボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結して気密ボス組立体(23)を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
気密の態様で前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結する前記ステップが、
ネック部(25a)を備えるボス部(25)を用意するステップと、
前記ボス部(25)の前記ネック部(25a)をシール(29)および前記ドーム形キャップ(26)の軸方向開口部に通すステップと、
前記ドーム形キャップ(26)を前記第2の連結手段と前記シール(29)との間に挟むように前記第2の連結手段により前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
気密の態様で前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結する前記ステップが、
ボス部(25)を用意するステップと、
前記ボス部(25)上に気密材料を堆積させるステップと、
前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)における軸方向開口部に通すステップと、
前記ドーム形キャップ(26)を前記第2の連結手段と前記気密材料との間に挟むように前記第2の連結手段により前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
気密の態様で前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結する前記ステップが、
ボス部(25)を用意するステップと、
前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)における軸方向開口部に通すステップと、
前記ボス部(25)と前記ドーム形キャップ(26)との間に空洞を作り出すように前記第2の連結手段により前記ボス部(25)を前記ドーム形キャップ(26)に連結するステップと、
前記空洞の内側に気密材料を注入するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載のV型圧力容器(1)を備える、車両。
【国際調査報告】