(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】セルロース系材料-重合体複合材用のケイ素及び亜鉛含有カップリング剤
(51)【国際特許分類】
C08L 97/02 20060101AFI20241008BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241008BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20241008BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20241008BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20241008BHJP
C08K 5/05 20060101ALI20241008BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241008BHJP
C08K 3/16 20060101ALI20241008BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20241008BHJP
C08L 5/08 20060101ALI20241008BHJP
C08G 81/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C08L97/02
C08L101/00
C08K5/54
C08K3/38
C08K5/09
C08K5/05
C08K3/22
C08K3/16
C08L1/00
C08L5/08
C08G81/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521211
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022045617
(87)【国際公開番号】W WO2023059592
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ピー・パヴレック
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・アール・ドゥルズネスキー
(72)【発明者】
【氏名】レナード・エイチ・パリス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ビー・エイブラムズ
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・デスポトポーロウ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J031
【Fターム(参考)】
4J002AA00W
4J002DD037
4J002DD077
4J002DD087
4J002DE106
4J002DE247
4J002DF037
4J002DK009
4J002EC077
4J002EG047
4J002EK006
4J002EK036
4J002EK046
4J002EK056
4J002EK066
4J002EK086
4J002EV157
4J002EV257
4J002EX018
4J002EX038
4J002EX078
4J002FD01X
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002FD209
4J002GC00
4J002GL00
4J031AA02
4J031AA03
4J031AA08
4J031AA12
4J031AA13
4J031AA14
4J031AA20
4J031AA49
4J031AB06
4J031AC13
4J031AC15
4J031AE05
4J031AE08
4J031AF05
4J031AF10
4J031AF17
(57)【要約】
セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤配合物が提供される。この配合物は、(a)少なくとも1種の有機過酸化物と、(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種とを含む。カップリング剤配合物は、改善された強度及び老化特性を有する重合体マトリックスセルロース系材料複合材を製造する。改善された強度は、改善された剛性、靭性又は引張強さなどの物理的特性に関連し得る。カップリング剤配合物を利用したマスターバッチ、及びマスターバッチの製造方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤配合物であって、
(a)少なくとも1種の有機過酸化物と、
(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)次の構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種:
SiR
1R
2R
3R
4 (I)
(式中、R
1、R
2、R
3、又はR
4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、残りのR
1、R
2、R
3、又はR
4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。)と
を含む、カップリング剤配合物。
【請求項2】
(c)次の構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬:
SiR
5R
6R
7R
8 (II)
(式中、R
5、R
6、R
7、又はR
8は、不飽和を含まず、かつ、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、不飽和を含まないR
1、R
2、R
3、又はR
4基と同一であっても異なっていてもよい。)
をさらに含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項3】
式(I)の少なくとも1種のケイ素含有試薬を含み、かつ、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム十水和物、四ホウ酸ナトリウム五水和物、四ホウ酸ナトリウム無水和物、八ホウ酸二ナトリウム四水和物、八ホウ酸二ナトリウム無水和物、メタホウ酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム又はそれらの組み合わせの少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の亜鉛含有試薬が、
・Zn-O官能基を含む有機亜鉛化合物、
・Zn-O官能基と少なくとも1個の重合性置換基とを含む有機亜鉛化合物、
・Zn-O官能基と少なくとも1個の不飽和とを含む有機亜鉛化合物、
・非有機酸化亜鉛若しくはその水和物、
・ハロゲン化亜鉛;又は
・これらの組み合わせ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項5】
前記構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬が、ビニル(アルコキシ)シラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン;ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン;ビニルトリアセトキシシラン;トリビニルメトキシシラン;トリビニルエトキシシラン;トリビニルイソプロポキシシラン、ジビニルジメトキシシラン;ジビニルジエチオキシシラン;ビニル(アルキル)シラン;ビニルトリメチルシラン;ビニルトリエチルシラン;ビニルトリイソプロピルシラン;ビニルトリブチルシラン;ジビニルジメチルシラン;ポリ(ビニル)シラン;ジビニルシラン;トリビニルシラン;テトラビニルシラン;(ビニル)(アルキル)(アルコキシ)シラン;ビニルジメチルエトキシシラン;ビニルメチルジエトキシシラン;1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン;1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン;1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン;ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン;1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサンテトラビニルジメチルジシロキサン;ビニル末端ポリジメチルシロキサン;1,4-ジビニル-1,1,4,4-テトラメチル-1,4-ジシラブタン;メチルビス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン;2-(ジメチルビニルシリル)ピリジン;トリス(2-メトキシエトキシ)(ビニル)シラン;トリアセトキシ(ビニル)シラン;トリス(トリメチルシロキシ)(ビニル)シラン;1-シクロペンテン-1-イル(トリメチル)シラン;トリメチル[(1Z)-1-プロピル-1-ブテニル]シラン;(5,5-ジメチル-1-シクロペンテン-1-イル)(トリメチル)シラン;トリメチル(6-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)シラン;(4-メトキシ-1-シクロヘキセン-1-イル)(トリメチル)シラン;トリメチル(4-メチル-1,5-シクロヘキサジエン-1-イル)シラン;トリメチル(5-メチル-1,5-シクロヘキサジエン-1-イル)シラン;(6,6-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)(トリメチル)シラン;アリル(メチル)1-ナフチル(フェニル)シラン;トリメチル(1-フェニル-2-プロペニル)シラン;2-シクロオクテン-1-イル(トリメチル)シラン;トリメチル[(2E)-3-フェニル-2-プロペニル]シラン;トリメチル[2-[(トリメチルシリル)メチル]-2-プロペニル]シラン;トリメチル(3-フェニル-2-シクロヘキセン-1-イル)シラン;t-ブチルジメチル(2-プロピニルオキシ)シラン;ジメチル-ジ(メタクロイルオキシ-1-エトキシ)シラン;トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン;トリメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン;(2-メチル-アリル)-トリフェニル-シラン;(1-ヒドロキシ-アリル)-トリ-メチル-シラン;(3-メチル-3-ブテニル)(トリフェニル)シラン;1-シクロドデセン-1-イル(メチル)シラン;1-シクロヘプテン-1-イル(トリメチル)シラン;[2-(シクロヘキシルメチル)-2-プロペニル](トリメチル)シラン;2-シクロヘキセン-1-イル(トリメチル)シラン;ビス(ペンタフルオロフェニル)メチル(α-スチリル)シラン;t-ブチル(ジメチル)[(2E)-2,4-ペンタジエニルオキシ]シラン;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項6】
前記構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬が、テトラ(アルコキシ)シラン;テトラメトキシシラン;テトラエトキシシラン;テトライソプロポキシシラン;テトラブトキシシラン;(アルキル)(アルコキシ)シラン;メチルトリス(メトキシ)シラン;メチルトリス(エトキシ)シラン;メチルトリス(イソプロポキシ)シラン;エチルトリス(メトキシ)シラン;エチルトリス(エトキシシラン);エチルトリス(イソプロポキシ)シラン;プロピルトリス(メトキシ)シラン;プロピルトリス(エトキシシラン);プロピルトリス(イソプロポキシ)シラン;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のカップリング剤配合物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の有機過酸化物が98℃で少なくとも1時間の半減期を有する、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の有機過酸化物が少なくとも1種の官能化有機過酸化物を含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の有機過酸化物が、ジアシルペルオキシド;ペルオキシエステル;モノペルオキシカーボネート;ペルオキシケタール;ジアルキルペルオキシド;t-ブチルペルオキシド;t-アミルペルオキシド;カルボン酸官能化ペルオキシド、ヒドロキシル官能化ペルオキシド、フリーラジカル反応性不飽和基を有する官能化ペルオキシド;3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,2,4,5,7,8-ヘキソキソナン、3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン、t-ブチルペルオキシマレイン酸、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の亜鉛含有試薬が、ジアクリル酸亜鉛;ジ(メタ)アクリル酸亜鉛;モノアクリル酸亜鉛;モノメタクリル酸亜鉛;亜鉛アルコキシド;亜鉛メトキシド;亜鉛エトキシド;亜鉛イソプロポキシド;亜鉛メトキシエトキシド;カルボン酸亜鉛;亜鉛ビス(アセテート);亜鉛ビス(2-エチルヘキサノエート);亜鉛ビス(ネオデカノエート);亜鉛ビス(シクロヘキサンブチレート);ナフテン酸亜鉛;ウンデシレン酸亜鉛;オキソ[ヘキサ(トリフルオロアセタト)]テトラ亜鉛;亜鉛(アセチルアセトネート);亜鉛ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト);亜鉛ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート);ギ酸亜鉛;酸化亜鉛;ジチオジカルバミン酸亜鉛;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛;ハロゲン化亜鉛;塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛;スルホン酸亜鉛;炭酸亜鉛;硝酸亜鉛;亜鉛水和物;亜鉛テトラヒドロフラン付加物;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン付加物;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカップリング剤配合物。
【請求項11】
セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤マスターバッチであって、
(a)少なくとも1種の有機過酸化物と、
(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)次の構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種:
SiR
1R
2R
3R
4 (I)
(式中、R
1、R
2、R
3、又はR
4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、残りのR
1、R
2、R
3、又はR
4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。)と、
(c)前記カップリング剤マスターバッチ用の少なくとも1種のキャリアと
を含む、カップリング剤マスターバッチ。
【請求項12】
(d)次の構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬:
SiR
5R
6R
7R
8 (II)
(式中、R
5、R
6、R
7、又はR
8は、不飽和を含まず、かつ、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、不飽和を含まないR
1、R
2、R
3、又はR
4基と同一であっても異なっていてもよい。)
をさらに含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項13】
前記カップリング剤マスターバッチ用の少なくとも1種のキャリアが、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ヒュームドシリカ、パーライト、炭酸カルシウム、バージェスクレー、クレー、カオリンクレー、タルク、水酸化マグネシウム、石膏、沈降シリカ、セルロースアセテートブチレート(CAB)、微小セルロース、フライアッシュ、乾燥木粉、乾燥おがくず、乾燥藁粒子、ケイ酸カルシウム、シリカ、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項14】
前記(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬又はその組み合わせが、
・Zn-O官能基を含む有機亜鉛化合物、
・Zn-O官能基と少なくとも1個の重合性置換基とを含む有機亜鉛化合物、
・Zn-O官能基と少なくとも1個の不飽和とを含む有機亜鉛化合物、
・非有機酸化亜鉛若しくはその水和物、
・ハロゲン化亜鉛;又は
・これらの組み合わせ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項15】
前記少なくとも1種の有機過酸化物が98℃で少なくとも1時間の半減期を有する、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項16】
前記少なくとも1種の有機過酸化物が少なくとも1種の官能化有機過酸化物を含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項17】
前記少なくとも1種の有機過酸化物が、ジアシルペルオキシド;ペルオキシエステル;モノペルオキシカーボネート;ペルオキシケタール;ジアルキルペルオキシド;t-ブチルペルオキシド;t-アミルペルオキシド;カルボン酸官能化ペルオキシド、ヒドロキシル官能化ペルオキシド、フリーラジカル反応性不飽和基を有する官能化ペルオキシド;3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,2,4,5,7,8-ヘキソキソナン、3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン、t-ブチルペルオキシマレイン酸、ビス(t-ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項18】
前記少なくとも1種の亜鉛含有試薬が、ジアクリル酸亜鉛;ジ(メタ)アクリル酸亜鉛;モノアクリル酸亜鉛;モノメタクリル酸亜鉛;亜鉛アルコキシド;亜鉛メトキシド;亜鉛エトキシド;亜鉛イソプロポキシド;亜鉛メトキシエトキシド;カルボン酸亜鉛;亜鉛ビス(アセテート);亜鉛ビス(2-エチルヘキサノエート);亜鉛ビス(ネオデカノエート);亜鉛ビス(シクロヘキサンブチレート);ナフテン酸亜鉛;ウンデシレン酸亜鉛;オキソ[ヘキサ(トリフルオロアセタト)]テトラ亜鉛;亜鉛(アセチルアセトネート);亜鉛ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト);亜鉛ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート);ギ酸亜鉛;酸化亜鉛;ジチオジカルバミン酸亜鉛;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛;ハロゲン化亜鉛;塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛;スルホン酸亜鉛;炭酸亜鉛;硝酸亜鉛;亜鉛水和物;亜鉛テトラヒドロフラン付加物;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン付加物;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項19】
前記構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬が、ビニル(アルコキシ)シラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン;ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン;ビニルトリアセトキシシラン;トリビニルメトキシシラン;トリビニルエトキシシラン;トリビニルイソプロポキシシランジビニルジメトキシシラン;ジビニルジエチオキシシラン;ビニル(アルキル)シラン;ビニルトリメチルシラン;ビニルトリエチルシラン;ビニルトリイソプロピルシラン;ビニルトリブチルシラン;ジビニルジメチルシラン;ポリ(ビニル)シラン;ジビニルシラン;トリビニルシラン;テトラビニルシラン;(ビニル)(アルキル)(アルコキシ)シラン;ビニルジメチルエトキシシラン;ビニルメチルジエトキシシラン;1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン;1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン;1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン;ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン;1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサンテトラビニルジメチルジシロキサン;ビニル末端ポリジメチルシロキサン;1,4-ジビニル-1,1,4,4-テトラメチル-1,4-ジシラブタン;メチルビス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン;2-(ジメチルビニルシリル)ピリジン;トリス(2-メトキシエトキシ)(ビニル)シラン;トリアセトキシ(ビニル)シラン;トリス(トリメチルシロキシ)(ビニル)シラン;1-シクロペンテン-1-イル(トリメチル)シラン;トリメチル[(1Z)-1-プロピル-1-ブテニル]シラン;(5,5-ジメチル-1-シクロペンテン-1-イル)(トリメチル)シラン;トリメチル(6-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)シラン;(4-メトキシ-1-シクロヘキセン-1-イル)(トリメチル)シラン;トリメチル(4-メチル-1,5-シクロヘキサジエン-1-イル)シラン;トリメチル(5-メチル-1,5-シクロヘキサジエン-1-イル)シラン;(6,6-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)(トリメチル)シラン;アリル(メチル)1-ナフチル(フェニル)シラン;トリメチル(1-フェニル-2-プロペニル)シラン;2-シクロオクテン-1-イル(トリメチル)シラン;トリメチル[(2E)-3-フェニル-2-プロペニル]シラン;トリメチル[2-[(トリメチルシリル)メチル]-2-プロペニル]シラン;トリメチル(3-フェニル-2-シクロヘキセン-1-イル)シラン;t-ブチルジメチル(2-プロピニルオキシ)シラン;ジメチル-ジ(メタクロイルオキシ-1-エトキシ)シラン;トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン;トリメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン;(2-メチル-アリル)-トリフェニル-シラン;(1-ヒドロキシ-アリル)-トリ-メチル-シラン;(3-メチル-3-ブテニル)(トリフェニル)シラン;1-シクロドデセン-1-イル(メチル)シラン;1-シクロヘプテン-1-イル(トリメチル)シラン;[2-(シクロヘキシルメチル)-2-プロペニル](トリメチル)シラン;2-シクロヘキセン-1-イル(トリメチル)シラン;ビス(ペンタフルオロフェニル)メチル(α-スチリル)シラン;t-ブチル(ジメチル)[(2E)-2,4-ペンタジエニルオキシ]シラン;又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項20】
前記構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬が、テトラ(アルコキシ)シラン;テトラメトキシシラン;テトラエトキシシラン;テトライソプロポキシシラン;テトラブトキシシラン;(アルキル)(アルコキシ)シラン;メチルトリス(メトキシ)シラン;メチルトリス(エトキシ)シラン;メチルトリス(イソプロポキシ)シラン;エチルトリス(メトキシ)シラン;エチルトリス(エトキシシラン);エチルトリス(イソプロポキシ)シラン;プロピルトリス(メトキシ)シラン;プロピルトリス(エトキシシラン);プロピルトリス(イソプロポキシ)シラン;及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のカップリング剤マスターバッチ。
【請求項21】
組成物であって、
(a)少なくとも1種の有機過酸化物又はその分解生成物又はその残渣であって、前記少なくとも1種の有機過酸化物が98℃で少なくとも1時間の半減期を有するものと、
(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬若しくはその残渣若しくはその反応生成物;及び/又は(ii)次の構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬若しくはその残渣若しくはその反応生成物のうちの少なくとも1種:
SiR
1R
2R
3R
4 (I)
(式中、R
1、R
2、R
3、又はR
4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、残りのR
1、R
2、R
3、又はR
4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。)と、
(c)任意に、次の構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬:
SiR
5R
6R
7R
8 (II)
(式中、R
5、R
6、R
7、又はR
8は、不飽和を含まず、かつ、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、不飽和を含まないR
1、R
2、R
3、又はR
4基と同一であっても異なっていてもよい。)と、
(d)少なくとも1種の重合体マトリックスと、
(e)木材粒子、木材製品粒子、木粉、おがくず、籾殻粉、藁粉、藁繊維、麦わら、竹繊維、亜麻、ジュート、麻、セルロース、粉砕木材、パーム繊維、バガス、ピーナッツ殻、キチン、ケナフ繊維、紙屑、段ボール、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む少なくとも1種の充填剤と
を含む組成物。
【請求項22】
セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤マスターバッチの製造方法であって、次の工程:
(A)次のもの:
(a)少なくとも1種の有機過酸化物、
(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)次の構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種:
SiR
1R
2R
3R
4 (I)
(式中、R
1、R
2、R
3、又はR
4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、残りのR
1、R
2、R
3、又はR
4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。)、及び
(c)任意に、次の構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬:
SiR
5R
6R
7R
8 (II)
(式中、R
5、R
6、R
7、又はR
8は、不飽和を含まず、かつ、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、不飽和を含まないR
1、R
2、R
3、又はR
4基と同一であっても異なっていてもよい。)
を混合して、セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤配合物を形成し;
(B)前記セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤配合物と、(e)前記カップリング剤マスターバッチ用の少なくとも1種のキャリアとを混合して、セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤マスターバッチを形成すること
を含む方法。
【請求項23】
セルロース系材料-重合体複合材の製造方法であって、次の工程:
(I)次のもの:
(A)請求項1に記載のセルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤;
(B)重合体マトリックス;及び
(C)充填剤
を含む成分を混合して、成分混合物を形成し;及び
(II)前記成分混合物を複合材に形成すること
を含む、セルロース系材料-重合体複合材の製造方法。
【請求項24】
工程(I)が、成分(A)、(B)及び(C)を押出機に供給する工程をさらに含み、工程(II)が、ダイを通して押出す工程を含む、請求項23に記載のセルロース系材料-重合体複合材の製造方法。
【請求項25】
セルロース系材料-重合体複合材の製造方法であって、次の工程:
(I)次のもの:
(A)請求項11に記載のセルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤マスターバッチ;
(B)重合体マトリックス;及び
(C)充填剤
を含む成分を混合して、成分混合物を形成し;及び
(II)前記成分混合物を複合材に形成すること
を含む、セルロース系材料-重合体複合材の製造方法。
【請求項26】
工程(I)が、成分(A)、(B)及び(C)を押出機に供給する工程をさらに含み、工程(II)が、ダイを通して押出す工程を含む、請求項25に記載のセルロース系材料-重合体複合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年10月6日に出願された米国特許出願第17/495051号の優先権を主張するものであり、その全内容はあらゆる目的のために参照により本明細書において援用される。
【0002】
発明の分野
本開示は、セルロース系材料-重合体複合材の特性を改善するためのカップリング剤配合物に関する。本技術は、このような重合体マトリックス複合材の充填剤としての木材又は木材製品などの様々なセルロース系材料に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
セルロース系材料(木粉など)と重合体との組み合わせを押出機で溶融ブレンドして木材に似せたボードを形成することは、セルロース系材料-重合体複合材のデッキ、フェンス、サイディングを製造するための商業的プロセスである。セルロース系材料及び重合体は互いに相容れない傾向がある。例えば、セルロース系材料-重合体複合材のデッキ、フェンス、サイディングは経年劣化を起こすことがあり、これは環境からの過剰な水分の取り込みが原因であることが多い。また、この種の複合材はクリープ、すなわち一定期間にわたって材料がゆっくりと曲がっていく現象に悩まされる傾向がある。クリープは、フェンスやサイディングのような垂直用途で悪化する。この不相溶性の問題を解決するための現在の手法は、市販の無水マレイン酸グラフト重合体をセルロース系材料-重合体マトリックスブレンドに取り入れることである。無水マレイン酸グラフトポリエチレン(MAH-g-PE)又は無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(MAH-g-PP)重合体は、高分子相溶化剤又は高分子カップリング剤と呼ばれており、高価な場合がある。商業的に知られているマレイン化ポリオレフィンとしては、Chemtura社製のPolybond(登録商標)シリーズ、Du Pont社製のFusabond(登録商標)シリーズ、ExxonMobil社製のExxelor(登録商標)シリーズ、アーケマ社製のOrevac(登録商標)シリーズなどが挙げられる。これらの添加剤では、フェンスやサイディングとして十分な剛性を持つ複合材料が得られない場合がある。さらに、相溶化剤に関する現在の技術の物性は、破断係数(MOR)で測定される破断抵抗性が十分ではなく、又はクリープに対する抵抗性に関連する係数で測定される剛性が得られない可能性がある。
【0004】
セルロース系材料とポリエチレン、ポリプロピレンその他の非極性重合体、又はそれらのブレンドとの相溶性に乏しいと、複合材ボードに亀裂が生じ、ボードの物性が低下し、吸水率が上昇する。吸水性は、複合材の老化特性、すなわち経時的な物性の保持を低下させる。機械的強度を高め、吸水性を低下させるカップリング添加剤、特に耐荷重用途、さらには、特に、外部環境に曝される当該耐荷重用途、例えば、屋外デッキ、フェンス又はサイディングに使用されることを目的とする木材-重合体複合材ボードなどのセルロース系材料-重合体複合材用のカップリング添加剤に対する要望がある。
【0005】
米国特許出願公開第2020/0056020号には、木材重合体複合材用のキャップストック樹脂が記載されている。建築材料は、追加工程、すなわち、エチレンプロピレンジアミン単量体(EPDM)、木材充填剤、PE、クレー及びt-ブチルペルオキシベンゾエートにスタンド油中間生成物を添加し、混合した後、シート状にプレスし、140℃で硬化させた、木材-重合体複合材コアを有するキャップストックから構成することができる。
【0006】
米国特許第7,850,771号には、木材防腐剤組成物を構成する、ポリエチレンワックス、木材防腐剤、及び桐油、亜麻仁油、アクリル酸、有機酸などの任意の薬剤の水性エマルションを、フリーラジカル開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及び過酸化水素を使用して製造することが記載されている。この米国特許には、AIBN、過酸化水素又は過硫酸カリウムで硬化可能なアクリル酸アルキルを使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0056020号明細書
【特許文献2】米国特許第7,850,771号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特にデッキ、フェンス、サイディングなどの屋外用途において、従来の木材の代わりに使用するのに好適な耐老化性及び物性を有するセルロース系材料-重合体複合材用の、費用対効果が高く使いやすいカップリング剤に対する要望が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明者は、有機過酸化物と、亜鉛含有試薬若しくはケイ素含有試薬の少なくとも一方又は両者の組み合わせとを含む特定の配合物によって、充填剤としてセルロース系材料(木材など)との重合体マトリックス複合材用のカップリング剤が得られることを見出した。この配合物は費用効果が高く、セルロース系材料-重合体複合材に、改善された水の取り込み、破断係数及び剛性(高弾性率)を付与する。
【0010】
セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤配合物を提供する。この配合物は、次の成分を含み、次の成分からなり、又は次の成分から本質的になる:
(a)少なくとも1種の有機過酸化物であって、98℃で少なくとも1時間の半減期を有する有機過酸化物;及び
(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)次の構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種:
SiR1R2R3R4 (I)。
【0011】
構造(I)において、R1、R2、R3、又はR4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、不飽和からなり又は不飽和から本質的になり、残りのR1、R2、R3、又はR4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。
【0012】
また、木材及び/又は他のセルロース系材料を充填剤とする重合体マトリックス複合材用カップリング剤のマスターバッチも提供する。マスターバッチは、上記のカップリング剤配合物及び好適なキャリアを含み、これらからなり、又はこれらから本質的になる。典型的には、マスターバッチは粉末状又はペレット状の固体として提供される。マスターバッチの製造方法、ならびにセルロース系材料-重合体複合材の製造方法も開示する。
【0013】
要約すると、セルロース系材料及び重合体に対して、別々に又はマスターバッチとして添加できるカップリング剤配合物が開示される。その後、この最終組成物を溶融ブレンド及び押出成形して、例えばセルロース系材料-重合体複合材のデッキボード、フェンス又はサイディングを形成する。
【0014】
一実施形態において、カップリング剤は、セルロース系材料-重合体複合材配合物における従来の高分子グラフトMAH相溶化剤を完全に置き換えることができる。別の実施形態において、カップリング剤配合物は、セルロース系材料-重合体複合材における従来の高分子MAHカップリング剤を部分的に置き換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示又はその適用若しくは用途を限定することを意図するものではない。
【0016】
特に断りのない限り、本明細書におけるパーセンテージは全て重量パーセントである。
【0017】
本明細書で使用するときに、「重合体」とは、ゲル透過クロマトグラフィーで測定したときに、重量平均分子量が20,000g/molよりも高い、好ましくは50,000g/molよりも高いの有機分子を含むことを意味する。
【0018】
セルロース系材料-重合体複合材用のセルロース系充填剤に関して本明細書で使用するときに、用語「乾燥」とは、セルロース系充填剤を103℃で加熱したときに一定の質量が達成されるまで、熱重量分析によって重量損失として測定される0重量%~1重量%~2重量%、ただし5重量%以下の水分を意味する。この方法は、Philipp Dietsch外「Methods to determine wood moisture and their applicability in monitoring concepts」([Journal of Civil Structural Health Monitoring;Vol5,p.115-127(2015)])に記載されている。さらに、KJ Industry社の「おがくず水分計TK100W」と呼ばれる装置は、水分測定範囲が0重量%~84重量%である。この装置は、木粉、おがくず、ペーラス、竹粉など、様々なセルロース系材料の含水量測定に使用できる。
【0019】
本明細書で使用するときに、「カップリング剤」とは、セルロース系材料及び重合体マトリックスの両方と反応することのできる1種の物質又は複数の物質の組み合わせ、あるいは重合体マトリックスとセルロース系材料とのブレンド又は複合材の形成を促進し、当該ブレンド又は複合材が、カップリング剤を含まない同様のブレンド又は複合材と比較して改善された特性を有するような1種の物質又は複数の物質の組み合わせを意味する。
【0020】
本明細書で使用するときに、「マスターバッチ」とは、組成物の大きなバルクに添加剤を正確に分けるために使用される、高濃度の添加剤が存在する配合物を意味する。
【0021】
様々な有機過酸化物についての1時間半減期の情報は、アーケマ社(Colombes Cedex)のLuperox(登録商標)Organic Peroxides/High Polymersカタログに記載されており、全ての目的のためにその全体が本明細書において援用される。98℃未満で1時間の半減期を有する有機過酸化物は、過酸化物が少なくとも1ヶ月間にわたって同じ温度で過酸化物アッセイの有意な損失を示さない場合にのみ、本明細書に開示される使用のために許容できる。半減期時間は、過酸化物の50%が所定の温度で分解した時間であり、半減期温度は、過酸化物の50%が所定の時間で分解した温度であり、「SAFETY AND HANDLING OF ORGANIC PEROXIDES:A Guide Prepared by the Organic Peroxide Producers Safety Division of Plastics Industry Association」,Plastics Industry Association,Inc.,OPPSD Bulletin AS-109(2018年8月)に記載されている。これは、全ての目的のためにその全体が本明細書において援用される。
【0022】
これらの複合材料の充填剤として使用される木粉若しくはおがくず又は他のセルロース系材料の含水率を下げることは重要である。特定のセルロース系材料、例えば木粉は、4重量%~6重量%以上の含水率(水分)を有する場合がある。好ましくは、乾燥後のセルロース系材料の含水率は4重量%未満、好ましくは約3重量%、より好ましくは約2重量%、さらに好ましくは約1重量%の含水率、さらに好ましくは約0.5重量%以下である。
【0023】
セルロース系材料として木粉を使用する場合、その粒度は通常80~40メッシュ(180~425μm)である。この典型的な範囲外の粒度、例えば20メッシュ(直径850μm又は0.85mm)までの使用も考慮できる。使用する場合、本発明の実施に使用される木粉及び/又はおがくずの種類は、幅広の葉を持つ落葉樹から採取された様々な硬質木型の木材、及び針葉樹又は円錐形の樹木から採取されたた軟質木型の木材から調達できる。
【0024】
本明細書において開示されるのは、少なくとも1種の亜鉛含有試薬及び/又は少なくとも1種のケイ素含有試薬を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になるカップリング剤配合物及びマスターバッチである。特に、本発明者は、少なくとも1種の亜鉛含有試薬及び/又は少なくとも1種のケイ素含有試薬を、官能化されていてもされていなくてもよい少なくとも1種の室温有機過酸化物、若しくは官能化されていてもされていなくてもよい少なくとも1種以上の室温有機過酸化物を含む有機過酸化物配合物、又はそれらの組み合わせと配合した、セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤組成物を見出した。
【0025】
重要なことに、本明細書に開示されるカップリング剤配合物は、少なくとも1種の亜鉛含有試薬及び少なくとも1種の有機過酸化物を含んでいてよく、これらからなっていてよく、又はこれらから本質的になっていてよい。カップリング剤配合物は、少なくとも1種のケイ素含有試薬及び少なくとも1種の有機過酸化物を含んでいてよく、これらからなっていてよく、又はこれらから本質的になっていてよい。本明細書に開示されるカップリング剤配合物は、少なくとも1種の亜鉛含有試薬、少なくとも1種のケイ素含有試薬及び少なくとも1種の有機過酸化物を含んでいてよく、これらからなっていてよく、又はこれらから本質的になっていてよい。亜鉛含有試薬の組み合わせ、ケイ素含有試薬の組み合わせ、及び有機過酸化物の組み合わせも考えられる。
【0026】
亜鉛含有試薬:
驚くべきことに、これらの亜鉛含有試薬は、ケイ素含有試薬と共に又はケイ素含有試薬なしで、カップリング剤として有機過酸化物と共に使用した場合に有効であった。本発明の実施に使用される亜鉛含有試薬は、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛;Zn-O官能性を有する亜鉛種;亜鉛アルコキシド;カルボン酸亜鉛;亜鉛(アセチルアセトネート);ギ酸亜鉛;又は酸化亜鉛を含むことができる。また、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛など、フリーラジカルに対して反応性の炭素-炭素二重結合を少なくとも1つ含む少なくとも1個の置換基を有する亜鉛含有試薬も好適である。本発明の実施形態で使用するのに好適な他の亜鉛含有試薬としては、亜鉛ハロゲン化物、ジチオジカルバミン酸亜鉛、スルホン酸亜鉛、亜鉛水和物、亜鉛テトラヒドロフラン付加物、又は亜鉛N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン付加物;又はそれらの組み合わせが挙げられる。好適な亜鉛含有試薬の具体例としては、ジアクリル酸亜鉛;ジメタクリル酸亜鉛;モノアクリル酸亜鉛;モノメタクリル酸亜鉛;亜鉛メトキシド;亜鉛エトキシド;亜鉛イソプロポキシド;亜鉛メトキシエトキシド;亜鉛ビス(アセテート);亜鉛ビス(2-エチルヘキサノエート);亜鉛ビス(ネオデカオネート);亜鉛ビス(シクロヘキサンブチレート);ナフテン酸亜鉛;ウンデシレン酸亜鉛;オキソ[ヘキサ(トリフルオロアセタト)]テトラ亜鉛;亜鉛ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト);亜鉛ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート);ギ酸亜鉛;酸化亜鉛;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛;塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛;スルホン酸亜鉛;炭酸亜鉛;硝酸亜鉛;亜鉛水和物;亜鉛テトラヒドロフラン付加物;亜鉛N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン付加物;又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
ジアクリル酸亜鉛;ジメタクリル酸亜鉛;モノアクリル酸亜鉛;モノメタクリル酸亜鉛;亜鉛メトキシド;亜鉛エトキシド;亜鉛イソプロポキシド;亜鉛メトキシエトキシド;亜鉛ビス(アセテート);亜鉛ビス(2-エチルヘキサノエート);亜鉛ビス(ネオデカオネート);亜鉛ビス(シクロヘキサンブチレート);ナフテン酸亜鉛;ウンデシレン酸亜鉛;オキソ[ヘキサ(トリフルオロアセタト)]テトラ亜鉛;亜鉛ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト);亜鉛ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート);ギ酸亜鉛;酸化亜鉛;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛;又はそれらの組み合わせが好ましい。ジアクリル酸亜鉛;ジメタクリル酸亜鉛;モノアクリル酸亜鉛;モノメタクリル酸亜鉛;又はそれらの組み合わせがさらに好ましい。ジアクリル酸亜鉛;ジメタクリル酸亜鉛;又はそれらの組み合わせがさらに好ましい。
【0028】
ケイ素含有試薬:
驚くべきことに、ケイ素含有試薬は、亜鉛含有試薬が存在する状態で又は亜鉛含有試薬が存在しない状態で有機過酸化物と共に使用した場合に、改善されたセルロース系材料-重合体複合材を提供することが分かった。少なくとも1種のケイ素含有試薬は次の構造(I)を有する:
SiR1R2R3R4 (I)。
【0029】
R1、R2、R3、又はR4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、少なくとも1つの不飽和からなり、又は少なくとも1つの不飽和から本質的になり、残りのR1、R2、R3、又はR4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。
【0030】
ケイ素含有試薬の例としては、不飽和ケイ素含有種;ビニル(アルコキシ)シラン;ビニル(アルキル)シラン;ポリ(ビニル)シラン;(ビニル)(アルキル)(アルコキシ)シラン;ビニル末端ポリジメチルシロキサン;アリルシラン;ビニルシランが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な化合物としては、ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン;ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン;ビニルトリアセトキシシラン;トリビニルメトキシシラン;トリビニルエトキシシラン;トリビニルイソプロポキシシラン;ジビニルジメトキシシラン;ジビニルジエトキシシラン;ビニルトリメチルシラン;ビニルトリエチルシラン;ビニルトリイソプロピルシラン;ビニルトリブチルシラン;ジビニルジメチルシラン;ジビニルシラン;トリビニルシラン;テトラビニルシラン;ビニルジメチルエトキシシラン;ビニルメチルジエトキシシラン;1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン;1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン;1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン;ビニルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン;1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン;テトラビニルジメチルジシロキサン;1,4-ジビニル-1,1,4,4-テトラメチル-1,4-ジシラブタン;メチルビス(トリメチルシリルオキシ)ビニルシラン;2-(ジメチルビニルシリル)ピリジン;トリス(2-メトキシエトキシ)(ビニル)シラン;トリアセトキシ(ビニル)シラン;トリス(トリメチルシロキシ)(ビニル)シラン;1-シクロペンテン-1-イル(トリメチル)シラン;トリメチル[(1Z)-1-プロピル-1-ブテニル]シラン;(5,5-ジメチル-1-シクロペンテン-1-イル)(トリメチル)シラン;トリメチル(6-メチル-1-シクロヘキセン-1-イル)シラン;(4-メトキシ-1-シクロヘキセン-1-イル)(トリメチル)シラン;トリメチル(4-メチル-1,5-シクロヘキサジエン-1-イル)シラン;トリメチル(5-メチル-1,5-シクロヘキサジエン-1-イル)シラン;(6,6-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)(トリメチル)シラン;アリル(メチル)1-ナフチル(フェニル)シラン;トリメチル(1-フェニル-2-プロペニル)シラン;2-シクロオクテン-1-イル(トリメチル)シラン;トリメチル[(2E)-3-フェニル-2-プロペニル]シラン;トリメチル[2-[(トリメチルシリル)メチル]-2-プロペニル]シラン;トリメチル(3-フェニル-2-シクロヘキセン-1-イル)シラン;t-ブチルジメチル(2-プロピニルオキシ)シラン;ジメチルジ(メタクロイルオキシ-1-エトキシ)シラン;トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン;トリメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン;(2-メチルアリル)トリフェニルシラン;(1-ヒドロキシアリル)トリメチルシラン;(3-メチル-3-ブテニル)(トリフェニル)シラン;1-シクロドデセン-1-イル(メチル)シラン;1-シクロヘプテン-1-イル(トリメチル)シラン;[2-(シクロヘキシルメチル)-2-プロペニル](トリメチル)シラン;2-シクロヘキセン-1-イル(トリメチル)シラン;ビス(ペンタフルオロフェニル)メチル(α-スチリル)シラン;t-ブチル(ジメチル)[(2E)-2,4-ペンタジエニルオキシ]シラン;又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
好ましい化合物は、ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン;ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン;ビニルトリアセトキシシラン;トリビニルメトキシシラン;トリビニルエトキシシラン;トリビニルイソプロポキシシラン;ジビニルジメトキシシラン;ジビニルジエトキシシラン;ビニルトリメチルシラン;ビニルトリエチルシラン;ビニルトリイソプロピルシラン;ビニルトリブチルシラン;ジビニルジメチルシラン;又はこれらの組み合わせである。より好ましくは、ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ-t-ブトキシシラン;又はそれらの組み合わせである。さらに好ましくは、ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;又はそれらの組み合わせである。
【0032】
これらの不飽和シラン試薬を2種類以上組み合わせて使用することもできる。
【0033】
任意に、少なくとも1種の飽和シラン化合物を、これらの飽和シラン種と併用することもできる。あまり好ましくない実施形態では、上記構造(I)を有する不飽和シランを含まない実施形態において、飽和シラン化合物を亜鉛含有試薬と共に含ませることもできる。これらの飽和シランは、次の構造(II)を有してもよい:
SiR5R6R7R8 (II)。
構造(II)において、R5、R6、R7、又はR8は、不飽和を含まず、不飽和からならず、又は不飽和から本質的にならず、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、構造(I)において不飽和を含まないR1、R2、R3、又はR4基と同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
構造(II)の飽和シラン試薬の例としては、テトラ(アルコキシ)シラン及び(アルキル)(アルコキシ)シランが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、及びテトラブトキシシラン;メチルトリス(メトキシ)シラン;メチルトリス(エトキシ)シラン;メチルトリス(イソプロポキシ)シラン;エチルトリス(メトキシ)シラン;エチルトリス(エトキシシラン);エチルトリス(イソプロポキシ)シラン;プロピルトリス(メトキシ)シラン;プロピルトリス(エトキシシラン);プロピルトリス(イソプロポキシ)シラン;又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。存在する場合、好ましいのは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン;メチルトリス(メトキシ)シラン;メチルトリス(エトキシ)シラン;メチルトリス(イソプロポキシ)シラン;エチルトリス(メトキシ)シラン;エチルトリス(エトキシシラン);エチルトリス(イソプロポキシ)シラン;又はそれらの組み合わせである。より好ましいのは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン;メチルトリス(メトキシ)シラン;メチルトリス(エトキシ)シラン;エチルトリス(メトキシ)シラン;エチルトリス(エトキシシラン);エチルトリス(イソプロポキシ)シラン;又はそれらの組み合わせである。さらに好ましいのは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン;メチルトリス(メトキシ)シラン;又はそれらの組み合わせである。
【0035】
ホウ素化合物と式(I)のケイ素含有試薬との組み合わせ:
任意に、カップリング剤配合物が式(I)の少なくとも1種のケイ素含有試薬を含む、当該ケイ素含有試薬からなる、又は当該ケイ素含有試薬から本質的になる場合、有利には、少なくとも1種のボレート又はホウ酸塩又はホウ酸試薬をさらに含み、さらにこれらからなり、又はこれらから本質的になることができる。
【0036】
例えば、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム十水和物、四ホウ酸ナトリウム五水和物、無水四ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸二ナトリウム四水和物、無水八ホウ酸二ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ホウ酸が好ましい。
【0037】
存在する場合、構造(I)のケイ素系試薬に対するホウ酸又はホウ酸塩の重量比は、10:1~1:10、又は2:1~1:8、又は1:1~1:6、又は1:3~1:5、又は1:3.5~1:4.5である。
【0038】
有機過酸化物:
有機過酸化物は、安全希釈剤として機能するミネラルスピリットやミネラルオイルなどの高沸点非芳香族化合物を含んでいてもよい。また、有機過酸化物配合物は、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ポリソルベート80、ポリプロピレングリコール、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0039】
有機過酸化物は、液体有機過酸化物であっても固体有機過酸化物であってもよいが、20℃で少なくとも1ヶ月間、好ましくは少なくとも3ヶ月間安定でなければならない(効力を保持しなければならない)。t-アミルペルオキシ型及びt-ブチルペルオキシ型の過酸化物の両方が、本開示の特定の実施形態において有用な場合がある。特に、好ましい有機過酸化物は、98℃超で1時間以上の半減期を有するものである。様々な有機過酸化物についての1時間半減期の情報は、アーケマ社(Colombes Cedex)発行のLuperox(登録商標)Organic Peroxides/High Polymersカタログに記載されており、その全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書において援用される。有機過酸化物の98℃における半減期は、希薄溶液の速度論から、過酸化物の部類又は種類について適宜ガス又は液体クロマトグラフィーによる直接過酸化物分析によって決定できる。固体有機過酸化物及び固体官能化有機過酸化物は、過酸化物の部類に応じて滴定、ガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーのいずれかによって直接決定されるときに、少なくとも1ヶ月、好ましくは3ヶ月での有意な%アッセイを失わないように、周囲20℃安定性を示すことができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、有機過酸化物配合物は、少なくとも1種の安定化剤、例えば、少なくとも1種のキノン型の化合物若しくは少なくとも1種のニトロキシド型の化合物又はこれらの組み合わせを含有することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のキノン化合物若しくは少なくとも1種のニトロキシド化合物又はこれらの組み合わせを含有する過酸化物配合物は、少なくとも1種のアリル化合物、より好ましくはジアリル化合物、さらにより好ましくはトリアリル化合物も含有して、アリル共剤として機能することができる。
【0041】
いくつかの実施態様において、官能化有機過酸化物は、室温で安定な過酸化物(すなわち、カルボン酸、フリーラジカルと反応可能な1つ以上の二重結合、メトキシ又はヒドロキシ官能基を有する98℃で少なくとも1時間の半減期を有するもの)から選択できる。好適な官能化過酸化物の例としては、アーケマ社からLuperox(登録商標)PNP-25という商品名で入手可能なt-ブチルペルオキシマレイン酸が挙げられるが、これに限定されない。このカルボン酸官能化有機過酸化物は、イタコン酸などの酸、その無水物及び/又はそのアリルエステルを含む、本明細書に開示した様々な添加剤とブレンドして使用することができる。カップリング剤配合物は、新規カップリング剤マスターバッチを作製するために、粒子状セルロース系材料、粒子状有機又は無機材料、例えば粒子状重合体、シリカ、クレー、乾燥木粉、乾燥おがくず、セルロースアセテートブチレート粉末などのキャリアをさらに含んでいてもよいが、これらに限定されない。これらのキャリアについては後で詳しく説明する。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態の実施において使用するのに好適な有機過酸化物は、室温で安定な有機過酸化物から選択できる。有機過酸化物は、液体形態、固体形態、固体フレーク、不活性充填剤上に伸展された固体粉末形態、溶融可能な固体形態、又は注型性ペースト形態であってもよい。これらの様々な過酸化物の形態は、本明細書に開示されるカップリング剤組成物において使用できる。好適な有機過酸化物は、例えば押出機内で熱源に曝されると分解して反応性フリーラジカルを形成することができる場合がある。
【0043】
セルロース系材料-重合体複合材用の亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤組成物の特定の実施形態における使用に好適な有機過酸化物は、カルボン酸、メトキシ又はヒドロキシ官能基を有する室温で安定な過酸化物から選択できる。本発明において、「室温で安定」とは、20℃で少なくとも3ヶ月経過しても分解していない、すなわちそのアッセイを保持している有機過酸化物を意味する。本発明において室温で安定な有機過酸化物は、98℃で少なくとも1時間の半減期を有するものと定義できる。この規則の例外は、ジアシル固体過酸化物に適用される:ジベンゾイルペルオキシド;2、4-ジクロロベンゾイルペルオキシド;又はp-メチルジベンゾイルペルオキシドなどの非限定的な例は、周囲温度20℃で熱的に安定であるが、98℃で1時間よりも短い半減期を有する。
【0044】
好適な有機過酸化物の部類の例としては、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、モノペルオキシカーボネート、ペルオキシケタール、ヘミペルオキシケタール、周囲温度(20℃)で固体のペルオキシジカーボネート、及びジアルキルペルオキシドの部類が好適であり、t-ブチルペルオキシ及びt-アミルペルオキシの部類も同様であるが、これらに限定されない。さらに、環状有機過酸化物、例えば、Nouryon社製のTrigonox(登録商標)301及びTrigonox(登録商標)311過酸化物も考えられる。好適な過酸化物は、Jose Sanchez及びTerry N.Myers著「Organic Peroxides」;Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第四版,Volume18,(1996)に記載されており、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書において援用される。カルボン酸、ヒドロキシル及び/又はフリーラジカル反応性不飽和基を有する熱的に安定な官能化過酸化物も好適である。有機過酸化物は、安全希釈剤として機能するように、ミネラルスピリット、鉱油、又は食品等級の白色鉱油を含有していてもよい。
【0045】
また、有機過酸化物は、不活性充填剤(例えば、木粉、おがくず、竹粉、藁、藁粉、籾殻、麦わら、麻、亜麻、ピーナッツ殻粉、紙屑、段ボール屑、バージェスクレー、カオリンクレー、炭酸カルシウム、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、石膏、ケイ酸カルシウム、セルロースアセテートブチレート)上に伸展されていてもよく、又はEPDM(エチレンプロピレンジエン単量体ゴム)、EPM(エチレンプロピレンゴム)、PE(ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、マイクロクリスタリンワックス、ポリカプロラクトン上の過酸化物マスターバッチとして粉末又はペレットの形態で使用されてもよく、ここで、過酸化物濃度は1重量%から80重量%、好ましくは0.1重量%から60重量%、より好ましくは0.1重量%から40重量%まで変動する場合がある。
【0046】
好適な有機過酸化物の例としては、ジ-t-ブチルペルオキシド;t-ブチルクミルペルオキシド;t-アミルクミルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン;2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3;4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノール;4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノール;4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノール;4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノン;4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノン;4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノン;2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3;2,5-ジメチル-2-t-ブチルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン;2,5-ジメチル-2-クミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン;2,5-ジメチル-2-t-アミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン;m/p-α,α-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン;m-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン;p-ジ(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン;1,3,5-トリス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;1,3,5-トリス(t-アミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;1,3,5-トリス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート;ジ[1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチル]カーボネート;ジ[1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ)ブチル]カーボネート;ジ-t-アミルペルオキシド;t-アミルクミルペルオキシド;t-ブチルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;t-アミルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;2,4-ジアリルオキシ-6-t-ブチルペルオキシド-1,3,5-トリアジン;2,4-ジアリルオキシ-6-t-アミルペルオキシド-1,3,5-トリアジン;2,4,6-トリ(ブチルペルオキシ)-s-トリアジン;1,3,5-トリ[1-(t-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル]ベンゼン;1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピルベンゼン;1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール;1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール;及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な固体の室温で安定なペルオキシジカーボネートとしては、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート;ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート;ジミリスチルペルオキシジカーボネート;ジベンジルペルオキシジカーボネート;及びジ(イソボルニル)ペルオキシジカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。固体ジアシルペルオキシドとしては、ジベンゾイルペルオキシド;2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド;及びジ(メチルベンゾイル)ペルオキシドが挙げられる。
【0047】
単独で使用できる、又は本開示によって意図される他の有機過酸化物と併用できる他のジアルキル型有機過酸化物は、次式で表される群から選択されるものである:
【化1】
式中、R
4及びR
5は、独立して、メタ位又はパラ位にあり、同一であっても異なっていてもよく、水素、又は1~6個の炭素原子の直鎖若しくは分岐のアルキルから選択される。ジクミルペルオキシド及びイソプロピルクミルペルオキシドが例示される。
【0048】
他のジアルキルペルオキシドとしては、3-クミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート;3-t-ブチルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート;3-t-アミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート;トリ(1,3-ジメチル-3-t-ブチルペルオキシブチルオキシ)ビニルシラン;1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート;1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート;1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ))ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)フェニル}-1-メチルエチル]カルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
化学的及び/又は熱的反応性が異なる2つの異なる過酸化物基を含むジアルキル型の過酸化物の他の変種を本発明に含めることができる。例としては、2,5-ジメチル(2-ヒドロペルオキシ-5-t-ブチルペルオキシ)ヘキサン及び2,5-ジメチル(2-ヒドロペルオキシ-5-t-アミルペルオキシ)ヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
ジペルオキシケタール型有機過酸化物の群において、好適な化合物としては、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン;n-ブチル4,4-ジ(t-アミルペルオキシ)バレレート;エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート;2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン;3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン;n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート;エチル-3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチレート;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本開示の少なくとも1つの実施形態に従って使用できる他の有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシ-スクシネート及びOO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシ-スクシネートが挙げられる。
【0052】
例示的な環状ケトンペルオキシドは、一般式(I)、(II)及び/又は(III)を有する化合物である。
【化2】
(I)
【化3】
(II)
【化4】
(III)
式中、R
1~R
10は、独立して、水素、C1~C20アルキル、C3~C20シクロアルキル、C6~C20アリール、C7~C20アラルキル及びC7~C20アルカリルよりなる群から選択され、これらの基は、直鎖又は分岐アルキル特性を含むことができ、R
1~R
10のそれぞれは、ヒドロキシ、C1~C20アルコキシ、直鎖又は分岐C1~C20アルキル、C6~C20アリールオキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシ、ニトリド及びアミドから選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0053】
好適な環状ケトンペルオキシドの例としては、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシド環状三量体)、メチルエチルケトンペルオキシド環状二量体、及び3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
ペルオキシエステルの例としては、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン;t-ブチルペルベンゾエート;t-ブチルペルオキシアセテート;t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート;t-アミルペルベンゾエート;t-アミルペルオキシアセテート;t-ブチルペルオキシイソブチレート;3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート;OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシスクシネート;OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシスクシネート;ジ-t-ブチルジペルオキシフタレート;t-ブチルペルオキシ(3,3,5-トリメチルヘキサノエート);1,4-ビス(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン;t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート;t-ブチル-ペルオキシ-(シス-3-カルボキシ)プロピオネート;アリル3-メチル-3-t-ブチルペルオキシブチレートが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なモノペルオキシカーボネートとしては、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;1,1,1-トリス[2-(t-ブチルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン;1,1,1-トリス[2-(t-アミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン;1,1,1-トリス[2-(クミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン;OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネートが挙げられる。
【0055】
本開示の少なくとも一実施形態に従って使用され得る他の過酸化物としては、官能化ペルオキシエステル型過酸化物が挙げられる:OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシ-スクシネート;OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシスクシネート;OO-t-アミルペルオキシマレイン酸及びOO-t-ブチルペルオキシマレイン酸。
【0056】
また、本発明の実施において好適なのは、少なくとも3個の過酸化物基を含む有機過酸化物分岐オリゴマーであり、以下の構造で表される化合物を含む。
【化5】
ここで、W、X、Y及びZの合計は6又は7である。この種の固有に分岐した有機過酸化物の一例は、四官能性ポリエーテルテトラキス(t-ブチルペルオキシカーボネート)である。この種の過酸化物の例は、Luperox(登録商標)JWEB50(アーケマ社)である。
【0057】
例示的なヘミペルオキシケタールの部類の有機過酸化物としては、1-メトキシ-1-t-アミルペルオキシシクロヘキサン;1-メトキシ-1-t-ブチルペルオキシシクロヘキサン;1-メトキシ-1-t-アミルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;1-メトキシ-1-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。この種の過酸化物の例は、93%アッセイ1-メトキシ-1,1-ジメチルプロピルペルオキシシクロヘキサンであるLuperox(登録商標)V10(アーケマ)である。
【0058】
例示的なジアシルペルオキシドとしては、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド;ジ(3-メチルベンゾイル)ペルオキシド;ジ(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド;ジデカノイルペルオキシド;ジラウロイルペルオキシド;2,4-ジブロモベンゾイルペルオキシド;コハク酸ペルオキシド;ジベンゾイルペルオキシド;ジ(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)ペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。PCT出願公開第97/03961号に記載されている種類のイミド過酸化物も使用に適しており、全ての目的のために参照により本明細書において援用される。
【0059】
官能化有機過酸化物は、セルロース系材料-重合体複合材用の亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤配合物に使用するのに好適である。官能化有機過酸化物の例は、t-ブチルペルオキシマレイン酸であるが、これに限定されない。官能化過酸化物の例は、t-ブチルペルオキシマレイン酸;t-アミルペルオキシマレイン酸;t-ブチルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;t-アミルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノール;4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノール;4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノール;2,5-ジメチル-(2-ヒドロペルオキシ-5-t-ブチルペルオキシ)ヘキサン及び2,5-ジメチル-(2-ヒドロペルオキシ-5-t-アミルペルオキシ)ヘキサン;2,4-ジアリルオキシ-6-t-ブチルペルオキシド-1,3,5-トリアジン;2,4-ジアリルオキシ-6-t-アミルペルオキシド-1,3,5-トリアジン;及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい有機ペルオキシドとしては、t-ブチルペルオキシマレイン酸;1-メトキシ-1-t-アミルペルオキシシクロヘキサン;ジラウリルペルオキシド;t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート;t-アミルペルオキシアセテート;t-ブチルペルオキシアセテート;t-アミルペルベンゾエート;t-ブチルペルベンゾエート;OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;ジクミルペルオキシド;Luperox(登録商標)JWEB-50、ポリエーテルポリ-t-ブチルペルオキシカーボネート(アーケマ);Luperox(登録商標)313、ペルオキシド類の複合混合物であって、<15重量%のt-ブチルクミルペルオキシドを含むもの(アーケマ);Luperox(登録商標)D-68、ジクミルペルオキシドとジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼンとt-ブチルクミルペルオキシドとの複合混合物(アーケマ);Luperox(登録商標)D-446-B、ジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼンとt-ブチルクミルペルオキシドとの複合混合物(アーケマ);t-ブチルクミルペルオキシド;t-ブチルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;m/p-ジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
より好ましいペルオキシドは、t-ブチルペルオキシマレイン酸;1-メトキシ-1-t-アミルペルオキシシクロヘキサン;ジラウリルペルオキシド;t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート;t-アミルペルオキシアセテート;t-ブチルペルオキシアセテート;t-アミルペルベンゾエート;t-ブチルペルベンゾエート;OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;ジクミルペルオキシド;Luperox(登録商標)313、ペルオキシド類の複合混合物であって、<15重量%のt-ブチルクミルペルオキシドを含むもの(アーケマ);Luperox(登録商標)D-68、ジクミルペルオキシドとジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼンとt-ブチルクミルペルオキシドとの複合混合物(アーケマ);t-ブチルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;m/p-ジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン及びこれらの混合物である。
【0061】
さらに好ましくは、t-ブチルペルオキシマレイン酸;t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;1,1-ジ(t-アミルペルオキシ)シクロヘキサン;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート;t-アミルペルベンゾエート;t-ブチルペルベンゾエート;OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート;OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート;Luperox(登録商標)313、ペルオキシド類の複合混合物であって、<15重量%のt-ブチルクミルペルオキシドを含むもの(アーケマ);Luperox(登録商標)D-68、ジクミルペルオキシドとジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼンとt-ブチルクミルペルオキシドとの複合混合物(アーケマ);t-ブチルペルオキシ-イソプロペニルクミルペルオキシド;m/p-ジ-t-ブチルペルオキシジイソプロピルベンゼン、ビス(t-ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼン(VulCup(登録商標))及びこれらの混合物である。
【0062】
セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物中の亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬と有機過酸化物との量:
いくつかの実施形態において、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物は、配合物の総重量を基準にして1重量%~99重量%の有機過酸化物と、99重量%~1重量%の亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬とを含むことができる。
【0063】
特定の実施形態によれば、少なくとも1種の有機過酸化物は、全配合物を基準にして、1重量%~95重量%、又は5重量%~95重量%、又は10重量%~90重量%、又は20重量%~99重量%、又は30重量%~90重量%、又は40重量%~75重量%、又は40重量%~70重量%、又は40重量%~65重量%、又は45重量%~80重量%、又は45重量%~75重量%、又は45重量%~70重量%、又は45重量%~65重量%、又は50重量%~98重量%、又は50重量%~75重量%、又は50重量%~70重量%、又は50重量%~65重量%、又は50重量%~60重量%、1重量%~50重量%;又は1重量%~40重量%;又は1重量%~25重量%の量で、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物中に含まれ得る。
【0064】
特定の実施形態によれば、亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬は、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物の総重量を基準にして、95重量%~5重量%、又は90重量%~10重量%、又は99重量%~20重量%、又は90重量%~30重量%、又は75重量%~40重量%、又は70重量%~40重量%、又は65重量%~40重量%、又は80重量%~45重量%、又は75重量%~45重量%、又は70重量%~40重量%、又は65重量%~45重量%、又は98重量%~50重量%、又は75重量%~50重量%、又は70重量%~50重量%、又は65重量%~50重量%、又は60重量%~50重量%の量で、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物中に含まれ得る。
【0065】
亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬に対する有機過酸化物の重量比は、1:1000~1000:1、又は1:100~100:1、又は1:9~9:1、又は4:5~5:4、又は1:5~5:1、又は1:1~1:2、又は2:1~3:1、又は1:9~1:1、又は1:1~9:1、又は2:1~1:1であってよい。亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬に対する有機過酸化物の比は、1:40~1:1、1:20~1:1、1:10~1:1、1:5~1:1、又は1:3~1:1であってもよい。
【0066】
有機過酸化物に対する亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬の重量比は、2:0.4であってもよい。典型的なセルロース系材料-重合体複合材は、40~85重量%のセルロース系材料;60~15重量%の重合体及び1~5重量%のカップリング剤配合物を含み、これらからなり、又はこれらから本質的になることができる。複合材は、45~75重量%、40~65重量%又は45~60重量%のセルロース系材料を含むことができる。複合材は、50~25重量%、45~30重量%又は40~30重量%の重合体を含むことができる。複合材は、1~4重量%又は2~4重量%のカップリング剤配合物を含むことができる。
【0067】
セルロース系材料-重合体複合材用重合体マトリックス材料:
セルロース系材料-重合体複合材に適した重合体マトリックス材料としては、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)及び/又はLDPE(低密度ポリエチレン)が挙げられるが、これらに限定されない。再生重合体も好適である。好ましくは全て、試験法ASTM 01238に記載されているように、190℃において2.15kgの荷重で、<40g/10分;好ましくは<20g/10分;より好ましくは<10g/10分;より好ましくは<5g/10分;さらに好ましくは<1g/10分、最も好ましくは<0.5g/10分の高いメルトフローインデックス(MFI)を有する。本発明で使用されるポリエチレンは、好ましくは高分子量であり、ポリエチレン等級の分子量は、未加工又は再生源からのLDPE、LLDPE、MDPE(中密度ポリエチレン)及びHDPE又はそれらのブレンドを含むPEの種類に対して、およそ50,000g/モル~200,000、最大約250,000g/モルから始まる。超高分子量ポリエチレン(UHWMPE)は、分子量3,000,000g/モル~7,500,000g/モルの分子量を有するものも存在する。他の重合体、例えば、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンも好適であり、ポリエチレン類と併用される。
【0068】
また、ポリオレフィン、特にポリエチレン(例えばHDPE、LLDPE、MDPE及びLDPE)などの再生重合体も考えられる。しかしながら、混合再生重合体廃棄物流からの低コストの粉砕固体重合体微粒子は、コストが懸念されるいくつかの実施形態について考慮できる。当該技術分野において知られているように、プラスチック廃棄物流から得られるポリエチレンは、ポリエチレンに加えて、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、紙/ボール紙屑などの他の重合体を含むことができる。
【0069】
セルロース系材料:
木材及び木材製品は、セルロース系材料-重合体複合材中のセルロース系成分として一般的に使用される。木粉は、セルロース系複合材のデッキボード、フェンス、サイディングに使用される一般的なセルロース系充填剤である。木粉は、木材を細かく粉砕したもので、砂やおがくずに似た密度を有するが、粒子の大きさは微粉末から米粒大まで様々である。ほとんどの木粉メーカーは、全体的に同じ密度の木粉を製造することができる。高品質の木粉は全て、耐久性及び強度のため広葉樹から作られている。非常にグレードの低い木粉は、マツやモミなどの樹液の出ない針葉樹から作られることもある。しかし、木粉に代わる、より良好な及び/又はより経済的で低コストの充填剤が常に模索されている。本発明の実施において考慮できる他の天然充填剤は、籾殻粉、藁粉又は繊維、例えば麦わら;竹繊維、亜麻、ジュート、麻、セルロース、粉砕木材、おがくず、パーム繊維、バガス、ピーナッツ殻、キチン、ケナフ繊維を含む。紙屑及び段ボール屑も、単独で又は木粉若しくはおがくずと組み合わせて、本開示の実施形態において使用することができる。木粉は、軟質木材、硬質木材、又はその混合物から製造できる。典型的には、木粉からリグニンを除去するが、これは任意である。
【0070】
また、おがくず又は鉋屑は、本開示の特定の実施形態におけるセルロース系材料-重合体複合材の充填剤として使用するのに好適な場合もある。おがくず(又は鉋屑)は、副産物又は廃棄物であってもよく、木材の微粒子からなる。
【0071】
本発明の実施において考慮される別の比較的低コストの充填剤は、粉砕された再生トラック用タイヤ及び/又は乗用車用タイヤである。摩耗したタイヤを粉砕して本発明に有用な粉末にしてもよい。粉砕タイヤの量は、複合材の50重量%~1重量%であってもよい。
【0072】
本発明の一実施形態は、この粉砕再生ゴムタイヤ充填剤を、木粉又は他のセルロース系材料充填剤、ポリエチレン、及び少なくとも1種のカップリング剤及び少なくとも1種の有機過酸化物と共に使用することである。いくつかの実施形態において、木粉/おがくず(又は他のセルロース系材料)と併用できる他の充填剤としては、塩素化ポリエチレン粉末及びクロロスルホン化ポリエチレン粉末が挙げられる。セルロースアセテートブチレート(CAB)は、特定の実施形態において充填剤として使用することができる。好ましいCAB等級は、160℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは145℃以下、最も好ましくは143℃以下の上限融点を有する。充填剤として含まれ得るCABの最も好ましい等級は、約52%のブチリル含有量を有する。例としては、イーストマンケミカル社製セルロースアセテートブチレート(CAB-551-0.2)及び(CAB-551-0.01)が挙げられるが、これに限定されない。
【0073】
改善された特性:
セルロース系材料-重合体複合材用亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤配合物を含むことにより改善又は変更できるセルロース系材料-重合体複合材の特性としては、重合体マトリックスとセルロース系充填材との改善された相溶性、低減された吸水性、改善された剛性、改善された耐衝撃性、他の重合体との改善された相溶性、充填剤との改善された相溶性、及び例えば、紙、段ボール、廃敷物、タイヤ、ポリエチレンプラスチック袋/ボトル及び再生PET容器などの低コストの粉砕再生材料の使用の増加を可能にすることが挙げられるが、これらに限定されない。再生材料の使用によって、廃棄物流を減らしつつ有用な製品が得られる。
【0074】
例えば、本明細書で開示するカップリング剤配合物を含むセルロース系材料-重合体複合材は、重合体マトリックスがポリエチレンと他の重合体とを含むような重合体ブレンドの相溶性を改善することもできる。このような他の重合体の例としては、ポリアクリレート及びポリアクリレートの共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。Elium(登録商標)樹脂(アーケマ)が考えられる。ポリフッ化ビニリデン(PVDF例えばKynar(登録商標)(アーケマ))及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素重合体も、少量(配合物全体の<2重量%~<1重量%)で考慮される。本明細書で開示するセルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤は、セルロース系材料-重合体複合材用亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤配合物を含まないこのような複合材よりも、充填剤又は延展剤又は強化剤、又は衝撃改良剤との相溶性が高い場合がある。充填剤としては、セルロースアセテートブチレート(CAB)を使用することができる。
【0075】
セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物は、有機過酸化物の形態、ならびに亜鉛含有及び/又はケイ素含有試薬の形態に応じて、固体又は液体の形態とすることができる。セルロース系材料-重合体複合材用亜鉛含有及び/又はケイ素含有カップリング剤配合物は、マスターバッチ配合物の形態であってもよい。
【0076】
マスターバッチ:
セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤マスターバッチが提供される。セルロース系材料-重合体複合材用のカップリング剤マスターバッチは、(a)少なくとも1種の有機過酸化物;(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種;ならびに(c)カップリング剤マスターバッチ用の少なくとも1種のキャリアを含み、これらからなり、又はこれらから本質的になることができる。
【0077】
(ii)少なくとも1種のケイ素含有試薬は次の構造(I)を有する:
SiR1R2R3R4 (I)。
構造(I)において、R1、R2、R3、又はR4の少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和を含み、当該不飽和からなり、又は当該不飽和から本質的になり、残りのR1、R2、R3、又はR4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。
【0078】
少なくとも1種の有機過酸化物、少なくとも1種の亜鉛含有試薬、及び少なくとも1種のケイ素含有試薬については、上記の通りである。
【0079】
当該技術分野で知られているように、マスターバッチは、デッキボード、サイディング、フェンスなどの完成品に処理加工(コンパウンド)される重合体マトリックスとセルロース系材料充填材に添加される、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物の濃縮された組み合わせである。
【0080】
カップリング剤マスターバッチ用キャリア:
これらのカップリング剤配合物を充填剤又は充填剤のブレンド上に伸展させて、自由流動性の粉末製品又はマスターバッチを得ることができる。このような充填剤の例としては、炭酸カルシウム、バージェスクレー、ヒュームドシリカ、カオリンクレー、沈降シリカ、微少セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ケイ酸カルシウム、シリカ、フライアッシュ、パーライト、タルク、水酸化マグネシウム、石膏、シリカ、乾燥木粉、乾燥おがくず、乾燥藁粒子/粉、又はそれらの混合物を含む。バージェスクレー、沈降炭酸カルシウム、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、微少セルロース、乾燥木粉、乾燥おがくず、セルロースアセテートブチレート、及びそれらの混合物が好ましい。バージェスクレー、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、乾燥木粉、乾燥おがくず、及びそれらの混合物がさらに好ましい。
【0081】
セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤マスターバッチのためのキャリアは、最終的なセルロース系材料-重合体複合材の重合体及び/又はセルロース系材料充填剤成分の1種以上を含み、これらからなり、又はこれらから本質的になることができる。例えば、上記有機過酸化物と、式(I)の亜鉛含有試薬及び/又はシラン試薬とを含むカップリング剤配合物は、木粉、おがくず、ポリエチレン、炭酸カルシウム、合成ケイ酸カルシウム、バージェスクレー、カオリンクレー、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、微小セルロース、フライアッシュ、タルク、水酸化マグネシウム、石膏、乾燥木粉、乾燥おがくず、乾燥藁粒子、パーライト、ケイ酸カルシウム、及びそれらの組み合わせと混合できる。いくつかの実施形態では、有機過酸化物及び亜鉛試薬及び/又はシラン試薬の配合物と粒子状材料とをブレンドして、流動性のある非固化性の粒子状マスターバッチを形成することによってマスターバッチを製造できるため、キャリアとしては粒子状材料が好ましい場合がある。
【0082】
マスターバッチに好適な粒子状キャリア材料の他の例としては、乾燥おがくず、乾燥木粉、竹粉、麻粉、紙屑、段ボール屑、セルロースアセテートブチレート、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また、不活性キャリア、例えばシリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、タルク、炭酸カルシウム、クレー、バージェスクレー、カオリン、フライアッシュも好適である。
【0083】
別の実施形態では、キャリア材料は、例えば、低融点ワックスを含み、当該ワックスからなり、又は当該ワックスから本質的になることができる。有機過酸化物及び亜鉛及び/又はケイ素含有試薬をワックスと溶融ブレンドし、その後得られたマスターバッチをペレット化してもよい。これらのワックスは、最終的なセルロース系材料-重合体複合材が低融点ワックスを5重量%未満含むように、少量しか考慮されない。好適なワックスとしては、生物ベースのワックス、例えば蜜蝋、大豆ワックス、ベイベリーワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ヒマシワックス、植物性ワックス、オウリキュウワックス、米糠ワックス、ラノリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。その他、公知の非生物ベースの石油系ワックスも挙げられる。
【0084】
一実施形態によれば、本明細書に開示されるようなカップリング剤配合物は、重合体キャリアと溶融ブレンドし、顆粒又はペレットに成形することができる。好適な重合体の例としては、セルロース系材料-重合体複合材のマトリックスとして使用するのに好適なもの、例えば、ポリオレフィン及びその共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0085】
有機過酸化物と、式(I)の亜鉛試薬及び/又はケイ素含有試薬と、任意に本明細書に開示される他の添加剤とを、マスターバッチ中において組み合わせた重量%としての濃度は、レットダウン及び最終的なセルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物の所望の濃度に応じて、適宜変更できる。マスターバッチ中の好適な濃度の例としては、構造(I)の有機過酸化物及び亜鉛試薬及び/又はケイ素含有試薬の40~65重量%、又は30~75重量%、又は50~70重量%、又は40~50重量%の範囲であってよいが、ただし、その範囲は、マスターバッチブレンドのために選択された過酸化物、亜鉛含有試薬、ケイ素含有試薬及び他の添加剤に応じて、1重量%~80重量%、又は2重量%~60重量%、又は5重量%~50重量%、又は10重量%~40重量%であってもよい。
【0086】
有機ペルオキシド用の安定化剤:
セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物は、有機過酸化物用の安定化剤、例えば少なくとも1種のキノン型化合物を含み、これからなり、又はこれから本質的になることができる。所定の実施態様において、少なくとも1種のキノン化合物が有機過酸化物の安定化剤として使用される場合、少なくとも1種のアリル化合物、好ましくはトリアリル化合物も有機過酸化物と共に含有できる。アリル化合物の例としては、TAC(トリアリルシアヌレート)、TAIC(トリアリルイソシアヌレート)、トリアリルトリメリテート、マレイン酸ジアリル、酒石酸ジアリル、フタル酸ジアリル、炭酸ジアリル、アリルフェニルエーテル、メタクリル酸アリル及びSartomer社から販売されている高分子量のメタクリル酸アリルオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の安定化剤又はフリーラジカルトラップは、ニトロキシド(例えば、4-ヒドロキシ-TEMPO)及びキノン、例えば、モノ-t-ブチルヒドロキノン(MTBHQ)よりなる群より選択できる。これらの安定化剤は、フリーラジカルトラップ(すなわち、フリーラジカルと相互作用し、それらを不活性化する任意の薬剤)ということができ、当業者に公知の任意の当該薬剤を本発明の実施に採用することができる。オリーブ葉油(オレウロペイン)、又はIrganox(登録商標)1076又はIrganox(登録商標)1010のような安定化剤としてのヒンダードフェノールの多くも考慮できる。ビタミンK1、K2及びK3もこの群の一部である。本明細書で使用されるときに、用語「キノン」は、キノン及びヒドロキノンの両方を包含する。本発明の配合物に使用できるキノンの例としては、モノ-t-ブチルヒドロキノン(MTBHQ)、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(HQMME)(4-メトキシフェノールとしても知られている)、モノ-t-アミルヒドロキノン、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、4-エトキシフェノール、4-フェノキシフェノール、4-(ベンジルオキシ)フェノール、2,5-ビス(モルホリノメチル)ヒドロキノン及びベンゾキノンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
カップリング剤マスターバッチの製造方法:
セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤マスターバッチの製造方法を提供する。本方法は、工程(A)及び(B)を含み、これらの工程からなり、又はこれらの工程から本質的になることができる。
【0089】
工程(A)は、(a)少なくとも1種の有機過酸化物と、(b)(i)少なくとも1種の亜鉛含有試薬;及び/又は(ii)次の構造(I)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬のうちの少なくとも1種:
SiR1R2R3R4 (I)
(ここで、R1、R2、R3、又はR4のうちの少なくとも1つは、少なくとも1個の不飽和を含み、残りのR1、R2、R3、又はR4は、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、同一であっても異なっていてもよい。)と、
(c)任意に、次の構造(II)を有する少なくとも1種のケイ素含有試薬:
SiR5R6R7R8 (II)
(ここで、R5、R6、R7、又はR8は、不飽和を含まず、水素又はアルキル若しくはアルコキシ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、不飽和を含まないR1、R2、R3、又はR4基と同一であっても異なっていてもよい。)
とを混合して、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物を形成することを含み、当該配合物を形成することからなり、又は当該配合物を形成することから本質的になることができる。
【0090】
(a)有機過酸化物は、98℃で少なくとも1時間の半減期を有する。
【0091】
任意の添加剤は、凝固剤;硫黄含有化合物及び/又は元素状硫黄;及びそれらの混合物よりなる群から選択できる。他の任意の添加剤はホウ酸又はホウ酸塩である。当該技術分野で一般的に知られ使用されている他の添加剤、例えば、重合体の安定化剤及び過酸化物の安定化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
工程(B)は、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物を、(c)少なくとも1種のキャリアと混合してセルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤マスターバッチを形成することを含み、当該マスターバッチを形成することからなり、又は当該マスターバッチを形成することから本質的になることができる。
【0093】
本開示の特定の実施形態によれば、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物は液体の形態であってもよく、少なくとも1種のキャリアは固体微粒子の形態であってもよい。特定の実施形態において使用できる好適な固体微粒子は、炭酸カルシウム、バージェスクレー、沈降シリカ、微少セルロース、フライアッシュ、乾燥木粉、乾燥おがくず、乾燥藁粒子、再生粉砕紙屑、再生粉砕/細断段ボール屑、再生粉砕敷物繊維屑、再生粉砕乗用車/トラックタイヤ、及びそれらの組み合わせである。固体微粒子は、上記のようなものであってもよい。本発明の特定の実施形態において、工程(B)は、カップリング剤マスターバッチが25℃で固体微粒子の形態となることができるように、液体カップリング剤配合物を固体微粒子の形態の少なくとも1種のキャリアと混合してカップリング剤マスターバッチを形成することを含むことができる。このように、カップリング剤マスターバッチは、自由流動性の固体微粒子の形態であってもよい。
【0094】
別の実施形態によれば、工程(A)及び(B)を同時に行ってもよく、すなわち、少なくとも1種の有機過酸化物と、少なくとも1種の亜鉛含有試薬及び/又は少なくとも1種のケイ素含有試薬と、少なくとも1種のキャリア材料とを同時に混合してもよい。例えば、工程(A)及び(B)は、低剪断リボン型ブレンダー、例えばMarion(登録商標)型リボンブレンダーで行って、上記の微粒子を含むカップリング剤マスターバッチを形成してマスターバッチを形成してもよい。また、様々な成分の混合を高剪断Henschel(登録商標)型ブレンダーで行って、自由流動性の粉末マスターバッチを作製することも可能である。
【0095】
少なくとも1種の有機過酸化物は、上記のもの又はそれらの混合物から選択できる。少なくとも1種の亜鉛含有試薬及び/又は少なくとも1種のケイ素含有試薬は、上記のもの又はそれらの組み合わせから選択できる。
【0096】
混合工程(B)は、様々な成分を重合体に溶融ブレンドすることを含むことができる。溶融ブレンドは、例えば、一軸押出、二軸押出、ZSKミキサー、バンバリーミキサー、バス混練機、二本ロールミル、又はインペラー混合、又はカップリング剤マスターバッチを製造するための他の種類の好適な重合体溶融ブレンド装置で実施することができる。混合工程(B)のブレンド時間及び温度条件は、使用する有機過酸化物が4重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満しか分解しないように選択できる。
【0097】
セルロース系材料-重合体複合材の製造方法:
セルロース系材料-重合体複合材の製造方法が提供される。この方法は、成分(A)、(B)及び(C)を混合して成分混合物を形成する工程(I)を含み、当該工程(I)からなり、又は当該工程(I)から本質的になる。成分(A)、(B)及び(C)は、次のものを含み、次のものからなり、又は次のものから本質的になる:(A)は、本明細書に開示するセルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤を含み、これからなり、又はこれから本質的になる。(B)は、上記のセルロース系材料-重合体複合材用の重合体マトリックスを含み、これからなり、又はこれから本質的になる。(C)は、上記のものから選択される少なくとも1種のセルロース系充填剤を含み、これからなり、又はこれから本質的になる。また、この方法は、成分混合物を複合材に形成する工程(II)を含み、これからなり、又はこれから本質的になる。
【0098】
セルロース系材料-重合体複合材を製造する別の方法も提供される。この別の方法は第1の方法と類似するが、ただし、別の方法はカップリング剤マスターバッチを使用することを含み、当該マスターバッチを使用することからなり、又は当該マスターバッチを使用することから本質的になる。特に、成分(A)、(B)及び(C)を混合して成分混合物を形成する工程(I)である。成分(A)、(B)及び(C)は、次のものを含み、次のものからなり、又は次のものから本質的になる:(A)は、本明細書で開示するセルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤マスターバッチを含み、これからなり、又はこれから本質的になる。(B)は、上記のセルロース系材料-重合体複合材用重合体マトリックスを含み、これからなり、又はこれから本質的になる。(C)は、上記のものから選択される少なくとも1種のセルロース系充填剤を含み、これからなり、又はこれから本質的になる。また、この別の方法は、成分混合物を複合材に形成する工程(II)を含み、これからなり、又はこれから本質的になる。
【0099】
セルロース系材料-重合体複合材を形成するこれらの方法の両方において、混合工程(I)は、例えば、成分(A)重合体マトリックスと、(C)セルロース系充填剤と、(B)亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤配合物又はカップリング剤マスターバッチのいずれかとを、押出機に供給して混合することであってもよい。例えば、これらの成分を、押出機の供給部が混合工程の大部分を提供するように、押出機のホッパーに向けて計量してもよい。混合工程は、ドラムタンブラー、リボンブレンダー、高剪断ブレンダーなどにおいて当該成分を乾式混合し、その後乾式混合物を押出機のホッパーに供給することを含むことができる。カップリング剤配合物又はカップリング剤マスターバッチが液体の形態である場合には、液体を押出機の供給口に別々に計量し、重合体マトリックス及び充填剤を押出機のホッパーで直接混合するか、又は別々に乾式混合することができる。当該技術分野で知られているような他のこのような方法が、いくつかの実施形態において使用できる。例えば、一軸押出機、二軸押出機、ZSKミキサー、バンバリーミキサー、バス混練機、二本ロールミル、又はインペラー混合、あるいは反応混合物を製造するための他の種類の好適な重合体溶融ブレンド装置において、溶融ブレンドを使用して当該成分を混合することができる。混合工程は、完成品を製造するプロセスの一部であってもよく、例えば、ダイを通して押し出して固体セルロース系材料-重合体複合材ボードを形成したり、ロールミルを使用して熱成形プロセスで使用するためのシートを作製したり、吹き込みフィルム工程を使用したり、圧縮成形工程を使用して様々な部品を作製したりすることができる。いくつかの実施形態では、射出成形、射出ブロー成形、熱成形、又は真空成形などの当該技術分野で知られている他のプロセスを実施して完成品を作製することができる。
【0100】
複合材を形成するいずれの方法における形成工程(II)は、例えば、押出機に取り付けられたダイを通して成分混合物を押し出すことであってもよい。形成工程は、例えば、一組の加熱されたダイを使用する熱成形の工程であってもよい。考えられる他の形成方法としては、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、発泡成形、射出ブロー成形、真空成形、圧縮成形、熱成形などが挙げられる。複合材は、例えば、屋外環境で使用されることを目的したデッキボードのような重合体製材であってもよい。他の有用な製造物品としては、被覆材、サイディング、屋外家具、エクステリアデッキ、インテリアフローリング、屋内家具、パレット、床、手すり、フェンス、サイディング、モールディング、トリム、窓枠、ドア枠、造園用木材、工業用クリビング、海洋壁及び杭、ボートスリップ、壁パネルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
他の添加剤:
過酸化物用の充填剤及び/又は安定化剤も、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物に含めることができる。例えば、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、珪藻土、クレー、バージェスクレー、カオリン、フライアッシュ、粉末ポリエチレン、又は粉砕/粉末化再生乗用車又はトラックタイヤ、粉砕/粉末化再生敷物繊維、ポリプロピレン、ポリ(エチレンプロピレン)共重合体、ポリ(エチレンオクテン)共重合体、LDPE、HDPE、LLDPEを含めた少量の様々な重合体を含むことができる粉砕/粉末化再生混合重合体流;チョップドガラス繊維、粉砕紙、粉砕段ボール及び/又は粉砕パーティクルボード屑を使用してもよい。
【0102】
セルロース系材料-重合体複合材配合物には、当業者に知られている他の添加剤を含めることができ、例えば、以下のものを挙げることができる:着色剤、防カビ剤、殺生物剤、木粉以外の充填剤、酸化防止剤、光/紫外線安定化剤、発泡剤又はフォーミング剤、重合体流動助剤、エルカ酸アミドなどの押出スリップ助剤、エチレンビスステアリン酸イミドなどの非金属型滑剤;Lonza社製のGlycolube(商標)WP2200;Struktol(登録商標)TPW113及びStruktol(登録商標)TPW617は非限定的な例である;防カビ剤(Zeneca Ag Products社製のFolpet(登録商標)及びBethoxazin(登録商標)など);プロセス助剤、離型剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤など。当該技術分野で知られている好適な離型剤としては、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。離型剤及びスリップ剤は、最終的なセルロース系材料-重合体複合材の総重量に基づいて約5重量%未満の量で添加することができる。
【0103】
亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤配合物は、共硬化剤として機能する少なくとも1種の硫黄含有化合物をさらに含んでもよい。これらの共硬化剤の例としては、ジスルフィド、元素状硫黄、及び硫黄含有アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。Vanderbilt Rubber Handbook,第13版,1990,R.T.Vanderbilt Company,Inc(その開示全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書において援用される)には、ゴムの硬化に使用される多くの種類の硫黄含有化合物が列挙されている。例としては、モノスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MBTS)、ジスルフィド、ジアリルジスルフィド、ポリスルフィド、及びアミルフェノールポリスルフィドなどのアリールポリスルフィド化合物、例えばVULTAC(登録商標)(アーケマ社)が挙げられるが、これらに限定されない。具体例としては、Vultac(登録商標)5、Vultac(登録商標)3、Vultac(登録商標)7、メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS)、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)などが挙げられる。また、硫黄含有アミノ酸化合物、例えばシステイン、メチオニン、ホモシステイン、タウリン、n-ホルミルメチオニン、s-アデノシルホモシステインも共硬化剤として挙げられる。有機過酸化物配合物は、少なくとも1種の硫黄含有化合物、特に少なくとも1種のジスルフィド含有化合物若しくは元素状硫黄又はその組み合わせを共硬化剤として含有することができる。
【0104】
また、亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬カップリング剤配合物は、少なくとも1種の有機過酸化物と協働することができる助剤をさらに含んでいてもよい。重要なことは、これらの助剤がカップリング剤配合物の一部である亜鉛含有試薬及びケイ素含有試薬とは異なるということである。架橋助剤は過酸化物とは異なる機能を有する。理論によって限定されることを望まないが、助剤は、有機過酸化物などのフリーラジカル開始剤の助けを借りて活性化可能である。このようにして過酸化物の分解中に活性化されると、助剤は重合体と共に架橋ブリッジを形成するため、過酸化物とは異なり架橋重合体の鎖に組み込まれる。好適な助剤の例としては、本明細書に開示した亜鉛含有試薬とは異なる、アリル、アクリル、メタクリル及びスチレン含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。モノアリル、ジアリル及びトリアリル化合物が考えられる。例としては、アリルフェニルエーテル、エポキシ化アリルフェニルエーテル、メタクリル酸アリル単量体及びオリゴマー(Sartomer社が販売)、マレイン酸ジアリル、ジアリルジスルフィド、イタコン酸ジアリル、酒石酸ジアリル、フタル酸ジアリル、トリメチロールプロパンジアリルエーテルトリアリルトリメリテート、シアヌル酸トリアリル、部分エポキシ化シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、部分エポキシ化シアヌル酸トリアリル、及びトリメチロールプロパントリアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このような助剤の他の例としては、α-メチルスチレン二量体、又はメタクリル酸メチル単量体に溶解したポリ(メタクリル酸メチル)(アーケマ社からElium(登録商標)の名称で入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。本開示では、Elium(登録商標)樹脂を少なくとも1種の有機過酸化物配合物と併用することが想定される。Elium(登録商標)は、本明細書で開示する他の成分と併用することもできる。
【0105】
これらの添加剤のいずれか又は全ての混合物が想定される。
【0106】
本発明の特定の実施形態から除外されるのは、天然又は生物ベースの油を重合して作製される「スタンド油」である。ポリエステル樹脂及び本明細書の開示に列挙されている様々な酸を用いて製造されたものである。特定の実施形態から除外される他のものは、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.5%重量%又は約1000重量ppmの量で配合物に別個の成分として添加される水である。無機過酸化物は除外される。意図的な水の混入や、かなりの量の水で希釈された添加剤の使用は、本発明の実施においては望ましくない。AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)又はアゾ開始剤は除外される。これらの化合物のいずれか又は全ては、有機過酸化物及び亜鉛含有試薬及び/又はケイ素含有試薬の総重量に基づいて、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%以下のレベルで、セルロース系材料-重合体複合材用カップリング剤配合物中に存在してもよい。好ましくは、これらの化合物はいずれも配合物中には存在しない。
【0107】
本発明の実施に使用される基準試験方法及び装置:
木材-プラスチック複合材製品の機械的及び物理的特性の評価に関する基準ガイドASTM D7031-11(2019)。このASTM基準ガイドには、木材-重合体複合材(WPC)製品などのセルロース系材料-重合体複合材の幅広い性能特性の評価に適した試験方法が開示されている。
【0108】
以下の試験方法を使用する:ASTM D6109-19(2019)非強化及び強化プラスチック製材及び関連製品の曲げ特性試験方法;ASTM D6341-98(1998)30°F~140°F(34.4℃~60℃)でのプラスチック製材及びプラスチック製材成形品の線熱膨張係数の測定試験方法;ASTM D4442-16(2016)木材及び木質系材料の含水率の直接測定試験方法;ASTM D4761-19(2019)製材及び木質構造材料の機械的特性試験方法(例えば、破壊係数:MOR)、ASTM D1238-13(2013)押出しプラストメーターによる熱可塑性プラスチックのメルトフローレートの標準試験方法(ポリエチレンのメルトフローインデックス(MFI)の測定に使用);ASTM D5289-19a(2019)ローターレス硬化計を使用したゴム特性-加硫の基準試験方法(ポリエチレンに使用可能)、及びASTM D4440-15(2015)プラスチックの基準試験方法:動的機械的特性-メルトレオロジー。
【0109】
本開示の非限定的な態様を以下に要約する。
【実施例】
【0110】
サンプルの混合手順
木粉(40M1硬質木材40メッシュ木粉、American Wood Fibers社製)を通気性のあるオーブン内のステンレスパンに入れ、110℃で22~24時間加熱した。乾燥した木粉、高密度ポリエチレン、タルク、ステアリン酸亜鉛、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド、及び他の成分(過酸化物及び添加物を含む)を天秤で秤量し、1ガロンのポリエチレン袋(混合用材料の総質量=約230グラム)に充填し、袋を密封し、袋を手で振って(約30秒)初期混合を行った。その後、袋の中身を内部ミキサー(Brabender Intelli Torque Plasticorder、3個、350ccプレップミキサーボウル、バンバリーブレード、WinMixソフトウェア)に移し、安定したトルク測定値に達するまで150℃、50RPMで混合した。材料をミキシングボウルから戻し、その後再びミキシングボウルに加え、合計3分間混合した(50RPM、150℃)。続いて、ボウルから材料を取り出し、プレス機(Carver 15トン型式3893;10ksi、150℃で10秒)を使用して最終コンパウンドを行った。
【0111】
プラックの製造手順
8インチ×8インチ×0.108インチのステンレス鋼プレートの上に、薄い金属シート(8インチ×8インチ×0.035インチ)を置き、その上に8インチ×8インチ×0.016mmのアルミホイルを置いた。アルミホイルの上に、内側の空洞の寸法が6インチ×6インチである8インチ×8インチ×0.125インチのステンレス鋼製プラックフレームを置いた。プラックフレームの空洞に、約90グラムのコンパウンド木材プラスチック複合材料を入れ、その後アルミニウム箔、薄い金属シート、ステンレス鋼板の層で覆った。プラックアセンブリ全体を、185℃で13分間、15kpsiの圧力にかけた(Wabash Genesis 30トンG30Hプレス)。プラックフレーム及びサンプルをプレス機から取り出し、35℃以下に冷却した。冷却後、曲げ試験用に長方形(4インチ×0.5インチ)のプレス材ストリップをプラックから切り出した(バンドソーを使用)。
【0112】
物性試験手順
ASTM D790に準拠して、2インチスパン、500N静的ロードセル、0.5インチ/分の曲げ速度を取り入れたインストロン33R4204を使用して3点曲げ試験を実施した。破断係数(MOR)及び弾性係数(MOE)の報告値は、各試験プラックから切り出した3~5個のサンプルの測定から得られた平均値であり、外れ値(残りの測定値の平均値から5%以上の偏差を示すものと定義)は計算から除外した。
【0113】
結果を以下に示す。
【0114】
【表1】
**粉末状の無水マレイン酸(MAH)グラフト化高密度ポリエチレン(HPDE)重合体。
*これらは同じ組成で3回実施したデータの平均及び標準偏差である。
【0115】
【0116】
例5~6は、本発明の添加剤が生物ベースの添加剤(硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ホウ砂及びホウ酸が挙げられるがこれらに限定されない)と協働することを示す。
【0117】
本発明のカップリング剤を用いて作製した例1及び例2の押出木材重合体ボードサンプルを、詳細な説明に記載した方法を使用して試験した。全てのボードは、カップリング剤を使用しない木材重合体複合材ボードと比較して、また無水マレイン酸を使用して作製された比較サンプルと比較して、物性が改善した。本発明のカップリング剤配合物から製造したサンプルの係数の改善は、フェンス及びサイディング、ならびにクリープに影響を受けやすい他の用途におけるクリープの影響を低減する際に特に重要である。
【0118】
想定例1:本発明カップリング剤によるクリープの改善:
上記のとおりに製造された、本発明の添加剤を用いて製造されたコンパウンド木材-プラスチック複合材に対して、ASTM D2990-17及びASTM D6112-18に記載されたクリープ試験を行う。本発明の添加剤を用いて製造された複合材のクリープは、カップリング剤又は相溶化添加剤を用いずに製造された複合材よりも有意に少ない。本発明の添加剤を用いて作製された複合材のクリープは、カップリング剤として無水マレイン酸グラフト重合体を取り入れて作製された複合材よりも有意に少ない。
【0119】
想定例2:セルロース系材料-重合体複合材の押出成形:
乾燥木粉、高密度ポリエチレン、タルク、ステアリン酸亜鉛、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド、及び本発明の他の成分(過酸化物及び添加物を含む)をリボンブレンダーで乾式混合し、その後同時回転二軸押出機に接続された重力ホッパーに装入する。二軸押出機内で、原料を加熱混合し、その後加熱されたプロファイルダイに通す。ダイから押し出した後、プロファイルを冷却タンクで冷却し、様々な用途(デッキ、サイディング、又は物性試験など)に適した長さに切断する。本発明のカップリング剤配合物を用いて製造されたプロファイルは、カップリング剤なしで作製されたもの、又は無水マレイン酸グラフト重合体をカップリング剤として配合したものと比較して、物性が有意に改善されていた。物性としては、機械的強度(耐破断性及び剛性)、吸水性、耐衝撃性及びクリープが挙げられる。カップリング剤のマスターバッチを使用して複合材にカップリング剤を配合したときに、同様の結果が得られる。
【0120】
本発明の様々な形態に関する上記の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することは意図していない。上記の教示に照らして、多数の改変又は変形が可能である。議論された形態は、本発明の原理及びその実際的な応用を最もよく例示するために選択され、説明されたものであり、それにより、当業者であれば、目的とする特定の用途に適した様々な形態で、様々な改変を加えて本発明を使用することができる。このような改変及び変形は、全て、公正、法的、及び公平に権利を有する幅に従って解釈される場合に、特許請求の範囲が決定される本発明の範囲内にある。
【国際調査報告】