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特表2024-537879癌診断用バイオマーカー及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】癌診断用バイオマーカー及びその用途
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/574 20060101AFI20241008BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01N33/574 A
G01N33/53 R
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521213
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2022011991
(87)【国際公開番号】W WO2023058884
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0132381
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0043776
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521533463
【氏名又は名称】イノベイション バイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】InnoBation Bio Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ソン ク
(72)【発明者】
【氏名】キム ギ テ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA25
2G045DA36
2G045DA44
2G045DA61
2G045FB03
2G045FB06
(57)【要約】
本発明は、癌診断用バイオマーカー及びその用途に関するものであり、より詳細には、血液補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選
択される2種以上のマーカーレベルを測定する物質を含む、癌診断又は予後予測用組成物
、及びそれを用いた癌診断又は予後に関する情報を提供する方法に関する。
本発明では、肺癌及び肝癌患者の血液補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)のレベルが正常人と異なるパターンを示すことを確認し、これらのマーカ
ーを組み合わせると、肺癌又は肝癌を含む様々な癌診断能がより向上することを確認したので、本発明のマーカーは癌の診断及び予後判断に有用に利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択
された2種以上のバイオマーカーを含み、
上記バイオマーカーは血液から抽出されたものであり、
上記バイオマーカーは、
(1)OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)
の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))で、
(2)OPN、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合(OPN/(HRG+LPC))で、
(3)C7及びOPNの場合、C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で、
(4)C7、OPN及びDCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)
で、
(5)C7、OPN及びLPCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)で、
(6)C7、OPN及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合((C7+OPN)/HRG)で、
(7)C7、OPN、DC及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))で、
(8)C7、OPN、DC及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))で、
(9)C7、OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度
およびLPC濃度の合計)の比率((C7+OPN)/(DC+HRG)+LPC))で、
(10)C7、OPN、HRG及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合
計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))で、
(11)DC及びLPCの場合、DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で、又は
(12)DC及びHRGの場合、DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で癌を診断することを特徴と
する、癌診断用バイオマーカー組成物。
【請求項2】
上記血液が、全血、血漿又は血清であることを特徴とする、請求項1に記載の癌診断用
バイオマーカー組成物。
【請求項3】
上記癌は、肺癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌、胃癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝癌、又は子宮頸癌であることを特徴とする、請求項1に記載の癌診断用バイオマーカー組成物。
【請求項4】
上記リゾホスファチジルコリン(LPC)は、リゾホスファチジルコリン16:0(Lysophosphatidylcholine 16:0、LPC16)又はリゾホスファチジルコリン18:0(Lysophosphatidylcholine 18:0、LPC18)であることを特徴とする、請求項1に記載の癌診断用バイオマーカー組成物。
【請求項5】
上記癌が肺癌の場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1.0であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカット
オフ値以上である場合、肺癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度との和の割合(C7+OPN)に対するカットオフ値は280~300であ
り、血液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~13であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は5~8であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~ 3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肺癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は2~2.4であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は70~80であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は140~155であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;と見ることを特徴とする、請求項5に記載の癌診断用バイオマーカー組成物。
【請求項6】
上記癌が肝癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカットオ
フ値以上である場合、肝癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は275~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~14であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肝癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は4.5~6であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は2.4~3.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3.1~4.1であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.3~ 2であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肝癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~2.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は67~75であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は122~137であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;と見ることを特徴とする、請求項5に記載の癌診断用バイオマーカー組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の癌診断用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定する製剤を含む、癌診断用組成物。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の癌診断用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定する製剤を含む、癌診断用キット。
【請求項9】
(A)患者の血液から補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択される2種以上のバイオマーカーのレベルを測定する段階;及び
(B)上記バイオマーカーのレベルを正常対照試料と比較する段階;を含み、
上記バイオマーカーは、
(1)OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)
の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))で、
(2)OPN、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合(OPN/(HRG+LPC))で、
(3)C7及びOPNの場合、C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で、
(4)C7、OPN及びDCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)
で、
(5)C7、OPN及びLPCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)で、
(6)C7、OPN及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合((C7+OPN)/HRG)で、
(7)C7、OPN、DC及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))で、
(8)C7、OPN、DC及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))で、
(9)C7、OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度
およびLPC濃度の合計)の比率((C7+OPN)/(DC+HRG)+LPC))で、
(10)C7、OPN、HRG及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合
計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))で、
(11)DC及びLPCの場合、DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で、又は
(12)DC及びHRGの場合、DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で、測定することを特徴とす
る、癌診断のための情報を提供する方法。
【請求項10】
上記(A)段階の血液が、全血、血漿又は血清であることを特徴とする、癌診断のための
情報を提供する、請求項9に記載の癌診断のための情報を提供する方法。
【請求項11】
上記癌は、肺癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌、胃癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝癌又は子宮頸癌である、請求項9に記載の癌診断のための情報を提供する方法。
【請求項12】
上記(A)段階のリゾホスファチジルコリン(LPC)は、リゾホスファチジルコリン16:0(Lysophosphatidylcholine 16:0、LPC16)又はリゾホスファチジルコリン18:0(Lysophosphatidylcholine 18:0、LPC18)であることを特徴とする、請求項9に記載の癌診断のための
情報を提供する方法。
【請求項13】
上記癌が肺癌の場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1.0であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカット
オフ値以上である場合、肺癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は280~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度との和の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~13であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は5~8であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~ 3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肺癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は2~2.4であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は70~80であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は140~155であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;と 情報を提
供することを特徴とする、請求項9に記載の癌診断のための情報を提供する方法。
【請求項14】
上記癌が肝癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカットオ
フ値以上である場合、肝癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は275~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度との和の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~14であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肝癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は4.5~6であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は2.4~3.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3.1~4.1であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.3~ 2であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肝癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~2.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は67~75であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は122~137であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;と情報を提供することを特徴とする、請求項9に記載の癌診断のための情報を提供する方法。
【請求項15】
上記(A)段階における、C7、HRG又はOPNバイオマーカーのレベル測定は、タンパク質チ
ップ分析、イムノアッセイ、リガンド結合アッセイ、MALDI-TOF(Matrix Desorption / Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser
Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オークテロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定アッセイ、二次元電気泳動分析、液体クロマトグラフィー-質量分析(liquid chromatography-Mass Spectrometry, LC-MS), LC-MS/MS(liquid chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry), ウェスタンブロット又はELISA(enzyme linked immunosorbent
assay)を用いて行うことを特徴とする、請求項9に記載の癌診断のための情報を提供する方法。
【請求項16】
上記段階(A)における、DCバイオマーカー又はLPCバイオマーカーのレベル測定は、液体クロマトグラフィー - 質量分析計(LC-MS)を介して得ることを特徴とする、請求項9に記
載の癌診断のための情報を提供する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、癌診断用バイオマーカー及びその用途に関するものであり、より詳細には、血液補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選
択される2種以上のマーカーレベルを測定する物質を含む、癌診断又は予後予測用組成物
、及びそれを用いた癌診断又は予後に関する情報を提供する方法に関する。
【0002】
[背景技術]
がんは細胞が無限に増殖して正常な細胞の機能を妨げる疾患であり、肝癌、肺癌、胃がん、乳がん、大腸がん及び卵巣がんなどが代表的であり、実質的にはどの組織(tissue)でも発生することができる。
【0003】
初期の癌診断は、がん細胞の成長に伴う生体組織の外的変化に基づいていたが、近年、血液、糖鎖、ジエンエー(DNA)など、生物の組織又は細胞に存在する微量の生体分子検出
を利用した診断が試みられている。しかしながら、最も一般的に使用される癌診断方法は、生体組織検査によって得られた組織サンプルを使用するか、画像を用いた診断である。
【0004】
その中で、生体組織検査は患者に大きな苦痛を引き起こし、費用がかかるだけでなく、診断に長い時間がかかるという欠点がある。また、患者が実際のがんにかかった場合、生体組織検査過程中にがんの転移が引き起こされるおそれがあり、生体組織検査で組織サンプルが得られない部位の場合、外科的手術を通じて疑われる組織の摘出が行われる前には、疾患の診断が不可能な欠点がある。
【0005】
特に、肝臓がん(Hepatic cancer)又は肝細胞がん(Hepatocellular carcinoma)は、成人肝癌で最も一般的なタイプであり、がんによる死亡原因の3番目を占める(Stefaniuk P、et al。、World J Gastroenterol.、16 :418-424、2010)。肝癌で最も一般的に使用され
る腫瘍マーカーはアルファ-フェトプロテイン(alpha-Fetoprotein; AFP)であり、AFPは成人にとって非常に低い濃度(通常は7~10ng / mL以下)でのみ存在するため、血液内のAFP
レベルの増加は 深刻な腫瘍細胞の増加を意味することができる。一般にAFPが20ng/m
L以上に増加していると肝癌と診断されるが、AFPを利用する診断は感度が40%程度と低
い欠点がある。すなわち、AFP陰性肝癌が全体肝癌の40%以上になるため、より正確に肝
癌診断率を効果的に増加させることができる追加のマーカーが必要な実情である。
【0006】
他の診断基準では確立されていないが、肝癌の診断に役立つ血清マーカーとしては、DCP(Descarboxyprothrombin)、PIVKA-II(Prothrombin Induced by Vitamin K Absence II)
、グリコシル化AFP対総AFP(L3フラクション)分布、AFU(アルファフコシダーゼ)、グリピ
カン3(glypican3)、HSP-70などがある。しかし、それぞれは予後因子として意味を持つことが大部分であり、単独で使用した場合、精度が低く、まだスクリーニング検査として使用されておらず、これを解決するために肝癌の正確な診断が可能な多様なマーカーに関する研究が行われている(大韓民国公開特許第10-2014-0115490号;大韓民国公開特許第10-2016-0072027号)。
【0007】
また、肺癌は、世界的に高い致死率を示すがんの一つであり、現在、肺癌の場合、イメージング法(X線、CT、MRIなど)に依存度が高い方である。しかし、肺癌患者の半分以上は発見当時、すでに手術が不可能であり、手術が可能と判断され、手術を施行しても
、その多くは完全切除が不可能な状態である。したがって、肺癌の治癒率を高めるためには、肺癌の早期診断と治療が最も重要ですが、肺癌は診断に有用なマーカーが限られているため、詳細な診断が困難な問題点がある。したがって、生物学的試料に存在する癌特異的なマーカー及びこれらのマーカーを用いた高い精度と精密さで、癌を診断することができる方法の開発が求められている。
【0008】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
したがって、本発明者らは、癌をより正確に診断できるマーカーを選別するために鋭意努力した結果、肝癌患者の血液補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-
カルニチン(Dodecanoyl-L- carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)のレベルが正常人と異なるパターンを示すことを確認し、これらのマーカーを
組み合わせた場合、肺癌及び肝癌を含む様々な癌診断能がより向上することを確認し、本発明を完成した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、血液、血漿又は血清中、補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジ
ルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(OPN)からなる群から選択された2種以上のマーカーのレベルを測定する物質を含む、癌診断用組成物、それを用いた癌診断用キット、及び癌診断のための情報を提供する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、血液、血漿又は血清中、補体C7(Complement Component 7, C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine, DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine, LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポン
チン(OPN)からなる群から選択された2種以上のマーカーのレベルを測定する物質を含む、癌予後予測用組成物、それを用いた癌予後診断用キット、及び癌予後予測のための情報を提供する方法を提供することにある。
【0011】
[課題を解決するための手段]
上記目的を達成するため、
本発明は、補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオホン(Osteopontin、OPN)からなる群から
選択された2種以上のバイオマーカーを含み、
上記バイオマーカーは血液から抽出されたものであり、
上記バイオマーカーは、
(1)OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)
の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))で、
(2)OPN、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合(OPN/(HRG+LPC))で、
(3)C7及びOPNの場合、C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で、
(4)C7、OPN及びDCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)
で、
(5)C7、OPN及びLPCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)で、
(6)C7、OPN及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合((C7+OPN)/HRG)で、
(7)C7、OPN、DC及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))で、
(8)C7、OPN、DC及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))で、
(9)C7、OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度
およびLPC濃度の合計)の比率((C7+OPN)/(DC+HRG)+LPC))で、
(10)C7、OPN、HRG及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合
計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))で、
(11)DC及びLPCの場合、DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で、又は
(12)DC及びHRGの場合、DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で、癌を診断することを特徴
とする癌診断用バイオマーカー組成物を提供する。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態では、上記血液は全血、血漿又は血清であり得る。
本発明の他の好ましい実施形態では、上記癌は、肺癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌、胃癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝癌又は子宮頸部癌であり得る。
【0013】
本発明の好ましい別の実施形態では、上記リゾホスファチジルコリン(LPC)は、リゾホ
スファチジルコリン16:0(Lysophosphatidylcholine 16:0、LPC16)又はリゾホスファチ
ジルコリン18:0(Lysophosphatidylcholine 18:0、LPC18)であり得る。
【0014】
本発明の好ましい別の一実施形態では、上記癌が肺癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1.0であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカット
オフ値以上である場合、肺癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は280~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~13であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は5~8であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~ 3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肺癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は2~2.4であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は70~80であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は140~155であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;と見ることができる。
【0015】
本発明の好ましい別の一実施形態において、上記癌が肝癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカットオ
フ値以上である場合、肝癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は275~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~14であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肝癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は4.5~6であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は2.4~3.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3.1~4.1であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.3~ 2であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肝癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~2.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は67~75であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は122~137であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計カットオフ値以下である場合、肝癌である;と見ることができる。
【0016】
また、本発明は、上記癌診断用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定する製剤を含む癌診断用組成物を提供する。
本発明の好ましい一実施形態では、C7、HRG、又はOPNマーカーのレベルを測定する薬剤は、タンパク質レベルを測定する薬剤であり、各マーカーのタンパク質又はペプチド断片に特異的に結合する抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子、又はアプタマーを含むことができる。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態では、上記DCマーカー又はLPCマーカーのレベルを測定
する製剤は質量分析用製剤であり得る。
さらに、本発明は、癌診断用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定するための製剤を含む癌診断用キットを提供する。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態では、キットは、ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)キット、タンパク質チップキット、ラピッドキット又はMRM(Multiple reaction monitoring)キットであり得る。
【0019】
さらに、本発明は、(A)患者の血液から補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカ
ノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択される2種以上のバイオマーカーのレベルを測定する段階;及び
(B)上記バイオマーカーのレベルを正常対照試料と比較する段階;を含み、
上記バイオマーカーは、
(1)OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)
の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))で、
(2)OPN、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合(OPN/(HRG+LPC))で、
(3)C7及びOPNの場合、C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で、
(4)C7、OPN及びDCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)
で、
(5)C7、OPN及びLPCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)で、
(6)C7、OPN及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合((C7+OPN)/HRG)で、
(7)C7、OPN、DC及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))で、
(8)C7、OPN、DC及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))で、
(9)C7、OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度
およびLPC濃度の合計)の比率((C7+OPN)/(DC+HRG)+LPC))で、
(10)C7、OPN、HRG及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合
計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))で、
(11)DC及びLPCの場合、DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で、又は
(12)DC及びHRGの場合、DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で、測定することを特徴とす
る、癌診断のための情報を提供する方法を提供する。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態では、上記癌は、肺癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌、胃癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝癌又は子宮頸部癌であり得る。
本発明の別の好ましい実施形態では、上記段階(A)の血液は全血、血漿又は血清であり
得る。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態では、リゾホスファチジルコリン(LPC)は、リゾホスフ
ァチジルコリン16:0(Lysophosphatidylcholine 16:0、LPC16)又はリゾホスファチジル
コリン18:0(Lysophosphatidylcholine 18:0, LPC18)であり得る。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態において、上記癌が肺癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に
対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1.0であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカット
オフ値以上である場合、肺癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は280~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~13であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は5~8であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~ 3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肺癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は2~2.4であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は70~80であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は140~155であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;と 情報を提
供することができる。
【0023】
本発明の好ましい別の一実施形態において、上記癌が肝癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカットオ
フ値以上である場合、肝癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は275~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~14であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肝癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は4.5~6であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は2.4~3.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3.1~4.1であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.3~ 2であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肝癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~2.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は67~75であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は122~137であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;と情報を提供することができる。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態では、上記段階(A)におけるC7、HRG又はOPNバイオマー
カーのレベル測定は、タンパク質チップ分析、イムノアッセイ、リガンド結合アッセイ、MALDI-TOF(Matrix Desorption / Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オークテロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定アッセイ、二次元電気泳動分析、液体クロマトグラフィー-質量分析(liquid chromatography-Mass Spectrometry, LC-MS), LC-MS/MS(liquid chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry), ウェスタンブロット又はELISA(enzyme linked immunosorbent assay)を用いて行うことができる。
【0025】
本発明の好ましい別の一実施形態において、上記(A)段階におけるDC又はLPCバイオマーカーのレベル測定は、質量ピーク面積で血液、血漿又は血清内試料を質量分析することにより得られ、具体的には、液体クロマトグラフィー - 質量分析計(LC-MS)を介して得られ、質量分析計は、トリプルTOF、トリプルクォードルーポール及び定量的測定が可能なMALDI TOFのいずれかであり得る。
【0026】
他の目的を達成するために、
本発明は、補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)、及びオステオポンチン(OPN)からなる群から選択された2種以上のバイオマーカーを含み、上記バイオマーカーは血液から抽出されたことを特
徴とする癌予後予測用バイオマーカー組成物を提供する。
【0027】
また、本発明は、上記癌予後予測用バイオマーカーのレベルを測定する物質を含む癌予後予測用組成物を提供する。
また、本発明は、上記癌予後予測用バイオマーカーのレベルを測定する物質を含む癌予後診断用キットを提供する。
【0028】
また、本発明は、癌予後予測用バイオマーカーのレベルを測定することを含む癌予後予測のための情報を提供する方法を提供することにある。
[発明の効果]
本発明では、肺癌及び肝癌患者の血液補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)のレベルが正常人と異なるパターンを示すことを確認し、これらのマーカ
ーを組み合わせると、肺癌又は肝癌を含む様々な癌診断能がより向上することを確認したので、本発明のマーカーは癌の診断及び予後判断に有用に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1(A)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度を確認したデータである。図中の数値は平均(mean)±標準誤差(standard error of the mean、SEM)値で表し、Nは患者数を意味する。また、Specificityは特異度、Sensitivityは感度を意味する。図1(B)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のDC濃度を確認したデータである。図1(C)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のHRG濃度を確認したデータである。図1(D)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のLPC濃度を確認したデータである。
図2図2(A)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のOPN濃度、DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度をOPN/(DC+HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図2(B)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のOPN濃度、HRG濃度およびLPC濃度をOPN/(HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図2(C)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度及びOPN濃度をC7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で表したデータである。図2(D)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度、OPN濃度およびDC濃度を(C7+OPN)/DC濃度比で表したデータである。図2(E)は、肺癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/LPC濃度比で表したデータである。図2(F)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度、OPN濃度およびHRG濃度を(C7+OPN)/HRG濃度比で表したデータである。
図3図3(A)は、肺癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度、DC濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/(DC+LPC)濃度比で表したデータである。図3(B)は、肺癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度、DC濃度およびHRG濃度を(C7+OPN)/(DC+HRG)濃度比で表したデータである。図3(C)は、肺癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度、DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度を(C7+OPN)/(DC+HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図3(D)は、肺癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度、HRG濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/(HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図3(E)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のDC濃度およびLPC濃度をDC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で表したデータである。図3(F)は、肺癌患者群と正常対照群から得られた血液中のDC濃度及びHRG濃度をDC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で表したデータである。
図4図4(A)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度を確認したデータである。図4(B)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のDC濃度を確認したデータである。図4(C)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のHRG濃度を確認したデータである。図4(D)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のOPN濃度を確認したデータである。図4(E)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のLPC濃度を確認したデータである。
図5図5(A)は、肝癌患者群と正常対照群から得た血液中のOPN濃度、DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度をOPN/(DC+HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図5(B)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のOPN濃度、HRG濃度およびLPC濃度をOPN/(HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図5(C)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度及びOPN濃度をC7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で表したデータである。図5(D)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度、OPN濃度およびDC濃度を(C7+OPN)/DC濃度比で表したデータである。図5(E)は、肝癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/LPC濃度比で表したデータである。図5(F)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度、OPN濃度およびHRG濃度を(C7+OPN)/HRG濃度比で表したデータである。
図6図6(A)は、肝癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度、DC濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/(DC+LPC)濃度比で表したデータである。図6(B)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度、OPN濃度、DC濃度およびHRG濃度を(C7+OPN)/(DC+HRG)濃度比で表したデータである。図6(C)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のC7濃度、OPN濃度、DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/(DC+HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図6(D)は、肝癌患者群と正常対照群から得た血液中のC7濃度、OPN濃度、HRG濃度およびLPC濃度を(C7+OPN)/(HRG+LPC)濃度比で表したデータである。図6(E)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のDC濃度およびLPC濃度をDC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で表したデータである。図6(F)は、肝癌患者群と正常対照群から得られた血液中のDC濃度およびHRG濃度をDC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で表したデータである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
癌診断用バイオマーカー組成物
本発明は一貫して、補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチ
ン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択された2種以上のバイオマーカーを含み、
上記バイオマーカーは血液から抽出されたものであり、
上記バイオマーカーは、
(1)OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)
の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))で、
(2)OPN、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合(OPN/(HRG+LPC))で、
(3)C7及びOPNの場合、C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で、
(4)C7、OPN及びDCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)
で、
(5)C7、OPN及びLPCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)で、
(6)C7、OPN及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合((C7+OPN)/HRG)で、
(7)C7、OPN、DC及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))で、
(8)C7、OPN、DC及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))で、
(9)C7、OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度
およびLPC濃度の合計)の比率((C7+OPN)/(DC+HRG)+LPC))で、
(10)C7、OPN、HRG及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合
計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))で、
(11)DC及びLPCの場合、DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で、又は
(12)DC及びHRGの場合、DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で癌を診断することを特徴と
する癌診断用バイオマーカー組成物に関する。
【0031】
本発明において、上記血液は全血、血漿又は血清であり得る。
本発明において、上記癌は、肺癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌、胃癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝癌又は子宮頸部癌であり、好ましくは肝癌又は肺癌であり得る。
【0032】
本発明において、上記リゾホスファチジルコリン(LPC)は、リゾホスファチジルコリン16:0(Lysophosphatidylcholine 16:0, LPC16)又はリゾホスファチジルコリン18:0(Lysophosphatidylcholine 18:0, LPC18)であり得る。
【0033】
本発明において、上記組成物は、C7、DC、LPC、HRGおよびOPNからなる群から選択され
る1つのマーカーを用いて癌を診断することができ、好ましくは2~5個のマーカーを組み
合わせて、より好ましくは、「OPN、DC、HRGおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「OPN、HRGおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7およびOPNマーカーの組み合わせ」、「C7、OPNおよびDCマーカーの組み合わせ」、「C7、OPN、およびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7、OPNおよびHRGマーカーの組み合わせ」、「C7、DC、OPNおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7、DC、OPNおよびHRGマーカーの組み合わせ」、「C7、OPN、DC、HRGとLPCマー
カーの組み合わせ」、「C7、OPN、HRGとLPCマーカーの組み合わせ」、「DCとLPCマーカーの組み合わせ」、又は「DCとHRGマーカーの組み合わせ」を使用して癌を診断することが
できる。
【0034】
本発明の具体的な一実施形態では、正常人(Normal)、肺癌(Lung cancer、LC)患者、肝
癌(Hepatic cancer; HC)患者の血液をそれぞれ得て、血液中のC7、DC、LPC、HRG、及びOPN濃度を測定した。
【0035】
その結果、図1(A)~図1(D)(肺癌)及び図4(A)~図4(E)(肝癌)に示されるように、肺癌又は肝癌患者の場合、正常人と血液内マーカーの濃度差があることを確認した。
【0036】
具体的には、
血液中のC7バイオマーカーの濃度が正常対照と比較して高い場合;
血液中のOPNバイオマーカーの濃度が正常対照と比較して高い場合;
血液中のDCバイオマーカーの濃度が正常対照に低い場合;
血液中のLPCバイオマーカーの濃度が正常対照群に低い場合;又は
血液中のHRGマーカーの濃度が正常対照と比較して低い場合;癌であると見ることができる。
【0037】
具体的には、上記癌が肺癌の場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1.0であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカット
オフ値以上である場合、肺癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は280~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~13であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は5~8であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~ 3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肺癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は2~2.4であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は70~80であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は140~155であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;と見ることができる。
【0038】
また、上記癌が肝癌の場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカットオ
フ値以上である場合、肝癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は275~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~14であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肝癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は4.5~6であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は2.4~3.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3.1~4.1であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.3~ 2であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肝癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~2.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG
濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は67~75であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は122~137であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;と見ることができる。
【0039】
癌診断用組成物
本発明は、別の一観点で、本発明の癌診断用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定する製剤を含む癌診断用組成物に関する。
【0040】
本発明に係る癌診断用組成物は、上述した<癌診断用バイオマーカー組成物>を準用する。
本発明において、上記C7、HRG又はOPNマーカーのレベルを測定する製剤はタンパク質レベルを測定する製剤であってもよく、上記DCマーカー又はLPCマーカーのレベルを測定す
る製剤は質量分析用製剤であってもよい。
【0041】
タンパク質レベルを測定する薬剤は、C7、HRG又はOPNマーカーのタンパク質又はペプチドフラグメントに特異的に結合する抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子又はアプタマーであり得る。
【0042】
本発明で使用される「抗体」という用語は、抗原と特異的に結合して抗原 - 抗体反応
を引き起こす物質を指す。本発明の目的上、抗体は、本発明のバイオマーカーに特異的に結合する抗体を意味する。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及び組換え抗体の両方を含む。
【0043】
本発明で使用される「アプタマー」という用語は、単一、二重らせんのDNA、RNAの形態で特定の標的タンパク質との三次元的結合を介してタンパク質の相互作用を抑制する生高分子物質であり、様々な標的分子に結合する特徴を有する。典型的には、アプタマーは、規定された二次構造及び三次構造、例えばステムループ構造に折り畳まれた15~50塩基長の小さな核酸であり得る。アプタマーは、10-6、10-8、10-10、又は10-12 満のk
dで標的高発現タンパク質又は低発現タンパク質と結合することが好ましい。
【0044】
上記質量分析用製剤とは、血液、血漿又は血清中のマーカーの質量を分析することができる製剤であり、具体的には、液体クロマトグラフィー-質量分析器(LC-MS)を行うことができる製剤を意味する。
【0045】
癌診断用キット
本発明は、別の一態様において、本発明の癌診断用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定する製剤を含む癌診断用キットに関する。
【0046】
本発明に係る癌診断用組成物は、上述した<癌診断用バイオマーカー組成物>を準用する。
上記キットは、当技術分野で知られている通常の製造方法によって製造することができる。キットは、例えば、凍結乾燥形態の抗体、緩衝液、安定剤、不活性タンパク質などを含むことができる。
【0047】
上記キットは検出可能な標識をさらに含み得る。 「検出可能な標識」という用語は、
標識のない同じ種類の分子の中で標識を含む分子を特異的に検出することを可能にする原子又は分子を意味する。検出可能な標識は、タンパク質又はその断片に特異的に結合する
抗体、相互作用タンパク質、リガンド、ナノ粒子、又はアプタマーに結合したものであり得る。検出可能な標識は、放射線種、蛍光源、酵素を含むことができる。
【0048】
上記キットは、当技術分野で知られている様々な免疫分析法又は免疫染色法に従って使用することができる。上記免疫分析法又は免疫染色法は、放射能免疫分析、放射能免疫沈降、免疫沈降、ELISA、キャプチャ-ELISA、阻害又は競合分析、サンドイッチ分析、フロ
ーサイトメトリー、免疫蛍光染色及び免疫親和性精製を含むことができる。好ましくは、キットは、ELISA(enzyme linked immunosorbent assay)キット、タンパク質チップキット、ラピッドキット、又は多重反応モニタリング(MRM)であり得る。
【0049】
癌診断に関する情報提供方法
本発明は、別の一態様において、(A)患者の血液から補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択される2種以上のバイオマーカーのレベ
ルを測定する段階;及び
(B)上記バイオマーカーのレベルを正常対照試料と比較する段階;を含み、
上記バイオマーカーは、
(1)OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)
の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))で、
(2)OPN、HRGおよびLPCの場合、OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合(OPN/(HRG+LPC))で、
(3)C7及びOPNの場合、C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)で、
(4)C7、OPN及びDCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)
で、
(5)C7、OPN及びLPCの場合、(C7濃度及びOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)で、
(6)C7、OPN及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合((C7+OPN)/HRG)で、
(7)C7、OPN、DC及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))で、
(8)C7、OPN、DC及びHRGの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)
の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))で、
(9)C7、OPN、DC、HRGおよびLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度
およびLPC濃度の合計)の比率((C7+OPN)/(DC+HRG)+LPC))で、
(10)C7、OPN、HRG及びLPCの場合、(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合
計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))で、
(11)DC及びLPCの場合、DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)で、又は
(12)DC及びHRGの場合、DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)で、測定することを特徴とす
る、癌診断のための情報を提供する方法に関する。
【0050】
本発明において、上記癌は、肺癌、膵臓癌、胆道癌、大腸癌、乳癌、胃癌、脳腫瘍、腎臓癌、肝癌又は子宮頸部癌であり、好ましくは肝癌又は肺癌であり得る。
【0051】
本発明において、上記リゾホスファチジルコリン(LPC)は、リゾホスファチジルコリン16:0(Lysophosphatidylcholine 16:0, LPC16)又はリゾホスファチジルコリン18:0(Lysophosphatidylcholine 18:0, LPC18)であり得る。
【0052】
本発明において、上記癌診断のための情報を提供する方法は、上記癌が肺癌の場合、
本発明の別の好ましい実施形態において、上記癌が肺癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1.0であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカット
オフ値以上である場合、肺癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は280~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~13であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肺癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は5~8であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3~5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~ 3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肺癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は2~2.4であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肺癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は70~80であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は140~155であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肺癌である;と 情報を提
供することができる。
【0053】
また、上記癌が肝癌である場合、
(1)上記OPN濃度:(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合(OPN/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.4~0.8であり、血液中のOPN濃度:(DC濃度,HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(2)上記OPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計)の比率(OPN/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は0.5~1であり、血液中のOPN濃度:(HRG濃度とLPC濃度の合計) )の割合がカットオ
フ値以上である場合、肝癌である;
(3)上記C7濃度とOPN濃度の合計(C7+OPN)に対するカットオフ値は275~300であり、血
液中のC7濃度とOPN濃度の合計がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(4)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合((C7+OPN)/DC)に対するカットオフ値は11~14であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):DC濃度の割合がカットオフ値以上で
ある場合、肝癌である;
(5)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合((C7+OPN)/LPC)に対するカットオフ値は4.5~6であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):LPC濃度の割合がカットオフ値以上
である場合、肝癌である;
(6)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の比率((C7+OPN)/HRG)に対するカットオフ値は2.4~3.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):HRG濃度の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(7)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+LPC))に対するカットオフ値は3.1~4.1であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(8)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG))に対するカットオフ値は2~3であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度とHRG濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(9)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(DC濃度、HRG濃度及びLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(DC+HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.3~ 2であり、血液中(C7濃度とOPN濃度
の合計):(DC濃度、HRG濃度およびLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合
、肝癌である;
(10)上記(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合((C7+OPN)/(HRG+LPC))に対するカットオフ値は1.5~2.5であり、血液中(C7濃度とOPN濃度の合計):(HRG濃度とLPC濃度の合計)の割合がカットオフ値以上である場合、肝癌である;
(11)上記DC濃度とLPC濃度の合計(DC+LPC)に対するカットオフ値は67~75であり、血液中のDC濃度とLPC濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;又は
(12)上記DC濃度とHRG濃度の合計(DC+HRG)に対するカットオフ値は122~137であり、血液中のDC濃度とHRG濃度の合計がカットオフ値以下である場合、肝癌である;と情報を提供することができる。
【0054】
本発明において、上記(A)段階における血液中のC7、HRG又はOPNバイオマーカーのレベ
ル測定は、タンパク質チップ分析、イムノアッセイ、リガンドバインディングアッセイ、MALDI-TOF(Matrix Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry) )分析、SELDI-TOF(Sulface Enhanced Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry)分析、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オークテロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定分析法、2次元電気泳動分析、液体クロマトグラ
フィー-質量分析(liquid chromatography-Mass Spectrometry, LC-MS)、LC-MS/MS(liquid
chromatography-Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry)、ウェスタンブロット又はELISA(enzyme linked immunos)利用して行うことができる。
【0055】
本発明において、上記(A)段階における血液中のDC又はLPCバイオマーカーのレベル測定は、質量ピーク面積で血液、血漿又は血清内試料を質量分析することにより得ることができ、具体的には、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)を介して得ることがで
きる。質量分析計は、Triple TOF、Triple Quadrupole、及び定量性測定が可能なMALDI TOFのいずれかであり得る。
【0056】
癌予後予測用バイオマーカー
本発明は、別の一観点から、補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-
カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein) )及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択された2種以上のバイオマーカーを含み、上記バイオマーカ
ーは血液から抽出されたことを特徴とする癌予後予測用バイオマーカー組成物を提供する。
【0057】
本発明において、
血液中のC7バイオマーカーの濃度が正常対照と比較して高い場合;
血液中のOPNバイオマーカーの濃度が正常対照と比較して高い場合;
血液中のDCバイオマーカーの濃度が正常対照に低い場合;
血液中のLPCバイオマーカーの濃度が正常対照群に低い場合;又は
血液中のHRGマーカーの濃度が正常対照と比較して低い場合;癌予後が良くないと見ることができ、具体的な内容は上述した<癌診断用バイオマーカー組成物>を準用する。
【0058】
癌予後予測用組成物及びキット
本発明は、別の一態様において、癌予後予測用バイオマーカー組成物の血液レベルを測定する薬剤を含む癌予後予測用組成物に関する。
【0059】
本発明は、別の一観点で、上記癌予後予測用組成物を含む癌予後診断用キットに関する。
本発明による癌予後予測用組成物又はキットの具体的な内容は、上述した<癌診断用組成物>又は<癌診断用キット>を準用する。
【0060】
癌予後予測のための情報提供方法
本発明は、別の一態様において、(A)患者の血液から補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなる群から選択される2種以上のバイオマーカーのレベ
ルを測定する段階;及び
(B)上記バイオマーカーのレベルを正常対照試料と比較する段階;を含む癌予後予測の
ための情報を提供する方法を提供する。
【0061】
本発明において、
血液中のC7バイオマーカーの濃度が正常対照と比較して高い場合;
血液中のOPNバイオマーカーの濃度が正常対照と比較して高い場合;
血液中のDCバイオマーカーの濃度が正常対照に低い場合;
血液中のLPCバイオマーカーの濃度が正常対照群に低い場合;又は
血液中のHRGマーカーの濃度が正常対照と比較して低い場合;癌予後が悪いと情報を提供する段階をさらに提供することができ、具体的な内容は上述した<癌診断に対する情報提供方法>を準用する。
【0062】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解釈されないことは当技術分野で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0063】
実施例1:肺癌患者診断
1-1: サンプルの準備
本発明のマーカーが肺癌を診断できることを確認するために、合計189人の患者を選別
し、具体的には、正常人(Normal) 89人及び肺癌(Lung cancer, LC)患者100人を選別して
血液を採取した。
【0064】
1-2: 血液中のマーカー濃度の測定
<C7(Complement Component C7)濃度測定>
上記血液試料から血漿をそれぞれ抽出された後、C7酵素結合免疫吸着検査(ELISA, enzyme-linked immunosorbent assay)を行い、C7タンパク質量を測定した。 C7 ELISAキット
はYN1203 ELISA Kit(INNOBATION BIO、韓国)を使用した。
【0065】
単離した血漿をELISAキット中の希釈溶液を用いて20万倍希釈した。次に、C7標準曲線
製造のための標準物質を製造業者のマニュアルに従って製造した。調製した試料と標準物質をC7抗体でコーティングしたプレートに入れて密封し、2時間室温でインキュベートし
た。
【0066】
2時間の培養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を行い、洗浄完了後、プレートに検出抗体を入れてから1時間室温で培養した。
【0067】
1時間の培養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を繰り返し進行し、洗浄完了後プレートに基質を入れてから20分間室温で培養した。
【0068】
20分の培養後、各プレートウェルに停止溶液(stop solution)溶液を入れてから弱く叩
き、混合してからマイクロプレートリーダー(医療用免疫吸光測定装置、K01050.01)を450nmに設定して吸光度を測定した。測定された吸光度は、標準物質から作製された標準
曲線に代入して適切なC7タンパク質の濃度を測定した。
【0069】
<DC(ドデカノイル-L-カルニチン)濃度測定>
血液サンプルから血漿を分離し、DC(Sigma、USA)標準曲線に必要な濃度別の標準物質を作製した。 20μlの血漿及び標準物質に400μlの脂質抽出緩衝液(Abnova、台湾)を入れてボルテックス(vortexing)した後、遠心分離を(10,000g、5min、4℃)した。遠心分離後、上清をすべて新しいチューブに移し、濃縮器(Concentrator)を用いて12~16時間乾燥させた。乾燥した代謝体抽出物に50μlの0.1%ギ酸を含む100%メタノールを入れボルテ
クサー(vortex)を用いてよく溶かした後、LC-MS/MS(liquid chromatography - mass spectrometry/mass spectrometry)を用いて分析を進めた。
【0070】
使用されたLCはShimadzu LC 40システムであり、MSはAB Sciex Triple Quad 5500+システムであった。 MSにはTurbo Spray ion sourceを装着した。分析サンプルは、島津LC 40システムのBEH C18カラム(1.7um、2.1×50mm; Waters)内で分離した。溶媒は、2段階の線形gradient(solvent A、0.1% FA in water; solvent B、0.1% FA in 100% Acetonitrile;
5~55% solvent B 2.5 min、55% solvent B 5.5 min、55~95% solvent B 7.5分、95%
ソルベントB(11分)、95~5%ソルベントB(11.1分)及び5%ソルベントB(14.5分)を使用した。
【0071】
MRM(Multiple reaction monitoring)モードを用いて質量分析(mass spectrometry, MS/MS)を行った。 DCに対応する代謝体が液体クロマトグラフィーを通過して出る時間帯と同じ時間帯の質量スペクトルのうち、同じ質量値を有する質量ピークの面積を計算した。 DC標準物質の質量ピークを用いて標準曲線を作製し、各試料の質量ピークを標準曲線に代
入してDCの濃度を測定した。
【0072】
<LPC16濃度測定>
血液サンプルから血漿を分離し、LPC(Avanti、USA)標準曲線に必要な濃度別の標準物質を作製した。 20μlの血漿及び標準物質に400μlの脂質抽出緩衝液(Abnova、台湾)を入れてボルテックス(vortexing)した後、遠心分離を(10,000g、5min、4℃)した。
【0073】
遠心分離後、上清をすべて新しいチューブに移し、濃縮器(Concentrator)を用いて12~16時間乾燥させた。乾燥した代謝体抽出物に50μlの0.1%ギ酸を含む100%メタノールを入
れボルテクサー(vortex)を用いてよく溶かした後、LC-MS/MS(liquid chromatography - mass spectrometry/mass spectrometry)を用いて分析を進めた。
【0074】
使用されたLCはShimadzu LC 40システムであり、MSはAB Sciex Triple Quad 5500+システムであった。 MSにはTurbo Spray ion sourceを装着した。分析サンプルは、島津LC 40
システムのBEH C18カラム(1.7um、2.1×50mm; Waters)内で分離した。溶剤は、2段階の線量(solvent A、0.1% FA in water; solvent B、0.1% FA in 100% Acetonitrile; 5~55% solvent B 2.5 min、55% solvent B 5.5 min、55~95% solvent B 7.5分、95%ソルベン
トB(11分)、95~5%ソルベントB(11.1分)及び5%ソルベントB(14.5分)を使用した。
【0075】
MRM(Multiple reaction monitoring)モードを用いて質量分析(mass spectrometry, MS/MS)を行った。 LPCに対応する代謝体が液体クロマトグラフィーを通過して出る時間帯と
同じ時間帯の質量スペクトルのうち、同じ質量値を有する質量ピークの面積を計算した。
LPC標準物質の質量ピークを用いて標準曲線を作製し、各試料の質量ピークを標準曲線に代入してLPCの濃度を測定した。
【0076】
<HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)濃度測定>
上記血液サンプルから血漿をそれぞれ抽出された後、HRG酵素結合免疫吸着検査(ELISA
、酵素結合免疫ゾルベントアッセイ)を行い、HRGタンパク質量を測定した。 HRG ELISAキットは、HRG ELISA Kit(My BioSource、米国)を使用した。
【0077】
単離した血漿をELISAキット中の希釈溶液を用いて100倍希釈した。次に、HRG標準曲線
製造のための標準物質を製造業者のマニュアルに従って製造した。調製した試料と標準物質をHRG抗体でコーティングしたプレートに入れて密封し、室温で1時間インキュベートした。 1時間の培養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を
行い、洗浄完了後、プレートに検出抗体を入れてから1時間室温で培養した。 1時間の培
養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を繰り返し進行し
、洗浄完了後プレートに基質を入れてから30分間室温で培養した。
【0078】
30分の培養後、各プレートウェルに停止溶液(Stop solution)を入れてから弱く叩き、
混合してからマイクロプレートリーダー(医療用免疫吸光測定装置、K01050.01)を450n
mに設定して吸光度を測定した。測定された吸光度は、標準物質で作られた標準曲線に代入して適切なHRGタンパク質量に変換した。
【0079】
<オステオポンチン(Osteopontin)濃度測定>
上記血液試料から血漿をそれぞれ抽出された後、オステオポンチン酵素結合免疫吸着検査(ELISA、酵素結合免疫ゾルベントアッセイ)を行い、オステオポンチンタンパク質量を
測定した。オステオポンチンELISAキットはOsteopontin Human ELISA Kit(Invitrogen、USA)を使用した。
【0080】
単離した血漿をELISAキット中の希釈溶液を用いて20倍希釈した。使用前にELISAキットを洗浄液を用いて3回の洗浄を行った後、オステオポンチン標準曲線作製のための標準物
質を製造業者マニュアルに従って作製した。調製したサンプル及び標準物質を、オステオポンチン抗体をコーティングしたプレートに入れ、密封し、室温で2時間60rpmでインキュベートした。
【0081】
2時間の培養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を行い、洗浄完了後、プレートにビオチン-コンジュゲート(Biotin-Conjugat
e)を入れてから1時間室温で培養した。 1時間の培養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を繰り返し進行し、洗浄完了後プレートにストレプトア
ビジン-HRP(ストレプトアビジン-HRP)を入れてから1時間室温で培養した。1時間の培養後、各プレートウェルの内容物を除去し、洗浄液を用いて3回の洗浄を繰り返し進
行した。洗浄完了後、プレートに100μlの基質を入れた後、30分間室温でインキュベー
トした。
【0082】
30分の培養後、各プレートウェルに100μlの静止溶液(Stop solution)を入れてから弱く叩き、混合してからマイクロプレートリーダー(医療用免疫吸光測定装置、K01050.01)を450nmに設定して吸光度を測定する。した。測定された吸光度は、標準物質で作られ
た標準曲線に代入して適切なオステオポンチンタンパク質量に変換した。
【0083】
その結果、図1(A)~図1(D)に示すように、肺癌患者は正常人と血液中のマーカーの濃度差を示すことを確認し、具体的には、正常人に比べてC7の濃度は高く、DC、LPC又はHRGの濃度は低いことが確認された。
【0084】
また、5種類のマーカーを利用した「OPN、DC、HRG、LPCマーカーの組み合わせ」、「OPN、HRG、LPCマーカーの組み合わせ」、「C7、OPNマーカーの組み合わせ」、「C7、OPN、DCマーカーの組み合わせ」組み合わせ」、「C7、OPNおよびLPCマーカーの組み合わせ」、
「C7、OPNおよびHRGマーカーの組み合わせ」、「C7、DC、OPNおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7、DC、OPNおよびHRGマーカーの組み合わせ」 、「C7、OPN、DC、HRGおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7、OPN、HRGおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「DCお
よびLPCマーカーの組み合わせ」、または「DCおよびHRGマーカーの組み合わせ」を使用する場合図2(A)~図2(F)および図3(A)~図3(F)に示すように、正常対照群と肺癌患者との間に濃度比差が明らかに現れることを確認した。すなわち、マーカー単独ではなく2種類以
上のマーカーを組み合わせた場合、肺癌診断能が著しく増加することを確認した。
【0085】
実施例2:肝癌患者の診断
2-1: サンプルの準備
本発明のマーカーが肝癌を診断できることを確認するために、合計117人の患者を選別
し、具体的には、正常人(Normal)100人及び肝癌(Hepatic cancer; HC)患者17人を選別し
て血液を採取した。
【0086】
2-2: 血液中のマーカー濃度の測定
<C7(Complement Component C7)濃度測定>
上記実施例1と同様の方法で酵素結合免疫吸着検査(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)を行い、C7タンパク質量を測定した。
【0087】
<DC(ドデカノイル-L-カルニチン)濃度測定>
上記実施例1と同様の方法で液体クロマトグラフィーを行い、DCに対応する代謝体が液
体クロマトグラフィーを通過して出る時間帯と同じ時間帯の質量スペクトルのうち、同じ質量値を有する質量ピークの面積を計算した。 DC標準物質の質量ピークを用いて標準曲
線を作製し、各試料の質量ピークを標準曲線に代入してDCの濃度を測定した。
【0088】
<LPC16濃度測定>
上記実施例1と同様の方法で液体クロマトグラフィーを行い、LPCに対応する代謝体が液体クロマトグラフィーを通過して出る時間帯と同じ時間帯の質量スペクトルのうち、同じ質量値を有する質量ピークの面積を計算した。 LPC標準物質の質量ピークを用いて標準曲線を作製し、各試料の質量ピークを標準曲線に代入してLPCの濃度を測定した。
【0089】
<HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)濃度測定>
上記実施例1と同様の方法で酵素結合免疫吸着検査(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)を行い、HRGタンパク質量を測定した。
【0090】
<オステオポンチン(Osteopontin)濃度測定>
上記実施例1と同様の方法で酵素結合免疫吸着検査(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)を行い、オステオポンチンタンパク質量を測定した。
【0091】
その結果、図4(A)~図4(E)に示すように、肝癌患者の場合、正常人と血液中のマーカーの濃度差を示すことが確認され、具体的には、正常人に比べてC7及びOPNの濃度は高く、DC、LPC又はHRGの濃度は低いことが確認された。
【0092】
また、5種類のマーカーを利用した「OPN、DC、HRG、LPCマーカーの組み合わせ」、「OPN、HRG、LPCマーカーの組み合わせ」、「C7、OPNマーカーの組み合わせ」、「C7、OPN、DCマーカーの組み合わせ」組み合わせ」、「C7、OPNおよびLPCマーカーの組み合わせ」、
「C7、OPNおよびHRGマーカーの組み合わせ」、「C7、DC、OPNおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7、DC、OPNおよびHRGマーカーの組み合わせ」 、「C7、OPN、DC、HRGおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「C7、OPN、HRGおよびLPCマーカーの組み合わせ」、「DCお
よびLPCマーカーの組み合わせ」、または「DCおよびHRGマーカーの組み合わせ」を使用する場合図5(A)~図5(F)および図6(A)~図6(F)に示すように、正常対照群と肝癌患者との間に濃度比差が明らかに現れることを確認した。すなわち、マーカー単独ではなく2種類以
上のマーカーを組み合わせた場合、肝癌診断能が著しく増加することを確認した。
【0093】
[産業上利用可能性]
本発明では、肺癌及び肝癌患者の血液補体C7(Complement Component 7、C7)、ドデカノイル-L-カルニチン(Dodecanoyl-L-carnitine、DC)、リゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine、LPC)、HRG(Histidine-Rich Glycoprotein)及びオステオポンチン(Osteopontin、OPN)からなるマーカーを組み合わせると、肺癌や肝癌を含む様々な癌診断能が
より向上することが確認されたので、本発明のマーカーはがんの診断や予後判断に有用に活用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【国際調査報告】