(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 177/00 20060101AFI20241008BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20241008BHJP
C08G 69/40 20060101ALI20241008BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C09J177/00
C08G69/26
C08G69/40
C09J11/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522015
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 FR2022051930
(87)【国際公開番号】W WO2023062324
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プルヴェイール, トマ
【テーマコード(参考)】
4J001
4J040
【Fターム(参考)】
4J001DA02
4J001DB04
4J001DB05
4J001EB09
4J001EB71
4J001EC05
4J001EC14
4J001EC83
4J001FB06
4J001FC06
4J001JA18
4J001JB02
4J001JB04
4J001JB06
4J001JB07
4J001JB10
4J040EG001
4J040HA026
4J040HA116
4J040JB01
4J040KA42
4J040LA06
4J040LA09
4J040NA02
4J040NA16
4J040NA19
4J040PB05
(57)【要約】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物であって、以下:
i)少なくとも1つの特定の半結晶性脂肪族コポリアミド、
ii)炭素原子の含有量が充填剤を構成する原子数に対して60%と100%の間である少なくとも1つの充填剤であって、炭素系充填剤が、1から400マイクロメートルの範囲のD90中央値平均粒径を有する、少なくとも1つの充填剤、
iii)金属酸化物及び窒化物から選択される少なくとも1つの電気絶縁性充填剤
を含み、
炭素系充填剤の含有量と電気絶縁性充填剤の含有量の合計が、組成物の総重量に対して30重量%と75重量%の間であり、
前記充填剤が、1から400マイクロメートルの範囲のD90中央値平均粒径を有する、
ホットメルト接着剤組成物に関する。
本発明はまた、それらの調製のための方法及びそれらの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤組成物であって、
i)下記の式(1):
X/Y(1)
[式中:
- 単位Xは、C6からC18α,ω-アミノカルボン酸、C6からC18ラクタム及び(Caジアミン).(Cb二酸)単位から選択される単位の重縮合により得られる半結晶性単位であり、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素数を表し、aは2と18の間、bは4と18の間であり、Caジアミン及びCb二酸は、飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式であり、
- 単位Yは、(Cdジアミン).(Ce二酸)単位の重縮合により得られる単位であり、dはジアミンの炭素原子数を表し、eは二酸の炭素数を表し、d及びeは2と48の間であり、Cdジアミン及びCe二酸は、飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式であり、Cdジアミンは、ポリエーテルアミンであってもよく、
単位Yは、30℃未満、有利には20℃未満、非常に有利には0℃未満のTgを有し、
コポリアミドは、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定された、200℃で0.5Pa.sと300Pa.sの間の溶融粘度を有し、
コポリアミドは、組成物のマトリックスを構成する]
に対応する少なくとも2つの単位を含む少なくとも1つの半結晶性脂肪族コポリアミド、
ii)少なくとも1つの充填剤であって、その炭素原子の含有量が、充填剤を構成する原子数に対して60%と100%の間である、少なくとも1つの充填剤、
iii)金属酸化物及び窒化物から選択される少なくとも1つの電気絶縁性充填剤
を含み、
炭素系充填剤の含有量と電気絶縁性充填剤の含有量の合計が、組成物の総重量に対して30重量%と75重量%の間であり、
前記充填剤が、1から400マイクロメートルの範囲のD90中央値平均粒径を有する、
ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
炭素系充填剤が、0.5から500マイクロメートルの範囲のD50中央値平均粒径を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
炭素系充填剤が、ISO 9277:2010に従って測定した1m
2/gと300m
2/gの間、非常に有利には1.5m
2/gと200m
2/gの間のBET比表面積を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
電気絶縁性充填剤が、ISO 9277:2010に従って測定した0.1m
2/gと80m
2/gの間、非常に有利には0.5m
2/gと50m
2/gの間のBET比表面積を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
0.5Pa.sと400Pa.sの間、有利には2Pa.sと200Pa.sの間、非常に有利には3Pa.sと100Pa.sの間の溶融粘度を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
IEC規格62631-3-2(2015)に従って測定された10
10Ω.mを超える表面抵抗率を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
220℃未満、有利には200℃未満、非常に有利には180℃未満の融点を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
コポリアミドが、PA26、PA29、PA210、PA212、PA214、PA218、PA56、PA59、PA510、PA512、PA66、PA69、PA610、PA612、PA6、PA11、PA12、PA1010、PA1012、PA1212、PA pip10、PA pip36、PA pip44、PA POP40036、PA POP40044、PA POP40010、PA POP4006、PA POP200036、PA POP200044、PA POP200010、PA POP20006、PA3636、PA3644、PA4436、PA4444及びこれらの混合物から選択される単位のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
コポリアミドが、Cdジアミンとしてのポリエーテルアミン、又はCe二酸としての酸二量体を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
コポリアミドが、ターポリアミド又はテトラポリアミドであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
酸化防止剤、UV安定剤、熱安定剤、可塑剤、核形成剤、粘着付与剤、衝撃改良剤、難燃剤、帯電防止剤、補強剤、潤滑剤、有機及び無機充填剤、蛍光増白剤、離型剤、顔料、染料、触媒並びにこれらの混合物から選択される添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
100bar未満、好ましくは50barの圧力で射出され得ることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
- 炭素系充填剤が、膨張黒鉛であるとき、組成物の総重量に対して5重量%と17重量%の間の含有量で組成物中に存在すること;
- 炭素系充填剤が、膨張黒鉛ではないとき、組成物の総重量に対して5重量%と35重量%の間、好ましくは10重量%と29.90重量%の間、さらにより好ましくは10重量%と25重量%の間の含有量で組成物中に存在すること
を特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
電気絶縁性充填剤が、金属酸化物、より詳細には、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及びアルミノシリケートから選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
組成物の重量に対して、17重量%から60重量%、好ましくは25重量%から55重量%、より優先的には25重量%から50重量%、さらにより有利には30重量%から50重量%の電気絶縁性充填剤を含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
好ましくは自動車のエンジンフードの下又は医療器具に位置する電子デバイスの封入のための、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの封入のためのホットメルト接着剤組成物、そのような組成物の調製のための方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドを、例えば自動車分野又は医療分野で使用される電子デバイスや機械装置を封止するためのホットメルト接着剤として使用することはよく知られている。具体的には、プラスチック材料は一般に、自動車内であろうと、小規模では携帯電話のシェルであろうと、バッテリーを保護するために使用される。より詳細には、封入される基板は、銅などの金属、又は例えばプリント回路を構成する材料などのポリマーであり得る。この封入は、成形される部品に損傷を与えないように、低圧力で行われる必要がある。
【0003】
さらに、短絡の可能性を避けるために、これらの材料は電気絶縁性でなければならない。また、これらの材料は、例えば電池が封入される要素である場合、使用中に発生する熱を排出できるようにするために、熱伝導性でなければならない。
【0004】
実装レベルでは、部品の封入は、成形される部品に損傷を与えないように、低圧力で行われる必要がある。封入はデリケートなプロセスである。部品の封入を可能にする材料は溶融される。続いて、封入される要素の上に静かに高温で蒸着される。溶融材料のノズル出口の圧力は低圧と表現される。「湿潤」という用語は、この封入を定義するために使われる。実際、ノズル出口の圧力が高すぎる場合、溶融材料にかかる力によって封入される部品が損傷する可能性がある。
【0005】
部品を封入するための低圧射出プロセスがいくつか知られている。「エポキシポッティング」と呼ばれるプロセスには、比較的時間がかかるという欠点があり、反応時間が比較的遅いため生産性が低くなる。化学気相堆積プロセスは、それ自体が封入の分野で使用されている。しかし、このプロセスは危険であることが知られている。
【0006】
したがって、特定の物理化学的特性に対応する必要があり、より簡単、より迅速かつ確実な低圧封入プロセスを可能にする必要がある新しい材料が求められている。
【0007】
したがって、上記のすべての特性、すなわち熱伝導性、低粘度、良好な機械的特性、及び良好な接着特性を兼ね備えているポリマーを提供することが真に必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明による組成物は非反応性であるため、改善された熱伝導性、接着特性及び低粘度と組み合わせて高い生産性を可能にし、壊れやすい物体の低圧封入を可能にする。そして、部品の美観、優れた機械的特性、そして220℃以下の融点も重要である。
【0009】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物であって、以下:
i)下記の式(1):
X/Y(1)
[ - 単位Xは、C6からC18α,ω-アミノカルボン酸、C6からC18ラクタム及び(Caジアミン).(Cb二酸)単位から選択される単位の重縮合により得られる半結晶性単位であり、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素数を表し、aは2と18の間、bは4と18の間であり、Caジアミン及びCb二酸は、飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式であり、
- 単位Yは、(Cdジアミン).(Ce二酸)単位の重縮合により得られる単位であり、dはジアミンの炭素原子数を表し、eは二酸の炭素数を表し、d及びeは2と48の間であり、Cdジアミン及びCe二酸は、飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式であり、Cdジアミンは、ポリエーテルアミンであってもよく、
単位Yは、30℃未満、有利には20℃未満、非常に有利には0℃未満のTgを有し、
コポリアミドは、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定された、200℃で0.5Pa.sと300Pa.sの間の溶融粘度を有し、
コポリアミドは、組成物のマトリックスを構成する]
に対応する少なくとも2つの単位を含む少なくとも1つの半結晶性脂肪族コポリアミド、
ii)少なくとも1つの炭素系充填剤であって、その炭素原子の含有量が、充填剤を構成する原子数に対して60%と100%の間である、少なくとも1つの炭素系充填剤、
iii)金属酸化物及び窒化物から選択される少なくとも1つの電気絶縁性充填剤
を含み、
炭素系充填剤の含有量と電気絶縁性充填剤の含有量の合計が、組成物の総重量に対して30重量%と75重量%の間であり、
前記充填剤が、1から400マイクロメートルの範囲のD90中央値平均粒径を有する、
ホットメルト接着剤組成物に関する。
【0010】
本発明はまた、本発明による組成物の調製のための方法に関する。
【0011】
そして、本発明は、電子デバイスを封入するための組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で、本発明をより詳細に、非限定的に説明する。
【0013】
本発明の意味の中で、「ホットメルト」という用語は、熱の影響下で組成物が溶融する能力を意味すると理解される。
【0014】
明細書中、別途指示がない限り、パーセント表示はすべてモル%である。
【0015】
本発明の意味の中で、「...と...の間」という表現は、その境界が記載された範囲に含まれることを意味すると理解される。
【0016】
コポリアミド
本発明による組成物中に存在するコポリアミドは、半結晶性で脂肪族である。
【0017】
「半結晶性コポリアミド」という表現は、ガラス転移温度Tgと融解温度Tmの両方を示すコポリアミドを対象とする。TgとTmは、それぞれISO 11357-2:2013と11357-3:2013に従って決定することができる。
【0018】
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO規格1874-1:1992「Plastics-Polyamide(PA)moulding and extrusion materials-Part 1:Designation」、特に第3ページ(表1及び表2)に記載されており、当業者にはよく知られている。PAL表記では、PAはポリアミドを示し、Lはアミノ酸又はラクタムの炭素原子数を示す。したがって、ポリアミドは、L個の炭素原子を含むアミノ酸又はラクタムの重縮合によって得られる。PAMN表記では、Mはジアミンの炭素原子数を示し、Nは二酸の炭素原子数を示す。
【0019】
半結晶性脂肪族コポリアミドは、下記の式(1)に対応する少なくとも2つの単位:
X/Y(1)
[式中:
- 単位Xは、C6からC18α,ω-アミノカルボン酸、C6からC18ラクタム及び(Caジアミン).(Cb二酸)単位から選択される単位の重縮合により得られる半結晶性単位であり、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素数を表し、aは2と18の間、bは4と18の間であり、Caジアミン及びCb二酸は、飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式であり、
- 単位Yは、(Cdジアミン).(Ce二酸)単位の重縮合により得られる単位であり、dはジアミンの炭素原子数を表し、eは二酸の炭素数を表し、d及びeは2と48の間であり、Cdジアミン及びCe二酸は、飽和又は不飽和で直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式であり、Cdジアミンは、ポリエーテルアミンであってもよく、
単位Yは、30℃未満、有利には20℃未満、非常に有利には0℃未満のTgを有する]
を含み、
コポリアミドは、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定された、200℃で0.5Pa.sと300Pa.sの間の溶融粘度を有し、
コポリアミドは、組成物のマトリックスを構成する。
【0020】
有利には、式(1)のポリアミドは、窒素原子の数に対する炭素原子の数の比(C/Nと表記)が8以上である。
【0021】
本発明の意味の中で、「半結晶性単位」という用語は、ISO規格11357-3:2013に従ったDSCにおける融解温度(Tm)と、2013年のISO規格11357-3に従って測定された、DSCにおいて5K/分の速度での冷却段階における、15J/gより大きく、好ましくは30J/gより大きい結晶化のエンタルピーとを有するポリアミドを意味すると理解される。
【0022】
単位Xは、1つ又は複数のC6~C12α,ω-アミノカルボン酸の重縮合から生じることがある。好ましくは、α,ω-アミノカルボン酸は、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸から選択される。
【0023】
単位Xは、1つ又は複数のC6~C12ラクタムの重縮合から生じることがある。好ましくは、ラクタムは、カプロラクタム、エナントラクタム及びラウリルラクタムから選択される。
【0024】
単位Xは、(Caジアミン).(Cb二酸)単位の重縮合から生じることがあり、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素数を表し、aは2と18の間、bは4と18の間である。より詳細には、bは5と18の間である。
【0025】
Caジアミンは、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンから選択され得る。
【0026】
Caジアミンが、脂肪族かつ直鎖状で、式H2N-(CH2)a-NH2のものであるとき、Caジアミンは、エチレンジアミン(a=2)、ブタンジアミン(a=4)、ペンタンジアミン(a=5)、ヘキサンジアミン(a=6)、ヘプタンジアミン(a=7)、オクタンジアミン(a=8)、ノナンジアミン(a=9)、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)、トリデカンジアミン(a=13)、テトラデカンジアミン(a=14)、ヘキサデカンジアミン(a=16)、オクタデカンジアミン(a=18)又はオクタデカンジアミン(a=18)から優先的に選択される。
【0027】
Caジアミンは、脂肪族かつ分岐状であるとき、主鎖に1つ又は複数のメチル又はエチル置換基を含み得る。例えば、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン又は2-メチル-1,8-オクタンジアミンから有利に選択され得る。
【0028】
Caジアミンは、脂環式であるとき、以下にpipと表記するピペラジン(a=4)及びアミノエチルピペラジン(a=6)から選択され得る。
【0029】
好ましくは、Caジアミンは、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカンジアミン及びピペラジンから選択される。
【0030】
Cbジアミンは、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族二酸又は脂環式二酸から選択され得る。
【0031】
本明細書を通じて、「二酸」、「カルボン二酸」及び「ジカルボン酸」という表現は、同じ生成物を表す。
【0032】
Cb二酸は、脂肪族であるとき、アジピン酸(b=6)、ヘプタン二酸(b=7)、オクタン二酸(b=8)、アゼライン酸(b=9)、セバシン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b=11)、ドデカン二酸(b=12)、ブラシル酸(b=13)、テトラデカン二酸(b=14)、ヘキサデカン二酸(b=16)、オクタデカン二酸(b=18)又はオクタデセン二酸(b=18)から選択され得る。
【0033】
二酸は、脂環式であるとき、以下の炭素骨格:ノルボルニル、シクロヘキシル、ジシクロヘキシル又はジシクロヘキシルプロパンを含み得る。
【0034】
好ましくは、単位Xは、カプロラクタム、エナントラクタム及びラウリルラクタム、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸、PA26、PA29、PA210、PA212、PA214、PA218、PA56、PA59、PA510、PA66、PA69、PA610、PA512、PA612、PA514、PA614、PA618、PApip10、PApip12、PA1010、PA1012、PA1014、PA1018、PA1210、PA1212、PA1214及びPA1218から選択される。より詳細には、単位Xは、カプロラクタム、ラウリルラクタム、11-アミノウンデカン酸、PA26、PA29、PA210、PA212、PA214、PA218、PA59、PA510、PA69、PA610、PA512及びPA612から選択される。
【0035】
好ましくは、単位Xは、アミノ酸及びラクタム又はPA26、PA29、PA210、PA212、PA214、PA218、PA59、PA510、PA66、PA69、PA610、PA512又はPA612から選択され;より詳細には、単位Xは、アミノ酸及び6より大きい炭素原子数を有するラクタムから選択される。より詳細には、単位Xは、PA6、PA11、PA12、PA210、PA212、PA69、PA610、又はPA612である。
【0036】
単位Yは、(Cdジアミン).(Ce二酸)単位の重縮合によって得られ、dはジアミンの炭素原子数を表し、eは二酸の炭素数を表し、d及びeは2と48の間であり、Cdジアミン及びCe二酸は、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐状の脂肪族であり、Cdジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及びポリエーテルアミンから選択される。
【0037】
Cdジアミンは、Caジアミンについて上で定義されたように、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンから選択され得る。
【0038】
Cdジアミンは、エイコサンジアミン(a=20)及びドコサンジアミン(a=22)からも選択され得る。
【0039】
Cdジアミンは、以下に定義されるように、重合脂肪酸のアミノ化から生じることもある。Cdジアミンは、C36又はC44ジアミンである。
【0040】
Cdジアミンはまた、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM又はMACM)、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)及びイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)、イソホロンジアミン(f=10)、ピペラジン(f=4)(以下pipと表記する)、又はアミノエチルピペラジンから選択され得る。それは、以下の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)又はジ(メチルシクロヘキシル)プロパンも含み得る。これらの脂環式ジアミンの非網羅的リストは、「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk-Othmer,4th Edition(1992),pp.386-405)に記載されている。
【0041】
Cdジアミンは、ポリエーテルアミン、すなわちポリオキシアルキレンジアミンでもあり得る。好ましくは、鎖末端にアミン基を有するポリオキシアルキレン鎖である。ポリオキシアルキレン鎖は、好ましくは、単独で又は混合物としてオキシエチレン(POE)基、オキシプロピレン(POP)基又はオキシテトラメチレン(POTM)基を含む。それらの基が混合物として含まれるとき、POEとPOP、又はPOTMとPOPの混合物が好ましい。
【0042】
これらの化合物は、ポリエーテルジオールと呼ばれるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンのシアノアセチル化によって得ることができる。ポリエーテルアミンは、好ましくは、市販品、特にHuntsmanからJeffamine(登録商標)及びElastamine(登録商標)ブランド(例えばJeffamine(登録商標)D400、D2000、ED 2003又はXTJ 542、Elastamine(登録商標)RT 1000、RP 405又はRP 2009)又はBASFからBaxxodur(登録商標)ブランド(例えばBaxxodur(登録商標)EC 302、EC 301、EC 303又はEC 311)で販売されている市販品から選択される。
【0043】
好ましくは、ポリエーテルアミンの数平均分子量は、60g.mol-1と2000g.mol-1の間、より詳細には80g.mol-1と1500g.mol-1の間、さらにより好ましくは100g.mol-1と500g.mol-1の間である。
【0044】
Cdジアミンは、以下に定義されるように、重合脂肪酸のアミノ化から生じることもある。これらのジアミンは、Cognis Corporation(BASF)からVersamine(登録商標)というブランド名で、またCrodaからPriamine(登録商標)という商品名で市販されている。
【0045】
Ce二酸は、Cb二酸について上で定義されたように、直鎖状若しくは分岐状の脂肪族二酸又は脂環式二酸から選択され得る。
【0046】
Ce二酸は、エイコサン二酸(b=20)、ドコサン二酸(b=22)及び脂肪酸二量体からも選択され得る。
【0047】
Ce二酸は重合脂肪酸に由来し得る。これらの重合脂肪酸は、不飽和脂肪酸のカップリング反応から生成される化合物を表し、2つの酸官能基(酸二量体と表記)又は3つの酸官能基(酸三量体と表記)を有する生成物の混合物をもたらす。このカップリングは、2モルの不飽和モノカルボン酸の組み合わせ又は縮合反応であり得、一酸は同一でも異なっていてもよい。この二量化反応は、公知の方法に従って触媒重合法又は無触媒重合法によって行われ得る。例えば、C36二量体二酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びそれらの混合物のような、不飽和C18一酸の二量化によって得ることができる。これらの混合物は、例えばトール油中に存在する。通常、これらの混合物は主に二量体を含み、より少ない量で単量体、三量体及びオリゴマーを含む。分離後、脂肪酸二量体は、主に75%から98%以上が、特に対応する単量体「1と1/2量体」及び三量体との混合物として得られる。
【0048】
二量体二酸は、C14ミリストレイン酸、C16パルミトレイン酸、C16サピエン酸、C18オレイン酸、C18エライジン酸、C18トランスバセン酸、C18リノール酸、C18リノールライジン酸、C18α-リノレン酸、C18γ-リノレン酸、C20 11-エイコセン酸、C20エイコサペンタエン酸、C20ジホモ-γ-リノレン酸、C20アラキドン酸、C22エルカ酸、C22クルパノドン酸、C22ドコサヘキサエン酸、C24ネルボン酸及びそれらの混合物から得ることができる。
【0049】
重合脂肪酸は市販されており、特にCrodaから販売されている商品名Pripol(登録商標)を有する製品を使用することができ、またCognisから販売されている商品名Empol(登録商標)を有する製品、又はKratonから販売されている商品名Unydime(登録商標)を有する製品又はOleonから販売されている商品名Radiacid(登録商標)を有する製品も使用することができる。
【0050】
脂肪酸二量体は、その後、2つの酸官能基をアミン官能基に変換することによってアミン二量体に、又は酸官能基の1つをアミン官能基に変換することによってアミノ酸二量体に変換され得る。
【0051】
好ましくは、単位Yに使用される二酸は酸二量体であり、より詳細にはC36及びC44二量体が使用される。
【0052】
好ましくは、単位Yは、PA236、PA536、PA636、PA1036、PA pip36、PA pip44、PA244、PA544、PA644、PA1044、PA POP36、PA POP44、PA POP6、PA POP9、PA POP10、PA POP12又はPA POP14から選択され、POPは、60g/molと2000g/molの間のモル質量を有するポリエーテルアミンである。
【0053】
本発明によるコポリアミドの単位Yは、好ましくは30℃未満、有利には0℃未満のTgを有する。記載のガラス転移温度は、ISO規格11357-2:2013、Plastics-Differential Scanning Calorimetry(DSC)Part 2に従って示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。加熱速度及び冷却速度は20℃/分である。
【0054】
本発明によるコポリアミドは、30mol%から99.5mol%の単位X及び0.5mol%から70mol%の単位Yを含み、好ましくは40mol%から98mol%の単位X及び2mol%から60mol%の単位Yを含み、より詳細には50mol%から90mol%の単位X及び10mol%から50mol%の単位Yを含む。
【0055】
単位X及びYのモルパーセンテージは、例えばコポリアミドを構成する単量体のすべて、すなわちX及びY、のモル数の合計に対して、単位Xを構成する単量体のモル数のパーセンテージを計算することにより測定される。これは連鎖制限剤を除外しながら行われ、過剰なジアミン又は二酸はカウントされない。次の式:
は、その計算を示している。
【0056】
本発明によるコポリアミドは、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定された、200℃で0.5Pa.sと300Pa.sの間、好ましくは0.5Pa.sと200Pa.sの間、より好ましくは200℃で1から100Pa.s、より詳細には200℃で2から30Pa.sの溶融粘度を有する。より詳細には、溶融粘度は、ASTM規格D3236-88(2009)に従ってSC 4-27モジュールを使用するブルックフィールドレオメーターを用いて200℃で測定される。
【0057】
本発明によるコポリアミドは、好ましくは20℃未満、有利には0℃未満のTgを有する。記載のガラス転移温度は、ISO規格11357-2:2013、Plastics - Differential Scanning Calorimetry (DSC)Part 2に従って示差走査熱量測定(DSC)によって決定することができる。加熱速度及び冷却速度は20℃/分である。
【0058】
好ましくは、本発明によるコポリアミドは、PA26、PA29、PA210、PA212、PA214、PA218、PA56、PA59、PA510、PA512、PA66、PA69、PA610、PA612、PA6、PA11、PA12、PA1010、PA1012、PA1212、PA pip10、PA pip36、PA pip44、PA POP40036、PA POP40044、PA POP40010、PA POP4006、PA POP200036、PA POP200044、PA POP200010、PA POP20006、PA3636、PA3644、PA4436、PA4444及びこれらの混合物から選択される単位のうちの少なくとも1つを含む。
【0059】
好ましくは、本発明によるコポリアミドは、以下の構造:PA26/pip36、PA210/pip36、PA212/pip36、PA214/pip36、PA218/pip36、PA59/pip36、PA510/pip36、PA512/pip36、PA610/pip36、PA612/pip36、PA6/pip36、PA1010/pip36、PA1012/pip36、PA1212/pip36、PA26/pip44、PA210/pip44、PA212/pip44、PA214/pip44、PA218/pip44、PA59/pip44、PA510/pip44、PA512/pip44、PA610/pip44、PA612/pip44、PA6/pip44、PA1010/pip44、PA1012/pip44、PA1212/pip44、PA26/POP40036、PA210/POP40036、PA212/POP40036、PA214/POP40036、PA218/POP40036、PA59/POP40036、PA510/POP40036、PA512/POP40036、PA610/POP40036、PA612/POP40036、PA6/POP40036、PA1010/POP40036、PA1012/POP40036、PA1212/POP40036、PA26/POP40010、PA210/POP40010、PA212/POP40010、PA214/POP40010、PA218/POP40010、PA59/POP40010、PA510/POP40010、PA512/POP40010、PA610/POP40010、PA612/POP40010、PA6/POP40010、PA1010/POP40010、PA1012/POP40010、PA1212/POP40010、PA26/POP4006、PA210/POP4006、PA212/POP4006、PA214/POP4006、PA218/POP4006、PA59/POP4006、PA510/POP4006、PA512/POP4006、PA610/POP4006、PA612/POP4006、PA6/POP4006、PA1010/POP4006、PA1012/POP4006、PA1212/POP4006、PA26/3636、PA210/3636、PA212/3636、PA214/3636、PA218/3636、PA59/3636、PA510/3636、PA512/3636、PA610/3636、PA612/3636、PA6/3636、PA1010/3636、PA1012/3636、PA1212/3636、PA26/3636、PA210/3636、PA212/3636、PA214/3636、PA218/3636、PA59/3636、PA510/3636、PA512/3636、PA610/3636、PA612/3636、PA6/3636、PA1010/3636、PA1012/3636、PA1212/3636、PA26/POP200036、PA210/POP200036、PA212/POP200036、PA214/POP200036、PA218/POP200036、PA59/POP200036、PA510/POP200036、PA512/POP200036、PA610/POP200036、PA612/POP200036、PA6/POP200036、PA1010/POP200036、PA1012/POP200036、PA1212/POP200036、PA26/pip36/POP40036、PA210/pip36/POP40036、PA212/pip36/POP40036、PA214/pip36/POP40036、PA218/pip36/POP40036、PA59/pip36/POP40036、PA510/pip36/POP40036、PA512/pip36/POP40036、PA610/pip36/POP40036、PA612/pip36/POP40036、PA6/pip36/POP40036、PA1010/pip36/POP40036、PA1012/pip36/POP40036、PA1212/pip36/POP40036、PA26/pip36/POP200036、PA210/pip36/POP200036、PA212/pip36/POP200036、PA214/pip36/POP200036、PA218/pip36/POP200036、PA59/pip36/POP200036、PA510/pip36/POP200036、PA512/pip36/POP200036、PA610/pip36/POP200036、PA612/pip36/POP200036、PA6/pip36/POP200036、PA1010/pip36/POP200036、PA1012/pip36/POP200036、PA1212/pip36/POP200036、PA26/pip36/POP4006、PA210/pip36/POP4006、PA212/pip36/POP4006、PA214/pip36/POP4006、PA218/pip36/POP4006、PA59/pip36/POP4006、PA510/pip36/POP4006、PA512/pip36/POP4006、PA610/pip36/POP4006、PA612/pip36/POP4006、PA6/pip36/POP4006、PA1010/pip36/POP4006、PA1012/pip36/POP4006、PA1212/pip36/POP4006、PA26/pip36/POP20006、PA210/pip36/POP20006、PA212/pip36/POP20006、PA214/pip36/POP20006、PA218/pip36/POP20006、PA59/pip36/POP20006、PA510/pip36/POP20006、PA512/pip36/POP20006、PA610/pip36/POP20006、PA612/pip36/POP20006、PA6/pip36/POP20006、PA1010/pip36/POP20006、PA1012/pip36/POP20006、PA1212/pip36/POP20006から選択され;POP20006は、2000gのモル質量を有するポリオキシプロピレン式のポリエーテルアミンとC6二酸との縮合から生じる単位を意味する。
【0060】
特に好ましくは、本発明によるコポリアミドは、ジアミン.二酸単位から選択される単位Xと、Cdジアミンとしてのピペラジン及びCe二酸としての6個超の炭素原子を含む二酸を含む単位Yとを含む。
【0061】
別の好ましい実施態様によれば、Ce二酸は、C36又はC44酸二量体である。
【0062】
さらに別の実施態様によれば、本発明によるコポリアミドは、窒素原子1個当たり6以上の平均炭素原子数を含む(Caジアミン).(Cb二酸)型の単位Xと、Cdジアミンとしてのピペラジン及びCe二酸としての6個超の炭素原子を含む二酸を含む単位Yとを含む。
【0063】
好ましくは、本発明によるコポリアミドは、Ce二酸として、酸二量体、又はCdジアミンとしてポリエーテルアミンを含む。
【0064】
好ましい実施態様によれば、本発明によるコポリアミドは、PA26/pip36、PA210/pip36、PA59/pip36、PA510/pip36、PA512/pip36、PA610/pip36、PA210/POP40036、PA59/POP40036、PA510/POP40036、PA610/POP40036、PA210/POP40010、PA59/POP4009、PA510/POP40010、PA26/POP4006、PA210/POP4006、PA610/POP4006、PA26/pip36/POP40036、PA210/pip36/POP40036、PA510/pip36/POP40036、PA610/pip36/POP40036、PA6/pip36/POP40036、PA210/pip36/POP200036、PA59/pip36/POP200036、PA510/pip36/POP200036、PA512/pip36/POP200036、PA610/pip36/POP200036、PA210/pip36/POP20006、PA610/pip36/POP20006から選択される。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、コポリアミドは、上で定義した2つの単位X及びYからなる。
【0066】
好ましい別の実施態様によれば、コポリアミドは、上で定義した2つを超える単位X及びYを含む。好ましくは、本発明による組成物に含まれるコポリアミドは、少なくとも3つの異なる単位を含む。例えば、本発明によるコポリアミドは、2つの単位Xと1つの単位Y、1つの単位Xと2つの単位Y、又は2つの単位Xと2つの単位Yを含み得る。好ましくは、本発明による組成物に含まれるコポリアミドは、ターポリアミド及びテトラポリアミドである。
【0067】
好ましくは、本発明によるコポリアミドは、脂肪酸二量体を含み、有利には、コポリアミドの全モル数に対して1mol%から35mol%、好ましくは2mol%から30mol%、優先的には7mol%から25mol%の含有量で脂肪酸二量体を含む。
【0068】
好ましくは、本発明によるコポリアミドは、コポリアミドの全モル数に対して、0.5mol%と25mol%の間、好ましくは1mol%と22mol%の間、優先的には1.5mol%と14mol%の間のポリエーテルジアミンの含有量を含む。
【0069】
コポリアミド中のピペラジン含有量は、コポリアミドの全モル数に対して、好ましくは40モル%未満、有利には30モル%未満、非常に有利には20モル%未満である。
【0070】
連鎖制限剤
本発明のコポリアミドは、必要に応じて、連鎖制限剤又は連鎖停止剤の存在下で、従来通り合成される。
【0071】
末端アミン官能基と反応するのに適した連鎖停止剤は、モノカルボン酸、無水フタル酸などの無水物、モノハロゲン化酸、モノエステル又はモノイソシアネートであり得る。
【0072】
好ましくは、モノカルボン酸が使用される。これらは、脂肪族モノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバル酸及びイソ酪酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;及びこれらの混合物から選択され得る。好ましい化合物は、脂肪酸、特に酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸である。
【0073】
末端酸官能基との反応に適した連鎖停止剤としては、モノアミン、モノアルコール及びモノイソシアネートを挙げることができる。
【0074】
好ましくは、モノアミンが使用される。それらは、脂肪族モノアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミン;脂環式アミン、例えばシクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン;芳香族モノアミン、例えばアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン;及びこれらの混合物から選択され得る。
【0075】
好ましい化合物は、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、及びアニリンである。
【0076】
連鎖制限剤は、ジアミンの化学量論に対して過剰に導入されるジカルボン酸であってもよく、又は二酸の化学量論に対して過剰に導入されるジアミンであってもよい。
【0077】
好ましい実施態様によれば、本発明による組成物中に存在するコポリアミドは、全部又は一部が再生コポリアミドである。ポリアミドは、再生ポリアミドであるとき、イミド、アルコール又はカルボン酸官能基、好ましくはイミド又はアルコール官能基から選択される酸化反応から生じる官能基を、アミド官能基に対して、同じ非再生ポリアミドのモル比よりも大きいモル比で含む。
【0078】
一実施態様によれば、酸化反応から生じる官能基の前記モル比、すなわちコポリアミドのアミド官能基のモル数に対するイミド官能基、酸官能基及びアルコール官能基のモル数の合計は、1/10000と1/20の間である。
【0079】
この比率は、プロトンNMRで濃度を計算することにより測定することができる。コポリアミドの試料は、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を添加しながらコポリアミドをジクロロメタン-d2に溶解することにより調製される。
【0080】
第1の代替形態では、イミド官能基の前記モル比は、1/1000と1/20の間、特に1/500と1/20の間、特に1/200と1/50の間である。
【0081】
第2の代替形態では、カルボン酸官能基の前記モル比は、1/5000と1/20の間、特に1/3000と1/50の間、非常に有利には1/500と1/25の間である。
【0082】
第3の代替形態では、アルコール官能基の前記モル比は、1/1000と1/20の間、有利には1/1000と1/25の間、非常に有利には1/200と1/50の間である。
【0083】
好ましくは、組成物中に存在するコポリアミドは、好ましくは10と220℃の間、有利には120と200℃の間、非常に有利には130と180℃の間の溶融温度を有する。
【0084】
23℃及び相対湿度50%に曝露した後のコポリアミドの含水率(平衡状態で実施した測定)は、コポリアミドの総重量に対して、好ましくは0.1重量%と1.2重量%の間、有利には0.15重量%から0.7重量%である。
【0085】
上記のコポリアミドは、本発明による組成物のマトリックスを構成する。
【0086】
炭素系充填剤
本発明による組成物は、少なくとも1つの充填剤を含み、その炭素原子の含有量は、充填剤を構成する原子数に対して60%と100%の間である。好ましくは、充填剤は、充填剤を構成する原子数に対して、80%から100%の炭素原子、より詳細には94%から99.99%の炭素原子を含む。
【0087】
充填剤は、天然黒鉛、合成黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、及び炭素繊維から選択され得る。好ましくは、充填剤は、天然黒鉛、合成黒鉛、及び膨張黒鉛から選択される。
【0088】
本発明による組成物に使用される黒鉛は、合成又は天然で生成され得る。市販されている天然に生成された黒鉛には3種類ある。それらは、薄片状黒鉛、非晶質黒鉛、及び結晶性黒鉛である。
【0089】
薄片状黒鉛は、その名が示すように薄片状の形態を示す。非晶質黒鉛は、その名が示すようには非晶質ではなく、実際には結晶質である。非晶質黒鉛は、平均サイズおよそ5マイクロメートルからおよそ10センチメートルで利用可能である。結晶性黒鉛は、通常、その外面に鉱脈のような外観を示し、これがその名の由来となっている。結晶性黒鉛は、Asbury Graphite及びCarbon Inc Carbonsから薄片の形態で市販されている。
【0090】
合成黒鉛は、石油又は石炭に由来するコークス及び/又はピッチから生成され得る。合成黒鉛は天然黒鉛よりも純度が高いが、結晶性は劣る。合成黒鉛の一種に電解黒鉛があり、これは電気炉で焼成した石油コークスとコールタールピッチから生成される。別の種類の合成黒鉛は、焼成した石油ピッチを2800℃で加熱して生成される。合成黒鉛は、天然黒鉛に比べて密度が低く、気孔率が高く、電気抵抗が高い傾向がある。
【0091】
好ましくは、「炭素系」充填剤は、0.5から500マイクロメートルの範囲のD50中央値平均粒径を有する。この範囲内で、1から200μm、好ましくは20から150μmのD50サイズを有する充填剤粒子が、有利に使用され得る。
【0092】
好ましくは、炭素系充填剤は、1から400マイクロメートル、有利には2から200μm、非常に有利には5から150μmの範囲のD90平均粒径を有する。
【0093】
D50とD90の値は、ISO規格13320-1:1999に従って推定され得る。
【0094】
一実施態様では、炭素系充填剤、ひいては組成物は、500μmを超える直径を有する粒子を含まず、有利には400μmを超える直径を有する粒子を含まない。
【0095】
炭素系充填剤が100%炭素で構成されていないとき、不純物は好ましくは以下の化学種から選択される:SiO2、Fe2O3、Al2O3、CaO、MgO、K2O、Na2O、TiO2、MnO及びP2O5。
【0096】
一実施態様によれば、ISO 9277:2010に従って測定される炭素系充填剤のBET比表面積は、1m2/gと300m2/gの間、非常に有利には1.5m2/gと200m2/gの間である。
【0097】
好ましくは、これらの充填剤は、3超、有利には7超、非常に有利には15超の平均形状因子を有する。
【0098】
走査型電子顕微鏡は、化合物の形態の観察及び視覚的評価を可能にする。ビデオ撮影及び画像解析に基づく形態計測により、粒子の形態に特徴的な定量可能なパラメータにアクセスすることが可能になる。様々な市販のデバイスが存在する:例として、MalvernのMorphologi G2機器、RetschのCamsizer機器、OcchioのAlpaga 500 Nano機器について言及することができ、これらはインターネットのページwww.malvern.com、www.retsch-technology.com、またwww.occhio.beに記載されている。
【0099】
Alpaga 500 Nano装置を使用して、試験したサンプルごとに10,000個の粒子を取得し、粒子ごとに伸びと真円度のパラメータが計算される。
【0100】
その計算に使用される数学的ツールは、「Morphometrie euclidienne des figures planes.Applications a l’analysse des materiaux granulaires[平面図形のユークリッド形態学。粒状材料の分析における応用]」と題されたE.Pirardの博士論文(1993年、リエージュ大学、253ページ)で展開されている。「The descriptive and quantitative representation of particle shape and morphology」と題された文書は、ISO/DIS 9276-6として公開されている。
【0101】
好ましくは、炭素系充填剤は、3kg/L未満、有利には2.5kg/L未満、非常に有利には2.3kg/L未満の密度を有する。密度はISO規格787-10:1993に従って測定される。
【0102】
好ましくは、炭素系充填剤は、膨張黒鉛であるとき、組成物の総重量に対して5重量%と17重量%の含有量で本発明による組成物中に存在する。炭素系充填剤は、膨張黒鉛ではないとき、組成物の総重量に対して5重量%と35重量%の含有量で本発明による組成物中に存在する。より優先的には、炭素系充填剤は、膨張黒鉛ではないとき、組成物の総重量に対して、10重量%と29.90重量%、さらに優先的には10重量%と25重量%の含有量で本発明の組成物中に存在する。
【0103】
電気絶縁性充填剤
本発明による組成物は、金属酸化物及び窒化物から選択される少なくとも1つの電気絶縁性充填剤を含む。
【0104】
好ましくは、電気絶縁性充填剤は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、アルミノシリケート、酸化ジルコニウム、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、電気絶縁性充填剤は、金属酸化物から選択され、より詳細には酸化アルミニウム、酸化亜鉛、及びアルミノシリケートから選択される。
【0105】
有利には、本発明による組成物は、本発明による組成物の重量に対して、17重量%から60重量%、非常に有利には25重量%から55重量%、非常に有利には25重量%から50重量%、より有利には30重量%から50重量%の電気絶縁性充填剤を含む。より有利には、本発明による組成物は、本発明による組成物の重量に対して40重量%から50重量%の電気絶縁性充填剤を含む。
【0106】
本発明による組成物において、炭素系充填剤及び電気絶縁性充填剤の含有量の合計は、組成物の総重量に対して30重量%と75重量%の間、好ましくは40重量%と65重量%の間である。
【0107】
前記充填剤は、1から400マイクロメートルの範囲のD90中央値平均粒径を有する。
【0108】
一実施態様では、ISO規格9277:2010に従って測定された電気絶縁性充填剤のBET比表面積は、0.1m2/gと80m2/gの間、有利には0.5m2/gと50m2/gの間、非常に有利には0.6m2/gと30m2/gの間である。
【0109】
およそ0.5からおよそ200マイクロメートルのD50中央値平均粒径を有する充填剤を使用することが望ましい。この範囲内で、1から100μm、好ましくは1.5から50μmのD50を有する電気絶縁性充填剤が、有利に使用され得る。
【0110】
また、非常に大きな粒子をほとんど含まない充填剤を使用することも望ましい。したがって、充填剤のD90は、1から100μm、有利には2から70μmであることが望ましい。
【0111】
好ましい実施態様では、充填剤は、ポリアミドとの相溶性を向上させるために、サイズ剤でコーティングされている。このサイズ剤は本発明のポリアミドと有利に反応する。サイズ剤は、例えば、アミノシラン、エポキシシラン又はポリウレタンから選択され得る。
【0112】
添加剤
本発明による組成物は、少なくとも1つの添加剤を含み得る。
【0113】
添加剤は、触媒、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、光安定剤、潤滑剤、難燃剤、核形成剤、鎖延長剤、及び染料から選択され得る。
【0114】
有利には、上で定義した組成物は、酸化防止剤、UV安定剤、熱安定剤、可塑剤、核形成剤、粘着付与剤、衝撃改良剤、難燃剤、帯電防止剤、補強剤、潤滑剤、有機及び無機充填剤、蛍光増白剤、離型剤、顔料、染料、触媒並びにこれらの混合物から選択される添加剤をさらに含む。
【0115】
組成物は、組成物の総重量に対して0重量%と10重量%の添加剤、好ましくは0.1重量%と5重量%の添加剤を含み得る。
【0116】
本発明の特定の実施態様によれば、組成物は、マトリックスとして上で定義されたコポリアミドと、少なくとも1つの炭素系充填剤であって、その炭素原子の含有量が60%と100%の間である少なくとも1つの充填剤と、金属酸化物及び窒化物から選択される少なくとも1つの電気絶縁性充填剤とからなり、炭素系充填剤の含有量と電気絶縁性充填剤の含有量の合計は、組成物の総重量に対して30重量%と75重量%の間であり、前記充填剤は、1から400マイクロメートルの範囲のD90中央値平均粒径を有する。
【0117】
好ましくは、組成物は220℃未満、有利には200℃未満、非常に有利には180℃未満の融点を有する。この低い融点は、オーバーモールドされる部品を損傷しないために好ましい。
【0118】
この組成物は、有利には、10%を超える、有利には30%を超える破断点伸び(23℃でのISO 527引張試験時)を有する。1A試験片(ISO 527)で測定した23℃における引張弾性率は、好ましくは100MPaと5000MPaの間、有利には200MPaと4000MPaの間、非常に有利には200MPaと800MPaの間である。
【0119】
好ましくは、組成物は、1GHzで測定した場合、2と6の間、有利には2.5と4の間の誘電率(Dk)を有し、誘電正接(tanδ)は、0.001と0.1の間、有利には0.005と0.05の間である。誘電率と誘電正接は、ASTM規格D150に従って、周波数1GHzで100*100*2mmのプレート上で測定される。この低誘電率により、封入された電子又は電気機器との干渉を避けることができる。
【0120】
組成物の溶融粘度は、有利には0.5Pa.sと400Pa.sの間、非常に有利には2Pa.sと200Pa.sの間、好ましくは3Pa.sと100Pa.sの間である。溶融粘度は、ASTM規格D3236-88(2009)に従って、SC 4-27モジュールを使用したブルックフィールドレオメーターを用いて210℃で測定される。
【0121】
本発明による組成物は、好ましくは、IEC規格62631-3-2(2015)に従って測定された1010Ω.mより大きい、好ましくは1011Ω.mより大きい表面抵抗率を有する。言い換えれば、この組成物は電気絶縁性である。
【0122】
本発明による組成物は、好ましくは、ASTM規格D5930-17に従って測定された0.9W/m.Kと4W/m.Kの間、有利には1W/m.Kから3W/m.Kの熱伝導率を有する。
【0123】
本発明はまた、本発明による組成物を使用する封入方法に関する。
【0124】
本発明による組成物は、低圧射出成形による成形品の製造に使用される。この射出成形サイクルは、以下の様々な工程を含み得る:
a)接着される部品が挿入した後、金型を閉じる、
b)本発明による溶融組成物を、0.5barと50barの間の圧力まで金型内に射出し、任意選択的に保持圧力をかける、
c)成形用組成物を冷却して固化させる、
d)金型を開く、
e)射出成形された部品を金型から取り出す。
【0125】
低圧射出成形プロセスは、一般に2から40バールの範囲で作動し、温度は160℃と250℃の間である。
【0126】
したがって、本発明による組成物は、低圧、すなわち100バール未満、好ましくは50バール未満の圧力で射出され得る。
【0127】
使用
さらに別の態様によれば、本発明は、好ましくは自動車のエンジンフードの下又は医療器具に位置する、オーバーモールディング又はモールディングとも呼ばれる電子デバイスの封止のための、上で定義した本発明による組成物の使用に関する。
【0128】
本発明はまた、ウェブ、フィルム、顆粒、フィラメント、グリッド又は粉末の形態のホットメルト接着剤の製造のための、上で定義した本発明による組成物の使用に関する。
【0129】
本発明は、以下の図及び実施例によって説明されるが、これらは決して限定的なものではない。
【実施例】
【0130】
1.組成物の調製と測定
以下の表1及び表2に記載の成分を溶融混合することにより、組成物を得た。
【0131】
上記の組成物はすべて、18mm ZSK二軸押出機(Coperion)を用いて製造した。バレルの温度を210℃に設定し、スクリューの速度は280rpm、流量は8kg/hとした。その後、含水率が0.04%未満になるように、減圧下、80℃で組成物を乾燥させた。
【0132】
1A試験片(ISO規格527による)と5mmプレートを、未研磨の金型を使用し、Battenfeld BA800 CDCプレスを用いて射出成形により製造した。射出の際には、以下のパラメータ:
- バレル温度:120℃.
- ノズル温度:150℃.
- 金型温度:15℃.
- サイクル時間:60秒.
を適用した。
【0133】
上の表1では:
1ポリアミドAは、31mol%のC10二酸、19%のPripol 1013、25mol%のピペラジン、6.6mol%のJeffamine(登録商標)D 2000及び18.4mol%のエチレンジアミンで構成されるホットメルト接着剤組成物を表す。ポリアミドAは、180℃未満の融点と、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定した200℃で22Pa.sの溶融粘度とを有する。
【0134】
ポリアミドのTgは、DSCで測定して-22℃である。
【0135】
ポリアミドAの式は210/pip10/pip36/POP36であり、pipはピペラジン、POPはJeffamine(登録商標)D2000である。ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO規格1874-1:1992「Plastics-Polyamide(PA)moulding and extrusion materials-Part 1:Designation」、特に第3ページ(表1及び表2)に記載されている。
【0136】
2ポリアミドBは、220℃の融点と、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定した280℃で325Pa.sの溶融粘度とを有するPA6を表す。
【0137】
3黒鉛1は、Imerysにより販売されている商品名Timrex(登録商標)KS 15-600SPを有する黒鉛を表す。このグレードは、TDSによる500μm超のD90を特徴とする。
【0138】
4黒鉛2は、Imerysにより販売されている商品名Timrex(登録商標)M100を有する黒鉛を表す。このグレードは、400μm未満のD90を特徴とする。
【0139】
5酸化亜鉛は、Quarzwerk GmbHにより販売される商品名Silatherm(登録商標)1438-800 ASTを有する製品を表す。
【0140】
6アルミノシリケートは、Quarzwerk GmbHにより販売される商品名Silatherm(登録商標)1466-100を有する製品を表す。
【0141】
5膨張黒鉛は、Imerysにより販売される商品名Timrex(登録商標)C Therm HD maxを有する黒鉛を表す。
【0142】
上の表2では:
1ポリアミドAは、31mol%のC10二酸、19%のPripol 1013、25mol%のピペラジン、6.6mol%のJeffamine(登録商標)D 2000及び18.4mol%のエチレンジアミンで構成されるホットメルト接着剤組成物を表す。ポリアミドAは、180℃未満の融点と、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定した200℃で22Pa.sの溶融粘度とを有する。
【0143】
ポリアミドのTgは、DSCで測定して-22℃である。
【0144】
ポリアミドAの式は210/pip10/pip36/POP36であり、pipはピペラジン、POPはJeffamine(登録商標)D2000である。ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO規格1874-1:1992「Plastics - Polyamide (PA)moulding and extrusion materials - Part 1:Designation」、特に第3ページ(表1及び表2)に記載されている。
【0145】
2黒鉛2は、Imerysにより販売されている商品名Timrex(登録商標)M100を有する黒鉛を表す。このグレードは、400μm未満のD90を特徴とする。
【0146】
3膨張黒鉛は、Imerysにより販売される商品名Timrex(登録商標)C Therm HD maxを有する黒鉛を表す。
【0147】
4酸化亜鉛は、Quarzwerk GmbHにより販売される商品名Silatherm(登録商標)1438-800 ASTを有する製品を表す。
【0148】
5アルミノシリケートは、Quarzwerk GmbHにより販売される商品名Silatherm(登録商標)1466-100を有する製品を表す。
【0149】
これらの例では、さまざまな物理化学的特性を試験した。熱伝導率及び破断点伸びは、以下の方法に従って、プレート及び製造した試験片(ダンベル)で測定した。
【0150】
熱伝導率
熱伝導率は、ASTM規格D5930-17に従って、熱線を装備したNeotim FP2C装置を用いて、100*100*5mmのプレート上で23℃で測定した。
【0151】
破断点伸び:
引張試験は、ISO規格527-2:2012に従って、1 BAダンベル(ISO規格527-2:2012の付属書A)で23℃で実施した。
【0152】
プレート表面の見た目も評価した。
【0153】
表面の見た目:
表面の見た目を触感と目視で評価する。滑らかという特性は、表面が滑らかでソフトな手触りで、視覚的に平らな試料に与えられる。粒状という特性は、表面が粒状でざらざらした手触りで、視覚的にでこぼこしている試料に与えられる。
【0154】
組成物の低圧での使用能力も評価した。射出成形される部品を損傷することなく低圧で使用するためには、組成物は220℃未満の溶融温度と、ASTM規格D3236-88(2009)に従って測定された200℃での0.5Pa.sと300Pa.sの溶融粘度とを兼ね備えている必要がある。
【0155】
2.結論
組成物1、3及び5~8は、破断点伸びの点で劣る組成物2や、粘度及び高すぎる融点のためにオーバーモールディング工程に使用できない組成物4とは対照的に、期待される特性をすべて備えている。
【国際調査報告】