(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液晶レンズ、駆動方法、メガネ、電子製品、VR/AR機器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20241008BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241008BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/13 505
G02C7/10
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522421
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2022073612
(87)【国際公開番号】W WO2023141738
(87)【国際公開日】2023-08-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523093675
【氏名又は名称】成都耶塔科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU YETA TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 16, 19th Floor, Building 2, No. 88 Jitai 5th Road, Hi-tech Zone, Chengdu, Sichuan 610000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】馮 文斌
(72)【発明者】
【氏名】劉 志強
(72)【発明者】
【氏名】王 濱
【テーマコード(参考)】
2H006
2H088
2H092
【Fターム(参考)】
2H006BE03
2H088EA42
2H088HA02
2H088HA06
2H088MA20
2H092GA13
2H092GA26
2H092GA27
2H092GA41
2H092HA04
2H092RA03
(57)【要約】
本発明は、液晶レンズの技術分野に属し、具体的に、液晶レンズ、駆動方法、メガネ、電子製品、VR/AR機器である。本発明の液晶レンズは、液晶層、第1の電極層、第2の電極層、第1の透明基板及び第2の透明基板を含み、第1の電極層及び第2の電極層は、それぞれ液晶層の対向する両側に位置し、第1の透明基板は、第1の電極層の液晶層に背く側に位置し、第2の透明基板は、第2の電極層の液晶層に背く側に位置し、第2の電極層は、第1の電気コネクタ、第2の電気コネクタ及び複数本の導線を含み、前記導線は、第2の電極層の中心から周縁へ延伸し、導線は、一端が前記第1の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が前記第2の電気コネクタに接続され、隣接する前記導線の間のピッチは100μm以下である。本発明の液晶レンズは、駆動方法が簡単であり、理想的な電位分布を形成することができ、高抵抗膜の特性の変化から影響を受けない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層、第1の電極層、第2の電極層、第1の透明基板及び第2の透明基板を含む液晶レンズであって、前記第1の電極層及び第2の電極層は、それぞれ液晶層の対向する両側に位置し、前記第1の透明基板は、第1の電極層の液晶層に背く側に位置し、前記第2の透明基板は、第2の電極層の液晶層に背く側に位置し、
前記第2の電極層は、第1の電気コネクタ、第2の電気コネクタ及び複数本の導線を含み、前記導線は、第2の電極層の中心から周縁へ延伸し、前記導線は、一端が前記第1の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が前記第2の電気コネクタに接続され、前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第1の駆動電圧を提供するために用いられ、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第2の駆動電圧を提供するために用いられ、隣接する前記導線の間のピッチは100μm以下であることを特徴とする液晶レンズ。
【請求項2】
前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられ、及び/又は、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられ、及び/又は、第2の電気コネクタは細孔電極であることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項3】
前記複数本の導線は、第2の電極層の一点を中心に回転対称となることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項4】
前記第1の電気コネクタは、第1の電極リードであり、前記第1の電極リードは、導線の第2の電極層の中心に近い一端が外へ引き出されたものであり、前記導線は、外側から内側へ配列される複数の曲線セグメントを含み、各曲線セグメントは、電極リードの所で分断され、最外周に位置する曲線セグメントは、一端が第2の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リードの同一側で接続され、第2の電極層の中心に最も近い曲線セグメントは、一端が第1の電極リードに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リードの同一側で接続され、残りの曲線セグメントは、一端が隣接する曲線セグメントの一方と第1の電極リードの同一側で接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントの他方と第1の電極リードの同一側で接続されることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項5】
前記曲線セグメントは円弧であり、且つ隣接する前記曲線セグメントの間のピッチは等しいか又は等しくないことを特徴とする請求項4に記載の液晶レンズ。
【請求項6】
隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチは、液晶レンズにより形成された電位分布が球面分布、円錐面分布又は放物面分布であることを満たすことを特徴とする請求項4に記載の液晶レンズ。
【請求項7】
前記導線の形状は螺旋であることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項8】
前記導線の形状は、第1の螺旋方程式、第2の螺旋方程式又は第3の螺旋方程式から得られた螺旋であり、
前記第1の螺旋方程式は、
前記第2の螺旋方程式は、
前記第3の螺旋方程式は、
【請求項9】
第2の電極層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられ、又は第2の電極層と第2の透明基板の間に高抵抗膜が設けられる、ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の液晶レンズ。
【請求項10】
第2の電極層と液晶層の間に絶縁層が設けられる、ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の液晶レンズ。
【請求項11】
絶縁層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられる、ことを特徴とする請求項10に記載の液晶レンズ。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の液晶レンズを含むことを特徴とするメガネ。
【請求項13】
請求項1~11の何れか1項に記載の液晶レンズを含むことを特徴とするVR/AR機器。
【請求項14】
制御回路及び請求項1~11の何れか1項に記載の液晶レンズを含む電子製品であって、前記制御回路は、前記液晶レンズに電気的に接続されることを特徴とする電子製品。
【請求項15】
請求項1~11の何れか1項に記載の液晶レンズを駆動するための液晶レンズの駆動方法であって、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、
S1、液晶レンズの液晶線形応答電圧区間を取得するステップと、
S2、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧V
min及び最大電圧V
maxを取得するステップと、
S3、液晶レンズのパワーを調整し、及び/又は液晶レンズの状態を正レンズと負レンズの間で切り替えるために、最小電圧V
min及び最大電圧V
maxに基づいてV1(V
min≦V1≦V
max)とV2(V
min≦V2≦V
max)の電圧差を調整するステップと、を含むことを特徴とする液晶レンズの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶レンズの技術分野に属し、具体的には、液晶レンズ、駆動方法、メガネ、電子製品、VR/AR機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近視患者は、一般的に近視メガネを着用することで矯正するが、人々の年齢の増加に伴って、近視患者にも老眼現象が生じる。近視及び老眼による生活への影響を軽減するために、多くの場合、患者は2つの異なるメガネを用意し、遠くの景色を見る際に近視メガネを着用し、近くの景色を見る際に老眼メガネに交換する必要がある。メガネを頻繁に交換すると、患者に多くの不便をもたらす。また、VR又はAR機器において、ユーザの左眼と右眼がそれぞれ異なるスクリーンに対応し、異なる消費者の顔型や五官が異なり、異なる使用者の両眼の瞳孔間距離もそれぞれ異なるため、VR又はAR機器における光学レンズの焦点距離が一定であると、必然的に使用者がVR又はAR機器を着用する時の体験に影響を与える。これに対して、現在、メガネのレンズとして同心円環形の電極の大口径液晶レンズを複数組採用しており、このようなレンズは、電極に印加される駆動電圧を変化させることによって液晶レンズの焦点距離を変化させることができ、それによってメガネのレンズを正レンズと負レンズの2つのモードで迅速かつ容易に切り替えることができ、このようにしてユーザは、同じメガネを使用することによって近視メガネの機能と老眼メガネの機能を実現することができる。このようなレンズをVRまたはAR機器に使用することは、異なるユーザニーズに応じてレンズの焦点距離を調整することもできる。
【0003】
しかし、複数組の同心円環形の電極対構造を採用するには、それぞれの同心円環電極を駆動し制御する必要があり、その駆動と制御方式は、比較的複雑で、引き出す必要がある電極が多く、しかも平滑な電位分布を実現することができない。また、好ましい電圧分布を実現するために、当業者は、液晶レンズに高抵抗膜を設けて徐々に変化する電圧分布を形成することを提案している。しかし、高抵抗膜の性質が不安定であるため、時間とともに電位分布が変化することがある。高抵抗膜は、より好ましい電位分布を実現することができるが、長時間保持することができないため、当業者は、液晶レンズに高抵抗膜を採用することを提案して以来、高抵抗膜の不安定な特性による影響を解決することを望んでいるが、これまであまりよく解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本発明は、従来の大口径液晶レンズに対して駆動電圧を個別に印加する必要のある電極が多く、理想的且つ安定的な電位分布を形成できないという技術的問題を解決するために、液晶レンズ、駆動方法、メガネ、電子製品、VR/AR機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において採用される技術的解決手段は、以下の通りである。
【0006】
第1の態様において、本発明は、液晶層、第1の電極層、第2の電極層、第1の透明基板及び第2の透明基板を含む液晶レンズであって、前記第1の電極層及び第2の電極層は、それぞれ液晶層の対向する両側に位置し、前記第1の透明基板は、第1の電極層の液晶層に背く側に位置し、前記第2の透明基板は、第2の電極層の液晶層に背く側に位置し、
前記第2の電極層は、第1の電気コネクタ、第2の電気コネクタ及び複数本の導線を含み、前記導線は、第2の電極層の中心から周縁へ延伸し、前記導線は、一端が前記第1の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が前記第2の電気コネクタに接続され、前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第1の駆動電圧を提供するために用いられ、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第2の駆動電圧を提供するために用いられ、隣接する前記導線の間のピッチは100μm以下である液晶レンズを提供する。
【0007】
好ましくは、前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられ、及び/又は、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられ、及び/又は、第2の電気コネクタは細孔電極である。
【0008】
好ましくは、前記複数本の導線は、第2の電極層の一点を中心に回転対称となる。
【0009】
好ましくは、前記第1の電気コネクタは、第1の電極リードであり、前記第1の電極リードは、導線の第2の電極層の中心に近い一端が外へ引き出されたものであり、前記導線は、外側から内側へ配列される複数の曲線セグメントを含み、各曲線セグメントは、電極リードの所で分断され、最外周に位置する曲線セグメントは、一端が第2の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リードの同一側で接続され、第2の電極層の中心に最も近い曲線セグメントは、一端が第1の電極リードに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リードの同一側で接続され、残りの曲線セグメントは、一端が隣接する曲線セグメントの一方と第1の電極リードの同一側で接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントの他方と第1の電極リードの同一側で接続される。
【0010】
好ましくは、前記曲線セグメントは円弧であり、且つ隣接する前記曲線セグメントの間のピッチは等しいか又は等しくない。
【0011】
好ましくは、隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチは、液晶レンズにより形成された電位分布が球面分布、円錐面分布又は放物面分布であることを満たす。
【0012】
好ましくは、前記導線の形状は螺旋である。
【0013】
好ましくは、前記導線の形状は、第1の螺旋方程式、第2の螺旋方程式又は第3の螺旋方程式から得られた螺旋であり、
前記第1の螺旋方程式は、
前記第2の螺旋方程式は、
ただし、
前記第3の螺旋方程式は、
【0014】
好ましくは、第2の電極層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられ、又は第2の電極層と第2の透明基板の間に高抵抗膜が設けられる。
【0015】
好ましくは、第2の電極層と液晶層の間に絶縁層が設けられる。
【0016】
絶縁層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられる。
【0017】
第2の態様において、本発明は、第1の態様に記載の液晶レンズを含むメガネを提供する。
【0018】
第3の態様において、本発明は、第1の態様に記載の液晶レンズを含むVR/AR機器を提供する。
【0019】
第4の態様において、本発明は、制御回路及び第1の態様に記載の液晶レンズを含む電子製品であって、前記制御回路が前記液晶レンズに電気的に接続される電子製品を提供する。
【0020】
第5の態様において、本発明は、第1の態様に記載の液晶レンズを駆動するための液晶レンズの駆動方法を提供し、透明円形電極と第1の電極層の間に印加される電圧をV1とし、円孔電極と第1の電極層の間に印加される電圧をV2とし、前記方法は、
S1、液晶レンズの液晶線形応答電圧区間を取得するステップと、
S2、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得するステップと、
S3、液晶レンズのパワーを調整し、及び/又は液晶レンズの状態を正レンズと負レンズの間で切り替えるために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1(Vmin≦V1≦Vmax)とV2(Vmin≦V2≦Vmax)の電圧差を調整するステップと、を含む
【発明の効果】
【0021】
有益な効果は、以下の通りである。本発明の液晶レンズ、駆動方法、メガネ、電子製品、VR/AR機器は、電極アレイを利用して円孔電極と円孔電極の中心に位置する透明円形電極を電気的に接続するとともに、電極アレイにおける隣接する導線の間のピッチを100μm以下に制限することで電位分布を最適化し、液晶レンズの電位変化がより平滑であるようにする。本発明は、それぞれ導線の対向する両端に駆動電圧を印加するだけで理想的な空間電界分布を形成し、大口径液晶レンズの効果を実現することができる。同心円環電極を採用した従来の方法と比べ、本発明は、駆動電圧を個別に印加する必要のある電極が少なく、駆動が簡単であり、平滑でない電位の急激な変化が生じず、高抵抗膜の特性の変化から影響を受けず、電位分布を長時間にわたって安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、本発明の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、当業者にとって、創造的な労働をすることなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができ、これらは全て本発明の保護範囲内にある。
【
図1】本発明の液晶レンズの3次元構造概略図である。
【
図2】本発明の液晶レンズから第2の透明基板を除去して第2の電極層を露出させた後の構造概略図である。
【
図5】本発明の電極アレイが複数本の導線を採用した場合の概略図である。
【
図6】本発明の電極アレイが1本の螺旋状の導線を採用した場合の概略図である。
【
図7】本発明の異なるパラメータを採用した最適曲線の概略図である。
【
図8】本発明において採用される導線が第1の電極リードを避ける構造概略図である。
【
図9】本発明において採用される液晶レンズの駆動方法のフローチャートである。
【
図10】本発明において採用される液晶レンズの駆動機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確且つ完全に説明する。本明細書において、第1及び第2などの関係用語は、単に1つの実体又は操作を他の実体又は操作と区別するために用いられ、必ずしもこれらの実体又は操作の間に任意のこのような実際の関係又は順序が存在することを要求又は示唆するものではないことを説明しておく。本発明の説明において、理解すべきこととして、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語により指示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、単に本願を説明しやすく説明を簡略化するためのものであり、指される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成・操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本発明を制限するものとして理解すべきではない。また、「含む」、「包含」などの用語又はその任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図し、それにより、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は機器は、それらの要素を含むだけでなく、明確に列挙されていない他の要素をも含み、又はこのようなプロセス、方法、物品又は機器に固有の要素をも含む。特に制限されていない場合、「…を含む」という語句により定義される要素について、前記要素を含むプロセス、方法、物品又は機器に更に別の同じ要素が存在することを排除しない。矛盾がない限り、本発明の実施例及び実施例における各特徴は、互いに組み合わせることができ、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0024】
実施例1
図1及び
図2に示すように、本実施例は、液晶レンズを提供し、前記液晶レンズは、液晶層30、第1の電極層20、第2の電極層40、第1の透明基板10及び第2の透明基板50を含み、前記第1の電極層20及び第2の電極層40は、それぞれ液晶層30の対向する両側に位置し、前記第1の透明基板10は、第1の電極層20の液晶層30に背く側に位置し、前記第2の透明基板50は、第2の電極層40の液晶層30に背く側に位置する。
【0025】
本実施例における液晶レンズは、層状構造を採用することができる。前述した第1の透明基板10、第1の電極層20、液晶層30、第2の電極層40及び第2の透明基板50は、それぞれ異なる層に位置し、前記各層は、液晶レンズの光透過方向、即ち、各層の法線方向に沿って積層されて配列される。配列方法は、
図1を参照することができ、
図1において、液晶レンズの光透過方向に沿って下から上へ順に第1の透明基板10、第1の電極層20、液晶層30、第2の電極層40及び第2の透明基板50である。第1の透明基板10及び第2の透明基板50は、例えばガラス基板、プラスチック基板などの一定の強度と剛性を有する透明材料で製造されてよい。第1の基板は、液晶レンズを支持する役割を果たすことができる。第1の基板は、第1の電極層20の担持体とすることができ、第1の電極層20は、第1の基板にめっきすることができる。第2の基板も、支持する役割を果たし、第2の電極層40の担持体とすることもでき、第2の電極層40は、第2の基板にめっきすることができる。
【0026】
前記第2の電極層40は、第1の電気コネクタ、第2の電気コネクタ及び複数本の導線431を含み、前記導線431は、第2の電極層の中心から周縁へ延伸し、前記導線431は、一端が前記第1の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が前記第2の電気コネクタに接続される。本実施例における導線は、一定の抵抗を有するワイヤであってもよく、第2の基板にめっきされるとともに一定の抵抗を有する導電可能な薄い線であってもよい。複数本の導線431は、第2の電極層で延伸して電極アレイ43を形成する。複数本の導線431は、導線の数が1本であってもよく、2本以上であってもよいことを意味する。
【0027】
前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第1の駆動電圧を提供するために用いられ、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第2の駆動電圧を提供するために用いられる。具体的に実施する時に、第1の電気コネクタを、第1の駆動電圧を提供する電源に接続することにより、電源により提供される第1の駆動電圧を第1の電気コネクタを介して導線の第2の電極層の中心に近い一端に印加することができる。第2の電気コネクタを、第2の駆動電圧を提供する電源に接続することにより、電源により提供される第2の駆動電圧を第2の電気コネクタを介して導線の第2の電極層の中心から離れた一端に印加することもできる。
【0028】
本実施例において、第1の電気コネクタは、密閉された又は密閉されていない環状電極を採用することができ、第2の電気コネクタも、密閉された又は密閉されていない環状電極を採用することができる。
【0029】
本実施例において、第1の電気コネクタは、透明電極又は円形電極又は透明円形電極を採用することができ、他の任意の形状の透明電極又は任意の形状の不透明電極を採用することもできる。第2の電気コネクタは、細孔電極を採用することができる。その孔の形状は、方形、円形、楕円形、多角形などの任意の形状であってもよい。1つの好ましい形態として、前記細孔電極は円孔電極である。
図3に示すように、円形透明電極を採用する場合、円形透明電極42の円心は、前記円孔電極41の円孔の中心に位置し、前記第1の電極層20は、透明電極層である。
【0030】
円孔電極41、円形透明電極42及び導線431は、同一層に位置し、円孔電極41に1つの円形の貫通孔が開設されており、円形透明電極42は、当該円形貫通孔の中心位置にあり、このように、孔と円形透明電極42の間に円環状の空間が残されており、導線431は、当該円環状の空間に位置する。
【0031】
前記電極アレイ43は、複数本の導線431を含み、前記導線431は、一端が前記円形透明電極42に電気的に接続され、対向する他端が前記円孔電極41に電気的に接続され、前記導線431は、円形透明電極42の外周から円孔電極41の円孔の内壁まで延伸し、隣接する導線431の間のピッチは100μm以下である。
【0032】
本実施例において、円孔電極41と円形透明電極42の間に一定の抵抗値を有する導線431が配置されている。導線431の長さがその幅及び厚さよりも大きいため、導線431は線状である。導線431の数は、1本であってもよく、1本以上であってもよい。各導線431の両端部は、いずれもそれぞれ円孔電極41及び円形透明電極42に電気的に接続される。
【0033】
本実施例において、前記第1の電極層20は透明電極層である。本実施例において、円形透明電極42、各導線431及び円孔電極41は、いずれも透明な導電材料で製造されてもよく、前記透明な導電材料は、ITO電極、IZO電極、FTO電極、AZO電極、IGZO電極などを含むが、これらに限定されない。
【0034】
本実施例において、前記第1の電極層20は、共通電圧を受けるために用いられ、前記円形透明電極42は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、前記円孔電極41は、第2の駆動電圧を受けるために用いられる。円形透明電極42が円孔電極41の円孔の中間位置にあるため、円形透明電極42に第1の駆動電圧を印加しやすくするために、本実施例において、前記液晶レンズは、電極リードを更に含み、前記電極リードは、円形透明電極42から引き出される。電極リードは、一端が前記円形透明電極42に電気的に接続され、他端が第1の駆動電圧を出力する制御回路に電気的に接続される。
【0035】
前述したように電圧を印加した後に、液晶層30の電界は、勾配分布を呈することになり、例えば、円孔電極41の円孔領域における液晶層30の電圧の径方向に沿う変化は、円孔中心から円孔縁部までの電圧値が徐々に増加し、円孔縁部で電圧値が最大となる傾向にあり、また、例えば、円孔電極41の円孔領域における液晶層30の電圧の径方向に沿う変化は、円孔中心から円孔縁部までの電圧値が徐々に減少し、円孔縁部で電圧値が最小となる傾向にある。本実施例は、両端がそれぞれ円形透明電極42及び円孔電極41に接続される導線431によって液晶レンズの電位分布を案内することにより、階段状の急激な変化が発生することなく、電位分布を液晶レンズの径方向に沿って徐々に変化させる。また、本実施例の液晶レンズを採用すれば、第1の駆動電圧と第2の駆動電圧との2つの駆動電圧をかけるだけで液晶レンズが動作するように駆動することができ、且つこの2つの駆動電圧のうちの一方を調整するか又は両方を同時に調整するだけで液晶レンズのパワーに対する制御を実現することができ、余分な電極引き出し線を必要とせず、制御方法も非常に簡単である。
【0036】
液晶ダイレクタの配列は、電気的に制御されるように調節可能であり、不均一な電界において異なる屈折率勾配分布を呈するため、一定の勾配分布を有する電圧を印加すれば、液晶ダイレクタが不均一な分布を呈し、液晶層30を介して伝搬される出射光が特定の位相分布を呈するように誘導することができる。
図8に示すように、
図8におけるdは、隣接する導線431の間のピッチであり、本実施例において、通常の場合に電位分布を案内するために採用される高抵抗膜を除去するとともに、隣接する導線431の間のピッチを100μm以下にする。本実施例において、隣接する導線431の間のピッチを100μmに制御することにより、高抵抗膜を使用しなくても、電位分布の変化を非常に緩やかにすることができ、高抵抗膜がないため、高抵抗膜の特性の変化による液晶レンズの電位分布の変化が生じることもない。
【0037】
本実施例は、円形透明電極42に印加される第1の駆動電圧と円孔電極41に印加される第2の駆動電圧の大小関係を変更することで液晶レンズのパワーの正負の変化を実現し、液晶レンズが負レンズから正レンズに変化するか又は正レンズから負レンズに変化することを実現することができる。例えば、円形透明電極42に印加される第1の駆動電圧が円孔電極41に印加される第2の駆動電圧よりも小さい場合、本実施例の液晶レンズは、凸レンズの特性を有し、この場合、本実施例の液晶レンズで製造されたメガネは、老眼メガネとして使用することができ、第1の駆動電圧と第2の駆動電圧の大小関係を変更することで円形透明電極42に印加される第1の駆動電圧を円孔電極41に印加される第2の駆動電圧より大きくする場合、本実施例の液晶レンズは、凹レンズの特性を有し、この場合、本実施例の液晶レンズで製造されたメガネは、近視メガネとして使用することができる。
【0038】
図5に示すように、本実施例において、電極アレイ43の導線431の本数が2本以上である場合、前記導線431は、円孔電極41の周方向に沿って配列される。導線431の数が多い場合、本実施例の導線431は、前述した配列形態を採用することで液晶レンズの動作領域内の電位変化がより緩やかになるように案内することができる。導線431が第2の電極層の一点を中心に回転対称となる場合、電位も回転対称の分布を形成する。前記回転対称分布とは、導線により形成された全ての図形を同時に第2の電極層の1つの定点を中心に所定の角度だけ回転させた後、導線により形成された新しい画像が前の画像と完全に重なることを意味する。導線の数が2本以上である場合、前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられる。前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられる。
【0039】
1つの好ましい実施形態として、本実施例において、隣接する導線431の間のピッチは同じである。別の好ましい実施形態として、本実施例において、導線431の各箇所の幅は同じである。
【0040】
また、
図6に示すように、本実施例において、隣接する導線431の間のピッチが100μm以下である場合、1本の導線431のみを採用して比較的理想的な電位分布を得ることもできる。前述したように得られた液晶レンズの効果は、
図11の干渉縞図に示す通りである。
【0041】
1つの好ましい実施形態として、本実施例において、前記導線の形状は螺旋である。螺旋の始点は、第2の電極層の中心位置又は第2の電極層の中心位置に近い箇所であってもよい。前記螺旋は、始点位置から周方向に沿って第2の電極層の縁部へ円を描くように延伸し、螺旋が第2の電極層の中心位置から第2の電極層の縁部位置まで延伸する過程で、第2の電極層の殆どの領域が螺旋で充填され、第2の電極層の電位も螺旋の延伸に伴って徐々に変化するため、比較的理想的な電位分布を得ることができる。
【0042】
本実施例において、液晶レンズに対して前記導線の形状を設定するだけで、各種の液晶レンズの機能要件を正確に満たす電位分布を得ることができる。導線の形状の具体的な設定方法は、以下の通りである。
【0043】
図4に示すように、本実施例において、前記導線の形状は、第1の螺旋方程式から得られた螺旋であり、前記第1の螺旋方程式は、
【0044】
【0045】
本実施例において、前記導線の形状は、第2の螺旋方程式から得られた螺旋であり、前記第2の螺旋方程式は、
ただし、
【0046】
【0047】
前述したように設けられた導線を採用することにより、正確な球面分布を呈する電位を得ることができ、得られた液晶レンズの波面分布も正確な球面分布となる。球面波面を有するレンズは、イメージングにおいて最も理想的な効果を有するが、一般的なレンズは、プロセスが複雑で精細な外形加工が行われてはじめて近似球面波面分布を有するレンズを得ることができるが、ここの説明によれば、導線の形状が上記要件を満たすだけで正確な球面波面分布を有するレンズを得ることができる。複雑な加工を必要とすることなく高精度の球面波面分布を有するレンズを得ることができ、製品の製造コストが大幅に低下する。
【0048】
前記導線の形状は、第3の螺旋方程式から得られた螺旋であり、前記第3の螺旋方程式は、
【0049】
前述したように設けられた導線を採用することにより、正確な円錐面分布を呈する電位を得ることができ、得られた液晶レンズの波面分布も正確な円錐面分布となる。
【0050】
【0051】
【0052】
アルキメデス螺旋は等距離螺旋であり、即ち、螺旋は等距離で外側へ広がる。螺旋パラメータ方程式において、kは螺旋が中心から縁部まで広がる周期を表す。
【0053】
1つの好ましい実施形態として、本実施例において、前記電極ユニットの線形状はフェルマー螺旋であり、この形状の数式は、
【0054】
フェルマー螺旋は、アルキメデス螺旋に比べ、螺旋が外側へ広がるにつれて、螺旋の半径が非線形的に増加し、外側へ広がるほど、螺旋の半径の増加速度が遅くなる点で異なる。
【0055】
1本の導線431のみを採用する場合、本実施例の液晶レンズは、第1の電極リード60を更に含み、前記第1の電極リード60は、導線の第2の電極層の中心に近い一端が外へ引き出されたものである。
【0056】
図8に示すように、本実施例において、前記導線431は、外側から内側へ配列された複数の曲線セグメントを含む。外側から内側への配列とは、液晶レンズの径方向に沿って第2の電極層の中心に近い位置から第2の電極層の縁部に近い位置へ分布することを意味する。第2の電極層の中心に近い方向は内側とされ、第2の電極層の中心から離れた方向は外側とされる。本実施例において、1本の導線431は、端部同士が接続された複数の曲線セグメントで構成されると見なすことができる。
【0057】
各曲線セグメントは、電極リードとの接触又は相互作用を回避するために、電極リードの所で分断される。各曲線セグメントが電極リードの所で分断された後に2つの端部が形成され、この2つの端部は、それぞれ電極リードの両側に位置する。
【0058】
最外周に位置する曲線セグメント4311は、一端が第1の電極リードに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リード60の同一側で接続され、第2の電極層の中心に最も近い曲線セグメントは、一端が第1の電極リードに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リード60の同一側で接続され、残りの曲線セグメントは、一端が隣接する曲線セグメントの一方と第1の電極リード60の同一側で接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントの他方と第1の電極リード60の同一側で接続される。
【0059】
導線431を構成する複数の曲線セグメントのうち2つの曲線セグメントが特別であり、一方は、最外周の曲線セグメント4311であり、即ち、第2の電極層の中心から最も遠い曲線セグメントである。他方は、最内側の曲線セグメント4312であり、即ち、第2の電極層の中心に最も近い曲線セグメントである。最外周の曲線セグメント4311は、一端が第2の電気コネクタに接続され、他端が次の曲線セグメント(径方向に第2の電極層の中心に一層近い曲線セグメント)に接続される。最内側の曲線セグメント4312は、一端が円形透明電極42に接続され、他端が前の曲線セグメント(径方向に第2の電極層の中心から一層離れた曲線セグメント)に接続される。導線431を構成する全ての曲線セグメントのうち、前述した2つの曲線セグメントを除き、残りの曲線セグメントの両端部は、いずれもそれに隣接する曲線セグメントに接続され、これらの曲線セグメントを説明しやすくするために、本明細書において中間曲線セグメント4313とも呼ぶ。前記中間曲線セグメント4313は、一端が前の曲線セグメントに接続され、他端が次の曲線セグメントに接続される。このように、これらの曲線セグメントは、端部同士が接続されて第2の電極層の中心に近い位置から第2の電極層の縁部位置まで連続的に延伸し且つ第2の電極層に十分に充填される1本の導線431を形成する一方、第1の電極リード60を巧みに避け、電位の正確な分布を実現しながら第1の電極リード60の影響を回避する。本実施例において、隣接する2つの曲線セグメントの端部の間は、連結セグメント4314によって接続されてもよい。即ち、連結セグメント4314は、一端が前の曲線セグメントに接続され、他端が次の曲線セグメントに接続される。第1の電極リード60は、直線を採用することができ、各連結セグメント4314も、第1の電極リード60に平行な直線を採用することができる。
【0060】
【0061】
【0062】
1つの実施形態として、本実施例において、前記曲線セグメントは円弧であり、且つ隣接する前記曲線セグメントの少なくとも一部の間のピッチは等しくない。本実施例は、曲線セグメントの間のピッチを設定することで液晶レンズの電位分布を制御し、それにより液晶レンズの光に対する変調効果を制御することができる。
【0063】
隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチは、液晶レンズにより形成された電位分布が球面分布であることを満たす。隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチが前述した要件を満たす場合、得られた液晶レンズの波面分布は球面になる。球面波面を有するレンズは、イメージングにおいて最も理想的な効果を有するが、一般的なレンズは、プロセスが複雑で精細な外形加工が行われてはじめて近似球面波面分布を有するレンズを得ることができるが、ここの説明によれば、隣接する前記曲線セグメントの間のピッチが前述した要件を満たすだけで正確な球面波面分布を有するレンズを得ることができる。
【0064】
隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチは、液晶レンズにより形成された電位分布が円錐面分布であることを満たす。隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチが前述した要件を満たす場合、得られた液晶レンズの波面分布は円錐面になる。
【0065】
1つの好ましい形態として、本実施例において、第2の電極層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられる。現段階で主に高抵抗膜を利用して液晶レンズの電位分布を案内することと異なり、本実施例は、隣接する前記導線の間に、主に導線付近の電界の空間での変化を低減させるための高抵抗膜が設けられている。隣接する前記導線の間のピッチが100μmよりも小さく、電位の分布が主に導線によって決定されるため、本実施例において、高抵抗膜の特性の変化による電位分布への影響は無視できる。
【0066】
また、第2の電極層と第2の透明基板の間に高抵抗膜を設け、第2の電極層と液晶層の間に絶縁層を設け、又は第2の電極層と液晶層の間に絶縁層を設け、且つ絶縁層と液晶層の間に高抵抗膜を設けることにより、導線付近の電界の空間での変化を低減させてもよい。
【0067】
実施例2
本実施例は、請求項1~7の何れか1項に記載の液晶レンズを駆動するための液晶レンズの駆動方法を提供し、第1の電気コネクタと第1の電極層20の間に印加される電圧をV1とし、第2の電気コネクタと第1の電極層20の間に印加される電圧をV2とし、前記方法は、以下のステップを含む。
【0068】
S1において、液晶レンズの液晶線形応答電圧区間を取得する。
【0069】
液晶線形動作区間とは、液晶位相遅延量と駆動電圧が線形関係を呈する電圧区間を指す。
【0070】
S2において、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得する。
【0071】
S3において、液晶レンズのパワーを調整するために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1(Vmin≦V1≦Vmax)とV2(Vmin≦V2≦Vmax)の電圧差を調整する。
【0072】
本ステップは、V1-V2の値を調整することで液晶レンズのパワーを調整することができる。具体的に調整する時にV1が変わらないように維持しながらV2の大きさを調整してもよく、V2が変わらないように維持しながらV1の大きさを調整してもよく、V1及びV2の大きさを同時に変更してもよい。V1が変わらないように維持しながらV2の大きさを調整する場合、V1=Vmin又はV1=Vmaxとし、V2の大きさを調整することができ、V2が変わらないように維持しながらV1の大きさを調整する場合、V2=Vmin又はV2=Vmaxとし、V1の大きさを調整することができる。本実施例は、更にV1とV2の大小関係を変更することで液晶レンズの状態を正レンズと負レンズの間で切り替えることができる。
【0073】
実施例3
また、
図10を参照しながら説明した本発明における上記実施例の液晶レンズの駆動方法は、本実施例の液晶レンズの駆動機器によって実現することができる。
図10は、本発明の実施例により提供される液晶レンズの駆動機器のハードウェア構造概略図である。
【0074】
本実施例の液晶レンズの駆動機器は、プロセッサ401及びコンピュータプログラム命令が記憶されたメモリ402を含むことができる。
【0075】
具体的には、上記プロセッサ401は、中央プロセッサ(CPU)、または特定の集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)を含んでもよく、または本発明の実施例を実施する1つ以上の集積回路として構成されてもよい。
【0076】
メモリ402は、データまたは命令のための大容量メモリを含むことができる。限定ではなく例として、メモリ402は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)、フロッピーディスクドライブ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、またはユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus,USB)ドライブ、または2つ以上のこれらの組み合わせを含むことができる。適切な場合、メモリ402は、取り外し可能または取り外し不可能な(または固定される)媒体を含むことができる。適切な場合、メモリ402は、データ処理装置の内部または外部にあってもよい。特定の実施例では、メモリ402は、不揮発性固体メモリである。特定の実施例では、メモリ402は、読取り専用メモリ(ROM)を含む。適切な場合、このROMは、マスクプログラミングROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なPROM(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、電気的に書き換え可能なROM(EAROM)、またはフラッシュメモリ、または2つ以上のこれらの組み合わせであってもよい。
【0077】
プロセッサ401は、メモリ402に記憶されたコンピュータプログラム命令を読み出して実行することにより、上記実施例における任意の領域がランダムな液晶レンズドライブのデータアドレスアドレッシング方法を実現する。
【0078】
一例において、本実施例の液晶レンズの駆動機器は、通信インタフェース403及びバス410を更に含むことができる。
図10に示すように、プロセッサ401、メモリ402、通信インタフェース403は、バス410を介して接続され、相互間の通信を完成する。
【0079】
通信インタフェース403は、主に本発明の実施例における各モジュール、装置、ユニット及び/又は機器の間の通信を実現するために用いられる。
【0080】
バス410は、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方を含み、各コンポーネントを互いに結合する。限定ではなく例として、バスは、加速グラフィックスポート(AGP)または他のグラフィックスバス、拡張工業標準アーキテクチャ(EISA)バス、フロントエンドバス(FSB)、ハイパートランスポート(HT)相互接続、工業標準アーキテクチャ(ISA)バス、無限帯域幅相互接続、低ピン数(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、周辺コンポーネント相互接続(PCI)バス、PCI‐Express(PCI‐X)バス、シリアル・アドバンスド・テクノロジー・アタッチメント(SATA)バス、ビデオ電子標準協会ローカル(VLB)バス、または他の適切なバス、または2つ以上のこれらの組み合わせを含むことができる。適切な場合、バス410は1つまたは複数のバスを含むことができる。本発明の実施例は、特定のバスを説明し、図示しているが、本発明は任意の適切なバスまたは相互接続を考慮する。
【0081】
実施例4
また、上記実施例における液晶レンズの駆動方法を参照し、本発明の実施例は、コンピュータ可読記憶媒体を提供して実現することができる。当該コンピュータ可読記憶媒体にコンピュータプログラム命令が記憶されており、当該コンピュータプログラム命令がプロセッサにより実行される時に上記実施例の何れか1つの液晶レンズの駆動方法を実現する。
【0082】
実施例5
本実施例は、実施例1に記載の液晶レンズを含むメガネである。前記メガネは、左眼用レンズ及び右眼用レンズを含み、前記左眼用レンズ及び右眼用レンズにはそれぞれ実施例1に係る液晶レンズが設けられている。前記メガネは、制御回路を更に含み、前記制御回路は、左眼用レンズにおける液晶レンズに電気的に接続され、左眼用レンズにおける液晶レンズのパワーを調整するための第1の焦点調整回路と、右眼用レンズにおける液晶レンズに電気的に接続され、右眼用レンズにおける液晶レンズのパワーを調整するための第2の焦点調整回路と、を含む。
【0083】
実施例6
本実施例は、制御回路及び実施例1の何れか一項に記載の液晶レンズを含む電子製品を提供し、前記制御回路は、前記液晶レンズに電気的に接続される。前記電子製品は、イメージング装置、表示装置、携帯電話、ウェアラブル機器などを含むが、これらに限定されない。
【0084】
実施例7
本実施例は、実施例1に記載の液晶レンズを含むAR機器を提供する。また、前記AR機器は、第1のレンズアセンブリ及び第2のレンズアセンブリを含み、前記第1のレンズアセンブリには実施例1に記載の液晶レンズが少なくとも1つ含まれ、前記第2のレンズアセンブリには実施例1に記載の液晶レンズが少なくとも1つ含まれ、AR機器は、第1のレンズアセンブリにおける液晶レンズに電気的に接続され、第1のレンズアセンブリにおける液晶レンズのパワーを調整するための第1の焦点調整回路と、第2のレンズアセンブリにおける液晶レンズに電気的に接続され、第2のレンズアセンブリにおける液晶レンズのパワーを調整するための第2の焦点調整回路と、を更に含み、本実施例において、第1のレンズアセンブリは、ユーザの左眼に対応し、第2のレンズアセンブリは、ユーザの右眼に対応する。
【0085】
AR機器において、左眼及び右眼がそれぞれ異なるスクリーンに対応するため、左眼及び右眼にそれぞれ対応する2組のレンズアセンブリを有し、異なる利用者の両眼の瞳孔間距離がそれぞれ異なるため、レンズアセンブリの焦点距離が一定であると、必然的に一部の利用者がARメガネを着用する時の体験が良くなくなる。異なる消費者の顔型や五官が異なるため、本実施例におけるARメガネは、実施例1に係る液晶レンズによって焦点距離を調節する機能を達成することができる。瞳孔間距離及び焦点距離をいずれも合理的な位置に調節し、画像が網膜に正確に位置するようにし、明瞭な画像が得られ、ユーザにより良好な使用体験をもたらす。
【0086】
実施例8
本実施例は、実施例1に記載の液晶レンズを含むVR機器を提供する。前記VR機器は、第3のレンズアセンブリ及び第4のレンズアセンブリを含み、前記第3のレンズアセンブリには実施例1に記載の液晶レンズが少なくとも1つ含まれ、前記第4のレンズアセンブリには実施例1に記載の液晶レンズが少なくとも1つ含まれ、VR機器は、第3のレンズアセンブリにおける液晶レンズに電気的に接続され、第3のレンズアセンブリにおける液晶レンズのパワーを調整するための第3の焦点調整回路と、第4のレンズアセンブリにおける液晶レンズに電気的に接続され、第4のレンズアセンブリにおける液晶レンズのパワーを調整するための第4の焦点調整回路と、を更に含み、本実施例において、第3のレンズアセンブリは、ユーザの左眼に対応し、第4のレンズアセンブリは、ユーザの右眼に対応する。
【0087】
VR機器において、左眼及び右眼がそれぞれ異なるスクリーンに対応するため、左眼及び右眼にそれぞれ対応する2組のレンズアセンブリを有し、異なる利用者の両眼の瞳孔間距離がそれぞれ異なるため、レンズアセンブリの焦点距離が一定であると、必然的に一部の利用者がVRメガネを着用する時の体験が良くなくなる。異なる消費者の顔型や五官が異なるため、本実施例におけるVRメガネは、実施例1に係る液晶レンズによって焦点距離を調節する機能を達成することができる。瞳孔間距離及び焦点距離をいずれも合理的な位置に調節し、画像が網膜に正確に位置するようにし、明瞭な画像が得られ、ユーザにより良好な使用体験をもたらす。
【0088】
以上をもって、本発明の実施例により提供される液晶レンズの駆動方法、装置、機器及び記憶媒体を詳細に説明した。
【0089】
本発明は、以上で説明されて図示される特定の配置及び処理に限定されないことを言明しておく。簡潔にするために、ここで既知の方法の詳細な説明が省略されている。上記実施例において、幾つかの具体的なステップを例として説明して示した。しかし、本発明の方法のプロセスは、説明されて示された具体的なステップに限定されず、当業者は、本発明の精神を理解した上で、様々な変更、修正及び追加を行ったり、又はステップ間の順序を変更したりすることができる。
【0090】
以上に記載の構造ブロック図に示される機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせとして実現することができる。ハードウェアの形態で実現される場合、それは、例えば電子回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、適切なファームウェア、プラグイン、機能カードなどであってもよい。ソフトウェアの形態で実現される場合、本発明の要素は、必要なタスクを実行するためのプログラム又はコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、機械可読媒体に記憶されてもよく、又は搬送波に搬送されるデータ信号によって伝送媒体又は通信リンクで伝送されてもよい。「機械可読媒体」は、情報を記憶又は伝送可能な任意の媒体を含むことができる。機械可読媒体の例は、電子回路、半導体記憶デバイス、ROM、フラッシュメモリ、消去可能ROM(EROM)、フロッピーディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、光ファイバ媒体、無線周波数(RF)リンクなどを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのコンピュータネットワークを介してダウンロードされてもよい。
【0091】
なお、本発明で言及された例示的な実施例において、一連のステップ又は装置に基づいて幾つかの方法又はシステムを説明した。しかし、本発明は、上記ステップの順序に限定されず、即ち、実施例で言及された順序に従ってステップを実行してもよく、実施例と異なる順序でステップを実行してもよく、又は複数のステップを同時に実行してもよい。
【0092】
以上の内容は、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、当業者にとって明らかなように、説明しやすく簡潔にするために、以上に説明されるシステム、モジュール及びユニットの具体的な動作プロセスは、前記方法の実施例における対応するプロセスを参照することができ、ここでその説明を省略する。本発明の保護範囲は、これに限定されず、当業者は、本発明により開示された技術範囲内において、様々な等価な修正又は置換を容易に想到することができ、これらの修正又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0093】
10 第1の透明基板
20 第1の電極層
30 液晶層
40 第2の電極層
41 円孔電極
42 円形透明電極
43 電極アレイ
431 導線
50 第2の透明基板
60 第1の電極リード
4311 最外周の曲線セグメント
4312 最内側の曲線セグメント
4313 中間曲線セグメント
4314 連結セグメント
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層、第1の電極層、第2の電極層、第1の透明基板及び第2の透明基板を含む液晶レンズであって、前記第1の電極層及び第2の電極層は、それぞれ液晶層の対向する両側に位置し、前記第1の透明基板は、第1の電極層の液晶層に背く側に位置し、前記第2の透明基板は、第2の電極層の液晶層に背く側に位置し、
前記第2の電極層は、第1の電気コネクタ、第2の電気コネクタ及び複数本の導線を含み、前記導線は、第2の電極層の中心から周縁へ延伸し、前記導線は、一端が前記第1の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が前記第2の電気コネクタに接続され、前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第1の駆動電圧を提供するために用いられ、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される導線の端部に第2の駆動電圧を提供するために用いられ、隣接する前記導線の間のピッチは100μm以下であることを特徴とする液晶レンズ。
【請求項2】
前記第1の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられ、及び/又は、前記第2の電気コネクタは、それに電気的に接続される各導線の端部に同じ駆動電圧を提供するために用いられ、及び/又は、第2の電気コネクタは細孔電極であることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項3】
前記複数本の導線は、第2の電極層の一点を中心に回転対称となることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項4】
前記第1の電気コネクタは、第1の電極リードであり、前記第1の電極リードは、導線の第2の電極層の中心に近い一端が外へ引き出されたものであり、前記導線は、外側から内側へ配列される複数の曲線セグメントを含み、各曲線セグメントは、電極リードの所で分断され、最外周に位置する曲線セグメントは、一端が第2の電気コネクタに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リードの同一側で接続され、第2の電極層の中心に最も近い曲線セグメントは、一端が第1の電極リードに電気的に接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントと第1の電極リードの同一側で接続され、残りの曲線セグメントは、一端が隣接する曲線セグメントの一方と第1の電極リードの同一側で接続され、対向する他端が隣接する曲線セグメントの他方と第1の電極リードの同一側で接続されることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項5】
前記曲線セグメントは円弧であり、且つ隣接する前記曲線セグメントの間のピッチは等しいか又は等しくないことを特徴とする請求項4に記載の液晶レンズ。
【請求項6】
隣接する各前記曲線セグメントの間のピッチは、液晶レンズにより形成された電位分布が球面分布、円錐面分布又は放物面分布であることを満たすことを特徴とする請求項4に記載の液晶レンズ。
【請求項7】
前記導線の形状は螺旋であることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項8】
前記導線の形状は、第1の螺旋方程式、第2の螺旋方程式又は第3の螺旋方程式から得られた螺旋であり、
前記第1の螺旋方程式は、
【請求項9】
前記導線の数は1本であり、前記第2の電極層は、それぞれ前記導線と導線上の異なる位置で電気的に接続される複数本の等電位線を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ。
【請求項10】
前記導線の形状は螺旋であることを特徴とする請求項9に記載の液晶レンズ。
【請求項11】
前記複数本の等電位線の形状は、半径が等しくない複数の同心円又は同心円弧であることを特徴とする請求項9に記載の液晶レンズ。
【請求項12】
第2の電極層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられ、又は第2の電極層と第2の透明基板の間に高抵抗膜が設けられ、
又は第2の電極層と液晶層の間に絶縁層が設けられ、又は絶縁層と液晶層の間に高抵抗膜が設けられることを特徴とする請求項1~
11の何れか1項に記載の液晶レンズ。
【請求項13】
請求項
1に記載の液晶レンズを含むことを特徴とするメガネ。
【請求項14】
請求項
1に記載の液晶レンズを含むことを特徴とするVR/AR機器。
【請求項15】
制御回路及び請求項
1に記載の液晶レンズを含む電子製品であって、前記制御回路は、前記液晶レンズに電気的に接続されることを特徴とする電子製品。
【請求項16】
請求項
1に記載の液晶レンズを駆動するための液晶レンズの駆動方法であって、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、
S1、液晶レンズの液晶線形応答電圧区間を取得するステップと、
S2、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧V
min及び最大電圧V
maxを取得するステップと、
S3、液晶レンズのパワーを調整し、及び/又は液晶レンズの状態を正レンズと負レンズの間で切り替えるために、最小電圧V
min及び最大電圧V
maxに基づいてV1(V
min≦V1≦V
max)とV2(V
min≦V2≦V
max)の電圧差を調整するステップと、を含むことを特徴とする液晶レンズの駆動方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】