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特表2024-537910安定した希釈準備済みカルフィルゾミブ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】安定した希釈準備済みカルフィルゾミブ組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/06 20060101AFI20241008BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61K38/06
A61K38/07
A61P35/02
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523598
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 IB2022060145
(87)【国際公開番号】W WO2023067569
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202121047991
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
(71)【出願人】
【識別番号】520460959
【氏名又は名称】カシーヴ バイオサイエンシズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァサナニ,パラス ラシクラル
(72)【発明者】
【氏名】メータ,サンディップ パレーシュバーイー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC27
4C076DD22
4C076DD37
4C076DD52
4C076DD67
4C076FF36
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA32
4C084CA59
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA03
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
(57)【要約】
本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の室温で安定な注射可能な製剤であって、希釈準備済み溶液及び溶血可能性のない濃縮物の形態に関する。さらに、本発明は、このような組成物を投与することにより、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分1及び成分2を有する注射用キットであって、
前記成分1は、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩、1種以上の溶媒、及び任意に、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤及び界面活性剤から選択される1種以上の医薬的に許容される賦形剤を含み、前記成分1中のカルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩の濃度は、約60mg/mlであり、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存で総不純物が6%以下であり;
前記成分2は、pHが約1~約2の酸性化剤の溶液であることを特徴とする、注射用キット。
【請求項2】
前記成分2が、9:1~1:9から選択される比率のエタノールと水とを有する、請求項1に記載の注射用キット。
【請求項3】
前記成分2が約20%v/v~60%v/vの水分含量を有する、請求項2に記載の注射用キット。
【請求項4】
前記成分1と前記成分2を混合することにより、約40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液が得られる、請求項1に記載の注射用キット。
【請求項5】
25℃及び相対湿度60%の条件下で6ヶ月間保存した場合に、前記希釈準備済み注射用組成物が、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない請求項1に記載の注射用キット。
【請求項6】
再構成された希釈準備済み溶液の水分含量が10%以下である、請求項4に記載の注射用キット。
【請求項7】
成分1及び成分2を有する注射用キットであって、
前記成分1が、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;
前記成分2が、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液であり;
前記成分1及び前記成分2を混合することにより、40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液が得られ、前記再構成された希釈準備済み注射用組成物は、最終輸液媒体による一段階希釈で、患者に所望の濃度で投与するための15mg~200mgの用量のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を提供することを特徴とする、注射用キット。
【請求項8】
前記再構成された希釈準備済み溶液の水分含量が10%以下である、請求項7に記載の注射用キット。
【請求項9】
成分1及び成分2を有する注射用キットであって、
前記成分1がカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、25℃相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に不純物が6%を超えず;
前記成分2が、pH1~2の酸性化剤の溶液であり;
前記成分1と前記成分2を混合することにより、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を約40mg/mlの濃度で含む、再構成された希釈準備済み溶液が得られ、前記溶液は溶血可能性が10%以下の輸液媒体でさらに希釈されることを特徴とする、注射用キット。
【請求項10】
前記輸液媒体が生理食塩水注射液、注射用滅菌水又はブドウ糖注射液から選択される、請求項9に記載の注射用キット。
【請求項11】
前記輸液媒体が5%ブドウ糖注射液である、請求項10に記載の注射用キット。
【請求項12】
所望量の再構成された希釈準備済み溶液を混合した後の最終輸液媒体のpHが約2~約3.5である、請求項9に記載の注射用キット。
【請求項13】
所望量の再構成された希釈準備済み溶液を混合した後の最終輸液媒体の浸透圧が約0.400~約1 Osmol/kgである、請求項9に記載の注射用キット。
【請求項14】
輸液媒体で再構成された希釈準備済み注射液の容量が、0.5ml、1ml、1.25ml、1.5ml、2ml、2.5ml、3mlから選択される、請求項9に記載の注射用キット。
【請求項15】
前記輸液媒体の容量が約50ml~約100mlから選択される、請求項10に記載の注射用キット。
【請求項16】
再構成された希釈準備済み組成物による希釈後に患者に投与される前記輸液媒体の溶血能が、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下からなる群から選択される、請求項10に記載の注射用キット。
【請求項17】
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療する方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み、
前記成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;
前記成分2がpH1~2の酸性化剤の溶液であり;
前記成分1と前記成分2を混合して、水分含量10%以下の濃度40mg/mlのカルフィルゾミブ又はその製薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを特徴とする方法。
【請求項18】
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療する方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み、
前記成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に6%を超える不純物を有さない;
前記成分2はpH1~2の酸性化剤の溶液であり;
前記方法は、前記成分1及び前記成分2を混合して、40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含み、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、最終輸液媒体による一段階希釈で、患者に投与するための、15~200mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の用量を提供することを特徴とする、方法。
【請求項19】
再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み;
前記成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;
前記成分2はpH1~2の酸性化剤の溶液であり;
前記方法は、前記成分1と前記成分2を混合して、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を約40mg/mlの濃度で含有する再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含み、前記再構成された希釈準備済み溶液は、10%以下の溶血可能性を有する輸液媒体でさらに希釈されることを特徴とする、方法。
【請求項20】
希釈準備済み注射用医薬組成物であって、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含有し;
前記希釈準備済み注射用医薬組成物が、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び60%の相対湿度で保存した場合、6ヶ月間の保存時に0.5%を超える総不純物を含有しないことを特徴とする、注射用医薬組成物。
【請求項21】
形成される不純物の合計が、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に0.4%以下又は0.3%以下から選択される、請求項20に記載の注射用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の室温安定な注射用製剤であって、希釈準備済み溶液及び濃縮液の形態のものに関する。さらに、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成することを含む再構成された希釈準備済み溶液を投与する方法を含み、成分1が室温で少なくとも6ヶ月間保存された場合に安定である方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルフィルゾミブは、多発性骨髄腫の治療に適応を有する選択的プロテアソーム阻害剤である。カルフィルゾミブは、26Sプロテアソーム内のタンパク質分解コア粒子である20SプロテアソームのN末端スレオニン含有活性部位に不可逆的に結合するテトラペプチド型エポキシケトンプロテアソーム阻害剤である。
【0003】
カルフィルゾミブはカイプロリス(登録商標)の名称で市販されており、有効成分として、10mg、30mg、60mgを含有する単回投与用バイアル中で販売されている。各バイアルには、凍結乾燥カルフィルゾミブの他に、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、クエン酸、pH調整用の水酸化ナトリウムが含まれている。
【0004】
市販されている製剤の問題点は、凍結乾燥製剤の再構成が複雑で面倒なことである。再構成の工程は複雑で、各バイアルを無菌的に再構成することからなり、ストッパーを通して注射用の滅菌水をゆっくりと注入し、泡の形成を確実に少なくするために水をバイアルの内壁に向ける。泡が発生した場合は、泡が落ち着いて溶液が透明になるまで待たなければならない。また、再構成製剤では、投与前に溶液を目視検査することが非常に重要であり、変色や粒子状物質があるように見える再構成溶液は廃棄しなければならない。また、余分な泡があると効力の低下につながることが知られている。
【0005】
改善されたカーフィルゾミブ組成物を得るための努力がなされてきた。例えば、カルフィルゾミブの溶解性を向上させるために、置換シクロデキストリンの添加が検討されてきた。
カルフィルゾミブは分解に敏感であるため、費用対効果の高い室温安定カルフィルゾミブ注射剤の開発は非常に困難である。製造の容易さ、投与手段、経時安定性、特に室温保存時の安定性を改善したカーフィルゾミブの改良型製剤が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体を含む、室温で安定な希釈準備済み注射用製剤を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体を含む室温安定な希釈準備済み注射製剤を投与することにより、多発性骨髄腫患者を治療する方法を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の目的は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療する方法であって、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体(infusion media)で希釈する、再構成された希釈準備済み溶液を投与する方法を含む方法を提供することであり;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な希釈準備済み非経口製剤であり;そして成分2は、酸性化剤である。
【0009】
本発明の一態様では、25℃、相対湿度60%で保存した場合、少なくとも6ヶ月間安定な室温安定カルフィルゾミブ製剤を提供する。
【0010】
本発明の一態様では、25℃、相対湿度60%で保存した場合、少なくとも6ヶ月間安定な室温安定カルフィルゾミブ製剤を提供する;ここで、6ヶ月間の保存期間中の総不純物は、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
市販されているカイプロリス(登録商標)(カーフィルゾミブ)は、10mg、30mg、60mgのバイアルがあり、それぞれ5mL、15mL、30mLの再構成溶液が得られる。そのため、必要量を正確に投与するためには、複数のバイアルを再構成し、混合し、さらに希釈する必要がある。複数のバイアルを希釈し、複数のステップを踏んで目的の薬剤を投与するため、エラーの可能性が高くなり、看護スタッフにとっては退屈な作業となる。そのため、この複数バイアル希釈の問題を解決する必要がある。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の参照語を含む。
【0013】
本明細書で使用される「約」という用語は、前記値から±5%の偏差を意味する。
【0014】
本明細書において、「任意に」又は「オプションとして」という用語は、その後に説明される事象又は状況が発生してもしなくてもよいことを意味する。
【0015】
本発明の製剤は、「カルフィルゾミブ」又はその薬学的に許容される誘導体を含有する。薬学的に許容される誘導体には、薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、無水物、エナンチオマー、異性体、多形体、互変異性体又はそれらの混合物が含まれる。
【0016】
薬学的に許容される塩とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性学的作用を与えない塩である。このような塩の例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸で形成される酸付加塩;酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、プトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ポリガラクチュロン酸などの有機酸から形成される塩;塩化物、臭化物、ヨウ化物などの元素陰イオンから形成される塩;金属水酸化物から形成される塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム;金属炭酸塩から形成される塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム;金属炭酸水素塩から形成される塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム;金属硫酸塩から形成される塩、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム;金属硝酸塩から形成される塩、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウムである。
【0017】
「安定製剤」又は「安定化製剤」という用語は、カルフィルゾミブの製剤のうち、適当な期間、適当な温度で保存できる十分な物理的・化学的安定性を有するものを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、約15℃から約40℃の間の温度を指す。1つの実施形態において25℃である。
【0019】
本明細書において、「カルフィルゾミブ不純物」という用語は、カルフィルゾミブの化学分解から生じる化合物を指す。例示的な分解経路としては、アミド及び/又はエポキシドの加水分解、酸化、エピメリ化、及び様々な求核剤によるオキシラン開環から生じる生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「希釈準備済み(ready to dilute)」という用語は、輸液媒体(infusion media)(例えば、ブドウ糖溶液、注射用水(water for infection)、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、適切な非水溶性溶媒又は任意の他の輸液媒体)と直接組み合わせることができ、次いで患者に投与されるカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の製剤を指す。ある実施形態では、希釈準備済み製剤は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体を含む注射用製剤を含む単一のバイアルとして提供され得る。1つの実施形態において、任意に、希釈準備済み製剤は、輸液媒体と組み合わせる前に、他の適切な賦形剤でさらに希釈することができる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「成分1」という用語は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の希釈準備済み製剤を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「成分2」という用語は、成分1と再構成して、任意に輸液媒体にさらに添加又は混合することができる再構成された希釈準備済み製剤を形成する、酸性化剤を指す。成分2は、透明な溶液又は粉末の形態で使用される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「再構成された希釈準備済み(reconstituted ready to dilute)」という用語は、輸液媒体に添加する前に成分1と成分2を混合した後に得られるカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の製剤を指す。
【0024】
用語「すぐに使用できる(ready to use)」とは、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の製剤であって、それ以上希釈又は処理することなく患者に直接投与されるものをいう。
【0025】
「溶血能(hemolytic potential)」とは、液体が赤血球を分解し、ヘモグロビンを放出する能力のことである。溶血能は血球からのヘモグロビンの放出として測定される。
【0026】
本発明の製剤は注射剤である。本発明によるカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の注射可能な製剤は、筋肉内、静脈内、又は皮下を含む任意の経路で投与することができる。好ましくは、本発明の注射用製剤は静脈内投与することができる。カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の製剤は、液体濃縮物、希釈準備済み溶液又はすぐに使用できる溶液の形態である。本発明の注射用製剤は、従来の無菌バイアル又は他の適切な無菌容器内に包装することができる。
【0027】
1つの実施形態において、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体を含む室温安定な希釈準備注射製剤は、約5mg/mL~約350mg/mLの濃度のカルフィルゾミブを含む。1つの実施形態において、カルフィルゾミブの濃度は、約10mg/mL~約100mg/mL、又は約15mg/mL~約60mg/mL、又は約10mg/mL~約60mg/mLの範囲である。好ましいつの実施形態において、注射剤は、約10mg/mL又は約60mg/mLの濃度のカルフィルゾミブを有するものである。1つの実施形態において、本発明は、成分1中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度は、再構成された希釈準備済み注射用組成物中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度とは異なる。1つの実施形態において、本発明は、成分1中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度は、再構成された希釈準備済み注射用組成物中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度より低い。1つの実施形態において、本発明は、成分1中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度は、約60mg/mlである。1つの実施形態において、本発明は、再構成された希釈準備済み注射用組成物中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度は、約40mg/mlである。
【0028】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体及び1種以上の溶媒を含む室温安定な注射用希釈済み製剤を提供する。1つの実施形態において、希釈準備済み組成物は、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、N,N-ジメチルアセトアミド(N,N-DMA)、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリド、グリコフロール、又はそれらの混合物から選択される1つ以上の溶媒を含むことができる。好ましい実施形態において、製剤は、エタノール、ジメチルアセトアミド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、又はそれらの混合物を含み得る。1つの実施形態において、使用される1つ以上の溶媒とカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体の量の比は、約100:1から8:1まで変化し得る。
【0029】
1つの実施形態において、本発明の室温安定注射製剤は、緩衝剤、界面活性剤、酸化防止剤及び保存剤のような1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を任意に含むことができる。
【0030】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、1種以上の薬学的に許容される界面活性剤を有する。好適な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられ、例示的な非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレンオキシド、例えばPEG 300又はPEG 400が挙げられる。薬学的に許容される界面活性剤としては、ポリソルベート又はポリエトキシル化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル20、ヒマシ油ポリオキシル35、ポロキサマー、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール40ソルビタン、水素化ヒマシ油ポリオキシル40、ポリソルベート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ステアリン酸ポリオキシル60、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポロキサマー331、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル40ヒマシ油、ポロキサマー188、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン1800、オレイン酸、デソキシコリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、N-カルバモイルメトキシポリエチレングリコール2000-1,2-ジステアロール、ミリスチン酸、ステアレス、ステアリン酸、ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸スクロース、トコフェロール、合成トリグリセリド、トリミリスチン、トリステアリン、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ラウリル硫酸塩、ビタミンE、ビタミンE-TPGS、卵黄リン脂質、ドキュセートナトリウム、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルレシチン、カプリオール90(プロピレングリコールモノカプリレート)、カプリオールPGMC(プロピレングリコールモノカプリレート)、 デオキシコール酸塩、コレステロール、Cremophor EL、アルギン酸プロピレングリコール、Croval A-10(PEG60アーモンドグリセリド)、Labrafil 1944(オレオイルマクロゴール-6グリセリド)、Labrafil 2125(リノレオイルマクロゴール-6グリセリド)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド)、ラウログリコール90(モノラウリン酸プロピレングリコール)、ラウログリコールFCC(ラウリン酸プロピレングリコール)、ステアリン酸カルシウム、レシチン・セントロミックスE、レシチン・セントロフェーズ152、レシチン・セントロール3F21B、POE26グリセリン、オレパール・イソステアリック(イソステアリン酸PEG-6)、プルロール・ジイソステアリック(ポリグリセリン-3-ジイソステアレート)、Plurol Oleique CC、POE 20ソルビタントリオレエート、Tagat TO(ポリオキシエチレングリセリントリオレエート)、又はSolutol(マクロゴール-15ヒドロキシステアレート)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、任意に界面活性剤は、希釈準備製剤の総重量の約10%~約90%、好ましくは希釈準備製剤の総重量の約20%~約80%、好ましくは希釈準備製剤の総重量の約30%~約60%で存在する。
【0031】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、弱酸とアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム)及び弱酸の共役塩基の混合物から選択される緩衝剤を有する。適切な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、酢酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、グルコン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ラクチュロン酸、乳酸、ラクトビオン酸、エデト酸、ゲンチジン酸、メタリン酸、硝酸、五酢酸、グリコール酸、及びそれらの対イオン塩からなる群から選択される緩衝剤が挙げられる。
【0032】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、及びC-トコフェロール、DL-トコフェロール、酢酸C-トコフェロール C-トコフェロールトコフェロールポリエチレングリコールサクシネート(ビタミンE TPGS)、L-システインアスコルビルパルミテートチオグリコール酸、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、又はナトリウムEDTA及びチオグリセロールを含む親水性酸化防止剤、から選択される1種以上の抗酸化剤を有する。最も典型的には、酸化防止剤の濃度は、組成物全体の0.005重量%から5重量%の間である。
【0033】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、フェノール、チメロサール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、m-クレゾール、フェノキシエタノール、メチルパラベン及びプロピルパラベンから選択される防腐剤を、典型的には組成物全体の0.001重量/重量から約5重量/重量の間の濃度で有し、最も典型的には組成物全体の約0.003重量/重量から約2.0重量/重量の間である。
【0034】
1つの実施形態において、成分2は、クエン酸、酢酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フマル酸、グルコン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ラクチュロン酸、乳酸、ラクトビオン酸、エデト酸、ゲンチジン酸、メタリン酸、硝酸、五酢酸、グリコール酸、シスチエンHCLから選択される酸性化剤を含む、。本発明に酸性化剤を使用する目的は、酸性pHを維持することにより、輸液媒体中のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を可溶化することである。さらに、本発明に酸性化剤を使用する目的は、輸液媒体中の薬物の沈殿を回避することである。
【0035】
カルフィルゾミブの分解から得られる不純物として特定の化合物が同定され、安定性試料について分析された。例えば、[酸不純物](S)-2-((S)-4-メチル-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)ペンタンアミド)-3-フェニルプロパン酸;[ジアステレオマー不純物](S)-4-メチル-N-((R)-1-((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)ペンタンアミド;[フェノール不純物]2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノール;
【0036】
[ジオール不純物](S)-N-(((2R,4S)-1,2-ジヒドロキシ-2,6-ジメチル-3-オキソヘプタン-4-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-4-メチル-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)ペンタンアミド;[クロロ不純物](S)-N-(((2S,4S)-1-クロロ-2-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3-オキソヘプタン-4-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-4-メチル-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)ペンタンアミド;[N-オキシド不純物]((4S,7S,10S,13S)-10-ベンジル-7-イソブチル-15-メチル-13-((R)-2-メチルオキシラン-2-カルボニル)-2,5,8,11-テトラオキソ-4-フェネチル-3,6,9,12-テトラアザヘキサデシル)モルホリン-4-オキシドがあげられる。
【0037】
1つの実施形態において、保存期間中に形成される不純物の合計が6%以下である室温安定製剤である。1つの実施形態において、保存期間にわたって形成される不純物の合計5%以下を含む室温安定製剤である。1つの実施形態において、保存期間にわたって形成される不純物の合計4%以下を含む室温安定製剤である。1つの実施形態において、保存期間にわたって形成される不純物の合計が3%以下である室温安定製剤である。1つの実施形態において、保存期間にわたって形成される不純物の合計が2%以下である室温安定製剤である。1つの実施形態において、保存期間にわたって形成される不純物の合計が1%以下である室温安定製剤である。1つの実施形態において、保存期間にわたって形成される不純物の合計が0.5%以下である室温安定製剤である。1つの実施形態において、本発明の製剤の保存期間は、製剤が十分な化学的及び物理的安定性を有する妥当な期間である。保存期間は、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、又は少なくとも2年から選択される。
【0038】
1つの実施形態において、室温安定性製剤とは、室温、例えば約15℃~約40℃;好ましくは約20℃~約40℃;より好ましくは約25℃~約40℃;最も好ましくは約20℃~約25℃の温度での保存を可能にする十分な安定性を有するカルフィルゾミブの任意の製剤を指す。実施形態の温度範囲におけるカルフィルゾミブの製剤の安定性は、常に湿度60%の追加パラメーターを伴うことを理解されたい。本発明の好ましい実施形態において、室温で安定な製剤の安定性は、本発明の製剤を、温度25℃で相対湿度60%の密封無菌容器に保存した後に評価することができる。
【0039】
1つの実施形態において、75%RH及び40℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLC法により6%以上の総不純物を有さない。1つの実施形態において、75%RH及び40℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLC法による総不純物が5%以下である。1つの実施形態において、75%RH及び40℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLC法による総不純物が4%以下である。1つの実施形態において、75%RH及び温度40℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が3%以下である。1つの実施形態において、75%RH及び温度40℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が2%以下である。1つの実施形態において、75%RH及び40℃の温度で6カ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が1.5%以下である。1つの実施形態において、75%RH及び40℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が1%以下である。1つの実施形態において、75%RH及び40℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が0.5%以下である。
【0040】
1つの実施形態において、60%RH及び25℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLC法による総不純物が6%以下である。
【0041】
1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLC法による総不純物が5%以下である。1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLC法による総不純物が4%以下である。1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が3%以下である。1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が2%以下である。1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が1.5%以下である。1つの実施形態において、60%RH及び25℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が1%以下である。1つの実施形態において、60%RH及び25℃の温度で6ヶ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が0.5%以下である。1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6カ月間保存した後、カーフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が0.4%以下である。1つの実施形態において、60%RH、温度25℃で6ヶ月間保存した後、カルフィルゾミブ組成物は、HPLCによる総不純物が0.3%以下である。
【0042】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び1種以上の溶媒を含む室温安定注射用製剤を提供する。1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む室温安定注射製剤を提供する。
【0043】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び1種以上の溶媒を含む室温安定な注射用製剤を提供し;ここで、注射用製剤は、希釈準備済み、すぐに使用でき、及び、液体濃縮物を含む。好ましい実施態様において、本発明の注射用製剤は、室温安定な希釈準備済み溶液を含む。
【0044】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む室温安定な希釈準備済み注射用製剤を提供する。
【0045】
1つの実施形態において、本発明の組成物中の薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される。1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と、1種以上の溶媒とを含む室温安定な希釈準備済み注射用製剤を提供する。
【0046】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、室温で安定な希釈準備済み注射用製剤を提供する。
【0047】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される誘導体、及び1種以上の溶媒を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し;ここで、この製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を6%以下含有する。
【0048】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を6%以下含有する。
【0049】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を5%以下含有する。
【0050】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を4%以下含有する。
【0051】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を3%以下含有する。
【0052】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を2%以下含有する。
【0053】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を1.5%以下含有する。
【0054】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を1.0%以下含有する。
【0055】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、及び界面活性剤から選択される1種以上の薬学的に許容される賦形剤;を含む安定な希釈準備済み注射用製剤を提供し、ここで、製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を0.5%以下含有する。
【0056】
2~8℃のような厳しい条件下で保存される製剤よりも、商業的及び取り扱い上の利点がある安定な室温注射製剤を得ることは、常に望ましく有益である。しかしながら、室温で安定で、不純物が少ない、あるいは不純物レベルが医薬品承認当局の許容範囲内である注射剤を得ることは非常に困難である。
【0057】
安定性試験期間中、驚くべきことに、酸性化剤を含まない希釈済み注射液は、酸性化剤を含む希釈済み注射液よりも有意に良好な不純物プロファイルを有することが判明した。このように、酸性化剤は室温での製剤の安定性に悪影響を与え、安定期間中に酸性化剤を含まない製剤よりも多くの不純物を生成する。本発明による不純物プロファイルの改善には、製剤サンプルをHPLCで分析した際に、安定期間中に得られる総不純物の差が含まれる。
【0058】
1つの実施形態において、本発明は、酸性化剤を含まないカルフィルゾミブ及びその薬学的に許容される塩を含む室温安定化注射用製剤を提供する。
【0059】
1つの実施形態において、本発明は、製剤の安定期間中、酸性化剤を含まない、カルフィルゾミブ及びその薬学的に許容される塩を含む室温安定化注射製剤を提供する。
【0060】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ及びその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に、抗酸化剤、緩衝剤及び界面活性剤から選択される1種以上の賦形剤;を含み、製剤の安定期間中、酸性化剤を含まない、室温安定な希釈準備済み注射用製剤を提供する。
【0061】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ及びその薬学的に許容される塩;1種以上の溶媒;及び任意に、抗酸化剤、緩衝剤及び界面活性剤から選択される1種以上の賦形剤;を含み、製剤の安定期間中、酸性化剤を含まない、室温安定な希釈準備済み注射用製剤を提供する。
【0062】
1つの実施形態において、本発明は、室温で安定なカルフィルゾミブ注射用希釈済み製剤の送達に向けられ、この製剤は、一旦適切な注射(特に輸液、最も特に静脈内輸液)濃度に希釈されると、当該技術分野で公知のカルフィルゾミブ応答性病態を治療するために適切な量で投与され得る。
【0063】
1つの実施形態において、本発明は、室温で安定な希釈準備済み又は使用準備の整った非経口剤形のカーフィルゾミブを単独で、又はデキサメタゾン又はレナリドミド+デキサメタゾンと組み合わせて投与することにより、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療する方法が提供される。
【0064】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩;及び1種以上の溶媒;の室温で安定な希釈準備済み注射用製剤を投与することを含み、製剤の保存期間中に製剤が総不純物を6%以下含有する方法が提供される。
【0065】
1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中に総不純物を5%以下含むカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中、不純物の総量が4%を超えないカーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中、総不純物含有量が3%以下であるカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中、総不純物が2%以下であるカーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中、総不純物が1.5%以下のカーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中に、総不純物を1%以下含有するカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法は、製剤の保存期間中、不純物の総量が0.5%を超えないカーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の製剤を投与することを含む。
【0066】
本発明の1つの実施形態は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な希釈準備注射製剤を投与することを含み、希釈準備注射製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、1ヶ月間安定である、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法を提供する。好ましくは、本発明の1つの実施形態において、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な希釈準備注射製剤を投与することを含み、希釈準備注射製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、3ヶ月間安定である、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療する方法が提供される。より好ましくは、本発明の1つの実施形態において、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な希釈準備注射製剤を投与することを含み、希釈準備注射製剤は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間安定である再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療するための方法が提供される。
【0067】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、輸液媒体で希釈する前に、成分1及び成分2を混合してなる再構成された希釈準備済み溶液を投与する方法を含み;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な希釈準備非経口製剤を含み、成分2は、酸性化剤である、方法を提供する。
【0068】
1つの実施形態において、本発明は、成分2は、クエン酸、リンゴ酸、オルトリン酸(OPA、リン酸としても知られる)、フマル酸又はそれらの混合物から選択される酸性化剤からなる。
【0069】
1つの実施形態において、カーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と比較して使用される酸性化剤の比率は、w/w基準で約1:50から約1:0.5である。1つの実施形態において、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と比較して使用される酸性化剤の比率は、w/w基準で約1:50~約1:1である。1つの実施形態において、カーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と比較して使用される酸性化剤の比率は、w/w基準で約1:40~約1:1である。1つの実施形態において、カーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と比較して使用される酸性化剤の比率は、w/w基準で約1:30~約1:1である。1つの実施形態において、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と比較して使用される酸性化剤の比率は、w/w基準で約1:20~約1:1である。1つの実施形態において、カーフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩と比較して使用される酸性化剤の比率は、w/w基準で約1:10から約1:1である。
【0070】
1つの実施形態において、成分2は、室温で透明な溶液の形態で存在する酸性化剤である。1つの実施形態において、酸性化剤の溶液は、アルコール、水、又はそれらの混合物から選択される溶媒と任意に組み合わされる。1つの実施形態において、使用される酸性化剤は、9:1~1:9から選択される比率のエタノール及び水を有する。1つの実施形態において、使用される酸性化剤は、エタノールと水を1:1の比率で有する。
【0071】
1つの実施形態において、成分2は、成分1と再構成する前に、約2%~20%w/wの酸性化剤を有する。1つの実施形態において、成分2は、成分1との再構成前に、約5%~15%w/w又は約8%~12%w/wの酸性化剤が存在する。
【0072】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む、再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供され;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び一種以上の溶媒の室温で安定な希釈準備済み非経口製剤を含み;成分2は、酸性化剤である。
【0073】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物の6%以下を含む、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び1種以上の溶媒の室温安定な希釈準備済み非経口製剤を含み;成分2は、酸性化剤である。
【0074】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び1種以上の溶媒の室温安定な希釈準備済み非経口製剤、及び25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に不純物の総量が5%以下である1種以上の溶媒を含み;成分2は酸性化剤である。
【0075】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な再構成された希釈済み非経口製剤、及び25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物が4%以下である1種以上の溶媒を含み;成分2は酸性化剤である。
【0076】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物が3%以下である、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び1種以上の溶媒の室温安定な再構成された希釈準備済み非経口製剤を含み;成分2は、酸性化剤である。
【0077】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び1種以上の溶媒の室温安定な希釈準備済み非経口製剤を含み、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物が2%以下であり;成分2は酸性化剤である。
【0078】
1つの実施形態において、本発明は、成分1と成分2とを混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び1種以上の溶媒の室温安定な希釈準備済み非経口製剤を含み、25℃、相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存で総不純物が1.5%以下であり、成分2は酸性化剤である。
【0079】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な再構成された希釈済み非経口製剤、及び25℃及び相対湿度60%で保存した場合に6ヶ月の保存で総不純物が1%以下である1種以上の溶媒を含み;成分2は酸性化剤である。
【0080】
1つの実施形態において、本発明は、成分1と成分2とを混合して再構成された希釈準備済み溶液を形成し、次いで再構成された希釈準備済み溶液を輸液媒体で希釈することを含む再構成された希釈準備済み溶液の投与方法が提供される;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の室温安定な希釈準備済み非経口製剤と、25℃、相対湿度60%で保存した場合に6ヶ月の保存で総不純物が0.5%以下になる1種以上の溶媒を含み、成分2は酸性化剤である。
【0081】
1つの実施形態において、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の希釈準備済み注射用組成物は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.4%又は0.3%から選択される総不純物以上を含まない。
【0082】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩と、少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤とを含む室温安定な希釈準備済み注射用医薬組成物を提供し;ここで、前記組成物は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度が約60mg/mlである。1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその製薬上許容される塩及び1種以上の溶媒を含む室温安定な希釈準備済み注射用医薬組成物を提供し;ここで、前記組成物は、カルフィルゾミブ又はその製薬上許容される塩の濃度が約60mg/mlである。1つの実施形態において、本発明は、成分1は、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩の濃度が約60mg/mlである。
【0083】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を6%以下含有する。
【0084】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を5%以下含有する。
【0085】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を4%以下含有する。
【0086】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物が3%以下である。
【0087】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を2%以下含有する。
【0088】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物が提供される;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び60%の相対湿度で保存した場合、6ヶ月間の保存時に1.5%以下の総不純物を含有する。
【0089】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩の濃度を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を1%以下含有する。
【0090】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩及び溶媒を含む、希釈準備済み注射用医薬組成物を提供する;ここで、該組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬上許容される塩の濃度を有し、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に総不純物を0.5%以下含有する。
【0091】
1つの実施形態において、本発明は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容されるスラットの希釈準備済み注射用組成物は、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.4%又は0.3%から選択される総不純物を超えない。
【0092】
1つの実施形態において、希釈準備済み注射用組成物の溶媒はN,N-ジメチルアセトアミドである。
【0093】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療するための方法であって、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩及び溶媒を含む希釈準備済み注射用医薬組成物を投与する方法を含み;ここで、組成物は、約60mg/mlのカルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩の濃度を有し、25℃及び60%の相対湿度で保存した場合、6ヶ月の保存時に0.5%以下の総不純物を含有しない、方法を提供する。
【0094】
1つの実施形態において、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、カルフィルゾミブ又はその製薬上許容されるスラットの希釈準備済み注射用組成物を投与する方法を含み、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存時に、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%から選択される総不純物以上を含まない方法である。
【0095】
1つの実施形態において、希釈準備済み注射用組成物を有する成分1の溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミドである。
【0096】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キット(injectable kit)であって、成分1が、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩と、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒とを含み、25℃、相対湿度60%で保存した場合に、6ヶ月間の保存で総不純物が6%以下であり;成分2が、約1から約2のpHを有する酸性化剤の溶液である、注射用キットが提供される。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される総不純物以下を含有する。
【0097】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットであって、前記成分1は、カルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩、1種以上の溶媒、及び任意に、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤及び界面活性剤から選択される1種以上の医薬的に許容される賦形剤を含み、前記成分1中のカルフィルゾミブ又はその医薬的に許容される塩の濃度は、約60mg/mlであり、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存で総不純物が6%以下であり;前記成分2は、pHが約1~約2の酸性化剤の溶液である、注射用キットである。
【0098】
1つの実施形態において、成分2は、室温で透明な溶液の形態で存在する酸性化剤である。1つの実施形態において、酸性化剤の溶液は、アルコール、水又はそれらの混合物から選択される溶媒と任意に組み合わされる。1つの実施形態において、使用される酸性化剤は、9:1~1:9から選択される比率のエタノール及びと水とを有する。1つの実施形態において、使用される酸性化剤は、エタノールと水を1:1の比率で有する。
【0099】
1つの実施形態において、本発明は、別々の滅菌容器に充填された成分1及び成分2を有する注射可能なキットを提供する。1つの実施形態において、注射可能なキットは、成分1及び成分2を一緒にパッケージに入れて、それを必要とする人に供給する。1つの実施形態において、注射可能なキットが成分1及び成分2を別々のパッケージの下に別々に供給することも本発明の範囲内である。
【0100】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットであって、成分1が、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%以上の不純物を有さず;成分2は、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液であり;ここで、成分1及び成分2を混合することにより、約40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液が得られる、注射用キットを提供する。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%又は0.4%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0101】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットであって、成分1が、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に6%以上の不純物を有さず、成分2が、pHが約1~約2であり、水分含量が約20%V/V~約60%V/Vである酸性化剤の溶液である、注射用キットを提供する。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0102】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さない;成分2が、pHが約1~約2である酸性化剤の溶液であり;成分1及び成分2を混合することにより、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を40mg/mlの濃度で含有し、水分含量が10%以下である、再構成された希釈準備済み溶液が得られる、注射用キットを提供する。1つの実施形態において、成分1と成分2を混合した後、再構成されて希釈準備済み注射用組成物の含水量は、10%、15%、20%、25%以上からなる群から選択される。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保管した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される合計不純物以下含む。
【0103】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットであって、前記成分1がカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、25℃相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に不純物が6%を超えず;前記成分2が、pH1~2の酸性化剤の溶液であり;前記成分1と前記成分2を混合することにより、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を約40mg/mlの濃度で含む、再構成された希釈準備済み溶液が得られ、前記溶液は溶血可能性が10%以下の輸液媒体でさらに希釈される、注射用キットを提供する。
【0104】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び約60mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を有し、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さない溶媒を含む; 成分2は、pHが約1~約2の酸性化剤の溶液であり;ここで、方法は、成分1と成分2を混合して、水分含量が10%以下の40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその製薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含む。
【0105】
1つの実施形態において、成分1及び成分2を混合した後の再構成された希釈準備済み注射用組成物の水分含量は、10%、15%、20%、25%以上からなる群から選択される。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0106】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットであって、前記成分1が、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;前記成分2が、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液であり;成分1及び成分2を混合することにより、40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液が得られ、前記再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に所望の濃度で投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約200mgの用量のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を提供する、注射用キットを提供する。1つの実施形態において、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に所望の濃度を投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約160mgのカルフィルゾミブの用量を提供する。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0107】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;成分2はpH1~2の酸性化剤の溶液であり;方法は、成分1及び成分2を混合して、40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含み、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約200mgの用量のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を提供する。1つの実施形態において、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約160mgのカルフィルゾミブの用量を提供する。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0108】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を含む注射用組成物を提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;成分2は、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液であり;ここで、成分1及び成分2を混合することにより、約40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液が得られる。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%又は0.4%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0109】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を含む注射用組成物を提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に6%以上の不純物を有さず;成分2は、約1~約2のpHを有し、水分含量が約20%V/V~約60%V/Vである酸性化剤の溶液である。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0110】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を含む注射用組成物を提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;成分1及び成分2を混合することにより、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を40mg/mlの濃度で含有し、水分含量が10%以下である、再構成された希釈準備済み溶液が得られる。1つの実施形態において、成分1と成分2を混合した後の再構成された希釈準備済み注射用組成物の水分含量は、10%以上、15%以上、20%以上、又は25%以上である。成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物総量以下を含有する。
【0111】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療する方法であって、成分1及び成分2を有する注射用組成物を提供することを含み、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlである、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さない;成分2は、pHが約1~約2の酸性化剤の溶液であり;ここで、方法は、成分1と成分2を混合して、水分含量が10%以下の40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその製薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含む。
【0112】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を含む注射用組成物を提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;そして成分2は、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液である;成分1と成分2を混合することにより、40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液が得られ、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に所望の濃度で投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約200mgの用量のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0113】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、25℃及び60%の相対湿度で保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さない;成分2は、pH1~2の酸性化剤の溶液であり;ここで、方法は、成分1と成分2を混合し、溶血可能性が10%以下の輸液媒体でさらに希釈された約40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含む。
【0114】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を有する注射用組成物を提供することを含み、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、室温及び60%RHで保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;成分2はpH1~2の酸性化剤の溶液であり;方法は、成分1及び成分2を混合して、40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含み、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約200mgの用量のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を提供する。1つの実施形態において、再構成された希釈準備済み注射用組成物は、患者に投与するための最終輸液媒体による一段階希釈で、約15mg~約160mgのカルフィルゾミブの用量を提供する。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%sからなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0115】
1つの実施形態において、再構成された希釈準備済み組成物による希釈後に患者に投与される輸液の溶血能は、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下からなる群から選択される。
【0116】
1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さない;成分1及び成分2を混合することにより、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を約40mg/mlの濃度で含む、再構成された希釈準備済み溶液が得られる。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0117】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を有する注射用キットを提供することを含み;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlである溶媒を含み、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月間の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;成分2は、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液であり;ここで、方法は、成分1及び成分2を混合して、輸液媒体での必要な希釈時に10%を超える溶血能を有さない、約40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含む。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%又は0.4からなる群から選択される不純物の合計を超えない。1つの実施形態において、本発明は、成分1及び成分2を含む注射用組成物を提供し、ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及びカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlの溶媒を含み、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さない;成分1及び成分2を混合することにより、カルフィルゾミブ又はその製薬上許容される塩を約40mg/mlの濃度で含有し、輸液媒体で希釈する際に10%を超える溶血能を有さない、再構成された希釈準備済み溶液が得られる。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%又は0.3%からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0118】
1つの実施形態において、本発明は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者を治療するための方法であって、成分1及び成分2を有する注射用組成物を提供することを含み;ここで、成分1は、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩、及び溶媒を含み、カルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩の濃度が約60mg/mlであり、25℃及び相対湿度60%で保存した場合、6ヶ月の保存期間中に6%を超える不純物を有さず;成分2は、約1~約2のpHを有する酸性化剤の溶液であり;ここで、方法は、成分1及び成分2を混合して、輸液媒体での所望の希釈時に10%を超える溶血能を有さない、約40mg/mlの濃度のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を含む再構成された希釈準備済み溶液を得ることを含む。1つの実施形態において、成分1は、25℃及び相対湿度60%で6ヶ月間保存した場合、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%又は0.4からなる群から選択される不純物の合計を超えない。
【0119】
1つの実施形態において、再構成された希釈準備済み溶液の必要な希釈は、所望の容量を輸液媒体に希釈することを含む。1つの実施形態において、再構成された希釈準備完了注射液の輸液媒体による選択された容量は、0.5ml、1ml、1.25ml、1.5ml、2ml、2.5ml、3ml、3.5ml、4mlから選択される。1つの実施形態において、希釈準備の整った選択された容量と混合するために使用される輸液媒体の容量は、約50ml~約100mlから選択される。1つの実施形態において、選択された容量の再構成準備希釈液と混合するために使用される輸液媒体の容量は、50ml、75ml又は100mlから選択される。1つの実施形態において、輸液媒体は、生理食塩水注射液、注射用滅菌水又はブドウ糖注射液から選択される。提案された実施形態では、輸液媒体は5%ブドウ糖注射液である。
【0120】
1つの実施形態において、本発明は、患者に輸液を送達する前に、一定量の再構成された希釈準備済み組成物を5%ブドウ糖注射液と混合する場合に、正確な用量のカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を投与する方法を提供する。1つの実施形態において、0.5mlの再構成準備希釈組成物を50ml~100mlの5%ブドウ糖と混合すると、20mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することができる。
【0121】
1つの実施形態において、1mlの再構成された希釈準備組成物を50ml~100mlの5%デキストロースと混合すると、40mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することができる。
【0122】
1つの実施形態において、2mlの再構成された希釈準備組成物を50ml~100mlの5%デキストロースと混合すると、80mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することができる。
【0123】
1つの実施形態において、3mlの再構成された希釈準備組成物を50ml~100mlの5%デキストロースと混合すると、120mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することができる。
【0124】
1つの実施形態において、3.85mlの再構成された希釈準備組成物を50ml~100mlの5%ブドウ糖と混合すると、154mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することができる。
【0125】
1つの実施形態において、4mlの再構成された希釈準備組成物を50ml~100mlの5%デキストロースと混合すると、160mgのカルフィルゾミブ又はその製薬上許容される塩を患者に投与することができる。
【0126】
1つの実施形態において、約0.5ml~約4mlの再構成された希釈準備済み組成物を50ml~100mlの5%デキストロースと混合すると、患者に約20mg~約160mgのカルフィルゾミブ又はその薬学的に許容される塩を送達することができる。
【0127】
1つの実施形態において、希釈準備の整った所望量の再構成液を混合した後の最終輸液媒体のpHは、約2~約3.5である。好ましくは、pHは約2~約3である。
【0128】
1つの実施形態において、所望量の再構成された希釈準備済み溶液を混合した後に得られる最終輸液の浸透圧は、約0.400~約0.800 Osmol/kgである。
【0129】
1つの実施形態において、所望量の再構成された希釈準備済み溶液を混合した後に得られる最終輸液の浸透圧は、約0.400~約1 Osmol/kgである。
【0130】
以下の実施例は、本発明を説明する目的で与えられたものであり、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
実施例 1:カルフィルゾミブの組成と6ヶ月間の安定性データ
手順:
バイアル1:
1. 80%N,N-ジメチルアセトアミド中、攪拌を続けながら秤量したカルフィルゾミブを均一な溶液が得られるまで添加する。
2. N,N-ジメチルアセトアミドで最終容量を調整し、均一な溶液が得られるまで撹拌する。
3. 0.22μPTFEフィルターでろ過。
バイアル2:
1. 秤量したバッチ量のオルトリン酸を、秤量したバッチ量の脱水アルコールに添加した。
2. 最終容量は、注射用水によって構成された。
再構成された希釈準備済み溶液製品:
バイアル2(OPA 90μL+脱水アルコール0.5mL+WFIq.s. 1mLまで)から0.5mLを抜き取り、バイアル1(Carfilzomib 60mg+N,N-ジメチルアセトアミドq.s. 1mLまで)と混合した。40mg/mLの製剤が得られた。
表1:希釈準備済み組成物(成分1)の指定保存条件における安定性
【表1】
*ND=未検出、1M=1ヶ月、3M=3ヶ月、6M=6ヶ月、40/75=40℃、75%RH、25/60=25℃、60%RH
15mgから154mgの投与量を投与する場合は、50ml又は100mlの輸液を使用し、最終濃度範囲を0.5~1.54mg/mlとする。
【0131】
実施例2 成分2 最適化試験
表2:カルフィルゾミブの調製
【表2】
【0132】
手順:APPL-006/01/102
1. 80%N,N-ジメチルアセトアミド中、攪拌を続けながら秤量したカルフィルゾミブを均一な溶液が得られるまで添加する。
2. N,N-ジメチルアセトアミドで最終容量を調整し、均一な溶液が得られるまで撹拌する。
3. 0.22μPTFEフィルターでろ過
【0133】
手順:APPL-006/01/105
1. 80%N,N-ジメチルアセトアミド中、攪拌を続けながら秤量したカルフィルゾミブを均一な溶液が得られるまで添加する
2. N,N-ジメチルアセトアミドで最終容量を調整し、均一な溶液が得られるまで撹拌する。
3. 0.22μPTFEフィルターでろ過する
【0134】
APPL-006/01/102の希釈(バイアル-1、バイアル-2)及び注射用水による2mg/mL希釈の手順
バイアル-1: APPL-006/01/105(100%N,N DMA及び60mg/mLカーフィルゾミブ)
バイアル-2(A): 150μLオルトリン酸に注射用水を加えて1mLにした。
バイアル-2(B): 60μLオルトリン酸 エタノールと注射用水50:50中。
バイアル-2(C): 90μLオルトリン酸 エタノールと注射用水50:50中。
バイアル-2(D): 120μLオルトリン酸 エタノールと注射用水50:50中。
バイアル-2(E): 180μLオルトリン酸に注射用水を加えて1mLにした。
バイアル-2(F): 300μLオルソリン酸に注射用水を加えて1mLにした。
バイアル-2(G): 90μLオルソリン酸にエタノールを加えて1mLにした。
表3:APPL-006/01/102の希釈(バイアル-1、バイアル-2)及び注射用水による2mg/mL希釈の手順
【表3】
【0135】
APPL-006/01/105B、APPL-006/01/105C及びAPPL-006/01/105Dの希釈(バイアル-1及びバイアル-2)及び注射用水による2mg/mL、0.27mg/mL、0.8mg/mL及び0.6mg/mL希釈の手順
バイアル-1:APPL-006/01/105(100%N,N DMA及び60mg/mLカーフィルゾミブ)
バイアル-2(A):60μLオルソリン酸、50:50エタノールと注射用水
バイアル-2(B):オルソリン酸90μLを50:50のエタノールと注射用水で1mLにした。
バイアル-2(C):60μLオルソリン酸をエタノール溶液で1mLにした。
表4:希釈(バイアル-1及びバイアル-2)及び注射用水による2mg/mL、0.27mg/mL、0.8mg/mL及び0.6mg/mL希釈の手順
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0136】
実施例3:希釈準備済み再構成液を輸液媒体で混合した後のカルフィルゾミブ組成物の溶血能
方法
ブランク、ネガティブ及びポジティブコントロール
ブランク:希釈血液
ネガティブコントロール(ビヒクル): 0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水)はヒト血液と等張である。
陽性コントロール:5%サポニンを陽性コントロールとして使用。
【0137】
テストシステムの準備
必要量の血液をK EDTAバイアルに採取し、直ちによく混合した後、採血後24時間以内に研究に使用した。血液は使用前に室温に保った。
ヘモグロビンはAdvia 2120iヘムトロジーシステムを用いて測定され、濃度は希釈前と希釈後の二度回測定される。
試験前に血液が溶血していないことを確認するため、別の血液アリコートを遠心分離し、血漿をヘモグロビン分析した。
【0138】
ヘモグロビンの直線性
ヘモグロビン標準液はヒトヘモグロビンを用いて調製した。まず、ヘモグロビン粉末をドラブキン試薬に溶解し、180mgヘモグロビン/mLの原液を調製した。少なくとも6つの異なる濃度の実用標準液をDrabkin試薬で調製し、プレートリーダーで波長540nmで読み取った。
【0139】
試験製剤の準備
1) バイアル-1:カルフィルゾミブ60mg + N,N DMA
2) バイアル-2:90μL OPA + (50:50比 エタノール:WFI)
バイアル-1から1mL、バイアル-2から0.5mLを混合し、カーフィルゾミブ注射液40mg/mLを得る。
【0140】
試験項目と試験項目プラセボの準備:
ステップ-1:バイアル-1(活性バイアル)0.8mLにバイアル-2(希釈液)0.4mLを加え、40mg/mL、1.2mLとする。
1.54mg/mLの手順:ステップ-1から0.193mLを5%ブドウ糖で5.0mLにした。
1.0mg/mLの手順:ステップ-1から0.125mLを5%ブドウ糖で5.0mLにした。
0.5mg/mLの手順:ステップ-1から0.063mLを5%ブドウ糖で5.0mLにした。
【0141】
キプロリス(登録商標)製品の調製:
バイアル1:カイプロリス(注射用カルフィルゾミブ)30mg/mL
1. カイプロリスのバイアルのみを、15ml容量の注射用滅菌水(USP)で無菌的に再構成した。21ゲージ以上の注射針を使用して、各バイアルを再構成し、注射用滅菌水(USP)を栓からゆっくりと注入し、注射用滅菌水(USP)をバイアルの内壁に向け、発泡を最小限に抑えた。
2. 完全に溶解するまでゆっくりとバイアルを混和する。
3. 投与前に粒子状物質及び変色がないか目視検査した。
4. 再構成後、30mg/バイアル又は2mg/mLとなり、そこから1mLを直接アッセイに使用した。
【0142】
アッセイ手順
・ 1000μLの希釈血液が入った3本組のチューブ(Triplicate tubes)を採取し、37℃±2℃で10分間及び30分間インキュベートした。これらをブランクとした。
・ 500μLの陰性コントロール(生理食塩水)が入った3本組のチューブをポリプロピレン製バイアルに取り、各バイアルに500μLの希釈血液を加え、37℃±2℃で10分間及び30分間インキュベートした(1:1比)。
・ 500μLの陽性コントロールが入った3本組のチューブを個々のポリプロピレンバイアルに取り、500μLの希釈血液を各バイアルに加え、37℃±2℃で10分間及び30分間インキュベートした(1:1比)。
・ 500μLの試験項目及び試験項目を含む3本組のチューブ。プラセボ(1.54,1.0,0.5mg/mL)を個々のポリプロピレンバイアルに取り、希釈血液500μLを各バイアルに加え、37℃±2℃で10及び30分間インキュベートした(1:1比)。
・ 500μLの基準物質(2mg/mL)が入った3本組のチューブをポリプロピレン製バイアルに採取し、各バイアルに500μLの希釈血液を加え、37℃±2℃で10分間及び30分間インキュベートした(1:1比)。
・ 培養後、すべてのバイアルを3000rpm、15±5℃で5-10分間遠心分離し、上清血漿を回収した。
・ 遠心分離後、上記各サンプルの上清血漿0.1mLをDrabkin試薬1.0mLと混合し、室温で15分間インキュベートした。
・ インキュベーション期間後、上記混合液約250μLをマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダーを用いて全サンプルの光学濃度を540nmで読み取った。
【0143】
注: インキュベーション時間は指定時間から±2分変動することがある。結果は以下のように解釈された:
溶血値≦10%:非溶血、溶血値10~15%:中等度溶血、溶血値≧25%:溶血の危険性
表5:試験検体と基準検体で観察された溶血率
【表5】
表6:試験サンプル及び標準サンプル混合後の輸液媒体の浸透圧とpH
【表6】
【国際調査報告】