(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】毛細血管血液を収集するためのデバイスおよびそのための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61B5/151 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523664
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2022000618
(87)【国際公開番号】W WO2023067389
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521435123
【氏名又は名称】パウルス ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ディジュ, タウフィーク エラヒ
(72)【発明者】
【氏名】ガーン, キャスリーン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン, ローナン ピー.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA10
4C038UA10
4C038UB10
4C038UE07
(57)【要約】
自発的毛細血管血液流動を使用することなく哺乳類対象から血液を収集するためのデバイスであって、本デバイスは、血液を血液サンプリング場所から下方かつ離れるように輸送するための片持ち状の凹面形摺動部を有する、収集カップサブアセンブリと、収集カップアセンブリに結合可能な中間本体サブアセンブリであって、中間本体サブアセンブリは、近位端と遠位端とを有し、かつプレナム空間を画定する、筐体を含む、中間本体サブアセンブリと、第1の端部と第2の端部とを有するプランジャサブアセンブリであって、プランジャサブアセンブリは、第2の端部において形成されるプランジャと、プランジャに付着される1つ以上のランセット要素とを含む、プランジャサブアセンブリとを含む。有利に、プランジャおよびランセット要素は、中間本体サブアセンブリおよび収集カップサブアセンブリを通して血液サンプリング場所まで並進するように構造化および配列される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発的毛細血管血液流動を使用することなく哺乳類対象から血液を収集するためのデバイスであって、前記デバイスは、
収集カップサブアセンブリを備え、
前記収集カップサブアセンブリは、
筐体と、
血液を血液サンプリング場所から下方かつ離れるように輸送するための、前記筐体内に構造化および配列される、片持ち状摺動部と
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記摺動部は、前記収集カップサブアセンブリ内の前記筐体内の開口部から鈍角に片持ち状である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記摺動部は、凹面形摺動部、長方形摺動部、丸みを帯びた長方形摺動部、またはV字形状摺動部から成る群から選択される、形状を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
疎水性剤は、前記摺動部に適用される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記収集カップサブアセンブリはさらに、前記筐体内の開口内およびそれを中心として形成され、かつ血液を前記血液サンプリング場所から前記摺動部に導送するように構造化および配列される、複数の側壁要素を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記収集カップサブアセンブリはさらに、前記筐体内のプレナム空間内に陰圧を生成するために前記筐体内に配置される、一方向弁を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記収集カップサブアセンブリの前記筐体は、血液サンプルコンテナを前記収集カップサブアセンブリの前記筐体に解放可能に接続するために構造化および配列される、接続開口部を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記筐体は、前記対象の表皮に対する設置のためにそれを通して形成される、開口部を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記収集カップアセンブリに結合可能な中間本体サブアセンブリをさらに備え、前記中間本体サブアセンブリは、近位端と、遠位端とを有し、かつプレナム空間を画定する、筐体を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記中間本体サブアセンブリはさらに、前記筐体の前記遠位端において形成される、一対の対向するタブを備え、前記対向するタブは、少なくとも1つの付勢要素を保定するように構成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記付勢要素のそれぞれは、一対のばねを備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記中間本体サブアセンブリはさらに、前記プレナム空間内にプランジャを保定するために前記筐体の前記近位端において形成される、タブを備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
第1の端部と、第2の端部とを有するプランジャサブアセンブリをさらに備え、
前記プランジャサブアセンブリは、
前記第2の端部において形成される、プランジャと、
前記プランジャに付着される、少なくとも1つのランセット要素と
を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記プランジャおよびランセット要素は、前記収集カップサブアセンブリを通して前記血液サンプリング場所まで並進するように構造化および配列される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記プランジャサブアセンブリはさらに、前記第1の端部において形成される、基部部分を備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
前記基部部分は、付勢要素を保定するように構造化および配列される、一対の突出部を備える、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記プランジャは、前記収集カップサブアセンブリ内に陰圧を生成するように構造化および配列される、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
前記プランジャサブアセンブリはさらに、前記プランジャを中心として配置される、少なくとも1つのシールデバイスを備える、請求項13に記載のデバイス。
【請求項19】
自発的毛細血管血液流動を使用することなく哺乳類対象から血液を収集するための方法であって、前記方法は、
血液収集デバイスを提供することであって、前記血液収集デバイスは、
血液を血液サンプリング場所から下方かつ離れるように輸送するための片持ち状摺動部を備える、収集カップサブアセンブリと、
前記収集カップアセンブリに結合可能な中間本体サブアセンブリであって、前記中間本体サブアセンブリは、近位端と、遠位端とを有し、かつプレナム空間を画定する、筐体を備える、中間本体サブアセンブリと、
第1の端部と、第2の端部とを有するプランジャサブアセンブリであって、前記プランジャサブアセンブリは、
前記第2の端部において形成される、プランジャと、
前記プランジャに付着される、少なくとも1つのランセット要素と
を備える、プランジャサブアセンブリと
を備える、ことと、
血液サンプリング点において前記デバイスを設置することと、
前記プランジャおよびランセット要素が前記血液サンプリング場所に向かって前進するように、付勢デバイスを圧縮するように力を印加することと、
血液を前記血液サンプリング場所から下方かつ離れるように、前記摺動部に向かって導送することと、
前記収集カップサブアセンブリの前記筐体内の開口部を通して配置される、血液サンプルコンテナ内の前記摺動部を介して重力供給によって、進行する血液を収集することと
を含む、方法。
【請求項20】
前記摺動部は、前記収集カップサブアセンブリ内の前記筐体内の前記開口部から鈍角に片持ち状である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記付勢デバイスを圧縮することは、前記デバイス内の空気を排出させ、前記デバイス内に陰圧を生成する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記陰圧は、一方向弁を介して空気を排出することによって生成される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その全内容が、あらゆる目的のために、参照することによってそれらの全体として本明細書によって組み込まれる、2021年10月20日に出願された、米国仮出願第63/257,630号および2022年2月2日に出願された、米国出願第17/591,342号の利益および優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、哺乳類対象から毛細血管血液を収集するためのデバイスおよび方法に関し、より具体的には、自発的毛細血管流動によってではなく、重力供給によって血液を引き込むために血液サンプリング部位から下方かつ離れるように傾斜する片持ち状摺動部を含む、血液収集デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
従来の血液サンプリングは、訓練を受けた医療従事者、例えば、針およびシリンジを使用して静脈穿刺を通して、哺乳類対象、例えば、ヒトから血液サンプルを収集する、例えば、フレボトミストを要求する。不利なこととして、針およびシリンジを使用する静脈穿刺は、対象が自身によって血液サンプルを収集することを好む場合、好適ではない。例えば、対象の住宅において血液サンプルを収集するための他の方法は、針、シリンジ、静脈穿刺、または訓練を受けた医療従事者を要求しない、毛細血管血液サンプルを収集することを伴う。
【0004】
いくつかの用途では、毛細血管血液サンプル収集は、ランセットおよび血液収集管の使用を含む。より具体的には、ランセットは、対象の表皮を貫通し、血液を、典型的には、対象の指先端から対象の皮膚の表面まで上昇させるために使用されてもよい。血液は、血液収集管の中に直接滴下されるか、または毛細血管用の管が、血液を指先端から毛細血管用の管まで移送するために採用されるかのいずれかである。いずれかの方法を使用することは、時として、血液の溢出を引き起こし得る。そのような方法およびデバイスは、訓練を受けた医療従事者ではない素人による自宅使用に適しているが、指からバイアルの中に血液を滴下させることは、比較的に困難なプロセスである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の簡単な要約)
故に、先行技術の欠点を被らない、毛細血管血液サンプルを収集するためのデバイスを提供することが、望ましいであろう。より具体的には、毛細血管血液サンプルは、訓練を受けた医療従事者ならびに素人によって自宅または医療施設において収集されてもよい。また、素人によって収集することをより容易にすることによって、より多くのサンプルが、正常に収集されるであろう。
【0006】
第1の側面において、本発明は、血液サンプルを収集するためのデバイスに関する。より具体的には、いくつかの実施形態では、本デバイスは、筐体と、血液を血液サンプリング場所から下方かつ離れるように輸送するための、筐体内に構造化および配列される、片持ち状摺動部とを有する、収集カップサブアセンブリを含む。いくつかの実装では、摺動部は、収集カップサブアセンブリ内の筐体内の開口部から鈍角に片持ち状であり、および/または摺動部は、凹面形摺動部、長方形摺動部、丸みを帯びた長方形摺動部、またはV字形状摺動部から成る群から選択される、形状を有する。いくつかの変形例では、疎水性剤は、摺動部に適用されてもよい。
【0007】
いくつかの用途では、収集カップサブアセンブリはまた、筐体内の開口内およびそれを中心として形成され、かつ血液を血液サンプリング場所から摺動部に導送するように構造化および配列される、側壁要素を含んでもよい。さらに、収集カップサブアセンブリは、以下、すなわち、筐体内のプレナム空間内に陰圧を生成するために筐体内に配置される、一方向弁、対象の表皮に対する設置のためにそれを通して形成される、開口部のうちの1つ以上を含んでもよく、および/または収集カップサブアセンブリの筐体は、血液サンプルコンテナを収集カップサブアセンブリの筐体に解放可能に接続するために構造化および配列される、接続開口部を含んでもよい。
【0008】
さらに、収集カップサブアセンブリは、以下、すなわち、筐体内のプレナム空間内に陰圧を生成するために筐体内に配置される、一方向弁、対象の表皮に対する設置のためにそれを通して形成される、開口部のうちの1つ以上を含んでもよく、および/または収集カップサブアセンブリの筐体は、血液サンプルコンテナを収集カップサブアセンブリの筐体に解放可能に接続するために構造化および配列される、接続開口部を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実装では、本デバイスはまた、収集カップアセンブリに結合可能な中間本体サブアセンブリであって、中間本体サブアセンブリは、近位端と、遠位端とを有し、かつプレナム空間を画定する、筐体を備える、中間本体サブアセンブリ、および/または、第1の端部と、第2の端部とを有する、プランジャサブアセンブリを含んでもよい。いくつかの変形例では、中間本体サブアセンブリはさらに、筐体の遠位端において形成される、一対の対向するタブを含み、対向するタブは、少なくとも1つの付勢要素(例えば、一対のばね)、および/またはプレナム空間内にプランジャを保定するために筐体の近位端において形成される、タブを保定するように構成される。
【0010】
いくつかの実装では、プランジャサブアセンブリは、以下、すなわち、第1の端部において形成される、基部部分と、第2の端部において形成される、プランジャとを伴う、第1の端部および第2の端部のうちの1つ以上を有してもよい。基部部分は、付勢要素を保定するように構造化および配列される、一対の突出部を含んでもよい。少なくとも1つのランセット要素は、プランジャに付着されてもよい。少なくとも1つのシールデバイスが、プランジャを中心として配置されてもよい。
【0011】
いくつかの変形例では、プランジャおよびランセット要素は、収集カップサブアセンブリを通して血液サンプリング場所まで並進するように構造化および配列される。有利なこととして、プランジャは、収集カップサブアセンブリ内に陰圧を生成するように構造化および配列されてもよい。
【0012】
第2の側面では、本発明は、血液サンプルを収集するための方法に関する。より具体的には、いくつかの実施形態では、本方法は、血液収集デバイスを提供することと、血液サンプリング点において本デバイスを設置することと、プランジャおよびランセット要素が血液サンプリング場所に向かって前進するように、付勢デバイスを圧縮するように力を印加することと、血液を血液サンプリング場所から下方かつ離れるように、摺動部に向かって導送することと、収集カップサブアセンブリの筐体内の開口部を通して配置される、血液サンプルコンテナ内の摺動部を介して重力供給によって、進行する血液を収集することとを含む。いくつかの用途では、本デバイスは、血液を血液サンプリング場所から下方かつ離れるように輸送するための片持ち状摺動部を有する、収集カップサブアセンブリと、収集カップアセンブリに結合可能な中間本体サブアセンブリであって、中間本体サブアセンブリは、近位端と、遠位端とを有し、かつプレナム空間を画定する、筐体を備える、中間本体サブアセンブリと、第1の端部と、第2の端部とを有する、プランジャサブアセンブリとを含む。いくつかの変形例では、プランジャは、第2の端部において形成されてもよく、少なくとも1つのランセット要素は、プランジャに付着されてもよい。
【0013】
いくつかの実装では、摺動部は、収集カップサブアセンブリ内の筐体内の開口部から鈍角に片持ち状であってもよく、および/または付勢デバイスを圧縮することは、本デバイス内の空気を排出させ、本デバイス内に陰圧を生成する。例えば、陰圧は、一方向弁を介して空気を排出することによって生成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図の全体を通して同一の部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りであるわけではなく、代わりに、概して、本発明の原理を図示することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0015】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、血液サンプルを収集するためのデバイスの底面斜視図を示す。
【0016】
【
図2】
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1の本デバイスの上面斜視図を示す。
【0017】
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、
図1の本デバイスの上面斜視図の分解図を示す。
【0018】
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、中間本体サブアセンブリの一部が除去されている、
図1の本デバイスの底面斜視図を示す。
【0019】
【
図5A】
図5Aは、本発明のいくつかの実施形態による、
図1の本デバイスの収集カップサブアセンブリの底面斜視図を示す。
【0020】
【
図5B】
図5Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図5Aの本デバイスの収集カップサブアセンブリの詳細を示す。
【0021】
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、対象の表皮に向かって前進されるランセットを伴う、
図1の本デバイスの断面側面(立面)図を示す。
【0022】
【
図7】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、後退されたランセットを伴う、
図6の本デバイスの断面側面(立面)図を示す。
【0023】
【
図8】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、毛細血管血液サンプルを収集する方法のフローチャートを示す。
【0024】
【
図9】
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、複数のより小さい開口部を有する、収集カップサブアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
図1-4を参照すると、哺乳類対象から血液サンプルを収集するためのデバイスの例証的実施形態が、示される。有利なこととして、デバイス100は、血液が自発的毛細血管流動を使用して収集されないように構造化および配列される。いくつかの実装では、デバイス100は、収集(または吸引)カップサブアセンブリ10、ならびに2つの他のサブアセンブリ、すなわち、中間本体サブアセンブリ20と、プランジャサブアセンブリ30とから成る、またはそれらから本質的に成る。いくつかの用途では、(例えば、伸長する、長方形、または丸みを帯びた長方形の)収集カップサブアセンブリ10は、開放近位端13、部分的開放遠位端14、およびプレナム空間15を提供するように形成される、筐体12を有する、(例えば、プラスチック)吸引カップ11を含んでもよい。いくつかの変形例では、遠位端14は、プレナム空間15へのアクセスを提供するようにその中に形成される開口部17を有する、(例えば、平面状、凹面形、凸面形等の)上側表面16を含む。
【0026】
いくつかの変形例では、血液迂回器91が、血液迂回器91が第1の開口部17aを起点とする血液の流動を第2の開口部17bの周囲に指向することが可能であるように、開口部17aと17bとの間に形成されてもよい。好ましくは、微小流体流動条件を回避するために、開口部17a、17bを中心として形成される血液迂回器91と側壁93との間に、十分なクリアランス(例えば、2~3mm)92が、存在する。
【0027】
一方向弁18が、吸引カップ11の筐体12の第1の部分上に形成され得る一方、血液サンプルコンテナ40を吸引カップ11に接続するための接続部19が、筐体12の第2の部分上に形成され得る。いくつかの実施形態では、一方向弁18および接続部19は、吸引カップ11の筐体12の両側に配置される。
【0028】
いくつかの変形例では、接続部19は、毛細血管血液を収集する目的のために、血液サンプルコンテナ40を吸引カップ11の筐体12に解放可能に結合するように構造化および配列される。例えば、いくつかの実装では、接続部19は、筐体12を通して形成される、(例えば、円形の)接続開口部21を含んでもよい。いくつかの変形例では、血液サンプルコンテナ40の管腔は、使用の間に、血液サンプルコンテナ40内の開口部45が大気圧未満である圧力において保持され得るように、接続開口部21を通して通過する。好ましくは、(例えば、円形の)接続開口部21は、血液サンプルコンテナ40の開口部45の最大外側寸法(例えば、直径)よりわずかに大きくなるように定寸されてもよい。シールデバイス22は、接続開口部21を中心として動作可能に配置されてもよい。いくつかの変形例では、シールデバイス22は、(例えば、プラスチック、エラストマ、ゴム、シリコーン等の)Oリングであってもよい。シールデバイス22は、別個の物品であってもよく、または吸引カップ11の接続部19および筐体12に統合されてもよい。1つ以上の収集コンテナ係止部またはクリップ23は、吸引カップ11の筐体12内の接続開口部21と血液サンプルコンテナ40との間でシールデバイス22を(例えば、緊密に)圧縮するように構造化および配列される、接続開口部21を中心として配置されてもよい。
【0029】
図5Aおよび5Bを参照すると、自発的毛細血管流動を使用することなく血液をサンプリング点から血液サンプルコンテナ40の管腔の中に輸送または流送するためのデバイスが、説明されるであろう。いくつかの実施形態では、輸送または流送デバイスは、摺動部50と、側壁要素55とを含んでもよく、吸引カップ11の筐体12の開口部17と接続部19の接続開口部21との間に形成されてもよい。摺動部50は、堅性プラスチック、エラストマ、および同等物から製造されてもよい。いくつかの変形例では、疎水性剤が、摺動部50に適用され、血液をより良好に撥血し、これを摺動部50を辿って血液サンプルコンテナ40に向かってより容易に摺動させ得る。
【0030】
摺動部50の形状は、非常に丸みを帯びている、または凹面形であるものとして説明されるであろうが、それは、例証的目的のために行われるにすぎない。当業者は、凹面形であることに加えて、摺動部50の形状が、長方形、丸みを帯びた長方形等であり得ることを理解することができる。いくつかの用途では、(例えば、凹面形の)摺動部50の第1の端部は、筐体12の開口部17の近傍の吸引カップ11の筐体12から(例えば、鈍角に)片持ち状である一方、第2の対向端部は、その下に血液サンプルコンテナ40が設置され得る、遊離端部である。有利なこととして、(例えば、凹面形の)摺動部50は、サンプリング点および吸引カップ11の筐体12内の開口部17から下方かつ離れるように血液を輸送または流送するために、重力供給される開放チャネル流動を提供するように構造化および配列されてもよい。いくつかの変形例では、側壁要素55は、(例えば、重力を使用して)血液をサンプリング点から(例えば、凹面形の)摺動部50の片持ち状端部の中に流送または導送するように構造化および配列される。有利なこととして、(例えば、凹面形の)摺動部50は、これが自発的毛細血管流動を介して血液を輸送または流送せず、その代わりに、重力および(例えば、凹面形の)摺動部50の表面の疎水性性質に依拠するように十分に広い。1mmを超過する摺動幅が、開放微小流体条件を回避するために使用されてもよい。例えば、摺動部50の幅は、約3mm~約5mmであってもよいが、5mm超または3mm未満の幅も、使用され得る。
【0031】
いくつかの実装では、側壁要素55は、血液を(例えば、凹面形の)摺動部50および血液サンプルコンテナ40に向かって流送または導送する目的のために吸引カップ11の筐体12の開口部17を中心として形成されてもよい。例えば、いくつかの変形例では、側壁要素55は、接続部19と吸引カップ11の筐体12の同一の端部において形成されてもよい。(例えば、凹面形の)摺動部50は、第1の近位端において側壁要素55に固定して付着される、プレナム空間15内の吸引カップ11の筐体12上に形成されてもよい。(例えば、凹面形の)摺動部50の第2の遠位端は、吸引カップ11の筐体12への接続部19に接続される、任意の血液サンプルコンテナ40の開口部45にわたって遊離して懸吊するように構造化および配列されてもよい。
【0032】
第2の中間本体サブアセンブリ20は、開放近位端24と、開放遠位端25と、それらの間にプレナム空間26とを提供するように形成される、(例えば、伸長する、長方形、または丸みを帯びた長方形の)筐体29から成る、またはそれらから本質的に成ってもよい。好ましくは、第2の中間本体サブアセンブリ20の外側周辺寸法は、(例えば、伸長する、長方形、または丸みを帯びた長方形の)筐体29の外側周辺表面と収集カップサブアセンブリ10の吸引カップ11の対応する内側表面との間に緊密な締まり嵌めを提供するように構成される。随意に、第2の中間本体サブアセンブリ20の外側周辺寸法は、(例えば、接着剤、プラスチック溶接、および同等物を使用して)収集カップサブアセンブリ10の吸引カップ10の筐体12の対応する内側表面に固定して付着されてもよい。中間本体サブアセンブリ20は、デバイス100の別個の要素として説明されるが、当業者は、いくつかの実装では、収集カップサブアセンブリ10および中間本体サブアセンブリ20が一体型またはモノリシックな構築物から製造され得ることを理解することができる。
【0033】
一対のタブまたは突出部27が、タブまたは突出部27が(例えば、伸長する、長方形、または丸みを帯びた長方形の)筐体29の対向端部から延在するように、中間本体サブアセンブリ20の開放遠位端25に近接して形成されてもよい。(例えば、円筒形の)突出部28が、各タブまたは突出部27上に形成され、例えば、付勢要素38(例えば、一対のばね)を収容および保定してもよい。タブまたは突出部27は、プランジャアセンブリ30の付勢要素38がタブまたは突出部27の中に押進または圧縮されると、抵抗力を提供するように構成されてもよい。
【0034】
プランジャアセンブリ30が中間本体サブアセンブリ20のプレナム空間26から外れないように防止するための係止部またはタブ37が、開放近位端24における筐体29上に形成されてもよい。
図1は、(例えば、伸長する、長方形、または丸みを帯びた長方形の)筐体29の対向端部上に形成される突出部を含む、係止部またはタブ37を示すが、これは、限定ではなく、例証の目的のために行われる。当業者は、本発明が、プランジャアセンブリ30が中間本体サブアセンブリ20の筐体29の内側表面に沿って摺動自在に並進することを可能にするが、プランジャアセンブリ30が、中間本体サブアセンブリ20の筐体29のプレナム空間26の中に挿入された後に、中間本体サブアセンブリ20の筐体29のプレナム空間26から外れないように防止する、任意の種類の係止部またはタブ37を含み得ることを理解する。
【0035】
プランジャサブアセンブリ30は、第1の近位端において、(例えば、伸長する)圧力プレートまたは基部部分32に固定して付着され、第2の遠位端において、プランジャ33に固定して付着される、(例えば、伸長する、長方形、または丸みを帯びた長方形の)筐体31から成る、またはそれらから本質的に成ってもよい。好ましくは、プランジャ33の外側寸法は、中間本体サブアセンブリ20の開放近位端24の対応する内側寸法のそれぞれをわずかに下回るように定寸される。1つ以上のシールデバイス34が、プランジャ33が中間本体サブアセンブリ20の筐体29の開放近位端24の中に挿入されると、シールデバイス34が、プランジャ33と中間本体サブアセンブリ20の筐体29の開放近位端24との間に気密シールを生成するように、プランジャ33の外周部を中心として動作可能に配置されてもよい。いくつかの変形例では、シールデバイス34は、(例えば、プラスチック、エラストマ、ゴム、シリコーン等の)Oリングであってもよい。
【0036】
いくつかの実装では、一対の(例えば、円筒形の)突出部39が、(例えば、伸長する)圧力プレートまたは基部部分32の対向端部上に形成され、例えば、付勢要素38(例えば、一対のばね)を収容および保定してもよい。(例えば、伸長する)圧力プレートまたは基部部分32上の各突出部39は、付勢要素38の第1の端部を収容するように構成される一方、中間本体サブアセンブリ20のタブ27上に形成される各突出部28は、付勢要素38の対向する第2の端部を収容するように構成される。
【0037】
いくつかの変形例では、プランジャ33は、その上に1つ以上のランセット要素36が形成される、(例えば、平面状の)上側表面35を含む。ランセット要素36は、商業的に利用可能であり、ランセット要素36の端部が表皮に接触すると、ランセット要素36内に配置される針が、最初に表皮の中に推進され、次いで、後退されるように、圧力活性化されてもよい。図内のデバイス100は、上側表面35上に2つのランセット要素36を含むが、これは、例証的目的のために行われるにすぎない。当業者は、単一のランセット要素36または2つを上回るランセット要素36を含むことができる。
【0038】
血液サンプルを収集するためのデバイス100を説明したが、デバイス100を使用して血液サンプルコンテナ40内で血液サンプルを収集するための方法が、
図6-8を使用して説明されるであろう。
図1、2、および4は、非圧縮または静置状態のデバイス100の例証的実施形態を示す。第1のステップでは、ユーザは、収集カップサブアセンブリ10の上側表面16を対象の皮膚60に対して(例えば、上腕上に)設置する(ステップ1)。非圧縮または静置状態のデバイス100は、プランジャサブアセンブリ30のプランジャ33上のシールデバイス34が中間本体サブアセンブリ20および収集カップサブアセンブリ10との気密シールを形成するように、収集カップサブアセンブリ10および中間本体サブアセンブリが緊密に締まり嵌めされ、プランジャアセンブリサブアセンブリ30が収集カップサブアセンブリ10および中間本体サブアセンブリのプレナム空間15、26内に配置されるように特徴付けられ得る。付勢デバイス38(例えば、ばね)が、例えば、中間本体サブアセンブリ20上のタブまたは突出部27上の突出部28、およびプランジャサブアセンブリ30の圧力プレートまたは基部部分32上の突出部39を中心として保定されてもよい。
【0039】
ユーザは、次いで、プランジャサブアセンブリ30の圧力プレートまたは基部部分32を、付勢デバイス38を圧縮するように、中間本体サブアセンブリ20上のタブまたは突出部27および血液サンプリング部位に向かって押進してもよい(ステップ2)。
図6に示されるように、プランジャサブアセンブリ30の圧力プレートまたは基部部分32を中間本体サブアセンブリ20上のタブまたは突出部27に向かって押進することは、ランセット要素36を血液サンプリング部位における表皮60に向かって前進させ、それを穿刺させる(ステップ3)。プランジャサブアセンブリ30の圧力プレートまたは基部部分32を中間本体サブアセンブリ20上のタブまたは突出部27に向かって押進することはまた、収集カップサブアセンブリ10および中間本体サブアセンブリ20のプレナム空間15、26内に含有される空気を圧縮し、続いて、それを一方向弁18を介してプレナム空間15、26から外に排出する(ステップ4)。
【0040】
いったんランセット要素36が対象の皮膚60を穿刺すると、ユーザは、次いで、プランジャサブアセンブリ30の圧力プレートまたは基部部分32から力を除去してもよく、これは、収集カップサブアセンブリ10の上側表面16が対象の表皮60と接触し、それに対して押圧された状態である間に、圧縮された付勢デバイス38に、デバイス100をその非圧縮または静置状態まで戻させる(ステップ5)。ある用途では、接着剤が、収集カップサブアセンブリ10の筐体12の上側表面16上に設置され、シールを改良してもよい。有利なこととして、中間本体アセンブリ20の筐体29上の係止部またはタブ37は、プランジャサブアセンブリ30のプランジャ33が中間本体サブアセンブリ20のプレナム空間26から後退しないように防止する。付勢デバイス38が、プランジャサブアセンブリ30をその非圧縮または静置状態に戻らせるにつれて、陰圧(すなわち、大気圧または周囲気圧未満の圧力)が、収集カップサブアセンブリ10および中間本体サブアセンブリ20のプレナム空間15、26内に生成され得る(ステップ6)。
図7に示されるように、プレナム空間15、26内に生成される陰圧は、収集カップサブアセンブリ10の筐体12内の開口部17を介して対象の表皮60をプレナム空間15の中に引き込み、表皮60内に膨隆部62を生成する。有利なこととして、陰圧はさらに、血液65が、ランセット要素36によって生成される1つ以上の穿刺点または開口部64を通して本体から退出するように促す(ステップ7)。
【0041】
図7に示されるように、デバイス100は、自発的毛細血管流動ではなく、重力が、血液65を対象の表皮60を辿って側壁要素55に向かって流動させるであろうように構造化および配列される。いったん十分な血液65が側壁要素55上に貯留すると、側壁要素55は、貯留された血液65を片持ち状の(例えば、凹面形の)摺動部50の固定された端部に向かって流送または導送するであろう(ステップ8)。血液65は、次いで、(例えば、凹面形の)摺動部50を辿って、血液サンプルコンテナ40の開口部45の上方に配置される、その遊離端部に向かって進行してもよい。いったん血液が(例えば、凹面形の)摺動部50の遊離端部に到達すると、血液65は、血液サンプルコンテナ40の管腔の中に落下し得る(ステップ9)。
【0042】
いったん十分な血液が血液サンプルコンテナ40内に収集されると、ユーザは、デバイス100を対象の表皮60から除去し、血液65のさらなる流動を止めてもよい。
【0043】
本主題の特定の実施形態が、説明されている。他の実施形態も、以下の請求項の範囲内である。例えば、請求項に列挙されるアクションは、異なる順序で実施され、依然として、望ましい結果を達成することができる。一実施例として、付随の図に描写されるプロセスは、望ましい結果を達成するために、必ずしも示される特定の順序または順次順序を要求するわけではない。ある実装では、マルチタスキングおよび並列処理が、有利であり得る。他のステップまたは段階が、説明されるプロセスから提供され得る、またはステップまたは段階が、それから排除され得る。故に、他の実装も、以下の請求項の範囲内にある。
【0044】
請求されるものは、以下の通りである。
【国際調査報告】