(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ロータ組立体及びロータ組立体を含む同期機
(51)【国際特許分類】
H02K 19/36 20060101AFI20241008BHJP
H02K 19/12 20060101ALI20241008BHJP
H02K 19/26 20060101ALI20241008BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20241008BHJP
H02K 9/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02K19/36 B
H02K19/12
H02K19/26 Z
H02K9/19 B
H02K9/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523906
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2022076640
(87)【国際公開番号】W WO2023072503
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212017.2
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレル トルステン
(72)【発明者】
【氏名】オスドバ フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】トパロフ ペンヨ
(72)【発明者】
【氏名】ズィマーシート フィリップ
【テーマコード(参考)】
5H609
5H619
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP07
5H609PP12
5H609QQ02
5H609QQ03
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ11
5H609RR26
5H619AA11
5H619BB01
5H619BB02
5H619BB13
5H619PP02
5H619PP36
(57)【要約】
本発明は、誘導的に電気的に励磁される同期機(1)用のロータ組立体(2)に関する。ロータ組立体(2)は、回転軸(RA)周りに回転可能な中空シャフト(3)と、ロータ(4)と、エネルギー伝達装置(6)の二次側回路(5)を有する。二次側回路(5)は、プリント回路基板(10)及び少なくとも1つの電気部品(11)を有する整流器(7)と、二次コイル(8)とを有する。本発明に係る整流器(7)は、回転軸(RA)を横切る方向に並んでいて、中空シャフト(3)のキャビティ(9)に設置されている。本発明はまた、ロータ組立体(2)を備える同期機(1)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導的に電気的に励磁される同期機用のロータ組立体(2)であって、
前記ロータ組立体(2)は、回転軸(RA)周りに回転可能な中空シャフト(3)と、前記中空シャフト(3)に相対的に回転しないように接続されたロータ(4)と、を有し、
前記ロータ組立体(2)は、エネルギー伝達装置(6)の二次側回路(5)を有し、前記二次側回路(5)は、前記ロータ組立体(2)に相対的に回転しないように配置されており、
前記二次側回路(5)は、
プリント回路基板(10)及び前記プリント回路基板(10)に固定された少なくとも1つの電気部品(11)を備える整流器(7)と、
二次コイル(8)と、
を有し、
前記整流器(7)は、前記回転軸(RA)を横切る方向に並べられかつ前記中空シャフト(3)のキャビティ(9)に相対的に回転しないように配置されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のロータ組立体において、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記電気部品(11)は、前記中空シャフト(3)に機械的に支持されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータ組立体において、
前記中空シャフト(3)は、シャフトエンド(19)と、前記シャフトエンド(19)を軸方向に閉じるシャフトカバー(20)とで形成され、
前記整流器(7)は、前記中空シャフト(3)の前記シャフトエンド(19)又は前記シャフトカバー(20)に強固に接続されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記整流器(7)は、冷却体(12)を有し、
前記冷却体(12)は、少なくとも1つの前記電気部品(11)とは反対側に位置しかつ熱を伝達するように、前記整流器(7)の前記プリント回路基板(10)に取り付けられている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項5】
請求項4に記載のロータ組立体において、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記電気部品(11)は、熱伝導性の成形材料で密閉され、及び/又は、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記電気部品(11)は、熱を伝達するように、熱伝導性パッドを介して前記プリント回路基板(10)に接続され、及び/又は、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記プリント回路基板(10)は、熱を伝達するように、熱伝導性パッドを介して前記冷却体(12)に接続されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のロータ組立体において、
前記冷却体(12)は、誘電性被覆材により前記中空シャフト(3)から電気的に絶縁されており、及び/又は、
前記冷却体(12)は、誘電性材料、好ましくは複合材料で形成されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記冷却体(12)は、前記プリント回路基板(10)とは反対側に位置する冷却構造体(15)、好ましくは、少なくとも1つの冷却リブ(16)及び/又は少なくとも2つの冷却ピンを有する、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記冷却体(12)は、前記中空シャフト(3)の前記キャビティ(9)を、前記プリント回路基板(10)とは反対側に位置しかつ液体状又は気体状の冷却流体が通過可能な冷却チャンバ(9a)と、前記プリント回路基板(10)を収容する伝達チャンバ(9b)とに、液密に分割する、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項9】
請求項8に記載のロータ組立体において、
前記中空シャフト(3)は、外側に開口しかつ前記冷却チャンバ(9a)に連通する軸端部(3a)を有し、
前記冷却流体は、開口している前記軸端部(3a)を介して前記中空シャフト(3)の前記冷却チャンバ(9a)に流入でき、
前記中空シャフト(3)は、前記冷却チャンバ(9a)から径方向外側に連通する少なくとも1つの開口(14)を有し、
前記冷却流体は、少なくとも1つの前記開口(14)を介して前記中空シャフト(3)の前記冷却チャンバ(9a)から流出し得る、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記二次側回路(5)の前記二次コイル(8)は、前記エネルギー伝達装置(6)の一次側回路(17)と誘導的に相互作用できるように、前記中空シャフト(3)の前記キャビティ(9)内、又は前記中空シャフト(3)の前記キャビティ(9)の外側に配置されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項11】
同期機(1)であって、
前記同期機(1)は、請求項1~10のいずれか1つに記載のロータ組立体(2)を有し、
前記同期機(1)は、ステータを備えるステータ組立体を有し、
前記ロータ組立体(2)は、前記回転軸(RA)周りに回転可能に前記ステータに収容されており、
前記ステータ組立体は、誘導型の前記エネルギー伝達装置(6)の一次側回路(17)を有し、
前記一次側回路(17)は、該ステータ組立体に相対的に回転しないように配置され、
前記一次側回路(17)は、インバータ(22)と一次コイル(18)とを有し、
前記一次コイル(18)及び前記二次コイル(8)は、互いに誘導的に相互作用可能なように配置されている、ことを特徴とする同期機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、誘導的に電気的に励磁される同期機用のロータ組立体、及び該ロータ組立体を含む誘導的に電気的に励磁される同期機に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導的に電気的に励磁される同期機は、例えば、欧州特許第2869316号明細書で知られていて、ステータと、ステータ内に回転可能に配置されたロータとを有する。ステータ及びロータは、エネルギーが供給されて、互いに電磁的に相互作用する。回転するロータにエネルギーを送るために、ステータ側の一次コイル又は固定の一次コイルと、ロータ側の二次コイル又は回転する二次コイルとをそれぞれ備えた、誘導型のエネルギー伝達装置が提供される。ロータ側の整流器又は回転する整流器のそれぞれは、更に設けられる。整流器は、互いに接続された複数の電気部品を備えるプリント回路基板により形成される。プリント回路基板は、通常は、ロータ又は同期機のシャフトに固定されて、電気部品は、シャフトの周囲に直径に沿って配置される。
【0003】
同期機の動作中には、整流器はシャフトと共に回転され、電気部品は大きな遠心力及び振動を受ける。これは、電気部品及び/又ははんだ接続部の損傷を招く可能性があり、延いては同期機の故障を招く可能性がある。不利な点では、プリント回路基板の最小半径は底部に制限され、したがって、電気部品及び電気部品のプリント回路基板への接続は、所定の強度要件を満たす必要がある。したがって、同期機の整流器のための電気部品の選択が制限され、整流器のコストがこれに伴って高くなる。更に、ロータ及びシャフトは、同期機の動作中に著しく加熱される。整流器が、軸に近接したり、ロータに近接したりして配置されるという事実により、シャフト及びロータの上限温度は、整流器の電気部品の上限温度によって制限される。したがって、シャフト及びロータの冷却は、更なる課題を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点が克服される、従来の同期機に対する、同期機及びロータ組立体の改良された又は少なくとも代替する実施形態を特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的は、本発明によれば、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
ロータ組立体は、誘導的に電気的に励磁される同期機に設けられている。同期機は、自動車に設けられ得る。ロータ組立体は、回転軸周りに回転可能な中空シャフトと、中空シャフトに相対的に回転しないように接続されたロータとを有する。ロータ組立体は、エネルギー伝達装置の二次側回路を更に有し、二次側回路は、ロータ組立体に相対的に回転しないように配置されている。二次側回路は、プリント回路基板及びプリント回路基板に固定された少なくとも1つの電気部品を備えた整流器と、二次コイルと、を有する。本発明によると、整流器は、回転軸を横切る方向に並べられかつ中空シャフトのキャビティに相対的に回転しないように配置されている。
【0007】
本発明において、「径方向」及び「軸方向」という用語は、常に回転軸を基準とする。「周回」という用語は、特に定義されない限り中空シャフトの回転軸に関してである。
【0008】
キャビティは中空シャフト内に形成され、整流器は、中空シャフトのキャビティ内又は中空シャフト内に配置される。キャビティは中空シャフトを形成する壁により外側が制限され、整流器は、中空シャフト又は中空シャフトの壁に、直接又は間接に強固に接続され得る。整流器は、中空シャフト又は中空シャフトの壁に、圧力嵌め及び/又は形状嵌めの方法で強固に接続され得る。
【0009】
少なくとも1つの電気部品は、プリント回路基板に固定されて、プリント回路基板に電気的に接続されるか又は電気的に接触され得る。有利には、整流器は、プリント回路基板に固定された複数の電気部品を有する。各電気部品は、プリント回路基板を介して、互いに電気的に接続されるか又は互い電気的に接触され得る。例えば、電気部品は、ダイオード、及び/又は、電気抵抗、及び/又は、更なる要素であり得る。各電気部品がプリント回路基板上で接続されて整流回路を形成することは言うまでもない。整流器又は整流回路は、中空シャフトの外側にあるロータのロータ巻線と、例えば中空軸を介して、電気的に接触されていると好都合である。
【0010】
本発明に係るロータ組立体において、整流器は中空シャフトのキャビティ内に配置され、各電気部品は、プリント回路基板上の中央又はより小さな直径上に配置され得る。したがって、ロータ組立体が一定速度で回転している場合に各電気部品に作用する遠心力が減少する。したがって、ロータ組立体は、各電気部品又は各電気部品のはんだ接続、延いては整流器を損傷させることなく、高い回転速度で動作できる。したがって、ロータ組立体は、高い回転速度を安定させることができる。
【0011】
中空シャフト内において、整流器は、例えば、冷却媒体、導電性粒子による汚染などの環境影響に対する機械的損傷から保護され得る。中空シャフトは、例えば、EMC干渉(EMC: electromagnetic compatibility)などの干渉の結合に対するシールドを更に提供するため、整流器用の追加のハウジングは必要ない。整流器は、一般的なバランスプロセスにおいて、ロータ組立体又はロータとバランスをとることができる。一般的なバランスプロセスによって、バランシングの質を最大にすることができ、又は許容できる残留アンバランスを最小にすることができる。
【0012】
整流器の少なくとも1つの電気部品が中空シャフトに機械的に支持されていると有利である。したがって、少なくとも1つの電気部品は、機械的な損傷に対して特に効果的に保護され得る。
【0013】
中空シャフトは、シャフトエンドと、シャフトエンドを軸方向に閉じるシャフトカバーとで形成され得る。シャフトエンド及びシャフトカバーは、中空シャフトの組立中に、物質対物質結合によって、及び/又は、圧力嵌めの方法で、及び/又は形状嵌めの方法で強固に接続され得るとともに、中空シャフトのキャビティを外部に対して制限できる。整流器は、中空シャフトのシャフトエンド又はシャフトカバーに強固に接続され得る。特に、整流器は、シャフトエンド又はシャフトカバーに、物質対物質結合によって、及び/又は、圧力嵌めの方法で、及び/又は形状嵌めの方法で強固に接続され得る。整流器の組立は、中空シャフトの組立中に実行できる。
【0014】
ロータ組立体の有利な実施形態の場合、整流器は冷却体を有していてもよい。冷却体は、少なくとも1つの電気部品とは反対側に位置しかつ熱を伝達するように、整流器のプリント回路基板に取り付けられている。したがって、冷却体は、熱を伝達するようにプリント回路基板に接続されて、少なくとも1つの電子部品により発生した熱を外部、例えば冷却体を取り囲む媒体に放散できる。したがって、プリント回路基板及び少なくとも1つの電気部品は、効果的に冷却され得る。好ましくは、冷却体は、熱伝導性物質で形成され得る。
【0015】
更に、整流器の少なくとも1つの電気部品は、熱伝導性の成形材料で密閉され得る。整流器の熱伝導、延いては少なくとも1つの電気部品の冷却は、成形材料により改良できる。更に、振動や衝撃による少なくとも1つの電気部品へのダメージは、成形材料により回避できる。これに代えて又はこれに加えて、整流器の少なくとも1つの電気部品がプリント回路基板に接続され、及び/又は、少なく1つのプリント回路基板が冷却体に接続されてもよく、いずれの場合も熱が伝達されるように熱伝導性パッドを介して接続される。したがって、整流器の熱伝導、延いては少なくとも1つの電気部品の冷却、及び/又はプリント回路基板の冷却が改良できる。
【0016】
整流器の冷却を改良するために、冷却体は、プリント回路基板とは反対側に位置する冷却構造体を有し得る。冷却構造体は、例えば、少なくとも1つの冷却リブ及び/又は複数の冷却ピンにより実現され得る。周囲の媒体に隣接する冷却体の表面は、冷却構造体によって拡大でき、媒体への熱放散を強化できる。したがって、全体として、整流器の冷却を改善できる。
【0017】
冷却体が、誘電性被覆材により中空シャフトから電気的に絶縁されていると有利である。これに代えて又はこれに加えて、冷却体は、誘電性材料、好ましくは複合材料で形成され得る。ロータで生成される円環電流による、整流器又は少なくとも1つの電気部品へのダメージは防止され得る。
【0018】
ロータ組立体の有利な実施形態の場合には、冷却体は、中空シャフトのキャビティを、冷却チャンバと伝達チャンバとに液密に分割できる。冷却チャンバは、プリント回路基板とは反対側に位置するように配置され、液体状又は気体状の冷却流体が冷却チャンバを通って流通できる。伝達チャンバは、プリント回路基板を収容する。言い換えると、整流器は、プリント回路基板と共に伝達チャンバに面するようにかつ冷却体と共に冷却チャンバに面するように配置される。伝達チャンバに対する冷却チャンバの封止のために、冷却体は、少なくとも1つの封止要素を有し得る。封止要素は、例えば、環状シールであり得る。冷却体は、別個の構成要素として具現化することができ、軸端部又はシャフトカバーに確実に固定できる。
【0019】
冷却流体は、冷却チャンバ内の冷却体の上を流れ、及び/又は冷却チャンバ内の冷却体の周りを流れて、冷却体から熱を放散する。したがって、プリント回路基板及び少なくとも1つの電気部品は、ロータ組立体の動作中に効果的に冷却されて、上限温度よりも低く維持できる。したがって、ロータ組立体の連続性能及びピーク性能を、高温部品を使用することなく高くできる。したがって、より高い性能密度の場合、ロータ組立体のコストを低減できる。
【0020】
更に、中空シャフトが外側に開口しかつ冷却チャンバに連通する軸端部を有してもよく、冷却流体は、開口している軸端部を介して中空シャフトの冷却チャンバに流入できる。このとき、中空シャフトはまた、冷却チャンバから径方向外側に連通する少なくとも1つの開口を有し、冷却流体は、少なくとも1つの開口を介して中空シャフトの冷却チャンバから流出できる。冷却流体を用いた中空シャフト及びロータの直接的な冷却により、従来の解決策と比較して、整流器の周囲の温度は低くなる。
【0021】
二次側回路の二次コイルが、エネルギー伝達装置の一次側回路と誘導的に相互作用できるように、中空シャフトのキャビティ内又は中空シャフトのキャビティの外側に配置されていると有利である。二次コイルが中空シャフトのキャビティ内に配置されている場合には、二次コイルは、回転軸周りに周回するように、キャビティ内で中空シャフトの壁に固定できる。キャビティが冷却チャンバと伝達チャンバとに分割されている場合には、二次コイルは、伝達チャンバに配置できる。二次コイル及び整流器の少なくとも1つの電気部品が、互いに電気的に接続されているか又は電気的に接触していることは言うまでもない。
【0022】
本発明はまた、前述したロータ組立体を備える、誘導的に電気的に励磁される同期機に関する。同期機は、ステータを備えるステータ組立体を有し、ロータ組立体は、ステータに、回転軸周りに回転可能に収容されている。ロータ組立体のロータとステータ組立体のステータとは、互いに電磁的に相互作用できるように、互いに径方向に間隔を空けて配置されている。ステータ組立体は、インバータと一次コイルとを備える誘導型のエネルギー伝達装置の一次側回路を有する。一次側回路は、ステータ組立体に相対的に回転しないように配置されている。前述したように、ロータ組立体は、二次コイルと整流器とを備えるエネルギー伝達装置の二次側回路を有する。一次コイルと二次コイルとは、互いに誘導して相互作用できるように配置されている。同期機が、モータ車両に設けられていると有利である。繰り返しを避けるために、ここでは前述の説明を参照する。
【0023】
本発明の更なる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面に基づいた対応する図の説明から得られる。
【0024】
前述の特徴及び以下に説明する特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、各特定の組合せのみならず、他の組合せ又は単独で用いることができることは言うまでもない。
【0025】
本発明の好ましい例示的な実施形態は、図面に示されるとともに、以下の説明でより詳細に説明される。ここで、同一の参照符号は、同一、類似、又は機能的に同一の構成を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態1において、本発明に係るロータ組立体を備える、本発明に係る同期機の断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態2において、本発明に係るロータ組立体を備える、本発明に係る同期機の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る同期機におけるエネルギー伝達装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、実施形態1において、本発明の係るロータ組立体2を備える、本発明に係る誘導的に電気的に励磁される同期機1の断面図である。ロータ組立体2は、中空シャフト3とロータ4とを備え、中空シャフト3は回転軸RA周りに回転可能であり、ロータ4は中空シャフト3に相対的に回転しないように接続されている。ロータ組立体2は、エネルギー伝達装置6の二次側回路5を更に有する。二次側回路5は、ロータ組立体2又は中空シャフト3に相対的に回転しないように接続されているとともに、これについては
図3にも示すように、整流器7と二次コイル8とを備えている。中空シャフト3はキャビティ9を更に有し、二次側回路5、すなわち、ここでは整流器7及び二次コイル8は、キャビティ9に配置されている。
【0028】
整流器7は、複数の電気部品11を備えるプリント回路基板10と、冷却体12と、を有する。冷却体12は、電気部品11とは反対側に位置するようにプリント回路基板10に隣接していて、熱を伝達するようにプリント回路基板10に接続されている。これに代えて、冷却体12は、熱を伝達するように、電気部品11に直接隣接していてもよい。したがって、電気部品11からの熱を冷却体12に直接放散でき、熱伝導経路を短縮できる。したがって、電気部品11で発生した熱を、プリント回路基板10を介して冷却体12に放散できる。整流器7は、キャビティ9内において、回転軸RAを横切る方向に並べられており、キャビティ9を冷却チャンバ9aと伝達チャンバ9bとに分割する。整流器7の冷却体12は、冷却チャンバ9aと伝達チャンバ9bとを互いに液密に封止する。このために、回転軸周りに周回する円環シール要素13が冷却体12と中空シャフト3との間に配置されている。整流器7は、冷却体12と共に冷却チャンバ9aに面するようにかつプリント回路基板10と共に伝達チャンバ9bに面するように配置されている。二次コイル8は、伝達チャンバ9b内において、中空シャフト3の内壁に固定されている。
【0029】
気体状又は液体状の冷却流体は、冷却チャンバ9aを流通する。冷却流体は、外側に開口する、中空シャフト3の軸端部3aで冷却チャンバ9aに流入し、径方向外側に連通する複数の開口14を介して冷却チャンバ9aから流出する。軸端部3aは、中空シャフト3のA側の軸端部3bとは軸方向の反対側に位置するように配置されている。冷却流体は冷却体12の周りを流れて、熱は冷却体12によって冷却流体に放散される。冷却チャンバ9a側において、冷却体12は、複数の冷却リブ16備える、又は冷却流体への熱の放散を更に増大させる複数の冷却ピンを代わりに備える冷却構造体15を更に有する。
【0030】
同期機1は、一次コイル18を備えるエネルギー伝達装置6の一次側回路17を更に有する。これについては
図3も参照されたい。一次コイル18は、伝達チャンバ9b内及び環状の二次コイル8内に突出する。回転軸周りに周回する環状のギャップが二次コイル8と一次コイル18との間に形成され、二次コイル8と一次コイル18とは、ギャップを介して、電磁的に、又はエネルギーを伝達するように、又は誘導的に相互作用できる。
【0031】
組立を簡単にするために、中空シャフト3は、2つの部品で形成されていて、シャフトエンド19とシャフトカバー20とを有する。シャフトエンド19は、中空シャフト3の伝達チャンバ9bを取り囲んでおり、中空シャフト3のA側の軸端部3bに配置されている。シャフトエンド19及びシャフトカバー20は、いずれもボトル形状を形成していて、キャビティ9は、軸端部3aから中央に向かって広がって、中央からA側の軸端部3bに向かって狭くなる。実施形態1では、整流器7はシャフトエンド19に配置され、二次コイル8はキャビティ9又は伝達チャンバ9bのより狭い領域に配置されている。
【0032】
同期機1はまた、ロータ組立体2が回転軸周りに周回するように配置されたステータ及びハウジングを備えることは言うまでもない。しかしながら、ステータ及びハウジングは、ここでは明確には示していない。
【0033】
図2は、実施形態2において、本発明の係るロータ組立体2を備える、本発明に係る誘導的に電気的に励磁される同期機1の断面図である。
図1における実施形態1との違いとして、シャフトエンド19は、
図1における実施形態1と比較して軸方向の長さが大きい。二次コイル8は、キャビティ9又は伝達チャンバ9bのより広い領域に配置されていて、軸方向によりコンパクトに形成されている。
【0034】
図3は、本発明に係る同期機1におけるエネルギー伝達装置6の回路図を示す。エネルギー伝達装置6は、接続部21と、インバータ22と、一次コイル18とを備える一次側回路17を有する。接続部21は、例えば、エネルギー伝達装置6を自動車の基板電子機器に相互接続するために設けられ得る。エネルギー伝達装置6は更に、二次コイル8と、整流器7と、ロータのロータ巻線23とを備える二次側回路5を有する。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導的に電気的に励磁される同期機用のロータ組立体(2)であって、
前記ロータ組立体(2)は、回転軸(RA)周りに回転可能な中空シャフト(3)と、前記中空シャフト(3)に相対的に回転しないように接続されたロータ(4)と、を有し、
前記ロータ組立体(2)は、エネルギー伝達装置(6)の二次側回路(5)を有し、前記二次側回路(5)は、前記ロータ組立体(2)に相対的に回転しないように配置されており、
前記二次側回路(5)は、
プリント回路基板(10)及び前記プリント回路基板(10)に固定された少なくとも1つの電気部品(11)を備える整流器(7)と、
二次コイル(8)と、
を有し、
前記整流器(7)は、前記回転軸(RA)を横切る方向に並べられかつ前記中空シャフト(3)のキャビティ(9)に相対的に回転しないように配置されて
おり、
前記整流器(7)は、熱伝導性材料の冷却体(12)を有し、
前記冷却体(12)は、少なくとも1つの前記電気部品(11)とは反対側に位置しかつ熱を伝達するように、前記整流器(7)の前記プリント回路基板(10)に隣接している、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のロータ組立体において、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記電気部品(11)は、前記中空シャフト(3)に機械的に支持されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータ組立体において、
前記中空シャフト(3)は、シャフトエンド(19)と、前記シャフトエンド(19)を軸方向に閉じるシャフトカバー(20)とで形成され、
前記整流器(7)は、前記中空シャフト(3)の前記シャフトエンド(19)又は前記シャフトカバー(20)に強固に接続されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記電気部品(11)は、熱伝導性の成形材料で密閉され、及び/又は、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記電気部品(11)は、熱を伝達するように、熱伝導性パッドを介して前記プリント回路基板(10)に接続され、及び/又は、
前記整流器(7)の少なくとも1つの前記プリント回路基板(10)は、熱を伝達するように、熱伝導性パッドを介して前記冷却体(12)に接続されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記冷却体(12)は、誘電性被覆材により前記中空シャフト(3)から電気的に絶縁されており、及び/又は、
前記冷却体(12)は、誘電性材料、好ましくは複合材料で形成されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項6】
請求項
1~5のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記冷却体(12)は、前記プリント回路基板(10)とは反対側に位置する冷却構造体(15)、好ましくは、少なくとも1つの冷却リブ(16)及び/又は少なくとも2つの冷却ピンを有する、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記冷却体(12)は、前記中空シャフト(3)の前記キャビティ(9)を、前記プリント回路基板(10)とは反対側に位置しかつ液体状又は気体状の冷却流体が通過可能な冷却チャンバ(9a)と、前記プリント回路基板(10)を収容する伝達チャンバ(9b)とに、液密に分割する、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項8】
請求項
7に記載のロータ組立体において、
前記中空シャフト(3)は、外側に開口しかつ前記冷却チャンバ(9a)に連通する軸端部(3a)を有し、
前記冷却流体は、開口している前記軸端部(3a)を介して前記中空シャフト(3)の前記冷却チャンバ(9a)に流入でき、
前記中空シャフト(3)は、前記冷却チャンバ(9a)から径方向外側に連通する少なくとも1つの開口(14)を有し、
前記冷却流体は、少なくとも1つの前記開口(14)を介して前記中空シャフト(3)の前記冷却チャンバ(9a)から流出し得る、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1つに記載のロータ組立体において、
前記二次側回路(5)の前記二次コイル(8)は、前記エネルギー伝達装置(6)の一次側回路(17)と誘導的に相互作用できるように、前記中空シャフト(3)の前記キャビティ(9)内、又は前記中空シャフト(3)の前記キャビティ(9)の外側に配置されている、ことを特徴とするロータ組立体。
【請求項10】
同期機(1)であって、
前記同期機(1)は、請求項1~
9のいずれか1つに記載のロータ組立体(2)を有し、
前記同期機(1)は、ステータを備えるステータ組立体を有し、
前記ロータ組立体(2)は、前記回転軸(RA)周りに回転可能に前記ステータに収容されており、
前記ステータ組立体は、誘導型の前記エネルギー伝達装置(6)の一次側回路(17)を有し、
前記一次側回路(17)は、該ステータ組立体に相対的に回転しないように配置され、
前記一次側回路(17)は、インバータ(22)と一次コイル(18)とを有し、
前記一次コイル(18)及び前記二次コイル(8)は、互いに誘導的に相互作用可能なように配置されている、ことを特徴とする同期機。
【国際調査報告】