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特表2024-537919供給源からの放射線を制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】供給源からの放射線を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20241008BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 21/49 20060101ALI20241008BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 1/06 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 1/10 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 1/16 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 7/04 20060101ALI20241008BHJP
   C12M 1/42 20060101ALN20241008BHJP
   C12M 1/12 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
B01J19/12 C
G01N21/27 A
G01N21/49 Z
A61L2/10
C12N1/14 Z
C12N1/20 Z
C12N1/06
C12N1/10
C12N1/16 Z
C12N7/04
C12M1/42
C12M1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541117
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 CA2022051397
(87)【国際公開番号】W WO2023044563
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/246,523
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524107218
【氏名又は名称】12180235 カナダ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリストゥーパ,デイビッド アラン
(72)【発明者】
【氏名】パカク,ジョン スティーブン
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
4B065
4C058
4G075
【Fターム(参考)】
2G059BB01
2G059BB04
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE02
2G059FF01
2G059HH02
2G059JJ01
2G059KK04
2G059MM01
4B029AA27
4B029BB01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA86X
4B065AA95X
4B065BC48
4B065BD13
4C058AA01
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK28
4C058KK46
4G075AA01
4G075AA13
4G075AA37
4G075AA65
4G075BB10
4G075CA24
4G075CA33
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB01
4G075EB32
4G075EB33
4G075EB34
4G075FA12
4G075FB02
4G075FC02
(57)【要約】
【解決手段】電磁放射線は、並んだ容積を含む反応チャンバ内の反応性物質に当てられ、電磁放射線の反応物質との相互作用の確率は、多重反射を使用することによって増加し、反応チャンバは、対向する反射表面の複数の対を含む。反射表面からの反射の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%または90%は鏡面反射であり、反射表面の各対の一方または両方は凹面鏡である。1つの容積の側面を通って逃れる放射線が次の隣接する容積の側面に進入するように、対は、並んで構成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ中の反応性物質に電磁放射線を当てるための方法であって、
前記電磁放射線を前記反応チャンバの中に導入する工程と、
前記電磁放射線の振幅がしきい値を上回る状態で、多重反射を使用して、前記反応チャンバ内の前記電磁放射線の光路長を増加させることによって、前記電磁放射線の前記反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
前記反応チャンバが、対向する反射表面の複数の対をチャンバに含み、
前記反射表面からの前記反射の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%または90%が鏡面反射であり、
各対の前記反射表面の少なくとも1つが、凹面鏡であり、
前記反射表面の各対が、前記反射表面によって画定される容積内で、前記反射表面の間で行き来する前記電磁放射線の反射を引き起こすように構成されており、
前記反射表面の各対が、前記反射表面の一方の側に前記容積の第1の側を画定するように、かつ前記反射表面の対向する側に前記容積の第2の側を画定するように互いに離間されており、
1つの容積の側部を通って逃れる放射線が次の隣接する容積の側部に進入するように、前記対が、並んで構成されている、方法。
【請求項2】
前記反射表面の複数の対が、前記容積の積層体を並べて画定し、前記放射線が、各容積と次の隣接する容積との間を通過することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容積のうちの端部の容積が、その側面のうちの外側の側面に反射側壁を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反射表面がダクトの側壁を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記流れが前記側面に対して直角である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記放射線が、流体が通過するダクトの中に指向される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線が、前記ダクトの概ね長手方向に指向される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記放射線が、前記ダクトの長手方向に対してある角度で指向され、前記放射線が、前記ダクトの側壁における窓を通過する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
放射経路の大部分が、前記反応チャンバを境界付ける表面からの少なくとも10回、好ましくは100回よりも多い反射を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記反射表面が、その間に延在し前記反射が沿って通る少なくとも1つの中心光軸を画定し、前記反射の軌跡が前記中心軸に向かって移動するように、前記放射線の供給源が、前記反射表面の間の前記中心軸からオフセットされた位置に位置付けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記放射線の供給源が、反射対の少なくとも1つの前記反射表面の一方の側に位置付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反射表面が、凹面鏡であり、前記放射線供給源の供給源が、少なくとも1つの前記凹面鏡上の位置に位置付けられており、前記放射線の前記供給源が、前記凹面鏡の焦点距離の0.03倍未満の寸法を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線供給源の供給源が、前記凹面鏡の焦点に位置付けられている、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各ビームと反射後の次のビームとの間の前記オフセットが、前記ビームが完全なカーテンを形成するように、前記ビームの幅よりも小さい、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
反応性物質を受け入れるための入口ポート、および生成物を排出するための出口ポートが設けられており、前記チャンバの内部から外部の箇所への電磁放射線の伝達を停止するように形成された吸収面が設けられている、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記入口ポートおよび前記出口ポートが、前記反応チャンバの対称軸上にない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
チャンバ壁の少なくとも一部が、電磁放射線を拡散的に反射する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応性物質が流体流れに同伴され、前記流体が液体またはガスである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記電磁放射線が、UVC放射線であり、前記反応性物質が、細菌、ウイルス、原虫、蠕虫、酵母、カビ、または真菌のリストから選択される微生物であり、前記UVC放射線が、前記微生物を不活性化する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記電磁放射線が、前記反射表面の間で主に行き来して進むように、少なくとも部分的にコリメートされる、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
三次元放射体から放出された放射線を集めるための方法であって、
前記放射体によって放出された放射線を、複数の光学指向構成部品によって集める工程を含み、
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が放出される立体角の2分の1以下に対する、方法。
【請求項22】
前記放射体が、対称軸を有し、前記光学指向構成部品が、前記対称軸に対して対称的に構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
集められた前記放射線が、少なくとも1つの開口に指向され、前記開口の面積が、前記三次元放射体の表面積よりも小さい、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
前記開口が、複数の開口からなり、組み合わされた前記開口の面積が、前記放射体の前記表面積よりも小さい、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が放射される前記立体角の3分の1以下に対する、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が放出される前記立体角の1/6以下に対する、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記放射体の周りに6つの等角度光学指向構成部品がある、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記光学指向構成部品が導波路を備える、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
各導波路からの前記放射線が、放射線伝送要素に指向される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記光学指向構成部品がレンズを備える、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
集められた前記放射線が、少なくとも1つの設計波長について、前記放射体によって放射された前記放射線の60%より大きい、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記放射体が前記放射線の供給源である、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記放射体が前記放射線の放出管である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
放射線供給源が、少なくとも1つの指向構成部品と接触している、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記光学指向構成部品の少なくとも1つの光学素子が、前記放射線供給源と一体である、請求項32または33に記載の方法。
【請求項36】
前記放射線供給源からのすべての前記放射線が、集められ、共通の経路に沿って指向される、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記放射体が、観察されるべき対象物であり、前記放射線が、別個の放射線供給源からの照明放射線であり、前記放射体から反射される、請求項21~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記放射線供給源がイオン化ガスである、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記光学指向構成部品が、前記放射線供給源の軸に対して対称的に構成されている、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
指向された放射線の経路が、前記放射線供給源と交差しない、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記観察されるべき対象物が、経路に沿って移動しており、前記光学指向構成部品が、前記経路を取り囲んでいる、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記照明放射線が前記経路に沿って伝達される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象物の前記照明放射線が、前記経路の周りの角度方向に離間した位置に当てられる、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記経路の周りの角度方向に離間した位置での前記照明放射線が、前記放射線を吸収するビームストップによって終端される僅かに末広がりの経路で当てられる、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記経路の周りの前記照明放射線の前記角度方向に離間した位置が、前記光学指向構成部品と交互に配置されている、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
集められた前記放射線が、集められた前記放射線を分析するためのデバイス、例えば分光計に指向される、請求項37~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つの指向構成部品が複数の光学素子からなる、請求項21~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記光学素子が屈折性または反射性である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
複数の前記光学指向構成部品が、少なくとも1つの共通の光学素子を含む、請求項21~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記光学指向構成部品が、放射線が放出される前記立体角の実質的にすべてに対するように構成されており、各光学指向手段が、放出立体角の半分以下に対する、請求項21~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
三次元放射体を観察するための方法であって、
前記放射体を経路に沿って移動させる工程と、
前記経路を移動中の前記放射体に照明放射線を当てる工程と、
前記放射体によって反射された放射線を、複数の光学指向構成部品によって集める工程と、
前記経路の周りの角度方向に離間した位置に前記光学指向構成部品を構成する工程とを含み、
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が反射される立体角の2分の1以下に対する、方法。
【請求項52】
集められた前記放射線が、少なくとも1つの開口に指向され、前記開口の面積が、前記三次元放射体の表面積よりも小さい、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記開口が、複数の開口からなり、組み合わされた前記開口の面積が、前記放射体の表面積よりも小さい、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が反射される前記立体角の3分の1以下に対する、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放出される前記立体角放射線の1/6以下に対する、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記経路の周りに6つの等角度光学指向構成部品がある、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記光学指向構成部品が導波路を備える、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記光学指向構成部品がレンズを備える、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
集められた前記放射線が、少なくとも1つの設計波長について、60%または前記放射体によって反射された前記放射線より大きい、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記照明放射線が前記経路に沿って伝達される、請求項51~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象物の前記照明放射線が、前記経路の周りの角度方向に離間した位置に当てられる、請求項51~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記経路の周りの角度方向に離間した位置での前記照明放射線が、前記放射線を吸収するビームストップによって終端される僅かに末広がりの経路で当てられる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記経路の周りの前記照明放射線の前記角度方向に離間した位置が、前記光学指向構成部品と交互に配置されている、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記集められた放射線が、前記集められた放射線を分析するためのデバイス、例えば分光計に指向される、請求項51~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つの指向構成部品が複数の光学素子からなる、請求項51~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記光学素子が屈折性または反射性である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記光学指向構成部品が、放射線が反射される前記立体角の実質的にすべてに対するように構成されており、各光学指向手段が、反射される立体角の半分以下に対する、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
三次元放射線供給源から放出された放射線を集めるための方法であって、
前記放射線供給源によって放出された放射線を、前記放射線供給源の周りの角度方向に離間した位置に構成された複数の光学指向構成部品によって集める工程と、
集められた前記放射線を1つまたは複数の最終使用箇所に伝達する工程とを含み、
各光学指向構成部品が、前記三次元放射線供給源によって放射線が反射される立体角の2分の1以下に対し、
集められた前記放射線が、少なくとも1つの設計波長について、前記放射線供給源によって放出された前記放射線の60%より大きい、方法。
【請求項69】
前記放射線供給源が、対称軸を有し、前記光学指向構成部品が、前記対称軸に対して対称的に構成されている、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
集められた前記放射線が、少なくとも1つの開口に指向され、前記開口の面積が、前記三次元放射線供給源の表面積よりも小さい、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
前記開口が、複数の開口からなり、組み合わされた前記開口の面積が、前記放射線供給源の表面積よりも小さい、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
各光学指向構成部品が、前記三次元放射線供給源によって放射線が放出される前記立体角の3分の1以下に対する、請求項68~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
各光学指向構成部品が、前記三次元放射線供給源によって放射線が放出される前記立体角の1/6以下に対する、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記放射線供給源の周りに6つの等角度光学指向構成部品がある、請求項68~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記光学指向構成部品が導波路を備える、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
各導波路からの前記放射線が、放射線伝送要素に指向される、請求項55に記載の方法。
【請求項77】
前記光学指向構成部品がレンズを備える、請求項68~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記放射線供給源が前記放射線の放出管である、請求項68~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記放射線供給源が、少なくとも1つの指向構成部品と接触している、請求項48~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記光学指向構成部品の少なくとも1つの光学素子が、前記放射線供給源と一体である、請求項68~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記放射線供給源からのすべての前記放射線が、集められ、共通の経路に沿って指向される、請求項68~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1つの指向構成部品が複数の光学素子からなる、請求項68~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記光学素子が屈折性または反射性である、請求項68~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
複数の前記光学指向構成部品が、少なくとも1つの共通の光学素子を含む、請求項68~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記光学指向構成部品が、放射線が放出される立体角の実質的にすべてに対するように構成されており、各光学指向手段が、前記放出立体角の半分以下に対する、請求項88~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記光学指向構成部品が、前記放射線供給源の軸に対して対称的に構成されている、請求項68~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記指向された放射線の経路が、前記放射線供給源と交差しない、請求項68~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
反応チャンバ中の反応性物質に電磁放射線を当てる方法であって、
前記電磁放射線の所定の波長を前記チャンバの中に導入する工程と、
前記電磁放射線の振幅がしきい値を上回る状態で、多重反射を使用して、前記反応チャンバ内の前記電磁放射線の光路長を増加させることによって、前記電磁放射線の前記反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
前記反応チャンバの少なくとも1つの反射表面が、高屈折率を有し、かつ前記所定の波長での前記放射線の低い吸収を有する物質の層で、少なくとも一部がコーティングされている金属反射壁を備え、
前記物質の層が、前記反射表面での前記放射線の前記反射率を前記金属層単独での値よりも大きな値に増加させるように選択された厚さを有する、方法。
【請求項89】
前記物質がZrO2またはHfO2である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
高屈折率物質の前記厚さが、前記表面上の異なる箇所で変動する、請求項88または89に記載の方法。
【請求項91】
高屈折率物質の前記厚さが、前記表面上の前記放射線の入射角に応じて、高屈折率物質の前記厚さがより大きな入射角の箇所で増加するように、前記表面上の異なる箇所で変動する、請求項88~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記物質が、前記金属壁が所定の値よりも大きな入射角の箇所でむき出しになるように、省略される、請求項88~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記金属壁がアルミニウムである、請求項88~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記物質が、前記金属壁に対して増加した硬度をもたらす、請求項88~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記反射によって発生した放射経路の大部分が、少なくとも10回、好ましくは100回よりも多い反射を含む、請求項88~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
各ビームと反射後の次のビームとの間のオフセットが、前記ビームが完全なカーテンを形成するように、前記ビームの幅よりも小さい、請求項88~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記反応チャンバが、入口ポートおよび出口ポートを含み、前記入口ポートおよび前記出口ポートが、前記反応チャンバの対称軸上にない、請求項88~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
チャンバ壁の少なくとも一部が、電磁放射線を拡散的に反射する、請求項88~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記電磁放射線が、UVC放射線であり、前記反応性物質が、細菌、ウイルス、原虫、蠕虫、酵母、カビ、または真菌のリストから選択される微生物であり、前記UVC放射線が、前記微生物を不活性化する、請求項88~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
半径方向に対称な放射線供給源から放出された放射線を集めるための方法であって、
後首部および前方に突出する口部を画定する反射表面を各々有する、第1の放物面反射器ならびに第2の放物面反射器を設ける工程と、
前記第1の放物面反射器および前記第2の放物面反射器が前記首部で交差し、それぞれの前記反射表面がそれぞれの首部からそれぞれの前記口部まで延在するように、前記第1の放物面反射器および前記第2の放物面反射器を背中合わせに位置付ける工程と、
前記放射線供給源を各々の放物面反射器の前記焦点に位置付ける工程と、
各放物面反射器の前記口部から放出された前記放射線を集める工程とを含み、
各反射器の前記口部から離れる方向に前記供給源によって放出された前記放射線が、前記放射線が吸収されることになる前記供給源へ逆に反射されることを回避するように、他方の反射器に進入する、方法。
【請求項101】
各反射器からの前記放射線が別個に集められる、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
両反射器からの放射線が、組み合わされて、共通の最終使用箇所に伝達される、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記供給源および前記放物面反射器が、長手方向軸に対して対称である、請求項100~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記口部を超える方向に放出され、したがって前記反射表面を外れる放射線が再指向されるように、前記供給源から離間した各放物面反射器の軸上の位置で各放物面反射器内に位置付けられた光学ガイド部材が、設けられている、請求項100~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記光学ガイド部材が、前記放物面反射器の前記軸に沿って前記放射線をコリメートするレンズである、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記光学ガイド部材が、前記放射線を最も近い放物面反射器上に再指向する鏡である、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記集められた放射線が、少なくとも1つの開口に指向され、前記開口の面積が、前記供給源の表面積よりも小さい、請求項100~106までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記開口が、複数の開口からなり、組み合わされた前記開口の面積が、前記放射線供給源の前記表面積よりも小さい、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記供給源が放出円筒形管である、請求項100~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記光学素子が屈折性または反射性である、請求項100~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記指向性放射線の経路が、前記放射線供給源と交差しない、請求項100~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
1つまたは複数の病原体による潜在的な汚染の後に物体を除染するための方法であって、
前記病原体を不活性化するように構成されている放射線のビームを発生させる工程と、
異なる箇所における前記物体の特性に応じて、前記物体上の前記異なる箇所に前記ビーム中の異なる線量の前記放射線を当てるように、前記ビームを制御する工程とを含む、方法。
【請求項113】
前記ビームによって異なる箇所に当てられる前記異なる線量の前記放射線が、各箇所に存在する病原体の濃度、および病原体が各箇所から宿主種に伝達される確率に基づいて計算され、各箇所での前記線量が、すべての箇所から宿主種への伝達の前記確率を最小化するように選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記ビームによって異なる箇所に当てられる前記異なる線量の前記放射線が、すべての箇所に対して利用可能な総線量と、各箇所に存在する病原体の前記濃度と、病原体が各箇所から宿主種に伝達される前記確率とに基づいて計算され、各箇所での前記線量が、総線量拘束を受けるすべての箇所から宿主種への伝達の前記確率を最小化するように選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記ビームによって異なる箇所に当てられる前記異なる線量の前記放射線が、各箇所に存在する病原体の前記濃度、および病原体が各箇所から宿主種に伝達される前記確率に基づいて計算され、各箇所での前記線量が、各箇所での前記病原体濃度を所定のしきい値濃度未満に低減するように選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
各箇所での初期病原体濃度が、その箇所について以前に測定された病原体濃度に基づいて統計モデルによって推定され、前記線量が、前記初期病原体濃度を所定のしきい値未満に低減されるように計算される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
各箇所についての前記所定のしきい値の病原体濃度は、前記箇所から宿主種への伝達の確率に少なくとも部分的に基づき、各箇所についての伝達の確率は、その箇所についての経験的測定、または既知の伝達事例からの統計的推測に基づき得る、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記ビームが、前記箇所における入射角の関数としての反射率、散乱、および吸収性に基づいて制御される、請求項112~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記ビームが、前記箇所における線量感度に関する情報に基づいて制御される、請求項112~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記ビームが、その箇所および近接箇所での汚染の確率に基づいて制御される、請求項112~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
表面箇所と前記供給源との間の流体の温度、圧力、湿度、および分子組成のうちの少なくとも1つを測定するためのセンサが設けられている、請求項112~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記ビームが、その箇所の汚染が接触によって前記箇所の第2の表面に伝達される確率に基づいて制御される、請求項112~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記ビームが、その箇所の汚染が第2の表面に伝達され得る確率に基づいて制御される、請求項112~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記ビームが、ユーザからの病原体低減目標の入力に基づいて制御される、請求項112~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記ビームが、制御システムからの命令およびフィードバックに応答して、前記ビームを移動させ配向する人間の操作者に基づいて制御される、請求項112~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記ビームが、除染されるべき前記物体に対する制御された経路に沿って前記除染システムを誘導するロボットプラットフォームの位置に基づいて制御される、請求項112~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記ビームが、除染されるべき前記物体に対する前記ビームの位置および配向を測定するサブシステムに基づいて制御される、請求項112~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記ビームが、測定された供給源強度に基づいて制御される、請求項112~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記ビームが、表面箇所から反射または散乱した放射線の測定値に基づいて制御される、請求項112~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記物体の少なくとも一部のマルチスペクトル画像を集める工程と、前記物体上の各箇所に対応する前記マルチスペクトル画像の領域を決定するように前記マルチスペクトル画像を分析することによって、前記物体上の異なる箇所に存在する汚染のタイプを少なくとも部分的に決定する工程と、前記物体上の各箇所に存在する汚染の前記タイプを少なくとも部分的に決定するために、各箇所に対応する前記マルチスペクトル画像の領域からのスペクトルを基準スペクトルと比較する工程と、前記箇所に存在する汚染の前記タイプに少なくとも部分的に基づいて、前記物体上の各箇所に前記ビームを指向する工程とを含む、請求項112~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記マルチスペクトル画像内の各スペクトルが、3つよりも多い異なる波長からなる、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記マルチスペクトル画像内の各スペクトルが、100よりも多い異なる波長からなる、請求項130または131に記載の方法。
【請求項133】
照射前または照射後に表面箇所からサンプルを集めることを含み、集められた前記サンプルが、生存可能な病原体について分析される、請求項112~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
撹拌器および収集器によって、照射の前または後に表面箇所からサンプルを集めることを含む請求項112~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記撹拌器および前記収集器が、対象物の前記表面上の箇所を無作為にサンプリングするために使用され、集められた物質が、その箇所に存在する物質および汚染物質に関する詳細な情報をもたらすために分析される、請求項112~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
無作為に選択された箇所からの前記情報が、衛生化手順に関する体系的な問題を検出するための統計モデルを構築するために使用される、請求項112~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
無作為にサンプリングされた箇所からの前記情報が、箇所の関数としての汚染の確率を予測する統計モデルを構築するために使用される、請求項112~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記箇所依存確率が、UVC線量の割り当てを最適化するために使用される、請求項112~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
除染されるべき前記物体に対する前記供給源の前記位置および配向を決定するための前記供給源の構成部品として、位置検証システムが設けられる、請求項112~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記位置検証システムが、前記供給源の前記箇所および方向を時間の関数として追跡するためのソフトウェアとともに動作するカメラを備える、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
複数のサンプル箇所が、前記位置検証システムによって前記供給源の前記箇所および配向を算出するために使用されるマーキングのパターンを含む、請求項112~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記位置検証システムが、前記供給源から表面箇所までの前記距離を測定するデバイスを含む、請求項140または141に記載の方法。
【請求項143】
情報が、操作者へのオーバーレイ画像上に表示され、前記オーバーレイ画像が、各箇所での必要な前記線量に対する各箇所で受容された前記線量のふさわしい表現とともに、除染されるべき前記表面の画像を包含する、請求項112~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
チャンバ中の液体流に電磁放射線を当てるための方法であって、
前記電磁放射線を前記チャンバの中に導入する工程と、
前記電磁放射線の振幅がしきい値を上回る状態で、多重反射を使用して、前記反応チャンバ内の前記電磁放射線の光路長を増加させることによって、前記電磁放射線の前記反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
反応チャンバが、対向する反射表面の少なくとも1つの対を前記チャンバに含み、前記反射表面からの前記反射の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%または90%が鏡面反射であり、
前記反射表面の各対の少なくとも一方が、凹面鏡であり、
前記反射表面の各対が、前記反射表面によって画定される容積内で、前記反射表面間で行き来する前記電磁放射線の反射を引き起こすように構成されており、
前記チャンバが、前記液体の供給源への取付け用の取付具アダプタである、方法。
【請求項145】
前記アダプタが分配ノズルを備える、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記アダプタが、異なる供給源への取付け用に構成されている1つまたは複数のカップリングを含む、請求項144または145に記載の方法。
【請求項147】
前記アダプタが、ねじ部、プレスばめ、またはクリップを含む、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記アダプタがフィルタを含む、請求項144~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
チャンバ中の液体流に電磁放射線を当てるための方法であって、
前記電磁放射線を前記チャンバの中に導入する工程と、
多重反射を使用して、反応チャンバ内の電磁放射線の光路長を増加させることによって、電磁放射線の反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
前記チャンバが、前記液体の供給源への取付け用のフィルタとの関連付けに構成されている、方法。
【請求項150】
前記反応チャンバが、対向する反射表面の少なくとも1つの対を前記チャンバに含み、前記反射表面の各対の少なくとも一方が、凹面鏡であり、前記反射表面の各対が、前記反射表面によって画定される容積内で、前記反射表面間で行き来する前記電磁放射線の反射を引き起こすように構成されている、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記放射線が、ダクトの概ね長手方向に指向される、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
放射経路の大部分が、少なくとも10回、好ましくは100回よりも多い反射を含む、請求項149~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記反射表面が、その間に延在し前記反射が沿って通る少なくとも1つの中心光軸を画定し、前記反射の軌跡が前記中心軸に向かって移動するように、前記放射線の供給源が、前記反射表面の間の前記中心軸からオフセットされた位置に位置付けられている、請求項149~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記放射線の供給源が、少なくとも1つの前記凹面鏡の一方の側に位置付けられている、請求項149~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記放射線供給源の供給源が、少なくとも1つの前記凹面鏡上の位置に位置付けられており、前記放射線の前記供給源が、前記鏡の焦点距離の0.03倍未満の寸法を有する、請求項149~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記放射線供給源の供給源が、前記凹面鏡の焦点に位置付けられている、請求項149~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
各ビームと反射後の次のビームとの間の前記オフセットが、前記ビームが完全なカーテンを形成するように、前記ビームの幅よりも小さい、請求項149~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
反応性物質を受け入れるための入口ポート、および生成物を排出するための出口ポートが設けられており、前記チャンバの内部から外部の箇所への電磁放射線の伝達を停止するように形成された吸収面が設けられている、請求項149~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記電磁放射線が、UVC放射線であり、前記反応性物質が、細菌、ウイルス、原虫、蠕虫、酵母、カビ、または真菌のリストから選択される微生物であり、前記UVC放射線が、前記微生物を不活性化する、請求項149~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記電磁放射線が、前記反射表面の間で主に行き来して進むように、少なくとも部分的にコリメートされる、請求項149~159のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給源からの放射線を制御または指向するための方法に関し、いくつもの新規の態様を提供する。
【0002】
関連出願の相互参照
本開示は、2020年3月10日に発行された米国特許第10,585,044号に記載されており、High Efficiency Multiplexingという発明の名称である本発明者による特許、本明細書では以降「HEMS特許」で開示されている分光計に関する開示に関し、この開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、すべて2021年7月16日に出願された米国特許出願第17/378,144号、同第17/378,154号、同第17/378,158号、同第17/378,163号、同第17/378,171号、同第17/378,175号、および同第17/378,186号に記載されており、その主題が、2021年7月15日に出願されたPCT出願PCT/CA2021/050976号で公開され、2022年1月20日に国際公開第2022/022472号として公開されている、マルチパス光化学システムに関する本発明者による開示、本明細書では以降「MPS特許」に関し、この開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
多くの用途では、開口を通過する放射パワーを最大化することが望ましい。分光用途では、信号対雑音比は、しきい値角度発散未満で限界開口を通過する放射パワーの平方根に比例する。殺菌および光反応性用途では、殺菌速度または反応速度は、しきい値角度発散未満で限界開口を通過する放射パワーの平方根に比例する。したがって、限界開口を通過するフラックス強度を増加させる方法を有することが望ましい。
【0005】
放出、散乱、または反射にかかわらず、光供給源の放射パワーは、その表面積に比例する。したがって、放射パワーがそこから限界開口を通過することができる表面積を最大化することが望ましい。光供給源を光学アセンブリの焦点を中心とする位置に配置すること、ならびに開口上および開口を通して光供給源を結像することは、当技術分野においてよく確立されている。次いで、開口は、開口を通過した放射線をコリメートする第2の光学アセンブリのための供給源となり得る。従来技術において、開口を通過することができる放射パワーの量には3つの主な制限がある。第1の制限は、光学アセンブリによって許容される放射線供給源の立体角である。すなわち、一部の方向に放射されたパワーは、光学アセンブリによって集められない。第2の制限は、光学アセンブリによって集められた放射線の一部が結像されず、開口を通して指向されないことである。第3の制限は、光学アセンブリによって集められた放射線の一部分が吸収されることである。吸収は、光学アセンブリ中の光学素子によって吸収される放射線と、光学素子によって吸収が発生する放射線供給源に指向される放射線との、2つの部分からなる。例えば、従来技術の放物面反射鏡システムでは、放射線供給源は、放物面反射器の焦点(または焦平面)の中心にあり、放物面の頂点に向かって放出された放射線は、放射線が高効率で吸収される焦点に向かって逆に反射される。例えば放射線供給源がガス放電ランプである場合、第1の放射フラックスは、励起状態から基底状態(またはより低い励起状態)に遷移する原子によって放出される。次いで、焦点に向かって逆に反射された放射フラックスは、同じタイプの別の原子を基底状態から励起状態に励起し得る。熱力学的平衡にあるシステムでは、基底状態の粒子数は、励起状態の粒子数よりも大きく、結果として、放出よりも吸収の可能性が高い。吸収された光子のエネルギーは、第2の光子として再放射され得、または光子エネルギーは、例えば原子衝突によって熱に伝送され得る。すなわち、再放射されるよりも多くのエネルギーが吸収される。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で説明する構成は、以下に記載される本発明のいくつもの態様を提供する。
【0007】
以下の明細書内では、「放射体」という用語は、少なくとも1つの設計波長について、吸収するよりも放出する放射線のフラックスが大きい空間の領域を指す。
【0008】
以下の明細書内では、用語および「放射線供給源」は、少なくとも1つの設計波長について、放射線の正味のフラックスを放出または指向する空間の領域を指す。すなわち、放射線供給源は、放射体、または放射体からの放射線を集めて指向するレンズまたは鏡などの光学素子であってもよい。
【0009】
以下の明細書内では、「放射体」または「放射線供給源」からの「放射線」という用語は、設計波長での放射線または設計波長の範囲内の放射線を指す。本明細書で説明する方法は、概して、200nmから100,000nmまでの範囲にある波長での放射線に適用可能であるが、設計波長の範囲は概してはるかに狭い。殺菌用途の場合、設計波長は例えば、220nmから280nmの間であり得る。照明装置および照明用途の場合、設計波長は、400nmから750nmの間の範囲にあり得る。近赤外分光測定の場合、設計波長は例えば、800nmから2500nmの範囲にあり得る。
【0010】
以下の明細書内では、「鏡面反射」という用語は、入射角と反射角との間の差が2度未満である反射を指す。すなわち、鏡面反射の定義は、反射角が入射角に等しい理想的な場合から、鏡面角近傍の狭い分布を含むように拡張されている。鏡面範囲の外側の角度で反射(または散乱)した放射線は、拡散と定義される。
【0011】
以下の明細書内では、「反射」という用語は、拡散として明示的に定義されない限り、鏡面反射を意味する。
【0012】
以下の明細書内では、「鏡」という用語は、鏡面的に反射する滑らかな表面を意味する。
【0013】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、三次元放射体から放出された放射線を集めるための方法であって、
放射体によって放出された放射線を複数の光学指向構成部品によって集めることを含み、
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が放出される立体角の2分の1以下に対する、方法が提供される。
【0014】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射体は、対称軸を有し、光学指向構成部品は、軸に対して対称的に構成されている。
【0015】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、集められた放射線は、少なくとも1つの開口に指向され、開口の面積は、三次元放射体の表面積よりも小さい。
【0016】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、開口は、複数の開口からなり、組み合わされた開口の面積は、放射線供給源の表面積よりも小さい。
【0017】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放射線が放出される立体角の3分の1以下に対する。
【0018】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放射線が放出される立体角の1/6以下に対する。
【0019】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射体の周りに6つの等角度光学指向構成部品がある。
【0020】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品は導波路を備える。
【0021】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各導波路からの放射線は、放射線伝送要素へと指向される。
【0022】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品はレンズを備える。
【0023】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、集められた放射は、少なくとも1つの設計波長について、放射体によって放出された放射線の60%より大きい。
【0024】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射体は放射線の供給源である。
【0025】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射体は放射線の放出管である。
【0026】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射線供給源は、少なくとも1つの指向構成部品と接触している。
【0027】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品の少なくとも1つの光学素子は、放射線供給源と一体である。
【0028】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射線供給源からのすべての放射線が、集められ、共通の経路に沿って指向される。
【0029】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射体は、観察されるべき対象物であり、放射線は、放射体から反射される別個の供給源からの照明放射線である。観察されるべき対象物は、経路に沿って移動しており、光学指向構成部品は、経路を取り囲んでいることが好ましい。1つの構成では、照明放射線は経路に沿って伝達される。代替的に、対象物の照明放射線は、経路の周りの角度方向に離間した位置に当てられる。この構成では、経路の周りの角度方向に離間した位置での照明放射線は、放射線を吸収するビームストップによって終端される僅かに末広がりの経路で当てられることが好ましい。この構成では、経路の周りの照明放射線の角度方向に離間した位置は、光学指向構成部品と交互に配置されていることが好ましい。この構成では、集められた放射線は、集められた放射線を分析するためのデバイス、例えば分光計に指向されることが好ましい。
【0030】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、少なくとも1つの指向構成部品は、複数の光学素子からなる。光学素子は屈折性または反射性であることが好ましい。
【0031】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、複数の光学指向構成部品は、少なくとも1つの共通の光学素子を含む。
【0032】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品は、放射線が放出される立体角の実質的にすべてに対するように構成されており、各光学指向手段は、放射立体角の半分以下に対する。
【0033】
1つの構成では、放射線供給源はイオン化ガスである。
【0034】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品は、放射線供給源の軸に対して対称的に構成されている。
【0035】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、指向性放射線の経路は、放射線供給源と交差しない。
【0036】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、三次元放射体を観察するための方法であって、
放射体を経路に沿って移動させる工程と、
経路を移動中の放射体に照明放射線を当てる工程と、
放射体によって反射された放射線を複数の光学指向構成部品によって集める工程と、
経路の周りの角度方向に離間した位置に光学指向構成部品を構成する工程とを含み、
各光学指向構成部品が、前記三次元放射体によって放射線が反射される立体角の2分の1以下に対する、方法が提供される。
【0037】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、集められた放射線は、少なくとも1つの開口に指向され、開口の面積は、三次元放射体の表面積よりも小さい。
【0038】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、開口は、複数の開口からなり、組み合わされた開口の面積は、放射線供給源の表面積よりも小さい。
【0039】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放射線が反射される立体角の3分の1以下に対する。
【0040】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放出される放射線立体角の1/6以下に対する。
【0041】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、経路の周りに6つの等角度光学指向構成部品がある。
【0042】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品は導波路を備える。
【0043】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品はレンズを備える。
【0044】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、集められた放射線は、少なくとも1つの設計波長について、60%または放射体によって反射された放射線より大きい。しかしながら、この値は、より高くてもよい。
【0045】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品(複数)は、放射線が反射される立体角の実質的にすべてに対するように構成されており、各光学指向手段は、反射立体角の半分以下に対する。
【0046】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、三次元放射線供給源から放出された放射線を集めるための方法であって、
放射線供給源によって放出された放射を、供給源の周りの角度方向に離間した位置に構成された複数の光学指向構成部品によって集める工程と、
集められた放射線を1つまたは複数の最終使用箇所に伝達する工程とを含み、
各光学指向構成部品が、前記三次元放射線供給源によって放射線が放出される立体角の2分の1以下に対し、
集められた放射が、少なくとも1つの設計波長について、放射線供給源によって放出された放射線の60%より大きい、方法が提供される。
【0047】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射線供給源は、対称軸を有し、光学指向構成部品は、軸に対して対称的に構成されている。
【0048】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、集められた放射線は、少なくとも1つの開口に指向され、開口の面積は、三次元放射線供給源の表面積よりも小さい。
【0049】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、光学指向構成部品の少なくとも1つの光学素子は、放射線供給源と一体である。
【0050】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射線供給源からのすべての放射線が、集められ、共通の経路に沿って指向される。
【0051】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、反応チャンバ中の反応性物質に電磁放射線を当てるための方法であって、
電磁放射線をチャンバの中に導入する工程と、
反応チャンバ内で、電磁放射線の光路長を増加させるために多重反射を使用することによって、電磁放射線の反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
反応チャンバが、チャンバの複数の対の対向する反射表面を含み、
反射表面からの反射の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%または90%が、鏡面反射であり、
反射表面の各対の少なくとも一方が、凹面鏡であり、
反射表面の各対は、反射表面によって画定されている容積内の反射表面間で電磁放射線の前後の反射を引き起こすように構成されており、
反射表面の各対は、反射表面の一方の側に容積の第1の側面を画定し、かつ反射表面の対向する側に容積の第2の側面を画定するように互いに離間されており、
1つの容積の側面を通って逃れる放射線が次の隣接する容積の側面に進入するように、対が、並んで構成されている、方法が提供される。
【0052】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、複数の対は、容積の積層体を並べて画定し、放射線は、各容積と次の隣接する容積との間を通過することができる。
【0053】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、容積のうちの端部の容積は、その側面のうちの外側の側面に反射側壁を有する。
【0054】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、反射表面はダクトの側壁を形成する。
【0055】
1つの構成では、流れは側面に対して直角である。
【0056】
1つの構成では、放射線は、流体が通過するダクトの中に指向される。
【0057】
1つの構成では、放射線は、ダクトの概ね長手方向に指向される。
【0058】
1つの構成では、放射線は、ダクトの長手方向に対してある角度で指向され、放射線は、ダクトの側壁における窓を通過する。
【0059】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射経路の大部分は、反応チャンバを境界付ける表面からの少なくとも10回、好ましくは100回よりも多い反射を含む。言い換えると、放射経路の大部分が、反応チャンバ内の容積に拘束され、放射経路が反応チャンバを出る前に、少なくとも10回、好ましくは100回よりも多く反射性の反応チャンバ表面に入射するように、反応チャンバの表面は構成されている。
【0060】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、反射表面は、その間に延在し反射が沿って通る少なくとも1つの中心光軸を画定し、反射の軌跡が中心軸に向かって移動するように、放射線の供給源は、反射表面の間の中心軸からオフセットされた位置に位置付けられている。
【0061】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射線供給源は、反射対の前記少なくとも1つの反射表面の一方の側に位置付けられている。
【0062】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、反射表面は、凹面鏡であり、放射線供給源の供給源は、少なくとも1つの凹面鏡上の位置に位置付けられており、放射線の前記供給源は、鏡の焦点距離の0.03倍未満の寸法を有する。
【0063】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、放射線供給源の供給源は、凹面鏡の焦点に位置付けられている。
【0064】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、反射後の各ビームと次のビームとの間のオフセットは、ビームが完全なカーテンを形成するように、ビームの幅よりも小さい。
【0065】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、反応性物質を受け入れるための入口ポートおよび生成物を排出するための出口ポートが設けられており、チャンバの内部から外部の箇所への電磁放射線の伝達を停止するように形成され形状を定められた吸収面が設けられている。この構成では、入口ポートおよび出口ポートは、反応チャンバの対称軸上にないことが好ましい。
【0066】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、チャンバ壁の少なくとも一部は、電磁放射線を拡散的に反射する。この特徴は、反応チャンバ内の放射線場の均一性を高める。経験的に、ほこり、製造上の欠陥、および小さなひっかき傷が、均一化目的のための十分な拡散散乱(数パーセント)をもたらすのに十分である。
【0067】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、反応性物質は流体流れに同伴され、流体は液体またはガスである。
【0068】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、電磁放射線は、UVC放射線であり、反応性物質は、細菌、ウイルス、原虫、蠕虫、酵母、カビ、または真菌のリストから選択される微生物であり、UVC放射線は、微生物を不活性化する。UVC放射線は、220nmから280nmの間の波長を有する放射線を含むことが好ましい。
【0069】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、電磁放射線は、反射表面間で主に前後に進むように少なくとも部分的にコリメートされる。
【0070】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、反応チャンバ中の反応性物質に電磁放射線を当てるための方法であって、
電磁放射線の所定の波長をチャンバの中に導入する工程と、
電磁放射線の振幅がしきい値を上回るための反応チャンバを通して電磁放射線の光路長を増加させるために、反応チャンバの反射表面からの多重反射を使用することによって、電磁放射線の反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
反応チャンバの少なくとも1つの反射表面が、高屈折率を有し、かつ所定の波長での放射線の低い吸収を有する物質の層で、少なくとも一部がコーティングされている金属反射壁を備え、
物質の層が、反射表面での放射線の反射率を金属層単独での値よりも大きな値に増加させるように選択された厚さを有する、方法が提供される。概して、電磁放射線の振幅は、Rとしてスケーリングされ、ここで、Rは有効反射率であり、Nは反射数である。反応チャンバ内の放射線場は、反応チャンバを小さな容積要素のアレイに分け、各容積要素内の経路振幅を合計することによって計算される。しきい値未満の振幅が、許容誤差量を超えて、容積要素内の計算された放射線場を変化させないように、しきい値振幅は、選択される。経験的に、1.0000の初期振幅について、0.0001のしきい値振幅が、うまく機能するとわかった。他のしきい値が使用されてもよい。この構成では、物質はZrOであることが好ましい。この構成では、高屈折率物質の厚さは、表面上の異なる箇所で変動することが好ましい。この構成では、高屈折率物質の厚さは、表面上の放射線の入射角に応じて、高屈折率物質の厚さがより大きな入射角の箇所で増加するように、表面上の異なる箇所で変動することが好ましい。この構成では、高屈折率物質は、金属壁が所定の値よりも大きな入射角の箇所でむき出しになるように、省略されることが好ましい。他の反射物質を使用することもできるが、壁はアルミニウムであることが好ましい。
【0071】
この構成では、物質は、金属壁に対して増加した硬度をもたらすことが好ましい。
【0072】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、半径方向に対称な供給源から放出された放射線を集めるための方法であって、
後首部および前方に突出する口部を画定する反射表面を各々有する、第1の放物面反射器ならびに第2の放物面反射器を設ける工程と、
第1の放物面反射器および第2の放物面反射器が首部で交差し、それぞれの反射表面がそれぞれの首部からそれぞれの口部まで延在するように、第1の放物面反射器および第2の放物面反射器を背中合わせに位置付ける工程と、
放射線供給源を各々の放物面反射器の焦点に位置付ける工程と、
各放物面反射器の口部から放出された放射線を集める工程とを含み、
各反射器の口部から離れる方向に供給源によって放出された放射線が、放射線が吸収されることになる供給源へ逆に反射されることを回避するように、他方の反射器に進入する、方法が提供される。この構成では、各反射器からの放射線は別個に集められることが好ましい。代替的に、両反射器からの放射線は、組み合わされて、共通の最終使用箇所に伝達される。
【0073】
この構成では、供給源および放物面反射器は、長手方向軸に対して対称であることが好ましい。
【0074】
この構成では、口部を超える方向に放出され、したがって反射表面を外れる放射線が再指向されるように、供給源から離間したその軸上の位置で各放物面反射器内に位置付けられた光学ガイド部材が、設けられていることが好ましい。この構成では、光学ガイド部材は、放物面反射器の軸に沿って放射線をコリメートするレンズであることが好ましい。代替的に、光学ガイド部材は、放射線を放物面反射器の一方または他方上に再指向する鏡である。
【0075】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、供給源は放射線の放出円筒形管である。
【0076】
上記で定義した本発明の態様は、拡張供給源について上記で説明した3つの制限に対する解決策を提供し得る。例示的な目的のために、本発明の方法は、例えばガス放電ランプまたは線状フィラメント放出放射線であってもよい円筒形供給源について説明される。本明細書で説明する方法は、より複雑な幾何形状を円筒または球などの単純な仮想面内に囲むことによって、または本明細書で説明する方法を複雑な形状の各容積要素に適用することによって、一般性の損失なくより複雑な幾何形状に適用され得、各容積要素は、円筒または球などの単純なプリミティブとして近似される。光供給源は、例えば、円筒に囲まれた穀物粒であってもよい。
【0077】
本発明の重要な特徴によれば、開口および電磁放射線の供給源が設けられており、電磁放射線の供給源の表面積は、開口の表面積以上であり、放射線供給源によって供給された放射線の少なくとも一部は、開口から離れるように指向される。具体的には、放射線供給源上または放射線供給源内の少なくとも1つの放射線の原点から開口の中心に指向されているベクトルと、その点からの少なくとも一部の放射線のベクトル方向との間の内積は0未満である。例えば、ガス放電管内の原子は、等しい確率で全方向に放射線を放出することができる。この場合、方向の半分は、原子から開口への方向とは反対の成分を有し、結果として0未満の内積を有する。例えば、穀物粒の表面上の点に対する表面法線は、表面点から開口への方向とは反対に指向され得る。この場合、前記表面点から散乱または反射したすべての放射線について、開口方向と放射線方向との間の内積は0未満である。
【0078】
上記で定義した本発明の1つの態様では、供給源の放出区域に対する立体角は、複数の領域に分けられ、光学指向手段は、各領域に別個に適用される。光学指向手段は、回折性、反射性、屈折性、またはそれらの任意の組合せであってもよい。光学指向手段は、フレネルレンズ、鏡、レンズ、導波路、またはそれらの任意の組合せなどの回折面を含み得る。各光学指向手段は、第1の区域を伴う入力面で放射フラックスを受容し、第2の区域を伴う出力面に前記放射フラックスを指向する。
【0079】
上記で定義した本発明の重要な特徴によれば、複数の集光アセンブリが設けられており、各集光アセンブリは、異なる範囲の立体角にわたって,入力面を通して放射線供給源からの放射線を受容し、少なくとも1つの集光アセンブリは、開口から離れる方向から少なくとも一部の放射を受容する。すなわち、少なくとも1つの収集アセンブリは、放射線方向と開口方向との内積が1未満である放射線を受容する。
【0080】
本明細書における光学アセンブリという用語は、(放射線供給源に近接した)入力面における放射エネルギーの第1の空間分布から、(開口に近接した)出力面における放射エネルギーの第2の空間分布へと放射エネルギーを伝送するように協働する、1つまたは複数の論理光学素子の組を指す。入力面および出力面は曲線状であり、物質界面に対応してもしなくてもよい。各論理光学素子は、物理光学素子に対応する。各物理光学素子は、複数の組の論理光学素子に含まれてもよい。すなわち、単一の物理光学素子が、複数の組の論理光学素子に対して同じ機能を実行してもよい。光学素子は、回折性、反射性、屈折性、またはそれらの任意の組合せであってもよい。
【0081】
単純な例は、180度離れた2つの光学収集アセンブリを伴う円形断面を有する円筒形放出体である。第1の収集アセンブリは、0度から180度の間の角度に放出されたフラックスを受容し、90度に指向された第1の(不完全な)コリメートビームを生成する。第2の収集アセンブリは、180度から360度の間の角度に放出されたフラックスを受容し、最初に、270度に指向された第2の(不完全な)コリメートビームを生成する。対応するビームの方向を180度回転させるためのプリズム、コーナーキューブ、または同様の光学素子を光学収集アセンブリのいずれかに含めることによって、第1のビームおよび第2のビームは、同一直線上にされることができる。この例では、フラックスのすべてが少なくとも不完全にコリメートされ、供給源に向かって反射されて吸収されるフラックスはない。しかしながら、収差は、指向手段内の光学素子によって許容される角度範囲とともに増加する。収差は、各光学収集アセンブリにおいて多数のレンズを使用することによって少なくとも部分的に補償することができるが、この手法ではコストおよび光損失の両方が増加する。したがって、放出角度範囲をより小さな角度範囲、例えば各々60度の6つの角度範囲に分けることが好ましい。
【0082】
上記で定義した本発明の重要な特徴によれば、複数の集光アセンブリは、放射線供給源からの放射を共通の光反応チャンバに指向する。いくつかの実施形態では、各集光アセンブリは、放射線供給源からの放射線を共通の光反応チャンバ上の別個のポートに指向する。いくつかの実施形態では、複数の集光アセンブリは、放射線供給源からの放射線を共通の光反応チャンバ上の共通のポートに指向する。
【0083】
上記で定義した本発明の重要な任意選択の特徴によれば、各論理集光アセンブリは、論理集光アセンブリの出力面における放射線の角度発散を低減するように動作する論理コリメーションサブアセンブリを含む。
【0084】
上記で定義した本発明の重要な任意選択の特徴によれば、複数の論理集光アセンブリは、同じ物理コリメーション光学アセンブリに対応する論理コリメーションサブアセンブリを含む。すなわち、物理的コリメーションアセンブリは、複数の論理収集アセンブリからの放射線を組み合わせ、収集アセンブリからの入力よりも角度発散が小さな放射線ビームを出力する。
【0085】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、1つまたは複数の病原体による潜在的な汚染の後に物体を除染するための方法であって、
病原体を不活性化するように構成されている放射線のビームを発生させる工程と、
物体にビームを当てる工程と、
異なる箇所における物体の特性に応じて、物体上の異なる箇所にビーム中の異なる線量の放射線を当てるように、ビームを制御する工程とを含む方法が提供される。
【0086】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームによって異なる箇所に当てられる異なる線量の放射線は、各箇所に存在する病原体の濃度、および病原体が各箇所から宿主種に伝達される確率に基づいて計算され、各箇所での線量は、箇所から宿主種への伝達の確率を最小化するように選択される。宿主種は、例えば人間であってもよい。
【0087】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームによって異なる箇所に当てられる異なる線量の放射線は、すべての箇所に対して利用可能な総線量と、各箇所に存在する病原体の濃度と、病原体が各箇所から宿主種に伝達される確率とに基づいて計算され、各箇所での線量は、総線量拘束を受ける箇所から宿主種への伝達の確率を最小化するように選択される。
【0088】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームによって異なる箇所に当てられる異なる線量の放射線は、各箇所に存在する病原体の濃度、および病原体が各箇所から宿主種に伝達される確率に基づいて計算され、各箇所での線量は、各箇所での病原体濃度を所定のしきい値濃度未満に低減するように選択される。
【0089】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各箇所での初期病原体濃度は、その箇所について以前に測定された病原体濃度に基づいて統計モデルによって推定され、線量は、初期病原体濃度を所定のしきい値未満に低減するように計算される。
【0090】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、各箇所についての所定のしきい値病原体濃度は、箇所から宿主種への伝達の確率に少なくとも部分的に基づく。各箇所についての伝達の確率は、その箇所についての経験的測定、または既知の伝達事例からの統計的推測に基づき得る。
【0091】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、その箇所での入射角の関数としての反射率、散乱、および吸収性に基づいて制御される。
【0092】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、その箇所における線量感度に関する情報に基づいて制御される。
【0093】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、その箇所および近接箇所での汚染の確率に基づいて制御される。
【0094】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、表面箇所と供給源との間の流体の温度、圧力、湿度、および分子組成のうちの少なくとも1つを測定するためのセンサが設けられる。
【0095】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、その箇所の汚染が接触によって箇所の第2の表面に伝達された確率に基づいて制御される。
【0096】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、その箇所の汚染が第2の表面に伝達されることができる確率に基づいて制御される。
【0097】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、ユーザからの病原体低減目標の入力に基づいて制御される。
【0098】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、制御システムからの命令およびフィードバックに応答して、ビームを移動させ配向する人間の操作者に基づいて制御される。
【0099】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、除染されるべき物体に対する制御された経路に沿って除染システムを誘導するロボットプラットフォームの位置に基づいて制御される。
【0100】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、除染されるべき物体に対するビームの位置および配向を測定するサブシステムに基づいて制御される。
【0101】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、測定された供給源強度に基づいて制御される。すなわち、供給源強度が測定され、放射線のしきい値線量をもたらすために、除染されるべき物体上の各箇所にビームが指向される時間が、放射線供給源強度に基づいて計算される。
【0102】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、ビームは、表面箇所から反射または散乱した放射線の測定値に基づいて制御される。すなわち、反射または散乱した放射線は、入射放射線の既知の割合であり、除染される物体上の各箇所にビームが指向される時間は、散乱または反射した測定された放射線と、散乱または反射した集められた放射線との既知の割合に基づいて、少なくともしきい値線量を送達するように計算される。いくつかの実施形態では、測定された放射線は、除染に使用される放射とは異なる波長を有してもよい。例えば、測定された放射線は、波長470nmの青色であってもよく、除染放射は、波長270nmのUVCであってもよい。
【0103】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、方法は、物体の少なくとも一部のマルチスペクトル画像を集める工程と、物体上の各箇所に対応するマルチスペクトル画像の領域を決定するようにマルチスペクトル画像を分析することによって、物体上の異なる箇所に存在する汚染のタイプを少なくとも部分的に決定する工程と、物体上の各箇所に存在する汚染のタイプを決定するために、各箇所に対応するマルチスペクトル画像の領域からのスペクトルを基準スペクトルと比較する工程と、箇所に存在する汚染のタイプに少なくとも部分的に基づいて、物体上の各箇所にビームを指向する工程とを含む。
【0104】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、方法は、照射前または照射後に表面箇所からサンプルを集めることを含み、集められたサンプルは生存可能な病原体について分析される。
【0105】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、撹拌器および収集器によって、照射の前または後に表面箇所からサンプルを集める方法が提供される。
【0106】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、撹拌器および収集器は、対象物の表面上の箇所を無作為にサンプリングするために使用され、集められた物質は、その箇所に存在する物質および汚染物質に関する詳細な情報をもたらすために分析される。
【0107】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、無作為に選択された箇所からの情報は、衛生化手順に関する体系的な問題を検出するための統計モデルを構築するために使用される。
【0108】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、無作為にサンプリングされた箇所からの情報は、箇所の関数としての汚染の確率を予測する統計モデルを構築するために使用される。
【0109】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、箇所依存確率は、UVC線量の割り当てを最適化するために使用される。
【0110】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、供給源の構成部品として、位置検証システムが設けられる。位置検証システムは、除染されるべき物体に対する供給源の位置および配向を決定するように動作する。
【0111】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、位置検証システムは、供給源の箇所および方向を時間の関数として追跡するためのソフトウェアとともに動作するカメラを備える。
【0112】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、複数のサンプル箇所は、位置検証システムによって供給源の箇所および配向を計算するために使用されるマーキングのパターンを含む。
【0113】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、位置検証システムは、供給源から表面箇所までの距離を測定するデバイスを含む。
【0114】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、情報は、操作者へのオーバーレイ画像上に表示され、オーバーレイ画像は、各箇所での必要な線量に対する各箇所で受容された線量のふさわしい表現とともに、除染されるべき表面の画像を包含する。
【0115】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、チャンバ中の液体流に電磁放射線を当てるための方法であって、
電磁放射線をチャンバの中に導入する工程と、
多重反射を使用して、反応チャンバ内の電磁放射線の光路長を増加させることによって、電磁放射線の反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
反応チャンバが、チャンバの少なくとも一対の対向する反射表面を含み、
反射表面からの反射の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%または90%が、鏡面反射であり、
反射表面の各対の少なくとも一方が、凹面鏡であり、
反射表面の各対が、反射表面によって画定される容積内で、反射表面の間で行き来する電磁放射線の反射を引き起こすように構成されており、
チャンバが、液体の供給源への取付け用の取付具アダプタである、方法が提供される。
【0116】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、アダプタは分配ノズルを備える。
【0117】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、アダプタは、異なる供給源への取付け用に構成されている1つまたは複数のカップリングを含む。例えば、アダプタは、ねじ部、プレスばめ、またはクリップを含み得る。
【0118】
上記の定義または本明細書で定義される他の特徴とともに使用することができる1つの任意選択的な特徴によれば、アダプタはフィルタを含む。
【0119】
独立して、または本明細書で説明する他の特徴のいずれかと組み合わせて使用することができる本発明の1つの態様によれば、チャンバ中の液体流に電磁放射線を当てるための方法であって、
電磁放射線をチャンバの中に導入する工程と、
多重反射を使用して反応チャンバを通る電磁放射線の光路長を増加させることによって、電磁放射線の反応性物質との相互作用の確率を増加させる工程とを含み、
チャンバが、液体の供給源への取付け用のフィルタとの関連付けに構成されている、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】従来技術の放物面反射器の概略断面図である。
図2】レンズによって円筒形供給源から単一方向に指向される放射線の概略断面図である。
図3】レンズのアレイおよび鏡によって円筒形供給源から単一方向に指向される放射線の概略断面図である。
図4A】管内の対象物によって散乱された放射線を集めるための構成の概略側面図である。
図4B】管中の対象物によって半径方向に反射および散乱された放射線を、導波路によって単一方向に集めるための構成の概略側面図である。
図5】放射線を管内の対象物上に指向し、測定のために反射および散乱した放射線を集めるための構成の概略図である。
図6A】複合放物面反射器およびレンズによって、円筒形供給源からの単一方向に放射線を指向するための構成の概略断面図である。
図6B図6Aの複合放物面反射器およびレンズによって、円筒形供給源から2つの方向に放射線を指向するための構成の概略断面図である。
図7図6Aの複合放物面反射器を用いて、2つのポートを通じて、円筒形放射線供給源から光化学反応チャンバの中に放射線を指向するための構成の概略断面図である。
図8図7の放電構成を使用することができ、または凹面反射鏡のうちの1つの焦点で円筒形供給源を使用することができる流体流れのためのチャンバの中に、放射線を指向するための構成の概略断面図である。
図8A図8と同様の構成の、流体流れのためのチャンバの中に放射線を指向するための代替的な構成の代替的な概略断面図である。
図9】壁がZrO2の反射層でコーティングされている本発明によるさらなる態様を示す、図8または図8Aのチャンバの壁の一部分を通った断面図である。
図10】壁がZrO2の反射層でコーティングされている図9の構成の反射率に対する効果を示すグラフである。
図11】異なる乗客による使用間に車両シートなどの物体の除染を行うための図3の指向性除染ビームを用いた構成を示す図である。
図12図11の構成の制御システムの動作を示すフローチャートである。
図13図11の構成の制御システムの動作を示すフローチャートである。
図14】水流を殺菌するための構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1は、従来技術の放物面反射器の特性を概略的に示す。半径がrである半径方向に対称な放射線供給源1は、放物面反射器2の焦点Fに位置決めされている。頂点Vから焦点Fまでの距離はfであり、fの単位で表される頂点Vから縁部Dまでの放物面反射器の高さはnfであり、nは1よりも大きな実数である。放射線供給源1から半径方向に放出された光線は、放物面反射器2によって放物面軸Nに平行に反射される。点AFBによって画定されている角度2α内で半径方向に放出された光線は、放物面反射器2によって放射線供給源1に反射され、吸収を受ける。半径方向に対称な供給源の場合、吸収に対する損失エネルギーの割合は、kα/πであり、ここで、kは幾何学的に平均化された吸収定数であり、
α=tan-1(r/f)
である。
【0122】
放射線供給源1によって点CFDによって画定されている角度2βの中に半径方向に放出された光線は、放物面反射器2に入射せず、したがって放物面軸Nの方向にコリメートされない。角度βは、
β=tan-1[2n1/2/(n-1)]
によって与えられる。
【0123】
放射線供給源1から放出され、点AFCによって画定されている角度γ=π-α-βで放物面反射器に入射する光線は、放物面軸Nに実質的に平行に反射される。
【0124】
放射線供給源1の内側の一般点Gについて、線FEに沿って半径方向に放出された光線は、3に示すように放物面軸Nに平行に反射され、放物面反射器上の一般点Hに向かって放出された光線は、Nの一般方向に反射される。比r/fが増加するにつれて、Nの方向からの角度発散δは概ね増加する。したがって、r/fが小さい場合、光線は良好にコリメートされ、r/fが大きい場合、コリメートは不良である。放物面軸Nに概ね平行な光線は、開口の中心の点に結像される完全にコリメートされた光線と、開口の中心から次第に遠くに結像される角度発散δが増加する光線とによって、開口平面上に像を形成するように集束され得る。開口に集束されない割合は、関数h(r/f)である。すなわち、必要な開口サイズは、角度発散およびr/f比とともに増加する。さらに、角度2βの中に放出される光線の大部分は、放物面軸Nからの大きな発散を有する。角度2β中の光線は開口上に結像され得るが、集束素子の焦点距離は、角度γの光線を開口上に結像するために必要な焦点距離とは異なる。したがって、従来技術のシステムの総光学損失はおおよそ、
損失=(α+β+h(r/f)γ)/π
である。
【0125】
以下で議論する本発明の構成は、α項およびβ項を排除し、γ項の大きさを低減する。
【0126】
図2は、全体として10で示されている本発明の6つの光学実施形態を概略的に示す。すなわち、単一の図面において、6つの異なる選択肢が供給源の軸の周りの6つの箇所に示されている。実際のところ、実際の実施形態は各箇所で同じ選択肢を使用するが、図示の便宜上、このことは各選択肢の別個の図として含まれない。
【0127】
円筒形の管放出体11は、図示の平面に垂直な軸12を有し、透明な入れ物13によって境界付けられている。入れ物13は、16に示すように放射線を管放出体11の中に逆に反射する、光学領域15の交差部に位置決めされた反射区画14を含み得る。管放出体11は、6つの光学レンズ21、22、23、24、25および26によって取り囲まれている。レンズは、フレネル反射損失を低減するために、反射防止コーティングされていることが好ましい。例示の便宜上、各レンズは等しい角度に対するが、対する角度が等しいという要件はない。いくつかの実施形態では、各々対する角度は異なり得る。
【0128】
レンズ21は、供給源11からの放射線を受容し、チャンバ壁29の開口28を直接通過するコリメートビーム27を形成する円筒形レンズであり得る。円筒形レンズは、製作が簡単であり、光軸近傍に入射する放射線を良好にコリメートするが、縁部で収差が生じる。図示のように、光軸近傍に入射する放射パワーはコリメートされ、ビーム27はチャンバ30へと開口28を直接通過する。27Aで示されているビーム27の幅は、管放出体11の直径よりも小さい。いくつかの実施形態では、14に示すように、反射コーティングが、2つのレンズセクタ15間の接合部近傍の小さな領域にわたって、管放出体11上にまたは近接して配置され得る。反射領域14は、収差により光学素子の外周の開口上に適切に集束されない放射線を遮断するのにちょうど十分な角度範囲を有する。反射領域14によって反射されたパワーの何分の1かは、無作為な方向に再放出され、開口に適切に集束される方向に再放出される確率が高い。収差を補正するように設計されたレンズを使用する実施形態では、反射領域は省略され得る。
【0129】
レンズ22は、円筒管放出体11から放射パワーを集め、折畳み鏡32上に入射するコリメートビーム31を指向する。折畳み鏡32は、コリメートビームを、チャンバ壁29に垂直な所望の光軸に沿って集束レンズ33上に再指向する。集束レンズ33は、開口34を通してコリメートされたビームを集束し、開口34を通過する放射線は、レンズ35によって再コリメートされ、コリメートされたビーム36としてチャンバ30に進入する。再コリメートされたビーム36のビーム直径は、ビーム31のビーム直径の何分の1かであり、放出管11の直径よりも小さい。すなわち、レンズ22の方向での管101からの放出は、放出体管11の寸法よりも実質的に小さな区域に圧縮される。ビーム36のビーム発散は、ビーム直径31対ビーム直径36の比に比例して大きくなることに留意されたい。開口34およびチャンバ30が、本発明者による上記で引用されたMPS特許に記載されている殺菌のための反応チャンバの要素である実施形態では、ビーム発散の増加によって、放射線がチャンバ内で開口34を通して逆に反射される確率が低減する限り、しきい値未満のビーム発散は、許容可能であり、わずかに有利でさえある。しきい値ビーム発散は、開口34を通過するビームの放射パワーの大部分が反応チャンバ30の高反射凹面端鏡(図示せず)上に直接入射するように、選択される。凹面端鏡に入射する放射性パワーは、チャンバ光軸に主に沿って伝播するように、チャンバ幾何形状によって拘束される。
【0130】
マルチレンズシステムが、収差を補正し、増加した角度範囲にわたって入射する放射パワーをコリメートするために使用される場合があることを、レンズ23および23Bは概略的に示す。23Cおよび23Dに示すように、レンズ23の表面は非円筒形である。レンズ面23Cおよび23Dは、開口数を増加させ、かつコリメートされた放射線の角度発散を低減するために、追加のレンズ23Bと協働するように形状を定められている。コリメートされたビーム37は、上記で説明したレンズ22で始まる光路について示されているように、例えば折畳み鏡(図示せず)を用いて開口を通して指向されてもよい。
【0131】
レンズ24ならびに凹面鏡38および39は、小開口を通して放射線を投射するための、レンズ22で示されている構成に対する代替的な構成を概略的に示す。レンズ24は、円筒レンズよりも広い角度範囲にわたって、放射パワーを許容しコリメートするように形状を定められている。凹面鏡38は、レンズ24によって集められコリメートされた放射線を集束させ、集束された放射線は、凹面鏡39によって再コリメートされて、開口41をチャンバ30へと通過するコリメートビーム40を形成する。図示の構成では、凹面鏡38および39は、放射線ビームの方向を180度回転させ、かつビーム直径をそれらの焦点距離の比での1倍未満に拡大するように動作する。鏡38および39は、上記で引用されたMPS出願に記載されているように、平均入射角(図示のように45度)に対して最適化された反射率を有する高反射率誘電体鏡であることが好ましい。異なる入射角は、異なる入射角に対して最適化された誘電体鏡とともに使用され得る。
【0132】
レンズ25は、放出体管11から変位され、42に示すようにセクタの60度の角度全体に対する。放出体管とレンズとの間の距離を増加させることにより、より長い焦点距離のレンズが、より少ない縁部での収差で使用され得る。レンズ25は、放出体管11の直径よりも大きな幅を有するコリメートビーム43を生成する。ビーム43は、直径が低減され得、次いで、レンズ22および24から始まる光路について示されているように、開口を通して指向され得る。具体的には、平面鏡32は、(不完全な)コリメートビーム31の幅を幾何学的に低減するように配向される。凹面鏡38および39は、レンズ24からの(不完全な)コリメートビームを1未満の拡大率で拡大するように機能する。
【0133】
レンズ26は、放出体管11からの放射パワーを集め、コリメートされた放射線を光ファイバアレイ44上に指向する。個別の光学ファイバは、放射線をチャンバ壁29上の任意の箇所に伝達し得る。第1の光ファイバ実施形態では、コリメートされた放射線は、46でファイバ45に進入し、チャンバ30に伝達され、そこで放射は、47に示すようにファイバ開口数に対応する角度発散で放出される。この場合、チャンバ30に送達される放射線の角度発散は、適当な開口数ファイバを選択することによって制御されることができる。第2の光ファイバの実施形態では、コリメートされた放射線は、ファイバ48に進入し、49において、ファイバ48の開口数によって決定される角度発散で放出される。49において放出された放射線は、ボールレンズ50によって再コリメートされ、コリメートビーム51がチャンバ30に進入する。この場合、チャンバでのコリメーションがボールレンズによって決定されるため、より大きな開口数のファイバが選択され得る。
【0134】
したがって、図2の実施形態は、供給源11によって画定された三次元物体から放出された放射線を集めるための方法を提供し、物体によって放出された放射線は、複数の光学指向構成部品21~26で集められ、各光学指向構成部品は、前記三次元物体によって放射線が放出される立体角の2分の1以下に対する。
【0135】
図示のように、物体または供給源11は、対称軸を有し、光学指向構成部品21~26は、軸に対して対称的に構成されている。
【0136】
図示のように、集められた放射線は、少なくとも1つの開口41に指向されており、開口の面積は、三次元物体の表面積よりも小さい。
【0137】
図示のように、複数の開口が存在することができ、組み合わされた開口の総面積は、放射線供給源の表面積よりも小さい。
【0138】
図示のように、各光学指向構成部品は、前記三次元物体によって放射線が放出される立体角の3分の1以下に対する。
【0139】
図示のように、各光学指向構成部品は、前記三次元物体によって放射線が放出される立体角の1/6以下に対する。
【0140】
図示のように、物体の周りには6つの等角度光学指向構成部品がある。
【0141】
図3は、供給源11から放出、散乱、または反射された放射線の実質的にすべてを、70に示すように一方向に指向するために使用される対称構成を示す。レンズ61、62、63、64、65および66のアレイ60は、供給源11の軸12の周りに等しい角度刻みで半径方向に構成されている。例示の目的で、6つのレンズのアレイが示されている。レンズの枚数は、3枚程度であってもよく、36枚以上であってもよい。アレイ内のレンズの枚数は、6から12の間であることが好ましい。レンズは、支持構造体(図示せず)に当接して装着された別個の部品であってもよく、または単一の部品として製作されてもよい。レンズアレイ60は、フレーム67に装着されることが好ましい。フレーム67は、レンズアレイ60を軸11の周りの中心に置き、供給源11にアクセスし維持する目的で、軸12に沿った並進を可能にする。各レンズは、供給源11の半径の2倍から3倍の間である軸11からの半径方向距離に位置決めされることが好ましい。半径方向距離が増加すると、各レンズ軸に対する光線の角度発散が減少して、各レンズの出力ビームのコリメーションの改善につながる。レンズアレイ60の半径が増加するにつれて、必要なレンズ物質の容積が増加して、より高いコストにつながる。経験的に、角度発散とコストとの間を構成する最善は、供給源半径の約2.4倍のレンズアレイ半径である。
【0142】
各レンズはコリメートビームを生成する。レンズ66は、レンズ66に入射する光線よりも角度発散が小さなコリメートビーム68を生成する。図示の実施形態では、ビーム68中の光線は、ほぼ平行である。代替の実施形態(図示せず)では、ビーム68中の光線は収束し得、第2の光学素子、例えば鏡は、より小さな幅のビームを生成するように設計された曲率および位置でビーム軸に沿って位置決めされる。ビーム幅の減少は、鏡とレンズとの焦点距離の比に比例する。レンズ61は、供給源11からの放射線を受容し、鏡72に入射するコリメートビーム68Aを生成し、軸70の方向に反射ビーム69を生成する。鏡76およびレンズ65は、対称であり、レンズ61および鏡72と等価である。同様に、レンズ62および64は、鏡73および75に、(図示のように)増加したビーム幅を生成する対称の対を形成する。この対は、レンズおよび鏡曲率が相互作用して、ビーム幅がより小さなビームを生成する第2の実施形態におけるものであることが好ましい。図示のように、レンズ63からのビームは、軸70に対して逆平行であり、その方向は、2つの折畳み鏡74および71を用いて軸70と位置合わせされる。したがって、供給源11からの放射線は6つの部分に分けられ、各部分はコリメートされ、軸70と位置合わせされる。実際のところ、図示の構成は、供給源11からの放射線の50%または80%または90%超を5度未満の発散で軸70と位置合わせする。比較すると、従来技術の放物面反射器は、放射線のおよそ55%を軸の5度以内にコリメートする。
【0143】
いくつかの実施形態では、図3の構成によって生成された指向性ビームは、供給源11によって生成された放射線への曝露を、画定された区域に集中させるために使用され得る。例えば、指向性ビームは、ビーム軸70に対する高さが可変の表面を除染するために使用される紫外放射線であってもよい。図示の構成では、受容される線量は、実質的に高さに依存しない(大気吸収および残留ビーム発散を無視する)。構成は、例えば、輸送車両中のシートを衛生的にするために使用され得る。例えば、図3の構成は、その後の分光分析のために、サンプル物質上に投射された赤外線供給源からの放射フラックスを増加させるために使用され得る。サンプル物質は、例えば穀物粒であり得る。分光分析は、本発明者による上記で引用されたHEMS特許に基づく分光計によって行われることが好ましい。この場合、増加した光子効率は、HEMS分光計の増加した光子効率と組み合わされて、信号対雑音比の改善を与える。
【0144】
代替の実施形態では、図3に示す構成は、開口を通して6つのビームを集束させるレンズまたは鏡(図示せず)などの集束素子をさらに含む。開口は、例えば、本発明者による上記で引用されたMPS特許で議論されているように、光化学反応チャンバの壁にあってもよい。
【0145】
図4Aは、管内の対象物を照明し、対象物から散乱および反射した放射線を集めるための構成の側面図を示す。管は、例えば、穀物粒を運ぶ管であってもよい。穀粒80は、透明の円筒形管81に包囲されており、82に示すように管軸の方向に進む。管は例えば、石英、溶融シリカまたはサファイアであってもよい。穀粒は、83に示すように管軸に沿ったプローブ放射線によって照明され得、反射および散乱した放射線84は導波路91に入射する。プローブ放射線は、例えば、石英、溶融シリカまたはサファイアを伝達する0.8ミクロンから3ミクロンの間の波長の近赤外放射であってもよい。代わりに、プローブ放射線85は、角度86で管81に入射し、管壁を通過し、穀粒80に入射してもよい。穀粒80から散乱または反射した放射線87は、導波路94に入射する。導波路91および94に入射した放射線は、測定のための共通の出力ポートに伝達される。
【0146】
図4Bは、軸402に対して半径方向に対称な放射線供給源401を伴う、全体として400で示されている構成を示す。放射線供給源401は、6つの導波路411、412、413、414、415および416によって当接されている。この6つの導波路は、等しい角度で離間されており、供給源401を完全に取り囲む六角形のリングを形成する。導波路は、任意選択的に、設計波長の範囲について導波路界面でのフレネル反射を低減するように設計されている反射防止コーティング421を含む。例えば、放射線供給源401は、およそ256nmの波長を中心とした放射線を放出する水銀蒸気ガス放電管であってもよい。例えば、導波路は、256nmでおよそ1.498の屈折率を有する溶融シリカ(SiO)で製作されてもよい。すべての入射角で供給源から入射する放射線は、導波路の中に屈折し、屈折した放射線はすべて、導波路の曲率がしきい値未満に保たれるという条件で、臨界角を超えて導波路側壁422に入射する。図4Bに示すように、導波路412、413、414、415および416は、共通の出力平面430まで湾曲経路をたどる。図示の導波路曲率は、例示の目的のためだけに、しきい値よりも大きい。実際の実施形態では、曲率は、全内部反射が発生し、かつ放射エネルギーが損失なく放射線供給源から平面430に伝達されるように、しきい値未満に保たれる。各導波路の断面積が(製造公差内で)実質的に一定である実施形態では、導波路軸に対する光線角度の分布は、入力(供給源)端部と出力(平面430)端部とで同じである。導波路の数が増加するにつれて、各導波路に入射する光線角度の分布は、より低い角度にシフトする。言い換えれば、導波路の数が増加するにつれて、各導波路における平均方向からの角度発散は減少する(各導波路に対する供給源の角度範囲は減少する)。平面430における導波路端部を通して放出された放射線は、レンズ431によって焦点432を通して開口434上に集束される。開口434に配置されているレンズ433は、435に示されているように、光反応チャンバ440に放出される放射線の角度発散を低減する。
【0147】
図4Bに示す構成は、供給源からの光を照合および指向するために示されている一方、図4Aのように、観察されるべき対象物によって放出、反射、または散乱された光とともに使用することもできる。
【0148】
したがって、図2および図3では、三次元供給源11から放出された放射線を集めるための方法が提供されており、放射線供給源11によって放出された放射線は、放射線供給源の周りに角度方向に離間した位置に配置されている図2の複数の光学指向構成部品21~26および図3の61~66によって集められる。集められた放射線は、いくつもの任意選択的な構成のうちの1つによって、1つまたは複数の最終使用箇所に伝達される。
【0149】
各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放射線が放出される立体角の2分の1以下に対し、これにより、集められた放射線は、1つまたは複数の設計波長について、物体によって放出された放射線の60%より大きいことが可能になる。いくつかの構成では、これにより、1つまたは複数の設計波長について、供給源11からの放射線の50%または80%または90%を5度未満の発散で軸70と位置合わせすることが可能になる。
【0150】
典型的には、物体は、対称軸を有し、光学指向構成部品21~26は、軸に対して対称的に構成されている。
【0151】
場合によっては、集められた放射線は、単一の開口41に指向されており、開口の面積は、三次元物体の表面積よりも小さい。
【0152】
他の場合では、放射線は、複数の開口に指向されており、組み合わされた開口の面積は、放射線供給源の表面積よりも小さい。
【0153】
図2に示すように、各光学指向構成部品は、前記三次元物体によって放射線が放出される立体角の3分の1以下に対する。特に、各光学指向構成部品は、前記三次元物体によって放射線が放出される立体角の1/6以下に対する。このようにして、物体の周りには6つの等角度光学指向構成部品がある。
【0154】
したがって、図4Aおよび図5では、三次元物体を観察するための方法であって、物体が経路に沿って移動し、経路を移動中の物体に照明放射線が当てられる、方法が提供される。
【0155】
物体によって反射された放射線は、複数の光学指向構成部品によって集められ、光学指向構成部品は、経路の周りの角度方向に離間した位置に配置されており、各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放射線が反射される立体角の2分の1以下に対する。
【0156】
上記のように、各光学指向構成部品は、前記三次元放射体によって放射線が反射される立体角の3分の1以下、典型的には、前記物体によって放出された放射線立体角の1/6以下に対する。このようにして、経路の周りには6つの等角度光学指向構成部品がある。
【0157】
図5は、管101に沿って通過する観察されるべき単体化された対象物100上に放射線を指向し、かつ測定のために対象物から反射および散乱した放射線を集めるための、図4Aと同様のさらなる構成を示す。この実施形態では、対象物は100で示されており、対象物上へ半径方向に指向された3つのビーム117、118および119によって照明される。各ビーム117、118および119は、それぞれの光ガイド111B、112Bおよび113Bによって供給される。それぞれの光ガイド111B、112Bおよび113Bは、例えば図4の導波路411、412および413に対応してもよい一組の分割供給源111A、112Aおよび113Aからの光を搬送する。代わりに、分割された供給源111A、112A、および113Aは各々、ふさわしい別個の供給源によって発生させられてもよい。光ガイド111B、112Bおよび113Bは、終端部(図示せず)にコリメーションレンズを含み得る。ガイドは、管101の周りに120度離間して位置付けられている。ガイドは、角度寸法よりも大きな長さを管に沿って有するような、シートであることができる。各ビームは、これにより、管の表面から半径方向に内方へ突出して、対象物が優先的に位置付けられている管の軸を通過する。各ビームは、吸収物質を形成するそれぞれのビームストップ114、115、116で終端し、その結果、管の他方の側まで対象物を通過する放射線は、反射または散乱されるのではなく、収集のために吸収される。ビーム117、118および119の完全なコリメーションが望ましいが、これは実用的ではない。光学素子111B、112B、および113Bは、ビーム発散をしきい値角度未満に保つように設計および製作される。しきい値角度は、例えば3から5度の範囲にあってもよい。図示のように、ビームは僅かに発散するので、ストップに対する角度は、それぞれの放出ガイドに対する角度よりも大きい。
【0158】
対象物から放出された光は、光ガイドを通して、分光計120の入力部121B~126Bに光を搬送する6つのコレクタ121A~126Aによって集められる。分光計は、例えば、本発明者による上記で引用されたHEMS構成であってもよい。
【0159】
したがって、コレクタは、放出されたとそれぞれのビームストップとの間の空間を充填し、その結果、光は、放出体およびビームストップに対する角度から離れた360度全周に集められる。
【0160】
図6A図6B、および図7は、2つの放物面反射器を背中合わせのアレイで使用する供給源とともに使用するための別の構成を示す。供給源は、典型的には、管などの細長いものである。
【0161】
図6Aは、全体として200で示されている、半径方向に対称な放射線供給源からの放射線を開口を通してコリメートおよび指向するための構成を示す。放射線供給源201は、軸202に対して半径方向に対称であり、放物面反射器211および放物面反射器212の焦点に位置付けられている。放射線供給源201は、例えば、円筒形のガス放電電球であってもよい。放物面反射器211は、電球軸202に垂直な軸211Aを有する。同様に、放物面反射器は、電球軸202に垂直な放物面軸212Aを有する。放物面反射器211および212は、首部210で交差し、それぞれの反射表面は、共通の首部210から2つの別個の口部211Mおよび212Mまでそれぞれ延在する。いずれの放物面反射器も、放物面頂点と首部210との間に表面を有していない。205に示すように、供給源201によって放出された光線であって、首部210と口部211Mとの間の角度208以内の任意の点で放物面反射器211と交差する光線は、放物面軸211Aの一般的方向にコリメートされる。角度208は、電球中心と首部との間の線から、電球中心と放物面口部211Mとの間の線まで延在することに留意されたい。コリメーションは、放物面反射器211の焦点と、放物面反射器211との交点との間の直線上の点で放出される光線についてのみ完全である。焦点と一直線にない供給源点から放物面反射器211に入射する光線は、放物面軸211Aを中心とする小さな角度範囲内でのみ、おおよそコリメートされる。209で示されているような、放物面軸211Aと焦点202から口部211Mまでの線との間の角度範囲に放出される光線は、追加のレンズ213に入射する。レンズ213は、例えば、光軸が放物面軸211Aに平行であり、高さ軸が電球軸202に平行かつ電球軸202と同一の広がりを持つ、円筒形レンズであり得る。レンズ213は、電球中心202からレンズ213の焦点距離だけ変位し、結果として、放物面軸211Aに概ね平行な入射光線をコリメートする。供給源201内の中心軸202およびレンズ213からの線に沿った点から放出された光線は、(理想的なレンズの場合)完全にコリメートされる。供給源201内の他の点から放出されレンズ213に入射する光線は、放物面軸211Aに近い小さな角度範囲内に指向される。放物面軸211Aから首部210までの半角208および209は、合計で90度であり、したがって、放物面反射器211およびレンズ213は、主に放物面軸211Aの方向に180度の角度範囲へと放出された入射放射線を受容し、ビーム224としてコリメートする。半径方向に対称な供給源201の半径に対して、放物面およびレンズ焦点距離を選択することによって、ビーム224の角度発散は、選択されたしきい値未満に保たれることができる。
【0162】
図6Aの構成は対称である。供給源201によって放出され放物面反射器212に入射する光線は、ビーム225として、主に放物面軸212Aの方向にコリメートされる。供給源201によって放出されレンズ214に入射する光線は、ビーム225として、主に放物面軸212Aの方向にコリメートされる。したがって、放物面軸212Aの方向にコリメートされた放射は、放射線供給源201から180度の角度範囲から受容される。したがって、放射線供給源201によって放出された放射線の実質的にすべてが、半分はビーム224として放物面軸211Aの方向に、半分はビーム225として放物面軸212Aの方向にコリメートされる。放物面軸212Aの方向にコリメートされた放射線ビーム225は、折畳み鏡215および216によって反射されて、放物面軸211Aに平行で放物面軸211Aから横方向に変位したビーム226を形成する。横方向に変位したビーム226および224は、レンズ217によって組み合わされ、焦点220においてレンズ219に対して縮尺された供給源に集束される。219で縮尺された供給源は、供給源201(およびその裏側)の像を、1未満の拡大率Mで縮尺したものである。任意選択的に、レンズ218は、示されている図に垂直な供給源軸202の方向における角度発散を低減するように動作する円筒形レンズである。図示のように、レンズ219は、壁223の開口221を通して入射放射線をコリメートして、ビーム222を形成する。ビーム222の角度発散は、レンズ217に入射するビームの角度発散に対して1/Mだけ増加する。したがって、レンズ217および219の焦点距離は、ビーム222の角度発散をしきい値未満に保つように選択される。
【0163】
図6Bは、半径方向に対称な供給源からの放射線の一部を、複数の開口236、239および242を通して指向するための構成を示す。放物面反射器211および212、ならびにレンズ213および214は、図2Aに示す構成と同一であり、ビーム224および225を生成する。図6Bでは、ビーム224は、レンズ231によって集束されて、壁240における開口239にレンズ238用の像を形成する。レンズ238は、像からの放射線をコリメートして、ビーム241を形成する。レンズ231および238の焦点距離は、ビーム241の角度発散をしきい値未満に保つように選択される。ビーム225は、凹面反射器232に入射し、凹面反射器232は、入射した放射線を凹面反射器233上に集束させ、凹面反射器233は、凹面反射器232および233の焦点距離の比によって与えられる拡大率で、放射線を再コリメートする。得られたコリメートビームの一部は、ビーム236として、壁235における開口234を通して指向される。得られたコリメートビームの一部は、光ファイバ237に入射し、光ファイバ237を通して、壁235における開口242に伝達される。
【0164】
図7は、首部210で接続されており、供給源202を包含する背中合わせの放物面211および212の同じ構成を示す。この実施形態では、2つの放物面からの放射線は、それぞれの開口で集束される光線をコリメートするように軸外の放物面シートとして形状を定められている湾曲鏡256および257を用いて、放射線をそれぞれ再指向することによって、開口251および252を通して反応チャンバ253および254の中に指向される。
【0165】
図7では、レンズ213、214は、頂角が供給源に向かっている二等辺三角形として形状を定められた鏡243、244に交換されている。反射三角形244は、角度A中に放出された放射線を遮断し、遮断された放射線を反射放物面212に向かって反射する。同様に、反射三角形243は、放射線を反射放物面211に向かって反射する。角度Aは、それぞれの放物面口部および軸202によって画定されている角度である。反射三角形は、放物面に向かって反射される放射線が放射線供給源近傍の点から来るように、放射線供給源201に可能な限り近くに配置されている。これは、放物面によってコリメートされた放射線の角度発散を最小化する。経験的に、100度から120度の間の三角形の頂角が、13度未満の角度発散でコリメートされる放射線の割合を最適化することがわかった。
【0166】
したがって、図6Aおよび図6Bの構成は、半径方向に対称な放射線供給源から放出された放射線を集めるための方法を提供する。本方法は、後首部210を画定する反射表面と、前方に突出する口部211Mおよび212Mとを各々有する、第1の放物面反射器211ならびに第2の放物面反射器212を設けることを含み、第1の放物面反射器および第2の放物面反射器は、それらが首部で交差し、それぞれの反射表面がそれぞれの首部からそれぞれの口部まで延在するように、背中合わせに構成されている。
【0167】
放射線供給源201は、各放物面反射器の焦点に位置付けられており、各放物面反射器の口部から放出された放射線は、集められ、供給源によって各反射器211、212の口部から離れる方向に放出された放射線は、反射される放射が供給源へ逆に吸収されることを回避するように、他の反射器212、211に進入する。
【0168】
図6Bでは、各反射器からの放射線は別個に集められる。
【0169】
図6Aでは、両反射器からの放射線が照合されて、共通の最終使用箇所に伝達される。
【0170】
供給源および放物面反射器は、長手方向軸に対して対称である。
【0171】
各放物面において、口部を超える方向に放出され、したがって反射表面を外れる放射線が再指向されるように、供給源から離間したその軸上の位置で各放物面反射器内に位置付けられた光学ガイド部材213、205が、設けられている。
【0172】
図6Aおよび図6Bにおいて、光学ガイド部材は、放物面反射器の軸に沿って放射線をコリメートするレンズである。
【0173】
図7では、光学ガイド部材は、放射線を放物面反射器の一方または他方上に再指向する鏡である。
【0174】
図6Aでは、集められた放射線は、少なくとも1つの開口に指向されており、開口の面積は、供給源の表面積よりも小さい。
【0175】
図6Bおよび図7において、複数の開口があり、組み合わされた開口の面積は、放射線供給源の表面積よりも小さい。
【0176】
図8は、反応チャンバ中の反応性物質へと電磁放射線を指向するための方法の概略断面図である。この実施形態では、チャンバは、例えば、流体が拘束されて通るダクトであり、電磁放射線は、流体中の物質を殺菌するように構成されている典型的には220nmから280nmの間の波長のUVC光であることができる。
【0177】
このタイプの構成は、このさらなる詳細を参照することができるように、上記で引用されたMPS出願に詳細に記載されている。
【0178】
上記の出願に記載されているように、電磁放射線の振幅がしきい値を超過した状態で、高反射表面からの多重反射を使用して反応チャンバを通る電磁放射線の光路長を増加させることによって、電磁放射線の反応性物質との相互作用の確率が増加する。反応チャンバの容積要素内のエネルギー密度は、容積要素における各経路長によって重み付けされた容積要素を通過する放射経路の振幅を合計することによって得られる。しきい値は、しきい値未満の振幅の合計が、エネルギー密度合計を許容誤差値よりも大きく改変しないように選択される。経験的に、初期電磁放射線振幅の0.01%のしきい値がうまく機能するとわかった。相互作用の確率は、各容積要素のエネルギー密度に比例し、したがって電磁放射線の経路長と相関する。また、説明したように、反応チャンバ8Aは、チャンバの一対の対向する反射表面8Bおよび8Cを含み、反射表面の各対の少なくとも一方、典型的には両方は、凹面鏡である。表面8Bおよび8Cは、反射表面によって画定される容積の中で反射表面の間で行き来する電磁放射を発生させるように各対の表面に対して配置された放射線の供給源8Dまたは8Eと協働する。表面8Bおよび8Cは、表面間で前後に反射される電磁放射線の振幅が、少なくとも10回、好ましくは100回よりも多くの鏡面反射にわたってしきい値振幅を上回ったままであるように、滑らかで高反射性にされている。電磁放射線が表面間のエネルギー密度に寄与する経路長は、おおよそ表面8Bと表面8Cとの間の距離に反射回数をかけたものとなる。供給源は、8Dで示すように表面のうちの一方(8Bまたは8C)上にまたはそれに隣接して位置付けられることができ、あるいは8Eで示すように表面の焦点に位置することができる。
【0179】
反射表面8Bおよび8Cは、反射表面の一方の側に容積の第1の側面8Fを画定し、かつ反射表面の対向する側に容積の第2の側面8Gを画定するように互いに離間されている。
【0180】
図8に示すように、この実施形態では、完全なチャンバ8Aは、並んで構成されるように積層された対によって画定される複数のこれらのチャンバ8H、8I、8J、8Kによって画定される。このようにして、チャンバ8Hの側面8Gは、次の隣接するチャンバ8Iの側面と一致し、それらの間で開いており、その結果、1つの容積8Hの側面8Gを通って逃れる放射線が、次の隣接する容積8Iの側面に進入する。この構成は、各サブチャンバが開放側で次に接続するように、積層体を通して継続される。2つの端部は、側面8Lおよび8Mによって、ならびに積層体の湾曲壁8C、8Dによって画定されている閉鎖ダクトに積層体を形成するように、反射閉鎖壁8Lおよび8Mによって閉鎖されている。
【0181】
したがって、サブチャンバを形成する複数の対は、並んだサブチャンバによって画定されている容積の積層体を画定し、放射線は各容積と次の隣接する容積との間を通過することができる。
【0182】
放射線が次の容積またはサブチャンバへと通ることができるため、放射線が潜在的に失われるのではなく、その次の容積に反射され続けることが可能になるとわかった。大部分の損失は容積の側面で発生し、その結果、これらの放射線損失の再捕捉が、全体的な効率および得られる反射の数を著しく増加させるとわかった。各ビームにおける反射の増加は、上記で引用されたMPS出願に記載されている拡大効果を増加させることが理解されよう。
【0183】
図8では、流れは側面に対して直角であり、典型的にはダクトの概ね長手方向に指向される。
【0184】
図8Aは、流体流れのためのチャンバの中に放射線を指向するための代替的な構成の、図8と同様の代替的な概略断面図である。この実施形態では、入口端部8Pおよび出口端部8Qを伴うダクト8Nが示されており、放射線は、ダクトの長手方向に対して角度Bで指向される。ダクトには、放射線がダクトの側壁の窓を通過するように、反射壁8Rおよび透明部分8Sが形成されている。このようにして、凹面反射鏡8Bおよび8C、ならびに供給源8Eは、既存のダクトに対する改造を可能にする別個の要素として、ダクトの外側に位置付けられている。そのように形成されたサブチャンバの数は、当然ながら、システムの幾何形状に従って変動することができる。積層体の端部サブチャンバによって形成されたチャンバの側面は、この構成では壁によって閉鎖されていない。
【0185】
ここで図9および図10を参照すると、図9は、図8または図8Aのチャンバの壁の一部を通った断面図であり、増加的干渉、したがって高い反射率を所定の設計波長で生成するように選ばれた厚さのZrOの層で、壁がコーティングされていることを示す。図10は、壁がZrOの反射層でコーティングされている図9の構成の反射率に対する効果を示すグラフである。
【0186】
したがって、この実施形態では、反応チャンバ8Aの少なくとも1つの反射表面8Mが、金属の反射壁、典型的にはアルミニウムによって形成されており、その少なくとも一部が、ZrO(二酸化ジルコニウム)またはHfO(二酸化ハフニウム)の層8Xでコーティングされている、方法が提供される。これらの物質は、UVC範囲の所定の波長について、高屈折率および放射線の低い吸収を有する。
【0187】
層8Xは、反射表面での放射線の(増加的干渉による)反射率を金属層単独での値よりも大きな値に増加させるように選択された厚さT1およびT2で塗布されている。図示のように、厚さT1、T2は、表面上の異なる箇所で変動しており、特に厚さは、表面上の放射線の入射角XまたはYに応じて表面上の異なる箇所で変動しており、その結果、厚さは、各入射角での増加的干渉を介して反射率を最適化するように調整されている。増加的干渉条件は、広範囲の波長にわたって反射率を増加させる層の厚さを減少させることによって、入射角を増加させることで満たされ得る。層の厚さは、より大きな入射角の箇所で増加していることが好ましく、これにより、設計波長を中心とするより狭い波長範囲にわたって、より高い反射率最大値が与えられる。厚さは、図示のように段階的に変動することができるが、当該の箇所に当たると予想または計算される放射線の入射角に応じて、次第に変わっていることがより好ましい。好ましい実施形態では、厚さは、実際に得ることができる最大値まで入射角に応じて増加する。したがって、図10に示すように、44nmの初期厚さは、波長が270nmである放射線についての反射率のレベルをもたらす。上記で引用されたMPS出願に記載されているように、この反射率のレベルは、むき出しのアルミニウムに対して増加しており、反射損失を低減し、したがって発生する反射の数を増加させる。グラフより、入射角が増加するにつれてp偏光放射線について反射率のレベルが低減し、その結果、これらの角度における厚さを、少なくとも50nm、好ましくは64nmと同程度まで増加させる必要があることに留意されたい。具体的には、ZrO層の厚さは、角度が増加するにつれて増加し、そうして、ZrO表面から反射された放射は、特定の入射角でアルミニウム表面から反射された放射線と増加的に干渉する。
【0188】
しかしながら、場合によっては、実際の適用方法で達成することができる最大厚さが制限されており、その状況では、所定の値よりも大きな入射角の箇所において金属壁がむき出しになるように、物質が省略される。したがって、例えば、少量の水の存在下でZrFをアルミニウム表面と反応させることによって、ZrOの層をアルミニウム表面に添加してもよい。この処理は、約50nmの厚さに自己制限される。この場合、平均入射角が50nmを超えるコーティング厚さを必要とするアルミニウム表面の領域を、むき出しで残すことが好ましい。
【0189】
層のコーティングはまた、物質が金属壁に対して増加した硬度をもたらし、したがって鏡面反射性を低減するであろうひっかき傷による損傷を低減するという利点を有する。
【0190】
ここで図11図12、および図13を参照すると、異なる乗客による使用間に車両シートなどの物体の除染を行うための図3の指向性除染ビームを用いた構成が示されている。
【0191】
図11に示す車両除染システム11Aは、例えば上記で説明した図3に示す構造によって与えられる、指向性UV放射線供給源11Bと、制御ユニット11Cと、位置決めアクチュエータ11Dとを含む。
【0192】
制御ユニット11Cは、データ記憶装置11Fおよび通信インターフェース11Gとともに、プロセッサ11Eを含む。制御ユニットデータ記憶装置は、除染されるべき表面箇所、例えば乗客シート11Xの三次元モデルの形の線量マップと、各箇所に関連付けられた一組の特性とを含む。記憶されている特性は、表面法線、入射角の関数としての反射率、散乱、および吸収性、ならびに線量感度に関する情報を含み得る。例えば、滑らかな金属表面は、必要とし得る除染線量が粗い布表面よりも少ない。表面特性は、汚染の確率に関する履歴情報を含み得る。例えば、病原体に感染していると知られている人が当該の箇所にいた場合、その箇所および近接した箇所での汚染の確率は、汚染の平均確率よりも高い。
【0193】
制御ユニット11Cは、表面箇所と指向性UV供給源11Bとの間の流体(ほとんどの場合は空気)の温度、圧力、湿度および分子組成を測定する供給源11Bのセンサ11Hとリンクされてもよい。
【0194】
各箇所を伴うデータ記憶装置11Eに関連付けられた表面特性はさらに、存在すると知られているまたは予想される病原体の各タイプについて、所与のレベルの病原体低減を達成するために必要なUV放射線の線量を含む。例えば、所与の病原体集団に対してlog3減少を達成するために必要な線量は、病原体が金属表面上にあるか、または布表面上にあるかに応じて異なり得る。各表面タイプについて記憶されている線量要件は、以前に較正サンプルを用いて直接測定されることが好ましい。具体的には、各表面タイプの複数のサンプルは、既知の濃度の病原体を接種し、次いで各サンプルは、異なる組のUV線量を受ける。次いで、対数減少は、初期数に対して生存可能な病原体の数を測定することによって決定される。
【0195】
箇所の特性は、その箇所での汚染が接触によって箇所の第2の表面に伝達されたリスクまたは確率をさらに含み得る。例えば、第2の表面は、人間の手によって接触され得、伝達確率は、表面物質および可能性のある接触時間に依存する。例えば、タッチスクリーンは高い伝達確率を有し得、稀にしか接触しない天井は低い伝達確率を有し得る。小さな粒子が、温度依存性の滞留時間で表面から絶えず吸着および脱離していることは注目に値する。したがって、伝達確率が低い第1の表面上の病原体粒子は、伝達確率がより高い表面に移動し得る。データ記憶装置11Eは、リスク加重したモデルにおける移行の時間依存確率を考慮に入れることが好ましい。
【0196】
制御システム11Cは、ユーザから病原体低減目標をインターフェース11Fで受信することができ、その目標病原体低減を満たすために、表面特性、伝達確率および線量感度に基づいて、その目標から各表面箇所で必要なリスク加重した線量を計算する。次いで、位置決めアクチュエータ11Dは、各表面箇所に必要な線量を送達するように、指向性UV放射線供給源11Bを位置決めし配向する。
【0197】
供給源の位置決め移動は、制御システム11Cからの命令およびフィードバックに応答して、除染システムを移動させ配向する人間の操作者によって与えられてもよい。この実施形態では、制御システム11Cは、センサ11J1および11J2を使用して、除染システムの位置および配向(したがって、指向性UV供給源の位置および配向)を決定し、前記指向性UV供給源の箇所および向きに基づいて、除染されるべき各箇所に送達される線量を計算し得る。制御システム11Cは、どの表面が十分な線量を受容したか、およびどの表面が十分な線量を受容していないかに関する情報を伴う視覚信号ならびに音響信号を、人間の操作者に対して発生させ得る。
【0198】
好ましい実施形態では、位置決めアクチュエータ11Dは、制御された経路に沿って除染システムを誘導するロボットである。この実施形態では、制御システム11Cは、除染システムの位置および配向を測定するサブシステム11Kと、アクチュエータ11Dを制御するモータを駆動することによって除染システムを位置決めするように動作するサブシステム11Mとをさらに含む。位置決めサブシステムは、指向性UV供給源を6自由度(任意の位置および配向)で位置決めし配向するように動作可能であることが好ましい。いくつかの実施形態では、より少ない数の自由度が使用され得る。制御システム11Cは、ユーザが供給した除染目標を満たす複数の除染システム経路を計算し得る。次いで、制御システム11Cは、除染目標を満たす複数の経路から、経路を選択する。選択される経路は、例えば、除染に必要な時間を最小化する経路であり得る。代わりに、経路選択アルゴリズムは、除染に必要なエネルギーを最小化してもよい。次いで、制御システム11Cは、除染システムを選択された経路に沿って移動させる信号を、アクチュエータ11Dに対して発生させる。
【0199】
任意選択的に、除染システムは、UV供給源強度を測定する検出器11Nを含み、制御システム11Cは、測定した供給源強度を使用して、必要な線量が各箇所に送達されるように、測定した供給源強度に基づいて各箇所における曝露時間を動的に調整する。この特徴は、放射線供給源が経年劣化するにつれて、放射線供給源強度の低下を補償するのに有用である。さらに、測定した供給源強度がしきい値未満に落ちる場合、制御部11Cは、メンテナンス(供給源の交換)が必要であるという信号を操作者に対して発生させることができる。
【0200】
任意選択的に、除染システムは、表面箇所から反射または散乱した放射線を測定するカメラ11Hによって画定された検出器を含み、制御システム11Cは、検出器11Nで受信した強度をその箇所の表面特性とともに使用して、表面箇所で受容した線量を計算し、必要な線量が各箇所に送達されるように曝露時間を調整する。以下でより詳細に説明するように、カメラ11Hによって測定された波長は、除染に使用される11Bで発生したコリメートビームの波長とは異なり得る。例えば、カメラは可視波長(400nm~800nm)の強度を測定し得、除染波長は220nmから280nmの間であり得る。
【0201】
任意選択的に、除染は、照射の前または後に表面箇所からサンプルを集めるためのプローブ11Pをさらに含み、集められたサンプルは生存可能な病原体について分析される。この特徴は、例えば、予想される病原体とは対照的に、実際に遭遇する病原体に対して線量が十分であるかどうかを決定するために使用され得る。病原体のタイプは、突然変異または新しいタイプの出現によって変化し得ることに留意されたい。分析は、標準的な湿式化学法によって実施され得る。分析は、上記で引用したHEMS特許によって説明されている迅速な方法を用いて行われることが好ましい。
【0202】
任意選択的に、除染システムは、対象物11Xの表面から粒子を集めるように動作可能な収集手段11Qをさらに含む。収集手段11Qは、撹拌器および収集器を含み得る。撹拌器は、機械的または加圧ガスの流れであり得、収集器は吸引器である。撹拌器は、(病原体粒子を含む)吸着された粒子を除去するために表面箇所で動作し、吸引器は、そのように除去された粒子を処理または測定のために流れに引き込む。処理のために、除去された粒子の流れは、上記で引用したMPS出願に開示されているように、マルチパス光化学チャンバの中に指向されてもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、撹拌器および収集器11Qは、Prystupaに対して2013年1月1日に発行された米国特許第8,345,254号Multiple Pass Imaging Spectroscopyに記載されている構成であり、この開示は参照によって本明細書に組み込まれ、またはさらに詳細に参照され得る。
【0204】
撹拌器および収集器11Qによって対象物11Xの表面から除去されたサンプル物質は、以下に説明する様々な方法によって、存在する微生物のタイプおよび数について処理および検査されることができる。撹拌器および収集器11Qは、対象物11Xの表面上の箇所を無作為にサンプリングするために使用され得、サンプル箇所で集められた粒子の分析は、その箇所に存在する物質および汚染物質に関する詳細な情報をもたらす。物質および汚染物質の空間分布は、箇所での汚染確率の統計モデルを構築し、かつ衛生化手順に関する体系的な問題を検出するために、制御部11Cによって分析され得る。これは、処理プロトコルおよび機器における衛生問題を検出するために、食品が統計的にサンプリングされる方法と類似のやり方である。対象物11X上の無作為にサンプリングされた箇所からの情報は、箇所の関数として汚染の確率を予測する統計モデルを構築するために使用され得る。上述したように、箇所依存確率は、UVC線量の割り当てを最適化するために使用され得る。割り当ての最適化とは、全体的な残りの病原体の数を最小化するように、または箇所加重した伝達確率を用いて病原体の人間への伝達の確率を最小化するように、異なる箇所の間に有限の線量を割り当てることである。例えば、人間は天井よりもタッチスクリーンと相互作用する可能性が高いので、タッチスクリーンおよび天井が、潜在的な病原体の等しい対数減少を与えるコリメートされた供給源11Bによって生成されたビームで処理される場合よりも、天井よりもタッチスクリーン上の潜在的な病原体の対数減少が大きいことが、人間への伝達の確率を大幅に低減する。いくつかの実施形態では、サンプルは、指向性供給源11BによるUVC照射での衛生化の前に、ある箇所から収集器11Qによって集められ、制御部11Cは、前記箇所からのサンプルの測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記箇所に送達される指向性UVC線量を決定する。例えば、制御部11Cは、リスクに基づいて、平均の測定汚染レベル(または伝達確率)よりも高い第1の箇所に、より高い線量のUVC放射線を割り当て、平均の測定汚染レベル(または伝達確率)よりも低い第2の箇所に、より低い線量のUVC放射線を割り当て得る。例えば、制御部11Cは、当業者に知られている圧縮イメージングの方法を用いて、限定された一組の無作為な箇所から、対象物11X上の汚染の最も可能性の高い空間分布を推測することができる。制御部11Cはさらに、汚染の可能性が最も高い空間分布に少なくとも部分的に基づいて、直接サンプリングされていない箇所について、指向性供給源11BからのUVC照射のリスク加重した線量を決定し得る。
【0205】
いくつかの実施形態では、プローブ11Pならびに/または撹拌器および収集器11Qは、指向性UVC供給源11Bによる照射後に、ある箇所において生存可能な微生物の存在を決定するために使用され得る。この実施形態では、情報は、衛生化処理を検証し、衛生化処理の有効性を文書化するために使用され得る。
【0206】
撹拌器および収集器11Qからの生物サンプルは、例えば、マイクロ流体システムを用いて適当な光学基材に輸送され、その上に堆積し得る。マイクロ流体システムは、本発明者によって2021年8月26日に公開され、Field Programmable Fluid Arrayという発明の名称であるPCT出願第WO2021/163799号に記載されている構成であることが好ましく、この開示は参照によって本明細書に組み込まれ、またはさらなる詳細のために参照され得る。
【0207】
いくつかの実施形態において、表面増強ラマンおよび赤外スペクトルは、本発明者によって2021年8月26日に公開され、Magnetic Platform for Sample Orientationという発明の名称であるPCT出願第WO2021/163798号に記載されているように、収集器11Qからの生物サンプルを磁性対象物上に配置することによって集められ得る。
【0208】
スペクトルは、上記で引用されたHEMS特許に記載されており、かつ優れた信号対雑音比をもたらす構成を用いて測定されることが好ましく、この開示は参照によって本明細書に組み込まれ、またはさらなる詳細のために参照され得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、生物サンプル物質は、上記で引用した多重経路イメージング分光法の特許に記載されている構成に配置されており、信号レベルを増加させ測定時間を低減するために光増幅が、使用される。他の実施形態では、表面は、上記で引用した多重経路イメージング分光法の特許に記載されている内部反射構成を用いたプローブ11Pによって、直接サンプリングされる。増幅された吸収スペクトルは、上記で引用したHEMS方法によって測定されることが好ましい。いくつかの実施形態では、収集器11Qからの生物物質は、本発明者によって2020年12月2日に出願され、Amplified Multiplex Absorption Spectroscopyという発明の名称である米国仮特許出願第63/120,318号に記載されている構成に配置される。増幅された吸収スペクトルは、上記で引用したHEMS方法によって測定されることが好ましい。いくつかの実施形態では、収集器11Qからの生物物質は、本発明者によって2021年7月28日に出願され、Multi-dimensional Spectroscopyという発明の名称であり、現在は米国特許公開第2022/0034817号として2022年2月3日に公開された米国特許出願第17/387,553号に記載されている構成に配置される。多次元的なスペクトルは、上記で引用したHEMS方法によって測定されることが好ましい。いくつかの実施形態では、収集器11Qからの生物物質は、生化学的組成、例えばDNAまたはRNAについて試験される。この実施形態では、本発明者によって2021年7月28日に出願され、Directed Orientation Chemical Kineticsという発明の名称であり、現在はPCT国際公開第2022/020955号として公開された米国特許出願第17/387,533号に記載されている構成を用いて、試験の速度を増加させてもよい。上記で引用したスペクトル法および化学的方法からのデータは、本発明者によって2021年11月24日に出願され、Spectral Diagnostic Systemという発明の名称であり、2022年6月16日に米国特許出願公開第2022/0170839号として公開された米国仮特許出願第17/535,034号に記載されている方法を使用することによって、存在する微生物のタイプを決定するために分析されることが好ましく、この開示は参照によって本明細書に組み込まれ、またはさらなる詳細のために参照され得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、検出器11Hは、マルチスペクトルイメージングカメラである。マルチスペクトルイメージングシステムは、本発明者による上記で引用したHEMS特許に記載されている構成であることが好ましい。他のマルチスペクトルイメージングシステムが使用されてもよい。マルチスペクトルイメージングシステムは、少なくとも3つの異なる波長、より好ましくは100よりも多い異なる波長、最も好ましくは1000よりも多い異なる波長について、対象物11Xまたはその一部の画像をもたらす。この実施形態では、対象物11Xの表面全体が走査され得、衛生化を必要とする箇所は、各箇所のスペクトルプロファイルに少なくとも部分的に基づいて決定される。各箇所のスペクトルは、当技術分野で知られている(画像および距離センサからの測定値を環境の三次元モデルと比較する)方法によって、スペクトル画像の領域に各箇所をマッピングすることによって見出される。すなわち、各箇所のスペクトルはスペクトルデータベース内のスペクトルと比較され、各箇所における物質の組成は、制御部11Cによって、箇所スペクトルを1つまたは複数の既知の基準スペクトルの組合せと整合させることにより、少なくとも部分的に決定される。マルチスペクトルイメージングシステム11Hの空間分解能は、存在すると知られているまたは予想される最小の汚染粒子を分解するように選択される。例えば、表面上の糞便汚染の存在を検出するためには、およそ0.3mmの空間分解能が必要であると本発明者は決定した。制御部11Cは、対象物11X上の各箇所のUVC線量を、その箇所からのスペクトルの分析によってその箇所に存在すると決定された物質に少なくとも部分的に基づいて決定する。
【0211】
したがって、本明細書の方法は、物体の少なくとも一部のマルチスペクトル画像を集める工程と、各箇所のスペクトルを基準スペクトルと比較することによって、前記マルチスペクトル画像内の異なる箇所における汚染のタイプを少なくとも部分的に決定する工程と、汚染のタイプに少なくとも部分的に基づいて、前記マルチスペクトル画像内の箇所にビームを指向する工程とを含む。マルチスペクトル画像内の各スペクトルは、3つよりも多い異なる波長からなることが好ましい。ただし、3つ以下を使用することもできる。マルチスペクトル画像内の各スペクトルは、100よりも多い異なる波長からなることが好ましい。
【0212】
任意選択的に、除染システムは、供給源11Bを装着するヘッド11Rの構成部品としての位置検証システム11J1を含み、位置検証システム11J1は、指向性UV供給源が向けられる箇所を時間の関数として追跡するためのソフトウェアとともに動作するカメラであってもよい。位置検証手段は、指向性UV供給源から表面箇所までの距離を測定するLIDARユニットを含み得る。位置検証システムは、指向性UV供給源から表面箇所までの距離を測定する音響ユニットを含み得る。制御システム11Cは、時間、距離、および箇所の情報を、放射線供給源からの放射線の空間分布に関する較正情報とともに使用して、各箇所が受容した(または送達された)線量を計算し得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、線量情報は、インターフェース11F上で操作者へのオーバーレイ画像上に表示され、オーバーレイ画像は、各箇所での必要な線量に対する各箇所で受容された線量のふさわしい色表現とともに、除染されるべき表面の画像を包含する。インターフェース11Fは、例えば、タッチスクリーンまたは携帯電話のクリーンであり得、制御部11Cと表示手段との間にはデータリンクが設けられている。例えば、ゼロ線量を受容した箇所を赤色に陰影付けし、不完全な線量を受容した箇所を黄色に陰影付けし、所望の用量を受容した箇所を緑色に陰影付けし、過剰な用量を受容した箇所を青色に陰影付けしてもよい。他の陰影付け方式が使用されてもよく、陰影の数は、操作者の洗練度に合わせて変動してもよい。好ましい実施形態では、位置および線量情報はデータベースに記憶される。データベース情報は、上記のユーザ指定の除染目標が満たされていることを確認するために使用され得る。データベース情報は、線量を調整するために病原体指標と組み合わせて使用され得る。
【0214】
任意選択的に、除染システムのカメラ11Hは、ある箇所から反射および散乱した放射線を測定して、その箇所で受容された放射線の強度を計算する線量監視のために作用し得る。反射および散乱した放射線は、UV波長の供給源11Bにおける一次除染放射線、または一次放射線と一定の割合で混合された、供給源11Uからの二次波長の放射線であってもよい。いくつかの実施形態では、一次UV波長に感度のあるカメラ11Hなどの検出器は、ある箇所から反射および散乱したUV放射線の強度を測定する。制御システム11Cは、(以前に測定した)その箇所の双方向反射率関数(BDRF)とともに、強度情報を使用して、その箇所で受容した強度を計算する。例えば、以前に測定されたBDRFは、供給源方向から受容した放射線の1%が、検出器11Hの方向に反射されることを示す場合がある。この場合、その箇所での強度は、検出器で受容された強度の100倍として計算される。いくつかの実施形態では、供給源11Uからの第2の波長は、指向性UV供給源において一次波長に一定の割合で混合され、第2の波長は、カメラ11Hなどの検出器によって測定される。第2の波長は、一次UV波長と同様の反射率および散乱特性を有することが好ましい。二次波長は、例えば、シリコン系のフォトダイオードまたはフォトダイオードアレイで容易に測定される405nmから480nmの間の青色波長であってもよい。
【0215】
対象物11Xから人間などの宿主種に伝達された病原体の数Nは、
N=ΣA exp{-k
と計算され得る。
【0216】
上式で、Aは対象物11Xのi番目の領域の面積であり、Pは、i番目の領域から宿主種への伝達確率であり、kは、i番目の領域での病原体の有効減衰定数であり、fはi番目の領域での放射フラックスであり、tは、フラックスがi番目の領域で指向される時間である。合計はiのすべての値にわたる。各領域からの伝達の確率Pは、実験的に測定されてもよく、または既知の伝達事例の統計分析から推測されてもよい。確率Pは、概して、表面と病原体との間の結合エネルギーの差、および病原体滞留部位から外部宿主種までの経路の差に起因して、異なる表面物質間で変動する。例えば、生地に埋め込まれた病原体は、多重結合部位を通過して宿主種に到達する必要があり得るのに対して、滑らかな表面上の病原体は、1つの表面結合エネルギーのみを克服することによって宿主種に直接伝達され得る。
【0217】
有効減衰定数kは、領域iの環境によって修正された病原体種についての減衰定数kに基づく。減衰定数kは、標準条件について実験的に測定され、数百の病原体種について科学文献に報告されている。標準条件からの環境的な修正は、幾何学的シェーディング効果、または温度および湿度の差に起因し得る。例えば、生地表面の繊維は、放射線を吸収し、病原体での有効放射線量を低減させ得る。上記で述べたように、温度および湿度は、測定され、環境的に修正された減衰定数を計算するために使用され得る。
【0218】
本発明の1つの利点は、フラックス係数fが、ビームコリメーションによる最小空間変動を有し、定数として近似可能であることである。次いで、各領域の線量は、ビームがその位置で指向される時間tに比例する。
【0219】
図12および図13は、制御システム11Cによって実行される上記で説明した動作を記載するフローチャートを備える。
【0220】
図14は、破線のボックス14A内の区域として全体的に示されている、水流を殺菌するための構成を概略的に示す。本構成は、本発明者による上記で引用したMPS特許に記載されている殺菌のための反応チャンバの要素を使用する。水の供給は、容器14Bに包含される。容器14Bは、例えば、従来の設計の水瓶または貯蔵用の入れ物であってもよい。容器14Bは、例えば水差しであってもよい。容器14Bは、例えば水管または水栓であってもよい。容器14Bは、例えば導管のねじ部であってもよい一体的な取付手段を含み得る。他の実施形態では、殺菌取付具14Dは、プレスばめによって容器14Bに取り付ける導管である。他の実施形態では、殺菌構成14Dは、容器14B内に吊り下げられてもよく、またはクリップで容器14Bの側面に取り付けられてもよい。構成14Dは、カプラ14Cによって水容器14Bに取り付けられてもよい。カプラ14Cは、例えば、水容器14Bの一体的な取付手段上の雄ねじと合致するように設計および製作された雌ねじを有する継手であってもよい。カプラは、水容器14Bの各タイプで異なり得るが、水殺菌装置14Dの残りの構成部品に対する共通のインターフェースを設ける。すなわち、装置14Dは、適当なカプラ14Cを選択することによって、任意の従来の水容器に適合され得る。カプラ14Cは、水フィルタ14Fと連通し、水フィルタ14Fは、粒子状物質を低減し、かつ任意選択的に、選択された化学汚染物質を低減するように機能する。水は、水容器14Bからカプラ14Cおよびフィルタ14Fを通って、殺菌チャンバ14Dの中に流れる。殺菌チャンバ14Dは、対向する高反射凹面鏡14Gおよび14Hを含む。水は、14Eに示すように、凹面鏡14Gの縁部の周りを流れて、チャンバ14Dに入り得る。同様に、水は、凹面鏡14Hの縁部の周りを出口14Tに向かって、出口14Tを通って流れ得る。したがって、水は、水容器14Bから水出口14Tに連続的に流れ得る。200nmから290nmの間の波長のUVC放射線は、光供給源14Lから凹面鏡14Hの開口14Aを通って殺菌チャンバ14Dに入る。チャンバ14Dにおいてしきい値振幅を上回るUVC放射線の経路長は、凹面鏡14Gと14Hとの間の反射によって増加し、それによってチャンバ14Dに入ったUVC光の殺菌効果を少なくとも10倍、好ましくは100倍以上増幅する。14Gおよび14Hで高反射誘電体鏡を使用すること、および本発明者による上記で引用したMPS特許にさらに詳細に記載されているふさわしいチャンバ幾何形状を選択することによって、増幅が達成される。光供給源14Lは、例えば、制御手段14Kの制御下で電力源14Jに接続されているLEDであってもよい。代わりに、光供給源14Lは、例えば、図2図3または図4Bに示すように、導波路によって光供給源に接続されてもよい。制御手段は、水の少なくとも1つの特性および任意選択的に複数の特性を測定するように動作可能であるセンサ14Sと通信する。特性は、例えば、流量、温度、濁度、導電率、およびpHであり得る。1つの実施形態では、制御手段は、ユーザが、殺菌機能を手動でオンに切り替え、UVC放射線の振幅を制御し、機能状態情報をもたらすことを可能にするユーザインターフェースを含み得る。別の実施形態では、制御手段は、水流が検出されたときに、UVC光供給源を自動的に作動させることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】