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▶ ビーダブリューエックスティー カナダ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】溶接デバイス及び製造の方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B23K9/29 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547950
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2022000626
(87)【国際公開番号】W WO2023067392
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,167
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524152285
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー カナダ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン、ケイシー、ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】マスタード、ジャスティン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フレイリー、マンレイ、ジョセフ タイラー
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001LD02
4E001LE06
4E001LH04
(57)【要約】
溶接デバイスは、電力を送るように構成された本体部と、本体部に形成された第1の流入口及び第1の流出口であって、第1の流入口は遮蔽ガスを受け入れるように構成される、第1の流入口及び第1の流出口と、本体部を貫通して延在し、第1の流入口と第1の流出口とを接続する第1の流路と、本体部に形成された第2の流入口及び第2の流出口であって、第2の流入口は冷媒を受け入れるように構成される、第2の流入口及び第2の流出口と、本体部を貫通して延在し、第2の流入口を第2の流出口と接続する第2の流路であって、第2の流路は、本体部に対する第2の流路の割合を増加させるように構成された複数のセグメントを備える回旋状部分を有する、第2の流路とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を送るように構成された本体部と、
前記本体部に形成された第1の流入口及び第1の流出口であって、前記第1の流入口は遮蔽ガスを受け入れるように構成される、第1の流入口及び第1の流出口と、
前記本体部を貫通して延在し、前記第1の流入口と前記第1の流出口とを接続する第1の流路と、
前記本体部に形成された第2の流入口及び第2の流出口であって、前記第2の流入口は冷媒を受け入れるように構成される、第2の流入口及び第2の流出口と、
前記本体部を貫通して延在し、前記第2の流入口を前記第2の流出口と接続する第2の流路と、を備え、前記第2の流路は、前記本体部に対する前記第2の流路の割合を増加させるように構成された複数のセグメントを備える回旋状部分を有する、溶接デバイス。
【請求項2】
前記回旋状部分は前記第1の流出口に近接している、請求項1に記載の溶接デバイス。
【請求項3】
前記複数のセグメントは複数の弓形状セグメントを含む、請求項1に記載の溶接デバイス。
【請求項4】
前記複数の弓形状セグメントは、前記第1の流出口に隣接する前記第1の流路の一部分を取り囲む、請求項3に記載の溶接デバイス。
【請求項5】
前記複数の弓形状セグメントは蛇行形状セグメントを形成する、請求項4に記載の溶接デバイス。
【請求項6】
前記複数の弓形状セグメントは、渦巻き形状セグメント又は螺旋形状セグメントを形成する、請求項3に記載の溶接デバイス。
【請求項7】
前記第2の流路は、前記本体部に対する前記第2の流路の前記割合を最大化するように構成された複数の前記回旋状部分を含む、請求項1に記載の溶接デバイス。
【請求項8】
前記第1の流出口は、前記第1の流出口によって受け入れられた前記遮蔽ガスを排出するように構成された、前記第1の流路に接続された複数の外広がりセグメントを含む、請求項7に記載の溶接デバイス。
【請求項9】
前記第1の流出口は、拡散体カップと結合されるように構成される、請求項8に記載の溶接デバイス。
【請求項10】
前記第1の流入口は第1の半田継ぎ手を備え、前記第2の流入口は第2の半田継ぎ手を備える、請求項9に記載の溶接デバイス。
【請求項11】
前記第1の流出口は、電極を保持するように構成されたトーチ・コレットを更に備える、請求項10に記載の溶接デバイス。
【請求項12】
前記本体部は、前記電力を前記本体部を直接的に通って送るように構成された導電性材料を含む、請求項11に記載の溶接デバイス。
【請求項13】
前記導電性材料は銅である、請求項12に記載の溶接デバイス。
【請求項14】
前記本体部に形成された入力ポート及び出力ポートと、
電気的に絶縁された電力ラインを収容するように前記本体部を貫通して延在する第3の流路と、を更に備え、前記第3の流路は前記入力ポートと前記出力ポートとを接続する、請求項1に記載の溶接デバイス。
【請求項15】
積層造形プロセスを使用して製造される、請求項1に記載の溶接デバイス。
【請求項16】
3Dプリンタを使用して溶接デバイスを製造する方法であって、
第1の流入口と、第1の流出口と、第2の流入口と、第2の流出口とを有する3次元的本体部を形成するために材料の連続的なレイヤをプリントするステップを備え、複数の前記レイヤは、
遮蔽ガスを通過させるために前記本体部を貫通して延在する第1の流路を画定するために前記材料がないそれぞれの第1の空間を各々が有する隣り合うレイヤの第1のサブセットであって、前記第1の流路は前記第1の流入口と前記第1の流出口とを接続する、隣り合うレイヤの第1のサブセットと、
冷媒を通過させるための第2の流路を画定するために前記材料がないそれぞれの第2の空間を各々が有する隣り合うレイヤの第2のサブセットであって、前記第2の流路は前記本体部を貫通して延在し、前記第2の流入口と前記第2の流出口とを接続し、前記第2の流路は、前記本体部に対する前記第2の流路の割合を増加させるように構成された複数のセグメントを備える回旋状部分を有する、隣り合うレイヤの第2のサブセットと
を含む、方法。
【請求項17】
前記材料は導電性材料である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記3次元的本体部を形成するために前記材料の前記連続的なレイヤをプリントする前記ステップは、前記本体部に入力ポートと出力ポートとを形成するステップを更に備え、複数の前記レイヤは、
前記入力ポートと前記出力ポートとの間で前記本体部を貫通して延在する第3の流路を画定するためのそれぞれの第3の空間を各々が有する隣り合うレイヤの第3のサブセットを更に備え、前記第3の流路は、電気的に絶縁された電力ラインを収容するように構成される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月21日出願の米国仮特許出願第63/270,167号の優先権を主張し、この出願の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、溶接機械のための溶接デバイス、より詳細には、アーク溶接機械のためのトーチ・ブロックに関する。
【背景技術】
【0003】
溶接は、概して、2つの金属をともに溶融させるために十分な程度の高い熱を印加することを伴う。電気アークを通じて熱を生成するための電極に電流を供給することに依拠するアーク溶接技術などの多くの溶接技術が当技術分野において知られている。電極は、冷媒を循環させるため及び遮蔽ガスを分散するための個別の管路を含むトーチ・ブロックに結合する。冷媒は、電気アークからの強烈な熱からの保護を助け、遮蔽ガスは、酸素、水分、気体、及び/又は溶接エリアを汚染して溶接の品質を減じる可能性がある他の大気条件からの溶接エリアの保護を助ける。よく知られたアーク溶接技術は、少なくともタングステン不活性ガス(TIG)及び金属不活性ガス(MIG)を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
知られた技術の欠点を克服し、追加的な利点を提供するトーチ・ブロック設計及び作成における更なる向上及び進歩を生み出すことは望ましいままである。
【0005】
本セクションは、本開示に関連付けられ得る技術の様々な態様を紹介することを意図される。この議論は、本開示の特定の態様のより良好な理解を促進するフレームワークの提供を補助するものと信じられる。それ故、本セクションはこの観点において読まれるべきであり、必ずしも従来技術の承認ではないものとして理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの実施例は溶接デバイスを提供し、溶接デバイスは、電力を送るように構成された本体部と、本体部に形成された第1の流入口及び第1の流出口であって、第1の流入口は遮蔽ガスを受け入れるように構成される、第1の流入口及び第1の流出口と、本体部を貫通して延在し、第1の流入口と第1の流出口とを接続する第1の流路と、本体部に形成された第2の流入口及び第2の流出口であって、第2の流入口は冷媒を受け入れるように構成される、第2の流入口及び第2の流出口と、本体部を貫通して延在し、第2の流入口を第2の流出口と接続する第2の流路とを備え、第2の流路は、本体部に対する第2の流路の割合を増加させるように構成された複数のセグメントを備える回旋状部分を有する。
【0007】
本開示の別の実施例は、3Dプリンタを使用して溶接デバイスを製造する方法を提供し、方法は、第1の流入口と、第1の流出口と、第2の流入口と、第2の流出口とを有する3次元的本体部を形成するために材料の連続的なレイヤをプリントするステップを含み、複数のレイヤは、遮蔽ガスを通過させるために本体部を貫通して延在する第1の流路を画定するために材料がないそれぞれの第1の空間を各々が有する隣り合うレイヤの第1のサブセットであって、第1の流路は第1の流入口と第1の流出口とを接続する、隣り合うレイヤの第1のサブセットと、冷媒を通過させるための第2の流路を画定するために材料がないそれぞれの第2の空間を各々が有する隣り合うレイヤの第2のサブセットであって、第2の流路は本体部を貫通して延在し、第2の流入口と第2の流出口とを接続し、第2の流路は、本体部に対する第2の流路の割合を増加させるように構成された複数のセグメントを備える回旋状部分を有する、隣り合うレイヤの第2のサブセットとを有する。
【0008】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の1つ又は複数の実施例を示し、明細書とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
以下において、添付の図面を参照して、本発明がより完全に記述される。図面において、本発明の全てではないがいくつかの実施例が図示される。実際上、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書において述べられる実施例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】アーク溶接デバイスとともに使用するための真鍮製の従来技術のトーチ・ブロックの斜視図である。
図1B図1Aにおいて示された従来技術のトローチ・ブロックの前側立面図である。
図1C図1Aにおいて示された従来技術のトーチ・ブロックの後側立面図である。
図1D図1Cにおいて示された断面線に沿った、図1Aにおいて示された従来技術のトーチ・ブロックの側部立面断面図である。
図2図1Aにおいて示された従来技術のトーチ・ブロックの斜視断面図であり、アーク溶接デバイスに隣接して設けられたトーチ・ブロックの図である。
図3A】本明細書における開示に従って製造された溶接デバイスの実施例の斜視図であり、具体的には、溶接デバイスは、アーク溶接デバイスとともに使用するための、銅でプリントするように構成された3Dプリンタを使用して製造された、銅製トーチ・ブロックである。
図3B図3Aにおいて示されたトーチ・ブロックの透明斜視図である。
図4A図3Aにおいて示されたトーチ・ブロックの立面図である。
図4B図4Aにおいて示された断面線に沿った、図3Aにおいて示されたトーチ・ブロックの断面図である。
図4C図4Bにおいて示されたガス流出口の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び図面における参照文字の繰り返しの使用は、本開示による本発明の同一の又は類似の特徴若しくは要素を表すものと意図される。
【0012】
次に、現在のところ好ましい本発明の実施例が参照され、その1つ又は複数の実例が添付の図面に示される。各実例は、説明のために提供されるものであり、本発明の限定のためではない。実のところ、本発明において、その範囲及び精神から逸脱することなく修正及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施例の一部として示され又は記述された特徴が、なおも更なる実施例を生むために別の実施例において使用され得る。故に、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にあるこのような修正及び変形を含むことが意図される。
【0013】
本明細書において使用されるとき、溶接デバイスの向きに対する方向又は位置を指す用語、例えば、これらに限定されるものではないが、「垂直」、「水平」、「上側」、「下側」、「上方」又は「下方」などの用語は、本明細書において図面に示されているような、通常的に意図される溶接デバイスの動作における向きに対する方向及び相対位置を指す。故に、例えば、「垂直」及び「上側」という用語は、図面の視点における垂直方向及び相対的な上側位置を指すものであり、異なる向きに置かれているかもしれない溶接デバイスに対しても、その文脈において理解されるべきである。
【0014】
更に、本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく包括的な「又は」を意味するものと意図される。すなわち、別段の指定がない限り、又は文脈から明らかでない限り、「XがA又はBを用いる」という語句は、自然な包括的順列のいずれかを意味するものと意図される。すなわち、「XがA又はBを用いる」という語句は、以下の「XがAを用いる」、「XがBを用いる」、又は「XがA及びBの両方を用いる」のいずれの場合にも満足される。加えて、本開示及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、冠詞「a」及び「an」は、概して、別段の指定がない限り、又は文脈から単数形に向けられることが明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、以下の用語は、文脈がそうでないこと表さない限り、少なくとも、本明細書において明示的に関連付けられた意味を有する。以下において特定される意味は、必ずしも用語を制限するものではなく、単にこれらの用語のための例示的な実例として提供される。「a」、「an」及び「the」の意味は、複数の参照を含み得、「~における(in)」の意味は「~における(in)」及び「~の上の(on)」を含み得る。本明細書において使用されるとき、「1つの実施例において」という語句は、必ずしも同一の実施例を指すものではないが、同一の実施例を指してもよい。
【0015】
次に図を参照すると、従来技術の真鍮製トーチ・ブロック110が、図1Aから図1Dに図示される。トーチ・ブロック110は、傾斜セクション113を含む主に立方体形状の本体部112を有し、およそ5.08cm(2インチ)の高さである。図2において更に図示されるように、トーチ・ブロック110は、アーク溶接ツール100のためのアセンブリの一部として、溶接アーム102に装着される。トーチ・ブロック110は、アルゴンをアルゴン流入口122からアルゴン流出口124まで通過させるために本体部112を貫通して延在するアルゴン・ガス流路120を含む。アルゴン流出口124に接続された外側トーチ・コレット162に結合された拡散体カップ150への出力のために、トーチ・ブロック110は、アルゴン流入口122に結合された半田継ぎ手123を通じてアルゴンを受け入れる。拡散体カップ150は、保護シールドを生成するためにタングステン電極160の周りでアルゴンを排出し、酸素、水分、気体、並びに/又はアーク溶接ツール100の動作中に溶接エリアを汚染する可能性及び/若しくは溶接の品質を減じる可能性がある他の大気条件から溶接エリアを絶縁する。
【0016】
トーチ・ブロック110は、水などの冷媒を冷媒流入口132から冷媒流出口134まで通過させるために、本体部112を貫通して延在する冷媒流路130を更に含む。冷媒の他の例としては、水に添加剤を加えたものなどを含む脱塩水又は脱イオン水などがある。トーチ・ブロック110は、本体部112を通って冷媒流出口134に送達するために、冷媒流入口132に結合された半田継ぎ手133を通じて冷媒を受け入れる。冷媒は、アーク溶接デバイス100の動作中にタングステン電極160によって生成された強烈な熱によって生じるトーチ・ブロック110における温度増加を相殺する。タングステン電極160は、外側トーチ・コレット162に結合された内側トーチ・コレット164によって保持される。タングステン電極160は、タングステン電極160に電気的に結合された電気的に絶縁されたワイヤ(図示されず)によって供給された電流に基づいて電気アークを出力する。電気的に絶縁されたワイヤは、更に、外部電源に接続するように構成された入力接続部170に結合される。
【0017】
トーチ・ブロック110の本体部112を貫通して流路120及び130を作るために機械加工技術が使用される。機械加工は、通常、物体から材料を除去する減算製造技術を包含するものと理解される。このようにして、機械加工ツールは、トーチ・ブロックの外側面を貫き、トーチ・ブロック110から材料を除去することによって本体部112を通る空洞を穴ぐりする。例えば、機械加工は、トーチ・ブロック110の外側を穿孔して本体部112内に内部空洞を穴ぐりすることを含み得、複数の空洞を備える流路を画定するためにこのプロセスを必要に応じて繰り返すことを含む。図2において図示されるように、流入口122と流出口124との間でアルゴンを通過させるためのアルゴン流路120は、機械加工技術を使用して形成された3つの直線的流路セグメント120a、120b、及び120cを備える。機械加工ツールは、トーチ・ブロック110の外側面を穿孔してアルゴン流入口122を形成し得、本体部112内に部分的に空洞の穴ぐりを継続して、直線的流路セグメント120aを画定し得る。このプロセスは、直線的流路セグメント120b及び120Cを作成するために同様に繰り返され得る。機械加工ツールは、トーチ・ブロック110の外側エリア114を穿孔して本体部112内に部分的に空洞の穴ぐりを行い、直線的流路セグメント120aと90度の角度で交差する直線的流路セグメント120bを画定する。機械加工ツールは、更に、トーチ・ブロック110の外側を穿孔してアルゴン流出口124を形成し、本体部112内に部分的に空洞の穴ぐりを継続して、直線的流路セグメント120bとある角度で交差する直線的流路セグメント120cを画定する。流路セグメント120a、120b、及び120cは、協働して、ガス流入口122とガス流出口124との間でトーチ・ブロック110の本体部112を貫通して延在するアルゴン流路120を形成する。更に、外側エリア114からアルゴン流路120を封止するために、直線的流路セグメント120bの一部分に封止要素180が取り付けられる。
【0018】
図1Dにおいて示されるように、冷媒流入口132と冷媒流出口134との間で冷媒を通過させるための冷媒流路130は、直線的流路セグメント130aなどの、機械加工技術を使用して形成された直線的流路セグメントを備える。機械加工ツールは、トーチ・ブロック110の外側を穿孔して冷媒流入口132を形成し得、更に、本体部112内に部分的に空洞の穴ぐりを継続して、直線的流路セグメント130aを画定する。同様に、機械加工ツールは、トーチ・ブロック110の外側を穿孔して冷媒流出口134を形成し、更に、必要とされるいずれかの場所で、直線的な、互いに交差する流路セグメントを形成するために空洞の穴ぐりを継続する。それによって、複数の直線的流路セグメントは、協働して、冷媒流入口132と冷媒流出口134との間でトーチ・ブロック110の本体部112を貫通して延在する冷媒流路130を形成する。電極150及び電気アークによって生成される熱を相殺する冷媒の性能は、冷媒流路130のサイズ及び経路に部分的に基づく。例えば、比較的長い流路は、トーチ・ブロックのより大きな割合に冷媒を提供し得る。例えば、比較的大きな流路の周径は、トーチ・ブロックの体積に対する冷媒流路の表面積の比率が減じられるが、より大きな体積の冷媒がトーチ・ブロックを通って流動することを可能とし得る。
【0019】
機械加工による作成は、時間がかかり、故に費用がかかり、更に空洞を穴ぐりする性能も制限される。例えば、機械加工技術は、概して、直線的な又は主に直線的な空洞を穴ぐりを行うことに制限され、故に、湾曲、弓形状、屈曲を有する流路の作成において限界がある。トーチ・ブロックの外側面から内部に進入する機械加工ツールの必要性は、空洞のための選択肢の数を更に制限する。新たな穴ぐり及び空洞は、その度に、流路を作成するための更なる設計の選択肢を即座に規制する。従って、トーチ・ブロックの外側から新たな穴が作られる度に、トーチ・ブロックに流路を通すための残りの選択肢の数が減じられる。このことは、機械加工技術を、トーチ・ブロックの限定的な割合を通る又は熱源に対して限定的な近位を通る比較的単純な幾何学的構造を有する流路の作成に制限する。故に、機械加工に特有の制限を補償するために適切な体積の原材料を提供するために、より大きなフォーム・ファクタが必要とされる。遮蔽ガス流路及び冷媒流路を交差から隔離する必要性は、機械加工による作成を更に複雑化し、トーチ・ブロック全体にわたって空洞を穴ぐりするための選択肢の数を制限する。例えば、ガス流路は、本来的に、ガス流出口内を通過するが、ガス流出口の非常に近位の冷媒流路、つまり電極からの激しい熱の露出に晒されるエリアにおける冷媒流路の穴ぐりの選択肢を規制する。
【0020】
本明細書において開示される溶接デバイス及び製造の方法は、概して、積層造形技術を使用して作成された、溶接デバイスのためのトーチ・ブロックに関する。特には、図3A図3B図4A図4B、及び図4Cにおいて示された溶接デバイス210は、アーク溶接デバイスとともに使用するための、銅でプリントするように構成された3Dプリンタを使用して作成された、導電性の銅製トーチ・ブロック210である。3Dプリンタは、3次元的構造を形成するように連続的に積層された銅の2次元的レイヤをプリントすることによってトーチ・ブロック210を形成する。各2次元的レイヤは、銅を含み、如何なる材料も欠いたオープンな空間を含み得る。隣り合うレイヤにおけるオープンな空間は、協働して、トーチ・ブロック210内に3次元的空洞を画定する。故に、積層造形は、トーチ・ブロック210内に内部流路を画定するために外側面から穴ぐりする必要性を排除し、結果として、機械加工作成に比べて、より小さなフォーム・ファクタをもたらす。実施例において、隣り合うレイヤのサブセットは、流路を画定するためのそれぞれのオープンな空間を含む。実施例において、隣り合うレイヤの第1のサブセットは、遮蔽ガス流路を画定するために如何なる材料も欠いたそれぞれの第1の空間を含み、隣り合うレイヤの第2のサブセットは、冷媒流路を画定するために如何なる材料も欠いたそれぞれの第2の空間を含む。このような実施例において、いくつかのレイヤは、第1の空間及び第2の空間の両方を含み得る。
【0021】
積層造形及び3Dプリンティング技術は、機械加工技術が作成し得ない複雑な経路及び/又はセグメントを有する流路を作成し得る。例えば、3Dプリンティングは、曲がりくねったセグメント、弓形状セグメント、U字形状セグメント、ねじれたセグメント、螺旋形状セグメント、渦巻き形状セグメント、蛇行形状セグメント、波形状セグメント、及び他の複雑な若しくは回旋状のセグメントを含む内部流路を作り出し得る。有利には、3Dプリンティングは、冷媒流路を回旋状にするために細密で入り組んだセクションを有する冷媒流路を形成するためにこのようなセグメントを備える構造を作成し得、冷却性能を向上させる。流路回旋は、トーチ・ブロック全体にわたって形成されてもよく、トーチ・ブロックに対する冷媒流路の割合を増加させる。流路回旋は、熱に晒されるエリアに対してより大きな冷却性能を提供するために、熱源に隣接するエリアなど特定のエリアに局所的に存在してもよい。なおも更に、流路回旋は、障害物又はトーチ・ブロックにおける他の内部構造の周囲を通過するように形成されてもよい。例えば、冷媒流路は、電極に隣接するエリアの遮蔽ガス流路を取り囲む螺旋形状又は渦巻き形状セグメントを備える流路回旋を含み得、そうでなかった場合に機械加工技術によって可能であったものよりも大きな冷却性能を提供する。それ故、本明細書において開示されるデバイス及び製造の方法の利点は、これらに限られるものではないが、より小さなフォーム・ファクタ、より迅速な作成時間、電気的に絶縁されたラインではなくトーチ・ブロック本体部を通じた電力の伝導、及び向上された冷却性能を含み得る。より小さなフォーム・ファクタは、そうでなかった場合に機械加工技術を使用して作成されたより大きなフォーム・ファクタのトーチ・ブロックには到達し得ない溶接ジョイントの更なる利点を提供し得る。
【0022】
図3A図3B図4A図4B、及び図4Cは、本明細書における開示に従って製造された溶接デバイス210の実施例を示す。特には、溶接デバイス210は、アーク溶接デバイスとともに使用するための、銅でプリントするように構成された3Dプリンタを使用して製造された、銅製トーチ・ブロックである。トーチ・ブロックは、およそ2.2225cm(7/8インチ)の高さであり、導電性の銅製本体部212を備え、本体部212に接続された電極(図示されず)に本体部212を通じて直接的に電力を送るように構成される。導電性のトーチ・ブロック210は、絶縁されたワイヤを通じて電極に電力を送る必要性を排除する。しかしながら、当業者は、本明細書において開示される実施例は、電極に電力を送る絶縁されたワイヤのための能力を含むように形成された溶接デバイスを含むことを理解されよう。
【0023】
3Dプリンタは、ガス流入口226とガス流出口228との間に比較的直接的な経路を有する遮蔽ガス流路220を含むようにトーチ・ブロック210を形成する。遮蔽ガス流路220は、ガス流入口226において受け入れられた遮蔽ガスを、ガス流出口228に結合された拡散体カップへと通過させる。アルゴンなどの当技術分野において知られた標準的な遮蔽ガスが、導電性トーチ・ブロック210を通った送達に適している。ガス流入口226及びガス流出口228は、オープンなポートとして作成され得、溶接、半田、又は他の接続手段による他のコンポーネントとの接続を可能とする。ガス流入口226及びガス流出口228は、例えば、半田継ぎ手及びトーチ・コレットを含むコンポーネントとしても作成され得る。流入口及び流出口の形成は、トーチ・ブロックが遮蔽ガスを通過させるための内部流路とともに製造された後の製造の最終ステップとして残されてもよい。例示的な実施例において、ガス流入口226は半田継ぎ手を備え、ガス流出口228は、拡散体カップとの結合のための中空の円筒部を備える。遮蔽ガス流路220は、直接的セグメント222、弓形状セグメント223、及び外広がりセグメント224を含む複数のセグメント221を含む。外広がりセグメント224は、ガス流出口228の周りで遮蔽ガスを排出し、有利には、ガス流動を向上させ、より小さなフォーム・ファクタの拡散体カップを可能とする。実施例において、拡散体カップの直径は、2.54cm(1インチ)未満である。実施例において、拡散体カップの直径は、約0.635cm(1/4インチ)である。
【0024】
3Dプリンタは、更に、水などの冷媒をトーチ・ブロック210を通って通過させるために冷媒流入口236と冷媒流出口238との間に回旋状の経路を有する冷媒流路230を含むようにトーチ・ブロック210を形成する。冷媒流入口236及び冷媒流出口238は、オープンなポートとして作成され得、溶接、半田、又は他の接続手段による他のコンポーネントとの接続を可能とする。冷媒流入口236及び冷媒流出口238は、半田継ぎ手を含むコンポーネントとしても作成され得、又は、トーチ・ブロックが冷媒ガスを通過させるための回旋状の内部流路とともに製造された後の製造の最終ステップとして残されてもよい。例示的な実施例において、冷媒流出口238は、冷媒流路セグメント231よりも比較的に大きな直径を有するオープンなポートを備え、冷媒流入口236は半田継ぎ手を備える。冷媒流路230は、直接的セグメント232、並びにU字形状セグメント234a、234b、及び234cを含む弓形状セグメント233を含む複数のセグメント231を含む。様々なセグメントは、トーチ・ブロック本体部212全体にわたって冷媒流路230を回旋状にし、トーチ・ブロック210に対する冷媒流路230の割合を増加させる。例えば、トーチ・ブロック全体にわたって冷媒流路を回旋状にすることで、トーチ・ブロックの体積に対する冷媒流路の表面積の比率を増加させ得る。冷媒流路230は、更に、一次的熱源である電極のより近くでより大きな冷却性能を提供するように、ガス流出口228に近接する冷媒流路230の一部分を回旋状にするように作成される。回旋状部分は、ガス流出口238の近位及びガス流路220の周囲で冷媒流路を回旋状にするために、3つのU字形状セグメント234a、234b、及び234cを含む。実施例において、冷媒流路は、熱源に隣接するエリアにおいて冷媒流路を回旋状にするために複数のセグメントを含む。これらのセグメントは、直線的セグメント及び弓形状セグメントを含み得る。複数の弓形状セグメントは、螺旋形状、渦巻き形状、又は蛇行形状セグメントなどのより複雑なセグメントを形成し得る。
【0025】
本明細書における開示に従って製造された導電性の銅製トーチ・ブロックの例示的な寸法としては、0.9525cm(3/8インチ)から3.81cm(1-1/2インチ)の範囲の幅、0.9525cm(3/8インチ)から3.81cm(1-1/2インチ)の範囲の奥行、及び1.27cm(1/2インチ)から3.81cm(1-1/2インチ)の高さを有するトーチ・ブロックなどがある。小さな寸法は、特定の用途向けのものであって、限定的なアクセス又はそうでなかった場合により大きなトーチ・ブロックを使用したときには溶接を制限する可能性のある他の障害物によって溶接エリアへの物理的なアクセスを妨げないトーチ・ブロックを可能とする。トーチ・ブロックは、他の物理的寸法で製造され得る。
【0026】
前述の開示は、アーク溶接デバイスのための3Dプリントされた銅製トーチ・ブロックを主に記述しているが、当業者は、アーク溶接及び他の溶接技術における使用のための他の溶接デバイスが、本明細書における開示から逸脱することなく製造され得ることを理解されよう。更には、前述のことは、銅製トーチ・ブロックに限定されるものではない。例えば、3Dプリンタは、真鍮など、導電性トーチ・ブロックに適した他の導電性材料によってプリントすることができる。
【0027】
先行する記述において、説明を目的として、実施例の完全な理解を提供するために多くの詳細が述べられた。しかしながら、これらの特定の詳細は必須ではないことが当業者には明らかであろう。他の場合において、理解を曖昧にしないために、よく知られた電気的構造及び回路がブロック図の形態で図示され得る。例えば、本明細書において記述される実施例が、ソフトウェア・ルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア、又はそれらの組み合せとして実現されるか否かについて、特定の詳細は提供されない。特許請求の範囲は、本明細書において述べられた特定の実施例によって制限されるべきではなく、全体として明細書と首尾一貫したやり方において解釈されるべきである。
【0028】
本発明の1つ又は複数の好ましい実施例が上述されたが、本発明において、その範囲及び精神から逸脱することなく様々な修正及び変形がなされ得ることが当業者によって理解されるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲及び精神の内にあるこのような修正及び変形を含むことが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
【国際調査報告】