(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(54)【発明の名称】β-ラクタム化合物を含む医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/427 20060101AFI20241008BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241008BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20241008BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20241008BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20241008BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20241008BHJP
C07D 417/12 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
A61K31/427
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K31/55
A61K31/551
A61K31/69
A61P31/04
A61K31/58
A61K31/4745
A61K38/05
C07D417/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548796
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2021129609
(87)【国際公開番号】W WO2023082055
(87)【国際公開日】2023-05-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522469534
【氏名又は名称】インスティテュート オブ メディシナル バイオテクノロジー、チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF MEDICINAL BIOTECHNOLOGY, CHINESE ACADEMY OF MEDICAL SCIENCES
【住所又は居所原語表記】NO 1, Tiantan Xili, Dongcheng District, Beijing 100050, China
(71)【出願人】
【識別番号】524173361
【氏名又は名称】グァンヂョウ エイチシー ニュー ドラッグ リサーチ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU HC NEW DRUG RESEARCH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 312, Building D, Shenzhou Road, No.288, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong 510700, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ダンチン
(72)【発明者】
【氏名】チアン チアンドン
(72)【発明者】
【氏名】ワン イエンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ユー シュエフ
(72)【発明者】
【氏名】ファン シャンシ
(72)【発明者】
【氏名】リ イエンホン
(72)【発明者】
【氏名】ルー シィ
(72)【発明者】
【氏名】リン リンドン
(72)【発明者】
【氏名】ファン チェンユン
(72)【発明者】
【氏名】パン チン
(72)【発明者】
【氏名】フオ シハオ
(72)【発明者】
【氏名】リ シウェン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ヨンファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シウフン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA14
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZB351
4C084ZC202
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086CB11
4C086CB22
4C086DA12
4C086DA43
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086ZB35
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、式(I)のβ-ラクタム化合物、又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステルと、ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤と、を含む医薬組成物、並びに微生物、特に細菌、特にグラム陰性細菌を阻害するためのその使用であって、式(I)中の各記号は本明細書で定義される通りである。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステルであって、
【化2】
式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルアシルオキシアルキル若しくはアルコキシアシルオキシアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールを表すか、又はR
1及びR
2は、一緒になってシクロアルキルを形成し、全ての前記基は、任意に置換されており、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルアシルオキシアルキル若しくはアルコキシアシルオキシアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールを表すか、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロアルキルを形成し、全ての前記基は、任意に置換されており、かつ
Yは、任意に置換されたアルケニル若しくはアルキニルを表すか、又はカルボキシル若しくはエステルを表し、かつ
(b)ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、若しくは任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル若しくはtert-ブチルを表すか、又はR
1及びR
2は、一緒になって(C
3-C
6)シクロアルキルを形成し、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル若しくはtert-ブチル、又は任意に置換された(C
6-C
12)-アリールを表すか、又はR
3及びR
4は、一緒になって(C
3-C
6)シクロアルキルを形成し、かつ
Yは、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、2-メチルプロペニル、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、プロパルギル、n-ブチニル、イソブチニル、2-メチルプロピニル、カルボキシル又は-COOR
5を表し、R
5は、(C
1-C
12)-アルキルであり、その例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル又はヘキシルである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物において、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、又は任意に置換されたメチル若しくはエチルを表し、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、若しくは任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル若しくはイソプロピルを表すか、又はR
3及びR
4は、一緒になって(C
3-C
6)シクロアルキルを形成し、かつ
Yは、ビニル、プロペニル、エチニル、プロピニル、カルボキシル又は-COOR
5を表し、R
5は、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである、請求項1又は請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物が、
【化3】
【化4】
から選択される、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ラクタマーゼ阻害剤が、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムからなる群から選択される、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【化5】
【請求項6】
前記排出ポンプ阻害剤が、ベルベリン、コネシン及びPaβNからなる群から選択される、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【化6】
【請求項7】
成分(a)及び成分(b)が、1:0.3~1:10、好ましくは1:0.5~1:7、より好ましくは1:0.8~1:6、最も好ましくは1:1~1:5の重量比で存在する、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
薬学的に許容され得る担体、賦形剤及び/又は他のアジュバントをさらに含む、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗微生物剤としての請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
前記微生物が、細菌、特にグラム陰性細菌、例えば大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サルモネラ・チフィ、セラチア・マルセッセンス、シトロバクター・フロンディ、プロビデンシア・レットゲリ、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・マルトフィリア及びシゲラ・フレックスネリである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記微生物が、肺炎桿菌、大腸菌、エンテロバクター・クロアカ、アシネトバクター・バウマンニ又は緑膿菌である、請求項9又は請求項10に記載の使用。
【請求項12】
成分(b)が、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムからなる群から選択されるジアザビシクロオクタノンβ-ラクタマーゼ阻害剤であり、
【化7】
前記微生物が、肺炎桿菌、大腸菌及びエンテロバクター・クロアカから選択される、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
成分(b)が、ベルベリン、コネシン及びPaβNからなる群から選択される排出ポンプ阻害剤であり、
【化8】
前記微生物が、アシネトバクター・バウマンニ又は緑膿菌から選択される、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
感染症を処置するための医薬品の製造における、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β-ラクタム化合物を含む医薬組成物、及び微生物、特に細菌、特にグラム陰性細菌を阻害するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
β-ラクタム抗生物質(β-ラクタム)は、化学構造中にβ-ラクタム環を含有する大きなクラスの抗生物質を指す。多くのβ-ラクタム抗生物質が知られている。このような抗生物質は、強力な殺菌活性、低毒性、広範囲の適応症に対する使用及び良好な臨床的有効性の利点を有する。
【0003】
それにもかかわらず、抗生物質の広範な臨床使用により、いくらかの薬剤耐性が出現しており、いくつかの局面における抗菌効果は必ずしも満足のいくものではない。したがって、優れた抗菌効果を有する新しい抗菌薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、従来技術における前述の欠点を克服するためになされる。
【0005】
本発明は、
(a)式(I)の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステルであって、
【化9】
式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルアシルオキシアルキル若しくはアルコキシアシルオキシアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールを表すか、又はR
1及びR
2は、一緒になってシクロアルキルを形成し、全ての上記の基は、任意に置換されており、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルアシルオキシアルキル若しくはアルコキシアシルオキシアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールを表すか、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロアルキルを形成し、全ての上記の基は、任意に置換されており、かつ
Yは、任意に置換されたアルケニル若しくはアルキニルを表すか、又はカルボキシル若しくはエステルを表し、かつ
(b)ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0006】
本発明の医薬組成物は、そのまま、又は薬学的に許容され得る担体、賦形剤若しくは他のアジュバントと共に使用することができる。
【0007】
本発明はまた、抗微生物剤としての本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、感染症を処置するための医薬品の製造における本発明の医薬組成物の使用も提供する。
【0009】
さらに、本発明はまた、本発明の医薬組成物をヒト又は動物に投与することを含む、感染症を処置する方法を提供する。
【0010】
驚くべきことに、本発明の医薬組成物中の式(I)の化合物又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステル、及びラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤は、相乗的な抗菌効果を示すことが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一般的な定義
本出願の式(I)の化合物、並びにその立体異性体、溶媒和物及び薬学的に許容され得る塩又はエステルは、「本発明の化合物」と総称されることがある。
【0012】
「本発明の医薬組成物」は、本発明の化合物及びラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤、並びに任意に薬学的に許容され得る担体、賦形剤及び/又は他のアジュバントを含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、「任意の」又は「任意に」という用語は、続いて記載される事象、状況、若しくは物質が発生してもしなくてもよく、又は存在してもよく、かつその説明が、事象、状況、若しくは物質が発生しているか又は存在している場合と、発生していないか又は存在していない場合とを含むことを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「含む」並びにその同義語「含むこと」及び「含む」という用語は、「限定されないが、含む」を意味し、例えば、他の添加剤、成分、整数又はステップを排除することを意図しない。
【0015】
本発明において、「微生物」は、細菌、ウイルス及び真菌、特にグラム陽性細菌、グラム陰性細菌などの細菌を含む当技術分野で周知の意味を有する。
【0016】
本発明の文脈において、特に明記しない限り、「アルキル」という用語は、単独で、又は更なる用語、例えばアリールアルキルと組み合わせて、分岐又は非分岐であり得る飽和脂肪族炭化水素基の基を意味すると理解される。(C1-C12)-アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル及びn-ドデシルである。これらのアルキル基の中でも、(C1-C6)-アルキル基が特に好ましい。(C1-C4)-アルキル基が特に好ましい。
【0017】
本発明の文脈において、特に明記しない限り、「シクロアルキル」という用語は、単独で、又は更なる用語、例えばアリールシクロアルキルと組み合わせて、3~8個の炭素環式原子を有し、任意に置換されていてもよい飽和脂肪族環式炭化水素基の基を意味すると理解される。(C3-C8)-シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、C7-シクロアルキル及びC8-シクロアルキルである。これらの基は、任意に置換されていてもよい。
【0018】
本発明では、「アルコキシ」という用語は、単独で、又は更なる用語、例えばカルボキシアルコキシイミノと組み合わせて、アルキル-O-を意味すると理解され、「アルキル」という用語は上記に定義される通りである。特に、ここでのアルキルは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0019】
本発明によれば、特に明記しない限り、「アルキルカルボニル」(アルキル-C(=O)-)は、-C(=O)-を介して骨格に結合したアルキル基、例えば(C1-C10)-、(C1-C6)-又は(C1-C4)-アルキルカルボニルを表す。ここでの炭素原子の数は、アルキルカルボニル基におけるアルキル基に関する。
【0020】
本発明によれば、「アルキルアシルオキシ」(アルキル-C(=O)-O-)という用語は、特に明記しない限り、(C1-C10)-、(C1-C6)-又は(C1-C4)-アルキルアシルオキシなどのアシルオキシ基(-C(=O)-O-)の酸素を介して骨格に結合したアルキル基を表す。ここでの炭素原子の数は、アルキルアシルオキシ基におけるアルキル基に関する。
【0021】
本発明によれば、特に明記しない限り、「アルコキシアシルオキシ」(アルコキシ-C(=O)-O-)という用語は、(C1-C10)-、(C1-C6)-又は(C1-C4)-アルコキシアシルオキシなどのアシルオキシ基(-C(=O)-O-)の酸素を介して骨格に結合したアルコキシ基を表す。ここで、炭素数は、アルコキシアシルオキシ基におけるアルキル基に関する。
【0022】
本発明によれば、特に明記しない限り、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素基を意味すると理解される。好ましくは、アルケニルの例は、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、2-メチルプロペニルなどである。
【0023】
本発明によれば、特に明記しない限り、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する炭化水素基を意味すると理解される。好ましくは、アルキニルの例は、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、プロパルギル、n-ブチニル、イソブチニル、2-メチルプロピニルなどである。
【0024】
本発明によれば、特に明記しない限り、「エステル」という用語は、構造-COOR5を有する基を意味すると理解され、式中、R5は、上記で定義したアルキルである。R5は、好ましくは(C1-C12)-アルキルであり、その例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル及びn-ドデシルである。より好ましくは、R5は、(C1-C6)-アルキルである。特に好ましくは、R5は、(C1-C6)-アルキルである。
【0025】
特に明記しない限り、「ヘテロシクリル」は、環中に炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和又は部分飽和単環式環を意味する。好ましくは、ヘテロシクリルは、3、4、5、6又は7個の炭素原子と、酸素、硫黄及び窒素から選択される1又は2個のヘテロ原子とを含む。ヘテロシクリルの例は、アゼチジニル、アザシクロペンチル、アザシクロヘキシル、オキセタニル、オキソラニル、オキサシクロヘキシル、ジオキサシクロヘキシル、チエタニル、チアシクロペンチル、チアシクロヘキシル及びテトラヒドロフラニルである。
【0026】
本発明によれば、特に明記しない限り、「アリール」という用語は、6~14個の炭素原子を有する芳香族基、好ましくはフェニル、ナフチル、アントリル又はフェナントリル、より好ましくはフェニルを意味すると理解される。
【0027】
特に明記しない限り、「アリールアルキル」という用語は、本発明に従って定義されるような「アリール」基と「アルキル」基との組合せを意味すると理解され、ここで基は一般にアルキル基を介して結合している。その例は、ベンジル、フェニルエチル又はα-メチルベンジルであり、ベンジルが特に好ましい。
【0028】
特に明記しない限り、「ヘテロアリール」は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、少なくとも1つの環が芳香族である単環式、二環式又は三環式複素環基を意味する。好ましくは、ヘテロアリールは、3、4、5又は6個の炭素原子を含み、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、テトラゾリル、ベンゾフリル、ベンゾフリル、ベンゾイソフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイソチエニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、2,1,3-ベンゾオキサジアゾール、キノリニル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、プテリジニル及びインドリジニルから選択される。
【0029】
基本構造が「置換」されている場合、これはいずれの場合も、1つ以上の同一の及び/又は構造的に異なる基による同時置換を含む。
【0030】
「溶媒和物」という用語は、通常は加溶媒分解反応によって生成される溶媒に関連する化合物又はその塩の形態を指す。この物理的会合は、水素結合を含み得る。従来の溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが挙げられる。本明細書に記載される化合物は、例えば結晶形態で調製されてもよく、溶媒和されてもよい。適切な溶媒和物は、薬学的に許容され得る溶媒和物を含み、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方をさらに含む。ある特定の場合において、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれるときに単離することができるであろう。「溶媒和物」は、溶液中の溶媒和物及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。代表的な溶媒和物としては、水和物、エタノレート及びメタノレートが挙げられる。
【0031】
化合物が、水素シフトによって、その構造が式(I)によって形式的に網羅されていない互変異性体を形成することができる場合、これらの互変異性体は、特定の互変異性体がそうでないと見なされない限り、本発明の式(I)の化合物の定義によって依然として網羅される。例えば、多くのカルボニル化合物が、ケト型及びエノール型の両方で存在してもよく、両方の型が式(I)の化合物の定義に包含される。
【0032】
置換基の性質及びそれらが結合する様式に応じて、式(I)の化合物は立体異性体として存在し得る。鏡像異性体、立体異性体、Z及びE異性体など、その特定の三次元形態によって定義される可能な立体異性体は、すべて式(I)に包含される。例えば、1つ以上のアルケニル基が存在する場合、立体異性体(Z及びE異性体)が、生じ得る。例えば、1つ以上の不斉炭素原子が存在する場合、鏡像異性体及び立体異性体が、生じ得る。立体異性体は、調製において得られた混合物から慣用的な分離方法によって得ることができる。クロマトグラフィー分離は、鏡像異性体過剰率又は立体異性体過剰率を見出すために分析スケールで、又は生物学的試験のための試験片を作製するために分取スケールで行うことができる。同様に、光学活性出発物質及び/又はアジュバントを使用して立体選択的反応を使用することによって、立体異性体を選択的に調製することが可能である。したがって、本発明はまた、一般式(I)に包含されるが、それらの特定の立体異性体形態では示されていないすべての立体異性体、及びそれらの混合物に関する。
【0033】
適切な場合、式(I)の化合物は、様々な多形体で、又は様々な多形体の混合物として存在し得る。純粋な多形及び多形混合物の両方が本発明によって提供され、本発明に従って使用することができる。
【0034】
本発明の文脈において、「相乗効果」という用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有し、例えば、組み合わせた場合に個々の成分の効果の合計よりも大きい総合効果を生じる2つの成分の相互作用を意味する。
【0035】
本発明において、特記しない限り、全ての操作は室温及び常圧下で行われた。
【0036】
本発明において、特記しない限り、組成物及び混合物中の各成分の比率は、重量基準である。
【0037】
医薬組成物
一態様において、本発明は、
(a)式(I)の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステルであって、
【化10】
式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルアシルオキシアルキル若しくはアルコキシアシルオキシアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールを表すか、又はR
1及びR
2は、一緒になってシクロアルキルを形成し、全ての上記の基は、任意に置換されており、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルアシルオキシアルキル若しくはアルコキシアシルオキシアルキル、ヘテロシクリル若しくはヘテロアリールを表すか、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロアルキルを形成し、全ての上記の基は、任意に置換されており、
Yは、任意に置換されたアルケニル若しくはアルキニルを表すか、又はカルボキシル若しくはエステルを表し、かつ
(b)ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0038】
成分(a)
本発明の医薬組成物は、成分(a)(式(I)の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステル)を含む。上記の式(I)の化合物は、本発明の化合物の一般的な定義を提供する。本発明の式(I)に列挙される基の好ましい、より好ましい、特に好ましい及び最も好ましい置換基又は範囲を以下に示す。
【0039】
好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素又は以下の任意に置換された基を表す:(C1-C12)-アルキル、(C6-C14)-アリール、(C1-C12)-アルコキシ、(C1-C12)-アルキルカルボニル-(C1-C12)-アルキル、(C1-C12)-アルキルアシルオキシ-(C1-C12)-アルキル又は(C1-C12)-アルコキシアシルオキシ-(C1-C12)-アルキル、あるいはR1及びR2は、一緒になって(C3-C8)シクロアルキルを形成する。
【0040】
より好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、若しくは任意に置換された(C1-C10)-アルキル、例えば、任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル若しくはn-デシルを表すか、又はR1及びR2は、一緒になって(C3-C6)シクロアルキルを形成する。
【0041】
特に好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、若しくは任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル若しくはtert-ブチルを表すか、又はR1及びR2は、一緒になって(C3-C6)シクロアルキルを形成する。
【0042】
最も好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、又は任意に置換されたメチル若しくはエチルを表す。
【0043】
好ましくは、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素若しくは以下:(C1-C12)-アルキル、(C6-C14)-アリール、(C1-C12)-アルコキシ、(C1-C12)-アルキルカルボニル-(C1-C12)-アルキル、(C1-C12)-アルキルアシルオキシ-(C1-C12)-アルキル又は(C1-C12)-アルコキシアシルオキシ-(C1-C12)-アルキルの任意に置換された基を表すか、又はR3及びR4は、一緒になって(C3-C8)シクロアルキルを形成する。
【0044】
より好ましくは、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、任意に置換された(C1-C10)-アルキル、例えば、任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル又はn-dec、若しくは任意に置換された(C6-C12)-アリールを表すか、又はR3及びR4は、一緒になって(C3-C6)シクロアルキルを形成する。
【0045】
特に好ましくは、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル、若しくは任意に置換された(C6-C12)-アリールを表すか、又はR3及びR4は、一緒になって(C3-C6)シクロアルキルを形成する。
【0046】
最も好ましくは、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、若しくは任意に置換されたメチル、エチル、n-プロピル若しくはイソプロピルを表すか、又はR3及びR4は、一緒になって(C3-C6)シクロアルキルを形成する。
【0047】
好ましくは、Yは、任意に置換されたアルケニル若しくはアルキニルを表すか、又はカルボキシル若しくはエステルを表す。
【0048】
より好ましくは、Yは、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、2-メチルプロペニル、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、プロパルギル、n-ブチニル、イソブチニル、2-メチルプロピニル、カルボキシル又は-COOR5を表し、R5は、(C1-C12)-アルキルであり、その例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル及びn-ドデシルである。
【0049】
特に好ましくは、Yは、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、2-メチルプロペニル、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、プロパルギル、n-ブチニル、イソブチニル、2-メチルプロピニル、カルボキシル又は-COOR5を表し、R5は、(C1-C12)-アルキルであり、その例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル及びヘキシルである。
【0050】
最も好ましくは、Yは、ビニル、プロペニル、エチニル、プロピニル、カルボキシル又は-COOR5を表し、R5は、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。
【0051】
基の上記のそれぞれの一般的な定義又は様々な好ましい定義又は例示は、所望に応じて互いに組み合わせることができる。すなわち、それぞれの一般的な範囲又は様々な好ましい範囲の組み合わせを含むことができる。それらは、式(I)の化合物並びにその対応する立体異性体、溶媒和物及び薬学的に許容され得る塩又はエステルの両方に適用される。
【0052】
本発明の式(I)の好ましい化合物は、上記の好ましい意味の組合せを含む。
【0053】
本発明の式(I)のより好ましい化合物は、上記のより好ましい意味の組合せを含む。
【0054】
本発明の式(I)の特に好ましい化合物は、上記の特に好ましい意味の組合せを含む。
【0055】
本発明の式(I)の最も好ましい化合物は、上記の最も好ましい意味の組合せを含む。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、式(I-1)の化合物であって、
【化11】
式中、R
1は、Hを表し、R
2は、Hを表し、R
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、Yはカルボキシルである。
【0057】
別の好ましい実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、式(I-2)の化合物であって、
【化12】
式中、R
1は、Hを表し、R
2は、Hを表し、R
3及びR
4は、一緒になってシクロブチルを形成し、Yはカルボキシルである。
【0058】
別の好ましい実施形態では、本発明の式(I)の化合物は、以下の化合物:
【化13】
から選択される化合物である。
【0059】
さらに、式(I)の化合物の立体異性体、溶媒和物及び薬学的に許容され得る塩又はエステルは、当業者に公知の従来の手段によって得ることができる。
【0060】
式(I)の化合物並びにその立体異性体、溶媒和物及び薬学的に許容され得る塩又はエステルは、本明細書に例示的に記載されているが、これらの化合物は、例示のみを目的として提供されており、決して本発明を限定するものではないことは、当業者には明らかであろう。
【0061】
式(I)の化合物の調製
本発明はまた、上記化合物を調製する方法を提供する。
【0062】
式(I)の化合物は、以下のスキームによって調製される。
【化14】
【0063】
上記式中、PG1及びPG2は、保護基を表し、R1、R2、R3、R4及びYは、先に定義した通りである。
【0064】
カルボキシル保護基PG1は、当技術分野で一般的に使用されるカルボキシル保護基である。特に限定されないが、「カルボキシル保護基」は、その機能を有するものであればよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基等の低級アルキル基;2,2,2-トリクロロエチル基などのハロ低級アルキル基;アリル基等の低級アルケニル基;ベンジル基、p-メトキシベンジル基、p-ニトロソベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等のアラルキル基;特に好ましくは、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、アリル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基及びベンズヒドリル基が挙げられる。当業者は、実際の必要に応じて合理的な選択を行うことができる。好ましくは、PG1は、-CHPh2(ベンズヒドリル)である。
【0065】
アミノ保護基PG2は、当技術分野で一般的に使用されるアミノ保護基である。特に限定されないが、「アミノ又はイミノ保護基」は、その機能を有するものであればよい。例えば、-Boc(tert-ブトキシカルボニル)、-Cbz(ベンジルオキシカルボニル)、-Teoc(トリメチルシリルエトキシカルボニル)、-Tos(p-トルエンスルホニル)、-Trt(トリチル)及び-Bn(ベンジル)が挙げられる。当業者は、実際の必要に応じて合理的な選択を行うことができる。好ましくは、PG2は、-Boc(tert-ブトキシカルボニル)である。
【0066】
反応の反応条件は、保護基の脱離のための従来の条件であり、A.G.Myers,J.Gleason,T.Yoon,D.W.Kung,J.Am.Chem.Soc.,1997,119,656;及びM.Frankel,D.Ladkany,C.Gilon,Y.Wolman,Tetrahedron Lett.,1966,7,4765.に記載されているように、PG1とPG2に応じて異なる。
【0067】
上記のステップ1aでは、化合物7aを溶媒に溶解し、トリエチルアミンを添加し、トリフェニルクロロメタンをバッチで添加し、混合物を室温で反応させる。反応が完了した後、中間体化合物7bが得られる。
【0068】
上記ステップ1aの反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
上記ステップ1bにおいて、化合物7bを1,4-ジオキサン/水(50:50)に溶解し、水酸化ナトリウムを添加する。混合物を、原料が消失するまで連続的に撹拌しながら反応させる。1,4-ジオキサンを減圧下での蒸発によって除去し、pHを2~3に調整する。撹拌及びろ過を行う。濾液が中性になるまでろ過ケークを水で洗浄し、ろ過ケークを回収し、乾燥させて化合物7cを得る。
【0070】
上記ステップ1において、化合物1及びジフェニルブロモメタンを有機溶媒に分散させ、室温で撹拌する。DBU(1,8-ジアザビシクロ-ウンデカ-7-エン)を添加し、温度を70~80℃に上昇させる。反応は、原料がさらに還元されなくなるまで撹拌下で行われる。温度を室温まで低下させる。反応液を抽出する。有機相を合わせ、乾燥させ、濃縮して残渣を得る。残留物をカラムクロマトグラフィーで分離し、化合物2を得る。
【0071】
上記ステップ1の反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0072】
上記ステップ2において、化合物2及びジフェニルホスホリルヒドロキシルアミンを有機溶媒に分散させ、窒素を3~4回パージし、0℃で撹拌する。その後、ナトリウムtert-ブトキシドを添加する。反応物が完全に変換されるまで、混合物を一定温度で撹拌下で反応させる。反応液に飽和塩化ナトリウム溶液を添加して撹拌し、不溶物をろ過することにより化合物3を得る。
【0073】
上記ステップ2の反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0074】
上記ステップ3において、化合物7cを有機溶媒に分散させ、室温で撹拌しながら化合物3のメタノール溶液を添加する。原料が完全に変換されるまで、混合物を一定温度で撹拌しながら反応させる。カラムクロマトグラフィーを行い、化合物4を得た。
【0075】
上記ステップ3の反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0076】
上記ステップ4では、化合物4を有機溶媒に分散させる。HATU(2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、NaHCO3及び化合物8をそれぞれ添加する。原料が完全に変換されるまで、混合物を室温で撹拌しながら反応させる。カラムクロマトグラフィーを行い、化合物5を得た。
【0077】
上記ステップ4の反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0078】
上記ステップ5において、化合物5を有機溶媒に溶解し、-5~-10℃で撹拌する。トリエチルシラン及びトリフルオロ酢酸を添加する。反応が完了するまで、混合物を一定温度で反応させる。溶媒を減圧下、室温で蒸発除去し、分離して目的物である一般式(I)の化合物を得た。
【0079】
上記ステップ5の反応に用いられる有機溶媒としては、無水ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0080】
式(I)の化合物を調製する方法を本明細書に例示的に記載しているが、この調製方法は、例示のみを目的として提供され、決して本発明を限定するものではないことは当業者には明らかであろう。
【0081】
成分(b)
本発明の医薬組成物は、(b)ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤を含む。
【0082】
一実施形態では、ラクタマーゼ阻害剤は、ジアザビシクロオクタノンβ-ラクタマーゼ阻害剤である。一実施形態では、ジアザビシクロオクタノンβ-ラクタマーゼ阻害剤は、特に、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムからなる群から選択される。
【化15】
【0083】
1つの実施形態では、排出ポンプ阻害剤は、ベルベリン、コネシン及びPaβNからなる群より選択される。
【化16】
【0084】
成分(b)の化合物は、本明細書に例示的に記載されているが、これらの化合物は、例示のみを目的として提供され、決して本発明を限定するものではないことは当業者には明らかであろう。
【0085】
驚くべきことに、本発明の医薬組成物は優れた抗菌効果を有し、先行技術で公知の他の抗微生物剤と比較して、より強い活性を示し、同じ微生物に対してより少ない用量で使用できることが見出された。したがって、本発明の医薬組成物の投与は、ヒト又は動物に対する副作用の減少、より良好な許容度、及び薬剤耐性の発生の減少をもたらす。
【0086】
本発明の医薬組成物は、特に大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ、エンテロバクター・クロアカ、エンテロバクター・アエロゲネス、サルモネラ・チフィ、セラチア・マルセッセンス、シトロバクター・フロンディ、プロビデンシア・レットゲリ、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・マルトフィリア及びシゲラ・フレックスネリなどのグラム陰性細菌に対して優れた抗菌効果を有し、かつ低い薬剤耐性をもたらす。
【0087】
一実施形態では、細菌は、例えば、肺炎桿菌、大腸菌及びエンテロバクター・クロアカである。別の実施形態では、細菌は、アシネトバクター・バウマンニ及び緑膿菌である。それにもかかわらず、当業者は、これらの細菌が例示にすぎず、決して本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0088】
特定の実施形態では、細菌は、例えば、肺炎桿菌株ATCC2146、ATCC700603、CCPM(A)-0814R18、CCPM(A)-0814R33、CCPM(A)-081301、CCPM(A)-081705、CCPM(A)-081715、CCPM(A)-081729、CCPM(A)-081716及びCCPM(A)-0817R61、大腸菌株ATCC2469及びCCPM(A)-P-071301、並びにエンテロバクター・クロアカエ株CCPM(A)-P-111729及びATCC2468である。別の実施形態では、細菌は、アシネトバクター・バウマンニ株ATCC19606、ATCC17978及びCCPM(A)-P-101633(CRAB)、並びに緑膿菌株ATCC27853、PAO1(CCPM(A)-P-09000032)及びCCPM(A)-P-091626(CRPA)である。
【0089】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤及び/又は少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤を含む。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤、並びに/又はベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤を含む。
【0090】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、式(I-4)、式(I-5)及び式(I-6)の化合物から選択される少なくとも1つの化合物と、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤と、並びに/又はベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤と、を含む。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-1)の化合物及び式(I-2)の化合物から選択される少なくとも1つの化合物と、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤と、並びに/又はベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤と、を含む。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-1)の化合物と、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤と、を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-1)の化合物と、ベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤と、を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-2)の化合物と、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤と、を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-2)の化合物と、ベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤と、を含む。
【0091】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-1)の化合物と、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤と、ベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤と、を含む。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(I-2)の化合物と、アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムから選択される少なくとも1つのβ-ラクタマーゼ阻害剤と、ベルベリン、コネシン及びPaβNから選択される少なくとも1つの排出ポンプ阻害剤と、を含む。式(I-1)、式(I-2)、式(I-3)、式(I-4)、式(I-5)及び式(I-6)の化合物は、ここでは上記のように定義される。
【0092】
本発明の医薬組成物において、本発明化合物、及びラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤は、相乗効果を示す。本発明化合物とラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤との併用は、本発明化合物とラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤の両方の最小阻害濃度を低下させ、分画阻害濃度指数(FICI)≦0.5であり、組合せが相乗効果を有することを示す。
【0093】
一実施形態では、成分(a)対成分(b)の重量比は、1:0.3~1:10、好ましくは1:0.5~1:7、より好ましくは1:0.8~1:6、最も好ましくは1:1~1:5である。
【0094】
本発明の化合物又は本発明の医薬組成物の最適用量及び投与間隔は、化合物の特性並びに投与の形態、経路及び部位、並びに処置される特定の哺乳動物などの外部条件によって決定される。この最適用量は、従来の技術によって決定することができる。最適な処置経過、すなわち特定の時間内の本発明の化合物又は本発明の医薬組成物の1日用量は、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。
【0095】
一実施形態では、単回投与における本発明の医薬組成物の用量は、1~5000mgの活性成分/kg体重、好ましくは2~4000mgの活性成分/kg体重、より好ましくは5~3000mgの活性成分/kg体重、特に好ましくは10~1000mgの活性成分/kg体重、さらに好ましくは13~500mgの活性成分/kg体重、例えば14~300mgの活性成分/kg体重、及び15~200mgの活性成分/kg体重、最も好ましくは15~100mgの活性成分/kg体重である。1つの実施形態では、本発明の化合物は、少なくとも1日に1回、例えば、1日に1回、2回、3回、4回又は5回投与される。好ましくは、本発明の化合物は、1日1回、2回又は3回投与される。「有効成分」という用語は、本発明化合物と、ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤をいう。
【0096】
本発明の医薬組成物は、任意に、薬学的に許容され得る担体、賦形剤及び/又は他のアジュバントをさらに含む。医薬組成物が薬学的に許容され得る担体、賦形剤及び/又は他のアジュバントを含む場合、本発明の医薬組成物の有効用量は、通常、1つ以上の薬学的に許容され得る担体、賦形剤及び/又は他のアジュバントと組み合わせて、適切な投与又は剤形を調製し、適切な手段によって成分を混合、造粒、圧縮又は溶解することを含む手順である。医薬組成物中の担体の含有量は、1~98重量%、通常約80重量%であり得る。便宜上、局所麻酔剤、保存剤、緩衝剤及び他のアジュバントを担体に直接溶解することができる。したがって、本発明は、本発明の式(I)の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物若しくは薬学的に許容され得る塩若しくはエステルと、薬学的に許容され得る担体、賦形剤及び/又は他のアジュバントとを含む医薬組成物を提供する。
【0097】
本発明はまた、抗微生物剤としての本発明の医薬組成物の使用を提供する。使用発明において、「微生物」という用語は、医薬組成物に関する説明と同じ意味を有する。
【0098】
さらに、本発明は、感染症を処置するための医薬品の製造における本発明の医薬組成物の使用も提供する。
【0099】
さらに、本発明は、成分(a)及び成分(b)をヒト又は動物に投与することを含む、感染症を処置する方法も提供する。(a)成分及び(b)成分は、上記の意味を有する。一実施形態では、成分(a)及び成分(b)は、別々に調製された医薬形態である。一実施形態では、本発明の方法における成分(a)と成分(b)の投与間の間隔は、4時間以下、好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、さらにより好ましくは1時間以下、特に好ましくは30分以下である。最も好ましくは、成分(a)及び成分(b)は、例えば、2つの成分を含む医薬組成物の形態で、すなわち本発明の組成物の形態で同時に投与される。
【0100】
一実施形態では、本発明の感染症を処置する方法は、本発明の医薬組成物をヒト又は動物に投与することを含む。
【0101】
投与
本発明の医薬組成物は、以下の経路:経口、スプレー吸入、直腸、経鼻、膣、局所、非経口、例えば皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、脳室内、胸骨内若しくは頭蓋内注射若しくは注入のいずれかによるか、又は外植されたリザーバーによって投与することができ、経口、筋肉内、腹腔内若しくは静脈内投与経路が、好ましい。
【0102】
本発明の医薬組成物は、単位剤形で投与することができる。剤形は、液体剤形又は固体剤形であり得る。液体剤形は、真の溶液、コロイド、微粒子、又は懸濁液であり得る。他の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、エアゾール剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、坐剤、注射用凍結乾燥粉末剤、包接剤、インプラント、パッチ、リニメント剤及び徐放性製剤が挙げられる。
【0103】
経口錠剤及びカプセル剤は、医薬化学において周知の方法を使用することによって調製することができる。錠剤をコーティングすることができる。
【0104】
経口液体は、水及び油の懸濁液、溶液、エマルジョン若しくはシロップにすることができ、又は使用前に水若しくは他の適切な媒体が添加される乾燥調製物にすることもできる。必要に応じて、香味剤又は着色剤を添加することができる。
【0105】
坐剤は、従来の坐剤基剤、例えばカカオバター又は他のグリセリドを含有することができる。
【0106】
非経口投与の場合、液体剤形は、通常、本発明の医薬組成物及び滅菌担体から作製される。担体は、好ましくは水である。選択された担体と薬物の濃度の違いにより、化合物を担体に溶解させ、懸濁液とすることもできる。注射用溶液にする場合、医薬組成物を最初に水に溶解し、次いでろ過及び滅菌してから密封ボトル又はアンプルに包装する。
【0107】
本発明の医薬組成物は、注射用結晶性粉末、注射用凍結乾燥粉末などを含む注射用滅菌製剤にすることもできる。
【0108】
皮膚への局所投与のために、本発明の医薬組成物は、有効成分が1つ以上の担体に懸濁又は溶解されている適切な形態の軟膏、ローション、又はクリームにすることができる。
【0109】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0110】
調製例
調製例1:式(I-1)の化合物の合成
【化17】
【0111】
ステップ1a:化合物7a(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、トリエチルアミン(2.0mmol)を添加し、トリフェニルクロロメタン(1.2mmol)をバッチで添加した。混合物を撹拌下、室温で6時間反応させた。TLCで監視して反応が完了した後、水/酢酸エチルを添加して抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィー分離を行い、目的化合物7bを得た。
【0112】
ステップ1b:化合物7b(1.0mmol)を1,4-ジオキサン(5v/g)/水(5v/g)に溶解し、室温で撹拌し、水酸化ナトリウム(5.0mmol)を添加した。混合物を連続撹拌下で反応させた。TLCで監視して原料が消失した後、1,4-ジオキサンを減圧下で蒸発によって除去した。pHを2~3に調整した。撹拌を10分間行った後、ろ過した。濾液が中性になるまでろ過ケークを水で洗浄した。ろ過ケークを回収し、乾燥させて化合物7cを得た。
【0113】
ステップ1:
化合物1a(1.0mmol)
【化18】
とジフェニルブロモメタン(1.1mmol)をトルエン溶液(10.0v/g)に分散させ、室温で撹拌した。DBU(1.5mmol)を添加した。温度を70~80℃に上げ、12~16時間撹拌しながら反応を行った。TLCで監視して原料をさらに還元しなかった後、温度を室温に下げた。水(10.0v/g×2)を添加して反応溶液を抽出し、水層を酢酸エチル(10v/g×2)で逆洗浄した。有機相を合わせ、乾燥、濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで分離し、化合物2aを透明な油(後硬化)[1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ(ppm)7.42-7.31(m,10H),6.96(s,1H),1.44(dd,J=8.1,4.9 Hz,2H),1.25(dd,J=8.1,4.9 Hz,2H)]として得た。
【0114】
ステップ2:化合物2a(1.0mmol)とジフェニルホスホリルヒドロキシルアミン(1.1mmol)を無水テトラヒドロフラン溶液(10.0v/g)に分散させ、窒素置換を3~4回行い、0℃で撹拌した。その後、ナトリウムtert-ブトキシド(1.5mmol)を添加した。反応を一定温度で1~2時間撹拌しながら行った。TLCで監視して反応物が完全に変換された後、飽和塩化ナトリウム溶液(5.0v/g)を反応溶液に添加し、30分間撹拌し、次いで不溶性物質をろ過によって除去した。ろ過ケークを酢酸エチルで洗浄した。ろ液に酢酸エチル(10.0v/g)及び水(5.0v/g)を添加し、液相分離を行った。有機相を水で1回洗浄した。水相を合わせ、酢酸エチルで逆洗浄した。有機相を合わせ、乾燥させ、濃縮して、3aを油として得た[1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)7.46-7.27(m,10H),6.84(s,1H),6.36(s,2H),1.30-1.22(m,4H)]。
【0115】
ステップ3:化合物7cをメタノール(10.0v/g)中に分散させた。室温で撹拌しながら、メタノール中の化合物3aの溶液を添加した。反応は、撹拌下、定温で30分間行った。TLCで監視して原料が完全に変換された後、溶媒を減圧下での蒸発によって除去した。カラムクロマトグラフィー分離を行い、化合物4aをオフホワイトの固体[1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)8.84(s,1H),7.51-7.15(m,25H),6.86(s,2H),1.48-1.28(m,4H)]として得た。
【0116】
ステップ4:化合物4a(1.0mmol)をDMF(10.0v/g)に溶解し、室温で攪拌し、HATU(1.2mmol)、NaHCO3(2.0mmol)及び化合物8(1.3mmol)をそれぞれ添加した。監視の通り原料が消失するまで、混合物を一定温度で12時間連続撹拌しながら反応させた。酢酸エチル(10.0v/g)を添加して希釈し、水で2回洗浄し、酢酸エチルで1回逆洗浄した。有機相を合わせ、乾燥させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィー分離を行い、化合物5aをオフホワイトの泡沫状固体[1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)9.29(d,J=7.9 Hz,1H),8.91(s,1H),7.45-7.43(m,3H),7.36-7.33(m,6H),7.32-7.22(m,15H),6.86(s,1H),6.76(d,J=0.5 Hz,1H),4.56(d,J=7.9 Hz,1H),1.50-1.40(m,5H),1.30(m,2H),1.20(s,2H)]として得た。
【0117】
ステップ5:上記白色固体5a(1.0mmol)を無水ジクロロメタン(10.0v/g)に溶解し、-5~-10℃で撹拌した。トリエチルシラン(2.0mmol)及びトリフルオロ酢酸(100.0mmol)を添加した。TLCで監視して反応が完了するまで、混合物を一定温度で5~6時間反応させた。溶媒を減圧下、室温で蒸発によって除去した。残渣に酢酸エチルを添加し、室温で1時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケークを酢酸エチルで3回洗浄し、回収し、乾燥させた。上記固体をメタノール/水に溶解し、プレHPLC(YMC ODS-A、5 um、10*250mm、2.5mL/分、2%-50%アセトニトリル/0.1%ギ酸溶液)による調製及び単離を行い、目的物(I-1)を得た。
【0118】
1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)9.40(d,J=7.9 Hz,1H),6.89(s,1H),4.62(d,J=8.0 Hz,1H),1.44(s,3H),1.36(m,4H),1.25(s,3H).13C NMR(151 MHz,DMSO)δ(ppm)173.7,169.8,161.9,111.6,68.3,63.3,61.3,60.2,23.8,21.0,16.2.13C NMR(151 MHz,DMSO)δ 173.7,169.8,161.9,111.6,68.3,63.3,61.3,60.2,23.8,21.0,16.2.HRMS:C14H17N5O9S2[M-H]462.0396について計算、実測値462.0394。
【0119】
【0120】
式(I-2)の化合物の合成方法については、式(I-1)の化合物の合成を参照されたい。
【0121】
2b:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)7.44(d,J=7.4 Hz,4H),7.37(t,J=7.6 Hz,4H),7.29(t,J=7.3 Hz,2H),6.83(s,1H),5.87(s,1H),2.47-2.40(m,2H),2.16-2.07(m,2H),1.89-1.74(m,2H).;
3b:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)7.35(ddd,J=46.9,31.4,7.3 Hz,10H),6.85(s,1H),6.11(s,2H),2.35(ddd,J=13.4,7.2,3.7 Hz,2H),2.22-2.09(m,2H),1.92-1.74(m,2H).;
4b:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)8.58(s,1H),7.50-7.15(m,25H),6.78(s,1H),6.12(s,1H),2.42(s,2H),2.25-2.22(m,2H),1.96-1.69(m,2H).(50%の不純物を含有;Z21eを参照);
式(I-2)の化合物:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)9.56(d,J=7.3 Hz,1H),6.89(s,1H),4.66(d,J=7.8 Hz,1H),2.45(s,2H),2.35-2.19(m,2H),1.99-1.79(m,2H),1.46(s,3H),1.32(s,3H).13C NMR(151 MHz,DMSO)δ(ppm)173.6,170.3,161.8,129.5,128.8,126.7,111.5,83.7,68.4,61.4,30.6,30.5,23.7,21.0,13.9.HRMS:C15H19N5O9S2[M+Na]500.0516について計算、実測値500.0500。
【0122】
式(I-3)~式(I-6)の化合物を、調製例1の方法を参照して適切な原料を使用して調製した。
【0123】
式(I-3)の化合物:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)9.51(d,J=7.6 Hz,1H),6.86(s,1H),4.63(d,J=7.7 Hz,1H),2.09-1.97(m,4H),1.73-1.64(m,4H),1.46(s,3H),1.29(s,3H).13C NMR(151 MHz,DMSO)δ(ppm)174.83,163.48,161.82,149.85,140.60,110.92,92.84,68.28,61.44,35.83,24.64,24.51,23.75,20.91.HRMS:C16H21N5O9S2[M-H]490.0708について計算、実測値490.0700。
【0124】
式(I-4)の化合物:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ(ppm)9.58(d,J=7.5 Hz,1H),6.89(s,1H),4.65(d,J=7.6 Hz,1H),4.37(d,J=5.2 Hz,1H),2.13-2.07(m,1H),1.45(s,3H),1.30(s,3H),1.00-0.86(m,6H).13C NMR(151 MHz,DMSO)δ172.2,170.2,164.4,163.5,161.8,11.7,111.4,87.6,68.1,61.4,30.1,23.8,21.1,18.8,18.2.HRMS:C15H21N5O9S2[M+Na]502.0673について計算、実測値502.0677。
【0125】
式(I-5)の化合物:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ 9.53(d,J=7.4 Hz,1H),6.87(s,1H),4.62(d,J=7.5 Hz,1H),4.31(d,J=5.7 Hz,1H),2.08(dd,J=13.1,6.6 Hz,1H),1.45(s,3H),1.30(s,3H),0.96(dd,J=15.5,6.7 Hz,6H).13C NMR(151 MHz,DMSO)δ172.4,169.9,166.0,163.6,161.8,111.2,110.1,87.6,68.2,61.4,30.2,23.9,20.9,19.0,18.3.HRMS:C15H21N5O9S2[M+Na]502.0673について計算、実測値502.0661。
【0126】
式(I-6)の化合物:1H NMR(600 MHz,DMSO)δ 9.37(s,1H),6.72(s,1H),4.60(d,1H),4.22(s,1H),2.02(s,1H),1.43(s,3H),1.29(s,3H),0.93(s,6H).HRMS:C17H23N5O9S2[M-H]504.0864について計算、実測値504.0850。
【0127】
効果例
試験試料:化合物I-1及びI-2、アビバクタム、バボルバクタム、レレバクタム、並びにベルベリン、コネシン及びPaβNであり、
アビバクタム及びベルベリンは、Innochem Technology Co.,Ltd.から購入し、バボルバクタム及びレレバクタムは、Shanghai Macklin Biochemical Technology Co.,Ltd.から購入し、コネシンは、J&K Scientific Co.,Ltd.から購入し、PaβNは、MedChemExpressから購入した。
【0128】
試験株:試験株は、American Type Culture Collection(ATCC)及びthe Collection Center of Pathogen Microorganisms of the Chinese Academy of Medical Sciences-Division for Medicinal Microorganisms Related Strains(CAMS-CCPM-A)からのものであった(これらの株(詳細については表1~5を参照)は、このCollection Centerから一般に入手可能である)。
【0129】
個々の化合物の抗菌活性を評価する方法(MICアッセイ)
ミューラー-ヒントンブロス(MHブロス)培地、トリプチカーゼ大豆ブロス(TSBブロス)培地、BD Difco(米国メリーランド州コックエイズビル)から購入した;
96ウェルプレート:Corning Costar(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ);
試験方法:CLSI/NCCLS標準に従って微量希釈法によって抗菌活性を試験した。
【0130】
(1)試験試料の調製:各試料4mgを採取し、MHブロスで1,024μg/mLの試験溶液に調製し、この試験溶液を96ウェルプレートで2倍に希釈して、各ウェルの容量が90μLである一連のグラジエント濃度の溶液を調製した。
【0131】
(2)細菌溶液の調製:試験株を、CLSI/NCCLS標準に従ってトリプチカーゼソイブロス(TSBブロス)によって増幅した。
【0132】
(3)試料の添加:濃度6×105cfu/mLの細菌溶液を調製し、10μLの細菌溶液を96ウェルプレートの各ウェルにピペッティングした。各濃度について3つの並列実験を設定し、結果を平均した。陰性対照群には、10μLの細菌溶液及び90μLのMHブロスを添加した。
【0133】
(4)インキュベーション:96ウェルプレートを37℃恒温器に18時間入れ、株の増殖を観察した。微生物が増殖していないウェル中の薬物濃度をMICとして記録した。
【0134】
薬物のインビトロ併用のための研究方法
ミューラー-ヒントンブロス(MHブロス)培地、トリプチカーゼ大豆ブロス(TSBブロス)培地、BD Difco(米国メリーランド州コックエイズビル)から購入した;
96ウェルプレート:Corning Costar(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ);
試験方法:測定にはチェッカーボード希釈法を用いた。
【0135】
(1)試験試料の調製:各試料4mgを採取し、MHブロスで2,048μg/mLの試験溶液に調製し、試験溶液を96ウェルプレートで2倍希釈して一連の勾配濃度の溶液を調製した。
【0136】
(2)細菌溶液の調製:試験株を、CLSI/NCCLS標準に従ってトリプチカーゼソイブロス(TSBブロス)によって増幅した。
【0137】
(3)試料の添加:濃度6×105CFU/mLの10μLの細菌溶液を96ウェルプレートの各ウェルにピペットで入れた。各ウェルは、ブロスで2倍希釈した抗菌薬(式(I-1)の化合物及び式(I-2)の化合物)並びに上記ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤を含有していた。式(I-1)の化合物及び式(I-2)の化合物の試料の実際の濃度は、それぞれ64.0、32.0、16.0、8.0、4.0、2.0、1.0、0.0μg/mLとし、ラクタマーゼ阻害剤又は排出ポンプ阻害剤の試料の実際の濃度は、それぞれ256、128、64、32.0、16.0、8.0、4.0、2.0、1.0、0.5、0.25、0.0μg/mLとした。試料を完全に混合した。各濃度について3つの並列実験を設定し、結果を平均した。陰性対照群には、10μLの細菌溶液及び90μLのMHブロスを添加した。
【0138】
(4)インキュベーション:96ウェルプレートを37℃恒温器に18時間入れ、株の増殖を観察した。
【0139】
(5)計算:各薬物-阻害剤組合せのインビトロ効果を、FICI値を計算することによって分析した:FICI=(組合せ中の薬物AのMIC/薬物A単独のMIC)+(組合せ中の薬物BのMIC/薬物B単独のMIC)。0.5以下のFICIは、これらの2つの薬物が良好な相乗効果を有したことを意味する。0.5<FICI<4の場合、それは、2つの薬物が相乗効果を示さなかったことを意味する。4以上のFICIは、2つの薬物が拮抗効果を有したことを意味する。
【0140】
データの信頼性を確保するために、異なる日付で3回の繰り返し試験を行い、結果を平均した。
【0141】
効果例1
上記のアッセイ法に従って、腸内細菌科に対する式(I-1)の化合物、式(I-2)の化合物及びβ-ラクタマーゼ阻害剤のそれぞれのMICを決定した。試験結果を表1に示す。
【0142】
【0143】
表1から分かるように、肺炎桿菌株ATCC2146、ATCC700603、CCPM(A)-0814R18、CCPM(A)-0814R33、CCPM(A)-081705、CCPM(A)-081715及びCCPM(A)-081729、大腸菌株ATCC2469及びCCPM(A)-P-071301、並びにエンテロバクター・クロアカ株17-19及びATCC2468などの一部の薬剤耐性腸内細菌科に対して、式(I-1)の化合物及び式(I-2)の化合物のMICは、それぞれ0.5から4μg/mLの間であった。肺炎桿菌株CCPM(A)-081716及びCCPM(A)-0817R61に対する式(I-1)の化合物及び式(I-2)の化合物のMICは、それぞれ32から128μg/mLの間であった。β-ラクタマーゼ阻害剤アビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタム自体は、上記腸内細菌科に対して比較的弱い活性を有していた。
【0144】
効果例2
上記の格子縞アッセイ法に従って、腸内細菌科に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤とそれぞれ組み合わせた式(I-1)及び式(I-2)の化合物のMICを決定した。試験結果を表2A~2C及び表3に示す。表2A~2Cは、それぞれアビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムと組み合わせた式(I-1)の化合物の抗菌スペクトルに関するデータを示す。表3は、アビバクタムと組み合わせた式(I-2)の化合物の抗菌スペクトルに関するデータを示す。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
式(I-1)の化合物をアビバクタムと組み合わせた後、試験した12の薬剤耐性腸内細菌科株のすべてに対する前者のMIC値は有意に低下し、組合せは相乗効果を示した(FICI<0.5)。式(I-1)の化合物をそれぞれバボルバクタム及びレレバクタムと組み合わせた後、いくつかの薬剤耐性腸内細菌科株に対する前者のMIC値は、低下し、両方の組合せは、相乗効果を示した(FICI<0.5)。これは、式(I-1)の化合物及びジアザビシクロオクタノンβ-ラクタマーゼ阻害剤、例えばアビバクタム、バボルバクタム及びレレバクタムを含む化合物調製物が、多剤耐性グラム陰性腸内細菌科感染症の臨床的処置のための医薬品に開発される大きな可能性を有することを示している。
【0150】
式(I-2)の化合物をアビバクタムと組み合わせた後、試験した4の薬剤耐性腸内細菌科株のすべてに対する前者のMIC値は、有意に低下し、組合せは、相乗効果を示した(FICI<0.5)。これは、式(I-2)の化合物及びβ-ラクタマーゼ阻害剤、例えばアビバクタムを含む化合物調製物が、多剤耐性グラム陰性腸内細菌科感染症の臨床的処置のための医薬品に開発される大きな可能性も有することを示している。
【0151】
効果例3
上記のアッセイ方法に従って、アシネトバクター・バウマンニ又は緑膿菌に対する式(I-1)の化合物及び排出ポンプ阻害剤のそれぞれの個々のMICを決定した。試験結果を表4に示す。
【0152】
【0153】
表4から分かるように、様々なアシネトバクター・バウマンニ又は緑膿菌株に対して、式(I-1)の化合物のMICは16から32μg/mLの間であった。排出ポンプ阻害剤のベルベリン、コネシン及びPAβNは、上記様々なアシネトバクター・バウマンニ又は緑膿菌株に対して比較的弱い活性を示した。
【0154】
効果例4
上記のアッセイ方法に従って、細菌に対するベルベリン、コネシン及びPAβNから選択される排出ポンプ阻害剤と組み合わせた式(I-1)の化合物のMICを決定した。試験結果を表5A~5Cに示す。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
式(I-1)の化合物をベルベリンと組み合わせた後、2つの薬剤耐性アシネトバクター・バウマンニ株ATCC19606及びATCC17978に対する前者のMIC値は、4倍減少し、式(I-1)の化合物とベルベリンの組合せは、相乗効果を示した(FICI<0.5)。式(I-1)の化合物をコネシンと組み合わせた後、試験した薬剤耐性アシネトバクター・バウマンニ株ATCC19606に対する前者のMIC値は、4倍減少し、式(I-1)の化合物とコネシンの組合せは、相乗効果を示した(FICI<0.5)。
【0159】
式(I-1)の化合物をPAβNと組み合わせた後、2つの薬剤耐性緑膿菌株ATCC27853及びPAO1に対する前者のMIC値(CCPM(A)-P-09000032)は、8倍減少し、組合せは、相乗効果を示し(FICI<0.5)、薬剤耐性緑膿菌株CCPM(A)-P-091626(CRPA)に対するMIC値は、4倍減少し、式(I-1)の化合物とPAβNの組合せも、同様に相乗効果を示した(FICI<0.5)。
【0160】
以上の結果から、式(I-1)の化合物とベルベリン又はコネシンとを含む化合物製剤は、アシネトバクター・バウマンニ感染症の臨床治療薬として開発される可能性があり、式(I-1)の化合物とPaβNとを含む化合物製剤は、緑膿菌感染症の臨床処置薬として開発される可能性が高いことが分かる。
【0161】
効果例5:インビボ使用における薬物の併用に関する研究
健康な外観及び18~22gの体重を有するICRマウス(半分が雄及び半分が雌)を使用した。マウスを無作為にグループ分けし、各用量群において5匹のマウス(雄又は雌のいずれか)とした。NDM-1産生肺炎桿菌を含む試験細菌溶液を5%高活性ドライイーストで希釈し、0.5mLの細菌溶液(100%最小致死用量(100% MLD、3.0×106CFU/マウス))をマウスの腹腔内に注射した。
【0162】
NDM-1産生肺炎桿菌を(3.0×106CFUの用量で)腹腔内感染させたマウスに、感染の1時間後及び6時間後にそれぞれ特定の用量(表5参照)で尾静脈を通して薬物を1回ずつ合計2回投与し、投与した薬物の体積は10mL/kgであった。各群の動物の生存を7日以内に観察し、マウスの生存率を計算した。対照群は、薬剤を投与せず、生理食塩水のみを投与し、マウスの7日生存率は、0であった。
【0163】
肺炎桿菌ATCC BAA2146(NDM-1)に全身感染したマウスに対する、単独及びアビバクタムと組み合わせて投与した式(I-1)の化合物の保護効果を表5に示す。アビバクタム自体がこの試験株に対してインビボで抗菌効果を有さないことは、当業者に周知である。
【0164】
【0165】
表5に示すように、NDM-1産生肺炎桿菌を32mg/kgの用量で腹腔内感染させたマウス(3.0×106CFU)に、感染1時間後及び6時間後にそれぞれ尾静脈から式(I-1)の化合物を注射した後、マウスの7日間生存率は60%であった。感染の1時間後及び6時間後にそれぞれ尾静脈を通して16mg/kgの用量でマウスに式(I-1)の化合物を注射した後、マウスの7日間生存率は、20%であった。
【0166】
アビバクタム自体は、この試験株に対してインビボ抗菌効果を有さないが、式(I-1)の化合物と組み合わせて投与すると、後者のインビボでの抗菌活性を大幅に高めることができる。式(I-1)の化合物をそれぞれ32mg/kg及び16mg/kgの用量で、等量、2倍量及び3倍量のアビバクタムと組み合わせて投与した後、マウスの7日生存率は、100%に達した。これは、式(I-1)の化合物とアビバクタムとの組合せが、インビボでの有意な相乗的抗菌効果を示し得ることを示している。
【0167】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、当業者には多数の変形、変更、及び置換が思い浮かぶであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替形態が、本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物が、それによって包含されることが意図される。
【国際調査報告】