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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-17
(54)【発明の名称】螺旋型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
F04C18/02 311E
F04C18/02 311B
F04C18/02 311Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558662
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2022007019
(87)【国際公開番号】W WO2022250359
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】102021113731.4
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロッテン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クラッカー,デニス
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA04
3H039AA06
3H039AA12
3H039BB04
3H039BB05
3H039BB07
3H039BB08
3H039BB15
3H039CC03
3H039CC15
(57)【要約】
【課題】摩耗特性を改善できる螺旋型圧縮機を提示する。
【解決手段】本発明は螺旋形圧縮機に関するもので、固定螺旋形壁を有する固定螺旋形要素、回転可能なプレート上に配置され多数の圧縮室が形成されるように固定螺旋形壁と結合される回転螺旋形要素及び回転螺旋形要素をガイドするためのガイド手段と固定された方式で配置された少なくとも2つのガイドピンを有する螺旋形圧縮機に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定螺旋型壁を有する固定螺旋型要素(1)と、
回転可能なプレートに配置され、複数の圧縮室が形成されるように固定螺旋型壁と結合する回転螺旋型壁を有する回転螺旋型要素と、
回転螺旋型要素をガイドするために設けられたガイド手段と、
ガイド手段は、固定状態で配置される少なくとも2つのガイドピンと、
回転螺旋型要素の背面上で半径方向に移動可能にそこに挿入されるランニングスリーブを有する少なくとも2つの凹部と、を含み
固定状態で配置されたガイドピンは、回転螺旋型要素が回転する際に、ガイドピンの円周上をランニングスリーブの内面が回転するように、ランニングスリーブ内に受容され、凹部には少なくとも1つのロックが形成され、このロックにより、凹部からのランニングスリーブの軸方向への突出が防止されることを特徴とする螺旋型圧縮機。
【請求項2】
凹部(11)に挿入されたランニングスリーブ(12)の軸方向ロックのために、 少なくともランニングスリーブ(12)の端面に対して選択的に向けられる凹部(11)の端部領域に材料変形部(15)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項3】
凹部(11)に挿入されたランニングスリーブ(12)の軸方向ロックのための凹部(11)の端部領域における材料変形部(15)が、ステムストローク、ノッチストローク、および/またはビーディングもしくは圧着によって形成されることを特徴とする請求項2に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項4】
前記凹部(11)は、挿入されたランニングスリーブ(12)の端部領域がビーディングまたは圧着によって変形されるアンダーカット(16)を内周側面に有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項5】
ロックが、凹部(11)に挿入された1つのそれぞれのリング要素(17)で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項6】
凹部(11)の内周の側面には、リング要素(17)が挿入されるそれぞれの環状溝(16)が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項7】
リング要素(17)が、圧入によって凹部(11)に挿入されることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項8】
凹部(11)は、着地部(18)を有する領域において拡大された断面を有し、着地部(18)は、リング要素(17)のための座部として機能することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項9】
ランニングスリーブ(12)は、その端面が回転螺旋型要素(2)の背面の平面上に突出しないように、かつ好ましくは平面下に位置するように、凹部(11)内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の項螺旋型圧縮機。
【請求項10】
ランニングスリーブ(12)及びガイドピン(4)は、回転螺旋型要素(2)が形成される材料よりも大きな硬度を有する材料から形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項11】
ランニングスリーブ(12)とガイドピン(4)が硬質金属から形成され、回転螺旋型要素(2)がアルミニウムから形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の螺旋型圧縮機。
【請求項12】
円板状シール要素(6)の材料は、ランニングスリーブ(12)の材料よりも低い硬度を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の螺旋型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
スクロール圧縮機という名称でも知られている螺旋型圧縮機は、レシプロ圧縮機に比べて安価に大量生産でき、運転時の騒音が小さいため、好ましくはコールドマシンやヒートポンプの圧縮機として採用されている。螺旋型圧縮機の搬送効果は、実質的に2つの連動する螺旋型壁に基づいており、その一方は固定しており、他方は円軌道上を偏心して移動している。回転螺旋型壁が配置された回転螺旋型要素の偏心運動により、複数の圧縮作業室が連動螺旋型壁の間に形成される。
【0003】
公知の設計の螺旋型圧縮機では、その中に挿入されたランニングスリーブを有する凹部が、公転ポケットと呼ばれる回転螺旋型要素の背面に形成され、この凹部は、公転ピンとも呼ばれる、固定した態様で配置されたガイドピンに受け入れられている。回転螺旋型要素の移動時に、公転リングとも呼ばれるランニングスリーブは、回転螺旋型要素の偏心運動により圧縮機運転中に生じる半径方向の力を受けることができるように、ガイドピンの外周面を中心に回転する。その際、ランニングスリーブは、凹部の内面を摩耗の増加から保護する。
【0004】
固定状態で配置されたガイドピンと、その中にガイドピンを受け入れるランニングスリーブが挿入された回転螺旋型要素の凹部との配置は、回転螺旋型要素を半径方向にガイドするためのガイド手段として理解することができる。
【0005】
これまで、圧縮機の運転中に凹部内でランニングスリーブが半径方向および軸方向に移動できるように、凹部内に半径方向のクリアランスと軸方向のクリアランスを有するランニングスリーブが使用されてきた。しかしながら、特に軸方向のクリアランスは、回転する螺旋型要素の背面に軸方向に隣接する構造要素に有害な影響を及ぼすことも示されている。そのため、これまで知られている螺旋型圧縮機では、回転螺旋型要素の背面に隣接する構造要素(回転螺旋型要素の背面をハウジング本体に対してシールするための円板形状のシール要素)は、材料硬度を高めて設けられている。ウェアプレートとも称される円板状シール要素の材料硬度の増加により、回転螺旋体要素の背面に面する円板状シール要素の表面における材料の摩耗を低減することができ、これにより、初期の貯蔵損傷および/または対向圧力システムのノズルの閉塞の危険性を減少させることができる。しかしながら、回転螺旋型要素と螺旋型圧縮機のハウジング本体との間に配置される円板状シール要素の材料の要求される硬度の増加は、所望の硬度が特定のコスト高材料によってのみ得られるため、および/または円板状シール要素の材料を硬化させるための追加の製造工程が必要となるため、コストの増加を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなコストを削減するために、円板状のシール要素の摩耗の原因となるランニングスリーブの移動クリアランスを、ランニングスリーブを凹部に接着または圧入することで抑制した螺旋型圧縮機の実施形態で実験が行われた。この対策により、端面摩擦の減少による材料の摩耗を低減することができた。しかし、摩耗特性の改善は見られなかった。ランニングスリーブを凹部内に固定化すること、例えば接着や圧入することは、ランニングスリーブの内面における半径方向の摩耗を増加させ、それに伴う材料摩耗の増加と、それに接続されたシステム全体にとっての不利をもたらした。
【0007】
したがって、既知の欠点を軽減できる螺旋型圧縮機に対する要望が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、安価な方法で製造でき、材料の摩耗を低減して運転寿命を延ばすことができる螺旋型圧縮機を提案することを目的とする。
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する螺旋型圧縮機によって達成される。螺旋型圧縮機の有利な実施形態またはさらなる発展形態は、従属請求項に示されている。
【0010】
本発明による螺旋型圧縮機は、固定螺旋型壁を有する固定螺旋型要素と、複数の圧縮室が形成されるように固定螺旋型壁と結合する回転可能なプレート上に配置される回転螺旋型壁を有する回転螺旋型要素とを有する。さらに、本発明による螺旋型圧縮機は、回転螺旋型要素をガイドするために設けられたガイド手段を有する。ガイド手段は、固定状態で配置される少なくとも2つのガイドピンと、回転螺旋型要素の背面上で半径方向に移動可能にそこに挿入されるランニングスリーブを有する少なくとも2つの凹部とからなる。固定状態で配置されたガイドピンは、回転螺旋型要素が回転する際に、ガイドピンの円周上をランニングスリーブの内面が回転するように、ランニングスリーブ内に受容される。本発明によれば、凹部には少なくとも1つのロックが形成され、このロックにより、凹部からのランニングスリーブの軸方向への突出が防止される。
【0011】
本発明の意味において、「軸方向に」という方向表示は、回転螺旋要素の回転軸に対して長手方向または長手方向に平行な方向を意味する。
【0012】
凹部に形成されたロックは、有利には、螺旋型圧縮機のハウジング本体と回転する螺旋型要素の背面との間に配置された円板状のシール要素上のランニングスリーブの端面摩擦が防止されるように、ランニングスリーブの軸方向の可動を制限する。
【0013】
ガイドピンは円板状密封要素内に固定状態で配置することができ、その場合、円板状密封要素はハウジング本体に固定状態で連結される。さらに、ガイドピンをハウジング本体に配置することもでき、その場合、ガイドピンは、円板状シール要素を貫通して、回転螺旋型要素の凹部に、ランニングスリーブによって受け入れられる。
【0014】
本発明の概念によれば、ランニングスリーブは、ロックを介して軸方向に実質的に動かないように、回転螺旋型要素の凹部内に配置される。凹部とランニングスリーブは好ましくは円形に形成される。凹部とその凹部に挿入されるランニングスリーブとの間の嵌合は、所定のクリアランスを有するクリアランス嵌合として形成され、これにより、ランニングスリーブが凹部内でそれ自体の軸を中心に回転することを可能にする半径方向の可動性が確保される。
【0015】
凹部に挿入されたランニングスリーブを軸方向にロックするために、凹部の端部領域に、少なくともランニングスリーブの端面に対して選択的に向けられる材料変形を形成することができる。その際、ロックを形成する材料変形は、好ましくは、内周を越えてランニングスリーブ内に突出しないように形成される。この措置は、素材変形とランニングスリーブに受けられるガイドピンとの接触を避けるために設けられる。
【0016】
材料の変形は、好ましくは、回転螺旋型要素の材料の変形を通じて凹部のエッジ領域に形成される。
【0017】
本発明による螺旋型圧縮機の実施形態によれば、材料変形はそれぞれ凹部内に突出し、その結果、凹部の断面の変化した形状を形成する。材料変形は、好ましくは、それぞれの凹部の端部領域に形成され得る。
【0018】
本発明による螺旋型圧縮機の特に簡単な実施形態によれば、材料の変形は、ステムブロー、ノッチブロー、および/または凹部に挿入されたランニングスリーブの軸方向ロックのためのビーディングまたは圧着によって実現することができる。この目的のために、対応する変形工具および変形方法を採用することができる。その際、凹部のエッジを完全にビーディングし、凹部に挿入されたランニングスリーブが軸方向に凹部から突出しないようにすることができる。
【0019】
適切な軸方向ロックは、凹部のエッジ領域でのステムブローによる個々の選択的な材料変形によってすでに達成できることが示されている。
【0020】
本発明による螺旋型圧縮機のさらなる実施形態によれば、凹部は、上記の実施形態に代替的または追加的に、内周の側面にアンダーカットを有することができ、このアンダーカットでは、挿入されたそれぞれのランニングスリーブの端部領域が、ビーディングまたは圧着によって変形される。アンダーカットは、好ましくは、凹部の内周側面に形成される環状溝によって実現される。その際、ランニングスリーブの材料変形は、凹部内に挿入されたランニングスリーブがその軸を中心に回転できるように構成される。その結果、ランニングスリーブの変形は、凹部とランニングスリーブとの間に十分なクリアランスがあるように行われ、凹部内でのランニングスリーブの半径方向の移動と回転を可能にする。
【0021】
凹部は好ましくはブラインドホールとして形成される。すべての凹部にランニングスリーブを配置することができる。
【0022】
螺旋型圧縮機のさらに別の実施形態によれば、ロックは、凹部に挿入される機械的ロック手段で形成することができる。例えば、ロックは、それぞれのリング要素を凹部に挿入することによって形成することができる。このために、リング要素が挿入されるそれぞれの環状溝を、凹部の内周の側面に形成することができる。その際、リング要素は、凹部の内周の側面に形成された環状溝に、フォームフィット方式で、または凹部内に圧入により挿入することができる。凹部の内周側面に形成される環状溝は、凹部の縁よりも上側の領域に配置される。凹部に圧入されて挿入されるリング要素は、プレスリングと呼ぶこともできる。好ましくは、このようなプレスリングは、その内径がランニングスリーブの内径よりも大きくなるように形成され、プレスリングによって凹部からの軸方向突出が阻止される。好ましくは、それぞれのリング要素またはプレスリングは、本発明の意味において、凹部に挿入されたランニングスリーブの軸方向の可動を制限するために凹部に挿入される。
【0023】
有利なさらなる発展形として、凹部は、踊り場を有する領域において拡大された断面を有することができ、踊り場は、リング要素のための座として機能する。拡大された断面は、凹部内の回転螺旋要素の背面に形成され、ロックを形成する対応するリング要素が、回転螺旋要素の背面を介して凹部内に挿入できるようになっている。この実施形態において凹部内にそれぞれ形成されている、リング要素座として形成されているランディングにより、有利には、ロックの誤った位置決めを回避することができるようなリング要素の位置が与えられる。好ましくは、この実施形態では、プレスリング形状のリング要素が使用され、このリング要素は、凹部内に挿入されたランニングスリーブの軸方向の可動性を制限するために、圧入で凹部内に挿入され、ランニングスリーブが回転螺旋要素の背面の表面から突出しないようにする。
【0024】
本発明によれば、凹部に挿入されるランニングスリーブのロックは、それぞれ、圧縮機の運転中、ランニングスリーブの端面が回転螺旋要素の背面を越えて軸方向に突出しないように形成される。その結果、ランニングスリーブの軸方向の位置決めは、有利には、ランニングスリーブの端面が円板状のシール要素の表面に接触しないように選択される。このことは、ランニングスリーブの軸方向移動を制限する目的で形成されたロックにも当てはまり、それぞれ、回転螺旋型要素の背面を越えて軸方向に突出しないように、凹部内に形成されるか、または凹部内に挿入される。
【0025】
従って、ランニングスリーブは、好ましくは、その端面が回転螺旋型要素の背面の平面より突出しないように凹部内に配置され、好ましくは、平面より下方に配置される。
【0026】
ランニングスリーブとガイドピンは、回転螺旋型要素が形成されている材料よりも大きな硬度を有する材料から形成することができる。好ましくは、ガイドピンとランニングスリーブは同じ材料から形成される。
【0027】
回転螺旋要素は、有利には、アルミニウムのような、より安価でかつ/または比較的に軽い材料から形成することができる。
【0028】
本発明による螺旋型圧縮機の有利な実施形態によれば、ランニングスリーブおよびガイドピンが硬質金属から形成され、回転螺旋型要素がアルミニウムから形成されることが提供され得る。さらに、回転螺旋型要素が鋳鉄または鋼から形成されることを提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、後壁の側面に形成された凹部内に軸方向にロックされるランニングスリーブが円板状シール要素に接触しないので、ランニングスリーブを介して円板状シール要素が摩耗することが回避されるという利点がある。従って、円板状シール要素の材料は、ランニングスリーブの材料よりも低い硬度で形成されるか、または低い硬度を有することができる。これは、円板状シール要素を硬化させる製造工程が省略されるため、コスト面で大きな利点がある。したがって、ディスク状シール要素を形成するための材料の選択肢が広がる。したがって、より軽量な材料も有利に使用できる。材料の摩耗が減少するため、本発明による螺旋型圧縮機では、運転寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】当技術分野で知られている螺旋型圧縮機の概略分解図である。
図2】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の例示的な実施形態の概略図である。
図3a】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の例示的な実施形態の拡大概略図である。
図3b】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の例示的な実施形態の拡大概略図である。
図3c】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の例示的な実施形態の拡大概略図である。
図4a】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の第2の実施形態の拡大概略図である。
図4b】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の第2の実施形態の拡大概略図である。
図5a】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の第3の実施形態の拡大概略断面図と、第3の実施形態の詳細図である。
図5b】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の第3の実施形態の拡大概略断面図と、第3の実施形態の詳細図である。
図6a】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の第4の実施形態の拡大概略図と、第4の実施形態の詳細断面図である。
図6b】本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の凹部の第4の実施形態の拡大概略図と、第4の実施形態の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の実施形態のさらなる詳細、特徴および利点は、添付図面を参照した例示的な実施形態の以下の説明から得られる。
図1は、当技術分野で知られている螺旋型圧縮機の概略分解図である。螺旋型圧縮機は、固定螺旋型壁が形成された固定螺旋型要素1を有する。図1の透視図では、固定螺旋型要素1上に形成された固定螺旋型壁は、固定螺旋型要素1の円周によって覆われている。回転可能なプレート上に配置された回転螺旋壁3を有する回転螺旋要素2が、固定螺旋要素1に対向して配置されている。組み立てられた状態では、回転螺旋壁3は、固定螺旋要素1の固定螺旋壁とかみ合い、かみ合う螺旋壁の間に複数の圧縮作業室が形成されるようになっている。
【0032】
回転螺旋要素2をガイドするために、回転螺旋要素2の透視図で覆われている回転螺旋要素2の背面に形成された6つの凹部11に受け入れられる6つの固定したガイドピン4を有するガイド手段が設けられている。ガイドピン4は、円板状のシール要素6の均等に配置された開口部5に固定状態で配置されている。円板状密封要素6は、ハウジング本体7と回転螺旋体2との間に配置され、円板状密封要素6をハウジング本体7に対して密封するために、Oリング9を受容するための半径方向円周ノッチ8を有する。好ましくは、円板状シール要素6は、硬化されておらず、および/またはハウジング本体7と同じ材料から形成されている。ハウジング本体7と円板状シーリング要素6は、円板状シーリング要素6をハウジング本体7に固定的に接続するためのピン10が挿入される対応する開口部を有する。
【0033】
この技術によれば、それぞれの半径方向および軸方向に移動可能なランニングスリーブ12が、6つの凹部11のそれぞれに挿入される。螺旋型圧縮機の組み立て状態において、ランニングスリーブ12の軸方向および半径方向のクリアランスは、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12の半径方向および軸方向の移動を可能にする。
【0034】
ガイドピン4は、螺旋圧縮機の組立状態におけるガイドピン4がランニングスリーブ12に受け入れられるように、凹部11に対向して軸方向に配置されている。そうすることで、回転螺旋型要素2が回転する際に、ランニングスリーブ12の内面がガイドピン4の円周を中心に回転する。
【0035】
Oリング14を備えたリングシール13が、回転螺旋型要素2と円盤状シール要素6との間に配置されている。
【0036】
図1に示した技術状態による螺旋型圧縮機の実施形態とは対照的に、本発明による螺旋型圧縮機におけるランニングスリーブ12の軸方向の可動性は、凹部11から軸方向に突出できないように凹部11に形成されたそれぞれのロックによって制限される。
【0037】
図2は、本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素の背面の実施形態の一例を概略的に示している。円板状のシール要素6(図示せず)に面する回転螺旋型要素2の背面には、6つの円形凹部11が均等に分布して形成されている。各凹部11にはランニングスリーブ12が挿入されており、凹部11の内径はランニングスリーブ12の外径よりも大きく、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12が半径方向に移動するクリアランスを有するようになっている。ランニングスリーブ12と凹部11の間のクリアランスが、ランニングスリーブ12の回転を可能にする。
【0038】
ランニングスリーブ12の材料は、回転螺旋型要素2が形成されている材料よりも硬い。好ましくは、ランニングスリーブ12とガイドピン4は鋼から形成され、特に好ましくは硬化鋼から形成される。
【0039】
凹部11の端部領域には、それぞれ、ランニングスリーブ12の端面に対して選択的に向けられた2つの材料変形15が、凹部11内のランニングスリーブ12の軸方向移動を制限するロックとして形成されており、これにより、ランニングスリーブ12は、凹部11から回転螺旋要素2の背面を越えて突出することができないようになっている。材料変形15は選択的にステムストロークされ、それにより、例えばアルミニウムである回転螺旋体要素2の材料は、凹部11の縁からそれぞれの凹部11の内側に変形され、その結果、それぞれの凹部11に挿入されたランニングスリーブ12の軸方向移動が制限される。選択材料変形部15は、ランニングスリーブ12の端面を越えてランニングスリーブ12内に突出しないように形成されている。図示の例では、選択的材料変形部15はそれぞれ凹部11内に0.25mm突出しており、したがって凹部11からの軸方向突出に対してランニングスリーブ12をブロックしている。選択的変形部15の幅は0.25mmである。選択的材料変形15の深さは、凹部11の上縁から測定して0.2mmである。
【0040】
図3a~図3cは、本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素2の背面の凹部11の例示的な実施形態の拡大概略図である。
【0041】
図3aは、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12が、ステムストロークによって選択的に形成された凹部11の縁の個々の材料変形部15で軸方向突出部に対してロックされる実施形態を示す。
【0042】
図3bは、本発明による解決策の更なる実施形態の詳細な表現であり、回転螺旋体要素2の凹部11に挿入されたランニングスリーブ12の軸方向ロックは、凹部11の縁部の円周に選択的に分散して均一に形成された3つの材料変形部15で形成されている。
【0043】
図3cは、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12の凹部11の端面領域における材料変形15によって形成された軸方向ロックの更なる詳細な表現である。材料変形15は、ランニングスリーブ12をクランプすることなく、ランニングスリーブ12の端面に対して向けられるように形成されている。これにより、凹部11内のランニングスリーブ12はそれ自身の軸を中心に回転することが可能となる。素材変形部15は、ランニングスリーブ12が回転渦巻き要素2の背面を越えて凹部から軸方向に突出するのを防止する。
【0044】
図4aおよび図4bは、本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素2の背面の凹部11の第2の実施形態の拡大概略図である。図4aでは、凹部11の実施形態が示されており、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12の軸方向ロックは、凹部11の縁の材料変形15で形成されている。材料変形15は、凹部11の縁にある回転螺旋体要素2の材料を、ランニングスリーブ12の端面の方向において内部までビード加工することによって得られる。凹部11のビード加工された縁部は凹部11内に突出し、従って凹部11の断面を減少させる。断面が縮小されたことにより、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12は軸方向にロックされ、回転螺旋体2の背面を越えて凹部11から突出することができない。
【0045】
図4bは、図4aの凹部11の拡大断面図であり、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12を軸方向にロックするためのビードエッジを備えています。素材変形部15、すなわちビードエッジは、ランニングスリーブ12を軸方向にクランプすることなく、ランニングスリーブ12の端面に対して内側に突出している。その際、素材変形部15は端面を超えてランニングスリーブ12内に突出しない。ビードエッジの領域における凹部11の直径は、ランニングスリーブ12の外径よりも小さく、ランニングスリーブ12の内径よりも大きい。
【0046】
図5aおよび図5bは、本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素2の背面の凹部11の第3の実施形態の拡大概略断面図を示し、図5bは、図5aの詳細図を示す。
【0047】
図5aは、凹部11にランニングスリーブ12が挿入された状態の凹部11の断面を示している。この第3の実施形態では、凹部11は内周側面に形成された環状溝16を有し、環状溝16の領域におけるランニングスリーブ12は、ランニングスリーブ12の材料が環状溝16内に突出するように変形され、これによりランニングスリーブ12は凹部11内に軸方向にロックされる。環状溝16の領域におけるランニングスリーブ12の材料の変形は、ビーディングまたは圧着によって形成することができる。凹部11の下縁に形成された環状溝16は、凹部11内でランニングスリーブ12を半径方向にクランプすることなく、ランニングスリーブ12の変形した端部領域が突出するアンダーカットとして機能します。したがって、ランニングスリーブ12のエッジ領域の変形は、凹部11内でのランニングスリーブ12の半径方向のクリアランスが保証されるように選択される。
【0048】
図5bは、図5aに示したリング溝16を備えた凹部11の実施形態の拡大断面図であり、凹部11内でランニングスリーブ12を軸方向にロックするために、その中にランニングスリーブ12の変形材料部15が突出している。
【0049】
図6aおよび図6bは、本発明による螺旋型圧縮機の回転螺旋型要素2の背面の凹部11の第4の実施形態の拡大概略図を示し、図6bは、図6aの詳細図を示す。
【0050】
図6aは、凹部11に挿入され、凹部11に挿入されたプレスリング17で軸方向にロックされたランニングスリーブ12を有する凹部11を示す。プレスリング17は凹部11に圧入されているため、凹部11からのランニングスリーブ12の軸方向への突出が阻止される。プレスリング17の内径はランニングスリーブ12の内径よりも大きく、操作中にプレスリング17の内周面とランニングスリーブ12に受け入れられたガイドピン4の外周面とが接触することが回避されるようになっている。
【0051】
図6bは、凹部11に挿入されたランニングスリーブ12を軸方向にロックするためのプレスリング17を備えた、図6aに表した凹部11の実施形態の拡大断面図である。プレスリング17は、軸方向に隣接する部品、特に円板状のシール要素6との端面摩擦を防止するために、回転螺旋体要素2の背面の表面よりわずかに下に配置されるように、凹部11に挿入される。凹部11は、回転螺旋体要素の背面の断面が拡大された領域を有し、挿入されたプレスリング17のプレスリング座として機能する着地部18を備えている。
【符号の説明】
【0052】
1 固定螺旋型・要素
2 回転螺旋型・要素
3 回転螺旋型ウォール
4 ガイドピン
5 開口部
6 円板状シール要素
7 ハウジング本体
8 ノッチ
9 Oリング
10 ピン
11 凹部
12 ランニングスリーブ
13 シーリング
14 Oリング
15 素材の変形材料部
16 環状溝/アンダーカット
17 プレスリング/リング要素
18 ランディング / プレスリングシール
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
【国際調査報告】