(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-17
(54)【発明の名称】脂肪族アルデヒド類およびその誘導体を生産する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 45/29 20060101AFI20241009BHJP
C07C 47/21 20060101ALI20241009BHJP
C07C 45/80 20060101ALI20241009BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
C07C45/29
C07C47/21
C07C45/80
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024503484
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022071672
(87)【国際公開番号】W WO2023012151
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523424433
【氏名又は名称】エフエムシー アグリカルチュラル ソリューションズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエルソン,アンダース
(72)【発明者】
【氏名】マッジオッタ,アンドレア
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC45
4H006AD16
4H006BA05
4H006BA47
4H006BE30
4H006BQ10
4H039CA62
4H039CC20
(57)【要約】
本発明は、アルコール類をアルデヒド類に、特に脂肪族アルコール類を脂肪族アルデヒド類に転化する方法に関するものであるが、この方法では触媒を利用し、ここで該方法は、例えば、大規模で、該アルコールの高転化を提供することが可能であり、ここで該反応および精製に比較的少量の溶媒を用い、およびここで該精製において、産物のアルデヒドから触媒を除去することが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模で脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法であって、該方法が:
(a)少なくとも1キログラムの脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、少なくとも1キログラムの溶媒、および水を吸収または吸着する水吸収性材料または水吸着性材料を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)O
2をガスまたは含む液体を反応媒体に加えることによって、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.01μモルのO
2を該反応混合物に溶解し、あるいは1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.001μモルのO
2を該反応混合物に溶解し、それによって50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに酸化し、および50wt%未満を脂肪酸に酸化する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.049μモルの溶解O
2を溶解することをさらに含む、方法。
【請求項3】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.0025μモルの溶解O
2を溶解することをさらに含む、方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.025μモルの溶解O
2を溶解することをさらに含む、方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO
2(少なくとも20μモルのO
2、少なくとも40μモルのO
2、または少なくとも60μモルのO
2など)を溶解することを含み、それによって該脂肪族アルデヒドを取得し、任意選択的に、ここで該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドが不飽和化されていてもよい、方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここでO
2を含む該ガスまたは液体が空気であり、任意選択的にO
2が濃縮されていてもよい、方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここでO
2を含むガスまたは液体の該反応媒体へのガス供給が、O
2を含むガスまたは液状混合物をポンプ送流または該反応混合物中に泡立つように通気することにより成される、方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該銅供給源が、銅(I)塩または銅(II)と還元剤の組み合わせを含む、方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該触媒が、2,2′-ビピリジン、4,4′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、5,5′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、2,2′-ビピリミジン、2,2′-ビピリジン-4,4′-ジカルボン酸またはそのエステル、2,2′-ビピリジン-5,5′-ジカルボン酸またはそのエステルから成る群から選択される配位子などの配位子をさらに含む、方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該触媒が、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを有する機能化ポリマーから成る群から選択されるアミノキシルラジカル化合物などのアミノキシルラジカル化合物を含む、方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該触媒が、1-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、およびカリウムt-ブトキシドから成る群から選択される塩基などの塩基を含む、方法。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該溶媒が非ハロゲン化溶媒である、方法。
【請求項13】
請求項12の方法であって、ここで該溶媒が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロアルカン、石油エーテル、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ニトロメタン、炭酸プロピレン、またはそれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで脂肪族アルコールから脂肪族アルデヒドへの転化率が、少なくとも60wt%(少なくとも80wt%など、少なくとも85wt%など、少なくとも87wt%など、少なくとも90wt%など、少なくともwt95wt%など、少なくとも99wt%など)である、方法。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで生成脂肪族アルデヒドに対する生成脂肪酸の比が、10:90未満である、方法。
【請求項16】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで脂肪族アルコールの脂肪酸への転化率が、40wt%未満(30wt%未満など、20wt%未満など、15wt%未満など、10wt%未満など、5wt%未満など、1wt%未満など)である、方法。
【請求項17】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該水吸収性材料または水吸着性材料が、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ類、ベントナイト粘土、酸化カルシウム類、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素塩類、またはアルカリ土類金属炭酸塩類またはそれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項18】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで酸化プロセス後の該反応媒体の含水量が重量で2%未満となり、および任意選択的に脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒド類へのモル転化率が93%超となるような量で該水吸収性材料または水吸着性材料を該反応媒体に添加する、方法。
【請求項19】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで酸化前に該水吸収性材料または水吸着性材料の量が、該反応媒体中において脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも10g(脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも15gなど、脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも19gなど)となるように添加し、およびここで任意選択的に、該水吸収性材料または水吸着性材料がモレキュラーシーブであってもよい、方法。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(例えば、
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
など、例えば、
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が11の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;または
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
など、または
テトラデカン-1-アール、ペンタデカン-1-アール、ヘキサデカン-1-アール、ペンタデセン-1-アール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-アール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-アール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-アール、(11Z、13Z)-ヘキサデカジエン-1-アール、(9Z,12E)-テトラデカジエン-1-アール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-アールなど、
から成る群から選択される、方法。
【請求項21】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該方法が:
(a)精製混合物を提供する工程;
ここで該精製混合物が:
(i)脂肪族アルデヒド;
(ii)銅イオン;および
(iii)極性溶媒、
を含み、
(b)極性相から非極性相への該脂肪族アルデヒドの抽出を可能にする非極性相および極性相を含む抽出混合物を作成する目的で、該精製混合物を非極性非プロトン性溶媒および酸と混合する工程;および
(c)精製アルデヒドを含む該非極性相を該極性相から分離する工程、
を含む脂肪族アルデヒドを精製する工程をさらに含む、方法。
【請求項22】
請求項19の方法であって、ここで該精製混合物が、0.05~5.0wt%の銅イオン(0.05~2.0wt%の銅イオンなど、0.05~1.0wt%の銅イオンなど)を含む、方法。
【請求項23】
請求項19~20の方法であって、ここで該カルボン酸が、C2~C8モノカルボン酸、C2~C8ジカルボン酸、およびC6~C8トリカルボン酸(酢酸またはクエン酸など)から成る群から選択される、方法。
【請求項24】
請求項19~21のいずれかにしたがう脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該銅に対して少なくとも2.0モル当量(少なくとも2.4当量など)のカルボン酸を用いる、脂肪族アルデヒド精製法。
【請求項25】
重量で93%超の脂肪族アルデヒド、重量で7%未満の脂肪族アルコール、および重量で2%未満の水を含む組成物。
【請求項26】
請求項23の組成物であって、ここで5mmの光路長のキュベットを用いた場合に、680nmの該吸光度が最大で0.4(最大で0.3など、最大で0.2など、最大で0.1など、最大で0.08など、最大で0.06など、最大で0.05など)である、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール類をアルデヒド類に、特に脂肪族アルコール類を脂肪族アルデヒド類に転化する方法に関するものであるが、この方法では触媒を利用し、ここでこの方法は、例えば、大規模で、該アルコールの高転化を提供することが可能であり、ここでこの反応および精製に比較的少量の溶媒を用い、およびここでこの精製において、産物のアルデヒドから触媒を除去することが可能である。
【背景技術】
【0002】
工業スケールにおける第1級アルコール類のアルデヒド類への経済的かつ持続可能な酸化は、化学産業における難問の一つである。文献には多くの方法が報告されているが、その大部分には問題がある;その理由は、それらが、毒性試薬、高額化学物質を利用する、限定的な官能基耐性しか有していない、反応収量が低い、あるいは過酷な条件を必要とすることである。
【0003】
学術文献には、触媒としてアミノキシルラジカル銅錯体を用いる複数の酸化プロトコルが存在する。通常、銅錯体は銅前駆体を混合することによってインスィトゥー(in situ)で生成させる;銅前駆体は、例えば、[CuI(CH3CN)4]+X-であり、ここでXは、通常、陰イオンである、例えば、テトラフルオロボラート、トリフルオロメタンスルホナート、ヘキサフルオロホスファート、または配位子を有するハロゲン、典型的には2,2′-ビピリジン(BIPY)である。多くの場合、この触媒システムは、塩基(例えば、1-メチル-イミダゾール(MeIM))をも含む。アミノキシルラジカルは、典型的には(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)、またはその誘導体((4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)など)である。このアミノキシルラジカルもまたインスィトゥー(in situ)で、ヒドロキシルアミンまたはオキソアンモニウム塩から生成させることができる。この触媒システムは、第1級アルコールを分子酸素で酸化させた場合に、ほぼ定量的なアルデヒド収率を達成することが報告されている。しかし、これらの反応は、通常、多量の溶媒を用いて(すなわち、基質低濃度で)小規模に実施するものであり、精製は高額である。アルコール類の複雑混合物およびより高濃度の溶液などの工業原材料に対してそれらの方法を用いる場合には、良好な収量および反応選択性を達成することがこれまで不可能であった。反応媒体から触媒を除去/回収することが費用対効果の点で同様に困難である。
【0004】
典型的なアルコール酸化法とその後の触媒成分除去については、Stahlとその共同研究者らが報告している(J.Am.Chem.Soc.2011、133、16901~16910)。この方法はアルコールが1ミリモルのスケールで実施される。この方法は実験室では許容可能な結果を提供するが、脂肪族アルデヒド類の大規模生産には用いることができない;その理由は、工程数が多いこと、ならびにカラムクロマトグラフィーを必要とすることであり、触媒除去に費用がかかり過ぎるのである。さらに、反応混合物1ml当たりジクロロメタンの溶媒容積が60mlであり、これによってさらに費用が高額となる。
【0005】
KumpulainenおよびAri M.P. Koskinenは、カラムクロマトグラフィーを必要としない方法を報告している(Chem.Eur.J.2009、15、10901~10911)。この方法は、10ミリモルスケールのアルコール (1-デカノール、1.58g)で実施する。しかし、この方法は、多数の工程および大容量の溶媒を必要とするので、この方法の工業化は不可能である。
【0006】
Norman LuiらのTetrahedron Letters 48(2007)8823~8828は、フルオラス二相性条件下での酸化および熱応答性モードの新規配位子およびCuBr TEMPOに関するものである。
【0007】
HooverらのJ.Am.Chem.Soc.2011、133、42、16901~16910は、第1級アルコール類の好気的酸化についてのCu/TEMPO触媒システムに関するものである。
【0008】
StevesらのJ.Am.Chem.Soc.2013、135、42、15742~15745は、立体障害を受けない第1級アルコール類の好気的酸化についてのCu/TEMPO触媒システムに関するものである。
【0009】
WeiらのGreen Chem.2019、21、4069は、無機配位子に支持される銅触媒を用いた、アルコール類のアルデヒド類またはケトン類への酸化に関するものである。
【0010】
米国特許出願第5155280A1号は、対応するアルカノールを安定な可溶化フリーラジカルの窒素酸化物と反応させることを含むアルデヒド調製に関するものである。
【0011】
上記方法に多数の工程が含まれることもまた問題である;その理由は各工程に産物損失が含まれるからである。より高い濃度で転化を実施する場合には、この損失がさらに増加する。さらに、作業中に用いる酸は、反応混合物(配位子および加えた塩基類)の基本成分の除去にはある程度有効ではあるが、通常用いられるアミノキシルラジカル(4-ヒドロキシ-TEMPOまたはTEMPOなど;該脂肪族アルデヒド産物混合物に非常に可溶性である)は除去されないのである。報告されているほとんどの方法におけるさらなる欠点は、銅を除去するのに強酸(例えば、硫酸)を用いることである。このような酸は、産物の全体的な純度を低下させる副反応を引き起こすことが知られている。
【0012】
フェロモンアルコール類の混合物原材料について、本発明者らは、触媒が迅速に不活性化することを観察している。このことによって、産物中の所望のアルデヒドの濃度および量が限定的となり、したがって蒸溜またはクロマトグラフィーなどの高額で複雑な精製が必要になるため、工業スケールでは実現不可能となる。
【0013】
このように、第1級アルコール類(例えば、脂肪族アルコール類など)から対応するアルデヒド類(例えば、脂肪族アルデヒド類)へ転化する新規の方法に対する満たされていないニーズが存在するのである。この必要性を満たすことを目的として、該方法をスケール拡大可能にし、また原材料混合物に利用可能にすることが必要である。
【発明の概要】
【0014】
本発明者らは、アルコール組成物をアルデヒド組成物に転化する好適な方法を発見した。該方法では、比較的少量の溶媒を用い、工業スケールへの拡大が可能であり(100キログラム以上のバッチサイズにも拡大可能である)、高純度産物、特に触媒組成物の除去に関して高純度である産物を提供するものである。該方法は、脂肪族アルコール組成物から対応する脂肪族アルデヒド組成物への転化に特に好適である;その理由は、該方法が、該脂肪族アルコール組成物の高度転化を提供するからである。さらに、本明細書に記載の方法は、アルコールを対応する酸に酸化する競争反応を制限するので、アルコールの酸への転化よりも有意に高いアルコールのアルデヒドへの転化を提供することにおいて利点を有している。
【0015】
一局面においては、本開示は、脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法を提供するが、該方法は、以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、および溶媒を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化し、50wt%未満を脂肪酸に転化するのに充分な量のO2を、反応混合物に加えることによって、該脂肪族アルコールを酸化する工程。
【0016】
さらなる一局面においては、本開示は、大規模で脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法を提供するが、該方法は、以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)少なくとも1キログラムの脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、少なくとも1キログラムの溶媒、および水を吸収または吸着する水吸収性材料または水吸着性材料を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)O2を含むガスまたは液体を反応媒体に加えることによって、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.01μモルのO2を該反応混合物に溶解し、あるいは1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.001μモルのO2を該反応混合物に溶解し、それによって50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに酸化し、および50wt%未満を脂肪酸に酸化する工程。
【0017】
さらなる一局面においては、本開示は、脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法を提供するが、該方法は、以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)少なくとも1キログラムの脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、少なくとも1キログラムの溶媒、および水を吸収または吸着する水吸収性材料または水吸着性材料を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)O2を含むガスまたは液体を反応媒体に加えることによって、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.01μモルのO2を該反応混合物に溶解し、あるいは1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.001μモルのO2を該反応混合物に溶解し、それによって50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに酸化し、および50wt%未満を脂肪酸に酸化する工程。
【0018】
本開示の別の一局面においては、アルコールをアルデヒドに転化する方法を提供するが、該方法は、以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)アルコールを含むアルコール組成物、本明細書に開示するような触媒組成物、および本明細書に開示するような溶媒を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)酸素を含むガス混合物を反応混合物に泡立つように通気することによって、該反応混合物を本明細書に開示するような酸素流に曝露し、それによって該アルデヒドを取得する工程。
【0019】
本開示の一実施態様は、以下の工程(a)~(c)を含む脂肪族アルデヒド精製法を提供する:
(a)以下の(i)~(iii)を含む粗反応産物を提供する工程;
(i)脂肪族アルデヒド;
(ii)銅イオン;および
(iii)極性溶媒;
(b)該粗反応産物を非極性非プロトン性溶媒および酸と混合して、非極性相および極性相を作成する工程;および
(c)該極性相から該非極性相を分離する工程。
【0020】
本開示の一局面においては、以下の工程(a)および(b)を含む方法で取得したアルデヒド組成物を提供する:
(a)アルコールを含むアルコール組成物、本明細書に開示するような触媒組成物、および本明細書に開示するような溶媒を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)酸素を含むガス混合物を反応混合物に泡立つように通気することによって、該反応混合物を本明細書に開示するような酸素流に曝露し、それによって該アルデヒド組成物を取得する工程。
【0021】
本開示の一局面においては、アルコールをアセタールに転化する方法を提供するが、該方法は以下の工程(a)~(c)を含む:
(a)アルコールを含むアルコール組成物、本明細書に開示するような触媒組成物、および本明細書に開示するような溶媒を含む反応混合物を提供する工程;
(b)酸素を含むガス混合物を反応混合物に泡立つように通気することによって、該反応混合物を本明細書に開示するような酸素流に曝露し、それによって該アルデヒドを取得する工程;および
(c)該アルデヒドのアルデヒド官能基をアセタール官能基に転化し、それによって該アセタールを取得する工程。
【0022】
本開示の一局面は、アルコールをα-ヒドロキシスルホン酸に転化する方法を提供するが、該方法は以下の工程(a)~(c)を含む:
(a)アルコールを含むアルコール組成物、本明細書に開示するような触媒組成物、および本明細書に開示するような溶媒を含む反応混合物を提供する工程;
(b)酸素を含むガス混合物を反応混合物に泡立つように通気することによって、該反応混合物を本明細書に開示するような酸素流に曝露し、それによってアルデヒドを取得する工程;および
(c)該アルデヒドのアルデヒド官能基をα-ヒドロキシスルホン酸官能基に転化し、それによってα-ヒドロキシスルホン酸を取得する工程。
【0023】
本開示の一局面においては、再生可能原材料から生産されるフェロモン成分を提供するが、該フェロモン成分は少なくとも80%のバイオベース炭素含量を有する。
【0024】
さらなる一局面においては、本開示は、重量で93%超の脂肪族アルデヒド、重量で7%未満の脂肪族アルコール、および重量で2%未満の水を含む組成物を提供する。
【0025】
さらなる一局面においては、重量で93%超の脂肪族アルデヒド、重量で7%未満の脂肪族アルコール、および重量で2%未満の水を含む組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】高速の酸素供給速度における脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化。反応を2時間継続したが、その経過中1時間後に温度が22℃から52℃に上昇し、2時間後では42℃まで温度が低下した。反応収量は定常的に増加し、73分後に70%を超え、また150分の時点ではさらに87%に増加した。
【
図2】高速の酸素供給速度における水吸着剤存在下での脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化。反応を2時間継続したが、その経過中1時間後に温度が22℃から52℃に上昇し、2時間後では42℃まで温度が低下した。この転化は定常的に増加して139分の時点で95%を超えた。
【
図3】非常に高速の酸素供給速度における水吸着剤存在下での脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化。反応を2時間継続したが、その経過中1時間13分後に温度が23℃から51℃に上昇し、6時間後では22℃まで温度が低下した。この転化は定常的に増加して110分の時点で99%を超えた。
【
図4】実施例16に記載されるような4m
3反応器における脂肪族アルコール混合物の酸化。
図4はその反応データを示す。
【
図5】実施例16に記載されるような4m
3反応器における脂肪族アルコール混合物の酸化。
図5はその経時的転化を示す。
【
図6】実施例17に記載されるような4m
3反応器における脂肪族アルコール混合物の酸化。
図6はその酸化プロセスの反応データを示す。
【
図7】実施例17に記載されるような4m
3反応器における脂肪族アルコール混合物の酸化。
図7はその経時的転化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
「Xは、nからmの範囲のYを含む」などの本明細書中の表現は、XがYを少なくともn含み、最大でYをm含むことを意味する;すなわち、この表現は、XがYをn未満は含まず、かつYをm超は含まないことを示している。一例としては、組成物が5%~60%の範囲のYを含むと表現する場合には、該組成物はYを5%未満は含まず、かつYを60%超は含まないことになる。
【0028】
本明細書中の単数形の用語「a」および「the」は、この表現および/または文脈によってそうではないことが明示されるのでない限り、「1つ以上」および「少なくとも1つ」の同意語であり、互換的に用いられる。したがって、例えば、本明細書または付属の特許請求の範囲において「一溶媒(a solvent)」または「その溶媒(the solvent)」と表現する場合には、それは単一溶媒または2種類以上の溶媒を意味し得る。
【0029】
本明細書中の「溶媒」は、別の物質を実質的に溶解する、あるいは分散させることができる液体を含む。
【0030】
明示的にそうでないことに言及するのでない限り、「脂肪族アルコール」または「脂肪族アルデヒド」という表現は、この用語の単数形および複数形の両方を含むものとする。一例として、「50wt%の脂肪族アルコールを含む組成物」は、単一脂肪族アルコールを、該組成物の50wt%に等しい量で含み得る、あるいは2種類以上脂肪族アルコール類の混合物を、該組成物の50wt%に等しい量で含み得る、のいずれかである。
【0031】
炭素-炭素二重結合を有する化合物を説明する場合の用語「不飽和」および「不飽和化」は同意語として用いられる。本明細書全体を通じて以下の用語を用いる:Δi不飽和化化合物;ここでiは整数であり、該化合物は炭素鎖のi位に存在する炭素原子と炭素鎖のi+1位に存在する炭素原子の間に、炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合を有する化合物を指す。したがって、該炭素鎖長は少なくともi+1に等しい。例えば、Δ12不飽和化化合物は、炭素12と炭素13の間に炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合を有する化合物を指し、本明細書においては、12位に炭素-炭素結合を有する炭素鎖と表現する。該Δ12不飽和化化合物は13以上の炭素鎖長を有し得る。該二重結合または三重結合はE配位またはZ配位を取り得る。したがって、本明細書においては、EiまたはZi不飽和化化合物は、E配位またはZ配位において、それぞれ、炭素鎖の炭素iと炭素i+1の間に炭素-炭素二重結合を有する化合物と表現するが、ここで該不飽和化化合物はその全長が少なくともi+1に等しい。例えば、E12不飽和化脂肪族アルコールは、E配位で、12位(すなわち、炭素原子12と炭素原子13の間の二重結合)に不飽和化を有し、その炭素鎖長が13以上である。
【0032】
さらに、本明細書中の「(E)7、(Z)9」、「(E7)、(Z9)」、「E7、Z9」、「(E7、Z9)」、「(7E、9Z)」、「(7E)、(9Z)」、「(7)E、(9)Z」などの用語およびその他のそのバリエーションは同意語である。すなわち、炭素鎖において二重結合の立体化学を特定する場合には、用語、または用語の一部に個別に、あるいは立体化学記述子の基全体に括弧付けを行う、またはそれらの組み合わせのこともあるが、その括弧を全体的に省略することもできる;該位置は、記述子の前または後のいずれかであり得る。これは、本明細書中で用いる任意の数の立体化学記述子の任意の組み合わせに当てはまるものである。
【0033】
本明細書中の用語「鎖長」または「炭素鎖長」は、分子中の連続する炭素原子の数を指す。一例として、分子ヘキサデカン-1-オールの鎖長は16である。
【0034】
他で特定しない限り、有機分子の位置の位置番号による参照は、有機分子において官能基からの番号付けに基づくものであり、例えば、第1級アルコールのヒドロキシ基のある炭素原子を炭素原子1とすることにより、あるいはアルデヒドのカルボニル基の炭素原子構成部を炭素原子1とすることにより、番号付けを行う。
【0035】
曇り点:溶液(例えば、水溶液)における界面活性剤、特に非イオン性の界面活性剤の曇り点、またはグリコール溶液の曇り点は、該界面活性剤と該溶液(例えば、該水溶液)の混合物が、相分離を開始して2相が現れ、したがって曇る温度である。この挙動は、ポリオキシエチレン鎖を含む非イオン性界面活性剤に特徴的なものであるが、これは水中で温度変化に対して該界面活性剤が逆溶解性(reverse solubility)を示し、したがって温度上昇のある温度点で「曇る」のである。この挙動を示すグリコール類は「曇り点グリコール類」として知られている。曇り点は塩分の影響を受け、一般的には、より塩分の高い液体で曇り点が低くなる。
【0036】
曇り濃度:本明細書において、この用語は、界面活性剤、特に非イオン性の界面活性剤の濃度またはグリコール溶液の濃度であって、上記の溶液において所定の温度で、該界面活性剤および該溶液の混合物が、相分離を開始して2相が現れ、したがって曇る濃度を指すときに用いられる。例えば、水溶液における所定の温度での界面活性剤の曇り濃度は、水溶液と混合した場合に二相を生じる該界面活性剤の最小濃度である。曇り濃度については、その情報を界面活性剤の製造元から得ることもできるが、あるいは用量曲線を作成して混合相が分離する濃度を判定することによって実験的に決定することもできる。
【0037】
本明細書中の表現「X%Y」(ここでYはガスである)は、ガスまたは空気の混合物を意味し、ここでYが、ガスまた空気の混合物の全圧のX%となる分圧を構成する。一例を挙げるならば、分圧0.2バールの酸素および分圧0.8バールの窒素から成るガス混合物を、「20%酸素」または「20%酸素ガス混合物」とよぶ。
【0038】
本明細書中においてガス容積に言及する場合には、該純粋なガスの容積、またはより大容積の該ガスを含むガスの混合物を意味し得る。一例として、「1.5mlの酸素」は、純粋な酸素1.5mlまたは20%酸素を含む7.5mlのガス混合物のいずれかを意味し得る。
【0039】
他で特定しない限り、ガスの容積に言及する場合には1.00バールの圧力におけるものと見なすべきである。
【0040】
本明細書では、ガスに関して「酸素」に言及する場合にはO2を意味する。
【0041】
本明細書中の用語「アルコール」は、用語「脂肪族アルコール」を含む。本明細書中の用語「アルコール組成物」は、用語「脂肪族アルコール組成物」を含む。
【0042】
本明細書中の用語「アルデヒド」は、用語「脂肪族アルデヒド」を含む。本明細書中の用語「アルデヒド組成物」は、用語「脂肪族アルデヒド組成物」を含む。
【0043】
本明細書中の用語「アセタール」は、用語「脂肪族アセタール」を含む。本明細書中の用語「アセタール組成物」は、用語「脂肪族アセタール組成物」を含む。
【0044】
本明細書中の用語「α-ヒドロキシスルホン酸」は、用語「脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸」を含む。本明細書中の用語「α-ヒドロキシスルホン酸組成物」は、用語「脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸組成物」を含む。
【0045】
本明細書中の単位ppmは、他で特定するのでない限り重量に基づくものである。
【0046】
本明細書中の用語「廃」は、既に酸化剤として作用した酸化剤に関するものである。一例として、O2は酸化剤であるが、他方、H2Oはそれに対応する廃酸化剤である。一例として、化合物TEMPOは酸化剤であるが、他方、化合物N-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンはそれに対応する廃酸化剤である。廃酸化剤を枯渇酸化剤とよぶこともある。廃酸化剤は、対応する酸化剤の還元型であることが多い。
【0047】
脂肪族アルコール類
本開示は、少なくとも1種類の脂肪族アルコールを含む脂肪族アルコール組成物に関する。本開示の一実施態様においては、脂肪族アルコール組成物は、単一脂肪族アルコールから成る、あるいは単一脂肪族アルコールを含む。別の一実施態様においては、脂肪族アルコール組成物は、少数の脂肪族アルコール類(2種類~5種類の脂肪族アルコール類、すなわち、2種類、3種類、4種類または5種類の脂肪族アルコール類など)の混合物から成る、あるいは同上を含む。さらに別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、複数の脂肪族アルコール類(6種類以上の脂肪族アルコール類など)から成る、あるいは同上を含む。
【0048】
本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールは第1級脂肪族アルコールである。具体的には、本開示の一実施態様において、脂肪族アルコールの本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドへの転化は、第1級アルコール官能基のアルデヒド官能基への転化である。本開示の好ましい一実施態様においては、該転化は、第1級アルコール官能基のアルデヒド官能基への酸化である。
【0049】
本明細書に開示の方法を用いて、多くの異なる第1級アルコール類を対応するアルデヒド類に転化することが可能であると考えられる。該方法は、脂肪族アルコール類のそれに対応する脂肪族アルデヒド類への転化に特に好適である;その理由は、他の公知の方法では、転化が不完全である、望ましくない副産物を生成する、および/または多量の溶媒を必要とする、のいずれかとなるからである。
【0050】
該脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであってもよく、不飽和化脂肪族アルコールであってもよい。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、飽和脂肪族アルコール類のみを含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、不飽和化脂肪族アルコール類のみを含む。さらに別の本開示の一実施態様においては、該アルコール組成物は、飽和脂肪族アルコール類および不飽和化脂肪族アルコール類の両方を含む。
【0051】
一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は8である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は9である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は10である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は11である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は12である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は13である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は14である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は15である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は16である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は17である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は18である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は19である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は20である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は21である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は22である。
【0052】
脂肪族アルコール類は、分岐状であっても非分岐状(すなわち、線状または「直鎖状」)であってもよい。本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールは非分岐状である。
【0053】
本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールの鎖長は12~16である。本開示のさらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは非分岐状で、その鎖長は12~16である。本開示のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールは非分岐状で、その鎖長は12である。別のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールは非分岐状で、その鎖長は14である。別のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールは非分岐状で、その鎖長は16である。
【0054】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは飽和脂肪族アルコールである。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22の飽和脂肪族アルコールである。
【0055】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは不飽和化脂肪族アルコールである。不飽和化脂肪族アルコールの二重結合は、E配位またはZ配位のいずれであってもよいが、該二重結合が末端二重結合である場合を除く。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、1つ以上のE配置の二重結合を含む。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、1つ以上のZ配置の二重結合を含む。さらに別の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、1つ以上のE配置の二重結合および1つ以上のZ配置の二重結合を含む。
【0056】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは不飽和化脂肪族アルコールである。そのような化合物は、天然に産生されるものであり、例えば、昆虫細胞によって産生されるが、ここでそれらはフェロモンとして作用する。該不飽和化脂肪族アルコール類は以下であってもよい:
・ (Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ3不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類;
および
・ (E)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコール類。
【0057】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコール類は、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類であり、以下のような不飽和化脂肪族アルコール類が挙げられる:
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類;および
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコール類。
【0058】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコール類は、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類であり、以下のような不飽和化脂肪族アルコール類が挙げられる:
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類;および
・ (E)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコール類。
【0059】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコール類は、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類であり、以下のような不飽和化脂肪族アルコール類が挙げられる:
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (E)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;
・ (Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類;および
・ (E)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコール類。
【0060】
例えば、該脂肪族アルコールは、(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコールである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22、例えば、14の不飽和化脂肪族アルコールである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコールである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコールである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコールである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコールである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルコールである。
【0061】
その他の実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコールである。例えば、該脂肪族アルコールは、(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が11の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルコールである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルコールは、(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルコールであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルコールである。
【0062】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは(Z9,E12)-テトラデカジエン-1-オールである。酵母細胞から(Z9,E12)-テトラデカジエン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183447.8に詳細に説明されている。
【0063】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(Z11,Z13)-ヘキサデカジエン-1-オールである。酵母細胞から(Z11,Z13)-ヘキサデカジエン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183459.3に詳細に説明されている。
【0064】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(E8,E10)-ドデカジエン-1-オールである。酵母細胞から(E8,E10)-ヘキサデカジエン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、WO2021/123128に詳細に説明されている。
【0065】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(Z11)-ヘキサデセン-1-オールである。酵母細胞から(Z11)-ヘキサデセン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、WO2016/207339に詳細に説明されている。
【0066】
本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、9位、11位、または13位の位置に二重結合、または9位および11位の位置または11位および13位の位置に二重結合を有する;あるいは、該脂肪族アルコールは、9位または12位の位置に二重結合、または9位および12位の位置に二重結合を有する。本開示のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールはその鎖長が12であり、9位または11位の位置に二重結合、または9位および11位の位置に二重結合を有する;または、該脂肪族アルコールはその鎖長が14であり、9位または12位の位置に二重結合、または9位および12位の位置に二重結合を有する;あるいは、該脂肪族アルコールはその鎖長が14であり、9位、11位、または13位の位置に二重結合、または9位および11位、あるいは11位および13位の位置に二重結合を有する。本開示の別のより好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールはその鎖長が14であり、9位または11位の位置に二重結合、または9位および11位の位置に二重結合を有する。本開示の別のより好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールはその鎖長が16であり、9位または11位の位置に二重結合、または9位および11位の位置に二重結合を有する。その他の実施態様においては、該脂肪族アルコールはその鎖長が16であり、11位または13位の位置に二重結合、または11位および13位の位置に二重結合を有する。その他の実施態様においては、該脂肪族アルコールはその鎖長が12であり、8位または10位の位置に二重結合、または8位および10位の位置に二重結合を有する。
【0067】
特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、テトラデカン-1-オール、ペンタデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール、ペンタデセン-1-オール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-オール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-オール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-オール、(11Z,13Z)-ヘキサデカジエン-1-オール、(9Z,12E)-テトラデカジエン-1-オール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-オールから成る群から選択される。特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコールは、(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールまたは(Z)-9-テトラデセン-1-オールである。
【0068】
該脂肪族アルコール組成物は、全体として脂肪族アルコール類から成るのであってもよく、あるいは脂肪族アルコール類およびその他の化合物を含むのであってもよい。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を5wt%~10wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を10wt%~20wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を20wt%~30wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を30wt%~40wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を40wt%~50wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を50wt%~60wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を60wt%~70wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を70wt%~80wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を80wt%~90wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を90wt%~100wt%含む。本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を50%~100%の範囲で含む。さらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を60%~100%の範囲で含む。
【0069】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも30wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも35wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも40wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも45wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも50wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも55wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の脂肪族アルコール類を少なくとも60wt%含む。
【0070】
本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は実質的に乾燥状態である;すなわち、最大でもごく少量の水しか含まない。本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、該酸化に有害的に干渉する化合物をまったく含まない。該反応条件にとって有害と考えられる化合物は、例えば、カルボン酸、アミノ酸、アミン類、1,2-ジオール類、1,3-ジオール類、硫化物、およびその他のキレート化合物である。
【0071】
本明細書に開示の方法は、工業用原材料に由来するアルコール類またはフェロモンアルコール類の酸化に特に有用であることが意図される。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は工業用原材料に由来する。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物はフェロモンアルコール類を含む。
【0072】
一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、本明細書に開示の脂肪族アルコール類のうちの1種類以上を含み、ここで該1種類以上の脂肪族アルコール類のそれぞれが、0.1wt%~100wt%の量で存在する。特定の本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールを含む。本開示のさらなる特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、10wt%~100wt%の(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールを含む。本開示のさらなる特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、50wt%~100wt%の(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールを含む。特定の本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、(Z)-9-ヘキサデセン-1-オールを含む。本開示のさらなる特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1wt%~10wt%の(Z)-9-ヘキサデセン-1-オールを含む。特定の本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、ヘキサデカン-1-オールを含む。本開示のさらなる特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1wt%~15wt%のヘキサデカン-1-オールを含む。特定の本開示の一実施態様においては、該アルコール組成物は、50wt%~98wt%の(Z)-11-ヘキサデセン-1-オール、1wt%~10wt%の(Z)-9-ヘキサデセン-1-オール、および1wt%~15wt%のヘキサデカン-1-オールを含む。
【0073】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、10wt%~100wt%の(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールを含む。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1wt%~10wt%の(Z)-9-ヘキサデセン-1-オールを含む。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1wt%~15wt%のヘキサデカン-1-オールを含む。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、1wt%~20wt%のモノ不飽和ペンタデセン-1-オールを含む。特定の一実施態様においては、該脂肪族アルコール組成物は、10wt%~100wt%の(Z)-11-ヘキサデセン-1-オール、1wt%~10wt%の(Z)-9-ヘキサデセン-1-オール、1wt%~15wt%のヘキサデカン-1-オール、および1wt%~20wt%のモノ不飽和ペンタデセン-1-オールを含む。
【0074】
脂肪族アルデヒド類
本開示は、少なくとも1種類の脂肪族アルデヒドを含む脂肪族アルデヒド組成物に関する。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、単一脂肪族アルデヒドから成る、あるいは同上を含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、数種類の脂肪族アルデヒド類(2~5種類の脂肪族アルデヒド類など)の混合物から成る、あるいは同上を含む。さらに別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、複数の脂肪族アルデヒド類(6種類以上の脂肪族アルデヒド類など)から成る、あるいは同上を含む。
【0075】
該脂肪族アルデヒドは、飽和脂肪族アルデヒドであっても、不飽和化脂肪族アルデヒドであってもよい。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、飽和脂肪族アルデヒド類のみを含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、不飽和化脂肪族アルデヒド類のみを含む。さらに別の本開示の一実施態様においては、該アルデヒド組成物は、飽和脂肪族アルデヒドおよび不飽和化脂肪族アルデヒドの両方を含む。
【0076】
一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は8である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は9である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は10である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は11である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は12である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は13である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は14である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は15である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は16である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は17である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は18である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は19である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は20である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は21である。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は22である。
【0077】
脂肪族アルデヒド類は、分岐状であっても非分岐状(すなわち、線状または「直鎖状」)であってもよい。本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは非分岐状である。
【0078】
本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドの鎖長は12~16である。本開示のさらなる一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは非分岐状で、その鎖長は12~16である。本開示のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは非分岐状で、その鎖長は12である。別のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは非分岐状で、その鎖長は14である。別のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは非分岐状で、その鎖長は16である。
【0079】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは飽和脂肪族アルデヒドである。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22の飽和脂肪族アルデヒドである。
【0080】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。該不飽和化脂肪族アルデヒドの二重結合は、E配位またはZ配位のいずれであってもよいが、該二重結合が末端二重結合である場合を除く。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、1つ以上のE配置の二重結合を含む。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、1つ以上のZ配置の二重結合を含む。さらに別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、1つ以上のE配置の二重結合および1つ以上のZ配置の二重結合を含む。
【0081】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。該不飽和化脂肪族アルデヒド類は以下であってもよい:
・ (Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
および
・ (E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類。
【0082】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒド類は、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類であり、以下のような不飽和化脂肪族アルデヒド類が挙げられる:
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類。
【0083】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒド類は、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類であり、以下のような不飽和化脂肪族アルデヒド類が挙げられる:
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
・ (E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類。
【0084】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒド類は、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類であり、以下のような不飽和化脂肪族アルデヒド類が挙げられる:
・ (Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
・ (Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
・ (E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類。
【0085】
例えば、該脂肪族アルデヒドは、(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒドである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22、例えば、14の不飽和化脂肪族アルデヒドである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒドである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒドである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒドである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒドである。いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒドである。
【0086】
その他の実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒドである。例えば、該脂肪族アルデヒドは、(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が11の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒドである。その他の実施態様においては、該不飽和化脂肪族アルデヒドは、(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒドであって、その炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒドである。
【0087】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z9,E12)-テトラデカジエン-1-アールである。酵母細胞から対応するアルコール(Z9,E12)-テトラデカジエン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183447.8に詳細に説明されている。このアルコールは、本明細書に開示の方法を用いて(Z9,E12)-テトラデカジエン-1-アールに転化することができる。
【0088】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z11,Z13)-ヘキサデカジエン-1-アールである。酵母細胞から対応するアルコール(Z11,Z13)-ヘキサデカジエン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183459.3に詳細に説明されている。このアルコールは、本明細書に開示の方法を用いてZ11,Z13)-ヘキサデカジエン-1-アールに転化することができる。
【0089】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(E8,E10)-ドデカジエン-1-アールである。酵母細胞から対応するアルコール(E8,E10)-ヘキサデカジエン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、WO2021/123128に詳細に説明されている。このアルコールは、本明細書に開示の方法を用いて(E8,E10)-ドデカジエン-1-アールに転化することができる。
【0090】
いくつかの実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z11)-ヘキサデセン-1-アールである。酵母細胞から対応するアルコール(Z11)-ヘキサデセン-1-オールを取得するための微生物細胞工場および方法が、WO2016/207339に詳細に説明されている。このアルコールは、本明細書に開示の方法を用いて(Z11)-ヘキサデセン-1-アールに転化することができる。
【0091】
本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、9位、11位、または13位の位置に二重結合、または9位および11位の位置または11位および13位の位置に二重結合を有する;あるいは、該脂肪族アルデヒドは、9位または12位の位置、または9位および12位の位置に二重結合を有する。本開示のさらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が12であり、9位または11位の位置に二重結合、または9位および11位の位置に二重結合を有する;または、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が14であり、9位または12位の位置に二重結合、または9位および12位の位置に二重結合を有する;あるいは、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が14であり、9位、11位、または13位の位置に二重結合、または9位および11位、あるいは11位および13位の位置に二重結合を有する。本開示の別のより好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が14であり、9位または11位の位置に二重結合、または9位および11位の位置に二重結合を有する。本開示の別のより好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が16であり、9位または11位の位置に二重結合、または9位および11位の位置に二重結合を有する。その他の実施態様においては、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が16であり、11位または13位の位置に二重結合、または11位および13位の位置に二重結合を有する。その他の実施態様においては、該脂肪族アルデヒドはその鎖長が12であり、8位または10位の位置に二重結合、または8位および10位の位置に二重結合を有する。
【0092】
特定の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、テトラデカン-1-アール、ペンタデカン-1-アール、ヘキサデカン-1-アール、ペンタデセン-1-アール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-アール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-アール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-アール、(11Z、13Z)-ヘキサデカジエン-1-アール、(9Z,12E)-テトラデカジエン-1-アール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-アールから成る群から選択される。
【0093】
特定の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、(Z)-11-ヘキサデセナールまたは(Z)-9-テトラデセナールである。
【0094】
該脂肪族アルデヒド組成物は、全体として脂肪族アルデヒド類から成るのであってもよく、あるいは脂肪族アルデヒド類およびその他の化合物を含むのであってもよい。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を5wt%~10wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を10wt%~20wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を20wt%~30wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を30wt%~40wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を40wt%~50wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を50wt%~60wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を60wt%~70wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を70wt%~80wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を80wt%~90wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を90wt%~100wt%含む。本開示の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒドを50%~100%の範囲で含む。さらに好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を60%~100%の範囲で含む。
【0095】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも30wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも35wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも40wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも45wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも50wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも55wt%含む。別の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも60wt%含む。好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも70wt%含む。別の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも80wt%含む。別の好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の脂肪族アルデヒド類を少なくとも90wt%含む。
【0096】
本明細書に概説するようなアルデヒド組成の実施態様は、好ましくは単離精製したアルデヒド組成物を指す。
【0097】
触媒組成物
本開示は、第1級アルコール類の酸化によって対応するアルデヒド類を生産することに関する。第1級アルコールのアルデヒドへの酸化は、触媒組成物によって触媒される。
【0098】
該触媒組成物としては、銅(I)供給源(例えば、銅(I)塩など)が挙げられる。該銅(I)供給源は、銅(I)を含む所望の触媒作用に関して利用可能な銅(I)化合物を含む物質または物質の混合物である。例としては、特に、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、シアン化銅(I)、酸化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)テトラフルオロボラート、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)テトラフェニルボラート、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)トリフルオロメタンスルホナート、硫化銅(I)、チオシアン酸銅(I)、Cu[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]CI、Cu[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]Br、CuBr(1,10-フェナントロリン)2、CuCl(1,10-フェナントロリン)]2、Cul(1,10-フェナントロリン)2、トリフルオロ酢酸銅(I)、[Cu(PPh3)3]Br、[Cu(PPh3)3]F、[Cu(PPh3)3]Cl、Cu(OCOR2)、Cu(SR2)、Cu(SR2
2)Br、Cu(SR2
2)Cl、Cu(SR2
2)I、Cu(OSO2R2)、CuOR2が挙げられるが、ここでR2は以下から選択される:任意選択的に1つ以上のアリール、アルコキシおよびアリールオキシで置換されてもよいアルキル、好ましくはC1~C20アルキル;任意選択的に1つ以上アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシで置換されてもよいアリール、好ましくはC5~C7アリール;およびその混合物。さらに、該銅(I)供給源は、化学的にまたは電気化学的に、のいずれかによって、還元または酸化の手段で、+1の酸化状態にある銅に転化され得る場合には、他の任意の酸化状態の銅を含む物質または物質の混合物であり得る。
【0099】
本開示の好ましい一実施態様においては、該銅(I)供給源は、+1の酸化状態で存在する銅を含む。
【0100】
本開示の一実施態様においては、該銅(I)供給源は有機溶媒に可溶性である。好ましい一実施態様においては、該有機溶媒はアセトニトリルである。試薬の溶解性は一般的に反応速度を改善する。本開示の好ましい一実施態様においては、該銅(I)供給源は、有機溶媒において良好な溶解度を示す対イオン、すなわち、負の荷電イオンを含む銅(I)塩である。一般的にアセトニトリルなどの有機溶媒において良好な溶解度を示すと考えられる負の荷電イオンの例としては、トリフラート、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、およびハロゲン化物類が挙げられる。
【0101】
該銅(I)供給源は、銅に配位している配位子をさらに含むことができる。配位子が配位している銅(I)供給源の例としては、テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、テトラキスアセトニトリル銅(I)テトラフルオロボラート、テトラキスアセトニトリル銅(I)ヘキサフルオロホスファート、テトラキスアセトニトリル銅(I)ハロゲン化物、CuBr(1,10-フェナントロリン)2、CuCl(1,10-フェナントロリン)]2、およびCul(1,10-フェナントロリン)2が挙げられる。
【0102】
本開示の好ましい一実施態様においては、該銅(I)供給源は、テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、テトラキスアセトニトリル銅(I)テトラフルオロボラート、テトラキスアセトニトリル銅(I)ヘキサフルオロホスファート、およびテトラキスアセトニトリル銅(I)ハロゲン化物から成る群から選択される。
【0103】
銅(I)イオンは、銅(II)化合物および還元剤によりインスィトゥー(in situ)で生成させることができる。したがって、一実施態様においては、該銅(I)供給源は銅(II)化合物および還元剤を含む。一実施態様においては、該銅(I)供給源は銅(II)化合物および還元剤である。
【0104】
一実施態様においては、該銅(II)化合物は銅(II)塩である。一実施態様においては、該銅(II)塩は有機溶媒に可溶性の対イオンを含む。有機溶媒に可溶性の対イオンは、典型的には大型の有機部分および/または(例えば、共鳴または誘導によって)非局在化可能な負電荷を含む。一実施態様においては、該銅(II)塩は、銅(II)トリフラート、銅(II)テトラフルオロボラート、銅(II)ヘキサフルオロホスファート、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、および過塩素酸銅(II)から成る群から選択される。
【0105】
本明細書に開示するような還元剤は、銅(II)を銅(I)に還元することができる。該還元剤は、有機還元剤または無機還元剤のいずれかであり得る。本開示の一実施態様においては、該還元剤は、銅金属、亜鉛金属、アルミニウム金属、硫酸水素ナトリウム、ギ酸、ギ酸の塩、シュウ酸、およびシュウ酸の塩から成る群から選択される。金属を基盤とする還元剤は、粉末、ペレット、削り粉、あるいは微粉化形態であってもよく、これらは利点を有する。該還元剤は、有利なものとして、副産物を全く生成しないように、あるいは(例えば、蒸発によって)除去が容易な副産物を生成するように選択するのであってもよい。本開示の一実施態様においては、該銅(I)供給源は、銅(II)塩および銅金属を含む。
【0106】
本開示の一実施態様においては、本開示の触媒組成物は配位子を含む。該配位子の役割は触媒組成物の銅(I)への配位であり、それによって銅(I)の溶解度を改善し、該触媒組成物を安定化し、および/または該触媒組成物の触媒活性を改善することが予想される。
【0107】
好適な配位子としては、窒素、酸素、リン、または孤立電子対を有するその他の原子を介して配位する配位子が挙げられる。本開示の一実施態様においては、該配位子は、ピリジン、トリアリールホスフィン、ジアリールホスフィン、アミン、イミダゾール、ピラゾール、ピロール、トリアゾール、テトラゾール、イミン、エナミン、フェノール、または前記列挙部分のいずれかを含む部分から成る群から選択される部分を介して配位する。好ましい一実施態様においては、該配位子はピリジン部分を介して配位する。
【0108】
該配位子は、単座配位子であっても、多座配位子であってもよい。本開示の一実施態様においては、該配位子は単座配位子である。本開示の別の一実施態様においては、該配位子は二座配位子である。別の一実施態様においては、該配位子は3つ以上の原子に配位する多座配位子である。
【0109】
本開示の一実施態様においては、該触媒組成物は、本明細書に記載のような単一種類の配位子を含む。別の本開示の一実施態様においては、該触媒組成物は、本明細書に記載のような2種類以上の配位子の混合物を含む。
【0110】
本開示の一実施態様においては、該配位子は、DETA、PMDETA、TETA、HMTETA、Me6TREN、サイクラム、Me6サイクラム、DMCBCy、bpy、dNbpy、1,10-Phen、tpy、tNtpy、BPMPrA、BPMOA、BPMODA、TPMA、およびTPEAから成る群から選択される。本開示の一実施態様においては、該配位子は、第2級アミン(大型の置換基を有する(すなわち、アミンの求核性を低下させる)第2級アミンなど)である。本開示の一実施態様においては、該配位子は窒素二座配位子である。一実施態様においては、該配位子は、2,2′-ビピリジン部分または2,2′-ビピリミジン部分を含む。一実施態様においては、該配位子は、4,4′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、5,5′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、2,2′-ビピリミジン、2,2′-ビピリジン-4,4′-ジカルボン酸またはそのエステル、2,2′-ビピリジン-5,5′-ジカルボン酸またはそのエステルから成る群から選択される。本開示の好ましい一実施態様においては、該配位子は2,2′-ビピリジン(bpy)である。
【0111】
本開示の触媒組成物は、好ましくはアミノキシルラジカル化合物、すなわち、N-O・官能基を有する化合物を含む。本開示のさらなる一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物はジアルキルアミノキシルラジカル化合物である。本開示のさらなる一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物はピペリジンN-オキシドまたはその誘導体である。さらなる一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物は置換ピペリジンN-オキシドである。さらなる一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物は(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)またはその誘導体である。本開示の一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物は、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを有する機能化ポリマーから成る群から選択される。本開示の好ましい一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物は、TEMPOまたは(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)から成る群から選択される。該アミノキシルラジカル化合物は、本開示の脂肪族アルコール組成物の酸化をもたらす触媒サイクルの一部であることが意図される。本明細書に記載するTEMPOおよびその誘導体は、酸化剤をO2として、アルコール官能基をアルデヒド官能基に酸化することに関して触媒として働くことに留意されたい。しかし、本明細書においては、本明細書に開示のTEMPOおよびその誘導体はまた「酸化剤」ともよぶ。
【0112】
本開示の一実施態様においては、該触媒組成物は塩基を含む。本明細書では、特定のいくつかの塩基類について後述するのであるが、多くの異なる塩基が本開示の実施において有用であることが予想される。本開示の一実施態様においては、該塩基は有機塩基である。有機塩基は本明細書に開示するような反応媒体に溶解し得るので、有機塩基を用いることは有利であり得る。本開示の一実施態様においては、該塩基は窒素塩基である。一実施態様においては、該塩基はシッフ塩基である。一実施態様においては、該塩基は酸素塩基である。本開示の一実施態様においては、該塩基は、1-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、およびカリウムt-ブトキシドから成る群から選択される。本開示の一実施態様においては、該塩基は、1-メチルイミダゾール、カリウムtert-ブトキシド、または1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデス-7-エン(DBU)から成る群から選択される。
【0113】
本開示の一実施態様においては、本明細書で提供するような触媒組成物を反応混合物に添加する前に、該触媒組成物の生成を目的として、該触媒組成物の成分を混合するのであってもよい。別の一実施態様においては、該反応混合物に、該触媒組成物の成分を個別に添加するのであってもよい。別の一実施態様においては、該触媒組成物の成分の一部を混合して反応混合物に添加するのであってもよく、他方、該触媒組成物の残りの成分は、反応混合物に個別に添加する、および/または事前混合してから添加する。
【0114】
酸化の方法
本開示は、脂肪族アルコール組成物を脂肪族アルデヒド組成物に転化する方法を提供する。特に、該脂肪族アルコール組成物から該脂肪族アルデヒド組成物への転化は、該脂肪族アルコール組成物の酸化である。
【0115】
本明細書に開示の方法は、異なる各種の第1級アルコール組成物、例えば、少なくとも2炭素原子の鎖長を有する第1級アルコール類を含む組成物の転化に有用であることが予想される。しかしながら、本開示の方法は、本明細書の「脂肪族アルコール類」および「脂肪族アルデヒド類」の節においてさらに定義するような8炭素原子以上の鎖長を有する第1級アルコール類(すなわち、脂肪族アルコール類)の酸化に特に好適である。その他の公知の酸化法では、低収量および/または低純度の脂肪族アルデヒド組成物のみを生成することが多い。「過酸化」、すなわち、アルデヒドの対応するカルボン酸へのさらなる酸化は、該アルデヒド組成物が低反応収量および/または低純度になる主要な寄与因子であることが多い。短い第1級アルコールに関する他の公知の酸化法は、脂肪族アルコール類の酸化には好適ではないこともあるが、その理由は、酸化が不完全である可能性、「過酸化」が起こる可能性、および/または反応産物の精製が実施不可能となる可能性が挙げられる。さらに脂肪族アルコール類の脂肪族アルデヒド類への酸化については、背景の節で概説したように、他の公知の方法では、比較的大量の溶媒を用いること、および/または反応産物精製を利用することが多いのである。他方、本明細書に開示の方法では、酸化反応に比較的少容量の溶媒を用い、また比較的少量の溶媒を反応産物精製に用いる。本明細書に開示の方法は、拡張可能であること、すなわち、小規模(例えば、10g未満の脂肪族アルコール組成物)、あるいは大規模(例えば、100g超の脂肪族アルコール組成物(500g超の脂肪族アルコール組成物など))の両方において有効であることにおいても、利点を有している。脂肪族アルコール類を対応する脂肪族アルデヒド類に酸化する他の公知の方法は、小規模(例えば、10g未満の脂肪族アルコール組成物)では有効であるかもしれないが、拡張可能ではない、すなわち、より大規模(例えば、100g超の脂肪族アルコール組成物(500g超の脂肪族アルコール組成物など))では良好な反応収量または産物純度を得ることが困難である。比較的副産物(対応する脂肪族カルボン酸または未反応脂肪族アルコールなど)を含まないアルデヒド組成物を取得することは有利である;その理由は、蒸溜などの時間のかかる、または費用のかかる精製工程の必要性を除外できるからである。上記の特徴(小溶媒容積、拡張可能性、および基質範囲)のそれぞれが、本明細書に開示の方法を工業的利用に特に好適なものとするのである。
【0116】
本開示の一実施態様は、脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法を提供するが、該方法は以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)該脂肪族アルコール、触媒組成物、および溶媒を含む脂肪族アルコール組成物を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)該反応混合物に酸素を含むガス混合物を泡立つように通気することによって、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.25mlの酸素に該反応混合物を曝露し、それによって該脂肪族アルデヒドを取得する工程。
【0117】
本開示の一実施態様においては、大規模で脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法を提供するが、該方法は以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)少なくとも1キログラムの脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、少なくとも1キログラムの溶媒、および水を吸収または吸着する水吸収性材料または水吸着性材料を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)O2を含むガスまたは液体を反応媒体に加えることによって、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.01μモルのO2を該反応混合物に溶解し、あるいは1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.001μモルのO2を該反応混合物に溶解し、それによって50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに酸化し、および50wt%未満を脂肪酸に酸化する工程。
【0118】
本明細書に開示の方法は、外部冷却および外部加熱を用いずに実施することができる。しかし、該酸化反応は一般的に発熱性であるため、該反応混合物では、反応経過中に温度上昇が起こることが予想される。本開示の一実施態様においては、5℃~80℃(10℃~70℃など、15℃~65℃など)で該反応を実施する。該反応のさらなる一実施態様においては、5℃~80℃(10℃~70℃など、15℃~65℃など)で該反応混合物を酸素に曝露する。
【0119】
本明細書に開示の方法は、周囲圧下また高圧下で実施することができる。一実施態様においては、該反応混合物の酸素への曝露は、0.5~40バール(0.5~30バールなど、0.6~20バールなど、0.7~10バールなど、0.8~5バールなど)の圧力下で実施する。一実施態様においては、該反応混合物の酸素への曝露は、0.5~0.8バール、0.8~1.2バール、1.2~1.5バール、1.5~2バール、2~5バール、5~10バール、10~20バール、または20~30バールの圧力下で実施する。本開示の一実施態様においては、該反応混合物の酸素への曝露は、0.8~1.2バールの圧力下で実施する。しかし、本明細書に開示の方法は、該反応混合物への供給酸素量が本明細書に開示するような量である場合には、0.5バール未満または0.8バール未満の圧力下で実施可能であることが意図される。一実施態様においては、本明細書に開示の圧力は、該反応混合物が酸素に曝露される反応容器中の圧力である。一実施態様においては、本明細書に開示の圧力は、反応容器の酸素分圧である。
【0120】
付加的または別の実施態様においては、O2を含むガス(空気など)または液体(任意選択的にO2を濃縮したものであってもよい)を該反応混合物に混合することにより、該反応媒体にO2を加える。該混合は、O2を含むガス混合物を該反応混合物に泡立つように通気することによって実施可能である。
【0121】
いくつかの実施態様においては、本開示の銅供給源は、銅(I)塩、あるいは銅(II)と還元剤の組み合わせを含む。
【0122】
酸素供給速度
該反応混合物への酸素供給量が特定の閾値を上回ることが、本開示の必須要素である。本発明者らは、意外にも高速の酸素供給速度で反応収量の改善が得られることを発見した。
【0123】
本開示の一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール組成物1グラム当たり少なくとも0.3mlの酸素(1分間当たり脂肪族アルコール組成物1グラム当たり少なくとも0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1.0ml、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4mlなど、少なくとも1.5mlの酸素など)に該反応混合物を曝露する。本開示の好ましい一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール組成物1グラム当たり少なくとも1.5mlの酸素に該反応混合物を曝露する。
【0124】
本開示の一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.3mlの酸素(1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1.0ml、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4mlなど、少なくとも1.5mlの酸素など)に該反応混合物を曝露する。本開示の好ましい一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも1.5mlの酸素に該反応混合物を曝露する。
【0125】
本明細書においてガス容積に言及する場合には、常にこれが本質的に1バールの圧力下のガス容積に対応するものであることを意図する。
【0126】
本開示の一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも60mlの酸素(1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400mlなど、少なくとも450mlの酸素など)に該反応混合物を曝露する。本開示の好ましい一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも450mlの酸素に該反応混合物を曝露する。
【0127】
本開示の一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルの酸素(1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも12μモル、16μモル、20μモル、24μモル、28μモル、32μモル、36μモル、40μモル、44μモル、48μモル、52μモル、56μモル、60μモルの酸素など)に該反応混合物を曝露する。本開示の好ましい一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも60μモルの酸素に該反応混合物を曝露する。
【0128】
本開示の一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも2.5ミリモルの酸素(1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも4ミリモル、6ミリモル、8ミリモル、10ミリモル、12ミリモル、14ミリモル、16ミリモルなど、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも18ミリモルの酸素など)に該反応混合物を曝露する。本開示の好ましい一実施態様においては、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも18ミリモルの酸素に該反応混合物を曝露する。
【0129】
本開示の反応混合物に供給する酸素は、純粋な酸素として、あるいは酸素を含むガス混合物として供給するのであってもよい。本開示の一実施態様においては、該ガス混合物は、5%~100%の酸素を含む。本開示のさらなる一実施態様においては、該ガス混合物は、15%~25%の酸素を含む。本開示の一実施態様においては、該ガス混合物は、少なくとも90%の酸素を含む。本開示の一実施態様においては、該ガス混合物は実質的に純粋な酸素である。本明細書の「水除去」の節において概説するように、該反応混合物に存在する水の量を最小化することは有益である。したがって、本開示の好ましい一実施態様においては、該ガス混合物はH2Oを含まない。
【0130】
一部には本明細書に概説するような充分な酸素供給を用いて、該反応混合物への充分な酸素曝露を達成するのであるが、供給ガス混合物と該反応混合物の液相との間の界面を高接触にすることによっても、該反応混合物への充分な酸素曝露の達成が予想される。該反応混合物への充分高い酸素曝露を確実にするためには、該反応混合物の液相における充分高い酸素溶解を確実にすることによってなど、界面を高接触にすることが重要である。液体にガスが泡立つように通気する設備(例えば、拡散設備など)を用いることによって、これが達成可能となる。該溶液へのガス混合物の拡散を増加させることによって、酸素供給速度が改善すると予想される。該反応混合物に供給する酸素の分圧を増加させることによって、酸素供給速度が改善すると予想される。該反応混合物を撹拌することによって、酸素供給速度が改善すると予想される。したがって、本開示の反応混合物を撹拌することが望ましい。本開示の一実施態様においては、酸素を含むガス混合物を泡立つように該反応混合物に通気する。本開示のさらなる一実施態様においては、ガス混合物が泡立つような該反応への通気は、拡散設備を用いて実施する。本開示の一実施態様においては、酸素に曝露しながら、該反応混合物を撹拌する。
【0131】
本開示の一実施態様においては、該反応混合物に酸素を少なくとも5分間(少なくとも10分間など、少なくとも20分間など、少なくとも30分間など、少なくとも40分間など、少なくとも50分間など、少なくとも60分間など、少なくとも70分間、80分間、90分間など、少なくとも100分間など)曝露する。酸素曝露は、本明細書で特定するような連続時間維持することを必ずしも必要とせず、途中で中断可能であることが予想される。したがって、本開示の一実施態様においては、少なくとも60分間(少なくとも70分間、80分間、90分間など、少なくとも100分間など)の連続時間の間、該反応混合物を酸素に曝露する。別の本開示の一実施態様においては、2期間以上、該反応混合物を酸素に曝露するが、ここでその組み合わせた期間が、少なくとも総計60分間(少なくとも70分間、80分間、90分間など、少なくとも100分間など)となる。
【0132】
本開示の一実施態様においては、気泡塔反応器またはトリクルベッド反応器で、O2への曝露を実施する。
【0133】
より長い反応時間は、本開示のアルデヒド組成物の転化率および/または収量を低下させ得ることが予想される。これは、例えば、アルデヒドの過酸化および/または乾燥手段の乾燥能を超えた該反応混合物への水導入によるものであることが予想される。本開示の一実施態様においては、最長で2000分間(最長で1900分間、1800分間、1700分間、1600分間、1500分間、1400分間、1300分間、1200分間、1100分間、1000分間、900分間、800分間、700分間、600分間、500分間、400分間、350分間、325分間、300分間、275分間など、最長で250分間など)、該反応混合物を酸素に曝露する。
【0134】
反応媒体中の脂肪族アルコールの量および/または該触媒の量および効果に対して、該反応媒体に加える酸素の量を均衡化することが重要である。アルデヒド最適生成のための該反応媒体への酸素供給はまた、該反応媒体中の脂肪酸の量によっても影響を受けることがあり、この脂肪酸生成が多量に起こる場合には酸素供給量の増加を必要とする。したがって、付加的または別の実施態様においては、本明細書に記載の方法は、該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.010μモル(少なくとも0.020など、少なくとも0.030など、少なくとも0.040など、少なくとも0.049など、少なくとも0.060など、少なくとも0.070など、少なくとも0.080など、少なくとも0.090など、少なくとも0.100μモルなど)の溶解O2を、および/または該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.0010μモル(少なくとも0.0020など、少なくとも0.0025など、少なくともなど、少なくとも0.0050など、少なくとも0.0075など、少なくとも0.0100μモルなど)の溶解O2を、および/または該反応混合物に、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.010μモル(少なくとも0.015など、少なくとも0.020など、少なくとも0.025など、少なくとも0.030など、少なくとも0.050など、少なくとも0.075など、少なくとも0.100μモルなど)の溶解O2を加えることを含む。
【0135】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.049μモルの溶解O2を溶解することをさらに含む。
【0136】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.02μモルの溶解O2(該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.03μモルなど、少なくとも0.04μモルの溶解O2など)を溶解することをさらに含む。
【0137】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり0.01~1.00μモルの溶解O2(該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり0.01~0.80μモルなど、0.01~0.60μモルなど、0.01~0.40μモルなど、0.01~0.20μモルなど、0.01~0.10μモルの溶解O2など)を溶解することをさらに含む。
【0138】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.0025μモルの溶解O2を溶解することをさらに含む。
【0139】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.002μモルの溶解O2(該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.003μモルなど、少なくとも0.004μモルの溶解O2など)を溶解することをさらに含む。
【0140】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり0.001~1.00μモルの溶解O2(該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり0.001~0.80μモルなど、0.001~0.60μモルなど、0.001~0.40μモルなど、0.001~0.20μモルなど、0.001~0.10μモルの溶解O2など)を溶解することをさらに含む。
【0141】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.025μモルの溶解O2を溶解することをさらに含む。
【0142】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.01μモルの溶解O2(該反応混合物に、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.02μモルなど、少なくとも0.03μモルなど、少なくとも0.04μモルの溶解O2など)を溶解することをさらに含む。
【0143】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、該反応混合物に、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO2(少なくとも20μモルのO2、少なくとも40μモルのO2、または少なくとも60μモルなど)のO2を溶解することをさらに含み、それによって該脂肪族アルデヒドを取得するが、任意選択的にここで、該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドは不飽和化されていてもよい。
【0144】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法は、酸化反応の経過中に、該反応媒体において少なくとも80%O2飽和(少なくとも85%O2飽和など、少なくとも90%O2飽和など、少なくとも95%O2飽和など、少なくとも100%O2飽和など)を維持するのに充分な速度で、該反応媒体にO2を溶解することをさらに含む。
【0145】
いくつかの実施態様においては、該O2を含むガスまたは液体は空気であり、任意選択的にO2が濃縮されていてもよい。
【0146】
いくつかの実施態様においては、本開示の方法を提供するが、ここでO2を含むガスまたは液体の該反応媒体への供給は、O2を含むガスまたは液状混合物を該反応混合物にポンプ供給する、または泡立つように通気することによって行われる。
【0147】
反応条件
本開示では、比較的少容量の溶媒を用いて脂肪族アルコール組成物の脂肪族アルデヒド組成物への転化を達成する。特に、脂肪族アルコール類を脂肪族アルデヒド類に転化する方法であって、本明細書に概説するような以前に報告されている方法では、反応混合物に比較的大容積の溶媒を用いる。大規模生産においては、大溶媒容積は実行不可能と見なされることが多い;その理由は、溶媒のコスト、環境フットプリント、および大反応容積を取り扱うことが困難な可能性である。したがって、本明細書に開示の酸化法は、必要とする溶媒容積が比較的少容量であるため、脂肪族アルデヒド組成物の大規模生産に有利に用いることができる。「比較的少容量の溶媒容積」は、本明細書に概説するような容積を意味する。
【0148】
本開示の一実施態様においては、該反応混合物は溶媒を含む。該反応混合物の一部を構成する溶媒は、実質的に純粋な溶媒であってもよく、あるいは溶媒混合物であってもよい。したがって一実施態様においては、該反応混合物の溶媒という表現は、2種類以上の溶媒を含む溶媒混合物をも意味し得る。
【0149】
本開示の一実施態様においては、該溶媒は、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アルカン類(ペンタン、ヘキサン、およびヘプタンなど)、シクロアルカン類、石油エーテル(重油エーテルまたは軽油エーテルなど)、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ニトロメタン、炭酸プロピレン、および前記溶媒のいずれかを含む溶媒混合物から成る群から選択される。
【0150】
一実施態様においては、該溶媒は非プロトン性溶媒である。該溶媒が非プロトン性であることは好都合である;その理由は、OH基またはアミン類に由来する陽子などの陽子が成分(例えば、該触媒組成物など)に有害的に干渉することがあるからである(例えば、該塩基を不活性化することによって、など)。本開示の一実施態様においては、該溶媒は、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アルカン類(ペンタン、ヘキサン、およびヘプタンなど)、シクロアルカン類、石油エーテル(重油エーテルまたは軽油エーテルなど)、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ニトロメタン、炭酸プロピレン、および前記溶媒のいずれかを含む溶媒混合物から成る群から選択される。好ましい一実施態様においては、該溶媒は、アセトニトリル、DMSO、DMF、および該溶媒のいずれかを含む溶媒混合物から成る群から選択される。さらなる好ましい一実施態様においては、該溶媒はアセトニトリルである、あるいは該溶媒はアセトニトリルを含む。本開示の別の好ましい一実施態様においては、該溶媒はアセトニトリルである。
【0151】
一実施態様においては、該溶媒は極性溶媒である。該溶媒が極性であることは好都合である;その理由は、該反応混合物の成分および/または該ガス混合物の成分の少なくとも一部の溶解度を改善するからである。本開示の一実施態様においては、該溶媒は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ニトロメタン、炭酸プロピレン、および前記溶媒のいずれかを含む溶媒混合物から選択される。好ましい一実施態様においては、該溶媒は、アセトニトリル、DMSO、DMF、またはおよび該溶媒のいずれかを含む溶媒混合物から成る群から選択される。またさらに好ましい一実施態様においては、該溶媒は、アセトニトリルまたはアセトニトリルを含む溶媒混合物である。またさらなる好ましい一実施態様においては、該溶媒はアセトニトリルである。
【0152】
化学反応に用いる溶媒の相対量の評価においては、溶媒の量を、化学反応において転化される試薬の量または試薬のうちの1種類の量、あるいは化学反応において得られる産物の量または産物の1種類の量と比較することができる。
【0153】
反応混合物中の溶媒の量を該脂肪族アルコール組成物の量と比較することができる。本開示の一実施態様においては、反応混合物中の溶媒の重量は、該脂肪族アルコール組成物の重量の0~2000%(100~2000%など、100~1500%など、100~1000%など、100~500%など)である。該脂肪族アルコール組成物は脂肪族アルコール以外の化合物を含むのであってもよい。溶媒の量の評価においては、溶媒量の算出の際にこれら他の化合物を除外することが好ましい。さらに、該脂肪族アルコール組成物は、1種類以上の溶媒、すなわち「脂肪族アルコール組成物溶媒」を含むのであってもよい。本開示の好ましい一実施態様においては、脂肪族アルコール組成物の量を評価する際に、該脂肪族アルコール組成物溶媒は無視する。本開示の一実施態様においては、溶媒の重量は、該脂肪族アルコールまたは該脂肪族アルコール組成物の脂肪族アルコール類の重量の100~2000%(100~1500%など、100~1000%など、100~500%など)に対応する。
【0154】
反応混合物中の溶媒の量は、該反応混合物から取得される脂肪族アルデヒド組成物の量と比較することができる。本開示の一実施態様においては、反応混合物中の溶媒の重量は、該脂肪族アルデヒド組成物の重量の100~2000%(100~1500%など、100~1000%など、100~500%など)である。該脂肪族アルデヒド組成物は、脂肪族アルデヒド以外の化合物を含んでいてもよい。溶媒の量の評価においては、溶媒量の算出の際にこれら他の化合物を除外することが好ましい。さらに、該脂肪族アルデヒド組成物は、1種類以上の溶媒、すなわち「脂肪族アルデヒド組成物溶媒」を含むのであってもよい。本開示の好ましい一実施態様においては、脂肪族アルデヒド組成物の量を評価する際に、該脂肪族アルデヒド組成物溶媒は無視する。本開示の一実施態様において、溶媒の重量は、該脂肪族アルデヒドまたは該脂肪族アルデヒド組成物の脂肪族アルデヒド類の重量の100~2000%(100~1500%など、100~1000%など、100~500%など)に対応する。
【0155】
いくつかの実施態様においては、該溶媒は非ハロゲン化溶媒である。いくつかの実施態様においては、該溶媒は、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロアルカン、石油エーテル、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ニトロメタン、炭酸プロピレン、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0156】
転化
本開示の方法は、高収量および/または副産物低生成で、脂肪族アルコール組成物を脂肪族アルデヒド組成物へ転化することに有効である。本明細書の転化は、基質および/または産物の物質量、あるいは基質重量による量のいずれかに基づくのであってもよい。
【0157】
本開示の一実施態様においては、物質の量で評価する場合に、脂肪族アルコールの転化は、少なくとも80%(少なくとも82%など、少なくとも84%など、少なくとも86%など、少なくとも88%など、少なくとも90%など)である。別の本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの重量で評価する場合に、脂肪族アルコールの転化は、少なくとも80%(少なくとも82%など、少なくとも84%など、少なくとも86%など、少なくとも88%など、少なくとも90%など)である。好ましい一実施態様においては、物質の量で評価する場合に、脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化は、少なくとも80%(少なくとも82%など、少なくとも84%など、少なくとも86%など、少なくとも88%など、少なくとも90%など)である。好ましい一実施態様においては、該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドの重量で評価する場合に、脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化は、少なくとも80%(少なくとも82%など、少なくとも84%など、少なくとも86%など、少なくとも88%など、少なくとも90%など、少なくとも92%など、少なくとも94%など、少なくとも96%など、少なくとも98%など)である。
【0158】
該転化は、具体的にはアルデヒドとアルコールの合計物質量に対するアルデヒドの物質量の比[すなわち、n(アルデヒド)/(n(アルデヒド)+n(アルコール))として算出することができる;ここでnは物質量を意味する。本開示の一実施態様においては、n(アルデヒド)/(n(アルデヒド)+n(アルコール))は、物質量で評価した場合に、少なくとも80%(少なくとも82%など、少なくとも84%など、少なくとも86%など、少なくとも88%など、少なくとも90%など)である。好ましい一実施態様においては、脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化は、少なくとも80%(少なくとも82%など、少なくとも84%など、少なくとも86%など、少なくとも88%など、少なくとも90%など、少なくとも92%など、少なくとも94%など、少なくとも96%など、少なくとも98%など)である。
【0159】
本開示の方法は、対応する脂肪酸などの副産物生成をほとんど伴わずに(すなわち、ほとんど「過酸化」を伴わずに)、脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化することに有効である。アルコール類のアルデヒド類への触媒酸化については、カルボン酸(脂肪酸など)の生成を回避することが最優先である;その理由は、カルボン酸が該触媒組成物を不活性化し得ることが予想されるからである。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルコールの10%未満(8%未満など、6%未満など、5%未満など)が脂肪酸に転化される。別の一実施態様においては、形成される脂肪族アルデヒドの10%未満(8%未満など、6%未満など、5%未満など)が脂肪酸に転化される。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物における脂肪族アルデヒドに対する脂肪酸の比は10:90未満(8:92未満など、6:94未満など、5:05未満など)である。本明細書中の「比」はモル比を意味する。いくつかの局面においては、生成脂肪酸の生成脂肪族アルデヒドに対する比は10:90未満である。
【0160】
本開示の方法は、他のアルコール組成物のアルデヒド組成物への転化にも有用であることが予想される。例えば、本開示の方法は、C2~C7アルコール類(すなわち、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、およびヘプタノール)の対応するC2~C7アルデヒド類(すなわち、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、およびヘプタナール)への転化に有用であることが予想される。基質が第1級アルコールを含む場合には、これらの基質の直鎖状および分岐状の誘導体の両方が、本開示の方法を用いて転化され得ることが予想される。一例として、本開示の方法は、n-ブタノールからn-ブタナールへの転化、およびイソ-ブタノールからイソ-ブタナールへの転化に有用であることが予想される。本開示の方法はまた上記基質の不飽和化(すなわち、不飽和)誘導体にも有用であることが予想される。
【0161】
いくつかの実施態様においては、本開示は、脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒドへの転化率が、少なくとも60wt%(少なくとも80wt%など、少なくとも85wt%など、少なくとも87wt%など、少なくとも90wt%など、少なくとも95wt%など、少なくとも99wt%など)である方法を提供する。
【0162】
いくつかの実施態様においては、本開示は、脂肪族アルコールの脂肪酸への転化率が、40wt%未満(30wt%未満など、20wt%未満など、15wt%未満など、10wt%未満など、5wt%未満など、1wt%未満など)である方法を提供する。
【0163】
水除去
多くの化学物質および溶媒には微量の水が存在する。化学物質および溶媒は、水を含まない、あるいはわずかな量の水しか含まない場合には、「乾燥」していると表現されることが多い。水は化学反応経過中に生成することもある。該反応混合物からの水除去に取り組めば、反応収量がより良好となり得ることが予想される。その理由は、水が該触媒組成物を劣化させることが予想されるためである。
【0164】
本開示の一実施態様においては、実質的に乾燥している溶媒および試薬(ガス混合物および複数ガスを含む)を本発明の方法に用いる。
【0165】
一部の試薬および/または溶媒では、本明細書に開示の方法に用いる前に完全に乾燥することが困難な場合もある。したがって、該方法の実施中に、該反応混合物から水を除去するのであってもよい。本開示の一実施態様においては、該反応混合物から水を除去する。本開示の一実施態様においては、該反応混合物に酸素を曝露することにより該反応混合物から水を連続的に除去する。本開示の一実施態様においては、該反応混合物を乾燥させる手段を加えることにより、該反応混合物から水を除去する。本開示の一実施態様においては、乾燥手段は水吸収性材料である。本開示の一実施態様においては、乾燥手段は水吸着性材料である。本開示の一実施態様においては、乾燥手段は、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ、ベントナイト粘土、酸化カルシウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素塩、またはアルカリ土類金属炭酸塩から成る群から選択される。
【0166】
一実施態様においては、(該反応混合物の重量に対して)約2wt%未満(2wt%未満など)の含水量を達成することを目標とするなどで、該反応混合物から水を除去する。一実施態様においては、(該反応混合物の重量に対して)約1wt%未満(1wt%未満など)の含水量を達成することを目標とするなどで、該反応混合物から水を除去する。
【0167】
付加的または別の実施態様においては、本明細書に記載の方法は、該脂肪族アルコールの酸化の前、経過中、または酸化後に、該反応媒体から水を除去する工程を含む。該工程は、水を吸収するまたは水を吸着する反応媒体に水吸収性または水吸着性の材料を加えることを含み得る。そのような水吸収性または水吸着性の材料としては、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ類、ベントナイト粘土、酸化カルシウム類、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素塩類、またはアルカリ土類金属炭酸塩類またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。いくつかの実施態様においては、水吸収性または水吸着性の材料は、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ類、ベントナイト粘土、酸化カルシウム類、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素塩類、またはアルカリ土類金属炭酸塩類、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0168】
水吸収性または水吸着性の材料の量に関しては、酸化プロセス後の該反応媒体の含水量が重量で2%以下となり、また任意選択的に脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒド類へのモル転化率が93%超となる量で好適に該反応媒体に加える。いくつかの実施態様においては、任意選択的に、水吸収性または水吸着性の材料がモレキュラーシーブである場合には、加える水吸収性または水吸着性の材料の量は、酸化前に該反応媒体に存在する脂肪族アルコールの1ミリモル当たり少なくとも10g(脂肪族アルコールの1ミリモル当たり少なくとも15gなど、脂肪族アルコールの1ミリモル当たり少なくとも19gなど)である。
【0169】
脂肪族アルコール組成物の提供
本明細書に開示の方法は、まず本明細書に開示するような脂肪族アルコール組成物を生産する、または本明細書に開示するような脂肪族アルコールを生産する初期工程を含むのであってもよい。
【0170】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)該脂肪族アルコールを産生可能な酵母細胞を提供する工程;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程。
【0171】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)該脂肪族アルコール組成物を生産可能な酵母細胞を提供する工程;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。
【0172】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)~(iii)を含む:
(i)アルカノイル-CoAを合成可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は以下をさらに発現可能である:
・ 不飽和化酵素;および
・ アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素;
(ii)該不飽和化酵素および該アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素を該酵母細胞で発現させる工程;
および
(iii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、
それによって該不飽和化酵素が、該アルカノイル-CoAの少なくとも一部をアルケノイル-CoAに転化可能であり、およびそれによって該アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素が、該アルケノイル-CoAの少なくとも一部を脂肪族アルコールに転化可能であり、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程。脂肪族アルコールの上記生産の実施については、EP3313997B1に詳細が開示されている。本開示のさらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールであり、ここで該アルカノイル-CoAはヘキサデカノイル-CoAであり、ここで該不飽和化酵素はΔ11-不飽和化酵素であり、ここで該アルケノイル-CoAは(Z)-11-ヘキサデセノイル-CoAである。
【0173】
本開示の一実施態様は、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)~(iii)を含む:
(i)アルカノイル-CoAを合成可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は以下をさらに発現可能である:
・ 不飽和化酵素;および
・ アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素;
(ii)該不飽和化酵素および該アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素を該酵母細胞に発現させる工程;
および
(iii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、
それによって該不飽和化酵素が、該アルカノイル-CoAの少なくとも一部をアルケノイル-CoAに転化可能であり、およびそれによって該アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素が、該アルケノイル-CoAの少なくとも一部を脂肪族アルコールに転化可能であり、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。脂肪族アルコール組成物の上記生産の実施については、EP3313997B1に詳細が開示されている。本開示のさらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールであり、ここで該アルカノイル-CoAはヘキサデカノイル-CoAであり、ここで該不飽和化酵素はΔ11-不飽和化酵素であり、ここで該アルケノイル-CoAは(Z)-11-ヘキサデセノイル-CoAである。該脂肪族アルコールを生産する上記工程の実施法については、WO2016/207339に詳細が開示されている。
【0174】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な脂肪性酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は、さらに:
・ 脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能で不飽和化脂肪族アシル-CoAを生成させることが可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素を発現可能であり;
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素を発現可能であり;
・ 脂肪族アルコール酸化酵素の活性を低下させる突然変異を有し、かつ脂肪族アルデヒド脱水素酵素、ペルオキシソーム生合成因子、およびグリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼのうちの少なくとも1種類の活性を低下させる突然変異を有する;
および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程。該脂肪族アルコールを生産する上記工程の実施法については、WO2018/109163に詳細が開示されている。
【0175】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な脂肪性酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は、さらに:
・ 脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能で不飽和化脂肪族アシル-CoAを生成させることが可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素を発現可能であり;
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素を発現可能であり;
・ 脂肪族アルコール酸化酵素の活性を低下させる突然変異を有し、かつ脂肪族アルデヒド脱水素酵素、ペルオキシソーム生合成因子、およびグリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼのうちの少なくとも1種類の活性を低下させる突然変異を有する;
および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。該脂肪族アルコール組成物を生産する上記工程の実施法については、WO2018/109163に詳細が開示されている。
【0176】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は:
・ 炭素鎖長が14の脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素であって、ここで該不飽和化酵素は、Δ9不飽和化酵素およびΔ11不飽和化酵素から成る群から選択され、ここで該不飽和化酵素はテトラデカノイル-CoAに対してより高い特異性を有し、したがってヘキサデカノイル-CoAに対してより高い特異性を有する、
異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素;および
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素、
を発現し;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程。該脂肪族アルコールを生産する上記工程の実施法については、WO2018/109167に詳細が開示されている。
【0177】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は:
・ 炭素鎖長が14の脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素であって、ここで該不飽和化酵素は、Δ9不飽和化酵素およびΔ11不飽和化酵素から成る群から選択され、ここで該不飽和化酵素はテトラデカノイル-CoAに対してより高い特異性を有し、したがってヘキサデカノイル-CoAに対してより高い特異性を有する、
異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素;および
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素、
を発現し;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。該脂肪族アルコール組成物を生産する上記工程の実施法については、WO2018/109167に詳細が開示されている。
【0178】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は:
・ 異種Δ12脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素であって、該不飽和化酵素が、炭素鎖長が少なくとも13でありn箇所の二重結合を有する飽和または不飽和化脂肪族アシル-CoA(好ましくは、不飽和化脂肪族アシル-CoA)の12位に二重結合を導入可能な異種Δ12脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素;
ここでnおよびn′は整数であり;
ここで0 ≦ n ≦ 3、
および1 ≦ n′ ≦ 4であり、および
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素、
を発現し;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。該脂肪族アルコール組成物を生産する上記工程の実施法については、本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183447.8に詳細に説明されている。
【0179】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供する工程;ここで該酵母細胞は:
・ 異種Δ13脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素、であって、該不飽和化酵素が、炭素鎖長が少なくとも14でありn箇所の二重結合を有する飽和または不飽和化脂肪族アシル-CoA(好ましくは、不飽和化脂肪族アシル-CoA)の13位に二重結合を導入可能な異種Δ13脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素;
ここでnおよびn′は整数であり;
ここで0 ≦ n ≦ 3、
および1 ≦ n′ ≦ 4であり、
および
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素、
を発現し;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。該脂肪族アルコール組成物を生産する上記工程の実施法については、本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183459.3に詳細に説明されている。
【0180】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)E8,E10-ドデカジエン-1-オールを産生可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞は、以下の異種不飽和化酵素および異種脂肪族アシル-CoA還元酵素を発現する:
・ 炭素鎖長が12の脂肪族アシル-CoAに1つ以上の二重結合を導入可能であり、それによって該脂肪族アシル-CoAを不飽和化脂肪族アシル-CoAに転化可能な少なくとも1種類の異種不飽和化酵素;
ここで該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部がE8,E10-ドデカジエニルコエンザイムA(E8,E10-C12:CoA)であり;
ここで
(a)該少なくとも1種類の不飽和化酵素は、Cpo CPRQ(アクセッション番号AHW98354)、またはそれに対して少なくとも80%の同一性(Cpo_CPRQに対して少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%の同一性など)を有するその機能的バリアントであり;または
(b)該少なくとも1種類の不飽和化酵素は、少なくとも2種類の不飽和化酵素であり、ここで該2種類の不飽和化酵素のうちの少なくとも1種類が、Cpo_CPRQ(アクセッション番号AHW98354)、またはそれに対して少なくとも80%の同一性(Cpo_CPRQに対して少なくとも81%など、少なくとも82%など、少なくとも83%など、少なくとも84%など、少なくとも85%など、少なくとも86%など、少なくとも87%など、少なくとも88%など、少なくとも89%など、少なくとも90%など、少なくとも91%など、少なくとも92%など、少なくとも93%など、少なくとも94%など、少なくとも95%など、少なくとも96%など、少なくとも97%など、少なくとも98%など、少なくとも99%の同一性など)を有するその機能的バリアントであり、他方の不飽和化酵素が、炭素鎖長が12の脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能な不飽和化酵素(Z9-12不飽和化酵素など)であり;および
・ 該E8,E10-ドデカジエニルコエンザイムAの少なくとも一部をE8,E10-ドデカジエン-1-オールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。該脂肪族アルコール組成物を生産する上記工程の実施法については、WO2021/123128に詳細が開示されている。
【0181】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は該脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供することおよび該脂肪族アルコールを生産可能な条件下の培地で該酵母細胞培養することを含み、ここで該培養培地は水溶液(該培地など)において培養温度で測定されるその曇り濃度と同一の量以上の抽出剤を含み、ここで該抽出剤は非イオン性エトキシル化界面活性剤であり、それによって該脂肪族アルコールを生産する。
【0182】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は、該脂肪族アルコール組成物を生産可能な酵母細胞を提供することおよび該脂肪族アルコール組成物を生産可能な条件下の培地で該酵母細胞培養することを含み、ここで該培養培地は、水溶液(該培地など)において培養温度で測定されるその曇り濃度と同一の量以上の抽出剤を含み、ここで該抽出剤は非イオン性エトキシル化界面活性剤であり、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する。
【0183】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)脂肪族アルコールエステルを生産可能な酵母細胞を提供し、該脂肪族アルコールエステルを生産可能な条件下の培地で該酵母細胞を培養する工程;
ここで該培養培地は、水溶液(該培地など)において培養温度で測定されるその曇り濃度と同一の量以上の抽出剤を含み、ここで該抽出剤は非イオン性エトキシル化界面活性剤であり、それによって該脂肪族アルコールエステルを生産する;および
(ii)該脂肪族アルコールエステルを該脂肪族アルコールに転化し、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程。
【0184】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示するような方法を提供するが、ここで該方法は、該脂肪族アルコール組成物を生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii)を含む:
(i)脂肪族アルコールエステルを生産可能な酵母細胞を提供し、該脂肪族アルコールエステルを生産可能な条件下の培地で該酵母細胞を培養する工程;
ここで該培養培地は、水溶液(該培地など)において培養温度で測定されるその曇り濃度と同一の量以上の抽出剤を含み、ここで該抽出剤は非イオン性エトキシル化界面活性剤であり、それによって該脂肪族アルコールエステルを生産する;および
(ii)該脂肪族アルコールエステルを該脂肪族アルコールに転化し、それによって該脂肪族アルコール組成物を生産する工程。
【0185】
その曇り濃度と同一の量以上の抽出剤を含む培地において酵母細胞の培養を実施する方法については、WO2021/078452に詳細な説明が記載されている。
【0186】
追加として、または代替的に、重量で93%超の脂肪族アルデヒド、重量で7%未満の脂肪族アルコール、および重量で2%未満の水を含む組成物を本明細書において開示する。いくつかの実施態様においては、アルデヒドの量は重量で94%以上(重量で95%以上など、重量で96%以上など、重量で97%以上など、重量で98%以上など、重量で99%以上など)であり得るが、他方、非転化脂肪族アルコールの量は重量で6%未満(重量で5%未満など、重量で4%未満など、重量で3%未満など、重量で2%未満など、重量で1%未満など)であり、水の量は重量で2%未満(重量で1.5%未満など、重量で1%未満など)である。
【0187】
精製
本開示は、脂肪族アルデヒド類(本明細書に開示の脂肪族アルデヒド類など)および脂肪族アルデヒド組成物(本明細書に開示の脂肪族アルデヒド組成物など)を精製する方法を提供する。
【0188】
本開示の一実施態様は、以下の工程(a)および(b)を含む脂肪族アルデヒド精製法を提供する:
(a)以下の(i)~(iii)を含む粗反応産物を提供する工程;
(i)脂肪族アルデヒド;
(ii)銅イオン;および
(iii)極性溶媒;
(b)該粗反応産物を非極性非プロトン性溶媒および酸と混合して、非極性相および極性相を作成する工程;および
(c)該極性相から該非極性相を分離する工程。
【0189】
本開示の一実施態様は、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド精製法を提供するが、ここで該粗反応産物は以下の(iv)~(vi)を含む:
(iv)5~80%の該脂肪族アルデヒド;
(v)0.05~5.0%の銅イオン;および
(vi)20~95%の該極性溶媒。
【0190】
いくつかの実施態様においては、本開示は、脂肪族アルデヒドを精製する以下の工程(a)~(c)をさらに含む方法を提供する:
(a)以下の(i)~(iii)を含む精製混合物を提供する工程;
(i)脂肪族アルデヒド;
(ii)銅イオン;および
(iii)極性溶媒;
(b)極性相から非極性相への該脂肪族アルデヒドの抽出を可能にする非極性相および極性相を含む抽出混合物を作成する目的で、該精製混合物を非極性非プロトン性溶媒および酸と混合する工程;および
(c)精製アルデヒドを含む該非極性相を該極性相から分離する工程。
【0191】
いくつかの実施態様においては、該精製混合物は、0.05~5.0wt%の銅イオン(0.05~2.0wt%の銅イオンなど、0.05~1.0wt%の銅イオンなど)を含む。
【0192】
本明細書に開示するような粗反応産物の代表的な実施態様では、約30%の脂肪族アルデヒド、約1.0%の配位子、約0.4%の銅、約0.6%のアミノキシルラジカル、約0.5%の塩基、および約62%の極性溶媒を含むのであってもよい。本明細書に開示するような粗反応産物の他の代表的な実施態様では、約30%の脂肪族アルデヒド、約1.0%のビピリジン、約0.4%の銅、約0.6%の4-OH-TEMPO、約0.5%の1-メチルイミダゾール、および約62%のアセトニトリルを含むのであってもよい。
【0193】
一実施態様においては、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド精製法を提供するが、ここで該粗反応産物は、0.05~5.0%の銅イオン(0.05~2.0%の銅イオンなど、0.05~1.0%の銅イオンなど)を含む。本明細書の開示において、銅、銅イオン、銅塩などの重量または重量パーセントに言及する場合には、単離された状態、すなわち、対イオンを含まない状態における銅の重量含量を意味する。
【0194】
一実施態様においては、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド精製法を提供するが、ここで該粗反応産物は、配位子(0.1~10%の配位子など、0.1~5%の配位子など、0.1~2%の配位子など、約1%の配位子など)をさらに含む。本開示の一実施態様においては、該配位子は、2,2′-ビピリジン、4,4′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、5,5′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、2,2′-ビピリミジン、2,2′-ビピリジン-4,4′-ジカルボン酸またはそのエステル、2,2′-ビピリジン-5,5′-ジカルボン酸またはそのエステルから成る群から選択される窒素二座配位子などの窒素二座配位子である。
【0195】
一実施態様においては、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド精製法を提供するが、ここで該粗反応産物は、アミノキシルラジカル化合物(0.01~10%のアミノキシルラジカル化合物など、0.01~5%のアミノキシルラジカル化合物など、約0.01~2%のアミノキシルラジカル化合物など、約0.5%のアミノキシルラジカル化合物など)をさらに含む。本開示の一実施態様においては、該アミノキシルラジカル化合物は、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを含む機能化ポリマーから成る群から選択される。
【0196】
一実施態様においては、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド精製法を提供するが、ここで該粗反応産物は、塩基(0.1~10%の塩基など、0.1~5%の塩基など、0.1~2%の塩基など、約0.5%の塩基など)をさらに含む。本開示の一実施態様においては、該塩基は、1-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、およびカリウムt-ブトキシドから成る群から選択される。
【0197】
本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは本明細書に開示するような飽和脂肪族アルデヒドである。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは本明細書に開示するような不飽和脂肪族アルデヒドである。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは「脂肪族アルデヒド類」の節に開示されるような脂肪族アルデヒドである。一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、炭素鎖長が14の(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒド、炭素鎖長が14の(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒド、炭素鎖長が14の(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒド、炭素鎖長が12の(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒド、炭素鎖長が12の(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒド、炭素鎖長が12の(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒド、および炭素鎖長が12の(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドから成る群から選択される。一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、テトラデカン-1-アール、ペンタデカン-1-アール、ヘキサデカン-1-アール、ペンタデセン-1-アール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-アール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-アール、および(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-アールから成る群から選択される。
【0198】
一実施態様においては、該銅イオンは銅(I)および/または銅(II)イオンである。一実施態様においては、該銅イオンは銅(II)イオンである。
【0199】
一実施態様においては、該極性溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、および炭酸プロピレンから成る群から選択される。一実施態様においては、該極性溶媒はアセトニトリルである。
【0200】
一実施態様においては、該非極性非プロトン性溶媒は、直鎖状アルカン類、分岐状アルカン類、および環状アルカン類から成る群から選択される。一実施態様においては、該非極性非プロトン性溶媒は、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、およびオクタン類から成る群から選択される。一実施態様においては、該非極性非プロトン性溶媒は、ヘプタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、およびオクタンから成る群から選択される。
【0201】
一実施態様においては、該酸のpKa値は3~6である。一実施態様においては、該酸はカルボン酸である。一実施態様においては、該カルボン酸はC2~C8カルボン酸である。一実施態様においては、該カルボン酸は、C2~C8モノカルボン酸、C2~C8ジカルボン酸、およびC6~C8トリカルボン酸から成る群から選択される。一実施態様においては、該カルボン酸は、酢酸、クエン酸、プロパン酸、乳酸、グリコール酸、ポリアクリル酸から成る群から選択される。一実施態様においては、銅に対して少なくとも1.0モル当量のカルボン酸を用いる。一実施態様においては、銅に対して少なくとも2.0モル当量(少なくとも2.4当量など)のカルボン酸を用いる。一実施態様においては、銅に対して2.0~2.4、2.4~2.8、2.8~3.2、3.2~3.6、3.6~4.0、4.0~5.0、5.0~6.0、6.0~7.0、7.0~8.0、8.0~9.0、9.0~10.0当量以上のカルボン酸を用いる。「当量」はモル当量を意味する。
【0202】
本開示の一実施態様においては、該粗反応産物は、酸化剤および/または廃酸化剤をさらに含む。一実施態様においては、該酸化剤または該廃酸化剤は、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを含む機能化ポリマー;またはその廃剤、または水から成る群から選択される。
【0203】
一実施態様においては、該本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド精製法は、非極性非プロトン性溶媒を蒸発させる工程をさらに含む。一実施態様においては、該非極性非プロトン性溶媒の蒸発を、低圧下(100ミリバール未満など、50ミリバール未満など、40ミリバール未満など、30ミリバール未満など)で実施する。
【0204】
本開示の一実施態様は、脂肪族アルコールを含む組成物を脂肪族アルデヒド濃縮組成物に転化する方法を提供するが、該方法は以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)本明細書に開示の脂肪族アルコール類を酸化する方法を用いて、脂肪族アルコールを含む組成物を、脂肪族アルデヒドを含む組成物に転化する工程;および
(b)本明細書に開示の脂肪族アルデヒド精製法を用いて、脂肪族アルデヒドを含む該組成物を精製する工程。
さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドは不飽和化されている。
【0205】
本開示の例示的な一実施態様においては、触媒システム(銅複合体、TEMPOまたは誘導体、N-メチル-イミダゾールまたは別の塩基)、脂肪族アルデヒドへの酸化による産物、およびいずれかの未反応アルコールを含む該粗反応産物を、アセトニトリルまたは別の非常に極性である溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたは類似の溶媒など)に溶解または懸濁する。次いで、該反応溶媒(典型的には、アルカン(ペンタン、ヘプタンまたはヘキサンなど))に混ざらない有機溶媒で、該反応混合物を抽出する。該抽出には、分液漏斗、ミキサーセトラー、パルスカラム、または液液分離のためのいずれかの他の方法を用いることができる。それぞれの相は、泡も懸濁も形成することなく急速に分離する。重相はほぼ全ての触媒成分を含むが、該反応産物はほぼ完全に軽相に存在する。抽出溶媒のエバポレーションによって、該産物脂肪族アルデヒドが得られる。任意選択的に、1種類以上の成分(銅イオンなど)の除去を改善するために、添加剤を含めることができる。そのような添加剤は有機酸(酢酸またはクエン酸など)であってもよい。
【0206】
産物
本開示の一実施態様では、本明細書に開示の方法によって取得した脂肪族アルデヒドを含む組成物を提供する。本開示の一実施態様では、本明細書に開示の方法によって取得した脂肪族アルデヒドを提供する。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化されている。
【0207】
溶液(水性または非水性)中の銅イオンは青色であることが多い。本開示の一実施態様においては、5mmの光路長のキュベットを用いた場合に該組成物は、680nmにおいて最大で0.5の吸光度を示す。一実施態様においては、5mmの光路長のキュベットを用いた場合に、680nmの吸光度は、最大で0.4(最大で0.3など、最大で0.2など、最大で0.1など、最大で0.08など、最大で0.06など、最大で0.05など)である。一実施態様においては、該脂肪族アルデヒド組成物は、0.4%未満の銅(0.3%未満など、0.2%など、0.1%未満など、0.08%未満など、0.06%未満など、0.05%未満など、0.04%未満など)を含む。
【0208】
本明細書に開示の脂肪族アルデヒド類は、再生可能原材料から生産されるのであってもよい。該脂肪族アルデヒド類またはその任意の徐放性組成物は、フェロモン成分として作用する。したがって、本開示の一実施態様では、再生可能原材料から生産されるフェロモン成分を提供する。本開示の一実施態様では、再生可能原材料から生産されるフェロモン成分を提供するが、該フェロモン成分はバイオベース炭素含量の少なくとも80%を有する。一実施態様においては、「バイオベース炭素」含有物は有機化合物を意味するが、ここで該炭素は、生物学的供給源または前駆体に由来する。一実施態様においては、該フェロモン成分は、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド組成物および/または脂肪族アルデヒドを含む。一実施態様においては、該フェロモン成分は、本明細書に開示するような徐放性組成物を含む。一実施態様においては、該フェロモン成分は、本明細書に開示するような脂肪族アセタールおよび/またはα-ヒドロキシスルホン酸を含む。
【0209】
いくつかの実施態様においては、重量で93%超の脂肪族アルデヒド、重量で7%未満の脂肪族アルコール、および重量で2%未満の水を含み、任意選択的に遊離/非結合の水を含んでいてもよい組成物を提供する。
【0210】
いくつかの実施態様においては、該組成物を提供するが、ここで5mmの光路長のキュベットを用いた場合に、680nmの該吸光度は最大で0.4(最大で0.3など、最大で0.2など、最大で0.1など、最大で0.08など、最大で0.06など、最大で0.05など)である。
【0211】
脂肪族アセタールおよびα-ヒドロキシスルホン酸を生産する方法
脂肪族アルデヒド類は、他の化合物であって実際に逆転化によって該脂肪族アルデヒド類に戻り得る他の化合物に転化されることがある。そのような脂肪族アルデヒドへの逆転化は、結合の加水分解、結合の開裂、および/または官能基の転化による可能性がある。そのような他の化合物は、その化合物が逆転化するので、該脂肪族アルデヒドが次第に放出されるため、該脂肪族アルデヒド類のより良好なリザーバーとして働くことがある。例えば、該化合物が対応する脂肪族アルデヒドよりも揮発性の低いこともあり、該化合物が脂肪族アルデヒドに転化するので、揮発性の脂肪族アルデヒド類が連続的に放出され得る。脂肪族アルデヒド類から生産され得る好適な化合物としては、アセタール類およびα-ヒドロキシスルホン酸が挙げられる。
【0212】
本開示の一実施態様では、脂肪族アルコールを脂肪族アセタールに転化する方法を提供するが、該方法は以下の工程(a)~(c)を含む:
(a)本明細書に開示するような脂肪族アルコールを含む脂肪族アルコール組成物、本明細書に開示するような触媒組成物、および本明細書に開示するような溶媒を含む反応混合物を提供する工程;
(b)酸素を含むガス混合物を該反応混合物に泡立つように通気することにより、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.25mlの酸素に該反応混合物を曝露し、それによって脂肪族アルデヒドを取得する工程;および
(c)該脂肪族アルデヒドのアルデヒド官能基をアセタール官能基に転化し、それによって該脂肪族アセタールを取得する工程。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは不飽和化脂肪族アルコールである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アセタールは不飽和化脂肪族アセタールである。
【0213】
本開示の一実施態様では、脂肪族アルコールを脂肪族アセタールに転化する方法を提供するが、ここで該方法は以下の工程(a)および(b)を含む:
(a)該脂肪族アルコールを本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドに転化する工程;
および
(b)該脂肪族アルデヒドのアルデヒド官能基をアセタール官能基に転化し、それによって該脂肪族アセタールを取得する工程。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは不飽和化脂肪族アルコールである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アセタールは不飽和化脂肪族アセタールである。
【0214】
一実施態様では、本明細書に開示の方法によって取得した脂肪族アセタールを提供する。
【0215】
本開示の一実施態様では、脂肪族アルコールを脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸に転化する方法を提供するが、ここで該方法は以下の工程(a)~(c)を含む:
(a)本明細書に開示するような脂肪族アルコールを含む脂肪族アルコール組成物、本明細書に開示するような触媒組成物、および本明細書に開示するような溶媒を含む反応混合物を提供する工程;
(b)該反応混合物に酸素を含むガス混合物を泡立つように通気することによって、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.25mlの酸素に該反応混合物を曝露し、それによって脂肪族アルデヒドを取得する工程;および
(c)該脂肪族アルデヒドのアルデヒド官能基をα-ヒドロキシスルホン酸官能基に転化し、それによって該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を取得する工程。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは不飽和化脂肪族アルコールである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。さらなる一実施態様においては、該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸は不飽和化脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸である。
【0216】
本開示の一実施態様では、脂肪族アルコールを脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸に転化する方法を提供するが、ここで該方法は以下の工程(a)および(b)を含む;
(a)該脂肪族アルコールを本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドに転化する工程;
および
(b)該脂肪族アルデヒドのアルデヒド官能基をα-ヒドロキシスルホン酸官能基に転化し、それによって該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を取得する工程。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルコールは不飽和化脂肪族アルコールである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。さらなる一実施態様においては、該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸は不飽和化脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸である。
【0217】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示の方法により取得した脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を提供する。
【0218】
フェロモンおよびその制御放出
本開示の化合物は、フェロモンとして作用するのであってもよい。本開示の一実施態様においては、本明細書に開示するようなフェロモン組成物は、本明細書に開示するような1種類以上のアルデヒド類、本明細書に開示するような1種類以上のアセタール類、および/または本明細書に開示するような1種類以上のα-ヒドロキシスルホン酸を含むのであってもよい。特定の本開示の一実施態様においては、本明細書に開示するようなフェロモン組成物は、本明細書に開示するような1種類以上の脂肪族アルデヒド類、本明細書に開示するような1種類以上の脂肪族アセタール類、および/または本明細書に開示するような1種類以上の脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を含むのであってもよい。
【0219】
空気中(例えば、作物の周りの空気)のフェロモン濃度を制御することを目的として、フェロモン組成物からのフェロモン放出を制御することは好都合であり得る。周囲への徐放を提供する目的および/または放出後の分解を防ぐ目的でフェロモン組成物を製剤化することができる。本開示の一実施態様においては、該フェロモン組成物を、担体(マイクロカプセル類、生物分解性薄片、またはパラフィンワックスを基盤とするマトリックスなど)に含ませる。本開示の一実施態様においては、該フェロモン組成物を徐放性噴霧可能製剤として製剤化する。
【0220】
特定の実施態様においては、該フェロモン組成物は、環境への該組成物の放出を制御するために当業者に公知の1種類以上の高分子剤を含むのであってもよい。いくつかの実施態様においては、該重合性誘引剤組成物は環境条件に対して耐性である。該重合剤はまた、該フェロモン組成物を連続的に環境に放出することが可能な持続放出性(または徐放性または制御放出性)化学物質であってもよい。本開示の一実施態様においては、該重合剤は、セルロース、セルロース誘導体、蛋白質(カゼインなど)、フルオロ炭素を基盤とするポリマー、水素化ロジン類、リグニン類、メラミン、ポリウレタン類、ビニルポリマー(酢酸ポリビニル(PVAC)など)、ポリカーボネート類、ポリビニリデンジニトリル、ポリアミド類、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド-アルデヒド、ポリビニルアルデヒド、ポリエステル類、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン類、ポリスチレン類、ポリビニリデン、シリコーン類、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。本開示の一実施態様においては、該セルロース誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、プロピオン酸酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0221】
本開示の一実施態様においては、該持続放出性フェロモン組成物は、1種類以上の脂肪酸エステル類または1種類以上の脂肪族アルコールを含む。本開示の一実施態様においては、該1種類以上の脂肪族アルコール類は、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、トリデセノール、テトラデカノール、テトラデセノール、テトラデカジエノール、ペンタデカノール、ペンタデセノール、ヘキサデカノール、ヘキサデセノール、ヘキサデカジエノール、オクタデセノール、およびオクタデカジエノールから成る群から選択される。本開示の一実施態様においては、該脂肪酸エステルは、ウンデカニルエステル、ドデカニルエステル、トリデカニルエステル、トリデセニルエステル、テトラデカニルエステル、テトラデセニルエステル、テトラデカジエニルエステル、ペンタデカニルエステル、ペンタデセニルエステル、ヘキサデカニルエステル、ヘキサデセニルエステル、ヘキサデカジエニルエステル、オクタデセニルエステル、およびオクタデカジエニルエステルから成る群から選択される。本開示の一実施態様においては、該脂肪酸エステルは、アルキルウンデカノアート、アルケニルウンデカノアート、アルキルドデカノアート、アルケニルドデカノアート、アルキルトリデカノアート、アルケニルトリデカノアート、アルキルトリデセノアート、アルケニルトリデセノアート、アルキルテトラデカノアート、アルケニルテトラデカノアート、アルキルテトラデセノアート、アルケニルテトラデセノアート、アルキルテトラデカジエノアート、アルケニルテトラデカジエノアート、アルキルペンタデカノアート、アルケニルペンタデカノアート、アルキルペンタデセノアート、アルケニルペンタデセノアート、アルキルヘキサデカノアート、アルケニルヘキサデカノアート、アルキルヘキサデセノアート、アルケニルヘキサデセノアート、アルキルヘキサデカジエノアート、アルケニルヘキサデカジエノアート、アルキルオクタデセノアート、アルケニルオクタデセノアート、アルキルオクタデカジエノアート、およびアルケニルオクタデカジエノアートから成る群から選択される。
【0222】
フェロモン放出を制御する別の方法は、該成分に供したときに活性フェロモンに分解する化合物を用いることである。本明細書に開示の脂肪族アルデヒド類などのアルデヒド類は、アルコール類と容易に反応してジアルキルアセタール類を生成する。該アルコールは、別のフェロモンアルコール(例えば、Z11-ヘキサンデセン-1-オール、Z9-ヘキサンデセン-1-オールまたは類似の不飽和アルコール)であってもよい。あるいは、該アルコールは短鎖アルコール(メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、ブタン-1-オール、およびブタン-2-オールなど)であってもよい。さらに、該アルコールがジオールの場合には、環状アセタールが生成することもある。ジオール類の例としては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコールおよび1,2-プロピレングリコールが挙げられる。あるいは、アルコール類の混合物を用いることもできる。脂肪族アセタールは、本明細書に開示するような方法を用いて生産するのであってもよい。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド、ならびに2種類の類似または異なるアルコール類から生産される。一実施態様においては、該アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドおよび本明細書に開示するような2種類の類似または異なるアルコール類から生産される。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドおよび本明細書に開示するような2種類の類似または異なる脂肪族アルコール類から生産される。一実施態様においては、該脂肪族アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドおよび2種類の類似または異なるC1~C7アルコール類から生産される。本開示の一実施態様においては、該脂肪族アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド、ならびにメタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、ブタン-1-オール、およびブタン-2-オールから成る群から選択される2種類の類似または異なるアルコール類から生産される。本開示の一実施態様においては、該アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒドおよびジオールから生産される。一実施態様においては、該アセタールは、本明細書に開示するような脂肪族アルデヒド、ならびにエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、および1,2-プロピレングリコールから成る群から選択されるジオールから生産される。
【0223】
アセタール類に関して用語「から生産される」は、該アセタールをその特定の生産方法に限定することを意図するものではない。この用語は、単に該アセタールに関する構造情報を提供する目的で用いるのである。例えば、アセタール類は、ヘミアセタールを1種類のアルコールと反応させることによって生産することができる。一例として、1-メトキシエタン-1-オール(ヘミアセタール)から生産されるアセタールは、エタノールおよび2分子のメタノールから生産されるアセタールと同等である。
【0224】
本開示の脂肪族アルデヒド類はまた、フェロモン組成物中にオリゴマー環状化合物として存在することもある。したがって、本開示の一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは、フェロモン組成物中にトリオキサンおよび/またはテトラオキサンとして存在する。これらのオリゴマーは、該アルデヒドのリザーバーとして働き、該アルデヒドの制御放出を可能にする。アルデヒドオリゴマーは、酸触媒の存在下で生産することができる。アセタール形成またはオキサン形成に用いるのであってもよい酸類の例としては、塩酸、硫酸、リン酸または硫酸水素塩類が挙げられる。硫酸水素塩類は、オキサン類の生成に特に有利である。
【0225】
他の好適な徐放化合物はα-ヒドロキシスルホン酸である。これらの化合物は、亜硫酸水素塩、特に亜硫酸水素ナトリウムの水溶液から容易に生成される。本開示の一実施態様においては、該持続性放出性フェロモン組成物はα-ヒドロキシスルホン酸を含む。
【0226】
上記のアセタール型徐放性フェロモンは、弱酸および水分に曝露された場合に徐々にアルデヒド類に戻る。放出速度は、カスタム組成物を特定の環境に適合させることが可能なアセタール類の種類性質に依存するであろう。該α-ヒドロキシスルホン酸は、酸性条件下およびアルカリ性条件下のいずれでもフェロモンをゆっくりと放出させる。
【0227】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示の脂肪族アセタールを含む徐放性脂肪族アルデヒド組成物を提供する。本開示の一実施態様は、本明細書に開示の徐放性脂肪族アルデヒド組成物を生産する方法を提供するが、該方法は、脂肪族アセタールを取得するために本明細書に開示の方法を実施すること、および該脂肪族アセタールを徐放性組成物として製剤化することを含む。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族アセタールは不飽和化脂肪族アセタールである。
【0228】
本開示の一実施態様では、本明細書に開示の脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を含む徐放性脂肪族アルデヒド組成物を提供する。本開示の一実施態様では、本明細書に開示の徐放性脂肪族アルデヒド組成物を生産する方法を提供するが、該方法は、脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を取得するために本明細書に開示の方法を実施すること、および該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を徐放性組成物として製剤化することを含む。さらなる一実施態様においては、該脂肪族アルデヒドは不飽和化脂肪族アルデヒドである。またさらなる実施態様においては、該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸は不飽和化脂肪族アセタールである。
【0229】
該徐放性フェロモンには、任意選択的に、化合物の放出をさらに変更する物質を処方することができる。これらの組成物は、任意選択的に水分およびpHを制御する物質を含むのであってもよい。該徐放性組成物は、上記のアセタール類、アルデヒド類、アルコール類、およびα-ヒドロキシスルホン酸の混合物であり得る。
【0230】
化学合成の工程数を最小化することは、例えば、経費を減らして廃棄物を最小化するために、好都合である。本明細書に開示のアセタール類およびα-ヒドロキシスルホン酸は、可能な限り少ない工程数で生産されることが利点である。これは、脂肪族アルデヒド類の生産に用いた反応混合物から直接的に該アセタール類およびα-ヒドロキシスルホン酸を生産することによって達成することが可能である。
【0231】
脂肪族アルコール類の生物学的生産
微生物細胞工場、特に酵母で不飽和化脂肪族アルコール類、不飽和化脂肪族アルコール酢酸、および不飽和化脂肪族アルデヒド類、を生産する方法が、当該技術分野において利用可能である。
【0232】
特に、該不飽和化化合物は、WO2016/207339、WO2018/109163、WO2018/109167、WO2021/078452、WO2020/169389、WO2021/123128、ならびに本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183447.8、および本出願者によって2021年7月2日付けで出願された「不飽和化化合物を生産する方法および酵母細胞(Methods and yeast cells for production of desaturated compounds)」と題するEP21183459.3に記載される方法で取得するのであってもよい。
【0233】
簡単に説明すると、1種類以上の好適な異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素(この酵素は、脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入する)、および1種類以上の好適な異種脂肪族アシル還元酵素(FAR)を導入することにより、不飽和化脂肪族アルコール類を、酵母細胞、特にサッカロミセスまたはヤロウイア細胞(サッカロミセス酵母またはヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞など)で生産することができる。次いで、本明細書に開示の方法を用いて、これらの不飽和化脂肪族アルコール類を不飽和化脂肪族アルデヒド類に転化することができる。
【0234】
実施例
実施例1:低速の酸素供給速度における脂肪族アルコール類混合物の酸化
1755gのアセトニトリルを800gの脂肪族アルコール混合物に(表1)添加した。26.2gの2.2′-ビピリジン、62.7gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、17.5gの4-ヒドロキシ-TEMPOおよび13.8gの1-メチルイミダゾールを含む触媒を該反応混合物に加えた。エアフローを1dm3/分で用いて反応を開始したが、160分後には0.2dm3/分に低下させた。アルコールのアルデヒドへの転化が60%で横ばいになった。
【0235】
反応サンプリング
反応器から反応混合物を1ml取り出し、1mlの飽和NaHCO3で停止させてから、1mlの酢酸エチルを加えて試料を激しく振盪した。1μlの有機相をGCバイアルに取り、1mlの酢酸エチルで希釈した。この試料をGC-FIDで分析した。反応のモニタリングについては、反応の進行度の確認に相対ピーク面積%を用いた。反応サンプリングは、以下の例でも同様に実施した。
【0236】
【0237】
実施例2:中等度の酸素供給速度における脂肪族アルコール類混合物の酸化
1755gのアセトニトリルを800gの脂肪族アルコール混合物に加えた。26.2の2.2′-ビピリジン、62.7gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、17.5gの4-ヒドロキシ-TEMPO、および13.8のN-メチルイミダゾールを含む触媒を該反応混合物に加えた。エアフローを1dm3/分で用いて反応を開始し、1dm3/分を維持した。アルコールのアルデヒドへの転化が、83%で横ばいになった。
【0238】
実施例3:高速の酸素供給速度における脂肪族アルコール類混合物の酸化
218gのアセトニトリルを100gの脂肪族アルコール混合物に加えた。1.56gの2.2′-ビピリジン、3.77gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、1.03gの4-ヒドロキシ-TEMPOおよび82gのN-メチルイミダゾールを含む触媒を該反応混合物に加えた。エアフローを1dm3/分で用いて反応を開始し、1dm3/分を維持した。アルコールのアルデヒドへの転化が93%で横ばいになった。
【0239】
実施例4:脂肪族アルコール類の混合物の酸化
脂肪族アルコールを含む800gの脂肪族アルコール混合物を酸化した;この酸化は、前記の脂肪族アルコール混合物および1600mlのアセトニトリルの溶液に、2.2dm
3/分の速度で気泡通気することにより、実施した。62gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナート、26gの2.2´-ビピリジン、10gの4-ヒドロキシTEMPO、および13.6gの1-メチル-イミダゾールを含む触媒を該反応混合物に加えた。2時間反応させたが、その経過中、1時間後に温度が22℃から52℃に上昇し、2時間後には温度が42℃に低下した。反応収量は定常的に増加して73分後に70%を超え、150分の時点でさらに87%に増加した。
図1は、反応収量を時間の関数として示す。
【0240】
実施例5:反応水を吸着する吸着剤を用いた脂肪族アルデヒド混合物の酸化
表2に示す脂肪族アルコール類を含む252gの脂肪族アルコール混合物および625gのアセトニトリルの溶液に2dm
3/分の速度で気泡通気することにより、上記の脂肪族アルコール混合物を酸化した。18gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナート、8.2gの2.2´-ビピリジン、5.5gの4-ヒドロキシTEMPO、8.5gの1-メチル-イミダゾール、および20gの4Åモレキュラーシーブを含む触媒を該反応混合物に加えた。2時間反応させたが、その経過中、1時間後に温度が22℃から52℃に上昇し、2時間後には温度が42℃に低下した。転化は定常的に増加し、139分の時点で95%を超えた。
図2は、反応収量を時間の関数として示す。
【0241】
【0242】
実施例6:溶媒および反応水から水を吸着する水吸着剤を用いた脂肪族アルコール混合物の酸化
表3の脂肪族アルコール類を含む800gの脂肪族アルコール混合物類を酸化した;この酸化は、上記の脂肪族アルコール混合物および1766gのアセトニトリルの溶液に6dm
3/分の速度で気泡通気することにより、実施した。62gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナート、26gの2.2´-ビピリジン、10.6gの4-ヒドロキシTEMPO、16.6gのN-イミダゾール、および65gの4Åモレキュラーシーブを含む触媒を該反応混合物に加えた。2時間反応させたが、その経過中、1時間13分後に温度が23℃から51℃に上昇し、6時間後には温度が22℃に低下した。転化は定常的に増加し、110分の時点で99%を超えた。
図3は、反応収量を時間の関数として示す。
【0243】
【0244】
実施例7:低速、中速、および高速の酸素供給速度の比較
前記実施例に概説した手順で、脂肪族アルコール組成物、触媒組成物、および溶媒を混合した。表4には、表示の拡散速度および拡散時間における、ald/(alc+ald)で表される脂肪族アルコールから脂肪族アルデヒドへの転化率のまとめを示す。20%酸素ガス混合物を用いた。
【0245】
【0246】
低速の酸素供給速度(拡散=0.2L/時間)の場合には、長い反応時間(1427分)において脂肪族アルコールから脂肪族アルデヒドへの転化は中等度でしかなかった。中速の酸素供給速度(1L/時間)では、より良好な転化ではあったが、長い反応時間を必要とした。高速の酸素供給速度(2.2L/時間)では、脂肪族アルコールの転化は良好であった。長い反応時間(305~320分)では収量が少々低く87~93%であり、他方、より短い反応時間(110~174分)では転化が良好で97~99%となる傾向が認められた。
【0247】
さらに、反応中に生成する水の除去によって収量のさらなる改善が認められた(表5)。水はカルボン酸の生成に関与するので、水除去は収量をさらに改善することが知られている。水を完全に吸着する必要はなく、最終含水量を約16モル%程度減らすのに充分なモレキュラーシーブを加えるだけで充分であることに留意されたい。
【0248】
【0249】
実施例8:反応混合物の精製
方法
ドデカン-1-オール、(Z)-11-ヘキサデセナール、(Z)-9-ヘキサデセナール、ヘキサデカナール、テトラデカナール、テトラデカン-1-オール、ペンタデカナール、ペンタデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール、(Z)-9-ヘキサデカン-1-オール、および(Z)-11-ヘキサデカン-1-オールを0.01mg/mL~1mg/mLの濃度範囲で含む較正標準を調製した。1mLの標準に、10mg/mLのメチル-ノナデカノアートを10μL添加して、較正曲線を取得した。ペンタデカナールでモノ不飽和ペンタデセナールを定量した。
【0250】
UV可視光分光器
UV可視光分光法にはThermo Genesys 5Sを用いた。5mmのクオーツキュベットに濃縮試料を入れて、350nm~1100nmのスペクトルを測定した。Cu吸着について、λmaxを680nmで測定を行った。
【0251】
GC-FIDの試料調製
試料の一部を約50mgで3つに取り分け、それぞれ個々に50mLの容量フラスコに移してその重量を測定し、容積マークの位置まで酢酸エチルを加えた。それぞれの希釈液を1000μL取り、GCバイアルに移して10μLの内部標準溶液を加えた。内部標準溶液は、10mg/mLのメチル-ノナデカノアートを含む酢酸エチルとした。
【0252】
分析条件
MS 5977Bと連動するAgilent GC 7820A(スプリット/スプリットレス注入口およびDB-FatワックスUIカラム(長さ30m、内径0.25mm、および膜厚0.25μm))で、定性分析を実施した。操作パラメータは以下であった:
1μLのインジェクション、分割比=20:1、インジェクター温度=220℃、定常流=1mL/分のヘリウム、加熱温度設定=80℃1分間、15℃/分で150℃へ7分間、10℃/分で210℃へ7分間、および20℃/分で230℃へ5分間。
【0253】
FIDと連動するAgilent GC 7890B(スプリット/スプリットレス注入口およびHP-5カラム(長さ30m、内径0.32mm、および膜厚0.25μm))で、定性分析を実施した。操作パラメータは以下であった:
1μLのインジェクション、分割比=1:40、インジェクター温度=220℃、定常流=2mL/分の水素、加熱温度設定=80℃1分間、15℃/分で150℃へ7分間、10℃/分で210℃へ、および20℃/分で300℃へ。
【0254】
分析標準
Pherobankの(Z)-11-ヘキサデセナールはその純度が99.1%であった。Alfa Aesarのペンタデカン-1-オールはその純度が99%であった。Merckから購入したヘキサデカン-1-オールはその純度が99%であった。Pherobankから購入した(Z)-9-ヘキサデセン-1-オールおよび(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールは、その純度が98%であった。Larodanから購入したテトラデカン-1-オールおよびメチル-ノナデカノアートは、その純度が99%であった。
【0255】
定性分析
分析標準のスペクトルおよび保持時間に対する一致に基づいて以下の化合物を同定した:
テトラデカナール(14:Ald)、ペンタデカナール(15:Ald)、(Z)-9-ヘキサデセナール(Z9-16:Ald)、(Z)-11-ヘキサデセナール(Z11-16:Ald)、ヘキサデカナール(16:Ald)、および(Z)-11-ヘキサデセン-1-オール(Z11-16:OH)。
【0256】
モノ不飽和ペンタデセナール(15-1:Ald)については、NISTライブラリーのスペクトルとの一致に基づいて同定を行った。
【0257】
反応混合物の調製
78%のZ9-ヘキサデセノールおよびZ11-ヘキサデセノールを含む200gの脂肪族アルコール混合物を、1dm3のジャケット型反応容器に加えた。16gの4Åモレキュラーシーブ、6.4gの2,2′-ビピリジン、3.6gの4-ヒドロキシ-TEMPO、および3.4gのN-メチルイミダゾールを該容器に添加した。15.6gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナートを含む400mlのアセトニトリルの溶液を加えた。2L/分で空気を該溶液に泡立つように2時間通気した。
【0258】
この方法を用いて生産される粗反応産物の代表的な実施態様では、約30%の脂肪族アルデヒド、約1.0%のビピリジン、約0.4%の銅、約0.6%の4-OH-TEMPO、約0.5%の1-メチルイミダゾール、および約62%のアセトニトリルを含む。
【0259】
精製
該反応混合物を100g取り、165gのn-ヘプタンで抽出した。5分激しく撹拌した後、該混合物を30分間静置して各相に分離させた。アセトニトリルおよびバルクの銅、ビピリジン、N-メチルイミダゾールおよびOH-TEMPOを含む下部相を捨てて、主にn-ヘプタンおよびフェロモン産物を含む上部相を回収し、15ミリバール、65℃でヘプタンを蒸発させた。74%のZ9-ヘキサデセノールおよびZ11-ヘキサデセノールを含む32gの産物を得た。
【0260】
実施例9:反応混合物の精製
実施例8で調製した反応混合物を100g取り、165gのn-ヘプタンおよび1gの氷酢酸で抽出した。5分間激しく撹拌した後、該混合物を30分間静置して各相を分離させた。下部相を捨てて上部相を回収し、15ミリバール、65℃でヘプタンを蒸発させた。74.9%のZ9-ヘキサデセノールおよびZ11-ヘキサデセノールを含む30gの産物を得た。
【0261】
実施例10:反応混合物の精製
実施例7で調製した反応混合物を100g取り、165gのn-ヘプタンおよび1.2gの氷酢酸で抽出した。5分間激しく撹拌した後、該混合物を30分間静置して各相を分離させた。下部相を捨てて上部相を回収し、15ミリバール、65℃でヘプタンを蒸発させた。73.8%のZ9-ヘキサデセノールおよびZ11-ヘキサデセノールを含む30.2gの産物を得た。
【0262】
実施例11:反応混合物の精製
実施例7で調製した反応混合物を100g取り、165gのn-ヘプタンおよび2gの氷酢酸で抽出した。5分間激しく撹拌した後、該混合物を30分間静置して各相を分離させた。下部相を捨てて上部相を回収し、15ミリバール、65℃でヘプタンを蒸発させた。74.2%のZ9-ヘキサデセノールおよびZ11-ヘキサデセノールを含む35.6gの産物を得た。
【0263】
実施例12:Z11-16:OH(Z11-ヘキサデセノール)の油性および水性後処理(work up)のための典型的な酸化法の比較例
空気気泡発生器および還流冷却器を備えた500mlのボトルに、100gの出発材料(総アルコール純度86%;0.36モルで、60.04%の活性フェロモンZ11-16:OH(Z11-ヘキサデセノール))および200mlのCH3CNを加えた。次いで、この懸濁液に2.87gの臭化銅(I)(5モル%;0.02モル)、2.79gの2,2′-ビピリジン(Bipy)(5モル%;0.02モル)、1.40gの4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(4-OH-TEMPO)(2.5モル%;0.01モル)、1.43mlのN-メチルイミダゾール(5モル%;0.02モル;1.47g)を添加した。GCMSでZ11-16:OHシグナルが消失するまで(16/20時間)、この反応液を撹拌した。
【0264】
該混合物中のアセトニトリルを低圧で蒸発させた。残留物を200mlの酢酸エチルで希釈して分液漏斗に移した。この溶液を200mlの0.5N H2SO4溶液で2回、または有機層の青色着色が消えるまで、洗浄した。この溶液を100mlのチオ硫酸ナトリウム飽和溶液で1回、および50mlのNaCl飽和溶液で1回さらに洗浄した。組み合わせた有機画分を硫酸ナトリウム上で乾燥させて濾過し、次いで、低圧下で濃縮した。
【0265】
実施例13:精製プロトコルおよび産物安定性の比較
結果
表7は、実施例7~12に概説する精製反応産物中の銅、酸化剤、および配位子の含量の比較を示す。
【0266】
【0267】
本開示の方法(実施例8~11)によって、実施例12の比較精製法を用いて取得した産物(18%)よりも、成分非構成物の含量がはるかに低い(12%)精製産物が得られた。
【0268】
5mmのキュベットを用いて680nmの吸光度で評価した銅含量は比較例12で高く、その吸光度は0.7であった。精製中に酸を全く添加していない実施例8では、吸収度値が0.76であることから明らかなように、同程度の銅含量であった。精製中に1gの酢酸を加えた実施例9では、吸光度は0.035とかなり低く、このことは銅が低含量であることを示している。それぞれ1.5gおよび2gの酢酸を添加した実施例10および11の両方においても、この傾向は同様であった。具体的には、実施例11の産物は最少の吸光度0.02を示したのである。これらの知見に基づくならば、カルボン酸および/またはカルボン酸塩は銅イオンに配位可能であるため、精製産物から銅イオンの分離を促進すると予想される。
【0269】
比較例12の産物における4-OH-TEMPOおよびその還元型の含量は1.5%と相対的に高かった。対照的に、実施例8~11の精製産物における4-OH-TEMPOの含量は0.60~0.66%であり相対的に低い;このことは、精製プロトコルがこれの副産物の除去にも有効であることを示している。
【0270】
配位子BIPYに関しては、本開示の精製プロトコルによって、定量可能量よりも低い含量となったが、これは実施例12の比較プロトコルと同様の性能である。
【0271】
実施例14:精製産物の安定性
精製産物に存在する不純物は産物安定性にかなりの悪影響を及ぼす。表8は、初期純度および25日後の純度を示している。
【0272】
【0273】
銅の量の低下によって産物安定性が大幅に改善された。680nmにおける吸光度が0.76である実施例8の産物では、25日後に(Z)-ヘキサデカ-9-エナール+(Z)-ヘキサデカ-11-エナールがおおよそ25%低下した。対照的に、銅含量がより低い(680nmの吸光度が0.035~0.02)実施例9~11の精製産物では、25日後における(Z)-ヘキサデカ-9-エナール+(Z)-ヘキサデカ-11-エナールの低下が、それぞれたかだか15%、7%、および8%であった。定量した総脂肪族アルコール含量およびアルデヒド含量に関して、安定性における同様の傾向が認められた。したがって、本明細書に開示の精製プロトコルは、より安定な脂肪族アルコール組成物を提供する。
【0274】
実施例15:1.5m3の反応器における触媒の調製
アンカー撹拌棒および還流冷却器を備えた1500Lステンレススチール容器に23.6kgのトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)を加えた。17.5kgの銅のショット粉(0.8~2.0mm)および12.2kgの銅粒(3+14メッシュ)をそのタンクに加えた。630kgのアセトニトリルを添加した。その混合物を40rpmで撹拌して85℃~90℃に加熱した。約3時間還流した後、該混合物を室温に冷却した。
【0275】
Gueduフィルターを用いて、混合物を濾過した。濾過速度は60~70リットル/時間であり約770リットルの触媒含有液が得られた。全量640kgの触媒溶液を取得した。それぞれおおよそ320kgを含む2つの可搬型容器に分割して、実施例16および17で用いた。
【0276】
実施例16:4m3反応器における脂肪族アルコール混合物の酸化
主に表9のリストに示されている割合のZ11-ヘキサデセン-1-オール、Z9-ヘキサデセン-1-オールおよびヘキサデカン-1-オールから成る脂肪族アルコール混合物。
【0277】
【0278】
溶解酸素プローブを備えた4000Lの反応容器に、以下を加えた:
315kgのバイオフェロZ11-ヘキサデセノール混合物
315kgのアセトニトリル
10kgの2,2-ビピリジン
5.5kgの4-ヒドロキシTEMPO
5.5kgの1-メチルイミダゾール
25kgの4Åモレキュラーシーブ
【0279】
容器を撹拌しながら媒体に空気を導入することによって、上記のDOプローブを較正した。次いで、アセトニトリルの触媒溶液320kgを発酵槽に移した。その時点で、反応を開始した。反応の設定を表10に示す。
【0280】
【0281】
酸化反応を注意深くモニターして30分毎にサンプリングした。
図4は反応データを示す。t=0の時点で触媒の添加を終了し、エアフローのスイッチをオンにした。1時間の反応時間後に、溶解酸素レベルがかなり上昇し、再び温度の低下も起こることが分かる。これらのことは、アルデヒド型への酸化が完全であることを示している。DOおよびGC分析の情報により、反応時間が1.5時間の時点で空気の流れを停止させることにした。
【0282】
1.5~3時間の期間は、反応内容物が待機相であった。1.5~2.5時間の間は、温度を30℃に維持した。2.5時間の時点で、温度を約15℃に維持した。
【0283】
3時間の時点で、容器を空にした。これは容器の頭部に空気圧を加えることによって行われる;空気の流れによって容器外に出るのである。4時間の時点で、容器内容物を2つのIBC(中型可搬容器)に完全に移し終えた。酸化混合物の質量は980kgと推定される。
【0284】
1時間後には、転化率94%に達した。最終転化率は99%を達成した。待機時間(1.5時間~最終試料)に97%から99%への僅かな転化増加がある。
【0285】
表11および
図5に、経時的なZ11-ヘキサデセナールの転化を示す。
【0286】
【0287】
実施例17:4m3反応器における脂肪族アルコール混合物の酸化
溶解酸素センサーを備えた4000Lの反応容器に、以下を加えた:
254kgのバイオフェロZ11-ヘキサデセノール(実施例16に示すような)
315kgのアセトニトリル
10kgの2,2-ビピリジン
5.5kgの4-ヒドロキシTEMPO
5.5kgの1-メチルイミダゾール
25kgの4Åモレキュラーシーブ
【0288】
4000Lの40R10発酵槽で、酸化反応を実施した。まず、IBC(中型可搬容器)内の反応処方内容物を発酵槽内に圧力注入した。次いで、容器の上から容器内に25kgのモレキュラーシーブを加えた。次に、容器を撹拌しながら媒体に空気を導入することによって、上記のDOプローブを較正した。
【0289】
例Aの触媒溶液を振盪速度設定51RPMの発酵槽に移し、通気を開始した。反応の設定を表12に示す。
【0290】
【0291】
酸化反応物を30分毎にサンプリングした。
図6は、酸化プロセスのオンライン反応データを示す。t=98.5において、容器内に触媒溶液を導入した。約99時間の時点で、エアフローのスイッチをオンにして、2.5時間の間、85~100kg/時間を維持した。101.5時間~104時間の間は、発酵槽の内容物の待機相であった。この相の経過中に、スパージャーにより3.5kg/時間で空気の気流を送った。
【0292】
最大温度は約34℃であった(t=99~99.5時間)。該液体をt=103時間で約15℃に冷却した。
【0293】
【0294】
実施例18:Z11,Z13-16:OHの対応するアルデヒドZ11,Z13-16:Aldへの酸化
アルデヒド類への転化に関する代表的な試料として、73wt%のZ11,Z13-16:OH((Z11,Z13)-ヘキサデカジエン-1-オール)を含む脂肪族第1級アルコール類の混合物を用いた。
【0295】
Z11,Z13-16:OH混合物(8g)、2,2′-ビピリジン(0.25g)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシル(0.14g)および1-メチルイミダゾール(0.13g)をアセトニトリル(20ml)に加えた。前記の溶液に、テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナートを含む10mlのアセトニトリルを添加した。
【0296】
該溶液内に空気を1L/分の速度で拡散させながら、該反応混合物の温度を30℃になるように制御した。164分後に空気拡散を停止して、該反応混合物を1-ヘプタン(40ml)で希釈し、混合物を水(20ml)で抽出した。10ミリバール、60℃で上部相を蒸発させて、残渣の量3.4wt%のZ11,Z13-16:OHを含む、65.5wt%のZ11,Z13-16:Ald((Z11,Z13)-ヘキサデカジエナールを含有する産物を取得した。
【0297】
【0298】
これらのデータは、該脂肪族アルコールZ11,Z13-16:OHが、対応するアルデヒド、Z11,Z13-16:Aldに化学的に酸化されたことを示している。
【0299】
実施例19:小規模酸化対大規模酸化の比較例
小規模1
表3の脂肪族アルコール類を含む24gの脂肪族アルコール混合物の酸化を行った;この酸化は、振盪フラスコ内で空気に晒されている状態の上記の脂肪族アルコール混合物および5gのアセトニトリルを用いることで実施した。該反応混合物に、1.88gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナート、0.78gの2.2´-ビピリジン、0.43gの4-ヒドロキシTEMPO、0.41gのN-イミダゾールおよび5.4gの4Åモレキュラーシーブを含む触媒を添加した。30℃で2時間反応させた。転化は定常的に増加し、120分の時点で97%を超え最終的には180分の時点で100%に達した。
【0300】
小規模2
表3の脂肪族アルコール類を含む250gの脂肪族アルコール混合物を、撹拌子および空気スパージャーを備えたガラス反応器で酸化させた。545gのアセトニトリルで希釈した脂肪族アルコール混合物に、19gのテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフルオロメタンスルホナート、8gの2.2´-ビピリジン、5.3gの4-ヒドロキシTEMPO、および6.5gのN-イミダゾールを添加した。反応時間の経過中全体を通じて、反応液を室温で撹拌した。転化は定常的に増加して、120分の時点で58%を超え、最終的には20時間後の時点で93%に達した。
【0301】
大規模
工程1:銅(II)トリフルオロメタンおよび金属銅から、触媒Cu(ACN)4OTf溶液を調製した。アンカー撹拌棒を備えるステンレススチール容器に100Lのアセトニトリルを加えた。次いで、穏やかに撹拌しながら、2.81kgのCu(Otf)2および2.8kgの銅粒を加えた。この混合物を85℃に加熱した。5.5時間の還流後に、混合物を室温に冷却した。次いで、この混合物を圧力でフィルターを通すことにより、残存する銅粒を除去した。この工程により、90Lの淡い黄色がかった溶液が得られ、これを以下の工程で用いた。
【0302】
工程2:空気スパージャーを備える300Lのスチール容器で酸化反応を実施した。このタンクに60.8kgのZ11-ヘキサデセノール混合物、50Lのアセトニトリル、2.4kgの2,2-ビピリジン、1.1kgの4-ヒドロキシTEMPO、および1.3kgの1-メチルイミダゾールを加えた。最後に、工程1の触媒溶液を酸化容器に移して、定常撹拌下において、空気を10Kg/時間で混合物に通気した。16時間の反応時間後に、転化は67%に達した。
【0303】
結論
本比較例は、小規模酸化用に開発された伝統的酸化法が、大規模(キログラムスケールなど)でも常に利用可能とは限らないことを示している。商業的化学生産などのより大規模の場合には、高転化およびクリーンな反応のプロファイルが主要なプロセスパラメータであり、本開示の方法は、産業におけるこれらの必要性に対する具体的な解決策を提供するものである。
【0304】
参考文献
Stahl et al. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 16901-16910
Kumpulainen and Koskinen, Chem. Eur. J. 2009, 15, 10901-10911
【0305】
項目
さらにここで、以下に項目別の実施態様を記載する:
[項目1]
脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法であって;
(a)脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、および溶媒を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化し、50wt%未満を脂肪酸に転化するのに充分な量のO2を、反応混合物に添加することによって、該脂肪族アルコールを酸化する工程、
を含む、方法。
[項目2]
項目1の方法であって、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.049μモルの溶解O2を該反応混合物に加えることを含む、方法。
[項目3]
いずれかの前記項目の方法であって、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.0025μモルの溶解O2を該反応混合物に加えることを含む、方法。
[項目4]
いずれかの前記項目の方法であって、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.025μモルの溶解O2を該反応混合物に加えることを含む、方法。
[項目5]
いずれかの前記項目の方法であって、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO2(少なくとも20μモルのO2など、少なくとも40μモルのO2など、または少なくとも60μモルのO2など)を該反応混合物に加えることを含み、それによって該脂肪族アルデヒドを取得し、任意選択的に、ここで該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドが不飽和化されていてもよい、方法。
[項目6]
いずれかの前記項目の方法であって、ここでO2を含むガスまたは液体を該反応混合物に混合することによってO2を加え、ここで任意選択的にO2が濃縮されていてもよい、方法。
[項目7]
いずれかの前記項目の方法であって、ここでO2を含むガス混合物を該反応混合物中に泡立つように通気することによって混合が実施される、方法。
[項目8]
項目1の方法であって、ここで該転化が第1級アルコール官能基のアルデヒド官能基への転化である、方法。
[項目9]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該転化が第1級アルコール官能基のアルデヒド官能基への酸化である、方法。
[項目10]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが第1級アルコールである、方法。
[項目11]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが飽和脂肪族アルコールである、方法。
[項目12]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが不飽和化脂肪族アルコールである、方法。
[項目13]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールがC10~C26脂肪族アルコールである、方法。
[項目14]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールがC10~C22脂肪族アルコールである、方法。
[項目15]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールがC12~C20脂肪族アルコールである、方法。
[項目16]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールがC12~C18脂肪族アルコールである、方法。
[項目17]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールがC12、C14、C16またはC18脂肪族アルコールである、方法。
[項目18]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該不飽和化脂肪族アルコールが、9位、11位または13位の位置に二重結合を有し、またはここで該不飽和化脂肪族アルコールが、9位および11位、または11位および13位の位置に二重結合を有する、方法。
[項目19]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該不飽和化脂肪族アルコールが、9位または12位の位置に二重結合を有し、またはここで該不飽和化脂肪族アルコールが9位および12位の位置に二重結合を有する、方法。
[項目20]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該不飽和化脂肪族アルコールが、8位または10位の位置に二重結合を有し、またはここで該不飽和化脂肪族アルコールが、8位および10位の位置に二重結合を有する、方法。
[項目21]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールの炭素鎖長が12、14、または16である、方法。
[項目22]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが非分岐状脂肪族アルコールである、方法。
[項目23]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが:
(Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ3不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、18、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、18、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ5不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、18、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ6不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ7不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ8不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ9不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ10不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ11不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(E)-Δ12不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;
(Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類;および
(E)-Δ13不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
から成る群から選択される、方法。
[項目24]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが:
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、および
(E8,E10)不飽和化脂肪族アルコール類であって、炭素鎖長が、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22である不飽和化脂肪族アルコール類、
から成る群から選択される、方法。
[項目25]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが:
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が14である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が14である不飽和化脂肪族アルコール類、
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が14である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が12である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が12である不飽和化脂肪族アルコール類、
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が12である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が12である不飽和化脂肪族アルコール類、
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が11である不飽和化脂肪族アルコール類、
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が16である不飽和化脂肪族アルコール類、および
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルコールであって、炭素鎖長が14である不飽和化脂肪族アルコール類、
から成る群から選択される、方法。
[項目26]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが、テトラデカン-1-オール、ペンタデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール、ペンタデセン-1-オール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-オール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-オール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-オール、(11Z、13Z)-ヘキサデカジエン-1-オール、(9Z、12E)-テトラデカジエン-1-オール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-オールから成る群から選択される、方法。
[項目27]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコール組成物が、少なくとも30wt%の1種類以上の脂肪族アルコール類(少なくとも40wt%、50wt%、55wt%など、60wt%の1種類以上の脂肪族アルコール類など)を含む、方法。
[項目28]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該取得する脂肪族アルデヒドが、少なくとも30wt%の1種類以上の脂肪族アルデヒド類(少なくとも40wt%、50wt%、55wt%など、60wt%の1種類以上の脂肪族アルデヒド類など)を含む脂肪族アルデヒド組成物として取得される、方法。
[項目29]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが飽和脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目30]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが不飽和化脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目31]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC10~C26脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目32]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC10~C22脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目33]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC12~C20脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目34]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC12、C14、またはC16脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目35]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが非分岐状脂肪族アルデヒドである、方法。
[項目36]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該不飽和化脂肪族アルデヒドが、9位、11位または13位の位置に二重結合を有する、あるいはここで該不飽和化脂肪族アルデヒドが、9位および11位の位置、または11位および13位の位置に二重結合を有する、方法。
[項目37]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該不飽和化脂肪族アルデヒドが、9位または12位の位置に二重結合を有する、あるいはここで該不飽和化脂肪族アルデヒドが、9位および12位の位置に二重結合を有する、方法。
[項目38]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該不飽和化脂肪族アルデヒドが、8位または10位の位置に二重結合を有する、あるいはここで該不飽和化脂肪族アルデヒドが、8位および10位の位置に二重結合を有する、方法。
[項目39]
前記項目のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドの炭素鎖長が12、14、または16である、方法。
[項目40]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類、
から成る群から選択される、方法。
[項目41]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
から成る群から選択される、方法。
[項目42]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が11の不飽和化脂肪族アルデヒド;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド;および
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド;
から成る群から選択される、方法。
[項目43]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが、テトラデカン-1-アール、ペンタデカン-1-アール、ヘキサデカン-1-アール、ペンタデセン-1-アール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-アール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-アール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-アール、(11Z、13Z)-ヘキサデカジエン-1-アール、(9Z,12E)-テトラデカジエン-1-アール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-アールから成る群から選択される、方法。
[項目44]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該銅(I)供給源が銅(I)塩である、方法。
[項目45]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該銅(I)供給源が、テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、テトラキスアセトニトリル銅(I)テトラフルオロボラート、テトラキスアセトニトリル銅(I)ヘキサフルオロホスファート、およびテトラキスアセトニトリル銅(I)ハロゲン化物、およびテトラキスアセトニトリル銅(I)過塩素酸から成る群から選択される、方法。
[項目46]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該銅(I)供給源が銅(II)化合物および還元剤を含む、方法。
[項目47]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該銅(II)化合物が銅(II)塩である、方法。
[項目48]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該銅(II)塩が、銅(II)トリフラート、銅(II)テトラフルオロボラート、銅(II)ヘキサフルオロホスファート、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、および過塩素酸銅(II)から成る群から選択される、方法。
[項目49]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該還元剤が、銅金属、亜鉛金属、アルミニウム金属、硫酸水素ナトリウム、ギ酸、ギ酸の塩、シュウ酸、およびシュウ酸の塩から成る群から選択される、方法。
[項目50]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該銅(I)供給源が銅(II)塩および銅金属である、方法。
[項目51]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該触媒組成物が配位子を含む、方法。
[項目52]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該配位子が窒素を介して銅(I)に配位する、方法。
[項目53]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該配位子がピリジン部分を含む、方法。
[項目54]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該配位子が窒素二座配位子である、方法。
[項目55]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該配位子が2,2′-ビピリジン部分または2,2′-ビピリミジン部分を含む、方法。
[項目56]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該配位子が、2,2′-ビピリジン、4,4′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、5,5′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、2,2′-ビピリミジン、2,2′-ビピリジン-4,4′-ジカルボン酸またはそのエステル、2,2′-ビピリジン-5,5′-ジカルボン酸またはそのエステルから成る群から選択される、方法。
[項目57]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該触媒組成物がアミノキシルラジカル化合物を含む、方法。
[項目58]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該アミノキシルラジカル化合物が、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のうちのいずれかを有する機能化ポリマーから成る群から選択される、方法。
[項目59]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該アミノキシルラジカル化合物が(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)またはTEMPO誘導体である、方法。
[項目60]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該触媒組成物が塩基を含む、方法。
[項目61]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該塩基が有機塩基である、方法。
[項目62]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該塩基が、1-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン,1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]-デカ-5-エン、およびカリウムt-ブトキシドから成る群から選択される、方法。
[項目63]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該反応混合物のO2への曝露が5~80℃(10~70℃など、15~65℃など)で実施される、方法。
[項目64]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該反応混合物のO2への曝露が0.5~40バール(0.5~30バールなど、0.6~20バールなど、0.7~10バールなど、0.8~5バールなど)の圧力下で実施される、方法。
[項目65]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該反応混合物のO2への曝露が0.8~1.2バールの圧力下で実施される、方法。
[項目66]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該反応混合物のO2への曝露が周囲圧力下で実施される、方法。
[項目67]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで1バールの圧力下で評価する際に、1分間当たり脂肪族アルコール組成物1グラム当たり少なくとも0.3mlのO2(1分間当たり脂肪族アルコール組成物1グラム当たり少なくとも0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1.0ml、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4mlなど、1分間当たり脂肪族アルコール組成物1グラム当たり少なくとも1.5mlのO2など)に該反応混合物を曝露する、方法。
[項目68]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで1バールの圧力下で評価する際に、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.3mlのO2(1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも0.4ml、0.5ml、0.6ml、0.7ml、0.8ml、0.9ml、1.0ml、1.1ml、1.2ml、1.3ml、1.4mlなど、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも1.5mlのO2など)に該反応混合物を曝露する、方法。
[項目69]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで1バールの圧力下で評価する際に、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも60mlのO2(少なくとも100ml、150ml、200ml、250ml、300ml、350ml、400mlなど、1分間当たり脂肪族アルコール1モル当たり少なくとも450mlのO2など)に該反応混合物を曝露する、方法。
[項目70]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO2(1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも12μモル、16μモル、20μモル、24μモル、28μモル、32μモル、36μモル、40μモル、44μモル、48μモル、52μモル、56μモル、60μモルのO2)に該反応混合物を曝露する、方法。
[項目71]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも2.5ミリモルのO2(1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも4ミリモル、6ミリモル、8ミリモル、10ミリモル、12ミリモル、14ミリモル、16ミリモルなど、少なくとも18ミリモルのO2など)に該反応混合物を曝露する、方法。
[項目72]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該ガス混合物が5~100%のO2を含む、方法。
[項目73]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該ガス混合物が15~25%のO2を含む、方法。
[項目74]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該ガス混合物が少なくとも90%のO2を含む、方法。
[項目75]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該溶媒が非プロトン性極性溶媒である、方法。
[項目76]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該溶媒が、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、および炭酸プロピレンから成る群から選択される、方法。
[項目77]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該溶媒の量が、該脂肪族アルコール組成物の重量の0~2000%(100~2000%など、100~1500%など、100~1000%など、100~500%など)に対応する、方法。
[項目78]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該溶媒の量が、該脂肪族アルコールの重量の100~2000%(100~1500%など、100~1000%など、100~500%など)に対応する、方法。
[項目79]
いずれかの前記項目の方法であって、ここでO2への曝露が、少なくとも5分間(少なくとも10分間など、少なくとも20分間など、少なくとも30分間など、少なくとも40分間など、少なくとも50分間など、少なくとも60分間など、少なくとも70分間、80分間、90分間など、少なくとも100分間など)維持される、方法。
[項目80]
いずれかの前記項目の方法であって、ここでO2への曝露が、気泡塔反応器またはトリクルベッド反応器で実施される、方法。
[項目81]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで脂肪族アルコールの転化率が、少なくとも60wt%(少なくとも80wt%など、少なくとも85wt%など、87wt%など、少なくとも90wt%など、少なくとも95wt%など、少なくとも99wt%など)である、方法。
[項目82]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで生成脂肪酸の生成脂肪族アルデヒドに対する比が10:90未満である、方法。
[項目83]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで脂肪族アルコールの脂肪酸への転化率が、40wt%未満(30wt%未満など、20wt%未満など、15wt%未満など、10wt%未満など、5wt%未満など、1wt%未満など)である、方法。
[項目84]
いずれかの前記項目の方法であって、該反応混合物から水を除去することをさらに含む、方法。
[項目85]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該反応混合物からの水除去が、実質的にO2への曝露を通じて成される、方法。
[項目86]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該反応混合物からの水除去が、吸着性材料を用いて成される、方法。
[項目87]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該吸着性材料が、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ、ベントナイト粘土、酸化カルシウム、アルカリ金属炭酸塩、炭酸水素塩、またはアルカリ土類金属炭酸塩から成る群から選択される、方法。
[項目88]
いずれかの前記項目の方法であって、該脂肪族アルコールの酸化の前、酸化中、または酸化後に該反応媒体から水を除去する工程をさらに含む、方法。
[項目89]
項目88の方法であって、水を吸収するまたは水を吸着する反応媒体に水吸収性材料または水吸着性材料を添加することをさらに含み、任意選択的に、該水吸収性材料または水吸着性材料がモレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ類、ベントナイト粘土、酸化カルシウム類、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素塩類、またはアルカリ土類金属炭酸塩類またはそれらの組み合わせから選択されるのであってもよい、方法。
[項目90]
項目88~89の方法であって、ここで酸化プロセス後の該反応媒体の含水量が重量で2%未満となり、および任意選択的に脂肪族アルコールから脂肪族アルデヒド類へのモル転化率が93%超となるような量で該水吸収性材料または水吸着性材料を該反応媒体に添加する、方法。
[項目91]
項目88~90の方法であって、ここで酸化前に、該水吸収性材料または水吸着性材料を、脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも10g(脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも15gなど、脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも19gなど)の量で該反応媒体中に添加し、およびここで任意選択的に、該水吸収性材料または水吸着性材料がモレキュラーシーブであってもよい、方法。
[項目92]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該方法が、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、好ましくはここで該脂肪族アルコールが不飽和化されており、該初期工程が:
(i)該脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供する工程;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程、
を含む、方法。
[項目93]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該方法が、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程は以下の工程(i)および(ii):
(i)アルカノイル-CoAを合成可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞が:
・ 不飽和化酵素;および
・ アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素、
をさらに発現可能であり;
(ii)該酵母細胞に該不飽和化酵素および該アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素を発現させる工程;および
(iii)該酵母細胞を培地でインキュベートする工程であって、それによって該不飽和化酵素が、該アルカノイル-CoAの少なくとも一部をアルケノイル-CoAに転化可能であり、およびそれによって該アルコール形成性脂肪族アシル-CoA還元酵素が、該アルケノイル-CoAの少なくとも一部を脂肪族アルコールに転化可能であり、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程、
を含む、方法。
[項目94]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該脂肪族アルコールが(Z)-11-ヘキサデセン-1-オールであり、ここで該アルカノイル-CoAがヘキサデカノイル-CoAであり、ここで該不飽和化酵素がΔ11-不飽和化酵素であり、およびここで該アルケノイル-CoAが(Z)-11-ヘキサデセノイル-CoAである、方法。
[項目95]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該方法が、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程が以下の工程(i)および(ii):
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な脂肪性酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞が、さらに:
・ 脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能で不飽和化脂肪族アシル-CoAを生成させることが可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素を発現可能であり;
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素を発現可能であり;
・ 脂肪族アルコール酸化酵素の活性を低下させる突然変異を有し、かつ脂肪族アルデヒド脱水素酵素、ペルオキシソーム生合成因子、およびグリセロール-3-リン酸アシルトランスフェラーゼのうちの少なくとも1種類の活性を低下させる突然変異を有し;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程、
を含む、方法。
[項目96]
前記項目のいずれか1項にしたがう方法であって、ここで該方法が、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程が以下の工程(i)および(ii):
(i)不飽和化脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供する工程;
ここで該酵母細胞が:
・ 炭素鎖長が14の脂肪族アシル-CoAに少なくとも1つの二重結合を導入可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素であって、ここで該不飽和化酵素がΔ9不飽和化酵素およびΔ11不飽和化酵素から成る群から選択され、ここで該不飽和化酵素がテトラデカノイル-CoAに対してより高い特異性を有し、したがってヘキサデカノイル-CoAに対してより高い特異性を有する、異種脂肪族アシル-CoA不飽和化酵素;および
・ 該不飽和化脂肪族アシル-CoAの少なくとも一部を不飽和化脂肪族アルコールに転化可能な少なくとも1種類の異種脂肪族アシル-CoA還元酵素、
を発現し;および
(ii)該酵母細胞を培地でインキュベートし、それによって該脂肪族アルコールを生産する工程、
を含む、方法。
[項目97]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該方法が、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、該初期工程が該脂肪族アルコールを生産可能な酵母細胞を提供すること、および該脂肪族アルコールを生産可能な条件下の培地中で該酵母細胞を培養することを含み、ここで該培養培地が、水溶液(該培地など)において培養温度で測定される曇り濃度と同一の量以上の量の抽出剤を含み、ここで該抽出剤が非イオン性エトキシル化界面活性剤であり、それによって該脂肪族アルコールを生産する、方法。
[項目98]
いずれかの前記項目の方法であって、ここで該方法が、該脂肪族アルコールを生産する初期工程をさらに含み、好ましくはここで該脂肪族アルコールが不飽和化脂肪族アルコールであり、該初期工程が:
(i)脂肪族アルコールエステルを生産可能な酵母細胞を提供し、該脂肪族アルコールエステルを生産可能な条件下の培地で該酵母細胞を培養する工程;
ここで該培養培地が、水溶液(該培地など)において培養温度で測定される曇り濃度と同一の量以上の量の抽出剤を含み、ここで該抽出剤が非イオン性エトキシル化界面活性剤であり、それによって該脂肪族アルコールエステルを生産し;および
(ii)該脂肪族アルコールエステルを該脂肪族アルコールに転化し、それによって該脂肪族アルコールを生産すること、
を含む、方法。
[項目99]
脂肪族アルデヒド精製法であって、該方法が以下の工程(a)~(c):
(a)粗反応産物を提供する工程であって:
(i)脂肪族アルデヒド;
(ii)銅イオン;および
(iii)極性溶媒;
を含む粗反応産物を提供する工程:
(b)該粗反応産物を非極性非プロトン性溶媒および酸と混合して非極性相および極性相を生成させる工程;および
(c)該極性相から該非極性相を分離する工程、
を含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目100]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該粗反応産物が:
(i)5~80%の該脂肪族アルデヒド;
(ii)0.05~5.0%の銅イオン;および
(iii)20~95%の極性溶媒、
を含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目101]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該粗反応産物が0.05~5.0%の銅イオン(0.05~2.0%の銅イオンなど、0.05~1.0%の銅イオンなど)を含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目102]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該粗反応産物が配位子(0.1~10%の配位子など、0.1~5%の配位子など、0.1~2%の配位子など、約1%の配位子など)をさらに含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目103]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該配位子が窒素二座配位子、2,2′-ビピリジン、4,4′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、5,5′-ジメチル-2,2′-ビピリジン2,2′-ビピリミジン、2,2′-ビピリジン-4,4′-ジカルボン酸またはそのエステル、2,2′-ビピリジン-5,5′-ジカルボン酸またはそのエステルから成る群から選択される窒素二座配位子などである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目104]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該粗反応産物が、アミノキシルラジカル化合物(0.01~10%のアミノキシルラジカル化合物など、0.01~5%のアミノキシルラジカル化合物など、約0.01~2%のアミノキシルラジカル化合物など、約0.5%のアミノキシルラジカル化合物など)をさらに含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目105]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該アミノキシルラジカル化合物が、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを有する機能化ポリマーから成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目106]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該粗反応産物が塩基(0.1~10%の塩基など、0.1~5%の塩基など、0.1~2%の塩基など、約0.5%の塩基など)をさらに含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目107]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該塩基が、1-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、およびカリウムt-ブトキシドから成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目108]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが飽和脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目109]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが不飽和化脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目110]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC10~C26脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目111]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC10~C22脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目112]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC12~C20脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目113]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドがC12、C14、またはC16脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目114]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが非分岐状脂肪族アルデヒドである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目115]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類、
から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目116]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z11,Z13)不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z9,E12)不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(7E,9E)不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
および
(E8,E10)不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類、
から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目117]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
および
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が11の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類、
から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目118]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが、テトラデカン-1-アール、ペンタデカン-1-アール、ヘキサデカン-1-アール、ペンタデセン-1-アール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-アール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-アール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-アール、(11Z、13Z)-ヘキサデカジエン-1-アール、(9Z、12E)-テトラデカジエン-1-アール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-アールから成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目119]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該銅イオンが銅(II)イオンである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目120]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該極性溶媒が、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、および炭酸プロピレンから成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目121]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該極性溶媒がアセトニトリルである、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目122]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該非極性非プロトン性溶媒が、直鎖状アルカン類、分岐状アルカン類、および環状アルカン類から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目123]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該非極性非プロトン性溶媒が、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、およびオクタン類から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目124]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該非極性非プロトン性溶媒が、ヘプタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、およびオクタンから成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目125]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該酸のpKa値が3~6である、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目126]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該酸がカルボン酸である、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目127]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該カルボン酸がC2~C8カルボン酸である、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目128]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該カルボン酸が、C2~C8モノカルボン酸、C2~C8ジカルボン酸、およびC6~C8トリカルボン酸から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目129]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該カルボン酸が、酢酸、クエン酸、プロパン酸、乳酸、グリコール酸、ポリアクリル酸から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目130]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで銅に対して少なくとも1.0モル当量のカルボン酸を用いる、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目131]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで銅に対して少なくとも2.0モル当量(少なくとも2.4当量など)のカルボン酸を用いる、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目132]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該粗反応産物が酸化剤および/または廃酸化剤をさらに含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目133]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該酸化剤または廃酸化剤が、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを有する機能化ポリマー;またはその廃剤から成る群から選択される、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目134]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、該非極性非プロトン性溶媒を蒸発させる工程をさらに含む、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目135]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該非極性非プロトン性溶媒の蒸発を低圧下(100ミリバール未満など、50ミリバール未満など、40ミリバール未満など、30ミリバール未満など)で実施する、脂肪族アルデヒド精製法。
[項目136]
脂肪族アルコールを含む組成物を脂肪族アルデヒドが濃縮された組成物に転化する方法であって、該方法が:
(a)いずれかの前記項目の方法を用いて、脂肪族アルコール含有組成物を脂肪族アルデヒド含有組成物に転化する工程;および
(b)いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド精製法を用いて、該脂肪族アルデヒド含有組成物を精製する工程;
を含み、
任意選択的にここで該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドが不飽和化されていてもよい、方法。
[項目137]
いずれかの前記項目の方法によって取得した脂肪族アルデヒドを含む組成物であって、任意選択的にここで該脂肪族アルデヒドが不飽和化されていてもよい、組成物。
[項目138]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒドを含む組成物であって、ここで5mmの光路長のキュベットを用いた場合に、該組成物が、680nmの吸光度において最大で0.5を示す、組成物。
[項目139]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒドを含む組成物であって、ここで5mmの光路長のキュベットを用いた場合に、該680nmの吸光度が、最大で0.4(最大で0.3など、最大で0.2など、最大で0.1など、最大で0.08など、最大で0.06など、最大で0.05など)である、組成物。
[項目140]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒドを含む組成物であって、ここで該脂肪族アルデヒド組成物が、0.4%未満(0.3%未満など、0.2%未満など、0.1%未満など、0.08%未満など、0.06%未満など、0.05%未満など、0.04%未満など)の銅を含む、組成物。
[項目141]
重量で93%超の脂肪族アルデヒド、重量で7%未満の脂肪族アルコール、および重量で2%未満の水を含む組成物。
[項目142]
脂肪族アルコールを脂肪族アセタールに転化する方法であって、該方法が:
(a)いずれかの前記項目の脂肪族アルコールを含む脂肪族アルコール組成物、いずれかの前記項目の触媒組成物、およびいずれかの前記項目の溶媒を含む反応混合物を提供する工程;
(b)O2を含むガス混合物を該反応混合物に泡立つように通気することによって、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO2に該反応混合物を曝露し、それによって脂肪族アルデヒドを取得する工程;および
(c)該脂肪族アルデヒドのアルデヒド官能基をアセタール官能基に転化し、それによって該脂肪族アセタールを取得する工程、
を含み、
任意選択的にここで該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アセタールが不飽和化されていてもよい、方法。
[項目143]
いずれかの前記項目の方法によって取得される脂肪族アセタールであって、任意選択的にここで該脂肪族アセタールが不飽和化されていてもよい、脂肪族アセタール。
[項目144]
いずれかの前記項目の脂肪族アセタールを含む徐放性脂肪族アルデヒド組成物。
[項目145]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド徐放性組成物を生産する方法であって、脂肪族アセタールを提供することを目的としていずれかの前記項目の方法を実施すること、および該脂肪族アセタールを徐放性組成物に製剤化することを含み、任意選択的にここで該脂肪族アセタールが不飽和化されていてもよい、方法。
[項目146]
脂肪族アルコールを脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸に転化する方法であって、該方法が:
(a)いずれかの前記項目の脂肪族アルコールを含む脂肪族アルコール組成物、いずれかの前記項目の触媒組成物、およびいずれかの前記項目の溶媒を含む反応混合物を提供する工程;
(b)O2を含むガス混合物を該反応混合物に泡立つように通気することによって、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO2に該反応混合物を曝露し、それによって脂肪族アルデヒドを取得する工程;および
(c)該脂肪族アルデヒドのアルデヒド官能基をα-ヒドロキシスルホン酸官能基に転化し、それによって該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を取得する工程、
を含み、
任意選択的にここで該脂肪族アルコールおよび該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸が不飽和化されていてもよい、方法。
[項目147]
いずれかの前記項目の方法によって取得する脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸であって、任意選択的にここで該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸が不飽和化されていてもよい、α-ヒドロキシスルホン酸。
[項目148]
いずれかの前記項目の脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を含む徐放性脂肪族アルデヒド組成物であって、任意選択的にここで該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸が不飽和化されていてもよい、徐放性脂肪族アルデヒド組成物。
[項目149]
いずれかの前記項目の脂肪族アルデヒド徐放性組成物を生産する方法であって、該方法が、脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を提供することを目的としていずれかの前記項目の方法を実施すること、および該脂肪族α-ヒドロキシスルホン酸を徐放性組成物に製剤化することを含み、それによって該脂肪族アルデヒド徐放性組成物を取得する、方法。
[項目150]
再生可能原材料から生産されるフェロモン成分であって、該フェロモン成分がバイオベース炭素含量の少なくとも80%を有する、フェロモン成分。
[項目151]
いずれかの前記項目の該脂肪族アルデヒド組成物および/または該脂肪族アルデヒドを含むいずれかの前記項目のフェロモン成分。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模で脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに転化する方法であって、該方法が:
(a)少なくとも1キログラムの脂肪族アルコール、銅供給源を含む触媒、少なくとも1キログラムの溶媒、および水を吸収または吸着する水吸収性材料または水吸着性材料を含む反応混合物を提供する工程;および
(b)O
2をガスまたは含む液体を反応媒体に加えることによって、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.01μモルのO
2を該反応混合物に溶解し、あるいは1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.001μモルのO
2を該反応混合物に溶解し、それによって50wt%超の該脂肪族アルコールを脂肪族アルデヒドに酸化し、および50wt%未満を脂肪酸に酸化する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり銅1μモル当たり少なくとも0.049μモルの溶解O
2を溶解することをさらに含む、方法。
【請求項3】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり初期脂肪族アルコール1μモル当たり少なくとも0.0025μモルの溶解O
2を溶解することをさらに含む、方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり脂肪酸1μモル当たり少なくとも0.025μモルの溶解O
2を溶解することをさらに含む、方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該反応混合物に、1分間当たり脂肪族アルコール1グラム当たり少なくとも10μモルのO
2(少なくとも20μモルのO
2、少なくとも40μモルのO
2、または少なくとも60μモルのO
2など)を溶解することを含み、それによって該脂肪族アルデヒドを取得し、任意選択的に、ここで該脂肪族アルコールおよび該脂肪族アルデヒドが不飽和化されていてもよい、方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここでO
2を含む該ガスまたは液体が空気であり、任意選択的にO
2が濃縮されていてもよい、方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここでO
2を含むガスまたは液体の該反応媒体へのガス供給が、O
2を含むガスまたは液状混合物をポンプ送流または該反応混合物中に泡立つように通気することにより成される、方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該銅供給源が、銅(I)塩または銅(II)と還元剤の組み合わせを含む、方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該触媒が、2,2′-ビピリジン、4,4′-ジメチル-2,2′-ビピリジン、5,5′-ジメチル-2,2′-ビピリジン 2,2′-ビピリミジン、2,2′-ビピリジン-4,4′-ジカルボン酸またはそのエステル、2,2′-ビピリジン-5,5′-ジカルボン酸またはそのエステルから成る群から選択される配位子などの配位子をさらに含む、方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該触媒が、TEMPO、(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(4-OH-TEMPO)、4-アセトアミド-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPOベンゾアート、4-アミノ-TEMPO、2-アザアダマンタン-N-オキシル、9-アザビシクロ[3.3.1]ノナンN-オキシル、4-カルボキシ-TEMPO、4-マレイミド-TEMPO、4-メトキシ-TEMPO、1-メチル-2-アザアダマンタン-N-オキシル、4-オキソ-TEMPO、および該アミノキシルラジカル化合物のいずれかを有する機能化ポリマーから成る群から選択されるアミノキシルラジカル化合物などのアミノキシルラジカル化合物を含む、方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該触媒が、1-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、およびカリウムt-ブトキシドから成る群から選択される塩基などの塩基を含む、方法。
【請求項12】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該溶媒が非ハロゲン化溶媒である、方法。
【請求項13】
請求項12の方法であって、ここで該溶媒が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロアルカン、石油エーテル、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ニトロメタン、炭酸プロピレン、またはそれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項14】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで脂肪族アルコールから脂肪族アルデヒドへの転化率が、少なくとも60wt%(少なくとも80wt%など、少なくとも85wt%など、少なくとも87wt%など、少なくとも90wt%など、少なくとも95wt%など、少なくとも99wt%など)である、方法。
【請求項15】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで生成脂肪族アルデヒドに対する生成脂肪酸の比が、10:90未満である、方法。
【請求項16】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで脂肪族アルコールの脂肪酸への転化率が、40wt%未満(30wt%未満など、20wt%未満など、15wt%未満など、10wt%未満など、5wt%未満など、1wt%未満など)である、方法。
【請求項17】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該水吸収性材料または水吸着性材料が、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ類、ベントナイト粘土、酸化カルシウム類、アルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素塩類、またはアルカリ土類金属炭酸塩類またはそれらの組み合わせから選択される、方法。
【請求項18】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで酸化プロセス後の該反応媒体の含水量が重量で2%未満となり、および任意選択的に脂肪族アルコールの脂肪族アルデヒド類へのモル転化率が93%超となるような量で該水吸収性材料または水吸着性材料を該反応媒体に添加する、方法。
【請求項19】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで酸化前に該水吸収性材料または水吸着性材料の量が、該反応媒体中において脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも10g(脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも15gなど、脂肪族アルコール1ミリモル当たり少なくとも19gなど)となるように添加し、およびここで任意選択的に、該水吸収性材料または水吸着性材料がモレキュラーシーブであってもよい、方法。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該脂肪族アルデヒドが:
(Z)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ3不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ5不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ6不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ7不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ8不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ10を有する不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)-Δ12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)-Δ13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(例えば、
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;および
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒド類であって、炭素鎖長が11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
など、例えば、
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(Z)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)3,(Z)8,(Z)11不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)9,(E)11,(E)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)8,(E)10不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が12の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(E)7,(E)9不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が11の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
(Z)11,(Z)13不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が16の不飽和化脂肪族アルデヒド類;または
(Z)9,(E)12不飽和化脂肪族アルデヒドであって、炭素鎖長が14の不飽和化脂肪族アルデヒド類;
など、または
テトラデカン-1-アール、ペンタデカン-1-アール、ヘキサデカン-1-アール、ペンタデセン-1-アール、(Z)-9-ヘキサデセン-1-アール、(Z)-11-ヘキサデセン-1-アール、(7E,9E)-ウンデカ-7,9-ジエン-1-アール、(11Z、13Z)-ヘキサデカジエン-1-アール、(9Z,12E)-テトラデカジエン-1-アール、および(8E,10E)-ドデカジエン-1-アールなど、
から成る群から選択される、方法。
【請求項21】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、該方法が:
(a)精製混合物を提供する工程;
ここで該精製混合物が:
(i)該脂肪族アルデヒド;
(ii)銅イオン;および
(iii)極性溶媒、
を含み、
(b)極性相から非極性相への該脂肪族アルデヒドの抽出を可能にする非極性相および極性相を含む抽出混合物を作成する目的で、該精製混合物を非極性非プロトン性溶媒および酸と混合する工程;および
(c)精製アルデヒドを含む該非極性相を該極性相から分離する工程、
を含む該脂肪族アルデヒドを精製する工程をさらに含む、方法。
【請求項22】
請求項21の方法であって、ここで該精製混合物が、0.05~5.0wt%の銅イオン(0.05~2.0wt%の銅イオンなど、0.05~1.0wt%の銅イオンなど)を含む、方法。
【請求項23】
請求項21~22の方法であって、ここで該酸が、C2~C8モノカルボン酸、C2~C8ジカルボン酸、およびC6~C8トリカルボン酸(酢酸またはクエン酸など)から成る群から選択される、方法。
【請求項24】
請求項21~23のいずれかにしたがう脂肪族アルデヒド精製法であって、ここで該銅イオンに対して少なくとも2.0モル当量(少なくとも2.4当量など)の酸を用いる、脂肪族アルデヒド精製法。
【国際調査報告】