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特表2024-537935サリノマイシンの窒素含有誘導体、その合成及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-17
(54)【発明の名称】サリノマイシンの窒素含有誘導体、その合成及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/20 20060101AFI20241009BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241009BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241009BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241009BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241009BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241009BHJP
   A61K 31/35 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
C07D493/20 CSP
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514360
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022074454
(87)【国際公開番号】W WO2023031402
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21306210.2
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504007888
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ レシェルシェ サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(71)【出願人】
【識別番号】505386960
【氏名又は名称】アンスティテュト ナショナル ド ラ サンテ エ ド ラ ルシェルシュ メディカル (アンセルム)
(71)【出願人】
【識別番号】524080335
【氏名又は名称】アダム ミツキェヴィチ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】チェルウォンカ,ドミニカ
(72)【発明者】
【氏名】アントシュチャク,ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】フチンスキー,アダム
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、式(I)を有するサリノマイシンの窒素含有誘導体、並びに特に、がんの処置及び/又は予防のためのその合成及び使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物であって、
【化1】

式中、
- R及びRが、同一であるか、又は異なり、H、(C~C20)アルキル基、(C~C)シクロアルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から独立して選定され、前記(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、チオール(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ、(C~C)アルキルアミノ、ハロ(C~C)アルキル、カルボキシル、及びカルボキシ(C~C)アルキルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されており、
- Xが、H、K、又はNaであり、
ただし、R及びRのうちの少なくとも1つがH以外であることを条件とし、
以下の化合物が、除外される、化合物:
【化2】
【請求項2】
及びRが、異なる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、(C~C20)アルキル基、(C~C)シクロアルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から選択され、前記(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン
、ヒドロキシル、アミノ、チオール(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ、(C~C)アルキルアミノ、ハロ(C~C)アルキル、カルボキシル、及びカルボキシ(C~C)アルキルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されており、Rが、Hである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、(C~C20)アルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から選択され、前記(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン、及びヒドロキシルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、直鎖(C~C12)アルキル基、プロピン-1-イル基、又はベンジル基であり、好ましくは、パラ位において、OH、メチル、又はハロゲンで任意選択的に置換されている、請求項3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
及びRが、同一であり、好ましくは、(C~C20)アルキル基、好ましくは、直鎖(C~C12)アルキル基、及び(C~C20)アルキニル基、好ましくは、プロピニル基からなる群から選定されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
以下の化合物から選定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【化3】

【化4】

【化5】
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の調製のためのプロセスであって、以下の工程:
- 対応するイミンを得るために、アルデヒドRCHO(Rは式(I)で定義される通りである)を溶媒中のC20-エピ-アミノサリノマイシンのナトリウム塩の溶液に添加し、続いて、前記イミンを式(I)の対応するアミン化合物に還元すること、又は
- 好ましくは、溶媒中で、臭化物化合物RBr(Rは式(I)で定義される通りである)を、化合物C20-エピ-アミノサリノマイシンと反応させること、を含む、プロセス。
【請求項9】
薬物として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩と、更に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
がんを予防及び/又は処置するための使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記がんが、結腸がん、結腸直腸がん、黒色腫、骨がん、乳がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、神経膠腫、子宮頸がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、肝臓がん、膀胱がん、腎臓がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、尿路上皮がん又は副腎皮質がん腫、白血病、リンパ種、及び多発性骨髄腫からなる群から選択される、請求項12に記載の使用のための化合物。
【請求項14】
対象において、がん転移を予防するための、かつ/又はがん再発を予防するための、かつ/又は化学療法に対する耐性を減少させるための使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物であって、好ましくは、前記がんが、好ましくは、結腸がん、BRAF変異、特に、BRAF V600Eを有する結腸直腸がんなどの結腸直腸がん、黒色腫、骨がん、トリプルネガティブ乳がんなどの乳がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、膠芽腫などの神経膠腫、子宮頸がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、肝臓がん、膀胱がん、腎臓がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、尿路上皮がん又は副腎皮質がん腫、急性骨髄性白血病などの白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫からの、固形がん及び非固形がんから選択される、化合物。
【請求項15】
製品であって、
a)請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物と、
b)少なくとも1つの追加の療法であって、
対象であって、前記対象が、好ましくは、がんに罹患し、かつ化学療法に耐性のあるヒトである、対象において、がんを処置するための、かつ/又はがん転移を予防するための、かつ/又はがん再発を予防するための、かつ/又は前記追加の療法b)に対する耐性を減少させるための同時、別個、又は逐次的使用のための組み合わせ製品としての、少なくとも1つの追加の療法と、を含み、
前記追加の療法b)が、好ましくは、免疫療法、化学療法、及び/又は放射線療法である、製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サリノマイシン(salinomycin)の新規の窒素含有誘導体、とりわけ、がんの処置のための、療法におけるそれらの合成及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化学療法及び放射線療法に対する耐性は、がんの処置の成功における主要な障害のままである。死滅していないがん細胞の一部が変異し耐性になり得るか、処置を無効にするタンパク質の過剰発現をもたらす遺伝子増幅が起こり得るか、又はがん細胞が処置を不活性化する機構を発達させ得るなどの、多くの理由により、がん処置中に耐性が起こり得る。
【0003】
がん幹細胞(cancer stem cell、CSC)は、従来の療法剤に対して難治性であることが示されており、転移を促進する場合があり、がん再発に関連付けられている。サリノマイシンは、CSCを選択的に死滅させることができる。サリノマイシン誘導体は、リソソーム中に蓄積し、この細胞小器官中で鉄を隔離する。結果として、鉄の蓄積は、活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)の産生及びリソソーム膜透過化につながり、これは次に、フェロトーシス(最近特徴付けられた細胞死機構、すなわち、鉄に依存し、ROSによって媒介される)による細胞死を促進する。したがって、CSCにおける鉄恒常性が重要である。この機構は、次世代療法薬の開発に向けた機会を生み出す。
【0004】
サリノマイシンは、薬物耐性がん細胞株の処置における強力な抗増殖薬である。しかしながら、この分子は、細胞内でのその分解に関与するカルボキシルラジカルを含む。
【0005】
したがって、腫瘍組織に特異的でありながら効率的である新規かつ効率的な抗がん薬の開発が必要とされている。特に、がん幹細胞及び療法耐性がん細胞の両方を死滅させることができる新規かつ効率的な抗がん薬が必要とされている。
【0006】
リソソーム鉄を標的とすることができ、療法耐性がん細胞の細胞死も誘導する新しい分子も必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、リソソーム鉄を標的とすることができ、かつ療法耐性がん細胞の細胞死を誘導することもできる、サリノマイシン誘導体を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、抗がん活性を有し、好ましくは、がん幹細胞及び療法耐性がん細胞の両方を死滅させることができる、サリノマイシン誘導体を提供することである。
【0009】
したがって、本発明は、式(I)を有する化合物に関し、
【0010】
【化1】

式中、
- R及びRが、同一であるか、又は異なり、H、(C~C20)アルキル基、(C~C)シクロアルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から独立して選定され、当該(C~C10)アリールが、アミノ、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ、(C~C)アルキルアミノ、ハロ(C~C)アルキル、カルボキシル、及びカルボキシ(C~C)アルキルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されており、
- Xが、H、K、又はNaであり、
ただし、R及びRのうちの少なくとも1つがH以外であることを条件とし、
以下の化合物が、除外される:
【0011】
【化2】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の定義は、本明細書において本発明を説明するために使用される様々な用語の意味及び範囲を例解及び定義するために記載される。
【0013】
表現「C~C」は、t~z個の炭素原子を有することができる炭素系鎖を意味し、例えば、C~Cは、1~3個の炭素原子を有することができる炭素系鎖を意味する。
【0014】
「アルキル基」という用語は、別途言及されない限り、1~20個の炭素原子、好ましくは、1~15個、より好ましくは、3~10個又は1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素系脂肪族基を意味する。例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、オクチル、又はドデシル基、及び好ましくは、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、又はドデシル基を挙げることができる。
【0015】
「アリール基」という用語は、6~10個の炭素原子を含む環状芳香族基を意味する。アリール基の例として、フェニル基又はナフチル基を挙げることができる。
【0016】
「シクロアルキル基」という用語は、別途言及されない限り、3~6個の炭素原子を含む環状炭素系基を意味する。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの基を挙げることができる。好ましくは、(C~C)シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0017】
本明細書で採用される「アルキニル」という用語は、2~20個の炭素、好ましくは、2~6個の炭素を有し、少なくとも1つの三重結合を含む不飽和非芳香族炭化水素基を含む。好ましくは、アルキン基は、直鎖である。好ましくは、アルキニル基は、-(CH-C≡CH基であり、nが、1~4で構成される整数である。
【0018】
好ましくは、アルキニル基は、2~10個の炭素原子、好ましくは、2~6個の炭素原子を含む。好ましくは、アルキニル基は、3個の炭素原子を含む。好ましくは、アルキニルは、プロピニルである。
【0019】
アルキル基がアリール基で置換されている場合、「アリールアルキル」又は「アラルキル」ラジカルという用語が使用される。「アリールアルキル」又は「アラルキル」ラジカルは、アリール-アルキル-ラジカルであり、アリール及びアルキル基は、上で定義された通りである。アリールアルキルラジカルの中でも、特に、ベンジル又はフェネチルラジカルを挙げることができる。
【0020】
好ましくは、本発明によるアリールアルキルは、基-(CH-アリールであり、式中、nが、1~5の整数であり、アリールは、上で定義された通りである。
【0021】
アリールは、アミノ(-NH)、ヒドロキシル(-OH)、チオール(-SH)、ハロゲン、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ、(C~C)アルキルアミノ、ハロ(C~C)アルキル、カルボキシル、及びカルボキシ(C~C)アルキルからなる群から選定される少なくとも1つの置換基によって置換されていてもよい。
【0022】
好ましくは、アリールは、ヒドロキシル基、(C~C20)アルキル基、好ましくは、(C~C)アルキル基、及びハロゲンからなる群から選定される少なくとも1つの置換基によって置換されていてもよい。
【0023】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
【0024】
本発明によれば、「アルコキシ」という用語は、-O-アルキルラジカルを意味し、ここで、アルキル基は、先に定義された通りである。例として、-O-(C~C)アルキル基、及び特に、-O-メチル基、-O-エチル基、-O-プロピル基、-O-イソプロピル基、-O-ブチル基、-O-イソブチル基、又は-O-tert-ブチル基を挙げ
ることができる。
【0025】
本発明によれば、「アルキルアミノ」という用語は、-NH-アルキル基を意味し、アルキル基は、上で定義された通りである。
【0026】
本発明によれば、「アルキルチオ」という用語は、-S-アルキル基を意味し、アルキル基は、上で定義された通りである。
【0027】
本発明によれば、「ハロアルキル」という用語は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲン原子で置き換えられている、上で定義されたアルキル基を意味する。例として、フルオロアルキル、特に、CF又はCHFを挙げることができる。
【0028】
本発明によれば、「カルボキシアルキル」という用語は、HOOC-アルキル基を意味し、アルキル基は、上で定義された通りである。カルボキシアルキル基の例としては、特に、カルボキシメチル又はカルボキシエチルを挙げることができる。
【0029】
本発明によれば、「カルボキシル」という用語は、COOH基を意味する。
【0030】
好ましくは、アリールは、好ましくは、パラ位において、ヒドロキシル基、メチルなどの(C~C)アルキル基、及びF又はClなどのハロゲンから選定される少なくとも1つの基によって置換されている。好ましくは、アラルキル基は、置換されていないか、又は好ましくは、パラ位において、ヒドロキシル基、メチルなどの(C~C)アルキル基、及びF又はClなどのハロゲンから選定される少なくとも1つの基によって置換されているベンジルである。
【0031】
上述のように、R及びRは、同時にHではない。したがって、RがHである場合、RはH以外であり、RがHである場合、RはH以外である。
【0032】
一実施形態によれば、式(I)において、R及びRは、異なる。
【0033】
一実施形態によれば、式(I)において、Rは、(C~C20)アルキル基、(C~C)シクロアルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から選択され、当該(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、チオール(C~C)アルコキシ、(C~C)アルキルチオ、(C~C)アルキルアミノ、ハロ(C~C)アルキル、カルボキシル、及びカルボキシ(C~C)アルキルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されており、Rは、Hである。
【0034】
一実施形態によれば、式(I)において、Rが、(C~C20)アルキル基、(C~C)シクロアルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から選択され、当該(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン、及びヒドロキシルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されており、Rは、Hである。
【0035】
したがって、本発明による化合物の好ましい群は、式(II)を有する化合物からなり、
【0036】
【化3】

及びXは、上で定義された通りである。
一実施形態によれば、式(I)又は(II)において、Xは、Hである。
一実施形態によれば、式(I)又は(II)において、Xは、Naである。
【0037】
一実施形態によれば、式(I)において、Rは、(C~C20)アルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から選択され、当該(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン、及びヒドロキシルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されており、Rは、Hである。
【0038】
好ましくは、式(II)において、Rは、(C~C20)アルキル基、(C~C20)アルキニル基、及び(C~C10)アリール(C~C)アルキル基からなる群から選択され、当該(C~C10)アリールが、(C~C)アルキル、ハロゲン、及びヒドロキシルからなる群から選択される少なくとも置換基で任意選択的に置換されている。
【0039】
一実施形態によれば、式(I)において、Rは、直鎖(C~C12)アルキル基、プロピン-1-イル基、又はベンジル基であり、好ましくは、パラ位において、ヒドロキシル、メチル、又はハロゲンで任意選択的に置換されており、Rは、Hである。
【0040】
好ましくは、式(II)において、Rは、直鎖(C~C12)アルキル基、プロピン-1-イル基、又はベンジル基であり、好ましくは、パラ位において、ヒドロキシル、メチル、又はハロゲンで任意選択的に置換されている。
【0041】
一実施形態によれば、式(I)において、R及びRは、同一である。
【0042】
この実施形態によれば、R及びRは、(C~C20)アルキル基、好ましくは、直鎖(C~C12)アルキル基、及び(C~C20)アルキニル基、好ましくは、プロピニル基からなる群から選定される。
【0043】
したがって、本発明による化合物の好ましい群は、式(III)を有する化合物からなり、
【0044】
【化4】

及びXは、上で定義された通りである。
一実施形態によれば、式(III)において、Xは、Hである。
一実施形態によれば、式(III)において、Xは、Naである。
【0045】
好ましくは、式(III)において、Rは、(C~C20)アルキル基、好ましくは、直鎖(C~C12)アルキル基、及び(C~C20)アルキニル基、好ましくは、プロピニル基からなる群から選定される。
【0046】
好ましい化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
【化7】
【0050】
実施例に示されるように、本発明の式(I)の化合物は、非がん性細胞株と比較して、様々ながんのがん性細胞株に非常に特異的である。
【0051】
更に、表1に示されるように、本発明の式(I)の化合物は、選択的である抗がん活性を示す。
【0052】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、実施例に例解されている以下のプロセスによって調製することができる。
【0053】
式(I)の化合物は、化合物C20-エピ-アミノサリノマイシン又はそのナトリウム塩から調製される。
【0054】
したがって、本発明はまた、上で定義された式(II)又は(III)の化合物の調製のためのプロセスに関し、以下の工程:
- 対応するイミンを得るために、アルデヒドRCHO(Rは上で定義された通りである)を溶媒中のC20-エピ-アミノサリノマイシンのナトリウム塩の溶液に添加し、続いて、当該イミンを式(II)若しくは(III)の対応するアミン化合物に還元すること、又は
- 好ましくは、溶媒中で、臭化物化合物RBr(Rは上で定義された通りである)を、化合物C20-エピ-アミノサリノマイシンと反応させること、を含む。
【0055】
C20-エピ-アミノサリノマイシンは、以下の式を有する。
【0056】
【化8】
【0057】
例えば、アルデヒドRCHOを、ジクロロメタンなどの溶媒中のC20-エピ-アミノサリノマイシンのナトリウム塩の溶液に添加する。次いで、溶液を、好ましくは、室温で24時間撹拌し、その後、メタノール中のNaBHCNの溶液を滴下添加した。反応混合物を更に撹拌し、次いで、溶媒を減圧下で蒸発させた。
【0058】
例えば、R=R=アルケニルの場合、化合物C20-エピ-アミノサリノマイシンを、臭化プロパルギルなどのRBrである臭化物化合物と、アセトニトリルなどの溶媒中で、好ましくは、60℃で反応させる。
【0059】
組成物及び使用
本発明はまた、薬物として使用するための、特に、式(I)又は(II)を有する上で定義された化合物に関する。
【0060】
本発明はまた、特に、式(I)若しくは(II)を有する上で定義された化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬に関する。
【0061】
本発明はまた、特に、式(I)若しくは(II)を有する上で定義された少なくとも1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩と、更に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と、を含む薬学的組成物に関する。
【0062】
抗がん使用
本発明の式(I)の化合物は、がんを予防及び/又は処置するために使用することができる。
【0063】
「予防する」とは、がんの発生を回避することを意味する。
【0064】
「処置」とは、がんの治癒的処置を意味する。治癒的処置は、がんを完全に処置する(治癒させる)又は部分的に処置する(すなわち、腫瘍成長の安定化、遅延、又は退縮を誘導する)処置として定義される。
【0065】
「対象」は、任意の対象を指し、典型的には、患者、好ましくは、免疫療法、化学療法、及び/又は放射線療法などのがんの処置を受けている対象を表す。いずれの場合でも、対象は、好ましくは、脊椎動物、より好ましくは、哺乳動物、更により好ましくは、人間である。
【0066】
「がん」とは、任意のタイプのがんを意味する。がんは、固形又は非固形であり得、例えば、結腸がん、BRAF変異(特に、BRAF V600E)を有する結腸直腸がんなどの結腸直腸がん、黒色腫、骨がん、トリプルネガティブ乳がん(すなわち、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、及び過剰なHER2タンパクについて陰性である乳がん)などの乳がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、膠芽腫などの神経膠腫、子宮頸がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、肝臓がん、膀胱がん、腎臓がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、尿路上皮がん又は副腎皮質がん腫、急性骨髄性白血病などの白血病だけでなく、リンパ腫又は多発性骨髄腫などの非固形がんから選択され得る。
【0067】
好ましくは、がんは、結腸がん、BRAF変異(特に、BRAF V600E)を有する結腸直腸がんなどの結腸直腸がん、トリプルネガティブ乳がん(すなわち、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、及び過剰なHER2タンパクについて陰性である乳がん)などの乳がん、膵臓がん、膠芽腫などの神経膠腫、急性骨髄性白血病などの白血病、リンパ腫、又は多発性骨髄腫である。
【0068】
がんは転移性がんであってもなくてもよい。典型的ながんは、第一選択化学療法に耐性のあるがんである。
【0069】
したがって、本発明は、がんを予防及び/又は処置するための使用のための、特に、式(I)、(II)、若しくは(III)を有する上で定義された化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0070】
好ましくは、がんは、結腸がん、結腸直腸がん、黒色腫、骨がん、乳がん、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、神経膠腫、子宮頸がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、肝臓がん、膀胱がん、腎臓がん、皮膚がん、胃がん、精巣がん、尿路上皮がん又は副腎皮質がん腫、白血病、リンパ種、及び多発性骨髄腫からなる群から選択される。
【0071】
本発明はまた、化学療法薬に対するがんの感受性を増加させるための少なくとも1つの式(I)の化合物の使用に関する。
【0072】
本発明の更なる目的は、化学療法薬に対するがんの耐性を減少させるための少なくとも1つの式(I)の化合物の使用である。
【0073】
本発明はまた、製品であって、
a)本発明の少なくとも1つの式(I)の化合物と、
b)少なくとも1つの追加の療法であって、
対象において、がんを処置するための、かつ/又はがん転移を予防するための、かつ/又はがん再発を予防するための、かつ/又は追加の療法b)に対する耐性を減少させるための同時、別個、又は逐次的使用のための組み合わせ製品としての、少なくとも1つの追加の療法と、を含む、製品に関する。
【0074】
本発明はまた、少なくとも1つの追加の療法と組み合わせて又は関連して、がんを予防及び/又は処置するための、本発明の少なくとも1つの式(I)の化合物の使用に関する。
【0075】
本発明は更に、少なくとも1つの追加の療法によって処置される対象においてがんを予防及び/又は処置するための、本発明の少なくとも1つの式(I)の化合物の使用に関する。本発明はまた、アジュバントがん療法として使用するための、本発明の少なくとも1つの式(I)の化合物に関する。アジュバント療法は、その有効性を最大化するために、
一次又は初期療法(「第一選択療法」)に加えて与えられる、がんを処置するための療法である。
【0076】
当該更なる療法b)は、免疫療法、化学療法、及び/又は放射線療法であり得る。好ましくは、追加の療法b)は、免疫療法及び/又は化学療法である。
【0077】
「免疫療法」とは、免疫応答を誘導、強化、又は抑制することができる療法を意味する。当該免疫療法は、好ましくは、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、成長抑制因子、ホルモン、可溶性受容体、デコイ受容体;モノクローナル又はポリクローナル抗体、単一特異性、二重特異性、又は多重特異性抗体、モノボディ、ポリボディ;ワクチン接種;又は適応特異性免疫療法から選定される。
【0078】
好ましくは、免疫療法は、ベバシズマブ(mAb、VEGF-Aを阻害する、Genentech)のような抗血管新生剤などの、モノクローナル又はポリクローナル抗体、単一特異性、二重特異性、又は多重特異性抗体、モノボディ、ポリボディ;IMC-1121B(mAb、VEGFR-2を阻害する、ImClone Systems);CDP-791(ペグ化されたDiFab、VEGFR-2、Celltech);2C3(mAb、VEGF-A、Peregrine Pharmaceuticals);VEGF-トラップ(可溶性ハイブリッド受容体VEGF-A、PIGF(胎盤成長因子)Aventis/Regeneron)から選定される。
【0079】
好ましくは、免疫療法は、モノクローナル抗体、好ましくは、抗チェックポイント抗体である。
【0080】
抗チェックポイント抗体は、PD1、PDL1、PDL2、CTLA4、BTLA、CD27、CD40、OX40、GITR(「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18」又はTNFRSF18とも呼ばれる)、CD137(4-1BB又はTNFRS9とも呼ばれる)、CD28、ICOS、IDO(インドールアミン2、3-ジオキシゲナーゼ)、B7H3(CD276とも呼ばれる)、KIR2DL2(キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL2とも呼ばれる)、NKG2(C型レクチン受容体のファミリー)、LAG3(リンパ球活性化遺伝子-3とも呼ばれる)、及びCD70から選定され得る免疫チェックポイントに対して方向付けされた抗体を含む。好ましくは、抗チェックポイント抗体は、抗PD1、抗PDL1、抗PDL2、又は抗CTLA4抗体である。抗PD1抗体は、ニボルマブ及びペンブロリズマブを含む。抗CTLA4抗体は、イピリムマブ及びトレメリムマブを含む。
【0081】
「化学療法」又は「化学療法剤」は、がんの処置に使用され、ヒトにおける新生物、特に、悪性(がん性)病変の発達又は進行を阻害する機能特性を有する化合物を指す。
【0082】
化学療法剤は、例えば、DNA又はRNAのいずれかに影響し、細胞周期複製を妨害することによって、異なる作用様式を有する。
【0083】
DNAレベル又はRNAレベルで作用する化学療法剤の例は、
- アザチオプリン、シタラビン、リン酸フルダラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、シタラビン、クラドリビン、カペシタビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びヒドロキシ尿素などの代謝拮抗剤;
- メルファラン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカラバジン(Dacarabazine)、フォテムスチン、プロカルバジン、クロラムブシル、チオテパ、ロムスチン、テモゾロミドなどのアルキル化剤;
- ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセルなどの抗有糸分裂剤;
- ドキソルビシン、アムサクリン、イリノテカン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、イダルビシン、テニポシド、エトポシド、トポテカンなどのトポイソメラーゼ阻害薬;
- アクチノマイシン及びブレオマイシンなどの抗生物質;
- アスパラギナーゼ;
- アントラサイクリン又はタキサンである。
【0084】
他の化学療法剤は、チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor、TKI)である。多くのTKIは、様々なタイプのがんの処置のために開発の後期及び初期段階にある。例示的なTKIとしては、BAY 43-9006(Sorafenib、Nexavar(登録商標))及びSU11248(スニチニブ、Sutent(登録商標))、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標)、Novartis);ゲフィチニブ(Iressa(登録商標)、AstraZeneca);エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標)、Genentech);バンデタニブ(Zactima(登録商標)、AstraZeneca)、チピファルニブ(Tipifarnib)(Zarnestra(登録商標)、Janssen-Cilag);ダサチニブ(Sprycel(登録商標)、Bristol Myers Squibb);ロナファルニブ(Lonafarnib)(Sarasar(登録商標)、Schering Plough);コハク酸バタラニブ(Novartis、Schering AG);ラパチニブ(Tykerb(登録商標)、GlaxoSmithKline);ニロチニブ(Novartis);レスタウルチニブ(Lestaurtinib)(Cephalon);パゾパニブ塩酸塩(GlaxoSmithKline);アキシチニブ(Pfizer);カネルチニブ(Canertinib)二塩酸塩(Pfizer);ペリチニブ(Pelitinib)(National Cancer Institute、Wyeth);タンズチニブ(Tandutinib)(Millennium);ボスチニブ(Wyeth);セマキサニブ(Semaxanib)(Sugen、Taiho);AZD-2171(AstraZeneca);VX-680(Merck、Vertex);EXEL-0999(Exelixis);ARRY-142886(Array BioPharma、AstraZeneca);PD-0325901(Pfizer);AMG-706(Amgen);BIBF-1120(Boehringer Ingelheim);SU-6668(Taiho);CP-547632(OSI);(AEE-788(Novartis);BMS-582664(Bristol-Myers Squibb);JNK-401(Celgene);R-788(Rigel);AZD-1152 HQPA(AstraZeneca);NM-3(Genzyme Oncology);CP-868596(Pfizer);BMS-599626(Bristol-Myers Squibb);PTC-299(PTC Therapeutics);ABT-869(Abbott);EXEL-2880(Exelixis);AG-024322(Pfizer);XL-820(Exelixis);OSI-930(OSI);XL-184(Exelixis);KRN-951(Kirin Brewery);CP-724714(OSI);E-7080(Eisai);HKI-272(Wyeth);CHIR-258(Chiron);ZK-304709(Schering AG);EXEL-7647(Exelixis);BAY-57-9352(Bayer);BIBW-2992(Boehringer Ingelheim);AV-412(AVEO);YN-968D1(Advenchen Laboratories);スタウロスポリン(Staurosporin)、ミドスタウリン(PKC412、Novartis);ペリホシン(Perifosine)(AEterna Zentaris、Keryx、National Cancer Institute);AG-024322(Pfizer);AZD-1152(AstraZeneca);ON-01910Na(Onconova);並びにAZD-0530(AstraZeneca)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書ではまた、(i)がんを予防又は処置するための方法、(ii)化学療法剤に対するがんの感受性を増加させるための方法、及び(iii)化学療法薬に対するがんの耐性を減少させるための方法が説明されており、当該方法の各々が、それを必要とする対象に、上記で定義された有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物を、好ましくは、化学療法薬と一緒に投与することを含む。
【0086】
本発明の式(I)の化合物は、好ましくは、治療有効量又は用量で投与される。本明細書で使用される場合、「治療有効量又は用量」は、対象、好ましくは、人間において、疾患を予防、除去、減速するか、又は当該疾患によって引き起こされるか若しくはそれに関連付けられる1つ若しくはいくつかの症状若しくは障害を低減若しくは遅延させる、本発明の化合物の量を指す。本発明の化合物及びその薬学的組成物の有効量、並びにより一般に、投薬計画は、当業者によって決定及び適合され得る。有効用量は、従来技術の使用によって、及び類似の状況下で得られた結果を観察することによって決定され得る。本発明の化合物の治療有効量は、処置又は予防される疾患、その重症度、投与経路、関与する任意の併用療法、患者の年齢、体重、一般的病状、病歴などに依存して変動するであろう。
【0087】
典型的には、患者に投与される化合物の量は、ヒト患者の体重の約0.01~500mg/kgの範囲であり得る。特定の実施形態では、本発明による薬学的組成物は、0.01mg/kg~300mg/kg、好ましくは、0.01mg/kg~3mg/kg、例えば、25~300mg/kgの本発明の化合物を含む。
【0088】
特定の態様では、本発明の化合物は、非経口経路、局所経路、経口経路、又は静脈内注射によって対象に投与することができる。本発明の化合物又はナノ粒子は、連続して数日間、例えば、連続して2~10日間、好ましくは、連続して3~6日間、毎日(例えば、1日に1、2、3、4、5、6、又は7回)対象に投与され得る。当該処置は、1、2、3、4、5、6、若しくは7週間、又は2若しくは3週間毎、又は1、2、若しくは3ヶ月間毎に繰り返され得る。代替的に、いくつかの処置サイクルを、任意選択的に、2つの処置サイクルの間、例えば、1、2、3、4、又は5週間の休止期間を設けて実施することができる。本発明の化合物は、例えば、週に1回、2週間毎に1回、又は月に1回の単回用量として投与することができる。処置は、1年に1回又は数回繰り返すことができる。
【0089】
用量は、当業者によって決定され得る適切な間隔で投与される。選定される量は、投与経路、投与期間、投与時間、化合物又は当該化合物と組み合わせて使用される様々な製品の排出速度、患者の年齢、体重、及び健康状態、並びに彼/彼女の病歴、並びに医学において既知の任意の他の情報を含む複数の因子に依存するであろう。
【0090】
投与経路は、経口、局所、又は非経口、典型的には、直腸、舌下、鼻腔内、腹腔内(intra-peritoneal、IP)、静脈内(intra-venous、IV)、動脈内(intra-arterial、IA)、筋肉内(intra-muscular、IM)、小脳内、髄腔内、腫瘍内、及び/又は皮内であり得る。薬学的組成物は、上述の経路うちの1つ又はいくつかに適合される。薬学的組成物は、好ましくは、好適な滅菌溶液の注射若しくは静脈内注入によって、又は消化管を介した液体若しくは固体用量の形態で投与される。
【0091】
本発明はまた、薬学的に許容される媒体中に本発明による少なくとも1つの式(I)の
化合物を含む組成物に関する。そのような組成物は、薬学的に許容される媒体(又は担体)を含む。
【0092】
担体は、製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」でなければならない。
【0093】
薬学的組成物は、薬学的に適合性の溶媒中の溶液として、又は好適な薬学的溶媒若しくはビヒクル中のゲル、油、エマルジョン、懸濁液、若しくは分散液として、又は当技術分野で既知の方法で、場合によっては、持続放出及び/又は遅延放出を提供する剤形若しくはデバイスを通して固体ビヒクルを含有する丸薬、錠剤、カプセル剤、粉末剤、坐剤などとして、製剤化することができる。このタイプの製剤については、セルロース、脂質、カーボネート、又はデンプンなどの薬剤が有利に使用される。
【0094】
製剤(液体及び/又は注射可能及び/又は固体)に使用することができる薬剤又はビヒクルは、賦形剤又は不活性ビヒクル、すなわち、薬学的に不活性かつ非毒性のビヒクルである。
【0095】
例えば、薬学的使用に適合し、当業者に既知の生理食塩水、生理学的な等張溶液及び/又は緩衝溶液を挙げることができる。組成物は、分散剤、可溶化剤、安定剤、保存剤などから選定される1つ以上の薬剤又はビヒクルを含有し得る。
【0096】
特定の例は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリン、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、リポソーム、植物油又は動物性のもの、アカシアなどである。好ましくは、植物油が使用される。
【0097】
経口投与に好適な本発明の製剤は、各々が所定の量の活性成分を含有するカプセル剤、サシェ剤、錠剤、又はトローチ剤;粉末又は顆粒の形態;水性液体若しくは非水性液体中の溶液又は懸濁液の形態;又は水中油型エマルジョン若しくは油中水型エマルジョンの形態、としての個別単位の形態にあってもよい。
【0098】
非経口投与に好適な製剤は、好都合には、好ましくは、レシピエントの血液と等張である活性成分の滅菌油性又は水性の調製物を含む。そのような製剤はいずれも、例えば、安定剤、酸化防止剤、結合剤、染料、乳化剤、又は香味物質などの他の薬学的に適合性の非毒性補助剤を含有することもできる。
【0099】
ここで、本発明は、以下の実施例によって例解される。
【0100】
この研究は、欧州連合のホライズン2020研究及びイノベーションプログラム助成金番号647973、Charles Defforey基金-Institut de France、Ligue Contre le Cancer(Equipes Labellisees)の下で、European Research Councilによる資金提供によるものであった。
【0101】
実施例
実施例1:サリノマイシンの一置換及び二置換C20-エピ-アミン類似体の調製
【0102】
【化9】
【0103】
C20-エピ-アミノサリノマイシン類似体のナトリウム塩の調製のための一般手順
工程1.C1官能基のブロッキング
氷浴中の50mLのCHCl中のサリノマイシン(3.00g、1.0当量)の撹拌溶液に、DMAP(2.38g、5.0当量)、TMSEtOH(2.77g、6.0当量)、及びTCFH(1.31g、1.2当量)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。CombiFlashシステム(0→40%EtOAc/n-ヘキサン)を使用するシリカゲル上での精製により、反応の生成物を黄色油状物として得た(1.70g、50%の収率)。
【0104】
工程2.ワンポットMitsunobu/Staudinger反応
氷浴中の20mLの無水THF中のサリノマイシン-EtTMSエステル(1.70g、1.0当量)の溶液に、PPh(784mg、1.5当量)を添加した。20分後、DIAD(481mg、1.2当量)を混合物にゆっくりと添加し、続いてDPPA(605mg、1.1当量)を添加した。溶液を室温で24時間撹拌した。この時間の後、PPh(1.57g、3.0当量)を一度に添加し、続いて0.5mLの水を添加した。混合物を室温で更に24時間撹拌し、反応の進行をTLCによって監視した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。CombiFlashシステム(0→50%アセトン/CHCl)を使用するシリカゲル上での精製により、反応の生成物を黄色油状物として得た(716mg、42%の収率)。
【0105】
工程3.C1官能基のブロッキング解除
C20-エピ-アミノサリノマイシンのC1-EtTMSエステル(716mg、1.0当量)を15mLの無水THFに室温で溶解した。次いで、THF(2.53mL、3.0当量)中のTBAFの1.0M溶液を滴下添加した。溶液を室温で更に24時間撹拌したままにした。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。CombiFlashシステム(0→50%アセトン/CHCl)を使用するシリカゲル上での精製によって、反応
の生成物を黄色油状物として得た。次いで、生成物をCHClに溶解し、NaCOの0.1M溶液で洗浄した。分離した有機層を減圧下で濃縮した。次いで、残渣をn-ペンタンとともに数回蒸発させて、C20-エピ-アミノサリノマイシンのナトリウム塩を白色非晶質固体として定量的に得た(648mg)。
【0106】
サリノマイシンのC20-エピ-アミン類似体(X=Naである式(I)の化合物)の調製のための一般手順
5mLのCHCl中のC20-エピ-アミノサリノマイシンのナトリウム塩(100mg、0.13mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、対応するアルデヒドを添加した(一置換類似体については1.0当量、又は二重置換類似体については5.0当量)。溶液を室温で24時間撹拌し、その時間の後、2mLのMeOH中のNaBHCN(10mg、0.16mmol、1.2当量)の溶液を滴下添加した。反応混合物を更に30分間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させた。CombiFlashシステムを使用するシリカゲル上での濾過した残渣の精製により、対応する反応の生成物を白色非晶質固体として得た。
【0107】
実施例1.1:化合物(1)の調製:
【0108】
【化10】

収量:35mg、70%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:60%アセトン/CHCl中0.57。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.31(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.12(d、J=10.8Hz、1H)、4.29(q、J=6.8Hz、1H)、4.12(d、J=10.4Hz、1H)、3.77(dt、J=13.8、6.9Hz、1H)、3.64(dd、J=10.1、2.1Hz、1H)、3.60(d、J=10.2Hz、1H)、3.37(dd、J=11.9、2.1Hz、1H)、2.86(d、J=5.6Hz、1H)、2.81-2.73(m、2H)、2.72-2.68(m、1H)、2.67-2.57(m、2H)、2.00-0.50(m、60H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.4、184.1、129.9、122.7、110.1、99.7、89.2、76.4、76.3、75.5、75.1、71.8、70.2、67.7、56.1、55.5、51.6、50.9、42.8、40.7、39.5、37.5、36.5、33.4、33.1、33.0、29.8、28.6、28.3、27.4、24.2、21.4、20.6、17.9、17.3、16.5、16.4、15.1、13.5、12.8、12.4、11.0、7.0、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3319(br、m)、2963(s)、2935(s)、2875(m)、1714(s)、1568(s)、1460(s)、1407(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4475NO10Naについての計算値880.5283;実測値880.5270。[M-Na+2H]4476NO10 についての計算値778.5464;実測値778.5460。
【0109】
実施例1.2:化合物(2)の調製:
【0110】
【化11】

収量:35mg、66%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:66%EtOAc/n-ヘキサン中0.23。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.27(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.08(d、J=10.8Hz、1H)、4.28(q、J=6.7Hz、1H)、4.11(d、J=10.2Hz、1H)、3.78(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.64(dd、J=16.6、6.3Hz、2H)、2.97-2.87(m、2H)、2.79-2.68(m、2H)、2.68-2.61(m、2H)、2.11-2.04(m、2H)、2.00-0.50(m、61H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.6、184.1、130.3、122.0、110.4、99.6、89.22、76.5、76.4、75.4、75.1、71.8、70.2、67.8、56.1、53.3、51.6、50.9、47.6、40.7、39.5、37.7、36.5、33.3、33.2、33.0、30.0、28.6、28.2、27.5、24.8、24.1、23.2、21.3、20.6、17.9、17.4、16.6、15.1、13.5、12.8、12.4、11.0、7.1、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3289(br、m)、2962(s)、2933(s)、2874(m)、1713(s)、1660(w)、1568(s)、1459(s)、1407(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4577NO10Naについての計算値814.5440;実測値814.5426。[M-Na+2H]4578NO10 についての計算値792.5620;実測値792.5619。
【0111】
実施例1.3:化合物(3)の調製:
【0112】
【化12】

収量:36mg、68%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:66%EtOAc/n-ヘキサン中0.29。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.31(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.11(d、J=10.8Hz、1H)、4.29(q、J=6.7Hz、1H)、4.12(d、J=10.4Hz、1H)、3.78(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.64(dd、J=9.9、1.8Hz、1H)、3.60(d、J=10.2Hz、1H)、3.37(dd、J=11.9、2.1Hz、1H)、2.84(d、J=5.6Hz、1H)、2.80-2.69(m、3H)、2.68-2.62(m、1H)、2.60-2.52(m、1H)、2.00-0.50(m、64H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.4、184.1、130.0、122.6、110.1、99.7、89.2、76.5、76.3、75.5、75.1、71.8、70.2、67.7、56.1、55.8、51.6、50.9、48.27、40.7、39.4、37.5、36.5、33.5、33.4、33.2、33.0、29.8、28.6、28.3、27.4、24.2、21.4、20.8、20.6、17.9、17.3、16.5、15.1、14.3、13.5、12.8、12.4、11.0、7.0、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3288(br、m)、2960(s)、2931(s)、2873(m)、1713(s)、1661(w)、1567(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4679NO10Naについての計算値828.5596;実測値828.5577。[M-Na+2H]4680NO10 についての計算値806.5777;実測値806.5772。
【0113】
実施例1.4:化合物(4)の調製:
【0114】
【化13】

収量:40mg、74%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:66%EtOAc/n-ヘキサン中0.50。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.35(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.15(d、J=10.8Hz、1H)、4.33(q、J=6.8Hz、1H)、4.16(d、J=9.4Hz、1H)、3.81(dd、J=11.1、4.9Hz、1H)、3.72-3.60(m、2H)、3.41(dd、J=12.0、2.1Hz、1H)、2.85(d、J=5.6Hz、1H)、2.82-2.73(m、2H)、2.72-2.65(m、1H)、2.62(dd、J=11.3、6.7Hz、1H)、2.41(dd、J=11.3、6.6Hz、1H)、2.15-2.09(m、2H)、2.05-0.50(m、62H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.3、184.1、130.0、122.5、110.2、99.7、89.2、76.4、76.3、75.5、75.0、71.8、70.2、67.7、56.7、56.0、56.0、51.6、50.8、40.8、39.4、37.6、36.5、33.4、33.2、33.0、29.8、29.7、28.6、28.3、27.4、24.2、21.3、20.8、20.7、20.5、17.9、17.4、16.5、15.1、13.5、12.8、12.4、11.0、7.0、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3289(br、m)、2960(s)、2931(s)、2874(m)、1713(s)、1660(w)、1568(s)、1459(s)、1407(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4679NO10Naについての計算値828.5596;実測値828.5578。[M-Na+2H]4680NO10 についての計算値806.5777;実測値806.5771。
【0115】
実施例1.5:化合物(5)の調製:
【0116】
【化14】

収量:45mg、82%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:66%EtOAc/n-ヘキサン中0.30。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.23(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.03(d、J=10.8Hz、1H)、4.21(q、J=6.7Hz、1H)、4.04(d、J=10.4Hz、1H)、3.70(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.62-3.49(m、2H)、3.29(dd、J=11.9、2.1Hz、1H)、2.76(d、J=5.6Hz、1H)、2.71-2.60(m、1H)、2.60-2.53(m、3H)、2.48(ddd、J=11.3、7.5、6.4Hz、1H)、2.02-1.96(m、2H)、1.90-0.50(m、64H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.4、184.1、130.0、122.6、110.1、99.7、89.2、76.5、76.3、75.5、75.1、71.8、70.2、67.7、56.1、55.8、51.6、50.9、48.6、40.7、39.5、37.5、36.5、33.4、33.2、33.0、31.1、29.9、29.8、28.6、28.3、27.5、24.2、23.1、21.4、20.6、17.9、17.4、16.6、15.1、14.4、13.5、12.8、12.4、11.0、7.0、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3292(br、m)、2961(s)、2932(s)、2873(m)、1713(s)、1660(w)、1567(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4781NO10Naについての計算値842.5753;実測値842.5728。[M-Na+2H]4782NO10 についての計算値820.5933;実測値820.5925。
【0117】
実施例1.6:化合物(6)の調製:
【0118】
【化15】

収量:37mg、70%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:66%EtOAc/n-ヘキサン中0.31。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.31(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.11(d、J=10.7Hz、1H)、4.29(q、J=6.7Hz、1H)、4.12(d、J=10.3Hz、1H)、3.78(dd、J=11.0、4.9Hz、1H)、3.64(dd、J=10.0、1.7Hz、1H)、3.60(d、J=10.1Hz、1H)、3.37(dd、J=11.9、1.7Hz、1H)、2.84(d、J=5.6Hz、1H)、2.79-2.69(m、3H)、2.68-2.62(m、1H)、2.56(dt、J=11.3、6.8Hz、1H)、2.08-2.02(m、2H)、2.00-0.50(m、66H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ217.8、183.5、129.4、122.0、109.5、99.1、88.6、75.9、75.7、74.9、74.5、71.2、69.6、67.1、55.5、55.2、51.0、50.3、48.0、40.1、38.9、36.9、35.9、32.8、32.6、32.4、31.7、30.7、29.2、28.0、27.7、26.9、26.8、23.6、22.6、20.8、20.0、17.3、16.8、16.0、14.5、13.8、12.9、12.3、11.8、10.4、6.5、6.20ppm。
FT-IR(KBr):3297(br、m)、2958(s)、2930(s)、2872(m)、2858(m)、1714(s)、1668(w)、1565(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4883NO10Naについての計算値856.5909;実測値856.5889。[M-Na+2H]4884NO10 についての計算値834.6090;実測値834.6084。
【0119】
実施例1.7:化合物(7)の調製:
【0120】
【化16】

収量:60mg、85%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:66%EtOAc/n-ヘキサン中0.40。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.31(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.11(d、J=10.8Hz、1H)、4.28(dd、J=13.5、6.7Hz、1H)、4.12(d、J=10.4Hz、1H)、3.77(dd、J=11.1、4.7Hz、1H)、3.64(dd、J=10.1、2.0Hz、1H)、3.59(d、J=10.2Hz、1H)、3.37(dd、J=11.9、2.1Hz、1H)、2.83(d、J=5.6Hz、1H)、2.79-2.73(m、1H)、2.74-2.68(m、2H)、2.68-2.61(m、1H)、2.55(ddd、J=11.3、7.4、6.3Hz、1H)、2.10-2.03(m、2H)、2.00-0.50(m、78H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.1、183.9、129.8、122.4、109.9、99.5、89.0、76.2、76.0、75.3、74.8、71.6、70.0、67.4、55.8、55.5、51.4、50.6、48.3、40.5、39.2、37.3、36.3、33.2、32.9、32.8、32.3、31.2、30.03、30.01、30.00、29.9、29.7、29.6、28.4、28.1、27.5、27.2、24.0、23.1、21.1、20.3、17.7、17.2、16.3、14.9、14.3、13.3、12.6、12.2、10.8、6.8、6.6ppm、1つのシグナルが重複していた。
FT-IR(KBr):3288(br、m)、2960(s)、2927(s)、2854(m)、1713(s)、1568(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]5495NO10Naについての計算値940.6848;実測値940.6829。[M-Na+2H]5496NO10 についての計算値918.7029;実測値918.7024。
【0121】
実施例1.8:化合物(8)の調製:
【0122】
【化17】

収量:41mg、76%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:33%EtOAc/n-ヘキサン中0.42。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.28(dd、J=11.0、1.6Hz、1H)、5.98(dd、J=11.0、4.2Hz、1H)、4.22(q、J=6.7Hz、1H)、4.11(d、J=10.2Hz、1H)、3.79(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.63(d、J=10.1Hz、2H)、3.38(dd、J=12.0、2.1Hz、2H)、2.75(td、J=11.2、3.3Hz、1H)、2.69-2.64(m、2H)、2.56-2.43(m、3H)、2.31(dq、J=13.4、6.7Hz、2H)、2.20-0.50(m、61H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.4、183.7、125.6、123.9、110.9、98.1、87.3、76.1、75.8、75.1、74.9、71.2、69.5、67.1、56.4、55.7、51.0、50.1、44.4、40.4、38.6、36.7、35.9、33.0、32.6、32.4、29.8、28.0、27.6、26.9、23.6、21.1、19.9、17.3、16.8、15.7、14.6、13.7、12.8、12.2、12.0、10.4、6.5、6.2ppm。
FT-IR(KBr):3300(br、m)、2962(s)、2933(s)、2874(m)、1714(s)、1566(s)、1458(s)、1405(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4679NO10Naについての計算値828.5596;実測値828.5582。[M-Na+2H]4680NO10 についての計算値806.5777;実測値806.5774。
【0123】
実施例1.9:化合物(9)の調製:
【0124】
【化18】

収量:45mg、79%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:33%EtOAc/n-ヘキサン中0.57。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.28(dd、J=11.0、1.7Hz、1H)、6.00(dd、J=11.0、4.2Hz、1H)、4.22(q、J=6.8Hz、1H)、4.11(d、J=10.3Hz、1H)、3.79(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.68-3.59(m、2H)、3.37(dd、J=12.0、2.1Hz、1H)、3.30(dd、J=4.2、1.8Hz、1H)、2.77-2.70(m、1H)、2.69-2.63(m、2H)、2.52-2.41(m、1H)、2.40-2.25(m、4H)、2.00-0.50(m、65H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ219.0、184.2、126.3、124.4、111.6、98.7、87.9、76.7、76.4、75.6、75.4、71.8、70.0、67.7、57.9、56.3、53.7、51.6、50.8、41.1、39.2、37.3、36.5、33.6、33.3、33.0、30.4、28.6、28.2、27.5、24.1、22.2、21.7、20.5、17.9、17.5、16.3、15.2、13.4、12.8、12.6、12.1、11.0、7.1、6.7ppm。
FT-IR(KBr):3297(br、m)、2960(s)、2933(s)、2873(m)、1714(s)、1566(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4883NO10Naについての計算値856.5909;実測値856.5892。[M-Na+2H]4884NO10 についての計算値834.6090;実測値834.6089。
【0125】
実施例1.10:化合物(10)の調製:
【0126】
【化19】

収量:30mg、55%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:33%EtOAc/n-ヘキサン中0.59。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.29(dd、J=11.0、1.7Hz、1H)、6.01(dd、J=11.0、4.2Hz、1H)、4.20(q、J=6.7Hz、1H)、4.11(d、J=10.2Hz、1H)、3.79(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.66-3.60(m、2H)、3.37(dd、J=12.0、2.1Hz、1H)、3.30(dd、J=4.2、1.7Hz、1H)、2.77-2.64(m、3H)、2.51-2.35(m、3H)、2.34-2.25(m、2H)、2.00-0.50(m、69H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.9、184.2、126.1、124.4、111.6、98.7、87.9、76.9、76.4、75.6、75.3、71.8、69.9、67.6、57.7、56.3、51.6、51.4、50.8、41.1、39.2、37.4、36.5、33.6、33.3、32.9、31.5、30.2、28.6、28.2、27.5、24.2、21.7、21.2、20.5、17.9、17.5、16.3、15.2、14.5、13.4、12.9、12.6、11.0、7.1、6.7ppm。
FT-IR(KBr):3300(br、m)、2960(s)、2933(s)、2873(m)、2860(m)、1712(s)、1566(s)、1457(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]5087NO10Naについての計算値884.6222;実測値884.6212。[M-Na+2H]5088NO10 の計算値862.6403;実測値862.6410。
【0127】
実施例1.11:化合物(11)の調製:
【0128】
【化20】

収量:35mg、60%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:33%EtOAc/n-ヘキサン中0.62。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.29(dd、J=11.0、1.6Hz、1H)、6.01(dd、J=11.0、4.2Hz、1H)、4.19(q、J=6.7Hz、1H)、4.11(d、J=10.3Hz、1H)、3.79(dd、J=11.0、4.7Hz、1H)、3.69-3.60(m、2H)、3.37(dd、J=12.0、1.9Hz、1H)、3.29(dd、J=4.1、1.6Hz、1H)、2.70(tdd、J=10.3、9.3、3.1Hz、3H)、2.45(ddd、J=22.3、13.0、7.1Hz、2H)、2.39-2.25(m、3H)、2.00-0.50(m、73H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.9、184.2、126.1、124.4、111.6、98.7、87.9、77.0、76.4、75.6、75.3、71.8、69.9、67.7、57.8、56.3、51.7、51.6、50.8、41.1、39.2、37.4、36.5、33.6、33.3、32.9、30.3、30.1、29.0、28.6、28.2、27.5、24.2、23.3、21.7、20.5、17.9、17.5、16.3、15.2、14.5、13.4、12.9、12.6、11.0、7.1、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3297(br、m)、2959(s)、2931(s)、2872(m)、2860(m)、1714(s)、1567(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]5291NO10Naについての計算値912.6535;実測値912.6524;[M-Na+2H]5292NO10 についての計算値890.6716;実測値890.6724。
【0129】
実施例1.12:化合物(12)の調製:
【0130】
【化21】

収量:50mg、82%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:33%EtOAc/n-ヘキサン中0.64。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.29(dd、J=11.0、1.6Hz、1H)、6.01(dd、J=11.0、4.2Hz、1H)、4.20(q、J=6.7Hz、1H)、4.12(d、J=10.3Hz、1H)、3.78(dt、J=13.2、6.5Hz、1H)、3.68-3.59(m、2H)、3.38(dd、J=12.0、1.9Hz、1H)、3.29(dd、J=4.1、1.6Hz、1H)、2.72(ddd、J=11.4、8.5、3.4Hz、2H)、2.68-2.63(m、1H)、2.52-2.43(m、1H)、2.43-2.36(m、2H)、2.36-2.27(m、2H)、2.00-0.50(m、77H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.9、184.2、126.2、124.4、111.6、98.7、87.9、77.0、76.4、75.6、75.3、71.8、69.9、67.7、57.8、56.3、51.7、51.6、50.8、41.1、39.2、37.4、36.5、33.6、33.3、33.0、32.5、30.0、29.3、28.6、28.2、27.8、27.5、24.2、23.4、21.7、20.5、18.0、17.6、16.3、15.2、14.5、13.5、12.9、12.6、11.0 7.1、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3286(br、m)、2960(s)、2931(s)、2873(m)、2859(m)、1713(s)、1568(s)、1459(s)、1407(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]5495NO10Naについての計算値940.6848;実測値940.6839;[M-Na+2H]5496NO10 についての計算値918.7029;実測値918.7038。
【0131】
実施例1.13:化合物(13)の調製:
【0132】
【化22】

収量:21mg、45%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:33%EtOAc/n-ヘキサン中0.79。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ6.28(dd、J=11.0、1.6Hz、1H)、6.00(dd、J=11.0、4.2Hz、1H)、4.20(q、J=6.6Hz、1H)、4.11(d、J=10.3Hz、1H)、3.79(dd、J=11.0、4.6Hz、1H)、3.71-3.59(m、2H)、3.38(dd、J=12.0、1.9Hz、1H)、3.29(dd、J=4.1、1.5Hz、1H)、2.75(dd、J=11.1、3.2Hz、1H)、2.71-2.64(m、2H)、2.47(dd、J=12.5、3.6Hz、1H)、2.43-2.38(m、1H)、2.36(d、J=8.1Hz、1H)、2.34-2.25(m、2H)、2.00-0.50(m、101H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.9、184.2、126.1、124.4、111.6、98.7、87.9、76.9、76.4、75.6、75.3、71.8、69.9、67.7、57.7、56.3、51.7、51.6、50.8、41.1、39.2、37.4、36.5、33.6、33.3、32.9、32.1、30.6、30.4、30.3、30.24、30.22、30.0、29.9、29.3、28.6、28.2、28.1、27.5、24.2、23.3、21.7、20.5、17.9、17.6、16.3、15.2、14.5、13.4、12.9、12.6、11.0、7.1、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3295(br、m)、2958(s)、2926(s)、2872(m)、2854(m)、1714(s)、1566(s)、1459(s)、1405(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]66119NO10Naについての計算値1108.8726;実測値1108.8715;[M-Na+2H]66120NO10 についての計算値1086.8907;実測値1086.8920。
【0133】
実施例1.14:化合物(14)の調製:
【0134】
【化23】

収量:48mg、75%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:50%EtOAc/n-ヘキサン中0.65。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.19(d、J=4.4Hz、4H)、7.12(dt、J=5.9、4.2Hz、1H)、6.28(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.09(d、J=10.7Hz、1H)、4.18(q、J=6.7Hz、1H)、4.04(d、J=10.4Hz、1H)、3.83(d、J=12.7Hz、1H)、3.74-3.63(m、2H)、3.61-3.50(m、2H)、3.26(dd、J=11.8、1.8Hz、1H)、2.90(d、J=5.5Hz、1H)、2.73-2.65(m、1H)、2.64-2.54(m、2H)、2.00-0.50(m、57H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.4、184.1、141.5、129.3、128.8、127.3、123.1、110.0、99.7、89.3、76.5、76.3、75.5、75.0、71.8、70.2、67.7、56.1、55.1、52.5、51.6、50.9、40.7、39.4、37.6、36.5、33.4、33.1、33.0、29.7、28.6、28.3、27.4、24.2、21.3、20.5、17.8、17.4、16.5、15.1、13.5、12.9、12.4、11.0、7.0、6.8ppm。
FT-IR(KBr):3317(br、m)、2961(s)、2933(s)、2874(m)、1713(s)、1567(s)、1495(s)、1458(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4977NO10Naについての計算値862.5440;実測値862.4532。[M-Na+2H]4978NO10 についての計算値840.5620;実測値840.5628。
【0135】
実施例1.15:化合物(15)の調製:
【0136】
【化24】

収量:43mg、76%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:50%EtOAc/n-ヘキサン中0.60。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.12(td、J=7.9、1.6Hz、1H)、6.98(d、J=6.3Hz、1H)、6.77-6.72(m、2H)、6.43(dd、J=10.7、5.5Hz、1H)、6.29(d、J=10.8Hz、1H)、4.29(q、J=6.7Hz、1H)、4.13(d、J=10.5Hz、1H)、3.77(dd、J=11.1、4.8Hz、1H)、3.63(dd、J=16.2、6.0Hz、2H)、3.38(dd、J=11.9、1.9Hz、1H)、3.10(d、J=5.4Hz、1H)、2.78(dd、J=11.0、2.9Hz、1H)、2.73(dd、J=10.8、2.4Hz1H)、2.66(dd、J=10.2、7.4Hz、1H)、2.00-0.50(m、60H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ218.4、184.3、158.4、129.4、129.1、127.7、125.1、123.5、119.7、116.7、108.8、99.8、89.8、76.5、76.2、75.8、75.0、71.8、70.2、67.8、56.0、55.1、51.6、51.2、50.8、40.6、39.3、37.8、36.5、33.4、33.1、32.9、29.7、28.6、28.3、27.4、24.3、21.4、20.5、17.8、17.4、16.5、15.1、13.5、12.9、12.4、11.0、7.0、6.7ppm。
FT-IR(KBr):3433(br、m)、3320(br、m)、2953(s)、2932(s)、2872(m)、1713(s)、1563(s)、1456(s)、1428(s)、1405(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4977NO10Naについての計算値878.5389;実測値878.5381;[M-Na+2H]4979NO10 についての計算値856.5569;実測値856.5575。
【0137】
実施例1.16:化合物(16)の調製:
【0138】
【化25】

収量:51mg、89%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:50%EtOAc/n-ヘキサン中0.63。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.15(d、J=7.9Hz、2H)、7.08(d、J=8.2Hz、2H)、6.49(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.19(d、J=10.8Hz、1H)、4.39(dd、J=13.8、6.9Hz、1H)、4.24(d、J=10.3Hz、1H)、3.90(dd、J=11.0、4.9Hz、1H)、3.85(d、J=12.5Hz、1H)、3.72(dd、J=15.5、7.2Hz、2H)、3.56(d、J=10.0Hz、1H)、3.34-3.29(m、1H)、3.03(d、J=5.7Hz、1H)、2.87(td、J=11.0、3.3Hz、1H)、2.68(dd、J=11.0、2.6Hz、1H)、2.64-2.59(m、1H)、2.31(s、3H)、2.20-0.50(m、57H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ216.8、184.1、137.7、136.3、129.0、129.0、128.2、122.6、109.3、99.1、88.7、75.7、75.6、74.9、74.5、71.5、69.8、67.1、55.2、54.6、51.6、51.2、50.4、40.1、38.9、37.2、36.0、32.9、32.5、32.4、29.7、29.0、27.9、26.9、23.9、21.1、20.8、19.9、17.5、17.0、16.0、14.6、13.2、12.5、11.8、10.6、6.7、6.5ppm。
FT-IR(KBr):3295(br、m)、2961(s)、2931(s)、2874(m)、1713(s)、1567(s)、1458(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]5079NO11Naについての計算値876.5596;実測値876.5593;[M-Na+2H]5080NO11 についての計算値854.5777;実測値854.5777。
【0139】
実施例1.17:化合物(17)の調製:
【0140】
【化26】

収量:70mg、88%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:50%EtOAc/n-ヘキサン中0.67。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.22(dd、J=8.5、5.6Hz、2H)、6.95(dd、J=12.0、5.3Hz、2H)、6.48(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.20(d、J=10.8Hz、1H)、4.37(q、J=6.6Hz、1H)、4.23(d、J=10.3Hz、1H)、3.89(dd、J=11.1、4.9Hz、1H)、3.85(d、J=11.9Hz、1H)、3.74-3.68(m、1H)、3.56(d、J=10.1Hz、1H)、3.30(dd、J=11.9、1.9Hz、1H)、3.00(d、J=5.6Hz、1H)、2.87(td、J=10.9、3.1Hz、1H)、2.67(dt、J=7.1、3.6Hz、1H)、2.62(dd、J=10.2、7.4Hz、1H)、2.20-0.50(m、58H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ216.8、184.1、162.8、160.9、136.4、129.9、129.9、128.8、122.8、115.2、115.0、109.3、99.1、88.8、75.7、75.7、74.9、74.5、71.6、69.8、67.2、55.3、54.3、51.3、51.0、50.4、40.1、38.9、37.3、36.0、34.1、32.9、32.5、32.4、29.0、27.9、26.9、24.0、22.3、20.9、20.0、17.5、17.0、16.1、14.6、14.1、13.2、12.5、11.8、10.6、6.7、6.5ppm。
FT-IR(KBr):3321(br、m)、2962(s)、2932(s)、2874(m)、1713(s)、1567(s)、1510(s)、1459(s)、1406(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4976FNO10Naについての計算値880.5345;実測値880.5337;[M-Na+2H]4977FNO10 についての計算値858.5526;実測値858.5532。
【0141】
実施例1.18:化合物(18)の調製:
【0142】
【化27】

収量:34mg、58%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット。
:50%EtOAc/n-ヘキサン中0.58。株はPMAによって緑色である。
H NMR(400MHz、CDCl)δ7.18(d、J=8.8Hz、2H)、7.13(d、J=8.5Hz、2H)、6.42(dd、J=10.7、5.6Hz、1H)、6.14(d、J=10.8Hz、1H)、4.30(q、J=6.7Hz、1H)、4.17(d、J=10.2Hz、1H)、3.83(dd、J=10.6、4.2Hz、1H)、3.78(d、J=12.9Hz、1H)、3.68-3.61(m、2H)、3.49(d、J=10.1Hz、1H)、3.23(d、J=11.6Hz、1H)、2.93(d、J=5.6Hz、1H)、2.80(td、J=10.9、3.1Hz、1H)、2.61(dd、J=11.0、2.4Hz、1H)、2.55(dd、J=10.2、7.4Hz、1H)、2.20-0.50(m、57H)ppm。
13C NMR(101MHz、CDCl)δ216.8、184.2、139.1、132.5、129.7、128.7、128.4、122.8、109.2、99.0、88.8、75.7、75.6、74.9、74.5、71.5、69.8、67.1、55.2、54.3、51.2、51.0、50.4、40.1、38.8、37.3、36.0、32.9、32.5、32.4、29.7、28.9、27.9、27.9、26.9、23.9、20.8、19.9、17.5、17.0、16.0、14.6、13.2、12.5、11.8、10.6、6.7、6.5ppm。
FT-IR(KBr):3322(br、m)、2962(s)、2932(s)、2874(m)、1713(s)、1663(s)、1567(s)、1492(s)、1459(s)、1407(m)cm-1
HRMS-ESI(m/z):[M+H]4976ClNO10Naについての計算値896.5050;実測値869.5046;[M-Na+2H]4977ClNO10 についての計算値874.5231;実測値874.5238。
【0143】
実施例2:C20-エピ-ジイロノマイシン(diironomycin)の調製
【0144】
【化28】
【0145】
C20-エピ-ジイロノマイシンの合成
方法A:室温の無水MeOH(2mL)中のC20-エピ-アミノサリノマイシン(50mg、0.07mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、プロピナール(MA-I-073、新たに調製した)(8.8mg、0.16mmol、2.2当量)及び氷酢酸(2滴)を添加し、得られた混合物を4時間撹拌した。その後、無水MeOH(1mL)に溶解したNaBHCN(9.0mg、0.15mmol、2.0当量)を滴下して導入した。混合物を一晩撹拌し、次いで、溶媒を真空中で蒸発乾固させた。残留物を、C18逆相カラムを装備したHPLCを使用して精製した(勾配:ACN/HO 1/1~ACN)。反応の純粋な生成物を白色非晶質固体として得た。
【0146】
方法B:室温の無水ACN(2mL)中のC20-エピ-アミノサリノマイシン(50mg、0.07mmol、1.0当量)及びKCO(10mg、0.07mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、臭化プロパルギル(トルエン中80重量%)(28mg、0.24mmol、3.5当量)を一滴ずつ添加した。次いで、反応混合物を60℃で加熱し、更に20時間激しく撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濾液を真空中で蒸発させた。油状残留物をCHCl(10mL)に溶解し、HSOの水溶液(15mM、2×7mL)及び水(7mL)で2回抽出した。有機層を減圧下で蒸発させ、C18逆相カラムを装備したHPLCを使用してクロマトグラフィーで精製した(勾配:ACN/HO 1/1~ACN)。反応の純粋な生成物を白色非晶質固体として得た。
【0147】
C20-エピ-ジプロパルギロアミノサリノマイシン(dipropargyloaminosalinomycin)エピ-diAM5(化合物19):収量:1.4mg、3%。白色非晶質固体として単離した、NMRによる純度>95%及びTLCによる単一スポット;R:CHCl/EtOAc50%中0.70。株はPMAによって緑色である。H NMR(500MHz、CDCl)δ6.10(dd、J=10.4、1.6Hz、1H)、5.54(dd、J=10.4、2.9Hz、1H)、4.01(dd、J=8.7、8.2Hz、2H)、3.78(ddd、J=17.5、15.3、6.1Hz、4H)、3.70-3.60(m、3H)、3.57(dd、J=11.2、1.3Hz、1H)、3.46-3.40(m、1H)、3.14-2.92(m、3H)、2.85(dd、J=8.5、4.3Hz、1H)、2.77(dd、J=11.3、7.2Hz、1H)、2.34-2.26(m、2H)、2.16(dd、J=11.3、8.6Hz、1H)、2.10-0.60(m、53H)ppm;13C NMR(126MHz、CDCl)δ217.6、177.2、130.9、127.2、109.9、99.0、85.3、81.2、78.2、76.6、75.3、72.5、72.1(2C)、71.7、71.3、71.1、60.8、56.4、49.6、48.3、41.4、39.5、36.8、36.1、34.8、33.2、31.0、29.7、29.4、28.7、26.4、22.8、22.7、21.2、21.0、20.2、18.6、16.2、14.6、13.9、13.5、12.1、11.5、7.4、6.5ppm、2つのシグナルが重複していた。HRMS(ESI)m/z[M+H]4876NO10についての計算値826.5469、実測値826.5467。
【0148】
実施例3:本発明の化合物のIC50
これらの化合物を、乳がん幹細胞(HMLER)のモデル及び一致する非幹細胞(つまり、HMLER CD24high/CD44high/lowのID2)、並びにMCF10A細胞(正常な乳細胞株)に対して評価した。
【0149】
以下の表1は、対応する結果を表す。
【0150】
選択性を、IC50 ID2のIC50 HMLERに対する比として計算した。
【0151】
各IC50値を生物学的三重反復(3つの独立した生物学的実験)で決定し、各三重反復を少なくとも技術的二重反復で決定した。
【0152】
【表1】
【0153】
細胞培養
hTERT、SV40、及び発がん性対立遺伝子H-rasV12を運ぶレトロウイルスに感染したヒト乳腺上皮細胞から得られた、E-カドヘリンを自然に抑え込むHMLER細胞を、10%FBS、10μg/mLインスリン(Sigma-Aldrich、I
0516)、0.5μg/mLヒドロコルチゾン(Sigma-Aldrich、H0888)、及び0.5μg/mLピューロマイシン(Life Technologies、A11138-02)を補充したDMEM/F12(Gibco、31331-028)中で培養した。細胞は、Alain Puisieux(INSERM)からの寛大な寄贈品であった。全ての細胞を37℃、5%のCO2でインキュベートした。CD24-APC及びCD44-PE抗体で染色したHMLER CD44low/high細胞を、Aria IIu(BD Biosciences)を使用してFACSによって選別して、単離されたCD24low/CD44high及びCD24high/CD44low細胞集団を得た。HMLER CD24low/CD44high細胞に10ng/mLのヒト上皮成長因子(EGF、Miltenyi Biotec、130-093-750、100ng/mL)を補充し、一方、HMLER CD24high/CD44low細胞をEGFなしで成長させた。MCF10A細胞(ATCC、CRL-10317)を、10%ウマ血清(Invitrogen、16050-122)、10μg/mLのインスリン、10ng/mLのEGF、0.5μg/mLのヒドロコルチゾン、100ng/mLのコレラ毒素(Sigma-Aldrich、C8052)、及び1×PenStrep(Invitrogen、15070-063)を補充したDMEM/F12中で培養した。
【0154】
細胞生存率アッセイ(IC50)
細胞生存率アッセイを、96ウェルプレートにウェル当たり1000個の細胞をプレーティングすることによって行った。細胞を、製造業者のプロトコールに従って連続希釈を使用して12nM~50μM又は0.3nM~4μMの範囲で72時間処理した。非常に簡潔に言えば、処理の72時間後に、CellTiter-Blue試薬(G8081、Promega)をウェルに添加し、細胞を3時間インキュベートした後、蛍光強度(λex=560/20nm;λem=590/10nm)を、PerkinElmer Wallac 1420 Victor2マイクロプレートリーダーを使用して記録した。IC50細胞生存率曲線を、HMLER CD24low/CD44high及び同質遺伝子細胞株HMLER CD24high/CD44lowに対する合成化合物について、Prism8ソフトウェアを使用してプロットした。
【0155】
全ての誘導体を、CSC特性を欠くそれらの上皮対応物(HMLER CD24high/CD44low)と一緒に、間葉系CSC(HMLER CD24low/CD44high)の十分に確立されたモデルに対するそれらの抗増殖活性及び選択性について見積もった。これらの誘導体の大部分は、参照Sal及びイロノマイシンと比較して、間葉状態に対してより強力かつより選択的であることが見出された。具体的には、化合物6、8、及び9は、それぞれ30、3、及び9nMのIC50値を有し、それらの優れた選択性(20.0~90.0の間のSI)と一緒に、この文脈において特に興味深いものであると特定された。構造-活性相関(structure-activity relationship、SAR)に関して、本発明者らは以下を見出した:(i)Salの一置換C20-エピ-アミノ誘導体は、それらの対応する二置換対応物よりも本質的に活性である、(ii)二級アミン生成物に対して、n-ペンチル及びn-ヘキシル置換基は、間葉状態に対してより強力である、(iii)三級アミン誘導体に関しては、脂肪族鎖の伸長は、抗増殖活性の減少をもたらす、及び(iv)ベンジルモチーフのパラ位における非極性又は極性置換基の導入は、選択性を増加させる。
【国際調査報告】