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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-17
(54)【発明の名称】局所的化学物質暴露のための最適化
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241009BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241009BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/004 501
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537793
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022041514
(87)【国際公開番号】W WO2023028223
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,847
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H197JA15
2H225AF12P
2H225AF43P
2H225AF44P
2H225AF64P
2H225AM13P
2H225AM15P
2H225AM23P
2H225AM43P
2H225AN11P
2H225AN31P
2H225AN92P
2H225BA27P
(57)【要約】
微細加工方法は、基板上に第1の化学マーカを含む第1のレジストの第1の層を堆積することと、上記第1の蛍光化学マーカから上記第1の層の第1の蛍光強度を測定することと、上記第1のレジストの上記第1の層から第1のレリーフパターンを形成することと、上記第1のレリーフパターンを形成することの後に、上記第1の化学マーカから上記第1の層の第2の蛍光強度を測定することとを含む。次いで、本方法は、上記第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤を堆積することと、上記第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積することと、上記溶解性変更剤を上記第2のレジストへと拡散させて、上記第2のレジストの溶解性が変更された領域を提供することと、上記第2のレジストの上記溶解性が変更された領域が溶解されて、上記基板の一部が露出されるように上記第2のレジストを現像することと、上記第1の化学マーカから上記第1の層の第3の蛍光強度を測定することとを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1のレジストの第1の層を堆積することであって、上記第1のレジストが第1の蛍光化学マーカを含む、ことと、
上記第1の蛍光化学マーカから上記第1の層の第1の蛍光強度を測定することと、
上記第1の層の第1の蛍光強度を測定した後、上記第1のレジストの上記第1の層から第1のレリーフパターンを形成することと、
上記第1のレジストの上記第1の層から上記第1のレリーフパターンを形成した後、上記第1の化学マーカから上記第1の層の第2の蛍光強度を測定することと、
上記第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤を堆積することと、
上記第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積することと、
上記溶解性変更剤を上記第2のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、上記第2のレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、上記第2のレジストの上記溶解性が変更された領域が上記第1のレリーフパターンに隣接する、ことと、
上記第2のレジストの上記溶解性が変更された領域が溶解されて、上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間に開口を提供し、そこで上記基板の一部が露出されるように、上記第2のレジストを現像することと、
上記第2のレジストを現像した後に、上記第1の化学マーカから上記第1の層の第3の蛍光強度を測定することと
を含む微細加工方法。
【請求項2】
基板上に第1のレジストの第1の層を堆積することであって、上記第1のレジストが第1の蛍光化学マーカを含む、ことと、
上記第1の蛍光化学マーカから上記第1の層の第1の蛍光強度を測定することと、
上記第1の層の上記第1の蛍光強度を測定した後、上記第1のレジストの上記第1の層から第1のレリーフパターンを形成することと、
上記第1のレジストの上記第1の層から上記第1のレリーフパターンを形成した後、上記第1の化学マーカから上記第1の層の第2の蛍光強度を測定することと、
上記第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤を堆積することと、
上記溶解性変更剤を上記第1のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、上記第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することと、
上記第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積することと、
上記第1のレジストの上記溶解性が変更された領域が溶解されて、上記第1のレリーフパターンと上記第2のレジストとの間に開口を提供し、そこで上記基板の一部が露出されるように、上記第1のレジストを現像することと、
上記第1のレジストを現像した後に、上記第1の化学マーカから上記第1の層の第3の蛍光強度を測定することと
を含む微細加工方法。
【請求項3】
上記第2のレジストに第2の蛍光化学マーカを加えることと、
上記第2のレジストを現像する前に、上記第2の蛍光化学マーカから上記第2のレジストの蛍光強度を測定することと、
上記第2のレジストを現像した後に、上記第2の蛍光化学マーカから上記第2のレジストの蛍光強度を測定することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
絶対蛍光強度が、所定の波長について測定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
上記第1の化学マーカが色素である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
上記色素が、BODIPY色素、シアニン3色素、シアニン5色素、シアニン5.5色素、シアニン7色素、フルオレセイン色素、ローダミン色素、クマリン色素、800CW色素、BP Fluor680、BP Fluor647、BP Fluor594、BP Fluor568、BP Fluor546、BP Fluor555、BP Fluor350、BP Fluor488、BP Fluor430、BP Fluor532、4-(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾエート及び4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)4H-ピランからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記溶解性が変更された領域の限界寸法を算出することと、
所定の値の範囲外の上記溶解性が変更された領域の限界寸法を特定することと、
プロセス調整のために対応する半導体製造ツールに警告することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
上記第1のレジストの体積測定値を算出することと、
所定の値の範囲外の上記溶解性が変更された領域の体積測定値を特定することと、
対応する半導体製造ツールを調整して、上記所定の値の範囲により近い後続の体積測定値を提供することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
上記第2のレジストの体積測定値を算出することと、
所定の値の範囲外の体積測定値を特定することと、
対応する半導体製造ツールを調整して、上記所定の値の範囲により近いか又はこの範囲内である後続のウェハ上の後続の体積測定値を提供することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
上記第1のレリーフパターンを形成することが、限界寸法の較正のために較正設計レリーフパターンを形成することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
上記限界寸法が体積である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
上記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記酸発生剤が、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド、トリフェニルスルホニウムアンチオメート及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
上記酸がフッ素を含まない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
上記溶解性変更剤が、(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸;スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;及びこれらの組合せを含む、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項19】
上記溶解性変更剤が、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸、スルホンアミド、シラノール、フルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含むモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
上記溶解性変更剤が、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、デカン、イソブチルイソブチレート、イソアミルエーテル及びこれらの組合せからなる群から選択される溶媒を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項21】
上記第1のレジストが、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せからなる群から選択されるモノマーから作製されたポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項22】
上記第2のレジストが、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せからなる群から選択されるモノマーから作製されたポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は典型的には、フォトレジストとして公知である感光性膜をあるパターンの化学線放射に暴露し、その後フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いで、レリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施される場合に、基板のエッチングされない部分を覆うエッチングマスクとして作用する。次いで、加工は、材料の堆積、エッチング、アニーリング、フォトリソグラフィなどの追加工程を継続し、トランジスタ又は集積回路を製造するまで様々な工程が繰り返され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択物を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0003】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、基板上に第1のレジストの第1の層を堆積することであって、第1のレジストが第1の蛍光化学マーカを含む、ことと、第1の蛍光化学マーカから第1の層の第1の蛍光強度を測定することと、第1の層の第1の蛍光強度を測定した後、第1のレジストの第1の層から第1のレリーフパターンを形成することと、第1のレリーフパターンを形成した後に、第1の化学マーカから第1の層の第2の蛍光強度を測定することとを含む微細加工方法に関する。次いで、本方法は、第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤を堆積することと、第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積することと、溶解性変更剤を第2のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、第2のレジストの溶解性が変更された領域を提供することであって、第2のレジストの溶解性が変更された領域が第1のレリーフパターンに隣接する、ことと、第2のレジストの溶解性が変更された領域が溶解されて、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間に開口を提供し、そこで基板の一部が露出されるように、第2のレジストを現像することと、第1の層から第1のレリーフパターンを形成した後に、第1の化学マーカから第1の層の第3の蛍光強度を測定することとを含む。
【0004】
別の態様では、本明細書に開示された実施形態は、基板上に第1のレジストの第1の層を堆積することであって、第1のレジストが第1の蛍光化学マーカを含む、ことと、第1の蛍光化学マーカから第1の層の第1の蛍光強度を測定することと、第1の層の第1の蛍光強度を測定した後に、第1のレジストの第1の層から第1のレリーフパターンを形成することと、第1のレリーフパターンを形成した後に、第1の化学マーカから第1の層の第2の蛍光強度を測定することとを含む微細加工方法に関する。次いで、本方法は、第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤を堆積することと、溶解性変更剤を第1のレジストへと所定の距離だけ拡散させて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することと、第1のレリーフパターン上に第2のレジストを堆積することと、第1のレジストの溶解性が変更された領域が溶解されて、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間に開口を提供し、そこで基板の一部が露出されるように、第1のレジストを現像することと、第1のレジストを現像した後に、第1の化学マーカから第1の層の第3の蛍光強度を測定することとを含む。
【0005】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0007】
図2A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2E】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2F】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
リソグラフィの分野では、表面駆動の化学物質暴露が、小さなフィーチャを作成するとともに、基板パターニング性能及び能力を最適化する新規の方法である。溶解性変更を施すための様々な化学物質の表面駆動の化学物質暴露及び拡散によって、従来の193nmリソグラフィの解像度を大きく下回るシングルナノメートル領域の寸法にアクセスすることができる。光学リソグラフィと同様に、最終寸法機能を制御するための様々なプロセス制御工程が存在する。かかるプロセスは理想的には、初期層形成、濃度制御、寸法フィードバック及び最終プロセスフィードバック機能を制御するが、これにより、柔軟な機能を利用して、単なる処理済みCD(Critical Dimension:限界寸法)を超えて最終寸法を制御することができる。
【0009】
したがって、本開示は概して、プロセス制御のための方法及びシステムに関する。かかる方法及びシステムは、新規ターゲット設計、新規フィードバック機構、新規統合計画を最適化するための統合フロー内に埋め込まれた新規制御点、並びに測定を簡略化するように、特に蛍光又はイメージングのような技術を最適化するように設計された新規ターゲット及び化学反応を含み得る。本明細書に記載のシステム及び方法は、従来の半導体製造ツール及び装置を用いて使用され得る。
【0010】
本明細書に記載の方法及びシステムは、各種の制御及び監視要件のために使用され得る。1つ以上の実施形態では、プロセス制御は、シンプルスペーサや、各種平面上で交差するスペーサなどのクロススペーサを含む化学スペーサに対して有効となる。いくつかの実施形態では、プロセス制御は、例えば単一パターニング、二重セレクタ及びラインコンタクト/スティッチングを含む選択性及び二重パターニングに対して有効となる。
【0011】
1つ以上の実施形態では、方法は、各フィーチャの投影面積、体積又は形状を測定することと、次いでかかる測定値を使用して、フィードバックシステムにおいて適切に厚さ、熱活性化又は光学活性化、及び環境(上部オーバーハングを制御することができる)を制御することとを含む。これらの寸法を制御することによって、得られたフィーチャの最終形状が制御され得る。
【0012】
1つ以上の実施形態の方法及びシステムは、化学プロセス及び拡散特性の両方に依存して、入力した化学反応自体及びかかる化学反応を測定するプロセスに制御機能を加えるユニークな能力を提供する。
【0013】
例えば、アンチスペーサプロセスフローは、第1のレリーフパターンの構造から、第1のレリーフパターンによって画定された開口を充填する第2の材料への酸拡散によって、狭いトレンチを作成するトラックベースのプロセスである。酸拡散は、暴露量、時間、温度及び材料の組成によって精密に制御される。したがって、1桁のナノメートル寸法まで低下したサブ解像度トレンチを作成することができる。
【0014】
従来の微細加工プロセスと同様に、本微細加工方法では、計測は、補正が必要とされるいずれかの加工工程を特定するのに有用である。例えば、アンチスペーサ法では、上で簡潔に説明したように、各種の測定オプション及び各種の制御が存在する。従来のダブルパターニングの制御スキームと同様に、本方法では、レジスト後の直径は、スキャッタロメトリ、電子顕微鏡観察及び走査型プローブ顕微鏡法(scanning probe microscopy、SPM)など、当技術分野で従来使用されている任意の計測技術を使用して測定することができる。
【0015】
本微細加工方法では、アンチスペーサ(例えば、1つ以上のレリーフパターンの各フィーチャ間のギャップ)形成のためのフィードバックが含まれ得るが、これは、かかるフィードバックを受ける際に、材料、装置及び他のランダムな効果に応じて、現像/活性化が変更され得るか、拡散量/組成が変更され得るからである。したがって、形成されるフィーチャが所望のサイズ及び形状を有することを確認するための制御方法を有することが有益である。典型的なスペーサ形成の場合、計測は異なる。側壁スペーサは典型的には、無機材料上の気相ベースのコンフォーマル堆積、次いで方向性エッチング(スペーサ開口エッチング)を行ってマンドレル及び床材料の上部から材料を取り除くことによって形成される。次いで、計測が、作成された側壁スペーサのCDを測定するために実施される。ただし、トラックツール又はコータデベロッパ内で主に作成されたアンチスペーサでは、異なる計測ソリューションが必要とされる。本明細書に開示された方法は、かかるプロセス中の任意の時点にて、トラックベースのプロセスのプロセスフローを監視する能力を提供する。
【0016】
上述したように、アンチスペーサ技術は、トラックベースのプロセスである。アンチスペーサ技術を使用する典型的な微細加工プロセスは、最初に、基板上に第1のレリーフパターンを形成することを含む。第1のレリーフパターンは、第1のレジストを含み得る。第1のレリーフパターンは、まず基板上に第1のレジストを積層し、次いで、第1のレジストをあるパターンの化学線放射に暴露し、最後に、特定のフィーチャを基板上に残存するように第1のレジストを現像することによって形成され得る。かかるフィーチャは、第1のレリーフパターンを構成する。
【0017】
次いで、酸などの溶解性変更剤が、第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンに吸収され得る。その後、第2のレジストが、第1のレリーフパターン上に堆積され得る。第2のレジストは、第1のレリーフパターン中の任意のギャップを充填し得る。第1のレリーフパターンに吸収される溶解性変更剤は、次いで、第2のレジストへと拡散され、その結果、第2のレジストの溶解性変更剤に暴露される部分は、第2のレジストの溶解性変更剤に暴露されない部分とは異なる溶解性を有し得る。第2のレジストの暴露部分は、第2のレジストを現像するためにその後使用される特定の現像剤に可溶となり得る。このように、第2のレジストの暴露部分は溶解され得て、基板の一部が露出され得る。最後に、基板の露出部分がエッチングされ得る。
【0018】
代替的には、溶解性変更剤が第1のレジストに吸収される場合、それが吸収される第1のレジストの領域での溶解性変更を誘導し得る。かかる溶解性変更は、特定の現像剤に可溶である第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供し得る。そのため、第2のレジストの積層及び特定の現像剤での現像によって、第1のレジストの溶解性が変更された領域の溶解と基板の露出とが生じ得る。
【0019】
アンチスペーサ法の望ましい出力変数は、第1のレジストフィーチャの幅、アンチスペーサの幅及び第2のレジストの未現像部分の幅を含む。二次的には、2D/3D形状もまた、最終エッチング寸法にとって重要である。
【0020】
1つ以上の実施形態の方法では、材料に対する制御を行うために、個々の層が、それらの組成物中に計測専用の化学的特徴を含む。1つ以上の実施形態では、方法は、計測専用の化学物質を、とりわけ第1のレジスト、第2のレジストなどの1つ以上の材料に加えることを含む。例えば、基板上のレジストは、特定の化学マーカ(活性化されたもの又はされていないもの)を有することができる。例示的な化学マーカは、特定の色素などの蛍光化学マーカであり得る。色素の蛍光スペクトルにおける変化を測定することによって、レジストの総体積を測定することができる。
【0021】
図1に本開示の実施形態に係るプロセス制御方法が示され、図1を参照して考察される。最初に、方法100は、ブロック102において、基板上に第1のレジストの第1の層を提供することを含む。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」という用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない任意の半導体材料であり得る。第1のレジストは、第1の蛍光化学マーカを含み得る。ブロック104では、第1の蛍光化学マーカ由来の第1のレジストの蛍光強度が測定される。次いで、ブロック106では、第1のレジストの第1の層がフォトリソグラフィで現像されて、第1のレリーフパターンを形成し、第2の蛍光強度が、ブロック108で測定される。
【0022】
ブロック110では、第1のレリーフパターンが、溶解性変更剤でコーティングされる。溶解性変更剤は、第1のレジストの極性に基づいて、可溶化剤又は硬化剤であり得る。次いで、ブロック112では、第2のレジストが、第1のレリーフパターン上に積層され、その結果、基板及び第1のレジストの露出部分が、第2のレジストで完全に覆われる。ブロック114では、溶解性変更剤が、次いで第2のレジストへと拡散され、ブロック116では、第2のレジストが現像される。溶解性変更剤の拡散によって、第2のレジストの溶解性が変更された領域が形成され得るが、それが選択的に現像されて、基板が露出されるトレンチが形成され得る。第2のレジストを現像した後、ブロック118では、第1の蛍光化学マーカの蛍光強度が測定され、第1のレジストの限界寸法が決定される。
【0023】
上述した方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、図2A図2B図2C図2D図2E及び図2Fに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。図2Aは、第1のレリーフパターンを提供するためにフォトリソグラフィで現像された基板を示す。図2Bは、溶解性変更剤でコーティングされた第1のレリーフパターンを含む基板を示す。図2Cでは、溶解性変更剤が吸収された第1のレリーフパターンが示されている。図2Dは、第2のレジストが基板及び第1のレリーフパターン上に積層されることを示す。図2Eは、溶解性変更剤が第2のレジストへと拡散された後のコーティングされた基板を示す。最後に、図2Fは、第2のレジストが現像され、その結果、アンチスペーサパターンが形成された後のコーティングされた基板を示す。図1の方法及び図2A図2Fに示されるコーティングされた基板は、以下に詳細に考察される。
【0024】
方法100のブロック102では、第1のレジストの第1の層が提供される。図2Aは、基板202上の第1の層204の一例を示す。第1の層は、第1のレジスト203から作製され得る。第1のレジストはフォトレジストであり得る。一般的に、フォトレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のレジストはポリマーを含む。ポリマーは、レジスト材料に典型的に使用される任意の標準的なポリマーであり得るが、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーが、保護された形態のポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変更し得る。当業者に理解されるように、様々な保護基が、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも称される。
【0025】
分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(Rの第三級エステル基、又は式-C(O)OC(RORのアセタール基であり、式中、Rは、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各Rは、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR基はともに、任意選択的には環を形成し、Rは、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各Rは、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R基はともに、任意選択的には環を形成し、Rは、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、Rは、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのRはRとともに、任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0026】
ポリマーは、重合時に、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができる。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(ROR-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、式中、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0027】
第1のレジストがフォトレジストである実施形態では、第1のレジストは光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、化学線又は放射線の照射時に酸を発生することが可能な化合物である。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光開始剤、ラジカル光重合用の光開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される、化学線又は放射線の照射時に酸を発生することが可能な公知の化合物から選択することができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0028】
好適な光酸としては、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートが挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。好適な非重合光酸発生剤は、Hashimotoらに対する米国特許第8,431,325号(37欄、11~47行目及び41~91欄)に更に記載される。他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に記載されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基などのスルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0029】
レジスト組成物は、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、重合性、非重合性であり得るか、又は重合性PAG及び非重合性PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは非重合性である。好ましくは、複数のPAGが使用される場合、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上述したようなスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含む。
【0030】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、第1の蛍光化学マーカを含む。蛍光化学マーカは、レジスト組成物中に含まれ得る任意の好適な蛍光化学物質であり得る。好適な蛍光化学物質は、約200nm~約5000nmの範囲の波長で蛍光を発し得る。例えば、好適な蛍光化学物質は、約200nm、約220nm、約250nm、約280nm、約300nm、約350nm及び約400nmのうちの1つの下限から、約500nm、約1000nm、約2000nm、約3000nm、約4000nm及び約5000nmのうちの1つの上限までの範囲の蛍光波長(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)を有し得る。
【0031】
1つ以上の実施形態では、蛍光化学マーカは、約10-7mol/リットル~約10-2mol/リットルの範囲の量で第1のレジスト中に含まれ得る。好ましくは、蛍光化学マーカは、約10-7mol/リットル~約10-6mol/リットルの濃度で加えられる。そのため、比較的少量の蛍光化学マーカは測定に十分であり、蛍光化学マーカは、第1のレジストの機能的性能に影響を及ぼさない。
【0032】
1つ以上の実施形態の蛍光化学マーカは、蛍光色素であり得る。好適な蛍光色素としては、ピレン、BODIPY色素、シアニン3色素、シアニン5色素、シアニン5.5色素、シアニン7色素、フルオレセイン色素、ローダミン色素、クマリン色素、800CW色素、BP Fluor680、BP Fluor647、BP Fluor594、BP Fluor568、BP Fluor546、BP Fluor555、BP Fluor350、BP Fluor488、BP Fluor430、BP Fluor532、4-(9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾエート及び4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)4H-ピランが挙げられる。他の実施形態では、上に列挙されたものなどの蛍光化学マーカは、第1のレジストのポリマー上の官能基として含まれ得る。
【0033】
方法100のブロック104では、第1のレジストの第1の層の初期蛍光強度が測定される。蛍光は、とりわけ発光分光分析法又はレーザ誘起蛍光分光分析法など、当技術分野で公知の方法に従って測定され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、平均蛍光強度が測定される。平均蛍光は、全基板エリアなどの大きな領域にわたって蛍光測定を行うことによって測定され得る。他の実施形態では、小さなターゲットエリアの蛍光強度が測定される。小さなターゲットエリアは、約5μm×約5μm~約50μm×約50μmの範囲のサイズを有し得る。
【0035】
次いで、ブロック106では、第1のレジストが現像されて、第1のレリーフパターンを提供する。図2Aに示されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップで分離された各フィーチャを含み得る。基板の一部は、第1のレリーフパターンのギャップが存在することで露出され得る。第1のレリーフパターンのフィーチャは、第1のレジスト203から作製され得るが、そのため、第1の蛍光化学マーカを含み得る。
【0036】
第1のレリーフパターンは、第1のレジストを基板上へと積層し、第1のレジストを現像することによって形成され得る。第1のレジストは、化学線放射への暴露に続く第1のレジスト現像剤でのリンスなど、当技術分野で知られている手順に従って現像され得る。現像されたレジストに形状又はレリーフパターンを付与するために、マスクを使用して化学線放射からレジストの一部を遮断し得る。化学線放射が適用された後、レジストの未暴露部分は、レジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。その後、第1のレジスト現像剤でのリンスによって、未暴露部分又は暴露部分のいずれかが溶解する。現像剤でのリンス後にレジストの未暴露部分が残存している場合に提供されるレリーフパターンは、ポジトーン現像レジストである。対照的に、現像剤でのリンス後にレジストの暴露部分が残存している場合に提供されるレリーフパターンは、ネガトーン現像レジストである。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1のレジストはポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されるポリマーを含み得る。このように、PTDの第1のレジストは、有機可溶であり得るが、それによって、レリーフパターンは、塩基性である第1のレジスト現像剤でリンスすることによって提供され得る。好適な塩基性の第1のレジスト現像剤としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)などの水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。
【0038】
他の実施形態では、第1のレジストはネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されないポリマーを含み得る。化学線放射への暴露によって、暴露エリアでのポリマーの架橋が生じ、ポリマーを現像剤に不溶性にする。次いで、未暴露のため未架橋のエリアは、適当な現像剤を使用して除去されて、レリーフパターンを形成することができる。
【0039】
他の実施形態では、第1のレジストはネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。PTDレジストと同様に、NTDレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されるポリマーを含み得る。このように、NTDの第1のレジストは、有機可溶であり得るが、塩基性である第1のレジスト現像剤で暴露エリアを現像する代わりに、第1のレリーフパターンは、有機溶媒を含むレジスト現像剤で第1のレジストをリンスすることで提供され得る。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate、NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。レジストのトーン(すなわち、PTD対ネガ型対NTD)は、第1のレリーフパターンに適用されたその後の化学反応に影響を及ぼし得る。
【0040】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、任意選択的には他の添加剤を含み、他の添加剤は、フッ素原子又はケイ素原子のいずれかを少なくとも有する樹脂、塩基性化合物、界面活性剤、オニウムカルボキシレート、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解抑制剤及び現像剤中での溶解を加速させるための化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0041】
前述されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップによって分離された各フィーチャを含み得る。1つ以上の実施形態では、第1のレリーフパターンのフィーチャは、約300Å~約3000Åの厚さを有し得る。各フィーチャを分離するギャップは、基板の一部を露出されたままにし得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でのコーティング前に安定化される。凍結プロセスとしても知られている様々なレジスト安定化技術が提案されており、例えば、イオン注入、UV硬化、加熱硬化、熱硬化及び化学硬化が挙げられる。例えば米国特許出願公開第2008/0063985号、米国特許出願公開第2008/0199814号及び米国特許出願公開第2010/0330503号に技術が記載されている。
【0043】
方法100のブロック108では、第1のレジストの第2の蛍光が測定され得る。蛍光は、上述したように、当技術分野で公知の方法に従って測定され得る。
【0044】
方法100のブロック110では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でコーティングされる。ブロック108に係るコーティングされた基板を図2Bに示す。溶解性変更剤205は、第1のレリーフパターン204及び基板上のコーティングとして示されている。溶解性変更剤コーティングの厚さは、特に限定されておらず、所望のアンチスペーサ幅に基づいて変更され得る。溶解性変更剤は、ベークによって第1のレジストに吸収される材料であり得るが、本明細書のいくつかの例では「吸収材料」と称され得る。溶解性変更剤を第1のレジストに吸収させるプロセスを以下に詳細に説明する。
【0045】
溶解性変更剤の組成は、第1のレジストのトーンに依存し得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱で活性化する任意の化学物質であり得る。例えば、第1のレジストがPTDレジストである場合、溶解性変更剤は、酸又は熱酸発生剤(thermal acid generator、TAG)を含み得る。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、第1のレジストパターンの表面領域におけるポリマーの酸分解性基の結合を分解させて、適用される特定の現像剤中の第1のレジストポリマーの溶解性を増大させるのに十分であるべきである。酸又はTAGは典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~約20重量%の量で組成物中に存在する。
【0046】
好ましい酸としては、非芳香族酸及び芳香族酸を含む有機酸が挙げられ、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む任意選択的にフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0047】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0048】
【化1】
【0049】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0050】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0051】
【化2】
【0052】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して、0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して、0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0053】
溶解性変更剤に含まれ得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0054】
【化3】
【0055】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して、0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0056】
【化4】
【0057】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して、0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0058】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0059】
【化5】
【0060】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して、0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して、0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0061】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0062】
【化6】
【0063】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0064】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。好適なフッ素置換を有する遊離酸は芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
【化7】
【化8】
【0066】
【化9】
【化10】
【化11】
【0067】
好適なTAGとしては、上述したように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が、一般的に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0068】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【0069】
【化12】
【0070】
式中、RSO はTAGアニオンであり、XはTAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
【0071】
(BH) (I)
【0072】
これは、窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えば、ピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、窒素含有複素環基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンが挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基などで任意選択的に置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0073】
塩基Bは典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0、又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」という用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)の解離定数の(底を10とする)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃又は90℃未満の沸点を有する。
【0074】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)としては、NH 、CFHNH 、CFCHNH 、(CHNH、(CNH、(CH(C)NH及び以下のものが挙げられる。
【0075】
【化13】
【0076】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0077】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸;トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤;又はこれらの組合せであり得る。
【0078】
代替的には、第1のレジストがNTDレジストである場合、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含み得る。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンは、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドを含み得るか、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン;ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド;又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、1~約8個の炭素原子、好ましくは1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0079】
好適な塩基発生剤は熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度超、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せなどの官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0080】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は溶媒を含む。上述したように、いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンに吸収される。したがって、溶媒は、第1のフォトレジストを溶解しない限り、第1のレリーフパターンへの吸収を促進し得る任意の好適な溶媒であり得る。溶媒は典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」という用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0081】
溶解性変更剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素;1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C-C一価アルコールなどのアルコール;2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC-Cフッ素化ジオール;イソペンチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;並びにこれらの溶媒のうち1つ以上を含む混合物が挙げられる。
【0082】
吸収材料に含まれる溶媒は、第1のレジストの組成及びトーンに依存し得る。ArFレジストに典型的であるように第1のレジストが(メタ)アクリレートポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像される場合、溶媒系は、好ましくは1つ以上の極性有機溶媒を含む。例えば、PTDの第1のフォトレジストへと吸収されることが意図されている溶解性変更剤は、メチルイソブチルカルビノール(methyl isobutyl carbinol、MIBC)などの極性溶媒を含み得る。溶解性変更剤はまた、デカン、イソブチルイソブチレート、イソアミルエーテル及びこれらの組合せなどの脂肪族炭化水素、エステル及びエーテルを共溶媒として含み得る。特定の実施形態では、溶媒は、MIBC及び共溶媒を含む。かかる実施形態では、MIBCは、溶媒総体積に基づいて60~99%の範囲の量で溶媒中に含まれ得る。したがって、共溶媒は、溶媒総体積に基づいて1~40%の範囲の量で含まれ得る。
【0083】
KrF及びEUVフォトレジストに典型的であるように第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像される場合、溶媒系は、好ましくは1つ以上の非極性有機溶媒を含む。「非極性有機系」という用語は、溶媒系が、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の総非極性有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて70重量%超、85重量%超又は100重量%の総非極性有機溶媒を含むことを意味している。非極性有機溶媒は典型的には、溶媒系に基づいて70~98重量%、好ましくは80~95重量%、より好ましくは85~98重量%の合計量で溶媒系中に存在する。
【0084】
好適な非極性溶媒としては、例えば、エーテル、炭化水素及びこれらの組合せが挙げられるが、エーテルが好ましい。好適なエーテル溶媒としては、例えば、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが挙げられ、6~16個の総炭素数を有するものが特に好ましい。好適なアルキルモノエーテルとしては、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、酸化ピネン、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが挙げられるが、ジイソアミルエーテルが好ましい。好適な芳香族モノエーテルとしては、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが挙げられるが、アニソールが好ましい。好適な脂肪族炭化水素としては、例えば、n-ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン及びペルフルオロヘプタンなどのフッ素化化合物が挙げられる。好適な芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態では、溶媒系は、1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒を更に含む。特定の組成物では、アルコール溶媒及び/又はエステル溶媒は、組成物の固形成分に対して向上した溶解性を提供し得る。好適なアルコール溶媒としては、例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-9一価アルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-9フッ素化ジオールが挙げられる。アルコール溶媒は、好ましくはC4-9一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。好適なエステル溶媒としては、例えば、4~10の総炭素数を有するアルキルエステルが挙げられ、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートが挙げられる。1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒は、溶媒系で使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて2~50重量%の合計量、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0086】
溶媒系はまた、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテルのうちの1つ以上などから選択される1つ以上の追加の溶媒を含むことができる。かかる追加の溶媒は、使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0087】
第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成される場合、特に好ましい有機系溶媒系は、溶媒系に基づいて70~98重量%の合計量で1つ以上のモノエーテル溶媒、並びに溶媒系に基づいて2~30重量%の合計量で1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒を含む。溶媒系は典型的には、オーバーコート組成物に基づいて90~99重量%、好ましくは95~99重量%の量でオーバーコート組成物中に存在する。
【0088】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストがNTDレジストであり、好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート、2-ヘプタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターン上にコーティングされる。適切に第1のレリーフパターンをコーティングするために、溶解性変更剤はマトリックスポリマーを含み得る。当技術分野で一般に使用される任意のマトリックスポリマーが、溶解性変更材料に含まれ得る。マトリックスポリマーは、イソプロピル(メタ)アクリレート及びn-ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸、スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアミン、ビニルアセタール、無水マレイン酸、マレイミド、ノルボルネン並びにこれらの組合せなど、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するものなどから選択される1つ以上のモノマーから形成され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸及びスルホンアミドなどの酸基、シラノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール[-C(CFOH]などのフルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せなどから選択される1つ以上の官能基を含む。ポリマーは、ホモポリマー、又は2個、3個、4個以上の異なる繰り返し単位などの複数の異なる繰り返し単位を有するコポリマーであり得る。一態様では、ポリマーの繰り返し単位は、(メタ)アクリレートモノマーからすべて形成されるか、芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成されるか、又は(メタ)アクリレートモノマー及び芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成される。ポリマーが1種類より多い繰り返し単位を含む場合、典型的にはランダムコポリマーの形態をとる。特定の実施形態では、マトリックスポリマーは、t-ブチルアクリレート(t-butyl acrylate、TBA)/p-ヒドロキシスチレン(p-hydroxystyrene、PHS)コポリマー、ブチルアクリレート(butyl acrylate、BA)/PHSコポリマー、TBA/メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)コポリマー、BA/MAAコポリマー、PHS/メタクリレート(methacrylate、MA)コポリマー、及びこれらの組合せであり得る。
【0090】
溶解性変更剤組成物は典型的には、単一ポリマーを含むが、任意選択的には1つ以上の追加のポリマーを含むことができる。組成物中のポリマーの含量は、例えば層の目標の厚さに依存し、より厚い層が望ましいときには、より高いポリマー含量が使用される。ポリマーは典型的には、溶解性変更剤組成物の全固形分に基づいて80~99.9重量%、より典型的には90~99重量%、又は95~99重量%の量でパターン溶解性変更剤組成物中に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は典型的には、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有する。
【0091】
溶解性変更剤組成物で使用するのに好適なポリマーは、市販されており、かつ/又は当業者によって容易に作製され得る。例えば、ポリマーは、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解させ、そこにラジカル重合開始剤を添加し、熱重合を行ってポリマーを形成することによって合成され得る。ポリマーの重合に使用することができる好適な有機溶媒の例としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。好適な重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが挙げられる。
【0092】
マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、当技術分野で知られている方法に従って第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。典型的には、マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、スピンコーティングによって第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。溶解性剤の固形含量は、第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤の望ましい厚さの膜を提供するように調整され得る。例えば、溶解性変更剤溶液の固形含量は、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及びスピン可能である時間に基づいて望ましい膜厚を提供するように調整することができる。組成物の典型的な厚さは、約200Å~約1500Åである。
【0093】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、前述されるように、活性物質(すなわち、酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤)、溶媒及びマトリックスポリマーを含む。かかる溶解性変更剤の典型的な処方は、溶解性変更剤の総重量に基づいて約1重量%~約10重量%の固形分及び約90重量%~99重量%の溶媒を含み得るが、この固形分は活性物質及びマトリックスポリマーを含む。固形含量内では、活性物質は、約1重量%~約5重量%の範囲の量で含まれ得る。
【0094】
溶解性変更剤は、使用される特定の化学反応に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤が、溶解性変更剤中に含まれ得る。界面活性剤は、特に第1のレジストの各フィーチャ間の薄いギャップを充填する必要がある場合に、コーティング品質の一助となるように溶解性変更剤中に含まれ得る。当技術分野で知られている任意の好適な界面活性剤が、溶解性変更剤中に含まれ得る。
【0095】
上記のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンに吸収される。第1のレリーフパターンへの溶解性変更剤の吸収は、ベークなどの熱前処理を行うことによって達成され得る。ベークはソフトベークであり得る。ソフトベークの温度及び時間は、第1のレジストの個性及び第1のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。典型的には、ソフトベークは、約50℃~約150℃の範囲の温度で約30秒~約90秒間実施され得る。
【0096】
第1のレジストへの吸収後、有効な溶解性変更材料を一切含まないコーティング層が第1のレジスト上に残存し得る。図2Cは、コーティング層が除去された、溶解性変更剤205が吸収された第1のレリーフパターンを含む基板を示す。1つ以上の実施形態では、コーティング層は、リンスによって除去され得る。リンスは、コーティング層を溶解するが、第1のレジストは溶解しない溶媒でコーティングされた基板をリンスすることによって達成され得る。リンスは、任意の好適な方法を使用して、例えば、溶媒を充填した浴中に基板を一定時間浸すこと(ディップ法)、表面張力の作用により基板表面上で溶媒を持ち上げ、これを一定時間静置することで、コーティング層を溶解させること(パドル法)、基板表面上に溶媒を噴霧すること(噴霧法)、又は一定速度で溶媒噴出ノズルを走査しながら、一定速度で回転する基板上に溶媒を連続噴出させること(ダイナミックディスペンス法)によって実施され得る。
【0097】
方法100のブロック112では、第2のレジストは、基板上に堆積される。第1のレリーフパターン204、溶解性変更剤205及び第2のレジスト206で積層されたコーティングされた基板を図2Dに示す。第2のレジストは、第1のレリーフパターンのギャップを充填し、第1のレリーフパターン又は溶解性変更剤と接触した状態になるように基板上に堆積され得る。1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、基板、第1のレリーフパターン及び溶解性変更剤を完全に覆う。第2のレジストは、例えばスピンオン堆積又は気相処理など、当技術分野で知られている任意の好適な方法に従って基板上に堆積され得る。
【0098】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストはポリマーを含む。好適なポリマーは、第1のレジストポリマー及び/又はマトリックスポリマーとして定義されたポリマーに関して前述した通りであり得る。特定の実施形態では、好適なポリマーは、p-ヒドロキシスチレン、スチレン、t-ブチルアクリレート及びこれらの組合せを含むモノマーから作製され得る。特定の実施形態では、ポリマーは、p-ヒドロキシスチレン、スチレン及びt-ブチルアクリレートのうちの3つすべてから作製される。かかるポリマーは、約50~約80%のp-ヒドロキシスチレン、約10~30%のスチレン、及び約10~30%のt-ブチルアクリレートを含む重合反応から調製され得る。例えば、第2のレジストに含まれるポリマーを生成するための重合反応は、約50%、約55%、約60%及び約65%のうちの1つの下限から約65%、約70%、約75%及び約80%のうちの1つの上限までの範囲の量(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)のp-ヒドロキシスチレンと、約10%、約12%、約14%、約16%、約18%及び約20%のうちの1つの下限から約20%、約22%、約24%、約26%、約28%及び約30%のうちの1つの上限までの範囲の個々の量(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)のスチレン及びt-ブチルアクリレートとを含み得る。
【0099】
第2のレジストに含まれるポリマーは、約1kg/mol~約100kg/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、約1kg/mol、約2kg/mol、約5kg/mol、約10kg/mol、約15kg/mol、約20kg/mol及び約25kg/molのうちの1つの下限から約25kg/mol、約50kg/mol、約75kg/mol、約80kg/mol、約90kg/mol及び約100kg/molのうちの1つの上限までの範囲のMw(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)を有するポリマーを含み得る。かかるMwを有するポリマーは、特に溶解速度などの望ましい溶解特性を呈し得る。
【0100】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストは溶媒を含む。溶媒は、溶解性変更剤に含まれる溶媒に関して前述した通りであり得る。特定の実施形態では、第2のレジスト中の溶媒は、溶解性変更剤中の溶媒と同じである。
【0101】
第2のレジストは、使用される特定の化学反応に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、消光剤が第2のレジストに含まれる。消光剤は、溶解性変更剤中の活性物質の拡散を制御するのに役立つように、第2のレジストに含まれ得る。好適な消光剤には、溶解性変更材料を参照して前掲された塩基のいずれかが含まれる。
【0102】
第2のレジストは、PTDレジスト又はNTDレジストであり得る。PTD及びNTDレストの両方は、上述したようなポリマー及び溶媒を含み得る。第2のレジストがNTDレジストである実施形態では、酸又は酸発生剤も含み得る。酸又は酸発生剤は、溶解性変更材料を参照して前述した通りである。
【0103】
方法100のブロック114では、溶解性変更剤が、第2のレジストへと拡散される。1つ以上の実施形態では、第2のレジストへの溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの個性及び第2のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、約50℃~約160℃の範囲の温度及び約30秒~約90秒の範囲の時間を含み得る。1つ以上の実施形態では、ベーク後、溶解性が変更された領域が、第2のレジストの縁部の周囲に存在し得る。溶解性変更剤の拡散量は、溶解性が変更された領域の厚さに対応し得る。いくつかの実施形態では、溶解性が変更された領域は、約5~約60nmの厚さを有するように第2のレジストへと延在する。例えば、溶解性が変更された領域の厚さは、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm及び約25nmのうちの1つの下限から約40nm、約45nm、約50nm、約55nm及び60nmのうちの1つの上限までの範囲であり得る(任意の下限が任意の数学的に適合する上限と対にされ得る)。1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域の厚さは、基板に切り込まれる望ましいライン幅に対応し得る。
【0104】
前述されるように、溶解性が変更された領域の厚さは、アンチスペーサの所望の幅に対応し得る。溶解性が変更された領域を含むコーティングされた基板を図2Eに示す。図2Eに示されるように、コーティングされた基板は基板層202を含む。基板は、前述した通りである。第1のレジスト203及び第1の蛍光化学マーカから構成された第1のレリーフパターン204は、基板202の上にある。第2のレジスト206が、第1のレリーフパターン及び基板上にコーティングされる。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト206は、基板202及び第1のレリーフパターン204を完全に覆う。第2のレジストの溶解性が変更された領域208は、第1のレリーフパターンに隣接して示されている。
【0105】
溶解性が変更された領域は、溶解性変更剤に暴露されなかった第2のレジストの領域とは異なる溶解性を有し得る。このように、第2のレジストの溶解性が変更された領域及び未暴露領域は、異なるレジスト現像剤に可溶であり得る。
【0106】
方法100のブロック116では、堆積された第2のレジストの層は、第2のレジストの溶解性が変更された領域又は未暴露領域のいずれかが残存するように特定の現像剤を使用して現像され得る。1つ以上の実施形態では、第2のレジストの溶解性が変更された領域は、まず化学線放射に暴露され、次いで特定の現像剤に暴露されることによって現像される。他の実施形態では、第2のレジストの溶解性が変更された領域は、特定の現像剤にのみ暴露される。特定の現像剤は、第2のレジストのトーンに依存し得る。例えば、第2のレジストがポジトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基であり得る。一方、第2のレジストがネガトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの非極性有機溶媒であり得る。
【0107】
図2Fは、本開示の実施形態に従って現像されたコーティングされた基板を示す。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト206は、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間にある溶解性が変更された領域208を溶解するように現像される。したがって、溶解性が変更された領域の溶解によって、第1のレリーフパターン204と第2のレジスト206との間でトレンチ210の形成が生じ、そこで基板202が露出され得る。
【0108】
方法100では、再び図1を参照すると、第2のレジストを現像した後、第1のレジストの最終蛍光強度が測定される。上述したように、蛍光強度は、当技術分野で公知の方法に従って測定され得る。最終蛍光強度は、初期蛍光強度と比較されて、第1のレジストの限界寸法が決定され得る。特に、蛍光強度を使用して、第1のレジストの総体積及び表面吸収性が決定され得る。例えば、第1のレジストの元の厚さ、元の蛍光度及び最終蛍光度を使用して、体積変化が算出され得る。フィーチャタイプ(例えば、ライン又は穴)に応じて、フィーチャの平均サイズもまた算出され得る。うまくいく又は測定可能な波長は、材料の吸収性及び蛍光度に依存する。
【0109】
方法100は、可能な一実施形態を表すが、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。当業者によって理解されるように、本発明は、例えば溶解性変更剤が第2のレジストではなく第1のレジストへと拡散される方法など、様々な代替的方法を包含し得る。更には、いくつかの方法は、コーティングされた基板積層体のいずれかの層に存在するように蛍光化学物質を第1のレジスト以外の材料に添加して、プロセスに対する情報及び制御を提供することを含み得る。かかる代替的な実施形態では、本方法で使用される構成要素及び技術は、方法100を参照して前述した通りであり得る。
【0110】
1つ以上の実施形態では、各種の蛍光化学マーカが、決定される限界寸法に応じて、コーティングされた基板の複数の異なる層で使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1のレジスト層は、第1の蛍光化学マーカを含み、第2のレジスト層は、第2の蛍光化学マーカを含む。したがって、様々な限界寸法が、各種層についてその場で決定され得る。
【0111】
上述のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤が、第1のレジストへと拡散される。かかる実施形態では、方法は、最初に第1のレジストの第1のレリーフパターンを形成することと、次いで溶解性変更剤で第1のレジストをコーティングすることとを含み得る。この時点において、溶解性変更剤は、第1のレジストへと所定の距離だけ拡散されて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供し得る。溶解性変更剤の拡散は、かかる方法の異なる時点で異なる成分へと起こり得るが、溶解性変更剤の拡散は、方法100で上述したように実施され得る。溶解性変更剤が第1のレジストへと拡散された後、第2のレジストが、基板上に堆積され得る。次いで、基板は、方法100を参照して説明したように現像されエッチングされ得るが、この場合、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、特定の現像剤に可溶である。
【0112】
具体的には開示された標識技術に従って任意の測定を増感することができる。化学物質が現像プロセスで除去されることから、デバイスへの影響はないが、計測は大幅に改善される。1つ以上の実施形態に係る方法では、幅又は直径などの任意の制御されたパラメータに関する較正曲線が、精密な測定を達成するために生成され得る。本明細書の方法はまた、(高さの変動を考慮するための)フィードフォワード較正を有し得る。
【0113】
例えば、他の点では同一であるある範囲のエリアに関する一連の各種入力が作成され得る。これは、サイト間の差異を利用することによって単一の基板上のものであるか、又は一群の基板上のものであり得る。光学用途では、これは、線量を変化させることを含み得る。熱用途では、これは、時間及び温度を変化させることを含み得る。次いで、変化が、レジスト上の較正された計測システム(SEM)及びエッチング後の較正を使用して測定され得る。次いでルックアップテーブルが作成され得るか、又は機械学習/人工知能ネットワークが作成され使用され得るか、又は較正線形性が作成され得る(例えば、時間1秒あたり直径1nm)。かかる目的の較正曲線の生成は、当技術分野では従来のものであるが、本明細書では非従来型の材料について適用される。
【0114】
一実施形態では、技術は、重量変化を測定することを含む。重量変化は、基板レベルのみで測定され得る。受け入れた基板を測定して、初期重量が特定され得る。次いで、溶解性変更剤でコーティングすることと、第2のレジストで積層することと、溶解性変更剤を拡散することと、第2のレジストを現像することとを含む加工が実行され得る。加工後、ウェハは、再び測定されて、変化した重量及び/又は重量の差が特定され得る。
【0115】
1つ以上の実施形態では、光学方法の加工は、問題の測定システムからの較正値を使用し、各ターゲットエリアの補正曲線を算出することで直径/幅の変化を測定することを含む。任意選択的には、平滑化された算出値を作成することができ、フィードフォワードからの任意の入力を使用することができる。フィードフォワードとは、測定値を組み入れて、測定値が所定の値から外れる場合にはプロセスを修正することを示すことが理解されるであろう。本明細書に記載の方法に従って測定され算出されたデータは、ホットプレートを補正するか、平均温度を変えるか、又は光学線量を用いて変動を補正する光学ツールを補正するために使用することができる。このように、図1の方法100などの本明細書に記載の色素ベースの測定値は、スキャナ及びトラックツールを最適化するために使用され得る。
【0116】
1つ以上の実施形態では、対象の1つ以上の層が堆積される。層は、1つ以上の色素又は化学マーカを含有する。好適な層は、ポリマー層、有機層又はレジスト層であり得る。層は、単位面積による重量及び/又は体積測定の処理前に測定され得る。1つ以上の処理プロセスが、次いで実行され得る。次いで、ウェハ及び/又はウェハの領域が測定される(処理後)。処理前測定及び処理後測定からのスペクトルは、次いで、差異を見つけ、値を算出するために比較することができる。体積の変化は、既知の高さ及び量を考慮すれば、直径の変化へと変換することができる。
【0117】
測定値に基づき、後続の基板についてのパラメータを、現在のデータに基づいて調整することができる。これは、固有の熱活性化又は光学活性化に対する調整であり得る。1つ以上の実施形態では、除去された領域の幅を増加させるために、温度/時間が、第2のレジストへの拡散量を増加させるように調整され得る。例えば、較正後、既知のトレードオフが1秒/nm拡散である場合、及び測定された拡散量が0.23nmずれている場合には、プロセス拡散時間は23秒変化するであろう。光学調整の場合、例えばレジストの光学的に活性化された部分が存在するが、サイズに対する線量の較正が行われる。例えばこれがナノメートルあたり1mJ/ccであれば、0.23nmの変更には、調整するのに1mJの線量が必要となり、これに応じてアップデートされ得る。
【0118】
1つ以上の実施形態の方法は、1回のみ蛍光強度を測定して、例えば体積など、レジスト層の限界寸法を測定することを含む。かかる方法は、基板上に第1の化学マーカを含む第1のフォトレジストの第1の層を堆積することと、第1の層から開口を画定する第1のレリーフパターンを形成することと、基板上に第2のフォトレジストを堆積することであって、第2のフォトレジストが、第1のレリーフパターンによって画定された開口を充填する、こととを含む。次いで、方法は、溶解性変更剤を第2のフォトレジストへと所定の距離だけ拡散して拡散領域を作成することであって、溶解性変更剤が、第2のフォトレジストを特定の現像剤に可溶にするように選択される、ことと、基板から拡散領域を除去することで、第2のフォトレジストと第1のフォトレジストとの間に開口を画定することと、拡散領域を除去した後に第1の化学マーカから第1の層の蛍光強度を測定することとを含む。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に記載したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
【国際調査報告】