(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】端子バネスペーサ、及び当該バネスペーサを使用するメス端子
(51)【国際特許分類】
H01R 13/15 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H01R13/15 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532283
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 US2022050256
(87)【国際公開番号】W WO2024049458
(87)【国際公開日】2024-03-07
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507164434
【氏名又は名称】ジェイ.エス.ティー.コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100120628
【氏名又は名称】岩田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】カーボー、 フィリップ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】コステラ、 プレストン カーター
(57)【要約】
対応するオス端子を受け入れるための適切なコンタクトインタフェースギャップを維持するのに役立つように、端子バネスペーサを前記端子バネ下の端子ベースに一体化するメス端子上の端子バネである。端子バネスペーサは、単一部品として、一体的に、連続的に、又はユニット的に端子バネに接続されている。端子バネスペーサを備えた端子バネが接合されているメス端子は、コンタクト領域、遷移領域、及び端子(ワイヤ)領域をそれぞれ有する一対の端子ベースを含む。第1端子ベース及び第2端子ベースのコンタクト領域及び遷移領域は、端子バネ内に実質的に包囲されている。端子バネスペーサは、第1端子ベース及び第2端子ベースの遷移領域の間の別のギャップを介した、第1端子ベース及び第2端子ベースのコンタクト領域の前端部の間のインタフェースギャップを介して、対応するオス端子をその内部に収容するための正確なギャップを効果的に維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部部材と下部部材とを有する本体と、
前記上部部材及び前記下部部材にそれぞれ接続されて、メス端子の第1端子ベース及び第2端子ベースを内部に収容するための中央空間を有する閉ループを形成する中央部材と、
前記中央部材から前記中央空間に向かって内側にある角度方向にそれぞれ延びる前部部材及び後部部材と、を含むことを特徴とし、
前記上部部材と前記下部部材は、実質的に同一且つ対称であり、前記第1端子ベースと前記第2端子ベースとの間のギャップが互いから離れるように拡大することを抑制することを特徴とし、
前記前部部材と前記後部部材は、前記第1端子ベースと前記第2端子ベースとの間の前記ギャップが互いに向かって収縮することを抑制し、それにより、前記メス端子の前記第1端子及び前記第2端子の間のインタフェースギャップが開閉方向に延びることを直接抑制することを特徴とし、
前記前部部材及び前記後部部材は、それぞれ、前記メス端子の第1端子ベース及び前記第2端子ベースの第1遷移領域及び第2遷移領域を支持することを特徴とする、端子バネスペーサ。
【請求項2】
前記端子バネスペーサの前記前部部材及び前記後部部材は、前記メス端子の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記第1遷移領域及び前記第2遷移領域にそれぞれ接続されていることを特徴とする、請求項1記載の端子バネスペーサ。
【請求項3】
前記端子バネスペーサは、前記メス端子の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの遷移領域の間の前記ギャップを抑制することを特徴とする、請求項1記載の端子バネスペーサ。
【請求項4】
前記端子バネスペーサは、前記メス端子の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースのコンタクト領域の間の前記ギャップを抑制することを特徴とする、請求項1記載の端子バネスペーサ。
【請求項5】
前記端子バネスペーサは、少なくとも前記第1端子ベース及び第2端子ベースのオス端子受け端の間のインタフェースギャップと、前記メス端子の前記第1端子ベース及び第2端子ベースのコンタクト領域の間のギャップと、前記メス端子の前記第1端子ベースと前記第2端子ベースの遷移領域との間のギャップと、を通して位置するインタフェースギャップの寸法又は幅を抑制することを特徴とする、請求項1記載の端子バネスペーサ。
【請求項6】
前記端子バネスペーサが、対応するオス端子を間に収容するための、前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記オス端子受け端の間の前記インタフェースギャップ、前記メス端子の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記コンタクト領域の間の前記ギャップ、及び前記メス端子の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記遷移領域の間の前記ギャップを抑制することを特徴とする、請求項5記載の端子バネスペーサ。
【請求項7】
前記端子バネスペーサは、単一部品として、一体的に、連続的に、又はユニット的に前記端子バネに接続されていることを特徴とする、請求項1記載の端子バネスペーサ。
【請求項8】
前記端子バネスペーサが、前記メス端子の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記コンタクト領域、及び端子バネの前部のための、適正なギャップを維持するバネ機能を提供することを特徴とする、請求項4記載の端子スペーサ。
【請求項9】
対応するオス端子を受け入れるためのインタフェースギャップを実質的に維持するメス端子であって、
コンタクト領域、遷移領域、及び端子(ワイヤ)領域をそれぞれ有する一対の第1端子ベース及び第2端子ベースと、
少なくとも前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記遷移領域を実質的に内部に包囲する端子バネと、を含むことを特徴とし、
前記端子バネの対向する側部のそれぞれが、前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの端部の間の少なくともインタフェースギャップの幅又は寸法を維持するための端子バネスペーサを有し、
前記端子バネスペーサの前部及び後部が、前記一対の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記遷移領域の前記対向する側部を支持することを特徴とする、メス端子。
【請求項10】
前記端子バネスペーサが、上部、下部、前部、及び後部より構成されることを特徴とし、
前記端子バネスペーサの前記上部が、前記端子バネの後部の上部に接続されていることを特徴とし、
前記端子バネスペーサの前記下部が、前記端子バネの前記後部の下部に接続されていることを特徴とする、請求項9記載のメス端子。
【請求項11】
前記端子バネスペーサの前部及び後部が、前記一対の前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記遷移領域の対向する側部のいずれか一方に接続されていることを特徴とする、請求項10記載のメス端子。
【請求項12】
前記第1端子ベースが前記第2端子ベースと構造的に同一であり、前記第2端子ベースは、前記第1端子ベースを反転させたものであることを特徴とする、請求項10記載のメス端子。
【請求項13】
前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記コンタクト領域のそれぞれは、前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記遷移領域からそれぞれ延びる一組の実質的に可撓性のブレードを含み、前記コンタクト領域の前記実質的に可撓性のブレードのそれぞれの端部は、外側に延び、前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記遷移領域の前記対向する端部のいずれか一方に接続されている前記端子バネスペーサが、前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースの前記外側に延びている端部の間のインタフェースギャップを維持していることを特徴とする、請求項12記載のメス端子。
【請求項14】
前記端子スペーサが取り付けられている前記端子バネが、単一ユニットとして、一体的に、連続的に、又はユニット的に互いに接続されていることを特徴とする、請求項9記載のメス端子。
【請求項15】
前記第1端子ベース及び前記第2端子ベースのそれぞれが、銅又はアルミニウムを主成分とする材料からなり、表面が銀、金、ニッケル、又は錫で覆われていることを特徴とする、請求項14記載のメス端子。
【請求項16】
平坦面を備え、遷移部とコンタクト部とを有する終端部を有する第1部材と、
前記第1部材と実質的に同一である第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とが端子本体の終端面から前記端子本体の反対側の終端面まで配置されることにより形成される端子本体と、を含む主端子体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年9月2日に出願された米国仮特許出願第63/403,640の優先権を主張するものであり、その全体を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【背景技術】
【0002】
電気端子には、最も基本的なレベルでは、少なくとも2つの要素が含まれている。すなわち、オス端子とメス端子である。オス端子とメス端子は一緒になって端子システムを形成し、各構成要素は、端子システムの動作中に相互に接触したままになるようになっている。
【0003】
端子システムは、電気エネルギーの損失を最小限に押さえながら、電気エネルギーが妨害されることなく流れるようにするための電気的ジョイントの設計又は構造として考えるのが最適である。この、端子システムを介した電気エネルギーの損失は、電圧降下(つまり、電圧又は電位の低下)として測定され、熱として現れる可能性がある。このような端子システムの設計は、ほぼ無限の数の設計と構造配置に適用できる。端子システムにはこのように無数の設計や可能な構造配置があるにもかかわらず、多くの場合、それらはいくつかの共通の要素や特性を共有している。このような共通の要素又は特性には、端子システムを構成する最小数の2つの要素又は要素対が含まれ、そのような要素対はジョイントとして定義される。要素又はジョイントの各対は、1つのオスと1つのメスで構成される。これらの要素は、高導電性の金属(例えば、表面が銀、金、ニッケル、又は錫で覆われた銅又はアルミニウム)でできている。
【0004】
さらに、端子システムは、それらの要素が嵌合(または結合)、及び嵌合解除(又は分離)されるように、保守可能であるように設計又は製造されている。端子システムの設計又は構成は、多くの場合、オス要素との結合又は分離を可能にするために、メス要素の材料(つまり、金属)の弾性特性に依存している。端子システムは通常、ケーブル又はワイヤ端に取り付けられる。端子システムがケーブル又はワイヤ端に取り付けられる結果、端子システムは、機械的圧着、溶接、はんだ付け、ろう付け等によってケーブル又はワイヤに取り付けるための領域を有する。全てではないにしても、ほとんどの端子システムは、近くにある少なくとも別の導電性要素を扱ったり絶縁したりするため、非導電性材料の「ハウジング」となるよう設計又は構成されている。
【0005】
最後に、他の端子を収容する端子システムには、例えば、壁のコンセント、USBコネクタ、ヘッドフォンジャック、イーサネット(登録商標)RJ45コネクタ、有線電話回線等に「差し込む」ことを目的としたコード端のプラグ、が含まれる。
【0006】
図1-
図3に示すように、従来の端子はそれぞれ、端子ベース、及び端子バネを備えて例示されている。
図1において、例えば、従来の端子は、端子ベース1と、端子バネ部材7とを含む。端子ベース1は、後部3と前部5とを含み、端子ベース1の前部5は、端子バネ部材7の内部に収容されている。端子ベース1は、その後部3がケーブル又はワイヤ(図示せず)を圧着できるようにする一方、端子ベース1の前部5の先端9が例えばデバイス端子(図示せず)をその中に弾性的に受け入れることを可能にする。
【0007】
図2に示す従来の端子は、端子ベース21と端子バネ27を含んでいる。端子ベース21は後部23と前部25とを含んでおり、端子ベース21の前部25は端子バネ27の内側に収容されている。端子ベース21は、その後部23がケーブル又はワイヤ(図示せず)を圧着できるようにする一方、端子ベース21の前部25の先端29が例えばデバイス端子(図示せず)をその中に弾性的に受け入れることを可能にする。
【0008】
図3に示す従来の端子は、端子ベース31と端子バネ37を含んでいる。端子ベース31は後部33と前部35とを含んでおり、端子ベース31の前部35は端子バネ37の内側に収容されている。端子ベース31は、その後部33がケーブル又はワイヤ(図示せず)を圧着できるようにする一方、端子ベース31の前部35の先端39が例えばデバイス端子(図示せず)をその中に弾性的に受け入れることを可能にする。
【0009】
以上説明したように、
図1-
図3に例示した従来の端子はそれぞれ、端子ベース1、21、31とそれぞれ組み合わせた状態で端子バネ部材7、27、37を使用する。
図1-
図3に示すように、各端子ベース1、21、31の前部5、25、35は、それぞれ一対の前部5a/5b、25a/25b、35a/35bを有する。
図1、
図2、及び
図3に示す端子の端子ベース1、21、31における一対の前部5a/5b、25a/25b、35a/35bは、それぞれ、オス端子(又は相手端子)(図示せず)を収容するものであり、その中にオス端子を収容する必要がある。しかしながら、
図1-
図3の従来の端子では、一対の前部5a/5b、25a/25b、35a/35b間のギャップが維持されるという保証はない。したがって、それらの間に受け入れられるオス端子がその中に完全に受け入れられ、それらの間に完全に収容されるという保証はない。端子ベース1、21、31の前部5a/5b、25a/25b、35a/35b内に受容されるオス端子が、端子ベース1、21、31のそれぞれにおける前部5、25、35と後部3、23、33との間の特定の地点(例えば、移行部6、26、36のある地点)に向かって完全に移動することが重要であり、オス端子が、端子ベース1、21、31の後部3、23、33に受容又は圧着された例えばケーブル又はワイヤに確実に接触するようにする。換言すれば、端子ベース1、21、31の前前部5a/5b、25a/25b、35a/35bの間の必要なスペースが維持されなければならないが、
図1-3の従来の端子では保証できず、このスペースは、内部に受容されたオス端子が移行部6、26、36の特定の地点に向かって完全に移動し、端子ベース1、21、31の後部3、23、33に受容されたケーブル又はワイヤに接触できるようにするために不可欠である。
【0010】
図1に例示される従来の端子では、端子バネ7の前方止め部材7a/7bは、端子ベース1が前方に進みすぎるのを防止する。
図1にも示すのは、後方止めとして機能する後方窓8である。
図2に例示される従来の端子では、バネ部材27のロック部材27a/27bは、バネ部材27を端子ベース21にロックする。しかしながら、上述の(
図1の従来の端子における)前方止め部材7a/7b、又は(
図2の従来の端子における)ロック部材27a/27bを含めることは、前方止め部材7a/7b、又はロック部材27a/27bがブランク状態において追加のスタンプ製造工程を有することを必要とし、これらは
図1及び
図2の従来の端子の製造における望ましくない非効率的な追加ステップである。さらに、前方止め部材7a/7b及びロック部材27a/27bは、端子ベース1の各前部5a/5bを留めるため、又は端子ベース2の各前部25a/25bをロックするために、
図1及び
図2に示すように、それぞれ(例えば90度で)折り曲げる必要がある。これら前方止め部材7a/7b又はロック部材27a/27のための必要とされる構成又は構造配置は、端子ベース1、21の各前部5、25の隣接部分を拡張する必要があり、
図1及び
図2の従来の端子の製造時に廃材が増加するという不都合につながる。
【0011】
一方、仮に
図1及び
図2に例示した端子において端子バネ部材7、27に前方止め部材7a/7b又はロック部材27a/27が設けられていない場合には、端子ベース1、21の各前部5a/5b、25a/25bの間のギャップが維持できるという保証はなく、また、ギャップ公差がばらつく(すなわち、ギャップ公差が大きすぎるか、又は小さすぎる)ことになり得る。これは、そのような前方止め部材又はロック部材が、端子ベース31の前部35a/35bのためのバネ部材37によって設けられていない、
図3に示す従来の端子に例示されている。このため、
図3の従来の端子では、オス端子を完全にその内部に収容するために、端子ベース31の前部35a/35bの間に不可欠なギャップ(及びその不可欠な公差)が、上述の理由により不可欠であるが、確保されないことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
二次スペーサ部材又は構造体を下側にあるベース端子に一体化し、対応するオス端子を内部に受け入れるための、適正なコンタクトインタフェースギャップ幅を維持するのを助けるための、メス端子上のバネが本明細書に記載され特許請求されている発明に例示されているが、他の従来の端子及び従来の端子製造方法よりも製造コストを削減し、効率的且つ効果的に製造できる大幅に改良されたメス端子を提供する。本発明のメス端子は、上記従来の端子の問題点及び欠点を解決するものであるが、端子ベース及び端子バネを含み、この端子バネはスペーサ部材又は構造体を有している。端子ベースは、第1端子ベース部と第2端子ベース部とを含む。第1端子ベース部と第2端子ベース部は互いに接合されて完全に組み立てられた端子ベースを形成する。第1端子ベース部及び第2端子ベース部のそれぞれは、コンタクト領域、遷移領域、及び終端(ワイヤ)領域を含み、好ましくは銅で作られる。本発明のメス端子の第1ベース部及び第2ベース部のコンタクト領域は、バネ機能を提供し、第1ベース部及び第2ベース部の遷移領域の間にスペーサ部材又は構造体を有していることにより、オス端子をそれらの間に固定する際にバネ機能が維持され、第1端子ベース部及び第2端子ベース部のコンタクト領域、遷移領域のそれぞれの間の正確なギャップが維持される。メス端子は、スペーサ部材又は構造体により、従来の端子に関して上述したように、タブの必要性を排除し、第1ベース部及び第2ベース部のコンタクト領域における対応するオス端子との一貫した、また適切なコンタクトインタフェースギャップを維持する。本発明は、所与長さの母材(stock)からより多くの端子を製造できるようにすることによって、メス端子の製造コストをさらに削減する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、端子バネと、端子バネ内に保持された端子ベースと、を有する従来のメス端子の斜視図である。
【
図2】
図2は、端子バネと、端子バネ内に保持された端子ベースと、を有する他の従来のメス端子の斜視図である。
【
図3】
図3は、端子バネと、端子バネ内に包囲された端子ベースと、を有するさらに他の従来のメス端子の斜視図である。
【
図4】
図4は、端子バネを備えた一対の第1端子ベース及び第2端子ベースを示し、端子バネはその内部に第1端子ベース及び第2端子ベースのコンタクト領域及び遷移領域を包囲しており、さらに第1ベース部及び第2ベース部の遷移領域の間に位置したスペーサ部材又は構造体を示す、本発明の完全に組み立てられたメス端子の斜視図である。
【
図5】
図5は、一対の第1端子ベース及び第2端子ベースの斜視図であって、一方がもう一方の上に配置され、第1ベース部及び第2ベース部のそれぞれのコンタクト領域、遷移領域、及び端子(ワイヤ)領域、第1端子ベースの内面が第2端子ベースの内面に面していることを示している。
【
図6A】
図6Aは、コンタクト領域、遷移領域、及び端子(ワイヤ)領域を示し、コンタクト領域が遷移領域から延びる複数の第1可撓性指部材を有している、第1端子ベースの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、コンタクト領域、遷移領域、及び端子(ワイヤ)領域を示し、コンタクト領域が複数の第2可撓性指部材を有しており、第1端子ベースと第2端子ベースとが構造的に同一である、第2端子ベースの斜視図である。
【
図7】
図7は、形状が対称な上部と下部を有し、それらの側部のそれぞれに取り付けられたスペーサ部材又は構造体を有している、端子バネの斜視図である。
【
図8】
図8は、
図5のように、第1端子ベースの内面が第2端子ベースの内面に面している、一対の第1端子ベース及び第2端子ベースの斜視図であり、スペーサ部材又は構造体を収容するための位置を表す長方形の破線で示した、それぞれの側部の開口部又は開口スペースをさらに例示している。
【
図9】
図9は、
図1のように、完全に組み立てられた本発明のメス端子の斜視図であり、端子バネに配置されたスペーサ部材又は構造体を示し、スペーサ部材又は構造体が端子バネの後部の対向する側部の一つを形成している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4は、本発明の完全に組み立てられたメス端子(全体を参照番号100と呼ぶ)の斜視図である。メス端子100は、端子バネ112を備えた、一対の第1端子ベース102及び第2端子ベース104を含む。以下でさらに詳しく説明するように、第1端子ベース120は、コンタクト領域(contact zone)106、遷移領域(transition zone:中間領域、繋ぎ領域)108、及び端子(ワイヤ)領域110を含む。同様に、第2端子ベース104は、コンタクト領域(contact zone)116、遷移領域(transition zone:中間領域、繋ぎ領域)118、及び端子(ワイヤ)領域120を含む。第1端子ベース102と第2端子ベース104は、構造的に同一である。換言すれば、メス端子100の組立て中において、第2端子ベース104は、第1端子ベース102を「反転」させたものである。少なくとも、第1端子ベース102のコンタクト領域106及び遷移領域108、及び第2端子ベース104のコンタクト領域116及び遷移領域118は、部分的に、端子バネ112内に包囲されている。端子バネ112は、概して
図4に例示すように、前部112aと後部112bを含む。
【0015】
第1端子ベース102及び第2端子ベース104のそれぞれは、導電性の高い金属(銅、アルミニウム等)からなり、その表面が、例えば銀、金、ニッケル、錫等で被覆されていることが好ましい。上述のように、第1端子ベース102と第2端子ベース104は構造的に同一であり、第2端子ベース104は第1端子ベース102を「反転」させたものである。そして、
図5に例示するように、第1端子ベース102が第2端子ベース104上に載置されている。本発明のメス端子100は、第1端子ベース102と第2端子ベース104の構造配置が同一であるため、所与長さの母材(stock)からより多くの端子を製造することができ、メス端子100の製造が効率的になり、したがって、本発明のメス端子100の製造コストが低減される。第1端子ベース102又は第2端子ベース104は、これに限定されないが、一体的、連続的、又は単一の部品であることが好ましい。
【0016】
以下でさらに詳しく説明するように、スペーサ部材又は構造体300は、端子バネ112の後部112bに接合、接続、又は一体化されており、端子バネ112の後部112bの側部をそれぞれ構成する。
【0017】
さらに
図5に示すように、端子ベースが完全に組み立てられたとき、又は第1端子ベース102と第2端子ベース104の対が一緒に組み立てられたとき(すなわち、第1端子ベース102が第2端子ベース104上に配置又は載置されたとき、又はその逆のとき)、第1端子ベース102のコンタクト領域106、遷移領域108、及び端子(ワイヤ)領域110は、それぞれ第2の端子のコンタクト領域116、遷移領域118、及び端子(ワイヤ)領域120に直接対面している。完全に組み立てられた端子ベースは、ギャップ130a(それぞれ第1ベース端子102及び第2ベース端子104のコンタクト領域106、116の間)からギャップ130b(それぞれ第1ベース端子102及び第2のベース端子104の遷移領域108、118の間)を通じて延びるギャップ130を形成する。
【0018】
より具体的には、端子ベースが完全に組み立てられると、
図5に例示するように、第1端子ベース102のコンタクト領域106が第2端子ベース104のコンタクト領域116に直接面し、第1端子ベース102の遷移領域108が第2端子ベース104の遷移領域118に直接面し、第1端子ベース102の端子(ワイヤ)領域110が第2端子ベース104の端子(ワイヤ)領域120に直接当接するように、第1端子ベース102の内面又は内側140(
図6A、
図6B参照)が第2端子ベース104の内面又は内側150(
図6A及び
図6B参照)に直接面する。
図6Bの第2端子ベース104においては、遷移領域118の一部分160が端子(ワイヤ)領域120に向かって少なくともある角度で(又は異なる複数の角度で)延びていることが明確に示されている。このように、端子(ワイヤ)領域120の延長した面は、対応する遷移領域118及びコンタクト領域116の延長した面とは異なっている。(
図6Bに示すように)第2端子ベース104が(
図6Aに示すように)第1端子ベース102と構造的に同一であり、第2端子ベース104は第1端子ベース102を「反転」させたものであるため、類似部分160が、第2端子ベース104に関連して上述したように、
図6Aの第1端子ベース102の遷移領域108と端子(ワイヤ)領域110との間に存在する。第1端子ベース102及び第2端子ベース104のそれぞれにおける角度付きの部分160の少なくとも一部は、第1端子ベース102が第2端子ベース104と接触する最も前方の箇所である。
【0019】
図6Aにさらに例示するように、第1端子ベース102のコンタクト領域106は、隣接する遷移領域108から延びる複数の指部材170を含み、複数の指部材170は、第1端子ベース102の外面190に向かってある角度で及びある方向に延びるそれぞれの端部175を有する。同様に、
図6Bに例示するように、第2端子ベース104のコンタクト領域116は、隣接する遷移領域108から延びる複数の指部材180を含み、複数の指部材180は、第2端子ベース104の外面200に向かってある角度及びある方向に延びるそれぞれの端部185を有する。
【0020】
図7に例示するように、端子バネ112は、
図4に関連して上述したようにスペーサ部材又は構造体300を含んでおり、これは端子バネ112の後部112bに取り付け、接合、接続、又は一体化されており、端子バネ112の後部112bの側部をそれぞれ構成している。端子バネ112は、形状が対称な上部210と下部220を有し、端子バネ112は、端子バネ112の後部112bのそれぞれの側部に取り付け、接合、接続、又は一体化されたスペーサ部材又は構造体300を有している。端子バネ112の前部112aの上部210と下部220のそれぞれは、端子バネ112の後部112bの上部210から延びる一組の上側指部材250と、端子バネ112の後部112bの下部220から延びる一組の下側指部材260とを含む。端子バネ112の後部112bの上部210から延びる一組の上側指部材250と、端子バネ112の後部112bの下部220から延びる一組の下側指部材260とが、互いに近づく方向に延びていることが好ましいが、一組の上側指部材250と一組の下側指部材260の延在方向は、これに限定されず、端子バネ112の後部112bが延びる平面と実質的に同一の平面に沿って、端子バネ112の後部112bからそれぞれ延びてもよい。さらに、端子バネ112は、これに限定されないが、一体的、連続的、又は単一部品であることが好ましい。
【0021】
端子バネ112の前部112aの上側指部材250と下側指部材260の組の間には、端子バネ112の前部112aから後部112bを通って延びるギャップ270がある。
図4に関連して前述し、また
図9に関連して後述するように、端子バネ112の前部112aから後部112bを通して延びるギャップ270は、その少なくとも一部又は全体において、その内部に、第1端子ベース102のコンタクト領域106及び遷移領域108、及び第2端子ベース104のコンタクト領域116及び遷移領域118を実質的に収容する。
【0022】
図7に例示するように、スペーサ部材又は構造体300は、上部部材302、下部部材304、前部部材306、及び後部部材308を有することが好ましく、これらはそれぞれ中央部材310から延在している。中央部材310は一般に平坦な部材として示されているが、その構成、形状、全体的構造配置はこれに限定されない。さらに
図7に示すように、スペーサ部材又は構造体300の上部部材302は、端子バネ112の後部112bの上部210の一方の側に、一体的に、連続的に、又はユニット的に接続されることが好ましい。
図7にも示されるように、スペーサ部材又は構造体300の下部部材304は、端子バネ112の後部112の下部220の他方の側に、一体的に、連続的に、又はユニット的に接続されることが好ましい。加えて、スペーサ部材又は構造体300は、端子バネ112の後部112b上に一体化されるか、あるいは一体的に、連続的に、又はユニット的に取り付け、接合、又は接続されるが、この構造配置は、これらに限定されない。すなわち、端子バネ112のスペーサ部材又は構造体300は、端子バネ112の後部112b上に溶接、ろう付け等されてもよい。
【0023】
スペーサ又は構造体300の中央部材310から延びる前部部材306及び後部部材308の機能又は構造的配置については、
図8、
図9に関連してより詳細に説明する。
図5に関連してより具体的に上述したように、端子ベースが完全に組み立てられると、第1端子ベース102のコンタクト領域106が第2端子ベース104のコンタクト領域116に直接面し、第1端子ベース102の遷移領域108が第2端子ベース104の遷移領域118に直接面し、第1端子ベース102の端子(ワイヤ)領域110が第2端子ベース104の端子(ワイヤ)領域120に直接当接するように、第1端子ベース102の内面又は内側140(
図6A参照)が第2端子ベース104の内面又は内側150(
図6B参照)に直接面する。完全に組み立てられた端子ベースは、ギャップ130a(それぞれ第1ベース端子102及び第2ベース端子14のコンタクト領域106、116の間)からギャップ130b(それぞれ第1ベース端子102及び第2のベース端子104の遷移領域108、118の間)を通じて延びるギャップ130を形成する。第1端子ベース102及び第2端子ベース204の遷移領域108、118間のギャップは、それぞれその両側に(
図8の長方形の破線で示すように)側部開口部Aを含んでいる。この側部開口部Aは、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の間に形成されるギャップ130bの対向する側部のそれぞれに存在する。それぞれの側部開口部Aは、
図9に例示するように、スペーサ部材又は構造体300を収容する。
図9の概略ブロックボックス400に示すように、対応するオス端子400が、第1端子ベース102及び第2端子ベース104のコンタクト領域106、116、遷移領域108、118の間のギャップ130のギャップ130a及び130bに入り、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の、概して参照符号Bで参照される遠位地点又は線に向かって移動する。
【0024】
図9にさらに示すように、第1端子ベース102及び第2端子ベース104のコンタクト領域106、116、遷移領域108、118の間のギャップ130を形成するギャップ130a及び130b(
図5及び
図8も参照)は、その中に対応するオス端子400(
図9に概略ブロック形式で示す)を収容するが、これは、最初に(
図9の矢印で示すように)第1端子ベース102のコンタクト領域106の複数の指部材170の組と、第2端子ベース104のコンタクト領域116の複数の指部材180の組との間のギャップ130aに入る。オス端子400は次いで第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の間のギャップ130bを通って移動し、オス端子400は、
図8に関連して上述したように、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の遠位地点又は線Bで移動する。
【0025】
図8に見られるように、(第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の間に形成されたギャップ130bの対向する側部のそれぞれにおける)開口部Aは、
図1及び
図2の上述した従来の端子におけるような(例えば90°に折り曲げられた)タブを有していないが、そうでなければ、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の高導電性の遷移領域108、118を、開口部Aにおいて、十分に広くするためにブランク状態で打抜く必要があり、その結果、製造時の廃材が望ましくないほど増加することになるであろう。すなわち、これらの開口部Aにおけるタブの使用を回避することは、本発明のメス端子100の製造コストを削減することになるしかしながら、(
図3に関連して上述した従来の端子のように)そのようなタブが無いと、対応するオス端子を受け入れる、必要なギャップを維持し、オス端子を受け入れるそのようなギャップが不均一に大きくも小さくもならないよう確保するために必要な支持を提供することができない。
【0026】
本発明のメス端子100においては、スペーサ部材又は構造体300は、端子バネ112の後部112bに接合、接続、又は一体化されており、端子バネ112の後部112bの側部をそれぞれ構成する。さらに、スペーサ部材又は構造体300は、
図8に示すが、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の間に形成されたギャップ130bの対向するそれぞれの側部をカバーする。より具体的には、スペーサ部材又は構造体300がカバーするそれぞれの開口部Aにおいて、スペーサ部材又は構造体300の上部部材302は、端子バネ112の後部112bの上部210に接続され、その一方で、スペーサ部材又は構造体300の下部部材304は、端子バネ112の後部112bの下部220に接続されている。スペーサ部材又は構造体300の前部306及び後部308は、少なくとも部分的に、開口部A内に収容され、また、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の遷移領域108、118の側部開口部Aにおいて、側部を支持する。端子バネ112の後部112bの側部開口Aにおいて、対向する側部に一体的に結合されたスペーサ部材又は構造体300の前部部材306及び後部部材308により、端子バネ112は、適切なスペーサとして機能する。そして、(スペーサ部材又は構造体300を有する)端子バネ112の、第1端子ベース102及び第2端子ベース104の高導電性コンタクト領域106、116に対して補助的な力を与える機能に加えて、スペーサ部材又は構造体300は、対応するオス端子400が最初にそこを通って入る(第1端子ベース102及び第2端子ベース104のコンタクト領域106、116の間の)ギャップ130aの正確なギャップを維持する。
【0027】
より具体的には、スペーサ部材又は構造体300は、対応するオス端子400が最初に入る、第1端子ベース102のコンタクト領域106の複数の指部材170の組の端部175と第2端子ベース104のコンタクト領域116の複数の指部材180の組の端部185との間のギャップ130aの正確なギャップを維持する。
【0028】
本発明のメス端子100のスペーサ部材又は構造体300の一体化により、(
図1及び
図2の従来の端子の説明で上述した)タブが排除される。それにより、本発明のメス端子100の製造時の廃材が減少する。また、本発明のメス端子100のスペーサ部材又は構造体300は、
図3に関連して上述した従来の端子とは異なり、適切なコンタクトインタフェースギャップ130aを維持する。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更や構成変更等を行うことができる。
【国際調査報告】