(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
C25D21/12 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569854
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 CN2023083503
(87)【国際公開番号】W WO2024007630
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202221765505.3
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524016758
【氏名又は名称】深▲せん▼金美新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】臧 世▲偉▼
(57)【要約】
本発明は電気メッキ装置技術分野に関し、特に両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置に関し、前記ガルバニ電気メッキ装置は、メッキ槽とフィルム搬送手段とを含み、前記メッキ槽内に第1のメインローラ及び第2のメインローラが設けられ、前記第1のメインローラ及び第2のメインローラの周辺にいずれも導電テープが設けられ、前記フィルム搬送手段は、フィルムの一方側面が第1のメインローラの左側を引き回されて第1のメインローラの右側から引き出されるようにガイドし、且つフィルムの他方側面が第2のメインローラの右側を引き回されて第2のメインローラの左側から引き出されるようにガイドする。本発明の上述したガルバニ電気メッキ装置では、導電テープはメッキ槽を通る必要がなく、且つメッキ液を収集するための対応するオーバーフロー槽を増設する必要がなく、装置の投入を節約し、メッキ溝の安全性を向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置であって、
メッキ槽(1)とフィルム搬送手段とを含み、前記メッキ槽(1)内に第1のメインローラ(201)及び第2のメインローラ(202)が設けられ、前記第1のメインローラ(201)及び第2のメインローラ(202)の周辺にいずれも導電テープ(3)が設けられ、前記導電テープ(3)はフィルムの一部の外側面に密着しながら循環して引き回され、前記第1のメインローラ(201)及び第2のメインローラ(202)の周辺にいずれも弧状の陽極板(4)が設けられ、前記陽極板(4)はメッキ電源の正極に接続され、前記導電テープ(3)は前記メッキ電源の負極に接続され、前記フィルム搬送手段は、フィルムの一方側面が第1のメインローラ(201)の左側を引き回されて第1のメインローラ(201)の右側から引き出されるようにガイドし、且つフィルムの他方側面が第2のメインローラ(202)の右側を引き回されて第2のメインローラ(202)の左側から引き出されるようにガイドし、前記導電テープ(3)は、第1のメインローラ(201)及び第2のメインローラ(202)の上方に設けられる、ことを特徴とする両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置。
【請求項2】
前記フィルム搬送手段は、巻き出し手段(5)と巻き取り手段(9)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置。
【請求項3】
前記巻き出し手段(5)は、第1のメインローラ(201)と第2のメインローラ(202)との間に設けられ、前記第1のメインローラ(201)は第2のメインローラ(202)の右側に位置する、ことを特徴とする請求項2に記載の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置。
【請求項4】
前記巻き出し手段(5)は、フィルムを巻き出すための巻き出し軸(51)と、巻き出し軸(51)の両端に設けられる支持軸(52)とを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置。
【請求項5】
前記ガルバニ電気メッキ装置は、水洗槽(6)と酸化防止槽(7)とをさらに含み、上述した、第2のメインローラ(202)の左側から引き出されたフィルムは、さらに、水洗槽(6)及び酸化防止槽(7)を順に通過する、ことを特徴とする請求項3に記載の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置。
【請求項6】
前記水洗槽(6)と酸化防止槽(7)との間に除電器(8)が設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気メッキ装置技術分野に関し、特に、両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置のことである。
【背景技術】
【0002】
現在の電気メッキ装置として、例えば、実用新案CN214991962Uは、フレキシブルフィルム基材の表面に電気メッキ加工を行うためのガルバニ電気メッキ装置を開示している。当該技術案において、導電テープがフィルムの外側に環形状に引き回される時、導電テープはメッキ液内に入り、メッキ液が導電テープとともに液面の外に露出するため、導電テープ上のメッキ液に対して加工処理、例えば、バフ研磨して銅メッキを除去する処理を行う必要があり、明細書には、「前記メッキ槽内に第1のメインローラ及び第2のメインローラが設けられ、前記メッキ膜は前記第1のメインローラを引き回された後に、前記第2のメインローラを反対方向に引き回され、前記メッキ液プールから通る」ことが記載されている。この記載から分かるように、左側導電テープ331に1つのオーバーフロー槽313を対応して設ける必要があり、オーバーフロー槽313内で導電テープ上のメッキ液に対して加工処理を行い、且つ導電テープはメッキ槽から通り、メッキ槽内のメッキ液はオーバーフロー槽313内にオーバーフローし、一方、右側導電テープ331は、その上方で導電テープ上のメッキ液に対して加工処理を行うことができ、導電テープが必要ではない。従って、当該実用新案の技術案では、左側導電テープにオーバーフロー槽を設けることでコストが増大し、且つ導電テープはメッキ槽内から通るため、構造が複雑で、産業化を実現することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、導電テープがメッキ槽を通る必要がなく、且つメッキ液を収集するための対応するオーバーフロー槽を増設する必要がなく、装置の投入を節約し、メッキ槽の安全性を向上させる両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、次の技術案を採用する。
【0005】
両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置であって、メッキ槽とフィルム搬送手段とを含み、前記メッキ槽内に第1のメインローラ及び第2のメインローラが設けられ、前記第1のメインローラ及び第2のメインローラは、それぞれフィルムの2つの側面を着膜し、前記第1のメインローラ及び第2のメインローラの周辺にいずれも導電テープが設けられ、前記導電テープは前記フィルムの一部の外側面に密着しながら循環して引き回され、前記第1のメインローラ及び第2のメインローラの周辺にいずれも弧状の陽極板が設けられ、前記陽極板はメッキ電源の正極に接続され、前記導電テープは前記メッキ電源の負極に接続され、前記フィルム搬送手段は、フィルムの一方側面が第1のメインローラの左側を引き回されて第1のメインローラの右側から引き出されるようにガイドし、且つフィルムの他方側面が第2のメインローラの右側を引き回されて第2のメインローラの左側から引き出されるようにガイドする。
【0006】
さらに、前記フィルム搬送手段は、巻き出し手段と巻き取り手段とを含み、巻き出し手段によってフィルムを巻き出し、巻き取り手段によって着膜されたフィルムを巻き取ることにより、電気メッキ過程の全体を完了させる。
【0007】
さらに、前記巻き出し手段は、第1のメインローラと第2のメインローラとの間に設けられ、具体的に、第1のメインローラと第2のメインローラとの間の上方の領域を選択してもよい。前記第1のメインローラは第2のメインローラの右側に位置する。
【0008】
さらに、前記巻き出し手段は、フィルムを巻き出すための巻き出し軸と、巻き出し軸の両端に設けられる支持軸とを含み、モータに駆動されて、巻き出し軸によってフィルムを巻き出すことができるとともに、支持軸を傾斜させることによってフィルムの供給角度を調整することができ、フィルムを容易に展開する。
【0009】
さらに、前記電気メッキ装置は、水洗槽と酸化防止槽とをさらに含み、上述した、第2のメインローラの左側から引き出されたフィルムは、さらに、水洗槽及び酸化防止槽を順に通過する。
【0010】
さらに、前記水洗槽と酸化防止槽との間に除電器が設けられ、除電器は、フィルムを搬送する過程に発生した静電を除電するために用いられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は次のとおりである。
【0012】
本発明は、巻き出し手段の配置位置及び巻き回し方式を調整することにより、フィルムの巻き回し方式は、メッキ槽から通る必要がないとともに、対応するオーバーフロー槽を組み合わせる必要がなく、装置の投入を低減させるとともに、メッキ槽の安全性を向上させる。
【0013】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術を記述するために使用する必要のある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記述される図面はあくまでも本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
当業者が容易に理解するようにするために、以下、実施例及び図面を結び付けて本発明をさらに説明し、実施の形態で言及された内容は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0016】
図1~
図3に示す両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置は、メッキ槽1とフィルム100搬送手段とを含み、前記メッキ槽1内に第1のメインローラ201及び第2のメインローラ202が設けられる。前記第1のメインローラ201及び第2のメインローラ202はそれぞれフィルム100の2つの側面を着膜し、前記第1のメインローラ201及び第2のメインローラ202の周辺にいずれも導電テープ3が設けられ、前記導電テープ3は前記フィルム100の一部の外側面に密着しながら循環して引き回される。前記第1のメインローラ201及び第2のメインローラ202の周辺にいずれも弧状の陽極板4が設けられ、前記陽極板4はメッキ電源の正極に接続され、前記導電テープ3は前記メッキ電源の負極に接続される。前記フィルム100搬送手段は、フィルム100の一方側面が第1のメインローラ201の左側を引き回されて第1のメインローラ201の右側から引き出されるようにガイドし、且つフィルム100の他方側面が第2のメインローラ202の右側を引き回されて第2のメインローラ202の左側から引き出されるようにガイドする。
【0017】
図1又は
図2に示すように、メッキ槽の右側から(右から左まで)第1のメインローラ、次に第2のメインローラが並んでいるため、着膜されていないフィルムは、第1のメインローラの右側を引き回され、第1のメインローラの上方を経て、第1のメインローラの左側から引き出され、そして、フィルムは第2のメインローラの右側を引き回され、第2のメインローラの上方を経て、第2のメインローラの左側から引き出され、フィルムを引き回す作業を完了させる。
【0018】
本実施例では、前記フィルム100搬送手段は、巻き出し手段5と巻き取り手段9とを含み、巻き出し手段5によってフィルム100を巻き出し、巻き取り手段9によって着膜されたフィルム100を巻き取ることにより、電気メッキ過程の全体を完了する。具体的には、前記巻き出し手段5は、第1のメインローラ201と第2のメインローラ202との間に設けられる。具体的には、第1のメインローラ201と第2のメインローラ202との間の上方の領域を選択してもよく、フィルム100は最初に第1のメインローラ201の左側を引き回されるため、巻き出し手段5は、第1のメインローラ201の左側に近い領域の上方に設けられることが好ましい。
【0019】
具体的には、電気メッキの過程は次のとおりである。フィルム100は、第1のメインローラ201の左側を引き回され、第1のメインローラ201の右側から引き出される。導電テープ3の引き回し及び引き出し方式としては、第1のメインローラ201の上方の領域に設けられることが選択され、第1のメインローラ201の右側から引き出された導電テープ3は、第2のメインローラ202の左側を引き回され、第2のメインローラ202の右側から引き出される。導電テープ3の引き回し及び引き出し方式としては、第2のメインローラ202の上方の領域に設けられることが選択され、第1のメインローラ201及び第2のメインローラ202の上方の領域に位置する導電テープ3を払拭し、導電テープ3がメッキ槽1から持ち出したメッキ液がローラ又はフィルム100上に漏れることを防止し、当該導電テープ3を設ける過程において、導電テープ3はメッキ槽1を通らず、オーバーフロー槽を増設する必要がない。同様に、第1のメインローラ201(又は第2のメインローラ202)近傍の陽極板4はメッキ電源(図示せず)の正極に接続され、第1のメインローラ201(又は第2のメインローラ202)上の導電テープ3は前記メッキ電源(図示せず)の負極に接続され、電気メッキ液におけるカチオンをフィルム100上に堆積させることができる。
【0020】
具体的には、前記巻き出し手段5は、フィルム100を巻き出すための巻き出し軸51と、巻き出し軸51の両端に設けられる支持軸52とを含む。前記巻き出し軸51はモータ(図示せず)によって駆動され、前記支持軸52はモータ(図示せず)によって駆動されてもよく、モータ(図示せず)に駆動されて、巻き出し軸51を回動させることができる。それによってフィルム100の巻き出しを完了させ、モータに駆動されて、支持軸52を一定の範囲内で傾斜させることができ、支持軸52を傾斜させることにより、巻き出し軸51の高さを調整し、それによってフィルム100の供給(巻き出す動作による出力)角度を調整することができ、フィルム100を容易に展開する。
【0021】
本発明では、前記電気メッキ装置は水洗槽6と酸化防止槽7とをさらに含み、上述した、第2のメインローラ202の左側から引き出されたフィルム100は、さらに、水洗槽6及び酸化防止槽7を順に通過する。
【0022】
具体的には、前記水洗槽6と酸化防止槽7との間に除電器8が設けられ、除電器8は、フィルム100を搬送する過程において発生した静電を除電するために用いられてもよい。従来の型番の除電器8を選択して組み合わせてもよい。
【0023】
具体的な作動過程は次のとおりである。メッキ槽内に電気メッキ液が貯留され、水洗槽内に蒸留水が貯留され、酸化防止槽内に酸化防止液が貯留される。巻き出し手段によってフィルムコイルを巻き出す際に、フィルムは第1のメインローラの左側から引き回され、第1のメインローラの右側から引き出され、当該過程において第1のメインローラ上の導電テープによってフィルムを電気メッキし、第1のメインローラから引き出されたフィルムは第2のメインローラの右側から引き回され、第2のメインローラの左側から引き出され、当該過程において第2のメインローラ上の導電テープによってフィルムを電気メッキし、第2のメインローラから引き出されたフィルムは払拭された後(電気メッキ液を除去した後)に、水洗槽に到達し、水洗された後、さらに、酸化防止槽に到達し、酸化防止処理された後、さらに、乾燥などの操作を経て、フィルムを電気メッキする過程を完了させる。
【0024】
上記の実施例は本発明の好ましい実現方案であり、これ以外、本発明は他の方式によって実現されてもよく、本技術案の思想を逸脱しない限り、明らかな置換は何れも本発明の保護範囲内にある。
【0025】
本発明の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置は、巻き出し手段の配置位置及び引き回し方式を調整することにより、フィルムの引き回し方式は、メッキ槽を通る必要がないとともに、対応するオーバーフロー槽を組み合わせる必要がなく、装置の投入を低減させるとともに、メッキ槽の安全性を向上させ、以上により、本発明の両面の着膜機能を有するガルバニ電気メッキ装置は実用性を備える。
【符号の説明】
【0026】
1 メッキ槽
201 第1のメインローラ
202 第2のメインローラ
3 導電テープ
4 陽極板
5 巻き出し手段
51 巻き出し軸
52 支持軸
6 水洗槽
7 酸化防止槽
8 除電器
9 巻き取り手段
100 フィルム
【国際調査報告】