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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20241010BHJP
   H04R 1/24 20060101ALI20241010BHJP
   G10K 11/175 20060101ALN20241010BHJP
   H04R 1/40 20060101ALN20241010BHJP
   H04R 1/10 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
H04R1/28 310Z
H04R1/24
G10K11/175
H04R1/40 310
H04R1/10 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579032
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2022126079
(87)【国際公開番号】W WO2024077647
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202211225706.9
(32)【優先日】2022-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522361364
【氏名又は名称】深▲せん▼市大十未来科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】王 伝波
(72)【発明者】
【氏名】▲でん▼ 宏国
(72)【発明者】
【氏名】李 浩乾
【テーマコード(参考)】
5D005
5D018
5D061
【Fターム(参考)】
5D005BA08
5D018AF24
5D061FF02
(57)【要約】
本発明は、ハウジングと、ハウジング内に設けられた音源とを含む音響装置を開示する。前記ハウジングの異なる表面には、放音孔及び逆相音孔が設けられ、前記放音孔と逆相音孔が発する音は、位相が逆であり、かつ振幅が同じであり、前記音源の前端と放音孔との間には、第1音響キャビティが形成され、前記音源の後端と逆相音孔との間には、第2音響キャビティが形成され、前記第1音響キャビティと第2音響キャビティとは、設けられた音響ダイポール管を介して連通する。本発明は、放音孔と音源との間に第1音響キャビティを設け、逆相音孔と音源の後側との間に第2音響キャビティを設け、かつ第1音響キャビティと第2音響キャビティとをダイポール管を介して連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音を音響装置の内部で結合させ、ダイポール管のサイズ及びダイポール管に設定された音響減衰値を調整することにより、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、ハウジング内に設けられた音源とを含む音響装置であって、前記ハウジングの異なる表面には、放音孔及び逆相音孔が設けられ、前記放音孔と逆相音孔が発する音は、位相が逆であり、かつ振幅が同じであり、前記音源の前端と放音孔との間には、第1音響キャビティが形成され、前記音源の後端と逆相音孔との間には、第2音響キャビティが形成され、前記第1音響キャビティと第2音響キャビティとは、設けられた音響ダイポール管を介して連通する、
ことを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記音源は、自身の前側及び後側に対して音声信号を放射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
標準ITU-TP.57における外耳道入口EEPを原点として空間座標系を確立し、前記EEPは、原点Oであり、耳に垂直な外側方向はX軸の正の軸方向であり、耳に垂直な前方向はY軸の正の軸方向であり、鉛直上方はZ軸の正の軸方向であり、前記音響装置を着用する場合、前記放音孔は、座標系における(0mm,-12.2mm,-5.2mm)、(15.3mm,3.2mm,13.3mm)及び(3mm,10mm,-10mm)の領域内に位置し、前記逆相音孔は、座標系における(5mm,-22mm,-3.2mm)、(27.3mm,15mm,18mm)及び(5mm,-15mm,12mm)の領域内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項4】
標準ITU-TP.57におけるERPを原点として空間座標系を確立し、前記ERPは、座標原点Oであり、耳に垂直な外側方向はX軸の正の軸方向であり、耳に垂直な前方向はY軸の正の軸方向であり、鉛直上方はZ軸の正の軸方向であり、前記音響装置を着用する場合、前記放音孔は、座標系における(0mm,-12.2mm,-5.2mm)、(15.3mm,3.2mm,13.3mm)及び(3mm,10mm,-10mm)の領域内に位置し、前記逆相音孔は、座標系における(5mm,-22mm,-3.2mm)、(27.3mm,15mm,18mm)及び(5mm,-15mm,12mm)の領域内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項5】
前記放音孔の放音方向と逆相音孔の放音方向との間には、設定角度が形成され、前記設定角度は、90°~180°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項6】
前記第1音響キャビティ及び第2音響キャビティの容積は0.8cmより大きく、前記第1音響キャビティの容積は、前記第2音響キャビティの容積の0.4~6倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項7】
前記放音孔、逆相音孔には、いずれも音響メッシュ布が設けられ、前記放音孔、逆相音孔及び対応する音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項8】
前記放音孔の断面積は、音源に設けられた振動膜の面積の20%~35%であり、前記逆相音孔の断面積は、音源に設けられた振動膜の面積の15%~20%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項9】
前記放音孔及び逆相音孔の面積は、4mm以上であり、かつ放音孔は、逆相音孔の0.4~2.5倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項10】
前記音響ダイポール管の横断面積は、2mm以上であり、前記音響ダイポール管の長さは、2mm以上で、かつ25mm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項11】
前記音響ダイポール管の第1音響キャビティ又は第2音響キャビティに位置する連通箇所に音響メッシュ布が設けられ、前記音響ダイポール管と対応する音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項12】
前記音源は、単一振動膜スピーカーであり、前記単一振動膜スピーカーには、第1振動膜が設けられ、前記第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、前記単一振動膜スピーカーの後側とハウジングの内壁との間には、第2音響キャビティが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項13】
前記音源は、ダブル振動膜スピーカーであり、前記ダブル振動膜スピーカーには、第1振動膜及び第2振動膜が設けられ、前記第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、前記第2振動膜とハウジングの内壁との間には、第2音響キャビティが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項14】
前記音源は、単一振動膜スピーカー及び受動膜を含み、前記単一振動膜スピーカーには、第1振動膜が設けられ、前記第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、前記受動膜とハウジングの内壁との間には、前記第2音響キャビティが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項15】
前記受動膜と単一振動膜スピーカーの後側には、第1密閉音響キャビティが形成され、前記第1密閉音響キャビティの容積は、18cmより小さい、
ことを特徴とする請求項14に記載の音響装置。
【請求項16】
前記音源は、スピーカーモジュールであり、前記スピーカーモジュールは、少なくとも一対の単一振動膜スピーカーを含み、前記単一振動膜スピーカーは、互いに背向するように設けられ、前記単一振動膜スピーカーには、第1振動膜が設けられ、そのうちの1つの前記単一振動膜スピーカーの第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、もう1つの前記単一振動膜スピーカーの第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第2音響キャビティが形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項17】
一対の前記単一振動膜スピーカーの後側の間には、第2密閉音響キャビティが形成され、前記第2密閉音響キャビティの容積は、18cmより小さい、
ことを特徴とする請求項16に記載の音響装置。
【請求項18】
前記音源には、振動膜が設けられ、前記音響ダイポール管の両端の中心と振動膜との距離は、25mm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項19】
前記音響ダイポール管の両端の中心と、放音孔、逆相音孔の中心との距離は、30mm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響の技術分野に関し、より具体的には、音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオーディオ製品の設計において、例えば、眼鏡、吊り下げ式イヤホンの放音孔は、外耳道入口(EEP、Ear canal Entrance Point、国際電気通信連合電気通信標準局(ITU)が発布した標準ITU-TP.57)から遠く離れ、オーディオ装置が大きな音量を再生する場合、大きな音が外部に漏れ、外部に影響を与え、又は使用者のプライバシーが漏れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術の欠点を克服し、音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を用いる。
【0005】
音響装置は、ハウジングと、ハウジング内に設けられた音源とを含み、前記ハウジングの異なる表面には、放音孔及び逆相音孔が設けられ、前記放音孔と逆相音孔が発する音は、位相が逆であり、かつ振幅が同じであり、前記音源の前端と放音孔との間には、第1音響キャビティが形成され、前記音源の後端と逆相音孔との間には、第2音響キャビティが形成され、前記第1音響キャビティと第2音響キャビティとは、設けられた音響ダイポール管を介して連通する。
【0006】
さらなる技術手段として、前記音源は、自身の前側及び後側に対して音声信号を放射する。
【0007】
さらなる技術手段として、標準ITU-TP.57における外耳道入口EEPを原点として空間座標系を確立し、前記EEPは、原点Oであり、耳に垂直な外側方向はX軸の正の軸方向であり、耳に垂直な前方向はY軸の正の軸方向であり、鉛直上方はZ軸の正の軸方向であり、前記音響装置を着用する場合、前記放音孔は、座標系における(0mm,-12.2mm,-5.2mm)、(15.3mm,3.2mm,13.3mm)及び(3mm,10mm,-10mm)の領域内に位置し、前記逆相音孔は、座標系における(5mm,-22mm,-3.2mm)、(27.3mm,15mm,18mm)及び(5mm,-15mm,12mm)の領域内に位置する。
【0008】
さらなる技術手段として、標準ITU-TP.57におけるERPを原点として空間座標系を確立し、前記ERPは、座標原点Oであり、耳に垂直な外側方向はX軸の正の軸方向であり、耳に垂直な前方向はY軸の正の軸方向であり、鉛直上方はZ軸の正の軸方向であり、前記音響装置を着用する場合、前記放音孔は、座標系における(0mm,-12.2mm,-5.2mm)、(15.3mm,3.2mm,13.3mm)及び(3mm,10mm,-10mm)の領域内に位置し、前記逆相音孔は、座標系における(5mm,-22mm,-3.2mm)、(27.3mm,15mm,18mm)及び(5mm,-15mm,12mm)の領域内に位置する。
【0009】
さらなる技術手段として、前記放音孔の放音方向と逆相音孔の放音方向との間には、設定角度が形成され、前記設定角度は、90°~180°である。
【0010】
さらなる技術手段として、前記第1音響キャビティ及び第2音響キャビティの容積は0.8cmより大きく、前記第1音響キャビティの容積は、前記第2音響キャビティの容積の0.4~6倍である。
【0011】
さらなる技術手段として、前記放音孔、逆相音孔には、いずれも音響メッシュ布が設けられ、前記放音孔、逆相音孔及びそれに付着した音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である。
【0012】
さらなる技術手段として、前記放音孔の断面積は、音源の振動膜の面積の20%~35%であり、前記逆相音孔の断面積は、音源の振動膜の面積の15%~20%である。
【0013】
さらなる技術手段として、前記放音孔及び逆相音孔の面積は、4mm以上であり、かつ放音孔は、逆相音孔の0.4~2.5倍である。
【0014】
さらなる技術手段として、前記音響ダイポール管の横断面積は、2mm以上であり、前記音響ダイポール管の長さは、2mm以上で、かつ25mm以下である。
【0015】
さらなる技術手段として、前記音響ダイポール管の第1音響キャビティ又は第2音響キャビティに位置する連通箇所に音響メッシュ布が設けられる。
【0016】
さらなる技術手段として、前記音源は、単一振動膜スピーカーであり、前記単一振動膜スピーカーには、第1振動膜が設けられ、前記第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、前記単一振動膜スピーカーの後側とハウジングの内壁との間には、第2音響キャビティが形成される。
【0017】
さらなる技術手段として、前記音源は、ダブル振動膜スピーカーであり、前記ダブル振動膜スピーカーには、第1振動膜及び第2振動膜が設けられ、前記第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、前記第2振動膜とハウジングの内壁との間には、第2音響キャビティが形成される。
【0018】
さらなる技術手段として、前記音源は、単一振動膜スピーカー及び受動膜を含み、前記単一振動膜スピーカーには、第1振動膜が設けられ、前記第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、前記受動膜とハウジングの内壁との間には、前記第2音響キャビティが形成される。
【0019】
さらなる技術手段として、前記受動膜と単一振動膜スピーカーの後側には、第1密閉音響キャビティが形成され、前記第1密閉音響キャビティの容積は、18cmより小さい。
【0020】
さらなる技術手段として、前記音源は、スピーカーモジュールであり、前記スピーカーモジュールは、少なくとも一対の単一振動膜スピーカーを含み、前記単一振動膜スピーカーは、互いに背向するように設けられ、前記単一振動膜スピーカーには、第1振動膜が設けられ、そのうちの1つの前記単一振動膜スピーカーの第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第1音響キャビティが形成され、もう1つの前記単一振動膜スピーカーの第1振動膜とハウジングの内壁との間には、前記第2音響キャビティが形成される。
【0021】
さらなる技術手段として、一対の前記単一振動膜スピーカーの後側の間には、第2密閉音響キャビティが形成され、前記第2密閉音響キャビティの容積は、18cmより小さい。
【0022】
さらなる技術手段として、前記音源には、振動膜が設けられ、前記音響ダイポール管の両端の中心と振動膜との距離は、25mm以下である。
【0023】
さらなる技術手段として、前記音響ダイポール管の両端の中心と、放音孔、逆相音孔の中心との距離は、30mm以下である。
【発明の効果】
【0024】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明は、放音孔と音源との間に第1音響キャビティを設け、逆相音孔と音源の後側との間に第2音響キャビティを設け、かつ第1音響キャビティと第2音響キャビティとをダイポール管を介して連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音を音響装置の内部で結合させ、ダイポール管のサイズ及びダイポール管に設定された音響インピーダンスを調整し、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。
【0025】
上記説明は、本発明の技術手段の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明確に理解するために、明細書の内容に基づいて実施することができ、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確に理解しやすくするために、以下、特に好ましい実施例を挙げて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の音響装置のEEPを原点とする座標系である。
図2図1のB-B断面図である。
図3】本発明の音響装置のERPを原点とする座標である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】本発明の音響装置の単一振動膜音源の断面図である。
図6】本発明の音響装置のダブル振動膜音源の断面図である。
図7】本発明の音響装置の単一振動膜音源及び受動膜の断面図である。
図8】本発明の音響装置のスピーカーモジュールの断面図である。
図9】本発明の音響装置の音漏れ周波数応答曲線である。
図10】本発明の音響装置の周波数応答曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0028】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明確かつ完全的に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本開示の実施例に基づき、当業者が創造性のある労働をせずに為しえる全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものである。
【0029】
本発明の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないと理解されたいため、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0030】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆したり、示された技術的特徴の数を暗示的に示したりするものとして理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の当該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本発明の説明では、「複数」とは、明確かつ具体的な限定がない限り、2つ又は2つ以上を意味する。
【0031】
本発明において、明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきである。明確な限定がない限り、例えば、接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、又は中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
本発明において、別に明確な規定及び限定を有しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下及び斜め下にあることを含み、第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことだけを表す。
【0033】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、「いくつかの例」などを参照する説明は、当該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるものであると理解すべきではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例を結合し、組み合わせることができる。
【0034】
図1図10は、本発明の図面である。
【0035】
本実施例は、音響装置を提供し、図1図4に示すように、国際電気通信連合電気通信標準局(ITU)が発布した標準ITU-TP.57において、外耳道入口4(EEP、Ear canal Entrance Point)の位置及び耳基準点(ERP、Ear reference Point)の位置を定義している。
【0036】
図1及び図2に示すように、EEPは、原点Oであり、EEPから耳の外側はX軸の正の軸方向であり、EEPから前側はY軸の正の軸方向であり、EEPから上側はZ軸の正の軸方向であり、第1座標系を形成する。EEPを原点とする空間座標系において、音響装置3を耳1に着用する場合、放音孔11の中心点の座標(x,y,z)は、(0mm,-12.2mm,-5.2mm)、(15.3mm,3.2mm,13.3mm)及び(3mm,10mm,-10mm)で囲まれた空間領域13Aに位置する。逆相音孔12の中心点の座標(x,y,z)は、(5mm,-22mm,-3.2mm)、(27.3mm,15mm,18mm)及び(5mm,-15mm,12mm)で囲まれた空間領域14Aに位置する。
【0037】
図3図4に示すように、同様に、本発明は、標準ITU-TP.57における耳基準点(ERP、Ear reference Point)である原点を引用して空間座標2を確立する。図3図4に示すように、ERPは、座標原点Oであり、ERPから耳の外側はX軸の正の軸方向であり、ERPから前側はY軸の正の軸方向であり、ERPから上側はZ軸の正の軸方向である。ERPを原点とする空間座標系において、音響装置3を耳1に着用する場合、放音孔11の中心点座標(x,y,z)は、(0mm,-12.2mm,-5.2mm)、(15.3mm,3.2mm,13.3mm)及び(3mm,10mm,-10mm)で囲まれた空間領域13Bに位置する。逆相音孔12の中心点座標(x,y,z)は、(5mm,-22mm,-3.2mm)、(27.3mm,15mm,18mm)及び(5mm,-15mm,12mm)で囲まれた空間領域14Bに位置する。
【0038】
音響装置3に着用構造が設けられることにより、放音孔11及び逆相音孔12が上記空間領域13Aと空間領域14A、空間領域13Bと空間領域14Bに位置することができ、上記空間領域に位置した後、放音孔11と逆相音孔12が発する音は、位相が逆であり、かつ振幅が同じであるため、音響装置3は、耳の外側への音漏れをよりよく低減し、耳に入る端の音のエネルギーを強化することができる。
【0039】
音響装置3の具体的な構造において、図5図7に示すように、音響装置3は、ハウジング10と、ハウジング10の内部に設けられた音源20とを含む。音源20は、自身の前側及び後側に対して音声信号を放射することができる。ハウジング10の異なる表面には、放音孔11及び逆相音孔12が設けられ、音源20から前方に放射された音声信号は、放音孔11を介して伝播し、音源20から後方に放射された音声信号は、逆相音孔12を介して伝播する。放音孔11と逆相音孔12が発する音は、位相が逆で、かつ振幅が同じである。音源20の前側と放音孔11との間には、第1音響キャビティ15が形成され、音源20の後側と逆相音孔12との間には、第2音響キャビティ16が形成される。第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とは、設けられた音響ダイポール管17を介して連通する。第1音響キャビティ15、第2音響キャビティ16は、収容キャビティであり、横断面積がいずれも放音孔11、逆相音孔12より大きい。音源20から発する音は、第1音響キャビティ15、第2音響キャビティ16のフィルタリング高周波を経て、低周波特性を改善することにより、発せられる音がより丸くなる。
【0040】
放音孔11と逆相音孔12が発する音は、位相が逆で、かつ振幅が同じであり、放音孔11の放音方向と逆相音孔12の放音方向との間には、設定角度(好ましくは、図2に示すように、角度aは、設定角度であり、その大きさが90°~180°である)が形成される。本実施例では、放音孔11と逆相音孔12がハウジング10の2つの相反する表面に設けられることにより、逆相音孔12の外向き領域の音を互いに相殺し、音漏れを回避することができ、耳内(即ち、耳道内)に向かう音が相殺されない又は相殺されるエネルギーが限られるため、本音響装置を着用する場合、着用者は、音を聞くことができ、外の人は、聞こえず、音漏れを防止する機能を果たす。
【0041】
第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16の容積の大きさは、音質効果に影響を与えるため、好ましくは、第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16の容積は、0.8cmより大きく、かつ第1音響キャビティ15の容積は、第2音響キャビティ16の容積の0.4~6倍であり、第1音響キャビティ15の容積と第2音響キャビティ16の容積との比を調整することにより、放音孔11と逆相音孔12が発する音の振幅及び位相を調整する。
【0042】
放音孔11、逆相音孔12の孔路にも音響メッシュ布を貼り付ける必要があり、実際の必要に応じてメッシュ布の抵抗値を設定する。好ましくは、放音孔11と音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下であり、逆相音孔12と音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である。放音孔11と音響メッシュ布による音響インピーダンスKは、音響メッシュ布の音響減衰値(acoustic damping value)と放音孔11の単位面積との比であり、即ち、K=音響メッシュ布の音響減衰値/放音孔の横断面積である。
【0043】
放音孔11の横断面積は、音源20に設けられた振動膜の面積の20%~35%であり、逆相音孔12の横断面積は、音源20に設けられた振動膜の面積の15%~20%であり、放音孔11の面積を調整することにより、放音孔11から発する音の振幅及び位相の調整を実現することができる。放音孔11及び逆相音孔12の形状は、円形、正方形、楕円形又はレーストラック形に限定されない。具体的には、音源20の振動膜は、後述する第1振動膜201A、第1振動膜201B、第2振動膜202B、第1振動膜201C、受動膜107、第1振動膜201D、第2振動膜202Dである。
【0044】
放音孔11の数は、1つ又は2つ以上であり、逆相音孔12の数は、1つ又は2つ以上であるが、放音孔11及び逆相音孔12の空間位置は、空間座標系における本発明の定義を満たす必要がある。本実施例では、1つの放音孔11と1つの逆相音孔12のみを用いる。
【0045】
好ましくは、放音孔11及び逆相音孔12の面積は、4mm以上であり、放音孔11の面積は、逆相音孔12の面積の0.4~2.5倍である。放音孔11及び逆相音孔12の面積は、4mm以上であることにより、音響強度の損失を回避し、高周波音を抑制することができる。放音孔11は、逆相音孔12の0.4~2.5倍であり、放音孔11の面積と逆相音孔12の面積との比を調整することにより、放音孔11と逆相音孔12が発する音の振幅及び位相を調整する。
【0046】
音響ダイポール管17の横断面積は、2mm以上であり、また、音響ダイポール管17の長さは、2mm以上であり、25mm以下であり、音響ダイポール管17の体積は、4mm以上であり、50mm以下であり、ダイポール管の断面積、長さ及び体積を調整し、第1音響キャビティ15及び第2音響キャビティ16、放音孔11及び逆相音孔12、第1音孔171及び第2音孔172の構造サイズのパラメータと組み合わせることにより、低周波増強の周波数範囲、振幅及び音漏れ周波数の範囲を調整することができる。
【0047】
図5に示すように、音響ダイポール管17の両端の端面は、音源20の振動膜の所在するキャビティ内に位置し、即ち、第1音孔171は、第1音響キャビティ15内に位置し、第2音孔172は、第2音響キャビティ16内に位置する。第1音孔171と第2音孔172の中心と、対応する振動膜の中心との距離d1が25mm以下であることにより、音響装置の低音効果を効果的に向上させ、放音孔11及び逆相音孔12から発する音の振幅及び位相を調整し、音源20の音響結合を効果的に向上させ、音漏れ量を低減する。
【0048】
図5に示すように、音響ダイポール管17の第1音孔171の中心位置と放音孔11の中心位置との距離d2が30mm以下であり、第2音孔172の中心位置と逆相音孔12の中心位置との距離d3が30mm以下であることにより、音響装置の低周波効果を向上させる。
【0049】
具体的には、図9に示す音漏れ周波数応答曲線のように、横座標は、周波数(単位Hz)を表し、縦座標は、音圧レベル(単位dB)である。音漏れ曲線は、マイクから本音響装置までの距離が0.5mである条件で得られたものであり、即ち、マイクから本音響装置までの距離が0.5mである位置をテストすることで音漏れ状況をテストする。同じテスト条件において、音響装置に設けられた音響ダイポール管17の音漏れ周波数応答曲線は、実線で示され、音響ダイポール管17がない音響装置の音漏れ周波数応答曲線は、破線で示される。図から分かるように、音響装置が発する音が350Hzより小さいである場合、音響ダイポール管17の有無は、音漏れに対して大きな影響を与えず、音響装置が発する音が350Hz~8000Hzである場合、同じ音響周波数で、音響ダイポール管17を備える音響装置が発生する音圧レベルは、音響ダイポール管17を備えない音響装置のものよりはるかに小さく、音響ダイポール管17を備える音響装置がより小さい音漏れを有し、ユーザのプライバシー保護を向上させることができることを示す。
【0050】
具体的には、図10に示す周波数応答曲線のように、横座標は、周波数(単位Hz)を表し、縦座標は、音圧レベル(単位dB)である。人工の耳における音響装置の周波数応答曲線については、音響ダイポール管17がない場合で破線で示され、音響ダイポール管17がある場合で実線で示される。実線は、破線より低周波数帯域に延在し、低周波数の音圧レベルを向上させ、人間の耳により多くの低周波数音の詳細を聞かせ、音響装置の低周波数性能を向上させる。
【0051】
実際の設計過程において、音源20は、単一振動膜スピーカー、ダブル振動膜スピーカー、単一振動膜スピーカー及び受動膜の組み合わせ、並びに少なくとも一対の単一振動膜スピーカーで形成されたスピーカーモジュールを用いる。
【0052】
音源20が単一振動膜スピーカーを用いる場合、図5に示すように、単一振動膜スピーカーには第1振動膜201Aが設けられる。ハウジング10は、第1表面101と、第2表面102と、第1表面101及び第2表面102を接続する側面103とを有する。ハウジング10の内部には、音源20を固定する第1取付面104が設けられる。第1取付面104、第1振動膜201A及びハウジング10の内壁は、密封されて第1音響キャビティ15を形成する。本構造において、放音孔11は、第1表面101に設けられるが、応用において必要に応じて、放音孔11は、第2表面102又は側面103に設けられてもよい。ハウジング10の内部には、スピーカーを固定するブラケット106が設けられ、具体的には、第1取付面104は、ブラケット106の端面である。単一振動膜スピーカーとブラケット106との間が密封接続されるか、又は第1振動膜201Aと第1取付面104とが密封接続されることにより、単一振動膜スピーカーの前側と後側との間が互いに隔離される。したがって、単一振動膜スピーカーの後側とハウジング10の内壁との間には、第2音響キャビティ16が形成される。同様に、本構造において、第2音響キャビティ16に連通する逆相音孔12の位置は、第2表面102に位置し、実際の応用に応じて、逆相音孔12の位置は、側面103、第1表面101に設けられてもよい。第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16は、音響ダイポール管17を介して接続されて導通され、具体的には、音響ダイポール管17は、単一振動膜スピーカーの一側に設けられる。
【0053】
具体的には、第1音響キャビティ15には第1音孔171が設けられ、第2音響キャビティ16には第2音孔172が設けられ、音響ダイポール管17は、第1音孔171と第2音孔172とを連通するため、第1音孔171と第2音孔172は、音響ダイポール管の端面であり、このようにして第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とを導通させる。音響ダイポール管17を介して第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とを連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音をハウジング10の内部で結合させ、音響ダイポール管17のサイズと、音響ダイポール管17に設けられた音響メッシュ布の減衰値とを調整することにより、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。音響ダイポール管17上の音響メッシュ布は、一般的に第1音孔171及び第2音孔172に設けられ、第1音孔171及び第2音孔172のメッシュ布の減衰値を調整することにより、装置の低周波数音のカットオフ周波数を低音に移動させ、低音を増強する役割を果たす。
【0054】
好ましくは、第1音孔171及び第2音孔172とそれに付着した音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である。
【0055】
音源20がダブル振動膜スピーカーを用いる場合、図6に示すように、ダブル振動膜スピーカーには、第1振動膜201B及び第2振動膜202Bが設けられる。第1振動膜201Bと第2振動膜202Bは、それぞれスピーカーの両側面に設けられる。ハウジング構造は、単一振動膜スピーカーのハウジング10と同じであり、ここでは詳述しない。ダブル振動膜スピーカーがブラケット106に取り付けられ、かつダブル振動膜スピーカーとブラケット106との間が密封接続されるため、ダブル振動膜スピーカーの前側と後側との間は、密封される。ブラケット106の放音孔11に向かう一端面が第1取付面104であり、逆相音孔12に向かう一端が第2取付面105であるため、ダブル振動膜スピーカーは、第1取付面104、第2取付面105に密封接続されるか、又は第1振動膜201B及び第2振動膜202Bは、第1取付面104、第2取付面105に密封接続されることにより、ダブル振動膜スピーカーの前側と後側は、密封遮断される。
【0056】
第1取付面104、第1振動膜201B及びハウジング10の内壁は、密封されて第1音響キャビティ15を形成する。本構造において、放音孔11は、第1表面101に設けられるが、応用において必要に応じて、放音孔11は、第2表面102又は側面103に設けられてもよい。第2取付面105、第2振動膜202B及びハウジング10の内壁の間には、第2音響キャビティ16が形成される。同様に、本構造において、第2音響キャビティ16に連通する逆相音孔12の位置は、第2表面102に位置し、実際の応用に応じて、逆相音孔12の位置は、側面103、第1表面101に設けられてもよい。第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16は、音響ダイポール管17を介して接続されて導通され、具体的には、音響ダイポール管17は、ダブル振動膜スピーカーの一側に設けられる。
【0057】
音響ダイポール管17を介して第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とを連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音をハウジング10の内部で結合させ、音響ダイポール管17のサイズと、音響ダイポール管17に設けられた音響メッシュ布の減衰値とを調整することにより、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。音響ダイポール管17上の音響メッシュ布は、一般的に第1音孔171及び第2音孔172に設けられ、第1音孔171及び第2音孔172のメッシュ布の減衰値を調整することにより、装置の低周波数音のカットオフ周波数を低音に移動させ、低音を増強する役割を果たす。
【0058】
ダブル振動膜スピーカーの第1振動膜201Bと第2振動膜202Bとの間に、かつスピーカー内部に密封キャビティが形成され、前記密封キャビティの容積が8cmより小さいため、第1振動膜201Bと第2振動膜202Bとを効果的に連動させ、放音孔11、逆相音孔12から発する音の振幅及び位相をよりよく調整する。
【0059】
好ましくは、第1音孔171及び第2音孔172とそれに付着した音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である。
【0060】
音源20が単一振動膜スピーカーと受動膜との組み合わせを用いる場合、図7に示すように、単一振動膜スピーカーには、第1振動膜201Cと、ブラケット106に固定されかつ単一振動膜スピーカーの後側に位置する受動膜107とが設けられる。ハウジング構造は、単一振動膜スピーカーのハウジング10と同じであり、ここでは詳述しない。ブラケット106の放音孔11に向かう一端面が第1取付面104であり、逆相音孔12に向かう一端が第2取付面105であるため、単一振動膜スピーカーは、第1取付面104に密封接続されるか、又は第1振動膜201Cは、第1取付面104に密封接続されることにより、ダブル振動膜スピーカーの前側と後側は、密封遮断される。また、受動膜107が第2取付面105に密封固定されることで、受動膜107と単一振動膜スピーカーの後側には第1密閉音響キャビティ203が形成され、好ましくは、第1振動膜201Cの中心と受動膜107の中心との距離が25mm以下であり、第1密閉音響キャビティ203の容積が18cmより小さい。第1振動膜201Cの振動情報が単一振動膜スピーカー内部の気孔、第1密閉音響キャビティ203により連動することにより、放音孔11、逆相音孔12から発する音の位相を逆にし、振幅を同じにする。
【0061】
第1取付面104、第1振動膜201C及びハウジング10の内壁は、密封されて第1音響キャビティ15を形成する。本構造において、放音孔11は、第1表面101に設けられるが、応用において必要に応じて、放音孔11は、第2表面102又は側面103に設けられてもよい。第2取付面105と、受動膜107とハウジング10の内壁との間には、第2音響キャビティ16が形成される。同様に、本構造において、第2音響キャビティ16に連通する逆相音孔12の位置は、第2表面102に位置し、実際の応用に応じて、逆相音孔12の位置は、側面103、第1表面101に設けられてもよい。第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16は、音響ダイポール管17を介して接続されて導通され、具体的には、音響ダイポール管17は、ダブル振動膜スピーカーの一側に設けられる。
【0062】
好ましくは、第1音孔171及び第2音孔172とそれに付着した音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である。
【0063】
音響ダイポール管17を介して第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とを連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音をハウジング10の内部で結合させ、音響ダイポール管17のサイズと、音響ダイポール管17に設けられた音響メッシュ布の減衰値とを調整することにより、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。音響ダイポール管17上の音響メッシュ布は、一般的に第1音孔171及び第2音孔172に設けられ、第1音孔171及び第2音孔172のメッシュ布の減衰値を調整することにより、装置の低周波数音のカットオフ周波数を低音に移動させ、低音を増強する役割を果たす。
【0064】
音源20は、図8に示すように、少なくとも一対の単一振動膜スピーカーで形成されたスピーカーモジュールを用いる。スピーカーモジュールは、少なくとも一対の対向して取り付けられた単一振動膜スピーカーであり、そのうちの1つのスピーカーは、第1スピーカー205であり、その振動膜が放音孔11に向けられ、第1振動膜201Dと呼ばれ、もう1つのスピーカーは、第1スピーカー206であり、その振動膜が逆相音孔12に向けられ、第2振動膜202Dと呼ばれる。第1振動膜201Dの中心と第2振動膜202Dの中心との距離は、25mm以下である。ハウジング構造は、単一振動膜スピーカーのハウジング10と同じであり、ブラケット106は、単一振動膜スピーカーのブラケットと同じであり、ここでは詳述しない。第1スピーカー205の後側と第1スピーカー206の後側とは、第2密閉音響キャビティ204を形成し、好ましくは、第2密閉音響キャビティ204の容積は、18cmより小さい。第1スピーカー205及び第1スピーカー206が入力された電気信号によって制御されることにより、第1振動膜201Dが発する音と、第2振動膜202Dが発する音とは、振幅が同じで、位相が逆である。
【0065】
第1振動膜201D、第1取付面104及びハウジング10の内壁は、密封されて第1音響キャビティ15を形成する。本構造において、放音孔11は、第1表面101に設けられるが、応用において必要に応じて、放音孔11は、第2表面102又は側面103に設けられてもよい。第2取付面105と、第2振動膜202Dとハウジング10の内壁との間には、第2音響キャビティ16が形成される。同様に、本構造において、第2音響キャビティ16に連通する逆相音孔12の位置は、第2表面102に位置し、実際の応用に応じて、逆相音孔12の位置は、側面103、第1表面101に設けられてもよい。第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16は、音響ダイポール管17を介して接続されて導通され、具体的には、音響ダイポール管17は、ダブル振動膜スピーカーの一側に設けられる。
【0066】
同様に、音響ダイポール管17を介して第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とを連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音をハウジング10の内部で結合させ、音響ダイポール管17のサイズと、音響ダイポール管17に設けられた音響メッシュ布の減衰値とを調整することにより、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。音響ダイポール管17上の音響メッシュ布は、一般的に第1音孔171及び第2音孔172に設けられ、第1音孔171及び第2音孔172のメッシュ布の減衰値を調整することにより、装置の低周波数音のカットオフ周波数を低音に移動させ、低音を増強する役割を果たす。
【0067】
好ましくは、第1音孔171及び第2音孔172とそれに付着した音響メッシュ布による音響インピーダンスは、9×10Pa・s/m以下である。
【0068】
従来技術に比べて、本発明は、放音孔11と音源との間に第1音響キャビティ15を設け、逆相音孔12と音源の後側との間に第2音響キャビティ16を設け、かつ第1音響キャビティ15と第2音響キャビティ16とを音響ダイポール管17を介して連通させることにより、振幅が同じで、位相が逆である音を音響装置の内部で結合させ、ダイポール管のサイズ及びダイポール管に設定された音響インピーダンスを調整することにより、音響結合の大きさを調整する目的を達成することにより、音漏れを効果的に抑制する。
【0069】
上記は、読者がより理解しやすいように、実施例のみによって本発明の技術内容をさらに説明するが、本発明の実施形態がこれのみに限定されることを意味するものではなく、本発明による技術的拡張又は再創造は、いずれも本発明の保護を受ける。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】