(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】共発現されるshRNAと論理ゲートシステムとを有する免疫細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20241010BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20241010BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241010BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241010BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241010BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241010BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241010BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20241010BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241010BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241010BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20241010BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241010BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20241010BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241010BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K16/40 ZNA
C07K19/00
C12N15/13
C07K16/28
C12N15/113 Z
C12N15/113 130Z
C12N15/113 120Z
C12N15/12
C07K14/725
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N15/09 100
A61K35/17
A61K31/7105
A61K48/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519516
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022078158
(87)【国際公開番号】W WO2023064928
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523069854
【氏名又は名称】アーセナル バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】グエン ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ アンジ
(72)【発明者】
【氏名】サントロ スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クーパー アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ガニオン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リッターマン アダム
(72)【発明者】
【氏名】カーン オマル
(72)【発明者】
【氏名】ベズマン ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】マリク チョードリー ハルバニ カウル
(72)【発明者】
【氏名】アレン ニコール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA54
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
ALPG/Pに結合するキメラプライミング受容体と、MSLNに結合するキメラ抗原受容体と、FAS、PTPN2及び/またはTOXを標的とするshRNAと、をコードする組換え核酸が、本明細書で提供される。ALPG/Pに結合するキメラプライミング受容体、MSLNに結合するキメラ抗原受容体、ならびにFAS、PTPN2及び/またはTOXを標的とするshRNAのシステム、そのようなタンパク質及びshRNAを発現する細胞、ならびにそれらの使用方法もまた提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の組換え核酸であって、
a.胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドであって、前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
iii.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
iv.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
v.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、前記第1のキメラポリペプチドと、
b.メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
iii.CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含むか、または
iv.CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
v.CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、前記第2のキメラポリペプチドと、
c.配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列と、
d.配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第2の核酸配列と
をコードする、前記1つ以上の組換え核酸。
【請求項2】
前記第1の細胞外抗原結合ドメインVH鎖配列が、配列番号7に記載の配列を含む、請求項1に記載の組換え核酸(複数可)。
【請求項3】
前記第1の細胞外抗原結合ドメインVL鎖配列が、配列番号8に記載の配列を含む、請求項1または2に記載の組換え核酸(複数可)。
【請求項4】
前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、配列番号9に記載の配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組換え核酸(複数可)。
【請求項5】
前記第2の細胞外抗原結合ドメインVHが、配列番号17に記載の配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組換え核酸(複数可)。
【請求項6】
前記第2の細胞外抗原結合ドメインVHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組換え核酸(複数可)。
【請求項7】
配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組換え核酸。
【請求項8】
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
【請求項9】
配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
【請求項10】
配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
【請求項11】
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む、1つ以上の組換え核酸。
【請求項12】
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸と、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸と、を含む、1つ以上の組換え核酸。
【請求項13】
胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記単離された抗体またはその抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列と、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列と、を含み、
a.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
b.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
c.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
d.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
e.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
f.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインと、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメインと、ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含む、プライミング受容体であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
g.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
h.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
i.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
j.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
k.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
l.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、
前記プライミング受容体。
【請求項15】
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
a.CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
b.CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
c.CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、
前記キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項16】
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
a.CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
b.CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
c.CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、
前記キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項17】
第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
a.前記第1のキメラポリペプチドが、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含み、前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
iii.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
iv.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
v.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含み、
b.前記第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含み、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
iii.CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含むか、または
iv.CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
v.CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、
前記システム。
【請求項18】
実施形態1~12のいずれか1項に記載の組換え核酸を含む、発現ベクター。
【請求項19】
a.請求項1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの組換え核酸(複数可)、及び/または
b.請求項13~17のいずれか1項に記載の抗体もしくは抗原断片、プライミングレセプション、CAR、またはシステム、及び/または
c.請求項18に記載のベクター
を含む、免疫細胞。
【請求項20】
少なくとも1つの組換え核酸を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸が、
a.ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、
b.MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、
c.少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、
i.配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または
ii.配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、前記第2の核酸配列と
を含み、
前記組換え核酸が、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
【請求項21】
少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸(複数可)を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
【請求項22】
少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
【請求項23】
リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸が、
a.ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、
b.MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、
c.少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、
i.配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または
ii.配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、前記第2の核酸配列と
をコードし、
d.前記組換え核酸の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、
前記ウイルスフリー生存初代細胞。
【請求項24】
リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
【請求項25】
リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
【請求項26】
請求項19~25のいずれか1項に記載の複数の免疫細胞を含む、細胞の集団。
【請求項27】
請求項19~25のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項26に記載の細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項28】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組換え核酸または請求項18に記載のベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項29】
免疫細胞を編集する方法であって、
a.リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を提供することであって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸が、請求項1~12のいずれか1項に記載の組換え核酸を含み、前記組換え核酸の5’及び3’末端が、前記免疫細胞のゲノム内の挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記提供することと、
b.前記RNP-組換え核酸複合体を前記免疫細胞に非ウイルス的に導入することであって、前記ガイドRNAが、初代免疫細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、前記ヌクレアーゼドメインが、前記標的領域を切断して、前記免疫細胞の前記ゲノム内に前記挿入部位を作成する、前記非ウイルス的に導入することと、
c.前記免疫細胞を、前記免疫細胞の前記ゲノムにおける前記挿入部位内への請求項1~12のいずれか1項に記載の組換え核酸の挿入を介して編集することと
を含む、前記方法。
【請求項30】
対象における疾患を治療する方法であって、請求項18~26のいずれか1項に記載の免疫細胞または請求項27もしくは28に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項31】
免疫細胞においてキメラ抗原受容体の発現をプライミング受容体で誘導する方法であって、
a.免疫細胞を得ることであって、前記免疫細胞が、
i.請求項1~12のいずれか1項に記載の組換え核酸、及び/または
ii.請求項18に記載のベクター
を含む、前記得ることと、
b.前記免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、前記標的細胞上の前記ALPG/Pへの前記プライミング受容体の結合が、前記プライミング受容体の活性化及び前記キメラ抗原受容体の発現を誘導する、前記接触させることと
を含む、前記方法。
【請求項32】
免疫細胞の活性を調節する方法であって、
a.免疫細胞を得ることであって、前記免疫細胞が、
i.請求項1~12のいずれか1項に記載の組換え核酸、及び/または
ii.請求項18に記載のベクター
を含む、前記得ることと、
b.前記免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、前記標的細胞上の前記ALPG/Pへの前記プライミング受容体の結合が、前記プライミング受容体の活性化及び前記キメラ抗原受容体の発現を誘導し、前記標的細胞上の前記MSLNへの前記キメラ抗原受容体の結合が、前記免疫細胞の前記活性を調節する、前記接触させることと
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月14日に出願された米国仮出願第63/255,887号、2021年10月14日に出願された米国仮出願第63/255,889号、2021年10月14日に出願された米国仮出願第63/255,891号及び2022年1月26日に出願された米国仮出願第63/303,422号の優先権及び利益を主張し、それらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。当該ASCIIコピーは、20XX年XX月に作成され、XXXXXUS_sequencelisting.xmlという名前で、X,XXX,XXXバイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
背景
がんは、細胞の制御不能な増殖を特徴とする疾患である。薬物及び放射線療法を含む、がんを治療するための多くのアプローチが試みられてきた。最近のがん治療では、身体自体の免疫細胞を使用してがん細胞を攻撃しようとしている。有望なアプローチの1つは、患者から採取され、特定のタンパク質を標的とする新しい能力をT細胞に与える、キメラ抗原受容体またはCAR、受容体タンパク質を産生するように遺伝子操作されたT細胞を使用する。これらの受容体は、抗原結合及びT細胞活性化機能を単一の受容体に組み合わせるため、キメラである。
【0004】
CAR-T細胞を使用する免疫療法は、修飾T細胞が、がん細胞をより効果的に標的として破壊するために、がん細胞を認識する可能性を有するため、有望である。
【0005】
T細胞をCARで操作した後、得られたCAR-T細胞を患者に導入して腫瘍細胞を攻撃する。CAR-T細胞は、患者自身の血液中のT細胞に由来する(自己)か、または別の健康なドナーのT細胞に由来する(同種異系)かのいずれかであり得る。CAR-T細胞が患者に注入されると、それらは細胞上の標的抗原と接触する。CAR-T細胞は抗原に結合し、活性化される。抗原係合時に、CAR T細胞は、指数関数的に増殖し、抗腫瘍サイトカイン産生を開始し、腫瘍細胞殺傷を標的とすることができる。
【0006】
しかしながら、CAR-T細胞ベースの免疫療法にはいくつかの懸念及び限界が残っている。いくつかのCAR T細胞は、低レベルの標的抗原を発現する正常細胞と係合し得、オフターゲット毒性をもたらす。しかしながら、CAR-T細胞ベースの免疫療法にはいくつかの限界が残っている。更に、CAR-T細胞は、末梢血中生存を欠き得、低減された増殖及びエフェクター機能を有し得、抑制及び疲弊に感受性であり、メモリーT細胞持続性をもたらさないことがある。したがって、内因性経路を標的とし、例えば、オフターゲット毒性を低減する追加の療法が、これらの支障に対処するために必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
概要
一態様において、プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、キメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の少なくとも1つの核酸配列と、をコードする、1つ以上の組換え核酸であって、少なくとも1つの核酸配列が、(1)配列番号39に記載の配列を含むヒトFas細胞表面死受容体(FAS)をコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列、(2)配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である第2の核酸配列、及び(3)配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第3の核酸配列のうちの1つ以上を含む、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0008】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号1に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載の配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載の配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載の配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載の配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載の配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、CARは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含み、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの核酸配列は、(1)配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列、及び(2)配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である第2の核酸配列の各々を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、CARは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1は、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0015】
一態様において、1つ以上の組換え核酸であって、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドであって、第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、第1のキメラポリペプチドと、キメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドと、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第2の核酸配列と、をコードする、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1の細胞外抗原結合ドメインVH鎖配列は、配列番号7に記載の配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1の細胞外抗原結合ドメインVL鎖配列は、配列番号8に記載の配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1の細胞外抗原結合ドメインは、配列番号9に記載の配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、CARは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインVHは、配列番号17に記載の配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1は、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインVHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である。
【0025】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である。
【0027】
一態様において、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0028】
一態様において、配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0029】
一態様において、配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0030】
一態様において、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0031】
一態様において、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸と、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸と、を含む、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0032】
いくつかの実施形態において、第1、第2及び第3の核酸配列は、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である。
【0033】
いくつかの実施形態において、第1、第2及び第3の核酸配列は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0034】
いくつかの実施形態において、第1、第2及び第3の核酸配列は、shRNAである。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号49に記載の配列を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0038】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0043】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0048】
一態様において、1つ以上の組換え核酸であって、プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である第2の核酸配列と、をコードする、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0049】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0050】
一態様において、1つ以上の組換え核酸であって、プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である第2の核酸配列と、をコードする、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0051】
いくつかの実施形態において、VHは、配列番号17に記載の配列を含む。
【0052】
一態様において、1つ以上の組換え核酸であって、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むCARを含む第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である第2の核酸配列と、をコードする、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0053】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である。
【0054】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である。
【0056】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸配列は、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である。
【0057】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸は、shRNAである。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号49に記載の配列を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0062】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0065】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0068】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、N末端からC末端へ、第1の細胞外抗原結合ドメイン、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む第1の膜貫通ドメイン、及びヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインを含み、第1の細胞外抗原結合ドメインによるALPG/Pの結合は、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位での切断をもたらす。
【0069】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、第1の細胞外抗原結合ドメインと第1の膜貫通ドメインとの間に配置された第1のヒンジドメインを更に含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジドメインは、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジは、配列番号18に記載の配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1の膜貫通ドメインは、Notch1膜貫通ドメインを含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、第1の膜貫通ドメインは、配列番号19に記載の配列を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、HNF1a/p65ドメインまたはGal4/VP64ドメインを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、配列番号23に記載の配列を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、第1の膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間に移行阻止配列を更に含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、移行阻止配列は、配列番号20に記載の配列を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、配列番号24に記載の配列を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、CARは、N末端からC末端へ、第2の細胞外抗原結合ドメイン、第2の膜貫通ドメイン、細胞内共刺激ドメイン、及び細胞内活性化ドメインを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1は、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号17に記載の配列を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、CARは、第2のヒンジドメインを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、第2のヒンジドメインは、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、第2の膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメインを含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、細胞内共刺激ドメインは、4-1BBドメインを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、細胞内活性化ドメインは、CD3ζドメインを含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、CARは、配列番号30または31に記載の配列を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、単一標的細胞が、ALPG/P及びMSLNの各々を発現する場合、プライミング受容体及びCARは、標的細胞に結合することが可能である。
【0091】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、ヒト細胞である。
【0092】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞である。
【0093】
いくつかの実施形態において、がん細胞は、固形がん細胞または液体がん細胞である。
【0094】
いくつかの実施形態において、がん細胞は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である。
【0095】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、2つ以上の核酸断片を含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、CARをコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターを更に含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された第1の構成的プロモーターを更に含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された誘導性プロモーター、及びプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された構成的プロモーターを更に含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、ヒトFASと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された第2の構成的プロモーターを更に含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、ヒトPTPN2またはTOXと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された第2の構成的プロモーターを更に含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、ヒトFASと相補的である第1の核酸、またはヒトPTPN2もしくはTOXと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された第2の構成的プロモーターを更に含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFAS、ヒトPTPN2またはヒトTOXと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFASと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトPTPN2またはTOXと相補的である第2の第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’から3’方向に、誘導性プロモーター;キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFASと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトPTPN2またはTOXと相補的である第2の第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;第1の構成的プロモーター;及びプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号36に記載の配列を含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列は、配列番号37または38に記載の配列を含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’相同性指向性修復アーム及び3’相同性指向性修復アームを更に含み、5’相同性指向性修復アーム及び3’相同性指向性修復アームは、宿主細胞染色体における挿入部位と相補的である。
【0108】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、自己切断2Aペプチド(P2A)をコードするヌクレオチド配列を更に含む。
【0109】
いくつかの実施形態において、P2Aは、キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列の3’末端にある。
【0110】
いくつかの実施形態において、P2Aは、プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列の3’末端にある。
【0111】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、ウッドチャック肝炎ウイルス翻訳後調節エレメント(WPRE)を更に含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、WPREは、キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列の3’末端に、かつプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列の5’末端にあるか、またはWPREは、プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列の3’末端に、かつキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列の5’末端にある。
【0113】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、SV40ポリAエレメントを更に含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、核酸は、発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている。
【0115】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、非ウイルスベクターである。
【0116】
一態様において、本明細書に開示される組換え核酸を含む、発現ベクターが、本明細書で提供される。
【0117】
いくつかの実施形態において、組換え核酸の5’及び3’末端は、初代細胞のゲノム内の挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、挿入部位は、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座またはゲノムセーフハーバー(GSH)遺伝子座に位置する。
【0119】
いくつかの実施形態において、GHS遺伝子座は、GS94遺伝子座である。
【0120】
一態様において、本明細書に開示される少なくとも1つの組換え核酸(複数可)及び/または本明細書に開示されるベクターを含む、免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0121】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代ヒト免疫細胞である。
【0122】
いくつかの実施形態において、初代ヒト免疫細胞は、自己免疫細胞である。
【0123】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞、またはT細胞前駆体である。
【0124】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、初代T細胞である。
【0125】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、初代ヒトT細胞である。
【0126】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、ウイルスフリーである。
【0127】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、自己免疫細胞である。
【0128】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0129】
一態様において、少なくとも1つの組換え核酸を含む初代免疫細胞であって、少なくとも1つの組換え核酸が、ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、を含み、組換え核酸が、初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、初代免疫細胞が、組換え核酸を初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、初代免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0130】
一態様において、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、初代免疫細胞が、組換え核酸(複数可)を初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、初代免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0131】
一態様において、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、初代免疫細胞が、組換え核酸を初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、初代免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0132】
一態様において、リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸が、ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、をコードし、組換え核酸の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、ウイルスフリー生存初代細胞が、本明細書で提供される。
【0133】
一態様において、リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、ウイルスフリー生存初代細胞が、本明細書で提供される。
【0134】
一態様において、リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、ウイルスフリー生存初代細胞が、本明細書で提供される。
【0135】
いくつかの実施形態において、細胞は、配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0137】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFASの発現は、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0138】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0139】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるPTPN2の発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0140】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0141】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるTOXの発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0142】
いくつかの実施形態において、FAS、PTPN2及び/またはTOXの発現は、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される。
【0143】
いくつかの実施形態において、核酸アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、タンパク質アッセイは、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む。
【0145】
一態様において、本明細書に開示される複数の免疫細胞を含む細胞の集団が、本明細書で提供される。
【0146】
一態様において、本明細書に開示される免疫細胞または本明細書に開示される細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0147】
一態様において、本明細書に開示される組換え核酸または本明細書に開示されるベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0148】
一態様において、免疫細胞を編集する方法であって、
リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を提供することであって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸が、本明細書に開示される組換え核酸を含み、組換え核酸の5’及び3’末端が、免疫細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、提供することと、
RNP-組換え核酸複合体を免疫細胞内に非ウイルス的に導入することであって、ガイドRNAが、初代免疫細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、ヌクレアーゼドメインが、標的領域を切断して、免疫細胞のゲノムにおける挿入部位を作成する、非ウイルス的に導入することと、
免疫細胞を、免疫細胞のゲノムにおける挿入部位内への本明細書に開示される組換え核酸の挿入を介して編集することと、
を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0149】
いくつかの実施形態において、非ウイルス的に導入することは、エレクトロポレーションを含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼドメインは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(Cas)、任意にCas9ヌクレアーゼを含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、細胞のゲノムの標的領域は、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座またはゲノムセーフハーバー(GSH)遺伝子座である。
【0152】
いくつかの実施形態において、GSH遺伝子座は、GS94遺伝子座である。
【0153】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、二本鎖組換え核酸または一本鎖組換え核酸である。
【0154】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、直鎖組換え核酸または環状組換え核酸であり、任意選択で、環状組換え核酸は、プラスミドである。
【0155】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代ヒト免疫細胞である。
【0156】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0157】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、自己免疫細胞である。
【0158】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞またはT細胞前駆体である。
【0159】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代T細胞である。
【0160】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代ヒトT細胞である。
【0161】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ウイルスフリーである。
【0162】
いくつかの実施形態において、方法は、患者から免疫細胞を得ることと、組換え核酸をインビトロで導入することと、を更に含む。
【0163】
一態様において、対象における疾患を治療する方法であって、対象に、本明細書に開示される免疫細胞または本明細書に開示される薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0164】
いくつかの実施形態において、疾患は、がんである。
【0165】
いくつかの実施形態において、がんは、固形がんまたは液体がんである。
【0166】
いくつかの実施形態において、がんは、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である。
【0167】
いくつかの実施形態において、免疫細胞の投与は、対象における免疫応答を増強する。
【0168】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、適応免疫応答である。
【0169】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、自然免疫応答である。
【0170】
いくつかの実施形態において、増強された免疫応答は、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインの増加した発現である。
【0171】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインは、IL-2またはIFNγである。
【0172】
いくつかの実施形態において、方法は、対象に、免疫療法を、免疫細胞と同時にまたは免疫細胞後に投与することを更に含む。
【0173】
一態様において、対象における標的細胞を阻害する方法であって、方法が、対象に、本明細書に開示される免疫細胞を投与することを含み、免疫細胞が、標的細胞を阻害する、方法が、本明細書で提供される。
【0174】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、ALPG/P及びMSLNを発現する。
【0175】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞である。
【0176】
一態様において、免疫細胞においてキメラ抗原受容体の発現をプライミング受容体で誘導する方法であって、免疫細胞を得ることであって、免疫細胞が、本明細書に開示される組換え核酸及び/または本明細書に開示されるベクターを含む、得ることと、免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、標的細胞上のALPG/Pへのプライミング受容体の結合が、プライミング受容体の活性化及びキメラ抗原受容体の発現を誘導する、接触させることと、を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0177】
一態様において、免疫細胞の活性を調節する方法であって、免疫細胞を得ることであって、免疫細胞が、本明細書に開示される組換え核酸及び/または本明細書に開示されるベクターを含む、得ることと、免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、標的細胞上のALPG/Pへのプライミング受容体の結合が、プライミング受容体の活性化及びキメラ抗原受容体の発現を誘導し、標的細胞上のMSLNへのキメラ抗原受容体の結合が、免疫細胞の活性を調節する、接触させることと、を含む、方法が本明細書で提供される。
【0178】
いくつかの実施形態において、免疫細胞活性の調節は、免疫応答を増強することを含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、適応免疫応答である。
【0180】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、自然免疫応答である。
【0181】
いくつかの実施形態において、免疫細胞活性は、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインの増加した発現である。
【0182】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインは、IL-2またはIFNγである。
【0183】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFASの発現は、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0184】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるPTPN2の発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0185】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるTOXの発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0186】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFAS、PTPN2及び/またはTOXの発現は、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される。
【0187】
いくつかの実施形態において、核酸アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む。
【0188】
いくつかの実施形態において、タンパク質アッセイは、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0189】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、及び添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【0190】
【
図1】T細胞活性化アッセイでの論理ゲート発現の概略図を示す。
【0191】
【
図2】両方の論理ゲート(LG1及びLG3)を発現するT細胞が、プライミング抗原刺激の非存在下かつT細胞活性化刺激の存在下で、プライミング受容体発現を示したが、最小のCAR発現を示したことを示すフローサイトメトリーデータを提供する。
【0192】
【
図3】Aは、細胞毒性が、RNPのみの陰性対照T細胞から観察されなかったことを示す。Bは、単一抗原陽性K562-ALPG細胞に対する最小の論理ゲート発現T細胞活性を示す。Cは、単一抗原陽性K562-MSLNに対する論理ゲート発現T細胞活性がないこと示す。Dは、論理ゲート発現T細胞における腫瘍特異的活性を示す。
【0193】
【
図4】論理ゲート1 T細胞が、論理ゲート3 T細胞に対してより迅速かつより完全なK562-ALPG/MSLN標的細胞死滅の両方を示したことを示す。
【0194】
【
図5】Aは、K562細胞株とのインキュベーション後の、論理ゲート発現T細胞(LG1及びLG3)、CAR発現T細胞または陰性対照細胞によるサイトカイン産生を示す。Bは、K562
MSLN細胞株とのインキュベーション後の、論理ゲート発現T細胞(LG1及びLG3)、CAR発現T細胞または陰性対照細胞によるサイトカイン産生を示す。Cは、K562
ALPG細胞株とのインキュベーション後の、論理ゲート発現T細胞(LG1及びLG3)、CAR発現T細胞または陰性対照細胞によるサイトカイン産生を示す。Dは、K562
ALPG/MSLN細胞株とのインキュベーション後の、論理ゲート発現T細胞(LG1及びLG3)、CAR発現T細胞または陰性対照細胞によるサイトカイン産生を示す。
【0195】
【
図6】Aは、AsPC-1細胞、K562
ALPG/MSLN細胞及びK562-EFG細胞におけるALPG発現を示す。Bは、AsPC-1細胞及び原発性卵巣癌腫瘍におけるALPG IHC染色を示す。
【0196】
【
図7】Aは、AsPC-1細胞、K562
ALPG/MSLN細胞及びK562-EFG細胞におけるMSLN発現を示す。Bは、AsPC-1細胞及び原発性卵巣癌腫瘍におけるALPG IHC染色を示す。
【0197】
【
図8】Aは、K562
ALPG低及び高発現細胞におけるALPG発現を示す。Bは、K562
ALPG低及び高発現細胞、AsPC-1細胞、ならびにK562-EFG細胞におけるALPG発現を示す。Cは、K562
ALPG低及び高発現細胞とのインキュベーション前及び後の操作されたT細胞上のプライミング受容体及びCAR発現を示す。
【0198】
【
図9】Aは、SKOV3-EFG細胞、K562
ALPG/MSLN細胞及びK562 EFG細胞におけるALPG発現を示す。Bは、SKOV3-WT細胞、K562
ALPG/MSLN細胞及びK562 EFG細胞におけるMSLN発現を示す。Cは、示されるLGまたはCARを発現するT細胞をSKOV3-EFG細胞とともにインキュベートした後のIL-2サイトカイン産生を示す。Dは、示されるLGまたはCARを発現するT細胞をSKOV3-EFG細胞とともにインキュベートした後のIFNγサイトカイン産生を示す。
【0199】
【
図10】Aは、卵巣癌試料上のALPG発現を示す。Bは、卵巣癌試料上のMSLN発現を示す。Cは、パーセント標的細胞死滅、及び示される論理ゲートまたはCARを発現するT細胞とともにインキュベートされたALPG陰性細胞の漸増パーセンテージについての用量アッセイを示す。
【0200】
【
図11】Aは、論理ゲート発現T細胞またはCAR発現T細胞を、CA125の存在下で、標的細胞とともにインキュベートした後のIL-2サイトカイン産生を示す。Bは、論理ゲート発現T細胞またはCAR発現T細胞を、MSLNの存在下で、標的細胞とともにインキュベートした後のIL-2サイトカイン産生を示す。
【0201】
【
図12】Aは、構成的CARでの治療後の、健常な中皮膜をモデル化するK562
MSLN腫瘍におけるK562デュアル側腹部モデルにおける腫瘍体積を示す。Bは、構成的CARでの治療後の、オンターゲット腫瘍をモデル化するK562
ALPG/MSLN腫瘍における腫瘍体積を示す。Cは、論理ゲート1 T細胞での治療後のK562
MSLN腫瘍における腫瘍体積を示す。Dは、論理ゲート1 T細胞での治療後のK562
ALPG/MSLN腫瘍における腫瘍体積を示す。Eは、論理ゲート3 T細胞での治療後のK562
MSLN腫瘍における腫瘍体積を示す。Fは、論理ゲート3 T細胞での治療後のK562
ALPG/MSLN腫瘍における腫瘍体積を示す。各々の図において、下の線は、示されるT細胞での治療後の腫瘍体積を示し、上の線は、対照T細胞での治療後の腫瘍体積を示す。
【0202】
【
図13】Aは、示される操作されたT細胞の低用量での治療後のMSTOモデルにおける腫瘍体積を示す。Bは、示される操作されたT細胞の中「ストレス」用量での治療後の腫瘍体積を示す。Aは、示される操作されたT細胞の高用量での治療後の腫瘍体積を示す。Dは、示されるT細胞での治療後の血液試料中のT細胞増殖を示す。
【0203】
【
図14】Aは、対照T細胞での治療後の末梢血中で見出されたT細胞のフロー分析を示す。Bは、中用量のCAR1発現T細胞での治療後の末梢血中で見出されたT細胞のフロー分析を示す。Cは、中用量のLG1発現T細胞での治療後の末梢血中で見出されたT細胞のフロー分析を示す。Dは、高用量のLG1発現T細胞、CAR発現T細胞または陰性対照細胞での治療後の末梢血中で見出されたT細胞のフロー分析を示す。
【0204】
【
図15】Aは、9日間の増殖後の、示されるshRNAを有する編集された細胞のパーセントを示す。Bは、9日間の増殖後の、示されるshRNAを有する編集された全細胞を示す。
【0205】
【
図16】組み合わせで使用されたときの、両方の示される遺伝子の標的遺伝子ノックダウンを示す。
【0206】
【
図17】Aは、FAS、PTPN2及びTOXを標的とするshRNAモジュールが、FASの安定したノックダウンを、静止条件下で、編集後少なくとも7週間提供することを示す。Bは、FAS、PTPN2及びNR4A1タンパク質レベルがまた、編集の6日後に有意に低減されたことを示す。
【0207】
【
図18】T細胞における標的遺伝子ノックダウンが、慢性刺激にわたって維持されたことを示す。
【0208】
【
図19】Aは、shRNAからの、細胞における強いFASノックダウンがあったことを示す。Bは、抗FAS活性化抗体での24時間の治療後の対照shRNAのみを有するT細胞に正規化された場合、FASノックダウンを有するT細胞が、80%超の生存率を保持したことを示す。
【0209】
【
図20】組み合わせshRNAモジュールで操作されたT細胞が、形質転換の増加したリスクの証拠を示さなかったことを示す。
【0210】
【
図21】組み合わせshRNAモジュールで操作されたT細胞は、標的抗原発現K562細胞株での48時間のルシフェラーゼアッセイにわたって、低減された細胞毒性活性の証拠を示さなかったことを示す。
【0211】
【
図22】shRNAノックダウンモジュールで操作されたT細胞が、標的抗原発現MSTO細胞株での48時間のIncucyteアッセイにわたって、低減された細胞毒性活性の証拠を示さなかったことを示す。
【0212】
【
図23】示される標的のshRNAノックダウン後の慢性抗原刺激中の累積T細胞増殖を示す。
【0213】
【
図24】Aは、PTPN2を標的とするshRNAモジュールで操作されたT細胞が、慢性抗原刺激後に、細胞周期シグネチャを示したことを示す。Bは、PTPN2を標的とするshRNAモジュールで操作されたT細胞が、慢性抗原刺激後に、細胞周期シグネチャを示したことを示す。
【0214】
【
図25】示される標的のshRNAノックダウン後のT細胞におけるインターフェロンガンマ発現を示す。
【0215】
【
図26】Aは、PTPN2を標的とするshRNAモジュールで操作されたT細胞が、慢性抗原刺激後に、エフェクターシグネチャを保持したことを示す。Bは、PTPN2を標的とするshRNAモジュールで操作されたT細胞が、慢性抗原刺激後に、エフェクターシグネチャを保持したことを示す。
【0216】
【
図27】示される標的のshRNAノックダウン後の、操作されたT細胞集団におけるCD4またはCD8%T細胞パーセンテージ、及びTエフェクター細胞(Te)、Tエフェクターメモリー細胞(Tem)、Tセントラルメモリー細胞(Tcm)またはメモリー幹T細胞(Tscm)の相対的量を示す。
【0217】
【
図28】Aは、示されるCAR T細胞または対照T細胞での治療後のマウスにおける腫瘍成長を示す。Bは、示されるCAR T細胞または対照T細胞での治療後の末梢血中のT細胞増殖を示す。
【0218】
【
図29】示される量のCAR T細胞または対照T細胞での治療後のマウスにおける腫瘍成長後の腫瘍体積を示す。
【0219】
【
図30】Aは、示される標的のshRNAノックダウンを有するT細胞での治療後の編集されたCD8 T細胞集団におけるT細胞の型の定量化を示す。Bは、示される標的のshRNAノックダウンを有するT細胞での治療後のマウス腫瘍または脾臓における編集されたT細胞の数を示す。
【0220】
【
図31】示される標的のshRNAノックダウンを有するT細胞での治療後のマウス体重を示す。
【0221】
【
図32】論理ゲート及びFAS/PTPN2 shRNAを発現するT細胞とのインキュベーション後の、MSLN、またはALPG及びMSLNを発現する標的細胞の溶解を示す。
【0222】
【
図33】ALPG/MSLN論理ゲート及びFAS/PTPN2 shRNAを発現するT細胞における相対的FAS発現を、ALPG/MSLN論理ゲートを単独で発現する対照細胞と比較して示す。
【0223】
【
図34】Aは、ALPG/MSLN論理ゲート及びFAS/PTPN2 shRNAを発現するドナー2からのT細胞での治療後のインビボでの腫瘍体積を、ALPG/MSLN論理ゲートを単独で発現する対照T細胞と比較して示す。Bは、ALPG/MSLN論理ゲート及びFAS/PTPN2 shRNAを発現するドナー3からのT細胞での治療後のインビボでの腫瘍体積を、ALPG/MSLN論理ゲートを単独で発現する対照T細胞と比較して示す。
【0224】
【
図35】Aは、ALPG/MSLN論理ゲート、及びFAS/PTPN2またはFAS/TOX shRNAを発現するドナー2からのT細胞での治療後のインビボでの腫瘍体積を、対照T細胞(RNP)と比較して示す。Bは、ALPG/MSLN論理ゲート、及びFAS/PTPN2またはFAS/TOX shRNAを発現するドナー3からのT細胞での治療後のインビボでの腫瘍体積を、対照T細胞(RNP)と比較して示す。
【0225】
【
図36A】shRNAノックダウン後のFAS mRNAレベルを示す。
【
図36B】shRNAノックダウン後のPTPN2 mRNAレベルを示す。
【
図36C】shRNAノックダウン後のTOX mRNAレベルを示す。
【
図36D】shRNAノックダウン後のZC3H12A mRNAレベルを示す。
【0226】
【
図37】shRNAノックダウン後のFASタンパク質レベルを示す。
【0227】
【
図38】FASをノックアウトすることが、細胞増殖及びエフェクター機能を改善したことを示す。
【0228】
【
図39】Aは、ノックダウンシステムの図及び例示的なshRNA-CARデュアル構築物の図を提供する。Bは、shRNAを使用する、FAS及び追加の標的の堅牢なデュアルノックダウン(50%超)を示す。
【0229】
【
図40】Aは、例示的な対照及びshFASシステムの図を提供する。Bは、FASノックダウンが、FAS媒介性アポトーシスからの2倍超改善された保護を提供したことを示す。
【0230】
【
図41】FASと追加の遺伝子とのデュアルノックダウンが、全身NALM6モデルにおけるCAR T細胞(TRAC遺伝子座内にノックインされたCD19-41BBZ)のインビボ有効性を増強したことを示す。
【0231】
【
図42A】例示的な完全shRNA及び論理ゲート構築物の概略図を提供する。
【
図42B】同様の導入遺伝子ノックイン効率が、構築物の各々で観察されたことを示す。
【
図42C】プライミング受容体(PrimeR)を発現するT細胞が、CAR発現をALPG+標的細胞への曝露の際にゲートする論理ゲートの機能に起因して、最小のCAR発現を有したことを示す。
【
図42D】全ての操作されたT細胞についてのKI+集団(またはレンチウイルス集団について形質導入されたもの)、RNPについてのバルクT細胞集団及び形質導入されていない(UNT)細胞のCD4/CD8組成を示す。
【0232】
【
図43】LG1及びFAS/PTPN2 shRNA回路のメモリー表現型決定を示す。
【0233】
【
図44】Aは、FASのshRNAノックダウンを示す。Bは、PTPN2のshRNAノックダウンを示す。
【0234】
【
図45】AB-1013、AB-1014及びAB-1015が、ALPG依存性CAR発現を誘導したことを示す。
【0235】
【
図46】AB-1013、AB-1014及びAB-1015が、プライミング抗原不均一標的細胞集団を死滅させたことを示す。
【0236】
【
図47】Aは、CARのみのT細胞が、K526
MSLN腫瘍細胞の成長を阻害したことを示す。Bは、CARのみのT細胞が、K526
MSLN/ALPG腫瘍細胞の成長を阻害したことを示す。Cは、AB-1013、AB-1014及びAB-1015 shRNA+論理ゲート回路T細胞が、K526
MSLN腫瘍細胞の成長を阻害しなかったことを示す。Dは、AB-1013、AB-1014及びAB-1015 shRNA+論理ゲート回路T細胞が、K526
MSLN/ALGP腫瘍細胞の成長を阻害したことを示す。
【0237】
【
図48】LG1のみを発現する細胞(AB-X論理ゲート)が、SS1-CARよりも良好な腫瘍制御を示し、TC-210と同等の腫瘍制御を示したことを示す。
【0238】
【
図49】3つのshRNA+LG1回路T細胞(AB-1013、AB-1014及びAB-1015)が、連続刺激アッセイにおいて、LG1 T細胞と比較して改善されたT細胞増殖及び腫瘍制御(例えば、より少ない腫瘍増殖)を示したことを示す。
【0239】
【
図50A】構成的抗MSLN CARを発現するT細胞が、K562
MSLN及びK562
ALPG/MSLN細胞の両方を死滅させ、shRNA+論理ゲートT細胞(AB-1013、AB-1014及びAB-1015)からの細胞毒性が、デュアル抗原K562
ALPG/MSLN細胞にのみ特異的であったことを示す。
図50Bは、論理ゲート/shRNA回路T細胞からのIFNγ産生が、デュアル抗原K562
ALPG/MSLN標的細胞を有する試料に制限されたことを示す。
【
図50B】論理ゲート/shRNA回路T細胞からのIFNγ産生が、デュアル抗原K562
ALPG/MSLN標的細胞を有する試料に制限されたことを示す。
【0240】
【
図51】AB-1015が、AB-1013及びAB-1014と比較して、K562
MSLN細胞におけるALPG非依存性死滅活性における中程度の増加及び増加したIFNγ発現に関連したことを示す。
【0241】
【
図52】全ての3つのshRNA+論理ゲート回路T細胞が、標的死滅を誘導したことを示す。
【0242】
【
図53】細胞形質転換が、3つのshRNA+LG1回路(AB-1013、AB-1014またはAB-1015)で編集されたT細胞において観察されなかったことを示す。
【0243】
【
図54】Aは、MSLN CAR T細胞が、SLC2A9+細胞(THP-1細胞)を認識しなかったことを示す。Bは、MSLN CAR T細胞が、K562陰性対照細胞を認識しなかったことを示す。Cは、MSLN CAR T細胞が、陽性対照MSLN発現細胞に結合したことを示す。Dは、MSLN CAR T細胞が、GP2+細胞を認識しなかったことを示す。
【0244】
【
図55】多反応性の証拠が、A498細胞またはH1975細胞に対して、MSLN CAR細胞で観察されなかったことを示す。
【0245】
【
図56】Aは、移植の5日後のマウス群のランダム化を示す。Bは、AB-1015 T細胞が、インビボ卵巣癌モデルにおける腫瘍体積を低減したことを示す。Cは、AB-1015 T細胞での治療後の、腫瘍移植後のマウス重量を示す。AB-1015 T細胞での治療は、体重減少をもたらさなかった。
【発明を実施するための形態】
【0246】
定義
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、特に明記しない限り、以下に示されるように定義される。
【0247】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、特定のタンパク質またはタンパク質のセグメントをコードする染色体に沿って配置されたDNAのセグメントからなる、遺伝の基本単位を指す。遺伝子は、典型的には、プロモーター、5’非翻訳領域、1つ以上のコード配列(エクソン)、任意選択でイントロン、及び3’非翻訳領域を含む。遺伝子は、ターミネーター、エンハンサー及び/またはサイレンサーを更に含んでもよい。
【0248】
本明細書で使用される場合、「遺伝子座」という用語は、遺伝子または遺伝子マーカーが位置する染色体上の特定の固定された物理的位置を指す。
【0249】
「セーフハーバー遺伝子座」という用語は、隣接する遺伝子の発現または調節を中断することなく、遺伝子または遺伝子エレメントが組み込まれ得る遺伝子座を指す。これらのセーフハーバー遺伝子座はまた、セーフハーバー部位(SHS)またはゲノムセーフハーバー(GSH)部位と称される。本明細書で使用される場合、セーフハーバー遺伝子座は、本明細書で定義される導入遺伝子をコードする配列が挿入され得る「組込み部位」または「ノックイン部位」を指す。いくつかの実施形態において、挿入は、組込み部位に位置する配列の置換を伴って生じる。いくつかの実施形態において、挿入は、組込み部位での配列の置換なしに生じる。企図される組込み部位の例を表Dに提供する。
【0250】
本明細書で使用される場合、「挿入」という用語は、標的遺伝子座またはセーフハーバー部位に組み込まれた(挿入された)ヌクレオチド配列を指す。挿入物は、例えば、相同性指向修復(HDR)CRISPR/Cas9ゲノム編集または当業者に既知のゲノム領域にヌクレオチド配列を挿入するための他の方法を使用して、標的遺伝子座またはセーフハーバー部位に組み込まれる遺伝子または遺伝子エレメントを指すために使用することができる。
【0251】
「挿入」という用語は、非天然配列を導入するためのヌクレオチド配列の操作を指す。これは、例えば、制限酵素及びリガーゼを使用することによって行われ、それによって、通常は目的の遺伝子をコードする目的のDNA配列は、互換性のあるオーバーラップを作成するために両方の分子を適切な制限酵素で消化し、次いでリガーゼを使用して分子を一緒に接合することによって、別の核酸分子に組み込まれ得る。当業者は、そのような操作に非常に精通しており、実施例は、Sambrook et al.(Sambrook,Fritsch,&Maniatis,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual“,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,1989)に見出すことができ、これは、参照により任意の図、図面及び表を含むその全体が本明細書に組み込まれる。
【0252】
「CRISPR/Cas」系は、外来核酸に対する防御のための広範なクラスの細菌系を指す。CRISPR/Cas系は、幅広い真菌及び古細菌生物に見出される。CRISPR/Cas系には、I型、II型、及びIII型サブタイプが含まれる。野生型II型CRISPR/Cas系は、外来核酸を認識及び切断するために、ガイド及び活性化RNAとの複合体中のRNA媒介ヌクレアーゼ、Cas9を利用する。ガイドRNA及び活性化RNAの両方の活性を有するガイドRNAもまた、当該技術分野で知られている。いくつかの場合において、そのような二重活性ガイドRNAは、小ガイドRNA(sgRNA)と称される。
【0253】
Cas9相同体は、以下の分類群の細菌を含むがこれらに限定されない、多種多様な真菌に見出される:アクチノバクテリア(Actinobacteria)、アクウィフェクス門(Aquificae)、バクテロイデス門/クロロビウム門(Bacteroidetes-Chlorobi)、クラミジア門/ベルコミクロビウム門(Chlamydiae-Verrucomicrobia)、クロロフレクサス門(Chlroflexi)、シアノバクテリア(Cyanobacteria)、ファーミキューテス門(Firmicutes)、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、スピロヘータ門(Spirochaetes)、及びテルモトガ門(Thermotogae)。例示的なCas9タンパク質は、Streptococcus pyogenes Cas9タンパク質である。追加のCas9タンパク質及びその相同体は、例えば、Chylinksi,et al.,RNA Biol.2013 May 1;10(5):726-737、Nat.Rev.Microbiol.2011 June;9(6):467-477、Hou,et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2013 Sep 24;110(39):15644-9、Sampson et al.,Nature.2013 May 9;497(7448):254-7、及びJinek,et al.,Science.2012 Aug 17;337(6096):816-21に記載されている。Cas9ヌクレアーゼドメインは、宿主細胞における効率的な活性または強化された安定性のために最適化することができる。
【0254】
本明細書で使用される場合、「Cas9」という用語は、RNA媒介性ヌクレアーゼ(例えば、細菌もしくは古細菌起源の、またはそれに由来する)を指す。例示的なRNA媒介ヌクレアーゼには、前述のCas9タンパク質及びその相同体が含まれ、CPF1が含まれるが、これに限定されない(例えば、Zetsche et al.,Cell,Volume 163,Issue 3,p759-771,22 October 2015を参照されたい)。同様に、本明細書で使用される場合、「Cas9リボ核タンパク質」複合体等という用語は、Cas9タンパク質とcrRNA(例えば、ガイドRNAまたは小ガイドRNA)、Cas9タンパク質とトランス活性化crRNA(tracrRNA)、Cas9タンパク質と小ガイドRNAとの間の複合体、またはそれらの組み合わせ(例えば、Cas9タンパク質、tracrRNA、及びcrRNAガイドRNAを含有する複合体)を指す。
【0255】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」という語句は、免疫細胞を生じさせることができる全ての細胞型を含み、免疫細胞は、造血細胞、例えば、造血幹細胞、多能性幹細胞及び誘導多能性幹細胞(iPSC)を含む。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、B細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、ヒト多能性幹細胞(HSPC)、T細胞またはT細胞前駆細胞もしくは樹状細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、先天性免疫細胞である。
【0256】
本明細書で使用される場合、初代細胞または初代幹細胞の文脈における「初代」という用語は、形質転換または不死化されていない細胞を指す。そのような初代細胞は、限られた回数で培養、継代培養、または継代する(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回培養する)ことができる。いくつかの場合において、初代細胞は、インビトロ培養条件に適合される。いくつかの場合において、初代細胞は、生物、系、器官、または組織から単離され、任意選択で選別され、例えば、培養または継代培養なしに直接利用される。いくつかの場合において、初代細胞は、刺激され、活性化され、または分化される。例えば、初代T細胞は、CD3、CD28アゴニスト、IL-2、IFN-γ、またはそれらの組み合わせとの接触(例えば、その存在下で培養すること)によって活性化することができる。
【0257】
本明細書で使用される場合、「Tリンパ球」及び「T細胞」という用語は、交換可能に使用され、胸腺での成熟を完了し、体内のある特定の外来抗原を同定した細胞を指す。これらの用語はまた、他の免疫細胞の活性化及び不活性化を含む、免疫系において様々な役割を有する主要な白血球型を指す。T細胞は、培養T細胞、例えば、初代T細胞、または培養T細胞株由来のT細胞、例えば、Jurkat、SupT1等、または哺乳動物由来のT細胞などの任意のT細胞であり得る。T細胞としては、ナイーブT細胞、刺激T細胞、初代T細胞(例えば、培養されていない)、培養T細胞、不死化T細胞、ヘルパーT細胞、細胞毒性T細胞、メモリーT細胞、調節T細胞、ナチュラルキラーT細胞、それらの組み合わせ、またはそれらの亜集団が挙げられるが、これらに限定されない。T細胞は、CD3+細胞であり得る。T細胞は、CD4+、CD8+、またはCD4+及びCD8+であり得る。T細胞は、任意のタイプのT細胞、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞(例えば、Th1及びTh2細胞)、CD8+T細胞(例えば、細胞毒性T細胞)、末梢性であり得、血液単核細胞(PBMC)、末梢血白血球(PBL)、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、メモリーT細胞、ナイーブT細胞、制御性T細胞、γδT細胞等を含むが、これらに限定されない。それは、発達の任意の段階において、任意のT細胞であり得る。追加のタイプのヘルパーT細胞には、Th3(Treg)細胞、Th17細胞、Th9細胞、またはTfh細胞が含まれる。追加のタイプのメモリーT細胞には、セントラルメモリーT細胞(Tcm細胞)、エフェクターメモリーT細胞(Tem細胞及びTEMRA細胞)などの細胞が含まれる。T細胞はまた、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように修飾されたT細胞などの遺伝子修飾T細胞を指し得る。T細胞は、幹細胞または前駆細胞から分化することもできる。
【0258】
「CD4+T細胞」は、表面上でCD4を発現し、細胞免疫応答に関連するT細胞のサブセットを指す。CD4+T細胞は、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-4及びIL-10などのサイトカインの分泌を含むことができる、刺激後分泌プロファイルを特徴とする。「CD4」は、本来Tリンパ球上の分化抗原として定義される55kD糖タンパク質であるが、単球/マクロファージを含む他の細胞上にも見出された。CD4抗原は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、MHC(主要組織適合性複合体)クラスII制限免疫応答における連想認識エレメントとして示唆されている。Tリンパ球上で、CD4抗原は、ヘルパー/誘導因子サブセットを定義する。
【0259】
「CD8+T細胞」は、それらの表面上でCD8を発現し、MHCクラスI制限され、細胞毒性T細胞として機能するT細胞のサブセットを指す。「CD8」分子は、胸腺細胞上、ならびに細胞毒性及び抑制性Tリンパ球上に存在する分化抗原である。CD8抗原は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、主要な組織適合性複合体クラスI制限相互作用における連想認識エレメントである。
【0260】
本明細書で使用される場合、「造血幹細胞」という語句は、血液細胞を生じさせることができる幹細胞のタイプを指す。造血幹細胞は、骨髄系もしくはリンパ系の細胞、またはそれらの組み合わせを生じさせることができる。造血幹細胞は主に骨髄に見出されるが、それらは末梢血、またはその画分から単離され得る。様々な細胞表面マーカーを使用して、造血幹細胞を同定、選別、または精製することができる。いくつかの場合において、造血幹細胞は、c-kit+及びlin-として同定される。いくつかの場合において、ヒト造血幹細胞は、CD34+、CD59+、Thy1/CD90+、CD38lo/-、C-kit/CD117+、lin-として同定される。いくつかの場合において、ヒト造血幹細胞は、CD34-、CD59+、Thy1/CD90+、CD38lo/-、C-kit/CD117+、lin-として同定される。いくつかの場合において、ヒト造血幹細胞は、CD133+、CD59+、Thy1/CD90+、CD38lo/-、C-kit/CD117+、lin-として同定される。いくつかの場合において、マウス造血幹細胞は、CD34lo/-、SCA-1+、Thy1+/lo、CD38+、C-kit+、lin-として同定される。いくつかの場合において、造血幹細胞は、CD150+CD48-CD244-である。
【0261】
本明細書で使用される場合、「造血細胞」という語句は、造血幹細胞に由来する細胞を指す。造血細胞は、生物、系、器官、または組織(例えば、血液、またはその画分)からの単離によって得られるか、または提供され得る。代替的には、造血幹細胞を単離し、幹細胞を分化させることによって造血細胞を得るか、または提供することができる。造血細胞は、更なる細胞型に分化する可能性が限定された細胞を含む。そのような造血細胞には、多能性前駆細胞、系統制限前駆細胞、一般的な骨髄系前駆細胞、顆粒球-マクロファージ前駆細胞、または巨核球-赤血球系前駆細胞が含まれるが、これらに限定されない。造血細胞には、リンパ球、赤血球、顆粒球、単球、及び血小板などのリンパ系及び骨髄系の細胞が含まれる。
【0262】
本明細書で使用される場合、「コンストラクト」という用語は、巨大分子またはポリヌクレオチドを含む分子の複合体を指す。
【0263】
本明細書で使用される場合、「組込み」という用語は、コンストラクトの1つ以上のヌクレオチドを細胞ゲノムに安定して挿入する、すなわち、細胞の染色体DNA内の核酸配列に共有結合するプロセスを指す。それはまた、組込みの部位におけるヌクレオチド欠失を指し得る。挿入部位に欠失がある場合、「組込み」は、1つ以上の挿入されたヌクレオチドで欠失された内因性配列またはヌクレオチドの置換を更に含み得る。
【0264】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、宿主細胞に導入され、その細胞に天然ではない分子または活性を指す。この分子は、例えば、コード核酸の宿主遺伝物質への導入によって、例えば、宿主染色体への組込みによって、またはプラスミドなどの非染色体遺伝物質として導入することができる。したがって、コード核酸の発現に関連して使用される場合、この用語は、コード核酸を発現可能な形態で細胞に導入することを指す。「内在性」という用語は、天然の編集されていない条件下で宿主細胞に存在する分子または活性を指す。同様に、この用語は、コード核酸の発現と関連して使用される場合、細胞内に含まれ、外因的に導入されないコード核酸の発現を指す。
【0265】
「異種」という用語は、隣接配列に天然ではない核酸またはポリペプチド配列またはドメインを指し、例えば、異種配列は、一方または両方の末端に生じる核酸またはポリペプチド配列にカップリングされた状態で自然界には見出されない。
【0266】
「相同」という用語は、隣接配列に天然である核酸またはポリペプチド配列またはドメインを指し、例えば、相同配列は、一方または両方の末端に生じる核酸またはポリペプチド配列にカップリングされた状態で自然界に見出される。
【0267】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチドドナーコンストラクト」は、遺伝子的にポリヌクレオチドに挿入され、そのポリヌクレオチドに対して外因性であるヌクレオチド配列(例えば、DNA配列)を指す。ポリヌクレオチドドナーコンストラクトは、RNAに転写され、任意選択でポリペプチドに翻訳される。ポリヌクレオチドドナーコンストラクトは、原核配列、真核mRNA由来のcDNA、真核(例えば、哺乳動物)DNA由来のゲノムDNA配列、及び合成DNA配列を含むことができる。例えば、ポリヌクレオチドドナーコンストラクトは、miRNA、shRNA、天然ポリペプチド(すなわち、天然に存在するポリペプチド)もしくはその断片、またはバリアントポリペプチド(例えば、天然ポリペプチドと100%未満の配列同一性を有する天然ポリペプチド)もしくはその断片であり得る。
【0268】
本明細書で使用される場合、「相補的」または「相補性」という用語は、ヌクレオチドまたは核酸間の特異的塩基対合を指す。相補的ヌクレオチドは、概して、A及びT(またはA及びU)、ならびにG及びCである。本明細書に記載のガイドRNAは、配列、例えば、細胞内のゲノム配列に完全に相補的または実質的に相補的である(例えば、1~4個のミスマッチを有する)DNA標的配列を含むことができる。
【0269】
「コードする」という用語は、タンパク質コード配列または非タンパク質コード配列を指す。非タンパク質コード配列は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
【0270】
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子」という用語は、ある生物から別の生物へ自然に、またはいくつかの遺伝子操作技法のいずれかによって移行されたポリヌクレオチドを指す。それは、任意選択でポリペプチドに翻訳される。それは、任意選択で組換えタンパク質に翻訳される。「組換えタンパク質」は、遺伝子(組換えDNA)によってコードされるタンパク質であり、遺伝子の発現及びメッセンジャーRNAの翻訳をサポートする系においてクローニングされている(発現系を参照されたい)。組換えタンパク質は、治療剤、例えば、本明細書に開示される疾患または障害を治療するタンパク質であり得る。使用される場合、導入遺伝子は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指すことができる。
【0271】
「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。
【0272】
本明細書で使用される場合、「動作可能に連結された」または「操作可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方の機能によって影響を受けるように、核酸配列が単一の核酸断片に結合することを指す。例えば、プロモーターが、コード配列または機能性RNAの発現に影響を及ぼすことができる(すなわち、コード配列または機能性RNAがプロモーターによる転写制御下にある)場合、プロモーターは、それに動作可能に連結される。コード配列は、センス配向及びアンチセンス配向の両方で対照配列に動作可能に連結され得る。
【0273】
本明細書で使用される場合、「発達細胞状態」という用語は、例えば、細胞が不活性であるとき、能動的に発現するとき、分化するとき、老化するとき等を指す。発達細胞状態はまた、前駆体状態(例えば、T細胞前駆体)の細胞を指し得る。
【0274】
使用される場合、「コードすること」という用語は、目的のタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸の配列を指す。核酸配列は、DNAまたはRNAの分子のいずれかであり得る。好ましい実施形態において、分子は、DNA分子である。他の好ましい実施形態において、分子は、RNA分子である。RNA分子として存在する場合、それは、宿主細胞のリボソームに翻訳を開始するように指示する配列(例えば、開始コドン、ATG)、及びリボソームに翻訳を終了するように指示する配列(例えば、終止コドン)を含む。開始コドンと終止コドンとの間には、オープンリーディングフレーム(ORF)がある。そのような用語は、当業者に既知である。
【0275】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物対象を指す。例示的な対象としては、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ラクダ、ヤギ、ウサギ、ブタ及びヒツジが挙げられる。ある特定の実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、本明細書に提供される操作された細胞またはその集団で治療することができる疾患または状態を有する。いくつかの態様において、疾患または状態は、がんである。
【0276】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、コード配列または機能性RNAの発現を制御することができるヌクレオチド配列(例えば、DNA配列)を指す。プロモーター配列は、近位及びより遠位の上流エレメントからなり、後者のエレメントは、しばしばエンハンサーと称される。プロモーターは、その全体が天然遺伝子に由来することができ、自然界に見出される異なるプロモーターからの異なるエレメントで構成され得、及び/または合成DNAセグメントを含み得る。プロモーターは、本明細書で企図されるように、目的の細胞に対して内在性であり得るか、または目的の細胞に対して外因性であり得る。異なるプロモーターが、異なる組織もしくは細胞型において、または異なる発達段階において、または異なる環境条件に応答して、遺伝子発現を誘導することができることは、当業者によって理解される。当該技術分野で既知であるように、プロモーターは、プロモーターの強度及び/またはプロモーターが活性である条件、例えば、構成的プロモーター、強力なプロモーター、弱いプロモーター、誘導性/抑制可能なプロモーター、組織特異的または発達的に調節されたプロモーター、細胞周期依存性プロモーター等に従って選択することができる。
【0277】
プロモーターは、誘導性プロモーター(例えば、熱ショックプロモーター、テトラサイクリン調節プロモーター、ステロイド調節プロモーター、金属調節プロモーター、エストロゲン受容体調節プロモーター等)であり得る。プロモーターは、構成的プロモーター(例えば、CMVプロモーター、UBCプロモーター)であり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは、空間的に制限された及び/または時間的に制限されたプロモーター(例えば、組織特異的プロモーター、細胞型特異的プロモーター等)であり得る。例えば、米国公開第20180127786号を(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0278】
本明細書で企図されるように、遺伝子編集は、遺伝子(またはヌクレオチド配列)のノックインまたはノックアウトを伴い得る。本明細書で使用される場合、「ノックイン」という用語は、ゲノムへのDNA配列またはその断片の付加を指す。ノックインされるかかるDNA配列は、全遺伝子または複数の遺伝子を含んでもよく、遺伝子または前述のいずれかの部分もしくは断片と関連する調節配列を含んでもよい。例えば、組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドドナーコンストラクトは、変異体遺伝子を保有する細胞のゲノムに挿入され得る。いくつかの実施形態において、ノックイン戦略は、提供された配列による既存の配列の置換、例えば、野生型コピーによる変異体対立遺伝子の置換を伴う。他方では、「ノックアウト」という用語は、遺伝子の除去または遺伝子の発現を指す。例えば、遺伝子は、リーディングフレームの破壊につながるヌクレオチド配列の欠失または付加のいずれかによってノックアウトすることができる。別の例として、遺伝子の一部を無関係の(例えば、非コード)配列で置き換えることによって、遺伝子をノックアウトしてもよい。
【0279】
本明細書で使用される場合、「非相同末端接合」またはNHEJという用語は、相同テンプレート核酸を必要とせずにDNA鎖の切断末端またはニック末端が直接ライゲーションされる細胞プロセスを指す。NHEJは、修復部位での1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換、またはそれらの組み合わせをもたらすことができる。
【0280】
本明細書で使用される場合、「相同性指向修復」またはHDRは、相同テンプレート核酸からの重合によってDNA鎖の切断末端またはニック末端が修復される細胞プロセスを指す。したがって、元の配列は、テンプレートの配列と置き換えられる。相同テンプレート核酸は、ゲノムの他の場所にある相同配列(姉妹染色分体、相同染色体、または同じもしくは異なる染色体上の反復領域)によって提供され得る。代替的には、外因性テンプレート核酸を導入して、標的部位での配列の特定のHDR誘導変化を得ることができる。このようにして、特定の変異が切断部位に導入され得る。
【0281】
本明細書で使用される場合、一本鎖DNAテンプレートまたは二本鎖DNAテンプレートは、HDRのテンプレートとして細胞によって使用され得るDNAオリゴヌクレオチドを指す。概して、一本鎖DNAテンプレートまたは二本鎖DNAテンプレートは、標的部位に対する相同性の少なくとも1つの領域を有する。いくつかの場合において、一本鎖DNAテンプレートまたは二本鎖DNAテンプレートは、標的切断部位に挿入される異種配列を含有する領域に隣接する2つの相同領域を有する。
【0282】
「ベクター」及び「プラスミド」という用語は、互換的に使用され、本明細書で使用される場合、遺伝物質を細胞に導入するのに有用なポリヌクレオチドビヒクルを指す。ベクターは、線形または円形であり得る。ベクターは、宿主細胞の標的ゲノムに組み込むか、または宿主細胞内で独立して複製することができる。ベクターは、例えば、複製起点、マルチクローニング部位、及び/または選択可能マーカーを含むことができる。発現ベクターは、典型的には、発現カセットを含む。ベクター及びプラスミドには、組込みベクター、原核プラスミド、真核プラスミド、植物合成染色体、エピソーム、コスミド、及び人工染色体が含まれるが、これらに限定されない。
【0283】
本明細書で使用される場合、核酸または核酸を含む複合体、例えば、RNP-DNAテンプレート複合体を導入する文脈における「導入する」という語句は、核酸配列またはRNP-DNAテンプレート複合体の細胞外から細胞内への転座を指す。いくつかの場合において、導入することは、核酸または複合体の細胞外から細胞の核内への転座を指す。そのような転座の様々な方法が企図され、これには、エレクトロポレーション、ナノワイヤまたはナノチューブとの接触、受容体媒介内在化、細胞透過性ペプチドを介した転座、リポソーム媒介転座等が含まれるが、これらに限定されない。
【0284】
本明細書で使用される場合、「発現カセット」という用語は、宿主細胞における選択されたポリヌクレオチドの発現を容易にするために、選択されたポリヌクレオチドに動作可能に連結された調節配列を含む、組換えまたは合成的に生成されたポリヌクレオチドコンストラクトである。例えば、調節配列は、宿主細胞内での選択されたポリヌクレオチドの転写、または宿主細胞内での選択されたポリヌクレオチドの転写及び翻訳を容易にすることができる。発現カセットは、例えば、宿主細胞のゲノム中に組み込まれるか、または発現ベクター中に存在することができる。
【0285】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象」という語句は、本明細書に記載の疾患または障害の1つ以上の症状または徴候を呈する、及び/またはそれらと診断される対象を指す。
【0286】
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学的化合物を指す。化学療法剤としては、がんの増殖を促進することができるホルモンの効果を調節、低減、遮断、または阻害するように作用する「抗ホルモン剤」または「内分泌療法剤」が挙げられる。
【0287】
「組成物」という用語は、例えば、本明細書で企図される操作された細胞またはタンパク質を含有する混合物を指す。いくつかの実施形態において、組成物は、アジュバント、安定剤、賦形剤等の追加の成分を含有し得る。「組成物」または「薬学的組成物」という用語は、その中に含まれる活性成分の生物学的活性が対象の治療に有効であることを可能にするような形態であり、薬学的組成物中に提供される量で対象に許容できないほど毒性のある追加の成分を含まない調製物を指す。
【0288】
「インサイチュ」という用語は、生体から分離して成長する、例えば、組織培養物中で成長する生細胞内で生じるプロセスを指す。
【0289】
「インビボ」という用語は、生体内で発生するプロセスを指す。
【0290】
本明細書で使用される場合、「エクスビボ」という用語は、概して、生体組織内または生体組織上で、好ましくは生物外の人工環境内で行われた実験または測定を含み、好ましくは自然条件との差異が最小限である。
【0291】
本明細書で使用される「哺乳動物」という用語は、ヒト及び非ヒトの両方を含み、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、及びブタを含むが、これらに限定されない。
【0292】
「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈において、以下に記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを使用して、または目視検査によって測定される、最大一致について比較及び整列させたときに同じ特定のパーセンテージのヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に応じて、「同一性」パーセントは、比較されている配列の領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在することができるか、または代替的に、比較される2つの配列の全長にわたって存在することができる。
【0293】
配列比較のために、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列をコンピューターに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)のパーセント配列同一性を計算する。
【0294】
比較のための配列の最適な整列は、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実装によって(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、または目視検査によって実施することができる(概して、以下のAusubel et al.を参照されたい)。
【0295】
配列同一性及び配列類似性のパーセントを決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、BLASTアルゴリズムであり、これはAltschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公開されている。
【0296】
「十分な量」という用語は、所望の効果をもたらすのに十分な量、例えば、細胞内のタンパク質凝集を調節するのに十分な量を意味する。
【0297】
「治療的有効量」という用語は、疾患の症状を改善するのに有効な量である。
【0298】
「寛解させる」という用語は、疾患状態、例えば、がん疾患状態の治療におけるいずれかの治療的に有益な結果、その重症度もしくは進行における低下、その緩解、またはその治癒を指す。
【0299】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量の化合物(例えば、本明細書に記載の組成物、本明細書に記載の細胞)を指す。有効量は、1つ以上の投与、適用または投与量で投与することができ、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図するものではない。
【0300】
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、状態、疾患、障害等の改善をもたらすか、またはその症状を改善する任意の効果、例えば、緩和、低減、調節、改善または除去を含む。
【0301】
「調節する」及び「調節」という用語は、列挙された変数を低減もしくは阻害するか、または代替的に、活性化もしくは増加させることを指す。
【0302】
「増加する」及び「活性化する」という用語は、列挙された変数における、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれ以上の増加を指す。
【0303】
「低減する」及び「阻害する」という用語は、列挙された変数における、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれ以上の減少を指す。
【0304】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0305】
論理ゲートシステム
本明細書で使用される場合、「論理ゲート」、「回路」、「回路受容体」、「システム」または「システム受容体」とは、プライミング受容体及びキメラ抗原受容体を含む2部タンパク質発現システムを指す。システムは、細胞内に挿入された少なくとも1つの核酸上でコードされ得、プライミング受容体は、細胞において発現される。プライミング受容体の細胞内ドメインは、プライミング受容体がその標的抗原に結合した際に、膜貫通ドメインから切断される。次いで、細胞内ドメインは、細胞核内に転座することが可能であり、細胞核において、細胞内ドメインは、キメラ抗原受容体の発現を誘導する。
【0306】
一態様において、ALPG/Pに結合するプライミング受容体と、MSLNに結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムであって、プライミング受容体の細胞内ドメインの転写因子が、CARの発現を誘導することが可能である、システムが、本明細書で提供される。そのようなシステムは、代替的に、「論理ゲート」または「回路」と称される。いくつかの態様において、システムは、免疫細胞内に挿入された核酸導入遺伝子によってコードされている。システムは、両方の導入遺伝子を含む単一核酸挿入物または断片上にコードされてもよく、またはシステム導入遺伝子を個別にコードする2つの核酸上にコードされてもよい。システムのプライミング受容体及びCARは、いずれかの順序で単一核酸上に配置され得る。例えば、プライミング受容体は、5’末端にあってもよく、CARは、3’末端にあってもよく、またはCARは、5’末端にあってもよく、プライミング受容体は、3’末端にあってもよい。
【0307】
第1の構成的プロモーターは、プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結され得る。誘導性プロモーターはまた、CARをコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結され得る。第2の構成的プロモーターは、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAと相補的である第1の核酸に動作可能に連結され得る。第3の構成的プロモーターは、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするかまたは配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAと相補的である第2の核酸に動作可能に連結され得る。
【0308】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸(複数可)を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0309】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸(複数可)を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0310】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸(複数可)を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原子受容器をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0311】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸(複数可)を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、誘導性プロモーター;キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;第1の構成的プロモーター;及びプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0312】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸(複数可)を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、誘導性プロモーター;キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列;第1の構成的プロモーター;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;及びプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0313】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸(複数可)を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、誘導性プロモーター;キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列;第1の構成的プロモーター;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトFAS mRNA、ヒトPTPN2 mRNAまたはヒトTOX mRNAと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列;及びプライミング受容器をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0314】
いくつかの実施形態において、システムが、両方の導入遺伝子及び核酸を含む単一組換え核酸挿入物または断片上にコードされているときに、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFAS mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトPTPN2 mRNAまたはTOX mRNAと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0315】
別の実施形態において、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、第1の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトPTPN2 mRNAまたはTOX mRNAと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトFAS mRNAと相補的である第2の第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;誘導性プロモーター;及びキメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0316】
別の実施形態において、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、誘導性プロモーター;キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトFAS mRNAと相補的である第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトPTPN2 mRNAまたはTOX mRNAと相補的である第2の第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0317】
別の実施形態において、組換え核酸挿入物は、5’から3’方向に、誘導性プロモーター;キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;ヒトPTPN2 mRNAまたはTOX mRNAと相補的である第2の核酸をコードするヌクレオチド配列;ヒトFAS mRNAと相補的である第2の第1の核酸をコードするヌクレオチド配列;第2の構成的プロモーター;プライミング受容体をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0318】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号166、167、168、169、170または171からなる群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号166に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号167に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号168に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号169に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号170に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号171に記載の配列を含む。
【0319】
プライミング受容体
胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P;ALPP:NCBI Entrez Gene:250、UniProtKB/Swiss-Prot:P05187;ALPG:NCBI Entrez Gene:251、UniProtKB/Swiss-Prot:P10696)である。いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、胎盤型アルカリホスファターゼ(ALPP)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含む。本明細書で使用される場合、「胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)」とは、胎盤型アルカリホスファターゼ(ALPP)及び生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG)の両方を指す。ALPG/Pに特異的に結合する抗原結合ドメインは、ALPG及び/またはALPPに特異的に結合することが可能である。
【0320】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、配列番号24に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、配列番号25に記載の配列を含む。
【0321】
本開示のある特定の態様において、プライミング受容体は、Notchタンパク質に基づく合成受容体である。タンパク質のデルタファミリーからのものなどの同族リガンドへの天然Notch受容体の結合は、Notchタンパク質の細胞内断片を切断する膜内タンパク質分解を引き起こす。この細胞内断片は、Notchから切断されたときにのみ機能する転写調節因子である。切断は、ADAMメタロプロテアーゼ及びガンマ-セクレターゼ複合体による連続的なタンパク質分解によって起こり得る。この細胞内断片は、細胞の核に入り、細胞-細胞シグナル伝達遺伝子を活性化する。自然Notchタンパク質と対照的に、合成Notchプライミング受容体は、自然Notch細胞内断片を、選択のタンパク質、例えば、CARをコードする遺伝子が、プライミング受容体からの細胞内断片の放出の際に転写され得ることを引き起こすもので置き換える。
【0322】
Notch受容体は、モジュラードメイン組織を有する。Notch受容体の外部ドメインは、リガンド結合の原因となる一連のN末端上皮成長因子(EGF)様反復からなる。合成Notch受容体またはプライミング受容体において、Notchリガンド結合ドメインは、選択された標的リガンドまたは抗原に結合するリガンド結合ドメインと置き換えられる。EGF反復に続いて、3つのLIN-12/Notch反復(LNR)モジュールが続き、これはNotch受容体に特有であり、早期受容体活性化の防止に関与すると広く報告されている。Notch1のヘテロ二量体化(HD)ドメインは、フリン切断によって分割され、それによりN末端部分が細胞外サブユニットを終結させ、そのC末端半分が膜貫通サブユニットの始まりを構成する。細胞外領域に続いて、受容体は、膜貫通セグメントと、転写調節因子を含む細胞内ドメイン(ICD)とを有する。
【0323】
複数形態のプライミング受容体を、本明細書に記載の方法、細胞、及び核酸に使用することができる。本明細書における方法及び細胞における使用が企図されるプライミング受容体の1つのタイプは、異種細胞外リガンド結合ドメイン、NRR、TMD、及びICDを含むNotch受容体と実質的な配列同一性を有する連結ポリペプチドを含む。「Fn Notch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、Robo受容体(哺乳動物Robo1、Robo2、Robo3、またはRobo4など)との実質的な配列同一性を有する連結ポリペプチド、続いて1、2、または3つのフィブロネクチン反復(「Fn」)、TMD、及びICDを含む。「ミニNotch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、Notch受容体(NRRを欠く)、TMD、及びICDと実質的な配列同一性を有する連結ポリペプチドを含む。「最小Linker Notch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、Notch受容体と実質的な配列同一性を欠く連結ポリペプチド(例えば、合成(GGS)nポリペプチド配列)、TMD、及びICDを含む。「ヒンジNotch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、オリゴマー化ドメイン(すなわち、合成受容体及び/または既存の宿主受容体との二量体化、三量体化、またはより高次の多量体化を促進するドメイン)、TMD、及びICDを含むヒンジ配列を含む。これらの受容体クラスの全ては、合成、組換えであり、自然界には生じない。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される非天然に存在する受容体は、受容体のタンパク質分解切断を誘発し、細胞内のカスタム転写プログラムを調節する転写調節因子の放出を誘発する、標的細胞表面に示されるリガンドに結合する。いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、Notch受容体のLIN-12-Notch反復(LNR)及び/またはヘテロ二量体化ドメイン(HD)を含まない。
【0324】
プライミング受容体細胞外ドメイン
本明細書に開示されるプライミング受容体は、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P;ALPP:NCBI Entrez Gene:250、UniProtKB/Swiss-Prot:P05187;ALPG:NCBI Entrez Gene:251、UniProtKB/Swiss-Prot:P10696)に特異的に結合する細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞外ドメインは、受容体のリガンド結合部分を含む。いくつかの実施形態において、細胞外ドメインは、1つ以上の標的抗原に結合する抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合部分は、抗体またはその機能的抗原結合断片の1つ以上の抗原結合決定基を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合部分は、抗体、ナノボディ、ダイアボディ、トリアボディ、またはミニボディ、F(ab’)2断片、Fab断片、一本鎖可変断片(scFv)、及び単一ドメイン抗体(sdAb)、またはその機能的断片からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗原結合部分は、scFvを含む。抗原結合部分は、天然に存在するアミノ酸配列を含み得るか、または所望の特性及び/または改善された特性、例えば、増加した結合親和性を提供するように操作、設計、または修飾することができる。
【0325】
標的分子への抗体の結合に関して、特定の抗原(例えば、ポリペプチド標的)または特定の抗原上のエピトープ「に結合する」、「への特異的結合」、「に特異的に結合する」、「に特異的」、「に選択的に結合する」及び「について選択的」という用語は、(例えば、非標的分子との)非特異的または非選択的相互作用と測定可能に異なる結合を意味する。例えば、抗原「に選択的に結合する」または「に特異的に結合する」抗体は、抗原に高い親和性で結合し、かつ他の無関係の抗原に有意に結合しない抗原結合部分である。特異的結合は、例えば、標的分子への結合を測定し、それを非標的分子への結合と比較することによって測定され得る。特異的結合はまた、標的分子上で認識されるエピトープを模倣する対照分子との競合によって決定され得る。この場合、特異的結合は、標的分子への抗体の結合が対照分子によって競合的に阻害される場合に示される。いくつかの実施形態において、細胞外抗原結合ドメインは、アルカリホスファターゼ生殖細胞型(ALPG)に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、細胞外ドメインは、胎盤型アルカリホスファターゼ(ALPP)に結合する抗原結合部分を含む。
【0326】
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原またはエピトープ)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途指示されない限り、本明細書で使用される場合、「親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体、及び抗原またはエピトープ)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYとの親和性は、解離平衡定数(KD)によって表され得る。解離平衡定数に寄与する動態学的構成要素は、以下でより詳細に記載される。親和性は、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定され得、方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(例えば、BIACORE(登録商標))または生体層干渉法(例えば、FORTEBIO(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
【0327】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」または「HVR」という用語は、抗体可変ドメインの領域の各々であって、領域が、配列において超可変であり及び/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する、領域の各々を指す。概して、天然4本鎖抗体は、6つのHVRを含み、3つはVH(H1、H2、H3)中にあり、3つはVL(L1、L2、L3)中にある。HVRは、概して、超可変ループからの及び/または相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は、最も高い配列可変性のものであり及び/または抗原認識に関与する。VHにおけるCDR1を除いて、CDRは概して、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)はまた、「相補性決定領域」(CDR)と称され、これらの用語は、抗原結合領域を形成する、可変領域の部分に関して、本明細書で互換的に使用される。この特定の領域は、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,Sequences of Proteins of Immunological Interest(1983)及びChothia et al.,J Mol Biol 196:901-917(1987)によって記載されており、定義は、互いに比較されたときに、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。しかしながら、抗体またはそのバリアントのCDRを指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義及び使用される用語の範囲内にあることが意図されている。特定のCDRを包含する正確な残基番号は、CDRの配列及びサイズに依存して変動する。当業者であれば、抗体の可変領域アミノ酸配列を所与として、どの残基が特定のCDRを含むかをルーチン的に決定することができる。
【0328】
CDRのアミノ酸配列境界は、当業者によって、いくつかの既知の番号付けスキームのうちのいずれかを使用して決定され得、番号付けスキームは、Kabat et al.上記(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al.,1997,J.Mol.Biol.,273:927-948(「Chothia」番号付けスキーム)、MacCallum et al.,1996,J.Mol.Biol.262:732-745(「Contact」番号付けスキーム)、Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.,2003,27:55-77(「IMGT」番号付けスキーム)及びHonegge and Pluckthun,J.Mol.Biol.,2001,309:657-70(「AHo」番号付けスキーム)によって記載されているものを含み、それらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0329】
表Aは、Kabat及びChothiaスキームによって特定されるCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の位置を提供する。CDR-H1については、残基番号付けは、Kabat及びChothia番号付けスキームの両方を使用して提供される。
【0330】
CDRは、例えば、抗体番号付けソフトウェア、例えば、Abnumを使用して割り当てられ得、Abnumは、bioinf.org.uk/abs/abnum/において入手可能であり、Abhinandan and Martin,Immunology,2008,45:3832-3839に記載されており、これは、その全体が参照により組み込まれる。
【0331】
【0332】
「EU番号付けスキーム」は、概して、(例えば、Kabat et al.上記に報告されているように)抗体重鎖定常領域における残基を指すときに使用される。別途記載されない限り、EU番号付けスキームは、本明細書に記載される抗体重鎖定常領域における残基を指すために使用される。
【0333】
【0334】
本明細書で使用される場合、「単鎖」という用語は、ペプチド結合によって直線的に連結されたアミノ酸単量体を含む分子を指す。特定のそのような実施形態において、Fab軽鎖のC末端は、単鎖Fab分子におけるFab重鎖のN末端に接続されている。本明細書でより詳細に記載されるように、scFvは、軽鎖(VL)の可変ドメインを有し、VLは、そのC末端から重鎖(VH)の可変ドメインのN末端に、ポリペプチド鎖によって接続されている。代替的に、scFvは、ポリペプチド鎖を含み、VHのC末端は、VLのN末端にポリペプチド鎖によって接続されている。
【0335】
(断片抗原結合とも称される)「Fab断片」は、軽鎖の定常ドメイン(CL)及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有するとともに、可変ドメインVL及びVHを、それぞれ、軽及び重鎖上に含有する。可変ドメインは、抗原結合に関与する相補性決定ループ(CDR、超可変領域とも称される)を含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端におけるいくつかの残基の付加によって、Fab断片と異なる。
【0336】
「F(ab’)2」断片は、ヒンジ領域の近くでジスルフィド結合によって結合した2つのFab’断片を含有する。F(ab’)2断片は、例えば、組換え方法によってまたはインタクト抗体のペプシン消化によって生成され得る。F(ab’)断片は、例えば、β-メルカプトエタノールでの処理によって解離され得る。
【0337】
「Fv」断片は、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの非共有結合的に連結された二量体を含む。
【0338】
「単鎖Fv」または「scFv」は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖において存在する。一実施形態において、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含み、ポリペプチドリンカーは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。scFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。HER2抗体scFv断片は、WO93/16185、米国特許第5,571,894号及び米国特許第5,587,458号に記載されている。
【0339】
「単一ドメイン抗体」または「sdAb」という用語は、抗体の1つの可変ドメインが、他の可変ドメインが存在することなく、抗原に特異的に結合する、分子を指す。単一ドメイン抗体及びそれらの断片は、Arabi Ghahroudi et al.,FEBS Letters,1998,414:521-526及びMuyldermans et al.,Trends in Biochem.Sci.,2001,26:230-245に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。単一ドメイン抗体はまた、sdAbまたはナノボディとして既知である。sdAbは、かなり安定しており、抗体のFc鎖との融合パートナーとして容易に発現する(Harmsen MM,De Haard HJ(2007).“Properties,production,and applications of camelid single-domain antibody fragments”.Appl.Microbiol Biotechnol.77(1): 13-22)。
【0340】
プライミング受容体CDR、VH、VLドメイン
いくつかの態様において、プライミング受容体細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号1に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載の配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載の配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載の配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載の配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号7に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VLは、配列番号8に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、細胞外ドメインは、配列番号9に記載の配列を含む。
【0341】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体細胞外抗原結合ドメインのCDR-H3は、配列番号3のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号2のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号1のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L3は、配列番号6のCDR-L3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L2は、配列番号5のCDR-L2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L1は、配列番号4のCDR-L1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号3のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号2のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号1のCDR-H1であり、CDR-L3は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号6のCDR-L3であり、CDR-L2は、最大1、2、3または4つのアミノ酸置換を有する配列番号5のCDR-L2であり、CDR-L1は、最大1、2、3、4、5または6つのアミノ酸置換を有する配列番号4のCDR-L1である。
【0342】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるプライミング受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号7に記載のVHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号7に記載のVHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号7に記載のVHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0343】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるプライミング受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号7に記載のVH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号7で提供されるVH配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0344】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるプライミング受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号8に記載のVLドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号8に記載のVLドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号8に記載のVLドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0345】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるプライミング受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号8に記載のVL配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVL配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号8で提供されるVL配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗体は、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0346】
表Bは、示される番号付けスキームによる、例示的なALPG/P抗原結合ドメインのVH及びVLのCDR配列を提供する。
【0347】
【0348】
膜貫通ドメイン
上記のように、プライミング受容体は、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメイン(TMD)を含む。
【0349】
いくつかの実施形態において、TMDは、Notch1膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号19に記載の配列を含む。
【0350】
概して、本明細書に開示されるキメラ受容体に好適なTMDは、少なくとも1つのガンマ-セクレターゼ切断部位を含む、1型膜貫通受容体の任意の膜貫通ドメインであり得る。アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びNotchを含む、ガンマ-セクレターゼ複合体及びその基質タンパク質の構造及び機能の詳細な説明は、例えば、Zhang et al,Frontiers Cell Neurosci(2014)による最近のレビューにおいて見出すことができる。1型膜貫通受容体由来の非限定の好適なTMDには、CLSTN1、CLSTN2、APLP1、APLP2、LRP8、APP、BTC、TGBR3、SPN、CD44、CSF1R、CXCL16、CX3CL1、DCC、DLL1、DSG2、DAG1、CDH1、EPCAM、EPHA4、EPHB2、EFNB1、EFNB2、ErbB4、GHR、HLA-A、及びIFNAR2由来のものが含まれ、TMDは、少なくとも1つのガンマセクレターゼ切断部位を含む。本明細書に記載の組成物及び方法に好適な追加のTMDには、1型膜貫通受容体IL1R1、IL1R2、IL6R、INSR、ERN1、ERN2、JAG2、KCNE1、KCNE2、KCNE3、KCNE4、KL、CHL1、PTPRF、SCN1B、SCN3B、NPR3、NGFR、PLXDC2、PAM、AGER、ROBOl、SORCS3、SORCS1、SORL1、SDC1、SDC2、SPN、TYR、TYRP1、DCT、YASN、FLT1、CDH5、PKHD1、NECTINl、PCDHGC3、NRG1、LRP1B、CDH2、NRG2、PTPRK、SCN2B、Nradd、及びPTPRMからの膜貫通ドメインが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示のキメラポリペプチドまたはNotch受容体のTMDは、アルカデインアルファ及びアルカデインガンマなどのカルシンテニンファミリーのメンバーのTMDに由来するTMDである。いくつかの実施形態において、本開示のキメラポリペプチドまたはNotch受容体のTMDは、Notch受容体に関して既知のTMDである。いくつかの実施形態において、本開示のキメラポリペプチドまたはNotch受容体のTMDは、異なるNotch受容体に由来するTMDである。例えば、ヒトNotch1に基づくミニNotchにおいて、Notch1 TMDは、Notch2 TMD、Notch3 TMD、Notch4 TMD、またはDanio rerio、Drosophila melanogaster、Xenopus laevis、またはGallus gallusなどの非ヒト動物由来のNotch TMDで置換され得る。
【0351】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、S2またはS3などのNotch切断部位を含む。本明細書に開示される組成物及び方法に好適な追加のタンパク質分解切断部位には、ADAM10、すなわち、コラゲナーゼ-1、-2、及び-3(MMP-1、-8、及び-13)、ゼラチナーゼA及びB(MMP-2及び-9)、ストロメリシン1、2、及び3(MMP-3、-10、及び-11)、マトリリシン(MMP-7)、及び膜メタロプロテアーゼ(MT1-MMP及びMT2-MMP)から選択されるMMPのメタロプロテイナーゼ切断部位が含まれるが、これらに限定されない。好適なプロテアーゼ切断部位の別の例は、プラスミノーゲン活性化因子切断部位、例えば、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)または組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)切断部位である。好適なプロテアーゼ切断部位の別の例は、プロラクチン切断部位である。uPA及びtPAの切断配列の具体例としては、Yal-Gly-Argを含む配列が挙げられる。タンパク質分解的に切断可能なリンカーに含まれ得るプロテアーゼ切断部位の別の例は、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位、例えば、Glu-Asn-Leu-Thr-Gln-Ser(配列番号188)であり、ここで、プロテアーゼは、グルタミンとセリンとの間で切断する。タンパク質分解的に切断可能なリンカーに含まれ得るプロテアーゼ切断部位の別の例は、エンテロキナーゼ切断部位、例えば、Asp-Asp-Asp-Asp-Lys(配列番号189)であり、ここで、切断は、リジン残基の後に生じる。タンパク質分解的に切断可能なリンカーに含まれ得るプロテアーゼ切断部位の別の例は、トロンビン切断部位、例えば、Leu-Val-Pro-Arg(配列番号190)である。プロテアーゼ切断部位を含む追加の好適なリンカーとしては、以下のプロテアーゼによって切断可能な配列が挙げられる:PreScission(商標)プロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼを含む融合タンパク質)、トロンビン、カテプシンB、エプスタイン-バーウイルスプロテアーゼ、MMP-3(ストロメリシン)、MMP-7(マトリリシン)、MMP-9;サーモリシン様MMP、マトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP-2)、カテプシンL;カテプシンD、マトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP-1)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子、膜1型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT-MMP)、ストロメリシン3(またはMMP-11)、サーモリシン、線維芽細胞コラゲナーゼ及びストロメリシン-1、マトリックスメタロプロテアーゼ13(コラゲナーゼ-3)、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ヒト前立腺特異的抗原、カリクレイン(hK3)、好中球エラスターゼ、及びカルパイン(カルシウム活性化中性プロテアーゼ)。受容体が発現される宿主細胞に天然ではないプロテアーゼ(例えば、TEV)を更なる調節機構として使用することができ、プロテアーゼが発現されるか、または他の方法で提供されるまで、受容体の活性化が低減する。追加的に、プロテアーゼは、腫瘍関連または疾患関連(正常組織よりも有意に高い程度に発現される)であり得、独立した調節機構として機能する。例えば、いくつかのマトリックスメタロプロテアーゼは、ある特定のがんタイプにおいて高度に発現される。
【0352】
いくつかの実施形態において、TMD内のアミノ酸置換(複数可)は、TMDの「GV」モチーフ内の1つ以上の置換を含む。いくつかの実施形態において、そのような置換(複数可)のうちの少なくとも1つは、アラニンへの置換を含む。追加の配列及び置換は、WO2021061872(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0353】
細胞内ドメイン
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、転写調節因子及び/またはDNA結合ドメインからのまたはそれに由来する1つ以上の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、HNF1a/p65ドメインまたはGal4/VP64ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、配列番号23に記載の配列を含む。
【0354】
転写調節因子は、同族プロモーターからの転写を活性化または抑制する。転写活性化因子は、典型的には、近くの転写プロモーターに結合し、RNAポリメラーゼを動員して転写を直接開始する。転写抑制因子は、転写プロモーターに結合し、RNAポリメラーゼによる転写開始を立体的に阻害する。他の転写調節因子は、それが結合する場所及び細胞条件に応じて、活性化因子または抑制因子のいずれかとして機能する。したがって、本明細書で使用される場合、「転写活性化ドメイン」は、1つ以上の遺伝子の転写を増加及び/または活性化するために、転写制御エレメント及び/または転写調節タンパク質(すなわち、転写因子、RNAポリメラーゼ等)と相互作用する転写因子のドメインを指す。転写活性化ドメインの非限定的な例としては、単純ヘルペスウイルスVP16活性化ドメイン、VP64(VP16の四量体誘導体である)、HIV TAT、NFkB p65活性化ドメイン、p53活性化ドメイン1及び2、CREB(cAMP応答エレメント結合タンパク質)活性化ドメイン、E2A活性化ドメイン、NFAT(活性化T細胞の核因子)活性化ドメイン、酵母Gal4、酵母GCN4、酵母HAP1、MLL、RTG3、GLN3、OAF1、PIP2、PDR1、PDR3、PHO4、LEU3グルココルチコイド受容体転写活性化ドメイン、B-細胞POUホメオドメインタンパク質Oct2、植物Ap2、または当業者に既知の任意の他のものが挙げられる。いくつかの実施形態において、転写調節因子は、Gal4-VP16、Gal4-VP64、tetR-VP64、ZFHD1-YP64、Gal4-KRAB、及びHAP1-VP16から選択される。いくつかの実施形態において、転写調節因子は、Gal4-VP64である。転写活性化ドメインは、野生型もしくは天然に存在する配列を含むことができるか、または1つ以上の遺伝子の転写を増加及び/または活性化する所望の能力を有する、元の転写活性化ドメインの修飾、変異、または誘導体バージョンであり得る。いくつかの実施形態において、転写調節因子は、核局在化シグナルを更に含み得る。
【0355】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、1つ以上の細胞内「DNA結合ドメイン」(または「DBドメイン」)を含む。そのような「DNA結合ドメイン」は、特定のDNA配列エレメントに結合する配列特異的DNA結合ドメインを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「配列特異的DNA結合ドメイン」は、特定の所定の配列を有するDNAに選択的に結合する能力を有するタンパク質ドメイン部分を指す。配列特異的DNA結合ドメインは、野生型もしくは天然に存在する配列を含むことができるか、または所望の配列に結合する所望の能力を有する元のドメインの修飾、変異体、もしくは誘導体バージョンであり得る。いくつかの実施形態において、配列特異的DNA結合ドメインは、所望の配列に結合するように操作される。本明細書に記載の合成タンパク質において使用され得る配列特異的DNA結合ドメインを有するタンパク質の非限定例としては、HNF1a、Gal4、GCN4、逆テトラサイクリン受容体、THY1、SYN1、NSE/RU5’、AGRP、CALB2、CAMK2A、CCK、CHAT、DLX6A、EMX1、それらのジンクフィンガータンパク質またはドメイン、CRISPR/Casタンパク質、例えば、Cas9、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(もしくはCasD)、Cash、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(もしくはCasA)、Cse2(もしくはCasB)、Cse3(もしくはCasE)、Cse4(もしくはCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、及びCu196、ならびにTALESが挙げられる。
【0356】
CRISPR/Cas様タンパク質が使用される実施形態において、CRISPR/Cas様タンパク質は、野生型CRISPR/Casタンパク質、修飾CRISPR/Casタンパク質、または野生型もしくは修飾CRISPR/Casタンパク質の断片であり得る。CRISPR/Cas様タンパク質は、核酸結合親和性及び/または特異性を増加させ、酵素活性を改変し、及び/またはタンパク質の別の特性を変化させるように修飾され得る。例えば、CRISPR/Cas様タンパク質のヌクレアーゼ(すなわち、DNase、RNase)ドメインは、修飾、欠失、または不活性化され得る。代替的には、CRISPR/Cas様タンパク質は、本明細書に記載のシステムの機能に必須ではないドメインを除去するために切断することができる。例えば、DNA結合タンパク質またはそのドメインとして使用されるCRISPR酵素は、変異したCRISPRまたはそのドメインが、DNA結合ドメイン標的部位を含む核酸配列を切断する能力を欠くように、対応する野生型酵素に関して変異させることができる。例えば、D10A変異は、H840A、N854A、またはN863A変異のうちの1つ以上と組み合わせて、実質的に全てのDNA切断活性を欠くCas9酵素を産生することができる。
【0357】
膜近傍ドメイン
ECD及びTMD、またはTMD及びICDは、膜近傍ドメインなどの連結ポリペプチドと互いに連結され得る。「SynNotch」または合成Notch受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、(NRRを含む)Notch受容体JMDと実質的な配列同一性を有する連結ポリペプチド、TMD及びICDを含む。「Fn Notch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、Robo受容体(哺乳動物Robo1、Robo2、Robo3、またはRobo4など)との実質的な配列同一性を有する連結ポリペプチド、続いて1、2、または3つのフィブロネクチン反復(「Fn」)、TMD、及びICDを含む。「ミニNotch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、Notch受容体JMDと実質的な配列同一性を有するが、NRR(LIN-12-Notch反復(LNR)モジュール、及びヘテロ二量体化ドメイン)、TMD、及びICDを欠く連結ポリペプチドを含む。「最小リンカーNotch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、Notch受容体との実質的な配列同一性を欠く連結ポリペプチド(例えば、限定されないが、合成(GGS)nポリペプチド配列を有する)、TMD、及びICDを含む。「ヒンジNotch」受容体は、異種細胞外リガンド結合ドメイン、オリゴマー化ドメイン(すなわち、合成受容体及び/または既存の宿主受容体との二量体化、三量体化、またはより高次の多量体化を促進するドメイン)、TMD、及びICDを含むヒンジ配列を含む。
【0358】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に膜近傍ドメイン(JMD)ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間に膜近傍ドメイン(JMD)ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、JMDペプチドは、LWFモチーフを含む。受容体コンストラクトにおけるLWFモチーフの使用は、米国特許第10,858,443号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態において、JMDペプチドは、Notch1、Notch2、Notch3、及び/またはNotch4のJMDに対して実質的な配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、JMDペプチドは、Notch1、Notch2、Notch3、及び/またはNotch4 JMDに対して実質的な配列同一性を有するが、Notch受容体のLIN-12-Notch反復(LNR)及び/またはヘテロ二量化ドメイン(HD)を含まない。いくつかの実施形態において、JMDペプチドは、Notch1、Notch2、Notch3、及び/またはNotch4 JMDに対して実質的な配列同一性を有しない。いくつかの実施形態において、JMDペプチドは、受容体の二量体、三量体、またはより高次の集合体の形成を促進するオリゴマー化ドメインを含む。そのようなJMDペプチドは、WO2021061872に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0359】
ミニNotch受容体において、連結ポリペプチドは、NRR及びHDドメインの欠失後のNotch JMD配列に由来する。Notch JMD配列は、Notch1、Notch2、Notch3、またはNotch4からの配列であってもよく、ショウジョウバエ属、ヤケイ属、ダニオ属等からのものなどの非ヒト相同体に由来し得る。残りのNotch配列の4~50個のアミノ酸残基をポリペプチドリンカーとして使用することができる。いくつかの実施形態において、リンカーポリペプチド配列の長さ及びアミノ酸組成は、ECD及びTMDの互いに対する配向及び/または近接性を改変して、リガンド誘導時またはリガンドの非存在下でのシグナル形質導入レベルなどのキメラポリペプチドの所望の活性を達成するように変化する。
【0360】
最小リンカーNotch受容体において、連結ポリペプチドは、Notch JMD配列(Notch1、Notch2、Notch3、もしくはNotch4、またはそれらの非ヒト相同体からのNotch JMD配列を含む)に対する実質的な配列同一性を有しない。4~50個のアミノ酸残基をポリペプチドリンカーとして使用することができる。いくつかの実施形態において、リンカーポリペプチド配列の長さ及びアミノ酸組成は、ECD及びTMDの互いに対する配向及び/または近接性を改変して、本開示のキメラポリペプチドの所望の活性を達成するように変化する。最小リンカー配列は、プロテアーゼ切断部位を含むか、または省略するように設計することができ、グリコシル化部位もしくは他のタイプの翻訳後修飾のための複数の部位を含むか、または省略することができる。いくつかの実施形態において、最小リンカーは、プロテアーゼ切断部位またはグリコシル化部位を含まない。
【0361】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、ヒンジを更に含む。プライミング受容体において使用され得るヒンジリンカーは、分子間ジスルフィド結合を介してキメラポリペプチドのオリゴマー形成を促進する1つ以上のポリペプチドモチーフを含有するオリゴマー化ドメイン(例えば、ヒンジドメイン)を含み得る。これらの事例では、本明細書に開示されるキメラ受容体内で、ヒンジドメインは、概して、ECDとTMDとの間に配置される可撓性ポリペプチドコネクター領域を含む。したがって、ヒンジドメインは、ECDとTMDとの間の柔軟性を提供し、また、2つ以上のキメラポリペプチド単量体間の分子間ジスルフィド結合のための部位を提供して、オリゴマー複合体を形成する。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、本明細書に開示されるキメラポリペプチドの二量体形成を促進するモチーフを含む。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、本明細書に開示されるキメラポリペプチド(例えば、OX40由来のヒンジドメイン)の三量体形成を促進するモチーフを含む。本開示の組成物及び方法に好適なヒンジポリペプチド配列は、天然に存在するヒンジポリペプチド配列(例えば、天然に存在する免疫グロブリン由来のもの)であり得るか、または所望の及び/または改善された特性、例えば、転写を調節する特性を提供するように操作、設計、または修飾され得る。好適なヒンジポリペプチド配列には、IgA、IgD、及びIgG1ヒンジドメイン、IgG2ヒンジドメイン、IgG3ヒンジドメイン、及びIgG4ヒンジドメインなどのIgGサブクラス、またはそれらの機能的バリアントに由来するものが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ヒンジポリペプチド配列は、1つ以上のCXXCモチーフを含有する。いくつかの実施形態において、ヒンジポリペプチド配列は、1つ以上のCPPCモチーフ(配列番号191)を含む。
【0362】
ヒンジポリペプチド配列はまた、CD8αヒンジドメイン、CD28ヒンジドメイン、CD152ヒンジドメイン、PD-1ヒンジドメイン、CTLA4ヒンジドメイン、OX40ヒンジドメイン、及びそれらの機能的バリアントに由来し得る。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、CD8αヒンジドメインまたはその機能的バリアントに由来するヒンジポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、CD28ヒンジドメインまたはその機能的バリアントに由来するヒンジポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、OX40ヒンジドメインまたはその機能的バリアントに由来するヒンジポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒンジドメインは、IgG4ヒンジドメインまたはその機能的バリアントに由来するヒンジポリペプチド配列を含む。
【0363】
Fn Notch連結ポリペプチドは、Fn反復とTMDとの間に短いポリペプチド配列を有する、フィブロネクチン反復(Fn)ドメインを含有するRobo1 JMDに由来する。Fn Notch連結ポリペプチドは、Notch陰性調節領域(NRR)またはNotch HDドメインを含有しない。Fn連結ポリペプチドは、1、2、3、4、または5個のFn反復を含有し得る。いくつかの実施形態において、キメラ受容体は、約1~約5個のFn反復、約1~約3個のFn反復、または約2~約3個のFn反復を有するFn連結ポリペプチドを含む。Fn反復とTMDとの間の短いポリペプチド配列は、約2~約30アミノ酸残基であり得る。いくつかの実施形態において、短いポリペプチド配列は、任意の配列の約5~約20個のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、短いポリペプチド配列は、任意の配列の約5~約20個の天然に存在するアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、短いポリペプチド配列は、任意の配列の約5~約20個のアミノ酸であり得るが、1つ以下のプロリンを有する。いくつかの実施形態において、短いポリペプチド配列は、約5~約20個のアミノ酸であり得、アミノ酸の約50%以上がグリシンである。いくつかの実施形態において、短いポリペプチド配列は、約5~約20個のアミノ酸であり得、アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、及びアラニンから選択される。いくつかの実施形態において、Fn連結ポリペプチド配列の長さ及びアミノ酸組成は、ECD及びTMDの互いに対する配向及び/または近接性を改変して、本開示のキメラポリペプチドの所望の活性を達成するように変化する。
【0364】
移行阻止配列(Stop-Transfer Sequence)
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間に移行阻止配列(STS)を更に含む。STSは、荷電した疎脂性配列を含む。いずれの理論にも拘束されることなく、STSは、膜アンカーとして機能し、細胞内ドメインの形質膜への通過を防止すると考えられている。プライミング受容体におけるSTSドメインの使用は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2021061872に記載されている。非限定の例示的なSTS配列としては、APLP1、APLP2、APP、TGBR3、CSF1R、CXCL16、CX3CL1、DAG1、DCC、DNER、DSG2、CDH1、GHR、HLA-A、IFNAR2、IGF1R、IL1R1、ERN2、KCNE1、KCNE2、CHL1、LRPl、LRP2、LRP18、PTPRF、SCN1B、SCN3B、NPR3、NGFR、PLXDC2、PAM、AGER、ROBOl、SORCS3、SORCS1、SORL1、SDC1、SDC2、SPN、TYR、TYRP1、DCT、VASN、FLT1、CDH5、PKTFD1、NECTINl、KL、IL6R、EFNB1、CD44、CLSTN1、LRP8、PCDHGC3、NRG1、LRP1B、JAG2、EFNB2、DLL1、CLSTN2、EPCAM、ErbB4、KCNE3、CDH2、NRG2、PTPRK、BTC、EPHA4、IL1R2、KCNE4、SCN2B、Nradd、PTPRM、Notch1、Notch2、Notch3、及びNotch4 STS配列が挙げられる。いくつかの実施形態において、STSは、膜貫通ドメインに対して異種である。いくつかの実施形態において、STSは、膜貫通ドメインに対して相同である。STS配列は、WO2021061872(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0365】
いくつかの実施形態において、移行阻止配列は、配列番号20に記載の配列を含む。
【0366】
ALPG/P抗体及び抗原結合断片
いくつかの態様において、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)抗体または抗原結合断片が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗原結合部分は、抗体、ナノボディ、ダイアボディ、トリアボディ、またはミニボディ、F(ab’)2断片、Fab断片、一本鎖可変断片(scFv)、及び単一ドメイン抗体(sdAb)、またはその機能的断片からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗原結合部分は、scFvを含む。抗原結合部分は、天然に存在するアミノ酸配列を含み得るか、または所望の特性及び/または改善された特性、例えば、増加した結合親和性を提供するように操作、設計、または修飾することができる。
【0367】
一態様において、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に結合する単離された抗体またはそれらの抗原結合断片であって、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列であって、CDR-H1が、配列番号1、173、174、175または176に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号2、177、178、179または180に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号3、181または182に記載の配列を含む、VH鎖配列と、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列であって、CDR-L1が、配列番号4、183または184に記載の配列を含み、CDR-L2が、配列番号5、185または186に記載の配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号6または187に記載の配列を含む、VL鎖配列と、を含む、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、本明細書で提供される。
【0368】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列と、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列と、を含む。いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号7に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VL鎖配列は、配列番号8に記載の配列を含む。
【0369】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片のCDR-H3は、配列番号3、181または182のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号2、177、178、179または180のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号1、173、174、175または176のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号3、181または182のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号2、177、178、179または180のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号1、173、174、175または176のCDR-H1である。
【0370】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片のCDR-L3は、配列番号6または187のCDR-L3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L2は、配列番号5、185または186のCDR-L2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L1は、配列番号4、183または184のCDR-L1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-L3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号6または187のCDR-L3であり、CDR-L2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号5、185または186のCDR-L2であり、CDR-L1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号4、183または184のCDR-L1である。
【0371】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7に記載のVHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号7に記載のVHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号7に記載のVHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8に記載のVLドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号8に記載のVLドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号8に記載のVLドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0372】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7に記載のVH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号7で提供されるVH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8に記載のVL配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVL配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるALPG/P抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号8で提供されるVL配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0373】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号7のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号7のCDR1、2及び3と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号7のCDR1、2及び3と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号7のCDR1、2及び3と少なくとも95%の配列同一性を有する、VH領域を含む。
【0374】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、軽鎖可変(VL)領域であって、(組み合わされた)VL CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号8のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VL領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、軽鎖可変(VL)領域であって、(組み合わされた)VL CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号8のCDR1、2及び3と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VL領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、軽鎖可変(VL)領域であって、(組み合わされた)VL CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号8のCDR1、2及び3と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VL領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、軽鎖可変(VL)領域であって、(組み合わされた)VL CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号8のCDR1、2及び3と少なくとも95%の配列同一性を有する、VL領域を含む。
【0375】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号7のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、軽鎖可変(VL)領域であって、(組み合わされた)VL CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号8のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VL領域を含む。
【0376】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号1、173、174、175または176に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号2、177、178、179または180に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR2、
(iii)配列番号3、181または182に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR3、
(iv)配列番号4、183または184に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVL CDR1、
(v)配列番号5、185または186に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVL CDR2、及び
(vi)配列番号6または187に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVL CDR3を含む。
【0377】
いくつかの実施形態において、各々のアミノ酸修飾は、存在する場合、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、各々のアミノ酸修飾は、存在する場合、表A1に列挙される保存的アミノ酸置換である。
【0378】
いくつかの実施形態において、VH CDR1は、配列番号1、173、174、175または176に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR2は、配列番号2、177、178、179または180に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR3は、配列番号3、181または182に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR1は、配列番号4、183または184に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR2は、配列番号5、185または186に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR3は、配列番号6または187に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸欠失である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸付加である。
【0379】
いくつかの実施形態において、VH CDR1は、配列番号1に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR2は、配列番号2に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR3は、配列番号3に記載の配列を含む。
【0380】
いくつかの実施形態において、VL CDR1は、配列番号4に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR2は、配列番号5に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR3は、配列番号6に記載の配列を含む。
【0381】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号1に記載の配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号2に記載の配列を含むVH CDR2、
(iii)配列番号3に記載の配列を含むVH CDR3、
(iv)配列番号4に記載の配列を含むVL相補性決定領域1(CDR1)、
(v)配列番号5に記載の配列を含むVL CDR2、及び
(ivi)配列番号6に記載の配列を含むVL CDR3を含む。
【0382】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含むVH領域であって、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3が、それぞれ、配列番号1、2及び3の配列を含む、VH領域と、軽鎖可変(VL)CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含むVL領域であって、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3が、それぞれ、配列番号4、5及び6の配列を含む、VL領域と、を含む。
【0383】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7のCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変(VH)領域と、配列番号8のCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変(VL)領域と、を含む。
【0384】
いくつかの実施形態において、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3配列は、ヒトVHフレームワークにおいて存在する。
【0385】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。
【0386】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する軽鎖可変(VL)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する軽鎖可変(VL)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する軽鎖可変(VL)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0387】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0388】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号7の重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、配列番号8の軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0389】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに特異的に結合する。
【0390】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、約10-9M~約10-6MのKDで結合する。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、5×10-7M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、1×10-7M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、5×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、2×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、1×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、ヒトALPG/Pに、1×10-9M以下のKDで結合する。
【0391】
キメラ受容体
一態様において、メソテリン(MSLN)に結合するキメラ受容体であって、キメラ受容体が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1が、配列番号14、202、203、204または205に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号15、206、207、208または209に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号16、210または211に記載の配列を含む、キメラ受容体が、本明細書で提供される。
【0392】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号17に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号17に記載の配列を含む。
【0393】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体のCDR-H3は、配列番号16、210または211のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号15、206、207、208または209のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号14、202、203、204または205のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号16、210または211のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号15、206、207、208または209のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号14、202、203、204または205のCDR-H1である。
【0394】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号17に記載のVHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号17に記載のVHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号17に記載のVHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0395】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号17に記載のVH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号17で提供されるVH配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0396】
いくつかの態様において、メソテリン(MSLN)に結合するキメラ受容体であって、キメラ受容体が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含み、CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、キメラ受容体が、本明細書で提供される。
【0397】
いくつかの態様において、MSLNキメラ受容体は、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0398】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体のCDR-H3は、配列番号12、200または201のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号11、196、197、198または199のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号10、192、193、194または195のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号12、200または201のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号11、196、197、198または199のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号10、192、193、194または195のCDR-H1である。
【0399】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号13に記載のVHHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号13に記載のVHHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0400】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLNキメラ受容体は、配列番号13に記載のVHH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVHH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号13で提供されるVHH配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0401】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13または17のうちの1つのCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13または17のうちの1つのCDR1、2及び3と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13または17のうちの1つのCDR1、2及び3と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13または17のうちの1つのCDR1、2及び3と少なくとも95%の配列同一性を有する、VH領域を含む。
【0402】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号17のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。
【0403】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号10、192、193、194または195に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号11、196、197、198または199に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR2、及び
(iii)配列番号12、200または201に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR3を含む。
【0404】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号14、202、203、204または205に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号15、206、207、208または209に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR2、及び
(iii)配列番号16、210または211に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR3を含む。
【0405】
いくつかの実施形態において、各々のアミノ酸修飾は、存在する場合、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、各々のアミノ酸修飾は、存在する場合、表A1に列挙される保存的アミノ酸置換である。
【0406】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR1は、配列番号10、192、193、194または195に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR2は、配列番号11、196、197、198または199に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR3は、配列番号12、200または201に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR1は、配列番号14、202、203、204または205に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR2は、配列番号15、206、207、208または209に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR3は、配列番号16、210または211に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸欠失である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸付加である。
【0407】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR1は、配列番号10に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR2は、配列番号11に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0408】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR1は、配列番号14に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR2は、配列番号15に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体VH CDR3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0409】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号10に記載の配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号11に記載の配列を含むVH CDR2、及び
(iii)配列番号12に記載の配列を含むVH CDR3を含む。
【0410】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号14に記載の配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号15に記載の配列を含むVH CDR2、及び
(iii)配列番号16に記載の配列を含むVH CDR3を含む。
【0411】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含むVH領域であって、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3が、それぞれ、配列番号10、11及び12の配列を含む、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、重鎖可変(VH)CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含むVH領域であって、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3が、それぞれ、配列番号14、15及び16の配列を含む、VH領域を含む。
【0412】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13または17のうちの1つのCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13のCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号17のCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む。
【0413】
いくつかの実施形態において、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3配列は、ヒトVHフレームワークにおいて存在する。
【0414】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13または17のうちの1つと少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13または17のうちの1つと少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13または17のうちの1つと少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13または17のうちの1つと少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。
【0415】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号17と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。
【0416】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号13の重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、配列番号17の重鎖可変(VH)領域を含む。
【0417】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに特異的に結合する。
【0418】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、約10-9M~約10-6MのKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、5×10-7M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、1×10-7M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、5×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、2×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、1×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、ヒトMSLNに、1×10-9M以下のKDで結合する。
【0419】
いくつかの実施形態において、MSLNキメラ受容体は、キメラ抗原受容体またはプライミング受容体である。
【0420】
キメラ抗原受容体
別の態様において、メソテリン(MSLN;NCBI Entrez Gene:10232;UniProtKB/Swiss-Prot:Q13421)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体が本明細書で提供される。組換えCARは、完全なヒト配列、例えば、天然のヒト配列を含むヒトCARであってもよい。
【0421】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体は、抗原結合ドメインを含む細胞外部分を含む。CARなどの受容体の抗原認識ドメインは、CARの場合、抗原受容体複合体、例えばTCR複合体を介した活性化を模倣するシグナル伝達成分などの1つ以上の細胞内シグナル伝達成分、及び/または別の細胞表面受容体を介したシグナルに連結させることができる。したがって、いくつかの実施形態において、細胞外結合成分(例えば、リガンド結合または抗原結合ドメイン)は、1つ以上の膜貫通及び細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合される。一実施形態において、受容体内のドメインのうちの1つ、例えば、CARと天然に会合する膜貫通ドメインが使用される。いくつかの場合において、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避し、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、アミノ酸置換によって選択または修飾される。
【0422】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載される抗原結合ドメインを含む細胞外部分と、細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む。いくつかの実施形態において、抗体または断片は、scFv、VH、または単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインは、ITAMを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。
【0423】
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8aまたはCD28の膜貫通部分を含む。細胞外ドメイン及び膜貫通は、直接的または間接的に連結され得る。いくつかの実施形態において、細胞外ドメイン及び膜貫通は、本明細書に記載される任意のものなどのスペーサーによって連結される。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体は、例えば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間にT細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの態様において、T細胞共刺激分子は、CD28または41BBである。
【0424】
キメラ抗原受容体CDR、VH、VLドメイン
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、MSLN抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0425】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号17に記載の配列を含む。
【0426】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインのCDR-H3は、配列番号16のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号15のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号14のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号16のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号15のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号14のCDR-H1である。
【0427】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるキメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号17に記載のVHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号17に記載のVHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号17に記載のVHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0428】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるキメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号17に記載のVH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号17で提供されるVH配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0429】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む単一抗体可変重(VHH)鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0430】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインのCDR-H3は、配列番号12のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号11のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号10のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号12のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号11のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号10のCDR-H1である。
【0431】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるキメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0432】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるキメラ抗原受容体細胞外抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVHH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号13で提供されるVHH配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0433】
表Cは、示される番号付けスキームによる、配列番号13のVHH及び配列番号17のVHHの例示的なMSLN抗原結合ドメインCDR配列を提供する。
【0434】
【0435】
CAR膜貫通ドメイン
いくつかの実施形態における膜貫通ドメインは、天然源または合成源のいずれかに由来する。ソースが天然である場合、いくつかの態様において、ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、及び/またはCD154のアルファ、ベータまたはゼータ鎖に由来する(すなわち、少なくともその膜貫通領域(複数可)を含む)ものを含む。代替的には、いくつかの実施形態における膜貫通ドメインは、合成である。いくつかの態様において、合成膜貫通ドメインは、主にロイシン及びバリンなどの疎水性残基を含む。いくつかの態様において、フェニルアラニン、トリプトファン及びバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。いくつかの実施形態において、連結は、リンカー、スペーサー、及び/または膜貫通ドメイン(複数可)によるものである。
【0436】
いくつかの実施形態において、受容体の膜貫通ドメイン、例えば、CARは、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはそのバリアント、例えば、ヒトCD28(受託番号:P10747.1)の27アミノ酸膜貫通ドメインP10747.1)である。
【0437】
いくつかの実施形態において、CARは、CD8a TMDを含む。いくつかの実施形態において、CD8a TMDは、配列番号27に記載の配列を含む。
【0438】
CARヒンジ
いくつかの実施形態において、CARは、スペーサーを更に含み、スペーサーは、免疫グロブリン定常領域、またはそのバリアントもしくは修飾されたバージョン、例えば、ヒンジ領域、例えば、CD8aヒンジ、IgG4ヒンジ領域、及び/またはCH1/CL及び/またはFc領域の少なくとも一部分であってもよく、あるいは、それらの少なくとも一部分を含んでもよい。いくつかの実施形態において、定常領域または部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの態様において、定常領域の一部分は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として機能する。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後の細胞の応答性の増加をもたらす長さであり得る。いくつかの例において、スペーサーは、約12アミノ酸の長さであるか、または12アミノ酸以下の長さである。例示的なスペーサーとしては、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有し、列挙された範囲のうちのいずれかの端点間の任意の整数を含むものが挙げられる。いくつかの実施形態において、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下、または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーとしては、CD8aヒンジ、IgG4ヒンジ単独、CH2及びCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが挙げられる。例示的なスペーサーとしては、Hudecek et al.(2013)Clin.Cancer Res.,19:3153または国際特許出願公開第WO2014031687号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、CARヒンジは、CD8aヒンジを含む。いくつかの実施形態において、CD8aヒンジは、配列番号26に記載の配列を含む。
【0439】
細胞内シグナル伝達ドメインの中には、天然の抗原受容体を介したシグナル、共刺激受容体と組み合わせたそのような受容体を介したシグナル、及び/または共刺激受容体のみを介したシグナルを模倣または近似するものがある。いくつかの実施形態において、短いオリゴまたはポリペプチドリンカー、例えば、グリシン及びセリンを含有するもの、例えば、グリシンセリンダブレットなどの2~10アミノ酸の長さのリンカーが存在し、膜貫通ドメインと受容体の細胞質シグナル伝達ドメインとの間に連結を形成する。
【0440】
CAR細胞内ドメイン
いくつかの実施形態において、CARのライゲーション時に、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、例えば、受容体を発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答のうちの少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの文脈において、受容体は、サイトカインまたは他の因子の分泌などの、細胞溶解活性またはTヘルパー活性などのT細胞の機能を誘導する。いくつかの実施形態において、抗原受容体成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分は、例えば、それがエフェクター機能シグナルを形質導入する場合、無傷の免疫刺激鎖の代わりに使用される。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインまたは複数のドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列、ならびにいくつかの態様において、天然の文脈において、そのような受容体と協調して作用して、抗原受容体係合後のシグナル伝達、及び/またはそのような分子の任意の誘導体もしくはバリアント、及び/または同じ機能能力を有する任意の合成配列を含む。
【0441】
いくつかの態様において、受容体は、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激的に作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有し得る。一次細胞質シグナル伝達配列を含有するITAMの例としては、TCRまたはCD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CDS、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが挙げられる。いくつかの実施形態において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子(複数可)は、CD3ゼータに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部分、または配列を含有する。
【0442】
いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアント、例えば、ヒトCD3ゼータのアイソフォーム3の112 AA細胞質ドメイン(受託番号:P20963.2)または米国特許第7,446,190号または米国特許第8,911,993号に記載のCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。
【0443】
受容体、例えば、CARは、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達成分(複数可)を含むことができる。いくつかの実施形態において、受容体は、T細胞活性化及び細胞毒性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ゼータ鎖などのTCR複合体の細胞内成分を含む。したがって、いくつかの態様において、細胞外ドメインは、1つ以上の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。いくつかの実施形態において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、及び/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、受容体、例えば、CARは、Fc受容体ガンマ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの1つ以上の追加の分子の一部分を更に含む。例えば、いくつかの態様において、CARは、CD3-ゼータまたはFc受容体-ガンマと、CD8、CD4、CD25またはCD16との間のキメラ分子を含む。いくつかの実施形態において、CARは、配列番号29に記載の配列を含むCD3ゼータ活性化ドメインを含む。
【0444】
いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、41BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、またはその機能的バリアントもしくは一部分、例えばヒト4-1BB(受託番号Q07011.1)の42アミノ酸細胞質ドメイン、または機能的バリアントもしくはその一部分を含む。
【0445】
いくつかの実施形態において、受容体は、細胞質部分に、1つ以上、例えば、2つ以上の共刺激ドメイン及び活性化ドメイン、例えば、一次活性化ドメインを包含する。例示的な受容体としては、CD3-ゼータ、CD28、及び4-1BBの細胞内成分が挙げられる。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの態様において、T細胞共刺激分子は、4-1BBである。
【0446】
いくつかの実施形態において、受容体は、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、及びICOSなどの共刺激受容体のシグナル伝達ドメイン及び/または膜貫通部分を含む。いくつかの態様において、同じ受容体は、活性化成分及び共刺激成分の両方を含む。
【0447】
ある特定の実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD8a膜貫通及びシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結された4-1BB(CD137、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態において、CARは、4-1BB共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態において、4-1BB共刺激ドメインは、配列番号28に記載の配列を含む。
【0448】
いくつかの実施形態において、CARは、配列番号30、31、32または33に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、CARは、配列番号30に記載の配列を含む。
【0449】
いくつかの実施形態において、CARまたは他の抗原受容体は、細胞表面マーカーなどのマーカーを更に含み、これを使用して、切断EGFR(tEGFR)などの細胞表面受容体の切断バージョンなどの受容体を発現するための細胞の形質導入または操作を確認することができる。いくつかの態様において、マーカーは、CD34、神経成長因子受容体(NGFR)、または上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)の全部または一部(例えば、切断形態)を含む。いくつかの実施形態において、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば、切断可能なリンカー配列またはリボソームスキップ配列、例えば、T2Aをコードするポリヌクレオチドに動作可能に連結される。WO2014031687を参照されたい。いくつかの実施形態において、T2Aリボソームスイッチによって分離されたCAR及びEGFRtをコードするコンストラクトの導入は、EGFRtがそのようなコンストラクトを発現する細胞を検出するマーカーとして使用できるように、同じコンストラクト由来の2つのタンパク質を発現することができる。いくつかの実施形態において、マーカー、及び任意選択でリンカー配列は、公開された特許出願第WO2014031687号に開示されているように、任意のものであり得る。例えば、マーカーは、任意選択で、T2Aリボソームスキップ配列などのリンカー配列に連結された切断EGFR(tEGFR)であり得る。
【0450】
いくつかの実施形態において、マーカーは、T細胞上に天然に見出されない、またはT細胞の表面上に天然に見出されない分子、例えば、細胞表面タンパク質、またはその一部分である。
【0451】
いくつかの実施形態において、分子は、非自己分子、例えば、非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されない分子である。
【0452】
いくつかの実施形態において、マーカーは、治療機能を果たさない、及び/または遺伝子操作のため、例えば、成功裏に操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用される以外の効果を生じない。他の実施形態において、マーカーは、治療用分子、または他の方法でいくらかの所望の効果を発揮する分子、例えば、インビボで遭遇される細胞のためのリガンド、例えば、養子移入時及びリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強及び/または減衰させるための共刺激または免疫チェックポイント分子であってもよい。
【0453】
CARは、1つ以上の天然に存在するアミノ酸の代わりに、1つまたは修飾された合成アミノ酸を含んでもよい。例示的な修飾アミノ酸としては、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノn-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチルシステイン、トランス-3-及びトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、(3-フェニルセリン(3-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、N’,N’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、α-アミノシクロペンタンカルボン酸、α-アミノシクロヘキサンカルボン酸、α-アミノシクロヘプタンカルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,γ-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、及びα-tertブチルグリシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0454】
例えば、いくつかの実施形態において、CARは、本明細書に記載される単鎖抗体(sdAb、例えば、VH領域のみを含有するもの)、VHドメイン及びscFvを含む抗体またはその断片と、スペーサー、例えば、CD8aヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータシグナル伝達ドメインと、を含む。いくつかの実施形態において、CARは、本明細書に記載されるsdAb及びscFvを含む抗体または断片と、スペーサー、例えば、CD8aヒンジと、CD8a膜貫通ドメインと、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ゼータシグナル伝達ドメインと、を含む。
【0455】
MSLN抗体及び抗原結合断片
いくつかの態様において、MSLN抗体またはそれらの抗原結合断片が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、MSLN抗原結合部分は、抗体、ナノボディ、ダイアボディ、トリアボディ、またはミニボディ、F(ab’)2断片、Fab断片、一本鎖可変断片(scFv)、及び単一ドメイン抗体(sdAb)、またはその機能的断片からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、抗原結合部分は、scFvを含む。抗原結合部分は、天然に存在するアミノ酸配列を含み得るか、または所望の特性及び/または改善された特性、例えば、増加した結合親和性を提供するように操作、設計、または修飾することができる。
【0456】
いくつかの態様において、メソテリン(MSLN)に結合する単離された抗体またはそれらの抗原結合断片であって、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、本明細書で提供される。
【0457】
いくつかの態様において、MSLN抗体または抗原結合断片は、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む単一ドメイン抗体可変重(VHH)鎖配列を含む。いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0458】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片のCDR-H3は、配列番号12、200または201のCDR-H3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H2は、配列番号11、196、197、198または199のCDR-H2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-H1は、配列番号10、192、193、194または195のCDR-H1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-H3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号12、200または201のCDR-H3であり、CDR-H2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号11、196、197、198または199のCDR-H2であり、CDR-H1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号10、192、193、194または195のCDR-H1である。
【0459】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13に記載のVHHドメインの1~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHHドメインの2~3つのCDRを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、配列番号13に記載のVHHドメインの3つのCDRを含む。いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Chothia CDRである。いくつかの態様において、CDRは、AbM CDRである。いくつかの態様において、CDRは、Contact CDRである。いくつかの態様において、CDRは、IMGT CDRである。
【0460】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるMSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13に記載のVHH配列と少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%の同一性を有するVHH配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗原結合ドメインは、最大1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個または25個のアミノ酸置換を有する、配列番号13で提供されるVHH配列を含む。いくつかの態様において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、この段落に記載される抗原結合ドメインは、「バリアント」と本明細書で称される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、例えば、親和性成熟、部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発、または当該技術分野で既知のもしくは本明細書に記載されるいずれかの他の方法によって、本明細書で提供される配列から導出される。いくつかの実施形態において、そのようなバリアントは、本明細書で提供される配列から導出されず、例えば、抗体または抗原結合ドメインを得るための本明細書で提供される方法によりデノボで単離され得る。
【0461】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13のCDR1、2及び3と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13のCDR1、2及び3と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13のCDR1、2及び3と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する、VH領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域であって、(組み合わされた)VH CDR1、2及び3の完全セットが、配列番号13のCDR1、2及び3と少なくとも95%の配列同一性を有する、VH領域を含む。
【0462】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号10、192、193、194または195に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号11、196、197、198または199に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR2、及び
(iii)配列番号12、200または201に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR3を含む。
【0463】
いくつかの実施形態において、各々のアミノ酸修飾は、存在する場合、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、各々のアミノ酸修飾は、存在する場合、表A1に列挙される保存的アミノ酸置換である。
【0464】
いくつかの実施形態において、VH CDR1は、配列番号10、192、193、194または195に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR2は、配列番号11、196、197、198または199に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR3は、配列番号12、200または201に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸欠失である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸付加である。
【0465】
いくつかの実施形態において、VH CDR1は、配列番号10に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR2は、配列番号11に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0466】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号10に記載の配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号11に記載の配列を含むVH CDR2、及び
(iii)配列番号12に記載の配列を含むVH CDR3を含む。
【0467】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含むVH領域であって、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3が、それぞれ、配列番号10、11及び12の配列を含む、VH領域を含む。
【0468】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13のCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む。
【0469】
いくつかの実施形態において、VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3配列は、ヒトVHフレームワークにおいて存在する。
【0470】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13と少なくとも85%(例えば、85%、90%、95%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13と少なくとも90%(例えば、90%、95%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。
【0471】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、配列番号13と少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、95%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)の配列同一性を有する重鎖可変(VH)領域を含む。
【0472】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに特異的に結合する。
【0473】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、約10-9M~約10-6MのKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、5×10-7M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、1×10-7M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、5×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、2×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、1×10-8M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒトMSLNに、1×10-9M以下のKDで結合する。
【0474】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、単一ドメイン抗体である。
【0475】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、ヒト単一ドメイン抗体である。
【0476】
いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、単離された単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態において、MSLN抗体または抗原結合断片は、単離されたヒト単一ドメイン抗体である。
【0477】
組換え核酸及びベクター
一態様において、組換え核酸であって、1つ以上の組換え核酸が、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むCARを含む第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列と、をコードし、核酸配列が、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である核酸配列、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である核酸配列、及び配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である核酸配列からなる群から選択される、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0478】
別の態様において、組換え核酸であって、1つ以上の組換え核酸が、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドであって、第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、第1のキメラポリペプチドと、キメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、をコードする、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0479】
別の態様において、組換え核酸であって、1つ以上の組換え核酸が、プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、をコードする、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0480】
別の態様において、組換え核酸であって、1つ以上の組換え核酸が、プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、をコードする、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0481】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号156~165に示される配列からなる群から選択される配列を含む。
【0482】
RNA干渉分子
Fas細胞表面細胞死受容体(FAS)は、アポトーシス誘導TNF受容体スーパーファミリーメンバーである。タンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)は、インターフェロン及び他の多くのシグナル伝達経路を調節するホスファターゼである。胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)は、疲弊したT細胞の分化を調節する転写因子である。
【0483】
本明細書で使用される場合、「標的遺伝子」とは、細胞における核酸配列であって、配列の発現が、本明細書に記載される組換え核酸分子及び方法を使用して特異的かつ有効に調節され得る、核酸配列を指す。ある特定の実施形態において、標的遺伝子は、個体の免疫細胞の成長(増殖)、維持(生存)及び/または免疫挙動に関与し得る。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、FASである。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、PTPN2である。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、TOXである。いくつかの実施形態において、2つ以上の標的遺伝子は、本明細書に記載される組換え核酸分子及び方法を使用して調節される。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの標的遺伝子は、本明細書に記載される組換え核酸分子及び方法を使用して調節される。いくつかの実施形態において、組換え核酸分子(複数可)は、shRNAである。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、少なくともFAS及びPTPN2である。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、少なくともFAS及びTOXである。
【0484】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む。
【0485】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む。
【0486】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む。
【0487】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む。
【0488】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む。
【0489】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む。
【0490】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号42~56に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号45に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。
【0491】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号72~84に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号82に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。
【0492】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号98~111に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号99または104に記載の配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。
【0493】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である。
【0494】
いくつかの実施形態において、核酸は、RNA干渉(RNAi)分子である。例示的なRNAi分子は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、核酸は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、核酸は、shRNAである。
【0495】
一本鎖ヘアピン型リボ核酸(shRNA)は、短い二重鎖であって、センス及びアンチセンス鎖が、ヘアピンループによって連結されている、二重鎖である。これらは、ステムループ構造からなり、ステムループ構造は、細胞において、プラスミド構築物上のRNAポリメラーゼIIまたはRNAポリメラーゼIIIプロモーターから転写され得る。発現された際に、shRNAは、RNAi種にプロセシングされる。プラスミドからのshRNAの発現は、比較的安定していることが既知であり、それによって、例えば、合成siRNAの使用よりも強い利点を提供する。shRNA発現単位は、様々なプラスミド、リポソーム、ウイルスベクター、ならびに標的細胞内への送達及び組込みのための他のビヒクル内に組み込まれ得る。プラスミドからのshRNAの発現は、構成的発現のために安定して組み込まれ得る。shRNAは、細胞の核において合成され、更にプロセシングされ、細胞質に輸送され、次いで、活性のためのRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)内に組み込まれる。shRNAは、(標的遺伝子によってコードされたmRNA転写物に結合し、それを隔離し及び/またはその翻訳を防止することが可能である)活性siRNA分子に変換される。
【0496】
タンパク質のアルゴノートファミリーは、RISCの主要な構成要素である。タンパク質のアルゴノートファミリー内で、Ago2のみが、パッセンジャー鎖をshRNA分子のステム部分から切断及び放出することが可能であるエンドヌクレアーゼ活性を含有する。識別可能なエンドヌクレアーゼ活性を有さない、アルゴノートファミリーの残りの3つのメンバーであるAgo1、Ago3及びAgo4はまた、集合してRISCを構築し、切断非依存的な様式を介して機能すると考えられる。したがって、RISCは、切断依存性及び切断非依存性経路を有するとして特徴付けられ得る。
【0497】
RNAi(例えば、アンチセンスRNA、siRNA、マイクロRNA、shRNAなど)は、国際公開第2018232356A1号、同第2019084552A1号、同第2019226998A1号、同第2020014235A1号、同第2020123871A1及び同第2020186219A1号に記載されており、それらの各々は、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0498】
アンチセンスオリゴヌクレオチド構造及び化学修飾は、国際公開第WO20/132521号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0499】
dsRNA及びshRNA分子、ならびに使用及び産生方法は、米国特許第8,829,264号、米国特許第9,556,431号及び米国特許第8,252,526号に記載されており、それらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0500】
siRNA分子、ならびに使用及び産生方法は、米国特許第7,361,752号及び米国特許出願第20050048647号に記載されており、それらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0501】
RNA干渉、例えば、shRNA、siRNA、dsRNA及びアンチセンスオリゴヌクレオチドのための追加の方法及び組成物は、当該技術分野で概して既知であり、米国特許第7,361,752号、米国特許第8,829,264号、米国特許第9,556,431号、米国特許第8,252,526号、国際公開第00/44895号、国際公開第01/36646号、国際公開第99/32619号、国際公開第00/01846号、国際公開第01/29058号、国際公開第00/44914号及び国際公開第04/030634号に更に記載されており、それらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0502】
本明細書に記載されるRNAi分子、例えば、shRNAをコードするために使用され得る核酸配列(または構築物)は、RNAi分子をコードする配列に動作可能に直接または間接的に連結された(または接続された)プロモーターを含み得る。そのようなプロモーターは、宿主細胞及び求められる効果に基づいて選択され得る。好適なプロモーターの非限定的な例としては、構成的及び誘導性プロモーター、例えば、EF1αまたは誘導性RNAポリメラーゼII(pol II)ベースのプロモーターが挙げられる。好適なプロモーターの非限定的な例としては、テトラサイクリン誘導性または抑制性プロモーター、RNAポリメラーゼIまたはIIIベースのプロモーター、pol II依存性ウイルスプロモーター、例えば、CMV-IEプロモーター、ならびにpol III U6及びH1プロモーターが更に挙げられる。また、バクテリオファージT7プロモーターが使用され得る(この場合、T7ポリメラーゼも存在しなければならないことが理解されよう)。特に、核酸配列は、組み込まれたshRNA分子を含むがこれらに限定されない2つ以上のshRNA(すなわち、エフェクターの組み合わせ)を含み得るため、核酸配列は、いずれかの単一プロモーターの使用に制限される必要はない。各々の組み込まれたプロモーターは、shRNA分子構成要素のうちの1つまたはそれらのいずれかの組み合わせを制御し得る。
【0503】
ある特定の実施形態において、プロモーターは、標的細胞において優先的に活性であり得、例えば、少なくとも1つの組換え核酸を、免疫細胞において、免疫細胞特異的プロモーターを使用して優先的に発現させることが望ましいことがある。宿主細胞内へのそのような構築物の導入は、組換え核酸前駆体転写物内に含有された2つ以上の組換え核酸が、最初に、単一一次転写物内に存在し、これにより、その後、別個のRNA分子(例えば、shRNAであり、shRNAは各々、それ自体のステムループ構造を含む)が、内因性リボヌクレアーゼによって、そのような前駆体転写物から切除される条件下で行われ得る。次いで、得られた成熟組換え核酸(例えば、shRNA)は、細胞において産生された標的遺伝子mRNA転写物の分解及び/または翻訳抑制を誘導し得る。代替的に、前駆体ステムループ構造の各々は、別個の転写物の一部分として産生され得、この場合、各々の組換え核酸配列は、好ましくは、それ自体のプロモーター及び転写終結配列を含む。追加的に、複数の組換え核酸前駆体転写物は、単一一次転写物内に存在し得る。
【0504】
本明細書に記載されるshRNA組換え核酸のステムループ構造は、約40~100ヌクレオチド長であってもよく、または好ましくは、約50~75ヌクレオチド長であってもよい。ステム領域は、約15~45ヌクレオチド長(またはそれ以上)であってもよく、または約20~30ヌクレオチド長であってもよい。いくつかの実施形態において、ステム領域は、22ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ステム領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44または45ヌクレオチド長である。
【0505】
ステムは、完全に相補的な二重鎖を含み得る(ただし、いずれかの3’テールについてである)が、バルジまたは内部ループが、ステムのいずれかのアーム上に存在し得る。そのようなバルジ及び非対称内部ループの数は、好ましくは、少ない数(例えば、1、2または3つ)であり、約3つ以下のヌクレオチドのサイズである。末端ループ部分は、約4つ以上のヌクレオチドを含み得るが、好ましくは、約25個以下であり得る。ループ部分は、好ましくは、6つ~15個のヌクレオチドのサイズである。
【0506】
本明細書に記載されるように、shRNAのステム領域は、パッセンジャー鎖及びガイド鎖を含み、それによって、ガイド鎖は、標的遺伝子(複数可)によってコードされた標的mRNA転写物と相補的である配列を含有する。好ましくは、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖のG-C含有量及びマッチングは、エンドヌクレアーゼ切断を有するまたは有さない熱力学的に好ましい鎖巻き戻し活性のために慎重に設計されている。更に、ガイド鎖の特異性は、好ましくは、BLAST検索(www.ncbi.nim.nih.qov/BLAST)を介して確認される。
【0507】
本発明は、複数の標的遺伝子の発現レベルが、本明細書に記載される方法及び組換え核酸を使用して調節され得ることを提供する。例えば、本発明は、組換え核酸の第1のセットが、第1の標的遺伝子の発現レベルを低減するように設計された配列(ガイド鎖)を含むように設計され得、組換え核酸の第2のセットが、第2の標的遺伝子の発現レベルを低減するように設計された配列(ガイド鎖)を含むように設計され得ることを提供する。組換え核酸の異なるセットは、同じまたは別個の予備転写物内で発現され得、それら内に存在し得る。ある特定の実施形態において、そのような多重アプローチ、すなわち、2つ以上の標的遺伝子の発現レベルを調節するための本明細書に記載される組換え核酸の使用は、患者への増強された治療効果を有し得る。例えば、患者に、本明細書に記載される組換え核酸分子を発現する細胞が、がんの効果を治療する、予防するまたは寛解させるために提供される場合、患者に、免疫細胞の活性化または抑制に関与する複数の遺伝子の発現レベルを低減するように設計された2つ以上のタイプの組換え核酸分子を提供することが望ましいことがある。
【0508】
本明細書に記載される組換え核酸分子(複数可)は、細胞における標的遺伝子発現を、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも約50%超低減することが可能であり得る。例えば、組換え核酸分子(複数可)(例えば、shRNA)は、免疫細胞におけるFAS、PTPN2及びTOXからなる群から選択される標的遺伝子の発現を、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上低減することが可能であることができる。例えば、組換え核酸分子(複数可)は、免疫細胞におけるFAS、PTPN2及びTOXからなる群から選択される標的遺伝子の発現を、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも約50~100%、50~99%、50~95%、50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、50~70%、50~65%、50~60%、50~55%または低減することが可能であることができる。いくつかの実施形態において、組換え核酸分子(複数可)は、免疫細胞におけるFASの発現を、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。いくつかの実施形態において、組換え核酸分子(複数可)は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。いくつかの実施形態において、組換え核酸分子(複数可)は、免疫細胞におけるTOXの発現を、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。
【0509】
組換え核酸分子(複数可)は、化学合成またはインビトロ転写され得、糖リン酸骨格またはヌクレオシド残基への1つ以上の修飾を更に含み得る。
【0510】
核酸を細胞に導入するための当該技術分野で既知の他の方法、例えば、脂質媒介性担体輸送及び化学媒介性輸送、例えば、リン酸カルシウムなどが使用され得る。したがって、組換え核酸分子(複数可)構築物は、以下の活性、細胞によるRNA取り込みの増強、shRNAについての二重鎖のアニーリングの促進、アニールされたshRNA鎖の安定化またはそうでなければ標的遺伝子の阻害の増加のうちの1つ以上を実行する構成要素とともに導入され得る。
【0511】
追加のエレメント
いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸(複数可)は、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームを更に含み、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームは、宿主細胞染色体における挿入部位と相補的である。いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸(複数可)は、5’相同性指向性修復アーム及び3’相同性指向性修復アームを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸(複数可)は、発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている。いくつかの実施形態において、発現カセットまたは発現ベクターは、1つ以上の組換え核酸(複数可)の上流の構成的プロモーターを更に含む。
【0512】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体、CAR、第1の核酸及び第2の核酸、単一発現カセットまたは単一発現ベクター内に組み込まれている。いくつかの実施形態において、プライミング受容体、CAR、第1の核酸及び第2の核酸、2つ以上の発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている。いくつかの実施形態において、発現ベクター(複数可)は、非ウイルスベクターである。
【0513】
1つ以上の干渉核酸配列(例えば、1つ以上のshRNA)は、組換え核酸挿入物、DNAテンプレート、単一発現カセットまたは単一発現ベクターのイントロン領域においてコードされ得、組換え核酸挿入物、DNAテンプレート、単一発現カセットまたは単一発現ベクターはまた、プライミング受容体及び/またはCARをコードする。例えば、DNAテンプレートが、CARまたはプライミング受容体の発現を駆動するために、プロモーター、例えば、EF1αまたは本明細書に記載される誘導性プロモーターを含む場合、1つ以上の核酸配列(例えば、shRNA配列)は、プロモーターイントロン領域においてコードされ得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の核酸配列は、組換え核酸挿入物またはDNAテンプレートの少なくとも1つのイントロン領域においてコードされている。いくつかの実施形態において、1つ以上の核酸配列は、組換え核酸挿入物またはDNAテンプレートの少なくとも1つのEF1αイントロン領域においてコードされている。
【0514】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるプライミング受容体及び/またはCARをコードする1つ以上の導入遺伝子を含む組換え核酸DNAテンプレート挿入物を企図する。いくつかの実施形態において、DNAテンプレート挿入物は、プライミング受容体導入遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、DNAテンプレート挿入物は、キメラ抗原受容体導入遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、DNAテンプレート挿入物は、ヒトFAS mRNA配列の少なくとも15個のヌクレオチドと相補的である第1の核酸、及びヒトPTPN2またはTOX mRNA配列の少なくとも15個のヌクレオチドと相補的である第2の核酸をコードする。いくつかの実施形態において、DNAテンプレート挿入物は、プライミング受容体導入遺伝子及びキメラ抗原受容体導入遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、DNAテンプレート挿入物は、プライミング受容体導入遺伝子、キメラ抗原受容体導入遺伝子、ヒトFAS mRNA配列の少なくとも15個のヌクレオチドと相補的である第1の核酸、及びヒトPTPN2またはTOX mRNA配列の少なくとも15個のヌクレオチドと相補的である第2の核酸を含む。いくつかの実施形態において、DNAテンプレート挿入物は、プライミング受容体導入遺伝子、キメラ抗原受容体導入遺伝子、ヒトFAS mRNA配列の少なくとも15個のヌクレオチドと相補的である第1の核酸、及びヒトPTPN2 mRNA配列の少なくとも15個のヌクレオチドと相補的である第2の核酸を含む。
【0515】
いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸(複数可)は、単一DNAテンプレート挿入物上にコードされている。いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸(複数可)は、複数のDNAテンプレート挿入子上にコードされている。例えば、1つ以上の組換え核酸(複数可)を、2、3または4つのDNAテンプレート挿入物上にコードされ得る。
【0516】
DNAテンプレート挿入物はまた、自己切断ペプチドを含むことができる。自己切断ペプチドの例としては、自己切断ウイルス2Aペプチド、例えば、ブタテシオウイルス-1(P2A)ペプチド、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A)ペプチド、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)ペプチド、または口蹄疫ウイルス(F2A)ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。自己切断2Aペプチドは、単一のコンストラクトからの複数の遺伝子産物の発現を可能にする。(例えば、Chang et al.“Cleavage efficient 2A peptides for high level monoclonal antibody expression in CHO cells,”MAbs 7(2):403-412(2015)を参照されたい)。
【0517】
DNAテンプレート挿入物はまた、WPREエレメントを含むことができる。WPREエレメントは、概して、Higashimoto,T.,et al.Gene Ther 14,1298-1304(2007)、及びZufferey,R.,et al.J Virol.1999 Apr;73(4):2886-92に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0518】
DNAテンプレート挿入物はまた、SV40ポリAテールを含むことができる。
【0519】
組換え細胞
プライミング受容体及びCARシステムを発現する導入遺伝子は、細胞、例えば、T細胞内に、例えば、部位特異的技法を使用して導入され得る。導入遺伝子(例えば、プライミング受容体及びCAR)の部位特異的組込みで、導入遺伝子は、セーフハーバー遺伝子座またはTRACを標的とするようにされ得る。セーフハーバー遺伝子座への組込みのための部位特異的技法の例としては、限定されないが、ヌクレアーゼを使用する相同性依存的操作及びCas9を使用する相同性非依存的標的挿入が挙げられる。
【0520】
操作された組換え細胞は、免疫腫瘍学への用途を有する。例えば、プライミング受容体及びCARは、異なる特異的腫瘍抗原を標的とするように選択され得る。そのような細胞を使用して有効に標的とされ得るがんの例は、血液がんまたは固形がんである。いくつかの実施形態において、免疫細胞療法を使用して、固形腫瘍を治療することができる。
【0521】
修飾された細胞であって、細胞が、対応する未修飾の細胞に対して、FAS遺伝子の低減された発現及び/またはFAS遺伝子の産物の低減された機能を有するように修飾されており、任意選択で、修飾された細胞が、造血細胞である、修飾された細胞が、本明細書で提供される。いくつかの態様において、修飾された細胞は、対応する未修飾の細胞に対して、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または少なくとも1つの第2の遺伝子の産物の低減された機能を有するように更に修飾されている。
【0522】
また、修飾及び操作された細胞であって、操作された細胞が、対応する未修飾の操作された細胞に対して、FAS遺伝子の低減された発現及び/またはFAS遺伝子の産物の低減された機能を有するように修飾されており、任意選択で、修飾及び操作された細胞が、異種免疫受容体を発現するように操作されている、修飾及び操作された細胞が、本明細書で提供される。いくつかの態様において、修飾及び操作された細胞は、対応する未修飾の操作された細胞に対して、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または少なくとも1つの第2の遺伝子の産物の低減された機能を有するように更に修飾されている。
【0523】
また、修飾された細胞であって、細胞が、(a)FAS遺伝子の低減された発現及び/またはFAS遺伝子の産物の低減された機能、ならびに(b)少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または少なくとも1つの第2の遺伝子の産物の低減された機能を有するように修飾されており、各々の遺伝子の低減された発現が、対応する未修飾の細胞に対してのものであり、任意選択で、修飾された細胞が、造血細胞である、修飾された細胞が、本明細書で提供される。
【0524】
いくつかの態様において、発現を低減するための修飾は、FAS遺伝子及び任意選択で少なくとも1つの第2の遺伝子を破壊するように、細胞のゲノムを遺伝子操作することを含む。いくつかの態様において、遺伝子操作は、ヌクレアーゼ媒介性編集を含み、任意選択で、ヌクレアーゼ媒介性編集は、CRISPR/Cas9媒介性編集を含む。
【0525】
いくつかの態様において、発現を低減するための修飾は、FAS遺伝子及び任意選択で少なくとも1つの第2の遺伝子のRNAi媒介性ターゲティングを含み、任意選択で、RNAi媒介性ターゲティングは、ショートヘアピン型RNA(shRNA)媒介性ノックダウンを含む。いくつかの態様において、RNAi媒介性ターゲティングは、FAS遺伝子及び任意選択で少なくとも1つの第2の遺伝子のノックダウンを媒介することが可能であるRNAポリヌクレオチドを発現するように細胞を操作することを含む。
【0526】
いくつかの態様において、修飾された細胞は、造血細胞を含む。いくつかの態様において、造血細胞は、造血幹細胞を含む。いくつかの態様において、造血細胞は、免疫細胞を含む。いくつかの態様において、免疫細胞は、適応免疫細胞、自然免疫細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージを含む。
【0527】
いくつかの態様において、修飾された細胞は、操作された細胞を含む。いくつかの態様において、操作された細胞は、異種受容体を発現するように操作されている。いくつかの態様において、異種受容体は、免疫受容体を含む。いくつかの態様において、異種免疫受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体またはNK細胞受容体を含む。いくつかの態様において、操作された細胞は、T細胞またはT細胞への分化が可能な細胞を含み、異種受容体は、内因性TCR遺伝子座、任意選択で、T細胞受容体アルファ(TRAC)遺伝子座内に挿入されている。いくつかの態様において、異種受容体は、1つ以上の抗原結合ドメインを含み、任意選択で、1つ以上の抗原結合ドメインは、腫瘍抗原またはがんに関連する抗原に結合することが可能である。
【0528】
いくつかの態様において、FAS遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能は、対応する未修飾の細胞に対して、修飾された細胞の少なくとも1つの特性を改善する。
【0529】
いくつかの態様において、修飾された細胞が、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または機能を有するように更に修飾されているときに、FAS遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能、ならびに少なくとも1つの第2の遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能は、FAS遺伝子の発現及び/または機能のみを低減するように修飾された対応する細胞に対して、修飾された細胞の少なくとも1つの特性を改善する。
【0530】
いくつかの態様において、修飾された細胞が、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または機能を有するように更に修飾されているときに、FAS遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能、ならびに少なくとも1つの第2の遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能は、少なくとも1つの第2の遺伝子の発現及び/または機能のみを低減するように修飾された対応する細胞に対して、修飾された細胞の少なくとも1つの特性を改善する。
【0531】
いくつかの態様において、少なくとも1つの特性は、改善された増殖能力を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの特性は、FAS媒介性アポトーシスからの改善された保護を含む。いくつかの態様において、修飾された細胞は、免疫細胞を含み、少なくとも1つの特性は、改善された免疫エフェクター細胞機能を含む。いくつかの態様において、改善された免疫エフェクター細胞機能は、増加した相対的エフェクター分子発現、産生及び/または分泌を含む。いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞を含み、エフェクター分子は、IFNγ、TNFアルファ、グランザイムB及びFASLからなる群から選択される1つ以上の分子を含む。
【0532】
いくつかの態様において、修飾された細胞は、異種表面抗原を発現するように操作されており、任意選択で、異種表面抗原は、異種表面抗原を発現するように操作されていない対応する修飾された細胞に対して、操作及び修飾された細胞の標的枯渇を媒介することが可能である。
【0533】
また、対象における免疫応答を刺激する方法であって、対象に、本明細書に開示される修飾された細胞のうちのいずれか1つを投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。また、対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、本明細書に開示される修飾された細胞のうちのいずれか1つを投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの態様において、修飾された細胞は、対象に関して自己である。いくつかの態様において、修飾された細胞は、対象に関して同種である。
【0534】
また、1つ以上の組換え核酸(複数可)を含む組換え免疫細胞であって、1つ以上の組換え核酸が、プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、CARを含む第2のキメラポリペプチドと、少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列と、をコードし、核酸配列が、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である核酸配列、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である核酸配列、及び配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である核酸配列からなる群から選択される、組換え免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0535】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である。いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である。いくつかの実施形態において、核酸配列は、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である。
【0536】
また、細胞のゲノムの標的領域内に非ウイルス的に挿入された1つ以上の組換え核酸(複数可)を含む組換え免疫細胞であって、1つ以上の組換え核酸(複数可)が、本明細書に記載される、プライミング受容体と、CARと、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAと相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAと相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAと相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、をコードする、組換え免疫細胞が、本明細書で提供される。また、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAと相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAと相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAと相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む、組換え免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0537】
本開示に記載される、DNAテンプレート挿入物を標的遺伝子座またはセーフハーバー部位において含む細胞は、操作された細胞と称され得る。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、多能性免疫細胞を生じさせることができる任意の細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代免疫細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)またはヒト多能性幹細胞(HSPC)であり得る。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代造血細胞または初代造血幹細胞を含む。いくつかの実施形態において、その操作された細胞は、幹細胞、ヒト細胞、初代細胞、造血細胞、適応免疫細胞、自然免疫細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、CD8+細胞、CD4+細胞、またはT細胞前駆体である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、調節T細胞、エフェクターT細胞、またはナイーブT細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+CD8+T細胞である。
【0538】
いくつかの実施形態において、操作された細胞は、幹細胞、ヒト細胞、初代細胞、造血細胞、造血幹細胞、適応免疫細胞、自然免疫細胞、T細胞、またはT細胞前駆体である。本開示で企図される免疫細胞の非限定的な例としては、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT/iNKT細胞、マクロファージ、骨髄細胞、及び樹状細胞が挙げられる。本開示で企図される幹細胞の非限定的な例としては、多能性幹細胞(PSC)、胚性幹細胞(ESC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、核移植によって得られる胚由来胚幹細胞(ntES;核移植ES)、雄生殖細胞(GS細胞)、胚生殖細胞(EG細胞)、造血幹/前駆体幹細胞(HSPC)、体細胞(成体幹細胞)、血管芽球、神経幹細胞、間葉性幹細胞、及び他の細胞(骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、心筋細胞、ニューロン、腱細胞、脂肪細胞、膵細胞、肝細胞、腎細胞、及び濾胞細胞等を含む)の幹細胞が挙げられる。いくつかの実施形態において、操作された細胞は、T細胞、NK細胞、iPSC、及びHSPCである。いくつかの実施形態において、本開示で使用される操作された細胞は、インビトロで成長したヒト細胞株(例えば、意図的に不死化された細胞株、がん細胞株等)である。
【0539】
また、複数の免疫細胞を含む細胞の集団が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上のゲノムは、本明細書に記載される、プライミング受容体、CAR、ならびに第1及び第2の核酸を含む。
【0540】
がんを治療する方法
別の態様において、本発明は、個体における免疫関連状態(例えば、がん)を治療する方法であって、方法が、個体に、有効量の組成物を投与することを含み、組成物が、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、を含む、システムを含む、方法を提供する。
【0541】
別の態様において、本発明は、個体における免疫応答を増強する方法であって、方法が、個体に、有効量の組成物を投与することを含み、組成物が、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、を含む、システムを含む、方法を提供する。
【0542】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、shRNA分子である。いくつかの実施形態において、shRNAは、FAS shRNA分子、PTPN2 shRNA分子及びTOX shRNA分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも、FAS shRNA分子を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも、PTPN2 shRNA分子を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも、TOX shRNA分子を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも、FAS shRNA分子及びPTPN2 shRNA分子を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも、FAS shRNA分子及びTOX shRNA分子を含む。いくつかの実施形態において、細胞は、少なくとも、PTPN2 shRNA分子及びTOX shRNA分子を含む。別の態様において、本発明は、個体における免疫応答を増強する方法であって、方法が、個体に、少なくとも1つのshRNA分子を含む細胞を含む有効量の組成物を投与することを含み、shRNA分子が、FAS shRNA分子、PTPN2 shRNA分子及びTOX shRNA分子からなる群から選択される、方法を提供する。
【0543】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、個体における免疫関連状態の治療に有用である。ある特定の実施形態において、個体は、ヒトである。
【0544】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法(例えば、免疫応答を増強する方法)は、がんの治療に有用であり、したがって、本明細書に記載されるシステムを受容する個体は、がんを有する。いくつかの実施形態において、がんは、固形がんである。いくつかの実施形態において、がんは、液体がんである。いくつかの実施形態において、がんは、免疫回避性である。いくつかの実施形態において、がんは、免疫応答性である。特定の実施形態において、がんは、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である。いくつかの実施形態において、がんは、卵巣癌である。
【0545】
いくつかの実施形態において、治療は、がん体積またはサイズにおける減少をもたらす。いくつかの実施形態において、治療は、抗体の投与前のがん体積と比較して、がん体積を低減することに有効である。いくつかの実施形態において、治療は、がん成長速度における減少をもたらす。いくつかの実施形態において、治療は、抗体の投与前のがん成長速度と比較して、がん成長速度を低減することに有効である。いくつかの実施形態において、治療は、がんを除去するのに有効である。
【0546】
いくつかの実施形態において、MSLN、及びALPGまたはALPPは、がんにおいて、非がん細胞と比較してより高いレベルで発現される。MSLN、ALPG及びALPPのレベルは、当該技術分野で既知のいずれかの技法によって評価され得、技法は、タンパク質アッセイまたは核アッセイ、例えば、FACS、ウェスタンブロット、ELISA、免疫沈降、免疫組織化学、免疫蛍光、放射免疫アッセイ、ドットブロッティング、免疫検出方法、HPLC、表面プラズモン共鳴、光学分光法、質量分析、HPLC、qPCR、RT-qPCR、多重qPCRまたはRT-qPCR、RNA-seq、マイクロアレイ分析、SAGE、MassARRAY技法、及びFISH、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0547】
免疫調節の方法
本明細書に記載される、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、を含む、システムを含む細胞を投与する方法は、免疫応答の調節をもたらすことができる。調節は、免疫応答における増加または減少であることができる。いくつかの実施形態において、調節は、免疫応答における増加である。
【0548】
一態様において、本明細書に記載される、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムを含む細胞の投与は、炎症促進性分子、例えば、サイトカインまたはケモカインの誘導をもたらすことができる。概して、誘導された炎症促進性分子は、アイソタイプ対照で達成されるレベルよりも大きいレベルで存在する。次いで、そのような炎症促進性分子は、抗腫瘍免疫の活性化をもたらし、抗腫瘍免疫の活性化は、T細胞活性化、T細胞増殖、T細胞分化、M1様マクロファージ活性化及びNK細胞活性化を含むが、これらに限定されない。したがって、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムの投与は、腫瘍破壊をもたらす複数の抗腫瘍免疫機構を誘導することができる。
【0549】
別の態様において、個体における免疫応答を増加させる方法であって、方法が、個体に、有効量の細胞を投与することを含み、細胞が、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムを含む、方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、対象における免疫応答を増加させる方法は、対象に、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムを含む細胞を投与することを含む。
【0550】
いくつかの実施形態において、細胞は、薬学的に許容される賦形剤を更に含む薬学的組成物において存在する。
【0551】
本明細書に記載される、免疫応答を増加させるいかなる態様において、特徴(複数可)または機能(複数可)の態様のいずれもの増加または減少または改変は、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムを含む組成物を含まない細胞と比較されたものである。
【0552】
免疫応答の増加は、免疫応答の増強または免疫応答の誘導の両方であり得る。例えば、免疫応答を増加させることは、免疫応答の始動もしくは開始、または進行中の免疫応答もしくは既存の免疫応答の増加もしくは増幅の両方を包含する。いくつかの実施形態において、治療は、免疫応答を誘導する。いくつかの実施形態において、誘導免疫応答は、適応免疫応答である。いくつかの実施形態において、誘導免疫応答は、自然免疫応答である。いくつかの実施形態において、治療は、免疫応答を増強する。いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、適応免疫応答である。いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、自然免疫応答である。いくつかの実施形態において、治療は、免疫応答を増加させる。いくつかの実施形態において、増加免疫応答は、適応免疫応答である。いくつかの実施形態において、増加免疫応答は、自然免疫応答である。いくつかの実施形態において、免疫応答は、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムを含む細胞の投与によって開始(start)または開始(initiate)される。いくつかの実施形態において、免疫応答は、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、を含む、システムを含む細胞の投与によって増強される。
【0553】
別の態様において、本出願は、細胞をシステムで遺伝子編集する方法であって、システムが、ALPG/Pに特異的に結合するプライミング受容体と、MSLNに特異的に結合するキメラ抗原受容体と、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAと相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAと相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAと相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含み、遺伝子編集が、細胞の免疫機能の調節をもたらす、方法を提供する。調節は、免疫応答を増加させることであることができる。いくつかの実施形態において、調節は、免疫機能における増加である。いくつかの実施形態において、機能の調節は、MSLN CARの発現をもたらす。いくつかの実施形態において、機能の調節は、システムを含む細胞の活性化をもたらす。
【0554】
いくつかの実施形態において、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞、またはT細胞前駆体である。
【0555】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される、プライミング受容体及びCARシステムを含む細胞の機能の調節は、天然及び活性化T細胞の両方を刺激する細胞の能力における増加を、例えば、プライミング受容体及びCARシステムを発現する細胞によるサイトカインまたはケモカイン分泌を増加させることによってもたらす。いくつかの実施形態において、機能の調節は、サイトカイン、ケモカイン、CAR、または共刺激もしくは活性化受容体を産生する細胞の能力を増強するまたは増加させる。いくつかの実施形態において、調節は、プライミング受容体及びCARシステムを発現する細胞のT細胞刺激機能を増加させ、T細胞刺激機能は、例えば、T細胞受容体(TCR)シグナル伝達、T細胞増殖またはT細胞サイトカイン産生を誘発する細胞の能力を含む。
【0556】
いくつかの実施形態において、増加した免疫応答は、サイトカイン及びケモカインの分泌である。いくつかの実施形態において、プライミング受容体及びCARシステムは、アイソタイプ対照細胞と比較して、細胞における少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインの増加した発現を誘導する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインは、IL-2及びIFNγからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、サイトカインまたはケモカインは、IL-2である。いくつかの実施形態において、サイトカインまたはケモカインは、IFNγである。いくつかの実施形態において、サイトカインまたはケモカイン分泌は、未治療の細胞またはアイソタイプ対照抗体で治療された細胞と比較して約1~100倍、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90または90~100倍増加する。いくつかの実施形態において、ケモカインは、IL-2であり、分泌は、未治療の細胞またはアイソタイプ対照抗体で治療された細胞と比較して約1~100倍、1倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、1~10倍、10~20倍、20~30倍、30~40倍、40~50倍、50~60倍、60~70倍、70~80倍、80~90倍または90~100倍増加する。いくつかの実施形態において、サイトカインは、IFNγであり、分泌は、未治療の細胞またはアイソタイプ対照抗体で治療された細胞と比較して約1~100倍、1倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、1~10倍、10~20倍、20~30倍、30~40倍、40~50倍、50~60倍、60~70倍、70~80倍、80~90倍または90~100倍増加する。
【0557】
いくつかの実施形態において、増強された免疫応答は、抗腫瘍免疫細胞動員及び活性化である。
【0558】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体及びCARシステムを発現する細胞は、アイソタイプ対照細胞と比較して、メモリー免疫応答を誘導する。一般に、メモリー免疫応答は、免疫系が以前に遭遇した病原体または抗原へのその後の曝露の際の防御免疫応答である。例示的なメモリー免疫応答は、抗原の感染またはワクチン接種後の免疫応答を含む。一般に、メモリー免疫応答は、リンパ球、例えば、T細胞またはB細胞によって媒介される。いくつかの実施形態において、メモリー免疫応答は、がん細胞成長、増殖または転移を含むがんへの防御免疫応答である。いくつかの実施形態において、メモリー免疫応答は、がん細胞成長、増殖または転移を阻害、予防または低減する。
【0559】
遺伝子発現を低減する方法
本発明の別の態様は、哺乳動物細胞における標的遺伝子の発現を減弱するための方法であって、標的遺伝子mRNAと相補的である組換え核酸、例えば、一本鎖ヘアピン型リボ核酸(shRNA)、siRNA、dsRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、標的遺伝子mRNAと相補的である組換え核酸は、shRNAである。いくつかの実施形態において、shRNAは、二重鎖領域を形成する19~100個のヌクレオチドの自己相補的配列を含み、この自己相補的配列は、細胞内条件下で、標的遺伝子mRNA転写物にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、shRNAは、22ntの自己相補的配列を含む。いくつかの実施形態において、shRNAは、(i)二本鎖RNA産物を産生するためのRNaseIII酵素による切断のための基質であり、(ii)哺乳動物細胞の一般的な配列非依存性死滅をもたらさず、かつ(iii)当該標的遺伝子の発現を、当該相補領域の配列に依存する様式で低減する。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、FASである。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ヒトFASである。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、PTPN2である。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ヒトPTPN2である。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、TOXである。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ヒトTOXである。
【0560】
組換え核酸を含む免疫細胞は、FAS、PTPN2及びTOXからなる群から選択される標的遺伝子の低減されたまたは減少した発現を有することができる。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して約50~100%、50~99%、50~95%、50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、50~70%、50~65%、50~60%、50~55%低減されたFAS、PTPN2及び/またはTOX発現を有する。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減された、免疫細胞におけるFAS発現を有する。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減された、免疫細胞におけるPTPN2発現を有する。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、組換え核酸分子(複数可)を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減された、免疫細胞におけるTOX発現を有する。
【0561】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFASの発現は、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるPTPN2の発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0562】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減することが可能である。いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるTOXの発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0563】
いくつかの実施形態において、FAS、PTPN2及び/またはTOXの発現は、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される。いくつかの実施形態において、核酸アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む。
【0564】
細胞を編集する方法
「遺伝子工学」、「遺伝子編集」または「ゲノム編集」という用語は、本明細書で使用される場合、DNAが、人工的に操作されたヌクレアーゼまたは「分子ハサミ」を使用してゲノムへ挿入、ゲノムから置換または除去される、一種の遺伝子操作を指す。これは、配列特異的遺伝子もしくはタンパク質の機能及び効果を解明するか、または細胞挙動を改変するため(例えば、治療目的のため)の有用なツールである。
【0565】
現在利用可能なゲノム編集ツールとしては、セーフハーバー遺伝子座(例えば、アデノ随伴ウイルス組込み部位1(AAVS1)セーフハーバー遺伝子座)に遺伝子を組み込むためのジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)が挙げられる。phiC31インテグラーゼ及びBxb1インテグラーゼを利用するDICE(デュアルインテグラーゼカセット交換)システムは、標的組込みのためのツールである。追加的に、クラスター化して規則的な配置の短い回文反復/Cas9(CRISPR/Cas9)技法を標的遺伝子挿入に使用することができる。
【0566】
部位特異的遺伝子編集アプローチには、相同性依存的機序または相同性非依存的機序が含まれ得る。
【0567】
遺伝子配列の標的挿入のための当該技術分野で既知の全ての方法は、遺伝子標的またはセーフハーバー遺伝子座にコンストラクトを挿入するために本明細書に記載の方法で企図される。
【0568】
ウイルスベクターの非存在下で、約5キロベースを超える長さのヌクレオチド配列を細胞のゲノムに挿入する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、約5ベースを超える長さのヌクレオチド配列は、ウイルスベクターの非存在下で、初代免疫細胞のゲノムに挿入され得る。
【0569】
大きい核酸、例えば、5キロベースを超えるサイズの核酸の、細胞への組込みは、組込みの効率の低さ、オフターゲット効果及び/または細胞生存能の喪失によって制限され得る。ヌクレオチド配列、例えば、約5ベースを超えるサイズのヌクレオチド配列の、細胞のゲノムへの組込みを達成するための方法及び組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの方法では、組込みの効率が向上し、オフターゲット効果が低減し、及び/または細胞生存能の喪失が低減する。
【0570】
プラスミドは、ヌクレアーゼ、例えば、CRISPR関連系(Cas)を用いて免疫細胞に導入することができる。ヌクレアーゼは、免疫細胞のゲノム上の特定の部位を標的とするガイドRNA(gRNA)によってリボ核タンパク質フォーマットに導入することができる。ヌクレアーゼは、この特定の部位でゲノムDNAを切断する。特定の部位は、内因性免疫細胞受容体をコードするゲノムの一部分であり得る。したがって、この部位でゲノムを切断すると、免疫細胞は、もはや内因性免疫細胞受容体を発現しなくなる。
【0571】
プラスミドは、免疫細胞のゲノム上の特定の部位での配列に相補的な5’及び3’相同性指向修復アームを含んでもよい。相補配列は、ヌクレアーゼによって切断された部位のいずれかの側にあり、これにより、プラスミドは、免疫細胞のゲノム上の指定された挿入部位に組み込まれることが可能になる。プラスミドが組み込まれると、細胞はプライミング受容体を発現する。しかしながら、説明されるように、導入遺伝子カセットの設計は、プライミング受容体がその同族リガンドに結合し、切断可能な転写因子を放出するまで、非ウイルス送達回路系受容体がCARを発現しないことを確実にする。
【0572】
最初に、T細胞を活性化する。T細胞は、患者から得ることができる。したがって、本開示は、T細胞などの免疫細胞が患者から採取される方法を提供する。次いで、CAR及びプライミング受容体をコードするプラスミドをT細胞に導入する。有利には、本開示のプラスミドは、エレクトロポレーションを使用して導入することができる。エレクトロポレーションを介してプラスミドを導入する場合、ヌクレアーゼを導入することもできる。エレクトロポレーションを使用することによって、本開示の方法は、免疫細胞操作における既知のボトルネックである、導入遺伝子を導入するためのウイルスベクターの使用を回避する。次いで、T細胞を増殖させ、共培養して、治療処置として使用するのに十分な量の操作された免疫細胞を作成する。
【0573】
細胞のゲノムを編集するための方法は、a)(i)RNP(RNPは、Cas9ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、ガイドRNAは、細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、Cas9ヌクレアーゼドメインは、標的領域を切断して、細胞のゲノムにおける挿入部位を作成する)、及び(ii)二本鎖または一本鎖DNAテンプレート(DNAテンプレートのサイズは、約200ヌクレオチド超であり、DNAテンプレートの5’及び3’末端は、挿入部位に隣接するゲノム配列に相同であるヌクレオチド配列を含み、複合体におけるRNP対DNAテンプレートのモル比は、約3:1~約100:1である)を含む、Cas9リボ核タンパク質複合体(RNP)-DNAテンプレート複合体を提供することと、b)RNP-DNAテンプレート複合体を細胞に導入することと、を含み得る。
【0574】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、99.5%、99%、またはそれ以上のRNP-DNAテンプレート複合体の送達の効率を提供する。いくつかの場合において、効率は、RNP-DNAテンプレートを細胞内に導入した後に生存可能である細胞に関して決定される。いくつかの場合において、効率は、RNP-DNAテンプレートが細胞内に導入される細胞の総数(生存可能または非生存可能)に関して決定される。
【0575】
別の例として、送達の効率は、(導入ステップ後に得られた全細胞または全生存細胞と比較して)細胞集団内のゲノム編集細胞の数を定量化することによって決定することができる。ゲノム編集を定量化するための様々な方法を利用することができる。これらの方法には、T7エンドヌクレアーゼIなどのミスマッチ特異的ヌクレアーゼの使用、1つ以上の標的遺伝子座の配列決定(例えば、クローニングされた標的遺伝子座増幅断片のサンガー配列決定による)、及びハイスループット大規模配列決定が含まれるが、これらに限定されない。
【0576】
いくつかの実施形態において、細胞生存率の喪失は、裸のDNAを細胞に導入した後、またはウイルスベクターを使用してDNAを細胞に導入した後の細胞生存率の喪失と比較して低減される。低減は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはこれらのパーセンテージの間の任意のパーセンテージの低減であり得る。いくつかの実施形態において、組込みのオフターゲット効果は、裸のDNAを細胞に導入した後、またはウイルスベクターを使用してDNAを細胞に導入した後、オフターゲット組込みと比較して低減される。低減は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはこれらのパーセンテージの間の任意のパーセンテージの低減であり得る。
【0577】
いくつかの場合において、本明細書に記載の方法は、RNP-DNAテンプレートが導入された細胞の高い細胞生存率を提供する。いくつかの場合において、RNP-DNAテンプレートが導入された細胞の生存率は、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、99.5%、99%、またはそれ以上である。いくつかの場合において、RNP-DNAテンプレートが導入された細胞の生存率は、約20%~約99%、約30%~約90%、約35%~約85%または90%以上、約40%~約85%または90%以上、約50%~約85%または90%以上、約50%~約85%または90%以上、約60%~約85%または90%以上、または約70%~約85%または90%以上である。
【0578】
本明細書に提供される方法では、RNP対DNAテンプレートのモル比は、約3:1~約100:1であり得る。例えば、モル比は、約5:1~10:1、約5:1~約15:1、5:1~約20:1、5:1~約25:1、約8:1~約12:1、約8:1~約15:1、約8:1~約20:1、または約8:1~約25:1であり得る。
【0579】
いくつかの実施形態において、DNAテンプレートは、約2.5pM~約25pMの濃度である。例えば、DNAテンプレートの濃度は、約2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25pM、またはこれらの濃度の間の任意の濃度であり得る。
【0580】
いくつかの実施形態において、DNAテンプレートのサイズまたは長さは、約4.5kb、5.0kb、5.1kb、5.2kb、5.3kb、5.4kb、5.5kb、5.6kb、5.7kb、5.8kb、5.9kb、6.0kb、6.1kb、6.2kb、6.3kb、6.4kb、6.5kb、6.6kb、6.7kb、6.8kb、6.9kb、7.0kb、7.1kb、7.2kb、7.3kb、7.4kb、7.5kb、7.6kb、7.7kb、7.8kb、7.9kb、8.0kb、8.1kb、8.2kb、8.3kb、8.4kb、8.5kb、8.6kb、8.7kb、8.8kb、8.9kb、9.0kb、9.1kb、9.2kb、9.3kb、9.4kb、9.5kb、9.6kb、9.7kb、9.8kb、9.9kb、もしくは10kb超、またはこれらのサイズの間のいずれかのサイズのDNAテンプレートである。例えば、DNAテンプレートのサイズは、約4.5kb~約10kb、約5kb~約10kb、約5kb~約9kb、約5kb~約8kb、約5kb~約7kb、約5kb~約6kb、約6kb~約10kb、約6kb~約9kb、約6kb~約8kb、約6kb~約7kb、約7kb~約10kb、約7kb~約9kb、約7kb~約8kb、約8kb~約10kb、約8kb~約9kb、または約9kb~約10kbであり得る。
【0581】
いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約1μg~約10μgである。例えば、DNAテンプレートの量は、約1μg~約2μg、約1μg~約3μg、約1μg~約4μg、約1μg~約5μg、約1μg~約6μg、約1μg~約7μg、約1μg~約8μg、約1μg~約9μg、約1μg~約10μgであり得る。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約2μg~約3μg、約2μg~約4μg、約2μg~約5μg、約2μg~約6μg、約2μg~約7μg、約2μg~約8μg、約2μg~約9μg、または2μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約3μg~約4μg、約3μg~約5μg、約3μg~約6μg、約3μg~約7μg、約3μg~約8μg、約3μg~約9μg、または約3μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約4μg~約5μg、約4μg~約6μg、約4μg~約7μg、約4μg~約8μg、約4μg~約9μg、または約4μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約5μg~約6μg、約5μg~約7μg、約5μg~約8μg、約5μg~約9μg、または約5μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約6μg~約7μg、約6μg~約8μg、約6μg~約9μg、または約6μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約7μg~約8μg、約7μg~約9μg、または約7μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約8μg~約9μg、または約8μg~約10μgである。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートの量は、約9μg~約10μgである。
【0582】
いくつかの場合において、DNAテンプレートのサイズは、裸のDNAとして致死的であるのに十分に大きくかつ十分な量である。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートは、異種タンパク質またはその断片をコードする。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートは、少なくとも1つの遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートは、少なくとも2つの遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、DNAテンプレートは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の遺伝子をコードする。
【0583】
いくつかの実施形態において、DNAテンプレートは、細胞のゲノムへの挿入後に異種タンパク質またはその断片の発現を調節するための調節配列、例えばプロモーター配列及び/またはエンハンサー配列を含む。
【0584】
いくつかの場合において、DNAテンプレートは、直鎖DNAテンプレートである。いくつかの場合において、DNAテンプレートは、一本鎖DNAテンプレートである。いくつかの場合において、一本鎖DNAテンプレートは、純粋な一本鎖DNAテンプレートである。本明細書で使用される場合、「純粋な一本鎖DNA」とは、DNAの他の鎖または反対の鎖を実質的に欠く一本鎖DNAを意味する。「実質的に欠く」とは、純粋な一本鎖DNAが、1つのDNA鎖を別のDNA鎖よりも少なくとも100倍多く欠くことを意味する。
【0585】
いくつかの場合において、RNP-DNAテンプレート複合体は、RNPをDNAテンプレートとともに約20℃~約25℃の温度で約1分未満~約30分間インキュベートすることによって形成される。例えば、RNPは、DNAテンプレートとともに約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、または25℃の温度で約5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、またはこれらの時間の間の任意の量の時間にわたってインキュベートすることができる。別の例において、RNPは、DNAテンプレートとともに約20℃~約25℃の温度で約1分未満~約1分、約1分未満~約5分、約1分未満~約10分、約5分~10分、約5分~15分、約10~約15分、約10分~約20分、または約10分~約30分間インキュベートすることができる。いくつかの実施形態において、RNP-DNAテンプレート複合体及び細胞は、RNP-DNAテンプレート複合体を細胞に導入する前に混合される。
【0586】
いくつかの実施形態において、RNP-DNAテンプレート複合体を導入することは、エレクトロポレーションを含む。細胞をエレクトロポレーションしてRNP-DNAテンプレート複合体を導入するための方法、組成物、及びデバイスは、本明細書の実施例に記載されるものを含むことができる。細胞をエレクトロポレーションしてRNP-DNAテンプレート複合体を導入するための追加または代替の方法、組成物、及びデバイスは、WO/2006/001614またはKim,J.A.et al.Biosens.Bioelectron.23,1353-1360(2008)に記載されるものを含むことができる。細胞をエレクトロポレーションしてRNP-DNAテンプレート複合体を導入するための追加または代替の方法、組成物、及びデバイスは、米国特許出願公開第2006/0094095号、同第2005/0064596号、または同第2006/0087522号に記載されるものを含むことができる。細胞をエレクトロポレーションしてRNP-DNAテンプレート複合体を導入するための追加または代替の方法、組成物、及びデバイスは、Li,L.H.et al.Cancer Res.Treat.1,341-350(2002)、米国特許第6,773,669号、同第7,186,559号、同第7,771,984号、同第7,991,559号、同第6485961号、同第7029916号、及び米国特許出願公開第2014/0017213号、及び同第2012/0088842号(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含むことができる。細胞をエレクトロポレーションしてRNP-DNAテンプレート複合体を導入するための追加または代替の方法、組成物、及びデバイスは、Geng,T.et al.,J.Control Release 144,91-100(2010)、及びWang,J.,et al.Lab.Chip 10,2057-2061(2010)(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含むことができる。
【0587】
いくつかの実施形態において、Cas9タンパク質は、ガイドRNAを有する複合体またはDNAテンプレートを有する複合体の一部として標的核酸に結合したときに、二本鎖切断が標的核酸に導入されるように、活性エンドヌクレアーゼ形態であり得る。二本鎖切断は、NHEJによって修復されてランダム変異を導入することができるか、またはHDRによって特定の変異を導入することができる。様々なCas9ヌクレアーゼは、本明細書に記載の方法において利用することができる。例えば、ガイドRNAによって標的化された領域の3’直前にNGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を必要とするCas9ヌクレアーゼを利用することができる。そのようなCas9ヌクレアーゼは、NGG配列を含有するゲノムの任意の領域を標的とすることができる。別の例として、直交PAMモチーフ要件を有するCas9タンパク質を利用して、隣接NGG PAM配列を有しない配列を標的とすることができる。直交PAM配列特異性を有する例示的なCas9タンパク質としては、CFP1、Nature Methods 10,1116-1121(2013)に記載されるもの、及びZetsche et al.,Cell,Volume 163,Issue 3,p759-771,22 October 2015に記載されるものが挙げられるが、それらに限定されない(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)。
【0588】
いくつかの場合において、Cas9タンパク質は、ガイドRNAとの複合体の一部として標的核酸に結合したときに、一本鎖切断またはニックが標的核酸に導入されるように、ニッカーゼである。各々が構造的に異なるガイドRNAに結合した一対のCas9ニッカーゼは、標的ゲノム領域の2つの近位部位を標的とすることができ、したがって、一対の近位一本鎖切断を標的ゲノム領域に導入することができる。ニッカーゼ対は、オフターゲット効果が単一のニックをもたらす可能性が高いため、特異性を高めることができ、これは概して、塩基切除修復機構によって病変なしで修復される。例示的なCas9ニッカーゼとしては、D10AまたはH840A変異を有するCas9ヌクレアーゼが挙げられる。
【0589】
いくつかの実施形態において、RNPは、Cas9ヌクレアーゼを含む。いくつかの実施形態において、RNPは、Cas9ニッカーゼを含む。いくつかの実施形態において、RNP-DNAテンプレート複合体は、少なくとも2つの構造的に異なるRNP複合体を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの構造的に異なるRNP複合体は、構造的に異なるCas9ヌクレアーゼドメインを含有する。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの構造的に異なるRNP複合体は、構造的に異なるガイドRNAを含有する。少なくとも2つの構造的に異なるRNP複合体が構造的に異なるガイドRNAを含有するいくつかの実施形態において、構造的に異なるRNP複合体の各々は、Cas9ニッカーゼを含み、構造的に異なるガイドRNAは、標的領域の反対側の鎖にハイブリダイズする。
【0590】
いくつかの場合において、構造的に異なるリボ核タンパク質複合体を含む複数のRNP-DNAテンプレートが細胞に導入される。例えば、Cas9タンパク質は、複数の構造的に異なる標的ゲノム領域におけるDNAテンプレートの挿入を標的とするために、複数(例えば、2、3、4、5、またはそれよりも多い、例えば、2~10、5~100、20~100個)の構造的に異なるガイドRNAと複合体化することができる。
【0591】
本明細書に提供される方法及び組成物において、細胞には、真核細胞、原核細胞、動物細胞、植物細胞、真菌細胞等が含まれるが、これらに限定されない。任意選択で、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞である。細胞は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボであり得る。細胞はまた、初代細胞、生殖細胞、幹細胞または前駆細胞であり得る。前駆細胞は、例えば、多能性幹細胞または造血幹細胞であり得る。いくつかの実施形態において、細胞は、初代造血細胞または初代造血幹細胞である。いくつかの実施形態において、初代造血細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、調節T細胞、エフェクターT細胞、またはナイーブT細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4+CD8+T細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞は、CD4-CD8-T細胞である。本明細書に記載の方法のうちのいずれかによって修飾された細胞のうちのいずれかの集団もまた提供される。いくつかの実施形態において、方法は、修飾細胞の集団を拡張することを更に含む。
【0592】
いくつかの場合において、細胞は、対象から取り出され、本明細書に記載の方法のうちのいずれかを使用して修飾され、患者に投与される。他の場合において、本明細書に記載のコンストラクトのうちのいずれかは、インビボで患者に送達される。例えば、米国特許第9737604号及びZhang et al.“Lipid nanoparticle-mediated efficient delivery of CRISPR/Cas9 for tumor therapy,”NPG Asia Materials Volume 9,page e441(2017)(両方とも参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0593】
いくつかの実施形態において、RNP-DNAテンプレート複合体は、約1×105~約2×106細胞に導入される。例えば、RNP-DNAテンプレート複合体は、約1×105~約5×105細胞、約1×105~約1×106、1×105~約1.5×106、1×105~約2×106、約1×106~約1.5×106細胞、または約1×106~約2×106に導入することができる。
【0594】
いくつかの場合において、本明細書に記載の方法及び組成物は、キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)などの組換えT細胞の生成、修飾、使用、または制御のために使用することができる。そのようなCAR T細胞を使用して、対象におけるがん、感染性疾患、または自己免疫疾患を治療または予防することができる。例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の遺伝子産物がT細胞に挿入またはノックインされ、異種タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはプライミング受容体)を発現する。
【0595】
異種受容体(例えば、CAR及び/またはTCR)及びRNAi(例えば、アンチセンスRNA、siRNA、マイクロRNA、shRNAなど)の発現を操作する遺伝子操作(例えば、ゲノム編集、ヌクレアーゼ媒介性編集、CRISPR/Cas9媒介性編集など)は、国際公開第2018232356A1号、同第2019084552A1号、同第2019226998A1号、同第2020014235A1号、同第2020123871A1及び同第2020186219A1号に記載されており、それらの各々は、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0596】
挿入部位
T細胞のゲノムを編集するための方法は、具体的に、ヒトT細胞におけるTCR-αサブユニット(TRAC)のエクソン1における標的領域に核酸配列またはコンストラクトを挿入することを含む、ヒトT細胞のゲノムを編集する方法を含む。いくつかの実施形態において、標的領域は、TRAC遺伝子の定常ドメインのエクソン1にある。他の実施形態において、標的領域は、TCR-α膜貫通ドメインをコードする配列の開始前に、エクソン1、エクソン2またはエクソン3にある。
【0597】
T細胞のゲノムを編集するための方法はまた、ヒトT細胞におけるTCR-βサブユニット(TRBC)のエクソン1における標的領域に核酸配列またはコンストラクトを挿入することを含む、ヒトT細胞のゲノムを編集する方法を含む。いくつかの実施形態において、標的領域は、TRBC1またはTRBC2遺伝子のエクソン1にある。
【0598】
T細胞のゲノムを編集するための方法は、具体的には、ゲノムセーフハーバー(GSH)部位の標的領域に核酸配列またはコンストラクトを挿入することを含む、ヒトT細胞のゲノムを編集する方法を含む。
【0599】
T細胞のゲノムを編集するための方法はまた、GS94標的領域(遺伝子座 chr11:128340000-128350000)に核酸配列またはコンストラクトを挿入することを含む、ヒトT細胞のゲノムを編集する方法も含む。
【0600】
いくつかの実施形態において、標的領域は、GS94遺伝子座である。
【0601】
遺伝子編集療法には、例えば、ベクター組込み及び部位特異的組込みが含まれる。部位特異的組込みは、挿入変異誘発または挿入発がんのリスクを軽減するため、ウイルスベクターのランダムな組込みに代わる有望な代替物である(Kolb et al.Trends Biotechnol.2005 23:399-406、Porteus et al.Nat Biotechnol.2005 23:967-973、Paques et al.Curr Gen Ther.2007 7:49-66)。しかしながら、部位特異的組込みは、低いノックイン効率、挿入発がんのリスク、隣接した遺伝子または導入遺伝子の不安定及び/または異常な発現、低いアクセス性(例えば、隣接した遺伝子の20kB以内)などの課題に直面し続けている。これらの課題は、部分的には、隣接した遺伝子の発現または調節を中断することなく遺伝子または遺伝子エレメントを組み込むことができる部位である、セーフハーバー遺伝子座またはセーフハーバー部位(SHS)の同定及び使用によって対処することができる。
【0602】
推定ヒトセーフハーバー部位の中で最も広く使用されているのは、19q染色体上のAAVS1部位であり、これは当初、再発性アデノ随伴ウイルス挿入のための部位として同定された。他の潜在的なSHSは、他の種において最初に同定された部位との相同性に基づいて同定されており(例えば、許容性マウスRosa26遺伝子座のヒト相同性)、またはいくつかの状況下で非本質的に見えるますます多くのヒト遺伝子中で同定されている。このタイプの推定SHSの1つは、CCR5ケモカイン受容体遺伝子であり、破壊されると、ヒト免疫不全ウイルス感染に対する耐性を付与する。追加の潜在的なゲノムSHSは、元のマウスRosa26遺伝子座と同様に、ウイルス組込み部位マッピングまたは遺伝子トラップ分析に基づいて、ヒト及び他の細胞型で同定されている。上位3つのSHS、AAVS1、CCR5、及びRosa26は、多くのタンパク質コード遺伝子及び調節要素に近接している。(Sadelain,M.,et al.(2012).Safe harbours for the integration of new DNA in the human genome.Nature reviews Cancer,12(1),51-58(この関連開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0603】
ヒト染色体19上のAAVS1(PPP1R12C遺伝子座としても知られる)は、期待される機能を有する導入遺伝子(例えば、DNA導入遺伝子)をホストするための既知のSHSである。それは、19q13.42位にある。それは、オープンクロマチン構造を有し、転写能がある。AAVS1の正準SHS遺伝子座は、chr19:55、625、241~55、629、351である。Pellenz et al.“New Human Chromosomal Sites with“Safe Harbor”Potential for Targeted Transgene Insertion.”Human gene therapy vol.30,7(2019):814-828を参照されたく、その関連開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例示的なAAVS1標的gRNA及び標的配列を以下に提供する。
● AAVS1-gRNA配列: ggggccactagggacaggatGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCTAGTCCGTTATCAACTTGAAAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTTTTT (配列番号212)
● AAVS1標的配列: ggggccactagggacaggat (配列番号213)
【0604】
3p21.31位の染色体3上に位置するCCR5は、HIV-1の主要な共受容体をコードする。CCR5遺伝子におけるこの部位の破壊は、HIV/AIDS治療において有益であり、その第3のエクソンを標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼの発達を促した。CCR5の正準SHS遺伝子座は、chr3:46、414、443~46、414、942である。Pellenz et al.“New Human Chromosomal Sites with ”Safe Harbor“Potential for Targeted Transgene Insertion.”Human gene therapy vol.30,7(2019):814-828(この関連開示は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0605】
マウスRosa26遺伝子座は、高い効率で標的化することができ、試験した大部分の細胞型において発現されるため、遺伝子修飾に特に有用である。Irion et al.2007(“Identification and targeting of the ROSA26 locus in human embryonic stem cells.”Nature biotechnology 25.12(2007):1477-1482(その関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる)は、染色体3(3p25.3位)においてヒトホモログであるヒトROSA26を同定した。ヒトRosa26(hRosa26)の正準SHS遺伝子座は、chr3:9,415,082-9,414,043である。Pellenz et al.“New Human Chromosomal Sites with ”Safe Harbor“Potential for Targeted Transgene Insertion.”Human gene therapy vol.30,7(2019):814-828(この関連開示は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0606】
セーフハーバー部位の追加の例は、Pellenz et al.“New Human Chromosomal Sites with ”Safe Harbor“Potential for Targeted Transgene Insertion.”Human gene therapy vol.30,7(2019):814-828(この関連開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に提供されている。追加の組込み部位の例を表Dに提供する。
【0607】
いくつかの実施形態において、セーフハーバー部位は、高導入遺伝子発現(導入遺伝子機能性または目的の疾患の治療を可能にするのに十分な)及び導入遺伝子の数日、数週間または数ヶ月にわたる安定した発現を可能にする。いくつかの実施形態において、セーフハーバー遺伝子座における遺伝子のノックアウトは、細胞の機能に利益を与えるか、またはセーフハーバー遺伝子座における遺伝子は、細胞内で既知の機能を有しない。いくつかの実施形態において、セーフハーバー遺伝子座は、CD3/CD28刺激の有無にかかわらず、インビトロでの安定した導入遺伝子発現、iGuide-SeqまたはCRISPR-Seqによって検出された無視できるオフターゲット切断、iGuide-SeqまたはCRISPR-Seqによって検出された他の遺伝子座と比較してより少ないオフターゲット切断、無視できる導入遺伝子非依存的細胞毒性、無視できる導入遺伝子非依存的サイトカイン発現、無視できる導入遺伝子非依存的キメラ抗原受容体発現、無視できる近くの遺伝子の制御解除またはサイレンシングをもたらし、がん関連遺伝子の外側に位置付けられる。
【0608】
使用される場合、「近傍遺伝子」は、セーフハーバー遺伝子座(組込み部位)から約100kB、約125kB、約150kB、約175kB、約200kB、約225kB、約250kB、約275kB、約300kB、約325kB、約350kB、約375kB、約400kB、約425kB、約450kB、約475kB、約500kB、約525kB、約550kB以内にある遺伝子を指すことができる。
【0609】
いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上の導入遺伝子を含む挿入物を企図する。導入遺伝子は、治療用タンパク質、抗体、ペプチド、または目的の任意の他の遺伝子をコードすることができる。導入遺伝子組込みは、例えば、治療特性の向上をもたらし得る。これらの強化された治療特性は、本明細書で使用される場合、同じ正常細胞型の典型的な免疫細胞と比較して、強化された細胞の治療特性を指す。例えば、「強化された治療特性」を有するT細胞は、典型的な、非修飾及び/または天然に存在するT細胞と比較して、強化された、改善された、及び/または増加した治療転帰を有する。免疫細胞の治療特性には、細胞移植、輸送、ホーミング、生存率、自己再生、持続性、免疫応答制御及び調節、生存、ならびに細胞毒性が含まれ得るが、これらに限定されない。免疫細胞の治療特性はまた、抗原標的化受容体の発現、HLAの提示またはその欠如、腫瘍内微小環境への耐性、バイスタンダー免疫細胞の誘導及び免疫調節、還元による改善された標的特異性、化学療法などの治療への耐性によっても明らかにされる。
【0610】
本明細書で使用される場合、「挿入物サイズ」は、標的遺伝子座またはセーフハーバー部位に組み込まれる(挿入される)ヌクレオチド配列の長さを指す。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、少なくとも約4.5キロベース対(kb)~約10キロベース対(kb)を含む。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、約5000ヌクレオチド以上の塩基対を含む。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、最大で4.5、4.8、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20kbp(キロベース対)またはそれらの間のサイズを含む。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5、4.8、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20kbpまたはそれらの間のサイズよりも大きい。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~15kbpの範囲内であるか、またはその範囲内の任意の数である。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.8~8.3kbpの範囲内であるか、またはその範囲内の任意の数である。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、5~8.3kbpの範囲内であるか、またはその範囲内の任意の数である。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、5~15kbpの範囲内であるか、またはその範囲内の任意の数である。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~20kbpの範囲内であるか、またはその範囲内の任意の数である。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、5~10kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~10、5~10、6~10、7~10、8~10、9~10kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~11、6~11、7~11、8~11、9~11、または10~11kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~12、6~12、7~12、8~12、9~12、10~12、または11~12kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~13、6~13、7~13、8~13、9~13、10~13、11~13、または12~13kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~14、6~14、7~14、8~14、9~14、10~14、11~14、12~14、または13~14kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~15、6~15、7~15、8~15、9~15、10~15、11~15、12~15、13~15、または14~15kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~16、6~16、7~16、8~16、9~16、10~16、11~16、12~16、13~16、14~16、または15~16kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~17、6~17、7~17、8~17、9~17、10~17、11~17、12~17、13~17、または14~17、15~17、または16~17kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~18、6~18、7~18、8~18、9~18、10~18、11~18、12~18、13~18、14~18、15~18、16~18、または17~18kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~19、6~19、7~19、8~19、9~19、10~19、11~19、12~19、13~19、14~19、15~19、16~19、17~19、または18~19kbpである。いくつかの実施形態において、挿入物サイズは、4.5~20、6~20、7~20、8~20、9~20、10~20、11~20、12~20、13~20、14~20、15~20、16~20、17~20、18~20、または19~20kbpである。
【0611】
本開示の挿入物は、標的遺伝子座またはセーフハーバー部位に挿入される核酸分子またはポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列は、DNA分子、例えば、ゲノムDNAであるか、またはデオキシリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、挿入物は、プラスミド、フォスミド、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、及び/またはDNAの任意の他のサブゲノムセグメントの形態で単離されたプラスチドDNA、ミトコンドリアDNA、またはDNAなどのDNAのより小さな断片を含む。いくつかの実施形態において、挿入物は、RNA分子であるか、またはリボヌクレオチドを含む。挿入物中のヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオチド、非天然に存在するヌクレオチド、及び修飾ヌクレオチドとして企図される。ヌクレオチドは、当業者に容易に理解されるように、化学的または生化学的に修飾されてもよく、または非天然または誘導体化ヌクレオチド塩基を含有してもよい。かかる修飾には、例えば、標識、メチル化、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の、類似体との置換、ヌクレオチド間修飾が含まれる。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で企図される一本鎖、二本鎖、部分的に二重鎖、三重鎖、ヘアピン、円形コンフォメーション、及び他の三次元コンフォメーションを含む、任意のトポロジカルコンフォメーションであり得る。
【0612】
挿入物は、コード領域及び/または非コード領域を有することができる。挿入物は、非コード配列(例えば、制御エレメント、例えば、プロモーター配列)を含むことができる。いくつかの実施形態において、挿入物は、転写因子をコードする。いくつかの実施形態において、挿入物は、抗原結合受容体、例えば、単一受容体、T細胞受容体(TCR)、プライミング受容体、CAR、mAbなどをコードする。いくつかの実施形態において、挿入物は、ヒト配列である。いくつかの実施形態において、挿入物は、キメラである。いくつかの実施形態において、挿入物は、多遺伝子/多モジュール治療用カセットである。多遺伝子/多モジュール治療カセットは、1つ以上の受容体(例えば、合成受容体)、他の外因性タンパク質コード配列、非コードRNA、転写調節エレメント、及び/または絶縁体配列等を有する挿入物またはカセットを指す。
【0613】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、非ウイルス送達を介してT細胞のゲノムに挿入される。非ウイルス送達方法において、核酸は、裸のDNAであり得るか、または非ウイルスプラスミドもしくはベクター中にあり得る。非ウイルス送達技法は、本明細書に記載されるか、または当業者に知られている部位特異的な組込み技法であり得る。セーフハーバー遺伝子座への組込みのための部位特異的技法の例としては、限定されないが、ヌクレアーゼを使用する相同性依存的操作及びCas9または他のCRISPRエンドヌクレアーゼを使用する相同性非依存的標的挿入が挙げられる。
【0614】
いくつかの実施形態において、挿入物は、操作された細胞に導入することによってセーフハーバー部位に組み込まれ、(a)セーフハーバー部位の標的領域を切断して挿入部位を作成する標的ヌクレアーゼ、及び(b)核酸配列(挿入物)であり、挿入物は、例えば、HDRによって挿入部位に組み込まれる。本開示の方法で使用することができる非ウイルス送達技法の例は、米国出願第16/568,116号及び同第16/622,843号に提供されており、これらの関連する開示は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0615】
企図される組込み部位の例を表Dに提供する。
【0616】
【0617】
CRISPR/Cas編集
遺伝子編集の1つの有効な例は、CRISPR-Casアプローチ(例えば、CRISPR-Cas9)である。このアプローチは、ガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドリボ核酸またはgRNA)及びcasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9エンドヌクレアーゼ)の使用を組み込む。
【0618】
本明細書で使用される場合、「Casエンドヌクレアーゼ」と称されるまたは「Casエンドヌクレアーゼ活性」を有するポリペプチドは、Cas遺伝子によってコードされるCRISPR関連(Cas)ポリペプチドを指し、Casポリペプチドは、1つ以上のガイドポリヌクレオチドに動作可能に連結されたときに切断され得る標的DNA配列である(例えば、米国特許第8,697,359号を参照されたい)。この定義には、ガイドポリヌクレオチド依存性エンドヌクレアーゼ活性を保持するCasエンドヌクレアーゼのバリアントも含まれる。本明細書に詳述されるドナーDNA挿入方法で使用されるCasエンドヌクレアーゼは、標的部位(例えば、標的遺伝子座内またはセーフハーバー部位)でDNAに二本鎖切断を導入するエンドヌクレアーゼである。
【0619】
本明細書で使用される場合、「ガイドポリヌクレオチド」という用語は、Casエンドヌクレアーゼと複合体化することができ、CasエンドヌクレアーゼがDNA標的部位を認識及び切断することを可能にすることができるポリヌクレオチド配列に関する。ガイドポリヌクレオチドは、単一分子または二重分子であり得る。ガイドポリヌクレオチド配列は、RNA配列、DNA配列、またはそれらの組み合わせ(RNA-DNA組み合わせ配列)であり得る。リボ核酸のみを含むガイドポリヌクレオチドは、「ガイドRNA」とも称される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドドナーコンストラクトは、ガイドRNA(gRNA)をcasエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9エンドヌクレアーゼ)と組み合わせて使用して、セーフハーバー遺伝子座に挿入される。
【0620】
ガイドポリヌクレオチドは、標的DNAにおけるヌクレオチド配列に相補的である第1のヌクレオチド配列ドメイン(可変標的化ドメインまたはVTドメインとも称される)と、Casエンドヌクレアーゼポリペプチドと相互作用する第2のヌクレオチドとを含む。配列ドメイン(Casエンドヌクレアーゼ認識ドメインまたはCERドメインと称される)を含む二重分子(二本鎖ガイドポリヌクレオチドとも称される)であり得る。この二重分子ガイドポリヌクレオチドのCERドメインは、相補領域に沿ってハイブリダイズする2つの別個の分子を含む。2つの別個の分子は、RNA配列、DNA配列及び/またはRNA-DNA組み合わせ配列であり得る。
【0621】
CRISPR-Casアプローチを使用するゲノム編集は、RNA誘導Casエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9エンドヌクレアーゼ)によって誘導される部位特異的DNA二本鎖切断(DSB)の修復に依存する。これらのDSBの相同性指向修復(HDR)は、塩基置換、配列挿入、及び欠失を含む定義されたゲノム変化を導入することによって、ゲノムの正確な編集を可能にする。従来のHDRベースのCRISPR/Cas9ゲノム編集は、目的の遺伝子座と一致する相同アームを含有するCas9、gRNA及びドナーDNAで細胞をトランスフェクションすることを伴う。
【0622】
HITI(相同性非依存的標的挿入)は、非相同末端接合(NHEJ)ベースの相同性非依存的戦略を使用し、この方法は、HDRよりも効率的であり得る。ガイドRNA(gRNA)は、挿入部位を標的とする。HITIについては、ドナープラスミドは相同性アームを欠き、DSB修復は、HDR経路を介しては起こらない。ドナーポリヌクレオチドコンストラクトは、挿入される遺伝子または配列に隣接するCas9切断部位(複数可)を含むように操作することができる。これにより、ドナープラスミド及びゲノム標的配列の両方でCas9切断がもたらされる。標的及びドナーの両方が平滑末端を有し、直鎖化ドナーDNAプラスミドは、ゲノムDSB部位への組込みをもたらすNHEJ経路によって使用される。(例えば、Suzuki,K.,et al.(2016).In vivo genome editing via CRISPR/Cas9 mediated homology-independent targeted integration.Nature,540(7631),144-149(この関連開示は、その全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0623】
CRISPR-Casアプローチを使用して遺伝子編集を行うための方法は、当業者に知られている。(例えば、米国出願第US16/312,676号、US15/303,722、及びUS15/628,533(これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。追加的に、導入遺伝子をセーフハーバー遺伝子座に挿入するためのエンドヌクレアーゼの使用は、例えば、米国出願第13/036,343号(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0624】
ガイドRNA及び/またはエンドヌクレアーゼをコードするmRNA(もしくはDNA)は、活性、細胞分布、またはオリゴヌクレオチドの細胞取り込みを向上させる1つ以上の部分または結合体に化学的に結合することができる。そのような部分の非限定的な例としては、コレステロール部分、コール酸、チオエーテル、チオコレステロール、脂肪族鎖(例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基)、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-3-H-ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、アダマンタン酢酸、パルミチル部分、及びオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-tオキシコレステロール部分などの脂質部分が挙げられる。例えば、米国特許公開第20180127786号(この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0625】
治療用途
治療用途のために、操作された細胞、その集団、またはその組成物は、対象、概して哺乳動物、概してヒトに有効量で投与される。操作された細胞は、注入(例えば、一定期間にわたる連続注入)または当業者に知られている他の投与様式によって対象に投与され得る。
【0626】
本明細書に提供される操作された細胞は、遺伝子療法における使用だけでなく、例えば、動物モデルの産生及び目的のタンパク質を発現する組換え細胞株の産生などの非薬学的使用も見出される。
【0627】
本開示の操作された細胞は、任意の細胞、概して哺乳動物細胞、概して、本明細書に記載のセーフハーバー遺伝子座に導入遺伝子を組み込むことによって修飾されたヒト細胞であり得る。例示的な細胞は、組換え細胞の項で提供される。
【0628】
本開示の操作された細胞、組成物、及び方法は、CAR T細胞療法及びTCR T細胞療法などの治療用途に有用である。いくつかの実施形態において、セーフハーバー遺伝子座内の導入遺伝子をコードする配列の挿入は、挿入がない場合の例に対してTCR発現を維持し、TCR機能を維持しながら導入遺伝子発現を可能にする。
【0629】
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の操作された細胞のうちのいずれかを含む組成物を対象に投与することによって、治療を必要とする対象を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、操作された細胞組成物の投与は、所望の薬理学的及び/または生理学的効果をもたらす。この効果は、疾患及び/または疾患からもたらされる有害作用の部分的または完全な治癒であることができる。いくつかの実施形態において、治療は、対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト)における疾患の任意の治療を包含する。更に、治療は、対象(例えば、患者)における望ましくない臨床症状を安定化または低減し得る。本明細書で提供される細胞、その集団、またはその組成物は、疾患の発生の間または後に投与され得る。
【0630】
ある特定の実施形態において、対象は、細胞療法によって治療及び/または改善され得る疾患、状態、及び/または傷害を有する。いくつかの実施形態において、細胞療法を必要とする対象は、傷害、疾患、または状態を有する対象であり、それによって細胞療法(例えば、細胞物質が対象に投与される療法)を引き起こす。しかしながら、傷害、疾患または状態に関連する少なくとも1つの症状の重症度を治療、改善、及び/または低減することが可能であることが企図される。
【0631】
投与の方法
システムを含む有効量の免疫細胞は、がんの治療のために投与され得る。システムを含む免疫細胞の適切な投薬量は、治療されるがんのタイプ、システムを含む免疫細胞の型、がんの重症度及び経過、個体の臨床状態、個体の臨床歴及び治療への応答、ならびに主治医の判断に基づいて決定され得る。
【0632】
薬学的組成物
本明細書に提供される操作された組換え細胞は、薬学的組成物の一部として投与することができる。これらの組成物は、組換え細胞のうちの1つ以上に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含むことができる。そのような材料は無毒であるべきであり、有効成分の有効性を干渉するべきではない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻、筋肉内、腹腔内経路に依存し得る。薬学的組成物は、1つ以上の薬学的賦形剤を含み得る。任意の好適な薬学的賦形剤が使用されてもよく、当業者は、好適な薬学的賦形剤を選択することができる。したがって、以下に提供される薬学的賦形剤は、例示であり、限定するものではないことが意図される。追加の薬学的賦形剤には、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe et al.(Eds.)6th Ed.(2009)(参照によりその全体が組み込まれる)に記載されるものが含まれる。
【0633】
追加の治療剤を投与する様々な様式が、本明細書で企図される。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、任意の好適な投与様式によって投与される。
【0634】
組成物は、治療すべき状態に応じて、単独で、または他の治療と組み合わせて、同時または連続的のいずれかで投与することができる。
【0635】
キット及び製品
本出願は、本明細書に記載されるシステムまたは細胞組成物のうちのいずれか1つ以上と、使用説明書と、を含む、キットを提供する。使用説明書は、添付文書としてキットに存在し得るか、キットもしくはその構成要素の容器のラベルに存在し得るか、またはデジタル形式であり得る(例えば、CD-ROM上で、インターネット上のリンクを介して)。キットは、ゲノム標的化核酸、ゲノム標的化核酸をコードするポリヌクレオチド、部位特異的ポリペプチド、及び/または部位特異的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのうちの1つ以上を含み得る。キット内の追加の成分、例えば、緩衝液(再構築緩衝液、安定化緩衝液、希釈緩衝液など)、及び/または1つ以上の制御ベクターも企図される。
【0636】
いくつかの実施形態において、キットは、二次抗体、免疫組織化学分析のための試薬、薬学的に許容される賦形剤及び取扱説明書、ならびにそれらのいずれかの組み合わせのうちのいずれかから選択される構成要素を更に含有する。具体的な一実施形態において、キットは、本明細書に記載される抗体組成物のうちのいずれか1つ以上と、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物を含む。
【0637】
本出願はまた、本明細書に記載される抗体組成物またはキットのうちのいずれか1つを含む、製造物品を提供する。製造物品の例としては、(密封されたバイアルを含む)バイアルが挙げられる。
【0638】
追加の実施形態
実施形態1
プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、
キメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドと、
少なくとも15ヌクレオチド長の少なくとも1つの核酸配列と、をコードする、1つ以上の組換え核酸であって、前記少なくとも1つの核酸配列が、(1)配列番号39に記載の配列を含むヒトFas細胞表面死受容体(FAS)をコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列、(2)配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である第2の核酸配列、及び(3)配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第3の核酸配列のうちの1つ以上を含む、前記1つ以上の組換え核酸。
実施形態2 前記プライミング受容体が、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含む、実施形態1に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態3 前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、実施形態2に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態4 前記CARが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含み、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、実施形態3に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態5 前記少なくとも1つの核酸配列が、(1)配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である前記第1の核酸配列、及び(2)配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である前記第2の核酸配列の各々を含む、実施形態4に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態6 前記CARが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む、実施形態1~3のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態7 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、実施形態6に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態8 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、実施形態6に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態9 1つ以上の組換え核酸であって、
胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドであって、前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、前記第1のキメラポリペプチドと、
キメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドと、
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列と、
配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第2の核酸配列と、をコードする、前記1つ以上の組換え核酸。
実施形態10 前記第1の細胞外抗原結合ドメインVH鎖配列が、配列番号7に記載の配列を含む、実施形態3~9のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態11 前記第1の細胞外抗原結合ドメインVL鎖配列が、配列番号8に記載の配列を含む、実施形態3~10のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態12 前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、配列番号9に記載の配列を含む、実施形態3~11のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態13 前記CARが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む、実施形態9~12のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態14 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、実施形態13に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態15 前記第2の細胞外抗原結合ドメインVHが、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態4~8、13及び14のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態16 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、実施形態13に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態17 第2の細胞外抗原結合ドメインVHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態4~8、13及び16のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態18 前記第2の核酸配列が、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である、実施形態1~17のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態19 前記組換え核酸が、配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態1~17のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態20 前記第2の核酸配列が、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である、実施形態1~17のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態21 配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
実施形態22 配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
実施形態23 配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
実施形態24 配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む、1つ以上の組換え核酸。
実施形態25 配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸と、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸と、を含む、1つ以上の組換え核酸。
実施形態26 前記第1及び第2の核酸配列が、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である、実施形態1~25のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態27 前記第1及び第2の核酸が、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態1~26のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態28 前記第1及び第2の核酸が、shRNAである、実施形態27に記載の組換え核酸。
実施形態29 前記第1の核酸配列が、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態1~28のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態30 前記第1の核酸配列が、配列番号49に記載の配列を含む、実施形態29に記載の組換え核酸。
実施形態31 前記第1の核酸が、免疫細胞におけるFASの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態1~30のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態32 前記第2の核酸配列が、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態1~31のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態33 前記第2の核酸配列が、配列番号82に記載の配列を含む、実施形態32に記載の組換え核酸。
実施形態34 前記第1の核酸配列が、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸配列が、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態1~33のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態35 前記第1の核酸配列が、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸配列が、配列番号82に記載の配列を含む、実施形態1~34のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態36 前記第2の核酸が、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態1~35のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態37 前記第2の核酸配列が、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態1~31のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態38 前記第2の核酸配列が、配列番号99または104に記載の配列を含む、実施形態37に記載の組換え核酸。
実施形態39 前記第1の核酸配列が、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、前記第2の核酸配列が、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態1~31、37または38のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態40 前記第1の核酸配列が、配列番号49に記載の配列を含み、前記第2の核酸配列が、配列番号99または104に記載の配列を含む、実施形態39に記載の組換え核酸。
実施形態41 前記第2の核酸が、免疫細胞におけるTOXの発現を、前記核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態1~31または37~40のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態42 前記第1、第2及び/または第3の核酸配列が、前記組換え核酸の少なくとも1つのイントロン領域においてコードされている、実施形態1~41のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態43 1つ以上の組換え核酸であって、
プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、前記第2のキメラポリペプチドと、
少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、
配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である第2の核酸配列と、をコードする、前記1つ以上の組換え核酸。
実施形態44 前記VHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態43に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態45 1つ以上の組換え核酸であって、
プライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、前記第2のキメラポリペプチドと、
少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、
配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である第2の核酸配列と、をコードする、前記1つ以上の組換え核酸。
実施形態46 前記VHが、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態45に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態47 1つ以上の組換え核酸であって、
生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むCARを含む第2のキメラポリペプチドと、
少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、
配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である第2の核酸配列と、をコードする、前記1つ以上の組換え核酸。
実施形態48 前記第2の核酸配列が、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である、実施形態43~47のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態49 前記組換え核酸が、配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態43~48のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態50 前記第2の核酸配列が、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である、実施形態43~47のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態51 前記第1及び第2の核酸配列が、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である、実施形態43~50のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態52 前記第1及び第2の核酸が、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態43~51のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態53 前記第1及び第2の核酸が、shRNAである、実施形態52に記載の組換え核酸。
実施形態54 前記第1の核酸配列が、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態43~53のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態55 前記第1の核酸配列が、配列番号49に記載の配列を含む、実施形態54に記載の組換え核酸。
実施形態56 前記第1の核酸が、免疫細胞におけるFASの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態43~55のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態57 前記第2の核酸配列が、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態43~56のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態58 前記第2の核酸配列が、配列番号82に記載の配列を含む、実施形態57に記載の組換え核酸。
実施形態59 前記第2の核酸が、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、前記核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態43~58のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態60 前記第2の核酸配列が、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態43~56のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態61 前記第2の核酸配列が、配列番号99または104に記載の配列を含む、実施形態60に記載の組換え核酸。
実施形態62 前記第2の核酸が、免疫細胞におけるTOXの発現を、前記核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態43~56、60または61のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態63 前記第1、第2及び/または第3の核酸配列が、前記組換え核酸の少なくとも1つのイントロン領域においてコードされている、実施形態43~62のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態64 前記プライミング受容体が、N末端からC末端に、
前記第1の細胞外抗原結合ドメインと、
1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む、第1の膜貫通ドメインと、
ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含み、前記第1の細胞外抗原結合ドメインによるALPG/Pの結合が、前記1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位における切断をもたらす、実施形態1~63に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態65 前記プライミング受容体が、前記第1の細胞外抗原結合ドメインと前記第1の膜貫通ドメインとの間に配置された第1のヒンジドメインを更に含む、実施形態64に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態66 前記第1のヒンジドメインが、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む、実施形態65に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態67 前記第1のヒンジが、配列番号18に記載の配列を含む、実施形態66に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態68 前記第1の膜貫通ドメインが、Notch1膜貫通ドメインを含む、実施形態1~67に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態69 前記第1の膜貫通ドメインが、配列番号19に記載の配列を含む、実施形態68に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態70 前記細胞内ドメインが、HNF1a/p65ドメインまたはGal4/VP64ドメインを含む、実施形態64~69のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態71 前記細胞内ドメインが、配列番号23に記載の配列を含む、実施形態70に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態72 前記プライミング受容体が、前記第1の膜貫通ドメインと前記細胞内ドメインとの間に移行阻止配列を更に含む、実施形態1~71のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態73 前記移行阻止配列が、配列番号20に記載の配列を含む、実施形態72に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態74 前記プライミング受容体が、配列番号24に記載の配列を含む、実施形態1~73のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態75 前記CARが、N末端からC末端に、
第2の細胞外抗原結合ドメインと、
第2の膜貫通ドメインと、
細胞内共刺激ドメインと、
細胞内活性化ドメインと、を含む、実施形態1~74のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態76 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、実施形態75に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態77 前記VHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態76に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態78 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、実施形態75に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態79 前記VH鎖配列が、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態78に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態80 前記CARが、第2のヒンジドメインを含む、実施形態1~79のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態81 前記第2のヒンジドメインが、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む、実施形態80に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態82 前記第2の膜貫通ドメインが、CD8α膜貫通ドメインを含む、実施形態75~81のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態83 前記細胞内共刺激ドメインが、4-1BBドメインを含む、実施形態75~82のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態84 前記細胞内活性化ドメインが、CD3ζドメインを含む、実施形態75~83のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態85 前記CARが、配列番号30または31に記載の配列を含む、実施形態1~84のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態86 単一標的細胞が、ALPG/P及びMSLNの各々を発現する場合、前記プライミング受容体及び前記CARが、前記標的細胞に結合することが可能である、実施形態1~72のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態87 前記標的細胞が、ヒト細胞である、実施形態86に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態88 前記標的細胞が、がん細胞である、実施形態86または87に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態89 前記がん細胞が、固形がん細胞または液体がん細胞である、実施形態88に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態90 前記がん細胞が、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である、実施形態88または89に記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態01 前記組換え核酸が、2つ以上の核酸断片を含む、実施形態1~90のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸(複数可)。
実施形態92 前記組換え核酸が、前記CARをコードする前記ヌクレオチド配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターを更に含む、実施形態1~91のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態93 前記組換え核酸が、前記プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列に動作可能に連結された第1の構成的プロモーターを更に含む、実施形態1~92のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態94 前記組換え核酸が、前記キメラ抗原受容体をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結された誘導性プロモーターと、前記プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列に動作可能に連結された構成的プロモーターと、を更に含む、実施形態1~93のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態95 前記組換え核酸が、ヒトFASと相補的である前記第1の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列に動作可能に連結された第2の構成的プロモーターを更に含む、実施形態1~94のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態96 前記組換え核酸が、ヒトPTPN2またはTOXと相補的である前記第2の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列に動作可能に連結された第2の構成的プロモーターを更に含む、実施形態1~94のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態97 前記組換え核酸が、ヒトFASと相補的である前記第1の核酸、またはヒトPTPN2もしくはTOXと相補的である前記第2の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列に動作可能に連結された第2の構成的プロモーターを更に含む、実施形態1~96のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態98 前記組換え核酸が、5’から3’方向に、
前記第1の構成的プロモーター;
前記プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列;
前記第2の構成的プロモーター;
ヒトFAS、ヒトPTPN2またはヒトTOXと相補的である前記第1の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列;
前記誘導性プロモーター;及び
前記キメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列を含む、実施形態1~97のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態99 前記組換え核酸が、5’から3’方向に、
前記第1の構成的プロモーター;
前記プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列;
前記第2の構成的プロモーター;
ヒトFASと相補的である前記第1の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列;
ヒトPTPN2またはTOXと相補的である前記第2の第1の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列;
前記誘導性プロモーター;及び
前記キメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列を含む、実施形態1~97のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態100 前記組換え核酸が、5’から3’方向に、
前記誘導性プロモーター;
前記キメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列;
前記第2の構成的プロモーター;
ヒトFASと相補的である前記第1の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列;
ヒトPTPN2またはTOXと相補的である前記第2の第1の核酸をコードする前記ヌクレオチド配列;
前記第1の構成的プロモーター;及び
前記プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列を含む、実施形態1~97のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態101 前記プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号36に記載の配列を含む、実施形態1~100のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態102 前記キメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列が、配列番号37または38に記載の配列を含む、実施形態1~101のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態103 前記組換え核酸が、5’相同性指向性修復アーム及び3’相同性指向性修復アームを更に含み、5’相同性指向性修復アーム及び3’相同性指向性修復アームが、宿主細胞染色体における挿入部位と相補的である、実施形態1~102のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態104 前記組換え核酸が、自己切断2Aペプチド(P2A)をコードするヌクレオチド配列を更に含む、実施形態1~103のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態105 前記P2Aが、キメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列の3’末端にある、実施形態1~104のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態106 前記P2Aが、プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列の3’末端にある、実施形態1~104のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態107 前記組換え核酸が、ウッドチャック肝炎ウイルス翻訳後調節エレメント(WPRE)を更に含む、実施形態1~106のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態108 前記WPREが、キメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列の3’末端にあり、かつプライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列の5’末端にあるか、または前記WPREが、プライミング受容体をコードする前記ヌクレオチド配列の3’末端にあり、かつキメラ抗原受容体をコードする前記ヌクレオチド配列の5’末端にある、実施形態107に記載の組換え核酸。
実施形態109 前記組換え核酸が、SV40ポリAエレメントを更に含む、実施形態1~107のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態110 前記核酸が、発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている、実施形態1~109のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸。
実施形態111 前記発現ベクターが、非ウイルスベクターである、実施形態110に記載の組換え核酸。
実施形態112 実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸を含む、発現ベクター。
実施形態113 前記組換え核酸の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、実施形態112に記載のベクター。
実施形態114 前記挿入部位が、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座またはゲノムセーフハーバー(GSH)遺伝子座に位置する、実施形態113に記載のベクター。
実施形態115 前記GHS遺伝子座が、GS94遺伝子座である、実施形態114に記載のベクター。
実施形態116 胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、単離された抗体またはその抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列と、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列と、を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
実施形態117 前記VH鎖配列が、配列番号7に記載の配列を含む、実施形態116に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
実施形態118 前記VLが、配列番号8に記載の配列を含む、実施形態116または117に記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
実施形態119 前記細胞外ドメインが、配列番号9に記載の配列を含む、実施形態116~118のうちのいずれか1つに記載の単離された抗体またはその抗原結合断片。
実施形態120 胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインと、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメインと、ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含む、プライミング受容体であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、前記プライミング受容体。
実施形態121 前記VH鎖配列が、配列番号7に記載の配列を含む、実施形態120に記載のプライミング受容体。
実施形態122 前記VLが、配列番号8に記載の配列を含む、実施形態120または121に記載のプライミング受容体。
実施形態123 前記細胞外ドメインが、配列番号9に記載の配列を含む、実施形態120~122のうちのいずれか1つに記載のプライミング受容体。
実施形態124 メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、前記キメラ抗原受容体(CAR)。
実施形態125 前記VH鎖配列が、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態124に記載のキメラ抗原受容体。
実施形態126 メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、前記キメラ抗原受容体(CAR)。
実施形態127 前記VHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態126に記載のキメラ抗原受容体。
実施形態128 第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
前記第1のキメラポリペプチドが、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含み、前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含み、
第2のキメラポリペプチドが、キメラ抗原受容体(CAR)を含む、前記システム。
実施形態129 前記VH鎖配列が、配列番号7に記載の配列を含む、実施形態128に記載のシステム。
実施形態130 前記VL鎖配列が、配列番号8に記載の配列を含む、実施形態128または129に記載のシステム。
実施形態131 前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、配列番号9に記載の配列を含む、実施形態128に記載のシステム。
実施形態132 前記CARが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む、実施形態128に記載のシステム。
実施形態133 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、実施形態132に記載のシステム。
実施形態134 前記VHが、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態133に記載のシステム。
実施形態135 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、実施形態132に記載のシステム。
実施形態136 前記VHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態135に記載のシステム。
実施形態137 第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
前記第1のキメラポリペプチドが、プライミング受容体を含み、
前記第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含み、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、前記システム。
実施形態138 前記VHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態137に記載のシステム。
実施形態139 第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
前記第1のキメラポリペプチドが、プライミング受容体を含み、
前記第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含み、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、前記システム。
実施形態140 前記VHが、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態138に記載のシステム。
実施形態141 第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
前記第1のキメラポリペプチドが、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含み、
前記第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むCARを含む、前記システム。
実施形態142 前記プライミング受容体が、N末端からC末端に、
前記第1の細胞外抗原結合ドメインと、
1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む、第1の膜貫通ドメインと、
ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含み、前記第1の細胞外抗原結合ドメインによるALPG/Pの結合が、前記1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位における切断をもたらす、実施形態128~141のうちの1つに記載のシステム。
実施形態143 前記プライミング受容体が、前記第1の細胞外抗原結合ドメインと前記第1の膜貫通ドメインとの間に配置された第1のヒンジドメインを更に含む、実施形態142に記載のシステム。
実施形態144 前記第1のヒンジドメインが、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む、実施形態142に記載のシステム。
実施形態145 前記第1のヒンジが、配列番号18に記載の配列を含む、実施形態144に記載のシステム。
実施形態146 前記第1の膜貫通ドメインが、Notch1膜貫通ドメインを含む、実施形態142~145のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態147 前記第1の膜貫通ドメインが、配列番号19に記載の配列を含む、実施形態146に記載のシステム。
実施形態148 前記細胞内ドメインが、HNF1a/p65ドメインまたはGal4/VP64ドメインを含む、実施形態142~147のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態149 前記細胞内ドメインが、配列番号23に記載の配列を含む、実施形態148に記載のシステム。
実施形態150 前記プライミング受容体が、前記第1の膜貫通ドメインと前記細胞内ドメインとの間に移行阻止配列を更に含む、実施形態128~149のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態151 前記移行阻止配列が、配列番号20に記載の配列を含む、実施形態150に記載のシステム。
実施形態152 前記プライミング受容体が、配列番号24に記載の配列を含む、実施形態128~151のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態153 前記CARが、N末端からC末端に、
第2の細胞外抗原結合ドメインと、
第2の膜貫通ドメインと、
細胞内共刺激ドメインと、
細胞内活性化ドメインと、を含む、実施形態128~152のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態154 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、実施形態153に記載のシステム。
実施形態155 VHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、実施形態154に記載のシステム。
実施形態156 前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、実施形態153に記載のシステム。
実施形態157 VH鎖配列が、配列番号17に記載の配列を含む、実施形態156に記載のシステム。
実施形態158 前記CARが、第2のヒンジドメインを含む、実施形態128~157のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態159 前記第2のヒンジドメインが、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む、実施形態158に記載のシステム。
実施形態160 前記第2の膜貫通ドメインが、CD8α膜貫通ドメインを含む、実施形態153~159のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態161 前記細胞内共刺激ドメインが、4-1BBドメインを含む、実施形態153~160のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態162 前記細胞内活性化ドメインが、CD3ζドメインを含む、実施形態153~161のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態163 前記CARが、配列番号30または31に記載の配列を含む、実施形態128~162のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態164 前記標的細胞が、ALPG/P及びMSLNを発現する場合、前記プライミング受容体及びCARが、同じ標的細胞に結合することが可能である、実施形態128~163のうちのいずれか1つに記載のシステム。
実施形態165 前記標的細胞が、ヒト細胞である、実施形態164のシステム。
実施形態166 前記標的細胞が、がん細胞である、実施形態164または165に記載のシステム。
実施形態167 前記がん細胞が、固形がん細胞または液体がん細胞である、実施形態166に記載のシステム。
実施形態168 前記がん細胞が、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である、実施形態166または167に記載のシステム。
実施形態169
実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の少なくとも1つの組換え核酸(複数可)、及び/または
実施形態116~168のうちのいずれか1つに記載の抗体もしくは抗原結合断片、プライミングレセプション、CAR、またはシステム、及び/または
実施形態112~114のうちのいずれか1つに記載のベクターを、含む、免疫細胞。
実施形態170 前記免疫細胞が、初代ヒト免疫細胞である、実施形態169に記載の細胞。
実施形態171 前記初代ヒト免疫細胞が、自己免疫細胞である、実施形態170に記載の細胞。
実施形態172 前記初代免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞またはT細胞前駆体である、実施形態169~171のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態173 前記初代免疫細胞が、初代T細胞である、実施形態169~172のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態174 前記初代免疫細胞が、初代ヒトT細胞である、実施形態169~173のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態175 前記初代免疫細胞が、ウイルスフリーである、実施形態169~174のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態176 前記免疫細胞が、自己免疫細胞である、実施形態169~174のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態177 前記免疫細胞が、同種免疫細胞である、実施形態169~174のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態178 少なくとも1つの組換え核酸を含む初代免疫細胞であって、少なくとも1つの組換え核酸が、
ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、
MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、
少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、
配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または
配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、前記第2の核酸配列と、を含み、
前記組換え核酸が、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
実施形態179 少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸(複数可)を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
実施形態180 少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、初代免疫細胞が、前記組換え核酸を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
実施形態181 リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸が、
ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、
MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、
少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、
配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または
配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、前記第2の核酸配列と、をコードし、
前記組換え核酸の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
実施形態182 リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
実施形態183 リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
実施形態184 前記細胞が、配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、実施形態169~183のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態185 前記第1の核酸が、免疫細胞におけるFASの発現を、前記第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態169~184のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態186 免疫細胞におけるFASの発現が、前記第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される、実施形態184に記載の細胞。
実施形態187 前記第2の核酸が、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、前記第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態169~186のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態188 免疫細胞におけるPTPN2の発現が、前記第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される、実施形態187に記載の細胞。
実施形態189 前記第2の核酸が、免疫細胞におけるTOXの発現を、前記第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する、実施形態169~186のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態190 免疫細胞におけるTOXの発現が、前記第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される、実施形態189に記載の細胞。
実施形態191 FAS、PTPN2及び/またはTOXの発現が、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される、実施形態184~190のうちのいずれか1つに記載の細胞。
実施形態192 前記核酸アッセイが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む、実施形態191に記載の細胞。
実施形態193 前記タンパク質アッセイが、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む、実施形態191に記載の細胞。
実施形態194 実施形態169~193のうちのいずれか1つに記載の複数の免疫細胞を含む、細胞の集団。
実施形態195 実施形態169~193のうちのいずれか1つに記載の免疫細胞または実施形態194に記載の細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
実施形態196 実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸または実施形態112~114のうちのいずれか1つに記載のベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
実施形態197 免疫細胞を編集する方法であって、
リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を提供することであって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸が、実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸を含み、前記組換え核酸の5’及び3’末端が、前記免疫細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記提供することと、
前記RNP-組換え核酸複合体を前記免疫細胞に非ウイルス的に導入することであって、前記ガイドRNAが、初代免疫細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、ヌクレアーゼドメインが、前記標的領域を切断して、前記初代免疫細胞の前記ゲノム内に前記挿入部位を作成する、前記非ウイルス的に導入することと、
前記免疫細胞を、前記免疫細胞の前記ゲノムにおける前記挿入部位内への実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸の挿入を介して編集することと、を含む、前記方法。
実施形態198 非ウイルス的に導入することが、エレクトロポレーションを含む、実施形態197に記載の方法。
実施形態199 前記ヌクレアーゼドメインが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(Cas)を含み、任意選択で、Cas9ヌクレアーゼを含む、実施形態197または198に記載の方法。
実施形態200 前記細胞のゲノムの前記標的領域が、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座またはゲノムセーフハーバー(GSH)遺伝子座である、実施形態197~199のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態201 前記GSH遺伝子座が、GS94遺伝子座である、実施形態200に記載の方法。
実施形態202 前記組換え核酸が、二本鎖組換え核酸または一本鎖組換え核酸である、実施形態197~201のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態203 前記組換え核酸が、直鎖組換え核酸または環状組換え核酸であり、任意選択で、前記環状組換え核酸が、プラスミドである、実施形態197~202のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態204 前記免疫細胞が、初代ヒト免疫細胞である、実施形態197~203のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態205 前記免疫細胞が、同種免疫細胞である、実施形態197~204のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態206 前記免疫細胞が、自己免疫細胞である、実施形態197~204のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態207 前記免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞またはT細胞前駆体である、実施形態197~206のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態208 前記免疫細胞が、初代T細胞である、実施形態197~207のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態209 前記免疫細胞が、初代ヒトT細胞である、実施形態197~208のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態210 前記免疫細胞が、ウイルスフリーである、実施形態197~209のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態211 前記免疫細胞を患者から得ることと、前記組換え核酸をインビトロで導入することと、を更に含む、実施形態197~210のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態212 対象における疾患を治療する方法であって、前記対象に、実施形態169~194のうちのいずれか1つに記載の免疫細胞、または実施形態195もしくは196に記載の薬学的組成物を投与することを含む、前記方法。
実施形態213 前記疾患が、がんである、実施形態212に記載の方法。
実施形態214 前記がんが、固形がんまたは液体がんである、実施形態213に記載の方法。
実施形態215 前記がんが、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である、実施形態213または214に記載の方法。
実施形態216 前記免疫細胞の前記投与が、対象における免疫応答を増強する、実施形態213~215のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態217 前記増強された免疫応答が、適応免疫応答である、実施形態216に記載の方法。
実施形態218 前記増強された免疫応答が、自然免疫応答である、実施形態216に記載の方法。
実施形態219 前記増強された免疫応答が、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインの増加した発現である、実施形態213~218のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態220 前記少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインが、IL-2またはIFNγである、実施形態219に記載の方法。
実施形態221 前記対象に、免疫療法を、前記免疫細胞と同時にまたは前記免疫細胞後に投与することを更に含む、実施形態212~215のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態222 対象における標的細胞を阻害する方法であって、前記方法が、前記対象に、実施形態169~194のうちのいずれか1つに記載の免疫細胞を投与することを含み、前記免疫細胞が、前記標的細胞を阻害する、前記方法。
実施形態223 前記標的細胞が、ALPG/P及びMSLNを発現する、実施形態222に記載の方法。
実施形態224 前記標的細胞が、がん細胞である、実施形態222または223に記載の方法。
実施形態225 免疫細胞においてキメラ抗原受容体の発現をプライミング受容体で誘導する方法であって、
免疫細胞を得ることであって、免疫細胞が、
実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸、及び/または
実施形態116~168のうちのいずれか1つに記載の抗体もしくは抗原結合断片、プライミングレセプション、CAR、またはシステム、及び/または
実施形態112~114のうちのいずれか1つに記載のベクターを含む、前記得ることと、
前記免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、前記標的細胞上のALPG/Pへの前記プライミング受容体の結合が、前記プライミング受容体の活性化及び前記キメラ抗原受容体の発現を誘導する、前記接触させることと、を含む、前記方法。
実施形態226 免疫細胞の活性を調節する方法であって、
免疫細胞を得ることであって、免疫細胞が、
実施形態1~111のうちのいずれか1つに記載の組換え核酸、及び/または
実施形態116~168のうちのいずれか1つに記載の抗体もしくは抗原結合断片、プライミングレセプション、CAR、またはシステム、及び/または
実施形態112~114のうちのいずれか1つに記載のベクターを含む、前記得ることと、
前記免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、前記標的細胞上のALPG/Pへの前記プライミング受容体の結合が、前記プライミング受容体の活性化及び前記キメラ抗原受容体の発現を誘導し、前記標的細胞上のMSLNへの前記キメラ抗原受容体の結合が、前記免疫細胞の活性を調節する、前記接触させることと、を含む、前記方法。
実施形態227 前記免疫細胞活性の調節が、免疫応答を増強することを含む、実施形態226に記載の方法。
実施形態228 前記増強された免疫応答が、適応免疫応答である、実施形態227に記載の方法。
実施形態229 前記増強された免疫応答が、自然免疫応答である、実施形態227に記載の方法。
実施形態230 前記免疫細胞活性が、少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインの増加した発現である、実施形態226~229のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態231 前記少なくとも1つのサイトカインまたはケモカインが、IL-2またはIFNγである、実施形態230に記載の方法。
実施形態232 前記免疫細胞におけるFASの発現が、前記第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される、実施形態197~231のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態233 前記免疫細胞におけるPTPN2の発現が、前記第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される、実施形態197~232のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態234 前記免疫細胞におけるTOXの発現が、前記第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される、実施形態197~232のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態235 前記免疫細胞におけるFAS、PTPN2及び/またはTOXの発現が、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される、実施形態232~234のうちのいずれか1つに記載の方法。
実施形態236 前記核酸アッセイが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む、実施形態235に記載の方法。
実施形態237 前記タンパク質アッセイが、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む、実施形態235に記載の方法。
【0639】
一態様において、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインと、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメインと、ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含む、プライミング受容体であって、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、プライミング受容体が、本明細書で提供される。
【0640】
いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号7に記載の配列を含む。
【0641】
いくつかの実施形態において、VLは、配列番号8に記載の配列を含む。
【0642】
いくつかの実施形態において、細胞外ドメインは、配列番号9に記載の配列を含む。
【0643】
別の態様において、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、キメラ抗原受容体(CAR)が、本明細書で提供される。
【0644】
いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号17に記載の配列を含む。
【0645】
別の態様において、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、キメラ抗原受容体(CAR)が、本明細書で提供される。
【0646】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0647】
別の態様において、第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、第1のキメラポリペプチドが、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含み、第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、システムが、本明細書で提供される。
【0648】
第2のキメラポリペプチドは、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。
【0649】
いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号7に記載の配列を含む。
【0650】
いくつかの実施形態において、VL鎖配列は、配列番号8に記載の配列を含む。
【0651】
いくつかの実施形態において、第1の細胞外抗原結合ドメインは、配列番号9に記載の配列を含む。
【0652】
いくつかの実施形態において、CARは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む。
【0653】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0654】
いくつかの実施形態において、VHは、配列番号17に記載の配列を含む。
【0655】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1は、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2は、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0656】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0657】
別の態様において、第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
第1のキメラポリペプチドが、プライミング受容体を含み、
第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含み、細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、システムが、本明細書で提供される。
【0658】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0659】
別の態様において、第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
第1のキメラポリペプチドが、プライミング受容体を含み、
第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含み、第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、システムが、本明細書で提供される。
【0660】
いくつかの実施形態において、VHは、配列番号17に記載の配列を含む。
【0661】
別の態様において、第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
第1のキメラポリペプチドが、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含み、
第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むCARを含む、システムが、本明細書で提供される。
【0662】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、N末端からC末端に、
第1の細胞外抗原結合ドメインと、
1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む、第1の膜貫通ドメインと、
ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含み、第1の細胞外抗原結合ドメインによるALPG/Pの結合は、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位における切断をもたらす。
【0663】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、第1の細胞外抗原結合ドメインと第1の膜貫通ドメインとの間に配置された第1のヒンジドメインを更に含む。
【0664】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジドメインは、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む。
【0665】
いくつかの実施形態において、第1のヒンジは、配列番号18に記載の配列を含む。
【0666】
いくつかの実施形態において、第1の膜貫通ドメインは、Notch1膜貫通ドメインを含む。
【0667】
いくつかの実施形態において、第1の膜貫通ドメインは、配列番号19に記載の配列を含む。
【0668】
いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、HNF1a/p65ドメインまたはGal4/VP64ドメインを含む。
【0669】
いくつかの実施形態において、細胞内ドメインは、配列番号23に記載の配列を含む。
【0670】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、第1の膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間に移行阻止配列を更に含む。
【0671】
いくつかの実施形態において、移行阻止配列は、配列番号20に記載の配列を含む。
【0672】
いくつかの実施形態において、プライミング受容体は、配列番号24に記載の配列を含む。
【0673】
いくつかの実施形態において、CARは、N末端からC末端に、
第2の細胞外抗原結合ドメインと、
第2の膜貫通ドメインと、
細胞内共刺激ドメインと、
細胞内活性化ドメインと、を含む。
【0674】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
CDR-H1は、配列番号10に記載の配列を含み、
CDR-H2は、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3は、配列番号12に記載の配列を含む。
【0675】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0676】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、メソテリン(MSLN)に特異的に結合し、細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、
CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
CDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0677】
いくつかの実施形態において、VH鎖配列は、配列番号17に記載の配列を含む。
【0678】
いくつかの実施形態において、CARは、第2のヒンジドメインを含む。
【0679】
いくつかの実施形態において、第2のヒンジドメインは、CD8αまたは切断型CD8αヒンジドメインを含む。
【0680】
いくつかの実施形態において、第2の膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメインを含む。
【0681】
いくつかの実施形態において、細胞内共刺激ドメインは、4-1BBドメインを含む。
【0682】
いくつかの実施形態において、細胞内活性化ドメインは、CD3ζドメインを含む。
【0683】
いくつかの実施形態において、CARは、配列番号30または31に記載の配列を含む。
【0684】
いくつかの実施形態において、標的細胞が、ALPG/P及びMSLNを発現する場合、プライミング受容体及びCARは、同じ標的細胞に結合することが可能である。
【0685】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、ヒト細胞である。
【0686】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞である。
【0687】
いくつかの実施形態において、がん細胞は、固形がん細胞または液体がん細胞である。
【0688】
いくつかの実施形態において、がん細胞は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である。
【0689】
別の態様において、メソテリン(MSLN)に結合する単離された抗体またはそれらの抗原結合断片であって、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、本明細書で提供される。
【0690】
いくつかの実施形態において、VHH鎖配列は、配列番号13に記載の配列を含む。
【0691】
一態様において、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0692】
一態様において、配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0693】
一態様において、配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0694】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である。
【0695】
いくつかの実施形態において、核酸は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0696】
いくつかの実施形態において、核酸は、shRNAである。
【0697】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0698】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号49に記載の配列を含む。
【0699】
いくつかの実施形態において、核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0700】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0701】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0702】
いくつかの実施形態において、核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0703】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0704】
いくつかの実施形態において、核酸は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0705】
いくつかの実施形態において、核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0706】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、第1の抗原に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列と、第2の抗原に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列と、を更に含み、第1の抗原及び第2の抗原は異なる。
【0707】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’から3’方向に、CAR;本明細書に開示される核酸;及びプライミング受容体を含む。
【0708】
いくつかの実施形態において、核酸は、5’から3’方向に、プライミング受容体;本明細書に開示される核酸;及びCARを含む。
【0709】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームを更に含み、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームは、宿主細胞染色体における挿入部位と相補的である。
【0710】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、5’相同性指向性修復アーム及び3’相同性指向性修復アームを含む。
【0711】
いくつかの実施形態において、組換え核酸は、発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている。
【0712】
いくつかの実施形態において、発現カセットまたは発現ベクターは、組換え核酸の上流の構成的プロモーターを更に含む。
【0713】
一態様において、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0714】
一態様において、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸と、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸と、を含む、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0715】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸は、shRNA、siRNA、dsRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0716】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸は各々、shRNAである。
【0717】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0718】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号49に記載の配列を含む。
【0719】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0720】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0721】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0722】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0723】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0724】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0725】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0726】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0727】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0728】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0729】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0730】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームを更に含み、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームは、宿主細胞染色体における挿入部位と相補的である。
【0731】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、5’相同性指向性修復アーム及び/または3’相同性指向性修復アームを含む。
【0732】
いくつかの実施形態において、第1の核酸及び第2の核酸は、単一核酸上にコードされている。
【0733】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、5’相同性指向性修復アームを含み、第2の核酸は、3’相同性指向性修復アームを含む。
【0734】
いくつかの実施形態において、第1の核酸及び第2の核酸は、異なる核酸上にコードされている。
【0735】
いくつかの実施形態において、核酸は、第1の抗原に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体をコードするヌクレオチド配列と、第2の抗原に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列と、を更に含み、第1の抗原及び第2の抗原は異なる。
【0736】
いくつかの実施形態において、核酸は、5’から3’方向に、CAR;第1の核酸;第2の核酸;及びプライミング受容体を含む。
【0737】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている。
【0738】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、発現カセットまたは発現ベクター内に組み込まれている。
【0739】
いくつかの実施形態において、第1の核酸及び第2の核酸は、単一発現カセットまたは単一発現ベクター内に組み込まれている。
【0740】
いくつかの実施形態において、発現カセットまたは発現ベクターは、第1の核酸の上流及び/または第2の核酸の上流の構成的プロモーターを更に含む。
【0741】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、非ウイルスベクターである。
【0742】
一態様において、本明細書に開示される組換え核酸(複数可)を含む、発現ベクターが、本明細書で提供される。
【0743】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、非ウイルスベクターである。
【0744】
いくつかの実施形態において、組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端は、初代細胞のゲノム内の挿入部位に隣接するゲノム配列と相同である1つ以上のヌクレオチド配列を含む。
【0745】
いくつかの実施形態において、挿入部位は、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座またはゲノムセーフハーバー(GSH)遺伝子座に位置する。
【0746】
いくつかの実施形態において、GSH遺伝子座は、GS94遺伝子座である。
【0747】
一態様において、免疫細胞であって、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、を含む、免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0748】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である。
【0749】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である。
【0750】
一態様において、免疫細胞であって、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である、第2の核酸配列と、を含む、免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0751】
一態様において、免疫細胞であって、少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、第2の核酸配列と、を含む、免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0752】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸は、shRNA、siRNA、dsRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0753】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の核酸は、shRNAである。
【0754】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0755】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号49に記載の配列を含む。
【0756】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0757】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0758】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0759】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0760】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0761】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0762】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0763】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸は、配列番号99または104に記載の配列を含む。
【0764】
いくつかの実施形態において、第1の核酸は、免疫細胞におけるFASの発現を、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0765】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFASの発現は、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0766】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0767】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるPTPN2の発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0768】
いくつかの実施形態において、第2の核酸は、免疫細胞におけるTOXの発現を、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0769】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるTOXの発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0770】
いくつかの実施形態において、FAS、PTPN2及び/またはTOXの発現は、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される。
【0771】
いくつかの実施形態において、核酸アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む。
【0772】
いくつかの実施形態において、タンパク質アッセイは、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む。
【0773】
いくつかの実施形態において、細胞は、第1の抗原に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、第2の抗原に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)と、を更に含む。
【0774】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代ヒト免疫細胞である。
【0775】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、T細胞、γδT細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞、T細胞前駆体または誘導多能性幹細胞(iPSC)である。
【0776】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、初代T細胞である。
【0777】
いくつかの実施形態において、初代免疫細胞は、初代ヒトT細胞である。
【0778】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ウイルスフリーである。
【0779】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、自己免疫細胞である。
【0780】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0781】
一態様において、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、初代免疫細胞が、組換え核酸(複数可)を初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、初代免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0782】
一態様において、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、初代免疫細胞が、組換え核酸を初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、初代免疫細胞が、本明細書で提供される。
【0783】
一態様において、リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、ウイルスフリー生存初代細胞が、本明細書で提供される。
【0784】
一態様において、リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、ウイルスフリー生存初代細胞が、本明細書で提供される。
【0785】
いくつかの実施形態において、細胞は、第1の抗原に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、第2の抗原に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)と、を更に含み、第1の抗原及び第2の抗原は異なる。
【0786】
一態様では、本明細書に開示される複数の免疫細胞を含む細胞の集団が、本明細書で提供される。
【0787】
一態様において、本明細書に開示される免疫細胞または本明細書に開示される細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0788】
一態様において、本明細書に開示される組換え核酸、本明細書に開示される1つ以上の組換え核酸または本明細書に開示されるベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0789】
一態様において、免疫細胞を編集する方法であって、
リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を提供することであって、RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、組換え核酸(複数可)が、本明細書に開示される組換え核酸(複数可)を含み、組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、免疫細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、提供することと、
RNP-組換え核酸(複数可)複合体を免疫細胞内に非ウイルス的に導入することであって、ガイドRNAが、初代免疫細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、ヌクレアーゼドメインが、標的領域を切断して、免疫細胞のゲノムにおける挿入部位を作成する、非ウイルス的に導入することと、
免疫細胞を、免疫細胞のゲノムにおける挿入部位内への本明細書に開示される組換え核酸(複数可)の挿入を介して編集することと、
を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0790】
いくつかの実施形態において、非ウイルス的に導入することは、エレクトロポレーションを含む。
【0791】
いくつかの実施形態において、ヌクレアーゼドメインは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(Cas)、任意にCas9ヌクレアーゼを含む。
【0792】
いくつかの実施形態において、細胞のゲノムの標的領域は、T細胞受容体アルファ定常(TRAC)遺伝子座またはゲノムセーフハーバー(GSH)遺伝子座である。
【0793】
いくつかの実施形態において、組換え核酸(複数可)は、二本鎖組換え核酸(複数可)または一本鎖組換え核酸(複数可)である。
【0794】
いくつかの実施形態において、組換え核酸(複数可)は、直鎖組換え核酸(複数可)または環状組換え核酸(複数可)であり、任意選択で、環状組換え核酸(複数可)は、プラスミドである。
【0795】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代ヒト免疫細胞である。
【0796】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、自己免疫細胞である。
【0797】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0798】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、T細胞、γδT細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、初代T細胞、T細胞前駆体または誘導多能性幹細胞(iPSC)である。
【0799】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代T細胞である。
【0800】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、初代ヒトT細胞である。
【0801】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、ウイルスフリーである。
【0802】
いくつかの実施形態において、方法は、患者から免疫細胞を得ることと、プラスミドを組換え核酸で導入することと、を更に含む。
【0803】
一態様において、対象における疾患を治療する方法であって、対象に、本明細書に開示される免疫細胞(複数可)または本明細書に開示される薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0804】
いくつかの実施形態において、疾患は、がんである。
【0805】
いくつかの実施形態において、がんは、固形がんまたは液体がんである。
【0806】
いくつかの実施形態において、がんは、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌、子宮癌、中皮腫、子宮頸癌または膵癌である。
【0807】
いくつかの実施形態において、細胞(複数可)の投与は、免疫応答を増強する。
【0808】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、適応免疫応答である。
【0809】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、自然免疫応答である。
【0810】
一態様において、対象における免疫応答を増強する方法であって、対象に、本明細書に開示される免疫細胞(複数可)または本明細書に開示される薬学的組成物を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0811】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、適応免疫応答である。
【0812】
いくつかの実施形態において、増強免疫応答は、自然免疫応答である。
【0813】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFASの発現は、第1の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0814】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるPTPN2の発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0815】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるTOXの発現は、第2の核酸を含まない対照細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減される。
【0816】
いくつかの実施形態において、免疫細胞におけるFAS、PTPN2及び/またはTOXの発現は、核酸アッセイまたはタンパク質アッセイによって決定される。
【0817】
いくつかの実施形態において、核酸アッセイは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、RT-qPCR、マイクロアレイ、遺伝子アレイまたはRNAseqのうちの少なくとも1つを含む。
【0818】
いくつかの実施形態において、タンパク質アッセイは、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む。
【0819】
いくつかの実施形態において、方法は、対象に、免疫療法を、免疫細胞と同時にまたは免疫細胞後に投与することを更に含む。
【0820】
一態様において、修飾された細胞であって、細胞が、対応する未修飾の細胞に対して、FAS遺伝子の低減された発現及び/またはFAS遺伝子の産物の低減された機能を有するように修飾されており、任意選択で、修飾された細胞が、造血細胞である、修飾された細胞が、本明細書で提供される。
【0821】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、対応する未修飾の細胞に対して、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または少なくとも1つの第2の遺伝子の産物の低減された機能を有するように更に修飾されている。
【0822】
一態様において、修飾及び操作された細胞であって、操作された細胞が、対応する未修飾の操作された細胞に対して、FAS遺伝子の低減された発現及び/またはFAS遺伝子の産物の低減された機能を有するように修飾されており、任意選択で、修飾及び操作された細胞が、異種免疫受容体を発現するように操作されている、修飾及び操作された細胞が、本明細書で提供される。
【0823】
いくつかの実施形態において、修飾及び操作された細胞は、対応する未修飾の操作された細胞に対して、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または少なくとも1つの第2の遺伝子の産物の低減された機能を有するように更に修飾されている。
【0824】
一態様において、修飾された細胞であって、細胞が、(a)FAS遺伝子の低減された発現及び/またはFAS遺伝子の産物の低減された機能、ならびに(b)少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または少なくとも1つの第2の遺伝子の産物の低減された機能を有するように修飾されており、各々の遺伝子の低減された発現が、対応する未修飾の細胞に対してのものであり、任意選択で、修飾された細胞が、造血細胞である、修飾された細胞が、本明細書で提供される。
【0825】
いくつかの実施形態において、発現を低減するための修飾は、FAS遺伝子及び任意選択で少なくとも1つの第2の遺伝子を破壊するように、細胞のゲノムを遺伝子操作することを含む。
【0826】
いくつかの実施形態において、遺伝子操作は、ヌクレアーゼ媒介性編集を含み、任意選択で、ヌクレアーゼ媒介性編集は、CRISPR/Cas9媒介性編集を含む。
【0827】
いくつかの実施形態において、発現を低減するための修飾は、FAS遺伝子及び任意選択で少なくとも1つの第2の遺伝子のRNAi媒介性ターゲティングを含み、任意選択で、RNAi媒介性ターゲティングは、ショートヘアピン型RNA(shRNA)媒介性ノックダウンを含む。
【0828】
いくつかの実施形態において、RNAi媒介性ターゲティングは、FAS遺伝子及び任意選択で少なくとも1つの第2の遺伝子のノックダウンを媒介することが可能であるRNAポリヌクレオチドを発現するように細胞を操作することを含む。
【0829】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、造血細胞を含む。
【0830】
いくつかの実施形態において、造血細胞は、造血幹細胞を含む。
【0831】
いくつかの実施形態において、造血細胞は、免疫細胞を含む。
【0832】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、適応免疫細胞、自然免疫細胞、T細胞、NK細胞、マクロファージを含む。
【0833】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、操作された細胞を含む。
【0834】
いくつかの実施形態において、操作された細胞は、異種受容体を発現するように操作されている。
【0835】
いくつかの実施形態において、異種受容体は、免疫受容体を含む。
【0836】
いくつかの実施形態において、異種免疫受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体またはNK細胞受容体を含む。
【0837】
いくつかの実施形態において、操作された細胞は、T細胞またはT細胞への分化が可能な細胞を含み、異種受容体は、内因性TCR遺伝子座、任意選択で、T細胞受容体アルファ(TRAC)遺伝子座内に挿入されている。
【0838】
いくつかの実施形態において、異種受容体は、1つ以上の抗原結合ドメインを含み、任意選択で、1つ以上の抗原結合ドメインは、腫瘍抗原またはがんに関連する抗原に結合することが可能である。
【0839】
いくつかの実施形態において、FAS遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能は、対応する未修飾の細胞に対して、修飾された細胞の少なくとも1つの特性を改善する。
【0840】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞が、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または機能を有するように更に修飾されているときに、FAS遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能、ならびに少なくとも1つの第2の遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能は、FAS遺伝子の発現及び/または機能のみを低減するように修飾された対応する細胞に対して、修飾された細胞の少なくとも1つの特性を改善する。
【0841】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞が、少なくとも1つの第2の遺伝子の低減された発現及び/または機能を有するように更に修飾されているときに、FAS遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能、ならびに少なくとも1つの第2の遺伝子またはその発現産物の低減された発現及び/または機能は、少なくとも1つの第2の遺伝子の発現及び/または機能のみを低減するように修飾された対応する細胞に対して、修飾された細胞の少なくとも1つの特性を改善する。
【0842】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの特性は、改善された増殖能力を含む。
【0843】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの特性は、FAS媒介性アポトーシスからの改善された保護を含む。
【0844】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、免疫細胞を含み、少なくとも1つの特性は、改善された免疫エフェクター細胞機能を含む。
【0845】
いくつかの実施形態において、改善された免疫エフェクター細胞機能は、増加した相対的エフェクター分子発現、産生及び/または分泌を含む。
【0846】
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、T細胞を含み、エフェクター分子は、IFNγ、TNFアルファ、グランザイムB及びFASLからなる群から選択される1つ以上の分子を含む。
【0847】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、異種表面抗原を発現するように操作されており、任意選択で、異種表面抗原は、異種表面抗原を発現するように操作されていない対応する修飾された細胞に対して、操作及び修飾された細胞の標的枯渇を媒介することが可能である。
【0848】
一態様において、対象における免疫応答を刺激する方法であって、対象に、本明細書に開示される修飾された細胞のうちのいずれか1つを投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0849】
一態様において、対象におけるがんを治療する方法であって、対象に、本明細書に開示される修飾された細胞のうちのいずれか1つを投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0850】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、対象に関して自己である。
【0851】
いくつかの実施形態において、修飾された細胞は、対象に関して同種である。
【0852】
一態様において、1つ以上の組換え核酸であって、生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドと、をコードする、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0853】
いくつかの実施形態において、第1の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号1に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号2に記載の配列を含み、CDR-H3は、配列番号3に記載の配列を含み、CDR-L1は、配列番号4に記載の配列を含み、CDR-L2は、配列番号5に記載の配列を含み、かつCDR-L3は、配列番号6に記載の配列を含む。
【0854】
いくつかの実施形態において、第2の細胞外抗原結合ドメインは、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、CDR-H1は、配列番号14に記載の配列を含み、CDR-H2は、配列番号15に記載の配列を含み、かつCDR-H3は、配列番号16に記載の配列を含む。
【0855】
一態様において、少なくとも15ヌクレオチド長の少なくとも1つの核酸配列をコードする1つ以上の組換え核酸であって、少なくとも1つの核酸配列が、(1)配列番号39に記載の配列を含むヒトFas細胞表面死受容体(FAS)をコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列、(2)配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である第2の核酸配列、及び(3)配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第3の核酸配列のうちの1つ以上を含む、1つ以上の組換え核酸が、本明細書で提供される。
【0856】
いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸配列は、少なくとも16、17、18、19、20、21または22ヌクレオチド長である。
【0857】
いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸配列は、ショートヘアピン型RNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0858】
いくつかの実施形態において、1つ以上の組換え核酸は、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である第2の核酸配列と、を含む。
【0859】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0860】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号49に記載の配列を含む。
【0861】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、免疫細胞におけるFASの発現を、第1の核酸配列を含まない対照免疫細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0862】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0863】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0864】
いくつかの実施形態において、第2の核酸配列は、免疫細胞におけるPTPN2の発現を、第2の核酸配列を含まない対照免疫細胞と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%または99%低減する。
【0865】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号42~71に記載の配列からなる群から選択される配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号72~97に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0866】
いくつかの実施形態において、第1の核酸配列は、配列番号49に記載の配列を含み、第2の核酸配列は、配列番号82に記載の配列を含む。
【0867】
いくつかの実施形態において、核酸(複数可)は、配列番号168、167及び166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0868】
いくつかの実施形態において、第3の核酸配列は、配列番号98~125に記載の配列からなる群から選択される配列を含む。
【0869】
一態様において、本明細書に開示される組換え核酸(複数可)を含む、1つ以上の発現ベクター(複数可)が、本明細書で提供される。
【0870】
一態様において、本明細書に開示される1つ以上の組換え核酸(複数可)を含む、細胞が、本明細書で提供される。
【0871】
いくつかの実施形態において、細胞は、初代ヒト免疫細胞である。
【0872】
一態様において、本明細書に開示される組換え核酸(複数可)と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物が、本明細書で提供される。
【0873】
一態様において、対象における標的細胞を阻害する方法であって、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドと、キメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、CARが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含む、第2のキメラポリペプチドと、を含む、細胞を投与することを含む、方法が、本明細書で提供される。
【0874】
一態様において、対象における標的細胞を阻害する方法であって、方法が、少なくとも15ヌクレオチド長の少なくとも1つの核酸配列を含む細胞を投与することを含み、少なくとも1つの核酸配列が、(1)配列番号39に記載の配列を含むヒトFas細胞表面死受容体(FAS)をコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列、(2)配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的である第2の核酸配列、及び(3)配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第3の核酸配列のうちの1つ以上を含む、方法が、本明細書で提供される。
【0875】
いくつかの実施形態において、標的細胞は、がん細胞であり、任意選択で、固形がん細胞または液体がん細胞である。
【0876】
別の態様において、対象における疾患を治療する方法であって、本明細書に開示される細胞を対象に投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【実施例】
【0877】
以下は、本発明を実行するための具体的な実施形態の実施例である。実施例は、例示的な目的のためにのみ提供され、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して精度を保証するように努力がなされてはいるが、当然のことながら、いくらかの実験誤差及び偏差が許容されるべきである。
【0878】
本開示の実践には、別段の指示がない限り、当該技術分野の技能の範囲内で、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法、及び薬理学の従来の方法が用いられる。そのような技法は、文献で十分に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N. Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington‘s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0879】
実施例1:ALPG/P及びMSLN論理ゲートの産生及びインビトロ特徴付け
材料及び方法
インビトロ研究のための非ウイルスT細胞操作。
T細胞を、正常ドナーのLeukopak(STEMCELL Technologies)から得た末梢血単核細胞(PBMC)から、Lymphoprep(STEMCELL Technologies)及びEasySepヒトT細胞単離キット(STEMCELL Technologies)を使用して濃縮した。続いて、T細胞を、3%ヒトAB血清(Gemini Bio)及び12.5ng/mlのヒトIL-7及びIL-15(Miltenyiプレミアムグレード)を補充したTexMACS培地(Miltenyi 130-197-196)中で、CD3/CD28 Dynabeads(ThermoFisher、40203D)で1:1のビーズ対細胞比で活性化し、37℃、5% CO2で48時間培養した後、エレクトロポレーションを行った。
【0880】
CRISPR RNPを、5:1:3:6の体積比で、120μMの、DNA配列GAGCCATGCTTGGCTTACGA(GS94、配列番号307)を標的とするsgRNA(Synthego)、62.5μMのsNLS-SpCas9-sNLS(Aldevron)及びP3緩衝液(Lonza)を組み合わせることによって調製し、室温で15分間インキュベートした。用量滴定実験によって決定された最適量のプラスミドDNA(0.25~3マイクログラムの範囲)を、3.5μlのRNPと混合した。T細胞をカウントし、ビーズ除去し、90×Gで10分間遠心分離し、サプリメントを添加して10^6細胞/14.5μlのP3で再懸濁した(Lonza)。14.5μlのT細胞懸濁液をDNA/RNP混合物に添加し、Lonza 384ウェルのNucleocuvetteプレートに移し、コードEH-115のLonza HT Nucleofectorシステムでパルス処理した。細胞を室温で15分間休ませた後、12.5ng/mlのヒトIL-7及びIL-15(Miltenyiプレミアムグレード)を補充したTexMACS培地中の96ウェルプレート(Sarstedt)に移した。
【0881】
導入遺伝子発現を、抗Myc抗体(Cell Signaling Technologyクローン9B11)及び抗Flag抗体(RnD系、クローン1042E)で染色することによって検出し、Attune NxTフローサイトメーター上で分析した。使用した他の抗体は、live/dead Fixable Near-IR(Thermo Fisher)、TCRアルファ/ベータ抗体(BioLegendクローンIP26)、CD4抗体(BioLegendクローンRPA-T4)、CD8抗体(BioLegendクローンSK1)であった。
【0882】
FLAGタグMSLN CAR1:抗MSLNヒトVH-CD8aヒンジ-CD8a-TMD-4-1BB共刺激ドメイン-CD3z活性化ドメイン。
【0883】
FLAGタグMSLN CAR3:抗MSLNヒトVHH-CD8aヒンジ-CD8a-TMD-4-1BB共刺激ドメイン-CD3z活性化ドメイン。
【0884】
MycタグALPG/Pプライミング受容体:抗ALPG/P scFv-CD8aヒンジ-Notch1 TMD-Notch1 STS-HNF1aDBD-p65活性化ドメイン。
【0885】
T細胞刺激
2つのドナーからのT細胞を、ALPG/Pプライミング受容体とのCARフォーマット組み合わせでの2つの異なるMSLNバインダーの論理ゲートシステムを発現するように、インビトロ方法製造プロセスを使用して操作した。LG1は、ALPG/Pプライミング受容体との組み合わせでのMSLN CAR1であり、LG3は、ALPG/Pプライミング受容体との組み合わせでのMSLN CAR3である。T細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、LG1またはLG3を発現するT細胞を計数し、2e4総T細胞を、96ウェル丸底プレートの1ウェルごとに、IL-7及びIL-15を有さない200μLの培地中に蒔いた。操作されたT細胞を、単独で(「静止T細胞」条件)または抗CD3/抗CD28 Dynabeadsとともに1:5のビーズ:細胞比で(「+TCR刺激」条件)、テクニカルレプリケートにおいて蒔いた。T細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、37℃で24時間インキュベートした。24時間の共培養後に、T細胞を、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて分析する。
【0886】
デュアル抗原依存性死滅インビトロアッセイ
2つのドナーからのT細胞を、LG1またはLG3(またはマッチした構成的CAR対照)を発現するように、非ウイルス製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、段階希釈し、その後、96ウェル平底白壁アッセイプレートに付加した。T細胞の段階希釈は、1e4標的細胞が付加された後の1ウェル当たりの以下の共培養KI+エフェクター:標的(E:T)比、3:1、1:1、1:3、1:9、1:27及び1:81を、テクニカルレプリケートにおいてもたらす。各々のT細胞集団を、プライミング抗原ALPG及び細胞溶解抗原MSLN発現の異なる組み合わせを有した以下の4つの異なるK562、K562、K562-ALPG、K562-MSLN及びK562-ALPG/MSLNとともに共培養した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【0887】
細胞毒性動態
3つのドナーからのT細胞を、LG1またはLG3(またはマッチした構成的CAR対照)を発現するように、非ウイルス製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、段階希釈し、その後、ポリ-L-リジンで予めコーティングされた96ウェル平底透明アッセイプレートに付加した(室温で50μL/ウェル、30分間吸引し乾燥させた)。T細胞の段階希釈は、6e3 K562-ALPG/MSLN標的細胞を各々のウェルに穏やかに付加した後の以下の共培養KI+エフェクター:標的(E:T)比、3:1、1:1及び1:3を、テクニカルレプリケートにおいてもたらした。アネキシンV染料を、アッセイ培地中に含めて、アポトーシス細胞を標識した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、30分間室温で撹乱せずに定着させ、その後、通気性フィルムで覆った。次いで、プレートを、Incucyteライブセルイメージャーにおいてロードし、2時間ごとに72時間イメージングして、経時的な細胞毒性活性を、K562s及びアネキシンVアポトーシスマーカーにおけるGFPシグナルを測定することによって追跡した。
【0888】
サイトカイン産生
サイトカイン産生を、ALPG及びMSLNの異なる組み合わせを発現するように操作されたK562腫瘍細胞との細胞毒性アッセイ(「インビトロでのデュアル抗原依存性死滅」を参照されたい)の共培養ウェルから採取された上清中で評価した。上記の細胞毒性アッセイにおける1:1のKI+E:Tのウェルから72時間で収集された上清を、Luminexアッセイを使用して、IL-2産生について分析した。
【0889】
患者関連レベルのALPG及びMSLNのためのモデル細胞株操作
論理ゲートT細胞との全ての共培養実験において使用されたK562標的細胞を、標的抗原及びタンパク質を有する構築物を発現するように、レンチウイルスを介して操作した。細胞発現を、卵巣癌原発性腫瘍試料において典型的に見出されるレベルまでのプライミング抗原ALPG及び細胞溶解抗原MSLN発現のレベルとマッチさせた。親K562細胞を、ATCCから調達した。Lenti-X 293T細胞を、Fugene HD(Promega #E2312)を使用して、導入遺伝子発現ベクター、ならびにウイルスパッケージングプラスミドpsPAX2及びpMD2.Gでトランスフェクションすることを介して、汎親和性VSV-Gシュードタイプ化レンチウイルスを産生した。レンチウイルスを、Lenti-X Concentrator(Takara Bio #631231)を使用して更に濃縮した。アッセイにおいて使用された全てのK562細胞を、GFP及びルシフェラーゼの両方を発現する「EFG」構築物を含有するレンチウイルスで形質導入した。GFPを、選別マーカーとして、形質導入された細胞の純粋な集団をFACS ARIA IIでのFACS選別を介して生成するために使用し、かつ標的細胞のためのマーカーとして、フローまたはIncucyteベースのアッセイにおいて使用し、ルシフェラーゼ遺伝子を、細胞毒性アッセイを読み出すために使用した。
【0890】
K562-EFG株を選別及びバンクした後に、細胞株を、プライミング抗原ALPG及び細胞溶解抗原MSLNの組み合わせを発現するように更に形質導入した。バイシストロニック発現のための2A配列によって分離された、ALPGを発現するか、MSLNを発現するか、またはALPG及びMSLNを一緒に発現するレンチウイルス構築物を、K562-EFG株を形質導入するために使用した。
【0891】
CAR発現誘導のためのプライミング受容体感受性アッセイ
1つのドナーからのT細胞を、LG3と同じ正確なPrimeRを有するLG1を発現するように、上記の操作方法を使用して操作した。活性化後9日目に、LG1 T細胞を計数し、2e4総T細胞を、96ウェル丸底プレートの1ウェルごとに、IL-7及びIL-15を有さない200μLの培地中に蒔いた。操作されたT細胞を、単独で(「T細胞単独」条件)、またはK562-ALPG低もしくはK562-ALPG高細胞とともに1:1のKI+E:Tで、テクニカルレプリケートにおいて蒔いた。T細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養後に、T細胞を、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて分析する。生存T細胞をフロー分析においてFlowJoを使用して特異的に分析するために、K562における生存率染料及びGFP発現を使用して、死細胞及び標的細胞をゲーティングにおいて除外した。
【0892】
次に、SKOV3-WT細胞を使用するインビトロストレスモデルを使用した。2つのドナーからのT細胞を、LG1またはLG3(またはマッチした構成的CAR対照)を発現するように、上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目にクライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、96ウェル平底白壁アッセイプレートに、1:1のKI+E:Tで、ALPG及びMSLNを内因性発現する1e4 SKOV3卵巣癌細胞とともに付加した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。上清を、72時間で収集し、Luminexアッセイを使用して、IFNγ及びIL-2産生について分析した。
【0893】
原発性及び転移性がん試料における発現
適応症特異的試料における抗原レベルを評価するために、原発性及び転移性卵巣癌腫瘍試料における論理ゲート標的抗原ALPG(プライミング抗体)及びMSLN(細胞溶解抗原)の発現を、IHC分析を介して評価した。原発性卵巣癌腫瘍試料(n=22)及び転移性(n=11)を、IHCを介して、ALPG及びMSLN発現について分析し、各々の試料を、各々の抗原が陽性である腫瘍細胞のパーセントについて、抗原発現の強度に加えてスコア化した。
【0894】
不均一性細胞毒性アッセイ
回路T細胞による完全腫瘍排除を誘導するために必要なプライム抗原陽性細胞の最小の割合を評価するために、腫瘍抗原不均一性が直接制御された細胞毒性アッセイを開発した。2つのドナーからのT細胞を、LG1またはLG3(またはマッチした構成的CAR対照)を発現するように、上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、96ウェル丸底透明アッセイプレートに、1:1のKI+E:Tで、異なるレベルのプライミング抗原不均一性をモデル化するために様々な比で混合された1e4 K562-MSLN及びK562-ALPG/MSLNとともに付加した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【0895】
可溶性タンパク質阻害アッセイ
MSLNは、細胞から可溶性形態(sMSLN)でシェディングされ、sMSLNは、シンクとして作用することができ、がん細胞の表面上に提示されるMSLNへの抗MSLN CAR T細胞による結合を阻害することができ、したがって、標的細胞死滅を阻害することができる。追加的に、可溶性タンパク質CA125は、MSLNと相互作用することが既知であり、抗MSLNバインダー及びCARが、CA125結合によって排除され得るエピトープを標的とする場合、それらの結合を遮断することができる。候補抗MSLN CAR設計を、生理学的に関連するレベルで見出されるsMSLN及びCA125による阻害に抵抗する能力について、漸増レベルの可溶性タンパク質をCAR T細胞とMSLN陽性標的がん細胞との共培養中に滴定し、T細胞活性化/標的死滅を測定するアッセイを使用してスクリーニングすることができる。K562-ALPG/MSLN標的細胞及びIL-2サイトカイン産生をT細胞活性化の尺度として使用するアッセイを開発して、可溶性タンパク質による抗MSLN CAR T細胞阻害を、CA125による阻害を示すM912 CARで検出した。可溶性タンパク質CAR阻害アッセイを、構成的CAR T細胞対照を使用して検証した後に、次いで、アッセイを使用して、論理ゲートLG1及びLG3を試験した。
【0896】
2つのドナーからのT細胞を、LG1またはLG3(またはマッチした構成的CAR対照)を発現するように、上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、96ウェル平底透明アッセイプレートに、1:1のKI+E:Tで、2e4 K562-ALPG/MSLN標的細胞とともに、可溶性CA125またはsMSLNの可変濃度の存在下で付加した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、37℃で48時間インキュベートした。上清を、48時間で収集し、Luminexアッセイを使用して、IL-2産生について分析した。
【0897】
結果
T細胞編集及び刺激
アッセイの図を
図1に示す。結果を、
図2に示す。「静止T細胞」条件において、両方の論理ゲート(LG1及びLG3)を発現するT細胞は、刺激の非存在下で、PrimeR発現を示したが、最小のCAR発現を示した(
図2)。抗CD3/抗CD28 Dynabeadsを介するTCR刺激の際に、そのときに活性化されたT細胞は、「静止T細胞」条件における同じT細胞に対して増加したPrimeR MFI及び%PrimeR+を示した(
図2)。しかしながら、TCR刺激は、CARも発現するPrimeR+細胞のパーセントを増加させなかった。これらの結果は、LG1及びLG3からのCARの発現が、強いTCR及び共刺激シグナル伝達の状況においてでも、PrimeR抗原への結合に依存することを示す。
【0898】
インビトロでのデュアル抗原依存性死滅
両方の論理ゲートは、インビトロでのデュアル抗原依存性死滅を実証する。論理ゲート1または論理ゲート3で操作されたT細胞を、プライミング抗原ALPG及び細胞溶解抗原MSLNの両方を発現するがん細胞への細胞毒性応答を特異的に認識し活性化するようにプログラムした。論理ゲートT細胞のデュアル抗原特異性は、細胞溶解抗原を発現する健常な組織とのオンターゲットオフ腫瘍交差反応に起因して毒性を引き起こし得る従来の構成的CAR T細胞と対照的である。構成的抗MSLN CARを発現するT細胞は、K562-MSLN及びK562-ALPG/MSLN細胞の両方を死滅させたが(
図3C及び3D)、論理ゲート発現T細胞からの細胞毒性は、デュアル抗原K562-ALPG/MSLNに特異的であり(
図3D)、最も高いE:T比であっても、単一抗原陽性K562-ALPGまたはK562-MSLN細胞株に対する最小の活性を実証した(
図3B及び3C)。細胞毒性は、RNPのみの陰性対照T細胞から観察されなかった(
図3A)。腫瘍特異的活性は、論理ゲート発現T細胞において観察された(
図3D)。オンターゲットオフ組織毒性が、K562-MSLN細胞株に対して、CARのみのT細胞において観察された(
図3C)。まとめると、このデータは、細胞溶解抗原陽性細胞に対する論理ゲートT細胞からの細胞毒性が、プライミング抗原ALPGも存在する共培養条件に制限されたことが実証する。
【0899】
細胞毒性動態
論理ゲート1は、インビトロでの論理ゲート3よりも速い死滅動態を実証した。K562-ALPG/MSLN標的細胞とのT細胞共培養の動的イメージングは、異なる論理ゲートまたはマッチした構成的CAR対照で操作されたT細胞が、それらの標的を異なる動態で死滅させることを明らかにした。構成的CAR1またはCAR3で操作されたT細胞は、標的細胞とともに蒔かれた際に、細胞毒性活性の迅速な開始を示し、CAR1が、最も速い死滅速度を有した。論理ゲートT細胞の細胞毒性は、構成的CAR対照による細胞毒性の開始の約24時間後に開始した。理論によって拘束されることを望むことなく、論理ゲートによる遅延性細胞毒性は、PrimeRが、最初に、その抗原に結合する必要があり、その後、T細胞が、細胞毒性を誘導することが可能である表面レベルに達するのに十分なCAR発現を誘発し得るというそれら機構に基づく可能性があった。論理ゲート1 T細胞は、論理ゲート3 T細胞に対してより迅速かつより完全なK562-ALPG/MSLN標的細胞死滅の両方を示した(
図4)。細胞毒性は、RNPのみの陰性対照T細胞から観察されなかった。論理ゲート3 T細胞に対して論理ゲート1 T細胞による死滅のより速い動態は、論理ゲート1がより強力な候補であることを示すT細胞活性化及び標的死滅の他の尺度と良好に対応する。
【0900】
サイトカイン産生
論理ゲートT細胞の特異性及び機能活性を更に実証するために、サイトカイン産生を評価した。細胞毒性データと一致して、論理ゲートT細胞からのサイトカイン産生は、デュアル抗原K562-ALPG/MSLN標的細胞が存在するウェルに制限された(
図5D)。対照的に、構成的CAR対照を有するT細胞は、K562-MSLN(
図5B)またはK562-ALPG/MSLN(
図5D)標的細胞のいずれかとともに共培養されたときに、IL-2を産生した。論理ゲート及び構成的CAR T細胞のどちらも、細胞溶解抗原を発現しなかったK562(
図5A)またはK562-ALPG(
図5C)標的細胞株に応答して、IL-2を産生しなかった。RNPのみの陰性対照T細胞は、いずれもの標的細胞株とともに共培養されたときに、サイトカインを産生しなかった(
図5A)。理論によって拘束されることを望むことなく、これらのデータは、論理ゲートT細胞の機能的出力が、プライミング及び細胞溶解抗原の両方が存在する条件に制限されるという仮説を更に支持する。
【0901】
患者関連レベルのALPG及びMSLNのためのモデル細胞株操作
K562-ALPG、K562-MSLN及びK562-ALPG/MSLN株を、ALPG及びMSLNの両方の内因性抗原発現を有するATCCから調達された膵癌細胞株であるASPC-1細胞株とマッチした抗原発現レベルを有するように、FACSを介して生成した。選別後の確立されたK562株及びASPC-1細胞株対照上のALPG及びMSLN発現のフローサイトメトリーベースの評価は、FACSが、対照とマッチした発現を有する操作されたK562株を生成することに成功したことを示す(
図6A及び7A)。重要なことに、(NSGマウス及びホルマリン固定から採取された)ASPC-1細胞である細胞ペレット及び異種移植片腫瘍試料の両方におけるALPG及びMSLN発現のIHC分析は、同じ実験において分析された原発性卵巣癌腫瘍試料におけるこれらの抗原の低中程度の発現レベルとマッチすることが見出された(
図6B及び7B)。まとめると、このデータは、これらのアッセイにおいて使用されたK562標的株が、典型的な卵巣癌患者腫瘍試料において見出されるレベルとマッチする生理学的に関連するレベルの標的抗原ALPG及びMSLNを発現することを支持する。
【0902】
CAR発現誘導についてのプライミング受容体感受性アッセイ
次に、CAR誘導アッセイを使用して、低密度のALPGへのこのPrimeRの感受性を評価した。抗ALPGバインダーPrimeRは、AsPC-1参照ラインよりも4倍低いALPGレベルに感受性であった。LG1及びLG3の両方が、抗ALPGバインダーと同じPrimeRを使用する。K562-ALPG
高及びK562-ALPG
低細胞株を、AsPC-1参照腫瘍細胞株の抗原発現とマッチするように生成した。機能アッセイにおいて使用されたK562-ALPG/MSLN標的細胞を、CAR誘導アッセイにおいて使用されたK562-ALPG
高株とマッチしたALPG発現を有するように選別した。K562-ALPG
高株上のALPG表面分子の定量化は、参照細胞株と比較してより多数の抗原がこれらの細胞上に存在することを示す(
図8A、8B、8C)。対照的に、K562-ALPG
低株は、「高」株よりも明確に低いALPG発現を示し、抗原定量化は、K562-ALPG
低株が、参照ASPC-1細胞株よりも4倍低いALPG発現を有することを示す(
図8A、8B、8C)。したがって、K562-ALPG
低株は、生理学的に関連し、かつヒトがん患者における卵巣癌腫瘍において見出されるもののレベル未満である可能性があるALPG発現を有する。重要なことに、LG1及び抗ALPGバインダーPrimeRで操作されたT細胞は、K562-ALPG
低及びK562-ALPG
高細胞の両方に応答して、等価なプライム依存性CAR誘導レベルを示す(
図8C)。理論によって拘束されることを望むことなく、これらの結果は、LG1 T細胞が、ヒトがん患者からの卵巣癌腫瘍試料において典型的に見出される発現のレベル以下のALPGレベルに応答して、CAR発現を誘導することが可能であることを実証し、腫瘍ALPG密度が、ALPG+/MSLN+がん細胞を排除するLG1 T細胞の能力を制限する因子でないことを示唆する。
【0903】
次に、SKOV3-WT細胞を使用するインビトロストレスモデルを使用して、2つの候補論理ゲートで操作されたT細胞が、低いかつ不均一なALPG及びMSLN発現を有するSKOV3卵巣癌細胞株にどのように応答するかを評価した(
図9A及び9B)。理論によって拘束されることを望むことなく、LG1及びLG3が、同じPrimeRを使用するが、各々、異なるMSLNバインダーで構築された41BBζベースのCARの発現を誘導することを考慮すると、異なるデュアル抗原陽性標的細胞へのこれらの論理ゲートT細胞による応答における差異は、異なる回路内の2つのMSLN CARの異なる活性によって駆動され得る。興味深いことに、両方のドナーにおいて、試験されたLG1 T細胞は、SKOV3標的細胞に応答して、LG3 T細胞よりも有意に多いサイトカインを産生し、効果は、IL-2について特に顕著であった(
図9C及び9D)。追加的に、LG1を発現するT細胞は、構成的CAR1 T細胞よりも有意に多いサイトカインを(同様に、IL-2についてより顕著に)産生した(
図9C及び9D)。理論によって拘束されることを望むことなく、このデータは、LG1 T細胞が、低いかつ不均一なALPG及びMSLN発現を有する卵巣癌標的細胞に応答して、強いサイトカイン産生を誘導することが可能であることを示唆する。
【0904】
原発性及び転移性がん試料における発現
原発性及び転移性卵巣癌の両方のほぼ全ての試料が、MSLNを発現することが見出され、原発性腫瘍試料の大部分が、MSLNを、がん細胞の100%上で発現した(
図10B)。プライミング抗原ALPGの発現はまた、全ての転移性においてではないが、患者試料の大部分において見出された(
図10A)。ALPGは、ほとんどの卵巣癌試料において存在したが、ALPGを発現する各々の試料内のがん細胞のパーセントは、多くの患者について、MSLNよりも不均一であることが見出された。ALPGが陽性であった試料は全て、5%超のALPG+であり、ほとんどが、少なくとも10%のALPG+がん細胞を含有した。したがって、ALPG及びMSLNは、大部分の卵巣癌患者試料において共発現され、MSLN発現は、多くの試料における全ての細胞上でより均一に現れ、ALPGは、存在するが、より不均一に発現される。
【0905】
不均一性細胞毒性アッセイ
腫瘍は、がん細胞の不均一な混合物であり、この不均一性は、抗原発現に及ぶ。2つの抗原をANDゲート様式で標的とすることによって、PrimeR/CAR論理ゲート回路は、腫瘍ターゲティング対健常な組織の精度を改善することによって、既存のがん療法に対して、毒性副作用を有意に低減する潜在性を有する。しかしながら、このより特異的なターゲティングでは、これらの回路が、プライミング抗原を少数の細胞上でのみ発現し、これが多くの患者腫瘍の場合である可能性がある不均一な腫瘍を排除することが可能であるかどうかが問われている。このアッセイの結果は、両方の論理ゲートが、わずか5%のプライミング抗原陽性がん細胞(ALPG)までの完全な標的細胞排除を実証することを実証し、LG1は、最も少ないプライミング抗原の存在下で、最も強力な応答を示す(
図10C)。構成的CAR対照T細胞は、ALPG発現にかかわらず、全てのMSLN+標的細胞条件を等しく良好に死滅させた。細胞毒性は、RNPのみの陰性対照T細胞から観察されなかった。卵巣癌患者試料における抗原発現を分析するIHCデータと一緒にまとめると、プライミング抗原不均一性細胞毒性アッセイの結果は、論理ゲートT細胞が、プライミング抗原を少数の細胞上でのみ発現するがん細胞の不均一な集団を除去することが可能であることを実証する。
【0906】
可溶性タンパク質アッセイ
LG1及びLG3(またはそれらのマッチした構成的CAR対照)のいずれも、生理学的に関連するレベルの可溶性CA125またはsMSLNによって阻害されなかった(
図11A及び11B)。RNP T細胞は、陰性対照について予想されるように、サイトカイン放出を示さなかった。これらの結果は、LG1及びLG3の両方が、卵巣癌患者において遭遇し得るレベルの可溶性CA125及びsMSLNによる阻害に対して耐性であるCARを含有することを示す。
【0907】
実施例2:ALPG/P及びMSLN論理ゲートのインビボ特徴付け
材料及び方法
2つのドナーからのT細胞を、LG1またはLG3(またはマッチした構成的CAR対照)を発現するように、実施例1における上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。品質管理(QC)アッセイのために、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。次に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析して、KI%を評価した。
【0908】
K526デュアル側腹部インビボ研究
NSGダブルMHC KO(NSG DKO)株(Jackson Laboratories、025216)に、1e6に移植し、50%のMatrigel溶液中のK562-MSLN細胞及びK562-ALPG/MSLN細胞を、それぞれ、左側腹部及び右側腹部上に移植した。K562細胞接種の3日後に、マウスを、マッチした腫瘍サイズを有する治療群に、ルシフェラーゼシグナルを測定して操作された腫瘍細胞を定量化するための生物発光イメージング(BLI)を使用してランダムに割り当て、1治療条件当たり7匹のマウスを割り当てた。ステージ分類及び正規化の同じ日に、操作されたT細胞及びマッチしたRNP対照を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。K562移植後4日目に、各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。マウスに、5e6 KI+T細胞を、尾静脈を介して静脈内注射した。両側の腫瘍体積を、週2回、キャリパーを介して、体重とともに監視した。
【0909】
MSTO
NSGダブルMHC KO(NSG DKO)株(Jackson Laboratories、025216)に、1e6を移植し、ALPG及びMSLNをASPC-1参照株とマッチするレベルで発現するように操作された、50%のMatrigel溶液中のMSTO-211H細胞の各々を移植した。MSTO細胞接種の9日後に、マウスを、マッチした腫瘍サイズを有する治療群に、キャリパー測定に基づいてランダムに割り当て、1治療条件当たり7匹のマウスを割り当てた。ステージ分類及び正規化の同じ日に、操作されたT細胞及びマッチしたRNP対照を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。MSTO移植後10日目に、各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。マウスに、2e6、7e5または2.3e5 KI+T細胞を、尾静脈を介して静脈内注射した。腫瘍体積を、週2~3回、キャリパーを介して、体重とともに監視した。
【0910】
結果
デュアル側腹部インビボ実験モデルオンターゲットオフ腫瘍毒性は、健常な臓器によってそのような正常組織を表す細胞溶解性のみを発現する腫瘍でも発現される腫瘍抗原を標的とする構成的CAR T細胞で臨床的に観察された。これらの実験において、K562
MSLN腫瘍は、MSLNを発現する健常な臓器(例えば、中皮膜)をモデル化し、反対側の側腹部上のK562
ALPG/MSLN腫瘍は、卵巣癌腫瘍をモデル化した。LG1またはLG3のいずれかを発現するT細胞は両方、デュアル抗原K562
ALPG/MSLN腫瘍細胞の特異的死滅を示し、オフターゲットK562
MSLN腫瘍細胞に対する測定可能な活性を有さなかった(
図12A~F)。各々の図において、下の線は、示されるT細胞での治療後の腫瘍体積を示し、上の線は、対照T細胞での治療後の腫瘍体積を示す。構成的CARでの治療後のK562
MSLN腫瘍及びK562
ALPG/MSLN腫瘍における腫瘍体積を、それぞれ、
図12A及び12Bに示す。LG1での治療後のK562
MSLN腫瘍及びK562
ALPG/MSLN腫瘍における腫瘍体積を、それぞれ、
図12C及び12Dに示す。LG3での治療後のK562
MSLN腫瘍及びK562
ALPG/MSLN腫瘍における腫瘍体積を、それぞれ、
図12E及び12Fに示す。LG1 T細胞は、LG3 T細胞よりも強力なオンターゲット抗腫瘍活性を実証した。したがって、LG1及びLG3の両方は、操作されたT細胞が、ALPG+/MSLN+腫瘍を特異的に標的とし、死滅させ、同じマウスにおいて数センチのみ離れて存在するMSLN+腫瘍を無視するように指示した。これらの実験の結果は、どのように論理ゲートT細胞を使用して、インビボでのデュアル抗原腫瘍を特異的に標的とすることができるかを示す。
【0911】
2e6 LG1またはLG3 T細胞の用量は、操作されたMSTO-2H11ALPG/MSLN異種移植片腫瘍モデルにおいて、強力な腫瘍死滅及び完全応答を誘導した。固形腫瘍に対するCAR効力は、LG1またはLG3論理ゲートT細胞で増強された。低用量、ストレス用量及び高用量T細胞投与応答を、それぞれ、
図13A、13B及び13Cに示す。構成的LG1 MSLN-CAR発現を有する7e5従来CAR-T細胞のストレス試験用量では、腫瘍成長は、部分的にのみ阻害された(
図13B)。対照的に、ALPG PrimeR論理ゲートT細胞(LG1またはLG3 T細胞のいずれも)は、同じ用量でより優れた腫瘍成長阻害をもたらした(
図13B)。追加的に、論理ゲート発現T細胞は、フローサイトメトリーを介する採取された血液中の操作されたT細胞の計数に基づいて、血液試料において、構成的発現CAR-Tと比較してより堅牢な増殖を示した(
図13D)。末梢血中で見出されたT細胞のフロー分析は、論理ゲートT細胞からの最小のCAR発現を示し、これは、CAR発現及び活性をオンターゲット腫瘍に制限する論理ゲートの忠実度を実証した(
図14A~14D)。したがって、論理ゲートは、構成的CARに対して、CAR T細胞の特異性及び安全性を、それらの活性をプライミング抗原の存在においてゲートすることによって増強するのみでなく、T細胞療法の効力も増加させた。
【0912】
実施例3:インビトロでのshRNAの特徴付け
材料
mRNAレベルノックダウン(qPCR)
少なくとも2つのドナーからのT細胞を、FMC63 CARを単独で、または示されるFAS、TOX、PTPN2もしくはZC3H12A shRNAモジュールとともに発現するように操作した。ドナーからのT細胞を、Leukopackから単離し、活性化した(0日目)。活性化の48時間後に、T細胞を操作した(2日目)。T細胞を操作するために、GS94を標的とするsgRNAを、室温で10分間、sNLS-SpCas9-sNLSヌクレアーゼと複合体形成させ、リボ核タンパク質混合物を形成した。FMC63 CAR単独、またはFAS、TOX、PTPN2もしくはZC3H12A shRNAモジュール及び補充されたPrimaryP3溶液を含有するプラスミドを、リボ核タンパク質に付加し、混合した。混合物を、活性化されたT細胞に付加し、エレクトロポレーションに供した。エレクトロポレーション後に、操作されたT細胞を、12.5ng/mLのIL-7及びIL-15が補充された新鮮な培地を使用して回収した。3日目及び5日目に、操作されたT細胞を、12.5ng/mLのIL-7及びIL-15が補充された新鮮な培地で補完した。
【0913】
編集の6日後に、磁気濃縮を、Dynabeads MyOne Streptavidin T1及びビオチン化抗EGFRt抗体を使用して実行した。編集されたT細胞の高純度の集団を溶解し、mRNAを、Dynabeads mRNA Direct Purification Kitを使用して抽出した。抽出後に、mRNAを、Quant-it RiboGreen RNA Assay Kitを使用して定量化し、mRNAを使用して、cDNAを、SuperScript IV First-Strand Synthesisキットで合成した。次いで、cDNAを使用して、リアルタイム定量的逆転写PCRを、TaqMan Fast Advanced Master Mix、ならびにRPL13A、FAS、PTPN2、ZC3H12A及びTOX TaqManアッセイで実行した。
【0914】
タンパク質レベルノックダウン(フローサイトメトリー)
少なくとも2つのドナーからのT細胞を、FMC63 CARを単独でまたは示されるFAS shRNAモジュールとともに発現するように、R&D製造プロセスを使用して操作した。編集の6日後に、T細胞を、EGFRt及びFAS発現のために、抗EGFRt PE及び抗FAS AF647をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTフローサイトメーターにおいて分析した。相対的FAS発現を、EGFRt+細胞についてのFASのgMFIをEGFRt-細胞で割ったものの比を得ることによって定量化した。次いで、この値を、対照群の相対的FAS発現に正規化して、ノックダウンを計算した。
【0915】
デュアルshRNAノックダウンのためのT細胞操作
T細胞を、正常ドナーのLeukopak(STEMCELL Technologies)から得た末梢血単核細胞(PBMC)から、Lymphoprep(STEMCELL Technologies)及びEasySepヒトT細胞単離キット(STEMCELL Technologies)を使用して濃縮した。続いて、T細胞を、3%ヒトAB血清(Gemini Bio)及び12.5ng/mlのヒトIL-7及びIL-15(Miltenyiプレミアムグレード)を補充したTexMACS培地(Miltenyi 130-197-196)中で、CD3/CD28 Dynabeads(ThermoFisher、40203D)で1:1のビーズ対細胞比で活性化し、37℃、5% CO2で48時間培養した後、エレクトロポレーションを行った。
【0916】
CRISPR RNPを、DNA配列GAGCCATGCTTGGCTTACGA(GS94、配列番号307)を標的とする120μMのsgRNA(Synthego)、62.5μMのsNLS-SpCas9-sNLS(Aldevron)及びP3緩衝液(Lonza)を、5:1:3:6の体積比で組み合わせることによって調製し、15分間室温でインキュベートした。用量滴定実験によって決定された、目的のshRNA(複数可)をコードする最適化された量(0.5~3マイクログラムの範囲)のプラスミドDNAを、3.5μlのRNPと混合した。T細胞をカウントし、ビーズ除去し、90×Gで10分間遠心分離し、サプリメントを添加して10^6細胞/14.5μlのP3で再懸濁した(Lonza)。14.5μlのT細胞懸濁液をDNA/RNP混合物に添加し、Lonza 384ウェルのNucleocuvetteプレートに移し、コードEH-115のLonza HT Nucleofectorシステムでパルス処理した。細胞を室温で15分間休ませた後、12.5ng/mlのヒトIL-7及びIL-15(Miltenyiプレミアムグレード)を補充したTexMACS培地中の96ウェルプレート(Sarstedt)に移した。
【0917】
3つのドナーからのT細胞を、抗メソテリン(MSLN)CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNAモジュール、FAS shRNA、FAS-TOX shRNA、TOX-PTPN2 shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、ZC3H12A-PTPN2もしくはFAS-NR4A1 shRNAのいずれかとともに発現するように、上記の非ウイルスエレクトロポレーション方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。凍結保存前に、各々の条件からの細胞のアリコートを採取し、T細胞を、EGFRt及びCAR発現のために、抗EGFRt及び抗mycをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて分析した。
【0918】
shRNAの配列及び例示的なshRNA-mirモジュールを、以下及び配列表で提供する。
【0919】
FAS_11:TTAAGAATCTTTTCAAACACTA(配列番号49)
【0920】
FAS_13:TAATCTTAATCTTTCATCCTCT(配列番号51)
【0921】
PTPN2_14:TCTGACAAGAGCTTCACACTGA(配列番号82)
【0922】
PTPN2_1:TATAATACGACTTCACATCTTC(配列番号72)
【0923】
TOX_9:TGAGTCTCCAAACAGAACAG(配列番号104)
【0924】
TOX_4:TATGACTGCTACATCAAGCCAT(配列番号99)
【0925】
ZC3H12A:TTATTAAGAAGCATCTTGCTTA(配列番号126)
【0926】
NR4A1:TTAATCAGAAAAGTCACATACT(配列番号144)
【0927】
FAS_11-PTPN_14 shRNA-miRモジュール:GTAAGTCGACTCGTTGGATCCCCACTACCCGGATCAACGCCCTAGGTTTATGTTTGGATGAACTGACATACGCGTATCCGTCTTAAGAATCTTTTCAAACACTAGTAGTGAAATATATATTAAACTAGTGTTTGAAAAGATTCTTATTACGGTAACGCGGAATTCGCAACTATTTTATCAATTTTTTGCGTCGACACTTCAAGGGGCTTGCGGCCGCAACCATCTCCATGGCTGTTTGAATGAGGCTTCAGTACTTTACAGAATCGTTGCCTGCACATCTTGGAAACACTTGCTGGGATTACTTCGACTTCTTAACCCAACAGAAGGCTCGAGAAGGTATATTGCTGTTGACAGTGAGCGCCAGTGTGAAGCTCTTGTCAGATAGTGAAGCCACAGATGTATCTGACAAGAGCTTCACACTGATGCCTACTGCCTCGGACTTCAAGGGGCTAGAATTCGAGCAATTATCTTGTTTACTAAAACTGAATACCTTGCTATCTCTTTGATACATTTTTACAAAGCTGAATTAAAATGGTATAAATTAAATCACTTTTTCATCTGACCAGTAGTGGACTAGTGTGACGCTGCTGACCCCTTTCTTTCCCTTCTACAG(配列番号157)
【0928】
追加のshRNA miRモジュールを、配列表で提供する。
【0929】
また、T細胞を、ダブルFAS及びPTPN2ノックアウトを有するように操作した。
【0930】
静止条件におけるmRNAノックダウン
4つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、上記の製造プロセスを使用して操作した。編集の6日後に、磁気濃縮を、Dynabeads MyOne Streptavidin T1及びビオチン化抗EGFRt抗体を使用して実行した。編集されたT細胞の高純度の集団を溶解し、mRNAを、Dynabeads mRNA Direct Purification Kitを使用して抽出した。抽出後に、mRNAを、Quant-it RiboGreen RNA Assay Kitを使用して定量化し、mRNAを使用して、cDNAを、SuperScript IV First-Strand Synthesisキットで合成した。次いで、cDNAを使用して、リアルタイム定量的逆転写PCR(RT-qPCR)を、TaqMan Fast Advanced Master Mix、ならびにRPL13A、FAS、PTPN2、TOX及びZC3H12AのためのTaqManアッセイで実行した。
【0931】
静止条件におけるタンパク質ノックダウン
フローサイトメトリー:2つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作した。編集の6日後に、その後、週1回6週間、T細胞を、EGFRt及びFAS発現のために、抗EGFRt PE及び抗FAS FITCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて分析した。相対的FAS発現を、EGFRt+細胞についてのFASのgMFIをEGFRt-細胞で割ったものの比を得ることによって定量化した。次いで、この値を、対照群の相対的FAS発現に正規化した。
【0932】
ウェスタンブロット:4つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作した。編集の6日後に、磁気濃縮を、Dynabeads MyOne Streptavidin T1及びビオチン化抗EGFRt抗体を使用して実行した。次いで、編集されたT細胞の高純度の集団を溶解し沸騰させて、タンパク質を還元し変性させた。総タンパク質を、Pierce BCA Protein Assay Kitを使用して定量化した。次いで、正規化されたライセートをSDS-PAGEゲル内にロードし、実行した。次いで、タンパク質を、ゲルからPVDFメンブレンに移し、ブロックし、RPL13A(対照)、FAS、NR4A1またはPTPN2一次抗体、及びHRPコンジュゲート二次抗体のために染色した。次いで、ブロットを、Bio-Rad ChemiDocでイメージングし、相対的PTPN2発現を定量化した。
【0933】
慢性刺激条件下でのmRNAノックダウン
編集されたCD3+T細胞を、MSLN+K562での14日間の反復刺激に供し、RNA-seqの48時間前に静止させた。
【0934】
FAS媒介性アポトーシス
6つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作した。編集の6日後に、T細胞を、0、0.2、2または20ug/mLの抗FAS活性化抗体とともに、24時間培養した。T細胞を、EGFRt、Live/Dead及びApotrackerで染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて分析した。編集された生存細胞の頻度を、EGFRt+細胞のうちのパーセントLive/Dead- Apotracker-として計算し、次いで、これらの頻度を、0ug/mLの抗FAS活性化抗体を有する対照条件におけるパーセント生存細胞に正規化した。
【0935】
サイトカイン非依存的増殖アッセイ
2つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作した。編集の11日後に、T細胞を、12.5ng/mLのIL-7及びIL-15とともに、または外因性サイトカインの非存在下で培養し、サイトカイン除去後0日目、2日目、4日目及び8日目に、編集された細胞の頻度及び生存細胞の絶対数を定量化した。0日目からの編集された生存細胞における倍率変化を使用して、各々の条件を正規化した。
【0936】
細胞毒性アッセイ
Incucyte:3つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイを実行する前に、細胞を、解凍し、12.5ng/mLのIL-7及びIL-15を含有する培地中で回収した。編集された細胞の頻度を、RNPのみの編集されたT細胞を付加し戻すことによって、最も低い編集効率に正規化した。次いで、T細胞を、CAR標的抗原MSLNを発現するように操作されたまたは操作されていないK562細胞とともに、1対1の比で共培養した。48時間の経過にわたって、細胞培養を、Incucyteを使用してイメージングし、パーセント死滅を、生存K562細胞の数をK562細胞の総数で割り、商を1から引き、100を掛けることによって計算した。
【0937】
ルシフェラーゼ:3つのドナーからのT細胞を、SS1 CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNAモジュールもしくはFAS-PTPN2 shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、CiTE製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイを実行する前に、細胞を、解凍し、12.5ng/mLのIL-7及びIL-15を含有する培地中で回収した。編集された細胞の頻度を、RNPのみの編集されたT細胞を付加し戻すことによって、最も低い編集効率に正規化した。次いで、T細胞を、CAR標的抗原MSLNを発現するように操作されたMSTO細胞とともに、示される比で共培養した。48時間後に、Luc-Screenアッセイを実行し、パーセント標的細胞死滅を、各々の試料についての発光値を腫瘍のみ対照ウェルの発光値で割り、商を1から引き、100を掛けることによって計算した。
【0938】
RSA
3つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNA、FAS-NR4A1 shRNA、FAS-TOX shRNA、FAS-PTPN2 shRNA、PTPN2-TOX shRNAもしくはPTPN2-ZC3H12A shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイを実行する前に、細胞を、解凍し、12.5ng/mLのIL-7及びIL-15を含有する培地中で回収した。編集の6日後に、磁気濃縮を、Dynabeads MyOne Streptavidin T1及びビオチン化抗EGFRt抗体を使用して実行した。濃縮された編集された細胞を、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて、CountBright Plus Absolute Counting Beadsで計数した。85,000個の編集されたT細胞を、96ウェル平底プレートのウェル内に分注し、共培養を、K562を定義されたエフェクター:標的比で分注することによって開始した。最初の濃縮後2、5、7、9及び12日目に、T細胞を、フローサイトメトリーによって定量化し、共培養を、K562細胞をTTP LabTech Dragonfly液体ハンドラーを使用して分注することによって、所望のE:T比に再設定した。最初の濃縮後14日目に、RNAseqを、編集されたT細胞において、上記の抗EGFRt抗体ベースの濃縮を実行し、フローサイトメトリーを使用して、20,000個のT細胞を384ウェルプレートのウェル内に分注し、次いで、インハウス3’バーコード計数バルクRNAseq調製を使用することによって実行した。試料バーコーディングオリゴ-dT逆転写プライマーを、Beckman Echo音響液体ハンドラーを使用して分注し、逆転写を実行し、RT-PCR産物を、Illumina Nextera XTタグメンテーションキットを使用して配列決定ライブラリに変換し、Illumina NovaSeq DNAシーケンサーにおいて配列決定した。14日目の上清からのサイトカイン産生を、EMD Millipore Luminexマルチプレックスサイトカインキットによって定量化した。
【0939】
結果
mRNAレベルノックダウン(qPCR)
FAS、PTPN2、TOX及びZC3H12AのmRNAノックダウンを、
図18A~Dに示す。リアルタイム定量的逆転写PCR結果は、FAS(
図36A)、TOX(
図36C)及びPTPN2(
図36B)に対するshRNA配列が、製造の終了時の編集された細胞における50%超のノックダウンを提供することを示す。ZC3H12Aの最大ノックダウンは、約55%であった(
図36D)。shRNA配列FAS_11、FAS_13、PTPN2_1、PTPN2_14、TOX_9、TOX_4、ZC3H12A_12、ZC3H12A_1、NR4A1_12及びNR4A1_19(図示せず)を、追加の特徴付けのために選択した。
【0940】
タンパク質レベルノックダウン(フローサイトメトリー)
FASを標的とするshRNAモジュールは、製造の終了時の編集された細胞におけるFASタンパク質の50%超のノックダウンを提供した(
図37)。
【0941】
デュアルshRNAノックダウンのためのT細胞操作
編集効率または編集された細胞収率における差異は、製造の終了時に観察されなかった。shRNA-miRモジュールは、9日間の細胞産生中の細胞増殖に影響しなかった(
図15A及び15B)。
【0942】
静止条件におけるmRNAノックダウン
複数のshRNAは、組み合わせで使用されたときに、両方の遺伝子の堅牢な標的遺伝子ノックダウンを実証する(
図16)。FAS-PTPN2モジュールは、静止条件下での編集された細胞におけるFAS及びPTPN2 mRNAの両方の50%超のノックダウンを提供した(
図16)。
【0943】
静止条件におけるタンパク質ノックダウン
FAS、PTPN2及びTOXを標的とするshRNAモジュールは、FASの安定したノックダウンを、静止条件下で、編集後少なくとも7週間提供する(
図17A)。FAS、PTPN2及びNR4A1タンパク質レベルがまた、編集の6日後に有意に低減された(
図17B)。FASタンパク質は、FAS shRNAがPTPN2またはTOXと組み合わされたときに、25%未満に低減され、NR4A1タンパク質は、NR4A1 shRNAがFASと組み合わされたときに、50%未満に低減され、PTPN2タンパク質は、PTPN2 shRNAがFAS、TOXまたはZC3H12A shRNAと組み合わされたときに、約12%または12%未満に低減された。したがって、FAS、PTPN2及びNR4A1についてのshRNA遺伝子ノックダウンは、恒常性条件下で堅牢かつ耐久性であった。
【0944】
慢性刺激条件下でのmRNAノックダウン
標的遺伝子ノックダウンは、慢性刺激にわたって維持された(
図18)。したがって、FAS、PTPN2及びNR4A1についてのshRNA遺伝子ノックダウンは、慢性刺激条件下で堅牢かつ耐久性であった。
【0945】
FAS媒介性アポトーシス
FASを標的とするshRNAモジュールは、FAS媒介性アポトーシスへの少なくとも100倍低減された感受性を提供するのに十分なノックダウンをもたらす(
図19A及び19B)。
図19Aは、shRNAからの、細胞における強いFASノックダウンがあったことを示す。
図19Bは、抗FAS活性化抗体での24時間の治療後の対照shRNAのみを有するT細胞に正規化された場合、FASノックダウンを有するT細胞が、80%超の生存率を保持したことを示す。したがって、FAS shRNA-miRは、T細胞のFAS媒介性アポトーシスに対して保護した。
【0946】
サイトカイン非依存的増殖アッセイ
全ての操作されたT細胞は、サイトカイン支持の非存在下で死滅し、サイトカイン非依存性成長は観察されなかった。したがって、組み合わせshRNAモジュールで操作されたT細胞は、サイトカイン除去後の操作されたT細胞の死によって示される、形質転換の増加したリスクの証拠を示さなかった(
図20)。
【0947】
細胞毒性アッセイ
全てのノックダウン組み合わせは、インビトロでの同一の標的細胞死滅を実証した。組み合わせshRNAモジュールで操作されたT細胞または対照FAS-PTPN2ノックアウト細胞(FAS-PTPN2 dKO)は、標的抗原発現K562細胞株での48時間のIncucyteアッセイにわたって、低減された細胞毒性活性の証拠を示さなかった(
図21)。
【0948】
加えて、全てのshRNAノックダウン組み合わせは、インビトロでの同等の死滅動態を実証した。shRNAノックダウンモジュールで操作されたT細胞が、標的抗原発現MSTO細胞株での48時間のルシフェラーゼアッセイにわたって、低減された細胞毒性活性の証拠を示さなかった(
図22)。
【0949】
RSA
shRNAを介するPTPN2ノックダウンは、慢性抗原刺激中のT細胞増殖を増加させた(
図23)。全てのデュアルshRNAモジュールは、慢性抗原刺激中のIFNγ産生を増加させ、ウィルコクソン検定****=p<0.0001、***=p<0.001、ns=p>0.05である(
図25)。PTPN2ノックダウンT細胞はまた、慢性抗原刺激後に、細胞周期シグネチャを示し(
図24A及び24B)、慢性抗原刺激後に、エフェクターシグネチャを保持した(
図26A及び26B)。
【0950】
したがって、FAS-PTPN2 shRNAモジュールで操作されたT細胞は、無関係の対照遺伝子を標的とするshRNAモジュールを発現する対照操作されたT細胞に対して、約8倍より大きい増殖(
図23)、約2倍より大きいインターフェロンガンマ発現(
図25)、ならびにエフェクターT細胞機能(
図26A及び26B)及び細胞周期(
図24A及び24B)の強いシグネチャを示した。ウィルコクソン検定****=p<0.0001、***=p<0.001、ns=p>0.05。
【0951】
実施例4:インビボでのshRNAの特徴付け
材料
3つのドナーからのT細胞を、MSLN CARを単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNAモジュールもしくはFAS-PTPN2 shRNAモジュールのいずれかとともに発現するように、上記の製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイを実行する前に、細胞を、解凍し、培地中で回収し、RNPのみの編集されたT細胞での最も低い編集効率に正規化した。MSLN CAR単独で、またはデュアルルシフェラーゼ対照shRNAモジュールもしくはFAS-PTPN2 shRNAモジュールのいずれかで操作されたT細胞の有効性を評価するために、インビボアッセイを、中皮腫の皮下モデルにおいて実行した。NSG-MHC I/II dKOマウスに、MSLNを過剰発現するMSTO211H細胞を注射した。MSTO211H細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)及びMatrigelの100μLの1:1懸濁液中で、マウスの右側腹部内に注射した。動物を、治療群に、腫瘍体積に従ってランダム化し、0.25×106、0.5×106及び2×106の用量のT細胞を、尾静脈内に注射した。腫瘍体積を、治療が開始される前に測定し、治療が開始された後に週2回測定し、V=(長さ×幅2)/2として計算した。
【0952】
治療されたマウスの末梢血中のSS1 CAR-T細胞の存在、増殖及び持続性を、マルチパラメトリックフローサイトメトリーによって監視した。50μLの血液を、治療後7日目、14日目、21日目及び28日目に各々のマウスから収集した。血液を、ACK溶解緩衝液で溶解して、赤血球を除去し、マウスCD45及びGR1;ヒトCD3、CD4、CD8a、CCR7、CD27、CD45RA、EGFR、CD95及びFLAGに対する蛍光標識抗体で染色した。次に、標識された試料に、正規化のためのカウントビーズを付加し、その後、フローサイトメトリー分析を、Attuneフローサイトメーターによって行った。収集されたFACSデータを、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
【0953】
脾臓及び腫瘍を、14日目に、高CAR-T用量を注射された各々の群におけるマウスのサブセット(n=3)から単離し、FACを実行して、CAR-T表現型を、特徴付け、定量化した。
【0954】
結果
動物への注入と並行して、各々の条件の表現型分析を実行して、細胞の分化状態を比較した。
図13に示されるように、T細胞におけるshRNAの発現は、DKO FAS/PTPN2修飾を除いて、操作されたT細胞集団におけるCD4もしくはCD8%T細胞パーセンテージ、またはTエフェクター細胞(Te)、Tエフェクターメモリー細胞(Tem)、Tセントラルメモリー細胞(Tcm)もしくはメモリー幹T細胞(Tscm)の相対的量を改変しなかった(
図27)。したがって、shRNAモジュールは、注入前のT細胞の分化状態を改変しなかった。
【0955】
インビボ治療後に、FAS-PTPN2 shRNA-miRモジュールで操作されたT細胞は、改善された腫瘍制御(
図28A)、ならびに末梢血中(
図28B)及び腫瘍内の編集されたT細胞の増加した蓄積を示す。CAR、またはFAS、FAS/TOXもしくはFS/PTPN2 shRNAを発現する編集されたT細胞は、インビボでの腫瘍体積を有意に低減した(
図28A)。FAS-PTPN2 shRNA T細胞はまた、shRNAを有さないCAR T細胞単独と比較して、末梢血中での10倍より大きい増殖及び増強された持続性を示した(
図28B)。したがって、FAS-PTPN2ノックダウンは、T細胞増殖及び腫瘍制御を増加させた。
【0956】
用量実験において、0.5×10
6の用量のFAS-PTPN2 shRNAノックダウンT細胞及びFAS-TOX shRNAノックダウンT細胞は、2×10
6のCAR単独よりも良好なまたはそれと同等の腫瘍制御を示し、これは、腫瘍の同等の制御が用量の4分の1で観察されたことを示した(
図29)。したがって、FAS及びPTPN2またはTOXのノックダウンは、同様の腫瘍治療のためにより低い用量を可能にする。
【0957】
FAS-PTPN2は、エフェクター及び前駆細胞を含む全てのT細胞サブセットの増殖を駆動した。FAS-PTPN2及びFAS-TOXの組み合わせは、脾臓におけるメモリー表現型を有する細胞のより高い頻度及び腫瘍におけるサブセットの同様の割合をもたらした(
図30A及び30B)。
【0958】
更に、試験の経過にわたるマウスの体重によって示されるように、増加したT細胞増殖に関連する全体の毒性の証拠はなかった(
図31)。実験条件のいずれも、マウスの体重減少をもたらさなかった。
【0959】
実施例5:インビトロでのshRNAとALPG/P及びMSLN論理ゲートとの共発現
材料及び方法
デュアル抗原依存性細胞毒性アッセイ
4つのドナーからのT細胞を、shRNAを発現することなく論理ゲート1単独を発現するように、または論理ゲート1とFAS/PTPN2 shRNAカセット(AB-1015、配列番号168)とを組み合わせた完全最適化リード集積回路T細胞(ICT)であるように、非ウイルス製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、段階希釈し、その後、96ウェル平底白壁アッセイプレートに付加した。T細胞の段階希釈は、1e4標的細胞が付加された後の1ウェル当たりの以下の共培養KI+エフェクター:標的(E:T)比、3:1、1:1、1:3、1:9及び1:27を、テクニカルレプリケートにおいてもたらす。各々のT細胞集団を、K562-MSLN及びK562-ALPG/MSLNとともに共培養した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。PrimeR及びCAR発現を、各々の受容体の抗原のタグ付きバージョンでの一次染色を使用して定量化し、次いで、これを、蛍光コンジュゲート二次抗体で検出し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0960】
静止条件におけるタンパク質ノックダウン
フローサイトメトリー:2つのドナーからのT細胞を、LG1(ALPG/Pプライミング受容体及びMSLN CAR)を単独で(LG1 HTLV対照)またはFAS-PTPN2 shRNAモジュールとともに発現するように、製造プロセスを使用して操作した。編集の5日後に、T細胞を、ALPG/P及びFAS発現のために、ALPG-AF647及び抗FAS FITCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTにおいて分析した。相対的FAS発現を、フローサイトメトリーヒストグラムに示す。
【0961】
結果
ALPG/P及びMSLN論理ゲートとFAS/PTPN2 shRNAとの共発現は、インビトロでの論理ゲート忠実度及び効力を維持した。
図32に示されるように、論理ゲート及びshRNAを発現するT細胞のインキュベーションは、CAR抗原のみを発現するK562-MSLN細胞の溶解を誘導しなかった。しかしながら、プライミング受容体標的ALPGを発現するK562細胞とのインキュベーションは、標的細胞の有意な用量依存的溶解をもたらし、標的細胞の100%が、最も高い比で溶解した。したがって、shRNAと論理ゲートとの共発現は、プライミング受容体及びCARの機能に影響しなかった。
【0962】
加えて、shRNAはまた、shRNAを有さないLG1対照細胞に対して強いFASノックダウンを実証した(
図33)。したがって、プライミング受容体及びCARとshRNAとの共発現は、shRNAの機能に影響しなかった。
【0963】
実施例6:インビボでのshRNAとALPG/P及びMSLN論理ゲートとの共発現
材料及び方法
2つのドナーからのT細胞を、LG1及びFAS/PTPN2 shRNA(AB-1015、配列番号168)、またはLG1及びFAS/TOX shRNAを発現するように、実施例1における上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。品質管理(QC)アッセイのために、同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。次に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析して、KI%を評価した。
【0964】
K526デュアル側腹部インビボ研究
NSGダブルMHC KO(NSG DKO)株(Jackson Laboratories、025216)に、1e6に移植し、50%のMatrigel溶液中のK562-MSLN細胞及びK562-ALPG/MSLN細胞を、それぞれ、左側腹部及び右側腹部上に移植した。K562細胞接種の3日後に、マウスを、マッチした腫瘍サイズを有する治療群に、ルシフェラーゼシグナルを測定して操作された腫瘍細胞を定量化するための生物発光イメージング(BLI)を使用してランダムに割り当て、1治療条件当たり7匹のマウスを割り当てた。ステージ分類及び正規化の同じ日に、操作されたT細胞及びマッチしたRNP対照を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。K562移植後4日目に、各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。マウスに、5e6 KI+T細胞を、尾静脈を介して静脈内注射した。両側の腫瘍体積を、週2回、キャリパーを介して、体重とともに監視した。
【0965】
結果
LG1回路内へのFAS/PTPN2 shRNAの組込みは、LG1+デュアルLuc shRNA制御回路に対してより大きい抗腫瘍効力及び等価の忠実度を、インビボで、デュアル腫瘍NSGモデルにおいてもたらした(
図34A(ドナー2)及び34B(ドナー3))。腫瘍低減は、CAR抗原MSLNのみを発現する細胞に対して観察されなかった。腫瘍体積における低減は、腫瘍細胞がALPG及びMSLNの両方を発現したときに観察された。より大きい腫瘍体積低減は、操作されたT細胞がFAS/PTPN2 sRNAを共発現したときに、ALPG/MSLN論理ゲートのみと比較して観察された(
図34A及び34B)。
【0966】
LG1+FAS/TOX shRNA回路は、LG1+FAS/PTPN2回路と同様の忠実度及び抗腫瘍効力を、インビボで、デュアル腫瘍NSGモデルにおいて示した(
図35A(ドナー2)及び35B(ドナー3))。腫瘍低減は、CAR抗原MSLNのみを発現する細胞に対して観察されなかった。腫瘍体積における低減は、腫瘍細胞がALPG及びMSLNの両方を発現したときに観察された。より大きい腫瘍体積低減は、操作されたT細胞がFAS/TOX shRNAまたはFAS/PTPN2 sRNAを共発現したときに観察された。同様の腫瘍体積低減が、FAS/TOX shRNAまたはFAS/PTPN2 shRNAのいずれかを共発現するT細胞での治療後に観察された(
図35A及び35B)。
【0967】
実施例7:卵巣腫瘍モデルにおけるインビボアッセイ
3つのドナーからのT細胞を、LG1(ALPG/Pプライミング受容体及びMSLN CAR)と、FAS-PTPN2 shRNAモジュールと、を含む、AB-1015カセットを発現するように、実施例1における上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。品質管理(QC)アッセイのために、同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。操作されたT細胞を、計数し、プライミング受容体及びCAR発現のために、ALPG-AF647及びMSLN-Bio一次/ストレプトアビジン-PE二次をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析して、KI%を評価した。
【0968】
NSGダブルMHC KO(NSG DKO)株(Jackson Laboratories、025216)に、1e7細胞を腹腔内移植し、ALPG及びMSLNを発現するOVCAR3-ALPG卵巣癌適応症特異的細胞株の各々を、腹腔内移植した。
図56Aに示されるように、腫瘍細胞接種の5日後に、マウスを、マッチした腫瘍サイズを有する治療群に、OVCAR3-ALPG標的細胞によって発現されたルシフェラーゼの生物発光測定に基づいてランダムに割り当て、1治療条件当たり10匹のマウスを割り当てた。ステージ分類及び正規化の同じ日に、操作されたT細胞及びマッチしたRNP対照を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。卵巣癌細胞株移植後6日目に、マウスに、7.5e6KI+T細胞(またはマッチした総数のRNP対照細胞)を、尾静脈を介して静脈内注射した。腫瘍体積を、週2~3回、発光測定を介して、体重とともに監視した。
【0969】
図56Bに示されるように、AB-1015 T細胞(LG1+FAS-PTPN2 shRNAモジュール)は、卵巣癌細胞株腫瘍モデルにおける腫瘍死滅及び腫瘍成長の阻害を誘導した。AB-1015 T細胞は、RNP対照細胞と比較して増加した腫瘍成長阻害をもたらした。追加的に、
図56Cは、AB-1015 T細胞での治療が、体重減少をもたらさず、マウスによって十分に許容されたことを示す。理論によって拘束されることを望むことなく、完全LG1+FAS/PTPN2回路で操作されたT細胞は、インビボマウス異種移植片腫瘍実験における卵巣癌特異的モデルに対する強力な応答を駆動する。
【0970】
実施例8:FAS及び他の遺伝子のノックダウン及びノックアウトは、操作された造血細胞のプロファイルを改善する
方法
追加の遺伝子との組み合わせでのFASノックアウト(KO)アッセイ
CD8 T細胞を、CD3/CD28磁気ビーズで48時間刺激した。500,000個の細胞を、Lonza384ウェルNucleofectorシステムを製造業者の説明書に従って使用して、単一遺伝子または2つの遺伝子の組み合わせの第1のコードエクソンを標的とする複合型Cas9/crRNA/tracrRNA RNPでトランスフェクトした。crRNAライブラリは、合計18個の個別の遺伝子を標的とし、これらの遺伝子は、全てのペアワイズ組み合わせで、合計171個の独立した条件について実行された。各々の条件を、テクニカルレプリケートにおいて、2つの独立したドナーにおいて実行し、実験を2回実行した。示されるデータは、両方の実験からの累積結果である。RNPでのトランスフェクション後に、細胞を、4日間静止させ、次いで、CD3/CD28磁気ビーズで、5:1のビーズ対細胞比で刺激した。トランスフェクション後の第1の刺激の2、5、7、9及び12日後に、ビーズを除去し、細胞を、フローサイトメトリーによって計数し、CD3/CD28ビーズとともに、5:1のビーズ対細胞比で再度蒔いた。アッセイの終了時に、生存T細胞の量を、フローサイトメトリーによって定量化し、上清中のサイトカイン及び他のエフェクター分子のレベルを、nPlex ELISAによって定量化した。
【0971】
shRNAノックダウンアッセイ
CAR T細胞を、ビオチン化抗EGFRt(クローン528 Thermo)及びストレプトアビジンコンジュゲート磁気ビーズ(MyOne T1 Dynabeads)を使用して濃縮した。その後、濃縮されたT細胞(70%以上のEGFRt+)を溶解し、全RNAを、Dynabeads mRNA DIRECT Kitを製造業者のプロトコルに従って使用して抽出した。精製されたRNAを、Ribogreen Quant-ITを使用して定量化し、正規化し、その後、cDNA合成を、SuperScript IV第一鎖合成システムを使用して行った。次いで、合成されたcDNAを使用して、qRT-PCRを、TaqMan Fast Advanced Master Mix及び各々の対応するshRNA標的のためのTaqManプローブを使用して実行した。RPL13AのためのTaqManプローブを使用して、cDNA入力を更に正規化した。Cq値を取得し、デルタ-デルタ法を使用して、発現を定量化した。パーセントノックダウンを、((1-ddCq)×100)として計算した。
【0972】
FAS媒介性アポトーシスアッセイ
ICT細胞を、解凍し、ALPG-Fc試薬及びタンパク質G結合磁気ビーズを使用して濃縮した。その後、濃縮されたT細胞(約50%のPrimeR+)を、漸増濃度(0、0.2、2、20μg/mL)のFAS架橋抗体クローンCH11とともに22時間培養した。ICT細胞を、ALPG、Apotracker及び生存率色素で染色し、生存細胞頻度を、フローサイトメトリーによって定量化した。生存細胞の相対的頻度を、各々の用量での生存率を、抗FAS抗体を活性化する0ug/mLでの試料に正規化することによって計算した。
【0973】
インビボデュアルノックダウンアッセイ
バルクT細胞を、CTS増殖ビーズ中で2日間活性化し、Cas9タンパク質、crRNA:tracrRNA複合体及びCD19(FMC63-41BBz)HDRテンプレートでのエレクトロポレーションに供して、FAS及び目的の別の遺伝子の組み合わせ欠失を有するまたは有さないTRAC KI CAR T細胞を生成した。エレクトロポレーション後に、細胞を、3%のヒト血清と、組換えIL-7及びIL-15サイトカインと、を含有する、TexMACS中で8日間増殖させた。残存するCD3+細胞は、増殖の4日目に全ての条件が枯渇した。活性化後10日目に、細胞を、収集し、CD3陰性T細胞で正規化し、TexMACS培地中に再懸濁させて、条件にわたって等価な細胞密度及びCAR+頻度を確実にした。2.5e5 CAR T細胞を、ホタルレポーター遺伝子を保有する0.5e6 NALM6白血病細胞を4日前に接種された雄NSG動物(n=7/条件)内に静脈内養子移入した。CAR T細胞の注入の1日前に、NALM6を接種された動物を、生物発光イメージング(BLI)介して、腫瘍負荷について評価して、コホートを適切にランダム化した。動物を、健康な状態の徴候について毎日監視し、BLIを、IVIS Spectrum機器を使用して、週2回測定した。IACUCガイドラインに従って、マウスが瀕死の状態にあることが見出されたときに、マウスを安楽死させた。
【0974】
結果
図38に示されるように、FASをノックアウトすることは、増殖及びエフェクター機能を改善した。FASと追加の遺伝子との組み合わせノックアウトはまた、FAS単独(例えば、FAS単独に対するFAS+遺伝子A/B/C/Dのエフェクター分子産生)または追加の遺伝子(例えば、遺伝子A/B/C単独に対するFAS+遺伝子A/B/Cの増殖)のいずれかに対して、増殖及びエフェクター機能を改善した。
【0975】
図39Bに示されるように、shRNAを使用する、FAS及び追加の標的の堅牢なデュアルノックダウン(50%超)は、維持された導入遺伝子発現と一緒に実証された。shRNA-miRモジュールは、EGFRt導入遺伝子の発現への有害な効果なしに、目的の各々の標的について50%超のノックダウンを提供した。
図39Aは、ノックダウンシステムの図及び例示的なshRNA-CARデュアル構築物の図を提供する。
【0976】
図40Bに示されるように、FASノックダウンは、FAS媒介性アポトーシスからの2倍超改善された保護を提供した。shRNA-miRモジュールは、このアッセイにおいて、FAS媒介性アポトーシスからのほぼ完全な保護を提供した。平均及びSEMは、3つの代表的なドナーについて示される。例示的な対照及びshFASシステムの図を、
図40Aで提供する。
【0977】
図41に示されるように、FASと追加の遺伝子とのデュアルノックダウンは、全身NALM6モデルにおけるCAR T細胞(TRAC遺伝子座内にノックインされたCD19-41BBZ)のインビボ有効性を増強した。FASと追加の遺伝子とのデュアルノックダウンでのマウスの治療は、対照CAR T細胞単独と比較して増加したマウス生存をもたらした。
【0978】
実施例9:追加のshRNA及び論理ゲート構築物の特徴付け
材料及び方法
3つのドナー(ABXFC_ICT 6、9、10)からのT細胞を、3つのLG1及びFAS/PTPN2 shRNA構築物を発現するように、実施例1、3及び4における上記の操作方法を使用して操作した。SS1-CAR及び対照CARベンチマークであるTC-210を発現する対照細胞を、レンチウイルス操作を介して産生した。未治療の細胞(UNT)を、陰性対照として使用した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。品質管理(QC)アッセイのために、操作されたT細胞及び同じドナーからの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。翌日、T細胞を、計数し、洗浄し、Zombie-Aqua生存率色素で染色し、PrimeR及びCAR発現のために、ALPG-AF647及びMSLN-Bio一次/ストレプトアビジン-PE二次をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTで分析して、KI%を評価した。フローサイトメトリーアッセイの結果は、製造後に、AB-X論理ゲート/shRNA構築物が、試験された3つのドナーにおける生存T細胞の10~20%において発現されたことを実証する。
【0979】
構築物を、以下の表1に記載されるように構築した。
図42Aは、構築物レイアウトの図を提供する。
【0980】
【0981】
静止条件におけるmRNAノックダウン
編集の6日後に、磁気濃縮を、Dynabeads MyOne Streptavidin T1及びビオチン化抗EGFRt抗体を使用して実行した。編集されたT細胞の高純度の集団を溶解し、mRNAを、Dynabeads mRNA Direct Purification Kitを使用して抽出した。抽出後に、mRNAを、Quant-it RiboGreen RNA Assay Kitを使用して定量化し、mRNAを使用して、cDNAを、SuperScript IV First-Strand Synthesisキットで合成した。次いで、cDNAを使用して、リアルタイム定量的逆転写PCR(RT-qPCR)を、TaqMan Fast Advanced Master Mix、ならびにFAS及びPTPN2のためのTaqManアッセイで実行した。
【0982】
タンパク質レベルノックダウン(フローサイトメトリー)
編集の6日後に、T細胞を、EGFRt及びFAS発現のために、抗EGFRt PE及び抗FAS AF647をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTフローサイトメーターにおいて分析した。相対的FAS発現を、EGFRt+細胞についてのFASのgMFIをEGFRt-細胞で割ったものの比を得ることによって定量化した。次いで、この値を、対照群の相対的FAS発現に正規化して、ノックダウンを計算した。
【0983】
タンパク質レベルノックダウン(ウェスタンブロット)
編集の6日後に、磁気濃縮を、Dynabeads MyOne Streptavidin T1及びビオチン化抗EGFRt抗体を使用して実行した。次いで、編集されたT細胞の高純度の集団を溶解し沸騰させて、タンパク質を還元し変性させた。総タンパク質を、Pierce BCA Protein Assay Kitを使用して定量化した。次いで、正規化されたライセートをSDS-PAGEゲル内にロードし、実行した。次いで、タンパク質を、ゲルからPVDFメンブレンに移し、ブロックし、PTPN2一次抗体及びHRPコンジュゲート二次抗体のために染色した。次いで、ブロットを、Bio-Rad ChemiDocでイメージングし、相対的PTPN2発現を定量化した。
【0984】
CD4及びCD8比及び増殖
上記の方法に従って作製されたクライオバンクされたT細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。翌日、T細胞を、計数し、洗浄し、Zombie-Aqua生存率色素で染色し、CD4及びCD8のために、ゲーティングのための対照として使用されるFMOで染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTで分析した。
【0985】
メモリー表現型決定
shRNA及び論理ゲート回路で上記のように編集されたドナーT細胞を、フローサイトメトリーによって、細胞表面T細胞サブセットマーカーで表現型的にプロファイリングした。クライオバンクされたT細胞を、解凍し、計数し、洗浄し、Zombie-Aqua生存率色素で染色するか、またはCD4、CD8、CD45RA及びCCR7のために、ゲーティングのための対照として使用されるFMOで染色した。細胞を、フローサイトメトリーによって、Attune NxTで分析した。FlowJoにおいて、単一生存リンパ球を、SSC及びFSCによって選択し、CCR7及びCD45RAの組み合わせによるサブセットプロファイリングを使用して、CD4+及びCD8+亜集団上の幹細胞メモリー-(SCM:CD45RA+CCR7+)、セントラルメモリー-(CD45RA-CCR7+)、エフェクターメモリー-(CD45RA-CCR7-)または末端エフェクター-(TEMRA:CD45RA+CCR7-)T細胞を同定した。
【0986】
CAR変換
2つのドナー(ABXFC_ICT 9、10)からのT細胞を、3つのLG1及びFAS/PTPN2 shRNA構築物を発現するように、上記の製造プロセスを使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。次いで、PrimeR+T細胞を、2日間のMACSベースのプロセスを介して、95%超の純度に濃縮した。次いで、T細胞を計数し、5e4 T細胞を、96ウェル平底プレートの1ウェルごとに、500pg/mLのIL-7及びIL-15を有する200uLの培地中に蒔き、その後、K562ALPG細胞を、1:1のE:T比で、テクニカルレプリケートにおいて付加した。K562ALPG細胞を介するPrimeR抗原刺激前のT細胞単独の試料、ならびに(2~3日ごとの1/2の培地変更を有する)上記の条件における24、96及び144時間の共培養後に収集された試料を、洗浄し、Zombie-Aqua生存率色素で染色し、PrimeR及びCAR発現のために、ALPG-AF647及びMSLN-Bio一次/ストレプトアビジン-PE二次をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTで分析した。CAR変換%=(txにおけるCAR+%/t0におけるPrimeR+%)×100。
【0987】
不均一性細胞毒性アッセイ
3つのドナー(ABXFC_ICT 9、10)からのT細胞を、3つのLG1及びFAS/PTPN2 shRNA構築物を発現するように、上記の製造プロセスを使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからのRNP単独の対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、ALPG-AF647及びMSLN-Bio一次/ストレプトアビジン-PE二次をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTで分析した。各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、96ウェル平底白壁アッセイプレートに、1:1のKI+E:Tで、異なるレベルのプライミング抗原不均一性をモデル化するために様々な比で混合された1×104個のK562MSLN及びK562ALPG/MSLNとともに付加した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【0988】
結果
同様の導入遺伝子ノックイン効率が、構築物の各々で観察された(
図42B)。PrimeRを発現するT細胞は、CAR発現をALPG+標的細胞への曝露の際にゲートする論理ゲートの機能に起因して、最小のCAR発現を有した(
図42C)。これらの結果は、AB-X論理ゲート/shRNA回路構築物を発現するT細胞が、記載される製造プロセスを使用して堅牢に生成されたことを示す。
【0989】
全ての操作されたT細胞についてのKI+集団(またはレンチウイルス集団について形質導入されたもの)、RNPについてのバルクT細胞集団及び形質導入されていない(UNT)対照のCD4/CD8組成を、
図42Dに示す。CD4:CD8比は、全ての論理ゲート/shRNA回路及び論理ゲート単独について同様であった。これらの結果は、論理ゲート及びshRNAモジュールの組込みが、論理ゲート単独と比較して、論理ゲート/shRNA完全回路候補を発現するT細胞のCD4/CD8組成または増殖動態を改変しなかったことを示す(
図42D)。
【0990】
メモリー表現型決定は、レンチウイルスベンチマーク(UNT、TC-210及びSSI-CAR試料)よりも少ない分化を有する、LG1及びFAS/PTPN2 shRNA回路についての一貫した表現型を示した(
図43)。3つ全てのドナーにおいて、両方の亜集団におけるT細胞の主要サブセットがCD45RA及びCCR7の陽性発現を保持していたため(
図43)、編集は末端分化T細胞の増殖に寄与しなかった。これは、編集されたT細胞が、インビボで増殖、生存、及び持続する能力を有することを示す。結果はまた、論理ゲート及びshRNAモジュールの組込みが、論理ゲート単独と比較して、論理ゲート/shRNA完全回路候補を発現するT細胞のメモリー表現型組成を改変しなかったことを示す。したがって、編集されたT細胞は、インビボで増殖、生存、及び持続する能力を有する。
【0991】
全ての構築物は、FAS(
図44A)及びPTPN2(
図44B)の両方の等価のノックダウンを示した。
【0992】
3つの論理ゲート/shRNA回路(AB-1013、AB-1014及びAB-1015)は、ALPG依存性CAR発現を誘導した(
図45)。AB-X論理ゲート/shRNA回路によるALPG依存性CAR変換は、PrimeR抗原での約100時間の刺激後にピークに達し、同様の活性化動態であるが、異なる程度のCAR誘導が、異なる候補者について観察された。AB-1015は、ALPG会合後に、PrimeRシグナルからCAR発現への最も大きい相対的変換を実証した(
図45)。
【0993】
不均一性アッセイにおいて、3つの論理ゲート/shRNA回路は、プライミング抗原不均一標的細胞集団を、様々な効力で死滅させた(
図46)。例えば、AB-1015は、最も少ないプライミング抗原の存在下で、最も強力な応答を示した(
図46)。構成的CAR対照T細胞は、ALPG発現にかかわらず、全てのMSLN+標的細胞条件を等しく良好に死滅させた。細胞毒性は、RNPのみの陰性対照T細胞から観察されなかった。卵巣癌患者試料における抗原発現を分析するIHCデータと一緒にまとめると、プライミング抗原不均一性細胞毒性アッセイの結果は、論理ゲート/shRNA T細胞が、論理ゲートT細胞が、プライミング抗原を少数の細胞上でのみ発現するがん細胞の不均一な集団を除去することが可能であったことを実証する。
【0994】
実施例10:追加のshRNA及びLG回路のインビボ特徴付け
材料及び方法
2つのドナーからのT細胞を、実施例9に記載されるように、3つのLG1及びFAS/PTPN2 shRNA回路を発現するように、実施例1における上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。品質管理(QC)アッセイのために、同じドナーからのRNPのみの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。次に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、抗myc PE及び抗FLAG APCをそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって分析して、KI%を評価した。
【0995】
K526デュアル側腹部インビボ研究
NSGダブルMHC KO(NSG DKO)株(Jackson Laboratories、025216)に、1e6に移植し、50%のMatrigel溶液中のK562-MSLN細胞及びK562-ALPG/MSLN細胞を、それぞれ、左側腹部及び右側腹部上に移植した。K562細胞接種の3日後に、マウスを、マッチした腫瘍サイズを有する治療群に、ルシフェラーゼシグナルを測定して操作された腫瘍細胞を定量化するための生物発光イメージング(BLI)を使用してランダムに割り当て、1治療条件当たり7匹のマウスを割り当てた。ステージング及び正規化の同じ日に、操作されたshRNA+LG1回路T細胞、及びマッチしたCARのみのT細胞、論理ゲートのみのT細胞またはRNP対照を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。K562移植後4日目に、各々のドナーについて、全ての操作されたT細胞集団を、このドナー内の最も低いKI%に、RNPのみの細胞を付加して最も低いKI%超であった操作された集団を希釈することによって正規化した。4日目に、マウスに、7.5×106個のshRNA+LG1回路T細胞、CARのみのT細胞または論理ゲートのみのT細胞を、尾静脈を介して静脈内注射した。両側の腫瘍体積を、週2回、キャリパーを介して、体重とともに監視した。研究を、24日目に終了した。
【0996】
結果
図47A及び47Bに示されるように、CARのみのT細胞は、MSLN/ALPG腫瘍(
図47B)及びMSLNのみの腫瘍(
図47A)の成長を阻害した。したがって、MSLN CAR標的細胞は、MSLNを発現する。
【0997】
加えて、完全shRNA+LG1回路T細胞の各々は、インビボで特異的であり、K562
MSLN/ALPG腫瘍の腫瘍成長を阻害した(
図47D)。完全回路T細胞は、MSLNのみの腫瘍細胞の成長を阻害せず(
図47C)、したがって、デュアルMSLN及びALPG発現細胞への選択性を示した。
【0998】
実施例11:追加のインビトロ特徴付け
材料及び方法
連続刺激アッセイ
LG1回路、完全shRNA+論理ゲート回路、または対照SS1-CARもしくはTC-210を発現する編集されたT細胞を、ALPG-Fc試薬及びタンパク質G Dynabeadsを使用して、70%超の純度に濃縮した。編集されたT細胞を、8.5×104個のT細胞/ウェルの濃度に正規化し、96ウェルプレートにおいて、3%のヒト血清及び50U/mLのヒトIL-2が補充された250μLのTexMACS培地(Miltenyi)中に蒔き、K562を過剰発現するALPG及びMSLNとともに、2:1のエフェクター:標的比で共培養した。培養の開始後2、5、7、9及び12日目に、T細胞及び標的を、フローサイトメトリーによって計数し、ウェルを希釈して、T細胞数を8.5×104に再設定し、新鮮な標的細胞を、必要に応じて付加して、2:1のE:T比に再設定した。T細胞増殖及び標的対照を、それぞれ、共培養におけるT細胞及びK562細胞の累積増殖倍率として定量化した。値は、中央値±SEMである。ウィルコクソン検定****<0.0001、ns>0.05。
【0999】
CAR T細胞との比較アッセイ
3つのドナー(ABXFC_ICT 6、9、10)からのT細胞を、実施例9に記載されるように、3つのLG1及びFAS/PTPN2 shRNA回路を発現するように、実施例1における上記の操作方法を使用して操作した。細胞を、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞及び同じドナーからの対照T細胞を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、操作されたT細胞を、計数し、PrimeR及びCAR発現のために、ALPG-AF647及びMSLN-Bio一次/ストレプトアビジン-PE二次をそれぞれ使用して染色し、フローサイトメトリーによって、Attune NxTで分析した。正規化後に、T細胞を、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、段階希釈し、その後、96ウェル平底白壁アッセイプレートに付加した。T細胞の段階希釈は、1e4標的細胞が付加された後の1ウェル当たりの以下の共培養KI+エフェクター:標的(E:T)比、3:1、1:1、1:3、1:9、1:27及び1:81を、テクニカルレプリケートにおいてもたらす。各々のT細胞集団を、別個に、K562MSLN及びK562ALPG/MSLN標的細胞とともに共培養する。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【1000】
論理ゲート/shRNA回路T細胞の特異性及び機能活性を更に実証するために、サイトカイン産生を、ALPG及びMSLNの異なる組み合わせを発現するように操作されたK562腫瘍細胞との細胞毒性アッセイ(上記)の共培養ウェルから採取された上清中で評価した。上記の細胞毒性アッセイにおける1:1のKI+E:Tのウェルから72時間で収集された上清を、Luminexアッセイを使用して、IFNγ産生について分析する。細胞毒性データと一致して、AB-X論理ゲート/shRNA候補T細胞からのIFNγ産生は、デュアル抗原K562ALPG/MSLN標的細胞が存在するウェルに制限された。対照的に、構成的CAR対照を有するT細胞は、K562MSLNまたはK562ALPG/MSLN標的細胞のいずれかとともに共培養されたときに、IFNγを産生した。これらのデータは、AB-X論理ゲート/shRNA候補T細胞の機能的出力が、プライミング及び細胞溶解抗原の両方が存在する条件に制限されるという概念を更に支持する。
【1001】
サイトカインアッセイ
サイトカイン産生を、ALPG及びMSLNの異なる組み合わせを発現するように操作されたK562腫瘍細胞との細胞毒性アッセイ(上記)の共培養ウェルから採取された上清中で評価した。上清を、上記の細胞毒性アッセイにおける1:1のKI+E:Tのウェルから72時間で収集し、Luminexアッセイを使用して、IFNγ産生について分析した。
【1002】
複数の細胞株の細胞毒性アッセイ
各々のT細胞集団を、別個に、K562-ALPG/MSLN、MSTO-ALPG/MSLN及びSKOV3-ALPG/MSLN標的細胞とともに共培養して、これら3つの異なるオンターゲット細胞株に対するT細胞応答の効力を評価した。T細胞を、連続希釈し、1e4標的細胞が付加された後の1ウェル当たりの以下の共培養KI+エフェクター:標的(E:T)比、3:1、1:1、1:3、1:9、1:27及び1:81を、テクニカルレプリケートにおいてもたらした。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、2分間300gでスピンダウンし、その後、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で72時間インキュベートした。72時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【1003】
細胞形質転換アッセイ
AB-1014、AB-1013またはAB-1015 shRNA+LG1回路を発現する1×106個のT細胞を、24ウェルGRexプレートの1つのウェル内に、0.56/mlの密度で播種した。細胞を、サイトカインを有するまたは有さないTexMACS完全培地(+3%のHS)中で5日間培養した。細胞数及び生存率を0日目、3日目、5日目、及び7日目に記録した。陽性対照として、1×106Jurkat細胞を、サイトカインを含まない培地中で並行して培養した。
【1004】
結果
LG1のみを発現する細胞(AB-X論理ゲート)は、SS1-CARよりも良好な腫瘍制御を示し、TC-210と同等の腫瘍制御を示した(
図48)。しかしながら、3つのshRNA+LG1回路T細胞(AB-1013、AB-1014及びAB-1015)は、連続刺激アッセイにおいて、LG1 T細胞と比較して改善されたT細胞増殖及び腫瘍制御(例えば、より少ない腫瘍増殖)を示した(
図49)。各々のドナーを、AB-X論理ゲートの中央値に正規化した。
【1005】
図50Aは、構成的抗MSLN CARを発現するT細胞が、K562
MSLN及びK562
ALPG/MSLN細胞の両方を死滅させ、shRNA+論理ゲートT細胞(AB-1013、AB-1014及びAB-1015)からの細胞毒性が、デュアル抗原K562
ALPG/MSLN細胞にのみ特異的であったことを示す。
図50Aにおいて、K562
MSLN細胞に対する細胞毒性を、破線で示し、K562
ALPG/MSLN細胞に対する細胞毒性を、実線で示す。細胞毒性は、RNPのみの陰性対照T細胞から観察されなかった。したがって、細胞溶解抗原陽性細胞に対する論理ゲートT細胞からの細胞毒性は、プライミング抗原も存在する条件に制限された。加えて、完全回路におけるshRNAモジュール及び論理ゲートの組込みは、論理ゲートがその標的抗原に結合するための特異性の喪失をもたらさなかった。
【1006】
細胞毒性データと一致して、論理ゲート/shRNA回路T細胞からのIFNγ産生は、デュアル抗原K562
ALPG/MSLN標的細胞を有する試料に制限された(
図50B)。対照的に、構成的CAR対照を有するT細胞は、K562
MSLNまたはK562
ALPG/MSLN標的細胞のいずれかとともに共培養されたときに、IFNγを産生した。IFNγ発現は、対照K562またはK652
ALPG細胞とのインキュベーション後の3つのshRNA+LG1回路、CAR T細胞、LG1 T細胞または対照T細胞のインキュベーション後に観察されなかった(データ図示せず)。したがって、論理ゲート/shRNA回路T細胞は、細胞毒性及びサイトカインアッセイの両方において、CAR T細胞に対して改善された安全性プロファイルを実証する。理論によって拘束されることを望むことなく、このデータによって、論理ゲート/shRNA回路T細胞の機能的出力は、プライミング及び細胞溶解抗原の両方が存在する条件に制限されることが示される。
【1007】
AB-1015からの増加した効力は、AB-1013及びAB-1014と比較して、K562
MSLN細胞におけるALPG非依存性死滅活性における中程度の増加及び増加したIFNγ発現に関連した(
図51)。K562-MSLN標的細胞に対する異なるT細胞集団についての細胞毒性アッセイデータの比較は、構成的CAR T細胞に対して、LG1 T細胞によるこれらのプライム抗原陰性標的細胞の死滅における有意な低減を示す。AB-1015によるK562-MSLN標的の死滅における一貫した増加が、他のAB-X論理ゲート/shRNA候補に対して、3:1の最も高いE:Tで観察された。同様に、AB-1015及びAB-1014の両方は、IFNγ分泌における小さい増加であるが有意な増加を、K562-MSLN標的との1:1のE:Tで示したが、達せられたレベルは、構成的CAR対照によってもたらされたものよりも約100倍低かった。まとめると、これらの結果は、構成的CAR対照に対して、論理ゲート/shRNA回路によって示された治療ウィンドウにおける有意な改善(K562-ALPG/MSLN標的細胞対K562-MSLN標的細胞に対する活性における差異)を実証する。
【1008】
また、3つのshRNA+LG1回路T細胞の活性を、追加の細胞株(MSTO
ALPG/MSLN及びSKOV3
ALPG/MSLN細胞)において評価した。この細胞毒性アッセイの結果は、3つの論理ゲート/shRNA回路の(T細胞用量のEC50によって計算された場合の)オンターゲット効力の明確な順位順序を実証する。
図52に示されるように、全ての3つのshRNA+論理ゲート回路T細胞が、標的死滅を誘導した。しかしながら、最も強力なインビトロ細胞毒性が、複数の標的細胞株に対して、AB-1015構築物で観察された。異なるオンターゲット細胞株にわたって、AB-1015 T細胞は、AB-1013 T細胞よりも一貫して約2~3倍強力であり、AB-1014は、相対的に中程度の効力を示した。まとめると、これらの結果は、論理ゲート/shRNA回路が調整可能なオンターゲット効力を有するように操作され得ることを実証する。
【1009】
加えて、細胞形質転換は、3つのshRNA+LG1回路(AB-1013、AB-1014またはAB-1015)で編集されたT細胞において観察されなかった(
図53)。陽性対照Jurkat細胞は、アッセイにわたって、サイトカインなしで良好な生存率及び増殖を維持したが、shRNA+LG1回路T細胞は、3日目を超えて増殖または生存せず、これは、shRNA+LG1回路T細胞が形質転換されなかったことを実証した。
【1010】
実施例12:MSLN CAR T細胞結合特異性
方法
細胞毒性アッセイ
4つのドナーからのT細胞を、MSLN CAR(LG1 CAR)を構成的に発現するように、実施例1に記載される製造プロセスを使用して操作し、最初の活性化後9日目に凍結させ、クライオバンクした。アッセイ前に、操作されたT細胞またはRNPのみの対照を、解凍し、12.5ng/mLのヒトIL-7及びIL-15を含む培地中で一晩静止させた。アッセイの日に、MSLN CAR及びRNPのみの対照T細胞を、計数し、IL-7及びIL-15を有さない培地中に再懸濁させ、段階希釈し、96ウェル平底白壁アッセイプレートに付加した。T細胞の段階希釈は、1e4THP-1またはK562(陰性対照)、1e4 THP-1またはK562(陰性対照)、K562-MSLN(陽性対照)、及びK562-GP2標的細胞が付加された後の1ウェル当たりの以下の共培養エフェクター:標的(E:T)比、3:1、1:1、1:3を、テクニカルレプリケートにおいてもたらす。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で24時間インキュベートした。24時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【1011】
多反応性アッセイ
4つのドナーからのT細胞を、上記のように、MSLN CARを発現するように操作した。CAR T細胞を、A498及びH1975の3つの異なる細胞株とともに、3:1、1:1、1:3の最終エフェクター:標的(E:T)比で、テクニカルレプリケートにおいて共培養した。T細胞及び標的細胞を有する調製されたプレートを、通気性膜を各々のプレート上に置いて37℃で24時間インキュベートした。24時間の共培養の終了時の細胞毒性を、エンドポイントルシフェラーゼアッセイを使用して測定した。
【1012】
結果
図54Aに示されるように、MSLN CAR T細胞は、SLC2A9+細胞(THP-1細胞)を認識しなかった。加えて、
図54Dに示されるように、MSLN CAR T細胞は、GP2+細胞またはK562陰性対照細胞(
図54B)を認識しなかったが、陽性対照MSLN発現細胞に結合した(
図54C)。更に、多反応性の証拠は、A498細胞またはH1975細胞に対して、MSLN CAR細胞で観察されなかった(
図55)。
【1013】
本発明は、好ましい実施形態及び様々な代替実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更が本明細書になされ得ることは、関連する技術分野の当業者には理解されよう。
【1014】
本明細書の本文中で引用した全ての参考文献、発行済特許、及び特許出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【1015】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
配列表
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0188
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0188】
いくつかの実施形態において、タンパク質アッセイは、イムノブロッティング、蛍光活性化細胞選別、フローサイトメトリー、磁気活性化細胞選別または親和性ベースの細胞分離のうちの少なくとも1つを含む。
[本発明1001]
1つ以上の組換え核酸であって、
a.胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含む第1のキメラポリペプチドであって、前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
iii.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
iv.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
v.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、前記第1のキメラポリペプチドと、
b.メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む第2のキメラポリペプチドであって、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
iii.CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含むか、または
iv.CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
v.CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、前記第2のキメラポリペプチドと、
c.配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364に相補的である第1の核酸配列と、
d.配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559に相補的であるか、または配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141に相補的である第2の核酸配列と
をコードする、前記1つ以上の組換え核酸。
[本発明1002]
前記第1の細胞外抗原結合ドメインVH鎖配列が、配列番号7に記載の配列を含む、本発明1001の組換え核酸(複数可)。
[本発明1003]
前記第1の細胞外抗原結合ドメインVL鎖配列が、配列番号8に記載の配列を含む、本発明1001または1002の組換え核酸(複数可)。
[本発明1004]
前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、配列番号9に記載の配列を含む、本発明1001~1003のいずれかの組換え核酸(複数可)。
[本発明1005]
前記第2の細胞外抗原結合ドメインVHが、配列番号17に記載の配列を含む、本発明1001~1004のいずれかの組換え核酸(複数可)。
[本発明1006]
前記第2の細胞外抗原結合ドメインVHH鎖配列が、配列番号13に記載の配列を含む、本発明1001~1004のいずれかの組換え核酸(複数可)。
[本発明1007]
配列番号168、167または166に記載の配列からなる群から選択される配列を含む、本発明1001~1006のいずれかの組換え核酸。
[本発明1008]
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
[本発明1009]
配列番号40に記載の配列を含むヒトタンパク質チロシンホスファターゼ非受容体2型(PTPN2)をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
[本発明1010]
配列番号41に記載の配列を含むヒト胸腺細胞選択関連高移動度群ボックス(TOX)をコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の核酸配列を含む、組換え核酸。
[本発明1011]
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列と、配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列と、を含む、1つ以上の組換え核酸。
[本発明1012]
配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸と、配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸と、を含む、1つ以上の組換え核酸。
[本発明1013]
胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記単離された抗体またはその抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列と、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列と、を含み、
a.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
b.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
c.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
d.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
e.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
f.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、
前記単離された抗体またはその抗原結合断片。
[本発明1014]
胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインと、1つ以上のリガンド誘導性タンパク質分解切断部位を含む膜貫通ドメインと、ヒトまたはヒト化転写エフェクターを含む細胞内ドメインと、を含む、プライミング受容体であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
g.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
h.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
i.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
j.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
k.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
l.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含む、
前記プライミング受容体。
[本発明1015]
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
a.CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
b.CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
c.CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含む、
前記キメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1016]
メソテリン(MSLN)に特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VHH)鎖配列を含む単一ドメイン抗体を含み、
a.CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
b.CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
c.CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、
前記キメラ抗原受容体(CAR)。
[本発明1017]
第1のキメラポリペプチドと、第2のキメラポリペプチドと、を含む、システムであって、
a.前記第1のキメラポリペプチドが、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体を含み、前記第1の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列、ならびにCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号1に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号2に記載の配列を含み、
iii.CDR-H3が、配列番号3に記載の配列を含み、
iv.CDR-L1が、配列番号4に記載の配列を含み、
v.CDR-L2が、配列番号5に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-L3が、配列番号6に記載の配列を含み、
b.前記第2のキメラポリペプチドが、メソテリン(MSLN)に特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含み、前記第2の細胞外抗原結合ドメインが、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列を含み、
i.CDR-H1が、配列番号14に記載の配列を含み、
ii.CDR-H2が、配列番号15に記載の配列を含み、かつ
iii.CDR-H3が、配列番号16に記載の配列を含むか、または
iv.CDR-H1が、配列番号10に記載の配列を含み、
v.CDR-H2が、配列番号11に記載の配列を含み、かつ
vi.CDR-H3が、配列番号12に記載の配列を含む、
前記システム。
[本発明1018]
実施形態1~12のいずれかの組換え核酸を含む、発現ベクター。
[本発明1019]
a.本発明1001~1012のいずれかの少なくとも1つの組換え核酸(複数可)、及び/または
b.本発明1013~1017のいずれかの抗体もしくは抗原断片、プライミングレセプション、CAR、またはシステム、及び/または
c.本発明1018のベクター
を含む、免疫細胞。
[本発明1020]
少なくとも1つの組換え核酸を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸が、
a.ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、
b.MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、
c.少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、
i.配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または
ii.配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、前記第2の核酸配列と
を含み、
前記組換え核酸が、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
[本発明1021]
少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸(複数可)を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
[本発明1022]
少なくとも1つの組換え核酸(複数可)を含む初代免疫細胞であって、前記少なくとも1つの組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記初代免疫細胞のゲノムの標的領域内に挿入されており、前記初代免疫細胞が、前記組換え核酸を前記初代免疫細胞内に導入するためのウイルスベクターを含まない、前記初代免疫細胞。
[本発明1023]
リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸が、
a.ALPG/Pに特異的に結合する第1の細胞外抗原結合ドメインを含むプライミング受容体と、
b.MSLNに特異的に結合する第2の細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体と、
c.少なくとも15ヌクレオチド長の第1の核酸配列であって、配列番号39に記載の配列を含むヒトFASをコードするmRNAのヌクレオチド1126~1364と相補的である、前記第1の核酸配列と、少なくとも15ヌクレオチド長の第2の核酸配列であって、
i.配列番号40に記載の配列を含むヒトPTPN2をコードするmRNAのヌクレオチド518~559と相補的であるか、または
ii.配列番号41に記載の配列を含むヒトTOXをコードするmRNAのヌクレオチド1294~2141と相補的である、前記第2の核酸配列と
をコードし、
d.前記組換え核酸の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、
前記ウイルスフリー生存初代細胞。
[本発明1024]
リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号82に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
[本発明1025]
リボ核タンパク質複合体(RNP)-組換え核酸(複数可)複合体を含むウイルスフリー生存初代細胞であって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸(複数可)が、配列番号49に記載の配列を含む第1の核酸と、配列番号99または104に記載の配列を含む第2の核酸と、を含み、前記組換え核酸(複数可)の5’及び3’末端が、前記初代細胞のゲノムにおける挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記ウイルスフリー生存初代細胞。
[本発明1026]
本発明1019~1025のいずれかの複数の免疫細胞を含む、細胞の集団。
[本発明1027]
本発明1019~1025のいずれかの免疫細胞または本発明1026の細胞の集団と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
[本発明1028]
本発明1001~1012のいずれかの組換え核酸または本発明1018のベクターと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
[本発明1029]
免疫細胞を編集する方法であって、
a.リボ核タンパク質(RNP)-組換え核酸複合体を提供することであって、前記RNPが、ヌクレアーゼドメイン及びガイドRNAを含み、前記組換え核酸が、本発明1001~1012のいずれかの組換え核酸を含み、前記組換え核酸の5’及び3’末端が、前記免疫細胞のゲノム内の挿入部位に隣接するゲノム配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、前記提供することと、
b.前記RNP-組換え核酸複合体を前記免疫細胞に非ウイルス的に導入することであって、前記ガイドRNAが、初代免疫細胞のゲノムの標的領域に特異的にハイブリダイズし、前記ヌクレアーゼドメインが、前記標的領域を切断して、前記免疫細胞の前記ゲノム内に前記挿入部位を作成する、前記非ウイルス的に導入することと、
c.前記免疫細胞を、前記免疫細胞の前記ゲノムにおける前記挿入部位内への本発明1001~1012のいずれかの組換え核酸の挿入を介して編集することと
を含む、前記方法。
[本発明1030]
対象における疾患を治療する方法であって、本発明1018~1026のいずれかの免疫細胞または本発明1027もしくは1028の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
[本発明1031]
免疫細胞においてキメラ抗原受容体の発現をプライミング受容体で誘導する方法であって、
a.免疫細胞を得ることであって、前記免疫細胞が、
i.本発明1001~1012のいずれかの組換え核酸、及び/または
ii.本発明1018のベクター
を含む、前記得ることと、
b.前記免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、前記標的細胞上の前記ALPG/Pへの前記プライミング受容体の結合が、前記プライミング受容体の活性化及び前記キメラ抗原受容体の発現を誘導する、前記接触させることと
を含む、前記方法。
[本発明1032]
免疫細胞の活性を調節する方法であって、
a.免疫細胞を得ることであって、前記免疫細胞が、
i.本発明1001~1012のいずれかの組換え核酸、及び/または
ii.本発明1018のベクター
を含む、前記得ることと、
b.前記免疫細胞を、ALPG/P及びMSLNを発現する標的細胞と接触させることであって、前記標的細胞上の前記ALPG/Pへの前記プライミング受容体の結合が、前記プライミング受容体の活性化及び前記キメラ抗原受容体の発現を誘導し、前記標的細胞上の前記MSLNへの前記キメラ抗原受容体の結合が、前記免疫細胞の前記活性を調節する、前記接触させることと
を含む、前記方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0347
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0347】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0367
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0367】
一態様において、胎盤/生殖細胞型アルカリホスファターゼ(ALPG/P)に結合する単離された抗体またはそれらの抗原結合断片であって、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3の3つの重鎖CDR配列を含む可変重(VH)鎖配列であって、CDR-H1が、配列番号1、173、174、175または176に記載の配列を含み、CDR-H2が、配列番号2、177、178、179または180に記載の配列を含み、かつCDR-H3が、配列番号3、181または182に記載の配列を含む、VH鎖配列と、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3の3つの軽鎖CDR配列を含む可変軽(VL)鎖配列であって、CDR-L1が、配列番号4、183または184に記載の配列を含み、CDR-L2が、配列番号5もしくは185に記載の配列またはNA配列を含み、かつCDR-L3が、配列番号6または187に記載の配列を含む、VL鎖配列と、を含む、単離された抗体またはそれらの抗原結合断片が、本明細書で提供される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0370
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0370】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片のCDR-L3は、配列番号6または187のCDR-L3と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L2は、配列番号5、185またはNA配列のCDR-L2と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有し、CDR-L1は、配列番号4、183または184のCDR-L1と少なくとも約50%、75%、80%、85%、90%または95%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、CDR-L3は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号6または187のCDR-L3であり、CDR-L2は、最大1、2、3、4、5、6、7または8つのアミノ酸置換を有する配列番号5、185またはNA配列のCDR-L2であり、CDR-L1は、最大1、2、3、4または5つのアミノ酸置換を有する配列番号4、183または184のCDR-L1である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0376
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0376】
いくつかの実施形態において、ALPG/P抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域を含み、VH領域は、
(i)配列番号1、173、174、175または176に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH相補性決定領域1(CDR1)、
(ii)配列番号2、177、178、179または180に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR2、
(iii)配列番号3、181または182に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVH CDR3、
(iv)配列番号4、183または184に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVL CDR1、
(v)配列番号5、185またはNA配列に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVL CDR2、及び
(vi)配列番号6または187に対して最大2つ(例えば、1つ、2つ、0)のアミノ酸修飾を有する配列を含むVL CDR3を含む。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0378
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0378】
いくつかの実施形態において、VH CDR1は、配列番号1、173、174、175または176に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR2は、配列番号2、177、178、179または180に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VH CDR3は、配列番号3、181または182に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR1は、配列番号4、183または184に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR2は、配列番号5、185またはNA配列に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、VL CDR3は、配列番号6または187に対して最大1つのアミノ酸修飾を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸欠失である。いくつかの実施形態において、最大1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸付加である。
【国際調査報告】