(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】分散送信のためのグローバルサイクリックシフト遅延
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
H04L27/26 114
H04L27/26 113
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519901
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022041109
(87)【国際公開番号】W WO2023064039
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】リン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ビン・ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ユハン・キム
(72)【発明者】
【氏名】チファン・チェン
(57)【要約】
本開示は、電力スペクトル密度(PSD)制限されたワイヤレスチャネル上で動作するワイヤレス通信デバイスの送信電力を増加させるための方法、デバイス、及びシステムを提供する。いくつかの実装形態は、より具体的には、分散送信をサポートするショートトレーニングフィールド(STF)設計及びシグナリングに関する。分散リソースユニット(dRU)上でデータを送信する送信デバイスは、既存のSTFトーンプランに従ってdRUの拡散帯域幅を介してSTFシーケンスを送信することができる。トリガベース(TB)物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)における送信のためにdRUが割り振られた各STAは、そのSTFシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングし、1つ又は複数のグローバルサイクリックシフト遅延(CSD)を1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたSTFシーケンスにそれぞれ適用し得る。したがって、各STAが異なる量の遅延を伴ってそのSTFシーケンスを送信するように、異なるグローバルCSDが異なるSTAに割当てられてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信デバイスによって実施されるワイヤレス通信の方法であって、
物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)における送信に関するデータを取得することと、
分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンであって、前記M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされた前記M個のトーンが、前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた分散リソースユニット(dRU)を表す、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上で前記データを変調することと、
前記ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいて、前記PPDUのショートトレーニングフィールド(STF)を表す第1の値のシーケンスを取得することと、
前記データ及び第1の値の前記シーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、
前記dRU割当てに基づいて、1つ又は複数の第1のサイクリックシフト遅延(CSD)を前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値の前記シーケンスにそれぞれ適用することと、
前記ワイヤレスチャネルを介して、前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値の前記シーケンスを含む前記PPDUを送信することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記PPDUのロングトレーニングフィールド(LTF)を表す第2の値のシーケンスを取得することと、
第2の値の前記シーケンスを前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、
前記1つ又は複数の第1のCSDを前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた前記データ及び第2の値の前記シーケンスにそれぞれ適用することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PPDUのLTFを表す第2の値のシーケンスを取得することと、
第2の値の前記シーケンスを前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、
1つ又は複数の第2のCSDを前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた前記データ及び第2の値の前記シーケンスにそれぞれ適用することと、を更に含む方法であって、前記1つ又は複数の第2のCSDが、前記1つ又は複数の第1のCSDとは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた関連付け識別子(AID)値に応じて前記1つ又は複数の第1のCSDを生成すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表から前記1つ又は複数の第1のCSDを取得すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Nが8又は16に等しい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ又は複数の第1のCSDを前記取得することが、
前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報に基づいて、前記1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを計算することを含む、方法であって、前記開始インデックスが、前記CSD表の前記N個のエントリのうちの1つを指す、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた前記情報が、AID値、前記dRUに関連付けられたリソースユニット(RU)割当てインデックス、又は前記dRUに関連付けられた開始トーンオフセットのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記開始インデックスが、前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた前記情報とNとのモジュロ演算として計算されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ワイヤレス通信デバイスから前記PPDUを要請するトリガフレームを受信することを更に含む、方法であって、前記トリガフレームが、前記1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを示すCSD情報を搬送し、前記開始インデックスが、前記CSD表の前記N個のエントリのうちの1つを指す、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記CSD情報が、前記ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記トリガフレームが、前記データが前記分散トーンプランに従って送信されることになることを示す分散送信情報を更に搬送し、前記ワイヤレスチャネルに関連付けられた前記帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記分散送信情報及び前記dRU分散帯域幅情報が、前記ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記分散送信情報が、共通情報フィールド、又は前記共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送されており、前記dRU分散帯域幅情報が、前記ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合されており、プロセッサ可読コードを記憶する少なくとも1つのメモリと、
を備えるワイヤレス通信デバイスであって、
前記プロセッサ可読コードが、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)における送信に関するデータを取得し、
分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンであって、前記M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされた前記M個のトーンが、前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた分散リソースユニット(dRU)を表す、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上で前記データを変調し、
前記ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいて、前記PPDUのショートトレーニングフィールド(STF)を表す値のシーケンスを取得し、
前記データ及び値の前記シーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングし、
前記dRU割当てに基づいて、1つ又は複数のサイクリックシフト遅延(CSD)を前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた値の前記シーケンスにそれぞれ適用し、
前記ワイヤレスチャネルを介して、前記1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた値の前記シーケンスを含む前記PPDUを送信する
ように構成されている、ワイヤレス通信デバイス。
【請求項16】
前記プロセッサ可読コードの実行が、
前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた関連付け識別子(AID)値に応じて前記1つ又は複数のCSDを生成する
ように更に構成されている、請求項15に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項17】
前記プロセッサ可読コードの実行が、
前記ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報に基づいて、前記1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを計算し、
前記開始インデックスに基づいて、前記分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表から前記1つ又は複数の第1のCSDを取得する、ように更に構成されている、ワイヤレス通信デバイスであって、前記開始インデックスが、前記CSD表の前記N個のエントリのうちの1つを指す、請求項15に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項18】
前記プロセッサ可読コードの実行が、
前記ワイヤレス通信デバイスから前記PPDUを要請するトリガフレームであって、前記トリガフレームが、前記1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを示すCSD情報を搬送する、トリガフレームを受信し、
前記開始インデックスに基づいて、前記分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表から前記1つ又は複数の第1のCSDを取得する、ように更に構成されているワイヤレス通信デバイスであって、前記開始インデックスが、前記CSD表の前記N個のエントリのうちの1つを指す、請求項15に記載のワイヤレス通信デバイス。
【請求項19】
ワイヤレス通信デバイスによって実施されるワイヤレス通信の方法であって、
1つ又は複数のワイヤレス局(STA)からトリガベース(TB)物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)を要請するトリガフレームであって、前記トリガフレームが、前記TB PPDUの第1のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第1の分散送信情報を搬送し、前記第1のデータ部分の前記送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示す第1の分散リソースユニット(dRU)分散帯域幅情報を更に搬送する、トリガフレームを送信することと、
前記トリガフレームに応じて前記1つ又は複数のSTAから前記TB PPDUを受信することと、
前記分散トーンプランに従って、前記ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンから前記TB PPDUの前記第1のデータ部分を復元することと
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1の分散送信情報及び前記第1のdRU分散帯域幅情報が、前記1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の分散送信情報が、共通情報フィールド、又は前記共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送されており、前記第1のdRU分散帯域幅情報が、前記1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記トリガフレームが更に、前記TB PPDUの第2のデータ部分が前記分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第2の分散送信情報を搬送し、前記ワイヤレスチャネルの前記帯域幅が前記第2のデータ部分の前記送信のために割り振られていることを示す第2のdRU分散帯域幅情報を搬送する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のデータ部分が1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信されており、前記第2のデータ部分が1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信されており、前記TB PPDUが、前記1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上及び前記1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第1の値のシーケンスを搬送するショートトレーニングフィールド(STF)を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第1の値の前記シーケンスが、1つ又は複数の第1のサイクリックシフト遅延(CSD)によってそれぞれ遅延されており、前記1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第1の値の前記シーケンスが、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記トリガフレームが更に、前記1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた第1の開始インデックスを示す第1のCSD情報を搬送し、前記1つ又は複数の第2のCSDに関連付けられた第2の開始インデックスを示す第2のCSD情報を搬送し、前記第1の開始インデックスが、前記分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表の第1のエントリを指し、前記第2の開始インデックスが、前記第1のエントリとは異なる、前記CSD表の第2のエントリを指す、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
Nが8又は16に等しい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のCSD情報が、前記1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されており、前記第2のCSD情報が、前記1つ又は複数のSTAのうちの第2のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記TB PPDUが、前記1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、前記1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するロングトレーニングフィールド(LTF)を更に含み、前記第1のデータ部分及び前記1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値の前記シーケンスが、前記1つ又は複数の第1のCSDによってそれぞれ遅延されており、前記第2のデータ部分及び前記1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値の前記シーケンスが、前記1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延されている、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記TB PPDUが、前記1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、前記1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するLTFを更に含み、前記第1のデータ部分及び前記1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値の前記シーケンスが、前記1つ又は複数の第1のCSDとは異なる1つ又は複数の第3のCSDによってそれぞれ遅延されており、前記第2のデータ部分及び前記1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値の前記シーケンスが、前記1つ又は複数の第2のCSDとは異なる1つ又は複数の第4のCSDによってそれぞれ遅延されている、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合されており、プロセッサ可読コードを記憶する少なくとも1つのメモリと、
を備えるワイヤレス通信デバイスであって、
前記プロセッサ可読コードが、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
1つ又は複数のワイヤレス局(STA)からトリガベース(TB)物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)を要請するトリガフレームであって、前記トリガフレームが、前記TB PPDUのデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す分散送信情報を搬送し、前記データ部分の前記送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示す分散リソースユニット(dRU)帯域幅情報を更に搬送する、トリガフレームを送信し、
前記トリガフレームに応じて前記1つ又は複数のSTAから前記TB PPDUを受信し、
前記分散トーンプランに従って、前記ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンから前記TB PPDUの前記データ部分を復元する
ように構成されている、ワイヤレス通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明確に組み込まれる、2021年10月15日に出願された「GLOBAL CYCLIC SHIFT DELAYS FOR DISTRIBUTED TRANSMISSION」と題する、YANGらによる米国特許出願第17/503,215号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般にワイヤレス通信に関し、より詳細には、分散送信のためのグローバルサイクリックシフト遅延(global cyclic shift delays、CSD)に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)は、局(station、STA)とも呼ばれるいくつかのクライアントデバイスが使用するための共有されたワイヤレス通信媒体を提供する、1つ又は複数のアクセスポイント(access point、AP)によって形成される場合がある。米国電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)802.11ファミリーに準拠するWLANの基本ビルディングブロックは、APによって管理される基本サービスセット(Basic Service Set、BSS)である。各BSSは、APによって広告される基本サービスセット識別子(Basic Service Set Identifier、BSSID)によって識別される。APは、APのワイヤレス範囲内の任意のSTAがWLANとの通信リンクを確立又は維持することを可能にするために、ビーコンフレームを定期的にブロードキャストする。
【0004】
いくつかの事例では、AP及びSTAは、電力スペクトル密度(power spectral density、PSD)制限を受けることがある。例えば、6ギガヘルツ(gigahertz、GHz)周波数帯域で動作するいくつかのAP及びSTAは、(6GHz帯域の)AP及びSTAの送信電力を5デシベル-ミリワット/メガヘルツ(decibel-milliwatts per megahertz、dBm/MHz)及び-1dBm/MHzにそれぞれ制限する、低電力屋内(low power indoor、LPI)電力クラスに準拠する必要があり得る。言い換えれば、6GHz帯域における送信電力は、MHzごとにPSD制限される。そのようなPSD制限は、ワイヤレス通信の範囲を望ましくなく低減する可能性があり、AP及びSTAのパケット検出及びチャネル推定能力を低減する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示のシステム、方法、及びデバイスは、各々いくつかの革新的な態様を有し、それらのうちのいずれの単一の態様も、本明細書で開示する望ましい特性を単独では担わない。
【0006】
本開示で説明する主題の1つの革新的な態様は、ワイヤレス通信の方法として実現され得る。本方法は、ワイヤレス通信デバイスによって実施され得、物理レイヤコンバージェンスプロトコル(physical layer convergence protocol、PLCP)プロトコルデータユニット(protocol data unit、PPDU)における送信に関するデータを取得することと、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンであって、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンが、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた分散リソースユニット(distributed resource unit、dRU)を表す、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上でデータを変調することと、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいて、PPDUのショートトレーニングフィールド(short training field、STF)を表す第1の値のシーケンスを取得することと、データ及び第1の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、dRU割当てに基づいて、1つ又は複数の第1のサイクリックシフト遅延(cyclic shift delay、CSD)を1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスにそれぞれ適用することと、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスを含むPPDUを送信することと
を含み得る。
【0007】
いくつかの態様では、本方法は、PPDUのロングトレーニングフィールド(long training field、LTF)を表す第2の値のシーケンスを取得することと、第2の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、1つ又は複数の第1のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたデータ及び第2の値のシーケンスにそれぞれ適用することとを更に含み得る。いくつかの他の態様では、本方法は、PPDUのLTFを表す第2の値のシーケンスを取得することと、第2の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、1つ又は複数の第2のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたデータ及び第2の値のシーケンスにそれぞれ適用することを更に含み得、1つ又は複数の第2のCSDが1つ又は複数の第1のCSDとは異なる。
【0008】
いくつかの態様では、本方法は、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた関連付け識別子(association identifier、AID)値に応じて1つ又は複数の第1のCSDを生成することを更に含み得る。(いくつかの他の態様では、本方法は、分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表から1つ又は複数の第1のCSDを取得することを更に含み得る。いくつかの実装形態では、Nは8又は16に等しくてよい。いくつかの態様では、1つ又は複数の第1のCSDを取得することは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報に基づいて、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスであって、開始インデックスが、CSD表のN個のエントリのうちの1つを指す、開始インデックスを計算することを含み得る。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報は、AID値、dRUに関連付けられたリソースユニット(resource unit、RU)割当てインデックス、又はdRUに関連付けられた開始トーンオフセットのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実装形態では、開始インデックスは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報とNとのモジュロ演算として計算され得る。
【0009】
いくつかの他の態様では、1つ又は複数の第1のCSDを取得することは、ワイヤレス通信デバイスからPPDUを要請するトリガフレームであって、トリガフレームが、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを示すCSD情報を搬送し、開始インデックスは、CSD表のN個のエントリのうちの1つを指す、トリガフレームを受信することを含み得る。いくつかの実装形態では、CSD情報は、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。いくつかの態様では、トリガフレームは、データが分散トーンプランに従って送信されることになることを示す分散送信情報を更に搬送し得、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送し得る。いくつかの実装形態では、分散送信情報及びdRU分散帯域幅情報は、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。いくつかの他の実装形態では、分散送信情報は、共通情報フィールド、又は共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送され得、dRU分散帯域幅情報は、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0010】
本開示で説明する主題の別の革新的な態様は、ワイヤレス通信デバイスにおいて実行され得る。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合されており、プロセッサ可読コードを記憶する少なくとも1つのメモリとを含み得る。いくつかの実装形態では、少なくとも1つのプロセッサによるプロセッサ可読コードの実行は、ワイヤレス通信デバイスに、PPDUにおける送信に関するデータを取得することと、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンであって、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンが、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたdRUを表す、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上でデータを変調することと、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいて、PPDUのSTFを表す第1の値のシーケンスを取得することと、データ及び第1の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、dRU割当てに基づいて、1つ又は複数の第1のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスにそれぞれ適用することと、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスを含むPPDUを送信することと
を含む動作を実施させる。
【0011】
本開示で説明する主題の別の革新的な態様は、ワイヤレス通信の方法として実現され得る。本方法は、ワイヤレス通信デバイスによって実施され得、1つ又は複数のワイヤレス局(STA)からトリガベース(TB)PPDUを要請するトリガフレームであって、トリガフレームが、TB PPDUの第1のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第1の分散送信情報を搬送し、第1のデータ部分の送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示す第1のdRU分散帯域幅情報を更に搬送する、トリガフレームを送信することと、トリガフレームに応じて1つ又は複数のSTAからTB PPDUを受信することと、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M)個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンからTB PPDUの第1のデータ部分を復元することとを含み得る。
【0012】
いくつかの実装形態では、第1の分散送信情報及び第1のdRU分散帯域幅情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。いくつかの他の実装形態では、第1の分散送信情報は、共通情報フィールド、又は共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送され得、第1のdRU分散帯域幅情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0013】
いくつかの実装形態では、トリガフレームは、TB PPDUの第2のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第2の分散送信情報を更に搬送し得、ワイヤレスチャネルの帯域幅が第2のデータ部分の送信のために割り振られていることを示す第2のdRU分散帯域幅情報を搬送し得る。いくつかの実装形態では、第1のデータ部分は1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信され得、第2のデータ部分は1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信され得、TB PPDUは、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上及び1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第1の値のシーケンスを搬送するSTFを更に含む。
【0014】
いくつかの態様では、1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第1の値のシーケンスは、1つ又は複数の第1のCSDによってそれぞれ遅延され得、1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第1の値のシーケンスは、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延され得る。いくつかの実装形態では、トリガフレームは、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた第1の開始インデックスを示す第1のCSD情報を更に搬送し得、1つ又は複数の第2のCSDに関連付けられた第2の開始インデックスを示す第2のCSD情報を搬送し得、第1の開始インデックスは、分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表の第1のエントリを指し、第2の開始インデックスは、第1のエントリとは異なる、CSD表の第2のエントリを指す。いくつかの実装形態では、Nは8又は16に等しくてよい。いくつかの実装形態では、第1のCSD情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得、第2のCSD情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第2のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0015】
いくつかの実装形態では、TB PPDUは、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するLTFを更に含んでよく、第1のデータ部分及び1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値のシーケンスは、1つ又は複数の第1のCSDによってそれぞれ遅延されており、第2のデータ部分及び1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値のシーケンスは、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延されている。
【0016】
いくつかの他の実装形態では、TB PPDUは、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するLTFを更に含んでよく、第1のデータ部分及び1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値のシーケンスは、1つ又は複数の第1のCSDとは異なる1つ又は複数の第3のCSDによってそれぞれ遅延されており、第2のデータ部分及び1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値のシーケンスは、1つ又は複数の第2のCSDとは異なる1つ又は複数の第4のCSDによってそれぞれ遅延されている。
【0017】
本開示で説明する主題の別の革新的な態様は、ワイヤレス通信デバイスにおいて実行され得る。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合されており、プロセッサ可読コードを記憶する少なくとも1つのメモリとを含み得る。いくつかの実装形態では、少なくとも1つのプロセッサによるプロセッサ可読コードの実行は、ワイヤレス通信デバイスに、1つ又は複数のSTAからTB PPDUを要請するトリガフレームであって、トリガフレームが、TB PPDUの第1のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第1の分散送信情報を搬送し、第1のデータ部分の送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示す第1のdRU分散帯域幅情報を更に搬送する、トリガフレームを送信することと、トリガフレームに応じて1つ又は複数のSTAからTB PPDUを受信することと、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンからTB PPDUの第1のデータ部分を復元することとを含み得る。
【0018】
本開示で説明する主題の1つ又は複数の実装形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。以下の図の相対的な寸法が、縮尺で描かれていない場合があることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】例示的なワイヤレス通信ネットワークの絵図を示す。
【
図2A】アクセスポイント(AP)と1つ又は複数のワイヤレス局(STA)との間の通信に使用可能な例示的なプロトコルデータユニット(protocol data unit、PDU)を示す。
【
図3】APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な例示的な物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)を示す。
【
図4】例示的なワイヤレス通信デバイスのブロック図を示す。
【
図6】いくつかの実装形態による、例示的な分散トーンマッピングを示す周波数図を示す。
【
図7】いくつかの実装形態による、論理リソースユニット(RU)の分散RU(dRU)への例示的なマッピングを示す周波数図を示す。
【
図8】いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な例示的なPPDUを示す。
【
図9】分散送信における自動利得制御(automatic gain control、AGC)に使用可能な例示的なショートトレーニングフィールド(STF)シーケンスを示す周波数図を示す。
【
図10】いくつかの実装形態による、トリガベース(TB)PPDUの例示的なフレーム構造を示す。
【
図11】いくつかの実装形態による、ワイヤレス通信デバイスの例示的な送信(transmit、TX)処理チェーンのブロック図を示す。
【
図12】いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な例示的なトリガフレームを示す。
【
図13】既存のトリガフレームフォーマットに従ってフォーマットされたトリガフレームのユーザ情報フィールドを示す。
【
図14】いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な別の例示的なトリガフレームを示す。
【
図15】既存のトリガフレームフォーマットに従ってフォーマットされたトリガフレームの共通情報フィールドを示す。
【
図16】既存のトリガフレームフォーマットに従ってフォーマットされたトリガフレームの特殊ユーザ情報フィールドを示す。
【
図17】いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な別の例示的なトリガフレームを示す。
【
図18】分散送信のグローバルサイクリックシフト遅延(CSD)をサポートするワイヤレス通信の例示的なプロセスを示すフローチャートを示す。
【
図19】分散送信のグローバルCSDをサポートするワイヤレス通信の例示的なプロセスを示すフローチャートを示す。
【
図20】いくつかの実装形態による、例示的なワイヤレス通信デバイスのブロック図を示す。
【
図21】いくつかの実装形態による、例示的なワイヤレス通信デバイスのブロック図を示す。
【0020】
様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明は、本開示の革新的な態様について説明する目的で、いくつかの実装形態を対象とする。しかしながら、本明細書での教示が多数の異なる方法で適用され得ることを当業者は容易に認識されよう。説明する実装形態は、とりわけ、米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格、IEEE802.15規格、Bluetooth(登録商標)スペシャルインタレストグループ(Special Interest Group、SIG)によって定義されたBluetooth規格、又は第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project、3GPP(登録商標))によって公表されたロングタームエボリューション(Long Term Evolution、LTE)、3G、4G若しくは5G(新無線(New Radio、NR))規格のうちの1つ又は複数に従って無線周波数(radio frequency、RF)信号を送信及び受信することが可能な、任意のデバイス、システム、又はネットワークにおいて実現され得る。説明する実装形態は、以下の技術又は技法、すなわち、符号分割多元接続(code division multiple access、CDMA)、時分割多元接続(time division multiple access、TDMA)、周波数分割多元接続(frequency division multiple access、FDMA)、直交FDMA(orthogonal FDMA、OFDMA)、シングルキャリアFDMA(single-carrier FDMA、SC-FDMA)、シングルユーザ(single-user、SU)多入力多出力(multiple-input multiple-output、MIMO)、及びマルチユーザ(multi-user、MU)MIMOのうちの1つ又は複数に従ってRF信号を送信及び受信することが可能な、任意のデバイス、システム、又はネットワークにおいて実現され得る。説明する実装形態はまた、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(wireless personal area network、WPAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(wireless wide area network、WWAN)、又はモノのインターネット(internet of things、IOT)ネットワークのうちの1つ又は複数において使用するのに適した他のワイヤレス通信プロトコル又はRF信号を使用して実現され得る。
【0022】
本明細書で使用される「分散送信」という用語は、(「分散トーンプラン」などによる)ワイヤレスチャネルの不連続トーン(又はサブキャリア)上での物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)の送信を指す。そのような不連続トーンは、「分散」リソースユニット(dRU)を表す。対照的に、「通常の」リソースユニット(rRU)は、(「非分散トーンプラン」とも呼ばれる)IEEE 802.11規格の既存のバージョンによって定義される連続トーンの任意のセットである。分散送信は、電力スペクトル密度(power spectral density、PSD)制限されたワイヤレスチャネルに対する媒体利用において、より大きな柔軟性を提供する。上記で説明したように、低電力屋内(low power indoor、LPI)電力クラスは、6GHz帯域内で、AP及びSTAの送信電力をそれぞれ5dBm/MHz及び-1dBm/MHzに制限する。ワイヤレス通信デバイスがワイヤレスチャネルの不連続サブキャリアインデックスにわたってPPDUの送信のために割り振られたトーンを分散させることを可能にすることによって、分散送信は、ワイヤレスチャネルのPSD制限を超えることなく、PPDUの全体的な送信電力を増加させ得る。例えば、分散トーンプランは、ワイヤレスチャネルの任意の1MHzサブチャネル上でデバイスによって変調されるトーンの総数を低減し得る。結果として、ワイヤレス通信デバイスは、PSD制限を超えることなく、そのトーンごとの送信電力を増加させ得る。
【0023】
IEEE 802.11規格は、1つ又は複数のショートトレーニングフィールド(STF)を含む、ワイヤレス通信に使用されることになるPPDUフォーマットを定義する。STFは、概して、受信デバイスにおける自動利得制御(AGC)及びキャリア周波数(DC)推定に使用される。例えば、送信デバイスは、STF内で、シンボルの既知のパターンを受信デバイスに送信し得る。受信デバイスは、受信信号の電力を推定し、DC推定を実施するために、受信されたSTF(「STFシーケンス」とも呼ばれる)内のシンボルパターン及びその周期性のその知識を使用し得る。更に、受信デバイスは、STFの推定された電力に基づいてその増幅器の利得を動的に調整し、PPDUのデータ部分のより正確な受信を保証するために受信信号のDCを補正し得る。IEEE 802.11規格の既存のバージョンは、様々なPPDUフォーマット及び帯域幅に関連付けられた様々なSTFシーケンス及びトーンプラン(「既存のSTFトーンプラン」とも呼ばれる)を定義する。IEEE 802.11規格の既存のバージョンによれば、rRUは、rRUのために排他的に割り振られたそれぞれの帯域幅(又はサブバンド)を介して送信されており、各rRUに関連付けられたSTFは、そのrRU内のSTFトーンを介して送信されている。しかしながら、分散送信では、複数のdRUは、共有帯域幅(「拡散帯域幅」又は「分散帯域幅」とも呼ばれる)のインターリーブされたトーン上で送信され得る。STFは変調されたトーンの信号電力を推定するために使用されるので、PPDU送信に使用されるトーンプランを(非分散トーンプランから分散トーンプランへなどに)変更することは、新しいdRU関連シグナリング及びSTF設計を必要とし得る。
【0024】
様々な態様は、概して、分散送信に関し、より詳細には、分散送信をサポートするSTF設計及びシグナリングに関する。いくつかの態様では、送信デバイスは、dRU上でデータを送信することができ、既存のSTFトーンプランに従ってdRUの拡散帯域幅を介してSTFシーケンスを送信することができる。したがって、トリガベース(TB)PPDUでは、同じ拡散帯域幅内でdRUが割当てられたワイヤレス局(STA)は、トーンの同じセット上で同じSTFシーケンスを送信することができる。いくつかの実装形態では、TB PPDUにおける送信のためにdRUが割り振られている各STAは、そのSTFシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることができ、1つ又は複数のグローバルサイクリックシフト遅延(CSD)を1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたSTFシーケンスにそれぞれ適用することができる。本明細書で使用する「グローバルCSD」という用語は、PPDUに関連付けられた各STAの位置を考慮するCSD割当てを指す。例えば、異なるグローバルCSDは、各STAが異なる量の遅延を伴ってそのSTFシーケンスを送信するように、異なるSTAに割当てられてよい。いくつかの実装形態では、各STAは、そのグローバルCSD値をランダムに生成し得る。いくつかの他の実装形態では、各STAは、STAに割当てられた情報(関連付け識別子(AID)値若しくはRUインデックス、RU割当てインデックス、又はdRUに関連付けられた開始トーンオフセットなど)に基づいて、CSD表からそのグローバルCSD値を選択し得る。また更に、いくつかの実装形態では、各STAは、TB PPDUを要請するトリガフレーム内でそのグローバルCSDインデックス又は値の指示を受信し得る。いくつかの態様では、トリガフレームは、どのSTAにTB PPDUにおける送信のためのdRUが割り振られているかを示す分散送信情報を搬送することができ、dRUに関連付けられた拡散帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送することができる。
【0025】
以下の潜在的な利点のうちの1つ又は複数を実現するために、本開示で説明する主題の特定の実装形態が実現され得る。上記で説明したように、ワイヤレスチャネルの不連続トーン上でPPDUのデータ部分を送信することは、送信デバイスが、ワイヤレスチャネルのPSD制限を超えることなく、データの全体的な送信電力を増加させることを可能にする。dRUの拡散帯域幅を介してPPDUのSTFを送信することは、受信デバイスが、データ部分に関連付けられた受信信号の電力をより正確に推定することを可能にする。既存のSTFトーンプランを再利用することによって、本開示の態様は、IEEE 802.11規格に対するわずかな変更で、分散送信のためのAGCをサポートし得る。しかしながら、本開示の態様は、意図しないビームフォーミングが、(TB PPDUにおけるような)トーンの同じセット上で同じSTFシーケンスを同時に送信する複数のSTAから生じ得ることを認識する。例えば、そのような重畳されたSTF送信は、受信デバイスにおいて強め合うように、又は弱め合うように干渉し得、受信デバイスに、受信信号についての不正確な電力測定値を取得させる。各空間ストリーム上で各STAによって送信されるSTFシーケンスにグローバルCSDを適用することによって、本開示の態様は、時間領域において複数のSTAからのSTF送信を分離し得る。より具体的には、グローバルCSDは、異なるSTA及び異なる空間ストリームにわたってSTF送信の位相をずらし、それによって、受信デバイスにおける意図しないビームフォーミングを防止又は低減し得る。
【0026】
図1は、例示的なワイヤレス通信ネットワーク100のブロック図を示す。いくつかの態様によれば、ワイヤレス通信ネットワーク100はWi-Fiネットワークなどのワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の一例であり得る(また、以下でWLAN100と呼ばれる)。例えば、WLAN100は、(802.11ah、802.11ad、802.11ay、802.11ax、802.11az、802.11ba、及び802.11beを含むがそれらに限定されないIEEE802.11-2020仕様又はその改訂版によって定義されるような)ワイヤレス通信プロトコル規格のIEEE802.11ファミリーのうちの少なくとも1つを実現するネットワークであってよい。WLAN100は、アクセスポイント(AP)102及び複数の局(STA)104などの多数のワイヤレス通信デバイスを含んでもよい。ただ1つのAP102が示されているが、WLANネットワーク100は、複数のAP102を含んでもよい。
【0027】
STA104の各々は、考えられる例の中でも、移動局(mobile station、MS)、モバイルデバイス、モバイルハンドセット、ワイヤレスハンドセット、アクセス端末(AT)、ユーザ機器(user equipment、UE)、加入者局(subscriber station、SS)、又は加入者ユニットと呼ばれることもある。STA104は、考えられる例の中でも、モバイルフォン、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、他のハンドヘルドデバイス、ネットブック、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、ラップトップ、ディスプレイデバイス(例えば、特に、TV、コンピュータモニタ、ナビゲーションシステム)、音楽又は他のオーディオ若しくはステレオデバイス、リモートコントロールデバイス(「リモート」)、プリンタ、キッチン用器具又は他の家庭用器具、キーフォブ(例えば、パッシブキーレスエントリ及びスタート(passive keyless entry and start、PKES)システム用)などの様々なデバイスを表してよい。
【0028】
単一のAP102、及びSTA104の関連付けられたセットは、それぞれのAP102によって管理される基本サービスセット(BSS)と呼ばれることがある。
図1は、追加として、WLAN100の基本サービスエリア(basic service area、BSA)を表し得る、AP102の例示的なカバレージエリア108を示す。BSSは、サービスセット識別子(service set identifier、SSID)によってユーザに対して、並びにAP102の媒体アクセス制御(medium access control、MAC)アドレスであってもよい基本サービスセット識別子(BSSID)によって他のデバイスに対して識別されてよい。AP102は、AP102のワイヤレス範囲内のあらゆるSTA104が、AP102とのそれぞれの通信リンク106(以下「Wi-Fiリンク」とも呼ばれる)を確立するために、又はAP102との通信リンク106を維持するために、AP102と「関連付ける」こと又は再度関連付けることを可能にするように、BSSIDを含むビーコンフレーム(「ビーコン」)を定期的にブロードキャストする。例えば、ビーコンは、それぞれのAP102によって使用される1次チャネルの識別情報、並びにAP102とのタイミング同期を確立又は維持するタイミング同期機能を含み得る。AP102は、それぞれの通信リンク106を介してWLANにおける様々なSTA104に外部ネットワークへのアクセスを提供し得る。
【0029】
AP102との通信リンク106を確立するために、STA104の各々は、1つ又は複数の周波数帯域(例えば、2.4GHz、5GHz、6GHz、又は60GHzの帯域)内の周波数チャネル上で、パッシブスキャン動作又はアクティブスキャン動作(「スキャン」)を実施するように構成されている。パッシブスキャンを実施するために、STA104はビーコンを聴取し、ビーコンは、目標ビーコン送信時間(target beacon transmission time、TBTT)(時間単位(time unit、TU)で測定されており、1TUは1024マイクロ秒(μs)に等しいことがある)と呼ばれる定期的な時間間隔でそれぞれのAP102によって送信されている。アクティブスキャンを実施するために、STA104は、プローブ要求を生成し、スキャンされることになる各チャネル上でそれらを連続的に送信し、AP102からのプローブ応答を聴取する。各STA104は、パッシブスキャン又はアクティブスキャンを通じて取得されたスキャン情報に基づいて、関連付けるべきAP102を識別又は選択し、選択されたAP102との通信リンク106を確立するために、認証及び関連付け動作を実施するように構成され得る。AP102は、関連付け動作の完遂時に関連付け識別子(AID)をSTA104に割当て、AP102はSTA104を追跡するためにそれを使用する。
【0030】
ワイヤレスネットワークの遍在性が高まった結果として、STA104は、STAの範囲内の多くのBSSのうちの1つを選択する機会、又は接続された複数のBSSを含む拡張サービスセット(extended service set、ESS)を一緒に形成する複数のAP102の中から選択する機会を有してよい。WLAN100に関連付けられた拡張ネットワーク局は、複数のAP102がそのようなESSの中で接続されることを可能にし得る、有線又はワイヤレスの配信システムに接続されてよい。したがって、STA104は、2つ以上のAP102によってカバーされることが可能であり、異なる送信のために異なる時間において異なるAP102に関連付けることができる。追加として、AP102との関連付けの後、STA104はまた、関連付けるべきより好適なAP102を見つけるために、その周辺を周期的にスキャンするように構成され得る。例えば、その関連付けられたAP102に対して動いているSTA104は、より大きい受信信号強度インジケータ(received signal strength indicator、RSSI)又は低減されたトラフィック負荷などのより望ましいネットワーク特性を有する別のAP102を見つけるために、「ローミング」スキャンを実施してもよい。
【0031】
場合によっては、STA104は、AP102、又はSTA104自体以外の他の機器を伴わずに、ネットワークを形成してよい。そのようなネットワークの一例は、アドホックネットワーク(又は、ワイヤレスアドホックネットワーク)である。アドホックネットワークは、代替として、メッシュネットワーク又はピアツーピア(peer-to-peer、P2P)ネットワークと呼ばれることがある。場合によっては、アドホックネットワークは、WLAN100などのより大きいワイヤレスネットワーク内で実現されてよい。そのような実装形態では、STA104は、通信リンク106を使用してAP102を介して互いに通信することが可能であり得るが、STA104は、ダイレクトワイヤレスリンク110を介して互いに直接通信することもできる。加えて、2つのSTA104は、両方のSTA104が同じAP102に関連付けられているか、かつ同じAP102によってサービスされているかにかかわらず、ダイレクト通信リンク110を介して通信してもよい。そのようなアドホックシステムでは、STA104のうちの1つ又は複数が、BSS内のAP102によって満たされる役割を担ってよい。そのようなSTA104は、グループ所有者(group owner、GO)と呼ばれることがあり、アドホックネットワーク内の送信を協調させ得る。ダイレクトワイヤレスリンク110の例としては、Wi-Fiダイレクト接続、Wi-Fiトンネルドダイレクトリンクセットアップ(Tunneled Direct Link Setup、TDLS)リンクを使用することによって確立される接続、及び他のP2Pグループ接続が挙げられる。
【0032】
AP102及びSTA104は、(802.11ah、802.11ad、802.11ay、802.11ax、802.11az、802.11ba、及び802.11beを含むが、それらに限定されない、IEEE802.11-2016仕様又はその改訂版によって定義されるような)ワイヤレス通信プロトコル規格のIEEE802.11ファミリーに従って(それぞれの通信リンク106を介して)機能及び通信し得る。これらの規格は、PHYレイヤ及び媒体アクセス制御(MAC)レイヤのためのWLAN無線及びベースバンドプロトコルを規定する。AP102及びSTA104は、物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)の形式で、互いとの間でワイヤレス通信(以下で、「Wi-Fi通信」とも呼ばれる)を送信及び受信する。WLAN100におけるAP102及びSTA104は、免許不要スペクトルを介してPPDUを送信してもよく、免許不要スペクトルは、2.4GHz帯域、5GHz帯域、60GHz帯域、3.6GHz帯域、及び700MHz帯域などのWi-Fi技術によって従来使用されている周波数帯域を含むスペクトルの一部分であってもよい。本明細書で説明するAP102及びSTA104のいくつかの実装形態は、認可通信と無認可通信の両方をサポートし得る6GHz帯域などの他の周波数帯域の中で通信することもできる。AP102及びSTA104は、複数の事業者が、同じか又は重複する周波数帯域の中で運用する認可を有し得る、共有認可周波数帯域などの他の周波数帯域を介して通信するように構成されてもよい。
【0033】
周波数帯域の各々は、複数のサブバンド又は周波数チャネルを含んでよい。例えば、IEEE802.11n、802.11ac、802.11ax、及び802.11be規格改訂版に準拠するPPDUは、各々が複数の20MHzチャネルに分割される2.4GHz、5GHz、又は6GHz帯域を介して送信され得る。したがって、これらのPPDUは、20MHzの最小帯域幅を有する物理チャネルを介して送信されるが、チャネルボンディングを通じてより大きいチャネルが形成され得る。例えば、PPDUは、複数の20MHzチャネルを一緒にボンディングすることによって、40MHz、80MHz、160MHz、又は320MHzの帯域幅を有する物理チャネルを介して送信され得る。
【0034】
各PPDUは、PHYプリアンブル及びペイロードをPHYサービスデータユニット(PHY service data unit、PSDU)の形式で含む合成構造である。プリアンブル内で提供される情報は、PSDUの中の後続のデータを復号するために受信デバイスによって使用されてもよい。ボンディングされたチャネルを介してPPDUが送信される実例では、プリアンブルフィールドは複製され、複数の構成要素チャネルの各々において送信されてもよい。PHYプリアンブルは、レガシー部分(又は「レガシープリアンブル」)と非レガシー部分(又は「非レガシープリアンブル」)の両方を含んでもよい。レガシープリアンブルは、用途の中でも特に、パケット検出、自動利得制御、及びチャネル推定のために使用され得る。レガシープリアンブルはまた、概して、レガシーデバイスとの互換性を維持するために使用され得る。プリアンブルの非レガシー部分のフォーマット、コーディング、及びそこで提供される情報は、ペイロードを送信するために使用されることになる特定のIEEE802.11プロトコルに基づく。
【0035】
図2Aは、AP102と1つ又は複数のSTA104との間のワイヤレス通信に使用可能な例示的なプロトコルデータユニット(PDU)200を示す。例えば、PDU200はPPDUとして構成され得る。示すように、PDU200は、PHYプリアンブル202とPHYペイロード204とを含む。例えば、プリアンブル202は、2つのBPSKシンボルからなり得るレガシーショートトレーニングフィールド(legacy short training field、L-STF)206と、2つのBPSKシンボルからなり得るレガシーロングトレーニングフィールド(legacy long training field、L-LTF)208と、2つのBPSKシンボルからなり得るレガシー信号フィールド(legacy signal field、L-SIG)210とをそれ自体が含むレガシー部分を含み得る。プリアンブル202のレガシー部分は、IEEE802.11aワイヤレス通信プロトコル規格に従って構成され得る。プリアンブル202はまた、例えば、IEEE802.11ac、802.11ax、802.11be又はそれ以降のワイヤレス通信プロトコル規格などのIEEEワイヤレス通信プロトコルに準拠する、1つ又は複数の非レガシーフィールド212を含む非レガシー部分を含み得る。
【0036】
L-STF206は、概して、受信デバイスが、自動利得制御(AGC)と粗いタイミングと周波数推定とを実施することを可能にする。L-LTF208は、概して、受信デバイスが細かいタイミングと周波数の推定とを実施することを可能にし、ワイヤレスチャネルの初期推定を実施することも可能にする。L-SIG210は、概して、受信デバイスが、PDUの上で送信することを避けるために、PDUの持続時間を決定し、決定された持続時間を使用することを可能にする。例えば、L-STF206、L-LTF208、及びL-SIG210は、2位相シフトキーイング(binary phase shift keying、BPSK)変調方式に従って変調され得る。ペイロード204は、BPSK変調方式、直交BPSK(quadrature BPSK、Q-BPSK)変調方式、直交振幅変調(quadrature amplitude modulation、QAM)変調方式、又は別の適切な変調方式に従って変調されてもよい。ペイロード204は、データフィールド(DATA)214を含むPSDUを含んでよく、データフィールド(DATA)214は、上位レイヤデータを、例えば、媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(MAC protocol data unit、MPDU)又はアグリゲートMPDU(aggregated MPDU、A-MPDU)の形態で搬送し得る。
【0037】
図2Bは、
図2AのPDU200内の例示的なL-SIG210を示す。L-SIG210は、データレートフィールド222、予約済みビット224、長さフィールド226、パリティビット228、及びテールフィールド230を含む。データレートフィールド222はデータレートを示す(データレートフィールド212内に示されたデータレートは、ペイロード204内で搬送されるデータの実際のデータレートでない場合があることに留意されたい)。長さフィールド226は、例えば、シンボル又はバイトの単位でパケットの長さを示す。パリティビット228は、ビットエラーを検出するために使用され得る。テールフィールド230は、デコーダ(例えば、ビタビデコーダ)の動作を終了するために受信デバイスによって使用され得るテールビットを含む。受信デバイスは、例えばマイクロ秒(μs)又は他の時間単位の単位でパケットの持続時間を決定するために、データレートフィールド222及び長さフィールド226内に示されたデータレート及び長さを利用し得る。
【0038】
図3は、AP102と1つ又は複数のSTA104との間の通信に使用可能な例示的なPPDU300を示す。上記で説明したように、各PPDU300は、PHYプリアンブル302とPSDU304とを含む。各PSDU304は、1つ又は複数のMACプロトコルデータユニット(MPDU)316を表し(又は「搬送し」)得る。例えば、各PSDU304は、複数のA-MPDUサブフレーム308のアグリゲーションを含むアグリゲートMPDU(A-MPDU)306を搬送し得る。各A-MPDUサブフレーム306は、MPDUフレーム310のデータ部分(「ペイロード」又は「フレーム本体」)を備える付随するMPDU316より前にMACデリミタ312とMACヘッダ314とを含む、MPDUフレーム310を含み得る。各MPDUフレーム310は、エラー検出のためのフレームチェックシーケンス(frame check sequence、FCS)フィールド318(例えば、FCSフィールドは、巡回冗長検査(cyclic redundancy check、CRC)を含むことができる)及びパディングビット320を含んでもよい。MPDU316は、1つ又は複数のMACサービスデータユニット(MAC service data units、MSDU)326を搬送することができる。例えば、MPDU316は、複数のA-MSDUサブフレーム324を含むアグリゲートMSDU(A-MSDU)322を搬送し得る。各A-MSDUサブフレーム324は、サブフレームヘッダ328が先行し、場合によっては、パディングビット332が後に続く、対応するMSDU330を含む。
【0039】
再びMPDUフレーム310を参照すると、MACデリミタ312は、関連するMPDU316の開始のマーカーとして働き、関連するMPDU316の長さを示し得る。MACヘッダ314は、フレーム本体316内にカプセル化されたデータの特性又は属性を定義するか又は示す情報を含む複数のフィールドを含み得る。MACヘッダ314は、PPDUの終了から少なくとも受信ワイヤレス通信デバイスによって送信されることになるPPDUの確認応答(acknowledgment、ACK)又はブロックACK(Block ACK、BA)の終了まで継続する持続時間を示す持続時間フィールドを含む。持続時間フィールドの使用は、示された持続時間の間ワイヤレス媒体を予約するのに役立ち、受信デバイスがそのネットワーク割振りベクトル(network allocation vector、NAV)を確立することを可能にする。MACヘッダ314はまた、フレーム本体316内にカプセル化されたデータのアドレスを示す1つ又は複数のフィールドを含む。例えば、MACヘッダ314は、ソースアドレス、送信機アドレス、受信機アドレス、又は宛先アドレスの組合せを含み得る。MACヘッダ314は、制御情報を含むフレーム制御フィールドを更に含み得る。フレーム制御フィールドは、フレームタイプ、例えば、データフレーム、制御フレーム、又は管理フレームを指定することができる。
【0040】
図4は、例示的なワイヤレス通信デバイス400のブロック図を示す。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス400は、
図1を参照しながら説明したSTA104のうちの1つなどのSTAにおいて使用するデバイスの一例であり得る。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス400は、
図1を参照しながら説明したAP102などのAPにおいて使用するデバイスの一例であり得る。ワイヤレス通信デバイス400は、(例えば、ワイヤレスパケットの形式で)ワイヤレス通信を送信(又は、送信のために出力)すること及び受信することが可能である。例えば、ワイヤレス通信デバイスは、限定はしないが、802.11ah、802.11ad、802.11ay、802.11ax、802.11az、802.11ba、及び802.11beを含むIEEE802.11-2016仕様又はその改訂版によって定義されるようなIEEE802.11ワイヤレス通信プロトコル規格に準拠する物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)及び媒体アクセス制御(MAC)プロトコルデータユニット(MPDU)の形態でパケットを送信及び受信するように構成され得る。
【0041】
ワイヤレス通信デバイス400は、1つ又は複数のモデム402、例えばWi-Fi(IEEE802.11準拠)モデムを含む、チップ、システムオンチップ(system on chip、SoC)、チップセット、パッケージ、又はデバイスであってもよく、又はそれらを含んでもよい。いくつかの実装形態では、1つ又は複数のモデム402(総称して「モデム402」)は、追加として、WWANモデム(例えば、3GPP(登録商標) 4G LTE又は5G準拠モデム)を含む。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス400は、1つ又は複数の無線機404(総称して「無線機404」)も含む。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス406は、1つ又は複数のプロセッサ、処理ブロック又は処理要素406(総称して「プロセッサ406」)、及び1つ又は複数のメモリブロック又は要素408(総称して「メモリ408」)を更に含む。
【0042】
モデム402は、例えば、考えられる例の中でも、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)などの、インテリジェントハードウェアブロック又はデバイスを含むことができる。モデム402は、概して、PHYレイヤを実現するように構成されている。例えば、モデム402は、パケットを変調し、ワイヤレス媒体を介した送信のために、変調されたパケットを無線機404に出力するように構成されている。モデム402は、同様に、無線機404によって受信される変調されたパケットを取得し、復調されたパケットを提供するためにパケットを復調するように構成されている。変調器及び復調器に加えて、モデム402は、デジタル信号処理(digital signal processing、DSP)回路、自動利得制御(AGC)、コーダ、デコーダ、マルチプレクサ、及びデマルチプレクサを更に含んでもよい。例えば、送信モードにある間、プロセッサ406から取得されたデータは、コーダに提供されており、コーダは、符号化ビットを提供するためにデータを符号化する。次いで、符号化されたビットは、変調されたシンボルを提供するために、(選択されたMCSを使用して)変調コンスタレーションの中の点にマッピングされる。次いで、変調されたシンボルは、NSS個の数の空間ストリーム又はNSTS個の数の時空間ストリームにマッピングされ得る。次いで、それぞれの空間ストリーム又は時空間ストリームの中の変調されたシンボルは、多重化され、逆高速フーリエ変換(inverse fast Fourier transform、IFFT)ブロックを介して変換され、続いて、TXウィンドウ処理及びフィルタ処理のためにDSP回路に提供され得る。次いで、デジタル信号は、デジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)に提供され得る。次いで、得られたアナログ信号は、周波数アップコンバータに、最終的には、無線機404に提供され得る。ビームフォーミングを伴う実装形態では、それぞれの空間ストリーム内の変調されたシンボルは、IFFTブロックへのそれらの提供の前にステアリング行列を介してプリコーディングされる。
【0043】
受信モードにある間、無線機404から受信されたデジタル信号は、DSP回路に提供されており、DSP回路は、例えば、信号の存在を検出し、初期タイミング及び周波数オフセットを推定することによって、受信信号を収集するように構成されている。DSP回路は、例えば、チャネル(狭帯域)フィルタ処理、(I/Q不平衡を補正することなどの)アナログ障害調整を使用して、かつ最終的に狭帯域信号を取得するためにデジタル利得を適用して、デジタル信号をデジタル的に調整するように更に構成されている。次いで、DSP回路の出力はAGCに供給され得、AGCは、例えば、適切な利得を判定するために、1つ又は複数の受信されたトレーニングフィールドにおいてデジタル信号から抽出された情報を使用するように構成されている。DSP回路の出力はまた、復調器と結合されており、復調器は、信号から変調されたシンボルを抽出し、例えば、各空間ストリーム内の各サブキャリアのビット位置ごとの対数尤度比(logarithm likelihood ratios、LLR)を算出するように構成されている。復調器はデコーダと結合されており、デコーダは、復号ビットを提供するためにLLRを処理するように構成され得る。次いで、空間ストリームの全てからの復号されたビットは、多重化解除のためにデマルチプレクサに供給される。次いで、多重化解除されたビットは、スクランブル解除され、処理、評価、又は解釈のためにMACレイヤ(プロセッサ406)に提供されてもよい。
【0044】
無線機404は、概して、少なくとも1つの無線周波数(RF)送信機(又は、「送信機チェーン」)と少なくとも1つのRF受信機(又は、「受信機チェーン」)とを含み、それらは1つ又は複数の送受信機に組み合わせられてもよい。例えば、RF送信機及びRF受信機は、それぞれ、少なくとも1つの電力増幅器(power amplifier、PA)と少なくとも1つの低雑音増幅器(low-noise amplifier、LNA)とを含む様々なDSP回路を含んでよい。次に、RF送信機及びRF受信機は、1つ又は複数のアンテナに結合され得る。例えば、いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス400は、(対応する送信チェーンを各々が伴う)複数の送信アンテナと(対応する受信チェーンを各々が伴う)複数の受信アンテナとを含んでよいか、又はそれらと結合されてよい。モデム402から出力されたシンボルは無線機404に提供されており、次いで、無線機404は結合されたアンテナを介してシンボルを送信する。同様に、アンテナを介して受信されたシンボルは無線機404によって取得されており、次いで、無線機404はシンボルをモデム402に提供する。
【0045】
プロセッサ406は、例えば、処理コア、処理ブロック、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)などのプログラマブル論理デバイス(programmable logic device、PLD)、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又は本明細書で説明する機能を実施するように設計されたそれらの任意の組み合わせなどの、インテリジェントハードウェアブロック又はデバイスを含むことができる。プロセッサ406は、無線機404及びモデム402を介して受信された情報を処理し、ワイヤレス媒体を介した送信のために、モデム402及び無線機404を介して出力されるように情報を処理する。例えば、プロセッサ406は、MPDU、フレーム、又はパケットの生成及び送信に関する様々な動作を実施するように構成された制御プレーン及びMACレイヤを実現し得る。MACレイヤは、動作又は技法の中でも、フレームのコーディング及び復号、空間多重化、時空間ブロックコーディング(space-time block coding、STBC)、ビームフォーミング、及びOFDMAリソース割振りを実施するか、又はそれらを容易にするように構成されている。いくつかの実装形態では、プロセッサ406は、概して、上で説明した様々な動作をモデムに実施させるようにモデム402を制御することができる。
【0046】
メモリ408は、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)若しくは読取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、又はそれらの組合せなど、有形記憶媒体を含み得る。メモリ408はまた、プロセッサ406によって実行されたときに、プロセッサに、MPDU、フレーム、又はパケットの生成、送信、受信、及び解釈を含む、ワイヤレス通信のための本明細書で説明する様々な動作を実施させる命令を含む非一時的プロセッサ又はコンピュータ実行可能なソフトウェア(software、SW)コードを記憶することができる。例えば、本明細書で開示する構成要素の様々な機能、又は本明細書で開示する方法、動作、プロセス、又はアルゴリズムの様々なブロック又はステップは、1つ又は複数のコンピュータプログラムの1つ又は複数のモジュールとして実行され得る。
【0047】
図5Aは、例示的なAP502のブロック図を示す。例えば、AP502は、
図1を参照しながら説明したAP102の例示的な実装形態であり得る。AP502は、(AP502自体が本明細書で使用されるワイヤレス通信デバイスと一般に呼ばれることもあるが)ワイヤレス通信デバイス(wireless communication device、WCD)510を含む。例えば、ワイヤレス通信デバイス510は、
図4を参照しながら説明したワイヤレス通信デバイス400の例示的な実装形態であり得る。AP502はまた、ワイヤレス通信を送信及び受信するためにワイヤレス通信デバイス510と結合された複数のアンテナ520を含む。いくつかの実装形態では、AP502は加えて、ワイヤレス通信デバイス510と結合されたアプリケーションプロセッサ530とアプリケーションプロセッサ530と結合されたメモリ540とを含む。AP502は、インターネットを含む外部ネットワークにアクセスできるようにするためにAP502がコアネットワーク又はバックホールネットワークと通信することを可能にする、少なくとも1つの外部ネットワークインターフェース550を更に含む。例えば、外部ネットワークインターフェース550は、有線(例えば、Ethernet)ネットワークインターフェース及びワイヤレスネットワークインターフェース(WWANインターフェースなど)のうちの1つ又は両方を含んでもよい。上述の構成要素のうちのいくつかは、少なくとも1つのバスを介して、構成要素のうちの他のいくつかと直接又は間接的に通信することができる。AP502は、ワイヤレス通信デバイス510、アプリケーションプロセッサ530、メモリ540、並びにアンテナ520のうちの少なくとも部分及び外部ネットワークインターフェース550を包含するハウジングを更に含む。
【0048】
図5Bは、例示的なSTA504のブロック図を示す。例えば、STA504は、
図1を参照しながら説明したSTA104の例示的な実装形態であり得る。STA504は、(STA504自体が本明細書で使用されるワイヤレス通信デバイスと一般に呼ばれることもあるが)ワイヤレス通信デバイス515を含む。例えば、ワイヤレス通信デバイス515は、
図4を参照して説明したワイヤレス通信デバイス400の例示的な実装形態であり得る。STA504はまた、ワイヤレス通信を送信及び受信するためにワイヤレス通信デバイス515と結合された1つ又は複数のアンテナ525を含む。STA504は加えて、ワイヤレス通信デバイス515と結合されたアプリケーションプロセッサ535とアプリケーションプロセッサ535と結合されたメモリ545とを含む。いくつかの実装形態では、STA504は、(タッチスクリーン又はキーパッドなどの)ユーザインターフェース(user interface、UI)555とディスプレイ565とを更に含み、ディスプレイ565は、UI555と統合されてタッチスクリーンディスプレイを形成し得る。いくつかの実装形態では、STA504は、例えば、1つ又は複数の慣性センサー、加速度計、温度センサー、圧力センサー、又は高度センサーなどの、1つ又は複数のセンサー575を更に含み得る。上述の構成要素のうちのいくつかは、少なくとも1つのバスを介して、構成要素のうちの他のいくつかと直接又は間接的に通信することができる。STA504は、ワイヤレス通信デバイス515、アプリケーションプロセッサ535、メモリ545、並びにアンテナ525の少なくとも一部分、UI555、及びディスプレイ565を包含するハウジングを更に含む。
【0049】
本明細書で使用される「分散送信」という用語は、(「分散トーンプラン」などによる)ワイヤレスチャネルの不連続トーン(又はサブキャリア)上でのPPDUの送信を指す。そのような不連続トーンは、dRUを表す。対照的に、rRUは、(「非分散トーンプラン」とも呼ばれる)IEEE 802.11規格の既存のバージョンによって定義される連続トーンの任意のセットである。分散送信は、PSD制限されたワイヤレスチャネルに対する媒体利用において、より大きな柔軟性を提供する。上記で説明したように、LPI電力クラスは、6GHz帯域でAP及びSTAの送信電力を5dBm/MHz及び-1dBm/MHzにそれぞれ制限する。ワイヤレス通信デバイスがワイヤレスチャネルの不連続サブキャリアインデックスにわたってPPDUの送信のために割り振られたトーンを分散させることを可能にすることによって、分散送信は、ワイヤレスチャネルのPSD制限を超えることなく、PPDUの全体的な送信電力を増加させ得る。例えば、分散トーンプランは、ワイヤレスチャネルの任意の1MHzサブチャネル上でデバイスによって変調されるトーンの総数を低減し得る。結果として、ワイヤレス通信デバイスは、PSD制限を超えることなく、そのトーンごとの送信電力を増加させ得る。
【0050】
様々な態様は、概して、分散送信に関し、より詳細には、分散送信をサポートするSTF設計及びシグナリングに関する。いくつかの態様では、送信デバイスは、dRU上でデータを送信することができ、既存のSTFトーンプランに従ってdRUの拡散帯域幅を介してSTFシーケンスを送信することができる。したがって、TB PPDUでは、同じ拡散帯域幅内でdRUが割当てられたSTAは、トーンの同じセット上で同じSTFシーケンスを送信することができる。いくつかの実装形態では、TB PPDUにおける送信のためにdRUが割り振られている各STAは、そのSTFシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることができ、1つ又は複数のグローバルCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたSTFシーケンスにそれぞれ適用することができる。本明細書で使用する「グローバルCSD」という用語は、PPDUに関連付けられた各STAの位置を考慮するCSD割当てを指す。例えば、異なるグローバルCSDは、各STAが異なる量の遅延を伴ってそのSTFシーケンスを送信するように、異なるSTAに割当てられてよい。いくつかの実装形態では、各STAは、そのグローバルCSD値をランダムに生成し得る。いくつかの他の実装形態では、各STAは、STAに割当てられた情報(AID値若しくはRUインデックス、RU割当てインデックス、又はdRUに関連付けられた開始トーンオフセットなど)に基づいて、CSD表からそのグローバルCSD値を選択し得る。また更に、いくつかの実装形態では、各STAは、TB PPDUを要請するトリガフレーム内でそれのグローバルCSDインデックス又は値の指示を受信し得る。いくつかの態様では、トリガフレームは、どのSTAにTB PPDUにおける送信のためにdRUが割り振られているかを示す分散送信情報を搬送することができ、dRUに関連付けられた拡散帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送することができる。
【0051】
以下の潜在的な利点のうちの1つ又は複数を実現するために、本開示で説明する主題の特定の実装形態が実現され得る。上記で説明したように、ワイヤレスチャネルの不連続トーン上でPPDUのデータ部分を送信することは、送信デバイスが、ワイヤレスチャネルのPSD制限を超えることなく、データの全体的な送信電力を増加させることを可能にする。dRUの拡散帯域幅を介してPPDUのSTFを送信することは、受信デバイスが、データ部分に関連付けられた受信信号の電力をより正確に推定することを可能にする。既存のSTFトーンプランを再利用することによって、本開示の態様は、IEEE 802.11規格に対するわずかな変更で、分散送信のためのAGCをサポートし得る。しかしながら、本開示の態様は、意図しないビームフォーミングが、(TB PPDUにおけるような)トーンの同じセット上で同じSTFシーケンスを同時に送信する複数のSTAから生じ得ることを認識する。例えば、そのような重畳されたSTF送信は、受信デバイスにおいて強め合うように、又は弱め合うように干渉し得、受信デバイスに、受信信号についての不正確な電力測定値を取得させる。各空間ストリーム上で各STAによって送信されるSTFシーケンスにグローバルCSDを適用することによって、本開示の態様は、時間領域において複数のSTAからのSTF送信を分離し得る。より具体的には、グローバルCSDは、異なるSTA及び異なる空間ストリームにわたってSTF送信の位相をずらし、それによって、受信デバイスにおける意図しないビームフォーミングを防止又は低減し得る。
【0052】
図6は、いくつかの実装形態による、例示的な分散トーンマッピングを示す周波数
図600を示す。より具体的には、
図6は、ワイヤレスチャネルを介した送信のためのトーン又はサブキャリアのセットへのPPDU602のペイロード601の例示的なマッピングを示す。いくつかの実装形態では、ペイロード601は、非分散トーンプラン(レガシートーンプラン又は非レガシートーンプランなど)に関連付けられた論理RU604上で変調され、分散トーンプランに従ってdRU606に更にマッピングされ得る。論理RU604は、PPDU602の送信のために割り振られているトーン又はサブキャリアの数を表す。対照的に、dRU606は、PPDU602を送信するために変調される(サブキャリアインデックスによって識別される)物理リソースを表す。本明細書で使用される「分散RU」又はdRUという用語は、不連続サブキャリアインデックスのセットにわたって分散された任意の論理RUを指し、「分散トーンプラン」という用語は、dRUに関連付けられた不連続サブキャリアインデックスのセットを指す。
【0053】
IEEE 802.11規格の既存のバージョンは、周波数帯域幅(又はワイヤレスチャネル)にわたる連続トーン又はサブキャリアにマッピングする、RUの数及び様々なサイズの複数のRU(multiple RU、MRU)を定義する。例えば、242トーンのRUは、20MHz帯域幅にわたる242個の連続サブキャリアインデックスにマッピングする。同様に、484+242トーンのMRUは、40MHz帯域幅にわたる484個の連続サブキャリアインデックスと、20MHz帯域幅にわたる242個の連続サブキャリアインデックスとにマッピングする。本明細書で使用される「通常のRU」又はrRUという用語は、(IEEE 802.11規格のIEEE 802.11be改訂版までを含む)IEEE 802.11規格の既存のバージョンによってサポートされる任意のRU又はMRU構成を指し、「非分散トーンプラン」という用語は、IEEE 802.11規格の既存のバージョンによって定義される任意のトーンプランを指す。更に、「レガシー」という用語は、IEEE802.11規格のIEEE802.11ax改訂版、又はそれ以前のバージョンに準拠する、PPDUフォーマット及び通信プロトコルを指すために本明細書で使用され得る。例えば、「レガシートーンプラン」は、IEEE 802.11ax改訂版によってサポートされる任意の非分散トーンプランであり得る。対照的に、本明細書で使用される「非レガシー」という用語は、IEEE802.11規格のIEEE802.11be改訂版及び将来の世代に準拠するPPDUフォーマット及び通信プロトコルを指すために本明細書で使用される。例えば、「非レガシートーンプラン」は、IEEE 802.11be改訂版によってサポートされる任意の非分散トーンプランであり得る。
【0054】
いくつかの実装形態では、論理RU604は、IEEE802.11規格の既存のバージョンによって定義されるrRUを表すことができる。言い換えれば、論理RU604は、非分散トーンプランに従ってそれぞれのrRUに直接マッピングする。
図6の例では、論理RU604は26個のトーンを含む。したがって、非分散トーンプランに従って、論理RU604は、2MHzサブチャネルにわたる26個の連続(contiguous)又は連続(consecutive)サブキャリアインデックスに直接マッピングすることになる。しかしながら、rRUにマッピングされたときに、論理RU604の送信電力は、ワイヤレスチャネルのPSDに基づいて厳しく制限されることがある。例えば、LPI電力クラスは、6GHz帯域でAP及びSTAの送信電力を5dBm/MHz及び-1dBm/MHzにそれぞれ制限する。したがって、論理RU604のトーンごとの送信電力は、ワイヤレスチャネルの各1MHzサブチャネルにマッピングされるトーンの数によって制限される。したがって、PSDが制限されたチャネルの各1MHzサブチャネルは、本明細書では「PSD制限サブチャネル」と呼ばれることがある。
【0055】
本開示の態様は、より広い帯域幅にわたってトーンを分散させることによって、論理RU604のトーンごとの送信電力を増加させ得ることを認識する。トーンごとの送信電力を増加させることにより、論理RU604の全体的な送信電力を増加させることもできる。したがって、いくつかの実装形態では、論理RU604は、より広い帯域幅チャネル(本明細書で「拡散帯域幅」又は「分散帯域幅」と呼ばれる)にわたる不連続サブキャリアインデックスのセットにマッピングされ得る。例えば
図6を参照すると、論理RU604は、分散トーンプランに従ってdRU606にマッピングされる。より具体的には、論理RU604は、40MHzワイヤレスチャネル(この場合、拡散帯域幅は40MHzに等しい)にわたって拡散された26個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされる。非分散トーンプランに関して上記で説明したトーンマッピングと比較して、
図6に示す分散トーンマッピングは、各1MHzサブチャネルの(論理RU604の)トーンの数を効果的に低減する。例えば、26個のトーンの各々は、40MHzチャネルの異なる1MHzサブチャネルにマッピングされ得る。結果として、
図6の分散トーンマッピングを実行する各AP又はSTAは、そのトーンごとの送信電力を最大化することができる(これにより、論理RU604の全体的な送信電力を最大化することができる)。
【0056】
いくつかの実装形態では、送信デバイス(STA又はAPなど)は、(
図6を参照して説明するように)周波数領域において論理RU604をdRU606にマッピングする分散トーンマッパを含むことができる。次いで、dRU606は、ワイヤレスチャネルを介した送信のために、(逆高速フーリエ変換(IFFT)などによって)時間領域信号に変換される。受信デバイス(AP又はSTAなど)は、ワイヤレスチャネルを介して時間領域信号を受信し、(高速フーリエ変換(fast Fourier transform、FFT)などによって)時間領域信号をdRU606に変換し戻す。いくつかの実装形態では、受信デバイスは、dRU606を論理RU604にデマッピングする分散トーンデマッパを含むことができる。言い換えれば、分散トーンデマッパは、送信デバイスにおいて分散トーンマッパによって実施されたマッピングを反転する。次いで、受信デバイスは、デマッピングの結果として、論理RU604上で搬送(又は変調)された情報を復元することができる。
【0057】
図6の例では、論理RU604は、40MHzワイヤレスチャネルにわたって均一に分散される。しかしながら、実際の実装形態では、論理RU604は、不連続サブキャリアインデックスの任意の好適なパターンにマッピングされ得る。例えば、いくつかの態様では、変調されたトーンの任意のペア同士の間の距離は、
図6に示す距離とは異なってもよい(よりも小さくてもよく、又は大きくてもよい)。また更に、いくつかの態様では、複数の論理RUは、共有ワイヤレスチャネルのインターリーブされたサブキャリアインデックスにマッピングされ得る。
【0058】
図7は、いくつかの実装形態による、論理RU702及び704のdRU706及び708への例示的なマッピングを示す周波数図を示す。いくつかの実装形態では、論理RU702及び704の各々は、それぞれのAP又はSTA(簡略化のために図示せず)のためのユーザデータを搬送し得る。
【0059】
図7の例では、論理RU702及び704の各々は、26個のトーンを含み、拡散帯域幅は40MHzに等しい。いくつかの実装形態では、論理RU702及び704は、分散トーンプランに従って、dRU706及び708にそれぞれマッピングされる。より具体的には、論理RU702及び704の各々に関連付けられた26個のトーンは、40MHzワイヤレスチャネルにわたって拡散された26個の不連続サブキャリアインデックスのそれぞれのセットにマッピングされる。いくつかの実装形態では、分散トーンプランは、第1の論理RU702の26個のトーンを、サブキャリアインデックス1から始まる18個のサブキャリアインデックスごとにマッピングし、第2の論理RU704の26個のトーンを、サブキャリアインデックス10から始まる18個のサブキャリアインデックスごとにマッピングする。結果として、第1のdRU706は、サブキャリアインデックス1から451上で変調された18個ごとのトーンを含み、第2のdRU708は、サブキャリアインデックス10から460上で変調された18個ごとのトーンを含む。
【0060】
図7に示すように、論理RU702の第1のトーン(tone_idx=1)はサブキャリアインデックス1にマッピングされており、論理RU702の第2のトーン(tone_idx=2)はサブキャリアインデックス19にマッピングされており、マッピングパターンは、論理RU702の第26のトーン(tone_idx=26)がサブキャリアインデックス451にマッピングされるまで続く。同様に、論理RU704の第1のトーン(tone_idx=1)はサブキャリアインデックス10にマッピングされており、論理RU704の第2のトーン(tone_idx=2)はサブキャリアインデックス28にマッピングされており、マッピングパターンは、論理RU704の第26のトーン(tone_idx=26)がサブキャリアインデックス460にマッピングされるまで継続する。したがって、
図7に示すように、分散トーンプランは、dRU拡散帯域幅にわたって、9個のサブキャリアインデックスだけオフセットされた論理RU702及び704をインターリーブする。本開示の態様は、dRU706及び708をインターリーブすることによって、スペクトル効率を犠牲にすることなく、各dRUのトーン当たりの送信電力を大幅に増加させ得ることを認識する。
【0061】
本開示の態様は、分散送信をサポートするために新しいパケット設計が必要とされることを認識する。例えば、IEEE 802.11規格の既存のバージョンは、ペイロードが後に続くPHYプリアンブルを含むPPDUフォーマットを定義する。
図6及び
図7を参照しながら説明するように、ペイロードは、増加した送信電力を達成するためにdRU上で送信され得る。PHYプリアンブルは、受信デバイスにおけるAGC又はDC推定に使用され得る1つ又は複数のSTFを含む。例えば、送信デバイスは、STF内でシンボルの既知のパターンを受信デバイスに送信し得る。受信デバイスは、受信信号の電力を推定し、DC推定を実施するために、受信されたSTF(「STFシーケンス」とも呼ばれる)内のシンボルパターン及びその周期性のその知識を使用し得る。更に、受信デバイスは、STFの推定された電力に基づいてその増幅器の利得を動的に調整し、PPDUのデータ部分のより正確な受信を保証するために受信信号のDCを補正し得る。IEEE 802.11規格の既存のバージョンは、様々なPPDUフォーマット及び帯域幅に関連付けられた様々なSTFシーケンス及びトーンプラン(「既存のSTFトーンプラン」とも呼ばれる)を定義する。IEEE 802.11規格の既存のバージョンによれば、rRUは、rRUのために排他的に割り振られたそれぞれの帯域幅(又はサブバンド)を介して送信されており、各rRUに関連付けられたSTFは、そのrRU内のSTFトーンを介して送信されている。しかしながら、
図7に示すように、複数のdRUは、共有帯域幅のインターリーブされたトーン上で送信され得る。STFは、変調されたトーンの信号電力を推定するために使用されるので、PPDU送信に使用されるトーンプランを(非分散トーンプランから分散トーンプランへなどに)変更することは、新しいdRU関連シグナリング及びSTF設計を必要とし得る。
【0062】
図8は、いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な例示的なPPDU800を示す。いくつかの実装形態では、PPDU800は、
図6のPPDU602の一例であり得る。PPDU800は、第1の部分802と第2の部分804とを含むPHYプリアンブルを含む。PPDU800は、例えば、DATAフィールド826を搬送するPSDUの形態で、プリアンブルの後にPHYペイロード806を更に含み得る。いくつかの実装形態では、PPDU800は、非レガシー又は極高スループット(Extremely High Throughput、EHT)PPDUとしてフォーマットされ得る。
【0063】
PHYプリアンブルの第1の部分802は、L-STF808と、L-LTF810と、L-SIG812と、反復されたレガシー信号フィールド(repeated legacy signal field、RL-SIG)814と、ユニバーサル信号フィールド(universal signal field、U-SIG)816とを含む。いくつかの実装形態では、PHYプリアンブルの第1の部分804は、非レガシー信号フィールド(non-legacy signal field、EHT-SIG)818を更に含み得る。IEEE 802.11規格のIEEE 802.11be改訂版を参照すると、第1の部分802は、PPDU800の「プレEHT変調部分」と呼ばれることがある。PHYプリアンブルの第2の部分804は、非レガシーショートトレーニングフィールド(non-legacy short training field、EHT-STF)822といくつかの非レガシーロングトレーニングフィールド(non-legacy long training field、EHT-LTF)824とを含む。IEEE 802.11規格のIEEE 802.11be改訂版を参照すると、第2の部分804は、PHYペイロード806と共に、PPDU800の「EHT変調部分」と呼ばれることがある。
【0064】
例えば、
図6を参照すると、PHYペイロード806は、ペイロード601の一例であり得る。PHYペイロード806は、例えば、送信電力の利得を達成するために、dRUに更にマッピングされる論理RU上で変調され得る。
図6及び
図7を参照しながら説明したように、dRUのトーンは、ワイヤレスチャネルに関連付けられた不連続サブキャリアインデックスにわたって分散される。ワイヤレスチャネルの帯域幅は、拡散帯域幅(BW)又は「分散帯域幅」と呼ばれる。不連続トーン分散を達成するために、その上でPHYペイロード806が変調される論理RUの帯域幅は、拡散帯域幅よりも小さくなければならない。例えば、
図6に示すように、ペイロード601は、約2MHzの帯域幅を有する26トーンの論理RU604上で変調されており、論理RU604のトーンは、40MHz拡散帯域幅に関連付けられた26個の不連続サブキャリアインデックスにわたって更に分散されている。
【0065】
EHT-STF822は、受信デバイスにおいてAGCのために使用される値のシーケンス(又はSTFシーケンス)を搬送する。より具体的には、受信デバイスは、受信されたSTF信号の電力を測定し、EHT-STF822の測定された電力に基づいてPHYペイロード806をより正確に受信するために、その増幅器の利得を調整する。したがって、いくつかの態様では、EHT-STF822はまた、dRUの拡散帯域幅にわたって送信され得る。IEEE 802.11規格の既存のバージョンは、STFシーケンスの値をワイヤレスチャネルに関連付けられたそれぞれのトーンにマッピングするSTFトーンプランを定義する。例えば、TB PPDUに関連付けられた既存のSTFトーンプランは、それぞれのSTF値を用いてワイヤレスチャネル内で8個のトーンごとに変調する。いくつかの実装形態では、EHT-STF822は、既存のSTFトーンプランに従って、拡散帯域幅にわたる一連のトーンにマッピングされ得る。言い換えれば、分散送信は、既存のSTFトーンプランに従って拡散帯域幅内のそれぞれのトーンにマッピングされる既存のEHT-STFシーケンスを再使用し得る。
【0066】
図9は、分散送信におけるAGCに使用可能な例示的なSTFシーケンス902を示す周波数
図900を示す。いくつかの実装形態では、STFシーケンス902は、
図8のEHT-STF822の一例であり得る。
図9の例では、STFシーケンス902は、TB PPDUのために定義された既存のSTFトーンプランに従って40MHz拡散帯域幅にマッピングされる。いくつかの実装形態では、STFシーケンス902は、484トーンrRUのために定義された既存のSTFシーケンスであり得る。
図9に示すように、STFシーケンス902の値は、40MHz拡散帯域幅にわたる-248から248(DCを中心とする)までのサブキャリアインデックスの範囲内の8個のサブキャリアインデックスごとにマッピングされる。
図9に示すように、STFシーケンス902の第1の値はサブキャリアインデックス-248上で変調されており、STFシーケンス902の第2の値はサブキャリアインデックス-240上で変調されており、STFシーケンス902の第3の値はサブキャリアインデックス-232上で変調されており、マッピングは、STFシーケンス902の最後の値がサブキャリアインデックス248にマッピングされるまで反復されている。
【0067】
本開示の態様は、所与の拡散帯域幅のための各STFシーケンス及びトーンマッピング方式を定義することによって、同じSTFシーケンスが、同じ拡散帯域幅内での送信のために割り振られている異なるdRUに割当てられた複数のSTAによって(トーンの同じセット上で)送信され得ることを認識する。例えば
図7を参照すると、STFシーケンス902は、dRU706に割当てられた第1のSTAによって送信されてよく、dRU708に割当てられた第2のSTAによって送信されてもよい。いくつかの態様では、第1及び第2のSTAは、(TB PPDUにおいてなど)受信デバイスにSTFシーケンス902を同時に送信することがあり、これは、受信デバイスにおける意図しないビームフォーミングをもたらし得る。例えば、受信デバイスは、互いに重畳されたSTFシーケンス902の複数のコピーを受信し得る。しかしながら、第1及び第2のSTAの各送信機からのランダム位相は、受信信号を強め合うように、又は弱め合うように互いに干渉させることがあり、これは、それらが同じチャネル応答(加法性白色ガウス雑音(additive white gaussian noise、AWGN)など)を有するときに最も顕著である。結果として、STFに関連付けられた測定された電力は、dRU706又は708のいずれかに関連付けられた実際の電力よりも著しく高い又は低いことがある。
【0068】
図10は、いくつかの実装形態による、TB PPDU1000のための例示的なフレーム構造を示す。TB PPDU1000は、プレEHT変調部分1002とそれに続くEHT変調部分1004とを含む。プレEHT変調部分1002は、L-STFと、L-LTFと、L-SIGと、RL-SIGと、U-SIGとを含む。EHT変調部分1004は、EHT-STFと、EHT-LTFと、データ部分とを含む。いくつかの実装形態では、TB PPDU1000は、
図8のPPDU800の一例であり得る(EHT-SIG818を除く)。
【0069】
図10の例では、TB PPDU1000は、40MHz帯域幅を介して送信され得る。適切なパケット検出と、IEEE 802.11規格の既存のバージョンに準拠するワイヤレス通信デバイスとの後方互換性とを保証するために、TB PPDU1000のプレEHT変調部分1002は、40MHz帯域幅の各20MHzサブバンド上で複製され得る。例えば、L-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、及びU-SIG内で搬送される情報は、第1の20MHz上で送信されてよく、同じ情報が第2の20MHzサブバンド上で複製され得る。
【0070】
対照的に、EHT変調部分1004は、全体として40MHz帯域幅を介した送信のために構成され得る。例えば、TB PPDU1000の第1のデータ部分は、40MHz帯域幅にマッピングされた第1のdRU1002に割当てられてよく、TB PPDU1000の第2のデータ部分は、40MHz帯域幅にマッピングされた第2のdRU1004に割当てられてよい。いくつかの実装形態では、dRU1002及び1004は、
図7の、それぞれ、dRU702及び704の例であり得る。したがって、dRU1002及び1004は、同じ40MHz拡散帯域幅内のインターリーブされたトーン上で送信され得る。
【0071】
いくつかの実装形態では、第1のdRU1002は第1のSTA(STA1)に割当てられてよく、第2のdRU1004は第2のSTA(STA2)に割当てられてよい。言い換えれば、STA1は、TB PPDU1000の第1のデータ部分内のdRU 1002上でそのデータを送信することができ、STA2は、TB PPDU1000の第2のデータ部分内のdRU1004上でそのデータを送信することができる。EHT-LTFは、受信デバイスにおけるチャネル推定のために使用される値のシーケンス(「LTFシーケンス」とも呼ばれる)を搬送する。したがって、EHT-LTFは、TB PPDU1000のデータ部分と同じトーン上で送信され得る。例えば、STA1は、TB PPDU1000のEHT-LTFにおいてdRU1002上でLTFシーケンスを送信することができ、STA2は、TB PPDUのEHT-LTFにおいてdRU1004上でLTFシーケンスを送信することができる。いくつかの態様では、EHT-STFは、(
図9に示すような)40MHz帯域幅に関連付けられた既存のSTFシーケンスを搬送し得る。したがって、STA1及びSTA2は、TB PPDU1000のEHT-STF内のトーンの同じセット上で同じSTFシーケンスを送信し得る。
【0072】
いくつかの態様では、STA1及びSTA2は各々、1つ又は複数の空間ストリームを介してTB PPDU1000のそれぞれの部分を送信し得る。例えば、STA1は、ある数(m個)の空間ストリーム上でTB PPDU1000のその部分(EHT-STFと、dRU1002にマッピングされたEHT変調部分1004とを含む)を送信し得る。いくつかの実装形態では、STA1は、受信デバイスにおけるm個の空間ストリームにわたる意図しないビームフォーミングを回避するために、m個の空間ストリームにマッピングされたTB PPDU1000の部分にm個のCSDをそれぞれ適用し得る。同様に、STA2は、TB PPDU1000のその部分(EHT-STFと、dRU1004にマッピングされたEHT変調部分1004とを含む)をある数(n個)の空間ストリーム上で送信し得る。いくつかの実装形態では、STA2は、受信デバイスにおけるn個の空間ストリームにわたる意図しないビームフォーミングを回避するために、n個の空間ストリームにマッピングされたTB PPDU1000の部分にn個のCSDをそれぞれ適用し得る。
【0073】
本開示の態様は、dRU1002及び1004が周波数において分離されているので、ローカルCSDが、TB PPDU1000のEHT-LTF及びデータ部分における意図しないビームフォーミングを克服するのに十分であり得ることを認識する。言い換えれば、STA1は、「ローカルに」、又はSTA2によって適用されるn個のCSDを考慮せずに、そのm個のCSDを適用し得る。EHT-LTFとm個の空間ストリームにマッピングされたデータ部分とに適用されるm個のCSDが、EHT-LTFとn個の空間ストリームにマッピングされたデータ部分とに適用されるn個のCSD(又はそのサブセット若しくはスーパーセット)に等しい場合であっても、TB PPDU1000のEHT-LTF及びデータ部分において意図しないビームフォーミングが回避され得る。
【0074】
しかしながら、STA1及びSTA2はトーンの同じセット上でTB PPDU1000のEHT-STFを送信するので、STA1及びSTA2がそれらのそれぞれの空間ストリームにローカルCSDのみを適用する場合、m+n個の空間ストリームにわたって意図しないビームフォーミングが依然として発生し得る。例えば、m個の空間ストリームにマッピングされたEHT-STFに適用されるm個のCSDが、n個の空間ストリームにマッピングされたEHT-STFに適用されるn個のCSD(又はそのサブセット若しくはスーパーセット)に等しい場合、STA1によって送信されるm個の空間ストリームとSTA2によって送信されるn個の空間ストリームとの間の相互相関の結果として、TB PPDU1000のEHT-STFにおいて意図しないビームフォーミングが依然として発生し得る。
【0075】
いくつかの態様では、TB PPDUにおける送信のためにdRUが割当てられた各STAは、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたTB PPDUのEHT-STFに1つ又は複数のグローバルCSDをそれぞれ適用し得る。上記で説明したように、グローバルCSDは、TB PPDUに関連付けられた各STAの位置を考慮に入れる。例えば、TB PPDUに関連付けられた各STAに割当てられたグローバルCSD値は、TB PPDUに関連付けられた任意の他のSTAに割当てられたグローバルCSD値とは異なり得る。例えば
図10を参照すると、STA1は、m個の空間ストリームにマッピングされたEHT-STFにm個のグローバルCSD値をそれぞれ適用することができ、STA2は、n個の空間ストリームにマッピングされたEHT-STFにn個のグローバルCSD値をそれぞれ適用することができ、その結果、m+n個の空間ストリームの各々にマッピングされたEHT-STFに異なるCSDが適用される。したがって、グローバルCSDは、時間領域において複数のSTAからのEHT-STF送信を効果的に分離し、それによって、受信デバイスにおける意図しないビームフォーミングを回避する。
【0076】
いくつかの実装形態では、グローバルCSDは、TB PPDU1000のEHT変調部分1004全体に適用され得る。そのような実装形態では、送信デバイスは、TB PPDU1000のEHT-STF、EHT-LTF、及びデータ部分に同じ位相勾配(又は同じCSD値)を適用することができ、これは、TB PPDU1000の送信機の実装を簡略化し得る。いくつかの実装形態では、グローバルCSDをEHT-LTFに適用することは、受信機側のピーク対平均電力比(peak-to-average power ratio、PAPR)を低減するか、又はEHT-LTFの送信に関連付けられた意図しないビームフォーミング問題を解決するのに役立ち得る。しかしながら、本開示の態様はまた、IEEE 802.11規格の既存のバージョンが、UL OFDMAを用いたTB PPDUにおけるEHT-LTF及びデータの送信及び受信においてローカルCSDの使用のみをサポートすることを認識する。したがって、EHT変調部分1004全体にグローバルCSDを適用することは、TB PPDU1000の送信機及び受信機の実装形態への変更を必要とし得る。
【0077】
いくつかの他の実装形態では、グローバルCSDは、TB PPDU1000のEHT-STFのみに適用され得る。そのような実装形態では、送信デバイスは、TB PPDU1000のEHT-LTF及びデータ部分とは異なる位相勾配(又は異なるCSD値)をEHT-STFに適用することができ、これは、TB PPDU1000の送信機の実装形態により多くの複雑さを追加し得る。しかしながら、ローカルCSDは、IEEE 802.11規格の既存のバージョンに準拠して、TB PPD1000のEHT-LTF及びデータ部分に適用され得る。本開示の態様は、受信デバイスにおけるEHT-STFの処理がCSDの値に依存しない(又は影響されない)ことを更に認識する。したがって、グローバルCSDをEHT-STFに排他的に適用することは、TB PPDU1000の送信機及び受信機の実装形態に必要とされる変更を低減又は最小化し得る。
【0078】
図11は、いくつかの実装形態による、ワイヤレス通信デバイスの例示的な送信(transmit、TX)処理チェーン1100のブロック図を示す。より具体的には、TX処理チェーン1100は、PPDUのEHT-STF(
図8のEHT-STF822又は
図10のEHT-STFなど)を表すSTFシーケンス1102を送信するように構成され得る。いくつかの他の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスは、それぞれ、
図1及び
図5AのAP102又は502のうちのいずれかなどのAPであってよい。いくつかの他の実装形態では、ワイヤレス通信デバイスは、それぞれ、
図1及び
図5BのSTA104又は504のいずれかなどのSTAであってよい。
【0079】
TX処理チェーン1100は、STFシーケンスセレクタ1110と、CSD位相回転器1130と、空間ストリーム(spatial stream、SS)マッパ1140と、ある数(N個)の逆高速フーリエ変換(IFFT)1150(1)~1150(n)とを含む。STFシーケンスセレクタ1110は、PPDUにおいて送信されることになるSTFシーケンス1102を選択する。いくつかの態様では、STFシーケンスセレクタ1110は、ワイヤレス通信デバイスによるPPDUにおける送信のために割り振られたdRUに関連付けられた拡散帯域幅1101に基づいて、STFシーケンス1102を選択し得る。いくつかの実装形態では、STFシーケンスセレクタ1110は、(
図8及び
図9を参照しながら説明したような)IEEE 802.11規格の既存のバージョンに従って拡散帯域幅1101にマッピングするSTFシーケンス1102を選択し得る。選択されたSTFシーケンス1102は、ある数(n個)のデータストリーム上にコピーされる。
【0080】
位相回転器1130は、位相回転されたSTFシーケンス1104を生成するために、STFシーケンス1102のn個のデータストリームにn個のCSDをそれぞれ適用するように構成されている。例えば、CSDは、受信デバイスにおける意図しないビームフォーミングを防止するために、n個のデータストリームのうちの1つ又は複数に位相回転又は遅延を追加し得る。
図8~
図10を参照しながら説明したように、複数のSTAは、同じ拡散帯域幅内でそれぞれのdRUが割当てられたときに、トーンの同じセット上で同じSTFシーケンスを同時に送信することができる。いくつかの態様では、位相回転器1130は、複数のSTAにわたる意図しないビームフォーミングを防ぐために、それぞれのグローバルCSD値をn個のCSDの各々に割当て得る。例えば、位相回転器1130は、TB PPDUにおける送信のためのdRUの割振りに応じて、n個のグローバルCSD値を決定又は選択し得る。
【0081】
SSマッパ1120は、空間的にマッピングされたSTFシーケンス1106を生成するために、位相回転されたnストリームSTFシーケンス1104をN個のTXチェーン信号SS1~SSNにマッピングする。例えば、SSマッパ1120は、STFシーケンス1104に関連付けられた変調値に空間マッピング行列(Q行列など)を適用し得る。空間マッピングの結果として、データストリームの各々は、(空間的にマッピングされたSTFシーケンス1106として)それぞれの送信機チェーン上に投影される。IFFT1150(1)~1150(N)は、N個のTXチェーン信号SS1~SSN上のSTFシーケンス1106を周波数領域から時間領域にそれぞれ変換する。例えば、各IFFT1150は、各空間ストリームにマッピングされた変調値を表すそれぞれの一連の時変サンプルを生成し得る。時変サンプルは、n個の送信機チェーン(簡略化のために図示せず)を介して、ワイヤレスチャネルを介して、送信され得る時間領域STF信号1108を表す。
【0082】
本開示の態様は、他のワイヤレス通信デバイスによって同時に同時に送信される任意のSTF信号からSTF信号1108を分離する際の位相回転器1130の有効性が、グローバルCSD値の一意性に依存することを認識する。理想的には、位相回転器1130によって適用されるグローバルCSD値は、同じTB PPDUに関連付けられた任意の他のワイヤレス通信デバイスによって適用されるグローバルCSD値とは異なるべきである。したがって、いくつかの実装形態では、位相回転器1130は、ワイヤレス通信デバイスに固有であるグローバルCSD導出情報1103に基づいてグローバルCSD値を導出し得る。いくつかの態様では、グローバルCSD導出情報1103は、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報を含み得る。例示的な好適な情報は、他の例の中でも、関連付け識別子(AID)値、その割当てられたdRUに関連付けられたRUインデックス若しくはRU割当てインデックス、又はその割当てられたdRUに関連付けられた開始トーンオフセットを含み得る。
【0083】
いくつかの実装形態では、位相回転器1130は、例えば、乱数生成器を使用して、又はワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報に応じて、n個のグローバルCSD値をランダムに生成し得る。例えば、グローバルCSD値は、式1に従って、AID値、最大(M)グローバルCSD値(800nsなど)、グローバルCSD値の粒度(Δ)(25nsなど)、及びAID値同士の間の所望の距離又は間隔(D)の関数として生成され得る。
【0084】
【数1】
位相回転器1130は、式1に基づいてワイヤレス通信デバイスのための初期グローバルCSD値(CSD
0)を生成し得る。いくつかの実装形態では、位相回転器1130は、CSD
0をΔ倍に(例えば、n-1倍に)増分することによって、残りのn-1個のグローバルCSD値を生成し得る。Dの値は、重複するグローバルCSD値を異なるSTAに割当てる(本明細書では「衝突」とも呼ばれる)可能性を低減するために、AID値同士の間の間隔を増加させるために使用される。例えば、Dは
【0085】
【0086】
いくつかの他の実装形態では、グローバルCSD値の数(N)は、概して、すべてのdRU送信のために定義され得る。そのような実装形態では、分散送信をサポートする各ワイヤレス通信デバイスは、同じN個のグローバルCSD値の知識を有する。例えば、N個のグローバルCSD値の各々は、CSD表1132内にそれぞれのエントリとして記憶され得る。いくつかの実装形態では、Nは8に等しくてよい。8個のエントリ(N=8)を有する例示的なCSD表が以下に示され、各エントリの値は、それぞれの遅延量(ns単位)を示す:
[0 -400 -200 -600 -350 -650 -100 -750]
【0087】
いくつかの他の実装形態では、Nは16に等しくてよい。本開示の態様は、別個のグローバルCSD値の数を増加させること(Nのより大きい値)が、衝突の可能性を低減することを認識する。しかしながら、より大きいCSD表はまた、IEEE 802.11規格及び送信機の実装形態への変更を必要とし得る。16個のエントリ(N=16)を有する例示的なCSD表が以下に示され、各エントリの値は、それぞれの遅延量(ns単位)を示す:
[0 -400 -200 -600 -350 -650 -100 -750 -250 -550 -300 -450 -50 -700 -150 -500]
16個のエントリ(N=16)を有する別の例示的なCSD表が以下に示されており、最後の8個のエントリの値は、最初の8個のエントリの回転バージョンである。
[0 -400 -200 -600 -350 -650 -100 -750(0+Δ)(-400+Δ)(-200+Δ)(-600+Δ)(-350+Δ)](-650+Δ)(-100+Δ)(-750++Δ)]
上記のCSD表では、Δは、CSD表の最後の8個のエントリを生成するためにCSD表の最初の8個のエントリの各々に適用され得る位相オフセット(50nsなど)を表す。
【0088】
いくつかの実装形態では、位相回転器1130は、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報(STA_assignment_info)に基づいて、CSD表1132に関連付けられた開始インデックスをアルゴリズム的に決定し得る。例えば、開始インデックスは、式2に従って、STA_assignment_info及びNの関数として計算され得る。
start index=mod(STA_assignment_info,N)+1 (2)
式2に基づいて、開始インデックスは、CSD表1132のN個のエントリのうちの1つを指す、0とN-1との間の値を有することになる。したがって、位相回転器1130は、ワイヤレス通信デバイスのための初期グローバルCSD値を決定するために開始インデックスを使用し得る。いくつかの実装形態では、位相回転器1130は、開始インデックスを(例えば、n-1倍に)増分し、CSD表1132から対応するエントリを取り出すことによって、残りのn-1個のグローバルCSD値を決定し得る。
【0089】
いくつかの実装形態では、STA_assignment_infoは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたAID値であり得る。例えば、BSSに関連付けられた各STAには、BSS内のSTAを識別するAID値が割当てられている。AID値は、BSSとの関連付け時にワイヤレス通信デバイスに知られており、トリガフレーム内で(ユーザ情報フィールド内などで)搬送されるユーザ固有情報を識別するために使用され得る。いくつかの他の実装形態では、STA_assignment_infoは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたdRUに関連付けられたRU割当てインデックス又はRUインデックスであり得る。例えば、トリガフレームは、既存のRU割振り表に準拠するRU割当てインデックスに基づいてdRUをSTAに割り振ることができる。RU割当てインデックス又はRUインデックスは、所与の帯域幅内のdRU(他の例の中でも、40MHz帯域幅の第1の26トーンdRU、40MHz帯域幅の第2の26トーンdRU、80MHz帯域幅の第1の52トーンdRU、又は80MHz帯域幅の第2の52トーンdRUなど)のサイズ及び相対位置を示すことができる。
【0090】
また更に、いくつかの実装形態では、STA_assignment_infoは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたDRUに関連付けられた開始トーンオフセットであり得る。例えば、同じ拡散帯域幅にマッピングされるdRUは、各dRUのサイズ及びそのRUインデックスに応じて、サブキャリアインデックスの数だけ互いからオフセットされる。所与のサイズのdRUの第1のトーンと、そのサイズの第1のdRUの第1のトーンとの間の距離は、本明細書では「開始トーンオフセット」と呼ばれる。例えば
図7を参照すると、dRU706は、それが40MHz拡散帯域幅にマッピングされた第1の26トーンdRUであるので、0に等しい開始トーンオフセットを有する。対照的に、dRU708は、それが40MHz拡散帯域幅にマッピングされた第2の26トーンdRUであり、(サブキャリアインデックス10にマッピングされた)dRU708の第1のトーンが(サブキャリアインデックス1にマッピングされた)dRU706の第1のトーンから9個のサブキャリアインデックスだけオフセットされるので、9に等しい開始トーンオフセットを有する。
【0091】
本開示の態様は、各STAがそれ自体のグローバルCSD値を(ランダムに又はアルゴリズム的に)導出するとき、衝突が完全に回避され得ないことを認識する。例えば、いくつかのBSSは、同じAID値を複数のSTAにランダムに割当て得る。したがって、STA_assignment_infoがワイヤレス通信デバイスのAID値であるとき、式1及び2は、同じAID値を割当てられたSTAのために同じCSD値を生成し得る。更に、STA_assignment_infoがRU割当てインデックスであるとき、式2は、(RU割振り表が固定されているので)複数のRU割当てインデックスに対して同じCSD値を生成し得る。例えば、モジュロ演算は、RU割当てインデックス0及び8(N=8)に対して1の同じCSD値を生成する。同様の問題は、STA_assignment_infoが開始トーンオフセットであるときに発生し得る。例えば、20MHz拡散帯域幅内の第1の26トーンdRUは、0に等しい開始トーンオフセットを有し、20MHz帯域幅内の第5の26トーンdRUは、8に等しい開始トーンオフセットを有する。したがって、STA_assignment_infoが開始トーンオフセットであるとき、式2は、複数のdRU割当てに対して同じCSD値を生成し得る。
【0092】
本開示の態様は、dRU構成が階層構造に従うことを更に認識する。言い換えれば、より大きなdRUは、複数のより小さなdRUから構築される。表1は、20MHz帯域幅に関連付けられた26トーンdRU(dRU26)、52トーンdRU(dRU52)、及び106トーンdRU(dRU106)の例示的な階層dRU構造を示す。
【0093】
【0094】
この階層構造は、重複するdRUが同じ周波数帯域幅又はサブバンドにおける送信のために割り振られることを防止することができる。したがって、いくつかの態様では、新しいグローバルCSD開始インデックス表は、CSD衝突の確率を更に低減するために、階層dRU構造に基づいて設計され得る。表2は、20MHz帯域幅に関連付けられた例示的なグローバルCSD開始インデックス表を示し、表2の各エントリは、表1内のそれぞれのdRUインデックス(又はdRU割当てインデックス)にマッピングする。
【0095】
【0096】
いくつかの実装形態では、グローバルCSD開始インデックス表の値は、各STAのグローバルCSD値を決定するために、式2の代わりに使用され得る。例えば、20MHzの拡散帯域幅においてdRU261が割当てられたSTA(RU割当てインデックス=0及び開始トーンオフセット=0)は、表2に従って、その開始インデックスが1に等しいと判定する。
【0097】
いくつかの態様では、受信デバイス(又はTB PPDUを要請するデバイス)は、TB PPDUに関連付けられた各STAにグローバルCSD値を割当てることができる。例えば、受信デバイスは、TB PPDUを要請するトリガフレーム内で各STAに割当てられたグローバルCSD値の指示を提供し得る。いくつかの実装形態では、トリガフレームは、TB PPDUに関連付けられたSTAの各々に割当てられたそれぞれの開始インデックスを示すCSD情報を搬送し得る。そのような実装形態では、位相回転器1130は、グローバルCSD導出情報1103として開始インデックスを受信し得、開始インデックスが示す適切なCSD値をCSD表1132から取り出すことができる。いくつかの実装形態では、トリガフレームは、各STAに割り振られたRU割当てインデックスがrRUを表すかdRUを表すかを示す分散送信情報を搬送することができ、各dRUに関連付けられた拡散帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送することができる。
【0098】
図12は、いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な例示的なトリガフレーム1200を示す。トリガフレーム1200は、1つ又は複数のSTAからTB PPDU(
図10のTB PPDU1000など)を要請するために使用され得る。例えば
図1を参照すると、AP102は、STA104のうちの1つ又は複数からTB PPDUを要請するためにトリガフレーム1200を送信し得る。トリガフレーム1200は、TB PPDUにおける送信のためにリソース(1つ又は複数のrRU又はdRUなど)を割り振ることができる。
【0099】
トリガフレーム1200は、MACヘッダ1210と、共通情報フィールド1220と、ユーザ情報リスト1230と、0個以上のパディングビット1240と、FCS1250とを含む。MACヘッダ1210は、フレーム制御フィールドと、持続時間フィールドと、受信機アドレス(receiver address、RA)フィールドと、送信機アドレス(transmitter address、TA)フィールドとを含む。共通情報フィールド1220及びユーザ情報リスト1230は、トリガフレーム1200の受信に応じて送信されることになるTB PPDUを構成するために受信デバイスによって使用され得る構成情報を搬送する。いくつかの態様では、ユーザ情報リスト1230は、それぞれのユーザについてのユーザごとの情報を各々が搬送する1つ又は複数のユーザ情報フィールド1232を含み得る。対照的に、共通情報フィールド1220は、トリガフレーム1200のすべての受信側(ユーザ情報リスト1230内で識別された任意のユーザなど)に共通である情報を搬送し得る。
【0100】
いくつかの実装形態では、各ユーザ情報フィールド1232は、RU割振り情報1233と、分散送信情報1234と、dRU分散帯域幅情報1235と、dRU CSD開始インデックス1236とを搬送し得る。RU割振り情報1233は、ユーザ情報フィールド1232に関連付けられたユーザに割り振られている論理RU(又はMRU)を示し、分散送信情報1234は、論理RUがrRUにマッピングされるかdRUにマッピングされるかを示す。論理RUがdRUであることを分散送信情報1234が示す場合、dRU分散帯域幅情報1235は、dRUに関連付けられた拡散帯域幅を示すことができ、dRU CSD開始インデックス1236は、ある数(N個)のグローバルCSD値を記憶するグローバルCSD表のそれぞれのエントリを指すことができる。
【0101】
いくつかの実装形態では、グローバルCSD表(
図11のCSD表1132など)は、8個のグローバルCSD値(N=8)を記憶し得る。そのような実装形態では、dRU CSD開始インデックス1236は、グローバルCSD表の別個のエントリを指す3ビット値であり得る。いくつかの他の実装形態では、グローバルCSD表は、16個のグローバルCSD値(N=16)を記憶し得る。そのような実装形態では、dRU CSD開始インデックス1236は、グローバルCSD表の上半分内のそれぞれのエントリ又はグローバルCSD表の下半分内のそれぞれのエントリを指す3ビット値であり得る。いくつかの実装形態では、ユーザ情報フィールド1232は、dRU CSD開始インデックス1236がグローバルCSD表の上半分内のエントリを指すか、又はグローバルCSD表の下半分内のエントリを指すかをシグナリングする曖昧性除去情報(追加ビットなど)を更に搬送することができる。
【0102】
いくつかの他の実装形態では、曖昧性除去情報は暗黙的にシグナリングされ得る。例えば、ユーザ情報フィールド1232に関連付けられたSTAは、STAに割当てられた他の情報に基づいて曖昧性除去情報を導出し得る。いくつかの実装形態では、曖昧性除去情報は、STAに割当てられたAID値に基づいて導出され得る。例えば、偶数のAID値に割当てられたSTAは、dRU CSD開始インデックス1236を、CSD表の上半分内のエントリを指すものとして解釈し得るが、奇数のAID値に割当てられたSTAは、dRU CSD開始インデックス1236を、CSD表の下半分内のエントリを指すものとして解釈し得る。
【0103】
RU割振り情報1233は、IEEE 802.11規格の既存のバージョンによって定義されるように、ユーザ情報フィールド1232のRU割振りサブフィールド内で搬送され得る。言い換えれば、既存のRU割振りサブフィールドは、rRU送信又はdRU送信に関連付けられた論理RUを示すために再使用され得る。対照的に、分散送信情報1234、dRU分散帯域幅情報1235、及びdRU CSD開始インデックス1236は、既存のトリガフレームフォーマット内に現在含まれていない新しいシグナリングを表す。分散送信情報1234は、(rRU又はdRUを示すために)少なくとも1ビットを必要とし得、dRU分散帯域幅情報1235は、(20MHz、40MHz、又は80MHzの拡散帯域幅を示すために)少なくとも2ビットを必要とし得、dRU CSD開始インデックス1236は、少なくとも3ビットを必要とし得る。
【0104】
本開示の態様は、トリガフレーム1200がいくつかの予約済みビットを含み得ることを認識する。予約済みビットは、IEEE802.11規格の将来の実現のために予約済みである未使用ビットを表す。例えば、IEEE802.11規格の以前のバージョン又はリリースにおける1つ又は複数の予約済みビットは、後のバージョン又はリリースにおいて(情報を搬送するために)転用され得る。いくつかの実装形態では、既存のトリガフレームフォーマットに関連付けられたいくつかの予約済みビットは、分散送信情報1234、dRU分散帯域幅情報1235、又はdRU CSD開始インデックス1236を搬送するために転用され得る。上記で説明したように、新しいシグナリングは、伝達に少なくとも合計6ビットを必要とし得る。
【0105】
図13は、既存のトリガフレームフォーマットに従ってフォーマットされたトリガフレームのユーザ情報フィールド1300を示す。より具体的には、ユーザ情報フィールド1300は、IEEE802.11規格のIEEE802.11be改訂版の初期リリースによって定義されたEHT変形ユーザ情報フィールドフォーマットに準拠する。例えば、
図12を参照すると、ユーザ情報フィールド1300は、ユーザ情報フィールド1232の一例であり得る。ユーザ情報リスト内の各ユーザ情報フィールドは、(ビット位置B0~B11内の)AID12サブフィールド内のそれぞれのAID値によって識別される。いくつかの態様では、AID値は、BSS内の特定のSTA(又はユーザ)を一意に識別し得る。
【0106】
ユーザ情報フィールド1300はまた、(ビット位置B12~B19内の)RU割振りサブフィールドと(ビット位置B39内の)PS160サブフィールドとを含む。RU割振りサブフィールドとPS160サブフィールドとを組み合わせた値は、RU割振り表内のエントリにマッピングされる。RU割振り表は、それぞれのRU割振り又はMRU割振りを表すいくつかのエントリを記憶するルックアップ表である。具体的には、RU割振り表内の各エントリは、帯域幅、RUサイズ、及びRUインデックスを示すことができる。いくつかの態様では、RU割振りサブフィールドは、
図12のRU割振りサブフィールド1233の一例であり得る。いくつかの実装形態では、RU割振り表内の任意のエントリが、分散送信のために割り振られ得る。いくつかの他の実装形態では、RU割振り表内のエントリのサブセットのみが、分散送信(26トーン、52トーン、106トーン、242トーンのRUなど)に割り振られ得る。
【0107】
図13に示すように、ユーザ情報フィールド1300は、(ビット位置B25において)予約済みビットを含む。いくつかの態様では、ユーザ情報フィールド1300の予約済みビット(B25)は、
図12の分散送信情報1234を搬送するために転用され得る。例えば、予約済みビットは、IEEE802.11規格の将来のリリース又はバージョンにおいて分散送信ビット(又はサブフィールド)によって置き換えられてよい。より具体的には、分散送信ビットの第1の値(「0」など)は、RU割振りサブフィールドによって割り振られた論理RU(又はMRU)がrRUにマッピングすることを示すことができる。他方で、分散送信ビットの第2の値(「1」など)は、RU割振りサブフィールドによって割り振られた論理RU(又はMRU)がdRUにマッピングすることを示すことができる。
【0108】
本開示の態様は、MU MIMOが分散送信のためにサポートされないことがあることを認識する。したがって、(ビット位置B26~B31における)SS割振りサブフィールドは、論理RUがdRUにマッピングすることを分散送信ビットが示すときに、dRU関連シグナリングを搬送するために転用され得る。いくつかの実装形態では、SS割振りサブフィールドの2ビットは、dRU分散帯域幅情報1235を搬送するために転用されてよく、SS割振りサブフィールドの3ビットは、dRU CSD開始インデックス1236を搬送するために転用されてよく、SS割振りサブフィールドの最後の残りのビットは、STAに割当てられた空間ストリームの数(1つの空間ストリーム又は2つの空間ストリームなど)を示す空間ストリーム情報を搬送するために転用されてよい。
【0109】
図14は、いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な別の例示的なトリガフレーム1400を示す。トリガフレーム1400は、1つ又は複数のSTAからTB PPDU(
図10のTB PPDU1000など)を要請するために使用され得る。例えば
図1を参照すると、AP102は、STA104のうちの1つ又は複数からTB PPDUを要請するためにトリガフレーム1400を送信し得る。トリガフレーム1400は、TB PPDUにおける送信のためにリソース(1つ又は複数のrRU又はdRUなど)を割り振り得る。
【0110】
トリガフレーム1400は、MACヘッダ1410と、共通情報フィールド1420と、ユーザ情報リスト1430と、0個以上のパディングビット1440と、FCS1450とを含む。MACヘッダ1410は、フレーム制御フィールドと、持続時間フィールドと、RAフィールドと、TAフィールドとを含む。共通情報フィールド1420及びユーザ情報リスト1430は、トリガフレーム1400の受信に応じて送信されることになるTB PPDUを構成するために受信デバイスによって使用され得る構成情報を搬送する。いくつかの態様では、ユーザ情報リスト1430は、それぞれのユーザについてのユーザごとの情報を各々が搬送する1つ又は複数のユーザ情報フィールド1432を含み得る。対照的に、共通情報フィールド1420は、トリガフレーム1400のすべての受信側(ユーザ情報リスト1430内で識別された任意のユーザなど)に共通である情報を搬送し得る。
【0111】
いくつかの実装形態では、共通情報フィールド1420は、dRUと、TB PPDUに関連付けられた特定の帯域幅又はサブバンドにおける送信のために割り振られた論理RUがrRUにマッピングするかdRUにマッピングするかを示す分散帯域幅情報1422とを搬送し得る。dRU及び分散帯域幅情報1422は、所与のサブバンド内の送信のために割り振られた任意のdRUに関連付けられた拡散帯域幅を更に示すことができる。いくつかの実装形態では、dRU及び分散帯域幅情報1422は、TB PPDUに関連付けられた80MHzサブバンドごとに3ビットビットマップを含み得る。各ビットマップは、80MHzサブバンドに関連付けられた論理RUが、
・rRUにマッピングするか、
・第1の20MHzサブバンドにわたって拡散されるdRUにマッピングするか、
・第1の40MHzサブバンドにわたって拡散されるdRUにマッピングするか、
・80MHzサブバンドの40MHz部分にわたって拡散されるdRUにマッピングするか、
・80MHzサブバンドにわたって拡散されるdRUにマッピングするか、
・20MHzにわたって拡散されるdRUに加えて、(パンクチャされた)80MHzサブバンドの40MHz部分にわたって拡散されるdRUにマッピングするか、又は、
・40MHzにわたって拡散されるdRUに加えて、(パンクチャされた)80MHzサブバンドの20MHz部分にわたって拡散されるdRUにマッピングするか
を示すことができる。
【0112】
本開示の態様は、dRU及び分散帯域幅情報1422が320MHz PPDU帯域幅全体をカバーするために12ビットが必要であることを認識する。しかしながら、12ビットは、共通情報フィールド1420内で転用されるために利用可能でないことがある。したがって、いくつかの他の実装形態では、dRU及び分散帯域幅情報1422の一部又はすべては、ユーザ情報リスト1430の特殊ユーザ情報フィールド1438内で搬送され得る。
図13を参照して説明したように、ユーザ情報リスト1430の各ユーザ情報フィールド1432は、BSS内の特定のSTAに割当てられたAID値によって識別されている。対照的に、特殊ユーザ情報フィールド1438は、BSS内のどのSTAにも割当てられないAID値(2007など)によって識別され得る。いくつかの態様では、特殊ユーザ情報フィールド1438は、共通情報フィールド1420の拡張であり得る。言い換えれば、特殊ユーザ情報フィールド1438は、トリガフレームに関連付けられたすべてのユーザに共通の情報を搬送することができる。
【0113】
いくつかの実装形態では、各ユーザ情報フィールド1432は、RU割振り情報1434とdRU CSD開始インデックス1436とを搬送し得る。RU割振り情報1434は、ユーザ情報フィールド1432に関連付けられたユーザに割り振られている論理RU(又はMRU)を示す。STAは、dRU及び分散帯域幅情報1422に基づいて、論理RUがrRUにマッピングするかdRUにマッピングするかを判定し得る。例えば、論理RUが、rRUのために指定された80MHzサブバンド内での送信のために割り振られている場合、STAは、その論理RU割当てはrRUにマッピングすると判定し得る。他方で、論理RUが、dRUのために指定された80MHzサブバンドにおける送信のために割り振られている場合、STAは、その論理RU割当てはdRUにマッピングすると判定することができる。dRUに関連付けられた拡散帯域幅は、dRU及び分散帯域幅情報1422によって更に示される。
【0114】
論理RUがdRUであることをdRU及び分散帯域幅情報1422が示す場合、dRU CSD開始インデックス1436は、ある数(N個)のグローバルCSD値を記憶するグローバルCSD表のそれぞれのエントリを指すことができる。いくつかの実装形態では、グローバルCSD表(
図11のCSD表1132など)は、8個のグローバルCSD値(N=8)を記憶し得る。そのような実装形態では、CSD開始インデックス1436は、グローバルCSD表の別個のエントリを指す3ビット値であり得る。いくつかの他の実装形態では、グローバルCSD表は、16個のグローバルCSD値(N=16)を記憶し得る。そのような実装形態では、CSD開始インデックス1436は、グローバルCSD表の上半分内のそれぞれのエントリ又はグローバルCSD表の下半分内のそれぞれのエントリを指す3ビット値であり得る。ユーザ情報フィールド1432に関連付けられたSTAは、明示的又は暗黙的な曖昧性除去情報(
図12を参照しながら説明したものなど)に基づいてdRU CSD開始インデックス1436がグローバルCSD表の上半分内のエントリを指すか又は下半分内のエントリを指すかを判定し得る。
【0115】
RU割振り情報1434は、IEEE 802.11規格の既存のバージョンによって定義されるものなど、ユーザ情報フィールド1432のRU割振りサブフィールド内で搬送され得る。言い換えれば、既存のRU割振りサブフィールドは、rRU送信又はdRU送信に関連付けられた論理RUを示すために再使用され得る。対照的に、dRU及び分散帯域幅情報1422並びにdRU CSD開始インデックス1436は、既存のトリガフレームフォーマット内に現在含まれていない新しいシグナリングを表す。上記で説明したように、dRU及び分散帯域幅情報1422は少なくとも12ビットを必要とすることがあり、dRU CSD開始インデックス1436は少なくとも3ビットを必要とすることがある。いくつかの実装形態では、dRU CSD開始インデックス1436は、(
図13を参照しながら説明したように)ユーザ情報フィールド1432のSS割振りサブフィールドの3ビットを転用することによってシグナリングされ得る。いくつかの実装形態では、dRU及び分散帯域幅情報1422は、共通情報フィールド1420内のいくつかの予約済みビット、又は特殊ユーザ情報フィールド1438内のいくつかの予約済みビットを転用することによってシグナリングされ得る。
【0116】
図15は、既存のトリガフレームフォーマットに従ってフォーマットされたトリガフレームの共通情報フィールド1500を示す。より具体的には、共通情報フィールド1500は、IEEE802.11規格のIEEE802.11be改訂版の初期リリースによって定義されたEHT変形共通情報フィールドフォーマットに準拠する。例えば
図14を参照すると、共通情報フィールド1500は、共通フィールド1420の一例であり得る。
図15の例では、共通情報フィールド1500は、EHT TB PPDUを要請するように構成されているトリガフレーム内に含まれ得る。
【0117】
図15に示すように、共通情報フィールド1500は、(ビット位置B56~B62及びB63内に)合計8個の予約済みビットを含む。いくつかの態様では、任意の数の予約済みビットが、
図14のdRU及び分散帯域幅情報1422の少なくとも一部を搬送するために転用され得る。例えば、予約済みビットは、IEEE 802.11規格の将来のリリース又はバージョンにおいて、dRU及び分散帯域幅サブフィールドによって置き換えられてよい。より具体的には、dRU及び分散帯域幅サブフィールドは、(
図14を参照して説明したように)PPDU帯域幅の80MHzサブバンドに関連付けられたビットマップを表す少なくとも3ビットを含み得る。いくつかの実装形態では、dRU及び分散帯域幅サブフィールドは、PPDU帯域幅の別の80MHzサブバンドに関連付けられたビットマップを表す追加の3ビットを含み得る。
【0118】
図16は、既存のトリガフレームフォーマットに従ってフォーマットされたトリガフレームの特殊ユーザ情報フィールド1600を示す。より具体的には、特殊ユーザ情報フィールド1600は、IEEE802.11規格のIEEE 802.11be改訂版の初期リリースによって定義された特殊ユーザ情報フィールドフォーマットに準拠する。したがって、(ビット位置B0~B11内の)AID12サブフィールドは、2007に等しいAID値を搬送し得る。例えば、
図14を参照すると、特殊ユーザ情報フィールド1600は、特殊ユーザ情報フィールド1438の一例であり得る。より具体的には、特殊ユーザ情報フィールド1600は、基礎となるトリガフレームの共通情報フィールド(共通情報フィールド1420など)の拡張であり得る。
【0119】
図16に示すように、特殊ユーザ情報フィールド1600は、合計3個の予約済みビット(ビット位置B37~B39)と12個のU-SIG無視ビット及び有効ビット(ビット位置B25~B36)とを含む。EHT TB PPDUフォーマットに従って、予約済みビットは、検証ビットと無視ビットとに更に細分される。検証ビットは、STAがPPDUを受信し続けるべきかを示すために使用されており、無視ビットは、受信STAによって無視され得る。いくつかの態様では、任意の数の予約済みビットは、
図14のdRU及び分散帯域幅情報1422の少なくとも一部分を搬送するために転用され得る。例えば、予約済みビットは、IEEE 802.11規格の将来のリリース又はバージョンにおいて、dRU及び分散帯域幅サブフィールドによって置き換えられてよい。より具体的には、dRU及び分散帯域幅サブフィールドは、(
図14を参照しながら説明したように)PPDU帯域幅の80MHzサブバンドに関連付けられたビットマップを表す3ビットを含み得る。
【0120】
いくつかの他の態様では、任意の数のU-SIG無視ビット及び検証ビットは、dRU及び分散帯域幅情報1422の少なくとも一部分を搬送するために転用され得る。例えば、U-SIG無視ビット及び検証ビットは、IEEE 802.11規格の将来のリリース又はバージョンにおいて、dRU及び分散帯域幅サブフィールドによって置き換えられてよい。より具体的には、dRU及び分散帯域幅サブフィールドは、PPDU帯域幅の80MHzサブバンドに関連付けられたビットマップを表す少なくとも3ビットを含み得る。いくつかの実装形態では、すべての12個のU-SIG無視ビット及び検証ビットは、dRU及び分散帯域幅情報1422のその全体を搬送するために転用され得る。例えば、dRU及び分散帯域幅サブフィールドは、320MHz PPDU帯域幅の80MHzサブバンドすべてをカバーする4つの3ビットビットマップを搬送し得る。そのような実装形態では、dRU及び分散帯域幅情報1422は、(共通情報フィールド1420の代わりに)特殊ユーザ情報フィールド1438内で排他的に搬送され得る。
【0121】
図17は、いくつかの実装形態による、APと1つ又は複数のSTAとの間の通信に使用可能な別の例示的なトリガフレーム1700を示す。トリガフレーム1700は、1つ又は複数のSTAからTB PPDU(
図10のTB PPDU1000など)を要請するために使用され得る。例えば
図1を参照すると、AP102は、STA104のうちの1つ又は複数からTB PPDUを要請するために、トリガフレーム1700を送信し得る。トリガフレーム1700は、TB PPDUにおける送信のためにリソース(1つ又は複数のrRU又はdRUなど)を割り振り得る。
【0122】
トリガフレーム1700は、MACヘッダ1710と、共通情報フィールド1720と、ユーザ情報リスト1730と、0個以上のパディングビット1740と、FCS1750とを含む。MACヘッダ1710は、フレーム制御フィールドと、持続時間フィールドと、RAフィールドと、TAフィールドとを含む。共通情報フィールド1720及びユーザ情報リスト1730は、トリガフレーム1700の受信に応じて送信されることになるTB PPDUを構成するために受信デバイスによって使用され得る構成情報を搬送する。いくつかの態様では、ユーザ情報リスト1730は、それぞれのユーザについてのユーザごとの情報を各々が搬送する1つ又は複数のユーザ情報フィールド1732を含み得る。対照的に、共通情報フィールド1720は、トリガフレーム1700のすべての受信側(ユーザ情報リスト1730内で識別された任意のユーザなど)に共通である情報を搬送し得る。
【0123】
いくつかの実装形態では、共通情報フィールド1720は、TB PPDUに関連付けられた特定の帯域幅又はサブバンド内での送信のために割り振られた論理RUがrRUにマッピングするか又はdRUにマッピングするかを示す分散送信情報1722を搬送し得る。いくつかの実装形態では、分散送信情報1722は4ビットのビットマップを含んでよく、各ビットは、TB PPDUに関連付けられたそれぞれの80MHzサブバンドに対応する。より具体的には、ビットマップの各ビットは、それぞれの80MHzサブバンドに関連付けられた論理RUがrRUにマッピングするかdRUにマッピングするかを示すことができる。
【0124】
いくつかの実装形態では、各ユーザ情報フィールド1732は、RU割振り情報1734、dRU分散帯域幅情報1736、及びdRU CSD開始インデックス1738を搬送し得る。RU割振り情報1734は、ユーザ情報フィールド1732に関連付けられたユーザに割り振られている論理RU(又はMRU)を示す。STAは、分散送信情報1722に基づいて、論理RUがrRUにマッピングするかdRUにマッピングするかを判定し得る。例えば、論理RUがrRUのために指定された80MHzサブバンド内での送信のために割り振られている場合、STAは、その論理RU割当てはrRUにマッピングすると判定し得る。他方で、論理RUが、dRUのために指定された80MHzサブバンドにおける送信のために割り振られている場合、STAは、その論理RU割当てはdRUにマッピングすると判定することができる。論理RUがdRUであることを分散送信情報1722が示す場合、dRU分散帯域幅情報1736は、dRUに関連付けられた拡散帯域幅を示すことができ、dRU CSD開始インデックス1738は、ある数(N個)のグローバルCSD値を記憶するグローバルCSD表のそれぞれのエントリを指すことができる。
【0125】
いくつかの実装形態では、グローバルCSD表(
図11のCSD表1132など)は、8個のグローバルCSD値(N=8)を記憶し得る。そのような実装形態では、CSD開始インデックス1738は、グローバルCSD表の別個のエントリを指す3ビット値であり得る。いくつかの他の実装形態では、グローバルCSD表は、16個のグローバルCSD値(N=16)を記憶し得る。そのような実装形態では、CSD開始インデックス1738は、グローバルCSD表の上半分内のそれぞれのエントリ又はグローバルCSD表の下半分内のそれぞれのエントリを指す3ビット値であり得る。ユーザ情報フィールド1732に関連付けられたSTAは、(
図12を参照しながら説明したように)明示的又は暗黙的な曖昧性除去情報に基づいて、dRU CSD開始インデックス1738がグローバルCSD表の上半分内のエントリを指すか又は下半分内のエントリを指すかを判定し得る。
【0126】
RU割振り情報1734は、IEEE 802.11規格の既存のバージョンによって定義されるように、ユーザ情報フィールド1732のRU割振りサブフィールド内で搬送され得る。言い換えれば、既存のRU割振りサブフィールドは、rRU送信又はdRU送信に関連付けられた論理RUを示すために再使用され得る。対照的に、分散送信情報1722、dRU分散帯域幅情報1736、及びdRU CSD開始インデックス1738は、既存のトリガフレームフォーマット内に現在含まれていない新しいシグナリングを表す。上記で説明したように、分散送信情報1722は少なくとも4ビットを必要とし得、dRU分散帯域幅情報1736は(20MHz、40MHz、又は80MHzの拡散帯域幅を示すために)少なくとも2ビットを必要とし得、dRU CSD開始インデックス1738は少なくとも3ビットを必要とし得る。
【0127】
いくつかの実装形態では、dRU分散帯域幅情報1736は、ユーザ情報フィールド1732のSS割振りサブフィールドの2ビットを転用することによってシグナリングされ得、dRU CSD開始インデックス1738は、(
図13を参照しながら説明したように)SS割振りサブフィールドの3ビットを転用することによってシグナリングされ得る。いくつかの実装形態では、分散送信情報1722は、(
図15に示すように)共通情報フィールド1720内の4個の予約済みビットを転用することによってシグナリングされ得る。また更に、いくつかの実装形態では、分散送信情報1722は、ユーザ情報リスト1730内の特殊ユーザ情報フィールド(
図16の特殊ユーザ情報フィールド1600など)内の任意の数の予約済みビット又はU-SIG無視ビット及び有効ビットを転用することによってシグナリングされ得る。
【0128】
図18は、いくつかの実装形態による、分散送信におけるグローバルCSDをサポートするワイヤレス通信の例示的なプロセス1800を示すフローチャートを示す。いくつかの他の実装形態では、プロセス1800は、それぞれ、
図1及び
図5Bを参照して上記で説明したSTA104又は504のうちの1つなどのネットワークノードとして動作するか、又はネットワークノード内で動作するワイヤレス通信デバイスによって実施され得る。
【0129】
いくつかの実装形態では、プロセス1800は、ブロック1802において、PPDUにおける送信に関するデータを取得することから開始する。ブロック1804において、プロセス1800は、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上でデータを変調することを進行し、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたdRUを表す。ブロック1806において、プロセス1800は、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいてPPDUのSTFを表す第1の値のシーケンスを取得することを進行する。ブロック1808において、プロセス1800は、データ及び第1の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることを進行する。
【0130】
ブロック1810において、プロセス1800は、dRU割当てに基づいて、1つ又は複数の第1のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスにそれぞれ適用することを進行する。いくつかの態様では、1つ又は複数の第1のCSDは、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたPPDUのデータ及びLTFにそれぞれ更に適用され得る。いくつかの他の態様では、1つ又は複数の第2のCSDは、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたPPDUのデータ及びLTFにそれぞれ適用され得、1つ又は複数の第2のCSDは、1つ又は複数の第1のCSDとは異なる。ブロック1812において、プロセス1800は、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスを含むPPDUを送信することを進行する。
【0131】
いくつかの態様では、1つ又は複数の第1のCSDは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたAID値に応じて生成され得る。いくつかの他の態様では、1つ又は複数の第1のCSDは、分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表から取得され得る。いくつかの実装形態では、Nは8又は16に等しくてよい。
【0132】
いくつかの態様では、1つ又は複数の第1のCSDは、ワイヤレス通信デバイスにてられた情報に基づいて、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを計算することによって取得され得、割当開始インデックスは、CSD表のN個のエントリのうちの1つを指す。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報は、AID値、dRUに関連付けられたRU割当てインデックス、又はdRUに関連付けられた開始トーンオフセットのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実装形態では、開始インデックスは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報とNとのモジュロ演算として計算され得る。
【0133】
いくつかの他の態様では、1つ又は複数の第1のCSDは、ワイヤレス通信デバイスからPPDUを要請するトリガフレームから取得され得、トリガフレームは、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを示すCSD情報を搬送し、開始インデックスは、CSD表のN個のエントリのうちの1つを指す。いくつかの実装形態では、CSD情報は、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0134】
いくつかの態様では、トリガフレームは、データが分散トーンプランに従って送信されることになることを示す分散送信情報を更に搬送し得、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送し得る。いくつかの実装形態では、分散送信情報及びdRU分散帯域幅情報は、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。いくつかの他の実装形態では、分散送信情報は、共通情報フィールド、又は共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送され得、dRU分散帯域幅情報は、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0135】
図19は、いくつかの実装形態による、分散送信におけるグローバルCSDをサポートするワイヤレス通信の例示的なプロセス1900を示すフローチャートを示す。いくつかの実装形態では、プロセス1900は、それぞれ、
図1及び
図5Aを参照して上記で説明した、AP102又は502のうちの1つなどのAPとして動作するか、又はAP内で動作するワイヤレス通信デバイスによって実施され得る。
【0136】
いくつかの実装形態では、プロセス1900は、ブロック1902において、1つ又は複数のSTAからTB PPDUを要請するトリガフレームを送信することから始まり、トリガフレームは、TB PPDUの第1のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第1の分散送信情報を搬送し、第1のデータ部分の送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示す第1のdRU分散帯域幅情報を更に搬送する。ブロック1904において、プロセス1900は、トリガフレームに応じて1つ又は複数のSTAからTB PPDUを受信することを進行する。ブロック1906において、プロセス1900は、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンからTB PPDUの第1のデータ部分を復元することを進行する。
【0137】
いくつかの実装形態では、第1の分散送信情報及び第1のdRU分散帯域幅情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。いくつかの他の実装形態では、第1の分散送信情報は、共通情報フィールド、又は共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送され得、第1のdRU分散帯域幅情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0138】
いくつかの実装形態では、トリガフレームは、TB PPDUの第2のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第2の分散送信情報を更に搬送し得、ワイヤレスチャネルの帯域幅が第2のデータ部分の送信のために割り振られていることを示す第2のdRU分散帯域幅情報を搬送し得る。いくつかの実装形態では、第1のデータ部分は1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信され得、第2のデータ部分は1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信され得、TB PPDUは、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上及び1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第1の値のシーケンスを搬送するSTFを更に含む。
【0139】
いくつかの態様では、1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第1の値のシーケンスは、1つ又は複数の第1のCSDによってそれぞれ遅延され得、1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第1の値のシーケンスは、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延され得る。いくつかの実装形態では、トリガフレームは、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた第1の開始インデックスを示す第1のCSD情報を更に搬送し得、1つ又は複数の第2のCSDに関連付けられた第2の開始インデックスを示す第2のCSD情報を搬送し得、第1の開始インデックスは、分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表の第1のエントリを指し、第2の開始インデックスは、第1のエントリとは異なるCSD表の第2のエントリを指す。いくつかの実装形態では、Nは8又は16に等しくてよい。いくつかの実装形態では、第1のCSD情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得、第2のCSD情報は、1つ又は複数のSTAのうちの第2のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送され得る。
【0140】
いくつかの実装形態では、TB PPDUは、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するLTFを更に含み得、第1のデータ部分及び1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値のシーケンスは、1つ又は複数の第1のCSDによってそれぞれ遅延されており、第2のデータ部分及び1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値のシーケンスは、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延されている。
【0141】
いくつかの他の実装形態では、TB PPDUは、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するLTFを更に含んでよく、第1のデータ部分及び1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値のシーケンスは、1つ又は複数の第1のCSDとは異なる1つ又は複数の第3のCSDによってそれぞれ遅延されており、第2のデータ部分及び1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値のシーケンスは、1つ又は複数の第2のCSDとは異なる1つ又は複数の第4のCSDによってそれぞれ遅延されている。
【0142】
図20は、いくつかの実装形態による、例示的なワイヤレス通信デバイス2000のブロック図を示す。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス2000は、
図18を参照しながら上記で説明したプロセス1800を実施するように構成されている。ワイヤレス通信デバイス2000は、
図4を参照しながら上記で説明したワイヤレス通信デバイス400の例示的な実装形態であり得る。例えば、ワイヤレス通信デバイス2000は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのモデム(例えば、Wi-Fi(IEEE802.11)モデム又はセルラーモデム)とを含む、チップ、SoC、チップセット、パッケージ、又はデバイスであり得る。
【0143】
ワイヤレス通信デバイス2000は、受信構成要素2010と、通信マネージャ2020と、送信構成要素2030とを含む。通信マネージャ2020は、データ収集構成要素2021と、変調構成要素2022と、STF決定構成要素2023と、空間ストリーム(SS)マッピング構成要素2024と、CSD構成要素2025とを更に含む。構成要素2021~2025のうちの1つ又は複数の部分は、ハードウェア又はファームウェアにおいて少なくとも一部実装され得る。いくつかの実装形態では、構成要素2021、2022、2023、2024、又は2025のうちの少なくとも一部は、メモリ(メモリ408など)内に記憶されたソフトウェアとして少なくとも一部実装される。例えば、構成要素2021~2025のうちの1つ又は複数の部分は、それぞれの構成要素の機能又は動作を実施するようにプロセッサ(プロセッサ406など)によって実行可能な非一時的命令(又は「コード」)として実装され得る。
【0144】
受信構成要素2010は、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の他のワイヤレス通信デバイスからRX信号を受信するように構成されている。通信マネージャ2020は、1つ又は複数の他のワイヤレス通信デバイスとの通信を制御又は管理するように構成されている。いくつかの実装形態では、データ収集構成要素2021は、PPDUにおける送信に関するデータを取得し得、変調構成要素2022は、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンであって、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンは、ワイヤレス通信デバイスに割当てられたdRUを表す、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上でデータを変調し得、STF決定構成要素2023は、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいて、PPDUのSTFを表す値のシーケンスを取得し得、SSマッピング構成要素2024は、データ及び値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングし得、CSD構成要素2025は、dRU割当てに基づいて、1つ又は複数のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた値のシーケンスにそれぞれ適用し得る。送信構成要素2030は、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の他のワイヤレス通信デバイスにTX信号を送信するように構成されている。いくつかの実装形態では、送信構成要素2030は、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた値のシーケンスを含むPPDUを送信し得る。
【0145】
図21は、いくつかの実装形態による、例示的なワイヤレス通信デバイス2100のブロック図を示す。いくつかの実装形態では、ワイヤレス通信デバイス2100は、
図19を参照して上記で説明したプロセス1900を実施するように構成されている。ワイヤレス通信デバイス2100は、
図4を参照しながら上記で説明したワイヤレス通信デバイス400の例示的な実装形態であり得る。例えば、ワイヤレス通信デバイス2100は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのモデム(例えば、Wi-Fi(IEEE802.11)モデム又はセルラーモデム)とを含む、チップ、SoC、チップセット、パッケージ、又はデバイスであり得る。
【0146】
ワイヤレス通信デバイス2100は、受信構成要素2110と、通信マネージャ2120と、送信構成要素2130とを含む。通信マネージャ2120は、dRUデマッピング構成要素2122を更に含む。dRUデマッピング構成要素2122の部分は、ハードウェア又はファームウェアで少なくとも一部実装され得る。いくつかの実装形態では、dRUデマッピング構成要素2122は、メモリ(メモリ408など)内に記憶されたソフトウェアとして少なくとも一部実装される。例えば、dRUデマッピング構成要素2122の部分は、それぞれの構成要素の機能又は動作を実施するためにプロセッサ(プロセッサ406など)によって実行可能な非一時的命令(又は「コード」)として実装され得る。
【0147】
受信構成要素2110は、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の他のワイヤレス通信デバイスからRX信号を受信するように構成されており、送信構成要素2130は、ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の他のワイヤレス通信デバイスにTX信号を送信するように構成されている。いくつかの実装形態では、送信構成要素2130は、1つ又は複数のSTAからTB PPDUを要請するトリガフレームであって、トリガフレームは、TB PPDUのデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す分散送信情報を搬送し、第1のデータ部分の送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を更に搬送する、トリガフレームを送信し得る。いくつかの実装形態では、受信構成要素2110は、トリガフレームに応じて、1つ又は複数のSTAからTB PPDUを受信し得る。通信マネージャ2120は、1つ又は複数の他のワイヤレス通信デバイスとの通信を制御又は管理するように構成されている。いくつかの実装形態では、dRUデマッピング構成要素2122は、分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンからTB PPDUのデータ部分を復元することができる。
【0148】
以下の番号付きの条項において、実装例について説明する。
1.ワイヤレス通信デバイスによるワイヤレス通信の方法であって、
物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)における送信に関するデータを取得することと、
分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンであって、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンが、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた分散リソースユニット(dRU)を表す、M個の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーン上でデータを変調することと、
ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅に基づいて、PPDUのショートトレーニングフィールド(STF)を表す第1の値のシーケンスを取得することと、
データ及び第1の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、
dRU割当てに基づいて、1つ又は複数の第1のサイクリックシフト遅延(CSD)を1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスにそれぞれ適用することと、
ワイヤレスチャネルを介して、1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされた第1の値のシーケンスを含むPPDUを送信することと
を含む、方法。
2.
PPDUのロングトレーニングフィールド(LTF)を表す第2の値のシーケンスを取得することと、
第2の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、
1つ又は複数の第1のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたデータ及び第2の値のシーケンスにそれぞれ適用することと
を更に含む、条項1に記載の方法。
3.
PPDUのLTFを表す第2の値のシーケンスを取得することと、
第2の値のシーケンスを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングすることと、
1つ又は複数の第2のCSDを1つ又は複数の空間ストリームにマッピングされたデータ及び第2の値のシーケンスにそれぞれ適用することを更に含む、方法であって、1つ又は複数の第2のCSDが1つ又は複数の第1のCSDとは異なる、条項1に記載の方法。
4.
ワイヤレス通信デバイスに割当てられた関連付け識別子(AID)値に応じて1つ又は複数の第1のCSDを生成すること
を更に含む、条項1から3のいずれかに記載の方法。
5.
分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表から1つ又は複数の第1のCSDを取得すること
を更に含む、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
6.Nが8又は16に等しい、条項1から3又は5のいずれか一項に記載の方法。
7.1つ又は複数の第1のCSDを取得することが、
ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報に基づいて、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスであって、開始インデックスがCSD表のN個のエントリのうちの1つを指す、開始インデックスを計算することを含む、条項1~3、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
8.ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報が、AID値、dRUに関連付けられたリソースユニット(RU)割当てインデックス、又はdRUに関連付けられた開始トーンオフセットのうちの少なくとも1つを含む、条項1から3又は5から7のいずれか一項に記載の方法。
9.開始インデックスが、ワイヤレス通信デバイスに割当てられた情報とNとのモジュロ演算として計算されている、条項1から3又は5から8のいずれか一項に記載の方法。
10.
ワイヤレス通信デバイスからPPDUを要請するトリガフレームであって、トリガフレームが、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた開始インデックスを示すCSD情報を搬送し、開始インデックスが、CSD表のN個のエントリのうちの1つを指す、トリガフレームを受信すること
を更に含む、条項1から3、5、又は6のいずれか一項に記載の方法。
11.CSD情報が、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、条項1から3、5、6、又は10のいずれか一項に記載の方法。
12.トリガフレームが更に、データが分散トーンプランに従って送信されることになることを示す分散送信情報を搬送し、ワイヤレスチャネルに関連付けられた帯域幅を示すdRU分散帯域幅情報を搬送する、条項1から3、5、6、10、又は11のいずれか一項に記載の方法。
13.分散送信情報及びdRU分散帯域幅情報が、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、条項1から3、5、6、又は10から12のいずれか一項に記載の方法。
14.分散送信情報が、共通情報フィールド、又は共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送されており、dRU分散帯域幅情報が、ワイヤレス通信デバイスに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、条項1から3、5、6、又は10~12のいずれか一項に記載の方法。
15.
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合されており、プロセッサ可読コードを記憶する少なくとも1つのメモリと、
を含むワイヤレス通信デバイスであって、
プロセッサ可読コードが、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、条項1から14のうちのいずれか1つ又は複数の方法を実施するように構成されている、ワイヤレス通信デバイス。
16.ワイヤレス通信デバイスによって実施されるワイヤレス通信の方法であって、
1つ又は複数のワイヤレス局(STA)からトリガベース(TB)物理レイヤコンバージェンスプロトコル(PLCP)プロトコルデータユニット(PPDU)を要請するトリガフレームであって、トリガフレームが、TB PPDUの第1のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第1の分散送信情報を搬送し、第1のデータ部分の送信のために割り振られたワイヤレスチャネルの帯域幅を示す第1の分散リソースユニット(dRU)分散帯域幅情報を更に搬送する、トリガフレームを送信することと、
トリガフレームに応じて1つ又は複数のSTAからTB PPDUを受信することと、
分散トーンプランに従って、ワイヤレスチャネルにわたる複数のサブキャリアインデックスのうちのある数(M個)の不連続サブキャリアインデックスにマッピングされたM個のトーンからTB PPDUの第1のデータ部分を復元することと
を含む、方法。
17.第1の分散送信情報及び第1のdRU分散帯域幅情報が、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、条項16に記載の方法。
18.第1の分散送信情報が、共通情報フィールド、又は共通情報フィールドの直後の特殊ユーザ情報フィールド内で搬送されており、第1のdRU分散帯域幅情報が、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、条項16に記載の方法。
19.トリガフレームが更に、TB PPDUの第2のデータ部分が分散トーンプランに従って送信されることになることを示す第2の分散送信情報を搬送し、ワイヤレスチャネルの帯域幅が第2のデータ部分の送信のために割り振られていることを示す第2のdRU分散帯域幅情報を搬送する、条項16から18のいずれか一項に記載の方法。
20.第1のデータ部分が1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信されており、第2のデータ部分が1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信されており、TB PPDUが、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上及び1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第1の値のシーケンスを搬送するショートトレーニングフィールド(STF)を更に含む、条項16から19のいずれか一項に記載の方法。
21.1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第1の値のシーケンスが、1つ又は複数の第1のサイクリックシフト遅延(CSD)によってそれぞれ遅延されており、1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第1の値のシーケンスが、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延されている、条項16から20のいずれか一項に記載の方法。
22.トリガフレームが更に、1つ又は複数の第1のCSDに関連付けられた第1の開始インデックスを示す第1のCSD情報を搬送し、1つ又は複数の第2のCSDに関連付けられた第2の開始インデックスを示す第2のCSD情報を搬送し、第1の開始インデックスが、分散トーンプランに関連付けられたそれぞれのCSDを各々が示すある数(N個)のエントリを有するCSD表の第1のエントリを指し、第2の開始インデックスが、第1のエントリとは異なる、CSD表の第2のエントリを指す、条項16から21のいずれか一項に記載の方法。
23.Nが8又は16に等しい、条項16から22のいずれか一項に記載の方法。
24.第1のCSD情報が、1つ又は複数のSTAのうちの第1のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されており、第2のCSD情報が、1つ又は複数のSTAのうちの第2のSTAに関連付けられたユーザ情報フィールド内で搬送されている、条項16から23のいずれか一項に記載の方法。
25.TB PPDUが、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するロングトレーニングフィールド(LTF)を更に含み、第1のデータ部分及び1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値のシーケンスが、1つ又は複数の第1のCSDによってそれぞれ遅延されており、第2のデータ部分及び1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値のシーケンスが、1つ又は複数の第2のCSDによってそれぞれ遅延されている、条項16から24のいずれか一項に記載の方法。
26.TB PPDUが、1つ又は複数の第1の空間ストリームの各々上で受信されている第2の値のシーケンスと、1つ又は複数の第2の空間ストリームの各々上で受信されている第3の値のシーケンスとを搬送するLTFを更に含み、第1のデータ部分及び1つ又は複数の第1の空間ストリーム上で受信された第2の値のシーケンスが、1つ又は複数の第1のCSDとは異なる1つ又は複数の第3のCSDによってそれぞれ遅延されており、第2のデータ部分及び1つ又は複数の第2の空間ストリーム上で受信された第3の値のシーケンスが、1つ又は複数の第2のCSDとは異なる1つ又は複数の第4のCSDによってそれぞれ遅延されている、条項16から24のいずれか一項に記載の方法。
27.
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合されており、プロセッサ可読コードを記憶する少なくとも1つのメモリと、
を含むワイヤレス通信デバイスであって、
プロセッサ可読コードが、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、条項16から26のうちのいずれか1つ又は複数の方法を実施するように構成されている、ワイヤレス通信デバイス。
【0149】
本明細書で使用する、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1つ又は複数」に言及する句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例えば、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、aのみ、bのみ、cのみ、aとbとの組み合わせ、aとcとの組み合わせ、bとcとの組み合わせ、及びaとbとcとの組み合わせのという可能性を包含することが意図される。
【0150】
本明細書で開示する実装形態に関して説明した様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、回路、動作、及びアルゴリズムプロセスは、本明細書で開示する構造及びその構造的均等物を含む、電子ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェア、ファームウェア、若しくはソフトウェアの組み合わせとして実装され得る。ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの互換性は、機能の観点から概略的に説明され、上記で説明した様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、及びプロセスに示されている。そのような機能がハードウェアにおいて実行されるか、ファームウェアにおいて実行されるか、又はソフトウェアにおいて実行されるかは、具体的な適用例及びシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0151】
本開示で説明する実装形態の様々な修正は、当業者には容易に明らかになる場合があり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書で示す実装形態に限定されるものではなく、本開示、本明細書で開示する原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられることになる。
【0152】
加えて、別個の実装形態の文脈で本明細書において説明する様々な特徴はまた、単一の実装形態において組み合わせて実装され得る。反対に、単一の実装形態の文脈で説明する様々な特徴はまた、複数の実装形態において別々に、又は任意の好適な部分組み合わせにおいて実装され得る。したがって、特徴は特定の組み合わせで働くものとして上で説明され、そのようなものとして最初に特許請求されることさえあるが、場合によっては、特許請求される組み合わせからの1つ又は複数の特徴をその組み合わせから削除することができ、特許請求される組み合わせは、部分組み合わせ又は部分組み合わせの変形を対象とする場合がある。
【0153】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されるが、このことは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示された特定の順序若しくは連続した順序で実施されること、又は示されたすべての動作が実施されることを必要とするものとして理解されるべきでない。更に、図面は、もう1つの例示的なプロセスをフローチャート又は流れ図の形式で概略的に図示する場合がある。しかしながら、示されない他の動作が、概略的に図示される例示的なプロセスに組み込まれ得る。例えば、1つ又は複数の追加の動作が、示す動作のうちのいずれかの前に、その後に、それと同時に、又はそれらの間に実施され得る。いくつかの状況では、マルチタスキング及び並列処理が有利である場合がある。その上、上記で説明した実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実装形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品において一緒に統合され得るか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【国際調査報告】