(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ジャイロセンサを使用した足回り摩耗測定
(51)【国際特許分類】
B62D 55/32 20060101AFI20241010BHJP
B62D 55/18 20060101ALI20241010BHJP
B62D 55/14 20060101ALI20241010BHJP
B62D 55/12 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B62D55/32
B62D55/18
B62D55/14 A
B62D55/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520546
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022044867
(87)【国際公開番号】W WO2023064098
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
(57)【要約】
トラックアセンブリ(14)で使用するためのトラック構成要素(26、40、28a、28b)は、アイドラホイール(30)または駆動スプロケット(16)の周りのトラックチェーンアセンブリ(18)のトラックラップ角度(α)を監視するジャイロセンサ(44a、44b)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機械(10)用のトラックアセンブリ(14)であって、
複数のトラック構成要素(26、40、28a、28b)を含むトラックチェーンアセンブリ(18)と、
駆動スプロケット(16)と、
アイドラ(30)と、
前記複数のトラック構成要素(26、40、28a、28b)のうちの少なくとも一つに取り付けられるトラックラップ角度センサ(44)を含む摩耗監視システム(42)と、を備える、トラックアセンブリ(14)。
【請求項2】
前記トラックラップ角度センサ(44)がジャイロセンサ(44a、44b)であり、前記駆動スプロケット(16)が、前記アイドラ(30)の上方で高架式であり、複数のローラ(36)を含むローラアセンブリ(22)をさらに備える、請求項1に記載のトラックアセンブリ(14)。
【請求項3】
前記トラックラップ角度センサ(44)が、トラックピン(28a)、トラックシュー(40)、およびトラックリンク(26)である、前記トラック構成要素(26、40、28a、28b)のうちの少なくとも一つに取り付けられる、請求項1に記載のトラックアセンブリ(14)。
【請求項4】
前記トラックラップ角度センサ(44)が、上方およびアイドラ(30)、ならびに前記駆動スプロケット(16)の下方に配置される、請求項3に記載のトラックアセンブリ(14)。
【請求項5】
前記摩耗監視システム(42)が、前記トラックラップ角度センサ(44)と通信するコントローラ(46、46a)を含み、前記コントローラ(46、46a)が、前記トラックチェーンアセンブリ(18)の前記トラックラップ角度(α)に基づいて、前記トラックアセンブリ(14)の摩耗量を決定するように構成される、請求項1に記載のトラックアセンブリ(14)。
【請求項6】
摩耗監視システム(42)が、複数のトラックラップ角度センサ(44)が、前記複数のトラック構成要素(26、40、28a、28b)の異なるトラック構成要素(26、40、28a、28b)に取り付けられるように、前記複数のトラック構成要素(26、40、28a、28b)に取り付けられる前記複数のトラックラップ角度センサ(44)を含む、請求項1に記載のトラックアセンブリ(14)。
【請求項7】
前記コントローラ(46)が、前記トラックチェーンアセンブリ(18)に取り付けられていない、請求項1に記載のトラックアセンブリ(14)。
【請求項8】
アイドラ(30)を含むトラックアセンブリ(14)で使用するためのトラック構成要素(26、40、28a、28b)であって、前記トラック構成要素(26、40、28a、28b)が、
前記アイドラ(30)の周りのトラックラップ角度(α)を監視するジャイロセンサ(44a、44b)を備える、トラック構成要素(26、40、28a、28b)。
【請求項9】
前記トラック構成要素(26、40、28a、28b)が、トラックピン(28a)、トラックシュー(40a)、またはトラックリンク(26)のいずれかである、請求項8に記載のトラック構成要素(26、40、28a、28b)。
【請求項10】
前記トラックラップ角度(α)の変化を測定するコントローラ(46a)と、前記トラックラップ角度(α)の変化が閾値量に到達した場合に信号を送信するように構成される信号装置(46b)と、をさらに備える、請求項8に記載のトラック構成要素(26、40、28a、28b)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エンドレストラック駆動車両に使用されるトラックチェーンを用いるトラックアセンブリに関する。より詳細には、本開示は、摩耗監視システムを有するこうしたトラックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道型機械(「移動機械」とも呼ばれ得る)は、建設現場、解体現場、採掘現場、埋め立て現場、農業の現場などの異なる作業現場で様々な種類の作業を実施するために使用され得る。例えば、ブルドーザは、建設現場で土および岩石を押しのけるために使用され得る。ブルドーザは、軌道型の移動機械として、機械の左右の側にトラックを備えた軌道式足回りを含む。トラックの各々は、複数のトラックリンクを互いに接続し、複数のトラックシューをチェーンに接続することによって形成されたトラックチェーンを含む。トラックチェーンは、機械の両側の様々なドライバ、アイドラ、および/またはローラアセンブリによって支持され、移動中にガイドされる。
【0003】
移動機械が動作すると、トラックリンク、アイドラ、およびローラアセンブリなどの足回りの構成要素を含む、様々な構成要素に摩耗または損傷が必然的にもたらされる。例えば、トラックアセンブリが動作し、各トラックリンクの表面は、トラックアセンブリ、機械、および/または外部材料(例えば、地面)の他の構成要素との接触により、摩耗し得る。構成要素が一定の量の摩耗を経験する場合、構成要素はその使用可能な寿命を超えており、交換されるべきである。足回りが全体として一定の量の摩耗を経験する場合、足回りのオーバーホールが必要となり得る。
【0004】
一つの解決策は、機械の種類、その実施作業の種類、および機械が動作している環境などに基づいて、定期的な時間間隔でこうした保守を実施することである。しかしながら、この方法は、保守が早すぎるか、または十分には早くない場合があるため、欠点を有し、機械が用いられる運転の採算性に悪影響を与える。
【0005】
他の解決策には、保守の必要性のより正確な評価が達成され得るように、摩耗をリアルタイムで測定する様々な種類の摩耗監視システムを使用することが含まれる。例えば、米国特許出願公開第2021/0088416A1号は、軌道型車両のトラックのアライメントを自動的に推定および監視するための監視システムを開示している。軌道型車両は、二つのトラックを有する足回りを含んでもよく、トラックの各々は、複数のチェーンリンクおよび関節ジョイントを有するトラックチェーンを含んでもよい。監視システムは、足回りに固定可能な少なくとも一つの足回りセンサと、二つのトラックのトラックチェーンに固定可能な少なくとも一つのチェーンセンサと、センサの検出を組み合わせて、トラックのアライメント方向を決定し、決定された方向を基準アライメント方向と比較するように構成されたプロセッサとを含む。乖離が大きすぎる場合、オペレータは保守が必要である可能性があることを警告される。
【0006】
しかしながら、この以前の監視システムは、複数のセンサの使用を必要とし、監視システム自体を所望のものよりも保守しやすくする。すなわち、センサのうちの一つが故障した場合、システムは有用ではない。従って、より堅牢な摩耗監視システムに対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施形態による移動機械用のトラックアセンブリは、複数のトラック構成要素、駆動スプロケット、アイドラ、および摩耗監視システムを含むトラックチェーンアセンブリを備え得る。摩耗監視システムは、複数のトラック構成要素のうちの少なくとも一つに取り付けられるトラックラップ角度センサを含み得る。
【0008】
本開示の実施形態によるアイドラホイールを有するトラックアセンブリで使用するためのトラック構成要素は、アイドラホイールの周りのトラックラップ角度を監視するジャイロセンサを備え得る。
【0009】
本開示の実施形態によるトラックリンク、駆動スプロケット、トラックピン、およびアイドラを有するトラックアセンブリの摩耗を監視する方法は、トラックラップ角度の変化を検出することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、トラックアセンブリおよびトラックアセンブリ用の摩耗監視システムを有する移動機械の側面図である。
【
図2】
図2は、単独で示される
図1のトラックアセンブリのアイドラである。
【
図3】
図3は、
図1に示すものなどのトラックアセンブリの摩耗を監視するために取り付けられるジャイロセンサを有するトラックリンクの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すものなどのトラックアセンブリで使用され得るトラックチェーンアセンブリの一部分の部分断面図である。ジャイロセンサは、トラックピンの中央穴の端部に位置して示されている。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態によるジャイロセンサを使用してトラックアセンブリの摩耗を監視する方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態によるセンサを有するトラックシューを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも、単に例示的および説明的なものにすぎず、特許請求する特徴を限定しない。本明細書で使用される「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、またはそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それによって要素のリストを含む工程、方法、物品、または装置は、単にそれらの要素のみを含むのではなく、そのような工程、方法、物品、または装置に明示的に列挙されていないか、または内在していない他の要素を含んでもよい。本開示では、例えば「約」、「実質的に」、および「およそ」などの相対的な用語は、記載された値の±10%の変動の可能性を示すために使用される。
【0012】
ここで、参照が本開示の実施形態に対して詳細になされ、その例が添付図面に図示される。可能な限り、同一または類似部品に言及するのに、図面全体を通して同一の参照番号を使用するであろう。一部の事例では、参照番号が本明細書で示され、図面はその後に文字が続く、例えば、100a、100b、またはプライム記号が続く、例えば100′、100′′などの参照番号を示す。参照番号の直後に文字またはプライム記号を使用することが、これらの特徴が同様の形状であり、幾何学形状が対称面の周りにミラーリングされる場合によくあるのと同様の機能を有することを示すことを理解されたい。本明細書での説明を容易にするために、文字および素数はしばしば本明細書に含まれないが、特徴の重複を示すために図面に示され得、この書面による仕様内で説明される、類似または同一の機能または形状を有する。
【0013】
図1は、「連続的な」軌道型の牽引装置を動作させることによって、駆動、推進、位置決め、および/または操作されるものなど、例示的な軌道型機械10を示す。このような機械は、例えば、軌道型トラクタ、スキッドステア、ドーザ、ショベル、バックホウ、トラックローダ、フロントショベル、電ロープショベル、油圧採掘ショベルなどを含み得る。機械は、フレーム12と、機械の対向する側面上でフレーム12に固定される一対のトラックアセンブリ14(一つのみが示されている)とを含み得る。トラックアセンブリ14は、駆動機構(図示せず)に結合された駆動スプロケット16と、駆動スプロケット16によって駆動機構に動作可能に結合され、機械10を推進するように構成されたチェーンアセンブリ18と、を含み得る。
【0014】
駆動機構は、トルク出力を生成するように構成された一つ以上の構成要素を含み得る。例えば、駆動機構は、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、またはハイブリッド駆動エンジンもしくはタービンなどの任意の好適な種類の内燃エンジンを含み得る。別の方法としてまたは追加的に、駆動機構は、電源に電気的に結合され、かつ電気エネルギーの少なくとも一部分を、電力出力から機械的エネルギーに変換するように構成された電気モータを具体化し得る。さらに別の実施形態によれば、駆動機構は、油圧ポンプに流体結合され、該ポンプによって加圧された流体をトルク出力に変換するように構成された油圧モータを含み得る。
【0015】
駆動スプロケット16は、シャフトを介して、駆動機構に結合され得、これは、駆動機構によって発生されたトルクを、駆動スプロケット16に送達するためのインターフェースを提供し得る。例えば、駆動スプロケット16は、駆動スプロケットが駆動機構によって発生されたトルクに応答して回転するように、シャフトと関連付けられたハブに固定(例えば、溶接、ボルト締め、熱結合など)され得る。一部の実施形態では、駆動スプロケット16は、駆動シャフトを介して、駆動機構に直接結合され得る。あるいは、駆動スプロケット16は、駆動スプロケット16の回転が、駆動機構によって発生されるトルクに比例するように、トルクコンバータ(ギアボックス、トランスミッションなど)を介して、駆動機構に結合され得る。
【0016】
トラックアセンブリ14は、「連続的な」トラック、機械10の駆動システムの地面係合部分を形成する、複数の構成要素を含み得る。トラックアセンブリ14は、とりわけ、駆動スプロケット16と、チェーンアセンブリ18と、少なくとも一つのアイドラアセンブリ20と、ローラアセンブリ22と、トラックアセンブリ24と、を含み得る。しかしながら、トラックアセンブリ14のこれらの構成要素が、例示に過ぎず、限定することを意図するものではないことは、理解されるべきである。したがって、トラックアセンブリ14は、追加的な構成要素および/または上記に列挙されたものとは異なる構成要素を含み得る。
【0017】
チェーンアセンブリ18は、駆動スプロケット16、アイドラアセンブリ、およびローラアセンブリ22の外側部分の周りに接続された連続チェーンを形成し得る。牽引アセンブリ24は、チェーンアセンブリ18の外側部分に接続され得、軌道型機械10の下の地面に係合するように構成され得る。使用において、駆動スプロケット16が回転すると、チェーンアセンブリ18は、駆動スプロケット16、アイドラアセンブリ20、およびローラアセンブリ22の周りを移動して、牽引アセンブリ24に地面に係合し、それによって、軌道型機械10を推進させ得る。
【0018】
例示的な実施形態では、チェーンアセンブリ18は、複数の相互接続されたトラックリンク26を含み得る(
図3および
図4も参照されたい)。本明細書で使用される場合、「トラックリンク」は、軌道型機械のための連続チェーンの任意のリンク構成要素を指してもよく、本明細書に具体的に示されるトラックリンク26に限定されない(例えば、トラックチェーンアセンブリの関節ジョイントを作成するためにより大きな機械で使用されるトラックパッドの上部も「トラックリンク」である、など)ことが理解されるべきである。一実施形態では、隣接する(例えば、連続した)トラックリンク26は、複数のトラックピンアセンブリ28を介して、一緒に結合され得る。例示的な実施形態では、チェーンアセンブリ18は、トラックピンアセンブリ28によって互いに接続される、二つの平行なトラックリンクのセットを含み得る(
図4)。
【0019】
アイドラアセンブリ20(
図1および
図2を参照)は、トラックアセンブリ14の周りを移動する際にチェーンアセンブリ18をガイドするように構成された構成要素を含み得る。例えば、各アイドラアセンブリ20は、アイドラ30およびマウント32を含み得る。アイドラ30は、チェーンアセンブリ18と係合するための機構を含み得る。例えば、アイドラ30は、トラックリンク26がアイドラの周りを進行するときにトラックリンク26に接触し、ガイドするように構成された係合面を含み得る(例えば、ガイドレール31およびトレッド面33を参照)。
【0020】
各マウント32は、フレーム12への接続を通して、アイドラ30を機械10上の定位置に保持し得る。例示的な実施形態では、調整機構34(例えば、油圧シリンダ)は、関連するアイドラ30の位置を調整する(例えば、一つのアイドラ30を別のアイドラ30から離れるように延ばす)ように、少なくとも一つのマウント32に接続され得る。アイドラ30の位置を調整することは、チェーンアセンブリ18の張力を増加または減少させ得る。
【0021】
図1で最もよく分かるように、ローラアセンブリ22はまた、チェーンアセンブリ18をガイドするように構成される構成要素を含み得る。例えば、ローラアセンブリ22は、複数のローラ36およびローラフレーム38を含み得る。ローラフレーム38は、機械10のフレーム12に取り付けられてもよい。ローラ36は、チェーンアセンブリ18をローラフレーム38の下側でガイドしてもよい。ローラ36はそれぞれ、ローラフレーム38から懸架されてもよい。具体的には、ローラ36の各々は、ローラフレーム38の下に懸架された軸上に回転的に支持されてもよい。これらのローラ36は、ローラフレーム38の下を進行するとき(例えば、アイドラのガイドレールおよびトレッド表面と類似したガイドレールおよびトレッド表面を使用して)、トラックリンク上に乗ってガイドし得る。
【0022】
牽引アセンブリ24は、チェーンアセンブリ18に担持された複数のトラックシュー40を含み得る。いくつかの実施形態では、トラックシューは、チェーンアセンブリ18から分離されてもよく、一つ以上のトラックリンク26に固定されるように構成された接続部分と、地面に接触するように構成された地面係合部分と、を含み得る。他の実施形態では、個々のトラックシュー40およびトラックリンク26は、キャスティングプロセスなどを介して一体ものとして形成される単一構造体であってよい(例えば、これは、本明細書で前述したトラックパッドを形成し得る)。地面係合部分は、トラックシュー40と地面との間の増加した牽引を提供する、一つ以上の機構(例えば、グラウサーバー)を含み得るが、必ずしもそうでなくてもよい。トラックシューは、本開示の他の実施形態では完全に省略され得る。
【0023】
機械10が動作すると、トラックアセンブリ14の構成要素は摩耗を経験することになる。例えば、隣接する構成要素間の金属間接触は、接触面における材料が摩耗し、構成要素のサイズを低減させ得る。例えば、トラックリンク26とアイドラ30(
図2を参照)およびローラ36の係合面(例えば、トレッド面33)との間の、およびトラックピンアセンブリ28と駆動スプロケット16のギア歯との間の接触は、接触面で材料を摩耗させ得る。また、研磨破片との接触は、これらの構成要素に摩耗を引き起こす場合がある。結果として、各トラックリンク26(
図3を参照)の高さHなど、およびアイドラなど(
図2を参照)の直径などは、
図1のDiから
図3のDwまで減少し得る。
【0024】
したがって、機械10は、一つ以上のセンサ44を使用してトラックアセンブリの摩耗を監視するように構成される摩耗監視システム42(
図1を参照)を含み得る。より具体的には、センサ44は、トラックが高さを変化するにつれて、トラックラップ角度α(トラックが水平方向と作る角度)を監視するように構成され得る。このセンサ44は、複数のトラック構成要素のうちの少なくとも一つに取り付けられてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、このセンサ44は、トラックピン44b(
図4を参照)およびトラックリンク44a(
図3を参照)などのトラック構成要素のうちの少なくとも一つに取り付けられるジャイロセンサの形態を取ることができる。トラックラップ角度を測定することができる他の種類のセンサが、本開示の他の実施形態で使用され得る。また、センサは、トラックシュー(例えば、トラックシュー40aがセンサを含む場所につき
図6を参照)、トラックパッド、ブッシング、締結具などの他の構成要素に取り付けられてもよい。
【0026】
図1に示すような使用において、センサ44は、それが上方の垂直レベルおよびアイドラ30に配置されるとき(例えば、センサがアイドラの回転軸Aと水平に位置合わせされるとき)に有用である。同時に、センサ44は、スプロケット16またはその一部の部分を下回る垂直レベルで配置されてもよい。
【0027】
摩耗監視システム42はまた、トラックラップ角度センサ44と通信するコントローラ46を含み得る。コントローラ46は、トラックチェーンアセンブリ18のトラックラップ角度αに基づいて、トラックアセンブリ24の摩耗量を決定するように構成される。多くの実施形態では、摩耗監視システム42は、複数のトラックラップ角度センサ44が複数のトラック構成要素の異なるトラック構成要素に取り付けられるように、複数のトラック構成要素に取り付けられる複数のトラックラップ角度センサ44(
図1を参照)を含み得る。したがって、これらのセンサ44は、互いから離間しており、システムが異なる位置で同時にトラックラップ角度を決定することを可能にする。
図1に示すコントローラ46は、損傷を受けにくいように、機械のエンジン区画またはキャブ内に位置してもよい。すなわち、コントローラ46は、
図1ではトラックチェーンアセンブリに取り付けられていないが、本開示の他の実施形態では取り付けられ得る。
【0028】
コントローラ46は、監視システム42の動作を制御するための手段を含む、単一のマイクロプロセッサまたは複数のマイクロプロセッサ、単一のマイクロコントローラまたは複数のマイクロコントローラを具現化してもよい。多数の市販の装置をコントローラとして使用することができる。コントローラは、少なくとも部分的に、機械10の電子制御モジュール(ECM)であってもよい。コントローラ46は、メモリ、二次記憶装置、プロセッサ、およびアプリケーションを実行するための他の任意の構成要素を含み得る。電源回路、信号調整回路、ソレノイドドライバ回路、および他の種類の回路など様々な他の回路が、コントローラと関連付けられてもよい。
【0029】
異なるトラックラップ角に関連付けられた摩耗値を有するセンサ(複数可)からの信号に関連する一つ以上のマップまたはデータベースは、コントローラ46のメモリに格納されてもよい。これらのマップまたはデータベースの各々は、表、グラフ、および/または方程式の形態でのデータ集合体を含み得る。コントローラ46は、構成要素の摩耗を自動的に判定および/または収容するために、コントローラ46のメモリに格納された利用可能な関係マップまたはデータベースから特定のマップまたはデータベースを選択するように構成され得る。
【0030】
一実施形態では、コントローラ46は、指定された位置(複数可)でのトラックラップ角度αに基づいて、トラックアセンブリ14によって経験される摩耗量を決定するように構成されてもよい。角度が許容可能な限界外である場合、信号がオペレータに送信されて、状況を知らせてもよい。例えば、低アイドラの近傍で摩耗が発生する(例えば、角度がこの上限を超えて増大した)ときに、上限を超えることができ、またはその逆も可能である。一方で、高架式駆動スプロケットに近接して摩耗が発生する(例えば、この下限未満に減少する角度)ときに、下限を超えることができ、またはその逆もあり得る。本開示の特定の実施形態は、
図1に示すような高架式駆動スプロケットが用いられる場合などの三角形の経路指定トラックチェーンアセンブリ、またはアイドラと駆動スプロケットとの間のインライン構成が用いられる場合などの楕円形の経路指定トラックチェーンアセンブリなどを含み得ることが理解されるべきである。
【0031】
別の実施形態では、コントローラ46は、チェーンアセンブリ、駆動スプロケット、およびアイドラによって経験される組み合わされた摩耗量を決定するように構成され得る。すなわち、コントローラ46は、個々のトラックリンク(すべてのトラックリンクにわたって同一または類似していると仮定され得る)およびアイドラによって経験される摩耗のおよその総量を、単一の量として決定し得る。当然のことながら、コントローラは、様々なツール(例えば、摩耗テーブル、アルゴリズムなど)を使用して、組み合わせられた摩耗決定に基づいて、個々の構成要素が経験する摩耗のおよその量を決定し得る。
【0032】
監視システム42は、機械上(例えば、オペレータキャビンの内側)に位置する車載コンピュータ48を含み得る。例えば、車載コンピュータ48は、少なくともプロセッサおよびディスプレイ、照明、スピーカなどの出力装置を含むダッシュボードコンピュータであってもよい。車載コンピュータ48は、コントローラ46と通信して(例えば、有線または無線接続を介して)、センサ(複数可)44からトラックラップ角度αを受信してもよい。例示的な実施形態では、車載コンピュータ48は、摩耗情報を(例えば、機械10のオペレータに)表示し得る。この摩耗情報は、例えば、トラックアセンブリ14の状態に関する安全メッセージ、サービスが必要になるまでの推定動作時間などを含み得る。
【0033】
監視システムはまた、車載コンピュータ48と同様に構成される非車載コンピュータ50を含んでもよい。非車載コンピュータ50はまた、コントローラ46および/または車載コンピュータと無線通信して、同様に摩耗情報を受信するように構成されてもよく、摩耗情報は、オペレータに表示されてもよい。無線通信は、衛星、セルラ、赤外線、Bluetooth(登録商標)、および任意の他の種類の無線通信を含み得る。搬送された摩耗情報は、摩耗パラメータ、摩耗した足回り構成要素の識別、および/またはサービス人員への命令に関するメッセージを含み得る。一つの状況では、摩耗情報は、機械10の所有者に足回り構成要素の交換のための見積もりを提供するように、および/または所有者との機械10のサービスのスケジュールを設定するように、サービス人員に指示するために使用され得る。アラートは、タブレット、電話などの他のデバイスに送信されてもよい。
【0034】
図3および
図4は、本明細書に記載の摩耗監視システム42の一部として使用され得るジャイロセンサ(44a、44b)を含み得るトラック構成要素(例えば、トラックリンク26またはトラックピン28a)の例を示す。また、アイドラの周りのトラックラップ角度の変化に基づいて、トラックアセンブリの構成要素の摩耗量を計算するコントローラ46aが設けられ得る。
【0035】
一部の実施形態では、コントローラ46aは、トラック構成要素自体の上にあってもよく、ある期間にわたってトラックアセンブリ上の特定の位置でのトラックラップ角度の変化を追跡または測定してもよい。コントローラ46aは、トラックラップ角度の変化が閾値量に到達した場合に信号を送信するように構成される信号装置(例えば、本明細書で前述したなどの無線信号装置46b)を有してもよい。この信号は、トラックラップ角度が測定された位置(例えば、全地球測位システム(GPS)を使用して)に関する情報、ならびにトラック構成要素の識別に関する情報などで符号化され得る。
【0036】
図4に焦点を当てると、トラックチェーンアセンブリ18の一部分が見えてもよく、ブッシング28bおよびトラックピン28aによって互いに枢動可能に接続された少なくとも四つのトラックリンク26を含む。トラックピン28aの内部は、穴があけられ、中央オイル貯蔵部52と、オイル貯蔵部52から下方に延在するオイル供給通路54とを形成し得る。スラストリング56およびシール58も示されている。典型的なゴムストッパまたはプラグの代わりに、あるいはそれに加えて、ジャイロセンサ44bが備えられてもよい。トラックチェーンアセンブリに対する他の構成が、本開示の他の実施形態において可能である。
【0037】
一般に、本明細書で論じる任意の構成要素は、鉄、鋼、鋳鉄、ねずみ鋳鉄、白色鉄などを含むがこれらに限定されない、任意の適切な材料から作製され得る。また、本明細書で論じる任意の構成要素は、熱処理、誘導硬化、浸炭、コーティングなどがなされ得る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
トラックラップ角度センサを有するトラック構成要素、トラックラップ角度センサを有するこれらの構成要素のうちの一つ以上を含むトラックアセンブリ、および/または本明細書で論じる任意の実施形態に従って構成される摩耗監視システムは、交換部品または現場での、またはOEM(相手先商標製造会社)コンテキストでの改造部品として提供され得る。
【0039】
図5は、前述の実施形態のいずれかを使用して実装され得る方法を示す。方法100は、トラックラップ角度の変化を検出することを含み得る(ステップ102)。これは、最初にジャイロセンサをトラックリンク、トラックピン、またはトラックチェーンアセンブリの別の構成要素に取り付けることによって達成され得る(ステップ104)。
【0040】
最終的に、角度が閾値量だけ変化するのに十分な摩耗が発生し得る。その場合、方法は、トラックラップ角度が閾値量だけ変化する場合に信号を送信することをさらに含み得る(ステップ106)。特定の実施形態では、ステップ106は、アイドラまたはトラックリンクが摩耗する場合にあり得るように、トラックラップ角度が閾値量だけ増加すると(108を参照)、信号を送信することを含む。
【0041】
他の実施形態では、信号は、トラックラップ角度が特定の点にあるものを示すために、連続的または定期的な時間間隔で送信され得る。こうした事例では、ステップ102は、アイドラの周りのトラックチェーンアセンブリの初期トラックラップ角度を検出することと、後の時間でアイドラの周りのトラックチェーンアセンブリの異なるトラックラップ角度を検出することとを含み得る(ステップ110)。
【0042】
一部の実施形態では、初期のトラックラップ角度は、センサがアイドラの上方(112を参照)および/または駆動スプロケットの下方(114を参照)に位置付けられた時に検出される。
【0043】
概して、トラックチェーンアセンブリの異なるトラックラップ角度は、センサが初期のトラックラップ角度が検出されたときと同じ位置にあるときに検出され得る(116を参照)。これは、GPSを介して達成され得る。
【0044】
同様に、ジャイロセンサの位置は、連続的に監視されてもよく、トラックラップ角度は、ジャイロがジャイロセンサの所定の位置に到達したときに測定および/または送信されてもよい(118を参照)。
【0045】
十分な摩耗が検出されると、機械は整備され得る。この監視システムは、機械を整備する時間とコストを最小化しながらも、機械が稼働している時間を最大化するため、整備間隔に磨きをかけ得る。
【0046】
また、方法は、所望される場合、機械上に配置される構成要素/センサを一つのみ有して実施されてもよい。これにより、構成要素/センサが頑丈に設計および製造される場合、システムはより頑丈になり得る。
【0047】
本明細書で使用する冠詞「a」および「an」は、一つまたは複数の品目を含むことが意図されており、「一つ以上(one or more)」と交換可能に使用され得る。一つの項目のみが意図される場合、「一つ(one)」または類似の言い回しが使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」またはこれに類する用語は制約のない用語であることが意図される。さらに、語句「~に基づく(based on)」は、別段の明示がない限り、「~に少なくとも部分的に基づく(based,at least in part,on)」を意味することを意図する。
【0048】
本明細書の値の範囲の列記は、本明細書中で特に示さない限り、該範囲内の個々の値を個別に参照する簡略な方法として機能することが意図されるものであり、個々の値は本明細書に個別に記載されるものとして本明細書に組み込まれる。
【0049】
本発明(複数可)の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で論じられるような装置および組み立て方法の実施形態に対してさまざまな修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本開示のその他の実施形態は、本明細書に開示されるさまざまな実施形態の仕様および実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構造および機能を有し得、任意の方法の特定のステップは省略され、具体的に言及されたものとは異なる順序で実行され、または場合によっては同時にまたはサブステップで実行されてもよい。さらに、さまざまな実施形態の特定の態様または特徴に対する変形または修正を行って、さらなる実施形態を作成することができ、さらにさらなる実施形態を提供するために、さまざまな実施形態の特徴および態様を、他の実施形態の他の特徴または態様に追加または置換することができる。
【国際調査報告】