(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】風力タービンを制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F03D 7/04 20060101AFI20241010BHJP
G05B 13/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F03D7/04
G05B13/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520864
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2021053915
(87)【国際公開番号】W WO2023059322
(87)【国際公開日】2023-04-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ディアマート,フェルナンド・ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】アチャンタ,ヘマ・クマリ
(72)【発明者】
【氏名】アブザデー,マスード
(72)【発明者】
【氏名】シンガル,カルペッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ドクチュ,ムスタファ・テキン
(72)【発明者】
【氏名】フ,シュー
【テーマコード(参考)】
3H178
5H004
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB12
3H178BB90
3H178CC25
3H178DD54X
3H178EE10
3H178EE36
5H004GA05
5H004GB04
5H004HB20
5H004KC22
5H004KC28
5H004KC48
5H004KC50
5H004KC54
5H004KD61
5H004LB06
5H004MA48
(57)【要約】
【課題】風力タービンを制御するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】コントローラの風力分類モジュールは、風力タービンの現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、風力リソースの現在の空力状態を決定する。現在の動作データセットは、風力タービンの現在の動作を示す。次に、コントローラの構成インテリジェンスモジュールが、現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定モジュールの推定構成と予測制御モジュールの予測制御構成を生成する。風力タービンの動作は、タービン推定器モジュールを介してエミュレートされ、予測制御モジュールの制御初期状態を生成する。予測制御モジュールは、制御初期状態及び予測制御構成に基づいて、予測区間にわたる風力タービンの予測性能を決定する。予測制御モジュールは、予測性能に基づいて風力タービンの少なくとも1つのアクチュエータの設定点を生成し、風力タービンの動作状態は、設定点に従って少なくとも1つのアクチュエータを介して影響を受ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンを制御する方法であって、前記風力タービンはコントローラを含み、前記方法は、
前記コントローラの風力分類モジュールを介して、風力タービンの現在の動作を示す風力タービンの現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、風資源の現在の空力状態を決定するステップと、
前記コントローラの構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュールの推定器構成を生成するステップと、
予測制御モジュールのための制御初期状態を生成するように、前記コントローラのタービン推定モジュールを介して、前記風力タービンの動作をエミュレートするステップであって、前記制御初期状態は、前記風力タービンの複数のコンポーネントのモデル化された現在の動作状態を含む、前記ステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュールの予測制御構成を生成するステップと、
前記コントローラの前記予測制御モジュールを介して、前記制御初期状態及び前記予測制御構成に基づいて、予測区間にわたる前記風力タービンの予測性能を決定するステップと、
前記予測制御モジュールを介して、前記予測性能に基づいて、前記風力タービンの少なくとも1つのアクチュエータの設定値を生成するステップと、
前記設定値に従って、前記少なくとも1つのアクチュエータを介して前記風力タービンの動作状態に影響を与えるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記風分類モジュールは、第1の複数の空力弾性推定器を備え、各空力弾性推定器は、異なる推定風状態に調整され、前記現在の空力状態を決定するステップは、さらに、
前記風分類モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、各空力弾性推定器から複数の風記述パラメータを生成するステップと、
前記風力分類モジュールを介して、前記複数の風力記述パラメータの指定部分に基づいて、前記現在の空力状態を決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の風記述パラメータの指定部分を決定するステップは、
a)前記コントローラを介して、前記風資源の複数の潜在的な空力状態のうちの1つの潜在的な空力状態に対する前記風力タービンの予測動作応答をモデル化し、予測動作データセットを生成するステップと、
b)前記第1の複数の空力弾性推定器の前記各空力弾性推定器を介して、前記予測された動作データセットに基づく複数の予測風記述パラメータを生成するステップと、
c)前記1つの潜在的な空力状態を再現する前記複数の予測風記述パラメータの一部を決定するステップと、
d)前記予測された複数の風記述パラメータの一部を、前記潜在的な空力状態に対応する前記予測された動作データセットに関連付けるステップと、
e)前記複数の潜在的空力状態の残りの部分について、ステップa)~d)を繰り返すステップと、
f)前記コントローラを介して、前記複数の潜在的な空力状態の各潜在的な空力状態における予測された動作データセットと、前記複数の予測された風記述パラメータのうちの前記対応する部分とを含む動作応答シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記風分類モジュールを介して、前記動作応答シグネチャデータセット、前記複数の風記述パラメータ、及び前記現在の動作データセットに基づいて、前記複数の風記述パラメータの前記指定部分を決定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の風記述パラメータの前記指定部分を決定するステップが、さらに、
前記風力分類モジュール内に少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、前記動作応答シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装して、前記現在の動作データセットに対応する複数の風記述パラメータの指定部分を決定するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、前記複数の風記述パラメータの前記指定部分に基づいて前記現在の空力状態を決定するステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器は、少なくとも1つの空力弾性モデルと、少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムとを含み、各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルは、風力タービンの挙動を柔軟構造の多体系としてモデル化するように構成され、前記複数の風力記述パラメータを生成するステップは、さらに、
前記少なくとも1つの空力弾性モデルを介して、前記少なくとも1つの空力モデルのチューニングに対応する推定風条件の存在下で、前記現在の動作データセットを発展させる風資源の結果的な空力状態を導出するステップと、
前記第1の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルによって導出された結果の空力状態に対応する複数の風記述パラメータを決定するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップが、さらに、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に基づいて複数の利得チューニングから利得チューニングを選択するステップを含み、各利得チューニングは、推定器構成及び予測制御構成の少なくとも1つを変更するように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップが、さらに、
前記コントローラの前記動作状態モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、前記風力タービンの現在の動作状態を決定するステップであって、前記動作データセットは、前記風力タービンのセンサシステムからの複数の出力信号と、前記コントローラからの少なくとも1つの制御信号とをさらに含む、前記ステップと、
前記コントローラの前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュールの推定器構成を生成するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態と前記現在の動作状態に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュールのための予測制御構成を生成するステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記動作状態モジュールが、第2の複数の空力弾性推定器を含み、前記各空力弾性推定器が、前記風力タービンの異なる推定故障状態に調整され、前記現在の動作状態を決定するステップが、さらに、
前記動作条件モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、第2の複数の空力弾性推定器から複数の記述的動作パラメータを生成するステップと、
前記動作状態モジュールを介して、前記複数の記述的動作パラメータの指定部分に基づいて、前記風力タービンの現在の動作状態を決定するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の記述的操作パラメータの前記指定部分を決定するステップが、
a)前記コントローラを介して、予測される動作状態について、複数の潜在的故障状態のうちの1つの潜在的故障状態の下での前記センサシステムからの複数のセンサ出力の予測値をモデル化するステップと、
b)前記第2の複数の空力弾性推定器を介して、前記予測動作状態に対応する予測動作データセットに基づいて、複数の予測記述動作パラメータを生成するステップと、
c)前記予測された複数のセンサ出力を再現する、前記予測された複数の記述的動作パラメータの一部を決定するステップと、
d)前記予測された複数のセンサ出力と、前記予測された複数の記述的動作パラメータの一部を、対応する1つの潜在的故障状態に関連付けるステップと、
e)前記複数の潜在的故障状態の残りについて、ステップa)~d)を繰り返すステップと、
前記動作状態モジュール内に少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、各潜在的故障状態における複数のセンサ出力の予測値と、複数の予測された記述的動作パラメータの対応する部分とからなる故障シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装して、前記故障シグネチャデータセット及び前記現在の動作データセットに基づいて、複数の記述的動作パラメータの指定部分を決定するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、前記複数の記述的動作パラメータの前記指定部分に基づいて前記現在の動作状態を決定するステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器は、少なくとも1つの空力弾性モデルと少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムとを含み、前記各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルは、前記風力タービンの挙動を柔軟構造のマルチボディシステムとしてモデル化するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の利得チューニングから前記利得チューニングを選択するステップが、さらに、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に基づいて前記利得チューニングを選択するステップを含み、各利得チューニングは、前記風資源の前記現在の空力状態及び前記風力タービンの前記現在の動作状態に基づいて、前記推定器構成及び前記予測制御構成の少なくとも一方を変更するように構成される、含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の利得チューニングから前記利得チューニングを選択するステップが、さらに、
前記複数の利得チューニングの優先順位付けスケジュールを決定するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に基づく優先順位付けスケジュールに従って、前記利得チューニングを選択するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の利得チューニングから前記利得チューニングを選択するステップが、さらに、
前記コントローラのフィードバック評価モジュールを介して、前記タービン推定器モジュールから少なくとも1つのフィードバック信号を受信するステップであって、前記少なくとも1つのフィードバック信号は、前記空力状態及び前記現在の動作状態に応答した前記風力タービンのエミュレートされた動作を示す、前記ステップと、
前記コントローラを介して、前記少なくとも1つのフィードバック信号に基づいて、前記構成インテリジェンスモジュールの前記複数の利得チューニングのうちの少なくとも1つの利得チューニングを変更するステップと、含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップは、さらに、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態と利得遷移を必要とする直前の空力状態との差を検出するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に対応する遷移アルゴリズムを実装し、直前の利得チューニングと現在の空力状態に対応する選択された利得チューニングとの間をスムーズに遷移させるステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記推定器構成は、少なくともプロセスノイズ利得とセンサノイズ利得を含む、請求項6に記載の方法
【請求項16】
前記予測制御構成が、トラッキング重み、スラック重み、及び制約限界に対応する利得を少なくとも含む、請求項6に記載の方法。
【請求項17】
前記コントローラを介して、複数の並列計算を実行し、前記推定器構成、前記予測制御構成、前記制御初期状態、前記風力タービンの前記予測性能、及び前記設定値を決定又は生成するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の並列計算を実行するステップが、さらに、
複数の高度なベクトル拡張命令を並列に実行するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記風力分類モジュール及び前記動作状態モジュールを介して、前記タービン推定器モジュールから少なくとも1つのフィードバック信号を受信するステップであって、前記少なくとも1つのフィードバック信号は、前記空力状態及び前記現在の動作状態に応答した前記風力タービンのエミュレートされた動作を示す、前記ステップと、
前記コントローラを介して、前記少なくとも1つのフィードバック信号に基づいて、前記複数の記述的動作パラメータ、前記複数の記述的動作パラメータの指定部分、前記複数の風記述的パラメータ、又は前記複数の風記述的パラメータの前記指定部分の少なくとも1つを変更するステップと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記風力タービンの動作をエミュレートするステップがさらに、
前記タービン推定モジュールを介して、前記風力タービンの構造状態を示す連続データストリームを計算するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に発電に関し、より詳細には、予測制御を介して風力タービンを制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電は一般に、現在利用可能なエネルギー源の中で最もクリーンで環境に優しいものの一つと考えられている。そのため、風力タービンが注目されている。最新の風力タービンは、通常、タワー、発電機、ギアボックス、ナセル、及び1つ又は複数のロータブレード(a tower, a generator, a gearbox, a nacelle, and one or more rotor blades)を含む。ナセルには、ギアボックスと発電機に結合されたロータセンブリが含まれる。ロータセンブリとギアボックスは、ナセル内に設置されたベッドプレート支持フレーム(bedplate support frame)に取り付けられている。ロータブレードは、既知の翼型原理(airfoil principles)を使用して風の運動エネルギーを捕捉する。ロータブレードは、ロータブレードをギアボックスに連結するシャフトを回転させるように、あるいはギアボックスが使用されない場合は発電機に直接、回転エネルギーの形で運動エネルギーを伝達する。その後、発電機は機械エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーはタワー内に収容されたコンバーター及び/又は変圧器に伝送され、その後ユーティリティグリッド(utility grid:送電網)に展開(deploy)される。現代の風力発電システムは、一般的に、送電網( power grid)に電力を供給する送電システムに電力を供給するように動作可能な複数の風力タービン発電機を有する風力発電所(wind farm:ウインドファーム)の形態をとる。
【0003】
現状の風力タービン制御は、通常、発電機トルクとブレードピッチアクチュエータ(blade pitch actuators)を使用して、広範囲の風況及び/又は故障シナリオ(wide range of wind conditions and/or fault scenarios)を通じて機械的負荷を設計限界以下に維持する。通常動作では、最も基本的な制御機能は、所定のスケジュールに従って出力とロータ速度を調整することである。これらのスケジュールは一般に、風力タービンに影響を与える風速に依存する。風速が低い場合、ロータ速度はトルクによって調整され、ブレードは風力を最も多く取り込むように適応(orient)される。より高い風速では、ブレードを風から離すようにピッチングさせる(pitching the blades away from the wind)ことで、ロータ速度を定格値に調整することができる。さらに、発電機のトルクによって電力を調整することもできる。
【0004】
最も基本的な制御機能に加えて、現状の風力タービン制御は、突然の突風、風せん断の増大、及び/又はシステム内の故障(sudden wind gusts, increased wind shear, and/or faults in the system)による負荷を軽減する複数の機能、又は制御ループを含む場合がある。これらの保護ループ/スキームは、位相のずれた周期的ピッチ(out-of-phase cyclic pitch)、急激なピッチング(rapid pitching:負荷を制限するために風から離れる急激なピッチングなど)、及び/又は風の中と外での交互のピッチング(alternating pitching in and out of the wind)で構成されることがある。制御ループ/スキームの調整(regulate control loops/schemes)及び/又は保護ループのトリガ(trigger protection loops)に必要なリアルタイムデータは、例えば、簡略化されたタービンモデルに基づく推定技術(例えば、カルマンフィルタ:Kalman filters)を用いて得ることができる。簡略化されたタービンモデルの複雑さは、既知の産業用制御プラットフォームの計算上の制限によって制限される場合がある。
【0005】
しかし、データを取得するために簡略化モデル(simplified models)を使用すると、風力タービンを最適な方法で動作させるコントローラの能力が制限される可能性がある。例えば、タービンの推定/制御で一般的に採用されている簡略化モデルは単純化されており、構造物及び/又は風力タービンに影響を与える風の状態を正確に把握できない可能性がある。その結果、保守的(conservative)であるために最適とは言えないタービン制御が行われる可能性がある。追加的な例として、負荷軽減スキーム/ループの多くは、各ループ/スキームがピッチコマンドを送信し、互いに独立して設計されている。その結果、ピッチシステムは不必要な摩耗を経験し、レートの飽和(rate saturations)によって引き起こされる不安定性の影響を受けやすくなる可能性がある。また、保護ループ/スキームの数が増えると、複雑な動的相互作用が生じ、コントローラのチューニングが困難になり、その結果、性能が最適でなくなる可能性がある。さらに、保護ループ/スキームは、重大な制約違反の危険性がある代理近似を選択(choosing surrogate approximations)することによって間接的にタービン制約を処理したり、最適以下の性能につながる保守的な動作をしたりする可能性がある。さらに例を挙げると、一般的に採用されている単純化されたモデルは、最新の風力タービンのより柔軟な構造による動的結合の増加をモデル化するのに適していない可能性がある。
【0006】
したがって、当技術分野では、前述の問題に対処する新規かつ改良されたシステム及び方法を継続的に求めている。このように、本開示は、風力タービンを制御するシステム及び方法に向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/350369号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の態様及び利点は、以下の説明において部分的に記載されるか、又は説明から明らかであるか、又は本発明の実施を通じて知ることができる。
【0009】
一態様において、本開示は、風力タービンを制御するための方法に向けられている。本方法は、コントローラの風力分類モジュール(wind classification module)を介して、風力タービンの現在の動作を示す風力タービンの現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、風力リソースの現在の空力状態(current aerodynamic state)を決定することを含むことができる。コントローラの構成インテリジェンスモジュール(configuration intelligence module)は、現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュール(turbine estimator module)の推定器構成(estimator configuration)を生成するために利用することができる。コントローラのタービン推定器モジュールは、予測制御モジュール(predictive control module)の制御初期状態(control initial state)を生成するように、風力タービンの動作をエミュレートすることができる。制御初期状態は、風力タービンの複数の構成要素のモデル化された現在の動作状態を含む場合がある。本方法はまた、構成インテリジェンスモジュールを介して、現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュールのための予測制御構成を生成することを含むことができる。予測制御モジュールは、制御初期状態及び予測制御構成に基づいて、予測区間(predictive interval)にわたる風力タービンの予測性能を決定するために採用され得る。予測制御モジュールはまた、予測性能に基づいて風力タービンの少なくとも1つのアクチュエータの設定値を生成するために採用されることもある。さらに、本方法は、設定値に従ってアクチュエータを介して風力タービンの動作状態(運転状態:operating condition)に影響を与えることを含むことができる。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、本明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
当業者に向けられた、その最良の態様を含む本発明の完全かつ有効な開示は、添付の図を参照する明細書に記載されており、その中で、以下のことが述べられている。
【
図2】
図1の風力タービンのナセルの一実施形態の透視内部図である。
【
図3】風力タービンと共に使用するためのコントローラの一実施形態のブロック図を示す。
【
図4】風力タービンを制御するためのシステムの概略図である。
【
図5】風力タービンを制御するための制御ロジックの概略図である。
【
図6】風力タービンを制御するための
図5の制御ロジックの一部の概略図である。
【
図7】公称風状態の存在下で風力タービンを制御するための、
図5の制御ロジックの一部の概略図を示す。
【
図8】第1の風条件の存在下で風力タービンを制御するための、
図5の制御ロジックの一部の概略図である。
【
図9】風力タービンを制御するための
図5の制御ロジックの一部の概略図である。
【0012】
本明細書及び図面における参照文字の繰り返しの使用は、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照するが、その1つ以上の実施例が図面に示されている。各実施例は、本発明の説明のために提供されるものであって、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明された特徴は、別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形をカバーすることが意図される。
【0014】
本明細書で使用する場合、「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、1つの構成要素を別の構成要素から区別するために互換的に使用することができ、個々の構成要素の位置又は重要性を意味することを意図していない。
【0015】
「結合された:coupled」、「固定された:fixed」、「に取り付けられた:attached to」等の用語は、本明細書で特に規定しない限り、直接的な結合、固定、又は取り付け、ならびに1つ以上の中間構成要素又は特徴を介した間接的な結合、固定、又は取り付けの両方を指す。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される近似表現は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく許容可能に変化し得るあらゆる定量的表現を修正するために適用される。したがって、「約:about」、「およそ:approximately」、「実質的に:substantially」などの用語によって修正される値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な表現は、値を測定するための計器の精度、又は構成要素及び/又はシステムを構築もしくは製造するための方法もしくは機械の精度に対応することがある。例えば、近似的な表現は、10%のマージンの範囲内であることを指す場合がある。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わされ、交換され、そのような範囲は、文脈又は言語がそうでないことを示さない限り、特定され、そこに含まれる全てのサブ範囲を含む。例えば、本明細書で開示される全ての範囲は終点を含み、終点は互いに独立して組み合わせ可能である。
【0018】
一般に、本開示は、風力タービンを制御するためのシステム及び方法に向けられている。特に、本明細書に開示されるシステム及び方法は、オンライン空力弾性モデル(online aeroelastic models、例えば、風力タービンの動作中にリアルタイムで実行される空力弾性モデル)の精度及び数値効率(accuracy and numerical efficiency)を活用して、風力タービンに関する詳細な物理的情報を提供することができる。この詳細な物理情報は、推定、制御、及び/又は故障管理(estimation, controls, and/or fault management)にオンラインで使用することができる。これにより、ベースラインのコア制御機能を提供するための空力弾性予測制御(aeroelastic predictive control)のフル活用が容易になる。さらに、本願のシステム及び方法は、風力タービンに影響を与える空力状態及び/又は風力タービンの動作状態(例えば故障状態)を決定するために、複数の物理ベースの空力弾性推定器をリアルタイムで採用することができる。この判定は、機械学習アルゴリズムの利用によってさらに容易になる可能性がある。機械学習アルゴリズムの利用は、産業制御フレームワークにおける高度なコンピューティングハードウェア及びソフトウェア(例えば、マルチコアアーキテクチャを介して実行され得る並列計算)の統合によって促進され得る。
【0019】
本システム及び方法の利点は、動作データセット(例えば、環境データなし:without environmental data)に基づいて風力タービンの現在の空力状態及び/又は現在の動作状態を決定するための多数の空力弾性推定器(number of aeroelastic estimators)の利用、予測制御モジュールのチューニング、及び風力タービンの予測性能に基づく少なくとも1つの設定値の生成に現れる可能性がある。例えば、構成インテリジェンスモジュールは、現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて利得チューニング(gain tuning)を選択することができ、タービン推定器モジュールのための推定器構成及び予測制御モジュールのための予測制御構成を生成することができる。タービン推定器モジュールは、風力タービンの動作をエミュレートして、予測制御モジュールの制御初期状態を生成してもよい。予測制御モジュールは、次に、制御初期状態及び予測制御構成に基づいて、予測区間にわたる風力タービンの予測性能を決定することができる。予測制御モジュールは、予測性能に基づいて風力タービンの少なくとも1つのアクチュエータの設定値を生成し、設定値に従ってアクチュエータを介して風力タービンの動作状態に影響を与えることができる。
【0020】
換言すれば、風力タービンに対する風の影響は、風力タービンの動作応答に反映される可能性がある。したがって、公称、乱流、せん断、ベア、突風など(nominal, turbulent, shear, veer, gust, etc.)の様々な推定風状態に調整された空力弾性モデルを採用して、空力状態を直接監視する必要なく、監視された動作応答をもたらす風の空力状態を決定することができる。次に、動作データセットから決定された現在の風の状態(例えば、公称、乱流、せん断、突風など)を含む空力状態は、決定された現在の風の状態に照らして風力タービンの最適な応答を容易にするように構成された適切な利得チューニングを選択するために利用することができる。利得チューニング(ゲイン調整)は、推定器構成及び予測制御構成に反映されることがある。現在の風況に合わせて調整すると、タービン推定器モジュールは、現在の風況に対する風力タービンの現在の応答をエミュレートすることができる。このエミュレーションは、予測制御モジュールの開始条件(例えば、制御初期状態)として機能する可能性がある。現在の風況に対して同様に調整されることで、予測制御モジュールは、将来の予測区間にわたって風力タービンの動作が開始条件からどのように変化するかを予測することができる。この将来の性能予測に基づいて、予測制御モジュールは、風力タービンのアクチュエータの設定値を生成する。この設定値は、風力タービンの現在の動作状態を維持する場合もあれば、風力タービンの性能を最適化するために動作状態に影響を及ぼすことを求める場合もある。
【0021】
ここで図面を参照すると、
図1は、本開示による風力タービン100の一実施形態の透視図を示している。風力タービン100は、一般に、支持面104(例えば、地面)から延びるタワー102と、タワー102に取り付けられたナセル106と、ナセル106に結合されたロータ108とを含むことができる。ロータ108は、回転可能なハブ110と、ハブ110に結合され、ハブ110から外側に延びる少なくとも1つのロータブレード112とを含むことができる。例えば、図示の実施形態では、ロータ108は3つのロータブレード112を含む。しかしながら、付加的な実施形態では、ロータ108は、3枚より多い又は少ないロータブレード112を含んでもよい。各ロータブレード112は、ロータ108を回転させて、運動エネルギーを風から使用可能な機械エネルギー、ひいては電気エネルギーに変換できるようにするために、ハブ110に対して間隔を空けて配置することができる。例えば、ハブ110は、ナセル106内に配置された発電機118(
図2)に回転可能に結合され、電気エネルギーの生成を可能にすることができる。
【0022】
風力タービン100は、コントローラ200も含むことができる。コントローラ200は、一実施形態では、ナセル106内に集中配置されたタービンコントローラ202として構成することができる。しかし、他の実施形態では、コントローラ200は、風力タービン100の他の構成要素内に配置されてもよいし、風力タービン外部の場所に配置されてもよい。さらに、タービンコントローラ202は、構成要素及び/又は複数の風力タービン100を制御するように構成されたファームコントローラ(farm controller:発電所制御装置)を制御するために、風力タービン100の任意の数の構成要素に通信可能に結合されてもよい。このように、コントローラ200は、コンピュータ又は他の適切な処理装置を含むことができる。
【0023】
一実施形態では、コントローラ200は、実行されると、風力タービン制御/コマンド信号の受信、送信、及び/又は実行などの様々な異なる機能を実行するようにタービンコントローラ202を構成する適切なコンピュータ可読命令を含むことができる。さらに、風力タービン100は、様々なコマンド信号(例えば、設定値:setpoints)を実行し、風力タービン100の動作状態に影響を与えるように構成された複数のアクチュエータ160(
図2)を含むことができる。本明細書で使用する場合、「動作状態:operating state(運転状態)」は、風力タービン100又はその構成要素の物理的構成、向き、及び/又は動作状態(physical configuration, orientation, and/or operating status)を指す場合があることを理解されたい。
【0024】
ここで
図2を参照すると、
図1に示された風力タービン100のナセル106の一実施形態の簡略化された内部図が図示されている。図示されるように、発電機118は、ロータ108によって生成される回転エネルギーから電力を生成するためにロータ108に結合され得る。例えば、図示の実施形態に示すように、ロータ108は、ハブ110にその回転のために結合されたロータシャフト122を含むことができる。ロータシャフト122は、主軸受144によって回転可能に支持されてもよい。ロータシャフト122は、順次、ベッドプレート支持フレーム136に連結されたギアボックス126を介して発電機118の高速シャフト124に回転可能に連結されてもよい。一般に理解されるように、ロータシャフト122は、風力タービン100の動作時のロータブレード112及びハブ110の回転に応答して、ギアボックス126に低速高トルク入力を提供することができる。次いで、ギアボックス126は、風力タービン100の動作中に高速シャフト124、ひいては発電機118を駆動するために、低速高トルク入力を高速低トルク出力に変換するように構成され得る。
【0025】
各ロータブレード112はまた、各ロータブレード112をそのピッチ軸116を中心に回転させるように構成されたピッチ制御機構120を含むことができる。各ピッチ制御機構120は、(アクチュエータ160と見なすことができる)ピッチ駆動モータ128と、ピッチ駆動ギアボックス130と、ピッチ駆動ピニオン132とを含むことができる。そのような実施形態において、ピッチ駆動モータ128は、ピッチ駆動モータ128がピッチ駆動ギアボックス130に機械的な力を与えるように、ピッチ駆動ギアボックス130に結合されてもよい。同様に、ピッチ駆動ギアボックス130は、その回転のためにピッチ駆動ピニオン132に結合されてもよい。ピッチ駆動ピニオン132は、今度は、ピッチ駆動ピニオン132の回転がピッチ軸受134の回転を引き起こすように、ハブ110と対応する回転翼112との間に結合されたピッチ軸受134と回転係合していてもよい。したがって、そのような実施形態では、設定値に応答するなどしてピッチ駆動モータ128の回転が、ピッチ駆動ギアボックス130及びピッチ駆動ピニオン132を駆動し、それによってピッチ軸116を中心にピッチ軸受134及び1以上のロータブレード112を回転させる。
【0026】
ピッチ軸116を中心に1以上のロータブレード112をピッチングさせると、1以上のロータブレード112と見かけの風との間の迎え角(angle of attack:迎角)が変化する可能性があることを理解されたい。したがって、1以上のロータブレード112は、1以上のロータブレード112がピッチ軸116を中心に回転して見かけの風と整列するときにフェザリングにピッチング(pitching to feather:羽根を立てるピッチング)し、1以上のロータブレードが見かけの風に対して概ね垂直な方向に向かって回転するときにパワーにピッチングすることがある。さらに、羽根を立てるピッチングは、結果として生じる揚力が減少する結果、一般的に1以上のロータブレード112を脱力(depowers)させることを理解すべきである。したがって、設定値に従ってピッチ軸116を中心にロータブレード112をピッチングさせることは、風力タービン100の動作状態に影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
同様に、風力タービン100は、コントローラ200に通信可能に結合された1つ又は複数のヨー駆動機構138を含むことができ、各ヨー駆動機構138は、風に対するナセル106の角度を(例えば、風力タービン100のヨー軸受140に係合することによって)変更するように構成されている。コントローラ200は、風力タービン100に作用する風に対して風力タービン100を空気力学的に方向付けるように、ナセル106のヨーイング及び/又はロータブレード112のピッチングを指示することができ、それによって発電を促進することが理解されるべきである。
【0028】
なおも
図2を参照すると、風力タービン100は、風力タービン100の動作を監視することができる1つ又は複数の動作センサ158を有する少なくとも1つのセンサシステム154を含むことができる。動作センサ158は、例えば環境条件に応答して風力タービン100の性能を検出するように構成され得る。例えば、動作センサ158は、回転速度センサ、位置センサ、加速度センサ、及び/又はコントローラ200に動作可能に結合された出力センサであってもよい。
【0029】
実施形態において、1以上の動作センサ158は、風力タービン100の任意の適切な構成要素に向けられるか、又はこれと一体であってもよい。例えば、動作センサ158は、風力タービン100のロータシャフト122及び/又は発電機118に向けることができる。1以上の動作センサ158は、ロータ速度、ロータ方位角、及び/又は任意の他の適切な測定値(a rotor speed, a rotor azimuth, and/or any other suitable measurement)の形態で、ロータシャフト122、又は風力タービン100の任意の他のシャフト、したがってロータ108、又はポンプの回転速度及び/又は回転位置を示すデータを収集することができる。1以上の動作センサ158は、実施形態において、アナログタコメータ、D.C.タコメータ、A.C.タコメータ、デジタルタコメータ、接触タコメータ、非接触タコメータ、又は時間及び周波数タコメータ(an analog tachometer, a D.C. tachometer, an A.C. tachometer, a digital tachometer, a contact tachometer a non contact tachometer, or a time and frequency tachometer)であってもよい。一実施形態では、操作センサ158は、例えば、光学式エンコーダのようなエンコーダであってもよい。
【0030】
実施形態において、1以上のセンサシステム154の1以上の動作センサ158は、電流計、電圧計、オーム計、及び/又は風力タービン100の電気状態を監視するための任意の他の適切なセンサであってもよい。さらに、実施形態において、1以上の動作センサ158は、ひずみゲージ、近接センサ、及び/又は風力タービン100又はその構成部品の変位を検出するように構成された任意の他の適切なセンサであってもよい。
【0031】
追加の実施形態では、1以上のセンサシステム154の1以上の動作センサ158は、ピッチセンサであってもよい。このように、コントローラ200は、ピッチ制御機構120に動作可能に結合された1以上の動作センサ158を介して、風力タービン100の1以上のロータブレード112のピッチ指示を受信することができる。コントローラ200は、ロータ108のピッチが、要求される発電量を満たすために変更され得る動作状態であるか否かを決定するために、風力タービン100の動作に照らしてピッチ設定値指示(pitch setpoint indication)を考慮することができる。
【0032】
また、本明細書で使用する場合、「モニタ:monitor(監視)」という用語及びその変形は、風力タービン100の様々なセンサが、モニタされるパラメータの直接測定又はそのようなパラメータの間接測定を提供するように構成され得ることを示すことを理解されたい。したがって、本明細書で説明するセンサは、例えば、監視されるパラメータに関連する信号を生成するために使用することができ、その後、風力タービン100及び/又はその構成要素の状態又は応答を決定するためにコントローラ200によって利用することができる。
【0033】
ここで
図3~
図9を参照すると、本開示による風力タービン100を制御するためのシステム300の複数の実施形態が提示されている。
図3に特に示されるように、システム300内に含まれ得る好適な構成要素の一実施形態の概略図が示される。例えば、示されるように、システム300は、コントローラ200を含み得る。コントローラ200は、動作データから風資源の空気力学的状態(an aerodynamic state of a wind resource)を決定し、空気力学的状態に基づいてタービン推定器及び予測制御モジュールを調整(tune a turbine estimator and a predictive control module)し、風力タービンの予測性能(predicted performance)に基づいて設定値を決定するように構成されてもよい。さらに、コントローラ200は、風力タービンに影響を与える風資源の複数の潜在的な空力状態(a plurality of potential aerodynamic states of a wind resource)に対する風力タービンの予測動作応答をモデル化するように構成される場合がある。このように、コントローラ200は、オフラインで、及び/又はリアルタイムで(例えば、タービンの動作中に:while the turbine is operating)採用することができる。したがって、一実施形態では、コントローラ200は、風力タービン100とともに配置される単一のコンポーネントであってもよい。しかし、さらなる実施形態では、コントローラ200は、風力タービン100と共に配置された複数のコンポーネントを包含することができる。さらなる実施形態では、コントローラ200は、風力タービン100から離れた場所に配置された追加のコンポーネントを含むことができる。
【0034】
コントローラ200及び/又はタービンコントローラ202は、1以上のセンサシステム154、したがって1以上の動作センサ158に通信可能に結合され得る。さらに、図示されているように、コントローラ200は、様々なコンピュータ実装機能(例えば、本明細書に開示されているような方法、ステップ、計算などを実行し、関連データを記憶する)を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサ206及び関連するメモリデバイス208を含むことができる。さらに、コントローラ200は、コントローラ200と風力タービン100の様々な構成要素との間の通信を容易にするための通信モジュール210も含むことができる。さらに、通信モジュール210は、センサ158から送信された信号を、プロセッサ206によって理解され処理され得る信号に変換することを可能にするセンサインターフェース212(例えば、1つ又は複数のアナログデジタル変換器)を含むことができる。1以上のセンサ158は、任意の適切な手段を使用して通信モジュール210に通信可能に結合され得ることが理解されるべきである。例えば、センサ158は、有線接続を介してセンサインターフェース212に結合されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、1以上のセンサ158は、当該技術分野で公知の任意の適切な無線通信プロトコルを使用するなどして、無線接続を介してセンサインターフェース212に結合されてもよい。さらに、通信モジュール210はまた、コマンド信号(例えば、制御ベクトル又は設定値:a control vector or setpoint)によって指示される制御動作を実施するように構成された少なくとも1つのアクチュエータ160に動作可能に結合されてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータに含まれるものとして当該技術分野で言及される集積回路を指すだけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、及び他のプログラマブル回路も指す。さらに、1以上のメモリデバイス208は、一般に、コンピュータ可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピーディスク(商標)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、及び/又は他の適切なメモリ要素を含むが、これらに限定されない1以上のメモリ要素で構成されてもよい。このような1以上のメモリデバイス208は、一般に、1以上のプロセッサ206によって実行されるとき、コントローラ200/タービンコントローラ202を、本明細書に開示される方法に従って様々な機能、ならびに他の様々な好適なコンピュータ実装機能を実行するように構成する、好適なコンピュータ可読命令を記憶するように構成され得る。
【0036】
図3~9は、風力タービン100を制御するためのシステム300の様々な態様を示す。したがって、一実施形態では、コントローラ200は、風力タービン100に影響を与える風資源の現在の空力状態(current aerodynamic state)302を決定するためのプロセス400を実施するように構成され得る。現在の空力状態302は、例えば、コントローラ200の風力分類モジュール(wind classification module)214を介して決定することができる。現在の空力状態302は、現在の動作データセット304に少なくとも部分的に基づいている場合がある。現在の動作データセット304は、風資源に応じた風力タービン100の現在の動作305(例えば、40ミリ秒間隔で更新されるリアルタイム動作)を示す場合がある。コントローラ200はまた、構成インテリジェンスモジュール216を利用して、現在の空力状態302に少なくとも部分的に基づいて、コントローラ200のタービン推定器モジュール(turbine estimator module)218の推定器構成306及びコントローラ200の予測制御モジュール(predictive control module)220の予測制御構成(predictive control configuration)308を決定することができる。309に描かれているように、タービン推定モジュール218は、風力タービン100の動作をエミュレートして、予測制御モジュール220の制御初期状態(control initial state)310を生成することができる。制御初期状態310は、風力タービン100の複数の構成要素のモデル化された現在の動作状態を含む場合がある。予測制御モジュール220は、その後、少なくとも制御初期状態310及び予測制御構成308を利用して、予測区間314にわたる風力タービン100の予測性能(predicted performance)312を決定することができる。コントローラ200は、予測制御モジュール220をさらに利用して、予測性能312に基づいて、風力タービン100の少なくとも1つのアクチュエータ160のための少なくとも1つの設定値316を生成することができる。さらに、システム300は、設定値316に従って、アクチュエータ160を介して風力タービン100の動作状態(operating state)318に影響を与えることができる。
【0037】
一実施形態では、風分類モジュール214は、第1の複数の空力弾性推定器(first plurality of aeroelastic estimators)320を含み得る。本明細書で使用される場合、「空力弾性推定器:aeroelastic estimator」という用語は、流体に対する弾性構造体又はその構成要素の動的応答を推定、モデル化、エミュレート、シミュレート、及び/又は他の方法で決定するために「空力弾性」の概念を活用する推定器を指す場合がある。Collarの三角形(Collar’s triangle)によって示されるように、「空力弾性:aeroelasticity」の概念は、弾性体(例えば、1以上のロータブレード112、ロータ108、及び/又はタワー102)が流体の流れ(例えば、風資源)にさらされるときの慣性力、弾性力、及び空力力(inertial forces, elastic forces, and aerodynamic forces)の間の結合効果(coupling effects)を反映することができる。
【0038】
一実施形態では、空力弾性概念を活用する推定器の空力弾性モデル402は、弾性体に対する風の流れパターンに応答して発達する空力荷重(aerodynamic loads developed in response to flow pattern of the wind against the elastic body)を決定するように構成された空力アルゴリズムを含むことができる。空気力学的負荷(aerodynamic loads:空力荷重)は、例えば、様々な計算流体力学的アプローチ(computational fluid dynamics approaches)を介してモデル化することができる。空力弾性モデル402はまた、弾性体の構造力学に基づいて弾性体の動的応答をモデル化するように構成された、有限要素モデル(finite element model)などの構造動的アルゴリズムを含むことができる。したがって、空力弾性モデ402の空力アルゴリズム及び構造力学アルゴリズムは、弾性体の観察された又は予測された挙動(observed or projected behavior、たとえば、入力)をもたらすのに必要な流体の流れのパラメータ(たとえば、出力)をモデル化するために併用することができる。追加の実施形態では、空力弾性モデル402の空力アルゴリズム及び構造力学アルゴリズムは、観測又は予測された流体の流れ(例えば、入力)に応答する弾性体の予想される挙動(例えば、出力)をモデル化するために並列で利用(utilized in tandem)され得る。空力弾性モデル402は、例えば、境界要素法、Glauert補正係数、動的流入モデルによる誘導速度、ブレード変形、準静的ブレードねじれ、及び/又は他の適切なアルゴリズムに向けられた少なくとも1つのアルゴリズム(a boundary element method, a Glauert correction factor, an induced velocities with dynamic inflow model, a blade deformation, quasi-static blade twist, and/or other suitable algorithms)を含むことができる。
【0039】
図7及び
図8に特に描かれているように、一実施形態では、複数の空力弾性推定器320の各空力弾性推定器322は、異なる推定風条件(例えば、公称風条件(nominal wind condition、WC)、WC-1、WC-2、WC-3、...WC-n)にチューニングされてもよい。異なる推定風条件(different presumptive wind condition)は、例えば、公称風条件、突風条件(例えば、WC-1)、せん断条件(例えば、WC-2)、ベア条件(例えば、WC-3)、乱流条件(例えば、WC-4)、及び/又は風力タービン100の動作に影響を与える可能性のある公称風条件からの偏差を表す他の風条件を含むことができる。言い換えれば、各空力弾性推定器322は、流体の流れが、各空力弾性推定器322が調整される推定風条件を経験していた場合に、風力タービン100の観察された又は予測された動作をもたらす流体の流れ(例えば、風)のパラメータを決定することができる。
【0040】
非限定的な例示として、複数の空力弾性推定器320のうちの1つの空力弾性推定器322は、風力タービン100に衝突する風がせん断条件を有すると推定し、推定されたせん断条件下で風力タービン相互作用の慣性力、弾性力、及び空力力をモデル化することができる。複数の空力弾性推定器320の各追加の空力弾性推定器322によって(例えば、マルチコアアーキテクチャを介して)、各追加の推定風条件について同じ計算が並列に(例えば、同時に)達成されてもよいことが理解されるべきである。さらに、現在の動作データ304によって反映されるような風力タービンの所与の動作について、複数の空力弾性推定器320の各空力弾性推定器322の異なる推定風条件は、各空力弾性推定器322からの流体流れのパラメータの異なる出力をもたらす可能性があることを理解されたい。
【0041】
一実施形態では、風分類モジュール214は、現在の動作データセット304に少なくとも部分的に基づいて、各空力弾性推定器322から複数の風記述パラメータ404を生成することができる。したがって、複数の風記述パラメータ404のそれぞれは、対応する空力弾性推定器322が調整されている推定風条件を風が実証した場合に動作データセット304をもたらすであろう、風力タービン100に影響を与える風の特性を記述することができる。複数の風記述パラメータ404の各々は、例えば、風速、垂直せん断、水平せん断、垂直ずれ、水平ずれ、乱流(wind speed, vertical shear, horizontal shear, vertical misalignment, horizontal misalignment, turbulence)、及び/又は風力タービン100に影響を与える風を記述する他の任意のパラメータに対応するパラメータを含むことができる。
【0042】
一実施形態では、風分類モジュール214は、第1の複数の空力弾性推定器320によって生成された複数の風記述パラメータ404から現在の空力状態302を決定してもよい。風分類モジュール214は、複数の風記述パラメータ404の指定部分(designated portion)406に基づいて現在の空力状態302を決定してもよいことが理解されるべきである。
【0043】
例えば、一実施形態では、第1の複数の空力弾性推定器320の各空力弾性推定器322は、少なくとも1つの空力弾性モデル402を含むことができる。追加の実施形態において、第1の複数の空力弾性推定器320の各空力弾性推定器322は、少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズム408を含むことができる。各空力弾性推定器322の1以上の空力弾性モデル402は、風力タービン100の挙動を可撓性構造のマルチボディシステム(multibody system of flexible structures)としてモデル化するように構成することができる。したがって、空力弾性モデル402は、空力モデル402のチューニングに対応する推定風条件の存在下で、現在の動作データセット304を展開する風資源の空気力学的状態(resultant aerodynamic state)410を導出するために利用することができる。したがって、風分類モジュール214は、411において、第1の複数の空力弾性推定器320の各空力弾性推定器322の1以上の空力弾性モデル402によって導出された空気力学的状態410に対応する複数の風記述パラメータ404を決定することができる。
【0044】
図6のステップ(a)に特に描かれているように、複数の風記述パラメータ404の指定部分406を決定するために、コントローラ200は、風資源の複数の潜在的な空力状態414のうちの1つの潜在的な空力状態412に対する風力タービン100の予測動作応答をモデル化することができる。予測動作応答に基づいて、コントローラ200は、予測動作データセット416を生成することができる。予測動作データセット416は、風力タービン100が1つの潜在的な空力状態412に遭遇した場合の風力タービン100の予測動作を説明するものである。
【0045】
複数の潜在的空力状態414は、風力タービン100の環境動作エンベロープ(environmental operating envelope)に対応する可能性があることを理解されたい。したがって、1つの潜在的空力状態412は、風力タービンの環境動作エンベロープ内に入る1つの風状態であり、したがって、風力タービン100が遭遇する可能性のある1つの風状態である可能性がある。複数の潜在的空力状態414のうちの1つの潜在的空力状態412を説明するために、複数の潜在的風パラメータを利用することができる。
【0046】
ステップ(b)に図示されているように、一実施形態では、第1の複数の空力弾性推定器320の各空力弾性推定器322は、予測動作データセット416に基づいて複数の予測風記述パラメータ418を生成するためにコントローラ200によって利用され得る。所与の予測動作データセット416に対して、各空力弾性推定器322の異なる推定風条件は、予測風記述パラメータ418の異なる出力をもたらす可能性があることを理解されたい。
【0047】
ステップ(c)で例示されるように、実施形態では、複数の潜在的空力状態414の潜在的空力状態を複製する複数の予測風記述パラメータ418の一部420が決定されてもよい。例えば、予測動作データセット416に基づいて第1の複数の空力弾性推定器320によって生成された様々な個々の予測風記述パラメータは、ステップ(a)でコントローラによってモデル化された1つの潜在的空力状態412を記述する複数の潜在的風パラメータと比較されてもよい。この比較により、複数の予測風記述パラメータ418の様々な個々の予測風記述パラメータのどれが、1つの潜在的な空力状態を記述するものであるかを明らかにすることができる。
【0048】
422で示されるように、実施形態では、ステップ(d)は、複数の潜在的な空力状態414のうちの1つの潜在的な空力状態412に対応する複数の予測された風記述パラメータ418の部分を予測された動作データセット416に関連付けることを含むことができる。言い換えれば、1つの潜在的な空力状態412を記述する複数の予測風記述パラメータ418の特定の部分と、複数の予測風記述パラメータ418が生成された予測動作データセット416との間の関係が確立されてもよい。
【0049】
ステップ(e)で図示されているように、実施形態では、ステップ(a)からステップ(d)を、複数の潜在的空力状態414の残り424について繰り返すことができる。ステップ(a)からステップ(d)を繰り返すことにより、複数の予測風記述パラメータ418の部分と、残り424の様々な潜在的な空力状態414に対応する予測動作データセット416との間の相関関係の決定が容易になり得ることが理解されるべきである。したがって、相関関係は、風力タービン100の環境動作エンベロープにわたって(across the environmental operating envelope)決定することができる。
【0050】
ステップ(f)に示されるように、一実施形態では、コントローラ200は、動作応答シグネチャデータセット(operational-response signature data set)426を生成することができる。動作応答シグネチャデータセット426は、複数の潜在的な空力状態414の各々における予測動作データセット416と、複数の予測風記述パラメータ418の対応する部分420とを含み得る。言い換えれば、特定の予測された操作データセット416と、複数の予測された風記述パラメータ418の特定の対応する部分420との組み合わせは、特定の空力状態を示す可能性がある。さらに、動作応答シグネチャデータセット426は、特定の予測動作データセット416に基づいて第1の複数の空力弾性推定器320によって生成された複数の予測風記述パラメータ418の特定の対応する部分420に基づいて、推定風状態(例えば、公称WC、WC-1、WC-2、WC-3、...WC-n)のうちの1つに対応する風状態の識別を容易にし得る。動作応答シグネチャデータセット426は、コントローラ200によって、データベース、ルックアップテーブル、及び/又はグラフ表現に組み立てることができる。
【0051】
動作応答シグネチャデータセット426は、現在の動作データセット304に基づいて第1の複数の空力弾性推定器320によって生成された複数の風記述パラメータ404に基づいて、風資源の現在の空力状態302(公称、突風、せん断、ベア、乱流など(nominal, gust, shear, veer, turbulence, etc.)の現在の風状態を含む)の決定を容易にし得ることを理解されたい。ステップ(a)~(f)は、一実施形態では、コントローラ200を介してオフラインで達成され得ることがさらに理解されるべきである。
【0052】
428で描かれているように、動作中、実施形態では、風分類モジュール214は、動作応答シグネチャデータセット426、複数の風記述パラメータ404、及び現在の動作データセット304に基づいて、複数の風記述パラメータ404の指定部分406を決定することができる。言い換えれば、現在の空力状態302を示す複数の風記述パラメータ404の部分は、動作応答シグネチャデータセット426によって示される複数の風記述パラメータ404と現在の動作データセット304との間の関係に基づいて特定/指定されてもよい。
【0053】
一実施形態では、風分類モジュール214は、少なくとも1つの機械学習アルゴリズム430を含むことができる。このように、複数の風記述パラメータ404の指定部分406を決定するために、コントローラ200は、風分類モジュール214内に1以上の機械学習アルゴリズム430を実装し、動作応答シグネチャデータセット426を生成することができる。機械学習アルゴリズム430は、例えば、ガウス過程モデル、ランダムフォレストモデル、ニューラルネットワーク及び/又はサポートベクターマシン(Gaussian Process Models, Random Forest Models, Neural Network and/or Support Vector Machines)などの既知の機械学習モデルを利用することができる。1以上の機械学習アルゴリズム430は、ステップ(a)~(f)を介してオフライン/オンラインでトレーニングされ得ることが理解されるべきである。
【0054】
432で描写されているように、1以上の機械学習アルゴリズム430は、実施形態において、現在の動作データセット304に対応する複数の風記述パラメータ404の指定部分406を決定するために実装されてもよい。例えば、実施形態において、1以上の機械学習アルゴリズム430は、指定部分406を決定するために、動作応答シグネチャデータセット426を生成及び/又は活用することができる。
【0055】
434で描写されているように、実施形態では、1以上の機械学習アルゴリズム430は、複数の風記述パラメータ404の指定部分406に基づいて現在の空力状態302を決定するために、コントローラ200によって実装され得る。例えば、実施形態において、1以上の機械学習アルゴリズム430は、指定部分406を決定するために、動作応答シグネチャデータセット426を生成及び/又は活用してもよく、次いで、指定部分406に基づいて現在の空力状態302を決定してもよい。
【0056】
特に
図5、
図7、及び
図8を参照すると、一実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、推定器構成306及び予測制御構成308を生成するためにコントローラ200によって利用され得る。推定器構成は、例えば、少なくともプロセスノイズ利得(Q: process-noise gain)及びセンサノイズ利得(R:sensor-noise gain)を含むことができる。予測制御構成は、例えば、トラッキング重み334、スラック重み336、及び制約限界338に対応する利得を少なくとも含むことができる。
【0057】
したがって、実施形態において、構成インテリジェンスモジュール216は、推定器構成306及び予測制御構成308を生成するために、現在の空力状態302に基づいて、複数の利得チューニング326の利得チューニング324を選択することができる。そのような実施形態において、複数の利得チューニング326の各利得チューニングは、推定器構成306及び/又は予測制御構成308を修正するように構成されてもよい。
【0058】
図7及び
図8に描かれているように、複数の利得チューニング326の各利得チューニングは、特定の風条件に遭遇したときの風力タービン100の所望の性能/動作応答に対応し得る。例えば、複数の利得チューニング326は、複数の空力弾性推定器320が調整され得る推定風条件(例えば、公称WC、WC-1、WC-2、WC-3、...WC-n)の各々に対応する利得チューニング(ゲイン調整:gain tuning)を含み得る。
【0059】
図示すると、
図7は、複数の風記述パラメータ404の指定部分406が、風力タービン100に影響を与える風資源の公称風状態に一致する現在の空力状態302を示す実施形態を示す。そのため、構成インテリジェンスモジュール214は、公称-WC利得チューニングとして構成された利得チューニング324を選択することができる。言い換えれば、風力分類モジュール214が、風力タービン100に影響を与える風資源が公称状態を有すると判定する実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、公称風況に対して風力タービン100の性能を最適化する利得チューニング324を選択することができる。
【0060】
追加の説明として、
図8は、複数の風記述パラメータ404の指定部分406が、第1の風状態(WC-1)(例えば、突風、シア、ベア、乱流などのいずれか)と一致する現在の空力状態302を示している実施形態を描いている。このように、構成インテリジェンスモジュール214は、WC-1利得チューニングとして構成された利得チューニング324を選択することができる。言い換えれば、風力分類モジュール214が、風力タービン100に影響を与える風資源が第1の風状態を有すると決定する実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、決定された現在の空力状態302に対して風力タービン100の性能を最適化する利得チューニング324を選択することができる。
【0061】
構成インテリジェンスモジュール216は、風分類モジュール214による現在の空力状態302の決定の変化に応答して、複数の利得チューニング326の利得チューニングの間で切り替えてもよいことを理解されたい。例えば、実施形態において、構成インテリジェンスモジュール216は、現在の空力状態(current aerodynamic state)302と直前の空力状態(immediate-past aerodynamic state)330との間の差(difference)328を検出することができる。差328は、複数の利得チューニング326の様々な利得チューニング間の利得遷移(gain transition)を必要とする可能性がある。
【0062】
利得遷移が必要とされ得る実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、遷移アルゴリズム332を実装し得る。遷移アルゴリズム332は、現在の空力状態302に対応してもよい。言い換えれば、遷移アルゴリズム332は、現在の空力状態302に合わせて調整されてもよい。例えば、遷移アルゴリズム332は、突風などの突発的な事象/風状態のために、利得遷移の高速ブレンドを実装してもよい。しかし、遷移アルゴリズム332は、シアやベアなどの事象/風状態に対しては、遅いブレンディングを実施することができる。このように、移行アルゴリズム332は、実施形態において、直前の利得チューニングと現在の空力状態302に対応する選択された利得チューニング324との間のスムーズな移行を促進することができる。
【0063】
特に
図4、
図5、及び
図9を参照すると、推定器構成306及び予測制御構成308を生成するために、コントローラ200は、実施形態において動作状態モジュール222を利用することもできる。動作状態モジュール222は、風力タービン100の現在の動作状態340を決定することができる。現在の動作状態340は、例えば、風力タービン100の現在の動作305が風力タービン100の公称動作(nominal operation)と一致していることを示す場合がある。しかしながら、追加の実施形態では、現在の動作状態340は、現在の動作305が風力タービン100の公称動作に対して劣化していることを示す場合がある。さらなる実施形態では、現在の動作状態340は、風力タービン100のコンポーネント(構成要素)及び/又はセンサ信号に影響を及ぼす故障状態の存在を示す場合がある。
【0064】
現在の動作状態340の決定は、動作状態モジュール222によるプロセス500の実施によって達成され得る。実施形態において、現在の動作状態340は、少なくとも部分的に、現在の動作データセット304に基づいて決定されてもよい。そのような実施形態では、現在の動作データセット304は、風力タービン100の1以上のセンサシステム154からの複数の出力信号502を含むことができる。さらに、現在の動作データセット304は、実施形態において、コントローラ200からの少なくとも1つの制御信号504を含むことができる。
【0065】
システム300が動作状態モジュール222を採用する実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、現在の空力状態302及び現在の動作状態340に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュール218のための推定器構成306を生成することができる。追加の実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、現在の空力状態302及び現在の動作状態340に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュール220のための予測制御構成308を生成することができる。
【0066】
実施形態において、動作条件モジュール222は、第2の複数の空力弾性推定器342を含むことができる。第2の複数の空力弾性推定器342の各空力弾性推定器344は、風力タービン100の異なる推定故障/異常状態に調整されてもよい。言い換えれば、第2の複数の空力弾性推定器342の各空力弾性推定器344は、現在の動作データ304が、特定の空力弾性推定器344がチューニングされる推定故障状態の結果である出力信号502及び/又は制御信号504を含むと推定することができる。
【0067】
例えば、一実施形態では、少なくとも1つの空力弾性推定器344は、風力タービン100がブレードピッチ異常を経験しているという推定に基づいて、風力タービン100の動作を記述するように調整される場合がある。ブレードピッチ異常は、ピッチ角の凍結、アクチュエータ応答の鈍化、過剰な軸受摩擦(frozen pitch angle, a sluggish actuator response, excessive bearing friction)、及び/又はロータブレード112を所望のピッチ角で方向付けるピッチシステムの能力に影響を与える可能性のある他の同様の状態などのピッチシステム状態を含む可能性がある。
【0068】
追加の実施形態では、少なくとも1つの空力弾性推定器344は、風力タービン100にセンサ異常が発生しているという推定に基づいて、風力タービン100の動作を記述するように調整することができる。センサ異常は、センサシステム154及び/又は動作センサ158の偏り、過大ノイズ、及び/又は故障(biases, excessive noise, and/or failures)を含む可能性がある。例えば、センサ異常は、1つ以上のセンサからの信号がないこと、及び/又は信号品質/分解能が低いことによって示される場合がある。付加的な実施形態において、センサ障害は、センサ出力が範囲外であること、及び/又はアジマス信号(azimuth signal:方位信号)を欠いていることによって示され得る。追加のセンサ故障には、ゼロキャリブレーションロー故障、ひずみセンサドリフト、温度センサ故障、加算故障、乗算故障、出力スタック故障、及び/又はスロードリフト故障(a zero-calibration-low fault, a strain sensor drift, a temperature sensor failure, and additive fault, a multiplicative fault, an output stuck fault and/or a slow drifting fault)が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの空力弾性推定器344は、風力タービン100が劣化した/最適でない性能を経験しているという推定に基づいて、風力タービン100の動作を記述するように調整することができる。このような劣化は、例えば、氷の形成、ピッチ角のオフセット、ブレードのアンバランス、劣化した翼型、後流効果、ウインドシャドウ(ice formation, pitch angle offsets, a blade imbalance, a degraded airfoil, a wake effect, a wind shadow)、及び/又は風力タービン100の動作が公称動作から逸脱する可能性のある他の状態に起因する可能性がある。第2の複数の空力弾性推定器342の個々の空力弾性推定器は、異なる劣化源の存在を推定するように調整することができることを理解されたい。
【0070】
一実施形態では、動作条件モジュール222は、第2の複数の空力弾性推定器342から複数の記述的動作パラメータ506を生成することができる。複数の記述的動作パラメータ506の生成は、少なくとも部分的に、現在の動作データセット304に基づくことがある。実施形態では、507に描かれているように、動作状態モジュール222は、複数の記述的動作パラメータ506の指定部分508に基づいて、風力タービン100の現在の動作状態340を決定することができる。
【0071】
図9に特に描かれているように、複数の記述的動作パラメータ506の指定部分508を決定するために、コントローラ200は、センサシステム154からの予測された複数のセンサ出力510をモデル化してもよい。予測された複数のセンサ出力510は、予測された動作状態514について、複数の潜在的故障状態512のうちの1つの潜在的故障状態の下でモデル化されてもよい。第2の複数の空力弾性推定器342は、次に、予測された動作条件514に対応する予測された動作データセット518に基づいて複数の予測された記述的動作パラメータ516を生成するために利用されてもよい。520に描かれているように、予測された複数のセンサ出力(projected plurality of sensor outputs)510を複製(replicate:再現)する複数の予測された記述的動作パラメータ516の一部が決定され得る。522で描写されるように、複数の予測された記述的動作パラメータ516の部分は、複数の潜在的故障状態512のうちの1つの潜在的故障状態に対応する予測された複数のセンサ出力に相関させてよい。524で描かれているように、ステップは、複数の潜在的故障状態512の残りの部分について繰り返されてもよい。
【0072】
実施形態において、動作条件モジュール222は、故障シグネチャデータセット526を生成するために少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装することができる。故障シグネチャデータセットは、複数の潜在的故障状態512の各潜在的故障状態における予測された複数のセンサ出力510と、複数の予測された記述的動作パラメータ516の対応する部分とを含み得る。実施形態において、528で描写されるように、1以上の機械学習アルゴリズムは、次に、故障シグネチャデータセット526及び現在の動作データセット304に基づいて、複数の記述的動作パラメータ506の指定部分508を決定するために実施され得る。また、530で描かれているように、1以上の機械学習アルゴリズムは、複数の記述的動作パラメータ506の指定部分508に基づいて現在の動作状態340を決定するように実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0073】
システム300が動作条件モジュール222を採用する実施形態では、構成インテリジェンスモジュール216は、現在の空力状態302及び現在の動作条件340に基づいて利得チューニング324を選択することができる。このような実施形態では、各利得チューニング324は、風資源の現在の空力状態302及び風力タービン100の現在の動作状態340に基づいて、推定器構成306及び予測制御構成308の少なくとも一方を修正するように構成され得る。
【0074】
複数の利得チューニング326の利得チューニング324を選択するために、一実施形態では、複数の利得チューニング326について優先順位付けスケジュール346が決定されてもよい。したがって、348で描かれているように、構成インテリジェンスモジュール216は、現在の空力状態302及び現在の動作状態340に基づいて、優先順位付けスケジュール346に従って利得チューニング324を選択してもよい。例えば、一実施形態では、優先順位付けスケジュール346は、特定の風状態に遭遇したときに風力タービンの性能を最適化するように構成された利得チューニング326よりも、特定の故障/異常に応答する抑制動作に関連付けられた利得チューニング326を優先する可能性がある。
【0075】
図3及び
図4に描かれているように、システム300は、一実施形態では、フィードバック評価モジュール224を含んでもよい。フィードバック評価モジュール224は、タービン推定器モジュール218から少なくとも1つのフィードバック信号350を受信することができる。1以上のフィードバック信号350は、空力状態302及び/又は現在の動作状態340に応答した風力タービン100のエミュレートされた動作を示す場合がある。言い換えれば、1以上のフィードバック信号350は、現在の空力状態302及び/又は現在の動作状態340に遭遇したときの物理的な風力タービン100のデジタル表現に対応する可能性がある。次いで、352で描写されているように、コントローラ200は、実施形態において、1以上のフィードバック信号350に基づいて、構成インテリジェンスモジュール216の複数の利得チューニング326のうちの少なくとも1つの利得チューニング324を修正することができる。
【0076】
図4に描かれているように、追加の実施形態では、風分類モジュール214及び/又は動作条件モジュール222は、タービン推定器モジュール218から1以上のフィードバック信号350を受信することができる。フィードバック信号350の受信に応答して、風分類モジュール214は、複数の風記述パラメータ404、及び/又は複数の風記述パラメータ404の指定部分406を修正してもよい。同様に、実施形態において、動作条件モジュール222は、フィードバック信号350に基づいて、複数の記述的動作パラメータ506、及び/又は複数の記述的動作パラメータ506の指定部分508を修正してもよい。
【0077】
実施形態では、コントローラ200は、推定器構成306、予測制御構成308、制御初期状態310、風力タービン100の予測性能312、及び設定値316を決定又は生成するために、複数の並列計算を実施するように構成される場合がある。例えば、コントローラ200は、高度なベクトル拡張命令(advanced vector extension instructions)の計算上の利点を活用するように構成することができる。したがって、コントローラ200のプロセッサ206は、マルチコアアーキテクチャを有することができる。マルチコアアーキテクチャの利用により、複数の高度なベクトル拡張命令の並列実行が容易になる場合がある。
【0078】
実施形態において、タービン推定器モジュール218は、任意の所与の瞬間における風力タービン100の構造状態を示す連続データストリームを計算してもよい。例えば、実施形態では、タービン推定器モジュール218は、推定器構成306に従って構成され、現在の動作データ304を受信することができる。これに応答して、タービン推定器モジュール218は、風力タービン100の構造状態をエミュレートすることができる。風力タービン100の構造状態は、風力タービン100の現在の状態に対応する可能性があり、したがって、制御初期状態310を確立する可能性があり、そこから予測制御モジュール220は、予測区間314にわたって風力タービンの性能を予測する可能性があることを理解されたい。実施形態において、予測間隔は、10秒未満(例えば、8秒)であってもよい。
【0079】
実施形態では、システム300は、予測制御モジュール220を利用して、予測区間314にわたる風力タービン100の予測性能312を決定し、予測性能312に基づいてアクチュエータ160の設定値316を生成することができる。このように、予測制御モジュールは、線形化された形式の(in a linearized form)風力タービン100のシステムダイナミクスの数学的表現(例えば、モデル)を含むことができる。したがって、数学的表現は、第一原理又は他の手段(例えば、データ駆動型モデル:data driven models)から導出することができる。このように、予測制御モジュール220は、風力タービン100の動作を記述する様々な高忠実度シミュレーションシナリオ(various high fidelity simulation scenarios)の結果を決定するように構成することができる。
【0080】
制御初期状態310から開始して、予測制御モジュール220は、一実施形態では、将来の時間(例えば、予測区間(predictive interval)314)について風力タービン100の数学的表現を伝播(propagate the mathematical representation)することができる。例えば、予測制御モジュール220は、現在の空力状態302及び/又は現在の動作条件340に対する風力タービン100の予測応答をシミュレート/エミュレートすることができる。言い換えれば、予測制御モジュール220は、風力タービン100に影響を与える、現在の動作データ304によって反映される実際の状態に応答して、風力タービンの動作を継続的にエミュレートするために、モデルベースの技術を利用することができる。予測制御モジュール220は、風力タービン100のあらゆる側面をデジタル的に複製するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0081】
予測制御モジュール220は、数学的表現/数学的モデルの予測能力を利用して、予測区間314にわたる制御動作(例えば、ピッチ及び/又はトルク)を最適化してもよいことも理解されるべきである。最適化は、予測区間314の間に尊重されるべき制約を指定してもよい。拘束(restraints:制限)は、例えば、ブレード荷重、タワー荷重、ピッチ振幅及びレート拘束、トルク振幅及びレート拘束、ピッチトラベル、及び/又は他の同様の拘束(blade loads, tower loads, pitch amplitude and rate constraints, torque amplitude and rate constraints, pitch travel, and/or other similar constraints)を含み得る。さらに、最適化は、性能目標からの逸脱に対するペナルティ及び制御活動に対するペナルティを最小化するように構成されたコスト関数を有することができる。最適化の解は、予測区間314にわたる設定値316の最適値を提供し得る。コントローラ200は、制御初期状態310を更新し、現在の時間に対する新たな最適化を解くことができる。このように、最適化プロセスは連続的に繰り返される。言い換えれば、最適化問題は、現在時刻に初期化され、解かれ、新たな最適化プロセスは、レシーディングホライズンアプローチ(receding horizon approach)で開始される。
【0082】
さらに、当業者は、異なる実施形態からの様々な特徴の交換可能性を認識するであろう。同様に、記載された様々な方法ステップ及び特徴、ならびに各そのような方法及び特徴に対する他の既知の等価物は、本開示の原理に従って追加のシステム及び技術を構築するために、当業者によって混合及び適合され得る。もちろん、上記のような目的又は利点は、必ずしもすべて、任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示又は示唆され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点又は利点群を達成又は最適化する方法で、本明細書で説明されるシステム及び技術を具体化又は実施することができることを認識するであろう。
【0083】
本明細書では、実施例を用いて、最良の態様を含む本発明を開示するとともに、任意の装置又はシステムの製造及び使用、ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含め、当業者であれば誰でも本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0084】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
[実施形態1]
風力タービンを制御する方法であって、前記風力タービンはコントローラを含み、前記方法は、
前記コントローラの風力分類モジュールを介して、風力タービンの現在の動作を示す風力タービンの現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、風力リソースの現在の空力状態を決定するステップと、
前記コントローラの構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュールの推定器構成を生成するステップと、
予測制御モジュールの制御初期状態を生成するように、前記コントローラの前記タービン推定器モジュールを介して風力タービンの動作をエミュレートするステップであって、前記制御初期状態は、前記風力タービンの複数のコンポーネントのモデル化された現在の動作状態を含む、前記ステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、前記予測制御モジュールのための予測制御構成を生成するステップと、
前記コントローラの前記予測制御モジュールを介して、前記制御初期状態及び前記予測制御構成に基づいて、予測間隔にわたる風力タービンの予測性能を決定するステップと、
前記予測制御モジュールを介して、前記予測性能に基づいて、前記風力タービンの少なくとも1つのアクチュエータのための設定値を生成するステップと、
前記設定値に従って、前記少なくとも1つのアクチュエータを介して前記風力タービンの動作状態に影響を与えるステップと、を含む。
[実施形態2]
前記風分類モジュールが第1の複数の空力弾性推定器を備え、各空力弾性推定器が異なる推定風状態に調整され、前記現在の空力状態を決定するステップが、前記風分類モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて各空力弾性推定器から複数の風記述パラメータを生成するステップと、前記風分類モジュールを介して、複数の風記述パラメータの指定部分に基づいて前記現在の空力状態を決定することとをさらに備える、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記複数の風力記述パラメータの前記指定部分を決定するステップは、
a)前記コントローラを介して、予測動作データセットを生成するために、風資源の複数の潜在的な空力状態のうちの1つの潜在的な空力状態に対する風力タービンの予測動作応答をモデル化するステップと、
b)前記第1の複数の空力弾性推定器の前記各空力弾性推定器を介して、前記予測動作データセットに基づいて複数の予測風力記述パラメータを生成するステップと、
c)1つの潜在的な空力状態を再現する複数の予測風記述パラメータの一部を決定するステップと、
d)前記複数の予測風記述パラメータの一部を、潜在的な空力状態に対応する予測動作データセットに相関させるステップと、
e)複数の潜在的空力状態の残りの部分についてステップa)~d)を繰り返すステップであって、前記複数の潜在的空力状態は風力タービンの環境動作エンベロープに対応する、前記ステップと、
f)前記コントローラを介して、前記複数の潜在的空力状態の各潜在的空力状態における予測動作データセットと、複数の予測風記述パラメータのうちの対応する部分とからなる動作応答シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記風分類モジュールを介して、前記動作応答シグネチャデータセット、前記複数の風記述パラメータ、及び前記現在の動作データセットに基づいて、前記複数の風記述パラメータの前記指定部分を決定するステップと、を含む、実施形態1または2に記載の方法。
[実施形態4]
前記複数の風記述パラメータの前記指定部分を決定するステップが、さらに、
動作応答シグネチャデータセットを生成するために、風分類モジュール内に少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装するステップと、
現在の動作データセットに対応する複数の風記述パラメータの指定部分を決定するために、少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装するステップと、
前記複数の風記述パラメータの前記指定部分に基づいて前記現在の空力状態を決定するために、前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装するステップと、
を含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態5]
前記第1の複数の空力弾性推定器の前記各空力弾性推定器が、少なくとも1つの空力弾性モデルと少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムとを備え、前記各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルが、前記風力タービンの挙動を可撓性構造のマルチボディシステムとしてモデル化するように構成され、前記複数の風力記述パラメータを生成することがさらに、
前記少なくとも1つの空力弾性モデルを介して、前記少なくとも1つの空力モデルのチューニングに対応する推定風条件の存在下で現在の動作データセットを展開する風力リソースの結果空力状態を導出するステップと、
前記第1の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルによって導出された前記結果空力状態に対応する複数の風力記述パラメータを決定するステップと、を含む、先行するいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態6]
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップが、
構成インテリジェンスモジュールを介して、現在の空力状態に基づく複数の利得チューニングのうちの利得チューニングを選択するステップを含み、各利得チューニングが、前記推定器構成及び前記予測制御構成のうちの少なくとも1つを修正するように構成される、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態7]
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップは、さらに、
前記コントローラの動作状態モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、風力タービンの現在の動作状態を決定するステップであって、前記動作データセットが、前記風力タービンのセンサシステムからの複数の出力信号と、前記コントローラからの少なくとも1つの制御信号とをさらに含む、前記ステップと、
前記コントローラの構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定モジュールの推定器構成を生成するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュールの予測制御構成を生成するステップと、を含む、先行するいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態8]
前記動作状態モジュールが第2の複数の空力弾性推定器を含み、各空力弾性推定器が前記風力タービンの異なる推定故障状態にチューニングされ、前記現在の動作状態を決定するステップがさらに、
前記動作条件モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の複数の空力弾性推定器から複数の記述的動作パラメータを生成するステップと、
前記動作条件モジュールを介して、前記複数の記述的動作パラメータの指定部分に基づいて、前記風力タービンの前記現在の動作条件を決定するステップと、をさらに含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態9]
複数の記述的動作パラメータの指定部分を決定するステップは、
a)前記コントローラを介して、予測された動作状態について、複数の潜在的な故障状態のうちの1つの潜在的な故障状態の下でのセンサシステムからの予測された複数のセンサ出力をモデル化するステップと、
b)前記第2の複数の空力弾性推定器を介して、前記予測された動作状態に対応する予測された動作データセットに基づいて、複数の予測された記述的動作パラメータを生成するステップと、
c)前記予測された複数のセンサ出力を複製する複前記数の予測記述的動作パラメータの部分を決定するステップと、
e)前記複数の潜在的故障状態の残りの部分について、ステップa)~d)を繰り返すステップと、
d)前記複数の予測記述的動作パラメータの部分と、予測された複数のセンサ出力とを、対応する1つの潜在的故障状態に相関させるステップと、
各潜在的故障状態における予測された複数のセンサー出力と、複数の予測された記述的動作パラメーターの対応する部分とからなる故障シグネチャデータセットを生成するために、前記動作状態モジュール内に少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装するステップと、
故障シグネチャデータセットと現在の動作データセットに基づいて、複数の記述的動作パラメータの指定部分を決定するために、少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装するステップと、
前記複数の記述的動作パラメータの前記指定部分に基づいて、前記現在の動作状態を決定するために、少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装するステップとを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
[実施形態10]
前記第2の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器は、少なくとも1つの空力弾性モデルと少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムとを含み、各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルは、前記風力タービンの挙動を柔軟構造のマルチボディシステムとしてモデル化するように構成される、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態11]
前記複数の利得チューニングのうちの前記利得チューニングを選択するステップが、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、現在の空力状態及び現在の動作状態に基づいて利得チューニングを選択するステップをさらに含み、
各利得チューニングが、風資源の現在の空力状態及び風力タービンの現在の動作状態に基づいて、推定器構成及び予測制御構成のうちの少なくとも1つを修正するように構成される、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態12]
前記複数の利得チューニングのうちの前記利得チューニングを選択するステップが、
前記複数の利得チューニングの優先順位付けスケジュールを決定するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に基づいて、前記優先順位付けスケジュールに従って利得チューニングを選択するステップとをさらに含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態13]
前記複数の利得チューニングのうちの前記利得チューニングを選択するステップが、
前記コントローラのフィードバック評価モジュールを介して、前記タービン推定器モジュールから少なくとも1つのフィードバック信号を受信するステップであって、前記少なくとも1つのフィードバック信号は、前記空力状態及び前記現在の動作状態に応答した前記風力タービンのエミュレートされた動作を示す、前記ステップと、
前記コントローラを介して、前記少なくとも1つのフィードバック信号に基づいて、前記構成インテリジェンスモジュールの複数の利得チューニングの少なくとも1つの利得チューニングを修正するステップと、をさらに含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態14]
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップは、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、利得遷移を必要とする現在の空力状態と直前の空力状態との間の差異を検出するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、直前の利得チューニングと現在の空力状態に対応する選択された利得チューニングとの間を滑らかに遷移させるために、前記現在の空力状態に対応する遷移アルゴリズムを実施するステップと、をさらに含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態15]
前記推定器構成が、少なくともプロセスノイズ利得とセンサノイズ利得とを含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態16]
前記予測制御構成が、トラッキング重み、スラック重み、及び制約限界に対応する少なくとも利得を含む、先行するいずれかの実施形態の方法。
[実施形態17]
前記コントローラを介して、前記推定器構成、前記予測制御構成、前記制御初期状態、前記風力タービンの前記予測性能、及び前記設定値を決定又は生成するための複数の並列計算を実施するステップをさらに含む、先行するいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態18]
複数の並列計算を実施するステップが、複数の高度なベクトル拡張命令を並列に実行するステップをさらに含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
[実施形態19]
前記風力分類モジュール及び前記動作状態モジュールを介して、前記タービン推定器モジュールから少なくとも1つのフィードバック信号を受信するステップであって、前記少なくとも1つのフィードバック信号が、空気力学的状態及び現在の動作状態に応答した風力タービンのエミュレートされた動作を示す、前記ステップと、
前記コントローラを介して、前記少なくとも1つのフィードバック信号に基づいて、前記複数の記述的動作パラメータ、前記複数の記述的動作パラメータの前記指定部分、前記複数の風力記述的パラメータ、又は前記複数の風力記述的パラメータの前記指定部分のうちの少なくとも1つを修正するステップと、を含む先行するいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態20]
前記風力タービンの動作をエミュレートするステップは、前記タービン推定モジュールを介して、前記風力タービンの構造状態を示す連続的なデータストリームを計算するステップをさらに含む、先行するいずれかの実施形態に記載の方法。
【符号の説明】
【0085】
100:風力タービン 102:タワー 104:支持面 106:ナセル 108:ロータ 110:ハブ 112:ロータブレード 116:ピッチ軸 118:発電機 120:ピッチ制御機構 122:ロータシャフト 124:高速シャフト 126:ギアボックス 128:ピッチ駆動モータ 130:ピッチ駆動ギアボックス 132:ピッチ駆動ピニオン 134:ピッチ軸受 136:ベッドプレート支持フレーム 138:ヨー駆動機構 140:ヨー軸受 144:主軸受 154:ンサシステム 158:動作センサ 160:アクチュエータ 200:コントローラ 202:タービンコントローラ 206:プロセッサ 208:メモリデバイス 210:通信モジュール 212:センサインターフェース 214:風分類モジュール 216:構成インテリジェンスモジュール 218:タービン推定モジュール 220:予測制御モジュール 222:動作状態モジュール 224:フィードバック評価モジュール 300:システム 302:現在の空力状態 304:現在の動作データセット 305:現在の動作 306:推定器構成 308:予測制御構成 310:制御初期状態 312:予測性能 314:予測間隔 316:設定点 318:動作状態 320、322:空力弾性推定器 324、326:利得チューニング 328:差 330:直前/過去の空力状態 332:遷移アルゴリズム 334:トラッキング重み 336:スラック重み 338:制約限界 340:動作条件 342、344:空力弾性推定器 346:優先順位付けスケジュール 350:フィードバック信号 400:プロセス 402:空力弾性モデル 404:風記述パラメータ 406:指定部分 408:フィルタリングアルゴリズム 410:空気力学的状態 412、414:潜在的な空力状態 416:予測動作データセット 420:一部 424:残り 500 プロセス 502:出力信号 504:制御信号 506:複数の記述的動作パラメータ 512:複数の潜在的な故障状態 514:予測された動作条件 518:予測された動作データセット
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンを制御する方法であって、前記風力タービンはコントローラを含み、前記方法は、
前記コントローラの風力分類モジュールを介して、風力タービンの現在の動作を示す風力タービンの現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、風資源の現在の空力状態を決定するステップと、
前記コントローラの構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュールの推定器構成を生成するステップと、
予測制御モジュールのための制御初期状態を生成するように、前記コントローラのタービン推定モジュールを介して、前記風力タービンの動作をエミュレートするステップであって、前記制御初期状態は、前記風力タービンの複数のコンポーネントのモデル化された現在の動作状態を含む、前記ステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、現在の空力状態に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュールの予測制御構成を生成するステップと、
前記コントローラの前記予測制御モジュールを介して、前記制御初期状態及び前記予測制御構成に基づいて、予測区間にわたる前記風力タービンの予測性能を決定するステップと、
前記予測制御モジュールを介して、前記予測性能に基づいて、前記風力タービンの少なくとも1つのアクチュエータの設定値を生成するステップと、
前記設定値に従って、前記少なくとも1つのアクチュエータを介して前記風力タービンの動作状態に影響を与えるステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記風分類モジュールは、第1の複数の空力弾性推定器を備え、各空力弾性推定器は、異なる推定風状態に調整され、前記現在の空力状態を決定するステップは、さらに、
前記風分類モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、各空力弾性推定器から複数の風記述パラメータを生成するステップと、
前記風力分類モジュールを介して、前記複数の風力記述パラメータの指定部分に基づいて、前記現在の空力状態を決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の風記述パラメータの指定部分を決定するステップは、
a)前記コントローラを介して、前記風資源の複数の潜在的な空力状態のうちの1つの潜在的な空力状態に対する前記風力タービンの予測動作応答をモデル化し、予測動作データセットを生成するステップと、
b)前記第1の複数の空力弾性推定器の前記各空力弾性推定器を介して、前記予測された動作データセットに基づく複数の予測風記述パラメータを生成するステップと、
c)前記1つの潜在的な空力状態を再現する前記複数の予測風記述パラメータの一部を決定するステップと、
d)前記予測された複数の風記述パラメータの一部を、前記潜在的な空力状態に対応する前記予測された動作データセットに関連付けるステップと、
e)前記複数の潜在的空力状態の残りの部分について、ステップa)~d)を繰り返すステップと、
f)前記コントローラを介して、前記複数の潜在的な空力状態の各潜在的な空力状態における予測された動作データセットと、前記複数の予測された風記述パラメータのうちの前記対応する部分とを含む動作応答シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記風分類モジュールを介して、前記動作応答シグネチャデータセット、前記複数の風記述パラメータ、及び前記現在の動作データセットに基づいて、前記複数の風記述パラメータの前記指定部分を決定するステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の風記述パラメータの前記指定部分を決定するステップが、さらに、
前記風力分類モジュール内に少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、前記動作応答シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装して、前記現在の動作データセットに対応する複数の風記述パラメータの指定部分を決定するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、前記複数の風記述パラメータの前記指定部分に基づいて前記現在の空力状態を決定するステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器は、少なくとも1つの空力弾性モデルと、少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムとを含み、各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルは、風力タービンの挙動を柔軟構造の多体系としてモデル化するように構成され、前記複数の風力記述パラメータを生成するステップは、さらに、
前記少なくとも1つの空力弾性モデルを介して、前記少なくとも1つの空力モデルのチューニングに対応する推定風条件の存在下で、前記現在の動作データセットを発展させる風資源の結果的な空力状態を導出するステップと、
前記第1の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルによって導出された結果の空力状態に対応する複数の風記述パラメータを決定するステップとを含む、請求項2
乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップが、さらに、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に基づいて複数の利得チューニングから利得チューニングを選択するステップを含み、各利得チューニングは、推定器構成及び予測制御構成の少なくとも1つを変更するように構成される、請求項2
乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップが、さらに、
前記コントローラの前記動作状態モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、前記風力タービンの現在の動作状態を決定するステップであって、前記動作データセットは、前記風力タービンのセンサシステムからの複数の出力信号と、前記コントローラからの少なくとも1つの制御信号とをさらに含む、前記ステップと、
前記コントローラの前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に少なくとも部分的に基づいて、タービン推定器モジュールの推定器構成を生成するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態と前記現在の動作状態に少なくとも部分的に基づいて、予測制御モジュールのための予測制御構成を生成するステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記動作状態モジュールが、第2の複数の空力弾性推定器を含み、前記各空力弾性推定器が、前記風力タービンの異なる推定故障状態に調整され、前記現在の動作状態を決定するステップが、さらに、
前記動作条件モジュールを介して、前記現在の動作データセットに少なくとも部分的に基づいて、第2の複数の空力弾性推定器から複数の記述的動作パラメータを生成するステップと、
前記動作状態モジュールを介して、前記複数の記述的動作パラメータの指定部分に基づいて、前記風力タービンの現在の動作状態を決定するステップと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の記述的操作パラメータの前記指定部分を決定するステップが、
a)前記コントローラを介して、予測される動作状態について、複数の潜在的故障状態のうちの1つの潜在的故障状態の下での前記センサシステムからの複数のセンサ出力の予測値をモデル化するステップと、
b)前記第2の複数の空力弾性推定器を介して、前記予測動作状態に対応する予測動作データセットに基づいて、複数の予測記述動作パラメータを生成するステップと、
c)前記予測された複数のセンサ出力を再現する、前記予測された複数の記述的動作パラメータの一部を決定するステップと、
d)前記予測された複数のセンサ出力と、前記予測された複数の記述的動作パラメータの一部を、対応する1つの潜在的故障状態に関連付けるステップと、
e)前記複数の潜在的故障状態の残りについて、ステップa)~d)を繰り返すステップと、
前記動作状態モジュール内に少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、各潜在的故障状態における複数のセンサ出力の予測値と、複数の予測された記述的動作パラメータの対応する部分とからなる故障シグネチャデータセットを生成するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装して、前記故障シグネチャデータセット及び前記現在の動作データセットに基づいて、複数の記述的動作パラメータの指定部分を決定するステップと、
前記少なくとも1つの機械学習アルゴリズムを実装し、前記複数の記述的動作パラメータの前記指定部分に基づいて前記現在の動作状態を決定するステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の複数の空力弾性推定器の各空力弾性推定器は、少なくとも1つの空力弾性モデルと少なくとも1つのフィルタリングアルゴリズムとを含み、前記各空力弾性推定器の少なくとも1つの空力弾性モデルは、前記風力タービンの挙動を柔軟構造のマルチボディシステムとしてモデル化するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の利得チューニングから前記利得チューニングを選択するステップが、さらに、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に基づいて前記利得チューニングを選択するステップを含み、各利得チューニングは、前記風資源の前記現在の空力状態及び前記風力タービンの前記現在の動作状態に基づいて、前記推定器構成及び前記予測制御構成の少なくとも一方を変更するように構成される、含む、請求項8
または9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の利得チューニングから前記利得チューニングを選択するステップが、さらに、
前記複数の利得チューニングの優先順位付けスケジュールを決定するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態及び前記現在の動作状態に基づく優先順位付けスケジュールに従って、前記利得チューニングを選択するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の利得チューニングから前記利得チューニングを選択するステップが、さらに、
前記コントローラのフィードバック評価モジュールを介して、前記タービン推定器モジュールから少なくとも1つのフィードバック信号を受信するステップであって、前記少なくとも1つのフィードバック信号は、前記空力状態及び前記現在の動作状態に応答した前記風力タービンのエミュレートされた動作を示す、前記ステップと、
前記コントローラを介して、前記少なくとも1つのフィードバック信号に基づいて、前記構成インテリジェンスモジュールの前記複数の利得チューニングのうちの少なくとも1つの利得チューニングを変更するステップと、含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記推定器構成及び前記予測制御構成を生成するステップは、さらに、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態と利得遷移を必要とする直前の空力状態との差を検出するステップと、
前記構成インテリジェンスモジュールを介して、前記現在の空力状態に対応する遷移アルゴリズムを実装し、直前の利得チューニングと現在の空力状態に対応する選択された利得チューニングとの間をスムーズに遷移させるステップと、を含む、請求項6
乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記推定器構成は、少なくともプロセスノイズ利得とセンサノイズ利得を含む、請求項6
乃至14のいずれかに記載の方法
【国際調査報告】